特表2021-520953(P2021-520953A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-520953(P2021-520953A)
(43)【公表日】2021年8月26日
(54)【発明の名称】コイニングされた縫合糸通しドリル
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20210730BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20210730BHJP
【FI】
   A61B17/16
   A61B17/56
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-562116(P2020-562116)
(86)(22)【出願日】2019年5月7日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月13日
(86)【国際出願番号】US2019030995
(87)【国際公開番号】WO2019217345
(87)【国際公開日】20191114
(31)【優先権主張番号】62/668,900
(32)【優先日】2018年5月9日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サミット マシュー
(72)【発明者】
【氏名】シボドー ロバート エー.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB01
4C160BB30
4C160LL07
4C160LL28
4C160LL30
4C160LL70
(57)【要約】
縫合糸を骨に通すための縫合糸通しドリル。縫合糸通しドリルは、それらの間に延在する細長いシャフトを備えた近位端および遠位端を含む。細長いシャフトは、第一の直径を有する第一の部分を有する。ドリルはまた、細長いシャフトの近位端から延在するワイヤループと、細長いシャフトの遠位端にあるドリル先端と、を含む。細長いシャフトは、第一の直径よりも小さい第二の直径を有する狭い部分を有する。狭い部分は、ドリル先端に対して近位に隣接して位置付けられる。狭い部分は、コイニングを通して作出されることが好ましい。コイニングは、より大きなドリル先端を作出するために、ドリル先端の近位に細長いシャフトの外径(または表面)を機械加工する必要性を防止する。縫合糸通しドリルのより大きなドリル先端は、ドリル全体を骨穴に通すことを可能にする。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸通しドリルであって、
それらの間に延在する細長いシャフトを有する近位端および遠位端であって、前記細長いシャフトが第一の直径を有する第一の部分を有する、近位端および遠位端と、
前記細長いシャフトの前記近位端から延在するワイヤループと、
前記細長いシャフトの前記遠位端にあるドリル先端と、
第二の直径を有する前記細長いシャフト上の狭い部分であって、前記狭い部分が前記ドリル先端に対して近位に隣接する、狭い部分と、を含み、
前記第二の直径が前記第一の直径よりも小さい、縫合糸通しドリル。
【請求項2】
前記ドリル先端が、前記細長いシャフトの表面からある角度で延在する切刃を含む、請求項1に記載の縫合糸通しドリル。
【請求項3】
前記切刃が、前記細長いシャフトの前記表面から約25°で延在する、請求項2に記載の縫合糸通しドリル。
【請求項4】
前記ドリル先端が三つの刃先を含む、請求項1に記載の縫合糸通しドリル。
【請求項5】
前記三つの刃先のうちの一つが、前記三つの刃先のうちのその他に対して120°で延在する、請求項4に記載の縫合糸通しドリル。
【請求項6】
前記狭い部分が、前記細長いシャフトにコイニングされる、請求項1に記載の縫合糸通しドリル。
【請求項7】
前記ワイヤループが、その最大開口位置で、前記第一の直径よりも大きい第三の直径を含む、請求項1に記載の縫合糸通しドリル。
【請求項8】
前記ワイヤループがニチノールで構成される、請求項1に記載の縫合糸通しドリル。
【請求項9】
前記細長いシャフトがステンレス鋼からなる、請求項1に記載の縫合糸通しドリル。
【請求項10】
前記ワイヤループに取り付けられたある長さの縫合糸をさらに備える、請求項1に記載の縫合糸通しドリル。
【請求項11】
前記長さの縫合糸が、アンカー本体を通して縫われる、請求項10に記載の縫合糸通しドリル。
【請求項12】
前記アンカー本体が全縫合ボタンである、請求項11に記載の縫合糸通しドリル。
【請求項13】
第二のボディに対して第一のボディに張力をかけるための方法であって、
それらの間に延在する細長いシャフトを備えた近位端および遠位端であって、細長いシャフトが第一の直径を有する第一の部分を有する、近位端および遠位端と、前記細長いシャフトの前記近位端から延在するワイヤループと、前記細長いシャフトの前記遠位端にあるドリル先端と、第二の直径を有する前記細長いシャフト上の狭い部分であって、前記ドリル先端に対して近位に隣接して位置付けられる、狭い部分と、を含む、縫合糸通しドリルを提供する工程であって、前記第二の直径が前記第一の直径よりも小さい、提供する工程と、
