(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
一時的な除去可能な機械的循環支援心臓補助装置が少なくとも2つのプロペラまたは羽根車を有する。各々のプロペラまたは羽根車は、回転の軸の周りに配置されたいくつかの翼板を有する。翼板は血液を汲み上げるように構成される。2つのプロペラまたは羽根車は互いから反対方向に回転する。装置は低侵襲手術で埋め込みおよび除去されるように構成され得る。
電力をモータに送達するように構成される電気装置をさらに備え、前記電気装置は、体内にあり、少なくとも2つの前記プロペラまたは羽根車の近くに配置されるように構成される、請求項1に記載の装置。
モータと少なくとも2つの前記プロペラまたは羽根車のうちの下流のプロペラまたは羽根車との間に配置される第1の歯車箱と、少なくとも2つの前記プロペラまたは羽根車のうちの上流のプロペラまたは羽根車と下流のプロペラまたは羽根車との間の第2の歯車箱と、をさらに備える、請求項1に記載の装置。
前記第1の歯車箱および前記第2の歯車箱内の歯車の直径は、前記少なくとも2つのプロペラまたは羽根車の間の等しい毎分回転数を達成するように構成される、請求項6に記載の装置。
前記第1の歯車箱および前記第2の歯車箱における歯車の直径は、前記少なくとも2つのプロペラまたは羽根車の間の異なる毎分回転数を達成するように構成される、請求項6に記載の装置。
2つのモータをさらに備え、2つの前記モータは背中合わせで配置され、2つの前記モータは、反対方向で回転する少なくとも2つの前記プロペラまたは羽根車のうちの2つのプロペラまたは羽根車に接続される、請求項1に記載の装置。
1つの回転子と第1および第2の固定子とをさらに備え、前記第1の固定子は上流に位置付けられるように構成され、前記第2の固定子は下流に位置付けられるように構成される、請求項1に記載の装置。
少なくとも2つの前記プロペラまたは羽根車のうちの2つのプロペラまたは羽根車を反対方向に駆動する2つの同心の出力シャフトと、柔軟なシャフトを介して電気モータまたは歯車モータに接続される1つの入力シャフトと、を備える歯車箱をさらに備える、請求項1に記載の装置。
少なくとも2つの前記プロペラまたは羽根車のうちの上流のプロペラまたは羽根車は遊星歯車式歯車箱によって駆動され、少なくとも2つの前記プロペラまたは羽根車のうちの下流のプロペラまたは羽根車は、第2の遊星歯車式歯車箱によって、前記上流の羽根車またはプロペラと反対の方向に駆動される、請求項1に記載の装置。
反対方向に回転する少なくとも2つの前記プロペラまたは羽根車のうちの2つのプロペラまたは羽根車の前記翼板は、折り畳まれた翼板との挿入および除去、ならびに、折り畳まれていない翼板との動作に適応するために、羽根車のハブへの柔軟な接続を備える、請求項1に記載の装置。
反対方向に回転する少なくとも2つの前記プロペラまたは羽根車のうちの2つのプロペラまたは羽根車の前記翼板は、カテーテル内への折り畳まれた翼板との挿入および除去、ならびに折り畳まれていない翼板との動作に適応するために、前記羽根車のハブへの機械的な接続を備える、請求項1に記載の装置。
少なくとも2つの前記プロペラまたは羽根車の二重反転を提供するために、モータと少なくとも2つの前記プロペラまたは羽根車のうちの下流のプロペラまたは羽根車との間に配置される第1の歯車箱をさらに備える、請求項47に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【
図1】血管構造のある区域に接続され、生来の血管の小さい一部分と並列に流体の流れを駆動するように構成される機械的循環支援部の図である。
【
図2】生来の血管と全体で直列にあり、生来の血管の短い一部分を迂回する支援部が血流を駆動する、
図1の機械的循環支援部についての代替の構成の図である。
【
図3】複数の出口ポートとインピーダンス設定部材とを備える機械的循環支援部の図である。
【
図4】血管構造におけるVADの様々な設置の構成の概略図である。
【
図5A】MCSの例を示す、MCSの斜視図である。
【
図5B】MCSの例を示す、MCSの試作品の写真である。
【
図5C】MCSの例を示す、MCSの側方からの断面図である。
【
図5D】MCSの例を示す、様々な構成要素および間隔の例の寸法(mm)を伴うMCS100の単純化された側方からの概略的な断面図である。
【
図6A】羽根車の例を示す、MCSと共に使用されるように構成される羽根車の例の斜視図である。
【
図6B】羽根車の例を示す、羽根車の側方からの断面図である。
【
図6C】羽根車の例を示す、羽根車の上方からの断面図である。
【
図6D】羽根車の例を示す、上キャップと下キャップとを含む羽根車組立体の斜視図である。
【
図6E】羽根車の例を示す、
図6Dにおける羽根車組立体の分解図である。
【
図7A】羽根車のさらなる例を示す、シュラウド付きの羽根車の例の斜視図である。
【
図7B】羽根車のさらなる例を示す、シュラウド付きの羽根車の別の例の斜視図である。
【
図7C】羽根車のさらなる例を示す、シュラウドなしの羽根車の例の斜視図である。
【
図7D】羽根車のさらなる例を示す、シュラウドなしの羽根車の別の例の斜視図である。
【
図8A】MCSケーシングの例を示す、MCSケーシングの例の分解図である。
【
図8B】MCSケーシングの例を示す、
図8Aに示したケーシング上方渦巻構造の下面図である。
【
図8C】MCSケーシングの例を示す、
図8Aに示したケーシング下方渦巻構造の斜視図である。
【
図8D】MCSケーシングの例を示す、MCSケーシングの別の例の斜視図である。
【
図8E】MCSケーシングの例を示す、内側ケーシングおよび外側ケーシングを伴うMCS羽根車の例の分解図である。
【
図9】MCSの羽根車および内部ケーシングの表面を通じての血流の例の概略図である。
【
図10A】MCS磁気軸方向懸架システムの例の構成要素を示す、軸方向懸架磁石の相対的な位置決めの例の図である。
【
図10B】MCS磁気軸方向懸架システムの例の構成要素を示す、上方軸方向磁石保持体の例の図である。
【
図10C】MCS磁気軸方向懸架システムの例の構成要素を示す、下方軸方向磁石保持体の例の図である。
【
図10D】MCS磁気軸方向懸架システムの例の構成要素を示す、MCS羽根車に位置決めされる輪状磁石に対する軸方向磁石保持体の調節能力を示す概略図である。
【
図11A】MCS磁気径方向懸架システムの例の構成要素を示す、径方向懸架磁石と渦電流センサとの相対的な位置決めの例の図である。
【
図11B】MCS磁気径方向懸架システムの例の構成要素を示す、上径方向磁石保持体の例の図である。
【
図11C】MCS磁気径方向懸架システムの例の構成要素を示す、下径方向磁石保持体の例の図である。
【
図11D】MCS磁気径方向懸架システムの例の構成要素を示す、MCSケーシング蓋に着座された上方径方向懸架構成要素の例の図である。
【
図11E】MCS磁気径方向懸架システムの例の構成要素を示す、MCSケーシング下方渦巻構造に着座された下方径方向懸架構成要素の例の図である。
【
図12A】羽根車をMCSのケーシングの中で安定化させる様態を示し、パッシブな磁石と流体力学的ジャーナル軸受力とを使用する安定化を示す図である。
【
図12B】羽根車をMCSのケーシングの中で安定化させる様態を示し、パッシブな磁石とアクティブな磁石とを使用する安定化を示す図である。
【
図13A】電磁的安定化システムの電気動作を示す、電磁的安定化システムの電気動作を描写する概略的なブロック図である。
【
図13B】電磁的安定化システムの電気動作を示す、電磁的安定化システムを動作させるために
図13Aに描写された流れ図に従って使用され得る回路の例の概略図である。
【
図14A】MCS回転子の例を示す、回転子の上面図である。
【
図14B】MCS回転子の例を示す、MCSの羽根車内に設置された回転子の斜視図である。
【
図15A】MCS固定子の例を示す、固定子の上面図である。
【
図15B】MCS固定子の例を示し、羽根車の周りでの固定子の位置決めと、下方軸方向懸架構成要素および下方径方向懸架構成要素の相対的な位置決めと、を示す図である。
【
図16A】MCS電力システムおよび動作パラメータの例を示す、無傷経皮エネルギー移送システムの例の概略図である。
【
図16B】MCS電力システムおよび動作パラメータの例を示す、有傷経皮エネルギー移送システムの例の概略図である。
【
図16C】MCS電力システムおよび動作パラメータの例を示す、モータ駆動回路の例の概略図である。
【
図16D】MCS電力システムおよび動作パラメータの例を示す、電池充電回路の例の概略図である。
【
図16E】MCS電力システムおよび動作パラメータの例を示す、電力条件付け回路の例の概略図である。
【
図16F】MCS電力システムおよび動作パラメータの例を示し、他の装置に対する溶血シミュレーションの計算結果を描写する図である。
【
図17】角度付けされた構成での下行大動脈の一部分と直列に設置されたMCSの例の概略図である。
【
図18A】角度付けされた構成での下行大動脈の一部分と並列に設置されたMCSの例を示す、真っ直ぐなグラフトを使用して設置されたMCSの概略図である。
【
図18B】角度付けされた構成での下行大動脈の一部分と並列に設置されたMCSの例を示す、2つの湾曲したグラフトを使用して設置されたMCSの概略図である。
【
図19】クエスチョンマーク形とされた出口グラフトを使用して下行大動脈の一部分と同一線上に設置されたMCSの例の概略図である。
【
図20】下行大動脈の一部分と直列に設置される入口において90度の流れの曲げを備える同軸のMCSの例の概略図である。
【
図21A】様々なMCS構成を通じてのシミュレートされた血流を概略的に描写する、大動脈に対しておおよそ45度の入口角度とおおよそ45度の出口角度とを伴う角度付けされた構成で設置されたMCSを示す図である。
【
図21B】様々なMCS構成を通じてのシミュレートされた血流を概略的に描写する、大動脈に対しておおよそ65度の入口角度とおおよそ25度の出口角度とを伴う角度付けされた構成で設置されたMCSを示す図である。
【
図21C】様々なMCS構成を通じてのシミュレートされた血流を概略的に描写する、25mmの入口半径を伴うMCS、または大動脈に対しておおよそ90度の入口角度とおおよそ同一線上(0度)の出口とを伴う角度付けされた構成で設置されたMCSを示す図である。
【
図21D】様々なMCS構成を通じてのシミュレートされた血流を概略的に描写する、15mmの入口半径を伴うMCS、または大動脈に対しておおよそ90度の入口角度とおおよそ同一線上(0度)の出口とを伴う角度付けされた構成で設置されたMCSを示す図である。
【
図22A】巻き付きディフューザおよび渦巻構造通路を伴う同一線上のMCSの例を概略的に示し、羽根車と、ディフューザの一部分と、ディフューザを通る流体流れの方向とを示す側方からの断面図である。
【
図22B】巻き付きディフューザおよび渦巻構造通路を伴う同一線上のMCSの例を概略的に示し、巻き付きディフューザを伴う同一線上のMCSと、MCSを通る流体流れの方向とを示す斜視図である。
【
図22C】巻き付きディフューザおよび渦巻構造通路を伴う同一線上のMCSの例を概略的に示し、巻き付きディフューザを伴う同一線上のMCSと、MCSを通る流体流れの方向とを示す斜視図である。
【
図23A】流体流れを変更するためのMCSの流入路または流出路の中に位置決めされる羽根の例を概略的に示す、不動の予旋回羽根を備える装置の入口の例の側方からの概略的な断面図である。
【
図23B】流体流れを変更するためのMCSの流入路または流出路の中に位置決めされる羽根の例を概略的に示す、不動の予旋回羽根を備える入口の別の例の開いた周辺の概略的な側面図である。
【
図23C】流体流れを変更するためのMCSの流入路または流出路の中に位置決めされる羽根の例を概略的に示す、ディフューザおよび渦巻構造の中に分割羽根を備えるケーシングの上方からの概略的な断面図である。
【
図23D】流体流れを変更するためのMCSの流入路または流出路の中に位置決めされる羽根の例を概略的に示す、出口渦巻構造の中に分割羽根を備えるケーシングの上方からの概略的な断面図である。
【
図23E】流体流れを変更するためのMCSの流入路または流出路の中に位置決めされる羽根の例を概略的に示す、ディフューザの周りに周方向で位置決めされるディフューザ羽根を備えるケーシングの上方からの概略的な断面図である。
【
図24A】血管の内腔における設置のために構成されたMCS装置の例の概略図である。
【
図24B】血管の内腔における設置のために構成されたMCS装置の例の概略図である。
【
図24C】血管の内腔における設置のために構成されたMCS装置の例の概略図である。
【
図24D】血管の内腔における設置のために構成されたMCS装置の例の概略図である。
【
図24E】血管の内腔における設置のために構成されたMCS装置の例の概略図である。
【
図24F】血管の内腔における設置のために構成されたMCS装置の例の概略図である。
【
図25A】1つのプロペラを備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図25B】2つのプロペラを備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図25C】4つのプロペラを備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図26】二重反転プロペラの対を通じて流れる血流の速度ベクトルの概略図である。
【
図27】単一の羽根車を備えるMCS装置についての速度輪郭の図である。
【
図28A】様々な構成のMCS装置の例の概略図である。
【
図28B】様々な構成のMCS装置の例の概略図である。
【
図28C】様々な構成のMCS装置の例の概略図である。
【
図29A】MCS装置の動作構成の様々な例の概略図である。
【
図29B】MCS装置の動作構成の様々な例の概略図である。
【
図29C】MCS装置の動作構成の様々な例の概略図である。
【
図29D】MCS装置の動作構成の様々な例の概略図である。
【
図29E】MCS装置の動作構成の様々な例の概略図である。
【
図30A】モータおよび回転子の様々な構成を有するMCS装置の例の概略図である。
【
図30B】モータおよび回転子の様々な構成を有するMCS装置の例の概略図である。
【
図30C】モータおよび回転子の様々な構成を有するMCS装置の例の概略図である。
【
図30D】モータおよび回転子の様々な構成を有するMCS装置の例の概略図である。
【
図30E】モータおよび回転子の様々な構成を有するMCS装置の例の概略図である。
【
図30F】モータおよび回転子の様々な構成を有するMCS装置の例の概略図である。
【
図31A】血管外固定子を備えるモータを備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図31B】血管外固定子を備えるモータを備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図32A】翼板の複数の列を備える血管内回転子の周りに周方向で位置決めされている血管外固定子の様々な例の概略図である。
【
図32B】翼板の複数の列を備える血管内回転子の周りに周方向で位置決めされている血管外固定子の様々な例の概略図である。
【
図32C】翼板の複数の列を備える血管内回転子の周りに周方向で位置決めされている血管外固定子の様々な例の概略図である。
【
図33A】翼板同士を結合する磁性輪体を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図33B】翼板同士を結合する磁性輪体を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図33C】翼板同士を結合する磁性輪体を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図34A】磁性ウイングレットを備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図34B】磁性ウイングレットを備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図34C】磁性ウイングレットを備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図35A】鉄輪体を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図35B】鉄輪体を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図36】回転子と血管内固定子とを備えるMCS装置の概略図である。
【
図37A】折り畳み可能な回転子510と血管内固定子とを備えるMCS装置を設置する方法の例の概略図である。
【
図37B】折り畳み可能な回転子510と血管内固定子とを備えるMCS装置を設置する方法の例の概略図である。
【
図38A】折り畳み可能なMCS装置を設置する方法の例の概略図である。
【
図38B】折り畳み可能なMCS装置を設置する方法の例の概略図である。
【
図38C】折り畳み可能なMCS装置を設置する方法の例の概略図である。
【
図39】固定子コイルの2つの潰れることができる個別の輪体と折り畳み可能な回転子とを備えるMCS装置を展開する方法の概略図である。
【
図40】大動脈に位置決めされた回転子を駆動するように構成された様態での下大静脈におけるモータの固定子の配置の例の概略図である。
【
図41】切断される下行大動脈と外科的に直列で設置されたMCS装置の例の概略図である。
【
図42A】様々な種類のモータの仕様および比較の詳細図である。
【
図42B】様々な種類のモータの仕様および比較の詳細図である。
【
図42C】様々な種類のモータの仕様および比較の詳細図である。
【
図42D】様々な種類のモータの仕様および比較の詳細図である。
【
図42E】様々な種類のモータの仕様および比較の詳細図である。
【
図42F】様々な種類のモータの仕様および比較の詳細図である。
【
図42G】様々な種類のモータの仕様および比較の詳細図である。
【
図42H】様々な種類のモータの仕様および比較の詳細図である。
【
図42I】様々な種類のモータの仕様および比較の詳細図である。
【
図42J】様々な種類のモータの仕様および比較の詳細図である。
【
図43A】ヒンジ付き固定子の例および関連する構成要素の例の仕様の概略図である。
【
図43B】ヒンジ付き固定子の例および関連する構成要素の例の仕様の概略図である。
【
図43C】ヒンジ付き固定子の例および関連する構成要素の例の仕様の概略図である。
【
図43D】ヒンジ付き固定子の例および関連する構成要素の例の仕様の概略図である。
【
図43E】ヒンジ付き固定子の例および関連する構成要素の例の仕様の概略図である。
【
図43F】ヒンジ付き固定子の例および関連する構成要素の例の仕様の概略図である。
【
図43G】ヒンジ付き固定子の例および関連する構成要素の例の仕様の概略図である。
【
図43H】ヒンジ付き固定子の例および関連する構成要素の例の仕様の概略図である。
【
図43I】ヒンジ付き固定子の例および関連する構成要素の例の仕様の概略図である。
【
図43J】ヒンジ付き固定子の例および関連する構成要素の例の仕様の概略図である。
【
図43K】ヒンジ付き固定子の例および関連する構成要素の例の仕様の概略図である。
【
図43L】ヒンジ付き固定子の例および関連する構成要素の例の仕様の概略図である。
【
図43M】ヒンジ付き固定子の例および関連する構成要素の例の仕様の概略図である。
【
図43N】ヒンジ付き固定子の例および関連する構成要素の例の仕様の概略図である。
【
図44A】MCS装置を駆動するための制御装置および波形の例の概略図である。
【
図44B】MCS装置を駆動するための制御装置および波形の例の概略図である。
【
図44C】MCS装置を駆動するための制御装置および波形の例の概略図である。
【
図44D】MCS装置を駆動するための制御装置および波形の例の概略図である。
【
図44E】MCS装置を駆動するための制御装置および波形の例の概略図である。
【
図45A】生体外での試験に特に適し得るMCS装置の例の概略図である。
【
図45B】生体外での試験に特に適し得るMCS装置の例の概略図である。
【
図45C】生体外での試験に特に適し得るMCS装置の例の概略図である。
【
図45D】生体外での試験に特に適し得るMCS装置の例の概略図である。
【
図46A】生体外での試験に特に適し得るMCS装置の例の概略図である。
【
図46B】生体外での試験に特に適し得るMCS装置の例の概略図である。
【
図46C】生体外での試験に特に適し得るMCS装置の例の概略図である。
【
図46D】生体外での試験に特に適し得るMCS装置の例の概略図である。
【
図46E】生体外での試験に特に適し得るMCS装置の例の概略図である。
【
図47A】折り畳み可能なプロペラ翼板を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図47B】折り畳み可能なプロペラ翼板を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図47C】折り畳み可能なプロペラ翼板を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図47D】折り畳み可能なプロペラ翼板を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図47E】折り畳み可能なプロペラ翼板を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図48A】各々の列において1つだけの翼板が磁性である折り畳み可能なプロペラ翼板を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図48B】各々の列において1つだけの翼板が磁性である折り畳み可能なプロペラ翼板を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図48C】各々の列において1つだけの翼板が磁性である折り畳み可能なプロペラ翼板を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図48D】各々の列において1つだけの翼板が磁性である折り畳み可能なプロペラ翼板を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図49】バネ付き翼板プロペラの展開のための連続的なステップの概略図である。
【
図50A】MCS装置の磁性翼板同士の間の磁力の効果の概略図である。
【
図50B】MCS装置の磁性翼板同士の間の磁力の効果の概略図である。
【
図50C】MCS装置の磁性翼板同士の間の磁力の効果の概略図である。
【
図51A】送達のための一部分解された構成と、動作する完全に組み立てられた構成と、を備えるMCS装置の概略図である。
【
図51B】送達のための一部分解された構成と、動作する完全に組み立てられた構成と、を備えるMCS装置の概略図である。
【
図51C】送達のための一部分解された構成と、動作する完全に組み立てられた構成と、を備えるMCS装置の概略図である。
【
図51D】送達のための一部分解された構成と、動作する完全に組み立てられた構成と、を備えるMCS装置の概略図である。
【
図51E】送達のための一部分解された構成と、動作する完全に組み立てられた構成と、を備えるMCS装置の概略図である。
【
図52A】磁性翼板および非磁性翼板の列を有する折り畳み可能なMCS装置の例の概略図である。
【
図52B】磁性翼板および非磁性翼板の列を有する折り畳み可能なMCS装置の例の概略図である。
【
図52C】磁性翼板および非磁性翼板の列を有する折り畳み可能なMCS装置の例の概略図である。
【
図52D】磁性翼板および非磁性翼板の列を有する折り畳み可能なMCS装置の例の概略図である。
【
図52E】磁性翼板および非磁性翼板の列を有する折り畳み可能なMCS装置の例の概略図である。
【
図53A】分割可能なMCS装置の遠位半体と近位半体との血管内の結合の概略図である。
【
図53B】分割可能なMCS装置の遠位半体と近位半体との血管内の結合の概略図である。
【
図54A】板バネ式係留機構を備えるMCS装置の展開の概略図である。
【
図54B】板バネ式係留機構を備えるMCS装置の展開の概略図である。
【
図55A】z形折り畳み機構を備えるMCS装置の例の図である。
【
図55B】z形折り畳み機構を備えるMCS装置の例の図である。
【
図55C】z形折り畳み機構を備えるMCS装置の例の図である。
【
図55D】z形折り畳み機構を備えるMCS装置の例の図である。
【
図55E】z形折り畳み機構を備えるMCS装置の例の図である。
【
図56A】c形折り畳み機構を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図56B】c形折り畳み機構を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図56C】c形折り畳み機構を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図57A】翼板設計の様々なパラメータの図である。
【
図57B】翼板設計の様々なパラメータの図である。
【
図57C】翼板設計の様々なパラメータの図である。
【
図57D】翼板設計の様々なパラメータの図である。
【
図59A】様々なスタッガ角度を有する翼板についての実験結果の図である。
【
図59B】様々なスタッガ角度を有する翼板についての実験結果の図である。
【
図59C】様々なスタッガ角度を有する翼板についての実験結果の図である。
【
図59D】様々なスタッガ角度を有する翼板についての実験結果の図である。
【
図59E】様々なスタッガ角度を有する翼板についての実験結果の図である。
【
図59F】様々なスタッガ角度を有する翼板についての実験結果の図である。
【
図59G】様々なスタッガ角度を有する翼板についての実験結果の図である。
【
図59H】様々なスタッガ角度を有する翼板についての実験結果の図である。
【
図59I】様々なスタッガ角度を有する翼板についての実験結果の図である。
【
図59J】様々なスタッガ角度を有する翼板についての実験結果の図である。
【
図59K】様々なスタッガ角度を有する翼板についての実験結果の図である。
【
図59L】様々なスタッガ角度を有する翼板についての実験結果の図である。
【
図59M】様々なスタッガ角度を有する翼板についての実験結果の図である。
【
図60A】MCS装置の動作構成の様々な例の概略図である。
【
図60B】MCS装置の動作構成の様々な例の概略図である。
【
図60C】MCS装置の動作構成の様々な例の概略図である。
【
図60D】MCS装置の動作構成の様々な例の概略図である。
【
図60E】MCS装置の動作構成の様々な例の概略図である。
【
図60F】MCS装置の動作構成の様々な例の概略図である。
【
図60G】MCS装置の動作構成の様々な例の概略図である。
【
図61A】バルーンを備えるMCS装置の動作構成の概略図である。
【
図61B】バルーンを備えるMCS装置の動作構成の概略図である。
【
図61C】バルーンを備えるMCS装置の動作構成の概略図である。
【
図62A】MCS装置の内部機構の様々な例の概略図である。
【
図62B】MCS装置の内部機構の様々な例の概略図である。
【
図62C】MCS装置の内部機構の様々な例の概略図である。
【
図62D】MCS装置の内部機構の様々な例の概略図である。
【
図62E】MCS装置の内部機構の様々な例の概略図である。
【
図63A】血管の内腔における設置のために構成されるMCS装置の例の概略図である。
【
図63B】血管の内腔における設置のために構成されるMCS装置の例の概略図である。
【
図63C】血管の内腔における設置のために構成されるMCS装置の例の概略図である。
【
図64A】挿入を容易にするための様々なモータの配置および機構を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図64B】挿入を容易にするための様々なモータの配置および機構を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図64C】挿入を容易にするための様々なモータの配置および機構を備えるMCS装置の例の概略図である。
【
図65A】傘のような形で開くMCS装置の動作構成の概略図である。
【
図65B】傘のような形で開くMCS装置の動作構成の概略図である。
【
図68A】2つの歯車箱を備えるMCS装置の動作構成の概略図である。
【
図68B】2つの歯車箱を備えるMCS装置の動作構成の概略図である。
【
図68C】2つの歯車箱を備えるMCS装置の動作構成の概略図である。
【
図68D】2つの歯車箱を備えるMCS装置の動作構成の概略図である。
【
図69】2つの歯車箱を備えるMCS装置の動作構成の概略図である。
【
図70A】2つの歯車箱を備えるMCS装置の動作構成の概略図である。
【
図70B】2つの歯車箱を備えるMCS装置の動作構成の概略図である。
【
図71】潤滑経路を備えるMCS装置の動作構成の概略図である。
【
図72】渦状溝を備えるMCS装置の動作構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0120】
図1は血管構造2の断面を描写している。実施形態では、血管構造2の断面は下行大動脈の断面を含む。実施形態では、下行大動脈の断面は隔膜(矢印4)の下方である。実施形態では、下行大動脈の断面は、腎動脈および/または内臓動脈(矢印6)の上流および/または上方である。血流が矢印8、8A、および8Bによって概略的に示されている。
【0121】
機械的循環支援部10が、入口ポート12および出口ポート14を介して血管構造への接続(つまり、血管構造の壁を貫く接続)を備える。入口ポート12は、支援部10の本体部分24によって定められる内腔20の第1の端16と流体連通している。出口ポート14は内腔20の第2の端18と流体連通している。ポンプ22が内腔20の中に設けられており、流体の流れを入口ポート12から離れて出口ポート14に向かう方向において駆動するために構成されている。
【0122】
実施形態では、ポンプ22は遠心ポンプである。遠心ポンプの形状は、第1の視界において、一部の先行技術のMCS/VAD装置において使用される軸流ポンプの形状より都合悪く見える。しかしながら、本発明者は、選択された圧力上昇、流量、回転速度、および装置直径において、軸流羽根車に反して遠心羽根車を使用することから得られると共に、所与のレベルの汲み上げについてのポンプと血液との間のより攻撃的でない相互作用から得られる流体流れおよびターボ機械の効率が、形状によって課されるあらゆる困難を上回ることを認識した。血液を汲み上げる状況において必要とされる汲み上げのレベルには、より小さい入力の動力と、血液へのより少ない損傷と、がもたらされ得る。記載した解剖学的場所における直列での動作は、十分な120mmHgの圧力上昇を提供するように構成されるVADとして設計される装置より小さい動力のレベルをもたらし、ポンプの寸法を縮小することを可能にする。血液への損傷を減らすことで、使用中に悪い副作用の危険性を低下させる。
【0123】
実施形態では、ポンプ22は、拍動流(生来の心臓によって提供される流れなど)ではなく連続的な流れを提供するように構成されている。結果もたらされたポンプ22はより単純であり、より容易に最適化され得る。本発明者は、心臓の拍動流を真似ることが必要ないことを認識している。これは特に、心臓に直接的に接続され、心臓と並列に動作するように配置される先行技術の構成と比較して、支援部の動作が心臓の通常の機能を妨害する度合いが低下させられるため、支援部10が心臓と直列に提供される場合である。
【0124】
図1に示された実施形態では、入口ポート12は、血管内の血流の一部分8Aを内腔20へと転換させる一方で、残りの血流8Bを生来の血管2に通し続けるように構成されている。出口ポート14は、転換させられた血流の一部分8Aをさらに下流において血管2へと戻す再導入を許容するように構成されている。そのため、この実施形態では、支援部10は血管2の短い一部分26と並列に動作する。この手法は、既存の血管系への妨害を最小限にし、低侵襲手術を用いて設置され得る。また、並列の流路を有する領域の提供は、血管系の全体の流れ能力を増加させ、それによって心臓における負担をある程度まで低下させる。区分8Bの抵抗およびインピーダンスは、ポンプの出口と入口との間の再循環する流れを防止するように調節される必要があり得る。
【0125】
実施形態では、装置がポンプを電気的に駆動するために提供される。実施形態では、装置は身体に装着されるように構成される(例えば、身体の内側、身体の外側、または両方に装着される構成要素を有する)。したがって、支援部は長い時間の期間(例えば、数週間、数カ月間、または数年間)にわたって設置され得る。したがって、患者は、支援部が設置された後に病棟内に留まる必要がない。
図1に示された実施形態では、ポンプを駆動するための装置は、ポンプを駆動するための電力を受け入れる電力受入部材50を備える。電力受入部材50は、電力52の入力を、身体の外側に位置付けられる電源(例えば、身体の外側に装着される電池)、および/または、身体の内側に位置付けられる電源(例えば、身体の内側に装着される電池)から受け入れるように構成されている。実施形態では、電源と電力受入部材50との間の接続は、例えば電磁誘導を使用するといった無線で行われる。実施形態では、電力受入部材50はコイルを備える。無線接続が身体の外側の電源に行われるとき、接続は無傷経皮の接続と称されてもよい。実施形態では、有線接続が、身体の外側に位置付けられた電源と電力受入部材50との間で行われている。実施形態では、有線接続は有傷経皮で確立されている。
【0126】
実施形態では、支援部10は、データ56を身体の外側の制御装置57に対して送信/受信するためのデータ送信機/受信機54をさらに備える。代替の実施形態では、制御装置57、または制御装置57の一部は、身体の中(つまり、皮膚の下)に設置されるように構成される。この種類の実施形態では、制御装置57は、身体の中での設置に適する様態で封止される、および/または、長い時間の期間にわたって身体の中で組織と接触するのに適する材料(例えば、生体適合性材料)から作られる筐体を備える。実施形態では、制御装置57は、支援部10の一部または全部に電力供給するための内部の電源(例えば、内部の電池)のための筐体と同じ生体適合性材料から作られる筐体を備える。
【0127】
実施形態では、制御装置57は、ポンプ22の1つ以上の動作特性を監視するための1つ以上のセンサと相互作用するように構成されている。例えば、速度センサは、ポンプ22の羽根車の回転速度を測定するために使用され得る。一実施形態では、3つのホール効果センサは、羽根車回転速度を測定するために使用される。代替または追加で、羽根車の前後での圧力上昇が、例えば1つが羽根車の上流で1つが羽根車の下流の2つの圧力変換器で、測定される。実施形態では、流量が測定されるか、または他の測定されたパラメータの関数として測られる。実施形態では、センサからの測定出力のセット、または測定の任意の部分セット(例えば、羽根車回転速度および圧力上昇)が、必要な潅流を達成するように、羽根車の回転速度と、延いてはポンプモータへの電力入力とを順応的に制御するために、(例えば、制御装置57によって)使用される。他の実施形態では、他の動作特性が1つ以上のセンサ測定に応じて順応的に制御される。
【0128】
一実施形態では、羽根車回転速度、圧力上昇、および/または流量などの性能データが、急性疾患の発症の場合、またはシステム不具合の場合に警報を鳴らすように構成される内部ユニットまたは外部ユニット(例えば、制御装置57、または制御装置57の一部)に送信される。実施形態では、性能データは、患者のベッドの傍のスマートフォンまたは同様の装置にインストールされるアプリケーションでデータを回収し、例えばそのデータを監視ステーションに電子的に送る外部ユニットに無線で送信される。実施形態では、監視ステーションは、患者の後見人もしくは医師に、または救急サービスに警報を送るように設定されている。代替または追加で、システムは、性能を向上させるためにポンプの動作を合理的に調整するように設定され得る。機械的循環支援部の電気動作のさらなる詳細は、本明細書における他の場所において記載されている。
【0129】
図2は、機械的循環支援部10が、
図1の実施形態におけるように血管2の一部分と並列に動作するのではなく、血管2のその一部分を迂回するように構成されている代替の実施形態を示している。この実施形態における入口ポート12は、血管2の中の流れ8のすべてを支援部10の内腔20へと転換させる。同様に、出口ポート14は、流れ8のすべてを生来の血管2へと戻すように再導入するように構成されている。大動脈と直列および並列のいずれかで設置される機械的循環支援部の特定の例が、本明細書において説明される。
【0130】
図1および
図2を参照して記載された実施形態では、支援部10は単一の入口ポート12と単一の出口ポート14とを有する。しかしながら、これは必須ではない。代替の実施形態では、支援部10は2つ以上の入口ポート12および/または2つ以上の出口ポート14を備え得る。実施形態では、支援部10は、下行大動脈の中の単一の入口ポート12と、2つの出口ポート14と、を備える。実施形態では、第1の出口ポート14は下行大動脈へと接続されるように構成され、第2の出口ポート14は上行大動脈へと接続されるように構成されている。実施形態では、支援部10は、下行大動脈へと接続される単一の入口ポート12と、上行大動脈へと接続される単一の出口ポート14と、を有する。出口を上行大動脈に提供することは、例えば追加的な支援部を脳に提供するために、またはポンプに「呼び水」をするために、有用であり得る。他の構成が臨床上の要求に応じて可能である。
【0131】
複数の出口ポート14が設けられる場合、異なる出口ポート14の各々と、および/または出口ポート14につながる流路と関連付けられる流れ特性は、臨床上の要求に応じてポンプ22によって提供される血流の分配を制御するように選択され得る。流れ特性には、流れ抵抗、流れコンプライアンス、および/または流れインダクタンスがあり得る。例えば、流れへの少しだけの寄与のみが特定の出口ポート14において必要とされる場合、その出口ポート14と関連付けられる流れ抵抗は比較的大きくなるように構成され得る。逆に、出口ポート14から出力される比較的大きい流れが必要とされる場合、その出口ポート14と関連付けられる流れ抵抗は比較的小さくなるように構成され得る。
