(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-522483(P2021-522483A)
(43)【公表日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】自動分析器、及び液体媒体から測定信号を得るための光学測定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20210802BHJP
【FI】
G01N35/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】60
(21)【出願番号】特願2020-558984(P2020-558984)
(86)(22)【出願日】2019年4月12日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月22日
(86)【国際出願番号】AT2019060124
(87)【国際公開番号】WO2019204841
(87)【国際公開日】20191031
(31)【優先権主張番号】A50341/2018
(32)【優先日】2018年4月23日
(33)【優先権主張国】AT
(31)【優先権主張番号】A50605/2018
(32)【優先日】2018年7月13日
(33)【優先権主張国】AT
(31)【優先権主張番号】A50021/2019
(32)【優先日】2019年1月11日
(33)【優先権主張国】AT
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518049876
【氏名又は名称】メオン・メディカル・ソリューションズ・ゲー・エム・ベー・ハー・ウント・コー・カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】MEON MEDICAL SOLUTIONS GMBH & CO KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ヒューマー,ヘアフリート
(72)【発明者】
【氏名】バルテル,アルノルト
(72)【発明者】
【氏名】クラウス‐フュレーダー,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ショルツ‐マライヒ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】シュプレンガース,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ベルクバウアー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】マリク,ラインハルト
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CC01
2G058CC14
2G058CC18
2G058ED02
2G058FB05
2G058GA03
(57)【要約】
本発明は、自動分析器(100)の試料貯蔵部(920)内に存在する液体試料の化学的分析、生化学的分析及び/又は免疫化学的分析を、前記分析器(100)の少なくとも一つの試薬貯蔵部(950a、950b)内に存在する液体試薬を活用して実施するための方法及びデバイスであって、複数のキュベットが前記分析器内に少なくとも一つの据え置き型直線的キュベットアレイ(200)として配置される、前記液体試料及び試薬を保持するためのキュベット(201)を有する方法及びデバイスに関する。前記分析器は、前記キュベットアレイ(200)の前記個別のキュベット(201)の入口窓(202)内にUV/VIS/NIR波長範囲内においてスペクトルが異なる様式で発出する複数のLED光源(541)からの光を供給する少なくとも一つの光ディストリビュータデバイス(542)を有する据え置き型光供給ユニット(540)を含む光学測定ユニット(500)を有し、前記光学測定ユニット(500)は、前記キュベット(201)の出口窓(203)に割り当てられ、複数のフォトダイオード(551)を有する据え置き型検出ユニット(550)をさらに備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動分析器(100)であって、前記分析器の少なくとも一つの試薬貯蔵部(950a、950b)内に存在する液体試薬を活用して、前記分析器の試料貯蔵部(920)内に存在する液体試料の化学的分析、生化学的分析及び/又は免疫化学的分析を実施するための自動分析器(100)において、
各々が横方向入口窓(202)と少なくとも一つの横方向出口窓(203)とを有する、前記液体試料及び試薬を収容するためのキュベット(201)を有し、複数のキュベット(201)が前記分析器内に少なくとも一つの据え置き型直線的キュベットアレイ(200)として配置され、
少なくとも、
前記直線的キュベットアレイ(200)によって規定される移動線に沿ってx方向に移動可能であるように設計されているピペッタ(300、300a、300b)であって、前記ピペッタが、x方向に実質的に垂直のy方向に移動可能な少なくとも一つのピペット操作モジュール(3011、3012、301a1、301a2、301b1、301b2)を備えており、前記ピペット操作モジュールの少なくとも一つの中空針(307)が、前記キュベット(201)内に、さらに試料貯蔵部(920)及び/又は試薬貯蔵部(950a、950b)の個別の容器(921、951a、951b、201)内にz方向に下降可能であるように設計されている、ピペッタ(300、300a、300b)と、
前記キュベット(201)内で前記試料及び前記試薬を混合するための混合器ユニットと、
前記キュベットアレイ(200)の前記個別のキュベット(201)の前記入口窓(202)内に、UV/VIS/NIR波長範囲内においてスペクトルが異なる様式で発出する複数のLED光源(541)からの光を供給する少なくとも一つの光ディストリビュータデバイス(542)を有する据え置き型光供給ユニット(540)を含み、且つ
前記キュベット(201)の前記出口窓(203)に割り当てられ、複数のフォトダイオード(551)を有する据え置き型検出ユニット(550)を含む
光学測定ユニット(500)と、
前記キュベット(201)を洗浄するための、x方向に移動可能であるように設計されたキュベット洗浄ユニット(600)と、
前記少なくとも一つの中空針(307)を洗浄するための針洗浄ユニット(700、700a1、700a2、700b1、700b2)と、
前記キュベット(201)内におけるあらかじめ規定可能な測定温度を設定するための据え置き型温度制御ユニット(800)と、
評価制御ユニット(588、584)と、
を含む移動可能な機械構成要素及び据え置き型の機械構成要素を有し、
前記光ディストリビュータデバイス(542)が、内表面(543、544、545)が少なくとも部分的に鏡面化され且つ/又は拡散反射するように設計されている空隙を有し、
少なくとも一つのフォトダイオード(551)が、前記据え置き型キュベットアレイ(200)の各キュベット(201)に固定して割り当てられる、
自動分析器(100)。
【請求項2】
前記光ディストリビュータデバイス(542)が、各LED光源(541)について、前記空隙内に前記光を供給するための入口開口部(546)を有し、前記光ディストリビュータデバイス(542)が、前記キュベットアレイ(200)の各キュベット(201)について、前記キュベット(201)内に前記光を供給するための出口開口部(547)を有することを特徴とする、請求項1に記載の分析器。
【請求項3】
前記キュベット(201)に対して前記出口開口部(547)の反対側に位置する前記光ディストリビュータデバイス(542)の前記内表面(543)が拡散反射するように設計されることを特徴とする、請求項2に記載の分析器。
【請求項4】
前記LED光源(541)の前記入口開口部(546)の反対側に位置する前記光ディストリビュータデバイス(542)の前記内表面(544)が波形で且つ反射するように設計されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の分析器。
【請求項5】
スペクトル特性を向上させるために、前記光供給ユニット(540)の少なくともいくつかのLED光源(541)が、光学フィルタ、例えば色フィルタ又は干渉フィルタを有することを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の分析器。
【請求項6】
前記光学フィルタが、少なくとも一つの狭帯域干渉フィルタ(553)として設計され、前記光を視準するための少なくとも一つの光学素子が、前記干渉フィルタ(553)の入力側の光路内に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の分析器。
【請求項7】
発出された前記光を視準するために、前記LED光源(541)が、TIRレンズ(549)内に配置されるLED(548)を有することを特徴とする、請求項5又は6に記載の分析器。
【請求項8】
非平行ビーム成分を排除するための管状体(552)が、前記光学フィルタ、特に前記干渉フィルタ(553)の入力側の光路内に配置され、前記管状体(552)が、その長手方向の軸に平行な貫通開口部(570)を有し、前記貫通開口部の壁(571)が、光吸収材料で作製されるか、又はそのような材料でコーティングされることを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載の分析器。
【請求項9】
収束レンズ(590)が、前記干渉フィルタ(553)の入力側に配置され、前記収束レンズが、LED(548)によって発出される光を平行に配向することを特徴とする、請求項6に記載の分析器。
【請求項10】
好ましくは非球面の発散レンズ(591)が、前記光ディストリビュータデバイス(542)に入る放射を広げるために前記干渉フィルタ(553)の出力側に配置されることを特徴とする、請求項8又は9に記載の分析器。
【請求項11】
チャネル状フィードスルー(578)が、前記入口窓(202)の入口側及び前記出口窓(203)の出口側においてキュベット収納部(579)の壁内に配置され、前記フィードスルーが、前記光ディストリビュータデバイス(542)から発出する入口放射及び前記キュベット(201)から発出する測定放射の望ましくない放射成分(U1、U2)を除去する役割を果たす取付部品又は変性物を有することを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の分析器。
【請求項12】
各キュベット(201)の前記キュベット収納部(579)内の前記チャネル状フィードスルー(578)の前記取付部品又は前記変性物が、長さよりも直径が小さい平滑表面を有するチャネル(594)として、空隙若しくはクリアランス(593)を有するフィードスルー(578)として、又は溝付き構造若しくは歯付き構造(592)を有するフィードスルー(578)として、互いから独立して設計されることを特徴とする、請求項11に記載の分析器。
【請求項13】
前記キュベット収納部(579)内の前記チャネル状フィードスルー(578)の壁が、光吸収材料で作製されるか、又はそのような材料でコーティングされることを特徴とする、請求項11又は12に記載の分析器。
【請求項14】
基準検出器(575)が、前記光ディストリビュータデバイス(542)の壁内に配置される貫通開口部又はピンホールダイヤフラム(576)の出口側において、前記光ディストリビュータデバイス(542)上に配置されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の分析器。
【請求項15】
前記据え置き型キュベットアレイ(200)がセグメント化され、別々の光ディストリビュータデバイス(542)が、各セグメント(210)に固定して割り当てられることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の分析器。
【請求項16】
前記据え置き型キュベットアレイ(200)の前記個別のキュベット(201)に固定して割り当てられる前記検出ユニット(550)の前記フォトダイオード(551)が、共通の回路板上のフォトダイオードアレイとして配置されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の分析器。
【請求項17】
前記分析器(100)が、x方向に互いに独立して移動可能な二つのピペッタ(300a、300b)を有することを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の分析器。
【請求項18】
少なくとも一つのピペッタ(300、300a、300b)が、y方向に互いに独立して且つ互いに平行に移動可能な二つのピペット操作モジュール(3011、3012、301a1、301a2、301b1、301b2)を有することを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の分析器。
【請求項19】
前記ピペッタ(300)が、x方向に移動可能であり、且つ二つの梁(341、342)が取り付けられる基部構造(340)を有し、前記梁が、互いに平行に方向づけられ、y方向に水平に突出し、各々独立して互いを越えて移動することが可能なピペット操作モジュール(3011、3012)が、前記梁の相互に対向する長手方向の側に配置され、各ピペット操作モジュール(3011、3012)が、前記個別の容器(921、951a、951b、201)及びキュベット(201)内に下降可能な少なくとも一つの中空針(307)を有することを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の分析器。
【請求項20】
前記二つの梁(341、342)が、フレーム構造(343)を形成するように前記基部構造(340)から離れた端部で接続されることを特徴とする、請求項19に記載の分析器。
【請求項21】
互いを越えて移動することが可能な前記二つのピペット操作モジュール(3011、3012)の前記中空針(307)が、それらが互いを越えて移動する場合に2〜16mm、好ましくは2〜4mmのx方向に互いから最小の間隔にあることを特徴とする、請求項19又は20に記載の分析器。
【請求項22】
前記針洗浄ユニット(700、700a1、700a2、700b1、700b2)が、前記ピペッタ(300、300a、300b)上に配置され、それとともに移動可能に設計されることを特徴とする、請求項1から21のいずれか一項に記載の分析器。
【請求項23】
前記キュベット(201)を洗浄するための前記キュベット洗浄ユニット(600)が、各洗浄位置において、一つのキュベット(201)に、又は同時にキュベットの群に、好ましくは互いの隣に配置される二〜五つのキュベット(201)にアクセスする移動可能な機械構成要素として設計されることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか一項に記載の分析器。
【請求項24】
あらかじめ規定可能な測定温度を設定するための前記温度制御ユニット(800)が、個別のキュベット(201)又はキュベット(201)の群に熱的に接触し、且つ異なる温度レベルを適用することができる加熱ホイル(891)を含むことを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載の分析器。
【請求項25】
前記温度制御ユニット(800)が、あらかじめ規定された標的温度に調節されるキュベットブロック(820)を有し、前記キュベットブロックが、温度制御手段(830)を備え、前記個別のキュベットに熱接触することを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載の分析器。
【請求項26】
据え置き型混合器ユニットが、前記試料及び前記試薬を混合するための前記キュベット(201)に割り当てられ、超音波エネルギーを前記キュベット(201)内に導入するための少なくとも一つの超音波変換器(840)が、各キュベット(201)に据え置き型混合器ユニットとして取り付けられ、前記超音波変換器(840)が、圧電性厚みモード変換器として設計され、液体媒体のパラメータ値に応じて前記少なくとも一つの超音波変換器(840)を作動させる制御ユニット(860)に接続されることを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載の分析器。
【請求項27】
前記据え置き型キュベットアレイ(200)の前記キュベット(210)内に導入される液体媒体を混合し、液体媒体の温度を制御するための据え置き型デバイスが、組み合わせた混合及び温度制御デバイス(810)として設計されることを特徴とする、請求項25及び請求項26に記載の分析器。
【請求項28】
前記キュベットブロック(820)が、前記キュベット(201)のための形態適合性収納部(823)を有する基部(821)と、開放可能な前部(822)とから実質的になることを特徴とする、請求項25から27のいずれか一項に記載の分析器。
【請求項29】
分析器の試料貯蔵部(920)内に存在する液体試料の自動化学的分析、自動生化学的分析及び/又は自動免疫化学的分析のための方法であって、前記分析器の少なくとも一つの試薬貯蔵部(950a、950b)内に存在する液体試薬を活用した、前記試料中の少なくとも一つの分析物濃度を決定するための方法において、以下のステップ:
前記キュベットアレイ(200)に沿って移動可能な少なくとも一つのピペッタ(300、300a、300b)を活用して、前記ピペッタ(300、300a、300b)の第1ピペット操作モジュール(3011、301a1、301b1)の中空針(307)又は前記第1ピペット操作モジュール(3011、301a1、301b1)から独立して移動可能な第2ピペット操作モジュール(3012、301a2、301b2)の中空針(307)によって、前記試料貯蔵部(920)内の試料容器(921)から据え置き型直線的キュベットアレイ(200)のキュベット(201)内に所定量の液体試料を移送すること、
前記キュベットアレイ(200)に沿って移動可能な前記少なくとも一つのピペッタ(300、300a、300b)の前記第1ピペット操作モジュール(3011、301a1、301b1)の中空針(307)又は前記第2ピペット操作モジュール(3012、301a2、301b2)の中空針(307)によって前記試薬貯蔵部(950a)の試薬容器(951a)から前記据え置き型直線的キュベットアレイ(200)の前記キュベット(201)内に所定量の試薬液体を移送すること、
前記キュベットアレイ(200)に沿って移動可能な前記少なくとも一つのピペッタ(300、300a、300b)の前記第1又は第2ピペット操作モジュール(3011、3012、301a1、301a2、301b1、301b2)の中空針(307)によって前記試薬貯蔵部(950b)の試薬容器(951b)から前記据え置き型直線的キュベットアレイ(200)の前記キュベット(201)内に所定量のさらなる試薬液体を所望により移送すること、
各場合において、各ピペット操作プロセスの後、ピペット操作プロセスのために用いられた前記中空針(307)を洗浄すること、
各場合において、試薬液体を加えた後、前記キュベット(201)内の液体を混合し、前記キュベット(201)内の液体の温度を制御すること、
前記キュベットアレイ(200)に沿って配置された光学測定ユニット(500)によって前記キュベット(201)の内容物を光度分析的に測定することであって、前記光学測定ユニットが据え置き型光供給ユニット(540)と据え置き型検出ユニット(550)とを含む、光度分析的に測定すること、及び少なくとも一つの測定値を決定すること、
決定された前記測定値並びに前もって知られた又は所定の参照値及び較正値に基づいて前記分析物濃度を算出し、表示すること、
前記キュベットアレイ(200)に沿って移動可能なキュベット洗浄ユニット(600)によって前記キュベット(201)を洗浄し、乾燥させること、及び
後続の分析のために前記キュベット(201)を提供すること、
を特徴とする方法。
【請求項30】
