(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-522857(P2021-522857A)
(43)【公表日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】標的細菌を死滅させるための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/74 20060101AFI20210806BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20210806BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20210806BHJP
C12N 15/70 20060101ALI20210806BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20210806BHJP
A61P 31/06 20060101ALI20210806BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20210806BHJP
A61K 9/02 20060101ALI20210806BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20210806BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20210806BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20210806BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20210806BHJP
C12N 15/31 20060101ALN20210806BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20210806BHJP
【FI】
C12N15/74 Z
C12N1/21
C12N7/01
C12N15/70 Z
A61P31/04
A61P31/06
A61K35/76
A61K9/02
A61K9/10
A61K9/12
A61K9/72
A61K9/20
C12N15/31
C12N15/113 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】139
(21)【出願番号】特願2021-510294(P2021-510294)
(86)(22)【出願日】2019年5月3日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月26日
(86)【国際出願番号】US2019030695
(87)【国際公開番号】WO2019213592
(87)【国際公開日】20191107
(31)【優先権主張番号】62/667,400
(32)【優先日】2018年5月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/743,740
(32)【優先日】2018年10月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/818,066
(32)【優先日】2019年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520429509
【氏名又は名称】ローカス バイオサイエンシーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ガロフォロ,ポール エム.
(72)【発明者】
【氏名】オースターアウト,デビッド ジー.
(72)【発明者】
【氏名】セル,カート
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,サンディ
(72)【発明者】
【氏名】テュソン,ハンナ ヒューイット
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA23X
4B065AA23Y
4B065AA26X
4B065AA98X
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4C087MA59
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB35
(57)【要約】
本明細書で提供されるのは、標的細菌を殺すための方法および組成物である。また、改変されたバクテリオファージも開示されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的細菌を死滅させるための方法であって、前記方法は、
(a)標的細菌中の標的遺伝子由来の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列、またはそこから転写されたcrRNAをコードする第1の核酸配列、および
(b)前記標的細菌の溶解を誘導することができる遺伝子を含む
バクテリオファージを標的細菌に導入する工程を含み、
ここで、前記標的細菌は、スペーサー配列またはそこから転写されたcrRNAを使用して、バクテリオファージの溶解活性、または、CRISPR−Casシステムの活性によって死滅させられる、方法。
【請求項2】
前記第1の核酸配列が、少なくとも1つの反復配列をさらに含むCRISPRアレイである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バクテリオファージが、CRISPR−Casシステムのための転写活性化因子をコードする第2の核酸をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記遺伝子がバクテリオファージに対して内因性である、請求項1−3のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記遺伝子がバクテリオファージに対して外因性である、請求項1−3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記転写活性化因子がクオラムセンシング(QS)シグナルによって制御される、請求項3−5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記転写活性化因子が、細菌膜のストレスの感知に関与するタンパク質である、請求項3−5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ストレスの感知に関与するタンパク質が、応答制御因子BaeSRである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記転写活性化因子が、Casを安定させるタンパク質である、請求項3−5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記Casを安定化するタンパク質が、熱ショックタンパク質G(HtpG)である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記転写活性化因子が、代謝感知タンパク質である、請求項3−5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記代謝感知タンパク質が、cAMP受容体タンパク質(CRP)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記CRPがサイクリックAMP(cAMP)に対して感受性である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記代謝感知タンパク質がシグマ因子である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記シグマ因子がRpoN(σ54)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記転写活性化因子が阻害要素の活性を破壊する、請求項3−5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記阻害要素が、熱安定性核様体構造化タンパク質(H−NS)、ロイシン応答性制御タンパク質(LRP)、またはCodYを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記阻害要素が転写リプレッサーである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記転写リプレッサーがグローバル転写リプレッサーである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記転写活性化因子が、LeuOまたは配列番号1と少なくとも75%の配列相同性を有するポリペプチドを含む、請求項3−19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記転写活性化因子が、CD2983または配列番号2と少なくとも75%の配列相同性を有するポリペプチドを含む、請求項3−19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記CRISPR−Casシステムが、標的細菌に対して内因性である、請求項1−21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記CRISPR−Casシステムが、標的細菌に対して外因性である、請求項1−21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記CRISPR−Casシステムが、I型CRISPR−Casシステム、II型CRISPR−Casシステム、またはIII型CRISPR−Casシステムである、請求項1−23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記CRISPR−Casシステムが、I型CRISPR−Casシステムを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記標的ヌクレオチド配列が、標的遺伝子のためのプロモーター配列の全部または一部を含む、請求項1−25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記標的ヌクレオチド配列が、標的遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む、請求項1−26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記標的ヌクレオチド配列が、標的細菌の生存に必要とされる必須遺伝子の少なくとも一部である、請求項1−27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記必須遺伝子が、Tsf acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、またはnusGである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つの反復配列が、その5’末端またはその3’末端のいずれかでスペーサー配列に動作可能に連結されている、請求項2−29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記標的細菌が、バクテリオファージの溶解活性によってのみ死滅させられる、請求項1−30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記標的細菌が、CRISPR−Casシステムの活性によってのみ死滅させられる、請求項1―30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記標的細菌が、バクテリオファージの溶解活性とCRISPR−Casシステムの活性との両方の組み合わせによって死滅させられる、請求項1−30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記標的細菌が、バクテリオファージの溶解活性と独立して、CRISPR−Casシステムの活性によって死滅させられる、請求項1−30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記CRISPR−Casシステムの活性が、バクテリオファージの溶解活性を補完または増強する、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記スペーサー配列が第2のスペーサー配列と重複する、請求項1−35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記バクテリオファージの溶解活性および前記CRISPR−Casシステムの活性が、相乗的である、請求項1−36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記バクテリオファージの溶解活性、前記CRISPR−Casシステムの活性、またはその両方が、バクテリオファージの濃度によって調節される、請求項1−37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記バクテリオファージが複数の菌株に感染する、請求項1−38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記バクテリオファージが偏性溶解性バクテリオファージである、請求項1−39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記バクテリオファージが、溶解性にされた溶原バクテリオファージである、請求項1−39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記バクテリオファージが、バクテリオファージの溶解活性および/またはCRISPR−Casアレイの活性によって引き起こされる細胞死を超えて、標的細菌にいかなる新しい特性も付与しない、請求項1−41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記標的細菌がC.difficileである、請求項1−42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記バクテリオファージが、φCD146またはφCD24−2である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記標的細菌が大腸菌(E. coli)である、請求項1−42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記バクテリオファージがT4、T7、またはT7mである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
スペーサー配列またはcrRNAをコードする第1の核酸が、非必須バクテリオファージ遺伝子に挿入される、請求項1−46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記非必須遺伝子がgp49である、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記非必須遺伝子がgp75である、請求項47記載の方法。
【請求項50】
前記非必須遺伝子がhocである、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記非必須遺伝子がgp0.7、gp4.3、gp4.5、またはgp4.7である、請求項47記載の方法。
【請求項52】
前記非必須遺伝子がgp0.6、gp0.65、gp0.7、gp4.3、またはgp4.5である、請求項47記載の方法。
【請求項53】
バクテリオファージであって、
(a)標的細菌中の標的遺伝子由来の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列、またはそこから転写されたcrRNAをコードする第1の核酸、および
(b)前記標的細菌の溶解を誘導することができる遺伝子を含み、
ここで、前記標的細菌は、スペーサー配列またはそこから転写されたcrRNAを使用して、バクテリオファージの溶解活性、または、CRISPR−Casシステムの活性によって死滅させられる、バクテリオファージ。
【請求項54】
CRISPR−Casシステムのための転写活性化因子をコードする第2の核酸をさらに含む、請求項53に記載のバクテリオファージ。
【請求項55】
前記転写活性化因子がクオラムセンシング(QS)シグナルによって制御される、請求項54に記載のバクテリオファージ。
【請求項56】
前記転写活性化因子が、細菌膜のストレスの感知に関与するタンパク質である、請求項54に記載のバクテリオファージ。
【請求項57】
前記タンパク質が応答制御因子BaeSRである、請求項56に記載のバクテリオファージ。
【請求項58】
前記転写活性化因子が、Casを安定化するタンパク質である、請求項54に記載のバクテリオファージ。
【請求項59】
前記Casを安定化するタンパク質が、熱ショックタンパク質G(HtpG)である、請求項58に記載のバクテリオファージ。
【請求項60】
前記転写活性化因子が、代謝感知タンパク質である、請求項54に記載のバクテリオファージ。
【請求項61】
前記代謝感知タンパク質が、cAMP受容体タンパク質(CRP)である、請求項60に記載のバクテリオファージ。
【請求項62】
前記CRPがサイクリックAMP(cAMP)に対して感受性である、請求項61に記載のバクテリオファージ。
【請求項63】
前記代謝感知タンパク質がシグマ因子である、請求項60に記載のバクテリオファージ。
【請求項64】
前記シグマ因子がRpoN(σ54)である、請求項63に記載のバクテリオファージ。
【請求項65】
前記転写活性化因子が、標的細菌の阻害要素の活性を破壊する、請求項54に記載のバクテリオファージ。
【請求項66】
前記阻害要素が、熱安定性核様体構造化タンパク質(H−NS)、ロイシン応答性制御タンパク質(LRP)、またはCodYである、請求項65に記載のバクテリオファージ。
【請求項67】
前記阻害要素が転写リプレッサーである、請求項65に記載のバクテリオファージ。
【請求項68】
前記転写リプレッサーがグローバル転写リプレッサーである、請求項67に記載のバクテリオファージ。
【請求項69】
前記転写活性化因子が、LeuOまたは配列番号1と少なくとも75%の配列相同性を有するポリペプチドを含む、請求項54−68のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項70】
前記転写活性化因子が、CD2983または配列番号2と少なくとも75%の配列相同性を有するポリペプチドを含む、請求項54−68のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項71】
前記CRISPR−Casシステムが、標的細菌に対して内因性である、請求項53−70のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項72】
前記CRISPR−Casシステムが、標的細菌に対して外因性である、請求項53−70のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項73】
前記CRISPR−Casシステムが、I型CRISPR−Casシステム、II型CRISPR−Casシステム、またはIII型CRISPR−Casシステムである、請求項53−72のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項74】
前記CRISPR−Casシステムが、I型CRISPR−Casシステムである、請求項73に記載のバクテリオファージ。
【請求項75】
前記標的ヌクレオチド配列が、標的遺伝子のためのプロモーター配列の全部または一部を含む、請求項53−74のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項76】
前記標的ヌクレオチド配列が、標的遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む、請求項53−75のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項77】
前記標的ヌクレオチド配列が必須遺伝子にある、請求項53−76のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項78】
前記必須遺伝子が、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、またはnusGである、請求項77に記載のバクテリオファージ。
【請求項79】
前記標的ヌクレオチド配列が非必須遺伝子である、請求項53−76のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項80】
前記第1の核酸配列が、少なくとも1つの反復配列を含むCRISPRアレイである、請求項53−79のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項81】
前記少なくとも1つの反復配列が、その5’末端またはその3’末端のいずれかでスペーサー配列に動作可能に連結されている、請求項80に記載のバクテリオファージ。
【請求項82】
前記バクテリオファージが複数の菌株に感染する、請求項53−81のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項83】
前記バクテリオファージが偏性溶解性バクテリオファージである、請求項53−82のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項84】
前記バクテリオファージが、溶解性にされた溶原バクテリオファージである、請求項53−82のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項85】
前記溶原バクテリオファージが、1以上の溶原性遺伝子の除去、置換、または不活性化によって溶解性にされた、請求項84に記載のバクテリオファージ。
【請求項86】
前記標的細菌がC.difficileである、請求項53−85のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項87】
前記バクテリオファージが、φCD146またはφCD24−2である、請求項86に記載のバクテリオファージ。
【請求項88】
前記標的細菌が大腸菌(E. coli)である、請求項53−85のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項89】
前記バクテリオファージがT4、T7、またはT7mである、請求項88に記載のバクテリオファージ。
【請求項90】
前記スペーサー配列またはcrRNAをコードする第1の核酸が、非必須遺伝子に挿入される、請求項53−89のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項91】
前記非必須遺伝子がgp49である、請求項53−90のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項92】
前記非必須遺伝子がgp75である、請求項53−90のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項93】
前記非必須遺伝子がhocである、請求項53−90のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項94】
前記非必須遺伝子がgp0.7、gp4.3、gp4.5、またはgp4.7である、請求項53−90のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項95】
前記非必須遺伝子がgp0.6、gp0.65、gp0.7、gp4.3、またはgp4.5である、請求項53−90のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項96】
標的細菌におけるCRISPR−Casシステムの活性を調節するための方法であって、標的細菌におけるCRISPR−Casシステムのための転写活性化因子をコードする核酸を含むバクテリオファージを導入する工程を含む方法。
【請求項97】
前記転写活性化因子がクオラムセンシング(QS)シグナルによって制御される、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記転写活性化因子が、細菌膜へのストレスの感知に関与するタンパク質である、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
前記ストレスの感知に関与するタンパク質が、応答制御因子BaeSRである、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記転写活性化因子が、Casを安定化するタンパク質である、請求項96に記載の方法。
【請求項101】
前記Casを安定化するタンパク質が、熱ショックタンパク質G(HtpG)である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記転写活性化因子が、代謝感知タンパク質である、請求項96に記載の方法。
【請求項103】
前記代謝感知タンパク質が、cAMP受容体タンパク質(CRP)である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記CRPがサイクリックAMP(cAMP)に対して感受性である、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記代謝感知タンパク質がシグマ因子である、請求項102に記載の方法。
【請求項106】
前記シグマ因子がRpoN(σ54)である、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記転写活性化因子が阻害要素の活性を破壊する、請求項96−106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
前記阻害要素が、熱安定性核様体構造化タンパク質(H−NS)、ロイシン応答性制御タンパク質(LRP)、またはCodYである、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記阻害要素が転写リプレッサーである、請求項107−108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項110】
前記転写リプレッサーがグローバル転写リプレッサーである、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記転写活性化因子が、LeuOまたは配列番号1と少なくとも75%の配列相同性を有するポリペプチドを含む、請求項96−110のいずれか1項に記載の方法。
【請求項112】
前記転写活性化因子が、CD2983または配列番号2と少なくとも75%の配列相同性を有するポリペプチドを含む、請求項96−110のいずれか1項に記載の方法。
【請求項113】
前記CRISPR−Casシステムが、標的細菌に対して内因性である、請求項96−112のいずれか1項に記載の方法。
【請求項114】
前記CRISPR−Casシステムが、標的細菌に対して外因性である、請求項96−112のいずれか1項に記載の方法。
【請求項115】
前記CRISPR−Casシステムが、I型CRISPR−Casシステム、II型CRISPR−Casシステム、またはIII型CRISPR−Casシステムである、請求項96−114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項116】
前記CRISPR−Casシステムが、I型CRISPR−Casシステムである、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記バクテリオファージが複数の菌株に感染する、請求項96−116のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
前記バクテリオファージが偏性溶解性バクテリオファージである、請求項96−117のいずれか1項に記載の方法。
【請求項119】
前記バクテリオファージが、溶解性にされた溶原バクテリオファージである、請求項96−117のいずれか1項に記載の方法。
【請求項120】
前記標的細菌がC.difficileである、請求項96−119に記載のいずれか1項に記載の方法。
【請求項121】
前記バクテリオファージが、φCD146またはφCD24−2である、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記標的細菌が大腸菌(E. coli)である、請求項96−119に記載のいずれか1項に記載の方法。
【請求項123】
前記バクテリオファージがT4、T7、またはT7mである、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
転写活性化因子をコードする核酸が、非必須バクテリオファージ遺伝子に挿入される、請求項96−123のいずれか1項に記載の方法。
【請求項125】
前記非必須遺伝子がgp49である、請求項96−124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項126】
前記非必須遺伝子がgp75である、請求項96−124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項127】
前記非必須遺伝子がhocである、請求項96−124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項128】
前記非必須遺伝子がgp0.7、gp4.3、gp4.5、またはgp4.7である、請求項96−124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項129】
前記非必須遺伝子がgp0.6、gp0.65、gp0.7、gp4.3、またはgp4.5である、請求項96−124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項130】
標的細菌中におけるCRISPR−Casシステムの転写活性化因子をコードする核酸を含む、バクテリオファージ。
【請求項131】
前記転写活性化因子がクオラムセンシング(QS)シグナルによって制御される、請求項130に記載のバクテリオファージ。
【請求項132】
前記転写活性化因子が、細菌膜へのストレスの感知に関与するタンパク質である、請求項130に記載のバクテリオファージ。
【請求項133】
前記ストレスの感知に関与するタンパク質が、応答制御因子BaeSRである、請求項132に記載のバクテリオファージ。
【請求項134】
前記転写活性化因子が、Casを安定化するタンパク質である、請求項130に記載のバクテリオファージ。
【請求項135】
前記Casを安定化するタンパク質が、熱ショックタンパク質G(HtpG)である、請求項134に記載のバクテリオファージ。
【請求項136】
前記転写活性化因子が、代謝感知タンパク質である、請求項130に記載のバクテリオファージ。
【請求項137】
前記代謝感知タンパク質が、cAMP受容体タンパク質(CRP)である、請求項136に記載のバクテリオファージ。
【請求項138】
前記CRPがサイクリックAMP(cAMP)に対して感受性である、請求項137に記載のバクテリオファージ。
【請求項139】
前記代謝感知タンパク質がシグマ因子である、請求項136に記載のバクテリオファージ。
【請求項140】
前記シグマ因子がRpoN(σ54)である、請求項139に記載のバクテリオファージ。
【請求項141】
前記転写活性化因子が阻害要素の活性を破壊する、請求項130−140のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項142】
前記阻害要素が、熱安定性核様体構造化タンパク質(H−NS)、ロイシン応答性制御タンパク質(LRP)、またはCodYである、請求項141に記載のバクテリオファージ。
【請求項143】
前記阻害要素が転写リプレッサーである、請求項141−142のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項144】
前記転写リプレッサーがグローバル転写リプレッサーである、請求項143に記載のバクテリオファージ。
【請求項145】
前記転写活性化因子が、LeuOまたは配列番号1と少なくとも75%の配列相同性を有するポリペプチドを含む、請求項130−144のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項146】
前記転写活性化因子が、CD2983または配列番号2と少なくとも75%の配列相同性を有するポリペプチドを含む、請求項130−144のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項147】
前記CRISPR−Casシステムが、標的細菌に対して内因性である、請求項130−146のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項148】
前記CRISPR−Casシステムが、標的細菌に対して外因性である、請求項130−146のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項149】
前記CRISPR−Casシステムが、I型CRISPR−Casシステム、II型CRISPR−Casシステム、またはIII型CRISPR−Casシステムである、請求項130−148のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項150】
前記CRISPR−Casシステムが、I型CRISPR−Casシステムである、請求項149に記載のバクテリオファージ。
【請求項151】
前記バクテリオファージが複数の菌株に感染する、請求項130−150のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項152】
前記バクテリオファージが偏性溶解性バクテリオファージである、請求項130−151のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項153】
前記バクテリオファージが、溶解性にされた溶原バクテリオファージである、請求項130−151のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項154】
前記標的細菌がC.difficileである、請求項130−153のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項155】
前記バクテリオファージが、φCD146またはφCD24−2である、請求項154に記載のバクテリオファージ。
【請求項156】
前記標的細菌が大腸菌(E. coli)である、請求項130−153のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項157】
前記バクテリオファージがT4、T7、またはT7mである、請求項156に記載のバクテリオファージ。
【請求項158】
転写活性化因子をコードする核酸が、非必須バクテリオファージ遺伝子に挿入される、請求項130−157のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項159】
前記非必須遺伝子がgp49である、請求項130−158のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項160】
前記非必須遺伝子がgp75である、請求項130−158のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項161】
前記非必須遺伝子がhocである、請求項130−158のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項162】
前記非必須遺伝子がgp0.7、gp4.3、gp4.5、またはgp4.7である、請求項130−158のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項163】
前記非必須遺伝子がgp0.6、gp0.65、gp0.7、gp4.3、またはgp4.5である、請求項130−158のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項164】
標的細菌にバクテリオファージを導入する工程を含む、標的細菌を死滅させる方法であって、
前記バクテリオファージは、
(a)溶解活性、および
(b)抗CRISPRポリペプチドをコードする第1の核酸配列を含み、
ここで、抗CRISPRポリペプチドが、バクテリオファージの溶解活性を増強する、方法。
【請求項165】
前記抗CRISPRポリペプチドがCRISPR−Casシステムを不活性化する、請求項164に記載の方法。
【請求項166】
前記抗CRISPRポリペプチドが、遺伝子制御干渉を含むプロセスを使用して、CRISPR−Casシステムを不活性化する、請求項165に記載の方法。
【請求項167】
前記抗CRISPRポリペプチドが、ヌクレアーゼ動員干渉を含むプロセスを使用して、CRISPR−Casシステムを不活性化する、請求項165−166のいずれか1項に記載の方法。
【請求項168】
前記CRISPR−Casシステムが、I型CRISPR−Casシステム、II型CRISPR−Casシステム、またはIII型CRISPR−Casシステムである、請求項165−167のいずれか1項に記載の方法。
【請求項169】
前記CRISPR−Casシステムが、I型CRISPR−Casシステムである、請求項168に記載の方法。
【請求項170】
前記抗CRISPRポリペプチドが、カスケードまたはカスケード様複合体に直接的または間接的に結合する、請求項164−169のいずれか1項に記載の方法。
【請求項171】
前記抗CRISPRポリペプチドが、短縮型タンパク質、融合タンパク質、二量体タンパク質、または変異タンパク質である、請求項164−170のいずれか1項に記載の方法。
【請求項172】
前記バクテリオファージが、CRISPRアレイをコードする第2の核酸をさらに含む、請求項164−171のいずれか1項に記載の方法。
【請求項173】
前記CRISPRアレイが、少なくとも1つの反復配列および、標的細菌中の標的遺伝子由来の標的ヌクレオチド配列に相補的である、少なくとも1つのスペーサー配列を含む、請求項172に記載の方法。
【請求項174】
バクテリオファージであって、
(c)溶解活性、および
(d)抗CRISPRポリペプチドをコードする第1の核酸配列を含み、
ここで、抗CRISPRポリペプチドが、バクテリオファージの溶解活性を増強する、バクテリオファージ。
【請求項175】
前記抗CRISPRポリペプチドがCRISPR−Casシステムを不活性化する、請求項174に記載のバクテリオファージ。
【請求項176】
前記抗CRISPRポリペプチドが、遺伝子制御干渉を含むプロセスを使用して、CRISPR−Casシステムを不活性化する、請求項175に記載のバクテリオファージ。
【請求項177】
前記抗CRISPRポリペプチドが、ヌクレアーゼ動員干渉を含むプロセスを使用して、CRISPR−Casシステムを不活性化する、請求項175または176に記載のバクテリオファージ。
【請求項178】
前記CRISPR−Casシステムが、I型CRISPR−Casシステム、II型CRISPR−Casシステム、またはIII型CRISPR−Casシステムである、請求項175−177のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項179】
前記CRISPR−Casシステムが、I型CRISPR−Casシステムである、請求項178に記載のバクテリオファージ。
【請求項180】
前記抗CRISPRポリペプチドが、カスケードまたはカスケード様複合体に直接的または間接的に結合する、請求項174−179のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項181】
前記抗CRISPRポリペプチドが、短縮型タンパク質、融合タンパク質、二量体タンパク質、または変異タンパク質である、請求項174−180のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項182】
前記バクテリオファージが、CRISPRアレイをコードする第2の核酸をさらに含む、請求項174−180に記載のいずれか1項に記載のバクテリオファージ。
【請求項183】
前記CRISPRアレイが、少なくとも1つの反復配列および、標的細菌中の標的遺伝子由来の標的ヌクレオチド配列に相補的である、少なくとも1つのスペーサー配列を含む、請求項182に記載のバクテリオファージ。
【請求項184】
請求項53−95、130−163または174−183のいずれか1項に記載のバクテリオファージを対象に投与する工程を含む、対象の疾患を治療する方法。
【請求項185】
前記対象が哺乳動物である、請求項184に記載の方法。
【請求項186】
前記疾患が細菌性感染症である、請求項184−185に記載のいずれか1項に記載の方法。
【請求項187】
細菌性感染症を引き起こす細菌が、Acinetobacter種、Actinomyces種、Burkholderia cepacia複合体、Campylobacter種、Candida種、Clostridium difficile、Corynebacterium minutissium、Corynebacterium pseudodiphtheriae、Corynebacterium stratium、Corynebacteriumグループ Gl、Corynebacteriumグループ G2、Enterobacteriaceae、Enterococcus種、Escherichia coli、Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniae、Moraxella種、Mycobacterium tuberculosis複合体、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、非結核性mycobacteria種、Porphyromonas種、 Prevotella melaninogenicus、Pseudomonas種、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Vibrio cholerae、Coccidioides種、Cryptococcus種、Helicobacter felis、Helicobacter pylori、Clostridium bolteae、およびこれらの任意の組合せである、請求項186に記載の方法。
【請求項188】
前記細菌が、少なくとも1つの抗生物質に耐性の薬剤耐性細菌である、請求項187に記載の方法。
【請求項189】
前記細菌が、少なくとも1つの抗生物質に耐性の多剤耐性細菌である、請求項187または188に記載の方法。
【請求項190】
前記抗生物質が、セファロスポリン、フルオロキノロン、カルバペネム、コリスチン、アミノグリコシド、バンコマイシン、ストレプトマイシン、またはメチシリンを含む、請求項188または189に記載の方法。
【請求項191】
前記投与が動脈内、静脈内、筋肉内、経口、皮下、吸入、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項184−190のいずれか1項に記載の方法。
【請求項192】
aおよびbを含む、医薬組成物。
a.請求項53−95、130−163または174−183のいずれか1つに記載のバクテリオファージ、
b.薬学的に許容される賦形剤。
【請求項193】
錠剤、液体、シロップ、経口製剤、静脈内投与製剤、鼻腔内投与製剤、眼用製剤、耳用製剤、皮下注製剤、吸入性呼吸製剤、坐剤、およびそれらの任意の組み合わせの形態である、請求項192に記載の医薬組成物。
【請求項194】
標的細菌を死滅させる方法であって、前記方法は、
溶原バクテリオファージを標的細菌に導入する工程を含み、
ここで、溶原バクテリオファージの溶原性遺伝子が、除去、置換、または不活性化され、および前記溶原バクテリオファージが溶解性にされ、それによって標的細菌を死滅させる、方法。
【請求項195】
前記溶原性遺伝子が、clファージリプレッサー遺伝子を含む、請求項194記載の方法。
【請求項196】
前記バクテリオファージが複数の菌株に感染する、請求項194または195に記載の方法。
【請求項197】
前記標的細菌がC.difficileである、請求項194−196のいずれか1項に記載の方法。
【請求項198】
前記バクテリオファージが、φCD146またはφCD24−2である、請求項197に記載の方法。
【請求項199】
前記バクテリオファージが、スペーサー配列、またはそこから転写されたcrRNAをコードする第1の核酸をさらに含む、請求項194−198のいずれか1項に記載の方法。
【請求項200】
前記スペーサー配列が、標的細菌中の標的遺伝子由来の標的ヌクレオチド配列に相補的である、請求項199に記載の方法。
【請求項201】
前記第1の核酸配列が、少なくとも1つの反復配列をさらに含むCRISPRアレイである、請求項199または200に記載の方法。
【請求項202】
前記少なくとも1つの反復配列が、その5’末端またはその3’末端のいずれかでスペーサー配列に動作可能に連結されている、請求項201に記載の方法。
【請求項203】
前記バクテリオファージが、CRISPR−Casシステムのための転写活性化因子をコードする第2の核酸をさらに含む、請求項199−202のいずれか1項に記載の方法。
【請求項204】
前記CRISPR−Casシステムが、標的細菌に対して内因性である、請求項203に記載の方法。
