(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-521705(P2021-521705A)
(43)【公表日】2021年8月26日
(54)【発明の名称】RFIDマルチ読み取りポータル
(51)【国際特許分類】
H01Q 17/00 20060101AFI20210730BHJP
H01Q 1/52 20060101ALI20210730BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20210730BHJP
【FI】
H01Q17/00
H01Q1/52
G06K7/10 128
G06K7/10 268
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2020-556260(P2020-556260)
(86)(22)【出願日】2018年12月27日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月7日
(86)【国際出願番号】US2018067659
(87)【国際公開番号】WO2019199361
(87)【国際公開日】20191017
(31)【優先権主張番号】62/654,702
(32)【優先日】2018年4月9日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520392214
【氏名又は名称】フジツウ フロンテック ノース アメリカ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】FUJITSU FRONTECH NORTH AMERICA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テッター,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】マークマン,ハーバート
(72)【発明者】
【氏名】マークマン,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ナガユミ,シンイチ
(72)【発明者】
【氏名】ダルトン,ダニエル,ジー.
【テーマコード(参考)】
5J020
5J046
【Fターム(参考)】
5J020EA05
5J020EA08
5J046AA02
5J046AA12
5J046UA03
(57)【要約】
【解決手段】RFIDポータルは、グループが読み取りゾーンにあるときに、グループ上に集中される呼掛け/チャージおよび受信/検出アンテナを有するRFIDコードリーダを通って移動されるグループ内の物品上の複数の対応付けられたRFIDタグを読み取る。物品は、読み取りゾーンと外側のエリアとの間の通路を通って移動可能である。通路は、集中したRF信号の照射と収集をするアンテナに対応付けられる読み取りゾーンに導電壁を有し、壁は、広帯域もしくは特定の消去帯域電磁減衰構造、ならびに読み取りゾーン内へおよび/または読み取りゾーンから外に延長する信号経路が並べられたホールを規定する。広帯域および消去帯域減衰ならびに信号経路延長のうちの1つまたは複数による減衰は、散在するRFIDタグ付物品との相互作用を最小化するのに十分な10dB以上の減衰を達成し得る。散在するRFIDタグ付物品は読み取りゾーン内のグループの外側にあってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グループ内の物品によって搬送されるマルチ読み取りRFIDコードのための装置であって、
少なくとも1つの所定の周波数帯域でRFチャージ信号を照射し、前記グループ内のタグ付物品から受信される応答信号からRFIDコードを識別する制御をして、読み取りゾーンでRF信号を集中させるように構成された遮蔽筐体の内側に向けられた呼掛けおよび応答検出アンテナを含むRFコードリーダであって、
少なくとも1つの通路が前記遮蔽筐体に設けられ、前記物品は前記読み取りゾーンと前記遮蔽筐体の外側のエリアとの間で移動可能である、RFコードリーダと、
前記通路内に向けられた少なくとも1つの表面を備える導電壁と、を備え、
前記導電壁は、
電磁伝播を減衰させる前記導電壁における損失の大きい材料、
前記周波数帯域で伝播を減衰させる前記通路内に向けられた前記導電壁上の帯域消去構造、および
前記導電壁に対する反射によって延長される経路に沿った前記RF信号の反射のうちの少なくとも1つによって、前記遮蔽筐体の外側の任意の散在するRFIDタグ付物品との有効な相互作用を制限するように、少なくとも前記所定の周波数帯域で電磁エネルギーを減衰させるために構築されている、装置。
【請求項2】
前記通路は、前記読み取りゾーン内につながる延長されたホールを通じて延在し、前記導電壁は、前記ホールの側壁、上壁、および底壁のうちの少なくとも1つの長さを規定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記通路は、前記読み取りゾーン内につながる延長されたホールを通じて延在し、前記導電壁は、前記ホールの少なくとも2つの対向する側壁に沿って延在する長さを規定し、クラムシェル形状、パラボリック形状、フレネル構成およびメタ材料のうちの少なくとも1つを規定する前記読み取りゾーンにフォーカス部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
減衰構造は、ソールズベリー合成表面、広帯域RF減衰材料、減衰構造、および前記読み取りゾーンと外側との間の1つまたは複数の伝播経路を延長する形状のうちの少なくとも1つを含み、RFID周波数帯域で電磁反射を減衰させるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記減衰構造は、前記RFコードリーダと前記散在するRFIDタグ付物品との間の電磁伝播を少なくとも10dB減衰させる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
減衰構造は、実質的に860〜960mHzのUHFのRFID周波数帯域内の周波数で電磁反射を減衰させるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記導電壁は、前記読み取りゾーンで電磁反射性であり、前記読み取りゾーンにあるときに、前記アンテナと物品の前記グループ内の物品によって搬送される前記RFIDコードとの間で、直接的なRFエネルギー、および反射された間接的なRFエネルギーを送信するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記通路および前記遮蔽筐体は、ショッピングカートを受け入れるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