図3は、このような構成を非常に概略的に示している。ここで、支援部10は、単一の入口ポート12と3つの異なる出口ポート14A、14B、14Cとを備える。出口ポート14Aは、血管構造2の同じ区域において入口ポート12の下流に位置決めされている。他の出口ポート14Bおよび14Cは、血管系における他の場所に位置付けられ、
図3に示されていない。例えば弁であり得る流れ特性設定部材28A、28B、28C、または制御される直径の配管の区域が、ポンプ22と3つの出口ポート14A、14B、14Cの各々との間でそれぞれの流路に位置決めされている。流れ特性設定部材28A、28B、28Cを用いて流れ特性を変えることで、それぞれの流路30A、30B、および30Cに存在することになるポンプ22によって出力される全体の流れのうちの割合を定めることが可能である。
【0132】
実施形態では、ポンプは、支援部が中に設置される本体の全体の汲み上げ要件以上である汲み上げ出力を提供するように構成されており、それによって、生来の心臓からの追加の汲み上げが必要とされない。実施形態では、ポンプ22は、少なくとも125mmHgの圧力、および/または1分間あたり5リットルの通常の心拍出量に等しい流量を提供するように構成されている。本発明の遠心ポンプの手法は、このような圧力および流量を、コンパクトな装置において血液への最小の損傷で達成させることができる。別の実施形態では、汲み上げ出力は身体の全体の汲み上げ要件より小さい。このような実施形態では、ポンプは生来の心臓を補助し、これは全体の汲み上げ動力の一部分を提供しなければならない。
【0133】
図4は、左心室と並列に設置され、流出が上行大動脈に接続されているVAD(P1)、左心室と並列に設置され、流出が下行大動脈に接続されているVAD(P2)、上行大動脈と直列に設置されているMCS(S1)、および下行大動脈と直列に設置されているMCS(S2)を含む、血管構造の中の様々な装置の設置における違いを概略的に描写しており、「MCS」および「VAD」は、本明細書では、左心室と並列に設置される装置と、左心室と直列に設置される装置と、を識別するために使用されている。他の場所において検討されているように、各々の設置の構成は、動作要件およびVADの設置手順に影響を与える可能性がある。左心室と並列なVADの設置は、生来の心臓と血流を奪い合い、本質的に汲み上げ機能を引き継ぐことができる。並列の設置は、心臓の自然の機能を妨害する可能性があり、生来の心臓組織の完全な再生の潜在能力を許容しない可能性がある。並列に設置されたVADは、十分な生理的圧力上昇(約120mmHg)を発生させるために必要とされ得る。並列に設置されたVADは、心肺バイパス法を実施することを概して必要とする高侵襲手術(例えば、胸骨切開)を通じて設置される必要が概してあるが、 非特許文献1(本明細書において参照により組み込まれている)に記載されているものなど、一部のVADの設置をより低い侵襲手術に変えようとする試みが最近ある。直列に設置されるMCSは生来の心臓の圧力上昇を増加させ、病気に掛かっている生来の心臓によって必要とされる圧力上昇を負荷軽減し、その自然の機能を支援し、心臓の再生の潜在能力を許容する。そのため、直列の装置によるより低い圧力上昇要件のため、直列の設置のために設計されたMCSはより小さい動力要件を有し得る。MCSの直列の設置は、特に下行大動脈の中では、装置の流れ入口が心臓に直接的に隣接される必要がないため、心肺バイパス法なしで低侵襲処置を介して実施され得る。上行大動脈に出口を伴うMCSの設置は、脳の血流を支援するために使用され得る。下行大動脈に出口を伴うMCSの設置は、脳血栓塞栓症または脳卒中を引き起こすMCSからの血液の損傷の危険性を有利に回避でき、それによって心腎症候群を克服するのを補助する腎臓の潅流を増加させることもできる。
【0134】
図5A〜
図5DはMCS100の例を示している。
図5AはMCS100の斜視図を示している。
図5Bは、MCS100の試作機の写真であり、MCS100のおおよその大きさを人の手において明示している。
図5CはMCS100の側方からの断面図を示している。
図5Dは、MCS100の様々な構成要素および全体の寸法の例の寸法(mm)を伴うMCS100の単純化された側方からの断面図を概略的に示している。MCS100は、羽根車200と、ケーシング300と、磁石保持体402、404、406、408と、を概して備え得る。ケーシング300は、血流をMCS100へ受け入れるための入口102と、MCS100からの出て行く血流を方向付けるための出口104と、を備えてもよく、両方とも、羽根車200を収容するための主本体から延びている。
図5A〜
図5Dに示された入口102および出口104は、特に生体外での試験のために構成されており、生体内での用途のために変更されてもよい(例えば、血管グラフトへの取り付けのために短縮および/または構成される)。羽根車200は、ケーシング300の中に全体で含まれ、ケーシング300の内面に接触しないように、磁気的に懸架される、流体力学的に懸架されるか、またはケーシング300の中のハイブリッド軸受の組み合わせによって懸架されるように構成され得る。羽根車200は、ケーシング300の中で接触のない様態で電磁的に回転させられるように構成され得る。羽根車200は、軸方向から入口102を通じて受け入れられる血液を移動させ、その血液を羽根車200の周辺に沿って出口104へと遠心力で放出する遠心ポンプとして作用できる。磁石保持体402、404、406、408はケーシング300に結合され、磁石および/または電磁石をケーシング300および羽根車200の周りに位置決めすることができ、羽根車200をケーシング300の中で磁気的に懸架して安定化させるために使用され得る。羽根車200の回転を駆動するものなど、他の磁石がケーシング300の中に位置決めされてもよい。
図5Bに示されているように、1つ以上の電気ワイヤ109がMCS100から延びてもよい(例えば、本明細書における他の場所において記載されている制御装置とケーシング300との間で延び得る)。電気ワイヤは、電力を装置に提供し得る、および/または、センサ入力を制御装置に送信し得る。MCS100の動作構成要素の各々は、本明細書における他の場所においてさらに詳細に説明される。
【0135】
図6A〜
図6Eは、羽根車200および羽根車組立体201の例を示している。
図6Aは羽根車200の斜視図を示している。
図6Bは羽根車200の側方からの断面図を示している。
図6Cは羽根車200の上方からの断面図を示している。
図6Dは、羽根車200と、上キャップ207と、下キャップ209と、他の見えない構成要素と、を備える羽根車組立体201の斜視図を示している。
図6Eは、
図6Dに描写された羽根車組立体201の分解図を示している。羽根車200は、入口102を通じてMCS100に入る血液を除いて外部の生理的環境から封止されるように、ケーシング300の中で磁気的に懸架されるように構成され得る。
図6Aに示されているように、羽根車200は、各々が回転体(例えば、円筒)として概して成形され得る上ポート202、下ポート204、および主本体210を備え得る。主本体210は、上ポート202および/または下ポート204より大きい直径を有し得る。主本体210は、上方部分212(羽根車シュラウドを形成する)と、下方部分214(羽根車ハブを形成する)と、上方部分212と下方部分214との間の翼板通過室216と、翼板通過室216の中に位置決めされる複数の羽根車翼板218と、を備え得る。
【0136】
図6Bに示されているように、上方部分212の上面は、概して開放していることができ、
図6Eに指示されているように、本明細書における他の場所において記載されている回転子240を受け入れるように構成された上方室217へと延び入ることができる。他の実施形態では、下方部分214は追加または代替で開放室を備え得る。上方室217の外径は、回転子240(
図14B)の磁石を着座させて固定するように構成される窪みを備え得る。上方部分212は、翼板通過室216への血流を受け入れるために、上ポート202の上面から上方部分212の下面へと延び得る上方通路203を備え得る。上方通路203は、概して円形の上開口および下開口を備え得る。上方通路203は、形が概して円筒形もしくは円錐台形であり得るか、または入口102において流れパターンを最適化するために回転体として成形され得る。上方通路203と翼板通過室216との間の縁は、血流を径方向外向きの方向に方向付けるために概して丸められ得るか、または湾曲させられ得る。下方通路205が下方部分214の上面から下ポート204の下面へと延び得る。下方通路205は、概して円形の上開口および下開口を備え得る。下方通路205は、形が概して円筒形もしくは円錐台形であり得る。下方通路205と翼板通過室216との間の縁は、血液への損傷を低減するために若干丸められてもよい。上方通路203および/または下方通路205は、概して上方部分212および下方部分214の中心において位置合わせされ得る。上方通路203と下方通路205とは、同じまたは同様の直径を有することができ、羽根車翼板218を含む平面と垂直なMCS100の「軸」方向において概して互いと位置合わせされ、血流が羽根車200によって受け入れられる方向と位置合わせされ得る。
【0137】
上方部分212の下面は天井部を翼板通過室216に形成し、下方部分214の上面は床部を翼板通過室216に形成することができる。羽根車翼板218は、翼板通過室216の天井部から翼板通過室216の床部へと(つまり、羽根車シュラウドと羽根車ハブとの間で)延びることができる。翼板218は、上方部分212および下方部分214と一体であってもよく、材料の一体の塊を機械加工することで形成され得る。
図6A〜
図6Eに示された羽根車200は、翼板218が上方部分212および下方部分214によって上部および下部において覆われ、そのため流体が翼板218の上または下で流れない可能性があり得るため、シュラウド付きの羽根車の例である。他の実施形態では、シュラウドなしの羽根車が、本明細書における他の場所において記載されているように使用されてもよい。羽根車翼板218は、翼板通過室216の天井部および床部に対して概して垂直とでき、製造上の検討を容易にするために、入ってくる血流の軸方向(MCSの軸方向)に対して垂直な平面を形成することができる。他の構成において、羽根車翼板218は、流れのパラメータを最適化するために、ハブと(翼板がシュラウドに直面する)先端との間で軸方向からの傾きを伴う三次元の物体であり得る。三次元に成形された翼板218は、生体適合性羽根車材料のインベストメント鋳造または三次元印刷など、最新の製造技術で作られ得る。
図6Cに示されているように、翼板218は圧縮側219と吸込側220とを各々備え得る。翼板218は、内径(翼板の前縁)から外径(翼板の後縁)へと概して径方向または子午線の方向に延び得る。一部の実施形態では、翼板218はいくらか湾曲されてもよい。圧縮側219は凸状とされ、吸込側220は、特に翼板の先端の近くで、凹状とされ得る。翼板218の内径(前縁)は上方通路203および/または下方通路205と位置合わせされ得る。翼板218の外径(後縁)は主本体210の外径と位置合わせされ得る。一部の実施形態では、上方部分212と下方部分214とは異なる直径を有することができ、翼板218は2つの直径のうちの大きい方の直径まで延び得る。翼板218は、前縁から後縁まで延びるときに概して均一な厚さのものであり得る。他の実施形態では、特に最新の製造方法が採用されている場合、翼板218は、現代の遠心圧縮機および現代のターボ機械の径方向流入タービンにおけるように成形され得る。内径(前縁)および/または外径(後縁)に沿っての翼板の縁は、翼板218が位置合わせされ得る羽根車主本体210(シュラウドおよび/またはハブ)の内側周辺または外側周辺の曲率半径に合致するようにそれぞれ成形され得る(例えば、丸められ得る)。子午線の方向に沿う翼板218の形は、 非特許文献2(本明細書によって参照により組み込まれている)によって記載されているものなど、最新のターボ機械の翼板設計方法で成形され得る。複数の翼板218の各々は、他のものと同一の形および構成のものであり得る。翼板218は主本体210の周辺の周りに均等に離間され得る。羽根車200は、任意の数(例えば、3枚、4枚、5枚、6枚、7枚、8枚、9枚など)の翼板218を備え得る。血流は、入口102から翼板通過室216へと方向付けられ、遠心方向において、翼板218同士の間から翼板通過室216の開放した周辺部分を出るように汲み上げられ得る。
【0138】
図6Dおよび
図6Eは、組立図および分解図においてシュラウド付きの羽根車組立体201をそれぞれ示している。上ポート202と下ポート204とは同じまたは同様の直径を有し得る。上ポート202および/または下ポート204は回転体での形を備え得る。上ポート202および/または下ポート204は、
図6Eに指示されているように、輪状磁石230が着座または一部着座され得る肩部211、213(
図6Aに示されている)を備え得る。本明細書における他の場所に記載されている輪状磁石230は、上ポート202および/または下ポート204において滑るように構成され得る。一部の実施形態では、輪状磁石230は、羽根車200とのきつい締まり嵌めを形成してもよく、最新の結合技術で取り付けられてもよく、または羽根車材料へと完全に挿入されてもよい。本明細書における他の場所に記載されている回転子240が、羽根車200の中に受け入れられるように構成され得る。羽根車組立体201は上キャップ207および/または下キャップ209をさらに備え得る。上キャップ207および下キャップ209は、回転体(例えば、管状)として概して成形され得る。キャップ207、209は、主本体210の上面および下面にそれぞれ着座させられて結合されるように構成される一端において、径方向外向きに延びる平坦な環状の周縁を備え得る。キャップ207、209は、上ポート202および下ポート204の縁にそれぞれ着座させられるように構成される他端において、径方向内向きに延びる薄い環状の周縁を有し得る。上キャップ207は上方ポート202を受け入れるように構成され得る、および/または下キャップ209は、それらの本体の内径の中に下ポート204を受け入れるように構成され得る。上キャップ207および/または下キャップ209は、輪状磁石230の上部において位置し、輪状磁石230をケーシング300などの外部環境から封止するように構成され得る。上キャップ207の径方向外向きの周縁は、上方室217を封止し、回転子240をケーシング300などの外部環境から封鎖するように構成され得る。他の実施形態では、回転子240は、本明細書における他の場所に記載されているように、下方室に位置決めされてもよく、または追加の回転子が下方室に位置決めされてもよい。上キャップ207および/または下キャップ209は、レーザー溶接または生体適合性接着剤を含む任意の適切な手段によって、主本体210に結合され得る。一部の実施形態では、上キャップ207は羽根車200に輪郭でレーザー溶接され、下キャップ209は羽根車200に輪郭でレーザー溶接される。羽根車組立体は、平坦な環状の縁を備え得る軸方向目標物221を備え得る。軸方向目標物221は羽根車200の下方部分214の下面に着座させられ得る。軸方向目標物221はステンレス鋼または他の適切な材料から製作され得る。軸方向目標物は磁性であり得る。羽根車200、上キャップ207、および下キャップ209は、血液に接触する表面を備えるため、例えばPEEK OPTIMAといったポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、生体適合性チタン、および/または、生体適合性合金で被覆された生体適合性チタンなど、生体適合性材料を含み得る。
【0139】
図7Aおよび
図7Bは、上ポートおよび下ポートを排除している羽根車250、252の代替の実施形態を描写している。一部の実施では、これらの羽根車250、252は、製作の後に上方ポートおよび下方ポートに続けて結合されてもよい。
図7Aおよび
図7Bに示されているように、羽根車250、252は、おおよそ同じ軸方向の長さの上方部分212および下方部分214を備え得る。一部の実施形態では、
図7Bに見られるように、羽根車252の翼板218の前縁は丸められ得る。一部の実施形態では、
図7Bにおいて見られるように、翼板218の前縁は、上方通路203の下開口の内向きに延び得る。この構成は、上部から翼板218の前縁のより容易な機械加工を可能にすることができる。
図6Cにおいて見られるような、翼板218の前縁が上方通路203の下開口と位置合わせされる実施形態は、入ってくる血流に妨害をより引き起こさないようにできる。
【0140】
一部の実施形態では、前述したシュラウド付きの羽根車200とは対照的に、羽根車はシュラウドなしの羽根車とできる。
図7Cは、上部において覆われていない翼板255を伴うシュラウドなしの羽根車254の例を示しており、
図7Dは、上部において覆われていない翼板257を伴う別のシュラウドなしの羽根車256の例を示している。シュラウド付きの羽根車は、羽根車翼板218を包囲する上部(シュラウド)および下部(ハブ)を有する。シュラウドなしの羽根車は、翼板の一方側または両側(上部および下部)において覆われていない。流体は、
図7Cおよび
図7Dに示されているシュラウドなしの羽根車254、256において翼板255、257の先端において流れ得る。シュラウド付きの羽根車は、シュラウドなしの羽根車における先端の漏れのため(つまり、流れが回転する翼板から漏れる)、シュラウドなしの羽根車より高い効率を有し得る。シュラウド付きの羽根車は、シュラウドとケーシングとの間の領域において、血液により多くのせん断を導入する。MCSは、シュラウドなしの羽根車を支援するように変更され得る(例えば、突き出された羽根車の設計)。例えば、回転子および固定子を備えるモータは、シュラウドの周りではなくシュラウドなしの羽根車のハブの周りに軸方向で位置決めされてもよく、径方向および/または軸方向の安定化システム(軸受)が、シュラウドのないことを担うために適切に調節されてもよい。例えば、羽根車は、本明細書における他の場所に記載されている、ケーシングの安定化構成要素と共に羽根車の下部の径方向および軸方向の安定化システム構成要素を使用して安定化させられ得る。
【0141】
図8A〜
図8Eは、ケーシング、またはケーシングの構成要素の例を示している。ケーシング300は、羽根車200がケーシング300の中で懸架され、羽根車200のあらゆる部分がケーシング300と接触することなくMCS100の軸方向の周りに回転させられ得るような様態で、羽根車200を包囲するように形および寸法において構成され得る。ケーシング300および羽根車200を含め、血液が接触する表面は、限定されることはないが、例えばPEEK OPTIMAといったポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、生体適合性チタン、および/または生体適合性合金で被覆された生体適合性チタンを含む1つ以上の生体適合性材料を備え得る。ケーシング300は、羽根車200の周りに組み立てられ得る複数の構成要素を備え得る。例えば、
図8Aはケーシング300の例の分解図を示している。ケーシングは、蓋312と、上方渦巻構造314と、下方渦巻構造316と、出口取付部318と、を備え得る。出口取付部318は、生体外での試験に特に適することができ、本明細書における他の場所に記載されているように、生体内での適用のために除去または変更されてもよい。蓋312は、入口102を含み得るか、または入口102に結合可能であり得る。出口取付部318は、出口104を含むことができ、上方渦巻構造314および/または下方渦巻構造316の外側周辺への結合のために湾曲区域305を含み得る。ケーシング300の構成要素は、ネジおよび/もしくはピン、生体適合性接着剤、または任意の他の適切な手段を使用して組み立てられ得る。
【0142】
図8Bは、
図8Aに示された上方渦巻構造314の下面図を示しており、
図8Cは、
図8Aに示された下方渦巻構造316の斜視図を示している。ケーシング300はディフューザ320を備え得る。ディフューザ320は、羽根車200によって汲み上げられる血液を受け入れるための通路を備えてもよく、出口104における渦巻構造通路へと延び得る。ディフューザ320は、
図8A〜
図8Cに示されているように、ケーシング300の内面において直接的に形成され得る。ディフューザ320は、上方渦巻構造314と下方渦巻構造316との境界面にわたって形成され得る。例えば、ディフューザ320の断面の周辺のおおよそ半分は上方渦巻構造314に形成され、周辺のおおよそ半分は下方渦巻構造316に形成され得る。上方渦巻構造314および/または下方渦巻構造316は、ディフューザ320の周辺と合致するように成形されたOリングと同様の流体封止部材を受け入れるための窪み315を備え得る。ディフューザ320の周辺の一部分は、羽根車200を通じて汲み上げられる血液が通路に入れるように、内径に対して開放し得る。別の実施形態では、ディフューザ320は、本明細書における他の場所に記載されているように、ケーシング300の外面に沿って渦巻体などの構成要素を追加することで形成され得る。ディフューザ320は一部円形の断面を備え得る。ディフューザ320は、出口104へのMCS100の周方向に沿って延び得る。一部の実施形態では、ディフューザ320は軸方向において下向きに同時に延びてもよく、そのためディフューザ320は渦状になり始める。ディフューザ320は、ケーシング300の周辺全体または周辺の一部分のみの周りで延び得る。ディフューザ320が周辺全体を越えて周りで延びる実施形態では、ディフューザ320は、
図8A〜
図8Cにおいて見られるように、全体で閉じた断面を形成する出口の近くでそれ自体の後に巻き付くことができる。一部の実施形態では、ディフューザ320の断面の大きさは、通路が出口104に向けて延びるにつれて増加してもよい。例えば
図8Bにおいて最も良く分かるように、ディフューザ320の径方向の幅は原点321から出口104へと連続的に増加し得る。原点321は、羽根車200の方向において回転を拡張する通路の開始を形成するように非常に小さい厚さを有し得る。一部の実施形態では、ディフューザ320の幅は、上部から見たとき、時計回り方向または半時計回り方向に沿って拡張することができる。ディフューザの中の流体流れの方向は、羽根車回転の方向と、径方向からの翼板傾きとによって設定される。一部の実施形態では、ディフューザ320に沿っての流れ領域分配は、出口104の血流において渦形成を最適化するために選択され得る。最適化された渦形成は、本明細書における他の場所に記載されているように、健康な生来の下行大動脈における弱い通過渦を模倣することができる。
【0143】
様々な実施形態では、出口104は、
図5A〜
図5Dおよび
図8Aにおいて示されているように、MCS100の軸方向に対して垂直に延びるように構成される。出口取付部318は、ディフューザ320の続きを形成する渦巻構造を備え得る。出口取付部318は実質的に真っ直ぐな通路を形成し得る。出口取付部318は、大動脈に吻合され得る出口グラフトを取り付けるための便利な手段を提供することができる。一部の実施形態では、出口取付部318は除外されてもよい。
図8Dは、出口が主本体と一体または連続的であるため主本体が円筒形のシャフトを形成していないケーシング350の別の例の斜視図を示している。一部の実施形態では、MCSはケーシングの複数の層を備え得る。
図8Eは、上方渦巻構造314および下方渦巻構造316とそれぞれ同様である内側上方渦巻構造354および内側下方渦巻構造356と、内側ケーシング354、356を包囲し、周辺の継ぎ目に沿って互いと繋がり合うように構成される外側上方ケーシング358および外側下方ケーシング360と、を備えるケーシング352の別の例の分解図を示している。一部の実施形態では、ディフューザ320は、本明細書における他の場所に記載されているように、出口104において途切れる渦巻体の渦巻構造へと延び入ることができる。渦巻体は、MCSが大動脈の中での同一線上の設置のために構成され得るように、軸方向下向きへの流体の流れを再配向することなどによって、流体の流れをさらに再配向することができる。
【0144】
図9は、ケーシング300の内面の中での羽根車200の懸架された位置決めと、それらの構成要素を通じての血液の流れと、を単純化された断面図において概略的に示している。ケーシング300は、羽根車200を通る主流路と連続したより大きい空間を各々が形成する入口102およびディフューザ320を除いて、羽根車200のほとんどの部分の周りに小さい周囲空間322を形成している。周辺空間322は、電磁的な力および/または流体力学的な力によって羽根車200の非接触回転を可能とし、動作中に周辺空間322を満たす血液のための副流路を形成する。羽根車200およびケーシング300は、入口102から、出口104(図示略)につながるディフューザ320へと、矢印によって概略的に描写されている主血液流路を形成する。血液は、軸方向において上方通路203を通じて羽根車200に入り、血流を接線および径方向外向きの方向において加速させる羽根車翼板218同士の間の回転する通路を通じて進行することができる。血液は、翼板通過室216(図示されていない翼板218同士の間)を通じ、羽根車200の外側周辺を越え、ケーシング300の内面に形成されたディフューザ320へと押し込まれる。羽根車200は、血液が通過するとき、血液の速度および淀み圧力を増加させる。ディフューザ320は血流を減速させ、静圧を増加させる。一部の実施では、ディフューザ320の通路を定める概して円形の断面のうちの半分未満が、
図9において見られるように、羽根車200を含む内部ケーシング容積へと開放していてもよい。他の実施形態では、概して円形の断面のうちの半分以上が開放していてもよい。
図9の右側および左側におけるディフューザ320の断面が等しい大きさとして示されているが、ディフューザ通路320が出口104へと下流に延びるにつれて断面積において増加し得るため、断面は異なる大きさのものであってもよい。
【0145】
血液は、
図9に示されているように、羽根車200とケーシング300との間の周辺空間322を介して形成され、同じく矢印によって概略的に描写される副血流路を通じて流れてもよい。副血流路は上方副血流路と下方副血流路とを含み得る。副血流路は、ディフューザ320へと流れるのではなく羽根車200とケーシング300との間で上向きまたは下向きに流れることによって、羽根車200の翼板通過室216とケーシング300との間の周辺空間322に由来し得る。周辺空間322の中で羽根車200とケーシング300との間で捕らえられた血液は、羽根車200とケーシング300との間の接触を防止するのを助ける流体力学的ジャーナル軸受力を提供する。代替の実施形態では、羽根車組立体201の上平坦面および下平坦面が渦状溝を有し、渦状溝は、装置の隙間における副流れ領域の一部となり、副流路の中の血液の外傷を最小限とするために、狭い隙間を通じての流体力学的な流れを補助する。血液は、これらの経路に沿って、入口102と羽根車200との接合部へと戻るか、または下方通路205を通じて翼板通過室216へと戻るかのいずれかで押し込まれ得る。下方渦巻構造316は、ケーシング300の下部から羽根車200の下方通路205へと延びるように構成される主不動シャフト317(
図8Cにも示されている)を備え得る。主不動シャフト317は、シャフト317が流体力学的なジャーナル軸受を形成する下方通路205の形における変化に対応して、形が円筒状または若干円錐状とできる。主不動シャフト317は、羽根車200が非接触の様態でシャフト317の周りに回転できるように、下方通路205内に位置するように構成され得る。主不動シャフト317の上端は頂部を備えてもよい。主不動シャフト317の上端は翼板通過室216の周辺に向けて流れを方向付けるように成形され得る。主不動シャフト317の上端は、平坦、円錐状、凹状の表面を伴う円錐状(
図9に示されている)、半球形、弾丸形、丸い形、または他の適切な形であり得る。主不動シャフト317の寸法は、主流路に沿ってではなく周辺空間322のこれらのクリアランス(隙間)の領域における実質的な流れを防止するように構成され得る。下方通路205の存在は、副流路に沿っての血液が羽根車200の下方部分214の周りの残りの空間において居座って淀まないように、その血液を羽根車200へと戻すことができ、それによってMCS100の洗浄を高める。羽根車の軸方向位置は、流路の形状に影響を与え、そのため流量に影響を与える可能性がある。
【0146】
羽根車200は、羽根車200およびケーシング300の中に位置決めされるパッシブな(つまり、永久の)磁石を介して軸方向において磁気的に懸架され得る。
図10A〜
図10Dは、羽根車200を軸方向で懸架するために使用されるMCS100の構成要素の例を示している。羽根車組立体201は、羽根車200の上端および下端に位置決めされる2つの磁石または2セットの磁石を備え得る。ケーシング300は、ケーシング300の上端および下端に位置決めされる2つの磁石または2セットの磁石を備え得る。羽根車200は、重力または患者の運動からの加速などの他の可及的な力を担う、MCS100の上端および下端における羽根車200とケーシング300との間のおおよそ等しい引き付け力、またはMCS100の上端および下端における羽根車200とケーシング300との間のおおよそ等しい反発力のいずれかを作り出すために、磁石を用いて懸架され得る。
図10Aは、MCS100の軸方向の懸架のためのパッシブな磁石の例の構成を示している。羽根車組立体201は、羽根車200の上ポート202および下ポート204(図示略)の周りに着座させられるように構成され得る2つの輪状磁石230を備え得る。MCS100は、羽根車200の外側に位置決めされる軸方向懸架磁石330のセットを備え得る。軸方向懸架磁石330は、ケーシング300の中に位置決めされ、ケーシング300に結合され、および/またはケーシング300と羽根車200の外部の他の構成要素との間に位置決めでき、そのため軸方向懸架磁石330はハウジング300に対して不動で、羽根車200から物理的に結合解除されたままである。ケーシング300の上方周辺および下方周辺の周りに均等に位置決めされる1つ以上の軸方向懸架磁石330があってもよい。例えば
図10Aに示されているように、上方輪状磁石230の軸方向上方に位置決めされる4つの軸方向懸架磁石330と、下方輪状磁石230の軸方向下方に位置決めされる4つの軸方向懸架磁石330と、があり得る。他の実施形態では、軸方向懸架磁石330は、輪状磁石230と同様の輪状磁石であり得る。代替の実施形態では、軸方向懸架磁石は、軸方向において若干遠くに離して位置決めされてもよく、ケーシングへと結合された電磁石を介しての作動によって、本明細書における他の場所に記載されているように、ケーシング300において羽根車組立体201を軸方向で振動させるために使用され、それによって羽根車出口において拍動流を提供することができる。
【0147】
上方の軸方向懸架磁石330は、
図10Bに示されているものなど、上方軸方向磁石保持体402の中に位置決めでき、および/または下方軸方向懸架磁石330は、
図10Cに示されているものなど、下方軸方向磁石保持体404の中に位置決めできる。軸方向磁石保持体402、404は、軸方向懸架磁石330の各々を受け入れるためのスロットを備え得る。軸方向懸架磁石330は、締まり嵌め、または接着剤、ネジ、ピンなどの他の適切な手段を介して、軸方向磁石保持体402、404に結合され得る。一部の実施形態では、上方軸方向磁石保持体402は、
図5A〜
図5Dに示されているように、入口102に適合するように構成される輪の形を備えてもよい。上方軸方向磁石保持体402は摩擦嵌めによって入口102に固定されてもよい。上方軸方向磁石保持体402は、十分な力の下で入口102の長さに沿ってスライド可能であってもよい。下方軸方向磁石保持体404は、中心柱を伴う板として構成されてもよい。板は概して円形であり得る。柱は概して円筒形であり得る。柱は、
図5Cおよび
図5Dにおいて描写されているように、概してケーシング300(例えば、下方渦巻構造316)の下外面の中心に形成された通路319の中に受け入れられるように構成され得る。通路319の長さは主不動シャフト317へと延び入ることができる。下方軸方向磁石保持体404は摩擦嵌めによってケーシング300に固定されてもよい。下方軸方向磁石保持体404は、十分な力の下で通路319の中で並進可能であってもよい。
【0148】
図10Dは、羽根車200に結合された輪状磁石230を示しており、羽根車200に対する上方軸方向磁石保持体402および下方軸方向磁石保持体404の位置決めを概略的に示している。一部の実施形態では、輪状磁石230は第1の極性(例えば、正または負)のものであり得る。軸方向懸架磁石330は、第1の極性と反対の第2の極性のものとでき、そのため、上方の輪状磁石230は軸方向懸架磁石330の上方のセットに向けて軸方向で上向きに引っ張られ、下方の輪状磁石230は軸方向懸架磁石330の下方のセットに向けて軸方向で下向きに引っ張られる。他の実施形態では、下部輪状磁石230と軸方向懸架磁石330の下のセットとは第1の極性のものであり、上方の輪状磁石230と軸方向懸架磁石330の上方のセットとは第2の極性のものであり、そのため、上方の輪状磁石230は軸方向下向きに押され、下方の輪状磁石230は軸方向上向きに押される。軸方向懸架磁石330は調節可能であり得る。例えば
図10Dにおいて矢印によって概略的に示されているように、磁石330は、他の場所に記載されているように、磁力を変調させ、軸方向の懸架を最適化するように、軸方向で並進可能であり得る。軸方向懸架磁石330を上方軸方向磁石保持体402および下方軸方向磁石保持体404の中に位置決めすることは、ケーシング300に対する容易な軸方向の調節能力を提供する。
【0149】
羽根車200は、パッシブな(つまり、永久の)磁石、アクティブな(つまり、電気的に作動させられる)磁石、または電磁石(例えば、金属コアの周りに巻き付けられた導電性コイル)と、羽根車200とケーシング300の内面と、の間の流体力学的ジャーナル軸受効果との様々な組み合わせを介して、径方向において磁気的に懸架され得る。
図11A〜
図11Eは、径方向の懸架および安定化のために使用され得る構成要素を示している。
図11Aは、径方向の懸架のために使用される磁石およびセンサの配向の例を示している。パッシブな径方向懸架磁石332が、軸方向に沿って(例えば、ケーシング300の内面の後で)各々の羽根車輪状磁石230に隣接して位置決めされ得る。パッシブな径方向懸架磁石332は調節可能であり得る。例えば、パッシブな磁石332は、羽根車200に近付くかまたは羽根車200から離れるように移動させられ得るように、径方向において手動で並進可能であり得る。一部の実施では、パッシブな磁石332は、径方向において棒、ピン、またはネジに沿ってスライドまたは並進させられ得る開口を備える磁石鉄に位置決めさせられ得る。本明細書における他の場所に記載されている1つ以上のアクティブな径方向懸架磁石334が、(例えば、ケーシング300の内面の後で)各々の羽根車輪状磁石230に隣接して同様に位置決めされ得る。本明細書における他の場所に記載されている1つ以上の渦電流センサ336が、(例えば、ケーシング300の内面の後で)各々の羽根車輪状磁石230に隣接して位置決めされ得る。
図11Bは上径方向磁石保持体406の例を示しており、
図11Cは下径方向磁石保持体408の例を示している。径方向磁石保持体406、408は、径方向懸架磁石332、334および/または渦電流センサ336をケーシング300に隣接して位置決めする(例えば、締め付ける)ために使用され得る。径方向磁石保持体406、408は、
図11Bおよび
図11Cに示されているように、径方向懸架構成要素を受け入れるかまたは一部受け入れるような大きさとされた窪みおよび/または空間を備え得る。
図11Dおよび
図11Eは、ケーシング300の表面に着座させられた径方向懸架磁石332、334および渦電流センサ336を示している。一部の実施形態では、ケーシング300の上方外面および下方外面は、径方向の懸架構成要素の全部または一部を着座させるように構成される。
図11Dは、蓋312の上部に着座された上方径方向懸架構成要素を示している。
図11Eは、下方渦巻構造316の下部に着座された下方径方向懸架構成要素を示している。ケーシング300は、
図11Dおよび
図11Eに示されているように、径方向懸架構成要素を一部受け入れるための径方向磁石保持体406、408として、同一または同様の窪みを備え得る。構成要素は、ケーシング300と径方向磁石保持体406、408との間で挟まれ得る。上径方向磁石保持体406および下径方向磁石保持体408は、ケーシング300の上部および下部(例えば、蓋312および下方渦巻構造316)からそれぞれ延びる概して円筒形の突起の周りに結合されるように構成される輪状の形を各々備え得る。径方向磁石保持体406、408は、摩擦嵌めまたは他の適切な手段によってケーシング300に固定されるように構成され得る。
【0150】
図12Aおよび
図12Bは、径方向の懸架および安定化の2つの異なる様態を概略的に示している。羽根車200は、パッシブな径方向懸架磁石332によって径方向で懸架され得る。これは、軸方向の剛性から生じるアーンショーの定理に従って径方向の不安定性をもたらす可能性がある。不安定性は、さらに、本明細書における他の場所に記載されている、モータの回転子240と固定子340との間の磁気引き付けと、MCS100の中の渦を含む乱流と、から生じる可能性もある。羽根車200は、以下に記載されているように、ジャーナル軸受力および/またはアクティブな径方向懸架磁石334によってさらに安定化され得る。
【0151】
一部の実施形態では、
図12Aに示されているように、単一のパッシブな径方向懸架磁石332が羽根車200をケーシング300の反対側に向けて押すために使用され、羽根車200とケーシング300との間に大きな流体力学的軸受効果を作り出す。パッシブな径方向懸架磁石332と羽根車輪状磁石230との間の組み合わされた磁力と、ジャーナル軸受力と、は大きな偏心となる径方向の平衡を作り出すことができ、そのため羽根車200はケーシング300の中心長手方向軸からずれた軸の周りを回転する。径方向の懸架のこの様態は、パッシブな磁石だけが使用されるため、追加の電力を有利に消費せず、安定化は追加の回路および/またはセンサなしで遂行され得る。一部の実施形態では、2つ以上のパッシブな径方向懸架磁石332が各々の羽根車輪状磁石230の周りに位置決めされ得る。