前記キュベット(201)の内容物を光度分析的に測定するために、UV/VIS/NIR波長範囲内においてスペクトルで異なる様式で発出する複数のLED光源(541)によって、時間的に連続して、前記据え置き型光供給ユニット(540)の少なくとも一つの光ディストリビュータデバイス(542)内に光を照射し、前記光ディストリビュータデバイスが、前記キュベットアレイ(200)の少なくとも一つのセグメントに光学的に接触し、個別のLED光源(541)からの光を前記キュベットアレイ(200)の前記個別のキュベット(201)の横方向入口窓(202)内に供給し、前記据え置き型検出ユニット(550)の、各キュベット(201)に固定して割り当てられた少なくとも一つのフォトダイオード(551)によって、前記キュベット(201)の横方向出口窓(203)から出る測定放射を検出することを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
個別のLED光源(541)のスペクトルチャネル(λ1...λn)が、いずれの場合においても第1キュベット位置(K1)に配置される前記フォトダイオード(551)が検出さるあらかじめ規定された順序で活性化され、非活性化されること、及び前記第1キュベット位置(K1)における全てのスペクトルチャネル(λ1...λn)を通った後、次のキュベット位置(K2)への切り換えが起こること(モード1及びモード2)を特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記LED光源(541)の内の一つの各非活性化の後、それぞれの前記フォトダイオード(551)において暗測定を実施することを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
第1のLED光源(541)のスペクトルチャネル(λ1)が活性化され、前記キュベット位置(K1...Km)に配置される前記フォトダイオード(551)が、あらかじめ規定された順序で検出されること、及び全ての前記キュベット位置(K1...Km)を通った後、次のLED光源(541)の次のスペクトルチャネル(λ2)が活性化されること(モード3)を特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
次のスペクトルチャネル(λ2...λn)への切り換え前に、前記それぞれのフォトダイオード(551)において暗測定を実施することを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記キュベット(201)内の液体が、前記キュベット(201)に熱的に接触する温度制御可能キュベットブロック(820)又は加熱ホイル(891)によって所定の温度に制御されることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記キュベット(201)内の前記液体が、前記キュベット(201)内に導入される超音波エネルギーによって混合されることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記キュベット(201)内に導入される超音波エネルギーが、標的とされた加熱のために用いられることを特徴とする、請求項35又は36に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析器であって、前記分析器の少なくとも一つの試薬貯蔵部内に存在する液体試薬を活用して、前記分析器の試料貯蔵部内に存在する液体試料の化学的分析、生化学的分析及び/又は免疫化学的分析を実施するための自動分析器、液体試料の自動化学的分析、自動生化学的分析及び/又は自動免疫化学的分析のための方法、並びに液体媒体から測定信号を得るための光学測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動化された分析器又は分析デバイスは、特に光学的方法を用いて迅速、正確且つ再現的に液体試料の各種の特性及び成分を決定する必要がある例えば臨床診断、分析論及び微生物学において通常用いられる。
【0003】
知られた分析デバイスにおいて各種測定原理が用いられる。一方で、据え置き型検出ユニット、例えば、据え置き型光度計、並びに試料及び試薬からなる、測定対象の反応混合物を保持するためのキュベットを有するディスク形回転可能ホルダを有するデバイスが用いられる。前記キュベットを、連続的に前記検出ユニットを越えて移動させ、測定する。結果的に、新しい試料又は試薬がキュベット内に導入されている場合、又は前記キュベットが洗浄されて新しい試験のために利用可能となる場合はいつでも、キュベットカルーセルを停止する必要がある。サイクル時間(この概念はあらかじめ厳格に定義される)は、かなりの効率性の損失に関連する。これに関するさらなる詳細は、従来技術の考察において見出され得る(ポイントA参照)。
【0004】
液体媒体から測定信号を得るための光学測定ユニットにおいて、異なる型の測定が用いられる。
【0005】
光度測定法
光度測定が基づく物理的効果は、液体中に存在する特定の物質による特定の波長の光の吸収である。結果として生じる前記キュベットを通過する光の強度の低下は、測定技術を用いて検出され、以下の式を考慮に入れることによって物質の濃度の定量を可能にする。
【0006】
[数1]
T=I/I
0
[数2]
E=−logT=log(I
0/I)
[数3]
E=ε.c.d ランベルト−ベールの法則
式中、T...透過率
E...吸光度
I
0...光吸収物質の非存在下における強度
I...光吸収物質の存在下における強度
c[mol/L]...モル濃度
d[cm]...吸収剤液体層の厚さ
ε[1mol
−1cm
−1]...モル吸光係数(物質依存性変数)
【0007】
したがって、前記モル濃度cは、吸光度又は透過率の測定の結果から直接算出され得る。この型の測定は、前記試料(血漿、尿など)中に存在する特定の分析物のモル濃度を決定するために化学反応及び酵素反応において用いられる。この場合、光吸収物質(染料)が出現するか、又は消失し、次いで、決定対象の前記分析物のモル濃度を、前記吸光度又はその吸光度の変化から推測する。
【0008】
濁度測定及び比濁分析
この型の測定は、例えば酵素、ペプチド又はタンパク質などの特定の分析物を抗体と反応させる均一イムノアッセイにおいて用いられる。これによって、前記試料の光散乱又は濁度の増加を引き起こすより大きな構造が生じる。
【0009】
透過率の測定の場合、前記濁度の増加によって前記分析物濃度が増加するにつれて通過する光ビームの強度が低下するが、90°の検出角度では、前記濁度が増加するにつれて散乱光ビームの強度は増加する。
【0010】
透過率の前記測定の形態における濁度の前記測定は濁度測定と称される。関連する測定デバイスは濁度計と称される。通過する前記光ビームに対して例えば90°の角度で行う散乱光の測定は比濁分析と称され、関連する測定デバイスは比濁計と称される。
【0011】
本発明のより良好な理解のために、本出願において用いられるいくつかの本質的な専門用語をより詳細に定義する。
【0012】
分析器:
前記デバイス内に位置する少なくとも一つの試薬貯蔵部内に存在する液体試薬を活用して、前記デバイス内に位置する試料貯蔵部内に存在する液体試料の化学的分析、生化学的分析及び/又は免疫化学的分析を実施するためのデバイス。
【0013】
x軸、y軸及びz軸:
x軸は、水平に延びる長手方向の軸を意味し、y−方向は、水平に延びる幅の軸又は奥行き軸を意味し、z−は、前記分析器の垂直に延びる高さの軸を意味する(例えば、
図3参照)。
【0014】
キュベット:
本発明の意味におけるキュベットは、試料液体及び試薬液体及び得られた反応混合物を保持するための、全ての側面が閉じており、且つ上部が開いた温度制御可能な容器であって、光度測定方法及び/又はルミネセンス光学的方法によって前記反応混合物を測定するために用いられる温度制御可能な容器を指す。本発明の意味におけるキュベットは、前記キュベットの側壁に配置され、且つ、用いられる光学的測定方法のために透過的であるか、又は全体として光学的に透過的である少なくとも一つの窓を有する。
【0015】
据え置き型キュベットアレイ:
これは、前記分析器内において据え置かれる様式で配置され、通常の測定作業の間にx軸、y軸及びz軸のいずれかに沿って移動しない互いに隣に並ぶ複数のキュベットを指す。
【0016】
直線的キュベットアレイ:
これは、直線に沿って配置された複数のキュベットから形成される単一の列を指す。
【0017】
試薬容器:
前記分析を実施するために必要とされる試薬を保持するための容器又はコンテナである。
【0018】
試料容器:
前記分析器内において、個別の分析物又はパラメータを分析するために複数のより小さい試料量(分割量)を採取することができる前記分析試料(分析対象の前記試料)を含む容器又はコンテナ。前記分析は、前記分析試料の前記容器内で行われず、むしろ、それに前記試薬を加えた後の前記キュベット内で行われ、この意味で、前記キュベットは反応容器としての役割を果たす。
【0019】
分析試料:
前記分析器内に導入される分析対象の材料は、前記分析試料(通常、単に試料又は物質試料と呼ばれる)と称される。この材料は、液体物質混合物であり、例えば、血清、血漿、尿又は脳脊髄液などの体液であってもよい。他の物質混合物としては、例えば、飲料水、廃水、ワイン、ビール及び果汁があり、化学的生成プロセス及び生化学的生成プロセスから得られた液体もある。
【0020】
分析物:
分析試料中に含まれ、且つ、液体試薬を活用して化学分析によって分析器を用いて情報が得られる、すなわち、報告される濃度と共に定量されるそれらの物質は、(一又は複数の)分析物と(及びパラメータとも)称される。
【0021】
分析:
液体試薬を活用して分析器によって自動的に実施される前記分析試料中に含まれる分析物の定量は、分析又は試験と(又は、免疫化学的分析の場合、イムノアッセイとも)称される。
【0022】
ピペット操作ユニット:
これは、一つ以上の移動可能なピペッタを、供給目的のための流体素子(ホース接続部、ポンプ、弁、コンテナなど)、センサ、制御器及び電源を含むその機能化のために必要な全ての移動可能で据え置かれた構成要素と共に含む、異なる容器間に液体を移送するための自動ピペット操作デバイスの全体システムを指す。
【0023】
ピペッタ:
これは、前記保持容器(キュベット、試料容器、試薬容器)に対して少なくともx方向に水平に直線的に移動可能な前記ピペット操作ユニットの構成要素を示す。前記ピペッタは、実質的にx方向に垂直なy方向に移動可能な少なくとも一つのピペット操作モジュールを有する吊るされた構成要素を含む。
【0024】
ピペット操作モジュール:
これは、前記ピペッタに装着され、y方向に移動可能なデバイスを指し、前記デバイスは、垂直なz方向に移動可能であり、且つ少なくとも一つのカニューレ又は中空針をその流体接続素子と共に保持することが意図されたホルダを含む。
【0025】
中空針:
これは、前記ピペット操作モジュールのホルダに装着され、且つ前記分注容器から液体を吸引し、計量された量の前記吸引液体を前記保持容器内に放出することが意図された針又はカニューレを指す。
【0026】
据え置き型機械構成要素:
前記分析器内において据え置かれた様式で配置され、通常の測定作業の間に前記直線的キュベットアレイに沿って移動しない機械構成要素。
【0027】
移動可能な機械構成要素:
これは、前記分析器内において据え置かれない様式で配置され、通常の測定作業の間に制御された駆動装置によって少なくとも前記直線的キュベットアレイに沿って移動し、位置し得る機械構成要素を指す。
【0028】
視準のための光学素子:
これらは、できるだけ平行なビームを作製するための光学素子である。原則として、多少の点状の源からの光は平行光束に変換される。光がLEDから生じる実質的に平行の様式で配列する光学素子は、例えば、収束レンズ、TIRレンズ、放物面鏡及びダイヤフラム配置である。
【0029】
フィルタ処理のための光学素子:
これらは、周波数に依存した様式で、すなわち可視光について色に依存した様式で伝送光をフィルタ処理するための光学構成要素、特に干渉フィルタである。これらの構成要素は、通常、薄い担体上に誘電体層として設けられる。波長に依存した透過率は、光の入射角によって決まるので、フィルタ素子に作用する光ビームができるだけ平行に伝わり、光軸と平行に方向づけられる場合が有利である。
【0030】
ノッチフィルタ、ロングパスフィルタ、ショートパスフィルタ、バンドパスフィルタ及び二色性干渉フィルタが用いられる。バンドパスフィルタが特に好ましいが、その理由は、これらが、より短い又はより長い波長を吸収すると共に、特定の波長バンドに対して高い透過率を有するからである。
【0031】
A)回転台上に円形様式で配置される移動可能な反応容器/キュベットを有する分析システム(カルーセル配置)
米国特許第8,911,685号明細書(HITACHI)には、光度測定方法によって液体試料の化学的分析及び生化学的分析を実施するための典型的な自動分析器が開示されている。これらの分析器の本質的特徴は、回転台の周囲に配置され、同時にキュベットとして作動し、例えばピペッタ(試料分注器、試薬分注器)、混合デバイス、光学測定デバイス及びキュベット洗浄ユニットなどの、前記回転台の周囲に据え置かれた様式で配置されるデバイス構成要素としても作動する前記反応容器である。前記キュベットの温度制御は、例えば温度制御水浴の形態で、前記回転台内で統合されてもよい。前記試料コンテナは、試料回転台上に配置され、前記試薬は、試薬回転台上に位置する。
【0032】
独国特許第11 2009 002 702号明細書(HITACHI)には、試料コンテナ及び試薬コンテナがカルーセル配置内に存在する別の自動分析器が開示されている。前記分析器は、試料を保持するための多くの試料コンテナが装着され得る試料ディスク、第1試薬及び第2試薬を保持するための多くの試薬コンテナが各々に配置され得る第1試薬ディスク及び第2試薬ディスク、並びに多くのキュベット又は反応コンテナが周方向に配置される反応ディスクを含む。
【0033】
試料分注デバイスは、前記反応ディスクと前記試料ディスクとの間に提供され、前記試料分注デバイスは、前記試料コンテナで吸引された試料を前記反応コンテナ内に分注する。さらに、第1試薬分注デバイスは、前記反応ディスクと前記第1試薬ディスクとの間に提供され、前記第1試薬分注デバイスは、前記第1試薬ディスク上の前記試薬コンテナから吸引された試薬を前記反応コンテナ内に分注する。同様に、第2試薬分注デバイスは、前記反応ディスクと前記第2試薬ディスクとの間に提供され、前記第2試薬分注デバイスは、前記第2試薬ディスク上の前記試薬コンテナから吸引された試薬を前記反応コンテナに分注する。前記試料分注デバイス及び前記二つの試薬分注デバイスは、前記反応ディスクの周囲における規定されたポイントで、据え置かれた様式で配置される。
【0034】
前記第1試薬及び前記第2試薬が分注された後で前記反応コンテナ内の液体を撹拌する二つの据え置き型撹拌機、前記反応コンテナを通して光を送る光源、及び前記反応コンテナを洗浄するためのコンテナ洗浄機構は、前記反応ディスクの回転の方向に、この順序で前記反応ディスクの外周において提供される。
【0035】
据え置き型分光システムは、前記反応ディスクがその間に位置するように前記光源の反対側の位置に配置される。前記分光システムから前記信号を処理する信号処理回路は、前記分光システムの近くに提供される。前記信号処理回路は、コンピュータに接続される。
【0036】
全てのプロセスが前記カルーセルの厳密なクロックサイクルによってあらかじめ定義され、所定の時間窓において起きる必要があるため、そのような分析器は不利である。それぞれの前記キュベットがそれぞれの前記デバイス構成要素の位置に位置する場合にのみ、分注、混合、測定及び洗浄などの作業を行うことができる。
【0037】
例えば、空のキュベット内には、(いかなる時でも、ではなく)前記空のキュベットが前記試料ピペッタの位置を越えて移動し、前記キュベットカルーセルがこの位置で停止する場合にのみ、試料を分注することができる。試薬は、前記試料を含むキュベット内に、当該のキュベットが前記試薬ピペッタの位置を越えて移動し、前記キュベットカルーセルがこの位置で停止する場合にのみ分注され得る。同じことは、機械的攪拌による前記キュベット内における前記試料及び前記試薬からなる反応混合物の撹拌と、前記光学測定デバイスの位置における前記光学測定とにも当てはまる。
【0038】
例えば、特定のキュベットは、当該のキュベットが前記光学測定ユニットの位置に位置するか、又は前記測定の間に「高速で」後者を越えて導かれるまで待機することがまず必要であるので、いかなる時でも、又は小さい時間間隔で繰り返し光学的に測定することもできない。
【0039】
反応が完了した際、測定を直ちに実施することができず、反応速度測定の場合、個別の測定の間の時間間隔は比較的大きい(前記回転台の少なくとも1回転)。測定が完了した際、キュベットを直ちに洗浄して新しい試験のために利用可能とすることができないことは不利である。キュベットは、当該のキュベットがキュベット洗浄ステーションの位置に位置し、且つ、この概念において厳格にあらかじめ定義されている前記サイクル時間に従って、固定された時点において、又は前記試験の開始から固定された期間、当該の位置で洗浄の停止が起きる(提供される)場合にのみ洗浄されて、新しい試験のために利用可能とされ得る。その結果、それぞれの試験における前記測定期間が短いか長いかにかかわらず、全てのキュベットは同じ時間の長さだけ「阻止」される。
【0040】
試料、試薬及びキュベットの移動を伴う回転組織化カルーセル配置、特に移動可能キュベット及び据え置き型機械構成要素を有するカルーセル概念によって、個別の前記試験のための比較的高い出力時間が生じ、特定の数のキュベットを有するデバイスにおける1時間当たりで実施することができる試験回数が限定される。
【0041】
B)円形の様式で配置される据え置き型反応容器/キュベットを有する分析システム
米国特許第5,178,833号明細書(BIOSEMA)には、円形の様式で配置され、且つ前記デバイスに対して据え置かれる測定キュベット及び試薬容器を有する自動分析器であって、前記測定キュベットが外環内に配置され、前記試薬容器が二つの内環内に配置される、自動分析器が開示されている。据え置き型ピペッタの回転軸は前記試薬容器環の中央に位置し、前記回転軸は、前記ピペッタの下降可能ピペット針のための環状洗浄容器で取り囲まれている。前記分析器の前記試料容器は、前記据え置き型キュベット環の周囲における別々の回転台上に位置する。光学測定ユニットは、前記分析器の中心軸の周りの回転移動によって前記測定キュベットに達する。光路は、個別の前記測定キュベットの長手方向の軸に沿って液体表面を通る。前記ピペット針は、第1の中心軸及びさらなる軸の周りの前記ピペッタの二つの水平アームの回転移動によって、前記試料容器、前記測定キュベット、前記試薬容器及び前記洗浄容器に達する。
【0042】
開示された前記構成が、試料及び試薬のための、独立して移動可能なピペット針を一つだけ可能にし、前記試薬貯蔵部が前記内側据え置き型環の領域に限定され、前記光路が前記反応液の表面を通って延びることは不利である。前記測定キュベットを洗浄することができないが、それよりも使用後にセクタ内の前記外環に置き換えられなければならないことは特に不利である。
【0043】
C)直線的な様式で配置される移動可能な反応容器/キュベットを有する分析システム
英国特許出願公開第1321754号明細書には、直線的様式で移動することができる循環エンドレスベルトに取り付けられた反応容器/キュベットを有する自動分析器が開示されている。
【0044】
米国特許出願公開第2014/0287523号明細書(ABBOTT)には、同様に、ベルト上に直線的様式で配置された反応容器又はキュベットを有する分析器が開示されている。前記直線的エンドレスベルトは二つの滑車で張力をかけられ、適切な反応容器は、例えば「処理前レーン」及び「主要プロセスレーン」において長手方向に取り付けられる。前記滑車を回転させることによって、前記反応容器又は前記キュベットは、前記ベルトの走行方向に前後に移動する可能性があり、下側において前記滑車の周りを移動する可能性もある。前記配置は、前記反応容器又は前記キュベットが円形路において移動する従来のカルーセル配置の「直線的変形例」となる。しかし、両変形例に共通の一つの特徴は、前記反応容器又は前記キュベットを、依然として前記デバイスに対して移動させ、前記処理ステーション(機械構成要素)の方へ駆動させるということである。ゆえに、ポイントA)において既に記載されたものと実質的に同じ欠点が生じる。