ある長さの縫合糸を前記ワイヤループに取り付ける工程と、
前記縫合糸通しドリルの前記ドリル先端を用いて、第一のボディに第一の穴を穿孔する工程と、
前記縫合糸通しドリルの前記ドリル先端を用いて、第二のボディに第二の穴を穿孔する工程と、
前記長さの縫合糸が前記第一のボディと前記第二のボディとの間に延在するように、前記縫合糸通しドリルを前記第二の穴を通して引っ張る工程と、を含む、方法。
【請求項14】
前記長さの縫合糸をアンカー本体に通す工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アンカー本体が全縫合ボタンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第一のボディと前記第二のボディとの間の前記長さの縫合糸に張力をかける工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記アンカー本体が、前記第二のボディの遠位表面上に位置付けられる、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記長さの縫合糸のフリーリムが、前記第一のボディの近位表面から延在する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記フリーリムを可撓性のバックストップに通す工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第一のボディおよび前記第二のボディが骨である、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月9日に出願された、「Coined Suture Passing Drill」と題する米国仮特許出願第62/668,900号の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は一般に、外科手術ドリルに関し、より具体的には、縫合糸を骨に通すためのドリルに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
引き裂かれまたは損傷した軟組織の修復必要とする外科手術はごく一般的である。同様に、多くの整形外科手術は、二つの骨の間に、または軟組織と骨との間など、二つのボディ間に作られたサスペンションを必要とする。サスペンションの目的は、第二のボディに対する望ましい位置に第一のボディを保持することである。一つの例示的な整形外科手術では、足底プレート修復、引き裂かれまたはその他の方法で損傷を受けた足の靱帯が足指の骨に再接近している。この手術は一般に、骨の二つの穴を穿孔し、各穴を通して縫合糸の一つのリムを引っ張り、各々の骨穴の外側の各リムに結び目を作ることによって行われる。
【0004】
足底プレート修復の従来的な方法によると、縫合糸をほどき、引き裂かれた組織と骨の間に必要なサスペンションを作り出すための骨ブリッジを作り出すために、骨を通して二つの骨穴を穿孔しなければならない。しかしながら、整形外科手術では、二つの骨穴の穿孔は、外科手術修復部位で少なくとも二倍の外傷を作り出す。骨穴によって生成される外傷は、骨が先端において比較的小さい骨である足底プレート修復などの外科手術で悪化する。外科手術修復部位が先端に位置するこうした状況では、二つの骨穴の穿孔が骨に対する許容できない大きさの損傷を引き起こし得る。さらに、一部の実例では、小さな骨の限定された空間によって二つの穴を穿孔することはできない。
【0005】
別の例示的な手術では、関節炎の台形切除術は、手根骨(すなわち、手首の骨)と中手骨(すなわち、近位の親指骨)との間のCMC接合部のサスペンションを必要とする。現在、CMC接合部のサスペンションは、まず、手根骨と中手骨との間に孔を穿孔し、次に、間に結びついた縫合糸を有する一対の金属ボタンを使用して実施される。しかしながら、骨孔を作出するために使用されるドリルは、ドリルの残りの部分と同一のサイズまたはそれより小さいドリル先端またはビットを有する。
【0006】
したがって、ドリルの残りの部分を通すための大きな骨孔を作出するためにより大きな先端を有するドリルに対するニーズがある。
【0007】
