(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-520852(P2021-520852A)
(43)【公表日】2021年8月26日
(54)【発明の名称】マイクロ波の分散を制限する機構が具備されたマイクロ波による土壌処理装置の印加ヘッドおよび対応する装置
(51)【国際特許分類】
A01M 17/00 20060101AFI20210730BHJP
【FI】
A01M17/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2021-504581(P2021-504581)
(86)(22)【出願日】2019年3月14日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月25日
(86)【国際出願番号】FR2019050559
(87)【国際公開番号】WO2019197741
(87)【国際公開日】20191017
(31)【優先権主張番号】1853280
(32)【優先日】2018年4月14日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520398320
【氏名又は名称】グランジュ,エミル
(71)【出願人】
【識別番号】520398331
【氏名又は名称】グランジュ,ジェレミ
(71)【出願人】
【識別番号】520398342
【氏名又は名称】グランジュ,ケヴィン
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】グランジュ,エミル
(72)【発明者】
【氏名】グランジュ,ジェレミ
(72)【発明者】
【氏名】グランジュ,ケヴィン
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121AA19
2B121AA20
2B121DA18
2B121EA30
2B121FA20
(57)【要約】
本発明は、処理対象の範囲上の少なくとも1つのマイクロ波誘導用ダクトの、一面が開放された収容用体積部の底面を形成するマイクロ波不透過性材料製の剛性部分(5)を含む、マイクロ波による土壌処理装置の印加ヘッド(2)において、前記剛性部分(5)が、処理対象範囲(4)から規定の距離(H)のところに維持されており、前記収容用体積部の側壁が、マイクロ波不透過性材料で製造されている印加ヘッドに関する。収容用体積部の壁は、独立した柔軟な舌状部タイプの細長い機構(6)によって形成されており、この機構の一自由端部(9)は処理対象の土壌の部分(4)と接触するように適応されており、もう一方の端部(7)は、印加ヘッド(2)の剛性部分(5)の縁部(8)上に少なくとも1つの自由度(F)で組付けられている。本発明は同様に、このようなヘッドを備えた装置にも関する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象の土壌範囲(4)上の少なくとも1つのマイクロ波誘導用ダクト(18)の、一面が開放された収容用体積部(V)の底面(5、11)を形成する、マイクロ波不透過性材料製の剛性部分(5、11)を含む、マイクロ波による土壌処理装置(1)の印加ヘッド(2、10)において、前記剛性部分(5、11)が、処理対象範囲(4)から規定の距離(H、L39)のところに維持されており、前記収容用体積部(V)の側壁が、少なくとも1つのマイクロ波不透過性材料で製造されている印加ヘッドであって、収容用体積部(V)の壁の自由端部には、マイクロ波の分散を制限するように適応された少なくとも2つの機構(6、12、19)が具備されており、前記機構(6、12、19)が、毛状突起の形で細長く独立しており、各機構(6、12、19)の一自由端部(9)が、処理対象の土壌範囲(4)と接触するように適応されており、もう一方の端部(7、16、22、24)が、印加ヘッド(2、10)の剛性部分(5、11)の縁部(8、27、28、36)上に少なくとも1つの自由度(F、F1、F2)で組付けられていること、および前記機構(6、12、19)の少なくとも本体(13、20、23、25)が柔軟な材料製であることを特徴とする印加ヘッド。
【請求項2】
細長い機構(6、12、19)が中実であり、少なくとも一部分に金属粒子が含まれている材料で製造されていることを特徴とする、請求項1に記載の印加ヘッド。
【請求項3】
細長い機構(6、12、19)が中空であり、少なくとも一部分に金属粒子が含まれている材料で製造された壁を伴うことを特徴とする、請求項1に記載の印加ヘッド。
