特表2021-521360(P2021-521360A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-521360(P2021-521360A)
(43)【公表日】2021年8月26日
(54)【発明の名称】自己消毒ウォータトラップ
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/28 20060101AFI20210730BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20210730BHJP
   E03C 1/126 20060101ALI20210730BHJP
【FI】
   E03C1/28 Z
   A61L2/10
   E03C1/126
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-555355(P2020-555355)
(86)(22)【出願日】2019年3月22日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月3日
(86)【国際出願番号】EP2019057214
(87)【国際公開番号】WO2019197137
(87)【国際公開日】20191017
(31)【優先権主張番号】18166890.6
(32)【優先日】2018年4月11日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520306691
【氏名又は名称】ドルフィン ケア エイピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テルケルセン、ヨルン
【テーマコード(参考)】
2D061
4C058
【Fターム(参考)】
2D061AA01
2D061AB10
2D061AC07
2D061AE10
2D061DA02
2D061DE21
4C058AA07
4C058BB06
4C058EE26
4C058KK02
4C058KK23
4C058KK32
(57)【要約】
本発明は、溜り水を維持するように適合された内部空間を画定する上部および底部を有するハウジングを備える排水口を有する洗面台で使用するための自己消毒ウォータトラップに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溜り水を維持するように適合された内部空間を画定する上部および底部を有するハウジングを備える排水口を有する洗面台で使用するための自己消毒ウォータトラップであって、
(i)前記上部は、任意選択で中空の入口パイプを介して、前記洗面台の前記排水口と液密に係合するように構成された第1の開口部と、廃水を排出するための中空の出口パイプと液密に係合するように構成された第2の開口部とを有し、
(ii)前記底部は、液密にUVC光源を受け入れて維持するように適合され、前記UVC光源は、動作中、前記溜り水および前記全内部空間を放射する、
自己消毒ウォータトラップ。
【請求項2】
前記UVC光源は、すべての前記溜り水およびすべての前記内部空間を放射するように適合される、請求項1に記載の自己消毒ウォータトラップ。
【請求項3】
その両方が開いている第1の端部および反対側の第2の端部を有する前記中空の入口パイプを備え、前記第1の端部は、前記ハウジングの前記内部空間内に延び、前記上部の前記第2の開口部の下に延びるように適合され、前記第2の端部は、前記洗面台の前記排水口と液密に係合するように構成される、請求項1または2に記載の自己消毒ウォータトラップ。
【請求項4】
その両方が開いている第1の端部および反対側の第2の端部を有する前記中空の出口パイプを備え、前記第1の端部は、前記上部の前記第2の開口部内に延び、前記第2の端部は、廃水を排出するように適合される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の自己消毒ウォータトラップ。
【請求項5】
前記UVC光源を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の自己消毒ウォータトラップ。
【請求項6】
前記UVC光源は、254nmでUVC光を提供するように適合される、請求項5に記載の自己消毒ウォータトラップ。
【請求項7】
前記UVC光源は、254nmでUVC光を提供する1つのUVCランプである、請求項6に記載の自己消毒ウォータトラップ。
【請求項8】
前記UVCランプは、前記ハウジングの前記底部の中央に位置する、請求項7に記載の自己消毒ウォータトラップ。
【請求項9】
