特表2021-521884(P2021-521884A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-521884(P2021-521884A)
(43)【公表日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】ゲノム編集方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20210802BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20210802BHJP
   C07K 14/145 20060101ALN20210802BHJP
   C07K 14/645 20060101ALN20210802BHJP
   C07K 14/79 20060101ALN20210802BHJP
   C07K 14/50 20060101ALN20210802BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20210802BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20210802BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20210802BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20210802BHJP
【FI】
   C12N15/09 110
   C07K14/705ZNA
   C07K14/145
   C07K14/645
   C07K14/79
   C07K14/50
   C07K16/00
   C12N15/13
   C12N15/62 Z
   C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】130
(21)【出願番号】特願2021-506370(P2021-506370)
(86)(22)【出願日】2019年4月17日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月21日
(86)【国際出願番号】US2019028004
(87)【国際公開番号】WO2019204531
(87)【国際公開日】20191024
(31)【優先権主張番号】62/659,627
(32)【優先日】2018年4月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/685,243
(32)【優先日】2018年6月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/736,400
(32)【優先日】2018年9月25日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520407622
【氏名又は名称】リガンダル・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ワトソン、アンドレ・ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】フォスター、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】リン、シュアイリャン
(72)【発明者】
【氏名】ペイロー、サラ・マリー
【テーマコード(参考)】
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065CA24
4B065CA25
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA60
4H045FA74
(57)【要約】
粘着末端を使用するゲノム編集方法及び組成物を提供する。本発明の方法は、(a)標的細胞のゲノムDNA内の2か所の各々で付着型切断を生成し、これにより、2つのゲノム付着末端を生じさせること;及び(b)ドナーDNAの粘着末端がゲノムDNAの粘着末端とハイブリダイズし、ドナーDNAがゲノムに挿入されるように、ゲノムDNAの粘着末端に合致/対応する付着末端(すなわち、粘着末端)を有する直鎖状の二本鎖ドナーDNAを用意し/導入することを含む。ある態様では、付着型切断は、標的細胞に1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼ(又は1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼをコードする1つ以上の核酸)を導入することにより生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的細胞のゲノム編集方法であって、
(a)前記標的細胞のゲノム内の2か所で付着末端を伴う二本鎖切断を生成する工程、これにより、第1のゲノム付着末端及び第2のゲノム付着末端を生じ;並びに
(b)前記標的細胞に、各末端に5’突出又は3’突出を有する直鎖状の二本鎖ドナーDNAを導入する工程
を含み、
前記ドナーDNAの1つの末端が前記第1のゲノム付着末端とハイブリダイズし、前記ドナーDNAの他の末端が前記第2のゲノム付着末端とハイブリダイズし、これにより、前記直鎖状の二本鎖ドナーDNAが前記標的細胞のゲノムに挿入される、
方法。
【請求項2】
前記ドナーDNAの少なくとも1つの末端が5’突出を有し、前記ゲノム付着末端のうちの少なくとも1つが5’突出を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ドナーDNAの少なくとも1つの末端が3’突出を有し、前記ゲノム付着末端のうちの少なくとも1つが3’突出を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記生成する工程が、1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼ又は前記1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼをコードする1つ以上の核酸を、前記標的細胞に導入し、前記二本鎖切断を生成することを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼが、メガヌクレアーゼ、ホーミングエンドヌクレアーゼ、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及び転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)のうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼが、付着末端切断性CRISPR/Casエフェクタータンパク質を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記生成する工程が、CRISPR/Casガイド核酸又は前記CRISPR/Casガイド核酸をコードする核酸を、前記細胞に導入することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、(i)前記1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼ又は前記1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼをコードする1つ以上の核酸、及び(ii)前記直鎖状の二本鎖ドナーDNAを、前記細胞に、同じ送達媒体のペイロードとして導入することを含む、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞に、前記1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼ及び前記直鎖状の二本鎖ドナーDNAを、デオキシリボヌクレオタンパク質複合体又はリボ−デオキシリボヌクレオタンパク質複合体として導入する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記導入することにおいて、前記ドナーDNAの末端を、前記1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼに部位特異的に結合させる、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記送達媒体が非ウイルス性である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記送達媒体がナノ粒子である、請求項8〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
(i)及び(ii)に加えて、前記ナノ粒子が、アニオン性ポリマー組成物、カチオン性ポリマー組成物及びカチオン性ポリペプチド組成物を含むコアを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アニオン性ポリマー組成物が、ポリ(グルタミン酸)及びポリ(アスパラギン酸)から選択されるアニオン性ポリマーを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記カチオン性ポリマー組成物が、ポリ(アルギニン)、ポリ(リシン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(オルニチン)及びポリ(シトルリン)から選択されるカチオン性ポリマーを含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
ナノ粒子が前記コアを封入する脱落層をさらに含む、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記脱落層がアニオン性コート又はカチオン性コートである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記脱落層が、シリカ、ペプトイド、ポリシステイン、カルシウム、酸化カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、マンガン、酸化マンガン、リン酸マンガン、硫酸マンガン、マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、鉄、酸化鉄、リン酸鉄及び硫酸鉄のうちの1つ又は複数を含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記ナノ粒子が前記脱落層を取り囲む表面コートをさらに含む、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記表面コートが、前記脱落層と静電相互作用するカチオン性又はアニオン性のアンカードメインを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記表面コートが1つ以上のターゲティングリガンドを含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記表面コートが、狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)断片、ApoE−トランスフェリン、ラクトフェリン、メラノフェリチン、オボトランスフェリチン、L-セレクチン、E-セレクチン、P-セレクチン、シアル化ペプチド、ポリシアル化O結合型ペプチド、TPO、EPO、PSGL−1、ESL−1、CD44、死受容体3(DR3)、LAMP1、LAMP2、Mac2−BP、幹細胞因子(SCF)、CD70、SH2ドメイン含有タンパク質1A(SH2D1A)、エキセンディン、エキセンディン−S11C、GLP1、RGD、トランスフェリンリガンド、FGF断片、α5β1リガンド、IL2、Cde3ε、ペプチド−HLA−A2402、CD80、CD86、コハク酸、ビスホスホネート、造血幹細胞走化性脂質、スフィンゴシン、セラミド、スフィンゴシン-1-リン酸、セラミド-1-リン酸、及びこれらの活性ターゲティング断片からなる群から選択される1つ以上のターゲティングリガンドを含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項23】
前記表面コートが、CD3、CD8、CD4、CD28、CD90、CD45f、CD34、CD80、CD86、CD3ε、CD3γ、CD3δ;TCRα、TCRβ、TCRγ、及び/又はTCRδの定常領域;4−1BB、OX40、OX40L、CD62L、ARP5、CCR5、CCR7、CCR10、CXCR3、CXCR4、CD94/NKG2、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2H、NKG2D、NKG2F、NKp44、NKp46、NKp30、DNAM、XCR1、XCL1、XCL2、ILT、LIR、Ly49、IL2R、IL7R、IL10R、IL12R、IL15R、IL18R、TNFα、IFNγ、TGF−β、及びα5β1から選択される標的に対する結合を提供する1つ以上のターゲティングリガンドを含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項24】
前記表面コートが、骨髄細胞、造血幹細胞(HSC)、造血幹/前駆細胞(HSPC)、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄系前駆細胞、リンパ系前駆細胞、T細胞、B細胞、NKT細胞、NK細胞、樹状細胞、単球、顆粒球、赤血球、巨核細胞、マスト細胞、好塩基球、好酸球、好中球、マクロファージ、赤血球系前駆細胞、巨核細胞−赤血球系前駆細胞(MEP)、骨髄系共通前駆細胞(CMP)、複能性前駆細胞(MPP)、造血幹細胞(HSC)、短期HSC(ST−HSC)、IT−HSC、長期HSC(LT−HSC)、内皮細胞、ニューロン、星状細胞、膵細胞、膵島β細胞、肝臓細胞、筋肉細胞、骨格筋細胞、心筋細胞、肝細胞、脂肪細胞、腸細胞、結腸細胞、及び胃細胞から選択される標的細胞に対する結合を提供する1つ以上のターゲティングリガンドを含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項25】
前記送達媒体が前記ペイロードとコンジュゲートしたターゲティングリガンドで、前記ターゲティングリガンドが細胞表面タンパク質に対する結合を提供する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記送達媒体が帯電ポリマーであるポリペプチドドメインとコンジュゲートしたターゲティングリガンドで、前記ターゲティングリガンドが細胞表面タンパク質に対する結合を提供し、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインが、核酸ペイロードと共に凝縮され、及び/又はタンパク質ペイロードと静電相互作用する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ターゲティングリガンドが、ペプチド、ScFv、F(ab)、核酸アプタマー又はペプトイドである、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記帯電ポリマーであるポリペプチドドメインのアミノ酸長が3〜30である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記送達媒体が、前記ペイロード及び前記帯電ポリマーであるポリペプチドドメインと相互作用する、アニオン性ポリマーをさらに含む、請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記アニオン性ポリマーが、ポリ(グルタミン酸)及びポリ(アスパラギン酸)から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ターゲティングリガンドのアミノ酸長が5〜50である、請求項25〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記ターゲティングリガンドが、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)ファミリーB、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、細胞表面糖タンパク質及び細胞間接着分子から選択される細胞表面タンパク質に対する結合を提供する、請求項25〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ターゲティングリガンドが、狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)断片、ApoE−トランスフェリン、ラクトフェリン、メラノフェリチン、オボトランスフェリチン、L-セレクチン、E-セレクチン、P-セレクチン、シアル化ペプチド、ポリシアル化O結合型ペプチド、TPO、EPO、PSGL−1、ESL−1、CD44、死受容体3(DR3)、LAMP1、LAMP2、Mac2−BP、幹細胞因子(SCF)、CD70、SH2ドメイン含有タンパク質1A(SH2D1A)、エキセンディン、エキセンディン−S11C、GLP1、RGD、トランスフェリンリガンド、FGF断片、α5β1リガンド、IL2、Cde3ε、ペプチド−HLA−A2402、CD80、CD86、コハク酸、ビスホスホネート、造血幹細胞走化性脂質、スフィンゴシン、セラミド、スフィンゴシン-1-リン酸、セラミド-1-リン酸、及びこれらの活性ターゲティング断片からなる群から選択される、請求項25〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記ターゲティングリガンドが、CD3、CD8、CD4、CD28、CD90、CD45f、CD34、CD80、CD86、CD3ε、CD3γ、CD3δ;TCRα、TCRβ、TCRγ、及び/又はTCRδの定常領域;4−1BB、OX40、OX40L、CD62L、ARP5、CCR5、CCR7、CCR10、CXCR3、CXCR4、CD94/NKG2、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2H、NKG2D、NKG2F、NKp44、NKp46、NKp30、DNAM、XCR1、XCL1、XCL2、ILT、LIR、Ly49、IL2R、IL7R、IL10R、IL12R、IL15R、IL18R、TNFα、IFNγ、TGF−β、及びα5β1から選択される標的に対する結合を提供する、請求項25〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ターゲティングリガンドが、骨髄細胞、造血幹細胞(HSC)、長期HSC、短期HSC、造血幹/前駆細胞(HSPC)、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄系前駆細胞、リンパ系前駆細胞、T細胞、B細胞、NKT細胞、NK細胞、樹状細胞、単球、顆粒球、赤血球、巨核細胞、マスト細胞、好塩基球、好酸球、好中球、マクロファージ、赤血球系前駆細胞(例.HUDEP細胞)、巨核細胞−赤血球系前駆細胞(MEP)、骨髄系共通前駆細胞(CMP)、複能性前駆細胞(MPP)、造血幹細胞(HSC)、短期HSC(ST−HSC)、IT−HSC、長期HSC(LT−HSC)、内皮細胞、ニューロン、星状細胞、膵細胞、膵島β細胞、筋肉細胞、骨格筋細胞、心筋細胞、肝細胞、脂肪細胞、腸細胞、結腸細胞、及び胃細胞からなる群から選択される細胞への結合をもたらす、請求項25〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記標的細胞のゲノム内の前記2か所で二本鎖切断を生成する前の前記2か所の間隔が、1,000,000塩基対以下である、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記標的細胞のゲノム内の前記2か所で二本鎖切断を生成する前の前記2か所の間隔が、100,000塩基対以下である、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記第1及び第2のゲノム付着末端を、TCRα座位又はTCRβ座位において生じさせる、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記第1及び第2のゲノム付着末端のうちの少なくとも1つを、(1)図59に示されたCRISPR/CasガイドRNA(gRNA)配列のうちの1以上を使用して、及び/又は(2)図59に示されたTALEN配列のうちの1以上をターゲティングすることにより生じさせる、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記ドナーDNAが、合計10塩基対(bp)〜100キロ塩基対(kbp)である、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記ドナーDNAの前記挿入が、T細胞受容体(TCR)タンパク質をコードするヌクレオチド配列内で生じる、請求項1〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記ドナーDNAが、前記TCRタンパク質のCDR1、CDR2又はCDR3領域のアミノ酸をコードする、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ドナーDNAが、キメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ドナーDNAの挿入が、前記CARをコードする前記ヌクレオチド配列の内因性T細胞プロモーターへの作動可能な連結をもたらす、請求項1〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記ドナーDNAが、プロモーターに作動可能に連結し、キメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記ドナーDNAが、膜に結合し細胞外に提示される細胞特異的ターゲティングリガンドをコードするヌクレオチド配列を含み、前記ドナーDNAの挿入が、前記細胞特異的ターゲティングリガンドをコードするヌクレオチド配列の内因性プロモーターへの作動可能な連結をもたらす、請求項1〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記ドナーDNAが、膜に結合し細胞外に提示される細胞特異的ターゲティングリガンドをコードする配列に作動可能に連結するプロモーターを含む、請求項1〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記方法が、
前記標的細胞のゲノム内の4か所で付着末端を伴う二本鎖切断を生成し、これにより、前記第1及び第2のゲノム付着末端に加えて、第3のゲノム付着末端及び第4のゲノム付着末端を生じさせること;並びに
各々が、各末端に5’突出又は3’突出を有する2つの直鎖状の二本鎖ドナーDNAを導入すること
を含み、
1つのドナーDNAの末端が前記第1のゲノム付着末端及び第2のゲノム付着末端とハイブリダイズし、他のドナーDNAの末端が前記第3のゲノム付着末端及び第4のゲノム付着末端とハイブリダイズし、
これにより、前記2つのドナーDNAが前記標的細胞のゲノムに挿入される、請求項1〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
(1)1つのドナーDNAの挿入が、T細胞受容体(TCR)α若しくはδサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入が、TCRβ若しくはγサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じる;
(2)1つのドナーDNAの挿入が、T細胞受容体(TCR)α若しくはγサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入が、TCRβ若しくはδサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じる;又は
(3)1つのドナーDNAの挿入が、IgA、IgD、IgE、IgG若しくはIgMタンパク質のκ鎖をコードするヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入が、IgA、IgD、IgE、IgG若しくはIgMタンパク質のλ鎖をコードするヌクレオチド配列内で生じる、
請求項47に記載の方法。
【請求項49】
1つのドナーDNAの挿入が、T細胞受容体(TCR)α又はδサブユニットの定常領域をコードするヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入が、TCRβ又はγサブユニットの定常領域をコードするヌクレオチド配列内で生じる、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
(1)1つのドナーDNAの挿入が、T細胞受容体(TCR)α若しくはδサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入が、TCRβ若しくはγサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じる;
(2)1つのドナーDNAの挿入が、T細胞受容体(TCR)α若しくはγサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入が、TCRβ若しくはδサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じる;又は
(3)1つのドナーDNAの挿入が、IgA、IgD、IgE、IgG若しくはIgMタンパク質のκ鎖のプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入が、IgA、IgD、IgE、IgG若しくはIgMタンパク質のλ鎖のプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じる、
請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記ドナーDNAの挿入が、挿入されたドナーDNAのT細胞受容体(TCR)α、β、γ又はδの内因性プロモーターとの作動可能な連結をもたらす、請求項1〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記ドナーDNAが、TCRα、β、γ又はδのプロモーターに作動可能に連結するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記ドナーDNAの挿入が、挿入されたドナーDNAの、(i)T細胞特異的プロモーター;(ii)CD3プロモーター;(iii)CD28プロモーター;(iv)幹細胞特異的プロモーター;(v)体細胞特異的プロモーター;(vi)T細胞受容体(TCR)α、β、γ又はδのプロモーター;(v)B細胞特異的プロモーター;(vi)CD19プロモーター;(vii)CD20プロモーター;(viii)CD22プロモーター;(ix)B29プロモーター;及び(x)T細胞又はB細胞のV(D)J特異的プロモーターからなる群から選択されるプロモーターとの作動可能な連結をもたらす、請求項1〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記ドナーDNAが、T細胞特異的プロモーターに作動可能に連結するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記ドナーDNAが、プロモーターに作動可能に連結するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記ドナーDNAの挿入が、挿入されたドナーDNAの幹細胞特異的又は体細胞特異的な内因性プロモーターとの作動可能な連結をもたらす、請求項1〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記ドナーDNAが、(例えば、遺伝子編集効率を評価するための)レポータータンパク質(例.近赤外及び/又は遠赤色レポータータンパク質)をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1〜56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記ドナーDNAの挿入が、挿入されたドナーDNAの内因性プロモーターとの作動可能な連結をもたらす、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記ドナーDNAが、前記レポータータンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列に作動可能に連結するプロモーターを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記ドナーDNAが、(i)T細胞受容体(TCR)タンパク質;(ii)IgA、IgD、IgE、IgG若しくはIgMタンパク質;又は(iii)IgA、IgD、IgE、IgG若しくはIgMタンパク質のκ若しくはλ鎖をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1〜59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記ドナーDNAが、イントロンを有さないタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記イントロンを有さないヌクレオチド配列が、TCRタンパク質又は免疫グロブリンの、全体又は一部分をコードする、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記ドナーDNAが少なくとも1つのアデニル化3’末端を有する、請求項1〜62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記標的細胞が哺乳動物細胞である、請求項1〜63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記標的細胞がヒト細胞である、請求項1〜64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
(a)各末端に5’突出又は3’突出を有する直鎖状の二本鎖ドナーDNA;及び
(b)配列特異的ヌクレアーゼ、又は前記配列特異的ヌクレアーゼをコードする核酸
を含み、
(a)及び(b)が、同じ送達媒体の一部としてのペイロードである、
キット又は組成物。
【請求項67】
前記送達媒体がナノ粒子である、請求項66に記載のキット又は組成物。
【請求項68】
前記ナノ粒子が、(a)、(b)、アニオン性ポリマー組成物、カチオン性ポリマー組成物及びカチオン性ポリペプチド組成物を含むコアを含む、請求項67に記載のキット又は組成物。
【請求項69】
前記ナノ粒子が、前記ナノ粒子を細胞表面タンパク質にターゲティングするターゲティングリガンドを含む、請求項67又は68に記載のキット又は組成物。
【請求項70】
前記直鎖状二本鎖内ドナーと前記配列特異的ヌクレアーゼが互いに結合してデオキシリボヌクレオタンパク質又はリボ−デオキシリボヌクレオタンパク質複合体を形成する、請求項66〜69のいずれか一項に記載のキット又は組成物。
【請求項71】
前記送達媒体が帯電ポリマーであるポリペプチドドメインへとコンジュゲートされたターゲティングリガンドであり、前記ターゲティングリガンドが細胞表面タンパク質に対する結合を提供し、前記帯電ポリマーであるポリペプチドドメインが前記ペイロードと静電相互作用する、請求項66〜70のいずれか一項に記載のキット又は組成物。
【請求項72】
前記送達媒体が、前記ペイロード及び前記帯電ポリマーであるポリペプチドドメインと相互作用する、アニオン性ポリマーをさらに含む、請求項71に記載のキット又は組成物。
【請求項73】
前記送達媒体が(a)及び/又は(b)とコンジュゲートしたターゲティングリガンドであり、前記ターゲティングリガンドが細胞表面タンパク質に対する結合を提供する、請求項66〜70のいずれか一項に記載のキット又は組成物。
【請求項74】
前記細胞表面タンパク質がCD47である、請求項69〜73のいずれか一項に記載のキット又は組成物。
【請求項75】
前記ターゲティングリガンドがSIRPαタンパク質模倣体である、請求項74に記載のキット又は組成物。
【請求項76】
前記送達媒体がエンドサイトーシス誘発性リガンドをさらに含む、請求項69〜75のいずれか一項に記載のキット又は組成物。
【請求項77】
前記送達媒体が、水中油中水エマルジョン粒子、水中油エマルジョンミセル粒子、多重膜型水中油中水エマルジョン粒子多層型粒子又はDNAオリガミナノボットをコーティングする、ターゲティングリガンドを含む、請求項66〜70のいずれか一項に記載のキット又は組成物。
【請求項78】
前記ターゲティングリガンドが、ペプチド、ScFv、F(ab)、核酸アプタマー又はペプトイドである、請求項69〜74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記送達媒体が非ウイルス性である、請求項66〜70のいずれか一項に記載のキット又は組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年4月18日に出願された米国特許仮出願第62/659,627号、2018年6月14日に出願された米国特許仮出願第62/685,243号及び2018年9月25日に出願された米国特許仮出願第62/736,400号の利益を主張し、これらの出願の各々は、参照によりそれらの全体において、ここに組み込まれる。
【0002】
序説
ゲノム編集は、多くの状況では、依然として非効率的な方法である。効率的なゲノム編集のための組成物及び方法に対する解決されていない重要な要求がある。
【発明の概要】
【0003】
粘着末端を使用するゲノム編集のための組成物及び方法が提供される。一部の態様では、本発明の方法は、(a)標的細胞のゲノムDNA内の2か所の各々において付着型切断を生成し、これにより、2つの粘着末端(ゲノム付着末端)を生じさせること;及び(b)ドナーDNAの粘着末端がゲノムDNAの粘着末端とハイブリダイズし、ドナーDNAがゲノムへと挿入されるように、ゲノムDNAの粘着末端に対応する付着末端(すなわち、粘着末端)を有する直鎖状の二本鎖ドナーDNAを用意/導入することを含む。本明細書では、この方法はまた一般に、「テトリス法」又は「テトリス法媒介型」ともいう。一部の場合、付着型切断は、標的細胞に1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼ(又は1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼをコードする1つ以上の核酸)、例えば、メガヌクレアーゼ、ホーミングエンドヌクレアーゼ、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALEN、CRISPR/Casエフェクタータンパク質クラス2(RNA誘導型CRISPR/Casポリペプチド)(例.Cas9、CasX、CasY、Cpf1(Cas12a)、Cas13、MAD7など)を導入することにより生成される。
【0004】
一部の場合、ドナーDNA及び1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼ(又は1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼをコードする1つ以上の核酸)は、同じ送達媒体のペイロード(例えば、in vitro、ex vivo又はin vivoで細胞に導入されうる/細胞に送達されうる)である。複数のペイロードを同じ送達媒体(例.ナノ粒子)の一部として送達することの1つの利点は、各ペイロードの効率が低下しないことである。例として述べると、ペイロードA及びペイロードBが2つの別個のパッケージ/媒体(それぞれ、パッケージA及びパッケージB)により送達される場合、効率は乗算的で、例えばパッケージA及びパッケージBが各々1%のトランスフェクション効率を有する場合、ペイロードA及びペイロードBを同じ細胞に送達する見込みは0.01%(1%×1%)である。しかし、ペイロードA及びペイロードBがいずれも同じ送達媒体の一部として送達される場合、ペイロードA及びペイロードBを同じ細胞に送達する見込みは1%で、0.01%に対して100倍の改善である。
【0005】
一部の態様では、(例えば同じ送達媒体の一部として)送達される場合、ドナーDNA(例.ドナーDNAの末端)は1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼ(例.ヌクレアーゼ対)と結合しており、例えば、ドナーDNAは1つ以上のヌクレアーゼと共に「プレアセンブル」されている。ドナーDNAのヌクレアーゼとの共送達は、ゲノムの切断部位への結合時に熱力学的「スイッチング」をもたらすことが可能で、これにより、ヌクレアーゼ(例.ヌクレアーゼ対)はドナーDNAからゲノムに移行し、ドナーDNAがゲノムへと入り込む。本発明の組成物及び方法は、相同性指向修復(HDR)を使用せずに(代わりに、挿入はマッチする「粘着末端」により媒介される)、ドナーDNAをDNA標的へと挿入する方法をもたらす。
【0006】
送達媒体は、非ウイルス性媒体、ウイルス性媒体、ナノ粒子(例.ターゲティングリガンド、及び/又は、アニオン性ポリマー組成物、カチオン性ポリマー組成物及びカチオン性ポリペプチド組成物を含むコアを含むナノ粒子)、リポソーム、ミセル、水中油中水エマルジョン粒子、水中油エマルジョンミセル粒子、多重膜型水中油中水エマルジョン粒子、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインへとコンジュゲートされたターゲティングリガンド(例.ペプチドのターゲティングリガンド)(ここで、ターゲティングリガンドは細胞表面タンパク質に対する結合を提供し、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインは、核酸ペイロードと共に凝縮され、及び/又はタンパク質ペイロードと静電相互作用する)、ペイロードとコンジュゲートしたターゲティングリガンド(例.ペプチドであるターゲティングリガンド)(ここで、ターゲティングリガンドは細胞表面タンパク質に対する結合を提供する)などを含みうるが、これらに限定されるものではない。一部の場合、ペイロードは、デオキシリボヌクレオタンパク質複合体又はリボ−デオキシリボヌクレオタンパク質複合体として細胞に導入される。
【0007】
提供される組成物及び方法は、(例えばin vivoで、例えばT細胞を操作するために)任意の細胞内の任意の座位におけるゲノム編集のために使用されうる。例えば、CD8+ T細胞集団又はCD8+及びCD4+ T細胞の混合物は、抗原認識のために、CDR1、CDR2、及び/又はCDR3ドメインの適切なTCRα/TCRβ対を、一過性に又は恒久的に発現するようにプログラム化されうる。
【0008】
本発明は、添付した図面を参照する場合に、以下の発明の詳細な説明を最も良く理解することができる。一般的な慣行に従い、図面は必ずしも縮尺どおりではないことが強調される。対照的に、図面は、明確さのために任意に拡大又は縮小することができる。図面には以下の図が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の粘着末端を伴う直鎖状二本鎖ドナーDNAを例示する概略図である。一方の例では、両方の末端は5’突出を有し、他方の例では、両方の末端は3’突出を有する。
図2図2は、本発明の方法を例示する概略図である。
図3図3は、送達パッケージ(この例では、ある種のナノ粒子)を例示する概略図である。
図4図4は、送達パッケージ(この例では、ある種のナノ粒子)を例示する概略図である。この例では、ナノ粒子は、外側から順に、表面コート(外殻を含む)層、第2の脱落層、中間層(追加のペイロードを含む)及び第1の脱落層により取り囲まれたコア(第1のペイロードを含む)を有する、多層型である。
図5図5(パネルA〜B)は、本発明のナノ粒子の表面コートにおけるターゲティングリガンドの構成例を示す概略図である。図示された送達分子は、ナノ粒子の脱落層と静電相互作用しているアンカードメインとコンジュゲートしたターゲティングリガンドを含む。ターゲティングリガンドは、N末端又はC末端でコンジュゲートする場合(各パネルの左側)も、内部でコンジュゲートする場合(各パネルの右側)もあることに留意されたい。パネルAではリンカーを含んでいるが、パネルBはリンカーを含まない。
図6-1】図6−1(パネルA〜B)は、送達パッケージ(本発明の送達分子を構成する例)を例示する概略図である。ターゲティングリガンドは、N末端又はC末端でコンジュゲートする場合(各パネルの左側)も、内部でコンジュゲートする場合(各パネルの右側)もあることに留意されたい。パネルAではリンカーを含んでいるが、パネルBはリンカーを含まない。これらのパネルは、ペイロードとコンジュゲートしたターゲティングリガンドを含む送達分子である。
図6-2】図6−2(パネルC〜D)は、送達パッケージ(本発明の送達分子を構成する例)を例示する概略図である。ターゲティングリガンドは、N末端又はC末端でコンジュゲートする場合(各パネルの左側)も、内部でコンジュゲートする場合(各パネルの右側)もあることに留意されたい。パネルCではリンカーを含んでいるが、パネルDはリンカーを含まない。これらのパネルは、核酸ペイロードと凝縮している(及び/又はタンパク質ペイロードと、例えば静電的に、相互作用している)帯電ポリマーであるポリペプチドドメインとコンジュゲートしたターゲティングリガンドを含む送達分子である。
図7図7は、使用可能な(例えばナノ粒子の一部として、例えば核局在化シグナル(NLS)含有ペプチドとして;NLS含有ペプチド、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー及び/又はカチオン性ポリペプチドなどの一部として/これらにコンジュゲート可能な)NLSの例を示す。図は、Kosugi et al., J Biol Chem. 2009 Jan 2;284(1):478-85からの転載である[クラス1、上から順に配列番号201から配列番号221;クラス2、上から順に配列番号222から配列番号224;クラス4、上から順に配列番号225から配列番号230;クラス3、上から順に配列番号231から配列番号245;クラス5、上から順に配列番号246から配列番号264]。
図8-1】図8パネルAは、マウスの造血細胞系統と当該系統内の多様な細胞で同定されたマーカーを示す概略図である。
図8-2】図8パネルBは、ヒトの造血細胞系統と当該系統内の多様な細胞で同定されたマーカーを示す概略図である。
図9-1】図9パネルAは、細胞の分化及び/又は増殖に影響を及ぼすのに使用可能なmiRNAを示す概略図である。
図9-2】図9パネルBは、細胞の分化及び/又は増殖に影響を及ぼすのに使用可能なタンパク質を示す概略図である。
図10図10は、実験結果を示す(実施例参照)。
図11図11は、実験結果を示す(実施例参照)。
図12図12は、実験結果を示す(実施例参照)。
図13図13は、実験結果を示す(実施例参照)。
図14図14は、実験結果を示す(実施例参照)。
図15図15は、実験結果を示す(実施例参照)。
図16図16は、実験結果を示す(実施例参照)。
図17図17は、実験結果を示す(実施例参照)。
図18図18は、実験結果を示す(実施例参照)。
図19図19は、実験結果を示す(実施例参照)。
図20図20は、実験結果を示す(実施例参照)。
図21図21は、実験結果を示す(実施例参照)。
図22図22は、実験結果を示す(実施例参照)。
図23図23は、実験結果を示す(実施例参照)。
図24図24は、実験結果を示す(実施例参照)。
図25図25は、実験結果を示す(実施例参照)。
図26図26は、実験結果を示す(実施例参照)。
図27図27は、実験結果を示す(実施例参照)。
図28図28は、実験結果を示す(実施例参照)。
図29図29は、実験結果を示す(実施例参照)。
図30図30は、実験結果を示す(実施例参照)。
図31図31は、実験結果を示す(実施例参照)。
図32図32は、実験結果を示す(実施例参照)。
図33図33は、実験結果を示す(実施例参照)。
図34図34は、実験結果を示す(実施例参照)。
図35図35は、実験結果を示す(実施例参照)。
図36図36は、実験結果を示す(実施例参照)。
図37図37は、実験結果を示す(実施例参照)。
図38図38は、実験結果を示す(実施例参照)。
図39図39は、実験結果を示す(実施例参照)。
図40図40は、実験結果を示す(実施例参照)。
図41図41は、実験結果を示す(実施例参照)。
図42図42は、実験結果を示す(実施例参照)。
図43図43は、実験結果を示す(実施例参照)。
図44図44は、実験結果を示す(実施例参照)。
図45図45は、実験結果を示す(実施例参照)。
図46図46は、実験結果を示す(実施例参照)。
図47図47は、実験結果を示す(実施例参照)。
図48図48は、実験結果を示す(実施例参照)。
図49図49は、実験結果を示す(実施例参照)。
図50図50は、実験結果を示す(実施例参照)。
図51図51は、実験結果を示す(実施例参照)。
図52図52は、実験結果を示す(実施例参照)。
図53図53は、実験結果を示す(実施例参照)。
図54図54は、実験結果を示す(実施例参照)。
図55図55は、実験結果を示す(実施例参照)。
図56図56は、実験結果を示す(実施例参照)。
図57図57は、実験結果を示す(実施例参照)。
図58図58は、T細胞受容体を編集するための標的座位の例を示す。
図59図59は、TCRα及びTCRβの、エキソン1及びプロモーター領域において、二本鎖切断を生成するようにデザインされた、CRISPR/CASガイド配列及びTALEN配列の例を示す。
図60図60は、ゲノムの向かい合う鎖のTTTV PAM配列の+24及び+19において付着型切断を作製するCpf1(Cas12a)のために、sgRNAを設計した方法を示す。適合する突出を有するdsDNAインサートは、2つのオリゴ(ssDNA1及びssDNA2)をアニーリングさせることにより作製した。一本鎖切断Cpf1法では、GFP遺伝子挿入が検出されなかったのに対し、TRBC1及びTRBC2座位で二本鎖切断を実施したところ、テトリス法媒介型(すなわち、2つの付着末端切断+付着末端を伴う二本鎖インサート)GFP挿入が見られた。インサートは、Flag又はGFPをコードし;適合する突出は、この図中に、下線を付して示す。ヌクレオフェクションを介して、60pmolのCpf1 RNP及び4ugのdsDNAを刺激されたT細胞に導入した。ヌクレオフェクション後4〜10日目に、細胞を、フローサイトメトリー、及び、TRBC1−TRBC2、GFP−GFP又はTRBC2−GFPのPCR増幅により、TCRノックダウンについてアッセイし、ゲノムの欠失、GFPドナーの存在及びGFPのTRBC1−TRBC2座位への挿入を、それぞれ確認した。
図61図61は、融解され、CD3/CD28ビーズと共に培養された翌日から2日間刺激された、低温保存ヒト初代T細胞のフローサイトメトリー(Attune NxT)の結果を示す。TRBC1/C2座位の二本鎖切断Cpf1媒介型編集と、その後のGFPをコードするtetrisDNA鋳型(すなわち、付着末端を伴う二本鎖インサート)を介した挿入後、細胞の1.27%がGFP+であった。ビーズを除去した翌日、Lonza Amaxa 4Dシステム、P3初代細胞キットを用いて細胞を電気穿孔した。RNPは、64pmolのA.s.Cpf1(IDT、型番:1081068)及び128pmolのsgRNA(IDT)を、室温で10〜20分間インキュベートすることにより形成し、次いで、4μgのdsDNAインサート又はIDT製のCpf1電気穿孔増強剤(型番:1076301)に添加し、10分間インキュベートした。20μL中の刺激T細胞1×10個を添加し、次いで、キュベットに移し、EH−115(B、RNP単独)又はEO−115(C、RNP+DNA)のパルスで電気穿孔した。ヌクレオフェクション後7日目に、TCRa/b及びGFPの発現について、フローサイトメトリーによりアッセイした。図は、生細胞集団内の細胞(アネキシン/Sytox陰性)を示す。QuickExtract(Lucigen)を使用して、細胞からDNAを回収した。
図62図62は、ヒト汎T細胞内のTRBC1及びTRBC2座位をターゲティングするCpf1 gRNAによる、GFPノックイン(レーン4+5、枠囲いの中のバンド)及びTRBC1−TRBC2ノックアウトの成功(レーン1+2)を示す。GFPドナーの増幅(レーン7+8)は、おそらく、細胞内に組み込まれなかったドナーDNAに起因するが、GFP−TRBC2プライマーによる場合(レーン4+5)では抑制されている。TRBC1−TRBC2欠失バンド(731bp)及びGFP−GFPバンド(774bp)は、それぞれ、ウェル1〜2及び7〜8で明確に認められる。525bpのノックインバンドは、レーン4及び5で目視可能で、フローサイトメトリー及びGFP+細胞を介する約1.27%の効率的な遺伝子挿入に対応する。
図63図63は、図62で観察された陽性及び陰性バンドを示す。
図64図64は、C1とC2の両者の座位に対する特異性を有し、ゲノム内の2つの切断を実施するCpf1ガイドを介して、TRBのエキソン1をターゲティングするLL003 sgRNA(Cpf)1複合体についての、サンガーシーケンシングの出力波形プロットを示す。その対応する配列は、TAATTTCTACTCTTGTAGATGGTGTGGGAGATCTCTGCTTCTGAである。FLAG配列又はT2A−GFP配列のいずれかを、刺激されたヒト初代T細胞のRAC座位に挿入した。この図では、細胞はトランスフェクトしなかった。
図65図65は、C1とC2の両者の座位に対する特異性を有し、ゲノム内の2つの切断を実施するCpf1ガイドを介して、TRBのエキソン1をターゲティングするLL003 sgRNA(Cpf)1複合体についての、サンガーシーケンシングの出力波形プロットを示す。その対応する配列は、TAATTTCTACTCTTGTAGATGGTGTGGGAGATCTCTGCTTCTGAである。FLAG配列又はT2A−GFP配列のいずれかを、刺激されたヒト初代T細胞のTRAC座位に挿入した。この図では、ドナーDNAは使用しなかった。