物品によって搬送されるマルチ読み取りRFIDコードのための方法であって、
前記RFIDコードのマルチ読み取りのために、互いに近接する複数の物品のグループ内の前記物品を対応付けるステップと、
前記グループを受け入れる読み取りゾーンでRF信号を集中させるように構成された遮蔽筐体の内側に向けられた呼掛けおよび応答検出アンテナを含む、RFコードリーダに前記グループを連続的に移動させるステップと、少なくとも1つの所定の周波数帯域でRFチャージ信号を照射し、前記グループ内のタグ付物品から受信される応答信号からRFIDコードを識別することによって、前記グループを処理するステップと、
前記グループが前記読み取りゾーンに残る滞在時間、および前記呼掛けおよび応答アンテナがアクティブである処理時間のうちの少なくとも1つを、前記グループ内の実質的に多数のRFIDコードを処理することにのみ十分な時間に制限するステップと、を含む、方法。
【請求項10】
前記チャージ信号の振幅、前記応答信号の受信の感度、および前記チャージおよび応答信号の照射の時間のうちの少なくとも1つを、前記グループ内の実質的に多数のRFIDコードを処理することにのみ十分であるように制限することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
グループ内の物品を対応付けることが、それぞれの容器内の複数の物品の前記グループを搬送すること、および少なくとも1つの給電された移動可能な輸送手段で前記グループをサポートすることのうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記グループが前記RFIDコードの呼掛けのために前記読み取りゾーンに残る前記滞在時間を変更することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
容器の移動のスピードアップ、減速、一時停止、停止のうちの1つについての操作員へのシグナリング、および移動可能な輸送手段の動作速度の制御のうちの少なくとも1つによって、前記グループが前記読み取りゾーンに残る前記滞在時間を変更することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
容器は、箱、バッグ、スリングおよびローリングカートのうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記遮蔽筐体の外側のエリアから前記遮蔽筐体内への少なくとも1つの通路を通じて、前記読み取りゾーンへ、および前記読み取りゾーンから、前記グループを移動させることをさらに含み、
前記通路内に向けられた少なくとも1つの表面を備える導電壁を前記通路に沿って設けることと、少なくとも前記所定の周波数帯域で電磁エネルギーを減衰させるように構成された電磁減衰構造を携えることと、をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
導電性裏面から、前記所定の周波数帯域の波長から決定される距離の間隔を空けた導電表面を有するソールズベリー減衰構成を使用して、前記所定の周波数帯域を含む消去帯域で前記電磁エネルギーを減衰させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記グループのうち連続するグループものについて前記実質的に多数を処理するのに予測された時間、および前記連続するグループにおける前記RFIDコードの予備サンプリングの読み取りの速度に基づく処理の経験的な速度のうちの少なくとも1つに応じて、前記滞在時間、前記処理時間、チャート信号の振幅、前記応答信号の受信の感度、ならびに前記チャージおよび応答信号の照射の時間のうちの少なくとも1つを可変に制限することを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年4月9日出願の米国仮出願SN62/654,702号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、タグ付RFID(Radio Frequency Identification)符号化物品、特に、グループまたはバッチでのマルチ読み取りタグについてのリーダの分野に関し、タグは、グループが読み取りゾーン内に移動されるときにタグに呼掛けるポーリングプロセスによって個々に識別可能である実質的に固有のデータコードを携える。タグと、読み取りゾーンに向けられた1つまたは複数のシステムアンテナとの間の電磁相互作用を集中させるために、いくつかの態様が、個々に、および組み合わせで採用される。同時に、相互作用は、近くに配置され得るがグループの一部でない物品に対応付けられ得るタグで制限される。これらの態様は、読み取りゾーンへの便利な入口および出口を可能にし、それによって、手動で、読み取りゾーン内に搬送されるか、またはカート、車輪付きの箱、ショッピングカート、衣類吊り下げ什器などで移動される物品の読み取りに特に有用であるRFIDマルチ読み取りポータルを提供する。
【0003】
本開示の方法および装置は、読み取りゾーンに焦点を合わせる形状であり得る反射表面が並べられた部分的な筐体と、損失の大きい材料を含み、任意選択で反射シートに外向きに面し、読み取りゾーンの外側で信号の伝播を制限し減衰させ、伝播経路を延長するようにすべてが配置されている、隣接する電磁信号減衰構造と、を含む。さらに、感知およびシグナリングと共に、RFID読み取り/書き込み信号レベルおよびタイミングの可変制御は、読み取り筐体を通って、または読み取りゾーンと交差する通過経路に沿って移動されるRFIDマルチ読み取りタグ符号化アイテムのグループのRF電力密度および滞在時間などの1つまたは複数のファクターを制御するために使用される。結果は、他のタグ付物品との好ましくない相互作用を最小化しながら、グループに存在するRFIDコードの迅速で比較的完全な読み取りを達成することである。
【0004】
数ある目的の中でもとりわけ、一の目的は、グループ内のタグのチャージ(呼掛け)および/または応答の読み取りに必要最小限のRF電力密度および相互作用時間を使用し、その結果、近くに配置され得るが、そのグループの一部でないタグとの好ましくない相互作用を区別しながら、グループに存在する、ほとんどまたはすべてのタグのコードが、識別できることである。グループは、互いに近接して配置されており、例えば、搬送バッグに含まれているか、移動可能なカートもしくは箱に配設されているか、別々の長さのコンベアもしくは類似の輸送手段で搬送されるか、またはそうでない場合、読み取りゾーンを通って通過する間に一緒に配置された複数のRFIDタグ付物体である。