【請求項4】
中空の細長い機構には、加圧流体供給源に連結されるように適応された端部が具備されていることを特徴とする、請求項1に記載の印加ヘッド。
【請求項5】
細長い機構(6、12、19)が、印加ヘッド(2、10)の剛性部分(5、11)の縁部(8、27、28、36)に取外し可能な形で(34、35)組付けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載の印加ヘッド。
【請求項6】
細長い機構(6、12、19)が印加ヘッド(2、10)の剛性部分(5、11)の縁部(8、27、28、36)に少なくとも一列で組付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の印加ヘッド。
【請求項7】
細長い機構(6、12、19)が、印加ヘッド(2、10)の剛性部分(5、11)の縁部(8、27、28、36)に設けられた少なくとも1本のレール(27、28、36)の中に組付けられていることを特徴とする、請求項5または6に記載の印加ヘッド。
【請求項8】
細長い機構が、印加ヘッド(2、10)の剛性部分(5、11)の縁部(8、27、28、36)に設けられたレール(27、28、36)の中にそれ自体導入されているレールに組付けられた状態で束毎に集結させられていることを特徴とする、請求項6に記載の印加ヘッド。
【請求項9】
印加ヘッド(2、10)の剛性部分(5、11)の縁部(8、27、28、36)に組付けられた細長い機構(6、12、19)が同じ性質のものであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一つに記載の印加ヘッド。
【請求項10】
印加ヘッド(2、10)の剛性部分(5、11)の縁部(8、27、28、36)に組付けられた細長い機構(6、12、17、19)が異なる性質のものであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一つに記載の印加ヘッド。
【請求項11】
マイクロ波不透過性材料製の布(39)が、ヘッド(10)の周囲壁に組付けられ細長い機構(12)を取り囲んでいることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一つに記載の印加ヘッド。
【請求項12】
布(39)には、処理対象範囲上に存在する植物の刈取りを確実に行なうように適応された端部が具備されていることを特徴とする、請求項11に記載の印加ヘッド。
【請求項13】
布(39)が少なくとも2つの部分からなることを特徴とする、請求項11または12に記載の印加ヘッド。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一つに記載の少なくとも1つの印加ヘッド(2、10)が備わった土壌処理装置(1)。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一つに記載の印加ヘッド(2、10)に結び付けられた少なくとも1つの金属製回転ブラシを含むことを特徴とする、請求項14に記載の土壌処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波の分散を制限する機構が具備されたマイクロ波による土壌処理装置の印加ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
土壌を処理するためのマイクロ波の使用は公知である。詳細には、農業および/または野菜の集約栽培用の土壌を浄化し雑草を除去するために、マイクロ波、ひいては高周波電磁放射線が使用される。マイクロ波を利用することによって、土壌中の病原体、昆虫の幼虫および卵ならびに種子を持続的に破壊することができる。このようにして、限定的な土壌作業によって、汚染性および残留性のある化学製品を使用することなく、いつでも利用できる状態の健全な土壌が得られる。このため、有効な雑草除去を行うためには、マイクロ波の使用が極めて有利である。
【0003】
米国特許出願公開第4370534号明細書から、鉄道上の剛性オープンケーソン内にマイクロ波発出ヘッドが位置付けされている鉄道の雑草除去に適応された装置が知られている。
【0004】
