特表2021-520452(P2021-520452A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-520452延性材料から粉末を製造するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-520452(P2021-520452A)
(43)【公表日】2021年8月19日
(54)【発明の名称】延性材料から粉末を製造するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/04 20060101AFI20210726BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20210726BHJP
【FI】
   B22F9/04 B
   B22F1/00 M
   B22F1/00 N
   B22F1/00 R
   B22F1/00 T
   B22F1/00 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2021-503707(P2021-503707)
(86)(22)【出願日】2019年4月4日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月25日
(86)【国際出願番号】US2019025790
(87)【国際公開番号】WO2019195550
(87)【国際公開日】20191010
(31)【優先権主張番号】62/652,473
(32)【優先日】2018年4月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/652,483
(32)【優先日】2018年4月4日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520385010
【氏名又は名称】メタル パウダー ワークス, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】METAL POWDER WORKS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ, ジョン, イー.
(72)【発明者】
【氏名】アルドリッジ, クリストファー, ビー.
【テーマコード(参考)】
4K017
4K018
【Fターム(参考)】
4K017AA03
4K017AA04
4K017BA01
4K017BA03
4K017BA06
4K017BA10
4K017CA03
4K017CA07
4K017EA07
4K018BA03
4K018BA04
4K018BA08
4K018BA15
4K018BA16
4K018BA17
4K018BB01
4K018BB04
4K018CA44
4K018EA51
(57)【要約】
粉末生産方法は、延性材料を含む少なくとも1つの長形部材を用意することと、粒子を生産するように少なくとも1つの長形部材の端部を繰り返し切断するように構成される、回転式カッタまたは振動式カッタを用意することと、少なくとも1つの長形部材から粒子切り出して、複数の粒子を含む粉末を生産するように、少なくとも1つの長形部材またはカッタを、少なくとも1つの長形部材またはカッタのうちの他方に向かって前進させることとを含む。この方法によって生産される粒子は、約10μmから約200μmの範囲にある粒径を有することができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
延性材料を含む少なくとも1つの長形部材を用意することと、
粒子を生産するように前記少なくとも1つの長形部材の端部を繰り返し切断するように構成される、回転式カッタまたは振動式カッタを用意することと、
前記少なくとも1つの長形部材から前記粒子を切り出して、約10μmから約200μmの範囲にある粒径または最大寸法を有する複数の粒子を含む粉末を生産するように、前記少なくとも1つの長形部材または前記カッタのうちの一方を、前記少なくとも1つの長形部材または前記カッタのうちの他方に向かって前進させること
を含む、粉末生産方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの長形部材を切断することは、少なくとも1つの所定の供給速度で前記少なくとも1つの長形部材を前記カッタに向かって前進させることと、少なくとも1つの所定の振動数または回転数で、前記少なくとも1つの長形部材から前記複数の粒子を切り出すように前記カッタを移動させることとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カッタは、前記少なくとも1つの長形部材を受容するようにサイズ設定された少なくとも1つの開口部を備えた回転ディスクを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複数の長形部材を用意することと、前記カッタを用いて前記複数の長形部材のそれぞれから粒子を同時に切り出すこととを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの長形部材は、引抜き成形された、断面が円形の金属ワイヤを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの長形部材は、鋼、ニッケル、アルミニウム、またはチタンのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの長形部材は、10μm以上の粒径または最大寸法を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの長形部材は、10μmから200μmの範囲にある粒径または最大寸法を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の粒子のうちの少なくとも95%の粒子が、目標粒度の10%以内の粒径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記目標粒度は10μmから200μmの粒径を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の粒子のうちの少なくとも95%の粒子が、15μmから100μmの範囲にある粒径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の粒子のうちの少なくとも99%の粒子が、15μmから100μmの範囲にある粒径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの長形部材を前記少なくとも1つのカッタに向かって前進させることは、第1の所定期間に第1の供給速度で前記少なくとも1つの長形部材を前進させることと、その後、第2の所定期間に第2の供給速度で前記少なくとも1つの長形部材を前進させることとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の所定期間の間に前記粒子のうちの第1の複数の粒子が生産され、前記第1の複数の粒子のうちの少なくとも95%の粒子が、第1の目標粒度の10%以内の粒径を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の所定期間の間に前記粒子のうちの第2の複数の粒子が生産され、前記第2の複数の粒子のうちの少なくとも95%の粒子が、前記第1の目標粒度とは異なる第2の目標粒度の10%以内の粒径を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の目標粒度および前記第2の目標粒度に関する目標粒子粒度分布を選択することと、前記少なくとも1つの長形部材を前記カッタに向かって前進させる前に、前記選択された粒子粒度分布に基づいて前記第1の所定期間および前記第2の所定期間を決定することとをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの長形部材から前記粒子を切り出して前記粉末を生産することは、前記粒子に気孔を取り入れず、その結果、前記粒子の気孔率が前記長形部材の気孔率と実質的に同じになる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記粉末が生産される後に、熱、化学物質、および研磨力のうちの少なくとも1つを粒子に加えることによって、前記複数の粒子を球形化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
粒子を生産するように、延性材料を含む少なくとも1つの長形部材の端部を切断するように構成される、少なくとも1つの回転式または振動式のカッタであって、前記カッタは所定の振動数で前記カッタを振動または回転させるためのドライバを備える、カッタと、
前記少なくとも1つの長形部材を前記少なくとも1つのカッタに対して所望の位置に保持するための、少なくとも1つの支持体と、
