(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-522982(P2021-522982A)
(43)【公表日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】埋め込み可能デバイスおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1459 20060101AFI20210806BHJP
【FI】
A61B5/1459
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2021-514287(P2021-514287)
(86)(22)【出願日】2019年5月13日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月15日
(86)【国際出願番号】US2019031977
(87)【国際公開番号】WO2019222079
(87)【国際公開日】20191121
(31)【優先権主張番号】62/671,455
(32)【優先日】2018年5月15日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】520446230
【氏名又は名称】エファレント ラブス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ロセロ,スペンサー,ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】ラダー,ウィリアム,ケー.
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK00
4C038KL01
4C038KM01
4C038KX01
(57)【要約】
患者における生理学的変化を監視するための埋め込み可能デバイスが提供される。デバイスは、患者の体内に埋め込まれるように適合された容器と、細胞層を有し、容器に固定されることが可能なチャンバと、細胞層に光を照らすための光源と、患者における生理学的変化を監視するために細胞層からの信号を検出および/または復号するためのリーダとを含んでよい。デバイスは、患者の身体の少なくとも一部を通る1または複数の電磁信号の送信によって第2のデバイスとの双方向通信に従事することが可能である。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における生理学的変化を監視する際に用いるための埋め込み可能デバイスであって、
患者の体内に埋め込まれるように適合された容器と、
細胞層を有し、前記容器に固定されることが可能なチャンバと、
前記細胞層に光を照らすための光源と、
前記患者における生理学的変化を監視するために、前記細胞層からの信号を検出および/または復号するためのリーダと
を備えるデバイス。
【請求項2】
前記容器は、管状、長方形、正方形、または他の任意の形状である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記容器は、前記患者の体内の血管内、血管外、および血管周囲の空間の各々に埋め込まれるように適合される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記チャンバは、前記容器に固定されるように適合された本体を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記チャンバは、生体成分を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記生体成分は、埋め込み前に前記デバイス上または前記デバイス内に事前配置された細胞を有する細胞層を備える、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記事前配置された細胞は、前記患者からの生理学的信号に応答するように適合される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記チャンバは、前記生体成分の両側に第1の膜および第2の膜を更に備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1の膜は非多孔質膜であり、その上に前記細胞層が事前配置される、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1の膜は、ガラス製である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1の膜は、前記光源に隣接する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第2の膜は、前記細胞層を通過する流体および栄養素を選択することを可能にする多孔質膜である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第2の膜は、前記光源に対し遠位である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項14】
