【実施例】
【0472】
実施例1:免疫化の説明
ウサギの免疫化
2種のエナンチオマーPb−DOTAM−アルキル−PEG
4−KLH画分(MS2−DOTAM KLH画分1およびMS2−DOTAM KLH画分2)の1:1ミックスを、WO2000/46251、WO2002/12437、WO2005/007696、WO2006/047367、US2007/0033661およびWO2008/027986に報告される通り、ニュージーランドホワイト(New Zealand White)ウサギまたはヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニックウサギの免疫化に使用した。各ウサギは、0日目に皮内適用により、完全フロイントアジュバントで乳化した500ugの免疫原ミックスで免疫化し、7、14、28、56日目に交互の筋肉内および皮下適用により、各500ugで免疫化した。その後、ウサギは、500ugの皮下免疫化を毎月受け、血清力価の決定のため、免疫化の7日後に少量の血液試料を採取した。免疫化の3番目の月および9番目の月に(免疫化後5〜7日目に)、より大量の血液試料(推定総血液体積の10%)を採取し、末梢単核細胞を単離し、これを、B細胞クローニングプロセス(実施例2)における抗原特異的B細胞の供給源として使用した。
【0473】
血清力価の決定(ELISA)
2種のエナンチオマーPb−DOTAM画分(PJRD05.133F1またはPJRD05.133F2)のそれぞれを、PBS中の1ug/ml、100ul/ウェルで、96ウェルNUNC Maxisorpプレート上に固定化し、続いて:200ul/ウェルでPBS中の2%クロテイン(Crotein)Cによるプレートのブロッキング;100ul/ウェルでPBS中の0.5%クロテインCにおける2回複製した抗血清の段階希釈の適用;100ul/ウェルでPBS中の0.5%クロテインCにそれぞれ希釈した、HRPコンジュゲートロバ抗ウサギIgG抗体(Jackson Immunoresearch/Dianova 711−036−152;1/16000)およびストレプトアビジン−HRPによる検出を行った。全ステップのため、プレートを1時間37℃でインキュベートした。全ステップの間に、プレートをPBS中の0.05%Tween 20で3回洗浄した。100ul/ウェルのBM Blue POD基質可溶型(Roche)の添加によりシグナルを発色させ;100ul/ウェルの1M HClの添加により停止した。参照としての690nmに対し450nmで吸光度を読み取った。力価は、最大半量シグナルをもたらす抗血清の希釈として定義した。
【0474】
実施例2:ウサギからのB細胞クローニング
ウサギ末梢血単核細胞(PBMC)の単離
免疫化されたウサギの血液試料を採取した。EDTA含有全血を1×PBS(PAA、オーストリア、パッシング)で2倍に希釈し、その後、製造業者の仕様書に従ってlympholyte mammal(Cedarlane Laboratories、カナダ、オンタリオ州バーリントン)を使用して密度遠心分離した。PBMCを1×PBSで2回洗浄した。
【0475】
EL−4 B5培地
10%FCS(Hyclone、米国ユタ州ローガン)、2mMグルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシン溶液(PAA、オーストリア、パッシング)、2mMピルビン酸ナトリウム、10mM HEPES(PAN Biotech、ドイツ、アイデンバッハ)および0,05mM b−メルカプトエタノール(Gibco、スコットランド、ペーズリー)を補充したRPMI 1640(Pan Biotech、ドイツ、アイデンバッハ)を使用した。
【0476】
プレートのコーティング
滅菌細胞培養6ウェルプレートを、炭酸塩バッファー(0,1M重炭酸ナトリウム、34mM炭酸水素二ナトリウム(Disodiumhydrogencarbonate)、pH9,55)中の2μg/ml KLHで一晩4℃にてコーティングした。プレートを使用前に滅菌PBSにおいて3回洗浄した。滅菌ストレプトアビジン被覆6ウェルプレート(Microcoat、ドイツ、ベルンリート)を、PBS中のビオチン化TCMC−Pb−dPEC3−ビオチン異性体A(1μg/ml)およびB(1μg/ml)の1+1エナンチオマー混合物で3時間室温にてコーティングした。パニングステップに先立ち、このような6ウェルプレートを滅菌PBSで3回洗浄した。
【0477】
マクロファージ/単球の枯渇
滅菌KLH被覆6ウェルプレートにPBMCを播種して、非特異的接着によりマクロファージおよび単球を枯渇させ、KLHに結合する細胞を除去した。各ウェルに、4ml培地および免疫化されたウサギ由来の最大6×10e6個のPBMCを最大限に充填し、1時間、37℃および5%CO2で結合させた。上清中の細胞(末梢血リンパ球(PBL))を抗原パニングステップに用いた。
【0478】
Pb含有TCMCエナンチオマーにおけるB細胞の濃縮
TCMC−Pb−dPEC3−ビオチン異性体AおよびBのエナンチオマー混合物でコーティングされた6ウェルプレートに、4ml培地あたり最大6×10e6個のPBLを播種し、1時間37℃および5%CO2で結合させた。ウェルを1×PBSで1〜3回慎重に洗浄することにより、非接着性細胞を除去した。残っている粘着性細胞を、10分間37℃および5%CO2のトリプシンによって剥離した。EL−4 B5培地によりトリプシン処理(Trypsination)を停止した。免疫蛍光染色まで細胞を氷上に維持した。
【0479】
免疫蛍光染色およびフローサイトメトリー
抗IgG FITC(AbD Serotec、ドイツ、デュッセルドルフ)を単一細胞選別に使用した。表面染色のため、枯渇および濃縮ステップ由来の細胞を、PBSにおいて抗IgG FITC抗体と共にインキュベートし、45分間暗所で4℃にてインキュベートした。染色後に、PBMCを氷冷PBSで2回洗浄した。最後に、PBMCを氷冷PBSに再懸濁し、FACS解析に直ちに付した。FACS解析に先立ち5μg/mlの濃度のヨウ化プロピジウム(BD Pharmingen、米国カリフォルニア州サンディエゴ)を添加して、死細胞と生細胞との間を識別した。
【0480】
コンピュータおよびFACSDivaソフトウェアを備えるBecton Dickinson FACSAria(BD Biosciences、米国)を単一細胞選別に使用した。
【0481】
B細胞培養
Lightwoodら(J Immunol Methods、2006、316:133〜143)によって記載された方法により、ウサギB細胞の培養物を調製した。簡潔に説明すると、単一の選別されたウサギB細胞を、インキュベーター内で、96ウェルプレートにおいてPansorbin細胞(1:100000)(Calbiochem(Merck)、ドイツ、ダルムシュタット)、5%ウサギ胸腺細胞上清(MicroCoat、ドイツ、ベルンリート)およびガンマ線照射されたマウスEL−4 B5胸腺腫細胞(5×10e5個の細胞/ウェル)を含有する200μl/ウェルEL−4 B5培地と共に7日間37℃でインキュベートした。B細胞培養物の上清をスクリーニングのために除去し、残っている細胞を直ちに採集し、100μl RLTバッファー(Qiagen、ドイツ、ヒルデン)において−80℃で凍結した。
【0482】
実施例3:ウサギ抗体の発現
V−ドメインのPCR増幅
製造業者のプロトコールに従ってNucleoSpin 8/96 RNAキット(Macherey&Nagel;740709.4,740698)を使用して、B細胞溶解物(RLTバッファー − Qiagen − Cat.N°79216に再懸濁)から全RNAを調製した。60μlのRNase不含水でRNAを溶出した。6μlのRNAを使用して、製造業者の説明書に従ってSuperscript III First−Strand Synthesis SuperMix(Invitrogen 18080−400)およびオリゴdT−プライマーを使用した逆転写酵素反応によりcDNAを生成した。全ステップを、Hamilton ML Star Systemにおいて行った。4μlのcDNAを使用して、重鎖のためにプライマーrbHC.upおよびrbHC.doならびに軽鎖のためにrbLC.upおよびrbLC.do(表3)を使用した最終体積50μlにおけるAccuPrime Supermix(Invitrogen 12344−040)により免疫グロブリン重鎖および軽鎖可変領域(VHおよびVL)を増幅した。全フォワードプライマーは、(それぞれVHおよびVLの)シグナルペプチドに特異的であった一方、リバースプライマーは、(それぞれVHおよびVLの)定常領域に特異的であった。RbVH+RbVLのためのPCR条件を次に示す:94℃5分間のホットスタート;35サイクルの20秒間94℃、20秒間70℃、45秒間68℃、および68℃7分間の最終伸長。
[この文献は図面を表示できません]
【0483】
50μl PCR溶液のうち8μlを、48 E−ゲル2%(Invitrogen G8008−02)にロードした。陽性PCR反応液を、製造業者のプロトコールに従ってNucleoSpin Extract IIキット(Macherey&Nagel;740609250)を使用して浄化し、50μl溶出バッファーに溶出した。全浄化ステップをHamilton ML Starlet Systemにおいて行った。
【0484】
ウサギモノクローナル二価抗体の組換え発現
ウサギモノクローナル二価抗体の組換え発現のため、オーバーハングクローニング方法(RS Haunら、Biotechniques(1992)13、515〜518;MZ Liら、Nature Methods(2007)4、251〜256)により、VHまたはVLをコードするPCR産物を、cDNAとして発現ベクターにクローニングした。発現ベクターは、イントロンAを含む5’CMVプロモーターおよび3’BGHポリアデニル化配列からなる発現カセットを含有した。発現カセットに加えて、プラスミドは、大腸菌(E.coli)におけるプラスミド増幅のためのpUC18由来複製開始点、およびアンピシリン抵抗性を付与するベータ−ラクタマーゼ遺伝子を含有した。次の、基礎プラスミドの3種のバリアントを使用した:VH領域を受け入れるように設計されたウサギIgG定常領域を含有する1種のプラスミド、一方、VL領域を受け入れるためのウサギまたはヒトカッパLC定常領域を含有する2種の追加的なプラスミド。カッパまたはガンマ定常領域およびVL/VHインサートをコードする直鎖化された発現プラスミドを、重複プライマーを使用したPCRにより増幅した。精製されたPCR産物をT4 DNAポリメラーゼと共にインキュベートし、これにより、一本鎖オーバーハングを生成した。dCTP添加により反応を停止した。次のステップにおいて、プラスミドおよびインサートを組み合わせ、部位特異的組換えを誘導するrecAと共にインキュベートした。組換えプラスミドを大腸菌に形質転換した。翌日、成長したコロニーを採取し、プラスミド調製、制限解析およびDNA配列決定により、正確な組換えプラスミドに関して試験した。抗体発現のため、試薬サプライヤーによって示唆される手順に従い239−Freeトランスフェクション試薬(Novagen)を使用することにより、単離されたHCおよびLCプラスミドを、2ml(96ウェルプレート)のFreeStyle HEK293−F細胞(Invitrogen R790−07)に一過性にコトランスフェクトした。1週間後に上清を採集し、精製のために送達した。
【0485】
実施例4:ウサギモノクローナル抗体の選択
下表は、様々なモノクローナル二価ウサギ抗体の特性を示す。キレート化PbおよびBiへの匹敵する結合、他のキレート化金属への低下した結合、ならびに高い親和性(<100pM)を有することから、リード候補としてPRIT−0128を選択した。
【0486】
SET(溶解平衡滴定)アッセイを後述する通りに実行した。
【0487】
アッセイプレートの調製:384ウェルストレプトアビジンプレート(Nunc、Microcoat#11974998001)を、20ng/mlの濃度のPBSバッファー中の25μl/ウェルのDOTAM−ビオチン−異性体ミックスと共に一晩4℃でインキュベートした。
【0488】
遊離DOTAM−金属キレート(Pb、Bi、Ca、Cu、Zn、Mg、Fe)による抗DOTAM抗体試料の平衡:0.01nM〜1nMの抗体を、関連するDOTAM−金属キレートにより、2500nM、500nMまたは100nMのDOTAM−金属キレートの濃度から開始する1:3、1:2または1:1.7希釈ステップにおいて滴定した。試料を、密封したREMP Storageポリプロピレンマイクロプレート(Brooks)において4℃で一晩インキュベートした。
【0489】
一晩インキュベーション後に、ストレプトアビジンプレートをウェルあたり90μlのPBSTで3×洗浄した。平衡プレートから15μlの各試料をアッセイプレートに移し、15分間RTでインキュベートし、続いてPBSTバッファーで3×90μl洗浄ステップを行った。25μlのヤギ抗ヒトIgG抗体−PODコンジュゲート(Jackson、109−036−088、OSEPで1:4000)を添加し、続いてPBSTバッファーで6×90μl洗浄ステップを行うことにより検出を実行した。25μlのTMB基質(Roche Diagnostics GmbH、カタログ番号:11835033001)を各ウェルに添加した。Safire2リーダー(Tecan)において370/492nmで測定を行った。
【0490】
材料:
1.DOTAM−ビオチン−異性体ミックス:
次の成分、濃度=20ng/mlの混合物、
− Pb−Dotam−Bn−ビオチン/TCMC−Pb−dPEG3−ビオチン、異性体A
− Pb−Dotam−Bn−ビオチン/TCMC−Pb−dPEG3−ビオチン、異性体B
− Pb−Dotam−アルキル−ビオチン異性体A
− Pb−Dotam−アルキル−ビオチン異性体B
2.PBS:DPBS、PAN、P04−36500
3.BSA:Roche、10735086001
4.Tween 20:ポリソルベート20(usb、#20605、500ml)
5.PBST:10×、Roche、#11666789001/0,1%Tween 20
6.OSEP:PBS(10×、Roche、#11666789001)/0,5%BSA(ウシ血清アルブミン画分V、脂肪酸不含、Roche、#10735086001)/0,05%Tween 20
[この文献は図面を表示できません]
【0491】
実施例5:分子生物学
組換えDNA技法
Sambrook、J.ら、Molecular cloning:A laboratory manual;Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、1989に記載されている通り、標準方法を使用してDNAを操作した。製造業者の説明書に従って、分子生物学的試薬を使用した。
【0492】
遺伝子およびオリゴヌクレオチド合成
Geneart GmbH(ドイツ、レーゲンスブルク)における化学合成により、所望の遺伝子セグメントを調製した。合成された遺伝子断片を、繁殖/増幅のために大腸菌プラスミドにクローニングした。サブクローニングされた遺伝子断片のDNA配列を、DNA配列決定により検証した。あるいは、化学合成されたオリゴヌクレオチドをアニーリングすることにより、またはPCRにより、短い合成DNA断片をアセンブルした。metabion GmbH (ドイツ、プラネック−マーティンスリード(Planegg-Martinsried))により、それぞれのオリゴヌクレオチドを調製した。
【0493】
タンパク質決定
ポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて計算されるモル消衰係数を使用して、280nmにおける光学濃度(OD)を決定することにより、精製されたポリペプチドのタンパク質濃度を決定した。
【0494】
抗体重鎖または軽鎖の組換え発現のためのプラスミドの生成
ヒト胎児性腎細胞(HEK293)の一過性トランスフェクションにより、所望のタンパク質を発現させた。所望の遺伝子/タンパク質(例えば、完全長抗体重鎖、完全長抗体軽鎖、または追加的なドメイン(例えば、そのC末端における免疫グロブリン重鎖または軽鎖可変ドメイン)を含有する完全長抗体重鎖)の発現のため、次の機能的エレメントを含む転写単位を使用した:
− イントロンAを含む、ヒトサイトメガロウイルス由来の最初期エンハンサーおよびプロモーター(P−CMV)、
− ヒト重鎖免疫グロブリン5’−非翻訳領域(5’UTR)、
− マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列(SS)、
− 発現されるべき遺伝子/タンパク質、ならびに
− ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
【0495】
発現されるべき所望の遺伝子を含む発現単位/カセットに加えて、基礎/標準哺乳動物発現プラスミドは、大腸菌におけるこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18由来の複製開始点、および大腸菌におけるアンピシリン抵抗性を付与するベータ−ラクタマーゼ遺伝子を含有した。
【0496】
a)抗体重鎖のための発現プラスミド
G4S×4リンカーによってそれぞれ分離されたそれぞれの配列エレメント(V−重またはV−軽)をコードするDNA断片をヒトIgG分子のCH3ドメインのC末端に融合することにより、完全かつ機能的な抗体重鎖に続く、追加的な抗体V−重またはV−軽ドメインを含むC末端融合遺伝子を含む抗体重鎖コード化遺伝子をアセンブルした(VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3−リンカー−VHまたはVH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3−リンカー−VL)。それぞれ2個のCH3ドメインのC末端に1個のVHおよび1個のVLドメインを有する組換え抗体分子を、ノブ・イントゥー・ホール技術を使用して発現させた。
【0497】
HEK293細胞における抗体重鎖と、C末端VHまたはVLドメインの一過性発現のための発現プラスミドは、抗体重鎖断片と、C末端VHまたはVLドメイン発現カセットの他に、大腸菌におけるこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18由来の複製開始点、および大腸菌におけるアンピシリン抵抗性を付与するベータ−ラクタマーゼ遺伝子を含んだ。抗体重鎖断片と、C末端VHまたはVLドメイン融合遺伝子の転写単位は、次の機能的エレメントを含む:
− イントロンAを含む、ヒトサイトメガロウイルス由来の最初期エンハンサーおよびプロモーター(P−CMV)、
− ヒト重鎖免疫グロブリン5’−非翻訳領域(5’UTR)、
− マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
− 抗体重鎖(VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3−リンカー−VHまたはVH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3−リンカー−VL)コード化核酸、ならびに
− ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
【0498】
前に概要を述べた方法に従って、表2に言及されている全ての重鎖ポリペプチド/タンパク質をコードする発現プラスミドを構築した。
【0499】
b)抗体軽鎖のための発現プラスミド
それぞれの配列エレメントをコードするDNA断片を融合することにより、完全かつ機能的な抗体軽鎖を含む抗体軽鎖コード化遺伝子をアセンブルした。
【0500】
抗体軽鎖の一過性発現のための発現プラスミドは、抗体軽鎖断片の他に、大腸菌におけるこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18由来の複製開始点、および大腸菌におけるアンピシリン抵抗性を付与するベータ−ラクタマーゼ遺伝子を含んだ。抗体軽鎖断片の転写単位は、次の機能的エレメントを含む:
− イントロンAを含む、ヒトサイトメガロウイルス由来の最初期エンハンサーおよびプロモーター(P−CMV)、
− ヒト重鎖免疫グロブリン5’−非翻訳領域(5’UTR)、
− マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
− 抗体軽鎖(VL−CL)コード化核酸、ならびに
− ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
【0501】
前に概要を述べた方法に従って、表2に言及されている全ての軽鎖ポリペプチド/タンパク質をコードする発現プラスミドを構築した。
【0502】
使用されている形式の模式図を
図1に描写する。星印は、PGLALA置換を指す:1は、DOTAM結合剤を指し、2および3は、抗標的(本明細書においてはCEA)結合剤を指す。
【0503】
実施例6:PRIT分子の一過性発現
抗体分子の一過性発現
F17培地(Invitrogen Corp.)において培養される、一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞(ヒト胎児性腎細胞株293由来)において抗体分子を生成した。トランスフェクションのため、「293−Free」トランスフェクション試薬(Novagen)を使用した。上述のそれぞれの抗体重鎖および軽鎖分子は、個々の発現プラスミドから発現させた。トランスフェクションは、製造業者の説明書に指定される通りに行った。トランスフェクションの3から7(3〜7)日後に、免疫グロブリン含有細胞培養上清を採集した。上清は、精製するまで、低下した温度(例えば、−80℃)で貯蔵した。
【0504】
例えば、HEK293細胞におけるヒト免疫グロブリンの組換え発現に関する一般情報は:Meissner、P.ら、Biotechnol.Bioeng.75(2001)197〜203で得られる。
【0505】
実施例7:タンパク質の精製
採集された細胞培養上清を、流量5ml/分で、5mlのプロテインA樹脂(Mab Select Sure)を充填したカラム(1.1cm直径、5cm長さ)にアプライした。20ml PBSバッファーによる洗浄後に、25mlクエン酸Na、pH3.0により抗体を溶出させた。
【0506】
次に、1Mトリス、pH9.0で溶出液をpH5.0に調整し、4℃で一晩インキュベートした。
【0507】
10分間10000×gの遠心分離および0.2μmフィルターを通した濾過の後に、20mMヒスチジン、140mM NaCl、pH6.0を含有するバッファーにおいて前平衡したサイズ排除クロマトグラフィーのSuperdex 200カラム(2.6cm直径、60cm長さ)に濾液をアプライし、同バッファーにより溶出させた。
【0508】
精製された抗体を含有する主要溶出ピークを収集し、最終純度を解析した。
[この文献は図面を表示できません]
【0509】
実施例8:FACS
トリプシンを使用して培養ボトルからMKN−45細胞を剥離し、Casy細胞計数器を使用して計数した。4℃、300gでペレットにした後に、細胞をFACSバッファー(PBS中に2.5%FCS)に再懸濁し、2.0E+06個の細胞/mLとなるように調整し、96ウェルPP V字底型Platteに分配した(25μL/ウェル=5.0E+04Zellen/ウェル)。
【0510】
− DOTAM−FITCを使用したFACS染色
一次CEA特異的抗体を、FACSバッファーにおいて40μg/mLとなるように調整し、最終濃度10μg/mLをもたらした。RS−CEA−Il2vを参照として用いた。FITCで標識されたPb−DOTAMおよび一次抗体は、等モル比で用いた。これらを混合し、10分間RTでインキュベートして、抗体をPb−DOTAMに結合させた。その後、20μlの調製されたミックスを25μl細胞懸濁液に添加し、1時間4℃でインキュベートした。次に、細胞をFACSバッファーにおいて2回洗浄し、FACS Canto(BD、Pharmingen)を使用した測定のために70μl/ウェルのFACSバッファーに再懸濁した。
【0511】
− <huカッパ>を使用したFACS染色
一次CEA特異的抗体は、FACSバッファーにおいて20μg/mLとなるように調整し、最終濃度10μg/mLをもたらした。RS−CEA−Il2vを参照として用いた。20μlを25μl細胞懸濁液に添加し、1時間4℃でインキュベートした。次に、細胞をFACSバッファーにおいて2回洗浄した。洗浄後に、二次抗体(<huIgG>−Alexa488、c=10μg/mL)を含有する50μL FACSバッファーに細胞を再懸濁し、1時間4℃でインキュベートした。次に、細胞をFACSバッファーにおいて2回洗浄し、FACS Canto(BD、Pharmingen)を使用した測定のために70μl/ウェルのFACSバッファーに再懸濁した。
【0512】
MKN−45細胞への1種の抗体(PRIT−0165)の結合、二次検出(右パネル、Alexa 488)またはDOTAM FITC(左パネル、FITC−A)のいずれかを使用したその検出を示す例が、
図36に描写されている。
【0513】
実施例9:ヒト化:
DOTAM結合剤PRIT−0128のヒト化における適したヒトアクセプターフレームワークの同定のため、2種の方法論の組合せを使用した。一方では、親抗体に対し高い配列相同性を有するアクセプターフレームワークを検索し、その後、このアクセプターフレームワークにCDR領域を移植することによる、古典的手法を採用した。親抗体に対する同定されたフレームワークの各アミノ酸差は、結合剤の構造的統合性における影響に関して判断し、適切であれば常に、親配列に向けた復帰突然変異(backmutation)を導入した。
【0514】
他方では、インハウス開発されたin silicoツールを使用して、ヒト化型のVHおよびVLドメインの互いに対する配向を予測した(WO2016/062734を参照)。これは、あらゆる可能なヒト生殖系列組合せにおけるCDRのバーチャルな移植のために実行された。この結果を、親結合剤のVH−VLドメイン配向と比較して、幾何学の点で出発抗体に近いフレームワーク組合せを選択した。
【0515】
各場合において、親抗体の次のCDR領域をアクセプターフレームワークに移植した(カバットに従った番号付け):
VH_CDR1:31〜35
VH_CDR2:50〜65
VH_CDR3:95〜102
VL_CDR1:24〜34
VL_CDR2:50〜56
VL_CDR3:89〜97。
【0516】
VH/VL Fv融合体(それぞれCH1およびCkなし)として腫瘍標的化IgGのFcのC末端に融合されたDOTAM結合剤を有する最終形式で、ヒト化バリアントを産生した。最終形式の親(非ヒト化)DOTAM結合剤PRIT−0128由来分子は、PRIT−0156と呼ばれる。
【0517】
VH/VL予測の観点からの適合性およびフレームワークの安定性増加のため、ハーセプチンフレームワークも同様に含まれた。全てのVHヒト化バリアントのため、ヒトJエレメントhJH2を使用した。全てのVKヒト化バリアントのため、ヒトJエレメントhJK4を使用した。
【0518】
HC4は、1個の復帰突然変異カバットA49Gを有するヒト生殖系列IGHV3−30−02におけるPRIT−128の移植である。
【0519】
可変重鎖HC5を得るために、復帰突然変異(backmuation)としてA49Gおよび本来のウサギN末端を反映するための最初のアミノ酸の欠失を有するヒト生殖系列hVH_2_26にCDRを移植した。
【0520】
ハーセプチンV−領域(ヒト生殖系列hVH3_66に由来する)に移植されると、バリアントHC7は、アクセプターフレームワークにおける数個の修飾によって特徴づけられる:N末端Eの欠失、A49G、A71RおよびS93A。
【0521】
HC10のため、PRIT−128のCDRは、ヒト生殖系列IGHV4_34_01に移植された。
【0522】
そこで、Q2から開始する本来のウサギ抗体を反映するように、V2から開始するN末端が修飾された。加えて、フレームワーク3におけるV71RおよびF78Vと共に、G29FおよびF31Lは、復帰突然変異wrtカバット命名法として考慮された。
【0523】
軽鎖LC1のため、CDRは、いかなる復帰突然変異もないヒト生殖系列IGKV1_39_01に移植された。A2から開始する本来のウサギAbを反映するように、開始はI2として選ばれた。
【0524】
ヒト生殖系列hVK1_5におけるCDRの移植により、軽鎖バリアントLC3を得た。D1が欠失され、I2A復帰突然変異は、新たなN末端として考慮された。追加的な復帰突然変異として、K42QおよびA43Pを考慮に入れた。
【0525】
ヒト化マトリックスのあらゆる可能な組合せが産生された訳ではなく、所与の組合せのVH/VL予測および配列リスク等の考慮に基づき、選択された特定の組合せが選ばれた。
【0526】
ヒト化の目標は、DOTAMに対する親和性の観点から10倍を超えて失わず、可能であれば増加した安定性を呈する、ヒト化結合剤を得ることであった。これは、DOTAMに対する匹敵するまたはさらにはより優れた親和性と共に、約10〜15℃のDLSによって測定される熱安定性の増加の、いくつかの結合剤により達成された。下の表7および8を参照されたい。
【0527】
実施例10:溶解平衡に基づくkd決定
Pb−DOTAMに対するその親和性に関してより大量のヒト化候補をスクリーニングするために、溶解平衡滴定(SET)を使用した。
【0528】
表6は、Pb−DOTAMに対する選択されたヒト化DOTAM結合剤のSETに基づく親和性決定を詳述する。表6における全ての抗体は、CEAへの二価結合およびPb−Dotamへの一価結合を含む二重特異性抗体である(2:1形式、
図1を参照):
[この文献は図面を表示できません]
【0529】
実施例11:Kinexaに基づくkd決定
親和性決定に関するより詳細な解析および直交性方法のため、Kinexaを使用した。
【0530】
計測手段および材料
オートサンプラーを備えるSapidyne Instruments(アイダホ州ボイシ)製のKinExA 3200機器を使用した。ポリメチルメタクリレート(PMMA)ビーズは、Sapidyneから購入し、一方、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、BSA(ウシ血清アルブミン画分V)および抗DOTAM抗体は、インハウス(Roche)で調製した。Dylight650(登録商標)コンジュゲートされたアフィニティー精製ヤギ抗ヒトIgG−Fc断片交差吸着(cross-adsorbed)抗体は、Bethyl Laboratories(テキサス州モントゴメリー)から購入した。ビオチン化Pb−DOTAM抗原(Pb−DOTAM−アルキル−ビオチン異性体AおよびB、Pb−DOTAM−Bn−ビオチン/TCMC−Pb−dPEG3−ビオチン、異性体AおよびB)および非ビオチン化Pb−DOTAMは、AREVA Med(メリーランド州ベセスダ)から得た。
【0531】
抗原コーティングされたビーズの調製
ビオチン化分子のためのKinExAハンドブックプロトコール(Sapidyne)に従って、PMMAビーズをコーティングした。簡潔に説明すると、第一に、1mlのPBS(pH7.4)中の10μgのビオチン−BSA(Thermo Scientific)を、吸着コーティングのために1本のバイアル(200mg)のビーズにつき添加した。2時間室温で回転させた後に、上清を除去し、ビーズを1ml PBSで5回洗浄した。第二に、10mg/ml BSAを含有するPBS中の1mlの100μgのニュートラアビジン、ビオチン結合タンパク質(Thermo Scientific)をビーズに添加し、室温でさらなる2時間インキュベートして、ニュートラアビジンをビーズにカップリングさせ、ビオチン化タンパク質のその後の結合のための追加的なビオチン結合部位をもたらした。次に、ニュートラアビジンコーティングされたビーズを1ml PBSで5回リンスした。最後に、ビーズをPBS中の200ng/mlビオチン化Pb−DOTAM−異性体ミックス(異性体毎に50ng)でコーティングし、さらに2時間室温でインキュベートした。次に、ビーズを30ml PBSに再懸濁し、直ちに使用した。
【0532】
KinExA平衡アッセイ
全てのKinExA実験は、ランニングバッファーとしてPBS、pH7.4を使用して室温(RT)で行った。試料は、1mg/ml BSAを補充したランニングバッファー(「試料バッファー」)において調製した。0.25ml/分の流量を使用した。5pM結合部位濃度を有する一定量の抗DOTAM抗体を、100pMから開始する2倍段階希釈(濃度範囲0.049pM〜100pM)によりPb−DOTAM抗原で滴定した。抗原なし抗体の1種の試料は、100%シグナル(すなわち、阻害なし)とした。抗原−抗体複合体をRTで少なくとも24時間インキュベートして、平衡に達するようにした。次に、平衡した混合物を、体積5mlのKinExAシステムにおけるPb−DOTAMカップリングビーズのカラムに通して、溶液の平衡状態を乱すことなく、結合していない抗体をビーズによって捕捉させた。捕捉された抗体は、試料バッファーにおける250ng/ml Dylight 650(C)コンジュゲートされた抗ヒトFc断片特異的二次抗体を使用して検出した。各試料は、全平衡実験で2回複製して測定した。
【0533】
「標準解析」方法を使用して、KinExAソフトウェア(バージョン4.0.11)内に含有される1部位均一結合モデルを使用して、データの非線形回帰解析からKDを得た。ソフトウェアは、KDを計算し、データ点を理論的KD曲線にフィットさせることにより95%信頼区間を決定する。95%信頼区間(Sapidyne TechNote TN207R0)は、KD低およびKD高として得られる。
【0534】
PRIT−213に関して、Kinexaによって決定される親和性値の他の例を下に提示する。PRIT−0213は、別のCEA結合VH/VLを除いて、PRIT−0186と同じ分子であり、表8を参照されたい。
[この文献は図面を表示できません]
【0535】
実施例12:ヒト化PRIT分子の熱安定性測定
方法およびデータ解析
最終形式でのヒト化PRIT分子の異なるバリアント(20mMヒスチジン、140mM NaCl、pH6.0における)を、1mg/mlとなるように同じバッファーに希釈した。30μlの各試料を、384ウェルプレートフィルターデバイスに移した(参照としての抗HER3抗体と一緒に)。1,000g、1分間の遠心分離後に、ウェルを10μlのパラフィン油で覆った。プレートを再度遠心分離し(1,000gで1分間)、DLS pklateリーダー(Dyna Pro PlateReader−II、Wyatt)に移した。25℃から開始して、温度を0.05℃/分のスピードで79.9℃まで増加させた。Dynamicsソフトウェア(V7.0)を使用して散乱光を記録した。
【0536】
データをExcel(Microsoft)に移し、試料および(und)温度によって選別し、ソフトウェアアドインを使用して、融解曲線を作成した。温度は、ベースラインからの明らかな逸脱が起こった箇所を「凝集開始」として定義し、融解曲線の変曲点を「融解温度」として定義した。
[この文献は図面を表示できません]
【0537】
実施例13:候補の選択
PRIT−0156は、CEA結合剤CH1A1Aと組み合わせたウサギDOTAM結合剤PRIT−0128を含む2:1抗体である。PRIT−0178からPRIT−0204は、同じ形式で、同じCEA結合剤を有する、ヒト化バリアントである。PRIT−0205からPRIT−0221までは、DOTAM結合部分においてPRIT−0178からPRIT−0204ヒト化バリアントに対応するが、T84.66に変化されたCEA結合剤を有する。
【0538】
下表は、様々なPRIT分子の特性を比較する。好まれる化合物は、PRIT−213およびPRIT−214であった。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0539】
[この文献は図面を表示できません]
【0540】
実施例14:Fab P1AA1227 Pb−DOTAM複合体の結晶化、データ収集および構造決定
複合体形成のため、26mg/mlのP1AA1227と呼ばれるPRIT−0213におけるヒト化VH/VLに由来するFabを、Pb−DOTAM粉末と1:4.2のモル比で混合した。4℃での2時間インキュベーション後に、JCSG+スクリーン(Qiagen、ヒルデン)を使用して、21℃でシッティングドロップ蒸気拡散(sitting drop vapor diffusion)装置において初期結晶化の試みを行った。結晶は、0.2M (NH4)2SO4、0.1Mビス−トリス、pH5.5、25%w/v PEG3350から5日以内に出現した。結晶は、いかなるさらなる最適化ステップも用いず、スクリーニングプレートから直接的に採集した。
【0541】
データ収集および構造決定。データ収集のため、10%エチレングリコール(ethylenglycol)を含有する沈殿剤溶液において結晶を100Kで瞬間(flash)凍結した。Swiss Light Source(スイス、ビリゲン(Villigen))のビームラインX10SAでPILATUS 6M検出器を使用して、1.0000Åの波長で回折データを収集した。データは、XDS(Kabsch、W.Acta Cryst.D66、133〜144(2010))により処理し、SADABS(BRUKER)により調整した。複合体の結晶は、a=135.63Å、b=56.42Å、c=64.52Åおよびβ=108.36°のセル軸による空間群C2に属し、1.40Åの分解能に対し回折する。検索モデルとしてインハウスFab構造の座標を使用して、PHASER(McCoy、A.J、Grosse−Kunstleve、R.W.、Adams、P.D.、Storoni、L.C.およびRead、R.J. J.Appl.Cryst.40、658〜674(2007))による分子置換えによって構造を決定した。差電子密度を使用して、Pb−DOTAMを配置し、実空間精密化により配列差に従ってアミノ酸を変化させた。CCP4一式(Collaborative Computational Project、Number 4 Acta Cryst.D50、760〜763(1994).)およびBUSTER(Bricogne、G.、Blanc、E.、Brandl、M.、Flensburg、C.、Keller、P.、Paciorek、W.、Roversi、P.、Sharff、A.、Smart、O.S.、Vonrhein、C.、Womack、T.O.(2011).Buster version 2.9.5、英国、ケンブリッジ:Global Phasing Ltd.)由来のプログラムにより構造を精密化した。COOT(Emsley、P.、Lohkamp、B.、Scott、W.G.およびCowtan、K. Acta Cryst D66、486〜501(2010))により手動復元を行った。
【0542】
データ収集および精密化統計は、表9に要約されている。
【0543】
全てのグラフィック提示は、PYMOL(The Pymol Molecular Graphics System、バージョン1.7.4.、Schrodinger、LLC.)により調製した。
[この文献は図面を表示できません]
【0544】
Pb−Dotamと複合体形成したFab P1AA1227の構造
Fab P1AA1227とPb−Dotamとの相互作用の詳細を特徴づけるため、本出願人らは、1.40Åの分解能で複合体の結晶構造を決定した。構造は、軽鎖のCDR1およびCDR3の主な寄与ならびに重鎖のCDR2およびCDR3によりPb−DOTAMに結合するFab P1AA1227を明らかにする。
【0545】
プログラムPISAによる結合接触面の解析は、3個の水素結合、極性相互作用およびファンデルワールス接触を介したPb−DOTAMとFab P1AA1227との相互作用パターンを明らかにする。Pb−DOTAMは、重鎖および軽鎖によって形成されたポケット内で結合する。このポケットは、1側面が開いた箱の形状を有する。ポケットの側壁および底面は、無極性相互作用に寄与し、一方、壁の周縁部では、極性相互作用が優勢である。側鎖水素結合は、DOTAMカルバモイル窒素原子N7およびN8と重鎖Glu95およびAsp97のCDR3残基の間で形成される。DOTAMの原子N7とArg96の主鎖カルボニル原子により、追加的な水素結合が確立される。複合体は、アザシクロドデカン環に面する配向された縁である、重鎖CDR2 Phe50およびTyr58側鎖の無極性相互作用によりさらに安定化される。軽鎖は、大部分が、ポケットの「底面」に寄与し、CDR3残基Gly91〜Tyr96は、テトラシクロドデカン環への無極性接触をもたらす。Asp32は、DOTAMのカルバモイル窒素原子N6への水素結合を受け入れる(カバットに従った番号付け)。
【0546】
図2は、Pb−DOTAMと複合体形成したP1AA1227の構造を示す。
【0547】
図3は、相互作用部位における表示を示す。
【0548】
下表は、プログラムPISAによる解析に基づく、重鎖パラトープ残基を示す。
[この文献は図面を表示できません]
【0549】
下表は、プログラムPISAによる解析に基づく、軽鎖パラトープ残基を示す。
[この文献は図面を表示できません]
【0550】
パラトープ残基はまた、下に示す配列において下線を引く:
[この文献は図面を表示できません]
【0551】
実施例15:in vivo体内分布および有効性:材料および方法
[この文献は図面を表示できません]
【0552】
プロトコールの材料および方法
一般
全ての実験プロトコールは、地方当局(Comite Regional d’Ethique de l’Experimentation Animale du Limousin (CREEAL)、Laboratoire Departemental d’Analyses et de Recherches de la Haute−Vienne)によって審査および承認された。雌重症複合免疫不全(SCID)マウス(Charles River)は、倫理指針に沿って、明暗の日周サイクル(12時間/12時間)により、特定の病原体がない条件下で維持した。到着後最初の1週間において操作は行わず、動物を新たな環境に順化させた。全てのマウスを、体調および全般的な健全性の評価に関して毎日モニターした。
【0553】
腫瘍体積をノギス計測により推定し、式:体積=0.5×長さ×幅
2に従って計算した。プロトコールによって指示される通り、血液を終結時に後眼窩出血を使用して静脈洞から収集し、続いて放射能測定および/または組織学的解析のための追加的な組織採集を行った。予想外なまたは異常な状態を記録した。
【0554】
GraphPad Prism 6(GraphPad Software、Inc.)およびJMP 8(SAS Institute Inc.)を使用して統計解析を行った。
【0555】
試薬
二重特異性抗体は、Roche Diagnostics GmbH、Pharma Research Penzberg(ドイツ、ペンツベルク)によって提供され、注射日まで−80℃で貯蔵された。次に、二重特異性抗体を解凍し、標準ビヒクルバッファー(20mMヒスチジン/ヒスチジンHCl、140mM NaCl;pH6.0)に希釈した。
[この文献は図面を表示できません]
【0556】
除去試薬は、Macrocyclics(米国テキサス州プレイノ)によって提供された。除去試薬は、注射日まで−80℃で貯蔵し、注射日に解凍し、所望の濃度となるようにPBSに希釈した。
[この文献は図面を表示できません]
【0557】
放射標識のためのDOTAMキレートは、Macrocyclicsによって提供され、放射標識前に−20℃で維持された。鉛−203(
203Pb)または鉛−212(
212Pb)のいずれかによるその後の標識は、AREVA Med(フランス、ラゼ(Razes))によって行われた。マウスに、所望のPb線量/放射能濃度を得るようPBSで希釈された、それぞれのPb−DOTAM溶液の100μLを静脈内(i.v.)注射した。
203Pb−DOTAMは、二重特異性抗体と予め結合して使用し、一方、
212Pb−DOTAMは、PRITおよび除去剤の後に投与した。放射能測定は、2470 WIZARD
2自動ガンマ計数器(PerkinElmer)を使用して行った。
[この文献は図面を表示できません]
【0558】
BxPC3は、CEAを天然に発現するヒト初代膵臓腺癌細胞株である。BxPC3細胞は、10%ウシ胎仔血清および1%GlutaMAX(Gibco、参照番号35050−061)を強化したRPMI−1640培地(Gibco、参照番号42401−018)において培養した。LS174Tは、CEAを天然に発現するヒト結腸直腸腺癌細胞株である。LS174T細胞は、10%ウシ胎仔血清を強化したDMEM培地(Gibco、参照番号42430−082)において培養した。MKN45は、CEAを天然に発現するヒト胃腺癌細胞株である。MKN45細胞は、20%ウシ胎仔血清を強化したRPMI−1640培地(Gibco、参照番号42401−018)において培養した。固形異種移植片は、Corning(登録商標)Matrigel(登録商標)基底膜マトリックス(増殖因子低下;カタログ番号354230)と1:1混合したRPMIまたはDMEM培地における細胞の、右側腹部への皮下注射により確立した。
[この文献は図面を表示できません]
【0559】
実施例16:様々なCEA標的化二重特異性抗体によるプレターゲティング(プロトコール80(a、b、c))
本試験は、レジメンを最適化し、臨床治験への移行に最も適した候補を選択するために、様々なCEA標的化二重特異性抗体によるプレターゲティング後のマウスにおける膵臓腺癌異種移植片におけるPb蓄積を評価することを目標とした。実験を3種の別々のプロトコールに分け、i)80b、ii)80cおよびiii)80aの順序で行った。プロトコール80bは、
203Pb−DOTAMと予め結合させた、5種の完全にヒト化された二重特異性抗体コンストラクトの腫瘍取込みを評価した。プロトコール80cは、注射後の3つの異なる時点における、
203Pb−DOTAMと予め結合させた二重特異性抗体コンストラクトの腫瘍取込みを評価して、プレターゲティングレジメンにおけるPRIT注射およびCA/キレート注射の間のタイミングを最適化した。最後に、プロトコール80aは、T84.66またはCH1A1Aのいずれかを標的とする5種の完全にヒト化された二重特異性抗体コンストラクトを使用して、標準プレターゲティング設定における
212Pb−DOTAMの腫瘍取込みを評価した。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0560】
各マウス(6〜7週齢)に、100μL RPMI/MatrigelにおけるBxPC3細胞(継代30)を、右側腹部へと皮下(s.c.)注射した。腫瘍細胞注射5日後に、160〜170mm
3の平均腫瘍体積により、マウスを実験群へと選別した。100μLあたり30μgの最終濃度となるように抗体を希釈し、その後、単独で(80a)、または
203Pb−DOTAMと予め結合して(80b、80c)のいずれかでi.v.投与した。PRIT−0165およびPRIT−0156は、それぞれT84.66およびCH1A1Aを標的とするポジティブCEA結合コントロールとして使用した。PRIT−0175は、非CEA結合コントロールとして使用した。
【0561】
プロトコール80aにおいて、二重特異性抗体の3日後に、除去剤を100μLあたり30μgの濃度で静脈内注射し、続いて2時間後に、
212Pb−DOTAMを注射した。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0562】
24時間(80a);96時間(80b);または24、72もしくは168時間(80c)後に、体内分布を調べる目的のためにマウスを屠殺した。プロトコール80aにおいて全マウスから、次のものを採集した:血液、膀胱、脾臓、腎臓、肝臓、肺、心臓、筋肉および腫瘍。プロトコール80bおよび80cにおける全マウスから、次のものを採集した:血液、膀胱、小腸、結腸、脾臓、膵臓、腎臓、肝臓、肺、心臓、大腿骨(femoral bone)、筋肉および腫瘍。収集された試料を秤量し、即時放射能測定のためにプラスチックチューブに入れた。次に、放射能崩壊およびバックグラウンドのための補正を含む、組織1グラムあたりのパーセント注射用量(%ID/g)を計算した。
【0563】
結果、80a
全てのCEA結合二重特異性抗体が、
212Pb−DOTAMの特異的腫瘍標的化をもたらし、DOTAM注射24時間後に正常組織における取り込みは殆どなかったまたは全くなかった。PRIT−0206、PRIT−0207およびPRIT−0208に関して、平均腫瘍取込み±SDは、それぞれ8.62±1.05、7.30±3.84および7.75±2.61%ID/gであり、それらの対応するT84.66結合ポジティブコントロールPRIT−0165は、9.13±1.82%ID/gであった。CH1A1A結合剤PRIT−0186およびPRIT−0187は、17.44±1.39および16.50±3.25%ID/gの腫瘍値をもたらし、それらのポジティブコントロールPRIT−0156は、18.98±1.89%ID/gであった。非CEA結合PRIT−0175は、腫瘍において0.41±0.42%ID/gをもたらした。
【0564】
全体的に見て、CH1A1Aを標的とする二重特異性抗体は、T84.66を標的とする抗体よりも有意に高い腫瘍取込みをもたらした(独立t検定、p<0.0001);CH1A1AおよびT84.66は両者共に、ネガティブコントロールと比較して、有意により高い取り込みをもたらした(一方向ANOVA、p<0.0001)。結果を
図4に示す。
【0565】
結果、80b
腫瘍の特異的標的化は、全ての予め結合させたCEA結合二重特異性抗体により達成されたが、%ID/gは、ポジティブコントロールPRIT−0165と比較して、完全にヒト化型に関して僅かにより低かった。非CEA結合コントロールは、比較的無視できる腫瘍蓄積をもたらした。
【0566】
全体的に見て、この予め結合させる実験設定において計算された%ID/gは、対応するPRITレジメンのものよりもおよそ10倍高いレベルに達した;しかし、アウトプットデータは、ガンマ計数器放射能測定値を反映し、計算誤差は見出されなかった。重要なことに、腫瘍対正常組織比は、予想される範囲内のままであった。具体的には、腫瘍対血液比(±SD、n=3)は、PRIT−0205で6.76±2.95、PRIT−0206で7.56±2.27、PRIT−0207で9.33±0.91、PRIT−0208で10.77±0.84、PRIT−0209で11.71±0.84、PRIT−0165で10.78±0.88、PRIT−0175で0.85±0.12であった。結果を