前記少なくとも1つの長形部材を前記少なくとも1つのカッタに向かって前進させるように構成される、少なくとも1つのリニアアクチュエータと、
少なくとも1つのドライバおよび前記少なくとも1つのリニアアクチュエータに電気接続される、少なくとも1つのコントローラであって、前記コントローラは、インプット要素を備え、前記リニアアクチュエータに前記少なくとも1つの長形部材を前記カッタに向かって所定の供給速度で移動させ、前記カッタに前記所定の振動数で振動または回転させるように構成される、少なくとも1つのコントローラと
を備える、複数の粒子を含む粉末を生産するためのシステム。
【請求項20】
前記所定の供給速度および前記所定の振動数は、前記インプット要素を備える前記コントローラによって受信される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの長形部材を切断することによって形成される複数の粒子を受容するように構成される収集容器をさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記収集容器は、前記粉末を前記収集容器中に吸引するように構成される真空装置を備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記収集容器は、前記少なくとも1つのコントローラに電気接続される1つまたは複数のセンサを備え、前記1つまたは複数のセンサは、生産される粉末の特徴を測定するように構成され、前記少なくとも1つのコントローラは、前記1つまたは複数のセンサによって検出される情報に基づいて、前記少なくとも1つのドライバの1つまたは複数の動作パラメータを修正するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記1つまたは複数のセンサは、平均粒子体積、中央粒子体積、粒子体積分布、粉末総重量、粉末総体積、または平均球形度のうちの少なくとも1つを検出するように構成される、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記インプット要素によって目標粒子粒度を受信するように、また選択される粒度の粒子を生産するように前記供給速度および前記所定の振動数のうちの少なくとも1つを自動的に調節するように構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項26】
選択される前記目標粒子粒度は、前記ドライバが動作している間に、ユーザによって動的に調節できる、請求項25に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年4月4日出願の米国仮特許出願第62/652,473号、および2018年4月4日出願の米国仮特許出願第62/652,483号の優先権を主張するものであり、各文献はここにその全体が援用される。
【0002】
本開示は、粉末製造のためのシステムおよび方法、詳細には、粒子を形成するように押出し成形部材、引抜き成形部材、または延性部材を切断する装置を用いて、粒度分布が狭い粒子を含む粉末を製造するためのシステムおよび方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
設計された部品を迅速に高精度で生産するための好ましい手法として、3Dプリンティングまたはラピッドプロトタイピングなどの付加製造プロセスが幅広い支持を得ている。3Dプリンティング機は、EOS Electro Optical Systems Group、SLM Solutions Group AG、Concept Laser GmbH、Arcam AB、Renishaw Plc、3D Systems, Inc.、ExOne Company LLP、Hewlett−Packard Co.、およびGeneral Electric(GE Additive)を含む、いくつかの製造業者から市販されている。このような付加製造機および3Dプリンティング機は、粉末を、通常は金属粉末を、ツール、ダイ、機械類、自動車部品、装飾品、および同様の物品などの製造部品に変える。金属粉末は、例えば、ステンレス鋼、低合金鋼、ニッケル合金、チタン、および同様の材料を含むことができる。付加製造プロセスの広範な利用の観点から、金属粉末などの原料物質の必要が増大し続けることが予期される。
【0004】
付加製造のための粉末は、従来から、プラズマアトマイズまたはガスアトマイズなどのアトマイズ技術によって作製されている。アトマイズは、概して、広範囲の粒度を有する粒子を含む粉末を生産する。一部の事例では、このようなアトマイズプロセスによって生産される粉末の約20%から40%だけが付加製造にとって利用可能(例えば、適切な粒度および形状)である。粉末の残りの60%から80%は、他の用途に用いられるか、リサイクルされるか、または廃棄される。
【0005】
金属粉末を生産するための例示的なアトマイズ装置が、ここにその全体が援用される特許文献1に開示されている。アトマイズ装置は、ある量の溶融金属を保持するための冶金容器を含む。溶融金属は金属流の形態でアトマイズチャンバ中に導入され、金属流はノズル要素を通してアトマイズチャンバ中に至る。アトマイズチャンバでは、様々な向きのガス噴射が溶融金属流と接触し、接触によって溶融金属流が分割されて液滴を形成し、その液滴が凝固して粒状物になり、そうすることで、金属粒子が生産される。
【0006】
特許文献1は、アトマイズ法によって粒度が0μmから500μmの範囲にある粒子を含む粉末を生産することを開示している。形成された粒子の約75%は粒度が100μm未満であった。生産された粉末の34.9%は粒度が0と45μmとの間であった。同様の歩留まりまたは粒子粒度分布を有する粉末を形成するための他の例示的なアトマイズ法が、特許文献2および特許文献3に開示されている。
【0007】
一部の付加製造機には150μm程度の大きさの粒子を使用できるが、通常、付加製造プロセスは、粒度が約15μmから約100μmの範囲にある粒子を用いて実行される。多くの場合、アトマイズ法によって生産される粉末の大部分が、粒子が大き過ぎるかまたは不均一であり付加製造には適さないので、他の用途に使用しなければならない。さらに、3Dプリンティング機の効率および速度は、機械に入ってそこを通る粉末粒子の流量による影響を受けることがある。実質的に均一の粒度および形状の粒子を含む粉末は、概して、より良好な流動特性を有し、より簡単に機械を通って流れる。したがって、均一の粒度および形状の粉末を効率よく生産するための粉末製造プロセスは、3Dプリンティング機の動作効率を改善する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,632,394号
【特許文献2】米国特許第4,382,903号
【特許文献3】国際公開第89/05197号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現行の粉末生産方法によってもたらされる粒子粒度分布のばらつきおよび粒子均一性の欠如に鑑みて、狭い粉末粒度分布(PSD:powder size distribution)および粒子均一性を有する粉末を生産するための装置および方法の必要がある。望ましくは、生産される粒子の大部分が付加製造プロセスで使用するのに適切であるべきである。3Dプリンティング機の動作効率を改善するために、気孔率が低く形状が均一な稠密粒子を生産するための方法の必要もある。本書で開示する装置および方法は、このような必要に対処するように設計される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様によれば、粉末生産方法は、延性材料を含む少なくとも1つの長形部材を用意することと、粒子を生産するように少なくとも1つの長形部材の端部を繰り返し切断するように構成される、回転式カッタまたは振動式カッタを用意することと、少なくとも1つの長形部材から粒子を切り出して、粉末を生産するように、少なくとも1つの長形部材またはカッタのうちの一方を、少なくとも1つの長形部材またはカッタのうちの他方に向かって前進させることとを含む。粉末は、約10μmから約200μmの範囲にある粒径または最大寸法を有する複数の粒子を含む。
【0011】
別の態様によれば、複数の粒子を含む粉末を生産するためのシステムは、粒子を生産するように、延性材料を含む少なくとも1つの長形部材の端部を切断するように構成される、少なくとも1つの回転式または振動式のカッタを含む。カッタは、所定の振動数でカッタを振動または回転させるためのドライバを含む。このシステムはさらに、少なくとも1つの長形部材を少なくとも1つのカッタに対して所望の位置に保持するための、少なくとも1つの支持体と、少なくとも1つの長形部材を少なくとも1つのカッタに向かって前進させるように構成される、少なくとも1つのリニアアクチュエータとを含む。システムはさらに、少なくとも1つのドライバおよび少なくとも1つのリニアアクチュエータに電気接続される、少なくとも1つのコントローラを含む。コントローラは、インプット要素を含み、リニアアクチュエータに少なくとも1つの長形部材をカッタに向かって所定の供給速度で移動させ、カッタに所定の振動数で振動または回転させるように構成される。