図66図66は、C1とC2の両者の座位に対する特異性を有し、ゲノム内の2つの切断を実施するCpf1ガイドを介して、TRBのエキソン1をターゲティングするLL003 sgRNA(Cpf)1複合体についての、サンガーシーケンシングの出力波形プロットを示す。その対応する配列は、TAATTTCTACTCTTGTAGATGGTGTGGGAGATCTCTGCTTCTGAである。FLAG配列又はT2A−GFP配列のいずれかを、刺激されたヒト初代T細胞のTRAC座位に挿入した。この図では、FLAGであるドナーDNA(付着末端を伴う)は使用しなかった。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記にまとめられたとおり、粘着末端を使用するゲノム編集のための組成物及び方法が提供される。本発明の方法は、(a)標的細胞のゲノムDNA内の2か所の各々において付着型切断を生成し、これにより2つの粘着末端(ゲノム付着末端)を生じさせること;及び(b)ドナーDNAの粘着末端がゲノムDNAの粘着末端とハイブリダイズし、ドナーDNAがゲノムへと挿入されるように、ゲノムDNAの粘着末端に対応する付着末端(すなわち粘着末端)を有する直鎖状の二本鎖ドナーDNAを用意/導入することを含みうる。一部の場合、付着型切断は、1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼ(又は1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼをコードする1つ以上の核酸)、例えば、メガヌクレアーゼ、ホーミングエンドヌクレアーゼ、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALEN、CRISPR/Casエフェクタータンパク質クラス2、例えば、Cas9、Cpf1などを、標的細胞に導入することにより生成される。一部の場合、ドナーDNA及び1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼ(又は1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼをコードする1つ以上の核酸)は、同じ送達媒体のペイロードである。一部の場合、送達媒体は、ナノ粒子(例.ターゲティングリガンド、及び/又は、アニオン性ポリマー組成物、カチオン性ポリマー組成物及びカチオン性ポリペプチド組成物を含むコア、を含むナノ粒子)であり、かつ、一部の場合、ペイロードはナノ粒子のコアの一部である。一部の場合、送達媒体は、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインとコンジュゲートしたターゲティングリガンド(例.ペプチドのターゲティングリガンド)を有する対象を送達する分子(ここで、ターゲティングリガンドは細胞表面タンパク質に対する結合を提供し、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインはペイロードと相互作用する、例えば、核酸ペイロードと共に凝縮され、及び/又はタンパク質ペイロードと静電相互作用する)である。
【0011】
本発明の方法及び組成物について説明する前に、本発明は、明細書に記載された特定の方法又は組成物に限定されず、もちろん変化してもよいことを理解すべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定されるのであり、本明細書で使用される用語は、特定の態様のみを説明することを目的し、限定することを意図しているものではないことも理解されたい。
【0012】
値の範囲が提示される場合は、その範囲の上限と下限との間の、文脈によりそうでないことが明確に指示されない限りにおいて、下限の単位の10分の1までの各中間値もまた、具体的に開示されることが理解される。任意の言明された値の間の各小範囲、又は言明された範囲内の中間値、及びこの言明された範囲内の他の任意の言明された値又は中間値が、本発明に包含される。これらの小範囲の上限及び下限は、範囲内に独立に含まれてもよく、範囲から独立に除外されてもよく、一方の限界が小範囲に含まれるか、いずれの限界も小範囲に含まれないか、又は両方の限界が小範囲に含まれる各範囲もまた、本発明内に包含され、言明された範囲内の任意の具体的に除外された限界に従う。言明された範囲が限界の一方又は両方を含む場合、これらの含まれた限界の一方又は両方を除外する範囲もまた本発明に含まれる。
【0013】
そうでないことが規定されない限りにおいて、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者において一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載される方法及び材料と同様又は同等である任意の方法及び材料が、本発明の実施又は試行において使用されうるが、一部の可能かつ好ましい方法及び材料が、本明細書では記載される。本明細書で言明される全ての刊行物は、それらとの関連で刊行物が引用される方法及び/又は材料について開示及び記載するように、参照により本明細書に組み込まれる。矛盾が存在する場合、本開示は、組み込まれた刊行物のいかなる開示にも優先されることが理解される。
【0014】
本明細書を読んだ当業者には明らかなように、本明細書に記載及び例示される個々の態様の各々は、本発明の精神又は範囲から逸脱しない限りにおいて、他のいくつかの態様のうちのいずれかの特色からたやすく分離されてもよく、また、これらとたやすく組み合わされもよい個別の構成要素及び特色を有する。列挙された任意の方法は、列挙された事象の順序で行われる場合もあり、論理的に可能な他の任意の順序で行われる場合もある。
【0015】
文脈によりそうでないことが明らかに指示されるのでない限り、この明細書及び特許請求の範囲で使用される単数形の「ある(a)」、「ある(an)」及び「その」は、複数の指示対象を含むことに注意されたい。したがって、例えば、「ある細胞」への言及は複数のこのような細胞を含み、「あるエンドヌクレアーゼ」に対する言及は1つ以上のエンドヌクレアーゼ及び当業者に公知のこれらの同等物を含むなどである。特許請求の範囲は、任意の要素、例えば任意の随意的要素を除外するように起草されてもよいことにさらに注意されたい。したがって、この言明は、請求項要素の列挙に関する、例えば、「単に」、「だけ」といった除外的用語法の使用、又は「否定的」限定の使用のための先行詞として用いられるように意図される。
【0016】
本明細書で引用される刊行物は、本出願の出願日の前におけるそれらの開示のためだけに提示される。本明細書におけるいかなることがらも、本発明がこのような刊行物に先行する権利が与えられていないことの容認とみなされるべきではない。さらに、提示される刊行日は、独立に確認される必要があってもよい実際の刊行日と異なってもよい。
【0017】
方法及び組成物
効率的なゲノム編集のための方法及び組成物が提供される。一部の態様では、本発明の方法は、(a)標的細胞のゲノム内の2か所で付着末端を伴う二本鎖切断を生成し、これにより第1のゲノム付着末端及び第2のゲノム付着末端を生じさせること;並びに(b)各末端に5’又は3’突出を有する直鎖状の二本鎖ドナーDNAを導入することを含み、ここで、ドナーDNAの1つの末端が第1のゲノム付着末端とハイブリダイズし、ドナーDNAの他の末端が第2のゲノム付着末端とハイブリダイズし、この結果として、直鎖状の二本鎖ドナーDNAの、標的細胞のゲノムへの挿入をもたらす。
【0018】
部位特異的ヌクレアーゼをコードする核酸は、目的の核酸であることが可能であり、例えば送達媒体の核酸ペイロードとして、核酸は直鎖状の場合もあり環状の場合もあり、プラスミド、ウイルスゲノム、RNAなどでありうる。「核酸」という用語は修飾核酸を包含する。例えば、核酸分子は模倣体であることが可能で、修飾糖骨格、1つ以上の修飾ヌクレオシド間連結(例.1つ以上のホスホロチオエート連結及び/又はヘテロ原子によるヌクレオシド間連結)、1つ以上の修飾塩基などを含みうる。一部の態様では、本発明のペイロードは三重鎖形成性ペプチド核酸(PNA)を含む(例えば、McNeer et al., Gene Ther. 2013 Jun;20(6):658-69参照)。本発明のドナーDNAは、二本鎖の直鎖状で付着末端を有する(すなわち、直鎖状ドナーDNAの各末端は突出を有する)。
【0019】
ゲノム付着末端(2か所)の生成
一部の場合、付着型切断を生成するために、部位特異的ヌクレアーゼ(1つ以上の部位特異的ヌクレアーゼ)(又はこれをコードする核酸、例えば1つ以上の核酸)が標的細胞に導入される。標的細胞がin vivoで存在する場合、これは、適切な構成要素(例えば1つ以上の送達媒体の一部としての)を個体に投与することにより達せられうる。一部の場合、標的細胞は部位特異的ヌクレアーゼをコードするDNA(これは、例えば誘導可能なプロモーターに作動可能に連結されうる(この制御下にありうる))を含み、本発明の方法の「生成する」工程は部位特異的ヌクレアーゼの発現を誘導することを含む。
【0020】
(2か所でゲノムを切断した後の)2つのゲノム付着末端の各突出は、独立に、5’又は3’の一本鎖突出でありうる。例えば一部の場合、(2か所でゲノムを切断した後の)ゲノム付着末端の両方は5’突出を有しうる。一部の場合、ゲノムの付着末端の両方は3’突出を有する。一部の場合、1つのゲノム付着末端(2つの切断箇所のうちの1つにおける)は5’突出を有するが、他のゲノム付着末端(他の切断箇所における)は3’突出を有する。
【0021】
(ゲノムを2か所で切断した後の)2つのゲノム付着末端の各突出は、任意の好都合な長さでありうる。一部の態様では、(2か所でゲノムを切断した後の)2つのゲノム付着末端の各突出は、独立に、2〜20ヌクレオチド(nt)(例.2〜18、2〜15、2〜12、2〜10、2〜8、2〜7、2〜6、2〜5、3〜20、3〜18、3〜15、3〜12、3〜10、3〜8、3〜7、3〜6、3〜5、4〜20、4〜18、4〜15、4〜12、4〜10、4〜8、4〜7又は4〜6ヌクレオチド)の長さでありうる。一部の場合、(2か所でゲノムを切断した後の)2つのゲノム付着末端の各突出は、独立に、2〜20ヌクレオチドの長さでありうる。一部の場合、(2か所でゲノムを切断した後の)2つのゲノム付着末端の各突出は、独立に、2〜15ヌクレオチドの長さでありうる。一部の場合、(2か所でゲノムを切断した後の)2つのゲノム付着末端の各突出は、独立に、2〜10ヌクレオチドの長さでありうる。
【0022】
一部の態様では、2つの付着末端切断(ゲノム内の2か所)を生成する前の2か所の間隔は、1,000,000塩基対(bp)以下(例.500,000bp以下、100,000bp以下、50,000bp以下、10,000bp以下、1,000bp以下、750bp以下又は500bp以下)である。一部の場合、2か所の間隔は100,000bp以下である。一部の場合、2か所の間隔は50,000bp以下である。一部の態様では、2つの付着末端切断(ゲノム内の2か所)を生成する前の2か所の間隔は、5〜1,000,000塩基対(bp)(例.5〜500,000、5〜100,000、5〜50,000、5〜10,000、5〜5,000、5〜1,000、5〜500、10〜1,000,000、10〜500,000、10〜100,000、10〜50,000、10〜10,000、10〜5,000、10〜1,000、10〜500、50〜1,000,000、50〜500,000、50〜100,000、50〜50,000、50〜10,000、50〜5,000、50〜1,000、50〜500、100〜1,000,000、100〜500,000、100〜100,000、100〜50,000、100〜10,000、100〜5,000、100〜1,000、100〜500、300〜1,000,000、300〜500,000、300〜100,000、300〜50,000、300〜10,000、300〜5,000、300〜1,000、300〜500、500〜1,000,000、500〜500,000、500〜100,000、500〜50,000、500〜10,000、500〜5,000、500〜1,000、1,000〜1,000,000、1,000〜500,000、1,000〜100,000、1,000〜50,000、1,000〜10,000又は1,000〜5,000bp)である。
【0023】
一部の場合、2か所の間隔は20〜1,000,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は20〜500,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は20〜150,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は20〜50,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は20〜20,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は20〜15,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は20〜10,000bpである。
【0024】
一部の場合、2か所の間隔は500〜1,000,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は500〜500,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は500〜150,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は500〜50,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は500〜20,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は500〜15,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は500〜10,000bpである。
【0025】
一部の場合、2か所の間隔は1,000〜1,000,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は1,000〜500,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は1,000〜150,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は1,000〜50,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は1,000〜20,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は1,000〜15,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は1,000〜10,000bpである。
【0026】
一部の場合、2か所の間隔は5,000〜1,000,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は5,000〜500,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は5,000〜150,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は5,000〜50,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は5,000〜20,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は5,000〜15,000bpである。一部の場合、2か所の間隔は5,000〜10,000bpである。
【0027】
本発明の部位特異的ヌクレアーゼは、ゲノムDNA内に二本鎖切断を導入して付着末端を生成しうる(例えばDNAの向かい合う鎖内の2つのオフセットの一本鎖切断を介して)部位特異的ヌクレアーゼである。一部の場合、部位特異的ヌクレアーゼ、例えばメガヌクレアーゼ(又はCRISPR/Casエフェクタータンパク質クラス2(例.Cpf1))は、付着末端を天然で生成する。一部の部位特異的ヌクレアーゼは操作タンパク質(例.亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及び転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN))であり、一部の場合、このようなタンパク質は付着末端を生成するタンパク質対として使用される。一部の場合、部位特異的ヌクレアーゼは、平滑一本鎖切断を天然で生成する部位特異的ヌクレアーゼ(例えばCRISPR/Casエフェクタータンパク質クラス2(例.Cas9))であるが、タンパク質がニカーゼ(DNAの1つの鎖だけを切断する)であるように突然変異を導入されている。ニカーゼタンパク質、例えば突然変異ニカーゼCas9は、標的DNAの向かい合う鎖をターゲティングする2つのガイドRNAを使用することにより、付着末端を生成するのに使用されうる。したがって一部の場合、本発明の方法は、配列特異的ニカーゼ(例えばニカーゼであるCRISPR/Casエフェクタータンパク質クラス2(例.ニカーゼであるCas9))を、2つのガイドRNAと共に使用して、2つのゲノム箇所のうちの(少なくとも)1つにおいて、付着型切断を生成することを含む。一部の場合、本発明の方法は、配列特異的ニカーゼ(例えばニカーゼであるCRISPR/Casエフェクタータンパク質クラス2(例.Cas9))を4つのガイドRNAと共に使用し、2つのゲノムか所で2つの付着型切断を生成することを含む。
【0028】
任意の好都合な部位特異的ヌクレアーゼ(例えば遺伝子編集タンパク質(例.任意の好都合なプログラム型遺伝子編集タンパク質))が使用されうる。適切なプログラム型遺伝子編集タンパク質の例は、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、及びCRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチド(例.Cas9、CasX、CasY、Cpf1、Cas13、MAD7など)を含むが、これらに限定されない。使用されうる部位特異的ヌクレアーゼの例は、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、及びCRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチド(例.Cas9、CasX、CasY、Cpf1、Cas13、MAD7など);メガヌクレアーゼ(例.I−SceI、I−CeuI、I−CreI、I−DmoI、I−ChuI、I−DirI、I−FlmuI、I−FlmuII、I−Anil、I−SceIV、I−CsmI、I−PanI、I−PanII、I−PanMI、I−SceII、I−PpoI、I−SceIII、I−LtrI、I−GpiI、I−GZeI、I−OnuI、I−HjeMI、I−MsoI、I−TevI、I−TevII、I−TevIII、PI−MleI、PI−MtuI、PI−PspI、PI−Tli I、PI−Tli II、PI−SceVなど);並びにホーミングエンドヌクレアーゼを含むが、これらに限定されない。
【0029】
一部の場合、送達媒体は遺伝子編集ツール(すなわち遺伝子編集システム(例えばプログラム型遺伝子編集システムのような部位特異的切断システム)の構成要素)をコードする核酸を送達するのに使用される。例えば、核酸ペイロードは、(i)CRISPR/CasガイドRNA、(ii)CRISPR/CasガイドRNAをコードするDNA、(iii)プログラム型遺伝子編集タンパク質、例えば亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)(例.亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN))、転写活性化因子様エフェクター(TALE)タンパク質(例えばヌクレアーゼへと融合させたTALEタンパク質(TALEN))、及び/又はCRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチド(例.Cas9、CasX、CasY、Cpf1、Cas13、MAD7など)をコードするDNA及び/又はRNA;(iv)メガヌクレアーゼをコードするDNA及び/又はRNA;(v)ホーミングエンドヌクレアーゼをコードするDNA及び/又はRNA;並びに(iv)ドナーDNA分子のうちの1つ又は複数を含みうる。
【0030】
一部の場合、本発明の送達媒体は、タンパク質ペイロード、(ZFN、TALEN、CRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチド(CRISPR/Casエフェクタータンパク質クラス2)(例.Cas9、CasX、CasY、Cpf1、Cas13、MAD7など)のようなタンパク質)、メガヌクレアーゼ及びホーミングエンドヌクレアーゼを送達するのに使用される。
【0031】
システムの性質及び所望の帰結に応じて、遺伝子編集システム(例えばプログラム型遺伝子編集システムのような部位特異的遺伝子編集システム)は、単一の構成要素(例.ZFP、ZFN、TALE、TALEN、メガヌクレアーゼなど)を含む場合もあり、複数の構成要素を含む場合もある。一部の場合、遺伝子編集システムは、少なくとも2つの構成要素を含む。例えば一部の場合、遺伝子編集システム(例.プログラム型遺伝子編集システム)は、(i)ドナーDNA分子の核酸;及び(ii)遺伝子編集タンパク質(例えば、ZFP、ZFN、TALE、TALENのようなプログラム型遺伝子編集タンパク質、高度好塩菌(Natronobacterium gregoryi)のArgonaute(NgAgo)のようなDNA誘導型ポリペプチド、Cas9、CasX、CasY、又はCpf1、Cas13、MAD7などのようなCRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチド)、又は遺伝子編集タンパク質をコードする核酸分子(例.プラスミド又はmRNAのようなDNA又はRNA)を含む。別の例として述べると、一部の場合、遺伝子編集システム(例.プログラム型遺伝子編集システム)は、(i)CRISPR/CasガイドRNA、又はCRISPR/CasガイドRNAをコードするDNA;及び(ii)CRISPR/CAS RNA誘導型ポリペプチド(例.Cas9、CasX、CasY、Cpf1、Cas13、MAD7など)、又はRNA誘導型ポリペプチドをコードする核酸分子(例.プラスミド又はmRNAのようなDNA又はRNA)を含む。別の例として述べると、一部の場合、遺伝子編集システム(例.プログラム型遺伝子編集システム)は、(i)NgAgo様ガイドDNA;及び(ii)DNA誘導型ポリペプチド(例.NgAgo)又はDNA誘導型ポリペプチドをコードする核酸分子(例.プラスミド又はmRNAのようなDNA又はRNA)を含む。一部の場合、遺伝子編集システム(例.プログラム型遺伝子編集システム)は、少なくとも3つの構成要素:(i)ドナーDNA分子;(ii)CRISPR/CasガイドRNA又はCRISPR/CasガイドRNAをコードするDNA;及び(iii)CRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチド(例.Cas9、CasX、CasY又はCpf1)又はRNA誘導型ポリペプチドをコードする核酸分子(例.プラスミド又はmRNAのようなDNA又はRNA)を含む。一部の場合、遺伝子編集システム(例.プログラム型遺伝子編集システム)は、少なくとも3つの構成要素:(i)ドナーDNA分子;(ii)NgAgo様ガイドDNA又はNgAgo様ガイドDNAをコードするDNA;及び(iii)DNA誘導型ポリペプチド(例.NgAgo)又はDNA誘導型ポリペプチドをコードする核酸分子(例.プラスミド又はmRNAのようなDNA又はRNA)を含む。
【0032】
一部の態様では、送達媒体のペイロードは1つ以上の遺伝子編集ツールを含む。本明細書では、「遺伝子編集ツール」という用語は、遺伝子編集システムの1つ以上の構成要素を指すように使用される。したがって一部の場合、ペイロードは遺伝子編集システムを含み、一部の場合、ペイロードは遺伝子編集システムの1つ以上の構成要素(すなわち、1つ以上の遺伝子編集ツール)を含む。例えば、標的細胞は遺伝子編集システムの構成要素のうちの1つを既に含んでいてもよく、使用者は残りの構成要素だけを必要とする。このような場合には、本発明のナノ粒子のペイロードは、所与の遺伝子編集システムの構成要素の全てを必ずしも含まない。このように、一部の場合、ペイロードは1つ以上の遺伝子編集ツールを含む。
【0033】
代表的な例として述べると、標的細胞は、遺伝子編集タンパク質(例.ZFP、TALE)、DNA誘導型ポリペプチド(例.NgAgo)、CRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチド(例.Cas9、CasX、CasY、Cpf1、Cas13、MAD7など)及び/又はタンパク質をコードするDNA若しくはRNAを既に含んでいてもよい場合があり、したがって、ペイロードは、(i)ドナーDNA分子;及び(ii)CRISPR/CasガイドRNA若しくはCRISPR/CasガイドRNAをコードするDNA又はNgAgo様ガイドDNAのうちの1つ又は複数を含みうる。同様に、標的細胞は、CRISPR/CasガイドRNA、及び/若しくはガイドRNAをコードするDNA又はNgAgo様ガイドDNAを既に含んでいてもよく、ペイロードは、(i)ドナーDNA分子;及び(ii)CRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチド(例.Cas9、CasX、CasY、Cpf1、Cas13、MAD7など)若しくはRNA誘導型ポリペプチドをコードする核酸分子(例.プラスミド又はmRNAのようなDNA又はRNA);又はDNA誘導型ポリペプチド(例.NgAgo)若しくはDNA誘導型ポリペプチドをコードする核酸分子のうちの1つ又は複数を含みうる。
【0034】
プログラム型遺伝子編集ツール(例えばCRISPR/Cas RNA誘導型タンパク質(例.Cas9、CasX、CasY及びCpf1)、亜鉛フィンガータンパク質(例.亜鉛フィンガーヌクレアーゼ)、TALEタンパク質(例.TALEN)、CRISPR/CasガイドRNAなど)に関するさらなる情報については、例えば、Dreier, et al., (2001) J Biol Chem 276:29466-78;Dreier, et al., (2000) J Mol Biol 303:489-502;Liu, et al., (2002) J Biol Chem 277:3850-6);Dreier, et al., (2005) J Biol Chem 280:35588-97;Jamieson, et al., (2003) Nature Rev Drug Discov 2:361-8;Durai, et al., (2005) Nucleic Acids Res 33:5978-90;Segal, (2002) Methods 26:76-83;Porteus and Carroll, (2005) Nat Biotechnol 23:967-73;Pabo, et al., (2001) Ann Rev Biochem 70:313-40;Wolfe, et al., (2000) Ann Rev Biophys Biomol Struct 29:183-212;Segal and Barbas, (2001) Curr Opin Biotechnol 12:632-7;Segal, et al., (2003) Biochemistry 42:2137-48;Beerli and Barbas, (2002) Nat Biotechnol 20:135-41;Carroll, et al., (2006) Nature Protocols 1:1329;Ordiz, et al., (2002) Proc Natl Acad Sci USA 99:13290-5;Guan, et al., (2002) Proc Natl Acad Sci USA 99:13296-301;Sanjana et al., Nature Protocols, 7:171-192 (2012);Zetsche et al, Cell. 2015 Oct 22;163(3):759-71;Makarova et al, Nat Rev Microbiol. 2015 Nov;13(11):722-36;Shmakov et al., Mol Cell. 2015 Nov 5;60(3):385-97;Jinek et al., Science. 2012 Aug 17;337(6096):816-21;Chylinski et al., RNA Biol. 2013 May;10(5):726-37;Ma et al., Biomed Res Int. 2013;2013:270805;Hou et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 Sep 24;110(39):15644-9;Jinek et al., Elife. 2013;2:e00471;Pattanayak et al., Nat Biotechnol. 2013 Sep;31(9):839-43;Qi et al, Cell. 2013 Feb 28;152(5):1173-83;Wang et al., Cell. 2013 May 9;153(4):910-8;Auer et. al., Genome Res. 2013 Oct 31;Chen et. al., Nucleic Acids Res. 2013 Nov 1;41(20):e19;Cheng et. al., Cell Res. 2013 Oct;23(10):1163-71;Cho et. al., Genetics. 2013 Nov;195(3):1177-80;DiCarlo et al., Nucleic Acids Res. 2013 Apr;41(7):4336-43;Dickinson et. al., Nat Methods. 2013 Oct;10(10):1028-34;Ebina et. al., Sci Rep. 2013;3:2510;Fujii et. al, Nucleic Acids Res. 2013 Nov 1;41(20):e187;Hu et. al., Cell Res. 2013 Nov;23(11):1322-5;Jiang et. al., Nucleic Acids Res. 2013 Nov 1;41(20):e188;Larson et. al., Nat Protoc. 2013 Nov;8(11):2180-96;Mali et. at., Nat Methods. 2013 Oct;10(10):957-63;Nakayama et. al., Genesis. 2013 Dec;51(12):835-43;Ran et. al., Nat Protoc. 2013 Nov;8(11):2281-308;Ran et. al., Cell. 2013 Sep 12;154(6):1380-9;Upadhyay et. al., G3 (Bethesda). 2013 Dec 9;3(12):2233-8;Walsh et. al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 Sep 24;110(39):15514-5;Xie et. al., Mol Plant. 2013 Oct 9;Yang et. al., Cell. 2013 Sep 12;154(6):1370-9;Briner et al., Mol Cell. 2014 Oct 23;56(2):333-9;Burstein et al., Nature. 2016 Dec 22 - Epub ahead of print;Gao et al., Nat Biotechnol. 2016 Jul 34(7):768-73;及びShmakov et al., Nat Rev Microbiol. 2017 Mar;15(3):169-182;並びに国際特許出願公開番号、WO2002099084;WO00/42219;WO02/42459;WO2003062455;WO03/080809;WO05/014791;WO05/084190;WO08/021207;WO09/042186;WO09/054985及びWO10/065123;米国特許出願公開番号、20030059767;20030108880;20140068797;20140170753;20140179006;20140179770;20140186843;20140186919;20140186958;20140189896;20140227787;20140234972;20140242664;20140242699;20140242700;20140242702;20140248702;20140256046;20140273037;20140273226;20140273230;20140273231;20140273232;20140273233;20140273234;20140273235;20140287938;20140295556;20140295557;20140298547;20140304853;20140309487;20140310828;20140310830;20140315985;20140335063;20140335620;20140342456;20140342457;20140342458;20140349400;20140349405;20140356867;20140356956;20140356958;20140356959;20140357523;20140357530;20140364333;20140377868;20150166983及び20160208243;並びに米国特許番号、6,140,466;6,511,808;6,453,242 8,685,737;8,906,616;8,895,308;8,889,418;8,889,356;8,871,445;8,865,406;8,795,965;8,771,945及び8,697,359を参照;これらの全ては、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0035】
ドナーDNA及びゲノムの付着末端
本発明のドナーDNAは、粘着末端(すなわち付着末端)を伴う直鎖状二本鎖DNA(例えば図1参照)である。本発明のドナーDNAは直鎖状であり、(i)互いとハイブリダイズされて塩基対を形成する2つのDNA鎖、及び(ii)各末端における一本鎖突出を有する。一部の場合、(例えばゲノムDNAの2つの区画を編集するのに)2つのドナーDNAが使用され、この場合、4つの付着型切断(ドナーDNA 1つ当たり2つずつ)がゲノムへに導入される。
【0036】
一部の場合、ドナーDNAの2つの鎖は、互いとハイブリダイズされて合計10塩基対(bp)以上(例.20bp以上、30bp以上、50bp以上、100bp以上又は200bp以上)を形成する。言い換えれば、一部の場合、本発明のドナーDNAは10bp以上(例.20bp以上、30bp以上、50bp以上、100bp以上又は200bp以上)である。
【0037】
一部の場合、本発明のドナーDNAは、合計10塩基対(bp)〜100キロ塩基対(kbp)(例.10bp〜70kbp、10bp〜50kbp、10bp〜40kbp、10bp〜25kbp、10bp〜15kbp、10bp〜10kbp、10bp〜1kbp、10bp〜750bp、10bp〜500bp、10bp〜250bp、10bp〜150bp、10bp〜100bp、10bp〜50bp、18bp〜100kbp、18bp〜70kbp、18bp〜50kbp、18bp〜40kbp、18bp〜25kbp、18bp〜15kbp、18bp〜10kbp、18bp〜1kbp、18bp〜750bp、18bp〜500bp、18bp〜250bp、18bp〜150bp、25bp〜100kbp、25bp〜70kbp、25bp〜50kbp、25bp〜40kbp、25bp〜25kbp、25bp〜15kbp、25bp〜10kbp、25bp〜1kbp、25bp〜750bp、25bp〜500bp、25bp〜250bp、25bp〜150bp,50bp〜100kbp、50bp〜70kbp、50bp〜50kbp、50bp〜40kbp、50bp〜25kbp、50bp〜15kbp、50bp〜10kbp、50bp〜1kbp、50bp〜750bp、50bp〜500bp、50bp〜250bp、50bp〜150bp、100bp〜100kbp、100bp〜70kbp、100bp〜50kbp、100bp〜40kbp、100bp〜25kbp、100bp〜15kbp、100bp〜10kbp、100bp〜1kbp、100bp〜750bp、100bp〜500bp、100bp〜250bp、200bp〜100kbp、200bp〜70kbp、200bp〜50kbp、200bp〜40kbp、200bp〜25kbp、200bp〜15kbp、200bp〜10kbp、200bp〜1kbp、200bp〜750bp又は200bp〜500bp)である。言い換えれば、一部の場合、ドナーDNAの2つの鎖は、互いとハイブリダイズされて合計10bp〜100kbpを形成する。一部の場合、本発明のドナーDNAは合計10bp〜50kbpである。一部の場合、本発明のドナーDNAは合計10bp〜10kbpである。一部の場合、本発明のドナーDNAは合計10bp〜1kbpである。一部の場合、本発明のドナーDNAは合計20bp〜50kbpである。一部の場合、本発明のドナーDNAは合計20bp〜10kbpである。一部の場合、本発明のドナーDNAは合計20bp〜1kbpである。
【0038】
一部の態様では、ドナーDNAの突出の長さは既知で、十分に特定されている。TALENのようなヌクレアーゼを使用して大型の鋳型からドナーDNAを切断する場合、未知のさまざまな突出長のドナーDNAの集団が生じる可能性がある。他方、ドナーDNAは、ドナーDNAの集団が、共通で既知の特定の長さの突出を有する同じドナーDNAのコピーとなるように合成(例.in vitro合成)することができる。一部の場合、PCR産物としてドナーDNAを製造し、これをその後、酵素(例.制限酵素又はCas9のようなCRISPR/Casエフェクタータンパク質クラス2)で消化して粘着末端を生成する。
【0039】
本発明のドナーDNAの各末端は、独立に、5’又は3’の一本鎖突出を有しうる。例えば一部の場合、ドナーDNAの両方の末端は5’突出を有する。一部の場合、ドナーDNAの両方の末端は3’突出を有する。一部の場合、ドナーDNAの1つの末端は5’突出を有するが、他の末端は3’突出を有する。各突出は任意の好都合な長さでありうる。一部の場合、各突出の長さは、独立に、2〜200ヌクレオチド(nt)(例.2〜150、2〜100、2〜50、2〜25、2〜20、2〜15、2〜12、2〜10、2〜8、2〜7、2〜6、2〜5、3〜150、3〜100、3〜50、3〜25、3〜20、3〜15、3〜12、3〜10、3〜8、3〜7、3〜6、3〜5、4〜150、4〜100、4〜50、4〜25、4〜20、4〜15、4〜12、4〜10、4〜8、4〜7、4〜6、5〜150、5〜100、5〜50、5〜25、5〜20、5〜15、5〜12、5〜10、5〜8又は5〜7ヌクレオチド参照)の長さでありうる。一部の場合、各突出の長さは独立に2〜20ヌクレオチドの長さでありうる。一部の場合、各突出の長さは独立に2〜15ヌクレオチドの長さでありうる。一部の場合、各突出の長さは独立に2〜10ヌクレオチドの長さでありうる。一部の場合、各突出の長さは独立に2〜7ヌクレオチドの長さでありうる。
【0040】
ドナーDNAが、(2か所でゲノムが切断された後の)ゲノムの2つの付着末端(本明細書ではゲノム付着末端とも称する)に挿入される場合、ドナーDNAの各末端は、合計2〜20塩基対(bp)(例.2〜18、2〜16、2〜15、2〜12、2〜10、2〜8、2〜6、2〜5、3〜20、3〜18、3〜16、3〜15、3〜12、3〜10、3〜8、3〜6、3〜5、4〜20、4〜18、4〜16、4〜15、4〜12、4〜10、4〜8、4〜6、5〜20、5〜18、5〜16、5〜15、5〜12、5〜10、8〜20、8〜18、8〜16、8〜15、8〜12、8〜10、5〜8、10〜20、10〜18、10〜16、10〜15又は10〜12bp)を超えるゲノムの突出と、独立にハイブリダイズしうる。一部の場合、ドナーDNAの突出の長さはゲノムの突出の長さ以下である。一部の場合、ゲノムの突出の長さはドナーDNAの突出の長さ以下である。
【0041】
一部の態様では、ドナーDNAは少なくとも1つのアデニル化3’末端を有する。
【0042】
一部の場合、ドナーDNAは模倣体を含み、修飾糖骨格、1つ以上の修飾ヌクレオシド間連結(例.1つ以上のホスホロチオエート連結及び/又はヘテロ原子によるヌクレオシド間連結)、1つ以上の修飾塩基などを含みうる。
【0043】
送達媒体/ペイロード
一部の態様では、本発明の組成物(例えば、1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼ、1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼをコードする1つ以上の核酸、直鎖状の二本鎖ドナーDNAなど)は、送達媒体のペイロードとして(例えば一部の場合、同じ送達媒体のペイロードとして)細胞に送達される。例えば一部の場合、本発明の(各末端に突出を伴う)直鎖状の二本鎖ドナーDNA、及び1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼ(例.メガヌクレアーゼ、ホーミングエンドヌクレアーゼ、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ、TALEN、CRISPR/Casエフェクタータンパク質)(又は1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼをコードするさらなる核酸)は、同じ送達媒体のペイロードである。一部のこのような場合、ペイロードは、一体に結合しデオキシリボヌクレオタンパク質複合体(例えばドナーDNA及びヌクレアーゼを含む複合体)又はリボ−デオキシリボヌクレオタンパク質複合体(例えばCRISPR/CasガイドRNAをさらに含む複合体)を形成する。
【0044】
送達媒体は、非ウイルス性媒体、ウイルス性媒体、ナノ粒子(例.ターゲティングリガンド、及び/又は、アニオン性ポリマー組成物、カチオン性ポリマー組成物及びカチオン性ポリペプチド組成物を含む、コアを含むナノ粒子)、リポソーム、ミセル、水中油中水エマルジョン粒子、水中油エマルジョンミセル粒子、多重膜型水中油中水エマルジョン粒子、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインとコンジュゲートしたターゲティングリガンド(例.ペプチドのターゲティングリガンド)(ここで、ターゲティングリガンドは細胞表面タンパク質に対する結合を提供し、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインは、核酸ペイロードと共に凝縮され、及び/又は、タンパク質ペイロードと静電相互作用する)、ペイロードへとコンジュゲートされたターゲティングリガンド(例.ペプチドであるターゲティングリガンド)(ここで、ターゲティングリガンドは細胞表面タンパク質に対する結合を提供する)を含みうるがこれらに限定されない。
【0045】
一部の場合、送達媒体は水中油中水エマルジョン粒子である。一部の場合、送達媒体は水中油エマルジョンミセル粒子である。一部の場合、送達媒体は多重膜型水中油中水エマルジョン粒子である。一部の場合、送達媒体は多層型粒子である。一部の場合、送達媒体はDNAオリガミナノボットである。上記のいずれの場合も、ペイロード(核酸及び/又はタンパク質)は、核酸相補対として共有結合して、又は粒子の水相内において、粒子の内部にありうる。一部の場合、送達媒体は、ターゲティングリガンド、例えば一部の場合、水中油中水エマルジョン粒子、水中油エマルジョンミセル粒子、多重膜型水中油中水エマルジョン粒子、多層型粒子又はDNAオリガミナノボットをコーティングするターゲティングリガンド(本明細書の別の箇所でより詳細に説明する)を含む。一部の場合、送達媒体は金属粒子のコアを有し、ペイロード(例えばドナーDNA及び/又は部位特異的ヌクレアーゼ(又はこれをコードする核酸))は金属コアとコンジュゲートしていても(共有結合的に結合していても)よい。
【0046】
ナノ粒子
本発明のナノ粒子は、核酸及び/又はタンパク質から作られうるペイロードを含む。例えば一部の場合、本発明のナノ粒子は核酸ペイロード(例.DNA及び/又はRNA)を送達するのに使用される。一部の場合、ナノ粒子のコアはペイロードを含む。一部のこのような場合、ナノ粒子のコアはまた、アニオン性ポリマー組成物、カチオン性ポリマー組成物及びカチオン性ポリペプチド組成物も含みうる。一部の場合、ナノ粒子は金属粒子のコアを有し、ペイロードはコアと会合する(一部の場合にこれと、例えばこの外部とコンジュゲートする)。一部の態様では、ペイロードはナノ粒子のコアの一部である。したがって、本発明のナノ粒子のコアは、核酸、DNA、RNA及び/又はタンパク質を含みうる。したがって一部の場合、本発明のナノ粒子は核酸(DNA及び/又はRNA)及びタンパク質を含む。一部の場合、本発明のナノ粒子のコアはリボ核タンパク質(RNA及びタンパク質の)複合体を含む。一部の場合、本発明のナノ粒子のコアはデオキシリボヌクレオタンパク質(DNA及びタンパク質(例.ドナーDNA及びZFN、TALEN又はCRISPR/Casエフェクタータンパク質))複合体を含む。一部の場合、本発明のナノ粒子のコアは、リボ−デオキシリボヌクレオタンパク質(RNA、DNA及びタンパク質(例.ガイドRNA、ドナーDNA及びCRISPR/Casエフェクタータンパク質))複合体を含む。一部の場合、本発明のナノ粒子のコアはPNAを含む。一部の場合、本発明のコアはPNA及びDNAを含む。
【0047】
本発明の核酸ペイロード(例.ドナーDNA及び/又は配列特異的ヌクレアーゼをコードする核酸)はモルホリノ骨格構造を含みうる。一部の場合、本発明の核酸ペイロード(例.ドナーDNA及び/又は配列特異的ヌクレアーゼをコードする核酸)は1つ以上のロックト核酸(LNA)を有しうる。適切な糖置換基は、メトキシ(−O−CH)、アミノプロポキシ(−OCHCHCHNH)、アリル(−CH−CH=CH)、−O−アリル(−O−CH−CH=CH)及びフルオロ(F)を含む。2’-糖置換基はアラビノ位(上)にあってもよく、リボ位(下)にあってもよい。適切な塩基修飾は、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-メチル、アデニン及びグアニンの6-メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2-プロピル及び他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン、2-チオシトシン、5-ハロウラシル及びシトシン、5-プロピニル(−C=C−CH)ウラシル及びシトシン、ピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6-アゾウラシル、シトシン、及びチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル及び他の8-置換アデニン及びグアニン、5-ハロ、特に、5-ブロモ、5-トリフルオロメチル、及び他の5-置換ウラシル及びシトシン、7-メチルグアニン、7-メチルアデニン、2-F-アデニン、2-アミノ-アデニン、8-アザグアニン、8-アザアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン並びに3-デアザアデニンのような、合成及び天然ヌクレオ塩基を含む。さらなる修飾ヌクレオ塩基は、フェノキサジンシチジン(1H-ピリミド(5,4-b)(1,4)ベンゾキサジン-2(3H)-オン)、フェノチアジンシチジン(1H-ピリミド(5,4-b)(1,4)ベンゾチアジン-2(3H)-オン)、置換フェノキサジンシチジン(例.9-(2-アミノエトキシ)-H-ピリミド(5,4-(b)(1,4)ベンゾキサジン-2(3H)-オン)のようなGクランプ、カルバゾールシチジン(2H-ピリミド(4,5-b)インドール-2-オン)、ピリドインドールシチジン(H-ピリド(3’,2’:4,5)ピロロ(2,3-d)ピリミジン-2-オン)といった三環式ピリミジンを含む。
【0048】
一部の場合、核酸ペイロードはコンジュゲート部分(例えば、核酸ペイロードの活性、安定性、細胞内分布又は細胞内取込みを増強する部分)を含みうる。これらの部分又はコンジュゲートは、官能基、例えば、一級又は二級ヒドロキシル基へと共有結合したコンジュゲート基を含みうる。コンジュゲート基は、挿入剤、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、オリゴマーの薬力学特性を増強する基及びオリゴマーの薬物動態特性を増強する基を含むが、これらに限定されない。適切なコンジュゲート基は、コレステロール、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン及び染料を含むが、これらに限定されない。薬力学特性を増強する基は、取込みを改善し、分解への抵抗性を増強し、及び/又は標的核酸との配列特異的ハイブリダイゼーションを強化する基を含む。薬物動態特性を増強する基は、本発明の核酸の取込み、分布、代謝又は排出を改善する基を含む。
【0049】
任意の好都合なポリヌクレオチドが、ドナーDNAではない本発明の(例えば部位特異的ヌクレアーゼを送達するための)核酸ペイロードとして使用されうる。mRNA、m1A修飾mRNA(アデノシンの1位においてモノメチル化された)、モルホリノRNA、ペプトイド及びペプチド核酸、cDNA、DNAオリガミ、合成ヌクレオチドを伴うDNA及びRNA、所定の二次構造を伴うDNA及びRNA、並びに前出の分子種のマルチマー及びオリゴマーを含む、RNA及びDNAの分子種が例として挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
