特表2021-522431(P2021-522431A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-522431(P2021-522431A)
(43)【公表日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】家具用の減衰ヒンジ
(51)【国際特許分類】
   E05D 3/16 20060101AFI20210802BHJP
   E05D 7/086 20060101ALI20210802BHJP
   E05F 3/20 20060101ALI20210802BHJP
【FI】
   E05D3/16
   E05D7/086
   E05F3/20 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-560236(P2020-560236)
(86)(22)【出願日】2019年4月1日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月9日
(86)【国際出願番号】EP2019058195
(87)【国際公開番号】WO2019206578
(87)【国際公開日】20191031
(31)【優先権主張番号】102018000004919
(32)【優先日】2018年4月27日
(33)【優先権主張国】IT
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517220911
【氏名又は名称】アルトゥーロ・サリチェ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】ARTURO SALICE S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ・サリチェ
(57)【要約】
家具等に扉(A)を取り付けるためのヒンジ(10)であって、ヒンジは、ヒンジアーム(11)と、複数の可動の接続レバー(16、18、20、23)及び7つの関節軸(17、19、21、22、24、25、26)を含む関節システム(15)によってヒンジアームに接続されたボックス(14)と、ヒンジの閉止方向に作用するばね手段(27)と、長手方向軸(l)に従って直線的に可動の作動部材(30)を有する減衰装置(29)とを備える。減衰装置は、ヒンジアームの側壁(11″)の間に少なくとも部分的に囲まれている。関節システムの複数の接続レバーのうちの1つのスラスト要素に接触するように、又は少なくとも前記ヒンジの閉止位置付近の範囲において、前記複数の接続レバーのうちの1つ若しくは前記ヒンジボックスと一体になるように、減衰装置の作動部材は、ヒンジボックスに面するヒンジアームの前端で延びることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具等に扉(A)を取り付けるためのヒンジ(10)であって、
第1及び第2の側壁(11″)を有し、前記家具の固定部(12)又は扉(A)に固定可能なヒンジアーム(11)と、
前記家具の前記扉(A)又は前記固定部(12)に固定可能であって、複数の可動の接続レバー(16、18、20、23)及び7つの関節軸(17、19、21、22、24、25、26)を含む関節システム(15)によって前記ヒンジアーム(11)に接続されたヒンジボックス(14)と、
前記ヒンジの閉止方向に作用するばね手段(27)と、
長手方向軸(l)に従って直線的に可動の作動部材(30)を有する減衰装置(29)と、
を備え、
前記減衰装置(29)は、前記ヒンジアーム(11)の前記側壁(11″)の間に少なくとも部分的に囲まれており、
前記関節システム(15)の前記複数の接続レバー(16、18、20、23)のうちの1つのスラスト要素に接触するように、又は、少なくとも前記ヒンジの閉止位置付近の範囲において、前記複数の接続レバー(16、18、20、23)のうちの1つ若しくは前記ヒンジボックス(14)と一体になるように、前記減衰装置(29)の前記作動部材(30)は、前記ヒンジボックス(14)に面する前記ヒンジアーム(11)の前端で延びる、
ことを特徴とする、ヒンジ(10)。
【請求項2】
前記ヒンジアーム(11)は、前記減衰装置(29)用のハウジングシート(32、41)を有し、
前記ハウジングシート(32、41)は、少なくとも前記ヒンジアーム(11)の前端で開き、前記減衰装置(29)は、前記ハウジングシート(32、41)に取り付けられる、
ことを特徴とする、請求項1に記載のヒンジ(10)。