図5に示す。
【0567】
結果、80c
両方のCEA結合抗体が、ネガティブコントロールと比較して、有意な腫瘍蓄積をもたらした。統計解析は、試験された時点のいずれに関しても、PRIT−0206またはPRIT−0165を使用した腫瘍標的化の間に有意差を示さず、試験された抗体のいずれに関しても、どちらにも、3および7日目の間で%ID/gにいかなる有意差もなかった(二方向ANOVA、p<0.05)。プロトコール80bと類似して、計算された%ID/g値は全体的に高かった;しかし、腫瘍対血液比は、予想される範囲内のままであった。1および3日目の間に、腫瘍対血液比に有意差は見られなかったが、PRIT−0165およびPRIT−0206に関して、7日間の待機は、比を有意に増加させる(二方向ANOVA、p<0.05)。結果を
図6に示す。
[この文献は図面を表示できません]
【0568】
概要および結論
T84.66またはCH1A1Aのいずれかを標的とする全ての完全にヒト化された二重特異性抗体が、これらそれぞれのポジティブコントロールのものに匹敵する、BxPC3腫瘍における放射能の有意な蓄積をもたらした。
【0569】
腫瘍における
203Pb−DOTAM−bsAbの%ID/gは、3および7日間の間で有意に異ならなかったが、対応する腫瘍対血液比は、血中放射能の減少のため、より後の時点を支持した。
【0570】
実施例17:除去剤の体内分布(プロトコール44)
本試験の目標は、異なる特性(例えば、分子骨格、サイズおよび電荷)を有する選択された除去剤の体内分布、より具体的には、腫瘍におけるそれらの存在および/または蓄積に取り組むことであった。除去剤が潜在的に、腫瘍内に進入する、腫瘍結合抗体に結合する、および/またはこれらを腫瘍から抜き出し、放射性リガンドのその後の結合にマイナスに影響を与える可能性があるため、このことを知ることは興味深かった。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0571】
30μgのDex70、Dex250およびトリGalNac修飾除去剤を、5μCi
212Pbでクエンチし、PBSにおいて希釈して、i.v.注射のために100μL総体積あたり30μgを得た。
【0572】
212Pb−CAの注射2または24時間後に、マウスを屠殺し、剖検した。血液、膀胱、心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓、腸(十二指腸、空腸、回腸)、結腸、膵臓、胃、卵巣、脳、骨髄を有する大腿骨、および腫瘍を収集し、秤量し、放射能含有量に関して測定し、%IDおよび%ID/gをその後計算した。加えて、24時間の時点で尿をサンプリングした。
【0573】
結果、44
全ての除去剤は、血流から急速に除去され、既に注射後2時間目には肝臓および結腸に主に蓄積する。臓器別の(%ID)放射能分布によって実証される通り、注射された
212Pbの約50%は、注射24時間後に肝臓に見出された。トリGalNAc分子の存在によって説明される通り、トリGalNAc修飾除去剤も、ある程度まで脾臓に蓄積した。一般に、24時間後に尿に放射能は殆ど見出されなかった。しかし、最も小型の除去剤(Dex70)は、予想よりもゆっくりと排泄された。
【0574】
図7は、MKN45腫瘍を有するマウスにおける、
212Pb標識された除去剤の注射2時間後の、選択された組織における放射能分布を示す(%ID/g±SD、n=3)。
【0575】
図8は、MKN45腫瘍を有するマウスにおける、
212Pb標識された除去剤の注射24時間後の、選択された組織および尿における放射能分布を示す(%ID/g±SD、n=3)。
【0576】
図9は、MKN45腫瘍を有するマウスにおける、
212Pb標識された除去剤の注射24時間後の、選択された組織および尿における臓器別の放射能分布を示す(%ID±SD、n=3)。
【0577】
概要および結論
放射標識されたCAのいずれも、マウス1匹あたり30μgの用量で投与された場合、
212Pbの腫瘍取込みをもたらさなかった。トリGalNacによるDex500の修飾は、修飾されていないDex70およびDex250除去剤と比較して有益ではなかった。
【0578】
実施例18:除去剤の長期体内分布(プロトコール70)
本試験は、6種の異なる除去剤の長期体内分布を比較した。
203Pbによる放射標識により、in vivo追跡を行った。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0579】
結果、70
図10は、腫瘍がないマウスにおける、
203Pb標識された除去剤の注射1週間後の、選択された組織における放射能分布を示す(%ID/g±SD、n=3)。
【0580】
図11は、腫瘍がないマウスにおける、
203Pb標識された除去剤の注射1週間後の、選択された組織における臓器別の放射能分布を示す(%ID±SD、n=3)。
【0581】
実施例19:血液における除去剤(プロトコール83および87)
このパートは、2つの試験を網羅し、そのうち第1の試験は、血液中の滞留時間の観点から、9種の異なるデキストランベースの除去剤をPBSと比較する初期スクリーニングを含む。目標は、3週間隔てた反復処置を可能にする、将来のプレターゲティング実験の有望な候補を同定することであった。延長した時間にわたり循環中に残る除去剤が、投与された二重特異性抗体に結合し、その後に注射される放射標識されたDOTAMの結合を有効にブロックするという仮説を立てた。除去試薬は、サイズ、電荷、および1,4,7,10−テトラキス(カルバモイルメチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(TCMC)ロードの観点から変動した。
【0582】
第2の試験は、抗体除去効率の観点から9種の除去剤を評価した。この実験は、CA投与後の保持されるbsAbの指標として血液における
212Pb−DOTAM保持を評価する、腫瘍がないマウスにおける標準単一注射PRITレジメンとして設計された。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0583】
第1のPRIT注射時に、マウスは7〜9週齢であった。試験における全マウスは腫瘍がなかった;したがって、いかなるDOTAM結合二重特異性抗体をスクリーニング目的で使用することもできる。100μLあたり30(プロトコール83)または60(プロトコール87)μgの最終濃度となるようPBSに希釈したPRIT−0155の1日後に、除去剤を静脈内投与した。群Oは、除去剤の代わりにPBSを受けた。群A〜Dにおける化合物は、変動するTCMC置換を有する、20、70、250または500kDaのデキストランサイズに基づいた。群J〜Nにおける化合物は、変動する電荷(Glu)を有するキャッピングされた(すなわち、過剰アミンの中和による)デキストラン−500(CDex)、またはモノバージョンのGlu(M(Glu))を有するデキストラン−500およびデキストラン−20に基づいた。−(Glu)4、−(Glu)3および−(Glu)2を有するキャッピングされたデキストランは、それぞれ強く負、負および中性の正味電荷に対応した;モノバージョン−M(Glu)2は、負から僅かに正の正味電荷に対応した。
【0584】
結果、83
PBSコントロール群のもの(41.1±1.4%ID/g)と有意に異なった血液における放射能含有量(%ID/g)の群平均は、投与3週間後の循環における除去剤の保持を示した。3種の化合物は、コントロールと有意に異ならなかった:キャッピングされたDex500−(Glu)4、Dex500−モノ−(Glu)2およびDex20−モノ−(Glu)3;その他は、変動する程度で異なった。
【0585】
図12は、
212Pb−DOTAMの注射4時間後の、血液における放射能含有量を示す(%ID/g±SD、n=3)。縞模様のバーは、全候補試薬を比較した、CAなしコントロールを表す。アステリスクは、低(*)から高(***)へと、統計的有意性のレベルをマークする。
【0586】
結果、87
被験除去剤は、次の1つの例外を除いて、全般に良い成績を収めた:Dex500−M(Glu)2は際立っており、24時間後に8.07±0.61%ID/gが血液に残っていた。
【0587】
図13は、
212Pb−DOTAMの注射24時間後の、血液における平均放射能含有量を示す(%ID/g±SD、n=3)。縞模様のバーは、全候補試薬を比較した、CAなしコントロールを表す。
【0588】
概要および結論
スクリーニングした試薬は、自己クリアランスの観点から全体的に良い成績を収め、循環からの抗体クリアランスを達成した。CA注射間3週間による反復処置は、二重特異性抗体への
212Pb−DOTAM結合にリスクを生じることなく実現可能と判明した。加えて、二重特異性抗体は、被験化合物の大部分を使用したCA注射後2時間以内に除去された。
【0589】
実施例20:除去剤の腫瘍浸透(プロトコール85)
浸透するDOTAM結合CA断片は、抗体でプレターゲティングされた腫瘍細胞への結合において
212Pb−DOTAMと競合し得るため、除去剤の腫瘍浸透は、PRITレジメンにおける潜在的な問題である。本試験において、腫瘍への
212Pb−DOTAM会合の阻害の観点から、6種の異なる除去剤を比較した。i)デキストランサイズおよびii)分子の電荷から、腫瘍会合性放射能における影響を評価するために、ベースラインCAスクリーニング(プロトコール83)の結果に基づき候補を選んだ。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0590】
各マウス(7週齢)に、100μL RPMI/MatrigelにおけるBxPC3細胞(継代33)を右側腹部へとs.c.注射した。腫瘍細胞注射5日後に、200mm
3の平均腫瘍体積により、マウスを実験群へと選別した。
【0591】
除去剤は、変動するTCMC置換を有する、20、70または500kDaのデキストランサイズに基づいた。CDex500−(Glu)4は、負の正味電荷を有するキャッピングされた(すなわち、過剰アミンの中和による)デキストラン−500(CDex)に基づいた;Dex500−M(Glu)2は、モノバージョンのGlu(M(Glu))および中性から僅かに正の正味電荷を有した。PRIT−0165の3日後に100μLあたり30μgで、全て静脈内投与した。群Gは、除去剤の代わりにPBSを受けた。
【0592】
212Pb−DOTAMの注射24時間後に、マウスを屠殺した。血液および腫瘍を収集し、これらそれぞれの%ID/gを、試料重量および放射能含有量から計算した。
【0593】
結果、85
候補のうち3種:Dex20(0.26±0.03%ID/g)、Dex70(4.06±2.06%ID/g)およびCDex500−(Glu)4(2.98±0.73%ID/g)が、腫瘍取込みを殆ど呈さずまたは全く呈さず、腫瘍への大規模CA浸透を示す。対照的に、Dex500−M(Glu)2は、bsAbクリアランス失敗として解釈される、PBSコントロールのもの(それぞれ腫瘍および血液における59.02±15.53および27.92±2.38%ID/g)と同様のレベルで、腫瘍(69.39±9.70%ID/g)および血液(20.68±1.22%ID/g)の両方において高い放射能をもたらした。Dex500は、腫瘍における放射能の相当の蓄積を呈し(20.78±3.76%ID/g)、僅かな腫瘍浸透を示し、一方、血液クリアランスは、基本的に完全であった(0.17±0.01%ID/g)。にもかかわらず、CAなしコントロールにおいて達成された腫瘍取込みは、ある程度の低分子量(MW)DOTAM−デキストラン断片が、Dex500バッチにも存在したことを示した。
【0594】
図14は、
212Pb−DOTAMの注射24時間後の、血液および腫瘍における放射能含有量を示す(%ID/g±SD、n=3)。
【0595】
概要および結論
本実験は、低MW CA種の存在が、
212Pb−DOTAMの腫瘍蓄積に実質的に干渉し得るという概念を確認した。本実験は、指定されたサイズに関係なく、CAのいずれかのバッチに存在する分子の幅広いMW範囲も実証した。そのため、指定されたCAサイズが大きいほど、腫瘍に浸透し得る低MW断片を導入するリスクは低くなる。しかし、Dex500であっても、CAなしコントロールと比較した腫瘍取込みの差によって示される通り、あるレベルの浸透が明らかになった。結果的に、この溶液は、将来、より高いMWカットオフを使用してダイアフィルトレーションして、このような干渉断片を可能な限り多く除去するべきである。Dex500のために30から100kDaへとMWカットオフを増加させる判断を下した。
【0596】
実施例21:Dex500のための除去剤製造プロセス
アミノデキストラン(20.0g)を、H
2O(400mL)における0.1M Na
2CO
3およびH
2O(400mL)における0.1M NaHCO
3の混合物に溶解した。清澄な無色溶液が得られたら、p−SCN−Bn−DOTAM・4HCl(S−2−(4−イソチオシアナトベンジル)−1,4,7,10−テトラアザ−1,4,7,10−テトラ(2−カルバモイルメチル)シクロドデカン四塩酸塩、2.03g)を撹拌下添加した。その結果生じる僅かに濁りがある溶液を室温で4時間撹拌し、その後、2M HClを添加することにより反応混合物をpH6〜7に中和した。その結果生じる溶液を、100kDaカットオフによるタンジェント流濾過(Sartorius Hydrosart、Slice 200 100kDa 0.02m
2、安定化されたセルロースベースの膜、限外濾過カセット)により精製して、低分子量不純物を除去した。その結果生じる溶液を減圧下で凍結乾燥して、17.9gの所望の中間体を得た。
【0597】
フリーズドライから得た16.1gの固体を、H
2O(60mL)における0.1M AcOHおよび0.1M NaOAc・3H
2O(540mL)の混合物に溶解した。清澄な無色溶液に、Pb(OAc)
2・3H
2O(744mg)を固体として添加した。清澄な無色溶液を60分間撹拌し、その後、キシレノールオレンジの溶液(H
2Oにおける1%、250uL)を添加した。紫色は、溶液における遊離Pb(II)の存在を示した。黄色への色変化が観察されるまで、EDTAの溶液(H
2Oにおける0.01M)を添加した(65.2mL)。その結果生じる溶液を、100kDaカットオフによるタンジェント流濾過(Sartorius Hydrosart、Slice 200 100kDa 0.02m
2、安定化されたセルロースベースの膜、限外濾過カセット)により精製して、低分子量不純物を除去した。その結果生じる溶液を減圧下で凍結乾燥して、14.0gの所望の除去剤を得た。
【0598】
その結果生じる除去剤は、下に模式的に示す形態の複数のPb−DOTAM部分で置換される:
[この文献は図面を表示できません]
【0599】
実施例22:腫瘍蓄積における除去剤用量(プロトコール90)
本試験は、より多い量の除去剤が、腫瘍へのより高い程度の除去剤浸透をもたらし、これにより、腫瘍結合した二重特異性抗体のDOTAM結合アームをブロックすることにより標識されたキレートのその後の取り込みを減少させ得ることを仮定する、皮下腫瘍モデルにおける腫瘍蓄積における除去剤用量の影響を調査することを目標とした。しかし、低すぎる用量は、循環におけるより高いレベルのDOTAM結合二重特異性抗体のため、効率が低い腫瘍会合性放射能蓄積をもたらすであろう。
【0600】
加えて、DOTAM結合デキストラン断片の腫瘍浸透を減少させる試みにおいて、30または100kDaのいずれかでのカットオフで低MW成分を除去するためにダイアフィルトレーションされた除去剤バッチの間で比較を行った。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0601】
固形異種移植片は、Corning(登録商標)Matrigel(登録商標)基底膜マトリックス(増殖因子低下;カタログ番号354230)と1:1混合したRPMI培地におけるBxPC3細胞(継代30)の皮下注射により確立した。各マウス(11週齢)に、100μL RPMI/Matrigelにおける5×10
6個の細胞を右側腹部へとs.c.注射した。腫瘍細胞注射5日後に、150mm
3の平均腫瘍体積により、マウスを実験群へと選別した。
【0602】
100μLあたり30または100μgのいずれかの濃度でPRIT−0165をi.v.注射し、続いて4日後に、100μLあたり10、25、30、50または100μgの濃度の除去剤(群A〜F)を注射した。CAの2時間後に
212Pb−DOTAMを注射した。群GおよびHは、二重特異性抗体および放射標識キレートの投与の間に除去剤を受けなかった。
【0603】
212Pb−DOTAMの注射24時間後に、体内分布を調べる目的のためにマウスを屠殺し、血液、膀胱、脾臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、尾および腫瘍を収集した。試料を秤量し、放射能に関して測定し、崩壊およびバックグラウンドに対する補正を含む、臓器毎の%ID/gをその後計算した。
【0604】
結果、90
正常組織における
212Pb蓄積は、除去剤が投与された全群で低かった;対照的に、除去剤を受けなかった群は、全体的に有意なレベルの放射能を呈した。
【0605】
体内分布データは、除去剤(100−kDaカットオフ)量の変動の効果を実証する。個々の腫瘍データの線形回帰は、有意な勾配を生じ、減少する量のDex500によるより高い腫瘍取込みを示す(p=0.03、R
2=0.31)。血液における放射能含有量における効果は劇的であり、PBSを使用した31.5±0.2%ID/gから、10μgのDex500を使用した1.6±0.5%ID/gに至った。
【0606】
2群は、等しい(1:1)比のPRIT−0165およびDex500を受けた;100または30μgのいずれかの各薬剤。腫瘍におけるその結果生じる%ID/gは、2群の間で有意に異ならなかった(独立t検定、p=0.726)。重要なことに、異なる濾過カットオフによる等しい量のDex500の間の比較は、32.5±4.4%ID/gの代わりに54.9±6.9(独立t検定、p=0.009)の、より高いMWカットオフを使用したところ、腫瘍蓄積の有意な増加を示した。
【0607】
図15は、30もしくは100μgの二重特異性抗体、および100もしくは30kDa濾過カットオフによる10〜100μgの除去剤、または除去剤完全不含(PBS)を使用した、放射標識されたDOTAMの注射24時間後の、
212Pbの分布を示す(%ID/g±SD、n=3)。
【0608】
図16は、漸増量の除去剤(0〜100μg)による、血液および腫瘍における
212Pbの放射能濃度における効果を示す。100μgのPRIT−0165、続いて4日後に、100−kDaカットオフによりダイアフィルトレーションしたDex500、またはPBSを使用して腫瘍をプレターゲティングした。CAの2時間後に
212Pb−DOTAMを投与した。記号は、放射能注射24時間後の%ID/gを表し、線は、腫瘍データの線形回帰を表す。
【0609】
概要および結論
本試験は、低レベルの循環放射能を維持しながらの、
212Pbの腫瘍蓄積の徹底的な増加を実証した。次の2つの鍵となる知見が結論付けられた:1)100−kDaカットオフによるダイアフィルトレーションは、DOTAM結合デキストラン断片の腫瘍浸透を有意に減少させたこと、および2)CAのbsAbに対する比が、絶対CA量を超えて成績に影響を与えたこと。優れた腫瘍対血液比は、100μgの二重特異性抗体の投与後に、10:1の抗体:CA比を使用して達成された。さらに、Dex500ベースの除去剤を使用した将来の試験は全て、100−kDaカットオフを使用してダイアフィルトレーションされた試薬を使用するべきであると結論付けられた。
【0610】
実施例23:腫瘍会合性放射能における影響(プロトコール95)
本試験において、腫瘍への
212Pb−DOTAM会合の阻害の観点から、デキストラン−500に基づく9種の異なる除去剤を比較した。より具体的には、実験は、i)TCMC飽和、ii)除去剤対抗体比およびiii)産生/精製方法から、腫瘍会合性放射能における影響を評価した。加えて、プレターゲティングまたはCAなしで、10または30μCiの
212Pb−DOTAMの注射後に、腫瘍取込みを比較して、腫瘍の放射能飽和が低い方の用量で既に達成されたか評価した。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0611】
固形異種移植片は、Corning(登録商標)Matrigel(登録商標)基底膜マトリックス(増殖因子低下;カタログ番号354230)と1:1混合したRPMI培地におけるBxPC3細胞(継代20)の皮下注射により確立した。各マウス(8週齢)に、100μL RPMI/Matrigelにおける5×10
6個の細胞を右側腹部へとs.c.注射した。腫瘍細胞注射15日後に、210mm
3の平均腫瘍体積により、マウスを実験群へと選別した。
【0612】
PRIT−0165(100μLあたり100μg)をi.v.投与し、続いて3日後に、変動するTCMC置換(10〜100%)を有するデキストラン−500ベースの除去試薬(100μLあたり10〜170μg)を投与した。群JおよびKは、除去剤の代わりにPBSを受けた。2時間後、マウスに、100μLのそれぞれの
212Pb−DOTAM溶液(10または30μCi)をi.v.注射した。
【0613】
212Pb−DOTAMの注射24時間後に、マウスを屠殺し、剖検した。血液、膀胱、脾臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、尾および腫瘍を収集し、秤量し、放射能含有量に関して測定し、%ID/gをその後計算した。
【0614】
結果、95
体内分布データは、投与された量に依存した、
212Pb−DOTAM注射24時間後の収集された組織における平均放射能含有量(%ID/g±SD)における明らかな傾向を明らかにし、より低いCA量により、血液および正常組織におけるより高い
212Pb濃度が得られた。加えて、より高い
212Pb放射能は、対応する正常組織取り込み増加を伴わずに、腫瘍におけるより高い
212Pb蓄積をもたらした。
【0615】
図17は、
212Pb−DOTAMの注射24時間後の、選択された組織における放射能分布を示す(%ID/g±SD、n=3)。暗灰色および黒色のバーは、候補試薬を比較した、CAなしポジティブコントロールを表す。
【0616】
多重比較のための補正による一方向ANOVAは、Dex500−(40%)(76.79±33.28、p<0.0001)およびDex500−(100%)(43.26±24.66、p=0.0115)のみが、腫瘍対血液比の観点から、10μCiネガティブコントロール(2.26±0.25)とは有意に異なったことを明らかにした。最高の腫瘍対血液比を有する除去試薬(Dex500−(40%))および以前の標準(Dex500−(100%))の間の認知される差は、統計的に有意ではなかった(独立t検定、p=0.2336)。
【0617】
図18は、
212Pb−DOTAMの注射24時間後の、血液および腫瘍における
212Pb含有量(%ID/g±SD、n=3)、ならびに対応する腫瘍対血液比を示す。暗灰色および黒色のバーは、候補試薬を比較した、CAなしポジティブコントロールを表す。
【0618】
線形回帰および多項式(三次)曲線適合を行って、腫瘍対血液比における、漸増除去剤(Dex500−(10%))量およびTCMCロード(CAなし、Dex500−(10%)、Dex500−(20%)、Dex500−(40%)、Dex500−(100%))からの影響を解析した。線形曲線の勾配は、増加した腫瘍対血液比のためにより大量のDex500−(10%)を支持して、統計的に有意であった(p<0.0001)が、一方、注射したある量のTCMCのため、100μgのDex500−(10%)に基づき、60前後のTCMC対Dex500比において最大が示された。これらの結果が、試薬量またはTCMC飽和に関する一般的な結論を出すにあたって、その文脈から切り離されて解釈されるべきではないことを認めることが重要である;これらは、適用された設定でのみ妥当である。
【0619】
図19は、CA量(PJRD08−46)およびTCMC飽和(9対、20対、39対または84対1)の関数として、
212Pb−DOTAMの注射24時間後の腫瘍対血液比を示す。破線は、それぞれのデータの線形回帰(R
2=0.82)および非線形曲線適合(R
2=0.74)を表す。
【0620】
最終試験は、抗体または除去剤の注射なしで、10対30μCiの
212Pb−DOTAMを比較した。血液における含有量は、2種の試験群で同様であったが、30μCiは、10μCiよりも高い腫瘍蓄積をもたらした:107.74±14.71対72.38±10.83%ID/g(±SD、n=3)。その結果生じる腫瘍対血液比は、有意に異なった:それぞれ30および10μCiに関して、3.20±0.20対2.26±0.25(独立t検定、p=0.007)。
【0621】
概要および結論
結論として、1分子あたり39個のTCMCを有する20μgのDex500(Dex500−(40%))は、
212Pb−DOTAMの投与24時間後に、低い血液中保持と組み合わせて、プレターゲティングされた腫瘍における