【0152】
他の実施形態では、
図12Bに示されているように、パッシブな径方向懸架磁石332は、
図12Aに描写された様態よりケーシング300から遠くに位置決めされてもよく、それによって羽根車の平衡軸はケーシング300の中心長手方向軸におおよそ沿って位置決めされる。より小さいジャーナル軸受力がこの構成では作り出されるため、平衡点がより不安定になる可能性がある。アクティブな径方向懸架磁石334は、平衡点からの振動を防止または抑制するために使用され得る。渦電流センサ336が、
図12Bに描写されているように、羽根車200の位置を監視するために使用され得る。アクティブな径方向懸架磁石334は、振動を安定化させるために、渦電流センサ336からの入力に従って制御回路によって作動させられ得る。アクティブな径方向懸架磁石334は、電力消費を制限するために、羽根車200を独立して懸架するように作用しなくてもよい。径方向の安定化のこの様態は、羽根車200により小さいせん断応力をもたらし得るため、有利であり得る。より小さいせん断応力は、汲み上げられた血液における溶血の量を低減することもできる。また、能動的な安定化は、患者が倒れるなど、動的な衝撃にMCS100を応答させることができる。一部の実施形態では、2つのアクティブな径方向懸架磁石334はパッシブな径方向懸架磁石332の周りに位置決めされ得る。アクティブな磁石334は、パッシブな磁石332と同じ羽根車200の側に位置決めされてもよく、パッシブな磁石332に対して対称的に離間されてもよい。2つの渦電流センサ336が、磁石332、334とは反対の羽根車200の側に位置決めされてもよい。各々の渦電流センサ336は、アクティブな磁石334のうちの1つの反対に位置決めされ得る。代替の実施形態では、MCS100は、玉軸受、ころ軸受、および/またはニードル軸受を含め、羽根車を懸架して安定化させるために1つ以上の他の種類の軸受に依存してもよい。
【0153】
一部の実施形態では、アクティブな磁石334は、アクティブな磁石334の作動が羽根車200とケーシング300との間に磁気の軸方向の変位力を作り出すように、輪状磁石230から少なくとも若干軸方向で変位させられた位置において、輪状磁石230の近くに位置決めされ得る。軸方向の変位力は、ケーシング300に対する羽根車200の軸方向の懸架位置を変調するために使用され得る。アクティブな磁石334への拍動位相の電流の適用は、羽根車200を軸方向に沿って振動させるために、および拍動流を生成するために使用され得る。他の実施形態では、アクティブな磁石334とは異なる追加の電磁石が、拍動流を生成するために使用されてもよい。一部の実施では、追加の磁石は、上方輪状磁石230と下方輪状磁石230との両方ではなく一方の近くに位置決めされるだけであってもよい。
【0154】
一部の実施形態では、ケーシング300の内側軸方向表面および/または羽根車200の外側軸方向表面もしくはその一部分は、周辺の溝を備えてもよい。一部の実施形態では、溝は軸方向で渦状とされてもよい。溝は、約100μmから約1mmの間(例えば、200μm、500μm、710μmなど)の軸方向の隙間を有し得る。溝は、皮膚摩擦抗力を低減し、それによってMCS100の効率を増加させることができ、MCS100からの洗浄の流れを高めることができる。溝は、軸方向懸架磁石330を調節することで羽根車200を軸方向で懸架することをより容易にすることで、羽根車200の安定性を向上させることができる。
【0155】
図13Aは、磁気懸架(つまり、磁気浮上)システムを動作させるための回路構成要素の例を示すブロック図を概略的に示している。
図13Bは、
図13Aにおけるブロック図の4つの構成要素の間で分割されるような回路(ブロック1〜4)を概略的に示している。条件付け構成要素(ブロック1)は、渦電流センサ336の出力を、制御回路によって読み取られ得る電圧へと変換してフィルタに通す。条件付け構成要素は鋸波発生器であり得る。制御回路(ブロック2)は、アクティブな径方向懸架磁石334の対応するコイルにおける労力を決定するために、センサ入力を外部入力(磁気浮上オフセット)と共に使用する。パルス幅変調(PMW)構成要素(ブロック3)は、制御回路出力を、アクティブな径方向懸架磁石334におけるコイル切替を駆動するために使用され得るパルス幅変調信号へと変換する。PMW構成要素は比較器を使用してもよい。最後に、電力MOSFETS(ブロック4)は、羽根車200を安定化させるように構成されるアクティブな径方向懸架磁石334に電力を供給するために、パルス幅変調信号によって駆動される。
【0156】
磁気的に懸架された羽根車200は、電磁モータを介してケーシング300の中でその長手方向軸の周りを回転するように電磁的に作動させられ得る。一部の実施形態では、モータは、ラジアルブラシレスDCモータなど、ラジアルブラシレスモータであり得る。モータはラジアル三相ブラシレスDCモータであり得る。モータは、ケーシング300の中に位置決めされる固定子340と、羽根車組立体201の中に位置決めされ、固定子340の内側で同心に位置合わせされる回転子240とを概して備える。
図14Aおよび
図14Bは回転子240の例を描写している。
図14Aは回転子240の斜視図を示している。
図14Bは、羽根車組立体201において羽根車200と組み立てられた回転子240の斜視図を示している。回転子240は、輪体244の周りに位置決めされたパッシブな駆動磁石242を備え得る。駆動磁石242は、輪体244から径方向外向きに延びるように輪体244の外側周辺に位置決めされ得る。駆動磁石242は輪体244の中に一部埋め込まれてもよい。駆動磁石242は、輪体244の周辺の周りに均等に離間されてもよい。任意の数の駆動磁石242があり得る。一部の実施形態では、固定子磁石と駆動磁石242とは3:2の割合である。一部の実施形態では、6つの駆動磁石242があり得る。駆動磁石242はネオジム(NdFeB)を含み得る。駆動磁石242は、形は概して立方形とでき、約5x5x5mmの寸法を有し得る。輪体244は鋼鉄を含み得る。回転子240は羽根車200へと挿入されるように構成され得る。例えば
図14Bに示されているように、回転子240は、本明細書における他の場所に記載されているような羽根車200の上方部分212の上方室217へと挿入される寸法とされ得る。回転子240は、限定されることはないが、溶接、生体適合性接着剤、または上ポート202の外側周辺とのきつい締まり嵌めを含む任意の適切な手段で、羽根車200に結合され得る。
【0157】
図15Aおよび
図15Bは固定子340の例を描写している。
図15Aは、固定子340の長手方向軸に沿っての上面図を示している。
図15Bは、羽根車200の外側周辺の周りに位置決めされた固定子340の斜視図を示している。固定子340は、輪体344の周りに位置決めされたアクティブな磁石342を備え得る。輪体344は珪素鋼を含み得る。固定子磁石342は、輪体344から径方向内向きに延びるように輪体344の内側周辺に位置決めされ得る。固定子磁石342は、輪体344の周辺の周りに均等に離間されてもよい。任意の数の固定子磁石342があり得る。一部の実施形態では、固定子磁石342と駆動磁石242とは3:2の割合である。一部の実施形態では、9つの固定子磁石342があり得る。固定子磁石342は、輪体344から内向きに延びる突起の周りに周方向で巻き付けられる金属の導電性コイルを備え得る。コイルは銅を含み得る。導電性コイルに提供される電流は、アクティブな磁石の電磁力を作り出すために使用されてもよい。コイルが巻き付けられる突起の径方向内向きの端は、ケーシング300(図示され略)の外を向く表面の周りに位置するように構成される一部閉じた内径を形成するために、互いに向けて延びて互いと位置合わせする周方向に延びるフランジ343を備え得る。より大きい隙間が、隣接する突起におけるいくつかのフランジの間に形成され得る。隙間は、
図15Aに示されているように、ケーシング300の外面に隣接して、本明細書における他の場所に記載されているホール効果センサ346の位置決めを可能にするように構成され得る。一部の実施形態では、複数の軸方向で位置合わせされた固定子340(例えば、3つの固定子340)が使用され得る。固定子340はケーシング300の中に位置決めされ得る。例えば、固定子340は上方渦巻構造314の中に位置決めされてもよい。
【0158】
モータは、三相の電流(正、ゼロ、および負)および極性(正、なし、および負)を誘導するために、三相の電圧(正電圧、ゼロ電圧、および負電圧)を各々の固定子磁石342に連続的に適用することで駆動され得る。正および負の極性のパルスが、駆動磁石242との磁気的な相互作用を通じて回転子240を連続的に駆動するために、固定子輪体344の周りを周方向に進むことができる。MCS100の外部にあり得る制御装置が、回転子240の連続回転を誘導するように各々の固定子磁石342の帯電の時間を測定するために使用され得る。ケーシング300の中に位置決めされる1つ以上の双極性ホール効果センサ346(例えば、3つのセンサ)が、駆動磁石242の近接を検知することで固定子340に対する回転子240の位置決めを検出するために使用され得る。制御装置は、1つ以上のホール効果センサ346の出力を監視でき、固定子磁石342の作動を変調するために位置決め場所を使用することができる。一部の実施形態では、ホール効果センサはHoneywellの部品番号SS411Aのセンサであり得る。
【0159】
MCS100の電気システムは、モータおよび磁気懸架システムと、電力条件付けおよび電池充電とを制御することができる。電気システム、または電気システムの一部分は、MCS100の外部にあり得る。電気システムは、化学電池(例えば、リチウムイオン)などの内部再充電可能電池によって電力供給され得る、または、電池はバックアップ電源として使用され得る。内部電池(以上の電池)は、MCS100装置とは別の位置において身体の中に埋め込まれてもよい。例えば、内部電池は、ペースメーカが身体の中に埋め込まれる様態と同様に、身体に埋め込まれた別体の制御装置に含まれてもよい。制御装置は他の電気システムを含んでもよい。一部の実施形態では、電池は、皮膚を通じた誘導電力移送を介して、無傷経皮で充電されてもよい。一部の実施形態では、MCS100は、外部電池(例えば、16.8Vの電池)によって主に電力供給されるが、バックアップのための内部電池を有してもよい。外部電池からの電力は皮膚を通じて無傷経皮で移送されてもよい。
図16Aは、様々な構成要素の効率(η)を含め、無傷経皮エネルギー送信システム(TETS: Transcutaneous Energy Transmission System)の例の構成要素を概略的に描写している。外部電池充電器が、電力線AC電圧(例えば、110〜240VAC)を受け入れ、外部電池(例えば、リチウムイオン電池)を充電するためにそれをDC電圧に変換することができる。DC−DC変換器が、外部電池によって提供されるDC電圧を(例えばそれらが放電中に)安定化させるために使用され得る。DCから高周波(HF)への変換器は、皮膚の下の副コイルを外部の主コイル(例えば、20mm離間されている)から無傷経皮で充電するために、DC電圧を高周波(例えば、250kHz)AC電圧へと変換できる。高周波は、さらに遠くに離間されたコイル同士の間でエネルギーを移送するために必要とされてもよい。コイルはリッツワイヤから作られ得る。HFからDCへの変換器が、身体の中でエネルギーをDCへと戻すように変換するために使用され得る。内部のDC−DC変換器が、制御装置に供給されるDC電圧を安定化させるために使用されてもよい。制御装置が、入力能力および出力能力を含め、適切な配線を介してMCS100に電気的に接続されてもよい(「TC」と印されている)。制御装置は、電力消費、羽根車毎分回転数、血圧、および他の性能パラメータの常時の監視を含むインテリジェント機能機構を備えてもよい。情報は、制御装置に無線で送信され得る、および/または制御装置から患者、医師、病院などに無線で送信され得る。
【0160】
制御装置が内部再充電可能電池を備えてもよい。内部電池は、TETSが接続解除されるときの一時的なバックアップとして供することができる。内部電池は、HFからDCへの変換器の出力から充電され得る。暗流変換器が、外部電池からの電流を感知し、電流が所定の閾値を下回る場合に、HFからDCへの変換器から直接的に供給される電力と、内部電池から供給される電力と、の間で切り替えるために使用されてもよい。電池がより大きければ、より長い独立した動作時間を提供することができる。電池をより小さい電流(例えば、0.2A)で充電することは、より長い充電時間が必要とされ得るが、装置の温度上昇を有利に制限することができる。一部の実施形態では、電池は有傷経皮で充電され得る。
図16Bは、様々な構成要素の効率(η)を含め、有傷経皮エネルギー送信システム(PETS: Percutaneous Energy Transmission System)の例の構成要素を概略的に描写している。MCS100は、限定されることはないが、一定の電力のために電圧および電流を最適化すること、信号の周波数を変更すること、ならびに、フィルタ、遮蔽体、および/またはスナバ回路を使用することを含め、他の供給源からの電磁的な干渉を最小限にすることのために任意の適切な手段を備え得る。
【0161】
制御装置は、MCS100を動作させるための電子回路を含み得る。一部の実施形態では、モータはL6235ドライバチップ(ST Microelectronics)を使用して駆動され得る。
図16CはL6235ドライバチップ回路を概略的に示している。この回路は、ホール効果センサに電力供給し、ホール効果センサの出力を監視し、それに応じて3つの位相を駆動するために使用され得る。
図16Dは電池充電回路を概略的に示している。電池充電回路は、ZXCT1041電流監視装置を介して、電池の電圧および/または電池への電流を監視するために、MSP430マイクロコントローラを使用することができる。マイクロコントローラは、電池が完全に充電され、電池への電流が0.02C未満である場合、過充電を防止するために充電を停止することができる。充電は、電池電圧が所定の閾値未満に低下するとき、再開することができる。電池への電力は、MMBTAバイポーラ接合トランジスタおよびBSP250 MOSFETによって制御され得る。様々な充電アルゴリズムがマイクロコントローラにプログラムされてもよい。
図16Eは電力条件付け回路を概略的に示している。電力条件付け回路は、本明細書における他の場所に記載されているような電池(例えば、16.8Vの電池)からより低い電圧レベルを作り出すために使用され得る。一部の回路をより低い電圧で実行させることで、MCS100の電力消費を低減させることができる。調節可能なDC−DCの電流調整器が効率的な変換を確保するために使用されてもよい。一部の実施では、制御電子装置、デジタルフィルタリング、および磁気浮上アクチュエータが、それぞれ3.5V、5V、および6.5Vで電力供給され得る。一部の実施では、制御電子装置、デジタルフィルタリング、および磁気浮上アクチュエータは、それぞれ3.5V、3.5V、および電池電力(例えば、16.8V)で電力供給されてもよく、これはより低いコスト、複雑性、および電力消費を提供することができる。電力が、
図5Bに示された電気ワイヤ109を介して制御装置からMCS100へと提供され得る。制御装置とMCS100との間で延びる複数のワイヤがあってもよい。例えば、電力を径方向懸架電磁石に提供するワイヤ、電力をモータの電磁石に提供するワイヤ、渦電流センサからの入力を受け入れるワイヤ、ホール効果センサからの入力を受け入れるワイヤなどがあり得る。電力およびデータは、技術的に知られている任意の適切な手段に従って制御装置とMCSとの間で移送され得る。
【0162】
MCS100は、遅い段階IIIおよび/または早い段階IVのCHFを伴う患者において直列で実施するのに最適化され得る。MCS100は、最大電力効率を提供するために、占有空間を最小限にするために、および/または装置重量を低減するために、最適化され得る。電力効率を最適化することは、電池重量を低減させ得る、および/または装置が電池電力を介して動作させられ得る非接続時間を最大化させ得る。装置は、装置への損傷および/または血液の外傷を防止するために、回転する羽根車200の安定性を最適化させるように構成され得る。モータ効率における損失は、電気的、磁気的、および/または機械的であり得る。電気的な効率の損失には、例えば、特には低速の用途における、巻線抵抗(つまり、銅の損失)があり得る。磁気的な効率の損失には、ヒステリシス、渦電流損失、および/または過剰な渦電流があり得る。機械的な損失には、煽り、通気、および/または軸受摩擦があり得る。一部の実施形態では、効率は少なくとも15%である。一部の実施形態では、効率は少なくとも20%である。一部の実施形態では、電力消費は約10W以下であり得る。効率は、流体力学的効率を向上させるために低減した表面摩擦を伴うより小さい羽根車を使用することで、概して増加させられ得る。効率は、動作条件において電磁的な効率を向上させるために、コイルのためのより大きい空間を許容すること、および/または固定子-回転子の隙間を低減することで、概して増加させられ得る。安定性は、固定子-回転子の隙間を増加させることで概して向上させられ得る。
【0163】
動作設計は、溶血が小さくなるように血液への損傷を最小限にするように構成され得る。溶血は、大きなせん断によって、および大きなせん断流れ状態における暴露の時間(または流れ通路の長さ)によって付与される血液の外傷の結果である。設定流量(例えば、5L/min)について、および第1の近似値まで、圧力を増加させることは、流れへのより大きな動力の入力を必要とし、そのため、摩擦によるより大きな損失をもたらす。したがって、圧力が上昇するにつれて、VADまたはMCSによって付与される血液の外傷が増加する。そのため、MCS100は40〜80mmHgを提供するように設計されるため、はるかにより大きい圧力上昇(例えば、120〜140mmHg)において5L/minを送る他のMCSまたはVADより、少ない溶血をもたらすことになる。
図16Fは、MCS100(TURBOCARDIA V5として描写されている)と、他の設計の違うもの(TURBOCARDIA V4として描写されている)、および、技術的に知られている他のVAD(HVADおよびHeartmate II)のうち、より大きい上方部分212および下方部分214を備える羽根車を有する先のものとにおける計算シミュレーションの溶血の標準指標(NIH: Normalised Index of Haemolysis、g/100L)を描写している。一部の実施形態では、
図16Fにおいて明示されているように、MCS100の計算された溶血は約0.6g/100Lであり得る。他の実施形態では、計算された溶血は0.6g/100L未満であり得る。
【0164】
MCS100は、下行大動脈の一部分の中での設置のために構成され得る。MCS100は、約5L/minの連続流量において、おおよそ40〜80mmHgの圧力上昇(例えば、約70mmHg)を提供するように構成され得る。MCS100は、回転子240をおおよそ2600rpmにおいて動作させるように構成され得る。一部の実施形態では、装置は約150gの重量であり得る。変位体積は約70cm
3であり得る。
図5Dに戻って参照すると、様々なMCS100の構成要素の例の寸法(mm)とMCS100の全体寸法とが描写されている(図示された寸法は同一の縮尺で描写されていない可能性がある)。(ケーシング300の周りでの)MCS100の外径は、約30mmから約100mmの間、約40mmから約70mmの間、約50mmから約60mmの間、およびそれらの間の範囲(例えば、約57mm)であり得る。ケーシング300の軸方向の長さは、入口102の長さを除いて、約20mmから約60mmの間、約30mmから約50mmの間、約35mmから約45mmの間、およびそれらの間の範囲(例えば、約40mm)であり得る。羽根車200は、約10mmから約60mmの間、約20mmから約50mmの間、約25mmから約40mmの間(例えば、30mm)の半径方向の最大直径を有し得る。上方通路203の直径は、約3mmから約25mmの間、約5mmから約20mmの間、約8mmから約12mmの間、およびそれらの間の範囲(例えば、約10mm)であり得る。一部の実施形態では、
図5C、
図5D、および
図6Bに示されているように、上方通路203の直径は入口102から翼板通過室216へと縮小してもよい。例えば、上方通路203の直径は約12mmから約8mmへと直線的に縮小してもよい。他の実施形態では、上方通路は、一定の直径、または非直線的な様態で縮小する直径を有し得る。下方通路205の直径は、約3mmから約30mmの間、約5mmから約20mmの間、約8mmから約12mmの間、およびそれらの間の範囲(例えば、約10mm)であり得る。下方通路205の直径は、
図5C、
図5D、および
図6Bに示されているように一定であってもよい。他の実施形態では、直径は、翼板通過室216から羽根車200の下部へと線形または非線形の様態で増加してもよい。翼板通過室216の高さは、約2mmから約30mmの間、約3mmから約10mmの間、およびそれらの間の範囲(例えば、5.5mm)であり得る。ディフューザ320の高さは、約2mmから約30mmの間、約3mmから約10mmの間、およびそれらの間の範囲(例えば、7mm)であり得る。一部の実施形態では、本明細書における他の場所に記載されているように、ディフューザ320の高さおよび/または深さは周辺の位置に応じて変わってもよい。周辺空間322における羽根車200とケーシング300との間の隙間は、約100μmから1mmの間(例えば、710μm)であり得る。周辺空間322の幅は、同じであり得るか、または羽根車200およびケーシング300の異なる部分の周りで変化し得る。周辺空間322の正確な幅は、本明細書における他の場所に記載されているように、軸方向および径方向の懸架を含め、MCS100の動作に依存してもよい。入口102は約9mmの内径を有し得る。入口102の内径は、入口102と上方通路203とが交わる上方通路203の直径以下であり得る。出口104(図示略)は約11mmの内径を有し得る。代替の実施形態では、MCSは上行大動脈における設置のために構成されてもよい。上行大動脈における設置のために構成されたMCSは、血流の約5%を冠状動脈および血流下流の残りのものに送るように構成され得る第2の出口を備えてもよい。
【0165】
MCS100は、様々な構成において血管構造2の中に設置され得る。様々な実施形態では、MCS100は、本明細書における他の場所に記載されているように、互いに対して概して垂直に配置され得る入口102および出口104を備える。出口104は、流体の流出を変更するために、および/または再配向するために、ディフューザの端に位置決めされ得る。MCS100は、標準的な生体適合性グラフト材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレートなど)を含む血管グラフトを使用して血管構造へと設置され得る。一部の実施では、患者の同種グラフトが使用されてもよい。グラフトは、流体の密な封止を作り出す任意の適切な様態でMCS100の入口102および出口104に接続されてもよい。グラフトは生来の血管構造へと縫合され得る。
【0166】
一部の実施形態では、MCS100は大動脈の軸に対してある角度で設置される。例えば、
図17は、下行大動脈と直列に設置されたMCS100の例を概略的に描写しており、MCS100の入口102および出口104は入口グラフト106および出口グラフト108によって大動脈に吻合されている。グラフト106、108は、概して0度から90度の間の角度の広範囲から選択される角度で大動脈の軸から延び得る。入口102が出口104に対して実質的に垂直(つまり、90度)であるMCS100の実施形態について、MCS100が大動脈の概して真っ直ぐな部分の中に設置されるとき、大動脈に対する入口102の角度と、大動脈に対する出口104の角度と、の合計はおおよそ90度である。例えば
図17に示されているように、MCS100の入口102および出口104は、下行大動脈に対しておおよそ45度で各々配置されている。特にはある角度での、大動脈の中でのMCS100の設置は、MCS100が吻合される大動脈の上流部分および/または下流部分の配向をいくらか変位または変更することができる。
【0167】
MCS100の入口102も出口104も大動脈と同一線上にないように構成される一部の実施形態では(MCS100は大動脈から横に変位させられている)、MCS100は大動脈と並列に接続され得る。MCS100が並列に接続される実施形態では、入口グラフト106および出口グラフト108は、枝分かれした形で生来の血管構造と吻合され得る。一部の並列の実施形態では、生来の大動脈は、入口グラフト106と出口グラフト108との間で閉塞され、MCS100を効率的に大動脈と並列にさせることができる。一部の並列の実施形態では、一方向弁(例えば、一方向人工心臓弁)が、入口グラフト106と出口グラフト108との間で生来の大動脈に設置でき、血流を下流方向においてのみ許容する。生来の大動脈の中で上流への血流を機械的に防止することは、並列に設置されるとき、血液を過剰に損傷する、および/または下流の血流を妨害する可能性がある、生来の大動脈を順行してMCS100を通って逆行する最小の抵抗の経路に沿っての血液の再循環を、有利に防止することができる。
【0168】
図18Aおよび
図18Bは、下行大動脈と並列に設置されたMCS100の例を概略的に描写している。
図18Aは、入口102と大動脈との間でおおよそ60度の角度で設置され、出口104と大動脈との間でおおよそ30度の角度で設置されたMCS100を示している。
図18Bは、入口102と大動脈との間でおおよそ90度の角度で設置されたMCS100を示している。出口104は大動脈の下部分と並列(つまり、0度)であり、湾曲した出口グラフト108を介して接続されている。
図18Bに示された例では、入口グラフト106および出口グラフト108は実質的に湾曲されている。湾曲したグラフトを使用することは、血管構造におけるより鋭い角度でのMCS100の設置を許容することができる、ならびに/またはグラフト106、108およびMCS100によって占有される空間の大きさを最小限にすることができる。グラフトの湾曲は、本明細書における他の場所に記載されているような渦の形成をもたらす可能性もある。グラフト106、108は、血管構造の中でMCS100を支持するために実質的に剛体であり得る。様々な形または柔軟性のグラフトが、望まれる湾曲の大きさに依存して採用され得る。より穏やかな角度(例えば、45度)を使用する実施形態は、比較的短いおよび/または比較的真っ直ぐなグラフト106、108を使用してグラフトの設置が遂行できる点において有利とでき、これはMCS100の全体の設置空間を最小限にすることができる。真っ直ぐなグラフト106、108の使用は、より湾曲したグラフト106、108の使用より弱い乱流を血流へ付与することができる。
【0169】
一部の実施形態では、MCS100の出口104は、血液を大動脈の下流部分に戻すために実質的に湾曲したグラフト108に接続される。湾曲した出口グラフト108は、入口102に対して実質的に垂直の方向においてMCS100の出口104から延び、グラフト108が大動脈と実質的に同一線上になるまで大動脈の下流部分に向けて湾曲することができ、その同一線上の位置において、グラフトと下流部分とは吻合させられ得る。
図19は、下行大動脈と直列に設置されたMCS100の例を概略的に描写しており、入口102は、同一線上の様態で、または比較的小さい角度(例えば、0〜10度)で下行大動脈の上方部分に吻合されており、出口104は、概して「クエスチョンマーク」に成形された出口グラフト108を介して、下行大動脈の下方部分に吻合されている。この構成は、入口グラフト106および出口グラフト108の両方が生来の血管構造に概して同一線上の形で吻合された状態でMCS100の設置を可能にする点において有利であり得る。MCS100の同一線上の設置は、MCS100を収容するために生来の大動脈において必要とされる操作の量を最小限にすることができる。大きな曲率半径を伴う出口グラフト108の使用は、MCS100を通じて血流に付与される乱流の量を最小限にすることができる。
【0170】
一部の実施形態では、MCS110が同軸の構成で大動脈の中に設置されてもよく、MCS110では入口112と出口114とが垂直ではなく同軸であり、そのため入口112と出口114とは共通の軸と平行であり、概して生来の大動脈の長手方向軸と位置合わせされる。
図20は、下行大動脈の中に設置された同軸のMCS110の例を概略的に描写している。入口112は90度の曲げを含み、入口グラフト106を下行大動脈の上方部分と同一線上のままにさせている。血流が、直立する患者に対して90度の曲げの「横道」から同軸のMCS110の羽根車に入る。ディフューザは血流を直立する患者に対して鉛直方向下向きに送る。この構成は、流入グラフト106の位置における圧力が他の構成に対して比較的低いため、流入グラフト106におけるポンプ効率において最小の損失をもたらし得る。MCS110の残りの機構は、角度付けされた構成において設置されたMCS100の残りの機構と同じであり得る。同軸の構成は、MCS出口114において渦の形成をもたらす可能性がある。入口112において鋭い90度の曲げを備える実施形態では、MCS110は、比較的短いグラフト106、108と最小の設置空間とで設置され得る。同軸のMCS110は低侵襲手術による設置に特に貢献する。一部の実施形態では、切断された大動脈の下流部分は、例えば3〜10cmなど、設置において若干変位させられてもよい。他の実施形態では、出口114は、入口112および出口114が同一線上になるように、MCS110の本体の周りに一部巻き付くように曲がることができる。
【0171】
図21A〜
図21Dは、大動脈と直列に設置されたMCS装置を通じてのシミュレートされた流体流れを、様々な構成において概略的に描写している。
図21Aは、入口102と大動脈との間と、出口104と大動脈との間と、におおよそ45度の角度で角度付けされた構成で設置されたMCS100を示している。
図21Bは、大動脈に対しておおよそ65度の入口102の角度とおおよそ25度の出口104の角度とを伴う角度付けされた構成で設置されたMCS100を示している。
図21Cおよび
図21Dは、大動脈にたいしておおよそ90度の入口102の角度とおおよそ同一線上(0度)の出口104とを伴う角度付けられた構成で設置されたMCS100を示している。
図21Cおよび
図21Dに描写されたシミュレーションは、MCS入口112において90度の曲げを備える同軸のMCS110を通じての流体の流れに近付くために使用されてもよい。
図21Cに示された例は入口112において25mmの半径を有し、
図21Dに示された例は入口112において15mmの半径を有する。
図21Cおよび
図21Dに示された同軸のMCS110は流出において識別できるような渦を示していない。
図21Aおよび
図21Bに示された角度付けされたMCS100は、各々の流出において識別できる渦形成を示している。シミュレーション結果は、出口において曲がっていると、入口において曲がっている場合より多くの流体渦を作り出す可能性があることを示唆している。角度付けされたMCS装置100の入口102における比較的低い圧力と出口104における比較的高い圧力とは、渦の形成をシミュレートすることができる。出口におけるディフューザの大きさも渦の形成をもたらす可能性がある。
【0172】
MCS100、110の流出における渦の形成は有益であり得る。例えば、渦の流れは、大動脈から枝分かれする付随する動脈の潅流を高めることができる、および/または下行大動脈に洗浄を高めることができる。生理的な流れ状態を再び作り出すためにMCSを使用することは、血栓形成または他の病理学的状態の危険性を低減することができる。研究は、健康な個人における収縮期流出の間に、上行大動脈および大動脈弓を通じて下行大動脈への右巻き螺旋の形成の特定を示している。 非特許文献3(本明細書において参照により組み込まれている)を参照されたい。一部の実施形態では、MCSおよび/または装置の設置は、装置の流出において渦の形成を最適化するように(例えば、右巻きの螺旋を形成するように)構成され得る。例えば、羽根車回転の方向、ディフューザの配向、流入角度、流出角度、入口直径、および/または出口直径は、弱い渦を含め、最適な生理的状態を模倣するように選択され得る。MCSの形状に依存して、これらのパラメータは、生来の大動脈の渦形成を真似るために、渦形成の量の増加または低下のいずれかをするために使用されてもよい。全体として、以前のMCS装置は渦形成を排除することを目標としていた。
【0173】
一部の実施形態では、MCSは大動脈の上方部分と下方部分との両方と同一線上にあり、そのため流入または流出において軸方向または角度の変位がない。
図22A〜
図22Cは同一線上のMCS120の例を示している。
図22Aは、羽根車126とディフューザ128とを備える同一線上のMCS120の例の断面を概略的に示している。
図22Bおよび
図22Cは同一線上のMCS120の例の斜視図を示している。MCS120の入口122は下行大動脈の上方部分と直列で直接的に接合され得る。一部の変形では、入口122は、本明細書における他の場所に記載されている、羽根車126の上方の予旋回不動羽根(図示略)を備え得る。血液は、羽根車126によって、径方向外向きの方向においてディフューザ128へと押され得る。ディフューザ128は、流入に対して90度で位置合わせされた径方向からの流出を、流入および下行大動脈の下方部分と同一線上に位置合わせされた軸方向へと、再配向することができる。ディフューザ渦巻体129がMCS120のケーシングの周りに巻き付くことができる。ディフューザ渦巻体129は、MCS120のケーシングの下部の下方へ延びるにつれて、MCS120の長手方向軸に向けて内向きに延び得る。ディフューザ渦巻体129は渦状/螺旋の形で延び得る。一部の実施では、ディフューザ渦巻体129は、ケーシングの周りに巻き付くにつれて軸方向に向けて漸進的に曲がってもよい。ディフューザ渦巻体129は、流れを周方向から軸方向へと徐々に移行させてもよく、または主として出口124の近くで軸方向に曲がってもよい。巻き付きディフューザ128は、流れを鉛直方向下向きに送り、拡張した直径を伴う出口124において漏斗状の形で途切れてもよい。ディフューザ渦巻体129の直径は、羽根車126から出口124に向けて延びるにつれて増大してもよい。
図22Aの断面図において見られるように、ディフューザ渦巻体129の断面は、MCS120の一方の側(例えば、図の右側)において他方の側(例えば、図の左側)より小さくてもよい。血液は、ディフューザの増加する大きさの方向に沿って、ディフューザ渦巻体129を通じて進むことができる。ディフューザ128を通じた血流の螺旋方向は、
図22Aにおける連続的な矢印によって概略的に示されている。ディフューザ128の増加する直径は、流出において渦の形成を促進させることができる。
【0174】
ディフューザ128は、MCS120の軸の周りに一部の回転だけ、1周回、複数の周回、またはそれらの間の任意の角度の周回を実施し得る。例えば、ディフューザ128は、出口124において途切れる前に、半旋回、4分の3旋回、全旋回、1と2分の1旋回、2旋回、2と2分の1旋回、3旋回などを行ってもよい。ディフューザ320の点321から渦巻体129における旋回の終わりまでの渦巻体129における方位角の旋回は、任意の角度であり得るか、または変化する角度であり得る。ディフューザ128は、出口124に到達する直前に軸方向に鋭い曲げを行ってもよい。巻き付く設計は、MCS120の流出において渦形成を誘導するために有用であり得る。ディフューザ128の設計パラメータは、螺旋形成を最適化するために変更されてもよい。これらパラメータには、ディフューザ128の直径、ディフューザ128の直径における変化、ディフューザ128によって行われる周回の数、旋回のピッチ、および特には出口に向けて、軸方向に向かう曲げにおける鋭さがあり得る。同一線上のMCS120の構成は比較的コンパクトであり得る。巻き付きディフューザ128はMCS120の全体直径を最小限にすることができる。同一線上の構成は、入口グラフト106および/または出口グラフト108の長さを縮小させることで、MCS120の全体の軸方向長さを縮小させることができる。概して小さい大きさの同一線上のMCS120は、低侵襲手術を介しての設置に特に貢献させることができる。
【0175】
MCS100(および本明細書に開示されている他のMCS)は、装置を通じた血液の流入および/または流出をさらに変更するために、不動の羽根を採用してもよい。一部の実施形態では、MCS100は不動の予旋回羽根323(入口案内羽根としても知られている)を備え得る。
図23Aは、不動の予旋回羽根323を備える入口102の側面図を概略的に描写している。
図23Bは、不動の予旋回羽根323を備える入口102の開放/平坦化された周辺部分を概略的に描写している。これらの羽根323のうちの1つ以上が、入口102の内側周辺から、導入された血液の軸方向の流路へと延び得る。羽根323は実質的に平坦であり得る。他の実施形態では、羽根323は湾曲した表面を有し得る。羽根323は血流を羽根車の回転の方向に曲げることができる。一部の実施では、湾曲は流れを生来の大動脈の通過の渦の方向に曲げることができる。
図23Aに示されているように、羽根323は、入口102の内径から入口102の長手方向軸に向けて延びるにつれて幅が縮小してもよい。一部の実施形態では、羽根は長手方向軸へと延び得る。縮小する幅は、入口102の周辺の周りで、隣接する羽根323の収容を許容することができる。
図23Bに示されているように、羽根323は、周方向において一部で延び、軸方向に一部で延びるように、入口の周辺に対して角度付けされてもよい。羽根323は、形がすべて同一であり得るか、または形が異なってもよい。羽根323は、周辺および長手方向軸に対して同じ角度ですべて延び得るか、または異なる角度で延び得る。一部の実施では、
