特表2021-522626(P2021-522626A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-522626工業プラントのスイッチキャビネットに関するライフサイクル情報を処理する方法及びコンピュータ支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-522626(P2021-522626A)
(43)【公表日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】工業プラントのスイッチキャビネットに関するライフサイクル情報を処理する方法及びコンピュータ支援システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20210802BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20210802BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20210802BHJP
【FI】
   G05B19/418 Z
   G05B23/02 Z
   G06Q50/04
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2021-506056(P2021-506056)
(86)(22)【出願日】2019年4月17日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月20日
(86)【国際出願番号】EP2019059984
(87)【国際公開番号】WO2019202026
(87)【国際公開日】20191024
(31)【優先権主張番号】18168446.5
(32)【優先日】2018年4月20日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520409556
【氏名又は名称】リタール ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイクセル トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ミヘルス トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ラルス
(72)【発明者】
【氏名】ザックライ ユーディット
【テーマコード(参考)】
3C100
3C223
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA57
3C100AA63
3C100AA65
3C100AA70
3C100BB06
3C100BB15
3C100BB27
3C100DD05
3C223AA11
3C223BA03
3C223BB03
3C223CC02
3C223DD03
3C223FF52
3C223GG03
5L049CC03
(57)【要約】
本発明は、工業プラントのスイッチキャビネット(1)に関するライフサイクル情報を収集及び処理する方法及びシステムに関し、計画された構成(4)に基づいて前記スイッチキャビネット(1)に設置された組み込みモジュール(9a−9c)のデータシート情報(A)と、前記スイッチキャビネット機器との関連における使用に関する機能情報(B)を個々のスイッチキャビネット識別情報(8)の下でデータレコードにおいて中央アーカイブデータベース(3)に格納するために、データシート情報(A)を機能情報(B)とリンクさせデータレコードるためのドキュメンテーションサーバ(2)を有し、スイッチキャビネット(1)の検査及び受入情報(C)が、少なくとも前記データシート情報(A)を考慮に入れてドキュメンテーションサーバ(2)を介して中央アーカイブデータベース(3)のデータレコードに追加され、必要な前記検査及び受入情報(C)が全て揃った時にスイッチキャビネット(1)に関するコミッショニングリリースをトリガするようにし、これによって、分散ユーザ端末(5)を介したスイッチキャビネット(1)のコミッショニング中に、スイッチキャビネット(1)に関する追加のコミッショニング情報(D)が、アーカイブデータベース(3)のデータレコードに検索可能な方式で追加される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業プラントのスイッチキャビネット(1)に関するライフサイクル情報を収集及び処理するためのコンピュータ支援方法であって、
計画された設計(4)から始まる前記スイッチキャビネット(1)の構築の時点(I)において、少なくとも設置された組み込みモジュール(9a−9c)のデータシート情報(A)と前記工業プラントでの使用に関する機能情報(B)を、個々のスイッチキャビネット識別情報(8)の下でデータレコードにおいて中央アーカイブデータベース(3)に格納するために、前記データシート情報(A)が、前記機能情報(B)とリンクされデータレコード、
前記スイッチキャビネット(1)の技術的受入検査の時点(II)において、必要な前記スイッチキャビネット(1)の検査及び受入情報(C)が全て揃った場合に前記スイッチキャビネット(1)に関するコミッショニングリリースをトリガするために、前記検査及び受入情報(C)が、少なくとも前記データシート情報(A)を考慮に入れて前記データレコードに追加され、、
前記スイッチキャビネット(1)のコミッショニングの時点(III)において、前記スイッチキャビネット(1)の補足コミッショニング情報(D)が、分散動作可能なユーザ端末(5)を介して前記アーカイブデータベース(3)の前記データレコードに追加される、
ことを特徴とするコンピュータ支援方法。
【請求項2】
前記スイッチキャビネット(1)が作動した後に実施される保守又は補修の時点(IV)において、現在のスイッチキャビネット機器に関する情報を更新するために、前記スイッチキャビネット(1)の保守情報(E)又は補修情報(F)が、前記分散動作可能なユーザ端末(5)を介して前記アーカイブデータベース(3)に追加される、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ支援方法。
【請求項3】
補修を行うために、3次元の計画された設計から結果として生じる設計情報(H)を用いて、現場(X)で又は離れた作業場(Y)で前記補修を実行することに関する決定を行うために、前記スイッチキャビネット(1)が基づく前記3次元の計画された設計(4)がアクセスされる、、
ことを特徴とする請求項2に記載のコンピュータ支援方法。
【請求項4】
前記スイッチキャビネット(1)の作動中に生じる障害の時点(V)において、前記スイッチキャビネット(1)の障害情報(G)が、自動的に又は分散作動可能なユーザ端末(5)を介して前記アーカイブデータベース(3)に追加される、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ支援方法。
【請求項5】
前記スイッチキャビネット(1)の現在のライフサイクル情報が、前記アーカイブデータベース(3)に格納された前記情報(A−G)の視覚化及び適応のための前記スイッチキャビネット識別情報(8)の許可された入力の後に前記分散動作可能なユーザ端末(5)を介して呼び出され、以前に入力された情報の履歴が、前記アーカイブデータベース(3)内に変更されずに格納されたままにされている、
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のコンピュータ支援方法。
【請求項6】
前記制御キャビネット(1)のライフサイクル情報の検索は、ユーザプロファイルに従ってフィルタ処理される、
ことを特徴とする請求項5に記載のコンピュータ支援方法。
【請求項7】
工業プラントのスイッチキャビネット(1)に関するライフサイクル情報を収集及び処理するシステムであって、
計画された構成(4)に基づいて前記スイッチキャビネット(1)に設置された組み込みモジュール(9a−9c)のデータシート情報(A)と、前記スイッチキャビネット機器との関連における使用に関する機能情報(B)を個々のスイッチキャビネット識別情報(8)の下でデータレコードにおいて中央アーカイブデータベース(3)に格納するために、前記データシート情報(A)を前記機能情報(B)とリンクさせデータレコードるためのドキュメンテーションサーバ(2)を有し、