【0045】
国際公開第99/046601号(HITACHI)には、据え置き型デバイス構成要素(試料液体及び試薬のための分注器、機械的攪拌機、光度計並びにキュベット洗浄ステーション)を有する直線的移動可能キュベットアレイが開示されている。本出願の
図1aに示されるように、国際公開第99/046601号において、複数のキュベット又は反応容器2は、温度制御チャンバ(水浴)1において支持フレーム又は輸送バー7において所定の間隔で配置される。前記キュベット内容物は、例えば超音波によって混合される。前記反応容器2を含む輸送バーは、駆動ユニット8によって矢印9の方向に直線的に移動する。前記温度制御チャンバ1に加えて、試料ピペット操作ユニット3a、試薬注入ユニット3b、光学測定ユニット4、キュベット洗浄ユニット5、並びに前記反応容器2の内容物を再び撹拌するための第1撹拌機構6a及び第2撹拌機構6bも提供される。前記撹拌機構6a又は6bは、前記チャンバ1における前記水浴を介して前記反応容器2に作用する超音波発生器として設計されてもよい。実施形態のこの変形例において、前記温度制御チャンバ1内の水は、前記反応が生じ得、且つ前記光学測定を実施し得る一定の温度で保持される。
【0046】
前記デバイスの動作の間、反応容器2は、前記試料を前記反応容器2内に分注する前記試料ピペット操作ユニット3aで停止する。同様に、前記試薬注入ユニット3bは、前記分析のために用いられる前記試薬を対応する前記反応容器2内に放出する。さらに、前記第1撹拌機構6aは、前記反応溶液を混合するために撹拌し、前記第2撹拌機構6bは、前記反応容器2内の前記混合物を再び撹拌する。前記光学測定ユニット4は、対応する前記反応容器内の吸光を測定する。さらに、前記キュベット洗浄ユニット5は、試験された前記反応溶液を廃棄し、前記反応容器2を洗浄する。これらのプロセスが完全であれば、前記駆動ユニット8は、前記反応コンテナ2の移動を開始する。前記反応コンテナ2が前方へ移動すると、前記試料ピペット操作ユニット3a、前記試薬注入ユニット3b並びに第1撹拌機構及び第2撹拌機構6a、6bが洗浄ユニット内で洗浄される。上記のプロセスを繰り返すことによって、多くの化学分析が実施される。上記のプロセスから分かるように、前記デバイスの個別の構成要素は、前記移動方向9に沿った、示された順序で配置されなければならない。
【0047】
この概念の一つの欠点は、前記輸送バー7が、前記据え置き型デバイス構成要素3a、3b、6a、6b及び5の左側及び右側に、前記反応容器2の直線的移動のための大量の自由空間を不可避的に必要とすることである。したがって、前記分析器の長手方向の軸は、不可避的に、前記輸送バー7の長さの少なくとも二倍増大する。
【0048】
したがって、国際公開第99/046601号にかかる前記デバイスの前記キュベット又は前記反応容器2は、上記の回転台の変形例に類似した様式で前記据え置き型デバイス構成要素を越えて移動する。前記システムは非可撓性であり、ポイントA)において既に記載されたものと実質的に同じ欠点が生じる。
【0049】
D)円形様式及び/又は直線的様式で配置された据え置き型反応容器/キュベットを有するシステム
欧州特許出願公開第2309251号明細書(SIEMENS)には、円形配置内又は直線的配置内に存在する据え置き型試料容器又はキュベットを有する自動分析器であって、前記光学測定ユニットが前記試料容器に沿って移動可能なものなどの回転可能デバイス上に形成される、自動分析器が開示されている。実施形態の一変形例によれば、LEDの形態の前記光源とフォトダイオードの形態の前記光検出器とを運ぶ前記回転可能デバイスを前記試料容器のための前記収納部の下に配置してもよく、その結果、いつでも把持アームによって前記試料容器にアクセスすることが可能である。前記回転可能デバイスは、前記試料を多波長で測定することができるように異なる波長の複数のLEDと複数のフォトダイオードとを有してもよい。前記フォトダイオードをCCD素子に置き換えてもよい。
【0050】
欧州特許出願公開第2309251号明細書に記載されている配置は、例えば臨床化学分析器(CC分析器)に不適切であり、止血測定のための(血液凝固を決定するための)分析器を対象とする。この配置は、複数のデバイス(例えば、PCR分析器、冷却デバイス)から構成されるシステムの一部であってもよい。前記試料容器は、再利用されないが、それよりも、システムの他の構成要素上に所望により通過させられ、例えば、把持アームによって、又は前記凝固パラメータが決定された後、設けられる。
【0051】
できるだけ希釈されていない形態の全血(その中に含まれる血液細胞を有する血漿)だけが、凝固測定の場合の試料として適切である。対照的に、全血は、血液細胞が光を散乱させ、したがって測定結果が歪められるので、伝送光の光度測定に完全に不適切である。ゆえに、そのような光度計を含む分析器は、さらに試薬の添加によって非常に希釈される例えば血漿又は血清などの無細胞分析試料を常に用いる。
【0052】
欧州特許出願公開第2309251号明細書によれば、(所望により試薬の添加後において)中に前記試料を有する前記容器は、前記光学測定のために直接用いられる。
【0053】
本発明にかかる分析器において、測定は、常に、無細胞分析試料、例えば、血漿/血清、尿及び脳脊髄液などの体液、飲料水、廃水、ワイン、ビール及び果汁などの物質混合物、並びに化学的生成プロセス及び生化学的生成プロセスから得られた液体を用いて実施されるが、前記無細胞分析試料は、試料容器によって前記デバイス内に導入された後、次に光度測定が実施される別々のキュベット内に、試薬と共に分割量の前記試料がピペッタによって移送される。
【0054】
E)2D配置(マイクロタイタープレート)において据え置き型反応容器/キュベットを用いて試料を調製し且つ/又は分析するための実験室ロボット並びに自動ピペット操作及び分析デバイス
マイクロタイタープレートを用いて液体試料の生化学的分析を実施するための典型的な分析デバイスは、例えば欧州特許第0259386号明細書(TECAN)において知られている。前記分析デバイスは、複数の試料容器を保持するための主要ラックと、xy方向に前記主要ラックの隣に位置することが可能であり、且つマイクロタイタープレートを保持するように設計されているクロス台と、前記主要ラック及び前記クロス台の上に配置され、且つ上部水平平面内に所望により位置し得る試料ディストリビュータアームと、前記クロス台の位置決め領域内及び前記クロス台のxy平面を垂直に通過するビーム路内に配置される光度計とを含む。
【0055】
マイクロタイタープレートのウェル内に試料を自動的に調製し、分析するための機械の別の例は、独国特許発明第102004057450号明細書(CYBIO)において知られている。
【0056】
物質を検出し、且つ決定するためのマイクロタイタープレートを使用するこの型の多くの機械がある。マイクロタイタープレートは、行及び列(2Dアレイ)で多数の相互に隔離されたウェルを含む。それらは、広範囲の手順のために用いられる。ピペット操作は、手動で行われるか、又は高スループットスクリーニング(HTS)の場合、ピペット操作ロボットを活用して行われる。光度定量、例えば、光度計を用いた伝送光におけるマイクロタイタープレート上の吸光測定は、前記ビーム路が液体表面を通る垂直方向に前記ウェルを通過するという方法で行われる。しかし、正確な定量のために、知られており、且つできるだけ正確に規定された路及び距離にわたって測定液体を通して光ビームを導くことが必要である。粒子、濁り、入口面、表面(例えば、液体表面、キュベット壁)上のいかなる光散乱も、一方で測定結果を歪める光損失につながる。
【0057】
欧州特許出願公開第2410342号明細書(HOFFMANN−LA ROCHE)には、互いの隣に配置され、且つそのピペット針と共に主要なフレーム体上で前記主要フレーム体に垂直な水平x方向に連動して移動可能である複数の平坦フレーム素子を有するピペッタを有するピペット操作デバイスが開示されている。前記ピペット操作デバイスは、容器の第1列から、x方向にずれた容器の第2列に、試料又は試薬を移送する役割を果たす。前記ピペット針は、まず、試料液体又は試薬液体を採取するために前記第1列の容器の間隔に対してy方向に調整され、次いで、前記試料液体又は前記試薬液体を分注するために容器の第2列の間隔に適合させられる。しかし、x方向及びy方向における二つのピペット針の独立した移動は提供されない。y方向及びz方向(前記ピペット針の昇降)のための移動モジュールは、個別のピペット針の間の間隔を小さく保つために、平坦な隣接するフレーム素子内の間隙内に配置される。しかし、y方向の前記ピペット針の独立した移動は、限定された程度だけ可能である。例えば、前記移送アーム上の前記フレーム素子が互いを越えて移動することは可能ではなく、それによってy方向の前記ピペット針の移動の自由が相互に制限される。そのようなピペット操作デバイスは、特にマイクロタイタープレートに関連して有用な適用を見出す。
【0058】
欧州特許第1230553号明細書(MAXMAT)には、試料チューブ及び試薬のためのチューブのための貯蔵モジュールを有する化学的分析器又は生物学的分析器が開示されている。レール上で移動可能であり、且つ互いに一定の距離で配置される二つのピペット針を有するマイクロタイタープレート及び試料採取モジュール(ピペッタ)の形態の反応コンテナを有する分析モジュールであって、前記ピペット針が、自動的に試料を採取するためにz方向に互いに独立して作動し、前記貯蔵モジュールから前記分析モジュールまで所定量の試料及び試薬を移送するための格納式吸引ピペットを各々備えている、分析モジュールも提供される。前記二つのピペット針は、水平x/y平面内で連動してのみ移動可能である。
【0059】
前記分析モジュールは、前記マイクロタイタープレートのための加熱プレートを有し、前記加熱プレートは、対流によって前記ウェルの内容物を加熱するために前記マイクロタイタープレートのウェルの下方領域の近くに配置される。前記試料採取ユニットは、試料及び試薬からなる混合物を完全に混合するように、後者が前記マイクロタイタープレートのウェル内の下降位置にある場合に前記ピペット針を交互に前後に移動させるために電磁石によって制御される混合デバイスをさらに含む。
【0060】
米国特許第5897837号明細書(TOA MEDICAL)には、x方向及びy方向に水平に移動可能であり、且つ互いに隣接した二つのピペット針を備えるピペッタの第1ブロックを有するイムノアッセイ分析器のための試料を前処理するために適切なピペット操作機械であって、前記ピペット針を互いに独立して昇降させることが可能である、ピペット操作機械が開示されている。この場合、前記二つの針の内の一つを試薬に割り当ててもよく、他の針を試料に割り当ててもよい。さらに、xy方向に移動可能であり、且つ下降可能なピペット針を有する第2ブロックも存在する。前記針を洗浄するために、据え置き型針洗浄ステーションへ移動することが必要である。不都合には、前記第1移動可能ブロックの前記二つのピペット針を前記水平x/y平面内で連動して移動させることができるだけである。このことは、前記ピペッタのロボット工学構成要素の重量を二つの水平移動軸x及びyにわたって分散させることができず、その結果、y方向の位置へ移動するために前記第2ピペット操作ユニットの重量も常に増進させる必要があるという欠点を有する。同様に、前記針洗浄容器と共に前記針洗浄ユニットの重量も常に両水平方向に増進させる必要がある。さらに、前記連動水平移動のため、容器列の異なる非隣接位置におけるピペット操作のために同時に両方の針を使用することはできない。
【0061】
米国特許第8,675,187号明細書(Hitachi)には、液体媒体から測定信号を得るための光学測定ユニットと、それを備えた分析システムとが記載されている。本出願の
図1bに示されるように、回転台23上に円形様式で配置された複数の反応容器24の内の一つは、一定温度の水26が充填された温度浴25内に浸漬される。前記温度浴25内に固定して配置される光度計27はLED光源28を有し、光は、集光レンズ29及び偏向ミラー30によって前記反応容器24内に存在する前記試料31に照射される。光源として半導体レーザを用いてもよい。前記光度計27の光検出器32は、前記反応容器24の反対側に配置される。入口放射及び出口放射のためのダイヤフラム34は、前記光度計27の測定位置33における前記反応容器24の入口側及び出口側に提供される。一つの欠点は、前記試料を測定するために個別の前記反応容器24を前記光度計27の測定位置に移動させる必要があるので、回転台上に円形様式で配置される反応容器に関連した機械的複雑性及び度量衡的複雑性である。
【0062】
米国特許出願公開第2013/0301051号明細書(Pogosyan)には、光源として異なる波長の複数のLEDと検出器としてフォトダイオード又は光電子増倍管とを有する費用効果的携帯型光度計が記載されている。前記光度計は、前記光源と前記検出器との間の試料ホルダ内に位置する化学的試料、生物学的試料又は医薬試料を分析するために使用され得る。前記光源からの光は、前記試料ホルダ内に存在する前記試料に達するために、光散乱表面上へ方向づけられ、コリメータレンズ及びスリットダイヤフラムを通過する。示されるように、前記検出器を第1位置から第2位置に旋回させることができる。示された形状において、前記散乱表面が非常に小さく、ほとんど点状であることが選択される場合、コリメータレンズは最適に機能するが、このことによって光出力は低下する。
【0063】
米国特許第8,064,062号明細書(Beckmann)には、複数の光源を含む据え置き型LEDアレイを有する光度計と、一つのフォトダイオードが各光源に割り当てられる複数のフォトダイオードを含む据え置き型検出器アレイとが開示されている。回転台上に位置する前記キュベットは、前記LEDアレイと前記検出器アレイとの間に配置される。前記キュベットの回転移動の間、光学ビーム路は交差し、異なる波長の光が前記キュベット内の試料に連続的に適用され得る。
【0064】
F)分析システムのためのピペット操作デバイス又はピペット操作機械
米国特許第5,897,837号明細書(TOA MEDICAL)には、イムノアッセイ分析器のための試料を前処理するための自動ピペット操作デバイス又はピペット操作機械が開示されている。本出願の
図1cに示されるように、前記ピペット操作機械10は、x方向及びy方向水平に移動可能であり、且つ二つのピペット針11及び12を備える第1ピペッタ20であって、前記ピペット針を互いに独立して垂直に昇降させることが可能である、第1ピペッタ20を有する。この場合、前記二つの針11の内の一つを試薬に割り当てることが可能であり、一方で他の針12は、台平面23の異なるセクション14〜19内に配置される試料に割り当てられる。さらに、xy方向において移動可能であり、且つ下降可能なピペット針13を有する第2ピペッタ21も存在する。
【0065】
第1水平移動可能ピペッタ20は、前記二つのピペット針11、12の垂直下降路の間で前後に水平に移動可能な針洗浄ユニット22を運ぶ。交互の様式で、前記二つの針の内のそれぞれの一つを洗浄することが可能であり、一方で他の針はピペット操作動作を行う。前記第1ピペッタ20の前記二つのピペット針11、12をx方向及びy方向に連動して移動させることができるだけである。
【0066】
このことは、前記ピペッタ20のロボット工学構成要素の重量を二つの水平移動軸x及びyにわたって分散させることができず、その結果、y方向の位置へ移動するために前記第2ピペット操作ユニットの重量も常に増進させる必要があるという欠点を有する。同様に、前記針洗浄容器と共に前記針洗浄ユニット22の重量も常に両水平方向に増進させる必要がある。
【0067】
さらに、独国特許出願公開第102005049920号明細書(MANZ AUTOMATION)には、複数のロボットモジュール131を含むライフサイエンス分野のためのロボットアセンブリが開示されている。本出願の
図1dに示されるように、前記連結可能モジュール131の各々は、少なくとも一つのY軸アーム133がX方向に移動可能であるように配置された据え置き型X軸アーム132を備えている。作業モジュール134を着脱可能に連結するための連結デバイスはY軸アーム133上に提供され、前記連結デバイスはY方向に移動可能である。前記作業モジュール134は、複数のピペット針135を有するピペット操作モジュールとして、又は他に把持部モジュールとして設計されてもよい。ピペット操作対象の試料136は、作業デッキ137上に配置され、交換可能な分注モジュール138は、前記作業デッキ137を前記X軸アーム132に接続するカラム139内に配置され、前記分注モジュールは、ホースラインを介して前記作業モジュール134に接続される。実施形態の一変形例によれば、前記Y軸アーム133は、前記Y軸アーム133の反対側に作業モジュール134のための二つの連結デバイスを有してもよい。次いで、前記連結デバイスは、互いに独立してY方向に移動可能である。複数のモジュール131をそのX軸アームが互いに隣接するような方法で連結することが可能であり、隣接するモジュール上の前記Y軸アームを移動させることができるが、互いを越えて移動させることはできない。
【0068】
G)混合のためのシステム構成要素及び自動分析器のための温度制御
温度制御可能キュベット配置は、独国特許出願公開第2726498号明細書(HELLMA)で明らかとなった。本出願の
図2aに示されるように、キュベット57を挿入することができる複数の収容シャフト56を有する温度制御可能キュベットブロック55が提供される。下方向に円錐状に先細りしており、且つ横方向測定窓58を有する前記キュベット57は、良好な熱伝導率を有し、したがって前記収容シャフト56の壁60を介した前記キュベットブロック55との熱接触を確立するU字形アダプタ59内にぴったりと挿入される。いずれの場合においても、前記キュベット57の各々における試料/試薬混合物は、前記キュベットブロック55内の測定チャネル61を通して光学的に測定され得る。
【0069】
この場合の一つの欠点は、前記試料/試薬混合物の温度が前記キュベットブロックの温度に対して徐々に加熱するだけであるということである。したがって、試料を分析する際に前記温度制御が最も時間がかかるプロセスに属するものと常にみなされるので、分析器内における高試料スループットを達成することはより困難である。
【0070】
特開第2007−303964号明細書(OLYMPUS)には、本出願の
図2bに示されるように、回転可能カルーセル63の収納部内に配置されるキュベット62の温度を制御するためのデバイスが開示されている。前記デバイスは、各キュベット62の側壁に取り付けられ、且つ超音波変換器65としてのインターデジタル変換器(IDT)の電極構造とキュベット内容物の温度を非侵襲的に測定するための温度センサ66との両方が統合される圧電性基板64を有する。滑り接触67を介して接続される制御ユニット69の温度調節ユニット68は、前記超音波変換器65のための駆動体ユニット70と共に、前記キュベット62内の反応混合物の温度を制御するための制御ループを形成する。前記試料/試薬混合物は、超音波エネルギーを吸収することによって標的温度に直接加熱される。
【0071】
この場合の一つの欠点は、各キュベット62が、圧電性基板64を電子調節ユニット68に接触させる必要がある統合温度センサ66に接着させることを必要とするということである。さらに、前記超音波変換器65の基板において測定された温度は、前記超音波変換器の自己加熱によって歪められる可能性があり、したがって、前記キュベット62内の前記試料/試薬混合物の温度に一致しない。
【0072】
さらに、前記温度センサ66は、前記液体に接触せず、むしろ前記キュベット62の容器壁の熱伝導を介して間接的に前記液体の温度を検知するだけである可能性があり、その結果、特に前記液体の加熱が非常に急速である場合、前記液体中の温度上昇を充分な速度及び精度で測定することができず、前記試料成分について重要な値だけ前記標的温度が持続的又は一時的に超えることを除外することが可能となる。
【0073】
欧州特許出願公開第1995597号明細書(OLYMPUS)には、本出願の