前記底部は、前記UVC光源を受け入れ、前記UVC光源を液密に維持するように構成された1つの開口部を通して前記UVC光源を受け入れるように適合される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の自己消毒ウォータトラップ。
【請求項10】
前記底部は、両方が前記UVC光源を受け入れ、前記UVC光源を液密に維持するように構成された2つの対向する開口部を通して前記UVC光源を受け入れるように適合される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の自己消毒ウォータトラップ。
【請求項11】
前記UVC光源は、前記UVC光によって吸収されないナノカバーでコーティングされる、請求項5〜10のいずれか一項に記載の自己消毒ウォータトラップ。
【請求項12】
前記ウォータトラップのすべての部分は、合金、例えば真鍮などの金属で作製され、任意選択でクロムめっきされる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の自己消毒ウォータトラップ。
【請求項13】
前記ウォータトラップのすべての内側部分は、バイオフィルムの形成を低減するために滑らかである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の自己消毒ウォータトラップ。
【請求項14】
前記ウォータトラップのすべての内側部分は、前記UVC光源によって放射される、請求項5〜13のいずれか一項に記載の自己消毒ウォータトラップ。
【請求項15】
前記ハウジングは、実質的に円筒形である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の自己消毒ウォータトラップ。
【請求項16】
前記上部および前記底部は、着脱可能であり、液密に接続可能である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の自己消毒ウォータトラップ。
【請求項17】
前記底部は、液密に接続されて前記溜り水を除去するように適合された着脱可能な蓋またはプラグを備える、請求項1〜16のいずれか一項に記載の自己消毒ウォータトラップ。
【請求項18】
排水口を有する洗面台から水を消毒する方法であって、請求項1〜17のいずれか一項に記載の自己消毒ウォータトラップを提供し、前記ウォータトラップを前記洗面台の前記排水口に接続することと、廃水を排出するための前記出口パイプを適合させることとを含む、方法。
【請求項19】
前記洗面台の前記排水口および前記ウォータトラップ内の微生物を減少させるための、請求項1〜18のいずれか一項に記載の自己消毒ウォータトラップの使用。
【請求項20】
洗面台および排水口を有する洗面台システムであって、(a)請求項1〜18のいずれか一項に記載の自己消毒ウォータトラップを備え、(b)前記排水口は、前記中空の入口パイプと液密に接続するように適合され、前記入口パイプは、金属で作製され、滑らかであり、かつ前記ウォータトラップからの前記UVC光に曝露されるように適合された内側表面を有する、洗面台システム。
【請求項21】
前記排水口は、前記洗面台に組み込まれ、前記洗面台に水を収容するためのプラグを受け入れるように適合されたストレーナ要素を備え、前記ストレーナ要素は、水が通過するための複数の開口部を有する、請求項20に記載の洗面台。
【請求項22】
前記ストレーナの前記複数の開口部は、前記洗面台から効率的に水を除去し、前記UVC光源からの光を少なくとも30%、例えば少なくとも50%低減するように適合される、請求項21に記載の洗面台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば病院施設の洗面台で使用するための自己消毒ウォータトラップに関する。さらに、本発明は、病院施設の洗面台などの洗面台から水を消毒する方法に関連する。本発明はまた、そのような自己消毒ウォータトラップの使用に関する。さらに、洗面台システムが説明され、特許請求される。
【背景技術】
【0002】
排水口、特に洗面台のウォータトラップは、家庭、特に病院で最も汚染されている領域の一部である。そのようなウォータトラップは深刻な汚染源とみなされており、特に病院では、多剤耐性菌を患者に感染させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者らは、病院施設、特に、病院の患者、職員および訪問者/親族によって使用される病室およびトイレにおける洗面台および流しの周囲の環境を改善する必要があることを認識した。限定はしないが、一般の家庭や洗面所のある公共の場所に関しても、同様のニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、溜り水を維持するように適合された内部空間を画定する上部および底部を有するハウジングを備える排水口を有する洗面台で使用するための自己消毒ウォータトラップに関し、
