特表2021-520387(P2021-520387A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-520387B型肝炎ウイルス感染を治療するためのFUBP1阻害剤の使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-520387(P2021-520387A)
(43)【公表日】2021年8月19日
(54)【発明の名称】B型肝炎ウイルス感染を治療するためのFUBP1阻害剤の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20210726BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20210726BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20210726BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20210726BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20210726BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20210726BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210726BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20210726BHJP
【FI】
   A61K45/00ZNA
   A61K31/4745
   A61K31/496
   A61K31/713
   A61K31/711
   A61P31/20
   A61P43/00 111
   C12N15/113 100Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】74
(21)【出願番号】特願2020-554482(P2020-554482)
(86)(22)【出願日】2019年4月5日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月27日
(86)【国際出願番号】EP2019058664
(87)【国際公開番号】WO2019193165
(87)【国際公開日】20191010
(31)【優先権主張番号】18165897.2
(32)【優先日】2018年4月5日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(71)【出願人】
【識別番号】504217063
【氏名又は名称】サントル レオン ベラール
(71)【出願人】
【識別番号】511196870
【氏名又は名称】ユニベルシテ クロード ベルナール リヨン プルミエ
(71)【出願人】
【識別番号】595040744
【氏名又は名称】サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
(71)【出願人】
【識別番号】511074305
【氏名又は名称】インセルム(インスティチュート ナショナル デ ラ サンテ エ デ ラ リシェルシェ メディカル)
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】ルアンサイ,スーファローネ
(72)【発明者】
【氏名】テストーニ,バルバラ
(72)【発明者】
【氏名】ズーリム,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】オトスン,セーアン
(72)【発明者】
【氏名】ピーダスン,ルゲ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084MA52
4C084MA55
4C084NA14
4C084ZB331
4C084ZC412
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC50
4C086CB22
4C086EA16
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA14
4C086ZB33
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、HBV感染、特に慢性HBV感染の治療において使用するためのFUBP1阻害剤に関する。本発明は特に、cccDNA、例えばHBV cccDNAを不安定化させるためのFUBP1阻害剤の使用に関する。本発明はまた、FUBP1に相補的であり、そしてFUBP1 mRNAを減少させることが可能である、核酸分子、例えばsiRNA、shRNAおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドにも関する。やはり本発明に含まれるのは、薬学的組成物、ならびにHBV感染の治療および/または防止におけるその使用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
B型肝炎ウイルス(HBV)感染の治療および/または防止において使用するためのFUBP1阻害剤。
【請求項2】
HBV感染が慢性感染である、請求項1の使用のためのFUBP1阻害剤。
【請求項3】
感染細胞において、cccDNAおよび/またはpgRNAを減少させることが可能である、請求項1または2の使用のためのFUBP1阻害剤。
【請求項4】
FUBP1/FUSE相互作用を防止するかまたは減少させる、請求項1〜3のいずれか一項の使用のためのFUBP1阻害剤。
【請求項5】
式VII、IXまたはX
【化1】
の化合物より選択される、請求項1〜4のいずれか一項の使用のためのFUBP1阻害剤。
【請求項6】
哺乳動物FUBP1ターゲット核酸に少なくとも95%相補的であり、そしてFUBP1 mRNAを減少させることが可能である、長さ12〜30ヌクレオチドの隣接ヌクレオチド配列を含むかまたは該配列からなる、長さ12〜60ヌクレオチドの核酸分子である、請求項1〜3のいずれか一項の使用のためのFUBP1阻害剤。
【請求項7】
a. 一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド;
b. siRNA分子;または
c. shRNA分子
より選択される、請求項6の使用のための核酸分子。
【請求項8】
哺乳動物FUBP1ターゲット核酸が配列番号1〜8より選択される、請求項6または7の使用のための核酸分子。
【請求項9】
隣接ヌクレオチド配列が、配列番号1および配列番号5のターゲット核酸に少なくとも98%相補的である、請求項6〜8のいずれか一項の使用のための核酸分子。
【請求項10】
対照に比較した際、HBV感染細胞におけるcccDNAが、少なくとも60%減少している、請求項1〜9のいずれか一項の使用のためのFUBP1阻害剤。
【請求項11】
対照に比較した際、FUBP1 mRNAが少なくとも60%減少している、請求項6〜9のいずれか一項の使用のための核酸分子。
【請求項12】
長さ12〜30ヌクレオチドの隣接ヌクレオチド配列を含むかまたは該配列からなり、隣接ヌクレオチド配列が、哺乳動物FUBP1ターゲット核酸に少なくとも95%相補的である、長さ12〜60ヌクレオチドの核酸分子。
【請求項13】
siRNAまたは一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項12の核酸分子。
【請求項14】
1つまたはそれより多い2’糖修飾ヌクレオシドおよび1つまたはそれより多いホスホロチオエート連結を含む、請求項12または13の核酸分子。
【請求項15】
隣接ヌクレオチド配列が、配列番号1上の14200〜14218位、14413〜14431位、14966〜14984位および30344〜30362位からなる群より選択されるターゲット配列に相補的である、請求項12〜14のいずれか一項の核酸分子。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか一項の核酸分子、および該核酸分子のオリゴヌクレオチド構成要素に共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分を含む、コンジュゲート化合物。
【請求項17】
コンジュゲート部分が、図1の三価GalNAc部分の1つより選択される、請求項16のコンジュゲート化合物。
【請求項18】
少なくとも2つの連続ホスホジエステル連結を含む2〜5の連結されたヌクレオシドで構成される生理学的に不安定であるリンカーを含み、該生理学的に不安定なリンカーが、オリゴヌクレオチド構成要素の5’または3’末端で共有結合される、請求項16または17のコンジュゲート化合物。
【請求項19】
請求項12〜15のいずれか一項の1つまたはそれより多い核酸分子(単数または複数)、あるいは請求項16〜18のいずれか一項の1つまたはそれより多いコンジュゲート化合物(単数または複数)、あるいはその許容されうる塩、ならびに薬学的に許容されうる希釈剤、キャリアー、塩および/またはアジュバントを含む、薬学的組成物。
【請求項20】
FUBP1を発現しているターゲット細胞において、FUBP1発現を調節するためのin vivoまたはin vitro法であって、請求項12〜15のいずれか一項の核酸分子、または請求項16〜18のいずれか一項のコンジュゲート化合物、または請求項19の薬学的組成物を、有効量で、前記細胞に投与する工程を含む、前記方法。
【請求項21】
薬剤として使用するための、請求項12〜15のいずれか一項の核酸分子、または請求項16〜18のいずれか一項のコンジュゲート化合物、または請求項19の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、B型肝炎ウイルス(HBV)感染、特に慢性HBV感染を治療し、そして/または防止する際に使用するための、遠位上流要素結合タンパク質1(FUBP1)阻害剤に関する。本発明は特に、cccDNA、例えばHBV cccDNAを不安定化させるためのFUBP1阻害剤の使用に関する。本発明はまた、FUBP1に相補的であり、そしてFUBP1ターゲット核酸、例えばmRNAを減少させることが可能である、siRNA、shRNAおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドなどの核酸分子にも関する。やはり本発明に含まれるのは、薬学的組成物、ならびにHBV感染の治療および/または防止におけるその使用である。
【発明の概要】
【0002】
遠位上流要素結合タンパク質1(FUBP1またはFBP1)は、多数のDNA要素に結合する、一本鎖DNAに結合するタンパク質である。このタンパク質はまた、RNAに結合すると考えられ、そしてDNA−DNAおよびRNA−RNA二重鎖両方に対して、in vitro活性を伴う3’−5’ヘリカーゼ活性を含有する。FUBP1は、未分化細胞において、c−mycの上流に位置する遠位上流要素(FUSE)に結合することによって、癌原遺伝子c−mycの転写を活性化することが知られる。該タンパク質は主に、細胞核に存在する。FUBP1の上方制御は、多くのタイプの癌において観察されてきている。さらに、FUBP1は、C型肝炎ウイルスおよびエンテロウイルス由来のRNAに結合し、そしてその複製を仲介することも可能である(ZhangおよびChen 2013 Oncogene vol 32 p.2907−2916)。
【0003】
FUBP1は、肝細胞癌(HCC)においてもまた同定されてきており、HCC腫瘍発生に関与すると示唆されており(Ramdzanら 2008 Proteomics Vol 8 p.5086−5096)、そしてFUBP1は、FUBP1をターゲティングするレンチウイルス発現shRNAを用いて例示されるように、HCC腫瘍増殖に必要である(Rabenhorstら 2009 Hepatology vol 50 p 1121−1129)。
【0004】
レンチウイルス発現shRNAでのFUBP1のノックダウンが、卵巣癌において、治療反応を増進させることが立証されてきている(Zhangら 2017 Oncology Letters Vol 14 p.5819−5824)。
【0005】
WO 2004/027061は、試験物質がFBPを阻害するかどうかを分析する工程を伴うスクリーニング法、および活性成分(単数または複数)として、FBPを阻害する物質を含有する増殖性疾患を治療するための医学的組成物を開示する。
【0006】
すべて癌を治療する目的で、FUBP1を阻害するいくつかの小細胞分子が同定されてきている(Huthら 2004 J Med. Chen Vol 47 p.4851−4857; Hauckら 2016 Bioorganic & Medicinal Chemistry Vol 24 p.5717−5729 Hosseiniら 2017 Biochemical Pharmacology Vol 146 p.53−62およびXiongら 2016 Int J Onc vol 49 p 623)。WO2004/017940は、SN−38の脂質に基づく配合物を記載し、ウイルス感染、特にHIVの治療を主張するが、これを裏付ける例はない。
【0007】
ポリ(U)結合性スプライシング因子60(PUF60)は、HBVプレゲノム発現の転写および転写後の両方の工程の潜在的な制御因子である。PUF60は、c−myc抑制と関連して、FUBP1を含む複合体を形成することが知られる。しかし、FUBP1は、HBVプレゲノム発現のPUF60依存性制御には関与しない(Sunら 2017 Scientific Reports 7:12874)。
【0008】
本発明者らが知る限り、FUBP1は、cccDNAに結合するかまたはcccDNA安定性と関連すると示されたことはなく、あるいはFUBP1を阻害する分子が、cccDNA不安定化因子として、またはHBV感染の治療のために示唆されたこともない。
【0009】
HBV感染は、推定3億5000万人の慢性キャリアーが関与する、世界的に大きな健康上の問題であり続けている。キャリアーのおよそ25%は、慢性肝炎、肝硬変、または肝癌で死亡する。B型肝炎ウイルスは、タバコに次ぐ、二番目に重大な発癌要因であり、すべての原発性肝癌の60%〜80%を引き起こす。HBVは、HIVよりも100倍より伝染性である。
【0010】
B型肝炎ウイルス(HBV)は、エンベロープ形成される部分的に二本鎖であるDNAウイルスである。コンパクトな3.2kb HBVゲノムは、4つの重複オープンリーディングフレーム(ORF)からなり、これは、コア、ポリメラーゼ(Pol)、エンベロープおよびXタンパク質をコードする。Pol ORFは最長であり、そしてエンベロープORFがその内部に位置する一方、XおよびコアORFは、Pol ORFと重複する。HBVの生活環は2つの主要イベントを有する:1)弛緩環状DNA(RC DNA)からの閉鎖環状DNA(cccDNA)の生成、および2)RC DNAを産生する、プレゲノムRNA(pgRNA)の逆転写。
【0011】
HBsAg定量化は、慢性B型肝炎における予後および治療反応の有意なバイオマーカーである。しかし、HBsAg喪失および血清変換(機能的治癒)の達成は、慢性感染患者においてまれにしか観察されない。B型肝炎e抗原(HBVエンベロープ抗原またはHBeAgとも呼ばれる)は、B型肝炎感染細胞によって分泌されるウイルスタンパク質である。HBeAgは、慢性B型肝炎感染と関連し、そして活性ウイルス疾患および患者の感染性の度合いのマーカーとして用いられる。
【0012】
したがって、HBsAgの分泌に加えてHBeAgの分泌を減少させると、HBsAg分泌のみの阻害に比較した際、慢性HBV感染の発展の改善された阻害につながるであろう。
【0013】
ヌクレオシ(チ)ド類似体などの現在の療法は、HBV DNA合成を阻害するが、HBsAgレベルの減少に向けられていない分子である。機能的治療に到達することを目的とする現在開発中である大部分の療法は、耐久性HBsAg喪失±抗HBs血清変換、検出不能な血清DNA、および転写不活性状態のcccDNAを伴う機能的治癒に到達することを目的とするが、cccDNA持続には取り組まない。したがって、これらのアプローチは、cccDNA除去を伴う耐久性HBV DNAおよびHBsAg喪失と定義される、HBV感染の完全治癒を導かない。感染肝細胞におけるcccDNAの持続は、CHB患者においてウイルスを根絶するには大きな障壁であり、そしてcccDNAを排除する、HBV完全治癒のための新規療法を開発する緊急の必要性がある。
【0014】
発明の目的
本発明は、HBV感染細胞においてFUBP1の阻害およびcccDNAの減少の間の相関があり、これがHBV感染個体の治療に関連することを示す。本発明の目的は、HBV感染細胞においてcccDNAを減少させるFUBP1阻害剤を同定することである。こうしたFUBP1阻害剤を、HBV感染の治療に用いることができる。
【0015】
本発明はさらに、in vivoおよびin vitroで、FUBP1の発現を阻害することが可能な新規核酸分子を同定する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1-1】図1は、例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを例示し、ここで、オリゴヌクレオチドは、波線(A〜D)として、または「オリゴヌクレオチド」(E〜H)として、またはT(I)としてのいずれかで示され、そしてアシアロ糖タンパク質受容体ターゲティングコンジュゲート部分は、三価N−アセチルガラクトサミン部分である。化合物A〜Dは、ジ−リジン分岐分子、PEG3スペーサーおよび3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。化合物AおよびBにおいて、オリゴヌクレオチドを、リンカーなしに、直接、アシアロ糖タンパク質受容体ターゲティングコンジュゲート部分に付着させる。化合物CおよびDにおいて、オリゴヌクレオチドを、C6リンカーを通じて、アシアロ糖タンパク質受容体ターゲティングコンジュゲート部分に付着させる。化合物E〜Iは、商業的に入手可能な三重(trebler)分岐分子、ならびに多様な長さおよび構造のスペーサー、ならびに3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。
図1-2】図1は、例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを例示し、ここで、オリゴヌクレオチドは、波線(A〜D)として、または「オリゴヌクレオチド」(E〜H)として、またはT(I)としてのいずれかで示され、そしてアシアロ糖タンパク質受容体ターゲティングコンジュゲート部分は、三価N−アセチルガラクトサミン部分である。化合物A〜Dは、ジ−リジン分岐分子、PEG3スペーサーおよび3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。化合物AおよびBにおいて、オリゴヌクレオチドを、リンカーなしに、直接、アシアロ糖タンパク質受容体ターゲティングコンジュゲート部分に付着させる。化合物CおよびDにおいて、オリゴヌクレオチドを、C6リンカーを通じて、アシアロ糖タンパク質受容体ターゲティングコンジュゲート部分に付着させる。化合物E〜Iは、商業的に入手可能な三重(trebler)分岐分子、ならびに多様な長さおよび構造のスペーサー、ならびに3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。
図1-3】図1は、例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを例示し、ここで、オリゴヌクレオチドは、波線(A〜D)として、または「オリゴヌクレオチド」(E〜H)として、またはT(I)としてのいずれかで示され、そしてアシアロ糖タンパク質受容体ターゲティングコンジュゲート部分は、三価N−アセチルガラクトサミン部分である。化合物A〜Dは、ジ−リジン分岐分子、PEG3スペーサーおよび3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。化合物AおよびBにおいて、オリゴヌクレオチドを、リンカーなしに、直接、アシアロ糖タンパク質受容体ターゲティングコンジュゲート部分に付着させる。化合物CおよびDにおいて、オリゴヌクレオチドを、C6リンカーを通じて、アシアロ糖タンパク質受容体ターゲティングコンジュゲート部分に付着させる。化合物E〜Iは、商業的に入手可能な三重(trebler)分岐分子、ならびに多様な長さおよび構造のスペーサー、ならびに3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。
図1-4】図1は、例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを例示し、ここで、オリゴヌクレオチドは、波線(A〜D)として、または「オリゴヌクレオチド」(E〜H)として、またはT(I)としてのいずれかで示され、そしてアシアロ糖タンパク質受容体ターゲティングコンジュゲート部分は、三価N−アセチルガラクトサミン部分である。化合物A〜Dは、ジ−リジン分岐分子、PEG3スペーサーおよび3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。化合物AおよびBにおいて、オリゴヌクレオチドを、リンカーなしに、直接、アシアロ糖タンパク質受容体ターゲティングコンジュゲート部分に付着させる。化合物CおよびDにおいて、オリゴヌクレオチドを、C6リンカーを通じて、アシアロ糖タンパク質受容体ターゲティングコンジュゲート部分に付着させる。化合物E〜Iは、商業的に入手可能な三重(trebler)分岐分子、ならびに多様な長さおよび構造のスペーサー、ならびに3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。
図2】三価GalNAcクラスター(GN2)の構造式。GN2は、本発明においてコンジュゲート化部分として有用である。波線は、例えばC6アミノリンカーへの、または直接オリゴヌクレオチドへの、クラスターのコンジュゲート化の部位を例示する。
図3】対照(対照)またはFUBP1ターゲティングsiRNA(プール)またはHBV siRNA(HBV)のいずれかで処置したHBV感染PPH細胞由来のサザンブロット。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の要旨
本発明の1つの側面は、B型肝炎ウイルス感染の治療および/または予防において使用するためのFUBP1阻害剤に関する。特に、cccDNAおよび/またはプレゲノムRNA(pgRNA)を減少させることが可能であるFUBP1阻害剤が有用である。FUBP1阻害剤が小分子である場合、これが、FUBP1タンパク質のDNA結合ドメインと相互作用し、そしてcccDNAへのFUBP1結合を防止するかまたは減少させることが好適である。FUBP1阻害剤はまた、FUBP1 mRNAを減少させることが可能な、長さ12〜60ヌクレオチドの核酸分子であってもよい。
【0018】
本発明のさらなる側面は、FUBP1の発現および/または活性を阻害する核酸分子に関する。特に、長さ12〜30ヌクレオチドの隣接ヌクレオチド配列を含むかまたはこうした配列からなる、長さ12〜60ヌクレオチドの核酸分子であって、隣接ヌクレオチド配列が、哺乳動物FUBP1ターゲット核酸に少なくとも95%相補的である、前記分子。こうした核酸分子は、一本鎖アンチセンス、siRNAおよび化学的に産生されたshRNA分子(プラスミドまたはウイルスからの細胞に基づく発現に頼らない)より選択されてもよい。
【0019】
本発明のさらなる側面は、FUBP1の発現および/または活性を阻害する、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAに関する。特に、FUBP1 mRNAを減少させる、1つまたはそれより多い2’糖修飾ヌクレオシドおよび1つまたはそれより多いホスホロチオエート連結を含む修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは修飾siRNAが好適である。
【0020】
本発明のさらなる側面は、本発明の核酸分子のコンジュゲート、および本発明の分子を含む薬学的組成物である。特に、肝臓をターゲティングするコンジュゲート、例えばGalNAcクラスターが関心対象である。
【0021】
定義
核酸分子