一部の態様では、1を超えるペイロードが同じパッケージ(例.ナノ粒子)の一部として送達され、例えば一部の場合、異なるペイロードは異なるコアの一部である。複数のペイロードを同じ送達媒体(例.ナノ粒子)の一部として送達することの1つの利点は、各ペイロードの効率が低下しないことである。例として述べると、ペイロードA及びペイロードBが2つの別個のパッケージ/媒体(それぞれ、パッケージA及びパッケージB)により送達される場合、効率は乗算的で、例えば、パッケージA及びパッケージBが各々1%のトランスフェクション効率を有する場合、ペイロードA及びペイロードBを同じ細胞に送達する見込みは0.01%(1%×1%)である。しかし、ペイロードA及びペイロードBがいずれも同じ送達媒体の一部として送達される場合、ペイロードA及びペイロードBを同じ細胞に送達する見込みは1%であり、0.01%に対して100倍の改善である。
【0051】
同様に、パッケージA及びパッケージBが各々0.1%のトランスフェクション効率を有する状況では、ペイロードA及びペイロードBを同じ細胞に送達する見込みは0.0001%(0.1%×0.1%)である。しかし、この状況では、ペイロードA及びペイロードBがいずれも同じパッケージ(例.同じナノ粒子の一部(パッケージA)の一部)として送達される場合、ペイロードA及びペイロードBを同じ細胞に送達する見込みは0.1%であり、0.0001%に対して1000倍の改善である。
【0052】
このように、一部の態様では、(例えば上述した)1つ以上の遺伝子編集ツール及びドナーDNAは、タンパク質(及び/又はこれをコードするDNA若しくはmRNA)、及び/又はゲノム編集効率を増大させる非コードRNAと組み合わせて(例えば同じナノ粒子の一部として)送達される。一部の場合、(例えば上述した)1つ以上の遺伝子編集ツール及びドナーDNAは、タンパク質(及び/又はこれをコードするDNA若しくはmRNA)、並びに/又は細胞の分裂及び/若しくは分化を制御する非コードRNAと組み合わせて(例えば同じナノ粒子の一部として)送達される。
【0053】
上記の非限定的な例として述べると、一部の態様では、1つ以上の遺伝子編集ツール及びドナーDNAは、SCF(及び/又はSCFをコードするDNA若しくはmRNA)、HoxB4(及び/又はHoxB4をコードするDNA若しくはmRNA)、BCL−XL(及び/又はBCL−XLをコードするDNA若しくはmRNA)、SIRT6(及び/又はSIRT6をコードするDNA若しくはmRNA)、miR−155を抑制する核酸分子(例.siRNA及び/又はLNA)、ku70の発現を低減する核酸分子(例.siRNA、shRNA、マイクロRNA)及びku80の発現を低減する核酸分子(例.siRNA、shRNA、マイクロRNA)のうちの1つ又は複数と組み合わせて送達されうる。
【0054】
遺伝子編集ツール(例.部位特異的ヌクレアーゼ)及びドナーDNAと組み合わせて送達されうるマイクロRNA遺伝子の例については、図9Aを参照。例えば以下のマイクロRNAは、以下の目的で使用されうる:多能性幹細胞の外胚葉系統への分化を遮断する目的で:miR−430/427/302(例.MiRベース受託番号:MI0000738、MI0000772、MI0000773、MI0000774、MI0006417、MI0006418、MI0000402、MI0003716、MI0003717及びMI0003718);多能性幹細胞の内胚葉系統への分化を遮断する目的で:miR−109及び/又はmiR−24(例.MiRベース受託番号:MI0000080、MI0000081、MI0000231及びMI0000572);多能性幹細胞の内胚葉系統への分化を駆動する目的で:miR−122(例.MiRベース受託番号:MI0000442及びMI0000256)及び/又はmiR−192(例.MiRベース受託番号:MI0000234及びMI0000551);外胚葉前駆細胞の角化細胞への分化を駆動する目的で:miR−203(例.MiRベース受託番号:MI0000283、MI0017343及びMI0000246);神経堤幹細胞の平滑筋への分化を駆動する目的で:miR−145(例.MiRベース受託番号:MI0000461、MI0000169及びMI0021890);神経幹細胞のグリア細胞及び/又はニューロンへの分化を駆動する目的で:miR−9(例.MiRベース受託番号:MI0000466、MI0000467、MI0000468、MI0000157、MI0000720及びMI0000721)及び/又はmiR−124a(例.MiRベース受託番号:MI0000443、MI0000444、MI0000445、MI0000150、MI0000716及びMI0000717);中胚葉前駆細胞の軟骨細胞への分化を遮断する目的で:miR−199a(例.MiRベース受託番号:MI0000242、MI0000281、MI0000241及びMI0000713);中胚葉前駆細胞の骨芽細胞への分化を駆動する目的で:miR−296(例.MiRベース受託番号:MI0000747及びMI0000394)及び/又はmiR−2861(例.MiRベース受託番号:MI0013006及びMI0013007);中胚葉前駆細胞の心筋への分化を駆動する目的で:miR−1(例.MiRベース受託番号:MI0000437、MI0000651、MI0000139、MI0000652、MI0006283);中胚葉前駆細胞の心筋への分化を遮断する目的で:miR−133(例.MiRベース受託番号:MI0000450、MI0000451、MI0000822、MI0000159、MI0000820、MI0000821及びMI0021863);中胚葉前駆細胞の骨格筋への分化を駆動する目的で:miR−214(例.MiRベース受託番号:MI0000290及びMI0000698)、miR−206(例.MiRベース受託番号:MI0000490及びMI0000249)、miR−1及び/又はmiR−26a(例.MiRベース受託番号:MI0000083、MI0000750、MI0000573及びMI0000706);中胚葉前駆細胞の骨格筋への分化を遮断する目的で:miR−133(例.MiRベース受託番号:MI0000450、MI0000451、MI0000822、MI0000159、MI0000820、MI0000821及びMI0021863)、miR−221(例.MiRベース受託番号:MI0000298及びMI0000709)、及び/又はmiR−222(例.MiRベース受託番号:MI0000299及びMI0000710);造血前駆細胞の分化を駆動する目的で:miR−223(例.MiRベース受託番号:MI0000300及びMI0000703);造血前駆細胞の分化を遮断する目的で:miR−128a(例.MiRベース受託番号:MI0000447及びMI0000155)及び/又はmiR−181a(例.MiRベース受託番号:MI0000269、MI0000289、MI0000223及びMI0000697);造血前駆細胞のリンパ系前駆細胞への分化を駆動する目的で:miR−181(例.MiRベース受託番号:MI0000269、MI0000270、MI0000271、MI0000289、MI0000683、MI0003139、MI0000223、MI0000723、MI0000697、MI0000724、MI0000823及びMI0005450);造血前駆細胞のリンパ系前駆細胞への分化を遮断する目的で:miR−146(例.MiRベース受託番号:MI0000477、MI0003129、MI0003782、MI0000170及びMI0004665);造血前駆細胞の骨髄系前駆細胞への分化を遮断する目的で:miR−155、miR−24a及び/又はmiR−17(例.MiRベース受託番号:MI0000071及びMI0000687);リンパ系前駆細胞のT細胞への分化を駆動する目的で:miR−150(例.MiRベース受託番号:MI0000479及びMI0000172);骨髄系前駆細胞の顆粒球への分化を遮断する目的で:miR−223(例.MiRベース受託番号:MI0000300及びMI0000703);骨髄系前駆細胞の単球への分化を遮断する目的で:miR−17−5p(例.MiRベース受託番号:MIMAT0000070及びMIMAT0000649)、miR−20a(例.MiRベース受託番号:MI0000076及びMI0000568)、及び/又はmiR−106a(例.MiRベース受託番号:MI0000113及びMI0000406);骨髄系前駆細胞の赤血球への分化を遮断する目的で:miR−150(例.MiRベース受託番号:MI0000479及びMI0000172)、miR−155、miR−221(例.MiRベース受託番号:MI0000298及びMI0000709)、及び/又はmiR−222(例.MiRベース受託番号:MI0000299及びMI0000710);かつ骨髄系前駆細胞の赤血球への分化を駆動する目的で:miR−451(例.MiRベース受託番号:MI0001729、MI0017360、MI0001730及びMI0021960)及び/又はmiR−16(例.MiRベース受託番号:MI0000070、MI0000115、MI0000565及びMI0000566)。
【0055】
遺伝子編集ツール及びドナーDNAと組み合わせて(例えばタンパク質として、又はタンパク質をコードするDNA若しくはRNAとして)送達されうるシグナル伝達タンパク質(例.細胞外シグナル伝達タンパク質)の例については、図9Bを参照。同じタンパク質は、例えば、ナノ粒子を受け取る標的細胞における分化にバイアスをかける目的で、ターゲティングリガンドと同様に、本発明のナノ粒子の外殻の一部としても使用されうる。例えば以下のシグナル伝達タンパク質(例.細胞外シグナル伝達タンパク質)は以下の目的で使用されうる:造血幹細胞のリンパ系共通前駆細胞系統への分化を駆動する目的で:IL−7(例.NCBI Gene ID:3574);造血幹細胞の骨髄系共通前駆細胞系統への分化を駆動する目的で:IL−3(例.NCBI Gene ID:3562)、GM−CSF(例.NCBI Gene ID:1437)及び/又はM−CSF(例.NCBI Gene ID:1435);リンパ系共通前駆細胞のB細胞への分化を駆動する目的で:IL−3、IL−4(例.NCBI Gene ID:3565)及び/又はIL−7;リンパ系共通前駆細胞のナチュラルキラー細胞への分化を駆動する目的で:IL−15(例.NCBI Gene ID:3600);リンパ系共通前駆細胞のT細胞への分化を駆動する目的で:IL−2(例.NCBI Gene ID:3558)、IL−7及び/又はNotch(例.NCBI Gene ID:4851、4853、4854、4855);リンパ系共通前駆細胞の樹状細胞への分化を駆動する目的で:Flt−3リガンド(例.NCBI Gene ID:2323);骨髄系共通前駆細胞の樹状細胞への分化を駆動する目的で:Flt−3リガンド、GM−CSF及び/又はTNFα(例.NCBI Gene ID:7124);骨髄系共通前駆細胞の顆粒球マクロファージ前駆細胞系統への分化を駆動する目的で:GM−CSF;骨髄系共通前駆細胞の巨核細胞−赤血球系前駆細胞系統への分化を駆動する目的で:IL−3、SCF(例.NCBI Gene ID:4254)及び/又はTpo(例.NCBI Gene ID:7173);巨核細胞−赤血球系前駆細胞の巨核細胞への分化を駆動する目的で:IL−3、IL−6(例.NCBI Gene ID:3569)、SCF及び/又はTpo;巨核細胞−赤血球系前駆細胞の赤血球への分化を駆動する目的で:エリスロポエチン(例.NCBI Gene ID:2056);巨核細胞の血小板への分化を駆動する目的で:IL−11(例.NCBI Gene ID:3589)及び/又はTpo;顆粒球マクロファージ前駆細胞の単球系統への分化を駆動する目的で:GM−CSF及び/又はM−CSF;顆粒球マクロファージ前駆細胞の骨芽細胞系統への分化を駆動する目的で:GM−CSF;単球の単球由来樹状細胞への分化を駆動する目的で:Flt−3リガンド、GM−CSF、IFNα(例.NCBI Gene ID:3439)及び/又はIL−4;単球のマクロファージへの分化を駆動する目的で:IFNγ、IL−6、IL−10(例.NCBI Gene ID:3586)及び/又はM−CSF;骨芽細胞の好中球への分化を駆動する目的で:G−CSF(例.NCBI Gene ID:1440)、GM−CSF、IL−6及び/又はSCF;骨芽細胞の好酸球への分化を駆動する目的で:GM−CSF、IL−3及び/又はIL−5(例.NCBI Gene ID:3567);かつ骨芽細胞の好塩基球への分化を駆動する目的で:G−CSF、GM−CSF及び/又はIL−3。
【0056】
遺伝子編集ツール及びドナーDNAと組み合わせて(例えばタンパク質及び/又はタンパク質をコードする核酸(例.DNA又はRNA)として)送達されうるタンパク質の例は、SOX17、HEX、OSKM(Oct4/Sox2/Klf4/c−myc)及び/又はbFGF(例えば肝幹細胞系統への分化を駆動する);HNF4a(例えば肝細胞への分化を駆動する);Poly(I:C)、BMP−4、bFGF及び/又は8−Br−cAMP(例えば内皮幹細胞/前駆細胞系統への分化を駆動する);VEGF(例えば動脈内皮への分化を駆動する);Sox−2、Brn4、Myt1l、Neurod2、Ascl1(例えば神経幹細胞/前駆細胞系統への分化を駆動する);並びにBDNF、FCS、ホルスコリン及び/又はSHH(例えば、ニューロン、星状細胞及び/又は希突起膠細胞への分化を駆動する)を含むが、これらに限定されない。
【0057】
遺伝子編集ツール及びドナーDNAと組み合わせて(例えばタンパク質及び/又はタンパク質をコードする核酸、例えばDNA又はRNAとして)送達されうるシグナル伝達タンパク質(例.細胞外シグナル伝達タンパク質)の例は、サイトカイン(例えばCD8+ T細胞を活性化させるための、例えばIL−及び/又はIL−15);Notch、Wnt及び/又はSmadシグナル伝達経路のうちの1つ又は複数をモジュレートするリガンド及び/又はシグナル伝達タンパク質;SCF;幹細胞プログラム化因子(例.Sox2、Oct3/4、Nanog、Klf4、c−Mycなど);並びに、その後の単離/精製/濃縮のための一時的表面マーカー「タグ」及び/又は蛍光レポーターを含むが、これらに限定されない。例えば線維芽細胞はSox2の送達を介して神経幹細胞に転換されうるが、Oct3/4及び低分子である「後成的リセット因子」の存在下では心筋細胞になるであろう。ハンチントン病又はCXCR4突然変異を伴う患者では、これらの線維芽細胞は、それぞれ、ニューロン及び心臓細胞と関連する罹患表現型形質をコードしうる。遺伝子編集補正及びこれらの因子を単一のパッケージ内で送達することにより、導入される因子/ペイロードの全てではないが、これらの1つ以上に起因する有害作用の危険性が著明に低減されうる。
【0058】
ペイロード放出のタイミング及び/又は場所は制御されうる(本明細書の別の箇所でより詳細に説明する)ため、複数のペイロードの同じパッケージ(例.同じナノ粒子)内のパッケージングは、異なるペイロードについて異なる放出時間/速度及び/又は場所を達成することを妨げない。例えば上記のタンパク質(及び/又はこれらをコードするDNA若しくはmRNA)及び/又は非コードRNAの放出は、同じパッケージの一部である1つ以上の遺伝子編集ツールの放出と別個に制御されうる。例えば細胞の増殖及び/又は分化を制御するタンパク質及び/又は核酸(例.DNA、mRNA、非コードRNA、miRNA)は、1つ以上の遺伝子編集ツールより早く放出される場合もあり、1つ以上の遺伝子編集ツールより遅く放出される場合もある。これは、例えば、1つを超える脱落層を使用することにより達成される場合もあり、及び/又は、1つを超えるコア(例えば1つのコアが他のコアと異なる放出プロファイルを有する場合、例えば異なるD-異性体対L-異性体の比を使用する場合、異なるESP:ENP:EPPプロファイルを使用する場合など)を使用することにより達成される場合もある。このようにして、ドナー及びヌクレアーゼは最適の編集及び挿入効率を可能とする段階的な方式で放出されうる。
【0059】
ナノ粒子のコア
本発明のナノ粒子のコアは、アニオン性ポリマー組成物(例.ポリ(グルタミン酸))、カチオン性ポリマー組成物(例.ポリ(アルギニン))、カチオン性ポリペプチド組成物(例.ヒストンテールペプチド)及びペイロード(例.核酸及び/又はタンパク質のペイロード、例えば、ドナーRNA及び/又は部位特異的ヌクレアーゼ若しくは部位特異的ヌクレアーゼをコードする核酸)を含みうる。一部の場合、コアはアニオン性アミノ酸ポリマーの存在下における(かつ一部の場合、カチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチドの存在下における)カチオン性アミノ酸ポリマー及びペイロードの凝縮により生成される。一部の態様では、コアを構成する構成要素の凝縮は、カチオン性ポリマーのペイロードとのコンジュゲートと比較したトランスフェクション効率の増大を媒介しうる。アニオン性ポリマーのナノ粒子のコアへの組入れは、細胞内のナノ粒子の滞留及びペイロード放出の持続時間を延長しうる。
【0060】
コアのカチオン性及びアニオン性ポリマー組成物について、ペイロードの徐放を制御するためにD-異性体ポリマー対L-異性体ポリマーの比が制御されうるが、ここで、D-異性体ポリマー対L-異性体ポリマーの比の増大は安定性の増大(ペイロード放出速度の低減)をもたらし、これは、例えば、本発明のナノ粒子により送達されるペイロードからの長時間持続型の遺伝子発現を可能としうる。一部の場合、ナノ粒子のコア内のD-異性体ポリペプチド対L-異性体ポリペプチドの比の改変は、遺伝子発現プロファイル(例えばペイロード分子によりコードされるタンパク質の発現)が、1〜90日間(例.1〜80、1〜70、1〜60、1〜50、1〜40、1〜30、1〜25、1〜20、1〜15、1〜10、3〜90、3〜80、3〜70、3〜60、3〜50、3〜40、3〜30、3〜25、3〜20、3〜15、3〜10、5〜90、5〜80、5〜70、5〜60、5〜50、5〜40、5〜30、5〜25、5〜20、5〜15又は5〜10日間)のオーダーにあるように仕向けうる。(例えば、遺伝子編集ツールを送達する場合の)ペイロード放出の制御は、例えば一部の場合、相同性指向修復が所望される場合、ゲノム編集を実施するために特に効果的でありうる。
【0061】
一部の態様では、ナノ粒子は、コア及びコアを封入する脱落層を含み、ここで、コアは、(a)アニオン性ポリマー組成物;(b)カチオン性ポリマー組成物;(c)カチオン性ポリペプチド組成物;並びに(d)核酸及び/又はタンパク質のペイロードを含み、ここで、(a)及び(b)のうちの一方は、アミノ酸のD-異性体ポリマーを含み、(a)及び(b)のうちの他方は、アミノ酸のL-異性体ポリマーを含み、ここで、D-異性体ポリマー対L-異性体ポリマーの比は、10:1〜1.5:1(例.8:1〜1.5:1、6:1〜1.5:1、5:1〜1.5:1、4:1〜1.5:1、3:1〜1.5:1、2:1〜1.5:1、10:1〜2:1;8:1〜2:1、6:1〜2:1、5:1〜2:1、10:1〜3:1;8:1〜3:1、6:1〜3:1、5:1〜3:1、10:1〜4:1;4:1〜2:1、6:1〜4:1又は10:1〜5:1)又は1:1.5〜1:10(例.1:1.5〜1:8、1:1.5〜1:6、1:1.5〜1:5、1:1.5〜1:4、1:1.5〜1:3、1:1.5〜1:2、1:2〜1:10、1:2〜1:8、1:2〜1:6、1:2〜1:5、1:2〜1:4、1:2〜1:3、1:3〜1:10、1:3〜1:8、1:3〜1:6、1:3〜1:5、1:4〜1:10、1:4〜1:8、1:4〜1:6又は1:5〜1:10)である。一部のこのような場合には、D-異性体ポリマー対L-異性体ポリマーの比は1:1ではない。一部のこのような場合には、アニオン性ポリマー組成物は、ポリ(D-グルタミン酸)(PDEA)及びポリ(D-アスパラギン酸)(PDDA)から選択されるアニオン性ポリマーを含み、ここで(任意に)、カチオン性ポリマー組成物は、ポリ(L-アルギニン)、ポリ(L-リシン)、ポリ(L-ヒスチジン)、ポリ(L-オルニチン)、及びポリ(L-シトルリン)から選択されるカチオン性ポリマーを含みうる。一部の場合、カチオン性ポリマー組成物は、ポリ(D-アルギニン)、ポリ(D-リシン)、ポリ(D-ヒスチジン)、ポリ(D-オルニチン)、及びポリ(D-シトルリン)から選択されるカチオン性ポリマーを含み、ここで(任意に)、アニオン性ポリマー組成物は、ポリ(L-グルタミン酸)(PLEA)及びポリ(L-アスパラギン酸)(PLDA)から選択されるアニオン性ポリマーを含みうる。
【0062】
一部の態様では、ナノ粒子は、コア及びコアを封入する脱落層を含み、ここで、コアは、(i)アニオン性ポリマー組成物;(ii)カチオン性ポリマー組成物;(iii)カチオン性ポリペプチド組成物;並びに(iv)核酸及び/又はタンパク質のペイロードを含み、この場合、(a)前記アニオン性ポリマー組成物は、アニオン性アミノ酸のD-異性体のポリマー、及びアニオン性アミノ酸のL-異性体のポリマーを含み;並びに/又は(b)前記カチオン性ポリマー組成物は、カチオン性アミノ酸のD-異性体のポリマー、及びカチオン性アミノ酸のL-異性体のポリマーを含む。一部のこのような場合には、アニオン性ポリマー組成物は、ポリ(D-グルタミン酸)(PDEA)及びポリ(D-アスパラギン酸)(PDDA)から選択される第1のアニオン性ポリマーを含み;ポリ(L-グルタミン酸)(PLEA)及びポリ(L-アスパラギン酸)(PLDA)から選択される第2のアニオン性ポリマーを含む。一部の場合、カチオン性ポリマー組成物は、ポリ(D-アルギニン)、ポリ(D-リシン)、ポリ(D-ヒスチジン)、ポリ(D-オルニチン)及びポリ(D-シトルリン)から選択される第1のカチオン性ポリマーを含み;ポリ(L-アルギニン)、ポリ(L-リシン)、ポリ(L-ヒスチジン)、ポリ(L-オルニチン)及びポリ(L-シトルリン)から選択される第2のカチオン性ポリマーを含む。一部の場合、アニオン性アミノ酸のD-異性体のポリマーは、アニオン性アミノ酸の前記L-異性体のポリマーと比べて、10:1〜1:10の比で存在する。一部の場合、カチオン性アミノ酸のD-異性体のポリマーは、カチオン性アミノ酸の前記L-異性体のポリマーと比べて、10:1〜1:10の比で存在する。
【0063】
ナノ粒子の構成要素(タイミング)
一部の態様では、ペイロード放出のタイミングは、特定の種類のタンパク質を、例えばコアの一部(例.カチオン性ポリペプチド組成物の一部、カチオン性ポリマー組成物の一部、及び/又はアニオン性ポリマー組成物の一部)として選択することにより制御されうる。例えば、特定の時間、又はペイロードが特定の細胞内の場所(例.細胞質ゾル、核、リソソーム、エンドソーム)にたどり着くまで、又は特定の条件下(例.低pH、高pHなど)、ペイロードの放出を遅らせることが望ましい場合がある。このように一部の場合、特異的タンパク質活性(例.酵素活性)に対して感受性である、例えば特異的タンパク質活性(例.酵素活性)に対する基質であるタンパク質が(例えばコアの一部として)使用されるが、これは、一般的な遍在的細胞内機構、例えば、一般的な分解機構に対して感受性であることと対照的である。本明細書では、特異的タンパク質活性に対して感受性であるタンパク質は「酵素感受性タンパク質」(ESP)という。ESPの代表的な例は、(i)マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)活性(細胞外活性の例)に対する基質であるタンパク質、例えばMMPにより認識されるモチーフを含むタンパク質;(ii)カテプシン活性(細胞内エンドソーム活性の例)に対する基質であるタンパク質、例えば、カテプシンにより認識されるモチーフを含むタンパク質;並びに(iii)メチルトランスフェラーゼ及び/又はアセチルトランスフェラーゼ活性(細胞内核活性の例)に対する基質であるタンパク質、例えば、ヒストンテールペプチド(HTP)、例えば、酵素的にメチル化/脱メチル化されうるモチーフ、及び/又は酵素的にアセチル化/脱アセチル化されうるモチーフを含むタンパク質、を含むが、これらに限定されない。例えば一部の場合、核酸ペイロードは、アセチルトランスフェラーゼ活性に対する基質であるタンパク質(例.ヒストンテールペプチド)と共に凝縮され、タンパク質のアセチル化はタンパク質にペイロードを放出させる(このように、アセチル化に対する感受性が大きい又は小さいタンパク質の使用を選び出すことにより、ペイロード放出に対して制御を施すことができる)。
【0064】
一部の場合、本発明のナノ粒子のコアは、ポリペプチドホモポリマー(すなわち、リピート配列を有するタンパク質)である酵素中性ポリペプチド(ENP)を含み、この場合、ポリペプチドは特定の活性を有さず、中性である。例えば、いずれも特定の活性を有するNLS配列及びHTPと異なり、ENPは特定の活性を有さない。
【0065】
一部の場合、本発明のナノ粒子のコアは、酵素活性に対して抵抗性であるタンパク質である酵素保護ポリペプチド(EPP)を含む。EPPの例は、(i)タンパク質分解に抵抗しうる、D-異性体アミノ酸(例.D-異性体ポリマー)を含むポリペプチド;及び(ii)セルフシェルタリングドメイン、例えばポリグルタミンリピートドメイン(例.QQQQQQQQQQ(配列番号170))を含むが、これらに限定されない。
【0066】
本発明のナノ粒子の一部(例.ナノ粒子のコアの一部)である感受性タンパク質(ESP)、中性タンパク質(ENP)及び保護タンパク質(EPP)の相対量を制御することにより、ペイロードの放出を制御しうる。例えば多くのESPの使用は、一般に多くのEPPの使用より迅速なペイロードの放出をもたらしうる。加えて、多くのESPの使用は、一般に特定の条件/状況のセット、例えばESPが感受性であるタンパク質(例.酵素)の活性をもたらす状態/状況に依存するペイロードの放出をもたらす。
【0067】
ナノ粒子のアニオン性ポリマー組成物
アニオン性ポリマー組成物は、1つ以上のアニオン性アミノ酸ポリマーを含みうる。例えば一部の場合、本発明のアニオン性ポリマー組成物は、ポリ(グルタミン酸)(PEA)、ポリ(アスパラギン酸)(PDA)及びこれらの組合せから選択されるポリマーを含む。一部の場合、所与のアニオン性アミノ酸ポリマーは、アスパラギン酸残基とグルタミン酸残基のミックスを含みうる。各ポリマーは、組成物中でL-異性体のポリマーとして存在する場合もあり、D-異性体のポリマーとして存在する場合もあり、ここで、D-異性体は分解に長くかかるため、標的細胞内でより安定である。したがって、D-異性体のポリ(アミノ酸)のナノ粒子のコアへの組入れは、コアの分解、及び、その後のペイロード放出を遅らせる。したがって、ペイロード放出速度は制御される場合があり、D-異性体のポリマー対L-異性体のポリマーの比に比例し、ここで、D-異性体対L-異性体の比は、ペイロード放出の持続時間を増大させる(すなわち、放出速度を減少させる)。言い換えれば、D-異性体とL-異性体との相対量は、ナノ粒子のコアの徐放動態、並びに分解への酵素感受性及びペイロード放出を調節しうる。
【0068】
一部の場合、本発明のナノ粒子のアニオン性ポリマー組成物は、アニオン性アミノ酸ポリマーのD-異性体のポリマー及びL-異性体のポリマー(例.ポリ(グルタミン酸)(PEA)及びポリ(アスパラギン酸)(PDA))を含む。一部の場合、D-異性体対L-異性体の比は、10:1〜1:10(例.8:1〜1:10、6:1〜1:10、4:1〜1:10、3:1〜1:10、2:1〜1:10、1:1〜1:10、10:1〜1:8、8:1〜1:8、6:1〜1:8、4:1〜1:8、3:1〜1:8、2:1〜1:8、1:1〜1:8、10:1〜1:6、8:1〜1:6、6:1〜1:6、4:1〜1:6、3:1〜1:6、2:1〜1:6、1:1〜1:6、10:1〜1:4、8:1〜1:4、6:1〜1:4、4:1〜1:4、3:1〜1:4、2:1〜1:4、1:1〜1:4、10:1〜1:3、8:1〜1:3、6:1〜1:3、4:1〜1:3、3:1〜1:3、2:1〜1:3、1:1〜1:3、10:1〜1:2、8:1〜1:2、6:1〜1:2、4:1〜1:2、3:1〜1:2、2:1〜1:2、1:1〜1:2、10:1〜1:1、8:1〜1:1、6:1〜1:1、4:1〜1:1、3:1〜1:1又は2:1〜1:1)である。
【0069】
したがって一部の場合、アニオン性ポリマー組成物は、D-異性体(例えばポリ(D-グルタミン酸)(PDEA)及びポリ(D-アスパラギン酸)(PDDA)から選択される)のポリマーである第1のアニオン性ポリマー(例.アミノ酸ポリマー)を含み;L-異性体(例えばポリ(L-グルタミン酸)(PLEA)及びポリ(L-アスパラギン酸)(PLDA)から選択される)のポリマーである第2のアニオン性ポリマー(例.アミノ酸ポリマー)を含む。一部の場合、第1のアニオン性ポリマー(D-異性体)対第2のアニオン性ポリマー(L-異性体)の比は、10:1〜1:10(例.8:1〜1:10、6:1〜1:10、4:1〜1:10、3:1〜1:10、2:1〜1:10、1:1〜1:10、10:1〜1:8、8:1〜1:8、6:1〜1:8、4:1〜1:8、3:1〜1:8、2:1〜1:8、1:1〜1:8、10:1〜1:6、8:1〜1:6、6:1〜1:6、4:1〜1:6、3:1〜1:6、2:1〜1:6、1:1〜1:6、10:1〜1:4、8:1〜1:4、6:1〜1:4、4:1〜1:4、3:1〜1:4、2:1〜1:4、1:1〜1:4、10:1〜1:3、8:1〜1:3、6:1〜1:3、4:1〜1:3、3:1〜1:3、2:1〜1:3、1:1〜1:3、10:1〜1:2、8:1〜1:2、6:1〜1:2、4:1〜1:2、3:1〜1:2、2:1〜1:2、1:1〜1:2、10:1〜1:1、8:1〜1:1、6:1〜1:1、4:1〜1:1、3:1〜1:1又は2:1〜1:1)である。
【0070】
一部の態様では、本発明のナノ粒子のコアのアニオン性ポリマー組成物は、グリコサミノグリカン、糖タンパク質、多糖、ポリ(マヌロン酸)、ポリ(グルクロン酸)、ヘパリン、硫酸ヘパリン、コンドロイチン、硫酸コンドロイチン、ケラタン、硫酸ケラタン、アグレカン、ポリ(グルコサミン)又はこれらの任意の組合せを含むアニオン性ポリマーを含む(例えば、アニオン性ポリマーの前出の例のうちのいずれかに加えて、又はこの代わりに)。
【0071】
一部の態様では、コア内のアニオン性ポリマーは、1〜200kDa(例.1〜150、1〜100、1〜50、5〜200、5〜150、5〜100、5〜50、10〜200、10〜150、10〜100、10〜50、15〜200、15〜150、15〜100又は15〜50kDa)の分子量を有しうる。例として述べると、一部の場合、アニオン性ポリマーは分子量約15kDaのポリ(グルタミン酸)を含む。
【0072】
一部の場合、アニオン性アミノ酸ポリマーは、例えば、リンカー、NLS、び/又はカチオン性ポリペプチド(例.ヒストン又はHTP)とのコンジュゲーションを促進するシステイン残基を含む。例えば、システイン残基はスルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)及び/又はアミン反応性化学反応を介する架橋(コンジュゲーション)のために使用されうる。したがって一部の態様では、アニオン性ポリマー組成物のアニオン性アミノ酸ポリマー(例.ポリ(グルタミン酸)(PEA)、ポリ(アスパラギン酸)(PDA)、ポリ(D-グルタミン酸)(PDEA)、ポリ(D-アスパラギン酸)(PDDA)、ポリ(L-グルタミン酸)(PLEA)、ポリ(L-アスパラギン酸)(PLDA))はシステイン残基を含む。一部の場合、アニオン性アミノ酸ポリマーはN及び/又はC末端にシステイン残基を含む。一部の場合、アニオン性アミノ酸ポリマーは内部システイン残基を含む。
【0073】
一部の場合、アニオン性アミノ酸ポリマーは、核局在化シグナル(NLS)(以下でより詳細に説明する)を含む(及び/又はこれとコンジュゲートする)。したがって一部の態様では、アニオン性ポリマー組成物のアニオン性アミノ酸ポリマー(例.ポリ(グルタミン酸)(PEA)、ポリ(アスパラギン酸)(PDA)、ポリ(D-グルタミン酸)(PDEA)、ポリ(D-アスパラギン酸)(PDDA)、ポリ(L-グルタミン酸)(PLEA)、ポリ(L-アスパラギン酸)(PLDA))は、1つ以上(例.2つ以上、3つ以上又は4つ以上)のNLSを含む(及び/又はこれとコンジュゲートする)。一部の場合、アニオン性アミノ酸ポリマーは、N及び/又はC末端にNLSを含む。一部の場合、アニオン性アミノ酸ポリマーは内部NLSを含む。
【0074】
一部の場合、アニオン性ポリマーは、本発明のナノ粒子のコアを生成する場合に、カチオン性ポリマーの前に付加される。
【0075】
ナノ粒子のカチオン性ポリマー組成物
カチオン性ポリマー組成物は1つ以上のカチオン性アミノ酸ポリマーを含みうる。例えば一部の場合、本発明のカチオン性ポリマー組成物は、ポリ(アルギニン)(PR)、ポリ(リシン)(PK)、ポリ(ヒスチジン)(PH)、ポリ(オルニチン)、ポリ(シトルリン)及びこれらの組合せから選択されるポリマーを含む。一部の場合、所与のカチオン性アミノ酸ポリマーは、アルギニン、リシン、ヒスチジン、オルニチン及びシトルリン残基(任意の好都合な組合せにおける)のミックスを含みうる。各ポリマーは、組成物中でL-異性体のポリマーとして存在する場合もあり、D-異性体のポリマーとして存在する場合もあり、ここで、D-異性体は分解に長くかかるため、標的細胞内でより安定である。したがって、D-異性体のポリ(アミノ酸)のナノ粒子のコアへの組入れは、コアの分解、及び、その後のペイロード放出を遅らせる。したがって、ペイロード放出速度は制御される場合があり、D-異性体のポリマー対L-異性体のポリマーの比に比例し、ここで、D-異性体対L-異性体の比はペイロード放出の持続時間を増大させる(すなわち、放出速度を減少させる)。言い換えれば、D-異性体とL-異性体との相対量は、ナノ粒子のコアの徐放動態、並びに分解への酵素感受性及びペイロード放出をモジュレートしうる。
【0076】
一部の場合、本発明のナノ粒子のカチオン性ポリマー組成物は、カチオン性アミノ酸ポリマーのD-異性体のポリマー及びL-異性体のポリマー(例.ポリ(アルギニン)(PR)、ポリ(リシン)(PK)、ポリ(ヒスチジン)(PH)、ポリ(オルニチン)、ポリ(シトルリン))を含む。一部の場合、D-異性体対L-異性体の比は、10:1〜1:10(例.8:1〜1:10、6:1〜1:10、4:1〜1:10、3:1〜1:10、2:1〜1:10、1:1〜1:10、10:1〜1:8、8:1〜1:8、6:1〜1:8、4:1〜1:8、3:1〜1:8、2:1〜1:8、1:1〜1:8、10:1〜1:6、8:1〜1:6、6:1〜1:6、4:1〜1:6、3:1〜1:6、2:1〜1:6、1:1〜1:6、10:1〜1:4、8:1〜1:4、6:1〜1:4、4:1〜1:4、3:1〜1:4、2:1〜1:4、1:1〜1:4、10:1〜1:3、8:1〜1:3、6:1〜1:3、4:1〜1:3、3:1〜1:3、2:1〜1:3、1:1〜1:3、10:1〜1:2、8:1〜1:2、6:1〜1:2、4:1〜1:2、3:1〜1:2、2:1〜1:2、1:1〜1:2、10:1〜1:1、8:1〜1:1、6:1〜1:1、4:1〜1:1、3:1〜1:1又は2:1〜1:1)である。
【0077】
したがって一部の場合、カチオン性ポリマー組成物は、D-異性体(例えば、ポリ(D-アルギニン)、ポリ(D-リシン)、ポリ(D-ヒスチジン)、ポリ(D-オルニチン)及びポリ(D-シトルリン)から選択される)のポリマーである第1のカチオン性ポリマー(例.アミノ酸ポリマー)を含み;L-異性体(例えば、ポリ(L-アルギニン)、ポリ(L-リシン)、ポリ(L-ヒスチジン)、ポリ(L-オルニチン)及びポリ(L-シトルリン)から選択される)のポリマーである第2のカチオン性ポリマー(例.アミノ酸ポリマー)を含む。一部の場合、第1のカチオン性ポリマー(D-異性体)対第2のカチオン性ポリマー(L-異性体)の比は、10:1〜1:10(例.8:1〜1:10、6:1〜1:10、4:1〜1:10、3:1〜1:10、2:1〜1:10、1:1〜1:10、10:1〜1:8、8:1〜1:8、6:1〜1:8、4:1〜1:8、3:1〜1:8、2:1〜1:8、1:1〜1:8、10:1〜1:6、8:1〜1:6、6:1〜1:6、4:1〜1:6、3:1〜1:6、2:1〜1:6、1:1〜1:6、10:1〜1:4、8:1〜1:4、6:1〜1:4、4:1〜1:4、3:1〜1:4、2:1〜1:4、1:1〜1:4、10:1〜1:3、8:1〜1:3、6:1〜1:3、4:1〜1:3、3:1〜1:3、2:1〜1:3、1:1〜1:3、10:1〜1:2、8:1〜1:2、6:1〜1:2、4:1〜1:2、3:1〜1:2、2:1〜1:2、1:1〜1:2、10:1〜1:1、8:1〜1:1、6:1〜1:1、4:1〜1:1、3:1〜1:1又は2:1〜1:1)である。
【0078】
一部の態様では、本発明のナノ粒子のコアのカチオン性ポリマー組成物は、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アミドアミン)(PAMAM)、ポリ(アスパルタミド)、(例えば、コア凝縮のために「スパイダーウェブ」様分枝を形成するための)ポリペプトイド、電荷官能化ポリエステル、カチオン性多糖、アセチル化されたアミノ糖、キトサン、又はこれらの任意の組合せを含む(例えば直鎖形態又は分枝形態における)カチオン性ポリマーを含む(例えば、カチオン性ポリマーの前出の例のうちのいずれかに加えて、又はこの代わりに)。
【0079】
一部の態様では、コア内のカチオン性ポリマーは、1〜200kDa(例.1〜150、1〜100、1〜50、5〜200、5〜150、5〜100、5〜50、10〜200、10〜150、10〜100、10〜50、15〜200、15〜150、15〜100又は15〜50kDa)の分子量を有しうる。例として述べると、一部の場合、カチオン性ポリマーは例えば分子量約29kDaの(L-アルギニン)を含む。別の例として述べると、一部の場合、カチオン性ポリマーは分子量約25kDa(PEI)の直鎖状ポリ(エチレンイミン)を含む。別の例として述べると、一部の場合、カチオン性ポリマーは分子量約10kDaの分枝状ポリ(エチレンイミン)を含む。別の例として述べると、一部の場合、カチオン性ポリマーは分子量約70kDaの分枝状ポリ(エチレンイミン)を含む。一部の場合、カチオン性ポリマーはPAMAMを含む。
【0080】
一部の場合、カチオン性アミノ酸ポリマーは、例えば、リンカー、NLS、及び/又はカチオン性ポリペプチド(例.ヒストン又はHTP)とのコンジュゲーションを促進するシステイン残基を含む。例えば、システイン残基は、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)及び/又はアミン反応性化学反応を介する架橋(コンジュゲーション)のために使用されうる。したがって一部の態様では、カチオン性ポリマー組成物のカチオン性アミノ酸ポリマー(例.ポリ(アルギニン)(PR)、ポリ(リシン)(PK)、ポリ(ヒスチジン)(PH)、ポリ(オルニチン)及びポリ(シトルリン)、ポリ(D-アルギニン)(PDR)、ポリ(D-リシン)(PDK)、ポリ(D-ヒスチジン)(PDH)、ポリ(D-オルニチン)及びポリ(D-シトルリン)、ポリ(L-アルギニン)(PLR)、ポリ(L-リシン)(PLK)、ポリ(L-ヒスチジン)(PLH)、ポリ(L-オルニチン)及びポリ(L-シトルリン))は、システイン残基を含む。一部の場合、カチオン性アミノ酸ポリマーはN及び/又はC末端にシステイン残基を含む。一部の場合、カチオン性アミノ酸ポリマーは内部システイン残基を含む。
【0081】
一部の場合、カチオン性アミノ酸ポリマーは核局在化シグナル(NLS)(以下により詳細に説明する)を含む(及び/又はこれとコンジュゲートする)。したがって一部の態様では、カチオン性ポリマー組成物のカチオン性アミノ酸ポリマー(例.ポリ(アルギニン)(PR)、ポリ(リシン)(PK)、ポリ(ヒスチジン)(PH)、ポリ(オルニチン)及びポリ(シトルリン)、ポリ(D-アルギニン)(PDR)、ポリ(D-リシン)(PDK)、ポリ(D-ヒスチジン)(PDH)、ポリ(D-オルニチン)及びポリ(D-シトルリン)、ポリ(L-アルギニン)(PLR)、ポリ(L-リシン)(PLK)、ポリ(L-ヒスチジン)(PLH)、ポリ(L-オルニチン)及びポリ(L-シトルリン))は、1つ以上(例.2つ以上、3つ以上又は4つ以上)のNLSを含む(及び/又はこれとコンジュゲートする)。一部の場合、カチオン性アミノ酸ポリマーはN及び/又はC末端にNLSを含む。一部の場合、カチオン性アミノ酸ポリマーは内部NLSを含む。
【0082】
ナノ粒子のカチオン性ポリペプチド組成物
一部の態様では、ナノ粒子のカチオン性ポリペプチド組成物は、安定性、細胞内コンパートメント化、及び/又はペイロードの放出を媒介しうる。1つの例として述べると、本発明のナノ粒子のコア内の一般にヒストンテールペプチドと呼ばれるヒストンタンパク質のN末端の断片は、一部の場合には、例えば、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ媒介型アセチル化の場合における多様なヒストン修飾により脱プロトン化されうるだけでなく、また、ナノ粒子のコアの構成要素(例.ペイロード)の効果的な核特異的アンパッキングも媒介しうる。一部の場合、カチオン性ポリペプチド組成物は、ヒストン及び/又はヒストンテールペプチド(例えば、カチオン性ポリペプチドはヒストン及び/又はヒストンテールペプチドでありうる)を含む。一部の場合、カチオン性ポリペプチド組成物はNLS含有ペプチド(例えば、カチオン性ポリペプチドはNLS含有ペプチドでありうる)を含む。一部の場合、カチオン性ポリペプチド組成物は、架橋を促進するように、システイン残基により隔てられた1つ以上のNLS含有ペプチドを含む。一部の場合、カチオン性ポリペプチド組成物は、ミトコンドリア局在化シグナルを含むペプチド(例えば、カチオン性ポリペプチドはミトコンドリア局在化シグナルを含むペプチドでありうる)を含む。
【0083】
ナノ粒子の脱落層(脱落性コート)
一部の態様では、本発明のナノ粒子は、コアを取り囲む(これを封入する)脱落層(本明細書では、「一過性安定化層」とも称する)を含む。一部の場合、本発明の脱落層は、初期の細胞への取込みの前及び取込み時にペイロードを保護しうる。例えば、脱落層を伴わなければ、ペイロードの大半は細胞への内在化に失われる。細胞内環境に入ると、脱落層は「脱落」し(例えば層はpH(及び/又はグルタチオン)感受性でありうる)、コアの構成要素を露出させる。
【0084】
一部の場合、本発明の脱落層はシリカを含む。一部の場合、本発明のナノ粒子が(例えばシリカによる)脱落層を含む場合、細胞への取込みの確率の低下にもかかわらず、大きな細胞送達効率が観察されうる。特定の理論に束縛されることを望まずに述べると、ナノ粒子のコアの脱落層によるコーティング(例.シリカコーティング)は、コアをシーリングすることが可能であり、(例えば意図された細胞内コンパートメント内のプロセシング時における)ペイロードの放出をもたらす層の脱落までコアを安定化させる。受容体媒介型エンドサイトーシスを介する細胞への侵入の後、ナノ粒子はその最も外側の層を脱落させ、脱落層はエンドソームの酸性化環境又は細胞質ゾルの還元性環境において分解し、一部の場合、局在化シグナル、例えば、核局在化シグナル(NLS)及び/又はミトコンドリア局在化シグナルを顕示するコアを露出させる。さらに、脱落層により封入されたナノ粒子のコアは、血清中で安定であることが可能で、in vivoでの投与に適しうる。
【0085】
任意の所望の脱落層が使用される場合があり、当業者は標的細胞内のどこで(例えばどのような条件下で、例えば低pH下で)(例えば、エンドソーム、細胞質ゾル、核、リソソームなど)ペイロードが放出されることを所望するのかについて考慮することができる。いつ、どこで、及び/又はどのような条件下で脱落性コートが脱落する(かつ、これによりペイロードを放出する)ことが所望であるのかに応じて、異なる脱落層がより所望されうる。例えば脱落層は酸不安定性でありうる。一部の場合、脱落層はアニオン性脱落層(アニオン性コート)である。一部の場合、脱落層は、シリカ、ペプトイド、ポリシステイン及び/又はセラミック(例.バイオセラミック)を含む。一部の場合、脱落剤は、カルシウム、マンガン、マグネシウム、鉄(例えば脱落層は磁性層(例.FeMnO)でありうる)及びリチウムのうちの1つ又は複数を含む。これらの各々は、リン酸塩を含む場合もあり、硫酸塩を含む場合もある。このように一部の場合、脱落剤は、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸マンガン、硫酸マンガン、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、リン酸鉄、硫酸鉄、リン酸リチウム及び硫酸リチウムのうちの1つ又は複数を含み;これらの各々は、どのようにして及び/又はどのような条件下で脱落層が「脱落する」のかに対して、特定の効果を及ぼしうる。したがって一部の場合、脱落層は、シリカ、ペプトイド、ポリシステイン、セラミック(例.バイオセラミック)、カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウム、ヒドロキシアパタイト、マンガン、リン酸マンガン、硫酸マンガン、酸化マンガン、マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、鉄、リン酸鉄、硫酸鉄、酸化鉄、リチウム、リン酸リチウム及び硫酸リチウム(これらの任意の組合せにおける)のうちの1つ又は複数を含む(例えば、脱落層は、シリカ、ペプトイド、ポリシステイン、セラミック(例.バイオセラミック)、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸マンガン、硫酸マンガン、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、リン酸鉄、硫酸鉄、リン酸リチウム、硫酸リチウム又はこれらの組合せによるコーティングでありうる)。一部の場合、脱落層はシリカを含む(例えば脱落層はシリカコートでありうる)。一部の場合、脱落層はアルギン酸ゲルを含む。
【0086】
一部の場合、異なるペイロードに対する異なる放出時間が所望される。例えば一部の場合、ペイロードを早く(例えば標的細胞に接触してから0.5〜7日以内に)放出することが所望され、一部の場合、ペイロードを遅く(例えば標的細胞に接触してから6〜30日以内に)放出することが所望される。例えば一部の場合、標的細胞に接触してから0.5〜7日以内に(例えば、標的細胞に接触してから0.5〜5日、0.5〜3日、1〜7日、1〜5日又は1〜3日以内に)、ペイロード(例えば遺伝子編集ツール、例えば、CRISPR/CasガイドRNA、前記CRISPR/CasガイドRNAをコードするDNA分子、CRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチド及び/又は前記CRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチドをコードする核酸分子)を放出することが所望されてもよい。一部の場合、標的細胞に接触してから6〜40日以内に(例えば、標的細胞に接触してから6〜30、6〜20、6〜15、7〜40、7〜30、7〜20、7〜15、9〜40、9〜30、9〜20又は9〜15日以内に)、ペイロード(例.ドナーDNA分子)を放出することが所望されてもよい。一部の場合、放出時間は異なるペイロードを有するナノ粒子を、異なる時点において送達することにより制御されうる。一部の場合、放出時間は、ナノ粒子を同じ時点において送達することにより(異なる製剤の一部として、又は同じ製剤の一部として)制御されうるが、この場合、ナノ粒子の構成要素は、所望の放出時間を達成するようにデザインされる。例えば、速く又は遅く分解する脱落層、分解に対する抵抗性が大きい又は小さいコア構成要素、脱凝縮を受けやすい又は受けやすくないコア構成要素などを使用してもよい(かつ、構成要素のうちのいずれか又は全ては、所望のタイミングを達成するように任意の好都合な組合せで選択されうる)。
【0087】
一部の場合、ペイロード(例.ドナーDNA分子)の放出を、別のペイロード(例.1つ以上の遺伝子編集ツール)と比べて遅らせることが所望される。例として述べると、一部の場合、ペイロードとしてドナーDNA分子を含む第1のナノ粒子は、標的細胞に接触してから6〜40日以内に(例えば、標的細胞に接触してから6〜30、6〜20、6〜15、7〜40、7〜30、7〜20、7〜15、9〜40、9〜30、9〜20又は9〜15日以内に)放出されるようにデザインされ、一方、ペイロードとして1つ以上の遺伝子編集ツール(例.ZFP又はZFPをコードする核酸、TALE又はTALEをコードする核酸、ZFN又はZFNをコードする核酸、TALEN又はTALENをコードする核酸、CRISPR/CasガイドRNA又はCRISPR/CasガイドRNAをコードするDNA分子、CRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチド又はCRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチドをコードする核酸分子など)を含む第2のナノ粒子は、標的細胞に接触してから0.5〜7日以内に(例えば、標的細胞に接触してから0.5〜5日、0.5〜3日、1〜7日、1〜5日又は1〜3日以内に)放出されるようにデザインされる。第2のナノ粒子は、第1のナノ粒子と同じ製剤の一部の場合もあり、異なる製剤の一部の場合もある。
【0088】
一部の場合、ナノ粒子は、1つを超えるペイロードを含み、この場合、ペイロードは異なる時点において放出されることが所望される。これはさまざまな異なる方式で達成されうる。例えば、ナノ粒子は1つを超えるコアを有する場合があり、この場合、1つのコアはペイロード(例.siRNA、mRNA及び/又はゲノム編集ツール(例.ZFP又はZFPをコードする核酸、TALE又はTALEをコードする核酸、ZFN又はZFNをコードする核酸、TALEN又はTALENをコードする核酸、CRISPR/CasガイドRNA又はCRISPR/CasガイドRNAをコードするDNA分子、CRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチド又はCRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチドをコードする核酸分子など))を早く(例えば標的細胞に接触してから0.5〜7日以内に、例えば、標的細胞に接触してから0.5〜5日、0.5〜3日、1〜7日、1〜5日又は1〜3日以内に)放出しうる構成要素を用いて作られ、他のコアはペイロード(例.ドナーDNA分子)を遅く(例えば標的細胞に接触してから6〜40日以内に、例えば、標的細胞に接触してから6〜30、6〜20、6〜15、7〜40、7〜30、7〜20、7〜15、9〜40、9〜30、9〜20又は9〜15日以内に)放出しうる構成要素を用いて作られる。