米国特許出願公開第2002/150425号明細書は、土壌を乾燥させ締固めするための装置について記述している。装置の一部分は、土壌の方向にマイクロ波を発出してこの土壌を乾燥させるように適応されたドラムを含む。ドラム上の周囲フラップがマイクロ波の分散を制限する。このような装置は、柔らかい土壌あるいは少なくとも硬い部分が無く比較的平坦な土壌についての作業に特に適している。
【0005】
米国特許出願公開第2010/322713号明細書は、連接アーム上に鐘型のカバーが組付けられた道路などの通行路の雑草除去用装置を開示している。鐘型のカバーは、マイクロ波の発出用ヘッドを保護し、周囲シールにより気密な形で通行路上に密着している。このような解決法は道路などの平らな通行路の雑草除去に特に適していることが指摘される。ところが、草は概して、草の発育基盤を形成する廃棄物および有機物質が堆積する範囲内で生長する。これらの範囲は多くの場合、通行路の歩道と車道の間の接合範囲および/または隅である。
【0006】
米国特許出願公開第2012/091133号明細書は、波動の分散を制限するプレートタイプの機構を伴う土壌に対するマイクロ波の印加ヘッドについて記述している。同様に、米国特許出願公開第4031986号明細書、米国特許出願公開第2003/215354号および中国特許出願公開第106614491号明細書から、波動の分散を制限する目的でマイクロ波の印加ヘッドの周りに鎖を使用することも知られている。
【0007】
その上、現状技術の装置は、農耕用土壌の処理のために適応されているか、舗装された部分などの衝撃やひっかき傷の心配のない硬い部分の雑草除去に適応されている。ところが、通行路のいくつかの部分には、例えば歩行者用通路のような塗装されているかまたはポリマで被覆された部分など、条痕に敏感なコーティングが具備されている可能性がある。変形形態として、通行路のいくつかの部分は、例えば砂利または砂でカバーされている場合、柔らかい可能性がある。
【0008】
その上、現行の規則は、公共団体が、開放された道路上であれ、街中であれ、または現在の装置が使用できない鉄道上であれ、通行路の雑草除去における化学製品の使用を禁止している。したがって、処理対象範囲の形態、つまり隅および/または傾斜範囲付きの形態、処理対象範囲の性質を考慮に入れて、処理対象範囲が硬いか柔らかいかに関わらず、高周波電磁放射線の印加ヘッドが処理対象範囲の輪郭に一致するのに充分な可動性を有するだけでなく処理対象範囲外へのマイクロ波の漏洩を全て制限しながら全く安全に雑草除去および浄化作業を実施するために適応されている、マイクロ波による土壌処理装置を想定することが適切である。換言すると、現状技術の装置は、車両および/または歩行者の通行を目的とする硬いまたは柔らかい性質および/または複雑な幾何形状を有する通行路の極めて安全な雑草除去には適応されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第4370534号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/150425号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/322713号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2012/091133号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第4031986号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/215354号明細書
【特許文献7】中国特許出願公開第106614491号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
マイクロ波の漏洩を全て回避しながら、都市圏および都市周辺において遭遇するような通行路の処理に適応されたマイクロ波による土壌処理装置の印加ヘッドを提案することによって本発明がより特定的に改善しようとしているのは、これらの欠点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、本発明は、処理対象の土壌範囲上の少なくとも1つのマイクロ波誘導用ダクトの、一面が開放された収容用体積部の底面を形成するマイクロ波不透過性材料製の剛性部分を含む、マイクロ波による土壌処理装置の印加ヘッドにおいて、前記剛性部分が、処理対象範囲から規定の距離のところに維持されており、前記収容用体積部の側壁が、少なくとも1つのマイクロ波不透過性材料で製造されている印加ヘッドであって、収容用体積部の壁の自由端部には、マイクロ波の分散を制限するように適応された少なくとも2つの機構が具備されており、前記機構が、毛状突起の形で細長く独立しており、各機構の一自由端部が、処理対象の土壌範囲と接触するように適応されており、もう一方の端部が、印加ヘッドの剛性部分の縁部上に少なくとも1つの自由度で組付けられていること、および前記機構の少なくとも本体が柔軟な材料製であることを特徴とする印加ヘッドを目的とする。