【0012】
ここで、以下の番号を付した項目に、本発明の例を記載する。
【0013】
項目1:延性材料を含む少なくとも1つの長形部材を用意することと、粒子を生産するように少なくとも1つの長形部材の端部を繰り返し切断するように構成される、回転式カッタまたは振動式カッタを用意することと、少なくとも1つの長形部材から粒子を切り出して、約10μmから約200μmの範囲にある粒径または最大寸法を有する複数の粒子を含む粉末を生産するように、少なくとも1つの長形部材またはカッタのうちの一方を、少なくとも1つの長形部材またはカッタのうちの他方に向かって前進させることを含む、粉末生産方法。
【0014】
項目2:少なくとも1つの長形部材を切断することは、少なくとも1つの所定の供給速度で少なくとも1つの長形部材をカッタに向かって前進させることと、少なくとも1つの所定の振動数または回転数で、少なくとも1つの長形部材から複数の粒子を切り出すようにカッタを移動させることとを含む、項目1に記載の方法。
【0015】
項目3:カッタは、少なくとも1つの長形部材を受容するようにサイズ設定された少なくとも1つの開口部を備えた回転ディスクを有する、項目1または項目2に記載の方法。
【0016】
項目4:複数の長形部材を用意することと、カッタを用いて複数の長形部材のそれぞれから粒子を同時に切り出すこととを含む、項目1〜3のいずれかに記載の方法。
【0017】
項目5:少なくとも1つの長形部材は、引抜き成形された、断面が円形の金属ワイヤを含む、項目1〜4のいずれかに記載の方法。
【0018】
項目6:少なくとも1つの長形部材は、鋼、ニッケル、アルミニウム、またはチタンのうちの1つまたは複数を含む、項目1〜5のいずれかに記載の方法。
【0019】
項目7:少なくとも1つの長形部材は、10μm以上の粒径または最大寸法を有する、項目1〜6のいずれかに記載の方法。
【0020】
項目8:少なくとも1つの長形部材は、10μmから200μmの範囲にある粒径または最大寸法を有する、項目1〜7のいずれかに記載の方法。
【0021】
項目9:複数の粒子のうちの少なくとも95%の粒子が、目標粒度の10%以内の粒径を有する、項目1〜8のいずれかに記載の方法。
【0022】
項目10:目標粒度は10μmから200μmの粒径を含む、項目9に記載の方法。
【0023】
項目11:複数の粒子のうちの少なくとも95%の粒子が、15μmから100μmの範囲にある粒径を有する、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
【0024】
項目12:複数の粒子のうちの少なくとも99%の粒子が、15μmから100μmの範囲にある粒径を有する、項目1〜11のいずれかに記載の方法。
【0025】
項目13:少なくとも1つの長形部材を少なくとも1つのカッタに向かって前進させることは、第1の所定期間に第1の供給速度で少なくとも1つの長形部材を前進させることと、その後、第2の所定期間に第2の供給速度で少なくとも1つの長形部材を前進させることとを含む、項目1〜12のいずれかに記載の方法。
【0026】
項目14:第1の所定期間の間に粒子のうちの第1の複数の粒子が生産され、第1の複数の粒子のうちの少なくとも95%の粒子が、第1の目標粒度の10%以内の粒径を有する、項目13に記載の方法。
【0027】
項目15:第2の所定期間の間に粒子のうちの第2の複数の粒子が生産され、第2の複数の粒子のうちの少なくとも95%の粒子が、第1の目標粒度とは異なる第2の目標粒度の10%以内の粒径を有する、項目14に記載の方法。
【0028】
項目16:第1の目標粒度および第2の目標粒度に関する目標粒子粒度分布を選択することと、少なくとも1つの長形部材をカッタに向かって前進させる前に、選択された粒子粒度分布に基づいて第1の所定期間および第2の所定期間を決定することとを含む、項目15に記載の方法。
【0029】
項目17:少なくとも1つの長形部材から粒子を切り出して粉末を生産することは、粒子に気孔を取り入れず、その結果、粒子の気孔率が長形部材の気孔率と実質的に同じになる、項目1〜16のいずれかに記載の方法。
【0030】
項目18:粉末が生産される後に、熱、化学物質、および研磨力のうちの少なくとも1つを粒子に加えることによって、複数の粒子を球形化することをさらに含む、項目1〜17のいずれかに記載の方法。
【0031】
項目19:粒子を生産するように、延性材料を含む少なくとも1つの長形部材の端部を切断するように構成される、少なくとも1つの回転式または振動式のカッタであって、カッタは所定の振動数でカッタを振動または回転させるためのドライバを備える、カッタと、少なくとも1つの長形部材を少なくとも1つのカッタに対して所望の位置に保持するための、少なくとも1つの支持体と、少なくとも1つの長形部材を少なくとも1つのカッタに向かって前進させるように構成される、少なくとも1つのリニアアクチュエータと、少なくとも1つのドライバおよび少なくとも1つのリニアアクチュエータに電気接続される、少なくとも1つのコントローラであって、コントローラは、インプット要素を備え、リニアアクチュエータに少なくとも1つの長形部材をカッタに向かって所定の供給速度で移動させ、カッタに所定の振動数で振動または回転させるように構成される、少なくとも1つのコントローラとを備える、複数の粒子を含む粉末を生産するためのシステム。
【0032】
項目20:所定の供給速度および所定の振動数は、インプット要素を備えるコントローラによって受信される、項目19に記載のシステム。
【0033】
項目21:少なくとも1つの長形部材を切断することによって形成される複数の粒子を受容するように構成される収集容器をさらに備える、項目19または項目20に記載のシステム。
【0034】
項目22:収集容器は、粉末を収集容器中に吸引するように構成される真空装置を備える、項目21に記載のシステム。
【0035】
項目23:収集容器は、少なくとも1つのコントローラに電気接続される1つまたは複数のセンサを備え、1つまたは複数のセンサは、生産される粉末の特徴を測定するように構成され、少なくとも1つのコントローラは、1つまたは複数のセンサによって検出される情報に基づいて、少なくとも1つのドライバの1つまたは複数の動作パラメータを修正するように構成される、項目21または項目22に記載のシステム。
【0036】
項目24:1つまたは複数のセンサは、平均粒子体積、中央粒子体積、粒子体積分布、粉末総重量、粉末総体積、または平均球形度のうちの少なくとも1つを検出するように構成される、項目23に記載のシステム。
【0037】
項目25:少なくとも1つのコントローラは、インプット要素によって目標粒子粒度を受信するように、また選択される粒度の粒子を生産するように供給速度および所定の振動数のうちの少なくとも1つを自動的に調節するように構成される、項目19〜24のいずれかに記載のシステム。
【0038】
項目26:選択される目標粒子粒度は、ドライバが動作している間に、ユーザによって動的に調節できる、項目25に記載のシステム。
【0039】
本発明のこれらのおよび他の特性および特徴、ならびに、構造物の関連要素の動作方法および機能と、部品の組み合わせと、製造の経済性は、添付の図面を参照しながら以下の説明および添付の特許請求の範囲を検討する際により明らかになるであろう。添付の図面はいずれも本明細書の一部を成し、様々な図において同様の参照番号は対応する部分を指す。明細書および請求項では、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上明白に異なる解釈を要する場合を除き、複数の指示対象を含む。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1A】本開示の一態様による粒子カッティング装置の概略側面図である。
図1B図1Aの装置の概略正面図である。
図2A】本開示の一態様による、粒子装置用のカッティングダイの別の例の概略図である。
図2B】本開示の一態様による、粒子装置用のカッティングダイの別の例の概略図である。
図2C】本開示の一態様による、粒子装置用のカッティングダイの別の例の概略図である。
図3】本開示の一態様による、粒子カッティング装置を用いて粒子を生産するための方法のステップを示すフローチャートである。
図4A】本開示の一態様による、粒子カッティング装置の別の例の概略上面図である。
図4B図4Aの装置の概略正面図である。
図5】本開示の一態様による、粉末を生成するためのシステムの概略図である。
図6A】本開示の一態様による、図1Aの旋盤装置を含む粉末製造システムを制御し、そのシステムからフィードバックを受信するためのユーザインターフェースの画面を示す。
図6B】本開示の一態様による、図1Aの旋盤装置を含む粉末製造システムを制御し、そのシステムからフィードバックを受信するためのユーザインターフェースの画面を示す。