図2cに示されるように、回転可能なカルーセル72上に配置されるキュベット71内の液体を撹拌するためのデバイスであって、前記キュベット71内に超音波エネルギーを照射するための音波生成器73(インターデジタル変換器(IDT))が各キュベットの側壁に接着される、デバイスが開示されている。しかし、欧州特許出願公開第1995597号明細書によれば、吸音の結果として生じるキュベット内容物の温度の望ましくない増加を制限し、熱的損傷による分析結果の歪みを防止するように測定を行う必要がある。
【0074】
音波生成器73の作動によってもたらされる重要な熱入力は、制御ユニット74内に格納される前記キュベット内容物の熱的特性によって算出される。作動時間を制限することによって、振幅を調節することによって、又は前記超音波発生器の作動周波数を変化させることによって、前記熱入力を有害でない値に制限することができる。熱入力を限定するためのさらなる測定によれば、作動の間に前記音波生成器を活発に冷却するために、各キュベット71のための作動器75によって、専用のペルチェ素子76は、接着された前記音波生成器73の基板に直接適用され得る。前記ペルチェ素子76の動力は、格納された作動パラメータによって制御され、温度測定は前記ペルチェ素子に提供されない。前記音波生成器73のための信号生成器77は、前記制御ユニット74の駆動体ユニット78によって作動させられる。
【0075】
したがって、超音波の予め計算された入力は、単独では、標的温度を達成するにはあまりに不正確であるので、適切なパラメータ化のみによる前記キュベット71内の前記液体の正確な温度制御は可能ではなく、提供されない。
【0076】
より正確に混合プロセス又は撹拌プロセスを制御し、撹拌中に有害な温度の値を超えないことを確保するために、前記液体の温度測定を据え置き型赤外線センサによって上から実施してもよいが、これは、後者が静止しながら、各々の場合において前記カルーセルの一つの特定のキュベット上においてのみ実施され得る。
【0077】
一定の温度のキュベットホルダ内のブロック温度制御と比較して、上述の技術的特徴を有する温度制御は、前記加熱及び調節中に前記標的温度を超えることに関して前記システムが本質的に安全でないと考えることができるという欠点を有する。
【0078】
特開2007−010345号明細書(OLYMPUS)には、キュベット81の内容物Lを混合することができる超音波撹拌デバイスが記載されている。本出願の
図2dに示されるように、圧電セラミック超音波発生器(厚みモード変換器83)は、前記キュベット81の底部82に接着され、前記キュベット底部の形状及び材料は、前記液体表面の直下のポイントFにおいて超音波エネルギーを焦束するための音響レンズ84を形成する。ジルコン酸チタン酸鉛(「発音体」)製の前記厚みモード変換器83は、直径が前記キュベット底部82よりも大きい、両側に平坦電気接触部86を有する平坦ディスク85を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】米国特許第8,911,685号明細書
【特許文献2】独国特許第11 2009 002 702号明細書
【特許文献3】米国特許第5,178,833号明細書
【特許文献4】英国特許出願公開第1321754号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2014/0287523号明細書
【特許文献6】国際公開第99/046601号
【特許文献7】欧州特許出願公開第2309251号明細書
【特許文献8】欧州特許第0259386号明細書
【特許文献9】独国特許発明第102004057450号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第2410342号明細書
【特許文献11】欧州特許第1230553号明細書
【特許文献12】米国特許第5897837号明細書
【特許文献13】米国特許第8,675,187号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2013/0301051号明細書
【特許文献15】米国特許第8,064,062号明細書
【特許文献16】独国特許出願公開第102005049920号明細書
【特許文献17】独国特許出願公開第2726498号明細書
【特許文献18】特開第2007−303964号明細書
【特許文献19】欧州特許出願公開第1995597号明細書
【特許文献20】特開2007−010345号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0080】
本発明の一つの目的は、液体試料の化学的分析、生化学的分析及び/又は免疫化学的分析を実施するための自動分析器において、厳密なクロックサイクルによってあらかじめ定義され、且つ所定の時間窓において生じるプロセスによって制限される知られたシステムの試料スループットに特に関連した前述の欠点を回避すること、及び前記分析の質を少なくとも維持すると共に前記個別の分析又は前記分析器のコストを著しく増加させることなく前記試料スループットを増加させる改善を提案することである。さらに、前記目的は、液体試料の自動化学的分析、自動生化学的分析及び/又は自動免疫化学的分析のための改善された方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0081】
この目的は、分析器であって、各々が横方向入口窓と少なくとも一つの横方向出口窓とを有する、前記液体試料及び試薬を保持するためのキュベットを有し、複数のキュベットが前記分析器内に少なくとも一つの据え置き型直線的キュベットアレイとして配置され、少なくとも、
前記直線的キュベットアレイによって規定される移動線に沿ってx方向に移動可能であるように設計されているピペッタであって、前記ピペッタが、x方向に実質的に垂直のy方向に移動可能な少なくとも一つのピペット操作モジュールを備えており、前記ピペット操作モジュールの少なくとも一つの中空針が、前記キュベット内に、さらに試料貯蔵部及び/又は試薬貯蔵部の個別の容器内にz方向に下降可能であるように設計されている、ピペッタと、
前記キュベット内で前記試料及び前記試薬を混合するための混合器ユニットと、
前記キュベットアレイの前記個別のキュベットの前記入口窓内にUV/VIS/NIR波長範囲内においてスペクトルが異なる様式で発出する複数のLED光源からの光を供給する少なくとも一つの光ディストリビュータデバイスを有する据え置き型光供給ユニットを含み、且つ
前記キュベットの前記出口窓に割り当てられ、複数のフォトダイオードを有する据え置き型検出ユニットを含む
光学測定ユニットと、
前記キュベットを洗浄するための、x方向に移動可能であるように設計されたキュベット洗浄ユニットと、
前記少なくとも一つの中空針を洗浄するための針洗浄ユニットと、
前記キュベット内におけるあらかじめ規定可能な測定温度を設定するための据え置き型温度制御ユニットと、
評価制御ユニットと、
を含む移動可能な機械構成要素及び据え置き型の機械構成要素を有し、
前記光ディストリビュータデバイスが、内表面が少なくとも部分的に鏡面化され且つ/又は拡散反射するように設計されている空隙を有し、少なくとも一つのフォトダイオードが、前記据え置き型キュベットアレイの各キュベットに固定して割り当てられる、
分析器によって、本発明に従って達成される。
【0082】
その特別な光学測定ユニットを有する本発明にかかる前記分析器の一つの著しい長所は、前記キュベットが非可動の据え置き型キュベットアレイとして配置され、前記光学測定ユニットの前記個別の検出器(伝送光検出器及び/又は散乱光検出器)が各キュベットに固定して割り当てられ、ゆえに、前記個体キュベットから発出する光(すなわち、さらに、任意の暗信号)を時間的に無制限の様式で各キュベットから測定することができるということである。したがって、前記検出器を超えて移動する時点を測定することや、少し進んでは停止する作動で複数のキュベットの前で順次検出器を位置決めすることは必要ではない。その結果、より正確な測定値結果を得ることが可能であり、測定プロセスはさらにより柔軟になる。
【0083】
前記光供給ユニットが、前記キュベットアレイの前記個別のキュベットの中で前記個別のLED光源から光を分配する少なくとも1つの据え置き型光ディストリビュータデバイスであって、前記光ディストリビュータデバイスが、内表面が少なくとも部分的に鏡面化され及び/又は拡散反射するように設計されている空隙を有する、据え置き型光ディストリビュータデバイスを有する場合も有利である。この場合、前記光ディストリビュータデバイスは、LED光源ごとに、前記空隙内に光を供給するための入口開口部を有してもよく、前記キュベットアレイのキュベットごとに、前記キュベット内に光を供給するための出口開口部を有してもよい。
【0084】
これは、異なる波長の複数のLED光源を収容する前記光ディストリビュータデバイスがキュベットの列に据え置かれる様式で割り当てられるので、コンパクトで費用効果的な実施形態である。
【0085】
多数のキュベットを有するキュベットアレイの場合、前記据え置き型キュベットアレイは分割されてもよく、別々の光ディストリビュータデバイスが各セグメントに固定して割り当てられる。ゆえに、全体として、このことによって、移動する構成要素を有さない光学測定ユニットとなる。
【0086】
異なる波長の前記個別のLED光源によって前記光ディストリビュータデバイス内に照射される光の均一な分配のために、前記LED光源の入口開口部の反対側に位置する前記光ディストリビュータデバイスの内表面は、好ましくは、波形で且つ反射するように設計される。個別のLED光源とキュベットとの間に異なる光路が生じてもよいが、一定の幾何学的条件のために算出及び/又は較正測定によって強度差を補償することが可能である。
【0087】
前記キュベットに入る前記測定放射を均質化するために、前記キュベットに対して前記出口開口部の反対側に位置する前記光ディストリビュータデバイスの内表面は、拡散反射するように設計される。
【0088】
分析器の試料貯蔵部内に存在する液体試料の自動化学的分析、自動生化学的分析及び/又は自動免疫化学的分析のための方法であって、前記分析器の少なくとも一つの試薬貯蔵部内に存在する液体試薬を活用した、前記試料中の少なくとも一つの分析物濃度を決定するための本発明にかかる方法は、以下のステップ:
前記キュベットアレイに沿って移動可能な少なくとも一つのピペッタを活用して、前記ピペッタの第1ピペット操作モジュールの中空針又は前記第1ピペット操作モジュールから独立して移動可能な第2ピペット操作モジュールの中空針によって、前記試料貯蔵部内の試料容器から据え置き型直線的キュベットアレイのキュベット内に所定量の液体試料を移送すること、
前記キュベットアレイに沿って移動可能な前記少なくとも一つのピペッタの前記第1ピペット操作モジュールの中空針又は前記第2ピペット操作モジュールの中空針によって前記試薬貯蔵部の試薬容器から前記据え置き型直線的キュベットアレイの前記キュベット内に所定量の試薬液体を移送すること、
前記キュベットアレイに沿って移動可能な前記少なくとも一つのピペッタの前記第1又は第2ピペット操作モジュールの中空針によって前記試薬貯蔵部の試薬容器から前記据え置き型直線的キュベットアレイの前記キュベット内に所定量のさらなる試薬液体を所望により移送すること、
各場合において、各ピペット操作プロセスの後、ピペット操作プロセスのために用いられた前記針を洗浄すること、
各場合において、試薬液体を加えた後、前記キュベット内の液体を混合し、前記キュベット内の液体の温度を制御すること、
前記キュベットアレイに沿って配置された光学測定ユニットによって前記キュベットの内容物を光度分析的に測定することであって、前記光学測定ユニットが据え置き型光供給ユニットと据え置き型検出ユニットとを含む、光度分析的に測定すること、及び少なくとも一つの測定値を決定すること、
決定された前記測定値並びに前もって知られた又は所定の参照値及び較正値に基づいて前記分析物濃度を算出し、表示すること、
前記キュベットアレイに沿って移動可能なキュベット洗浄ユニットによって前記キュベットを洗浄し、乾燥させること、及び
後続の分析のために前記キュベットを提供すること、
を特徴とする。
【0089】
前記機械構成要素の内の少なくとも二つ、すなわち、前記ピペッタ(最も単純な場合、単一のピペット操作モジュールを有する単一のピペッタ)及び前記キュベット洗浄ユニット、は、互いに独立してx方向に移動可能に設計されている。前記混合器ユニットは、据え置かれてもよいか、又は移動可能であってもよく、前記光学測定ユニット及び前記温度制御ユニットは据え置かれている。前記キュベット開口部にアクセスする二つの異なる移動可能な機械構成要素が同時に同一のキュベットにアクセスすることはできない点にも留意する必要がある。しかし、実際には、どんな場合でも、前記ピペッタ及び前記キュベット洗浄ユニットが、例えば、「同時に」同一のキュベットにアクセスすることは必要でない。据え置き型機械構成要素は、例えば、一つのそのような機械構成要素が各キュベット又はキュベットの群に割り当てられるという事実の結果として、それらが、いずれにしろ、各キュベットにアクセスするように設計されるという点にも留意する必要がある。
【0090】
x方向に移動可能な前記機械構成要素の、特に、任意の所望のキュベットへの前記キュベット洗浄ユニットの、及び任意の所望の試料容器、試薬容器及びキュベットへの(少なくとも一つのピペット操作モジュールを有する)前記少なくとも一つのピペッタのアクセスの自由な選択のため、前記スループットは、回転様式で組織化された同数のキュベットを有する機械と比較して著しく増加する。
【0091】
本発明の実施形態の一つの有利な変形例によれば、前記分析器は、互いに独立してx方向に移動可能な二つのピペッタを有する。
【0092】
これは、一つのピペッタを有する前記変形例と比較して、前記第1ピペッタが第1キュベット内に試料をピペットで加えることが可能であり、一方で前記第2ピペッタが自由に選択可能な第2キュベット内に試薬を同時にピペットで加えることが可能であるという事実のため、スループットのさらなる増加につながる。
【0093】
本発明によれば、少なくとも一つのピペッタが、互いに独立して且つ互いに平行にy方向に移動可能な二つのピペット操作モジュールを有し、前記ピペット操作モジュールの各々が、少なくとも一つの中空針を有することも提供される。したがって、ピペッタの前記二つのピペット操作モジュールは、衝突することのなく、y方向に、互いに独立して、互いを越えて移動することができる。
【0094】
この有利な変形例によれば、(例えば、別のピペッタ又は針交換ステーションを必要とすることなく、異なる型の試料及び試薬のための特定のコーティングと共に、異なるピペット操作体積のために)二つの異なる針型を用いることもできる。
【0095】
本発明の一つの特に有利な変形例は、前記針洗浄ユニットが前記ピペッタ上に配置され、それとともに移動可能に設計されていることを提供する。
【0096】
前記第2ピペット操作モジュールの中空針が同時に洗浄されると共に一つのピペット操作モジュールの中空針がピペット操作することができる測定は、スループットを増加させる役割も果たす。前記ピペッタは据え置き型針洗浄ユニットへ毎回移動する必要がないので、前記ピペッタ上に一つのピペット操作モジュールだけがある場合でも利点は得られる。それぞれの前記ピペット操作モジュールのy移動が前記ピペッタ上で運ばれる前記針洗浄ユニットから独立して起きる可能性があるので、前記ロボット工学構成要素の移動塊を二つの水平軸にわたって分割することが可能であり、その結果、前記針洗浄ユニットをx方向に加速する必要があるだけである。
【0097】
本発明にかかる測定方法は、
前記キュベットの内容物を光度分析的に測定するために、UV/VIS/NIR波長範囲内においてスペクトルが異なる様式で発出する複数のLED光源によって、時間的に連続して、前記据え置き型光供給ユニットの少なくとも一つの光ディストリビュータデバイス内に光を照射し、前記光ディストリビュータデバイスが、前記キュベットアレイの少なくとも1つのセグメントに光学的に接触し、
前記個別のLED光源からの光を前記キュベットアレイの前記個別のキュベットの横方向入口窓内に供給し、
据え置き型検出ユニットの、各キュベットに固定して割り当てられた少なくとも一つのフォトダイオードによって、前記キュベットの横方向出口窓から出る測定放射を検出すること、
も特徴とする。
【0098】
各キュベットに個別に割り当てられる前記据え置き型光ディストリビュータデバイス及び前記検出器のため、前記検出器を越えて移動する時点を測定することや、少し進んでは停止する作動で複数のキュベットの前で順次検出器を位置決めすることは必要ではない。
【0099】
別の長所は、前記個別の検出器((光度測定及び比濁測定のための)伝送光検出器及び/又は(比濁分析測定のための)散乱光検出器)が各キュベットに固定して割り当てられ、前記個別のキュベットから発出する光、すなわち、さらに、任意の暗信号及び入射の可能性がある周辺光が、修正の目的ために時間的に無制限の様式で各キュベットから測定され得ることである。したがって、その結果、より正確な測定結果を非常に短い時間間隔(<1秒)で各キュベットから得ることが可能であり、ゆえに、測定プロセスをより短く、さらにより柔軟にすることができる。
【0100】
前記キュベットから発出する測定放射は、電気測定信号に変換され、適切に準備された後、表示ユニットで表示される。
【0101】
前記分析器は、前記試料及び試薬を混合するためにそれぞれの前記キュベット内に降下させ得る混合器ユニット、例えば、回転又は振動において設定され得るピペット操作モジュールの中空針も有する。
【0102】
前記分析器は、本発明によれば、各洗浄位置において一つのキュベットに、又は同時にキュベットの群に、好ましくは互いに隣に配置される二つから五つのキュベットにアクセスする移動可能な機械構成要素として設計されるキュベット洗浄ユニットを有する。前記キュベット洗浄ユニットは、前記試料及び試薬を混合するためにそれぞれの前記キュベット内に降下させ得る撹拌素子を有してもよい。
【0103】
本発明によれば、前記分析器は、あらかじめ規定可能な測定温度を設定するための温度制御ユニットを有してもよく、前記温度制御ユニットは、個別のキュベット又はキュベットの群に熱的に接触し、且つ異なる温度レベルを適用することがきできる加熱ホイルを含む。別の場合、前記個別のキュベット又はキュベットの群は、同時にキュベットホルダの役割を果たす温度制御可能キュベットブロック内に収容され得る。
【0104】
前記キュベットは、底部に近い領域内において、好ましくは互いに平面平行に配置され、前記光学測定ユニットの入口放射及び出口放射又は測定放射に対して透過的である入口窓及び出口窓を有する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
本発明は、部分概略図である例示的な実施形態に基づいて以下でさらに詳細に説明される。
【
図1a】従来技術にかかる、直線的様式で配置された移動可能な反応容器又はキュベットを有する自動分析器を示す。
【
図1b】従来技術にかかる、光学測定ユニットと共に回転台上に円形様式で配置されたキュベットを有する自動分析器を示す。
【
図1c】各場合において三次元図における、従来技術にかかる試料及び試薬を移送するための自動ピペット操作デバイスを示す。
【
図1d】各場合において三次元図における、従来技術にかかる試料及び試薬を移送するための自動ピペット操作デバイスを示す。
【
図2a】従来技術にかかる、キュベット内の液体を混合し、撹拌するためのデバイスを示す。
【
図2b】従来技術にかかる、キュベット内の液体を混合し、撹拌するためのデバイスを示す。
【
図2c】従来技術にかかる、キュベット内の液体を混合し、撹拌するためのデバイスを示す。
【
図2d】従来技術にかかる、キュベット内の液体を混合し、撹拌するためのデバイスを示す。
【
図3】三次元全体図における、直線的据え置き型キュベットアレイ上に二つのピペッタを含む、液体試料の、化学的分析、生化学的分析及び/又は免疫化学的分析を実施するための、本発明にかかる自動分析器を示す。
【
図4】
図5の線IV−IVに沿った前記分析器の断面図を示す。
【
図5】
図3にかかる前記分析器の簡略化された平面図を示す。
【
図6a】三次元図における、
図3にかかる前記自動分析器の二つの独立して移動可能なピペッタを示す。
【