【0012】
このような構成では、マイクロ波の印加ヘッドは、鐘状に構成されている。鐘型のカバーは、毛状突起の形をした複数の独立した細長い機構を伴い、単数または複数のマイクロ波誘導用ダクト全体を取り囲む周囲壁および剛性底面を有し、ここでそれらの機構の各々は、それらが組付けられている鐘型のカバーの底面との関係において少なくとも1つの方向に沿って可動である。要素の構成材料の性質により、ひいてはそれらの要素の柔軟性に応じて、それらの配置によって、およびそれらの運動の可能性によって、細長い要素は、処理対象範囲の幾何学的形態および性質の如何に関わらず、処理対象範囲と常時接触状態にある。したがって、耐性のある材料でできた通行路上であっても、条痕に敏感な、つまり柔らかい材料でできた通行路上であっても、隅、傾斜を含む通行路の範囲を容易に処理することができる。
【0013】
本発明の有利な、ただし義務的ではない態様によると、このようなマイクロ波の印加ヘッドは、以下の特徴のうちの単数または複数を含むことができる。
− 細長い機構は中実であり、少なくとも一部分に金属粒子が含まれている材料で製造されている。
− 細長い機構は中空であり、少なくとも一部分に金属粒子が含まれている材料で製造された壁を伴う。
− 中空の細長い機構には、加圧流体供給源に連結されるように適応された端部が具備されている。
− 細長い機構は、印加ヘッドの剛性部分の縁部に取外し可能な形で組付けられている。
− 細長い機構は、印加ヘッドの剛性部分の縁部に少なくとも一列で組付けられている。
− 細長い機構は、印加ヘッドの剛性部分の縁部に設けられた少なくとも1本のレールの中に組付けられている。
− 細長い機構は、印加ヘッドの剛性部分の縁部に設けられたレールの中にそれ自体導入されているレール上に組付けられた状態で束毎に集結させられている。
− 印加ヘッドの剛性部分の縁部に組付けられた細長い機構は、同じ性質のものである。
− 印加ヘッドの剛性部分の縁部に組付けられた細長い機構は、異なる性質のものである。
− マイクロ波不透過性材料製の布が、ヘッドの周囲壁上に組付けられ細長い機構を取り囲んでいる。
− 布には、処理対象範囲上に存在する植物の刈取りを確実に行なうように適応された端部が具備されている。
− 布は少なくとも2つの部分からなる。
【0014】
本発明は同様に、前述の特徴のいずれか一つに記載の少なくとも1つの印加ヘッドが備わった土壌処理装置にも関する。
【0015】
有利な、但し義務的ではない態様によると、土壌処理装置は、前述の特徴のいずれか一つに記載の印加ヘッドに結び付けられた少なくとも1つの金属製回転ブラシを含む。
【0016】
非限定的な例として示され以下の図面を参照する本発明の複数の実施形態についての以下の説明を読むことにより、本発明をより良く理解することができ、かつ本発明の他の利点がより明確になるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る印加ヘッドが備わった土壌処理装置の簡略図であり、ここで装置を構成する機構は、読解を容易にするために異なる縮尺となっている。
【
図2】本発明に係るマイクロ波の印加ヘッドの簡略化された拡大側面図であり、ここで細長い機構は、ヘッドの残りの部分より大きな縮尺で例示されている。
【
図3】本発明の別の実施形態に係るマイクロ波の印加ヘッドの簡略化した断面図である。
【
図4-6】本発明の複数の実施形態に係る細長い機構の拡大正面図である。
【
図7】本発明の別の実施形態に係る細長い機構の別の縮尺の横断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るマイクロ波の印加ヘッドの剛性部分内への複数の細長い機構の組付けを例示する、別の縮尺の部分正面図である。
【
図9】本発明の別の実施形態に係るマイクロ波の印加ヘッドの剛性部分内への細長い要素の組付けの、別の縮尺での正面図である。
【
図10】本発明の別の実施形態の
