特表2021-522318(P2021-522318A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-522318(P2021-522318A)
(43)【公表日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】アシル化GLP−1誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/605 20060101AFI20210802BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20210802BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20210802BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20210802BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20210802BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210802BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20210802BHJP
【FI】
   C07K14/605ZNA
   A61K38/22
   A61P3/10
   A61P13/12
   A61P1/18
   A61P43/00 107
   A61K47/54
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】64
(21)【出願番号】特願2021-506033(P2021-506033)
(86)(22)【出願日】2019年4月19日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月16日
(86)【国際出願番号】CN2019083383
(87)【国際公開番号】WO2019201328
(87)【国際公開日】20191024
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/083789
(32)【優先日】2018年4月19日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】520404791
【氏名又は名称】杭州先▲為▼▲達▼生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100120293
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 智子
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼▲ジャン▼
(72)【発明者】
【氏名】李峰
(72)【発明者】
【氏名】宋瑞
(72)【発明者】
【氏名】郭万▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】潘海
(72)【発明者】
【氏名】林兆生
(72)【発明者】
【氏名】▲ドン▼建慧
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼静
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076BB11
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC21
4C076CC26
4C076EE59
4C076FF31
4C084AA01
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA19
4C084BA23
4C084CA18
4C084DB01
4C084MA66
4C084NA12
4C084ZA66
4C084ZA81
4C084ZB22
4C084ZC03
4C084ZC35
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA18
4H045BA55
4H045CA40
4H045EA27
4H045FA52
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
GLP−1(7−37)ポリペプチド類似体、当該類似体の脂肪酸修飾誘導体、および当該誘導体を含む薬物が提供される。さらに、当該誘導体の調製方法、および薬物の調製における当該誘導体の使用も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GLP−1(7−37)類似体の誘導体またはその薬学上許容される塩であって、GLP−1(7−37)類似体は、式
HX8EGTFTSDVSSX19LEEX23AARX27FIX30WLVX34GX3637
[式中、X8は、V、T、I、L、GまたはSから選択され、X19はYまたはKであり
、X23はQまたはKであり、X27はEまたはKであり、X30はAまたはKであり、X34はRまたはKであり、X36はRまたはKであり、X37はGまたはKであり、
ただし、X19、X23、X27、X30、X34、X36、またはX37のうちの1つのみがK残基である。]で表されるアミノ酸配列を含み、
前記誘導体は、前記GLP−1(7−37)類似体のK残基に連結する延長部分を含み、
前記延長部分は、
【化1】
であり、
xは4〜38の整数である、GLP−1(7−37)類似体の誘導体またはその薬学上許容される塩。
【請求項2】
前記延長部分は、
HOOC(CH214CO−、HOOC(CH215CO−、HOOC(CH216CO
−、HOOC(CH217CO−、HOOC(CH218CO−、HOOC(CH219
O−、HOOC(CH220CO−、HOOC(CH221CO−、及びHOOC(CH2
22CO−からなる群より選択される、請求項1に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
【請求項3】
前記延長部分は、リンカーを介してGLP−1(7−37)類似体のK残基に連結されている、請求項1または2に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
【請求項4】
前記リンカーは、
【化2】
であり、式中、mは0、1、2または3であり;nは1、2または3であり;sは0〜6の任意の整数であり;pは1〜8の任意の整数であり、
好ましくは、リンカーは、
【化3】
であり、
式中、mは1または2であり;nは1または2であり;pは1〜5の任意の整数である、請求項3に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
【請求項5】
前記リンカーは、
【化4】
であり、式中、mは1であり、nは1または2である、請求項4に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
【請求項6】
N−ε23−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Val8Glu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M2)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Val8Glu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M4)、N−ε
34−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Val8Glu22Arg26Lys34−GLP−1(7
−37))ペプチド(M5)、N−ε37−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Val8Glu22Arg26,34Lys37−GLP−1(7−37))ペプチド(M7)、N−ε23−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Ile8Glu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M9)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Thr8Glu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M13)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Ile8Glu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M14)からなる群より選択されるいずれか一つの誘導体またはその薬学上許容される塩である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
【請求項7】
(1)上記請求項のいずれか一項に記載のGLP−1類似体が溶解されている溶液と、上記請求項のいずれか一項に記載の延長部分が溶解されている溶液とを混合すること;
(2)pHを4〜5に調整して反応を停止させ、沈殿が生じるまで静置した後、沈殿を採取すること;及び
(3)TFAを沈澱に加え、pHを7.5〜8.5に調整して反応を停止すること
を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩を調製する方法。
【請求項8】
上記請求項のいずれか一項に記載の延長部分が溶解されている溶液と混合する前に、GLP−1類似体が溶解されている溶液にトリエチルアミンを加えることをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
上記請求項のいずれか一項に記載の延長部分の溶液が、アセトニトリルで溶解されたものである、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩、及び薬学上許容される補助材料を含む、薬物組成物。
【請求項11】
糖尿病または糖尿病合併症を予防及び/または治療するための薬物の調製における、請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩の使用。
【請求項12】
前記糖尿病合併症が糖尿病性腎症である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
血糖の低減、耐糖能の改善、膵島β−細胞アポトーシスの減少、膵島β−細胞機能の増強、膵島β−細胞数の増加及び/または膵島β−細胞のグルコース感受性の回復のための薬物の調製における、請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩の使用。
【請求項14】
前記血糖の低減は、空腹時血糖及び/または食後血糖を低下させることを含む、請求項
13に記載の使用。
【請求項15】
被験者に予防または治療有効量の請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩を投与することを含む、糖尿病または糖尿病合併症を予防及び/または治療するための方法。
【請求項16】
前記糖尿病合併症が糖尿病性腎症である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
被験者に治療有効量の請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩を投与することを含む、血糖の低減、耐糖能の改善、膵島β−細胞アポトーシスの減少、膵島β−細胞機能の増強、膵島β−細胞数の増加及び/または膵島β−細胞のグルコース感受性の回復のための方法。
【請求項18】
前記血糖の低減は、空腹時血糖及び/または食後血糖を低下させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
式: HX8EGTFTSDVSSX19LEEX23AARX27FIX30WLVX34GX3637
[式中、X8は、V、T、I、L、GまたはSから選択され、X19はYまたはKであり
、X23はQまたはKであり、X27はEまたはKであり、X30はAまたはKであり、X34はRまたはKであり、X36はRまたはKであり、X37はGまたはKであり、しかも、X19、X23、X26、X27、X30、X34、X36、またはX37のうちの1つのみがK残基である。]で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む、GLP−1(7−37)類似体。
【請求項20】
請求項19の類似体を含む薬物組成物。
【請求項21】
糖尿病、糖尿病合併症を予防及び/または治療するための薬物の調製における、請求項19に記載の類似体の使用。
【請求項22】
請求項10または請求項20に記載の薬物組成物を含む容器と、前記薬物組成物のプロトコルを含む添付文書とを含む、製品。
【請求項23】
1つ以上の他の薬物を含む容器をさらに含む、請求項22に記載の製品。
【請求項24】
前記1つ以上の他の薬物が、糖尿病または糖尿病合併症を治療するための他の薬物である、請求項23に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリペプチドの技術分野に属する。具体的には、本発明は、GLP−1(7−37)ポリペプチド類似体の脂肪酸修飾誘導体に関する。また、本発明はさらに、ペプチド誘導体の調製方法、ペプチド誘導体を含む薬物、及び薬物の調製における使用などに関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、遺伝学や環境などの複数の要因によって引き起こされる糖代謝の障害であり、腫瘍、心脳血管疾患に続いて人の健康や命を脅かす3番目の重大な疾患になっている。糖尿病自体は必ずしも害を及ぼすわけではないが、長期的に血糖値が増加すると、大きな血管や毛細血管が損傷し、心臓、脳、腎臓、末梢神経、目、足などに危険をもたらす。世界保健機関の統計によると、糖尿病の合併症は100件余りに達しており、今まで知られている合併症の最も多い疾患である。糖尿病による死亡の半分以上は心脳血管疾患が原因であり、10%は腎症が原因である。糖尿病による切断は、非糖尿病の10〜20倍である。このため、糖尿病の治療およびその合併症の予防は極めて重要な社会問題である。
【0003】
糖尿病は病因が異なるため、いくつかのタイプに分けることができる。その中のほとんどは2型糖尿病(約90%)に属し、主にオーバーウェイトと運動不足によるものである。2型糖尿病患者には、インスリン抵抗と不足なインスリン分泌との2つ以上が存在するのが多く、膵島β細胞アポトーシスがよく発症の中期と後期に現れる。現在、臨床的に使用されている経口血糖降下剤の作用メカニズムはほとんど、インスリン感受性を増強すること、またはインスリン分泌を促進して血糖を安定させることであるが、これらはいずれもβ細胞アポトーシスという難問を解決できない。グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)及びその類似体の薬物は、β細胞アポトーシスを遅らせ、その再生を促進し、膵島β細胞の分化と増殖を促進する作用があるため、2型糖尿病の治療に関する研究の焦点となっている。
【0004】
1983年に、BELLらは、プログルカゴン(proglucagon,PG)の遺伝子配列を分析したところ、グルカゴン様ペプチド−1(glucagon−like peptide−1)、すなわち、GLP−1を発見した(BELL G I,SANCHEZ−PESCADOR R,LAYBOURN P J,et al.Exon duplication and divergence in the human preproglucagon gene[J].Nature,1983,304(5924):368−371)。PG遺伝子配列は6つのエクソンと5つのイントロンで構成され、3つの主要ドメイン、すなわち、グルカゴン(33〜61)、GLP−1(72〜108)、及びGLP−2(126〜158)を含む。PGのmRNAは膵臓A細胞、腸管L細胞、および脳において発現され、これらの組織細胞で特異的に翻訳修飾が行われ、最終的に異なる最終産物が形成される。
【0005】
GLPには、GLP−1類似体とGLP−2類似体の2つのサブタイプがあり、グルカゴンとほぼ半分のアミノ酸配列が同じであり、両者間も約35%の相同性がある。GLP−1類似体は、終末空腸、回腸及び結腸のランゲルハンス細胞(Langerhans‘
cell)から分泌されるポリペプチドホルモンであり、グルコース依存性インスリン分泌及び生物合成を促進し、グルカゴン分泌を阻害し、胃内容排出を阻害するなど、多くの機能を有する。GLP−2類似体は、腸組織と中枢神経系の脳幹と視床下部の神経細胞で合成され、主に正常な小腸の成長と腸粘膜の損傷の修復を促進する(付 剛、▲キョウ▼ ▲ミン▼、徐 為人、グルカゴン様ペプチド1及びその受容体アゴニストについての
研究の進展[J]、天津医薬、2012、40(2):181−184)。
【0006】
GLP−1は、インスリン分泌を促進する内因性ホルモンであり、主に腸内のL−細胞から分泌され、インスリンとグルコースレベルのバランスを取る役割を果たす。
【0007】
GLP−1の一次構造は次の通りである:ヒスチジン(His)−アラニン(Ala)−グルタミン酸(Glu)−フェニルアラニン(Phe)−グルタミン酸(Glu)−アルギニン(Arg)−ヒスチジン(His)−アラニン(Ala)−グルタミン酸(Glu)−グリシン(Gly)−トレオニン(Thr)−フェニルアラニン(Phe)−トレオニン(Thr)−セリン(Ser)−アスパラギン酸(Asp)−バリン(Val)−セリン(Ser)−セリン(Ser)−チロシン(Tyr)−ロイシン(Leu)−グルタミン酸(Glu)−グリシン(Gly)−グルタミン(Gln)−アラニン(Ala)−アラニン(Ala)−リジン(Lys)−グルタミン酸(Glu)−フェニルアラニン(Phe)−イソロイシン(Ile)−アラニン(Ala)−トリプトファン(Trp)−ロイシン(Leu)−バリン(Val)−リジン(Lys)−アルギニン(Arg)−グリシン(Gly)。DDP−IVは、N末端の7〜8位のヒスチジン(H)−アラニン(A)を迅速に分解でき、DDP−IVは主にペプチド鎖末端加水分解酵素として機能し、8位ではアラニンまたはプロリンである場合、当該酵素は分解の機能を果たしてGLP−1が迅速に活性を失う(AERTGEERTS K,YE S, TENNANT M G
, et al.Crystal structure of human dipeptidyl peptidase IV in complex with a dipeptide peptidase reveals details on substrate spe
cificity and tetrahedral intermediate [J].