(i)上部は、任意選択で中空の入口パイプを介して、洗面台の排水口と液密に係合するように構成された第1の開口部と、廃水を排出するための中空の出口パイプと液密に係合するように構成された第2の開口部とを有し、
(ii)底部は、液密にUVC光源を受け入れて維持するように適合され、UVC光源は、動作中、溜り水および全内部空間を放射する。
【0005】
一実施形態では、UVC光源は、すべての溜り水およびすべての内部空間を放射するように適合される。
【0006】
さらなる実施形態では、本発明の自己消毒ウォータトラップは、その両方が開いている第1の端部および反対側の第2の端部を有する中空の入口パイプを備え、第1の端部は、ハウジングの内部空間内に延び、上部の第2の開口部の下に延びるように適合され、第2の端部は、洗面台の排水口と液密に係合するように構成される。
【0007】
さらに別の実施形態では、本発明の自己消毒ウォータトラップは、その両方が開いている第1の端部および反対側の第2の端部を有する中空の出口パイプを備え、第1の端部は、上部の第2の開口部内に延び、第2の端部は、廃水を排出するように適合される。
【0008】
さらなる実施形態では、本発明の自己消毒ウォータトラップは、UVC光源を備える。好ましくは、UVC光源は、254nmでUVC光を提供するように適合される。制約のため、254nmでUVC光を提供する1つのUVCランプを有することが好ましいが、2つまたは3つのUVCランプが存在する場合もある。好ましくは、そして最も効果的なUVC光源を提供するために、UVCランプは、ハウジング底部の中央に位置する。
【0009】
さらに別の実施形態では、底部は、UVC光源を受け入れ、UVC光源を液密に維持するように構成された1つの開口部を通してUVC光源を受け入れるように適合される。
【0010】
さらなる実施形態では、底部は、両方がUVC光源を受け入れ、UVC光源を液密に維持するように構成された2つの対向する開口部を通してUVC光源を受け入れるように適合される。
【0011】
さらに別の実施形態では、UVC光源は、UVC光によって吸収されないナノカバーでコーティングされる。
【0012】
さらなる実施形態では、ウォータトラップのすべての部分は、合金、例えば真鍮などの金属で作製され、任意選択でクロムめっきされる。
【0013】
さらに別の実施形態では、ウォータトラップのすべての内側部分(表面)は、バイオフィルムの形成を低減するために滑らかである。
【0014】
さらなる実施形態では、ウォータトラップのすべての内側部分は、UVC光源によって放射される。
【0015】
さらに別の実施形態では、ハウジングは、実質的に円筒形である。
【0016】
さらなる実施形態では、上部および底部は、着脱可能であり、液密に接続可能である。
【0017】
さらに別の実施形態では、底部は、液密に接続されて溜り水を除去するように適合された着脱可能な蓋またはプラグを備える。
【0018】
さらなる態様では、本発明は、排水口を有する洗面台から水を消毒する方法であって、本発明および上記の実施形態のいずれか1つの自己消毒ウォータトラップを提供し、ウォータトラップを洗面台の排水口に接続することと、廃水を排出するための出口パイプを適合させることとを含む、方法に関する。
【0019】
さらに別の態様では、本発明は、洗面台の排水口およびウォータトラップ内の微生物を減少させるための、本発明および上記の実施形態のいずれか1つの自己消毒ウォータトラップの使用に関する。
【0020】
さらなる態様では、本発明は、洗面台および排水口を有する洗面台システムであって、(a)本発明および上記の実施形態のいずれか1つの自己消毒ウォータトラップを含み、(b)排水口は、中空の入口パイプと液密に接続するように適合され、入口パイプは、合金などの金属で作製され、滑らかであり、かつウォータトラップからのUVC光に曝露されるように適合された内側表面を有する、洗面台システムに関する。
【0021】
一実施形態では、排水口は、洗面台に組み込まれ、洗面台に水を収容するためのプラグを受け入れるように適合されたストレーナ要素を備え、ストレーナ要素は、水が通過するための複数の開口部を有する。さらなる実施形態では、ストレーナの複数の開口部は、洗面台から効率的に水を除去し、UVC光源からの光を少なくとも30%、例えば少なくとも50%低減するように適合される。
【0022】