212Pbの非常に高い蓄積を生成した。これは、1分子あたり84個のTCMCを有する、10μgの以前の標準CA、Dex500−(100%)によるサイド・バイ・サイドで、最も成績が良い除去剤であった。相当な群内可変性および小さい標本サイズにより、腫瘍対血液比における差は、2種の試薬の間で統計的に異ならなかったが、平均値は、Dex500−(100%)が好ましい可能性があることを示した。加えて、30μCiの
212Pb−DOTAMが、10μCiよりも高い腫瘍蓄積を生じ得る、すなわち、低い方の用量で飽和に達しなかったことが結論付けられた。
【0622】
実施例24:腫瘍蓄積における二重特異性抗体用量の影響(プロトコール91)
本試験は、皮下腫瘍モデルにおける腫瘍蓄積における二重特異性抗体用量の影響を調査することを目標とした。より多い量の二重特異性抗体が、腫瘍細胞における利用できる結合部位をより容易に飽和させ、これにより、標識されたキレートのその後の取り込みを増加させることができるという仮説を立てた。他方では、用量の過度の増加は、より高いレベルの循環二重特異性抗体により、腫瘍会合性放射能の効率が低い蓄積をもたらすことができる。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0623】
固形異種移植片は、Corning(登録商標)Matrigel(登録商標)基底膜マトリックス(増殖因子低下;カタログ番号354230)と1:1混合したRPMI培地におけるBxPC3細胞(継代34)の皮下注射により確立した。各マウス(7〜12週齢)に、100μL RPMI/Matrigelにおける5×10
6個の細胞を右側腹部へとs.c.注射した。腫瘍細胞注射5日後に、220mm
3の平均腫瘍体積により、マウスを実験群へと選別した。
【0624】
マウスに、100μLあたり30〜200μgの濃度のCEA結合二重特異性抗体PRIT−0165もしくはPRIT−0156、または100μgの非CEA結合コントロール抗体PRIT−0175をi.v.投与した。4日後に、全群に、100μLあたり3、10または20μgの濃度(注射された抗体用量の1/10)の除去剤、続いて2時間後に、10μCiの
212Pb−DOTAMをi.v.注射した。24時間後にマウスを屠殺し、剖検を行った。血液、膀胱、脾臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、尾および腫瘍を収集した。試料を秤量し、放射能に関して測定し、%ID/gを臓器毎に計算した。
【0625】
結果、91
100μgのいずれかのCEA結合二重特異性抗体を使用したプレターゲティングは、100μgの非CEA結合コントロールと比較して、腫瘍における
212Pbの有意な蓄積をもたらした(独立t検定、それぞれPRIT−0156およびPRIT−0165との比較について、p=0.027および0.008)。いずれかのCEA結合コンストラクトのために30から200μgへと抗体用量を増加させた場合、腫瘍取込みに有意差は観察されなかった。しかし、全体的な放射能レベルは、30μgを上回る抗体用量に関して、大部分の正常組織において僅かに上昇した。重要なことに、PRIT−0156の100および200μgの間を除いて、血液における%ID/gは、用量増分毎に有意に増加した(独立t検定、p<0.05)。
【0626】
図20は、放射標識されたDOTAMの注射24時間後の、
212Pbの分布を示す(%ID/g±SD、n=3)。白色および灰色の背景を有するバーは、それぞれT84.66およびCH1A1Aのターゲティングを表す;黒色のバーは、非CEA結合コントロールを表す。
【0627】
概要および結論
全3種の抗体用量レベル(30、100および200μg)が、両方の被験二重特異性コンストラクトに関して、腫瘍における放射能の高い、特異的な取り込みをもたらした。増加した用量による腫瘍蓄積における差の欠如は、結合部位が、低い方の投薬量で既に飽和されたこと、またはPRIT投与および除去剤注射の間の時間(4日間)が、さらなる腫瘍蓄積を可能にするには短すぎたことを示した。予想通り、血液における放射能レベルが、漸増用量に伴い増加し、処置の治療ウィンドウが僅かに狭くなる。
【0628】
実施例25:CEA−PRITの有効性(プロトコール93(a、b))
本試験において、2種の臨床bsAb候補(PRIT−0213およびPRIT−0214)を使用したCEA−PRITの有効性を、2種の平行皮下腫瘍モデル:BxPC3およびLS174Tにおいて評価した。単一および二重サイクル処置レジメンにおいて、二重特異性抗体をサイド・バイ・サイドで比較した。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0629】
群A〜Gは、有効性の評価のために追跡された処置されたマウスを表し、一方、群H〜Lは、その最後の
212Pb−DOTAM注射の24時間後に体内分布を調べる目的のため屠殺されたマウスを含む。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0630】
固形異種移植片は、Corning(登録商標)Matrigel(登録商標)基底膜マトリックス(増殖因子低下;カタログ番号354230)と1:1混合したRPMI(BxPC3)またはDMEM(LS174T)培地における細胞の皮下注射により確立した。
【0631】
プロトコール93aのため、マウス(7週齢)に、100μL RPMI/Matrigelにおける5×10
6個のBxPC3細胞(継代33)を右側腹部へとs.c.注射した。腫瘍細胞注射12日後に、235mm
3の平均腫瘍体積により、マウスを実験群へと選別した。
【0632】
プロトコール93bのため、マウス(9週齢)に、100μL DMEM/Matrigelにおける1×10
6個のLS174T細胞(継代26)を右側腹部へとs.c.注射した。腫瘍細胞注射3日後に、150mm
3の平均腫瘍体積により、マウスを実験群へと選別した。
【0633】
各処置サイクルは、ヒト化bsAb(PRIT−0213、PRIT−0214またはPRIT−0175)の注射により開始した。4日後に、除去剤(Dex500)、続いて2時間後に、
212Pb−DOTAMを投与した。処置サイクル1後に放射能尿/糞便の再経口摂取を最小化するために、
212Pb−DOTAM投与4時間後に、次いで再度、24時間p.i.にケージを交換した。サイクル2のため、
212Pb−DOTAM投与後、標準寝床を備える新たなケージに移す前に、焼却処理した床(grilled floor)を備えるケージにマウスを4時間配置した。次に、サイクル1後として、24時間p.i.に全ケージを交換した。
【0634】
1週間に3回の反復ノギス計測により、マウスにおける腫瘍発達を追跡した。必要であれば、スケジュールにある測定間の間隙で、追加的なノギス計測を行った。動物の体重を同じ様式で反復して測定した。その腫瘍体積が3000mm
3に達したマウスは直ちに安楽死させた。倫理的な理由から安楽死に考慮される他の要因は、動物の体重減少、腫瘍状態(例えば、潰瘍)および全身的外観であった。放射線誘発毒性による急性体重減少(集団的または個体的)があったために要求される場合、全個体が十分に回復するまで、放射能注射の5日後から、全動物にウェットタイプの食物を与えた。
【0635】
安楽死の時点で群A〜Gから次の臓器および組織を採集した:膀胱、卵巣、肝臓、脾臓、腎臓、大腿骨(骨髄を含む)、結腸、空腸、胃および腫瘍。予想外なまたは異常な状態を記述および写真撮影した。組織は、10%中性緩衝ホルマリン(4℃)に直ちに入れ、次いで5日後にPBS(4℃)に移した。次に、ホルマリン固定した試料は、さらなる処理および解析のため、Roche Pharma Research and Early Development、Roche Innovation Center Baselに輸送した。
【0636】
群H、JおよびLにおけるマウスは、
212Pb−DOTAMのそれらの第1のかつ唯一の注射の24時間後に屠殺し剖検した;群IおよびKは、それらの第2の
212Pb−DOTAM注射の24時間後に屠殺し剖検した。次の臓器および組織を採集した:血液、膀胱、小腸、結腸、脾臓、膵臓、腎臓、肝臓、肺、心臓、大腿骨、筋肉、尾および腫瘍。収集された試料を秤量し、放射能に関して測定し、崩壊およびバックグラウンドに対する補正を含む、組織1グラムあたりのパーセント注射用量(%ID/g)をその後計算した。
【0637】
結果、93a
処置サイクル1後の結果は、このモデルにおける以前に達成された組織取り込みと良く対応し、高い腫瘍蓄積(それぞれPRIT−0213およびPRIT−0214で25.0±9.7および19.5±6.4%ID/g)および正常組織における低い蓄積であった。しかし、サイクル2は、異なる
212Pb分布プロファイルをもたらし、全ての収集された組織において放射能含有量が増加した。
【0638】
図21は、BxPC3モデルにおける処置サイクル1および2に関する、
212Pb−DOTAMの注射24時間後の、選択された組織における放射能分布を示す(%ID/g±SEM、n=3)。
【0639】
30μCiの
212Pb−DOTAMを注射した全マウスが、体重の初期降下を経験し、これは、第1の放射能注射後10日目までに軽減された。おそらくは、関連するサイクル2体内分布において観察される、よりゆっくりした放射能クリアランスおよびその結果生じる正常組織における
212Pb蓄積のため、第2の30μCi注射を投与した群は、より顕著な急性体重減を患った。第2のサイクルの10μCiを受けた群では、このような効果は観察されず、その後の体重減は中等度であった。
【0640】
図22は、BxPC3モデルにおけるCEA−PRIT後の群A〜G(n=8)における平均体重を示す。各群における最初の死亡で曲線を打ち切った。垂直な点線は、試験設計に従った、一部または全ての群のための
212Pb−DOTAM投与を示す。
【0641】
図23は、初期体重のパーセンテージとして表現される、BxPC3モデルにおけるCEA−PRIT後の群A〜G(n=8)における平均体重変化を示す。各群における最初の死亡で曲線を打ち切った。垂直な点線は、試験設計に従った、一部または全ての群のための
212Pb−DOTAM投与を示す。
【0642】
全群が、ベースラインと比較して、14〜19日目までにその腫瘍体積を倍加させた。16日目に第1の
212Pb−DOTAM処置を与え、その後、PRIT−0213およびPRIT−0214群における腫瘍は、約1週間成長し続け、その後、体積の縮小を示した。腫瘍は完全には縮小しなかったが、体積は、40〜47日目まで低レベルで相対的に一定のままであり、その時点でもう一度、ベースラインと比較して二倍体積に達した。このポイント(44日目)で、第2の30μCi
212Pb−DOTAM注射を投与し、これにより、以前に記述された通り、翌週内に大部分の罹患マウスで急性体重減およびその後の安楽死がもたらされた。30μCiの代わりに10μCiの
212Pb−DOTAMによる第2の処置サイクルを与えたマウス(55日目)は、少ない放射線誘発毒性を経験した。10μCi注射は、およそ58〜75日目の間持続する腫瘍縮小の第2フェーズをもたらした。非特異的bsAbによるPRITは、
212Pb−DOTAM単独またはPBSと比較して、有意な、ただし限られた腫瘍増殖阻害をもたらした。ダネット法を使用した比較手段は、PRIT−0213およびPRIT−0214を使用した全処置レジメンが、等しい処置対コントロール比をもたらし、全て、23〜26日目およびそれ以降で、いずれかのコントロール群と比較して有意に異なることを明らかにした。
【0643】
全処置群がまだ表されている最後の日である47日目に、腫瘍増殖阻害(TGI)は、PBSと比較して、それぞれ群「PRIT−0213、30+10μCi」、「PRIT−0213、30+30μCi」、「PRIT−0214、30+10μCi」、「PRIT−0214、30+30μCi」、「PRIT−0175、30+30μCi」および「DOTAM単独、30+30μCi」について、87.3、88.8、84.1、88.7、57.5および15.8%であった。ビヒクルコントロール群における最後のマウスは、66日目に相当し、この時点で、TGIは、残っている3群:それぞれ「PRIT−0213、30+10μCi」、「PRIT−0214、30+10μCi」および「PRIT−0214、30+30μCi」について87.8、84.5および87.3%であった。群「PRIT−0213、30+10μCi」から1匹、群「PRIT−0214、30+10μCi」から3匹および群「PRIT−0214、30+30μCi」から2匹の、総計6匹のマウスが、実験の終わり(84日目)まで生存した。
【0644】
図24は、BxPC3モデルにおける群A〜Gに関する腫瘍増殖平均と標準誤差を示す(n=8)。各群における最初の死亡で曲線を打ち切った。垂直な点線は、試験設計に従った、一部または全ての群のための
212Pb−DOTAM投与を示す。
【0645】
図25は、BxPC3モデルにおける群A〜Gに関する個々の腫瘍増殖曲線を示す。垂直な点線は、
212Pb−DOTAMの投与を示す。
【0646】
図26は、BxPC3モデルにおける群A〜Gにおける生存を示すカプラン・マイヤー曲線を示す(n=8)。垂直な点線は、
212Pb−DOTAMの投与を示す。
【0647】
ペア毎の検定を行って、いずれの群が生存の観点から有意に異なったかを指定した:ログランク検定(後期の生存事象に重きを置く)およびウィルコクソン検定(初期の生存時間に重きを置く)、両者共に多重検定するためのボンフェローニ補正を使用。放射線誘発毒性のため、「PRIT−0213、30+30μCi」は、コントロール群に等しいまたはそれよりも悪い成績であった。対応するPRIT−0214処置は、僅かにより良い結果を達成し、PBSおよび非特異的抗体と比較して生存を増加させた。第2のサイクルにおける10μCiの
212Pb−DOTAMによる2群は、互いおよび「PRIT−0214、30+30μCi」を除いて、全群と比較して生存を有意に増加させた。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0648】
結果、93b
両方の処置サイクルが、高い
212Pb腫瘍蓄積および正常組織における低い
212Pb蓄積をもたらした。サイクル1の後の腫瘍取込みは、それぞれPRIT−0213およびPRIT−0214で30.9±2.9および21.4±1.9%ID/gであった;サイクル2の後に、対応する数値は、33.2±0.7および40.1±6.5%ID/gであった。
【0649】
図27は、LS174Tモデルにおける処置サイクル1および2に関する、
212Pb−DOTAMの注射24時間後の、選択された組織における放射能分布を示す(%ID/g±SD、n=3)。
【0650】
212Pb−DOTAMを注射した全マウスは、両方の30μCi処置サイクル後に同様に、体重の中等度減少を経験した。しかし、多くの動物は、不良な腫瘍状態のため、倫理的な理由から時期を早めて安楽死させた。
【0651】
図28は、LS174TモデルにおけるCEA−PRIT後の群A〜G(n=8)における平均体重を示す。各群における最初の死亡で曲線を打ち切った。垂直な点線は、試験設計に従った、一部または全ての群のための
212Pb−DOTAM投与を示す。
【0652】
図29は、初期体重のパーセンテージとして表現される、LS174TモデルにおけるCEA−PRIT後の群A〜G(n=8)における平均体重変化を示す。各群における最初の死亡で曲線を打ち切った。垂直な点線は、試験設計に従った、一部または全ての群のための
212Pb−DOTAM投与を示す。
【0653】
第1の
212Pb−DOTAM処置を8日目に与えた。腫瘍はベースラインと比較して縮小しなかったが、PRIT−0213およびPRIT−0214群平均は、相対的に一定のままであり、非常にゆっくり増加した。第2の30μCi
212Pb−DOTAM注射を36日目に投与した;しかし、コントロール群における急速腫瘍増殖、および全群にわたる不良な腫瘍状態に伴う以前に記述された問題により、その時点までに多くのマウスが既に安楽死されていた。
212Pb−DOTAMの第2の30μCi注射を受けなかったマウスは、その腫瘍制御を回復または保持したが、腫瘍は完全には縮小しなかった。ダネット法を使用した比較手段は、PRIT−0213およびPRIT−0214を使用した全処置レジメンが、14日目から、PBS群と比較して、有意に異なる処置対コントロール比をもたらしたことを明らかにした。また、PRIT−0175およびDOTAMコントロールは、それぞれ16および22日目から、ビヒクルコントロールとは有意に異なった。
【0654】
全処置群がまだ表されている最後の日である22日目に、TGIは、PBSと比較して、それぞれ群「PRIT−0213、30μCi」、「PRIT−0213、30+30μCi」、「PRIT−0214、30μCi」、「PRIT−0214、30+30μCi」、「PRIT−0175、30+30μCi」および「DOTAM単独、30+30μCi」に関して、83.1、88.8、87.5、91.0、53.0および64.7%であった。ビヒクルコントロール群における最後のマウスは、30日目に相当し、この時点で、TGIは、それぞれ残っている群「PRIT−0213、30μCi」、「PRIT−0213、30+30μCi」、「PRIT−0214、30μCi」、「PRIT−0214、30+30μCi」および「PRIT−0175、30+30μCi」に関して、92.5、89.5、90.8、92.6および79.9%であった。2匹のマウスが実験の終わり(101日目)まで生存し、両者とも、群「PRIT−0214、30+30μCi」に由来した。
【0655】
図30は、LS174Tモデルにおける群A〜Gに関する腫瘍増殖平均と標準誤差(n=8)を示す。各群における最初の死亡で曲線を打ち切った。垂直な点線は、試験設計に従った、一部または全ての群のための
212Pb−DOTAM投与を示す。
【0656】
図31は、LS174Tモデルにおける群A〜Gに関する個々の腫瘍増殖曲線を示す。垂直な点線は、
212Pb−DOTAMの投与を示す。
【0657】
図32は、LS174Tモデルにおける群A〜Gにおける生存を示すカプラン・マイヤー曲線を示す(n=8)。垂直な点線は、
212Pb−DOTAMの投与を示す。
【0658】
ボンフェローニ補正によりログランクおよびウィルコクソン検定を行って、いずれの群が生存の観点から有意に異なったか指定した。鍵となる知見は、「PRIT−0214、30+30μCi」が、「PRIT−0213、30μCi」を除いた全群と比較して、生存を有意に増加させたことであった。しかし、群「PRIT−0213、30+30μCi」における全生存は、「PRIT−0213、30μCi」のものと有意に異ならず、よって、「PRIT−0214、30+30μCi」のものとごく僅かに異なった。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0659】
概要および結論
1または2処置サイクルで、2種の二重特異性抗体PRIT−0213およびPRIT−0214のいずれかを使用したCEA−PRITは、両方の試験された腫瘍モデルで、有意な腫瘍増殖阻害および生存増加をもたらした。BxPC3試験における予想外の第2サイクル
212Pb体内分布およびその後の放射線誘発毒性後のトラブルシューティングの試みは、この状況が、未同定の注射関連の課題によって引き起こされた可能性があると結論付けた。BxPC3有効性試験を反復して、問題が処置レジメンに固有のものでないことを確認するべきである。LS174Tモデルにおける将来の実験は、不良な腫瘍状態の問題が解決されるまで行うべきではない。第2の処置サイクルの効率を増加させるために、2つのサイクルの間のタイミングが、腫瘍再増殖を回避するために短縮されることが提案される。加えて、レジメンに第3の処置サイクルを加えることも、さらなる評価のための選択肢となり得る。
【0660】
最後に、腫瘍増殖の根底にある機序の試験は、その増殖は、明らかに阻害されるが、腫瘍が完全には縮小せず、その代わりに、ある時間量の後に再増殖を開始する理由を明らかにするために大変興味深い。
【0661】
実施例26:除去剤用量(プロトコール105)
本試験において、50%TCMC飽和を有するデキストラン−500ベースの除去剤の用量の範囲は、プレターゲティングされた腫瘍への
212Pb−DOTAM会合における効果の観点から評価した。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0662】
固形異種移植片は、Corning(登録商標)Matrigel(登録商標)基底膜マトリックス(増殖因子低下;カタログ番号354230)と1:1混合したRPMI培地におけるBxPC3細胞(継代26)の皮下注射により確立した。各マウス(6週齢)に、100μL RPMI/Matrigelにおける5×10
6個の細胞を右側腹部へとs.c.注射した。腫瘍細胞注射15日後に、222mm
3の平均腫瘍体積により、マウスを実験群へと選別した。
【0663】
CEA−PRIT(100μLあたり100μg)、続いて3日後に、Dex500−(50%)(100μLあたり5〜250μg)をi.v.投与した。群Fは、除去剤の代わりにPBSを受けた。2時間後、マウスに、100μLの
212Pb−DOTAM(10μCi)をi.v.注射した。
【0664】
212Pb−DOTAMの注射24時間後に、マウスを屠殺し、剖検した。血液、膀胱、脾臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、尾および腫瘍を収集し、秤量し、放射能含有量に関して測定し、%ID/gをその後計算した。
【0665】
結果、105
212Pbの腫瘍蓄積は、250μgを除いて全CA用量で全般に高かった。CEA−PRIT二重特異性抗体の血液クリアランスは、30、75および250μgのCA用量で最も効率的であった。結果的に、最高の腫瘍対血液比は、30、75および250μgのCAで達成され、それぞれ187.7、180.2および243.5であった。
212Pbの対応する腫瘍取込みは、91.8±18.9、70.5±11.1および35.2±17.0%ID/g(±SD、n=3)であった。
【0666】
図33は、
212Pb−DOTAMの注射24時間後の、選択された組織における放射能分布を示す(%ID/g±SD、n=3)。灰色のバーは、様々な量のDex500−(50%)CAの注射後の組織蓄積を表す;黒色のバーは、CAなしコントロールを表す。
【0667】
図34は、
212Pb−DOTAMの注射24時間後の、血液および腫瘍における
212Pb含有量(%ID/g±SD、n=3)、および対応する腫瘍対血液比を示す。灰色のバーは、様々な量のDex500−(50%)CAの注射後の組織蓄積を表す;黒色のバーは、CAなしコントロールを表す。
【0668】
概要および結論
腫瘍における達成された
212Pb蓄積、血液クリアランスおよびその後の腫瘍対血液比に基づき、30μgのDex500−(50%)の用量は、BxPC3モデルにおけるCEA−PRITに好ましいと思われた。
【0669】
実施例27:デキストラン−500ベースの除去剤の血液中の滞留時間(プロトコール106)
本試験において、50%TCMC飽和を有するデキストラン−500ベースの除去剤は、血液中の滞留時間の観点から評価した。目標は、反復処置に適した時間枠(1〜4週間)を同定し、投与された二重特異性抗体に結合し得る除去剤が循環中に殆どまたは全く残っておらず、その後に注射される放射標識されたDOTAMの結合を有効にブロックすることを確実にすることであった。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0670】
マウス(9週)に、CEA−PRIT(100μLあたり100μg)、続いて1日後、Dex500−(50%)(100μLあたり25μg)をi.v.投与した。群B、D、FおよびHは、除去剤の代わりにPBSを受けた。1、2、3または4週間後に、マウスに、CEA−PRIT(100μLあたり100μg)、続いて1日後、100μLの
212Pb−DOTAM(10μCi)を再度i.v.注射した。
【0671】
212Pb−DOTAMの注射4時間後にマウスを屠殺した。安楽死の時点で血液を収集し、試料を秤量し、放射能含有量に関して測定した。崩壊およびバックグラウンドに対する補正を含む、血液1グラムあたりのパーセント注射用量(%ID/g)をその後計算した。
【0672】
結果、106
試験した時点のいずれにおいても、Dex500−(50%)またはPBSを受けたマウスの間に平均放射能含有量に統計的有意差はなかった(1方向ANOVA、シダックの多重比較検定、p>0.05)。
【0673】
図35は、
212Pb−DOTAMの注射4時間後の、血液における放射能含有量を示す(%ID/g±SD、n=3)。
【0674】
概要および結論
結果は、反復したCEA−PRIT処置サイクルが、CEA−DOTAM bsAbへのその後投与された
212Pb−DOTAMの結合をブロックすることなく、Dex500−(50%)の最後の注射の1週間後に既に開始され得ることを示す。
【0675】
実施例28:二重特異性抗体の追加的な形式
抗体重鎖または軽鎖の組換え発現のためのプラスミドの生成
ヒト胎児性腎細胞(HEK293)の一過性トランスフェクションにより、所望のタンパク質を発現させた。所望の遺伝子/タンパク質(例えば、完全長抗体重鎖、完全長抗体軽鎖、または追加的なドメイン(例えば、そのC末端における免疫グロブリン重鎖または軽鎖可変ドメイン)を含有する完全長抗体重鎖)の発現のため、次の機能的エレメントを含む転写単位を使用した:
− イントロンAを含む、ヒトサイトメガロウイルス由来の最初期エンハンサーおよびプロモーター(P−CMV)、
− ヒト重鎖免疫グロブリン5’−非翻訳領域(5’UTR)、
− マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列(SS)、
− 発現されるべき遺伝子/タンパク質、ならびに
− ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
【0676】
発現されるべき所望の遺伝子を含む発現単位/カセットに加えて、基礎/標準哺乳動物発現プラスミドは、
− 大腸菌におけるこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18由来の複製開始点、および
− 大腸菌におけるアンピシリン抵抗性を付与するベータ−ラクタマーゼ遺伝子
を含有した。
【0677】
P1AE1766
G4S×4リンカーによってそれぞれ分離されたそれぞれの配列エレメントをコードするDNA断片をヒトIgG分子のCH3ドメインのC末端に融合することにより、完全かつ機能的な抗体重鎖に続く、追加的な抗体VL−CH1またはVH−C−カッパドメインを含むC末端融合遺伝子を含む抗体重鎖コード化遺伝子をアセンブルした(VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3−リンカー−VL−CH1またはVH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3−リンカー−VH−Ck)。それぞれ2個のCH3ドメインのC末端に1個のVL−CH1および1個のVH−Ckドメインを有する組換え抗体分子を、ノブ・イントゥー・ホール技術を使用して発現させた。
【0678】
それぞれの配列エレメントをコードするDNA断片を融合することにより、完全かつ機能的な抗体軽鎖を含む抗体軽鎖コード化遺伝子をアセンブルした。
【0679】
P1AE1768
ノブ・イントゥー・ホール技術を使用することにより、CEAまたはDOTAMのいずれかを標的とする完全かつ機能的な抗体重鎖を含む抗体重鎖コード化遺伝子をアセンブルした。
【0680】
それぞれの配列エレメントをコードするDNA断片を融合することにより、完全かつ機能的な抗体軽鎖を含む抗体軽鎖コード化遺伝子をアセンブルした。CrossMab技術を使用して(CLおよびCH1ドメインをアームの1本と取り替えて)、正確な会合を確実にした。
【0681】
P1AE1769
VH−CH1ドメインをコードするDNA断片を、G4S×4リンカーを介して、VHドメインに代えたVLドメインの交換を含有するヒトIgG分子のVLドメインのN末端に融合する(よって、構造VH−CH1−リンカー−VL−CH1−ヒンジ−CH2−CH3をコードする融合遺伝子を作製する)ことにより、融合遺伝子をアセンブルした。1個のVH−CH1を有し、それぞれのN末端に融合がない組換え抗体分子を、ノブ・イントゥー・ホール技術を使用して発現させた。
【0682】
それぞれの配列エレメントをコードするDNA断片を融合することにより、完全かつ機能的な抗体軽鎖を含む抗体VH−Cカッパコード化遺伝子をアセンブルした。
【0683】
それぞれの配列エレメントをコードするDNA断片を融合することにより、完全かつ機能的な抗体軽鎖を含む抗体軽鎖コード化遺伝子をアセンブルした。
【0684】
CrossMab技術を使用して、正確な会合を確実にした。
【0685】
P1AE1767
G4S×4リンカーによってそれぞれ分離されたそれぞれの配列エレメントをコードするDNA断片を、ヒトIgG分子のCH3ドメインのC末端に融合することにより、完全かつ機能的な抗体重鎖に続く、追加的な抗体V−軽−CH1ドメインを含むC末端融合遺伝子を含む抗体重鎖コード化遺伝子をアセンブルした(VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3−リンカー−VL−CH1)。1個のVL−CH1を有し、それぞれ2個のCH3ドメインのC末端に融合がない組換え抗体分子を、ノブ・イントゥー・ホール技術を使用して発現させた。
【0686】
それぞれの配列エレメントをコードするDNA断片を融合することにより、完全かつ機能的な抗体軽鎖を含む抗体VH−Cカッパコード化遺伝子をアセンブルした。
【0687】
それぞれの配列エレメントをコードするDNA断片を融合することにより、完全かつ機能的な抗体軽鎖を含む抗体軽鎖コード化遺伝子をアセンブルした。
【0688】
CrossMab技術を使用して、正確な会合を確実にした。
【0689】
P1AE1770
G4S×4リンカーによってそれぞれ分離されたそれぞれの配列エレメントをコードするDNA断片を、ヒトIgG分子のCH3ドメインのC末端に融合することにより、完全かつ機能的な抗体重鎖に続く、追加的な抗体V−軽−C−カッパ−リンカー−V−重−CH1ドメインを含むC末端融合遺伝子を含む抗体重鎖コード化遺伝子をアセンブルした(VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3−リンカー−VL−Ck−リンカー−VH−CH1)。1個の単鎖Fabを有し、それぞれ2個のCH3ドメインのC末端に融合がない組換え抗体分子を、ノブ・イントゥー・ホール技術を使用して発現させた。
【0690】
それぞれの配列エレメントをコードするDNA断片を融合することにより、完全かつ機能的な抗体軽鎖を含む抗体軽鎖コード化遺伝子をアセンブルした。
【0691】
抗体分子の一過性発現
F17培地(Invitrogen Corp.)において培養される、一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞(ヒト胎児性腎細胞株293由来)において抗体分子を生成した。トランスフェクションのため、「293−Free」トランスフェクション試薬(Novagen)を使用した。上述のそれぞれの抗体重鎖および軽鎖分子は、個々の発現プラスミドから発現させた。トランスフェクションは、製造業者の説明書に指定される通りに行った。トランスフェクションの3から7(3〜7)日後に、免疫グロブリン含有細胞培養上清を採集した。上清は、精製するまで、低下した温度(例えば、−80℃)で貯蔵した。
【0692】
例えば、HEK293細胞におけるヒト免疫グロブリンの組換え発現に関する一般情報は:Meissner、P.ら、Biotechnol.Bioeng.75(2001)197〜203で得られる。
[この文献は図面を表示できません]
【0693】
MabSelect Sure(アフィニティークロマトグラフィー)およびそれに続くSuperdex 200(サイズ排除クロマトグラフィー)によって、分子を精製した。
【0694】
異なる形式のDOTAM結合特性のKinexa評価
親和性決定の詳細な解析のため、Kinexaを使用した。
【0695】
計測手段および材料
オートサンプラーを備えるSapidyne Instruments(アイダホ州ボイシ)製のKinExA 3200機器を使用した。ポリメチルメタクリレート(PMMA)ビーズは、Sapidyneから購入し、一方、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、BSA(ウシ血清アルブミン画分V)および抗DOTAM抗体は、インハウス(Roche)で調製した。Dylight650(登録商標)コンジュゲートされたアフィニティー精製ヤギ抗ヒトIgG−Fc断片交差吸着抗体は、Bethyl Laboratories(テキサス州モントゴメリー)から購入した。ビオチン化Pb−DOTAM抗原(Pb−DOTAM−アルキル−ビオチン異性体AおよびB、Pb−DOTAM−Bn−ビオチン/TCMC−Pb−dPEG3−ビオチン、異性体AおよびB)および非ビオチン化Pb−DOTAMは、AREVA Med(メリーランド州ベセスダ)から得た。
【0696】
抗原コーティングされたビーズの調製
ビオチン化分子のためのKinExAハンドブックプロトコール(Sapidyne)に従って、PMMAビーズをコーティングした。簡潔に説明すると、第一に、1mlのPBS(pH7.4)中の10μgのビオチン−BSA(Thermo Scientific)を、吸着コーティングのために1本のバイアル(200mg)のビーズにつき添加した。2時間室温で回転させた後に、上清を除去し、ビーズを1ml PBSで5回洗浄した。第二に、10mg/ml BSAを含有するPBS中の1mlの100μgのニュートラアビジン、ビオチン結合タンパク質(Thermo Scientific)をビーズに添加し、室温でさらなる2時間インキュベートして、ニュートラアビジンをビーズにカップリングさせ、ビオチン化タンパク質のその後の結合のための追加的なビオチン結合部位をもたらした。次に、ニュートラアビジンコーティングされたビーズを1ml PBSで5回リンスした。最後に、ビーズを、PBS中の200ng/mlビオチン化Pb−DOTAM−異性体ミックス(異性体毎に50ng)でコーティングし、さらに2時間室温でインキュベートした。次に、ビーズを30ml PBSに再懸濁し、直ちに使用した。
【0697】
KinExA平衡アッセイ
全てのKinExA実験は、ランニングバッファーとしてPBS、pH7.4を使用して室温(RT)で行った。1mg/ml BSAを補充したランニングバッファー(「試料バッファー」)において試料を調製した。0.25ml/分の流量を使用した。5pM結合部位濃度を有する一定量の抗DOTAM抗体を、100pMから開始する2倍段階希釈(濃度範囲0.049pM〜100pM)によってPb−DOTAM抗原で滴定した。抗原なし抗体の1種の試料は、100%シグナル(すなわち、阻害なし)とした。抗原−抗体複合体をRTで少なくとも24時間インキュベートして、平衡に達するようにした。次に、平衡した混合物を、体積5mlのKinExAシステムにおけるPb−DOTAMカップリングビーズのカラムに通して、溶液の平衡状態を乱すことなく、結合していない抗体をビーズによって捕捉させた。試料バッファー中の250ng/ml Dylight 650(C)コンジュゲートされた抗ヒトFc断片特異的二次抗体を使用して、捕捉された抗体を検出した。各試料は、全平衡実験で2回複製して測定した。
【0698】
「標準解析」方法を使用して、KinExAソフトウェア(バージョン4.0.11)内に含有される1部位均一結合モデルを使用してデータの非線形回帰解析からKDを得た。ソフトウェアは、KDを計算し、データ点を理論的(theroretical)KD曲線にフィットさせることにより95%信頼区間を決定する。95%信頼区間(Sapidyne TechNote TN207R0)は、KD低およびKD高として得られる。
[この文献は図面を表示できません]
【0699】
全コンストラクトは、信頼区間が重複するためKDが匹敵する。
【0700】
異なる形式での分子の配列:
必要に応じた電荷修飾は、太字文字列および下線で示す:EQ−>RKまたはKK−>EE
P1AE1766
>CEA軽鎖RK
[この文献は図面を表示できません]
>CEA重鎖とDOTAM VL/CH1
[この文献は図面を表示できません]
> CEA重鎖とDOTAM VH/CK
[この文献は図面を表示できません]
P1AE1767
>DOTAM「LC」とVH/CK
[この文献は図面を表示できません]
>CEA軽鎖RK
[この文献は図面を表示できません]
>CEA重鎖とDOTAM VL/CH1
[この文献は図面を表示できません]
>CEA重鎖
[この文献は図面を表示できません]
P1AE1768
>CEA LC
[この文献は図面を表示できません]
>DOTAM重鎖とVL/CH1
[この文献は図面を表示できません]
>CEA重鎖
[この文献は図面を表示できません]
>DOTAM「LC」VH/CK
[この文献は図面を表示できません]
P1AE1769
>DOTAM「LC」とVH/CK
[この文献は図面を表示できません]
>CEA LC
[この文献は図面を表示できません]
>CEA HCとCEA VH/CH1/DOTAM VL/CH1
[この文献は図面を表示できません]
>CEA HC
[この文献は図面を表示できません]
P1AE1770
>CEA LC
[この文献は図面を表示できません]
>CEA HCとDOTAM scFab:DOTAM VL/Ck/リンカー/VH CH1
[この文献は図面を表示できません]
>CEA HC
[この文献は図面を表示できません]
【0701】
実施例29:Pb−DOTAMおよびCD20またはHer2に結合する二重特異性抗体
抗体重鎖または軽鎖の組換え発現のためのプラスミドの生成
ヒト胎児性腎細胞(HEK293)の一過性トランスフェクションにより、所望のタンパク質を発現させた。所望の遺伝子/タンパク質(例えば、完全長抗体重鎖、完全長抗体軽鎖、または追加的なドメイン(例えば、そのC末端における免疫グロブリン重鎖または軽鎖可変ドメイン)を含有する完全長抗体重鎖)の発現のため、次の機能的エレメントを含む転写単位を使用した:
− イントロンAを含む、ヒトサイトメガロウイルス由来の最初期エンハンサーおよびプロモーター(P−CMV)、
− ヒト重鎖免疫グロブリン5’−非翻訳領域(5’UTR)、
− マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列(SS)、
− 発現されるべき遺伝子/タンパク質、ならびに
− ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
【0702】
発現されるべき所望の遺伝子を含む発現単位/カセットに加えて、基礎/標準哺乳動物発現プラスミドは、
− 大腸菌におけるこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18由来の複製開始点、および
− 大腸菌におけるアンピシリン抵抗性を付与するベータ−ラクタマーゼ遺伝子
を含有した。
【0703】
a)抗体重鎖のための発現プラスミド
G4S×4リンカーによってそれぞれ分離されたそれぞれの配列エレメント(V−重またはV−軽)をコードするDNA断片を、ヒトIgG分子のCH3ドメインのC末端に融合することにより、完全かつ機能的な抗体重鎖に続く、追加的な抗体V−重またはV−軽ドメインを含むC末端融合遺伝子を含む抗体重鎖コード化遺伝子をアセンブルした(VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3−リンカー−VHまたはVH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3−リンカー−VL)。それぞれ2個のCH3ドメインのC末端に1個のVHおよび1個のVLドメインを有する組換え抗体分子を、ノブ・イントゥー・ホール技術を使用して発現させた。
【0704】
HEK293細胞における抗体重鎖と、C末端VHまたはVLドメインの一過性発現のための発現プラスミドは、抗体重鎖断片と、C末端VHまたはVLドメイン発現カセットの他に、大腸菌におけるこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18由来の複製開始点、および大腸菌におけるアンピシリン抵抗性を付与するベータ−ラクタマーゼ遺伝子を含んだ。抗体重鎖断片と、C末端VHまたはVLドメイン融合遺伝子の転写単位は、次の機能的エレメントを含む:
− イントロンAを含む、ヒトサイトメガロウイルス由来の最初期エンハンサーおよびプロモーター(P−CMV)、
− ヒト重鎖免疫グロブリン5’−非翻訳領域(5’UTR)、
− マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
− 抗体重鎖(VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3−リンカー−VHまたはVH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3−リンカー−VL)コード化核酸、ならびに
− ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
【0705】
成熟抗体重鎖断片と、C末端VHまたはVLドメイン融合タンパク質のアミノ酸配列を次に示す。
P1AD9826 → CD20−DOTAM
[この文献は図面を表示できません]
【0706】
P1AD9827 → ERBB2−DOTAM
[この文献は図面を表示できません]
【0707】
b)抗体軽鎖のための発現プラスミド
それぞれの配列エレメントをコードするDNA断片を融合することにより、完全かつ機能的な抗体軽鎖を含む抗体軽鎖コード化遺伝子をアセンブルした。
【0708】
抗体軽鎖の一過性発現のための発現プラスミドは、抗体軽鎖断片の他に、大腸菌におけるこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18由来の複製開始点、および大腸菌におけるアンピシリン抵抗性を付与するベータ−ラクタマーゼ遺伝子を含んだ。抗体軽鎖断片の転写単位は、次の機能的エレメントを含む:
− イントロンAを含む、ヒトサイトメガロウイルス由来の最初期エンハンサーおよびプロモーター(P−CMV)、
− ヒト重鎖免疫グロブリン5’−非翻訳領域(5’UTR)、
− マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
− 抗体軽鎖(VL−CL)コード化核酸、ならびに
− ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
【0709】
P1AD9827 → ERBB2−DOTAM
[この文献は図面を表示できません]
【0710】
P1AD9826 → CD20−DOTAM
[この文献は図面を表示できません]
【0711】
抗体分子の一過性発現
F17培地(Invitrogen Corp.)において培養される、一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞(ヒト胎児性腎細胞株293由来)において抗体分子を生成した。トランスフェクションのため、「293−Free」トランスフェクション試薬(Novagen)を使用した。上述のそれぞれの抗体重鎖および軽鎖分子は、個々の発現プラスミドから発現させた。トランスフェクションは、製造業者の説明書に指定される通りに行った。トランスフェクションの3から7(3〜7)日後に、免疫グロブリン含有細胞培養上清を採集した。上清は、精製するまで、低下した温度(例えば、−80℃)で貯蔵した。
【0712】
例えば、HEK293細胞におけるヒト免疫グロブリンの組換え発現に関する一般情報は:Meissner、P.ら、Biotechnol.Bioeng.75(2001)197〜203で得られる。
【0713】
抗体分子P1AD8926およびP1AD8927の精製
MabSelect Sure(アフィニティークロマトグラフィー)およびそれに続くSuperdex 200(サイズ排除クロマトグラフィー)によって、PRIT分子を精製した。
[この文献は図面を表示できません]
【0714】
質量分析:
PRIT分子の同一性を確認するために、ESI−MSを使用した。
[この文献は図面を表示できません]
【0715】
P1AD8927機能性のFACS解析
P1AD8927の機能性を評価するため、37℃で10分間アキュターゼ(accutase)を使用して培養容器からKPL−4細胞を剥離した。その後(Subequently)、細胞をPBSにおいて2回洗浄し、4×106個の細胞/ウェルの最終密度となるように96ウェルv字底型プレートに播種した。
【0716】
抗体を、Zenon<ヒトIgG>A488で前標識し、
図38に示される濃度で細胞に添加した。その後、細胞を氷上で1時間インキュベートし、PBSにおいて2回洗浄し、FACS cantoを使用したFITC蛍光の測定のために200μl PBS/5%FCSに再懸濁した。
【0717】
結果を
図38に示す。
【0718】
DOTAMへの抗体の結合能を評価するために、KPL−4細胞への結合後に、細胞を洗浄して、結合していない抗体(antibdy)を除去した。その後、Pb−DOTAM−FITCを添加して、DOTAM結合能力がある細胞結合抗体を検出した(
図39)。P1AD8927は、アイソタイプ補正された用量依存性FITCシグナルを示す。本実験は、DOTAM結合が、この抗体において機能的であることを示す。
【0719】
P1AD8926機能性のFACS解析
P1AD8926の機能性を評価するため、Raji細胞をPBSにおいて2回洗浄し、4×106個の細胞/ウェルの最終密度となるように96ウェルv字底型プレートに播種した。
【0720】
抗体を、Zenon<ヒトIgG>A488で前標識し、
図40に示される濃度で細胞に添加した。その後、細胞を氷上で1時間インキュベートし、PBSにおいて2回洗浄し、FACS cantoを使用したFITC蛍光の測定のために200μl PBS/5%FCSに再懸濁した。
【0721】
DOTAMへの抗体の結合能を評価するために、Raji細胞への結合後に、細胞を洗浄して、結合していない抗体を除去した。その後、Pb−DOTAM−FITCを添加して、DOTAM結合能力がある細胞結合抗体を検出した(
図41)。P1AD8927は、アイソタイプ補正された用量依存性FITCシグナルを示す。本実験は、DOTAM結合が、この抗体において機能的であることを示す。
【0722】
実施例30:実施例31〜37の材料および方法
本実施例は、実施例31〜37の試験のための材料および方法を設定する。
3段階PRIT(1サイクル)
ステップ1:BsAbの投与(Adminstration)(i.v.またはi.p.):試験で使用されるBsAbは、高い親和性でPb−DOTAMに結合し、例えばCEAを介して腫瘍を標的とする。
ステップ2:CAの投与(i.v.またはi.p.):
212Pb−DOTAMの効率的な腫瘍蓄積を可能にするために、循環BsAbは、腫瘍へと浸透することなく、結合していないBsAbへの
212Pb−DOTAM結合をブロックし、結果的に、プレターゲティングされた部位をブロックするCAを使用して血液中で中和される必要がある。BsAbが腫瘍に十分な程度まで蓄積したら、一般に、4〜10日後に、CAが投与される。Pb−DOTAM−デキストラン−500 CAは、下に示す通り、チオウレアリンカーを介してDOTAMがコンジュゲートされている、500kDaの平均分子量を有するアミノデキストランに基づき開発された。
[この文献は図面を表示できません]
ステップ3:
212Pb−DOTAMの投与(i.v.):最後のステップにおいて、一般に、CA注射の24〜48時間後に、放射能注射を行って、
212Pb−DOTAMが、プレターゲティングされた腫瘍部位に優先的に結合することを可能にし、全身性放射線曝露を効率的に低下させる。
【0723】
一般的な材料および方法
ARCoLabで行われる実験プロトコールは、地方当局(Comite Regional d’Ethique de l’Experimentation Animale du Limousin (CREEAL)、Laboratoire Departemental d’Analyses et de Recherches de la Haute−Vienne)によって審査および承認された。重症複合免疫不全(SCID)およびCD1マウスは、Charles Riverによって提供され、倫理指針に沿って、明暗の日周サイクル(12時間/12時間)による特定のおよび日和見性の病原体がない(SOPF)条件下で維持された。試験121は、Envigoによって提供されたマウスにより、特定の病原体がない(SPF)条件を用いた。到着後の最初の5日間、操作は行わず、動物を新たな環境に順化させた。臨床症状および有害事象検出に関して全マウスを毎日管理した。
【0724】
固形異種移植片は、Corning(登録商標)Matrigel(登録商標)基底膜マトリックス(増殖因子低下;カタログ番号354230)と1:1混合した細胞培養培地におけるCEA発現腫瘍細胞の皮下(s.c.)注射により確立した。腫瘍体積を手動ノギス計測により推定し、式:体積=0.5×長さ×幅
2に従って計算した。
【0725】
放射能尿/糞便の再経口摂取を最小化するために、全ての有効性試験マウスは、
212Pb−DOTAM投与後、標準寝床を備える新たなケージに移すまで、焼却処理した床を備えるケージ内に4時間配置した。次に、注射後(p.i.)24時間目に全ケージを交換した。放射能注射24時間後までに体内分布を調べる目的のため安楽死されるマウスに対して、この手順は行わなかった。
【0726】
試験動物の体重(BW)を1週間に少なくとも3回測定し、必要であれば、健康状態に応じて追加的な測定を行った。そのBW減少が自身の初期BWの25%を超えた、またはその腫瘍体積が3000mm
3に達したマウスは、直ちに安楽死させた。倫理的な理由から安楽死に考慮される他の要因は、腫瘍状態(例えば、壊死性区域、血液/体液漏出、自傷の徴候)および動物の全身的外観(例えば、毛皮、姿勢、動作)であった。急性BW減少(集団的または個体的)があったために要求される場合、全個体が十分に回復するまで、放射能注射5日後から、全マウスにウェットタイプの食物を与えた。
【0727】