必要な前記スイッチキャビネット(1)の検査及び受入情報(C)が全て揃ったときに前記スイッチキャビネット(1)に関するコミッショニングリリースをトリガするために、前記検査及び受入情報(C)が、少なくとも前記データシート情報(A)を考慮に入れて前記ドキュメンテーションサーバ(2)を介して前記中央アーカイブデータベース(3)の前記データレコードに追加され、検査受入
これによって、分散ユーザ端末(5)を介した前記スイッチキャビネット(1)のコミッショニング中に、前記スイッチキャビネット(1)に関する追加のコミッショニング情報(D)が、前記アーカイブデータベース(3)の前記データレコードに検索可能な方式で追加される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項8】
各組み込みモジュール(9a−9c)が、読み取り可能となるように前記組み込みモジュール(9a−9c)内又は上に配置された、明白な識別のための個々の明白な識別情報(10)を備える、
ことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記アーカイブデータベース(3)の前記データレコードが、CADデータベース(11)に格納された設計情報(H)にアクセスするために、前記スイッチキャビネット(1)が基づく3次元の計画された設計(4)への参照を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記アーカイブデータベース(3)に含まれる前記検査及び受入情報(C)及び/又は前記コミッショニング情報(D)及び/又は保守(E)/補修情報(F)が、画像ドキュメンテーションファイル(12)を伴う、
ことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
請求項1〜6のうちの何れか1項に記載の前記コンピュータ支援方法によって取得された前記情報(A−G)の少なくとも一部のバックアップコピーを含むが、少なくとも請求項1の前記情報(A−D)を含む前記スイッチキャビネット(1)におけるデータキャリア。
【請求項12】
コンピュータプログラム製品であって、前記アーカイブデータベース(3)に割り当てられる請求項7〜10の何れか1項に記載のシステムの中央ドキュメンテーションサーバ(2)上で前記コンピュータプログラム製品が実行される場合に、請求項1〜6の何れか1項に記載の前記方法を実行するためのプログラムコード手段を備える、コンピュータプログラム製品。
【請求項13】
工業プラントのスイッチキャビネット(1)に関するライフサイクル情報を含むデータフォーマットであって、前記スイッチキャビネット(1)の一意の識別子(8)、関連付けられるデータシート情報(A)及びこれにリンクされた機能情報(B)を有する前記スイッチキャビネット(1)に設置された設置モジュール(9a−9c)の識別子、スイッチキャビネット機器の検査及び受入情報(C)並びに前記スイッチキャビネット(1)に関するコミッショニング情報(D)を備える、データフォーマット。
【請求項14】
少なくとも前記スイッチキャビネット機器の前記検査及び受入情報(C)並びに前記コミッショニング情報(D)が、補足画像ドキュメンテーションファイル(12)を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載のデータフォーマット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業プラントの電気スイッチキャビネットに関するライフサイクル情報を収集及び処理するプロセス及びコンピュータ支援システムに関する。更に、本発明はまた、コンピュータ支援プロセスを実施するコンピュータプログラム製品並びにスイッチキャビネットに固有のライフサイクル情報を含む専用データフォーマットを含む。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野は、主として、工業プラント用のスイッチキャビネット構成に向けられる。加えて、本明細書における関心対象のタイプのスイッチキャビネットはまた、家庭部門で用いられることがある。基本的に、スイッチキャビネットは、標準化された組み込みモジュールの形態で通常は設計される、電気及び/又は電子構成要素の保護された収容設備として用いられる。これらのモジュールは、例えば、自動化生産プラント、プロセス工業プラント、機械ツール等を制御するのに用いることができる。従って、制御キャビネットにおける組み込みモジュールは、フィールドデバイスとして機械内に直接配置されることのない制御構成要素である。組み込みモジュールとして、例えば、プログラマブルロジックコントローラ、完全なコンピュータユニット、モータの速度制御のための周波数コンバータ、様々なバスシステムとのバス接続のための通信モジュール、センサデータを読み取るためのデジタル入力/出力モジュール又はアナログ入力モジュールが使用される。加えて、制御キャビネットは通常は、使用する場所で電気ケーブルを接続するための電気端末ストリップも含み、従って、制御される電源と機械及びシステムとの接続を確立する。
【0003】
アプリケーション関連のエンクロージャ機器に関する計画は、通常は、例えばEPLAN Pro Panel(登録商標)を介してCAD設計の形態のソフトウェアで支援される。このような計画された設計は、詳細にはレイアウトの形態の3次元マウンティングレイアウト、電気及び電子設置モジュールの仮想配線、及び必要に応じて、他の構成要素並びにこれらに適応される電力配分システムを含む。電気又は電子組み込みモジュールは、例えば、スイッチキャビネットの内側のトップハットレールによって装着することができる。加えて、この計画された設計はまた、設置された組み込みモジュールのデータシート情報Aを含む。このようなデータシート情報は、例えば、電力消費、保護の程度、入力/出力接続構成、コンピュータの処理能力、製造者及び/又は製造日付、シリアルナンバー等とすることができる。このようなデータシート情報は、組み込みモジュールのタイプによって決まる。
【0004】
制御キャビネット機器及び制御キャビネットの使用目的に応じて、動作現場にて安全な作動が確保された方法で制御キャビネットを作動可能になる前に、検査及び受入措置を実施しなければならない。検査段階から得られる検査及び受入情報は、スイッチキャビネットが計画及び規制に従って製造されたことを証明できるように文書化しなくてはならない。
【0005】
一般的に知られる従来技術によれば、このことは、設置される設置モジュールとそれらの検査及び受入情報の指示を含む、必要とされるエントリに対する全ての関連形式フィールドを含むブックレット形式の前製造スイッチキャビネットフォルダを用いることで、スイッチキャビネット構築の分野においてこれまで実施されてきた。データシート情報などの組み込みモジュールに関するより詳細な技術的情報は、制御キャビネットフォルダの一部ではない。しかしながら、これらは通常、回路図、端末図、部品リスト及びデバイスリストもまた含む、電子システム全体のドキュメンテーションの一部である。この理由から、その後の保守又は補修の場合に、整備士は、通常は、スイッチキャビネットフォルダに含まれる基本情報に加えて、このような補足の技術情報を取得することに依存しており、これによって欠陥のあるスイッチキャビネットに対する補修の選択肢の決定は、この場合には後日まで行われない可能性がある。
【0006】
独国公開特許DE101 16 539B4は、自動技術機器の生産、組立、サービス又は保守の分野における自動データ処理のための抽象的で一般的に有効なコンピュータ支援プロセス及びシステムを開示している。いわゆる拡張現実の特殊な技術的手段によって、情報は、人間が構成要素を見た時の適切な人間と技術の相互作用による機械的な視野である。これは、例えば、従来の設置マニュアルに置き換わる設置指示とすることができる。本明細書で提示される技術的解決策は、組立並びにサービス及び保守の分野において拡張現実の使用を明示的に意味している。
【0007】