本発明のさらなる目的および利点は、以下の説明、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】上部(14)および底部(16)ならびに内部空間(図示せず)を有する本発明のウォータトラップ(10)を示す図である。
図2】上部(42)の第2の開口部(44)が見える側から見た図1と同様のウォータトラップ(40)を示す図である。
図3】線A−Aに沿った断面として見られる、図2と同じウォータトラップ(40)を示す図である。
図4】上部から底部を見た、線B−Bに沿った断面として見られる、図2と同じウォータトラップ(40)を示す図である。
図5】上部(84)および底部(96)ならびに内部空間(図示せず)を有するウォータトラップ(80)の一実施形態の異なる形状を示す図である。
図6】線C−Cに沿った断面として見られる、図5と同じウォータトラップ(80)を示す図である。
図7】線D−Dに沿った断面として見られる、図5と同じウォータトラップ(80)を示す図である。
図8】上部(112)と、反対側の底部(114)とを有するストレーナ要素(110)を示す図であり、底部は、ウォータトラップと係合するための開口部であり、上部(112)は、水が洗面台から出てウォータトラップに入るためのいくつかの小さな開口部(122、124、126)を含む。
図9】上部から見た、図8のストレーナ要素(110)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ウォータトラップを除染する紫外線C(UVC)光の有効性の研究が、病院施設で行われてきた。この閉じた研究は、ウォータトラップの非常に明確かつ効果的な除染を示し、細菌数の減少が非常に効果的であった。また、研究は、本発明のウォータトラップの除去が迅速な汚染につながることを示した。本発明は、自己消毒性であり、衛生施設で使用することができるウォータトラップ装置に関連する。本発明のウォータトラップ装置は、ウォータトラップ内のUVC光源の場所と組み合わせたウォータトラップの特定の構造により、細菌を含む微生物を効率的に除去する。ウォータトラップのUVC光除染は、洗面台から免疫不全患者への多耐性の水中細菌の拡散を防ぐための実現可能な補助手段である可能性がある。
【0025】
本発明は、説明された解決策によりこれらの利点を提供する。
【0026】
本発明は、排水口を有する洗面台で使用するための自己消毒ウォータトラップに関する。洗面台などは、住居のほか、化粧室/トイレなどの公共の場所だけでなく病院にも見られ、病院では汚染が病院のすべての領域に大きな影響を与える。
【0027】
本発明のウォータトラップは、溜り水を維持するように適合された内部空間を画定する上部および底部を有するハウジングを備え、上部および底部は、2つの部分の形態であってもよいし、または1つのハウジングとして見られてもよく、上部および底部は、単にハウジングのどちらの半分が参照されているかを示している。
【0028】
上部は、洗面台の排水口と液密に係合するように構成された第1の開口部を有する。そのような接続を液密にするために、例えばねじ接続の使用がオプションであるが、他の解決策も可能であることは当業者には明らかである。場合によっては、ウォータトラップの上部開口部の場所と洗面台の排水口からの距離によって、その距離に応じた長さを有する接続パイプが必要となる。接続パイプは、合金などの金属で作製された中空の入口パイプである。
【0029】
上部はまた、廃水を排出するための中空の出口パイプと液密に係合するように構成された第2の開口部を有し、典型的には、そのような第2の開口部が上部の側面に位置し、それにより第2の開口部は、廃水を下水管などの異なる場所に導く別のパイプに容易に接続されるようになる。
【0030】
底部は、UVC光源を受け入れ、UVC光源を液密に維持するように適合され、UVC光源は、動作中、溜り水および全内部空間を放射する。UVC光源は、すべての溜り水およびすべての内部空間を放射するように適合される。UVC光源が底部内に延びる画定された空間内に位置しているため、UVC光は、UVC光源が維持されているとき、中空の入口パイプを含むウォータトラップのすべての内部空間を放射する。典型的には、UVC光源は、実装されて使用されると、底部の内側壁を底部の反対側の内側壁に形成して延びる。好ましくは、UVC光源は、254nmでUVC光を提供するように適合され、これは、実験によりこの波長外では有効性が大幅に低下することが示されているからである。制約のため、254nmでUVC光を提供する1つのUVCランプを有することが好ましいが、2つまたは3つのUVCランプが存在する場合もある。好ましくは、そして最も効果的なUVC光源を提供するために、UVCランプは、ハウジング底部の中央に位置する。したがって、UVCランプは、中央に位置し、1つの内側壁から反対側の内側壁までの距離全体に広がって延びる。底部は、UVC光源を受け入れ、UVC光源を液密に維持するように構成された1つの開口部を通してUVC光源を受け入れるように適合させることができるが、ウォータトラップをよりユーザフレンドリーにし、洗面台の様々な状況および場所に適合しやすくするために、底部は、両方がUVC光源を受け入れ、UVC光源を液密に維持するように構成された2つの対向する開口部を通してUVC光源を受け入れるように適合される。