用語「核酸分子」または「療法核酸分子」は、本明細書において、当業者に一般的に理解されるように、2つまたはそれより多い共有結合ヌクレオシド(すなわちヌクレオチド配列)を含む分子と定義される。本発明の方法において言及される核酸分子(単数または複数)は、一般的に、長さ50ヌクレオチド未満の療法オリゴヌクレオチドである。核酸分子は、アンチセンスオリゴヌクレオチドであっても、または該オリゴヌクレオチドを含んでもよいし、あるいは別のオリゴマー核酸分子、例えばCRISPR RNA、siRNA、shRNA、アプタマー、またはリボザイムであってもよい。療法核酸分子は、一般的に、固相化学合成後、精製および単離によって、実験室で作製される。しかし、shRNAは、しばしば、レンチウイルスベクターを用いて細胞に送達され(例えばSoanおよびYang 2010 N Am J Med Sci 2(12): 598を参照されたい)、これは次いで転写されて、一本鎖RNAを産生し、これがRNA干渉機構(RNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)を含む)と相互作用可能なステムループ(ヘアピン)RNA構造を形成する。核酸分子の配列に言及する際、共有連結されたヌクレオチドまたはヌクレオシドの核酸塩基部分の配列または順序、あるいはその修飾に言及される。本発明の核酸分子は人工であり、そして化学的に合成され、そして典型的には精製されるかまたは単離されている。いくつかの態様において、本発明の核酸分子は、ターゲット細胞内への進入に際して、ベクターから転写されるshRNAではない。本発明の核酸分子は、1つまたはそれより多い修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチドを含んでもよい。
【0022】
いくつかの態様において、本発明の核酸分子は、長さ12〜60ヌクレオチド、例えば長さ13〜50、例えば14〜40、例えば15〜30、例えば16〜22、例えば16〜18または15〜17の隣接ヌクレオチドを含むかまたは該ヌクレオチドからなる。
【0023】
いくつかの態様において、核酸分子またはその隣接ヌクレオチド配列は、24またはそれ未満のヌクレオチド、例えば22、例えば20またはそれ未満のヌクレオチド、例えば18またはそれ未満のヌクレオチド、例えば14、15、16または17ヌクレオチドを含むかまたは該ヌクレオチドからなる。本明細書に提供するいかなる範囲も、範囲終点を含むと理解されるものとする。したがって、核酸分子が12〜30ヌクレオチドを含むと言う場合、12および30ヌクレオチドの両方が含まれる。
【0024】
いくつかの態様において、隣接ヌクレオチド配列は、長さ12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の隣接ヌクレオチドを含むかまたは該ヌクレオチドからなる。
【0025】
核酸分子(単数または複数)は、哺乳動物において、ターゲット核酸の発現を調節するためのものである。いくつかの態様において、核酸分子、例えばsiRNA、shRNAおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドは、典型的には、ターゲット核酸(単数または複数)の発現を阻害するためのものである。
【0026】
本発明の1つの態様において、核酸分子は、RNAi剤、例えばsiRNAまたはshRNAより選択される。別の態様において、核酸分子は、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えばRNアーゼHと相互作用する高アフィニティ修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0027】
いくつかの態様において、核酸分子は、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結を含む。
いくつかの態様において、核酸分子は、非ヌクレオシド部分(コンジュゲート部分)にコンジュゲート化されてもよい。
【0028】
核酸分子のライブラリーは、変異体核酸分子のコレクションとして理解されるものとする。核酸分子のライブラリーの目的は多様でありうる。いくつかの態様において、核酸分子のライブラリーは、核酸分子のライブラリー内の最も強力な配列を同定する目的で、1つまたはそれより多い哺乳動物FUBP1ターゲット核酸をターゲティングする重複核酸塩基配列を含むオリゴヌクレオチドで構成される。いくつかの態様において、核酸分子のライブラリーは、親または祖先核酸分子の核酸分子設計変異体(子核酸分子)のライブラリーであって、核酸分子設計変異体が親核酸分子のコア核酸塩基配列を保持する、前記ライブラリーである。
【0029】
オリゴヌクレオチド
用語「オリゴヌクレオチド」は、本明細書において、2つまたはそれより多い共有結合ヌクレオシドを含む分子として、当業者に一般的に理解されるように定義される。こうした共有結合ヌクレオシドはまた、核酸分子またはオリゴマーとしても称されうる。オリゴヌクレオチドは、一般的に、固相化学合成後、精製および単離によって、実験室で作製される。オリゴヌクレオチド配列に言及する際、共有結合されたヌクレオチドまたはヌクレオシドの核酸塩基部分の配列または順序、あるいはその修飾に言及される。本発明のオリゴヌクレオチドは人工であり、そして化学的に合成され、そして典型的には精製されるかまたは単離されている。本発明のオリゴヌクレオチドは、1つまたはそれより多い修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチド、例えば2’糖修飾ヌクレオシドを含んでもよい。
【0030】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、本明細書において、ターゲット核酸、特にターゲット核酸上の隣接配列にハイブリダイズすることによって、ターゲット遺伝子の発現を調節可能なオリゴヌクレオチドと定義される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本質的に二本鎖ではなく、そしてしたがってsiRNAまたはshRNAでない。好ましくは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは一本鎖である。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、分子内または分子間自己相補性の度合いが、オリゴヌクレオチドの全長に渡って、50%未満である限り、ヘアピンまたは分子間二重鎖構造(同じオリゴヌクレオチドの2つの分子間の二重鎖)を形成可能であると理解される。
【0031】
好適には、本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドはRNAヌクレオシドを含有せず、これはこれがヌクレアーゼ耐性を減少させるであろうためである。
好適には、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つまたはそれより多い修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチド、例えば2’糖修飾ヌクレオシドを含む。さらに、修飾されないヌクレオシドがDNAヌクレオシドであることが好適である。
【0032】
RNAi
本明細書において、用語「RNA干渉(RNAi)分子」は、細胞質において、RNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)を通じたRNA依存性遺伝子サイレンシングを誘導可能である小分子二本鎖RNA分子を指し、細胞質において、これらは触媒性RISC構成要素アルゴノートと相互作用する。1つのタイプのRNAi分子は、小分子干渉RNA(siRNA)であり、これは、2つの相補性オリゴヌクレオチドで構成される二本鎖RNA分子であり、ここで、転写後、一方の鎖が転写後の相補的mRNAに結合すると、その分解および翻訳の喪失につながる。小分子ヘアピンRNA(shRNA)は、ステムループ(ヘアピン)構造を形成する一本鎖RNA分子であり、該構造は、発現に際して、DICERおよびRNA減少サイレンシング複合体(RISC)を通じて、mRNAを減少させることが可能である。RNAi分子は、関心対象の遺伝子(ターゲット核酸)の配列に基づいて設計されてもよい。対応するRNAiを次いで、化学的にまたはin vitro転写によって合成するか、あるいはベクターまたはPCR産物から発現させてもよい。
【0033】
shRNA分子は、一般的に、長さ40〜70ヌクレオチドの間、例えば長さ45〜65ヌクレオチドの間、例えば長さ50〜60ヌクレオチドであり、そしてDicerとして知られるエンドヌクレアーゼと相互作用し、Dicerは、dsRNAを、特徴的な2塩基3’オーバーハングを含む19〜23塩基対の小分子干渉RNAにプロセシングすると考えられており、このRNAは次いで、RNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)に取り込まれる。siRNA分子は二本鎖であり、各鎖は、長さ18〜35ヌクレオチドの間、例えば長さ20〜30ヌクレオチド、例えば長さ22〜27ヌクレオチドである。siRNAは、しばしば、Dicerによって産生され、RISC基質を形成する産物と似た2塩基3’オーバーハングを伴って設計される。Dicer基質の有効拡張型は、本明細書に援用されるUS 8,349,809およびUS 8,513,207に記載されてきている。適切なターゲットmRNAへの結合に際して、RISC内の1つまたはそれより多いエンドヌクレアーゼは、ターゲットを切断してサイレンシングを誘導する。RNAiオリゴヌクレオチドは、LNAおよびcETまたは2’置換修飾、例えば2’−O−アルキル−RNA、2’−O−メチル−RNA、2’−アルコキシ−RNA、2’−O−メトキシエチル−RNA(MOE)、2’−アミノ−DNA、2’−フルオロ−DNA、アラビノ核酸(ANA)、2’フルオロ−ANAを含めて、修飾ヌクレオチド間連結および2’糖修飾ヌクレオシド、例えば2’−4’二環状リボース修飾ヌクレオシドを用いて化学的に修飾されてもよい。
【0034】
いくつかの態様において、RNAi核酸分子は、1つまたはそれより多いホスホロチオエートヌクレオシド間連結を含む。RNAi分子において、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結はRISCにおけるヌクレアーゼ切断を減少させる可能性もあり、したがって、すべてのヌクレオシド間連結が修飾されているわけではないことが好適である。ホスホロチオエートヌクレオシド間連結は、好適には、RNAi核酸分子の3’および/または5’端、特に、ターゲット核酸に相補的でない分子部分(例えばsiRNA分子中のセンス鎖またはパッセンジャー鎖)に配置されてもよい。しかし、ターゲット核酸に相補的であるRNAi分子領域(例えばsiRNA分子中のアンチセンスまたはガイド鎖)もまた、3’および/または5’末端の最初の2〜3のヌクレオシド間連結において修飾されていてもよい。
【0035】
隣接ヌクレオチド配列
用語「隣接ヌクレオチド配列」は、ターゲット核酸に相補的であるオリゴヌクレオチド領域を指す。該用語は、本明細書において、用語「隣接核酸塩基配列」および用語「オリゴヌクレオチドモチーフ配列」と交換可能に用いられる。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオチドは、隣接ヌクレオチド配列を構成する。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、隣接ヌクレオチド配列を含み、そして随意に、さらなるヌクレオチド(単数または複数)、例えば隣接ヌクレオチド配列に官能基を付着させるために用いてもよい、ヌクレオチドリンカー領域を含んでもよい。ヌクレオチドリンカー領域は、ターゲット核酸に相補的であってもまた相補的でなくてもよい。
【0036】
ヌクレオチド
ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの構築ブロックであり、そして本発明の目的のため、ヌクレオチドには、天然存在および非天然存在ヌクレオチドが含まれる。天然には、ヌクレオチド、例えばDNAおよびRNAヌクレオチドは、リボース糖部分、核酸塩基部分および1つまたはそれより多いリン酸基(ヌクレオシドには存在しない)を含む。ヌクレオシドおよびヌクレオチドはまた、交換可能に、「単位」または「単量体」とも称されてもよい。
【0037】
修飾ヌクレオシド
用語「修飾ヌクレオシド」または「ヌクレオシド修飾」は、本明細書において、糖部分または(核酸)塩基部分の1つまたはそれより多い修飾の導入によって、同等のDNAまたはRNAヌクレオシドに比較した際、修飾されているヌクレオシドを指す。好ましい態様において、修飾ヌクレオシドは、修飾糖部分を含む。用語、修飾ヌクレオシドはまた、本明細書において、用語「ヌクレオシド類似体」または修飾「単位」または修飾「単量体」と交換可能に用いられてもよい。非修飾DNAまたはRNA糖部分を含むヌクレオシドは、本明細書において、DNAまたはRNAヌクレオシドと称される。DNAまたはRNAヌクレオシドの塩基領域における修飾を含むヌクレオシドは、ワトソン−クリック塩基対形成が可能であるならば、なお、一般的に、DNAまたはRNAと称される。
【0038】
修飾ヌクレオシド間連結
用語「修飾ヌクレオシド間連結」は、当業者によって一般的に理解されるように、2つのヌクレオシドを共に共有結合する、ホスホジエステル(PO)連結以外の連結と定義される。本発明の核酸分子は、したがって、修飾ヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、修飾ヌクレオシド間連結は、ホスホジエステル連結に比較して、本発明の核酸分子のヌクレアーゼ耐性を増加させる。天然存在オリゴヌクレオチドに関しては、ヌクレオシド間連結には、隣接ヌクレオシドの間のホスホジエステル結合を生成するリン酸基が含まれる。修飾ヌクレオシド間連結は、核酸分子、一本鎖アンチセンス、ならびに二本鎖siRNAおよびshRNA分子を、in vivo使用のために安定化させる際に特に有用であり、そして例えば、ギャップマーオリゴヌクレオチドのギャップ領域内で、ならびに修飾ヌクレオシド領域中で、本発明の核酸分子中のDNAまたはRNAヌクレオシドの領域でのヌクレアーゼ切断に対して保護するように働きうる。
【0039】
1つの態様において、核酸分子、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、shRNAまたはsiRNAは、天然ホスホジエステルから修飾される1つまたはそれより多いヌクレオシド間連結、例えば、ヌクレアーゼ攻撃により耐性である1つまたはそれより多い修飾ヌクレオシド間連結を含む。ヌクレアーゼ耐性は、血清中でオリゴヌクレオチドをインキュベーションすることによって、またはヌクレアーゼ耐性アッセイ(例えばヘビ毒ホスホジエステラーゼ(SVPD))を用いることによって、決定されてもよく、これらはどちらも当該技術分野に周知である。オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増進させることが可能であるヌクレオシド間連結は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間連結と称される。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチド中のヌクレオシド間連結、またはその隣接ヌクレオチド配列の少なくとも50%が修飾され、例えばオリゴヌクレオチド中のヌクレオシド間連結、またはその隣接ヌクレオチド配列の少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%または例えば少なくとも90%は修飾される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド中のヌクレオシド間連結、またはその隣接ヌクレオチド配列のすべてが修飾される。いくつかの態様において、本発明のオリゴヌクレオチドを非ヌクレオチド官能基、例えばコンジュゲートに連結するヌクレオシドは、ホスホジエステルであってもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間連結、またはその隣接ヌクレオチド配列のすべてが、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間連結である。
【0040】
いくつかの態様において、ヌクレオシド間連結は、イオウ(S)を含み、例えばホスホロチオエートヌクレオシド間連結である。本発明の核酸分子では、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結、特に一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いることが好適である。
【0041】
ホスホロチオエートヌクレオシド間連結は、ヌクレアーゼ耐性、有益な薬物動態および製造の容易さのために、特に有用である。いくつかの態様において、核酸分子中のヌクレオシド間連結、またはその隣接ヌクレオチド配列の少なくとも20%、例えば少なくとも30%が、ホスホロチオエートである。一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドに関しては、ヌクレオシド間連結の少なくとも60%、例えばオリゴヌクレオチド中のヌクレオシド間連結、またはその隣接ヌクレオチド配列の少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%、または例えば少なくとも90%がホスホロチオエートであることが好適である。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間連結、またはその隣接ヌクレオチド配列のすべてがホスホロチオエートである。ヌクレアーゼ耐性連結、例えばホスホロチオエート連結は、ターゲット核酸と二重鎖を形成した際にヌクレアーゼをリクルート可能なアンチセンスオリゴヌクレオチド領域、例えばギャップマーに関する領域Gにおいて特に有用である。アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドにおいて、存在するならばホスホジエステル連結が、ギャップ領域G中の隣接DNAヌクレオシド間に位置しないことが好適である。好適には、アンチセンスオリゴヌクレオチドの隣接ヌクレオチド配列のヌクレオシド間連結のすべてがホスホロチオエートである。
【0042】
EP 2 742 135に開示されるように、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、他のヌクレオシド間連結(ホスホジエステルおよびホスホロチオエート以外)、例えば、EP 2 742 135によれば例えばそれ以外はDNAホスホロチオエートであるギャップ領域において耐性でありうる、アルキルホスホネート/メチルホスホネートヌクレオシド間連結を含んでもよい。
【0043】
核酸塩基
用語、核酸塩基には、核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成するヌクレオシドおよびヌクレオチド中に存在する、プリン(例えばアデニンおよびグアニン)およびピリミジン(例えばウラシル、チミンおよびシトシン)部分が含まれる。本発明の背景において、用語、核酸塩基はまた、天然存在核酸塩基とは異なりうるが、核酸ハイブリダイゼーション中に機能性である、修飾核酸塩基も含む。この背景において、「核酸塩基」は、天然存在核酸塩基、例えばアデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチンおよびヒポキサンチン、ならびに非天然存在変異体の両方を指す。こうした変異体は、例えば、Hiraoら(2012) Accounts of Chemical Research vol 45 2055ページ、およびBergstrom(2009) Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl. 37 1.4.1に記載される。
【0044】
いくつかの態様において、核酸塩基部分は、プリンまたはピリミジンを、修飾プリンまたはピリミジン、例えば置換プリンまたは置換ピリミジン、例えばイソシトシン、シュードイソシトシン、5−メチルシトシン、5−チオゾロ−シトシン、5−プロピニル−シトシン、5−プロピニル−ウラシル、5−ブロモウラシル、5−チアゾロ−ウラシル、2−チオ−ウラシル、2’チオ−チミン、イノシン、ジアミノプリン、6−アミノプリン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリンおよび2−クロロ−6−アミノプリンより選択される核酸塩基に変化させることによって修飾される。
【0045】
対応する各核酸塩基、例えばA、T、G、CまたはUに関する文字コードによって、核酸塩基部分を示してもよく、ここで、各文字は、随意に、同等の機能の修飾核酸塩基を含んでもよい。例えば、例示的なオリゴヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分は、A、T、G、C、および5−メチルシトシンより選択される。随意に、LNAギャップマーに関して、5−メチルシトシンLNAヌクレオシドを用いてもよい。
【0046】
修飾オリゴヌクレオチド
用語、修飾オリゴヌクレオチドまたは修飾核酸分子は、1つまたはそれより多い糖修飾ヌクレオシドおよび/または修飾ヌクレオシド間連結を含む、オリゴヌクレオチドまたは核酸分子を記載する。用語「キメラ」は、文献において、修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドまたは核酸分子、特にギャップマーオリゴヌクレオチドを記載するよう用いられてきている用語である。
【0047】
相補性
用語「相補性」は、ヌクレオシド/ヌクレオチドのワトソン−クリック塩基対形成に関する能力を記載する。ワトソン−クリック塩基対は、グアニン(G)−シトシン(C)およびアデニン(A)−チミン(T)/ウラシル(U)である。オリゴヌクレオチドは、修飾核酸塩基を含むヌクレオシドを含んでもよく、例えば、5−メチルシトシンは、しばしばシトシンの代わりに用いられ、そしてこうしたものとして、用語、相補性は、非修飾および修飾核酸塩基間のワトソン−クリック塩基対形成を含むことが理解されるであろう(例えば、Hiraoら(2012) Accounts of Chemical Research vol 45 2055ページ、およびBergstrom(2009) Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl. 37 1.4.1を参照されたい)。
【0048】
用語「相補性%」は、本明細書において、隣接ヌクレオチド配列に渡って、参照配列(例えばターゲット配列または配列モチーフ)に相補的である、核酸分子(例えばオリゴヌクレオチド)中の隣接ヌクレオチド配列のヌクレオチド比率(パーセント)を指す。相補性の割合は、したがって、2つの配列の間で相補的である(ワトソン・クリック塩基対から)(ターゲット配列5’−3’および3’−5’のオリゴヌクレオチド配列を整列させた際)整列核酸塩基の数を数え、オリゴヌクレオチド中のヌクレオチド総数によってその数を割り、そして100を乗じることによって、計算される。こうした比較において、整列しない(塩基対を形成しない)核酸塩基/ヌクレオチドはミスマッチと称される。隣接ヌクレオチド配列の相補性%の計算においては、挿入および欠失は許容されない。相補性を決定する際、核酸塩基がワトソン・クリック塩基対形成を形成する機能的能力が保持される限り、核酸塩基の化学修飾は考慮されない(例えば、5’−メチルシトシンは、同一性%を計算する目的のためには、シトシンと同一であると見なされる)ことが理解されるであろう。
【0049】
用語「完全相補性」は、100%相補性を指す。
以下は、ターゲット核酸に完全に相補的であるオリゴヌクレオチドの例である。
以下は、ターゲット核酸(配列番号22)に完全に相補的であるオリゴヌクレオチドモチーフ(配列番号33)の例である。
【0050】
【化1】
【0051】
同一性
用語「同一性」は、本明細書において、隣接ヌクレオチド配列に渡って、参照配列(例えば配列モチーフ)と同一である、核酸分子(例えばオリゴヌクレオチド)中の隣接ヌクレオチド配列のヌクレオチドの比率(パーセントで表す)を指す。したがって、同一性の割合は、2つの配列(本発明の化合物の隣接ヌクレオチド配列中および参照配列中)の間で同一である(マッチしている)整列核酸塩基の数を数え、オリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの総数によってその数を割り、そして100を乗じることによって、計算される。したがって、同一性パーセント=(マッチx100)/整列領域の長さ(例えば隣接ヌクレオチド配列)である。隣接ヌクレオチド配列の同一性パーセントの計算においては、挿入および欠失は許容されない。同一性を決定する際、核酸塩基がワトソン・クリック塩基対形成を形成する機能的能力が保持される限り、核酸塩基の化学修飾は考慮されない(例えば、5−メチルシトシンは、同一性%を計算する目的のためには、シトシンと同一であると見なされる)ことが理解されるであろう。