Protein Sci,2004,13(2):412−421)。SARRAUST
E DE MENTHIEREらはGLP−1モデルを構築し、アミノ酸置換後GLP−1類似体と受容体の親和性と固有活性の変化を観察した結果、7位のヒスチジンが親和性と固有活性の決定要因であり、その芳香環はトリプトファンよりも小さく、極性置換基はない;8位のアラニンの側鎖には極性基があるとGLP−1の活性に影響を与え、側鎖の体積は大きすぎてはならず、一定の制限を超えると、活性が低下する;9位のグルタミン酸が、酸性、極性、及び疎水性アミノ酸などの特定のアミノ酸に置き換えられる場合、活性は変化せず、塩基性アミノ酸に置き換えられると活性が低下し、さらに不活性になることもある;GLP−1は受容体との結合状態にあり、その中のアミノ酸残基がイオン結合作用を持っている場合、7〜15位のアミノ酸の間に発生して環構造を形成し、Ala8−Glu9−Gly10−Thr11はβターンを形成して7位のヒスチジン、12位のフェニルアラニン、及び19位のチロシンなどの3つの芳香核が互いに作用し、受容体上の芳香族疎水性ポケットに対応し、それらが受容体を活性化する役割を果たすと推定される;22位のグリシンは柔軟なアミノ酸であり、柔軟に連結する役割を果たし、らせん状のコイル形状を維持する。グリシンを破壊すると、すべての芳香族アミノ酸がクラスター化するが、受容体との親和性が1/40減少する(SARAUSTE DE MENTHIEREC,CHAVANIEUA,GRASSYG,et al.Structural requirements of the N−terminal region of GLP−1−[7−37]−NH2 for receptor interaction an
d cAMP production [J].Eur J Med Chem,2004,39(6):473−480)。
【0008】
GLP−1は、GLP−1(1−37)、GLP−1(1−36)、GLP−1(7−37)グリシン誘導体およびGLP−1(7−36)NH2などの分子形態を含む。後者
の2つが同じ生物学的活性を有すると一般に考えられている。腸粘膜L細胞から分泌されるGLP−1(1−37)は不活性であり、活性なGLP−1(7−37)になるにはN末端の6つのアミノ酸をさらに加水分解により切除する必要がある。GLP−1(7−3
7)は体内に存在する時間が短く、すぐに分解される。したがって、抗DPP IVを有するGLP−1類似体について様々な研究が行われている。例えば、米国特許第5545618号には、アルキル基またはアシル基でのN末端の修飾が記載され、また、Gallwitzらは、DPP−IVへの耐性を高めて生理学的活性を維持するために、7位のHisのN−メチル化またはαメチル化し、またはHis全体をイミダゾールで置き換えることについて記載した。
【0009】
これらの修飾に加え、ヒラトカゲの唾液腺から精製されたGLP−1類似体エキセンディン(exendin−4)(米国特許第5424686号)は、DPP IVに耐性があり、しかもGLP−1よりも高い生理学的活性を有する。そのため、GLP−1の半減期よりも長い、2〜4時間のインビボ半減期を持っている。しかしながら、DPP IV耐性を高める方法のみを適用した場合、生理学的活性を十分に維持できず、市販のエクセナチド−4(exenatide)を使用する場合、1日2回患者に注射する必要があり、それでも患者にとって非常に苦しい。
【0010】
これらのインスリン分泌刺激ペプチドは分子量が小さいため、腎臓からすぐに体外に排泄される。ある科学者は、化学的方法を使用して、ポリエチレングリコールなどの高溶解性ポリマーをペプチドの表面に追加して腎臓での損失を抑制している。例えば、米国特許第692464号には、PEGがエキセンディン(exendin−4)のリジン残基に結合して体内での滞留時間を増加させることが記載されている。この方法は、体内でのペプチド薬物の滞留時間を増加させるが、分子量の増加につれて、ペプチド薬物の濃度が大幅に低下し、ペプチドへの反応性も低下する。
【0011】
また、グルカゴン様ペプチド−1化合物の構造を修飾してその作用の持続時間を延長しようとする一連の他の方法がある。例えば、WO96/29342には、親ペプチドホルモンのC末端アミノ酸残基またはN末端アミノ酸残基に親油性置換物を導入することにより修飾されたペプチドホルモン誘導体が開示されている。WO98/08871には、親ペプチドの少なくとも1つのアミノ酸残基に親油性置換物が連結されているGLP−1誘導体(liraglutide)が開示されている。WO99/43708には、C末端アミノ酸残基に連結している親油性置換物を有するGLP−1(7−35)とGLP−1(7−36)誘導体が開示されている。WO00/34331には、ジアシル化GLP−1類似体が記載されている。WO00/69911には、注射用の活性化インスリン分泌刺激ペプチドが開示され、患者の体内では、血液成分と反応して複合体を形成、生体内で効果の持続時間が延長されたと考えられている。
【0012】
WO2006/097537には、別のアシル化GLP−1類似体(semaglutide)が開示され、8位のアミノ酸を非天然アミノ酸に変異させることにより、WO98/08871に記載のアシル化GLP−1(liraglutide)より長い半減期を有する。
【0013】
WO02/046227には、遺伝子組み換え技術を使用して、GLP−1、エクセナチド−4またはその類似体をヒト血清アルブミンまたは免疫グロブリン領域(Fc)と組み合わせることにより融合タンパク質を調製することが開示され、これによって、ポリエチレングリコール化の低収率や非特異性などの問題を解決できるが、血中半減期を延長する効果は、期待したほど大きくなく、総合的な血糖降下効果から、予期の効果に達成せず、さらにセマグルチドにも及ばない。血中半減期を伸ばす効果を最大化するために、さまざまなペプチドリンカーが試されたが、この方法の問題は、免疫反応を引き起こす可能性があることである。
【0014】
CN107033234Aには、GLP−1類似体の脂肪酸による修飾した複合体が開
示され、脂肪酸修飾部位はLys26にあり、初期の動物実験から、血糖降下作用においてセマグルチドより優れていることが示されている。この方法は、GLP−1類似体の生体内の作用時間を適切に延ばすことができるが、延ばした時間はまだ理想的ではない。
【0015】
現在市場で承認されているGLP−1薬には、主にトカゲの唾液から分離されたエクセナチド−4(Exenatide−4);及び脂肪酸、抗体Fcセグメント、または血清アルブミンで修飾されたヒトGLP−1類似体がある。エクセナチド−4は半減期が短く、2〜4時間しかないため、1日に少なくとも2回の注射が必要である。ノボノルディスク社の脂肪酸修飾のリラグルチドは、ヘモグロビンのグリコシル化を減少させるのに最も効果的であり、副作用が少ないが、その欠点として、生体内での半減期はわずか13時間であり、毎日の投与が必要である。生体内の半減期をさらに延ばして投与頻度を減らすために、アミノ酸配列変異体とFC、脂肪酸、またはアルブミンなどで修飾された長時間作用型GLP−1類似体が近年来開発されている。例えば、Eli Lilly社のデュラグルチドやノボノルディスク社のセマグルチド(Semaglutide)などがある。これらの長時間作用型GLP−1類似体は、人体における半減期が異なる程度で延ばされることができ、長くとも週に1回の投与頻度を実現できる。
【0016】
本願の発明者らは長期間の研究を亘り、新しいGLP−1類似体及びその誘導体を開発した。同じ実験条件下で、現在公認されている最も良い薬物セマグルチドと比較して、そのインビトロ活性はセマグルチドと同等である;正常なマウス及び糖尿病のマウスモデルでは、インビボでの血糖降下活性の持続時間は約1倍長くなることができる。これは、人体内で少なくとも、1週間おきで投与する、さらに2週間おきでまたはより長い間隔で投与するという投与頻度を達成できることを意味する。そして、投与量がセマグルチドの量の1/10である時でも、その血糖降下作用はセマグルチドのそれより低くなく、よりよい適用の見通しがある。
【発明の概要】
【0017】
本発明の目的は、新しいGLP−1(7−37)類似体、その類似体のアシル化誘導体を提供することにある。また、本発明はさらに、その類似体または誘導体の調製方法、その類似体または誘導体を含む薬物組成物、製品、及び疾患の予防と治療におけるそれらの使用を提供する。
【0018】
具体的には、一態様では、本発明はGLP−1(7−37)類似体の誘導体またはその薬学上許容される塩を提供し、前記GLP−1(7−37)類似体は、下記式で表されるアミノ酸配列を含み、
HX8EGTFTSDVSSX19LEEX23AARX27FIX30WLVX34GX3637
式中、X8は、V、T、I、L、GまたはSから選択され、X19はYまたはKであり、
23はQまたはKであり、X27はEまたはKであり、X30はAまたはKであり、X34はRまたはKであり、X36はRまたはKであり、X37はGまたはKであり、
ただし、X19、X23、X27、X30、X34、X36、またはX37のうちの1つのみがK残基であり、
前記誘導体は、前記K残基に連結する延長部分を含み、
前記延長部分は、
【化1】
であり、
xは4〜38の整数である。
【0019】
延長部分は好ましくは、HOOC(CH214CO−、HOOC(CH215CO−、HOOC(CH216CO−、HOOC(CH217CO−、HOOC(CH218CO−、
HOOC(CH219CO−、HOOC(CH220CO−、HOOC(CH221CO−
、及びHOOC(CH222CO−からなる群より選択され、より好ましくはHOOC(
CH216CO−である。
【0020】
好ましい実施形態では、本発明に記載のGLP−1類似体の誘導体またはその薬学上許容される塩の延長部分は、リンカーを介してGLP−1のK残基に連結されている。前記リンカーは、下記の構造であってもよい:
【化2】
であり、式中、mは0、1、2または3であり;nは1、2または3であり;sは0〜6の任意の整数であり;pは1〜8の任意の整数である。
【0021】
好ましくは、リンカーは、
【化3】
であり、
式中、mは1または2であり;nは1または2であり;pは1〜5の任意の整数である。
【0022】
より好ましくは、前記リンカーは、
【化4】
であり、式中、mは1であり、nは1または2である。
【0023】
本発明はまた、GLP−1(7−37)類似体にも係り、この類似体は、
HX8EGTFTSDVSSX19LEEX23AARX27FIX30WLVX34GX3637
配列を含み、この配列は、8位、19位、23位、27位、30位、34位、36位、及び37位からなる群より選択される1つ以上の部位の変異を含む。1つの好ましい実施形態では、8位のアミノ酸残基は、V、T、I、L、GまたはSから選択され、19位のアミノ酸残基はYまたはKであり、23位のアミノ酸残基はQまたはKであり、27位のアミノ酸残基はEまたはKであり、30位のアミノ酸残基はAまたはKであり、34位のア
ミノ酸残基はRまたはKであり、36位のアミノ酸残基はRまたはKであり、37位のアミノ酸残基はGまたはKであり、ただし、19位、23位、27位、30位、34位、36位または37位のうちの1つのみがK残基である。
【0024】
上記のGLP−1類似体のアシル化後の誘導体のインビトロ結合活性から明らかに、GLP−1R受容体への結合親和性はセマグルチドまたはM0(26位はLysであり、CN107033234Aに開示されている)のそれより大きいことが分かった。インビボ血糖降下実験によっても、同じアシル化GLP−1製品セマグルチドと比較して、上記のGLP−1類似体のアシル化後の誘導体は正常なマウスの体内でより長い血糖降下活性の持続時間を得ることができる;糖尿病マウスの体内で、上記誘導体の血糖降下及び耐糖能の改善における効果はセマグルチドよりも有意に優れており、しかも、投与量がセマグルチドまたはM0の量の1/10である時でも、その血糖降下作用もセマグルチドまたはM0のそれより低くはないことを証明した。同時に、本発明の研究は、市販のセマグルチドと比較して、上記のGLP−1(7−37)類似体の誘導体のほうが酵素分解に対してより優れた耐性を有することを証明している。
【0025】
具体的には、本発明は以下に係る:
1、GLP−1(7−37)類似体の誘導体またはその薬学上許容される塩であって、GLP−1(7−37)類似体は、下記式で表されるアミノ酸配列を含み、
HX8EGTFTSDVSSX19LEEX23AARX27FIX30WLVX34GX3637

式中、X8は、V、T、I、L、GまたはSから選択され、X19はYまたはKであり、
23はQまたはKであり、X27はEまたはKであり、X30はAまたはKであり、X34はRまたはKであり、X36はRまたはKであり、X37はGまたはKであり、
ただし、X19、X23、X27、X30、X34、X36、またはX37のうちの1つのみがK残基であり、
前記誘導体は、前記GLP−1(7−37)類似体のK残基に連結する延長部分を含み、
前記延長部分は、
【化5】
であり、
xは4〜38の整数である、GLP−1(7−37)類似体の誘導体またはその薬学上許容される塩。
2、前記延長部分は、
HOOC(CH214CO−、HOOC(CH215CO−、HOOC(CH216CO
−、HOOC(CH217CO−、HOOC(CH218CO−、HOOC(CH219
O−、HOOC(CH220CO−、HOOC(CH221CO−、及びHOOC(CH2
22CO−からなる群より選択される、請求項1に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