【0031】
UVCランプは、UVC源を保護するスリーブとも呼ばれるガラスで覆われ、ガラスをさらに保護するために、ナノカバーが、好ましくはガラスの全表面領域に適用される。好ましくは、UVC光源は、UVC光によって吸収されないナノカバーでコーティングされる。ナノカバーは、UVCランプを構成するガラスの外側部分上のカルシウムの堆積を低減するために使用される。ナノカバーは水を避け、ガラス表面への水の付着を回避する。したがって、カルシウムはナノカバーに付着することができず、その結果、カルシウムは形成されず、ウォータトラップにおいて継続的かつ効果的なUVC光が確保される。ナノカバーのない純粋なガラス表面は、硬水がある領域ではガラス上に炭酸カルシウムが形成され、長時間使用するとUVC放射の効果が低下する可能性がある。
【0032】
典型的には、ナノカバーは、炭化水素と二酸化ケイ素の混合物で作製され得る。SiO2は、ガラス表面に化学的に結合している。ナノカバーは噴霧によって適用されるが、浸漬および他の適用方法が考えられる。ナノカバーコーティングは、スリーブガラスに適用されてコーティングが比較的薄いガラス上に均一に分布し、典型的には、UVCランプは、空気と水の流れ、破損、漏れ、温度変動、および環境上の危険から保護する20.5mmの閉型/ドーム型の石英スリーブで保護される。ランプからのUVC光は、254nmの波長を有し、ナノカバーはこの波長で吸収しないため、UVCランプの有効性には影響を及ぼさない。
【0033】
上部の第1の開口部で使用する任意の中空の入口パイプは、金属で作製され、洗面台の下に設置するときに調整することが可能である。最適に機能するために、中空の入口パイプの第1の端部は、使用中の複雑さを回避し、ウォータトラップが適切に機能するために、第1の端部が上部の第2の開口部の下に延びるようにハウジングの内部空間内に延びる必要がある。
【0034】
上部の第2の開口部は、典型的には、開口部から廃水を排出することができる点まで突出する出口パイプを備えている。そのような第2のパイプは、プラスチックまたは金属などの任意の材料で作製することができるが、本発明のウォータトラップが金属で製造されるとき、上部の入口パイプも金属で作製することが好ましい。
【0035】
本明細書で使用する場合、「金属」という用語は、任意の金属自体、または合金などの金属混合物を意味し、典型的には真鍮が使用される。任意選択で、真鍮などの金属は、クロムめっきされる。
【0036】
バイオフィルムの形成は、ハウジングの内側空間ならびに上部の第1および第2の開口部から延びる中空の入口パイプなどの様々な部分の汚染に寄与する可能性があるため、バイオフィルムの形成を低減するために、ウォータトラップのすべての内側部分(表面)を滑らかにすることが好ましい。
【0037】
典型的には、ハウジングは、実質的に円筒形である。ハウジングの上部および底部は、着脱可能であり、液密に接続可能であり得、または底部は、液密に接続されて溜り水を除去するように適合された着脱可能な蓋またはプラグを備えてもよい。そのような蓋またはプラグは、溜り水の除去を簡単かつユーザフレンドリーにするために、底部の最も低い部分に載置される。
【0038】
さらなる態様では、本発明は、排水口を有する洗面台から水を消毒する方法であって、本発明および上記の実施形態のいずれか1つの自己消毒ウォータトラップを提供し、ウォータトラップを洗面台の排水口に接続することと、廃水を排出するための出口パイプを適合させることとを含む、方法に関する。本発明の自己消毒ウォータトラップに関連して説明した上記の実施形態の各々は、本発明の水を消毒する方法に関する実施形態であることも意図されていることを理解されたい。
【0039】
さらに別の態様では、本発明は、洗面台の排水口およびウォータトラップ内の微生物を減少させるための、本発明および上記の実施形態のいずれか1つの自己消毒ウォータトラップの使用に関する。本発明の自己消毒ウォータトラップに関連して説明した上記の実施形態の各々は、本発明の自己消毒ウォータトラップの使用に関する実施形態であることも意図されていることを理解されたい。
【0040】