【0089】
別の例として述べると、ナノ粒子は1つを超える脱落層を含むことが可能であり、この場合、外側の脱落層は内側の脱落層が脱落する(別のペイロードを放出する)前に脱落する(ペイロードを放出する)。一部の場合、内側のペイロードはドナーDNA分子であり、外側のペイロードは1つ以上の遺伝子編集ツール(例.ZFN又はZFNをコードする核酸、TALEN又はTALENをコードする核酸、CRISPR/CasガイドRNA又はCRISPR/CasガイドRNAをコードするDNA分子、CRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチド又はCRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチドをコードする核酸分子など)である。内側及び外側のペイロードは、任意の所望のペイロードで有ることが可能で、これらの一方又は両方は、例えば1つ以上のsiRNA及び/又は1つ以上のmRNAを含みうる。このように一部の場合、ナノ粒子は、1つを超える脱落層を有することが可能であり、1つのペイロード(例.siRNA、mRNA、ゲノム編集ツール(例.ZFP又はZFPをコードする核酸、TALE又はTALEをコードする核酸、ZFN又はZFNをコードする核酸、TALEN又はTALENをコードする核酸、CRISPR/CasガイドRNA又はCRISPR/CasガイドRNAをコードするDNA分子、CRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチド又はCRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチドをコードする核酸分子など))を早く(例えば標的細胞に接触してから0.5〜7日以内に、例えば、標的細胞に接触してから0.5〜5日、0.5〜3日、1〜7日、1〜5日又は1〜3日以内に)放出し、別のペイロード(例.siRNA、mRNA、ドナーDNA分子)を遅く(例えば標的細胞に接触してから6〜40日以内に、例えば、標的細胞に接触してから6〜30、6〜20、6〜15、7〜40、7〜30、7〜20、7〜15、9〜40、9〜30、9〜20又は9〜15日以内に)放出するようにデザインされうる。
【0090】
一部の態様(例えば上述した態様)では、変更された遺伝子発現の時点はペイロード放出時点の代用物として使用されうる。代表的な例として述べると、ペイロードが12日目までに放出されたのかどうかを決定することを所望する場合、12日目にナノ粒子送達の所望の結果についてアッセイすることができる。例えば、所望の結果がsiRNAを送達することにより標的細胞の標的遺伝子の発現を低減することであった場合、siRNAが放出されたのかどうかを決定するのに、標的遺伝子の発現についてアッセイ/モニタリングしてもよい。別の例として述べると、所望の結果が例えば目的のタンパク質をコードするDNA又はmRNAを送達することにより目的のタンパク質を発現させることであった場合、ペイロードが放出されたのかどうかを決定するのに、目的のタンパク質の発現についてアッセイ/モニタリングしてもよい。さらに別の例として述べると、所望の結果が例えばゲノムDNAの切断及び/又はドナーDNA分子の配列の挿入を介して標的細胞のゲノムを変更することであった場合、ペイロードが放出されたのかどうかを決定するのに、ターゲティングされた座位からの発現及び/又はゲノムの変更の存在についてアッセイ/モニタリングしてもよい。
【0091】
このように、一部の場合、脱落層はナノ粒子構成要素の段階的放出をもたらす。例えば一部の場合、ナノ粒子は1つを超える(例.2つ、3つ又は4つの)脱落層を有する。例えば、2つの脱落層を伴うナノ粒子では、このようなナノ粒子は最も内側から最も外側へと、例えば、第1のペイロードを伴うコア;第1の脱落層、例えば、第2のペイロードを伴う中間層;及び中間層を取り囲む、第2の脱落層を有しうる(例.図4)。このような立体構成(複数の脱落層)は、さまざまな所望のペイロードの段階的放出を促進する。さらなる代表的な例として述べると、2つの脱落層を伴う(上述した)ナノ粒子は、コア内の1つ以上の所望の遺伝子編集ツール(例.ドナーDNA分子、CRISPR/CasガイドRNA、CRISPR/CasガイドRNAをコードするDNAなどのうちの1つ又は複数)、及び中間層内の別の所望の遺伝子編集ツール(例えば、プログラム型遺伝子編集タンパク質(例.CRISPR/Casタンパク質、ZFP、ZFN、TALE、TALENなど);プログラム型遺伝子編集タンパク質をコードするDNA又はRNA;CRISPR/CasガイドRNA;CRISPR/CasガイドRNAをコードするDNAなどのうちの1つ又は複数)(任意の、所望の組合せにおける)を含みうる。
【0092】
代替的なパッケージング(例.脂質製剤)
一部の態様では、本発明のコア(例えば上述した構成要素及び/又は構成の任意の組合せを含む)は、脂質ベースの送達システム、例えばカチオン性脂質送達システム(例えば、Chesnoy and Huang, Annu Rev Biophys Biomol Struct. 2000, 29:27-47;Hirko et al., Curr Med Chem. 2003 Jul 10(14):1185-93;及びLiu et al., Curr Med Chem. 2003 Jul 10(14):1307-15参照)の一部である。一部の場合、本発明のコア(例えば上述した構成要素及び/又は構成の任意の組合せを含む)は、脱落層に取り囲まれていない。上述したように、コアはアニオン性ポリマー組成物(例.ポリ(グルタミン酸))、カチオン性ポリマー組成物(例.ポリ(アルギニン))、カチオン性ポリペプチド組成物(例.ヒストンテールペプチド)及びペイロード(例.核酸及び/又はタンパク質のペイロード)を含みうる。
【0093】
コアが脂質ベースの送達システムの一部である場合には、徐放及び/又はポジショナルリリース(例.環境特異的放出)を伴うコアがデザインされた。例えば一部の場合、コアは、ESP、ENP及び/又はEPPを含み、このような場合に、これらの構成要素は、所望の条件(例えば細胞内の場所、細胞内の状態、例えばpH、特定の酵素の存在など)に(例えば上述した)コアが遭遇するまで、ペイロードの放出が遅らせられるような比で存在することがある。このような態様の一部では、コアは、アニオン性アミノ酸のD-異性体のポリマー及びアニオン性アミノ酸のL-異性体のポリマーを含み、一部の場合、D-異性体及びL-異性体のポリマーは、(例えば上述した)特定の範囲の比で存在する。一部の場合、コアは、カチオン性アミノ酸のD-異性体のポリマー及びカチオン性アミノ酸のL-異性体のポリマーを含み、一部の場合、D-異性体及びL-異性体のポリマーは、(例えば上述した)特定の範囲の比で存在する。一部の場合、コアは、アニオン性アミノ酸のD-異性体のポリマー及びカチオン性アミノ酸のL-異性体のポリマーを含み、一部の場合、D-異性体及びL-異性体のポリマーは、(例えば上述した)特定の範囲の比で存在する。一部の場合、コアは、アニオン性アミノ酸のL-異性体のポリマー及びカチオン性アミノ酸のD-異性体のポリマーを含み、一部の場合、D-異性体及びL-異性体のポリマーは、(例えば本明細書の別の箇所で説明する)特定の範囲の比で存在する。一部の場合、コアは(例えば本明細書の別の箇所で説明する)NLSを含むタンパク質を含む。一部の場合、コアは(例えば本明細書の別の箇所で説明する)HTPを含む。
【0094】
カチオン性脂質は、遺伝子送達に使用されうる非ウイルス性ベクターで、プラスミドDNAを凝縮する能力を有する。リポフェクションのためのN-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチル塩化アンモニウムの合成の後、ヘッド基、リンカー及び疎水性ドメインの修飾を含むカチオン性脂質の分子構造の改良が、活発な領域となっている。修飾は、表面電荷密度の増強及び毒性を制限しうる、ステロールベースの疎水性基、例えば、3B-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロールの使用を介して、DNAへの結合及び送達を改善しうる多価ポリアミンの使用を含んだ。ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)のようなヘルパー脂質は、リポソームの疎水性の増強及び六方晶逆相転移を介してトランス遺伝子の発現を改善し、エンドソーム逃避を促進するのに使用されうる。一部の場合、脂質製剤は、DLin−DMA、DLin−K−DMA、DLin−KC2−DMA、DLin−MC3−DMA、98N12−5、C12−200、コレステロール、PEG−脂質、リピドポリアミン;デキサメタゾン−スペルミン(DS);及び(例えば、デキサメタゾンとポリアミンスペルミンのコンジュゲーションで得られる)二置換スペルミン(DS)のうちの1つ又は複数を含む。DLin−DMA、DLin−K−DMA、DLin−KC2−DMA、98N12−5、C12−200及びDLin−MC3−DMAは、当技術分野で概括された方法により合成されうる(例えば、Heyes et. al, J. Control Release, 2005, 107, 276-287;Semple et. al, Nature Biotechnology, 2010, 28, 172-176;Akinc et. al, Nature Biotechnology, 2008, 26, 561-569;Love et. al, PNAS, 2010, 107, 1864-1869;国際公開第2010/054401号参照;これらの全ては、参照によりそれらの全体において、本明細書に組み込まれる)。
【0095】
さまざまな脂質ベースの送達システムの例は、以下の刊行物:国際公開第2016/081029号;米国特許出願公開番号、20160263047及び20160237455;並びに、米国特許番号、9,533,047;9,504,747;9,504,651;9,486,538;9,393,200;9,326,940;9,315,828及び9,308,267に記載された送達システムを含むが、これらに限定されず;これらの全ては、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0096】
このように、一部の場合、本発明のコアは、脂質(例.カチオン性脂質(例.LIPOFECTAMINEトランスフェクション試薬))により取り囲まれている。一部の場合、本発明のコアは脂質製剤(例.脂質ナノ粒子製剤)中に存在する。脂質製剤はリポソーム及び/又はリポプレックスを含みうる。脂質製剤は、Spontaneous Vesicle Formation by Ethanol Dilution(SNALP)リポソーム(例えば、カチオン性脂質をポリエチレングリコール(PEG)及び/又はプロタミンでコーティングされうる、中性ヘルパー脂質と併せて含む脂質製剤)を含みうる。
【0097】
脂質製剤はリピドイドベースの製剤でありうる。リピドイドの合成については広範に記載されており、これらの化合物を含有する製剤は本発明の脂質製剤中に含まれる(例えば、Mahon et al., Bioconjug Chem. 2010 21:1448-1454;Schroeder et al., J Intern Med. 2010 267:9-21;Akinc et al., Nat Biotechnol. 2008 26:561-569;Love et al., Proc Natl Acad Sci USA. 2010 107:1864-1869及びSiegwart et al., Proc Natl Acad Sci USA. 2011 108:12996-3001参照;これらの全ては、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。一部の場合、本発明の脂質製剤は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(DOPC);1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE);N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]N,N,N-トリメチル塩化アンモニウム(DOTMA);1,2-ジオレオイルオキシ-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP);ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS);N-(3-アミノプロピル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(ドデシルオキシ)-1(GAP−DLRIE);プロパンアミニウムブロミド;セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB);6-ラウロキシヘキシルオルニチネート(LHON);1-(2,3-ジオレオイルオキシプロピル)-2,4,6-トリメチルピリジニウム(2Oc);2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド-エチル]-N,N-ジメチル-1(DOSPA);プロパンアミニウムトリフルオロアセテート;1,2-ジオレイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOPA);N-(2-ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシルオキシ)-1(MDRIE);プロパンアミニウムブロミド;ジミリストキシプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRI);3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロールであるDC−Chol;ビス-グアニジウム-tren-コレステロール(BGTC);1,3-ジオデオキシ-2-(6-カルボキシ-スペルミル)-プロピルアミド(DOSPER);ジメチルオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB);ジオクタデシルアミドグリシルスペルミジン(DSL);rac-[(2,3-ジオクタデシルオキシプロピル)(2-ヒドロキシエチル)]-ジメチルアンモニウム(CLIP−1);クロリドrac-[2(2,3-ジヘキサデシルオキシプロピルオキシメチルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムブロミド(CLIP−6);エチルジミリストイルホスファチジルコリン(EDMPC);1,2-ジステアリルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(DSDMA);1,2-ジミリストイル-トリメチルアンモニウムプロパン(DMTAP);O,O’-ジミリスチル-N-リシルアスパラギン酸(DMKE);1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(DSEPC);N-パルミトイルD-エリスロ-スフィンゴシルカルバモイル-スペルミン(CCS);N-t-ブチル-N0-テトラデシル-3-テトラデシルアミノプロピオンアミジン;ジC14-アミジン;オクタデセノイルオキシ[エチル-2-ヘプタデセニル-3-ヒドロキシエチル]イミダゾリニウム(DOTIM);クロリドN1-コレステリルオキシカルボニル-3,7-ジアザノナン-1,9-ジアミン(CDAN);2-[3-[ビス(3-アミノプロピル)アミノ]プロピルアミノ]-N-[2-[ジ(テトラデシル)アミノ]-2-オキソエチル]アセトアミド(RPR209120);ジテトラデシルカルバモイルメチルアセトアミド;1,2-ジリノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA);2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン;DLin−KC2−DMA;ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート;DLin−MC3−DMA;DLin−K−DMA;98N12−5;C12−200;コレステロール;PEG−脂質;リピドポリアミン;デキサメタゾン−スペルミン(DS);及び二置換スペルミン(DS)のうちの1つ又は(任意の所望の組合せにおける)複数を含みうる。
【0098】
ナノ粒子の表面コート(外殻)
一部の場合、脱落層(コート)は、それ自体も、本明細書で「外殻」、「外側のコート」又は「表面コート」と呼ぶさらなる層でコーティングされる。表面コートは複数の異なる機能を果たしうる。例えば、表面コートは送達効率を増大させる場合もあり、及び/又は、本発明のナノ粒子を特定の細胞にターゲティングする場合もある。表面コートは、ペプチド、ポリマー又はリガンド−ポリマーコンジュゲートを含みうる。表面コートはターゲティングリガンドを含みうる。例えば(リンカードメインを伴う又は伴わない)1つ以上のターゲティングリガンドの水溶液をコーティングされたナノ粒子懸濁液(脱落層でコーティングされたナノ粒子の懸濁液)に添加する。例えば一部の場合、プロトン化アンカー残基(アンカードメインの)の最終濃度は25〜300μMの間である。一部の場合、表面コートを付加する工程は、平均値粒子サイズを50〜150nmの間とし、ゼータ電位を0〜−10mVの間とする粒子の単分散懸濁液をもたらす。
【0099】
一部の場合、表面コートは最も外側の脱落層と静電相互作用する。例えば一部の場合、ナノ粒子は2つの脱落層(例えば、最も内側から最も外側へと、例えば第1のペイロードを伴うコア;第1の脱落層、例えば第2のペイロードを伴う中間層;及び中間層を取り囲む第2の脱落層)を有し、外殻(表面コート)は、第2の脱落層と(例えば静電的に)相互作用しうる。一部の場合、ナノ粒子は1つの脱落層(例.アニオン性シリカ層)のみを有し、一部の場合、外殻は脱落層と静電相互作用しうる。
【0100】
したがって、脱落層(例.最も外側の脱落層)がアニオン性である(例えば一部の場合、脱落層が、シリカコートである)場合、表面コートは、表面コートがカチオン性構成要素を含む場合、脱落層と静電相互作用しうる。例えば一部の場合、表面コートは送達分子を含み、この場合、ターゲティングリガンドはカチオン性アンカードメインとコンジュゲートする。カチオン性アンカードメインは脱落層と静電相互作用し、送達分子をナノ粒子へとアンカリングする。同様に、脱落層(例.最も外側の脱落層)がカチオン性である場合、表面コートは、表面コートがアニオン性構成要素を含む場合、脱落層と静電相互作用しうる。
【0101】
一部の態様では、表面コートは細胞膜透過ペプチド(CPP)を含む。一部の場合、カチオン性アミノ酸のポリマーは、脂質二重層、ミセル、細胞膜、細胞小器官膜又は小胞膜の横断を促進するポリペプチド、ポリヌクレオチド、炭水化物又は有機若しくは無機化合物を指すのに使用される用語であるCPP(また、「タンパク質導入ドメイン」(PTD)ともいう)として機能しうる。小型の極性分子〜大型の高分子及び/又はナノ粒子の別の分子(例えば、本発明のナノ粒子内に埋め込まれ及び/又はこの脱落層と相互作用する)と接合したPTDは、分子の膜の横断、例えば、細胞外空間から細胞内空間へ又は細胞質ゾルから細胞小器官(例.核)内への横断を促進する。
【0102】
CPPの例は、最小限のウンデカペプチドによるタンパク質導入ドメイン(YGRKKRRQRRR(配列番号160)を含む、HIV−1 TATの残基47〜57に対応する);細胞への直接的な侵入に十分な、多数のアルギニン(例.3、4、5、6、7、8、9、10又は10〜50のアルギニン)を含むポリアルギニン配列;VP22ドメイン(Zender et al. (2002) Cancer Gene Ther. 9(6):489-96);ショウジョウバエ(Drosophila)属Antennapediaタンパク質導入ドメイン(Noguchi et al. (2003) Diabetes 52(7):1732-1737);切断型ヒトカルシトニンペプチド(Trehin et al. (2004) Pharm. Research 21:1248-1256);ポリリシン(Wender et al. (2000) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:13003-13008);RRQRRTSKLMKR(配列番号161);トランスポルタンである、GWTLNSAGYLLGKINLKALAALAKKIL(配列番号162);KALAWEAKLAKALAKALAKHLAKALAKALKCEA(配列番号163);及びRQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号164)を含むが、これらに限定されない。代表的なCPPは、YGRKKRRQRRR(配列番号160)、RKKRRQRRR(配列番号165)、3アルギニン残基〜50アルギニン残基のアルギニンホモポリマー、RKKRRQRR(配列番号166)、YARAAARQARA(配列番号167)、THRLPRRRRRR(配列番号168)及びGGRRARRRRRR(配列番号169)を含むが、これらに限定されない。一部の態様では、CPPは活性化型CPP(ACPP)(Aguilera et al. (2009) Integr Biol (Camb) June; 1(5-6): 371-381)である。ACPPは、切断性リンカーを介してマッチするポリアニオン(例.Glu9又は「E9」)と接続されたポリカチオン性CPP(例.Arg9又は「R9」)を含み、これにより、正味の電荷をゼロ近くまで低減し、これにより、細胞への接着及び取込みを阻害する。リンカーが切断されるとポリアニオンが放出され、ポリアルギニン及びその固有の接着性の遮蔽を局所的に解除し、これにより、ACPP「を活性化させ」て膜を横断させる。
【0103】
一部の場合、CPPは、コーティングされたコア(脱落層により取り囲まれたコア)を、CPPを含む組成物(例.溶液)と接触させることにより、ナノ粒子へと付加されうる。次いで、CPPは脱落層と(例えば静電的に)相互作用しうる。
【0104】
一部の場合、表面コートは、カチオン性アミノ酸のポリマー(例.ポリ(アルギニン)、ポリ(L-アルギニン)及び/又はポリ(D-アルギニン)、ポリ(リシン)、ポリ(L-リシン)及び/又はポリ(D-リシン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(L-ヒスチジン)及び/又はポリ(D-ヒスチジン)、ポリ(オルニチン)、ポリ(L-オルニチン)及び/又はポリ(D-オルニチン)、ポリ(シトルリン)、ポリ(L-シトルリン)及び/又はポリ(D-シトルリン)など)を含む。このように、一部の場合、表面コートはポリ(アルギニン)(例.ポリ(L-アルギニン))を含む。
【0105】
一部の態様では、表面コートは、ヘプタペプチド、例えばセランク(TKPRPGP:配列番号147)(例.N-アセチルセランク)及び/又はセマックス(MEHFPGP:配列番号148)(例.N-アセチルセマックス)を含む。このように一部の場合、表面コートはセランク(例.N-アセチルセランク)を含む。一部の場合、表面コートはセマックス(例.N-アセチルセマックス)を含む。
【0106】
一部の態様では、表面コートは送達分子を含む。送達分子はターゲティングリガンドを含み、一部の場合、ターゲティングリガンドはアンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン又はアニオン性アンカードメイン)にコンジュゲートする。一部の場合、ターゲティングリガンドは、介在リンカーを介してアンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン又はアニオン性アンカードメイン)にコンジュゲートする。
【0107】
多価表面コート
一部の場合、表面コートは、(i)上記に記載されたポリマーのうちの1つ又は複数、(ii)1つ以上のターゲティングリガンド、1つ以上のCPP及び1つ以上のヘプタペプチドのうちのいずれか1つ又は複数(任意の、所望の組合せにおける)を含む。例えば一部の場合、表面コートは、1つ以上(例.2つ以上、3つ以上)のターゲティングリガンドを含みうるが、また、上記に記載されたカチオン性ポリマーのうちの1つ又は複数も含みうる。一部の場合、表面コートは、1つ以上(例.2つ以上、3つ以上)のターゲティングリガンドを含みうるが、また、1つ以上のCPPも含みうる。さらに、表面コートは、ステルスの機能性を促進する、すなわち血清タンパク質の吸着及び補体活性を防止する、糖ペプチドの任意の組合せを含みうる。これは、プロパルギル修飾残基を含有するペプチドを、シアル酸、ノイラミニン酸などのアジド含有誘導体へとカップリングさせるアジド−アルキンクリック化学反応を介して達せられうる。
【0108】
一部の場合、表面コートは、CD34及びヘパリン硫酸プロテオグリカンに対する結合を提供するターゲティングリガンドの組合せを含む。例えばポリ(L-アルギニン)は、ヘパリン硫酸プロテオグリカンに対する結合を提供するように表面コートの一部として使用されうる。このように、一部の場合、ナノ粒子をカチオン性ポリマー(例.ポリ(L-アルギニン))で表面コーティングした後で、コーティングされたナノ粒子をヒアルロン酸と共にインキュベートし、これにより、両性イオン性で、かつ多価の表面を形成する。
【0109】
一部の態様では、表面コートは多価である。多価表面コートは、2つ以上のターゲティングリガンド(例.異なるリガンドを含む2つ以上の送達分子)を含む表面コートである。多量体の(この場合三量体の)表面コート(外殻)の例は、ターゲティングリガンドである、幹細胞因子(SCF)(また、CD117としても公知のc−Kit受容体をターゲティングする)、CD70(CD27をターゲティングする)、及びSH2ドメイン含有タンパク質1A(SH2D1A)(CD150をターゲティングする)を含む表面コートである。例えば一部の場合、造血幹細胞(HSC)[KLS(c−KitLinSca−1)及びCD27/IL−7Ra/CD150/CD34]をターゲティングするために、本発明のナノ粒子は、それぞれ、c−Kit、CD27、及びCD150をターゲティングするターゲティングリガンドである、SCF、CD70、及びSH2ドメイン含有タンパク質1A(SH2D1A)の組合せ(例えば表1参照)を含む表面コートを含む。一部の場合、このような表面コートは、他のリンパ系及び骨髄系の前駆細胞にもまして、HSPC及び長期HSC(c−Kit+/Lin−/Sca−1+/CD27+/IL−7Ra−/CD150+/CD34−)を選択的ターゲティングしうる。
【0110】
一部の代表的な態様では、3つのターゲティングリガンド全て(SCF、CD70、及びSH2D1A)は、カチオン性アンカードメイン(例えばポリヒスチジン(例.6H)、ポリアルギニン(例.9R)など)への融合を介して、ナノ粒子へとアンカリングされる。例えば、(1)ターゲティングポリペプチドであるSCF(c−Kit受容体をターゲティングする)は、
【0111】
【化1】
【0112】
[配列中、Xは、例えば一部の場合、N及び/又はC末端に存在する場合もあり、ポリペプチド配列内に包埋される場合もあるカチオン性アンカードメイン(例えばポリヒスチジン(例.6H)、ポリアルギニン(例.9R)など)である]を含むことが可能であり;(2)ターゲティングポリペプチドであるCD70(CD27をターゲティングする)は、
【0113】
【化2】
【0114】
[配列中、Xは、例えば一部の場合、N及び/又はC末端に存在する場合もあり、ポリペプチド配列内に包埋される場合もあるカチオン性アンカードメイン(例えばポリヒスチジン(例.6H)、ポリアルギニン(例.9R)など)である]を含むことが可能であり;(3)ターゲティングポリペプチドであるSH2D1A(CD150をターゲティングする)は、
【0115】
【化3】
【0116】
[配列中、Xは、例えば一部の場合、N及び/又はC末端に存在する場合もあり、ポリペプチド配列内に包埋される場合もあるカチオン性アンカードメイン(例えばポリヒスチジン(例.6H)、ポリアルギニン(例.9R)など)である](例えば、
【0117】
【化4】
【0118】
)を含みうる。
【0119】
上述したように、本発明のナノ粒子は、所望の細胞をターゲティングするために、又は所望の細胞の組合せをターゲティングするために、複数のターゲティングリガンド(表面コートの一部としての)を含みうる。マウス及びヒトの造血細胞系統内の目的の細胞の例は、これらの細胞について同定されているマーカーと共に、図8のパネルA及びBに示される。例えば、目的の細胞表面マーカーの多様な組合せは、[マウス](i)CD150;(ii)Sca1、cKit、CD150;(iii)CD150及びCD49b;(iv)Sca1、cKit、CD150及びCD49b;(v)CD150及びFlt3;(vi)Sca1、cKit、CD150及びFlt3;(vii)Flt3及びCD34;(viii)Flt3、CD34、Sca1及びcKit;(ix)Flt3及びCD127;(x)Sca1、cKit、Flt3及びCD127;(xi)CD34;(xii)cKit及びCD34;(xiii)CD16/32及びCD34;(xiv)cKit、CD16/32及びCD34;(xv)cKit;並びに[ヒト](i)CD90及びCD49f;(ii)CD34、CD90及びCD49f;(iii)CD34;(iv)CD45RA及びCD10;(v)CD34、CD45RA及びCD10;(vi)CD45RA及びCD135;(vii)CD34、CD38、CD45RA及びCD135;(viii)CD135;(ix)CD34、CD38及びCD135;(x)CD34及びCD38を含むが、これらに限定されない。したがって一部の場合、表面コートは、[マウス](i)CD150;(ii)Sca1、cKit、CD150;(iii)CD150及びCD49b;(iv)Sca1、cKit、CD150及びCD49b;(v)CD150及びFlt3;(vi)Sca1、cKit、CD150及びFlt3;(vii)Flt3及びCD34;(viii)Flt3、CD34、Sca1及びcKit;(ix)Flt3及びCD127;(x)Sca1、cKit、Flt3及びCD127;(xi)CD34;(xii)cKit及びCD34;(xiii)CD16/32及びCD34;(xiv)cKit、CD16/32及びCD34;(xv)cKit;並びに[ヒト](i)CD90及びCD49f;(ii)CD34、CD90及びCD49f;(iii)CD34;(iv)CD45RA及びCD10;(v)CD34、CD45RA及びCD10;(vi)CD45RA及びCD135;(vii)CD34、CD38、CD45RA及びCD135;(viii)CD135;(ix)CD34、CD38及びCD135;(x)CD34及びCD38から選択される表面タンパク質又は表面タンパク質の組合せに対する結合を提供する、1つ以上のターゲティングリガンドを含む。本発明のナノ粒子は、1つを超えるターゲティングリガンドを含むことが可能であり、一部の細胞は、マーカーの重複を含むため、複数の異なる細胞は、表面コートの組合せを使用してターゲティングされる場合があり、例えばある場合には、表面コートは1つの特定の細胞をターゲティングしうるが、他の場合には、表面コートは1つを超える特定の細胞(例.2以上、3以上、4以上の細胞)をターゲティングしうる。例えば、造血系統内の細胞の任意の組合せがターゲティングされうる。代表的な例として述べると、CD34へのターゲティング(CD34に対する結合を提供するターゲティングリガンドを使用する)は、ナノ粒子によるペイロードの造血系統内のいくつかの異なる細胞への送達をもたらしうる(例えば図8パネルA及びB)。
【0120】
送達分子
(i)タンパク質若しくは核酸のペイロード、又は(ii)帯電ポリマーであるポリペプチドドメインへとコンジュゲートされたターゲティングリガンド(ペプチド)を含む送達分子が提供される。ターゲティングリガンドは、(i)細胞表面タンパク質との結合、そして場合によっては、(ii)長期エンドソームリサイクリング経路への関与を提供する。一部の場合、ターゲティングリガンドが帯電ポリマーであるポリペプチドドメインとコンジュゲートすると、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインは核酸ペイロード及び/又はタンパク質ペイロードと相互作用する(例えばこれと共に凝縮される)。一部の場合、ターゲティングリガンドは介在リンカーを介してコンジュゲートする。異なる可能なコンジュゲーション戦略(すなわち、送達分子の構成要素の異なる可能な配置)の例については、図6を参照。一部の場合、ターゲティングリガンドは細胞表面タンパク質に対する結合を提供するが、長期エンドソームリサイクリング経路への関与は、必ずしももたらさない。したがって、また、タンパク質若しくは核酸のペイロードとコンジュゲートするか、又は帯電ポリマーであるポリペプチドドメインとコンジュゲートしたターゲティングリガンド(例.ペプチドであるターゲティングリガンド)であって、細胞表面タンパク質に対する結合を提供する(が、長期エンドソームリサイクリング経路への関与は、必ずしももたらさない)ターゲティングリガンドを含む送達分子も提供される。
【0121】
一部の場合、本明細書で開示する送達分子は、核酸又はタンパク質ペイロードがその細胞外標的に到達し(例えば、細胞表面タンパク質に対する結合を提供することにより)、優先的に、リソソーム内で破壊されたり、又は「短期」エンドソームリサイクリング型エンドソームへと隔離されたりすることがないようにデザインされる。代わりに、本発明の送達分子は、エンドソーム逃避及び/又はエンドソームの細胞小器官との融合を可能としうる「長期」(間接的/緩徐)エンドソームリサイクリング経路の関与をもたらしうる。
【0122】
例えば一部の場合、β−アレスチンは、7回膜貫通型GPCR(McGovern et al., Handb Exp Pharmacol. 2014;219:341-59;Goodman et al., Nature. 1996 Oct 3;383(6599):447-50;Zhang et al., J Biol Chem. 1997 Oct 24;272(43):27005-14)及び/又は1回膜貫通型受容体チロシンキナーゼ(RTK)の、(例えばエンドサイトーシス時における)アクチン細胞骨格からの切断を媒介し、所望のエンドソーム分取経路を誘発することに関与する。したがって一部の態様では、本発明の送達分子のターゲティングリガンドは、細胞表面タンパク質への結合時におけるβ−アレスチンの関与(例えばシグナル伝達にバイアスをもたらし、オーソステリックの結合後におけるエンドサイトーシスを介して細胞内移行を促進する)をもたらす。
【0123】
帯電ポリマーであるポリペプチドドメイン
一部の場合、(例えば対象を送達する分子の)ターゲティングリガンドは、帯電ポリマーであるポリペプチドドメイン(アンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン又はアニオン性アンカードメイン))(例えば図5及び図6)とコンジュゲートする。帯電ポリマーであるポリペプチドドメインは、反復残基(例えばカチオン性残基(例.アルギニン、リシン、ヒスチジン))を含みうる。一部の場合、帯電ポリマーであるポリペプチドドメイン(アンカードメイン)は、3〜30アミノ酸(例えば、3〜28、3〜25、3〜24、3〜20、4〜30、4〜28、4〜25、4〜24、又は4〜20アミノ酸;又は例えば、4〜15、4〜12、5〜30、5〜28、5〜25、5〜20、5〜15、5〜12アミノ酸)長である。一部の場合、帯電ポリマーであるポリペプチドドメイン(アンカードメイン)のアミノ酸長は4〜24である。一部の場合、帯電ポリマーであるポリペプチドドメイン(アンカードメイン)のアミノ酸長は5〜10である。帯電ポリマーであるポリペプチドドメインの適切な例は、RRRRRRRRR(9R)(配列番号15)及びHHHHHH(6H)(配列番号16)を含むが、これらに限定されない。
【0124】
帯電ポリマーであるポリペプチドドメイン(カチオン性アンカードメイン、アニオン性アンカードメイン)は、任意の好都合な帯電ドメイン(例.カチオン性帯電ドメイン)でありうる。例えばこのようなドメインは、ヒストンテールペプチド(HTP)(本明細書の別の箇所でより詳細に説明する)でありうる。一部の場合、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインは、ヒストン及び/又はヒストンテールペプチド(例えばカチオン性ポリペプチドはヒストン及び/又はヒストンテールペプチドでありうる)を含む。一部の場合、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインは、NLS含有ペプチド(例えばカチオン性ポリペプチドはNLS含有ペプチドでありうる)を含む。一部の場合、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインは、ミトコンドリア局在化シグナルを含むペプチド(例え、カチオン性ポリペプチドはミトコンドリア局在化シグナルを含むペプチドでありうる)を含む。
【0125】
一部の場合、対象を送達する分子の帯電ポリマーであるポリペプチドドメインは、送達分子が(例えば凝縮のために)ペイロード(例.核酸ペイロード及び/又はタンパク質ペイロード)と相互作用(例.静電相互作用)するための方法として使用される。
【0126】
一部の場合、対象を送達する分子の帯電ポリマーであるポリペプチドドメインは、例えば、ターゲティングリガンドがナノ粒子を所望の細胞/細胞表面タンパク質へとターゲティングする(例えば図5)のに使用されるように、送達分子を伴うナノ粒子のコート表面へのアンカーとして使用される。したがって一部の場合、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインは、ナノ粒子の帯電安定化層と静電相互作用する。例えば一部の場合、ナノ粒子は、安定化層(例.シリカ、ペプトイド、ポリシステイン又はリン酸カルシウムコーティング)により取り囲まれた(例えば、核酸、タンパク質及び/又はリボ核タンパク質の複合体であるペイロードを含む)コアを含む。一部の場合、安定化層は負の電荷を有し、したがって、正に帯電したポリマーであるポリペプチドドメインは安定化層と相互作用し、送達分子をナノ粒子へと効果的にアンカリングし、ナノ粒子表面を本発明のターゲティングリガンドでコーティングしうる(例.図5)。一部の場合、安定化層は正の電荷を有し、したがって負に帯電したポリマーであるポリペプチドドメインは安定化層と相互作用し、送達分子をナノ粒子へと効果的にアンカリングし、ナノ粒子表面を本発明のターゲティングリガンドでコーティングしうる。コンジュゲーションは任意の好都合な技法により達せられる場合があり、当業者には多くの異なるコンジュゲーション化学反応が公知であろう。一部の場合、コンジュゲーションは、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)を介する。一部の場合、コンジュゲーションはアミン反応性化学反応を使用して達せられる。一部の場合、ターゲティングリガンドと帯電ポリマーであるポリペプチドドメインは、同じポリペプチドの一部であることによりコンジュゲートされる。
【0127】
一部の場合、帯電ポリマーであるポリペプチドドメイン(カチオン性)は、ポリ(アルギニン)(PR)、ポリ(リシン)(PK)、ポリ(ヒスチジン)(PH)、ポリ(オルニチン)、ポリ(シトルリン)及びこれらの組合せから選択されるポリマーを含みうる。一部の場合、所与のカチオン性アミノ酸ポリマーは、アルギニン、リシン、ヒスチジン、オルニチン及びシトルリン残基(任意の好都合な組合せにおける)のミックスを含みうる。ポリマーは、L-異性体のポリマーとして存在する場合もあり、D-異性体のポリマーとして存在する場合もあり、ここで、D-異性体は分解に長くかかるため、標的細胞内でより安定である。したがって、D-異性体のポリ(アミノ酸)の組入れは分解(及びその後のペイロードの放出)を遅らせる。したがって、ペイロード放出速度は制御される場合があり、D-異性体のポリマー対L-異性体のポリマーの比に比例し、ここで、D-異性体対L-異性体の比はペイロード放出の持続時間を増大させる(すなわち、放出速度を減少させる)。言い換えれば、D-異性体とL-異性体との相対量は、ナノ粒子のコアの徐放動態並びに分解への酵素感受性及びペイロード放出をモジュレートしうる。
【0128】
一部の場合、カチオン性ポリマーは、カチオン性アミノ酸ポリマーのD-異性体及びL-異性体(例.ポリ(アルギニン)(PR)、ポリ(リシン)(PK)、ポリ(ヒスチジン)(PH)、ポリ(オルニチン)、ポリ(シトルリン))を含む。一部の場合、D-異性体対L-異性体の比は、10:1〜1:10(例.8:1〜1:10、6:1〜1:10、4:1〜1:10、3:1〜1:10、2:1〜1:10、1:1〜1:10、10:1〜1:8、8:1〜1:8、6:1〜1:8、4:1〜1:8、3:1〜1:8、2:1〜1:8、1:1〜1:8、10:1〜1:6、8:1〜1:6、6:1〜1:6、4:1〜1:6、3:1〜1:6、2:1〜1:6、1:1〜1:6、10:1〜1:4、8:1〜1:4、6:1〜1:4、4:1〜1:4、3:1〜1:4、2:1〜1:4、1:1〜1:4、10:1〜1:3、8:1〜1:3、6:1〜1:3、4:1〜1:3、3:1〜1:3、2:1〜1:3、1:1〜1:3、10:1〜1:2、8:1〜1:2、6:1〜1:2、4:1〜1:2、3:1〜1:2、2:1〜1:2、1:1〜1:2、10:1〜1:1、8:1〜1:1、6:1〜1:1、4:1〜1:1、3:1〜1:1又は2:1〜1:1)である。
【0129】
したがって一部の場合、カチオン性ポリマーは、D-異性体(例.ポリ(D-アルギニン)、ポリ(D-リシン)、ポリ(D-ヒスチジン)、ポリ(D-オルニチン)及びポリ(D-シトルリン)から選択される)のポリマーである第1のカチオン性ポリマー(例.アミノ酸ポリマー)を含み;L-異性体(例.ポリ(L-アルギニン)、ポリ(L-リシン)、ポリ(L-ヒスチジン)、ポリ(L-オルニチン)及びポリ(L-シトルリン)から選択される)のポリマーである第2のカチオン性ポリマー(例.アミノ酸ポリマー)を含む。一部の場合、第1のカチオン性ポリマー(D-異性体)対第2のカチオン性ポリマー(L-異性体)の比は、10:1〜1:10(例.8:1〜1:10、6:1〜1:10、4:1〜1:10、3:1〜1:10、2:1〜1:10、1:1〜1:10、10:1〜1:8、8:1〜1:8、6:1〜1:10、4:1〜1:10、3:1〜1:10、2:1〜1:10、1:1〜1:10、10:1〜1:8、8:1〜1:8、6:1〜1:8、4:1〜1:8、3:1〜1:8、2:1〜1:8、1:1〜1:8、10:1〜1:6、8:1〜1:6、6:1〜1:6、4:1〜1:6、3:1〜1:6、2:1〜1:6、1:1〜1:6、10:1〜1:4、8:1〜1:4、6:1〜1:4、4:1〜1:4、3:1〜1:4、2:1〜1:4、1:1〜1:4、10:1〜1:3、8:1〜1:3、6:1〜1:3、4:1〜1:3、3:1〜1:3、2:1〜1:3、1:1〜1:3、10:1〜1:2、8:1〜1:2、6:1〜1:2、4:1〜1:2、3:1〜1:2、2:1〜1:2、1:1〜1:2、10:1〜1:1、8:1〜1:1、6:1〜1:1、4:1〜1:1、3:1〜1:1又は2:1〜1:1)である。
【0130】
一部の態様では、カチオン性ポリマーは、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アミドアミン)(PAMAM)、ポリ(アスパルタミド)、ポリペプトイド(例えばコア凝縮のために「スパイダーウェブ」様分枝を形成するための)、電荷官能化ポリエステル、カチオン性多糖、アセチル化されたアミノ糖、キトサン又はこれらの任意の組合せを含むカチオン性ポリマー(例.直鎖形態又は分枝形態)を(例えば、カチオン性ポリマーの前出の例のうちのいずれかに加えて、又はこの代わりに)含む。
【0131】
一部の態様では、カチオン性ポリマーは、1〜200kDa(例.1〜150、1〜100、1〜50、5〜200、5〜150、5〜100、5〜50、10〜200、10〜150、10〜100、10〜50、15〜200、15〜150、15〜100又は15〜50kDa)の分子量を有しうる。例として述べると、一部の場合、カチオン性ポリマーは例えば分子量約29kDaのポリ(L-アルギニン)を含む。別の例として述べると、一部の場合、カチオン性ポリマーは分子量約25kDa(PEI)の直鎖状ポリ(エチレンイミン)を含む。別の例として述べると、一部の場合、カチオン性ポリマーは分子量約10kDaの分枝状ポリ(エチレンイミン)を含む。別の例として述べると、一部の場合、カチオン性ポリマーは分子量約70kDaの分枝状ポリ(エチレンイミン)を含む。一部の場合、カチオン性ポリマーはPAMAMを含む。
【0132】
一部の場合、カチオン性アミノ酸ポリマーは、例えば、リンカー、NLS及び/又はカチオン性ポリペプチド(例.ヒストン又はHTP)とのコンジュゲーションを促進するシステイン残基を含む。例えばシステイン残基は、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)及び/又はアミン反応性化学反応を介する架橋(コンジュゲーション)のために使用されうる。したがって一部の態様では、カチオン性ポリマー組成物のカチオン性アミノ酸ポリマー(例.ポリ(アルギニン)(PR)、ポリ(リシン)(PK)、ポリ(ヒスチジン)(PH)、ポリ(オルニチン)及びポリ(シトルリン)、ポリ(D-アルギニン)(PDR)、ポリ(D-リシン)(PDK)、ポリ(D-ヒスチジン)(PDH)、ポリ(D-オルニチン)及びポリ(D-シトルリン)、ポリ(L-アルギニン)(PLR)、ポリ(L-リシン)(PLK)、ポリ(L-ヒスチジン)(PLH)、ポリ(L-オルニチン)及びポリ(L-シトルリン))は、システイン残基を含む。一部の場合、カチオン性アミノ酸ポリマーは、N及び/又はC末端にシステイン残基を含む。一部の場合、カチオン性アミノ酸ポリマーは内部システイン残基を含む。
【0133】
一部の場合、カチオン性アミノ酸ポリマーは核局在化シグナル(NLS)(以下により詳細に説明する)を含む(及び/又はこれとコンジュゲートする)。したがって一部の態様では、カチオン性アミノ酸ポリマー(例.ポリ(アルギニン)(PR)、ポリ(リシン)(PK)、ポリ(ヒスチジン)(PH)、ポリ(オルニチン)及びポリ(シトルリン)、ポリ(D-アルギニン)(PDR)、ポリ(D-リシン)(PDK)、ポリ(D-ヒスチジン)(PDH)、ポリ(D-オルニチン)及びポリ(D-シトルリン)、ポリ(L-アルギニン)(PLR)、ポリ(L-リシン)(PLK)、ポリ(L-ヒスチジン)(PLH)、ポリ(L-オルニチン)及びポリ(L-シトルリン))は、1つ以上(例.2つ以上、3つ以上又は4つ以上)のNLSを含む。一部の場合、カチオン性アミノ酸ポリマーはN及び/又はC末端にNLSを含む。一部の場合、カチオン性アミノ酸ポリマーは内部NLSを含む。
【0134】
一部の場合、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインは、核酸ペイロード及び/又はタンパク質ペイロードと共に凝縮される(例えば図6)。一部の場合、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインはタンパク質ペイロードと静電相互作用する。一部の場合、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインは、シリカ、塩、及び/又はアニオン性ポリマーと共に、共凝縮されて、エンドソーム緩衝能、安定性、及び、例えば任意の徐放を付加される。一部の場合、対象を送達する分子の帯電ポリマーであるポリペプチドドメインは、例えば、約4〜25アミノ酸の長さ又は4〜15アミノ酸の長さの、反復するカチオン性残基(例.アルギニン、リシン及び/又はヒスチジン)の連なりである。このようなドメインは、送達分子がアニオン性脱落性マトリックス(例.共凝縮されたアニオン性ポリマー)と静電相互作用することを可能としうる。したがって一部の場合、本発明の対象を送達する分子の帯電ポリマーであるポリペプチドドメインは、アニオン性脱落性マトリックス、並びに核酸及び/又はタンパク質のペイロードと(例えば静電)相互作用する反復するカチオン性残基の連なりである。したがって一部の場合、対象を送達する分子は、ペイロード(例.核酸及び/又はタンパク質)と相互作用し、アニオン性ポリマーを伴う組成物の一部として存在する(例えば、ペイロード及びアニオン性ポリマーと共に共凝縮される)。
【0135】
アニオン性脱落性マトリックスのアニオン性ポリマー(すなわち、対象を送達する分子の帯電ポリマーであるポリペプチドドメインと相互作用するアニオン性ポリマー)は、任意の好都合なアニオン性ポリマー/ポリマー組成物でありうる。例は、ポリ(グルタミン酸)(例.ポリ(D-グルタミン酸)(PDE)、ポリ(L-グルタミン酸)(PLE)、多様な所望の比におけるPDE及びPLEなど)を含むが、これらに限定されない。一部の場合、PDEはアニオン性脱落性マトリックスとして使用される。一部の場合、PLEはアニオン性脱落性マトリックス(アニオン性ポリマー)として使用される。一部の場合、PDEはアニオン性脱落性マトリックス(アニオン性ポリマー)として使用される。一部の場合、PDE及びPLEは例えば1:1の比(50%のPDE、50%のPLE)でアニオン性脱落性マトリックス(アニオン性ポリマー)として使用される。
【0136】
アニオン性ポリマー
アニオン性ポリマーは1つ以上のアニオン性アミノ酸ポリマーを含みうる。例えば一部の場合、本発明のアニオン性ポリマー組成物は、ポリ(グルタミン酸)(PEA)、ポリ(アスパラギン酸)(PDA)及びこれらの組合せから選択されるポリマーを含む。一部の場合、所与のアニオン性アミノ酸ポリマーは、アスパラギン酸残基とグルタミン酸残基のミックスを含みうる。各ポリマーは、組成物中でL-異性体のポリマーとして存在する場合もあり、D-異性体のポリマーとして存在する場合もあり、ここで、D-異性体は分解に長くかかるため、標的細胞内でより安定である。したがって、D-異性体のポリ(アミノ酸)の組入れは分解(及び、その後のペイロードの放出)を遅らせうる。したがって、ペイロード放出速度は制御される場合があり、D-異性体のポリマー対L-異性体のポリマーの比に比例し、ここで、D-異性体対L-異性体の比は、ペイロード放出の持続時間を増大させる(すなわち、放出速度を減少させる)。言い換えれば、D-異性体とL-異性体との相対量は、ナノ粒子のコアの徐放動態、並びに分解への酵素感受性及びペイロード放出をモジュレートしうる。