図3に類似する簡略化された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係る土壌処理装置1を概略的に例示する。ここでは、ホイール式自走タイプの装置が概略的に示されている。変形形態では、これは牽引式装置である。印加ヘッド2が、連接アーム3の端部で装置1の前面上に組付けられた状態で例示されている。変形形態では、装置の前面または後部または側方位置に組付けられた状態で、複数の印加ヘッドが想定されている。他の実施形態においては、印加ヘッドは、土壌処理装置の下に位置している。この場合、ヘッドを支える連接アームは取り除かれている。装置のこれらの様々の変形形態がこの装置の用途に適応されていることが分かる。
【0019】
本発明の範囲内で、広義での土壌処理のために土壌処理装置1が使用される。詳細には、これは、車両および/または歩行者のために通行路として使用される土壌を雑草除去および/または浄化することである。したがって、土壌なる用語は、道路、街路、高速道路、歩道、小路、駐車場、河岸、滑走路、鉄道、テラス、プールの縁石そしてより一般的には、乗用車、トラック、農業用機械および土木機械、自転車、オートバイ、航空機、列車などの陸上車、歩行者または動物が上を移動する、舗装されたまたはされていない私設のまたは公の全ての道、などの通行路を網羅する。したがって、これは、閉鎖された構造の場合、商業用、工業用または別の用途向けの建物の土壌であり得る。
【0020】
装置1は、少なくとも1人の人間によって運転され、ここで当然のことながら、印加ヘッド2の操作は、この職務専門の人物によって実施され得る。実際には、範囲上に存在する植物の数量および/または性質に応じて、可変的な持続時間中、常時、雑草除去すべき土壌の一部分4の上方に印加ヘッド2を位置付けすることが適切である。
【0021】
図2は、装置1の無い印加ヘッド2の図であり、連接アーム3の一部分のみが例示されている。ここでは、ヘッド2は包括的に、方形の基部を有する平行六面体として構成されている。変形形態では、基部は矩形または別の幾何学的形状を有する。ヘッド2は、ヘッド2の内部体積体の底面を画定する剛性部分5を含む。ヘッド2の側壁は複数の細長い機構6により形成されていることが指摘される。これらの細長い機構は、
図6以降でより大きな縮尺で例示されている。
【0022】
機構6は、その長さにより、ヘッド2の高さHを画定する。換言すると、機構6の長さは底面5と処理対象土壌4の間の距離Hを画定する。機構6は独立しており、一端部7で部分5の周囲8に固定されている。この固定は、少なくとも1つの自由度を機構6に保証するように適応されている。この場合、各機構6は、この固定点を中心として振り子のような制限された振幅の振動運動を行うことができる。2重矢印Fで示されたこのような運動については、以下の本文中で詳述される。
【0023】
ここでは
図2において、機構6が、単一の列で相互に接触することなく規則的に間隔取りされた状態で例示されている。このような表現は読解を容易にする。機構6は、マイクロ波の漏洩を全て回避するかまたは少なくとも可能な限り制限するため、互いの間に空間を残さないように、好ましくは互いに接触した状態にある。同様に、機構6は、千鳥状におよび/または複数の列に分布していてよい。
【0024】
端部7と反対側の端部9は自由であり、土壌と接触していない場合、少なくとも土壌から10mm未満の距離に位置している。このようにして、印加ヘッド2は包括的に、鐘状、つまり土壌の方向に開放した体積体の形で構成される。マイクロ波の分散は、上方に向かっては、剛性底面5の存在によって、そして側方には機構6によって制限される。
【0025】
図3は、本発明の別の実施形態に対応する印加ヘッド10の断面図である。ここで、底面11は円形で、円盤状の形をしている。細長い機構12は、
図4ではより大きい縮尺で表現されている。これらは、本発明の一実施形態に対応する。機構12は、主本体13および、本体13の一端部14にあるロッド15を含む。ロッド15の自由端部16は、立方体形状をしている。端部16は、少なくとも1つの自由度で印加ヘッド10の底面11に固定させるために適応された形状を有する。
【0026】
図3を見れば分かるように、機構12は、底面11の周囲で複数の列にわたり、有利には千鳥状に配置される。こうして、高周波電磁波全てが底面11と機構12の間に画定された印加ヘッド10の内部体積体V内に遮断されるような厚みを有する壁が実現される。
【0027】