図6C】本開示の一態様による、図1Aの旋盤装置を含む粉末製造システムを制御し、そのシステムからフィードバックを受信するためのユーザインターフェースの画面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の詳細な説明のために、本発明は、明白な反対の指定がある場合を除き、様々な代替の変更形態およびステップの順序を想定できることを理解されたい。さらに、別段の指示がある場合以外は、明細書および請求項で用いられる全ての数値表現、例えば、粒子の粒度、粒径、または最大寸法が、全ての例で用語「約(about)」によって修飾されていると理解されたい。したがって、反対の指示がある場合を除き、以下の明細書および添付の図面に記載される数値パラメータは、本発明によって得ることになる所望の特性に応じて変更できる概数である。最低限でも、また特許請求の範囲に対する同等物の原則の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告される有効数字の数に鑑みて、また一般的な丸め方法を行うことによって、解釈されるべきである。
【0042】
本発明の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメータは概数であるが、具体例に記載する数値は可能な限り正確に報告する。ただし、どの数値も本質的に、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を含む。
【0043】
また、本書に記載のどの数値範囲も、そこに包含される部分範囲を全て含むものであることを理解されたい。例えば、「1から10」の範囲は、記載された最小値1と記載された最大値10との間にありそれらの数値を含むあらゆる部分範囲、すなわち、1以上の最小値から始まり10以下の最大値で終わる全ての部分範囲およびそれらの間の全ての部分範囲、例えば、1から6.3、または5.5から10、または2.7から6.1を含むものである。
【0044】
本書では、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上明白に異なる解釈を要する場合を除き、複数の指示対象を含む。
【0045】
本書では、用語「上部(top)」、「底部(bottom)」、およびそれらの派生語は、図面中の発明品の向きを基準として用いるものとする。用語「近位(proximal)」は、物体のうちの、別の構造体によって保持されるかまたはそれに装着される部分を指す。用語「遠位(distal)」は、物体のうちの、その「近位」端の反対の部分を指し、例えば、その物体のうちの、別の構造体によって保持されないかまたはそれに装着されない自由部分または自由端とすることができる。ただし、本発明は様々な代替の向きを想定でき、したがって、このような用語は限定的と解釈すべきでないと理解されたい。また、明白な反対の指定がある場合を除き、本発明は様々な代替の変更形態および段階の順序を想定できることを理解されたい。添付の図面に示され以下の詳細な説明に記載される、特定の装置およびプロセスは例であることも理解されたい。したがって、本書で開示する実施形態に関連する特定の寸法および他の物理的な特徴は限定的と解釈すべきでない。
【0046】
本開示は、シャーリング装置および/またはカッティング装置10、ならびに方法およびこのような装置10のための制御システム100を対象とする。カッティング装置10、方法、および制御システム100は、延性材料から形成された、ワイヤ、ケーブル、フィラメント、またはストランドなどの押出し成形部材または引抜き成形部材から、所望の粒度の粒子を切り出すことによって粉末を生産するように構成される。押出し成形部材または引抜き成形部材は、押出し成形または引抜き成形できる、金属および選択されたポリマーなどの延性材料から形成される粒子を含むことができる。生産される粒子は、3Dプリンティング機およびラピッドプロトタイピング機で使用するような付加製造プロセスに適切なものとすることができる。望ましくは、カッティング装置10は、粒子粒度、形態アスペクト比、密度、気孔率および他の特徴に対して、他の製造プロセスによって提供できる制御よりも優れた制御を提供する。粒子粒度および形状に対する制御を強化することは、3Dプリンティング機およびラピッドプロトタイピング機で実行される製造プロセスなどの付加製造プロセスにとって特に有用であると考えられる。前に論じたように、このような付加製造プロセスは、概して、実質的に均一の形状を有する同様の粒度の粒子を有する相当量の粉末を必要とする。
【0047】
一部の例では、カッティング装置10は、粉末粒度分布(PSD)が狭いかまたは厳しく制御された粉末を生産することができる。例えば、生産される粉末は複数の粒子を含み、粒子の少なくとも約95%は200μm未満の粒径または最大寸法を有し、好ましくは、粒子の少なくとも95%は、粒度が約10μmから約200μmの範囲にある粒径または最大寸法を有する。理論的には、カッティング装置10は、粒子の少なくとも99%が15μmから100μmの範囲にある粒径または最大寸法を有する粉末を生産することもできる。本書では、「最大寸法(maximum dimension)」は、粒子の反対側の各点の間の、粒子の軸に沿った、粒子の中心を通る、最大直線距離を指す。例えば、球形の粒子の場合、最大寸法と粒径とは同一である。円柱形、長円形、または矩形の粒子の場合、最大寸法は粒子の軸方向の長さになる。
【0048】
一部の例では、粉末の少なくとも95%の粒子は、目標粒度の10%以内の粒径または最大寸法を有することができる。理論的には、本書で開示する方法は、粒子の95%が目標粒度の1%以内の粒径または最大寸法を有する粉末を供給することもできる。目標粒度は、例えば、3Dプリンティングに最適な目標粒度とすることができる。理論に縛られるつもりはないが、3Dプリンティングに最適な粒度は、使用される材料およびプリンティング機に応じて、約15μmから100μmでよいと考えられる。例えば、カッティング装置10は、粒子の95%が45μm±10%の粒径または最大寸法を有する粉末を生産するために使用できる。カッティング装置10は、2以上の目標粒子粒度を含む粉末を生産することもできる。例えば、粒子の50%が第1の狭い粒度範囲内に収まり、粒子の50%が、第1の粒度範囲とは異なる別個の第2の狭い粒度範囲内にある粉末を作ることもできる。例えば、粒子の50%が20μm±10%の粒径または最大寸法を有し、粒子の50%が80μm±10%の粒径または最大寸法を有する粉末を生産することもできる。カッティング装置10は、選択された1つまたは複数の粒子粒度を有する粉末を生産できる。ユーザは、新たな粒子粒度をシステムに入力するだけで簡単に所望の粒子粒度または形状を変更することができる。
【0049】
理論に縛られるつもりはないが、粒子の形状または形態は付加製造プロセス中の粒子流量に関係があると考えられる。具体的には、ある一定の均一の形状の粒子は、様々なまたは不均一の形状を有する粒子を含む粉末よりも容易に3Dプリンティング機を通って流れると考えられる。カッティング装置10は、高感度で粒子の形態を制御する機構を提供する。したがって、カッティング装置10は、付加製造プロセスにおける流量を増大させるのに最適な粒子を生産するために使用できる。
【0050】
さらに、カッティング装置10は、気孔を取り入れることなく様々な形態およびアスペクト比を有する粒子を生産することができる。形成される粒子の形態が満足の行くものではない場合、本書で開示する方法によって生産される粒子を、後処理技術によって所望の形状により良好に合うように(例えば、より球形になるように)することができる。さらに、本書で開示する方法によって生産される粒子は、概して、他の方法によって生産される粒子と比べて低い気孔率を有する。本書では、「低気孔率材料(low porosity materials)」は、気孔、空洞、空所、開放部、または裂け目が実質的にない、内部の大部分またはバルク部分を有する材料である。具体的には、カッティング装置10による粒子の形成が気孔を取り入れないので、本書で開示するカッティング装置10および方法によって形成される粒子は、原料物質または長形部材12と実質的に同じ気孔率を有する。カッティング装置10によって形成される粒子はまた、アトマイズ法によって形成される粒子よりも稠密である。一部の事例では、付加製造により稠密の粒子を用いると、気孔を取り除くための成形品または印刷製品の後処理の必要を減らすかまたは無くすことができる。例えば、本書で開示する粉末を用いて作製された成形品は、付加製造中に現在行われるような熱間等方圧加圧法によって加工する必要を無くすことができる。
【0051】
理論に縛られるつもりはないが、本書で開示する装置10および方法は、アトマイズによって形成される粒子と比べて一定の化学的利点を有する粉末粒子を生産するとも考えられる。例えば、本書で開示する装置10および方法は、粉末の形成中に原料物質または供給材料の相組成を変化させない。したがって、本書で開示する装置10および方法を使用して、アトマイズに必要な追加のプロセスステップなしに、溶接不能な材料から粉末を形成できる。溶接不能な材料は、高融点金属の合金(例えば、7000系アルミニウム合金)および高融点のエンジニアードポリマーを含むことができる。高融点材料は、このような材料から形成される析出物が加熱中または溶接中に溶体に再溶解する傾向があるので溶接不能な場合がある。その場合、溶体は、析出物を溶体外に戻すことができるように時効可能であることが必要になる。同様にして、高融点材料のアトマイズでも析出物が溶体に溶解する。析出物を再形成するために、一部のアトマイズプロセスは溶体を再度溶解し、他の手法(例えば、バインダジェッティング法およびコールドスプレ法の場合)は溶体全体の溶解を避ける。一方、特定の一例では、溶接不能な合金(例えば、7000系アルミニウム)から形成される異形粉末は、コールドスプレ法によってプリントすることもできる。有益なことに、粉末粒子の相組成は形成プロセス中に保持される。相組成は、やはりコールドプロセスであるバインダジェッティング中でも維持されることになる。