【0005】
グループ内のパッシブUHF(Ultrahigh Frequency)のRFIDタグを読み取るために、十分なRF電力密度が、タグの各々と相互作用するのに必要とされる。これは、各タグをチャージするための電力を含み、ポーリングプロシージャの間にタグと通信するための電力も含む。本プロセスを支援するために、RF電力レベルを向上させること、および/または相互作用時間を延長することが可能であり得るが、それは、グループの外側のタグとの好ましくない相互作用のリスクを増加させる。読み取り装置まで列を成している箱またはカートで連続してグループが配置されているか、または物品が、小売りの環境などで、近くに配置されているがグループの一部でない状況では、他の対策が必要とされる。
【0006】
RFIDタグは、積み重ねもしくはスタック、もしくはハンガーラック、または他の場合で隣接した状態などで、密に配置された物品上で搬送され得る。従来は、密に配置されたタグの読み取りは、タグに呼掛ける高いまたは最大の可能な電力レベル、および応答を識別する高いまたは最大感度のアンテナ構成を使用して行われている。タグへの照射(チャージ)および応答の検出のプロセスは同様に、最悪のケースシナリオですべてのタグを読み取るのに十分な期間を超える期間、例えば、タグからの応答が所与の期間で受信されなくなるまで継続している。オープンな環境でこれを実行することは、精査中のタグのグループの一部でないRFIDタグを潜在的に含む、あまりにも大きいエリアまたはボリューム上での付随的な相互作用のリスクがある。例えば、公称RFIDタグ読み取りレベルは、20フィート(6メートル)の範囲、または直接的な見通し線に沿って条件が理想的である場合には50フィート(15m)の範囲でさえ、タグと相互作用するのに十分であり得る。それは、力強い電力レベルが使用され得るが、相互作用が4フィート(1.3m)などのより一層小さい範囲に制限される場合に有利である。
【0007】
完全に包囲する導電筐体は、相互作用を筐体内に配置されたタグに制限し得るが、いくつかのアプリケーションでは好適でない場合がある。筐体が、筐体の外側のタグと相互作用せずに電磁的に十分に遮蔽される場合、高いRF電力密度が、安全に適用され得る。例えば、遮蔽筐体は、タグが配置される内部反射読み取りエリアを生成するように閉じられ得る導電遮蔽ドアを有する導電中空箱を備え得る。したがって、タグとの相互作用は、導電箱内のボリュームに制限される。電力レベルおよび滞在時間は、好ましくない外部のタグ相互作用無しで十分すぎ得る。例えば、米国特許第9,760,826号を参照されたい。その完全な開示は、参照によって本明細書に組み込まれ、これらの問題に対処する。
【0008】
米国第9,760,826号は、アンテナを含む筐体内に、および任意選択で筐体を超えてつながる通過経路に沿って導電シース壁を設けることによって、筐体の外側のタグとの好ましくない相互作用を制限する技術を開示する。したがって、延長された遮蔽ホールは、往路通過経路および復路通過経路に沿って、導電側壁と、任意選択で上部および底部導電壁と、を含む。タグ付物品のバッチまたはグループは、実質的に囲まれた中央読み取りゾーンで、ある時間存在する。ここで、RFIDアンテナは、へこんだ隙間に取り付けられている。往路および復路は、反射を伴うように角度が付いているか、または曲線状である比較的長い信号伝播経路を規定し得るが、筐体内のRFIDアンテナと本開示の外側に付随的に配置された「散在する」RFIDタグとの間の直接的な見通し線信号経路は除外する。これらの対策は、産業上の設置では有効であるが、小売りの精算などのオープンなプランが好ましい他の設置では、閉塞的になり制限され得る。既知のオープンな設置で散在するタグの読み取りは、散在するタグと相互作用し、物品会計の精度を損ない、どの物品が実際に、規定された棚卸表の本文内に存在するかに関するエラーが入り、読み取りがセールのポイントである場合にキャッシュレジスターのレシートを合算するときにセーフガードを必要とするなどのリスクを高める。オープンな読み取り装置を有することには審美的な理由がある一方で、読み取りゾーンを囲うことを必要とする機能的な理由がある。必要なことは、オープンな構造を有する読み取り装置で読み取りゾーンの電磁的な制限を向上させる方法である。
【発明の概要】
【0009】
グループの一部でない「散在する」タグとの相互作用のリスクを最小化しながら、連続したグループ内のマルチ読み取りRFIDタグを効果的に読み取るために、ロバストでありながら好適でちょうど十分な信号振幅および/または滞在時間を可能にするように、RFIDアンテナの呼掛けおよび応答シグナリングを配置することが、本開示の目的である。この目的のために、構造的な配置および材料が、読み取りゾーンで提供され、入口ホールおよび/または出口ホールを規定する。当該ホールは、読み取りゾーンに制限されるタグチャージ効果およびシグナリング効果に集中しそれらを向上させる電磁反射表面、読み取りゾーンの外側の伝播をまっすぐではなく交差した経路に制限して読み取りゾーンと外部のゾーンとの間の信号伝播経路長さを延長する同様の反射ホール構造、および動作RF周波数を減衰させる厚みおよび表面仕上げを含み前記ホールに沿って選択的に配置された電磁的に損失の大きい吸収材料のうちの1つまたは複数を含む。その結果は、大きすぎず、散在するタグと過度に相互作用することなく両方の端部でオープンであり、一般に、小売り精算ライン、衣類ラックリーダ、布処理ラインなどを含む様々なアプリケーションで有利であり得る、マルチ読み取りRFIDタグ読み取り装置である。
【0010】
目的は、従業員または客が、高度の信頼性で読み取られ得るRFIDタグ付アイテムを含むバッグもしくはローリングカートまたは他の容器を搬送しながら、読み取りエリアを閉鎖するように所定の位置までおよび所定の位置から外に移動されなければならない遮蔽ドアによって妨げられることなく、マルチ読み取りタグ読み取りエリアを通って移動することを可能にすることである。ここで、読み取りエリアは、好ましくは、狭隘な筐体や迷路状のホール経路を用いずに構成され得るとともに、少なくとも1メートルまたは2メートル(3〜6フィート)の妥当な距離内に散在するタグを読み取ることを除外し得る。本開示の装置および方法は、読み取りゾーンで密に配置された多数のタグのIDの高速識別を可能にするのに十分高いRF密度を維持する。読み取り筐体の外側に配置されてもよい、散在するタグと過度に相互作用することなく、バッグまたは箱で積載された布製アイテムなどの何百ものアイテムのRFIDの読み取りを可能にする実施形態が開示される。トンネル状の配置に適用可能であるが、遮蔽および減衰配置が、典型的なスーパーマーケットキャッシュレジスターの精算ラインよりも、ユーザまたは客に対して実質的に制限的でない筐体の高さ、幅、および全体的な広さを有するホール構造に含まれる実施形態も開示される。
