(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-522101(P2021-522101A)
(43)【公表日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】車両の将来の運転操作と少なくとも1台の仲間の車両の仲間の操作との協調的な調整のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/08 20120101AFI20210802BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20210802BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20210802BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20210802BHJP
【FI】
B60W30/08
B60W40/04
G08G1/16 A
G08G1/09 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-558497(P2020-558497)
(86)(22)【出願日】2019年4月18日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月30日
(86)【国際出願番号】DE2019100367
(87)【国際公開番号】WO2019206377
(87)【国際公開日】20191031
(31)【優先権主張番号】102018109883.9
(32)【優先日】2018年4月24日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】595007530
【氏名又は名称】ロバート ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Robert Bosch GmbH
(71)【出願人】
【識別番号】399023800
【氏名又は名称】コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】フックス, ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーチェッタ, フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャルケ, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ラトサー マルティ, イグナチオ
(72)【発明者】
【氏名】ドルゴフ, マキシム
(72)【発明者】
【氏名】ストロンク, セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ショーニヒェン, ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】グロテンドースト, トーマス
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA31
3D241CE01
3D241CE03
3D241CE05
3D241DC25A
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB15
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
本発明は、車両(100)の将来の運転操作と少なくとも1台の仲間の車両(104)の仲間の操作とを協調的に調整する方法に関し、車両(100)の軌道(108)はそれぞれ、労力値(112)で評価され、仲間の車両の軌道(108)および仲間の軌道(204)を組み合わせて、タプル(210)を作成し、衝突のないタプル(210)の軌道(108)および関連する労力値(112)は、基準軌道(110)および基準労力値(114)として選択され、基準労力値(114)よりも低い労力値(112)を有する軌道(108)は、需要軌道として分類され、基準労力値(114)よりも高い労力値(112)を有する軌道(108)は、代替軌道として分類され、基準軌道(110)および関連する基準労力値(114)ならびに需要軌道および代替軌道を含む群からの少なくとも1つの軌道(108)ならびにそれぞれの労力値(112)からなる軌道セット(106)を有するデータパケット(120)は、仲間の車両(104)に送信される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)の将来の運転操作と少なくとも1台の仲間の車両(104)の仲間の操作とを協調的に調整する方法であって、該方法は以下の工程を含む:
前記車両(100)用に予め計画された軌道(108)の軌道セット(106)を、少なくとも1つの評価基準を使用して、それぞれ1つの労力値(112)で評価する工程;
前記仲間の車両(104)から仲間のデータパケット(202)を受信する工程であって、前記仲間のデータパケット(202)は、前記仲間の車両(104)用に予め計画された異なる仲間の軌道(204)を有する仲間の軌道セット(200)と、各仲間の軌道(204)の仲間の労力値(208)とを含む工程;
それぞれ1つの軌道(108)と1つの仲間の軌道(204)とを組み合わせて、タプル(210)を作成し、各労力値(112)を各仲間の労力値(208)と組み合わせて、前記タプル(210)のタプル労力値を作成する工程;
衝突のないタプル(210)を選択する工程であって、軌道(108)および仲間の軌道(204)が、衝突範囲内で衝突のないタプル(210)が選択される工程;
最も低いタプル労力値を有する衝突のないタプル(210)を選択し、このタプル(210)の軌道(108)および関連する労力値(112)を基準軌道(110)および基準労力値(114)として分類する工程;
前記基準労力値(114)よりも低い労力値(112)を有する軌道(108)を選択し、これらの軌道(108)および関連する労力値(112)を需要軌道および需要労力値として分類する工程であって、需要軌道は、所望の移動目的地に前記基準軌道よりも好適に到達することができる、車両の要望を示す軌道である工程;
前記基準労力値(114)よりも高い労力値(112)を有する軌道(108)を選択し、これらの軌道(108)および関連する労力値(112)を代替軌道および代替労力値として分類する工程であって、代替軌道は、該当する場合には走行する意思がある車両による協調のオファーを示す軌道である工程;および
データパケット(120)を前記仲間の車両(104)に送信する工程であって、前記データパケット(120)は、前記基準軌道(110)および関連する基準労力値(114)の軌道セット(106)、および前記需要軌道および前記代替軌道を含む群からの少なくとも1つの軌道(108)、ならびに対応する労力値(112)を含む工程。
【請求項2】