3、前記延長部分は、リンカーを介してGLP−1(7−37)類似体のK残基に連結されている、請求項1または2に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
4、前記リンカーは、
【化6】
であり、式中、mは0、1、2または3であり;nは1、2または3であり;sは0〜6の任意の整数であり;pは1〜8の任意の整数である。
好ましくは、リンカーは、
【化7】
であり、
式中、mは1または2であり;nは1または2であり;pは1〜5の任意の整数である、請求項3に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
5、前記リンカーは、
【化8】
であり、式中、mは1であり、nは1または2である、請求項4に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
6、N−ε23−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Val8Glu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M2)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Val8Glu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M4)、N
−ε34−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Val8Glu22Arg26Lys34−GLP−1
(7−37))ペプチド(M5)、N−ε37−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Val8
lu22Arg26,34Lys37−GLP−1(7−37))ペプチド(M7)、N−ε23
[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Ile8Glu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M9)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Thr8Glu22
Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M13)、N−ε30−[2
−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Ile8Glu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M14)からなる群より選択されるいずれか一つの誘導体またはその薬学上許容される塩である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
7、(1)上記請求項のいずれか一項に記載のGLP−1類似体が溶解されている溶液と、上記請求項のいずれか一項に記載の延長部分が溶解されている溶液とを混合すること;
(2)pHを4〜5に調整して反応を停止させ、沈殿が生じるまで静置した後、沈殿を採取すること;及び
(3)TFAを沈澱に加え、pHを7.5〜8.5に調整して反応を停止すること
を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩を調製する方法。
8、上記請求項のいずれか一項に記載の延長部分が溶解されている溶液と混合する前に、GLP−1類似体が溶解されている溶液にトリエチルアミンを加えることをさらに含む、請求項7に記載の方法。
9、上記請求項のいずれか一項に記載の延長部分の溶液が、アセトニトリルで溶解されたものである、請求項7または8に記載の方法。
10、請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩、及び薬学上許容される補助材料を含む、薬物組成物。
11、糖尿病(1型糖尿病と2型糖尿病を含む)または糖尿病合併症を予防及び/または治療するための薬物の調製における、請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩の使用。
12、前記糖尿病合併症が糖尿病性腎症である、請求項11に記載の使用。
13、血糖の低減、耐糖能の改善、膵島β−細胞アポトーシスの減少、膵島β−細胞機能の増強、膵島β−細胞数の増加及び/または膵島β−細胞のグルコース感受性の回復のための薬物の調製における、請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩の使用。
14、前記血糖の低減は、空腹時血糖及び/または食後血糖を低下させることを含む、請求項13に記載の使用。
15、被験者に予防または治療有効量の請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩を投与することを含む、糖尿病(1型糖尿病と2型糖尿病を含む)または糖尿病合併症を予防及び/または治療するための方法。
16、前記糖尿病合併症が糖尿病性腎症である、請求項15に記載の方法。
17、被験者に治療有効量の請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬
学上許容される塩を投与することを含む、血糖の低減、耐糖能の改善、膵島β−細胞アポトーシスの減少、膵島β−細胞機能の増強、膵島β−細胞数の増加及び/または膵島β−細胞のグルコース感受性の回復のための方法。
18、前記血糖の低減は、空腹時血糖及び/または食後血糖を低下させることを含む、請求項17に記載の方法。
19、下記式で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む、GLP−1(7−37)類似体。
HX8EGTFTSDVSSX19LEEX23AARX27FIX30WLVX34GX3637
式中、X8は、V、T、I、L、GまたはSから選択され、X19はYまたはKであり、
23はQまたはKであり、X27はEまたはKであり、X30はAまたはKであり、X34はRまたはKであり、X36はRまたはKであり、X37はGまたはKであり、しかも、X19、X23、X26、X27、X30、X34、X36、またはX37のうちの1つのみがK残基である。
20、請求項19の類似体を含む薬物組成物。
21、糖尿病、糖尿病合併症を予防及び/または治療するための薬物の調製における、請求項19に記載の類似体の使用。
22、請求項10または請求項20に記載の薬物組成物を含む容器と、前記薬物組成物のプロトコルを含む添付文書とを含む、製品。
23、1つ以上の他の薬物を含む容器をさらに含む、請求項22に記載の製品。
24、前記1つ以上の他の薬物が、糖尿病または糖尿病合併症を治療するための他の薬物である、請求項23に記載の製品。
【0026】
「空腹時血糖」とは、被験者(例えば、ヒト)が空腹時で測定された血糖値をいい、例えば、一晩の空腹、6〜8時間、8〜10時間など、少なくとも6時間の禁食(飲料水以外は何も食べず)後に測定された血糖値をいう。
【0027】
「食後血糖」とは、食事後に測定された血糖値をいい、例えば、食事後15分間から2時間、30分間から2時間、1時間から2時間、2時間に測定された血糖値をいう。
【0028】
本発明の一態様は、ペプチド発現を可能にする条件下で宿主細胞においてポリペプチドをコードするDNA配列を発現させ、生じたペプチドを回収することを含む、GLP−1(7−37)類似体の調製方法に係る。
【0029】
細胞を培養するために使用される培地は、宿主細胞を培養するために使用される任意の従来の培地、例えば、最小培地または適切な添加剤を含む複合培地であってもよい。適切な培地は、商業的に入手するか、或いは開示された調製方法に従って調製することができる。そして、宿主細胞によって生じたポリペプチドを従来の方法で培地から回収でき、例えば、硫酸アンモニウムなどの塩を使用して上清または濾液中のタンパク質成分を沈澱させ、目的のペプチドの種類に応じて、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなど、さまざまなクロマトグラフィーを選択できる。
【0030】
上記のコーディングDNA配列を任意の適切なベクターに挿入することができる。一般に、ベクターの選択は、ベクターが導入される宿主細胞によって決められることが多いため、ベクターは、その複製がプラスミドなどの染色体複製に依存しない自律複製ベクター、すなわち、染色体外実体として存在するベクターであってもよい。あるいは、ベクターは、宿主細胞に導入されると、宿主細胞ゲノムに組み込まれ、それが組み込まれた染色体と共に複製されるようなタイプであってもよい。
【0031】
ベクターは好ましくは、前記ペプチドをコードするDNA配列が当該DNAの転写に必要な他のセグメント(例えば、プロモーター)に効果的に連結されている発現ベクターで
ある。複数の宿主細胞において本発明のペプチドをコードするDNAの転写を指導するのに適するプロモーターの例は、本分野で周知である。例えば、Sambrook,J,Fritsch,EFとManiatis,T,Molecular Cloning:A
Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York,1989を参照できる。
【0032】
ベクターはまた、その遺伝子産物が宿主細胞内の欠損を補う、または、アンピシリン、ドキソルビシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ストレプトマイシン、またはメトトレキサートなどの薬物への耐性を付与できるような遺伝子である選択マーカーを含んでもよい。
【0033】
本発明により発現されるペプチドを宿主細胞の分泌経路に導入するために、分泌シグナル配列(リーダー配列とも呼ばれる)を組換えベクターに提供することができる。分泌シグナル配列は、正しいリーディングフレームで当該ペプチドをコードするDNA配列に連結される。分泌シグナル配列は通常、当該ペプチドをコードするDNA配列の5’側にある。分泌シグナル配列は、ペプチドに正常に連結する分泌シグナル配列であってもよく、または、別の分泌タンパク質をコードする遺伝子に由来してもよい。
【0034】
本発明のペプチドをコードするDNA配列、プロモーター、及び選択してもよいターミネーターおよび/または分泌シグナル配列をそれぞれに連結し、複製に必要な情報を含む適切なベクターに挿入する方法は、当業者にとって既知である。
【0035】
DNA配列または組換えベクターが導入された宿主細胞は、細菌、酵母、真菌、および高等真核細胞を含む、本発明のペプチドを産生できる任意の細胞であってもよい。当業者に知られており、しかも使用されている適切な宿主細胞の例として、大腸菌、サッカロミセス・セレビシエ、または哺乳動物のBHKまたはCHO細胞株が含まれるが、これらに限られていない。
【0036】
本発明は、上記のGLP−1(7−37)類似体を含む薬物または薬物組成物に係り、また、薬物の調製における当該類似体の使用、例えば、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)、糖尿病合併症(例えば、糖尿病腎症、糖尿病性心疾患)の予防または治療、血糖降下または耐糖能を改善するための薬物の調製における使用に係る。
【0037】
別の態様において、本発明はまた、上記のGLP−1(7−37)類似体または上記GLP−1(7−37)類似体の誘導体を被験者に投与することによって糖尿病(例えば、I型およびII型糖尿病)、糖尿病合併症(例えば、糖尿病性血管疾患、糖尿病性神経障害、糖尿病性眼疾患、糖尿病腎症、糖尿病性心疾患)を予防または治療する、血糖降下(例えば、空腹時血糖や食後血糖値)または耐糖能を改善する方法にも係る。さらに別の態様において、本発明は、糖尿病(例えば、I型およびII型糖尿病)、糖尿病合併症(例えば、糖尿病性血管疾患、糖尿病性神経障害、糖尿病性眼疾患、糖尿病腎症、糖尿病性心疾患)を予防または治療する、血糖降下または耐糖能を改善するための薬物の調製における、上記のGLP−1(7−37)類似体または上記GLP−1(7−37)類似体の誘導体の使用にも係る。
【0038】
別の態様において、本発明は、上記GLP−1(7−37)類似体を含む薬物組成物、製品またはキットに係る。
【0039】
本発明はさらに、上記GLP−1(7−37)類似体の誘導体を含む薬物組成物、製品またはキットに係る。
【0040】
本発明に記載の薬物組成物は、活性成分GLP−1(7−37)類似体またはGLP−1(7−37)類似体の誘導体またはその塩を含む他、その薬学上許容される補助材料をも含む。当業者に知られている薬学上許容される補助材料として、例えば、非毒性の充填剤、安定剤、希釈剤、担体、溶媒または他の調製補助材料が挙げられる。例えば、微結晶性セルロース、マンニトールなどの希釈剤や賦形剤;デンプン、スクロースなどの充填剤;デンプン、セルロース誘導体、アルギン酸塩、ゼラチンおよび/またはポリビニルピロリドンなどの結合剤;炭酸カルシウムおよび/または重炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;セチルアルコールなどの界面活性剤;水、生理食塩水、カオリン、ベントナイトなどの担体や溶媒;タルク、ステアリン酸カルシウム/マグネシウム、ポリエチレングリコールなどの滑剤が挙げられる。また、本発明の薬物組成物は注射剤であることが好ましい。