背景技術の項の免責条項:特定の特許/刊行物/製品がこの背景技術の項またはこの開示の他の場所で考察されている限り、これらの考察は考察された特許/刊行物/製品が特許法の目的のための先行技術であるという承認として捉えるべきではない。例えば、考察された特許/刊行物/製品の一部または全ては、十分早期でない場合があり、十分早期に開発された主題を反映していない場合があり、かつ/または特許法の目的のために先行技術に相当するほど、十分に授権するものではない場合がある。特定の特許/刊行物/製品が、この先行技術の項および/または出願全体を通して上記で考察されている限り、その記述/開示はそのそれぞれの全体が参照により全て本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の実施形態は、縫合糸を骨に通すのに最適な縫合糸通しドリルに関する。一態様によれば、縫合糸通しドリルは、それらの間に細長いシャフトが延在する、近位端および遠位端を含む。細長いシャフトの第一の部分は、第一の直径を有する。ドリルはまた、細長いシャフトの近位端から延在するワイヤループと、細長いシャフトの遠位端にあるドリル先端と、を含む。細長いシャフトは、第一の直径よりも小さい第二の直径を有する狭い部分を有する。狭い部分は、ドリル先端に対して近位に隣接し、第一の直径を有する細長いシャフトの一部分に遠位に隣接する。あるいは、狭い部分は、第一の直径を有する細長いシャフトの二つの部分の間、または、その直ぐ近位に隣接する第一の直径を有する細長いシャフトの一部分を有する細長いシャフトの非常に近位端に位置付けられてもよい。
【0009】
別の態様によれば、本発明は、第二のボディに対して第一のボディに張力をかけるための方法である。方法は、(i)それらの間に細長いシャフトが延在する、近位端および遠位端であって、細長いシャフトが第一の直径を有する第一の部分を有する、近位端および遠位端と、細長いシャフトの近位端から延在するワイヤループと、細長いシャフトの遠位端にあるドリル先端と、第二の直径を有する細長いシャフト上の狭い部分であって、ドリル先端に対して近位に隣接する、狭い部分とを備える縫合糸通しドリルを提供する工程であって、第二の直径が第一の直径よりも小さい、提供する工程と、(ii)ある長さの縫合糸をワイヤループに取り付ける工程と、(iii)縫合糸通しドリルのドリル先端を用いて、第一のボディに第一の穴を穿孔する工程と、(iv)縫合糸通しドリルのドリル先端を用いて、第二のボディに第二の穴を穿孔する工程と、(v)前述の長さの縫合糸が第一のボディと第二のボディとの間に延在するように、縫合糸通しドリルを第二の穴を通して引っ張る工程とを含む。
【0010】
本発明のこれらおよびその他の態様は、以下に記述される実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の一つ以上の態様は、本明細書の最後に特許請求の範囲の例として具体的に指摘され、明確に特許請求される。本発明の前述の、およびその他の目的、特徴、および利点は、添付図面と併せて取り上げられる以下の記述から明らかである。
【0012】
図1A図1Aは、実施形態による、縫合糸通しドリルの側面概略図である。
図1B図1Bは、実施形態による、縫合糸通しドリルの上面概略図である。
図2A図2Aは、実施形態による、縫合糸通しドリルの狭い部分の詳細概略図である。
図2B図2Bは、実施形態による、ドリル先端の正面概略図である。
図3図3は、実施形態による、ロードループに縫った縫合糸のフリーリムの上面斜視図である。
図4図4は、実施形態による、縫合糸サスペンションシステムの側面概略図である。
図5図5は、実施形態による、圧縮位置にある全縫合ボタンを有する縫合糸サスペンションシステムの側面概略図である。
図6図6は、実施形態による、圧縮位置にある全縫合ボタンおよび拡張位置にある全縫合バックストップを有する縫合サスペンションシステムの側面概略図である。
図7図7は、実施形態による、縫合糸サスペンションシステムの配備された構成の側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の態様およびその特定の特徴、利点、および詳細は、添付図面に図示した非限定的な例を参照しながらより完全に以下に説明される。本発明の詳細を不必要に不明瞭にしないよう、周知の構造の説明は省略される。しかし、当然のことながら、詳細な説明および特定の非限定的な例は、本発明の態様を示すものであるが、例示のみの目的で与えられ、限定の目的ではない。基礎となる発明の概念の趣旨および/または範囲内での様々な置換、修正、追加、および/または配設は、本開示から当業者には明らかであろう。
【0014】
ここで図面を参照すると、同様の参照番号が全体を通して同様の部分を指しており、図1Aおよび1Bは、実施形態による、縫合糸通しドリル10の側面概略図および上面概略図を示す。縫合糸通しドリル10は、それらの間に細長いシャフト12が延在する、近位端14および遠位端16を備える。細長いシャフト12の第一の部分は、第一の直径d1を有する。細長いシャフト12は、例えば、ステンレス鋼などの金属から構成され得る。
【0015】
縫合糸通しドリル10の遠位端16は、ドリル先端18を含む。ドリル先端18は、細長いシャフト12の表面22に対して角度θで延在してテーパ状ドリル先端18を作出する切刃20を含み得る。図示した実施形態では、ドリル先端18の切刃20が細長いシャフト12の表面22に対して延在する角度θは、およそ15°であるか、または15°に等しい。角度θは10°〜30°の範囲内で変化し得る。
【0016】