【0052】
ハイブリダイゼーション
用語「ハイブリダイズしている」または「ハイブリダイズする」は、本明細書において、反対の鎖上の塩基対の間で水素結合を形成し、それによって二重鎖を形成している、2つの核酸鎖(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAガイド鎖およびターゲット核酸)と理解されるものとする。2つの核酸鎖の間の結合のアフィニティは、ハイブリダイゼーションの強度である。これは、しばしば、オリゴヌクレオチドの半分がターゲット核酸と二重鎖形成する温度として定義される、融解温度(T)に関して記載される。生理学的条件で、Tは、アフィニティに厳密には比例しない(MergnyおよびLacroix, 2003, Oligonucleotides 13:515−537)。標準状態ギブス自由エネルギーΔG°は、結合アフィニティのより正確な提示であり、そしてΔG°=−RTln(K)、式中、Rは気体定数であり、そしてTは絶対温度である、による反応の解離定数(K)に関連する。したがって、オリゴヌクレオチドおよびターゲット核酸の間の反応の非常に低いΔG°は、オリゴヌクレオチドおよびターゲット核酸の間の強いハイブリダイゼーションを反映する。ΔG°は、水性濃度が1Mであり、pHが7であり、そして温度が37℃である反応と関連するエネルギーである。オリゴヌクレオチドのターゲット核酸へのハイブリダイゼーションは自発的反応であり、そして自発的反応に関して、ΔG°はゼロ未満である。例えば、Hansenら, 1965,Chem. Comm. 36−38およびHoldgateら, 2005, Drug Discov Todayに記載されるような等温滴定熱量測定(ITC)法の使用によって、ΔG°を実験的に測定してもよい。当業者は、商業的装置がΔG°測定に利用可能であることを知っている。また、Sugimotoら, 1995, Biochemistry 34:11211−11216およびMcTigueら, 2004, Biochemistry 43:5388−5405に記載される、適切に得られる熱力学パラメータを用い、SantaLucia, 1998, Proc Natl Acad Sci USA. 95: 1460−1465に記載されるような最近傍モデルを用いることによって、ΔG°を数値的に概算してもよい。ハイブリダイゼーションによる、意図される核酸ターゲットの調節可能性を有するため、本発明のオリゴヌクレオチドは、長さ10〜30ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドに関して、−10kcal未満の概算ΔG°値でターゲット核酸にハイブリダイズする。いくつかの態様において、ハイブリダイゼーションの度合いまたは強度は、標準状態ギブス自由エネルギーΔG°によって測定される。オリゴヌクレオチドは、長さ8〜30ヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドに関して、−10kcal未満の範囲、例えば−15kcal未満、例えば−20kcal未満および例えば−25kcal未満の概算ΔG°値で、ターゲット核酸にハイブリダイズしてもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、−10〜−60kcal、例えば−12〜−40、例えば−15〜−30kcalまたは−16〜−27kcal、例えば−18〜−25kcalの概算ΔG°値でターゲット核酸にハイブリダイズする。
【0053】
ターゲット核酸
本発明にしたがって、ターゲット核酸は、哺乳動物FUBP1をコードする核酸であり、そして例えば、遺伝子、RNA、mRNA、およびプレmRNA、成熟mRNAまたはcDNA配列であってもよい。したがって、ターゲットは、FUBP1ターゲット核酸と称されてもよい。
【0054】
本発明の療法核酸分子は、例えば哺乳動物FUBP1(特にsiRNAおよびshRNAであるが、アンチセンスオリゴヌクレオチドであってもよい)のエクソン領域をターゲティングしてもよいし、または例えば、FUBP1プレmRNA(特にアンチセンスオリゴヌクレオチド)中の任意のイントロン領域をターゲティングしてもよい。表1は、配列番号1の予測されるエクソンおよびイントロン領域を列挙する。
【0055】
表1.ヒトFUBP1プレmRNA中のエクソンおよびイントロン領域
【0056】
【表1】
【0057】
適切には、ターゲット核酸は、ヒト、サルおよびマウスFUBP1のゲノム配列、成熟mRNAおよびプレmRNA配列を提供する、FUBP1タンパク質、特に哺乳動物FUBP1、例えばヒトFUBP1(例えば表2および3を参照されたい)をコードする。
【0058】
いくつかの態様において、ターゲット核酸は、配列番号2、3、4、6、7、8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および/または20、あるいはその天然存在変異体(例えば哺乳動物FUBP1をコードする配列)からなる群より選択される。
【0059】
いくつかの態様において、ターゲット核酸は、配列番号1、5および/または9、あるいはその天然存在変異体(例えば哺乳動物FUBP1をコードする配列)からなる群より選択される。
【0060】
いくつかの態様において、ターゲット核酸は、配列番号1および5、あるいはその天然存在変異体(例えば哺乳動物FUBP1をコードする配列)からなる群より選択される。
いくつかの態様において、ターゲット核酸は、配列番号1〜8、あるいはその天然存在変異体(例えば哺乳動物FUBP1をコードする配列)からなる群より選択される。
【0061】
表2.種に渡るFUBP1に関するゲノムおよび組み立て情報
【0062】
【表2】
【0063】
順=順方向鎖、逆=逆方向鎖。ゲノム配置は、プレmRNA配列(ゲノム配列)を提供する。
本発明の核酸分子を研究または診断に使用する場合、ターゲット核酸はcDNAであっても、あるいはDNAまたはRNA由来の合成核酸であってもよい。
【0064】
in vivoまたはin vitro適用のため、本発明の療法核酸分子は、典型的には、FUBP1ターゲット核酸を発現している細胞において、FUBP1ターゲット核酸の発現を阻害することが可能である。本発明の核酸分子の核酸塩基の隣接配列は、典型的には、随意に1つまたは2つのミスマッチの例外を伴い、そして随意に、コンジュゲートまたは他の非相補的末端ヌクレオチドなどの随意の機能性基にオリゴヌクレオチドを連結可能なヌクレオチドに基づくリンカーを除いて、オリゴヌクレオチドの全長に渡って測定されるような、FUBP1ターゲット核酸の保存された領域に相補的である。例示的なターゲット核酸のさらなる情報を表3に提供する。
【0065】
表3.種に渡るFUBP1に関する配列詳細
【0066】
【表3】
【0067】
配列番号5が多数のNNNNの領域を含み、ここで配列決定は該配列を正確に精錬することは不可能であり、そしてしたがって縮重配列が含まれることに注目されたい。疑義を回避するため、本発明の化合物は、実際のターゲット配列に相補的であり、そしてしたがって、縮重化合物ではない。
【0068】
ターゲット配列
用語「ターゲット配列」は、本明細書において、本発明のオリゴヌクレオチドまたは核酸分子に相補的である核酸塩基配列を含むターゲット核酸中に存在するヌクレオチド配列を指す。いくつかの態様において、ターゲット配列は、本発明のオリゴヌクレオチドの隣接ヌクレオチド配列に相補的である核酸塩基配列を含むターゲット核酸上の領域(すなわち下位配列)からなる。ターゲット核酸のこの領域を、交換可能に、ターゲットヌクレオチド配列、ターゲット配列またはターゲット領域と称してもよい。いくつかの態様において、ターゲット配列は、単一核酸分子の相補配列より長く、そして例えば、本発明のいくつかの核酸分子によってターゲティングされてもよい、ターゲット核酸の好ましい領域を示してもよい。
【0069】
いくつかの態様において、ターゲット配列は、ヒトFUBP1 mRNAエクソン、例えばe1、e2、e3、e4、e5、e6、e7、e8、e9、e10、e11、e12、13、e14、e15、e16、e17、e18、e19およびe20(例えば上記表1を参照されたい)からなる群より選択されるFUBP1ヒトmRNAエクソンからなる群より選択される配列である。
【0070】
1つの態様において、ターゲット配列は、エクソン9、10、12および20からなる群より選択されるヒトFUBP1 mRNAエクソンの1つまたはそれより多くからなる群より選択される配列である。
【0071】
いくつかの態様において、ターゲット配列は、ヒトFUBP1 mRNAイントロン、例えばi1、i2、i3、i4、i5、i6、i7、i9、i10、i11、i12、13、i14、i15、i16、i17、i18およびi19(例えば上記表1を参照されたい)からなる群より選択されるFUBP1ヒトmRNAイントロンからなる群より選択される配列である。
【0072】
本発明の核酸分子は、ターゲット核酸上の領域、例えば本明細書記載のターゲット配列に相補的であるかまたはハイブリダイズする、隣接ヌクレオチド配列を含む。
療法核酸分子が相補的であるかまたはハイブリダイズするターゲット核酸配列は、一般的に、少なくとも10ヌクレオチドの隣接核酸塩基のストレッチを含む。隣接ヌクレオチド配列は、12〜70ヌクレオチド、例えば12〜50、例えば13〜30、例えば14〜25、例えば15〜20、例えば16〜18隣接ヌクレオチドの間である。
【0073】
ターゲット細胞
用語「ターゲット細胞」は、本明細書において、ターゲット核酸を発現している細胞を指す。本発明の療法使用のため、ターゲット細胞がHBVに感染していることが好適である。いくつかの態様において、ターゲット細胞は、in vivoまたはin vitroにあってもよい。いくつかの態様において、ターゲット細胞は、哺乳動物細胞、例えば齧歯類細胞、例えばマウス細胞またはラット細胞、あるいは霊長類細胞、例えばサル細胞またはヒト細胞である。
【0074】
好ましい態様において、ターゲット細胞は、FUBP1 mRNA、例えばFUBP1プレmRNAまたはFUBP1成熟mRNAを発現する。FUBP1 mRNAのポリAテールは、典型的には、核酸分子ターゲティングに関しては無視される。
【0075】
天然存在変異体
用語「天然存在変異体」は、ターゲット核酸と同じ遺伝子座から生じるが、例えば同じアミノ酸をコードする複数のコドンを引き起こす遺伝暗号の縮重によって、またはプレmRNAの選択的スプライシングによって、または多型、例えば一塩基多型、およびアレル変異体の存在によって、異なる可能性がある、FUBP1遺伝子または転写物の変異体を指す。したがって、オリゴヌクレオチドに対する十分な相補的配列の存在に基づいて、本発明のオリゴヌクレオチドは、ターゲット核酸およびその天然存在変異体をターゲティングすることも可能である。
【0076】
いくつかの態様において、天然存在変異体は、哺乳動物FUBP1ターゲット核酸、例えば配列番号1、5または9からなる群より選択されるターゲット核酸に、少なくとも95%、例えば少なくとも98%、または少なくとも99%の相同性を有する。いくつかの態様において、天然存在変異体は、配列番号1のヒトFUBP1ターゲット核酸に少なくとも99%の相同性を有する。いくつかの態様において、天然存在変異体は、既知の多型である。
【0077】
発現の調節
用語「発現の調節」は、本明細書において、核酸分子の投与前のFUBP1の量に比較した際に、FUBP1の量を改変する核酸分子の能力に関する、全体の用語として理解されるものとする。あるいは、対照実験を参照することによって、発現の調節を決定してもよい。一般的に、対照は、生理食塩水組成物で処置された個体またはターゲット細胞、あるいは非ターゲティングまたは核酸分子で処置された個体またはターゲット細胞(偽)であると理解される。しかし、これはまた、標準治療で処置された個体であってもよい。
【0078】
調節の1つのタイプは、例えばmRNAの分解または転写の遮断によって、FUBP1の発現を阻害するか、下方制御するか、減少させるか、除去するか、停止するか、防止するか、減弱させるか、低下させるか、回避するかまたは終結させる核酸分子の能力である。
【0079】
高アフィニティ修飾ヌクレオシド
高アフィニティ修飾ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド内に取り込まれた際、例えば融解温度(T)によって測定した際に、相補的ターゲットに対するオリゴヌクレオチドのアフィニティを増進させる、修飾ヌクレオチドである。本発明の高アフィニティ修飾ヌクレオシドは、好ましくは、修飾ヌクレオシドあたり、+0.5〜+12℃、より好ましくは+1.5〜+10℃、そして最も好ましくは+3〜+8℃の間の融解温度の増加を生じる。多くの高アフィニティ修飾ヌクレオシドが当該技術分野に知られ、そしてこれには、例えば、多くの2’糖修飾ヌクレオシド、例えば2’置換ヌクレオシド、例えばOmeおよびMOE、ならびに2’から4’で架橋された核酸、例えばロックト核酸(LNA)が含まれる(例えば、Freier & Altmann; Nucl. Acid Res., 1997, 25, 4429−4443、およびUhlmann; Curr. Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293−213を参照されたい)。
【0080】
糖修飾
本発明の核酸分子は、修飾糖部分、すなわちDNAおよびRNAに見られるリボース糖部分と比較した際の糖部分の修飾を有する、1つまたはそれより多いヌクレオシドを含んでもよい。
【0081】
リボース糖部分の修飾を含む多くのヌクレオシドは、主に、核酸分子の特定の特性、例えばアフィニティおよび/またはヌクレアーゼ耐性を改善する目的で、作製されてきている。
【0082】
こうした修飾には、リボース環構造が、例えばヘキソース環(HNA)での置換によって修飾されているか、または典型的にはリボース環上のC2およびC4炭素の間のビラジカル(biradicle)架橋を有する二環(LNA)であるか、または典型的にはC2およびC3炭素の間の結合を欠く非連結リボース環(例えばUNA)であるものが含まれる。他の糖修飾ヌクレオシドには、例えば、ビシクロヘキソース核酸(WO2011/017521)または三環核酸(WO2013/154798)が含まれる。修飾ヌクレオシドにはまた、糖部分が非糖部分で置換されるヌクレオシド、例えばペプチド核酸(PNA)の場合のようなもの、またはモルホリノ核酸が含まれる。
【0083】
糖修飾にはまた、RNAまたはDNAヌクレオシドにおいて天然に見られる、水素または−OH基以外の基へのリボース環上の置換基の改変を通じて行われる修飾も含まれる。置換基は、例えば、2’、3’、4’または5’位で導入されてもよい。
【0084】
2’糖修飾ヌクレオシド
2’糖修飾ヌクレオシドは、2’位でHまたは−OH以外の置換基を有するヌクレオシド(2’置換ヌクレオシド)であるか、またはリボース環の2’炭素および第二の炭素の間で架橋を形成することが可能な2’連結ビラジカルを含むヌクレオシド、例えばLNA(2’−4’ビラジカル架橋)ヌクレオシドである。
【0085】
実際、2’置換ヌクレオシドを開発することに多くの注力がなされてきており、そして多くの2’置換ヌクレオシドが、オリゴヌクレオチド内に取り込まれた際に、有益な特性を有することが見出されてきている。例えば、2’修飾糖は、オリゴヌクレオチドに、増進された結合アフィニティおよび/または増加したヌクレアーゼ耐性を提供しうる。2’置換修飾ヌクレオシドの例は、2’−O−アルキル−RNA、2’−O−メチル−RNA、2’−アルコキシ−RNA、2’−O−メトキシエチル−RNA(MOE)、2’−アミノ−DNA、2’−フルオロ−RNA、および2’−F−ANAヌクレオシドである。さらなる例に関しては、例えば、Freier & Altmann; Nucl. Acid Res., 1997, 25, 4429−4443、ならびにUhlmann; Curr. Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293−213、ならびにDeleaveyおよびDamha, Chemistry and Biology 2012, 19, 937を参照されたい。以下は、いくつかの2’置換修飾ヌクレオシドの例である。
【0086】
【化2】
【0087】
本発明に関して、2’置換にはLNAのような2’架橋分子は含まれない。
ロックト核酸ヌクレオシド(LNA)
「LNAヌクレオシド」は、前記ヌクレオシドのリボース糖環のC2’およびC4’を連結するビラジカル(「2’−4’架橋」とも称される)を含み、これがリボース環のコンホメーションを制限するかまたはロックする、2’修飾ヌクレオシドである。これらのヌクレオシドはまた、文献において、架橋核酸または二環核酸(BNA)とも称される。リボースのコンホメーションのロックは、LNAが相補的RNAまたはDNA分子に対するオリゴヌクレオチド内に取り込まれた際に、ハイブリダイゼーションアフィニティの増進(二重鎖安定化)と関連する。これは、オリゴヌクレオチド/相補体二重鎖の融解温度を測定することによって、ルーチンに決定可能である。
【0088】
限定なしに、例示的なLNAヌクレオシドは、WO 99/014226、WO 00/66604、WO 98/039352、WO 2004/046160、WO 00/047599、WO 2007/134181、WO 2010/077578、WO 2010/036698、WO 2007/090071、WO 2009/006478、WO 2011/156202、WO 2008/154401、WO 2009/067647、WO 2008/150729、Moritaら, Bioorganic & Med. Chem. Lett. 12,73−76、Sethら J. Org. Chem. 2010, Vol 75(5) pp. 1569−81、およびMitsuokaら, Nucleic Acids Research 2009, 37(4), 1225−1238、ならびにWanおよびSeth, J. Medical Chemistry 2016, 59, 9645−9667に開示される。
【0089】
さらに限定なしに、例示的なLNAヌクレオシドをスキーム1に開示する。
スキーム1:
【0090】
【化3】
【0091】
特定のLNAヌクレオシドは、ベータ−D−オキシ−LNA、6’−メチル−ベータ−D−オキシLNA、例えば(S)−6’−メチル−ベータ−D−オキシ−LNA(ScET)およびENAである。特に好適なLNAはベータ−D−オキシ−LNAである。
【0092】
ヌクレアーゼ仲介性分解
ヌクレアーゼ仲介性分解は、こうした配列を含む二重鎖を形成する際、相補ヌクレオチド配列の分解を仲介可能な核酸分子を指す。
【0093】
いくつかの態様において、核酸分子は、ターゲット核酸のヌクレアーゼ仲介性分解を通じて機能しうる。特に、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNA/DNAハイブリダイゼーションを認識し、そしてRNA核酸の切断を達成するエンドリボヌクレアーゼ(RNAアーゼ)をリクルートすることが可能である。RNアーゼHは、好適なリボヌクレアーゼであることが立証されてきている。ヌクレアーゼ仲介性機構を通じて作用するアンチセンスオリゴヌクレオチド設計の例は、典型的には少なくとも5つまたは6つの連続DNAヌクレオシドの領域を含み、そして片側または両側にアフィニティを増進させるヌクレオシド、例えばギャップマー、ヘッドマーおよびテールマーが隣接する、オリゴヌクレオチドである。
【0094】
RNAアーゼH活性およびリクルートメント
アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNアーゼH活性は、相補RNA分子との二重鎖にある際に、RNアーゼHをリクルートする能力を指す。WO01/23613は、RNアーゼH活性を決定するためのin vitro法を提供し、該方法を用いて、RNアーゼHをリクルートする能力を決定してもよい。典型的には、オリゴヌクレオチドは、相補ターゲット核酸配列とともに提供された際、試験される修飾オリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、オリゴヌクレオチドにおけるすべての単量体の間にホスホロチオエート連結を持つDNA単量体のみを含有するオリゴヌクレオチドを用い、そしてWO01/23613(本明細書に援用される)の実施例91〜95によって提供される方法論を用いた際に決定される初速の少なくとも5%、例えば少なくとも10%または20%より高いpmоl/l/分で測定される初速を有する場合、RNアーゼHをリクルート可能であると見なされる。RNアーゼH活性を決定する際に使用するため、組換えヒトRNアーゼHはLubio Science GmbH、スイス・ルツェルンより入手可能である。
【0095】
ギャップマー
本発明の核酸分子、またはその連続ヌクレオチド配列は、ギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドであってもよい。アンチセンスギャップマーは、一般的に、RNアーゼH仲介性分解を通じて、ターゲット核酸を阻害するために用いられる。本発明の1つの態様において、本発明のオリゴヌクレオチドは、RNアーゼHをリクルートすることが可能である。
【0096】
ギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも3つの別個の構造領域、5’−フランク、ギャップおよび3’-フランクのF−G−F’を、5’→3’配向で含む。「ギャップ」領域(G)は、オリゴヌクレオチドがRNアーゼHをリクルートすることを可能にする隣接DNAヌクレオチドのストレッチを含む。ギャップ領域には、1つまたはそれより多い糖修飾ヌクレオシド、好適には高アフィニティ糖修飾ヌクレオシドを含む5’フランキング領域(F)、そして1つまたはそれより多い糖修飾ヌクレオシド、好適には高アフィニティ糖修飾ヌクレオシドを含む3’フランキング領域(F’)が隣接する。領域FおよびF’中の1つまたはそれより多い糖修飾ヌクレオシドは、ターゲット核酸に対するオリゴヌクレオチドのアフィニティを増進させる(すなわちアフィニティ増進性糖修飾ヌクレオシドである)。いくつかの態様において、領域FおよびF’中の1つまたはそれより多い糖修飾ヌクレオシドは、2’糖修飾ヌクレオシド、例えば高アフィニティ2’糖修飾であり、例えばLNAおよび2’−MOEより独立に選択される。
【0097】
ギャップマー設計において、ギャップ領域の最も5’および3’であるヌクレオシドは、DNAヌクレオシドであり、そしてそれぞれ、5’(F)または3’(F’)領域の糖修飾ヌクレオシドに隣接して配置される。フランクは、さらに、ギャップ領域から最も遠い端で、すなわち5’フランクの5’端および3’フランクの3’端で、少なくとも1つの糖修飾ヌクレオシドを有することによって定義されることも可能である。
【0098】
領域F−G−F’は、隣接ヌクレオチド配列を形成する。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその隣接ヌクレオチド配列は、式F−G−F’のギャップマー領域を含んでもよい。
【0099】
ギャップマー設計F−G−F’の全体の長さは、例えば12〜32ヌクレオシド、例えば13〜24、例えば14〜22ヌクレオシド、例えば、14〜17、例えば16〜18ヌクレオシドであってもよい。例えば、本発明のギャップマーオリゴヌクレオチドは、以下の式:
1−8−G5−16−F’1−8、例えば
1−8−G7−16−F’2−8
によって示されてもよく、但し、ギャップマー領域F−G−F’の全体の長さは、長さ少なくとも12、例えば少なくとも14ヌクレオチドである。
【0100】
本発明の側面において、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその隣接ヌクレオチド配列は、式5’−F−G−F’−3’、式中、領域FおよびF’は、独立に1〜8ヌクレオシドを含むかまたはこれらからなり、このうち1〜4は2’糖修飾されており、そしてFおよびF’領域の5’および3’端を定義し、そしてGはRNアーゼHをリクルート可能な6〜16の間のヌクレオシドの領域である、のギャップマーからなるかまたは該ギャップマーを含む。
【0101】
いくつかの態様において、ギャップ領域Gは、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の隣接ホスホロチオエート連結DNAヌクレオシドからなってもよい。いくつかの態様において、ギャップ中のすべてのヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエート連結である。
【0102】
いくつかの態様において、領域FおよびF’は、独立に、糖修飾ヌクレオシドの隣接配列からなるかまたは該配列を含む。いくつかの態様において、領域Fの糖修飾ヌクレオシドは、独立に、2’−O−アルキル−RNA単位、2’−O−メチル−RNA、2’−アミノ−DNA単位、2’−フルオロ−DNA単位、2’−アルコキシ−RNA、MOE単位、LNA単位、アラビノ核酸(ANA)単位および2’−フルオロ−ANA単位より選択されてもよい。