さらなる態様では、本発明は、洗面台および排水口を有する洗面台システムであって、(a)本発明および上記の実施形態のいずれか1つの自己消毒ウォータトラップを含み、(b)排水口は、中空の入口パイプと液密に接続するように適合され、入口パイプは、合金などの金属で作製され、滑らかであり、かつウォータトラップからのUVC光に曝露されるように適合された内側表面を有する、洗面台システムに関する。本発明の自己消毒ウォータトラップに関連して説明した上記の実施形態の各々は、本発明の洗面台システムに関する実施形態であることも意図されていることを理解されたい。
【0041】
排水口は、典型的には、洗面台に組み込まれ、洗面台に水を収容するためのプラグを受け入れるように適合されたストレーナ要素を備え、ストレーナ要素は、水が通過するための複数の開口部を有する。ストレーナにおける開口部は、使用中に洗面台から水を除去するのに十分である必要があり、同時に、そのような開口部はまた、UVC光源からの光を少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも60%低減する必要がある。
【0042】
次に、本発明のウォータトラップの典型的な実施形態を例示する添付の図面を参照して、本発明をより完全に説明する。
【0043】
これらの図面は、決して本発明の範囲を限定するものではなく、本発明をよりよく理解するために当業者を導くことのみを意図している。
【0044】
図1は、上部(14)および底部(16)ならびに内部空間(図示せず)を有する本発明のウォータトラップ(10)を示す図である。上部および底部は、ハウジング(12)を構成する。上部(14)は、第1の開口部(18)と、第2の開口部(22)とを有し、第1の開口部(18)は、洗面台の排水口、または洗面台から延びる中空の内側チューブ(図示せず)などの接続パイプと係合することができる接続要素(20)によって画定される。第2の開口部(22)は、廃水を下水管に導くための延長パイプ(図示せず)と液密に係合するためのねじ付き内側部分(26)を備えるパイプ接続部(24)によって延長される。底部には、2つのパイプ延長部(30、34)が互いに反対側に位置し、第1のパイプ延長部(30)は、UVCランプを受け入れるように適合された開口部(28)を有する。反対側では、他方のパイプ延長部(34)は、UVCランプを受け入れるように適合された同様の開口部(図示せず)を有する。したがって、この実施形態では、UVCランプは、パイプ延長部(30、34)の両方の開口部から挿入されて取り付けられてもよい。小さな接続部(32、36)は、使用中におけるアース接続用のコンセントである。
【0045】
図2は、上部(42)の第2の開口部(44)が見える側から見た図1と同様のウォータトラップ(40)を示す図である。対応する上部(42)および底部(46)は、図1と同じである(14および16)。上部(42)の上(52)は、底部(46)の底(54)の反対側に位置する。図1でも説明されているように、底部には、2つのパイプ延長部(48、50)が互いに反対側に位置し、パイプ延長部(48、50)は、UVCランプを受け入れるように適合された開口部(図示せず)を有する。小さな接続部(56、58)は、使用中におけるアース接続用のコンセントである。
【0046】
図3は、線A−Aに沿った断面として見られる、図2と同じウォータトラップ(40)を示す図である。上(52)は、任意選択で中空の内側パイプ(図示せず)を介して排水口と係合するためのねじ付き部分を有する。上部(42)は、第2の開口部(44)を有する延長パイプ(62)を有し、内部空間(66)が例示されている。部分(60)は、UVCランプがウォータトラップの動作中に使用するために導入される底部(46)の開口部を示しており、これは、図2において延長パイプ(48、50)にも示されている。
【0047】
図4は、上部から底部を見た、線B−Bに沿った断面として見られる、図2と同じウォータトラップ(40)を示す図である。円筒形の内部空間(66)が示されており、底部(46)は、前記内側空間(66)を取り囲み、延長パイプ(48、50)の開口部(68、70)は、中央に互いに反対側に位置する。開口部は、UVCランプを受け入れ、UVCランプを液密に維持するように適合される。小さな接続部(56、58)は、使用中におけるアース接続用のコンセントである。
【0048】