図6b】三次元図における、ピペッタを有するピペット操作デバイスの実施形態の変形例を示す。
【
図7a】前記光供給ユニットの方を見た、三次元図における、
図3〜
図5にかかる前記分析器の、本発明にかかる光学測定ユニットを示す。
【
図7b】前記検出ユニットの方を見た、三次元図における、
図7aにかかる前記光学測定ユニットを示す。
【
図8a】
図8bにおける線II−IIに沿った、
図7aにかかる前記光供給ユニットの断面図を示す。
【
図8b】
図8aにおける線III−IIIに沿った、
図7aにかかる前記光供給ユニットの断面図を示す。
【
図8c】
図8aにかかる前記光供給ユニットの管状体の三次元詳細図を示す。
【
図8e】
図8aにかかる断面図における前記光供給ユニットの変形例を示す。
【
図8f】
図8eにおける線IV−IVに沿った断面図における
図8eにかかる前記光供給ユニットの変形例を示す。
【
図8g】
図8fにかかる断面図におけるキュベットの入口側及び出口側上のビーム誘導装置の異なる詳細な変形例を示す。
【
図8h】
図8fにかかる断面図におけるキュベットの入口側及び出口側上のビーム誘導装置の異なる詳細な変形例を示す。
【
図8i】
図8fにかかる断面図におけるキュベットの入口側及び出口側上のビーム誘導装置の異なる詳細な変形例を示す。
【
図9】
図7aにかかる前記光学測定ユニットの電子作動に関するブロック図を示す。
【
図10a】測定プロセス(モード1及びモード2)を示すための第1図を示す。
【
図10b】測定プロセス(モード3)を示すための第2図を示す。
【
図11】三次元図における、
図3にかかる前記自動分析器の移動可能キュベット洗浄ユニットを示す。
【
図12】三次元部分切断図における、
図3にかかる前記自動分析器の針洗浄ユニットを示す。
【
図13】三次元部分切断図における、
図3にかかる前記自動分析器のキュベットのための温度制御ユニットを示す。
【
図14】概略図における、
図6aにかかるピペット操作モジュールの中空針又はピペット針の流体素子を示す。
【
図15】概略図における、
図12にかかる針洗浄ユニットの流体素子を示す。
【
図16】概略図における、
図11にかかるキュベット洗浄ユニットの流体素子を示す。
【
図17a】三次元図において、
図3〜
図5にかかる自動分析器において液体媒体を混合し、前記液体媒体の温度を制御するためのデバイスを示す。
【
図17c】三次元図において、
図17aに示される通りの本発明にかかる前記デバイスの超音波変換器と共にキュベットを示す。
【
図18】
図17aにかかる液体媒体を混合し、前記液体媒体の温度を制御するための前記デバイスの電子作動に関するブロック図を示す。
【
図19a】液体のための温度制御及び混合プロセスの第1の例示的な実施形態を示すための温度図を示す。
【
図19b】液体のための温度制御及び混合プロセスの第2の例示的な実施形態を示すための温度図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0106】
同じ機能を有する部分は、実施形態の変形例における同じ参照符号と共に提供される。
【0107】
図1a及び
図1bに示される前記自動分析器、
図1c及び
図1dに示される前記ピペット操作デバイス、混合及び温度制御のための
図2a〜
図2dに示される前記システム構成要素は、従来技術からの例に関し、前記記載の導入部に詳細に記載されている。
【0108】
図3〜
図5に示される前記自動分析器100は、液体試料の化学的分析、生化学的分析及び/又は免疫化学的分析を実施するために用いられる。簡潔に説明するために、本発明に必須である前記分析器100のそれらの構成要素だけが示されるが、ポンプ、弁、評価ユニット、制御ユニット及び駆動ユニットなどの分析器構成要素は詳細に考察されない。
【0109】
前記液体試料は、前記分析器100の試料貯蔵部920における試料容器921内に存在し、前記分析器100の二つの試薬貯蔵部950a、950bにおける試薬容器951a、951b内に存在する液体試薬を活用して分析される。
【0110】
前記液体試料及び試薬を保持するための前記キュベット201は、前記分析器100において据え置き型直線的キュベットアレイ200の形態で配置され、複数の個別の分析の間、それらの元の位置で残る。図示の例において、前記キュベットアレイ200は、前記第1試薬貯蔵部950aと前記第2の試薬貯蔵部950bとの間に配置される。
【0111】
図3〜
図5にかかる前記自動分析器100は、移動可能な機械構成要素、及び据え置かれた機械構成要素、すなわち:
前記直線的キュベットアレイ200によって規定される移動線に沿ってx方向に移動可能な二つのピペッタ300a、300bであって、前記ピペッタの各々が、中空針307が前記キュベット201内に、前記試料貯蔵部920内に位置する前記試料容器921内に、及び前記試薬貯蔵部950a、950b内に位置する前記試薬容器951a、951b内にz方向に下降可能に設計されており、且つ前記キュベット201と前記試料貯蔵部920及び/又は前記二つの試薬貯蔵部950a、950bとの間でx方向に実質的に垂直なy方向に移動可能に設計されている二つのピペット操作モジュール301a1、301a2及び301b1、301b2を備える、ピペッタ300a、300b、
前記キュベット201内における前記試料及び試薬を混合するための混合器ユニット(さらに示されない)、
測定信号を得るために前記キュベット201の側面に配置される測定値窓203を通って発出する測定放射を受信する据え置き型光学測定ユニット500、
前記キュベット201を洗浄するためのキュベット洗浄ユニット600であって、前記キュベット洗浄ユニットが前記キュベットアレイ200によって規定される前記移動線に沿ってx方向に移動可能である、キュベット洗浄ユニット600、
前記二つのピペッタ300a、300bの前記ピペット操作モジュール301a1、301a2、301b1、301b2の前記中空針307を洗浄するための針洗浄ユニット700a1、700a2、700b1、700b2、
前記キュベット201内におけるあらかじめ規定可能な測定温度を設定するための据え置き型温度制御ユニット800、及び
評価制御ユニット588、584(
図9参照)
を備えている。
【0112】
前記ピペッタ300a、300bは、平行様式で配置される前記レール111a、111bに、移動可能な装着素子(図示せず)によって取り付けられ、さらに、対応するレール113が前記光学測定ユニット500を装着するために提供され、レール112が、移動可能マウント601と共に、前記キュベット洗浄ユニット600のために提供される。前記ピペッタ300a、300bの移動可能マウント及び前記マウント601は、例えば、前記レール112、111a及び111bの一端における歯付ベルト(ここではさらに示されない)及びステッパモータによって駆動される。
【0113】
図4において特に分かるように、前記機械構成要素の(示された例のいくつかにおける)少なくとも二つは、前記直線的キュベットアレイ200によって規定される前記移動線に沿って又は並行して互いに独立してx方向に移動可能に設計されており、各々は、自由に選択し得る順序で、異なるキュベット201又はキュベット201の群にアクセスすることができる。
【0114】
図3〜
図5に示される実施形態の変形例において、前記分析器100は、試料貯蔵部920、第1試薬貯蔵部950a及び第2試薬貯蔵部950bを有する。貯蔵領域は、全面的又は部分的に冷却され得る。
【0115】
前記分析器100に試料材料を装入するために、分析試料を含む容器921が、前記試料貯蔵部920内へ所定の位置に手動で又はロボット工学によって導入される。個別の前記分析試料のために所望される分析は、前記分析器100の制御器内に入力される。
【0116】
前記分析器に試薬を装入するために、異なる分析物を分析するための試薬を含む試薬容器951a、951bが、所定の位置における前記分析器100の二つの試薬貯蔵部950a、950b内に手動で又はロボット工学によって導入される。
【0117】
前記試料貯蔵部及び/又は試薬貯蔵部内に、較正液及び比較用試料を含む容器を導入してもよい。
【0118】
示される実施形態の前記変形例において、
図3〜
図5に示される前記分析器は、互いに独立してx方向に移動可能で、且つ、(同じキュベットを除いて)互いに完全に独立して、自由に選択可能な順序で、前記キュベットアレイ200の個別のキュベット201にアクセスすることができる二つのピペッタ300a、300bを有する。
【0119】
図6aに示される前記二つのピペッタ300a、300bは、前記二つのピペット操作モジュール301a1、301a2のための実質的にL字形の支持構造体(ピペッタ300a)又は前記二つのピペット操作モジュール301b1、301b2のためのT字形の支持構造体(ピペッタ300b)が形成され、前記支持構造体が前記レール111a又は111bに沿ってx方向に移動可能であるように、各々が、垂直塔303a、303bと、さらに、y方向に水平に方向づけられたアーム304a、304bとを有する。したがって、各ピペッタは、関連するカニューレ又は中空針307と共に、互いに独立して且つ互いに平行にy方向に移動可能な二つのピペット操作モジュール301a1、301a2及び301b1、301b2を有する。前記ピペット操作モジュール301a1、301a2及び301b1、301b2は、y方向に移動可能なマウント305によって前記アーム304a及び304bの左側及び右側に取り付けられ、したがって、制約されることなく互いを越えて移動することができる。各マウント305は、前記中空針307を前記キュベットアレイ200の前記キュベット201内にz方向に降下させることができる下向きに突出するレール部306を有する。
【0120】
個別の前記ピペット操作モジュール301a1、301a2及び301b1、301b2は、各々が、前記キュベットアレイ200の方向に突出し、且つ前記中空針307を運ぶ領域を有する持針器308を有する。その結果、前記ピペット操作モジュール301b2の前記中空針307が、前記キュベット201と一直線になって方向づけられるか又は降下させられる場合でも、前記L字形ピペッタ300aが前記T字形ピペッタ300bを越えて移動することが可能であるために充分な空間が残る(
図4参照)。
【0121】
したがって、示された前記例において、前記ピペッタ300b又はその前記二つのピペット操作モジュール301b1、301b2は、前記試料貯蔵部920内の前記試料容器921及び前記試薬貯蔵部950b内の前記試薬容器951bのみにアクセスすることができるが、前記ピペッタ300a又はその前記ピペット操作モジュール301a1、301a2は、前記試薬貯蔵部950a内に配置される前記試薬容器951aにアクセスするだけである。全ての前記ピペット操作モジュール301a1、301a2及び301b1、301b2は、前記キュベットアレイ200の平面まで移動させることが可能であり、個別の前記キュベット201内に降下させることが可能である。
【0122】
前記針洗浄ユニット700a1、700a2及び700b1、700b2が前記ピペッタ300a及び300b上に配置され、それと共に移動可能に設計されているという事実のため、前記試料スループットの著しい増加が達成され得る。示された実施形態の前記変形例において、各ピペット操作モジュール301a1、301a2、301b1、301b2は、いずれの場合においても、例えば、前記ピペッタ300a及び300bの前記垂直塔303a及び303b上に配置され得るそれ自体の針洗浄ユニット700a1、700a2、700b1、700b2を有する。ゆえに、いずれの場合においても、前記ピペット操作モジュール301a1又は301b1の前記中空針307の内の一つを関連する前記針洗浄ユニット700a1又は700b1内で洗浄することが可能であり、一方でそれぞれの他の前記中空針307はキュベット201内に浸漬される(
図6a参照)。
【0123】
一つのピペッタだけを有する前記分析器の簡便な実施形態の変形例も考えられる。後者は、試料貯蔵部又は試薬貯蔵部の側で移動可能であるL字形ピペッタ300aとして設計されてもよく、移動可能なピペット操作モジュール301a1だけを有してもよいか、又は、他に、T字形の支持構造体を有してもよく、試料貯蔵部と試薬貯蔵部との間で移動可能に設計されてもよい。
【0124】
本発明の一つの有利な実施形態の変形例によれば、一つの個別のピペッタ300は、x方向に移動可能であり、且つ二つの梁341、342が取り付けられた基部構造340を有してもよく、前記梁は、互いに平行して方向づけられ、y方向に水平に突出しており、各々独立して互いを越えて移動することが可能なピペット操作モジュール3011、3012は、前記梁の相互に対向する長手方向の側面上に配置され、各ピペット操作モジュール3011、3012は、個別の前記キュベット201内に下降可能な少なくとも一つの中空針307を有する。
【0125】
図6bにかかるピペット操作デバイスにおいて、そのような変形例をより詳細に説明する。x方向に移動可能な前記ピペッタ300は、水平に突出したアーム304上に二つのピペット操作モジュール3011、3012を有し、前記ピペット操作モジュールは、x方向に実質的に垂直なy方向に沿って移動可能である。互いに平行して方向づけられ、且つy方向に水平に突出する二つの梁341、342は、x方向に移動可能な基部構造340に取り付けられ、互いを越えて移動することが独立して可能な前記二つのピペット操作モジュール3011、3012は、前記梁の相互に対向する長手方向の側面上に配置され、前記ピペット操作モジュール3011、3012の各々は、個別の前記容器921、951a、951b、201内に下降可能な少なくとも一つの中空針307を有する。前記二つのピペット操作モジュール3011、3012は、ここで示されない直線的駆動装置(例えば、歯付ベルト駆動装置)によってy方向に移動する。
【0126】
前記ピペッタ300の前記二つの梁341、342は、x方向の変形に対して前記ピペッタを剛性化するために実質的に矩形のフレーム構造343を形成するように接続ウェブ351によって前記アーム304の端面で接続され得る。剛性化素子349が、前記梁341又は342と接続ウェブ351又は前記基部構造340との間の交点において、いずれの場合においても、その内側上に提供される場合、得られた前記フレーム構造をさらにより剛性にすることができる(図示せず)。
【0127】
前記アーム304及び前記基部構造340のための特に適切な材料は、高引張強度を有する軽金属合金又は繊維複合材料である。本発明にかかる構造的形体からなる前記ピペッタ300は、一つ以上の部分において製造され得る。
【0128】
例えば台形状の前記基部構造340を介して、前記アーム304は、前記ピペッタ300がx方向として規定される試料及び試薬デッキ930の加工表面114の長手方向側面において移動することを可能にする水平な主レール111上に吊るされる。
図3bに示される前記変形例において、前記アーム304は、サーボモーター347に接続される直線的駆動装置、例えば歯付ベルト駆動装置(図示せず)によって移動し得る。前記主レール111は、前記ピペッタ300の加減速の間に平衡錘として適切であり、前記主レール111を冷却するためにも適切である、固体で垂直に方向づけられた裏板348に固定される。本発明にかかる典型的な一実施形態において、前記裏板348は、アルミニウム製であってもよく、重量が20kgであってもよく、前記加工表面114の下の機械フレーム(詳細に示されない)は、重量が300kgを超えてもよい。
【0129】
y方向に流体ライン並びに任意の電気的電源供給源ライン及び信号ラインを導くために、前記ビーム341、342の内側において移動可能な前記二つのピペット操作モジュール3011及び3012は、それぞれの梁上部側面上で巻出され得るエネルギー鎖3111、3112を有する。x方向に前記ラインを導くために、前記主レール111上で巻出され得るエネルギー鎖310は、この目的のために提供される。
【0130】
前記ピペット操作デバイスの前記ピペッタ300は、前記二つのピペット操作モジュール3011及び3012のそれぞれの二つの中空針307を洗浄するための、前記ピペッタ300と共に移動可能な針洗浄ユニット700を有する。
【0131】
前記針洗浄ユニット700は、例えばx方向に作動するスピンドル駆動装置の形態の作動器が、単一の針洗浄ユニット700を用いてy方向に移動可能な両方の前記ピペット操作モジュール3011及び3012の前記中空針307を洗浄することができるように、前記支持構造体344上の前記針洗浄ユニット700の位置を変化させることを可能にする、前記ピペッタ300上の吊下げ支持構造体344上に沿って運ばれる。さらに、前記針洗浄ユニット700のx位置を変化させることの可能性は、回転式作動器(図示せず)の水平に旋回可能なブームにおける吊下げによっても提供され得る。前記支持構造体344は、例えば、前記アーム304又は前記基部構造340に堅固に接続され得る。
【0132】
別々のエネルギー鎖312は、x方向に前記針洗浄ユニット700の流体ライン並びに任意の電気的電源供給源ライン及び信号ラインを導くために提供され得る。しかし、前記ピペッタ300の巻出し可能エネルギー鎖310に沿ってこれらのラインを運ぶことも可能である。
【0133】
実施形態の一変形例によれば、前記二つのピペット操作モジュール3011及び3012の各々のために、別々の針洗浄ユニット700を提供することも可能であり、前記針洗浄ユニットの各々は、前記ピペット操作モジュール3011又は3012の内の一つに固定して割り当てられる。
【0134】
別の有利な実施形態の変形例によれば、単一の針洗浄ユニット700は、洗浄対象の前記二つのピペット操作モジュール3011及び3012の前記中空針307間の正確に中間における前記支持構造体344上に固定して配置され得、前記針洗浄ユニット700の開口部は、x方向に離れた小距離で前記ビーム341、342の内側において移動可能な前記ピペット操作モジュール3011及び3012の前記中空針307を、次々に、又は同時にも、前記針洗浄ユニット700の開口部内に降下させることができるように、例えば細長い穴として設計され得る。この変形例において、有利には、前記針洗浄ユニットを移動させるか又は旋回させるための作動器の必要性がない。
【0135】
ここで、前記フレーム構造によって、互いを越えて移動することが可能な前記二つのピペット操作モジュール3011、3012の前記中空針307は、それらが互いを越えて移動する場合にわずか2〜16mm、好ましくは2〜4mmのx方向に互いから最小の間隔にあることが有利である。
【0136】
図6bに示される前記ピペッタ300は、有利には、前記ビーム341、342の内の少なくとも一つの外側上に、作業モジュール(図示せず)を取り付けるためのマウント305を有してもよく、前記マウントはy方向に移動可能である。前記作業モジュールは、容器(例えばキュベット)を移送するか又は交換するための把持部を含んでもよい。例えば、前記作業モジュールの移動は、適切な巻込み機構を介して、関連した前記梁341、342の反対側において移動するピペット操作モジュール3011又は3012の移動に連結されてもよい。前記作業モジュールは、所望により前記マウント305に固定させてもよいか、又は前記ピペット操作モジュール3011若しくは3012の内の一つの横方向延長部(図示せず)上でそれと共に移動させてもよい。次いで、前記把持部の電源ラインを、隣接する前記ピペット操作モジュール3011又は3012の電源ラインと共に、前記二つのエネルギー鎖3111又は3112の内の一つに沿って、非常に容易に運ぶことができる。
【0137】
前記作業モジュールの前記把持部は、キュベット貯蔵部から光学測定ユニット500又はキュベット廃棄容器(図示せず)にキュベットを移送するために使用され得る。
【0138】
図3〜
図5に示される前記分析器の後述の据え置き型光学測定ユニット500は、据え置き型(すなわち非可動)キュベットアレイ200の並んだキュベット201内に保持された液体媒体から測定信号を得るために使用され、
図7a及び
図7bに示されるように、以下の基本素子:
前記キュベットアレイ200の前記キュベット201内に入口放射を発出するための光供給ユニット540であって、前記光供給ユニット540が、UV/VIS/NIR波長範囲内においてスペクトルが異なる様式で発出する複数のLED光源541を有する、光供給ユニット540、及び