【0041】
本発明はまた、上記の類似体、誘導体、または薬物、薬物組成物を、それを必要とする被験者に投与することを含む、膵島β−細胞アポトーシスの減少、膵島β−細胞機能の増強、膵島β−細胞数の増加及び/または膵島β−細胞のグルコース感受性の回復のための方法に係る。
【0042】
本発明はさらに、膵島β−細胞アポトーシスの減少、膵島β−細胞機能の増強、膵島β−細胞数の増加及び/または膵島β−細胞のグルコース感受性の回復のための薬物の調製における、上記の類似体、誘導体、または薬物、薬物組成物の使用に係る。
【0043】
本発明において、GLP−1(7−37)ポリペプチド、GLP−1(7−37)ポリペプチド類似体、GLP−1(7−37)類似体は置き換えて使用することができ、いずれもアミノ酸配列:HX8EGTFTSDVSSX19LEEX23AARX27FIX30WL
VX34GX3637を含むポリペプチドを表し、式中、X8は、V、T、I、L、Gまたは
Sから選択され、X19はYまたはKであり、X23はQまたはKであり、X27はEまたはKであり、X30はAまたはKであり、X34はRまたはKであり、X36はRまたはKであり、X37はGまたはKである。このGLP−1(7−37)ポリペプチド類似体は、延長部分と連結することによって、GLP−1(7−37)ポリペプチド類似体の誘導体を形成する。具体的には、本発明は、GLP−1(7−37)類似体のアシル化誘導体に係る。このアシル化誘導体は顕著な治療効果を有するだけではなく、現在公認されている最も良い薬物セマグルチドと比較して、そのインビボでの活性の持続時間は約1倍長くなることができる。これは、人体内で少なくとも、1週間おきで投与する、さらに2週間おきでまたはより長い間隔で投与するという投与頻度を達成できることを意味する。
【0044】
本発明のGLP−1(7−37)類似体の誘導体、GLP−1(7−37)類似体のアシル化誘導体、GLP−1(7−37)誘導体、GLP−1誘導体は置き換えて使用することができる。
【0045】
別の態様において、本発明は、
(1)上記のGLP−1類似体が溶解されている溶液と、延長部分(例えば、脂肪酸)が溶解されている溶液とを混合すること;
(2)pHを4〜5に調整して反応を停止させ、沈殿が生じるまで静置した後、沈殿を採取すること;及び
(3)TFAを沈澱に加え、pHを7.5〜8.5に調整して反応を停止すること
を含む、上記の誘導体またはその薬学上許容される塩を調製する方法に係る。
【0046】
一つの好ましい実施形態では、上記方法は、GLP−1類似体が溶解されている溶液にトリエチルアミンを加えることを含む。
【0047】
一つの好ましい実施形態では、上記延長部分(例えば、脂肪酸)の溶液が、アセトニトリルで溶解されたものである。
【0048】
本発明の例示的な調製方法は、(1)GLP−1(7−37)類似体の溶液を提供し、pHを9〜12に調整すること;
(2)そして、工程(1)で得られた溶液にトリエチルアミンを添加すること;
(3)下記構造を有する脂肪酸を、GLP−1類似体の量(モル比)の2倍以上、好ましくはGLP−1類似体の量の3倍以上の量を量り、アセトニトリルに溶解すること;
【化9】
(4)工程(2)で得られたGLP−1類似体溶液を工程(3)で得られた脂肪酸溶液と混合し、低温で静置し、例えば、1時間静置すること;
(5)pHを4〜5に調整して反応を停止させ、低温で静置して沈殿を起こさせて沈殿を採取すること;
(6)ポリペプチドの最終濃度が5〜15mg/mlになるように、工程(5)で得られた酸沈澱サンプルにTFAを加え、0.5〜2時間静置した後、NaOHなどのアルカリ性溶液を反応液に滴加し、pHを7.5〜8.5に調整して反応を停止すること;
(7)得られた生成物を分離精製することを含む。
【0049】
本発明は、GLP−1(7−37)類似体の誘導体またはその薬学上許容される塩を含む薬物組成物の製剤に係る。一部の実施形態では、本発明のGLP−1(7−37)類似体の誘導体またはその薬学上許容される塩は、0.1mg/ml〜25mg/mlの濃度で存在し、好ましくは0.1mg/ml〜10.0mg/mlの濃度で存在する。好ましい実施形態では、前記薬物組成物は3.0〜9.0のpHを有する。好ましい実施形態では、前記薬物組成物はさらに、緩衝系、防腐剤、表面張力剤、キレート剤、安定剤、及び界面活性剤を含んでもよい。一部の実施形態では、本発明に記載の薬物または製剤は、水性薬物または製剤であり、例えば、通常は溶液または懸濁液であり得る。本発明の具体的な実施形態では、薬物または製剤は安定した含水溶液である。本発明の別の一部の具体的な実施形態では、薬物または製剤は凍結乾燥製剤であり、使用前に溶媒および/または希釈剤が添加される。
【0050】
本発明はまた、上記の薬物組成物、製剤、薬物を含むキットまたは試薬キットに係る。そのキットまたは試薬キットには、上記の薬物または製剤が含まれる他、薬物組成物、製剤、薬物と組み合わせて使用する他の薬物、薬物化合物または組成物が含まれてもよく、例えば、前記その他の薬物、薬物化合物または組成物は、抗糖尿病薬、糖尿病によって引き起こされるまたは糖尿病に関連する合併症を治療および/または予防するための薬物から選択することができる。これらの薬物の実例として、インスリン、スルホニル尿素、ビグアナイド、メグリチニド、グルコシダーゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤、糖新生および/
またはグリコーゲン分解の刺激に係る肝酵素の阻害剤、グルコース摂取調節剤、NPYア
ンタゴニスト、PYYアゴニスト、PYY2アゴニスト、PYY4アゴニスト、TNFアゴニスト、コルチコトロピン放出因子アゴニスト、5HT、ボンベシンアゴニスト、ガングリオインアンタゴニスト、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンアゴニスト、TRβアゴニスト、ヒスタミンH3アンタゴニスト、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、胃
抑制性ポリペプチドアゴニストまたはアンタゴニスト、ガストリンおよびガストリン類似体などが挙げられる。一部の実施形態では、本発明に記載の薬物組成物、製剤、薬物と、その他の薬物、薬物化合物または組成物とは、それぞれ異なる容器に入れられる。
【0051】
本発明はまた、上記の類似体、誘導体、または薬物、薬物組成物をそれを必要とする被験者に投与することを含む、糖尿病(例えば、I型およびII型糖尿病)、糖尿病合併症(例えば、糖尿病性血管疾患、糖尿病性神経障害、糖尿病性眼疾患、糖尿病腎症、糖尿病性心疾患)を予防または治療する、血糖(例えば、空腹時血糖や食後血糖値)を降下する方法にも係り、前記類似体、誘導体、または薬物、薬物組成物は、その他の薬物、薬物化合物または組成物と組み合わせて使用し、例えば、その他の薬物、薬物化合物または組成物は、抗糖尿病薬、糖尿病によって引き起こされるまたは糖尿病に関連する合併症を治療および/または予防するための薬物から選択することができる。これらの薬物の実例として、インスリン、スルホニル尿素、ビグアナイド、メグリチニド、グルコシダーゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤、糖新生および/またはグリコーゲン分解の刺激に係る肝酵素の阻害
剤、グルコース摂取調節剤、CARTアゴニスト、NPYアンタゴニスト、PYYアゴニスト、PYY2アゴニスト、PYY4アゴニスト、TNFアゴニスト、コルチコトロピン放出因子アゴニスト、5HT、ボンベシンアゴニスト、ガングリオインアンタゴニスト、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンアゴニスト、TRβアゴニスト、ヒスタミンH3アンタゴニスト、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、胃抑制性ポリペプチドアゴニス
トまたはアンタゴニスト、ガストリンおよびガストリン類似体などが挙げられる。好ましい実施形態では、前記糖尿病は2型糖尿病または糖尿病腎症である。
【0052】
本発明でいう「糖尿病合併症」とは、肝臓、腎臓、心臓、網膜、神経系の損傷や機能障害などを含む、糖尿病時の血糖コントロール不良により引き起こされる体の他の臓器や組織の損傷または機能障害性疾患をいう。糖尿病の合併症は次の5つに分けられる:1、心血管疾患:糖尿病患者の主な主因である、心臓および大血管上の微小血管疾患、心筋症、心臓自律神経障害を含む。2、脳血管疾患:主に脳動脈硬化症、虚血性脳血管疾患、脳出血、脳萎縮などとして現れる、糖尿病によって引き起こされる頭蓋内大血管および微小血管疾患を指す。3、腎血管疾患:主に糖尿病腎症として現れ、糖尿病患者の最も重要な合併症の一つである。4、下肢動脈疾患:主に糖尿病足として現れる。5、眼底微小血管疾患:主に糖尿病性網膜症として現れる。
【0053】
本発明について以下の実施例を用いてさらに説明するが、下記の実施例は、本特許の保護範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。上記の説明および以下の実施例に開示された特徴(個々におよびそれらの任意の組み合わせ)は、本発明を基本的に異なる形態で実施するために用いられる材料であってもよく、任意に組み合わせることができる。また、本発明は公開文献を引用しているが、これらの文献は、本発明をより明確に説明するためのものであり、それらの全文内容は、本文で繰り返して説明したように、参照として本文に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】II型糖尿病db/dbマウスに対する異なるアシル化GLP−1誘導体分子の血糖降下作用を示す図である。
図2】糖尿病マウスの空腹時血糖に対する、異なる用量のM0、M4およびセマグルチドの影響を示す傾向グラフである。
図3】糖尿病マウスのランダムな血糖に対する、異なる用量のM0、M4およびセマグルチドの影響を示す図である。
図4】糖尿病マウスの血糖曲線下面積に対する、異なる用量のM0、M4およびセマグルチドの影響を示す図である。
図5】ペプシン分解に対するM4およびセマグルチド分子の耐性を示す傾向グラフである。
図6】トリプシン分解に対するM4およびセマグルチド分子の耐性を示す傾向グラフである。
【0055】
[実施例]
以下、具体的な実施例を使用して本発明を説明する。特に明記しない限り、当業者によく知られている『Molecular Cloning:A Laboratory Manual』、『Cells:A Laboratory manual』などの実験マニュアルおよびCFDAの実験ガイドラインなどに記載されている方法に従って実施することができる。その中で使用される試薬原料はすべて市販品であり、オープンチャネルで購入できる。
【0056】
実施例1 GLP−1類似体発現プラスミドの構築
Val8Glu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37)のDNAの構築
6−Hisタグ、SUMOタグ、およびVal8Glu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37)をコードする遺伝子配列(SEQ ID NO:7)を順に融合し、化学合成により遺伝子断片(SEQ ID NO:18)を得た。BamHIとXhoI部位を介して、上記断片を原核生物発現プラスミドpET−24(+)に挿入してシーケンシングによって検証した。得られた形質転換アッセイのための発現プラスミドは、pET−24(+)−His−SUMO−Val8Glu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37)と呼ばれる。
上記の方法に従って、Val8Glu22Lys26Arg34−GLP−1(7−37)(
コード遺伝子はSEQ ID NO:3)、Val8Glu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37)(コード遺伝子はSEQ ID NO:11)、Val8Glu22
ys19Arg26,34−GLP−1(7−37)(コード遺伝子はSEQ ID NO:5
)、Val8Glu22Lys27Arg26,34−GLP−1(7−37)(コード遺伝子はSEQ ID NO:9)、Val8Glu22Lys34Arg26−GLP−1(7−37)
(コード遺伝子はSEQ ID NO:13)、Val8Glu22Arg26,34Lys36−GLP−1(7−37)(コード遺伝子はSEQ ID NO:15)、Val8Glu22Arg26,34Lys37−GLP−1(7−37)(コード遺伝子はSEQ ID NO:17)、Thr8Glu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37)(コード遺伝子はSEQ ID NO:20)、Ile8Glu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37)(コード遺伝子はSEQ ID NO:22)、Leu8Glu22Lys23Ar
26,34−GLP−1(7−37)(コード遺伝子はSEQ ID NO:24)、Gl