【0011】
通常の歩行ペースで、任意選択で、例えば、停止/進行のシグナリングによって制御される読み取りゾーンで静止時間を伴って、ポータル読み取りエリアを通過しながら、タグ付アイテム、バッグ、カート、または容器が手動で移動され得る。同様に、アイテムは、コンベアまたは他の給電されたキャリア上で搬送され得る。一態様によれば、滞在時間および任意選択でRF電力密度は、読み取られるタグの数を補完するように、すなわち、存在するタグを処理できるのに十分長く、十分な電力であるが、および/または、もはや十分な電力レベル以下で照射されるように可変である。この目的のために、コードリーダは、グループで到達するか、または到達すると予測される、所与の数または密度のタグを検出するときに読み取りを開始し、所定の読み取り成功速度を達成するのに十分な時間継続する。ある実施形態では、滞在時間は、可変であり、アイテムを移動させている人に、必要に応じて、開始、一時停止、スピードアップ、またはスローダウンするように信号を送信することを含む。他の実施形態では、滞在時間は、搬送装置の動作または速度を制御することによってか、またはターンスタイル状のドアを開閉することによって可変である。
【0012】
一態様によれば、RFID読み取りおよび書き込みアンテナは、呼掛けおよび応答RFエネルギーを、ウォークスルーまたはそうでない場合は通過される、筐体内の制限されたボリュームに集中させるように配設されている。これは、反射導電材料で構築された隙間に複数のアンテナを配置することを含み得るものであり、読み取りゾーンに適用される指向性信号放射および指向性アンテナ感度によって、読み取りゾーンに対して双方向に電磁エネルギーを方向付ける。これは、アンテナを携えるくぼんだ反射構造の使用を含み得、任意選択で、パラボリック集信器、フレネル反射セグメント、および/またはメタ材料導波管構造などのアンテナに電磁エネルギーを制限し、電磁エネルギーを向けるための、より洗練された配置を含み得る。
【0013】
筐体(「ホール」)への、および筐体からのアプローチは、側部、底部、および上部のうちの1つまたは複数の上で、アンテナと外側の散在するタグとの間のRFエネルギーの伝播を制限するように構成されている。これは、信号経路伝播長さを延長する反射を要すること、および/またはホールでの信号が、損失の大きい誘電材料厚み、もしくはソールズベリー表面などの周波数固有の消去帯域減衰トラップ上に入射することを保証することのうちの1つまたは複数によって達成される。ある実施形態によれば、RF吸収性側壁構造は、ホールの内側の表面仕上げ表面に沿って配置されており、電磁吸収性の損失の大きい材料を含む。有利な吸収性材料は、炭素入りフォーム、黒鉛が組み込まれたゴム材料、またはフェライトなどの強磁性の粒状含有物を含む。一実施形態では、ホール壁の内側の表面仕上げまたは厚みは、吸収性および/または消去帯域の材料または構造を有し、壁の外側の厚みまたは裏側は、内向きに反射するように導電性であり、例えば、反射フィルム表面を有する。
【0014】
ソールズベリースクリーンは、別個の狭周波数消去帯域でRF吸収を達成するための既知のアプローチである。米国特許第2,599,944号「ABSORBENT BODY FOR ELECTROMAGNETIC WAVES」(「ソールズベリー」、その開示も組み込まれる)は、このような構造を記載する。電磁伝播を減衰させる合成材料構造は、合成材料構造の寸法によって決定される周波数帯域でそれらの表面を電磁的に非反射にするように、内側の読み取りゾーンと外側との間のホール壁上に配置された、本開示に適用されるような筐体の導電壁表面上に取り付けられている。他のアプローチは、炭素入りRF減衰フォーム、合成ゴムフェライト材料、または類似の構造もしくは材料を含んでもよい。導電性の粒状または誘電性の添加の程度は、好ましくは、所与の範囲、例えば、1〜3メートルを超えて配置された、散在するタグとの相互作用を除外するように、ホール壁上に入射するRF信号を減衰させるのに十分である。ホール壁での反射された信号強度の減衰は、一般に、ホール壁間の経路の縦または斜め下に対して、読み取りゾーンにわたって横向きに伝播を向けるアンテナでのクラムシェル反射構造と共に用いられる。
【0015】
本開示のある実施形態によれば、減衰される周波数帯域は、少なくともタグのRFIDのUHF読み取り/応答周波数を含む。合成構造を携える表面は、読み取りゾーン内につながる、より多くのまたはより少ない延長されたホールの少なくとも1つの側壁を含んでもよい。代替の実施形態では、合成物は、両方の対向する側壁、ならびにホールの上部および底部に沿って含まれ、および/またはアンテナ筐体およびホールは、大多数の反射されたエネルギーが読み取りゾーンに戻って再び向けられることを保証するような方法で配置された反射材料で構成されてもよい。
【0016】
ソールズベリーの特許は、ウッドブロックによって金属裏表面(すなわち、導電性のグラウンド面)から間隔を空けた、(導電性である)黒鉛がコーティングされたキャンバスの合成物を開示する。スペースは、吸収される周波数を決定する。有利なスペースは、約4分の1波長(λ/4)である。回路および送信ラインの理論は、ショート回路(≒0Ωインピーダンス)であるグラウンド面が、グラウンド面からλ/4の距離で開回路(≒∞Ω)に変えられることを示し得る。λ/4スペースで抵抗シートを配置することによって、377Ωインピーダンスが、反射された開回路と並列に配設される。これにより、フリースペースで377Ωインピーダンスを有する入射面RF波が377Ω負荷シートに一致する構造となる。理想的に、合成物は、入射波のエネルギーを完全に吸収する。読み取りゾーンと、外側にある物品との間のいずれかの方向での合成物からの反射によって、エネルギーがほとんど伝播しないかまたは全く伝播しない。反射フィルムによって形成された導電性裏面から、(ソールズベリーウッドスペーサと機能的に類似する)非導電性プラスチックスペース層によって間隔を空けた、(ソールズベリー黒鉛コーティングキャンバスのような)ホール壁の内側での炭素または黒鉛入り材料の導電性フィルム層などの他の固有の構造と同じ効果を生み出すことが同様に可能である。
【0017】