同様に、機構12の間に薄膜17を間置することも指摘される。これらの薄膜17は、例えば、機構12を構成する材料とは異なる材料製である。変形形態では、これらは同じ材料でできている。非限定的な一例として、薄膜17は、織物製、金属製またはポリマ製で、中実であるかまたは格子状である。
【0028】
変形形態では、保護用布などの他の機構を印加ヘッド2または10上で周囲に固定することができる。このような場合、布は、機構6または12および薄膜17を取り囲む。有利には、このような布も同様に、マイクロ波の分散を制限するように適応された材料でできている。あらゆるケースにおいて、印加ヘッド2または10によって画定される体積体V外へのマイクロ波の分散を妨げることが適切である場合には、体積体V内で、処理対象範囲4上への印加ダクト18によるマイクロ波の印加を妨害するものが一切無いことが必要である。
【0029】
図4は、細長い機構12を例示する。本体13は、例えば、ポリマまたは織物製で、金属粒子で被覆されている。変形形態では、金属粒子は、本体13の構成材料中に取り込まれている。これらの材料がマイクロ波に対し不透過性であり、屋外で遭遇する環境条件に対して影響されない柔軟な本体13を製造できる限り、本体13を製造するために、異なる材料を単独でまたは組み合わせた形で使用されることが可能であることが構想される。
【0030】
ロッド15は、本体13の断面よりもかなり小さい断面を有する。ここでロッドは、円形横断面を有するロッドの形をしている。変形形態において、ロッドは、方形、矩形他の断面を有する。これは、本体13についても同様であり、本体の横断面は、方形、矩形、円形他であり得る。ロッド15は、有利には、曲げ加工し初期形状に復帰する能力が少なくとも本体13のものに等しい材料で製造されている。
【0031】
ロッド15の端部16は、例えば金属またはポリマ製で立方体の形で構成されている。この立方体16は、機構12と印加ヘッドの底面11との間の接続手段を画定する。底面11との関係における自由度を機構12に保証するこの接続については、
図8および9でより詳細に描かれる。
【0032】
図5は、細長い機構の別の実施形態を例示する。ここでは、機構19は、読解を簡単にするため本体13およびロッド15と類似している主本体20とロッド21を含む。ここで、ロッド21の端部22は、十字形である。立方体16と同様、十字形22は、印加ヘッドとの関係において少なくとも1つの自由度を設けることにより、機構19と印加ヘッドの底面の間の接続を保証する。
【0033】
図6は、
図2に表されているような機構6をさらに詳細に例示している。この機構は、例えば機構12および19を構成する材料と同じ材料の主本体23を含む。ここでは、ロッドは無く、機構6と印加ヘッド2の底面5の間の接続機構24が、本体23上に直接固定される。この場合、なおも機構6と底面5の間に少なくとも1つの自由度を伴って接続を実現する場合、もはやロッドの柔軟性が得られない。これを緩和するために、機構6の本体23の材料および/または寸法は適応される。換言すると、機構6それ自体の柔軟性は、機構12および19のものを上回る。
【0034】
図7は、細長い機構の本体を横断面図で例示する。ここで、本体25は、円形横断面を有する。変形形態において、形状は異なり、例えば、機構6、12または19に対応する横断面、つまり方形または矩形の横断面であり得る。本体25は、有利にはその長さ全体にわたり中空である。本体25の壁26は、少なくとも一部分にわたり、金属粒子で充填され、こうして、本体25の柔軟性を保ちながら電磁放射線に対して不透過性の壁を画定することができる。変形形態では、本体25の柔軟性は、その長さ全体にわたり同一でなく、漸進的であり、その自由端部が最大の柔軟性を提供する。このようにして、細長い機構の機能はつねに処理対象範囲の性質および/または幾何形状に適応させられる。
【0035】
本体25の内部体積体V25は、真空であるか、または外部圧力との関係において超過圧に維持された空気が満たされているかである。こうして、本体25が場合によっては膨張させることのできる腸詰の形をした本体を有する細長い機構が実現される。細長い機構の本体内に空気を使用することで、マイクロ波に対する不透過性を改変することなく、細長い機構の実現における重量および材料の利益が生み出される。変形形態では、各機構の内部体積体V25は、別の材料で満たされており、この材料は要素間で異なるものであり得る。
【0036】