【0137】
一部の場合、アニオン性ポリマー組成物は、アニオン性アミノ酸ポリマーのD-異性体のポリマー及びL-異性体のポリマー(例.ポリ(グルタミン酸)(PEA)及びポリ(アスパラギン酸)(PDA))を含む。一部の場合、D-異性体対L-異性体の比は、10:1〜1:10(例.8:1〜1:10、6:1〜1:10、4:1〜1:10、3:1〜1:10、2:1〜1:10、1:1〜1:10、10:1〜1:8、8:1〜1:8、6:1〜1:8、4:1〜1:8、3:1〜1:8、2:1〜1:8、1:1〜1:8、10:1〜1:6、8:1〜1:6、6:1〜1:6、4:1〜1:6、3:1〜1:6、2:1〜1:6、1:1〜1:6、10:1〜1:4、8:1〜1:4、6:1〜1:4、4:1〜1:4、3:1〜1:4、2:1〜1:4、1:1〜1:4、10:1〜1:3、8:1〜1:3、6:1〜1:3、4:1〜1:3、3:1〜1:3、2:1〜1:3、1:1〜1:3、10:1〜1:2、8:1〜1:2、6:1〜1:2、4:1〜1:2、3:1〜1:2、2:1〜1:2、1:1〜1:2、10:1〜1:1、8:1〜1:1、6:1〜1:1、4:1〜1:1、3:1〜1:1又は2:1〜1:1)である。
【0138】
したがって一部の場合、アニオン性ポリマー組成物は、D-異性体(例.ポリ(D-グルタミン酸)(PDEA)及びポリ(D-アスパラギン酸)(PDDA)から選択される)のポリマーである第1のアニオン性ポリマー(例.アミノ酸ポリマー)を含み;L-異性体(例.ポリ(L-グルタミン酸)(PLEA)及びポリ(L-アスパラギン酸)(PLDA)から選択される)のポリマーである第2のアニオン性ポリマー(例.アミノ酸ポリマー)を含む。一部の場合、第1のアニオン性ポリマー(D-異性体)対第2のアニオン性ポリマー(L-異性体)の比は、10:1〜1:10(例.8:1〜1:10、6:1〜1:10、4:1〜1:10、3:1〜1:10、2:1〜1:10、1:1〜1:10、10:1〜1:8、8:1〜1:8、6:1〜1:8、4:1〜1:8、3:1〜1:8、2:1〜1:8、1:1〜1:8、10:1〜1:6、8:1〜1:6、6:1〜1:6、4:1〜1:6、3:1〜1:6、2:1〜1:6、1:1〜1:6、10:1〜1:4、8:1〜1:4、6:1〜1:4、4:1〜1:4、3:1〜1:4、2:1〜1:4、1:1〜1:4、10:1〜1:3、8:1〜1:3、6:1〜1:3、4:1〜1:3、3:1〜1:3、2:1〜1:3、1:1〜1:3、10:1〜1:2、8:1〜1:2、6:1〜1:2、4:1〜1:2、3:1〜1:2、2:1〜1:2、1:1〜1:2、10:1〜1:1、8:1〜1:1、6:1〜1:1、4:1〜1:1又は2:1〜1:1)である。
【0139】
一部の態様では、アニオン性ポリマー組成物は、グリコサミノグリカン、糖タンパク質、多糖、ポリ(マヌロン酸)、ポリ(グルクロン酸)、ヘパリン、硫酸ヘパリン、コンドロイチン、硫酸コンドロイチン、ケラタン、硫酸ケラタン、アグレカン、ポリ(グルコサミン)又はこれらの任意の組合せを含むアニオン性ポリマーを含む(例えば、アニオン性ポリマーの前出の例のうちのいずれかに加えて、又はこの代わりに)。
【0140】
一部の態様では、アニオン性ポリマーは、1〜200kDa(例.1〜150、1〜100、1〜50、5〜200、5〜150、5〜100、5〜50、10〜200、10〜150、10〜100、10〜50、15〜200、15〜150、15〜100又は15〜50kDa)の分子量を有しうる。例として述べると、一部の場合、アニオン性ポリマーは分子量を約15kDaとするポリ(グルタミン酸)を含む。
【0141】
一部の場合、アニオン性アミノ酸ポリマーは、例えば、リンカー、NLS、及び/又はカチオン性ポリペプチド(例.ヒストン又はHTP)とのコンジュゲーションを促進するシステイン残基を含む。例えばシステイン残基は、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)及び/又はアミン反応性化学反応を介する架橋(コンジュゲーション)のために使用されうる。したがって一部の態様では、アニオン性ポリマー組成物のアニオン性アミノ酸ポリマー(例.ポリ(グルタミン酸)(PEA)、ポリ(アスパラギン酸)(PDA)、ポリ(D-グルタミン酸)(PDEA)、ポリ(D-アスパラギン酸)(PDDA)、ポリ(L-グルタミン酸)(PLEA)、ポリ(L-アスパラギン酸)(PLDA))は、システイン残基を含む。一部の場合、アニオン性アミノ酸ポリマーはN及び/又はC末端にシステイン残基を含む。一部の場合、アニオン性アミノ酸ポリマーは内部システイン残基を含む。
【0142】
一部の場合、アニオン性アミノ酸ポリマーは核局在化シグナル(NLS)(以下により詳細に説明する)を含む(及び/又はこれとコンジュゲートする)。したがって一部の態様では、アニオン性ポリマー組成物のアニオン性アミノ酸ポリマー(例.ポリ(グルタミン酸)(PEA)、ポリ(アスパラギン酸)(PDA)、ポリ(D-グルタミン酸)(PDEA)、ポリ(D-アスパラギン酸)(PDDA)、ポリ(L-グルタミン酸)(PLEA)、ポリ(L-アスパラギン酸)(PLDA))は、1つ以上(例.2つ以上、3つ以上又は4つ以上)のNLSを含む(及び/又はこれとコンジュゲートする)。一部の場合、アニオン性アミノ酸ポリマーはN及び/又はC末端にNLSを含む。一部の場合、アニオン性アミノ酸ポリマーは内部NLSを含む。
【0143】
一部の場合、アニオン性ポリマーはターゲティングリガンドへとコンジュゲートされる。
【0144】
リンカー
一部の態様では、ターゲティングリガンドは、介在リンカーを介して、アンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン、アニオン性アンカードメイン)又はペイロードへとコンジュゲートされる。リンカーは、タンパク質リンカーの場合もあり、非タンパク質リンカーの場合もある。リンカーは、一部の場合、安定性の一助となる場合もあり、補体の活性化を防止する場合もあり、及び/又はアンカードメインと比べてリガンドに可撓性をもたらす場合もある。
【0145】
ターゲティングリガンドとリンカーのコンジュゲーション、又はリンカーとアンカードメインのコンジュゲーションは、多数の異なる方式で達せられうる。一部の場合、コンジュゲーションは、スルフヒドリル化学反応(例えば2つのシステイン残基の間の、例えばジスルフィド結合)を介する。一部の場合、コンジュゲーションはアミン反応性化学反応を使用して達せられる。一部の場合、ターゲティングリガンドはシステイン残基を含み、システイン残基を介してリンカーとコンジュゲートし;及び/又はアンカードメインはシステイン残基を含み、システイン残基を介してリンカーとコンジュゲートする。一部の場合、リンカーはペプチドリンカーであり、システイン残基を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドとペプチドリンカーは、同じポリペプチドの一部であることによりコンジュゲートされ;及び/又はアンカードメインとペプチドリンカーは、同じポリペプチドの一部であることによりコンジュゲートされる。
【0146】
一部の場合、本発明のリンカーはポリペプチドであり、ポリペプチドリンカーと称されうる。ポリペプチドリンカーが想定されるが、一部の場合、非ポリペプチドリンカー(化学リンカー)も使用されることが理解される。例えば一部の態様では、リンカーはポリエチレングリコール(PEG)リンカーである。適切なタンパク質リンカーは、4アミノ酸〜60アミノ酸長(例.4〜50、4〜40、4〜30、4〜25、4〜20、4〜15、4〜10、6〜60、6〜50、6〜40、6〜30、6〜25、6〜20、6〜15、6〜10、8〜60、8〜50、8〜40、8〜30、8〜25、8〜20又は8〜15アミノ酸長)のポリペプチドを含む。
【0147】
一部の態様では、本発明のリンカーは非可撓性である(例.1つ以上のプロリン残基を含むリンカー)。非可撓性リンカーの1つの非限定的な例は、GAPGAPGAP(配列番号17)である。一部の場合、ポリペプチドリンカーはN末端又はC末端にC残基を含む。したがって一部の場合には、非可撓性リンカーはGAPGAPGAPC(配列番号18)及びCGAPGAPGAP(配列番号19)から選択される。
【0148】
ある程度の可撓性を伴うペプチドリンカーが使用されうる。したがって一部の場合、本発明のリンカーは可撓性である。可撓性のリンカーは一般的に可撓性のペプチドをもたらす配列を有することを念頭に置き、連結ペプチドは事実上任意のアミノ酸配列を有してもよい。小型のアミノ酸、例えば、グリシン及びアラニンの使用は、可撓性ペプチドの作製において有用である。このような配列の調製は当業者にとって日常的な作業である。さまざまな異なるリンカーが市販されており、使用に適すると考えられる。代表的なリンカーポリペプチドは、グリシンポリマー(G)、グリシン−セリンポリマー(例.(GS)、GSGGS(配列番号20を含む)、GGSGGS(配列番号21)及びGGGS(配列番号22)[配列中、nは1以上の整数])、グリシン−アラニンポリマー、アラニン−セリンポリマーを含む。代表的なリンカーは、GGSG(配列番号23)、GGSGG(配列番号24)、GSGSG(配列番号25)、GSGGG(配列番号26)、GGGSG(配列番号27)、GSSSG(配列番号28)などを含むが、これらに限定されないアミノ酸配列を含みうる。当業者は、上述した任意の要素とコンジュゲートするペプチドの設計が、全て又は部分的に可撓性のリンカーを含む可能性があり、その結果、リンカーは、可撓性のリンカー及びあまり可撓性でない構造の1つ以上の部分を含み得ることを認識するであろう。可撓性リンカーの他の例には、GGGGGSGGGGG(配列番号29)及びGGGGGSGGGGS(配列番号30)が含まれるが、これらに限定されない。上述したように、一部の場合、ポリペプチドリンカーはN末端又はC末端にC残基を含む。したがって一部の場合、可撓性リンカーは、GGGGGSGGGGGC(配列番号31)、CGGGGGSGGGGG(配列番号32)、GGGGGSGGGGSC(配列番号33)及びCGGGGGSGGGGS(配列番号34)から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0149】
一部の場合、本発明のポリペプチドリンカーはエンドソーム溶解性である。エンドソーム溶解性ポリペプチドリンカーは、KALA(配列番号35)及びGALA(配列番号36)を含むが、これらに限定されない。上述したように、一部の場合、ポリペプチドリンカーはN末端又はC末端にC残基を含む。したがって一部の場合、本発明のリンカーは、CKALA(配列番号37)、KALAC(配列番号38)、CGALA(配列番号39)及びGALAC(配列番号40)から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0150】
スルフヒドリルカップリング反応の代表的な例
(例えばシステイン残基を使用する、例えばスルフヒドリル化学反応を介するコンジュゲーションのための反応)
(例えば、ターゲティングリガンド又は糖ペプチドをリンカーへとコンジュゲートするため、ターゲティングリガンド又は糖ペプチドをアンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)へとコンジュゲートするため、リンカーをアンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)へとコンジュゲートするためなどの反応)
【0151】
ジスルフィド結合
遊離スルフヒドリル基を含有する還元状態下のシステイン残基は、典型的なジスルフィド交換反応において保護されたチオールとのジスルフィド結合をたやすく形成する。
【0152】
【化5】
【0153】
チオエーテル/チオエステル結合
システインのスルフヒドリル基はマレイミド及びハロゲン化アシル基と反応し、それぞれ、安定的なチオエーテル及びチオエステル結合を形成する。
【0154】
【化6】
【0155】
【化7】
【0156】
アジド−アルキン環化付加
この結合は、アルキン結合を含むようにシステイン残基を化学修飾することにより、又は合成ペプチド調製(例.固相合成)におけるL-プロパルギルアミノ酸誘導体(例.L-プロパルギルシステイン(下記に図解される))の使用により、促進する。次いで、カップリングはCu促進型クリック化学反応により達成される。
【0157】
【化8】
【0158】
ターゲティングリガンドの例
ターゲティングリガンドの例は、以下のアミノ酸配列:
SCF(c−Kit受容体をターゲティングする/これに結合する)
EGICRNRVTNNVKDVTKLVANLPKDYMITLKYVPGMDVLPSHCWISEMVVQLSDSLTDLLDKFSNISEGLSNYSIIDKLVNIVDDLVECVKENSSKDLKKSFKSPEPRLFTPEEFFRIFNRSIDAFKDFVVASETSDCVVSSTLSPEKDSRVSVTKPFMLPPVA(配列番号184);
CD70(CD27をターゲティングする/これに結合する)
PEEGSGCSVRRRPYGCVLRAALVPLVAGLVICLVVCIQRFAQAQQQLPLESLGWDVAELQLNHTGPQQDPRLYWQGGPALGRSFLHGPELDKGQLRIHRDGIYMVHIQVTLAICSSTTASRHHPTTLAVGICSPASRSISLLRLSFHQGCTIASQRLTPLARGDTLCTNLTGTLLPSRNTDETFFGVQWVRP(配列番号185);及び
SH2ドメイン含有タンパク質1A(SH2D1A)(CD150をターゲティングする/これに結合する)
SSGLVPRGSHMDAVAVYHGKISRETGEKLLLATGLDGSYLLRDSESVPGVYCLCVLYHGYIYTYRVSQTETGSWSAETAPGVHKRYFRKIKNLISAFQKPDQGIVIPLQYPVEKKSSARSTQGTTGIREDPDVCLKAP(配列番号186)
を含むターゲティングリガンドを含むが、これらに限定されない。
【0159】
したがって、ターゲティングリガンド(単独で、又は他のターゲティングリガンドと組み合わせて使用されうる)の非限定的な例は、
【0160】
【化9】
【0161】
を含む。
【0162】
送達分子及び構成要素の代表的な例
(0a)システインコンジュゲーションアンカー1(CCA1)
[アンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)−リンカー(GAPGAPGAP)−システイン]
RRRRRRRRR GAPGAPGAP C(配列番号41)
(0b)システインコンジュゲーションアンカー2(CCA2)
[システイン−リンカー(GAPGAPGAP)−アンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)]
C GAPGAPGAP RRRRRRRRR(配列番号42)
【0163】
(1a)α5β1リガンド
[アンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)−リンカー(GAPGAPGAP)−ターゲティングリガンド]
RRRRRRRRR GAPGAPGAP RRETAWA(配列番号45)
(1b)α5β1リガンド
[ターゲティングリガンド−リンカー(GAPGAPGAP)−アンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)]
RRETAWA GAPGAPGAP RRRRRRRRR(配列番号46)
(1c)α5β1リガンド(左Cys)
CGAPGAPGAP(配列番号19)
注:これは、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)又はアミン反応性化学反応を介してCCA1(上記参照)とコンジュゲートできる。
(1d)α5β1リガンド(右Cys)
GAPGAPGAPC(配列番号18)
注:これは、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)又はアミン反応性化学反応を介してCCA2(上記参照)とコンジュゲートできる。
【0164】
(2a)RGD α5β1リガンド
[アンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)−リンカー(GAPGAPGAP)−ターゲティングリガンド]
RRRRRRRRR GAPGAPGAP RGD(配列番号47)
(2b)RGD a5b1リガンド
[ターゲティングリガンド−リンカー(GAPGAPGAP)−アンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)]
RGD GAPGAPGAP RRRRRRRRR(配列番号48)
(2c)RGDリガンド(左Cys)
CRGD(配列番号49)
注:これは、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)又はアミン反応性化学反応を介してCCA1(上記参照)とコンジュゲートできる。
(2d)RGDリガンド(右Cys)
RGDC(配列番号50)
注:これは、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)又はアミン反応性化学反応を介してCCA2(上記参照)とコンジュゲートできる。
【0165】
(3a)トランスフェリンリガンド
[アンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)−リンカー(GAPGAPGAP)−ターゲティングリガンド]
RRRRRRRRR GAPGAPGAP THRPPMWSPVWP(配列番号51)
(3b)トランスフェリンリガンド
[ターゲティングリガンド−リンカー(GAPGAPGAP)−アンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)]
THRPPMWSPVWP GAPGAPGAP RRRRRRRRR(配列番号52)
(3c)トランスフェリンリガンド(左Cys)
CTHRPPMWSPVWP(配列番号53)
CPTHRPPMWSPVWP(配列番号54)
注:これは、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)又はアミン反応性化学反応を介してCCA1(上記参照)とコンジュゲートできる。
(3d)トランスフェリンリガンド(右Cys)
THRPPMWSPVWPC(配列番号55)
注:これは、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)又はアミン反応性化学反応を介してCCA2(上記参照)とコンジュゲートできる。
【0166】
(4a)E-セレクチンリガンド[1〜21]
[アンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)−リンカー(GAPGAPGAP)−ターゲティングリガンド]
RRRRRRRRR GAPGAPGAP MIASQFLSALTLVLLIKESGA(配列番号56)
(4b)E-セレクチンリガンド[1〜21]
[ターゲティングリガンド−リンカー(GAPGAPGAP)−アンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)]
MIASQFLSALTLVLLIKESGA GAPGAPGAP RRRRRRRRR(配列番号57)
(4c)E-セレクチンリガンド[1〜21](左Cys)
CMIASQFLSALTLVLLIKESGA(配列番号58)
注:これは、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)又はアミン反応性化学反応を介してCCA1(上記参照)とコンジュゲートできる。
(4d)E-セレクチンリガンド[1〜21](右Cys)
MIASQFLSALTLVLLIKESGAC(配列番号59)
注:これは、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)又はアミン反応性化学反応を介してCCA2(上記参照)とコンジュゲートできる。
【0167】
(5a)FGF断片[26〜47]
[アンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)−リンカー(GAPGAPGAP)−ターゲティングリガンド]
RRRRRRRRR GAPGAPGAP KNGGFFLRIHPDGRVDGVREKS(配列番号60)
注:これは、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)又はアミン反応性化学反応を介してCCA1(上記参照)とコンジュゲートできる。
(5b)FGF断片[26〜47]
[ターゲティングリガンド−リンカー(GAPGAPGAP)−アンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)]
KNGGFFLRIHPDGRVDGVREKS GAPGAPGAP RRRRRRRRR(配列番号61)
注:これは、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)又はアミン反応性化学反応を介して、CCA1(上記参照)へとコンジュゲートされうる。
(5c)FGF断片[25〜47](左Cysが天然である)
CKNGGFFLRIHPDGRVDGVREKS(配列番号43)
注:これは、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)又はアミン反応性化学反応を介してCCA1(上記参照)とコンジュゲートできる。
(5d)FGF断片[26〜47](右Cys)
KNGGFFLRIHPDGRVDGVREKSC(配列番号44)
注:これは、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)又はアミン反応性化学反応を介してCCA2(上記参照)とコンジュゲートできる。
【0168】
(6a)エキセンディン(S11C)[1〜39]
HGEGTFTSDLKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPS(配列番号2)
注:これは、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)又はアミン反応性化学反応を介してCCA1(上記参照)へとコンジュゲートできる。
【0169】
ターゲティングリガンド
(例えば、対象を送達する分子の一部としての、例えば、ナノ粒子の一部としての)さまざまなターゲティングリガンドが使用される可能性があり、多数の異なるターゲティングリガンドが想定される。一部の態様では、ターゲティングリガンドは、野生型タンパク質の断片(例.結合性ドメイン)である。例えば一部の場合、対象を送達する分子のペプチドであるターゲティングリガンドは、4〜50アミノ酸(例.4〜40、4〜35、4〜30、4〜25、4〜20、4〜15、5〜50、5〜40、5〜35、5〜30、5〜25、5〜20、5〜15、7〜50、7〜40、7〜35、7〜30、7〜25、7〜20、7〜15、8〜50、8〜40、8〜35、8〜30、8〜25、8〜20又は8〜15アミノ酸)の長さを有しうる。ターゲティングリガンドは野生型タンパク質の断片でありうるが、一部の場合、野生型アミノ酸配列と比べた突然変異(例.挿入、欠失、置換)(すなわち、対応する野生型タンパク質配列と比べた突然変異)を有する。例えば、ターゲティングリガンドは、標的細胞の表面タンパク質に対する結合アフィニティーを増大又は減少させる突然変異を含みうる。
【0170】
一部の場合、ターゲティングリガンドは抗体(F(ab))の抗原結合性領域である。一部の場合、ターゲティングリガンドはScFvである。「Fv」とは、完全な抗原認識/結合性部位を含有する最小の抗体断片である。二本鎖Fv分子種では、この領域は、緊密な非共有結合的会合下にある1つの重鎖/1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。単鎖Fv分子種(scFv)では、軽鎖と重鎖が二本鎖Fv分子種内の「二量体」構造と類似の「二量体」構造下で会合しうるように、1つの重鎖/1つの軽鎖可変ドメインは可撓性ペプチドリンカーで共有結合的に連結されうる。scFvの総説については、Pluckthun, in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)参照。
【0171】
一部の場合、ターゲティングリガンドは、一部の場合、遍在的な表面マーカー、例えば、ヘパリン硫酸プロテオグリカンに結合し、膜波打ち関連過程を介して、一部の細胞集団内でミクロピノサイトーシス(及び/又はマクロピノサイトーシス)を誘導しうるウイルス性糖タンパク質を含む。ポリ(L-アルギニン)は、これもまた、表面マーカー、例えば、ヘパリン硫酸プロテオグリカンへの結合に使用されうる別の代表的なターゲティングリガンドである。
【0172】
一部の場合、静電的に、又は粒子表面への共有結合的修飾若しくは粒子表面上の1つ以上のポリマーを利用して、粒子表面(例.ナノ粒子表面)はターゲティングリガンドでコーティングされる。一部の場合、ターゲティングリガンドは、リンカー及び/又はアンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)とのコンジュゲーションを促進しうるシステイン残基を付加する突然変異を含みうる。例えば、システインはスルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)及び/又はアミン反応性化学反応を介する架橋(コンジュゲーション)のために使用されうる。
【0173】
一部の場合、ターゲティングリガンドは内部システイン残基を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは、N及び/又はC末端にシステイン残基を含む。一部の場合、システイン残基を含むために、ターゲティングリガンドは、例えば対応する野生型配列と比べて、突然変異(例.挿入又は置換)を導入される。このように、本明細書に記載のターゲティングリガンドのうちのいずれかは、システイン残基を挿入すること、及び/又はこれで置換すること(例えば、内部、N末端、C末端における、システイン残基の挿入、又はこれによる置換)により修飾されうる。
【0174】
「対応する」野生型配列とは、対象となる配列が由来したか、又は由来した可能性がある野生型配列(例.目的の配列に対する高度の配列同一性を有する野生型タンパク質配列)を意味する。一部の場合、「対応する」野生型配列とは、目的のアミノ酸配列と85%以上の配列同一性(例.90%以上、92%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有する野生型配列である。例えば、1つ以上の突然変異(例.置換、挿入)を有するが、野生型配列と他の形で高度に類似するターゲティングリガンドに対して最も類似するアミノ酸配列は、対応する野生型アミノ酸配列であると考えられてもよい。
【0175】
対応する野生型タンパク質/配列は、100%同一である(例えば、85%以上同一、90%以上同一、95%以上同一、98%以上同一、99%以上同一などでありうる)(修飾される位置以外で)必要はないが、ターゲティングリガンド、及び対応する野生型タンパク質(例.野生型タンパク質の断片)は、意図される細胞表面タンパク質に結合することが可能であり、それらが相同であると考えられるのに十分な配列同一性(修飾される領域外における)を保持しうる。「対応する」野生型タンパク質配列のアミノ酸配列は、任意の好都合な方法を使用して(例えば任意の好都合な配列比較/アライメントソフトウェア(例.BLAST、MUSCLE、T-COFFEEなど)を使用して)同定/査定されうる。
【0176】
表面コートの一部として(例.表面コートの送達分子の一部として)使用されうるターゲティングリガンドの例は、表1に列挙されたターゲティングリガンドを含むが、これらに限定されない。対象を送達する分子の一部として使用されうるターゲティングリガンドの例は、表3に列挙されたターゲティングリガンド(表3に列挙された配列の多くは、例えば、リンカー(例.GGGGSGGGGS)を介して、カチオン性ポリペプチドドメイン、例えば、9R、6Rへとコンジュゲートされたターゲティングリガンド(例えば、2行目のSNRWLDVK)を含む)を含むが、これらに限定されない。ターゲティングリガンド内に含まれうるアミノ酸配列の例は、NPKLTRMLTFKFY(配列番号xx)(IL2)、TSVGKYPNTGYYGD(配列番号xx)(CD3)、SNRWLDVK(Siglec)、EKFILKVRPAFKAV(配列番号xx)(SCF);EKFILKVRPAFKAV(配列番号xx)(SCF)、EKFILKVRPAFKAV(配列番号xx)(SCF)、SNYSIIDKLVNIVDDLVECVKENS(配列番号xx)(cKit)及びAc−SNYSAibADKAibANAibADDAibAEAibAKENS(配列番号xx)(cKit)を含むが、これらに限定されない。したがって一部の場合、ターゲティングリガンドは、NPKLTRMLTFKFY(配列番号xx)(IL2)、TSVGKYPNTGYYGD(配列番号xx)(CD3)、SNRWLDVK(Siglec)、EKFILKVRPAFKAV(配列番号xx)(SCF);EKFILKVRPAFKAV(配列番号xx)(SCF)、EKFILKVRPAFKAV(配列番号xx)(SCF)、又はSNYSIIDKLVNIVDDLVECVKENS(配列番号xx)(cKit)と85%以上(例.90%以上、95%以上、98%以上、99%以上又は100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0177】
【表1-1】
【0178】
【表1-2】
【0179】
【表1-3】
【0180】
【表1-4】
【0181】
【表1-5】
【0182】
(例えば送達分子の)ターゲティングリガンドは、アミノ酸配列RGD及び/又は配列番号1〜12のいずれか1つで示されたアミノ酸配列と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含みうる。一部の場合、ターゲティングリガンドは、アミノ酸配列RGD及び/又は配列番号1〜12のいずれか1つで示されたアミノ酸配列を含む。一部の態様では、ターゲティングリガンドは、(内部、C末端又はN末端の)システインを含むことが可能であり、また、アミノ酸配列RGD及び/又は配列番号1〜12のいずれか1つで示されたアミノ酸配列と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列も含みうる。
【0183】
(例えば送達分子の)ターゲティングリガンドは、アミノ酸配列RGD及び/又は配列番号1〜12及び181〜187のいずれか1つで示されたアミノ酸配列と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含みうる。一部の場合、ターゲティングリガンドは、アミノ酸配列RGD及び/又は配列番号1〜12及び181〜187のいずれか1つで示されたアミノ酸配列を含む。一部の態様では、ターゲティングリガンドは、(内部、C末端又はN末端の)システインを含むことが可能であり、また、アミノ酸配列RGD及び/又は配列番号1〜12及び181〜187のいずれか1つで示されたアミノ酸配列と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列も含みうる。
【0184】
(例えば送達分子の)ターゲティングリガンドは、アミノ酸配列RGD及び/又は配列番号1〜12、181〜187及び271〜277のいずれか1つで示されたアミノ酸配列と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含みうる。一部の場合、ターゲティングリガンドは、アミノ酸配列RGD及び/又は配列番号1〜12、181〜187及び271〜277のいずれか1つで示されたアミノ酸配列を含む。一部の態様では、ターゲティングリガンドは、(内部、C末端又はN末端の)システインを含むことが可能であり、また、アミノ酸配列RGD及び/又は配列番号1〜12、181〜187及び271〜277のいずれか1つで示されたアミノ酸配列と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列も含みうる。
【0185】
一部の場合、(例えば送達分子の)ターゲティングリガンドは、配列番号181〜187及び271〜277のいずれか1つで示されたアミノ酸配列と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含みうる。一部の場合、ターゲティングリガンドは、配列番号181〜187及び271〜277のいずれか1つで示されたアミノ酸配列を含む。一部の態様では、ターゲティングリガンドは、(内部、C末端又はN末端の)システインを含むことが可能であり、また、配列番号181〜187及び271〜277のいずれか1つで示されたアミノ酸配列と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列も含みうる。
【0186】
一部の場合、(例えば送達分子の)ターゲティングリガンドは、配列番号181〜187のいずれか1つで示されたアミノ酸配列と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含みうる。一部の場合、ターゲティングリガンドは、配列番号181〜187のいずれか1つで示されたアミノ酸配列を含む。一部の態様では、ターゲティングリガンドは、(内部、C末端又はN末端の)システインを含むことが可能であり、また、配列番号181〜187のいずれか1つで示されたアミノ酸配列と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列も含みうる。
【0187】
一部の場合、(例えば送達分子の)ターゲティングリガンドは、配列番号271〜277のいずれか1つで示されたアミノ酸配列と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含みうる。一部の場合、ターゲティングリガンドは、配列番号271〜277のいずれか1つで示されたアミノ酸配列を含む。一部の態様では、ターゲティングリガンドは、(内部、C末端又はN末端の)システインを含むことが可能であり、また、配列番号271〜277のいずれか1つで示されたアミノ酸配列と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列も含みうる。
【0188】
本明細書では、「〜をターゲティングする」及び「ターゲティングされた結合」は、特異的結合を指すように使用される。「特異的に結合すること」、「〜に特異的に結合する」などの用語は、溶液又は反応混合物中の、他の分子又は部分と比べた分子への非共有結合的又は共有結合的な優先的結合を指す(例えば、抗体は、他の結合可能なポリペプチドと比べて、特定のポリペプチド又はエピトープに特異的に結合し、リガンドは、他の結合可能な受容体と比べて、特定の受容体に特異的に結合する)。一部の態様では、1つの分子が特異的に結合する別の分子に対するアフィニティーは、10−5M以下(例.10−6M以下、10−7M以下、10−8M以下、10−9M以下、10−10M以下、10−11M以下、10−12M以下、10−13M以下、10−14M以下、10−15M以下又は10−16M以下)のK(解離定数)により特徴付けられる。「アフィニティー」とは結合の強度を指し、結合アフィニティーの増大は低Kと相関する。
【0189】
一部の場合、ターゲティングリガンドは、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)ファミリーB、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、細胞表面糖タンパク質及び細胞間接着分子から選択される細胞表面タンパク質に対する結合を提供する。受容体へのドッキング時におけるリガンドの空間的配置についての検討は、例えば、ターゲティングリガンドのペイロード又はアンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)へのコンジュゲーションのために、リガンドと標的との構造機能関係が破壊されないように、所望の機能的選択性及びエンドソーム分取バイアスを達するのに使用されうる。例えば、核酸、タンパク質、リボ核タンパク質又はアンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)とコンジュゲーションは、クレフトへの結合に潜在的に干渉しうるであろう。
【0190】
したがって一部の場合、そのリガンドに結合した所望の標的(細胞表面タンパク質)の結晶構造が入手可能である場合(又はこのような構造が、類縁のタンパク質について入手可能である場合)、3D構造モデリング及び配列スレッディングを使用してリガンドと標的との相互作用部位を可視化することができる。例えばこれは、(例えばシステイン残基の)置換及び/又は挿入を施す内部部位の選択を容易としうる。
【0191】
例として述べると、一部の場合、ターゲティングリガンドはファミリーBのGタンパク質共役受容体(GPCR)(また、「セクレチンファミリー」としても公知である)への結合をもたらす。一部の場合、ターゲティングリガンドは、それぞれ、ターゲティングされた結合及び長期エンドソームリサイクリング経路の関与をもたらすファミリーBのGPCRのアロステリックアフィニティードメイン及びオーソステリックドメインの両方への結合をもたらす。
【0192】
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、共通の分子アーキテクチャー(推定の7回膜貫通セグメント)と、それらがGタンパク質(ヘテロ三量体のGTPアーゼ)と相互作用して細胞内の二次的メッセンジャー、例えば、サイクリックAMP、イノシトールリン酸、ジアシルグリセロール及びカルシウムイオンの合成を調節するという意味において、共通のシグナル伝達機構とを共有する。GPCRのファミリーB(セクレチン受容体ファミリー又は「ファミリー2」)は、ポリペプチドホルモン及び細胞膜における細胞間相互作用を媒介すると考えられる分子に対する受容体を含む小さいが構造的かつ機能的に多様なタンパク質群である(例えば、Harmar et al., Genome Biol. 2001;2(12):REVIEWS3013参照)。セクレチン受容体ファミリーのメンバーに関する構造生物学では、リガンドの結合を伴う又は伴わないそれらのN末端のいくつかの結晶構造の公開を含む重要な進歩があった。これらの業績はリガンドの結合についての理解を拡張しており、構造ベースのリガンドデザインに有用なプラットフォームを提供する(例えば、Poyner et al., Br J Pharmacol. 2012 May;166(1):1-3参照)。
【0193】
例えば、エキセンディン4リガンド又はこの誘導体(例えば、システインで置換されたエキセンディン4ターゲティングリガンド、例えば、配列番号2として提示されたターゲティングリガンド)を使用して膵細胞表面タンパク質GLP1R(例えば、膵島β細胞をターゲティングする)をターゲティングするように、対象を送達する分子を使用することを所望してもよい。GLP1Rは脳及び膵臓内に多く存在するため、GLP1Rへの結合のターゲティングをもたらすターゲティングリガンドは、脳及び膵臓をターゲティングするのに使用されうる。したがって、GLP1Rのターゲティングは、疾患(例えば、1つ以上の遺伝子編集ツールの送達を介する)、例えば、ハンチントン病(CAGリピート拡大突然変異)、パーキンソン病(LRRK2突然変異)、ALS(SOD1突然変異)及び他のCNS疾患の治療に焦点を絞った方法(例.治療法)を容易とする。GLP1Rのターゲティングはまた、疾患、例えば、I型糖尿病、II型糖尿病及び膵臓がんの治療(例えば、1つ以上の遺伝子編集ツールの送達を介する)のために、ペイロードを膵島β細胞に送達することに焦点を絞った方法(例.治療法)も容易とする。
【0194】
エキセンディン4の修飾形を使用してGLP1Rをターゲティングする場合、システイン置換及び/又は挿入のための(例えば核酸ペイロードとのコンジュゲーションのための)アミノ酸は、2つの結合クレフトを破壊しないように架橋された複合体が向かなければならない方向を予測するために、3D空間内で回転させることが可能なPDBによる三次元レンダリングを使用して、HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPS(配列番号1)であるエキセンディン4のアミノ酸配列を、グルカゴン−GCGR(4ERS)及びGLP1−GLP1R−ECD複合体(PDB:3IOL)の結晶構造とアライメントすることにより同定されうる。(ファミリーBのGPCRをターゲティングする)ターゲティングリガンドの所望の架橋部位(例.システイン残基の置換/挿入のための部位)が、対応する受容体の2つの結合クレフトに対して十分に直交する場合、高アフィニティーの結合のほか、共時的な長期エンドソームリサイクリング経路への(例えば最適のペイロード放出のための)隔離が生じうる。配列番号1のアミノ酸位置10、11及び/又は12におけるシステイン置換は、Gsにバイアスのかかったシグナル伝達カスケードの二相性結合及び特異的誘発、βアレスチンの関与、並びに受容体のアクチン細胞骨格からの解離をもたらす。一部の場合、このターゲティングリガンドは、共時的なオーソステリック部位の関与を伴わないGPCRのN末端ドメインへの結合のみ(アフィニティー鎖である、エキセンディン4[31〜39]の結合のみの場合と同様に)が関与するものではない機構である受容体媒介型エンドサイトーシスを介して、ナノ粒子の細胞内移行を誘発する。
【0195】
一部の場合、本発明のターゲティングリガンドは、エキセンディン4のアミノ酸配列(配列番号1)と85%以上(例.90%以上、95%以上、98%以上、99%以上又は100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部のこのような場合には、ターゲティングリガンドは、配列番号1で示されたアミノ酸配列の、L10、S11及びK12に対応する位置のうちの1つ又は複数における、システインの置換又は挿入を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは、配列番号1で示されたアミノ酸配列のS11に対応する位置におけるシステインの置換又は挿入を含む。一部の場合、本発明のターゲティングリガンドは、エキセンディン4のアミノ酸配列(配列番号1)を有するアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは(リンカーを伴うか又は伴わずに)アンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン)とコンジュゲートする。
【0196】
別の例として述べると、一部の場合、本発明のターゲティングリガンドは、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、例えば、線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体(FGFR)に結合する。したがって一部の場合、ターゲティングリガンドはFGFの断片である(すなわち、FGFのアミノ酸配列を含む)。一部の場合、ターゲティングリガンドは、オーソステリックの結合時に占有されるRTKのセグメント(例えば実施例参照)に結合する。一部の場合、ターゲティングリガンドはRTKのヘパリンアフィニティードメインに結合する。一部の場合、ターゲティングリガンドは、FGF受容体へのターゲティングされた結合をもたらし、アミノ酸配列KNGGFFLRIHPDGRVDGVREKS(配列番号4)と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは、FGF受容体へのターゲティングされた結合をもたらし、配列番号4で示されたアミノ酸配列を含む。
【0197】
一部の場合、RTKのオーソステリック部位を占有する小型のドメイン(例.5〜40アミノ酸長)は、天然の増殖因子リガンドに特有でありうる細胞増殖性であり、かつ、がん原性であるシグナル伝達カスケードの関与を伴わずにRTK(例.FGFR)の核内分取に関するエンドサイトーシス経路に関与するのに使用されうる。例えば、切断型bFGF(tbFGF)ペプチド(30〜115アミノ酸)は、bFGF受容体結合性部位及びヘパリン結合性部位の一部を含有し、このペプチドは、細胞増殖を刺激せずに細胞表面上のFGFRに効果的に結合しうる。tbFGFの配列は、KRLYCKNGGFFLRIHPDGRVDGVREKSDPHIKLQLQAEERGVVSIKGVCANRYLAMKEDGRLLASKCVTDECFFFERLESNNYNTY(配列番号13)(例えば、Cai et al., Int J Pharm. 2011 Apr 15;408(1-2):173-82参照)である。
【0198】
一部の場合、ターゲティングリガンドは、FGF受容体へのターゲティングされた結合をもたらし、アミノ酸配列HFKDPK(配列番号5)(例えば実施例参照)を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは、FGF受容体へのターゲティングされた結合をもたらし、アミノ酸配列LESNNYNT(配列番号6)(例えば実施例参照)を含む。
【0199】
一部の場合、本発明のターゲティングリガンドは細胞表面糖タンパク質に対する結合を提供する。一部の場合、ターゲティングリガンドは細胞間接着分子に対する結合を提供する。例えば一部の場合、ターゲティングリガンドは、細胞間接着因子として機能する細胞表面糖タンパク質であって造血幹細胞(例.骨髄)上に見出されるCD34に対する結合を提供する。一部の場合、ターゲティングリガンドは、セレクチン、例えば、E-セレクチン、L-セレクチン又はP-セレクチン(例.セレクチンの最初の40アミノ酸の中に見出されるシグナルペプチド)の断片である。一部の場合、本発明のターゲティングリガンドは、セレクチン(例.E-セレクチン、L-セレクチン、P-セレクチン)のスシドメインを含む。
【0200】
一部の場合、ターゲティングリガンドは、アミノ酸配列MIASQFLSALTLVLLIKESGA(配列番号7)と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは配列番号7で示されたアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは、アミノ酸配列MVFPWRCEGTYWGSRNILKLWVWTLLCCDFLIHHGTHC(配列番号8)と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは配列番号8で示されたアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは、アミノ酸配列MIFPWKCQSTQRDLWNIFKLWGWTMLCCDFLAHHGTDC(配列番号9)と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは、配列番号9で示されたアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは、アミノ酸配列MIFPWKCQSTQRDLWNIFKLWGWTMLCC(配列番号10)と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは配列番号10で示されたアミノ酸配列を含む。
【0201】
一部の場合、本発明のターゲティングリガンドとして使用されうるセレクチンの断片(例.セレクチンの最初の40アミノ酸の中に見出されるシグナルペプチド)は、特異的に修飾されたシアロムチンへの強力な結合を達することが可能であり、例えば、細胞外CD34のさまざまなシアリルLewis修飾/O−シアル化は、P-セレクチン、L-セレクチン及びE-セレクチンについて、骨髄、リンパ、脾臓及び扁桃コンパートメントに対する示差的なアフィニティーをもたらしうる。一部の場合、逆に、ターゲティングリガンドは、CD34の細胞外部分でありうる。一部のこのような場合には、リガンドのシアル化の修飾がターゲティングリガンドを多様なセレクチンへと示差的にターゲティングするのに利用されうる。
【0202】
一部の場合、本発明のターゲティングリガンドは、E-セレクチンに対する結合を提供する。E-セレクチンは、腫瘍細胞の内皮細胞への接着を媒介することが可能で、E-セレクチンに対するリガンドは、がん転移において役割を果たしうる。例として述べると、P-セレクチン糖タンパク質1(PSGL−1)(例えば、ヒト好中球に由来する)は、E-セレクチン(例えば、内皮により発現される)に対する高効率のリガンドとして機能することが可能で、したがって、本発明のターゲティングリガンドは、一部の場合PSGL−1のアミノ酸配列(又はE-セレクチンに結合するこの断片)を含みうる。別の例として述べると、E-セレクチンリガンド1(ESL−1)はE-セレクチンに結合することが可能で、したがって、本発明のターゲティングリガンドは一部の場合ESL−1のアミノ酸配列(又はE-セレクチンに結合するこの断片)を含みうる。一部の場合、PSGL−1及び/又はESL−1のアミノ酸配列(又はE-セレクチンに結合するこれらの断片)を伴うターゲティングリガンドは、E-セレクチンに結合するために1つ以上のシアリルLewis修飾を保有する。別の例として述べると、一部の場合、CD44、死受容体3(DR3)、LAMP1、LAMP2及びMac2−BPは、E-セレクチンに結合することが可能で、したがって、本発明のターゲティングリガンドは、一部の場合CD44、死受容体3(DR3)、LAMP1、LAMP2及びMac2−BPのいずれか1つのアミノ酸配列(又はE-セレクチンに結合するこの断片)を含みうる。
【0203】