【請求項3】
前記ハウジングシート(32)は、前記ヒンジアーム(11)の前記側壁(11″)の間の中間壁(11′)に形成されたキャビティ(32)として適合され、
前記減衰装置(29)は、取り外し可能なように前記ハウジングシート(32)に配置されて固定されるように適合されたハウジング本体(31)を有することを特徴とする、
請求項2に記載のヒンジ(10)。
【請求項4】
前記減衰装置(29)は、流体式線形タイプの制動器を含み、前記制動器は、流体用のチャンバ(33)を規定する円筒(30)を備え、前記円筒(30)内において、前記円筒(30)から突出するロッド(35)を有するピストン(34)は、スライド移動可能であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のヒンジ(10)。
【請求項5】
前記減衰装置の前記作動部材(30)と前記制動器の前記円筒(30)とは、一体的に作製されることを特徴とする、請求項4に記載のヒンジ(10)。
【請求項6】
前記減衰装置の前記作動部材(30)と前記制動器の前記円筒(30)とは、互いに接続された別個の部品として構成されることを特徴とする、請求項4に記載のヒンジ(10)。
【請求項7】
前記減衰装置の前記作動部材は、前記ピストンのロッド(35)、又は前記ピストンのロッド(35)に接続された別個の部材からなることを特徴とする、請求項4に記載のヒンジ(10)。
【請求項8】
前記ハウジング本体(31)は、前記ヒンジアーム(11)の前記シート(32)と共に、前記作動部材(30)用のスライド装着を規定する半円筒形の中空形状を有し、
前記作動部材(30)は、前記関節システム(15)の前記接続レバー(16、18、20、23)のうちの1つと一体の前記スラスト要素に接触するように、又は、前記ヒンジボックス(14)と一体の前記スラスト要素に接触するように、前記ハウジング本体(31)から前方に突出している、
ことを特徴とする、請求項3に記載のヒンジ(10)。
【請求項9】
前記スラスト要素は、前記ヒンジアーム(11)の前端に関節接合された前記第1の接続レバー(16)と一体的に接続されたクロスピン(36)として構成され、
前記クロスピン(36)は、前記ヒンジの閉止動作の終了部分の間に、前記作動部材(30)の前面に作用する、
ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載のヒンジ(10)。
【請求項10】
前記スラスト要素は、前記第1の接続レバー(16)の一部、又は前記第1の接続レバー(16)に接続されたカム若しくは成形された要素からなることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載のヒンジ(10)。
【請求項11】
前記ハウジング本体(31)は、複数の弾性フック要素(39、40)を有し、
前記複数の弾性フック要素(39、40)は、前記ヒンジアーム(11)内の前記ハウジングシート(32)の対応する開口部にスナップ引掛かるように適合されて配置されている、
ことを特徴とする、請求項3又は8に記載のヒンジ(10)。
【請求項12】
前記減衰装置(29)は、前記ヒンジアーム(11)に取り外し可能に引掛かること、及び前記ヒンジアーム(11)から外すことが可能である、
ことを特徴とする、請求項11に記載のヒンジ(10)。
【請求項13】
前記ヒンジアーム(11)は、前記ヒンジアーム(11)の前端でのみ開放しているハウジングシート(41)を有する、請求項2に記載のヒンジ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具等の扉用の減衰ヒンジに関し、具体的には、前記ヒンジの閉止動作を減衰させるために、減衰装置を備えるヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
家具分野において、ヒンジによって回動できるように支持される扉を備える家具が提供される。このようなヒンジは、家具の本体に接続できる固定部と、扉に接続可能なボックスにより構成された可動部とを有する。これらの部品は、例えば、複数の接続レバーを含む関節システムによって、回動するように相互に関節接合されている。
【0003】
ヒンジを閉止方向に作動させるために、ヒンジは、ばね手段、例えば、リーフばね又はワイヤばねを更に備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バネ手段の存在により、閉止位置において、扉が家具の本体にぶつかり、望ましくない騒音を引き起こす。