これは、製品の製作、試運転、保守及び廃棄などの製品のライフサイクルの各段階での専門家が、紙形態のマニュアル、組立及び保守指示、技術的図面等の形式で通常利用可能である、拡張可能なドキュメンテーションの形態での支援を必要としているという問題に基づいている。しかしながら、このドキュメンテーションは、ドキュメンテーションサーバを介して電子的に提供され且つ中央で管理されることが益々増えている。このドキュメンテーションは、データグラス又は類似のものと共に身体に装着されるコンピュータなどの分散作動デバイスを介してアクセスすることができる。これに関して、ユーザからの指示を記録する手段もまた設けられ、分散作動デバイスの能力並びにユーザ選好に関する情報がデータ処理において含まれており、これによってドキュメンテーションデータの視覚化及び指示の記録は、データベースによって管理されるデータに応じて適応させることができる。このことにより、多種多様な接続性の選択肢が拡張される。しかしながら、提示された従来技術の手順及びシステムは、データ視覚化だけに限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、制御キャビネット技術の分野におけるライフサイクル情報の収集及び処理のための特別のコンピュータ支援方法及びシステムを構築することであり、これにより、制御キャビネットに関する現在のドキュメンテーション情報の視覚化に加えて、ライフサイクル制御も可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、計画された設計に基づくスイッチキャビネットの製作時点において、データレコードの形態で個々のスイッチキャビネット識別情報の下で中央アーカイブデータベースにそれらを格納するために、設置された組み込みモジュールの少なくともデータシート情報Aを、スイッチキャビネット機器との関連におけるアプリケーションに関する機能情報Bとリンクさせるデータレコードことによって手順的に解決される。スイッチキャビネットの後続の技術的受入の時点において、スイッチキャビネットの要求される検査及び受入情報Cが、少なくともデータシート情報Aを考慮に入れて最初に生成されたデータレコードに追加される。続いて、制御キャビネットのコミッショニングリリースをトリガするため、少なくとも必要な検査及び受入情報Cのの全てが揃ったことがチェックされる。少なくとも必要な検査及び受入情報Cの全てが、利用可能であり、且つそれぞれのスイッチキャビネットに対する中央アーカイブデータベースに格納されたデータレコードの一部である場合にのみ、コミッショニングリリースが与えられることになる。コミッショニングリリースのトリガは、スイッチキャビネットを作動するためのエネルギー源からスイッチキャビネットへの少なくとも1つの接続及び/又はスイッチキャビネットから工業プラントへの少なくとも1つの接続を含む。コミッショニングリリースが送出された後に、スイッチキャビネットのコミッショニングが使用場所で実施された場合、アーカイブデータベースのデータレコードは、好ましくはスイッチキャビネットの使用の場所から分散ユーザ端末を介して中央アーカイブデータベースから追加されるスイッチキャビネットの補足コミッショニング情報Dによって更に充実される。
【0010】
本発明による解決策の利点は、特に、制御キャビネットの製作の時点で既にドキュメンテーションが構築され、これが紙形態での他の通常の制御キャビネットフォルダよりも高い深度の情報を提供することであり、設置された設置モジュールが名付けられマーク付けされるだけでなく、このデータシート情報Aもまたドキュメンテーションで実施され、最も単純な方法でリンクされることである。加えて、リンクされた機能情報Bは、特定の組み込みモジュールが、制御キャビネット機器、例えばポンプ等の3段モータの周波数コンバータの制御の範囲内で満たさなければならない機能に関する情報を提供する。
【0011】
独創性のある解決策のおかげで、制御キャビネットの生産ライフサイクルを通して必要な情報を伝達し、これを動的に更新することができる。ライフサイクルの様々な段階の間の遷移は、制御キャビネットのコミッショニング又は後での作動の間のエラーを回避するように制御することができる。
【0012】
本発明を改良する別の手段によれば、スイッチキャビネットが作動された後に実施されるべき保守又は補修作業の時点において、現在のスイッチキャビネット機器に関する情報を更新するために、関連の保守情報E又は補修情報Fを分散作動ユーザ端末を介してアーカイブデータベースに追加することができることが提案される。この更新は、例えば、欠陥のある組み込みモジュールに関する交換情報、他の組み込みモジュール、例えばリモートモニタリングユニット等によるスイッチキャビネット機器の拡張を含む。
【0013】
本発明の任意選択的な別の態様によれば、補修の実施に必要とされる3次元の計画された構成に分散作動可能ユーザ端末を介して有利な方法でアクセスし、例えば、これから生じる補足構成情報Hによって、必要な補修を現場で行えるかどうか又は欠陥スイッチキャビネットを遠隔の作業場に移送する必要があるかどうかに関しての決定を行うことができるようにすることができる。同じことが、制御キャビネット機器の計画された別の拡張にも同じように適用される。
【0014】
基本的に、ユーザ又はキャビネット製造者は、アーカイブデータベースのキャビネットに関するデータレコードを変更することができる。これは、ユーザが、アーカイブデータベースに文書化された変更をユーザ自身でスイッチキャビネット機器に行うのを可能にする。加えて、このドキュメンテーション更新手段はまたキャビネット製造者によって行うことも可能であり、これは、データの一貫性を保証するためにキャビネット機器の大きな変更の場合に特に有利である。従って、本発明による解決策は、様々なユーザレベルからのアクセスによる動的ドキュメンテーションを提供する。またこれは、例えばスイッチキャビネット機器の変更後に、外部組織によって、例えば規格(DIN/EN/ISO/NEC/UL/CSA)による認証の形態で、規格に準拠した変更がまた認証されることができるという前提条件を生成することもできる。
【0015】
本発明を改良する別の手段によれば、スイッチキャビネットの作動で生じる何らかの障害の時点において、スイッチキャビネットの関連のある障害情報Gがアーカイブデータベースに自動的に又は分散ユーザ端末を介して追加されることが提案される。例えば、制御キャビネット及び制御キャビネットに接続された工業プラントの動作を中断する停電が起こった場合、この障害イベントは、ライフサイクル情報の完全取得のためにアーカイブデータベースに追加される。障害情報Gはまた、例えば設置モジュールの障害又は許可作動温度の超過とすることができる。このような障害情報Gから、例えば保守間隔を調節することができる。
【0016】
好ましくは、分散ユーザ端末を介してアクセス可能な制御キャビネットのライフサイクル情報は、アーカイブデータベースに格納された情報AからGの視覚化及び適応に対するパスワード保護を備えた制御キャビネット識別の許可されたエントリの後にのみ検索可能にすべきである。アーカイブデータベースに以前に入力された情報の履歴を変更できないようにすることによって、悪用又は妨害を回避することができる。制御キャビネットのライフサイクルの検索は、ユーザプロファイル及び対応するアクセス管理に従って規制するべきであり、これによって各ユーザグループには、関心のある情報だけが提供される。例えば、製造者のユーザプロファイルは、制御キャビネット機器に関する全ての利用可能な情報を含むことができ、制御キャビネットのユーザは、カスタマイズ化ユーザプロファイルによって関連の作動データへのアクセスを規制することができ、一方、例えばプログラマブルロジックコントローラのプログラマは、このような組み込みモジュールの情報へのアクセスだけをすることができる。
【0017】
更に、各設置モジュールには、例えばシリアルナンバーから導かれることができる明白な識別のための個々の識別子が提供されることが提案される。この個々の識別子は、QRコード(登録商標)等として組み込みモジュールに付加することができる。更に、組み込みモジュールのRFIDチップに組み込みモジュールの識別情報を一体化することもできる。組み込みモジュールの一意の識別情報によって、この目的のために格納されたドキュメンテーション情報への標的とされるアクセスを分散ユーザ端末を介して行うことができる。これに関して、分散ユーザ端末はQRコード(登録商標)スキャナを含むことができる。このユーザ端末は、ディスプレイ及び入力キーボードを備えたモバイルコンピュータとして設計されるのが好ましい。中央サーバと中央サーバに接続されたアーカイブデータベースとのデータ接続は、一般的なデータ通信チャネルを介して、例えば移動無線を介して確立することができる。
【0018】
