特表2021-522886(P2021-522886A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エレクタ、インク.の特許一覧

特表2021-522886敵対的生成ネットワークを用いた放射線治療計画モデリング
<>
  • 特表2021522886-敵対的生成ネットワークを用いた放射線治療計画モデリング 図000024
  • 特表2021522886-敵対的生成ネットワークを用いた放射線治療計画モデリング 図000025
  • 特表2021522886-敵対的生成ネットワークを用いた放射線治療計画モデリング 図000026
  • 特表2021522886-敵対的生成ネットワークを用いた放射線治療計画モデリング 図000027
  • 特表2021522886-敵対的生成ネットワークを用いた放射線治療計画モデリング 図000028
  • 特表2021522886-敵対的生成ネットワークを用いた放射線治療計画モデリング 図000029
  • 特表2021522886-敵対的生成ネットワークを用いた放射線治療計画モデリング 図000030
  • 特表2021522886-敵対的生成ネットワークを用いた放射線治療計画モデリング 図000031
  • 特表2021522886-敵対的生成ネットワークを用いた放射線治療計画モデリング 図000032
  • 特表2021522886-敵対的生成ネットワークを用いた放射線治療計画モデリング 図000033
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-522886(P2021-522886A)
(43)【公表日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】敵対的生成ネットワークを用いた放射線治療計画モデリング
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20210806BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20210806BHJP
【FI】
   A61B34/10
   A61N5/10 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2020-560895(P2020-560895)
(86)(22)【出願日】2019年4月23日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月4日
(86)【国際出願番号】US2019028720
(87)【国際公開番号】WO2019212804
(87)【国際公開日】20191107
(31)【優先権主張番号】15/966,228
(32)【優先日】2018年4月30日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TENSORFLOW
(71)【出願人】
【識別番号】517150065
【氏名又は名称】エレクタ、インク.
【氏名又は名称原語表記】ELEKTA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100087479
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 好人
(72)【発明者】
【氏名】ヒバード リンドン スタンレイ
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AE01
4C082AJ13
4C082AN02
4C082AN10
4C082AR02
(57)【要約】
放射線治療計画を生成し、放射線治療線量データの生成および最適化のための機械学習モデルを確立するための技術が開示されている。敵対的生成ネットワークで訓練された生成モデルを使用して放射線治療の線量分布を生成する例示的な方法は、放射線治療のための解剖学的領域のマッピングを示すヒト被験体の解剖学的データを受け取るステップと、生成モデルが、解剖学的データを入力として処理し、線量データを出力として提供するように、訓練された生成モデルを使用してマッピングに対応する放射線治療の線量データを生成するステップと、線量データに基づいてヒト被験体の放射線治療のための放射線治療の線量分布を特定するステップとを含む。生成モデルを訓練するための別の例示的な方法は、条件付き敵対的生成ネットワークの配置を含む敵対的訓練を使用して、敵対的生成ネットワークの生成モデルと識別モデルの値を確立することを含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
訓練されたモデルを使用して放射線治療の線量分布を生成するためのコンピュータ実装方法であって、
前記方法は、
ヒト被験体の解剖学的データを受け取るステップであって、前記解剖学的データは、前記ヒト被験体の放射線治療のための解剖学的領域のマッピングを示すものであるステップと、
生成モデルを使用して、前記マッピングに対応する放射線治療線量データを生成するステップであって、前記生成モデルは、敵対的生成ネットワークで訓練され、前記生成モデルは、更に、前記解剖学的データを入力として処理し、前記放射線治療線量データを出力として提供するように訓練されるステップと、
前記放射線治療線量データに基づいて、前記ヒト被験体の前記放射線治療のための放射線治療線量分布を特定するステップと
を有する
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記敵対的生成ネットワークは、識別モデルを使用して前記生成モデルを訓練するように構成され、
前記生成モデルおよび前記識別モデルによって適用される値が、前記識別モデルと前記生成モデルの間の敵対的訓練を使用して確立され、
前記生成モデルと前記識別モデルは、それぞれ畳み込みニューラルネットワークを有する
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、
前記敵対的訓練は、少なくとも1つの治療領域を示す入力画像から模擬放射線治療線量分布画像を生成するために前記生成モデルを訓練することと、生成された放射線治療線量分布画像を模擬または実際の訓練データとして分類するために前記識別モデルを訓練することとを有し、
前記生成モデルの出力は、前記識別モデルを訓練するために使用され、前記識別モデルの出力は、前記生成モデルを訓練するために使用される
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、
前記入力画像および前記模擬放射線治療線量分布画像は、それぞれ3次元画像を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3記載の方法において、
前記入力画像は、それぞれの画像チャネルまたは画像チャネル内のそれぞれのグレースケール値を使用して、少なくとも1つの治療領域および少なくとも1つの治療除外領域を表すそれぞれの領域を構成する2次元画像であり、
前記模擬放射線治療線量分布画像は、それぞれの画像カラーチャンネルまたは画像チャンネル内のそれぞれの値を使用して、線量値を表すそれぞれの領域を有する二次元画像である
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、
前記生成モデルは、少なくとも2つのカラー画像チャネルを有する少なくとも1つの治療領域および少なくとも1つの治療除外領域を示す画像マスクを有するRGB画像カラー画像として前記入力画像を受け取るように訓練され、
前記生成モデルは、前記模擬放射線治療線量分布画像をグレースケール画像として生成するように訓練される
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項3記載の方法において、
前記入力画像は、撮像モダリティから生成されたDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)フォーマット画像である
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、
前記解剖学的データは、画像データ内に表され、
前記解剖学的領域のマッピングは、前記放射線治療を受けるために識別される少なくとも1つの領域と、前記放射線治療を回避するために識別される少なくとも1つの領域とに対応する複数の画像マスクを有する
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、
前記解剖学的データは、少なくとも1つの撮像モダリティにより捕捉された前記ヒト被験体の少なくとも1つの画像から導出された前記解剖学的領域の3次元ボクセルデータを有し、
前記複数の画像マスクは、前記放射線治療を受けるために識別される少なくとも1つの領域と、前記放射線治療を回避するために識別される少なくとも1つのリスク臓器とを示すそれぞれのセグメントに対応する
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、
前記解剖学的データは、少なくとも1つのバイナリマスクまたは少なくとも1つの符号付き距離マップを含む画像を有し、
前記放射線治療線量データは、より低い解像度でアーカイブされた線量データの線形補間または最近傍補間から生成された画像を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、
前記解剖学的データは、前記解剖学的領域の座標空間内での放射線治療のための座標を有し、
前記放射線治療線量データは、前記解剖学的領域の前記座標空間内の座標における放射線治療線量の表示を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、
前記生成モデルは、前記敵対的生成ネットワークによって訓練された複数のモデルの中から識別され、
前記生成モデルは、前記解剖学的領域または前記放射線治療の種類に基づいて識別される
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、
前記解剖学的データは、前記ヒト被験体から取得された撮像データを有し、
前記敵対的生成ネットワークは、前記生成モデルと識別モデルを有する条件付き滴定的生成ネットワークであり、
前記生成モデルから提供される予測値は、前記ヒト被験体から取得された撮像データに基づいて条件付けされる
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、
前記生成モデルおよび前記識別モデルは、訓練中に事前分類された解剖学的構造データに基づいて条件付けされ、
前記事前分類された解剖学的構造データは、放射線治療のための前記解剖学的領域に対応する
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、
前記生成モデルおよび前記識別モデルは、前記放射線治療線量分布に関連する少なくとも1つの制約条件でさらに条件付けられている
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14記載の方法において、
前記解剖学的データは、前記ヒト被験体の前記解剖学的領域の三次元画像セットから識別され、
前記生成モデルは、複数のヒト被験体から獲得された三次元画像データに基づいた特定の状態または解剖学的特徴に対する前記放射線治療線量データを生成するように訓練される
ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1記載の方法において、
前記生成モデルは、
前記放射線治療の線量データの承認、変更、または使用に基づいて前記生成モデルを更新し、
前記更新された生成モデルを使用して、前記ヒト被験体のための更新された放射線治療線量分布を生成することにより、
前記ヒト被験体の前記放射線治療のその後のイベントに対して更に訓練される
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1記載の方法において、
前記方法は、更に、
前記ヒト被験体の前記放射線治療のために同定された前記放射線治療線量分布の少なくとも1つの線量ボリュームヒストグラムを生成するステップであって、前記線量ボリュームヒストグラムは、少なくとも1つの治療計画ボリュームまたは少なくとも1つの危険な臓器の値を示すステップと、
前記解剖学的領域に対応する放射線治療のために同定された別の放射線治療の線量分布に対して生成された線量体積ヒストグラムと、前記放射線治療の線量分布の線量体積ヒストグラムとを比較するステップと
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1記載の方法において、
前記方法は、更に、
前記解剖学的領域の三次元可視化を生成するステップであって、前記三次元可視化は、前記ヒト被験体の前記放射線治療に対して識別された前記放射線治療線量分布を示すステップを
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
敵対的生成ネットワークを使用して放射線治療の線量分布を生成するための訓練モデルを生成するためのコンピュータ実装方法であって、
前記方法は、
敵対的訓練を使用して,前記敵対的生成ネットワークの生成モデルと識別モデルの値を確立するステップであって、
前記敵対的訓練は、
入力画像からシミュレーションされた放射線治療線量分布画像を生成するために前記生成モデルを訓練することと、
生成された放射線治療線量分布画像を、シミュレートしたまたは実際の訓練データとして分類するために前記識別モデルを訓練することとを含み、
前記生成モデルの出力が前記識別モデルの訓練に使用され、前記識別モデルの出力が前記生成モデルの訓練に使用されるステップと、
放射線治療線量情報を生成する際に使用する前記生成モデルを出力するステップであって、前記生成モデルは、前記放射線治療に対する解剖学的構造のマッピングに対応する入力解剖学的データに基づいて、ヒト被験体の放射線治療に対する放射線治療線量データを特定するために適合されるステップと
を有する
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項21】
請求項20記載の方法において、
前記生成モデルと前記識別モデルは、それぞれ畳み込みニューラルネットワークを有し、
前記入力画像は、それぞれの画像チャネルまたは画像チャネル内のそれぞれのグレースケール値を使用して、少なくとも1つの治療領域および少なくとも1つの治療除外領域を表すそれぞれの領域から構成され、
前記シミュレーションされた放射線治療線量分布画像は、それぞれの画像カラーチャンネルまたは画像チャンネル内のそれぞれの値を使用して、線量値を表すそれぞれの領域から構成される
ことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20記載の方法において、
前記敵対的生成ネットワークは、条件付き敵対的生成ネットワークであり
前記生成モデルおよび前記識別モデルは、予め定義された解剖学的構造データを使用して訓練中に条件付けされ、前記予め定義された解剖学的構造データは、前記放射線治療に関連する解剖学的領域に対応する
ことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項20記載の方法において、
前記解剖学的構造のマッピングは、放射線治療のために識別される少なくとも1つの領域と前記放射線治療を回避するために識別される少なくとも1つの領域とを示す複数の画像マスクを有する
ことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項20記載の方法において、
前記生成モデルは、複数のヒト被験体からの画像データに基づいて、特定の状態または解剖学的特徴に対する放射線治療線量データを生成するように訓練され、
前記解剖学的データは、少なくとも1つのバイナリ画像マスクまたは符号付き距離マップを含む、複数のヒト被検体からのそれぞれの解剖学的画像を有し、
前記放射線治療線量データは、前記解剖学的画像に対応するそれぞれの画像を有し、前記放射線治療線量データは、線形補間または最近傍補間から生成される
ことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項20記載の方法において、
前記生成モデルは、それぞれの放射線治療に対する複数の解剖学的領域について訓練される
ことを特徴とする方法。
【請求項26】
訓練されたモデルを使用して放射線治療の線量分布を生成するためのシステムであって、
前記システムは、
少なくとも1つのプロセッサを有する処理回路と、
前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されたとき、
ヒト被験体の解剖学的データを処理するステップであって、前記解剖学的データは前記ヒト被験体の放射線治療の対する解剖学的領域のマッピングを示すステップと、
生成モデルを使用して、前記マッピングに対応する放射線治療線量データを生成するステップであって、前記生成モデルは、敵対的生成ネットワークで訓練され、前記生成モデルは、入力として前記解剖学的データを処理し、出力として前記放射線治療線量データを提供するように更に訓練されるステップと、