前記光源は、前記細胞層に光を照らすことによって、前記細胞層内の特定の細胞を発光させる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記デバイスは、無線通信が可能である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記デバイスは、前記患者の身体の少なくとも一部を通る1または複数の信号の送信によって双方向通信に従事することが可能である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記双方向通信は、電磁放射信号を送信および受信することを含む、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記信号は、約1×10−8〜1×10−1Hzの範囲内の波長周波数で送信される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
前記電磁放射信号は、赤外線、可視光、電波、マイクロ波、紫外線、X線、ガンマ線、超音波信号、またはこれらの組み合わせを含む、請求項17に記載のデバイス。
【請求項20】
前記電磁放射信号は、前記周囲組織または器官からの最小限の干渉を伴って前記身体を通って移動する、請求項17に記載のデバイス。
【請求項21】
前記信号は、全身性疾患または健康状態における変化またはこれらの組み合わせを反映する血圧、ECG、心拍数、体温、血糖値、遺伝子および蛋白質の変化、局所的な細胞変化を測定する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
前記信号は、外部受信機へ送信される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項23】
前記受信機は、疾患または症状を診断するために、前記信号を参照信号と比較する、請求項23に記載のデバイス。
【請求項24】
前記受信機は、イベントをトリガするために前記信号を復号する、請求項22に記載のデバイス。
【請求項25】
前記イベントは、前記患者の医学的処置を調整することを含んでよい、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記患者における生理学的変化を監視する際に用いるためのチャンバであって、
患者の体内に埋め込むための容器に固定されることが可能な本体と、
前記本体における開口部と、
前記本体内に設置され、埋め込み前に前記デバイス上または前記デバイス内に事前配置された細胞を有する細胞層を備える生体成分と
を備え、前記事前配置された細胞は、患者からの生理学的信号に応答するように適合される、チャンバ。
【請求項27】
前記本体は、管状、長方形、正方形、または他の任意の形状である、請求項26に記載のチャンバ。
【請求項28】
前記本体は、プラスチック、ステンレス鋼、ポリアミド、テフロン、ポリマ、または他の合成物質または生体物質で作られる、請求項26に記載のチャンバ。
【請求項29】
前記本体は、1片の材料で作られる、請求項26に記載のチャンバ。
【請求項30】
前記本体は、一体に固定された2片の材料で作られる、請求項26に記載のチャンバ。
【請求項31】
前記本体は、少なくとも1つの開口部を有する、請求項26に記載のチャンバ。
【請求項32】
前記生体成分は、前記開口部内に設置される、請求項26に記載のチャンバ。
【請求項33】
前記生体成分は、前記生体成分の両側に第1の膜および第2の膜を更に備える、請求項26に記載のチャンバ。
【請求項34】
前記第1の膜は、非多孔質である、請求項33に記載のチャンバ。
【請求項35】
前記第1の膜は、ガラス製である、請求項33に記載のチャンバ。
【請求項36】
前記第2の膜は、前記細胞層を通過する流体および栄養素を選択することを可能にする多孔質である、請求項33に記載のチャンバ。
【請求項37】
前記開口部は、前記生体成分内の前記細胞層を固定するために片側に壁を有する、請求項26に記載のチャンバ。
【請求項38】
前記壁は、角度を有する側面を有する、請求項37に記載のチャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内の生理的変化を監視するために適した埋め込み可能デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、無線通信は、リードベースのシステムに優る利点を提供するが、電磁干渉を招き、または電磁干渉に寄与するローカル雑音またはモーションアーチファクトという新たな技術的問題ももたらす。RFに基づく無線システムは、本質的に、環境EMI(電磁干渉)の影響を受けやすく、埋め込み可能技術を制限する著しい電力要件を有する。
【0003】
無線かリードベースかにかかわらず任意の埋め込み可能心臓デバイスにおける通信中断に起因して患者が経験し得る可能性のある問題は、不適切なショック療法、過剰感知による意図せぬペーシングの抑制、命令された治療の合図が受信されず、作動されないこと、および送信の反復または送信電力の増加の必要性による早いバッテリ枯渇を含む。目的のデバイスを有する患者とその時同じ近傍にいる意図せぬ患者に影響を及ぼす、無線通信の潜在的問題に対処する必要がある。
【0004】
標的デバイスに送信中のデータの検証および安全保障を可能にする昨今の進化が、この領域における懸念を最小限にしてきた。ペースメーカ/ICDプログラマは、臨床医がオフィス内でペースメーカに問合せをするために用いるシステムにおける問題に対処してきた。過去の患者のソフトウェアインタフェースがアクティブである時、臨床医が異なるデバイスに問合せをしようと試みると、デバイスは、通信中に異なるコントローラIDを認識するためにこれを許可しない。その後、新たなリンクが要求される。この符号化は、ミクロレベルで行われてよく、必要な安全機能を提供する。主な技術的問題は、埋め込み可能な細胞ベースのセンサを含むモジュール間での正確なデータ送信を確保することに関する。