前記キュベットアレイ200の前記キュベット201から発出する測定放射を検出するための、及び前記測定放射を電気測定信号に変換するための検出ユニット550であって、少なくとも一つのフォトダイオード551が前記キュベットアレイ200の各キュベット201に固定され且つ据え置かれた様式で割り当てられるように前記検出ユニット550が設計される、検出ユニット550、
を含む。
【0139】
前記光学測定ユニット500は、前記据え置き型キュベットアレイ200の個別の前記キュベット201の中で個別の前記LED光源541からの光を分配する少なくとも一つの据え置き型光ディストリビュータデバイス542を有する。
【0140】
前記光ディストリビュータデバイス542は、後方壁及び二つの端面と共に内表面543、544、545が少なくとも部分的に鏡面化され及び/又は拡散反射するように設計されている壁によって形成された空隙を有する。前記光ディストリビュータデバイス542は、各LED光源541について、前記空隙内に光を供給するための前記底面545内の入口開口部546を有し、前記キュベットアレイ200の各キュベット201について、前記キュベット201内に光を供給するための出口開口部547を有する。
【0141】
本発明によれば、前記LED光源541の前記入口開口部546の反対側に位置する前記光ディストリビュータデバイス542の上部における前記内表面544は、波形で且つ反射するように設計されており、前記波形内表面544の波形は、前記光ディストリビュータデバイス542の長手方向に個別の前記LED光源541から入る光を最適に分配するために好ましくは前記光ディストリビュータデバイス542の長手方向の延長部に垂直に方向づけられる(
図8b参照)。
【0142】
前記測定放射が前記キュベット201にできるだけ均質に適用されることを確保するために、前記キュベット201に前記出口開口部547の反対側に位置する前記光ディストリビュータデバイス542の前記内表面543の最上部は、拡散反射するように設計されている(
図8a参照)。例えば、硫酸バリウム(BaSO
4)は、前記キュベット201の前記入口窓202から発する視野における前記内表面543をコーティングするための適切な材料である。
【0143】
スペクトル特性を向上させ、前記光ディストリビュータデバイス542内に光を供給するために、前記光供給ユニット540の少なくともいくつかのLED光源541は、出力側に視準目的のための光学素子と狭帯域フィルタとを有する。
【0144】
図7aに、及び
図8aに詳細に示されるように、前記LED光源541は、前記光ディストリビュータデバイス542内への入力側に、TIRレンズ549に配置されるLED548と、前記LEDの非平行ビーム成分を排除するための管状体552と、狭帯域フィルタ、好ましくは干渉フィルタ553とを有してもよい。
【0145】
この場合、前記管状体552は、前記LED光源541の長手方向の軸に平行して延びる細長い貫通開口部570を有してもよく、前記貫通開口部の壁571は、光吸収材料で作製されるか、又はそのような材料でコーティングされる(
図8cに示される詳細な図示参照)。ゆえに、ある種の許容範囲の中で、逸脱する光線が前記管状体552によって吸収されるので、平行に配置される光線だけが前記干渉フィルタ553に達する。
【0146】
前記光ディストリビュータデバイス542の前記底面545上に配置される前記LED光源541の好ましい実施形態の一変形例は、
図8e及び
図8fにかかる断面図に示される。この変形例において、収束レンズ590は、干渉フィルタ553の入力側に配置され、前記収束レンズは、前記干渉フィルタ553内に入るためのLED548によって発出された光を平行に配置し、好ましくは非球面の発散レンズ591が、前記光ディストリビュータデバイス542に入る放射を広げるために前記干渉フィルタ553の出力側に配置されてもよい。
【0147】
好ましくは、前記光ディストリビュータデバイス542の内表面ができるだけ均質に照明されるように光線は広げられる(
図8fの周縁光線S
1、S
2参照)。特に好ましくは、
図8e及び
図8fに示されるような矩形の光ディストリビュータデバイス542の場合、前記底面545の反対側に位置する前記表面544は、できるだけ大きい面積にわたって照明されるが、前記外側面543は直接照明されない。対称型発散レンズ591の場合、光線は円錐形に発出し、その結果、前記LED光源541の反対側に直接位置する前記光ディストリビュータデバイスの前記表面544は、実質的に円形の様式で照明される(
図8f参照(左の周縁光線S
3、S
4からの第2LED光源))。ほとんど均一な量の光が全ての出口窓547における前記光ディストリビュータデバイス542の各LED光源541から発出することを可能にするために、非球面発散レンズ591によってできるだけ均質に前記表面544全体を照明することは有利である(
図8f参照(左の周縁光線S
1、S
2からの第1LED光源))。
図8fに示される図において最も右の前記LED光源541は発散レンズを有さず、その結果、この場合、平行の光線束が前記光ディストリビュータデバイス542に入る。この場合、反対側に直接位置する前記表面544が、より良好な光分配を達成するために、波形をつけられ、場合によっては鏡面化される(mirrored)ように設計されている場合が有利である。
【0148】
本発明にかかる、一方で前記光ディストリビュータデバイス542と個別の前記キュベット201と間の、及び他方で前記キュベット201と前記検出ユニット550の前記フォトダイオード551との間の最適ビーム誘導のために、チャネル状フィードスルー578は、各キュベット201の前記入口窓202の入口側及び前記出口窓203の出口側上の前記キュベット収納部579の壁に配置され、前記フィードスルーは、前記光ディストリビュータデバイス542から発出する入口放射の望ましくない放射成分U
1と前記キュベット201から発出する測定放射の望ましくない放射成分U
2とを除去する役割を果たす取付部品又は変性物(modification)を有する。
【0149】
例えば、
図8iに示される実施形態の変形例によれば、前記キュベット収納部579内の前記チャネル状フィードスルー578の各々は、孔の長さより直径が小さい平滑表面を有するチャネル594として設計されてもよく、したがって、前記フォトダイオード551へ向かう途中の前記望ましくない放射成分U
1、U
2を選別することができる。
【0150】
好ましい一変形例において、
図8hに示されるように、前記チャネル状フィードスルー578は、前記望ましくない放射成分U
1、U
2が消えるクリアランス593又は空隙を有してもよい。
【0151】
特に有利な一変形例によれば、
図8gに示されるように、前記チャネル状フィードスルー578は、放射軸からあまりに大きな角度の偏差を有する望ましくない放射成分U
1、U
2が阻止されるか又は吸収される溝付き又は歯付き構造592を有してもよい。この変形例は、全てのキュベット位置に沿って延びる単一の構成要素において安価に製造され得るが、ねじが切られた孔によって前記溝付き構造592を実現することが可能である。
【0152】
光学測定ユニットにおける光を誘導すること又は方向づけることは、以下の要件を満たすために複数のステップで起きる。
【0153】
第1ステップにおいて、前記LED548からの空間的に広く発出された光は、TIRレンズ549又は放物面鏡によって集められ、平行にされ、前記光ディストリビュータデバイス542の内部の方へ方向づけられる。別の場合、
図8eに示されるように、前記LED548は、できるだけ平行の様式で前記LED548からの光を配置する前記収束レンズ590の焦点に配置されてもよい。
【0154】
(所望による)第2ステップにおいて、TIRレンズを使用する場合、充分に平行にされなかった光の成分は、前記管状体552又は他の管状素子によってさらに進行することが阻止される。
【0155】
第3ステップにおいて、光学バンドパスフィルタ、例えば干渉フィルタ553が、あらかじめ規定された狭帯域単色光を得るために提供される。干渉フィルタ553から発出する放射を適切に広げるために、発散レンズ591が前記干渉フィルタ553の下流に所望により配置されてもよい。
【0156】
第4ステップにおいて、前記光ディストリビュータデバイス542の内部において、個別の前記LED光源541によって生成される光は、できるだけ均質に分配され、個別の前記キュベット201内に方向づけられる。このために、実質的に立方体状の前記光ディストリビュータデバイス542は、拡散反射表面543が前記出口開口部547の反対側に配置されるように設計され、前記入口開口部及び前記出口開口部を除いて、前記内表面の残りは、拡散反射するように及び/又は鏡面化するように設計される。好ましくは、前記上面は波形構造544(
図8b参照)を有し、他の内表面は好ましくは平坦であり、その結果、およそ340nm〜800nmのスペクトル範囲にわたる光が、できるだけ効果的に拡散又は反射される。光が前記キュベット201の前記入口窓202に直接通過し得る前記出口開口部547が、前記光ディストリビュータデバイス542の後方壁に配置される。
【0157】
第5ステップにおいて、前記キュベット201の内部に方向づけられる光線束は、所望により前記光ディストリビュータデバイス542と前記キュベット201との間のダイヤフラムの中間挿入によって、フィードスルー578によって発生する。
【0158】
第6ステップにおいて、測定放射は、所望によりダイヤフラムの中間挿入によって、前記キュベット201の前記出口窓203から前記検出ユニット550の前記フォトダイオード551の方へ方向づけられる。
【0159】
本発明によれば、モニタリング又は基準検出器575は、前記光ディストリビュータデバイス542の壁、例えば後方壁に配置される貫通開口部又はピンホールダイヤフラム576の出口側において、前記光ディストリビュータデバイス542上に配置され、前記モニタリング又は基準検出器によって、いかなる時でも測定放射の変動を検出することが可能である。基準検出器575と共に、ピンホールダイヤフラム576は、各キュベット201に割り当てられてもよい。各キュベット201が参照フォトダイオードに割り当てられる場合、これらは、好ましくは、前記光ディストリビュータデバイス542の前記出口開口部547に位置する。基準検出器575と共に、わずか二つ又は三つのピンホールダイヤフラム576を前記光ディストリビュータデバイス542内に提供することも可能である。
【0160】
図7a/bに示されるように、前記据え置き型キュベットアレイ200は、別々の光ディストリビュータデバイス542が各セグメント210に固定して割り当てられる複数のセクションに分割又は分離されてもよい。
【0161】
各セグメント210は、前記セグメントの全長にわたって延び、且つ例えば異なる波長(λ1〜λ16)の光を有する最高で16の光学チャネルのためのLED光源541のための20超の設置位置を有する一般的な光ディストリビュータデバイス542に割り当てられる。前記LED光源541の個別のLEDは、好ましくは、例えばアルミニウム製の共通のプリント回路板582上にLEDアレイの形態で配置されてもよい。強度を増加させるために、隣接する設置位置を同一波長のLED光源に適合させてもよい。前記光ディストリビュータデバイス542に隣接する各キュベット201の前部入口窓202の領域内において、前記光ディストリビュータデバイス542は、前記LEDによって生成される光が前記キュベット201の内部に前記入口窓202を通して照射される円形開口部、いわゆる前記出口開口部547を有する。前記出口開口部547と前記キュベット201における前記入口窓202との間の前記キュベット収納部579内の前記フィードスルー578は、
図8dに示されるように漏斗形でもよく、所望によりダイヤフラムを含んでもよい。
【0162】
したがって、前記キュベット収納部579内の前記光学フィードスルー578は、平滑表面(
図8i)、溝付き若しくは歯付き構造592(
図8g)又は前記チャネル内に位置する空隙若しくはクリアランス593(
図8h)を有するチャネル594として、漏斗形様式(
図8d)で、互いに独立して、前記キュベット201の前記入口窓202及び前記出口窓203の両側に設計されてもよい。
【0163】
図8eに示されるように、望ましくない散乱放射を除去するために、前記キュベット収納部579内で異なる構造(前記キュベット201の入口側の放射状クリアランス593及び前記キュベット201の出口側の溝付き構造592)を組み合わせてもよい。
【0164】
好ましくは、前記キュベット収納部579内の前記チャネル状フィードスルー578の壁は、光吸収材料で作製されるか、又はそのような材料でコーティングされる。
【0165】
前記内壁上の複数の散乱及び反射によって前記光ディストリビュータデバイス542内で光を分配することによって、前記LED光源541の各光学チャネルからの光は、前記円形出口開口部547を通過して各関連キュベット201の前記入口窓202内に入る。
【0166】
前記キュベット201を通して伝送される光の強度Iは、前記キュベット201の前記後部出口窓203の後に固定して各々配置されるフォトダイオード551(一つのキュベットにつき少なくとも一つのフォトダイオード)の据え置き型アレイによって測定され、前記出口窓は、光ディストリビュータデバイス542から離れている。
【0167】
所望により、比濁分析散乱光測定を実施するために、第2フォトダイオードは、例えば連続ビーム路から90°回転した角度で各キュベット201上に配置されてもよい。
【0168】
前記LED光源541の一定の周囲温度を確保するために、例えばペルチェ構成要素によって温度制御(冷却及び加熱の可能性)される固体アルミニウムブロック583が、前記LED光源541の前記プリント回路板582上に載置される。
【0169】
図9に模式的に示される前記光学測定ユニット500のための電子機器は、複数のプリント回路板上に分配され、且つそれらの機能に従って前記据え置き型キュベットアレイ200(矢印参照)上に幾何学的に配置される複数の回路ユニットからなる。
【0170】
ここに示された例において、前記伝送ユニット580の前記プリント回路板は、特定の波長を有する特定の光源(LED548)に各々割り当てられる16の並列の電流源581を含む。前記電流源581は、長さ及び強度に関する所望の電流パルスが前記光パルスについて設定され得るように、光学制御器(584)によって電流強度及びパルス幅に関して調節されてもよい。LED電源電圧は、各LEDチャネルのために個別に調節されてもよい。温度制御目的のために、前記伝送ユニット580の前記回路板は、冷却フィン577を有するアルミニウムブロック583(
図7a参照)にネジでとめられ、例えば29℃〜41℃の間の設定可能温度にペルチェ素子によって調節される。したがって、電流源581の熱ドリフトは最小減に抑えられる。前記電流源581内で生じる電力損失は、時間的連続的作動によって均等にされる。常に一つの電流源581だけが単位時間当たりで活性化され、したがって、また、常に、特定の、あらかじめ規定された波長を有する光だけが生成される。
【0171】
実際の前記光源は、前記所望の16の波長を有する16の選択されたLED548によって、別々の冷却されたアルミニウムプリント回路板582上に実現される。前記アルミニウムプリント回路板582は、前記LEDのより良好な熱結合のために用いられ、前記アルミニウムブロック583にネジでとめられ、したがって、一定の温度(例えば、+37℃)でも操作される。異なるパルス長にもかかわらず、前記LEDは、一定の平均温度を有し、したがって、低スペクトルシフトも生成する。
【0172】
前記LEDを有する前記アルミニウムプリント回路板582は、前記光ディストリビュータデバイス542内への光の最良の可能な結合を保証するために、前記光ディストリビュータデバイス542(
図7a参照)上に直接配置される。前記LED548からの光は、まず、TIRレンズ549及び管状体552を介して平行に配向され、光学フィルタ553を介してスペクトル的に濾光され、次いで、前記光ディストリビュータデバイス542の内部においてできるだけ均一に拡散的に分配され、その結果、光は、16の隣接する出口開口部547における前記据え置き型キュベットアレイの前記16のキュベット201に結合され得る(
図9の矢印200参照)。
【0173】
さらなるプリント回路板585は、LED548によって生成される光を、それがそれぞれの前記キュベットを通過する前に検出する最高で16のモニタリング又は参照フォトダイオード575を備えている。しかし、2つの大域モニタリング又は参照フォトダイオード575だけを用いてもよい。この場合、光は、各キュベットの前で直接測定されず、むしろ前記光ディストリビュータデバイス542の複数の適切なポイントで測定される。一定の幾何学的条件のため、各キュベットの前の光は、形状因子を活用して算出され得る。
【0174】
前記検知器ユニット550の前記プリント回路板586は、前記キュベットアレイ200のキュベットの出口側に位置する。このプリント回路板は、前記キュベット201から発出する伝送光のための16のフォトダイオード551を含む。各キュベットについて、前記検知器ユニットは、伝送光及びモニタリング又は参照光のための2つの関連する前記フォトダイオード551、575の2つのアナログ値を処理する。前記散乱光測定(比濁分析)のために、第3アナログ値は、前記側に配置されるフォトダイオードによって各キュベットから検出され得るが、その信号路は、透明性の理由で
図9に示されない。
【0175】
前記フォトダイオード551、575から開始する前記二つの信号路は、二つの16:1マルチプレクサ587、反転器、積分器及びADCによって同期処理され、デジタル測定値に変換される。前記マルチプレクサ587は、例えば16キュベットチャネルを選択することと、構成可能な順序で時間的に連続してこれらの間を切り替えることとを可能にする。
【0176】
前記据え置き型キュベットアレイ200が分割される場合、及び別々の光ディストリビュータデバイス542が各セグメント210に固定して割り当てられる場合(
図7a/b参照)、追加的なプリント回路板、すなわち、前記LED582のためのプリント回路板、前記モニタリング又は参照ダイオード575のためのプリント回路板、及び所望により前記検知器ユニット586のためのプリント回路板が前記伝送ユニット580のために用いられ、前記プリント回路板は破線で示される。例えば、96のキュベット201が前記据え置き型キュベットアレイ200内で配置される場合、六つの別々の光ディストリビュータデバイス542が提供されてもよく、各々は、固定して割り当てられた前記キュベット201に対する16の出口開口部を有する。
【0177】
前記光学測定ユニット500のための中央のプリント回路板584は、前記光学制御器を備えている。前記光学制御ユニットは、状態機械としてのプログラム可能論理回路(FPGA)によって実現され、前記伝送ユニット580及び前記検知器ユニット586を同時に操作することができる。正しい時間系列を生成するために、個別の光測定は、光測定及び暗測定に分類され、構成メモリにおいてラインごとに異なってパラメータ化され得る。状態機械は、順にこれらの構成ラインによって作動し、ラインをスキップすることも可能である。光測定と暗測定との間の区別は、前記所望のキュベットチャネル及び前記光源のように、前記構成ラインにおけるフラグによって規定される。前記構成ラインは、所望の遅滞設定、電流強度及びパルス長も含み、また、参照フォトダイオード、LED電源電圧、オーバーサンプリング設定値及び平均設定値並びに持続期間の選択も含む。
【0178】
前記検知器ユニット586は、前記伝送ユニット580と同期する様式で作動し、平均設定値又はオーバーサンプリング設定値を有する大域パラメータによって設定され得る。光信号が積分される所望の積分時間は、前記構成ラインからも読み出される。ここで、大域パラメータによって積分器及び積分の傾きのための遅延時間を選択することも可能であり、その結果、したがって、測定信号の設定時間及び積分速度を切り替えることができる。
【0179】