アーカイブデータベースに含まれる検査及び受入情報C、コミッショニング情報D、保守情報E及び/又は補修情報Fに画像ドキュメンテーションファイルを添付することが有利である。この画像ドキュメンテーションファイルは、例えば、ドキュメンテーションの目的で、アーカイブデータベース内のデータレコードに追加されるそれぞれのイベントの時点のスイッチキャビネットレイアウトの写真を含むことができる。この意味では、補修又は保守の後のスイッチキャビネットレイアウトのあらゆる変更を画像によって付加的に文書化することができる。このようにして、後の日付の制御キャビネットレイアウトに行われた変更を明確に追跡することができる。更に、いわゆる「アズビルト(as build)」ドキュメンテーションもまた含めることができる。
【0019】
これは、少なくとも回路図及び3D組立レイアウト計画のドキュメンテーションを含む。このドキュメンテーションは、物理的スイッチキャビネットの適正且つ専門家による実施がチェックされる基礎を形成することができる。
【0020】
好ましくは、少なくとも情報A−Dを含むドキュメンテーションは、中央アーカイブデータベースに格納される。加えて、バックアップコピーとして制御キャビネット内のシールドデータキャリアに格納することもできる。このようなバックアップコピーを使用する時に、中央アーカイブデータベースでの変更の保存をバックアップコピーの更新に結び付けるべきであることが好ましく、これは、一貫したマルチローカル電子ドキュメンテーションを保証するために変更支援システムに従って中央サーバによって強制すべきであることが提案される。
【0021】
本発明を改良するための更なる手段について、図面を用いて本発明の好ましい実施例に関する説明と共に以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】工業プラントの制御キャビネットに関するライフサイクル情報を収集及び処理するためのシステムの概略ブロック図である。
図2図1によるシステムで実施されるライフサイクル情報の収集及び処理のための手順を示す概略流れ図である。
図3】制御キャビネットの特別なライフサイクル情報を含むデータフォーマットの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1によれば、ライフサイクルの収集及び処理のためのシステムは、ドキュメンテーションサーバ2を備え、該ドキュメンテーションサーバ2は、スイッチキャビネット1から離れた中央位置に配置され、多数のスイッチキャビネットのライフサイクル情報を収集及び処理する。このライフサイクル情報は、ドキュメンテーションサーバ2に割り当てられたアーカイブデータベース3に準備された形式で格納される。
【0024】
ドキュメンテーションサーバ2は、スイッチキャビネット1の計画段階で製作されたスイッチキャビネット1の計画された構成4に基づいて、スイッチキャビネット1に設置された個々の組み込みモジュール9a−9cのデータシート情報Aを抽出する。これらは、例えば、プログラマブルロジックコントローラ、入力/出力モジュール、電気端子ブロック等とすることができる。ドキュメンテーションサーバ2は、個々のスイッチキャビネット識別情報8の下でアーカイブデータベース3にデータレコードを格納するために、このデータシート情報Aを機能情報Bとリンクさせる。機能情報Bは、例えば、特定のプログラム可能ロジックコントローラがポンプの作動サイクルを制御することを含むことができる、各組み込みモジュール9a−9cの目的に関する情報を含む。
【0025】
制御キャビネット1が位置付けられる位置Xにおいて、インストーラーは、分散ユーザ端末5を有し、分散ユーザ端末5は、ここではデータ送信インタフェースを備えたラップトップとして設計される。データ送信インタフェース、例えば移動無線を介して、インストーラーは、ドキュメンテーションサーバ2から制御キャビネット1に関する情報を検索して、ある種類の電子制御キャビネットフォルダを構築するためにアーカイブデータベース3内の制御キャビネット1の個々の制御キャビネット識別8の下で更なるデータを格納することができる。
【0026】
例えば、インストーラーは、キャビネット1をコミッショニングする前に必要な検査及び受入措置をキャビネット1に対して実施して、キャビネット1の結果として得られた検査及び受入情報Cをアーカイブデータベース3に追加する。どの検査及び受入手順が必要であるかをチェックするために、インストーラーは最初に、個々の設置モジュール4a−4cのデータシート情報Aにアクセスする。この情報は、例えば、それによって所定の検査が実行される試験電圧を含むことができる。ドキュメンテーションサーバ2は、必要な検査及び受入情報Cを完全に記録することによって、コミッショニングの準備作業との関連でインストーラーを支援する。ドキュメンテーションサーバ2は、全ての必要な検査及び受入情報Cがアーカイブデータベース3に記録された時にだけ、分散ユーザ端末5を介して制御キャビネット1に関するコミッショニングリリースをトリガする。制御キャビネット1の初期コミッショニングは、分散ユーザ端末5を介して、例えば制御キャビネット1に初期スイッチオン制御命令を送出することによってのみトリガすることができる。この目的で、分散ユーザ端末5は、制御キャビネット1のためのNFC通信インタフェースを有することができる。更に、この設計例の分散ユーザ端末5は、QRコード(登録商標)スキャナ7を備え、これによって制御キャビネット1に付加されたQRコード(登録商標)を一意の制御キャビネット識別情報として読み取ることができる。スイッチキャビネット1の個々のスイッチキャビネット識別情報8を読み取った後、スイッチキャビネット1のライフサイクル情報は、ドキュメンテーションサーバ2から分散ユーザ端末5を介してリモートで検索することができ、処理された場合、反対方向で更なるライフサイクル情報をアーカイブデータベース3に追加することができる。制御キャビネット識別情報8を読み取ることに加えて、QRコード(登録商標)スキャナ7はまた、制御キャビネット機器の範囲内の識別を容易にし、各組み込みモジュール9a−9cに関する特定のデータシート情報への自動アクセスを可能とするために、この実施例でも使用され、QRコード(登録商標)としても設計される個々の組み込みモジュール9a−9cの個々の識別情報を読み取ることができる。
【0027】
加えて、アーカイブデータベース3のデータレコードは、制御キャビネット1がベースとする3次元の計画された設計4への参照を含み、これによって分散ユーザ端末5はまた、CADデータベース11に格納された制御キャビネット機器に関する設計情報Hにアクセスすることができる。
【0028】
図2は、制御キャビネット1に関するライフサイクル情報の収集及び処理の個々のプロセスステップを示し、これは、この情報の完全な動的ドキュメンテーションを生成するために、スイッチキャビネット1のライフサイクルの異なる時点又は時間フェーズで収集及び処理される。
【0029】
スイッチキャビネットの製作の時点Iにおいて、設置された組み込みモジュールのデータシート情報Aは、計画された設計に基づいて、工業プラントの関連における応用に関する機能情報Bとリンクされる。これから、データシート構成は、個々の制御キャビネット識別情報の下でアーカイブデータベースにて生成される。
【0030】
スイッチキャビネットの技術的受入の時点IIにおいて、スイッチキャビネットの検査及び受入情報Cが追加される。検査ループは、制御キャビネットに対する全ての必要な検査及び受入情報Cが利用可能であるかどうかをチェックするのに用いられる。この必要な情報が利用可能でない限り、本発明のシステムは、検査及び受入情報Cが全て揃うのを待つ。スイッチキャビネット機器に関する必要な検査及び受入情報Cが利用可能である場合、スイッチキャビネットに関するコミッショニングリリースがトリガされ、この結果としてスイッチオン信号が生じる。
【0031】
時点IIIにおいて、スイッチギアキャビネットのコミッショニングが実行され、これによってスイッチギアキャビネットの補足コミッショニング情報Dが、アーカイブデータベースのデータレコードに追加される。このコミッショニング情報Dは、例えば、ドキュメンテーションの目的でコミッショニングの日付及び時間並びにコミッショニングを実行するインストーラーの名前を含むことができる。
【0032】
時点IVは、制御キャビネットの正常な作動を規制又は中断する保守又は補修イベントをマーク付けする。例えば、保守は、電気メータなどの較正された測定器具の交換を含むことができ、保守情報Eがアーカイブデータベースに追加される。同様に、欠陥のある組み込みモジュールの補修イベントが、関連補修情報Fによって記録されて、アーカイブデータベースに追加される。この補修情報Fは、例えば交換デバイスの新しい識別情報によって置き換えられた、交換済み組み込みモジュールの識別情報を含むことができる。加えて、補修の時間及び補修を担ったインストーラーが記録される。