【0005】
したがって、単一の埋め込み可能バイオセンサシステムにおける通信のために少なくとも2つ、場合によっては3つの異なる媒体を用いる新しいシステムへの要望が存在する。
体内または体の周囲でRFおよび超音波通信を用いることは十分に確立されているが、本出願の発明は、特に身体およびその組織を媒体として用い、これを通して体内および外部世界でも通信する光学発光を用いる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
患者における生理学的変化を監視するための改善された埋め込み可能デバイスおよび方法への要望が存在する。本発明は、他の所望の特性を有することに加えて、この要望に対処するための更なる解決策に向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態例によると、患者における生理学的変化を監視するための埋め込み可能デバイスが開示される。このデバイスは、患者の体内に埋め込まれるように適合された容器と、細胞層を有し、容器に固定されることが可能なチャンバと、細胞層に光を照らすための光源と、患者における生理学的変化を監視するために、細胞層からの信号を検出および/または復号するためのリーダとを含んでよい。
【0008】
本発明の態様によると、容器は、管状、長方形、正方形、または他の任意の形状であってよい。容器は、患者の体内の血管内、血管外、および血管周囲の空間の各々に埋め込まれるように適合され得る。
【0009】
本発明のまた更なる態様によると、チャンバは、容器に固定されるように適合された本体を備える。チャンバは、生体成分を含んでよい。生体成分は、埋め込み前にデバイス上またはデバイス内に事前配置された細胞を有する細胞層を含んでよい。事前配置された細胞は、患者からの生理学的信号に応答するように適合され得る。
【0010】
本発明のまた更なる態様によると、チャンバは、生体成分の両側に第1の膜および第2の膜を更に含んでよい。第1の膜は非多孔質膜であってよく、その上に細胞層が事前配置される。第1の膜は、ガラス製であってよい。第2の膜は、細胞層を通過する流体および栄養素を選択することを可能にする多孔質膜であってよい。第2の膜は、光源に対し遠位であってよい。光源は、細胞層に光を照らすことによって、細胞層内の特定の細胞を発光させ得る。
【0011】
本発明のまた更なる態様によると、デバイスは、無線通信が可能であってよい。デバイスは、患者の身体の少なくとも一部を通る1または複数の信号の送信によって双方向通信に従事することが可能であってよい。双方向通信は、電磁放射信号を送信および受信することを含んでよい。信号は、約1×10
−8〜1×10
−1Hzの範囲内の波長周波数で送信され得る。電磁放射信号は、赤外線、可視光、電波、マイクロ波、紫外線、X線、ガンマ線、超音波信号、またはこれらの組み合わせを含んでよい。電磁放射信号は、周囲組織または器官からの最小限の干渉を伴って身体を通って更に移動してよい。信号は、全身性疾患または健康状態における変化またはこれらの組み合わせを反映する血圧、ECG、心拍数、体温、血糖値、遺伝子および蛋白質の変化、局所的な細胞変化を測定してよい。信号は、外部受信機へ送信され得る。受信機は、疾患または症状を診断するために、信号を参照信号と比較してよい。受信機は、イベントをトリガするために信号を復号してよい。イベントは、患者の医学的処置を調整することを含んでよい。
【0012】
本発明の実施形態例によると、患者における生理学的変化を監視する際に用いるためのチャンバが開示される。このチャンバは、患者の体内に埋め込むための容器に固定されるように適合された本体と、本体における開口部と、本体内に設置され、埋め込み前にデバイス上またはデバイス内に事前配置された細胞を有する細胞層を備える生体成分とを含んでよく、上記事前配置された細胞は、患者からの生理学的信号に応答するように適合される。
【0013】
本発明の態様によると、本体は、管状、長方形、正方形、または他の任意の形状であってよい。本体は、プラスチック、ステンレス鋼、ポリアミド、テフロン、ポリマ、または他の合成物質または生体物質で作られ得る。本体は、1片の材料で作られ得る。本体は、一体に固定された2片の材料で作られ得る。本体は、少なくとも1つの開口部を有してよい。
【0014】
本発明のまた更なる態様によると、生体成分は、開口部内に設置され得る。生体成分は、生体成分の両側に第1の膜および第2の膜を更に含んでよい。第1の膜は、非多孔質であってよい。第1の膜は、ガラス製であってよい。第2の膜は、細胞層を通過する流体および栄養素を選択することを可能にする多孔質であってよい。開口部は、生体成分内の細胞層を固定するために片側に壁を有してよい。壁は、角度を有する側面を有してよい。
【0015】
本発明のこれらの特徴および他の特徴は、添付図面とともに、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、より詳しく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る体内通信(IBC)システムの図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る埋め込み可能デバイスの写真である。
【
図3A】本発明の実施形態に係る埋め込み可能デバイスの斜視図である。
【
図3B】本発明の実施形態に係る埋め込み可能デバイスの斜視図である。
【
図3C】本発明の実施形態に係る埋め込み可能デバイスの斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る埋め込み可能デバイスの図である。