前記放射線治療線量データに基づいて、前記ヒト被験体の前記放射線治療に対する放射線治療線量分布を特定するステップと
を前記プロセッサに実行させる命令を有する記憶媒体と
を有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項26記載のシステムにおいて、
前記敵対的生成ネットワークは、識別モデルを使用して前記生成モデルを訓練するように構成され、
前記生成モデルおよび前記識別モデルによって適用される値が、前記識別モデルと前記生成モデルとの間の敵対的訓練を使用して確立され、
前記生成モデルと前記識別モデルは、それぞれ畳み込みニューラルネットワークを有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項27記載のシステムにおいて、
前記敵対的訓練は、少なくとも1つの治療領域を示す入力画像から模擬放射線治療線量分布画像を生成するために前記生成モデルを訓練することと、生成された放射線治療線量分布画像を模擬または実際の訓練データとして分類するために前記識別モデルを訓練することとを有し、
前記生成モデルの出力は、前記識別モデルを訓練するために使用され、前記識別モデルの出力は、前記生成モデルを訓練するために使用される
ことを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項28記載のシステムにおいて、
前記入力画像および前記模擬放射線治療線量分布画像は、それぞれ3次元画像を有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項28記載のシステムにおいて、
前記入力画像は、それぞれの画像チャネルまたは画像チャネル内のそれぞれのグレースケール値を使用して、少なくとも1つの治療領域および少なくとも1つの治療除外領域を表すそれぞれの領域を構成する2次元画像であり、
前記模擬放射線治療線量分布画像は、それぞれの画像カラーチャンネルまたは画像チャンネル内のそれぞれの値を使用して、線量値を表すそれぞれの領域を有する二次元画像である
ことを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項30記載のシステムにおいて、
前記生成モデルは、少なくとも2つのカラー画像チャネルを有する少なくとも1つの治療領域および少なくとも1つの治療除外領域を示す画像マスクを有するRGB画像カラー画像として前記入力画像を受け取るように訓練され、
前記生成モデルは、前記模擬放射線治療線量分布画像をグレースケール画像として生成するように訓練される
ことを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項28記載のシステムにおいて、
前記入力画像は、撮像モダリティから生成されたDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)フォーマット画像である
ことを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項28記載のシステムにおいて、
前記解剖学的データは、画像データ内に表され、
前記解剖学的領域のマッピングは、前記放射線治療を受けるために識別される少なくとも1つの領域と、前記放射線治療を回避するために識別される少なくとも1つの領域とに対応する複数の画像マスクを有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項34】
請求項33記載のシステムにおいて、
前記解剖学的データは、少なくとも1つの撮像モダリティにより捕捉された前記ヒト被験体の少なくとも1つの画像から導出された前記解剖学的領域の3次元ボクセルデータを有し、
前記複数の画像マスクは、前記放射線治療を受けるために識別される少なくとも1つの領域と、前記放射線治療を回避するために識別される少なくとも1つのリスク臓器とを示すそれぞれのセグメントに対応する
ことを特徴とするシステム。
【請求項35】
請求項26記載のシステムにおいて、
前記解剖学的データは、少なくとも1つのバイナリマスクまたは少なくとも1つの符号付き距離マップを含む画像を有し、
前記放射線治療線量データは、より低い解像度でアーカイブされた線量データの線形補間または最近傍補間から生成された画像を有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項36】
請求項26記載のシステムにおいて、
前記解剖学的データは、前記解剖学的領域の座標空間内での放射線治療のための座標を有し、
前記放射線治療線量データは、前記解剖学的領域の前記座標空間内の座標における放射線治療線量の表示を有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項37】
請求項26記載のシステムにおいて、
前記生成モデルは、前記敵対的生成ネットワークによって訓練された複数のモデルの中から識別され、
前記生成モデルは、前記解剖学的領域または前記放射線治療の種類に基づいて識別される
ことを特徴とするシステム。
【請求項38】
請求項26記載のシステムにおいて、
前記解剖学的データは、前記ヒト被験体から取得された撮像データを有し、
前記敵対的生成ネットワークは、前記生成モデルと識別モデルを有する条件付き滴定的生成ネットワークであり、
前記生成モデルから提供される予測値は、前記ヒト被験体から取得された撮像データに基づいて条件付けされる
ことを特徴とするシステム。
【請求項39】
請求項38記載のシステムにおいて、
前記生成モデルおよび前記識別モデルは、訓練中に事前分類された解剖学的構造データに基づいて条件付けされ、
前記事前分類された解剖学的構造データは、放射線治療のための前記解剖学的領域に対応する
ことを特徴とするシステム。
【請求項40】
請求項39記載のシステムにおいて、
前記生成モデルおよび前記識別モデルは、前記放射線治療線量分布に関連する少なくとも1つの制約条件でさらに条件付けられている
ことを特徴とするシステム。
【請求項41】
請求項40記載のシステムにおいて、
前記解剖学的データは、前記ヒト被験体の前記解剖学的領域の三次元画像セットから識別され、
前記生成モデルは、複数のヒト被験体から獲得された三次元画像データに基づいた特定の状態または解剖学的特徴に対する前記放射線治療線量データを生成するように訓練される
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
[0001]
本特許出願は、2018年4月30日に出願された米国出願第15/966,228号明細書の優先権の利益を主張し、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
[0002]
本開示の実施形態は、一般に、医療データおよび人工知能処理技術に関連する。特に、本開示は、放射線治療計画ワークフローおよびシステム操作での使用に適応した敵対的生成ネットワークにおけるデータモデルの生成および使用に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]
強度変調放射線療法(IMRT)および体積変調アーク療法(VMAT)は、現代のがん放射線療法の標準治療となっている。これらおよび他の形態の放射線治療の治療計画では、重要な臓器が特定され、治療のための標的体積が特定されるため、治療を受ける特定の患者に合わせて放射線の特定の被曝量をカスタマイズすることが必要である。個々の患者のIMRTまたはVMAT治療計画を作成するための多くのアプローチは、評価者が目標線量と臓器温存のトレードオフを秤にかけ、線量分布への影響を予測することが非常に困難なプログラムの制約を評価者が調整するために、人間が決定した試行錯誤のプロセスを伴う。実際には、計画制約が調整される順序自体が線量差をもたらす可能性がある。その結果、熟練したプランナであっても、周囲の臓器や組織の放射線被曝を最小限に抑えつつ、目標量での放射線治療を最大化するという目的を達成するために、カスタム設計された放射線治療計画が可能な限り最善に近いものであるという保証はないことが多い。このように、プランナは、少量の追加努力が治療計画の改善につながるのか、多量の追加努力が治療計画の改善につながるのかを判断することができないのが現状である。
【0004】
[0004]
これまでの研究では、2つの一般的なアプローチを用いて放射線治療計画が有効かどうかを検討してきた。第1に、一次元的な標的臓器のオーバーラップ尺度(例えば、線量体積ヒストグラム(DVH)、オーバーラップボリュームヒストグラム(OVH))と関連した計画の質を評価し、データベース上の既知の質の高い計画と比較することで、治療計画の探索・比較を可能にしてきた。第2に、計画の品質についても研究が行われており、オペレータが治療に使用するために選択することができる、最適な、あるいはパレート効率性(Pareto-optima)あるプランのファミリーを決定するための研究も行われている。しかし、これらのアプローチのいずれも、どちらの計画プロセスからも独立した治療計画の詳細なモデルを提供したり、生成したりすることはできない。その結果、特定の放射線治療の実行可能性および成功は、しばしば、計画段階で利用可能であり、かつ行使される手動の人間の判断に依存している。さらに、計画プロセスにおける人間の技量に依存すること(および以前の人間が作成した治療計画との比較)は、新しい治療計画が特定の患者に対して完全に最適化され、可能な限り最良の治療目的を達成しているかどうかを客観的に判断することを妨げている。
【発明の概要】
【0005】
[0005]
本開示は、敵対的生成ネットワーク(GAN)、ディープニューラルネットワーク(DNN)、および機械学習(ML)実装の他の形態を含む人工知能(AI)処理技術を用いて、放射線治療計画を開発、訓練、および利用するための手順を含む。本開示は、特定の患者の解剖学的にカスタマイズされたボクセル単位の3次元線量分布を予測する特定の癌治療のための治療計画モデルを学習するために、GAN内で動作する識別器モデルおよび生成器モデルの使用に関連するいくつかの例示的な実施例を含む。これらの例では、放射線治療線量の計画と展開に使用される放射線治療ワークフローの一部として、学習、訓練、試験、検証の各段階でGANモデルを使用することが含まれている。しかしながら、GAN(および他の開示されたAIおよびML技術)の一部としての画像データ、線量データ、および他の放射線治療関連情報の本明細書に記載された使用および分析は、様々な診断、評価、解釈、または治療の設定のために使用される他の医療ワークフローに組み込まれ得ることが明らかになるであろう。
【0006】
[0006]
一実施例では、GANで訓練された人工ニューラルネットワークモデルの予測または使用の一環として、放射線治療の線量分布を生成する方法の実装は、ヒト被験体の放射線治療のための解剖学的領域のマッピングを示すヒト被験体の解剖学的データを受信するステップと、生成モデルを使用して、マッピングに対応する放射線治療線量データを生成するステップと、生成モデルを敵対的生成ネットワークで訓練し、生成モデルは、解剖学的データを入力として処理し、放射線治療線量データを出力として提供するようにさらに訓練された生成モデルを使用して、マッピングに対応する放射線治療線量データを生成するステップと、放射線治療線量データに基づいて、ヒト被験体の放射線治療のための放射線治療線量分布を特定するステップと、を含む。
【0007】
[0007]
放射線治療線量分布を生成するさらなる実施例は、識別モデルを使用して生成モデルを改善するように構成された敵対的生成ネットワークを展開することを含み、このネットワークは、識別モデルと生成モデルとの間の敵対的訓練を使用して、生成モデルと識別モデルとによって適用される値が確立されるように構成される。更なる実施例では、敵対的生成ネットワークは、生成モデルと識別モデルとからなる条件付き敵対的生成ネットワークであり、このような条件付き生成モデルから提供される予測値は、ヒト被験体から撮影された画像データに条件付けられている。さらに、生成モデルおよび識別モデルは、訓練中に事前に分類された解剖学的構造データに条件付けされてもよいし、放射線治療線量分布に関連する少なくとも1つの制約に条件付けされてもよい。
【0008】
[0008]
また、例示的な実施形態では、放射線治療線量分布を生成するための訓練されたモデルを生成するための方法の実施形態は、逆説的訓練を使用して、敵対的生成ネットワークの生成モデルおよび識別モデルの値を確立すること、逆説的訓練を、入力画像から模擬放射線治療線量分布画像を生成するために生成モデルを訓練することを含むように適応させること、および生成モデルの出力が識別モデルを訓練するために使用され、識別モデルの出力が生成モデルを訓練するために使用されるように、生成モデルを模擬または実際の訓練データとして分類するために識別モデルを訓練することを含むように適応させること、前記生成モデルが、前記放射線治療のための解剖学的構造のマッピングに対応する入力解剖学的データに基づいて、前記ヒト被験体の放射線治療のための放射線治療線量データを識別するために適合されているように、前記生成モデルを、放射線治療線量情報を生成するために使用するために出力することとを含む。
【0009】
[0009]
訓練されたモデルを生成するさらなる実施例は、予め定義された解剖学的構造データを使用して訓練中に生成モデルおよび識別モデルを条件付けすることを含む、条件付き敵対的生成ネットワークの使用を含むことができる。様々な実施例では、生成モデルは、画像データに基づいて特定の状態または解剖学的特徴のための放射線治療線量データを生成するように、または、それぞれの放射線治療のための複数の解剖学的領域のための放射線治療線量データを生成するように訓練することができる。訓練されたモデルの訓練または使用に関連して、追加の制約、条件、入力、および他のバリエーションも提供することができる。
【0010】
[0010]
本明細書に記載された例は、様々な実施形態で実施され得る。例えば、一実施形態では、処理ハードウェア(例えば、プロセッサまたは他の処理回路)およびそこに具現化された命令を含むメモリハードウェア(例えば、記憶装置または揮発性メモリ)を含むコンピューティングデバイスを含み、そのような命令は、処理ハードウェアによって実行されると、コンピューティングデバイスに、これらの技術およびシステム構成のための電子的な操作を実装、実行、または調整することを引き起こす。本明細書で論じられる別の実施形態は、コンピュータプログラム製品を含み、例えば、機械可読媒体または他の記憶装置によって具現化されてもよく、これらの技術およびシステム構成のための電子的操作を実施、実行、または調整するための命令を提供する。本明細書で論じられる別の実施形態は、これらの技術およびシステム構成のための電子的操作を実施、実行、または調整するために、コンピューティングデバイスの処理ハードウェア上で操作可能な方法を含む。
【0011】
[0011]
更なる実施形態において、上述した電子的操作の態様を実施する論理、命令、または命令は、デスクトップまたはノートブック型パーソナルコンピュータ、タブレット、ネットブック、スマートフォンのようなモバイルデバイス、クライアント端末、およびサーバーホストマシンインスタンスのような計算システム用の任意の数のフォームファクタを含む、分散型または集中型計算システムで提供することができる。本明細書で議論される別の実施形態は、本明細書で議論される技術を、そのような技術の機能を実行するためのそれぞれの手段を有する装置を含む、プログラムされた論理、ハードウェア構成、または特殊なコンポーネントまたはモジュールの他の形態に組み込むことを含む。このような技術の機能を実装するために使用されるそれぞれのアルゴリズムは、上述した電子的操作の一部または全部のシーケンス、または添付の図面および以下の詳細な説明に描かれている他の側面を含むことができる。
【0012】
[0012]
以上の概要は、本特許出願の主題の概要を提供することを目的としている。本発明の排他的または網羅的な説明を提供することを意図したものではない。発明の詳細な説明には、本特許出願についての更なる情報を提供することが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
[0013]
必ずしも縮尺で描かれていない図面において、同様の数字は、いくつかの図面全体にわたって実質的に類似した構成要素を表す。異なる文字の接尾辞を持つ数字のようなものは、実質的に類似した構成要素の異なる実例を表す。図面は、本明細書で論じられている様々な実施形態を一般的に例示しているが、これに限定されるものではない。
【0014】
[0014]
図1図1は、治療計画生成処理を実行するために適応された例示的な放射線治療システムを示す。
【0015】
[0015]
図2図2は、例示的な画像誘導型放射線治療装置を示す。
【0016】
[0016]
図3図3は、治療線量モデルを生成するために適応された例示的な畳み込みニューラルネットワークモデルを示す。
【0017】
[0017]
図4図4は、治療線量モデルを生成するために適応された敵対的生成ネットワークの訓練と使用のための例示的なデータフローを示す。
【0018】
[0018]
図5図5は、治療線量モデルを生成するための敵対的生成ネットワークの訓練を示す。
【0019】
[0019]