一部の場合、本発明のターゲティングリガンドは、P-セレクチンに対する結合を提供する。一部の場合、PSGL−1はこのようなターゲティングされた結合をもたらしうる。したがって一部の場合、本発明のターゲティングリガンドは、PSGL−1のアミノ酸配列(又はP-セレクチンに結合するこの断片)を含みうる。一部の場合、PSGL−1のアミノ酸配列(又はP-セレクチンに結合するこの断片)を伴うターゲティングリガンドは、P-セレクチンに結合するために1つ以上のシアリルLewis修飾を保有する。
【0204】
一部の場合、本発明のターゲティングリガンドは、CD3、CD8、CD4、CD28、CD90、CD45f、CD34、CD80、CD86、CD19、CD20、CD22、CD47、CD3ε、CD3γ、CD3δ;TCRα、TCRβ、TCRγ及び/又はTCRδの定常領域;4−1BB、OX40、OX40L、CD62L、ARP5、CCR5、CCR7、CCR10、CXCR3、CXCR4、CD94/NKG2、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2H、NKG2D、NKG2F、NKp44、NKp46、NKp30、DNAM、XCR1、XCL1、XCL2、ILT、LIR、Ly49、IL2R、IL7R、IL10R、IL12R、IL15R、IL18R、TNFα、IFNγ、TGF−β及びα5β1から選択される標的に対する結合を提供する。
【0205】
一部の場合、本発明のターゲティングリガンドはトランスフェリン受容体に対する結合を提供する。一部のこのような場合には、ターゲティングリガンドは、アミノ酸配列THRPPMWSPVWP(配列番号11)と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは配列番号11で示されたアミノ酸配列を含む。
【0206】
一部の場合、本発明のターゲティングリガンドは、インテグリン(例.α5β1インテグリン)に対する結合を提供する。一部のこのような場合、ターゲティングリガンドは、アミノ酸配列RRETAWA(配列番号12)と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは配列番号12で示されたアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは、アミノ酸配列RGDGW(配列番号181)と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは配列番号181で示されたアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドはアミノ酸配列である、RGDを含む。
【0207】
一部の場合、本発明のターゲティングリガンドは、インテグリンに対する結合を提供する。一部のこのような場合には、ターゲティングリガンドは、アミノ酸配列GCGYGRGDSPG(配列番号182)と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは配列番号182で示されたアミノ酸配列を含む。一部の場合、このようなターゲティングリガンドは、N末端がアセチル化されており及び/又はC末端がアミド(NH2)化されている。
【0208】
一部の場合、本発明のターゲティングリガンドは、インテグリン(例.α5β3インテグリン)に対する結合を提供する。一部のこのような場合には、ターゲティングリガンドは、アミノ酸配列DGARYCRGDCFDG(配列番号187)と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは配列番号187で示されたアミノ酸配列を含む。
【0209】
一部の態様では、脳をターゲティングするのに使用されるターゲティングリガンドは、狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)に由来するアミノ酸配列(例.YTIWMPENPRPGTPCDIFTNSRGKRASNGGGG(配列番号183))を含む。一部のこのような場合には、ターゲティングリガンドは、配列番号183と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列で示されたアミノ酸配列を含む。ターゲティングリガンド(本明細書の別の箇所で説明する)のいずれについてとも同様に、RVGはアンカードメイン(例.9Rペプチド配列)とコンジュゲートし、及び/又は融合しうる。例えば、本発明のナノ粒子の表面コートの一部として使用される対象を送達する分子は、YTIWMPENPRPGTPCDIFTNSRGKRASNGGGGRRRRRRRRR(配列番号180)を含みうる。
【0210】
一部の場合、本発明のターゲティングリガンドはc−Kit受容体に対する結合を提供する。一部のこのような場合には、ターゲティングリガンドは、配列番号184と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列で示されたアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは配列番号184で示されたアミノ酸配列を含む。
【0211】
一部の場合、本発明のターゲティングリガンドはCD27に対する結合を提供する。一部のこのような場合には、ターゲティングリガンドは、配列番号185と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列で示されたアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは配列番号185で示されたアミノ酸配列を含む。
【0212】
一部の場合、本発明のターゲティングリガンドはCD150に対する結合を提供する。一部のこのような場合には、ターゲティングリガンドは、配列番号186と85%以上の配列同一性(例.90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列で示されたアミノ酸配列を含む。一部の場合、ターゲティングリガンドは配列番号186で示されたアミノ酸配列を含む。
【0213】
一部の態様では、ターゲティングリガンドは、KLS CD27+/IL−7Ra−/CD150+/CD34−造血幹/前駆細胞(HSPC)に対する結合を提供する。例えば、遺伝子編集ツール(本明細書の別の箇所で説明する)は、BCL11a転写因子の発現を破壊し、この帰結として胎児ヘモグロビンを発生させるために導入されうる。別の例として述べると、β−グロビン(HBB)遺伝子は、変更されたE7V置換を対応する相同性指向修復用のドナーDNA分子で補正するように直接ターゲティングされてもよい。1つの代表的な例として述べると、CRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチド(例.Cas9、CasX、CasY、Cpf1)は、それがHBB遺伝子内の座位に結合し、ゲノム内に二本鎖又は一本鎖切断を作製し、ゲノム修復を誘発するように適切なガイドRNAと共に送達されうる。一部の場合、ドナーDNA分子(一本鎖又は二本鎖)が導入される(ペイロードの一部として)場合もあり、これが14〜30日間放出される一方で、ガイドRNA/CRISPR/Casタンパク質複合体(リボ核タンパク質複合体)は1〜7日間放出されうる。
【0214】
一部の態様では、ターゲティングリガンドは、T細胞受容体を修飾するためにCD4+又はCD8+ T細胞、造血幹/前駆細胞(HSPC)又は末梢血単核細胞(PBMC)に対する結合を提供する。例えば、遺伝子編集ツール(本明細書の別の箇所で説明する)は、T細胞受容体を修飾するために導入されうる。T細胞受容体は、直接ターゲティングされ新規のT細胞受容体のための対応する相同性指向修復用のドナーDNA分子で置換されてもよい。1つの例として述べると、CRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチド(例.Cas9、CasX、CasY、Cpf1)は、それがTCR遺伝子内の座位に結合し、ゲノム内に二本鎖又は一本鎖切断を作製し、ゲノム修復を誘発するように適切なガイドRNAと共に送達されうる。一部の場合、ドナーDNA分子(一本鎖又は二本鎖)が(ペイロードの一部として)導入される。本開示に従い、β-グロビン、CCR5、T細胞受容体若しくは他の目的遺伝子をターゲティングする他のCRISPRガイドRNA及びドナー配列、並びに/又は他の発現ベクターを使用してもよいことは当業者に明らかである。
【0215】
一部の態様では、ターゲティングリガンドは核酸アプタマーである。一部の態様では、ターゲティングリガンドはペプトイドである。
【0216】
また併せて、ターゲティングリガンドを構成する2つの異なるペプチド配列を伴う送達分子も提供される。例えば一部の場合、ターゲティングリガンドは二価(例.ヘテロ二価)である。一部の場合、細胞膜透過ペプチド及び/又はヘパリン硫酸プロテオグリカン結合性リガンドが、本発明のターゲティングリガンドのうちのいずれかと共にヘテロ二価のエンドサイトーシス誘因として使用される。ヘテロ二価のターゲティングリガンドは、ターゲティングリガンドのうちの1つに由来するアフィニティー配列と異なるターゲティングリガンドに由来するオーソステリック結合配列(例.所望のエンドサイトーシストラフィッキング経路に関与することが公知のオーソステリック結合配列)を含みうる。
【0217】
アンカードメイン
一部の態様では、送達分子は、アンカードメイン(例.カチオン性アンカードメイン、アニオン性アンカードメイン)へとコンジュゲートされたターゲティングリガンドを含む。一部の場合、本発明の送達媒体は、アンカードメインと共に凝縮され、及び/又はこれと静電相互作用するペイロードを含む(例えば、送達分子はペイロードを送達するのに使用される送達媒体でありうる)。一部の場合、ナノ粒子の表面コートは、アンカードメインを伴うこのような送達分子を含み、一部のこのような場合、ペイロードは、このようなナノ粒子のコア内にある(コアと相互作用する)。アンカードメインの詳細は上記帯電ポリマーであるポリペプチドドメインの項参照。
【0218】
ヒストンテールペプチド(HTP)
一部の態様では、本発明のナノ粒子のカチオン性ポリペプチド組成物は、ヒストンペプチド又はヒストンペプチドの断片、例えば、N末端のヒストンテール(例えば、H1、H2(例.H2A、H2AX、H2B)、H3又はH4ヒストンタンパク質のヒストンテール)を含む。本明細書では、ヒストンタンパク質のテール断片はヒストンテールペプチド(HTP)という。このようなタンパク質(ヒストン及び/又はHTP)は、本発明のナノ粒子のコアの一部として核酸ペイロードと共に凝縮しうるため、本明細書では、1つ以上のヒストン又はHTP(例えば、カチオン性ポリペプチド組成物の一部として)を含むコアは、場合によってヌクレオソーム模倣体コアという。ヒストン及び/又はHTPは単量体として組み入れられうるが、一部の場合、核酸ペイロードをナノ粒子のコアへと凝縮する場合に、二量体、三量体、四量体及び/又は八量体を形成しうる。一部の場合、HTPは、例えば、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ媒介型アセチル化の場合における多様なヒストン修飾により、脱プロトン化されうるだけでなく、また、コアの構成要素の効果的な核特異的アンパッキング(例.ペイロードの放出)も媒介しうる。ヒストン及び/又はHTPを含むコアのトラフィッキングは、ゴルジ体及び小胞体を介する逆行輸送を利用する代替的なエンドサイトーシス経路に依拠してもよい。さらに、一部のヒストンは内因性の核局在化配列を含み、NLSのコアへの組入れは、コア(ペイロードを含む)を標的細胞の核へと方向付けうる。
【0219】
一部の態様では、本発明のカチオン性ポリペプチド組成物は、H2A、H2AX、H2B、H3又はH4タンパク質のアミノ酸配列を有するタンパク質を含む。一部の場合、本発明のカチオン性ポリペプチド組成物は、ヒストンタンパク質のN末端領域に対応するアミノ酸配列を有するタンパク質を含む。例えば、断片(HTP)は、ヒストンタンパク質の最初の5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50のN末端アミノ酸を含みうる。一部の場合、HTPは、ヒストンタンパク質のN末端領域に由来する5〜50アミノ酸(例.5〜45、5〜40、5〜35、5〜30、5〜25、5〜20、8〜50、8〜45、8〜40、8〜35、8〜30、10〜50、10〜45、10〜40、10〜35又は10〜30アミノ酸)を含む。一部の場合、本発明のカチオン性ポリペプチドは、5〜150アミノ酸(例.5〜100、5〜50、5〜35、5〜30、5〜25、5〜20、8〜150、8〜100、8〜50、8〜40、8〜35、8〜30、10〜150、10〜100、10〜50、10〜40、10〜35又は10〜30アミノ酸)を含む。
【0220】
一部の場合、カチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチド(例えば、ヒストン又はHTP(例.H1、H2、H2A、H2AX、H2B、H3又はH4))は、翻訳後修飾(例えば一部の場合、1つ以上のヒスチジン、リシン、アルギニン、又は他の相補性残基における)を含む。例えば一部の場合、カチオン性ポリペプチドは、メチル化される(及び/又はメチル化/脱メチル化を受けやすい)か、アセチル化される(及び/又はアセチル化/脱アセチル化を受けやすい)か、クロトニル化される(及び/又はクロトニル化/脱クロトニル化を受けやすい)か、ユビキチニル化される(及び/又はユビキチン化/脱ユビキチン化を受けやすい)か、リン酸化される(及び/又はリン酸化/脱リン酸化を受けやすい)か、SUMO化される(及び/又はSUMO化/脱SUMO化を受けやすい)か、ファルネシル化される(及び/又はファルネシル化/脱ファルネシル化を受けやすい)か、硫酸化される(及び/又は硫酸化/脱硫酸化を受けやすい)か、又は他の形で翻訳後修飾される。一部の場合、カチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチド(例えば、ヒストン又はHTP(例.H1、H2、H2A、H2AX、H2B、H3又はH4))は、p300/CBPの基質(例えば下記の代表的なHTP、例えば配列番号129〜130参照)である。一部の場合、カチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチド(例えば、ヒストン又はHTP(例.H1、H2、H2A、H2AX、H2B、H3又はH4))は、硫酸化されるか、又は(例えばチオ硫酸スルフルトランスフェラーゼの基質として)硫酸化を受けやすい(例えばシステイン及び/又はメチオニン残基を含みうる)1つ以上のチオール残基を含む。一部の場合、カチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチド(例えば、ヒストン又はHTP(例.H1、H2、H2A、H2AX、H2B、H3又はH4))はC末端がアミド化される。ヒストンH2A、H2B、H3、及びH4(及び/又はHTP)は、転写活性を促進又は抑制し核特異的放出動態を変更するように、それらのリシンのいずれかが、モノメチル化されてもよく、ジメチル化されてもよく、又はトリメチル化されてもよい。
【0221】
カチオン性ポリペプチドは、所望の修飾により合成される場合もあり、in vitro反応により修飾される場合もある。代替的に、カチオン性ポリペプチド(例.ヒストン又はHTP)は細胞集団内で発現される場合があり、所望の修飾タンパク質は単離/精製されうる。一部の場合、本発明のナノ粒子のカチオン性ポリペプチド組成物は、メチル化HTP、例えば、H3K4(Me3)のHTP配列(配列番号75又は88で示されたアミノ酸配列を含む)を含む。一部の場合、カチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチド(例えば、ヒストン又はHTP(例.H1、H2、H2A、H2AX、H2B、H3又はH4))は、C末端のアミドを含む。
【0222】
ヒストン及びHTPの例
例は、以下の配列:
H2A
SGRGKQGGKARAKAKTRSSR(配列番号62)[1〜20]
SGRGKQGGKARAKAKTRSSRAGLQFPVGRVHRLLRKGGG(配列番号63)[1〜39]
MSGRGKQGGKARAKAKTRSSRAGLQFPVGRVHRLLRKGNYAERVGAGAPVYLAAVLEYLTAEILELAGNAARDNKKTRIIPRHLQLAIRNDEELNKLLGKVTIAQGGVLPNIQAVLLPKKTESHHKAKGK(配列番号64)[1〜130]
H2AX
CKATQASQEY(配列番号65)[134〜143]
KKTSATVGPKAPSGGKKATQASQEY(配列番号66)[KK 120〜129]
MSGRGKTGGKARAKAKSRSSRAGLQFPVGRVHRLLRKGHYAERVGAGAPVYLAAVLEYLTAEILELAGNAARDNKKTRIIPRHLQLAIRNDEELNKLLGGVTIAQGGVLPNIQAVLLPKKTSATVGPKAPSGGKKATQASQEY(配列番号67)[1〜143]
H2B
PEPA−K(cr)−SAPAPK(配列番号68)[1〜11 H2BK5(cr)]
[cr:クロトニル化]
PEPAKSAPAPK(配列番号69)[1〜11]
AQKKDGKKRKRSRKE(配列番号70)[21〜35]
MPEPAKSAPAPKKGSKKAVTKAQKKDGKKRKRSRKESYSIYVYKVLKQVHPDTGISSKAMGIMNSFVNDIFERIAGEASRLAHYNKRSTITSREIQTAVRLLLPGELAKHAVSEGTKAVTKYTSSK(配列番号71)[1〜126]
【0223】
H3
ARTKQTAR(配列番号72)[1〜8]
ART−K(Me1)−QTARKS(配列番号73)[1〜8 H3K4(Me1)]
ART−K(Me2)−QTARKS(配列番号74)[1〜8 H3K4(Me2)]
ART−K(Me3)−QTARKS(配列番号75)[1〜8 H3K4(Me3)]
ARTKQTARK−pS−TGGKA(配列番号76)[1〜15 H3pS10]
ARTKQTARKSTGGKAPRKWC−NH2(配列番号77)[1〜18 WC、アミド]
ARTKQTARKSTGG−K(Ac)−APRKQ(配列番号78)[1〜19 H3K14(Ac)]
ARTKQTARKSTGGKAPRKQL(配列番号79)[1〜20]
ARTKQTAR−K(Ac)−STGGKAPRKQL(配列番号80)[1〜20 H3K9(Ac)]
ARTKQTARKSTGGKAPRKQLA(配列番号81)[1〜21]
ARTKQTAR−K(Ac)−STGGKAPRKQLA(配列番号82)[1〜21 H3K9(Ac)]
ARTKQTAR−K(Me2)−STGGKAPRKQLA(配列番号83)[1〜21 H3K9(Me1)]
ARTKQTAR−K(Me2)−STGGKAPRKQLA(配列番号84)[1〜21 H3K9(Me2)]
ARTKQTAR−K(Me2)−STGGKAPRKQLA(配列番号85)[1〜21 H3K9(Me3)]
ART−K(Me1)−QTARKSTGGKAPRKQLA(配列番号86)[1〜21 H3K4(Me1)]
ART−K(Me2)−QTARKSTGGKAPRKQLA(配列番号87)[1〜21 H3K4(Me2)]
ART−K(Me3)−QTARKSTGGKAPRKQLA(配列番号88)[1〜21 H3K4(Me3)]
ARTKQTAR−K(Ac)−pS−TGGKAPRKQLA(配列番号89)[1〜21 H3K9(Ac)、pS10]
ART−K(Me3)−QTAR−K(Ac)−pS−TGGKAPRKQLA(配列番号90)[1〜21 H3K4(Me3)、K9(Ac)、pS10]
ARTKQTARKSTGGKAPRKQLAC(配列番号91)[1〜21 Cys]
ARTKQTAR−K(Ac)−STGGKAPRKQLATKA(配列番号92)[1〜24 H3K9(Ac)]
ARTKQTAR−K(Me3)−STGGKAPRKQLATKA(配列番号93)[1〜24 H3K9(Me3)]
ARTKQTARKSTGGKAPRKQLATKAA(配列番号94)[1〜25]
ART−K(Me3)−QTARKSTGGKAPRKQLATKAA(配列番号95)[1〜25 H3K4(Me3)]
TKQTAR−K(Me1)−STGGKAPR(配列番号96)[3〜17 H3K9(Me1)]
TKQTAR−K(Me2)−STGGKAPR(配列番号97)[3〜17 H3K9(Me2)]
TKQTAR−K(Me3)−STGGKAPR(配列番号98)[3〜17 H3K9(Me3)]
KSTGG−K(Ac)−APRKQ(配列番号99)[9〜19 H3K14(Ac)]
QTARKSTGGKAPRKQLASK(配列番号100)[5〜23]
APRKQLATKAARKSAPATGGVKKPH(配列番号101)[15〜39]
ATKAARKSAPATGGVKKPHRYRPG(配列番号102)[21〜44]
KAARKSAPA(配列番号103)[23〜31]
KAARKSAPATGG(配列番号104)[23〜34]
KAARKSAPATGGC(配列番号105)[23〜34 Cys]
KAAR−K(Ac)−SAPATGG(配列番号106)[H3K27(Ac)]
KAAR−K(Me1)−SAPATGG(配列番号107)[H3K27(Me1)]
KAAR−K(Me2)−SAPATGG(配列番号108)[H3K27(Me2)]
KAAR−K(Me3)−SAPATGG(配列番号109)[H3K27(Me3)]
AT−K(Ac)−AARKSAPSTGGVKKPHRYRPG(配列番号110) [21〜44 H3K23(Ac)]
ATKAARK−pS−APATGGVKKPHRYRPG(配列番号111)[21〜44 pS28]
ARTKQTARKSTGGKAPRKQLATKAARKSAPATGGV(配列番号112)[1〜35]
STGGV−K(Me1)−KPHRY(配列番号113)[31〜41 H3K36(Me1)]
STGGV−K(Me2)−KPHRY(配列番号114)[31〜41 H3K36(Me2)]
STGGV−K(Me3)−KPHRY(配列番号115)[31〜41 H3K36(Me3)]
GTVALREIRRYQ−K(Ac)−STELLIR(配列番号116)[44〜63 H3K56(Ac)]
ARTKQTARKSTGGKAPRKQLATKAARKSAPATGGVKKPHRYRPGTVALRE(配列番号117)[1〜50]
TELLIRKLPFQRLVREIAQDF−K(Me1)−TDLRFQSAAI(配列番号118)[H3K79(Me1)]
EIAQDFKTDLR(配列番号119)[73〜83]
EIAQDF−K(Ac)−TDLR(配列番号120)[73〜83 H3K79(Ac)]
EIAQDF−K(Me3)−TDLR(配列番号121)[73〜83 H3K79(Me3)]
RLVREIAQDFKTDLRFQSSAV(配列番号122)[69〜89]
RLVREIAQDFK−(Me1)−TDLRFQSSAV(配列番号123)[69〜89 H3K79(Me1)、アミド]
RLVREIAQDFK−(Me2)−TDLRFQSSAV(配列番号124)[69〜89 H3K79(Me2)、アミド]
RLVREIAQDFK−(Me3)−TDLRFQSSAV(配列番号125)[69〜89 H3K79(Me3)、アミド]
KRVTIMPKDIQLARRIRGERA(配列番号126)[116〜136]
MARTKQTARKSTGGKAPRKQLATKVARKSAPATGGVKKPHRYRPGTVALREIRRYQKSTELLIRKLPFQRLMREIAQDFKTDLRFQSSAVMALQEACESYLVGLFEDTNLCVIHAKRVTIMPKDIQLARRIRGERA(配列番号127)[1〜136]
【0224】
H4
SGRGKGG(配列番号128)[1〜7]
RGKGGKGLGKGA(配列番号129)[4〜12]
SGRGKGGKGLGKGGAKRHRKV(配列番号130)[1〜21]
KGLGKGGAKRHRKVLRDNWC−NH2(配列番号131)[8〜25 WC、アミド]
SGRG−K(Ac)−GG−K(Ac)−GLG−K(Ac)−GGA−K(Ac)−RHRKVLRDNGSGSK(配列番号132)[1〜25 H4K5,8,12,16(Ac)]
SGRGKGGKGLGKGGAKRHRK−NH2(配列番号133)[1〜20 H4 PRMT7(タンパク質アルギニンメチルトランスフェラーゼ7)基質、M1]
SGRG−K(Ac)−GGKGLGKGGAKRHRK(配列番号134)[1〜20 H4K5(Ac)]
SGRGKGG−K(Ac)−GLGKGGAKRHRK(配列番号135)[1〜20 H4K8(Ac)]
SGRGKGGKGLG−K(Ac)−GGAKRHRK(配列番号136)[1〜20 H4K12(Ac)]
SGRGKGGKGLGKGGA−K(Ac)−RHRK(配列番号137)[1〜20 H4K16(Ac)]
KGLGKGGAKRHRKVLRDNWC−NH2(配列番号138)[1〜25 WC、アミド]
MSGRGKGGKGLGKGGAKRHRKVLRDNIQGITKPAIRRLARRGGVKRISGLIYEETRGVLKVFLENVIRDAVTYTEHAKRKTVTAMDVVYALKRQGRTLYGFGG(配列番号139)[1〜103]
を含むが、これらに限定されない。
【0225】
このように、本発明のカチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチドは、配列番号62〜139のいずれかで示されたアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含みうる。一部の場合、本発明のカチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチドは、配列番号62〜139のいずれかで示されたアミノ酸配列と80%以上の配列同一性(例.85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。一部の場合、本発明のカチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチドは、配列番号62〜139のいずれかで示されたアミノ酸配列と90%以上の配列同一性(例.95%以上、98%以上、99%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。カチオン性ポリペプチドは、任意の好都合な修飾を含むことが可能で、多数のこのような想定された修飾、例えば、メチル化、アセチル化、クロトニル化、ユビキチニル化、リン酸化、SUMO化、ファルネシル化、硫酸化などについては、上述されている。
【0226】
一部の場合、カチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチドは、配列番号94で示されたアミノ酸配列と80%以上の配列同一性(例.85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。一部の場合、カチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチドは、配列番号94で示されたアミノ酸配列と95%以上の配列同一性(例.98%以上、99%以上又は100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。一部の場合、カチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチドは、配列番号94で示されたアミノ酸配列を含む。一部の場合、カチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチドは、ヒトヒストン3タンパク質の最初の25アミノ酸を含み、リシン4においてトリメチル化された(例えば一部の場合、C末端がアミド化された)H3K4(Me3)(配列番号95)により表される配列を含む。
【0227】
一部の態様では、カチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチド(例えば、ヒストン又はHTP(例.H1、H2、H2A、H2AX、H2B、H3又はH4))は、カチオン性(又は一部の場合、アニオン性)アミノ酸ポリマー、リンカー、NLS、及び/又は他のカチオン性ポリペプチドとのコンジュゲーション(例えば一部の場合、分枝状ヒストン構造を形成する)を促進しうるシステイン残基を含む。例えば、システイン残基はスルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)及び/又はアミン反応性化学反応を介する架橋(コンジュゲーション)のために使用されうる。一部の場合、システイン残基は内部システイン残基である。一部の場合、システイン残基はN末端及び/又はC末端に位置する。一部の場合、カチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチド(例えば、ヒストン又はHTP(例.H1、H2、H2A、H2AX、H2B、H3又はH4))は、システイン残基を付加する突然変異(例.挿入又は置換)を含む。システインを含むHTPの例は、
CKATQASQEY(配列番号140)−H2AXから
ARTKQTARKSTGGKAPRKQLAC(配列番号141)−H3から
ARTKQTARKSTGGKAPRKWC(配列番号142)
KAARKSAPATGGC(配列番号143)−H3から
KGLGKGGAKRHRKVLRDNWC(配列番号144)−H4から
MARTKQTARKSTGGKAPRKQLATKVARKSAPATGGVKKPHRYRPGTVALREIRRYQKSTELLIRKLPFQRLMREIAQDFKTDLRFQSSAVMALQEACESYLVGLFEDTNLCVIHAKRVTIMPKDIQLARRIRGERA(配列番号145)−H3から
を含むが、これらに限定されない。
【0228】
一部の態様では、カチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチド(例えば、ヒストン又はHTP(例.H1、H2、H2A、H2AX、H2B、H3又はH4))は、本発明のナノ粒子のコアのカチオン性(及び/又はアニオン性)アミノ酸ポリマーへとコンジュゲートされる。例として述べると、ヒストン又はHTPは、例えば、ポリマーのリシンのピリジルジスルフィド基がヒストン又はHTPのシステインへのジスルフィド結合で置換されたシステイン残基を介して、カチオン性アミノ酸ポリマー(例.ポリ(リシン)を含むカチオン性アミノ酸ポリマー)へとコンジュゲートされうる。
【0229】
修飾/分枝構造
一部の態様では、本発明のカチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチドは、直鎖構造を有する。一部の態様では、本発明のカチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチドは分枝構造を有する。
【0230】
例えば一部の場合、カチオン性ポリペプチド(例えばHTP(例.システイン残基を伴うHTP))は、(例えばそのC末端において)カチオン性ポリマー(例.ポリ(L-アルギニン)、ポリ(D-リシン)、ポリ(L-リシン)、ポリ(D-リシン))の末端にコンジュゲートし、これにより、拡張型直鎖状ポリペプチドを形成する。一部の場合、1つ以上(2つ以上、3つ以上など)のカチオン性ポリペプチド(例えばHTP(例.システイン残基を伴うHTP))は、(例えばそれらのC末端において)カチオン性ポリマー(例.ポリ(L-アルギニン)、ポリ(D-リシン)、ポリ(L-リシン)、ポリ(D-リシン))の末端にコンジュゲートし、これにより、拡張型直鎖状ポリペプチドを形成する。一部の場合、カチオン性ポリマーは分子量が4,500〜150,000Daである。
【0231】
別の例として述べると、一部の場合、1つ以上(2つ以上、3つ以上など)のカチオン性ポリペプチド(例えばHTP(例.システイン残基を伴うHTP))は、(例えばそれらのC末端において)カチオン性ポリマー(例.ポリ(L-アルギニン)、ポリ(D-リシン)、ポリ(L-リシン)、ポリ(D-リシン))の側鎖にコンジュゲートし、これにより、分枝構造(分枝状ポリペプチド)を形成する。ナノ粒子のコアの構成要素(例えば本発明のカチオン性ポリペプチド組成物の構成要素)による分枝構造の形成は、一部の場合、達成されうるコアの凝縮(例.核酸ペイロードの凝縮)の量を増大させうる。したがって一部の場合、分枝構造を形成する構成要素を使用することが所望される。多様な種類の分枝構造が、目的の分枝構造であり、生成されうる(例えば、本発明のカチオン性ポリペプチド、例えば、HTP、例えば、システイン残基を伴うHTP;ペプトイド、ポリアミドなどを使用して)分枝構造の例は、ブラシポリマー、ウェブ(例えば、スパイダーウェブ)、グラフトポリマー、星形ポリマー、櫛形ポリマー、ポリマーネットワーク、デンドリマーなどを含むが、これらに限定されない。
【0232】
一部の場合、分枝構造は、2〜30のカチオン性ポリペプチド(例えばHTP)(例えば、2〜25、2〜20、2〜15、2〜10、2〜5、4〜30、4〜25、4〜20、4〜15又は4〜10のカチオン性ポリペプチド)を含み、ここで、各カチオン性ポリペプチドは、分枝構造の他のカチオン性ポリペプチドと同じ場合もあり、異なる場合もある。一部の場合、カチオン性ポリマーの分子量は4,500〜150,000Daである。一部の場合、カチオン性ポリマー(例.ポリ(L-アルギニン)、ポリ(D-リシン)、ポリ(L-リシン)、ポリ(D-リシン))の側鎖のうちの5%以上(例.10%以上、20%以上、25%以上、30%以上、40%以上又は50%以上)は、本発明のカチオン性ポリペプチド(例えばHTP(例.システイン残基を伴うHTP))とコンジュゲートする。一部の場合、カチオン性ポリマー(例.ポリ(L-アルギニン)、ポリ(D-リシン)、ポリ(L-リシン)、ポリ(D-リシン))の側鎖のうちの50%以下(例.40%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下又は5%以下)は、本発明のカチオン性ポリペプチド(例えばHTP(例.システイン残基を伴うHTP))とコンジュゲートする。したがって、HTPはカチオン性アミノ酸ポリマーのようなポリマーの骨格から分枝していることがある。
【0233】
一部の場合、分枝構造の形成は、構成要素、例えば、ペプトイド(ポリペプトイド)、ポリアミド、デンドリマーなどを使用して促進することができる。例えば一部の場合、ペプトイド(例.ポリペプトイド)は、例えば一部の場合、ナノ粒子のコアの凝縮を促進することが可能かウェブ(例.スパイダーウェブ)構造を生成するために、ナノ粒子のコアの構成要素として使用される。
【0234】
本明細書における天然又は修飾ポリペプチド配列のうちの1つ又は複数は、末端に又は間欠的に、アルギニン、リシン又はヒスチジン配列で修飾されてもよい。一態様では、各ポリペプチドは、ナノ粒子のコア内に等しいアミンモル濃度で組み入れられる。この態様では、各ポリペプチドのC末端は5R(5つのアルギニン)で修飾されうる。一部の態様では、各ポリペプチドのC末端は9R(9つのアルギニン)で修飾されうる。一部の態様では、各ポリペプチドのN末端は5R(5つのアルギニン)で修飾されうる。一部の態様では、各ポリペプチドのN末端は9R(9つのアルギニン)で修飾されうる。一部の場合、H2A、H2B及び/又はH4のヒストン断片(例.HTP)は、各々、FKFLであるカテプシンBタンパク質分解性切断ドメイン、又はRGFFPであるカテプシンDタンパク質分解性切断ドメインと直列に架橋される。一部の場合、H2A、H2B及び/又はH4のヒストン断片(例.HTP)は、5R(5つのアルギニン)、9R(9つのアルギニン)、5K(5つのリシン)、9K(9つのリシン)、5H(5つのヒスチジン)又は9H(9つのヒスチジン)のカチオン性スペーサードメインにより直列に架橋されうる。一部の場合、1つ以上のH2A、H2B及び/又はH4のヒストン断片(例.HTP)は、それらのN末端でプロタミンとジスルフィド架橋する。
【0235】
分枝状ヒストン構造をどのように生成するのかを例示するために、代表的な調製法が提示される。このような方法のうちの1つの例は、以下を含む:等モル比のヒストンH2AX[134〜143]、ヒストンH3[1〜21のCys]、ヒストンH3[23〜34のCys]、ヒストンH4[8〜25のWC]、及びSV40 T−Ag抗原由来NLSの共有結合的修飾は、10%のピリジルジスルフィドで修飾されたポリ(L-リシン)[MW=5400、18000又は45000Da;n=30、100又は250]を伴う反応において実施することができる。典型的な反応では、700μMのCys修飾ヒストン/NLS(20nmol)の29μL水溶液を0.2Mのリン酸緩衝液(pH8.0)57μLに添加することができる。次いで、第2に、100μMのピリジルジスルフィド保護ポリ(リシン)溶液14μLをヒストン溶液に添加し、ピリジルジスルフィド基対システイン残基の比を1:2として、最終容量を100μLとすることができる。この反応は、室温で3時間行うことができる。反応を4回繰り返すことができ、343nmにおけるピリジン-2-チオンの吸光度を介してコンジュゲーションの程度を決定することができる。
【0236】
別の例として述べると、0:1、1:4、1:3、1:2、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:0のモル比のヒストンH3[1〜21のCys]ペプチド及びヒストンH3[23〜34のCys]ペプチドの共有結合的修飾を、10%のピリジルジスルフィドで修飾されたポリ(L-リシン)又はポリ(L-アルギニン)[MW=5400、18000又は45000Da;n=30、100又は250]を伴う反応において実施することができる。典型的な反応では、700μMのCys修飾ヒストン(20nmol)の29μL水溶液を0.2Mのリン酸緩衝液(pH8.0)57μLに添加することができる。次いで、第2に、100μMのピリジルジスルフィド保護ポリ(リシン)溶液14μLをヒストン溶液に添加し、ピリジルジスルフィド基対システイン残基の比を1:2として、最終容量を100μLとすることができる。この反応は、室温で3時間行うことができる。反応を4回繰り返すことができ、343nmにおけるピリジン-2-チオンの吸光度を介して、コンジュゲーションの程度を決定することができる。
【0237】
一部の場合、アニオン性ポリマーはターゲティングリガンドへとコンジュゲートされる。
【0238】
核局在化配列(NLS)
一部の態様では、カチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチド(例えば、ヒストン又はHTP(例.H1、H2、H2A、H2AX、H2B、H3又はH4))は、1つ以上(例.2つ以上、3つ以上又は4つ以上)の核局在化配列(NLS)を含む(及び/又はこれとコンジュゲートする)。したがって一部の場合、本発明のナノ粒子のカチオン性ポリペプチド組成物はNLSを含むペプチドを含む。一部の場合、本発明のナノ粒子のヒストンタンパク質(又はHTP)は、1つ以上(例.2つ以上、3つ以上)の天然の核局在化シグナル(NLS)を含む。一部の場合、本発明のナノ粒子のヒストンタンパク質(又はHTP)は、ヒストンタンパク質に対して異種である1つ以上(例.2つ以上、3つ以上)のNLSを含む(すなわち、天然ではヒストン/HTPの一部として生じないNLSであり、例えばNLSはヒトにより付加されうる)。一部の場合、HTPはN及び/又はC末端にNLSを含む。
【0239】
一部の態様では、カチオン性ポリマー組成物のカチオン性アミノ酸ポリマー(例.ポリ(アルギニン)(PR)、ポリ(リシン)(PK)、ポリ(ヒスチジン)(PH)、ポリ(オルニチン)、ポリ(シトルリン)、ポリ(D-アルギニン)(PDR)、ポリ(D-リシン)(PDK)、ポリ(D-ヒスチジン)(PDH)、ポリ(D-オルニチン)、ポリ(D-シトルリン)、ポリ(L-アルギニン)(PLR)、ポリ(L-リシン)(PLK)、ポリ(L-ヒスチジン)(PLH)、ポリ(L-オルニチン)又はポリ(L-シトルリン))は、1つ以上(例.2つ以上、3つ以上又は4つ以上)のNLSを含む(及び/又はこれとコンジュゲートする)。一部の場合、カチオン性アミノ酸ポリマーはN及び/又はC末端にNLSを含む。一部の場合、カチオン性アミノ酸ポリマーは内部NLSを含む。
【0240】
一部の態様では、アニオン性ポリマー組成物のアニオン性アミノ酸ポリマー(例.ポリ(グルタミン酸)(PEA)、ポリ(アスパラギン酸)(PDA)、ポリ(D-グルタミン酸)(PDEA)、ポリ(D-アスパラギン酸)(PDDA)、ポリ(L-グルタミン酸)(PLEA)、又はポリ(L-アスパラギン酸)(PLDA))は、1つ以上(例.2つ以上、3つ以上又は4つ以上)のNLSを含む(及び/又はこれとコンジュゲートする)。一部の場合、アニオン性アミノ酸ポリマーはN及び/又はC末端にNLSを含む。一部の場合、アニオン性アミノ酸ポリマーは内部NLSを含む。
【0241】
任意の好都合なNLSが使用されうる(例えば、ヒストン、HTP、カチオン性アミノ酸ポリマー、アニオン性アミノ酸ポリマーなどへとコンジュゲートされうる)。例は、クラス1及びクラス2の「単節型NLS」のほか、クラス3〜5のNLS(例えば、Kosugi et al., J Biol Chem. 2009 Jan 2;284(1):478-85から転載した図7参照)を含むが、これらに限定されない。一部の場合、NLSは式:(K/R)(K/R)X10−12(K/R)3−5を有する。一部の場合、NLSは式:K(K/R)X(K/R)を有する。
【0242】
一部の態様では、カチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチドは、1つ以上(例.2つ以上、3つ以上又は4つ以上)のNLSを含む。一部の場合、カチオン性ポリペプチドはヒストンタンパク質又はヒストン断片(例.HTP)ではない。したがって一部の場合、カチオン性ポリペプチド組成物のカチオン性ポリペプチドはNLS含有ペプチドである。
【0243】
一部の場合、NLS含有ペプチドは、カチオン性(又は一部の場合アニオン性)アミノ酸ポリマー、リンカー、HTPの場合のヒストンタンパク質、及び/又は他のカチオン性ポリペプチド(例えば一部の場合、分枝状ヒストン構造の一部としての)とのコンジュゲーションを促進するシステイン残基を含む。例えば、システイン残基は、スルフヒドリル化学反応(例.ジスルフィド結合)及び/又はアミン反応性化学反応を介する架橋(コンジュゲーション)のために使用されうる。一部の場合、システイン残基は内部に存在する。一部の場合、システイン残基はN末端及び/又はC末端に位置する。一部の場合、カチオン性ポリペプチド組成物のNLS含有ペプチドは、システイン残基を付加する突然変異(例.挿入又は置換)(例えば野生型アミノ酸配列と比べた)を含む。
【0244】
NLS含有ペプチド(又は任意の好都合なカチオン性ポリペプチド、例えば、HTP又はカチオン性ポリマー又はカチオン性アミノ酸ポリマー又はアニオン性アミノ酸ポリマーへとコンジュゲートされたNLS)として使用されうるNLSの例は、
PKKKRKV(配列番号151)(T−ag NLS)
PKKKRKVEDPYC(配列番号152)−SV40 T−Ag由来NLS
PKKKRKVGPKKKRKVGPKKKRKVGPKKKRKVGC(配列番号153)(NLS SV40)
CYGRKKRRQRRR(配列番号154)−システインTATのN末端システイン
CSIPPEVKFNKPFVYLI(配列番号155)
DRQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号156)
PKKKRKVEDPYC(配列番号157)−SV40 T−Ag由来NLSのC末端システイン
PAAKRVKLD(配列番号158)[cMyc NLS]
を含むが、これらに限定されない(これらの一部がシステイン残基を含む)。
【0245】
使用されうるNLSの非限定的な例については、例えば、Kosugi et al., J Biol Chem. 2009 Jan 2;284(1):478-85、本明細書の図7を参照。
【0246】
ミトコンドリア局在化シグナル
一部の態様では、本発明のナノ粒子のカチオン性ポリペプチド(例えば、ヒストン又はHTP(例.H1、H2、H2A、H2AX、H2B、H3又はH4))、アニオン性ポリマー、及び/又はカチオン性ポリマーは、1つ以上(例.2つ以上、3つ以上又は4つ以上)のミトコンドリア局在化配列を含む(及び/又はこれとコンジュゲートする)。任意の好都合なミトコンドリア局在化配列が使用されうる。ミトコンドリア局在化配列の例は、PEDEIWLPEPESVDVPAKPISTSSMMMP(配列番号149)、SDHBのミトコンドリア局在化配列、モノ/ジ/トリフェニルホスホニウム又は他のホスホニウム、VAMP 1A、VAMP 1B、DGAT2のN末端の67アミノ酸、及びBaxのN末端の20アミノ酸を含むが、これらに限定されない。
【0247】
送達
上述したように、一部の態様では、本発明の方法は、ゲノムDNA内の2か所の各々において付着型切断を生成することを含む。一部の場合、付着型切断を生成するために、部位特異的ヌクレアーゼ(1つ以上の部位特異的ヌクレアーゼ)(又はこれをコードする核酸、例えば1つ以上の核酸)が標的細胞に導入される。標的細胞がin vivoにおいて存在する場合、これは、適切な構成要素(例えば1つ以上の送達媒体の一部としての)を個体へと投与することにより達せられうる。一部の場合、標的細胞は、部位特異的ヌクレアーゼをコードするDNAを含み、本発明の方法の「生成する」工程は、部位特異的ヌクレアーゼの発現を誘導することを含む。
【0248】
したがって一部の場合、本発明の方法は、部位特異的ヌクレアーゼ(例.1つ以上の部位特異的ヌクレアーゼ)を(例えば、個体への投与を介して、トランスフェクションを介して、ナノ粒子を介して、送達分子を介するなどして)標的細胞に導入することを含む。一部の場合、このような方法は、1つ以上の部位特異的ヌクレアーゼをコードする核酸(例.RNA又はDNA)を細胞に導入することを含む。同様に、一部の場合、本発明の方法は、直鎖状の二本鎖ドナーDNAを(例えば、個体への投与を介して、トランスフェクションを介して、ナノ粒子を介して、送達分子を介するなどして)標的細胞に導入することを含む。一部の場合、ドナーDNA及び部位特異的ヌクレアーゼ(又はこれをコードする核酸)は、同じ送達媒体(例.ナノ粒子、送達分子など)の一部として細胞に導入される。構成要素(ドナーDNA、及び1つ以上の部位特異的ヌクレアーゼ(又はこれをコードする1つ以上の核酸))は、任意の所望の標的細胞、例えば真核細胞に送達されうる。
【0249】
一部の場合、標的細胞はin vitroであり(例えば細胞は培養物中にある)、例えば、細胞は確立された組織培養物細胞系の細胞でありうる。一部の場合、標的細胞はex vivoである(例えば、細胞は個体(例.患者)から単離された初代細胞(又は継代数の若い子孫細胞)である)。一部の場合、標的細胞はin vivoであり、したがって生物の内部にある(生物の一部である)。
【0250】
例えば、送達媒体のペイロードとしてのドナーDNA及び/又は1つ以上の部位特異的ヌクレアーゼ(又はこれをコードする1つ以上の核酸)は、以下の経路:全身、局所、非経口、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、頭蓋内(i.c.)、脊髄内、眼内、皮内(i.d.)、筋内(i.m.)、リンパ内(i.l.)又は脊髄液内のうちのいずれかを介して、対象へと導入され(すなわち個体へと投与され)てもよい。構成要素は、注入(例.全身注入、直接的な局所注入、腫瘍及び/若しくは腫瘍切除部位又はこれらの近傍への局所注射など)、カテーテルなどにより導入されてもよい。局所送達(例.腫瘍及び/又はがんの部位への送達)のための方法の例は、例えば、シリンジによる、例えば、関節、腫瘍若しくは臓器、又は関節、腫瘍若しくは臓器の近傍への、例えばボーラス注入(injection)により;例えば対流を伴う、例えばカニューレ留置による、例えば連続注入(infusion)による送達を含む(例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0254842号参照)。
【0251】
対象への投与回数は変動してもよい。例えば、送達媒体のペイロードとしてのドナーDNA及び/又は1つ以上の部位特異的ヌクレアーゼ(又はこれをコードする1つ以上の核酸)の個体への導入は、1回のイベントであってもよいが;ある特定の状況では、このような治療は、限定的な期間改善を誘発し、反復的な治療のシリーズの続行を要求してもよい。他の状況では、効果が観察される前に、ドナーDNA及び/又は1つ以上の部位特異的ヌクレアーゼ(又はこれをコードする1つ以上の核酸)の複数回の投与が要求されてもよい。当業者に容易に理解されるように、正確なプロトコールは、疾患又は状態、病期及び治療される個体についてのパラメータに依存する。
【0252】
「治療有効量」又は「治療用量」とは、所望の治療結果(すなわち治療的効能を達成する)をもたらすのに十分な量である。治療有効量は1回以上の投与で投与されうる。ドナーDNA及び/又は1つ以上の部位特異的ヌクレアーゼ(又はこれをコードする1つ以上の核酸)の治療有効量は、個体に投与した場合に、本発明の目的でにおいて疾患状態/障害を緩和する、改善する、安定化させる、抑制する、防止する、進行を緩徐にする、又は遅らせるのに十分な量である。
【0253】
代表的な治療介入は、宿主ゲノムへと組み込まれた任意のレトロウイルスDNAの除去に加えて、HIV感染に対する抵抗性を作製する治療介入である。T細胞はHIVの影響を直接に受けるので、CD34+/CD45+細胞に対するハイブリッドの血液ターゲティング戦略が探索されてもよい。例えば、効果的な治療介入は、HSC及びT細胞を同時にターゲティングし、複数の誘導型ヌクレアーゼ(例えば単一の粒子内で)を介し、CCR5−Δ32及びgag/rev/pol遺伝子に対して除去を施す(及び置きかえ配列を送達する)ことを含みうる。
【0254】