図8は、細長い機構12と印加ヘッド10の底面11の間の接続を例示する。ここでは、2本のレール27、28が底面11の周囲で並置されている。これらのレールは底部が平坦なU字形で構成され、分岐31、32の端部29、30は、直角に折り曲げられ互いに向かって方向づけられている。端部29、30の間には空間33が設けられている。換言すると、レール27または28の横断面は矩形に構成され、空間33を画定する切抜きが矩形の1つの辺内に設けられている。
【0037】
図8を見ると、空間33は下方に向かって、つまり事実上処理対象範囲4の方向に方向づけられている。機構12は、その端部16により、各レール27、28の開放端部区分34、35内に挿入される。一方では機構12がレール27、28外に偶発的に外れるのを全て回避するため、そして他方では、レール27、28内に機構12を導入できるようにするため、底面11には、レールへのアクセス手段が備わっていることが構想される。これは、非限定的な例として、印加ヘッド2または10の底面5または11の2つの部分からなる開口部である。
【0038】
レール27、28の内部体積体VR内に、機構12の端部16が挿入され、各機構のロッド15は空間33を通過して、本体13全体をレール27、28の外に維持するようになっている。
【0039】
体積体VR内で所定の場所にある端部16は、レールの壁31、32の内部面と接触しないことが指摘される。同様に、ロッド15の寸法は、空間33の寸法よりも小さい。こうして、2重矢印Fの一方、F1またはF2に沿って少なくとも1つの自由度、ひいてはそれぞれ軸A、BおよびCの少なくとも1つを中心とした枢動運動が調整される。
【0040】
こうして、機構12は、本体13の自由端部による範囲4との接触を維持しながら、処理対象範囲4の形態つまり凹凸に適応するべく枢動することができる。こうして、マイクロ波の漏洩が全て制限される。
【0041】
図9は、本発明の別の実施形態を例示する。ここでは、36という番号が付いたU字形のレール、つまり
図8に例示されているものと類似の形状および横断面を有するレールの中に機構6が導入されている。前述の通り、ロッドが存在しないことで、機構の柔軟性ひいてはレール36との関係における機構6の運動の可能性は事実上制限される。これを緩和するために、復元機構37がレール36の底面38と機構6の端部24の間に組付けられる。ここで復元機構37はコイルばねである。変形形態では、これは別のタイプの復元機構、例えば板ばね、ゴム製要素または小型ジャッキである。
【0042】
例示されていない別の実施形態においては、細長い機構は、レール27、28または36に類似しているが、より小さい寸法のレール上に束毎に集結されている。こうして、レール27、28または36内に、一個ずつではなく内部レールと呼ばれるレール上に予め組付けられた複数の束毎に機構が挿入される。
【0043】
図10は、本発明の別の実施形態を例示する。ここでは、機構12、つまり
図2、3および4で例示されたものと類似する機構が、保護用布39によって取り囲まれている。布39は、体積体Vを完全に包囲し、機構12の長さに対応する幅L39を有する。この布39は、一実施形態においては、マイクロ波に対して不透過性の材料で製造される。変形形態においては、この布は、少なくとも1つの面が、マイクロ波に対して不透過性のコーティングで被覆されている。変形形態では、この布は、マイクロ波に対して不透過性の材料でできたものを少なくとも1つ含む複数の層またはシートで構成されている。
【0044】
布39は、マイクロ波の分散に対する相補的な保護の役割以外に、処理対象範囲上に存在する植物の破壊にも関与することができる。そのために、処理対象範囲と接触することを目的としたその自由端部は、研磨用の金属材料、例えば金属ワイヤまたはフックでできている。この植物引抜き作用は、底面11を中心とする2重矢印F39に沿った回転運動を行うような形で布39が回転レール上に組付けられている場合に最適化され得る。一実施形態においては、最大の摩耗を受ける部分である処理対象範囲と接触状態にある布の部分を容易に交換できるように、布39を2つの部分で構成することが容易に構想される。
【0045】
変形形態においては、本発明は、それ自体公知である金属製の回転ブラシに結び付けられる。このようなブラシは、ヘッド2の外部、つまり車両の前進方向に沿ってヘッドの前方か、あるいはヘッド2の中、例えば布39と細長い機構との間に位置付けされる。
【符号の説明】
【0046】
1 土壌処理装置
2 印加ヘッド
3 連接アーム
4 処理対象範囲
5 剛性部分
6 機構
7 端部
8 縁部
9 一自由端部
【国際調査報告】