図6図6A図6B図6Cは、治療線量モデルを生成するための条件付き敵対的生成ネットワークの訓練および使用を示す。
【0020】
[0020]
図7図7は、訓練および治療線量モデルの生成に関連して使用される解剖学的領域情報および入力画像のバリエーションを示す。
【0021】
[0021]
図8図8は、治療線量モデルにおいて提供される解剖学的領域情報および出力線量表現のペアのバリエーションを示す。
【0022】
[0022]
図9図9は、治療線量を出力するための生成モデルを訓練するための例示的な操作のフローチャートを示す。
【0023】
[0023]
図10図10は、治療線量の出力に適合した生成モデルを利用するための例示的な操作のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0024]
以下の詳細な説明では、本発明の一部を形成する添付の図面を参照し、本発明が実施され得る特定の実施形態を示す。本明細書で「実施例」とも呼ばれるこれらの実施形態は、当技術に熟練した者が本発明を実施することを可能にするのに十分な詳細に記載されており、実施形態を組み合わせてもよく、他の実施形態を利用してもよく、本発明の範囲から逸脱することなく構造的、論理的、電気的な変更を行ってもよいことが理解されよう。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で取られるものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその等価物によって定義される。
【0025】
[0025]
本開示は、放射線治療計画を開発または展開するための手動(例えば、人間に指示された、人間にアシストされた、または人間にガイドされた)および従来のアプローチよりも技術的な利点を提供する方法を含む、放射線治療計画およびデータ処理の操作を改善するための様々な技術を含む。これらの技術的利点には、計画データを生成するための計算処理時間の短縮、データ解析作業の効率化、後に開発された治療計画データおよびデータ値の再現性および改良、およびそれに伴う放射線治療計画および運用ワークフロー活動を行うために使用される処理、メモリおよびネットワークリソースの改善が含まれる。これらの改善された計画およびワークフロー活動は、このような治療および診断行動を支援するためのデータを管理するデータ管理、可視化および制御システムの改善に加えて、様々な医療および診断の現場およびそのような現場で使用される情報技術システムにも適用可能である。したがって、本技術は、これらの技術的利点に加えて、多くの見かけ上の医療上の利点(放射線治療の治療精度の向上、意図しない放射線への被曝の低減などを含む)をもたらす可能性がある。
【0026】
[0026]
本明細書でさらに議論されるように、教師付き人工知能(AI)機械学習の一形態である敵対的生成ネットワーク(GAN)の以下の使用および展開は、学習モデルを介した放射線治療計画の精度および有用性の向上を可能にする。一実施例では、本技術は、撮像データによって示される患者の特定の解剖学から決定され、カスタマイズされるように、新しい患者のための放射線治療線量の正確な投影を示すことができる投影治療計画を出力する。本明細書で議論される学習モデルはまた、既存の治療計画の品質をチェックし、カスタム治療計画を創始する、放射線治療の多くの異なる段階で計画または検証を支援するために使用することができるシステム内での使用を可能にする。さらに、学習モデルは、自動化された計画を支援することができ、これは、計画と調整を繰り返す適応型放射線治療プロトコルの使用において重要である。したがって、現在の学習モデルと自動化されたアプローチの使用は、地域の深い専門知識やリソースが不足している(したがって、手動の治療計画プロセスを実行する能力やスキルが不足している)医療施設に大きな利益を提供することができる。
【0027】
[0027]
一実施例では、学習モデルは、GANで動作する一対のディープニューラルネットワーク:訓練データを記述する確率分布の推定値を生成する生成器(「生成モデル」とも呼ばれる);および生成器のサンプルを生成器に属するものとして、または訓練データに属するものとして分類する識別器(「識別モデル」とも呼ばれる):を用いて生成される。生成器は、訓練データのデータ分布を可能な限り完全にエミュレートし、それによって識別器を最大に混乱させることを目的としている。その結果、予測モデリングにおける回帰の結果を最大化するように訓練された(本質的には「調整された」)生成器が生成される。
【0028】
[0028]
一実施例では、GANは、解剖学的入力(例えば、特定の患者の解剖学的構造)を与えられたボクセル単位の3次元線量分布を生成するようにモデルを訓練するために、特定の放射線治療のための治療計画のモデルで訓練される。モデルは、登録された解剖学データと投与データのペア(例えば、2D画像または3D画像、または他の空間ベースの解剖学データと投与データの表現)をGANモデルに提供することによって学習され、訓練に使用されていない解剖学/線量画像のペアで結果のモデルをテストすることによって検証される。更なる実施例では、テスト手順は、訓練された生成モデルが有用な結果を生成していることを検証するために使用することができる。このような手順は、試験用線量画像を3次元的に再構成することと、訓練データを構成する既知の治療計画から得られたDVHと比較して、治療計画ボリューム(PTV)およびリスク臓器(OAR)の線量ボリュームヒストグラム(DVH)を評価することとを含むことができる。
【0029】
[0029]
ニューラルネットワークにおける教師付きMLの先行アプローチを含む、以前の実装およびDNNアーキテクチャよりも優れた治療線量推定値を予測する訓練された生成モデルを生成するために、GANの2つのネットワーク(生成器−識別器)アーキテクチャを使用することができる。さらに、本技術による条件付きGANの使用は、特定の解剖学的領域および特徴ならびに患者または放射線治療の種類によって経験される特定のタイプの治療および治療制約に向けた改善された訓練のための追加的な改善を提供することができる。このような技術的及び機能的な利点は、次のセクションで明らかになるだろう。
【0030】
[0030]
本明細書で議論されるアプローチは、診断および治療処方の多くのバリエーションに対する放射線治療計画および線量の特性の発見を可能にし、患者の解剖学的分布、計画パラメータ、このデータで学習された制約に基づいて可能性の高い線量分布を予測することを可能にする。これらのアプローチは、GANによって採用された一種の統計的学習を使用して、患者の解剖学と制約の間の連携のより詳細なモデルを取得し、以前の深層学習アプローチと比較してより正確な線量予測を行う。
【0031】
[0031]
この強力な機械学習の手法を採用することで、治療計画作成時の多くの主観的な判断をカプセル化した治療計画プロセスのモデルを作成し、直接利用できる計画を作成したり、その後の計画のテンプレート(出発点)となる計画を作成したり、既存の計画の中でどの計画がうまくいかない可能性が高いかを予測したり、地域の深い専門知識を持たない治療院への支援を行ったり、治療計画そのものを自動化したりすることが可能となる。特に、計画を繰り返す適応療法の利用が増えていることを考えると、この点は魅力的である。
【0032】
[0032]
従来のアプローチでは、肺がん放射線治療プロトコルのモデリングや線量エスカレーションの有効性の推定などのデータ処理動作のためのGAN実装を含む深層学習ネットワークの基本的な使用法しか検討されていなかった。しかし、このような解析は、画素単位の撮像モデルに基づいておらず、画素単位の学習アプローチを使用していない。さらに、これまでのアプローチでは、条件付きGAN(例えば、画像データまたは放射線治療の操作上の制約条件)を使用するような、GANの操作および精度を向上させる方法は検討されていなかった。
【0033】
[0033]
図1は、本明細書で議論されている1つまたはそれ以上のアプローチを使用して放射線治療計画処理操作を実行するように適合された例示的な放射線治療システムを示す。これらの放射線治療計画処理動作は、撮影された医用撮像データの特定の側面と治療線量計算とに基づいて、放射線治療システムが患者に放射線治療を提供することを可能にするために実行される。具体的には、治療処理ロジック120によって実行される治療計画生成ワークフロー130及び治療計画訓練ワークフロー140の一部として、次に示すような処理操作を実行する。しかしながら、データ検証、可視化、他の医学的評価および診断の設定を含む、以下の訓練されたモデルおよび治療処理ロジック120の多くのバリエーションおよび使用例が提供されてもよいことが理解されるであろう。
【0034】
[0034]
放射線治療システムは、治療処理ロジック120をホストする放射線治療処理計算システム110を含む。放射線治療処理計算システム110は、ネットワーク(図示せず)に接続することができ、そのようなネットワークは、インターネットに接続することができる。例えば、ネットワークは、放射線治療処理計算システム110を、1つまたはそれ以上の医療情報源(例えば、放射線学情報システム(RIS)、医療記録システム(例えば、電子カルテ(EMR)/電子健康記録(EHR)システム)、腫瘍学情報システム(OIS))、1つまたはそれ以上の画像データ源150、画像取得装置170(例えば、撮像モダリティ)、治療装置180(例えば、放射線治療装置)、および治療データソース160に接続することができる。一実施例では、放射線治療処理計算システム110は、治療装置180によって使用される放射線治療計画を生成し、カスタマイズするための操作の一部として、治療処理ロジック120からの命令またはデータを実行することによって、治療計画の設計、生成、および実施を実行するように構成することができる。
【0035】
[0035]
放射線治療処理計算システム110は、処理回路112、メモリ114、記憶装置116、およびユーザインターフェース142、通信インターフェース(図示せず)などの他のハードウェアおよびソフトウェア操作可能な機能を含むことができる。記憶装置116は、オペレーティングシステム、放射線治療計画(例えば、オリジナルの治療計画、トレーニング治療計画、生成された治療計画、適応または修正された治療計画など)、ソフトウェアプログラム(例えば、放射線治療計画ソフトウェア、画像または解剖学的可視化ソフトウェア、DLモデル、MLモデル、ニューラルネットワークなどによって提供されるようなAI実装およびアルゴリズムなど)、および処理回路112によって実行される他の任意のコンピュータ実行可能な命令を記憶することができる。
【0036】
[0036]
一実施例では、処理回路112は、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、加速処理装置(APU)などの1つまたはそれ以上の汎用処理装置などの処理装置を含むことができる。より具体的には、処理回路112は、複雑命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、非常に長い命令ワード(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであってもよい。また、処理回路112は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、システムオンチップ(SoC)などの1つまたはそれ以上の特別目的処理装置によって実装されてもよい。当業者には理解されるであろうが、いくつかの例では、処理回路112は、汎用プロセッサではなく、特殊用途プロセッサであってもよい。処理回路112は、Intel(登録商標)によって製造されたPentium(登録商標)、Core(登録商標)、Xeon(登録商標)、またはItanium(登録商標)ファミリー、AMD(登録商標)によって製造されたTurion(登録商標)、Athlon(登録商標)、Sempron(登録商標)、Opteron(登録商標)、FX(登録商標)、Phenon(登録商標)ファミリー、Sun Microsystemsによって製造された様々なプロセッサのいずれかのような1つまたはそれ以上の既知の処理装置を含むことができる。処理回路112は、Nvidia(登録商標)によって製造されたGeForce(登録商標)、Quadro(登録商標)、Tesla(登録商標)ファミリー、Intel(登録商標)によって製造されたGMA、Iris(登録商標)ファミリー、またはAMD(登録商標)によって製造されたRadeon(登録商標)ファミリーのような、グラフィック処理ユニットを含むことができる。処理回路112は、Intel(登録商標)によって製造されたXeon Phi(登録商標)ファミリーのような、加速処理ユニットを含むことができる。開示された実施形態は、本明細書に開示された方法を実行するために、大量のデータを特定し、分析し、維持し、生成し、および/または提供し、またはそのようなデータを操作するというコンピューティング要求を満たすように構成された任意のタイプのプロセッサ(複数可)に限定されるものではない。さらに、「プロセッサ」という用語は、複数の物理的(回路ベースの)またはソフトウェアベースのプロセッサ、例えば、マルチコア設計または複数のプロセッサのそれぞれがマルチコア設計を有するプロセッサを含んでもよい。処理回路112は、メモリ114に記憶され、記憶装置116からアクセスされる、一過性または非一過性のコンピュータプログラム命令のシーケンスを実行して、以下でより詳細に説明する様々な操作、プロセス、方法を実行することができる。
【0037】
[0037]
メモリ114は、読み出し専用メモリ(ROM)、相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、同期DRAM(SDRAM)などのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEEPROM)、スタティックメモリ(例えば、フラッシュメモリ、フラッシュディスク、静的ランダムアクセスメモリ)、および他のタイプのランダムアクセスメモリ、キャッシュ、レジスタ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD−ROM)、デジタル多目的ディスク(DVD)または他の光ストレージ、カセットテープ、他の磁気記憶装置、または画像、データ、または処理回路112または他のタイプのコンピュータ装置によってアクセスされることが可能な一過性または非一過性のコンピュータ実行可能命令(例えば、任意の形式で格納されているもの)を含む情報を格納するために使用され得る他の非一過性の媒体を含み得る。例えば、コンピュータプログラム命令は、処理回路112によってアクセスされ、ROM、または他の任意の適切なメモリ位置から読み出され、処理回路112によって実行されるためにRAMにロードすることができる。
【0038】
[0038]
記憶装置116は、本明細書に記載された方法論または機能(様々な例では、治療処理ロジック120およびユーザインターフェース142を含む)のうちの任意の1つまたはそれ以上の方法論または機能を具現化または利用する1つまたはそれ以上の一組の、一過性または非一過性の機械読み取り可能な媒体を含む駆動装置を構成してもよい。命令は、また、放射線治療処理計算システム110による実行中に、メモリ114内および/または処理回路112内に、完全にまたは少なくとも部分的に存在してもよく、メモリ114および処理回路112は、また、一過性または非一過性の機械可読媒体を構成することができる。
【0039】
[0039]
メモリ114および記憶装置116は、非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体を構成することができる。例えば、メモリ114および記憶装置116は、コンピュータ読み取り可能な媒体上に、1つまたはそれ以上のソフトウェアアプリケーションのための一過性または非一過性の命令を記憶またはロードすることができる。メモリ114および記憶装置116に記憶またはロードされたソフトウェアアプリケーションは、例えば、一般的なコンピュータシステム用のオペレーティングシステムおよびソフトウェア制御装置用のオペレーティングシステムを含むことができる。また、放射線治療処理計算システム110は、治療処理ロジック120およびユーザインターフェース142を実装するためのソフトウェアコードからなる様々なソフトウェアプログラムを動作させることができる。さらに、メモリ114および記憶装置116は、処理回路112によって実行可能なソフトウェアアプリケーション全体、ソフトウェアアプリケーションの一部、またはソフトウェアアプリケーションに関連付けられたコードまたはデータを記憶またはロードすることができる。更なる実施例では、メモリ114および記憶装置116は、1つまたはそれ以上の放射線治療計画、画像データ、セグメンテーションデータ、治療可視化、ヒストグラムまたは測定値、AIモデルデータ(例えば、重みおよびパラメータ)、ラベルおよびマッピングデータなどを記憶し、ロードし、操作することができる。ソフトウェアプログラムは、記憶装置116およびメモリ114だけでなく、ハードドライブ、コンピュータディスク、CD−ROM、DVD、ブルーレイDVD、USBフラッシュドライブ、SDカード、メモリスティック、または任意の他の適切な媒体などの取り外し可能なコンピュータ媒体に格納することができ、そのようなソフトウェアプログラムは、ネットワークを介して通信または受信することができる。