【0103】
いくつかの態様において、領域FまたはF’あるいはFおよびF’のすべてのヌクレオシドは、LNAヌクレオシドであり、例えば、これらは、ベータ−D−オキシLNA、ENAまたはScETヌクレオシドより独立に選択される。いくつかの態様において、領域Fは、1〜5、例えば2〜4、例えば3〜4、例えば1、2、3、4または5の隣接LNAヌクレオシドからなる。いくつかの態様において、領域FおよびF’のすべてのヌクレオシドは、ベータ−D−オキシLNAヌクレオシドである。
【0104】
いくつかの態様において、領域FまたはF’あるいはFおよびF’のすべてのヌクレオシドは、2’置換ヌクレオシド、例えばOMeまたはMOEヌクレオシドである。いくつかの態様において、領域Fは、1、2、3、4、5、6、7、または8の隣接OMeまたはMOEヌクレオシドからなる。いくつかの態様において、フランキング領域の1つのみが、2’置換ヌクレオシド、例えばOMeまたはMOEヌクレオシドからなる。いくつかの態様において、2’置換ヌクレオシド、例えばOMeまたはMOEヌクレオシドからなるのは5’(F)フランキング領域である一方、3’(F’)フランキング領域は、少なくとも1つのLNAヌクレオシド、例えばベータ−D−オキシLNAヌクレオシドまたはcETヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、2’置換ヌクレオシド、例えばOMeまたはMOEヌクレオシドからなるのは3’(F’)フランキング領域である一方、5’(F)フランキング領域は、少なくとも1つのLNAヌクレオシド、例えばベータ−D−オキシLNAヌクレオシドまたはcETヌクレオシドを含む。
【0105】
いくつかの態様において、領域FおよびF’のすべての修飾ヌクレオシドは、LNAヌクレオシドであり、例えばベータ−D−オキシLNA、ENAまたはScETヌクレオシドより独立に選択されるものであり、ここで、領域FまたはF’あるいはFおよびF’は、随意に、DNAヌクレオシド(代替隣接、さらなる詳細に関してはこれらの定義を参照されたい)を含んでもよい。いくつかの態様において、領域FおよびF’のすべての修飾ヌクレオシドは、ベータ−D−オキシLNAヌクレオシドであり、ここで、領域FまたはF’あるいはFおよびF’は、随意に、DNAヌクレオシド(代替隣接、さらなる詳細に関してはこれらの定義を参照されたい)を含んでもよい。
【0106】
さらなるギャップマー設計は、本明細書に援用される、WO2004/046160、WO2007/146511およびWO2008/113832に開示される。
コンジュゲート
用語、コンジュゲートは、本明細書において、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分または領域Cまたは第三の領域)に共有結合したオリゴヌクレオチドを指す。
【0107】
1つまたはそれより多い非ヌクレオチド部分への本発明の療法核酸分子のコンジュゲート化は、例えば活性、細胞分布、細胞取り込みまたは核酸分子の安定性に影響を及ぼすことによって、該核酸分子の薬効薬理を改善しうる。いくつかの態様において、コンジュゲート部分は、オリゴヌクレオチドの細胞分布、生物学的利用能、代謝、排出、浸透性、および/または細胞取り込みを改善することによって、核酸分子の薬物動態学的特性を修飾するかまたは増進させる。特に、コンジュゲートは、特定の臓器、組織または細胞タイプに核酸分子をターゲティングし、そしてそれによってその臓器、組織または細胞タイプにおけるオリゴヌクレオチドの有効性を増進させてもよい。同時に、コンジュゲートは、非ターゲット細胞タイプ、組織または臓器における核酸分子の活性、例えばオフターゲット活性あるいは非ターゲット細胞タイプ、組織または臓器における活性を減少させるように働いてもよい。siRNA核酸分子に関しては、コンジュゲート部分は、最も一般的には、siRNAのパッセンジャー鎖に共有結合され、そしてshRNA分子に関しては、コンジュゲート部分は、最も一般的には、shRNAの隣接ヌクレオチド配列から最も離れた分子端に連結される。アンチセンスオリゴヌクレオチドに関しては、コンジュゲート部分は、好適には、生体切断可能リンカー、例えば2〜5のホスホジエステル連結DNAヌクレオシドを用いて、末端のいずれかに共有連結されてもよい。
【0108】
本明細書に援用される、WO93/07883およびWO2013/033230は、適切なコンジュゲート部分を提供する。さらなる適切なコンジュゲート部分は、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)に結合可能なものである。特に、三価N−アセチルガラクトサミンコンジュゲート部分は、ASGPRに結合するために適しており、例えば、US 2009/02398、WO 2014/076196、WO 2014/207232およびWO 2014/179620(本明細書に援用される)を参照されたい。
【0109】
こうしたコンジュゲートは、腎臓における存在を減少させながら、肝臓への療法核酸分子の取り込みを増進するように働き、それによって、同じ核酸分子の非コンジュゲート化型に比較して、コンジュゲート化核酸分子の肝臓/腎臓比を増加させる。
【0110】
1つの態様において、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分)は、炭水化物、細胞表面受容体リガンド、薬剤物質、ホルモン、親油性物質、ポリマー、タンパク質、ペプチド、毒素(例えば細菌毒素)、ビタミン、ウイルスタンパク質(例えばキャプシド)またはその組み合わせからなる群より選択される。
【0111】
コンジュゲートリンカー
連結またはリンカーは、1つまたはそれより多い共有結合を通じて、関心対象の1つの化学基またはセグメントを、関心対象の別の化学基またはセグメントに連結する、2つの原子の間の接続である。直接、または連結部分(例えばリンカーまたはテザー)を通じて、オリゴヌクレオチドにコンジュゲート部分を付着させてもよい。リンカーは、1つの領域、例えばコンジュゲート部分を、別の領域、例えばオリゴヌクレオチド(例えば領域AまたはCの末端)に、共有結合するように働く。
【0112】
本発明のいくつかの態様において、本発明のコンジュゲートまたは療法核酸分子コンジュゲートは、随意に、オリゴヌクレオチドおよびコンジュゲート部分の間に位置するリンカー領域を含んでもよい。いくつかの態様において、コンジュゲートおよびオリゴヌクレオチドの間のリンカーは、生理学的に不安定なリンカーであり、交換可能に、生体切断可能リンカーと称される。リンカーおよびオリゴヌクレオチドは、しばしば、ホスホジエステル連結を通じて付着される。
【0113】
哺乳動物体内で通常遭遇するまたは遭遇するものに類似である条件下で切断可能である、生理学的に不安定な結合を含むかまたはこうした結合からなる生体切断可能リンカー(領域B)。生理学的に不安定であるリンカーが化学変換(例えば切断)を経る条件には、哺乳動物細胞において見られるかまたは該細胞において遭遇するものと類似の化学的条件、例えばpH、温度、酸化または還元条件または剤、および塩濃度が含まれる。哺乳動物細胞内条件にはまた、タンパク質分解酵素または加水分解酵素またはヌクレアーゼに由来するものなどの、哺乳動物細胞に通常存在する酵素活性の存在も含まれる。1つの態様において、生体切断可能リンカーは、S1ヌクレアーゼ切断に感受性である。いくつかの態様において、生理学的に不安定であるリンカー(生体切断可能)は、1〜10の間の連結ヌクレオシド、例えば1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10の連結ヌクレオシド、例えば2〜6の間の連結ヌクレオシド、例えば2〜5の間の連結ヌクレオシド、例えば2〜4の間の連結ヌクレオシドを含み、ここで少なくとも2つの連続連結は生体切断可能、例えばホスホジエステル連結であり、例えば少なくとも3つまたは4つまたは5つの連続ホスホジエステル連結を有する。好ましくはヌクレオシドはDNAまたはRNAである。
【0114】
1つの態様において、オリゴヌクレオチドおよびコンジュゲート部分の間のリンカーは、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAガイド鎖の隣接ヌクレオチド配列の5’または3’末端で少なくとも2つの連続ホスホジエステル連結を含む、2〜5の連続ホスホジエステル連結ヌクレオシドで構成される、生理学的に不安定であるリンカーである。
【0115】
別の態様において、オリゴヌクレオチドおよびコンジュゲート部分の間のリンカーは、siRNAのパッセンジャー鎖の5’または3’末端で少なくとも2つの連続ホスホジエステル連結を含む、2〜5の連続ホスホジエステル連結ヌクレオシドで構成される、生理学的に不安定であるリンカーである。
【0116】
別の態様において、オリゴヌクレオチドおよびコンジュゲート部分の間のリンカーは、shRNAの隣接ヌクレオチド配列から最も遠いshRNA分子の末端で少なくとも2つの連続ホスホジエステル連結を含む、2〜5の連続ホスホジエステル連結ヌクレオシドで構成される、生理学的に不安定であるリンカーである。
【0117】
いくつかの態様において、生理学的に不安定であるリンカーは、AA、AT、AC、AG、TA、TT、TC、TG、CA、CT、CC、CG、GA、GT、GC、またはGGからなる群より選択される配列を有するDNAジヌクレオチドを含むかまたは該ヌクレオチドからなり、ここで、2つのDNAヌクレオシドの間にはホスホジエステル連結があり、そしてジヌクレオチドに核酸分子のオリゴヌクレオチドを、またはジヌクレオチドにコンジュゲート部分を連結するいずれかのジヌクレオチドの5’または3’端で少なくとも1つのさらなるホスホジエステルがある。いくつかの態様において、生理学的に不安定であるリンカーは、配列、AAA、AAT、AAC、AAG、ATA、ATT、ATC、ATG、ACA、ACT、ACC、ACG、AGA、AGT、AGC、AGG、TAA、TAT、TAC、TAG、TTA、TTT、TTC、TAG、TCA、TCT、TCC、TCG、TGA、TGT、TGC、TGG、CAA、CAT、CAC、CAG、CTA、CTG、CTC、CTT、CCA、CCT、CCC、CCG、CGA、CGT、CGC、CGG、GAA、GAT、GAC、CAG、GTA、GTT、GTC、GTG、GCA、GCT、GCC、GCG、GGA、GGT、GGC、またはGGGのDNAトリヌクレオチドを含むかまたは該ヌクレオチドからなり、ここで、DNAヌクレオシドの間にホスホジエステル連結があり、そしてトリヌクレオチドの5’または3’に潜在的にさらなるホスホジエステルがある。ホスホジエステル含有生体切断可能リンカーは、WO2014/076195(本明細書に援用される)により詳細に記載される。生体切断可能リンカーを含むコンジュゲート化合物において、標準に比較した際に、コンジュゲート部分の少なくとも約50%はオリゴヌクレオチドから切断され、例えば切断されるオリゴヌクレオチドから、少なくとも約60%が切断され、例えば少なくとも約70%が切断され、例えば少なくとも約80%が切断され、例えば少なくとも約85%が切断され、例えば少なくとも約90%が切断され、例えば少なくとも約95%が切断される。
【0118】
コンジュゲートはまた、非生体切断可能リンカーを通じてオリゴヌクレオチドに連結されてもよく、またはいくつかの態様において、コンジュゲートは、生体切断可能リンカーに共有結合された非切断可能リンカーを含んでもよい。必ずしも生体分解可能ではないリンカーは、主に、コンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドまたは生体切断可能リンカーに共有結合するために働き、そして潜在的に、コンジュゲート部分およびオリゴヌクレオチドの間にある程度の距離を生じる。いくつかの例示的なリンカー(領域Y)には、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシニミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−l−カルボキシレート(SMCC)、6−アミノヘキサン酸(AHEXまたはAHA)、6−アミノヘキシルオキシ、4−アミノ酪酸、4−アミノシクロヘキシルカルボン酸、スクシニミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−l−カルボキシ−(6−アミド−カプロエート)(LCSMCC)、スクシニミジルm−マレイミド−ベンゾイレート(MBS)、スクシニミジル−N−e−マレイミド−カプロイレート(EMCS)、スクシニミジル6−(ベータ−マレイミド−プロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH)、スクシニミジルN−(a−マレイミドアセテート)(AMAS)、スクシニミジル4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート(SMPB)、ベータ−アラニン(ベータ−ALA)、フェニルグリシン(PHG)、4−アミノシクロヘキサン酸(ACHC)、ベータ−(シクロプロピル)アラニン(ベータ−CYPR)、アミノドデカン酸(ADC)、アリレンジオール、ポリエチレングリコール、アミノ酸等が含まれる。非切断可能リンカーはまた、鎖構造または反復単位のオリゴマー、例えばエチレングリコール、アミノ酸単位またはアミノアルキル基を含んでもよい。いくつかの態様において、リンカー(領域Y)はアミノアルキル、例えばC〜C36アミノアルキル基であり、例えばC〜C12アミノアルキル基が含まれる。いくつかの態様において、リンカー(領域Y)はCアミノアルキル基(C6リンカーとも称される)である。コンジュゲートリンカー基は、アミノ修飾オリゴヌクレオチドの使用を通じて、そしてコンジュゲート基上の活性化エステル基を通じて、ルーチンにオリゴヌクレオチドに付着される。アミノアルキルおよびオリゴヌクレオチドの間の連結基は、例えば、ホスホロチオエートまたはホスホジエステル、あるいは本明細書に言及する他のヌクレオシド連結の1つであってもよい。本発明のコンジュゲート化合物は、以下の領域C−B−A(コンジュゲート部分−生体切断可能リンカー−オリゴヌクレオチド/隣接ヌクレオチド配列)またはC−Y−B−A(コンジュゲート部分−非切断可能リンカー−生体切断可能リンカー−オリゴヌクレオチド/隣接ヌクレオチド配列)で構成されてもよい。
【0119】
治療
用語「治療」、「治療している」、「治療する」等は、本明細書において、一般的に、望ましい薬理学的および/または生理学的効果を得ることを意味する。この効果は、疾患および/または疾患に起因する不都合な影響を部分的にまたは完全に治癒させる観点で療法的である。用語「治療」は、本明細書において、被験体における疾患の任意の治療を含み、そしてこれには:(a)疾患の阻害、すなわちHBsAgおよび/またはHBeAgの増加の阻害のようなその発展の抑止;または(b)疾患の軽減(すなわち緩和)、すなわちHBsAgおよび/またはHBeAg産生の抑制のような疾患の後退の誘発が含まれる。したがって、HBV感染を軽減し、そして/または阻害する化合物は、HBV感染を治療する化合物である。好ましくは、用語「治療」は、本明細書において、すでに現れている障害の医学的介入、例えば既に定義されそして現れているHBV感染の治療に関する。
【0120】
防止
本明細書において、用語「防止している」、「防止」または「防止する」は、予防的治療、すなわち、その目的が、疾患を治癒させるよりは防止する手段または処置に関する。防止は、疾患またはその症状を完全にまたは部分的に防止する観点で予防的である、望ましい薬理学的および/または生理学的効果が得られることを意味する。したがって、本明細書において、「HBV感染を防止する」には、被験体においてHBV感染が起こることを防止すること、およびHBV感染の症状の発生を防止することが含まれる。本発明において、特にHBV感染母からの、小児におけるHBV感染の防止が意図される。やはり意図されるのは、急性HBV感染の慢性HBV感染への転換の防止である。
【0121】
患者
本発明の目的のため、「被験体」(または「患者」)は、脊椎動物であってもよい。本発明の背景において、用語「被験体」には、ヒトおよび他の動物の両方、特に哺乳動物、および他の生物が含まれる。したがって、本明細書に提供する手段および方法は、ヒト療法および獣医学適用の両方に適用可能である。したがって、本明細書において、被験体は、動物、例えばマウス、ラット、ハムスター、ウサギ、モルモット、フェレット、ネコ、イヌ、ニワトリ、ヒツジ、ウシ種、ウマ、ラクダ、または霊長類であってもよい。好ましくは、被験体は哺乳動物である。より好ましくは、被験体はヒトである。
【0122】
HBV感染
用語「B型肝炎ウイルス感染」または「HBV感染」は、当該技術分野に一般的に知られ、そしてB型肝炎ウイルス(HBV)によって引き起こされ、そして肝臓に影響を及ぼす、感染性疾患を指す。HBV感染は、急性または慢性感染であってもよい。感染した人のある程度は、初期感染中に症状を示さず、そしてある程度は、嘔吐、黄色がかった皮膚、倦怠感、暗色尿および腹部疼痛を伴う、迅速な発病を発展させる(”Hepatitis B Fact sheet No 204”. who.int. 2014年7月、2014年11月4日検索)。しばしば、これらの症状は数週間持続し、そして死亡を生じる可能性もある。症状が始まるまでに30〜180日を要することもある。出産前後に感染した者は、90%が慢性B型肝炎感染を発展させる一方、5歳以降に感染した者は10%未満しか発展させない(“Hepatitis B FAQs for the Public − Transmission”, U.S. Centers for Disease Control and Prevention(CDC), 2011−11−29検索)。慢性疾患を有する者の大部分は症状を示さない;が、肝硬変および肝癌が最終的に発展しうる(Chang, 2007, Semin Fetal Neonatal Med, 12: 160−167)。これらの合併症は、慢性疾患を有する者の15〜25%の死亡を生じる(“Hepatitis B Fact sheet No 204”. who.int. 2014年7月、2014年11月4日検索)。本明細書において、用語「HBV感染」には、急性および慢性B型肝炎感染が含まれる。用語「HBV感染」にはまた、初期感染の無症候性病期、症候性病期、ならびにHBV感染の無症候性慢性病期が含まれる。
【0123】
cccDNA
cccDNA(共有閉鎖環状DNA)は、細胞核における、いくつかのDNAウイルス(ポリオーマウイルス科)の増殖中に生じる、特別なDNA構造である。cccDNAは、DNAリガーゼによって共有閉鎖環に連結される、直鎖型で生じる二本鎖DNAである。大部分の場合、ウイルスDNAの転写は、環状型からのみ生じうる。ウイルスのcccDNAはまた、エピソームDNAとしても知られ、またときに、ミニ染色体としても知られる。
【0124】
cccDNAは、B型肝炎ウイルス(HBV)を含む、カリモウイルス科およびヘパドナウイルス科に典型的である。HBVゲノムは、肝細胞の核において、安定なミニ染色体、共有閉鎖環状DNA(cccDNA)を形成する。cccDNAは、キャプシド関連弛緩環状DNA(rcDNA)の変換によって形成される。HBV cccDNA形成は、細胞DNA修復機構を必要とする多工程プロセスを伴い、そしてrcDNAにおけるプラス鎖DNAの完成に寄与する特徴的な細胞構成要素との特異的相互作用に頼る(Alweissら 2017, Viruses, 9 (6): 156)。
【0125】
薬学的に許容されうる塩
用語「薬学的に許容されうる塩」は、生物学的にまたは別の意味で望ましくない遊離塩基または遊離酸の生物学的有効性および特性を保持する塩を指す。塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、特に塩酸、および有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、N−アセチルシステインで形成される。さらに、これらの塩は、遊離酸への無機塩基または有機塩基の添加から調製されてもよい。無機塩基に由来する塩には、限定されるわけではないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム塩が含まれる。有機塩基に由来する塩には、限定されるわけではないが、一級、二級、および三級アミン、天然存在置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N−エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂の塩が含まれる。式(I)の化合物はまた、双性イオンの形で存在してもよい。式(I)の化合物の特に好ましい薬学的に許容されうる塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸およびメタンスルホン酸の塩である。
【0126】
阻害剤
用語「阻害剤」は、当該技術分野に知られ、そして(a)特定のタンパク質(単数または複数)(例えばFUBP1)の生理学的機能(すなわち活性)を完全にまたは部分的に防止するかまたは減少させることが可能な化合物/物質または組成物に関する。本発明の背景において、FUBP1の「阻害剤」は、FUBP1遺伝子産物の発現を防止するかまたは減少させることによって、それぞれFUBP1の活性/機能を防止するかまたは減少させることが可能である。したがって、FUBP1の阻害剤は、FUBP1の発現レベルの減少(例えばFUBP1 mRNAまたはFUBP1タンパク質レベルの減少)を導くことも可能であり、これは、FUBP1の機能性(すなわち活性)の減少に反映され、ここで前記機能は、ポリAポリメラーゼ機能を含む。したがって、FUBP1の阻害剤は、本発明の背景において、FUBP1のレベルを減少させることが可能である、FUBP1発現の転写リプレッサーも含んでもよい。好ましい阻害剤は、本発明の核酸分子である。
【0127】
化合物
本明細書において、用語「化合物」は、FUBP1発現または活性の阻害が可能な任意の分子を意味する。本発明の特定の化合物は、本発明記載の核酸分子、例えばRNAi分子またはアンチセンスオリゴヌクレオチド、あるいはこうした核酸分子を含む任意のコンジュゲートである。例えば、本明細書において、化合物は、FUBP1をターゲティングする核酸分子、特にアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAであってもよい。
【0128】
組成物
用語「組成物」はまた、核酸分子化合物または別のFUBP1阻害剤を記載するために用いられてもよい。核酸分子組成物は、20%未満の不純物、好ましくは15%または10%未満の不純物、より好ましくは9、8、7または6%未満の不純物、最も好ましくは5%未満の不純物を有する。不純物は、典型的には、主な核酸分子構成要素よりも1または2ヌクレオチド短い(n−1またはn−2)核酸分子である。
【0129】
本発明は、限定されない図および例を参照することによって、さらに記載される。
発明の詳細な説明
FUBP1の過剰発現および突然変異は、長年に渡り、癌と関連することが知られてきている。特に、ヒト肝細胞癌(HCC)におけるFUBP1の強い過剰発現は、腫瘍増殖を支持し、そして劣った患者予後と相関する。感染肝細胞におけるHBV cccDNAは、持続性慢性感染および再活性化に関与し、すべてのウイルスサブゲノム転写物およびプレゲノムRNA(pgRNA)のテンプレートであって、細胞内ヌクレオキャプシド・リサイクリングを通じて、ウイルス子孫の新規合成およびcccDNAプール補充の両方を確実にする。本発明の背景において、FUBP1がcccDNA安定性に関与することが最初に示された。この知見は、HBV感染被験体において、cccDNAを不安定化する機会を可能にし、これが次に、慢性感染HBV患者の完全な治癒の機会を開く。HCCおよびcccDNA安定性におけるFUBP1の役割は、互いに異なり、そして独立であると予期される。
【0130】
本発明の1つの側面は、B型肝炎ウイルス(HBV)感染、特に慢性HBV感染の治療および/または防止において使用するためのFUBP1阻害剤である。
本発明の1つの態様は、感染細胞、例えばHBV感染細胞において、cccDNAおよびpgRNAを減少させることが可能なFUBP1阻害剤である。
【0131】
さらなる態様において、FUBP1阻害剤は、HBsAgおよび/またはHBeAgを、HBV感染個体において、in vivoで減少させることが可能である。
HBVの治療において使用するためのFUBP1阻害剤
理論によって束縛されることなく、FUBP1は、細胞核におけるcccDNAの安定化に関与し、そしてDNA、特にcccDNAへのFUBP1の結合を防止することによって、cccDNAは不安定化され、そして分解されやすくなると考えられる。本発明の1つの態様は、したがって、FUBP1タンパク質のDNA結合ドメインと相互作用し、そしてcccDNAへの結合を防止するかまたは減少させるFUBP1阻害剤である。