【請求項205】
前記CRISPR−Casシステムが、標的細菌に対して外因性である、請求項203に記載の方法。
【請求項206】
前記CRISPR−Casシステムが、I型CRISPR−Casシステム、II型CRISPR−Casシステム、またはIII型CRISPR−Casシステムである、請求項203−205のいずれか1項に記載の方法。
【請求項207】
前記CRISPR−Casシステムが、I型CRISPR−Casシステムを含む、請求項203−205のいずれか1項に記載の方法。
【請求項208】
前記標的ヌクレオチド配列が、標的遺伝子のためのプロモーター配列の全部または一部を含む、請求項200−207のいずれか1項に記載の方法。
【請求項209】
前記標的ヌクレオチド配列が、標的遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む、請求項200−207のいずれか1項に記載の方法。
【請求項210】
標的ヌクレオチド配列が、標的細菌の生存に必要とされる必須遺伝子の少なくとも一部分を含む、請求項200−207のいずれか1項に記載の方法。
【請求項211】
前記標的細菌が、バクテリオファージの溶解活性およびCRISPR−Casシステムの活性との両方の組み合わせによって死滅させられる、請求項203−210のいずれか1項に記載の方法。
【請求項212】
前記CRISPR−Casシステムの活性が、バクテリオファージの溶解活性を補完または増強する、請求項211に記載の方法。
【請求項213】
前記標的細菌が、バクテリオファージの溶解活性とは独立して、CRISPR−Casシステムの活性によって死滅させられる、請求項203−210のいずれか1項に記載の方法。
【請求項214】
前記バクテリオファージの溶解活性および前記CRISPR−Casシステムの活性が、相乗的である、請求項203−210のいずれか1項に記載の方法。
【請求項215】
前記バクテリオファージの溶解活性、前記CRISPR−Casシステムの活性、またはその両方が、バクテリオファージの濃度によって調節される、請求項194−214のいずれか1項に記載の方法。
【請求項216】
医薬組成物であって:(a)溶原性遺伝子が除去、置換、または不活性化されている、溶原バクテリオファージ、および(b)薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項217】
錠剤、液体、シロップ、経口製剤、静脈内投与製剤、鼻腔内投与製剤、眼用製剤、耳用製剤、皮下注製剤、吸入性呼吸製剤、坐剤、およびそれらの任意の組み合わせの形態である、請求項216に記載の医薬組成物。
【請求項218】
対象のマイクロバイオームを調整する方法であって、請求項192−193または216−217のいずれか1つに記載の医薬組成物を対象に投与する工程を含む方法。
【請求項219】
前記細菌がシュードモナス属(Pseudomonas)である、請求項187−191に記載のいずれか1項に記載の方法。
【請求項220】
前記細菌がブドウ球菌(staphylococcus)である、請求項187−191に記載のいずれか1項に記載の方法。
【請求項221】
前記細菌がメチシリン耐性である、請求項187−191または219−220のいずれか1項に記載の方法。
【請求項222】
前記細菌がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(staphylococcus aureus)である、請求項187−191または221のいずれか1項に記載の方法。
【請求項223】
前記細菌が多剤耐性緑膿菌(Pseudomonas Aeruginosa)である、請求項187−191のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2018年5月4日に出願された米国仮出願第62/667,400号、2018年10月10日に出願された米国仮出願第62/743,740号、および2019年3月13日に出願された米国仮出願第62/818,066号の利益を主張し、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、標的細菌を死滅させるための方法である。いくつかの実施形態において、標的細菌を死滅させるための方法は、標的細菌中の標的遺伝子由来の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列、および標的細菌の溶解を誘導することができる遺伝子を含むバクテリオファージを標的細菌に導入する工程を含む。いくつかの実施形態において、標的細菌は、スペーサー配列またはそこから転写されたcrRNAを使用して、バクテリオファージの溶解活性、またはCRISPR−Casシステムの活性によって死滅させられる。いくつかの実施形態において、第1の核酸配列が、少なくとも1つの反復配列をさらに含むCRISPRアレイである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージが、CRISPR−Casシステムのための転写活性化因子をコードする第2の核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記遺伝子は内因性または外因性である。いくつかの実施形態において、転写活性化因子はクオラムセンシング(QS)シグナルによって制御される。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は細菌膜のストレスの感知に関与するタンパク質である。いくつかの実施形態において、ストレスの感知に関与するタンパク質は応答制御因子BaeSRである。いくつかの実施形態において、転写活性化因子はCasを安定させるタンパク質である。いくつかの実施形態において、Casを安定化するタンパク質は熱ショックタンパク質G(HtpG)である。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は代謝感知タンパク質である。いくつかの実施形態において、代謝感知タンパク質はcAMP受容体タンパク質(CRP)である。いくつかの実施形態において、CRPがサイクリックAMP(cAMP)に対して感受性である。いくつかの実施形態において、代謝感知タンパク質がシグマ因子である。いくつかの実施形態において、シグマ因子はRpoN(σ
54)である。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は阻害要素の活性を破壊する。阻害要素は熱安定性核様体構造化タンパク質(H−NS)、ロイシン応答性制御タンパク質(LRP)、またはCodYを含む。いくつかの実施形態において、阻害要素は転写リプレッサーである。いくつかの実施形態において、転写リプレッサーはグローバル転写リプレッサーである。いくつかの実施形態において、転写活性化因子はLeuOまたは配列番号1と少なくとも75%の配列相同性を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、転写活性化因子はCD2983または配列番号2と少なくとも75%の配列相同性を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムは標的細菌に対して内因性である。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムは標的細菌に対して外因性である。いくつかの実施形態において、CRISPR−CasシステムはI型CRISPR−Casシステム、II型CRISPR−Casシステム、またはIII型CRISPR−Casシステムである。いくつかの実施形態において、RISPR−CasシステムはI型CRISPR−Casシステムを含む。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は標的遺伝子のためのプロモーター配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は標的遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は標的細菌の生存に必要とされる必須遺伝子の少なくとも一部である。いくつかの実施形態において、必須遺伝子はTsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、またはnusGである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの反復配列はその5’末端またはその3’末端のいずれかでスペーサー配列に動作可能に連結されている。いくつかの実施形態において、標的細菌はバクテリオファージの溶解活性によってのみ死滅させられる。いくつかの実施形態において、標的細菌はCRISPR−Casシステムの活性によってのみ死滅させられる。いくつかの実施形態において、標的細菌はバクテリオファージの溶解活性とCRISPR−Casシステムの活性との両方の組み合わせによって死滅させられる。いくつかの実施形態において、標的細菌はバクテリオファージの溶解活性と独立して、CRISPR−Casシステムの活性によって死滅させられる。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムの活性はバクテリオファージの溶解活性を補完または増強する。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は第2のスペーサー配列と重複する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージの溶解活性およびCRISPR−Casシステムの活性は相乗的である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージの溶解活性、CRISPR−Casシステムの活性、またはその両方はバクテリオファージの濃度によって調節される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは複数の菌株に感染する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは偏性溶解性バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは溶解性にされた溶原バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはバクテリオファージの溶解活性および/またはCRISPR−Casアレイの活性によって引き起こされる細胞死を超えて、標的細菌にいかなる新しい特性も付与しない。いくつかの実施形態において、標的細菌はC.difficileである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはφCD146またはφCD24−2である。いくつかの実施形態において、標的細菌が大腸菌(E.coli)である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはT4、T7、またはT7mである。いくつかの実施形態において、スペーサー配列またはcrRNAをコードする第1の核酸は非必須バクテリオファージ遺伝子に挿入される。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子は、gp49、gp75、またはhocである。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子はgp0.7、gp4.3、gp4.5、またはgp4.7である。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子は、gp0.6、gp0.65、gp0.7、gp4.3、またはgp4.5である。
【0003】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるのは、標的細菌および非標的細菌を含む細菌の混合集団などにおいて(例えば、本明細書に記載されるような治療プロセスおよび/または環境処理プロセスにおいて)、複数の標的細菌を死滅させるための方法である。特定の実施形態において、標的細菌は、本明細書に記載の任意のプロセスに従って処理され(例えば、標的細菌を死滅させるために)、標的細菌の第1の集団は、バクテリオファージの溶解活性によって死滅させられ、標的細菌の第2の集団はスペーサー配列またはそこから転写されたcrRNAを使用するCRISPR−Casシステムの活性により死滅させられる(例えば、非標的細菌は死滅させられない)(例えば、標的細菌よりも低い比率で、例えば、50%の比率で、25%未満の比率、10%未満の比率、または20%未満の比率、10%未満の比率、5%未満の比率などで死滅させられる)。
【0004】
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、標的細菌におけるCRISPR−Casシステムの活性を調節するための方法である。いくつかの実施形態において、この方法は、標的細菌におけるCRISPR−Casシステムのための転写活性化因子をコードする核酸を含むバクテリオファージを導入する工程を含む。いくつかの実施形態において、転写活性化因子がクオラムセンシング(QS)シグナルによって制御される。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は細菌膜へのストレスの感知に関与するタンパク質である。いくつかの実施形態において、ストレスの感知に関与するタンパク質は応答制御因子BaeSRである。いくつかの実施形態において、転写活性化因子はCasを安定化するタンパク質である。いくつかの実施形態において、Casを安定化するタンパク質は熱ショックタンパク質G(HtpG)である。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は代謝感知タンパク質である。いくつかの実施形態において、代謝感知タンパク質はcAMP受容体タンパク質(CRP)である。いくつかの実施形態において、CRPはサイクリックAMP(cAMP)に対して感受性である。いくつかの実施形態において、代謝感知タンパク質はシグマ因子である。いくつかの実施形態において、上記シグマ因子はRpoN(σ
54)である。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は阻害要素の活性を破壊する。いくつかの実施形態において、阻害要素は熱安定性核様体構造化タンパク質(H−NS)、ロイシン応答性制御タンパク質(LRP)、またはCodYである。いくつかの実施形態において、阻害要素が転写リプレッサーである。いくつかの実施形態において、転写リプレッサーはグローバル転写リプレッサーである。いくつかの実施形態において、転写活性化因子はLeuOまたは配列番号1と少なくとも75%の配列相同性を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、転写活性化因子はCD2983または配列番号2と少なくとも75%の配列相同性を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムは標的細菌に対して内因性である。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムは標的細菌に対して外因性である。いくつかの実施形態において、CRISPR−CasシステムはI型CRISPR−Casシステム、II型CRISPR−Casシステム、またはIII型CRISPR−Casシステムである。いくつかの実施形態において、CRISPR−CasシステムはI型CRISPR−Casシステムである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは複数の菌株に感染する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは偏性溶解性バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは溶解性にされた溶原バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、標的細菌はC.difficileである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはφCD146またはφCD24−2である。いくつかの実施形態において、標的細菌は大腸菌(E.coli)である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはT4、T7、またはT7mである。いくつかの実施形態において、転写活性化因子をコードする核酸は非必須バクテリオファージ遺伝子に挿入される。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子はgp49である。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子はgp75である。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子はhocである。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子はgp0.7、gp4.3、gp4.5、またはgp4.7である。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子がgp0.6、gp0.65、gp0.7、gp4.3、またはgp4.5である。
【0005】
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、標的細菌を死滅させる方法である。この方法は、標的細菌に、溶解活性、および抗CRISPRポリペプチドをコードする第1の核酸配列を含むバクテリオファージを導入する工程を含む。特定の実施形態において、抗CRISPRポリペプチドはバクテリオファージの溶解活性を増強する(例えば、標的細菌がどれだけ速く死滅させられるかによって決定されるように)。いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドはCRISPR−Casシステムを不活性化する。いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドは遺伝子制御干渉を含むプロセスを使用して、CRISPR−Casシステムを不活性化する。いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドはヌクレアーゼ動員干渉を含むプロセスを使用して、CRISPR−Casシステムを不活性化する。いくつかの実施形態において、CRISPR−CasシステムはI型CRISPR−Casシステム、II型CRISPR−Casシステム、またはIII型CRISPR−Casシステムである。いくつかの実施形態において、CRISPR−CasシステムはI型CRISPR−Casシステムである。いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドはカスケードまたはカスケード様複合体に直接的または間接的に結合する。いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドは短縮型タンパク質、融合タンパク質、二量体タンパク質、または変異タンパク質である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはCRISPRアレイをコードする第2の核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイは少なくとも1つの反復配列および、標的細菌中の標的遺伝子由来の標的ヌクレオチド配列に相補的である、少なくとも1つのスペーサー配列を含む。特定の実施形態において、標的細菌を死滅させる方法が本明細書で開示される(例えば、標的細菌および非標的細菌を含む細菌の混合集団などにおいて)。この方法は、溶解活性、および
抗CRISPRポリペプチドをコードする第1の核酸配列を有するバクテリオファージを標的細菌に導入する工程を含む。特定の実施形態において、抗CRISPRポリペプチドはバクテリオファージの溶解活性を増強する(所定の時間で死滅させられる標的細菌の数によって測定されるように)。
【0006】
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、(例えば、標的)細菌中の(例えば、標的)遺伝子由来の(例えば、標的)ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列、またはそこから転写されたcrRNAをコードする第1の核酸、および(例えば、標的)細菌の溶解を誘導することができる遺伝子を含むバクテリオファージである。特定の実施形態において、標的細菌は、スペーサー配列またはそこから転写されたcrRNAを使用して、バクテリオファージの溶解活性、または、CRISPR−Casシステムの活性によって死滅させられる。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはさらに、CRISPR−Casシステムのための転写活性化因子をコードする第2の核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、転写活性化因子はクオラムセンシング(QS)シグナルによって制御される。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は細菌膜のストレスの感知に関与するタンパク質である。いくつかの実施形態において、タンパク質は応答制御因子BaeSRである。いくつかの実施形態において、転写活性化因子はCasを安定化するタンパク質である。いくつかの実施形態において、Casを安定化するタンパク質は熱ショックタンパク質G(HtpG)である。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は代謝感知タンパク質である。いくつかの実施形態において、代謝感知タンパク質はcAMP受容体タンパク質(CRP)である。いくつかの実施形態において、CRPはサイクリックAMP(cAMP)に対して感受性である。いくつかの実施形態において、代謝感知タンパク質はシグマ因子である。いくつかの実施形態において、シグマ因子はRpoN(σ
54)である。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は標的細菌の阻害要素の活性を破壊する。いくつかの実施形態において、阻害要素は熱安定性核様体構造化タンパク質(H−NS)、ロイシン応答性制御タンパク質(LRP)、またはCodYである。いくつかの実施形態において、阻害要素は転写リプレッサーである。いくつかの実施形態において、転写リプレッサーはグローバル転写リプレッサーである。いくつかの実施形態において、転写活性化因子はLeuOまたは配列番号1と少なくとも75%の配列相同性を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、転写活性化因子はCD2983または配列番号2と少なくとも75%の配列相同性を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムは標的細菌に対して内因性である。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムは標的細菌に対して外因性である。いくつかの実施形態において、CRISPR−CasシステムはI型CRISPR−Casシステム、II型CRISPR−Casシステム、またはIII型CRISPR−Casシステムである。いくつかの実施形態において、CRISPR−CasシステムはI型CRISPR−Casシステムである。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は標的遺伝子のためのプロモーター配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は標的遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は必須遺伝子にある。いくつかの実施形態において、必須遺伝子はTsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、またはnusGである。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は非必須遺伝子である。いくつかの実施形態において、第1の核酸配列は少なくとも1つの反復配列を含むCRISPRアレイである。少なくとも1つの反復配列はその5’末端またはその3’末端のいずれかでスペーサー配列に動作可能に連結されている。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの反復配列はその5’末端またはその3’末端のいずれかでスペーサー配列に動作可能に連結されている。いくつかの実施形態において、バクテリオファージが複数の菌株に感染する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは偏性溶解性バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは溶解性にされた溶原バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、溶原バクテリオファージは1以上の溶原性遺伝子の除去、置換、または不活性化によって溶解性にされている。いくつかの実施形態において、標的細菌はC.difficileである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはφCD146またはφCD24−2である。いくつかの実施形態において、標的細菌が大腸菌(E.coli)である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージがT4、T7、またはT7m。いくつかの実施形態において、スペーサー配列またはcrRNAをコードする第1の核酸は非必須遺伝子に挿入される。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子はgp49である。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子はgp75である。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子はhocである。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子がgp0.7、gp4.3、gp4.5、またはgp4.7である。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子がgp0.6、gp0.65、gp0.7、gp4.3、またはgp4.5である。本明細書でまた開示されるのは、いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージ、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。いくつかの実施形態において、この医薬組成物は、錠剤、液体、シロップ、経口製剤、静脈内投与製剤、鼻腔内投与製剤、眼用製剤、耳用製剤、皮下注製剤、吸入性呼吸製剤、坐剤、およびそれらの任意の組み合わせの形態である。本明細書でさらに開示されるのは、いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージを対象に投与する工程を含む、対象の疾患を治療する方法である。いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態において、疾患は細菌性感染症である。いくつかの実施形態において、細菌性感染症を引き起こす細菌はAcinetobacter種、Actinomyces種、Burkholderia cepacia複合体、Campylobacter種、Candida種、Clostridium difficile、Corynebacterium minutissium、Corynebacterium pseudodiphtheriae、Corynebacterium stratium、Corynebacteriumグループ Gl、Corynebacteriumグループ G2、Enterobacteriaceae、Enterococcus種、Escherichia coli、Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniae、Moraxella種、Mycobacterium tuberculosis複合体、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、非結核性mycobacteria種、Porphyromonas種、Prevotella melaninogenicus、Pseudomonas種、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Vibrio cholerae、Coccidioides種、Cryptococcus種、Helicobacter felis、Helicobacter pylori、Clostridium bolteae、およびこれらの任意の組合せである。いくつかの実施形態において、細菌は少なくとも1つの抗生物質に耐性の薬剤耐性細菌である。いくつかの実施形態において、細菌は少なくとも1つの抗生物質に耐性の多剤耐性細菌である。いくつかの実施形態において、細菌はシュードモナス属(Pseudomonas)である。いくつかの実施形態において、細菌はブドウ球菌(staphylococcus)である。いくつかの実施形態において、細菌は大腸菌(Escherichia coli)である。いくつかの実施形態において、細菌はClostridium difficileである。いくつかの実施形態において、細菌はメチシリン耐性である。いくつかの実施形態において、細菌はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(staphylococcus aureus)である。いくつかの実施形態において、細菌は多剤耐性緑膿菌(Pseudomonas Aeruginosa)である。いくつかの実施形態において、抗生物質には、セファロスポリン、フルオロキノロン、カルバペネム、コリスチン、アミノグリコシド、バンコマイシン、ストレプトマイシン、またはメチシリンが含まれる。いくつかの実施形態において、投与は、動脈内、静脈内、筋肉内、経口、皮下、局所的、吸入、膀胱内、またはこれらの任意の組み合わせである。
【0007】
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、(例えば、標的)細菌においてCRISPR−Casシステムのための転写活性化因子をコードする核酸を含むバクテリオファージである。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は細菌膜のストレスの感知に関与するタンパク質である。いくつかの実施形態において、ストレスの感知に関与するタンパク質は応答制御因子BaeSRである。いくつかの実施形態において、転写活性化因子が、Casを安定化するタンパク質である。いくつかの実施形態において、Casを安定化するタンパク質は熱ショックタンパク質G(HtpG)である。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は代謝感知タンパク質である。いくつかの実施形態において、代謝感知タンパク質はcAMP受容体タンパク質(CRP)である。いくつかの実施形態において、CRPがサイクリックAMP(cAMP)に対して感受性である。いくつかの実施形態において、代謝感知タンパク質はシグマ因子である。いくつかの実施形態において、シグマ因子はRpoN(σ54)である。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は標的細菌の阻害要素の活性を破壊する。いくつかの実施形態において、阻害要素は、熱安定性核様体構造化タンパク質(H−NS)、ロイシン応答性制御タンパク質(LRP)、またはCodYである。いくつかの実施形態において、阻害要素が転写リプレッサーである。いくつかの実施形態において、転写リプレッサーはグローバル転写リプレッサーである。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は、LeuOまたは配列番号1と少なくとも75%の配列相同性を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は、CD2983または配列番号2と少なくとも75%の配列相同性を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムは内因性である。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムは外因性である。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムは、I型CRISPR−Casシステム、II型CRISPR−Casシステム、またはIII型CRISPR−Casシステムである。いくつかの実施形態において、CRISPR−CasシステムはI型CRISPR−Casシステムである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは複数の菌株に感染する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは偏性溶解性バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、溶解性にされた溶原バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、標的細菌はC.difficileである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはφCD146またはφCD24−2である。いくつかの実施形態において、標的細菌は大腸菌(E.coli)である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはT4、T7、またはT7mである。いくつかの実施形態において、転写活性化因子をコードする核酸は非必須バクテリオファージ遺伝子に挿入される。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子はgp49である。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子がgp75である。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子がhocである。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子はgp0.7、gp4.3、gp4.5、またはgp4.7である。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子がgp0.6、gp0.65、gp0.7、gp4.3、またはgp4.5である。本明細書にまた開示されるのは、いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージ、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、錠剤、液体、シロップ、経口製剤、静脈内投与製剤、鼻腔内投与製剤、眼用製剤、耳用製剤、皮下注製剤、吸入性呼吸製剤、坐剤、およびそれらの任意の組み合わせの形態である。いくつかの実施形態において、本明細書にさらに開示されるのは、本発明のバクテリオファージを対象に投与する工程を含む、対象の疾患を治療する方法である。いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態において、疾患は細菌性感染症である。いくつかの実施形態において、細菌性感染症を引き起こす細菌は、Acinetobacter種、Actinomyces種、Burkholderia cepacia複合体、Campylobacter種、Candida種、Clostridium difficile、Corynebacterium minutissium、Corynebacterium pseudodiphtheriae、Corynebacterium stratium、Corynebacteriumグループ Gl、Corynebacteriumグループ G2、Enterobacteriaceae、Enterococcus種、Escherichia coli、Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniae、Moraxella種、Mycobacterium tuberculosis複合体、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、非結核性mycobacteria種、Porphyromonas種、Prevotella melaninogenicus、Pseudomonas種、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Vibrio cholerae、Coccidioides種、Cryptococcus種、Helicobacter felis、Helicobacter pylori、Clostridium bolteae、およびこれらの任意の組合せである。いくつかの実施形態において、細菌は少なくとも1つの抗生物質に耐性の薬剤耐性細菌である。いくつかの実施形態において、細菌は少なくとも1つの抗生物質に耐性の多剤耐性細菌である。いくつかの実施形態において、細菌がシュードモナス属(Pseudomonas)である。いくつかの実施形態において、細菌はブドウ球菌(staphylococcus)である。いくつかの実施形態において、細菌は大腸菌(Escherichia coli)である。いくつかの実施形態において、細菌はClostridium difficileである。いくつかの実施形態において、細菌はメチシリン耐性である。いくつかの実施形態において、細菌はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(staphylococcus aureus)である。いくつかの実施形態において、細菌は多剤耐性緑膿菌(Pseudomonas Aeruginosa)である。いくつかの実施形態において、抗生物質には、セファロスポリン、フルオロキノロン、カルバペネム、コリスチン、アミノグリコシド、バンコマイシン、ストレプトマイシン、またはメチシリンが含まれる。いくつかの実施形態において、投与は、動脈内、静脈内、筋肉内、経口、皮下、局所的、吸入、またはこれらの任意の組み合わせである。
【0008】
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、溶解活性、および抗CRISPRポリペプチドをコードする第1の核酸配列を含むバクテリオファージである。いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドはバクテリオファージの溶解活性を増強する。いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドはCRISPR−Casシステムを不活性化する。いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドが、遺伝子制御干渉を含むプロセスを使用して、CRISPR−Casシステムを不活性化する。いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドは、ヌクレアーゼ動員干渉を含むプロセスを使用して、CRISPR−Casシステムを不活性化する。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムは、I型CRISPR−Casシステム、II型CRISPR−Casシステム、またはIII型CRISPR−Casシステムである。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムは、I型CRISPR−Casシステムである。抗CRISPRポリペプチドが、カスケードまたはカスケード様複合体に直接的または間接的に結合する。いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドは、短縮型タンパク質、融合タンパク質、二量体タンパク質、または変異タンパク質である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージが、CRISPRアレイをコードする第2の核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイは、少なくとも1つの反復配列および、標的細菌中の標的遺伝子由来の標的ヌクレオチド配列に相補的である、少なくとも1つのスペーサー配列を含む。本明細書にまた開示されるのは、いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージ、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。いくつかの実施形態において、いくつかの実施形態において、この医薬組成物は、錠剤、液体、シロップ、経口製剤、静脈内投与製剤、鼻腔内投与製剤、眼用製剤、耳用製剤、
皮下注製剤、吸入性呼吸製剤、坐剤、およびそれらの任意の組み合わせの形態である。本明細書でさらに開示されるのは、いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージを対象に投与する工程を含む、対象の疾患を治療する方法である。いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態において、疾患は細菌性感染症である。いくつかの実施形態において、細菌性感染症を引き起こす細菌はAcinetobacter種、Actinomyces種、Burkholderia cepacia複合体、Campylobacter種、Candida種、Clostridium difficile、Corynebacterium minutissium、Corynebacterium pseudodiphtheriae、Corynebacterium stratium、Corynebacteriumグループ Gl、Corynebacteriumグループ G2、Enterobacteriaceae、Enterococcus種、Escherichia coli、Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniae、Moraxella種、Mycobacterium tuberculosis複合体、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、非結核性mycobacteria種、Porphyromonas種、Prevotella melaninogenicus、Pseudomonas種、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Vibrio cholerae、Coccidioides種、Cryptococcus種、Helicobacter felis、Helicobacter pylori、Clostridium bolteae、およびこれらの任意の組合せである。いくつかの実施形態において、細菌は少なくとも1つの抗生物質に耐性の薬剤耐性細菌である。いくつかの実施形態において、細菌は少なくとも1つの抗生物質に耐性の多剤耐性細菌である。いくつかの実施形態において、細菌はシュードモナス属(Pseudomonas)である。いくつかの実施形態において、細菌はブドウ球菌(staphylococcus)である。いくつかの実施形態において、細菌は大腸菌(Escherichia coli)である。いくつかの実施形態において、細菌はClostridium difficileである。いくつかの実施形態において、細菌はメチシリン耐性である。いくつかの実施形態において、細菌はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(staphylococcus aureus)である。いくつかの実施形態において、細菌は多剤耐性緑膿菌(Pseudomonas Aeruginosa)である。いくつかの実施形態において、抗生物質には、セファロスポリン、フルオロキノロン、カルバペネム、コリスチン、アミノグリコシド、バンコマイシン、ストレプトマイシン、またはメチシリンが含まれる。いくつかの実施形態において、投与は、動脈内、静脈内、筋肉内、経口、皮下、局所的、吸入、膀胱内、またはこれらの任意の組み合わせである。
【0009】