【0040】
[0040]
図示されていないが、放射線治療処理計算システム110は、通信インターフェース、ネットワークインターフェースカード、および通信回路を含むことができる。例示的な通信インターフェースは、例えば、ネットワークアダプタ、ケーブルコネクタ、シリアルコネクタ、USBコネクタ、パラレルコネクタ、高速データ伝送アダプタ(例えば、ファイバ、USB 3.0、サンダーボルトなど)、無線ネットワークアダプタ(例えば、IEEE 802.11/Wi−Fiアダプタなど)、通信アダプタ(例えば、3G、4G/LTE、5G、ネットワークなどと通信するためのもの)などを含むことができる。このような通信インターフェースは、機械がネットワークを介して、遠隔地に配置された構成要素のような他の機械および装置と通信することを可能にする、1つまたはそれ以上のデジタルおよび/またはアナログ通信装置を含むことができる。ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線ネットワーク、クラウドコンピューティング環境(例えば、サービスとしてのソフトウェア、サービスとしてのプラットフォーム、サービスとしてのインフラストラクチャなど)、クライアントサーバー、広域ネットワーク(WAN)などの機能を提供することができる。例えば、ネットワークは、他のシステム(追加の画像処理計算システムまたは医用画像処理または放射線治療操作に関連する画像ベースのコンポーネントを含む)を含むことができるLANまたはWANであってもよい。
【0041】
[0041]
一実施例では、放射線治療処理計算システム110は、記憶装置116およびメモリ114上でホスティングするために、画像データソース150から画像データ152を取得することができる。一実施例では、放射線治療処理計算システム110上で動作するソフトウェアプログラムは、擬似CT画像のような合成画像を生成することによって、あるフォーマット(例えば、MRI)の医用画像を別のフォーマット(例えば、CT)に変換することができる。別の例では、ソフトウェアプログラムは、対応する画像ボクセルおよび線量ボクセルが適切に関連付けられるように、患者の医用画像(例えば、CT画像またはMR画像)を、その患者の放射線治療の線量分布(例えば、画像としても表される)に登録または関連付けることができる。さらに別の実施例では、ソフトウェアプログラムは、符号付き距離関数または画像情報のいくつかの側面を強調する画像の処理済みバージョンのような患者画像の機能を代替することができる。このような機能は、エッジやボクセルテクスチャの違い、または他の構造的な側面を強調することができるかもしれない。別の例では、ソフトウェアプログラムは、医療画像内で、解剖学的特徴、セグメント化された特徴、または投与または治療情報の一部の側面を可視化、非表示、強調、または非強調することができる。記憶装置116およびメモリ114は、画像データ152、患者データ、および放射線治療計画および関連するセグメンテーション操作を作成および実施するために必要な他のデータを含む、これらの目的を実行するためのデータを記憶し、ホストしてもよい。
【0042】
[0042]
一実施例では、放射線治療処理計算システム110は、放射線治療線量および治療装置180からの出力を管理するために使用されるデータリポジトリ(data repository)などの治療データソース160から、または治療データソース160との間で、計画データ162を取得するまたは通信することができる。一実施例では、治療データソース160は、複数のヒト被験体のために保持された計画データを含み、この計画データは、異なる時間に個々の患者のための治療計画パラメータ(例えば、投与量、測定値、治療パラメータ)を含む。一実施例では、治療データソース160は、訓練データと、以前に設計または承認された治療計画および治療マッピング(例えば、安全性、有効性、効率性、または他の医学的評価に基づいて「ゴールドスタンダード」または「最適」として識別された治療計画)を含む。更なる実施例では、治療データソース160は、治療計画生成ワークフロー130によって生成された治療計画の結果として計画データ162を受取りまたは更新し、治療データソース160はまた、治療計画訓練ワークフロー140で使用するために計画データを提供またはホストすることができる。
【0043】
[0043]
処理回路112は、メモリ114および記憶装置116に通信的に結合され、処理回路112は、メモリ114または記憶装置116のいずれかからそこに記憶されたコンピュータ実行可能命令を実行するように構成される。処理回路112は、画像データ152からの医用画像をメモリ114で受取りまたは取得し、治療処理ロジック120を用いて処理するように命令を実行する。例えば、放射線治療処理計算システム110は、通信インターフェースおよびネットワークを介して、画像取得装置170または画像データソース150から画像データ152を受け取って、記憶装置116に格納またはキャッシュされる。また、処理回路112は、メモリ114または記憶装置116に記憶された医用画像を、別のデータベースまたはデータストア(例えば、医療施設データベース)に通信インターフェースを介して送信または更新する。いくつかのでは、1つまたはそれ以上のシステムは、本明細書に記載された実施形態を協調的に実行するためにネットワークを使用する分散コンピューティングまたは仮想化環境を形成してもよい。また、このようなネットワークは、インターネットに接続して、インターネット上に遠隔地に存在するサーバやクライアントと通信することができる。
【0044】
[0044]
更なる実施例では、処理回路112は、画像データ152および他の患者データとともにソフトウェアプログラム(例えば、治療計画ソフトウェア)を利用して、放射線治療計画を作成することができる。一実施例では、画像データ152は、患者の解剖学的領域、臓器、または関心のあるセグメンテーションデータのボリュームに関連付けられたデータのような解剖学的または診断情報を含むまたはそれを伴う。患者データは、(1)機能的器官モデルデータ(例えば、直列対並列器官、適切な線量反応モデルなど)、(2)放射線量データ(例えば、線量体積ヒストグラム(DVH)情報、比較など)、(3)患者および治療経過に関する他の臨床情報(例えば、他の手術、化学療法、以前の放射線療法など)のような情報を含むことができる。更なる実施例では、計画データ162は、患者、複数の患者のセット、処置または治療の手順またはタイプ、複数の処置または治療のセット、画像取得装置、医療施設、またはそのようなものに固有の、解剖学的特徴のセグメンテーションまたはラベリング、およびそのような解剖学的特徴のための関連する線量情報と具体的に関連づけられ、またはリンクされている。以下の実施例によれば、計画データ162および治療データソース160、および関連する訓練されたモデルは、単一の病状または放射線治療、または複数のタイプの病状または放射線治療のために維持される。
【0045】
[0045]
さらに、処理回路112は、例えば、ニューラルネットワークモデル、機械学習モデル、治療計画生成ワークフロー130、治療計画訓練ワークフロー140、または本明細書で議論されるようなGANによる治療計画の生成に関与する他の側面によって使用される更新されたパラメータのような中間データを生成するためにソフトウェアプログラムを利用することができる。さらに、そのようなソフトウェアプログラムは、治療処理ロジック120を利用して、本明細書でさらに議論される技術を用いて決定された線量情報に基づいて、治療データソース160への展開のための新規または更新された計画を生成するための治療計画生成ワークフロー130を実行する。処理回路112は、その後、通信インターフェースおよびネットワークを介して、新しい計画または更新された計画を治療装置180に送信することができ、放射線治療計画は、ワークフロー140で訓練されたワークフロー130の結果により、治療装置180を介して患者を放射線で治療するために使用される。ソフトウェアプログラムおよびワークフロー130、140の他の出力および使用は、放射線治療処理計算システム110の使用に伴って発生する。
【0046】
[0046]
本明細書の実施例(例えば、図3および図4を参照して議論される敵対的生成ネットワーク処理および図5から図8を参照して議論される線量および解剖学的データ処理)では、処理回路112は、治療計画生成のためのML、DL、ニューラルネットワーク、および自動処理および人工知能の他の側面の機能を実装するために、治療処理ロジック120を呼び出すソフトウェアプログラムを実行することができる。例えば、処理回路112は、医用画像、医用画像導出、解剖学的領域マッピング、放射線治療または治療装置の制約、または本明細書で議論されるような治療計画の他の考慮事項に基づいて、治療計画(および治療計画のための線量情報)を訓練、分析、予測、および評価するソフトウェアプログラムを実行することができる。
【0047】
[0047]
一実施例では、画像データ152は、1つまたはそれ以上のMRI画像(例えば、2DMRI、3DMRI、2DストリーミングMRI、4DMRI、4DボリューメトリックMRI、4DシネMRIなど)、機能的MRI画像(例えば、fMRI、DCE−MRI、拡散MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)画像(例えば、2DCT、コーンビームCT、3DCT、4DCT)、超音波画像(例えば、2D超音波、3D超音波、4D超音波)、陽電子放出断層撮影(PET)画像、X線画像、透視画像、放射線治療ポータル画像、シングルフォトエミッションコンピュータ断層撮影(SPECT)画像、コンピュータで生成された合成画像(例えば、疑似CT画像)などを含み得る。さらに、画像データ152は、医用画像処理データ、例えば、訓練画像、およびグラウンドトゥルース画像、輪郭画像、および線量画像を含むか、または関連付けられていてもよい。他の実施例では、解剖学的領域の等価な表現は、非画像フォーマット(例えば、座標、マッピングなど)で表現することができる。
【0048】
[0048]
一実施例では、画像データ152は、画像取得装置170から受信され、画像データソース150の1つまたはそれ以上(例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)、VNA(Vendor Neutral Archive)、医療記録または情報システム、データウェアハウスなど)に格納することができる。したがって、画像取得装置170は、患者の医用画像を取得するためのMRI撮像装置、CT撮像装置、PET撮像装置、超音波撮像装置、透視装置、SPECT撮像装置、リニアアクセラレータとMRI撮像装置を一体化したもの、CBCT撮像装置、またはその他の医用画像を取得するための医用画像取得装置で構成されていてもよい。画像データ152は、画像取得装置170および放射線治療処理計算システム110が、開示された実施形態と一致する動作を実行するために使用することができる、任意のタイプのデータまたは任意のタイプのフォーマット(例えば、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)フォーマット)で受信および保存することができる。さらに、いくつかの実施例では、本明細書で議論されるモデルは、元の画像データフォーマットまたはその派生物を処理するように訓練することができる。
【0049】
[0049]
例示的な実施形態では、画像取得装置170は、単一の装置(例えば、リニア加速器と組み合わせたMRI装置、「MRI−Linac」とも呼ばれる)として治療装置180と一体化されていてもよい。このようなMRI−Linacは、例えば、放射線治療計画に従って放射線治療を所定の標的に正確に指示するために、患者の標的臓器または標的腫瘍の位置を決定するために使用することができる。例えば、放射線治療計画は、各患者に適用されるべき特定の放射線量に関する情報を提供することができる。また、放射線治療計画には、他の放射線治療情報、例えば、ビーム角度、線量−ヒストグラム−ボリューム情報、治療中に使用する放射線ビームの本数、ビーム当たりの線量などが含まれていてもよい。いくつかの実施例では、治療計画生成ワークフロー130におけるGAN訓練されたモデルは、強化されたCBCT画像を生成するためにのみ使用され、他のワークフローまたはロジック(図示せず)は、この強化されたCBCT画像を、放射線治療を達成するために使用される特定のビーム角および放射線物理学に翻訳するために使用される。
【0050】
[0050]
放射線治療処理計算システム110は、ネットワークを介して外部データベースと通信し、画像処理および放射線治療操作に関連する複数の様々なタイプのデータを送受信することができる。例えば、外部データベースは、治療装置180、画像取得装置170、または放射線治療または医療処置に関連する他の機械に関連する情報を提供する機械データ(装置制約(device constraints)を含む)を含むことができる。機械データ情報は、放射線ビームサイズ、アーク配置、ビームのオンオフ時間、機械パラメータ、セグメント、マルチリーフコリメータ(MLC)構成、ガントリ速度、MRIパルスシーケンスなどを含むことができる。外部データベースは、記憶装置であってもよく、適切なデータベース管理ソフトウェアプログラムを備えていてもよい。さらに、そのようなデータベースまたはデータソースは、中央または分散的に配置された複数のデバイスまたはシステムを含むことができる。
【0051】
[0051]
放射線治療処理計算システム110は、処理回路112およびメモリ114に通信可能に結合された1つまたはそれ以上の通信インターフェースを使用して、ネットワークを介して、データを収集および取得し、他のシステムと通信することができる。例えば、通信インターフェースは、放射線治療処理計算システム110と放射線治療システム構成要素との間の通信接続を提供する(例えば、外部装置とのデータ交換を可能にする)ようにしてもよい。例えば、通信インターフェースは、いくつかの実施例では、ユーザが放射線治療システムに情報を入力するためのハードウェアキーボード、キーパッド、またはタッチスクリーンであってもよいユーザインターフェース142に接続するための出力装置146または入力装置148からの適切なインターフェース回路を有することができる。
【0052】
[0052]
一実施例として、出力装置146は、ユーザインターフェース142の表現と、医用画像、治療計画、およびそのような計画の訓練、生成、検証、または実施の状況の1つまたはそれ以上の側面、可視化、または表現を出力する表示装置を含むことができる。出力装置146は、医用画像、インターフェース情報、治療計画パラメータ(例えば、輪郭、線量、ビーム角、ラベル、地図など)、治療計画、目標、目標の定位および/または目標の追跡、または任意の関連情報をユーザに表示する1つまたはそれ以上のディスプレイ画面を含むことができる。ユーザインターフェース142に接続された入力装置148は、キーボード、キーパッド、タッチスクリーン、またはユーザが放射線治療システムに情報を入力することができる任意のタイプのデバイスであってもよい。代替的に、出力装置146、入力装置148、およびユーザインターフェース142の機能は、スマートフォンまたはタブレットコンピュータ(例えば、Apple iPad(登録商標)、Lenovo Thinkpad(登録商標)、Samsung Galaxy(登録商標)など)のような単一のデバイスに統合することができる。
【0053】
[0053]
さらに、放射線治療システムの任意のおよびすべての構成要素は、仮想マシン(例えば、VMWare、Hyper−Vなどの仮想化プラットフォームを介して)または独立したデバイスとして実装することができる。例えば、仮想マシンは、ハードウェアとして機能するソフトウェアである可能性がある。したがって、仮想マシンは、少なくとも1つまたはそれ以上の仮想プロセッサ、1つまたはそれ以上の仮想メモリ、および一緒にハードウェアとして機能する1つまたはそれ以上の仮想通信インターフェースを含むことができる。例えば、放射線治療処理計算システム110、画像データソース150、または同様の構成要素は、仮想マシンとして、またはクラウドベースの仮想化環境内で実装することができる。
【0054】
[0054]