したがって、アナログ測定値は、前記マルチプレクサ587を介して相互インピーダンス増幅器を有する対応する前記フォトダイオード551から選択され、反転器及び積分器及び所望により存在する対数増幅器によって測定され、オーバーサンプリングの有無にかかわらず高解像度ADC測定によってデジタル化される。最終的に、散乱光測定も行われる場合、三つのアナログ測定値(伝送光、モニタリング又は参照光、散乱光)は、三つのADCによって同時にデジタル化され、未加工の測定値としてラインごとに前記内部メモリに格納される。伝送光及びモニタリング又は参照光及び所望により散乱光の測定は、同時に行われることが必須である。
【0180】
前記内部メモリは、全ての未加工データを含み、周期的にソフトウェアによって評価プロセッサによって読み取られ、変換アルゴリズムによって最終的測定値に変換される。前記変換は、暗値及び光値、並びに、さらに、試薬を混合した前後のI
0測定及びI
1測定を考慮に入れる。前記測定値の変化を連続的測定によって経時的に検出することも可能である。前記測定が周期的に行われ、設定された持続期間に従って反復可能な測定サイクルを生じさせることが必須である。
【0181】
各キュベットについて、算出されたデータは、定義データパケットに詰められ、ローカルイーサネットインターフェースによって主コンピュータ588に伝送される。このデータ整理によって、前記光学測定ユニット500の前記キュベットアレイ200の全てのキュベットを処理し、前記主コンピュータ588に移送することが可能である。
【0182】
前記測定方法において、高サンプリング周波数(>1Hz)で各キュベットについて急速に連続的にI又はI
0を測定することが可能である。前記検出ユニット500の複数のLED光源541及びフォトダイオード551を作動させ且つ読み込むことの各種可能性がある。
【0183】
個別の前記LED光源541のための周期的作動信号は、用いられる測定モードのためのキュベット及び波長の各組み合わせについて、パルス持続期間及び積分持続期間及び、さらに、用いられる電流レベルに関して規定され、作動の間は変化させない。
【0184】
示された前記例において、16のLED光源541の作動は、16の別々の電流源581及び関連のハードウェアを介して生じる。前記LED光源541の各スペクトルチャネルに対する各キュベットの曝露、及び用いられる積分時間は、個別に規定される(16×16の組み合わせ)。個別の前記LEDは(又は、強度を増加させるために、いくつかの位置において、複数のLEDも)、各々が一回の測定サイクルの経過において一つの光パルスを順次発出し、前記光パルスは、前記光ディストリビュータデバイス542の内部の内壁上で複数回反射され、最終的に16の前記出口開口部547を通して16の関連する前記キュベット201に達する(
図8a参照)。
【0185】
各種測定モードが以下のように提供される。
モード1:一定の積分時間と可変の電流強度及びパルス持続期間(256回のフラッシュ)のダイナミックフラッシングLED信号の検出
モード2:可変積分時間(256回のLED作動)及び可変電流強度の静的LED信号の検出
モード3:可変積分時間(16回のLED作動)の静的LED信号の検出
前記測定は、キュベット及び波長の各組み合わせについて個別に行われ、一つの光パルスは、モード1及びモード2における各測定ポイントについて生成される。
【0186】
図10aに示されるように、個別の前記LED光源541のスペクトルチャネル(λ1...λ16)は、モード1及びモード2における設定順序で活性化され、非活性化される。得られた光フラッシュは、前記マルチプレクサ587によって選択された前記フォトダイオード551によって検出され、測定される。全ての前記スペクトルチャネルを通した後、前記センサをキュベット位置K1からキュベット位置K2にわたって変化させ、後者のために必要とされる光フラッシュを同じ順序で生成する。全ての16のキュベット位置(すなわち、16×16の光フラッシュ)を完全に通した後、一つのサンプリングが完了し、次の一つを開始することができる。このプロセスによって、1秒当たり最高で四つのサンプリングを達成することができる。モード1及びモード2において、交互に暗測定及び光測定を順々に実施し、その結果、一つのサンプリングにつき合計で512の個別測定が実施される。
【0187】
したがって、モード1及びモード2にかかる測定方法は、個別の前記LED光源541のスペクトルチャネルλ1...λnが、いずれの場合においても第1キュベット位置K1に配置される前記フォトダイオード551が検出されるあらかじめ規定された順序で活性化され、非活性化されること、及び前記第1キュベット位置K1における全てのスペクトルチャネルを通った後、次のキュベット位置K2への切り換えが起こること、を特徴とする。測定モード1又は測定モード2における一回のサイクルの持続時間は、0.25秒以上である。
【0188】
図10bに模式的に示される測定モード3において、前記LED光源541は、モード1又はモード2とは異なる順序で切り替えられる。
【0189】
各LED光源541又は各スペクトルチャネルは、(一点鎖線によって示される)前記サイクルにおいて一回だけ切り替えられ、その後、これらの個別測定の間で暗測定を行うことなく、全ての16のキュベットを順々に測定する。前記第1キュベットK1は、遅滞を伴って測定され、その結果、前記検知器ユニット550の関連する前記フォトダイオード551には、整定する充分な時間がある。他のキュベットK2〜K16は、いかなる追加的な整定時間なしで、連続して、より急速に測定され得る。
【0190】
一回のサイクルの中で、各LEDは一回だけ切り替えられ、いずれの場合においても全ての16のキュベットが測定される。暗測定が必要である場合、例えば16の前記キュベットを測定するためのサイクルの開始時又は終了時に、暗値を一回測定する。
【0191】
16の波長又は16のスペクトルチャネル(λ1...λ16)及び16のキュベット位置の場合、16×16の光測定が必要とされる。16の暗測定(一回のサイクルにつき一回)を加える場合、それによって272の個別測定となる。測定モード3における一回のサイクルの持続時間は、0.5秒以上である。
【0192】
モード3にかかる測定方法は、第1LED光源541のスペクトルチャネルλ1が活性化されることを特徴とするが、キュベット位置K1...Kmに配置される前記フォトダイオード551は、あらかじめ規定された順序で検出され、全ての前記キュベット位置K1...Kmを通った後、次のLED光源541の次のスペクトルチャネルλ2が活性化される。
【0193】
モード3の長所:
前記フォトダイオードのために全体的により少ない測定及びより少ない整定時間が必要とされるので、モード3は、モード1及びモード2において交互の様式で実施される512の暗/光測定よりも全体的に速い。
【0194】
前記キュベットK1の最初の光測定の前にのみ前記フォトダイオードの整定時間を考慮に入れる必要があり、残りの15のキュベットK2〜K16は、その直後に続くことが可能である。
【0195】
ゆえに、全体的に、モード1又はモード2と比較して、一回のサイクルにつき非常により短いサンプリング時間が達成される。
【0196】
試料及び試薬を混合するために、混合器ユニットは、全体として前記キュベットアレイ200に、好ましくはキュベット201の個別の群に割り当てられる。前記混合器ユニットは、例えば、回転又は振動で設定することが可能であり、且つ試料及び試薬を混合するためにそれぞれの前記キュベット内に降下させることが可能なピペット針又は中空針によって実現されてもよい。前記混合器ユニットを、冒頭部で引用されたWO99/046601A1にかかる撹拌機構によって実現することも可能であった。
【0197】
以下でさらに詳細に記載される前記キュベット洗浄ユニットは、試料及び試薬を混合するためにそれぞれの前記キュベット内に降下させ得る撹拌素子を有してもよい。
【0198】
図11に示される前記キュベット洗浄ユニット600は、マウント601を介して前記レール112(
図4参照)に沿ってx方向に移動可能に設計されている。前記キュベットアレイ200の前記キュベット201内に前記洗浄素子610又は前記乾燥プランジャ620を導入するために、前記マウント601において導かれる、垂直に方向づけられたレール部分603によって、前記ユニット600のヘッド602をz方向に上下に移動させることが可能である。前記ヘッド602において導かれ、且つ例えば四つの乾燥プランジャ620及び、さらに、洗浄素子610を運ぶ調整素子604によって、y方向の変位によって洗浄位置から乾燥位置への切り換えが起こる可能性がある。一つだけ又はいくつかのキュベット201が同時に洗浄されるように、前記洗浄素子610及び前記乾燥プランジャ620を運ぶ個別のフィンガ605を(矢印691によって示されるように)上方へ旋回させることが可能である。
【0199】
図12は、拡大断面図において、概略的参照符号700によって示され、且つ
図3〜
図5並びに
図6a及び
図6bに異なる位置で示される、実質的に同様に構築された針洗浄ユニット700、700a1、700a2、700b1、700b2に相当する針洗浄ユニットの構造と、中空針307と共にピペット操作モジュールとを示し、前記ピペット操作モジュールは、概略的参照符号301によって示され、
図3〜
図5並びに
図6a及び
図6bにおいて異なる位置で示される実質的に同様に構築されたピペット操作モジュール3011、3012、301a1、301a2、301b1、301b2に相当する。前記ピペット操作モジュール301の前記中空針307は、針洗浄ユニット700のハウジング710内の収容開口部711を通して導入され、システム液712で前記中空針307の内腔を同時に洗浄することが可能であり、横方向洗浄ノズル713を介して環状チャンバ715から供給される洗浄液714で前記針の外側を洗浄することが可能である。前記針洗浄ユニット700の下部から洗浄溶液を繰り返し吸引し、放出することによって前記中空針307の内側及び外側を洗浄するために、洗浄溶液を、放射状入口716を通して供給することが可能であり、次いで抽出開口部717を通して空にすることが可能である。
【0200】
図13は、部分的に切り取られたハウジング892及びその中に配置されるキュベット201を有する前記分析器100の前記直線的キュベットアレイ200の拡大された詳細を示し、前記キュベットには、あらかじめ規定可能な測定温度を設定するために温度制御ユニット800の加熱ホイル891が接触し、前記温度制御ユニットの電気接触ピン893は、前記ハウジング892から出現する。さらなる電気接触ピン894が、温度センサに接触するために提供されてもよい。前記キュベット201は、底部に近い領域内に配置され且つ好ましくは互いに平面平行で配置される、側面における測定窓を有し、図示された例では入口窓及び出口窓202、203(出口窓は見えない)を有し、前記測定窓は、入口放射及び出口放射、又は前記光学測定ユニット500の測定放射に対して透過的である。前記キュベット201の前記入口窓及び前記出口窓202、203の領域内において、前記ハウジング892は、対応する開口部895を有する。個別の前記接続ピン893、894は、対応する接触開口部内にラッチする。ラッチ素子896が前記ハウジング892の底部で一体に形成され、前記ラッチ素子は、前記キュベットアレイ200を取り付けるために支持素子内にラッチする。
【0201】
図14は、前記中空針307が、精密ピストンポンプ325、好ましくはステッパモータによって駆動される容積式ポンプ(希釈器)に、脱ガスされた液体が充填された圧力伝達チャネル712を介して接続されるピペット操作モジュール301の流体回路図を示す。前記容積式ポンプは、例えば脱ガス脱イオン水を、ソレノイド弁323を介して補充され得るか、又は加圧され得る貯蔵容器322から洗浄ポンプ321を介して運ぶ、システム液のための供給ユニット320にソレノイド弁326を介して接続される追加的な液体接続部を側部有する。
【0202】
故障を検出するために、前記圧力伝達チャネル712は、前記ピペット操作モジュール301の近くに、例えば前記中空針307の閉塞を検出するために評価制御ユニット(図示せず)に接続される圧力センサ324へのさらなる接続部を有する。
【0203】
ピペット操作プロセスの記載
前記ピペット操作モジュール301を用いて規定量の液体を移送するために、まず、ピペット操作モジュール301を第1容器に水平方向で移動し、5μLの空気(スペーサ)を前記中空針307の先端部内に吸引し、前記中空針307を前記第1容器の液体表面の方向に降下させる。充分であるが余剰でない深さの前記中空針307の漬浸を確保するために、例えば容量性検出原理を用いる液体表面検出デバイス(図示せず)からの信号によって、前記中空針307の下方向の移動を漬浸の規定深さで停止させる。μLの範囲の高精度で規定量の液体を吸引するために、次いで、
図14に示される前記容積式ポンプ(希釈器)の作業ピストンを下方向に移動させることによって前記ピペット操作モジュール301の前記中空針307内に負圧を生成し、それによって対応する量の液体を第1容器から吸引する。次いで、分離空気泡(スペーサ)によって前記システム液から分離される前記吸引液体と共に、前記中空針307を第2容器に移動させ、次いで前記プロセスを逆に行い、前記吸引液体を、前記中空針307の先端部を通して前記第2容器内に分注する。少なくともピペット操作対象の異なる液体を伴う二つのピペット操作プロセスの間、針洗浄ユニット700(
図12参照)内で前記中空針301の内部及び外部洗浄が常に行われる。
【0204】
図15は、前記ピペット操作モジュール301の前記中空針307をその中に降下させた
図12にかかる針洗浄ユニット700の流体回路図を示す。前記針洗浄ユニットの前記ハウジング710は、複数の同心状に方向づけられた内側洗浄ノズル713のための媒体供給源として作動し、且つ洗浄液(例えば、脱イオン水)のための供給ユニット719及び乾燥空気のための供給ユニット727にそれぞれのソレノイド弁を介して接続される、同心状に延びる環状チャンバ715を上部領域内に有する。
【0205】
前記針洗浄ユニット700の前記ハウジング710の半ばの高さに放射状に配置される入口716は、同様にソレノイド弁に接続され、単に供給ユニット723から界面活性剤含有洗浄溶液を供給する役割を果たす。
【0206】
洗浄液のための前記供給ユニット719及び洗浄溶液のための前記供給ユニット723は、各々が、ソレノイド弁722、726を介して各々補充され得るか又は加圧され得るそれぞれの前記貯蔵容器721、725から界面活性剤含有洗浄溶液又は洗浄液を運ぶポンプ720、724を有する。空気のための前記供給ユニット727は、圧縮空気を供給するための空気ポンプ728及び所望により乾燥手段(図示せず)を有する。
【0207】
前記針洗浄ユニット700の底部に位置する前記抽出開口部717は、真空下にあり、且つソレノイド弁を介して回収コンテナ730に接続される真空ポンプ731への接続部を前記液体の上のガス空間内において有する回収コンテナ730から実質的になる廃水回収ユニット729にソレノイド弁718を介して接続される。回収された廃水を、前記回収コンテナ730の底部においてソレノイド弁732を介して放出することが可能であり、さらなる廃水処理に供することが可能である。
【0208】
針洗浄プロセスの記載
前記ピペット操作モジュール301の前記中空針307を洗浄するための典型的なプロセスにおいて、まず、ピペット操作モジュール301を水平に前記針洗浄ユニット700へ移動させ、前記洗浄チャンバの下方保持位置に降下させる。前記中空針307を洗浄する際に生成される全ての廃水を、底部に位置する前記抽出開口部717を介して吸引し、回収し、所望により後処理に供する。次いで、針先端部の中及び上に位置する残存量の最後にピペット操作された液体を、
図14に示される前記中空針307の前記精密ピストンポンプ325を介して空にし、吸引する。最後に、降下させた前記中空針307を、
図14に示されるシステム液のための前記供給ユニット320によって後ろから洗浄する。
【0209】
次のステップ(前記抽出開口部717における前記ソレノイド弁718は閉じる)において、規定体積の界面活性剤含有洗浄溶液を、前記針洗浄ユニット700の前記ハウジング710内の前記入口716を通して導入し、その結果、下部におけるチャンバは規定レベルの洗浄溶液で充満する。前記針の外的湿潤が前記洗浄溶液内の漬浸によって起き得、且つ前記洗浄溶液が前記針内部に吸引される結果として前記中空針307の内的湿潤が起き得るまで、前記ピペット操作モジュール301の前記中空針307を降下させる。
次いで、吸引された前記洗浄溶液を再び放出し、前記洗浄効果を向上させるために前記洗浄溶液を吸引し、放出するプロセスを複数回繰り返すことが可能である。
【0210】
最終ステップにおいて、混入した洗浄溶液を吸引し、前記中空針307の内部をシステム液(例えば、脱ガス脱イオン化水)で洗浄し、一方で前記中空針307の外側を上部に位置する同心状に配置された前記洗浄ノズル713によって前記供給源ユニット719から洗浄液で同時に洗浄し、前記洗浄効果を向上させるために前記中空針307の先端部を底部から上方へ移動させる。
【0211】
内側及び外側の同時洗浄が完了すると、前記中空針307を下方の保持位置内に戻って移動させ、前記洗浄ノズル713への媒体供給を圧縮空気のための前記供給ユニット727に切り替え、前記中空針307の先端部が底部から上方へ再び移動し、その結果、粘着性水滴を針表面から迅速に除去することができる。次いで、前記中空針307を、前記針洗浄ユニット700から移動させることが可能であり、分離空気スペーサ(5μL)を吸引した後、ピペット操作のための準備が再び完了する。
【0212】
図16は、流体回路図、並びに洗浄素子610及び乾燥プランジャ620(
図9も参照のこと)と共に前記調整素子604にヒンジ接続される前記キュベット洗浄ステーション600のフィンガ605の長手方向セクションを示し、
図14に示されるユニットと機能的に同一及び/又は構造的に同一な
図13に関する図の記載における前記供給ユニット719(洗浄液)、723(洗浄溶液)、727(空気)及び729(廃水)から、前記供給ユニット630(洗浄液(rinsing liquid))、634(洗浄溶液(washing solution))及び638(空気)の記載、並びに、さらに、前記廃水回収ユニット640の記載を得ることが可能である。
【0213】
洗浄対象の直線的キュベットアレイのキュベット201内に、水平及び垂直の並進移動によって、前記洗浄素子610及び、さらに、前記キュベット洗浄ステーション600の前記フィンガ605の前記乾燥プランジャ620を順々に降下させることが可能であり、前記キュベット201内に降下させた後、各場合において、前記内側キュベット壁に沿って洗浄媒体の制御された流れを可能にするために、1mm未満の周囲間隙は、前記キュベット201の内側と前記洗浄素子又は前記乾燥プランジャとの間でフリーのままとなる。
【0214】
前記洗浄素子610は、その上端に、前記洗浄プロセスの間における上部キュベットリムと前記フィンガ605の下側との間に洗浄媒体のいかなる漏出も阻止するエラストマシール611を有する。前記洗浄素子610の中央において延び、且つ廃水及び廃気を吸引するように設計されているライザーチャネル612のシャフト周辺には、前記キュベットの内側を上から下まで(矢印参照)洗浄することを可能にする環状媒体供給源がある。適切なソレノイド弁を介して、前記洗浄素子610に、前記供給ユニット634から界面活性剤含有洗浄溶液、前記供給ユニット630から洗浄液(例えば、脱イオン水)、又は前記供給ユニット638から圧縮空気を装入することが可能であり、これらは、ソレノイド弁を介して前記真空作動廃水回収ユニット640に供給されることによって、前記真空作動廃水回収ユニット640を介して放出される。前記廃水回収ユニット640は、液体よりも上のガス空間において、真空ポンプ642への接続部を有する回収コンテナ730から実質的になり、真空ポンプ642は、ソレノイド弁を介して前記回収コンテナ641に接続される。回収された前記廃水を、前記回収コンテナ641の底部においてソレノイド弁643を介して放出することが可能であり、さらなる廃水処理に供することができる。
【0215】
前記乾燥プランジャ620は、多孔性通気性材料で作製され、底部までほとんど延びず、前記キュベット201内に前記多孔性乾燥プランジャ620の壁を通して圧縮空気を供給し、分配する役割を果たす長手方向チャネル621を内部に有する。前記乾燥プランジャ620は、封止材を有するフィンガ605の下側に隣接しないが、降下状態でいくらか突出し、前記キュベット201の上部と前記フィンガの下側との間に周囲空気出口間隙(水平矢印参照)を形成する。前記乾燥プランジャ620は、前記供給ユニット638からの圧縮空気にソレノイド弁を介して接続されてもよい。