電磁信号強度は、伝播距離の逆2乗に応じて減衰される。ソールズベリーまたは他の減衰材料および構成を追加して達成される減衰は、伝播経路、特に、まっすぐではない(反射された)伝播経路上の長さを延長するのと類似の減衰効果を有する。信号減衰の所望の程度、すなわち、RFが、散在するタグと相互作用するための有効な信号強度でホールエリアを出て行くことを妨げるのに十分な程度は、好ましくは部分的に、ホール壁の幾何学構成によって達成される。比較的狭い横方向のホール壁スペースおよび比較的長いホール結合経路の両方は、利用可能な縦および斜めの(反射された)経路長を長くし、外側の散在するタグと、信号が生ずるかまたは反射されるポイントとの間の直接的な見通し線経路を妨げる傾向にある。幾何学配置単独か、または減衰材料の減衰と共に幾何学配置により、例えば、所定の範囲内で、例えば、1〜10メートルで、好ましくは、3フィートまたは4フィートを超える範囲(1.0〜1.3m)で、アンテナから外側の散在するタグへのRF伝播が、散在するタグ読み取り値が有効でないとされる程度まで減衰される。本開示の実施形態によれば、アンテナと、散在するタグとの間の減衰は、少なくとも10dBによって取得される。アンテナと、ターゲットでない散在するタグ群との間の直接的な見通し線を妨げること、およびターゲットでないタグに行き当たる前の信号経路を長くする反射をもたらすことによって、減衰はまた、損失の大きい吸収材を使用することなく達成されてもよく、逆もまた同様である。例示的な実施形態によれば、形状および損失の大きい吸収材の両方、および/または帯域消去配置は、少なくとも10dB、論じられるように最適化される場合には潜在的に20dBの所望の減衰を取得するために採用され得る。
【0018】
本発明は、効果的な高いタグ読み取り成功速度を達成するとともに、散在するタグとの有効な低速相互作用を達成する。これらは、ソールズベリータイプ材料、他のRF吸収材料または構造、形状延長伝播経路長、ならびに呼掛けおよび/または応答電力密度および滞在時間の制限のうちの1つもしくは複数、またはすべてを採用することによるものである。照射され受信されたシグナリングは、すべての最悪のケースシナリオで100%の成功ではないとしても、所望の高いタグID読み取り速度を達成するのに十分であることが好ましい。
【0019】
数ある目的の中でもとりわけ、本発明は、人力でオープンエンドのポータルを通過する、高い密度群のタグの読み取りの方法および装置を提供する。本方法は、ポータルのフットプリントの外側のタグとの意図しない相互作用の発生を制限または除去しながら、高いRF電力密度を維持する。これは部分的には、例えば、タグ読み取り/応答RFエネルギーを補完するような寸法で読み取りポータルの外壁の全体的な形状内に組み込まれた、ソールズベリースクリーンおよび他の損失の大きい材料を使用して、放射パターン操作、反射、および吸収の使用を通して、直接的および反射されたRFエネルギーの両方に関して、RF電力方向および形状を操作することによって、達成される。
【0020】
これらおよび他の目的は、遮蔽された読み取りゾーン上に集中される呼掛け/チャージおよび受信/検出アンテナを有するRFIDコードリーダを通って移動されるグループ内の物品上の複数の対応付けられたRFIDタグを読み取るRFIDポータルで達成される。物品は、読み取りゾーンと外側のエリアとの間の通路を通って移動可能であり、一時停止または移動しているときに読み取られ得る。通路は、そこでの物品上にRFエネルギーを均一に分配する読み取りゾーンでの導電壁と、好ましくは、所定の周波数帯域で、反射された電磁エネルギーを減衰させるように構成された、読み取りゾーン内へおよび/または読み取りゾーンの外へのホールと、を有する。このホールは、減衰を達成するための電磁減衰表面構造または反射形状を備えてもよい。対応付けられた方法は、(グループ通過速度の変更を含み得る)呼掛けおよび応答アンテナがアクティブである、滞在時間および/または処理時間、および外側であってもよいRFIDタグ付物品との好ましくない相互作用を最小化しながら、グループ内の実質的に多数のRFIDコードを処理するのに単に十分であるアンテナの振幅および感度も同様に制限することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の多数の例示的な実施形態が、非限定的な例として添付の図面で描かれる。
【0022】
【
図1】アンテナ読み取りゾーンおよび電磁減衰表面の場所を含む、本発明に係る読み取りポータルを示す平面図である。通過経路は水平である。
【
図2】読み取りのために列を成したタグ付物品のグループを有する、
図1のような概略図であり、1つのグループは、読み取りゾーン内に手動で移動されている。
【
図3】
図1のようであるが、読み取りポータルを通ってグループを移動させる要素としてのコンベアを有する平面図である。
【
図4】ポータルの斜視図であって、
図4は、内部の構造を示すために部分的に存在していない。
【
図5】ポータルの斜視図であって、
図4は、内部の構造を示すために部分的に存在していない。
【
図6】読み取りゾーンを通ってカートを手動で押し出すサイズである実施形態の特定の寸法を示す、平面図および立面図のセットである。
【
図7】RF波の伝播の場合の方向を示す概略図である。
【
図8】プログラムされたコンピュータ(図示せず)およびプロセスを使用してポータルの少なくとも半自動制御で対応付けられた属性および方法ステップを示すフローチャートである。
【
図9】自動化または半自動化された小売りの精算ラインに典型的であり得るような、輪郭付けられた読み取りゾーン内に人によって押し出されるショッピングカート内の物品のマルチ読み取りスキャンへの本発明の適用を示す斜視図である。
【
図10】実質的に読み取りゾーンの対向する側からの斜視図であり、エンドドアの図を含んでいる。
【
図12】ある信号伝播経路を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照すると、本開示のマルチ読み取りRFIDポータルは、オープンエンドのポータル構造の範囲内に密に配設された多数のUHFのRFIDタグ(例えば、数百個)を効率的かつ正確に読み取るために十分に高いRF電力のレベルを含むように構成されており動作する。ポータル構造は、電磁的に遮蔽され、タグ付商品を積んだ容器を搬送するか、または商品を積んだカートを押し出す人の通過を可能にするのに十分なサイズであり得る。
【0024】
図1、
図2、
図4、および
図5に示す導電筐体またはポータルは、ポータルを通って移動させる人(図示せず)に加えて容器内の必要とされるRFIDタグ付アイテムを受け入れるような寸法である。