図23Aに示されているように、羽根323は、入口102の断面全体を累積的に占有するように構成されてもよいが、羽根323は角度が付けられているため、血液は羽根323同士の間で流れることができる。一部の実施形態では、羽根323は軸方向において互いと一部重なってもよい。一部の実施形態では、羽根323は入口102の断面全体を占有しておらず、そのため、血液は潜在的に羽根323同士の間で純粋に軸方向に流れることができる。羽根323は、MCS100に入る血液を、羽根車200に到達する前に予旋回することができる。羽根323は、血液との摩擦の増加を犠牲にして、MCS100を通る血流の流体動力学を向上させることができる(回転速度を血流に加えることができる)。向上した流体動力学は、流量を調節するために、および/またはターボ機械の効率を向上させるために、使用され得る。例えば、羽根323は、モータ電力を低減しつつ回転速度の増加を可能にすることができる。一部の実施形態では、軸方向に沿って複数の列の予旋回羽根323があってもよい。一部の実施形態では、羽根323は、すべてが同じ軸位置に位置決めされなくてもよいが、互いから軸方向で離間されてもよい(例えば、螺旋の形成)。予旋回器羽根323を備える一部の実施形態では、予旋回羽根323は、入口102の追加または代替で、羽根車の上方通路203へと直接的に組み込まれてもよい。一部の実施形態では、羽根323は、入口102の追加または代替で、出口104へと組み込まれてもよい。
【0176】
一部の実施形態では、MCS100は羽根付きディフューザ320(および/または、ディフューザ320の末端において延びる羽根付き渦巻構造)を備えてもよい。羽根付きディフューザ320は、装置の流出において、渦形成など、流体動力学を最適化するために使用され得る。
図23Cは、2つの並列な流体通路を備える分割した2つの渦巻構造を出口104において作り出す単一の分割羽根324を伴うディフューザ320を備えるケーシング300の上方からの断面の例を概略的に示している。1つ以上の分割羽根324は、具体的には渦巻構造の内側(
図23Cの左側)と渦巻構造の外側(
図23Cの右側)との間で、流れの分配を均一にするために使用され得る。
図23Dは、
図23Cに示された分割ディフューザの変形を概略的に示しており、ディフューザの羽根324は、周辺のディフューザ320の通路(真っ直ぐな渦巻構造通路の前の通路の部分)へと一部だけで延びるかまたはまったく延びていない。一部の実施形態では、分割羽根324は、装置の軸方向と純粋に位置合わせされた壁ではない。分割羽根324は、ディフューザおよび/または渦巻構造に沿って延びるにつれて通路の断面周辺に対して回転することができる。回転する分割羽根324の使用は、回転速度を血液の流出に加えることができ、健康な大動脈における自然に起こる渦形成を模倣するのを助けるために使用されてもよい。
図23Eは、ディフューザ320の内側周辺を包囲する複数のディフューザ羽根325を備える羽根付きディフューザを伴うケーシング300の例を概略的に示している。ディフューザ羽根325は、血液を出口104に向けて配向するように構成される方向において若干湾曲されてもよい。ディフューザ羽根は、ディフューザ320の周辺の周りに均等に離間されてもよい。一部の実施形態では、ディフューザ320の周辺のすべての部分がディフューザ羽根を組み込まなくてもよい。ディフューザ羽根325は、ディフューザ320の中での流体流れの分配を向上させるために使用されてもよい。不動の予旋回羽根323と同様に、ディフューザおよび/または渦巻構造の中の羽根は追加の摩擦を血液に付与することができる。
【0177】
本明細書に開示されている実施形態は、以下の参考文献からの検討を考慮して設計されてもよく、それらの参考文献の各々は、参照によりその全体において組み込まれている。圧力上昇、流量、直径、および回転速度のMCSD仕様に関連する遠心羽根車の形状的最適化についての検討は、非特許文献4および非特許文献5によって記載されている。
【0178】
遠心羽根車の機械加工性は、非特許文献6によって記載されている。装置動作における患者の運動の影響は、非特許文献7および非特許文献8によって記載されている。
【0179】
下行大動脈における装置埋め込みの影響は、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11、および非特許文献12によって記載されている。
【0180】
MCSD電気モータの設計についての検討は、非特許文献13、非特許文献14、非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17、非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21、非特許文献22、および非特許文献23によって記載されている。
【0181】
MCSDが埋め込まれている心臓血管系の数値シミュレーションは、非特許文献24、非特許文献25、非特許文献26、非特許文献27、非特許文献28、および非特許文献29によって記載されている。
【0182】
VADおよびMCSDの生体外での試験のための人の心臓血管系を模倣するための装置は、非特許文献30に記載されている。
【0183】
一部の実施形態では、血管構造と直列に設置されたMCSは、血管構造が本明細書における他の場所に記載されているように切断される必要がないように、血管構造の中に設置されるように構成されるターボ機械を備え得る。例えば、MCSは、大動脈を通じる血流を補助するために大動脈の内腔へと設置される、回転子を含むターボ機械を備え得る。MCSは、本明細書における他の場所に記載されているように下行大動脈に設置され得るか、または大動脈の他の部分に設置され得る。MCS装置は他の血管に設置されてもよい。一部の実施では、MCSは、大腿動脈を通じて、または任意の他の適切な部位を介してなど、カテーテルを通じて有傷経皮で設置され得る。MCS装置は、血管内送達のために構成された折り畳まれた構成と、本明細書における他の場所に記載されているような、血管の中での動作のために構成された展開または拡張した構成と、を備え得る。一部の実施では、MCS装置は、血管における切開を通じて血管へと外科的に挿入されてもよい。装置は、開胸を通じてなど、胸における切開を通じて外科的に埋め込まれてもよい。下行大動脈は、特に上行大動脈と比較して、その場所のおかげで低侵襲手術を介しての設置に特に貢献することができる。血管内回転子を備える装置は、遅い段階IIまたは早い段階IIIのCHFの治療に特に適することができる。装置は、約20〜約50mmHgの範囲での圧力上昇を提供するように構成され得る。一部の実施形態では、装置は、約5L/minの血液流量を維持するように構成され得る。一部の実施形態では、装置は、約8L/minの血液流量を維持するように構成され得る。一部の実施形態では、装置は、約5L/minから約8L/minの間の血液流量を維持するように構成され得る。一部の実施形態では、装置は約12,000rpmにおいて動作するように構成され得る。本明細書における他の場所に記載されているように、ターボ機械は、流体の流れに対して特定の迎え角となるように構成され、圧力上昇、流量、毎分回転数などに関してなど、その設計点の実質的に近くで動作されなければならないか、または効率損失、せん断応力、および/もしくは乱流は、流体流れと翼板との間の結果生じる剥離から生じ得る。その設計された動作パラメータの外でターボ機械を動作させることは、最終的に装置の失速につながり得る。おおよそ120mmHgの十分な生理的圧力未満の圧力上昇を発生させるように構成されるMCS装置は、より小さくでき、より小さい電力しか必要とせず、より容易に外科的に埋め込むことができる。したがって、このような装置は、TETを介した無傷経皮でのエネルギー送信にもより適している。
【0184】
図24Aおよび
図24Bは、血管の内腔における設置のために構成されたMCS装置500の例を概略的に示している。一部の実施形態では、装置500は1つ以上の回転子510を備え得る。回転子510はプロペラ511を備え得る。プロペラ511は、血管構造を通じて流れる血液に力を移送するように構成される径方向に延びる1つ以上の翼板520を備え得る。
図24Cは、直径方向で反対にされた2つの翼板520を有するプロペラ511の例を示している。MCS装置500は、血管の中にターボ機械を係留するための係留機構600を備え得る。係留機構600は、ターボ機械を包囲するように、および血流を通過させるように構成されたケージまたは他の支持構造であり得る。一部の実施形態では、係留機構600は、
図24Aにおいて示されているような樽形の構成を有し得る。一部の実施形態では、係留機構は、
図24Bに示されているようなフットボール形の構成を有してもよく、この構成では、ケージ構造は、1つ以上の回転子510の回転の軸と実質的に位置合わせされる上流点および下流点を備え得る。係留機構600は、係留機構600が血管と接触する位置において血管壁に発揮される圧力を通じて、MCS装置500を血管の中の所定位置において保持するように構成され得る。係留機構600は、本明細書における他の場所に記載されているように拡張可能であり得る。
【0185】
一部の実施形態では、MCS装置500は血管150において外科的に設置されてもよい。
図24D〜
図24Fは、MCS装置500の外科的な設置を概略的に示している。
図24Dに示されているように、切開152が血管において行われ得る。一部の実施形態では、血管150におけるMCS装置500の設置の後、本明細書における他の場所に記載されているように、1つ以上の固定子710が血管150の外側の周りに位置決めされてもよい。固定子710は、切開152が縫合された後に位置決めされてもよい。
図24Eは、血管150に設置されたMCS装置500の断面を概略的に示している。
図24Fは、切開152が縫合され、固定子710(電磁コイルを備える)が血管150の周りで取り囲んでいる状態で血管150に設置されたMCS装置500の側面図を概略的に示している。一部の実施では、MCS装置500、または少なくとも回転子510および係留機構600は、本明細書における他の場所に記載されているように、有傷経皮で設置され得る。
【0186】
一部の実施形態では、MCS装置500は2つ以上の回転子510を備え得る。各々の回転子510は、他の回転子のプロペラから独立して回転するように構成されるプロペラ511を備え得る。プロペラ511は、MCS装置500の所与の軸方向位置において位置合わせされる径方向に延びる1つ以上の翼板520と見なすことができる。一部の実施形態では、1つ以上の回転子510は翼板520の2つ以上のプロペラ511または列を備え得る。同じ回転子510のプロペラ511は一緒に回転するように構成され得る。
図25A〜
図25Cは、1つのプロペラ、2つのプロペラ、および4つのプロペラをそれぞれ備える実施形態を概略的に示している。各々のプロペラ511は、それ自体の回転子510であり、他の回転子510/プロペラ511から独立して、角速度ωで回転するように構成され得る。プロペラ511は、MCS装置500が設置される血管構造を通じて流れる血液に速度を付与することができる。1つ以上のプロペラ511は、血管の軸方向の次元に沿って位置合わせされ得る。軸方向の次元は、血管の中の血流の全体的な方向(上流から下流へ)と平行に延び、MCS装置500の中心軸を定めることができる。1つ以上のプロペラ511の回転の軸は、MCS装置500の中心軸に実質的に沿って位置合わせされ得る。プロペラ511の各々の回転の軸は、同一線上になるように位置合わせされ得る。一部の実施形態では、プロペラ511の各々の回転の軸は平行であるが同一線上ではなくてもよい。
【0187】
プロペラ511の翼板520は、軸方向成分および接線成分を有する速度を血液に付与でき、接線成分は軸方向成分と直交している。下行大動脈などの生来の血管構造を通る血流は軸方向成分と接線成分とを含む可能性があり、そのため、本明細書における他の場所に記載されている右巻きの螺旋など、螺旋血流パターンが健康な血管において形成される。軸方向成分は、健康な血流において接線成分より実質的に大きくなり得る。流れ視覚化実験および数学的モデル作成を含む効率試験は、単一のプロペラだけを有するMCS装置がMCSを通過する血流に大きな接線速度を付与することを示している。付与される接線速度成分は、本明細書における他の場所に記載されている健康な螺旋流れの接線成分よりはるかに大きく、そのため大きな周囲方向運動エネルギーを血液に入力する。単一のプロペラによって付与される大きな接線速度成分は、プロペラを二重反転プロペラと組み合わせることで低減または排除され得る。二重反転プロペラは、第1のプロペラに軸方向で隣接して(例えば、下流で)位置決めでき、第1のプロペラと反対方向で回転するように構成され得る(例えば、時計回りと反時計回り、またはその反対)。二重反転プロペラは、接線速度成分が0と対の第1のプロペラの接線速度成分との間になるように、接線速度成分を対の第2のプロペラの出口において変調するために使用できる。二重反転プロペラは接線速度成分の方向を変えることができるが、接線速度成分の大きさは、第1のプロペラから生じる接線速度成分の大きさより小さくなり得る。一部の実施形態では、MCS装置500は、偶数のプロペラ(例えば、2個、4個、6個、8個、10個など)を備えるように、二重反転プロペラ512、514の1つ以上の対を備え得る。一部の実施形態では、最後(最も下流)のプロペラ511は、MCS装置の出口において小さい接線速度成分を有する血流をもたらすように構成され得る。例えば、出口における血流は、本明細書における他の場所に記載されているように、健康な個人における自然の螺旋血流の速度成分を複製する軸方向速度成分および接線速度成分を含み得る。
【0188】
図26は、二重反転プロペラ512、514の対を通じて流れる血流の速度ベクトルを概略的に示している。プロペラの翼板520の接線速度は各々の点においてv=ωrによって定められ、ここで、vは接線速度であり、ωは角速度であり、rは、ある点においての回転の軸に対する翼板520の半径である。血流の絶対速度(例えば、平均速度)はベクトルc
1、c
2、およびc
3によって表されている。ベクトルc
1は、MCS装置500の第1の直面するプロペラ511であり得る対の第1のプロペラ512に入る血流を表している。ベクトルc
1は、接線速度をほとんどまたはまったく有していない実質的に軸方向であり得る。一部の実施では、ベクトルc
1は、特に血管が大動脈である場合、血管の自然の螺旋血流からの小さな接線速度成分を有し得る。ベクトルc
2は、第1のプロペラ512と第2のプロペラ514との間の血流を表している。第1のプロペラ512は、血流が実質的な接線速度成分と実質的な軸方向速度成分との両方を含むように、実質的な接線速度成分を血流に付与することができる。ベクトルc
3は、第1のプロペラ512の反対方向で回転するように構成される第2のプロペラ514から出力される血流を表している。第2のプロペラ514は接線速度成分を弱めることができる。一部の実施では、第2のプロペラ514は接線速度成分の方向を反転させることができる。ベクトルc
3の接線速度成分の大きさ(絶対値)はベクトルc
2の大きさより小さくなり得る。ベクトルc
3の接線速度成分の大きさはベクトルc
1の接線速度成分と同じか、より大きくなるか、またはより小さくなり得る。二重反転プロペラ512、514の対の各々のプロペラ511は血流の軸方向速度成分を増加させることができる。例えば、ベクトルc
2の軸方向成分はベクトルc
1の軸方向成分より大きくなり得る。ベクトルc
3の軸方向成分はベクトルc
2の軸方向成分より大きくなり得る。3つ以上のプロペラ511を備えるMCS装置について、各々のプロペラ511は、血液の軸方向速度がMCS装置を通過するときに連続的に増加させられるように、血流の軸方向速度成分を増加させるように構成され得る。
【0189】
MCS装置500の出口における最終的な速度ベクトルは、翼板の形状(例えば、翼板の大きさ、翼板の傾き、翼板の数)、様々なプロペラ511同士の間の距離、およびプロペラ511の角速度によって変調され得る。一部の実施形態では、二重反転プロペラ512、514の対の中の2つのプロペラ511の角速度の大きさは等しくてもよい。等しい角速度の大きさを伴う二重反転プロペラ512、514は、大動脈における自然の螺旋血流を複製する必要があるものなど、小さい接線速度成分を含む出力速度ベクトルをもたらすことができる。一部の実施形態では、二重反転プロペラ512、514の対の中の2つのプロペラ511の角速度の大きさはおおよそ等しくてもよい(例えば、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、10%未満での変動)。おおよそ等しい角速度の大きさを伴う二重反転プロペラ512、514は、大動脈における自然の螺旋血流を複製する必要があるものなど、小さい接線速度成分を含む出力速度ベクトルをもたらすことができる。二重反転プロペラ512、514の複数の対を備える一部の実施形態では、各々の対の中のプロペラ511の角速度の大きさはおおよそ等しくてもよいが、角速度の大きさは、二重反転プロペラ512、514の異なる対の間で異なってもよい。二重反転プロペラ512、514の複数の対を備える一部の実施形態では、各々の対の中のプロペラ511の角速度の大きさはおおよそ等しくてもよく、2つ以上の対の間での角速度の大きさはおおよそ等しくてもよい。例えば、一部の実施形態では、すべてのプロペラ511(例えば、4つのプロペラ、6つのプロペラ、8つのプロペラ)がおおよそ等しい角速度を有してもよい。一部の実施では、対の各々のプロペラ511が等しいかまたはおおよそ等しい角速度の大きさを有する二重反転プロペラ512、514の複数の対を備える実施形態は、血流における自然の螺旋形成(例えば、下行大動脈における右巻きの螺旋)を複製する小さい接線速度成分を有する最終的な出力される血流を、プロペラ511または装置の下流の端においてもたらすことができる。二重反転するプロペラ512、514の対の中でのプロペラ511の回転の方向および順番は、出力される血流における最終的な接線速度成分の方向を制御するために使用され得る。例えば、出力される血流における接線速度成分は、最終的なプロペラ511と同じ方向(例えば、右巻きまたは左巻き)であり得る。一部の実施形態では、プロペラ511のすべてが軸方向において互いから一定の距離で離間され得る。一部の実施形態では、二重反転プロペラ512、514の対の中のプロペラ511同士は互いから第1の距離で離間され、二重反転プロペラ512、514の対は互いから第2の距離で離間され得る。第1の距離は第2の距離より小さいか、同じか、または大きくてもよい。一部の実施形態では、プロペラ511のすべては互いから異なる距離で離間されてもよく、または間隔は、本明細書に開示されている様々なパターンの構成を備え得る。
【0190】
一部の実施形態では、MCS装置500は、装置の入口または出口のいずれかでなど、血流の速度ベクトル(例えば、接線速度成分)を変調するために使用できる固定子要素を備え得る。例えば、MCS装置500は、装置の入口などにおいて、第1(最も上流)のプロペラ511の前に予旋回器羽根590(入口案内の羽根または翼板)および/または装置の出口などにおいて、最後(最も下流)のプロペラ511の後に脱旋回器羽根592(流れ整流器の羽根または翼板)を備えてもよい。予旋回器羽根590および/または脱旋回器羽根592は、本明細書における他の場所に記載されている羽根と同じまたは同一であり得る。一部の実施形態では、予旋回器羽根590および/または脱旋回器羽根592は係留機構600の一部であり得る。一部の実施形態では、予旋回器羽根590および/または脱旋回器羽根592は、羽根が回転子510と共に回転しないような形で1つ以上の回転子510に結合されてもよい。羽根は、本明細書における他の場所に記載されているように回転子に当てて折り畳み可能とでき、これはMCSの送達にとって有利であり得る。一部の実施形態では、MCS装置は、単一のプロペラ511を備えてもよく、単一のプロペラ511の大きな接線速度成分を弱めるために脱旋回器羽根592を使用することができる。予旋回器羽根590および/または脱旋回器羽根592の使用はMCS装置500の効率を向上させることができる。
図27は、単一のプロペラ511を有するMCS装置500についての速度輪郭を示しており、渦巻き運動の大きさはs
−1でのスケールバーによって指示されている。左におけるMCS装置500は脱旋回器羽根592を備えていない。右におけるMCS装置500は、回転子510に結合された脱旋回器羽根592を備えている。
図27において見られるように、脱旋回器羽根592は、流体流れの渦巻き運動を低下させ、速度輪郭の接線成分を低下させる。脱旋回器羽根のないMCS装置500は、プロペラ511の上流および下流の両方でおおよそ750s
−1の渦巻き運動を明示しており、プロペラ511の直ぐ上流では渦巻き運動は若干小さく(おおよそ500s
−1)、プロペラ511の直ぐ下流では渦巻き運動は若干大きい(750s
−1より若干大きい)。脱旋回器羽根592を伴うMCS装置500は、プロペラ511の上流よりもプロペラ511の下流でより小さい渦巻き運動(概して250s
−1未満)の状態で、概して500s
−1未満である渦巻き運動を明示している。
【0191】
図28Aは、係留機構600に組み込まれている予旋回器羽根590および脱旋回器羽根592を備えるMCS装置500の例を概略的に示している。係留機構600は、自己拡張上方支持部601aおよび/または自己拡張下方支持部601bを備える自己拡張ケージ構造であり得る。係留機構は、1つ以上のプロペラ511が装着され得るシャフト610を備え得る。シャフト610は管であり得、MCS装置500の有傷経皮の挿入の間に案内ワイヤを受け入れるように構成され得る。MCS装置500は、本明細書における他の場所に記載されているように、血管外固定子710の形態で電気結合駆動ベルトを備え得る。固定子710は、電線またはケーブルを介してインターフェース箱705または他の接続部に結合され得る。電力が、本明細書における他の場所に記載されているように、有傷経皮または無傷経皮で提供され得る。
図28Bは、フットボール形の係留機構600と3つのプロペラ511とを備えるMCS装置を概略的に示している。
図28Cは、プロペラ511と、血管150へと挿入される係留機構600と、を備えるMCS装置の一部分を概略的に示している。概略的に描写されているように、一部の実施形態では、MCS装置500は、羽根車512を電磁的に駆動するための血管内および/または血管外の固定子710を備え得る。
【0192】
MCSは、1つ以上の回転子510に結合され、1つ以上の回転子510に回転力を提供するように構成された1つ以上のモータ700を備え得る。2つ以上の回転子510を備える実施形態では、回転子510のうちの一部または全部が同じモータ700によって駆動されてもよく、またはすべての回転子510が異なるモータによって別々に駆動されてもよい。1つ以上のモータ700は、電源750によって電力が提供され得る。電源750は、外部の電源(例えば、交流のコンセント)、または本明細書における他の場所に記載されているような内部の電源(例えば、再充電可能な電池)であり得る。一部の実施形態では、モータ700は体外にあり得る(身体の外側に位置決めされ得る)。一部の実施形態では、モータは体内にあり得る(身体の内側に位置決めされ得る)。体内モータを備える実施形態では、モータは、血管の内腔の中に(血管内に)、および/または血管の外部の周りに位置決めでき、血管の外部の場合、回転子510は、血管から離れた場所に設置されるか、またはそのような場所にある。一部の実施形態では、回転子510/プロペラ511は、シャフト、駆動ライン、および/または他の機械的手段によってモータに結合されてもよい。一部の実施形態では、回転子510/プロペラ511は、モータ固定子710によって直接的に回転させられてもよく、モータ700の一部として参照されてもよい。例えば、モータの電磁的な固定子710によって駆動される磁石が、1つ以上のプロペラ511の翼板720の中など、回転子510に結合されてもよく、または回転子510の中に設置されてもよい。体内モータを備える実施形態では、本明細書における他の場所に記載されているように、モータ700には無傷経皮または有傷経皮で(TETまたはPETを介して)電力が提供されてもよい。制御装置760が、提供される電力および回転子510を制御するように、ならびに、動作速度を含め、回転子510の動作を制御するように構成され得る。体内モータを備える実施形態では、制御装置760は、本明細書における他の場所に記載されているように体外または体内にあり得る。
【0193】
一部の実施形態では、MCS装置500は電線接続され得る。機械的および/または電気的な電力および/または制御のシステムの信号が、身体の外側からターボ機械へと、本明細書における他の場所に記載されているように、有傷経皮エネルギー移送(PET: Percutaneous Energy Transfer)を通じてなど、有傷経皮の電線を介して移送され得る。電線はカテーテルを通じて延び得る。一部の実施形態では、電線はカテーテルであり得る。カテーテルは、MCS装置500が設置される血管構造へと延び入ることができる。一部の実施では、MCS装置500は、電線が通じて延びる同じカテーテルを使用して送達され得る。体外モータを備える実施形態では、モータ700は、モータ700から回転子510へと回転運動を伝える駆動ラインを通じて回転子510に結合され得る。駆動ラインはカテーテルを通じて血管構造へと延び得る。体外モータを使用することの利点は、モータ700が身体の中の物理的制約によって大きさが限られないことである。より大きな電力を回転子510に提供するように構成されたより大きいおよび/またはより重いモータが、体外モータを備えるMCS装置500においてより容易に使用できる。体外モータはより容易に潤滑させることができ、モータ700からの熱消散の懸念はない。一部の実施形態では、潤滑流体が、駆動ラインを潤滑するために、および/または、装置のゴミの除去を促進するために、カテーテルを通じて提供されてもよい。例えば、潤滑流体は、カテーテルにおける小さい通路を通じて、回転子510の近位軸受へと移送され、駆動ラインを備える配管を通じて戻され得る。回転子510の遠位軸受は血流によって潤滑されてもよい。CardioBridgeのReitan Catheter Pumpは、体外モータを伴う有傷経皮の大動脈内装置の例である。血管内モータは、より複雑でない結合機構を必要とする可能性があり、駆動ライン潤滑の必要がない。一部の血管内モータは、封止、モータ潤滑、および温度制御を必要とする可能性がある。血管内モータは、血液に対する圧力障壁を作り出すことによって、血液がモータ区画室に入らないように設計された除去システムを備え得る。CardioBridgeのImpella(商標)およびProcyrionのAortix(商標)は、血管内モータを備えるポンプの例である。
【0194】
一部の実施形態では、MCS装置500は短期間の使用のために特に構成され得る。短期間の使用は、1日未満、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日などとして定められ得る。体外の構成要素を伴う装置は、患者が有傷経皮の電線の傍で寝るように制約され得るため、短期間の使用に特に適することができる。短期間の装置は、急性心筋梗塞(AMI)の危険性を排除するために、全身血行機能を再生するために、および標的臓器の潅流を差し控えるために、心臓性ショックもしくは心肺機能不全の後、または危険性の高い有傷経皮冠動脈インターベンション(HR−PCI)の最中に、患者を回復させるために特に有用であり得る。一部の実施形態では、MCS装置500は長期間の使用のために特に構成され得る。長期間の使用は、1週間超、2週間、3週間、1カ月間などとして定められ得る。長期間の装置は、心臓移植または最終治療への懸け橋として使用され得る。ハートメイトおよびLVADなどのLVADは長期の装置と見なされ得る。長期の装置は体内モータを概して備える。溶血性についての性能(例えば、溶血、血栓形成などに関する)および耐久性が、長期間の装置について益々重要な設計検討になっている。以前には、多くの長期間の装置が、電池パックなどの外部の携帯可能な電源に接続されるPET電線によって直接的に電力供給されていた。最近、TET電力移送が長期間の装置についてより一般的になってきている。一部の実施形態では、MCS装置500は中期間の使用のために特に構成され得る。中期間の使用は、短期間の使用と長期間の使用との間の使用の期間として定められ得る。しばしば、中期間は、心臓移植のための患者の適格性または他の長期間の装置が決定される重大な期間である。中期間の装置は、体外の電源を概して組み込んでおり、PETまたはTETを介して駆動されてもよい。中期間の装置は、外科的に埋め込まれられ得るか、または有傷経皮で設置され得る。中期間の装置についての設計検討は、長期間の装置の設計検討と同様である。
【0195】
図29A〜
図29Eは、MCS装置500が設計され得る動作構成の様々な例の概要を概略的に示している。
図29Aは、駆動ラインを介して体外のモータ700、制御装置760、および電源750へと結合され、短期間の使用に特に適している回転子510を描写している。
図29Bは、電線を介して体外の電源750および制御装置760へと結合され、同じく短期間の使用に特に適している血管内モータ700に結合された回転子510を描写している。
図29Cは、電線によって内部TETコイルへと結合されている血管内モータ700に結合された回転子510を描写している。TETコイルは、電力および/または信号を体外の電源および制御装置から体外のTETコイルを介して受け入れ、中期間の使用に特に適し得る。
図29Dは、血管外固定子710によって各々が駆動される複数のプロペラ511を備える回転子510を描写している。固定子710は、他の場所に記載されているように、電線によってTETシステムへと接続され得る。
図29Eは、血管内固定子710によって各々が駆動される複数のプロペラ511を備える回転子510を描写している。固定子710は、他の場所に記載されているように、電線によってTETシステムへと接続され得る。
図29Dおよび
図29Eに描写された構成は長期間の使用に特に適し得る。
【0196】
図30Aは、駆動ライン702を介して体外モータ700に結合された単一の回転子510を備えるMCS装置500の例を概略的に示している。モータ700は体外電源750と体外制御装置760とにさらに結合されている。MCS装置500は、
図27または
図28Aに示されているものと同様の予旋回器羽根590および脱旋回器羽根592も備え得る。予旋回器羽根590および/または脱旋回器羽根592は、回転子510または係留機構600のいずれかに結合され得る。予旋回器羽根590および/または脱旋回器羽根592は、MCS装置500を血管内で展開するのを補助するために、回転子510(例えば、回転子の中心軸に沿って)または係留機構600のいずれかに当てて折り畳み可能であり得る。
【0197】
図30Bは、2つの回転子510(例えば、二重反転プロペラ512、514の対)と体外モータ700とを備えるMCS装置500の例を概略的に示している。プロペラ511の対は、2つのプロペラ511が単一のモータによって駆動され得るように、機械的、電気的、および/または流体流れの機構515を通じて結合されてもよい。プロペラ511同士は、反対方向において回転するように結合され得る。プロペラ511同士は、同じ速さまたは異なる速さで回転するように構成され得る。MCS装置500は、本明細書における他の場所に記載されているような予旋回器羽根590および/または脱旋回器羽根592を備えてもよいし備えなくてもよい。
【0198】
図30Cは、血管内モータ700に結合された単一の回転子510を備えるMCS装置500の例を概略的に示している。モータ700は、体外電源750および制御装置760に電力線またはケーブル704を介して接続され得る。MCS装置500は、本明細書における他の場所に記載されているような予旋回器羽根590および/または脱旋回器羽根592を備え得る。体内モータ700を使用する利点は、体内モータ700が、モータ700と回転子510との間の機械的な駆動ライン702、または駆動ライン702の潤滑を必要としないことである。一部の実施形態では、血管内モータ700は約4mmから6mmの間の直径を有し得る。血管内モータはMaxon Motorによって提供され得る。
【0199】
図30Dは、単一の血管内モータ700に結合され、同じ方向に回転するように構成された2つの回転子510を備えるMCS装置500の例を概略的に示している。モータ700は、軸方向において2つの回転子510の間に位置決めされ得る。モータ700は、2つの回転子510が周りで回転できる心棒として供することができる。一部の実施形態では、中間固定子509が、
図30Dにおいて概略的に指示されているように、2つの回転子510の間に、係留機構600の一部として、または回転子510のハブの一部として展開されてもよい。中間固定子509の使用は、両方の回転子510を回転させるために必要とされる機械的な複雑さを低減させることができる。MCS装置500は、本明細書における他の場所に記載されているような予旋回器羽根590および/または脱旋回器羽根592を備え得る。複数の回転子510を駆動するために単一のモータ700を使用する利点は、別々のモータ700の磁界を互いから絶縁する必要性がないことである。単一のモータ700の使用は、MCS装置500の大きさおよび重量を低下させることができる。
【0200】
図30Eは、個別の血管内モータ700に各々が結合された2つの回転子510(例えば、二重反転プロペラ512、514)を備えるMCS装置500の例を概略的に示している。MCS装置500は、本明細書における他の場所に記載されているような予旋回器羽根590および/または脱旋回器羽根592を備えてもよいし、備えなくてもよい。各々の回転子510を駆動するための別々のモータ700の使用は、2つの回転子510(例えば、二重反転プロペラ512、514)を単一のモータ700に結合するために機械的な歯車装置が必要とされない点において有利であり得る。このような機械的な歯車装置のないことは、MCS装置500をより堅牢および/またはより効率的にすることができる。
【0201】
図30Fは、単一の血管内モータ700によって駆動され、機械的、電気的、および/または流体流れ機構702によって結合される2つの回転子510(例えば、二重反転プロペラ512、514)を備えるMCS装置500の例を概略的に示している。機械的、電気的、および/または流体流れ機構702は、
図30Bに関して記載されたものと同じまたは同様であり得る。回転子510同士は、同じ方向または異なる方向に進むように構成され得る。回転子510同士は、同じ速さまたは異なる速さで進むように構成され得る。MCS装置500は、本明細書における他の場所に記載されているような予旋回器羽根590および/または脱旋回器羽根592を備えてもよいし備えなくてもよい。
【0202】
一部の実施形態では、MCS装置500は、回転子510の同心で外側に位置決めされる血管外固定子710を備える体内モータ700を備えてもよい。
図31Aは、単一の回転子510と、血管150の周りに周方向で位置決めされた血管外固定子710と、を備えるMCS装置500の例を概略的に示している。固定子710には、電源750および制御装置760へと延びる電線704によって電力が送達され得る。制御装置760および電源750は、本明細書における他の場所に記載されているように、身体に埋め込まれてもよく、または体外にあってもよい。一部の実施形態では、MCS装置500は、植えこまれた再充電可能な電池を主電源750および/またはバックアップ源として使用するように構成され得る。電力信号および/または制御信号が、本明細書における他の場所に記載されているように、有傷経皮または無傷経皮で皮膚を横断して送信され得る。回転子510は、回転子510の回転を駆動する1つ以上の磁石530(永久磁石)を備え得る。一部の実施形態では、翼板520は、磁性翼板が磁石530となるように磁性材料から製作されている。一部の実施形態では、固定子710は、血管150の外面を周方向で包囲するように、血管150の外側に位置決めされてもよい。一部の実施形態では、翼板520またはその一部分は、翼板520が磁石530を形成するように磁性材料から製作され得る。
図31Bは、血管内回転子510と、回転子510の回転を駆動するように構成される血管外固定子710と、を備えるMCS装置500の例の斜視図を示している。固定子710は輪状の本体711を有し得る。固定子710は、固定子の周辺の周りに位置決めされる1つ以上の歯712を備え得る。導電体が、本明細書における他の場所に記載されているように、および技術的に良く知られているように、電磁石(電磁コイル714)を形成するために1つ以上の歯712の周辺の周りに巻き付けられてもよい。一部の実施では、固定子710は、胸の左側における開胸を介し、小さい切開を通じて、身体に埋め込まれ得る。
【0203】
血管外固定子710を備え、血管内回転子510と同心で位置決めされたモータ700の効率は、回転子510と固定子710との間の隙間の大きさを埋めることで増加させられ得る。固定子710と回転子510とを血管壁の両側に位置決めすることは、回転子510と固定子710との間の隙間の大きさを増加させ、固定子710から回転子510へと起電力を介して電力を移送する効率を低下させる可能性がある。本明細書において検討されている多くの手段が、隙間にわたる起電力移送の効率を向上させるために、個別または一緒に使用されてもよい。
【0204】