プロトコールによって指示される通り、血液を終結時に後眼窩出血を使用して静脈洞から収集し、続いて放射能測定および/または組織学的解析のための追加的な組織採集を行った。予想外なまたは異常な状態を記録した。ホルマリン固定のために収集された組織を10%中性緩衝ホルマリン(4℃)に直ちに入れ、次いで5日後にリン酸緩衝生理食塩水(PBS;4℃)に移した。体内分布を調べる目的のため収集された臓器および組織を秤量し、2470 WIZARD
2自動ガンマ計数器(PerkinElmer)を使用して放射能に関して測定し、崩壊およびバックグラウンドに対する補正を含む、組織1グラムあたりのパーセント注射用量(%ID/g)をその後計算した。
【0728】
GraphPad Prism 6(GraphPad Software、Inc.)およびJMP 8(SAS Institute Inc.)を使用して統計解析を行った。次式を使用して、平均腫瘍体積に基づき腫瘍増殖阻害(TGI)の曲線解析を行った:
[この文献は図面を表示できません]
(式中、dは、処置日を示し、0は、ベースライン値を示す)。参照群としてビヒクル(PBS)を選択した。腫瘍縮小(TR)は、次式に従って計算した:
[この文献は図面を表示できません]
(式中、正の値は、腫瘍縮小を示し、−1を下回る値は、ベースライン値の二倍を越えた増殖を示す)。
【0729】
ペア毎の検定を行って、いずれの群が生存の観点から有意に異なったかを指定した:ログランク検定(後期の生存事象に重きを置く)およびウィルコクソン検定(初期の生存時間に重きを置く)、両者共に多重検定するためのボンフェローニ補正を使用。
【0730】
被験化合物
記載の試験で利用されている化合物は、下の「二重特異性抗体」、「除去剤」および「放射標識キレート」という見出しの表に提示されている。
【0731】
CEA−DOTAM(PRIT−0213)は、CEAのT84.66エピトープを標的とする完全ヒト化BsAbであり、一方、DIG−DOTAM(PRIT−0175)は、ネガティブコントロールとして使用される非CEA結合BsAbである。P1AE1766、P1AE1767、P1AE1768、P1AE1769およびP1AE1770は、上の実施例28に記載されている通り、CEAのCH1A1Aエピトープを標的とするヒト化CEA−DOTAM BsAbである。抗体コンストラクトは、注射日まで−80℃で貯蔵し、注射日に、解凍し、静脈内(i.v.)または腹腔内(i.p.)投与のためのそれら最終のそれぞれの濃度となるよう標準ビヒクルバッファー(20mMヒスチジン、140mM NaCl;pH6.0)または0.9%NaClに希釈した。
【0732】
Ca−DOTAM−デキストラン−500およびPb−DOTAM−デキストラン−500 CAは、注射日まで−20℃で貯蔵し、注射日に、解凍し、i.v.またはi.p.投与のためにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)において希釈した。
【0733】
放射標識のためのDOTAMキレートは、Macrocyclicsによって提供され、放射標識まで−20℃で維持された。トリウム発生装置からのDOTAMとの溶出により、
212Pb−DOTAMを生成し、その後、標識後にCu、Ca、Zn、GdまたはPbによりクエンチした。
212Pb−DOTAM溶液をPBSまたは0.9%NaClで希釈して、i.v.注射のための所望の
212Pb放射能濃度を得た。
【0734】
ビヒクルコントロール群におけるマウスは、BsAb、CAおよび
212Pb−DOTAMの代わりにPBSの複数の注射を受けた。
[この文献は図面を表示できません]
【表64】
[この文献は図面を表示できません]
【表65】
[この文献は図面を表示できません]
【0735】
腫瘍モデル
使用される腫瘍細胞株およびマウスにおける接種のための注射量は、下の表「腫瘍細胞株」に記載されている。BxPC3は、CEAを天然に発現するヒト初代膵臓腺癌細胞株である。BxPC3細胞は、10%ウシ胎仔血清(GE Healthcare Hyclone SH30088.03)を強化したRPMI−1640培地、GlutaMAX(商標)Supplement、HEPES(Gibco、参照番号72400−021)において培養した。HPAF−II(CRL−1997)は、CEAを天然に発現するヒト膵臓腺癌細胞株である。HPAF−II細胞は、10%標準ウシ胎仔血清、1%GlutaMAX 100×、1%MEM NEAA(最小必須培地非必須アミノ酸)100×(Gibco 11140−035)および1%ピルビン酸ナトリウム(100mM;Gibco 11360−070)を強化したEMEM培地(Gibco 31095−029)において培養した。WSU−DLCL2は、CD20を天然に発現するヒトB細胞リンパ腫細胞株である。WSU−DLCL2細胞は、10%ウシ胎仔血清を強化したRPMI−1640培地(Gibco、参照番号72400−021)において培養した。NCI−N87は、HER2を天然に発現する胃がん細胞株である。NCI−N87細胞は、10%ウシ胎仔血清を強化したRPMI−1640培地(Gibco、参照番号72400−021)において培養した。固形異種移植片は、Corning(登録商標)Matrigel(登録商標)基底膜マトリックス(増殖因子低下;カタログ番号354230)と1:1混合したRPMIまたはDMEM培地における細胞の右側腹部への皮下注射により、試験0日目に各SCIDマウスにおいて確立した。
[この文献は図面を表示できません]
【0736】
試験
実施例31:腫瘍モデルにおけるCEA−PRITの有効性(プロトコール103)
本試験は、マウスにおけるs.c.BxPC3腫瘍の処置のためにCEA−DOTAM BsAbを使用してCEA−PRITの有効性を評価した。治療法は、10もしくは30μCiの
212Pb−DOTAMによる単一処置として、または2種の放射能レベルのいずれかのための3回の反復サイクルにおいて投与した。非CEA結合コントロール抗体(DIG−DOTAM)、CEA−DOTAM BsAb単独(放射能なし)および処置なし(PBS)を使用したPRITとの比較を行った。第1および第2のサイクル後に体内分布検査を行って、
212Pb−DOTAM標的化およびクリアランスを確認し、TGI、TRおよび生存の観点から処置有効性を評価した。試験を通してマウスを慎重にモニターして、異なる処置スケジュールの忍容性を評価した。試験概要を
図42に示す。
【0737】
試験設計
プロトコール103の経時変化および設計を下の表に示す。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0738】
右側腹部へのRPMI/Matrigelにおける5×10
6個の細胞(継代24)のs.c.注射により、試験0日目に各SCIDマウスにおいて固形異種移植片を確立した。腫瘍細胞注射20日後に、290mm
3の平均腫瘍体積により、マウスを実験群へと選別した。
【0739】
ロジスティックな理由により、上の表に記載されている通り初日における群C、D、E、F、G、J、KおよびLのBsAbまたはPBS注射、続いて翌日における群A、B、HおよびIのBsAb注射により、2日間の経過中に処置を開始した。4日後に、CAを注射し、続いて2時間後に、
212Pb−DOTAMまたはPBSを注射した。30または0μCiを受ける群が、先ず注射され、続いて翌日、10μCiを受ける群が注射される。群B、D、E、F、G、I、KおよびLは、放射能注射間が2週間で複数の処置を受けた。全ての反復処置サイクル(第2および第3)は、同時に始めた、すなわち、全マウスは、同日にBsAbまたはPBS注射を受け、続いて、CAおよび
212Pb−DOTAMまたはPBSを4日後に受けた。安楽死の時点で群A〜Gから次の臓器および組織を採集した:膀胱、卵巣、肝臓、脾臓、腎臓、大腿骨(骨髄を含む)、結腸、空腸、胃および腫瘍。
【0740】
群HおよびJにおけるマウスは、
212Pb−DOTAMのそれらの第1のかつ唯一の注射の24時間後に屠殺し剖検した;群I、KおよびLは、それらの第2の
212Pb−DOTAM注射の24時間後に屠殺し剖検した。安楽死時に放射能測定のために、血液、膀胱、小腸、結腸、脾臓、膵臓、腎臓、肝臓、肺、心臓、大腿骨、筋肉、尾および腫瘍を採集した。
【0741】
結果
24時間p.i.の
212Pbのin vivo分布は、
図43から分かる通り、皮下BxPC3腫瘍における高い取り込みおよび正常組織における低い蓄積を実証した。CEA−DOTAMによってプレターゲティングされた腫瘍および非CEA結合BsAb DIG−DOTAMによってプレターゲティングされた腫瘍の間の有意差は、処置の高い特異性を確認した。シダックの多重比較検定による一方向分散分析(ANOVA)は、1(50.3%ID/g)および2(43.0%ID/g)回の10μCi注射の間にも、1(37.6%ID/g)および2(24.1%ID/g)回の30μCi注射の間にも、
212Pbの平均腫瘍取込みに有意差がなかったことを示した。同様に、1サイクルの10μCiおよび1サイクルの30μCiの投与の間に有意差はなかった(p>0.05)。しかし、いずれかのCEA−DOTAM処置と比較したDIG−DOTAMによりプレターゲティングされた腫瘍における2サイクルの30μCi(2.9%ID/g)後の腫瘍取込みと同様に、腫瘍取込みは、2サイクルの10μCiと比較して、2サイクルの30μCiの後に有意により低かった。
図43のパネルBは、%ID/gが、様々な処置群内で、異なるサイズの腫瘍に関して匹敵したことを示す。
【0742】
平均腫瘍発達および個々の腫瘍増殖曲線をそれぞれ
図44および
図45に示す。20〜24日目までに全群がその腫瘍体積を倍加させた。24日目に第1の
212Pb−DOTAM処置を与え、その後、CEA−DOTAM群における腫瘍は、縮み始める前に、およそ1週間増殖し続けた。腫瘍は完全には縮小しなかったが、複数の処置群(BおよびD)の体積は、52日目の最後の処置まで相対的に一定のままであった。10または30μCiのいずれかで1回のみ注射したマウスにおける腫瘍は、44日目に再増殖を開始したが、より高い放射能受ける腫瘍は、僅かによりゆっくりした増殖速度を有した。DIG−DOTAMを有する非特異的PRITは、CEA−DOTAM単独またはビヒクルと比較して、統計的に有意だが限られたTGIをもたらした。2種の後者コントロール群は、同一の腫瘍発達を示した。
【0743】
手段に基づき全処置群を解析することができる最後の日である63日目に、TGIは、処置なしと比較して、それぞれ群A、B、C、D、EおよびFに関して、57.2、89.8、77.7、96.6、−6.2および67.3%であった。ビヒクルコントロール群における最後のマウスは、74日目に相当し、この時点で、TGIは、それぞれ残っている4群:A、B、CおよびDに関して48.5、83.3、63.5および95.7%であった。試験は、最後の残っているマウス(群D)の安楽死により、細胞注射後118日目に終結した。
【0744】
ログランクおよびウィルコクソン検定を行って、いずれの群が生存の観点から有意に異なったか指定し、結果を下の2つの表に示す。全てのCEA−DOTAM PRITレジメンは、3種のコントロール群と比較して生存を有意に増加させた。全生存は、3サイクルの10μCi後に、単一の10μCiサイクル後よりも僅かに優れていた(p=0.0110)が、3サイクルの10μCiおよびCEA−DOTAMプレターゲティングによる30μCiレジメンのいずれかの間に有意差はなかった。カプラン・マイヤー生存曲線を
図46に示す。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0745】
有害事象および毒性
倫理的な理由からマウスの屠殺を動機づける観察された有害事象は、2群に選別することができる:1)腫瘍状態および2)放射線誘発毒性。第1の群は、壊死性および/または潰瘍性腫瘍を指し、これは、マウスが、自身のまたはケージ仲間の腫瘍区域を「清潔にする」よう促す。このステージに達したマウスは、苦痛を回避するため直ちに安楽死させた。
【0746】
第2の群の有害事象は、放射線誘発毒性の典型的症状、例えば、BW減少、下痢および嗜眠を含んだ。
図47は、治療群におけるBW発達を示す。30μCiの
212Pb−DOTAMを注射した全マウスは、初期BW降下を経験し、これは、第1の放射能注射後8日目までに軽減された。複数の30μCi注射を投与した群(DおよびF)は、より延長したBW減少を患った。BW減少は、複数の注射であっても、10μCiを受けた群(AおよびB)において軽度であった。よって、10および30μCiの
212Pb−DOTAMを受けたマウスの間に明らかな差が認知された。反復10μCi処置の後であっても、マウスは、全般に、有害毒性の主要徴候を呈さなかった。1サイクルの30μCiで処置したマウスは、一過性体重減を表したが、回復した。しかし、第2および第3の30μCiサイクルは、より大規模な有害毒性をもたらし、BW減少ならびに疼痛および/または不快の徴候の組合せにより、多数の動物を屠殺させた。このことから、10μCiが、適用される条件下で、安全な放射能レベルである一方、30μCiが、最大耐容放射能に近づいていると結論付けることができる。
【0747】
結論
本出願人らは、単剤療法レジメンとして与えると、反復CEA−PRITと10または30μCiの
212Pb−DOTAMが、生存およびTGIの有意な増加をもたらしたが、この設定において、完全腫瘍根絶も持続性腫瘍制御ももたらさなかったと結論付ける。経時的な腫瘍制御を維持しつつ放射線誘発毒性を回避するために、これらの結果は、30μCi未満だが10μCiを超える
212Pb−DOTAMの使用を示唆する。
【0748】
実施例32:CEA−PRITのためのBsAbおよびCA注射間の適切な時間の選択(プロトコール116および121)
プロトコール116および121は、高い腫瘍取込みおよび均一な腫瘍内BsAb分布に基づいて、CEA−PRITのためのBsAbおよびCA注射間の適切な時間の選択をガイドするように設計した。プロトコール116は、免疫蛍光染色によって検出される、i.v.注射後4、7および14日目に、BxPC3モデルにおけるCEA発現と比較して腫瘍内BsAb分布を評価した。プロトコール121は、1、4、7および10日後のBxPC3腫瘍における、鉛−203(
203Pb)で直接的に標識したBsAbの蓄積を評価した。BsAbは、
212Pb(半減期10.6時間)と比較してより長い期間にわたり発達を追跡することができるように、Pb同位体
203Pb(半減期2.2日間)で標識した。
【0749】
試験設計
プロトコール116および121の経時変化および設計を下の4つの表に示す。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0750】
固形異種移植片は、BxPC3細胞のs.c.注射により確立した。接種19日後に、プロトコール116におけるマウスは、227mm
3の平均腫瘍体積により実験群へと選別した。プロトコール121において、平均腫瘍体積は、20日後に203mm
3であった。
【0751】
免疫蛍光染色
プロトコール116におけるマウスを安楽死の後に剖検し、脾臓、腎臓、肝臓、筋肉および腫瘍を採集した。収集された組織を2つの小片に分割した:一方は、Tissue−Tek(登録商標)最適切削温度(OCT)包埋化合物を含有する凍結用の型(cryomold)に入れ、急速凍結のためにドライアイスの上に置き、他方は、10%中性緩衝ホルマリン(NBF)中で24時間固定し、次いで、パラフィン包埋まで貯蔵のためにPBSに移した。OCT中の凍結した試料は、切片作製まで−80℃で維持した。下表に収載されている試薬を使用して、組織学的染色を行った。
[この文献は図面を表示できません]
【0752】
CEAの染色
凍結した腫瘍は、Leica CM1850 UVクライオトーム(cryotome)を使用して、12μmスライスとなるよう切片作製し、−20℃でスライドを貯蔵した。染色前に、スライドを1時間室温(RT)で解凍し、次いで、PBS(1×、pH7.4)で5分間、続いて冷アセトン(−20℃)において5分間、もう一度PBSで5分間洗浄した。紙片を組織の周りに置いてスライドを乾燥させ、疎水性のペン(Dako;Agilent)を使用して組織を囲むように丸を描いた。1時間RTにおいて、400μLのブロッキング血清(ヤギ)と共に切片のインキュベーションを行った。ブロッキング血清を除去し、200μLの一次抗体(ウサギIgG抗ヒトCEA)を切片に添加し、続いて暗くしたチャンバー内で一晩4℃でインキュベーションした。2日目に、切片を10分間PBSで2回洗浄し、400μLのブロッキング血清を添加した。1時間RTにおけるインキュベーション後に、ブロッキング血清を除去し、200μLの二次抗体(Alexa Fluor 488標識ヤギ抗ウサギIgG)および対比染色(ヘキスト)を切片に添加し、続いて暗くしたチャンバー内で2時間RTでインキュベーションした。次に、スライドを10分間PBSで2回洗浄した。最後に、蛍光マウント用培地(Dako S3023;Agilent)およびカバーガラスをスライドに加え、その後これを風乾させ、−20℃の暗所に貯蔵した。染色したスライドの解析は、Zeiss Axio Scope.A1モジュラー顕微鏡を使用して行った。
【0753】
CEA−DOTAMの染色
凍結した腫瘍切片は、一次抗体の代わりにPBSを用いた以外は上のCEA染色について記載されている通りに、貯蔵および処理した。二次抗体は、Alexa Fluor 555で標識したヤギ抗ヒトIgGであった。
【0754】
H&E染色
プロトコール116由来の凍結した腫瘍切片のヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色は、Leica Autostainer XL自動スライド染色装置を使用して行った。
【0755】
体内分布
プロトコール121におけるマウスは、体内分布を調べる目的のため屠殺し、終結前に後眼窩出血によりその血液を収集した。加えて、膀胱、小腸、結腸、脾臓、膵臓、腎臓、胃、肝臓、肺、心臓、脳、大腿骨、筋肉、皮膚、尾および腫瘍を安楽死後に採集し、放射能に関して測定した。
【0756】
結果
免疫蛍光染色 − プロトコール116
未処置コントロールは、収集した腫瘍に均一に分布した高レベルのCEAを呈した。CEA−DOTAM BsAbのコントロール染色は、予想通りシグナルをもたらさなかった。
【0757】
CEA−DOTAM BsAbを注射したマウス由来の腫瘍を4、7および14日p.i.に採取した。4日目に、BsAbは、組織内の腫瘍細胞小結節の境界を完全に覆っていたが、より大きい小結節には完全に浸透した訳ではなかった。これは、明るく赤色の境界にある細胞層に囲まれた、より暗いヘキスト染色区域の存在によって示される。7日後に、CEA−DOTAM染色由来のシグナルは、より均一に分布しているように見え、暗い内部区域を有するより少ない腫瘍細胞構造が存在した。1週間後、14日p.i.に、蛍光シグナルの分布は、7日間時点と同様のままであったが、全体的により低いシグナルであった。
【0758】
212Pb−DOTAMの照射を含む全PRITサイクルを投与した2群由来の腫瘍試料は、放射線誘発性細胞死による壊死区域を呈した。知見は、細胞膨張、細胞細部の喪失(ゴースト細胞)、一部の核非定型性(nuclear atypia)、および間質性線維症の潜在的増加を含んだ。第1のBsAb注射の2週間後にCEA−DOTAMの第2の用量を受けた群Fにおけるマウス由来の腫瘍は、高く均一なCEA発現を保持し、第2のBsAb注射の4日間後のCEA−DOTAM分布は、非照射腫瘍のものに似ていた、すなわち、BsAbは、腫瘍の全てのCEA発現部分に分布したが、ある特定のより大きい構造への浸透は限られており、画像上により暗い区域をもたらした。対応するコントロール試料は、初期PRITサイクル後に第2のBsAb注射を受けなかった群Gから同時に取得した。これらの腫瘍切片において、CEA−DOTAM染色に微かなシグナルを観察することができ、ある量のBsAbが、注射18日後に依然として腫瘍結合性であったことを示す。
【0759】
体内分布 − プロトコール121
BxPC3腫瘍を有するSCIDマウスにおける平均
203Pb蓄積およびクリアランスを
図48に示す。CAの助けなしの抗体から予想される通り、血液クリアランスはゆっくりであった。正常臓器または組織において、標識BsAbの予想外の取り込みがないことが明らかになった。注射1日後の49%ID/gの平均から開始し、それぞれ4、7および10日目に130、189および197%ID/gへと増加する、経時的な腫瘍蓄積を
図49に示す。標識ネガティブコントロールは、注射後4日目に3%ID/gにより、腫瘍蓄積をもたらさなかった。
【0760】
シダックの多重比較検定を使用した一方向分散分析(ANOVA)により統計解析を行って、異なる時点での腫瘍取込みにおける認知される差が有意であったか評価した。検定によると、有意な
203Pb蓄積増加は、1および7日目、ならびに1および10日目の間でのみ達成された;他の時点は互いに有意に異ならなかった。独立t検定を使用した単なる4対7日間の検定は、7日間に統計的に有意な増加をもたらし(p=0.0468)、一方、7対10日間に対応する検定を行っても、有意な増加は見られなかった(p=0.8316)。
【0761】
結論
結果は、注射4および7日後の間で腫瘍における203Pb−BsAb取り込みの全体的な増加を示したが、時間間隔を10日間に拡張した場合に、さらなる改善は達成されなかった。顕微鏡下で、腫瘍へのBsAb浸透は、4日後と比較して、7日後に改善された。14日時点での利益は見られず、この時点までに、全体的な蛍光シグナルは、腫瘍内分布を改善することなく、減少するように思われる。本試験は、4日間よりも、7日間のBsAb−CA時間間隔を選ぶことを支持する。
【0762】
実施例33:体内分布(腫瘍および正常組織への吸収放射線量の推定のための、in vivo
212Pb−DOTAM分布データ)(プロトコール146)
プロトコール146は、s.c.BxPC3腫瘍を保有するSCIDマウスにおける、腫瘍および正常組織への吸収放射線量の推定のために、PRIT後のin vivo
212Pb−DOTAM分布データをもたらすように設計した。Caを使用して
212Pb−DOTAMのクエンチングを行った(実施例34を参照)。
【0763】
CEA−DOTAM BsAb、続いて7日後、CAの注射により、プレターゲティングを行った。24時間後に、
212Pb−DOTAMを投与した。放射能注射5分後から48時間後の複数の時点で、マウスの群を屠殺し、放射能測定のために血液および臓器を採集した。代謝ケージの使用により、選択された時点で排泄物をサンプリングして、放射能化合物の排泄率を評価した。その結果生じる時間−放射能曲線を使用した確立された方法により、吸収線量を最後に計算した。
【0764】
試験設計
プロトコール146の経時変化および設計を下の2つの表に示す。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0765】
固形異種移植片は、8週齢SCIDマウス(Envigo)へのBxPC3細胞のs.c.注射により確立した。接種28日後に、310mm
3の平均腫瘍体積により、マウスを実験群へと選別した。
【0766】
群EおよびFにおけるマウスは、焼却処理した床の代謝ケージ内に、個々に収容した(すなわち、1ケージにつき1匹のマウス)。放射能注射2、6および24時間後に、各ケージから尿および糞便を収集し、放射能に関して個々の試料をその後測定した。群Fにおけるマウスは、24時間p.i.に通常ケージに移した。
【0767】
終結前に後眼窩出血により全マウスから血液/血清を収集した。安楽死の後に、放射能測定および%ID/gの計算のため、次の追加的な臓器および組織を採集した:膀胱、子宮、小腸、結腸、脾臓、膵臓、腎臓、胃、肝臓、肺、心臓、脳、大腿骨、皮膚、筋肉、腹部脂肪、尾および腫瘍。
【0768】
照射線量測定
医療内部被ばく線量(Medical Internal Radiation dose)(MIRD)委員会のパンフレット21号(Bolch WE、Eckerman KF、Sgouros GおよびThomas SR. J Nucl Med 2009;50:477〜484)に概要が述べられている形式に従って、吸収線量を計算した。公式には、標的組織または領域r
Tにおける吸収線量D(r
T)は、全ての供給源領域r
Sを合計した、単位放射能あたりの吸収線量率S(r
T←r
S)を乗じた、放射能A(r
S,t)の時間積分として計算される。
212Pb崩壊系列によって放出された圧倒的多数のエネルギーが、アルファ線に由来し、さらに、アルファ線のはるかにより高い生物学的有効性(相対生物学的有効性、RBEによって特徴づけられる通り)によると仮定すると、次の2つの見積もりが得られた:
1.エネルギーは、アルファ粒子の短い範囲により、局所的に吸収され、これは、項S(r
T←r
T)のみが考慮されることを意味し、
2.ベータおよびガンマ線からの寄与が無視される。
【0769】
アルファ崩壊によって放出されるエネルギー、またはむしろ、ここで単位J/(μCi・h)で表現される
212Pbの崩壊系列におけるアルファ崩壊によって放出される平均エネルギーの和であるΔαにより、標的組織または領域r
Tにおける吸収線量は、次式によって計算される:
[この文献は図面を表示できません]
【0770】
計算は、[%ID/g]
tとして表現される、時間tにおける複合(平均)崩壊補正放射能濃度に基づく。第1のステップにおいて、これは、標的組織r
Tに関する組織重量1kgあたりのμCiとしての放射能濃度へと転換される:
[この文献は図面を表示できません]