治療処理ロジック120または他のソフトウェアプログラムは、計算システムが画像データソース150と通信して、メモリ114および記憶装置116に画像を読み込んだり、メモリ114または記憶装置116から画像データソース150に画像または関連データを格納したり、画像データソース150との間で画像データソース150と通信するようにすることができる。例えば、画像データソース150は、モデル訓練または生成ユースケースにおいて、画像取得装置170を介して1人または複数の患者から取得された画像データ152内の画像セットから、画像データソース150がホストする複数の画像(例えば、3DMRI、4DMRI、2DMRIスライス画像、CT画像、2D透視画像、X線画像、MRスキャンまたはCTスキャンからの生データ、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)メタデータなど)を保存して提供するように構成してもよい。また、画像データソース150または他のデータベースは、受け取ったCBCT画像からsCT画像を作成、修正、または生成する画像処理動作を実行するソフトウェアプログラムを実行する際に、治療処理ロジック120によって使用されるデータを格納することができる。さらに、様々なデータベースは、敵対的生成ネットワークモデル138によって学習されたモデルを構成するネットワークパラメータと、その結果得られる予測データとを含む、学習されたモデルによって生成されたデータを格納することができる。したがって、放射線治療処理計算システム110は、放射線治療または診断操作の実行に関連して、画像データソース150、画像取得装置170、治療装置180(例えば、MRI−Linac)、または他の情報システムから、画像データ152(例えば、2DMRIスライス画像、CT画像、2D透視画像、X線画像、3DMRI画像、4DMRI画像など)を取得および/または受信することができる。
【0055】
[0055]
画像取得装置170は、関心領域(例えば、標的臓器、標的腫瘍、またはその両方)に対する患者の解剖学の1つまたはそれ以上の画像を取得するように構成され得る。各画像、典型的には2D画像またはスライスは、1つまたはそれ以上のパラメータ(例えば、2Dスライスの厚さ、向き、および位置など)を含むことができる。一実施例では、画像取得装置170は、任意の向きの2Dスライスを取得することができる。例えば、2Dスライスの方向は、矢状方向(sagittal orientation)、冠状方向(coronal orientation)または軸方向(axial orientation)を含むことができる。処理回路112は、標的臓器および/または標的腫瘍を含むように、2Dスライスの厚さおよび/または向きなどの1つまたはそれ以上のパラメータを調整することができる。一実施例では、2Dスライスは、3DCBCTまたは3DCT、またはMRIボリュームなどの情報から決定することができる。このような2Dスライスは、患者が放射線治療を受けている間、例えば治療装置180を使用しているときに、画像取得装置170によって「ほぼリアルタイム」で取得することができる(「ほぼリアルタイム」とは、少なくともミリ秒以下でデータを取得することを意味する)。
【0056】
[0056]
放射線治療処理計算システム110における治療処理ロジック120は、訓練された(学習された)生成モデルの使用(例えば、図10を参照して以下に説明する方法を実装する)を含む治療計画生成ワークフロー130を実装するように描かれている。この生成モデルは、敵対的生成ネットワークモデル138の一部として訓練された生成器138Bによって提供することができる。例示的な実施形態では、治療処理ロジック120によって動作する計画生成ワークフロー130は、解剖学的データ処理132(例えば、本明細書で議論される生成モデルに関連して、治療の解剖学的領域を反映した入力画像データを処理するためのもの)、線量データ処理134(例えば、本明細書で議論される生成モデルに関連して、治療の解剖学的領域にマッピングされた放射線治療線量を反映した出力画像データを生成するためのもの)、および計画データ処理136(例えば、本明細書で議論されるように、マッピングされた放射線治療線量および他の制約に基づいて、治療計画を確立するためのもの)の使用と統合されている。明示的に描かれていない他の計画生成、評価、および検証機能は、治療計画生成ワークフロー130に組み込むことができる。
【0057】
[0057]
一実施例では、生成器138Bは、訓練データのペアリング(例えば、モデルまたは予め定義された解剖学データと線量データのペアリング)を処理する治療計画訓練ワークフロー140に関連して、GAN138内の識別器138Aおよび生成器138Bの使用を含む訓練の結果として学習された重みおよび値を含む。上述したように、この訓練ワークフロー140は、データソース160、170、および関連する計画データ162、画像データ152からトレーニングデータを取得して利用することができる。
【0058】
[0058]
治療処理ロジック120および治療計画生成ワークフロー130は、スウェーデンのストックホルムにあるエレクタAB社によって製造されたMonaco(登録商標)のような放射線治療計画機能を有するソフトウェアプログラムを使用して、放射線治療計画を生成する際に使用することができる。放射線治療計画を生成するために、放射線治療処理計算システム110は、画像取得装置170(例えば、CT装置、MRI装置、PET装置、X線装置、超音波装置など)と通信して、患者の画像を取得してアクセスし、腫瘍のような標的を画定することができる。いくつかの例では、腫瘍を取り囲む健康な組織または腫瘍に近接している健康な組織のような、1つまたはそれ以上のリスク臓器(OAR)の定義が必要とされる場合がある。したがって、OARが標的腫瘍に近い場合には、OARのセグメンテーションが行われる。また、標的腫瘍がOARに近接している場合(例えば、膀胱および直腸に近接している前立腺)、腫瘍からOARをセグメンテーションすることにより、放射線治療システムは、標的内だけでなく、OAR内の線量分布を検討することができる。
【0059】
[0059]
また、OARから標的臓器や標的腫瘍を特定するために、放射線治療を受けている患者のMRI画像、CT画像、PET画像、fMRI画像、X線画像、超音波画像、放射線治療ポータル画像、SPECT画像等の医用画像を画像取得装置170により非侵襲的に取得して、身体部位の内部構造を明らかにすることができる。医用画像からの情報に基づいて、自動化された機能または人間が支援する機能の任意の組み合わせを使用して、3次元構造および関連する解剖学的部分のセグメンテーション、ラベリング、または他の識別を得ることができる。例えば、セグメンテーションおよびラベリングは、治療領域および制限領域(例えば、治療を回避する領域)の識別に関連して展開することができ、例えば、計画的治療ボリューム(例えば、関心のある腫瘍または臓器に放射線治療を送達するため)およびOAR(複数可)(例えば、特定の臓器または組織領域における放射線治療および放射線被曝を回避するため)の識別および定義に関連して展開することができる。これらのタイプのセグメントおよび治療のために回避または標的とする解剖学的領域の2次元図は、図7に更に描かれている。
【0060】
[0060]
従って、治療計画プロセスの間に、標的腫瘍の効率的な治療(例えば、標的腫瘍が効果的な治療のために十分な放射線量を受けるような)と、OARの低照射(例えば、OARが可能な限り低い放射線量を受ける)との間のバランスを達成するために、多くのパラメータを考慮する。考慮され得る他のパラメータには、標的臓器および標的腫瘍の位置、OARの位置、およびOARに対する標的の動きが含まれる。例えば、MRI画像またはCT画像の各2D層またはスライス内に標的またはOARを輪郭付けし、各2D層またはスライスの輪郭を組み合わせることにより、3次元構造を得ることができる。輪郭は、手動で(例えば、スウェーデンのストックホルムにあるエレクタAB社によって製造されたMonaco(登録商標)のようなプログラムを使用して、医師、線量測定士、または医療従事者によって)、または自動で(例えば、スウェーデンのストックホルムにあるエレクタAB社によって製造されたアトラスベースの自動セグメンテーションソフトウェアABAS(登録商標)のようなプログラムを使用して)生成されてもよい。特定の実施形態では、標的腫瘍またはOARの3D構造は、本明細書の他の場所で示され、記載されているような1つまたはそれ以上の技術を使用するなど、治療計画ソフトウェアによって自動的に生成されてもよい。
【0061】
[0061]
先行するアプローチでは、標的腫瘍およびOARの位置が特定され、境界が定められた後、線量測定者、医師または医療従事者は、標的腫瘍に適用される放射線の線量、および腫瘍に近接したOAR(例えば、左右の耳下腺、視神経、目、水晶体、内耳、脊髄、脳幹など)が受けることができる任意の最大線量を決定することができる。各解剖学的構造(例えば、標的腫瘍、OAR)について放射線量が決定された後、所望の放射線量分布を達成するであろう1つまたはそれ以上の治療計画パラメータを決定するために、逆計画として知られているプロセスが実行されてもよい。このようなアプローチの有効性は、そのような計画活動に適用される人間の専門知識や能力に限られている。本明細書で論じた治療処理ロジック120および治療計画生成ワークフロー130の使用は、AIおよびML技術がそのような線量分布情報の改善された推定または予測を生成することができる自動化されたメカニズムを提供するように設計されている。
【0062】
[0062]
投与量に加えて、治療計画パラメータ(例えば、計画データ処理136、または計画生成ワークフロー130の他の機能によって生成される)の追加の例としては、ボリュームデリネレーションパラメータ(volume delineation parameters)(例えば、標的ボリューム、輪郭に敏感な構造などを定義する)、標的腫瘍およびOARの周囲のマージン、ビーム角度の選択、コリメータの設定、およびビームオン時間が挙げられる。したがって、計画プロセスの間に、医師または他の医療従事者は、OARが受ける可能性のある放射線量の境界を設定する線量制約パラメータを定めること(例えば、腫瘍標的への全線量と任意のOARへのゼロ線量を定めること;脊髄、脳幹、および視神経構造が、それぞれ、45Gy以下の線量、55Gy以下の線量、および54Gyより低い線量を受けると定めること)ができる。これらの機能または制約のそれぞれは、本明細書で論じた治療計画生成ワークフロー130の使用によって、置き換えられ、強化され、または強制することができる。
【0063】
[0063]
治療処理ロジック120および治療計画生成ワークフロー130の結果として、(例えば、計画データ162として、またはデータソース160に)保存されまたは提供される放射線治療計画を生成することができる。これらの治療パラメータのいくつかは、特定の治療目的および試みと相関しているか、または調整されている。例えば、治療計画を変更しようとして1つのパラメータ(例えば、標的腫瘍への投与量を増加させるなどの異なる目的のための重み)を調整することは、少なくとも1つの他のパラメータに影響を与え、その結果、異なる治療計画を開発することになる。このように、放射線治療処理計算システム110は、治療装置180が患者に適切な放射線治療を提供するために、これらのパラメータおよび同様のパラメータを考慮した調整された放射線治療計画を生成する。
【0064】
[0064]
図2は、X線源または線形加速器などの放射線源、カウチ216、撮像検出器214、および放射線治療出力204を含む例示的な画像誘導放射線治療装置202を図示する。放射線治療装置202は、患者に治療を提供するために放射線ビーム208を放出するように構成されている。放射線治療出力204は、マルチリーフコリメータ(MLC)などの1つまたはそれ以上の減衰器またはコリメータを含む。理解されるように、放射線治療出力204は、治療計画生成ワークフロー130およびGANの生成器138Bからの画像生成の関連使用を実装する治療処理ロジック120と関連して提供することができる。
【0065】
[0065]
一実施例では、患者は、放射線治療計画(例えば、図1の放射線治療システムによって生成された治療計画)に従って放射線治療線量を受けるために、治療カウチ216によって支持された領域212に位置決めされる。放射線治療出力204は、ガントリ206または他の機械的支持体に搭載され、または取り付けられる。1つまたはそれ以上のシャーシモータ(図示せず)は、カウチ216が治療領域に挿入されたときに、ガントリ206および放射線治療出力204をカウチ216の周りで回転させることができる。一実施例では、ガントリ206は、カウチ216が処置領域内に挿入されたときに、カウチ216の周りで連続的に回転可能である。別の実施例では、ガントリ206は、カウチ216が処置領域内に挿入されたときに、所定の位置まで回転する。例えば、ガントリ206は、治療出力204を軸(「A」)の周りに回転させるように構成することができる。カウチ216および放射線治療出力204の両方は、横方向(「T」)に移動可能であるか、横方向(「L」)に移動可能であるか、または横軸(「R」と表示される)についての回転など、1つまたはそれ以上の他の軸についての回転として、患者の周囲の他の位置に独立して移動可能である。1つまたはそれ以上のアクチュエータ(図示せず)に通信的に接続されたコントローラは、放射線治療計画に従って患者を放射線ビーム208内または放射線ビーム208の外に適切に位置決めするために、カウチ216の動きまたは回転を制御することができる。カウチ216およびガントリ206の両方は、互いに独立して複数の自由度で移動可能であり、これにより、放射線ビーム208が腫瘍を正確に標的にすることができるように患者を位置決めすることができる。
【0066】
[0066]
図2に示す座標系(軸A、軸T、軸Lを含む)は、アイソセンタ210に位置する原点を有する。アイソセンタは、患者上または患者内の場所に所定の放射線量を送達するように、放射線治療ビーム208の中心軸が座標軸の原点と交差する位置として定義する。代替的に、アイソセンタ210は、ガントリ206によって軸Aの周りに位置決めされた放射線治療出力204の様々な回転位置のために、放射線治療ビーム208の中心軸が患者と交差する位置として定義することができる。
【0067】
[0067]
ガントリ206はまた付属の撮像検出器214を有していてもよい。撮像検出器214は、好ましくは、放射線源(出力204)に対向して配置され、一実施例では、撮像検出器214は、治療ビーム208のフィールド内に配置され得る。
【0068】
[0068]
撮像検出器214は、好ましくは、治療ビーム208との整列を維持するように、放射線治療出力204に対向して、ガントリ206に取り付けられることができる。撮像検出器214は、ガントリ206の回転に伴って回転軸を中心に回転する。例示的な実施形態では、撮像検出器214は、フラットパネル検出器(例えば、直接検出器またはシンチレータ検出器)であってもよい。このように、撮像検出器214は、治療ビーム208を監視するために使用することができ、または、撮像検出器214は、ポータルイメージングのような患者の解剖学的な撮像のために使用することができる。放射線治療装置202の制御回路は、放射線治療システム100内に統合されていてもよいし、放射線治療システム100から離れていてもよい。
【0069】
[0069]
例示的な一実施例では、カウチ216、治療出力204、またはガントリ206のうちの1つまたはそれ以上が自動的に位置決めされ、治療出力204は、特定の治療送達インスタンスのための指定された線量に従って治療ビーム208を確立することができる。ガントリ206、カウチ216、または治療出力204の1つまたはそれ以上の異なる向きまたは位置を使用するなど、放射線治療計画に応じて、治療送達のシーケンスを指定することができる。治療の送達は、順次行われ得るが、アイソセンタ210のような患者上または患者内の所望の治療部位で交差させることができる。所定の累積線量の放射線治療は、それによって治療部位に送達され得る一方で、治療部位の近くの組織への損傷を減少させるか、または回避することができる。
【0070】
[0070]
したがって、図2は、放射線治療出力が中心軸(例えば、軸「A」)を中心に回転可能な構成で、患者に放射線治療を提供するために操作可能な放射線治療装置202の例を具体的に示している。他の放射線治療の出力構成を使用することができる。例えば、放射線治療出力は、複数の自由度を有するロボットアームまたはマニピュレータに取り付けることができる。さらなる別の実施例では、治療出力は、患者から横方向に分離された領域に位置するように固定され、患者を支持するプラットフォームは、放射線治療アイソセンタを患者内の特定の標的軌跡に整列させるために使用され得る。別の実施例では、放射線治療装置は、線形加速器と画像取得装置との組み合わせであってもよい。いくつかの実施例では、画像取得装置は、当業者が認識するであろう、MRI、X線、CT、CBCT、スパイラルCT、PET、SPECT、光断層撮影、蛍光撮影、超音波撮影、または放射線治療門脈撮影装置などであってもよい。
【0071】
[0071]
放射線治療の具体例として、強度変調放射線治療(Intensity modulated radiotherapy)(IMRT)および体積変調アーク療法(Volumetric modulated arc therapy)(VMAT)は、現在の放射線治療の実践で一般的に使用されており、以前の治療法よりも、隣接する敏感な組織を対応させながら、標的に対してより正確な線量を生成するように設計されている。IMRTの計画は次の2つの段階:1)患者の局所的なエネルギー蓄積を描写するフルエンスマップの作成する段階と;2)各ビームのフルエンスを、ビーム境界を形成して、その強度プロファイルを調整するMLC開口部のシーケンスに変換する段階;とを経て進行するこれはステップ&シュート(step-and-shoot)IMRTの基本的な手順である。第1の段階において、処方された目標線量と臓器温存に対する相反する制約を計画が解決しなければならない。フルエンスマップ最適化(fluence map optimization)(FMO)問題は、治療計画の特徴と制約条件の競合をカプセルに包む。