8Glu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37)(コード遺伝子はSEQ ID NO:26)、Ser8Glu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37)(コード遺伝子はSEQ ID NO:28)、Thr8Glu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37)(コード遺伝子はSEQ ID NO:30)、Ile8Glu22
ys30Arg26,34−GLP−1(7−37)(コード遺伝子はSEQ ID NO:3
2)、Leu8Glu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37)(コード遺伝子はSEQ ID NO:34)、Gly8Glu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37)(コード遺伝子はSEQ ID NO:36)、Ser8Glu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37)(コード遺伝子はSEQ ID NO:38)の対応する発現プラスミドを順に構築した。
【0057】
実施例2 融合タンパク質の発現
実施例1に記載のDNA構築物を使用して融合タンパク質を発現させ、細胞BL21(
TrabsGenBiotech.,catalog#CD601)を発現させることによって標的タンパク質を得た。BL21コンピテントセル50μlを氷浴に入れて溶かし、標的DNAを加えて軽く均一に振り、氷浴に30分間放置した。続いて、42℃水浴で30秒間熱ショックを与えた後、遠心管を振らないように遠心管を迅速に氷浴に移して2分間放置した。500μlの滅菌LB培地(抗生物質を含まない)を遠心管に加え、均一に混合した後に37℃に置き、180rpmで1時間培養して細菌を蘇らせた。200μlの形質転換されたコンピテントセルをピペットで取り、カナマイシン耐性を有するLB寒天培地プレート上に加え、細胞を均一に広げた。液体が吸収されるまでプレートを37℃に置き、そしてプレートを反転させて37℃で一晩培養した。翌日、播種ループを使用して形質転換プレート内のモノクローナルコロニーを取り出し、15mlの滅菌LB培地(抗生物質を含む)に播種し、30℃で一晩培養した。
【0058】
実施例3 組換えGLP−1類似体の発酵
50μlの細菌溶液(GLP−1発現細菌溶液)を50mlのLB培地に加えると共に、50μlのカナマイシンを加え、よく混合してから30℃の恒温シェーカーに入れて播種して一晩置いた。一晩播種した細菌溶液10mlを取り、1000mlのLB培地に加えると同時に、1000μlのカナマイシンを加えた。均一に振った後、37℃のシェーカーに入れて200rpmで、播種して4時間後に、最終濃度0.1mоl/LのIPTGを培地に加え、よく振った後、30℃のシェーカーに入れて180rpmで一晩置き、発現を誘導した。一晩発現した細菌溶液を13000gで60分間遠心分離した。細胞収量は約4g菌体/L発酵液であり、SDS−PAGEによって測定されたタンパク質発現量は約40%に達することができる。
【0059】
実施例4 組換えGLP−1類似体の精製
100gの細胞スラリーを計量し、500mlの50mM Tris−HCl、pH8.0、50mM NaClに再懸濁し、細胞が破砕するように超音波細胞粉砕機で30分間超音波処理した。ホモジネートを4℃で13000gで60分間遠心分離し、遠心分離後に収集した上澄はNiカラムクロマトグラフィーサンプルであった。
得られた上澄を、50mM Tris−HCl、pH8.0、500mM NaCl、および10mMイミダゾール(平衡化溶液1)で予め平衡化したChelating Sepharose FFで濃縮した。平衡液1で洗浄した後、50mM Tris−HCl、pH8.0、500mM NaCl、および0.3Mイミダゾール(溶出液)で溶出した。SDS−PAGE分析によれば、上記の精製プロセスで生成されたGLP−1中間生成物の純度は70%より高かった。
ULP酵素を使用してSumoタグ配列を切除した。20mM PB、pH7.4緩衝液を中間生成物に加えて3倍に希釈し、4℃条件下でULP酵素:中間生成物が1:150でULPを加えて混合し、一晩消化した。SDS−PAGE分析によると、消化率はほぼ100%であった。
GLP−1類似体の精製:消化後に得られた生成物を、20mM Na2HPO4、0.7M NaCl(平衡液2)で予め平衡化したTosoh Butyl 550C媒質で濃縮した。平衡液2で洗浄した後、20%エタノールで溶出し、SDS−PAGE分析による純度は約90%であった。
溶出したサンプルに0.2M Na2HPO4を加えて最終濃度を20mM Na2HP
4にし、1Mクエン酸でpHを4.8〜5.0に調整し、4℃で一晩沈殿させた。SD
S−PAGEによって検出された収率は90%以上であった。4℃で13000gで30分間遠心分離し、沈殿物を収集して−20℃で保存した。
【0060】
実施例5 GLP−1類似体の誘導体の調製
下記式に表されるGLP−1類似体の誘導体、N−ε23−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシ
ブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Val8Glu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M2と略称する)の調製
【化10】
1、脂肪酸による修飾:上記実施例で調製、収集されたVal8Glu22Lys23Ar
26,34−GLP−1(7−37)沈澱に水を加えて4〜6mg/ml溶液を調製し、1
M水酸化ナトリウムを加えてpHを11.0〜11.5に調整し、タンパク質が完全に溶解するように均一に振り、HPLCでポリペプチド濃度を定量した。ポリペプチドと脂肪酸(構造は下記通りである)とのモル比が1:4となるように脂肪酸粉末を取ってアセトニトリルに溶かした。体積が1000分の2のトリエチルアミンをポリペプチド溶液に加え、脂肪酸溶液と混合し、混合液を4℃で1時間静置した。
【化11】
サンプルを水で5倍に希釈し、1Mクエン酸(または10%酢酸)でpHを4.8に調整して反応を停止し、4℃で10分間置いて沈殿(酸沈殿)させた後、13000g、4℃で30分間遠心分離し、沈殿物を−80℃で保存した。
2、脂肪酸の脱保護と精製:ポリペプチドの最終濃度が約10mg/mlになるようにTFAを酸沈殿したサンプルに加え、振とうして沈澱を溶解し、室温で30分間静置して脱保護し、4M NaOHを反応液に滴加してpHを7.5〜8.5に調整して反応を停止した。
分取液体分析装置(島津LC−8A)を使用して、停止した反応液を流速4ml/minで、10mM酢酸アンモニウム、20%エタノール(平衡液3)で予め平衡化したUniSil 10−120C18(Suzhou Nano-Micro Technology CO., LTD.から購入)にポンプして濃縮した。平衡液3で洗浄した後、0〜100%溶出液(10mM酢酸アンモニウム、80%エタノール)で段階的に溶出し、溶出ピークを収集してRP−HPLCで検出した結果、純度は約90%であった。
溶出ピークを水で3倍に希釈し、酸沈殿によりpHを4.80に調整し、4℃で30分間酸沈殿させた。遠心分離後、PBST緩衝液(pH7.0)を沈殿物に加えて再溶解し、−80℃で保存した。
上記の方法に従って、N−ε26−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Val8Glu22Ly
26Arg34−GLP−1(7−37))ペプチド(M0)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Val8Glu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M4)、N−ε19−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Val8Lys19Glu22Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M1)、N−ε27−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Val8Glu22Lys27Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M3)、N−ε34−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Val8Glu22Arg26Lys34−GL
P−1(7−37))ペプチド(M5)、N−ε36−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Val8Glu22Arg26,34Lys36−GLP−1(7−37))ペプチド(M6)、N−ε37−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Val8Glu22Arg26,34Lys37−GLP−1(7−37))ペプチド(M7)、N−ε23−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Thr8Gl
22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M8)、N−ε23−[
2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Ile8Glu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M9)、N−ε23−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Leu8Glu22
ys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M10)、N−ε23−[2−
(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Gly8Glu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M11)、N−ε23−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Ser8Glu22Ly
23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M12)、N−ε30−[2−(
2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Thr8Glu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M13)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Ile8Glu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M14)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Leu8Glu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M15)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カル
ボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Gly8Glu22Lys30
rg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M16)、N−ε30−[2−(2−[
2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](Ser8Glu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M17)を順に調製した。

【表1】
【0061】
実施例6 RIN−m5F細胞におけるGLP−1類似体の誘導体のインビトロ活性測定
培養状態の良いRIN−m5F細胞を選択した。細胞を収集して計数し、RPMI1640基礎培養液で1×105細胞/mlの細胞懸濁液にした。ウェルあたり100μlで
細胞懸濁液を96ウェル細胞培養プレートに播種し、37℃、5%CO2条件下で一晩培
養した。cAMP検出キット(Promega)を使用してGLP−1類似体の誘導体のインビトロ活性を検出した;アッセイ培養液を調製してサンプル(Aib、M0、M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7)を300ng/mlに希釈した後、96ウェルプレートで3倍段階的に希釈し、合計で8つの濃度にし、各希釈度で2つの複製孔を作り、M0、M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7を上記のように調製した。Aibは、N−ε26−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP−1(7−37)
ペプチドであり(CN101133082Bの実施例4参照)、商品名はセマグルチドであり、特許CN101133082Bに開示された方法に従って調製された。
用意した細胞プレートを取り出し、培地を捨て、ろ紙で吸い取って乾かした。それに応じてサンプル溶液を細胞プレートに移し、40μl/ウェルにした。37℃、5%CO2