前記選択する工程において、前記衝突範囲は、状況に依存する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記受信する工程において、前記仲間のデータパケット(202)は、前記仲間の車両(104)のセンサデータをさらに含み、前記選択する工程において、前記衝突範囲は、前記センサデータを使用して設定され、および/または前記送信する工程において、前記データパケット(120)は、前記車両(100)のセンサデータをさらに含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記選択する工程において、前記衝突のないタプル(210)は、道路交通規則を使用して選択され、軌道(108)が前記仲間の軌道(204)に対して優先権を有するタプル(210)は、衝突のないタプル(210)として選択される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記受信する工程において、少なくとも1つのさらなる仲間のデータパケット(202)は、さらなる仲間の車両(104)から受信され、前記組み合わせる工程において、前記タプル(210)にさらなる仲間の軌道(204)が追加され、前記タプル労力値は、さらなる仲間の労力値(208)で補足される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記受信する工程において、前記仲間の軌道セット(200)は、前記仲間の車両(104)の仲間の基準軌道(206)と、前記仲間の基準軌道(206)の仲間の基準労力値とをさらに含み、前記組み合わせる工程において、仲間の基準タプルは、前記仲間の基準軌道(206)および前記軌道(108)のうちの1つから組み合わされ、前記選択する工程において、前記最も低いタプル労力値を有する前記衝突のない仲間の基準タプルの前記軌道(108)は、基準軌道(110)として選択される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記受信する工程において、カテゴリーは、少なくとも1つの仲間の軌道(204)に対して受信され、前記選択する工程において、前記基準軌道(110)は、前記カテゴリーを用いてさらに選択される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記選択する工程において、前記代替軌道は、前記衝突範囲内で衝突のないタプル(210)から選択される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記組み合わせる工程において、前記仲間の軌道(204)は、前記仲間の車両(104)がより短い仲間の予測範囲を使用する場合、少なくとも、前記車両(100)の予測範囲まで予測される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記組み合わせる工程において、前記仲間の軌道(204)は、前記軌道(108)の計算時間に変換される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
先行する請求項のいずれか1項に記載の方法を対応するユニットにおいて実行、実施および/または制御するように適合される装置(102)。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法を実行、実施および/または制御するように適合されたコンピュータプログラム製品。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラム製品が記憶される機械可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、車両の将来の運転操作と少なくとも1台の仲間の車両の仲間の操作との協調的な調整のための方法および装置に関する。
【0002】
先行技術
無線を介して、車両は、互いに、およびインフラ設備とメッセージを交換することができる。例えば、車両は、その検出範囲内で対象物を検出し、検出された対象物を記述した対象メッセージを送信することができる。したがって、別の車両は、それ自身の計算において、それ自身の検出範囲外でその車両によって検出された対象物を含むことができる。また、車両は、他の車両のために改善されたルート計画を可能にするために、その計画されたルートを表すルーティングメッセージを提供することができる。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007058538号は、交通において危険な状況を制御する方法を記載している。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102012011994号は、運転者支援および/または自動車の安全機能をサポートする方法を記載している。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102015221817号は、運転操作の分散調整方法を記載している。
【0004】
発明の開示
このような背景に対して、ここに提示されるアプローチは、独立請求項に記載の車両の将来の運転操作と少なくとも1台の仲間の車両の仲間の操作との協調的な調整の方法、対応する装置、および最後に対応するコンピュータプログラム製品を紹介する。ここに提示されるアプローチの有利なさらなる開発および改善は、本明細書から得られ、従属請求項に記載される。
【0005】
発明の利点
本発明の実施形態は、異なる車両の将来の運転操作が相互合意によって調整されることを有利に可能にするので、どの車両も、流れる交通を可能にするために、不釣り合いに大きな操舵介入、制動介入、および/または加速介入を実行する必要がない。この目的のために使用される方法は、制御装置等の装置を使用して実行されてもよい。この方法を実行するために、信号、測定値等を使用および/または分析してもよく、これらは、例えば、センサ、測定機器、あるいは同様の装置によって提供される。この方法は、完全にまたは部分的に自動化して実施されてもよい。人による介入を排除しなくてもよいが、必ずしも必要ではない。
【0006】
車両の将来の運転操作と少なくとも1台の仲間の車両の仲間の操作との協調的な調整の方法が提示され、該方法は以下の工程を含む:
1)車両用に予め計画された軌道の軌道セットを、少なくとも1つの評価基準を使用して、それぞれ1つの労力値で評価する工程;
2)仲間の車両から仲間のデータパケットを受信する工程であって、仲間のデータパケットは、仲間の車両用に予め計画された異なる仲間の軌道を有する仲間の軌道セットと、各仲間の軌道の仲間の労力値とを含む工程;
3)それぞれ1つの軌道と1つの仲間の軌道とを組み合わせて、タプルを作成し、各労力値を各仲間の労力値と組み合わせて、タプルのタプル労力値を作成する工程;
4)衝突のないタプルを選択する工程であって、軌道および仲間の軌道が、衝突範囲内で衝突のないタプルが選択される工程;
5)最も低いタプル労力値を有する衝突のないタプルの軌道および関連する労力値を基準軌道および基準労力値として選択する工程;
6)基準労力値よりも低い労力値を有する軌道を需要軌道および需要労力値として分類する工程;
7)基準労力値よりも高い労力値を有する軌道を代替軌道および代替労力値として分類する工程;および
8)データパケットを仲間の車両に送信する工程であって、データパケットは、基準軌道および関連する基準労力値の軌道セット、および需要軌道および代替軌道を含む群からの少なくとも1つの軌道、ならびにそれぞれの労力値を含む工程。
【0007】
特に、工程(5)〜(7)は、以下のように特定され得る:
5a)最も低いタプル労力値を有する衝突のないタプル(210)を選択し、このタプル(210)の軌道(108)および関連する労力値(112)を基準軌道(110)および基準労力値(114)として分類する工程;
6a)基準労力値(114)よりも低い労力値(112)を有する軌道(108)を選択し、これらの軌道(108)および関連する労力値(112)を需要軌道および需要労力値として分類する工程であって、需要軌道は、所望の移動目的地に基準軌道よりも好適に到達することができる、車両の要望を示す軌道である工程;
7a)基準労力値(114)よりも高い労力値(112)を有する軌道(108)を選択し、これらの軌道(108)および関連する労力値(112)を代替軌道および代替労力値として分類する工程であって、代替軌道は、該当する場合には走行する意思がある車両による協調のオファーを示す軌道である工程。
【0008】