【
図5A】本発明の実施形態に係る埋め込み可能デバイスの図である。
【
図5B】本発明の実施形態に係る埋め込み可能デバイスの図である。
【
図6A】本発明の実施形態に係る埋め込み可能デバイスの図である。
【
図6B】本発明の実施形態に係る埋め込み可能デバイスの図である。
【
図6C】本発明の実施形態に係る埋め込み可能デバイスの図である。
【
図6D】本発明の実施形態に係る埋め込み可能デバイスの図である。
【
図7A】本発明の実施形態に係る埋め込み可能デバイスの図である。
【
図7B】本発明の実施形態に係る埋め込み可能デバイスの図である。
【
図7C】本発明の実施形態に係る埋め込み可能デバイスの図である。
【
図7D】本発明の実施形態に係る埋め込み可能デバイスの図である。
【
図8A】本発明の実施形態に係る埋め込み可能デバイスの写真である。
【
図8B】本発明の実施形態に係る埋め込み可能デバイスの写真である。
【
図9】本発明の実施形態に係る体内通信(IBC)システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の例示的な実施形態は、体内の生理的変化を監視するために適した埋め込み可能デバイスに関する。
【0018】
全体を通して類似した参照番号によって類似した部品が示される
図1〜
図9は、本発明に係る、体内の生理的変化を監視するために適した埋め込み可能バイオセンサの1または複数の実施形態例を示す。本発明は、図に示された1または複数の実施形態例を参照して説明されるが、多くの別の形式が本発明を具体化し得ることを理解すべきである。当業者は、本発明の主旨および範囲を保ちながら、たとえば要素または材料のサイズ、形状、または種類など、開示された実施形態(複数も可)のパラメータを変更するための様々な方法を追加的に理解することができる。
【0019】
図1が示すように、患者における生理的変化を監視する際に用いるための体内通信システム100の実施形態は、体内の生理的変化を監視するための、たとえばバイオセンサなどの埋め込み可能デバイス101を備えてよい。本明細書で用いられる場合、「体内通信」は、単一の哺乳類の体内での内部通信を指し得る。ただし、センサおよび構成要素は、個体の体内または体外にあってよい。1つの実施形態において、体内通信システム100は、信号を生成する第1のデバイス101と、第1のデバイス101から離間した、信号を受信するための第2のデバイス103とを備えてよい。実施形態において、第1のデバイス101は、統合された生体組織(生検および生育細胞)を監視し、目的の生理学的信号に応答する時に細胞の電気的活動における変化、増加した収縮または延伸活動、または代謝活動が存在するかを通知することができる。1つの実施形態において、信号の方向は逆である。1つの実施形態において、第1のデバイス101および第2のデバイス103の両方が体内に設置される。他の実施形態において、構成要素の一方のみが個体の体外にあり、他方は体内にある。たとえば、第1のデバイス101は体内にあり、第2のデバイス103は体外にある。他の実施形態において、体内に移植され、または体外に設置された任意の数のデバイスが存在してよい。第1のデバイス101は、参照によって本願に組み込まれる米国特許第8,024,020号、第8,849,416号、第8,938,300号、および米国特許出願第13/212,804号において説明されたものと同じまたは実質的に同じであってよい。
【0020】
実施形態において、第1のデバイス101は、患者の体内への移植に適合された容器110を含んでよい。「患者」または「被験体」または「個体」または「動物」または「哺乳類」とは、診断、予後、または治療が所望される任意の被験体、特に哺乳類の被験体を意味する。哺乳類の被験体は、人間、飼育動物、家畜、およびたとえば犬、猫、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、馬、畜牛、乳牛、熊など、動物園の、競技用の、またはペットの動物を含む。容器110は、体内のどこかに設置され、血液と直接接触して、またはたとえば脂肪(ファット)組織、筋肉、または脊椎および神経系を含む特定の器官などの他の組織内に設置され得る。実施形態において、容器110は、患者の体内の血管内、血管外、および血管周囲の空間の各々に埋め込まれるように適合される。このように、容器110は、任意の適当な形状およびサイズを有し得る。容器110は、楕円形、管状、長方形、正方形、五角形、六角形、または、容器110が患者の体内に埋め込み可能である限り、他の任意の形状であってよい。使用され動かされている時に鋭利な縁部や障害物が組織または周囲物質に向くことを防ぐために、管の縁部は、アールが形成され、または面取りされ得る。容器110は、たとえばステンレス鋼、プラスチック、ポリアミド、テフロン、ポリマ、セラミック、または合成物質、あるいはたとえば軟骨であるがこれに限定されない生体物質など、構造を形成するために適した任意の材料で構成され得る。1つの実施形態において、材料は、自身のそれぞれの柱部を維持するために十分な剛性を有し、それらが適用されているプローブの曲げ剛性を高めることができる。
【0021】
第1のデバイス101は、永久長リード電極が身体組織または血管系に載置されることを必要としない。細胞生体センサと超小型回路とを組み合わせ、リードの必要性を排除することにより、第1のデバイス101は小型であり、長期にわたるリード載置技術によってアクセス不可能な領域に載置され得る。加えて、デバイスは、多数のデバイスを一体にネットワーク接続するワイヤを有し得るが、ネットワーキングは無線であってもよい。デバイスは、経静脈ならびに皮下に、および/または、たとえば脳、消化管、および中枢神経系などの器官内に載置され得る。