【0072】
[0072]
IMRTでは、患者は定義された標的と敏感な臓器を持っている。ボクセルが受ける線量は、次式のようなビームレット強度または重みの線形関数である。
【0073】
【数1】
【0074】
[0073]
ここで、Djs(b)は、単位強度でビームレットiから構造体S内のボクセルjに堆積した線量であり、ビームレットiの強度または重みはxで示され、n個のビームレット重みのベクトルは、b=(b1,...,bn)であり、ここで、上付き文字Tはベクトル転置を示す。Sは構造体の総数であり、ここで、それらの第1のTは標的(T<S)であり、vは構造s∈S内のボクセル数である。構造体S内の線量分布は次式である。
【0075】
【数2】
【0076】
[0074]
これは、v次元線量空間の一点を表すことができる。
【0077】
[0075]
多基準最適化は、FMO問題に有効に適用されている。例えば、既知のアプローチは、次式のようなFMOモデルを提供する。
【0078】
【数3】
【0079】
[0076]
ここで、F(D(b))は最小化がリストされた制約に従う線量目的関数であり、特定化された目的G(b)は線量制約C(b)に従い、Lは制約の数である。目的F(D(b)は、次式のように、計算された線量d(b)と所定の線量との差を最小化する。
【0080】
【数4】
【0081】
[0077]
FMO問題の別の解は、ラグランジュ乗数の方法を用いて得ることができる。上記の目的と制約が与えられると、ラグランジュ関数は、次式のように定義される。
【0082】
【数5】
【0083】
[0078]
または,正規化された制約関数gl(x)の場合、ラグランジュ関数は、次式のように定義される。
【0084】
【数6】
【0085】
[0079]
定常点(零値部分導関数∂F/∂xと∂g/∂x)の解は、次式のように得られる。
【0086】
【数7】
【0087】
[0080]
ここで、個人λの値を変化させて、次式の条件に従って解を得る。
【0088】
【数8】
【0089】
先の式(式7)は、共役勾配降下法によって反復的に解かれ、可能な限り最大限にこの式を満足する次式のビームレット重みの集合が得られる。
【0090】
【数9】
【0091】
[0081]
個々の制約は、「標的lの95%が処方量の95%を下回らない」または「標的lの98%が所定量を受ける」または「標的l内の最大許容量は、少なくとも0.03ccの体積に対して所定量の107%である」という種類(sort)の標的制約のいずれかである。このように、線量が制限されるべき重要な構造物は、「構造物lの15%の体積が80Gyを超えてはならない」または「構造物lに対する平均線量が52Gy以下である」という種類の制約により記述される。
【0092】
[0082]
要するに、標的目標は最大化され、臨界構造制約は最小化され(構造線量は制約線量よりも小さい)、ビームレット重みはすべてゼロ以上である。実際には、散乱による標的線量半影(penumbra)が近くの臨界構造と重なることが多いため、標的制約と臨界構造制約は通常、相反するものとなる。所望の3次元線量分布を生成するために制約重みの反復調整を含む計画は、直感的でない結果をもたらす可能性があり、各重みの調整に続いて勾配ラグランジアンの再解法を行う必要があるため、計画者に多大な時間と労力を必要とする。
【0093】
[0083]
VMATのために解決すべきFMOの問題は、ビームレットが患者の周りに多くのビームで配置されていることを除いては、IMRTに似ている。VMAT治療は、患者の周りのガントリを連続的に移動させ、開口部を再形成し、開口部の強度パターンを変化させるMLC葉を連続的に移動させることによって提供される。VMAT治療は、同じ腫瘍に対するIMRT治療に比べて、より速く、より少ないモニターユニット(総ビームオンタイム)で治療を行うことができる。有効なビーム数が多いため、VMATは同等のIMRT治療に比べて、標的の範囲と臓器をより正確に残すことができる可能性がある。
【0094】
[0084]
最終的に、本明細書で述べたように得られたフルエンスマップは、IMRT/VMAT計画における中間的な結果に過ぎない。3次元フルエンスマップから、フルエンスマップと可能な限り異なる線量マップを生成するために、ガントリとMLCのリーフモーション制約を満たさなければならない3次元線量分布が計算される。これは、計画プロセスのセグメンテーションの部分であり、制約付き最適化問題でもある。
【0095】
[0085]
これらの放射線治療計画の操作は、ここで述べたようなGANを含むディープラーニング(DL)/機械学習(ML)のアプローチを用いることで改善することができる。AI、DL、MLのいずれも、ランダム変数の確率とその確率分布を数学的に解析したものである。通常,ランダム変数は,ペアX、Y、{x,y},i=1,Nとして観測される。ここで、それぞれの値x∈Xに対して、我々は、それを、スカラーのカテゴリインデックスy∈Y(分類)で表されるクラスやカテゴリに割り当てたい、または、関数y=f(x)(回帰)に従って数値を割り当てたいと考えている。
【0096】
[0086]
すべての分類法や回帰法は、ランダム変数X,Yを記述するための確率分布の概念に依存する。ランダム変数X,p(x)(xは離散または連続)に対する確率分布は、次の条件を満たさなければならない。(1)p(x)の領域は、xのすべての可能な値の集合である。(2)すべてのx∈Xに対して、p(x)≧0を満足する。(3)次式を満足する。
【0097】
【数10】
【0098】
分布p(x)から抽出された標本xは、x〜p(x)と表記される。X,Yの合同分布(joint distribution)はp(x,y)と表記され、限界分布をxとして、合同分布p(x,y)を与えられたp(x)は、p(x)=∫p(x,y)dyとなる。xの値を条件としてyを観測する確率は、p(y|x)=p(x,y)/p(x)となる。データxが与えられたときにyを観測する条件付き確率は、データ尤度と呼ばれる。ベイズの法則は、X,Yの条件付き尤度を、p(y|x)=p(x|y)p(y)/p(x)とする。
【0099】
[0087]
統計的学習の目的は、任意のyをxに関連付ける写像f:x→yを決定することである。その中でも特に重要な方法の一つが最尤推定である。訓練データは、プロセスpdata(x,y)によって生成されたものとする。マッピングを見つけるには、マッピングがxに加えて依存するパラメータθを含むモデルプロセスpmodel(x;θ)を学習する必要がある。例えば、θは、ニューラルネットワーク層の重みやバイアスパラメータを含む。最尤推定は、xの最も可能性の高い値を与えるパラメータθを次のように推定する。
【0100】
【数11】
【0101】
[0088]
ここで、Eは括弧付き引数の期待値である。確率分布の近似が困難であるので、また、目標は、pdata(x)分布とpmodel(x;θ)分布間の差を最小化することであるので、KLダイバージェンス(KL divergence)は、データに基づいた次の代替手段を提供する。
【0102】
【数12】
【0103】
[0089]
ここで、最尤度は,モデル分布とデータ分布の差を最小化することに等しい。log pdata(x)項はモデルに依存しないので、DKLを最小化するためには次式を最小化する必要がある。
【0104】
【数13】
【0105】
[0090]
これは、モデル式中に暗に含まれたθを有する式(1)と同じである。所望のマッピングは、f(θ):x〜pmodel→yとなる。
【0106】
[0091]
現在開示されている放射線治療の線量分布モデリングおよび治療計画推定のためのシステムは、放射線治療の治療計画をモデリングするための最新のニューラルネットワーク技術の有用な応用を提供する。ニューラルネットワーク(NNs)は、1960年代から、分類問題(観測データxを2つ以上のクラスy,i=1,...,nのうちの1つに割り当てる)や回帰問題(観測データxをそのデータに関連するパラメータの値yと関連付ける)の解決策として研究されてきた。治療パラメータおよび線量分布の生成は、GAN構成によって学習されたNN生成モデルの使用によって生成される回帰問題と考えてもよい。
【0107】
[0092]
シンプルNNは、入力層、中間層または隠れ層、および出力層から構成され、それぞれが計算ユニットまたはノードを含む。隠れ層ノードは、入力層のすべてのノードからの入力を持ち、出力層のすべてのノードに接続されている。このようなネットワークは「完全に接続されている(fully connected)」と呼ばれている。各ノードは、その入力の和の非線形関数に応じて、出力ノードに信号を伝達する。分類器の場合,入力層ノードの数は、通常,クラスに分類されるオブジェクトの集合のそれぞれの特徴量の数に等しく,出力層ノードの数はクラスの数に等しくなる。ネットワークは、既知のクラスのオブジェクトの特徴を提示し、バックプロパゲーションと呼ばれるアルゴリズムによって学習誤差を減らすためにノードの重みを調整することによって訓練される。このようにして、訓練されたネットワークは、クラスが不明な新しいオブジェクトを分類することができる。
【0108】
[0093]
ニューラルネットワークは、データとクラスや回帰値の関係性を発見する能力を持ち、ある条件下では非線形関数を含むあらゆる関数y=f(x)をエミュレートすることができる。これは、線量−体積ヒストグラムやオーバーラップ−体積ヒストグラムで捉えられた標的や臓器の形状や体積の重なりの関係が非常に非線形であり、線量分布の形状や計画の質と関連していることが示されているため、線量予測や計画のモデリングの問題に特に関連している。
【0109】
[0094]
MLでは,学習データとテストデータは同じデータ生成プロセスPdataによって生成され,各サンプル(x,y)は同一かつ独立に分布していること(identically and independently distributed:i.i.d.)を前提としている。MLでは,学習誤差を最小化し,訓練誤差と試験誤差の差をできるだけ小さくすることを目標としている。訓練誤差が大きすぎるとアンダーフィッティングが発生し、訓練と試験の誤差のギャップが大きすぎるとオーバーフィットが発生する。どちらのタイプの性能不足もモデルの容量に関連しており、大容量であると訓練データに非常によくフィットするが、オーバーフィットにつながり得る。DNNは、膨大な容量を有するので、機械学習ではオーバーフィットがより一般的な問題となっている。
【0110】
[0095]
ディープラーニングとは、入力と出力が複雑に配置された多数の隠れ層を持つDNNを採用し、画像認識や音声認識などの作業において人間レベルの性能を発揮する機械学習手法である。本実施例では、観測データXと出力Yとの関係を決定するためにDNNを訓練することができる。データX={X,...X}は、3次元計画CT画像、解剖学ボクセルラベルマップ、計画メタデータ(ビームガントリ角度、ビームレットベクトルなど)の集合体であり、出力Yは計画画像座標系におけるドーズまたはフルエンスの3次元マップである。
【0111】
[0096]
いくつかの実施例では、フルエンスはモデリングされる計画プロセスの産物を表すので、フルエンスのマッピングは線量よりも好ましいことがある。線量は、FMOの結果に、FMOプロセスとは独立したアルゴリズムであるアパーチャセグメントの生成をプラスしたものである。線量マップは治療計画プログラムで日常的に作成されているが、フルエンスマップは常に入手できるわけではない。
【0112】
[0097]
DNNの動作は、次の関数f(・)によって象徴的に捕捉される。
【0113】
【数14】
【0114】
[0098]
ここで、Θ=(θ,...θは、Yが学習時に観測された真のYに最も近い近似値である訓練されたNNに関連するパラメータのベクトルである。DNNは,画像とラベルXと既知の線量/影響度マップYのデータセット{X,Y}i,i=1,...,Nを用いて訓練される。訓練は,次の並べ替えのコスト関数J(Θ)を最小化する。
【0115】
【数15】
【0116】
[0099]
ここでΘは,実際のXと推定値Yの間の平均二乗誤差を最小化するパラメータの集合である。深層学習では、コスト関数は、データ近似関数を問題変数の確率関数、またはXが与えられ、式P(Y、X;Θ)として表されるパラメータΘの値に従うYを観測する条件付き尤度として表すことがよくある。この式に対して、尤度を最大化することにより、次式のような最適なパラメータΘMLが得られる。
【0117】
【数16】
【0118】
[0100]
または、代わりに、次式もあり得る。
【0119】
【数17】
【0120】
[0101]
この式は、訓練データを合計したものである。
【0121】
[0102]
解剖学クラスに属するボクセルを識別する結果となるDNN出力は、分類の一例である。この場合、DNNの出力は、CBCT画像マップ Y=(y,...,yの実値要素yとなり、ネットワーク計算が回帰の一実施例となることを意味する。そのとき、線量マップYは、次に示すいくつかの目的のために、すなわち、1)QAのために既存の患者計画の線量マップおよび対応するDVHとの比較を行うために、2)その後の計画または再計画のための出発点を提供するために、3)十分な訓練と開発を行い、自動化された計画を提供するために、使用することができる。フルエンスマップも、線量分布を送達可能な計画への変換が治療計画プログラムを用いて計算しなければならないことを除けば、同等の目的を果たすことができる。上述したように、フルエンスマップは、計画プロセスのより明確なモデルを提供することができる。
【0122】
[0103]
DNNは、基本的なNNの実装よりも多くの層(はるかに深い)を持っており、DNNは多くの場合、数十から数百の層を含み、各層は数千から数十万のノードで構成され、層は複雑な形状に配置されている。入力の加重和に加えて、いくつかの層では、畳み込みなどの前の層の出力に対して他の演算を計算する。畳み込みとそこから派生したフィルタは、画像のエッジやサウンドストリームの時間的/ピッチ的特徴を見つけ出し、後続の層はこれらのプリミティブ(primitives)で構成されたより大きな構造を見つけ出すことができる。このような畳み込み層の使用を伴う訓練されたDNNは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)と呼ばれている。
【0123】
[0104]
CNNの重要な構築技術的(architectural)革新は、スキップ接続である。スキップ接続は、もともと精度を向上させ、訓練を短縮するために導入されたもので、ネットワークのあるレベルのノードのデータを別のレベルのノードのデータに接続する。重要な実施例として、医用画像のセグメンテーションのために開発されたU−Netアーキテクチャがある。後述するように、「U」の「左」の部分は、画像データを畳み込みフィルタ特徴量として符号化(encode)し、「U」の「右」の部分は、それらの特徴量を連続した高解像度表現に復号化(decode)する。同じネットワーク階層レベルで符号化された特徴と復号化された特徴を組み合わせることで、より正確な分類が可能になる。スキップ接続のもう一つのバリエーションは,各CNNブロック内に実装されており,レイヤ出力を直接ではなく,レイヤ出力間の差分(残差)で訓練することである.この「ResNet」アーキテクチャとその多くのバリエーションにより、NNの精度を向上させることができる。
【0124】
[0105]
図3は、本開示に従って治療線量モデルを生成するために適合された例示的なCNNモデル300を示す。すなわち、モデル300は、入力訓練セット(例えば、解剖学的領域表現302、例えば、マッピング画像、および線量マップ304、例えば、線量マッピング画像)に基づいて、出力データセット(出力線量表現306、例えば、線量画像)を生成するように設計された「U−Net」深層CNNの配置を描写する。名前は「U」の構成に由来しており、よく理解されているように、この形式のNNモデルは、ピクセル単位の分類または回帰結果を生成することができる。
【0125】
[0106]
モデル操作の左側(「符号化」操作312)は、右側(「復号化」操作314)が出力結果を再構成するために使用する特徴のセットを学習する。U−Netは、conv/BN/ReLU(畳み込み/バッチ正規化/修正線形単位)ブロック316からなるnレベルを有し、各ブロックは、残差学習を実施するためのスキップ接続を有する。ブロックサイズは、図3では「S」および「F」の数で示され、入力画像のサイズはSxSであり、特徴層の数はFに等しい。各ブロックの出力は、画像と同じサイズの配列の特徴応答のパターンである。
【0126】
[0107]
符号化パスを下に進むと、ブロックのサイズは各レベルで1/2または2−1で減少するが、慣習(convention)による特徴のサイズは2の要因で増加する。ネットワークのデコード側はS/2からスケールアップし、左側から特徴内容を同じレベルで追加していく。これがコピー/コンカテネート(copy/concatenate)データ通信である。図3に示す入力画像302、304は、出力画像が存在しないので、conv/BN/ReLU層のパラメータを評価するためのネットワークを訓練するために提供される。モデルを使用した推論、またはテストのために、入力は解剖学的表現の単一の画像(二値マスクまたは符号付き距離マップセクション)であり、出力は線量推定画像306である。
【0127】
[0108]