の条件下で蓋を開けて15分間処理した。インキュベーターから細胞培養プレートを取り出し、10μlのCD溶液(cAMP検出キット(Promega))を各ウェルに加え、細胞プレートを22℃〜25℃で500rpmで水平に振とうして20分間放置した。50μlのKG溶液(cAMP検出キット(Promega))を各ウェルに加え、22℃〜25℃、500rpmで水平に振って暗所に10分間放置した。Molecular
Devices SpectraMax L化学発光メーターを使用して化学発光値を
読み取り、30分間以内に検出を完了した。サンプルのEC50を、sоftmax Pro sоftwareの4パラメータ回帰によって計算した。
【表2】
RIN−m5F細胞のインビトロ薬力学から、セマグルチド、M2、M4、M5、及びM7のインビトロ活性がほぼ同じであり、全体的にはM0、M1、M3、およびM6よりやや高いことが示された。
【0062】
実施例7 HEK293/CRE−Luc/GLP1R細胞におけるGLP−1類似体の誘導体のインビトロ活性測定
GLP−1が細胞膜上の受容体と結合できることに応じて、HEK293/CRE−Luc/GLP1R細胞株を構築し、一連のシグナル伝達を通してcAMP応答エレメント(CRE)を活性化し、下流のルシフェラーゼ発現を開始させた。発現量は、GLP−1の生物学的活性と正の相関があり、ルシフェラーゼ基質を加えた後、化学発光検出を行い、その発光強度を測定し、これによってGLP−1生物学的活性を測定した。
実験材料
96ウェル細胞培養プレート(白色不透明)、DMEM培地(GIBCO)、0.05%TRYPSIN−EDTA(GIBCO)、ウシ胎児血清(GIBCO)、G418、ハイグロマイシンB、Bright−GloTM Luciferase Assay Systemキット(Promega)、HEK293/CRE−luc/GLP1R細胞。
実験操作
(1)細胞の調製:細胞を活発な生長状態、且つ十分な量まで培養した。培養瓶内の培養液を捨て、3mlのVersene液を加えて1回振って、2mlの0.05%TRYPSIN−EDTA消化液を加え、蓋をして1分間平らに静置してから、6mlのアッセイ培養液を加えて消化を停止し、1000r/minで3分間遠心分離した後、上澄を捨て、細胞を5mlアッセイ培地に再懸濁し、血球計算盤でカウントした。DMEMアッセイ培養液を使用して細胞の密度を適切な範囲に調整して後ほどの使用のために放置した。
(2)サンプルの調製:表1の様々なGLP−1類似体の誘導体をアッセイ培養液で20ng/mlに希釈した後、96ウェルプレートに段階的に8つの濃度を希釈し、サンプルの代わりにアッセイ培養液を細胞ブランク対照として使用し、各希釈濃度で2つの複製孔を作製した。
(3)サンプル添加培養:調製した対照品と試験品溶液を96ウェル細胞培養プレート(ホワイトボード)に移し、各ウェルに50μlを加え、そして調製した細胞懸濁液を各ウェルに50μlを加え、37℃、5%CO2条件下で一定期間培養した。
(4)化学発光検出:基質を加え、96ウェル細胞培養プレートを取り出し、各ウェルに100μlのBright Glo試薬を加え、暗所に3分間放置した。
(5)読み取り:化学発光マイクロプレートリーダーSpectraMax Lで測定し、30分間以内にプレートを読み取り、測定結果を記録した。
【表3】
HEK293/CRE−Luc/GLP1R細胞の薬力学から、セマグルチド、M2、M4、M9、M11、M14、M16、およびM17のインビトロ活性がほぼ同じであり、全体的にはM13よりやや高いことは示された。
【0063】
実施例8 正常なマウスにおけるGLP−1類似体の脂肪酸修飾誘導体の血糖降下作用に関する研究
4〜6週齢の健康なCD−1メスマウス28匹を選択し、4つの群に分け、それぞれM2、M4、M0及びセマグルチド(Aib)を0.15mg/kg体重の用量で皮下注射により投与した。投与前、投与後6時間、1日、2日、3日、4日の間隔で、2g/kg体重の用量で20%ブドウ糖を強制投与し、投与前に6時間禁食し、投与後の0、0.5、1、2時間にそれぞれ尾先端から血液を採取し、Roche血糖テストストリップを使用してリアルタイムで血糖を検出し、0〜120分間以内の血糖AUC(血糖〜時間曲線下の面積)を計算して血糖抑制率を算出した(表4)。
【数1】
【表4】
表4から分かるように、正常マウスにおけるセマグルチドの血糖降下活性は約2日間持続し、正常マウスにおけるM0の血糖降下活性は約3日間持続し、正常マウスにおけるM2およびM4の血糖降下活性は4日目でも明らかな活性を示し、インビボで継続的な血糖降下活性を維持した時間は、セマグルチドまたはM0より有意に長く、しかも投与3日後の各時点で、M2とM4の血糖降下作用もセマグルチドまたはM0より有意に強かった。
4〜6週齢の健康なCD−1メスマウス28匹を選択し、4つの群に分け、それぞれM4、M5、M7及びM0を0.15mg/kg体重の用量で皮下注射により投与した。投与前、投与後6時間、1日、2日、3日、4日の間隔で、2g/kg体重の用量で20%ブドウ糖を強制投与し、20%ブドウ糖の強制投与前に6時間禁食し、投与後の0、0.5、1、2時間にそれぞれ尾先端から血液を採取し、Roche血糖テストストリップを使用してリアルタイムで血糖を検出し、0〜120分間以内の血糖AUC(血糖〜時間曲線下の面積)を計算して血糖抑制率を算出した(表5)。
【数2】
【表5】
表4と表5の結果から見て、M2とM4の効果は、M0とセマグルチドの効果よりも優れており、M2、M4、M5、M7の効果はほぼ同じであり、有意な差はない。
【0064】
実施例9 ICRマウスを使用した血糖降下作用に関する研究
ICRマウスOGTT試験:4〜6週齢のICRマウス30匹を選択し、6つの群に分け、各群5匹ずつとし、それぞれM0、セマグルチド、M2、M4、M5およびM7を0.15mg/kg体重の用量で皮下注射により単回投与した。4時間、1日、2日、3日、4日、5日の時間に応じて、2g/kg体重の用量で毎日20%ブドウ糖を強制投与し、投与前に6時間禁食し、20%ブドウ糖の強制投与後の0、0.5、1、2時間にそれぞれ尾先端から血液を採取し、Roche血糖テストストリップを使用してリアルタイムで血糖を検出し、0〜120分間以内の血糖AUC(血糖〜時間曲線下の面積)を計算して血糖抑制率を算出した(表6)。
【数3】
【表6】
表6の結果から分かるように、血糖降下作用の維持では、M4、M5、M2、M7の血糖降下作用はいずれも少なくとも4日間維持でき、M0(3日間のみ維持した)とセマグルチド(2日間のみ維持した)よりもはるかに優れており、統計学的に有意である。
【0065】
実施例10 II型糖尿病db/dbマウスに対する血糖降下作用の試験
8〜9週齢のdb/dbメスマウス50匹を選択し、投与前の体重、空腹血糖値(FBG)によって平均的に10つの群に分け、各群5匹ずつとし、それぞれ溶媒、M2、M4、セマグルチド、M9、M11、M13、M14、M16およびM17を10ml/kgで皮下注射により単回投与し、投与量がいずれも0.05mg/kgであり、投与時間を0時間とした。各試験群の動物の空腹時血糖が投与前のものに回復するまで、毎日マウスを6〜8時間禁食させた後に空腹血糖を検出し、投与後に毎日空腹血糖を検出した。投与前に測定した血糖値を基礎血糖値といい、0に設定した。
空腹血糖変化値(Δ:delta)=投与後の血糖値−投与前の基礎血糖値。
その結果を図1に示し、4日目と5日目から分かるように、M9、M13、M14の血糖降下作用はセマグルチドより優れており、M2と比べても低くなく、M11、M16およびM17は2日目に、セマグルチドより低い血糖降下作用を示した。
【0066】
実施例11 II型糖尿病db/dbマウスに対する異なる用量のセマグルチド、M0およびM4の血糖降下作用
8〜9週齢のdb/dbメスマウス35匹を選択し、投与前の体重、血糖曲線下面積(G−AUC)によって平均的に7つの群に分け、各群5匹ずつとし、それぞれ溶媒、M4
(0.15、0.015mg/kg)、セマグルチド(0.15、0.015mg/kg)、およびM0(0.15、0.015mg/kg)を10ml/kgで皮下注射により単回投与した。投与時間を0時間とした。毎日マウスを7〜8時間禁食させた後に空腹血糖とOGTT(経口糖負荷試験)を測定し、1g/kg体重の用量で10%ブドウ糖を強制投与し、糖負荷後の0、0.5、1、2時間にそれぞれ尾先端から血液を採取してリアルタイムで血糖を検出した。投与後、各試験群の動物の血糖が投与前のレベルに回復するまで、毎日禁食する前に血糖を測定し、ランダム血糖とした。投与前に測定した基礎血糖値、ランダム血糖値、および血糖曲線下面積(G−AUC)値はいずれも薬効を測定するためのベースであり、いずれも0に設定した。
血糖変化量(Δ:delta)=投与後の血糖値−投与前の基礎血糖値;
血糖曲線下面積変化量(Δ:delta)=投与後の血糖曲線下面積−投与前の血糖曲線下面積。
結果を表7、8、9および図2、3、4に示す。
【表7】
【表8】
【表9】
表7〜9および図2〜4の結果は、以下のことを示した。
空腹時血糖:M4 0.15mg/kg用量群は投与後123時間に投与前の基礎血糖ベース値に回復し、0.015mg/kg用量群は投与後99時間に投与前の基礎血糖ベース値に回復した;セマグルチド 0.15mg/kg用量群は投与後51時間に投与前の基礎血糖ベース値に回復し、0.015mg/kg用量群は投与後27時間に投与前の基礎血糖ベース値に回復した;M0 0.15mg/kg用量群は投与後75時間に投与前の基礎血糖ベース値に回復し、0.015mg/kg用量群は投与後51時間に投与前の基礎血糖ベース値に回復した;その中で、M4の0.015mg/kg用量群の各検出時点の空腹時血糖降下値はいずれも、セマグルチドまたはM0の0.15mg/kg用量群よりも低くはなかった。
ランダム血糖:M4 0.15mg/kg用量群は投与後115時間に投与前のランダム血糖ベース値に回復し、0.015mg/kg用量群は投与後115時間に投与前のランダム血糖ベース値に回復した;セマグルチド 0.15mg/kg用量群は投与後67時間に投与前のランダム血糖ベース値に回復し、0.015mg/kg用量群は投与後67時間に投与前のランダム血糖ベース値に回復した;M0 0.15mg/kg用量群は投与後67時間に投与前のランダム血糖ベース値に回復し、0.015mg/kg用量群は投与後67時間に投与前のランダム血糖ベース値に回復した;その中で、M4の0.015mg/kg用量群の各検出時点のランダム血糖に対する抑制作用はいずれも、セマグルチドまたはM0の0.15mg/kg用量群よりも低くはなかった。
血糖曲線下面積(G−AUC):M4 0.15mg/kg用量群は投与後99時間に投与前の血糖曲線下面積ベース値に回復し、0.015mg/kg用量群は投与後99時間に投与前の血糖曲線下面積ベース値に回復した;セマグルチド 0.15mg/kg用量群は投与後51時間に投与前の血糖曲線下面積ベース値に回復し、0.015mg/kg用量群は投与後51時間に投与前の血糖曲線下面積ベース値に回復した;M0 0.15mg/kg用量群は投与後51時間に投与前の血糖曲線下面積ベース値に回復し、0.015mg/kg用量群は投与後27時間に投与前の血糖曲線下面積ベース値に回復した;その中で、M4の0.015mg/kg用量群の各検出時点の血糖曲線下面積はいずれも、セマグルチドまたはM0の0.15mg/kg用量群よりも低くはなかった。
これらの血糖降下の結果から明らかに、M4またはセマグルチドまたはM0を単回皮下注射後、各群は明らかな血糖降下作用を示したが、M4の血糖降下効果は最も良かった。M4の0.015mg/kg用量の血糖降下効果は、セマグルチドの0.15mg/kg用量またはM0の0.15mg/kg用量の血糖降下効果とほぼ同じであった。
【0067】
実施例12 酵素分解に対するM4およびセマグルチドの安定性に関する研究
ペプシン(3200〜4500U/mgタンパク質、sigmaから由来、ロット番号P6887)、トリプシン(約10000AEE U/mgタンパク質、sigmaから由来、ロット番号T8003)。
(1)反応溶液
A:ペプシン反応緩衝液:3つの異なるpH(2.6、4.0、7.4)の20mMクエン酸−リン酸緩衝液を調製し、0.005%Tween 20および0.001%BSAを加えてペプシン反応緩衝液とした。
B:トリプシン反応緩衝液:3つの異なるpH(4.0、6.8、8.0)の20mMクエン酸−リン酸緩衝液を調製し、0.005%Tween 20および0.001%BSAを加えてトリプシン反応緩衝液とした。
C:ペプシン含有模擬胃液(SGF):0.1M塩酸5mlを取り、0.019gペプシンを加えて溶解させて得た。
D:トリプシン含有模擬腸液(SIF):リン酸二水素カリウム0.0684gを取り、水2.5mlを加えて溶解させ、0.2M水酸化ナトリウム溶液0.77mlと水5mlを加え、トリプシン0.1001gを加えて溶解させ、pHを6.82に測定した後、水を加えて10mlに希釈して得た。
(2)サンプル調製
M4とセマグルチドのサンプルを取り、pH7.4のPB緩衝液を使用して1.33mg/mlに希釈して試験用母液とした。
(3)ペプシン分解試験
試験用母液を適量取り、異なるpHのペプシン反応緩衝液で0.06mg/mlに希釈し、各群の反応溶液を1ml/チューブ、合計7本のチューブに分け、よく混合してから37℃の水浴に置いて30分間インキュベーションした。そのうちの1本のチューブを取り出してSGFを加えずに非酵素反応0点(−5min点と表記)とし、そして6本のチューブを取り出してそれぞれSGFを加えてよく混合し、その中の1本のチューブに適切な体積の1M NaOHを直ちに加えて反応を終止させ、酵素添加後の0点(0min点と表記)とし、残りの5本のチューブを引き続き37℃に置いて反応させ、5min、10min、20min、35min、50minでそれぞれ1つの群を取り出して適切な体積の1M NaOHを加えて反応を終止させた。すべての実験群の各チューブについて、反応終了後の総体積が一致することを確保した。