【0022】
実施形態において、容器110は、キャビティ112を含んでよい。キャビティ112は、患者における生理学的変化を監視する際に用いるためのチャンバ120を保持することが可能であってよい。実施形態において、キャビティ112は、チャンバ120を保持するために適した任意のサイズまたは形状であってよい。キャビティ112は、管状、長方形、正方形、五角形、六角形、または他の任意の形状であってよい。
【0023】
図3、
図4、および
図5は、チャンバ120の様々な実施形態を示す。
図3Aに示すように、チャンバ120は、容器110のキャビティ112に固定されることが可能な本体122を含んでよい。チャンバ120の本体122は、容器110のキャビティ112に永久的に固定されてよく、あるいは取外し可能であってよい。容器110のキャビティ112内に適合するように、チャンバ120の本体122は、管状、長方形、正方形、五角形、六角形、または他の任意の形状であってよい。チャンバ120の本体122は、たとえばステンレス鋼、プラスチック、ポリアミド、テフロン、ポリマ、セラミック、または他の合成物質、あるいはたとえば軟骨であるがこれに限定されない生体物質など、構造を形成するために適した任意の材料で構成され得る。実施形態において、本体122は、長さにおいて約0.40mm〜約0.80mmの範囲内であってよい。
図4に示すように、本体122は、約0.663mmの長さであってよい。実施形態において、本体122は、幅において約0.10〜約0.50mmの範囲内であってよい。
図4に示すように、本体122は、約0.375mmの幅であってよい。実施形態において、本体122は、高さにおいて約0.05mm〜約0.20mmの範囲内であってよい。
図4に示すように、本体122は、約0.135mmの高さであってよい。本明細書で用いられる場合、「約」または「おおよそ」という用語は、指定の値(たとえば0.40、0.80など)から10%の変動を指し、または値の範囲の場合、そのような範囲の下限および上限の両方から10%の変動を意味する。たとえば、「約0.40mm」は、約0.36mm〜約0.44mmの範囲を指す。
【0024】
図3、
図5、
図6、および
図7は、本体122の様々な実施形態を示す。
図3Bおよび
図3Cに示すように、本体122は、互いに固定されることが可能な2片の材料で作られ得る。実施形態において、本体122は、締結具128を用いて一体に固定され得る主要エンクロージャ124および蓋126で作られ得る。当業者によって更に理解されるべき点として、本体122は、1片の連続材料または2より多い数の片の材料で作られてよい。
【0025】
図6A、
図6B、
図6C、および
図6Dは、本発明の1つの実施形態に係る主要エンクロージャ124の様々な寸法を提供する。実施形態において、主要エンクロージャ124は、長さにおいて約0.40mm〜約0.80mmの範囲内であってよい。
図6Bに示すように、主要エンクロージャ124は、約0.66mmの長さであってよい。実施形態において、主要エンクロージャ124は、幅において約0.10〜約0.50mmの範囲内であってよい。
図6Bに示すように、主要エンクロージャ124は、約0.38mmの幅であってよい。実施形態において、主要エンクロージャ124は、高さにおいて約0.05mm〜約0.20mmの範囲内であってよい。
図6Cに示すように、主要エンクロージャ124は、第1の端部150において約0.14mmの高さであり、第2の端部152において約0.07mmの高さであってよい。第1の端部150は、蓋126を固定するためのリップ154を更に含んでよい。
【0026】
図7A、
図7B、
図7C、および
図7Dは、本発明の1つの実施形態に係る蓋126の様々な寸法を提供する。実施形態において、蓋126は、長さにおいて約0.40mm〜約0.80mmの範囲内であってよい。
図7Bに示すように、蓋126は、約0.59mmの長さであってよい。実施形態において、蓋126は、幅において約0.10〜約0.59mmの範囲内であってよい。
図7Bに示すように、蓋126は、約0.38mmの幅であってよい。実施形態において、蓋126は、高さにおいて約0.02mm〜約0.15mmの範囲内であってよい。
図7Cに示すように、蓋126は、第1の端部156において約0.02mmの高さであり、第2の端部158において約0.06mmの高さであってよい。蓋126の第1の端部156は、主要エンクロージャ124のリップ154に確実に嵌合するように設計される。
【0027】
図3Aに示すように、チャンバ120は、本体122内に少なくとも1つの開口部130を含んでよい。開口部130は、円形、長方形、正方形、五角形、六角形、または他の任意の形状であってよい。1つの実施形態において、開口部130は円形である。開口部130は、チャンバ120のために適切な任意のサイズであってよい。実施形態において、開口部130の径は、約0.10mm〜約0.40mmの範囲内である。
図6Bに示すように、径は、約0.17mmの径である。
【0028】
実施形態において、チャンバ120は、本体における開口部130内に設置された生体成分132を含んでよい。実施形態において、生体成分は、埋め込みの前にデバイス上またはデバイス内に事前配置された細胞134を含んでよい。事前配置された細胞134は、患者からの生理学的信号に応答するように適合され得る。1つの実施形態において、細胞134は、標的部位から得られ得る。他の実施形態において、細胞134は、他の部位から得られ得る。