図3のモデル300の表現は、このようにして、分類ではなく回帰を実行するように適合された生成モデルの訓練および予測を例示する。本開示の実施形態によれば、このようなモデルに基づく治療モデリング方法、システム、装置、および/またはプロセスは、2つの段階、すなわち、GANにおける識別器/生成器のペアを使用した生成モデルの訓練と、GANで訓練された生成器を使用した生成モデルを使用した予測とを含む。治療計画画像のためのGANと条件付きGAN(cGAN)を含む様々な実施例については、以下の実施例で詳細に説明する。深層学習モデルの種類および他のニューラルネットワーク処理アプローチの他のバリエーションおよび組み合わせもまた、本技術を用いて実施され得ることが理解されるであろう。さらに、以下の実施例は、画像および画像データを参照して論じているが、以下のネットワークおよびGANは、他の非画像データ表現およびフォーマットを使用して動作してもよいことが理解されるであろう。
【0128】
[0109]
ディープCNN訓練では,学習モデルは訓練中に決定された層ノードパラメータθ(ノード重みと層バイアス)の値である。訓練は、訓練データとモデル分布の間の最尤度またはクロスエントロピー(cross entropy)を使用する。この関係を表すコスト関数は次式となる。
【0129】
【数18】
【0130】
[0110]
特定の問題に対するコスト関数の正確な形式は、使用されるモデルの性質に依存する。ガウスモデルpmodel(y|x)=N(y:f(x;θ))は、次のようなコスト関数を意味する。
【0131】
【数19】
【0132】
[0111]
この式は、θに依存しない定数項を含む。したがって、J(θ)を最小化すると、訓練データの分布を近似するマッピングf(x;θ)が生成される。
【0133】
[0112]
図4は、治療線量モデルを生成するために適合した敵対的生成ネットワークの訓練と使用のための例示的なデータフローを示す。例えば、訓練された生成器モデル460を生成するために訓練された図4の生成器モデル432は、図1の放射線治療システムにおける放射線治療処理ロジック120の一部として提供される処理機能132、134、136を実装するために訓練することができる。したがって、GANモデル使用(予測)450のデータフローは、訓練された生成器モデル460への新しいデータ470(例えば、新しい患者からの入力画像)の提供、および生成結果480の予測または推定値を生成するための訓練された生成器モデル460を使用するものとして、図4に描かれている。
【0134】
[0113]
GANは、分類または回帰を実行するために訓練される生成ネットワーク(例えば、生成器モデル432)と、生成ネットワークの出力分布(例えば、模擬出力436)をサンプリングし、そのサンプルが真のテスト分布と同じか異なるかを決定する識別ネットワーク(例えば、識別器モデル440)との2つのネットワークから構成される。このネットワークシステムの目標は、識別器ネットが発電機サンプルの正しい原点を50%の時間で推測できるように、発電機ネットを可能な限り正確に学習させることである。識別器はグラウンドトゥルースにアクセスすることができるが、生成器は生成器の出力に対する検出器の応答を通してのみ訓練データにアクセスする。
【0135】
[0114]
図4のデータフローは、(解剖学的領域422の患者撮像データおよび画像マスクまたはマッピング、解剖学的領域424の線量分布データおよびマッピング、制約条件または条件426を含むような訓練データと共に)モデルパラメータ412の様々な値を含む訓練入力410および訓練データ420の受取りを示す。訓練入力は、GANモデル使用法450で使用される訓練された生成器モデル460を生成するために、GANモデル訓練430に提供される。
【0136】
[0115]
GANモデル訓練430の一部として、生成器モデル432は、解剖学的画像データおよび線量画像データのペア423,425(また、図3では302,304として描かれている)上で訓練され、CNN内のセグメントペアを生成し、マッピングする。このようにして、生成器モデル432は、入力マップに基づいてシミュレートされた出力線量画像表現436(306として図3にも描かれている)を生成するように訓練される。識別器モデル440は、模擬表現436が訓練データからのものであるか、生成器からのものであるか(例えば、生成結果434および検出結果444と共に生成器モデル432と識別器モデル440との間で伝達されるように)を決定する。この訓練処理の結果、重み調整438,442がバックプロパゲーションされ、生成器モデル432および識別器モデル440が改善される。
【0137】
[0116]
このように、本実施例では、GANモデル訓練430のためのデータ準備は、解剖学的表現と線量表現を必要とする。一実施例では、原データは、CT画像セットのペアと対応する3次元線量分布を含み、そのようなCTおよび線量データは、解剖学に由来する2次元画像および線量切片のペアを生成するために、共通の座標フレームに登録され、再サンプリングされてもよい。そのようなペア(およびそのようなペアの派生物)の具体的な解剖学的表現は、図7および図8でさらに図示され、以下で説明される。
【0138】
[0117]
詳細には、GANモデルにおいて、生成器(例えば、生成器モデル432)は、分布p(z)を有するノイズ入力から始まるデータx,p(x)上の分布を、生成器がマッピングG(z;θ):p(z)→p(x)を学習するように学習する。ここで、Gは、層の重みとバイアスパラメータθを有するニューラルネットワークを表す微分可能な関数である。識別器D(x;θ)(例えば、識別器モデル440)は、生成器出力を2値スカラー{真(true),偽(false)}にマッピングし、生成器出力が実際のデータ分布Pdata(x)からのものであれば真(true)と決定し、生成器分布p(x)からのものであれば偽(false)と決定する。つまり、D(x)は、xが、pdata(x)から来た確率ではなく、p(x)から来た確率である。
【0139】
[0118]
図5は、本明細書で議論される例示的な技術に従って、治療線量モデルを生成するためのGANでの訓練を示す。図5は、入力された線量画像510に基づいて決定値530(例えば、真、偽)を生成するように設計されたGAN識別器モデルD520の動作フロー500を具体的に示す。図5は、また、入力解剖学的マッピング画像540の結果としてシミュレートされた(例えば、推定された、人工的な)出力線量画像580を生成するように設計されたGAN生成器モデルG560の動作フロー500を示す。
【0140】
[0119]
GANのコンテキストでは、識別器D520は、両方の分布からのサンプルに正しいラベルを割り当てる確率を最大化するように訓練され、一方、生成器G560は、訓練中に適用された調整された訓練重み570に基づいて、log(1−D(G(z)))を最小化するように訓練される。D,Gは、次式のような値関数V(D,G)を用いた2人用のミニマックスゲームをプレイしているとみなすことができる。
【0141】
【数20】
【0142】
[0120]
学習の初期、Gのパフォーマンスが悪いとき、log(1−D(G(z)))項がV(D,G)を支配し、早期に不正確な終了を引き起こす。log(1−D(G(z))を最小化するようにGを訓練する代わりに、logD(G(z))を最大化するようにGを訓練することで、訓練の早い段階でより情報量の多い勾配を生成することができる。さらに、学習が進むにつれて、分布p(x)は真のデータ分布pdata(x)に収束することも研究で証明されている。
【0143】
[0121]
GANの有用な拡張は、条件付きGAN(cGAN)である。cGANは、GANモデルを、xで観測されたランダム変数yを含む、問題で利用可能な追加情報に依存する条件付き分布に拡張する。生成器Gでは、事前入力ノイズp(z)とyは、共同隠れ表現(joint hidden representation)を構成することができ、敵対的フレームワークはこの余分な情報に柔軟に対応することができる。2人用ミニマックスゲーム値関数は、次式のように書き換えることができる。
【0144】
【数21】
【0145】
[0122]
yに対する条件付けの価値は、条件付き分布が、対応する無条件分布よりもコンパクトで、おそらくモードについてのピークが多い可能性が高いということである。条件付きGAN分類器に対しては,モデルD(x|y),G(z|y)は,より制限されない分布 px−data(x),Gz−p(z)(z)の代わりに,分布 px−data x|y(x|y),Gz−p(z|y)(z,y)に制限される。条件付き分布は,対応するyに対するx,zにおける特定の分散をより正確に表現することが期待される。
【0146】
[0123]
図6A図6B図6Cは、治療線量モデルを生成するための条件付き敵対的生成ネットワークの訓練および使用を示す。上述した動作フロー500と同様に、図6Aは、決定値622(例えば、真、偽)を生成する識別器D620の動作フロー600を図示する。しかし、この決定値622は、入力線量画像612(線量画像510と同様のもの)と解剖学的マッピング画像614(状態)の2つの入力に基づいている。また、上で議論した操作フロー550と同様に、図6Cは、入力解剖学的マッピング画像682の結果として、シミュレートされた(例えば、推定された、人工的な)出力線量画像692を生成するように設計された生成器G690の操作フロー680を図示する。
【0147】
[0124]
図6Bの動作フロー630は、条件付きGAN配置における訓練の一部として、訓練重量665が生成器G640と識別器D670との間で通信される方法を図示する。図示されているように、生成器G650は、入力線量画像642に加えて解剖学的マッピング画像644aを含む訓練データのセットを受信する。先に議論されたように、生成器G650は、この入力された線量画像からシミュレートされた(例えば、推定された、人工的な)出力線量画像662を生成するように適合されている。しかしながら、識別器D670は、識別器D670を作動させるときの条件と同じ解剖学的領域情報644Bのインスタンス(instance)も受信するように適合されており、この条件により、識別器D670が決定値672を生成するのを補助する。そして、識別器D670と生成器G650は、この操作フロー630の結果、訓練重量665を調整して、互いの結果を向上させる。図6Bは、訓練のための結合されたネットワークの構成を示し、図6Cは、画像入力に対する線量を推定するために単独で動作する訓練された生成器ネットワークを示す。
【0148】
[0125]
先行する実施例は、解剖学的マッピング画像と出力線量画像とに基づいて、具体的には2次元画像スライスの画像データから、GANまたは条件付きGANを訓練する方法の一例を提供する。GANまたは条件GANは、他の形態の画像データ(例えば、3D、または他の多次元画像)を処理してもよいことが理解されるであろう。また、解剖学的領域を表す他の形態の非画像データと、他の治療空間または診断空間を表す他の形態の非画像データは、トレーニングまたは予測使用例で使用されてもよい。さらに、添付の図面では(黒および白を含む)グレースケール画像のみが描かれているが、以下の実施例で議論されるように、カラー画像がGANによって生成および/または処理されてもよいことが理解されるであろう。
【0149】
[0126]
したがって、訓練のためのデータ準備には、解剖学的表現と線量表現が必要である。一実施例では、訓練に使用される原データは、CT画像セットと対応する3次元線量分布のペアからなる。現在のほとんどのCNNプラットフォームは、2次元画像に最適なアルゴリズムを提供しているため、CTデータと線量データを登録し、共通の座標フレームに再サンプリングすることで、解剖学に由来する画像と線量切片のペアを生成することができる。
【0150】
[0127]
図7は、訓練および治療線量モデルの生成に関連して使用される解剖学的領域情報および入力画像のバリエーションを示す。図7では、2つの解剖学的表現が示されている。第1に、計画治療ボリューム標的(PTV−1、PTV−2)の2値画像マスク702、704と、集合的なOAR706が上段に示されている。第2に、これらの画像から導出され、空間内の任意の点から最も近い物体の境界までの距離を表す符号付き距離マップ712、714、716が下段に示されている。
【0151】
[0128]
一実施例では、処理CNNによって課される追加の制約は、3つの解剖学を単一のデータ表現(例えば、画像マスク702、704、706に基づく結合画像708、または符号付き距離マップ712、714、716に基づく結合画像718)に結合することを含む。図8に描かれた実施例では、3つの解剖学的領域(例えば、702、704、706;または712、714、716)のこの組み合わせは、単一の画像チャネル内のそれぞれの値(例えば、グレースケール画像内の異なるグレースケール値)で表すことができる。別の実施例では、3つの解剖学的領域(例えば、702、704、706;または712、714、716)のこの組み合わせは、単一の8ビットRGB画像(図8においてグレースケールで描かれている708、718)の対応するチャネル(例えば、3つのチャネル)により表すことができる。他の解剖学的表現は、例えば、元のCT画像とのバイナリマスクの組み合わせ、または他の誘導体または組み合わせを含む可能性がある。
【0152】
[0129]
図8は、治療線量モデルにおいて提供される解剖学的領域情報および出力線量表現のペアのバリエーションを示す。図示されているように、再サンプルされた3次元線量分布は、再サンプルされた線量は、最近傍補間または線形補間を使用して補間することができるので、解剖学的画像と同じ座標で平面上にスライスすることができる。図8は、解剖学の4つの組み合わせ(線形補間804または最近傍814を有するバイナリマップ画像802および線形補間824または最近傍834を有する符号付き距離マップ画像812)を図示している。
【0153】
[0130]
一実施例では、放射線治療の線量分布の推定値は、cGANネットワークを訓練した結果として生成され、DVH表現として出力される。ネットワークは、(例えば、TensorFlowで実装されているような)cGANアルゴリズムの特定の実装を使用することによるような、式(18)によって記述される2人用ミニマックスゲームを実行することができる。放射線治療の線量推定の結果は、異なるエポックの間のような、訓練中の選択された時点でcGANネットワークから生成することができる。GANで訓練された生成モデルに関連して、訓練または予測された結果の他の形式の可視化、比較、または検証を利用することができる。
【0154】
[0131]
更なる実施例では、最適化は、ネットワーク学習中の選択された時点で、グラウンドトゥルースとcGAN DVHとの比較を実行するために使用することができる。例えば、OARの回避を検証するためにDVHを生成して評価することができる。例えば、前立腺がんの治療では、近くにある2つの大きな臓器は膀胱と直腸である。各訓練時点での膀胱および直腸に対するDVHは、(例えば、GAN推定値のためのOARのDVHが、グラウンドトゥルースのDVHと大きく異なっていないかどうかを決定するために)追跡され、比較され、可視化することができる。
【0155】
[0132]
図9は、治療線量を出力するために適応された生成モデルを訓練するための例示的な操作のプロセスフローチャート900を示す。処理フロー900は、先の実施例で述べたようなGANを用いて、生成モデルを訓練して利用する放射線治療処理システムの観点から図示されている。しかしながら、対応する操作は、(特定の放射線治療の治療ワークフローまたは医療処置とは別のオフラインのトレーニングまたは検証設定を含む)他の装置またはシステムにより実行されてもよい。
【0156】
[0133]
図示されているように、フローチャートワークフローの第1のフェーズは、訓練操作およびモデル操作のパラメータを確立するための前提条件操作(910、920)から始まる。フローチャート900は、まず、訓練画像データを受け取る(例えば、取得する、抽出する、特定する)ための操作(操作910)と、訓練に対する制約または条件を受け取るための操作(操作920)から始まる。一実施例では、この訓練画像データは、特定の状態、解剖学的特徴、または解剖学的領域に関連する複数のヒト被験体からの画像データから構成される。また、例示的な実施例において、制約または条件は、治療装置、患者、または医療処置の考慮事項に関するものであり得る。
【0157】
[0134]
フローチャート900の第2のフェーズでは、敵対的生成ネットワークにおける生成モデルおよび識別モデルの敵対的訓練を含む訓練操作(操作930)が続けられる。例示的な実施形態では、敵対的訓練は、入力解剖学的領域画像から模擬的な放射線治療線量分布画像を生成するために生成モデルを訓練すること(操作942)と、生成された放射線治療線量分布画像を模擬的または実際の訓練データとして分類するために識別モデルを訓練すること(操作944)とを含む。また、この敵対的訓練では、生成モデルの出力を識別モデルの訓練に用い、識別機モデルの出力を生成モデルの訓練に用いる。様々な実施例では、生成モデルおよび識別モデルは、(例えば、上記の図3を参照して説明されるように)それぞれの畳み込みニューラルネットワークを構成する。更なる実施例では、敵対的生成ネットワークは、(例えば、上記の図6Aから図6Cを参照して説明されるように)条件付き敵対的生成ネットワークである。