本発明の実施形態に関する考えは、とりわけ、以下に記載される考察および知見に基づくものとみなすことができる。
【0009】
車両の運転操作は、車両の操舵、制動および/または加速と理解され得る。車両のドライブトレインは、ドラグトルクによって車両を制動し、駆動トルクによって車両を加速することができる。車両の制動システムは、制動トルクによって車両を制動することができる。車両の操舵システムは、操舵角度によって車両を操舵することができる。運転操作は、速度に依存する。例えば、車両の現在の速度は、現在の最小の運転可能曲線半径を決定する。操舵前に制動することにより、より小さな曲線半径を運転することができる。
【0010】
車両は、自車両または自我車両と記述されることがある。車両の装置において、本明細書に記載の方法を実行してもよい。車両は、運転者によって少なくとも部分的に制御されてもよい。この目的のために、運転者は、装置から運転指示を受け取ってもよい。また、運転操作は、制御装置によって少なくとも部分的に制御されてもよい。また、車両は、制御装置によって完全にまたは部分的に自動的に制御されてもよい。
【0011】
仲間の車両は、別の車両である。形容詞「仲間の」はまた、仲間の車両に関連する他の用語を区別するために、本文で使用される。仲間の車両は、仲間の運転者または仲間の制御装置によって操舵される。ここで提示される方法はまた、仲間の車両の仲間の装置上で実行されてもよい。仲間の操作は、仲間の車両の運転操作として理解され得る。ここに提示されるアプローチはまた、仲間の車両の観点から、役割を交換して実行されてもよく、それによって、用語「車両」および「仲間の車両」ならびに関連する特徴が交換される。
【0012】
軌道は、時間の経過に伴う状態の進行(例えば、位置、向き、速度ベクトルおよび加速度ベクトル等)を記述し、その上で、運転操作を使用して車両を制御することができる。軌道は、多次元、特に二次元または三次元である。軌道は、車両が走行する走行面、例えば道路に沿って延在してもよい。したがって、軌道は、車両がいつどこにあり、将来どこにあるのかを記述する。軌道は、少なくとも予測範囲まで計画される。例えば、予測範囲は、車両のセンサ範囲によって決定されてもよい。予測範囲は、速度に依存することがある。衝突範囲は、予測範囲以下であってもよい。衝突範囲もまた、速度に依存することがある。軌道は、車両および仲間の車両がそれぞれ互いに少なくとも最小距離を有するように、車両から衝突範囲まで走行すれば、衝突のないものと評価される。
【0013】
軌道セットは、共通の地点で交差するか、あるいは共通の地点から始まる、可能性のある軌道の群を組み合わせる。共通の地点は、現在時刻における車両の現在位置であってもよい。共通の地点では、車両は、軌道セットの全ての軌道に対して、同一の速度で同一の方向に走行する。軌道セットの軌道は全て、少なくともわずかに異なる。少なくとも1つの運転操作は、軌道セットの全ての軌道で異なる。軌道セットの異なる軌道は、互いに交差してもよい。ここで、異なる軌道を介して、同じ将来の時点で、将来の位置に到達してもよい。
【0014】
データパケットは、自己完結型メッセージであってもよい。データパケットは、操作調整メッセージと呼ばれることがある。データパケットは、通信インターフェースを介して車両から仲間の車両に送信されてもよい。逆に、仲間の車両は、通信インターフェースを介して仲間のデータパケットを車両に提供してもよい。データパケットまたは仲間のデータパケットは、車両用に予め計画された単一の軌道の単一の軌道情報を含んでもよい。車両または仲間の車両のいずれかが、少なくとも2つの軌道の軌道情報を送信するので、タプルの生成には少なくとも3つの軌道が利用可能である。特に、データパケットは、車両用に予め計画された軌道セットの異なる軌道の軌道情報を含む。例えば、軌道は、互いに一定の距離で、一連の位置座標としてマッピングされてもよい。距離は、空間的または時間的であってもよい。空間距離の場合、位置座標にはタイムスタンプが与えられる。軌道はまた、パラメータ化されてマッピングされてもよい。ここで、軌道は、グラフとして数学的に記述されてもよい。軌道は、分割して記述されてもよい。
【0015】
データパケットは、軌道毎の労力値を含む。労力値により、軌道は、軌道毎の個々の運転操作の運転労力を再構築する必要なく、比較可能である。
【0016】
労力値は、軌道のうちの一つを走行するために必要な運転労力を記述する。運転労力は、車両毎に異なることがある。例えば、同じ軌道上において、機敏で軽い車両の運転労力は、大型で重い車両よりも低いことがある。速度および方向が変化しない一定の運転は、運転労力が少ない、またはまったく運転労力がないと評価されることがある。強い制動は、弱い制動よりも高い運転労力で評価されることがある。強い加速は、弱い加速よりも高い運転労力で評価されることがある。狭い曲線半径は、広い曲線半径よりも高い運転労力で評価されることがある。労力値は、それぞれの軌道に沿って要求される運転労力を組み合わせて数値化する。したがって、極端な運転操作を伴う軌道は、弱く展開された運転操作を伴う軌道よりも高い労力値で評価される。評価基準は、個々の運転操作に運転労力の数値を割り当ててもよい。評価基準は、車両の運転者によって影響を受けることがある。
【0017】
タプルは、少なくとも2つの軌道から構成される。タプルの軌道は、異なる車両の異なる軌道セットの一部である。したがって、タプルの軌道は、異なる地点から始まる。タプルの軌道は、交差してもよい。異なる車両が異なる時間に軌道の交差地点に到達する場合、それらの車両が常に少なくとも最小距離だけ離れていれば、タプルは、衝突のないものとみなされる。最小距離は、軌道を横切るよりも、軌道の方向において、より大きくなることがある。最小距離は、速度に依存することがある。最小距離に達していない場合、タプルは、衝突しやすいものと評価される。
【0018】
タプル労力値は、タプル内で考慮される全ての車両の合計運転労力を表す。別の車両が最適化された軌道を実行することを可能にするために、1台以上の車両がタプルの軌道上で極端な運転操作を実行する必要がある場合、タプルのタプル労力値は、関係する全ての車両が中程度の運転操作を実行するタプルの労力値よりも高くなる。
【0019】
例えば、タプルの軌道の個々の労力値を加算して、タプルのタプル労力値を取得してもよい。また、労力値に異なる重み付けを行って、タプル労力値を決定してもよい。労力値に重み付けを行う場合は、観測された車両の運転者の協調意思を考慮に入れてもよい。
【0020】
基準軌道は、車両が実際に走行する軌道セットから選択される軌道であってもよい。基準労力値は、他の労力値に対する基準値として使用されてもよい。他の労力値は、基準労力値に正規化されてもよい。例えば、基準労力値は、労力値範囲の平均値に設定されてもよい。次に、基準軌道よりも高い運転労力を伴う軌道は、平均値よりも大きな労力値を有することがあり、これを代替軌道と呼ぶことがある。次に、基準軌道よりも低い運転労力を伴う軌道は、平均値よりも小さい労力値を有することがあり、需要軌道と呼ぶことがある。
【0021】
タプル労力値には、機能固有のコンポーネントも含めてもよい。機能固有のコンポーネントは、例えば、快適条件であってもよく、これは、特に、重要でない車両距離を持つタプルの好みにつながる。
【0022】
衝突範囲は、状況に依存することがある。例えば、衝突範囲は、交通密度に依存することがある。交通量が多い場合では、交通量が少ない場合よりも衝突範囲が小さくなることがある。衝突範囲は、交通状況にも依存することがある。車両が信号機で停止する場合、衝突範囲は、車両が高速道路を走行しているときよりも小さくなることがある。
【0023】