一部の場合、標的細胞は、哺乳動物細胞(例.齧歯動物細胞、マウス細胞、ラット細胞、有蹄動物細胞、ウシ細胞、ヒツジ細胞、ブタ細胞、ウマ細胞、ラクダ細胞、ウサギ細胞、イヌ科動物(イヌ)細胞、ネコ科動物(ネコ)細胞、霊長動物細胞、非ヒト霊長動物細胞、ヒト細胞)である。任意の細胞がターゲティングされる場合があり、一部の場合、特定の細胞の特異的ターゲティングは、ターゲティングリガンド(例えば、ナノ粒子の表面コートの一部としての、送達分子の一部としての)の存在に依存し、この場合、ターゲティングリガンドは特定の細胞への結合のターゲティングをもたらす。例えば、ターゲティングされうる細胞は、骨髄細胞、造血幹細胞(HSC)、長期HSC、短期HSC、造血幹/前駆細胞(HSPC)、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄系前駆細胞、リンパ系前駆細胞、T細胞、B細胞(例えば、CD19、CD20、CD22のターゲティングを介する)、NKT細胞、NK細胞、樹状細胞、単球、顆粒球、赤血球、巨核細胞、マスト細胞、好塩基球、好酸球、好中球、マクロファージ(例えば、SIRPα−模倣体ペプチドを介する、CD47のターゲティングを介する)、赤血球系前駆細胞(例.HUDEP細胞)、巨核細胞−赤血球系前駆細胞(MEP)、骨髄系共通前駆細胞(CMP)、複能性前駆細胞(MPP)、造血幹細胞(HSC)、短期HSC(ST−HSC)、IT−HSC、長期HSC(LT−HSC)、内皮細胞、ニューロン、星状細胞、膵細胞、膵島β細胞、筋肉細胞、骨格筋細胞、心筋細胞、肝細胞、脂肪細胞、腸細胞、結腸細胞及び胃細胞を含むが、これらに限定されない。
【0255】
多様な適用(例えば、ニューロン、膵臓細胞、造血幹細胞及び複能性前駆細胞などをターゲティングするための)の例については、例えばターゲティングリガンドの文脈において上述されている。例えば、造血幹細胞及び複能性前駆細胞は、in vivoにおける遺伝子編集(例えば挿入)のためにターゲティングされうる。in vivoにおける骨髄細胞のうちの1%(細胞約150億個)の編集であってもなお、ex vivo療法より多くの細胞(細胞約100億個)をターゲティングすることになろう。別の例として述べると、膵臓細胞(例.膵島β細胞)は、例えば、膵臓がんを治療し、糖尿病などを治療するのにターゲティングされうる。別の例として述べると、脳内の体細胞、例えばニューロンがターゲティングされうる(例えば適応症、例えばハンチントン病、パーキンソン病(例.LRRK2突然変異)及びALS(例.SOD1突然変異)を治療するのに)。一部の場合、これは直接的な頭蓋内注入を介して達成されうる。
【0256】
別の例として述べると、内皮細胞及び造血系の細胞(例えば、巨核細胞及び/又は巨核細胞の祖型である、任意の前駆細胞、例えば、巨核細胞−赤血球系前駆細胞(MEP)、骨髄系共通前駆細胞(CMP)、複能性前駆細胞(MPP)、造血幹細胞(HSC)、短期HSC(ST−HSC)、IT−HSC、長期HSC(LT−HSC)(例えば図8))は、フォンウィレブラント病を治療するのに本発明のナノ粒子(又は本発明のウイルス性又は非ウイルス性の送達媒体)によりターゲティングされうる。例えば、フォンウィレブラント因子(VWF)をコードする遺伝子内に突然変異を保有する細胞(例えば、内皮細胞、巨核細胞及び/又は巨核細胞の祖型である、任意の前駆細胞、例えば、MEP、CMP、MPP、HSC、例えば、ST−HSC、IT−HSC、及び/又はLT−HSC)は、例えば、置きかえ配列を導入する(例えばドナーDNAの送達を介する)ことにより、突然変異を導入された遺伝子を編集する(かつこれを補正する)ために(in vitro、ex vivo、in vivoにおいて)ターゲティングされうる。上記の場合のうちの一部において(例えば、フォンウィレブラント病の治療に関する場合、VWFをコードする遺伝子内に突然変異を保有する細胞のターゲティングに関する場合に)、本発明のターゲティングリガンドはE-セレクチンに対する結合を提供する。
【0257】
本発明の方法及び組成物は、ゲノム内の突然変異のような既知の突然変異に連関する任意の数の疾患を治療するのに使用することができる。例えば、本発明の方法及び組成物は、鎌状赤血球病、βサラセミア、HIV、骨髄異形成症候群、JAK2媒介性真性多血症、JAK2媒介性原発性骨髄線維症、JAK2媒介性白血病及びさまざまな血液障害の治療に使用することができる。また、他の例としては、本発明の方法及び組成物は、B細胞抗体の生成、免疫療法(例えば、チェックポイント遮断剤の送達)及び幹細胞の分化にも使用することができる。
【0258】
一部の態様では、ターゲティングリガンドは、KLS CD27+/IL−7Ra−/CD150+/CD34−造血幹/前駆細胞(HSPC)に対する結合を提供する。例えば、β−グロビン(HBB)遺伝子は、変更されたE7V置換を適切なドナーDNA分子で補正するように直接ターゲティングされてもよい。1つの例として述べると、CRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチド(例.Cas9、CasX、CasY、Cpf1)は、それがHBB遺伝子内の座位に結合し、ゲノム内の2か所で付着末端型切断を作製し、導入されるドナーDNAの挿入を誘発するように、適切なガイドRNAと共に送達されうる。一部の場合、ドナーDNA分子(一本鎖又は二本鎖)が導入される(ペイロードの一部として)場合もあり、これが14〜30日間放出される一方で、ガイドRNA/CRISPR/Casタンパク質複合体(リボ核タンパク質複合体)は1〜7日間放出されうる。
【0259】
一部の態様では、ターゲティングリガンドは、T細胞受容体を修飾するためにCD4+又はCD8+ T細胞、造血幹/前駆細胞(HSPC)又は末梢血単核細胞(PBMC)に対する結合を提供する。例えば、遺伝子編集ツール(本明細書の別の箇所で説明する)は、T細胞受容体を修飾するために導入されうる。T細胞受容体は直接ターゲティングされ、新規のT細胞受容体のための対応する相同性指向修復用のドナーDNA分子で置換されてもよい。1つの例として述べると、CRISPR/Cas RNA誘導型ポリペプチド(例.Cas9、CasX、CasY、Cpf1)は、それがHBB遺伝子内の座位に結合し、ゲノム内の2か所で付着末端型切断を作製し、導入されるドナーDNAの挿入を誘発するように、適切なガイドRNAと共に送達されうる。本開示に従い、β-グロビン、CCR5、T細胞受容体若しくは他の目的遺伝子をターゲティングする他のCRISPRガイドRNA及びドナー配列並びに/又は他の発現ベクターを使用してもよいことは当業者に明らかである。
【0260】
一部の場合、本発明の方法は、T細胞受容体(TCR)をコードし、一部の場合、約100のドメインと定常領域がV(D)J領域から約100,000塩基対以上隔てられた1,000,000もの塩基対を有する座位をターゲティングするのに使用される。一部の場合、ドナーDNAの挿入は、T細胞受容体(TCR)タンパク質をコードするヌクレオチド配列内で生じる。一部のこのような場合には、ドナーDNAは、TCRタンパク質のCDR1、CDR2又はCDR3領域のアミノ酸をコードする。例えば、Dash et al., Nature. 2017 Jul 6;547(7661):89-93. Epub 2017 Jun 21及びGlanville et al., Nature. 2017 Jul 6;547(7661):94-98. Epub 2017 Jun 21.参照。
【0261】
一部の場合、本発明の方法は、遺伝子をそれらがゲノム操作に対するフェイルセーフとしての特異的エンハンサーの制御下(これとの作動可能な連結下)に置かれるように挿入するのに使用される。挿入が失敗しても、後続の遺伝子をもたらすエンハンサーが破壊され、任意の可能なインデルが発現する可能性は低い。遺伝子の挿入が成功すれば、その末端に終止コドンを伴い、特にマルチパートの遺伝子、例えばTCR座位に有用な新たな遺伝子が挿入されうる。一部の場合、本発明の方法は、キメラ抗原受容体(CAR)若しくは他の構築物をT細胞に挿入するか、又は、B細胞に特異的抗体若しくは抗体代替物(例.ナノボディー、サメ抗体など)を作製するのに使用することができる。
【0262】
一部の場合、ドナーDNAは、キメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列を含む。一部のこのような場合には、ドナーDNAの挿入は、CARをコードするヌクレオチド配列の内因性T細胞プロモーターへの作動可能な連結を結果としてもたらす(すなわち、CARの発現は内因性プロモーターの制御下に置かれる)。一部の場合、ドナーDNAは、プロモーターに作動可能に連結しキメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列を含む(かつ、これにより、挿入されたCARはドナーDNA上に存在したプロモーターの制御下に置かれる)。
【0263】
一部の場合、ドナーDNAは、膜に結合し細胞外に提示される細胞特異的ターゲティングリガンドをコードするヌクレオチド配列を含む。一部の場合、前記ドナーDNAの挿入は、細胞特異的ターゲティングリガンドをコードするヌクレオチド配列の内因性プロモーターへの作動可能な連結を結果としてもたらす。一部の場合、ドナーDNAは、膜に結合し細胞外に提示される細胞特異的ターゲティングリガンドをコードする配列に作動可能に連結するプロモーター(かつ、これにより、ドナーDNAの挿入の後で、膜に結合したターゲティングリガンドの発現は、ドナーDNA上に存在したプロモーターの制御下に置かれる)を含む。
【0264】
一部の態様では、ドナーDNAの挿入は、T細胞受容体(TCR)α又はδサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じる。一部の場合、ドナーDNAの挿入は、TCRβ又はγサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じる。一部の場合、本発明の方法及び/又は組成物は2つのドナーDNAを含む。一部のこのような場合には、1つのドナーDNAの挿入はT細胞受容体(TCR)α又はδサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入はT細胞受容体(TCR)β又はγサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じる。
【0265】
一部の態様では、ドナーDNAの挿入は、T細胞受容体(TCR)α又はδサブユニットの定常領域をコードするヌクレオチド配列内で生じる。一部の場合、ドナーDNAの挿入は、T細胞受容体(TCR)β又はγサブユニットの定常領域をコードするヌクレオチド配列内で生じる。一部の場合、本発明の方法及び/又は組成物は2つのドナーDNAを含む。一部のこのような場合には、1つのドナーDNAの挿入はT細胞受容体(TCR)α又はδサブユニットの定常領域をコードするヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入はT細胞受容体(TCR)β又はγサブユニットの定常領域をコードするヌクレオチド配列内で生じる。
【0266】
一部の態様では、ドナーDNAの挿入は、T細胞受容体(TCR)α又はδサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じる。一部の場合、ドナーDNAの挿入は、T細胞受容体(TCR)β又はγサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じる。一部の場合、本発明の方法及び/又は組成物は2つのドナーDNAを含む。一部のこのような場合には、1つのドナーDNAの挿入はT細胞受容体(TCR)α又はδサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入はT細胞受容体(TCR)β又はγサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じる。
【0267】
一部の態様では、ドナーDNAの配列の挿入は、T細胞受容体(TCR)α又はγサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じる。一部の場合、ドナーDNAの配列の挿入は、TCRβ又はδサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じる。一部の場合、本発明の方法及び/又は組成物は2つのドナーDNAを含む。一部のこのような場合には、ドナーDNAの、1つの配列の挿入はT細胞受容体(TCR)α又はγサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じ、ドナーDNAの他の配列はT細胞受容体(TCR)β又はδサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じる。
【0268】
一部の態様では、ドナーDNAの配列の挿入は、T細胞受容体(TCR)α又はγサブユニットの定常領域をコードするヌクレオチド配列内で生じる。一部の場合、ドナーDNAの配列の挿入は、T細胞受容体(TCR)β又はδサブユニットの定常領域をコードするヌクレオチド配列内で生じる。一部の場合、本発明の方法及び/又は組成物は2つのドナーDNAを含む。一部のこのような場合には、ドナーDNAの1つの配列の挿入はT細胞受容体(TCR)α又はγサブユニットの定常領域をコードするヌクレオチド配列内で生じ、ドナーDNAの他の配列はT細胞受容体(TCR)β又はδサブユニットの定常領域をコードするヌクレオチド配列内で生じる。
【0269】
一部の態様では、ドナーDNAの配列の挿入は、T細胞受容体(TCR)α又はγサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じる。一部の場合、ドナーDNAの配列の挿入は、T細胞受容体(TCR)β又はδサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じる。一部の場合、本発明の方法及び/又は組成物は2つのドナーDNAを含む。一部のこのような場合には、ドナーDNAの1つの配列の挿入はT細胞受容体(TCR)α又はγサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じ、ドナーDNAの他の配列の挿入はT細胞受容体(TCR)β又はδサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じる。
【0270】
一部の態様では、ドナーDNAの挿入は、挿入されたドナーDNAのT細胞受容体(TCR)α、β、γ、又はδの内因性プロモーターとの作動可能な連結を結果としてもたらす。一部の場合、ドナーDNAは、挿入の後で、タンパク質をコードする配列がドナーDNA内に存在するプロモーターへの作動可能な連結を維持する(依然としてこの制御下にあり続ける)ように、TCRα、β、γ又はδのプロモーターに作動可能に連結するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。一部の場合、前記ドナーDNAの挿入は、挿入されたドナーDNA(例えば、タンパク質をコードするヌクレオチド配列、例えば、CAR、TCRα、TCRβ、TCRγ、又はTCRδの配列)の、CD3又はCD28プロモーターとの作動可能な連結を結果としてもたらす。一部の場合、ドナーDNAは、プロモーター(例.T細胞特異的プロモーター)に作動可能に連結するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。一部の場合、ドナーDNAの挿入は、挿入されたドナーDNAの内因性プロモーター(例.幹細胞又は体細胞に特異的な内因性プロモーター)との作動可能な連結を結果としてもたらす。一部の場合、ドナーDNAは、レポータータンパク質(例えば、遺伝子編集効率を評価するための、蛍光タンパク質、例えば、GFP、RFP、YFP、CFP、近赤外及び/又は遠赤色レポータータンパク質など)をコードするヌクレオチド配列を含む。一部の場合、ドナーDNAは、イントロンを有さないタンパク質をコードするヌクレオチド配列(例.TCRタンパク質の全体又は一部分をコードするヌクレオチド配列)を含む。
【0271】
一部の場合、本発明の方法(及び/又は本発明の組成物)は、適用のための配列の挿入、例えば、蛍光レポーター(例.蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)/赤色蛍光タンパク質(RFP)/近赤外/遠赤色蛍光タンパク質など)の、例えば任意の目的タンパク質(例.膜貫通タンパク質)の、C及び/又はN末端への挿入のために使用されうる。
【0272】
一部の態様では、ヌクレオチドドナーDNAの配列の細胞のゲノムへの挿入は、挿入された配列の内因性プロモーター(例えば、(i)T細胞特異的プロモーター;(ii)CD3プロモーター;(iii)CD28プロモーター;(iv)幹細胞特異的プロモーター;(v)体細胞特異的プロモーター;(vi)T細胞受容体(TCR)α、β、γ、又はδのプロモーター;(v)B細胞特異的プロモーター;(vi)CD19プロモーター;(vii)CD20プロモーター;(viii)CD22プロモーター;(ix)B29プロモーター;及び(x)T細胞又はB細胞のV(D)J特異的プロモーター)との作動可能な連結を結果としてもたらす。一部の場合、挿入されるインサートドナー組成物のヌクレオチド配列は、プロモーター(例えば、(i)T細胞特異的プロモーター;(ii)CD3プロモーター;(iii)CD28プロモーター;(iv)幹細胞特異的プロモーター;(v)体細胞特異的プロモーター;(vi)T細胞受容体(TCR)α、β、γ、又はδのプロモーター;(v)B細胞特異的プロモーター;(vi)CD19プロモーター;(vii)CD20プロモーター;(viii)CD22プロモーター;(ix)B29プロモーター;及び(x)T細胞又はB細胞のV(D)J特異的プロモーター)に作動可能に連結するタンパク質をコードする配列を含む。
【0273】
一部の態様では、細胞のゲノムへと挿入されるヌクレオチド配列はタンパク質をコードする。任意の好都合なタンパク質(例えば、T細胞受容体(TCR)タンパク質;T細胞受容体(TCR)タンパク質の、CDR1、CDR2、又はCDR3領域;キメラ抗原受容体(CAR);膜に結合し細胞外に提示される細胞特異的ターゲティングリガンド;レポータータンパク質(例.蛍光タンパク質、例えば、GFP、RFP、CFP、YFP、及び遠赤色蛍光発光、近赤外蛍光発光する蛍光タンパク質など)を含むが、これらに限定されない)がコードされうる。一部の態様では、細胞のゲノムへと挿入されるヌクレオチド配列は、多価(例.ヘテロ多価)表面受容体(例えば一部の場合、T細胞が、標的細胞である場合)をコードする。任意の、好都合な、多価受容体が使用される場合があり、非限定的な例は、二特異性若しくは三特異性のCAR及び/若しくはTCR、又は免疫細胞上の他のアフィニティータグを含む。このような挿入は、ターゲティングされた細胞に受容体を発現させるであろう。一部の場合、多価性は個別の受容体を挿入することにより達成され、この場合、挿入された受容体は、ORゲート(一方又は他方が、活性化を誘発する)又はANDゲート(受容体によるシグナル伝達は共刺激性であり、ホモバレントの結合は、細胞、例えば、ターゲティングされたT細胞を活性化させない/刺激しないであろう)として機能する。挿入されたDNAによりコードされるタンパク質(例.CAR、TCR、多価表面受容体)は、それが、CD3、CD8、CD4、CD28、CD90、CD45f、CD34、CD80、CD86、CD19、CD20、CD22、CD47、CD3ε、CD3γ、CD3δ;TCRα、TCRβ、TCRγ、及び/又はTCRδの定常領域;4−1BB、OX40、OX40L、CD62L、ARP5、CCR5、CCR7、CCR10、CXCR3、CXCR4、CD94/NKG2、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2H、NKG2D、NKG2F、NKp44、NKp46、NKp30、DNAM、XCR1、XCL1、XCL2、ILT、LIR、Ly49、IL2R、IL7R、IL10R、IL12R、IL15R、IL18R、TNFα、IFNγ、TGF−β、及びα5β1から選択される1つ以上の標的に結合する(例えば、細胞(例.T細胞)をこれらへとターゲティングするように機能する)ように選択されうる。
【0274】
一部の場合、挿入されるヌクレオチド配列は、受容体によりターゲティングされる(受容体が結合する)標的が個体の疾患(例.がん/腫瘍)に特異的である受容体をコードする。一部の場合、挿入されるヌクレオチド配列は、ヘテロ多価受容体によりターゲティングされる標的の組合せが個体の疾患(例.がん/腫瘍)に特異的であるヘテロ多価受容体をコードする。1つの代表的な例として述べると、個体のがん(例えば、生検を介する、例えば、腫瘍)をシーケンシングして(核酸配列、プロテオミクス、メタボロミクスなど)、標的でありうる罹患細胞の抗原(例えば、個体の対照細胞と比べて、腫瘍により過剰発現されるか、又はこれに固有である抗原)を同定し、免疫細胞が個体の罹患細胞(例.腫瘍細胞)を特異的にターゲティングするように、これらの標的のうちの1つ又は複数(例えば、これらの標的のうちの、2つ以上、3つ以上、5つ以上、10以上、15以上、又は約20)に結合する受容体(例.ヘテロ多価受容体)をコードするヌクレオチド配列を、免疫細胞(例えば、CAR又はTCRを使用する、例えば、NK細胞、B細胞、T細胞)へと挿入することができる。このように、挿入されるヌクレオチド配列は診断応答的であり(患者のプロテオミクス、ゲノミクス、又はメタボロミクスに関するユニークな洞察を受け取った(例えば、シーケンシングなどを介して)後で、コードされる受容体(例.ヘテロ多価受容体)が、デザインされうるという意味で)、これにより、アビディティーが大きく、特異的な免疫系の応答を作り出すようにデザインされうる。このようにして、免疫細胞(例.NK細胞、B細胞、T細胞など)は、個体の固有の疾患(例.がん)に対して効果的であるようにデザインされた受容体(例.CAR及び/又はTCR)タンパク質(例えば、ヘテロ多価形)を発現するようにゲノム編集されうる。一部の場合、診断応答医療の後では、自己免疫に罹患した組織に対する同様のアビディティーが調節的T細胞に与えられうる。
【0275】
一部の場合、細胞のゲノムへと挿入されるドナーDNAのヌクレオチド配列は、イントロンを有さないタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。一部の場合、イントロンを有さないヌクレオチド配列は、TCRタンパク質の全体又は一部分をコードする。
【0276】
一部の態様では、1つを超える送達媒体が標的細胞に導入されうる。例えば一部の場合、本発明の方法は、前記送達媒体のうちの第1及び第2の送達媒体を細胞に導入することを含み、ここで、細胞のゲノムへと挿入される第1の送達媒体のヌクレオチドドナーDNAの配列は、T細胞受容体(TCR)α又はδサブユニットをコードし、細胞のゲノムへと挿入される第2の送達媒体のヌクレオチドドナーDNAの配列は、TCRβ又はγサブユニットをコードする。一部の場合、本発明の方法は、前記送達媒体のうちの第1及び第2の送達媒体を細胞に導入することを含み、ここで、細胞のゲノムへと挿入される第1の送達媒体のヌクレオチドドナーDNAの配列は、T細胞受容体(TCR)α又はδサブユニットの定常領域をコードし、細胞のゲノムへと挿入される第2の送達媒体のヌクレオチドドナーDNAの配列は、TCRβ又はγサブユニットの定常領域をコードする。
【0277】
一部の場合、本発明の方法は、前記送達媒体のうちの第1及び第2の送達媒体を細胞に導入することを含み、この場合、第1の送達媒体のヌクレオチドドナーDNAの配列は、T細胞受容体(TCR)α又はδサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内に挿入され、第2の送達媒体のヌクレオチドドナーDNAの配列は、TCRβ又はγサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内に挿入される。TCRタンパク質及びCDRに関するさらなる情報については、例えば、Dash et al., Nature. 2017 Jul 6;547(7661):89-93. Epub 2017 Jun 21及びGlanville et al., Nature. 2017 Jul 6;547(7661):94-98. Epub 2017 Jun 21.を参照。
【0278】
一部の場合、本発明の方法は、前記送達媒体のうちの第1及び第2の送達媒体を細胞に導入することを含み、ここで、細胞のゲノムへと挿入される第1の送達媒体のヌクレオチドドナーDNAの配列はT細胞受容体(TCR)α又はγサブユニットをコードし、細胞のゲノムへと挿入される第2の送達媒体のヌクレオチドドナーDNAの配列は、TCRβ又はδサブユニットをコードする。一部の場合、本発明の方法は、前記送達媒体のうちの第1及び第2の送達媒体を細胞に導入することを含み、ここで、細胞のゲノムに挿入される第1の送達媒体のヌクレオチドドナーDNAの配列はT細胞受容体(TCR)α又はδサブユニットの定常領域をコードし、細胞のゲノムに挿入される第2の送達媒体のヌクレオチドドナーDNAの配列はTCRβ又はγサブユニットの定常領域をコードする。一部の場合、本発明の方法は、前記送達媒体のうちの第1及び第2の送達媒体を細胞に導入することを含み、この場合、第1の送達媒体のヌクレオチドドナーDNAの配列は、T細胞受容体(TCR)α又はγサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内に挿入され、第2の送達媒体のヌクレオチドドナーDNAの配列は、TCRβ又はδサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内に挿入される。TCRタンパク質及びCDRに関する、さらなる情報については、例えば、Dash et al., Nature. 2017 Jul 6;547(7661):89-93. Epub 2017 Jun 21及びGlanville et al., Nature. 2017 Jul 6;547(7661):94-98. Epub 2017 Jun 21.を参照。
【0279】
共送達(本発明のナノ粒子には限定されない)
上述したように、複数のペイロードを同じパッケージ(送達媒体)の一部として送達することの1つの利点は、各ペイロードの効率が低下しないことである。一部の態様では、ドナーDNA及び1つ以上の部位特異的ヌクレアーゼ(又はこれをコードする1つ以上の核酸)は、同じ送達媒体のペイロードである。一部の態様では、ドナーDNA及び/又は1つ以上の遺伝子編集ツール(例えば本明細書の別の箇所で説明する)は、タンパク質(及び/又はこれをコードするDNA若しくはmRNA)及び/又はゲノム編集効率を増大させる非コードRNAと組み合わせて送達される。(例えば同じパッケージ/送達媒体の一部として送達される場合がある。送達媒体は本発明のナノ粒子である必要はない。)一部の態様では、1つ以上の遺伝子編集ツールは、タンパク質(及び/又はこれをコードするDNA若しくはmRNA)並びに/又は細胞の分裂及び/若しくは分化を制御する非コードRNAと組み合わせて送達される。(例えば同じパッケージ/送達媒体の一部として送達される場合がある。送達媒体は本発明のナノ粒子である必要はない。)例えば一部の場合、1つ以上の遺伝子編集ツールは、タンパク質(及び/又はこれをコードするDNA若しくはmRNA)及び/又は細胞分裂を制御する非コードRNAと組み合わせて送達される。(例えば同じパッケージ/送達媒体の一部として送達される場合がある。送達媒体は本発明のナノ粒子である必要はない。)一部の場合、1つ以上の遺伝子編集ツールは、タンパク質(及び/又はこれをコードするDNA若しくはmRNA)及び/又は分化を制御する非コードRNAと組み合わせて送達される。(例えば同じパッケージ/送達媒体の一部として送達される場合がある。送達媒体は本発明のナノ粒子である必要はない。)一部の場合、1つ以上の遺伝子編集ツールは、タンパク質(及び/又はこれをコードするDNA若しくはmRNA)及び/又は細胞DNA修復機構にバイアスをかける非コードRNAと組み合わせて送達される。(例えば同じパッケージ/送達媒体の一部として送達される場合がある。送達媒体は本発明のナノ粒子である必要はない。)
【0280】
上述したように、一部の場合、送達媒体は本発明のナノ粒子である必要がない。例えば一部の場合、送達媒体はウイルス性であり、一部の場合、送達媒体は非ウイルス性である。非ウイルス性送達システムの例は、複数の核酸ペイロード又はタンパク質と核酸のペイロードの組合せを共凝縮させるのに使用されうる材料を含む。例は、(1)脂質ベースの粒子、例えば、両性イオン又はカチオン性脂質及びエクソソーム又はエクソソーム由来の小胞;(2)無機/ハイブリッドの複合粒子、例えば、核酸及び/又はタンパク質のペイロードと共に共凝縮されたイオン性複合体、並びにCa、Mg、Si、Feのカチオン性イオン性状態、及び生理学的アニオン、例えば、O2−、OH、PO3−、SO2−から凝縮されうる複合体を含む無機/ハイブリッドの複合粒子;(3)炭水化物送達媒体、例えば、シクロデキストリン及び/又はアルギネート;(4)ポリマー性及び/又は共ポリマー性の複合体、例えば、ポリ(アミノ酸)ベースの静電複合体、ポリ(アミド−アミン)、及びカチオン性ポリ(B−アミノエステル);並びに(5)ウイルス様粒子(例えば、タンパク質及び核酸ベースの)を含むが、これらに限定されない。ウイルス性送達システムの例は、AAV、アデノウイルス性、レトロウイルス性及びレンチウイルス性送達システムを含むが、これらに限定されない。
【0281】
共送達のためのペイロードの例
一部の態様では、ドナーDNA及び/又は1つ以上の遺伝子編集ツールは、SCF(及び/又はSCFをコードするDNA若しくはmRNA)、HoxB4(及び/又はHoxB4をコードするDNA若しくはmRNA)、BCL−XL(及び/又はBCL−XLをコードするDNA若しくはmRNA)、SIRT6(及び/又はSIRT6をコードするDNA若しくはmRNA)、miR−155を抑制する核酸分子(例.siRNA及び/又はLNA)、ku70の発現を低減する核酸分子(例.siRNA、shRNA、マイクロRNA)、及びku80の発現を低減する核酸分子(例.siRNA、shRNA、マイクロRNA)のうちの1つ又は複数と組み合わせて送達されうる。(例えば、同じパッケージ/送達媒体の一部として送達される場合がある。送達媒体は本発明のナノ粒子である必要はない。)
【0282】
一体に送達されうるマイクロRNA(RNAとして、又はRNAをコードするDNAとして送達される)の例については、図9A参照。例えば、以下のマイクロRNAは、以下の目的で使用されうる:多能性幹細胞の外胚葉系統への分化を遮断する目的で:miR−430/427/302;多能性幹細胞の内胚葉系統への分化を遮断する目的で:miR−109及び/又はmiR−24;多能性幹細胞の内胚葉系統への分化を駆動する目的で:miR−122及び/又はmiR−192;外胚葉前駆細胞の角化細胞への分化を駆動する目的で:miR−203;神経堤幹細胞の平滑筋への分化を駆動する目的で:miR−145;神経幹細胞、グリア細胞及び/又はニューロンへの分化を駆動する目的で:miR−9及び/又はmiR−124a;中胚葉前駆細胞の軟骨細胞への分化を遮断する目的で:miR−199a;中胚葉前駆細胞の骨芽細胞への分化を駆動する目的で:miR−296及び/又はmiR−2861;中胚葉前駆細胞の心筋への分化を駆動する目的で:miR−1;中胚葉前駆細胞の心筋への分化を遮断する目的で:miR−133;中胚葉前駆細胞の骨格筋への分化を駆動する目的で:miR−214、miR−206、miR−1及び/又はmiR−26a;中胚葉前駆細胞の骨格筋への分化を遮断する目的で:miR−133、miR−221及び/又はmiR−222;造血前駆細胞の分化への分化を駆動する目的で:miR−223;造血前駆細胞の分化への分化を遮断する目的で:miR−128a及び/又はmiR−181a;造血前駆細胞のリンパ系前駆細胞への分化を駆動する目的で:miR−181;造血前駆細胞のリンパ系前駆細胞への分化を遮断する目的で:miR−146;造血前駆細胞の骨髄系前駆細胞への分化を遮断する目的で:miR−155、miR−24a及び/又はmiR−17;リンパ系前駆細胞のT細胞への分化を駆動する目的で:miR−150;骨髄系前駆細胞の顆粒球への分化を遮断する目的で:miR−223;骨髄系前駆細胞の単球への分化を遮断する目的で:miR−17−5p、miR−20a及び/又はmiR−106a;骨髄系前駆細胞の赤血球への分化を遮断する目的で:miR−150、miR−155、miR−221及び/又はmiR−222;かつ骨髄系前駆細胞の赤血球への分化を駆動する目的で:miR−451及び/又はmiR−16。
【0283】
ドナーDNA及び/又は1つ以上の遺伝子編集ツール(例えば、本明細書の別の箇所で説明する)と一体に送達されうるシグナル伝達タンパク質(例.細胞外シグナル伝達タンパク質)の例については、図9B参照。例えば、以下のシグナル伝達タンパク質(例.細胞外シグナル伝達タンパク質)(例えば、タンパク質として、又はタンパク質をコードする核酸、例えば、DNA若しくはRNAとして送達される)は、以下の目的で使用されうる:造血幹細胞のリンパ系共通前駆細胞系統への分化を駆動する目的で:IL−7;造血幹細胞の骨髄系共通前駆細胞系統への分化を駆動する目的で:IL−3、GM−CSF及び/又はM−CSF;リンパ系共通前駆細胞のB細胞への分化を駆動する目的で:IL−3、IL−4及び/又はIL−7;リンパ系共通前駆細胞のナチュラルキラー細胞への分化を駆動する目的で:IL−15;リンパ系共通前駆細胞のT細胞への分化を駆動する目的で:IL−2、IL−7及び/又はNotch;リンパ系共通前駆細胞の樹状細胞への分化を駆動する目的で:Flt−3リガンド;骨髄系共通前駆細胞の樹状細胞への分化を駆動する目的で:Flt−3リガンド、GM−CSF及び/又はTNFα;骨髄系共通前駆細胞の顆粒球マクロファージ前駆細胞系統への分化を駆動する目的で:GM−CSF;骨髄系共通前駆細胞の、巨核細胞−赤血球系前駆細胞系統への分化を駆動する目的で:IL−3、SCF及び/又はTpo;巨核細胞−赤血球系前駆細胞の巨核細胞への分化を駆動する目的で:IL−3、IL−6、SCF及び/又はTpo;巨核細胞−赤血球系前駆細胞の赤血球への分化を駆動する目的で:エリスロポエチン;巨核細胞の血小板への分化を駆動する目的で:IL−11及び/又はTpo;顆粒球マクロファージ前駆細胞の単球系統への分化を駆動する目的で:GM−CSF及び/又はM−CSF;顆粒球マクロファージ前駆細胞の骨芽細胞系統への分化を駆動する目的で:GM−CSF;単球の単球由来樹状細胞への分化を駆動する目的で:Flt−3リガンド、GM−CSF、IFNα及び/又はIL−4;単球のマクロファージへの分化を駆動する目的で:IFNγ、IL−6、IL−10及び/又はM−CSF;骨芽細胞の好中球への分化を駆動する目的で:G−CSF、GM−CSF、IL−6及び/又はSCF;骨芽細胞の好酸球への分化を駆動する目的で:GM−CSF、IL−3及び/又はIL−5;かつ骨芽細胞の好塩基球への分化を駆動する目的で:G−CSF、GM−CSF及び/又はIL−3。
【0284】
ドナーDNA及び/又は1つ以上の遺伝子編集ツール(例えば本明細書の別の箇所で説明する)と併せて送達されうる(例えば、タンパク質及び/又はタンパク質をコードする核酸、例えば、DNA又はRNAとして)タンパク質の例は、SOX17、HEX、OSKM(Oct4/Sox2/Klf4/c−myc)及び/又はbFGF(例えば、肝幹細胞系統への分化を駆動する);HNF4a(例えば、肝細胞への分化を駆動する);Poly(I:C)、BMP−4、bFGF及び/又は8−Br−cAMP(例えば、内皮幹細胞/前駆細胞系統への分化を駆動する);VEGF(例えば、動脈内皮への分化を駆動する);Sox−2、Brn4、Myt1l、Neurod2、Ascl1(例えば、神経幹細胞/前駆細胞系統への分化を駆動する);並びにBDNF、FCS、ホルスコリン、及び/又はSHH(例えば、ニューロン、星状細胞及び/又は希突起膠細胞への分化を駆動する)を含むが、これらに限定されない。
【0285】
ドナーDNA及び/又は1つ以上の遺伝子編集ツール(例えば、本明細書の別の箇所で説明する)と併せて送達されうる(例えば、タンパク質及び/又はタンパク質をコードする核酸、例えば、DNA又はRNAとして)シグナル伝達タンパク質(例.細胞外シグナル伝達タンパク質)の例は、サイトカイン(例えばCD8+ T細胞を活性化させるための、例えばIL−及び/又はIL−15);Notch、Wnt及び/又はSmadシグナル伝達経路のうちの1つ又は複数をモジュレートするリガンド及び/又はシグナル伝達タンパク質;SCF;幹細胞プログラム化因子(例.Sox2、Oct3/4、Nanog、Klf4、c−Mycなど);並びに、引続く単離/精製/濃縮のための一時的表面マーカー「タグ」及び/又は蛍光レポーターを含むが、これらに限定されない。例えば、線維芽細胞はSox2の送達を介して神経幹細胞に転換されうるが、Oct3/4及び低分子である「後成的リセット因子」の存在下では心筋細胞になるであろう。ハンチントン病又はCXCR4突然変異を伴う患者では、これらの線維芽細胞は、それぞれ、ニューロン及び心臓細胞と関連する罹患表現型形質をコードしうる。遺伝子編集補正及びこれらの因子を単一のパッケージ内で送達することにより、導入される因子/ペイロードの全てではないがこれらの1つ以上に起因する有害作用の危険性が著明に低減されうる。
【0286】
適用は、細胞死のキューが不成功の遺伝子編集を条件としてもよく、細胞の分化/増殖/活性化が、組織/臓器特異的プロモーター及び/又は外因性因子と関係づけられたin vivo法を含む。遺伝子編集を施される罹患細胞は活性化し増殖してもよいが、別のプロモーター駆動型発現カセット(例えば、腫瘍抑制因子、例えば、p21又はp53の非存在と関係づけられた発現カセット)の存在によって、これらの細胞は、その後消失するであろう。他方、所望の特徴を発現する細胞は、所望の後代系統へとさらに分化するように誘発されてもよい。
【0287】
キット
キットもまた本発明の範囲内にある。例えば一部の場合、本発明のキットは、(i)ドナーDNA;(ii)1つ以上の部位特異的ヌクレアーゼ(又はこれをコードする1つ以上の核酸)、例えば、ZFN対、TALEN対、ニカーゼであるCa9、Cpf1など;(iii)ターゲティングリガンド、(iv)リンカー、(v)リンカーへとコンジュゲートされたターゲティングリガンド、(vi)アンカードメイン(例.リンカーを伴う又は伴わない)へとコンジュゲートされたターゲティングリガンド、(vii)脱落層としての使用のための薬剤(例.シリカ)、(viii)さらなるペイロード、例えば、siRNA、又はsiRNA若しくはshRNAのための転写鋳型;遺伝子編集ツールなど、(ix)カチオン性ポリマーとして使用されうるポリマー、(x)アニオン性ポリマーとして使用されうるポリマー、(xi)カチオン性ポリペプチドとして使用されうるポリペプチド、例えば、1つ以上のHTP、及び(xii)本発明のウイルス性又は非ウイルス性の送達媒体のうちの1つ又は複数(任意に組み合わされた)を含みうる。一部の場合、本発明のキットは使用のための指示書を含みうる。キットは、キットの内容物の意図された使用を指し示す表示を典型的に含む。「表示」という用語は、キット上若しくはキットと共に備えられるか、又は、他の形でキットに付随する書かれるか又は記録された任意の材料、例えば、コンピュータ読取り型メディアを含む。
【0288】
ナノ粒子合成についての第1の代表的な例
これらの操作は、滅菌の無粉塵環境(BSL−IIフード)内で実施した。気密性シリンジを70%エタノールで滅菌処理してから、ヌクレアーゼ非含有水で3回すすぎ、使用する迄4℃で保管した。使用の前に表面をRNアーゼ阻害剤で処理した。
【0289】
ナノ粒子のコア
適量のペイロード(この場合、プラスミドDNA(EGFP−N1プラスミド))を、ポリ(D-グルタミン酸)とポリ(L-グルタミン酸)の水性混合物(「アニオン性ポリマー組成物」)と組み合わせることにより、第1の溶液(アニオン性溶液)を調製した。この溶液をpH8.5の10mMのトリス−HClで適正な容量に希釈した。「カチオン性ポリマー組成物」と「カチオン性ポリペプチド組成物」の組合せである第2の溶液(カチオン性溶液)は、適量の凝縮剤を含有する濃縮溶液をpH5.5の60mMのHEPESで適正な容量へと希釈することにより調製した。この場合、「カチオン性ポリマー組成物」はポリ(L-アルギニン)で、「カチオン性ポリペプチド組成物」は16μgのH3K4(me3)(K4においてトリメチル化されたヒストンH3のテール)であった。
【0290】
200μl未満のバッチにおけるナノ粒子コアの沈殿を、凝縮溶液のガラスバイアル又は低タンパク質結合性遠心管内のペイロード溶液への滴下による添加により行った後、4℃で30分間インキュベーションした。200μlを超えるバッチについては、(例えば、標準的な混合チップ(例えば、Dolomite Micromixer)又は流体力学的フローフォーカシングチップを使用して)2つの溶液をマイクロ流体フォーマットで組み合わせることができる。最適のインプット流量は、得られたナノ粒子コアの懸濁液が単分散性で、100nmを下回る平均値粒子サイズを呈するように決定することができる。
【0291】
この場合、混合のために、上記2つの等容量溶液(カチオン性凝縮剤の溶液及びアニオン性凝縮剤の溶液)を調製した。カチオン性凝縮剤の溶液のために、ポリマー/ペプチド溶液を1つのタンパク質低結合性チューブ(エッペンドルフ管)に添加し、次いで60mMのHEPES(pH5.5)で総容量100μlに希釈した(上述のとおり)。アニオン性溶液を調製する間、この溶液を室温で保存した。アニオン性凝縮剤の溶液のために、アニオン性溶液を光への曝露を最小限とする氷上で冷却した。水溶液中に10μgの核酸(約1μg/μl)及び7μgの水性ポリ(D-グルタミン酸)[0.1%]を、10mMのトリス−HCl(pH8.5)で総容量100μlに希釈した(上述のとおり)。
【0292】
0.2ミクロンのシリンジフィルターを使用して2つの溶液の各々を濾過し、元のHamilton製の1ml気密性シリンジ(ガラス(製品番号を挿入する))に移した。各シリンジをHarvard Pump 11 Elite Dual Syringe Pumpに取り付けた。チューブを使用して、シリンジをDolomite Micro Mixerチップの適切な注入口へと接続し、シリンジポンプを120μl/分で100μlの総容量にわたり作動させた。得られた溶液は、コア組成物(ここでは、核酸ペイロード、アニオン性構成要素及びカチオン性構成要素を含む)を含んだ。
【0293】
コアの安定化(脱落層の追加)
コアを脱落層でコーティングするために、得られたナノ粒子コアの懸濁液を10mMのトリスHCl(pH8.5、10〜500mM)中のケイ酸ナトリウム、又は10mMのPBS(pH8.5、10〜500mM)中の塩化カルシウムの希釈液と組み合わせ、室温で1〜2分間インキュベートした。この場合、コア組成物を希釈ケイ酸ナトリウム溶液に添加し、コアをポリマー性シリカの酸不安定性コーティング(脱落層の例)でコーティングした。このようにするために、原液のケイ酸ナトリウム(Sigma)10μlを、まずトリス緩衝液(10mMのトリスpH=8.5、1:200希釈率)1.99ml中で溶解させ、完全に混合した。滅菌0.1ミクロンシリンジフィルターを使用してケイ酸塩溶液を濾過し、Hamilton製の滅菌気密性シリンジに移し、これをシリンジポンプに取り付けた。上記によるコア組成物もまたHamilton製の滅菌気密性シリンジに移し、これもシリンジポンプに取り付けた。PTFEチューブを使用してシリンジをDolomite Micro Mixerチップの適切な注入口へと接続し、シリンジポンプを120μl/分で作動させた。
【0294】
安定化させた(コーティングされた)コアは、標準的な遠心濾過デバイス(100kDa Amicon Ultra、Millipore)又は高分子量カットオフ膜を使用して、30mMのHEPES(pH7.4)中で透析により精製することができる。この場合、安定化させた(コーティングされた)コアは遠心濾過デバイスを使用して精製した。回収されたコーティングナノ粒子(ナノ粒子溶液)を希釈PBS(1:800)又はHEPESで洗浄し、再度濾過した(溶液は、保管のために500μlの滅菌分散緩衝液又はヌクレアーゼ非含有水中に再懸濁させることができる)。効果的なシリカコーティングが裏付けられた。安定化させたコアは、110.6nmのサイズ及び−42.1mV(95%)のゼータ電位を有した。
【0295】
表面コート(外殻)
場合によって「表面官能化」と呼ばれる表面コート(外殻とも呼ばれる)の追加は、リガンド分子種(この場合、カチオン性アンカードメインとしての9−Argペプチド配列へと融合させた、狂犬病ウイルス糖タンパク質(「RVG9R」))を安定化させた(この場合、シリカコーティングされた)ナノ粒子の負に帯電した表面へと、静電的にグラフトすることにより達成した。濾過され、緩衝液又は水中に再懸濁されたシリカコーティングナノ粒子から始めて、プロトン化アミン基の最終濃度が少なくとも75uMとなるように、添加すべきポリマー又はペプチドの量及び各ナノ粒子分散液の最終容量を決定した。所望の表面成分を添加し、溶液を20〜30秒間超音波処理してから、1時間インキュベートした。遠心濾過は300kDaで実施し(最終産物は、標準的な遠心濾過デバイス、例えばAmicon Ultra Milliporeの300〜500kDa型デバイス、又は、例えば高分子量カットオフ膜を使用する30mMのHEPES(pH7.4)中の透析を使用して精製することができる)、最終的な再懸濁は、細胞培養培地又は分散緩衝液中の再懸濁であった。一部の場合、最適の外殻の追加は、平均値粒子サイズを50〜150nmの間とし、ゼータ電位を0〜−10mVの間とする粒子の単分散懸濁液をもたらす。この場合、外殻を伴うナノ粒子は、115.8nmのサイズ及び−3.1mV(100%)のゼータ電位を有した。
【0296】
ナノ粒子合成についての第2の代表的な例
ナノ粒子は、室温で、37℃で、又はカチオン性及びアニオン性構成要素の間で37℃と室温の差をつけて合成した。溶液は、カチオン性及びアニオン性構成要素の混合時における天然の静電相互作用を利用して、水性緩衝液中で調製した。開始時に、アニオン性構成要素をトリス緩衝液(30mM〜60mM;pH=7.4〜9)又はHEPES緩衝液(30mM、pH=5.5)中に溶解させる一方で、カチオン性構成要素をHEPES緩衝液(30mM〜60mM、pH=5〜6.5)中に溶解させた。
【0297】
具体的には、ペイロード(例.遺伝子素材(RNA又はDNA)、遺伝子素材−タンパク質−核局在化シグナルポリペプチド複合体(リボ核タンパク質)又はポリペプチド)を、塩基性、中性又は酸性緩衝液中で復元した。解析を目的として、ペイロードをフルオロフォアで共有結合的にタグ付けされるか又はフルオロフォアを遺伝子コードするように製造した。pDNAのペイロードでは、AGAGAGタンデムリピートに特異的なCy5タグ付けペプチド核酸(PNA)を蛍光レポーターベクター及び蛍光レポーター−治療用遺伝子ベクターを蛍光タグ付けするのに使用した。負に帯電した凝縮分子種(例.ポリ(グルタミン酸))としても用いられる徐放型構成要素もまた、塩基性、中性又は酸性緩衝液中で復元した。リンカー−アンカー配列へとコンジュゲートした、野生型に由来するか又は野生型から突然変異させたターゲティングペプチドを伴うターゲティングリガンドを、酸性緩衝液中で復元した。さらなる凝縮分子種又は核局在化シグナルペプチドをナノ粒子内に組み入れる場合は、これらもまた、カチオン性分子種には0.03%w/vであり、アニオン性分子種には0.015%w/vである作業溶液としての緩衝液中で復元した。実験は、カチオン性分子種に0.1%w/vであり、アニオン性分子種に0.1%w/vである作業溶液によっても行った。遺伝子素材と複合体化するポリペプチドを除き、全てのポリペプチドを10分間超音波処理し、可溶性を改善した。
【0298】
本発明の代表的非限定的側面
上記本対象物の態様を含む側面は、単独で有益であってもよく、1つ以上の他の側面又は態様と組み合わせて有益であってもよい。前出の記載を限定せずに述べると、本開示のある特定の非限定側面は、下記のセットA及びセットBに提示される。本明細書を読んだ当業者には明らかなように、個別に番号付けされた側面の各々は、先行又は後続する個別に番号付けされた側面のうちのいずれかと共に使用されるか又は組み合わされてもよい。これは、側面の全てのこのような組合せに裏付けを与えるように意図されるものであり、下記に明示的に提示される側面の組合せに限定するように意図されるものではない。当業者には、本発明の精神又は範囲から逸脱しない限りにおいて、多様な変化及び改変がなされうることが明らかであろう。
【0299】
セットA
1.標的細胞のゲノム編集方法であって、
(a)標的細胞のゲノム内の2か所で付着末端を伴う二本鎖切断を生成し、これにより、第1のゲノム付着末端及び第2のゲノム付着末端を生じさせること;並びに
(b)標的細胞に、各末端に5’又は3’突出を有する直鎖状の二本鎖ドナーDNAを導入すること
を含み、
ドナーDNAの1つの末端が第1のゲノム付着末端とハイブリダイズし、ドナーDNAの他の末端が第2のゲノム付着末端とハイブリダイズし、この結果として、直鎖状の二本鎖ドナーDNAの、標的細胞のゲノムへの挿入をもたらす
方法。
2.ドナーDNAの少なくとも1つの末端が5’突出を有し、ゲノム付着末端のうちの少なくとも1つが5’突出を有する、1に記載の方法。
3.ドナーDNAの少なくとも1つの末端が3’突出を有し、ゲノム付着末端のうちの少なくとも1つが3’突出を有する、1又は2に記載の方法。
4.前記生成することが、1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼ、又は1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼをコードする1つ以上の核酸を、標的細胞に導入して、前記二本鎖切断を生成することを含む、1から3のいずれか1つに記載の方法。
5.1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼが、メガヌクレアーゼ、ホーミングエンドヌクレアーゼ、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、及び転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)のうちの少なくとも1つを含む、4に記載の方法。
6.1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼが、付着末端切断性CRISPR/Casエフェクタータンパク質を含む、4に記載の方法。
7.前記生成することが、CRISPR/Casガイド核酸、又はCRISPR/Casガイド核酸をコードする核酸を、細胞に導入することをさらに含む、6に記載の方法。