【0158】
[0135]
フローチャート900では、生成モデルが、放射線治療のための解剖学的構造のマッピングに対応する入力解剖学的データに基づいて、ヒト被験体の放射線治療のための放射線治療のための放射線治療線量データを特定するように適合されているので、放射線治療線量情報を生成するのに使用するための生成モデルを出力すること(操作950)を続けて行う。訓練された生成モデルは、図10に描かれたフローチャート1000において更に議論されるように、放射線治療線量分布を特定すること(操作960)のため、このようにして利用される。
【0159】
[0136]
フローチャート900は、追加の訓練データに基づいて生成モデルを更新すること(操作970)と、更新された訓練された生成モデルを出力すること(操作980)とを含む、生成モデルへの更新を実施するための最終フェーズで終了する。様々な実施例では、更新は、追加の訓練画像データおよび制約の受取りに関連して(例えば、操作910、920と同様の方法で)、または追加の敵対者訓練の実行に関連して(例えば、操作930、942、944と同様の方法で)生成されてもよい。更なる実施例では、生成モデルは、放射線治療線量データの承認、変更、または使用(例えば、医療専門家による線量データの修正、検証、または変更の結果)に基づいて具体的に更新されてもよい。フローチャートは、後続の放射線治療のための更新された生成モデルの使用において実行され得るような、更新された訓練された生成モデルを使用すること(操作990)で終了する。
【0160】
[0137]
図10は、機械学習回帰を使用して深層学習支援線量推定および臨床計画線量との比較を実行するための例示的な操作のプロセスフローチャート1000を示す。プロセスフローチャート1000は、また、GAN訓練された(例えば、フローチャート900のプロセスを使用して訓練された)生成モデルを使用して、機械学習線量推定器を利用する放射線治療処理システムの観点から図示されている。しかしながら、対応する操作は、(医療診断および評価機能を提供する様々なクライアント側システムを含む)他の装置またはシステムによって実行または呼び出すことができる。
【0161】
[0138]
フローチャート1000は、治療のための1つまたはそれ以上の解剖学的領域のマッピングを示す人体の解剖学的データを受信して処理すること(操作1010)から始まる。一実施例では、解剖学的データは画像データで表され、解剖学的領域のマッピングは、放射線治療を受けるために識別される少なくとも1つの領域と、放射線治療を避けるために識別される少なくとも1つの領域とに対応する複数の画像マスクとを有する。更なる実施例では、解剖学的データは、ヒト被験体の解剖学的領域の3次元画像セットから識別され、または、解剖学的データは、少なくとも1つの画像モダリティによって捕捉されたヒト被験体の少なくとも1つの画像から導出された解剖学的領域の3次元ボクセルデータを有し、複数の画像マスクは、放射線治療を受けるために識別された少なくとも1つの領域および放射線治療を回避するために識別された少なくとも1つの危険な器官を示すそれぞれのセグメントに対応する。他の実施例では、解剖学的データは、少なくとも1つのバイナリマスクまたは少なくとも1つの符号付き距離マップを含む画像を有し、または、解剖学的データは、解剖学的領域の座標空間内の放射線治療のための座標を有する。特定の例では、画像は、イメージングモダリティから生成されたDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)フォーマットの画像を有する。
【0162】
[0139]
フローチャート1000は、1つまたはそれ以上の解剖学的領域のマッピングに対応する放射線治療線量データの生成に続き、そのような生成は、訓練された生成モデルを使用して行われる。一実施例では、生成モデルは、敵対的生成ネットワークで訓練され、生成モデルは、解剖学的データを入力として処理し、放射線治療線量データを出力として提供するようにさらに訓練される。更なる実施例では、敵対的生成ネットワークは、識別モデルを用いて生成モデルを訓練するように構成され、識別モデルと生成モデルとの間の敵対的訓練を用いて、生成モデルと識別モデルとによって適用される値が確立される。更なる実施例では、生成モデルおよび識別モデルは、上述したように、それぞれの畳み込みニューラルネットワークを有する。更なる実施例では、敵対的訓練は、図9を参照して議論された技術を用いて行うことができる。更なる実施例では、生成モデルは、敵対的生成ネットワークによって訓練された複数のモデルの中から識別され、生成モデルは、解剖学的領域または放射線治療の種類に基づいて識別される。
【0163】
[0140]
特定の実施例では、入力画像は、それぞれの画像チャンネルまたは画像チャンネル内のそれぞれのグレースケール値を使用して少なくとも1つの治療領域および少なくとも1つの治療除外領域を表すそれぞれの領域を構成する2次元画像であり、模擬放射線治療線量分布画像は、それぞれの画像カラーチャンネルまたは画像チャンネル内のそれぞれの値を使用して線量値を表すそれぞれの領域を構成する2次元画像である。更なる実施例では、生成モデルは、少なくとも1つの治療領域および少なくとも1つの治療除外領域を示す画像マスクを有するRGB画像カラー画像としての入力画像を少なくとも2つのカラー画像チャンネルで受信するように訓練され、生成モデルは、グレースケール画像として模擬放射線治療線量分布画像を生成するように訓練される。また、更なる実施例では、放射線治療線量データは、より低い解像度でアーカイブされた線量データの線形補間または最近傍補間から生成された画像を有し、または、放射線治療線量データは、解剖学的領域の座標空間内の座標における放射線治療の量の表示を有する。
【0164】
[0141]
図6及び図9を参照して上述したように、敵対的生成ネットワークは、生成モデルと識別モデルとからなる条件付き敵対的生成ネットワークであってもよく、生成モデルから提供される予測値は、被験者から撮影された撮像データに基づいて条件付けられている。例えば、生成モデルおよび識別モデルは、訓練中に、事前に分類された解剖学的構造データに条件付けされてもよく、ここで、事前に分類された解剖学的構造データは、放射線治療のための解剖学的領域に対応する。また、例えば、条件付き生成的敵対ネットワークの生成モデルおよび識別モデルは、放射線治療の線量分布に関連付けられた少なくとも1つの制約にさらに条件付けされる。一実施例では、制約は、放射線治療の治療制約、解剖学的制約、治療機械の制約、または関連するパラメータおよび特徴に結び付けられてもよいし、それに由来してもよい。さらに別の実施例では、生成モデルは、敵対的生成ネットワークによって訓練された複数のモデルの中から識別され、生成モデルは、解剖学的領域または放射線治療の種類に基づいて識別される。
【0165】
[0142]
フローチャート1000は、引き続き、放射線治療線量データに基づいて、ヒト被験体の放射線治療のための放射線治療線量分布を特定する操作(操作1030)を行う。先に示されたように、生成モデルは、複数のヒト被験体から得られたデータ(例えば、3次元画像データ)に基づいて、特定の状態または解剖学的特徴に対する放射線治療線量データを生成するように訓練される。
【0166】
[0143]
放射線治療線量分布の特定に続いて、少なくとも1つの計画的な治療線量または少なくとも1つの危険な器官に対する値を示す1つまたはそれ以上の線量ヒストグラムを使用して、ヒト被験体の放射線治療のために同定された放射線治療線量分布の少なくとも1つの線量ボリュームヒストグラムを生成する操作(操作1040)と、解剖学的領域に対応する放射線治療のために同定された、別の放射線治療線量分布のために生成された線量ボリュームヒストグラムを使用して、放射線治療線量分布の線量ボリュームヒストグラムを比較する操作(操作1050)が続けられる。これに続いて、解剖学的領域の三次元可視化を生成する特徴量を生成する操作(操作1060)がなされ、三次元可視化は、ヒト被験体の放射線治療のために識別された放射線治療線量分布を示す。
【0167】
[0144]
フローチャート1000は、承認、変更、または放射線治療線量データの使用に基づいて生成モデルを更新し、更新された生成モデルを使用して、ヒト被験体のための更新された放射線治療線量分布を生成することを含む追跡機能(動作1070)で終了する。追加のフィードバック、モニタリング、および放射線治療線量データの利用のためのさらなるバリエーションは、他の治療または評価のワークフローに統合することができる。
【0168】
[0145]
前に議論したように、それぞれの電子計算システムまたは装置は、本明細書で議論された方法または機能的な操作のうちの1つまたはそれ以上を実装することができる。1つまたはそれ以上の実施形態では、放射線治療処理計算システム110は、画像誘導放射線治療装置202を制御または操作するために、モデル300からの訓練または予測操作を実行または実施するために、訓練された生成器モデル460を操作するために、データフロー500、550、600、630、680を実行または実施するために、フローチャート900、1000の操作を実行または実施するために、または、本明細書で議論されている他の方法論のうちの任意の1つまたはそれ以上を(例えば、治療処理ロジック120およびワークフロー130、140の一部として)実行するために、構成され、適合され、または使用される。様々な実施形態では、そのような電子計算システムまたはデバイスは、スタンドアロンデバイスとして動作するか、または他のマシンに(例えば、ネットワーク化されて)接続されている。例えば、そのような計算システムまたはデバイスは、サーバクライアントネットワーク環境におけるサーバーまたはクライアントマシンの容量内で動作してもよいし、ピアツーピア(または分散)ネットワーク環境におけるピアマシンとして動作してもよい。計算システムまたは計算装置の機能は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプリ、または、そのマシンによって実行されるべきアクションを指定する命令を(シーケンシャルまたは他の方法で)実行することが可能な任意のマシンによって具現化することができる。
【0169】
[0146]
また、上述したように、上述した機能は、機械可読媒体上の命令、論理、または他の情報の記憶によって実装することができる。機械可読媒体は、単一の媒体であることを参照して様々な例で説明されてきたが、「機械可読媒体」という用語は、1つまたはそれ以上の命令またはデータ構造を格納する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型のデータベース、および/または関連するキャッシュおよびサーバー)を含むものとすることができる。「機械可読媒体」という用語はまた、機械によって実行されるための命令を格納、符号化または運搬することが可能であり、機械に、本発明の方法論のいずれか1つまたはそれ以上を実行させるか、またはそのような命令によって利用されるか、またはそのような命令に関連するデータ構造を格納、符号化または運搬することが可能である任意の有形媒体を含むと解されるものとする。
【0170】
[0147]
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付図面への参照を含む。図面は、図示のためではあるが、限定するものではないが、本発明を実施することができる特定の実施形態を示している。これらの実施形態は、本明細書では「実施例」とも呼ばれる。そのような実施例は、図示されたまたは記載されたものに加えて、要素を含むことができる。しかしながら、本発明者らは、図示されたまたは記載された要素のみが提供される実施例も想定しうる。更に、本発明者らは、また、特定の実施例(またはその1つまたはそれ以上の態様)に関して、または、本明細書に示されたまたは記載された他の実施例(またはその1つまたはそれ以上の態様)に関して、図示されたまたは記載されたそれらの要素の任意の組み合わせまたは順列を使用する実施例も想定しうる。
【0171】
[0148]
本明細書で参照される、すべての出版物、特許、および特許文書は、個々が参照により組み込まれているが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書と、参照により組み込まれた文書との間に一貫性のない用法がある場合、参照により組み込まれた文書での用法は、本明細書の用法を補足するものと見なされ、矛盾する用法については、本明細書の用法が支配する。
【0172】
[0149]
本明細書では、用語「a」、「an」、「the」、「said」は、特許文書で一般的であるように、本発明の態様の要素を導入するときに使用され、「少なくとも1つの」または「1つまたはそれ以上の」のいかなる他の例または使用法とは無関係に、1つまたはそれ以上の要素よりも1つまたはそれ以上を含む。本明細書では、用語「または(or)」は、「AまたはB(A or B」が、そうでないと示されない限り、「Aを含むがBを含まない(A but not B)」、「Bを含むがAを含まない(B but not A)」、「AおよびB(A and B)」を含むように、非排他的であることを指すために使用される。
【0173】
[0150]
添付の特許請求の範囲において、用語「including(含む)」および「in which(その中で)」は、それぞれの用語「comprising(含む)」および「wherein(ここで)」の平易な英語の等価物として使用される。また、以下の特許請求の範囲において、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(having)」、は、オープンエンドであることを意図し、請求項のそのような用語(例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(having)」)の後に列挙されている要素に追加した要素を含むものが、依然としてその請求項の範囲内にあるとみなされる。さらに、以下の特許請求の範囲では、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は、単なるラベルとして使用されており、それらの対象に数値要件を課すことを意図していない。
【0174】
[0151]
本発明はまた、本明細書の操作を実行するために適合され、構成され、または操作される計算システムに関する。このシステムは、必要な目的のために特別に構成することも、コンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的にアクティブ化または再構成された汎用コンピュータを含むこともできる。本明細書において図示および説明される本発明の実施形態における動作の実行または実行の順序は、特に指定されない限り、必須ではない。すなわち、特に明記しない限り、操作は任意の順序で実行でき、本発明の実施形態は、本明細書に開示されているものよりも多いまたは少ない操作を含むことができる。例えば、別の操作の前、同時、または後に特定の操作を実行または実行することは、本発明の態様の範囲内であると考えられる。
【0175】
[0152]
上記記載を考慮すれば、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が得られることが分かるであろう。本発明の態様を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の態様の範囲から逸脱することなく、修正および変更が可能であることは明らかであろう。本発明の態様の範囲から逸脱することなく、上記の構造、製品、および方法に様々な変更を加えることができるので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されるすべての事項は、例示として、かつ、限定的な意味ではないと、解釈されるべきである。
【0176】
[0153]
上記の説明は、例示を意図したものであり、限定を意図したものではない。例えば、上述の実施例(または1つまたはそれ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、多くの修正を行うことができる。本明細書に記載された寸法、材料の種類、および例示的なパラメータ、機能、および実施形態は、本発明のパラメータを定義することを意図しているが、それらは決して限定的なものではなく、例示的な実施形態である。上記の説明を検討すれば、他の多くの実施形態が当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲とともに決定されるべきである。
【0177】
[0154]
また、上記の詳細な説明では、開示を簡素化するために、さまざまな機能をグループ化することがある。これは、クレームされていない開示された機能がクレームに不可欠であることを意図するものとして解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示された実施形態のすべての特徴より少ない場合がある。したがって、以下の請求項は、これにより詳細な説明に組み込まれ、各請求項は別個の実施形態としてそれ自体で成立する。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】