データパケットは、車両のセンサデータをさらに含んでもよい。センサデータは、ユーザ自身とは異なる視野角から利用可能であるので、現在の状況の評価を改善するために使用されてもよい。代替的にまたは追加的に、仲間のデータパケットもまた、仲間の車両のセンサデータを含んでもよい。衝突範囲は、センサデータを使用して調整されてもよい。いくつかの車両からのセンサデータを組み合わせることによって、例えば、障害物を容易に検出することができる。
【0024】
衝突のないタプルは、道路交通規則を使用して選択されてもよい。軌道が仲間の軌道に対して優先権(優先通行権)を有するタプルは、たとえそれらの間の距離が最小距離未満であっても、衝突のないタプルとして選択されてもよい。車両が仲間の車両に道を譲らなければならず、かつ空間最小距離を下回るタプルは、衝突しやすいタプルとして選択されてもよい。したがって、道路交通規制に従って、競合を解決してもよい。道路交通規制は、ドイツにおけるStVO等の各国で有効な法的規制と理解され得る。
【0025】
少なくとも1つの他の仲間のデータパケットは、別の仲間の車両から受信されてもよい。別の仲間の軌道をタプルに追加してもよい。タプル労力値は、別の仲間の労力値で補足されてもよい。タプルは、3つ以上の軌道から形成されてもよい。自身の軌道が、仲間の軌道のうちの少なくとも1つに対して衝突しやすく、優先通行権が与えられなければならない場合、タプルは、基準軌道の選択に対して考慮されない。
【0026】
仲間の軌道セットもまた、仲間の車両の基準軌道と、基準軌道の基準労力値とを有してもよい。仲間の軌道タプルは、仲間の基準軌道および軌道のうちの1つから組み合わせてもよい。最も低いタプル労力値を有する衝突のない仲間の基準タプルの軌道は、基準軌道として選択されてもよい。他の車両の基準軌道は、仲間の基準軌道として仲間のデータパケットにおいて識別されてもよい。仲間の基準軌道は現在、仲間の車両を制御するのに使用されている。自身の基準軌道は、特に仲間の基準軌道が自身の軌道に対して優先権を有する場合、仲間の基準軌道を考慮して選択されてもよい。
【0027】
少なくとも1つの仲間の軌道に対して、カテゴリーを受信することができる。基準軌道もまた、カテゴリーを用いて選択されてもよい。代替的にまたは追加的に、少なくとも1つの軌道に対して、カテゴリーを送信することができる。仲間の車両では、仲間の基準軌道は、カテゴリーを使用して選択されてもよい。カテゴリーは、軌道に関する追加情報であってもよい。例えば、カテゴリーを使用して、例外的な状況を示すことができる。例えば、軌道は、緊急軌道として分類されることがある。緊急軌道は、外部の制約、例えば、欠陥、緊急事態、あるいは回避操作によって、車両に課せられることがある。緊急軌道上の車両は、他の車両からより高い協調意思を受けることがある。軌道はまた、協調オファーとして分類されることがある。協調オファーとして分類された軌道は、他の車両にとって有利である軌道選択を可能にすることがある。軌道はまた、特別な権利を有する軌道として分類されることがある。例えば、緊急車両は、他の道路利用者からの優先通行権の譲歩を要求してもよい。
【0028】
仲間の車両に送信するための代替軌道は、衝突のないタプルから選択されてもよい。代替軌道は、車両に対してより多くの労力を要求し、仲間の車両または他の車両に対するオファーとして選択される。他の車両にとって有利となり得る軌道のみを選択することが有利である。
【0029】
仲間の車両が、転送された軌道に対してより短い仲間の予測範囲を使用する場合、仲間の軌道は、少なくとも車両の予測範囲まで予測されてもよい。仲間の軌道は、類似の枠組み条件を前提として、自身の予測範囲まで拡張されてもよい。したがって、あまりにも少ない予測で計画された仲間の軌道を、衝突解析のために合理的に使用してもよい。
【0030】
仲間の軌道は、軌道の計算時間に変換されてもよい。仲間のデータパケットおよびデータパケットのデータ転送ならびに該方法の計算時間により、仲間の軌道は、自身の軌道に対する時間オフセットを示すことができる。時間変換によって、衝突しやすいタプルと衝突のないタプルとをより正確に区別することができる。仲間の車両の将来の位置をより正確に決定することができるので、安全距離を短縮することができる。
【0031】
この方法は、例えば、ソフトウェアまたはハードウェアで、あるいは制御装置等のソフトウェアとハードウェアとの混合で実施されてもよい。
【0032】
さらに、ここに提示されるアプローチは、ここに提示される方法の変形例の工程を適切な単位で実行、制御または実施するように構成された装置を確立する。
【0033】
装置は、信号またはデータを処理するための少なくとも1つの演算器と、信号またはデータを記憶するための少なくとも1つのメモリ装置と、通信プロトコルに埋め込まれたデータを読み込みまたは出力するための少なくとも1つのインターフェースおよび/または通信インターフェースとを有する電気装置であってもよい。演算器は、例えば、自車両および/または仲間の車両のセンサ信号を処理し、センサ信号に応じてデータ信号を出力する信号プロセッサ、いわゆるシステムASIC、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラであってもよい。メモリ装置は、例えば、フラッシュメモリ、EPROM、あるいは磁気メモリ装置であってもよい。インターフェースは、センサからのセンサ信号を読み込むためのセンサインターフェースとして、および/またはデータ信号および/または制御信号をアクチュエータに出力するためのアクチュエータインターフェースとして構成されてもよい。通信インターフェースは、データをワイヤレスおよび/または有線で読み込むか、または出力するように構成されてもよい。インターフェースはまた、ソフトウェアモジュールであってもよく、これらは、例えば、他のソフトウェアモジュールの隣のマイクロコントローラ上に存在する。
【0034】
特にプログラム製品またはプログラムがコンピュータまたはデバイス上で実行される場合に、半導体メモリ、ハードディスクメモリまたは光メモリ等の機械可読キャリアまたは記憶媒体上に格納されてもよく、上記の実施形態のうちの1つに記載の方法の工程を実行、実施、および/または制御するために使用される、コンピュータプログラム製品またはプログラムコードを有するコンピュータプログラムも有利である。
【0035】
本発明の可能な特徴および利点のいくつかは、異なる実施形態に関して本明細書に記載されることが指摘される。当業者は、本発明のさらなる実施形態に想到するために、方法およびデバイスの特徴が、適切な方法で組み合わされ、適合され、または交換され得ることを認識する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明するが、図面および説明のいずれも本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【
図1】
図1は、一実施形態による装置を有する車両の図を示す。
【
図2】
図2は、軌道セットおよび仲間の軌道セットを有する車両および仲間の車両の図を示す。
【
図3】
図3は、一実施形態による、仲間の軌道セットに一致する軌道セットを有する車両および仲間の車両の図を示す。
【
図4】
図4は、一実施形態による、互いに一致する軌道セットを有する車両および仲間の車両の図を示す。 図面は単に概略的であり、縮尺通りではない。図中の同一の引用符号は、同一または同様に作用する特徴を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
車両間の操作がとりわけ、快適性、効率、および安全性を向上させるために調整される場合、これを、協調運転と呼ぶことがある。これは、直接の車車間通信(V2V)の可能性および車両の自動化の増加によって容易になる。
【0038】
異なるシナリオでは、車両間の異なる種類の操作調整の方法を実行してもよい。
【0039】