【0005】
この問題を克服するために、ヒンジの閉止動作を緩衝するために、例えば、ヒンジの部品の1つに対する減衰装置を採用することについて、様々な提案がされている。そのような装置は、線形又は回転タイプであってもよく、破壊媒体として流体又はグリースを使用することができる。
【0006】
特に、2つの接続ロッカーと4つの関節軸とを含む関節システムを備えるヒンジの場合、例えば、欧州特許出願公開第1199433号による、ヒンジの固定部の壁に流体作動式線形タイプの減衰装置を適用するものが知られている。当該装置は、扉又は扉に固定されたヒンジの可動部によって作動するように成形及び配置された作動部材を有する。
【0007】
この解決方法はシンプルであるが、例えば、4つの接続レバーと7つの関節軸とを有する関節システムを備えるヒンジには適していない。なぜなら、当該関節システムの構成により、減衰装置をヒンジの固定部の壁に配置すると同時に、扉又は扉に固定されたヒンジの可動部によって作動することは不可能である。
【0008】
このタイプのヒンジの場合、代わりに、例えば、国際公開WO2006/053364号による、複数の接続レバーの1つに減衰装置を適用して、この接続レバーに隣接する第2の接続レバーによって作動部材を押すことができるようにするものが知られている。しかしながら、そのような解決方法は、家具の内部において、減衰装置の相当なスペース占有及び関節システムの構造上におけるより大きな複雑さを伴う。また、7つの関節運動軸を有するヒンジの全てのタイプに適用できるわけではない。
【0009】
別の方法として、ヒンジの可動部に減衰装置を適用することによって、関節システムのレバーによって作動するものが提案されている。しかしながら、扉の内部における減衰装置の存在は、家具の通常の使用に妨げ及び支障となるため、望ましくない。
【0010】
したがって、4つの接続レバー及び7つの関節軸を有するタイプのヒンジであって、特に、構造上の平易さ及びスペース占有において、上記欠点を克服することができる減衰装置を備えるヒンジが求められている。
【0011】
したがって、本発明の目的は、家具等の扉用の4つの接続レバー及び7つの関節軸を有するタイプのヒンジを提供することであって、当該ヒンジは、線形タイプの減衰装置を備え、当該減衰装置は、シンプルな作動を有し、且つ、それを配置するために、ヒンジの標準構成に対して限られた修正が必要となる。
【0012】
前記目的の範囲内で、本発明の1つの課題は、上記のような線形タイプの減衰装置を備える家具等の扉用のヒンジを提供することである。当該ヒンジは、家具の内部において、限られたスペース占有を有し、且つ、扉における追加の部材が存在することにより使用の妨げとはならない。
【0013】
本発明の別の課題は、信頼性が高く、提供が比較的容易で、コスト的に競争力のある、家具等の扉用のヒンジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的、及び以下で更に明らかになるこれら及び他の目的は、家具等に扉を取り付けるためのヒンジによって達成される。当該ヒンジは、
第1及び第2の側壁を有し、家具の固定部又は扉に固定可能なヒンジアームと、
前記家具の扉又は固定部に固定可能であって、複数の可動の接続レバー及び7つの関節軸を含む関節システムによって前記ヒンジアームに接続されたボックスと、
ヒンジの閉止方向に作用するばね手段と、
長手方向軸に従って直線的に可動の作動部材を有する減衰装置と、
を備え、
前記減衰装置は、前記ヒンジアームの前記側壁の間に少なくとも部分的に囲まれており、
前記関節システムの前記複数の接続レバーのうちの1つのスラスト要素に接触するように、又は、少なくとも前記ヒンジの閉止位置付近の範囲において、前記複数の接続レバーのうちの1つ若しくは前記ヒンジボックスと一体になるように、前記減衰装置の前記作動部材は、前記ヒンジボックスに面する前記ヒンジアームの前端で延びる、
ことを特徴とする。
【0015】
本発明の更なる特徴及び利点は、従属請求項に更に規定されている。
【0016】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面を参照しながら、家具用の減衰装置を備えるヒンジのいくつか好適であるが、排他的ではない実施形態について説明することによって更に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ヒンジアームのキャビティに適用された減衰装置を有する、本発明の第1の実施形態に係るヒンジの斜視図である。