【0132】
癌におけるFUBP1の役割と関連して、FUBP1を阻害する小分子が同定されてきており、ここで、小分子は、FUBP1のDNA結合活性、特に一本鎖DNA上のFUSE要素への結合を阻害する。本発明において、FUBP1阻害剤は、HBVを治療する際に有用であると想定される。特に、例えばコンジュゲート化または配合を通じた、こうした小分子化合物の肝臓へのターゲティングは、HBVの治療において有益でありうる。
【0133】
Huthら 2004 J Med. Chem Vol 47 p. 4851−4857は、FUBP1の4つのタンデムK相同性(KH)リピートに結合可能な一連のベンゾイルアントラニル酸化合物を開示する。Huthら 2004に開示される化合物はすべて、本明細書に援用される。特に、以下に示す式I、IIまたはIIIの化合物は、FUBP1 DNA結合活性を阻害する際に有効であることが見出された。
【0134】
【化4】
【0135】
本発明の1つの態様は、B型肝炎ウイルス(HBV)感染の治療および/または防止における使用のための式I、IIまたはIIIの化合物である。
Hauckら 2016 Bioorganic & Medicinal Chemistry Vol 24 p.5717−5729は、高いFUBP1阻害潜在能力を持つ一連のさらなる化合物を記載する(本明細書に援用される、表2を参照されたい)。特に、式IVの以下の化合物は、FUBP1活性の阻害に有効であった。
【0136】
【化5】
【0137】
式中、R1は、
【0138】
【化6】
【0139】
より選択され、そしてR2は、
【0140】
【化7】
【0141】
より選択される。
特に、式V、VIおよびVIIの化合物は、15μM未満のIC50値を有することが示された。
【0142】
【化8】
【0143】
2−(5−ブロモチオフェン−2−イル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−7−(トリフルオロメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【0144】
【化9】
【0145】
2−(5−クロロチオフェン−2−イル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−7−(トリフルオロメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【0146】
【化10】
【0147】
5−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−(チオフェン−2−イル)−7−(トリフルオロメチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
本発明の1つの態様は、B型肝炎ウイルス(HBV)感染の治療および/または防止において使用するための式IVの化合物である。
【0148】
本発明の1つの態様は、B型肝炎ウイルス(HBV)感染の治療および/または防止において使用するための式V、VIまたはVIの化合物である。
S−アデノシル−L−メチオニン(SAM)競合的阻害剤、GSK343(式VIII)は、現在、骨肉腫のため前臨床開発中である。GSK343が骨肉腫細胞において、FUBP1発現を阻害することが示されてきている(Xiongら 2016 Int J Onc vol 49 p 623)。
【0149】
【化11】
【0150】
本発明の1つの態様は、B型肝炎ウイルス(HBV)感染の治療および/または防止において使用するための式VIIの化合物である。
最近、トポイソメラーゼI(TOP1)阻害剤である、FDA認可癌薬剤カンプトテシン(CPT、式IX)およびその誘導体SN−38(7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン、式X)もまた、FUBP1/FUSE相互作用を防止することによって、FUBP1活性を阻害することが示された(Hosseiniら 2017 Biochemical Pharmacology Vol 146 p.53−62)。
【0151】
【化12】
【0152】
カンプトテシン((+)−4(S)−エチル−4−ヒドロキシ−3,4,12,14−テトラヒドロ−1H−ピラノ[3’4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14−ジオン)。
【0153】
【化13】
【0154】
SN−38(4(S),11−ジエチル−4,9−ジヒドロキシ−3,4,12,14−テトラヒドロ−1H−ピラノ[3’4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14−ジオン 7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン)。
【0155】
本発明の1つの態様は、B型肝炎ウイルス(HBV)感染の治療および/または防止において使用するための式IXまたはXの化合物である。
Tringaliら 2012 Journal of Pharmacy and Pharmacology Vol 64, p. 360−365は、ヒアルロン酸にコンジュゲート化されたSN−38(HA−SN−38、式IX)の薬物動態学的プロファイルを記載し、そして該分子は、肝臓への分布の増加を示す。
【0156】
【化14】
【0157】
本発明の1つの態様は、B型肝炎ウイルス(HBV)感染の治療および/または防止において使用するための式XIの化合物である。
SN−38の多様な脂質コンジュゲートもまた文献中に存在する。WO2006/082053は、例えば、式XIIの分子を記載する。
【0158】
【化15】
【0159】
CN105777770は、以下の式XIIIに示すパルミテートコンジュゲート化SN−38を記載する。
【0160】
【化16】
【0161】
本発明の1つの態様は、B型肝炎ウイルス(HBV)感染の治療および/または防止において使用するための式XIIまたはXIIIの化合物である。
本発明のさらなる側面において、B型肝炎ウイルス(HBV)感染の治療および/または防止に使用するためのFUBP1阻害剤を、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPr)に結合可能なコンジュゲート部分、例えば二価または三価GalNAcクラスターに共有結合させることによって、肝臓に直接ターゲティングしてもよい。
【0162】
本発明の核酸分子
核酸分子は、FUBP1転写物をターゲティングし、そしてRNA干渉経路を通じてまたはRNアーゼH切断を通じてのいずれかで、転写物の分解を促進することが可能であるため、潜在的に優れたFUBP1阻害剤である。あるいは、核酸分子、例えばアプタマーはまた、上述の小分子と一致して、FUBP1のDNA結合部位の阻害剤として作用してもよい。
【0163】
本発明の1つの側面は、B型肝炎ウイルス(HBV)感染の治療および/または防止において使用するための核酸分子である。こうした核酸分子は、一本鎖アンチセンス、オリゴヌクレオチド;siRNA分子;またはshRNA分子からなる群より選択されてもよい。
【0164】
本セクションは、B型肝炎ウイルス(HBV)感染の治療および/または防止において使用するために適した新規核酸分子を記載する。
本発明の核酸分子は、in vitroおよびin vivoで、FUBP1の発現を阻害することが可能である。阻害は、FUBP1をコードするターゲット核酸にオリゴヌクレオチドがハイブリダイズすることによって達成される。
【0165】
ターゲット核酸は、哺乳動物FUBP1配列、例えば配列番号1〜20からなる群より選択される配列であってもよい。哺乳動物FUBP1配列が、配列番号1、2、3、4、5、6、7および8からなる群より選択されるならば好適である。
【0166】
いくつかの態様において、本発明の核酸分子は、FUBP1を阻害するかまたは下方制御することによって、FUBP1の発現を調節することが可能である。好ましくは、こうした調節は、ターゲットの正常発現レベルに比較して、少なくとも40%の発現阻害、より好ましくは、ターゲットの正常発現レベルに比較して、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%または98%の阻害を生じる。いくつかの態様において、本発明の核酸分子は、HepG2−NTCP細胞またはHBV感染初代ヒト肝細胞を用いて、in vitroで、少なくとも65%〜98%、例えば70%〜95%、FUBP1 mRNAの発現レベルを阻害することが可能であり、ターゲット減少のこの範囲は、cccDNA減少と優れた相関がある核酸分子を選択する際に好適である。いくつかの態様において、本発明の化合物は、HepG2−NTCP細胞またはHBV感染初代ヒト肝細胞を用いて、in vitroで、少なくとも50%、FUBP1タンパク質の発現レベルを阻害することが可能でありうる。本明細書の材料および方法セクション、ならびに実施例は、HepG2−NTCP細胞またはHBV感染初代ヒト肝細胞ならびにcccDNAにおけるターゲットRNA阻害を測定するために用いてもよいアッセイを提供する。ターゲット調節は、オリゴヌクレオチドの隣接ヌクレオチド配列、例えばsiRNAのガイド鎖またはアンチセンスオリゴヌクレオチドのギャップマー領域、およびターゲット核酸の間のハイブリダイゼーションによって誘発される。いくつかの態様において、本発明のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドまたは隣接ヌクレオチド配列および一方または両方のターゲット核酸の間のミスマッチを含む。ミスマッチにも関わらず、ターゲット核酸へのハイブリダイゼーションは、FUBP1発現の望ましい調節を示すためになお十分でありうる。オリゴヌクレオチドの長さを増加させ、そして/またはオリゴヌクレオチド配列内のターゲットへの結合アフィニティを増加させることが可能な修飾ヌクレオシドの数を増加させることによって、ミスマッチから生じる減少した結合アフィニティを、好適に補償してもよい。好適には、本発明のオリゴヌクレオチドは、結合アフィニティを増加させることが可能な修飾ヌクレオシド、例えばLNAを含む2’糖修飾ヌクレオシドを含有する。
【0167】
本発明の1つの側面は、FUBP1の発現を阻害可能である、長さ12〜30ヌクレオチドの隣接ヌクレオチド配列を含む、長さ12〜60ヌクレオチドの核酸分子に関する。
いくつかの態様において、核酸分子は、ターゲット核酸の領域またはターゲット配列と、少なくとも90%相補的、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、または100%相補的である、隣接配列を含む。
【0168】
1つの態様において、本発明の核酸分子、またはその隣接ヌクレオチド配列は、ターゲット核酸の領域に、完全に相補的(100%相補的)であるか、あるいはいくつかの態様において、オリゴヌクレオチドおよびターゲット核酸の間に1つまたは2つのミスマッチを含んでもよい。
【0169】
いくつかの態様において、核酸分子は、配列番号1、配列番号2、配列番号3および/または配列番号4に存在するターゲット核酸領域に、少なくとも95%相補的、例えば完全に(または100%)相補的な、長さ12〜30ヌクレオチドの隣接ヌクレオチド配列を含む。
【0170】
いくつかの態様において、本発明の核酸分子または隣接ヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、および/または配列番号8のターゲット核酸に、少なくとも93%相補的、例えば完全に(または100%)相補的である。
【0171】
いくつかの態様において、本発明の核酸分子または隣接ヌクレオチド配列は、配列番号1および配列番号5のターゲット核酸に、少なくとも95%相補的、例えば完全に(または100%)相補的である。
【0172】
いくつかの態様において、本発明の核酸分子または隣接ヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号5および配列番号9のターゲット核酸に、少なくとも95%相補的、例えば完全に(または100%)相補的である。
【0173】
いくつかの態様において、核酸分子または隣接ヌクレオチド配列は、配列番号1の14200〜14218位に100%相補的である。
いくつかの態様において、核酸分子または隣接ヌクレオチド配列は、配列番号1の14413〜14431位に100%相補的である。
【0174】
いくつかの態様において、核酸分子または隣接ヌクレオチド配列は、配列番号1の14966〜14984位に100%相補的である。
いくつかの態様において、核酸分子または隣接ヌクレオチド配列は、配列番号1の30344〜30632に100%相補的である。
【0175】
いくつかの態様において、本発明の核酸分子は、長さ12〜60ヌクレオチド、例えば長さ13〜50、例えば14〜35、例えば15〜30、例えば16〜22ヌクレオチドを含むかまたは該ヌクレオチドからなる。
【0176】
いくつかの態様において、ターゲット核酸に相補的な核酸分子の隣接ヌクレオチド配列は、長さ12〜30、例えば14〜25、例えば16〜23、例えば18〜22の隣接ヌクレオチドを含むかまたは該ヌクレオチドからなる。
【0177】
いくつかの態様において、ターゲット核酸に相補的であるsiRNAまたはshRNAの隣接ヌクレオチド配列は、長さ18〜28、例えば19〜26、例えば20〜24、例えば21〜23の隣接ヌクレオチドを含むかまたは該ヌクレオチドからなる。
【0178】
いくつかの態様において、ターゲット核酸に相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドの隣接ヌクレオチド配列は、長さ12〜22、例えば14〜20、例えば16〜20、例えば15〜18、例えば16〜18、例えば16〜17の隣接ヌクレオチドを含むかまたは該ヌクレオチドからなる。
【0179】
隣接核酸塩基配列(モチーフ配列)を修飾して、例えばヌクレアーゼ耐性および/またはターゲット核酸への結合アフィニティを増加させてもよいことが理解される。
修飾ヌクレオシド(例えば高アフィニティ修飾ヌクレオシド)がオリゴヌクレオチド配列内に取り込まれるパターンは、一般的に、オリゴヌクレオチド設計と称される。本発明のオリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシドおよびRNAヌクレオシド(特にsiRNAおよびshRNA分子に関して)またはDNAヌクレオシド(特に一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドに関して)を含んで設計される。好適には、高アフィニティ修飾ヌクレオシドを用いる。
【0180】
1つの態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド、例えば少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つの修飾ヌクレオシドを含む。1つの態様において、オリゴヌクレオチドは1〜8の修飾ヌクレオシド、例えば2〜7の修飾ヌクレオシド、例えば3〜6の修飾ヌクレオシド、例えば4〜6の修飾ヌクレオシド、例えば4または5の修飾ヌクレオシドを含む。適切な修飾は、「定義」セクション中、「修飾ヌクレオシド」、「高アフィニティ修飾ヌクレオシド」、「糖修飾」、「2’糖修飾」および「ロックト核酸(LNA)」以下に記載される。
【0181】
1つの態様において、オリゴヌクレオチドは、1つまたはそれより多い糖修飾ヌクレオシド、例えば2’糖修飾ヌクレオシドを含む。好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドは、2’−O−アルキル−RNA、2’−O−メチル−RNA、2’−アルコキシ−RNA、2’−O−メトキシエチル−RNA、2’−アミノ−DNA、2’−フルオロ−DNA、アラビノ核酸(ANA)、2’−フルオロ−ANAおよびLNAヌクレオシドからなる群より独立に選択される1つまたはそれより多い2’糖修飾ヌクレオシドを含む。修飾ヌクレオシドの1つまたはそれより多くが、ロックト核酸(LNA)であることが好適である。しばしば用いられるLNAヌクレオシドは、オキシ−LNAまたはcETである。
【0182】
さらなる態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間連結を含む。適切なヌクレオシド間修飾は、「定義」セクションにおいて、「修飾ヌクレオシド間連結」以下に記載される。オリゴヌクレオチドの5’または3’端の少なくとも2〜3のヌクレオシド間連結がホスホロチオエートヌクレオシド間連結であることが好適である。一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドに関しては、隣接ヌクレオチド配列内の、少なくとも75%、例えばすべてのヌクレオシド間連結が、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結であることが好適である。
【0183】
本発明のさらなる側面において、本発明の核酸分子、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNAまたはshRNAは、これらを二価または三価GalNAcクラスターなどのアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPr)に結合可能なコンジュゲート部分に共有結合させることによって、肝臓に直接ターゲティングされてもよい。
【0184】
コンジュゲート
HBV感染は、主に、肝臓における肝細胞に影響を及ぼすため、非コンジュゲート化阻害剤に比較して、肝臓への阻害剤の送達を増加させるであろうコンジュゲート部分に、FUBP1阻害剤をコンジュゲート化することが好適である。1つの態様において、肝臓ターゲティング部分は、コレステロールまたは他の脂質を含む部分あるいはアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)に結合可能なコンジュゲート部分より選択される。
【0185】
いくつかの態様において、本発明は、コンジュゲート部分に共有結合した本発明の核酸分子を含むコンジュゲートを提供する。
アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)コンジュゲート部分は、ガラクトースのものと等しいかまたはそれより大きいアフィニティで、アシアロ糖タンパク質受容体に結合可能な1つまたはそれより多い炭水化物部分(ASGPRターゲティング部分)を含む。アシアロ糖タンパク質受容体に対する多くのガラクトース誘導体のアフィニティが研究されてきている(例えば:Jobst, S.T.およびDrickamer, K. JB.C. 1996, 271, 6686を参照されたい)か、またはこうしたアフィニティは、当該技術分野に典型的な方法を用いて容易に決定される。
【0186】
1つの態様において、コンジュゲート部分は、ガラクトース、ガラクトサミン、N−ホルミル−ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−プロピオニル−ガラクトサミン、N−n−ブタノイル−ガラクトサミンおよびN−イソブタノイルガラクトサミンからなる群より選択される、少なくとも1つのアシアロ糖タンパク質受容体ターゲティング部分を含む。好適には、アシアロ糖タンパク質受容体ターゲティング部分は、N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)である。
【0187】
ASGPRコンジュゲート部分を生成するため、ASPGRターゲティング部分(好ましくはGalNAc)をコンジュゲート足場に付着させてもよい。一般的に、ASPGRターゲティング部分は、足場の同じ端にあってもよい。1つの態様において、コンジュゲート部分は、スペーサーに連結された2〜4の末端GalNAc部分からなり、スペーサーは、各GalNAc部分を分岐分子に連結し、該分岐分子はアンチセンスオリゴヌクレオチドにコンジュゲート化されていてもよい。
【0188】
さらなる態様において、コンジュゲート部分は、アシアロ糖タンパク質受容体ターゲティング部分に関して、一価、二価、三価または四価である。好適には、アシアロ糖タンパク質受容体ターゲティング部分は、N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分を含む。
【0189】
GalNAcコンジュゲート部分には、例えばWO 2014/179620およびWO 2016/055601ならびにPCT/EP2017/059080(本明細書に援用される)に記載されるもの、ならびに付着したGalNAc部分を含む小分子ペプチド、例えばTyr−Glu−Glu−(アミノヘキシルGalNAc)3(YEE(ahGalNAc)3;肝細胞上のアシアロ糖タンパク質受容体に結合する糖トリペプチド、例えばDuffら, Methods Enzymol, 2000, 313, 297を参照されたい);リジンに基づくガラクトースクラスター(例えばL3G4; Biessenら, Cardovasc. Med., 1999, 214);およびコランに基づくガラクトースクラスター(例えば、アシアロ糖タンパク質受容体に対する炭水化物認識モチーフ)が含まれてもよい。
【0190】
当該技術分野に知られる方法を用いて、ASGPRコンジュゲート部分、特に三価GalNAcコンジュゲート部分を、オリゴヌクレオチドの3’または5’端に付着させてもよい。1つの態様において、ASGPRコンジュゲート部分は、オリゴヌクレオチドの5’端に連結される。
【0191】
1つの態様において、コンジュゲート部分は、三価N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)、例えば図1に示すもの、特に図1Dに示すものである。
製造法
さらなる側面において、本発明は、ヌクレオチド単位を反応させて、そしてそれによって、オリゴヌクレオチド中に含まれる、共有結合された隣接ヌクレオチド単位を形成する工程を含む、本発明の核酸分子を製造するための方法を提供する。好ましくは、方法は、ホスホラミダイト化学反応(例えば、Caruthersら, 1987, Methods in Enzymology vol. 154, 287−313ページを参照されたい)を用いる。さらなる態様において、方法は、コンジュゲート化部分(リガンド)とオリゴヌクレオチドを反応させて、コンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに共有結合させる工程をさらに含む。さらなる側面において、本発明の組成物を製造するための方法であって、本発明のオリゴヌクレオチドまたはコンジュゲート化オリゴヌクレオチドを、薬学的に許容されうる希釈剤、溶媒、キャリアー、塩および/またはアジュバントと混合する工程を含む、前記方法を提供する。核酸分子がsiRNAである場合、オリゴヌクレオチドは対形成されて、そして二本鎖構造を形成することが可能になる。
【0192】
薬学的塩
本発明記載の化合物は、薬学的に許容されうる塩の形で存在してもよい。用語「薬学的に許容されうる塩」は、生物学的有効性および本発明の化合物の特性を保持し、そして適切な非毒性有機または無機酸あるいは有機または無機塩基より形成される、慣用的な酸付加塩または塩基付加塩を指す。酸付加塩には、例えば、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸および硝酸に由来するもの、ならびに有機酸、例えばp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸等に由来するものが含まれる。塩基付加塩には、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、および水酸化第四アンモニウム、例えば水酸化テトラメチルアンモニウムに由来するものが含まれる。薬学的化合物の塩への化学修飾は、化合物の物理的および化学的安定性、吸湿性、流動性および可溶性の改善を得るため、薬学的化学者に周知の技術である。これは、例えば、Bastin, Organic Process Research & Development 2000, 4, 427−435、またはAnsel, : Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 第6版(1995)中, pp. 196および1456−1457に記載される。例えば、本明細書に提供する化合物の薬学的に許容されうる塩は、ナトリウム塩であってもよい。
【0193】