図3に示すものなどの代替の実施形態では、ポータルは、より小さくあり得、コンベア上に配置された箱またはバッグなどを受け入れる。これらの実施形態では、ポータルは、一般に、任意選択でベース要素を含む、反転されたチャネルによって規定されるトンネルとしての形状である。さらなる実施形態では、アイテムのための容器は、タグ付アイテムが配置されたショッピングカートに似たサイズであり得、カートは、直立の側壁およびオープンな上部(図示せず)を有するチャネルなどのより少なく包囲する筐体によって規定されるポータルを通って通過する。
【0025】
図面に示される実施形態では、RFIDタグ付アイテムは、好ましくは、ローリングカート内で密に配置されているか、もしくはバッグ内で搬送され、より速いもしくはより遅い通過速度で移動可能であり、および/またはより長いもしくはより遅い滞在時間で読み取りゾーンに残る。読み取りゾーンは、ポータルの中央部であり、ここで、タグ上に入射するRF電力密度および受信アンテナ感度は、既知のマルチ読み取りタグポーリング/応答プロセスでタグを識別するのに十分である。
【0026】
例示的な実施形態では、RFIDアンテナから放射された電力は、マルチ読み取りRFIDタグ、そうでない場合はパッシブデバイスを効率的にチャージするのに十分な電力密度を保証する。読み取りゾーンに隣接する導電壁は、チャージおよび応答信号伝播のために直接的および反射されたRFエネルギーを集中させる。すなわち、アンテナ設計および配置選択は、好ましくは、信号電力を読み取りゾーン、すなわち、タグ付アイテムを通過させるウィンドウまたはボリューム内に集中する役割を果たす。
【0027】
ポータルに近接し得るが、精査においてタグのグループの外側にあり得るタグの意図しない読み取りを制限するように、ポータルのフットプリント内で十分に実現可能なくらい完全に、アンテナ指向性、反射表面形状、および/または電磁遮蔽によって、直接的および反射されたRFエネルギーが制限される。好ましくは、数ある態様の中でもとりわけ、RFエネルギーの制限、ポータル壁内にへこんだ遮蔽された隙間内へのRF読み取り/応答アンテナの配置、導電材料によって少なくとも部分的に規定され得る延長された遮蔽ホール、およびソールズベリー4分の1波RF減衰配置などのRF減衰または反射防止表面仕上げが含まれる。
【0028】
タグID読み取りは、既知のポーリング方法で迅速に行われ得、それによって、バッグ、スリング、容器、もしくはカートで読み取りゾーンを通るか、またはポータルを通って通過する間に人の上でもしくは人の周囲で搬送されるタグ付アイテムを搬送して、読み取りゾーンを通る通過時間、例えば、人間が通常の歩行ペースでポータルを通過するのに要する時間で、数百個のタグが信頼して読み取られる。代替の実施形態では、タグは、コンベア上を通って移動され得る。
【0029】
一態様によれば、散在する(外部の)RFIDタグとの相互作用は、読み取りゾーンでのちょうど十分な滞在時間、および必要とされる読み取り成功速度を達成するのにちょうど十分なRF電力密度の組み合わせを使用することによって最小化され得る。すなわち、読み取られたままのタグが依然としてポータル内にあり、ポータルを通過しているときに高い電力で応答をアクティブに送信および検出し、タグの除去によって動作を完了し、タグが読み取られるとすぐにRF電力を低減または停止するように、RFID呼掛けおよびタグ応答リーダ動作は、それらの動作の時間および電力レベルの一方または両方によって制限され得る。タグが存在しないか、または実質的にすべて読み取られたときに、電力レベルを低減すること、および/または読み取り/検出動作を中止することは、意図しないタグ読み取りを制限する傾向にある。
【0030】
タグがいつ存在するかの判定は、通過速度および滞在時間の関数であってもよい。これは、グループを移動させる人に信号を送ることによってか、またはグループを搬送するコンベアの動作を制御することによって制御可能である。
【0031】
実質的にすべてのタグがいつ読み取られたかの判定は、経験的であり得、例えば、「最後の」タグが読み取られた後に見つけられて読み取られるタグが無い場合に、読み取りプロセスが完了したことを想定する。しかし、それは、RFチャージ放射を照射すること、および応答の受信を必要以上に長く求めることが、ポータルの外側にあり、処理されているグループの一部でないタグ付アイテムとの相互作用のリスクを増加させるため好ましくない。したがって、別の態様によれば、(通過速度によって決定され得る)滞在時間および(アンテナに照射される制御信号によって可変であり得る)RF放射密度は、好ましくは、必要とされることに単に十分だけであるように制限される。必要とされるレベルは、既知のパラメータから感知または推定される情報に基づく。例えば、タグの数が所与の範囲内にあることが知られている場合、または最初の成功したタグ読み取り速度が、全体のグループを読み取るのに必要とされる見込み時間を推定するために使用される場合、それよりも長くタグを読み取ろうとし続けることが不必要になる。Rf放射密度の所与の範囲が、所与の読み取り速度を生み出すように推定され、予期された滞在時間においてグループからすべての予期されたタグを処理する場合、RF放射密度を、必要とされる高さ以下であるように制御することが有利である。
【0032】
描かれた実施形態では、ポータル構造の側壁と任意選択で上部および底部、ならびに入口および出口通路の少なくとも一部には、ソールズベリースクリーンタイプ吸収エリアが組み込まれる。ポータルフットプリントを出て行く直接的RF波および反射されたRF波を吸収するように、ソールズベリースクリーンの代わりに、またはそれに加えて、適切な周波数範囲でアクティブである他のRF吸収材料を設け得る。好適な、損失の大きい炭素入りフレキシブルフォームシートストックは、誘電損失の広周波数範囲を提供すると考えられる、Cuming Microwave製品「C-RAM MT,」である。(http://stores.cumingmicrowave-online-store.com/11-c-ram-mt-30-5-x-24-x-24/を参照されたい。)
【0033】
上記のように、ソールズベリー構成は、導電性裏面から周波数依存距離だけ離れた、ホール壁の内側の表面上の表面仕上げ導電層を含み得る。内側の表面および裏面に対する好適な導電性フィルムは、Safe Living Technologies Inc.の製品SLT-1053である。(http://www.slt.co/products/RFShieldingWindowFilm/RFWindowFilm-SignalProtect-Clear.aspxを参照されたい)。本製品はまた、光学的にクリアであり、それは、本開示の実施形態のオープンな感覚に寄与するには望ましいことである。