A
0[μCi]は、注射された放射能であり、λは、
212Pbの指数関数的崩壊速度0.0651h
-1(10.6時間の半減期に対応)である。
【0771】
第2のステップにおいて、放射能濃度は、組織毎に時間について積分された。これは、薬物動態ソフトウェアPhoenix WinNonlin 6.4(Certara USA、Inc.、米国08540ニュージャージー州プリンストン、スイート101、100オーバールックセンター(100 Overlook Center, Suite 101))における「線形対数台形計算方法」を使用して達成された。モデルタイプ「Plasma」を均一重み付けにより使用した。
【0772】
最終ステップにおいて、放射能濃度の時間積分に、エネルギー放出Δα=170・10
−6J/(μCi・h)を乗じることにより、吸収線量を計算した。その上、MIRDパンフレット22号(Sgouros G、Roeske JC、McDevitt MRら、J Nucl Med 2010;51:311〜328)に示唆される通り、5のRBEを使用して、RBE重み付け吸収線量を計算した。
【0773】
結果
体内分布
腫瘍を有するSCIDマウスにおける平均
212Pb蓄積およびクリアランスを
図50に示す。放射能蓄積は、腫瘍において高く、既に注射5分後に17%ID/gであり、6時間p.i.までに40%超に増加し、当該レベルで少なくとも48時間残っていた。腫瘍がない状態と比較して、正常組織において、大きな差は発見されなかった。
【0774】
吸収線量
プロトコール146のために計算されたGy単位の平均吸収線量を表24に、絶対値として(RBE=1)、およびアルファ放射体のより高い細胞毒性に対する補正して(RBE=5)の両方で示す。SCIDマウスに関して、平均体重は、18.5gであった;20μCiの注射された
212Pb放射能により、これは、1.1μCi/g体重の正規化された注射された放射能をもたらした。
【0775】
およそ20Gyの吸収線量が、腫瘍において達成されたが、吸収線量は、膀胱を除いた大部分の正常組織において2Gyをはるかに下回ったままであった。膀胱における
212Pb含有量は、個々のマウスの間で有意に異なり、この組織に対する高い可変性を示す。RBE補正された線量を提供して、外部ガンマ線を使用した放射線療法との比較を可能にし、注射した
212Pb−DOTAMの20μCiあたりおよそ100Gyの腫瘍への推定吸収線量をもたらした。
[この文献は図面を表示できません]
【0776】
結論
およそ20Gyの吸収線量が、腫瘍において達成されたが、大部分の正常組織における吸収線量は、2Gyをはるかに下回ったままであった。全体的に見て、本試験は、評価されるPRITレジメンを使用した、用量規制毒性の主要リスクを示さなかった。
【0777】
実施例34:非キレート化DOTAMのクエンチング(プロトコール131)
アルファ放射体
212Pbは、トリウム含有樹脂からの溶出後にDOTAMにキレート化され、薬理学的に活性な
212Pb−DOTAMを産生する。放射標識後に、過剰(>99%)な遊離非キレート化DOTAMが、溶液中に残り、環境から金属イオンを容易に捕捉する。患者への注射後に、これは、循環中のCa
2+に急速に結合し、薬理学的に不活性なCa−DOTAMを形成するであろう。CEA−DOTAM BsAbは、Pb−DOTAMに優先的に結合するように設計されているが、匹敵する程度でCa−DOTAMとも安定した複合体を形成するであろう。結果として、プレターゲティングされた腫瘍部位からの
212Pb−DOTAMのブロックが、飽和条件で起こり得、PRIT処置の有効性を潜在的に減少させる。したがって、潜在的な競合を回避するために、クエンチングステップが、
212Pb−DOTAM溶出プロセスに加えられ、それによると、金属イオン(「X」)が、有意により高い解離定数(Kd)を有する「X−DOTAM」の形成を制御するために導入される。KinExA(動力学排除アッセイ)平衡測定によって決定される、様々なX−DOTAMキレートに対するDOTAM結合剤の親和性を下表に示す。
[この文献は図面を表示できません]
【0778】
クエンチングにための初期選択は、Cuであったため、非キレート化DOTAMをクエンチされた非競合Cu−DOTAMに置き換え、この条件を使用してCEA−PRITプログラム内の多数の試験を実行した。しかし、Cu−DOTAM複合体が、実際には、in vivoで安定していなかったことが後に発見され、試験を行って、ヒトおよびマウスの血清、血漿および血液において、代替クエンチングイオンと比較してその安定性を評価した。選択されたイオンは、一方では、同様の親和性を有するPbおよびCaであり、他方では、有意により低い親和性を有するZnおよびCuであった。本試験は、35分p.i.における自発的Ca−DOTAM形成によって測定される、ヒトおよびマウス血液における、Cu−DOTAMと比較してZn−DOTAMの有意により高い安定性を実証し、Zn−DOTAMの0%および0%、ならびにPb−DOTAMの4%および4%と比較して、初期に注射されたCu−DOTAMに関して、それぞれマウスおよびヒトの血液においておよそ25%および30%に達した。
【0779】
プロトコール131は、in vivoでDOTAMクエンチング候補金属を評価し、CEA−DOTAMによるプレターゲティングおよびPb−DOTAM−デキストラン−500による除去後の
212Pb−DOTAMの腫瘍および正常組織蓄積におけるその効果を比較するように設計した。DOTAMとの合理的なin vitro複合体安定性を有するZnおよびGdを、Cuとのサイド・バイ・サイドで評価した。加えて、Caおよび安定Pbをコントロールとして使用した。試験概要を
図51に示す。
【0780】
プロトコール131の経時変化および設計を下の2つの表に示す。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0781】
固形異種移植片は、5〜7週齢SCIDマウスの右側腹部へのBxPC3細胞のs.c.注射により確立した。腫瘍細胞注射18日後に、200mm
3の平均腫瘍体積により、マウスを実験群へと選別した。接種後26日目に
212Pb−DOTAMを注射し、このポイントで、平均腫瘍体積は350mm
3であった。
【0782】
表「プロトコール131における試験群」および
図51に従ったi.v.投与のために100μLあたり100μgの最終濃度となるよう、20mM His/His−HCl、140mM NaCl、pH6.0において抗体を希釈した。BsAb注射7日後に、CAを解凍し、i.v.投与のために100μLあたり25μgの最終濃度となるようPBSにおいて希釈した。さらに24時間後、5種の異なる金属のいずれかを使用してクエンチされた
212Pb−DOTAMをi.v.注射した(100μL 0.9%NaClにおける10μCi)。
【0783】
212Pb−DOTAMの注射2時間後に、体内分布を調べる目的のためにマウスを屠殺し、次の組織および臓器を採集した:血液、膀胱、脾臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、尾および腫瘍。
【0784】
結果
212Pb−DOTAM注射2時間後の全ての収集された組織における平均
212Pb蓄積およびクリアランスを
図52に示す。Pbコントロールと比較して、クエンチング金属のいずれかの間の平均%ID/gに統計的有意差はなかった(ダネットの多重比較検定による二方向ANOVA)。腫瘍および選択された正常組織の個々の値を
図53に示す。
212Pb含有量におけるより大きい個々の差異が、他の金属と比較して、ZnおよびGdによるクエンチング後の脾臓および筋肉において観察されたが、異なる処置群の間の平均%ID/gにおける差は、有意でなかった(チューキーの多重比較検定による一方向ANOVA)。
【0785】
結論
プロトコール131は、Ca−またはPb−クエンチングと比較して、DOTAMのZn−、Gd−またはCu−クエンチングからの、プレターゲティングされた
212Pb−DOTAMの腫瘍および正常組織蓄積における効果を評価した。
212Pbの腫瘍取込みにおける差は観察されず、適用された実験条件下でコントロールCaおよびPbを使用して、プレターゲティングされた結合部位の有意なブロックがないことを示す。ZnおよびGdによるクエンチング後に、脾臓および筋肉における
212Pb含有量の差異増加が観察され、
212Pb−DOTAMと競合する金属−DOTAM複合体が、非標的化組織における非CA結合CEA−DOTAMの中和に寄与し得ることを示す。Cuによるクエンチングは、Caクエンチングに匹敵する結果をもたらし、示されたCu−DOTAMのin vivo不安定性をさらに確認する。3つの主要な理由により、DOTAMのクエンチングのためにCaを最終的に選んだ:Cuクエンチングと比較した、
212Pb−DOTAM溶液のin vivo製剤の制御増加;
212Pbの正常組織取り込みにおける可変性を低下させる、非CA結合BsAbの中和を増大させる潜在力;および亜飽和条件下で容易に到達可能な標的への即時結合により、抗原に対し高い親和性を有する分子の浸透が制限される、仮定上の「結合部位障壁」現象の効果を低下させる潜在力。
【0786】
実施例35:PRITのためのCD20−DOTAMおよびHER2−DOTAMの評価(プロトコール151および152)
プロトコール151および152は、それぞれ完全ヒト化BsAbのCD20−DOTAMおよびHER2−DOTAMによってプレターゲティングされたマウスにおける皮下腫瘍への
212Pb−DOTAMの結合を評価することを目標とした。抗体コンストラクト、続いて7日間後にCa−DOTAM−デキストラン−500 CA、最後に24時間後に
212Pb−DOTAMの注射により、3段階PRITを行った。放射能注射24時間後にマウスを屠殺し、放射能測定のために血液および臓器を採集した。
【0787】
試験設計
プロトコール151および152の経時変化および設計を次の4つの表に示す。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0788】
固形異種移植片は、プロトコール151において、DMEM培地におけるCD20発現WSU−DLCL2ヒトB細胞リンパ腫細胞の、9週齢SCIDマウスへのs.c.注射により確立した。腫瘍細胞注射4日後に、105mm
3の平均腫瘍体積により、マウスを実験群へと選別した。接種後13日目に
212Pb−DOTAMを注射し、このポイントで、平均腫瘍体積は242mm
3であった。
【0789】
プロトコール152において、10週齢SCIDマウスに、RPMI1640培地におけるHER2発現NCI−N87ヒト胃癌細胞のs.c.注射により異種移植した。腫瘍細胞注射14日後に、74mm
3の平均腫瘍体積により、マウスを実験群へと選別した。接種後22日目に
212Pb−DOTAMを注射した;21日目に平均腫瘍体積は61mm
3であった。
【0790】
放射能注射24時間後に、体内分布検査マウスを屠殺した。麻酔下で後眼窩出血により終結前に血液を収集した。安楽死の後に全マウスを剖検し、皮膚、膀胱、胃、小腸、結腸、脾臓、膵臓、腎臓、肝臓、肺、心臓、大腿骨、筋肉、尾および腫瘍の追加的な収集を行った。
【0791】
結果
体内分布 − プロトコール151
注射24時間後の全ての収集された組織における平均
212Pb含有量を
図54に示す。ネガティブコントロールBsAb DIG−DOTAMは、WSU−DLCL2腫瘍に放射能蓄積を生じなかったが(0.4±0.3%ID/g)、CD20−DOTAM BsAbは、25.0±3.7%ID/gをもたらした。膀胱(12.5±4.5%ID/g)、腎臓(3.1±0.3%ID/g)および肺(2.2±0.2%ID/g)を除いて、正常組織/臓器に有意な
212Pb取り込みは見られなかった。
【0792】
体内分布 − プロトコール152
注射24時間後の全ての収集された組織における平均
212Pb含有量を
図55に示す。ネガティブコントロールBsAb DIG−DOTAMは、NCI−N87腫瘍に放射能蓄積を生じなかったが(0.8±0.4%ID/g)、HER2−DOTAM BsAbは、24.6±1.5%ID/gをもたらした。非常に低い値の腎臓(1.6±0.1%ID/g)および肺(1.4±0.2%ID/g)を除いて、正常組織/臓器に有意な
212Pb取り込みは見られなかった。
【0793】
結論
プロトコール151および152の結果は、CEA−PRITのために開発された3段階プレターゲティング手法を使用した、CD20−PRITおよびHER2−PRITの特異的標的化およびin vivo概念実証を実証した。
【0794】
実施例36:他の形式のためのin vivo分布および腫瘍蓄積データ(プロトコール154)
プロトコール154は、PRITのための5種の新規CEA−DOTAM BsAbコンストラクトの使用を評価することを目標とした。本プロトコールは、皮下HPAF−II異種移植片を保有するSCIDマウスにおける
212Pb−DOTAMのin vivo分布および腫瘍蓄積データをもたらすように設計された。CEA−DOTAMコンストラクト、続いて7日後にCa−DOTAM−デキストラン−500 CA、最後にCAの24時間後に
212Pb−DOTAMの注射により、3段階PRITを行った。放射能注射6時間後にマウスを屠殺し、放射能測定のために血液および臓器を採集した。標準CEA−DOTAM BsAbおよび非CEA結合BsAbを使用したPRITとの比較を行った。試験概要を
図56に示す。
【0795】
試験設計
プロトコール154の経時変化および設計を下の2つの表に示す。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0796】
固形異種移植片は、9週齢マウスの右側腹部へのHPAF−II細胞のs.c.注射により確立した。腫瘍細胞注射11日後に、79mm
3の平均腫瘍体積により、マウスを実験群へと選別した。接種後20日目に
212Pb−DOTAMを注射し、このポイントで、平均腫瘍体積は230mm
3であった。
【0797】
表「プロトコール154における試験群」および
図56に従ったi.v.投与のために100μLあたり100μgの最終濃度となるように、20mM His/His−HCl、140mM NaCl、pH6.0において全ての抗体を希釈した。BsAb注射7日後に、CAを解凍し、i.v.投与のために100μLあたり25μgの最終濃度となるようにPBSにおいて希釈した。さらに24時間後、Caによりクエンチされた
212Pb−DOTAMをi.v.注射した(100μL 0.9%NaClにおける10μCi)。
【0798】
212Pb−DOTAMの注射6時間後に、体内分布を調べる目的のためにマウスを屠殺し、次の組織および臓器を採集した:血液、皮膚、膀胱、胃、小腸、結腸、脾臓、膵臓、腎臓、肝臓、肺、心臓、大腿骨、筋肉、脳、尾および腫瘍。
【0799】
結果
注射6時間後の全ての収集された組織における平均
212Pb蓄積およびクリアランスを
図57に示す。血液含有量および腫瘍蓄積を
図58にさらに詳細に示す。ネガティブコントロールBsAb DIG−DOTAMは、腫瘍における放射能蓄積を生じなかったが(1.4±0.1%ID/g)、標準CEA−DOTAM BsAbは、36.8±3.4%ID/gをもたらした。新規コンストラクトに関して、対応する数値は、31.8±3.1%ID/g(P1AE1766)、35.0±8.5%ID/g(P1AE1767)、14.2±6.7%ID/g(P1AE1768)、38.8±10.1%ID/g(P1AE1769)および39.5±6.8%ID/g(P1AE1770)であった。P1AE1768の有意により低い腫瘍蓄積は、この抗体コンストラクトのCEA一価性によって説明することができる。
【0800】
放射能が、このPRITレジメンのための6時間p.i.で一般に見られるレベルに達した膀胱を除いて、正常組織/臓器に有意な
212Pb取り込みは見られなかった。
【0801】
結論
本試験の結果は、3段階PRITのために全ての被験CEA−DOTAM抗体コンストラクト(P1AE1766、P1AE1767、P1AE1768、P1AE1769およびP1AE1770)のin vivo概念実証を実証した。
【0802】
実施例37:CD20−PRIT有効性(プロトコール162)
本試験の目標は、代替標的:表面抗原分類20(CD20)に対して作製されたCEA−PRITのために開発された処置レジメンの概念実証を示すことであった。皮下WSU−DLCL2腫瘍を有するマウスにおける3サイクルのCD20−PRITの後に、治療有効性を評価した。次のものとの比較も行った:注射前に
212Pb−DOTAMとプレインキュベートしたBsAbを使用した1段階CD20−RIT;CD20に対して作製されたI型モノクローナル抗体であるリツキシマブ、およびCD20+疾患の処置における参照;ならびに同様にCD20に対して作製されたII型モノクローナル抗体であるGA101。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0803】
図59に図示されている実験スケジュールに従って動物を処置した。固形WSU−DLCL2異種移植片は、右側腹部への1.5×10
5個の細胞の皮下注射により、8週齢SCIDマウスにおいて試験0日目に確立した。腫瘍細胞注射7日後に、144mm
3の平均腫瘍体積により、マウスを実験群へと選別した。接種後15日目に
212Pb−DOTAMを注射した;平均腫瘍体積は14日目に306mm
3であった。
【0804】
群A〜Gにおけるマウスを追跡して、処置の有効性を評価した。PRITのため、投与された放射能は、1サイクルあたり20μCiであったが、1段階RITのための対応する放射能は、このレジメンを使用した血液および正常組織におけるより長い保持時間に続く急性放射線誘発毒性を回避するために、10μCiであった。
【0805】
212Pb−DOTAMまたは
212Pb−DOTAM−BsAbのそれらの第1のかつ唯一の注射の24時間後に、群H、IおよびLにおけるマウスを屠殺し、体内分布を調べる目的のため剖検した;群JおよびKは、それぞれそれらの第2および第3の
212Pb−DOTAM注射の24時間後に屠殺し剖検した。これらのマウスから次の臓器および組織を採集した:血液、膀胱、脾臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、尾、皮膚および腫瘍。収集された試料を秤量し、次いで2470 WIZARD
2自動ガンマ計数器(PerkinElmer)を使用して放射能に関して測定し、崩壊およびバックグラウンドに対する補正を含む、組織1グラムあたりのパーセント注射用量(%ID/g)をその後計算した。
【0806】
PRITのため、i.p.投与のために200μLあたり100μgの最終濃度となるように、20mMヒスチジン、140mM NaCl(pH6.0)においてCEA−DOTAM BsAbまたはDIG−DOTAM(ネガティブコントロールBsAb)のいずれかを希釈した。BsAb注射7日後に、Ca−DOTAM−デキストラン−500 CAをi.p.投与し(200μLあたり25μg)、続いて24時間後、Caクエンチされた
212Pb−DOTAM(100μLにおける20μCi)を投与した。
【0807】
1段階RITで処置したマウスは、i.v.注射(100μLの0.9%NaClにおける20μCi/20μg BsAb)前に
212Pb−DOTAMをCD20−DOTAM BsAbと共に10分間37℃でインキュベートすることにより調製された、予め結合した
212Pb−DOTAM−CD20−DOTAMを受けた。
【0808】
リツキシマブ(MabThera(登録商標))またはGA101(オビヌツズマブ)で処置したマウスは、200μLにおける600μgの最終濃度となるように20mMヒスチジン、140mM NaCl(pH6.0)において希釈したそれぞれの抗体をi.v.注射した。PRITおよびRIT処置群のための放射能注射と同日に注射を行った。
【0809】
予備的結果、162
本試験は、本実施例の執筆時にまだ進行中であるが、それ相応の予備的結果を報告することができる:
注射24時間後の全ての収集された組織における平均
212Pb蓄積およびクリアランスを第1の処置サイクルに関して
図60に示す。ネガティブPRITコントロールは、腫瘍における取り込みをもたらさなかった(0.7%ID/g)。腫瘍取込みは、CD20−PRITおよびCD20−RITの両方に関して22%ID/gであった。
【0810】
評価される処置に関する平均腫瘍発達を
図61に示す。非処置ビヒクル群、DIG−DOTAM群および抗体ベースの処置群における腫瘍は、着実に増殖した。対照的に、CD20−RITおよびCD20−PRIT群における腫瘍は、第1の処置サイクル後にサイズが減少した。
【0811】
全ての治療群におけるBW発達を
図62に示す。20μCiの
212Pb−DOTAMの複数の注射は、良好な耐容性を示したが、10μCiの予め結合した
212Pb−DOTAM−CD20−DOTAMは、BWの有意な降下をもたらした。
【0812】
概要および結論
本試験は、CEA−PRITのために以前に実証されたものに匹敵する腫瘍増殖阻害の指標により、CD20−PRITの概念実証を示した。CD20−PRIT処置は、良好な耐容性を示し、これは、1段階CD20−RIT処置には当てはまらなかった。
【0813】
本発明のさらなる実施形態
以下の番号付きの陳述は、本発明のある特定のさらなる態様および実施形態である。
【0814】
1.DOTAM−鉛(Pb)キレートに特異的な抗原結合部位を含む抗体であって、前記抗原結合部位が、少なくとも、
a)アミノ酸配列FIGSRGDTYYASWAKG(配列番号2)を含む重鎖CDR2、または配列番号2中に1、2、もしくは3個までの置換を有し、これらの置換がPhe50、Asp56、およびTyr58を含まず、必要に応じて、Gly52および/もしくはArg54も含まない、そのバリアント;
b)アミノ酸配列ERDPYGGGAYPPHL(配列番号3)を含む重鎖CDR3、または配列番号3中に1、2、もしくは3個までの置換を有し、これらの置換がGlu95、Arg96、Asp97、Pro98を含まず、必要に応じて、Ala100C、Tyr100D、および/もしくはPro100Eも含まない、ならびに/または必要に応じて、Tyr99も含まない、そのバリアント;
c)アミノ酸配列QSSHSVYSDNDLA(配列番号4)を含む軽鎖CDR1、または配列番号4中に1、2、もしくは3個までの置換を有し、これらの置換がTyr28およびAsp32を含まない、そのバリアント;
d)アミノ酸配列LGGYDDESDTYG(配列番号6)を含む軽鎖CDR3、または配列番号6中に1、2、もしくは3個までの置換を有し、これらの置換がGly91、Tyr92、Asp93、Thr95cおよびTyr96を含まない、そのバリアント
を含み、
番号付けが、カバットによるものである、抗体。
【0815】
2.重鎖CDR1と軽鎖CDR2とをさらに含む、段落1に記載の抗体。
【0816】
3.i)アミノ酸配列GFSLSTYSMS(配列番号1)を含む重鎖CDR1もしくは配列番号1中に1、2、もしくは3個までの置換、必要に応じて、保存的置換を有するそのバリアント;および/または
ii)アミノ酸配列QASKLAS(配列番号5)を含む軽鎖CDR2もしくは配列番号5中に少なくとも1、2、もしくは3個の置換、必要に応じて、保存的置換を有するそのバリアント
を含む、段落2に記載の抗体。
【0817】
4.抗原結合部位が、
a)アミノ酸配列GFSLSTYSMS(配列番号1)を含む重鎖CDR1
b)アミノ酸配列FIGSRGDTYYASWAKWG(配列番号2)を含む重鎖CDR2
c)アミノ酸配列ERDPYGGGAYPPHL(配列番号3)を含む重鎖CDR3
d)アミノ酸配列QSSHSVYSDNDLA(配列番号4)を含む軽鎖CDR1
e)アミノ酸配列QASKLAS(配列番号5)を含む軽鎖CDR2
f)アミノ酸配列LGGYDDESDTYG(配列番号6)を含む軽鎖CDR3
から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのCDRを含む、段落1から3のいずれかに記載の抗体。
【0818】
5.i)配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを有する抗体;または
i)配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを有する抗体
と、Pb−DOTAMキレートの、同じエピトープ、または重複するエピトープに結合する、段落1から4のいずれか1つに記載の抗体。
【0819】
6.ヒト、キメラまたはヒト化されたものである、段落1から5のいずれか1つに記載の抗体。
【0820】
7.抗原結合部位が、配列番号7および配列番号9からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、または配列番号7もしくは配列番号9に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントを含む、段落1から6のいずれか1つに記載の抗体。
【0821】
8.抗原結合部位が、配列番号8および配列番号10からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、または配列番号8もしくは配列番号10に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントを含む、段落1から7のいずれか1つに記載の抗体。