さらなる側面において、本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはそのコンジュゲートの薬学的に許容されうる塩を提供する。好ましい態様において、薬学的に許容されうる塩は、ナトリウムまたはカリウム塩である。
【0194】
薬学的組成物
さらなる側面において、本発明は、本発明の核酸分子および/またはコンジュゲートあるいはその塩、および薬学的に許容されうる希釈剤、キャリアー、塩および/またはアジュバントを含む、薬学的組成物を提供する。薬学的に許容されうる希釈剤には、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。いくつかの態様において、薬学的に許容されうる希釈剤は、無菌リン酸緩衝生理食塩水である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドを、50〜300μM溶液の濃度で、薬学的に許容されうる希釈剤において用いる。
【0195】
本発明において使用するための適切な配合物は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Philadelphia, Pa., 第17版, 1985に見られる。薬剤送達のための方法の簡単な概説に関しては、例えば、Langer(Science 249:1527−1533, 1990)を参照されたい。WO 2007/031091は、薬学的に許容されうる希釈剤、キャリアーおよびアジュバントのさらに適切でそして好ましい例を提供する(本明細書に援用される)。適切な投薬、配合、投与経路、組成物、投薬型、他の療法剤との組み合わせ、プロドラッグ配合物もまた、WO2007/031091に提供される。
【0196】
本発明の核酸分子またはコンジュゲートは、薬学的組成物または配合物の調製のため、薬学的に許容されうる活性または不活性物質と混合されてもよい。薬学的組成物の配合のための組成物および方法は、限定されるわけではないが、投与経路、疾患の度合い、または投与しようとする用量を含む、いくつかの基準に依存する。
【0197】
これらの組成物を、慣用的な滅菌技術によって滅菌してもよいし、または滅菌濾過してもよい。生じる水溶液をそのまま使用するためにパッケージングするか、または凍結乾燥してもよく、凍結乾燥調製物は、投与前に無菌水性キャリアーと組み合わされる。調製物のpHは、典型的には、3〜11の間、より好ましくは5〜9の間または6〜8の間、そして最も好ましくは7〜8の間、例えば7〜7.5である。固体型で生じる組成物は、多数の単回用量単位でパッケージングされてもよく、各々は、固定された量の上述の単数または複数の剤を、例えば錠剤またはカプセルの密封パッケージ中に含有する。固体型の組成物はまた、柔軟な量の容器、例えば局所適用可能クリームまたは軟膏用に設計されたスクイーズ可能なチューブ中にパッケージングされてもよい。
【0198】
いくつかの態様において、本発明の核酸分子またはコンジュゲートはプロドラッグである。特に、オリゴヌクレオチドコンジュゲートに関して、コンジュゲート部分は、プロドラッグが作用部位、例えばターゲット細胞に送達されたならば、オリゴヌクレオチドから切り落とされる。
【0199】
適用
本発明の核酸分子は、例えば診断、療法および予防のための、研究試薬として、利用されてもよい。
【0200】
研究において、こうした核酸分子を用いて、細胞(例えばin vitro細胞培養)および実験動物において、FUBP1タンパク質の合成を特異的に調節して、それによってターゲットの機能的分析、または療法介入のためのターゲットとしての有用性の評価を容易にしてもよい。典型的には、ターゲット調節は、タンパク質を産生するmRNAを分解するかまたは阻害し、それによってタンパク質形成を防止するか、あるいはタンパク質を産生する遺伝子またはmRNAの調節因子を分解するかまたは阻害することによって達成される。
【0201】
研究または診断において本発明の核酸分子を使用する場合、ターゲット核酸は、DNAまたはRNA由来のcDNAまたは合成核酸であってもよい。
やはり本発明に含まれるのは、FUBP1を発現しているターゲット細胞において、FUBP1発現を調節するためのin vivoまたはin vitro法であって、本発明の核酸分子、コンジュゲート化合物または薬学的組成物を、有効量で前記細胞に投与する工程を含む、前記方法である。
【0202】
いくつかの態様において、ターゲット細胞は哺乳動物細胞、特にヒト細胞である。ターゲット細胞は、in vitro細胞培養または哺乳動物において組織の一部を形成するin vivo細胞であってもよい。好ましい態様において、ターゲット細胞は肝臓中に存在する。ターゲット細胞は肝細胞であってもよい。
【0203】
本発明の1つの側面は、薬剤として使用するための本発明の核酸分子、コンジュゲート化合物または薬学的組成物に関する。
本発明の1つの側面において、本発明の核酸分子、コンジュゲート化合物または薬学的組成物は、感染細胞におけるcccDNAレベルを減少させ、そしてしたがってHBV感染を阻害することが可能である。特に、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つまたはそれより多い以下のパラメータ、i)感染細胞におけるcccDNAの減少および/またはii)pgRNAの減少および/またはiii)HBV DNAの減少および/またはiv)HBVウイルス抗原の減少に影響を及ぼすことが可能である。
【0204】
例えば、HBV感染を阻害する核酸分子は、i)感染細胞におけるcccDNAレベルを、対照に比較して、少なくとも40%、例えば50%、60%、70%、80%、または90%減少させるか;あるいはii)pgRNAレベルを、対照に比較して、少なくとも40%、例えば50%、60%、70%、80%、または90%減少させることも可能である。対照は、未処置細胞または動物、あるいは適切な対照で処置した細胞または動物であってもよい。
【0205】
HBV感染の阻害を、HBV感染初代ヒト肝細胞を用いてin vitroで、あるいはHBVミニサークルマウス(Covance Shanghaiより入手可能、Guoら 2016 Sci Rep 6: 2552およびYanら 2017 J Hepatology 66(6):1149−1157もまた参照されたい)またはヒト化肝細胞PXBマウスモデル(PhoenixBioより入手可能、Kakuniら 2014 Int. J. Mol. Sci. 15:58−74もまた参照されたい)を用いて、マウスFUBP1に相補的な核酸分子に関してin vivoで、測定してもよい。HBsAgおよび/またはHBeAgの分泌の阻害を、ELISAによって、例えば製造者の指示にしたがってCLIA ELISAキット(Autobio Diagnostic)を用いることによって、測定してもよい。細胞内cccDNAまたはHBV mRNAおよびpgRNAの減少を、例えば材料および方法セクションに記載するように、qPCRによって測定してもよい。試験化合物がHBV感染を阻害するかどうかを評価するためのさらなる方法は、例えばWO 2015/173208に記載されるように、qPCRによって、あるいはノーザンブロット;in situハイブリダイゼーション、または免疫蛍光を用いて、HBV DNAの分泌を測定する。
【0206】
FUBP1レベルの減少により、本発明の核酸分子、コンジュゲート化合物または薬学的組成物をHBV感染の発展を阻害するためにまたは治療において用いてもよい。特に、cccDNAの不安定化および減少により、本発明の核酸分子、コンジュゲート化合物または薬学的組成物は、HBsAgの分泌を減少させるのみの化合物に比較した際、慢性HBV感染の発展をより効率的に阻害するかまたは該感染をより効率的に治療する。
【0207】
したがって、本発明の1つの側面は、HBV感染個体において、cccDNAおよび/またはpgRNAを減少させるための、本発明の核酸分子、コンジュゲート化合物または薬学的組成物の使用に関する。
【0208】
本発明のさらなる側面は、慢性HBV感染の発展を阻害するかまたは該感染を治療するための、本発明の核酸分子、コンジュゲート化合物または薬学的組成物の使用に関する。
本発明のさらなる側面は、HBVに感染したヒトの感染性を減少させるための、本発明の核酸分子、コンジュゲート化合物または薬学的組成物の使用に関する。本発明の特定の側面において、本発明の核酸分子、コンジュゲート化合物または薬学的組成物は、慢性HBV感染の発展を阻害する。
【0209】
本発明の核酸分子、コンジュゲート化合物または薬学的組成物で治療されるべき被験体(あるいは本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、コンジュゲート化合物または薬学的組成物を予防的に投与される被験体)は、好ましくはヒトであり、より好ましくはHBsAg陽性および/またはHBeAg陽性であるヒト患者、さらにより好ましくはHBsAg陽性およびHBeAg陽性であるヒト患者である。
【0210】
したがって、本発明は、HBV感染を治療し、そして/または防止する方法であって、有効量の本発明の核酸分子、コンジュゲート化合物または薬学的組成物を投与する工程を含む、前記方法に関する。
【0211】
本発明はまた、薬剤、特にHBV感染または慢性HBV感染の治療または防止において、あるいはHBVに感染したヒトの感染性の減少において使用するための薬剤の製造のための、本発明の核酸分子、コンジュゲート化合物または薬学的組成物の使用も提供する。好ましい態様において、薬剤は、皮下投与のための投薬型で製造される。
【0212】
本発明はまた、静脈内投与のための投薬型である薬剤の製造のための、本発明の核酸分子、コンジュゲート化合物または薬学的組成物の使用も提供する。
本発明の核酸分子、コンジュゲートまたは薬学的組成物は、併用療法で用いてもよい。例えば、本発明の核酸分子、コンジュゲートまたは薬学的組成物を、HBVの治療および/または予防のための、他の抗HBV剤、例えばインターフェロンアルファ−2b、インターフェロンアルファ−2a、およびインターフェロンアルファコン−1(peg化および非peg化)、リバビリン、ラミブジン(3TC)、エンテカビル、テノホビル、テルビブジン(LdT)、アデホビル、または他の新規抗HBV剤、例えばHBV RNA複製阻害剤、HBsAg分泌阻害剤、HBVキャプシド阻害剤、アンチセンスオリゴマー(例えばWO2012/145697、WO 2014/179629およびWO 2017/216390に記載されるもの)、siRNA(例えばWO 2005/014806、WO 2012/024170、WO 2012/2055362、WO 2013/003520、WO 2013/159109、WO 2017/027350およびWO2017/015175に記載されるもの)、HBV療法ワクチン、HBV予防ワクチン、HBV抗体療法(モノクローナルまたはポリクローナル)、あるいはTLR2、3、7、8または9アゴニストと組み合わされてもよい。
【0213】
投与
本発明の核酸分子、コンジュゲート化合物または薬学的組成物を、適正な医療行為に一致した様式で、配合し、投薬し、そして投与する。この背景において考慮する要因には、治療中の特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、剤の送達部位、投与法、投与のスケジューリング、患者の年齢および性別、ならびに医師に知られる他の要因が含まれる。本明細書において、「有効量」(「(療法的)有効用量」としてもまた知られる)は、医師または他の臨床家によって探求される被験体の生物学的または医学的反応を誘発する化合物の量を意味する。本発明の核酸分子、コンジュゲート化合物または薬学的組成物の「有効量」は、こうした考慮に支配され、そしてHBsAgおよび/またはHBeAgを阻害するために必要な最小量である。例えば、こうした量は、レシピエントの細胞に、または全体としての哺乳動物に毒性である量より低い。
【0214】
いくつかの態様において、本発明の核酸分子、コンジュゲートまたは薬学的組成物は、0.1〜15mg/kg、例えば0.2〜10mg/kg、例えば0.25〜5mg/kgの用量で投与される。投与は、週1回、2週ごと、3週ごとまたはさらに月1回であってもよい。
【0215】
本発明の核酸分子、コンジュゲートまたは薬学的組成物を、局所(例えば皮膚、吸入、眼または耳)または経腸(例えば経口または胃腸管を通じて)または非経口(例えば静脈内、皮下、筋内、脳内、脳室内またはクモ膜下腔内)投与してもよい。
【0216】
好ましい態様において、本発明の核酸分子、コンジュゲート化合物または薬学的組成物を、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内または筋内注射または注入を含む非経口経路によって投与する。1つの態様において、活性オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドコンジュゲートを、静脈内投与する。GalNAcコンジュゲート化化合物を用いる場合、ASGP受容体の飽和を遅延させるため、皮下投与することが好適でありうる。
【0217】
併用療法
いくつかの態様において、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは薬学的組成物は、別の療法剤との併用療法で使用するためのものである。療法剤は、例えば、上述の疾患または障害のための標準治療であってもよい。
【0218】
例えば、本発明のオリゴマーまたはオリゴマーコンジュゲートは、他の活性剤、例えばアンチセンス(WO 2011/047312またはWO2015/173208に記載されるようなLNAアンチセンスオリゴヌクレオチド、あるいはGSK3389404などのMOEアンチセンスオリゴヌクレオチド、あるいはWO 2012/145697またはWO 2014/79629に記載されるものを含む)、siRNA(例えばARC−520、ARC−521、ARB−1467、あるいはWO2013/003520、WO2016/077321、US 2017/0016000またはWO 2017/027350に記載されるもの)、アプタマー、モルホリノまたは任意の他の抗ウイルス性ヌクレオチド配列に依存する作用方式のいずれかを通じて作用する、オリゴヌクレオチドに基づく抗ウイルス剤、例えば配列特異的なオリゴヌクレオチドに基づく抗ウイルス剤と組み合わせて用いられてもよい。
【0219】
さらなる例として、本発明のオリゴマーまたはオリゴマーコンジュゲートを、他の活性剤、例えば免疫刺激性抗ウイルス化合物、例えばインターフェロン(例えばpeg化インターフェロンアルファ)、TLR7アゴニスト(例えばGS−9620)、TLR8アゴニスト(例えばGS−9688)または療法ワクチンと組み合わせても用いてもよい。
【0220】
さらなる例として、本発明のオリゴマーまたはオリゴマーコンジュゲートを、抗ウイルス活性を持つ他の活性剤、例えば小分子と組み合わせて用いてもよい。これらの他の活性剤は、例えばヌクレオシド/ヌクレオチド阻害剤(例えばエンテカビルまたはテノホビルジソプロキシルフマレート)、キャプシド形成阻害剤、進入阻害剤(例えばMyrcludex B)であってもよい。
【0221】
特定の態様において、さらなる療法剤は、HBV剤、C型肝炎ウイルス(HCV)剤、化学療法剤、抗生物質、鎮痛剤、非ステロイド性抗炎症性(NSAID)剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、鎮吐剤、止瀉剤、または免疫抑制剤であってもよい。
【0222】
特に関連する態様において、さらなるHBV剤は、インターフェロンアルファ−2b、インターフェロンアルファ−2a、およびインターフェロンアルファコン−1(peg化および非peg化)、リバビリン;HBV RNA複製阻害剤;第二のアンチセンスオリゴマー;HBV療法ワクチン;HBV予防ワクチン;ラミブジン(3TC);エンテカビル(ETV);テノホビルジソプロキシルフマレート(TDF);テルビブジン(LdT);アデホビル;またはHBV抗体療法(モノクローナルまたはポリクローナル)であってもよい。
【0223】
他の特に関連する態様において、さらなるHCV剤は、インターフェロンアルファ−2b、インターフェロンアルファ−2a、およびインターフェロンアルファコン−1(peg化および非peg化);リバビリン;ペガシス;HCV RNA複製阻害剤(例えばViroPharmaのVP50406シリーズ);HCVアンチセンス剤;HCV療法ワクチン;HCVプロテアーゼ阻害剤;HCVヘリカーゼ阻害剤;あるいはHCVモノクローナルまたはポリクローナル抗体療法であってもよい。
【0224】
発明の態様
本発明の以下の態様を、本明細書に記載する任意の他の態様と組み合わせて用いてもよい。
【0225】
1. B型肝炎ウイルス(HBV)感染の治療および/または防止において使用するためのFUBP1阻害剤。
2. FUBP1阻害剤が有効量で投与される、態様1の使用のためのFUBP1阻害剤。
【0226】
3. HBV感染が慢性感染である、態様1または2の使用のためのFUBP1阻害剤。
4. FUBP1阻害剤は、感染細胞において、cccDNAおよび/またはpgRNAを減少させることが可能である、態様1〜3の使用のためのFUBP1阻害剤。
【0227】
5. FUBP1阻害剤は、FUBP1のDNA、例えばcccDNAへの結合を防止するかまたは減少させる、態様1〜4のいずれか1つの使用のためのFUBP1阻害剤。
6. 阻害剤は、FUBP1/FUSE相互作用を防止するかまたは減少させる、態様1〜5のいずれか1つの使用のためのFUBP1阻害剤。
【0228】
7. 阻害剤は、FUBP1タンパク質のDNA結合ドメインと相互作用する、態様1〜6のいずれか1つの使用のためのFUBP1阻害剤。
8. 阻害剤は、cccDNA上のFUSE要素と相互作用する、態様1〜6のいずれか1つの使用のためのFUBP1阻害剤。
【0229】
9. 阻害剤は、cccDNAへのFUBP1タンパク質の結合を特異的に防止するかまたは減少させる小分子である、態様6〜8の使用のためのFUBP1阻害剤。
10. 阻害剤が式VII、IXまたはX
【0230】
【化17】
【0231】
の化合物より選択される、請求項1〜9のいずれか一項の使用のためのFUBP1阻害剤。
11.阻害剤が、
a. 部位特異的DNAヌクレアーゼまたは部位特異的DNAヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド;および
b. ガイドRNAまたはガイドRNAをコードするポリヌクレオチド
を含むゲノム編集機構である、態様1〜5のいずれか1つの使用のためのFUBP1阻害剤。
【0232】
12. 阻害剤は、哺乳動物FUBP1ターゲット核酸に少なくとも90%相補的であり、そしてターゲット核酸のレベルを減少させることが可能である、長さ12〜30ヌクレオチドの隣接ヌクレオチド配列を含むかまたは該配列からなる核酸分子である、態様1〜5のいずれか1つの使用のためのFUBP1阻害剤。
【0233】
13. ターゲット核酸がRNAである、態様12の使用のためのFUBP1阻害剤。
14. RNAがプレmRNAである、態様13の使用のためのFUBP1阻害剤。
15. 核酸分子が、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA分子またはshRNAより選択される、態様11〜14のいずれか1つの使用のためのFUBP1阻害剤。
【0234】
16. 核酸分子が一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは二本鎖siRNAである、態様15の使用のためのFUBP1阻害剤。
17. 哺乳動物FUBP1ターゲット核酸が配列番号1〜20より選択される、態様12〜16のいずれか1つの使用のための核酸分子。
【0235】
18. 哺乳動物FUBP1ターゲット核酸が配列番号1〜8より選択される、態様12〜16の使用のための核酸分子。
19. 哺乳動物FUBP1ターゲット核酸が配列番号1〜4より選択される、態様12〜16の使用のための核酸分子。
【0236】
20. 隣接ヌクレオチド配列が、配列番号1および配列番号5および配列番号9のターゲット核酸に少なくとも98%相補的である、態様12〜16のいずれか1つの使用のための核酸分子。
【0237】
21. 隣接ヌクレオチド配列が、配列番号1および配列番号5のターゲット核酸に少なくとも98%相補的である、態様12〜16のいずれか1つの使用のための核酸分子。
22. 対照に比較した際、HBV感染細胞におけるcccDNAが、少なくとも50%、例えば60%、例えば70%、例えば80%、例えば90%、例えば95%、例えば100%、減少している、態様1〜21のいずれか一項の使用のためのFUBP1阻害剤。
【0238】
23. 対照に比較した際、FUBP1 mRNAが、少なくとも50%、例えば60%、例えば70%、例えば80%、例えば90%、例えば95%、例えば100%、減少している、態様12〜22のいずれか一項の使用のための核酸分子。
【0239】
24. 長さ12〜30ヌクレオチドの隣接ヌクレオチド配列を含むかまたは該配列からなり、隣接ヌクレオチド配列が、哺乳動物FUBP1ターゲット核酸に、少なくとも90%相補的、例えば95%、例えば98%、例えば完全に相補的である、長さ12〜60ヌクレオチドの核酸分子。
【0240】
25. 化学的に産生されている、態様24の核酸分子。
26. 哺乳動物FUBP1ターゲット核酸が、配列番号1〜20より選択される、態様24または25の核酸分子。
【0241】
27. 哺乳動物FUBP1ターゲット核酸が、配列番号1〜8より選択される、態様24または25の核酸分子。
28. 哺乳動物FUBP1ターゲット核酸が、配列番号1〜4より選択される、態様24または25の核酸分子。
【0242】
29. 隣接ヌクレオチド配列が、配列番号1および配列番号5および配列番号9のターゲット核酸に少なくとも98%相補的である、態様24または25の核酸分子。
30. 隣接ヌクレオチド配列が、配列番号1および配列番号5のターゲット核酸に少なくとも98%相補的である、態様24または25の核酸分子。
【0243】
31. 長さ12〜30ヌクレオチドである、態様24〜30のいずれか1つの核酸分子。
32. 二本鎖siRNAまたは一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドである、態様24〜31のいずれか1つの核酸分子。
【0244】
33. 隣接ヌクレオチド配列が、配列番号1上の14200〜14218位、14413〜14431位、14966〜14984位および30344〜30362位からなる群より選択されるターゲット配列に相補的である、態様24〜31のいずれか1つの核酸分子。
【0245】
34. −15kcal未満のΔG°で配列番号1および配列番号5のターゲット核酸にハイブリダイズ可能である、態様24〜33の核酸分子。
35. 隣接ヌクレオチド配列が、少なくとも14の隣接ヌクレオチド、特に15、16、17、18、19、20、21または22の隣接ヌクレオチドを含むかまたは該ヌクレオチドからなる、態様24〜34のいずれか1つの核酸分子。
【0246】
36. 隣接ヌクレオチド配列が14〜22ヌクレオチドを含むかまたは該ヌクレオチドからなる、態様24〜34のいずれか1つの核酸分子。
37. 隣接ヌクレオチド配列が16〜18ヌクレオチドを含むかまたは該ヌクレオチドからなる、態様36の核酸分子。
【0247】
38. 長さ14〜25ヌクレオチドを含むかまたは該ヌクレオチドからなる、態様24〜37の核酸分子。
39. 長さ16〜22ヌクレオチドを含むかまたは該ヌクレオチドからなる、態様38の核酸分子。
【0248】
40. 隣接ヌクレオチド配列が、相補的であるターゲット核酸に比較して、ゼロ〜3のミスマッチを有する、態様24〜39のいずれか1つの核酸分子。
41. 隣接ヌクレオチド配列が、ターゲット核酸に比較して1つのミスマッチを有する、態様40の核酸分子。
【0249】
42. 隣接ヌクレオチド配列が、ターゲット核酸に比較して2つのミスマッチを有する、態様40の核酸分子。
43. 隣接ヌクレオチド配列が、両方のターゲット核酸配列に対して完全に相補的である、態様40の核酸分子。
【0250】
44. 1つまたはそれより多い修飾ヌクレオシドを含む、態様24〜43の核酸分子。
45. 1つまたはそれより多い修飾ヌクレオシドが高アフィニティ修飾ヌクレオシドである、態様44の核酸分子。
【0251】
46. 1つまたはそれより多い修飾ヌクレオシドが2’糖修飾ヌクレオシドである、態様44または45の核酸分子。
47. 1つまたはそれより多い2’糖修飾ヌクレオシドが、2’−O−アルキル−RNA、2’−O−メチル−RNA、2’−アルコキシ−RNA、2’−O−メトキシエチル−RNA、2’−アミノ−DNA、2’−フルオロ−DNA、2’−フルオロ−ANAおよびLNAヌクレオシドからなる群より独立に選択される、態様46の核酸分子。
【0252】
48. 1つまたはそれより多い修飾ヌクレオシドがLNAヌクレオシドである、態様44〜47の核酸分子。
49. 修飾LNAヌクレオシドが、オキシ−LNA、アミノ−LNA、チオ−LNA、cET、およびENAより選択される、態様48の核酸分子。