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、標的細菌を死滅させる方法であって、この方法は、溶原バクテリオファージを標的細菌に導入する工程を含み、ここで、溶原バクテリオファージの溶原性遺伝子が、除去、置換、または不活性化され、および前記溶原バクテリオファージが溶解性にされ、それによって標的細菌を死滅させる。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子はclファージリプレッサー遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは複数の菌株に感染する。いくつかの実施形態において、標的細菌はC.difficileである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージはφCD146またはφCD24−2である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、スペーサー配列、またはそこから転写されたcrRNAをコードする第1の核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、標的細菌中の標的遺伝子由来の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、第1の核酸配列は、少なくとも1つの反復配列をさらに含むCRISPRアレイである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの反復配列が、その5’末端またはその3’末端のいずれかでスペーサー配列に動作可能に連結されている。いくつかの実施形態において、バクテリオファージが、CRISPR−Casシステムのための転写活性化因子をコードする第2の核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、RISPR−Casシステムは、標的細菌に対して内因性である。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムは、標的細菌に対して外因性である。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムは、I型CRISPR−Casシステム、II型CRISPR−Casシステム、またはIII型CRISPR−Casシステムである。いくつかの実施形態において、CRISPR−CasシステムはI型CRISPR−Casシステムを含む。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、標的遺伝子のためのプロモーター配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、標的遺伝子の転写領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、標的細菌の生存に必要とされる必須遺伝子の少なくとも一部分を含む。いくつかの実施形態において、標的細菌は、バクテリオファージの溶解活性およびCRISPR−Casシステムの活性との両方の組み合わせによって死滅させられる。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムの活性は、バクテリオファージの溶解活性を補完または増強する。いくつかの実施形態において、標的細菌は、バクテリオファージの溶解活性とは独立して、CRISPR−Casシステムの活性によって死滅させられる。いくつかの実施形態において、バクテリオファージの溶解活性および前記CRISPR−Casシステムの活性は相乗的である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージの溶解活性、前記CRISPR−Casシステムの活性、またはその両方が、バクテリオファージの濃度によって調節される。
【0010】
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、(a)少なくとも1つの溶原性遺伝子が除去、置換、または不活性化されている、溶原バクテリオファージ、および(B)薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物である。いくつかの実施形態において、この医薬組成物は、錠剤、液体、シロップ、経口製剤、静脈内投与製剤、鼻腔内投与製剤、眼用製剤、耳用製剤、皮下注製剤、吸入性呼吸製剤、坐剤、およびそれらの任意の組み合わせの形態である。
【0011】
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、対象のマイクロバイオームを調整する方法であって、この方法は、本明細書に開示される医薬組成物を対象に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、マイクロバイオームの不均衡を処置する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示の特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。本開示の特徴および利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって得られる。
【
図1】CRISPRで増強されたバクテリオファージを操作するためのワークフロープロセスを例証する。
【
図2A】C.difficileの5つの株内からのCRISPR−Casシステムの線形配列の概略図と、さまざまなCRISPR−Cas構成要素の同定を示す。
【
図2B】C.difficile菌株630およびR20291のCRISPR−Casシステムオペロン構造の概略図をさらに例示する。
【
図3A】ネイティブの野生型バクテリオファージT7mまたは対応する操作されたcrファージT7mで処理した場合の大腸菌(E.coli)株BW25113の細胞集団の減少を例示する。天然の野生型バクテリオファージは、溶解活性による細菌死滅を示す。LeuOおよびftsA用のCRISPRアレイを含む対応するcrT7mは、野生型バクテリオファージT7mよりも細菌死滅活性がさらに5−log改善されていることを例示する。
【
図3B】ファージ送達とは独立して細菌に直接投与した場合のftsAに対するCRISPRアレイの致死性(7−logの減少)を例示する。
【
図4A】ネイティブの野生型バクテリオファージφCDl46または対応する操作されたcrファージφCDl46で処理した場合のC.difficile菌株R2029lの細胞集団の減少を例示する。天然の野生型バクテリオファージは、溶解活性による細菌の死滅を示しす。しかし、対応するcrファージφCDl46は、野生型バクテリオファージよりも殺菌活性がさらに1−log改善されていることを例示する。
【
図4B】ファージ送達とは独立して細菌に直接投与した場合のR20291−3に対するCRISPRアレイの致死性(3.5−logの減少)を例示する。
【
図5】野生型ファージφCD146による溶解に感受性でないC.difficile菌株069の細菌のローンを例示する。画像の左側でのファージプラークの欠如は、野生型ファージφCD146による死滅の欠如を示している。画像の右側でのcrファージφCDl46によるプラークの存在は、R20291−3を標的とするCRISPRアレイの活性による細菌死を例示する。
【
図6A】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Aは、C.difficile菌株043に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。C.difficileのさまざまな菌株の個体数の増加は、野生型またはCRISPRアレイを含むcrファージφCDl46のいずれかで処理後、600nmでの光学密度によって最大6時間モニターされた。
【
図6B】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Bは、C.difficile菌株051に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6C】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Cは、C.difficile菌株073に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6D】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Dは、C.difficile菌株093に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6E】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Eは、C.difficile菌株0180に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6F】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Fは、C.difficile菌株106に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6G】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Gは、C.difficile菌株128に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6H】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Hは、C.difficile菌株199に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6I】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Iは、C.difficile菌株111に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6J】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Jは、C.difficile菌株108に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6K】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Kは、C.difficile菌株25に対するcrファージφCD146の致死性を例示する。
【
図6L】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Lは、C.difficile菌株148に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6M】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Mは、C.difficile菌株154に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6N】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Nは、C.difficile菌株195に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6O】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Oは、C.difficile菌株FOBT195に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6P】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Pは、C.difficile菌株038に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6Q】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Qは、C.difficile菌株112に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6R】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Rは、C.difficile菌株196に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6S】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Sは、C.difficile菌株105に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6T】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Tは、C.difficile菌株UK1に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6U】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Uは、C.difficile菌株UK6に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図6V】
図6A−Vは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCDl46の致死性の増強を例示する。
図6Vは、C.difficile菌株BI−9に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図7A】
図7A−
図7Cは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCD24−2の致死性の増強を例示する。C.difficileのさまざまな菌株の個体数の増加は、野生型またはCRISPRアレイを含むcrファージφCD24−2のいずれかで処理した後、600nmでの光学密度によって最大6時間モニターされた。
図7Aは、C.difficile菌株041に対するcrファージφCDl46の致死性を例示する。
【
図7B】
図7A−
図7Cは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCD24−2の致死性の増強を例示する。C.difficileのさまざまな菌株の個体数の増加は、野生型またはCRISPRアレイを含むcrファージφCD24−2のいずれかで処理した後、600nmでの光学密度によって最大6時間モニターされた。
図7Bは、C.difficile菌株042に対するcrファージφCD146の致死性を例示する。
【
図7C】
図7A−
図7Cは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCD24−2の致死性の増強を例示する。C.difficileのさまざまな菌株の個体数の増加は、野生型またはCRISPRアレイを含むcrファージφCD24−2のいずれかで処理した後、600nmでの光学密度によって最大6時間モニターされた。
図7Cは、C.difficile菌株046に対するcrファージφCD146の致死性を例示する。
【
図8A】
図8A−
図8Eは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCD146の致死性の増強を例示する。C.difficileのさまざまな菌株の個体数の増加は、野生型またはCRISPRアレイを含むcrファージφCD146のいずれかで処理した後、最大6時間CFU低減アッセイを使用してモニターされた。CFU減少アッセイは、光学密度測定よりも定量感度の増強を提供する。
図8Aは、C.difficile菌株043に対するcrファージφCD146の致死性を例示する。
【
図8B】
図8A−
図8Eは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCD146の致死性の増強を例示する。C.difficileのさまざまな菌株の個体数の増加は、野生型またはCRISPRアレイを含むcrファージφCD146のいずれかで処理した後、最大6時間CFU低減アッセイを使用してモニターされた。CFU減少アッセイは、光学密度測定よりも定量感度の増強を提供する。
図8Bは、C.difficile菌株051に対するcrファージφCD146の致死性を例示する。
【
図8C】
図8A−
図8Eは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCD146の致死性の増強を例示する。C.difficileのさまざまな菌株の個体数の増加は、野生型またはCRISPRアレイを含むcrファージφCD146のいずれかで処理した後、最大6時間CFU低減アッセイを使用してモニターされた。CFU減少アッセイは、光学密度測定よりも定量感度の増強を提供する。
図8Cは、C.difficile菌株073に対するcrファージφCD146の致死性を例示する。
【
図8D】
図8A−
図8Eは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCD146の致死性の増強を例示する。C.difficileのさまざまな菌株の個体数の増加は、野生型またはCRISPRアレイを含むcrファージφCD146のいずれかで処理した後、最大6時間CFU低減アッセイを使用してモニターされた。CFU減少アッセイは、光学密度測定よりも定量感度の増強を提供する。
図8Dは、C.difficile菌株093に対するcrファージφCD146の致死性を例示する。
【
図8E】
図8A−
図8Eは、C.difficileのさまざまな菌株に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCD146の致死性の増強を例示する。C.difficileのさまざまな菌株の個体数の増加は、野生型またはCRISPRアレイを含むcrファージφCD146のいずれかで処理した後、最大6時間CFU低減アッセイを使用してモニターされた。CFU減少アッセイは、光学密度測定よりも定量感度の増強を提供する。
図8Eは、C.difficile菌株R20291に対するcrファージφCD146の致死性を例示する。
【
図9】C.difficile菌株F19に対する野生型バクテリオファージと比較したcrファージφCD24−2の致死性の増強を例示する。C.difficile菌株CD19の個体数の増加は、野生型またはCRISPRアレイを含むcrファージφCD24−2のいずれかで処理した後、最大6時間CFU減少アッセイを使用してモニターした。CFU減少アッセイの使用は、光学密度測定を超えて定量的感度の増加を提供する。
【
図10】C.difficile菌株043に対してテストされたcrファージφCD146とcrファージφCD24−2の組み合わせ比較を例示する。crファージφCD146およびcrファージφCD24−2抗菌活性のCFUアッセイを、各crファージについて個別に、および一緒に投与した場合に実施した。同時投与は、両方の野生型ファージを一緒に組み合わせた処理と比較して、死滅効果の改善を示した。
【
図11】crファージφCD146の死滅活性は、R20291−3を標的とするCRISPRアレイを用いて、広い範囲のウイルス力値MOIにわたって、野生型ファージの致死性を一貫して上回っていることを例示する。
【
図12A】
図12A−
図12Bは、crRNAによって標的とされる独立した遺伝子の数の関数として、標的部位の変異に起因して時間の経過とともに出現する耐性クローンの数を予測するインシリコモデルを例示する。これらのモデルは、(1)突然変異率が遺伝子標的に依存しないこと、および(2)crRNAの32塩基すべてが活性のために一致することという非常に保存的な仮定を前提としている。2つのタイプの感染がモデル化され、
図12Aに示すように6時間ごとに2倍になることによって合計負荷が10
10CFUに上昇する急性感染、または
図12Bに示すように20分ごとに2倍になることで合計負荷が10
14CFUになる攻撃的な感染である。両方のモデルは、3つの独立した遺伝子標的が感染期間28日までの突然変異の逃避を防ぐために十分であることを例示する。
【
図12B】
図12A−
図12Bは、crRNAによって標的とされる独立した遺伝子の数の関数として、標的部位の変異に起因して時間の経過とともに出現する耐性クローンの数を予測するインシリコモデルを例示する。これらのモデルは、(1)突然変異率が遺伝子標的に依存しないこと、および(2)crRNAの32塩基すべてが活性のために一致することという非常に保存的な仮定を前提としている。2つのタイプの感染がモデル化され、
図12Aに示すように6時間ごとに2倍になることによって合計負荷が10
10CFUに上昇する急性感染、または
図12Bに示すように20分ごとに2倍になることで合計負荷が10
14CFUになる攻撃的な感染である。両方のモデルは、3つの独立した遺伝子標的が感染期間28日までの突然変異の逃避を防ぐために十分であることを例示する。
【
図13】大腸菌(E.coli)ゲノムの保存領域を標的にした一連の個々のタイプI−E crRNAの菌株カバレッジを例示する。crRNAアレイ標的には、菌株カバレッジの割合が高いものから低いものの順に次の遺伝子が含まれる。Tsf(l00%)、acpP(99%)、gapA(99%)、infA(99%)、secY(99%)、secY’2(99%)、csrA(99%)、trmD(99%)、ftsA(99%)、nusG(99%)、fusA’2(99%)、fusA(98%)、glyQ(98%)、eno(95%)、gapA’2(91%)、eno’2(89%)、およびnusG’2(73%)。
【
図14】は、大腸菌ゲノムの保存領域を標的としたスペーサーを備えた一連の個々のタイプI−E crRNAの機能的致死性評価を例示する。crRNA標的には、acpP、csrA、eno、fusA、gapA、glyQ、infA、nusG、secY、trmD、およびTsfの遺伝子が含まれる。
【
図15】は、転写活性化因子LeuOおよびCRISPRアレイをコードする同一のDNA配列を含む3つの異なる偏性溶解性バクテリオファージのカクテルとして開発された大腸菌に対する3つの改変されたCRISPR増強バクテリオファージの概略図を例証する。3つの操作されたLeuO増強バクテリオファージには、crT4、crT7、及びcrT7mが含まれる。
【
図16A】大腸菌における標準的なタイプI−E又はタイプI−F CRISPR−Casシステムの相対的な普及率と分布を例示する。公的に入手可能な625の大腸菌ゲノムが分析され、これは、尿路病原性大腸菌(UPEC)、志賀毒素産生性大腸菌、(STEC)、Ol57:IT7血清型大腸菌、下痢原性大腸菌(DEC)、非157O抗原型大腸菌、および腸内病原性大腸菌(EPEC)を含む多様な菌株にまたがっている。
【
図16B】
図16Aでテストされたすべての菌株の約78%(487/625)がタイプI−EまたはタイプI−Fのいずれかの完全なCRISPR−Cas3システムを有していることを例示する。
【
図17】は、CRISPR媒介致死性についてのLeuO発現への依存性をテストするように設計された検証済みのftsAスペーサー配列を使用する、LeuO増強CRISPRアレイ構築物の非溶解性M13由来ファージミド送達を例示する。LeuO増強ファージミドベクターの致死性は、野生型H−NS抑制大腸菌タイプIE CRISPR−Cas3オペロン、CRISPR−Cas3オペロン中にH−NS抑制モチーフを欠くBW25113−誘導体(Δhns)、過剰発現されたCRISPR−Cas3オペロンを含むBW25113−誘導体(BW+Cas)、およびCas3遺伝子を欠くBW25113−誘導体(BWΔCas)を含む、親EMG2を含む一連の菌株へのM13バクテリオファージの形質導入によってテストされた。
【
図18A】
図18A−Cは、野生型バリアントと比較して、転写活性化因子LeuOとCRISPRアレイを含む3つのLeuO増強crファージ(
図18A−crT7m、
図18B−crT4、および
図18C−crT7)についての致死性動態の改善を例示する。標的大腸菌は、増殖培地中で、各ファージについて示された感染多重度(ファージ対細菌の比率)で、それぞれ、crT7m、crT4、およびcrT7について2時間または5時間インキュベートされた。3つのcrファージすべてでCFUの減少に有意差が観察された。
【
図18B】
図18A−Cは、野生型バリアントと比較して、転写活性化因子LeuOとCRISPRアレイを含む3つのLeuO増強crファージ(
図18A−crT7m、
図18B−crT4、および
図18C−crT7)についての致死性動態の改善を例示する。標的大腸菌は、増殖培地中で、各ファージについて示された感染多重度(ファージ対細菌の比率)で、それぞれ、crT7m、crT4、およびcrT7について2時間または5時間インキュベートされた。3つのcrファージすべてでCFUの減少に有意差が観察された。
【
図18C】
図18A−Cは、野生型バリアントと比較して、転写活性化因子LeuOとCRISPRアレイを含む3つのLeuO増強crファージ(
図18A−crT7m、
図18B−crT4、および
図18C−crT7)についての致死性動態の改善を例示する。標的大腸菌は、増殖培地中で、各ファージについて示された感染多重度(ファージ対細菌の比率)で、それぞれ、crT7m、crT4、およびcrT7について2時間または5時間インキュベートされた。3つのcrファージすべてでCFUの減少に有意差が観察された。
【
図19】
図19A−Eは、各crファージまたはcrファージカクテルについて、大腸菌株MG1655に対する、LeuOで増強されたcrファージ crT4、crT7、およびcrT7mについての用量反応インビトロ死滅曲線、およびその結果生じる集団の変化を光学密度によって測定したことを例示する。大腸菌は対数増殖期中期まで増殖させ、感染多重度(MOI;ファージ対細菌の比率)で次のように処理した。
図19A、crT7は、0.0001、0.01、および1.0のMOIでインキュベートされた。
図19B、crT7mは0.0009、0.09、および9.0のMOIでインキュベートされた。
図19C、crT4は0.0006、0.06、および6.0のMOIでインキュベートされた。
図19Dに示すように、各ファージは等量混合してcrファージカクテル(「カクテル」)を作製し、0.0006、0.06、および6.0のMOI(各crファージ)でインキュベートした。
図19Eは、
図19Dの拡大グラフである。
【
図20】LeuOで増強されたcrファージの濃度と、得られる大腸菌(E.coli)MG1655の溶解までの時間との間に観察された用量依存的な関係を例示する。大腸菌を対数増殖期中期まで増殖させ、各crファージに示されているような感染多重度(MOI;ファージ対細菌の比率)で処理した。テストした3つのcrファージのすべてで、MOIが1.0を超えると、溶解までの時間が最速になり、おそらく各ファージの溶解期間によって制限されていた。各ファージで観察された溶解までの時間は、crT7mおよびcrT7で約15−20分、crT4の場合は約45−50分であった。
【
図21】
図21A−
図21Gは、3つのLeuO増強crファージ crT4、crT7、およびcrT7mのインビボ認容性の投与パラメーターの概略タイムライン表現を例示する。
図21B−
図21Gに示すように、獣医の観察中に明白な毒性は観察されず、各crファージ製剤の投与後に体温または体重の測定可能な変化は認められなかった。
図21Bと
図21Eは、それぞれ投与後のcrT7の体温と体重を例示する。
図21Cと
図21Fは、それぞれ投与後のcrT7Mの体温と体重を例示する。
図21Dと
図21Gは、それぞれ投与後のcrT4の体温と体重を例示する。
【
図22】
図22A−
図22Dは、LeuOで増強されたcrファージを使用した大腸菌(E.coli)を使用したマウスのインビボ腹膜炎モデルの治療パラメーターの概略タイムライン表現と結果を例示する。雌性CD−1マウスに致死量の大腸菌(〜5×l0
7CFU/ATCC8739のマウス)を腹腔内注射した後、30分以内に生理食塩水またはcrファージを腹腔内注射した。crファージの単回投与(2.0×10
11PFU/用量のcrT7(
図22B)、3.7×l0
9PFU/用量のcrT7m(
図22C)または6.0×l0
8PFU/用量のcrT4(
図22D))は、有意な保護をもたらした。
【
図23】
図23A−
図23Eは、細菌の生物負荷減少への影響と結果をモニターするために、LeuO増強crファージで処理された大腸菌を使用したマウスのインビボ大腿部感染モデルについての処理パラメーターの概略タイムライン表現を例示する。マウスに、4.0×10
11PFU/用量のcrT7、2.0×10
11PFU/用量のcrT7M、2.0×l0
10PFU/用量のcrT4、または1.0×l0
10PFU/用量の各ファージを含むカクテルの対応する用量の、示されたcrファージまたはcrファージカクテルを筋肉内注射する30分前に、大腿部への筋肉内注射によって、10
5CFUの大腸菌(E.coli)MG1655を接種した。各crファージを注射した後、示された時点で大腿部の筋肉全体を切除し、ホモジナイズし、すぐに希釈してプレーティングし、組織1グラムあたりの生存細菌コロニーをカウントした。CFUの減少は、crT4(
図23C)で約2−log、crT7M(
図23D)で3−log、およびcrT7(
図23B)と組み合わせたcrファージカクテル(
図23E)の両方で>5−logと測定された。
【
図24】LeuOで増強されたcrファージのインビボでの持続性と分布を例示する。雌性CD−1マウスは、膀胱への直接的な尿道内注入によって、約1.0×10
9PFU/用量/ファージのcrT7/crT7mカクテルで処理した。接種後0、0.5、1、6、12、24および72時間の時点で、各時点で3匹のマウスを屠殺し、収集した膀胱、腎臓、血液、肝臓、および脾臓の全組織ホモジネートを希釈し、ファージ滴定分析に供して、crT7とcrT7mの全体の合計量を定量化した。活性crファージの存在は、投与後72時間まで検出された。crファージレベルは膀胱で時間とともに減少し、腎臓、肝臓、血液、および脾臓では72時間までに検出できなかった。腎臓で有意なファージ力価が観察され、尿道内投与経路は場合によっては、下部および上部尿路での曝露をもたらすことを示唆している。また、ファージ力価は血液、肝臓、脾臓の組織で検出され、crファージが尿路上皮を通過することによって循環に入っているように見えることを示す。
【
図25】
図25A−
図25Cは、PFUアッセイの代わりに定量的PCR検出を使用した、
図24に見られるものと同様のLeuO増強crファージの小規模なインビボ持続性および分布研究を例示する。各crT7、crT7mおよびcrT4の合計2.7×10
9PFUの単回投与を強制経口投与した。処理したマウスを屠殺し、全組織ホモジネートから全DNAを抽出し、qPCR分析を行って、存在するcrT7(
図25A)、crT4(
図25B)、またはcrT7m(
図25C)の量を定量化した。
【
図26A】
図26A−
図26Bは、溶原性形成率の減少と、cIノックアウトバクテリオファージで処理された生存CD19細胞の減少を例示する。
図26Aは、WT CD24−2で処理されたCD19細胞と比較して、ΔcI CD24−2で処理された場合の生存可能なCD19細胞の減少を例示する。
【
図26B】
図26A−
図26Bは、溶原性形成率の減少と、cIノックアウトバクテリオファージで処理された生存CD19細胞の減少を例示する。
図26Bは、WT CD24−2で処理されたCD19細胞と比較して、ΔcI CD24−2で処理された生存しているCD19細胞におけるパーセント溶原菌の減少を例示する。
【
図27A】
図27A−
図27Bは、野生型ファージ(wtファージ)、crファージおよびシプロフロキサシンの静脈内送達(
図27A)または局所送達(
図27B)を介する膀胱内のCFU減少の比較を示す。結果は、wtファージと比較してcrファージによるCFU削減の改善を例示する。
【
図27B】
図27A−
図27Bは、野生型ファージ(wtファージ)、crファージおよびシプロフロキサシンの静脈内送達(
図27A)または局所送達(
図27B)を介する膀胱内のCFU減少の比較を示す。結果は、wtファージと比較してcrファージによるCFU削減の改善を例示する。
【
図29】静脈内(IV)、尿道内(IU)、またはIVとIUの同時送達を介して、WTと人工カクテルを比較した研究グレードの材料を用いたUTI有効性研究の概略図を示す。
【
図30A】
図30A−
図30Dは、尿路内(IU)または静脈内(IV)投与後の膀胱(
図30Aおよび
図30B)および腎臓(
図30Cおよび
図30D)における大腸菌の減少を実証するUTI有効性研究を例示する。
図30Aおよび
図30Cでは、感染の54時間後に測定が行われた。
図30Bおよび
図30Dでは、感染の102時間後に測定が行われた。結果は、crファージカクテルが膀胱内にて120時間でwtファージカクテルよりも1.5から3.5−log改善された死滅を有することを例示する。結果はまた、送達経路に関係なく、120時間でcrファージカクテルが膀胱内のシプロフロキサシンと同等に機能することを例示する。
【
図30B】
図30A−
図30Dは、尿路内(IU)または静脈内(IV)投与後の膀胱(
図30Aおよび
図30B)および腎臓(
図30Cおよび
図30D)における大腸菌の減少を実証するUTI有効性研究を例示する。
図30Aおよび
図30Cでは、感染の54時間後に測定が行われた。
図30Bおよび
図30Dでは、感染の102時間後に測定が行われた。結果は、crファージカクテルが膀胱内にて120時間でwtファージカクテルよりも1.5から3.5−log改善された死滅を有することを例示する。結果はまた、送達経路に関係なく、120時間でcrファージカクテルが膀胱内のシプロフロキサシンと同等に機能することを例示する。
【
図30C】
図30A−
図30Dは、尿路内(IU)または静脈内(IV)投与後の膀胱(
図30Aおよび
図30B)および腎臓(
図30Cおよび
図30D)における大腸菌の減少を実証するUTI有効性研究を例示する。
図30Aおよび
図30Cでは、感染の54時間後に測定が行われた。
図30Bおよび
図30Dでは、感染の102時間後に測定が行われた。結果は、crファージカクテルが膀胱内にて120時間でwtファージカクテルよりも1.5から3.5−log改善された死滅を有することを例示する。結果はまた、送達経路に関係なく、120時間でcrファージカクテルが膀胱内のシプロフロキサシンと同等に機能することを例示する。
【
図30D】
図30A−
図30Dは、尿路内(IU)または静脈内(IV)投与後の膀胱(
図30Aおよび
図30B)および腎臓(
図30Cおよび
図30D)における大腸菌の減少を実証するUTI有効性研究を例示する。
図30Aおよび
図30Cでは、感染の54時間後に測定が行われた。
図30Bおよび
図30Dでは、感染の102時間後に測定が行われた。結果は、crファージカクテルが膀胱内にて120時間でwtファージカクテルよりも1.5から3.5−log改善された死滅を有することを例示する。結果はまた、送達経路に関係なく、120時間でcrファージカクテルが膀胱内のシプロフロキサシンと同等に機能することを例示する。
【
図32】静脈内(IV)、尿道内(IU)、またはIVとIUの同時送達を介して、WTと人工カクテルを比較した研究グレードの材料を用いた例示的なUTI有効性研究の概略図を例示する。
【
図33A】
図33A−
図33Dは、crファージカクテルのIV投与が有効性のために高用量を必要とする一方で、IU送達は低用量でさえも効果的であり、高用量のcrファージはシプロフロキサシンよりも優れていることを例示する。
図33A(膀胱)と
図33C(腎臓)のCFUは、感染後54時間で分析される。
図33B(膀胱)と
図33D(腎臓)のCFUは、感染の102時間後に分析される。
【
図33B】
図33A−
図33Dは、crファージカクテルのIV投与が有効性のために高用量を必要とする一方で、IU送達は低用量でさえも効果的であり、高用量のcrファージはシプロフロキサシンよりも優れていることを例示する。
図33A(膀胱)と
図33C(腎臓)のCFUは、感染後54時間で分析される。
図33B(膀胱)と
図33D(腎臓)のCFUは、感染の102時間後に分析される。
【
図33C】
図33A−
図33Dは、crファージカクテルのIV投与が有効性のために高用量を必要とする一方で、IU送達は低用量でさえも効果的であり、高用量のcrファージはシプロフロキサシンよりも優れていることを例示する。
図33A(膀胱)と
図33C(腎臓)のCFUは、感染後54時間で分析される。
図33B(膀胱)と
図33D(腎臓)のCFUは、感染の102時間後に分析される。
【
図33D】
図33A−
図33Dは、crファージカクテルのIV投与が有効性のために高用量を必要とする一方で、IU送達は低用量でさえも効果的であり、高用量のcrファージはシプロフロキサシンよりも優れていることを例示する。
図33A(膀胱)と
図33C(腎臓)のCFUは、感染後54時間で分析される。
図33B(膀胱)と
図33D(腎臓)のCFUは、感染の102時間後に分析される。
【
図34A】尿路の再発性および無症候性の大腸菌(E.coli)コロニー形成を伴う成人で実施された例示的なヒト研究の概略図である。
【
図34B】UTIフェーズ1b研究の例示的な研究参加者の包含および除外基準である。
【
図35A】
図35A−
図35Fは、人工ファージ(p33sおよびp33s−6)はタイプIEとタイプIFの両方の大腸菌(E.coli)株に対する死滅の増加を示していることを例示する。
【
図35B】
図35A−
図35Fは、人工ファージ(p33sおよびp33s−6)はタイプIEとタイプIFの両方の大腸菌(E.coli)株に対する死滅の増加を示していることを例示する。
【
図35C】
図35A−
図35Fは、人工ファージ(p33sおよびp33s−6)はタイプIEとタイプIFの両方の大腸菌(E.coli)株に対する死滅の増加を示していることを例示する。
【
図35D】
図35A−
図35Fは、人工ファージ(p33sおよびp33s−6)はタイプIEとタイプIFの両方の大腸菌(E.coli)株に対する死滅の増加を示していることを例示する。
【
図35E】
図35A−
図35Fは、人工ファージ(p33sおよびp33s−6)はタイプIEとタイプIFの両方の大腸菌(E.coli)株に対する死滅の増加を示していることを例示する。
【
図35F】
図35A−
図35Fは、人工ファージ(p33sおよびp33s−6)はタイプIEとタイプIFの両方の大腸菌(E.coli)株に対する死滅の増加を示していることを例示する。
【
図36A】
図36A−
図36Fは、人工ファージ(CRISPRファージcrp0046)はタイプIEとタイプIFの両方の大腸菌(E.coli)株に対する死滅の増加を示していることを例示する。
【
図36B】
図36A−
図36Fは、人工ファージ(CRISPRファージcrp0046)はタイプIEとタイプIFの両方の大腸菌(E.coli)株に対する死滅の増加を示していることを例示する。
【
図36C】
図36A−
図36Fは、人工ファージ(CRISPRファージcrp0046)はタイプIEとタイプIFの両方の大腸菌(E.coli)株に対する死滅の増加を示していることを例示する。
【
図36D】
図36A−
図36Fは、人工ファージ(CRISPRファージcrp0046)はタイプIEとタイプIFの両方の大腸菌(E.coli)株に対する死滅の増加を示していることを例示する。
【
図36E】
図36A−
図36Fは、人工ファージ(CRISPRファージcrp0046)はタイプIEとタイプIFの両方の大腸菌(E.coli)株に対する死滅の増加を示していることを例示する。
【
図36F】
図36A−
図36Fは、人工ファージ(CRISPRファージcrp0046)はタイプIEとタイプIFの両方の大腸菌(E.coli)株に対する死滅の増加を示していることを例示する。
【
図37A】
図37A−
図37Cは、ファージカクテルの切り替えが大腸菌(E.coli)の標的細菌耐性を克服することを例示する。
【
図37B】
図37A−
図37Cは、ファージカクテルの切り替えが大腸菌(E.coli)の標的細菌耐性を克服することを例示する。
【
図37C】
図37A−
図37Cは、ファージカクテルの切り替えが大腸菌(E.coli)の標的細菌耐性を克服することを例示する。
【
図38A】
図38A−
図38Bは、野生型ファージPB1およびCRISPRで増強されたPB1(cr−PB1)の緑膿菌(P.aeruginosa)株に対する比較を例示する。
【
図38B】
図38A−
図38Bは、野生型ファージPB1およびCRISPRで増強されたPB1(cr−PB1)の緑膿菌(P.aeruginosa)株に対する比較を例示する。
【
図39A】
図39A−
図39Bは、I型CRISPR−Casシステムによる大腸菌(E.coli)および緑膿菌(P.aeruginosa)でのプラスミドベースの死滅を例示する。
【
図39B】
図39A−
図39Bは、I型CRISPR−Casシステムによる大腸菌(E.coli)および緑膿菌(P.aeruginosa)でのプラスミドベースの死滅を例示する。
【0013】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書の開示の説明で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、開示を限定することを意図するものではない。
【0014】
文脈が別段の指示をしない限り、本明細書に記載の本開示の様々な特徴を任意の組み合わせで使用できることが特に意図されている。さらに、本開示はまた、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の特徴または特徴の組み合わせが除外または省略されることを企図する。例証するために、組成物が成分A、BおよびCを含むと明細書が述べている場合、A、BまたはCのいずれか、またはそれらの組み合わせは省略され、単独でまたは任意の組み合わせで免責される。
【0015】
当業者は、文献における一貫性の欠如およびそのような用語を統一するための当技術分野における継続的な努力のために、様々なCRISPR−Casシステムおよびそれらの構成要素を指定する用語の互換性を理解するであろう。同様に、当業者はまた、文献における一貫性の欠如およびそのような用語を統一するための当該技術分野における継続的な努力のために、様々な抗CRISPRタンパク質を指定する用語の互換性を理解するであろう。
【0016】
説明および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。また、本明細書で使用される場合、「および/または」は、関連するリストされた項目の1つまたは複数のありとあらゆる可能な組み合わせ、ならびに代替で解釈される場合(「または」)の組み合わせの欠如を指し、および包含する。
【0017】
投与量または期間などの測定可能な値を指すときに本明細書で使用される「約」という用語は、指定量の±20%、±10%、±5%、±1%、+0.5%、または±0.1%さえの変動を指す。本明細書で使用される場合、「XとYの間」および「約XとYの間」などの句は、XとYを含むと解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「約XとYの間」などの句は、「約Xと約Yの間」を意味し、「約XからY」などの句は、「約Xから約Y」を意味する。
【0018】
本明細書で使用される「含む」、「包含する」、および「含むこと」、「含有する」、「含有すること」、「有する」および「有すること」という用語は、述べられた特徴、工程、操作、要素、および/またはコンポーネント。ただし、1つまたは複数の他の機能、ステップ、操作、要素、コンポーネント、および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではない。
【0019】
本明細書で使用される場合、「から本質的になる」という移行句は、特許請求の範囲は特許請求の範囲に列挙された特定の材料または工程、および特許請求された開示の基本的および新規の特徴に実質的に影響を及ぼさないものを包含すると解釈されることを意味する。したがって、本開示の請求項で使用される場合の「から本質的になる」という用語は、「含む」と同等であると解釈されることを意図するものではない。
【0020】
本明細書で使用される「からなる(consists of)」および「からなること(consisting of)」という用語は、他に直接述べられていない任意の特色、工程、操作、要素、および/またはコンポーネントを除外する。「からなる(consisting of)」の使用は、その節に記載されている機能、ステップ、操作、要素、および/またはコンポーネントのみを制限し、他の特色、工程、操作、要素、および/またはコンポーネントをその請求項から全体として除外する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「キメラ」とは、少なくとも2つの成分が異なる供給源(例えば、異なる生物、異なるコード領域)に由来する核酸分子またはポリペプチドを指す。
【0022】
本明細書で使用される「相補」は、比較ヌクレオチド配列との100%の相補性または同一性を意味するか、または100%未満の相補性(例えば、約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%などの相補性)を意味する。相補または相補的はまた、変異に対して「相補性」まであるか、または変異を「相補すること」の観点から使用され得る。
【0023】
本明細書で使用される「相補」または「相補性」という用語は、塩基対形成による許容塩および温度条件下でのポリヌクレオチドの自然な結合を指す。例えば、配列「A−G−T」は相補配列「T−C−A」に結合する。2つの一本鎖分子間の相補性は「部分的」であり、ヌクレオチドの一部のみが結合するか、一本鎖分子間に完全な相補性が存在する場合に完全になる。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度に有意な影響を及ぼす。
【0024】