一部の実施形態では、効率は、回転子510に結合されるプロペラの翼板520の数を増加させることで増加させられる。MCS装置500における翼板520の数を増加または最大化することは、周方向の固定子710に最も近い位置である翼板520の径方向先端521に位置付けられる磁性材料の量を最大化する。翼板の全体の数は、翼板520の列における翼板520の数を増加させることで、および/または翼板520の列の数を増加させることで、増加させることができる。回転子510に沿っての所与の軸方向長さにおける回転の軸から延びる翼板520の各々の列は、プロペラ511と見なされてもよく、回転子510は一緒に回転するように構成される1つ以上のプロペラ511を備えてもよい。例えば、一部の実施形態では、回転子510は、2枚の翼板、4枚の翼板、6枚の翼板、8枚の翼板、10枚の翼板などを備え得る。翼板520は、1列、2列、3列、4列などで分配され得る。一部の実施形態では、翼板520は翼板の列の間で均等に分配される。一部の実施形態では、翼板520は不均等に分配され得る。一部の実施形態では、1つ以上の列/プロペラ511の翼板520は周方向で位置合わせされる。一部の実施形態では、ある列の翼板520は別の列の翼板520から周方向でずれていてもよい。例えば、ある列の翼板520は別の列の翼板520同士の間の隙間の中で均等に離間されてもよい。一部の実施形態では、様々な列の翼板は、翼板520の周方向の分配を最大限にするために、互いに対して回転子510の周辺にわたって追加的に離間されてもよい。
【0205】
図32A〜
図32Cは、翼板520の複数の列を備える血管内回転子510の周りに周方向で位置決めされている血管外固定子710の様々な例を概略的に示している。
図32Aは、翼板520の複数の列と軸方向で位置合わせされる複数の固定子710の使用を示している。磁石が、翼板520の径方向先端521の中に位置決めされ得るか、または径方向先端521に結合され得る。翼板径方向先端521は、固定子710と自己位置合わせするように構成され得る。一部の実施形態では、各々の翼板520は磁石530を備え、磁石530はモータ700の効率を最大化することができる。一部の実施形態では、すべての翼板520が磁石530を備えなくてもよい。
図32Bは、翼板520の複数の列を包囲する単一の固定子710の使用を示している。固定子710の軸方向の長さは回転子510のすべての列を取り囲むことができる。
図32Cは、翼板520の複数の列を包囲する単一の固定子710の使用を示しており、翼板520の各々の列からの径方向先端521のうちの少なくとも一部は接続されている。翼板520は、実質的に軸方向に位置合わせされた接続器532によって周方向で位置合わせされて接続され得る。接続器532は磁石530であってもよい。磁気接続器532の使用は、固定子710の近くで磁気密度を増加させることができる。一部の実施形態では、翼板520は周方向で位置合わせされなくてもよい。翼板520は、螺旋形とされた接続器など、非線形の接続器532によって接続されてもよい。螺旋形とされた接続器532は、磁性であり得る。一部の実施形態では、各々の翼板径方向先端521は、翼板520の各々の列からの他の1つの翼板径方向先端521に接続されてもよい。一部の実施形態では、一部の翼板520(例えば、1枚の翼板、2枚の翼板など)だけが、他の列からの翼板520に接続される。
【0206】
一部の実施形態では、翼板520の外周に沿っての磁気密度は磁性輪体534またはウイングレット536を介して増加させられ得る。
図33A〜
図33Cは、翼板520の各々の列における翼板径方向先端521同士を結合する磁性輪体534を備えるMCS装置500の例を概略的に示している。磁性輪体534は、血管150の軸方向またはMCS装置500の中心軸に対して実質的に垂直の周方向に沿って位置合わせされ得る。磁性輪体534は、固定子710の内側に位置決めされた外側周辺に沿って磁気密度を増加させることができる。
図33Aは、中心軸と交差する断面を概略的に示している。
図33Bは、中心軸に沿っての側面図を概略的に示している。
図33Cは回転子510の斜視図を示している。
図34A〜
図34Cは、翼板径方向先端521が磁性ウイングレット536を備えるMCS装置500の例を概略的に示している。ウイングレット536は、翼板520の径方向先端521から右巻きおよび/または左巻きの方向において周方向に沿って延び得る。ウイングレット536は、
図33A〜
図33Cに示されているものと同様に、磁性輪体の一部の断面として構成され得る。
図34Aは、中心軸と交差する断面を概略的に示している。
図34Bは、中心軸に沿って切り取られた断面図を概略的に示している。
図34Cは回転子510の斜視図を示している。磁性輪体534および/またはウイングレット536は、磁性材料から製作されてもよく、磁気挿入体530を備えてもよく、または本明細書における他の場所に記載されている手段のいずれかに従って、磁石530と結合してもよい。磁性輪体534および/またはウイングレット536は、輪体534もしくはウイングレット536にわたる流体の流れを最適化する、および/または溶血を防止もしくは最小限にする軸方向に沿っての輪郭で、構成され得る。
【0207】
一部の実施形態では、MCS装置500は、翼板径方向先端521と固定子710との間で血管150の内部に位置決めされた鉄輪体538を備え得る。鉄輪体538は、固定子または固定子710から回転子磁石530への電界の送信を容易にするかまたは高めることによって、モータ効率を向上させることができる。
図35A〜
図35Bは、鉄輪体538を備えるMCS装置500の例を概略的に示している。
図35Aは、中心軸と交差する断面を概略的に示している。
図35Bは、中心軸に沿っての断面図を概略的に示している。一部の実施形態では、鉄輪体538はMCS装置500の個別の構成要素であり得る。一部の実施形態では、鉄輪体538は、係留機構600と一体であり得るか、または係留機構600に結合され得る。一部の実施では、鉄輪体538は、係留機構600が血管150に設置された後に係留機構600に結合される。一部の実施では、鉄輪体538は、人工弁における外側輪体と同様の形で血管150に埋め込まれる。一部の実施形態では、鉄輪体538は回転子510と係留機構600との間に位置決めされるように構成され得る。一部の実施形態では、鉄輪体538は係留機構600と血管壁との間に位置決めされるように構成され得る。一部の実施形態では、鉄輪体は、効果的に管状となるように連続的な環体であってもよく、翼板520の複数の列を取り囲むために回転子510の長さに沿って延びるように構成され得る。一部の実施形態では、複数の個別の鉄輪体538が組み込まれてもよい。複数の鉄輪体538は、軸方向において固定子710と翼板520の列との間で位置合わせされ得る。一部の実施形態では、鉄輪体または輪体538は、閉じた周辺を形成しなくてもよく、周辺の一部分だけに沿って延びてもよい。
【0208】
一部の実施形態では、MCS装置500は、血管内固定子710を備える血管内モータ700を備え得る。血管内固定子710の使用は、血管壁が回転子510と固定子710との間に位置決めされないため、固定子710と回転子510との間の隙間を縮小するという点において有利であり得る。
図36は、回転子510と血管内固定子710とを備えるMCS装置500を概略的に示している。固定子710には、本明細書における他の場所に記載されているように、電源750および制御装置760へと延びる電線704によって電力が送達され得る。一部の実施では、電線704は、体外の電源750および/または制御装置760に有傷経皮で接続され得る。電線704は、MCS装置500が通されて展開される同じカテーテルを通じて延びることができる。同じ実施において、電線704は、身体における内部の場所において、血管または接続された血管を出ることができる。一部の実施形態では、電線は、本明細書における他の場所に記載されているように、体内の電源750および/または制御装置760に接続される。
【0209】
図37A〜
図37Bは、折り畳み可能な回転子510と血管内固定子710とを備えるMCS装置500を設置する方法の例を概略的に示している。一部の実施では、モータの固定子710は、
図37Aに概略的に示されているように、血管における切開を介して血管に設置され得る。固定子710が所定位置に来ると、カテーテルを介して有傷経皮で送達され得る回転子510は、固定子710の中に同心で位置決めされ得る。一部の実施形態では、回転子510は、本明細書における他の場所に記載されているように折り畳み可能であり得る(または、潰れることができる)。一部の実施では、回転子は、
図37Bに示されているように、固定子710の中への挿入において動作構成へと拡張させられる。回転子510は、本明細書における他の場所に記載されているように、係留機構600に結合されてもよい。係留機構600は折り畳み可能/潰れることができ得る。係留機構600は、回転子510を固定子710の中に係留するように、および/または、回転子510を血管150の内径の中に係留するように構成され得る。一部の実施形態では、固定子710は、固定子710を血管壁の中に係留するための係留機構に結合され得る。固定子係留機構は、本明細書における他の場所に記載されている回転子係留機構と同じまたは同様であり得る。
【0210】
一部の実施では、固定子710は折り畳み可能とでき、そのため、回転子510と同様に、または回転子510と共に、有傷経皮で展開され得る。例えば、固定子710は折り畳み可能な係留機構600へと組み込まれ得る。
図38A〜
図38Cは、回転子510と固定子710と係留機構600とを含む、折り畳み可能構成を備える折り畳み可能MCS装置500を設置する方法の例を概略的に示している。
図38Aは、折り畳み可能MCS装置500を潰れた構成において概略的に示している。プロペラの翼板520は、図示されているように、および本明細書における他の場所においてより詳細に記載されているように、1つ以上の回転子510の回転の軸に沿って折り畳まれ得る。係留機構600は、MCS装置500の近位ハブ604と遠位ハブ606とにおける柔軟または関節接合可能な継手を介して接続されている潰れることができる支柱602を備え得る。1つ以上の固定子は係留機構の支柱に結合され得る。
図38Bに示されているように、支柱は拡張でき、MCS装置500を動作構成へと置くために翼板は折り畳まれていない。MCS装置500の軸方向長さは、その潰れた構成に対して、その拡張した構成においてより短くなり得る。
図38Cは、拡張した構成におけるMCS装置500の中心軸に交差する断面を概略的に示している。
【0211】
一部の実施では、固定子710および回転子510は、連続的な段階において有傷経皮で各々展開され得る。固定子710は、送達シースを通じてなど、有傷経皮で固定子710を展開させることができる折り畳まれた構成または潰れた構成を備え得る。固定子710は、固定子から送達シースを除去すると自動的に拡張することができる。例えば、送達シースから固定子710を分離させるために、送達シースは近位方向において引き込まれ得る、および/または固定子が遠位方向において進められ得る。一部の実施形態では、固定子710は複数の周方向に離間された電磁コイル714(アクティブな磁石)を備え得る。コイルは、輪体の歯712を形成する拡張可能な輪体711に結合され得る。一部の実施形態では、固定子をより効率的に包むために、単一の固定子710のコイル714が2つ以上の個別の輪体711a、711bへと区分けされてもよく、各々の輪体のコイル714は、固定子710の1つ以上の他の輪体のコイルから周方向でずれるように互いと軸方向で重なる。この様態では、各々の輪体711は、別々に包まれ、連続的に展開され得る。
【0212】
図39は、固定子コイル714a、714bの2つの潰れることができる個別の輪体711a、711bと折り畳み可能な回転子510とを備える個別の固定子710を備えるMCS装置500を展開する方法を概略的に示している。図示されているように、(歯712aの第1のセットにおける)固定子コイル714aの第1のセットが送達シース160内に包まれ、次に血管壁の隣で展開される。続いて、(歯712bの第2のセットにおける)固定子コイル714bの第2のセットがシース160内に包まれ、次に、コイル714bの第2のセットがコイル714aの第1のセットの間の周方向隙間の中に位置決めされて構成されるように、血管壁の隣で展開される。最後に、折り畳まれた回転子510が、除去可能なシース160を通じてなどで、コイル714aの第1のセットおよびコイル714bの第2のセットを備える固定子710の中で同心に位置決めされて拡張される。コイル714aの第1のセットを備える第1の拡張可能な輪体711aと、コイル714bの第2のセットを備える第2の拡張可能な輪体711bと、は展開において互いと相互作用するように構成され得る。例えば、固定子コイル714aの第1のセットおよび/または固定子コイル714bの第2のセットは、固定子構成要素同士を互いに対して結合、係止、および/または位置合わせするための機構を備え得る。一部の実施形態では、固定子コイル714aの第1のセットと固定子コイル714bの第2のセットとは結合されないままである。一部の実施形態では、輪体711a、711bは、軸方向に沿って、コイル714a、714bより小さい幅を有し得る。異なる輪体711a、711bのコイルを軸方向の幅に沿って重ねるために、固定子コイル714aの第1のセットの輪体711aはコイル714aの第1のセットの近位側に結合され、固定子コイル714bの第2のセットの輪体711bはコイル714bの第2のセットの遠位側に結合され得る。一部の実施形態では、輪体711a、711bは、固定子コイル714a、714bを拡張させるために径方向のバネ機構を使用し得る。一部の実施形態では、輪体711a、711bは、少なくともいくらか柔軟であり得る、および/またはシース160内に輪体711a、711bを包ませるために、結合された区分を備え得る。輪体711a、711bは、シース160へと包むための技術的に良く知られているような任意の適切な手段を使用できる。一部の実施形態では、各々の展開可能なセットの固定子コイル714a、714bは、輪体以外の構造によって結合されてもよい。
【0213】
一部の実施形態では、モータの固定子710は、回転子510が設置される血管150と異なる血管152において血管内に設置されてもよい。例えば、
図40は、大動脈に位置決めされた回転子510を駆動するように構成された様態での下大静脈におけるモータの固定子710の配置の例を概略的に示している。固定子は、回転子510が設置されている血管150に相当に隣接して血管152に設置されてもよい。多くの他の血管は、補助の静脈および通路を含め、下行大動脈における回転子を駆動するように構成される固定子を設置するための適した場所として使用され得る。固定子710および/または回転子510は、本明細書における他の場所に記載されているように、有傷経皮展開を介して、または血管壁における外科的切開を介して、設置され得る。一部の実施形態では、固定子710は、隣接する回転子510を駆動するために構成され得る。例えば、
図40に示されているように、固定子710は、電磁コイル714の周辺全体を備えなくてもよく、コイル714が回転子510にできるだけ近接するように、コイル714を埋め込まれる血管152の一方側または一部分に沿ってのみ位置決めしてもよい。一部の実施形態では、コイル714は、周辺のこの部分に沿ってより密に集中させられてもよい。一部の実施形態では、コイルが周辺の周りに均等に分配される状態の固定子710が使用されてもよい。一部の実施では、選択されたコイル714だけが作動させられ得る。
【0214】
一部の実施形態では、MCS装置500は、血管150との直列での外科的な挿入のために、入口502および出口504を有する単一のユニットとして一体化される回転子510および固定子710を備え得る。
図41は、下行大動脈と外科的に直列で設置されたMCS装置500の例を概略的に示している。MCS装置500は低侵襲手術(例えば、胸の左側における開胸)を通じて設置され得る。MCS装置500は、血液を流すために、入口502と出口504との間で分離壁506によって形成された流体密閉通路505を備え得る。回転子510は通路505の中に位置決めされ得る。通路505の内径は、MCS装置500が挿入される血管150の直径とおおよそ同じとでき、これは血流への妨害を最小とすることができる。固定子710は、通路505の周りに同心で位置決めされ、血流と接触しないように構成され得る。分離壁506は、固定子710と回転子の翼板520の径方向先端521との間の隙間を最小とするために、比較的薄い可能性がある。一部の実施形態では、MCS装置500は、装置を切断された血管150へと接続するのを容易にするために固定子710を越えて軸方向に延びる入口502および/または出口504を備え得る。MCS装置500は、ポンプを切断された血管に接続するために本明細書における他の場所において開示されている任意の手段を含め、任意の適切な手段を介して血管150へと接続され得る。
【0215】
電気モータは電気エネルギーを機械エネルギーへと変換する。
図42Aは電気モータの種類を描写しており、「DC」は直流を表しており、「PM」は永久磁石を表しており、BLDCはブラシレスDCを表している。電気機械システムの原理論に基づいて、通電導体が磁界に位置付けられている場合、力が
図42Bに描写されているように導体に発揮される。力fは、ローレンツの法則に従って、電流I、磁界密度B、および導体の長さlに正比例し、力はf=Il×Bとして表すことができ、ここで×はベクトル外積を意味する。
図42Bは、磁界に位置付けられる通電導体への電磁力を概略的に示しており、B、I、およびfは相互に垂直である。
【0216】
電気モータは、適切に作動することができる2セットの巻線を必要とし、一方は、磁界を生成するいわゆる界磁巻線であり、他方は、電機子電流を運ぶ電機子巻線である。永久磁石モータの場合、永久磁石のセットは、一定の磁束を発生させるための界磁巻線の代わりになる。ブラシレスDCモータの電機子巻線は、不動部分である固定子に位置付けられ、永久磁石のセットは、非不動部分である回転子に位置付けられる。導体が密度Bを伴う磁界の内部において速度vで移動する場合、E=vl×Bとして表される電圧Eが導体において誘導される。MCS装置500は、巻線にアクセス不可能である回転子を備え得る。回転子510は、ブラシレスDCモータ(BLDC)または永久磁石同期モータ(ブラシレスACモータとしても知られている)などによって励起される永久磁石であり得る。永久磁石DCモータは固定子に永久磁石を有する。永久磁石同期モータ(PMSM)を制御するために、正確な位置または回転速度のセンサ(シャフトエンコーダまたはレゾルバなど)が、回転子シャフトに結合される必要がある。対照的に、BLDCモータは、回転子シャフトに結合されることを必要とせず、近接して回転子の位置を測定することができる個別の位置センサ(ホールセンサなど)のセットを必要とするだけであり、これは、BLDCモータを本明細書で開示されているMCS装置500に特に適したものとさせることができる。
【0217】
永久磁石BLDCの構造はPMSMと同様であり得るが、
図42Cの表に列記されているようないくつかの違いがある。
図42Dは、異なる種類のBLDCモータの分類を描写している。概して運動に依存して、BLDCモータは回転または線形のいずれかである。回転移動は線形移動へと機械的に転換できるが、効率、性能、および他の制約のため、しばしば直接的な線形運動のBLDCモータの方が有利である。磁路に依存して、BLDCモータは、径方向の磁束および軸方向の磁束として分類される。径方向の磁束または軸方向の磁束のいずれかのBLDCモータの適用は、物理的な空間の制限に強く依存し得る。
図42Eは、BLDCモータの径方向の磁束の構成と軸方向の磁束の構成との間の比較を表している。径方向のBLDCモータの回転子は、固定子の内側に概して位置付けられ、内部回転子と呼ばれる。しばしば、固定子は、外部回転子または内側が外側のモータと称されるものにおいて、回転子の内側にある。
図42Fはこれら2つの構成を比較している。BLDCモータの固定子はスロット付きまたはスロットなしのいずれかとでき、各々の種類が、
図42Gに表されているように、それ自体の利点および欠点を有する。
【0218】
永久磁石材料の種類は、利用可能な磁石のエネルギー製品、費用、腐食に対する耐性、温度性能などのいくつかの基準に従って選択され得る。一部の場合では、必要な磁石の形の複雑さは選択を制限する可能性がある。永久磁石についての最も一般的な材料は、NdFeB(ネオジム−鉄−ホウ素)、SmCo(サマリウム−コバルト)、アルニコ(アルミニウム−ニッケル−コバルト)、およびフェライトである。例えば焼結、射出成型、圧着、および鋳造といった生産技術は、
図42Hに示されているような磁石特性に相当の影響を有しており、
図42Hにおいて、B
r、H
c、およびH
ciはそれぞれ磁石の残留磁気、飽和保磁力、および固有保磁力である。様々な構造が、BLDCモータの永久磁石を
図42Iに概略的に示されているように割り付けるために使用され得る。
図42Iは、(a)表面装着磁石、(b)平行な縁を有する表面装着磁石、(c)輪状磁石、(d)ブレッドローフ形磁石、(e)表面嵌め込み磁石、(f)間に空間を伴う表面嵌め込み磁石、(g)埋め込みまたは内部の磁石、(h)スポーク状磁石、(i)多区分内部磁石、および(j)多層内部磁石を含む、円筒形の回転子を有する径方向の磁束のスロットなしBLDCモータにおける永久磁石(暗色)の様々な構成を描写している。
図42Jは、費用、堅牢性、最大速度、横軸に対する直軸のリラクタンス、永久磁石における渦電流損失、および永久磁石における固定子巻線の起磁力(MMF)の高調波の観点からこれらの構成を比較している。例えば、表面埋め込み磁石の構造は、表面に装着された磁石の構造に対して、弱め界磁能力の観点から優れ、そのため、表面に装着された磁石の構造と比較してより大きなd軸に対するq軸のリアクタンス比を有するため、電力能力を引き延ばすことができる。
【0219】
モータの種類の選択は、用途および用途特有の制限に大きく依存し得る。本明細書で開示されているMCS装置500における軸方向の磁束のBLDCモータの使用は、物理的な構造のため制限され得る。外部回転子の径方向の磁束のBLDCモータは、回転部が血管に収容され、不動部が血管の外部にあるため、概して適用可能ではない。スロットなしのBLDCモータの磁気空隙がスロット付きBLDCモータの磁気空隙より大きく、血管壁の厚さも磁気空隙に加えられるため、スロット付きの構成のBLDCモータは、本明細書に開示されているMCS装置500との使用において、スロットなしBLDCモータより効率的となり得る。スロット付きの径方向の磁束の内部回転子のBLDCモータは、本明細書に開示されているMCS装置における使用のために特に良好に適することができる。
【0220】
焼結製造技術によるNdFeB磁石は、最も大きいエネルギー密度をもたらし得るが、プロペラのような複雑な形へと製作するのが困難であり得る。圧着技術によるSm2Co17磁石は、NdFeBのものと比較して腐食に対するより良好な耐性および温度性能を有するため、本明細書に開示されているMCS装置に特に適し得る。一部の永久磁石構造(つまり、表面装着磁石、平行な縁を有する表面装着磁石、輪状磁石、ブレッドローフ形磁石、表面嵌め込み磁石、間に空間を伴う表面嵌め込み磁石、埋め込みまたは内部の磁石、スポーク状磁石、多区分内部磁石、および多層内部磁石)は、円筒形の回転子に特に適し得る、および/またはプロペラとの使用に不適切であり得る。プロペラは、永久磁石から作られ得る、および生体適合性材料で被覆され得る。
【0221】
モータの最適な形状はモータのモデル(モータの性能をモータの形状に関連させる方程式のセット)を介して決定され得る。最適化の問題は、所望の要件に従うモータの最適な形状を見つけ出すために形成および解決され得る。モデルは動的または静的であり得る。通常、モータの遷移状態および定常状態の挙動を検討およびシミュレートするために、またはモータのための制御装置を設計するために、モデルは動的であり、方程式は、常微分方程式(ODE)と代数方程式との組み合わせで表される。モータの動的な方程式は、より一般的な形態では、時間導関数と空間導関数との両方を伴う偏微分方程式(PDE)によって表すことができる。しかしながら、モデル化は静的であってもよい。BLDCモータの静的な方程式は、マックスウェル方程式を使用してPDEの形態で書くことができる。一部の場合、導き出されたPDEは解析的に解かれ得るが、他の場合には、数値解法だけが得られることもある。例えば、表面に装着された磁石のBLDCモータおよび輪状磁石を伴うBLDCモータの二次元のPDEに基づく磁気分析の問題は、異なる磁化トポロジについて解析的に解かれ得る。しかしながら、表面嵌め込み磁石のBLDCモータの場合、半解析的な解が表され得る。磁気的に等価の回路、またはより一般的な集中磁気回路モデルが、他の磁石構造の場合、磁界分析を解析的であるがおおよそで解くために用いられている。しかしながら、モータの仕様の一部は、磁気等価回路網または集中磁気回路の技術を用いて得ることができない。すべての場合において、PDEに基づく磁気分析の問題の数値解法が得られてもよい。モータの設計の視点から、変数分離法、等角写像、および級数展開などの解析手法がしばしば好まれるが、これは、各々のモータの仕様における各々のモータのパラメータの影響を暗黙的に示しているためである。有限要素および有限差分法などの数値解法が、検証の目的のために設計されたモータの性能を分析するためにほとんどで使用されるが、時間が掛かる手法であり、準最適な設計の仕様をもたらす可能性のある反復的な設計手順において用いられてもよい。本明細書に開示されているモータのPDEに基づく問題は、回転子(つまり、プロペラ)の複雑な形のため、解析的に解くことができない可能性があり、そのため、磁気等価回路網技術が良く適する可能性がある。PDEに基づく問題の数値解法は、最適化の結果の検証のために得られる。
【0222】
ブラシレスDCモータを設計するために、モータの仕様は、モータの形状パラメータの観点で表され得る。発生した電磁トルクおよび回転速度の観点から表される回転モータについての名目上の出力動力は、基本的なモータ仕様であり得る。瞬時トルクは、第1の期間が拍動トルクであるコギングトルク、リラクタンストルク、および電磁トルクから成り、電磁トルクは平均トルクとリップルトルクへと分けられる。BLDCモータの場合、コギングトルクおよびリップルトルクなどの拍動トルクの成分を最小限にすることが概して望まれる。コギングトルクは、永久磁石と固定子スロットとの間の相互作用により発生させられ、このトルクは電機子電流から独立している。スロットのないBLDCモータの構成では、コギングトルクはほとんどゼロであり得る。リラクタンストルクは、電機子の反応場および回転子突極のためであり、突極のない回転子のモータでは、リラクタンストルクはゼロであり得る。トルクリップルは、電流および逆起電力の波形における望ましくない高調波と、固定子スロットの存在と、から生じる。したがって、トルクの異なる成分を見つけ出すために、PMおよび電機子電流の波形による磁界分布が必要とされる。磁気等価回路網技術では、磁界密度のピークだけが得られ、分布は得ることができない。電磁トルクはおおよそ計算することができる。
【0223】
回転する永久磁石の磁界による電機子巻線における誘導電圧である逆起電力は、別の重要な仕様を含み得る。BLDCモータの誘導起電力波形は空隙における磁束密度分布に依存し、その磁束密度分布はさらに、永久磁石、固定子の歯、およびスロット構造の磁化の関数となる。導体の分配は逆起電力の波形に相当の影響を有し得る。
【0224】
モータの効率を表すために、電力損失の様々な発生源は、モータの形状パラメータの関数として特定されて表すことができる。電気モータの電力損失は、3つのカテゴリー、すなわち、電気的損失、磁気的損失、および機械的損失へと概して分けられる。銅損として知られる巻線抵抗による電力損失は、特に低速用途において、最も重要な電気的損失であり得る。ヒステリシス損失、渦電流損失、および過剰な渦電流の損失は、支配的な磁気的損失である。機械的な損失には、煽り、通気、および軸受摩擦があり得る。電機子電流および電機子巻線の仕様が分かれば、銅損は容易に表すことができる。固定子の鉄損は、永久磁石の磁界成分および周波数と、積層材料の種類、体積、および厚さとに主に依存する。電機子の反応場は固定子の鉄損にほとんど影響がない可能性がある。永久磁石および回転子の後鉄における渦電流の損失は、永久磁石の電気伝導度および体積に加えて、電機子の反応場の成分と回転子の運動に対するそれら反応場の周波数との関数である。
【0225】
名目上の回転速度と最大回転速度とは重要な仕様であり得る。モータ回転速度は電気的制約および/または機械的制約によって限られ得る。軸受は、相対的に高い回転速度に概して耐えることができるため、回転速度に制限を課さない可能性があるが、永久磁石などの他の回転部品の堅牢性は分析を必要とする可能性がある。明確には、表面に装着された永久磁石の構造では、最大回転速度における制限が、永久磁石と回転子との間の接着剤から生じる可能性がある。非磁性体(炭素またはガラス繊維)を保持するスリーブが、回転子の機械的堅牢性を増加させるために使用されてもよい。モータの電気的時定数が最大回転速度を制限する可能性がある。したがって、自己インダクタンスおよび相互インダクタンスはモータの形状パラメータの観点から表すことができる。
【0226】
非限定的な概要を用いて、以下の量および/または仕様、すなわち、(1)永久磁石による磁束密度分布、(2)電機子電流の波形(採用された制御技術に依存する)、(3)巻線構成および巻線係数、(4)電機子電流による磁束密度分布(2および3から)、(5)逆起電力計算(1および3から)、(6)電磁トルク(2および5から)、(7)リップルトルクおよび平均電磁トルク(6から)、(8)コギングトルク(1からであり、径方向と接線方向との両方のPM磁束分布を必要とする)、(9)突極のある回転子のモータのためだけのリラクタンストルク(2および回転子構造から)、(10)回転子の鉄損、ヒステリシス、渦電流、および過剰な渦電流(1からであり、さらなる正確性のためには4も含まれ得る)、(11)永久磁石における渦電流損失(4から)、(12)回転子の鉄損、ヒステリシス、渦電流、および過剰な渦電流(4から)、(13)銅損(2から)、(14)自己インダクタンスおよび相互インダクタンス(2、3、および4から)、ならびに(15)煽り、通気、および軸受摩擦といった機械的損失が、モータ設計を最適化するために決定可能であり得る。これらのパラメータの一部は、取得不可能であり得る、および/またはおおよそで計算できる。しかしながら、有限要素分析を使用することで、すべての数量は設計工程の後に得ることができる。
【0227】
一部の実施形態では、MCS装置500は、本明細書における他の場所に記載されているように、回転子510が設置される部分に沿って血管を包囲するように構成された血管外固定子710を備え得る。一部の実施では、固定子710は、固定子710を血管の周りに設置するための開構成と、固定子710が血管を取り囲む完全または実質的に完全な周辺を形成する閉じた動作構成と、にできるように、ヒンジ709を備え得る。
図43A〜
図43Kは、ヒンジ付き固定子の例および関連する構成要素の例の仕様を示している。
図43Aは、MCS装置500の中心軸に交差する断面を概略的に示しており、様々な形状パラメータに符号を付けている。一部の実施形態では、固定子の歯712は約5mmの幅であり得る。歯712は内側周辺フランジ713を備え得る。各々のフランジ713は、約30度である円弧を備え得る。ヒンジ709は約3mmの外径を有し得る。ヒンジ709は、ピン708を受け入れるための開口707を備え得る。開口707は約1mmの直径を備え得る。固定子710の全体の形および構成は、本明細書において記載されている他の固定子710と同じまたは同様であり得る。固定子710は、電力損失を最小限とするように、ならびに/または固定子の質量および/もしくは体積を最小限とするように設計され得る。固定子710は、磁気飽和を防止するために最大温度および/または最大磁束密度を最適化するように設計され得る。一部の実施形態では、固定子710は6つの極(固定子の歯712に形成された電磁コイル714)を備え得る。
図43Bは、ヒンジ付き固定子710の斜視図を概略的に示している。
図43Cは、ヒンジ付き固定子710の上面図を概略的に示している。
図43Dは、ヒンジ付き固定子710の左からの図を概略的に示している。
図43Eは、ヒンジ付き固定子710の右からの図を概略的に示している。
図43Fは、ヒンジ付き固定子710の上および/または下の層の例の斜視図である。
図43Gは、ヒンジ付き固定子710の(中央層と上層または下層との間に位置決めされる)上方中間層および/または下方中間層の例の斜視図である。
図43Hは、ヒンジ付き固定子710の中央層の例の斜視図である。
図43Iは、ヒンジ付き固定子710の例の斜視の画像である。固定子710は、成形されたシートを積み重ねることで製作され得る。固定子シートは鋼鉄(例えば、おおよそ0.35mmの厚さの30枚の鋳造鋼鉄シート)を備え得る。固定子710は任意の数の適切なシートを備え得る。一部の実施形態では、固定子710は複数の層を備えてもよく、各々の層は1枚以上枚のシートを備える。各々の層のシートは同じ設計を備え得る。例えば、固定子710は、2枚、3枚、4枚、5枚、10枚、15枚、25枚の層などを備え得る。各々の層は同じ数または異なる数のシートを有し得る。シートの数は、各々の層の最終的な厚さを決定することができる。
図43Bに示された固定子710は、中心層が8枚のシートを備え、上層と下層とが同一であり、5枚のシートを各々備え、2つの中間層は同一であり、ヒンジ709のある側において5枚のシートを備え、ヒンジ709のない側において6枚のシートを備える5枚の層を備える。シート同士は、エポキシ樹脂などによって絶縁され得る。絶縁は、固定子コアの渦損失を低減することができる。一部の実施形態では、固定子の外側周辺を形成する表面は、
図43Bにおいて見られるように、周方向に沿って溝716を備え得る。溝716は、固定子の層の寸法における差によって形成されてもよい。溝716は、固定子710を血管に締め付けまたは固定するのを容易にすることができる。例えば、縫合糸、ワイヤ、またはケーブルなどの線717が、
図43Jにおいて概略的に示されているように、固定子を閉構成において固定するために、溝716において位置決めされ、固定子710の周りに締め付けられてもよい。
図43Kは、距離がmmで表されている、例の寸法を含むヒンジ付き固定子710の複数の斜視図を概略的に示している。
【0228】
血管内固定子の実施形態は血管外固定子と実質的に同じまたは同様であり得る。血管内固定子はヒンジ709を備えなくてもよい。血管内固定子は、完全に閉じた周辺を備えることができ、本明細書における他の場所に記載されているように、例えば血管における外科的切開によって設置され得る。血管内固定子は血管外固定子と同様とできるが、本明細書における他の場所に記載されているように、潰れることができ得る/拡張可能であり得る。
【0229】
一部の実施形態では、電磁石は、本明細書における他の場所に記載されているように、電磁コイル714を形成するために、固定子の歯712の周りに導電性ワイヤを巻き付けることで固定子に形成され得る。一部の実施形態では、導電性ワイヤは銅ワイヤであり得る。ワイヤはエナメル加工されてもよい。ワイヤは約AWG 18の線番を有し得る。ワイヤは、約1mmの直径および1mm
2未満の断面積を有し得る。ワイヤは、少なくとも約2.3アンペアまでの電流を通すように構成され得る。各々の固定子極は、コイルの巻線について、約150mm
2の利用可能な面積を備え得る。各々の固定子極は、固定子の歯712の周りに少なくとも60旋回のワイヤを許容するだけの面積を有することができ、これは、六極三相モータの各々の相について少なくとも120旋回を受け入れることができる。
図43Lは、固定子の歯712の周りに電磁コイル714を備えるヒンジ付き固定子710を概略的に示している。
図43Mは、ヒンジ付き六極固定子710、および大きさについての参照としてのコインの画像を示している。矢印は、コイルが各々の固定子の歯712の周りに巻き付けられている方向を指示している。一部の実施形態では、隣接する極は、反対方向において巻き付けられるコイル714を備え得る。
図43Nは、コイル714を製作するために使用されるワイヤについての例の仕様の表を描写している。
【0230】
制御装置760は閉ループシステムを備え得る。フィードバックはモータ700の駆動を変調するために使用され得る。例えば、電流および位置のフィードバック信号は、回転子510の速度を信頼できる正確な手法で制御するために使用され得る。MCS装置500は、回転子の角度位置および/または回転子510の角速度などの出力を測定するためのセンサを備え得る。一部の実施形態では、センサは1つ以上のシャフトエンコーダ、タコジェネレータ、および/またはホールセンサを備え得る。制御装置760は処理装置を備え得る。処理装置は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、および/またはトランスピュータを備え得る。
【0231】
制御装置760は、モータの種類に依存して、固定のACまたはDCの電源を適切な電力レベルおよび波形に変換するためのパワーエレクトロニクススイッチを備え得る。インターフェース回路は、処理装置の出力信号を、パワーエレクトロニクススイッチに適した信号へと変換することができる。
図44Aは、BLDCモータ制御システムのブロック図を概略的に示している(MCS装置500は本明細書では「PICS」と称されてもよい)。BLDCモータを備える一部の実施形態では、パワーエレクトロニクススイッチは、電力要件およびスイッチング周波数に依存して、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)および/または絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を備え得る。IGBTは、より大きな電力要件のために概して使用され得るが、MOSFETは、より小さい電力要件であるがより大きいスイッチング周波数のために概して使用され得る。BLDCモータでは、電流は、二相で120度の伝導(BLDC−120)または三相で180度の伝導(BLDC−180)の矩形の波形を備え得る。磁束密度の波形は、巻線における台形の逆起電力(EMF)を誘導するように構成され得る。巻線および磁石の構成は、台形の逆起電力を得る上で重要な役目を演じる可能性がある。
図44Bおよび
図44Cは、集中巻において台形の逆起電力を誘導することができる磁束密度の例を描写している。
図44Bは、位相前進のない二相の120度の伝導を伴うBLDCモータについての電流、磁束密度、および逆起電力の理想的な波形を示している。