【0216】
キュベット洗浄プロセスの記載
実際の洗浄のために準備するステップにおいて、前記洗浄素子610を洗浄対象の前記キュベット201内に降下させ、前記分析後の前記キュベット201内に位置する前記試薬/試料混合物を、前記中央ライザーチャネル612を介して吸引し、前記廃水回収ユニット640に供給する。
【0217】
第1洗浄ステップにおいて、前記供給ユニット634からの洗浄溶液、前記供給ユニット630からの洗浄液、最後に前記供給ユニット638からの加圧空気を用いて、フラッシングを行い、前記洗浄効果を向上させるために、前記媒体を用いたこの洗浄順序を複数回繰り返すことが可能である。
【0218】
次いで、それでも残留水分を含む洗浄された前記キュベット201から前記洗浄素子610を持ち上げ、前記フィンガをy方向に移動させる。
【0219】
第2洗浄ステップにおいて、次いで、前記乾燥プランジャ620を前記キュベット201内にz方向に降下させ、前記供給ユニット638からの乾燥圧縮空気を用いて、一定期間、前記キュベットの内側に沿って空気を吹きつけるが、このために必要とされる前記空気は、前記乾燥プランジャ620の多孔質体から均一に出て、前記キュベット201の内側に沿って底部から上部に通り、前記乾燥プランジャ620の軸部で出る。
【実施例】
【0220】
図3〜
図5に示される前記自動分析器は、例えば以下のように作動する。
【0221】
分析の前に、すなわち、分析試料P
xの分析物A
xを決定する前に、前記分析器の制御ユニットは、知られた、前もって入力された情報から、前記分析物A
xを分析するために必要とされる全てのデータ(分析プロトコル、前記分析試料を含み、且つ前記分析のために必要とされる前記試薬を含む前記容器921、951a、951bの位置、前記キュベットアレイ200内においてフリーのキュベット201の位置、キュベット温度、測定手順の選択、較正データ、測定アルゴリズム及び評価アルゴリズム)を一緒に持ってくる。
【0222】
実施例:単一分析
相1
前記分析の開始時及びその間、前記キュベット201に割り当てられる前記温度制御ユニット800によって、前記分析のために提供される前記キュベット201の温度を所定の温度に制御する。
【0223】
前記T字形ピペッタ300bの前記第1ピペット操作モジュール301b1によって、所定量の第1分析試料を前記試料貯蔵部920内の第1試料容器921から取り、T字形ピペッタ300bによって所定量をフリーなキュベット201内に分注する。前記ピペット操作プロセスの後、前記ピペット操作モジュール301b1を前記ピペッタ300bの前記第1針洗浄ユニット700b1内で洗浄し、利用可能とする。
【0224】
相2
前記L字形ピペッタ300aのピペット操作モジュール301a1によって、所定量の第1試薬液体を前記試薬貯蔵部950a内の第1試薬容器951aから取り、所定量を前記キュベット201内にピペット操作する。次いで、前記キュベットに割り当てられた前記混合器ユニット400のスイッチを短時間(数秒間)入れることによって前記キュベットの前記二つの液体を混合する。前記ピペット操作プロセスの後、前記ピペット操作モジュール301a1の前記中空針307を前記L字形ピペッタ300aの第1針洗浄ユニット700a1内で洗浄し、利用可能とする。
【0225】
相3
それぞれの前記分析プロトコルに応じて、前記T字形ピペッタ300bの前記第2ピペット操作モジュール301b2によって、所定量の第2試薬液体を前記試薬貯蔵部950b内の試薬容器951bから取り、前記T字形ピペッタ300bによって所定量を前記キュベット201内に分注する。次いで、前記キュベット201に割り当てられた混合器ユニット400のスイッチを短時間(数秒間)入れることによって前記キュベットの内容物を混合する。前記ピペット操作プロセスの後、前記ピペット操作モジュール301b2の前記中空針307を前記T字形ピペッタ300bの前記第2針洗浄ユニット700b2内で洗浄し、利用可能とする。
【0226】
相4
相4は、通常、相2の完了後、前記キュベット201における光度測定から開始する。
【0227】
前記据え置き型光学測定ユニット500は、前記キュベット201の前記出口窓203において発出する測定放射を回収し、前記評価電子機器(
図9参照)によって測定値を形成する。
【0228】
前記化学反応が前記試料と前記試薬との間で前記キュベット201内において起こると共に、規定された時間間隔で測定ポイントを生成することができる。それぞれの前記分析プロトコルに応じて、前記分析物の濃度値を得るために、一つ以上の波長における単一の又は(反応速度測定(kinetic measurement)の場合)時間依存的測定値が得られ、それぞれの前記分析に割り当てられた前もって知られた参照値及び較正値により算出され、表示される。
【0229】
それぞれの前記分析及び前記試料の型に応じて、前記測定プロセス(特に反応速度測定の場合)は、数秒から二桁の分の範囲まで非常に異なる時間にわたって延びる可能性がある。
【0230】
前記光度測定の完了の直後、前記キュベット201を前記キュベット洗浄ユニット600によって洗浄するために放出する。好ましくは同様に洗浄のために放出された複数の隣接するキュベット201と共に前記キュベットを放出した直後、且つ前記移動可能キュベット洗浄ユニット600が「フリーになった」後、前記キュベット洗浄ユニット600による前記洗浄プロセスが行われる。洗浄及び乾燥の後、前記キュベット201は、次の分析のために利用可能となる。
【0231】
実施例:複数の分析
複数の分析を実施する前に、前記試料貯蔵部920に前記試料P
1〜P
nを手動で又は自動的に装入する。各試料P
xのために実施される分析A
1〜A
nの型及び数を前記分析器100の制御器に入力する。前記試薬貯蔵部950a、950bに、実施対象の前記分析のために必要な前記試薬を所望により装入するか又は補充する。
【0232】
実施対象の各分析P
xA
xについて、上記の相1〜相4を、いずれの場合においても相1から開始して実施する。
【0233】
実施対象の前記分析P
xA
xによって相1及び相3における前記ピペッタ300bが請求されると、後続の分析P
xA
x+1又はP
x+1A
xの相1は、行われている分析が相1を完了し且つ相2以外である場合にだけ開始することができ、すなわち、「フリーな」キュベット、すなわち他の分析プロセスによって請求されなかったキュベットと同程度に多くの後続の分析を開始することができる。
【0234】
冒頭部に記載されている前記システムとは対照的に、本発明にかかる概念によって、測定値が完了すると、依然として進行中の前記分析プロセスの手順に不都合に干渉することなく、キュベットを直ちに洗浄し、新しい試験のために利用可能とすることができるということが可能になる。
【0235】
液体媒体を混合し、前記液体媒体の温度を制御するための
図17a〜17cに示される組み合わされた前記デバイス810は、キュベットアレイ200の並んだキュベット201内に導入された前記液体媒体の温度を制御する役割を果たす。図示の例において、これは直線的据え置き型キュベットアレイ200である。
【0236】
前記キュベットアレイ200の前記個別のキュベット201は、同時にキュベットホルダとしての役割を果たす、例えばアルミニウム製の温度制御可能キュベットブロック820内に配置される。前記漏斗形収納部823の壁は、最適な熱伝達を確保するために前記キュベット201の壁に対して適合する形態を有する。前記キュベットブロック820は、前記収納部823を含む基部821と、横方向の押付け移動によって開かれ得る前部822とからなる。
【0237】
温度制御デバイス830は、前記キュベットブロック820、例えば前記基部821上に配置され、前記温度制御デバイスは、例えば一つ以上のペルチェ素子831及び、さらに、冷却フィン832の形態の冷却加熱装置を有する。前記キュベットブロック830の温度を調節するために、温度センサ833は、前記基部821と前記ペルチェ素子831との間の収納部内に配置される。
【0238】
前記キュベットブロック820の開放可能な前記前部822上に、冷却加熱装置、例えばペルチェ素子を取り付けるために用いることもできる接続表面824を認めることが可能である。前記前部822は、前記キュベット201内における前記液体媒体の光学測定を可能にするために、前記キュベット201の前記測定窓202に相当する開口部825をさらに有する。
【0239】
超音波エネルギーを前記キュベット201内に導入することができる、超音波変換器840、例えば、厚みモード変換器は、例えば、接着によって、又は前記キュベットの製造の間にそれと共に射出成形することによって、各キュベット201の底部204に取り付けられる。導入される超音波エネルギーは、(前記キュベットブロック820によって温度制御から生じる基部負荷に加えて)、前記液体媒体を混合、及び、さらに、標的とされた加熱の両方のために用いられる。
【0240】
前記超音波変換器840は、(
図17cに詳細に示されるように)ディスク形の圧電性素子842と両側に配置された接触電極841及び843とから実質的になる圧電性厚みモード変換器として設計される。前記キュベット側上の前記電極841は、横方向接触片844を介して前記下方電極843と接触し、これらの位置で三日月形接触領域845を形成する。
【0241】
各キュベット201及びその超音波変換器840のために、ばね接触板846によって支持される接触ブロック847が提供され、前記接触ブロックは四つの接触ばね848を有し、その内の二つは三日月形接触面845に接触し、その内の二つは前記超音波変換器840の前記下方接触電極843に接触する。前記キュベット201は、前記充填開口部207において、前記キュベット201が前記接触ばね848の圧力とは逆に前記キュベットブロック820内で保持される鍔205及び、さらに、反対側の停止片206を有する。
【0242】
前記ばね接触板846の端部は、前記キュベットブロック820の水平に延びる溝826内において挿入され、回路が
図18にさらに詳細に説明される、下向きに突出するデコーダ板850に対して支持される。
【0243】
図18は、
図17aにかかる液体媒体を混合し、前記液体媒体の温度を制御するための前記デバイスの電子作動に関するブロック図を示し、前記ブロック図は、機能性ブロックパーソナルコンピュータ588、制御器板860、デコーダ板850、キュベットブロック820及び温度制御回路865を含む。
【0244】
前記制御器板860は、前記プロセッサ861としてFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)を有し、前記デコーダ板850及び、さらに、前記温度制御回路865を制御する役割を果たす。前記パーソナルコンピュータ588は、例えば、イーサネットインターフェースを介して、且つ、前記キュベットブロック820の前記キュベット201の内の一つにおいて行われる混合及び温度制御タスクに応じて、前記制御器板860に接続されてもよく、前記制御器板860上でファームウェアプログラムを実行する適切な命令を伝送し、さらに、例えば、前記キュベットブロック820の温度の制御のための測定温度などの制御データのリターン伝送の役割を果たす。
【0245】
キュベット201は、関連する前記超音波変換器840と共に、それぞれ位置K1〜K16及びP1〜P16において前記キュベットブロック820内に配置され、示された前記例において、温度制御目的のために、それぞれのペルチェ素子831は、関連する前記温度センサ833と共に位置PE1〜PE4及びT1〜T4において提供される。
【0246】
したがって、前記温度制御回路865は、四つの温度制御ループ866を有し、各々は、ペルチェ素子831、温度センサ833及びPID(比例・積分・微分)制御器R1〜R4からなり、(温度セットポイントなどのパラメータを受信し、前記温度制御回路865から前記制御器板860に測定温度を送り返す)データ交換目的のための前記制御器板860にインタフェースを介して接続される。
【0247】
前記デコーダ板850は、同様に、前記制御器板860にインタフェースを介して接続され、前記デコーダ板850上に実装された前記デコーダ回路851及び前記位置S1〜S16における関連する前記光学スイッチ857を介して個別の超音波変換器840を選択するための制御シグナルと前記発振回路852をパラメータ化するための制御シグナルとを制御器板860から受信する。前記発振回路852は、前記振動子の信号生成の周波数、デューティサイクル、バーストパターン、振幅、相、オン状態及びオフ状態を適合させるための制御シグナルを受信する。前記発振回路852は、バースト生成器854を介して周波数信号を調節することができる電圧制御発振器853(VCO)を含む。制御可能前置増幅器855及び、さらに、下流増幅器出力ステージ856を介して、変調信号の振幅をさらに適合させることができる。最終的な増幅信号は、変圧器によって前記超音波変換器840の必要作動電圧に増大され、前記デコーダ回路851によって選択されるS1〜S16におけるそれぞれの前記光学スイッチ857を介して前記キュベットブロック820上の前記キュベット201上の前記16の圧電性超音波変換器840の内の一つに供給される。
【0248】
図19aの図は、温度制御可能キュベットブロック(
図17a参照)内に配置されるキュベット内の試料/試薬混合物の温度を制御するための本発明にかかるプロセスの第1の例を示す。
【0249】
温度曲線αは、前記試料/試薬混合物を測定することができる標的温度に時間t
2まで達しない温度T
BLに制御されたキュベットブロックのみによる前記試料/試薬混合物の加熱を示す。超音波ブーストが時間M及びA〜Cで導入される場合、温度曲線βに示されるように、時間t
1において必要標的温度により早く達する。前記キュベットブロックの温度は、実質的に一定の電力P
BLを用いて制御される。
【0250】
1)その中に位置する空のキュベットを有する前記キュベットブロックをブロック温度T
BL(典型的には、37.0〜37.5℃)に予熱し、前記ブロック温度を0.1℃の範囲内に安定化させる。
【0251】
2)空のキュベットに温度T
0の試料/試薬混合物を充填する。前記キュベット内にピペット操作した後、前記試料/試薬混合物は、典型的には10〜15℃の温度となるが、その理由は、ピペット操作された前記試薬が、5℃に冷却される貯蔵領域に由来し、前記ピペッタ内及び供給ライン内で最高で10〜15℃に加熱されるからである。
【0252】
3)あらかじめ規定された累積持続時間Mの間、超音波信号を発出し、それによって、平均電力P
pを有する超音波信号の場合、前記試料/試薬混合物にエネルギーM×P
pの量が導入され、温度ΔT
Mの算出変化がもたらされるが、これは、熱容量、粘度、熱的伝導率、及び、さらに、その体積などの実施対象の前記分析のデータ、並びに前記デバイス内に格納される一定のデータから知られる前記試料/試薬混合物の可変特性から算出される。前記持続期間M中に導入されるエネルギーの量は、充分に前記試料/試薬混合物を混合するのに充分である。
【0253】
1〜3秒の混合持続期間は、典型的には均質混合に充分であり、2秒の混合パルスの温度ΔT
Mの変化は、例えば約3℃でもよい。
【0254】
別の場合、所定の超音波パワーP
pについて、安定した測定信号又はインキュベーションプロセスを得るために必要である混合持続期間Mを、異なる試料/試薬混合物の実験によって決定することが可能であり、前記デバイスに格納することが可能である。
【0255】
別の代替的方法として、分析物測定の光学信号を前記試料/試薬混合物から連続的に測定することが可能であり、安定した信号が得られるとすぐに前記混合プロセスは終了することが可能であり、この場合における温度ΔT
Mの変化は、(記載されたように)知られた熱的特性から算出される。
【0256】
4)(前記キュベットの底部と前記超音波変換器への接着の部位とを冷却するために)1秒超の休止の観察を行う。
【0257】
5)温度の追加的算出変化ΔT
A+ΔT
B+ΔT
C+ΔT
nに相当するあらかじめ規定された累積持続時間A+B+C+n、算出された温度T
Aで、所望により1秒超の休止によって中断される一つ以上の超音波信号を発出し、最後の超音波パルスが発出された後、温度T
BL−x未満である温度T
BL−yに達する。進行するこの温度から、キュベット内容物内への熱の入力が、前記キュベットブロック820と前記キュベット内容物との間の熱伝導を介して純粋に起こる。
【0258】
6)前記分析のために許容し得、且つ値xだけ前記キュベットブロックの温度よりも低い温度T
BL−xに達し、xは、典型的には0.1〜0.5℃の特定の値である。前記許容し得る温度は固定され、36.5〜37.5℃である。後続の光学測定の持続期間にわたる温度の恒常性は、約0.1℃であるべきである。
【0259】
図19bの図は、温度制御可能キュベットブロック(
図17a参照)内に配置されるキュベット内の試料/試薬混合物の温度を制御するための本発明にかかるプロセスの第2の例を示す。
【0260】
1)(実施例1として)その中に位置する空のキュベットを有する前記キュベットブロックをブロック温度T
BL(典型的には、37.0〜37.5℃)に予熱し、前記ブロック温度を0.1°Kの範囲内に安定化させる。
【0261】
2)(実施例1として)空のキュベットに温度T
0の試料/試薬混合物を充填する。前記キュベット内にピペット操作した後、前記試料/試薬混合物は、典型的には10〜15℃の温度となるが、その理由は、ピペット操作された前記試薬が、5℃に冷却される貯蔵領域に由来するからである。
【0262】
3)(実施例1として)あらかじめ規定された累積持続時間Mの間、超音波信号を発出し、それによって、平均電力P
pを有する超音波信号の場合、前記試料/試薬混合物にエネルギーM×P
pの量が導入され、温度ΔT
Mの算出変化がもたらされるが、これは、熱容量、粘度、熱的伝導率、及び、さらに、その体積などの実施対象の前記分析のデータ、並びに前記デバイス内に格納される一定のデータから知られる前記試料/試薬混合物の可変特性から算出される。
【0263】
撹拌タスクに応じて、必要な撹拌プロセスの適切な累積持続時間は、典型的には1〜3秒であり、2秒の混合パルスの温度ΔT
Mの変化は、例えば約3°Kでもよい。
【0264】
別の場合、所定の超音波パワーP
pについて、安定した測定信号又は洗浄プロセス若しくはインキュベーションプロセスを得るために必要である混合持続期間Mを、異なる試料/試薬混合物の実験によって決定することが可能であり、前記デバイスに格納することが可能である。
【0265】
別の代替的方法として、光学信号を前記試料/試薬混合物から連続的に測定することが可能であり、安定した信号が得られるとすぐに前記混合プロセスは終了することが可能であり、この場合における温度ΔT
Mの変化は、(記載されたように)知られた熱的特性から算出される。
【0266】
4)(実施例1として)(前記キュベットの底部と前記超音波変換器への接着の部位とを冷却するために)1秒超の休止の観察を行う。
【0267】
5)温度の追加的算出変化ΔT
A+ΔT
B+ΔT
nに相当するあらかじめ規定された累積持続時間A+B+n、算出された温度0.5×(T
BL−T
0)で、所望により1秒超の休止によって中断される一つ以上の超音波信号を発出し、最後の超音波パルスが発出された後、許容し得る温度T
BL−x未満であり、且つ確実に算出され得る温度T
BL−yに達する。進行するこの温度から、キュベット内容物内への熱の入力が、前記キュベットブロックと前記キュベット内容物との間の熱伝導を介して純粋に起こる。
【0268】
6)(実施例1として)前記分析のために許容し得、且つ値xだけ前記キュベットブロックの温度よりも低い温度T
BL−xに達し、xは、典型的には0.1〜0.5°Kの特定の値である。前記許容し得る温度は固定され、36.5〜37.5℃である。後続の光学測定の持続期間にわたる温度の恒常性は、約0.1°Kであるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2020年12月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】