例えば、障害物を回避するときに、操作調整が可能となる。この場合、関係する車両は、まず、いくつかの可能な回避軌道を送信する。軌道は、時間の経過に伴う車両の位置または状態の進行を記述する。したがって、それは、車両が将来の時点でどこにいるかを符号化する。軌道は、非パラメータ的に、例えば、一連の位置点または時間の経過に伴う離散的若しくは連続的な分布として、あるいはパラメータ的に、例えば、多項式若しくはクロソイドの形式で、あるいは離散的若しくは連続的な分布の流れの形式で、時間に依存するグラフとして表すことができる。その過程で、いわゆる代替軌道は、隣接する車両に送信される。続いて、代替軌道の可能な組み合わせの量から、予想される損傷が最小化されるか、または完全に回避されるものが選択される。組み合わせの評価はまた、それぞれの代替軌道の優先順位付けも可能にする。
【0040】
操作調整はまた、一般的な道路交通状況においても行うことができる。必要に応じて、車両は、それらの現在の運転挙動、ならびにそれらの意図した運転挙動についての情報を、軌道の形式で送信してもよい。別の車両は、それが送信車両の意図された操作を可能にするかどうかをチェックし、場合によっては、その意図された操作を送信した車両がそれを実行することができるように、その基準軌道を調整することによって、これを明示的または暗黙的に認識する。
【0041】
本発明の実施形態
図1は、車両100の将来の運転操作と少なくとも1台の他の車両104の運転操作との協調的な調整のための装置102を備えた車両100の図を示す。ここで、車両100は、他の車両104の後方の道路を走行している。他の車両104は、仲間の車両104と呼ぶことがある。車両100のセンサは、車両100の近傍の現在の交通状況を検出する。代替的にまたは追加的に、車両100は、無線を介して交通状況に関する情報を受信する。交通状況に応じて、現在可能な軌道108のうち軌道セット106が車両100に対して計画され、軌道108のうちの1つが基準軌道110として選択される。軌道108は、車両100が操舵、制動または加速等の運転操作を使用してこの軌道108に沿って走行した場合に、車両100が将来いるであろう位置座標の予め計算されたコースを記述する。基準軌道110は、実際には、走行されるように選択される。
【0042】
軌道108は、全て同じ原点を有する。ここでの原点は、車両100の現在位置である。軌道セット106は、予測範囲を参照して計画される。予測範囲は、車両100が、一定期間の後にどの位置座標にいるかを示す。車両100がどのように加速、制動および/または操舵されるかに応じて、軌道108は異なる長さを有し、異なる位置座標で終わる。例えば、最大減速を伴う軌道108、車線変更を伴う軌道108、操舵介入および制動介入を伴わない基準軌道110、回避操作を伴う軌道108、および中程度の制動介入を伴う軌道108がここに示される。
【0043】
軌道セット106の軌道108は、装置102において、それぞれ労力値112で評価される。したがって、車線変更を伴う軌道108は、ここでは例示的に、−0.1の労力値112で評価される。回避操作を伴う軌道108は、−0.2の労力値112で評価され、基準軌道110は、ゼロの基準労力値114で評価され、中程度の制動介入を伴う軌道108は、0.7の労力値112で評価される。
【0044】
一実施形態では、基準労力値114より大きい労力値112を有する軌道を、代替軌道116と呼ぶ。基準労力値114未満の労力値を有する軌道108を、需要軌道118と呼ぶ。
【0045】
装置102は、データパケット120を他の車両104に送信する。データパケット120は、軌道セット106の軌道108に関する情報を含む。それぞれの労力値112もまた、データパケット120を介して送信される。
【0046】
一実施形態では、データパケットは、基準軌道110および軌道セット106の少なくとも1つのさらなる軌道108に関する120情報を含む。
【0047】
図2は、軌道セット106および仲間の軌道セット200を有する車両100および仲間の車両104の図を示す。軌道セット106は、車両100がアクセスランプを介して複数車線道路上を走行するように計画される。基準軌道110は、車両100がアクセスランプの加速車線の約半分で道路の右側車線に変更するように計画される。他の可能性として、車両100が加速車線上により長く留まり、後の地点で右側車線に変更するか、あるいは加速車線上で制動する軌道108が計画される。後の変更は、−0.1の労力値112で評価され、制動は、0.7と評価される。
【0048】
仲間の車両104は、既に道路の右側車線を走行している。車両100は、計画された仲間の軌道セット200に関する情報を有する仲間の車両104から仲間のデータパケット202を受信する。仲間の車両104に対して、仲間の軌道206は、道路の右側車線での一定の走行として計画される。代替軌道204上では、仲間の車両104は、右側車線で加速または制動される。別の軌道204上では、左側車線への車線変更が計画される。仲間のデータパケット202はまた、仲間の軌道204に対する仲間の労力値208を含む。車線変更は、0.3と評価され、加速は、0.2と評価され、制動は、0.1と評価される。
【0049】
車両100では、軌道セット106の個々の軌道108は、仲間の軌道セット200の仲間の基準軌道206と比較される。この目的のために、タプル210はそれぞれ、1つの軌道108および仲間の基準軌道206から形成される。各タプル210において、タプル労力値は、それぞれの労力値112およびそれぞれの仲間の労力値208から決定される。タプル210は、衝突212について調査される。道路の右側車線が仲間の車両104によって占有されているので、車両100は、現在の仲間の基準軌道206との衝突212なしで、加速車線から道路に変更することができないことが認識される。
【0050】
唯一の衝突のない軌道108上では、車両100は、加速車線上で制動されることになる。
【0051】
図3は、一実施形態による、仲間の軌道セット200に一致する軌道セット106を有する車両100および仲間の車両104の図を示す。この図は、
図2の図に実質的に対応している。ここで、車両100は、軌道108から唯一の衝突のない軌道108を基準軌道110として選択し、それに労力値ゼロを割り当てて、他の軌道108を新しい労力値112で評価した。新しい基準軌道110上では、車両100は、ここでは、仲間の車両104が右側車線を通過できるように、加速車線上で制動される。いくつかの衝突のない軌道108が利用可能であった場合、軌道108が選択され、仲間の軌道204と共に最も低いタプル労力値を有するタプル210を形成したであろう。
【0052】
右側車線への早めの変更を伴う軌道108は、ここでは、−0.2の労力値112で評価される。遅めの変更を伴う軌道108は、−0.6と評価される。車両100が加速車線上でさらに強く制動されるのであろう新しい軌道108は、労力値0.7と評価される。軌道108およびそれらの関連する新しい労力値112は、
図1に示すように、データパケット120において仲間の車両104に送信される。
【0053】
仲間の車両104では、タプル210は、ここでは、それぞれ仲間の軌道204および軌道108から形成され、それぞれのタプル労力値は、関連する仲間の労力値208および関連する労力値112から決定される。衝突のないタプル210が選択され、最も低いタプル労力値を有するタプル210が選択される。車両100における労力値112の先の再決定により、右側車線へ遅めに変更する軌道108と、僅かな減速を伴う仲間の軌道204とから成るタプル210が選択されることが明らかになる。
【0054】
図4は、一実施形態による、互いに一致した軌道セット106、200を有する車両100および仲間の車両104の図を示す。この図は、
図2および