本明細書で使用される場合、「遺伝子」という用語は、mRNA、tRNA、rRNA、miRNA、抗マイクロRNA、調節RNAなどを生成するために使用することができる核酸分子を指す。遺伝子は、機能的なタンパク質または遺伝子産物を生産するために使用できる場合とできない場合がある。遺伝子には、コーディング領域と非コーディング領域の両方が含まれる(例えば、イントロン、調節エレメント、プロモーター、エンハンサー、終結配列、および/または5’および3’非翻訳領域)。遺伝子は「単離された」ものであり、それは、その天然状態の核酸に関連して通常見出される成分を実質的または本質的に含まない核酸を意味する。そのような成分には、他の細胞材料、組換え生産からの培養培地、および/または核酸を化学的に合成するのに使用される様々な化学物質が含まれる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「標的ヌクレオチド配列」は、組換えCRISPRアレイのスペーサー配列に相補的である標的遺伝子の部分を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、「標的DNA」、「標的ヌクレオチド配列」、「標的領域」、または「ゲノム中の標的領域」は、生物のゲノムの領域を指し、(例えば、少なくとも70%相補的(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)CRISPRアレイのスペーサー配列に完全に相補的または実質的に相補的である。いくつかの実施形態において、標的領域は、生物のゲノム中のPAM配列(標的領域のすぐ3’に位置するPAM配列)に直接隣接して位置する長さ約10から約40ヌクレオチドの連続である。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、PAM(プロトスペーサー隣接モチーフ)に隣接して位置するか、またはそれに隣接する。PAMは特定のCRISPR−Casシステムに固有であることがよくあると同時に、PAM配列は適切な方法で決定される。したがって、例えば、実験的アプローチは、すべての可能なヌクレオチド配列に隣接する配列を標的化すること、および標的DNAのインビトロ切断または標的プラスミドDNAの形質転換などを介して標的化を受けない配列メンバーを同定することを含む。いくつかの実施形態において、計算アプローチは、バクテリオファージまたはプラスミド中の元の標的DNA配列を同定するために天然スペーサーのBLAST検索を実行し、そしてこれらの配列を整列させて標的配列に隣接する保存配列を決定することを含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、「プロトスペーサー隣接モチーフ」または「PAM」という用語は、ガイドRNAスペーサーに一致する配列に隣接する標的DNA分子上に存在するDNA配列を指す。このモチーフは、スペーサー配列がその領域に相補的である結果として結合する領域の隣の標的遺伝子に見られ、スペーサーヌクレオチド配列との塩基対形成が始まる点を特定する。タイプIシステムの場合、PAMはスペーサーに一致する配列のすぐ5’に位置し、したがってスペーサーヌクレオチド配列と塩基対を形成する配列の3’に位置する。PAMの非限定的な例には、CCA、CCT、CCG、CCT、CCA、TTC、AAG、AGG、ATG、GAG、および/またはCCが含まれる。タイプIシステムの場合、PAMはカスケードによって直接認識される。必要な正確なPAM配列は、CRISPR−Casシステムごとに異なり、確立されたバイオインフォマティクスと実験手順によって特定される。プロトスペーサーが認識されると、カスケードは一般にエンドヌクレアーゼCas3を誘導し、これが標的DNAを切断して分解する。
【0028】
タイプIIシステムの場合、Cas9/sgRNAがRループを形成して、ガイドRNAとゲノムのワトソンクリックペアリングを介して特定のDNA配列を調べるには、PAMが必要である。PAMの特異性は、Cas9タンパク質のDNA結合特異性の関数である(例えば、Cas9のC末端にあるプロトスペーサー隣接モチーフ認識ドメイン)。
【0029】
ここで使用されているように、タイプIクラスター化された規則的に間隔を空けた短いパリンドロームリピート(CRISPR)−抗ウイルス防御のための関連複合体(Cascade)は、pre−crRNAのプロセシングとそれに続くI型の標的DNA CRISPR−Casシステムへの結合に関与するポリペプチドの複合体を指する。これらのポリペプチドには、I型サブタイプ1−A、l−B、l−C、l−D、l−Eおよびl−Fのカスケードポリペプチドが含まれるはこれらに限定されない。I型−Aポリペプチドの非限定的な例には、Cas7(Csa2)、Cas8al(Csxl3)、Cas8a2(Csx9)、Cas5、Csa5、Cas6a、Cas3’および/またはCas3”が含まれる。タイプ1−Bポリペプチドの非限定的な例には、Cas6b、Cas8b(Cshl)、Cas7(Csh2)および/またはCas5が含まれる。タイプICポリペプチドの非限定的な例には、Cas5d、Cas8c(Csdl)、および/またはCas7(Csd2)が含まれる。タイプIDポリペプチドの非限定的な例には、Cas10d(Csc3)、Csc2、Cscl、および/またはCas6dが含まれる。タイプ1−Eポリペプチドの非限定的な例には、Csel(CasA)、Cse2(CasB)、Cas7(CasC)、Cas5(CasD)および/またはCas6e(CasE)が含まれる。タイプI−Fポリペプチドの非限定的な例には、Cys1、Cys2、Cas7(Cys3)および/またはCas6f(Csy4)が含まれる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組換え核酸は、CRISPRアレイを処理し、続いて、ガイドとして処理されたCRISPR RNAのスペーサーを使用して標的DNAに結合するように機能する1型カスケードポリペプチドのサブセットをコードするヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0030】
本明細書で使用される「CRISPRアレイ」は、少なくとも2つの反復配列、または上記反復配列のそれぞれの一部、および少なくとも1つのスペーサー配列を含む核酸分子を意味する。2つの反復配列の1つまたはその一部は、スペーサー配列の5’末端に結合されており、2つの反復配列の他方、またはその一部は、スペーサー配列の3’末端に結合されている。組換えCRISPRアレイでは、反復配列とスペーサー配列の組み合わせは合成であり、人が作ったものであり、自然界には見られない。いくつかの実施形態において、「CRISPRアレイ」は、5’から3’までの少なくとも1つのリピートスペーサー配列(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25以上のリピートスペーサー配列、およびその中の任意の範囲または値)を含む核酸構築物を指す。アレイの3’の最もリピートスペーサー配列の3’末端はリピート配列にリンクされており、それにより、上記アレイ内のすべてのスペーサーは、リピート配列によって5’末端と3’末端の両方に隣接している。
【0031】
本明細書で使用される場合、「スペーサー配列」または「スペーサー」は、標的DNA(すなわち、ゲノム中の標的領域またはプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接する「プロトスペーサー配列」)に相補的なヌクレオチド配列を指す。スペーサー配列は、(例えば、少なくとも約70%相補的(例えば、約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)標的DNAに対して完全に相補的または実質的に相補的である。
【0032】
本明細書で使用される「反復配列」は、例えば、「スペーサー配列」によって分離された野生型CRISPR遺伝子座の任意の反復配列または合成CRISPRアレイの反復配列(例えば、反復スペーサー−配列を繰り返する)。本開示で有用な反復配列は、CRISPR遺伝子座の既知のまたは後で同定された反復配列であるか、またはCRISPRシステム、例えば、CRISPRタイプIシステムで機能するように設計された合成反復である。
【0033】
本明細書で使用される場合、「CRISPRファージ」、「CRISPR増強ファージ」、および「crファージ」という用語は、少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドを含むバクテリオファージDNAを含むバクテリオファージ粒子を指す。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、CRISPR−Casシステムの少なくとも1つの構成要素(例えば、CRISPRアレイ、crRNA;例えば、crRNA標的化の挿入を含むPIバクテリオファージ)をコードする。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、CRISPR−Casシステムの少なくとも1つの転写活性化因子をコードする。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、CRISPR−Casシステムの抗CRISPRポリペプチドの少なくとも1つの成分をコードする。
【0034】
本明細書で使用される場合、2つの核酸分子、ヌクレオチド配列またはタンパク質配列の文脈における「実質的に同一」または「実質的な同一性」という句は、少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/または100%ヌクレオチドまたは、以下の配列比較アルゴリズムのいずれかを使用して、または目視検査によって測定された、最大の対応のために比較および整列された場合のアミノ酸残基の同一性。を有する2つ以上の配列または部分配列を指す。いくつかの実施形態において、実質的な同一性は、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95、96、96、97、98、または99%の同一性を有する2つ以上の配列または部分配列を指す。配列比較では、通常、1つの配列がテスト配列と比較される参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、テスト配列と参照配列がコンピュータに入力され、必要に応じてサブ配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。次に、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対するテスト配列のパーセント配列同一性を計算する。
【0035】
比較ウィンドウを整列させるための配列の最適な整列は、SmithとWatermanのローカル相同性アルゴリズム、NeedlemanとWunschの相同性整列アルゴリズム、PearsonとLipmanの類似性メソッドの検索、およびオプションで GCGWisconsinPackage(Accelrys Inc.、カリフォルニア州サンディエゴ)の一部として利用可能なGAP、BESTFIT、FASTA、TFASTAなどのこれらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装などのツールによって実行される。テスト配列と参照配列のアラインメントされたセグメントの「同一性の割合」は、2つのアラインメントされた配列によって共有される同一のコンポーネントの数を、参照配列セグメント内のコンポーネントの総数、つまり参照配列全体または参照配列のより小さな定義された部分。パーセント配列同一性は、同一性の割合に100を掛けたものとして表される。1つまたは複数のポリヌクレオチド配列の比較は、全長ポリヌクレオチド配列またはその一部、あるいはより長いポリヌクレオチド配列に対するものである。場合によっては、「パーセント同一性」は、翻訳されたヌクレオチド配列についてはBLASTXバージョン2.0を使用し、ポリヌクレオチド配列についてはBLASTNバージョン2.0を使用して決定される。
【0036】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換え核酸分子、ヌクレオチド配列およびポリペプチドは、「単離される」。「単離された」核酸分子、「単離された」ヌクレオチド配列または「単離された」ポリペプチドは、その本来の環境から離れて存在する核酸分子、ヌクレオチド配列またはポリペプチドである。場合によっては、単離された核酸分子、ヌクレオチド配列またはポリペプチドは、天然に存在する生物またはウイルスの他の成分の少なくともいくつか、例えば、細胞またはウイルスの構造成分から少なくとも部分的に分離された精製形態で存在する。または、ポリヌクレオチドに関連して一般的に見られる他のポリペプチドまたは核酸。代表的な実施形態において、単離された核酸分子、単離されたヌクレオチド配列および/または単離されたポリペプチドは、少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上の純度である。
【0037】
本明細書で使用される場合、「抗CRISPR」または「Acr」という用語は、機能的な抗CRISPR活性を有する任意のタンパク質または遺伝子産物を指す。文献の一貫性が欠如しているため、当業者は、様々な抗CRISPRタンパク質を指定する用語の互換性を理解するであろう。例えば、ここで使用されているように、Acr1−Boの指定はAcrIIClBoeおよびAcr2−Nmの指定は、AcrIIC2Nmeと互換性がある。また、本明細書で使用されるように、Acr88a−32の指定はAcrE2と交換可能である。抗CRISPRタンパク質は、細菌のCRISPR−Casシステムの機能を妨げる活性を持つバクテリオファージタンパク質である。抗CRISPRタンパク質の活性は、宿主細菌が侵入するバクテリオファージに対するCRISPR−Casシステムベースの防御を開始するのを防ぐ。
【0038】
「治療する」、「治療する」、または「治療」という用語は、対象の状態の重症度が軽減されるか、少なくとも部分的に改善または修正され、少なくとも1つの臨床症状のいくらかの緩和、緩和または減少が達成された、および/または疾患または状態の進行の遅延、および/または疾患または疾患の発症の遅延がある。感染症、疾患または状態に関して、この用語は、感染症、疾患または状態の症状または他の症状の減少を指す。いくつかの実施形態において、治療は、感染症、疾患または状態の症状または他の症状を少なくとも約5%、例えば、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%以上減少させる。
【0039】
本明細書で使用される「感染症」、「疾患」、または「状態」に関する用語は、対象における任意の有害、陰性、または有害な生理学的状態を指す。いくつかの実施形態では、「感染」、「疾患」、または「状態」の原因は、対象および/または対象における標的細菌集団の存在である。いくつかの実施形態では、細菌集団は、1つまたは複数の標的細菌種を含む。いくつかの実施形態において、細菌集団中の1つ以上の細菌は、1つ以上の細菌の1つ以上の株を含む。いくつかの実施形態において、「感染」、「疾患」、または「状態」を引き起こす標的細菌集団は、急性または慢性である。いくつかの実施形態では、「感染」、「疾患」、または「状態」を引き起こす標的細菌集団は、限局性または全身性である。いくつかの実施形態では、「感染」、「疾患」、または「状態」を引き起こす標的細菌集団は特発性である。いくつかの実施形態では、「感染症」、「疾患」、または「状態」を引き起こす標的細菌集団は、呼吸器吸入、摂取、皮膚および創傷感染症、血流感染症、中耳の感染症、胃腸管感染症、腹膜感染症、尿路感染症、泌尿生殖器管感染症、口腔軟組織感染症、腹腔内感染症、表皮または粘膜吸収、眼感染症(接触レンズ汚染を含む)、心内膜炎、嚢胞性線維症の感染症、関節プロテーゼ、歯科用インプラント、カテーテルおよび心臓用インプラントなどの留置医療機器の感染症、性的接触、および/または病院で取得した換気装置に関連する細菌性肺炎を含むがこれらに限定されない手段によって獲得される。
【0040】
本明細書で使用される場合、「バイオフィルム」という用語は、多糖類のマトリックスに埋め込まれた微生物の蓄積を意味する。バイオフィルムは、固体の生物学的または非生物学的表面に形成され、医学的に重要であり、体内の微生物感染の80パーセント以上を占めている。
【0041】
「予防する」、「予防すること」、および「予防」(およびそれらの文法的変形)という用語は、対象における感染症、疾患、状態および/または臨床症状の発症の予防および/または遅延を指し、/または感染症、疾患、状態、および/または臨床症状の発症の重症度は疾患、障害、および/または疾患の発症前に本明細書に開示された方法を実行しない場合に起こるであろうものと比較して減少する。/または臨床症状。したがって、いくつかの実施形態では、感染を防ぐために、食品、表面、医療ツールおよびデバイスは、本明細書に開示される組成物および方法によって処理される。
【0042】
本明細書に開示される「対象」には、細菌が関与する感染症、疾患、または状態を有する、またはその可能性がある任意の動物が含まれる。したがって、いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物、鳥類、爬虫類、両生類、または魚類である。哺乳動物の対象には、ヒト、ヒト以外の霊長類(例えば、ゴリラ、サル、ヒヒ、およびチンパンジーなど)、犬、猫、山羊、馬、豚、牛、羊など、および実験動物(例えば、ラット、モルモット、マウス、スナネズミ、ハムスターなど)が含まれるはこれらに限定されない。鳥類の対象には、ニワトリ、アヒル、七面鳥、ガチョウ、ウズラ、キジ、ペットとして飼育されている鳥(インコ、オウム、コンゴウインコ、オウム、カナリアなど)が含まれるはこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、適切な対象は、男性および女性の両方、ならびに胚性(例えば、子宮内または卵内)、乳児、若年、青年、成人および老人の対象を含む任意の年齢の対象を含む。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0043】
「薬学的に許容される」とは、生物学的またはその他の望ましくないものではない材料を意味し、すなわち、材料は、毒性などの望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく対象に投与される。
【0044】
様々な実施形態で提供されるのは、本明細書に記載の任意の核酸を特徴づけおよび/または含むバクテリオファージである。いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるのは、溶原バクテリオファージ(例えば、本明細書に記載されるような溶解活性を有するバクテリオファージ)である。特定の実施形態において、溶原バクテリオファージは、少なくとも1つの溶原性遺伝子の除去、置換、または不活性化を含む。特定の実施形態では、溶解活性を有し、(a)スペーサー配列をコードする核酸および/または(b)そこから転写されたcrRNAを含むバクテリオファージが本明細書で提供される。いくつかの特定の実施形態では、本明細書の特定の実施形態で提供されるのは、(i)スペーサー配列および/またはそこから転写されたcrRNAをコードする第1の核酸、および(ii)細菌(例えば、標的細菌)の溶解を誘導することができる遺伝子を含むバクテリオファージ。より具体的な実施形態では、スペーサー配列は、細菌(例えば、標的細菌)のまたはその中の標的遺伝子の核酸配列に相補的である。いくつかで提供本明細書の実施形態は、細菌(例えば、標的細菌)におけるCRISPR−Casシステムのための転写活性化因子をコードする核酸を含むバクテリオファージである。
特定の本明細書で提供される実施形態は、溶解活性および抗CRISPRポリペプチドをコードする(および/または抗CRISPRポリペプチドを含む)第1の核酸配列を有するバクテリオファージである。様々な実施形態において、本明細書で提供されるバクテリオファージは、上記の参照特性および/または活性のうちの任意の1つ以上を有する。さらに、本明細書の様々な実施形態では、そのようなバクテリオファージは、本明細書の要約または詳細な説明に記載されている任意の1つまたは複数の特徴または活性を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、そのようなバクテリオファージが利用され、本明細書に記載されるような様々な組成物(例えば、医薬組成物)および方法が利用される。特定の実施形態では、そのようなバクテリオファージは、本明細書に記載されるものなど、任意の数の用途および方法(例えば、それを必要とするものなどの個人または対象のマイクロバイオームを調整する)において有用である。いくつかの実施形態では、そのようなバクテリオファージは、細菌(例えば、標的細菌)を死滅させる(例えば、選択的に死滅させる)方法またはそれを含む方法で利用される。特定の実施形態では、標的細菌は、個体、環境、または本明細書に記載されるような他の適切な場所などの細菌の混合集団にある。
【0046】
特定の実施形態において、本明細書で提供されるバクテリオファージは、例えば、標的細菌または細菌ではない細菌は標的細菌よりも低い速度で、例えば、50%未満の速度で死滅させられるように、標的細菌または細菌を選択的に死滅させる。標的細菌または細菌と比較して、25%未満の割合、10%未満の割合、または約0%の割合(すなわち、まったくない)。本明細書で提供される特定の方法などのいくつかの例では、非標的細菌の50%未満が死滅させられる、25%未満、20%未満、10%未満、5%未満が死滅させられるなどである。死滅させられた。
【0047】
CRISPRアレイ
本明細書においてCRISPRアレイが開示されている。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイをコードする核酸は、少なくとも1つの反復配列および少なくとも1つのスペーサー配列を含む。標的細菌の標的遺伝子からの標的ヌクレオチド配列に相補的。
いくつかの実施形態において、CRISPRアレイは、任意の長さであり、1つ以上の標的遺伝子の使用によって標的細菌の所望のレベルの死滅を達成するために必要な反復ヌクレオチド配列と交互になる任意の数のスペーサーヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイは、1から約100のスペーサーヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、それぞれがその5’末端およびその3’末端で反復ヌクレオチド配列に連結される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えCRISPRアレイは、本質的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15からなるか、またはそれらからなる。16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、またはそれ以上のスペーサーヌクレオチド配列。
【0048】
スペーサー
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のスペーサー配列は、標的DNAと比較して、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、ミスマッチは隣接している。いくつかの実施形態では、ミスマッチは連続していない。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、標的DNAに対して70%の相補性を有する。いくつかの実施形態において、スペーサーヌクレオチド配列は、標的DNAに対して80%の相補性を有する。いくつかの実施形態において、スペーサーヌクレオチド配列は、標的遺伝子の標的ヌクレオチド配列に対して85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の相補性である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、標的DNAに対して100%の相補性を有する。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、長さが少なくとも約8ヌクレオチドから約150ヌクレオチドである標的ヌクレオチド配列の領域にわたって完全な相補性または実質的な相補性を有する。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、長さが少なくとも約20ヌクレオチドから約100ヌクレオチドである標的ヌクレオチド配列の領域にわたって完全な相補性または実質的な相補性を有する。いくつかの実施形態において、スペーサー配列の5’領域は、標的DNAに対して100%相補的であり、一方、スペーサーの3’領域は、標的DNAに対して実質的に相補的であり、したがって、標的DNAに対するスペーサー配列の全体的な相補性は100%より少ない。例えば、いくつかの実施形態では、20ヌクレオチドスペーサー配列(シード領域)の3’領域の最初の7、8、9、10、11、12、13、14、15、16ヌクレオチドは、100%相補的である。スペーサー配列の5’領域の残りのヌクレオチドは、標的DNAに対して実質的に相補的である(例えば、少なくとも約70%相補的である)。いくつかの実施形態では、スペーサー配列の3’末端の最初の7から12ヌクレオチドは、標的DNAに100%相補的であり、一方、スペーサー配列の5’領域の残りのヌクレオチドは、実質的に相補的である(例えば、少なくとも約50%相補的(例、50%、55%、60%、65%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上))標的DNAに対して。いくつかの実施形態では、スペーサー配列の3’末端の最初の7から10ヌクレオチドは、標的DNAに75%〜99%相補的であり、一方、スペーサー配列の5’領域の残りのヌクレオチドは、少なくとも約50%である。標的DNAに約99%相補的である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列の3’末端の最初の7から10ヌクレオチドは、標的DNAに100%相補的であり、一方、スペーサー配列の5’領域の残りのヌクレオチドは、実質的に相補的である(例えば、少なくとも約標的DNAに対して70%相補的)。いくつかの実施形態では、スペーサー配列の最初の10ヌクレオチド(シード領域内)は、標的DNAに100%相補的であり、一方、スペーサー配列の5’領域の残りのヌクレオチドは、実質的に相補的である(例えば、少なくとも約70%相補的)標的DNAに。いくつかの実施形態において、スペーサー配列の5’領域(例えば、5’末端の最初の8ヌクレオチド、5’末端の最初の10ヌクレオチド、5’末端の最初の15ヌクレオチド、最初の20ヌクレオチド5’末端)は、標的DNAに対して約75%以上の相補性(75%から約100%の相補性)を有し、一方、スペーサー配列の残りは、標的DNAに対して約50%以上の相補性を有する。いくつかの実施形態において、スペーサー配列の5’末端の最初の8ヌクレオチドは、100%を有する。標的ヌクレオチド配列に対する相補性、または1つまたは2つの突然変異を有するため、それぞれ、標的DNAに対して約88%相補的または約75%相補的であり、一方、スペーサーヌクレオチド配列の残りは、少なくとも約50%以上標的DNAに相補的である。
【0049】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のスペーサー配列は、長さが約15ヌクレオチドから約150ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、スペーサーヌクレオチド配列は、長さが約15ヌクレオチドから約100ヌクレオチドである(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100ヌクレオチド以上)。いくつかの実施形態において、スペーサーヌクレオチド配列は、約8から約150ヌクレオチド、約8から約100ヌクレオチド、約8から約50ヌクレオチド、約8から約40ヌクレオチド、約8から約30ヌクレオチド、約8から約25ヌクレオチド、約8から約20ヌクレオチド、約10から約150ヌクレオチド、約10から約100ヌクレオチド、約10から約80ヌクレオチド、約10から約50ヌクレオチド、約10から約40、約10から約30、約10から約25、約10から約20、約15から約150、約15から約100、約15から約50、約15から約40、約15から約30、約20から約150ヌクレオチド、約20から約100ヌクレオチド、約20から約80ヌクレオチド、約20から約50ヌクレオチド、約20から約40、約20から約30、約20から約25、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約32、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約44、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150ヌクレオチドの長さ、またはそれ以上、およびその中の任意の値または範囲の長さである。
【0050】
いくつかの実施形態において、の2つ以上のスペーサーヌクレオチド配列の同一性本明細書に開示されるCRISPRアレイは同じである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるCRISPRアレイの2つ以上のスペーサーヌクレオチド配列の同一性は異なる。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイの2つ以上のスペーサーヌクレオチド配列の同一性は異なるは1つ以上の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイの2つ以上のスペーサーヌクレオチド配列の同一性は異なり、重複する配列である1つ以上の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイの2つ以上のスペーサーヌクレオチド配列の同一性は異なり、重複する配列ではない1つ以上の標的ヌクレオチド配列に相補的である。
【0051】
コドン最適化
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリヌクレオチド、ヌクレオチド配列および/または組換え核酸分子(例えば、CRISPRアレイ、カスケードポリペプチド、Cas9ポリペプチド、Cas3ポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、Cas3”ポリペプチド、組換えタイプIまたはタイプII、タイプIII、タイプIV、タイプV、タイプVI CRISPR−本開示のCasシステム、転写活性化因子をコードするポリヌクレオチドなど)は、目的の任意の種での発現のために最適化されたコドンである。コドン最適化には、種固有のコドン使用頻度表を使用したコドン使用頻度バイアスのヌクレオチド配列の変更が含まれる。コドン使用頻度表は、目的の種で最も高度に発現している遺伝子の配列分析に基づいて生成される。ヌクレオチド配列が核で発現される場合、コドン使用頻度表は、目的の種について高度に発現された核遺伝子の配列分析に基づいて生成される。ヌクレオチド配列の修飾は、種特異的コドン使用量表を天然のポリヌクレオチド配列に存在するコドンと比較することによって決定される。ヌクレオチド配列のコドン最適化は、100%未満の同一性を有するヌクレオチド配列をもたらす(例えば、50%、60%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%など)は、天然のヌクレオチド配列に対してであるはそれでも、元のヌクレオチド配列によってコードされるものと同じ機能を有するポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、本開示のヌクレオチド配列および/または組換え核酸分子は、目的の生物/種における発現のために最適化されたコドンである。
【0052】
反復ヌクレオチド配列
いくつかの実施形態において、CRISPRアレイの反復ヌクレオチド配列は、CRISPR−Casシステムの任意の既知の反復ヌクレオチド配列のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPR−Casシステムは、I型CRISPR−Casシステムである。いくつかの実施形態において、反復ヌクレオチド配列は、I型CRISPR−Casシステム(例えば、内部ヘアピン)からの天然反復の二次構造を含む合成配列のものである。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCRISPRアレイのスペーサーヌクレオチド配列は、その5’末端でリピート配列の3’末端に連結されている。いくつかの実施形態において、スペーサーヌクレオチド配列は、その5’末端で、反復ヌクレオチド配列の3’末端の約1から約8、約1から約10、または約1から約15ヌクレオチドに連結されている。いくつかの実施形態において、反復ヌクレオチド配列の約1から約8、約1から約10、約1から約15ヌクレオチドは、反復ヌクレオチド配列の3’末端の一部である。いくつかの実施形態において、スペーサーヌクレオチド配列は、その3’末端でリピートヌクレオチド配列の5’末端に連結されている。いくつかの実施形態では、スペーサーは、その3’末端で、反復ヌクレオチド配列の5’末端の約1から約8、約1から約10、または約1から約15ヌクレオチドに連結されている。いくつかの実施形態において、反復ヌクレオチド配列の約1から約8、約1から約10、約1から約15ヌクレオチドは、反復ヌクレオチド配列の5’末端の一部である。
【0054】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のスペーサーヌクレオチド配列は、その5’末端で第1のリピートヌクレオチド配列に連結され、その3’末端で第2のリピートヌクレオチド配列に連結されて、リピートスペーサーリピート配列を形成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のスペーサーは、その5’末端で第1の反復配列の3’末端の約1から約8、約1から約10、または約1から約15ヌクレオチドに連結され、第2の反復配列の5’末端の約1から約8、約1から約10、または約1から約15ヌクレオチドの3’末端。いくつかの実施形態において、第1の反復配列の約1から約8、約1から約10、約1から約15ヌクレオチドは、第1の反復ヌクレオチド配列の3’末端の一部である。いくつかの実施形態において、第1の第2の配列の約1から約8、約1から約10、約1から約15ヌクレオチドは、第2の反復ヌクレオチド配列の3’末端の一部である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるスペーサーヌクレオチド配列は、その5’末端で第1の反復ヌクレオチド配列の3’末端に連結され、その3’末端で第2の反復ヌクレオチド配列の5’に連結され、スペーサーヌクレオチド配列および2番目のリピートヌクレオチド配列が繰り返されて、nが1から100までの任意の整数になるようなリピート−(スペーサー−リピート)n配列が形成される。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるリピート(スペーサーリピート)n配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、以上のスペーサーヌクレオチド配列を含むか、本質的になるか、またはそれからなる。
【0055】
したがって、いくつかの実施形態では、反復配列は、野生型CRISPRタイプI、II、またはIII遺伝子座からの反復配列と同一であるか、または実質的に同一である。
いくつかの実施形態において、反復配列は、野生型反復配列の一部を含む(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または野生型反復配列のより連続したヌクレオチド)。いくつかの実施形態では、反復配列は、少なくとも1つのヌクレオチド(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、以上のヌクレオチド、またはその中の任意の範囲)を含む、本質的になる、またはそれからなる。
【0056】
調節エレメント
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組換えCRISPRアレイ、ヌクレオチド配列、および/または核酸分子は、様々な生物または細胞における発現のための様々なプロモーター、ターミネーターおよび他の調節エレメントと作動可能に関連している。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロモーターおよび/またはターミネーターは、本明細書に開示される組換え核酸分子および/または組換えCRISPRアレイに作動可能に連結されている。本開示で有用な任意のプロモーターが使用され、例えば、本明細書に記載のように、目的の生物で機能するプロモーター、ならびに構成的、誘導性、発生調節、組織特異的/好ましいプロモーターなどが含まれる。本明細書で使用される調節エレメントは、内因性または異種である。いくつかの実施形態において、対象生物に由来する内因性調節エレメントは、それが自然に発生しない遺伝的状況に挿入され(例えば、自然界に見られるものとは異なるゲノム内の位置)、それにより、組換えまたは非天然の核酸を生成する。
【0057】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される構築物の発現は、構成的、誘導的、時間的に調節される、発達的に調節される、または化学的に調節される。いくつかの実施形態において、構築物は、構築物を目的の生物において機能的なプロモーターに作動可能に連結することによって、構成的、誘導可能、時間的調節、発達的調節、または化学的に調節される。いくつかの実施形態において、抑制は、本明細書に開示される組換え核酸構築物を、目的の生物において機能的である誘導性プロモーターに作動可能に連結することによって可逆的にされる。本明細書に記載のプロモーターの選択は、発現のための量的、時間的および空間的要件に応じて、また形質転換される宿主細胞に応じて変化するであろう。
【0058】
本明細書に開示される方法、バクテリオファージおよび組成物と共に使用するための例示的なプロモーターには、細菌において機能的であるプロモーターが含まれる。例えば、L−アラビノース誘導性(araBAD、P
BAD)プロモーター、任意のlacプロモーター、L−ラムノース誘導性(rhaPBAD)プロモーター、T7 RNAポリメラーゼプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、ラムダファージプロモーター(p
Lp
L−9G−50)、アンヒドロテトラサイクリン−誘導性(tetA)プロモーター、trp、Ipp、phoA、recA、pro U、cst−1、cadA、nar、Ipp−lac、cspA、11−lacオペレーター、T3−lacオペレーター、T4遺伝子32、T5−lacオペレーター、nprM− lacオペレーター、Vhb、プロテインA、コリネバクテリア大腸菌様プロモーター、thr、horn、ジフテリア毒素プロモーター、sig A、sig B、nusG、SoxS、katb、a−アミラーゼ(Pamy)、Ptms、P43(2つの重複するRNAポリメラーゼのσ因子認識部位、σA、σBで構成される)、Ptms、P43、rplK−rplA、フェレドキシンプロモーター、および/またはキシロースプロモーター。
【0059】
いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターが使用される。いくつかの実施形態において、化学的に調節されるプロモーターは、外因性の化学調節剤の適用を通じて、生物における遺伝子の発現を調節するために使用される。化学的に調節されたプロモーターの使用は、例えば、生物が誘導化学物質で処理される場合にのみ、本明細書に開示されるRNAおよび/またはポリペプチドを合成することを可能にする。化学誘導性プロモーターが使用されるいくつかの実施形態では、化学物質の適用は遺伝子発現を誘導する。化学的に抑制可能なプロモーターが使用されるいくつかの実施形態では、化学物質の適用は遺伝子発現を抑制する。いくつかの実施形態において、プロモーターは、光誘導性プロモーターであり、特定の波長の光の適用が遺伝子発現を誘導する。いくつかの実施形態において、プロモーターは、光抑制性プロモーターであり、特定の波長の光の適用が遺伝子発現を抑制する。
【0060】
形質転換
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるヌクレオチド配列、構築物、および発現カセットは、一過性に発現され、および/または宿主生物のゲノムに安定して組み込まれる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるポリヌクレオチドは、当業者に知られている任意の方法によって細胞に導入される。形質転換の例示的な方法には、以下が含まれる。コンピテントセルのエレクトロポレーションによる形質転換、コンピテントセルによる受動的取り込み、コンピテントセルの化学的形質転換、ならびに細胞への核酸の導入をもたらすその他の電気的、化学的、物理的(機械的)および/または生物学的メカニズム。それらの任意の組み合わせ。いくつかの実施形態では、細胞の形質転換は核形質転換を含む。いくつかの実施形態において、細胞の形質転換は、プラスミド形質転換および接合を含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、2つ以上のヌクレオチド配列が導入される場合、ヌクレオチド配列は、単一の核酸構築物の一部として、または別個の核酸構築物として組み立てられ、同じまたは異なる核酸構築物上に位置する。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列は、単一の目的の細胞に導入される。
【0062】
発現カセット
いくつかの実施形態において、核酸構築物は、「発現カセット」または発現カセット内にある。本明細書で使用される場合、「発現カセット」は、目的のヌクレオチド配列を含む組換え核酸分子(例えば、本明細書に開示される組換え核酸分子およびCRISPRアレイ)を意味し、ここで、ヌクレオチド配列は、少なくとも対照配列(例えば、、プロモーター)。いくつかの実施形態において、発現カセットは、本明細書に開示される組換え核酸分子および/または組換えCRISPRアレイを発現するように設計される。
【0063】
いくつかの実施形態では、目的のヌクレオチド配列を含む発現カセットはキメラであり、これは、その成分の少なくとも1つは他の成分の少なくとも1つに関して異種であることを意味する。いくつかの実施形態では、発現カセットは天然に存在するは異種発現に有用な組換え形態で得られている。
【0064】
いくつかの実施形態において、発現カセットは、選択された宿主細胞において機能的である転写および/または翻訳終結領域(すなわち、終結領域)を含む。いくつかの実施形態において、終結領域は、目的の異種ヌクレオチド配列を超えた転写の終結および正しいmRNAポリアデニル化に関与する。いくつかの実施形態において、終結領域は、転写開始領域に固有であるか、目的の作動可能に連結されたヌクレオチド配列に固有であるか、宿主細胞に固有であるか、または別の供給源に由来する(すなわち、プロモーターに対して外来または異種である)。目的のヌクレオチド配列、宿主、またはそれらの任意の組み合わせ)。いくつかの実施形態において、ターミネーターは、本明細書に開示される組換え核酸分子およびCRISPRアレイに作動可能に連結されている。
【0065】
いくつかの実施形態において、発現カセットは、選択可能なマーカーのためのヌクレオチド配列を含む。本明細書で使用される場合、「選択可能なマーカー」は、発現されると、マーカーを発現する宿主細胞に別個の表現型を付与し、したがってそのような形質転換細胞をマーカーを有さない細胞から区別することを可能にするヌクレオチド配列を意味する。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、マーカーは選択剤(例えば、抗生物質)を使用するなどの化学的手段によって選択される形質を与えるかどうか、またはマーカーが単にスクリーニング(例えば、蛍光)などによる観察または試験を通じて特定する。
【0066】
ベクター
発現カセットに加えて、本明細書に記載の核酸分子およびヌクレオチド配列(例えば、CRISPRアレイを含むポリヌクレオチド、転写活性化因子をコードするポリヌクレオチド、または抗CRISPRポリペプチド)はベクターに関連して使用される。「ベクター」という用語は、核酸(または複数の核酸)を細胞に移入、送達、または導入するための組成物を指す。ベクターは、移入、送達、または導入されるヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。ベクターの一般的なクラスの非限定的な例には、ウイルスベクター、プラスミドベクター、ファージベクター、ファージミドベクター、コスミドベクター、フォスミドベクター、バクテリオファージ、人工染色体、またはアグロバクテリウムバイナリーが含まれるはこれらに限定されない。二本鎖または一本鎖の線形または円形のベクターで、自己伝達性または可動性である場合とそうでない場合がある。本明細書で定義されるベクターは、細胞ゲノムへの組み込みによって、または染色体外に存在するかのいずれかによって、原核生物または真核生物の宿主を形質転換する(例えば、複製起点を有する自律複製プラスミド)。さらに、シャトルベクターが含まれる。これは、2つの異なる宿主生物で複製できるDNAビヒクルを意味する。いくつかの実施形態において、シャトルベクターは、放線菌および細菌および/または真核生物において複製する。いくつかの実施形態において、ベクター中の核酸は、宿主細胞における転写のための適切なプロモーターまたは他の調節エレメントの制御下にあり、そしてそれらに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態において、ベクターは、複数の宿主において機能する二機能性発現ベクターである。
【0067】
CRISPR/CASシステム
CRISPR−Casシステムは、細菌や古細菌に見られる自然適応免疫システムである。CRISPRシステムは、侵入するファージやプラスミドに対する防御に関与するヌクレアーゼシステムであり、獲得免疫の一形態を提供する。cas遺伝子のセットとそれらの系統発生的関係に基づいたCRISPR−Casシステムには多様性がある。少なくとも6つの異なるタイプ(IからVI)があり、タイプIは細菌と古細菌の両方で特定されたすべてのシステムの50%以上を表している。いくつかの実施形態では、タイプI、タイプII、タイプII、タイプIV、タイプV、またはタイプVIのCRISPR−Casシステムが本明細書で使用される。