【0052】
回転式または振動式の粒子カッタ装置
図1Aおよび図1Bにカッティング装置10を示す。カッティング装置10は、カッティング装置10を通って延びる、押出し成形または引抜き成形された長形部材12の端部から、所望の粒度の粒子を切り取るかつ/または切り出すことによって粒子を生産する。長形部材の数に限定の意図はないが、図1Aおよび図1Bに示すカッティング装置10は長形部材を8本含む。他の例では、生産速度および効率を上昇させるために、カッティング装置10は、追加の長形部材を含むように適合することもできる。例えば、カッティング装置10が長形部材12を12本以上含むこともできる。カッティング装置10は、高精度でかつ高度に制御可能な状態で、長形部材12から実質的に均一の所定の粒度またはPSDの粒子を生産するように構成される。長形部材12は、概して、引抜き成形品(例えば、ワイヤ、ケーブル、フィラメント、ロッド、ロッド、またはストランド)であり、その引抜き成形品は、第1の端部または近位端14と、カッタアセンブリ20によって切断されるように構成された第2の端部または遠位端16と、近位端14と遠位端16との間を延びる長形の本体18とを備える。
【0053】
長形部材12は延性材料から形成することができる。本書では、「延性材料(ductile material)」とは、細いワイヤまたはストランドになるように押出し成形または引抜き成形できる材料を指す。例えば、付加製造プロセスに適した粒度の粒子を生産するために、本書で言及する延性材料は、10μm程度の粒径を有する細いワイヤになるように引抜き成形できる必要がある場合がある。一部の例では、長形部材12の粒径は、10μmから200μm、または好ましくは、15μmから100μmの範囲に収まることができる。延性材料は、概して、高品質またはプレミアム品質のものであり、汚染のない、既知の組成の未使用材料とすることができる。一部の例では、材料は再利用材料を含むことができる。材料は、鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、白金、レニウム、ニオブ、およびそれらの合金など、金属材料とすることができる。材料は、7000系アルミニウムなど、高機能または高融点の合金とすることもできる。他の例では、長形部材12は、押出し成形または引抜き成形できるポリマーを含むことができる。一部の例では、アトマイズ化による影響を受けることになる、析出硬化強化剤を有する材料は、難題をもたらすことなく、本明細書で開示する装置10および方法と共に使用することができる。
【0054】
カッティング装置10はさらに、長形部材12をカッタアセンブリ20に向かって前進させるように構成される機械式供給アセンブリ22を備えることができる。一部の例では、供給アセンブリ22は、長形部材12を解放するかまたは繰り出すように構成されたモータ24を備える。例えば、モータ24は、長形部材12を受容する1つまたは複数の回転可能なスピンドル(図示せず)に機械連結することもできる。例えば、長形部材12は、スピンドルに連結されるように構成されたスプールに巻いて供給することができる。モータ24は、一様に切断しかつ粒子粒度を制御可能なように調整して長形部材12を繰り出すように、スピンドルを回転させるように構成することもできる。一部の例では、供給アセンブリ22は、長形部材12を独立に繰り出すかまたは解放するように構成された、複数のかつ/または分散された供給モータ24を備えることができる。例えば、各スピンドルを、異なるモータ24に連結し、モータ24によって駆動することもできる。その場合、スピンドルは、各長形部材12の移動に対する制御を強化するために、独立に回転するように構成することができる。
【0055】
一部の例では、カッティング装置10はさらに、長形部材12をカッタアセンブリ20に対して所望の位置に保持するための支持体26を備える。図1Aに示すように、支持体26は、供給アセンブリ22とカッタアセンブリ20との間に配置することができる。支持体26は、複数の孔、開放部、隙間、空間、または開口部28を含む、円形のダイとすることができ、開口部28はそれぞれ長形部材12の1つを受容するように構成される。開口部28は、望ましくは、長形部材12がカッタアセンブリ20に向かって開口部28を簡単に貫通できるように、長形部材12の断面よりも少なくともわずかに大きい。
【0056】
カッタアセンブリ20は、概して、回転式または振動式のカッタ30と、選択された振動数でカッタ30を回転または振動させるための、関連付けられた機械式または振動式の構成要素とを備える。カッタ30は、長形部材12の遠位端16を切断して粒子を生産するように構成することができる。カッタ30は、平坦な近位の表面または側面32と、対向する平坦な遠位の表面または側面34とを含む、ディスク形の構造とすることができる。カッタ30は、近位の表面または側面32と遠位の表面または側面34との間でカッタ30を貫通する、複数の孔、開放部、隙間、空間、または開口部36を含む。図1Bに示すように、開口部36は、長形部材12の遠位端16を受容するように構成された円形の開放部とすることができる。他の例では、開口部36は、正方形、ダイヤモンド形、三角形、または長円形など、他の形状とすることができる。
【0057】
カッタ30は、開口部36の一部が長形部材12の遠位端16に接触するように、回転または振動するように構成される。接触から生じるせん断力によって、望ましくは、粒子が長形部材12の遠位端16から破断する。粒子を生成するのに十分にカッタ30を回転させるために、カッタ30は、回転型または振動型のドライブまたはドライブアセンブリ38に機械連結することができる。回転式カッタ30の場合、ドライブアセンブリ38は、シャフト42に機械連結されシャフト42を回転させるように構成された、回転式または往復動式のモータまたは駆動装置(本書ではドライブ40と称する)を備えることができる。シャフト42は、例えば、選択された方向にカッタ30を回転させるために、カッタ30の遠位側面34に装着することができる。例えば、ドライブ40は、カッタ30に(図1Bに示す)矢印A1の方向の1周360度の回転など、フル回転させることができる。他の例では、ドライブ40は、カッタ30に、長形部材12から粒子を生産するように往復揺動させることもできる。
【0058】
粒子を形成するために回転力ではなく振動力をカッタ30に加えるカッティング装置10の場合、ドライブアセンブリ38は、選択された振動数で振動するように構成された、共振構造などの振動式装置を備えることができる。振動数は超音波振動数とすることができる。例えば、共振構造は、共振に励起される同調ソノトロードを備えることができる。
【0059】
図1Bに示すように、カッタ30を貫通する開口部36は円形である。さらに、開口部36は、カッタ30の側面32、34の外周に沿ってほぼ均等に配置される。図1Bに示すように、カッタ30は開口部36を8個含むことができ、開口部36はそれぞれ、長形部材12の1つを受容するように構成される。ただし、長形部材12および開口部36の数に限定の意図はない。その代わりに、一部の装置10は、別々の12本の長形部材12を受容するように構成された開口部36を12以上含むことができる。他の例では、カッティング装置10は、長形部材12および開口部36を1つだけ含むこともできる。図2A図2Cに、異なる形状の開口部36を含むカッタ30を示す。例えば、図3Aに示すカッタ30では、開口部36は三角形である。図2Bに示すカッタ30では、開口部36はダイヤモンド形である。図2Cのカッタ30は長形スロットを含み、その長形スロットはそれぞれカッタ30の半径に沿って延びる。開口部36の形状が異なると、生産される粒子の形態が異なるものになると考えられる。形態が異なる粒子は、様々なタイプの付加製造機およびプリンティング機で使用するように適合することができる。例えば、現在では、ほとんどの用途で球形の粒子が望ましい。しかし、一部の用途では、ディスク形であるか、板状であるか、または平坦な面を有する粒子が望ましい場合がある。本書に記載するように、粒子の形態に対するより優れた制御が必要な場合は、例えば、粒子の球形度を上昇させるように粒子に後処理を行うことができる。
【0060】