図3の図に実質的に対応している。ここで、仲間の車両104は、変更された基準軌道110と、それに対応して変更された労力値112とに反応し、新しい仲間の基準軌道206として、わずかな減速を伴う仲間の軌道204を選択し、残りの仲間の軌道204を新しい仲間の労力値208で評価した。加速を伴う仲間の軌道204は、ここでは、0.4の仲間の労力値で評価され、一方で、車線変更は、依然として0.3と評価される。
【0055】
この情報は、新しい仲間のデータパケット202において車両100に送信される。これも、再びタプル210を形成し、労力値112と仲間の労力値208とを組み合わせてタプル労力値を作成する。いくつかの軌道108は、ここでは、仲間の基準軌道206に対して衝突がないので、最も低いタプル労力値を有するタプル210が選択され、右側車線への遅めの車線変更を伴う軌道108が新しい基準軌道110として選択される。残りの軌道108の労力値112は、それに応じて再決定される。早めの車線変更は、ここでは、0.2の労力値112で評価される。加速車線での中程度の減速も0.2と評価される。強い減速は、依然として0.7と評価される。この情報は再び、新しいデータパケット120において仲間の車両104に送られる。
【0056】
言い換えると、ここに提示されるアプローチは、任意の軌道に基づく協調的な運転操作の分散調整を提示する。
【0057】
ここに提示されるアプローチは、軌道の交換に基づく協調的な操作調整の方法を記述する。ここで、現在計画されている軌道または基準軌道および可能な軌道についての情報、例えば、回避操作(代替軌道)または意図された操作(需要軌道)についての情報は、関連する労力評価と共に転送される。これにより、参加する車両は、(合計労力が最も低い)最適な共通操作を調整することができる。必ずしも正確に1つの所望の軌道が転送されるとは限らず、複雑なシナリオにおける選択肢の数を増やして、相互に利益のある協調の確率を向上させる。需要軌道が可能であるかどうかの決定は、他の車両のコストを仮定するグローバルコスト関数に基づくものではない。したがって、最適な意思決定のために、全ての車両メーカー間で同じであるコスト関数を必要せず、あるいはエラーが生じやすい仮定を省略することができる。各車両は、内部でその自己コストを計算し、間隔[−1,1]に正規化される方式でそれらを他の車両に送信する。仮想衝突は、例えば、協調相手のうちの一人が、1秒未満の極めて短い予測範囲を使用する場合に、考慮される軌道の予測範囲(予測の持続時間)が一致しないという事実によっても引き起こされ得るので、基準軌道は、衝突からの無条件の自由を必要としない。この場合、基準軌道の衝突はめったに起こらない。もう一方の極端な例では、非常に大きな予測範囲は常に、衝突につながり、これは需要軌道の絶え間ない送信を引き起こすことになる。「正しい」予測範囲は、状況に依存する。
【0058】
ここに提示されるアプローチでは、協調は、積極的な問い合わせを必要としない。ここで、例えば、その優れたセンサ技術のおかげで、はるかに包括的な環境モデルを有するので、既に前もって他の車両による協調の将来の必要性を認識する車両によって、代替軌道を使用して協調を提供することができる。
【0059】
さらに、操作調整を交渉または最適化することが可能である。例えば、第1の車両は、第2の車両が協調したい場合に、第2の車両に速度を20km/h低減することを義務付ける需要軌道を送信することができる。ここに提示されるアプローチでは、第2の車両は、10km/hの減速が許容可能であり、協調する準備ができていることを通信することができる。この場合、基準軌道の具体的な変更は不要であるので、車両制御への即座の介入を回避することができる。したがって、縛りのない連続的な交渉/最適化が達成される。
【0060】
ここに提示されるアプローチでは、軌道の純粋に有益な送信が行われる。分散協調的な操作調整は、2つの部分を有する。第1に、一連の規則を備えたプロトコルが提示され、これは、車両が通信することを可能にする。第2に、このプロトコルを使用して、異なる協調的な操作調整を実行するための方法が提示される。基本原理は、車両が軌道セットまたは軌道の量または軌道のクラスタを交換することである。この量は、1つの「基準軌道」、0からnの「代替軌道」、および/または0からmの「需要軌道」で構成される。
【0061】
「基準軌道」は、車両が現在追従し、運転制御装置/運転者によって目標パラメータとして実行される軌道である。「基準軌道」は、常に通信される。「代替軌道」は、基準軌道よりも「高価」であるが、適用可能であれば車両が走行する意思がある操作を記述する。「代替軌道」は、任意的に通信される。「需要軌道」は、より低い「コスト」により車両が走行したいと思うが、例えば、必要な操作空間が他の車両によって占有されているので、車両が現在走行することができない所望の操作を記述する。「需要軌道」は、任意的に通信される。軌道(基準軌道、需要軌道、代替軌道)は、IDまたはマーカによって明示的に符号化されない。むしろ、コスト値は、そのような軌道に加えて、軌道毎に送信される。これにより、他の軌道に関連して各軌道を設定し、それらからそれらの意味と優先順位を導くことができる。各軌道のコスト値の転送により、他の道路利用者は、送信車両のコスト関数の局所近似を決定することができる。これは、コスト値および関連する軌道が時間の経過と共にまとめて評価される場合に特に成功する。
【0062】
さらに、各軌道に対して、任意的にカテゴリーを指定することができることが規定される。このカテゴリーは、仲間の車両または他の車両における操作計画における軌道の考慮に役立つ。
【0063】
車両が「緊急軌道」を追従する場合、それは、技術的(例えば、タイヤの破裂)または状況に関連する緊急事態(例えば、子供が道路上を走る)にあり、すなわち、通常の交通規則(例えば、高速道路上での停止)に従うことができず、または(重い制動/操舵による)他の車両に対する潜在的な危険を表す。
【0064】
「協調オファー」は、他の車両がそれらの需要軌道を可能にするためのオファーを表す。関連する車両は、アドレス指定された車両のV2X IDによって、追加のオプションフィールドを介して指定され得る。
【0065】
軌道がカテゴリー「緊急車両」でマークされている場合、この軌道上の車両は、任務中であるので、特別な優先権を有する(そのような車両については、情報は既にCAM(協調認識メッセージ)に含まれている)。
【0066】
カテゴリー「提案」は、特定の他の車両に対する操作提案として軌道を送信するために、V2X IDのフィールドと共に使用されてもよい。
【0067】
この概念は、それぞれ1つのコスト値を有する軌道と、軌道を分類する可能性とを含む。軌道は、基準軌道、需要軌道および代替軌道に分類される。代替軌道は、協調オファーとして理解され得る。基準軌道は、定義された観測時間内に衝突しやすいものであってもよい。観測時間が経過した後、衝突の自由が要求される。車両の基準軌道が衝突しない場合でも、代替軌道および需要軌道は、正当化される。
【0068】
したがって、車両は、その自身のコスト関数内で不利な点が許容できるので、走行する意思がある軌道を予防的/積極的に通信することができる。それぞれの車両に影響を及ぼす前に協調を交渉することが可能である。これは、協調に関係する車両の操作を効率的に最適化する機会を提供する。さらに、全ての協調相手の好みが明示的に符号化され、労力値またはコストを介して通信され、その結果、仲間の車両に関する広範なコスト分析を省略することができるので、計算要件が極端に低減される可能性がある。転送されたコスト値は、協調相手のコストをより正確に見積もることができ、適用可能であれば、仲間のコストの局所的な見積もりを完全に省略することができるので、協調が成功する機会を増やす。受信した仲間の軌道のうちの1つに対するコストはまた、車両内で局所的に見積もられてもよい。該当する場合は、全ての仲間のコストの受信されたコスト値をスケーリングしてもよい。これにより、低い計算労力で、自身のコストと仲間のコストとの大まかな比較を可能にする。カテゴリーの導入により、操作計画アルゴリズムのサポートが向上する。