図2】平面2−2における図1のヒンジの横断面図である。
図3】ヒンジアームから減衰装置を外した、図1の詳細を示す拡大図である。
図4】減衰装置が機能を実行し始めるヒンジの閉止角度における、図1のヒンジの縦断面図である。
図5】ヒンジアームから外された、図1に示す減衰装置の斜視図である。
図6図5の減衰装置の下から見た図である。
図7】ヒンジアームに減衰装置を適用した、本発明に係るヒンジの第2の実施形態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1から図6は、全体として参照符号10で示す本発明の第1の実施形態に係る家具に扉を取り付けるためのヒンジを示す。前記ヒンジは、ヒンジアーム11を備えている。ヒンジアーム11は、載置面を形成する家具の側壁12に固定するか、又は、家具の前記側壁12に適用することができる通常の別個の固定ベース13によって、家具の別の固定部に固定することができる。
【0019】
アーム11は、2つの側壁11″と中間壁11′とを備えている。2つの側壁11″は、実質的に互いに平行で間隔を置いて配置され、中間壁11′は、2つの側壁11″の間に挿入され、前記アームの長手方向軸に沿って延在し、好ましくは実質的にC字形の横断面を形成する。
【0020】
ヒンジ10は、ヒンジボックス14を更に備えている。ヒンジボックス14は、家具の可動部、例えば、扉Aに固定することができ、関節システム15によってヒンジアーム11に接続されている。関節システム15は、複数の接続レバーを含み、複数の接続レバーは、ヒンジが扉Aの開放位置と閉止位置との間で移動することを可能にするように動くことができる。
【0021】
ヒンジの逆取り付けも排除されない。すなわち、アーム11が扉A、又は家具の別の可動部に固定され、ボックス14が家具の固定部又は側壁12に固定される。
【0022】
関節システム15は、4つの接続レバー及び7つの関節軸を含むタイプであり、これにより、例えば、扉の110°以上の広い開放角度、並びに、例えば、特殊な形状を有する、又はガラス製などの扉の開放を可能にするために必要とされる扉の特定な動きを得ることができる。
【0023】
特に、関節システム15は、第1の接続レバー16と第2の接続レバー18とを備えている。第1の接続レバー16は、第1の軸17によって家具の扉に向けられるヒンジアーム11の前端に関節接合されている。第2の接続レバー18は、第2の軸19によってヒンジアーム11の前端に再び関節接合されている。第2の軸19は、第1の軸17から間隔を置いてヒンジアーム11の後端の方向に配置されている。
【0024】
好ましくは、ヒンジアーム11の長さと、第1の軸17と第2の軸19との間の距離との間の比率が、例えば、4から8の間であるように構成される。
【0025】
第1の接続レバー16は、第1の軸17に対して反対側の端部において、第3の接続レバー20の第1の端部にある第3の軸21によって前記第3の接続レバーに関節接合されている。第3の接続レバー20は、反対側の端部において、ボックス14の前部に配置された第4の軸22によって前記ボックス14に関節接合されている。
【0026】
第2の接続レバー18は、第2の軸19に対して反対側の端部において、第4の接続レバー23の第1の端部にある第5の軸24によって前記第4の接続レバーに関節接合されている。第4の接続レバー23は、反対側の端部において、ボックス14の背部に配置された第6の軸25によって前記ボックス14に関節接合されている。
【0027】
最後に、第1の接続レバー16と第4の接続レバー23とは、その中間ポイントにおいて第7の関節軸26によって互いに関節接合されている。
【0028】
ヒンジ10は、ヒンジの閉止方向に作用するばね手段を更に備えている。当該ばね手段は、好ましくは、C字形であって、第1の接続レバー16と一体に取り付けられたリーフばね27を含む。前記ばね27は、第3の接続レバー20と一体であるカム28に協働し、作用するアームを有する。
【0029】
ヒンジは、長手方向軸に沿って直線的に移動することができる作動部材30を有する減衰装置29を更に備える。
【0030】
本発明によれば、減衰装置29は、ヒンジアーム11の側壁11″の間に少なくとも部分的に囲まれている。更に、減衰装置29の作動部材30は、少なくともヒンジの閉止位置付近の範囲において、ヒンジの関節システム15の接続レバー16、18、20、23のうちの1つと一体のスラスト要素に接触するように、又は、ヒンジボックス14と一体のスラスト要素に接触するように、ヒンジボックス14に向かっているヒンジアーム11の前端において延びている。