【0822】
9.抗原結合部位が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、段落1から8のいずれか1つに記載の抗体。
【0823】
10.抗原結合部位が、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、段落1から11のいずれか1つに記載の抗体。
【0824】
11.抗原結合部位が、100pM、50pM、20pM、10pM、5pM、1pM以下のKd値でPb−DOTAMキレートに結合する、段落1から10のいずれか1つに記載の抗体。
【0825】
12.抗原結合部位が、Pb−DOTAMキレートおよびBi−DOTAMキレートに結合し、Bi−DOTAMキレート/Pb−DOTAMキレートのKd値の比が、0.1〜10または1〜10の範囲にある、段落1から11のいずれか1つに記載の抗体。
【0826】
13.全抗体である、またはFv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)
2、ダイアボディ、直鎖状抗体、もしくは単鎖抗体分子からなる群から選択される抗体断片である、段落1から12のいずれか1つに記載の抗体。
【0827】
14.抗体が、標的抗原に特異的に結合する部分にカップリングされている、段落1から13のいずれか1つに記載の抗体。
【0828】
15.標的抗原が、腫瘍特異的抗原である、段落14に記載の抗体。
【0829】
16.多重特異性または二重特異性抗体、必要に応じて、段落17から51のいずれか1つに記載の多重特異性抗体または二重特異性抗体である、段落14または15に記載の抗体。
【0830】
17.Pb−DOTAMキレートに特異的な少なくとも1つの抗原結合部位と、標的抗原のための少なくとも1つの抗原結合部位とを含む多重特異性または二重特異性抗体。
【0831】
18.Pb−DOTAMキレートに特異的な抗原結合部位が、段落1から12のいずれか1つに定義された通りである、段落17に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0832】
19.標的抗原が、腫瘍特異的抗原である、段落17または18に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0833】
20.腫瘍特異的抗原が、CEA、HER2およびCD20からなる群から選択される、段落19に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0834】
21.腫瘍特異的抗原が、がん胎児性抗原(CEA)である、段落20に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0835】
22.多重特異性または二重特異性抗体が、Pb−DOTAMキレートに特異的な少なくとも1つの抗原結合部位と、CEAに特異的な少なくとも1つの抗原結合部位とを含み、CEAに特異的な抗原結合部位が、少なくとも1、2もしくは3つの重鎖CDRを含む重鎖を含み、
d)重鎖CDR1が、配列番号11のアミノ酸配列を含む
e)重鎖CDR2が、配列番号12のアミノ酸配列を含む
f)重鎖CDR3が、配列番号13のアミノ酸配列を含む;
および/またはCEAに特異的な抗原結合部位が、少なくとも1、2、もしくは3つの軽鎖CDRを含み、
a)軽鎖CDR1が、配列番号14のアミノ酸配列を含む;
b)軽鎖CDR2が、配列番号15のアミノ酸配列を含む;
c)軽鎖CDR3が、配列番号16のアミノ酸配列を含む、
段落17から21のいずれか1つに記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0836】
23.CEAのための抗原結合部位が、
a)配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
b)配列番号12のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
c)配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
d)配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
e)配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;
f)配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3
から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つ(すなわち、全部)のCDRを含む、段落22に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0837】
24.多重特異性または二重特異性抗体が、Pb−DOTAMキレートに特異的な少なくとも1つの抗原結合部位と、CEAに特異的な少なくとも1つの抗原結合部位とを含み、CEAに特異的な抗原結合部位が、
i)配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、もしくは配列番号17に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアント;および/または
ii)配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、もしくは配列番号18に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアント
を含む、段落17から23のいずれか1つに記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0838】
25.CEAに特異的な抗原結合部位が、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび/または配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、段落24に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0839】
26.多重特異性または二重特異性抗体が、Pb−DOTAMキレートに特異的な少なくとも1つの抗原結合部位と、ERBB2に特異的な少なくとも1つの抗原結合部位とを含み、ERBB2に特異的な抗原結合部位が、(a)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR−H2;(c)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのCDRを含む、段落17から20のいずれか1つに記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0840】
27.多重特異性または二重特異性抗体が、Pb−DOTAMキレートに特異的な少なくとも1つの抗原結合部位と、ERBB2に特異的な少なくとも1つの抗原結合部位とを含み、ERBB2に特異的な抗原結合部位が、
i)配列番号34のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、もしくは配列番号34に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアント;および/または
ii)配列番号35のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、もしくは配列番号35に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアント
を含む、段落17から20または26のいずれか1つに記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0841】
28.ERBB2に特異的な抗原結合部位が、配列番号34のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび/または配列番号35のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、段落27に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0842】
29.多重特異性または二重特異性抗体が、Pb−DOTAMキレートに特異的な少なくとも1つの抗原結合部位と、CD20に特異的な少なくとも1つの抗原結合部位とを含み、CD20に特異的な抗原結合部位が、(a)配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR−H2;(c)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのCDRを含む、段落17から20のいずれか1つに記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0843】
30.多重特異性または二重特異性抗体が、Pb−DOTAMキレートに特異的な少なくとも1つの抗原結合部位と、CD20に特異的な少なくとも1つの抗原結合部位とを含み、CD20に特異的な抗原結合部位が、
i)配列番号45のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、もしくは配列番号45に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアント;および/または
ii)配列番号46のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、もしくは配列番号46に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアント
を含む、段落17から20または29のいずれか1つに記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0844】
31.CD20に特異的な抗原結合部位が、配列番号45のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび/または配列番号46のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、段落30に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0845】
32.Fc領域を含む、段落17から31のいずれか1つに記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0846】
33.Fc領域がエフェクター機能を低下させるように操作されている、段落32に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0847】
34.Fc領域残基234、235、238、265、269、270、297、327および/または329のうちの1つまたは複数の置換によるFc領域、段落33に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0848】
35.第1および第2の抗体重鎖と、第1および第2の抗体軽鎖とを含む完全長抗体を含み、第1の重鎖と第1の軽鎖とが集合して、第1の抗原のための抗原結合部位を形成し、第2の重鎖と第2の軽鎖とが集合して、第2の抗原のための抗原結合部位を形成し、
第1または第2の抗原のいずれかがPb−DOTAMキレートであり、他方が標的抗原である、段落32から34のいずれか1つに記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0849】
36.第1の抗原のためのさらなる抗原結合部分をさらに含む、段落35に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0850】
37.第1および第2の抗体重鎖と、第1および第2の抗体軽鎖とを含む完全長抗体であって、第1の重鎖と第1の軽鎖とが集合して、第1の抗原のための抗原結合部位を含むFabを形成し、第2の重鎖と第2の軽鎖とが集合して、第2の抗原のための抗原結合部位を含む交差Fabを形成する、完全長抗体を含み;
第1または第2の抗体重鎖のいずれかが、リンカーを介して、CH1およびVHドメインを含むポリペプチドに融合されており、第1および第2のポリペプチドが集合して、第1の抗原のための抗原結合部位を含むFabを形成するように、前記第1のポリペプチドが、CLおよびVLを含む第2のポリペプチドと集合する、段落36に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0851】
38.第2の抗体重鎖のN末端が、リンカーを介して前記第1のポリペプチドに融合されている、段落37に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0852】
39.i)第1の抗原のための抗原結合部位を含む完全長抗体;および
ii)第2の抗原のための抗原結合部位を一緒になって形成する、少なくとも第2の重鎖可変ドメインと第2の軽鎖可変ドメインを含み、
第1または第2の抗原のいずれかがPb−DOTAMキレートであり、他方が標的抗原である、段落32から34のいずれか1つに記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0853】
40.第1の抗原のための抗原結合部位を含む完全長抗体を含み、重鎖の1つのNまたはC末端が、ポリペプチドリンカーを介して、第1のポリペプチドに連結されており、第1のポリペプチドが、第2のポリペプチドと会合して、第2の抗原のための結合部位を含むFabまたは交差Fabを形成する、段落39に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0854】
41.i)VLおよびCLドメインからなる第2のポリペプチドと会合している、VHドメインおよびCH1ドメインからなる第1のポリペプチド;または
ii)VHおよびCLドメインからなる第2のポリペプチドと会合している、VLドメインおよびCH1ドメインからなる第1のポリペプチド;または
iii)VLおよびCH1ドメインからなる第2のポリペプチドと会合している、VHドメインおよびCLドメインからなる第1のポリペプチドを含み;
第1および第2のポリペプチドが、一緒になって、第2の抗原のための抗原結合部位を形成する、段落40に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0855】
42.第1の抗原のための抗原結合部位を含む完全長抗体を含み、重鎖の1つのC末端が、ポリペプチドリンカーを介して、VHおよびCLドメインからなる第2のポリペプチドと会合している、VLドメインおよびCH1ドメインからなる第1のポリペプチドに連結される、段落41に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0856】
43.a)第1の抗原に特異的に結合し、2つの抗体重鎖および2つの抗体軽鎖からなる完全長抗体;
b)i)抗体重鎖可変ドメイン(VH);または
ii)抗体重鎖可変ドメイン(VH)および抗体定常ドメイン(CH1);または
iii)抗体重鎖可変ドメイン(VH)および抗体軽鎖定常ドメイン(CL)
からなるポリペプチドであって、
VHドメインのN末端が、ペプチドリンカーを介して、前記完全長抗体の2つの重鎖の一方のC末端に融合されているポリペプチド;
c)i)抗体軽鎖可変ドメイン(VL);または
ii)抗体軽鎖可変ドメイン(VL)および抗体軽鎖定常ドメイン(CL);または
iii)抗体軽鎖可変ドメイン(VL)および抗体重鎖定常ドメイン(CH1)
からなるポリペプチドであって、
VLドメインのN末端が、ペプチドリンカーを介して、前記完全長抗体の2つの重鎖の他方のC末端に融合されているポリペプチド
を含み;
(b)の下のペプチドの抗体重鎖可変ドメインおよび(c)の下のペプチドの抗体軽鎖可変ドメインが、一緒になって第2の抗原への抗原結合部位を形成し、
第1または第2の抗原のいずれかがPb−DOTAMキレートであり、他方が標的抗原である、段落39に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0857】
44.第1の抗原が標的抗原であり、第2の抗原がPb−DOTAMキレートである、段落35から43のいずれか1つに記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0858】
45.第1の抗原がCEAである、段落44に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0859】
46.a)CEAに特異的に結合し、2つの抗体重鎖および2つの抗体軽鎖からなる完全長抗体であって、
重鎖が配列番号22もしくは23のアミノ酸1〜450の重鎖に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の同一性を有し;
軽鎖が配列番号21の軽鎖に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の同一性を有する、完全長抗体;
b)i)配列番号7の重鎖可変ドメインに対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の同一性を有する抗体重鎖可変ドメイン(VH);もしくは
ii)配列番号7の重鎖可変ドメインに対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の同一性を有する前記抗体重鎖可変ドメイン(VH)および抗体重鎖定常ドメイン(CH1);および
iii)配列番号7の重鎖可変ドメインに対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の同一性を有する前記抗体重鎖可変ドメイン(VH)および抗体軽鎖定常ドメイン(CL)
からなるポリペプチドであって、
VHドメインのN末端が、ペプチドリンカーを介して、前記完全長抗体の2つの重鎖の一方のC末端に融合されているポリペプチド;ならびに
c)i)配列番号8の軽鎖可変ドメインに対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の同一性を有する抗体軽鎖可変ドメイン(VL);もしくは
ii)配列番号8の軽鎖可変ドメインに対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の同一性を有する前記抗体軽鎖可変ドメイン(VL)および抗体軽鎖定常ドメイン(CL);もしくは
iii)配列番号8の軽鎖可変ドメインに対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の同一性を有する前記抗体軽鎖可変ドメイン(VL)および抗体重鎖定常ドメイン(CH1)
からなるポリペプチドであって、
VLドメインのN末端が、ペプチドリンカーを介して、前記完全長抗体の2つの重鎖の他方のC末端に融合されているポリペプチドを含み;
(b)の下のペプチドの抗体重鎖可変ドメインおよび(c)の下のペプチドの抗体軽鎖可変ドメインは、一緒になってPb−DOTAMキレートへの抗原結合部位を形成する、段落45に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0860】
47.a)CEAに特異的に結合し、2つの抗体重鎖および2つの抗体軽鎖からなる完全長抗体であって、
重鎖が配列番号19もしくは20のアミノ酸1〜450の重鎖に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の同一性を有し;
軽鎖が配列番号21の軽鎖に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の同一性を有する、完全長抗体;
b)i)配列番号9の重鎖可変ドメインに対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の同一性を有する抗体重鎖可変ドメイン(VH);もしくは
ii)配列番号9の重鎖可変ドメインに対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の同一性を有する前記抗体重鎖可変ドメイン(VH)および抗体重鎖定常ドメイン(CH1);もしくは
iii)配列番号9の重鎖可変ドメインに対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の同一性を有する前記抗体重鎖可変ドメイン(VH)および抗体軽鎖定常ドメイン(CL)
からなるポリペプチドであって、
VHドメインのN末端が、ペプチドリンカーを介して、前記完全長抗体の2つの重鎖の一方のC末端に融合されているポリペプチド;
c)i)配列番号10の軽鎖可変ドメインに対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の同一性を有する抗体軽鎖可変ドメイン(VL);もしくは
ii)配列番号10の軽鎖可変ドメインに対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の同一性を有する前記抗体軽鎖可変ドメイン(VL)および抗体軽鎖定常ドメイン(CL);もしくは
iii)配列番号10の軽鎖可変ドメインに対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の同一性を有する前記抗体軽鎖可変ドメイン(VL)および抗体重鎖定常ドメイン(CH1)
からなるポリペプチドであって、
VLドメインのN末端が、ペプチドリンカーを介して、前記完全長抗体の2つの重鎖の他方のC末端に融合されているポリペプチド
を含み;
(b)の下のペプチドの抗体重鎖可変ドメインおよび(c)の下のペプチドの抗体軽鎖可変ドメインが、一緒になってPb−DOTAMキレートへの抗原結合部位を形成する、段落45に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0861】
48.i)配列番号22の重鎖に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有する第1の重鎖、
ii)配列番号23の重鎖に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有する第2の重鎖、および
iii)配列番号21の軽鎖に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性を有する2つの抗体軽鎖
を含む、段落45に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0862】
49.i)配列番号22のアミノ酸配列を有する第1の重鎖;
ii)配列番号23のアミノ酸配列を有する第2の重鎖;および
iii)配列番号21のアミノ酸配列を有する2つの抗体軽鎖
を含む、段落48に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0863】
50.i)配列番号19の重鎖に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有する第1の重鎖、
ii)配列番号20の重鎖に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性を有する第2の重鎖、
iii)配列番号21の軽鎖に対する少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性を有する2つの抗体軽鎖
を含む、段落45に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0864】
51.i)配列番号19のアミノ酸配列を有する第1の重鎖;
ii)配列番号20のアミノ酸配列を有する第2の重鎖;および
iii)配列番号21のアミノ酸配列を有する2つの抗体軽鎖
を含む、段落50に記載の多重特異性または二重特異性抗体。
【0865】
52.段落1から51のいずれか1つに記載の抗体をコードする、単離されたポリヌクレオチドまたは単離されたポリヌクレオチドのセット。
【0866】
53.段落52に記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのセットを含むベクター。
【0867】
54.段落52に記載のポリヌクレオチドのセットを一緒に含む、ベクターのセットを含むキットまたは組成物。
【0868】
55.発現ベクターである、段落53に記載のベクターまたは段落54に記載のベクターのセット。
【0869】
56.必要に応じて、段落53に記載のベクターまたは段落54に記載のベクターのセットを含む、段落52に記載の単離されたポリヌクレオチドまたは単離されたポリヌクレオチドのセットを含む原核または真核宿主細胞。
【0870】
57.段落56に記載の宿主細胞から抗体を発現させることを含む、段落1から51のいずれか1つに記載の抗体を生産する方法。