再び図1Aおよび図1Bを参照すると、カッティング装置10はさらに粉末収集システム44を備えることができる。粉末収集システム44は、長形部材12とカッタ30との接触によって形成される粒子を受容するための収集容器またはホッパ46を備えることができる。一部の例では、収集容器またはホッパ46は重力供給式とすることができ、つまり、長形部材12から形成される粒子は重力によってホッパ46中に落下する。他の例では、粉末収集システム44は、粒子を収集容器またはホッパ46中に引き込む真空装置または陰圧源を備えることができる。例えば、粒子を長形部材12から引き離し、ホッパ46中に引き込むために、吸引器または真空ポンプ48を設けることもできる。十分な量の粉末が生産されたときに、ホッパ46を空にするためにも吸引器を使用できる。例えば、吸引器は、排出口または出口を通して、粒子をホッパ46から引き出し、別の保管コンテナ中に引き込むために使用することもできる。
【0061】
粉末生産方法
往復動式または回転式のカッティング装置10および長形部材12について説明してきたが、ここで、カッティング装置10を用いて粉末を生産するための方法を詳細に説明する。粉末を生産する方法を実行するためのステップのフローチャートを図3に示す。一部の例では、図3の方法のステップの多くが、カッティング装置10に関連付けられた自動制御システムによって自動的に実行される。具体的には、カッティング装置10の動作パラメータを選択および調節するためのステップの多くを、自動的に実行することができる。一部の例では、形成予定の粉末について、ユーザがコントローラまたは制御システムに指示を与えてよい。例えば、ユーザは、形成予定の粉末に関して、目標の粒度、粒度分布、またはPSDを手動で入力してよい。ユーザは、生産予定の粉末の総体積または総質量も入力できる。その場合、コントローラまたは制御システムは、選択された特徴を有する粉末を生産するための動作パラメータまたはプログラムを算出し、プログラムを実行するためにカッティング装置10に動作指示を出すように構成することができる。指定量の粉末が生産され、プログラムが完了すると、コントローラまたは制御システムは、供給アセンブリ22を停止し、一部の例では、粉末の生産が完了したことをユーザに通知するように構成することができる。
【0062】
他の例では、この方法の一部の態様は手動で実行または制御することができる。例えば、ユーザは、カッティング装置10のための動作パラメータを手動で入力し、カッティング装置10を作動させて粉末の生産を開始し、十分な量の粉末が生産されたときにカッティング装置10を手動で停止することができる。
【0063】
粉末生産方法は、まず、ステップ310で、生産予定の粉末に関するインプットを受信または判定することを含むことができる。前に論じたように、インプットは、目標の粒子粒度または粉末粒度分布(PSD)を含むことができる。インプットは材料のタイプ、材料の密度、長形部材の直径、またはカッティング装置10の動作を制御するために必要な他の任意の特徴など、長形部材についての情報も含むこともできる。インプットは、生産されるべき粉末の量(例えば、総質量または総体積)についての情報を含むこともできる。
【0064】
ステップ312で、長形部材12がカッティング装置10に用意される。例えば、長形部材12は、スプールまたは同様の保持部材に用意することもできる。カッティング装置10の使用中に供給アセンブリ22が長形部材12を繰り出すことができるように、スプールを供給アセンブリ22の対応するスピンドルに装着することもできる。ステップ314で、長形部材12はカッティング装置10を通して供給できる。例えば、長形部材12の端部16は、支持体26またはダイを通して、また回転式または振動式のカッタ30の開口部36を通して、供給することができる。
【0065】
ステップ316で、この方法はさらに、生産予定の粉末に関するインプット(例えば、粒子粒度および粉末の総体積または総質量)、および、例えば、長形部材12の特徴に基づいて、カッティング装置10のための動作パラメータを決定することを含む。カッティング装置10の動作パラメータは、例えば、供給アセンブリ22の供給速度または繰り出し速度、およびカッタ30の回転数または振動数を含むことができる。一部の例では、動作パラメータは、ルック−アップテーブルから取得できるか、または、所与の粒子粒度(例えば、粒径または最大寸法)および長形部材12のタイプ(例えば、サイズおよび材料の組成)に関して最適化された動作パラメータをカッティング装置10に提供する較正曲線もしくは較正式から算出できる。ルックアップテーブルおよび/または較正曲線の値は実験に基づいて決定することができる。あるいは、このような値は、例えば、長形部材12とカッタ30との間の相互作用をモデリングするためのコンピュータモデリングソフトウェアを用いて、数学的に導くことができる。
【0066】
一部の例では、ステップ316はさらに、粒度が異なりかつ/または異なる形態を有する粒子を生産するように複数の動作パラメータを決定することを含むことができる。制御された独自の粉末粒度分布を有するように、粉末を生産することもできる。例えば、粒子の50%が第1の目標粒度の10%以内にあり、粒子の50%が第2の目標粒子粒度の10%以内にある粉末を生産することもできる。このような独自の粉末粒度分布を生み出すために、ステップ316は、第1の目標粒度の粒子を生産する第1の期間のための動作パラメータを決定することと、第2の目標粒度の粒子を生産する第2の期間のための動作パラメータを決定することとを含むことができる。ステップ316はさらに、選択された粒度分布を生み出すのに必要な、第1の期間および第2の期間の長さを決定することを含むことができる。例えば、第1の粒度粒子と第2の粒度粒子の所望の比が50/50である場合、各期間は同じでよい。別の比(例えば、20/80、30/70、または40/60)が必要な場合、第1の期間と第2の期間とは異なる場合がある。
【0067】
目標粒子粒度または目標粒子分布を実現する動作パラメータが決定されると、ステップ318で、カッティング装置10は、自動的にまたは手動で、決定された動作パラメータに従って粒子を生産するためのプログラムまたは指示を実行するように構成することができる。例えば、カッティング装置10のための制御システム100は、決定されたパラメータに関して、カッティング装置10の動作パラメータを自動的に調節するように構成することもできる。他の例では、ユーザは、適切なインターフェース装置を用いて、カッティング装置10のための動作パラメータを手動で選択または入力してよい。
【0068】
ステップ320で、この方法はさらに、粒子を生産するようにカッティング装置10を動作させるステップを含む。例えば、カッティング装置10を動作させることは、長形部材12をカッタ30に向かって前進させることと、少なくとも1つの長形部材12から粒子を切り出して粉末を生産するようにカッタ30を回転または振動させることとを含むことができる。具体的には、粒子を生産するために、カッティング装置10は、構成された動作パラメータに従って(例えば、所定の供給速度に従って)供給アセンブリ22に長形部材12を繰り出しさせることができる。カッティング装置10は、所望の粒度または粒度範囲の粒子を生産するのに適切な、選択された回転数または振動数で、カッタ30を回転または振動させることもできる。
【0069】
ステップ322で、この方法はさらに、異なる目標粒度または目標形態を有する粒子を生産するように、粒子の生産中にカッティング装置10の動作パラメータを変更することを含むことができる。例えば、前に論じたように、この方法は、決定された第1の期間の間は第1の供給速度および第1の回転数または振動数でカッティング装置10を動作させることを含むことができる。第1の期間の後に、この方法は、異なる粒度の粒子を生産するようにカッティング装置10の動作パラメータを自動的にまたは手動で変更することを含むことができる。
【0070】
ステップ324で、カッタ30と長形部材12との接触から生産される粒子は、粉末収集システム44によって収集される。例えば、粒子は、収集容器またはホッパ46に重力によってかつ/または真空ポンプ48からの吸引力によって引き込むことができる。
【0071】
ステップ326で、収集された粒子は、収集容器またはホッパ46に位置するセンサによって特徴を描写できる。例えば、センサを用いて、粒子の粒度、形状、および他の特徴を検出することができる。一部の例では、検出された特徴は、ステップ310で受信したユーザインプットと比較することができる。収集された粒子が受信したインプットと異なる場合は、そのような差を考慮に入れて、カッティング装置10の動作パラメータを動的に調節することができる。
【0072】
ステップ328で、一部の例では、粉末が生産される後に、この方法は、任意選択でさらに、例えば熱および/または研磨力を粒子に加えることによって、複数の粒子を球形化することを含む。本書では、球形化とは、球形にさらによく似た形になるように、形成される粒子の形状に影響を与えるための、いくつかの化学処理、熱処理、または機械加工のうちいずれかを指す。球形の粒子は、特に微細粒子の場合、概して、非球形の粒子よりも流量が豊富である。微細粒子は、概して、より大きい粒子と比較すると流動しにくい。微細粒子を球形にすると流量が改善される。また、本書で開示するカッティング装置10および方法は、粒子の表面に汚染を持ち込むとは考えられず、粒子を球形化することは、粒子を精製しかつ/または汚染物が存在するならその汚染物を粒子の表面から取り除くことにもなる。