(4)トリプシン分解試験
試験用母液を適量取り、異なるpHのトリプシン反応緩衝液で0.06mg/mlに希釈し、各群の反応溶液を1ml/チューブ、合計7本のチューブに分け、よく混合してから37℃の水浴に置いて30分間インキュベーションした。そのうちの1本のチューブを取り出してSIFを加えずに非酵素反応0点(−5min点と表記)とし、そして6本のチューブを取り出してそれぞれSIFを加えてよく混合し、その中の1本のチューブに適切な体積の6M HClを直ちに加えて反応を終止させ、酵素添加後の0点(0min点と表記)とし、残りの5本のチューブを引き続き37℃に置いて反応させ、5min、10min、20min、35min、50minでそれぞれ1つの群を取り出して適切な体積の6M HClを加えて反応を終止させた。すべての実験群の各チューブについて、反応終了後の総体積が一致することを確保した。
酵素分解試験についてサンプリングしてHPLC検出を行い、非酵素反応0点(−5min点と表記)のサンプルのメインピークエリアをベースピークエリアとし、酵素添加後に得られた異なる時点でのメインピークエリアの残りのパーセンテージを計算した。
ペプシン分解の実験データ(n=3)(図5)には、M4とセマグルチド分子の酸性条件下(pH2.6)での分解速度がほぼ同じであることは示されており、これは、ペプシンがこのpHでの活性が最も高いからである;中性pH7.4では、両方の分子は基本的に分解されず、この時点で胃タンパク質の活性が最も低い;pH4.0では、セマグルチドの分解速度はM4より有意に高く、前者のt1/2は約10minであり、後者のt1
/2は約45minである。これは、ペプシン分解に対するM4の耐性能力がセマグルチドよりも有意に優れていることを示した。
トリプシン分解の実験データ(n=4)(図6)には、pH6.8および8.0では両方の分解速度が基本的に一致していることは示されており、これは、このpH範囲がトリプシンの最も高い活性範囲であるからである;pH4.0では、M4とセマグルチドもトリプシン分解に対する耐性能力を示し、両方の間は基本的に差がなかった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
2021522318000001.app
【手続補正書】
【提出日】2020年12月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GLP−1(7−37)類似体の誘導体またはその薬学上許容される塩であって、
GLP−1(7−37)類似体は、式
HXEGTFTSDVSSX19LEEX23AARX27FIX30WLVX34GX3637
[式中、Xは、V、T、I、L、GまたはSから選択され、X19はYまたはKであり、X23はQまたはKであり、X27はEまたはKであり、X30はAまたはKであり、X34はRまたはKであり、X36はRまたはKであり、X37はGまたはKであり、
ただし、X19、X23、X27、X30、X34、X36及び37のうちの1つのみがK残基である。]で表されるアミノ酸配列を含み、
前記誘導体は、前記GLP−1(7−37)類似体のK残基に連結する延長部分を含み、
前記延長部分は、
【化1】

[式中、xは4〜38の整数である]で表される、GLP−1(7−37)類似体の誘導体またはその薬学上許容される塩。
【請求項2】
前記延長部分、HOOC(CH14CO−、HOOC(CH15CO−、HOOC(CH16CO−、HOOC(CH17CO−、HOOC(CH18CO−、HOOC(CH19CO−、HOOC(CH20CO−、HOOC(CH21CO−、及びHOOC(CH22CO−からなる群より選択される、請求項1に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
【請求項3】
前記延長部分、リンカーを介してGLP−1(7−37)類似体のK残基に連結されている、請求項1または2に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
【請求項4】
前記リンカー
【化2】

式中、mは0、1、2または3であり;nは1、2または3であり;sは0〜6の任意の整数であり;pは1〜8の任意の整数である]で表され
好ましくは、前記リンカー
【化3】

式中、mは1または2であり;nは1または2であり;pは1〜5の任意の整数である]で表される、請求項3に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
【請求項5】
前記リンカー
【化4】

式中、mは1であり、nは1または2である]で表される、請求項4に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
【請求項6】
N−ε23−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ValGlu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M2)、
N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ValGlu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M4)、
N−ε34−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ValGlu22Arg26Lys34−GLP−1(7−37))ペプチド(M5)、
N−ε37−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ValGlu22Arg26,34Lys37−GLP−1(7−37))ペプチド(M7)、
N−ε23−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](IleGlu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M9)、
N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ThrGlu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M13)、及び
N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](IleGlu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M14)
からなる群より選択されるいずれか一つの誘導体またはその薬学上許容される塩である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
【請求項7】
(1)前記GLP−1(7−37)類似体が溶解されている溶液と、前記延長部分が溶解されている溶液とを混合すること;
(2)pHを4〜5に調整して反応を停止させ、沈殿が生じるまで静置した後、沈殿を回収すること;及び
(3)TFAを沈澱に加え、pHを7.5〜8.5に調整して反応を停止すること
を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩を調製する方法。
【請求項8】
前記延長部分が溶解されている溶液と混合する前に、前記GLP−1(7−37)類似体が溶解されている溶液にトリエチルアミンを加えることをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記延長部分の溶液が、アセトニトリルで溶解されたものである、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩、及び薬学上許容される補助材料を含む、医薬組成物
【請求項11】
糖尿病または糖尿病合併症予防または治療薬である、請求項10に記載の医薬組成物
【請求項12】
前記糖尿病合併症が糖尿病性腎症である、請求項11に記載の医薬組成物
【請求項13】
血糖の低減、耐糖能の改善、膵島β−細胞アポトーシスの減少、膵島β−細胞機能の増強、膵島β−細胞数の増加及び/または膵島β−細胞のグルコース感受性の回復のための請求項11又は12に記載の医薬組成物
【請求項14】
前記血糖の低減は、空腹時血糖及び/または食後血糖下を含む、請求項13に記載の医薬組成物
【請求項15】
式: HXEGTFTSDVSSX19LEEX23AARX27FIX30WLVX34GX3637
[式中、Xは、V、T、I、L、GまたはSから選択され、X19はYまたはKであり、X23はQまたはKであり、X27はEまたはKであり、X30はAまたはKであり、X34はRまたはKであり、X36はRまたはKであり、X37はGまたはKであり、しかも、X19、X23、X26、X27、X30、X34、X36、またはX37のうちの1つのみがK残基である。]で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む、GLP−1(7−37)類似体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
具体的には、一態様では、本発明はGLP−1(7−37)類似体の誘導体またはその薬学上許容される塩を提供し、前記GLP−1(7−37)類似体は、下記式で表されるアミノ酸配列を含み、
HXEGTFTSDVSSX19LEEX23AARX27FIX30WLVX34GX3637(SEQ ID NO: 39)
式中、Xは、V、T、I、L、GまたはSから選択され、X19はYまたはKであり、X23はQまたはKであり、X27はEまたはKであり、X30はAまたはKであり、X34はRまたはKであり、X36はRまたはKであり、X37はGまたはKであり、
ただし、X19、X23、X27、X30、X34、X36、またはX37のうちの1つのみがK残基であり、
前記誘導体は、前記K残基に連結する延長部分を含み、
前記延長部分は、
【化5】

であり、
xは4〜38の整数である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本発明はまた、GLP−1(7−37)類似体にも係り、この類似体は、
HXEGTFTSDVSSX19LEEX23AARX27FIX30WLVX34GX3637(SEQ ID NO: 39)配列を含み、この配列は、8位、19位、23位、27位、30位、34位、36位、及び37位からなる群より選択される1つ以上の部位の変異を含む。1つの好ましい実施形態では、8位のアミノ酸残基は、V、T、I、L、GまたはSから選択され、19位のアミノ酸残基はYまたはKであり、23位のアミノ酸残基はQまたはKであり、27位のアミノ酸残基はEまたはKであり、30位のアミノ酸残基はAまたはKであり、34位のアミノ酸残基はRまたはKであり、36位のアミノ酸残基はRまたはKであり、37位のアミノ酸残基はGまたはKであり、ただし、19位、23位、27位、30位、34位、36位または37位のうちの1つのみがK残基である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
具体的には、本発明は以下に係る:
1、GLP−1(7−37)類似体の誘導体またはその薬学上許容される塩であって、GLP−1(7−37)類似体は、下記式で表されるアミノ酸配列を含み、
HXEGTFTSDVSSX19LEEX23AARX27FIX30WLVX34GX3637(SEQ ID NO: 39)
式中、Xは、V、T、I、L、GまたはSから選択され、X19はYまたはKであり、X23はQまたはKであり、X27はEまたはKであり、X30はAまたはKであり、X34はRまたはKであり、X36はRまたはKであり、X37はGまたはKであり、
ただし、X19、X23、X27、X30、X34、X36、またはX37のうちの1つのみがK残基であり、
前記誘導体は、前記GLP−1(7−37)類似体のK残基に連結する延長部分を含み、
前記延長部分は、
【化6】

であり、
xは4〜38の整数である、GLP−1(7−37)類似体の誘導体またはその薬学上許容される塩。
2、前記延長部分は、
HOOC(CH14CO−、HOOC(CH15CO−、HOOC(CH16CO−、HOOC(CH17CO−、HOOC(CH18CO−、HOOC(CH19CO−、HOOC(CH20CO−、HOOC(CH21CO−、及びHOOC(CH22CO−からなる群より選択される、項1に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
3、前記延長部分は、リンカーを介してGLP−1(7−37)類似体のK残基に連結されている、項1または2に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
4、前記リンカーは、
【化7】

であり、式中、mは0、1、2または3であり;nは1、2または3であり;sは0〜6の任意の整数であり;pは1〜8の任意の整数である。
好ましくは、リンカーは、
【化8】

であり、