【0034】
ポータルの中央セクションは、直接的および反射された波の両方を使用して複数の方向から、タグ付アイテムを読み取る、周囲のアンテナを含む。このセクションは、パッシブUHFのRFIDタグ上に給電するのに必要とされる高いRF電力密度を維持する。ニッチ取り付けおよび補完的なセットでの動作を含むアンテナ配置の例は、例えば、参照により組み込まれている米国特許第9,760,826号で開示される。示される配置は、読み取りゾーンの内側に向けられるように、5つのアンテナセグメントが取り付けられる(読み取りゾーンの両側を含む10個)(クロスセクションで台形の)導電材料のクラムシェル構造を有する。具体的に示されていないが、クラムシェル形状は、信号強度を集中するためにパラボリックであり得る。クラムシェル構造はまた、フレネルパラボリックセグメント、メタ材料導波管などの、アンテナへおよびアンテナから電磁エネルギーを向けるために追加の構造を含み得る。
【0035】
図1を参照すると、本実施形態では、フォトセルペアなどのセンサ1は、読み取られるタグ付アイテムの存在を検出するときに動作を開始するために、ポータルの入口端部に設けられ、コントローラ(図示せず)に接続され得る。好ましくは、ポータルの入口および出口でのこのようなフォトアイセンサは、読み取り動作を開始および終了する。このようにして、読み取り装置を常に動作させるのではなく、読み取られるタグのグループが実際に存在するときに、時間指定の間隔または制限された間隔でのみ作動することによって、散在するタグとの相互作用が防がれる。
【0036】
中央読み取りゾーン検出内につながるホールエリアの壁2は、電磁吸収性である。例えば、ホール壁2の内側は、ソールズベリー帯域消去減衰構造が施され、および/または壁は、炭素入りフォーム、あるいは黒鉛入りゴム、あるいは抵抗損失のためのプラスチックシート材料、またはあるいはフェライト入りポリマーなどの広帯域吸収層を備える。導電性フィルムシートは、以下でさらに説明されるように、伝播に対するグラウンド面または外側のバリアとして、壁2の外側に適用され得る。壁2は、中央読み取りゾーンで少なくとも内向き反射壁3を含む。反射壁3は、読み取りゾーンの周囲(例えば、側壁、任意選択で上部および/または底部における隙間)に設けられるアンテナ4によって生成および受信されるような、内側の読み取りゾーンをカバーするRFエネルギーを閉じ込めて強める。
【0037】
アンテナについての主要なカバレッジエリアは、エリア5であり、ポータルの中央部および中央部周囲にある。
【0038】
ポータルを通って進むと、吸収エリア6も、出口端部に設けられる。
図2におけるカート7などのポータルの外側にあるタグ付アイテムは、ポータル壁によって遮蔽されるだけでなく、カートがポータルの内側からの伝播経路に沿っている限り、点線8に沿って示されるほとんどの入射RFエネルギーは、ポータル壁間で反射され、ソールズベリー減衰材料に行き当たり、減衰されたエネルギー9として現れ、その結果、アンテナは、外部のカート7内のアイテムとの相互作用があっても、アクティブに読み取られているカート10とのアンテナの相互作用よりも少なくとも実質的に非常に少ないものに制限している。
【0039】
図7では、ソールズベリースクリーンのグラウンド面として必要とされる電磁反射表面は、ポータル構造の金属外殻によって設けられる。
図4および
図5では、エリア12は、吸収性であり得る。エリア13は、反射性である(1つまたは複数の底部取り付けアンテナを含み得る反射床14も参照されたい)。エリア15は、ソールズベリースクリーンの後側およびポータルの外側の外殻を形成している金属反射壁である。
【0040】
エアスペース16は、好ましくは、ソールズベリースクリーンについてのλ/4スペースに対応するような寸法であり、ここで、λは、使用される中心周波数の波長である。USでRFIDマルチ読み取りのために構成された非限定的な例として、3.226インチスペース16は、中心周波数の915mHz、公称US動作周波数の4分の1波長に対応する。約377Ω表面抵抗を有する、損失の大きい誘電体17は、フリーエアインピーダンスと一致する。低損失誘電体プラスチック18は、構造的にサポートし、薄い損失の大きい層17へのダメージを防ぐ。RF波の方向は、
図7に示される。
【0041】
前述の寸法は、特定のRFID動作周波数またはタグをチャージしタグから応答を受信するために使用される周波数に応じて変更され得る。現在、世界中のUHF動作周波数は、典型的には、860〜960mHzである。同様に、2つ以上の異なる動作周波数が、好ましくは、読み取りゾーンと、2つ以上の異なる周波数を減衰させるように構成された部分を含むように配置された読み取りゾーンの外側のエリアとの間の通路のセクションで受け入れられることを可能にすることが、本発明の範囲内にある。
【0042】
前述の態様および実施形態に加えて、ポータル装置は、バッグまたは容器内のアイテム上のマルチ読み取りタグのIDコードを識別するように有利に構築および構成されている。一例は、単にポータルを歩いて通り抜ける間に人によって押し出されるカート内の衣類または他の布製物品上のRFIDタグである。ランドリー配置などでは、カート内のタグは、数千までに達するが、多くの場合、500またはそれよりも少ない。
【0043】
同じ構造および方法は、読み取りポータルトンネルを通るモータ駆動コンベアを有するアプリケーションを含むがこれに限定されない他の特定のアプリケーションで、信号「放出」および外部のタグとの相互作用を有利に低減する。そのケースでは、速度可変コンベア制御は、読み取りゾーンでの滞在時間を選択的に制御するために、タグ読み取り要素のコントローラに並べられ得る。いくつかの実施形態では、RF電力レベルは、複数の動作電力レベルの範囲またはセットで選択可能である。電力レベルは、必要とされる予測された時間、または読み取り動作の開始すぐにタグのサブセットを読み取るときに経験されるサクセスレートなどの検出された属性のいずれかに基づいて、タグのサイズ(小さいタグは、大きいものよりも識別が困難である)、タグの量および密度を補完するように有利に変更され得る。
【0044】
ウォークスルーを伴ういくつかの実施形態では、(タグ付物品のバッグの搬送または車輪付きカートなどの押し出しなどの)人の歩行は、必要とされる予測された時間に再び基づいてか、またはサブセットを読み取るのに要する時間によって経験的に、停止/開始/スピードアップまたはスローダウンするように人に信号を送ることによって滞在時間を変更し得る。
【0045】