図5は、上部(84)および底部(96)ならびに内部空間(図示せず)を有するウォータトラップ(80)の一実施形態の異なる形状を示す図である。上部および底部は、ハウジング(92)を構成する。上部(84)は、第1の開口部(82)と、第2の開口部(86)とを有し、第1の開口部(82)は、洗面台の排水口、または洗面台から延びる接続パイプと係合することができる接続要素によって画定される。第2の開口部(86)は、廃水を下水管に導くための延長パイプ(図示せず)と液密に係合するためのねじ付き内側部分(図示せず)を備えるパイプ接続部(86)によって延長される。底部(96)では、UVCランプの挿入の端部から1つのパイプ延長部(94)を見ることができ、この1つのパイプ延長部(94)は、UVCランプを受け入れるように適合された開口部(94)を有する。したがって、この実施形態では、UVCランプは、1つの開口部のみから挿入されて取り付けられてもよい。上部(84)と底部(96)は、間隔を空けて例示されており、それにより内側チューブ/パイプ(88)が、使用中に液密のハウジングを固定するための、上部(84)と底部(96)の係合部分(90)との間のアセンブリで見ることができる。小さな接続部(98)は、使用中におけるアース接続用のコンセントである。
【0049】
図6は、線C−Cに沿った断面として見られる、図5と同じウォータトラップ(80)を示す図である。ここで、中空の内側チューブまたはパイプ(88)は、上部(84)の上部開口部(102)から上部の第2の開口部(図示せず)の下の場所(104)に延びるものとして見ることができる。内部空間は、(100)として例示され、底部(96)では、UVCランプ(94)は、ハウジング(92)の底部(96)に維持されるように示されている。挿入されたUVCランプ(94)を有する開口部の反対側の端部(104)は、底部の側面から延びてUVCランプを収容し、使用中にUVCランプを固定して維持する。
【0050】
図7は、線D−Dに沿った断面として見られる、図5と同じウォータトラップ(80)を示す図である。見てわかるように、UVCランプ(94)は、中央に位置し、ハウジングの底部の両側から延び、内部空間(100)、ならびに溜り水、およびハウジング(92)の内側に面するウォータトラップまたはウォータトラップシステムの部分の完全なUVC曝露を確保する。
【0051】
図8は、上部(112)と、反対側の底部(114)とを有するストレーナ要素(110)を示す図であり、底部は、ウォータトラップと係合するための開口部であり、上部(112)は、水が洗面台から出てウォータトラップに入るためのいくつかの小さな開口部(122、124、126)を含む。上部は、周縁(図示せず)であり、洗面台の排水口に収まるように適合された縁部分(120)を有する。内側空間(118)は、洗面台が使用されているときに水が流れるための中空の空間を画定し、ストレーナ(110)は、上部からウォータトラップ内へのチューブ延長部(図示せず)を画定する壁(116)によって区切られる。
【0052】
図9は、上部から見た、図8のストレーナ要素(110)を示す図である。この実施形態で例示されるように、上部は、水が洗面台から出てウォータトラップに入るための7つの小さな開口部(122、124、126、130、132、134、136)を含む。上部は、周縁である縁部分(120)を有し、周縁の内側線(128)は、水を小さな開口部(122、124、126、130、132、134、136)に導くための小さな窪みを例示する。
【0053】
本明細書で引用される出版物、特許出願および特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれるように個別かつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載された場合と同程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
すべての見出しおよび小見出しは、本明細書において便宜上使用されているにすぎず、決して本発明を限定するものとして解釈されてはならない。
【0055】
本明細書で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、そのすべての可能な変形における上述の要素の任意の組み合わせが本発明に包含される。
【0056】
本明細書中の値の範囲の記載は、本明細書で別段の指示がない限り、その範囲内に入る各個別の値を個々に参照する簡略な方法として機能することのみを意図しており、各個別の値は、それらが個々に本明細書中に記載されているのと同様に、本明細書に組み込まれる。特に明記しない限り、本明細書で提供されるすべての正確な値は、対応する近似値を表す(例えば、特定の因子または測定に関して提供されたすべての正確な例示的な値は、必要に応じて「約」で変更される、対応する近似測定値も提供すると考えられ得る)。
【0057】
本明細書で説明されるすべての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。
【0058】