【0069】
車両間の軌道情報の周期的またはイベントベース(すなわち、ある条件が満たされた場合)の交換に基づく、いくつかの車両間の協調的な操作調整の方法について説明する。まず、送信された情報について説明する。次に、調整概念を、異なる方法の変形例で説明する。
【0070】
まず、異なる軌道に対する送信規則を定義する。交換された軌道情報は、交換された軌道セットまたは軌道クラスタとして以下に説明するように、車両の基準軌道、需要軌道の数M(M≧0)、代替軌道の数N(N≧0)、および転送された各軌道の相対コスト値C(−1≦C≦1)から構成される。
【0071】
基準軌道は、例えば、常にメッセージ内で最初に来るという事実によって明示的に示される。代替的または追加的に、それはまた、明示的なマーカによって識別されてよい。各軌道について、協調オファー/緊急軌道/展開軌道/等の特別な分類を送信することができる。各軌道は、その分類化により、軌道が参照する他の車両のV2X IDのリストで補足されてもよい。
【0072】
カテゴリー「提案」は例えば、緊急車両アクセスのための通路を形成すること、または障害物を回避すること等の特別な状況において、追従することができる軌道を仲間の車両に提案するために使用され得る。
【0073】
軌道の相対コスト値は、以下のように設定される。基準軌道は、間隔−1<C
0<1のコスト値C
0を有する。需要軌道は、コスト値C<C
0を有する。代替軌道は、コスト値C>C
0を有する。
【0074】
基準軌道は、車両が現在追従している軌道であり、運転制御器/運転者の目標量である軌道である。基準軌道は、原則として競合しないべきであるが、競合は、限られた期間、または予測範囲を超えて、または衝突までの時間(TTC)閾値を超えて、発生する可能性がある。競合が発生する場合は、StVO(道路交通規則)に従って解決される。競合は、StVOに従って従属する車両によって解決され得る。したがって、優先車両は、その競合する軌道を送信し続けることがある。
【0075】
代替軌道は、基準軌道よりもコストが高いが、該当する場合は、車両がそれでも走行する意思がある軌道である。ここで「該当する場合」とは、「予約中」を意味し、つまり、例えば、代替軌道が基準軌道になる前に運転者の承認が要求され得る。さらに、全体的な状況の評価が行われてもよく、(局所的観点から)自身の追加コストが他の車両にとって十分な利益によって相殺されているかどうかがチェックされる。任意的に、代替軌道は、他の全ての基準軌道と競合しないように計画することができる。
【0076】
需要軌道は、所望の目的地をより良く満たす軌道であり、したがって基準軌道よりも良好なものである。需要軌道は、他の軌道と競合している。「他の軌道」は、仲間の基準軌道として理解されるべきである。例えば、異なる計画範囲により、それらが短すぎる場合、基準軌道の内部外挿との競合が生じれば十分である。
【0077】
軌道のクラスタの交換された軌道は、ユークリッド空間における軌道として排他的に考えられるのではなく、他の可能な空間における軌道でもあり得る。一例としては、車線中心に沿ったフレネ空間があり、この場合、軌道は、それぞれの車線の表示、ならびに時間の経過に伴う車線中心上の区間から構成されることがある。このようにして、軌道のクラスタは、構造化された交通空間(=例えば、車線区分線のある高速道路)で効率的に転送され得る。
【0078】
一実施形態では、関係する車両は、協調とは独立して交換される、自我状態またはセンサ情報等の、それらの環境に関するメッセージを使用する。このようにして、他の道路利用者の軌道は、例えば、仲間のセンサデータの助けを借りて、状況をより明確に分類することによって、追加的に妥当性があるものにできる。
【0079】
一実施形態では、車両間で非常に類似したコスト関数に基づいて、軌道のコスト値を使用して調整概念が適用される。調整概念の説明のために、第1の車両が、第2の車両が走行している優先通行権がある道路上を走行している例示的なシナリオが考えられる。最初のシナリオを
図2に示し、この図では、第2の車両は、最初は主車線を単独で走行している。操作の必要がないので、それは、その軌道クラスタ内でその基準軌道を送信し、この場合、3つの代替軌道を送信する。代替軌道は、わずかな制動(C=0.1)、わずかな加速(C=0.2)、あるいは車線変更(C=0.3)によって達成され得る。これは、第2の車両が、アクセスランプでわずかに制動する、あるいはドラグトルクをかける意思がより高いことを意味する。代替操作はそれぞれ、コスト関数を近似するために、同じコスト値で送信されてもよい。これにより、例えば、−0.5m/s
2での減速は、送信する車両の1.0m/s
2での加速と同じくらい高価であることを認識することができる。
【0080】
その軌道クラスタにおいて、第1の車両は、加速車線の半分での乗り入れを伴うその基準軌道を送信するが、これは乗り入れ操作を含むが、優先通行権を有する第2の車両の基準軌道と衝突するため実行できない。第1の車両が、第2の車両の優先軌道を知っていれば、その基準軌道を異なるように計画したであろうことから、この状況は、想定された伝送障害によるものである。さらに、第1の車両は、代替軌道として加速レーンに滞在し、需要軌道として加速レーンの終端で乗り入れることを、その軌道クラスタにおいて送信する。
【0081】
操作調整は、車両が需要軌道および/または代替軌道を送信することができるという事実を利用する。以下の調整の説明は、協調を必要とする第1の車両の観点から1回、および協調を付与する第2の車両の観点から1回行われる。
【0082】
協調を必要とする当事者の観点から協調する場合、第1の車両は、第2の車両から受信した軌道クラスタに基づいて、その基準軌道、すなわちその現在の軌道、ならびにその需要軌道が、第2の車両の優先基準軌道と衝突するので、実現不可能であると判定する。基準軌道の衝突により、第1の車両は、その基準軌道を調整する必要があり、したがって協調する必要があり、これを通信する必要があることを認識する。
【0083】
このプロセスは、2つの段階で実行され、第2段階は、第1段階が成功しなかった場合にのみ実行される。この2段階プロセスは、第1段階のみが実行される場合、協調の計算労力を低くすることを可能にする。どちらの段階でも、協調が成功する機会を最大化するために、仲間と自我軌道のコストに関する知識が使用される。
【0084】
仲間の車両に対しては、軌道計算の第1段階ではこれらの車両から受け取った軌道のみを使用する。計算は、自我車両について、軌道セットが関連するコスト値と共に生成されるように実行され、それによって動的オブジェクトは無視され、車線境界等の静的制約、および故障した車両等の静的オブジェクトのみが考慮される。次に、コスト値は、間隔[−1;1]に正規化されてもよい。
【0085】
計算された軌道は、仲間の車両の各々が1つの軌道と組み合わされてタプルを形成する、すなわち、カルテシアン積は、他の車両の計算されかつ受信された軌道から形成される。その前に、仲間の軌道は、現在の計算時間(軌道のいわゆる時間的整列)に変換される。例えば、十分に技術的に装備されていないために軌道が利用可能ではないが、車載センサを介して、またはV2V通信からの仲間の車両からの情報を介して、自我車両によって認識される車両について、最も可能性の高い軌道が決定される。
【0086】
まず、自我車両の基準軌道を決定する。この目的のために、計画された操作に関連する領域において、仲間の車両の基準軌道との衝突が起こるタプルが分類される。ここでは、関係する車両の位置特定の不確実性と軌道の時間的整列の誤差の両方を含む安全距離を考慮することができる。残りのタプルから、コストの合計が最も低いタプル、すなわち、自我軌道のコストと組み合わされた仲間の軌道のコストが選択される。この組み合わせは、運転者に応じて、利己主義または利他主義の基本的な挙動のいずれかが示されるように設計されてもよい。このタプルからの自軌道は、基準軌道として引き継がれる。よって、ここでは、選択されたタプルと、新たな基準軌道とが、基準値(基準タプル)として作用する。