【0029】
細胞134は、1層、2層、または多層に載置され得る。また、細胞は、3次元(すなわち、多層)マトリックス内に載置されてよく、2次元プレート上のそのような層に限定されない。細胞134は、酸素暴露を含む十分な栄養素を受け取るように、細胞134が一般に約0.5〜1mm以下の厚さを有するように載置される。
【0030】
細胞134は、培養または他の方法で患者から取得され、埋め込み可能チャンバ内で成長した目的の(たとえば、用途に依存して、心臓、血管、胃腸、骨、組織、または軟骨などであるがこれに限定されない)細胞である。チャンバの内部環境およびアーキテクチャは、目的の特定の細胞を支持するように最適化され、細胞134の足場および支持のために用いられる天然または合成マトリックスを含んでよいがこれに限定されない。細胞は、患者から得た目的の細胞であるため、これらは、移植されると生き残ることができる。チャンバ120は、細胞の健康な成長および付着を可能にする生体適合構造である。合成および/または自然発生物質が好適であるが、標的細胞との生体適合性を有し、細胞が環境内で成長し生き残ることを可能にしながら細胞アーキテクチャをそのままに維持する任意の物質が用いられ得る。
【0031】
細胞134は、目的の生理学的信号を検出しこれに応答するそれらの能力に基づいて選択される。たとえば、カテコールアミンなどの循環性化学伝達物質への応答が必要な情報である場合、骨格筋が用いられ得る。したがって、これらの細胞は、所望の化学伝達物質を検出するための個別のセンサの必要性を排除する。この設定において、筋肉は、腕または脚から生検され、損傷を最小限にするための非外傷性形式での細胞の分離を可能にする環境内に載置される。細胞はその後、デバイス上に成長する。成長の部位は、電極または微小電気機械デバイスのアレイとの直接接触を含む。電極アレイインタフェースは、単一平面にあってよく、あるいは、細胞が様々な電極と直接接触状態にあるように3次元アーキテクチャにおいて分散された電極であってよい。細胞が成熟し、電極/センサ回路/MEMに自身を付着させると、デバイスは、細胞の取得源である人間と同じ人間への埋め込みが準備された状態である。あるいは、細胞は、他の人間または人間以外の取得源から得られ、細胞を移植される人間と適合するような方法で生成され得る。これにより、瘢痕形成および拒絶反応が最小限になる。
【0032】
このシナリオにおいて、細胞134は、剪断応力記録センサによって測定されるそれらの発火の頻度ならびに収縮の強度、圧力変換器を介した圧力、および機械的立体配座変化の変化速度を増加させることによって、カテコールアミンの増加に応答する。剪断応力/圧力および/または電気的活動(振幅および周波数)における変化が検出され得る。電気的活動は、それがマーカとして用いられる所望の信号または細胞応答である場合、記録もされる。第1のデバイス101は、その後、外部コントローラへ検出を送信し、あるいは、デバイスが埋め込まれる標的器官を阻害または刺激する電気刺激を発することによって情報を格納および/または情報に作用する自身のコントローラを有してよい。データは、電気刺激で構成され得る、または埋め込み型または外部ポンプによる物質の注入をトリガし得る介入を次に実行する他のネットワーク接続された埋め込み可能または外部デバイスへ、たとえば超音波を用いて無線で伝達されてもよい。
【0033】
チャンバ120において、細胞134は、
図3Cに示すように、第1の膜136と第2の膜138との間に設置される。第1の膜136および第2の膜138は、細胞134が1つの場所に位置するように維持し、それらが歪曲することを防ぐために機能する。1つの実施形態において、第1の膜136は非多孔質である。第1の膜136は、容器110に隣接または当接する位置にあり、容器110と、それが接触する細胞134との間の境界面を提供する。1つの実施形態において、第1の膜136は、ガラス製である。第2の膜138は、人体に隣接する位置にあり、人体と、それが接触する細胞134との間の境界面を提供する。第1の膜136と対照的に、第2の膜138は、細胞134へ通過する流体および栄養素の選択を可能にするために多孔質であってよい。
【0034】
細胞134の第1の膜136と第2の膜138との間での位置付けを維持するために、チャンバ120の開口部は、
図3Aおよび
図3Bに示すように、クレータの形状であってよい。
図3Bに示す1つの実施形態において、クレータ形状は、クレータの基部142からクレータの頂部144へ伸長する壁140を含んでよい。クレータの基部142には、細胞134の層を含む第2の膜138がある。壁140は、細胞層を生体成分内に固定し、細胞の歪曲または移動を防ぐために働く。1つの実施形態において、クレータの基部142は、クレータの頂部144よりも小さな径を有する。他の実施形態において、クレータの基部142は、クレータの頂部144と同じまたは実質的に同じ径を有する。1つの実施形態において、壁140は、生物由来物質132に関して角度を成す側面を有してよい。1つの実施形態において、壁140の側面は、約30度〜90度の角度を有してよい。1つの実施形態において、壁140の側面は、約45度の角度を有してよい。
【0035】
加えて、細胞134の外側表面または第1の膜136または第2の膜138に任意選択的なコーティングが塗布され得る。コーティングは、第1のデバイス101の上での瘢痕組織の形成または繊維性成長を妨げ得る。加えて、コーティングは、血液/体液伝搬性信号との接触を向上または最適化するために、デバイスの周囲の血管の成長を促進する物質を含んでよい。他の実施形態において、コーティングは、所定の速度で薬剤を周囲組織へ送達する薬剤溶出コーティングであってよい。実施形態において、コーティングは、Guidant社が製造する、高電圧印加に適したGORE−TEX(登録商標)であってよいが、ステロイド、またはステロイドとGORE−TEX(登録商標)との組み合わせであってもよい。ステロイドは経時的に希釈し、最終的に消失する。