本開示の構成は、特に、周期的に処理される洗濯物などのRFIDタグ付布製アイテムに有効である。洗濯物タグは、小さく、かつ非常に小さいアンテナを有し、洗濯アイテムは、バッグ、スリング、またはカートに密に納められている。手動で移動されるグループについて、可視または音声シグナリング(特にLED光)は、ペースを設定または変更するように、歩いて通り抜ける人に信号を送り得る。したがって、タグの数または密度が時々変化する場合、シグナリングは、例えば、読み取り動作が完了したことを示す他のシグナリングに加えて、スローダウン(黄色)するように、進むようにもしくはスピードアップ(緑色)するように、または一時停止/停止(赤色)するように命じ得る。ディスプレイスクリーン(図示せず)は、読み取り動作の状態を動作が進むにつれて示すように設けられ得る。
【0046】
図8は、一実施形態に係る読み取りポータルの動作におけるステップを示すフローチャートである。ステップは、ポータルアンテナに接続され、かつ上述の動作をもたらす、同じコンピュータシステム内にプログラムされ得る。
【0047】
図9〜
図11は、自動化または半自動化された小売りの精算ラインに典型的であり得るような、輪郭付けられた読み取りゾーン内に人によって押し出されるショッピングカート内の物品のマルチ読み取りスキャンへの本発明の例示的な適用を示す。数ある態様の中でもとりわけ、構成は、ゾーン5に送信および受信される電磁信号を集中させ、ここで、RFIDタグ付アイテムが、位置付けられ、ゾーン5の外側にあるRFIDタグ付アイテム、特に、小売店で近くの棚に置かれるか、または他の客によって搬送されているかもしくはカートで運ばれている、ストックの種々のアイテム(図示せず)との潜在的な通信を最小化する。
【0048】
図9〜
図11における実施形態は、ホール壁2の内側の表面仕上げ側でソールズベリーRF減衰構造を含み得るか、または壁2自体が、ソールズベリー暫定減衰器として構築され得る。その実施形態では、内側は、エアギャップ、または使用される動作RFIDチャージおよび読み取り周波数を減衰させるように構成された他の誘電スペースによって導電性裏面から間隔を空けた導電性シートに面している。あるいは、ホール壁2の本体は、粒状の炭素、黒鉛、フェライトなどの添加を含み得、壁2を損失の大きいものにする。好ましくは、導電性シートは、電磁エネルギーを反射によって内側に再び向けるために、損失の大きいホール壁の外側に適用される。
【0049】
カートおよび付随する人のための通路は、中央読み取りゾーン5内に、および中央読み取りゾーン5を超えてつながる壁2間で延長されたホールとして規定される。壁2は、上で論じられるように電磁相互作用を集中させるように、読み取りゾーン内および読み取りゾーンのすぐ隣で電磁反射を利用するクラムシェル形状の導電壁部3を有する。同様に、1つまたは好ましくはいくつかの吸収構造は、1つまたは複数の有効なRFIDスキャン周波数で伝播する反射を減衰させるように、エリア6に沿って設けられ、読み取りゾーン5から外向きに配設されている。吸収構造は、スキャン可能なアイテムがカート内に位置付けられ得る最も高いポイントよりも少し上の高さまで、2つの対向するホールの側壁2に沿って延在し得る。可能性のある異なる実施形態によれば、読み取りゾーンで信号振幅を集中させる反射部、および反射によって伝播する信号の振幅を低減する減衰部は、通路の1つまたは2つの対向する側で、任意選択で通路の上下に、および任意選択で移動可能なドアを介した、または見通し線信号経路を除外する曲がりくねった経路レイアウトを通る、入口および出口経路にわたって配置され得る。
【0050】
壁2の反射部は、アンテナ4の影響下にある読み取りゾーン5で信号強度を集中させるように効果的に配置されている。減衰部は、読み取りゾーン5の外側で信号伝播(送信および受信の両方)を低減するように配置されている。これらの配置は、読み取りゾーンで信号強度の伝播を部分的に閉じ込めるように、かつ読み取りゾーンの外側のRFIDタグ付ストックにつながる信号伝播のラインを部分的に減衰させるように選択される。ホール壁2間の経路を囲う1〜6個のサイドの電磁減衰表面を有する筐体は、これらの効果を提供し、通路と外側のRFIDタグ付ストックとの間の構造および距離などの構内の外部の属性を補完するように配置される場合に有用である。例示された実施形態では、壁2は、主に、対向する横方向のサイドに沿ってあり、読み取りゾーンでスキャンされる物品よりも少し上の高さまである。
【0051】
それぞれの側壁は(および任意選択で、上部、底部、および端部もまた)、追加の機能を果たすように配置され得る。例えば、通路の底部は、計量機の皿として構成され得、それによって、測定されたカートの重さは、RFIDコードに対応付けられる記憶された重さデータに基づいて予定重量を合計した後、RFIDコードスキャンの結果としての予定重量と比較されてもよい。壁は、検出されたRFIDタグコードに対するバーコード値の比較によってデータ入力を補うために、スチールもしくはビデオカメラ、またはレーザUPCバーコードスキャナなどの光学データ入力デバイスを携え得る。別の例として、側壁は、販売促進メッセージを見せるため、割引の提供または適用を知らせるため、フリーアイテムを客に提供するためなどに使用され得る。
【0052】
図10は、実質的に読み取りゾーンの対向する側からの斜視図であり、任意選択のエンドドアの図を含んでいる。同様に、エンドドアは、信号反射の閉じ込め、または同様に反射減衰機能を果たし得る。ある実施形態では、エンドドアは、読み取り動作中に閉じて、読み取り動作が完了できたときに開き、それによって、出口への経路を通って続くように人に信号を送るように制御可能である。
【0053】
図11は、一般に
図9および
図10に対応し、追加の詳細を示す斜視図である。
図12および
図13は、比較平面図であり、
図13は、アンテナ(1つのみ図示する)の周囲にクラムシェル反射構造を含む。クラムシェル反射構造は、信号強度を読み取りゾーンに合わせるだけでなく、読み取りゾーンの間で横方向に、最終的に斜めに反射される信号の伝播経路を伸ばす。このケースでは、アンテナは、中心線から20°離れて下向きの3dBの例示的な電力分配を有し、それによって、半分の電力を超える信号強度(〜3dB)での直接的なライン伝播は、ホールの内壁上で実質的に衝突し、上で論じられるようなソールズベリーまたは他の損失の大きい手段によって減衰され得る。
【0054】
本発明は、限定的ではなくむしろ例示的であることが意図される、ある実施形態および例に関連して開示されている。本発明は、例として使用される構造および機構に限定されない。請求される排他的権利の範囲を評価するために、前述の例ではなくむしろ添付の特許請求の範囲を参照されたい。
【国際調査報告】