【0031】
図1乃至図6に示す好ましい実施形態において、減衰装置29は、ハウジング本体31を備えている。ハウジング本体31は、ハウジングシート又はキャビティ32内に配置及び固定されるように成形され、ハウジングシート又はキャビティ32は、ヒンジアーム11の前端に設けられ、側壁11″の間に囲まれている。より具体的には、キャビティ32は、ヒンジアーム11の中間壁11′に設けられ、且つ前記アーム11の前端において開放している。
【0032】
好ましくは、作動部材30の長手方向軸及びヒンジアーム11の長手方向軸は、扉Aの表面及び前記アーム11の固定面に対して実質的に垂直の平面上に位置する。また、作動部材30の長手方向軸とヒンジアーム11の長手方向軸とは、実質的に互いに平行してもよく、又は、例えば、1°から20°の間の角度を有するように傾斜してもよい。
【0033】
減衰装置29は、好ましくは、例えば、油、空気、またはグリースを使用する流体作動式線形タイプの制動器を更に備える。当該流体作動式線形タイプの制動器は、流体、特に油用のチャンバ33を形成する円筒30を有する。チャンバ33の内部において、環状シーリングガスケットを有するピストン34は、スライド移動することができる。
【0034】
図示の実施形態において、減衰装置の作動要素30と減衰装置の円筒とは重なっているか、または場合によっては一体的に設けられてもよい。しかしながら、それらが互いに接続された別個の部品として構成されることも排除されない。
【0035】
制動器は、ピストン34に接続されたロッド35を更に備えている。前記ロッドは、ハウジング本体31の後端に適切に設けられた保持シートと係合することができるように、前記円筒の後端の蓋の穴を通って円筒から突出している。更に、制動器をリセットするためのばねが設けられている。当該ばねは、例えば、ロッド35と同軸であって、円筒の後蓋とハウジング本体31との間に、又は円筒30内に、ピストン34と前記円筒30の前端との間に配置される。
【0036】
代替的に、制動器を反対に回転させることができる。円筒がアーム11の後端に向け、ピストンのロッド35がアーム11の前端に向けて作動部材として作用するか、又は前記ロッドに接続された別個の作動部材が備えられる。
【0037】
ハウジング本体31は、好ましくは中空の半円筒形を有し、ヒンジアーム11のシート32と合わせて、全体として作動部材30用のスライドシートを形成する。前述のように、作動部材30は、ヒンジの関節システム15の接続レバー16、18、20、23のうちの1つと一体のスラスト要素と接触するように、又は、ヒンジのボックス14と一体のスラスト要素と接触するように、ハウジング本体31から前方に突出している。
【0038】
図1乃至図6に示す好ましい実施形態において、スラスト要素は、アーム11の前端に関節接合された第1の接続レバー16に一体的に接続されたクロスピン36の形態である。ヒンジの閉止動作の終了部分の間に、すなわち、ボックス14が、例えば、15°から30°の間に当たる開放位置からヒンジの完全閉止位置までの回動を実行するとき、ピン36は、相互作用要素30の前面に接触して作用し、減衰装置を圧縮することによって、前記ヒンジの閉止動作の減速を達成する。
【0039】
代替として、スラスト要素は、関節システム15の接続レバー16、18、20、23のうちの別の1つ、例えば、第2のレバー18と一体化することができる。この場合、前記スラスト要素、及び/又は減衰装置の作動要素、及び/又は関節システムの全体が適切な形状を有する。
【0040】
更に、ピンの代替としてのスラスト要素が排除されない。このようなスラスト要素は、第1の接続レバー16自体の一部又は要素、例えば、レバー16の横壁、又は前記レバー16に接続され、一般に制動器を作動させることができるスラスト面を提供するように適切に成形、例えば、前記制動器の圧縮に対し特定の運動規則を与えるように成形されたカム若しくは他の要素によって構成されてもよい。
【0041】
別の構成によれば、作動部材は、ハウジング本体31から突出することなく、アーム11の側壁11″の間において延在することができる。スラスト要素は、制動器を圧縮するために、減衰装置のハウジングシートの前部開口部内で突出するように構成することができる。
【0042】
前述のように、関節システムのレバーと一体のスラスト要素による制動器の作動の代替として、制動器は、例えば、ヒンジボックス14の一部によって、又はヒンジボックス14に一体的に接続された別個の要素によって、ヒンジボックス14と一体化したスラスト要素によって作動することができる。