【0087】
これに基づいて、M個の適切なタプル(例えば、最も低いコストおよび/または選択されたタプルの十分な多様性を保証するための最小距離を考慮する)が、基準タプルのコストよりも低い合計コスト(自我コストおよび仲間のコストの利己主義の重み付けを伴う)を有する全てのタプル(衝突しやすいものを含む)から選択される。これらのタプルからの自我軌道は、送信される新しい軌道クラスタに対する「需要軌道」として選択される。
【0088】
基準タプルのコストよりも高い合計コストを有するタプルから、最も低い(および/またはタプル間の最小距離を考慮する)コストを有するN個のタプルが選択される。これらのタプルからの自我軌道は、送信される新しい軌道クラスタに対する「代替軌道」として選択される。任意的に、協調要求が満たされる機会を最大限にするように、できるだけ多くの受信された仲間の基準軌道に対して衝突のない少なくとも1つの代替軌道を選択することができる。
【0089】
この選択の結果を表す軌道束が送信される。
図2に示すシナリオに対して、解決策は、
図4に示されている。
【0090】
軌道計算の第2段階は、第1段階で決定されたタプルのいずれも衝突のないものではない場合に実行される。ここでは、装備された全ての車両に対しては、一連の軌道を計算する。装備されていない車両に対しては、最も可能性の高い軌道が決定される。次に、装備された車両に対して計算された軌道のコストが決定される。自車両に対しては、コストは、自身のコスト関数に従って計算され、間隔[−1;1]に正規化される。仲間の車両に対しては、距離測度を用いて、これらの車両が受信した軌道クラスタに含まれる軌道に対して、計算された軌道のコストが計算される。このようにして、それぞれの車両のコスト関数の近似を使用して、この車両に対して計算された軌道を評価する。
【0091】
その後、第1段階の対応する工程が実行され、結果として得られる軌道クラスタが送信される。
【0092】
第1段階から記載された計算プロセス、および必要に応じて、第2段階は、該当する場合には、第1の車両の基準軌道が計画された操作に関連する領域内で他の車両の基準軌道にもはや衝突せず、したがって、走行できるまで、数回の送信サイクルにわたって実施される。考えられるシナリオの可能な解決策を
図4に示す。
【0093】
主車線上で付与を行っている第2の車両の観点からの調整は、2段階プロセスにおいても行われ、第2段階は、第1段階で結果が生じない場合にのみ行われる。2段階の軌道の計算は、上述のように行われる。計算を実行する前に、協調の必要性があるかどうかが確認される。第2の車両は、シャドウイングによって計画時に別の車両の存在が送信者に知られていなかった場合に起こり得る、第1の車両の基準軌道が、関連する領域において実現可能でないという事実によって、個々の場合における第1の車両の一部に対する協調の必要性を認識することができる。したがって、第2の車両は、第1の車両のクラスタからの別の軌道を、その現在の軌道として内部的に考慮することになる。この目的のために、第1の車両の需要軌道または代替軌道は、最も低いコスト値を有し、衝突範囲内で第2の車両の現在の軌道と衝突しない、その現在の軌道とみなされる。
図2で考えられる実施例では、それは、需要軌道もまた、第2の車両の現在の軌道に衝突するため、第2の車両内の需要軌道として列挙され続けるため、コスト値C=0.7の代替軌道である。送信される軌道クラスタを決定するための後続の計算プロセスにおいて、第2の車両は、必要に応じて、その現在の軌道を調整し、その結果、第1の車両が乗り入れることができる。可能な解決策を
図4に示す。
【0094】
例えば、状況分析から、別の車が例えば高速道路に乗り入れようとしているので、協調する必要があるだろうことを認識する車両は、既に積極的に協調を提供することができる。これは、適切な代替軌道を生成し、それを送信すること(任意的に、カテゴリー「協調オファー」も設定すること)によって行われる。次いで、乗り入れる車両は、適切な需要軌道を直ちに生成し、送信することができる。この場合、主車線上の車両は、その基準軌道を調整する。ここで説明するより計算効率の高い概念は、車両が(多かれ少なかれ)協調を永続的に提供するという事実に基づいている。
【0095】
特定の状況では、他の車両への提案として軌道を送信することが役立つ場合がある。例えば、緊急車両アクセスのための通路を高速道路上に形成することを望む緊急車両の場合である。そのような提案は、運転者へのヒントとして、手動で運転する車両には有用であり得る。調整のための時間がほとんどない場合、突然の緊急事態(予期しない障害物を回避する)の場合に、別の可能な使用が起こり得る。また、提案は、右側優先の交差点に同時に多くの車両がある等の、曖昧な状況においても役立つことがある。この目的のために、車両は、他の車両の軌道を計算し、それらを「提案」としてマークし、アドレス指定された車両のV2X IDをそれらに提供する。提案軌道は、操作協調メッセージに添付され、送信される。この場合、提案軌道のコスト値は無関係である。他の車両は、メッセージを受信し、それが、それらに対する提案を含むことを確認する。それらの通常の軌道決定の範囲内で、それらは、妥当性について提案を評価し、適用可能であれば、それを優先的に考慮する。利点は、可能な代替の内部解決策が存在する場合、中央位置によって調整された変形例が提案されることである。したがって、ここで述べる方法は、中央操作調整を可能にする。
【0096】
ここに提示されるアプローチにより、協調的な操作の効率的な最適化が達成され得る。ただ1つの需要軌道またはただ1つの代替軌道の代わりに、各車両は、これらの軌道のいくつかの変形例を送信する。通信された協調コストによって、他の車両は、好みを知ることができる。受信する車両は、ここでは、その好ましい解決策を直接選択してもよい。また、それは、さらに、多数の需要軌道またはそれ自体の解決策の周囲にある代替軌道を決定し、送信することができる。
【0097】
ここに提示されるアプローチの技術的背景に関する追加情報は、以下のソースに見出すことができる。
https://www.imagine−online.de/home/(called up on 26 January 2018)Projekt IMAGinE − Intelligente Manover Automatisierung − kooperative Gefahrenvermeidung in Echtzeit
Werling et al., “Optimal trajectories for time−critical street scenarios using discretized terminal manifolds”, The International Journal of Robotics Research, 2011
During et al., “Adaptive Cooperative Maneuver Planning Algorithm for Conflict Resolution in Diverse Traffic Situations”, International Conference on Connected Vehicles and Expo, 2014
DE10 2016 209 330 A1
DE10 2012 011 994 A1
【0098】
最後に、「有する(having)」、「含む(comprising)」等の用語は他の要素または工程を除外せず、「一(a)または1つの(one)」等の用語は複数を除外しないことに留意されたい。クレーム中の符号は、限定と見なされるべきではない。
【国際調査報告】