【0253】
50. 修飾LNAヌクレオシドが、続く2’−4’架橋−O−CH−を伴うオキシLNAである、態様48または49の核酸分子。
51. オキシ−LNAがベータ−D−オキシ−LNAである、態様50の核酸分子。
【0254】
52. 修飾LNAヌクレオシドが、続く2’−4’架橋−O−CH(CH)−を伴うcETである、態様48または49の核酸分子。
53. cETが(S)cET、すなわち6’(S)メチル−ベータ−D−オキシ−LNAである、態様52の核酸分子。
【0255】
54. LNAが、続く2’−4’架橋−O−CH−CH−を伴うENAである、態様48または49の核酸分子。
55. 少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間連結を含む、態様24〜54のいずれか1つの核酸分子。
【0256】
56. 修飾ヌクレオシド間連結がヌクレアーゼ耐性である、態様55の核酸分子。
57. 修飾ヌクレオシド間連結がホスホロチオエートヌクレオシド間連結である、態様55または56の核酸分子。
【0257】
58. RISC複合体と相互作用可能な二本鎖siRNAオリゴヌクレオチドである、態様24〜57のいずれか1つの核酸分子。
59. RNアーゼHをリクルート可能であるアンチセンスオリゴヌクレオチドである、態様24〜57のいずれか1つの核酸分子。
【0258】
60. アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは隣接ヌクレオチド配列がギャップマーである、態様59のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
61. アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその隣接ヌクレオチド配列が、式5’−F−G−F’−3’、式中、領域FおよびF’は、独立に1〜8ヌクレオシドを含むかまたはこれらからなり、このうち1〜4は2’糖修飾されており、そしてFおよびF’領域の5’および3’端を定義し、そしてGはRNアーゼHをリクルート可能な6〜16ヌクレオシドの間の領域である、のギャップマーからなるかまたは該ギャップマーを含む、態様60のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0259】
62. 2’糖修飾ヌクレオシドが、2’−O−アルキル−RNA、2’−O−メチル−RNA、2’−アルコキシ−RNA、2’−O−メトキシエチル−RNA、2’−アミノ−DNA、2’−フルオロ−DNA、アラビノ核酸(ANA)、2’−フルオロ−ANAおよびLNAヌクレオシドからなる群より独立に選択される、態様61のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0260】
63. 領域FおよびF’中の1つまたはそれより多い2’糖修飾ヌクレオシドが、LNAヌクレオシドである、態様61または62のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
64. 領域FおよびF’中のすべての2’糖修飾ヌクレオシドがLNAヌクレオシドである、態様63のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0261】
65. LNAヌクレオシドが、ベータ−D−オキシ−LNA、アルファ−L−オキシ−LNA、ベータ−D−アミノ−LNA、アルファ−L−アミノ−LNA、ベータ−D−チオ−LNA、アルファ−L−チオ−LNA、(S)cET、(R)cETベータ−D−ENAおよびアルファ−L−ENAより選択される、態様62〜64のオリゴヌクレオチド。
【0262】
66. 領域FおよびF’が同一のLNAヌクレオシドからなる、態様62〜65のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
67. 領域FおよびF’中のすべての2’糖修飾ヌクレオシドがオキシ−LNAヌクレオシドである、態様62〜66のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0263】
68. 領域G中のヌクレオシドがDNAおよび/またはアルファ−L−LNAヌクレオシドである、態様61〜67のいずれか1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド。
69. 領域Gが少なくとも75%、DNAヌクレオシドからなる、態様68のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0264】
70. 領域G中のすべてのヌクレオシドがDNAヌクレオシドである、態様69のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
71. 態様24〜59のいずれか1つに記載の核酸分子、または態様60〜70のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、および前記アンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合している少なくとも1つのコンジュゲート部分を含む、コンジュゲート化合物。
【0265】
72. 核酸分子が二本鎖siRNAであり、そしてコンジュゲート部分がsiRNAのセンス鎖に共有結合している、態様71のコンジュゲート化合物。
73. コンジュゲート部分が、炭水化物、細胞表面受容体リガンド、薬剤物質、ホルモン、親油性物質、ポリマー、タンパク質、ペプチド、毒素、ビタミン、ウイルスタンパク質またはその組み合わせより選択される、態様71または72のコンジュゲート化合物。
【0266】
74. コンジュゲート部分が、アシアロ糖タンパク質受容体に結合可能である、態様71〜73のいずれか1つのコンジュゲート化合物。
75. コンジュゲート部分が、ガラクトース、ガラクトサミン、N−ホルミル−ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−プロピオニル−ガラクトサミン、N−n−ブタノイル−ガラクトサミンおよびN−イソブタノイルガラクトサミンからなる群より選択される少なくとも1つのアシアロ糖タンパク質受容体ターゲティング部分を含む、態様74のコンジュゲート化合物。
【0267】
76. アシアロ糖タンパク質受容体ターゲティング部分が、N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)である、態様75のコンジュゲート化合物。
77. コンジュゲート部分が、アシアロ糖タンパク質受容体ターゲティング部分に関して、一価、二価、三価または四価である、態様75または76のコンジュゲート化合物。
【0268】
78. コンジュゲート部分が、2〜4の末端GalNAc部分、および各GalNAc部分を、アンチセンス化合物にコンジュゲート化可能な分岐分子に連結させるスペーサーからなる、態様77のコンジュゲート化合物。
【0269】
79. スペーサーがPEGスペーサーである、態様78のコンジュゲート化合物。
80. コンジュゲート部分が、三価N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分である、態様74〜79のコンジュゲート化合物。
【0270】
81. コンジュゲート部分が、図1の三価GalNAc部分の1つより選択される、態様74〜80のコンジュゲート化合物。
82. コンジュゲート部分が図1Dの三価GalNAc部分である、態様81のコンジュゲート化合物。
【0271】
83. 核酸分子またはアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびコンジュゲート部分の間に配置されるリンカーを含む、態様71〜82のコンジュゲート化合物。
84. リンカーが生理学的に不安定なリンカーである、態様83のコンジュゲート化合物。
【0272】
85. 生理学的に不安定なリンカーが、ヌクレアーゼ感受性リンカーである、態様84のコンジュゲート化合物。
86. 生理学的に不安定なリンカーが、2〜5の連続ホスホジエステル連結で構成される、態様84または85のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0273】
87. 非コンジュゲート化核酸分子またはアンチセンスオリゴヌクレオチドに比較した際の、コンジュゲート化合物の、肝臓対腎臓の間の改善された細胞分布、あるいは肝臓内への改善された細胞取り込みを示す、態様74〜86のコンジュゲート化合物。
【0274】
88. 態様24〜59のいずれか1つに記載の核酸分子、または態様60〜70のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、態様71〜87のコンジュゲート化合物、あるいはその許容されうる塩、ならびに薬学的に許容されうる希釈剤、キャリアー、塩および/またはアジュバントを含む、薬学的組成物。
【0275】
89. B型肝炎ウイルス(HBV)感染を防止し、軽減し、そして/または阻害する化合物を同定するための方法であって:
a. 試験化合物を
b. FUBP1ポリペプチド;または
c. FUBP1を発現している細胞と接触させ;
d. 前記試験化合物の存在下および非存在下での、FUBP1の発現および/または活性を測定し;そして
e. FUBP1の発現および/または活性を減少させ、そしてcccDNAを減少させる化合物を同定する
工程を含む、前記方法。
【0276】
90. FUBP1を発現しているターゲット細胞において、FUBP1発現を調節するためのin vivoまたはin vitro法であって、態様24〜59のいずれか1つの核酸分子、または態様60〜70のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、態様71〜87のコンジュゲート化合物、または態様88の薬学的組成物を有効量で前記細胞に投与する工程を含む、前記方法。
【0277】
91. FUBP1発現を、いかなる処置も伴わないかまたは対照で処置したレベルに比較して、ターゲット細胞において、少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、減少させる、態様90の方法。
【0278】
92. ターゲット細胞がHBVに感染し、そしてHBV感染細胞中のcccDNAが、いかなる処置も伴わないかまたは対照で処置したレベルに比較して、HBV感染細胞において、少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、減少する、態様90の方法。
【0279】
93. 態様24〜59のいずれか1つの核酸分子、または態様60〜70のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、態様71〜87のコンジュゲート化合物、または態様88の薬学的組成物の療法的または予防的有効量を、疾患に罹患しているかまたは疾患に感受性である被験体に投与する工程を含む、疾患を治療するかまたは防止するための方法。
【0280】
94. 被験体における疾患の治療または防止のための薬剤として使用するための、態様24〜59のいずれか1つの核酸分子、または態様60〜70のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、または態様71〜87のいずれか1つのコンジュゲート化合物、または態様88の薬学的組成物。
【0281】
95. 被験体における疾患の治療または防止のための薬剤の調製のための、態様24〜59のいずれか1つの核酸分子、または態様60〜70のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、または態様71〜87のいずれか1つのコンジュゲート化合物の使用。
【0282】
96. 被験体が哺乳動物である、態様93〜95の方法、核酸分子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、コンジュゲートまたは使用。
97. 哺乳動物がヒトである、態様96の方法、核酸分子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、コンジュゲート、または使用。
【実施例】
【0283】
実施例は本発明を例示する。
材料および方法
HepG2−NTCP細胞株およびHBV感染
HepG2−NTCP細胞(Urbanら gastroenterology 2014, DOI:10.1053/j.gastro.2013.12.024)を、37℃、5%CO2を含む加湿大気中、DMEM+GlutaMAX−I(Gibco #31966−021)、5% HI FCII(Gibco)、1xPen/Strep(Gibco、#15140)からなる完全増殖培地中で2週間培養した。HBV感染のため、HepG2−NTCP細胞をトリプシン処理し、そして感染培地(2.5%DMSOを補った完全増殖培地)中に再懸濁し、そして400 000細胞/ウェルで12ウェルプレート内に植え付けた。3〜4日後、細胞が80%〜90%周密に到達したら(第0日と称する)、次いで、4%PEG8000およびHBV(MOI100)を加えた感染培地をウェルあたり500μl用いて、細胞にHBVを接種した。16時間後、細胞をリン酸緩衝生理食塩水で3回洗浄し、そして培地を3〜4日ごとにウェルあたり1mlの修飾感染培地(3.5%DMSOを補った完全増殖培地)に置き換えた。HBV遺伝子型DはHepAD38細胞培養上清に由来し、そしてこれをPEG沈殿(Ladnerら 1997 Antimicrobial Agents and Chemotherapy 41(8) 171−1720)を用いて濃縮した。
【0284】
HeLa細胞株
HeLa細胞株をEuropean Collection of Authenticated Cell Cultures(ECACC、#93021013)より購入し、そして供給者に推奨されるように、5%CO2を含む加湿インキュベーター中、37℃で維持した。アッセイのため、2,500細胞/ウェルを、10%ウシ胎児血清(FBS)、2mMグルタミンAQ、1%NEAA、25μg/mlゲンタマイシンを含むイーグルの最小必須培地(Sigma、M2279)中、96マルチウェルプレート中に植え付けた。
【0285】
初代マウス肝細胞(PMH)
文献(BerryおよびFriend, 1969, J. Cell Biol; Paternaら, 1998, Toxicol.Appl. Pharmacol.)にしたがった2工程灌流プロトコル後、ペントバルビタールで麻酔したC57BL/6Jマウスの肝臓から、初代マウス肝細胞を単離した。第一の工程は、HBSS+15mM HEPES+0.4mM EGTAで5分間であり、その後、HBSS+20mM NaHCO3+0.04%BSA(Sigma #A7979)+4mM CaCL2(Sigma #21115)+0.2mg/ml 2型コラゲナーゼ(Worthington #4176)で12分であった。肝細胞を、氷上で、5ml氷冷ウィリアムズ培地E(WME)(Sigma #W1878、1xPen/Strep/グルタミン、10%(v/v)FBS(ATCC#30−2030)を補充)中に捕捉した。
【0286】
未精製細胞懸濁物を、70μm、その後、40μmの細胞ストレーナー(Falcon #352350および#352340)を通じて濾過し、25mlまでWMEで満たし、そして室温で5分間、50xgで遠心分離して、肝細胞をペレットにした。上清を除去し、そして肝細胞を、25ml WMEに再懸濁した。25ml 90%Percoll溶液(Sigma #P4937;pH=8.5〜9.5)を添加し、そして50xg、25℃で10分間遠心分離した後、上清および浮遊細胞を除去した。残ったPercollを除去するため、ペレットを再び50mL WME培地中に再懸濁し、25℃、50xgで3分間遠心分離し、そして上清を廃棄した。細胞ペレットを20mL WMEに再懸濁し、そして細胞数および生存度を決定し(Invitrogen、Cellcount)、そして250,000細胞/mlに希釈した。25,000細胞/ウェルを、コラーゲンをコーティングした96ウェルプレート(PD BiocoatコラーゲンI #356407)上に植え付け、そして37℃、5%CO2でインキュベーションした。植え付け24時間後、オリゴヌクレオチドを所望の濃度で添加し、そして細胞を37℃、5%CO2で72時間インキュベーションした。
【0287】
HBV感染PHH細胞
新鮮な初代ヒト肝細胞(PHH)は、24ウェルプレート形式で、PhoenixBio、日本・東広島市(カタログ番号PXB−細胞)によって提供された。到着したら、PHH細胞を、PHH培地中、4%(v/v)PEG中で、HBVと16時間インキュベーションすることによって、HepG2 2.2.15由来HBVを用いて、25GEのMOIにPHHを感染させた。次いで、細胞をPBSで3回洗浄し、そして10%(v/v)熱不活性化ウシ胎児血清(GIBCO、カタログ番号10082)、2%(v/v)DMSO、1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシン(GIBCO、カタログ番号15140−148)、20mM HEPES(GIBCO、カタログ番号15630−080)、44mM NaHCO3(和光、カタログ番号195−14515)、15μg/ml L−プロリン(MP−Biomedicals、カタログ番号0219472825)、0.25μg/mlインスリン(Sigma、カタログ番号I1882)、50nMデキサメタゾン(Sigma、カタログ番号D8893)、5ng/ml EGF(Sigma、カタログ番号E9644)、および0.1mM L−アスコルビン酸2−リン酸(和光、カタログ番号013−12061)を補ったDMEM(GIBCO、カタログ番号21885)からなる新鮮なPHH培地中、5%COを含む加湿大気中で培養した。
【0288】
siRNA配列および化合物
表4. 個々のFUBP1 siRNA分子によってターゲティングされるヒトFUBP1配列
【0289】
【表4】
【0290】
siRNAのプール(ON−TARGETplus SMARTプールsiRNA カタログ番号L−011548−00−0005、Dharmacon)は、表4に列挙する4つの個々のsiRNA分子を含有し、そして入手可能である。
【0291】
一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド
表4A:オリゴヌクレオチドモチーフ配列(配列番号によって示される)リスト、これらの設計、ならびにモチーフ配列に基づいて設計される特異的オリゴヌクレオチド化合物(化合物番号によって示される)。
【0292】
【表5-1】
【0293】
【表5-2】
【0294】
モチーフ配列は、オリゴヌクレオチド中に存在する核酸塩基の隣接配列を示す。
設計は、ギャップマー設計、F−G−F’を指し、式中、各数字は隣接修飾ヌクレオシドの数を示し、例えば2’修飾ヌクレオシド(最初の数字=5’フランク)、その後、DNAヌクレオシドの数(第二の数字=ギャップ領域)、その後、修飾ヌクレオシド、例えば2’修飾ヌクレオシドの数(第三の数字=3’フランク)であり、随意に、ターゲット核酸に相補的な隣接配列の必ずしも一部ではない、DNAおよびLNAのさらなる反復領域が先行するかまたは続く。
【0295】
オリゴヌクレオチド化合物は、モチーフ配列の特異的設計に相当する。大文字はベータ−D−オキシLNAヌクレオシドに相当し、小文字はDNAヌクレオシドに相当し、すべてのLNA Cは5−メチルシトシンであり、そして5−メチルDNAシトシンは、「e」によって示され、すべてのヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結である。
【0296】
HBV感染細胞に関するsiRNAトランスフェクションおよび処置プロトコル
siRNA処置をHepG2−NTCPまたはPHHにおいて行った。細胞を、感染後第4日および第6日に、OptimMEM(50μl/ウェル、Thermo Fisher Scientific血清減少培地)中で希釈した、25nMのスクランブルsiRNA(ON−TARGETプラス非ターゲティングsiRNA、D−001810−01、Dharmacon、米国コロラド州)、FUBP1プールまたは単一siRNA(SMARTプール: ON−TARGETプラス・ヒトFUBP1 siRNA、L−011548−00、Dharmacon、米国コロラド州)またはsiRNA不含(OptimMEM)(0.5μl/ウェル)のいずれかを含有する100μl/ウェルのトランスフェクション混合物で、細胞をトランスフェクションし、そしてトランスフェクション前に、OptimMEM(50μl/ウェル)で希釈した、Lipofectamin(登録商標)RNAiMAXトランスフェクション試薬(3μl/ウェル)(Thermofisher Scientific、カタログ番号13778)と5分間混合した。
【0297】
PHHサザンブロットのため、細胞をまた、陰性対照(2pmоl)として用いたHBV特異的siRNA(HBx siRNA)でも処置した。第二の陰性対照(si対照)、Silencer(登録商標)陰性対照#1 siRNA(Thermo Fisher Scientific)に加えて、HBV特異的siRNAを特注した(GE Life science)(センス:5’−GCACUUCGCUUCACCUCUG−3’ 配列番号84)。トランスフェクション混合物を、DMSOおよびPen/Strepを含まない1mlのDMEMとともに細胞に24時間添加し、次いで、培地を、それぞれ、HepG2 NTCPおよびPHH細胞培地に置き換えた。感染8日後(siRNA処置の4日後)に細胞を採取し、そしてFUBP1 mRNAノックダウンの分析およびウイルスパラメータの定量化のため、−80℃で保存した。
【0298】
サザンブロットプロトコル
サザンブロットのため、Hirt B 1967 J Mol Biol 26:365−369;およびCai D 2013 Methods Mol Biol.1030:151−61に以前記載された適応Hirt抽出プロトコルを用いて、HBV感染PHHからのcccDNA精製を行った。簡潔には、すべてのウイルス核酸を放出させるため、細胞をHIRT溶解緩衝液(10mM Tris pH8、10mM EDTA、0.7%SDS、2μl Ambion RNアーゼ混合物/ml緩衝液)に溶解して、脂質膜およびウイルスキャプシドを破壊した。NaCl(5M、4℃一晩)で、ウイルスポリメラーゼが共有結合したHBV DNA複製中間体を含む、高分子量細胞クロマチン、タンパク質およびタンパク質会合DNAを沈殿させる前に、RNアーゼ処理によってRNAを除去した。一晩高塩タンパク質沈殿を行った後、清澄化した溶解物から、直接フェノール抽出によって、ウイルスDNA(濃縮cccDNA)を抽出した。
【0299】
次いで、DNAを定量化し、そして調整して、アガロースゲル(TAE緩衝液中、1.8%)上に、ウェルあたり15μlで15μgの各試料を装填した。DNAラダー(NEB Quick−Load、1kb)、および組換えHBVもまた装填し、そしてゲルを50Vで3時間30分間泳動した。
【0300】
サザンブロットのため、ゲルを変性緩衝液(0.5M NaOH(50ml)、1.5MNaCl(150ml))中に浸し、そして室温で30分間揺動して、後にプローブにハイブリダイズさせるため、二本鎖DNAを一本鎖DNAに分離した。アガロースゲルからHybond−XL膜(カタログ番号:RPN2020S、GE Healthcare)へのDNAのトランスファーを、Whatman Nytran SuPerCharge(SPC)TurboBlotterキット(カタログ番号:WHAT10416328、Sigma)を用いて行った。トランスファー後、UV架橋チャンバー中、1800JのUVエネルギー量で膜を架橋した。DIG RNAラベリングキット((SP6/T7)カタログ番号11175025910、Roche)を用い、HBVプラスミドDNA(pGEM3ZプラスミドにクローニングされたHBV遺伝子型D)および以下のプライマー:
【0301】
【化18】
【0302】
を用いて、DIG標識RNAプローブを生成した。
次いで、膜をDIG Easy Hyb緩衝液(カタログ番号:11603558001、Roche)中のDIG標識プローブと、ハイブリダイゼーションオーブン中で回転させながら、50℃で一晩ハイブリダイズさせた。次いで、膜を洗浄し、そしてNitroBlockを含むCDP−Starとインキュベーションした後、フィルムに曝露した。シグナルの検出をFusion Fx(VILBER)で行った。
【0303】
HBV抗原測定