図2Bを簡単に参照すると、ドリル先端18の正面概略図が示されている。ドリル先端18は、それぞれ切刃20(図1A〜1B)を有し、かつそれぞれ互いに対して角度θ’で延在する、一つ以上の刃先24を含む。図示した実施形態では、ドリル先端18は、三つの刃先24を含む。三つの刃先24の切刃20(図1A〜1B)は、細長いシャフトの表面22に対して角度θ(図1A)で延在する。上述の角度θ(図1A)は、10°〜30°の範囲内であり、図示する実施形態では、角度θは三つ全ての刃先24に対して同一である。また、図2Bの実施形態に示すように、三つの刃先24は、三つの刃先24の任意の一つがその他の任意の刃先24に対してほぼ120°であるか、120°に等しいように、実質的に等距離にある。あるいは、刃先24は、三つの刃先24の任意の一つが他の刃先24のうちの少なくとも一つとは異なるように、必ずしも実質的に等距離にある必要はない。例えば、刃先24のそれぞれの間の角度θ’は、三つ全ての刃先24間の角度θ’の合計が360°になるまで最大15°で変化し得る。
【0017】
図1Aおよび1Bに戻ると、細長いシャフト12は、ドリル先端18に隣接する縫合糸通しドリル10の遠位端16に狭い部分26を含む。言い換えれば、狭い部分26は、細長いシャフト12上にドリル先端18に対して近位に位置する。狭い部分26は、図2Aにも示すように、細長いシャフト12の第一の直径d1よりも小さい第二の直径d2を有する。狭い部分26は、狭い部分26に指定された細長いシャフト12の領域のコイニングなど、任意の公知の方法によって作出され得る。コイニングは、より大きなドリル先端18を作出するためにドリル先端18の近位の細長いシャフト12の外径(または表面22)を機械加工する必要性を防止するため、細長いシャフト12に狭い部分26を作出するための好ましい方法である。
【0018】
さらに図1A及び1Bを参照すると、縫合糸通しドリル10は、その近位端14にループ28をさらに備える。ループ28は、ニチノールなどのワイヤから構成される。図示した実施形態では、ループ28はダイヤモンド形状である。図1Aに示すように、ループ28は、その最大点において、細長いシャフト12の第一の直径d1よりも大きい幅wを有し得る。弾性材料で構成されるため、ループ28の幅wは、開く、または拡張することができ、ループ28を通して位置付けられるものがない場合にはオリジナルの幅wに戻る。図示した実施形態にも示されるように、ループ28の少なくとも一部分30は、細長いシャフト12に取り付けられるか、またはその内部にある。ループ28は、ループ28が6lbsの最小の引っ張り強度を満たすように、細長いシャフト12内に取り付けられ得る。一実施形態では、細長いシャフト12内のループ28の一部分30は、ループ28の形状を維持するためにねじれている。
【0019】
上述のように、図1A〜1Bの縫合糸通しドリル10は、穿孔して骨孔を形成するために使用され得る。また、縫合糸通しドリル10は、本開示のレビューと併せて当業者によって理解されるべきであるように、特定の整形外科処置で必要とされるサスペンションを作出するために、縫合糸を骨孔に通すためにも使用され得る。
【0020】
ここで図3を参照すると、縫合糸通しドリル10(図1A〜1B)によって取り付けられた縫合糸バックストップシステム100の側面概略図が示されている。縫合糸通しドリル10は、第一のボディ118を通した単一孔118−1を穿孔するために使用される。第一のボディ118は骨であることが好ましいが、軟組織または移植片でもよい。次いで、ユーザは引き続き、縫合糸通しドリル10を駆動して、第二のボディ120を通した単一孔120−1を穿孔する。また、第二のボディ120は、骨、軟組織、または移植片であり得る。図3に示すように、第二のボディ120は、第一のボディ118に対して遠位に隣接して位置付けられる。
【0021】
第一のボディ118および第二のボディ120に穴118−1、120−1を穿孔する前に、ある長さの縫合糸114が、縫合糸通しドリル10のループ28に取り付けられる。こうして、縫合糸通しドリル10が、第一のボディ118内に孔118−1を作出し、遠位に移動して第二のボディ120内に穴120−1を作出した後、前述の長さの縫合糸14が第一のボディ118の穴118−1を通して引っ張られる。前述の長さの縫合糸114は、第二のボディ120を通して縫われ、骨穴120−1、118−1を通して後方に進められて、図3に示す縫合糸バックストップシステム100の部分的または配備されていない構成を形成するが、図中、前述の長さの縫合糸114は、第一のボディ118から近位に延在する二つのフリーリム116と共に示されている。第一のボディ118と第二のボディ120との間に位置付けられた(両方のリム116を含むが、これに限定されない)前述の長さの縫合糸114の一部分は、下記の縫合サスペンションシステム100に関連して記述されているように、ブリッジとみなされ得る。(しかし、この実施形態の「ブリッジ」は比較的短くできる。)
【0022】