図44Cは、位相前進のない三相の180度の伝導を伴うBLDCモータについての電流、磁束密度、および逆起電力の理想的な波形を示している。理想的な電流および逆起電力の波形からの逸脱は、発生したトルクを低減させ、トルクリップルを増加させ得る。例えば、電気モータの誘導の性質のため、電流は急激に跳ね上がることはできず、モータの動的性質のため、一定の120度の領域における電流はスイッチングの高調波を含む。ブラシレスAC(BLAC)モータでは、すべての波形が正弦曲線であり得る。
図44Dは、位相前進のないBLACモータについての電流、磁束密度、および逆起電力の理想的な波形を描写している。トルクが一定である基本速度未満の領域において、位相前進は、突出トルクの寄与を含むために利用され得る。一定の電力領域である基本速度の上方で、位相前進はトルク−速度特性を向上させるために使用され得る。
【0232】
一部の実施形態では、制御装置760の回路は印刷回路基板(PCB)に形成され得る。一部の実施形態では、制御装置は、体内埋め込みなどのために生体適合性のケーシングの中に位置決めされ、約40x40x7mm以下であり得る。
図44Eは制御装置回路の例を概略的に示している。制御装置の回路の設計は、電気構成要素の電力損失を低減させるために最適化され得る。一部の実施では、電力損失は例えば1.9Wから1Wの電力未満であり得る。
【0233】
図45A〜
図45Dは、生体外での試験に特に適し得るMCS装置500の例を示している。
図45Aは、例の寸法を含むMCS装置500の斜視図を概略的に示している。
図45Bは、中心軸に沿っての装置の断面の斜視図を概略的に示している。
図45Cは、中心軸と交差する装置の断面を概略的に示している。
図45Dは、係留機構600において包囲されている回転子510の例の斜視での画像を示している。MCS装置500は樽形の係留機構600を備え得る。係留機構600はアクリルを含み得る。係留機構600は近位端と遠位端とを備える管であり得る。近位端は近位端キャップ605を備え得る。遠位端は遠位端キャップ607を備え得る。端キャップ605、607は、中心軸において結合される径方向スポーク608を備え得る。径方向スポーク608は近位ハブ604および/または遠位ハブ606に結合され得る。生体外での試験のために、端キャップ605、607は、管を通じての流体流れを許容する開口609を備え得る。回転子519はポリメチルメタクリレート(例えば、Perspex(登録商標))を含み得る。生体外での試験のために、回転子510は非翼形の回転子であってもよい。回転子510は、いくつかの永久磁石530(例えば、4つの磁石)を備え得る。回転子510は、シャフト610(例えば、真鍮のシャフト)に動かないように固定され得る。シャフト610は、中心軸と位置合わせさせられ、シャフトの回転を許容する軸受612を介して近位端キャップ605および遠位端キャップ607のスポーク608に結合され得る。軸受612は、鋼鉄の玉軸受であり得るか、またはころ軸受、ニードル軸受、および/もしくは流体力学的ジャーナル軸受を含め、技術的に知られているかもしくは本明細書における他の場所に開示されている任意の他の適切な軸受であり得る。本明細書における他の場所に記載されているようなホール効果センサ630が、回転子510の回転を監視するために使用されてもよい。ホール効果センサ630は血管の外側に位置決めされ得る。例えば、ホール効果センサ630は固定子710に結合され得る。例えば、ホール効果センサ630は固定子コイル714同士の間の隙間に位置決めされ得る。一部の実施形態では、互いから120度で均等に離間された3つのホール効果センサ630が、回転子510の回転を監視するために使用される。
【0234】
図46A〜
図46Fは、生体外での試験に特に適し得るMCS装置500の別の例を示している。
図46Aは、例の寸法を含むMCS装置500の斜視図を概略的に示している。
図46Bは、係留機構600において包囲されている回転子510の例の斜視での画像を示している。
図46C〜
図46Eは、MCS装置500において実施される有限要素分析から得られた結果を示している。
図46A〜
図46BのMCS装置500は、
図45A〜
図45Dの装置と実質的に同様であり得る。
図46A〜
図46BのMCS装置500は、シャフト610に固定的に結合された2つのプロペラ511を備えている。回転子510は、2つの磁石530を備え、プロペラ511の回転を駆動するために使用される。1つのプロペラ511が回転子の磁石530の上流に位置決めされており、1つのプロペラが回転子の磁石530の下流に位置決めされている。各々のプロペラ511は2つの翼板520を備えている。プロペラ511は、
図24Cに示されたものと同じまたは同様であり得る。2つのプロペラ511と回転子の磁石530とは、周方向で互いから120度でずらされ得る。
図46Cはモータ700のメッシュ構造を示している。
図46Dは、回転子510における永久磁石530と、三相モータ700の第1の相の電機子巻線電流と、によって誘導される磁束分布を示している。
図46Eは、回転子510の永久磁石530による磁束密度を示している。一部の実施形態では、モータ700は最大で少なくとも30,000rpmで動作することができる。一部の実施形態では、モータ700は、その動作点において約1.4Wの電力を消費することができる。生体内での使用のために最適化されているMCS装置500の実施形態は、生体外での試験のために最適化されているものと同じまたは同様の機構を備え得る。
【0235】
図47Aは、MCS装置500の例の斜視図を示している。一部の実施形態では、MCS装置500は、シャフト610に連結される1つ以上の回転子を備え得る。一部の実施形態では、シャフト610は、内腔を有する管であり得る。管は、その内腔の中に機械的機構を組み込むことができる。一部の実施形態では、回転子510を体外構成要素に結合する線(例えば、駆動ライン702または電力ライン704)が管状のシャフト610を通じて延び得る。シャフト610は、シャフト610の回転を許容する軸受612を介して、係留機構600の近位ハブ604および遠位ハブ606に結合され得る。係留機構600は、近位ハブ604および遠位ハブ606に結合される周方向で離間された複数の支柱602(例えば、2本、3本、4本、5本、6本、7本、8本、9本、10本、15本、20本の支柱など)を備え得る。支柱602は、中心軸と実質的に並列な方向に沿って近位ハブ604から遠位ハブ606へと延び得る。支柱602は、実質的にフットボール形の係留機構600を形成することができる。一部の実施形態では、支柱602はいくらか柔軟であり得る。支柱602は概して凸状であり得る。支柱602は、支柱602の中心に向けて径方向外向きに曲がるように構成され得る。一部の実施形態では、支柱602は、支柱の長さに沿って離間された、支柱を曲げさせることができる継手を備え得る。近位ハブ604および/または遠位ハブ606は傷つけないような形(例えば、半球形614または弾丸形)を備え得る。一部の実施形態では、近位ハブ604および/または遠位ハブ606は、それを通る血流を許容するように構成され得る。一部の実施形態では、近位ハブ604および/または遠位ハブ606は、それを通る血流を防止するように構成され得る。近位ハブ604および/または遠位ハブ606は、中心軸に沿って一緒にさせられるときに支柱602が径方向外向きの方向に拡張するように、シャフト610に沿って変位可能であり得る。例えば、送達カテーテルまたは他の送達装置に結合され得る近位ハブ604はシャフト610に沿って並進可能であり得るが、遠位ハブ606はシャフト610の遠位端に固定される。近位ハブ604を遠位ハブ606に向けて押すことで、血管における係留のために支柱602を拡張させることができ、一方、近位ハブ604を遠位ハブ606から離すように引っ張ることで、MCS装置500を再位置決めすること、またはMCS装置500を身体から(例えば、カテーテルを通じて)除去することなどのために、係留機構600を潰すこと、ができる。支柱602の拡張は、圧力を血管壁に発揮するために、およびMCS装置500を血管の中に固定するために使用できる。
【0236】
一部の実施形態では、MCS装置500のプロペラの翼板520は折り畳まれた構成と展開された構成とを備える。
図47Aは、展開された構成におけるMCS装置500の斜視図を示している。
図47Bは、折り畳まれた構成における
図47AのMCS装置500の斜視図を示している。プロペラの翼板520は、翼板520をシャフトに結合する継手またはヒンジ522を備え、継手またはヒンジ522は、翼板径方向先端521と反対の翼板520の端に位置決めされてもよい。プロペラの翼板520は、継手から径方向先端521までの翼板520の径方向の長さがシャフトと実質的に平行となり、回転子の外径全体を縮小するように、シャフト610に当てて折り畳むことができる。回転子510は、血管において展開され得る、および/またはMCS装置500の大きさを最小限とするために翼板520が折り畳まれた位置にある状態で血管から除去され得る。折り畳み可能または潰れることができるMCS装置500の使用は、カテーテルを通じた有傷経皮の送達を介しての展開、および/またはカテーテルを通じてのMCS装置500の除去を容易にすることができる。
【0237】
図47Cは、装置の中心軸に沿って切り取られたMCS装置500の一部分の断面を概略的に示している。
図47Dは、MCS装置500の別の例の一部分の斜視図を示している。プロペラの翼板520は、シャフト610とのヒンジ522を形成するために、シャフト610における開口を通過する延在部または柄部523を各々備え得る。柄部523は、開口に出入りするように滑るときにヒンジ522の軸の周りに回転するように構成された、丸められた(例えば、半円形)の輪郭を形成するように、シャフト610へと延びるにつれて湾曲し始め得る。一部の実施形態では、プロペラ511(翼板520の列)は2つの翼板520を備え得る。翼板520は、互いと反対に周方向で位置決めされ、接続器524を介してシャフト610の内側で一体に結合され得る。一部の実施形態では、接続器524は、枢軸点525を備え得るか、または
図47Cに描写されているようにヒンジ留めされ得る。一部の実施形態では、
図47Cに示されているように、翼板520は反対方向において折り畳まれるように構成され得る(例えば、1つが近位方向において折り畳まれ、1つが遠位方向において折り畳まれる)。反対方向において翼板520を折り畳むことは、磁性翼板520を互いから遠くに離して有利に位置決めすることができる。反対方向において翼板520を折り畳むことは、反対の極性の翼板520を互いに近接して配置するときの反発力に打ち勝つこと、および/または互いから離れる同じ極性の延びている翼板520における引き付け力に打ち勝つことを回避させることができる。一部の実施形態では、接続器524は、枢軸点525を備え得るか、または
図47Cに描写されているようにヒンジ留めされ得る。
図47Eは、シャフト610と遠位ハブ606との間に玉軸受612を備えるMCS装置500の中心軸と交差する断面の上面図を描写している。玉軸受612は、シャフト610の外径とハブ604、606の内径との間で周辺に位置決めされ、シャフト610をハブ604、606に対して回転させる均一な球形の鋼鉄球613をいくつか備え得る。折り畳み可能な翼板520は、任意の適切な手段によって動作可能な展開された位置へと外向きに延びるように構成され得る。一部の実施形態では、翼板520は機械的な機構によって拡張され得る。シャフト610は管状とすることが可能であり、翼板520を展開するための内部の機械的な機構の組み込みを許容することができる。機械的な機構は、有傷経皮のカテーテルを通じて延びることができ、身体の外側で作動させられ得る。一部の実施形態では、翼板520は、回転子510に加えられる遠心力の適用によって、自然に、実質的に瞬間的に拡張することができる。ヒンジ付き翼板520を備える実施形態は、本明細書における他の場所に記載されているように、短期間の使用のために構成されているMCS装置500に特に適することができる。
【0238】
図48A〜
図48Dは、MCS装置500の別の例を概略的に示している。
図48Aは、装置を拡張した動作構成において描写している。
図48Bは、装置を折り畳まれたまたは潰れた構成において描写している。
図48Cは、折り畳まれた翼板520を備える装置の一部分の中心軸に沿って切り取られた断面を描写している。
図48Dは、シャフト610と遠位ハブ606との間に玉軸受612を備えるMCS装置500の中心軸と交差する断面の上面図を描写している。MCS装置500は、翼板520(プロペラ511)の2つの列を備え得る。翼板520の各々の列は、直径方向で反対にされた2つの翼板520を備え得る。一部の実施形態では、各々の列からの1つだけの翼板526が、磁性であるかまたは磁石530を備え、一方、他の翼板527は非磁性である。各々の列の翼板520は、
図48Aに示されているように、同じ方向において折り畳まれるように構成され得る。1つだけの磁性翼板526を備えるプロペラ511は、翼板520を同じ方向において折り畳むときに有利であり得る。一部の実施形態では、
図48Aに示されているように、MCS装置500のすべてのプロペラ511のすべての翼板520は同じ方向において折り畳まれるように構成され得る。異なるプロペラ511からの磁性翼板526が互いから離れて周方向で配向されてもよく(例えば、互いから約180度)、これは、翼板526同士の磁界の間の距離を最大化する上で有利であり得る。各々の列における翼板520同士は、それらの柄部523によって結合され得る。翼板同士はシャフト610の内腔の内側で結合され得る。翼板520は、翼板520を折り畳ませる枢軸またはヒンジ522によって結合され得る。
【0239】
一部の実施形態では、プロペラの翼板520は、シャフト610と翼板520とが単一の一体の構成要素を備えるように、シャフト610の一体部品として形成されてもよい。ユニットは、弾性材料、および/または温度に依存して動的な機械的特性を示す熱機械的材料から形成されてもよく、そのため翼板520はシャフト610に対して変形可能であり、シャフト610に向けて曲がることができる。ユニットは生体適合性材料から形成されてもよい。翼板520は、展開のために折り畳まれた構成または潰れた構成へと変形可能とでき、付勢されていない動作位置へと跳ね起きるように構成され得る。プロペラ511は、任意の適切な数(例えば、2枚、3枚、4枚など)の翼板520を備え得る。
図49は、バネ付き翼板520の展開のための連続的なステップを概略的に示している。展開シース160が回転子510にわたって位置決めされ得る。シース160は、翼板520の径方向先端521によって形成された回転子510の外径より小さい内径を有し得る。送達の前、シース160は、回転子510に対して中心付けられ、翼板520に押し付けられ、翼板520を変形させてシャフト610に当てて折り畳ませることができる。翼板520は、一方向(例えば、近位方向または遠位方向)のみにおいて変形可能であるように構成され、シース160は、変形可能方向における変形を促進するように回転子510を覆うように導入され得る。例えば、一部の実施形態では、翼板520は、翼板径方向先端521が近位方向に向けて延びるように折り畳み可能であり得る。MCS装置500は、一部の実施では、装置が展開されていく装置の近位端が装置の遠位端の下流になるように、大腿動脈を介して下行大動脈へと送達され得る。装置の近位端に向かう血流の方向は、シース160によって覆われなくなるとき、翼板520を拡張した構成で維持するのを容易にし得る。回転子510は、シース160の中での折り畳まれた構成で血管へと導入され得る。シース160は、血管150の中に位置決めされたときに回転子510から除去でき、翼板520をそれらの動作する付勢されていない構成へと拡張させることができる。一部の実施では、一連の過程は、回転子510を身体から除去するために逆に行われ得る。バネ付き翼板520を備える実施形態は、最小の部品と機械的構成要素とを有利に必要とし得る。このような実施形態は、短期の使用および/または長期の使用に適し得る。
【0240】
単一のプロペラ511の翼板径方向先端521は、固定子710によって駆動されるために反対の極性の磁石530を備え得る。例えば、2枚の翼板520を備える回転子510が、反対の極性の磁石530を各々の翼板520において組み込んでもよく、六極三相の固定子710によって駆動されるように構成されてもよい。一部の実施形態は、3つ以上の翼板520を有する回転子510を備えてもよい。3つ以上の翼板520を有する一部の実施形態では、翼板の極性は周方向において交互となり得る。3つ以上の翼板520を有する一部の実施形態では、翼板520うちの一部だけが磁石530を備え得る。例えば、一部の実施形態では、2枚だけの翼板520が、反対の極性のものであり得る磁石530を備え得る。一部の実施形態では、反対の極性の磁石530を備える翼板520は、周方向で互いの実質的に反対に位置決めされ得る。折り畳み可能な翼板520を備える実施形態では、特には2枚だけの翼板520を有するプロペラ511を備える実施形態では、反対の極性を有する翼板520は、翼板520同士が互いに向けて引き付けを受けるため、折り畳まれた構成を促進させることができる。翼板径方向先端521においてより大きい磁気密度を有する翼板520は、
図50Aにおいて概略的に示されているように、翼板520を折り畳まれた構成へと特に付勢することができる。一部の実施形態では、特には3枚以上の翼板520を有するプロペラ511を備える実施形態では、反対の極性を有する翼板520の引き付けは、同じ極性を有する翼板520同士の間の反発によって軽減され得る。翼板520における磁石530と反対の極性の固定子コイル710との間の磁気の引き付けは、軸方向に沿っての固定子710との翼板520または翼板径方向先端521の自己位置合わせを促進することができる。例えば、
図50Bにおいて概略的に示されているように、翼板520が折り畳み可能および/または変形可能である実施形態では、翼板520と固定子710との間の磁気の引き付けは、固定子710との翼板径方向先端521の位置合わせを促進することができる。翼板520の自己位置合わせは、翼板520が近位方向と遠位方向との両方において折り畳み可能および/または変形可能である実施形態において特に有用であり得る。複数のプロペラ511または翼板520の列を備える一部の実施形態では、異なる列の間での翼板520は周方向で位置合わせされ得る。周方向で位置合わせされた翼板520の磁気極性は、翼板520、特には翼板径方向先端521が互いと反発するように、同じであり得る。
図50Cにおいて概略的に示されているように、翼板径方向先端521同士の間の磁気反発は、1つ以上の固定子710との翼板径方向先端521の自己位置合わせを容易にすることができる。磁気反発は、異なる列の翼板520が互いに向けて折り畳み可能であり得る実施形態において特に有用であり得る。
【0241】
一部の実施形態では、MCS装置500は、回転子が一部分解されている状態で血管に送達され得る。回転子510は、「シップインボトル」の構造と同様の手法で血管の中で完全に組み立てられ得る。
図51A〜
図51Eは、送達のための一部分解された構成と、動作する完全に組み立てられた構成とを有するMCS装置500を概略的に示している。
図51Aは、回転子510の様々な構成要素を分解構成で概略的に示している。
図51Bは、同じ構成要素を完全に組み立てられた構成で概略的に示している。回転子510は上方ハブと下方ハブとを備え得る。上方ハブは遠位ハブ606とでき、下方ハブは近位ハブ604とでき、送達装置はMCS装置500の近位端に位置決めされる。近位ハブ604はシャフト610に固定的に結合され得る。遠位ハブ606は、シャフト610を受け入れるための凹み615を備え得る。シャフト610の遠位端は、遠位ハブ606の凹み615の中に受け入れられ、締まり嵌めによってシャフト610を遠位ハブ606に摩擦で固定するなど、シャフト610を遠位ハブ606に動かないように固定するように構成された挿入体616を備え得る。プロペラ511は、シャフト610を受け入れ、シャフト610をプロペラ511に通して延ばすための通路516を備え得る。浮動シム617は、シャフト610の中心部分に沿ってシャフト610の周りに結合され得る。浮動シム617は、プロペラ通路516の中に受け入れられ、所定位置で固定されたままであり得るシャフト610の周りにプロペラ511を回転させることができる軸受612として作用するように構成され得る。浮動シム617が、近位ハブ604に固定的に結合されるかまたは近位ハブ604と一体である固定シム618によってプロペラ511の下方側において包囲されてもよい。したがって、回転子510および浮動シム617は、固定シャフト610の周りに回転するように構成され得る。
図51C〜
図51Eは、一部分解されたMCS装置500の組み立てを概略的に示している。遠位ハブ606、回転子510、および近位ハブ604は初期に分解され得る。
図51Cは、一部分解された装置の実質的に直交での図を示している。遠位ハブ606は、係留機構600(例えば、本明細書における他の場所に記載されている係留機構600の支柱602)によって近位ハブ604に結合され得る。係留機構600の付勢されていない構成は潰れた構成であってもよく、そのため係留機構600の外径は最小とされる。引っ張りライン619が遠位ハブ606に固定され、プロペラ通路516を通過し得る。一部の実施形態では、引っ張りライン619は近位ハブ604を通過できる。例えば、引っ張りライン619はシャフト610において内部の内腔を通じて延び得る。引っ張りライン619は送達装置を通じて近位に延び得る。プロペラ511は初期に軸方向に配向されてもよく、そのため翼板520は、動作構成におけるような中心軸に対して垂直ではなく中心軸と平行に延び、回転子510の組立体の外径を実質的に最小にする。MCS装置500は、
図51Cに描写されている潰れた構成において血管へと送達され得る。装置を血管において位置決めすると、引っ張りライン619は、
図51Dに描写されているように引っ張られ得る(例えば、近位方向において引き込まれ得る)。引っ張りラインは、身体の外部での作動によって引っ張られ得る。引っ張りライン619の引っ張りは、遠位ハブ606とプロペラ511と近位ハブ604とを一体にさせ、シャフト610をプロペラ通路516に通して遠位ハブ606の凹み615へと延ばさせることができる。プロペラ通路516を通じてのシャフト610の配置は、中心軸と実質的に垂直な径方向にプロペラの翼板520が延びる動作構成をプロペラ511に取らせ、回転子510の外径を増加させる。遠位ハブ606と近位ハブ604とを一体にすることで係留機構600の拡張をもたらす。例えば、支柱602は径方向外向きの方向において固定され得る。遠位ハブ606をシャフト610に固定することは、係留機構600を拡張した構成で固定させ得る。MCS装置500の回転子510を完全に組み立てると、送達装置は除去され得る。
図51Eは、完全に組み立てられた動作構成でのMCS装置500を描写している。
【0242】
図52A〜
図52Eは、MCS装置500の別の例を概略的に示している。
図52Aは、装置を拡張した動作構成において描写している。
図52Bは、装置を送達のための折り畳まれた構成において描写している。MCS装置500は、本明細書において開示されているMCS装置の他の例と実質的に同じまたは同様の機構を備え得る。MCS装置500は、3つのプロペラ511を有する回転子510を備え得る。各々のプロペラ511は、直径方向で位置決めされた翼板520の対を備え得る。一部の実施形態では、中間のプロペラ511だけが磁性翼板526を備える。非磁性翼板527は、磁性翼板526を介した回転子の回転によって駆動され得る。一部の実施形態では、磁性翼板526は、本明細書における他の場所に記載されているように、および
図52Cに描写されているように、反対方向において折り畳み可能とできる。一部の実施形態では、非磁性翼板は、本明細書における他の場所に記載されているように、および
図48Cに描写されているように、同じ方向において折り畳み可能とでき、これは装置の全体の軸方向の長さを最小にすることができる。翼板520は、柄部523を介して回転可能なシャフト610に結合され得る。一部の実施形態では、回転可能なシャフト610は内側スリーブを備え得る。回転可能なシャフトは、近位ハブ604および遠位ハブ606において軸受612を介して係留機構600に結合され得る。遠位ハブ606は半球形のキャップ614を備え得る。近位ハブ604は、係留機構600を拡張した構成において係止することができるネジ機構などの調節機構620を通じてなど、遠位ハブ606に向けて中心軸に沿って並進可能であり得る。
図52Dは、近位ハブ604の断面を概略的に描写している。
図52Eは、ネジ調節機構620の拡大を概略的に描写している。調節機構620は上方室621と下方室622とを備え得る。機構は、ネジシャフト624の周りの下方室622に位置決めされているネジ623(例えば、六角ナット)を使用することができる。ネジシャフト624は、ネジシャフト624が回転しないように、回転するシャフト610の周りに同心で配置され得る。工具は、ネジ機構620を調節するために下方室へと挿入可能であり得る。六角ナット623を一方向において捩じることで、近位ハブ604を遠位ハブ606に向けて進めることができ、一方、六角ナット623を反対方向において捩じることで、近位ハブ604を遠位ハブ606から後退させることができる。一部の実施形態では、近位ハブ604および/または遠位ハブ606に位置決めまたは結合されるバネ625は、係留機構600を折り畳まれた構成へと付勢することができる。
図31Bは、固定子710の中に位置決めされたMCS装置500の斜視図を描写している(一定の縮尺ではない可能性がある)。例えば、近位バネ625が、送達装置に結合されるように構成されているリンクユニット626に近位ハブ604を繋げることができる。一部の実施形態では、MCS装置500は、本明細書によって参照によりその全体において組み込まれている1995年2月27日に出願された特許文献42に開示されているような実質的に同じまたは同様の機構を備え得る。
【0243】
一部の実施形態では、回転子510と係留機構600とは2つの個別の構成要素へと分割され得る。
図53Aおよび
図53Bは、回転子510と係留機構600との複合体を備えるMCS装置500の例の遠位半体と近位半体との血管内結合を概略的に示している。係留機構600は遠位ケージ部分600aと近位ケージ部分600bとを備え得る。一部の実施形態では、遠位ケージ部分600aと近位ケージ部分600bとは、卵の殻の2つの半体に似ることができる。遠位ケージ部分600aは、
図53Aに描写されているように最初に設置され、
図53Bに描写されているように近位ケージ部分600bが続くことができる。係留機構600の各々のケージ部分はシャフト610の一部分を備え得る。一部の実施形態では、近位ケージ部分600bは、係留機構600の長さのおおよそ半分であり得る。一部の実施形態では、近位ケージ部分600bおよび遠位ケージ部分600aは、シャフト610の実質的に半分を各々備え得る。プロペラ511はシャフト610に固定的に結合され得る。一部の実施形態では、プロペラ511は、
図49Bに示されているように、シャフト610bの近位部分に結合される。一部の実施形態では、プロペラ511は遠位ケージ部分600aに結合され得る。一部の実施形態では、MCS装置500は複数のプロペラ511を備え得る。複数のプロペラ511を備える実施形態では、プロペラ511は、シャフト610の同じ部分または異なる部分に結合され得る。シャフト610は、係留機構600の近位ハブ605および遠位ハブ606に位置決めされる玉軸受などの軸受612を介して係留機構600に対して回転するように構成され得る。シャフト610の近位部分610aと遠位部分610bとは一体に結合されるように構成され得る。例えば、シャフト610の遠位部分610aは、シャフト610の近位部分610bにおける突起628と合致するように構成された凹み627を有し、またはその逆でもある。MCS装置500は、シャフトの近位部分と遠位部分とを一体に係止するための係止機構を備え得る。遠位ケージ部分600aと近位ケージ部分600bとは、シャフト610の組み立てにおいて、それらの支柱602に沿って結合されるように構成されてもよいし構成されなくてもよい。支持ケーブル619が遠位シャフト610aから近位シャフト610bへと延び得る。支持ケーブル619は、引っ張られるとき、遠位ケージ部分600aおよび遠位シャフト部分610aを近位ケージ部分600bおよび近位シャフト部分610bと一体にさせることができるように、近位シャフト610bを通じて延び得る。一部の実施では、プロペラ511は、下方部分600aおよび上方部分600bの組み立てにおいて血管外固定子710と位置合わせされるように構成され得る。
【0244】
一部の実施形態では、係留機構600は自然に自己拡張するように構成され得る。例えば、係留機構600は、径方向外向きに付勢される板バネ629を備え得る。一部の実施形態では、1つ以上の板バネ629が、回転子510に(固定子を介して)または血管内モータ700に結合され得る。
図54Aおよび
図54Bは、板バネ式係留機構600を備えるMCS装置500の展開を概略的に示している。
図54Aに描写されているように、板バネは送達シース160によって径方向内向きの方向に付勢され得る。
図54Bに描写されているように、MCS装置500からの送達シースの除去において、板バネ629は径方向外向きの方向において自然に自己拡張し、MCS装置500を血管150の内部の内腔に係留することができる。板バネ629は、MCS装置500の軸方向に沿っての中心点に接続され得る。一部の実施形態では、
図54Aおよび
図54Bに示されているように、板バネ629は、径方向外向きに延びる自由端を有し得る。一部の実施形態では、板バネ629は砂時計形の係留機構600を形成し得る。板バネ式係留機構600は、本明細書によって参照によりその全体において組み込まれている2013年3月26日に出願された特許文献35に開示されているような同じまたは同様の機構を備え得る。
【0245】
一部の実施形態では、MCS装置500のシャフト610が結合され得る。
図55A〜
図55Eは、z形折り畳み機構を備えるMCS装置500の例を描写している。一部の実施形態では、シャフト610は、第1の継手632aがプロペラ511の近位に位置決めされ、第2の継手632bがプロペラ511の遠位に位置決めされるように2つで結合され得る。2つで結合されるシャフト610は、シャフト610に実質的にz形の構成を取らせることができる。
図55Aは、折り畳まれたz形の構成でシャフト610を備えるMCS装置500を概略的に示している。プロペラ511は、結合されたシャフト610の中間部分の周りに位置決めされ、シャフト610はプロペラにおける通路516を通じて延び得る。z形の構成は、プロペラ翼板520が中心軸と実質的に平行に延びるようにプロペラ511を配向させることができ、回転子510の外径を実質的に最小にする。一部の実施形態では、プロペラ511は、シャフト610が係留機構600に対して固定されたままとなるように、シャフトの周りに回転するように構成され得る。固定されたシャフト610の周りに回転可能なプロペラ511を備える実施形態は、シャフト610の近位端および遠位端と係留機構600との間の2つの軸受612に反して、回転子510とシャフト610との間に1つの機械的な軸受612(例えば、玉軸受)を必要とするだけでもよく、これは軸受の数を減らし、回転子510の機械的効率を高めることができる。回転子510が展開された後、シャフト610は、シャフトの近位部分、中間部分、および遠位部分が実質的に同一線上となるように完全に延長されてもよい。例えば、一部の実施形態では、シャフト610の遠位端および/または近位端は、遠位ハブ606または近位ハブ604をそれぞれ越えてさらに延ばされてもよく、これは近位ハブ604と遠位ハブ606との間の軸方向の分離を低下させる。MCS装置500は、ネジ機構、またはシャフトを近位ハブ604および/もしくは遠位ハブ606に対して並進させるための任意の他の適切な手段を使用することができる。近位ハブ604と遠位ハブ606との間の距離の縮小は、シャフト610の結合部分を位置合わせへと真っ直ぐにさせる。
図55Bは、血管150の中に係留された拡張した構成でのz字形装置を概略的に描写している。拡張は、MCS装置500の近位端に固定されるシャフト機構によって作動させられてもよく、シャフト機構は、装置の拡張および装置を血管に係留した後に除去することができる。一部の実施形態では、シャフト610は、その近位端から、その遠位端へと、またはシャフト610の遠位部分におけるある位置へと延びる内部の内腔を、備えてもよい。剛体の固定シャフト634が、シャフト610を真っ直ぐ/拡張した構成において固定または係止するために、内部の内腔を通じて挿入され得る。
図55Cは固定シャフト634の挿入を概略的に示している。固定シャフト634はz形シャフト610のぐらつきおよび振動を低減させることができる。一部の実施では、固定シャフト634の挿入は、動作構成へとz形シャフト610を真っ直ぐにすることを容易にするために使用され得る。一部の実施形態では、シャフトを動作構成において固定することは、スナップ機構、コンパス機構、および/または二重固定ナットもしくは同様の機構で遂行され得る。技術的に良く知られている任意の適切な係止機構が使用され得る。一部の実施では、漏斗形の受部635が、
図55Cにおいて描写されているように、装置の下部に結合されてもよい。漏斗形の受部635は、除去の処置のための除去工具を中心付けるのを助けるために使用され得る。
図55Dは、折り畳まれた構成におけるz形のMCS装置500の斜視図を示している。
図55Eは、プロペラ511とシャフト610の中間部分との間におけるz形シャフト610および軸受612における継手632a、632bの拡大の斜視図を示している。
【0246】
一部の実施形態では、係留機構600は、近位および遠位の支柱またはバンド602を結合する1つ以上の固定バンド603を備え得る。固定バンド603は、MCS装置500の長手方向軸に沿っておおよそ中心付けられてもよい。固定バンド603は、装置の動作構成においてプロペラ511と軸方向で位置合わせされ得る。一部の実施形態では、固定バンド603は、MCS装置500の周辺全体の周りに延びるように構成され得る。固定バンドは、固定バンド603に対して実質的に垂直の方向において延びる複数の支柱602に結合され得る。一部の実施形態では、固定バンド603はプロペラ511のためのシュラウドとして供し得る。固定バンド603は、プロペラの翼板520と血管壁との間の接触を防止することができる。
【0247】
図56A〜
図56Cは、c形折り畳み機構を備える結合されたシャフト610を備えるMCS装置500の別の例を概略的に示している。
図56A〜
図56Cに描写されたMCS装置は、
図55A〜
図55Eに描写されているものと実質的に同様の機構を備え得る。一部の実施形態では、MCS装置500は、シャフト610をc形の構成へと配置するように構成された4つの継手632a、632b、632c、632dを伴うシャフト610を備え得る。シャフト610は、近位部分610aと、中間近位部分610bと、中心部分610cと、中間遠位部分610dと、遠位部分610eと、を備え得る。プロペラ511は、c形構成において回転子510の外径を縮小するとき、中心軸に対して実質的に平行な方向で延び得るように、中間近位部分610bまたは中間遠位部分610dのいずれかの周りに位置決めされ得る。c形の折り畳み機構は、近位ハブ604と遠位ハブ606との同一線上の位置合わせを有利に許容することができる。
図56Aは、折り畳まれた構成でのc形の折り畳み機構を有するMCS装置500の実質的に直交での図を描写している。
図56Bは、拡張した構成でのMCS装置500を描写している。
図56Cは、折り畳まれた構成でのプロペラ511および包囲する2つの継手632の拡大図を描写している。
【0248】
一部の実施形態では、本明細書に開示されているMCS装置は、別のモータ700によって独立して駆動されるように構成される複数の回転子510を備え得る。例えば、MCS装置500は、別の固定子710によって各々が駆動される二重反転プロペラ512、514を備え得る。一部の実施形態では、プロペラは、固定されたシャフト610の周りを回転するように構成され得る。軸受612は、各々のプロペラ511と、固定されたシャフト610と、の間に位置決めされ得る。一部の実施形態では、プロペラ511は、シャフト610が回転するようにシャフト610の一部分に固定的に結合される。シャフト610は、互いから独立して回転することができる複数の部分へと分割されてもよい。軸受612は、シャフト610の独立して回転可能な部分同士の間に位置決めされ得る。
【0249】
プロペラの翼板520の設計は、MCS装置500の効率、騒音、振動、空気力学、および費用に影響を与える可能性がある。翼板の設計パラメータには、翼板の数、翼弦、厚さ分布、捩じれ分布、および翼板材料があり得る。より薄い翼形は揚抗比を有利に増加させることができる。より厚い翼形はより大きな剛性を有利に提供することができる。
図57Aは、翼板を設計するときに使用され得る入力パラメータの例の表を描写している。
図57Bは、入力パラメータに基づいて数学的に計算され得るパラメータの表を描写している。
図57Cは、翼板の角度の形状的描写を概略的に示している。
図57Dは、三次元の翼板520と、ハブ翼弦長さ、先端翼弦長さ、および径方向長さの相対寸法の例と、を示している。先端(径方向先端と反対)は、翼板520の回転するときの前縁を形成でき、ハブは後縁を形成できる。翼板520は、回転子510の外径を形成するために径方向に延び得る。回転子510の直径は、血管直径の相当の割合に及ぶように構成され得る。一部の実施形態では、血管内壁は、翼板520の径方向先端521から係留機構600を介して固定され得る。回転子510の径方向先端521と血管壁との間の隙間を最小限にすることで逆流を低減し、これはMCS装置500の効率を向上させることができる。
【0250】
図58A〜
図58Iは、翼板形状の様々な例を概略的に示している。翼板520は、翼弦線とMCS装置の回転子の軸方向または中心軸との間の角度として定められる食違い角を備え得る(取付角としても知られている)。翼板520は、0度から90度の間の食違い角を備え得る。一部の実施形態では、食違い角は、0度から5度の間、5度から10度の間、10度から40度の間、または40度超であり得る。翼板520は、