HBV抗原発現および分泌に対する影響を評価するため、細胞培養から上清を収集してもよい。製造者のプロトコルにしたがって、CLIA ELISAキット(Autobio Diagnostic #CL0310−2、#CL03112−2)を用いて、HBV増殖パラメータ、HBsAgおよびHBeAgレベルを測定する。簡潔には、ウェルあたり25μLの上清を、それぞれの抗体をコーティングしたマイクロタイタープレートに移し、そして25μLの酵素コンジュゲート試薬を添加する。プレートを振盪装置上、室温で60分間インキュベーションした後、自動洗浄装置を用いて、ウェルを洗浄緩衝液で5回洗浄した。25μLの基質AおよびBを各ウェルに添加した。プレートを振盪装置上、室温で10分間インキュベーションした後、Envision発光読み取り装置(Perkin Elmer)を用いて、発光を測定する。
【0304】
細胞内HBV pgRNAおよびFUBP1 RNAに関するリアルタイムPCR
SYBRグリーンを用いたRTqPCRによって、FUBP1 RNAおよびHBV pgRNAを定量化した。ヒトGus B内因性対照に対して結果を標準化した。参照遺伝子Gus Bおよび非処置細胞に対して標準化した比較サイクル閾値2−ΔΔCt法を用いて、mRNA発現を分析した。FUBP1 RNAおよびHBV pgRNA定量化のために用いたプライマーを表5に列挙する。RTqPCR条件は以下の通りであった:48℃、15分間(RT工程);95℃、10分間;40周期の95℃、15秒間および60℃、1分間。
【0305】
表5: FUBP1およびHBV pgRNA qPCRプライマー
【0306】
【表6】
【0307】
HBV DNAおよびcccDNA taqman qPCR
MasterPureTM DNA精製キット(Epicentre、米国ウィスコンシン州マディソン)プロトコルを用いて、HBV感染細胞(HepG2 NTCPまたはPHH)からDNAを抽出した。500ngのDNAに対して10UのT5を用い、20μl総体積中、37℃で1時間、T5エキソヌクレアーゼ(New England Biolabs、米国マサチューセッツ州)で消化した後、cccDNAレベルを決定した。消化後、試料を50μlに希釈し、このうち4μlをqPCR反応に用いた。ViiA7リアルタイムPCR系(Life Technologies)上で、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応測定を行った。Taqman(登録商標)Fast Advanced Master Mix(Life Technologies、カタログ番号4444557)を用いて、qPCRを行った。qPCR条件は以下の通りであった:50℃、2分間;95℃、10分間;40周期の95℃、15秒間および60℃、1分間。cccDNAプライマーおよびプローブを表6に示す。
【0308】
表6: cccDNA qPCRプライマーおよびプローブ
【0309】
【表7】
【0310】
cccDNAプライマーおよびプローブは、Malmstrоemら 2012 PLoS ONE 7(7): e36349に記載される。
HBB TaqMan(登録商標)遺伝子発現アッセイ(ID Hs00758889_s1、Thermofischer scientific)を用いてb−グロビンを、そしてTaqmanプライマー(Pa03453406_s1、Thermofischer)を用いて総HBV DNAを定量化した。
【0311】
オリゴヌクレオチド合成
オリゴヌクレオチド合成は、一般的に当該技術分野に知られる。以下は、適用してもよいプロトコルである。本発明のオリゴヌクレオチドは、用いる装置、支持体および濃度に関して、方法をわずかに変化させることによって産生されていてもよい。
【0312】
Oligomaker 48上、1μmоlスケールで、ホスホラミダイトアプローチを用いて、ウリジン普遍的支持体上、オリゴヌクレオチドを合成する。合成終了時、水性アンモニアを用いて、60℃で5〜16時間、固体支持体からオリゴヌクレオチドを切断する。逆相HPLC(RP−HPLC)によって、または固相抽出によって、オリゴヌクレオチドを精製し、そしてUPLCによって特徴づけし、そしてESI−MSによって分子量をさらに確認する。
【0313】
オリゴヌクレオチドの伸長:
アセトニトリル中の0.1Mの5’−O−DMT保護アミダイトおよび活性化剤としてのアセトニトリル中のDCI(4,5−ジシアノイミダゾール)(0.25M)の溶液を用いることによって、β−シアノエチル−ホスホラミダイトのカップリング(DNA−A(Bz)、DNA−G(ibu)、DNA−C(Bz)、DNA−T、LNA−5−メチル−C(Bz)、LNA−A(Bz)、LNA−G(dmf)、またはLNA−T)を行う。最終サイクルのため、所望の修飾を伴うホスホラミダイト、例えばコンジュゲート基を付着するためのC6リンカーまたはこうしたものとしてのコンジュゲート基を用いてもよい。水素化キサンチン(アセトニトリル/ピリジン9:1中、0.01M)を用いることによって、ホスホロチオエート連結の導入のためのチオール化を行う。THF/ピリジン/水7:2:1中の0.02Mイオジンを用いて、ホスホジエステル連結を導入してもよい。試薬の残りは、オリゴヌクレオチド合成に典型的に用いられるものである。
【0314】
固相合成後のコンジュゲート化のため、商業的に入手可能なC6アミノリンカーホスホラミダイトを固相合成の最終サイクルで用いてもよく、そして脱保護および固体支持体からの切断後、アミノ連結された脱保護オリゴヌクレオチドを単離する。標準合成法を用い、官能基の活性化を通じて、コンジュゲートを導入する。
【0315】
RP−HPLCによる精製:
Phenomenex Jupiter C18 10μ 150x10mmカラム上の調製用RP−HPLCによって、未精製化合物を精製する。0.1M酢酸アンモニウムpH8およびアセトニトリルを、流速5mL/分で緩衝剤として用いる。収集した分画を凍結乾燥して、典型的には白色固体である精製化合物を得た。
【0316】
略語:
DCI:4,5−ジシアノイミダゾール
DCM:ジクロロメタン
DMF:ジメチルホルムアミド
DMT:4,4’−ジメトキシトリチル
THF:テトラヒドロフラン
Bz:ベンゾイル
Ibu:イソブチリル
RP−HPLC:逆相高性能液体クロマトグラフィ
アッセイ:
オリゴヌクレオチドおよびRNAターゲット(リン酸連結、PO)二重鎖を500ml RNアーゼ不含水中で3mMに希釈し、そして500ml 2xT緩衝液(200mM NaCl、0.2mM EDTA、20mMリン酸Na、pH7.0)と混合した。溶液を95℃に3分間加熱し、そして次いで室温で30分間アニーリングさせた。PE Templabソフトウェア(Perkin Elmer)を用い、ペルチェ温度プログラマーPTP6を装備したLambda 40 UV/VIS分光光度計上で、二重鎖融解温度(T)を測定する。温度を20℃から95℃に増加させ、そして次いで25℃に低下させて、260nmでの吸収を記録する。融解およびアニーリング両方の一次導関数および局所最大値を用いて、二重鎖Tを評価する。
【0317】
実施例1:HBV感染HepG2−NTCPにおけるFUBP1のクロマチン免疫沈降(ChiP)。
本実験において、FUBP1がcccDNAに結合するかどうかを調べた。簡潔には、HBV感染細胞由来のクロマチン断片を、FUBP1特異的抗体で免疫沈降させ、そしてcccDNAがFUBP1 Abとともに沈降するかどうかを分析した。
【0318】
HBV感染HepG2−NTCP細胞(材料および方法セクションを参照されたい)を、血清または抗生物質を含まないウィリアムズ培地中の1%ホルムアルデヒドで10分間架橋し、そしてPBS 1X中の0.125Mグリシンを室温で5分間添加することによって、反応を停止した。冷PBS中で細胞を2回洗浄し、そして細胞スクレーパーで採取した。PIC 1XおよびPMSF 1mMを含む1mlのPBS 1Xの存在下で、4500rpm、4℃で10分間遠心分離した後、ペレット化した細胞を収集し、そしてクロマチン免疫沈降に進むまで、−80℃で保存した。核溶解緩衝液(PIPES 5mM、KCl 85mM、NP−40 0.5%、PMSF 1mMおよびPIC 1X)中、氷上で30分間インキュベーションした後、ダンス(dounce)(緊密な乳棒)を用いて、核抽出を行った。
【0319】
単離架橋核を1%SDS超音波処理緩衝液中での超音波処理によって剪断し、200〜500bpの細胞クロマチン断片を生成した。2x10細胞由来のクロマチン量を分離し、このうち1/10を参照インプット試料として使用するために取り置き、そして残りを4℃で14〜16時間、抗体との免疫沈降に供した(ChIPは、Pollicinoら 2006 Gastroenterology 130:823−837にさらに記載される)。免疫沈降に用いる抗体は、5μg FUBP1特異的Ab(C15410233 Diagenode)であった。逆架橋(reverse cross−linking)工程において、沈殿クロマチン試料およびインプット試料をフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)DNA抽出に供し、そして次いで、cccDNAをqPCRによって定量化した(HBV cccDNA定量化に関する材料および方法セクションを参照されたい。T5エキソヌクレアーゼ処理で開始し、そしてcccDNAをb−グロブリン(抗体によって沈殿しない)に対して標準化せず、インプット試料中のcccDNAのパーセントとして表す変更を伴った)。
【0320】
FUBP抗体を伴い、およびFUBP抗体を伴わずに沈殿させた試料中のcccDNA量を、インプット試料(非ChIP処理試料)中のcccDNAの%として表す。結果を表7に示す。値は、3回の独立の実験の平均に相当する。
【0321】
表7:FUBP1特異的抗体または対照で免疫沈降させたcccDNA。
【0322】
【表8】
【0323】
ChIP実験は、陰性対照(抗体なし)に比較して、cccDNAに結合したFUBP1タンパク質の有意な濃縮を示した。
実施例2:HBV感染HepG2−NTCP細胞におけるHBVパラメータに対する、FUBP1をターゲティングするsiRNAの影響
以下の実験において、HBVパラメータ、HBV pgRNAおよびcccDNAに対するFUBP1ノックダウンの影響を試験した。
【0324】
HBV感染HepG2−NTCP細胞を、材料および方法セクション「HBV感染細胞に関するsiRNAトランスフェクションおよび処置プロトコル」に記載するように、DharmaconのsiRNAのプール(L−011548−00)で処置した。
【0325】
4日間処置した後、FUBP1 mRNA、cccDNAおよびpgRNAをqPCRによって測定した。FUBP1 mRNAおよびpgRNA RT−qPCRを、材料および方法セクション「細胞内HBV pgRNAおよびFUBP1 RNAに関するリアルタイムPCR」に記載した。HepG2 NTCP細胞におけるcccDNA絶対定量化のため、総体積50μl中、500ngの非消化DNAを用いてb−グロビンを測定し、このうち4μlをqPCRに用いて、そして標準化に用いた。b−グロビンに関する標準曲線のため、商業的ゲノムDNAを用い、そしてcccDNA標準曲線のため、HBVプラスミドDNA(pGEM3Zプラスミド内にクローニングされたHBV遺伝子型D)を用いた。用いたcccDNAプライマーは、材料および方法セクション「HBV DNAおよびcccDNA taqman qPCR」に記載するものであった。結果を表8に示す。
【0326】
表8:siRNAのプールでのFUBP1のノックダウン後のHBVパラメータに対する影響
【0327】
【表9】
【0328】
FUBP1およびHBV pgRNAをハウスキーピング遺伝子Gus Bに対して標準化した。
^siRNA対照はn=3であった。
【0329】
ここから、FUBP1 siRNAプールがFUBP1 mRNAならびにHBV pgRNAをかなり効率的に減少させることが可能であることがわかる。cccDNAの減少を示す傾向もまた、短い処置時間にもかかわらず観察された。
【0330】
実施例3:HBV感染PHH細胞におけるHBVパラメータに対する、FUBP1をターゲティングするsiRNAの影響
以下の実験において、HBV感染初代ヒト肝細胞(PHH)における、HBVパラメータ、HBV pgRNA、cccDNAおよびHBV DNAに対するFUBP1ノックダウンの影響を試験した。
【0331】
HBV感染PHH細胞を、実施例2で用いたsiRNAのプール(Dharmacon L−011548−00)ならびに材料および方法のsiRNA配列および化合物セクションに列挙する4つの個々のsiRNA化合物FU1、FU2、FU3およびFU4で処置した。材料および方法セクション「HBV感染細胞に関するsiRNAトランスフェクションおよび処置プロトコル」に記載するように処置を行った。
【0332】
4日処置した後、FUBP1 mRNA、cccDNAおよびpgRNAを技術的2つ組でqPCRによって測定した。FUBP1 mRNAおよびpgRNA RT−qPCRを、材料および方法セクション「細胞内HBV pgRNAおよびFUBP1 RNAに関するリアルタイムPCR」に記載した。材料および方法セクション「HBV DNAおよびcccDNA taqman qPCR」に記載するようにHBV DNAを測定した。示すTaqmanプライマーを用いて、ハウスキーピング遺伝子b−グロビンに対してHBV DNAを標準化した。cccDNA定量化のため、cccDNAに関するSYBRグリーンプライマーおよびミトコンドリアDNA(ミトDNA、ハウスキーピング対照)を、Fast SYBRTMグリーンマスターミックス(Thermo Fisher)および以下のプライマーを用いて行った:
【0333】
【化19】
【0334】
qPCR条件:95℃5分間、次いで95℃1秒間、60℃35秒間の45サイクル。
結果を、比較サイクル閾値2−ΔΔCt法を用いて、非処置細胞に対する相対発現として(すなわち数字が小さいほどターゲット減少が大きい)、表9に示す。
【0335】
表9:FUBP1をターゲティングするsiRNAでのFUBP1のノックダウン後のHBVパラメータに対する影響
【0336】
【表10】
【0337】
cccDNAをミトコンドリアDNA参照遺伝子に対して標準化した。
**HBV DNAをb−グロビン・ハウスキーピング遺伝子に対して標準化した。
FUBP1 mRNAおよびHBV pgRNAをGus Bハウスキーピング遺伝子に対して標準化した。
【0338】
ここから、FUBP1 siRNAプールならびに個々のsiRNA化合物が、30〜40%、FUBP1 mRNAおよびcccDNAを減少させることが可能であることがわかる。HBV pgRNAはさらに減少する。HBV DNA減少は、siRNAプールならびに個々のsiRNAのFU1およびFU4に関して観察される。個々のsiRNAのFU2およびFU3で減少が観察されないのは、処置時間が短かったためである可能性があり、これは、HBV DNA減少が、一般的により長い処置時間を必要とするためである。
【0339】
FUBP1 siRNAプールがcccDNAを減少させる能力をサザンブロットによって確認し、そしてcccDNAを減少させないことが知られるHBVターゲティングsiRNA(HBx)と比較した。
【0340】
HBV感染PHH細胞を、材料および方法セクション「HBV感染細胞に関するsiRNAトランスフェクションおよび処置プロトコル」に記載するように処置し、そしてサザンブロットを、材料および方法セクション「サザンブロットプロトコル」に記載するように行った。
【0341】
サザンブロットを図3に示し、そしてサザンブロットはこの実施例におけるqPCR結果を確認し、これはFUBP1ターゲティングsiRNAのプールが、cccDNAバンドを減少させることが可能である一方、HBVターゲティングsiRNAが(予期されるように)、対照に比較した際、cccDNAのいかなる減少も生じないことが明らかにわかるためである。
【0342】
実施例4:HBV感染PHH細胞におけるHBVパラメータに対する、FUBP1小分子阻害剤の影響
いくつかの小分子が、DNA上のFUSE要素へのFUBP1結合に影響を及ぼすことが示唆されてきている。以下において、本発明者らは、HBVパラメータ、HBV pgRNA、cccDNAおよびHBV DNAならびにFUBP1 mRNAレベルに影響を及ぼす能力に関して、SN−38(本明細書の式X)およびGSK343(本明細書の式VIII)の影響を試験した。
【0343】
HBV感染PHH細胞(材料および方法を参照されたい)において、1μMで用いる小分子SN−38(Toronto research chemical、TRC−S589960)およびGSK343(MedChemExpress、MCE−HY−13500)で、処置を行った。第7日に始まって、そして感染後25日まで、処置を週2回行った(すなわち、処置を感染後第7、11、14、18、21および25日に行った)。感染後第12日および第25日(処置の第5日および第18日)に細胞を採取した。処置の5日後または18日後、FUBP1 mRNA、cccDNA、pgRNAおよびHBV DNAを、qPCRによって、技術的2つ組で測定した。FUBP1 mRNAおよびpgRNA RT−qPCRを、材料および方法セクション「細胞内HBV pgRNAおよびFUBP1 RNAに関するリアルタイムPCR」に記載するように測定した。HBV DNAおよびcccDNAを、材料および方法セクション「HBV DNAおよびcccDNA taqman qPCR」に記載するように、b−グロビン・ハウスキーピング遺伝子に対して標準化した。
【0344】
結果を、非処置細胞に対する相対発現として(すなわち数字が小さいほどターゲット減少が大きい)、表10Aおよび10Bに示す。標準CCK8毒性アッセイを用いて、化合物の毒性もまた試験し、そして2つの化合物に関して、細胞毒性は観察されなかった(データ未提示)。
【0345】
表10A:HBV感染PPHにおける、FUBP1小分子阻害剤での処置5日後のHBVパラメータに対する影響
【0346】
【表11】
【0347】
表10B:HBV感染PPHにおける、FUBP1小分子阻害剤での処置18日後のHBVパラメータに対する影響
【0348】
【表12】
【0349】
cccDNA HBV DNAをb−グロビン・ハウスキーピング遺伝子に対して標準化した。
FUBP1 mRNAおよびHBVpgRNAをGus Bハウスキーピング遺伝子に対して標準化した。
【0350】
これらのデータから、FUBP1小分子阻害剤は、FUBP1 mRNAに影響を及ぼさないことがわかり、これは、これらがFUBP1タンパク質のアンタゴニストとして作用するために予期されていることである。SN−38は、第12日、3つのHBVパラメータすべてに対して有意な影響を有し、第25日、pgRNAおよびcccDNAに対する影響はリバウンドしているようである。GSK343は、pgRNAおよびHBV DNAに対して顕著な影響は持たないが、第25日、cccDNAの減少は65%を超えており、この化合物が、有効であるためにより長い曝露を必要とし、しかしその一方でcccDNAに対して非常に有効であることを示す。さらにより長い曝露がpgRNAおよびHBVDNAに対する影響を導くかどうかはまだ示されないままである。
【0351】
実施例5:一本鎖LNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、HeLa細胞において、in vitroでFUBP1を減少させる能力
表4aに列挙するアンチセンスオリゴヌクレオチドを、HeLa細胞においてFUBP1を減少させる能力に関して試験した。
【0352】
HeLa細胞を材料および方法セクションに記載するように培養した。細胞を24時間インキュベーションした後、PBS中に溶解したオリゴヌクレオチドを添加した。オリゴヌクレオチドの最終濃度は5および25μMであり、最終培養体積は100μl/ウェルであった。オリゴヌクレオチド化合物を添加した3日後に細胞を採取した。RNeasy 96抽出キット(Qiagen)を用いて、RNAを抽出し、そしてその後、製造者のプロトコルにしたがって、ターゲット遺伝子(FUBP1:Hs.PT.58.26883775FAM(IDT))およびハウスキーピング遺伝子(GUSB 4326320E(Thermo Fisher))に関するTaqManアッセイを用いて、一工程RT−QPCR(Quanta Bioscience、qScript XLT 1−Step RT−qPCR ToughMix)を行った。
【0353】
相対FUBP1 mRNA発現レベルを、平均対照試料(PBS処置細胞)の%として、表11に示し、すなわち値が小さいほど阻害が大きい。
表11:抗FUBP1化合物のin vitro有効性(二重鎖QPCRを用いた単回実験)。FUBP1 mRNAレベルを、HeLa細胞におけるGUSBに対して標準化し、そして対照(PBS処置細胞)の%として示す。
【0354】
【表13】
【0355】
これらのデータから、試験した一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの80%が、25μM用量で、少なくとも30%、FUBP1を減少させることが可能であることがわかる。
【0356】
実施例6:PMH細胞において、一本鎖LNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、in vitroでFUBP1を減少させる能力
実施例5でスクリーニングしたオリゴヌクレオチドはまた、マウスFUBP1もターゲティングする。ヒトHeLa細胞で観察されたFUBP1の減少がまた、HBVの処置においてターゲティングされる細胞タイプである肝細胞にも当てはまるかどうかを検証するため、同じライブラリーを初代マウス肝細胞(PMH)でも試験した。
【0357】
PMH細胞におけるスクリーニングを、「初代マウス肝細胞」以下、「材料および方法」セクションに記載されるように、5μMおよび25μMオリゴヌクレオチドを用いて行い、最終培養体積は100μl/ウェルであった。
【0358】
RNA単離、およびFUBP1 mRNA発現レベルを測定するためのqPCRを、Fubp1の代わりに以下のマウス特異的プライマー:Mm.PT.58.7603777 FAM−MGB(IDT)、およびハウスキーピング遺伝子(GusB Mm_01197698_m1 VIC−MGB(IDT)(Thermo Fisher)を用いて、実施例5に記載するように行った。
【0359】
相対FUBP1 mRNA発現レベルを、平均対照試料(PBS処置細胞)の%として、表12に示し、すなわち値が小さいほど阻害が大きい。
表12:抗FUBP1化合物のin vitro有効性(二重鎖QPCRを用いた単回実験)。FUBP1 mRNAレベルを、HeLa細胞におけるGUSBに対して標準化し、そして対照(PBS処置細胞)の%として示す。
【0360】
【表14】
【0361】
これらのデータから、PMHにおいて試験した一本鎖LNAギャップマーオリゴヌクレオチドが、一般的に、肝細胞において、FUBP1 mRNAを、そしてHeLa細胞において観察されたよりもより高い有効性で、減少させることが可能であることがわかる。
【0362】
実施例7:HBV感染PHH細胞におけるHBVパラメータに対する、一本鎖LNAアンチセンスオリゴヌクレオチドの影響
実施例6における肝細胞スクリーニングに基づいて、化合物番号50_1を持つLNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを選択して、FUBP1減少がまた、HBV感染PHH細胞におけるcccDNAに対する影響も生じることを確認した。
【0363】
HBV感染PPH細胞(材料および方法セクション「HBV感染PHH細胞」を参照されたい)を、PHH培地中、10μMのFUBP1 LNAで、週2回、2週間処置し(すなわち処置を感染後第4、8、11、15、18、22日に行った)、そして非処置群に比較した、FUBP1 mRNAノックダウンおよびcccDNA qPCR測定のため、感染18日後および25日後(それぞれ、処置14日および21日)に細胞を採取した。
【0364】
HBV cccDNAおよびFUBP1 mRNA減少を処置後第14日および第21日に測定した。結果を表13に示す。
表13:一本鎖LNAアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置後のFUBP1 mRNAおよびcccDNA減少
【0365】
【表15】
【0366】
ここから、化合物番号50_1のオリゴヌクレオチドが、cccDNAを60%減少させることがわかる。
要約すると、本出願の実施例は、FUBP1をターゲティングする二本鎖siRNA分子、FUBP1小分子阻害剤、および一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、すべて、HBV感染細胞においてcccDNAを減少させることが可能であり、cccDNA安定性を維持する際のFUBP1の適切性が確認されることを示す。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図2
図3
【配列表】
2021520387000001.app
【国際調査報告】