【0068】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるCRISPRアレイのプロセシングは、以下のプロセスを含むがこれらに限定されない:1)CRISPRアレイをコードする核酸の、pre−crRNAおよび任意のtracrRNAへの転写。2)Cas6またはCas9/RnaseIIIによる成熟crRNAへのpre−crRNAプロセッシング。3)成熟したcrRNA複合体形成Cas9またはCascade;4)複合体化した成熟crRNA/Cas9またはcrRNA/Cascade複合体による標的認識。5)二本鎖または一本鎖DNAの切断を導く標的でのヌクレアーゼ活性。
【0069】
タイプIシステムに関して、タイプIシステムは、タイプI−A、タイプI−B、タイプI−C、タイプI−D、タイプI−E、タイプI−F、およびタイプI−Uを含む7つのサブタイプに分けられる。タイプICRISPR−Casシステムには、Cascade(抗ウイルス防御に関連する複合体用)と呼ばれるマルチサブユニット複合体、Cas3(標的DNAの分解に関与するヌクレアーゼ、ヘリカーゼ、およびエキソヌクレアーゼ活性を持つタンパク質)、およびcrRNA(安定化カスケード複合体であり、CascadeとCas3をDNA標的に向ける)。カスケードはcrRNAと複合体を形成し、タンパク質−RNAペアは、crRNA配列の5’末端と事前定義されたプロトスペーサーとの間の相補的な塩基対形成によってそのゲノム標的を認識する。この複合体は、crRNA内にコードされた領域および病原体ゲノム内のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を介して、病原体DNAの相同遺伝子座に向けられる。塩基対形成はcrRNAと標的DNA配列の間で起こり、コンフォメーション変化を引き起こする。タイプI−Eシステムでは、PAMはカスケード内のCasAタンパク質によって認識され、次に隣接するDNAを巻き戻して、標的とcrRNAのスペーサー部分との間の塩基対形成の程度を評価する。十分な認識により、カスケードはCas3を採用して活性化する。次に、Cas3は非標的鎖にニックを入れ、鎖を3’から5’の方向に分解し始める。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるCRISPRアレイは、処理された成熟crRNAをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、成熟crRNAは、本明細書に記載のファージまたは標的細菌に導入される。いくつかの実施形態では、ファージは、処理された成熟crRNAをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態において、内因性または外因性のCas6は、CRISPRアレイを成熟したcrRNAに処理する。いくつかの実施形態において、外因性Cas6は、ファージに導入される。いくつかの実施形態において、ファージは、外因性Cas6を含む。いくつかの実施形態において、外因性Cas6は、標的細菌に導入される。
【0071】
いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムは、標的細菌に対して内因性である。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムは、標的細菌に対して外因性である。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムは、タイプII CRISPR−Casシステムである。いくつかの実施形態において、CRISPR−Casシステムは、タイプIII CRISPR−Casシステムである。
【0072】
いくつかの実施形態では、タイプI CRISPR−Casシステムが本明細書で使用される。上記のように、タイプIカスケードポリペプチドはCRISPRアレイを処理して、処理されたRNAを生成する。これは、処理されたRNAのスペーサーに相補的なDNAに複合体を結合するために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージに導入される第1の核酸は、本明細書に開示される第1の核酸のプロセシングに関与するカスケードポリペプチドをコードする。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるI型カスケードポリペプチドは、野生型I型カスケードポリペプチドと実質的な同一性を有するアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のカスケードポリペプチドは、任意の全長タイプ1カスケードポリペプチドの機能的フラグメントである。いくつかの実施形態において、I型カスケード複合体は、I−A型カスケードポリペプチド、I−B型カスケードポリペプチド、I−C型カスケードポリペプチド、I−D型カスケードポリペプチド、I−E型カスケードポリペプチド、I−F型カスケードポリペプチド、またはタイプI−Uカスケードポリペプチド。
【0074】
いくつかの実施形態において、I型カスケード複合体は、(a)Cas6bポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas8b(Cshl)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas7(Csh2)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびCas5ポリペプチド(タイプ1−B); (b)Cas5dポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas8c(Csdl)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびCas7(Csd2)ポリペプチド(タイプI−C)をコードするヌクレオチド配列。(c)Csel(CasA)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cse2(CasB)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas7(CasC)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas5(CasD)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびヌクレオチドCas6e(CasE)ポリペプチド(タイプ1−E)をコードする配列。(d)Cys1ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cys2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas7(Cys3)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびCas6fポリペプチド(タイプ1−F)をコードするヌクレオチド配列。(e)Cas7(Csa2)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas8al(Csxl3)ポリペプチドまたはCas8a2(Csx9)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Csa5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、ヌクレオチドCas6aポリペプチドをコードする配列、Cas3’ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびヌクレアーゼ活性を有さないCas3”ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(タイプI−A);および/または(f)Cas10d(Csc3)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Csc2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Csclポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびCas6dポリペプチド(タイプ1−D)をコードするヌクレオチド配列。
【0075】
バクテリオファージ
バクテリオファージまたは「ファージ」は、細菌ウイルスのグループを表し、環境源から設計または供給される。個々のバクテリオファージの宿主範囲は通常狭い。つまり、ファージは細菌種の1つの菌株または少数の菌株に非常に特異的であり、この特異性により抗菌作用が独特になる。バクテリオファージは、宿主の細胞機構に依存して複製する細菌ウイルスである。一般に、ファージは一般に、溶解性、溶原性、温帯性の3つのカテゴリーに分類される。溶菌性バクテリオファージは宿主細胞に感染し、複製を何度も繰り返し、細胞溶解を引き起こして新しく作られたバクテリオファージ粒子を放出する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される溶解性バクテリオファージは、それらの複製能力を保持する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される溶解性バクテリオファージは、細胞溶解を誘発するそれらの能力を保持している。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される溶解性バクテリオファージは、それらの複製能力および細胞溶解を誘発する能力の両方を保持する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、CRISPRアレイを含む。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイは、細胞溶解を複製および/または誘発するバクテリオファージの能力に影響を及ぼさない。溶原性バクテリオファージは、細菌ゲノム内または染色体外プラスミドとして、宿主細胞内に恒久的に存在する。溶原バクテリオファージは、溶解性または溶原性である可能性があり、増殖条件および細胞の生理学的状態に応じて、どちらか一方を選択する。溶原性細菌が悪条件にさらされると、溶原性状態は終了する。このプロセスは誘導と呼ばれる。溶原状態の終了に有利な有害条件には、乾燥、UVまたは電離放射線への曝露、および変異原性化学物質への曝露が含まれる。これは、ファージ遺伝子の発現、統合プロセスの逆転、および溶解増殖につながる。
【0076】
バクテリオファージは、3つの一般的なアプローチを使用して合成DNAをパッケージ化して配信する。最初のアプローチでは、合成DNAはランダムにバクテリオファージゲノムに再結合される。バクテリオファージゲノムには通常、選択可能なマーカーが含まれる。2番目のアプローチでは、ファージ内の制限部位を使用して、インビトロで合成DNAを導入する。3番目のアプローチでは、一般にファージパッケージング部位と複製起点をコードするプラスミドがバクテリオファージ粒子の集合の一部としてパッケージングされる。得られたプラスミドは「ファージミド」と呼ばれている。
【0077】
ファージは、進化の理由から特定の細菌株に限定されている。場合によっては、それらの遺伝物質を適合性のない株に注入することは逆効果である。したがって、ファージは、限られた断面の菌株に特異的に感染するように進化してきた。しかし、遺伝物質を広範囲の細菌に注入するファージがいくつか発見されている。古典的な例はPIファージで、これはさまざまなグラム陰性菌にDNAを注入することが示されている。
【0078】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージまたはファージミドDNAは、溶原性または溶原バクテリオファージに由来する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージまたはファージミドDNAは、偏性溶解性バクテリオファージに由来する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージまたはファージミドは、PIファージ、Ml3ファージ、aλファージ、T4ファージ、φC2ファージ、φCD27ファージ、φNMIファージ、Bc431 v3ファージ、φ10ファージ、φ25ファージ、φ151ファージ、A511様ファージ、B054、0176様ファージ、またはCampylobacterファージ(NCTC12676やNCTC12677など)を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、φ146C.ディフィシルバクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、φ24−2C.ディフィシルバクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、T4 E.coliバクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、T7 E.coliバクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、T7m E.coliバクテリオファージである。
【0079】
いくつかの実施形態では、複数のバクテリオファージが一緒に使用される。いくつかの実施形態では、一緒に使用される複数のバクテリオファージは、サンプルまたは対象内の同じまたは異なる細菌を標的とする。いくつかの実施形態では、一緒に使用されるバクテリオファージは、T4ファージ、T7ファージ、T7mファージ、または本明細書に記載のバクテリオファージの任意の組み合わせを含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、目的のバクテリオファージは、環境源または商業的研究ベンダーから得られる。いくつかの実施形態において、得られたバクテリオファージは、細菌のライブラリーおよびそれらの関連株に対する溶解活性についてスクリーニングされる。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、スクリーニングされた細菌において一次耐性を生成するそれらの能力について、細菌のライブラリーおよびそれらの関連株に対してスクリーニングされる。
【0081】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるのは、標的細菌に、スペーサー配列をコードする核酸またはそこから転写されたcrRNAを含むバクテリオファージを導入することを含む、標的細菌を死滅させる方法であり、スペーサー配列は、標的細菌の遺伝子;標的細菌の溶解を誘導することができる遺伝子からの標的ヌクレオチド配列に相補的である。ここで、標的細菌は、バクテリオファージの溶解活性またはスペーサー配列またはそこから転写されたcrRNAを使用するCRISPR−Casシステムの活性によって死滅させられる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、以下を含むバクテリオファージである:スペーサー配列またはそこから転写されるcrRNAをコードする核酸であって、スペーサー配列は、標的細菌中の標的遺伝子と標的細菌の溶解を誘導することができる遺伝子からの標的ヌクレオチド配列に相補的である。ここで、標的細菌は、バクテリオファージの溶解活性またはスペーサー配列またはそこから転写されたcrRNAを使用するCRISPR−Casシステムの活性によって死滅させられる。
【0082】
挿入部位
いくつかの実施形態において、CRISPRアレイをコードする核酸のバクテリオファージへの導入は、バクテリオファージの溶解活性を破壊しない。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイをコードする核酸のバクテリオファージへの導入は、バクテリオファージの溶解活性を保存する。いくつかの実施形態では、核酸は、バクテリオファージゲノムである。いくつかの実施形態において、核酸は、目的のオペロンの末端の転写ターミネーター部位でバクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態において、核酸は、1つ以上の除去された非必須遺伝子の代替物としてバクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態において、核酸は、1つ以上の除去された溶原性遺伝子の代替物としてバクテリオファージゲノムに挿入される。 いくつかの実施形態において、非必須および/または溶原性遺伝子の核酸による置換は、バクテリオファージの溶解活性に影響を及ぼさない。
いくつかの実施形態において、非必須および/または溶原性遺伝子の核酸による置換は、バクテリオファージの溶解活性を増強する。いくつかの実施形態において、非必須および/または溶原性遺伝子の核酸による置換は、溶原性バクテリオファージを溶解性にする。
【0083】
いくつかの実施形態において、核酸は、第1の位置でバクテリオファージゲノムに導入され、一方、1つ以上の非必須および/または溶原性遺伝子は、別個の位置でバクテリオファージゲノムから別個に除去および/または不活化される。いくつかの実施形態において、1つ以上の非必須および/または溶原性遺伝子の除去および/または不活性化は、バクテリオファージの溶解活性に影響を及ぼさない。いくつかの実施形態において、1つ以上の非必須および/または溶原性遺伝子の除去および/または不活性化は、バクテリオファージの溶解活性を保存する。いくつかの実施形態において、1つ以上の非必須および/または溶原性遺伝子の除去は、溶原性バクテリオファージを溶原性バクテリオファージにする。同様に、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の溶解性遺伝子がバクテリオファージに導入されて、非溶解性の溶原性になる。溶菌性バクテリオファージへのバクテリオファージ。
【0084】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、前述の手段のいずれかによって溶解性にされた溶原バクテリオファージである。いくつかの実施形態では、溶原バクテリオファージは、1つまたは複数の溶原性遺伝子の除去、置換、または不活性化によって溶解性になる。いくつかの実施形態において、バクテリオファージの溶解活性は、少なくとも1つの溶原性遺伝子の除去、置換、または不活性化によるものである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、1つ以上の溶原性遺伝子の除去、置換、または不活性化によって溶解性にされ、そして、少なくとも1つのスペーサーを含むCRISPRアレイを含む。標的細菌の標的遺伝子の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、1つ以上の溶原性遺伝子に向けられたスペーサーを含むCRISPRアレイを介した1つ以上の溶原性遺伝子の除去、置換、または不活性化によって溶解性にされ、標的細菌の標的遺伝子の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、バクテリオファージにおける溶原性サイクルの維持において役割を果たす。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、バクテリオファージにおける溶原性サイクルを確立することにおいて役割を果たす。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、溶原性サイクルの確立およびバクテリオファージにおける溶原性サイクルの維持の両方において役割を果たす。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、リプレッサー遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、clリプレッサー遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、活性化因子遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、cII遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、lexA遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、int(インテグラーゼ)遺伝子である。いくつかの実施形態では、2つ以上の溶原性遺伝子が除去、置換、または不活性化されて、バクテリオファージ溶原性サイクルの停止および/または溶解サイクルの誘導を引き起こす。いくつかの実施形態において、温和なバクテリオファージは、1つ以上の溶解性遺伝子の挿入によって溶解性にされる。いくつかの実施形態において、温和なバクテリオファージは、溶解サイクルの誘導に寄与する1つ以上の遺伝子の挿入によって溶解性にされる。いくつかの実施形態において、温和なバクテリオファージは、溶解サイクルの誘導に寄与する1つ以上の遺伝子の発現を変化させることによって溶解性にされる。いくつかの実施形態において、温和なバクテリオファージは、表現型的に、溶原性バクテリオファージから溶解性バクテリオファージに変化する。いくつかの実施形態において、温和なバクテリオファージは、環境の変化によって溶解性にされる。いくつかの実施形態では、環境の変化には、温度、pH、または栄養素の変化、抗生物質、過酸化水素、外来DNA、またはDNA損傷剤への曝露、有機炭素の存在、および重金属の存在(例えば、クロム(VI)の形で。いくつかの実施形態において、溶解性にされる温和なバクテリオファージは、溶原性状態に戻ることが防止される。いくつかの実施形態において、溶解性にされる温和なバクテリオファージは、追加のCRIPSRアレイを導入することによって、溶原性状態に戻ることが防止される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、バクテリオファージの溶解活性および/またはCRISPRアレイの活性によって引き起こされる細胞死を超えて、標的細菌にいかなる新しい特性も付与しない。
【0085】
いくつかの実施形態において、1つ以上の非必須および/または溶原性遺伝子の置換、除去、不活性化、またはそれらの任意の組み合わせは、化学的、生化学的、および/または任意の適切な方法によって達成される。いくつかの実施形態において、1つ以上の溶解性遺伝子の挿入は、相同組換えによる任意の適切な化学的、生化学的、および/または物理的方法によって達成される。
【0086】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、偏性溶解性バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、φCD146 C.ディフィシルバクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、φCD24−2 C.ディフィシルバクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、T4 E.coliバクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、T7 E.coliバクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、T7m E.coliバクテリオファージである。
【0087】
非必須遺伝子
いくつかの実施形態では、バクテリオファージから除去および/または置換される非必須遺伝子は、バクテリオファージの生存に非必須である遺伝子である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージから除去および/または置換される非必須遺伝子は、溶解サイクルの誘導および/または維持に非必須である遺伝子である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージから除去および/または置換される非必須遺伝子は、φCD146C.ディフィシルバクテリオファージからのgp49である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージから除去および/または置換されるべき非必須遺伝子は、φCD24−2C.ディフィシルバクテリオファージからのgp75である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージはから除去および/または置換される必須でない遺伝子は、T4 E.coliバクテリオファージのhoc遺伝子である。いくつかの実施形態において、除去および/または置換されるべき非必須遺伝子には、T7E.coliバクテリオファージからのgp0.7、gp4.3、gp4.5、gp4.7、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、除去および/または置換されるべき非必須遺伝子は、T7mE.coliバクテリオファージからのgp0.6、gp0.65、gpO.7、gp4.3、gp4.5、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0088】
転写活性化因子
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、転写活性化因子をさらに含む。いくつかの実施形態において、コードされる転写活性化因子は、標的細菌内の目的の遺伝子の発現を調節する。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は、外因性であろうと内因性であろうと、標的細菌内の目的の遺伝子の発現を活性化する。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は、標的細菌内の1つ以上の阻害要素の活性を破壊することによって、標的細菌内の目的の発現遺伝子を活性化する。いくつかの実施形態では、阻害要素は、転写抑制因子である。いくつかの実施形態において、阻害要素は、全体的な転写抑制因子を含む。いくつかの実施形態において、阻害要素は、ヒストン様核様体構造化(H−NS)タンパク質またはその相同体または機能的断片である。いくつかの実施形態において、阻害要素は、ロイシン応答性調節タンパク質(LRP)である。いくつかの実施形態において、阻害要素は、CodYタンパク質である。
【0089】
一部の細菌では、CRISPR−Casシステムの発現が不十分であり、ほとんどの環境条件下でサイレントと見なされる。これらの細菌では、CRISPR−Casシステムの調節は、転写調節因子、例えば、宿主ゲノムの転写調節に広く関与しているヒストン様核様体構造化(H−NS)タンパク質の活性の結果である。H−NSは、ATに富む部位に沿った多量体化によって宿主の転写調節を制御し、DNAの屈曲を引き起こする。大腸菌などの一部の細菌では、I型CRISPR−Cas3オペロンの調節はH−NSによって調節されている。
【0090】
同様に、一部の細菌では、CRISPR−Casシステムの抑制は、抑制性要素、例えばロイシン応答性調節タンパク質(LRP)によって制御される。LRPは、転写開始部位の上流および下流領域への結合に関与している。特に、CRISPR−Casシステムの発現調節におけるLRPの活性は細菌によって異なる。幅広い種間抑制活性を持つH−NSとは異なり、LRPは宿主のCRISPR−Casシステムの発現を特異的に調節することが示されている。そのため、場合によっては、LRPは、さまざまな細菌におけるCRISPR−Casシステムの発現を調節する宿主特異的な手段を反映している。
【0091】
場合によっては、CRISPR−Casシステムの抑制も抑制性要素CodYによって制御される。CodYは、DNA結合を介して作用するGTP感知転写リプレッサーである。GTPの細胞内濃度は、環境の栄養状態の指標として機能する。通常の培養条件下では、GTPは豊富で、CodYと結合して転写活性を抑制する。ただし、GTP濃度が減少すると、CodYはDNAの結合活性が減少し、以前は抑制されていた遺伝子の転写が起こる。そのため、CodYは厳格なグローバル転写リプレッサーとして機能する。
【0092】
いくつかの実施形態において、転写活性化因子は、LeuOポリペプチド、その任意の相同体または機能的フラグメント、それをコードする核酸配列、またはLeuOをアップレギュレートする薬剤である。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は、LeuOの任意のオルソログまたは機能的同等物を含む。一部の細菌では、LeuOは、細菌の環境栄養状態に応答するグローバルな転写調節因子として作用することにより、H−NSに対抗して作用する。通常の状態では、LeuOはほとんど発現されていない。しかし、アミノ酸の飢餓および/または細菌のライフサイクルにおける定常期の到達の下で、LeuOはアップレギュレートされる。LeuOの発現が増加すると、重複するプロモーター領域でH−NSに拮抗し、遺伝子発現に影響を及ぼする。LeuOの過剰発現は、CRISPR−Casシステムの発現をアップレギュレートする。大腸菌とS.tphyimuriumでは、LeuOはCasAの上流にあるLeuOとH−NSの結合配列を予測したcasABCDEオペロンの発現増加を促進する。
【0093】
いくつかの実施形態において、LeuOの発現は、阻害要素の破壊をもたらす。いくつかの実施形態において、LeuOの発現による阻害要素の破壊は、CRISPR−Casシステムの転写抑制を取り除く。いくつかの実施形態において、LeuOの発現は、H−NSの活性に起因するCRISPR−Casシステムの転写抑制を取り除く。いくつかの実施形態において、LeuOの発現は、LRPの活性に起因するCRISPR−Casシステムの転写抑制を取り除く。いくつかの実施形態において、LeuOの発現による阻害要素の破壊は、CRISPR−Casシステムの発現の増加を引き起こす。いくつかの実施形態において、LeuOの発現によって引き起こされる阻害要素の破壊によるCRISPR−Casシステムの発現の増加は、CRISPRアレイをコードする核酸のCRISPR−Casプロセシングの増加を引き起こす。いくつかの実施形態において、LeuOの発現による阻害要素の破壊によるCRISPR−Casシステムの発現の増加は、CRISPRアレイをコードする核酸のCRISPR−Casプロセシングの増加を引き起こし、細菌に対するCRISPRアレイの致死性のレベルが上昇する。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される転写活性化因子は、本明細書に記載されるバクテリオファージおよび/またはCRISPR−Casシステムの活性の増加を引き起こす。
【0094】
いくつかの実施形態において、E.coli株K12からのLeuOまたはその任意の相同体または機能的フラグメントの配列は、GenBankアクセッション番号を含むはこれらに限定されない:AP0090408.1。LeuOのタンパク質配列は、以下にFASTA形式で配列番号1として記載されている。:
【0095】
【化1】
【0096】
いくつかの実施形態において、転写活性化因子は、CD2983ポリペプチドまたはその任意の相同体または機能的フラグメント、あるいはそれをコードする核酸である。
いくつかの実施形態では、転写活性化因子は、CD29883の任意のオルソログまたは機能的同等物である。一部の細菌では、CD2983は細菌の環境栄養状態に応答する特定の転写調節因子として機能する。一部の細菌では、CRISPR−CasシステムはccpAに依存する方法でグルコースの環境栄養状態によって調節されている。ただし、通常の状態では、CD2983はCodYによって抑制される。栄養ストレス下では、CodYはCD2983の発現を可能にするために活性が低下する。CD2983のアップレギュレーションは、CRISPR−Casシステムのアップレギュレーションに関連している。
【0097】
いくつかの実施形態において、CD2983の発現は、阻害要素の破壊をもたらす。いくつかの実施形態において、CD2983の発現による阻害要素の破壊は、CRISPR−Casシステムの転写抑制を取り除く。いくつかの実施形態において、CD2983の発現は、CodYの活性に起因するCRISPR−Casシステムの転写抑制を取り除く。いくつかの実施形態において、CD2983の発現による阻害要素の破壊は、CRISPR−Casシステムの発現の増加を引き起こす。いくつかの実施形態において、CD2983の発現によって引き起こされる阻害要素の破壊によるCRISPR−Casシステムの発現の増加は、CRISPRアレイをコードする第1の核酸のCRISPR−Casプロセシングの増加を引き起こす。いくつかの実施形態において、CD2983の発現による阻害要素の破壊によるCRISPR−Casシステムの発現の増加は、細菌に対するCRISPRアレイの致死性のレベルが増加するように、CRISPRアレイをコードする第1の核酸のCRISPR−Casプロセシングの増加を引き起こす。
【0098】
いくつかの実施形態において、C。ディフィシル株630からのCD2983またはその任意の相同体または機能的断片の配列は、GenBankアクセッション番号CAJ69877.1を含むが、これらに限定されない。
CD2983のタンパク質配列は、以下にFASTA形式で配列番号2として記載されている。
【0099】
【化2】
【0100】
いくつかの実施形態において、標的細菌の死滅は、標的細菌の標的遺伝子の標的ヌクレオチド配列に相補的なバクテリオファージの溶解活性によって達成される。いくつかの実施形態において、標的細菌の死滅は、少なくとも1つのスペーサーを含むCRISPRアレイをコードする第1の核酸の活性によって達成される。いくつかの実施形態において、細菌の死滅は、CRISPR−Casベースのエンドヌクレアーゼ活性、および/または細菌の標的遺伝子の標的ヌクレオチド配列での切断を指示することができる処理されたcrRNAを生成する、タイプI、タイプII、またはタイプIIIのCRISPR−CasシステムによるCRISPRアレイの処理によって達成される。いくつかの実施形態において、細菌の死滅は、CRISPR−Casシステム転写活性化因子をコードする第2の核酸の発現による、CRISPRアレイの増強されたプロセシングによって達成される。
【0101】
いくつかの実施形態では、細菌の死滅は、バクテリオファージの溶解活性と標的細菌の標的遺伝子の標的ヌクレオチド配列に相補的である少なくとも1つのスペーサーを含むCRISPRアレイをコードする核酸の活性を組み合わせることによって達成される。組み合わせて。いくつかの実施形態において、細菌の死滅は、バクテリオファージの溶解活性によって、および発現された転写活性化因子の活性によるCRISPRアレイをコードする核酸の増強された活性によって達成される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージの溶解活性の組み合わせによる、およびCRISPRアレイをコードする核酸の活性による細菌の死滅は、相乗的である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージの溶解活性の組み合わせによる、およびCRISPRアレイをコードする核酸の活性による細菌の死滅は、第2の核酸によってコードされるCRISPR−Cas転写活性化因子の発現のために相乗的である。
【0102】
増強された溶菌性バクテリオファージ
本明細書に開示されるのは、CRISPR−Casシステムのための転写活性化因子をコードする核酸を含むバクテリオファージを産生する方法である。
また、本明細書に開示されるのは、CRISPR−Casシステムのための転写活性化因子をコードする核酸を含むバクテリオファージである。
【0103】
いくつかの実施形態において、CRISPR−Casの転写活性化因子をコードする核酸のバクテリオファージへの導入は、標的細菌におけるCRISPR−Casシステムの活性を調節するために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージによって導入された転写活性化因子は、標的細菌におけるCRISPR−Casシステムの発現を増加させる。いくつかの実施形態において、第1のバクテリオファージによる転写活性化因子の導入による標的細菌におけるCRISPR−Casシステムの発現の増加は、前の実施形態によって記載されるように、CRISPRアレイを含む第2の異なるバクテリオファージの致死性を増強する。いくつかの実施形態において、第1のバクテリオファージによる転写活性化因子の導入による標的細菌におけるCRISPR−Casシステムの発現の増加は、前の実施形態によって説明された前処理された未成熟または処理された成熟crRNAを含む第2の異なるバクテリオファージの致死性を増強する。
【0104】
転写活性化因子による調節に加えて、CRISPR−Casシステムは他の手段と調節メカニズムによって厳密に制御されている。クオラムセンシング(QS)は、細菌集団内の細菌間の化学的コミュニケーションであり、集団密度に関する遺伝子発現の調整を可能にする。QSは、細菌の増殖中に生成および蓄積される化学信号に依存している。閾値レベルに達すると、QSシグナルは転写調節因子に結合して細菌の遺伝子発現に影響を与える。一部の細菌では、QSシグナル伝達は、その発現を抑制解除することにより、細菌防御のためのCRISPR−Casシステムを増強する。QSシグナリングに加えて、CRISPR−Casシステム発現の調節は、宿主細菌の膜の完全性の摂動に敏感であると考えられている。BaeSRは、宿主の膜エンベロープストレスをCas遺伝子の活性化にリンクする2成分応答レギュレーターシステムである。同様に、熱ショックタンパク質G(HtpG)は、ファージ感染による誘導時にCasを安定化することが示されている。さらに、cAMP代謝物感知cAMP受容体タンパク質(CRP)などの代謝感知タンパク質は、CRISPR−Cas発現を活性化することができる。Casの発現を調節する他の代謝感知タンパク質には、窒素飢餓に応答するシグマ因子RpoN(σ54)が含まれる。
【0105】
いくつかの実施形態において、転写活性化因子は、QSシグナルを含む。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は、宿主細菌の膜へのストレスの感知に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、このタンパク質は、BaeSRを含む。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は、Casを安定化するタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、このタンパク質は、HtpGを含む。いくつかの実施形態において、転写活性化因子は、代謝感知タンパク質である。いくつかの実施形態において、代謝感知タンパク質は、CRPまたはRpoN(σ54)を含む。いくつかの実施形態において、転写活性化因子またはその機能的フラグメントをコードする核酸は、標的細菌に導入される。いくつかの実施形態において、転写活性化因子またはその機能的フラグメントをコードする核酸は、本明細書に記載のCRISPRアレイを介して標的細菌に導入される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、標的細菌におけるCRISPR−Casシステムのための転写活性化因子をコードする核酸を含むバクテリオファージを導入することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるのは、標的細菌におけるCRISPR−Casシステムのための転写活性化因子をコードする核酸を含むバクテリオファージである。
【0106】
抗CRISPRアレイ
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、抗CRISPRをさらに含む。
【0107】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、溶解活性、および抗CRISPRポリペプチドをコードする第1の核酸配列を含むバクテリオファージを標的細菌に導入することを含み、ここで、抗CRISPRポリペプチドは、バクテリオファージの溶解活性を増強する。。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるのは、溶解活性、および抗CRISPRポリペプチドをコードする第1の核酸配列を含むバクテリオファージであり、ここで、抗CRISPRポリペプチドは、バクテリオファージの溶解活性を増強する。
【0108】
いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドをコードする核酸は、バクテリオファージまたは別のバクテリオファージの溶解活性を直接増強する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージの溶解活性の増強は、宿主標的細菌におけるCRISPR−Casシステムの活性を阻害、不活性化、および/または抑制する抗CRISPRポリペプチドによるものである。抗CRISPRポリペプチドは、細菌のCRISPR−Casシステムの機能を妨げる活性を持つバクテリオファージタンパク質である。抗CRISPRタンパク質の活性は、宿主細菌が侵入するバクテリオファージに対するCRISPR−Casシステムベースの防御を開始するのを防ぐ。いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドは、遺伝子調節干渉を含むプロセスを使用して、宿主細菌のCRISPR−Casシステムを不活性化する。いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドは、ヌクレアーゼ動員干渉を含むプロセスを使用して、宿主細菌のCRISPR−Casシステムを不活性化する。いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドは、I型CRISPR−Casシステム、II型CRISPR−Casシステム、またはIII型CRISPR−Casシステム、IV型CRISPR−Casシステム、V型CRISPR−Casシステム、またはVI型CRISPR−Casシステムの活性を阻害、不活性化、および/または抑制する。
いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドまたは導入された抗CRISPRポリペプチドをコードする核酸のタンパク質産物は、カスケードまたはカスケード様複合体に直接的または間接的に結合する。
【0109】
いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドは、切断され、変異され、または目的の別のタンパク質に融合されている。いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドは、二量体タンパク質である。いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドは、ホモダイマーまたはヘテロダイマータンパク質である。一実施形態では、抗CRISPRポリペプチドは、AcrIIClBoe、AcrIIClNme、AcrIIC2Nme、AcrIIC3Nme、AcrIIC4Hpa、AcrIIC5Smu、またはそれらの任意の機能的フラグメントを含む。一実施形態では、抗CRISPRポリペプチドは、CRISPR−Casシステム上の特定の結合部位に特定の親和性で結合する。
【0110】
いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドは、標的細菌におけるCRISPR−Casシステムの活性を阻害、不活性化、または抑制し、ここで、上記CRISPR−Casシステムは、抗CRISPRポリペプチドをコードする核酸を含むバクテリオファージを標的とする。いくつかの実施形態において、抗CRISPRポリペプチドは、標的細菌におけるCRISPR−Casシステムの活性を阻害、不活性化、または抑制する。ここで、上記CRISPR−Casシステムは、第1のバクテリオファージとは異なる第2の直交バクテリオファージを標的とする。いくつかの実施形態では、第2の直交バクテリオファージは、第1のバクテリオファージとは異なる。いくつかの実施形態において、第1のバクテリオファージからの抗CRISPRポリペプチドによる標的細菌におけるCRISPR−Casシステム活性の阻害、不活性化、または抑制は、第1のバクテリオファージまたは第2の直交バクテリオファージの活性を増強する。いくつかの実施形態では、第2の直交バクテリオファージは溶解活性を有する。いくつかの実施形態では、第2の直交バクテリオファージは、本明細書に開示される実施形態のいずれかのバクテリオファージを含む。
【0111】
標的細菌を死滅させる方法