【0036】
実施形態において、第1のデバイス101は更に、電子部品114を含んでよい。実施形態において、電子部品は、第1の膜136を通して細胞セル134に光を照らすことにより、
図8Aに示すように、特定の細胞134に発光させるための光源(不図示)を含んでよい。
図8Aにおいて、光形式の励起信号が、細胞134へ入る励起発光体(不図示)によって放出される。細胞134は、細胞の膜蛋白質に不可欠な表面レセプタを有する。信号(たとえば光)がレセプタと相互作用すると、それらは、DNA/RNA応答も含み得るシグナリング応答を刺激し、次に、蛋白質を細胞134によって合成されるようにするトリガ機構を形成する。またこれは、検出され得る蛋白質合成とは無関係の直接的な蛋白質立体配座変化もトリガし得る。この蛋白質は、特定の波長の光の吸収時に蛍光を発する能力を含む、特定の物理的特性を有する。細胞134内に蛋白質が多く存在するほど、蛍光強度は高い。代替実施形態において、クラゲから得られる緑色蛍光蛋白質(GFP)といった検出蛋白質が、蛋白質に付着してよい(他の検出物質が用いられてもよい)。代替実施形態において、GFPの代わりに、細胞質内染料が用いられてもよい。
【0037】
細胞134から放出された光を検出および/または復号するために、第1のデバイス110の電子部品114は、リーダを更に含んでよい。リーダは、患者における生理的変化を監視するために、細胞134から放出された光を検出および/または復号する。細胞134は、たとえば細胞構造における圧力および変形の変化、細胞によって引き出された光学的変化など、電子部品114によって測定され得る感覚性の個々の細胞応答を提供する。これらの様々な細胞応答を検出および測定する能力により、第1のデバイス101は、それが用いられ得る広範囲の臨床用途を提供する。たとえば本発明の第1のデバイス101のような第1のデバイス101は、患者における様々な生理学的変化を測定するために、個々に適合される。
【0038】
第1のデバイス101は、データを遠隔で格納および受信するための無線周波数識別(RFID)タグ160を更に含んでよい。RFIDタグ160は、本発明の埋め込み可能デバイス110に取り付けられ、または組み込まれ得る、たとえば粘着性ステッカなどの小さな物体である。
図3Bおよび
図3Cに示すように、容器122の主要エンクロージャ124は、RFIDタグ160を収容するためのスロット162を含んでよい。受動および能動RFIDタグが存在する。受動RFIDタグは、一般に、能動タグよりも短い範囲において、より単純な追跡および監視用途で用いられる小さなデバイスである。受動タグは一般に、最大3〜5メートルの範囲で動作し、一般にリーダから3メートル範囲内で数百が同時に読取り可能である。これらはRFIDタグリーダからの電波によって給電されるので、受動タグはバッテリを使用しない。したがってこれらのデバイスは、一般に安価であり、能動タグよりも小さく、長期間持続し得る。能動RFIDタグは、たとえばバッテリなどの電源を有し、一般に、受動タグよりも長い範囲および大きなメモリを有する。たとえば、能動タグは一般に、最大100メートルの範囲で動作し、一般にリーダから100メートル範囲内で数千のタグが同時に読取り可能である。受動および能動RFIDタグに関する更なる細部に関して、参照によって本願に組み込まれる、http://RFID−Handbook.comを参照。理解すべき点として、バーコードまたは他の電子手段を含む任意の種類の識別タグ付けが用いられてもよい。
【0039】
実施形態において、第2のデバイス103は、第1のデバイス103と同じまたは実質的に同じであってよい。他の実施形態において、第2のデバイス103は、第1のデバイス103と異なってよい。たとえば、第2のデバイス103は、ペースメーカ、グルコースモニタポンプ、インスリンポンプ、神経刺激器、除細動器、または人間に移植または載置され得る他の任意の医療デバイスであってよい。
【0040】
図9に示すように、第1のデバイス101および第2のデバイス103は、第1のデバイス101と第2のデバイス103との間の患者の身体の少なくとも一部を通る1または複数の信号107の送信によって双方向通信に従事することが可能である。実施形態において、双方向通信は、信号の送信および受信を含む。本発明の実施形態によると、信号は、電磁放射信号であってよい。実施形態において、電磁放射信号は、赤外線、可視光、電波、マイクロ波、紫外線、X線、ガンマ線、超音波信号、またはこれらの組み合わせを含んでよい。
【0041】
実施形態において、電磁放射信号107は、周囲組織または器官からの最小限の干渉を伴い身体を通って移動してよい。たとえば、電磁放射信号107は、最小限の干渉および/または波長周波数における損失を経ながら、筋肉、たとえば肺および心臓などの臓器、骨、軟骨、または体内の他の任意の組織を通って移動してよい。実施形態において、波長周波数における損失は、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満であることが予想される。理解すべき点として、損失量は、数々の要因に基づいて変動し得る。たとえば、損失量は、信号の種類および/または選択された波長の種類に依存し得る。加えて、損失量は、吸収、拡散、および/または散乱の量に依存し得る。ただし、当業者が理解すべき点として、損失量は最小限であり、本出願の発明の動作に影響を及ぼすものではない。