本発明を説明する文脈で使用される用語「a」および「an」および「the」および同様の指示対象は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形と複数形の両方を挿入すると解釈されるべきである。したがって、「a」および「an」および「the」は、少なくとも1つ、または1つ以上を意味する場合がある。
【0059】
本明細書で提供される任意およびすべての例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をよりよく説明することを意図しており、別段の指示がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中の言語は、明確に述べられていない限り、任意の要素が本発明の実施に必須であることを示すと解釈されるべきではない。
【0060】
「〜から選択される」または「〜からなる群から選択される」が使用される場合の説明を通して、それはまた、述べられた用語のすべての可能な組み合わせ、ならびに各個々の用語を意味する。
【0061】
本明細書中の特許文書の引用および組み込みは、便宜上行われているだけであり、そのような特許文書の妥当性、特許性、および/または権利行使可能性の観点を反映することはない。
【0062】
1つまたは複数の要素に関して「備える」、「有する」、「含む」または「含有する」などの用語を使用する本発明の任意の態様または実施形態の本明細書中の説明は、別段の記載がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、その特定の1つまたは複数の要素「からなる」、「から本質的になる」、または「実質的に含む」本発明の同様の態様または実施形態に対する支持を提供することを意図している(例えば、本明細書において特定の要素を含むと説明される組成物は、別段の記載がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、その要素からなる組成物も説明すると理解されるべきである)。
【0063】
前述の説明で開示された特徴は、別々におよびそれらの任意の組み合わせの両方で、本発明をその多様な形態で実現するための材料であり得る。
【0064】
実験
洗面台のウォータトラップ(図1図9参照)用に新しく開発されたUV−C除染装置は、4つの個別の洗面台(HygLab、211、103Aおよび200B)に取り付けられた。
【0065】
実験設計:
2つの洗面台では、UV−C光がアクティブであったが、2つの洗面台はUV−C曝露なしのコントロールとして使用された(パート1)。8週間後、実験を入れ替え、最初のUV−Cアクティブの洗面台をコントロールとして使用し、最初のコントロールの洗面台をUV−C光に曝露した(パート2)、表1参照。
【表1】
【0066】
Hyglabは、衛生研究所の洗面台を意味し、211、103Aおよび200Bは、病院施設内の様々なトイレの特定の洗面台である。
【0067】
サンプルの収集および同定:
スワブを洗面台のテールパイプの上部と底部から毎週採取し、血液寒天プレートおよび乳糖寒天プレート上で成長させた。細菌は、半定量的に定量化した。
【0068】
水を毎週ウォータトラップから収集し、総細菌数(CFU/mL)を決定するために10倍段階希釈を行った。
【0069】
細菌のコロニーは、MALDI−TOF MS技術によって同定された。
【0070】
細菌数(CFU/mL):
実験のパート1とパート2の両方において、コントロールの洗面台と比較して、UV−Cアクティブのウォータトラップで最初の1週間以内に細菌数の顕著な減少が観察された。実験のパート2のUV−Cアクティブのウォータトラップでは、細菌数は105〜106分の1に減少した(表2参照)。
【0071】
全体的に、実験期間中、UV−C光に曝露されたウォータトラップとコントロールのウォータトラップとの間に、細菌数の顕著な違いが観察された。
【0072】
実験のパート2の最初の2週間以内に、新しいコントロールのウォータトラップの細菌数は、実験のパート1のコントロールのウォータトラップと同様のレベルまで著しく増加した(表2参照)。
【表2】
【0073】
同定された種:
UV−C除染により、UV−C光に曝露されたウォータトラップで同定された様々な細菌の総数が減少した(UV−Cアクティブ=5、コントロール=9)。
【0074】
UV−C光への曝露が中断された後、識別された種の総数は増加した。
【0075】
UV−C光曝露下で、緑膿菌とグラム陰性の腸内共生菌は消失したが、ステノトロフォモナス・マルトフィリアは著しく増加した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】