図58A〜
図58Kの断面図において描写されているように、翼板520を、前縁または先端区域の輪郭、後縁またはハブ区域の輪郭、および中間の輪郭など、3つの区域へと分割することでモデル化され得る。
図58Aおよび
図58Bは、5度の入口、出口、および食違い角を備える翼板の断面図および三次元図をそれぞれ示している。
図58Cおよび
図58Dは、2度の入口、出口、および食違い角を備える翼板の断面図および三次元図をそれぞれ示している。
図58E〜
図58Gは、5度(ケース1)、4度(ケース2)、3度(ケース3)、および2度(ケース1)の食違い角について、先端区域、中間区域、およびハブ区域の断面図をそれぞれ示している。
図58Hおよび
図58Iは、それぞれ10度および40度の食違い角を備えるプロペラ形状の斜視図を示している。
【0251】
図59A〜
図59Mは、様々なスタッガ角度を有する翼板についての実験結果を描写している。結果は、より多くの数の旋回が回転により多くの抵抗を加える複数旋回弁によって模倣されている抵抗の様々な度合いについて含まれている。
図59A〜
図59Eは、4度の食違い角を有する翼板520についての結果を描写している。
図59F〜
図59Iは、10度の食違い角を有する翼板520についての結果を描写している。
図59J〜
図59Mは、15度の食違い角を有する翼板520についての結果を描写している。
図59A、
図59F、および
図59Jは、様々な回転速度(rpm)について24Vにおいて取り出される電流によって測定されるとして消費された電力(W)を描写している。
図59B、
図59G、および
図59Kは、様々な回転速度(rpm)についての流量(L/min)を描写している。
図59C、
図59H、および
図59Lは、様々な回転速度(rpm)について圧力変換器によって測定されるような、翼板520の前後での圧力差または圧力上昇(mmHg)を描写している。
図59D、
図59I、および
図59Mは、様々な回転速度(rpm)についての翼板520の効率(%)を描写している。
図59Eは、圧力差(mmHg)と流量(L/min)との間の相関関係を描写している。
【0252】
本発明は、一部の態様において、有傷経皮で埋め込み可能な心血管の支援(PICS)装置の様々な実施形態に関する。PICS装置は、有傷経皮で埋め込み可能な機械的循環支援装置(MCSD)を備え得る。一部の実施形態では、PICSは、大腿動脈を介した大動脈における埋め込みのために構成され得る。一部の使用の方法では、PICSは有傷経皮での埋め込みのために意図され得る。一部の使用の方法では、PICSは低侵襲手術での埋め込みのために意図され得る。心血管の支援装置は、長期の埋め込みまたは短期(例えば、一時的)の埋め込みのいずれかのために構成され得る。一部の実施形態は、早期のニューヨーク心臓協会(NYHA)のクラスIII CHF(Interagency Registry for Mechanically Assisted Circulator Support(INTERMACS level 7)の前)およびより深刻な状態のために設計され得る。一部の実施形態では、装置は、大動脈における直列の埋め込みのために構成され得る。したがって、一部の実施形態では、大人の仕様は、約5L/minの流量と、約20〜約40mmHgの圧力上昇とを含むことができ、残りの圧力上昇は病気に掛かっている生来の心臓によって与えられる。
【0253】
一部の実施形態は、病気の段階を含め、患者の特定の状態のために特に構成される動作条件で設計され得る。例えば、遅い段階IIまたは早い段階IIIのCHFのために設計されるMCSはより小さい圧力上昇を提供することができ、一方、遅い段階IIIまたは早い段階IVのCHFのために設計されるMCSは、心不全により良好に取って代わるために、より大きい圧力上昇を提供することができる。一部の実施形態では、装置は約、少なくとも約、または大きくても約1L/min、2L/min、3L/min、4L/min、5L/min、6L/min、7L/min、8L/min、9L/min、10L/min、または前述の値のうちの2つを含む任意の範囲の流量を提供するように構成される。一部の実施形態では、装置は約、少なくとも約、または大きくても約5mmHg、10mmHg、15mmHg、20mmHg、25mmHg、30mmHg、35mmHg、40mmHg、45mmHg、50mmHg、55mmHg、60mmHg、65mmHg、70mmHg、75mmHg、80mmHg、85mmHg、90mmHg、95mmHg、100mmHg、または前述の値のうちの2つを含む任意の範囲の流量を提供するように構成される。一部の実施形態では、装置は、健康な患者の状態を複製するための動作状態で構成され得る。
【0254】
一部の装置は、心臓と直列に埋め込まれるように設計され得る。本明細書に記載されているように、このような構成は心臓への負担を効果的に低減することができる。一部の装置は、血流への抵抗を下げるように構成され得る。本明細書に記載されているように、このような構成は、病気に掛かっている組織の再生に向けての心臓の潜在能力を増加させる。装置は、より小さい動力を必要とし、そのためより軽量でよりコンパクトになるように構成できる。装置は、連続的な流れで血液を汲み上げるように構成され得る。装置は、拍動とされた流れで血液を汲み上げるように構成され得る。装置は、拍動する心臓を補完するのに有利な流量で血液を汲み上げるように構成され得る。
【0255】
心室補助装置(VAD)は、病気に掛かっている生来の心臓の4つの室のうちの1つに吻合される入口を含み得る心臓補助ポンプである。一部の使用の方法では、VAD装置は左心室に吻合される。この構成はより一般的である。一部の使用の方法では、VAD装置は右心室に吻合される。一部の使用の方法では、VAD装置は心房のうちの1つに吻合される。機械的循環支援装置(MCSD)も心臓補助ポンプである。MCSDは、VADと対照的に、典型的には血管構造において設置される。MCSDは、VADと対照的に、典型的には病気に掛かっている生来の心臓のどこにも取り付けられない。通常、MCSDは、VADより侵襲的ではない埋め込み処置に向けて設計される。
【0256】
永久的なMCSDは、短い時間の期間または長い時間の期間にわたって使用され得る装置である。その設計のため、永久的なMCSDは、人の身体に設置されると、MCSDの一部の他の部品が後に除去される場合であっても患者の身体に留まるように構成される構成要素を一部有する。一部の実施形態では、他の構成要素の除去の後、ケージまたは支持構造が身体の中に留まる。一部の実施形態では、他の構成要素の除去の後、モータまたは電源が身体の中に留まる。一部の実施形態では、1つ以上の構成要素は患者の身体の中の構造に永久的に結合される。
【0257】
一時的なMCSDは、一時的な仕様の後に装置のすべての構成要素が患者の身体から完全に除去されるという意図で、短期間の使用のために明確に構成され得る。したがって、一部の実施形態における一時的なMCSDの重要な機構は、使用の後に装置の部品が患者の身体に留まらないことである。一部の実施形態では、一時的なMCSDはユニットとして除去されるように構成される。一部の実施形態では、一時的なMCSDの2つ以上の構成要素が別々または独立して除去されるように構成される。一部の使用の方法では、一時的なMCSDは単一の外科処置において除去される。一部の使用の方法では、一時的なMCSDは、大腿動脈を介しての除去のために構成され得る。一部の使用の方法では、一時的なMCSDは有傷経皮での除去のために構成され得る。一部の使用の方法では、一時的なMCSDは低侵襲手術での除去のために構成され得る。
【0258】
少なくともクラスIII CHF(INTERMACS levels 5、6、7)について指示されている一部の装置は、ターボ機械の回転子および電気モータが埋め込み、周期的な除去、および再埋め込みのために設計されている状態で設計され得る。一部の使用の方法では、装置は、大腿動脈を介しての周期的な除去のために構成され得る。一部の使用の方法では、装置は有傷経皮での周期的な除去のために構成され得る。一部の使用の方法では、装置は低侵襲手術での周期的な除去のために構成され得る。一部の使用の方法では、装置は、大腿動脈を介しての再埋め込みのために構成され得る。一部の使用の方法では、装置は有傷経皮での再埋め込みのために構成され得る。一部の使用の方法では、装置は低侵襲手術での再埋め込みのために構成され得る。一部の使用の方法では、装置は、同じ種類の処置を介して埋め込みおよび再埋め込みされ得る。一部の使用の方法では、装置は、異なる種類の処置を介して埋め込みおよび再埋め込みされ得る。例として、装置は、大動脈における大腿動脈を介しての埋め込み、周期的な除去、および再埋め込みのために構成されてもよい。
【0259】
本明細書に記載されているように、装置は、1つ以上の構成要素が永久的に設置されるように永久的なMCSDであり得る。一部の実施形態では、モータの固定子は永久的に設置され得る。一部の使用の方法では、モータの固定子は大動脈の周りで大動脈の外側に永久的に設置され、回転子の場所を包囲することができる。一部の使用の方法では、固定子は、血管の外側周辺の周りに位置決めされるように構成され得る。一部の使用の方法では、固定子は、患者の別の構造の周りに位置決めされるように構成され得る。固定子は、固定子を周りに位置決めさせるためにヒンジまたは他の機械の機構を備え得る。固定子は、患者に永久的に付着するための係留構造を備え得る。本明細書に記載されているように、固定子は、固定子の周辺の周りに位置決めされる1つ以上の電磁石を備え得る。固定子は、少なくとも1つの磁性翼板の回転を電磁的に駆動するために、プロペラまたは羽根車の翼板の周りに同心で位置決めされるように構成される。
【0260】
しかしながら、他の構成要素が、使用後に除去されてもよく、または使用の最中に途中で除去されてもよい。一例として、ターボ機械および/または電気モータの回転子は除去されるように設計されてもよい。一部の実施形態では、一部の装置のすべての構成要素が永久的に設置されるように構成される。
【0261】
上記の流量および圧力上昇の仕様を伴う一部の装置は、短期間の使用のために構成され得る。一部の実施形態では、装置は、例えば約、少なくとも約、または大きくても約1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、16時間、20時間、24時間といった数時間、例えば1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間といった数日間、または前述の値のうちの任意の2つを含む任意の範囲で使用されるように構成される。一部の実施形態では、装置は、1週間未満、5日間未満、3日間未満、1日間未満、12時間未満、1時間超、4時間超、12時間超、1日間超、3日間超、5日間超、または前述の値の任意の範囲で使用されるように構成される。一部の実施形態では、装置は数時間から約5日間までの間で使用されるように構成される。装置は、埋め込みと、その後の人の身体からのすべての構成要素の完全な除去と、のために構成され得る。装置は、急性心原性ショック(CGS)に対処するように構成され得る。装置は、有傷経皮冠動脈インターベンション(PCI: Percutaneous Coronary Intervention)に対処するように構成され得る。装置は、急性非代償性心不全(ADHF: Acute Decompensated Heart Failure)に対処するように構成され得る。装置は、心腎症候群(CRS: Cardio Renal Syndrome)に対処するように構成され得る。装置は、CHFの非常に早い段階において生来の心臓の一時的な軽減を提供するように構成され得る。装置の他の使用が考えられる。
【0262】
一部の実施形態は、埋め込みのために構成される有傷経皮で埋め込み可能な一時的MCSDを備える。一部の使用の方法では、装置は、大腿動脈を介しての大動脈における埋め込みのために構成され得る。一部の使用の方法では、装置は、大動脈における有傷経皮での埋め込みのために構成され得る。一部の使用の方法では、装置は低侵襲手術での大動脈における埋め込みのために構成され得る。装置は、数時間から約5日間までの範囲での短い期間の一時的な使用のために意図され得る。使用の終わりに、装置のすべての構成要素は患者の身体から除去される。
【0263】
一部の実施形態では、装置は軸方向および/または遠心の羽根車を備え得る。一部の装置は、急性心臓発作の後に血行動態的に不安定である者、急性非代償性心不全(ADHF)、心腎症候群(CRS)の患者、および急性心原性ショック(ACS: Acute Cardiogenic Shock)、ならびに早期のNYHAクラスII CHF(INTERMACSレベル7の前)およびより深刻な状態のために、有傷経皮冠動脈インターベンション(PCI)の間に支援を提供するように構成され得る。一部の装置は、大動脈における直列の埋め込みのために構成され得る。
【0264】
一部の装置は、本明細書に記載されているような一時的なMCSDであり得る。装置は、本明細書に記載されている任意の流量および圧力上昇を提供することができる。しかしながら、一部の装置は、数時間から5日間までの間で典型的には変わる短期間の使用のために構成され得る。一時的な装置のすべての構成要素は、短期間の使用の後に除去されるように構成され得る。例えば、一部の実施形態では、構成要素は患者の身体に永久的に取り付けられるように構成されない。一部の永久的に埋め込み不可能な装置と異なり、一時的なMCSDは、埋め込みと、その後の人の身体からのすべての構成要素の完全な除去と、のために構成され得る。この方法では、一時的な装置は、PCI、ADHF、CRS、ACS、およびCHFの非常に早い段階における生来の心臓の一時的な軽減に対処するために構成され得る。
【0265】
本発明者によって実施されてきた臨床経験は、本明細書における他の場所に開示されているような仕様を伴う装置が、有傷経皮冠動脈インターベンション(PCI)の間、他の有傷経皮のシステムの代替として効果的に使用できることを示唆している。本発明者によって実施されてきた臨床経験は、装置の埋め込み場所(例えば、下行大動脈における)は、腎臓への潅流を増加させるため、追加的であるが実質的な治療上の利点を提供することもできることも示唆している。他の治療上の利点も考えられる。
【0266】
装置の一部の図示が
図60〜
図72に含まれている。一部の実施形態では、一時的な装置に関連するとして記載された機構は永久的に埋め込み可能な装置に組み込まれてもよく、永久的に埋め込み可能な装置に関連するとして記載された機構は一時的な装置に組み込まれてもよい。一時的な装置は、本明細書に記載された任意の装置の任意の機構を含み得る。永久的な装置は、本明細書に記載された任意の装置の任意の機構を含み得る。
【0267】
一部の実施形態では、装置は、例えば互いに対して二重反転といった反対方向に回転する2つ以上の折り畳み可能な羽根車またはプロペラを備え得る。一部の実施形態では、二重反転の翼板は等しい反対の毎分回転数で回転する。一部の実施形態では、二重反転の翼板は等しくない毎分回転数で回転する。羽根車および包囲する支持体は、腎臓の上流の大動脈において、カテーテルを介して折り畳まれた位置で配置される。一部の使用の方法では、これは、下行大動脈であり得る、または、大動脈弁までのどこかで、大動脈におけるさらに上流であり得る。カテーテルが除去されると、翼板および包囲する支持体は、折り畳まれていない位置へと跳ねる。一部の使用の方法では、一時的な装置は、装置を折り畳んで装置をカテーテルへと捕獲することによって、逆の手順を介して除去される。
【0268】
一部の装置は、内部減速歯車箱をそれ自体で有し得るモータに接続され得る。モータは、装置に体内で一体的に接続され得るか、または短い曲げシャフトを介して装置に体内で接続され得る。一部の実施形態では、電力は電気ケーブルを介してモータへと送達される。一部の実施形態では、二重反転を達成する羽根車および歯車箱は、下行大動脈において体内に配置され、柔軟な駆動シャフトを介して体外のモータまたは歯車モータに接続される。二重反転する翼板は、関連する歯車箱に一部基づいて、等しくない毎分回転数または等しい毎分回転数を有し得る。電気モータは、それと一体的に、モータの毎分回転数を一回目で低下させる遊星歯車の歯車箱を有してもよく、それは例えば歯車モータであり、次の追加の歯車箱が、羽根車の前にモータの毎分回転数を二回目で低下させる。一部の実施形態では、反対方向における2つの羽根車の回転は歯車箱を介して達成される。この歯車箱は、羽根車の直ぐ上流、羽根車の直ぐ下流、または羽根車同士の間にあり得る。歯車箱は、1つのシャフトから入力動力および回転を受け入れ、1つ以上の2つの二重反転シャフトを介して2つの羽根車へと出力を提供する。
【0269】
歯車箱への入力は、1つの中心シャフトによって両方が駆動される太陽歯車を介してでもよい。例えば、下流の羽根車は、下流の遊星歯車の歯車箱の遊星キャリア(固定された輪体)によって駆動でき、上流の羽根車は、二重反転を達成するために、上流の遊星歯車の歯車箱のリング(ノーズコーンに固定され、支柱を介して不動のモータケーシングに固定された遊星キャリア)によって駆動され得る。歯車比は、正確な二重反転を達成するためにそれらの内部構成要素の直径によって調節でき、つまり2つの回転子の毎分回転数は等しくて反対である。代替で、内部歯車構成要素の直径は、例えば最適な流れ動力学または平衡性の理由のために、二重反転を異なる羽根車の毎分回転数において受け入れるように、下流の回転子の毎分回転数を上流の回転子の毎分回転数より大きくかまたは小さくするために使用できる。
【0270】
図60A〜
図60Gは、血管の内腔における設置のために構成されたMCS装置500の例を概略的に示している。MCS装置500は永久的または一時的に埋め込み可能な装置であり得る。一部の実施形態では、装置500は1つ以上の回転子510を備え得る。回転子510は、本明細書に記載された回転子の任意の構成を有し得る。一部の実施形態では、回転子510は固定子と動作するように設計され得る。回転子510は、1つ、2つ、またはより多くのプロペラ511を備え得る。プロペラ511は、本明細書に記載されたプロペラの任意の構成を有し得る。プロペラ511は、血管構造を通じて流れる血液に力を移送するように構成される径方向に延びる1つ以上の翼板520を備え得る。翼板520は、本明細書に記載された翼板の任意の構成を有し得る。一部の実施形態では、MCS500は、本明細書に記載された1つ以上の羽根車200を備え得る。羽根車200は、本明細書に記載された羽根車の任意の構成を有し得る。
【0271】
図60Aおよび
図60Bは、2つの回転子510を伴うMCS装置500の例を示している。一部の実施形態では、MCS装置500は、例えば1つの回転子、2つの回転子、3つの回転子など、任意の数の回転子を備え得る。一部の実施形態では、MCS装置500は2つ以上の回転子510を備え得る。一部の実施形態では、各々の回転子510は、他の回転子のプロペラから独立して回転するように構成されるプロペラ511を備え得る。一部の実施形態では、各々の回転子510は、他の回転子のプロペラと同時に回転するように構成されるプロペラ511を備え得る。
【0272】
各々のプロペラ511はいくつかの翼板を備える。図示されている例では、各々のプロペラ511は4枚の翼板520を備え得る。プロペラ511は、直径方向で反対の翼板520の2つの対を有し得る。4枚の翼板520は、例えばおおよそ90度で離間されて、周方向で離間されてもよい。4枚の翼板520は不均等に離間されてもよい。図示されている例では、各々のプロペラ511は翼板の1つの列を備える。一部の実施形態では、プロペラ511は翼板の2つ以上の列を備え得る。
【0273】
プロペラ511は、径方向に延びる1つ以上の翼板520から成り得る。一部の実施形態では、翼板520はMCS装置500の所与の軸方向位置において位置合わせされ得る。一部の実施形態では、翼板520はMCS装置500の軸に沿って軸方向で離間され得る。一部の実施形態では、1つ以上の回転子510は2つ以上のプロペラ511を備え得る。一部の実施形態では、1つ以上の回転子510は翼板520の2つ以上の列を備え得る。一部の実施形態では、同じ回転子510のプロペラ511は同時に回転するように構成され得る。プロペラ511は、MCS装置500が設置される血管構造を通じて流れる血液に速度を付与することができる。1つ以上の回転子510は、血管の軸方向の次元に沿って位置合わせされ得る。軸方向の次元は、血管の中の血流の全体的な方向(上流から下流へ)と平行に延び、MCS装置500の中心軸を定めることができる。1つ以上の回転子510の回転の軸は、MCS装置500の中心軸に実質的に沿って位置合わせされ得る。回転子510の各々の回転の軸は、同一線上になるように位置合わせされ得る。
【0274】
一部の実施形態では、磁気要素が翼板において使用され得る。一部の実施形態では、翼板全体が磁性であり得る。一部の実施形態では、翼板は、翼板の外部のコイルによって駆動され得る。例えば、コイルは、永久的な埋め込みのために血管または大動脈の外側にあり得る。例えば、コイルは、例えば支持構造において、血管の内側に位置付けられ得る。軸流の翼板は螺旋の翼板より小さく、翼板のほとんど(例えば、翼板の大部分)は磁石であり得る。
【0275】
一部の実施形態では、翼板は形状記憶材料から作られ得る。翼板の材料は、埋め込みおよび/または除去のために、ハブへと、またはハブに当てて折り畳むことを可能にすることができる。一部の実施形態では、MCS装置の構成要素は、それら構成要素に発揮される流体の力と磁力とを伝えることができなければならない。翼板が過度に曲がりやすい場合、翼板は流体の力を伝えることができなくなる。例えば、翼板は、軸流、遠心、または螺旋になるために捩じれることができる場合、混合した軸方向および遠心の流れの特性を発生させるために必要な流体の力または磁力を伝えることができなくなる可能性があり、この場合遠心は純粋な損失となる。
【0276】
一部の実施形態では、翼板の最適な数は、回転する翼板の列ごとに2枚、3枚、4枚、5枚、または6枚の翼板であり得る。一部の実施形態では、プロペラまたは羽根車は、単一の翼板列において1枚の翼板、単一の翼板列において2枚の翼板、単一の翼板列において3枚の翼板、単一の翼板列において4枚の翼板、単一の翼板列において5枚の翼板、もしくは単一の翼板列において6枚の翼板を有し、1列、2列、もしくは3列を有し、または前述の構成の任意の組み合わせを有する。一部の実施形態では、回転子は1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの翼板列を備え得る。各々の翼板列は同じ回転子によって回転させられ得る。
【0277】
一部の実施形態では、最適な食違い角は、ハブ方向からおおよそ40度から90度の間であり得る。一部の実施形態では、最適な食違い角は、40度から50度の間、50度から60度の間、60度から70度の間、70度から80度の間、80度から90度の間、40度から60度の間、50度から70度の間、60度から80度の間、70度から90度の間、40度から70度の間、50度から80度の間、60度から90度の間、または前述の値のうちの任意の2つを含む任意の範囲である。一部の実施形態では、MCS装置は最適な数の翼板を備え得る。一部の実施形態では、MCS装置は最適な食違い角の翼板を備え得る。
【0278】
MCS装置は、本明細書における他の場所に記載されているように、軸流プロペラ式の翼板を備え得る。軸流プロペラ式の翼板は、明らかなターボ機械の形状を備えるため、螺旋スクリューとは概して区別される。螺旋装置の方位区分を切断することは、一部の場合では、軸流プロペラ式の翼板を備えるターボ機械と同じくらい効率的な三次元の軸方向ターボ機械をもたらすことはない。
【0279】
MCS装置500は、大動脈または血管の中にターボ機械を係留するための係留機構600を備え得る。係留機構600は、ターボ機械を包囲するように、および血流を通過させるように構成されたケージ、周方向バンド、または他の支持構造であり得る。一部の実施形態では、ケージ構造は、1つ以上の回転子510の回転の軸と実質的に位置合わせされる上流点および下流点を備え得る。係留機構600は、係留機構600が血管壁と接触する位置において血管壁に発揮される圧力を通じて、MCS装置500を血管の中の所定位置において保持するように構成され得る。係留機構600は、本明細書における他の場所に記載されているように拡張可能であり得る。
【0280】
一時的な装置について、係留機構600は、大動脈または血管の中に装置を一時的に係留するように設計され得る。係留機構600は、血管壁に圧し掛かるために非外傷性であり得る。永久的な装置について、係留機構600は、患者の組織と永久的に係合するように設計され得る。係留機構600は、所望のレベルの固定を達成するために様々な形態を取ることができる。
【0281】
図60Aは、潰れた構成を示している。
図60Bは、拡張した構成を示している。MCS装置500は、潰れた構成と拡張した構成との間に1つ以上の中間構成を有し得る。潰れた構成では、1つ、2つ、またはより多くの翼板が、目立たない構成へと潰れるように構成される。拡張した構成では、1つ以上の翼板は側方へ外向きに移動させられる。一部の実施形態では、MCS装置は、潰れた状態において埋め込まれ、下行大動脈の内側、上行大動脈の内側、または大動脈弁を介して左心室の内側で展開され得る。
【0282】
図60Cおよび
図60Dは、血管150の中のMCS装置500を示している。
図60Cおよび
図60Dは、MCS装置500の外科的な設置を概略的に示している。
図60Cでは、係留機構600は除去され、回転子を示している。
【0283】
図60Eは、2つの回転子510を伴うMCS装置500の斜視図を示している。各々の回転子510は、3枚の翼板520を備えるプロペラ511を備える。3枚の翼板520は、例えばおおよそ120度で離間されて、周方向で離間されてもよい。一部の実施形態では、1つ以上のプロペラ511が単一の翼板を備える。一部の実施形態では、1つ以上のプロペラ511が2枚の翼板を備える。2枚の翼板520は、例えばおおよそ180度で離間されて、または均等に離間して、周方向で離間されてもよい。一部の実施形態では、2つ以上のプロペラ511は同じ数の翼板を有する。一部の実施形態では、2つ以上のプロペラ511は、翼板同士の間に同じ間隔など、翼板の同じ構成を有する。一部の実施形態では、2つ以上のプロペラ511は異なる数の翼板を有する。一部の実施形態では、2つ以上のプロペラ511は、翼板同士の間に異なる間隔など、翼板の異なる構成を有する。
【0284】
一部の実施形態では、係留機構600は、
図60Eにおいて示されているような樽形の構成を有し得る。一部の実施形態では、係留機構600は血管壁との接触を最小限にするように設計され得る。一部の実施形態では、係留機構600は血管壁との接触の点である。一部の実施形態では、係留機構600は回転子のための中心付け機構として作用し得る。
【0285】
図60Fは、二重反転プロペラ512、514の対を含む反転回転子装置の例を示している。一部の実施形態では、第2のプロペラ514は接線速度成分の方向を反転させることができる。一部の実施形態では、第2のプロペラ514は、血液の軸方向速度がMCS装置500を通過するときに連続的に増加させられるように、血流の軸方向速度成分を増加させ得る。一部の実施形態では、MCS装置500は二重反転翼板を備え得る。二重反転翼板は、溶血を最小限にするのに非常に有益であり得る。二重反転翼板は、二重反転翼板のない装置より低い毎分回転数において効率的に動作することができ得る。MCS装置500は、任意の数の二重反転プロペラを含め、任意の数のプロペラを備えることができる。MCS装置500は、任意の構成の二重反転プロペラを含め、任意の構成のプロペラを備えることができる。図示されている実施形態では、二重反転プロペラ512、514の対は軸方向で位置合わせされている。図示されている実施形態では、二重反転プロペラ512、514の対は同じ数の翼板を有する。図示されている実施形態では、二重反転プロペラ512、514の対は、周辺の周りに均等に離間される翼板を有する。
【0286】
一部の実施形態では、二重反転プロペラ512、514の対の中の2つのプロペラの角速度の大きさは等しくてもよい。等しい角速度の大きさを伴う二重反転プロペラ512、514は、大動脈における自然の螺旋血流を複製する必要があるものなど、小さい接線速度成分を含む出力速度ベクトルをもたらすことができる。一部の実施形態では、二重反転プロペラ512、514の対の中の2つのプロペラの角速度の大きさは等しくなくてもよい。
【0287】
MCS装置500の出力における最終的な速度ベクトルは翼板形状によって変調され得る。プロペラ511および/または二重反転プロペラ512、514の翼板は、所望の流れ特性を有するように選択され得る。プロペラ511および/または二重反転プロペラ512、514の翼板は、翼板の大きさに基づいて選択され得る。プロペラ511および/または二重反転プロペラ512、514の翼板は、翼板の傾きに基づいて選択され得る。プロペラ511および/または二重反転プロペラ512、514の翼板は、プロペラの翼板の全部の数に基づいて選択され得る。プロペラ511および/または二重反転プロペラ512、514の翼板は、プロペラ511および/または二重反転プロペラ512、514の回転の方向に基づいて選択され得る。
【0288】
プロペラ511および/または二重反転プロペラ512、514の翼板は、MCS装置500における2つ以上のプロペラ511および/または二重反転プロペラ512、514の間の所望の距離に基づいて選択され得る。プロペラ511および/または二重反転プロペラ512、514の翼板は、MCS装置500における軸方向においてプロペラの順序付けに基づいて選択され得る。プロペラ511および/または二重反転プロペラ512、514の翼板は、血流の特性を達成するために、所望の数のプロペラに基づいて選択され得る。プロペラ511および/または二重反転プロペラ512、514の翼板は、血流の特性を達成するためにプロペラ511および/または二重反転プロペラ512、514の所望の角速度に基づいて選択され得る。
【0289】
一部の実施形態では、プロペラ511、二重反転プロペラ512、514、羽根車、または二重反転羽根車は、利用可能な血管の直径のほとんどを取る直径を有し得る。この構成は利点を有し得る。1つ以上のプロペラまたは羽根車の毎分回転数は、圧力上昇および流量の仕様について最小限にされ、血液の外傷を最小限にすることができる。一部の実施形態では、プロペラ511、二重反転プロペラ512、514、羽根車、または二重反転羽根車は、利用可能な血管の直径未満の直径を有し得る。一部の実施形態では、1つ以上の支持構造は、利用可能な血管の直径の一部分を満たす直径を有する。
【0290】
一部の実施形態では、プロペラ511、二重反転プロペラ512、514、羽根車、または二重反転羽根車はモータに結合される。モータは本明細書に記載されたモータの任意の機構を有し得る。MCS装置500は、モータを包含または収容するために任意の構造またはハブを備え得る。一部の実施形態では、1つ以上の二重反転モータがプロペラまたは羽根車のハブに位置付けられ得る。MCS装置500は、電力をモータに送達するために任意の構造を備え得る。MCS装置500は、制御信号をモータに送達するために任意の構造を備え得る。一部の実施形態では、1つ以上のカテーテルをベースとした導管が、電力送達および制御信号のための導体を担持するために設けられる。
【0291】
図60Gは、予旋回器540および脱旋回器542を伴う単一の回転子の例を示している。MCS装置500は1つ以上の予旋回器を備え得る。MCS装置500は1つ以上の脱旋回器を備え得る。予旋回器および脱旋回器は三次元形態を備え得る。翼板は複雑な三次元構成を備え得る。予旋回器のこの構成は、プロペラへ入る前の血液に所望の流れ特性を付与することができる。脱旋回器のこの構成は、プロペラとの関わり合いの後の血液に所望の流れ特性を付与することができる。
【0292】
予旋回器および脱旋回器は、単純な二次元の支柱にわたって流体力学的な改善を提供することができる。例えば、二次元の支柱は、所望の流れ特性を付与することができなくてもよい。一部の実施形態では、予旋回器および/または脱旋回器は、形が二次元であるものと比較される。これらの二次元の支柱は管から押し出され得る。これらの二次元の支柱は不完全な流れ特性を有し得る。対照的に、三次元の予旋回羽根および脱旋回羽根は、ハブから先端へと羽根角度の変化を有するように構成され得る。この構成は、血液により良好な流れ特性を付与することができる。一部の実施形態では、三次元の予旋回羽根および脱旋回羽根は平面状ではない。一部の実施形態では、三次元の予旋回羽根および脱旋回羽根は3つの平面で延びる。一部の実施形態では、三次元の予旋回羽根および脱旋回羽根は、厚さ寸法において複数の方向性ベクトルで延びる。一部の実施形態では、三次元の予旋回羽根および脱旋回羽根は長手方向の捩じれを有する。一部の実施形態では、三次元の予旋回羽根および脱旋回羽根は長手方向の湾曲を有する。
【0293】
予旋回器および脱旋回器は、翼板と同様に、圧縮した構成および拡張した構成を有し得る。予旋回器および脱旋回器は、MCS装置500のハブまたは他の構造に当てて折り畳み可能であり得る。一部の実施形態では、予旋回器および脱旋回器は装置の残りの部分から取り外し可能であり得る。一部の実施形態では、予旋回器および脱旋回器は装置に永久的に結合され得る。
【0294】
図61A〜
図61Cは、血管の中にターボ機械を係留するための係留機構600を示している。
図61Aは、収縮したバルーンを伴う折り畳み装置500を示している。
図60Bおよび
図60Cは、膨張したバルーンを伴った、折り畳まれていない装置500を示している。係留機構600は、ターボ機械を包囲するように、および血流を通過させるように構成されたバルーンを備え得る。バルーンは、血管または大動脈の中で選択的に膨張させられ得る。一部の実施形態では、バルーンは血管の直径の一部を満たす。一部の実施形態では、バルーンは、血管に圧し掛かり、血管との接触の点となるように設計される。係留機構600は1つ以上の支柱も備え得る。支柱はバルーンの直径の内側に圧し掛かる可能性がある。支柱は、ターボ機械をバルーンの内腔の中に中心付けることができる。
【0295】
一部の実施形態では、バルーンは、
図61Cにおいて示されているような管の構成を有し得る。一部の実施形態では、バルーンは、1つ以上の回転子510の回転の軸から実質的にずれている上流および下流の周囲を備え得る。バルーンは、バルーンが血管と接触する側面において血管壁に発揮される圧力を通じて、MCS装置500を血管の中の所定位置において保持するように構成され得る。バルーンは、膨張媒体を通じてなどで拡張可能であり得る。一部の使用の方法では、バルーンは、血管または大動脈の中にあるときに膨張させられる。膨張媒体は、1つ以上の導管を通じてバルーンへと送達され得る。膨張媒体は生理食塩水などの生体適合性材料であり得る。一部の実施形態では、膨張媒体は気体である。一部の実施形態では、膨張媒体は液体である。一部の実施形態では、膨張媒体は固体、固体成形体、または硬化性材料である。バルーンは、血液などの液体の吸収によって拡張可能であり得る。一部の実施形態では、バルーンは、バルーンを拡張させる液体に対して透過性である。一部の実施形態では、バルーンは収縮され得る。一部の実施形態では、バルーンは、患者の身体の中で永久的な構造となるように構成される。
【0296】
図62A〜
図62Bは体内モータを示している。MCS装置500は、1つ以上の回転子510に回転力を提供するように1つ以上の回転子510に結合された1つ以上のモータ700を備え得る。2つ以上の回転子510を備える実施形態では、回転子510のうちの一部または全部が異なるモータによって駆動されてもよい。
図62Bは、背中合わせで位置決めされた、例えば2つといった複数の体内モータ700を示している。各々の体内モータ700は回転力を独立した回転子に提供する。2つの体内モータ700は、モータ700への血液の通過を防止するために、封止されたカプセル550の中に位置決めされている。
図62Aは、封止されたカプセルを伴う組み立てられた装置を示している。TADについて、モータは装置の除去と共に容易に除去することができる。
【0297】
図62Cは磁気結合部552を示している。磁気結合部は回転子510とモータ700との間に示されている。回転子は、プロペラのハブであり、モータへの結合のための場所を提供する。結合部は、回転移動をモータから回転子へと伝えるための任意の機械的な結合であり得る。一部の実施形態では、回転子および/またはプロペラは任意の磁気手段によってモータに結合され得る。図示されている実施形態では、磁石が回転子およびモータに設けられている。一部の実施形態では、回転子および/またはプロペラは、モータ固定子によって直接的に回転させられてもよく、モータ700の一部として参照されてもよい。例えば、モータの電磁的な固定子によって駆動される磁石が、回転子510に結合され得るか、または回転子510の中に設置され得る。結合部の他の構成が考えられる。一部の実施形態では、モータへのターボ機械の結合はシャフトを介して遂行され得る。一部の実施形態では、モータへのターボ機械の結合部は磁気結合部を介して遂行され得る。
【0298】
一部の実施形態では、複数のモータが提供される場合、モータ同士の間に1つ以上の結合部が設けられる。モータ同士の間の結合部は、磁気結合部、接続器、および/または軸受を介してであり得る。一部の実施形態では、MCS装置の近位端および遠位端における軸受は流体力学的であり得る。一部の実施形態では、MCS装置の近位端および遠位端における軸受は磁性であり得る。一部の実施形態では、MCS装置の近位端および遠位端における軸受は、循環する血液を使用する自己潤滑であり得る。
【0299】
図62Dはモータの別の実施形態を示している。1つ以上の遊星歯車554(プラネタリギヤとしても知られている)が、2つの回転子の間に二重反転を達成するために使用され得る。モータの他の構成が考えられる。
【0300】
図62Eは潤滑通路556を示している。一部の実施形態では、潤滑流体は、駆動ラインを潤滑するためにカテーテルを通じて提供され得る。例えば、潤滑流体は、カテーテルにおける小さい通路を通じて、回転子510の近位軸受へと移送され、駆動ラインを備える配管を通じて戻され得る。一部の実施形態では、回転子510の遠位軸受は血流によって潤滑されてもよい。