【0043】
したがって、作動部材は、ヒンジの関節システムの接続レバーの1つによって、又はヒンジボックスによって直接的又は間接的に作動することができる。
【0044】
図5及び図6に更に明確に示されているように、ヒンジアーム11のシート32の内に減衰装置29を固定するために、ハウジング本体31は、好ましくは、複数の弾性フック要素を有する。例えば、2つの後部弾性歯39及び2つの弾性的に撓曲可能な横方向フック40は、スナップアクションによってハウジングシート32の対応する開口部に引掛かるように成形され、配置されている。
【0045】
代替として、ハウジング本体31は、ヒンジアーム11に固定するための、別のタイプのクイック固定手段、例えば、回転可能及びスライド式のロック手段、バヨネットカップリングなどを備えることができる。
【0046】
このようにして、シンプルな方法で減衰装置29をヒンジアーム11に引掛けたり、ヒンジアーム11から外したりすることが可能であり、扉の重量及び寸法の関数として扉で得られるブレーキ効果を適合させることができる。
【0047】
特に、各扉は少なくとも2つのヒンジによって回動できるように支持されているため、存在する全てのヒンジに減衰装置を適用することができる。従って、特に重い扉の場合に有用であるより高いブレーキ効果を達成するか、又は扉を支持するために設けられたヒンジのうちのいくつかにのみ減衰装置の適用を提供することが可能である。例えば、1つのヒンジには減衰装置が設置され、他の1つのヒンジには減衰装置が設置されないように、軽量な扉に十分な低減されたブレーキ効果を達成することができる。
【0048】
減衰装置29が適用されない場合、ヒンジアーム11のハウジングシート32を閉じるために、蓋(図示せず)を適用することが可能である。当該蓋は、前記アーム11に取り外し可能な方法で固定することができる。
【0049】
図7は、ヒンジアームに減衰装置が適用された、本発明に係るヒンジの第2の実施形態を示す。
【0050】
具体的には、ヒンジアーム11はハウジングシート41を備えている。当該ハウジングシート41は、前記アーム11の前端でのみ開いており、内部に減衰装置が軸方向に挿入されている。
【0051】
この場合、減衰装置は、ハウジング本体を含まなくてもよく、流体作動式線形制動器のみを備えてよい。
【0052】
好ましくは、制動器は、円筒30を備える。円筒30は、作動部材と一致し、シート41から前方に突出して、少なくともヒンジの閉止位置付近の範囲において、ヒンジの関節システム15の接続レバー16、18、20、23のうちの1つと一体のスラスト要素と接触するか、又は、ヒンジボックス14と一体のスラスト要素と接触する。
【0053】
この場合、制動器は、アーム11の前端からシート41内に軸方向に挿入されるため、アーム11の中間壁11′には、減衰装置を挿入するための開口部が設けられていない。
【0054】
本実施形態において、第1の実施形態を参照して説明した全てのバリエーション、特に、減衰装置の制動器、作動部材、並びにスラスト要素の構成及び配置を提供することが可能である。
【0055】
実際に、シンプルな作動を有し、且つ、それを配置するために、ヒンジの標準構成に対して限られた変更が必要となる減衰装置を備える減衰ヒンジを提供することができる点で、本発明は意図された目的及び課題を達成することが明らかになっている。
【0056】
更に、減衰装置は、家具の内部において限られたスペース占有を有し、扉において、使用を妨げるような追加要素は存在しない。
【0057】
本発明に係るヒンジは、多くの修正及び変形が可能であり、その全ては、添付の特許請求の範囲内である。構成上の詳細は、更に技術的に同等の要素によって置き換えられてもよい。
【0058】
実際に使用される材料及び使用可能な形状は、要求及び技術水準に応じて任意であってもよい。
【0059】
本出願の優先権主張の基礎であるイタリア特許出願第102018000004919号の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
特許請求の範囲に記載されている技術的特徴の後に参照符号が付されている場合、それらの参照符号は、特許請求の範囲の明瞭性を高めることのみを目的として含まれているため、それらの参照符号による例によって特定された各要素の解釈に限定的な効果を与えることはない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】