式中、mは1または2であり;nは1または2であり;pは1〜5の任意の整数である、項3に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
5、前記リンカーは、
【化9】

であり、式中、mは1であり、nは1または2である、項4に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
6、N−ε23−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ValGlu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M2)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ValGlu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M4)、N−ε34−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ValGlu22Arg26Lys34−GLP−1(7−37))ペプチド(M5)、N−ε37−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ValGlu22Arg26,34Lys37−GLP−1(7−37))ペプチド(M7)、N−ε23−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](IleGlu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M9)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ThrGlu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M13)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](IleGlu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M14)からなる群より選択されるいずれか一つの誘導体またはその薬学上許容される塩である、項1〜5のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩。
7、(1)上記項のいずれか一項に記載のGLP−1類似体が溶解されている溶液と、上記項のいずれか一項に記載の延長部分が溶解されている溶液とを混合すること;
(2)pHを4〜5に調整して反応を停止させ、沈殿が生じるまで静置した後、沈殿を採取すること;及び
(3)TFAを沈澱に加え、pHを7.5〜8.5に調整して反応を停止すること
を含む、項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩を調製する方法。
8、上記項のいずれか一項に記載の延長部分が溶解されている溶液と混合する前に、GLP−1類似体が溶解されている溶液にトリエチルアミンを加えることをさらに含む、項7に記載の方法。
9、上記項のいずれか一項に記載の延長部分の溶液が、アセトニトリルで溶解されたものである、項7または8に記載の方法。
10、項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩、及び薬学上許容される補助材料を含む、薬物組成物。
11、糖尿病(1型糖尿病と2型糖尿病を含む)または糖尿病合併症を予防及び/または治療するための薬物の調製における、項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩の使用。
12、前記糖尿病合併症が糖尿病性腎症である、項11に記載の使用。
13、血糖の低減、耐糖能の改善、膵島β−細胞アポトーシスの減少、膵島β−細胞機能の増強、膵島β−細胞数の増加及び/または膵島β−細胞のグルコース感受性の回復のための薬物の調製における、項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩の使用。
14、前記血糖の低減は、空腹時血糖及び/または食後血糖を低下させることを含む、項13に記載の使用。
15、被験者に予防または治療有効量の項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩を投与することを含む、糖尿病(1型糖尿病と2型糖尿病を含む)または糖尿病合併症を予防及び/または治療するための方法。
16、前記糖尿病合併症が糖尿病性腎症である、項15に記載の方法。
17、被験者に治療有効量の項1〜6のいずれか一項に記載の誘導体またはその薬学上許容される塩を投与することを含む、血糖の低減、耐糖能の改善、膵島β−細胞アポトーシスの減少、膵島β−細胞機能の増強、膵島β−細胞数の増加及び/または膵島β−細胞のグルコース感受性の回復のための方法。
18、前記血糖の低減は、空腹時血糖及び/または食後血糖を低下させることを含む、項17に記載の方法。
19、下記式で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む、GLP−1(7−37)類似体。
HXEGTFTSDVSSX19LEEX23AARX27FIX30WLVX34GX3637(SEQ ID NO: 39)
式中、Xは、V、T、I、L、GまたはSから選択され、X19はYまたはKであり、X23はQまたはKであり、X27はEまたはKであり、X30はAまたはKであり、X34はRまたはKであり、X36はRまたはKであり、X37はGまたはKであり、しかも、X19、X23、X26、X27、X30、X34、X36、またはX37のうちの1つのみがK残基である。
20、項19の類似体を含む薬物組成物。
21、糖尿病、糖尿病合併症を予防及び/または治療するための薬物の調製における、項19に記載の類似体の使用。
22、項10または項20に記載の薬物組成物を含む容器と、前記薬物組成物のプロトコルを含む添付文書とを含む、製品。
23、1つ以上の他の薬物を含む容器をさらに含む、項22に記載の製品。
24、前記1つ以上の他の薬物が、糖尿病または糖尿病合併症を治療するための他の薬物である、項23に記載の製品。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
実施例5 GLP−1類似体の誘導体の調製
下記式に表されるGLP−1類似体の誘導体、N−ε23−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ValGlu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M2と略称する)の調製
【化10】

1、脂肪酸による修飾:上記実施例で調製、収集されたValGlu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37)沈澱に水を加えて4〜6mg/ml溶液を調製し、1M水酸化ナトリウムを加えてpHを11.0〜11.5に調整し、タンパク質が完全に溶解するように均一に振り、HPLCでポリペプチド濃度を定量した。ポリペプチドと脂肪酸(構造は下記通りである)とのモル比が1:4となるように脂肪酸粉末を取ってアセトニトリルに溶かした。体積が1000分の2のトリエチルアミンをポリペプチド溶液に加え、脂肪酸溶液と混合し、混合液を4℃で1時間静置した。
【化11】

サンプルを水で5倍に希釈し、1Mクエン酸(または10%酢酸)でpHを4.8に調整して反応を停止し、4℃で10分間置いて沈殿(酸沈殿)させた後、13000g、4℃で30分間遠心分離し、沈殿物を−80℃で保存した。
2、脂肪酸の脱保護と精製:ポリペプチドの最終濃度が約10mg/mlになるようにTFAを酸沈殿したサンプルに加え、振とうして沈澱を溶解し、室温で30分間静置して脱保護し、4M NaOHを反応液に滴加してpHを7.5〜8.5に調整して反応を停止した。
分取液体分析装置(島津LC−8A)を使用して、停止した反応液を流速4ml/minで、10mM酢酸アンモニウム、20%エタノール(平衡液3)で予め平衡化したUniSil 10−120C18(Suzhou Nano-Micro Technology CO., LTD.から購入)にポンプして濃縮した。平衡液3で洗浄した後、0〜100%溶出液(10mM酢酸アンモニウム、80%エタノール)で段階的に溶出し、溶出ピークを収集してRP−HPLCで検出した結果、純度は約90%であった。
溶出ピークを水で3倍に希釈し、酸沈殿によりpHを4.80に調整し、4℃で30分間酸沈殿させた。遠心分離後、PBST緩衝液(pH7.0)を沈殿物に加えて再溶解し、−80℃で保存した。
上記の方法に従って、N−ε26−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ValGlu22Lys26Arg34−GLP−1(7−37))ペプチド(M0)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ValGlu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M4)、N−ε19−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ValLys19Glu22Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M1)、N−ε27−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ValGlu22Lys27Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M3)、N−ε34−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ValGlu22Arg26Lys34−GLP−1(7−37))ペプチド(M5)、N−ε36−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ValGlu22Arg26,34Lys36−GLP−1(7−37))ペプチド(M6)、N−ε37−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ValGlu22Arg26,34Lys37−GLP−1(7−37))ペプチド(M7)、N−ε23−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ThrGlu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M8)、N−ε23−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](IleGlu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M9)、N−ε23−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](LeuGlu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M10)、N−ε23−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](GlyGlu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M11)、N−ε23−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](SerGlu22Lys23Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M12)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](ThrGlu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M13)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](IleGlu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M14)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](LeuGlu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M15)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](GlyGlu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M16)、N−ε30−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(s)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセトアミド)エトキシ]エトキシ)アセチル](SerGlu22Lys30Arg26,34−GLP−1(7−37))ペプチド(M17)を順に調製した。
【表1】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]
【国際調査報告】