8.方法が、同じ送達媒体のペイロードとして、(i)1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼ、又は1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼをコードする1つ以上の核酸、及び(ii)直鎖状の二本鎖ドナーDNAを、細胞に導入することを含む、4から7のいずれか1つに記載の方法。
9.細胞に、1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼ及び直鎖状の二本鎖ドナーDNAを、デオキシリボヌクレオタンパク質複合体又はリボ−デオキシリボヌクレオタンパク質複合体として導入する、8に記載の方法。
10.前記導入することにおいて、ドナーDNAの末端を、1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼに、部位特異的に結合させる、8又は9に記載の方法。
【0300】
11.送達媒体が、非ウイルス性である、8から10のいずれか1つに記載の方法。
12.送達媒体が、ナノ粒子である、8から11のいずれか1つに記載の方法。
13.(i)及び(ii)に加えて、ナノ粒子が、アニオン性ポリマー組成物、カチオン性ポリマー組成物、及びカチオン性ポリペプチド組成物を含むコアを含む、12に記載の方法。
14.前記アニオン性ポリマー組成物が、ポリ(グルタミン酸)及びポリ(アスパラギン酸)から選択されるアニオン性ポリマーを含む、13に記載の方法。
15.前記カチオン性ポリマー組成物が、ポリ(アルギニン)、ポリ(リシン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(オルニチン)、及びポリ(シトルリン)から選択されるカチオン性ポリマーを含む、13又は14に記載の方法。
16.ナノ粒子が、コアを封入する脱落層をさらに含む、13から15のいずれか1つに記載の方法。
17.脱落層が、アニオン性コート又はカチオン性コートである、16に記載の方法。
18.脱落層が、シリカ、ペプトイド、ポリシステイン、カルシウム、酸化カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、マンガン、酸化マンガン、リン酸マンガン、硫酸マンガン、マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、鉄、酸化鉄、リン酸鉄、及び硫酸鉄のうちの1つ又は複数を含む、16又は17に記載の方法。
19.ナノ粒子が、脱落層を取り囲む表面コートをさらに含む、16から18のいずれか1つに記載の方法。
20.表面コートが、脱落層と静電相互作用するカチオン性又はアニオン性のアンカードメインを含む、19に記載の方法。
【0301】
21.表面コートが、1つ以上のターゲティングリガンドを含む、19又は20に記載の方法。
22.表面コートが、狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)断片、ApoE−トランスフェリン、ラクトフェリン、メラノフェリチン、オボトランスフェリチン、L-セレクチン、E-セレクチン、P-セレクチン、シアル化ペプチド、ポリシアル化O結合型ペプチド、TPO、EPO、PSGL−1、ESL−1、CD44、死受容体3(DR3)、LAMP1、LAMP2、Mac2−BP、幹細胞因子(SCF)、CD70、SH2ドメイン含有タンパク質1A(SH2D1A)、エキセンディン−4、GLP1、RGD、トランスフェリンリガンド、FGF断片、コハク酸、ビスホスホネート、造血幹細胞走化性脂質、スフィンゴシン、セラミド、スフィンゴシン-1-リン酸、セラミド-1-リン酸、及びこれらの活性ターゲティング断片からなる群から選択される1つ以上のターゲティングリガンドを含む、19又は20に記載の方法。
23.表面コートが、CD3、CD28、CD90、CD45f、CD34、CD80、CD86、CD3ε、CD3γ、CD3δ;TCRα、TCRβ、TCRγ、及び/又はTCRδの定常領域;4−1BB、OX40、OX40L、CD62L、ARP5、CCR5、CCR7、CCR10、CXCR3、CXCR4、CD94/NKG2、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2H、NKG2D、NKG2F、NKp44、NKp46、NKp30、DNAM、XCR1、XCL1、XCL2、ILT、LIR、Ly49、IL−2、IL−7、IL−10、IL−12、IL−15、IL−18、TNFα、IFNγ、TGF−β、及びα5β1から選択される標的に対する結合を提供する1つ以上のターゲティングリガンドを含む、19又は20に記載の方法。
24.表面コートが、骨髄細胞、造血幹細胞(HSC)、造血幹/前駆細胞(HSPC)、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄系前駆細胞、リンパ系前駆細胞、T細胞、B細胞、NKT細胞、NK細胞、樹状細胞、単球、顆粒球、赤血球、巨核細胞、マスト細胞、好塩基球、好酸球、好中球、マクロファージ、赤血球系前駆細胞、巨核細胞−赤血球系前駆細胞(MEP)、骨髄系共通前駆細胞(CMP)、複能性前駆細胞(MPP)、造血幹細胞(HSC)、短期HSC(ST−HSC)、IT−HSC、長期HSC(LT−HSC)、内皮細胞、ニューロン、星状細胞、膵細胞、膵島β細胞、肝臓細胞、筋肉細胞、骨格筋細胞、心筋細胞、肝細胞、脂肪細胞、腸細胞、結腸細胞、及び胃細胞から選択される標的細胞に対する結合を提供する1つ以上のターゲティングリガンドを含む、19又は20に記載の方法。
25.送達媒体が、ペイロードへとコンジュゲートされたターゲティングリガンドであり、ターゲティングリガンドが、細胞表面タンパク質に対する結合を提供する、8から10のいずれか1つに記載の方法。
26.送達媒体が、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインへとコンジュゲートされたターゲティングリガンドであり、ターゲティングリガンドが、細胞表面タンパク質に対する結合を提供し、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインが、核酸ペイロードと共に凝縮され、及び/又はタンパク質ペイロードと静電相互作用する、8から10のいずれか1つに記載の方法。
27.ターゲティングリガンドが、ペプチド、ScFv、F(ab)、核酸アプタマー、又はペプトイドである、25又は26に記載の方法。
28.帯電ポリマーであるポリペプチドドメインのアミノ酸長が3〜30である、26に記載の方法。
29.送達媒体が、ペイロード、及び帯電ポリマーであるポリペプチドドメインと相互作用するアニオン性ポリマーをさらに含む、26から28のいずれか1つに記載の方法。
30.アニオン性ポリマーが、ポリ(グルタミン酸)及びポリ(アスパラギン酸)から選択される、29に記載の方法。
【0302】
31.ターゲティングリガンドのアミノ酸長が5〜50である、25から30のいずれか1つに記載の方法。
32.ターゲティングリガンドが、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)ファミリーB、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、細胞表面糖タンパク質及び細胞間接着分子から選択される細胞表面タンパク質に対する結合を提供する、25から31のいずれか1つに記載の方法。
33.ターゲティングリガンドが、狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)断片、ApoE−トランスフェリン、ラクトフェリン、メラノフェリチン、オボトランスフェリチン、L−セレクチン、E-セレクチン、P-セレクチン、シアル化ペプチド、ポリシアル化O結合型ペプチド、TPO、EPO、PSGL−1、ESL−1、CD44、死受容体3(DR3)、LAMP1、LAMP2、Mac2−BP、幹細胞因子(SCF)、CD70、SH2ドメイン含有タンパク質1A(SH2D1A)、エキセンディン−4、GLP1、RGD、トランスフェリンリガンド、FGF断片、コハク酸、ビスホスホネート、造血幹細胞走化性脂質、スフィンゴシン、セラミド、スフィンゴシン-1-リン酸、セラミド-1-リン酸、及びこれらの活性ターゲティング断片からなる群から選択される、25から31のいずれか1つに記載の方法。
34.ターゲティングリガンドが、CD3、CD28、CD90、CD45f、CD34、CD80、CD86、CD3ε、CD3γ、CD3δ;TCRα、TCRβ、TCRγ、及び/又はTCRδの定常領域;4−1BB、OX40、OX40L、CD62L、ARP5、CCR5、CCR7、CCR10、CXCR3、CXCR4、CD94/NKG2、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2H、NKG2D、NKG2F、NKp44、NKp46、NKp30、DNAM、XCR1、XCL1、XCL2、ILT、LIR、Ly49、IL−2、IL−7、IL−10、IL−12、IL−15、IL−18、TNFα、IFNγ、TGF−β、及びα5β1から選択される標的に対する結合を提供する、25から31のいずれか1つに記載の方法。
35.ターゲティングリガンドが、骨髄細胞、造血幹細胞(HSC)、長期HSC、短期HSC、造血幹/前駆細胞(HSPC)、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄系前駆細胞、リンパ系前駆細胞、T細胞、B細胞、NKT細胞、NK細胞、樹状細胞、単球、顆粒球、赤血球、巨核細胞、マスト細胞、好塩基球、好酸球、好中球、マクロファージ、赤血球系前駆細胞(例.HUDEP細胞)、巨核細胞−赤血球系前駆細胞(MEP)、骨髄系共通前駆細胞(CMP)、複能性前駆細胞(MPP)、造血幹細胞(HSC)、短期HSC(ST−HSC)、IT−HSC、長期HSC(LT−HSC)、内皮細胞、ニューロン、星状細胞、膵細胞、膵島β細胞、筋肉細胞、骨格筋細胞、心筋細胞、肝細胞、脂肪細胞、腸細胞、結腸細胞、及び胃細胞からなる群から選択される細胞への結合をもたらす、25から31のいずれか1つに記載の方法。
36.標的細胞のゲノム内の前記2か所で二本鎖切断を生成する前の前記2か所の間隔が、1,000,000塩基対以下である、1から35のいずれか1つに記載の方法。
37.標的細胞のゲノム内の前記2か所で二本鎖切断を生成する前の前記2か所の間隔が、100,000塩基対以下である、1から35のいずれか1つに記載の方法。
38.ドナーDNAが、合計10塩基対(bp)〜100キロ塩基対(kbp)である、1から35のいずれか1つに記載の方法。
39.ドナーDNAの挿入が、T細胞受容体(TCR)タンパク質をコードするヌクレオチド配列内で生じる、1から38のいずれか1つに記載の方法。
40.ドナーDNAが、TCRタンパク質のCDR1、CDR2又はCDR3領域のアミノ酸をコードする、39に記載の方法。
【0303】
41.ドナーDNAが、キメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ドナーDNAの挿入が、CARをコードするヌクレオチド配列の内因性T細胞プロモーターへの作動可能な連結をもたらす、1から38のいずれか1つに記載の方法。
42.ドナーDNAが、プロモーターに作動可能に連結し、キメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列を含む、1から38のいずれか1つに記載の方法。
43.ドナーDNAが、膜に結合し細胞外に提示される細胞特異的ターゲティングリガンドをコードするヌクレオチド配列を含み、前記ドナーDNAの挿入が、細胞特異的ターゲティングリガンドをコードするヌクレオチド配列の内因性プロモーターへの作動可能な連結をもたらす、1から38のいずれか1つに記載の方法。
44.ドナーDNAが、膜に結合し細胞外に提示される細胞特異的ターゲティングリガンドをコードする配列に作動可能に連結するプロモーターを含む、1から38のいずれか1つに記載の方法。
45.方法が、
標的細胞のゲノム内の4か所で付着末端を伴う二本鎖切断を生成し、これにより、第1及び第2のゲノム付着末端に加えて、第3のゲノム付着末端及び第4のゲノム付着末端を生じさせること;並びに
各々が、各末端に5’又は3’突出を有する2つの直鎖状の二本鎖ドナーDNAを導入すること
を含み、
1つのドナーDNAの末端が第1及び第2のゲノム付着末端とハイブリダイズし、他のドナーDNAの末端が第3及び第4のゲノム付着末端とハイブリダイズし、
これにより、前記2つのドナーDNAの、標的細胞のゲノムへの挿入をもたらす、1から38のいずれか1つに記載の方法。
46.1つのドナーDNAの挿入が、T細胞受容体(TCR)α又はδサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入が、TCRβ又はγサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じる、45に記載の方法。
47.1つのドナーDNAの挿入が、T細胞受容体(TCR)α又はδサブユニットの定常領域をコードするヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入が、TCRβ又はγサブユニットの定常領域をコードするヌクレオチド配列内で生じる、45に記載の方法。
48.1つのドナーDNAの挿入が、T細胞受容体(TCR)α又はδサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入が、TCRβ又はγサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じる、45に記載の方法。
49.前記ドナーDNAの挿入が、挿入されたドナーDNAの、T細胞受容体(TCR)α、β、γ、又はδの内因性プロモーターとの作動可能な連結をもたらす、1から48のいずれか1つに記載の方法。
50.ドナーDNAが、TCRα、β、γ、又はδのプロモーターに作動可能に連結するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、1から48のいずれか1つに記載の方法。
【0304】
51.前記ドナーDNAの挿入が、挿入されたドナーDNAの、CD3又はCD28プロモーターとの作動可能な連結をもたらす、1から48のいずれか1つに記載の方法。
52.ドナーDNAが、T細胞特異的プロモーターに作動可能に連結するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、1から48のいずれか1つに記載の方法。
53.ドナーDNAが、プロモーターに作動可能に連結するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、1から48のいずれか1つに記載の方法。
54.前記ドナーDNAの挿入が、挿入されたドナーDNAの幹細胞又は体細胞特異的な内因性プロモーターとの作動可能な連結をもたらす、1から48のいずれか1つに記載の方法。
55.ドナーDNAが、(例えば、遺伝子編集効率を評価するための、)レポータータンパク質(例えば、近赤外及び/又は遠赤色レポータータンパク質)をコードするヌクレオチド配列を含む、1から54のいずれか1つに記載の方法。
56.前記ドナーDNAの挿入が、挿入されたドナーDNAの内因性プロモーターとの作動可能な連結をもたらす、55に記載の方法。
57.ドナーDNAが、レポータータンパク質をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結するプロモーターを含む、55に記載の方法。
58.ドナーDNAが、イントロンを有さないタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、1から57のいずれか1つに記載の方法。
59.イントロンを有さないヌクレオチド配列が、TCRタンパク質の、全体又は一部分をコードする、58に記載の方法。
60.ドナーDNAが、少なくとも1つのアデニル化3’末端を有する、1から59のいずれか1つに記載の方法。
【0305】
61.標的細胞が、哺乳動物細胞である、1から60のいずれか1つに記載の方法。
62.標的細胞が、ヒト細胞である、1から61のいずれか1つに記載の方法。
63.(a)各末端に5’又は3’突出を有する直鎖状の二本鎖ドナーDNA;及び
(b)配列特異的ヌクレアーゼ、又は配列特異的ヌクレアーゼをコードする核酸
を含み、
(a)及び(b)が、同じ送達媒体の一部としてのペイロードである、
キット又は組成物。
64.送達媒体が、ナノ粒子である、63に記載のキット又は組成物。
65.ナノ粒子が、(a)、(b)、アニオン性ポリマー組成物、カチオン性ポリマー組成物、及びカチオン性ポリペプチド組成物を含むコアを含む、64に記載のキット又は組成物。
66.ナノ粒子が、ナノ粒子を細胞表面タンパク質にターゲティングするターゲティングリガンドを含む、64又は65に記載のキット又は組成物。
67.直鎖状二本鎖内ドナーと配列特異的ヌクレアーゼが互いに結合して、デオキシリボヌクレオタンパク質又はリボ−デオキシリボヌクレオタンパク質複合体を形成する、63から66のいずれか1つに記載のキット又は組成物。
68.送達媒体が、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインへとコンジュゲートされたターゲティングリガンドであり、ターゲティングリガンドが、細胞表面タンパク質に対する結合を提供し、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインが、ペイロードと静電相互作用する、63から67のいずれか1つに記載のキット又は組成物。
69.送達媒体が、ペイロード、及び帯電ポリマーであるポリペプチドドメインと相互作用するアニオン性ポリマーをさらに含む、68に記載のキット又は組成物。
【0306】
70.送達媒体が、(a)及び/又は(b)とコンジュゲートしたターゲティングリガンドであり、ターゲティングリガンドが、細胞表面タンパク質に対する結合を提供する、63から67のいずれか1つに記載のキット又は組成物。
71.送達媒体が、水中油中水エマルジョン粒子、水中油エマルジョンミセル粒子、多重膜型水中油中水エマルジョン粒子、多層型粒子又はDNAオリガミナノボットをコーティングする、ターゲティングリガンドを含む、63から67のいずれか1つに記載のキット又は組成物。
72.ターゲティングリガンドが、ペプチド、ScFv、F(ab)、核酸アプタマー、又はペプトイドである、66から71のいずれか1つに記載の方法。
73.送達媒体が、非ウイルス性である、63から67のいずれか1つに記載のキット又は組成物。
【0307】
セットB
1.標的細胞のゲノム編集方法であって、
(a)標的細胞のゲノム内の2か所で付着末端を伴う二本鎖切断を生成し、これにより、第1のゲノム付着末端及び第2のゲノム付着末端を生じさせること;並びに
(b)標的細胞に、各末端に5’又は3’突出を有する直鎖状の二本鎖ドナーDNAを導入すること
を含み、
ドナーDNAの1つの末端が第1のゲノム付着末端とハイブリダイズし、ドナーDNAの他の末端が第2のゲノム付着末端とハイブリダイズし、この結果として、直鎖状の二本鎖ドナーDNAの、標的細胞のゲノムへの挿入をもたらす
方法。
2.ドナーDNAの少なくとも1つの末端が5’突出を有し、ゲノム付着末端のうちの少なくとも1つが5’突出を有する、1に記載の方法。
3.ドナーDNAの少なくとも1つの末端が3’突出を有し、ゲノム付着末端のうちの少なくとも1つが3’突出を有する、1又は2に記載の方法。
4.前記生成することが、1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼ、又は1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼをコードする1つ以上の核酸を、標的細胞に導入して、前記二本鎖切断を生成することを含む、1から3のいずれか1つに記載の方法。
5.1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼが、メガヌクレアーゼ、ホーミングエンドヌクレアーゼ、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、及び転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)のうちの少なくとも1つを含む、4に記載の方法。
6.1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼが、付着末端切断性CRISPR/Casエフェクタータンパク質を含む、4に記載の方法。
7.前記生成することが、CRISPR/Casガイド核酸、又はCRISPR/Casガイド核酸をコードする核酸を、細胞に導入することをさらに含む、6に記載の方法。
8.方法が、同じ送達媒体のペイロードとして、(i)1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼ、又は1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼをコードする1つ以上の核酸、及び(ii)直鎖状の二本鎖ドナーDNAを、細胞に導入することを含む、4から7のいずれか1つに記載の方法。
9.細胞に、1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼ及び直鎖状の二本鎖ドナーDNAを、デオキシリボヌクレオタンパク質複合体又はリボ−デオキシリボヌクレオタンパク質複合体として導入する、8に記載の方法。
10.前記導入することにおいて、ドナーDNAの末端を、1つ以上の配列特異的ヌクレアーゼに、部位特異的に結合させる、8又は9に記載の方法。
【0308】
11.送達媒体が、非ウイルス性である、8から10のいずれか1つに記載の方法。
12.送達媒体が、ナノ粒子である、8から11のいずれか1つに記載の方法。
13.(i)及び(ii)に加えて、ナノ粒子が、アニオン性ポリマー組成物、カチオン性ポリマー組成物、及びカチオン性ポリペプチド組成物を含むコアを含む、12に記載の方法。
14.前記アニオン性ポリマー組成物が、ポリ(グルタミン酸)及びポリ(アスパラギン酸)から選択されるアニオン性ポリマーを含む、13に記載の方法。
15.前記カチオン性ポリマー組成物が、ポリ(アルギニン)、ポリ(リシン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(オルニチン)、及びポリ(シトルリン)から選択されるカチオン性ポリマーを含む、13又は14に記載の方法。
16.ナノ粒子が、コアを封入する脱落層をさらに含む、13から15のいずれか1つに記載の方法。
17.脱落層が、アニオン性コート又はカチオン性コートである、16に記載の方法。
18.脱落層が、シリカ、ペプトイド、ポリシステイン、カルシウム、酸化カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、マンガン、酸化マンガン、リン酸マンガン、硫酸マンガン、マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、鉄、酸化鉄、リン酸鉄、及び硫酸鉄のうちの1つ又は複数を含む、16又は17に記載の方法。
19.ナノ粒子が、脱落層を取り囲む表面コートをさらに含む、16から18のいずれか1つに記載の方法。
20.表面コートが、脱落層と静電相互作用するカチオン性又はアニオン性のアンカードメインを含む、19に記載の方法。
【0309】
21.表面コートが、1つ以上のターゲティングリガンドを含む、19又は20に記載の方法。
22.表面コートが、狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)断片、ApoE−トランスフェリン、ラクトフェリン、メラノフェリチン、オボトランスフェリチン、L-セレクチン、E-セレクチン、P-セレクチン、シアル化ペプチド、ポリシアル化O結合型ペプチド、TPO、EPO、PSGL−1、ESL−1、CD44、死受容体3(DR3)、LAMP1、LAMP2、Mac2−BP、幹細胞因子(SCF)、CD70、SH2ドメイン含有タンパク質1A(SH2D1A)、エキセンディン、エキセンディン−S11C、GLP1、RGD、トランスフェリンリガンド、FGF断片、α5β1リガンド、IL2、Cde3ε、ペプチド−HLA−A2402、CD80、CD86、コハク酸、ビスホスホネート、造血幹細胞走化性脂質、スフィンゴシン、セラミド、スフィンゴシン-1-リン酸、セラミド-1-リン酸、及びこれらの活性ターゲティング断片からなる群から選択される1つ以上のターゲティングリガンドを含む、19又は20に記載の方法。
23.表面コートが、CD3、CD8、CD4、CD28、CD90、CD45f、CD34、CD80、CD86、CD3ε、CD3γ、CD3δ;TCRα、TCRβ、TCRγ、及び/又はTCRδの定常領域;4−1BB、OX40、OX40L、CD62L、ARP5、CCR5、CCR7、CCR10、CXCR3、CXCR4、CD94/NKG2、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2H、NKG2D、NKG2F、NKp44、NKp46、NKp30、DNAM、XCR1、XCL1、XCL2、ILT、LIR、Ly49、IL2R、IL7R、IL10R、IL12R、IL15R、IL18R、TNFα、IFNγ、TGF−β、及びα5β1から選択される標的に対する結合を提供する1つ以上のターゲティングリガンドを含む、19又は20に記載の方法。
24.表面コートが、骨髄細胞、造血幹細胞(HSC)、造血幹/前駆細胞(HSPC)、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄系前駆細胞、リンパ系前駆細胞、T細胞、B細胞、NKT細胞、NK細胞、樹状細胞、単球、顆粒球、赤血球、巨核細胞、マスト細胞、好塩基球、好酸球、好中球、マクロファージ、赤血球系前駆細胞、巨核細胞−赤血球系前駆細胞(MEP)、骨髄系共通前駆細胞(CMP)、複能性前駆細胞(MPP)、造血幹細胞(HSC)、短期HSC(ST−HSC)、IT−HSC、長期HSC(LT−HSC)、内皮細胞、ニューロン、星状細胞、膵細胞、膵島β細胞、肝臓細胞、筋肉細胞、骨格筋細胞、心筋細胞、肝細胞、脂肪細胞、腸細胞、結腸細胞、及び胃細胞から選択される標的細胞に対する結合を提供する1つ以上のターゲティングリガンドを含む、19又は20に記載の方法。
25.送達媒体が、ペイロードへとコンジュゲートされたターゲティングリガンドであり、ターゲティングリガンドが、細胞表面タンパク質に対する結合を提供する、8から10のいずれか1つに記載の方法。
26.送達媒体が、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインへとコンジュゲートされたターゲティングリガンドであり、ターゲティングリガンドが、細胞表面タンパク質に対する結合を提供し、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインが、核酸ペイロードと共に凝縮され、及び/又はタンパク質ペイロードと静電相互作用する、8から10のいずれか1つに記載の方法。
27.ターゲティングリガンドが、ペプチド、ScFv、F(ab)、核酸アプタマー、又はペプトイドである、25又は26に記載の方法。
28.帯電ポリマーであるポリペプチドドメインのアミノ酸長が3〜30である、26に記載の方法。
29.送達媒体が、ペイロード、及び帯電ポリマーであるポリペプチドドメインと相互作用するアニオン性ポリマーをさらに含む、26から28のいずれか1つに記載の方法。
30.アニオン性ポリマーが、ポリ(グルタミン酸)及びポリ(アスパラギン酸)から選択される、29に記載の方法。
【0310】
31.ターゲティングリガンドが5〜50アミノ酸長である、25から30のいずれか1つに記載の方法。
32.ターゲティングリガンドが、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)ファミリーB、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、細胞表面糖タンパク質及び細胞間接着分子から選択される細胞表面タンパク質に対する結合を提供する、25から31のいずれか1つに記載の方法。
33.ターゲティングリガンドが、狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)断片、ApoE−トランスフェリン、ラクトフェリン、メラノフェリチン、オボトランスフェリチン、L-セレクチン、E-セレクチン、P-セレクチン、シアル化ペプチド、ポリシアル化O結合型ペプチド、TPO、EPO、PSGL−1、ESL−1、CD44、死受容体3(DR3)、LAMP1、LAMP2、Mac2−BP、幹細胞因子(SCF)、CD70、SH2ドメイン含有タンパク質1A(SH2D1A)、エキセンディン、エキセンディン−S11C、GLP1、RGD、トランスフェリンリガンド、FGF断片、α5β1リガンド、IL2、Cde3ε、ペプチド−HLA−A2402、CD80、CD86、コハク酸、ビスホスホネート、造血幹細胞走化性脂質、スフィンゴシン、セラミド、スフィンゴシン-1-リン酸、セラミド-1-リン酸、及びこれらの活性ターゲティング断片からなる群から選択される、25から31のいずれか1つに記載の方法。
34.ターゲティングリガンドが、CD3、CD8、CD4、CD28、CD90、CD45f、CD34、CD80、CD86、CD3ε、CD3γ、CD3δ;TCRα、TCRβ、TCRγ、及び/又はTCRδの定常領域;4−1BB、OX40、OX40L、CD62L、ARP5、CCR5、CCR7、CCR10、CXCR3、CXCR4、CD94/NKG2、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2H、NKG2D、NKG2F、NKp44、NKp46、NKp30、DNAM、XCR1、XCL1、XCL2、ILT、LIR、Ly49、IL2R、IL7R、IL10R、IL12R、IL15R、IL18R、TNFα、IFNγ、TGF−β、及びα5β1から選択される標的に対する結合を提供する、25から31のいずれか1つに記載の方法。
35.ターゲティングリガンドが、骨髄細胞、造血幹細胞(HSC)、長期HSC、短期HSC、造血幹/前駆細胞(HSPC)、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄系前駆細胞、リンパ系前駆細胞、T細胞、B細胞、NKT細胞、NK細胞、樹状細胞、単球、顆粒球、赤血球、巨核細胞、マスト細胞、好塩基球、好酸球、好中球、マクロファージ、赤血球系前駆細胞(例.HUDEP細胞)、巨核細胞−赤血球系前駆細胞(MEP)、骨髄系共通前駆細胞(CMP)、複能性前駆細胞(MPP)、造血幹細胞(HSC)、短期HSC(ST−HSC)、IT−HSC、長期HSC(LT−HSC)、内皮細胞、ニューロン、星状細胞、膵細胞、膵島β細胞、筋肉細胞、骨格筋細胞、心筋細胞、肝細胞、脂肪細胞、腸細胞、結腸細胞、及び胃細胞からなる群から選択される細胞への結合をもたらす、25から31のいずれか1つに記載の方法。
36.標的細胞のゲノム内の前記2か所で二本鎖切断を生成する前の前記2か所の間隔が、1,000,000塩基対以下である、1から35のいずれか1つに記載の方法。
37.標的細胞のゲノム内の前記2か所で二本鎖切断を生成する前の前記2か所の間隔が、100,000塩基対以下である、1から35のいずれか1つに記載の方法。
38.第1及び第2のゲノム付着末端を、TCRα座位又はTCRβ座位において生じさせる、1から35のいずれか1つに記載の方法。
39.第1及び第2のゲノム付着末端のうちの少なくとも1つを、(1)図59に示されたCRISPR/CasガイドRNA(gRNA)配列のうちの1以上を使用して、及び/又は(2)図59に示されたTALEN配列のうちの1以上をターゲティングすることにより生じさせる、1から35のいずれか1つに記載の方法。
40.ドナーDNAが、合計10塩基対(bp)〜100キロ塩基対(kbp)である、1から35のいずれか1つに記載の方法。
【0311】
41.ドナーDNAの挿入が、T細胞受容体(TCR)タンパク質をコードするヌクレオチド配列内で生じる、1から40のいずれか1つに記載の方法。
42.ドナーDNAが、TCRタンパク質のCDR1、CDR2又はCDR3領域のアミノ酸をコードする、41に記載の方法。
43.ドナーDNAが、キメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ドナーDNAの挿入が、CARをコードするヌクレオチド配列の内因性T細胞プロモーターへの作動可能な連結をもたらす、1から40のいずれか1つに記載の方法。
44.ドナーDNAが、プロモーターに作動可能に連結し、キメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列を含む、1から40のいずれか1つに記載の方法。
45.ドナーDNAが、膜に結合し細胞外に提示される細胞特異的ターゲティングリガンドをコードするヌクレオチド配列を含み、前記ドナーDNAの挿入が、細胞特異的ターゲティングリガンドをコードするヌクレオチド配列の内因性プロモーターへの作動可能な連結をもたらす、1から40のいずれか1つに記載の方法。
46.ドナーDNAが、膜に結合し細胞外に提示される細胞特異的ターゲティングリガンドをコードする配列に作動可能に連結するプロモーターを含む、1から40のいずれか1つに記載の方法。
47.方法が、
標的細胞のゲノム内の4か所にで付着末端を伴う二本鎖切断を生成し、これにより、第1及び第2のゲノム付着末端に加えて、第3のゲノム付着末端及び第4のゲノム付着末端を生じさせること;並びに
各々が、各末端に5’又は3’突出を有する2つの直鎖状の二本鎖ドナーDNAを導入すること
を含み、
1つのドナーDNAの末端が第1及び第2のゲノム付着末端とハイブリダイズし、他のドナーDNAの末端が第3及び第4のゲノム付着末端とハイブリダイズし、
これにより、前記2つのドナーDNAの、標的細胞のゲノムへの挿入をもたらす、1から40のいずれか1つに記載の方法。
48.(1)1つのドナーDNAの挿入が、T細胞受容体(TCR)α若しくはδサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入が、TCRβ若しくはγサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じるか;又は
(2)1つのドナーDNAの挿入が、T細胞受容体(TCR)α若しくはγサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入が、TCRβ若しくはδサブユニットをコードするヌクレオチド配列内で生じるか;又は
(3)1つのドナーDNAの挿入が、IgA、IgD、IgE、IgG、若しくはIgMタンパク質のκ鎖をコードするヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入が、IgA、IgD、IgE、IgG、若しくはIgMタンパク質のλ鎖をコードするヌクレオチド配列内で生じる、
47に記載の方法。
49.1つのドナーDNAの挿入が、T細胞受容体(TCR)α又はδサブユニットの定常領域をコードするヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入が、TCRβ又はγサブユニットの定常領域をコードするヌクレオチド配列内で生じる、47に記載の方法。
50.(1)1つのドナーDNAの挿入が、T細胞受容体(TCR)α若しくはδサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入が、TCRβ若しくはγサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じるか;又は
(2)1つのドナーDNAの挿入が、T細胞受容体(TCR)α若しくはγサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入が、TCRβ若しくはδサブユニットのプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じるか;又は
(3)1つのドナーDNAの挿入が、IgA、IgD、IgE、IgG、若しくはIgMタンパク質のκ鎖のプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じ、他のドナーDNAの挿入が、IgA、IgD、IgE、IgG、若しくはIgMタンパク質のλ鎖のプロモーターとして機能するヌクレオチド配列内で生じる、
47に記載の方法。
【0312】
51.前記ドナーDNAの挿入が、挿入されたドナーDNAの、T細胞受容体(TCR)α、β、γ、又はδの内因性プロモーターとの作動可能な連結をもたらす、1から50のいずれか1つに記載の方法。
52.ドナーDNAが、TCRα、β、γ、又はδのプロモーターに作動可能に連結するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、1から50のいずれか1つに記載の方法。
53.前記ドナーDNAの挿入が、挿入されたドナーDNAの、(i)T細胞特異的プロモーター;(ii)CD3プロモーター;(iii)CD28プロモーター;(iv)幹細胞特異的プロモーター;(v)体細胞特異的プロモーター;(vi)T細胞受容体(TCR)α、β、γ、又はδのプロモーター;(v)B細胞特異的プロモーター;(vi)CD19プロモーター;(vii)CD20プロモーター;(viii)CD22プロモーター;(ix)B29プロモーター;及び(x)T細胞又はB細胞のV(D)J特異的プロモーターからなる群から選択されるプロモーターとの作動可能な連結をもたらす、1から50のいずれか1つに記載の方法。
54.ドナーDNAが、T細胞特異的プロモーターに作動可能に連結するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、1から50のいずれか1つに記載の方法。
55.ドナーDNAが、プロモーターに作動可能に連結するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、1から50のいずれか1つに記載の方法。
56.前記ドナーDNAの挿入が、挿入されたドナーDNAの幹細胞又は体細胞特異的な内因性プロモーターとの作動可能な連結をもたらす、1から50のいずれか1つに記載の方法。
57.ドナーDNAが、(例えば、遺伝子編集効率を評価するための、)レポータータンパク質(例えば、近赤外及び/又は遠赤色レポータータンパク質)をコードするヌクレオチド配列を含む、1から56のいずれか1つに記載の方法。
58.前記ドナーDNAの挿入が、挿入されたドナーDNAの内因性プロモーターとの作動可能な連結をもたらす、57に記載の方法。
59.ドナーDNAが、レポータータンパク質をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結するプロモーターを含む、57に記載の方法。
60.ドナーDNAが、(i)T細胞受容体(TCR)タンパク質;(ii)IgA、IgD、IgE、IgG、若しくはIgMタンパク質;又は(iii)IgA、IgD、IgE、IgG、若しくはIgMタンパク質のκ若しくはλ鎖をコードするヌクレオチド配列を含む、1から59のいずれか1つに記載の方法。
【0313】
61.ドナーDNAが、イントロンを有さないタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、1から60のいずれか1つに記載の方法。
62.イントロンを有さないヌクレオチド配列が、TCRタンパク質又は免疫グロブリンの、全体又は一部分をコードする、61に記載の方法。
63.ドナーDNAが、少なくとも1つのアデニル化3’末端を有する、1から62のいずれか1つに記載の方法。
64.標的細胞が、哺乳動物細胞である、1から63のいずれか1つに記載の方法。
65.標的細胞が、ヒト細胞である、1から64のいずれか1つに記載の方法。
66.(a)各末端に5’ 突出又は3’突出を有する直鎖状の二本鎖ドナーDNA;及び
(b)配列特異的ヌクレアーゼ又は配列特異的ヌクレアーゼをコードする核酸
を含み、
(a)及び(b)が、同じ送達媒体の一部としてのペイロードである、
キット又は組成物。
67.送達媒体が、ナノ粒子である、66に記載のキット又は組成物。
68.ナノ粒子が、(a)、(b)、アニオン性ポリマー組成物、カチオン性ポリマー組成物、及びカチオン性ポリペプチド組成物を含むコアを含む、67に記載のキット又は組成物。
69.ナノ粒子が、ナノ粒子を細胞表面タンパク質にターゲティングするターゲティングリガンドを含む、67又は68に記載のキット又は組成物。
70.直鎖状二本鎖内ドナーと配列特異的ヌクレアーゼが互いに結合して、デオキシリボヌクレオタンパク質又はリボ−デオキシリボヌクレオタンパク質複合体を形成する、66から69のいずれか1つに記載のキット又は組成物。
【0314】
71.送達媒体が、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインへとコンジュゲートされたターゲティングリガンドであり、ターゲティングリガンドが、細胞表面タンパク質に対する結合を提供し、帯電ポリマーであるポリペプチドドメインがペイロードと静電相互作用する、66から70のいずれか1つに記載のキット又は組成物。
72.送達媒体が、ペイロード、及び帯電ポリマーであるポリペプチドドメインと相互作用するアニオン性ポリマーをさらに含む、71に記載のキット又は組成物。
73.送達媒体が、(a)及び/又は(b)とコンジュゲートしたターゲティングリガンドであり、ターゲティングリガンドが、細胞表面タンパク質に対する結合を提供する、66から70のいずれか1つに記載のキット又は組成物。
74.細胞表面タンパク質が、CD47である、69から73のいずれか1つに記載のキット又は組成物。
75.ターゲティングリガンドが、SIRPαタンパク質模倣体である、74に記載のキット又は組成物。
76.送達媒体が、エンドサイトーシス誘発性リガンドをさらに含む、69から75のいずれか1つに記載のキット又は組成物。
77.送達媒体が、水中油中水エマルジョン粒子、水中油エマルジョンミセル粒子、多重膜型水中油中水エマルジョン粒子、多層型粒子又はDNAオリガミナノボットをコーティングする、ターゲティングリガンドを含む、66から70のいずれか1つに記載のキット又は組成物。
78.ターゲティングリガンドが、ペプチド、ScFv、F(ab)、核酸アプタマー、又はペプトイドである、69から74のいずれか1つに記載の方法。
79.送達媒体が、非ウイルス性である、66から70のいずれか1つに記載のキット又は組成物。
【実施例】
【0315】
実験
以下の例は、当業者に、本発明を、どのようにして作り、使用するのかについての、完全な開示及び記載をもたらすように明示されるものであり、本発明の範囲を限定するように意図されるものでも、下記の実験が、全ての実験であるか又は実施された実験だけを表すように意図されるものでもない。使用される数(例.量、温度など)に関しては、精度を確保するように努力が払われたが、一部の実験の誤差及び偏差については、考慮に入れるべきである。そうでないことが指し示されない限り、部は重量による部分であり、分子量は重量による平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧であるか又はこの近傍である。
【0316】
本明細書で引用される全ての刊行物及び特許出願は、各個別の刊行物又は特許出願が参照により組み込まれるように、具体的かつ個別に指し示された場合と同様に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0317】
本発明は、本発明を実施するのに好ましい方式を含むことが見出されるか又は提起される特定の態様との関係で記載されている。本発明の範囲から逸脱しない限りにおいて、例示される特定の態様では、本明細書に照らして、多数の改変及び変化がなされうることが当業者により理解されるであろう。例えば、コドンの冗長性のために、タンパク質配列に影響を及ぼさずに根底をなすDNA配列内に変化が施されうる。さらに、生物学的な機能的同等性を考慮するために、種類又は量において、生物学的作用に影響を及ぼさずにタンパク質構造に変化が施されうる。全てのこのような改変は、特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0318】
実施例1図10〜29)
実施例2図30〜34)
【0319】
実施例3図35〜55)
本発明者らは、フローサイトメトリー及び高含量スクリーニングにより細胞への取込みと表現型を特徴付け、さまざまな細胞で送達効率及び遺伝子編集を定量する。
【0320】
これらの実験では、非刺激ヒト初代汎T細胞(CD4+及びCD8+ T細胞の混合物)及び末梢血単核細胞(PBMC)をフラッシュトランスフェクト(ナノ粒子を伴う、30分間にわたるインキュベーション)し、10ug/mlの硫酸ヘパランを含有するPBSで2回洗浄し、24時間後にAttune NxTフローサイトメーター上で解析した。CD4及びCD8に特異的な抗体で細胞を染色し、各部分集団内でEGFPタグ付けCas9の導入を定量した。
【0321】
実施例4図56〜57)
マルチモードのデータセット
フローサイトメトリー及び高含量スクリーニングにより、細胞への取込みと表現型を特徴付け、さまざまな細胞で送達効率及び遺伝子編集を定量した。
【0322】
これらの実験では、非刺激ヒト初代汎T細胞(CD4+及びCD8+ T細胞の混合物)及び末梢血単核細胞(PBMC)に、フラッシュトランスフェクトし(ナノ粒子と共に30分間インキュベーション)、10ug/mlの硫酸ヘパランを含有するPBSで2回洗浄し、24時間後にAttune NxTフローサイトメーターで解析した。細胞を、CD4及びCD8特異的抗体で染色し、EGFPタグ付けCas9の導入を各集団内で定量した。以下の表は、トランスフェクションの1時間後に実施した40倍の対物レンズ付きBioTek Cytation 5 Imaging Readerによる画像の、24時間後のフローサイトメトリーデータとの比較を示す。特定の理論に束縛されることを意図せずに述べると、24時間以上後に細胞への内在化が決まるのに対し、初期では、細胞との親和性が決まると考えられる。細胞との親和性を1時間後の画像から決定するために、教師なし学習を用い、画像データをフローサイトメトリーで評価した24時間後の細胞への取込みと比較した。
【0323】
実施例5図60〜66)
20Mの汎T細胞(IQ Biosciences)を、20mLの培地を含有するフラスコ中で融解した。翌日、CD3/CD28ビーズ(10Mのビーズ)を非刺激細胞に導入した。融解及び再懸濁の2日後、細胞をペレット化し培地を交換した。融解及び再懸濁の3日後、ビーズを除去した。
【0324】
ヌクレオフェクションのために、160pmolのsgRNA及び126pmolのCpf1(A.s.又はL.b.)を、以下の例のとおりに利用した:
【0325】
【表2】
【0326】
低温保存されたヒト初代T細胞を融解し、CD3/CD28ビーズと共に培養した翌日から2日間刺激した。TRBC1/C2座位の二本鎖切断Cpf1媒介型編集と、その後のGFPをコードする付着末端を伴うドナーDNA鋳型を介した挿入後、細胞の1.27%がGFP+であった。ビーズを除去した翌日、Lonza Amaxa 4Dシステム、P3初代細胞キットを用いて、細胞を電気穿孔した。RNPは、64pmolのA.s.Cpf1(IDT、型番:1081068)及び128pmolのsgRNA(IDT)を室温で10〜20分間インキュベートすることにより形成し、次いで、4μgのdsDNAインサート又はIDT製のCpf1電気穿孔増強剤(型番:1076301)に添加し、10分間インキュベートした。20μL中の刺激T細胞1×10個を添加し、次いで、キュベットに移し、EH−115(B、RNP単独)又はEO−115(C、RNP+DNA)のパルスで電気穿孔した(図62)。ヌクレオフェクション後7日目に、TCRa/b及びGFPの発現について、フローサイトメトリーによりアッセイした。図は、生細胞集団内の細胞(アネキシン/Sytox陰性)を示す。QuickExtract(Lucigen)を使用して細胞からDNAを回収した。
【0327】
TRBC1/TRBC2座位の両者を切断し4bpの突出を伴う二本鎖切断を形成する二本鎖切断Cpf1研究における多様なプライマー(TRBC1−TRBC2、GFP−GFP、及びGFP−TRBC2)の比較は、弱いバンドをもたらした。突出は、GFPインサート配列又はFLAGインサート配列とマッチさせたもので、フローサイトメトリー及びPCR(GFP対Cpf1 RNPのみ)、又はサンガーシーケンシング(FLAG対Cpf1 RNPのみ)によって確認した。
【0328】
【表3】
【0329】
表は、TRAC、TRB1 C1/C2及びTRBのプロモーター領域に使用されるsgRNA配列を示す。
【0330】
【表4-1】
【0331】
【表4-2】
【0332】
【表4-3】
【0333】
【表5】
【0334】
【表6】
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7
図8-1】
図8-2】
図9-1】
図9-2】
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図24
図25
図26
図27
図28
図29
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図32
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図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
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図50
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図52
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図54
図55
図56
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図58
図59
図60
図61
図62
図63
図64
図65
図66
【配列表】
2021521884000001.app
【国際調査報告】