【0301】
図63A〜
図63Cは、血管150の中に位置決めされるMCS装置500を示している。MCS装置500は、目標の血管に到達するまで目立たない構成で挿入され得る。MCS装置500は、1つ以上の翼板520を拡張するために、折り畳まれなくなり得るかまたは展開され得る。体内モータを備える実施形態では、モータは、血管の内腔の中(血管内)に位置決めされ得る。
【0302】
図64Aは、挿入のための関節式スリーブ560を示している。関節式スリーブは、MCS装置500が目標の血管へと進むとき、MCS装置500を曲げることができる。
図64Bは、関節式スリーブ560の中でテールトゥテールのモータ700を示している。モータ700は、スリーブの各々の端において回転子を動作させるためにテールトゥテールで位置決めされ得る。
図64Cは、関節式スリーブの中のヘッドトゥテールのモータ700を示している。モータ700は、関節式スリーブまたは他のカプセルの中に任意の構成で位置決めされ得る。モータは装置の除去と共に容易に除去することができる。
【0303】
図65A〜
図65Bは、傘のような形で翼板の開くところを示している。
図65Aは、より小さい大動脈における部分的な開きを示している。翼板は、MCS装置500の長手方向軸と約135度の角度を形成している。
図65Bは、より大きい大動脈における完全な開きを示している。翼板は、MCS装置500の長手方向軸と90度の角度を形成している。プロペラの先端直径は、
図65Bと比べて
図65Aにおいてより小さい。MCS装置は、大動脈の大きさに拘わらず、翼板先端と係留機構との間に実質的に一定の隙間の大きさを維持するように構成され得る。一部の実施形態では、MCS装置500は、傘のような形で開くように設計された羽根車を備え得る。
【0304】
一部の実施形態では、MCS装置500は、1つ以上の折り畳み可能なプロペラおよび/または羽根車を備え得る。折り畳み可能な羽根車は、装置のハブに当てて潰されて挿入され、次に、所望の大動脈の場所において傘のような形で様々な角度まで開かれ得る。羽根車またはプロペラの先端直径は傘の開く大きさによって変わる。プロペラまたは羽根車はケージまたは他の係留機構600の中で包囲され得る。プロペラまたは羽根車は、可変の傘の開きまで部分的に開き、可変の先端直径をもたらすことができる。傘の設計は、本明細書に記載されているように、ターボ機械の先端からケージへの隙間を最適なレベルで維持することができる。MCS装置500は、翼板先端と係留機構との間に実質的に一定の隙間の大きさを維持するように構成される調節可能に動作する羽根車またはプロペラの直径を備え得る。MCS装置500は、翼板先端と血管壁との間に実質的に一定の隙間の大きさを維持するように構成される調節可能に動作する羽根車またはプロペラの直径を備え得る。一部の実施形態では、MCS装置500は、1つの大きさの羽根車で所望の隙間を維持するために、可変の羽根車直径を有する。
【0305】
一部の実施形態では、MCS装置500の羽根車またはプロペラは、完全に開くかまたは完全に閉じるかのいずれかとなるように意図され得る。MCS装置500の羽根車またはプロペラは、開位置で固定の先端直径を有する。この実施形態は、前述した傘のように開くことの代替とできる。固定された直径のプロペラまたは羽根車の直径は、例えばおおよそ10mm、12mm、14mm、16mm、18mm、20mm、22mm、24mm、26mm、28mm、30mm、32mm、10mmから20mmの間、20mmから30mmの間、30mm未満、22mm未満、20mm未満、18mm未満、10mm超、14mm超、16mm超、または前述の値のうちの2つを含む任意の範囲で設定され得る。
【0306】
一部の実施形態では、翼板は、部分的に開くように設計されようが完全に開くように設計されようが、潰れた状態で挿入できる。翼板は、送達のために1つ以上のスリーブへと装填され得る。翼板は、スリーブの除去において拡張するように、バネで荷重が掛けられて準備され得る。完全な度合いまたは部分的な度合いまで拡張されると、本明細書に記載されているように、回転の遠心作用が翼板を開構成において維持し得る。部分的に開く場合、翼板は所定位置で係止され得る。一部の実施形態では、翼板はハブ側から係止される。
【0307】
MCS装置は先端直径寸法を含み得る。埋め込み場所における大動脈の内径は、例えばおおよそ20mmから32mmの間で、患者ごとに異なる。この異なる寸法は、プロペラまたは羽根車の先端と包囲する装置または血管構造との間の隙間を制限したいという要求が概してあるため、一連の問題を提起する可能性がある。流体力学的効率と溶血との間の要件のバランスを取っての最適な隙間は、例えば0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、2mm、または前述の値のうちの2つを含む任意の範囲といった、おおよそ0.2mmから2mmの間であり得る。例えば、一部の実施形態では、好ましいかまたは名目上の隙間の大きさはおおよそ0.5mmであり得る。より大きな隙間は、装置出口から装置入口への逆流をもたらし、そのため流体力学的効率を低下させ、混合および溶血を増加させる可能性がある。しかしながら、隙間を小さくするために固定の大きな直径を装置に提供することは、装置を特定の患者の生体構造に収容されるのには不適切(大きすぎる)にさせてしまう可能性がある。一部の実施形態では、カスタムされた装置が提供される。一部の実施形態では、調節可能な大きさの装置が提供される。一部の実施形態では、MCS装置は、調節能力を用いて様々な大きさの血管に適応する。一部の実施形態では、MCS装置は、より小さい直径からより大きい直径まで、装置の大きさの潜在的な素地において利用可能である。一部の実施形態では、各々の場合で所望の隙間に適応するために、より小さい直径からより大きい直径までの装置の大きさの範囲から装置を選択する能力がある。一部の実施形態では、MCS装置は、異なる大動脈の大きさに適応するために、完全に開の位置において様々な直径の大きさで利用可能である。
【0308】
一部の実施形態では、プロペラまたは羽根車は、例えばバルーンといった拡張可能な部材との組み合わせで動作するように設計され得る。
図61A〜
図61Cは例のバルーンを提供している。MCS装置は、円筒のスリーブの形とされたバルーンを備え得る。バルーンは、開いた(折り畳まれていない)プロペラまたは羽根車を軸に沿って収容するために開いた中心を備え得る。バルーンは、翼板先端とバルーンとの間の隙間の大きさを調節するために使用できる。バルーンの内径は、所望の隙間の大きさへと調節するために、およびプロペラまたは羽根車の翼板およびバルーンを血管において収容するために、膨張の度合いを介して変化させることができる。
【0309】
一部の実施形態では、バルーンはMCS装置のための係留機構として供することができる。一部の実施形態では、バルーンはケージまたは支柱の外径に結合され得る。一部の実施形態では、バルーンはケージまたは支柱の内径に結合され得る。一部の実施形態では、2つのバルーンが、ケージまたは支柱の各々の側(内側、外側)に1つが結合されて使用され得る。MCS装置は、本明細書に記載されているような固定の動作直径を有する羽根車またはプロペラを備え得る。固定の動作直径を有する羽根車またはプロペラは、羽根車またはプロペラの先端とバルーンの内径との間の隙間が調節可能となるように、様々な大きさに膨張可能であるバルーンによって包囲され得る。一部の実施形態では、ターボ機械が通過する中心内腔など、バルーンの内径は調節可能である。一部の実施形態では、バルーンの外径は調節可能であり得る。外径は、血管の壁に当てて適合するように有利に調節され得る。
【0310】
開いたプロペラまたは羽根車を軸において収容するために開いた中心を伴う円筒のスリーブの種類のバルーンを利用することで、バルーン内径は、所望の隙間の大きさへと調節するために変化させることができる。円筒のスリーブの種類のバルーンを利用することで、バルーンの外径は、羽根車とバルーンとの合わさったものを血管へと適合させるために変化させることができる。一部の実施形態では、MCS装置は、溶血を先端の漏れとバランスさせる最適なレベルで先端からバルーンへの隙間を維持しつつ血管の直径に適応するために、可変の羽根車先端直径と可変のバルーン膨張とを有し得る。一部の実施形態では、MCS装置は、異なる血管直径において所望の隙間に適合するために、いくつかの羽根車の大きさの装置と可変のバルーン膨張とを有し得る。
【0311】
一部の実施形態では、バルーンは、1つ以上のプロペラまたは羽根車を越えて軸方向に延びるように構成される軸方向の長さを備え得る。一部の実施形態では、バルーンは、1つ以上のプロペラまたは羽根車を越えて遠位に延びるように構成される軸方向の長さを備え得る。一部の実施形態では、バルーンは、1つ以上のプロペラまたは羽根車を越えて近位に延びるように構成される軸方向の長さを備え得る。一部の実施形態では、バルーンは、1つ以上のプロペラまたは羽根車を越えて近位と遠位との両方に延びるように構成される軸方向の長さを備え得る。バルーンの長さを延ばすことは、MCS装置を通る血流を最適化させることができる。この増加した軸方向の長さは、溶血を減らすこと、逆流から保護すること、流体動力学を最適化すること、および/または渦を回避することを含む多くの利点を有し得る。
【0312】
バルーンは、本明細書に示されているような概して円筒の管のような構造であり得る。一部の実施形態では、バルーンは球形である。一部の実施形態では、バルーンは円錐形である。一部の実施形態では、バルーンは2つ以上のバルーンを備える。一部の実施形態では、バルーンは2つ以上の軸方向のバルーンを備える。一部の実施形態では、バルーンは2つ以上の周方向のバルーンを備える。一部の実施形態では、バルーンは2つ以上の周方向の丸い突出部を備える。例えば、バルーンは4つの丸い突出部を伴うクローバの葉のような設計を含み得る。他の構成が考えられる。
【0313】
バルーンは、血管と接触するように構成される1つ以上の表面を備え得る。バルーンは1つ以上の丸められた縁を備え得る。バルーンは、成形された入口領域および/または出口領域を備え得る。例えば、入口領域および/または出口領域は、プロペラまたは羽根車の構造の上方および/または下方での滑らかに成形された回転体として成形され得る。入口領域および/または出口領域は、プロペラ/羽根車への流入、およびプロペラまたは羽根車からの流出を滑らかにするように設計され得る。入口領域および/または出口領域は、再循環する流れパターン、流れのない領域を最小にする、および/または、損失を最小にする様態で設計され得る。入口領域および/または出口領域は、航空機の入口およびディフューザと同様の最適化技術で成形され得る。一部の実施形態では、MCS装置は、成形されたバルーンの入口および/または出口を備え得る。
【0314】
MCS装置はケージまたは係留機構600を備え得る。ケージまたは係留機構600は、バルーンを伴う実施形態またはバルーンを伴わない実施形態において展開され得る。ケージまたは係留機構600は、1つ以上の回転子/プロペラを伴う実施形態において展開され得る。ケージまたは係留機構600は、1つ以上の二重反転の回転子/プロペラを伴う実施形態において展開され得る。一部の実施形態では、ケージまたは係留機構600を形成する周囲支柱の構造は、流れを所望の方向へ方向付ける三次元の翼板へと開くように成形され得る。例えば、支柱は、近位端から遠位端へと軸および周辺の方向において延びる翼板を形成できる。翼板は、近位から遠位への方向において径方向内向きに延び得る。翼板は、近位から遠位への方向において径方向外向きに延び得る。翼板は、近位から遠位への方向に沿って延びるときに均一の厚さを有し得る。翼板は、近位から遠位への方向に沿って延びるときに可変の厚さを有し得る。翼板は、本明細書に記載された予旋回器および/または脱旋回器の翼板と同じまたは同様の機構を有し得る。
【0315】
MCS装置は1つ以上のコイルを備え得る。コイルは追加または代替でバルーンに使用されてもよい。一部の実施形態では、コイルは、MCS装置の入口および/または出口において漏斗(三次元の回転体)を形成するために使用され得る。一部の実施形態では、コイルはバルーンに強度を提供し得る。一部の実施形態では、コイルは流れ特性を向上させ得る。一部の実施形態では、コイルは、入口、出口、または入口と出口との両方に提供され得る。一部の実施形態では、コイルは、予旋回器および/または脱旋回器としての機能を果たすことができる。一部の実施形態では、コイルは、先端直径およびケージ直径と異なる血管直径に適応することができる。一部の実施形態では、コイルは拡張させられて伸ばされ、形を変えるために圧縮および伸長させられ得る。一部の実施形態では、コイルは翼板先端とコイルとの間に所望の隙間を形成することができる。
【0316】
図66A〜
図66Dは、ケージまたは係留機構600を形成する周囲支柱の例を示している。一部の実施形態では、MCS装置の羽根車またはプロペラは、完全に開くかまたは開位置で固定の先端直径を有するかのいずれかとなるように意図され得る。一部の実施形態では、MCS装置の羽根車またはプロペラは、傘のような形で開けられるように意図され得る。
図66Aは、潰れた構成の実施形態を示している。プロペラの翼板は装置のハブに当たっている。係留機構600は装置のハブに沿って遠位に延びる。係留機構600は、係留機構600を折り畳ませることができる1つ以上のヒンジまたは他の機械的構造を備え得る。
図66Bは、
図66Aの実施形態の拡張した構成の実施形態を示している。プロペラの翼板は回転子から側方へ延ばされる。係留機構600も側方へ延ばされる。MCS装置500のプロペラは、翼板先端と係留機構600の支柱との間に、開位置において固定の先端直径を有し得る。図示された実施形態では、係留機構600の各々の支柱は、側方に離れてから遠位へと延び、そして装置に向けて側方へ延びる。支柱は、拡張されるとき、2つの90度の角度または同様の角度を形成する。他の構成が考えられる。
図66A〜
図66Bは、折り畳みのケージ支持体を伴う体内モータを示している。
【0317】
図66Cは、潰れた構成の実施形態を示している。プロペラの翼板は、目立たない構成、挿入の構成、および/または除去の構成にある。
図66Dは、
図66Cの実施形態の拡張した構成の実施形態を示している。プロペラおよび係留機構600の翼板は側方へ延ばされる。MCS装置500のプロペラは、翼板先端と係留機構600の支柱との間に、開位置において固定の先端直径を有し得る。MCS装置500のプロペラは、翼板先端と係留機構600の支柱との間に、開位置において可変の先端直径を有し得る。図示されている実施形態では、係留機構600の各々の支柱は、湾曲しているか、または近位−遠位方向において円弧を形成する。他の構成が考えられる。
図66C〜
図66Dは、より太い駆動シャフトを伴う体外モータを示している。
図66A〜
図66Dは、血管において展開されるMCS装置を示している。
図66A〜
図66Dは、両方とも血管にある、折り畳みのケージ支持体を伴う体内モータ、および体外モータ(より太い駆動シャフト)を示している。
【0318】
一部の実施形態では、MCS装置は予旋回器および/または脱旋回器の不動の羽根を備え得る。予旋回器および/または脱旋回器の不動の羽根は、ターボ機械のハブの支持構造としても供することができる。一部の実施形態では、予旋回器および/または脱旋回器の不動の羽根は、1つ以上の回転子を包囲するケージまたは係留機構を形成することができる。一部の実施形態では、MCS装置は、翼板の形で開口する支柱を備え得る。支柱は予旋回器および/または脱旋回器として機能することができる。予旋回器および/または脱旋回器として機能する支柱は、拡張されたときに三次元の構成を有し得る。
【0319】
一部の実施形態では、2つ以上の羽根車またはプロペラが予旋回器および脱旋回器の不動の羽根同士の間に位置決めされ得る(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはより多くの羽根車またはプロペラ)。一部の実施形態では、1つの羽根車またはプロペラが予旋回器および脱旋回器の不動の羽根同士の間に位置決めされ得る。一部の実施形態では、2つ以上の二重反転の羽根車またはプロペラが予旋回器および脱旋回器の不動の羽根同士の間に位置決めされ得る。一部の実施形態では、不動の羽根は予旋回器の機能を果たすだけであり得る。一部の実施形態では、不動の羽根は脱旋回器の機能を果たすだけであり得る。
【0320】
1つの回転子であっても1対の二重反転回転子であっても、ケージを形成する周囲支柱の構造は、三次元の翼板へと開くように成形されてもよい。三次元の翼板は、流れを所望の方向に方向付けるように設計され得る。一部の実施形態では、MCS装置は、流れの角度およびターボ機械の効率を最適化するために、予旋回器および/または脱旋回器の支柱を備え得る。三次元の翼板は、拡張されるときに所望の構成を有するようにあらかじめ形成され得る。三次元の翼板は形状記憶材料から形成され得る。
【0321】
一部の実施形態では、ケージまたは係留機構600は固体の円筒であり得る。ケージまたは係留機構600は、近位端および遠位端において1つ以上の支持環体を備え得る。ケージまたは係留機構600は、プロペラ先端または羽根車先端の軸方向の場所に位置付けられた1つ以上の支持環体を備え得る。ケージまたは係留機構600は、血管の内側に適合するように拡張する支持環体同士の間に軸方向要素を備え得る。軸方向要素は三次元翼板であり得る。ケージまたは係留機構600は、必要な形へと拡張する柔軟な材料から作られ得る。一部の実施形態では、MCS装置はケージおよび/または支持構造を備え得る。一部の実施形態では、MCS装置は、ケージまたは係留機構600の展開を含む設置手順を含み得る。
【0322】
一部の使用の方法では、ケージまたは係留機構600は羽根車装置または他のターボ機械とは別に埋め込まれ得る。一部の使用の方法では、ケージまたは係留機構600はステントケージと同様に埋め込まれ得る。ケージまたは係留機構600は、バルーン、または他の空間を占める機構を備え得る。一部の使用の方法では、ケージまたは係留機構600はターボ機械の挿入の前に拡張される。ケージまたは係留機構600は血管の壁に当たって拡張する。一部の実施形態では、ケージまたは係留機構600は、ターボ機械の挿入のための中心内腔を備え得る。一部の実施形態では、ケージまたは係留機構600は、ケージまたは係留機構600の中心内腔がプロペラまたは羽根車の直径と適切な隙間で合致することを確実にするように設計される。一部の実施形態では、設計は、プロペラまたは羽根車の翼板の先端と血管の壁との間に過剰な隙間がないことを確実にする。一部の実施形態では、設計は、ステント管の構成においてプロペラまたは羽根車の翼板の先端と係留機構またはケージの壁との間に過剰な隙間がないことを確実にする。
【0323】
一部の実施形態では、MCS装置は内部スリーブまたはステントを備え得る。スリーブまたはステントは1つの部品以上の部品であり得る。スリーブまたはステントは、内部血管壁に当てて埋め込まれ得る。スリーブまたはステントは、支持構造がプロペラまたは羽根車の軸受および主シャフトを保持するように取り付けできるように埋め込まれ得る。支持構造の他の構成が考えられる。
【0324】
一部の実施形態では、ステントケージが独立して送達される場合、羽根車装置は予旋回器および/または後旋回器を有し得る。予旋回器および/または後旋回器は自己拡張であり得る。予旋回器および/または後旋回器は機械的に拡張される円板であり得る。一部の実施形態では、予旋回器および/または後旋回器は、プロペラまたは羽根車を中心付け、血管壁との衝突を防止するために機能できる。一部の実施形態では、予旋回器および/または後旋回器は、除去が必要とされるときのために潰れることができ得る。血管の可変直径は、三次元の予旋回器および/または脱旋回器を備える異なる開口を使用して適応させられ得る。
【0325】
一部の使用の方法では、ケージまたは係留機構600は羽根車装置または他のターボ機械と同時に埋め込まれ得る。一部の使用の方法では、ケージまたは係留機構600と翼板とは同時に拡張され得る。一部の使用の方法では、ケージまたは係留機構600と翼板とは独立しておよび/または連続的に拡張され得る。一部の使用の方法では、ケージまたは係留機構600と翼板とは異なる角度まで拡張され得る。一部の実施形態では、設計は、プロペラまたは羽根車の翼板の先端と、血管の壁および/または係留機構の壁もしくはケージとの間に過剰な隙間がないことを確実にする。
【0326】
一部の実施形態では、MCS装置は2つの二重反転のプロペラまたは羽根車を備え得る。一部の実施形態では、このような構成は最大の流体力学的効率をもたらし得る。一部の実施形態では、このような構成は回転子の最小の毎分回転数をもたらし得る。一部の実施形態では、このような構成は最小の溶血をもたらし得る。一部の実施形態では、MCS装置は、効率を最大にし、溶血を最小にする二重反転の羽根車の対を備え得る。
【0327】
図67A〜
図67Cは、2つの二重反転のプロペラを備える構成を示している。
図67Aは、二重反転を達成する傘歯車箱を示している。第1のシャフトは時計回りに移動し、第2のシャフトは反時計回りに移動する。支持歯車も示されている。MCS装置は
図67Bに示されている。傘歯車箱の位置決めは
図67Cに示されている。
図67A〜
図67Cは、体内モータと、シャフト速度を低下させる第1の歯車箱と、第1の回転子と、第1の回転子からの二重反転を達成する傘歯車箱と、そして第2の回転子と、を示している。第1の回転子からの二重反転を達成する傘歯車箱は
図67Aおよび
図67Cに示されている。
【0328】
一部の実施形態では、動力は最小の電気モータによって翼板に送達され得る。モータ、制御装置、および電力供給部は、本明細書における他の場所に記載されているように、体外にあり得る。モータは体外にあり、カテーテルは駆動シャフトとして供し得る。モータは体内にあり得る。モータはターボ機械のハブに位置付けられ得る。設置および動作の状態におけるカテーテルは、身体の外部から大動脈におけるモータの場所へと電力を送達する電気ケーブルであり得る。モータは、制御装置および電力供給部が体外に位置付けられた状態で体内にあり得る。
【0329】
一部の実施形態では、歯車機構がモータと回転する羽根車またはプロペラとの間に必要とされ得る。歯車機構はモータの隣に位置付けられ得る。歯車機構は1つ以上の羽根車の隣に位置付けられ得る。歯車機構は体内または体外にあり得る。一部の実施形態では、モータ、歯車機構、およびプロペラ/羽根車はすべて体内にあり、電気ケーブルだけが回転子を貫く。一部の実施形態では、モータ、歯車機構、およびプロペラ/羽根車のうちの1つ以上は体内にある。一部の実施形態では、モータ、歯車機構、およびプロペラ/羽根車のうちの1つ以上は体外にある。
【0330】
1つ以上の遊星歯車(プラネタリギヤとしても知られている)が、2つの回転子の間に二重反転を達成するために使用され得る。遊星歯車は、4つの主要な要素、すなわち太陽、遊星、遊星キャリア、およびリングを有する。3つの構成要素のうちの1つ、すなわち、遊星キャリアおよび遊星か、リングか、または、めったにないが太陽が、不動で保持される。どの構成要素が不動で保持されるかに依存して、異なる歯車比が達成され、同時に、出力シャフトは入力シャフトから歯車箱へと共回転または二重反転することができる。遊星歯車の歯車箱または箱は体内または体外にあり得る。
【0331】
図68A〜
図68Dは、2つの歯車箱または歯車機構554を伴う構成を示している。第1の歯車554およびモータ770は、封止されたカプセルの中にある。第2の歯車554は回転子510同士の間に位置付けられている。第2の歯車のリングは第2の回転子510に接続されている。
図68Aは2つの歯車箱を示している。
図68BはMCS装置500の概観図を示している。
図68Cおよび
図68Dは装置の中の2つの歯車箱の場所を示している。これは、遊星歯車箱のいくつかの構成の一例であり、他の構成が考えられる。遊星歯車箱は二重反転を達成する。MCS装置は、直列で2つの遊星歯車箱を伴う体内モータを備える。モータシャフトは第1の歯車箱の太陽を駆動する。リングは不動である。遊星キャリアは第1の回転子のための出力シャフトであり、第2の歯車箱の太陽に接続されている。第2の歯車箱の遊星は不動であり、前の不動のハブに接続されている。第2の歯車箱の回転するリングは出力である。この構成では、第1の回転子はモータシャフトと反対に回転する。この構成では、第2の回転子は回転子シャフトと共回転する。歯車の歯の大きさは、歯車比を必要とされるように変更するために使用され得る。ケージは不動のモータによって支持され得る。
図68A〜
図68Dは、封止されたカプセルの内側の歯車1およびモータと、リングが第2の回転子に接続されている歯車2と、を示している。モータ700は5W(ワット)の動力を有するとして示されているが、例えば1W、2W、5W、10W、15W、20W、25W、30W、または前述の値の任意の範囲といった、他の構成が考えられる。
【0332】
図69は、2つの歯車箱554を伴う別の構成を示している。回転子は図から省略されている。ケージ600が示されている。第1の歯車G1およびモータは、封止されたカプセルの中になる。リングは第1の歯車と固定されている。一部の実施形態では、第1の歯車は第1の回転子を動作させる。一部の実施形態では、第2の歯車G2は回転子同士の間に位置付けられる。遊星は第2の歯車と固定されている。ケージは、第1の歯車箱の不動にリングによって、および不動のハブによって、支持され得る。
図69は、リングが固定されているG1と、遊星が固定されているG2と、を示している。
【0333】
一部の実施形態では、二重反転の構成において、異なる種類の歯車装置を伴う1つのモータがあり得る。一部の実施形態では、傘歯車が提供される。傘歯車は1つのモータからの2つのシャフトに二重反転を提供することができる。この歯車は体内または体外にあり得る。この構成では、モータが体外にあると、モータから体内歯車へと1本のシャフトがあり得る。この構成では、傘歯車の軸方向の同じ端、または傘歯車の反対の端において、傘歯車の出口に2本の二重反転のシャフトがあり得る。一部の実施形態では、傘歯車は体外にあり、体外モータの隣に位置決めされ得る。この構成では、2つの同心のシャフトが血管に沿って二重反転の羽根車へと配置され得る。体内の歯車機構および体外の歯車機構の他の構成が考えられる。
【0334】
一部の実施形態では、体内モータはテールトゥテールで構成され得る。一部の実施形態では、体内モータはヘッドトゥテールで構成され得る。一部の実施形態では、体内モータは軸方向で配置され得る。一部の実施形態では、体内モータは設置のために関節接合するように構成され得る。体内モータは、例えば関節式スリーブに位置付けられることで、関節接合されてもよい。
【0335】
1つ以上のターボ機械のハブにおける1つ以上の体内モータを備える実施形態では、電気ケーブルはケージまたは係留機構600の周囲の周りに設置され得る。一部の実施形態では、電気ケーブルは装置のハブに沿って設置され得る。
【0336】
図70A〜
図70Bは、MCS装置500の実施形態を示している。一部の実施形態では、MCS装置500はノーズプロペラ570を備え得る。MCS装置500は折り畳み可能なケージを備え、支持構造600を形成し得る。MCS装置500は1つ以上の流体力学的軸受572を備え得る。MCS装置500は1つ以上の翼板520を備え得る。MCS装置500は1つ以上の歯車箱554を備え得る。MCS装置500はモータ700を備え得る。MCS装置500はモータ700の封止されたカプセル550を備え得る。MCS装置500は、封止されたカプセルから延びるコード574を備え得る。折り畳み可能なケージ600はノーズプロペラおよび封止されたカプセルから延びる。ノーズプロペラおよび封止されたカプセルは、折り畳み可能なケージ600をそれらに接続させるハブを備える。
【0337】
図71は潤滑経路576の例を示している。潤滑経路は、封止されたカプセル550を通じて延びている。潤滑経路は歯車箱554G1、554G2を通じて延びている。生体適合性潤滑剤がモータ700および/または歯車箱もしくは歯車箱554を通じて汲み上げられ得る。潤滑剤が血流において拡散される一例が図に示されている。潤滑剤は身体の外部に戻されてもよい。
【0338】
図72は渦状溝578を示している。汲み出し渦状溝は、重要な領域における洗浄の流れを向上させることができる。渦状溝は、回転する構成要素と不動の構成要素との間で血流の淀みを除去するために、ポンプヘッドにおいて回転要素と不動要素との間で使用され得る。
図72は、重要な領域における洗浄の流れを向上させるための汲み出し渦状溝を示す。
【0339】
本発明は、特定の好ましい実施形態の観点から記載されているが、本明細書における開示を考慮して、当業者によって他の実施形態への組み込まれてもよい。そのため、本発明の範囲は、本明細書に開示されている特定の実施形態によって限定されるように意図されておらず、以下の特許請求の範囲の全体の範囲によって定められるように意図されている。本開示が、多くの点において、本発明の数々の代替の装置の実施形態を例示しているだけであることが理解される。変更が、本発明の様々な実施形態の範囲を超えることなく、特には様々な装置の構成要素の形、大きさ、材料、および構成において、細部において行われてもよい。当業者は、例示の実施形態および記載が全体として本発明を例示しているだけであることを理解するものである。本発明のいくつかの原理は前述の例示の実施形態において明らかとされているが、当業者は、構造、構成、比率、要素、材料、および使用の方法の修正が本発明の実施において利用でき、そうでなくても、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の環境および動作要件に具体的に適応させられることを理解するものである。また、特定の機構および要素が特定の実施形態との関連で記載されているが、当業者は、それらの機構および要素が本明細書に開示されている他の実施形態と組み合わせられ得ることを理解するものである。
【0340】
特徴または要素が、別の特徴または要素「にある」として本明細書において言及されるとき、その特徴または要素は別の特徴もしくは要素に直接的にあってもよいし、または、介在する特徴および/もしくは要素が存在してもよい。対照的に、特徴または要素が、別の特徴または要素「に直接的にある」として言及されるとき、介在する特徴または要素は存在しない。特徴または要素が、別の特徴または要素に「接続」、「取り付け」、または「結合」されるとして言及されるとき、その特徴または要素は別の特徴もしくは要素に直接的に接続、取り付け、もしくは結合されてもよいし、または介在する特徴もしくは要素が存在してもよい。対照的に、特徴または要素が、別の特徴または要素に「直接的に接続される」、「直接的に取り付けられる」、または「直接的に結合される」として言及されるとき、介在する特徴または要素は存在しない。一実施形態に関して記載および図示されているが、そのように記載および図示された特徴および要素は他の実施形態に当てはまることができる。別の特徴に「隣接」して配置される構造または特徴への言及は、隣接する特徴に重なるかまたは下になる部分を有し得ることは、同じく当業者によって理解されるものである。
【0341】
本明細書で使用される専門用語は、具体的な実施形態を記載する目的だけのためであり、本発明の限定になるように意図されていない。例えば、本明細書で使用されるとき、「1つ」および「その」といった単数形は、文脈がそうでないことを明確に指示しない場合、複数形も含むように意図されている。「備える」および/または「備えている」といった用語は、この明細書で使用されるとき、述べられた特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明示しているが、1つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を除外しないことは、さらに理解されるものである。本明細書で使用されるとき、「および/または」という用語は、関連する列記された項目のうちの1つ以上の任意およびすべての組み合わせを含み、「/」によって省略されてもよい。
【0342】
「下」、「〜の下」、「下方」、「〜の上」、「上方」などの空間的に相対的な用語が、他の要素または特徴に対する1つの要素または特徴の関係を図において示されているように記載するように、説明の容易性のために本明細書において用いられ得る。空間的に相対的な用語が、図に描写されている配向に加えて、使用中または動作中に装置の異なる配向を網羅するように意図されていることは、理解されるものである。例えば、図における装置が逆向きにされる場合、他の要素または特徴の「下」または「下方」として記載された要素は、他の要素または特徴の「上」に配向されることになる。したがって、「下」といった例示の用語は、上および下の配向の両方を網羅することができる。装置は他に配向されてもよく(90度または他の配向で回転させられる)、本明細書で使用されている空間的に相対的な記載はそれに応じて解釈させられる。同様に、「上向き」、「下向き」、「鉛直」、「水平」などの用語は、他に明示的に指示されていない場合のみ、説明の目的のために本明細書において使用されている。
【0343】
「第1」および「第2」といった用語が様々な特徴/要素(ステップを含む)を記載するために本明細書において使用され得るが、これらの特徴/要素は、文脈が他に指示していない場合、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの特徴/要素を他の特徴/要素から区別するために使用されてもよい。したがって、以下に詳述されている第1の特徴/要素は第2の特徴/要素として命名されてもよく、同様に、以下に詳述されている第2の特徴/要素は、本発明の教示から逸脱することなく、第1の特徴/要素として命名されてもよい。
【0344】
本明細書、および後に続く特許請求の範囲を通じて、文脈が他に必要としない場合、「備える」という言葉、および、「備えている」などの変化は、様々な構成要素が方法および品目において共に一緒にされて採用され得ることを意味する(例えば、装置および方法を含む構成および機器)。例えば、「備えている」という用語は、任意の述べられた要素またはステップの包含を意味するが、他の要素またはステップの排除を意味しないと理解されるものである。
【0345】
例において使用されるときを含め、本明細書および特許請求の範囲において使用されるとき、他に明示的に述べられていない場合、すべての数は、用語が明示的に明らかにならない場合であっても、「約」または「おおよそ」の言葉によって前置きされているかのように読まれてもよい。「約」または「おおよそ」の文言は、記載された値および/または位置が合理的に予測される値および/または位置の範囲内にあることを指示するために、大きさおよび/または位置を記載するときに使用されてもよい。例えば、数値は、述べられた値(または値の範囲)の±0.1%、述べられた値(または値の範囲)の±1%、述べられた値(または値の範囲)の±2%、述べられた値(または値の範囲)の±5%、述べられた値(または値の範囲)の±10%などである値を有し得る。本明細書に述べられたあらゆる数値は、文脈が他に指示していない場合、約またはおおよそのその値を含むようにも理解されるべきである。例えば、「10」という値が開示されている場合、「約10」も開示されている。本明細書で提示されている任意の数の範囲は、そこに含まれるすべての下位の範囲を含むように意図されている。値が開示されるとき、「その値以下」、「その値以上」、および値の間の可能な範囲も、当業者によって適切に理解されるように開示されていることは、同じく理解される。例えば、「X」という値が開示される場合、「X以下」および「X以上」(例えば、Xは数値である)も開示されている。本出願を通じて、データがいくつかの異なる形式で提供されることと、このデータが、終点および始点を表し、データ点の任意の組み合わせにわたって及ぶこととは、同じく理解される。例えば、「10」という特定のデータ点と、「15」という特定のデータ点とが開示される場合、10および15超、10および15以上、10および15未満、10および15以下、10および15に等しいことが開示されていると見なされ、10から15の間も開示されていると見なされることが理解される。2つの特定の単位の間の各々の単位も開示されていることが、同じく理解される。例えば、10および15が開示されている場合、11、12、13、および14も開示されている。
【0346】
様々な例示の実施形態が先に記載されているが、いくつかの変更のいずれも、請求項によって記載されているような本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態に行われてもよい。例えば、様々な記載された方法のステップが実施される順番が代替の実施形態において変更されてもよく、他の代替の実施形態では、1つ以上の方法のステップは飛ばされてもよい。様々な装置およびシステムの実施形態の任意選択の特徴が、一部の実施形態には含まれてもよく、他の実施形態には含まれなくてもよい。そのため、前述の記載は、主に例示の目的のために提供されており、請求項において述べられているような本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0347】
本明細書に含まれる例および図は、主題が実施され得る特定の実施形態を、例示であって限定ではないものとして示している。前述したように、そこから、構造的および論理的な代用および変更が本開示の範囲から逸脱することなく行われ得るように、他の実施形態が利用および導出されてもよい。本発明の主題のこのような実施形態は、実際には2つ以上が開示されている場合、任意の単一の発明または発明的概念に本出願の範囲を意図的または自発的に限定することなく、利便性のためだけの「発明」の用語によって、個別または集合的に本明細書で言及され得る。したがって、特定の実施形態が本明細書に図示および記載されているが、同じ目的を達成するために計算されるあらゆる構成は、図示されている特定の実施形態のために代用されてもよい。この開示は、様々な実施形態の任意のすべての適応または変化を網羅するように意図されている。前述の実施形態、および本明細書において明確に記載されていない他の実施形態の組み合わせが、先の記載を再検討することによって、当業者には明らかとなる。