【0042】
実施形態において、信号は、周波数および/または振幅変調を用いて符号化される。このようにして、信号107は、全身性疾患または健康状態における変化あるいは他の身体パラメータを反映する、たとえば血圧、心拍数、ECG、体温、血糖値、遺伝子および蛋白質の変化、局所的細胞変化などのデータを受信機105へ搬送してよい。実施形態において、電磁放射信号は、赤外線、超音波信号、これらの組み合わせ、または当該技術分野において既知である他の任意の信号を含む。実施形態において、電磁放射信号は、約1×10
−8〜1×10
−1Hzの範囲内の波長周波数を有してよい。当然、波長は変動し得ることを当業者は理解すべきである。
【0043】
身体を通って移動した後、
図9に示すように、信号107は、次に信号107を検出する受信機105へ送信され得る。加えて、受信機105は、信号107において符号化されたデータを受信するために信号107を復号または復調してよく、疾患または症状を診断するために信号107を参照信号と比較してよい。検出された信号107に応答して、受信機105は、動作を開始してよい。動作は、患者の医学的処置(すなわち薬剤送達)を調整すること、アラームを作動させること、医師へ情報を送信することなどを含み得る。
【0044】
したがって、開示された体内通信システム100は、数々の用途において用いられ得ることが想定される。1つの実施形態において、体内通信システム100は、薬剤放出用途に用いられ得る。たとえば、体内薬剤投与デバイスが患者に移植され得る。受信機105は、薬剤投与デバイスに結合され得る。信号107に応答して、受信機105は、体内へ薬剤を放出するように薬剤投与デバイスに指示してよい。センサはその後、薬剤の効用を検出し、ユーザが他の服用量の放出をトリガすることを可能にし得る。そのようなシステムは、患者標的治療を可能にし得る。これは特に、たとえば糖尿病の患者やがん治療を受けている患者など、慢性的疾患の患者に有用であり得る。
【0045】
他の用途において、埋め込み可能デバイス101は、健康監視に用いられ得る。上記用途と同様に、受信機105は、信号107を検出および復号してよく、たとえばフラッシュカード、ハードドライブ、または当業者に既知である他のデバイスなどの記憶媒体にデータを格納し、および/またはたとえばコンピュータ、スマートフォン、またはセルフォンなどの基地局へデータを送信してよい。システム設定の複雑性に依存して、情報は、医師のオフィスまたはナースステーション、ファーストレスポンダ、またはデータを点検し、考えられる最適な今後の治療進路を査定し得る資格を有する他の人材へ直接転送され得る。
【0046】
更なる用途において、開示された埋め込み可能デバイス101の実施形態は、健康状態を診断するために用いられ得る。現在、健康管理の専門家は、たとえば採血、X線、コンピュータ断層撮影、磁気共鳴断層撮影などの結果などのデータを点検および分析した後のみ、症状および疾患を診断することができ得る。理論に制限されることなく、症状または疾患は、歪み信号107を有し得ることが確信される。健康な個体において、信号107は、不健康な個体とは異なって送信され得る。開示されたシステムの実施形態を用いると、信号107または送信速度における差は、考えられる損傷、疾患、または症状を健康管理の専門家に警告し得る。
【0047】
本発明の埋め込み可能デバイス110は、たとえば心拍出量を最大にするために心臓の流量およびパラメータを変えるための心室支援デバイスなど、他の医療デバイスによって用いるための情報も提供し得る。あるいは埋め込み可能デバイス110は、たとえば末梢神経系点から、または脳自体から直接的な圧受容体反射系などの中枢神経系反射および血圧を変調するために用いられ得る。またこれは、生体組織によってしか検出することができない神経伝達物質の変化を検出することによって心室細動または脳内の発作活動の徴候などのイベントを予測するためにも用いられ得る。
【0048】
本発明の埋め込み可能デバイス110は、所定の閾値以下のペーシングで組織を刺激し、身体の生理的過程の細胞知覚に関するデータを取得するために細胞134の応答を決定することができる。たとえば、イベントに応答して、細胞は、脱分極の電気的周波数をわずかに増加させ得るが、第1のデバイス101は、細胞132を刺激することによって検出の感度を高め、信号を解釈する方法として刺激への細胞132の応答を調査してよい。刺激は、用途に依存して、細胞からの応答をトリガする。この誘発された応答は、細胞が感知している症状に関する情報を提供する。
【0049】
本発明の数々の修正および代替実施形態は、上記説明の観点から当業者に明らかとなる。したがって、本説明は、単に例示的なものと解釈されるべきであり、本発明を実行するための最適モードを当業者に教示する目的を持つものである。構造の細部は、本発明の主旨から逸脱することなく実質的に変動してよく、添付の特許請求の範囲に記載の範囲内に収まる全ての修正の専用は留保される。本明細書において、実施形態は、明確かつ簡潔な明細書を書くことができるような方法で説明されたが、実施形態は、本発明から切り離されることなく様々に結合または分離され得ることが意図されており、理解されるものとする。本発明は、添付の特許請求の範囲によって要求された範囲および適用可能な法の規則にのみ制限されることが意図される。
【0050】
また、以下の特許請求の範囲は、本明細書で説明された本発明の一般かつ特定の特徴の全て、および言語の問題として行間に属すると言われる本発明の範囲の全文を包括するものである。
【国際調査報告】