【0033】
制御キャビネットのライフサイクル情報の動的ドキュメンテーションは、データシート情報A又は設計情報Hに戻って参照することによって現場Xで又は離れた作業場Yで補修を行うべきかどうかの決定を行うことができるような方法で補修プロセスを支援する。
【0034】
同様の方法で、制御キャビネットの作動の障害、例えば電源異常が起こったスイッチキャビネットのライフサイクルにおける時点Vが、障害情報Gとしてアーカイブデータベース3に記録される。この情報は、スイッチキャビネット1の一時バッファに一時的に格納され、バッファがユーザ端末によって読み出されることを行うことによってアーカイブデータベースに転送することができる。
【0035】
図3では、制御キャビネットの特別なライフサイクル情報を含むデータフォーマットの構造が与えられ、このキー識別子が、制御キャビネットの一意の識別子8を表す。このキー識別子は、例えば、数字コードによって変換することができる。割り当てられたデータシート情報Aを備えた、制御キャビネットに設置された各組み込みモジュールの識別子は、データセットに追加され、更に設置された組み込みモジュールに関する機能情報Bとリンクされる。更に、製造されたスイッチキャビネットの検査段階から生じたスイッチキャビネット機器の検査及び受入情報C並びにスイッチキャビネットに関する後続のコミッショニング情報Dが、データセットに追加される。後のライフサイクルで生成された保守情報E、補修情報F及び障害情報Gは、スイッチキャビネットのライフサイクルに関する動的ドキュメンテーションのデータフォーマットを完成させる。詳細には、検査及び受入情報C、コミッショニング情報D及び保守及び補修情報E/Fは、例えば、これらの時点で生成されたスイッチキャビネット機器のレイアウト写真を含む画像ドキュメンテーションファイル12によって補完することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 スイッチキャビネット
2 ドキュメンテーションサーバ
3 アーカイブデータベース
4 計画された構成
5 分散ユーザ端末
6 NFCインタフェース
7 QRコード(登録商標)スキャナ
8 スイッチキャビネット識別情報
9a 9b 9c 組み込みモジュール
10 組み込みモジュール識別情報
11 CADデータベース
A データシート情報
B 機能情報
C 検査及び受入情報
D コミッショニング情報
E 保守情報
F 補修情報
G 障害情報
X 現場
Y 作業場
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021年1月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業プラントのスイッチキャビネット(1)に関するライフサイクル情報を収集及び処理するためのコンピュータにより実行される方法であって、
計画された設計(4)から始まる前記スイッチキャビネット(1)の構築の間に、少なくとも設置モジュール(9a−9c)のデータシート情報(A)と前記工業プラントでの使用に関する機能情報(B)をリンクし、個々のスイッチキャビネット識別情報(8)の下で中央アーカイブデータベース(3)におけるデータレコードに格納し、
前記スイッチキャビネット(1)の技術的受入の場合に、少なくとも前記データシート情報(A)を参照して入力された前記スイッチキャビネット(1)の検査及び受入情報(C)を、前記データセットに追加し、
制御キャビネット(1)のコミッショニングの間に、分散ユーザ端末(5)を介して入力された前記制御キャビネット(1)の補足コミッショニング情報(D)を、前記アーカイブデータベース(3)の前記データレコードに追加する、コンピュータにより実行される方法において、
前記設置された組み込みモジュール(9a−9c)の格納された前記データシート情報(A)から結果として生じる、コミッショニングの完了のために前記ユーザによって事前記録された必要な前記検査及び受入情報(C)の全てが前記アーカイブデータベース(3)に追加されたときに、前記アーカイブデータベース(3)にアクセスするドキュメンテーションサーバ(2)が、前記分散ユーザ端末(5)を介して、前記スイッチキャビネット(1)のコミッショニングをトリガする、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記スイッチキャビネット(1)が作動した後の保守又は補修の場合において、現在のスイッチキャビネット機器に関する情報を更新するために、前記スイッチキャビネット(1)の保守情報(E)又は補修情報(F)が、分散動作可能なユーザ端末(5)を介して前記ユーザによって前記アーカイブデータベース(3)に追加される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
補修を行うために、3次元の計画された設計から結果として生じる設計情報(H)を用いて、現場(X)で又は離れた作業場(Y)で前記補修を実行することに関する決定を行うために、前記スイッチキャビネット(1)が基づく前記3次元の計画された設計(4)がアクセスされる、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記スイッチキャビネット(1)の障害時において、前記スイッチキャビネット(1)の障害情報(G)が、自動的に又は分散作動可能な前記ユーザ端末(5)を介して前記ユーザによって前記アーカイブデータベース(3)に追加される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記スイッチキャビネット(1)の現在のライフサイクル情報が、前記アーカイブデータベース(3)に格納された前記情報(A−G)の視覚化及び適応のための前記スイッチキャビネット識別情報(8)の許可された入力の後に前記分散動作可能なユーザ端末(5)を介して呼び出され、以前に入力された情報の履歴が、前記アーカイブデータベース(3)内に変更されずに格納されたままにされている、
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記スイッチキャビネット(1)の前記ライフサイクル情報の検索は、ユーザプロファイルに従ってフィルタ処理される、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工業プラントのスイッチキャビネット(1)のためのライフサイクル情報を収集及び処理するシステムであって、
計画された構成(4)に基づいて前記スイッチキャビネット(1)に設置された設置モジュール(9a−9c)のデータシート情報(A)と前記スイッチキャビネット機器との関連における使用に関する機能情報(B)を、個々のスイッチキャビネット識別情報(8)の下で中央アーカイブデータベース(3)におけるデータレコードに格納するために、前記データシート情報(A)を前記機能情報(B)とリンクさせるためのドキュメンテーションサーバ(2)を有し、
少なくとも前記データシート情報(A)を参照して分散ユーザ端末(5)を介して入力された前記スイッチキャビネット(1)の検査及び受入情報(C)が、前記ドキュメンテーションサーバ(2)を介して前記中央アーカイブデータベース(3)の前記データレコードに追加され、
前記スイッチキャビネット(1)のコミッショニング中に前記分散ユーザ端末(5)を介して入力された、前記スイッチキャビネット(1)に関する追加のコミッショニング情報(D)が、前記アーカイブデータベース(3)の前記データレコードに検索可能な方式で追加される、システムにおいて、
前記システムは、前記設置されたモジュール(9a−9c)の前記格納されたデータシート情報(A)から結果として生じ、コミッショニングの完了のために前記ユーザによって事前記録された必要な前記検査及び受入情報(C)の全てが前記アーカイブデータベース(3)に追加されたときに、前記アーカイブデータベース(3)にアクセスするドキュメンテーションサーバ(2)が、前記分散ユーザ端末(5)を介して前記スイッチキャビネット(1)のコミッショニングをトリガするように設計されたものである、
ことを特徴とするシステム。
【請求項8】
各組み込みモジュール(9a−9c)が、読取り可能になるように前記組み込みモジュール(9a−9c)内又は上に配置された個々の明白な識別情報(10)を備える、
ことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記アーカイブデータベース(3)の前記データレコードが、CADデータベース(11)に格納された設計情報(H)にアクセスするために、前記スイッチキャビネット(1)が基づく3次元の計画された設計(4)への参照を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記アーカイブデータベース(3)に含まれる前記検査及び受入情報(C)及び/又は前記コミッショニング情報(D)に画像ドキュメンテーションファイル(12)が付される、
ことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
請求項1〜6の何れか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業プラントの電気スイッチキャビネットに関するライフサイクル情報を収集及び処理するプロセス及びコンピュータ支援システムに関する。更に、本発明はまた、コンピュータ支援プロセスを実施するコンピュータプログラム製品並びにスイッチキャビネットに固有のライフサイクル情報を含む専用データフォーマットを含む。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野は、主として、工業プラント用のスイッチキャビネット構成に向けられる。加えて、本明細書における関心対象のタイプのスイッチキャビネットはまた、家庭部門で用いられることがある。基本的に、スイッチキャビネットは、標準化された組み込みモジュールの形態で通常は設計される、電気及び/又は電子構成要素の保護された収容設備として用いられる。これらのモジュールは、例えば、自動化生産プラント、プロセス工業プラント、機械ツール等を制御するのに用いることができる。従って、制御キャビネットにおける組み込みモジュールは、フィールドデバイスとして機械内に直接配置されることのない制御構成要素である。組み込みモジュールとして、例えば、プログラマブルロジックコントローラ、完全なコンピュータユニット、モータの速度制御のための周波数コンバータ、様々なバスシステムとのバス接続のための通信モジュール、センサデータを読み取るためのデジタル入力/出力モジュール又はアナログ入力モジュールが使用される。加えて、制御キャビネットは通常は、使用する場所で電気ケーブルを接続するための電気端末ストリップも含み、従って、制御される電源と機械及びシステムとの接続を確立する。
【0003】
アプリケーション関連のエンクロージャ機器に関する計画は、通常は、例えばEPLAN Pro Panel(登録商標)を介してCAD設計の形態のソフトウェアで支援される。このような計画された設計は、詳細にはレイアウトの形態の3次元マウンティングレイアウト、電気及び電子設置モジュールの仮想配線、及び必要に応じて、他の構成要素並びにこれらに適応される電力配分システムを含む。電気又は電子組み込みモジュールは、例えば、スイッチキャビネットの内側のトップハットレールによって装着することができる。加えて、この計画された設計はまた、設置された組み込みモジュールのデータシート情報Aを含む。このようなデータシート情報は、例えば、電力消費、保護の程度、入力/出力接続構成、コンピュータの処理能力、製造者及び/又は製造日付、シリアルナンバー等とすることができる。このようなデータシート情報は、組み込みモジュールのタイプによって決まる。
【0004】
制御キャビネット機器及び制御キャビネットの使用目的に応じて、動作現場にて安全な作動が確保された方法で制御キャビネットを作動可能になる前に、検査及び受入措置を実施しなければならない。検査段階から得られる検査及び受入情報は、スイッチキャビネットが計画及び規制に従って製造されたことを証明できるように文書化しなくてはならない。
【0005】
一般的に知られる従来技術によれば、このことは、設置される設置モジュールとそれらの検査及び受入情報の指示を含む、必要とされるエントリに対する全ての関連形式フィールドを含むブックレット形式の前製造スイッチキャビネットフォルダを用いることで、スイッチキャビネット構築の分野においてこれまで実施されてきた。データシート情報などの組み込みモジュールに関するより詳細な技術的情報は、制御キャビネットフォルダの一部ではない。しかしながら、これらは通常、回路図、端末図、部品リスト及びデバイスリストもまた含む、電子システム全体のドキュメンテーションの一部である。この理由から、その後の保守又は補修の場合に、整備士は、通常は、スイッチキャビネットフォルダに含まれる基本情報に加えて、このような補足の技術情報を取得することに依存しており、これによって欠陥のあるスイッチキャビネットに対する補修の選択肢の決定は、この場合には後日まで行われない可能性がある。
【0006】
独国公開特許DE101 16 539B4は、自動技術機器の生産、組立、サービス又は保守の分野における自動データ処理のための抽象的で一般的に有効なコンピュータ支援プロセス及びシステムを開示している。いわゆる拡張現実の特殊な技術的手段によって、情報は、人間が構成要素を見た時の適切な人間と技術の相互作用による機械的な視野である。これは、例えば、従来の設置マニュアルに置き換わる設置指示とすることができる。本明細書で提示される技術的解決策は、組立並びにサービス及び保守の分野において拡張現実の使用を明示的に意味している。
【0007】
これは、製品の製作、試運転、保守及び廃棄などの製品のライフサイクルの各段階での専門家が、紙形態のマニュアル、組立及び保守指示、技術的図面等の形式で通常利用可能である、拡張可能なドキュメンテーションの形態での支援を必要としているという問題に基づいている。しかしながら、このドキュメンテーションは、ドキュメンテーションサーバを介して電子的に提供され且つ中央で管理されることが益々増えている。このドキュメンテーションは、データグラス又は類似のものと共に身体に装着されるコンピュータなどの分散作動デバイスを介してアクセスすることができる。これに関して、ユーザからの指示を記録する手段もまた設けられ、分散作動デバイスの能力並びにユーザ選好に関する情報がデータ処理において含まれており、これによってドキュメンテーションデータの視覚化及び指示の記録は、データベースによって管理されるデータに応じて適応させることができる。このことにより、多種多様な接続性の選択肢が拡張される。しかしながら、提示された従来技術の手順及びシステムは、データ視覚化だけに限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、制御キャビネット技術の分野におけるライフサイクル情報の収集及び処理のための特別のコンピュータ支援方法及びシステムを構築することであり、これにより、制御キャビネットに関する現在のドキュメンテーション情報の視覚化に加えて、ライフサイクル制御も可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、計画された設計に基づくスイッチキャビネットの製作時点において、データレコードの形態で個々のスイッチキャビネット識別情報の下で中央アーカイブデータベースにそれらを格納するために、設置された組み込みモジュールの少なくともデータシート情報Aを、スイッチキャビネット機器との関連におけるアプリケーションに関する機能情報Bとリンクさせるデータレコードことによって手順的に解決される。スイッチキャビネットの後続の技術的受入の時点において、スイッチキャビネットの要求される検査及び受入情報Cが、少なくともデータシート情報Aを考慮に入れて最初に生成されたデータレコードに追加される。続いて、制御キャビネットのコミッショニングリリースをトリガするため、少なくとも必要な検査及び受入情報Cの全てが揃ったことがチェックされる。少なくとも必要な検査及び受入情報Cの全てが、利用可能であり、且つそれぞれのスイッチキャビネットに対する中央アーカイブデータベースに格納されたデータレコードの一部である場合にのみ、コミッショニングリリースが与えられることになる。コミッショニングリリースのトリガは、スイッチキャビネットを作動するためのエネルギー源からスイッチキャビネットへの少なくとも1つの接続及び/又はスイッチキャビネットから工業プラントへの少なくとも1つの接続を含む。コミッショニングリリースが送出された後に、スイッチキャビネットのコミッショニングが使用場所で実施された場合、アーカイブデータベースのデータレコードは、好ましくはスイッチキャビネットの使用の場所から分散ユーザ端末を介して中央アーカイブデータベースから追加されるスイッチキャビネットの補足コミッショニング情報Dによって更に充実される。