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、細菌を死滅させる方法である。いくつかの実施形態において、標的細菌の死滅は、バクテリオファージの溶解活性によって達成される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージの溶解活性は、少なくとも1つの溶原性遺伝子の除去、置換、または不活性化によるものである。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、バクテリオファージにおける溶原性サイクルの維持において役割を果たす。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、バクテリオファージにおける溶原性サイクルを確立することにおいて役割を果たす。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、溶原性サイクルの確立およびバクテリオファージにおける溶原性サイクルの維持の両方において役割を果たす。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、リプレッサー遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、clリプレッサー遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、活性化因子遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、cII遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、lexA遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原性遺伝子は、int(インテグラーゼ)遺伝子である。いくつかの実施形態において、溶原バクテリオファージは、溶解サイクルの誘導に寄与する1つ以上の遺伝子の挿入によって溶解性にされる。いくつかの実施形態では、温和なバクテリオファージは、溶解サイクルの誘導に寄与する1つまたは複数の遺伝子の発現を変化させることによって溶解性にされる。いくつかの実施形態において、温和なバクテリオファージは、表現型的に、溶原性バクテリオファージから溶解性バクテリオファージに変化する。いくつかの実施形態において、溶原バクテリオファージは、環境の変化によって溶解性にされる。いくつかの実施形態では、環境の変化には、温度、pH、または栄養素の変化、抗生物質、過酸化水素、外来DNA、またはDNA損傷剤への曝露、有機炭素の存在、および重金属(例えば、クロム(VI)の存在によるものが含まれるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、溶解性にされる温和なバクテリオファージは、溶原性状態に戻ることが防止される。いくつかの実施形態において、溶解性にされる温和なバクテリオファージは、追加のCRIPSRアレイを導入することによって、溶原性状態に戻ることが防止される。いくつかの実施形態において、標的細菌の死滅は、標的細菌の標的遺伝子における標的ヌクレオチド配列に相補的である少なくとも1つのスペーサーを含むCRISPRアレイの活性によって達成される。いくつかの実施形態において、標的細菌の死滅は、成熟したcrRNAの活性によって達成される。いくつかの実施形態において、細菌の死滅は、CRISPR−Casベースのエンドヌクレアーゼ活性、および/または細菌の標的遺伝子の標的ヌクレオチド配列での切断を指示することができる処理されたcrRNAを生成する、タイプI、タイプII、またはタイプIIIのCRISPR−CasシステムによるCRISPRアレイの処理によって達成される。いくつかの実施形態において、標的細菌の死滅は、バクテリオファージの溶解および/または非溶解活性とは独立したCRISPRアレイの活性によって達成される。いくつかの実施形態において、標的細菌の死滅は、本明細書に開示される任意の方法または方法の組み合わせによる。
【0112】
いくつかの実施形態において、細菌の死滅は、バクテリオファージの溶解活性によってのみ達成される。いくつかの実施形態において、細菌の死滅は、少なくとも1つのスペーサーを含むCRISPRアレイをコードする核酸の活性によってのみ達成される。いくつかの実施形態において、細菌の死滅は、成熟したcrRNAをコードする核酸の活性によってのみ達成される。いくつかの実施形態において、細菌の死滅は、バクテリオファージの溶解活性と、CRISPRアレイまたは成熟crRNAの活性との組み合わせによって達成される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージの溶解活性の組み合わせによる、およびCRISPRアレイをコードする第1の核酸の活性による細菌の死滅は、相乗的である。いくつかの実施形態において、CRISPRアレイまたは成熟crRNAの死滅活性は、バクテリオファージの溶解活性を補足または増強する。いくつかの実施形態において、標的細菌の死滅は、2つ以上のシステムの相乗効果である。
【0113】
いくつかの実施形態において、細菌の相乗的死滅は、バクテリオファージの濃度および/またはCRISPRアレイの設計によって調節される。いくつかの実施形態において、細菌の相乗的死滅は、の濃度を増加させることにより、CRISPRアレイの活性よりもバクテリオファージの溶解活性による死滅を支持するように調節される。バクテリオファージは細菌に投与される。いくつかの実施形態において、細菌の相乗的死滅は、細菌に投与されるバクテリオファージの濃度を減少させることにより、CRISPRアレイの活性よりもバクテリオファージの溶解活性による死滅を嫌うように調節される。いくつかの実施形態では、低濃度で、溶解複製は、標的細菌の増幅および死滅を可能にする。いくつかの実施形態では、高濃度では、ファージの増幅は必要とされない。
【0114】
いくつかの実施形態において、細菌の相乗的死滅は、CRISPRアレイの致死性を高めるためのスペーサーのバクテリオファージの数、長さ、組成、同一性、またはそれらの任意の組み合わせを変更することにより、バクテリオファージの溶解活性よりもCRISPRアレイの活性による死滅を支持するように調節される。いくつかの実施形態において、細菌の相乗的死滅は、バクテリオファージの数、長さ、組成、同一性、またはそれらの任意の組み合わせを変更することにより、CRISPRアレイの致死性を低下させるためのスペーサーのバクテリオファージの溶解活性よりもCRISPRアレイの活性による死滅を嫌うように調節される。
【0115】
いくつかの実施形態において、死滅させられる細菌中の標的ヌクレオチド配列は、目的の任意の必須の標的ヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、必須ではない配列である。いくつかの実施形態において、標的ヌクレオチド配列は、標的遺伝子のプロモーターまたはその相補体をコードするヌクレオチド配列の全部または一部を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態において、スペーサーヌクレオチド配列は、標的遺伝子のプロモーターまたはその一部に相補的である。
【0116】
いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、DNAのコード鎖または非コード鎖に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、標的遺伝子の転写領域のコーディング上に位置するヌクレオチド配列の全部または一部を含む。
【0117】
必須遺伝子とは、その生存に重要な生物の遺伝子である。しかし、不可欠であるかどうかは、生物が住んでいる状況に大きく依存する。例えば、でんぷんを消化するために必要な遺伝子は、でんぷんが唯一のエネルギー源である場合にのみ不可欠である。いくつかの実施形態では、必須遺伝子には、acpP、csrA、eno、fusA、gapA、gfyQ、infA、nusG、secY、trmD、Tsf、およびftsAが含まれるはこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、非必須遺伝子は、生存にとって重要ではない生物の任意の遺伝子である。しかし、本質的でないことは、生物が住んでいる状況に大きく依存している。
【0118】
いくつかの実施形態において、目的の標的遺伝子の非限定的な例は、転写調節因子、翻訳調節因子、ポリメラーゼ遺伝子、代謝酵素、トランスポーター、RNase、プロテアーゼ、DNA複製酵素、DNAを修飾または分解する酵素、調節RNA、トランスファーRNA、またはリボソームRNAをコードする遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、細胞分裂、細胞構造、代謝、運動性、病原性または毒性に関与する遺伝子である。いくつかの実施形態では、標的遺伝子は、その機能がまだ特徴付けられていない仮想遺伝子を含む。したがって、例えば、標的遺伝子は、任意の細菌からの任意の遺伝子である。
【0119】
抗菌剤およびペプチド
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、抗菌ペプチド、抗菌ペプチドの機能的フラグメント、または溶解遺伝子を発現するようにさらに遺伝子改変される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、本明細書に開示される少なくとも1つの抗菌剤またはペプチドを発現する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、核酸配列のタンパク質産物がファージ耐性細菌を標的とする酵素をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、バイオフィルムマトリックスを分解または分解するのを助ける酵素をコードする核酸を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、ディスペルシンDアミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、アルファガラクトシダーゼ、ベータガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、アルファグルコシダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペプチドグルタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシラナーゼまたはリアーゼをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態において、酵素は、セルラーゼAとも呼ばれるグリコシルヒドロキシラーゼ5ファミリーの酵素などの、セルラーゼのグリコシルヒドロキシラーゼファミリーなどのセルラーゼ、ポリグルコサミン(PGA)デポリメラーゼ;および結腸酸デポリメラーゼ、例えば、1,4−L−フコダイス加水分解酵素コラン酸を分解する1,4−ベータ−フコシド加水分解酵素、解重合アルギナーゼ、DNaseI、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、本明細書に開示される酵素を分泌する。
【0120】
いくつかの実施形態において、抗菌剤またはペプチドは、本明細書に開示されるバクテリオファージによって発現および/または分泌される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、アンピシリン、ペニシリン、ペニシリン誘導体、セファロスポリン、モノバクタム、カルバペネム、オフロキサシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、ノルフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、ロメフロキサシン、トロバフロキサシン、スパフロキサシン、ゲミフロキサシン、パズフロキサシンなどの抗生物質を分泌および発現する。本明細書に開示されている抗生物質。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、抗菌ペプチドをコードする核酸配列を含み、抗菌ペプチドを発現するか、または標的細菌の死滅を助けるまたは増強するペプチドを分泌する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、ペプチドをコードする核酸配列、抗菌ペプチドをコードする核酸配列を含み、抗菌ペプチドを発現するか、またはCRISPR−Casシステムの活性を補助または増強するペプチドを分泌する。
【0121】
用途
細菌感染症
本明細書に開示されるのは、細菌感染症を治療する方法である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、ヒトまたは動物の対象において本明細書に開示されるように、細菌によって媒介または引き起こされる疾患または状態を治療または予防する。そのような細菌は、通常、腸、口腔、肺、脇の下、眼、膣、肛門、耳、鼻、または喉の組織を含む対象の組織と接触している。いくつかの実施形態において、細菌感染は、細菌の活性を調節することによって、および/または細菌を直接死滅させることによって治療される。
【0122】
いくつかの実施形態では、細菌集団に存在する1つまたは複数の標的細菌は病原性である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は尿路病原性である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は尿路病原性大腸菌(UPEC)である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は下痢原性である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は糖尿病誘発性大腸菌(DEC)である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は志賀毒素産生性である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は志賀毒素産生大腸菌(STEC)である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は志賀毒素産生性である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は志賀毒素産生大腸菌(STEC)である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は志賀毒素産生大腸菌(STEC)である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は様々な0抗原:H抗原血清型大腸菌である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は腸内病原性である。いくつかの実施形態において、病原性細菌は、腸内病原性大腸菌(EPEC)である。
【0123】
いくつかの実施形態において、病原性細菌は、CD043、CD05、CD073、CD093、CD180、CD106、CD128、CD199、CD111、CD108、CD25、CD148、CD154、FOBT195、CD03、CD038、CD112、CD196、CD105、UK1、UK6、BI−9、CD041、CD042、CD046、CD19、またはR2029lを含むC.difficileの様々な株である。
【0124】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、対象の胃腸管における感染症、疾患、または状態を治療するために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオームまたは腸内細菌叢内の標的細菌を調節および/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオームまたは腸内細菌叢内の複数の細菌から1つ以上の標的細菌を選択的に調節および/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオームまたは腸内細菌叢内の複数の細菌から1つ以上の標的腸内病原性細菌を選択的に調節および/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態において、標的腸内病原性細菌は、腸内病原性大腸菌(EPEC)。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオームまたは腸内細菌叢内の複数の細菌から1つまたは複数の標的下痢原性細菌を選択的に調節および/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態において、標的下痢原性細菌は、下痢原性大腸菌(E.coli)(DEC)である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオームまたは腸内細菌叢内の複数の細菌から1つまたは複数の標的ベロ毒素産生細菌を選択的に調節および/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態において、標的の志賀毒素産生細菌は、志賀毒素産生大腸菌(STEC)である。
【0125】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、CD043、CD05、CD073、CD093、CD180、CD106、CD128、CD199、CD111、CD108、CD25、CD148、CD154、FOBT195、CD03、CD038、CD112、CD196、CD105、UK1、UK6、BI−9、CD041、CD042、CD046、CD19、又はR2029lを含む対象のマイクロバイオームまたは腸内細菌叢内の1つ以上の標的腸内病原性C.difficile細菌株を選択的に調節および/または死滅させるために使用される。
【0126】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、対象の尿路における感染症、疾患、または状態を治療するために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象の尿路細菌叢内の標的細菌を調節および/または死滅させるために使用される。尿路細菌叢には、表皮ブドウ球菌、エンテロコッカスフェカーリス、および一部のアルファ溶血性連鎖球菌が含まれるはこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象の尿路細菌叢内の複数の細菌から1つ以上の標的尿路病原性細菌を選択的に調節および/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態において、標的細菌は、尿路病原性大腸菌(UPEC)である。
【0127】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、対象の皮膚上の感染症、疾患、または状態を治療するために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象の皮膚上の標的細菌を調節および/または死滅させるために使用される。
【0128】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、対象の粘膜上の感染症、疾患、または状態を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象の粘膜上の標的細菌を調節および/または死滅させるために使用される。
【0129】
いくつかの実施形態において、病原性細菌は抗生物質耐性である。一実施形態では、病原性細菌は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)である。
【0130】
いくつかの実施形態において、細菌集団に存在する1つ以上の標的細菌は、バイオフィルムを形成する。いくつかの実施形態では、バイオフィルムは病原性細菌を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、バイオフィルムを処理するために使用される。
【0131】
いくつかの実施形態において、標的細菌の非限定的な例には、Escherichia種、Salmonella種、Bacillus種 、Corynebacterium Clostridium種、Clostridium種、Psuedomonas種、Clostridium種、Lactococcus種、Acinetoibacter種、Mycobacterium種、Myxococcus種、Staphylococcus種、Streptococcus種、またはcyanobacteriaが挙げられる。いくつかの実施形態において、細菌の非限定的な例には、Escherichia coli、Salmonella enterica、Bacillus subtilis、Clostridium acetobutylicum、Clostridium ljungdahlii、Clostridium difficile、Acinetobacter baumannii、Mycobacterium tuberculosis、Myxococcus xanthus、Staphylococcus aureus、Streptococcus pyogenes、or cyanobacteriaが挙げられる。いくつかの実施形態において、細菌の非限定的な例には、Staphylococcus aureus、methicillin resistant Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumonia、カルバペネム耐性Enteroacteriaceae、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus salivarius、Corynebacterium minutissium、Corynebacterium pseudodiphtheriae、Corynebacterium stratium、Corynebacterium group G1、Corynebacterium group G2、Streptococcus pneumonia、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa、Burkholderia cepacia、Serratia marcescens、Haemophilus influenzae、Moraxella種、Neisseria meningitidis、Neisseria gonorrhoeae、Salmonella typhimurium、Actinomyces種、Porphyromonas種、Prevotella melaninogenicus、Helicobacter pylori、Helicobacter felis、またはCampylobacter jejunが挙げられる。細菌のさらなる非限定的な例には、Lactobacillus種およびBifidobacterium種、Geobacter種を含むがこれに限定されない電気燃料細菌株、Clostridium種、もしくはRalstonia eutropha、または植物や哺乳動物に病原性のある細菌が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、細菌はEscherichia coliである。いくつかの実施形態において、細菌はClostridium difficileである。
【0132】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、ニキビおよび他の関連する皮膚感染症を治療する。
【0133】
いくつかの実施形態において、標的細菌は、多剤耐性(MDR)細菌株である。MDR株は、少なくとも1つの抗生物質に耐性のある細菌株である。いくつかの実施形態において、細菌株は、セファロスポリン、フルオロキノロン、カルバペネム、コリスチン、アミノグリコシド、バンコマイシン、ストレプトマイシン、およびメチシリンなどの抗生物質クラスに耐性がある。いくつかの実施形態において、細菌株は、セフトビプロール、セフタロリン、クリンダマイシン、ダルババンシン、ダプトマイシン、リネゾリド、ムピロシン、オリタバンシン、テジゾリド、テラバンシン、チゲシークライン、バンコマイシン、アミノグリコシド、カルバペネム、セフタジジム、セフェピム、セフトビプロール、フルオロキノロン、ピペラシリン、チカルシリン、リネゾリド、ストレプトグラミン、チゲサイクリン、ダプトマイシン、などの抗生物質またはそれらの任意の組み合わせに耐性がある。MDR株の例には、バンコマイシン耐性腸球菌(Enterococci)(VRE)、メチシリン耐性スタフィロコッカスアウレウス(Staphylococcus aureus)(MRSA)、拡張スペクトルβ−ラクタマーゼ(ESBL)産生グラム陰性菌、クレブシエラ ニューモニエ カルバペネマーゼ(Klebsiella pneumoniae carbapenemase)(KPC)が含まれる。およびEnterobacter種E.coli、Klebsiella pneumoniae、Acinetobacter baumannii、またはPseudomonas aeruginosaなどの多剤耐性グラム陰性桿菌(MDR GNR)MDRGN細菌が挙げられる。
【0134】
いくつかの実施形態では、標的細菌はクレブシエラニューモニアエ(Klebsiella pneumoniae)である。いくつかの実施形態では、標的細菌は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)である。いくつかの実施形態では、標的細菌は腸球菌(Enterococci.)である。いくつかの実施形態では、標的細菌はアシネトバクター(Acinetobacter)である。いくつかの実施形態では、標的細菌はシュードモナス(Pseudomonas.)である。いくつかの実施形態では、標的細菌はエンテロバクターである。いくつかの実施形態では、標的細菌はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)である。いくつかの実施形態において、標的細菌は、大腸菌(E.coli)である。いくつかの実施形態において、標的細菌は、クロストリジウム・ボルテエ(Clostridium bolteae)である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法および組成物は、獣医および医療用途、ならびに研究用途で使用するためのものである。
【0135】
「マイクロバイオーム」、「マイクロバイオータ」、および「微生物生息地」は、以下で交換可能に使用され、対象の体表面、空洞、および体液上またはその中に生息する微生物の生態学的群集を指す。ミクロビオームの生息地の非限定的な例には、腸、結腸、皮膚、皮膚表面、皮膚孔、膣腔、臍帯領域、結膜領域、腸領域、胃、鼻腔および通路、胃腸管、泌尿生殖器管、唾液、粘液、および糞便が含まれる。いくつかの実施形態では、マイクロバイオームは、細菌、古細菌、原生生物、真菌、およびウイルスを含むがこれらに限定されない微生物材料を含む。いくつかの実施形態では、微生物材料は、グラム陰性菌を含む。いくつかの実施形態では、微生物材料は、グラム陽性菌を含む。いくつかの実施形態では、微生物材料は、プロテオバクテリア、放線菌、バクテロイデス門、またはフィルミクテス門を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、対象のマイクロバイオーム内の標的細菌を調節または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、CRISPR−Casシステム、溶解活性、またはそれらの組み合わせによって、マイクロバイオーム内の標的細菌を調節および/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオーム内の標的細菌を調節および/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオーム内の複数の細菌から1つまたは複数の標的細菌を選択的に調節および/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオーム内の複数の細菌から1つ以上の標的腸内病原性細菌を選択的に調節および/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態において、標的腸内病原性細菌は、腸内病原性大腸菌(EPEC)である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオーム内の複数の細菌から1つまたは複数の標的下痢菌を選択的に調節および/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態において、標的下痢原性細菌は、下痢原性大腸菌(E.coli)(DEC)である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオーム内の複数の細菌から1つまたは複数の標的ベロ毒素産生細菌を選択的に調節および/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態において、標的の志賀毒素産生細菌は、志賀毒素産生大腸菌(STEC)である。
【0137】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、CD043、CD05、CD073、CD093、CD180、CD106、CD128、CD199、CD111、CD108、CD25、CD148、CD154、FOBT195、CD03、CD038、CD112、CD196、CD105、UK1、UK6、BI−9、CD041、CD042、CD046、CD19、またはR2029lを含む対象のマイクロバイオーム内の1つ以上の標的腸内病原性C.ディフィシル細菌株を選択的に調節および/または死滅させるために使用される。
【0138】
いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、対象の胃腸管のマイクロバイオームまたは腸内細菌叢内の標的の単一または複数の細菌を調節または死滅させるために使用される。ミクロビオームまたは腸内細菌叢の改変(例えば、腸内毒素症)は、糖尿病、精神障害、潰瘍性大腸炎、結腸直腸癌、自己免疫障害、肥満、糖尿病、中枢神経系の疾患および炎症性腸疾患などの健康状態のリスクを高める。胃腸管の疾患および状態に関連し、bifidobacteriaceae bacteroides、faecalibacterium、roseburia、blautia、ruminococcus、coprococcus、streptococcus、dorea、blautia、ruminococcus、lactobacillus、enterococcus、streptococuccus、escherichia coli、fusobacterium nucleatum、haemophilus moribillum、bacteroides vulgatus、bacteroides caccae、bifidobacterium bifidum、bifidobacterium longum、bifidobacterium adolescentis、bifidobacterium dentum、blautia hansenii、ruminococcus gnavus、Clostridium nexile、faecalibacterium prausnitziiエール、ローズブリア腸内細菌、コプロコッカスが来る、放線菌、ラクトコッカス、ローズブリア、連鎖球菌、ブラウティア、ダイアリスター、デスルホビブリオ、エシェリキア、ラクトバチルス、コプロコッカス、クロストリジウム、ビフィズス菌、コプロボバクテリウム、クレブシエラ、グラニュリカテラ、ユーバクテリウム、アナエ、faecalibacterium、、anaerotruncus、alistipes、haemophilus、anaerococcus、veillonella、arevotella、akkermansia、bilophila、sutterella、eggerthella、holdemania、gemella、peptoniphilus、rothia、enterococcus、pediococcus、citrobacter、odoribacter、enterobacteria、fusobacterium、およびproteusなどのバクテリオファージによって調節または死滅させられる細菌の例示的なリストには、エンテロバクテリア科、パスツレラ科、フソバクテリア科、ナイセリア科、ビフィズス菌、ゲメラ科、バクテリオダレス、クロトリオダレスの菌株、亜菌株、およびエンテロタイプが含まれる。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、健康なマイクロバイオームを促進するために対象に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、対象のマイクロバイオームの健康を促進するマイクロバイオーム組成物に回復するために対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージを含む組成物は、プレバイオティクスまたは第3の薬剤を含む。いくつかの実施形態において、マイクロバイオーム関連の疾患または障害は、本明細書に開示されるバクテリオファージによって治療される。
【0140】
環境療法
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、食品および農業の衛生(肉、果物および野菜の衛生を含む)、病院の衛生、家庭の衛生、車両および設備の衛生、産業衛生などにさらに使用される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、抗生物質耐性または他の望ましくない病原体を、医学、獣医、畜産、または任意の追加の環境から除去するために使用される。
【0141】
医療機関でのファージの環境への応用は、内視鏡などの機器や、消毒が困難または不可能な病原体による院内感染の潜在的な原因であるICUなどの環境向けである。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるファージは、一般的に使用される消毒剤に対して耐性となるシュードモナスなどの細菌属が生息する機器または環境を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるファージ組成物は、無生物を消毒するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される環境は、ファージ力価を有する水溶液で噴霧、塗装、または注がれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の溶液は、10
1−10
20プラーク形成単位(PFU)/mlの間を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、バクテリオファージの環境への分布を容易にするために、乾燥分散剤を含むエアロゾル化剤によって適用される。いくつかの実施形態では、物体は、本明細書に開示されるバクテリオファージを含む溶液に浸漬される。。
【0142】
衛生
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、様々な分野において、消毒剤、洗剤、界面活性剤、水などの薬剤、衛生剤として使用される。「ファージ」または「バクテリオファージ」という用語を使用することができるは適切な場合、この用語は、単一のバクテリオファージ、バクテリオファージ混合物などの複数のバクテリオファージ、およびバクテリオファージとバクテリオファージとの混合物を含むと広く解釈されるべきであることに留意されたい。
【0143】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、手術室、病室、待合室、実験室、または他の雑多な病院設備を含む病院施設を消毒するために使用される。いくつかの実施形態では、この機器は、心電計、呼吸器、心臓血管補助装置、大動脈内バルーンポンプ、注入装置、他の患者ケア装置、テレビ、モニター、リモコン、電話、ベッドなどを含む。状況によっては、バクテリオファージはエアロゾルキャニスターを介して適用される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、トランスファービヒクルで物体上のファージを拭くことによって適用される。
【0144】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のバクテリオファージは、患者ケアデバイスと組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、従来の人工呼吸器または呼吸療法装置と組み合わせて使用されて、患者間の内面および外面を洗浄する。人工呼吸器の例には、手術中の換気をサポートするデバイス、無能力の患者の換気をサポートするデバイス、および同様の機器が含まれる。いくつかの実施形態では、従来の治療法には、自動または電動装置、または救急治療室や救急車で一般的に見られるような手動のバッグタイプの装置が含まれる。いくつかの実施形態では、呼吸療法は、慢性閉塞性肺疾患または喘息で一般的に使用される気管支拡張薬などの薬物を導入するための吸入器、または持続的気道陽圧装置などの気道開存性を維持するための装置を含む。
【0145】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバクテリオファージは、髄膜炎または腸管感染症などの伝染性の高い細菌性疾患が存在する領域において、表面を洗浄し、コロニー形成した人々を治療するために使用される。
【0146】
いくつかの実施形態では、給水は、本明細書に開示される組成物で処理される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、汚染された水、貯水槽、井戸、貯水池、貯蔵タンク、水道、導管、および同様の配水装置に見られる水を処理するために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、水、油、冷却液、および他の液体が収集プールに蓄積する工業用貯蔵タンクに適用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、細菌の増殖を低減するために、定期的に工業用貯蔵タンクに導入される。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、家、アパート、マンション、寮、または任意の居間などの居間を消毒するために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、劇場、コンサートホール、美術館、駅、空港、ペット用ベッドなどのペットエリア、またはトイレなどの公共エリアを消毒するために使用される。この能力において、バクテリオファージは、ポンプ噴霧器、エアゾール容器、噴出ボトル、事前に湿らせたタオルなどを含む従来の装置から分配され、消毒される領域に直接適用される(例えば、噴霧される)か、またはタオル、スポンジなどの輸送体を介して。その領域に移される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるファージは、台所、寝室、浴室、ガレージ、地下室などを含む、家の様々な部屋に適用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるファージは、従来のクリーナーと同じ方法である。いくつかの実施形態において、ファージは、従来のクリーナーが適切なバクテリオファージの生物学的活性を維持するように処方されるという条件で、従来のクリーナーと組み合わせて(前、後、または同時に)適用される。
【0148】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、紙製品の処理中または処理の完了後のいずれかで、紙製品の成分に添加される。本明細書に開示されるバクテリオファージが添加される紙製品には、ペーパータオル、トイレットペーパー、ウェットティッシュが含まれるはこれらに限定されない。
【0149】
食品安全
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のバクテリオファージは、汚染を防止するために、任意の食品または栄養補助食品に使用される。食品または医薬品の例としては、牛乳、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、牛乳ベースの発酵製品、アイスクリーム、発酵穀物ベースの製品、牛乳ベースの粉末、乳児用調合乳または錠剤、液体懸濁液、乾燥経口サプリメント、湿式経口サプリメント、またはドライチューブ給餌がある。
【0150】
バクテリオファージの衛生に関する幅広い概念は、他の農業用途や生物にも適用できる。果物や野菜、乳製品、その他の農産物を含む農産物。例えば、切りたての農産物は、病原菌で汚染された加工工場に頻繁に到着する。これは、発生する可能性のある食品媒介性疾患の発生につながった。いくつかの実施形態において、バクテリオファージ調製物の農産物への適用は、食品媒介性疾患に関連する細菌の種に対して特異性を有する単一のファージまたはファージ混合物の適用を通じて、食品媒介性疾患の可能性を実質的に低減または排除する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、その時点での細菌汚染を低減するために、またはその後の時点での汚染から保護するために、生産および処理の様々な段階で適用される。
【0151】
いくつかの実施形態では、特定のバクテリオファージは、レストラン、食料品店、農産物流通センターでの農産物に適用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージは、サラダバーの果物および野菜の内容物に定期的または継続的に適用される。いくつかの実施形態において、サラダバーへの、または食品の外部を消毒するためのバクテリオファージの適用は、噴霧または噴霧プロセスまたは洗浄プロセスである。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のバクテリオファージは、肉、農産物、果物や野菜のカット、および他の食品を含むパッケージを含むマトリックスまたは支持媒体で使用される。いくつかの実施形態において、包装に適したポリマーは、バクテリオファージ調製物で含浸される。
【0153】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバクテリオファージは、農家および家畜飼料において使用される。いくつかの実施形態では、家畜を飼育している農場では、家畜は、飲料水、食物、またはその両方にバクテリオファージを備えている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のバクテリオファージは、死骸に噴霧され、と畜場を消毒するために使用される。
【0154】
農産物の生物的防除剤として特定のバクテリオファージを使用すると、多くの利点が得られる。例えば、バクテリオファージは、一般的な化学消毒剤のように天然の微生物叢の生態学的バランスを乱すことはないは対象となる食品由来の病原菌を特異的に溶解する、天然の無毒な製品である。バクテリオファージは、化学消毒剤とは異なり、宿主細菌とともに進化する天然物であるため、最近出現した耐性菌に対して活性のある新しいファージが必要に応じて迅速に特定されるは新しい効果的な消毒剤の特定ははるかに長いプロセスであり、数年である。
【0155】
医薬組成物
いくつかの実施形態において、本開示は、細菌、古細菌感染症を治療するために、または領域を消毒するために、医薬組成物およびそれを投与する方法を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、医薬的に許容される担体中に上記で論じた試薬のいずれかを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物または方法は、肺感染症(CFP、NCFB、HAP/VAP)全身感染症(細菌血症、SSSI)GIマイクロバイオーム腸内毒素症(CDI)および/または尿路感染症(cUTI)を治療する。
【0156】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、医薬品、医薬品、担体、アジュバント、分散剤、希釈剤などを含む。
【0157】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、適切な方法に従った医薬担体での投与。いくつかの実施形態では、本開示による医薬組成物の製造において、バクテリオファージは、とりわけ、許容可能な担体と混合される。いくつかの実施形態では、担体は、固体(粉末を含む)または液体、あるいはその両方であり、好ましくは、単位用量組成物として処方される。いくつかの実施形態において、1つ以上のバクテリオファージは、薬局の任意の適切な方法によって調製される、本明細書に開示される組成物。
【0158】
いくつかの実施形態では、対象のインビボで治療する方法であって、本明細書に開示されているバクテリオファージを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法。医薬組成物が治療有効量で投与される、医薬的に許容される担体。いくつかの実施形態において、バクテリオファージのヒト対象またはそれを必要とする動物への投与は、当技術分野で知られている任意の手段による。
【0159】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、経口投与用である。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、カプセル、錠剤、および粉末などの固体剤形、またはエリキシル、シロップ、および懸濁液などの液体剤形で投与される。いくつかの実施形態において、頬側(舌下)投与に適した組成物および方法は、フレーバーベース、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント中にバクテリオファージを含むロゼンジを含む。ゼラチンとグリセリンまたはスクロースとアカシアなどの不活性塩基中にバクテリオファージを含むトローチを含む。
【0160】
いくつかの実施形態において、本開示の方法および組成物は、バクテリオファージの無菌の水性および非水性注射溶液を含む非経口投与に適している。いくつかの実施形態では、これらの調製物は、意図されたレシピエントの血液と等張である。いくつかの実施形態において、これらの調製物は、組成物を意図されたレシピエントの血液と等張にする抗酸化剤、緩衝液、細菌および溶質を含む。いくつかの実施形態において、水性および非水性の滅菌懸濁液は、懸濁剤および増粘剤を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物は、単位用量または複数用量の容器、例えば密封されたアンプルおよびバイアルに提示され、例えば、使用直前に注射用の生理食塩水または水、滅菌液体担体の添加のみを必要とする凍結乾燥(フリーズドライ)状態で保存される。
【0161】