【0073】
理論に縛られるつもりはないが、一定の付加製造プロセスには極めて均一の球形の粒子が好ましい場合があると考えられる。特に、現在利用可能なレーザ粉末床方式と共に使用する業界で、球形の粒子が好ましいことが多い。他の付加製造プロセスは、形態学が無関係の場合もあり、非球形の粒子が好まれることもある。前に論じたように、異なる形状および構成の開口部36を含むカッタ30を用いて、異なる非球形の粒子を得ることができる。また、非球形の粒子の形態をさらに制御するために、形成される粒子に他の加工技術を利用することもできる。
【0074】
リニアカッタ装置
図4Aおよび図4Bを参照すると、複数の長形部材212から粒子を生産するためのカッタ装置210の別の例が示されている。先の例の通り、カッタ装置210は、長形部材212をカッティングアセンブリ220に向かって前進させるための供給アセンブリ222を備える。先の例の通り、カッティングアセンブリ220は、切断中に長形部材212を受容および支持するためのダイまたは支持体226を備える。図4Aおよび図4Bに示すように、長形部材212は、円形パターンではなく、線形の配列を形成するように、直線的に配置される。線形に配置された長形部材212を収容するために、支持体226は、線状に配置された開口部250または貫通孔を備える。開口部250はそれぞれ、長形部材212の1つを受容する。例えば、図4Aに示すように、支持体226は矩形構造であり、その矩形構造は、平坦な近位の表面または側面252と、対向する平坦な表面または側面254とを備える。支持体226はさらに、対向する平坦な側面252と254との間を延びる開口部250を備える。
【0075】
前に論じたように、カッティング装置210は供給アセンブリ222を含む。一部の例では、供給アセンブリ222は、前に説明した例と比べて単純化することができる。具体的には、線状に配置される長形部材212の前進または繰り出しの制御は、先の例の通り長形部材12が円形パターンに配置される場合よりも簡単な場合があると考えられる。例えば、線形に整列された長形部材212が同一方向(図4Aに矢印A2で示す方向)に同一速度で前進するので、供給アセンブリ222は、全ての長形部材212を前進させるための共通の供給モータ224を1つ含むだけでよい。一方、長形部材212を円形に配置すると、複数のまたは分散されたモータを必要とする場合があり、そうすることで、カッティングアセンブリ220に向かう別々の長形部材212の前進を独立に制御することができる。
【0076】
図4Aおよび図4Bに示すように、カッタ装置210は、先の例の円形の回転式カッタ30の代わりに往復動カッタ230を用いる。往復動カッタ230は、矢印A3で示すように、直線上を往復移動する。カッタ230は、長形部材212を受容するように配置された開口部236を含む矩形構造(図4Bに示す)とすることができる。開口部236は、円形、長円形、矩形、または他の任意の好都合な形状とすることができる。開口部236は長形スロットを備えることもできる。先の例の通り、開口部236の形状は、カッタ装置210によって生産される粒子の形態に影響を与えることができる。
【0077】
カッタアセンブリ210はさらに、矢印A3で示す通りカッタ230を往復移動させるようにカッタ230に連結されたドライブ238を備えることができる。図1Aおよび図1Bに示すカッタ230の回転運動とは異なり、ドライブ238は、線形超音波励起によってカッタ230を往復揺動させるように構成することができる。先の例の通り、駆動機構は、所定の速度でカッタ230を振動および/または揺動させるように構成することができる。カッタ230の移動速度は、生産される粒子の粒度および形態に影響を与えることができる。一部の例では、ドライブ238は、予め選択された共振に励起される、同調ソノトロードなどの共振構造を備えることができる。共振構造は、粒子を形成するためにカッタ230を長形部材212に接触させるように、カッタ230の振動力に影響を与えるように構成することができる。
【0078】
より具体的には、カッティング装置210を用いて粒子を生成するために、長形部材212が供給アセンブリ222に用意される。例えば、長形部材212のスプールまたは同様の保持部材を、供給アセンブリ222の回転可能なスピンドルに取り付けできる。次いで、長形部材212は、支持体226またはダイの開口部250または開放部を通ってカッタ230に向かって供給できる。使用の際には、供給アセンブリ222によって、長形部材212の一部が支持体226またはダイを通ってカッタ230の開口部236に突出する。カッタ230は、開口部236が長形部材212の遠位端216にせん断力を加えるように、揺動または振動するように構成することができる。長形部材212の遠位端216にせん断力が加えられると、長形部材212から粒子が生産される。生産される粒子は、先の例で説明したように、粉末収集システム244によって収集することができる。例えば、粒子は、重力によって収集容器またはホッパ246中に落下できる。その代わりにまたはそれに加えて、長形部材212とカッタ230との接触によって形成される粒子を収集容器またはホッパ246中に引き込むために、真空ポンプ248を使用することができる。
【0079】
粉末生産システム
カッティング装置10、210および粉末を生産する方法の特性を説明してきたが、ここで、粉末を生産するようにカッティング装置10を制御するための制御システム100の電気要素を詳細に説明する。システム100の概略図を図5に示す。システム100は長形部材12を含むカッティング装置10を備え、長形部材12は、粒子を生産するようにカッタ30によって接触されるように構成される。システム100はさらに、カッティング装置10の電気機械部品に電気的に接続されるコントローラ110を備える。例えば、コントローラ110は、少なくとも、供給アセンブリ22と、カッタ30に接続されたドライブアセンブリ38とに電気的に接続される。コントローラ110は、カッティング装置10のコンピュータプロセッサ、またはカッティング装置10と有線通信もしくは無線通信する別個の電子デバイスのプロセッサとすることができる。例えば、図5に示すように、コントローラ110は、当技術分野で知られているように、コンピュータタブレット、端末、ラップトップ、デスクトップ、または同様のコンピュータ装置など、携帯型または据え置き型のコンピュータ装置112に関連付けることができる。
【0080】
コントローラ110は、ユーザの選択および動作指示を受信するための1つまたは複数のインプット要素114に接続することもできる。例えば、インプット要素114は、カッティング装置10のボタンおよび/またはタッチ画面表示器を備えることができる。他の例では、インプット要素114は、携帯型または据え置き型のコンピュータ装置112のキーボード、マウス、タッチ画面表示器、または同様のデータ入力アクセサリとすることもできる。他の例では、インプット要素114は、遠隔電子デバイスおよびネットワークからの指示を受信するように構成された、有線または無線の通信インターフェース116とすることができる。例えば、ユーザは、遠隔コンピュータ装置を用いて指示を入力してよい。入力される指示は、コントローラ110によって通信インターフェース116を介して伝達および受信することができる。
【0081】
一部の例では、少なくとも1つのコントローラ110は、インプット要素114を介してユーザからの動作指示を受信する。動作指示は、カッティング装置10のための手動で入力される動作パラメータを含むことができる。例えば、ユーザは、コンピュータ装置112のインプット要素114を用いて、供給速度または振動数もしくは回転数を手動で入力してよい。その場合、コントローラ110は、手動で入力されたパラメータに従ってカッティング装置10を動作させるように、カッティング装置10に指示を送信するように構成することができる。
【0082】
他の例では、図3のステップ310に関連して説明したように、ユーザは、生産予定の粒子または粉末についての情報を入力する。例えば、ユーザは目標粒子粒度または目標粒子粒度分布を入力することができる。コントローラ110は、ユーザから受信されるインプットに基づいてカッティング装置10のための動作パラメータを決定するように構成することができる。例えば、動作パラメータは、ルックアップテーブルまたは較正曲線の値から、また目標の粒子粒度または分布および長形部材12の特徴に基づいて、決定または算定することができる。新たな動作パラメータが判明または決定されると、コントローラ110は、カッティング装置10が新たな動作パラメータに従って動作するように、カッティング装置10の動作パラメータを設定または調節するように構成することができる。
【0083】