ここで図4を参照すると、代替的な実施形態による、部分的または配備されていない構成における縫合サスペンションシステム100の側面概略図が示されている。図示されるように、前述の長さの縫合糸114は、アンカー本体112を通して縫われている。図示の実施形態では、アンカー本体112は拡張位置にある全縫合ボタンである。別の実施形態では、アンカー本体112は、本出願の譲受人に譲渡され、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許第9,700,403号に記載されるように、懸架固定装置であり得る。簡潔に述べると、懸架固定装置の一実施形態は、細長いアンカー部材(これは、予め形成された縫合糸受容開口部を有する場合と有さない場合があり、その少なくとも一つは、細長いアンカー部材の表面内に窪んでいる場合があるが、そうである必要はない)と、開口部の少なくとも一つに通される縫合糸とを含み得る。代替的な実施形態では、アンカー本体112は、軟質縫合糸アンカー材料であってもよい(本開示のレビューと併せて、当業者によって理解されるだろう)。簡潔に述べると、軟質アンカーは通常、完全に縫合材料で作られているため、それらは「全縫合」アンカーと呼ばれることもあり、一般に繊維状構築物のアンカー本体部分(または、米国特許第9173652号に記載されているように、可撓性のウェブなどの繊維状、編組または織布タイプの構造)を縫合糸またはフィラメント部分とともに含む。「軟質」の全縫合アンカーの別の例は、Y−ノット(登録商標)装置である。例えば、米国特許第9826971号を参照のこと。このような全縫合糸アンカーの実施形態は、以下の原因と結果の関係を捕らえるポアソン比も利用している。つまり、材料を第一の方向に圧縮すると、材料は第一の方向に垂直な方向に膨張し、(つまり、x方向に圧縮された場合、材料はy方向および/またはz方向に膨張する)、材料を第一の方向に引き伸ばす/伸ばすことにより、材料は第一の方向に垂直な方向に収縮する。前述の実施形態では、縫合糸114は、アンカー本体112を通って縫われ、縫合糸114の二つのフリーリム116がアンカー本体112から延在するようになる。
【0023】
サスペンションシステム100を利用するために、アンカー本体112に取り付けられたある長さの縫合糸114を、図1Aの縫合糸通しドリル10のループ28に通す。次いで、縫合糸通しドリル10を使用して、第一のボディ118を通る単一孔118−1および第二のボディ120に単一孔120−1を作出する。縫合糸通しドリル10は、遠位に前進するにつれて、前述の長さの縫合糸114を、骨穴118−1、120−1を通して、そして全縫合ボタン112を通して引っ張り、骨穴120−1、118−1を通して後方に前進して、図4〜5に示す部分的または配備されていない構成を形成するが、図中、前述の長さの縫合糸114は、骨118の対向/近位/上面128から近位に延在する二つのフリーリム116と共に示されている。全縫合ボタン112は、第二の骨120の遠位表面122から遠位に延在し、縫合糸114のセクションは、第一の骨118と第二の骨120との間にブリッジを形成する。
【0024】
図5に示すように、縫合糸114のフリーリム116は、第一の骨118から近位に引かれて、全縫合ボタン112を第二の骨120の遠位表面122に対して設定する。縫合糸114が近位に引っ張られると、全縫合ボタン112は、拡張位置(図4で)から圧縮位置(図5で)へ移動する。圧縮位置では、全縫合ボタン112は、第二の骨120内の骨穴120−1の直径よりも大きい第二の骨120の遠位側122上の表面積を覆う。全縫合ボタン112が圧縮位置にあると、縫合糸114の張力を使用して、拡張位置から圧縮位置にバックストップを配備することにより、第一の骨118と第二の骨120との間にサスペンション構成を作出することができる。
【0025】
ここで図6を参照すると、バックストップ124は、第一の骨118の近位側128に接するまで、縫合糸114に沿って遠位に移動されることが示されている。全縫合ボタン112と同様に、バックストップ124は、懸架固定装置であってもよく、および/または任意の軟質縫合アンカー材料から構成されてもよい。さらに、バックストップ124は、バックストップ124がX線写真で見えるように、放射線不透過性の繊維から成ることができる。全縫合アンカーバックストップ124および全縫合ボタン112を使用する目的は、外科手術部位での患者への炎症および不快感を最小化することである。
【0026】
バックストップ124が第一の骨118の近位側128に接すると、フリーリム116の追加的な張力が、バックストップ124を拡張位置から圧縮位置に移動させる。拡張位置では、バックストップ124の端部は、長手方向軸に沿った第一の方向にある。バックストップ124が圧縮位置に移動すると、バックストップ124の端部は、第一の方向とは異なる第二の方向に回転する。バックストップ124が骨穴の直径よりも大きい第一の骨118の近位側128上の表面積を覆うその他の圧縮位置が意図されている。バックストップ124の構造、構成、位置決めおよび関連機能の目的は、縫合糸114が第一の骨穴118−1から引っ張られるのを防ぎ、またバックストップ124と全縫合ボタン112の間の縫合糸114の張力を維持することである。
【0027】