【0010】
本発明による解決策の利点は、特に、制御キャビネットの製作の時点で既にドキュメンテーションが構築され、これが紙形態での他の通常の制御キャビネットフォルダよりも高い深度の情報を提供することであり、設置された設置モジュールが名付けられマーク付けされるだけでなく、このデータシート情報Aもまたドキュメンテーションで実施され、最も単純な方法でリンクされることである。加えて、リンクされた機能情報Bは、特定の組み込みモジュールが、制御キャビネット機器、例えばポンプ等の3段モータの周波数コンバータの制御の範囲内で満たさなければならない機能に関する情報を提供する。
【0011】
独創性のある解決策のおかげで、制御キャビネットの生産ライフサイクルを通して必要な情報を伝達し、これを動的に更新することができる。ライフサイクルの様々な段階の間の遷移は、制御キャビネットのコミッショニング又は後での作動の間のエラーを回避するように制御することができる。
【0012】
本発明を改良する別の手段によれば、スイッチキャビネットが作動された後に実施されるべき保守又は補修作業の時点において、現在のスイッチキャビネット機器に関する情報を更新するために、関連の保守情報E又は補修情報Fを分散作動ユーザ端末を介してアーカイブデータベースに追加することができることが提案される。この更新は、例えば、欠陥のある組み込みモジュールに関する交換情報、他の組み込みモジュール、例えばリモートモニタリングユニット等によるスイッチキャビネット機器の拡張を含む。
【0013】
本発明の任意選択的な別の態様によれば、補修の実施に必要とされる3次元の計画された構成に分散作動可能ユーザ端末を介して有利な方法でアクセスし、例えば、これから生じる補足構成情報Hによって、必要な補修を現場で行えるかどうか又は欠陥スイッチキャビネットを遠隔の作業場に移送する必要があるかどうかに関しての決定を行うことができるようにすることができる。同じことが、制御キャビネット機器の計画された別の拡張にも同じように適用される。
【0014】
基本的に、ユーザ又はキャビネット製造者は、アーカイブデータベースのキャビネットに関するデータレコードを変更することができる。これは、ユーザが、アーカイブデータベースに文書化された変更をユーザ自身でスイッチキャビネット機器に行うのを可能にする。加えて、このドキュメンテーション更新手段はまたキャビネット製造者によって行うことも可能であり、これは、データの一貫性を保証するためにキャビネット機器の大きな変更の場合に特に有利である。従って、本発明による解決策は、様々なユーザレベルからのアクセスによる動的ドキュメンテーションを提供する。またこれは、例えばスイッチキャビネット機器の変更後に、外部組織によって、例えば規格(DIN/EN/ISO/NEC/UL/CSA)による認証の形態で、規格に準拠した変更がまた認証されることができるという前提条件を生成することもできる。
【0015】
本発明を改良する別の手段によれば、スイッチキャビネットの作動で生じる何らかの障害の時点において、スイッチキャビネットの関連のある障害情報Gがアーカイブデータベースに自動的に又は分散ユーザ端末を介して追加されることが提案される。例えば、制御キャビネット及び制御キャビネットに接続された工業プラントの動作を中断する停電が起こった場合、この障害イベントは、ライフサイクル情報の完全取得のためにアーカイブデータベースに追加される。障害情報Gはまた、例えば設置モジュールの障害又は許可作動温度の超過とすることができる。このような障害情報Gから、例えば保守間隔を調節することができる。
【0016】
好ましくは、分散ユーザ端末を介してアクセス可能な制御キャビネットのライフサイクル情報は、アーカイブデータベースに格納された情報AからGの視覚化及び適応に対するパスワード保護を備えた制御キャビネット識別の許可されたエントリの後にのみ検索可能にすべきである。アーカイブデータベースに以前に入力された情報の履歴を変更できないようにすることによって、悪用又は妨害を回避することができる。制御キャビネットのライフサイクルの検索は、ユーザプロファイル及び対応するアクセス管理に従って規制するべきであり、これによって各ユーザグループには、関心のある情報だけが提供される。例えば、製造者のユーザプロファイルは、制御キャビネット機器に関する全ての利用可能な情報を含むことができ、制御キャビネットのユーザは、カスタマイズ化ユーザプロファイルによって関連の作動データへのアクセスを規制することができ、一方、例えばプログラマブルロジックコントローラのプログラマは、このような組み込みモジュールの情報へのアクセスだけをすることができる。
【0017】
更に、各設置モジュールには、例えばシリアルナンバーから導かれることができる明白な識別のための個々の識別子が提供されることが提案される。この個々の識別子は、QRコード(登録商標)等として組み込みモジュールに付加することができる。更に、組み込みモジュールのRFIDチップに組み込みモジュールの識別情報を一体化することもできる。組み込みモジュールの一意の識別情報によって、この目的のために格納されたドキュメンテーション情報への標的とされるアクセスを分散ユーザ端末を介して行うことができる。これに関して、分散ユーザ端末はQRコード(登録商標)スキャナを含むことができる。このユーザ端末は、ディスプレイ及び入力キーボードを備えたモバイルコンピュータとして設計されるのが好ましい。中央サーバと中央サーバに接続されたアーカイブデータベースとのデータ接続は、一般的なデータ通信チャネルを介して、例えば移動無線を介して確立することができる。
【0018】
アーカイブデータベースに含まれる検査及び受入情報C、コミッショニング情報D、保守情報E及び/又は補修情報Fに画像ドキュメンテーションファイルを添付することが有利である。この画像ドキュメンテーションファイルは、例えば、ドキュメンテーションの目的で、アーカイブデータベース内のデータレコードに追加されるそれぞれのイベントの時点のスイッチキャビネットレイアウトの写真を含むことができる。この意味では、補修又は保守の後のスイッチキャビネットレイアウトのあらゆる変更を画像によって付加的に文書化することができる。このようにして、後の日付の制御キャビネットレイアウトに行われた変更を明確に追跡することができる。更に、いわゆる「アズビルト(as build)」ドキュメンテーションもまた含めることができる。
【0019】
これは、少なくとも回路図及び3D組立レイアウト計画のドキュメンテーションを含む。このドキュメンテーションは、物理的スイッチキャビネットの適正且つ専門家による実施がチェックされる基礎を形成することができる。
【0020】
好ましくは、少なくとも情報A−Dを含むドキュメンテーションは、中央アーカイブデータベースに格納される。加えて、バックアップコピーとして制御キャビネット内のシールドデータキャリアに格納することもできる。このようなバックアップコピーを使用する時に、中央アーカイブデータベースでの変更の保存をバックアップコピーの更新に結び付けるべきであることが好ましく、これは、一貫したマルチローカル電子ドキュメンテーションを保証するために変更支援システムに従って中央サーバによって強制すべきであることが提案される。
【0021】
本発明を改良するための更なる手段について、図面を用いて本発明の好ましい実施例に関する説明と共に以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】工業プラントの制御キャビネットに関するライフサイクル情報を収集及び処理するためのシステムの概略ブロック図である。
図2図1によるシステムで実施されるライフサイクル情報の収集及び処理のための手順を示す概略流れ図である。
図3】制御キャビネットの特別なライフサイクル情報を含むデータフォーマットの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1によれば、ライフサイクルの収集及び処理のためのシステムは、ドキュメンテーションサーバ2を備え、該ドキュメンテーションサーバ2は、スイッチキャビネット1から離れた中央位置に配置され、多数のスイッチキャビネットのライフサイクル情報を収集及び処理する。このライフサイクル情報は、ドキュメンテーションサーバ2に割り当てられたアーカイブデータベース3に準備された形式で格納される。
【0024】