いくつかの実施形態において、直腸投与に適した方法および組成物は、単位用量坐剤として提示される。いくつかの実施形態において、これらは、バクテリオファージを1つ以上の従来の固体担体、例えば、カカオバターと混合し、次いで、得られた混合物を成形することによって調製される。いくつかの実施形態では、皮膚への局所適用に適した方法および組成物は、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、または油の形態である。いくつかの実施形態では、使用される担体には、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮増強剤、およびそれらの2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0162】
いくつかの実施形態では、経皮投与に適した方法および組成物は、レシピエントの表皮と長期間密接に接触したままであるように適合された別個のパッチとして提示される。
【0163】
いくつかの実施形態では、対象の鼻投与に適した、または他の方法で肺に投与される方法および組成物は、例えば、対象が吸入するバクテリオファージ組成物を含む呼吸可能な粒子のエアロゾル懸濁液によって投与される任意の適切な手段を含む。いくつかの実施形態では、呼吸可能な粒子は液体または固体である。本明細書で使用される場合、「エアロゾル」は、細気管支または鼻腔に吸入することができる任意のガス媒介懸濁相を含む。いくつかの実施形態では、液体粒子のエアロゾルは、圧力駆動エアロゾルネブライザーまたは超音波ネブライザーなどの任意の適切な手段によって生成される。いくつかの実施形態では、組成物を含む固体粒子のエアロゾルは、製薬分野で知られている技術によって、任意の固体粒子状薬剤エアロゾル発生器で生成される。
【0164】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージを対象物または対象物の表面に投与するのに適した方法および組成物は、水溶液を含む。いくつかの実施形態では、そのような水溶液は、物体または対象の表面に噴霧される。いくつかの実施形態では、水溶液は、細菌を含む異物の破片から対象の物理的創傷を洗浄および洗浄するために使用される。
【0165】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、治療有効量で対象に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つのバクテリオファージ組成物は、医薬製剤として製剤化される。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上のバクテリオファージを含む。本明細書に開示される。場合によっては、医薬製剤は、本明細書に記載のバクテリオファージと、賦形剤、希釈剤、または担体のうちの少なくとも1つを含む。
【0166】
いくつかの実施形態において、医薬製剤は、賦形剤を含む。賦形剤は、American Pharmaceutical Association(1986)のHandbook of Pharmaceutical Excipientsに記載されており、溶媒、分散媒体、希釈剤、またはその他の液体ビヒクル、分散または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘または乳化剤、防腐剤、固体バインダー、および潤滑剤が含まれるはこれらに限定されない。
【0167】
適切な賦形剤の非限定的な例には、緩衝剤、防腐剤、安定剤、結合剤、圧縮剤、潤滑剤、キレート剤、分散促進剤、崩壊剤、香味剤、甘味料、着色剤が含まれるはこれらに限定されない。
【0168】
いくつかの実施形態では、賦形剤は緩衝剤である。適切な緩衝剤の非限定的な例には、クエン酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、および重炭酸カルシウムが含まれるはこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化マグネシウム、乳酸塩マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムポリリン酸塩、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、メタリン酸カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酢酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウム水酸化カルシウムおよび他のカルシウム塩の任意の1つ以上の緩衝剤を含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、賦形剤は防腐剤である。適切な防腐剤の非限定的な例には、α−トコフェロールおよびアスコルビン酸塩などの抗酸化剤、ならびにパラベン、クロロブタノール、およびフェノールなどの抗菌剤が含まれるはこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、抗酸化剤には、EDTA、クエン酸、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、亜硫酸ナトリウム、p−アミノ安息香酸、グルタチオン、没食子酸プロピル、システイン、メチオニン、エタノールが含まれるはこれらに限定されない。およびN−アセチルシステイン。いくつかの実施形態において、保存剤は、バリダマイシンA、TL−3、オルトバナジン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、N−α−トシル−フェ−クロロメチルケトン、N−a−トシル−Lys−クロロメチルケトン、アプロチニン、フェニルメチルスルホニルフルオリド、ジイソプロピルフルオロホスフェート、プロテアーゼ阻害剤、還元剤、アルキル化剤、抗菌剤、オキシダーゼ阻害剤、または他の阻害剤。
【0170】
いくつかの実施形態において、医薬製剤は、賦形剤として結合剤を含む。適切な結合剤の非限定的な例には、デンプン、アルファ化デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルオキソアゾリド、ポリビニルアルコール、C
l2−C
l8脂肪酸アルコール、ポリエチレングリコール、ポリオール、糖類、オリゴ糖、およびそれらの組み合わせ。
【0171】
いくつかの実施形態では、医薬製剤で使用される結合剤は、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉などの澱粉から選択される。ショ糖、ブドウ糖、ブドウ糖、乳糖、マルトデキストリンなどの糖;天然および合成ガム;ゼラチン;微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体。ポリビニルピロリドン(ポビドン);ポリエチレングリコール(PEG);ワックス;炭酸カルシウム;リン酸カルシウム;ソルビトール、キシリトール、マンニトール、水などのアルコール、またはそれらの組み合わせ。
【0172】
いくつかの実施形態において、医薬製剤は、賦形剤として潤滑剤を含む。適切な潤滑剤の非限定的な例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、水素化植物油、ステロテックス、ポリオキシエチレンモノステアレート、タルク、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、および軽質鉱油が含まれる。いくつかの実施形態において、医薬製剤中にある潤滑剤は、金属ステアリン酸塩(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなど)、脂肪酸エステル(ステアリルフマル酸ナトリウムなど)、脂肪酸(ステアリン酸など)、脂肪から選択される。アルコール、ベヘン酸グリセリル、ミネラルオイル、パラフィン、水素化植物油、ロイシン、ポリエチレングリコール(PEG)、金属ラウリル硫酸塩(ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムなど)、塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、タルクまたはそれらの組み合わせ。
【0173】
いくつかの実施形態では、賦形剤は香味料を含む。いくつかの実施形態では、香味料は天然油を含む。植物、葉、花、果物、およびそれらの組み合わせからの抽出物。
【0174】
いくつかの実施形態では、賦形剤は甘味料を含む。適切な甘味料の非限定的な例には、グルコース(コーンシロップ)、デキストロース、転化糖、フルクトース、およびそれらの混合物(担体として使用されない場合)が含まれる。サッカリンおよびナトリウム塩などのその様々な塩;アスパルテームなどのジペプチド甘味料;ジヒドロカルコン化合物、グリチルリチン;ステビアレバウディアナ(ステビオシド);スクラロースなどのスクロースのクロロ誘導体;およびソルビトール、マンニトール、シリトールなどの糖アルコール。
【0175】
場合によっては、医薬製剤は着色剤を含む。適切な着色剤の非限定的な例には、食品、薬物および化粧品の色(FD&C)、薬物および化粧品の色(D&C)、および外部の薬物および化粧品の色(Ext.D&C)。
【0176】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬製剤は、キレート剤を含む。いくつかの実施形態では、キレート剤は、エチレンジアミン−N、N、N’、N’−四酢酸(EDTA)、二ナトリウム、三ナトリウム、四ナトリウム、二カリウム、三カリウム、二リチウムおよびEDTAのジアンモニウム塩;EDTAのバリウム、カルシウム、コバルト、銅、ジスプロシウム、ユーロピウム、鉄、インジウム、ランタン、マグネシウム、マンガン、ニッケル、サマリウム、ストロンチウム、または亜鉛キレートを含む
【0177】
場合によっては、医薬製剤は希釈剤を含む。希釈剤の非限定的な例には、水、グリセロール、メタノール、エタノール、および他の同様の生体適合性希釈剤が含まれる。いくつかの実施形態において、希釈剤は、酢酸、クエン酸、マレイン酸、塩酸、リン酸、硝酸、硫酸などの水性酸である。
【0178】
いくつかの実施形態において、医薬製剤は、界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート)、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキシエチレンヒマシ油、誘導体、ドキュセートナトリウム、第四アンモニウム化合物、L−ロイシンなどのアミノ酸、脂肪酸の糖エステル、脂肪酸のグリセリド、またはそれらの組み合わせから選択されるが、これらに限定されない。
【0179】
場合によっては、医薬製剤は、追加の医薬剤を含む。いくつかの実施形態では、追加の医薬品は抗生物質である。いくつかの実施形態において、抗生物質は、アミノグリコシド、アンサマイシン、カルバセフェム、カルバペネム、セファロスポリン(第1、第2、第3、第4および第5世代セファロスポリンを含む)、リンコサミド、マクロライド、モノバクタム、ニトロフラン、キノロン、ペニシリン、スルホンアミドからなる群である。、ポリペプチドまたはテトラサイクリン。
【0180】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗生物質は、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシンまたはパロモマイシンなどのアミノグリコシドである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗生物質は、ゲルダナマイシンまたはハービマイシンなどのアンサマイシンである。
【0181】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗生物質は、ロラカルベフなどのカルバセフェムである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗生物質は、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチンまたはメロペネムなどのカルバペネムである。
【0182】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗生物質は、セファドロキシル、セファゾリン、セファレキシン、セファロチンまたはセファロチンなどのセファロスポリン(第1世代)、あるいはセファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジルまたはセフロキシムなどのセファロスポリン(第2世代)である。いくつかの実施形態において、抗生物質は、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフチブテンなどのセファロスポリン(第3世代)、セフトリアキソンとセフトリアキソン、またはセフェピムなどのセファロスポリン(第4世代)またはセフトビプロールである。
【0183】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗生物質は、クリンダマイシンおよびアジスロマイシンなどのリンコサミド、またはアジスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、スペクチノマイシンである。
【0184】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗生物質は、アズトレオナムなどのモノバクタム、またはフラゾリドンまたはニトロフラントインなどのニトロフランである。
【0185】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗生物質は、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンGまたはV、ピペラシリン、テモシリンおよびチカルシリンなどのペニシリンである。
【0186】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗生物質は、マフェニド、スルホナミドクリソイジン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾール、スルファニルイミド、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、トリメトプリム、またはトリメトプリム−スルファメトキサゾール(コトリモキサゾール)(TMP−SMX)、銀などのスルホンアミドである。
【0187】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗生物質は、以下のようなキノロンである。シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシンおよびテマフロキサシン。
【0188】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗生物質は、バシトラシン、コリスチンまたはポリミキシンBのような、ポリペプチドである。
【0189】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗生物質は、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリンまたはオキシテトラサイクリンのような、テトラサイクリンである。
【0190】
用量
本明細書に開示される組成物の投与量および投与期間は、対象の年齢、対象の体重、およびファージの耐性を含む様々な要因に依存するであろう。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバクテリオファージは、経口投与によって患者に投与される。いくつかの実施形態では、10
3から10
20PFUの間のファージの用量が与えられる。
例えば、いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、10
3から10
11PFUの間の量の組成物中に存在する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、約10
3、10
4、10
5、10
6、10
7、10
8、10
9、10
10、10
11、10
12、10
13、10
14、10
15、10
16、10
17、10
18、10
19、10
20、10
21、10
22、10
23、l0
24PFU以上の量の組成物中に存在する。
いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、10
1PFU未満の量の組成物中に存在する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、10
4から10
8、10
4と10
9、10
5と10
10、または10
7と10
11PFUの間の量の組成物中に存在する。いくつかの実施形態において、バクテリオファージまたは混合物は、1日1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24回それを必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージまたは混合物は、週に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又は21回。でそれを必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージまたは混合物は、月に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、又は90回それを必要とする対象に投与される。
【0191】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物(バクテリオファージ)は、疾患または状態の発生前、発生中、または発生後に投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージを含む組成物を投与するタイミングは変化する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は予防薬として使用され、疾患または状態の発生を防ぐために、状態または疾患の傾向がある対象に継続的に投与される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、症状の発症中または発症後できるだけ早く対象に投与される。いくつかの実施形態において、組成物の投与は、症状の発症の最初の48時間以内、症状の発症の最初の24時間以内、症状の発症の最初の6時間以内、または3以内に開始される。症状の発症時間。いくつかの実施形態では、組成物の最初の投与は、本明細書に記載の任意の製剤を使用する本明細書に記載の任意の経路によるなど、実用的な任意の経路を介する。いくつかの実施形態において、組成物は、疾患または状態の発症が検出または疑われる後、実行可能であるとすぐに、そして疾患の治療に必要な期間、例えば、約1ヶ月から約3ヶ月まで投与される。いくつかの実施形態では、治療の長さは、被験者ごとに異なる。
キット
【0192】
本明細書に開示されているのは、使用するためのキットである。
いくつかの実施形態において、キットは、CRISPRアレイ、転写活性化因子、および/または抗CRISPRポリペプチドのための核酸構築物、ならびにバクテリオファージおよび/または本明細書に開示される任意の他のベクター/発現カセットを、導入に適した形態で含む。細胞および/または対象への投与。いくつかの実施形態では、キットは、他の治療薬、担体、緩衝液、容器、投与用デバイスなどを含む。いくつかの実施形態において、キットは、標的遺伝子の発現の抑制および/または標的遺伝子の発現の抑制の調節のための標識および/または指示を含む。いくつかの実施形態において、標識および/または指示は、例えば、CRISPRアレイ、転写活性化因子、および抗CRISPRポリペプチドのための核酸構築物の導入および/または投与の量、頻度および方法に関する情報、ならびにバクテリオファージおよび/またはその他のベクター/発現カセットを含む。
【0193】
いくつかの実施形態において、1つの標的細菌を死滅させるためのキットが提供され、上記キットは、CRISPRアレイ、転写活性化因子、および/または抗CRISPRポリペプチド、ならびにバクテリオファージのための核酸構築物から本質的になることからなる。および/または本明細書に開示される任意の実施形態による標的細菌の死滅を達成するために必要な任意の他のベクター/発現カセットを含む。
【0194】
いくつかの実施形態において、標的細菌におけるCRISPR−Casシステムの活性を調節するためのキットが提供され、キットは、CRISPRアレイ、転写活性化因子、および抗CRISPRのための核酸構築物から本質的になることからなる。ポリペプチド、ならびにバクテリオファージおよび/または本明細書に開示される任意の実施形態による標的細菌におけるCRISPR−Casシステムの調節を達成するために必要な任意の他のベクター/発現カセット。
【0195】
いくつかの実施形態において、上記キットのCRISPRアレイ、転写活性化因子、および/または抗CRISPRポリペプチドのための核酸構築物は、単一のベクターまたは発現カセット上、または別個のベクターまたは発現カセット上、あるいは単一のバクテリオファージまたは複数のバクテリオファージ内に含まれる。バクテリオファージの。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に開示される1つまたは複数のバクテリオファージを含む。いくつかの実施形態では、キットは、使用説明書を含む。いくつかの実施形態では、方法を実施するための指示は、適切な記録媒体に記録される。いくつかの実施形態では、説明書は、紙またはプラスチックなどの基材に印刷される。いくつかの実施形態では、説明書は、キットまたはその構成要素の容器のラベル付けにおいて、添付文書としてキットに存在する(すなわち、包装またはサブパッケージ)など。いくつかの実施形態では、命令は、適切なコンピュータ可読記憶媒体上に存在する電子記憶データファイルとして存在する。CD−ROM、ディスケット、フラッシュドライブなど。いくつかの実施形態では、実際の指示はキットに存在しないは遠隔ソースから(例えばインターネットを介して)指示を取得するための手段が提供される。いくつかの実施形態では、キットは、指示が表示される、および/または指示がダウンロードされるウェブアドレスを含む。
【0196】
本明細書に開示される特定の実施形態は、それらの方法および組成物の両方において、以下の実施例を参照して説明される。これらの実施例は、特許請求の範囲を開示に限定することを意図するものではなく、むしろ特定の実施形態の例示を意図するものであることを理解されたい。当業者に生じる例示された方法のいかなる変形も、本開示の範囲内に入ることが意図されている。
【実施例】
【0197】
実施例1:CRISPR増強バクテリオファージを生成するための概要
CRISPRで増強されたバクテリオファージは、溶菌生活環に不可欠な遺伝子を維持するバクテリオファージゲノムからCRISPR RNA構築物を発現するように操作されたファージである。関与する工程は、細菌に対する広範な宿主範囲を有するバクテリオファージおよびバクテリオファージのカクテルを調達、分離、および同定し、続いて細菌のゲノムを標的とする発現構築物(例えば、crRNA)を有するように各ファージを操作して、臨床リード候補として使用されるcrファージの最適化された組み合わせを検証することである。いくつかの実施形態では、一般的なプロセスは、
図1のステップ1〜5に概略的に示されている通りである。ステップ1〜5は、次のように適切な数の野生型バクテリオファージを特定するように設計されている。
【0198】
1.以下の表1で提案されている最低品質基準(溶原性、病原性遺伝子、または抗生物質耐性遺伝子の不在)を満たす。
【0199】
表1:ファージの特性評価の要約
【0200】
【表1】
【0201】
2.臨床単離物パネルの約90%以上に対して収集活動を行う。
【0202】
3.任意の単一のバクテリオファージに耐性がある場合にカクテルに対する菌株の感受性を確保することを目的とした、カクテル内の少なくとも2つのファージ(2つ以上のファージの混合物)による各菌株の感染をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のカクテルは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、50、100以上のバクテリオファージを含む。
【0203】
4.野生型ゲノムからcrRNA構築物を発現させるために、各候補バクテリオファージの遺伝子工学を含める。操作された各crファージは、溶解活性を保持することを目的としている。次に、crファージをインビトロ分析にかけ、宿主の範囲とインビトロでの有効性を評価する。これらの研究は、crファージが生産的な溶解感染の非存在下で致死的なcrRNA構築物を形質導入する能力によって拡大された宿主範囲ではないにしても、広い宿主範囲を保持し、各crファージについて同族の野生型バクテリオファージに対する致死性の改善を確認することを意図している。
【0204】
5.宿主範囲、製造上の制限、または非臨床効果を改善するために最適化されたカクテルで使用するためのcrファージを特定する。
【0205】
実施例2:ファージの単離
バクテリオファージベクターは、ノースカロライナ州の環境源から入手した。
ファージは、尿路病原性大腸菌のECOR 14、62、64、および71と共培養することにより、これらのサンプルから直接単離した。次に、各ファージを、増幅、濾過、および摂氏4度での長期保存の前に、合計3ラウンドの二重寒天オーバーレイにわたる単一プラーク単離によるクローン精製に供した。各ファージを増幅し、濾過し、塩化セシウム勾配精製に供し、1×トリス緩衝生理食塩水に透析した。ファージゲノムDNAは、カラムベースのファージDNA調製キット(Norgen)を使用して精製ファージストックから抽出され、必要に応じてMiSeqまたはPacBio配列決定によるゲノム配列決定、およびサードパーティベンダー(Genewiz)でのアセンブリに提出された。以前に単離されたファージ、K1Fが得られ、これは尿路病原性大腸菌分離株に感染することが以前に示されており、既知のゲノムを有する(K1F:NC_007456)。
【0206】
実施例3:ファージ宿主範囲分析
野生型バクテリオファージのこのライブラリーは、各標的を複製および溶解する能力について、大腸菌パネルに対して個別に特徴付けられた。このプロセスにより、尿路病原性大腸菌のパネルの約90%を溶解し、24時間のチャレンジ研究中に最小限の耐性を示す野生型バクテリオファージパネルが得られると予想された。このマスターライブラリーから、短縮された野生型バクテリオァージライブラリーが生成され、尿路病原性大腸菌パネルの約90%に対して予測された活性が保持された。
【0207】
各ファージは、進化的に幅広い大腸菌のパネルに対する溶解活性についてテストされた。簡単に説明すると、ファージを高力価(10
9−10
11PFU/mL)で生成し、ろ過し、増殖培地に懸濁したままにした。各標的宿主を対数増殖期中期まで増殖させ、軟寒天オーバーレイに組み込んで細菌ローンを作製した。ファージを約10
3〜10
5PFU/mLまで段階希釈し、各希釈液の5マイクロリットルを各細菌ローンにスポットプレートした。各ファージに対する宿主の感受性は、各スポット内の観察可能なクリアランスゾーンとして定義された。場合によっては、この分析には、標的宿主に吸着し、生産的な溶解感染によって引き起こされる溶解からではなく、ないことからの溶解(lysis−from−without)と呼ばれる現象を引き起こすいくつかのファージが含まれる。しかし、吸着から生じることがない溶解は、生産的な溶解感染が存在しない場合でさえ、DNA形質導入を可能にするという仮定の下で、これらのデータ点を意図的に除外しないことを選択した。
【0208】
この予備分析から、以下の表2に示すように、ヒト患者から単離された4つの尿中病原体を含む、パネルでテストされた18の分離株のうち17(94%)に集合的に感染する10のファージが選択された。ファージは、強調表示されているように、ECOR 14、62、64、または71に対して単離またはテストされ、次に、示されているより広いパネルに対してテストされた。重要なことに、ファージ宿主範囲はすべての生産的な溶解事象と見なされ、ないことからの溶解から生じた事象が含まれている。
【0209】
表2:大腸菌染色の多様なセットに対する単離されたバクテリオファージの宿主範囲分析
【0210】
【表2】
灰色の影付きの行は、尿路病原性大腸菌分離株に対する予備的な宿主範囲の範囲を実証した。
【0211】
実施例4:ファージを単離するための一次耐性
この省略されたライブラリー内の複数の野生型バクテリオファージに感受性のある選択された大腸菌を使用して、チャレンジファージと一晩インキュベートした後、治療を受けていない宿主で耐性クローンを生成する能力について個々のバクテリオファージを評価した。個々の野生型バクテリオファージに対する見かけの耐性コロニーをクローン的に単離し、元のバクテリオファージおよびライブラリー内の他のバクテリオファージで再チャレンジした。これらのデータを使用して、どのバクテリオファージが急速な一次耐性を生成する可能性が高いかを通知した。これは、同じバクテリオファージで再チャレンジした後の安定した耐性表現型として定義される。安定した耐性表現型は、チャレンジバクテリオファージを含む培地での24時間培養中の増殖曲線の検査による明らかな溶解を示さなかった。クローンの50%より上で一次耐性を生成するバクテリオファージは、さらなる研究から除外された。次に、さらなる特性評価ステップで、短縮ライブラリー内の他の野生型バクテリオファージに対する各クローンの感度を測定する。
【0212】
すべてのファージストックは、発酵、ろ過、および>10
10PFU/mL力価の検証により、増殖培地中の野生型、野生型バクテリオファージの粗溶解物として生成された。提案された10ファージカクテルの各野生型ファージの経験的耐性プロファイルを決定するために、特定の宿主に対して推定耐性クローンを生成した:二重寒天オーバーレイ上の〜10
8コロニー形成単位の大腸菌宿主を高力価溶解物とインキュベートすることによるファージペアリング(>l0
8PFU、MOI>1.0)。一晩培養した後、トリプルコロニー精製により推定耐性クローンを単離した。増殖後、各クローンは、省略された10ファージカクテルからの各元のファージを用いるチャレンジに供された。特に、最初のチャレンジ後の生存として定義される見かけの耐性表現型を持つ多数のクローンは、以下の表3に示すように、ファージチャレンジの非存在下での増殖後に明らかに感度を回復した。
表3:大腸菌ECOR71に対する選択されたcrファージの耐性プロファイルデータ。
【0213】
【表3】
R:耐性、S:感受性、T:一過性(最初は敏感であると定義され、その後抵抗性の表現型が出現する)。X:未定。灰色の網掛けのボックスは、元の推定耐性クローンを単離するために使用された示されたバクテリオファージで再チャレンジされたクローンからの結果を示す。
【0214】
他の場合では、個々のクローンは、元のチャレンジファージに対する安定した表現型耐性で容易に同定された。しかし、これらのクローンのそれぞれは、元の野生型ファージに耐性がある一方で、パネル内のファージの少なくとも1つに対する感受性を保持していた。最初のファージチャレンジごとに1つだけがテストされた。場合によっては、ファージ間および個々のファージの耐性プロファイルは、テストに応じて変化する。
【0215】
実施例5:カクテル用のリードバクテリオファージの同定
潜在的な野生型バクテリオファージおよびその中の組み合わせは、以下のパラメーターに対して、それぞれ表2および表3の個々の野生型ファージ宿主範囲および耐性結果からのデータを使用して評価された:1)ファージは臨床単離物パネルの約90%以上に対して集合的活性を有する。2)ファージは、カクテル内の少なくとも2つのファージによるそれぞれの感染を引き起こし、これは、任意の単一のバクテリオファージに対する耐性の事象においてカクテルに対する感受性を確保することを意図している。3)ファージは、単離されたクローンの50%より多くで一次耐性を生成せず、一次耐性は、クローンの増殖と再チャレンジの後にその特定のファージに対する耐性を保持する個々のファージでのチャレンジ後のエスケープクローンの出現として定義され、最後に4)ファージは、カクテル内の他のすべてのファージに対する交差耐性を生成しない。これは、最初のチャレンジファージに対する持続的な耐性と、提案されたカクテル内の他のファージに対する新しい耐性を示す、最初のチャレンジおよびクローン増殖後のエスケープクローンの出現として定義される。クローンは以前には治療を受けていなかった。
【0216】
表2に示されている野生型バクテリオファージの組み合わせ(約94%の累積宿主範囲)を、表3に示されている耐性プロファイルと比較した。これらのデータから、上記の最適化パラメーターに基づいて、18の遺伝的に多様な大腸菌分離株のパネルに対してテストした場合、5つの候補バクテリオファージが約94%の宿主範囲をカバーし、5つのファージのそれぞれが最低2の感受性を持っていることが確認された。各野生型ファージは、一次耐性を示す50%未満の出現クローンをもたらし、提案されたカクテルのすべてのファージに対する耐性を示すクローンはないと予測されている。これらのデータは表4、表5、および表6に要約されており、crファージカクテルの予備開発の基礎を形成している。単一のcrRNA発現構築物は、評価された大腸菌ゲノムの約78%(n=625)に存在するタイプI−EおよびタイプI−F CRISPR−Cas3システムの活性を方向付けて、評価されたゲノムの99%以上に集合的に存在する複数の高度に保存された遺伝子座において宿主大腸菌染色体を標的とするように設計されている。個々のcrRNAは、大腸菌分離株への形質転換によってインビトロで検証され、標的となる大腸菌配列に対する個々のcrRNAの活性が実証された。次に、これらのcrRNAは、バクテリオファージゲノムから発現され、内因性CRISPR−Casシステムによって処理されて宿主染色体を標的とするアレイに組み立てられる。
【0217】
提案されている野生型バクテリオファージは、現在、表1に概説されているように、溶原性、病原性遺伝子、または抗生物質耐性遺伝子がないかどうかについて評価されている。
表4:提案されたcrファージカクテルの5つの個別のバクテリオファージの宿主範囲。
【0218】
【表4】
灰色の影付きの行は、尿路病原性大腸菌分離株に対する予備的な宿主範囲の範囲を示した。
表5:提案されたcrファージカクテルの5つの個々のバクテリオファージの耐性プロファイル。
(表3で観察されたφKlFに対するECOR71の感受性に基づいて表2から改訂)
【0219】
【表5】
灰色の網掛けのボックスは、元の推定耐性クローンを単離するために使用された示されたバクテリオファージで再チャレンジされたクローンからの結果を示している。
表6:提案されたcrファージカクテルについての5つの個別のバクテリオファージの要約データ。
【0220】
【表6】
*一次チャレンジファージに対する耐性については、ファージ感受性データを決定できなかった単一のデータ点を除外した(N=3)。
**カクテル感受性については、いくつかの個々のファージライブラリデータ点を決定できなかったため、6つの耐性分離株のデータを除外した(N=6)。
【0221】
提案されたcrファージカクテルは、以下の表7にさらに要約されている。
表7:提案された予備的なcrファージカクテルの要約。
【0222】
【表7】
【0223】
提案されたcrファージカクテルのcrRNAアレイの組成は、以下の表8に要約されている。
表8:個々のcrRNA情報の要約。
【0224】
【表8】
【0225】
実施例6:致死性のためにCRISPRアレイを最適化する
C.difficileに対して使用するための効果的なCRISPR増強バクテリオファージを開発するために、CRISPRアレイにさまざまな変更が加えられた。
【0226】
図2Aは、C.difficileの5つの株内から同定されたCRISPR−Casシステムの線形配列と、さまざまなCRISPR−Cas構成成分の同定の概略図を示している。630株とR20291株のCRISPR−Casシステムオペロン構造を
図2Bにさらに示する。
【0227】
C.difficileを標的とするcrファージ内の最初のcrRNAアレイは、C.difficile630またはR20291のCRISPRアレイのネイティブ・リーダー配列と、C.difficileに見られるネイティブCRISPRアレイのコンセンサス反復配列を組み合わせたものであった。スペーサー配列は、C.difficileの内因性タイプI−BシステムのコンセンサスPAM配列によって定義され、dmsB、phi f、phi2を含む3つの選択されたC.difficile標的宿主遺伝子に相補的である。ネイティブリーダー配列の代わりに内因性エノラーゼプロモーターを使用するcrRNAアレイと、IDT合成を容易にするために2番目の反復配列が変更されたcrRNAアレイ(R2 A>G)を含む2つの追加構成がテストされた。したがって、バクテリオファージを操作するためのCRISPR−RNAの構成は、leader−repeat−spacer−repeatである。遺伝子操作されたバクテリオファージは、クロストリジウムの遺伝子操作のためにデモクラタイズされた(democratized)プラスミドを使用して、溶原菌としての天然細菌宿主における相同組換えによって作成された。
【0228】
クロストリジウム・ディフィシル菌株630およびR20291は、嫌気性環境で37℃のブレインハートインフュージョン(BHI)培地で一晩増殖させた後、1%(vol/vol)接種物で5mLの新鮮なBHIに継代培養した。次に、C.difficile株をODが0.2になるまでインキュベートしてから、CFU減少アッセイを開始した。バクテリオファージのすべての調製および取り扱いは、以前に記載されたように実施された。各培養物に、10の野生型またはCRISPRファージ溶解物の合計MOIを、最終濃度が10mM MgCl
2および1mMCaCl
2で添加した。次に、ODとCFUを6時間にわたってモニターした。
【0229】
同様に、CRISPRアレイ内のリピート配列のヌクレオチド組成の変更は、crRNAの全体的な致死性にわずかな影響を及ぼした。クロストリジウム・ディフィシル株630コンセンサス配列番号11/5’−GTTTTATATTAACTATATGGAATGTAAAT−3’は、CRISPRのネイティブリーダー配列を含むcrRNAのシングルポイントヌクレオチド変異で変化したC.difficile630またはR20291からのアレイ、または内因性エノラーゼ遺伝子プロモーターおよびdmsBまたはintC.difficile宿主遺伝子に相補的なスペーサー。反復配列の変化は、全体的なcrRNA活性に影響を与えるヘアピンの二次構造を変化させると予想される。以下の表9は、さまざまな構築物のcrRNA致死性の変化をまとめたものである。
表9:crRNAアレイリピートの変更はcrRNAの致死性に影響する。
【0230】
【表9】
【0231】
実施例7:crファージは死滅活性を増強した
大腸菌およびC.ディフィシルに対するCRISPR増強バクテリオファージは、野生型ファージゲノムに埋め込まれた機能的な自己標的型CRISPRRNAをコードする同一のDNA配列を含む別個の偏性溶解性バクテリオファージから開発された。
図3Aに見られるように、10
10個の細菌細胞を含む大腸菌培養物を天然の未修飾ファージで処理すると、ファージの溶解活性によって細菌細胞が5−log減少した。改変されたcrファージによる治療は、大腸菌の死滅活性をさらにおよそ5対数改善する。場合によっては、抗菌活性の改善は、ファージの生来の溶解活性とは無関係であり、CRISPRアレイ自体の抗菌活性の結果である。CRISPRアレイによる処理は、
図3Bに示すように、細菌細胞集団の約7−logの減少を示す。
【0232】
同様に、約10
8個の細菌細胞を含むC.difficile培養物を天然の未修飾ファージで処理すると、ファージの溶解活性によって細菌細胞が約1.5−log減少した。
図4Aに示すように、改変crファージで処理すると、細菌細胞の死滅活性の追加のl−log減少が見られた。場合によっては、抗菌活性の改善はファージの生来の溶解活性とは無関係であるが、代わりにCRISPRアレイ自体の抗菌活性の結果である。
図4Bに示すように、CRISPRアレイによる処理では、C.difficile細胞集団の約3.5−logの減少のみが示された。
【0233】
実施例8:crファージは、死滅活動を拡大し、宿主範囲と関連した
同一濃度の野生型またはcrファージを、C.difficile株069を播種した寒天プレートにスポットして、crファージの感受性を確認した。
図5に示すように、C.difficile細菌ローンプレート上のファージプラークの存在を使用して、crファージφCD146による死滅に感受性があるが野生型ファージφCDl46には非感受性であるC.difficile株を同定した。野生型ファージφCDl46ではなくcrファージφCD146による細胞死は、バクテリオファージベースの溶解活性とは無関係である細菌細胞死を示している。代わりに、これは、溶菌性ファージφCDl46感染に対して本来非感受性であるC.ディフィシル株に対するCRISPRアレイによる細菌細胞死を表している。使用したcrRNAアレイはR20291−3を標的とした。
【0234】
実施例9:crファージは、広範囲のC.difficile株で死滅活性を高めている
C.difficileの異なる菌株のパネルに対して有効であるcrファージの能力が決定された。CRISPR−RNAは、C.difficile R20291のCRISPRアレイのネイティブリーダー配列を組み込んだ後、C.difficileにあるネイティブCRISPRアレイのコンセンサスリピート配列と組み合わせて操作された。スペーサー配列は、C.difficileの内因性タイプI−BシステムのコンセンサスPAM配列によって定義され、長さは、C.difficileの内因性CRISPRアレイに見られる最も代表的なスペーサー長によって決定された。したがって、バクテリオファージを操作するためのCRISPR−RNAの構成は、リーダー−反復−スペーサー−リピートである。遺伝子操作されたバクテリオファージは、クロストリジウムの遺伝子操作のためにデモクラタイズされた(democratized)プラスミドを使用して、溶原菌としての天然細菌宿主において相同組換えを通して作製された。
【0235】
Clostridium difficile菌株は、嫌気性環境で37℃のブレインハートインフュージョン(BHI)培地で一晩増殖させた後、1%(vol/vol)接種物で5mLの新鮮なBHIに継代培養した。次に、C.difficile株を、OD減少アッセイのODが0.1、CFU減少アッセイのODが0.2になるまでインキュベートした。バクテリオファージのすべての調製および取り扱いは、以前に記載されたように実施された。各培養物に、合計MOIが10の野生型またはCRISPRファージ溶解物を、最終濃度10mM MgCl
2および1mM CaCl
2を添加した。次に、ODとCFUを6時間にわたってモニターした。
【0236】
図6A−
図6Vに示すように、2つのcrファージバリアントに対する野生型ファージの比較を、φCD146についてのcrファージC.difficile株1−22に対する光学密度(OD600nm)で測定した。
図7A−
図7Cに示すように、追加のバリアントであるcrファージφCD24−2をC.C.difficile株23−25に対して同様にテストした。
【0237】
選択した菌株のサブセットを、コロニー形成単位(CFU)列挙を使用してさらに調べ、crファージφCD146および2の殺菌活性を比較した。野生型およびcrファージφ146に対するC.difficile株1〜4のCFUアッセイを
図8A〜
図8Dに示する。
図9は、野生型およびcrファージφCD24−2に対するCD19株のCFUアッセイを示している。crファージφCD146とcrファージφCD24−2の組み合わせ比較を
図10でテストした。crファージφCD146およびcrファージφCD24−2抗菌活性のCFUアッセイは、各crファージについて個別に、および一緒に投与した場合に実施した。同時投与は、両方の野生型ファージを一緒に組み合わせた処理と比較して、改善された死滅効果を示した。野生型ファージφCD24−2は、野生型ファージφCD146と比較してより強力な抗菌死滅活性を示したが、一緒に投与した場合、死滅の複合効果は著しく低下した。これは、野生型ファージφCD24−2の活性を潜在的に妨害する野生型φCD146ファージを示唆している。しかし、crファージφCD146とcrファージφCD24−2の組み合わせは、野生型ファージφCD24−2自体と比較して、わずかに改善された細菌死滅能力に等しいことを示している。
【0238】
細菌の増殖に対するMOIの影響を評価するために、C.difficile株R2029lの培養物を増殖させ、0〜16のさまざまなMOIで野生型φ146またはcrファージφCD146を接種した。標的宿主細菌に対するR20291−3に対する溶解活性とCRISPRアレイ活性の複合効果を評価した。野生型とcrファージの両方で、MOIが高いほど、C.difficileのより大きなlog減少をもたらした。しかし、
図11に示すように、crファージφCD146は、テストしたすべてのMOIで、野生型ファージφCDl46と比較して細菌数の減少に一貫した改善を示した。
【0239】
実施例10:耐性率を克服するためのCRISPRアレイのCRISPR増強crファージインシリコ設計
CRISPRベースの標的化に対する潜在的な耐性率を決定するために、数学モデルを開発して、標的ゲノム内の約32塩基対の任意の所定の潜在的な標的部位での変異の頻度を決定した。
【0240】
生存を付与する変異を有する細胞の数=
(1−(1−([変異率/ゲノム/世代]*[ゲノム/塩基対の数]*世代の数))
32)
n*(CFUロード)
【0241】
集団内のエスケープ変異体を推定する計算では、任意の遺伝子の一般的な変異率は、世代ごとのゲノムあたり1000変異に1つであり、典型的な細菌ゲノムの長さは約5x10