図7を参照すると、バックストップ124の近位にある縫合糸114のフリーリム116に形成された結び目130の側面概略図すなわち、縫合サスペンションシステム100の配備された構成が示されている。フリーリム116の結び目130を作ると、バックストップ124が圧縮されて配備された位置に固定される。結び目130から延在する縫合糸114のフリーリム116の過剰な部分は、炎症および不快感の可能性を減少させるためにトリミングおよび除去できる。
【0028】
本明細書で定義され、かつ使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書内の定義、および/または定義された用語の通常の意味を管理するものと理解されるべきである。
【0029】
本明細書で様々な実施形態が説明され、かつ図示されてきたが、当業者は、本明細書に記載の機能を実施し、かつ/または結果および/または一つ以上の利点を得るための様々な他の手段および/または構造を容易に想起するであろうし、またそのような変形および/または変更の各々は、本明細書に記載の実施形態の範囲内であると見なされる。より一般的に、当業者は、本明細書に記載されるすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示的であり、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、教示が使用される一つ以上の特定の用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載される特定の実施形態に対する多数の同等物を単に通常の実験を用いて認識することになり、または確認することができる。従って、前述の実施形態は、単に例示的なものとして提示されており、添付した特許請求の範囲およびその等価物の範囲内で、実施形態は、具体的に記述および特許請求された以外の別の方法で、実行されてもよいことが理解されよう。本開示の実施形態は、本明細書に記述される個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。さらに、こうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、二つ以上のこうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせが、本開示の範囲内に含まれる。
【0030】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記述する目的のためのみのものであり、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。用語「備える(comprise)」(ならびに「備える(comprises)」および「備える(comprising)」などのcompriseの任意の形態)、「有する(have)」(ならびに「有する(has)」および「有する(having)」などのhaveの任意の形態)、「含む(include)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(including)」などのincludeの任意の形態)、および「包含する(contain)」(ならびに「包含する(contains)」および「包含する(containing)」などのcontainの任意の形態)は、オープンエンドの連結動詞であることがさらに理解されるだろう。結果として、方法または装置は、一つ以上のステップまたは要素を「備える(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」、または「包含する(contain)」。同様に、一つ以上の特徴を「備える(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」または「包含する(contain)」方法のステップ、または装置の要素は、それらの一つ以上の特徴を有するが、それらの一つ以上の特徴のみを保持することに限定されない。さらに、特定のやり方で構成される装置または構造は、少なくともそのように構成されるが、リストされていない方法で構成されてもよい。
【0031】
以下の特許請求の範囲における全ての手段またはステップに機能要素を加えたものの対応する構造、材料、行為および同等物は、もしあれば、具体的に特許請求される他の特許請求の範囲の要素と組み合わせて、機能を実行するための任意の構造、材料、または行為を含むことを意図している。本発明の記述は、例示および記述の目的で提示されてきたが、網羅的であること、または本発明に開示された形態で限定されることを意図しない。多くの修正および変形は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の一つ以上の態様の原理および実際の応用を最もよく説明し、他の当業者が、考えられる特定の用途に適した様々な修正を有する様々な実施形態について本発明の一つ以上の態様を理解できるように選ばれ、かつ記述された。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】