ドキュメンテーションサーバ2は、スイッチキャビネット1の計画段階で製作されたスイッチキャビネット1の計画された構成4に基づいて、スイッチキャビネット1に設置された個々の組み込みモジュール9a−9cのデータシート情報Aを抽出する。これらは、例えば、プログラマブルロジックコントローラ、入力/出力モジュール、電気端子ブロック等とすることができる。ドキュメンテーションサーバ2は、個々のスイッチキャビネット識別情報8の下でアーカイブデータベース3にデータレコードを格納するために、このデータシート情報Aを機能情報Bとリンクさせる。機能情報Bは、例えば、特定のプログラム可能ロジックコントローラがポンプの作動サイクルを制御することを含むことができる、各組み込みモジュール9a−9cの目的に関する情報を含む。
【0025】
制御キャビネット1が位置付けられる位置Xにおいて、設置者は、分散ユーザ端末5を有し、分散ユーザ端末5は、ここではデータ送信インタフェースを備えたラップトップとして設計される。データ送信インタフェース、例えば移動無線を介して、設置者は、ドキュメンテーションサーバ2から制御キャビネット1に関する情報を検索して、ある種類の電子制御キャビネットフォルダを構築するためにアーカイブデータベース3内の制御キャビネット1の個々の制御キャビネット識別8の下で更なるデータを格納することができる。
【0026】
例えば、設置者は、キャビネット1をコミッショニングする前に必要な検査及び受入措置をキャビネット1に対して実施して、キャビネット1の結果として得られた検査及び受入情報Cをアーカイブデータベース3に追加する。どの検査及び受入手順が必要であるかをチェックするために、設置者は最初に、個々の設置モジュール4a−4cのデータシート情報Aにアクセスする。この情報は、例えば、それによって所定の検査が実行される試験電圧を含むことができる。ドキュメンテーションサーバ2は、必要な検査及び受入情報Cを完全に記録することによって、コミッショニングの準備作業との関連で設置者を支援する。ドキュメンテーションサーバ2は、全ての必要な検査及び受入情報Cがアーカイブデータベース3に記録された時にだけ、分散ユーザ端末5を介して制御キャビネット1に関するコミッショニングリリースをトリガする。制御キャビネット1の初期コミッショニングは、分散ユーザ端末5を介して、例えば制御キャビネット1に初期スイッチオン制御命令を送出することによってのみトリガすることができる。この目的で、分散ユーザ端末5は、制御キャビネット1のためのNFC通信インタフェースを有することができる。更に、この設計例の分散ユーザ端末5は、QRコード(登録商標)スキャナ7を備え、これによって制御キャビネット1に付加されたQRコード(登録商標)を一意の制御キャビネット識別情報として読み取ることができる。スイッチキャビネット1の個々のスイッチキャビネット識別情報8を読み取った後、スイッチキャビネット1のライフサイクル情報は、ドキュメンテーションサーバ2から分散ユーザ端末5を介してリモートで検索することができ、処理された場合、反対方向で更なるライフサイクル情報をアーカイブデータベース3に追加することができる。制御キャビネット識別情報8を読み取ることに加えて、QRコード(登録商標)スキャナ7はまた、制御キャビネット機器の範囲内の識別を容易にし、各組み込みモジュール9a−9cに関する特定のデータシート情報への自動アクセスを可能とするために、この実施例でも使用され、QRコード(登録商標)としても設計される個々の組み込みモジュール9a−9cの個々の識別情報を読み取ることができる。
【0027】
加えて、アーカイブデータベース3のデータレコードは、制御キャビネット1がベースとする3次元の計画された設計4への参照を含み、これによって分散ユーザ端末5はまた、CADデータベース11に格納された制御キャビネット機器に関する設計情報Hにアクセスすることができる。
【0028】
図2は、制御キャビネット1に関するライフサイクル情報の収集及び処理の個々のプロセスステップを示し、これは、この情報の完全な動的ドキュメンテーションを生成するために、スイッチキャビネット1のライフサイクルの異なる時点又は時間フェーズで収集及び処理される。
【0029】
スイッチキャビネットの製作の時点Iにおいて、設置された組み込みモジュールのデータシート情報Aは、計画された設計に基づいて、工業プラントの関連における応用に関する機能情報Bとリンクされる。これから、データシート構成は、個々の制御キャビネット識別情報の下でアーカイブデータベースにて生成される。
【0030】
スイッチキャビネットの技術的受入の時点IIにおいて、スイッチキャビネットの検査及び受入情報Cが追加される。検査ループは、制御キャビネットに対する全ての必要な検査及び受入情報Cが利用可能であるかどうかをチェックするのに用いられる。この必要な情報が利用可能でない限り、本発明のシステムは、検査及び受入情報Cが全て揃うのを待つ。スイッチキャビネット機器に関する必要な検査及び受入情報Cが利用可能である場合、スイッチキャビネットに関するコミッショニングリリースがトリガされ、この結果としてスイッチオン信号が生じる。
【0031】
時点IIIにおいて、スイッチギアキャビネットのコミッショニングが実行され、これによってスイッチギアキャビネットの補足コミッショニング情報Dが、アーカイブデータベースのデータレコードに追加される。このコミッショニング情報Dは、例えば、ドキュメンテーションの目的でコミッショニングの日付及び時間並びにコミッショニングを実行する設置者の名前を含むことができる。
【0032】
時点IVは、制御キャビネットの正常な作動を規制又は中断する保守又は補修イベントをマーク付けする。例えば、保守は、電気メータなどの較正された測定器具の交換を含むことができ、保守情報Eがアーカイブデータベースに追加される。同様に、欠陥のある組み込みモジュールの補修イベントが、関連補修情報Fによって記録されて、アーカイブデータベースに追加される。この補修情報Fは、例えば交換デバイスの新しい識別情報によって置き換えられた、交換済み組み込みモジュールの識別情報を含むことができる。加えて、補修の時間及び補修を担った設置者が記録される。
【0033】
制御キャビネットのライフサイクル情報の動的ドキュメンテーションは、データシート情報A又は設計情報Hに戻って参照することによって現場Xで又は離れた作業場Yで補修を行うべきかどうかの決定を行うことができるような方法で補修プロセスを支援する。
【0034】
同様の方法で、制御キャビネットの作動の障害、例えば電源異常が起こったスイッチキャビネットのライフサイクルにおける時点Vが、障害情報Gとしてアーカイブデータベース3に記録される。この情報は、スイッチキャビネット1の一時バッファに一時的に格納され、バッファがユーザ端末によって読み出されることを行うことによってアーカイブデータベースに転送することができる。
【0035】
図3では、制御キャビネットの特別なライフサイクル情報を含むデータフォーマットの構造が与えられ、このキー識別子が、制御キャビネットの一意の識別子8を表す。このキー識別子は、例えば、数字コードによって変換することができる。割り当てられたデータシート情報Aを備えた、制御キャビネットに設置された各組み込みモジュールの識別子は、データセットに追加され、更に設置された組み込みモジュールに関する機能情報Bとリンクされる。更に、製造されたスイッチキャビネットの検査段階から生じたスイッチキャビネット機器の検査及び受入情報C並びにスイッチキャビネットに関する後続のコミッショニング情報Dが、データセットに追加される。後のライフサイクルで生成された保守情報E、補修情報F及び障害情報Gは、スイッチキャビネットのライフサイクルに関する動的ドキュメンテーションのデータフォーマットを完成させる。詳細には、検査及び受入情報C、コミッショニング情報D及び保守及び補修情報E/Fは、例えば、これらの時点で生成されたスイッチキャビネット機器のレイアウト写真を含む画像ドキュメンテーションファイル12によって補完することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 スイッチキャビネット
2 ドキュメンテーションサーバ
3 アーカイブデータベース
4 計画された構成
5 分散ユーザ端末
6 NFCインタフェース
7 QRコード(登録商標)スキャナ
8 スイッチキャビネット識別情報
9a 9b 9c 組み込みモジュール
10 組み込みモジュール識別情報
11 CADデータベース
A データシート情報
B 機能情報
C 検査及び受入情報
D コミッショニング情報
E 保守情報
F 補修情報
G 障害情報
X 現場
Y 作業場
【国際調査報告】