6塩基対長であり、世代の総数は、感染の長さを生物の倍加時間で割ったものの合計として推定される。したがって、この方程式は、特定のゲノムの独立した突然変異率に集団内のゲノム(細胞など)の総数を掛けたものと仮定して、すべての潜在的なスペーサー標的において感染の過程で突然変異を獲得する細胞として生存細胞の総数を推定する。
【0242】
crRNAによって標的とされる独立した遺伝子の数の関数としての標的部位の突然変異のために時間とともに出現する耐性クローンの数のインシリコ予測。これらのモデルは、(1)突然変異率が遺伝子標的に依存せず、(2)crRNAの32塩基すべてが活性に一致するという非常に保存的な仮定を前提としている。CRISPRに対する潜在的な耐性に対する独立して標的化された遺伝子の数の影響を理解するために、2セットの仮定がテストされた。2つのタイプの感染がモデル化された。
図12Aに示すように6時間ごとに2倍になることで合計負荷が10
10CFUになる急性感染、または
図12Bに示すように20分ごとに2倍になることで合計負荷が10
14CFUになる攻撃的な感染である。これらの仮定の下で、両方のモデルは、3つの独立した遺伝子標的が感染期間の28日までの突然変異のエスケープを防ぐために十分であることを示している。
【0243】
これらの推定値は、次のように保存的であると見なされる:(1)crRNA標的は必須遺伝子の高度に保存された領域内にあるため、おそらくここで計算されるよりも変異する可能性が低く、(2)crRNAがその標的部位で1つ以上のミスマッチを許容することを示すデータとは対照的に、このモデルは32塩基対crRNAの単一の変異が活性を排除することを想定している。標的は。CRISPRアレイは、4つの独立した標的に対して4つの独立したcrRNAを発現するように設計されており、CRISPR標的の喪失による耐性がほとんどないことを保証する。さまざまな大腸菌株の中で最も有病率の高い標的を特定するために、
図13に示すように、各スペーサー標的の株カバレッジを分析した。crRNAアレイ標的には、株カバレッジの割合が高いものから低いものの順に次の遺伝子が含まれる。Tsf(100%)、cpP(99%)、gapA(99%)、infA(99%)、secY(99%)、secY’2(99%)、csrA(99%)、trmD(99%)ftsA(99%)、nusG(99%、fusA’2(99%)、fusA(98%)、glyQ(98%)、eno(95%)、gapA’2(91%)、eno’2( 89%)、およびnusG’2(73%)。
【0244】
図14に示すように、大腸菌ゲノムの保存領域を標的とする一連の個別のタイプIE crRNAを構築した。crRNA標的には、acpP、csra、eno、fusA、gapA、glyQ、inf A、nusG、secY、trmD、およびTsfの遺伝子が含まれる。これらの個々のタイプIE crRNA構築物は、crRNA発現構築物をタイプIE CRISPR−Cas3システムを構成的に発現する大腸菌細胞に形質転換することによってテストされた。形質転換効率は入力DNAのマイクログラムあたりの形質転換体として計算され、各データポイントは3つの独立した実験からの単一の複製である。テストされた各crRNAは、レシピエントの大腸菌に形質転換されたときに、同様の観察されたレベルの致死性をもたらした。これらのスペーサーから、4つのタイプI−E crRNAが各サブセットから選択され、最終的なアレイにアセンブルされた。
【0245】
実施例11:LeuO転写活性化因子で増強されたcrファージ
大腸菌に対するCRISPR増強バクテリオファージは、野生型ファージゲノムに埋め込まれた機能的な自己標的型CRISPR RNA(crRNAカセット)をコードする同一のDNA配列を含む最大3つの異なる偏性溶解性バクテリオファージのカクテルとして開発された。バクテリオファージは、2つの方法のいずれかによって操作された:(1)活性ファージ感染を伴う大腸菌細胞での相同組換え、または(2)細胞外で組み立てられた操作ファージDNAの形質転換により、操作されたゲノムで活性ファージを再構成する。各ファージは、2つの要素を含む同様のcrRNAカセットで操作された:(1)合成プロモーターの前にある大腸菌由来のLeuO転写因子遺伝子、および(2)合成プロモーターの前にあるftsA遺伝子を標的とするcrRNAをコードするリピートスペーサーリピート。3つのバクテリオファージ構築物が操作された:crT4、crT7、およびcrT7m。3つのバクテリオファージ構築物すべてを
図15に模式的に示する。操作されたさまざまなcrファージで使用されるcrRNA発現カセットには、以下の表10に示すように単一のcrRNAが含まれている。
表10.crRNA発現カセット。
【0246】
【表10】
【0247】
バクテリオファージcrT4は、hoc遺伝子を削除し、crRNAカセットに置き換えることによって操作された。バクテリオファージcrT7は、gp0.7、gp4.3、gp4.5、およびgp4.7を削除し、crRNAカセットに置き換えることによって操作された。バクテリオファージcrT7mは、gp0.6、gp0.65、gp0.7、gp4.3、およびgp4.5を削除し、crRNAカセットに置き換えることによって操作された。これらの欠失後にすべてのファージが首尾よく操作されたという観察に基づいて、これらの初期のファージ遺伝子はファージの生存に必須ではないと結論付けられた。これらの操作されたバクテリオファージの詳細は、以下の表11に要約されている。
表11.操作されたcrファージの要約。
【0248】
【表11】
【0249】
感染中にDNAが形質導入されると、LeuOはファージゲノムから発現し、その後、大腸菌で内因性のI−ECRISPR−Cas3オペロンの発現をアップレギュレートする。同時に、合成ftsAsri標的化crRNAは、内因性のタイプI−ECRISPR−Cas3タンパク質複合体によって認識および処理されるファージゲノムから発現される。次に、このcrRNAはCRISPR−Cas3複合体にロードされ、それによって標的細菌DNAの標的化と分解を方向付ける。
【0250】
実施例12:大腸菌におけるCRISPR−Casシステムの普及と分布
CRISPR−Casシステムのタイプとサブタイプにはさまざまな種類があり、発見されたシステムの大部分(>60%)は、Cas3シグネチャーヌクレアーゼを持つという独自の機能を共有するタイプIグループに属している。CRISPR−Cas3システムは、一本鎖ニックを生成し、続いて標的DNAの進行性のエキソヌクレアーゼ分解を生成するという点で独特である。E.coli CRISPR−Casシステムは、タイプI−EとタイプI−Fの2つの異なるサブタイプに属しており、分解にこのシグネチャーCas3ヌクレアーゼを使用する。
【0251】
大腸菌におけるCRISPR−Casシステムのおおよその分布を決定するために、尿路病原性大腸菌(UPEC)、志賀毒素産生性大腸菌、(STEC)を含む多様な菌株にまたがる625の公的に入手可能な大腸菌ゲノムを分析した。Ol57:H7血清型大腸菌、下痢原性大腸菌(DEC)、非157 O抗原型大腸菌、および腸内病原性大腸菌(EPEC)。各ゲノムは、標準的なタイプI−EまたはタイプI−F 大腸菌CRISPR−Casシステムに類似したオペロンについてスキャンされた。
図16Aは、これらの大腸菌ゲノムのそれぞれの相対量を示している。
図16Bは、すべての菌株の約78%(487/625)はタイプI−EまたはタイプI−Fのいずれかの完全なCRISPR−Cas3システムをすでに持っていることを示している。提案された生成物は、ゲノムを標的とする内因性CRISPR−Cas3システムを活性化するために必要なガイドとアクセサリーのみを提供することにより、大部分の大腸菌におけるCRISPR−Cas3タンパク質の存在を利用する。
【0252】
実施例13:大腸菌のCasオペロンの近くにLeuO結合部位が存在する
大腸菌ゲノムのCasオペロン付近のLeuO結合部位の有病率を決定するために、628個のE.coliゲノムは尿路病原性大腸菌(UPEC)、志賀毒素産生大腸菌(STEC)、さまざまなO−抗原:大腸菌の場合はH−抗原の血清型、下痢原性E.coli(DEC)、および腸内病原性E.coli(EPEC)などの多様性にまたがるアクセッション番号でNCBIから直接ダウンロードされた。次に、「CasB」と注釈が付けられた遺伝子についてゲノムを照会した。CasBコード配列と両側に隣接する5kbを抽出して、さらに注釈を付けた。完全なカスケードオペロンは、CasABCDEまたはCas3遺伝子のトランケートされた遺伝子の目視検査によって決定された。401個のインタクトなCascade−Cas3オペロンが検出された(クエリされたすべてのゲノムの64%)。次に、Cas3の上流とCas3の下流の200〜400ヌクレオチドをそれぞれ分析のために抽出した。候補LeuO結合配列を取得して整列させ、コンセンサス配列を作成した。次に、個々のコンセンサス配列を、Cas3の上流および下流の配列に対して60%の閾値ヌクレオチド同一性で照会した。まとめると、候補のLeuO結合部位は、インタクトなCacade−Cas3オペロンを含む株の88.5%で観察された。表12は、以下のE.coliゲノムの検索分析をまとめたものである。
【0253】
表12.大腸菌ゲノムにおけるLeuO有病率の要約。
【0254】
【表12】
【0255】
実施例14:CRISPR−Casの致死性を引き出すにはLeuOの発現が必要
ほとんどの大腸菌は、ゲノム内のI型CRISPR−Cas3活性に必要な成分をコードしている。ただし、E。coliType I−E CRISPR−Cas3オペロンは、ヒストン様核様体構造化(H−NS)抑制によって制御されており、通常の培養条件下では発現しない。LeuOは、重複するプロモーター領域でH−NSに対抗して作用し、遺伝子発現を活性化する。H−NSとLeuO活性の相互作用は、S。typhimuriumとE.coliで、LeuOの過剰発現またはノックアウトに関連する全体的な転写変化を調べることによって研究されている。従来の培養条件下では、LeuO自体は発現せずに、飢餓および定常期にアップレギュレートされる。しかし、大腸菌とS.typhimuriumのcasABCDEオペロンは、LeuOの過剰発現により有意にアップレギュレートされ、CasAの上流にあるH−NSとLeuOの結合配列を予測している。しかし、LeuO発現カセットがない場合、casABCDEの発現は、自己標的型crRNAを介した致死性をサポートするのに十分ではない。
【0256】
LeuO発現カセットを病原体に送達する主なリスクには、レギュロン内の非標的(非Cas)遺伝子への影響が含まれる。S.typhimuriumでは、LeuOは病原性に関連するいくつかの遺伝子をアップレギュレートするが、発現に有意な増加があるかどうか、およびこの観察がS.typhimurium以外の細菌にどのように適用されるかは不明である。大腸菌では、LeuOは特定のクラスの抗生物質に対する耐性を増加または減少させる。
【0257】
大腸菌のCRISPRを介した致死性におけるLeuOの機能を検証するために、内因性CRISPR−Cas3オペロンの野生型抑制を克服するためにLeuO発現カセットをコードするファージミドを設計した。設計されたファージミドはM13バクテリオファージに由来し、これは、CRISPR−Cas3ベースの致死性を混乱させないように非溶解性であることが示されているバクテリオファージである。ファージミドはまた、保存された大腸菌ftsA遺伝子を標的とするCRISPRアレイをコードし、それによってこのアレイの発現が活性化され、タイプI−E大腸菌CRISPR−Cas3システムの自己標的化を方向付けして細胞死を誘発する。
【0258】
図17は、CRISPRを介した致死性のLeuO発現への依存性をテストするために操作された検証済みのftsAスペーサー配列を使用したCRISPR構築物の非溶解性Ml3由来ファージミド送達を示している。ファージミドは1ミリリットルあたり10
9変換単位の力価で生産され、インビトロ研究のために増殖培地で維持された。ファージミドベクターは、ftsAリピートスペーサーアレイ、LeuO発現カセット、およびM13互換の複製起点をコードする。ファージミドベクターの致死性は、野生型H−NS抑制大腸菌タイプI−E CRISPR−Cas3オペロンを含有する一定の範囲の親EMG2、CRISPR−Cas3オペロン(Ahns)におけるH−NSを欠くBW251l3誘導体、過剰発現したCRISPR−Cas3オペロン(BW+Cas)を含むBW25113誘導体、およびBW25113−Cas3遺伝子を欠く誘導体(BWΔCas)を含む、M13バクテリオファージの形質導入を介してテストされた。、を含む範囲への抑制モチーフ、。
【0259】
示された大腸菌を、各M13ファージミドのミリリットルあたり10
9の形質導入単位に感染させ、選択培地にプレーティングして、形質導入された細胞を回収し、生き残ったコロニー形成単位(形質導入体)を数えた。それぞれは、凡例に示されている以下のファージミドで形質導入された:対照、一般的なM13形質導入対照。pCRISPR、非標的化crRNAを構成的に発現するファージミド、LeuO、E.coliLeuO遺伝子を構成的に発現するファージミド、ftsA、E.coliに存在する保存されたftsA遺伝子を標的とするcrRNAを構成的に発現するファージミド;ftsA::LeuO、ファージミドは、ftsAを標的とするLeuO遺伝子およびcrRNAを構成的に発現する。
【0260】
LeuOおよびftsA標的化スペーサーの同時送達は、Cas3活性を欠くBWACaを除いて、それぞれにわたる対照と比較して、3.4ログ(±0.04)から4.3ログ(±0.06)の範囲の減少をもたらし、確認した。その致死性は、ファージミドゲノムから発現される構築物に依存していることを確認した。特に、ftsA標的化スペーサーのみの発現によるCRISPR−Cas3の致死性は、BW+Cas細胞株でのみ観察され、H−NS抑制の除去だけでは有意なレベルの内因性CRISPR−Cas3標的化をレスキューするのに十分ではないことを示している。これらのデータに基づくと、ftsAスペーサーとLeuOの両方は操作されていない野生型大腸菌の細胞死に必要である。
【0261】
実施例15:LeuOで増強されたcrファージにより、致死性の動態が改善された
各crファージを野生型ファージと全身的に比較して、それぞれの野生型バクテリオファージと比較したCRISPR増強ファージの効力の変化を決定した。crファージおよび対応する野生型バクテリオファージが生成され、ろ過され、増殖培地で同じ力価に調整された。既存の公的に入手可能な配列決定データに基づくと、3つの野生型ファージは著しく異なるゲノム構造を持っているが、偏性溶解性ファージである(データは示していない)。標的大腸菌は、増殖培地中で、各ファージについて示された感染多重度(バクテリオファージに対するファージの比率)で、それぞれ、crT7m、crT7、およびcrT4について2時間または5時間インキュベートされた。インキュベーション後、培養物を直ちに収集し、段階的に希釈し、プレーティングして、生き残ったコロニーを数えた。3つすべてのcrファージでCFUの低下に有意差が観察された。
図18A〜
図18Cに示すように、野生型ファージの比較では、crT7mの最大約4 logの改善(
図18A)、crT4の約4.5 logの改善(
図18A)が含まれる。
図18B)およびcrT7(
図18C)活動の約l−logの改善。これらのデータは、CRISPRで増強されたファージは選択された時点で、野生型バクテリオファージとは対照的に、標的の大腸菌集団を排除することを示唆している。
【0262】
実施例16:LeuOで増強されたcrファージのインビトロ死滅曲線
図19A−
図19Eは、各crファージの用量反応インビトロ死滅曲線を示している。各crファージは、標準的な溶解増幅によって生成された。ろ過し、元の増殖培地(LBブロス)に懸濁したままにする。すべての実験はLBブロスで実施された。大腸菌MG1655を対数増殖期中期まで増殖させた後、各crファージ、crファージカクテル、またはLBのみのネガティブコントロールの示された感染多重度(MO I)と混合した。
処理された集団は、光学密度(OD 630nm)によって処理された集団の成長をモニターするために、プレートリーダーで37℃で24時間、好気性の振とう条件下で成長させた。
【0263】
大腸菌MG1655を対数増殖期中期まで増殖させ、感染多重度(MOI;ファージと細菌の比率)で次のように処理した。
図19A、crT7をMOI 0.0001、0.01、および1.0でインキュベートした。
図19B、crT7mは0.0009、0.09、および9.0のMOIでインキュベートされた。
図19Cでは、crT4は0.0006、0.06、および6.0のMOIでインキュベートされた。
図19Dに示すように、各ファージを等量混合してcrファージカクテル(「カクテル」)を作成し、0.0006、0.06、および6.0のMOI(各crファージ)でインキュベートした。
図19Eは、
図19Dの拡大グラフである。
【0264】
予想通り、すべてのcrファージはMOIとは無関係に標的を溶解した。特に、crT7m高用量集団(
図19B)およびcrT4低用量集団(MOI=0.0006、
図19C)における緊急耐性集団は、最初のファージ用量の存在下での24時間の連続培養によって観察された。ただし、crT7、crT7m、およびcrT4のカクテルでチャレンジした場合、耐性集団は観察されなかった(
図19Dおよび
図19E)。
【0265】
MOIと比較して溶解までの時間を定量化するために実施された
図20に示すように、crファージの濃度と観察可能な溶解までの時間の間に用量依存的な関係が観察された。溶解までの時間は、バクテリオファージの増幅が推定されたために細菌集団が崩壊した後、増殖曲線の一次導関数がゼロに達する時間として定義された。宿主ゲノムのエンドヌクレアーゼ分解は、細菌を死滅させるための非溶解メカニズムであると考えられているため、CRISPRを介した致死性は増殖曲線分析では観察されないと予想される。
【0266】
大腸菌MG1655を対数増殖期中期まで増殖させ、各crファージに示されているように感染多重度(MOI;ファージと細菌の比率)で処理した。成長曲線は平滑化され、平滑化された線の一次導関数は、PRISMソフトウェアスイートを使用して決定された。溶解までの時間は、最初に観察された人口減少の直後に一次導関数がゼロに達する時間として計算された。
【0267】
テストした3つのcrファージのすべてで、MOIが1.0を超えると、溶解までの時間が最短になり、おそらく各ファージの溶解期間によって制限される。観察された溶解までの時間は、それぞれ、crT7mおよびcrT7で約15〜20分、crT4で45〜50分であり、野生型溶解ファージT7(−17分)、T7m(−15〜20)で知られている値とほぼ一致する。分)とT4(35分)。
【0268】
実施例17:LeuOはcrファージのインビボ忍容性を増強した
腹膜炎モデルでの生存研究の前に、各crファージの忍容性をインビボで決定した。以下の表13に記載されているように、crファージは忍容性のために調製された。
【0269】
表13:インビボの忍容性研究のためのcrファージ
【0270】
【表13】
【0271】
忍容性の治療概要を
図21Aに模式的に示す。忍容性試験では、2.0×10
11PFU/日/マウスのcrT7で5日間、3.7×10
9PFU/日/マウスのcrT7Mで5日間、または6.0×10
8PFU/日/マウスのcrT4で1日間の腹腔内注射によって、雌のCD−1マウスはそれぞれ1日あたり100マイクロリットルの用量を投与された。。crT7およびcrT7mは、エンドトキシンを含まない滅菌0.9%生理食塩水に懸濁し、crT4は、各CaCl
2およびMgCl
2を10mM補完したエンドトキシンを含まない滅菌IXトリス緩衝生理食塩水(pH 7.4)に懸濁した。
図21B−
図21Gに示すように、獣医の観察中に明白な毒性は観察されず、各crファージ製剤の投与後に体温または体重の測定可能な変化は認められなかった。
【0272】
実施例18:LeuO増強crファージインビボ腹膜炎モデル研究
以下の表14に記載されているように、crファージを腹膜炎モデル用に準備した。
【0273】
表14:インビボ腹膜炎モデル研究のcrファージ
【0274】
【表14】
【0275】
糞便性大腸菌分離株(ATCC 8739、crT7MおよびcrT7)または実験室(MG1655、crT4)に対する3つのcrファージの活性に基づいて、3つのcrファージについて大腸菌を用いたマウス腹膜炎モデルで評価した。腹膜炎モデルの治療概要を
図22Aに模式的に示する。雌のCD−1マウスに致死量の大腸菌(〜5×l0
7CFU/ATCC 8739のマウス)を腹腔内注射した後、30分以内に生理食塩水またはcrファージを腹腔内注射した。以前と同様に、crT7とcrT7mは、エンドトキシンを含まない滅菌生理食塩水0.9%生理食塩水に懸濁し、crT4は、CaCl2とMgCl2をそれぞれ10mM添加したエンドトキシンフリーの滅菌IXトリス緩衝生理食塩水(pH 7.4)に懸濁した。
図22B−
図22Dに示すように、crファージの単回投与(2.0x10uPFU/crT7の投与、3.7xl09PFU / crT7Mの投与または6.0xl08PFU/crT4の投与)は、この急性の非常に致死的な細菌チャレンジにおいて有意な保護をもたらした。対照動物は生理食塩水注射のみで治療された。
これらのデータは、バクテリオファージが感染の関連する動物モデルにおける致死的な病気の挑戦を救うのに十分な数の標的細菌に感染して死滅させることができることを示している。
【0276】
実施例19:大腿部モデルにおけるLeuO増強crファージ インビボバイオバーデン削減
[0299] 以下の表15に記載されているように、大腿部モデルにおけるインビボバイオバーデン削減のためにcrファージを調製した。
表15:大腿部モデル研究におけるインビボバイオバーデン削減のためのcrファージ。
【0277】
【表15】
【0278】
インビボでの有効性の2番目の実証として、マウスの大腿感染モデルを実施して、crファージ治療後の生物負荷の減少を測定した。この大腿モデルの治療概要を
図23Aに模式的に示する。この研究で使用された元のcrファージストックは、4.0×10
12PFU/mLのcrT7、2.0×10
12PFU/mLのcrT7M、および2.0x10
11PFU/mLのcrT4の効力を有し、各ファージは滅菌されたエンドトキシンフリーの1×トリス緩衝生理食塩水(pH 7.4)。3つのcrファージは、<10
3EU/mLの推定エンドトキシン含有量を含む各ファージの最終濃度が1×10
11PFU/mLのカクテルにプールされた。
【0279】
細菌接種の1日前および4日前に、雌のCD−1マウスを、150mg/kgのシクロホスファミドを左腹部に腹腔内注射することによって好中球減少症にした。
示されたcrファージまたは1×トリス緩衝生理食塩水(ファージビヒクル)を筋肉内注射する30分前に、大腿部に筋肉内注射することにより、10
5CFUのE.coli MG1655をマウスに接種した。各個々のcrファージまたは3crファージのカクテルは、同じ大腿部に100マイクロリットルのcrファージ溶液を筋肉内注射することにより投与された。これは、4.0×10
11PFU/用量のcrT7、2.0×10
11PFU/用量のcrT7M、2.0×l0
10PFU/用量のcrT4、または1.0×l0
10PFU/用量のcrT4の各ファージを含むカクテルの用量に対応する。各crファージを注射した後、示された時点で大腿部の筋肉全体を切除し、ホモジナイズし、すぐに希釈してプレーティングし、組織1グラムあたりの生存細菌コロニーをカウントした。
図23B−
図23Eに示すように、CFUの減少は、crT4で約2−log、crT7Mで3−log、crT7と組み合わせたcrファージカクテルの両方で>5−logと測定された。
図22B−
図22Dに示されている腹膜炎の結果と合わせて、これらのデータは、crファージがインビボで非常に効果的な抗菌剤になる可能性があることを示している。
【0280】
実施例20:ファージ滴定によって測定されたLeuO増強crファージインビボ持続性および分布研究
活性ファージベースの生成物のユニークなPK/PD/ADMEの考慮事項を考慮して、健康な動物の曝露の動態を理解するために、標的組織と遠位臓器の両方における各crファージの持続性と分布を評価した。以下の表16に記載されているように、crファージは、尿道内投与によるインビボ持続性および分布研究のために調製された。
表16:インビボでの持続性と分布の研究のためのcrファージ。
【0281】
【表16】
【0282】
雌のCD−1マウスを、条件/時点あたりN=3マウスへの尿道内注入によるIXトリス緩衝生理食塩水(pH7.4)に懸濁されたcrT7/crT7mカクテルの約10×10
9PFU/用量/ファージで処理した。尿道内注入は、シリコンチップの注射器を雌マウスの尿道に配置することによって行われ、溶液は膀胱に直接注射された。イソフルラン麻酔下で、尿道内注入により、各マウスに約50μLのビヒクルまたはファージカクテルを投与した。接種後0(尿道内投与直後)、0.5、1、6、12、24および72時間の時点で、各時点で3匹のマウスを屠殺し、膀胱、腎臓、血液、肝臓および脾臓を収集し、全組織ホモジネートを希釈した。ファージ滴定分析を行って、crT7とcrT7mの合計量を定量化した。示されている平均値±平均値の標準誤差(SEM)は、3匹の動物からの3回の技術的複製の結果であり、crT7またはcrT7mのいずれかのグラム(膀胱、腎臓、肝臓、脾臓)またはミリリットル(血液)あたりのプラーク形成単位を定量化する。アッセイはどちらのcrファージにも固有ではない)。crファージは、crT7とcrT7mの両方に影響を受けやすい既知の宿主に対する従来のファージ滴定を使用したプール測定として定量化された。
【0283】
図24に示すように、投与後72時間までに活性crファージの存在が検出された。
この期間中の見かけの増幅は観察されなかったが、これは正常組織に標的大腸菌複製宿主がなく、哺乳動物細胞で複製できないことが予想された。重要なことに、crファージレベルは膀胱内で時間とともに減少し、腎臓、肝臓、血液、および脾臓では72時間までに検出できず、治療した動物に適切な大腸菌複製宿主が存在しないと、時間の経過とともにcrファージが失われることを示唆している。特に、有意なファージ力価が腎臓で観察され、尿道内投与経路は、場合によっては、下部および上部尿路での曝露をもたらすことを示唆している。また、血液、肝臓、脾臓の組織で有意なファージ力価が検出され、crファージが尿路上皮を通過することによって循環に入っているように見えることを示している。
【0284】
実施例21:定量的PCRによって測定されたLeuO増強crファージインビボ持続性および分布研究
定量的PCRベースの方法が開発され、特定のカクテル内の各crファージの検出について検証された(データは示していない)。これにより、複雑なサンプル(例えば、混合マウス血液と全DNA)の全DNAあたり50コピーまでの検出レベルが可能になる。
定量PCRは、DNAを検出および定量するための非常に特異的な方法であり、プライマーは同一のcrRNAカセットインサートを含む特定のファージゲノムを認識するように設計されているため、理論的にはサンプル内の各操作されたcrファージの総量を測定できる。以下の表17に記載されているように、crファージは、経口投与によるインビボ持続性および分布研究のために調製された。
【0285】
【表17】
表17:インビボでの持続性と分布の研究のためのcrファージ。
【0286】
crファージ溶液の単回経口投与後、経時的に複数のcrファージの存在を決定するために、マウスで小規模な研究が行われた。潜在的なファージ分解を軽減するために、マウスに0.2mLの6%重炭酸ナトリウムを強制経口投与して、crファージ投与の約30分前に胃酸レベルを低下させた。200μLの1×トリス緩衝生理食塩水(pH7.4)中の各crT7、crT7mおよびcrT4の合計2.7×10
9PFUの単回投与を、条件/時点ごとにN=3マウスに強制経口投与した。動物をさまざまな時点で屠殺し、全組織ホモジネートから全DNAを抽出し、qPCR分析を行って、存在するcrT7(
図25A)、crT4(
図25B)、またはcrT7m(
図25C)の量を定量化した。示されている平均値±平均値の標準誤差(SEM)は、3匹の動物からの3回の技術的複製の結果である。
【0287】
図25A−
図25Cに示すように、消化管を通過する際、および糞便中においても各crファージを正常に検出することができた。72時間までに、かなりの量のcrファージカクテルがどの組織でも検出されなくなり、crファージが正常に除去されたことを示している。これらのデータは、
図24のファージ滴定によって定量化された、尿道内単回投与後の経時的なcrファージの喪失の観察を裏付けている。特に、これらのデータは、
図24の尿道内投与後に観察されるように、crファージの経口投与は特に血液および肝臓組織での全身曝露をもたらすことを示唆している。
【0288】
実施例22:LeuO増強crファージ非GLP毒性試験
crT7およびcrT7mを含むcrファージカクテルの試験品を静脈内(10×10
11PFU/用量/ファージ)または膀胱へのカテーテル内注入(0.5×10
11PFU/用量/ファージ)により、雌のCrl:CD−1マウスに7日間連続して1日1回。以下の表18に記載されているように、crファージは7日間の毒物学研究のために調製された。
【0289】
【表18】
表18:7日間の毒物学研究のためのcrファージ。
crファージ調製物は、無菌のエンドトキシンフリーのIXトリス緩衝生理食塩水(pH 7.4)を使用して調製した。グループ1および2(9匹の雌マウス/グループ)に、0.1mLのビヒクル(IXトリス緩衝生理食塩水、pH 7.4)または尾静脈内の試験品を投与した。グループ3および4(9匹の雌マウス/グループ)に、カテーテル注射器を使用して、0.05mLのビヒクルまたは試験品を膀胱に投与した。グループの割り当てと投与量のレベルは、以下の表19に記載されている。
【0290】
表19:非GLP毒性試験のグループ割り当てと用量レベル。
【0291】
【表19】
【0292】
研究期間中、動物の臨床徴候を1日2回モニターした。詳細な臨床観察は、投与前期間中および8日目の剖検前に1回実施された。体重は、投与前の期間と1、3、および7日目に1回測定された。食物消費量は7日間の投与期間中に測定された。8日目に、グループごとに6匹の動物が剖検のためにランダムに選択され、残りの3匹は剖検なしで廃棄された。剖検時に、少なくとも4時間絶食させた動物から体重を収集し、体重に対する臓器重量の計算に使用した。臨床病理学評価、血液学(3匹のマウス/グループ)および血清化学パラメーター(3匹のマウス/グループ)は、予定された剖検の日に行われた。死後の評価には、剖検と選択した臓器重量の測定が含まれていた。完全な組織リストは剖検時に収集された。収集した組織を、液体窒素で凍結した1つのセクション(<−70°Cで凍結保存)で切片化し、2番目のセクションを10%中性緩衝ホルマリンで保存した。
【0293】
crファージに関連する死亡率または罹患率はなく、体重への影響も、どちらの投与経路でも異常な臨床的観察はないであった。血液学に対するファージ関連の影響は、crファージ IV治療群において、ヘモグロビンレベルの低下と他のRBC質量関連パラメーターの減少、網状赤血球数の増加、および好酸球数の減少に限定されていた。血清化学に対するcrファージ関連の影響は、crファージIU治療群のコレステロールとトリグリセリドのレベルが高いことに限定されていた。臓器重量に対するcrファージ関連の影響(絶対および体重と脳の重量に対する相対)は、crファージIV治療群の脾臓と腎臓の重量の増加と肺の重量の減少で構成されていた。
【0294】
結論として、crファージの1日1回のIVまたはIU投与は十分に許容された。ファージIV治療群で考えられる試験品関連の影響は、赤血球量関連パラメーターの減少、網状赤血球数の増加、好酸球の減少、脾臓、腎臓の増加、および肺重量の減少に限定されていた。ファージIU治療群で考えられる試験品関連の影響は、コレステロールとトリグリセリドのレベルが高いことに限定されていた。この研究の臨床化学と臓器重量の結果は、使用されるサンプルサイズが小さい(臨床化学の場合は3、臓器重量の場合は6)こと、およびこれらの変化がサンプルサイズが小さいことによるアーティファクトである可能性との関連で検討する必要がある。
【0295】
実施例23:C.difficileで同等のLeuOを特定する
C.difficileのCRISPR−Casオペロンは、E。coliで見られるようにLeuOおよびH−NSによって制御されていない。むしろ、調節は、ccpA結合部位の非存在下でccpA依存的にグルコースによって調節される。特に、CD2983のアップレギュレーションは、栄養素シフト中のCasオペロンのアップレギュレーションと関連している。さらに、CD2983の規制は、グローバルな厳格な応答レギュレーターであるCodYによって制御されているようである。タイプI−Dシステムで配列が類似している(>40%の類似性)タンパク質が失われると、Casオペロンからの発現が増加することが示されている。
【0296】
そのため、CodYおよびCD2983は、C.difficileのHNSおよびLeuOと類似している可能性がある。両方のシステム間の類似性は、以下の表20に要約されている。
【0297】
【表20】
表20:E.coliおよびC.difficileにおけるCasオペロン調節の特徴の要約。
【0298】
実施例24:溶原モジュールノックアウトバクテリオファージのエンジニアリングと検証
操作−cpCD24−2の溶原領域に隣接する相同性アームと溶原領域を標的とする逆選択的crRNAを含むプラスミドをinsilicoで設計し、BioBasicで合成した。プラスミドをA.coliに形質転換し、C.difficile株CD19にコンジュゲートした。cpCD24−2はエンジニアリングプラスミドを保持するCD19で増幅された。得られたファージ集団を、人工ファージの存在についてPCRスクリーニングした。バルクPCRスクリーニングが陽性の場合、ライセートにプラークを塗布し、clリプレッサー遺伝子ノックアウトについて個々のプラークをスクリーニングした。純粋に人工ファージは、検証研究で使用するために高力価に増幅された。
【0299】
検証−対数増殖期中期のCD19培養物を、BHI(増殖培地、処理コントロールなし)、WT CD24−2、またはAct CD24−2(すなわち、溶原モジュールノックアウト)で処理した。
図26Aは、処理後のさまざまな時点でカウントされた生存細胞数(CFU/mL)を示している。生き残った細胞は、溶原化されたCD24−2の存在についてさらにスクリーニングされた。
図26Bは、処理後のさまざまな時点で存在する溶原菌の割合を示している。
【0300】
実施例25:マイクロバイオーム関連障害の治療
対象のマイクロバイオームを調整するために、本明細書に記載の操作されたバクテリオファージを含む医薬組成物を対象に投与することができる。医薬組成物は、CRISPR−Cas活性、溶解活性、またはそれらの組み合わせによって、マイクロバイオーム内の単一または複数の細菌集団を調節または死滅させることができる。
【0301】
実施例26:尿道内(IU)または静脈内(IV)投与後の膀胱および腎臓における大腸菌の減少を示すUTI有効性研究
NC101でコロニー形成したマウスを生理食塩水、ファージカクテル(2.4xl010PFU/mL)で処理した。またはシプロフロキサシン。
シプロフロキサシン(1−シクロプロピ]−6−フルオロ−1.4ジヒドロ−4−オキソ−7−(1−ピペラジニル)−3−キノリンカルホキシル酸塩酸塩)は抗生物質であるは効果的であるは使用すると無数の副作用と細菌耐性が生じる。
【0302】
この実施例では、組織は単回投与後または5回投与後に収集され、CFUについて分析された。ファージ治療は、膀胱(
図30A−
図30B)と腎臓(
図30C−
図30D)の両方のCFUを減少させる。結果は、ファージのIUおよびIV送達が膀胱内のCFUを減少させることを例示している。さらに、結果は、crファージカクテルが膀胱内の120時間でwtファージカクテルよりも1.5〜3.5 log改善された死滅を有することを例示している(
図30B)。結果はまた、送達経路に関係なく、120時間でcrファージカクテルが膀胱内のシプロフロキサシンと同等に機能することを例例示する。
【0303】
この研究はさらに、尿(
図31A)、腎臓(
図31B)、膀胱(
図31C)、脾臓(
図31D)などのさまざまな組織や体液へのファージの経路依存的な浸透を示している。結果は、治療経路に関係なく、尿中に測定可能なファージが存在することを示している。
【0304】
実施例27:異なる投与経路を介してWTと人工カクテルを比較した研究グレードの材料のUTI有効性研究の比較
NC101でコロニー形成したマウスを生理食塩水で処理した。ファージカクテル(2.4xl010PFU/mL);またはシプロフロキサシン。組織は、単回投与後または5回投与後に収集され、CFUについて分析された。ファージ治療は、膀胱(
図33A−
図33B)と腎臓(
図33C−
図33D)の両方のCFUを減少させる。結果は、ファージのIUおよびIV送達が膀胱内のCFUを減少させることを例示している。さらに、結果は、高力価のcrファージカクテルが膀胱内で120時間でビヒクルよりも5.1 log改善された死滅を示し(
図33B)、送達経路に関係なく、高用量のcrファージが120時間で膀胱内のシプロフロキサシンよりも優れていることを示している(
図33B)。
【0305】
実施例28:大腸菌がコロニーを形成した成人におけるcrファージの安全性、薬物動態、および潜在的な有効性を評価するための臨床試験
フェーズlb−安全性、忍容性、およびPK研究は、カテーテル注入による最大実行可能用量BIDによる尿路コロニー形成の患者で実施される。
ファージの持続時間、分布および排泄に関連する薬物動態は膀胱で確認されている。非毒性でヒト細胞に感染することができないバクテリオファージは、高い治療指数を与える。
【0306】
フェーズ2−非劣性、2:1ランダム化対標準治療、二重盲検臨床試験は、MDRおよびCR株を含む再発性尿路感染症(UTI)の成人患者、および腎盂腎炎の患者で実施される。IV投与および投与計画が評価される。
【0307】
主要評価項目:治療終了時のUTI症状の解消と治癒試験(TOC−治療終了後7日)、TOCで測定された尿培養での細菌性病原体の減少<10
3CFU/mL(微生物学的成功)の実証。
【0308】
二次エンドポイント:免疫原性(抗ファージ抗体の存在)、QoL測定(疼痛/不快感など)、応答の持続性。
【0309】
図34Aは、尿路の再発性および無症候性のE.coliコロニー形成を伴う成人で実施された例示的なヒト研究の概略図である。
図34Bは、UTIフェーズ1b研究の例示的な研究参加者の包含および除外基準である。
【0310】
実施例29:CDAD患者のフェーズlb設計
フェーズ1:安全性、忍容性、およびPK研究は、健康なボランティアで実施される(C.diffコロニー形成は自然に発生する)。10〜14日間の経口投与レジメンと28日間のフォローアップが評価される。安全性と忍容性が評価される。糞便中のファージとC.ディフィシルのPK分析を経時的に評価する。
【0311】
フェーズ2:非劣性試験、2:1ランダム化、活性対標準治療(すなわち、バンコマイシン)、2次および3次CDI患者を対象とした二重盲検試験
・探索的線量検出
・活性なcrファージカクテルとバンコマイシンを10〜14日間経口投与(または、未解決の場合は症状が解決するまで)
・主要評価項目:下痢の解消までの時間(TTROD)、CD ADの再発(下痢までの時間)、および治療期間の完了後8週間までに評価された下痢のグレード、安全性と忍容性の評価、PK分析
・副次的評価項目:免疫原性(抗ファージ抗体の存在)、追加のQoL指標、反応の持続性。
【0312】
フェーズ3:10〜14日間の投与計画(40日間の研究)でのSOC(バンコマイシン)と比較した、ファーストラインおよび再発性CDIのより多くの患者集団における有効性研究、最前線対再発性患者治療のサブ分析
・最初のFDAの相互作用を対象としたプラセボ対照二重盲検試験により、どの拡張データセットが必要かが決定される
・フェーズ2データが有効性と安全性の十分な証拠を提供する場合、より小さなデータセットで十分な場合がある
【0313】
実施例30:人工ファージは、タイプIEおよびタイプIFのE.coli株の両方に対して死滅の増加を示す
すべての宿主範囲およびCFET還元実験について、菌株およびファージを以下のように調製した。すべての実験は、塩(10mM MgCl
2およびCaCl
2)を含むLB中の最終容量が200uLの96ウェル平底透明プレートで実施した。WTファージとCRISPRファージを比較するために3つの株を選択した。各大腸菌株を、単独で、WTファージ(p33s;p46)とともに、またはMOI 0.1のcrファージ(p33s−6;p46cr)とともにマイクロタイタープレートに配置した。宿主範囲実験では、培養物をプレートリーダーにて37℃で20時間インキュベートし、光学密度(OD;600nm)で集団の増殖をモニターした。CFU減少実験では、培養物を振とうインキュベーター内にて37℃で24時間インキュベートし、アリコートを(0、3、6、および24時間)で採取した。結果は、
図35A−
図35F、および
図36A−
図36Fに例示されている。
【0314】
実施例31:ファージカクテルの切り替えは、E.coliの標的細菌耐性を克服する
菌株508および527に対するcrCocktail(cr33s、cr46、cr4k)について、上記のように宿主範囲実験を設定した。24時間後、508株のみが生存可能なコロニーを生じた。コロニーを3回再ストリークしてファージを除去した。
508の耐性株は、同じ宿主範囲プロトコルを使用して、crCocktailおよびWTカクテル2(pFO、pJO、pJc、pE8、pE4、およびpJ4)で再評価された。結果は
図37A−
図37Cに例示されている。
【0315】
実施例32:緑膿菌株に対する野生型ファージPB1およびCRISPR増強PB1の比較
44の緑膿菌株のパネルを、0.01のMOI(〜5×10
5細菌および5×10
3ファージまたはLB)でLB、PB1、またはcr−PB1のいずれかと混合した。菌株+ファージまたはLBを37℃で20時間増殖させ、600nmでの光学密度(OD60o)を1時間ごとに測定して増殖曲線を作成した。
t=4時間からt=12時間までの値のリーマン和を、非感染、PB 1感染、およびcr−PB1感染の培養物について計算した。結果を表21に示する。表の値は、感染していないコントロールと比較した、PB1またはcr−PB1(PB.Engineered)の曲線下面積(AUC)の比率を表している。数値が小さいほど、光学濃度の低下が大きくなる。灰色のボックスは、AUC比が0.7未満であることを示する。ヒット率は、AUC比が0.7未満の株の割合である。
【0316】
【表21】
【0317】
増殖曲線:LFP805の固定相培養物を、補足LB(LB+10mMMgCl
2および10mM CaCl
2)で−10
7CFU/mlの濃度に希釈した。野生型PB1およびcr−PB1ファージのストックは、補充されたLBで105PFU/mlの濃度に希釈された。細菌とファージのストックを1:1(MOI 0.01)で混合し、プレートリーダーにて37℃で20時間通気しながら増殖させた。OD6ooは10分ごとに測定された。増殖曲線は、
図38AのPB1およびcr−PB1について例示されている。
【0318】
CFUの減少:LFP805の固定相培養物を1.0の光学密度に希釈し、10pLの希釈培養物を180pLのLB(−10
5細菌)に添加した。PB1およびcr−PB1を108PFU/mlに希釈し、10μLのファージ(106PFU)または10μLのLBのいずれかを加えた。培養物を37℃で通気しながら増殖させ、接種後4時間および8時間で10倍希釈液をLB寒天培地にプレーティングして、各培養物のCFU/mlを決定した。4時間および8時間で計算されたCFU/mlは、
図38Bに、非感染(黒いバー)、野生型PB1感染(薄い灰色のバー)、またはcr−PB1ファージ感染培養(中程度の灰色のバー)で例示されている。Holm−Sidak比較によるtテストを使用して、CFUをPB1とcr−PB1の間で比較した。*=p<0.05、***=p<0.001
【0319】
実施例33:タイプICRISPR−CasシステムによるE.coliおよびP.aeruginosaのプラスミドベースの死滅
E.coli Type Iテスト:5つのType−ICasシステムが細菌gDNAからpUCPl9にクローン化された。
対応するE.coli(BL21)標的化スペーサーは、2番目の互換性のあるプラスミド(pRSFlb)にクローン化された。B121エレクトロコンピテントセルは、各Casシステムプラスミドと標的化スペーサーまたはpRSFlbコントロールで形質転換された。形質転換体を希釈し、Kan / CarbLBプレートにスポットプレーティングした。37℃で一晩インキュベートした後、CFUをカウントした。結果は
図39Aに例示されている。
【0320】
緑膿菌タイプIテスト:4つのタイプICasシステムは細菌gDNAからシュードモナス標的化スペーサーとともにpUCPl9にクローン化された。エレクトロコンピテントPA01セルは、Locuslabプロトコルを使用してコンピテントになった。細胞をCas +スペーサープラスミドまたはCasプラスミドで形質転換した。形質転換体を希釈し、Carb300LBプレートにスポットプレートした。37℃で一晩インキュベートした後、CFUをカウントした。結果は
図39Bに例示されている。結果は、4つのシステムのうち3つは最小3ログの削減でPA01を正常に標的にできたことを示している。1つのシステムはどちらのプラスミドに対してもCFUを示さなかった。
【0321】
本開示の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されてきたはそのような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。多数の変形、変更、および置換は本開示から逸脱することなく、当業者に発生するであろう。本明細書に記載の本開示の実施形態に対する様々な代替案は本開示を実施する際に使用されることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は、開示の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの同等物は、それによってカバーされることが意図されている。
【国際調査報告】