一部の例では、システム100はさらに、コントローラ110に電気的に接続されるセンサ118、120を備える。例えば、システム100は、収集容器またはホッパ46の近くにまたはその中に配置されるセンサ118を含むことができる。センサ118は、生産される粒子の特徴を表す情報を検出するように構成することができる。例えば、センサ118は、収集容器44に落下する粒子がセンサ118の視野内を通るように、収集容器またはホッパ46の開放部の近くに配置することもできる。センサ118は、視野内を通る粒子についての情報を検出するように構成することができる。例えば、このようなセンサ118は、粒子の平均粒子体積、中央粒子体積、粒子体積分布、または平均球形度を含む、粒子の特徴を測定するように構成することができる。システム100は、生産される粉末の質を測定するための、ホッパ46内に配置されるかまたはそれに関連付けられるセンサ120を含むこともできる。例えば、センサ120は、生産される粉末の総質量を測定するためのスケールを備えることができる。センサ120は、生産される粉末の総体積を測定するように構成することもできる。
【0084】
一部の例では、コントローラ110は、センサ118、120によって検出された情報を受信し、受信された情報に基づいてカッティング装置10のための動作パラメータを調節するように構成することができる。このように、センサ118、120に関する情報は、カッティング装置10の動作を最適化または調節するためのフィードバックループとして使用することができる。例えば、センサ118、120からの、生産されている粒子の特徴についての情報を用いて、カッティング装置10によって生産されている粒子の特徴を描写することができる。検出された情報に基づいて、平均粒子体積または平均粒度が予期または目標の粒子体積または粒度とは異なるとコントローラ110が判定する場合、コントローラ110は、このような差を考慮に入れるようにカッティング装置10の動作パラメータを調節するように構成することができる。例えば、生産されている粒子が目標粒子粒度よりも大きいと判定される場合、カッタ30の振動数または回転数を増大させて、カッタ30の開口部または孔が長形部材12と接触状態にある時間を短縮することもできる。同様に、長形部材の繰り出し速度または供給速度は、長形部材12がカッタをより迅速に貫通するように増大することもできる。回転速度および/または供給速度を上昇させることは両者とも、より小さい粒子を生産することが予期される。
【0085】
粉末を生産するシステムのためのユーザインターフェース
一部の例では、システム100はさらに、コントローラ110と有線通信または無線通信するユーザインターフェースモジュール124を備える。概略的には、ユーザインターフェースモジュール124は、目標粒子粒度および粒子の他の特徴についてのインプットなど、ユーザインプットを受信する。コントローラ110は、それらインプットを処理し、前述のように、少なくとも部分的に、受信されたユーザインプットに基づいて、カッティング装置10の動作を制御することができる。コントローラ110は、形成されている粒子および/または製造プロセスについての通知およびフィードバックをユーザインターフェースモジュール124に提供することもできる。例えば、コントローラ110は、製造プロセスの様々な面が完了したときに通知を発することができる。コントローラ110は、粉末形成プロセスの進捗をモニタリングし、例えば、残り時間を見積もることもできる。このような情報および通知は、ユーザインターフェースモジュール124に提供することができる。ユーザインターフェースモジュール124によって、視覚的表示器126などのフィードバック装置がユーザに情報を提供できる。
【0086】
ユーザインターフェース124は、ユーザからインプットを受信しユーザにフィードバックを提供するための、いくつかのアプリケーション画面またはページを含むことができる。このような画面の例を図6A図6Cに示す。
【0087】
図6Aに、カッティング装置10のための初期インプット画面610の一例を示す。初期インプット画面610は、生産される粉末についての情報をユーザが入力できるデータ入力フィールドをいくつか備えることができる。例えば、画面610は、ユーザが目標粒子粒度を入力するフィールド612を1つまたは複数備えることができる。画面610は、特定の粒度にすべき粒子の割合をユーザが指定するフィールド614を含むこともできる。例えば、図6Aに示すように、粒子の50%は粒径が約25μmにすべきであり、粒子50%は約50μmにすべきであると、ユーザが指定することができる。ユーザは、生産予定の粉末に関するインプットを入力することもできる。例えば、画面610は、必要とされる粉末の総質量をユーザが入力するフィールド616を含むことができる。一部の例では、画面610は、長形部材12についての情報(例えば、材料の組成および/または直径)を入力するためのセクション618を含むこともでき、その情報は、カッティング装置10のための動作パラメータを判定するために使用できる。他の例では、前に論じたように、長形部材12についての情報は、カッティング装置10に関連付けられたセンサによって自動的に判定することができる。一部の例では、セクション618は、例えば、ユーザが(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル合金、およびチタンを含むリストから)原料物質を特定できるようにする、ドロップダウンリストまたはドロップダウンメニューを含むこともできる。
【0088】
図6Bに、カッティング装置10が使用中の間にユーザに提示できる画面630を示す。例えば、画面610に提示されるユーザインプットを用いて、カッティング装置10による粉末を生産するプログラムの実行の進捗状況をユーザに知らせるために、画面630をユーザに示すことができる。使用中の画面630は、生産されている粉末についての累積的情報を有するセクション632を備えることができる。例えば、セクション632は、平均粒子粒径、平均粒子体積、平均球形度、および同様の情報を含む、生産される粒子の特徴に関するリアルタイムデータを含むことができる。画面630は、プログラム完了に向かった進捗についての情報を有するセクション634を含むこともできる。例えば、セクション634は、その時点で生産済みの粉末の総質量または総体積についての情報を含むこともできる。セクション634は、例えば、必要な粉末の総体積または総質量が生産されるまでの推定時間を示すカウントダウンタイマ636を含むこともできる。
【0089】
図6Cにプログラム完了画面650を示す。このプログラム完了画面650は、カッティング装置10が初期のユーザインプットに従った粉末の用意を完了した後でユーザに表示することができる。画面650は、例えば、プログラムが完了したことをユーザに知らせる、文字通知652を含むことができる。画面650はさらに、例えば、要した総時間、生産された粉末の総質量、または生産された粉末の総体積を含む、完了したプログラムに関する統計値を有するセクション654を備えることができる。例えば、画面650はさらに、例えば生産された粉末の粉末粒度分布(PSD)を示すグラフ656を備えることができる。画面650は、例えば、平均粒子粒径、平均粒子体積、または平均球形度を含む、粉末の粒子についての情報を有するセクション658を含むこともできる。粒子の特徴についての情報は、前述のように、収集容器またはホッパ46に関連付けられたセンサによって収集することができる。
【0090】
現在最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに基づいて、例示のために本発明を詳細に説明してきたが、このような詳細は単に例示目的であることと、本発明は開示した実施形態に限定されず、逆に、修正および均等な構成を包含するものであることを理解されたい。さらに、本発明は、可能な限り、任意の実施形態の1つまたは複数の特性を他の任意の実施形態の1つまたは複数の特性と組み合わせできることを企図すると理解されたい。
【符号の説明】
【0091】
10 カッティング装置
12 長形部材
14 近位端
16 遠位端
18 本体
20 カッタアセンブリ
22 供給アセンブリ
24 モータ
26 支持体
28 開口部
30 カッタ
32 側面
34 側面
36 開口部
38 ドライブアセンブリ
40 ドライブ
42 シャフト
44 粉末収集システム
46 ホッパ
48 真空ポンプ
100 システム
110 コントローラ
112 コンピュータ装置
114 インプット要素
116 通信インターフェース
118 センサ
120 センサ
124 ユーザインターフェースモジュール
126 視覚的表示器
210 カッティング装置
212 長形部材
216 遠位端
220 カッティングアセンブリ
222 供給アセンブリ
224 供給モータ
226 支持体
230 カッタ
236 開口部
238 ドライブ
244 粉末収集システム
246 ホッパ
248 真空ポンプ
250 開口部
252 側面
254 側面
610 画面
612 フィールド
614 フィールド
616 フィールド
618 セクション
630 画面
632 セクション
634 セクション
636 カウントダウンタイマ
650 画面
652 文字通知
654 セクション
656 グラフ
658 セクション
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
【国際調査報告】