(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-522983(P2021-522983A)
(43)【公表日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】イオン性および共有結合性相互作用を有する生体適合性接着剤
(51)【国際特許分類】
A61L 24/06 20060101AFI20210806BHJP
A61L 24/08 20060101ALI20210806BHJP
【FI】
A61L24/06
A61L24/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2021-514308(P2021-514308)
(86)(22)【出願日】2019年5月15日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月10日
(86)【国際出願番号】US2019032458
(87)【国際公開番号】WO2019222377
(87)【国際公開日】20191121
(31)【優先権主張番号】62/672,046
(32)【優先日】2018年5月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/672,144
(32)【優先日】2018年5月16日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520446469
【氏名又は名称】バイオデヴェック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BioDevek, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ムニョス タボアーダ,ゴンサロ
(72)【発明者】
【氏名】アルツィ,ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】エデルマン,エレイザー アール
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AA12
4C081AC04
4C081BA11
4C081BA14
4C081CA081
4C081CD011
4C081CD041
4C081DA15
(57)【要約】
1つまたは複数の生体組織を接着、密封、または処置するための生体適合性接着剤が開示されている。概して、生体適合性接着剤は、デンドリマー成分および1つまたは複数のポリマー成分を含む。これらの生体適合性接着剤は、組織接着剤、組織シーラント、組織処置、マトリックス材料、充填剤、コーティング、またはそれらの組み合わせとして有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンドリマー成分、および線状または分岐ポリマー成分を含む生体適合性接着剤。
【請求項2】
デンドリマーが約1,000〜約1,000,000Daの分子量を有する、請求項1に記載の生体適合性接着剤。
【請求項3】
デンドリマーが約5,000〜約500,000Daの分子量を有する、請求項1に記載の生体適合性接着剤。
【請求項4】
デンドリマーが約10,000〜約100,000Daの分子量を有する、請求項1に記載の生体適合性接着剤。
【請求項5】
デンドリマーが、該デンドリマーの表面基の少なくとも10%に第一級アミンを有するある世代のデンドリマーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項6】
デンドリマーが、該デンドリマーの表面基の少なくとも25%に第一級アミンを有するある世代のデンドリマーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項7】
デンドリマーが、該デンドリマーの表面基の少なくとも40%に第一級アミンを有するある世代のデンドリマーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項8】
デンドリマーが少なくとも2〜6世代にわたって延びる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項9】
デンドリマーが少なくとも3〜5世代にわたって延びる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項10】
デンドリマーが第5世代のPAMAM由来のデンドリマーである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項11】
線状または分岐ポリマーがアニオン性ポリマーである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項12】
線状または分岐ポリマーが多糖類である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項13】
線状または分岐ポリマーが酸化アルギン酸塩である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項14】
線状または分岐ポリマーが約3,000〜約3,000,000Daの分子量を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項15】
線状または分岐ポリマーが約10,000〜約1,000,000Daの分子量を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項16】
線状または分枝状ポリマーが約30,000〜約300,000Daの分子量を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項17】
第2の線状または分岐ポリマー成分をさらに含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項18】
第2の線状または分岐ポリマーが酸化された多糖類である、請求項17に記載の生体適合性接着剤。
【請求項19】
第2の線状または分岐ポリマーが酸化デキストランである、請求項17に記載の生体適合性接着剤。
【請求項20】
デキストランの第一級ヒドロキシルの少なくとも25%がアルデヒドに酸化されている、請求項19に記載の生体適合性接着剤。
【請求項21】
デキストランの第一級ヒドロキシルの少なくとも50%がアルデヒドに酸化されている、請求項19に記載の生体適合性接着剤。
【請求項22】
デキストランの第一級ヒドロキシルの少なくとも75%がアルデヒドに酸化されている、請求項19に記載の生体適合性接着剤。
【請求項23】
前記第2の線状または分岐ポリマー成分が、発泡剤、pH調整剤、増粘剤、抗菌剤、着色剤、界面活性剤、放射線不透過剤、および生物活性成分からなる群より選択される添加剤をさらに含む、請求項17〜22のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項24】
前記第2の線状または分岐ポリマー成分が溶液中にある、請求項17〜23のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項25】
前記第2の線状または分岐ポリマー成分が水溶液中にある、請求項17〜23のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項26】
前記水溶液が約7〜約11のpHを有する、請求項25に記載の生体適合性接着剤。
【請求項27】
前記水溶液が約8〜約10のpHを有する、請求項25に記載の生体適合性接着剤。
【請求項28】
前記水溶液が約9のpHを有する、請求項25に記載の生体適合性接着剤。
【請求項29】
前記第2の線状または分岐ポリマー成分が水溶液の1〜30重量%を構成する、請求項17〜28のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項30】
前記デンドリマー成分または前記線状または分岐ポリマー成分が、発泡剤、pH調整剤、増粘剤、抗菌剤、着色剤、界面活性剤、放射線不透過剤、および生物活性成分からなる群より選択される添加剤をさらに含む、請求項1〜29のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項31】
前記デンドリマー成分または前記線状または分岐ポリマー成分が溶液中にある、請求項1〜30のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項32】
前記デンドリマー成分または前記線状または分岐ポリマー成分が水溶液中にある、請求項1〜30のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項33】
前記水溶液が約7〜約11のpHを有する、請求項32に記載の生体適合性接着剤。
【請求項34】
前記水溶液が約8〜約10のpHを有する、請求項32に記載の生体適合性接着剤。
【請求項35】
前記水溶液が約9のpHを有する、請求項32に記載の生体適合性接着剤。
【請求項36】
前記デンドリマー成分が水溶液の1〜50重量%を構成する、請求項1〜35のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項37】
前記線状または分岐ポリマー成分が水溶液の10〜40重量%を構成する、請求項1〜36のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤。
【請求項38】
1つまたは複数の生体組織または補綴材料を接着、密封または処置する方法であって、前記1つまたは複数の生体組織または補綴材料の1つまたは複数の表面に、請求項1〜37のいずれか一項に記載の生体適合性接着剤を塗布することを含む、方法。
【請求項39】
前記生体適合性接着剤がスプレーとして塗布される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記生体適合性接着剤がシリンジを介して塗布される、請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
この出願は、2018年5月16日に出願された米国仮特許出願第62/672,144号;および2018年5月15日に出願された米国仮特許出願第62/672,046号に基づく優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
シーラント、接着剤、および機械的バリアは、患者が手術や外傷からの回復を助けるのに重要な役割を果たす。シーラント、接着剤、および機械的バリアは、裂傷(laceration)、裂け傷(tear)、創傷、潰瘍、吻合、および外科手術を含む、様々なin vivo(例えば、内部)または局所状態に苦しむ患者を処置するのに有用である。シーラントまたは接着剤は、一般に、縫合糸またはステープルが現在使用されているあらゆる適応症または用途で使用でき、シーラントまたは接着剤は、縫合糸またはステープルよりも良好な結果をもたらすことが多い。また、シーラントまたは接着剤は、損傷部位により迅速に塗布することができ、創傷を覆う良好な密封、および治癒をもたらすことがよくある。
【0003】
多くの組織接着剤が、局所創傷閉鎖、外科用縫合糸またはステープルの補完または置換、生体組織への合成材料の接着、および薬物送達を含む、様々な医療処置および用途で使用されてきた。しかしながら、多くの既知の組織接着剤は、例えば、有毒な分解生成物、遅い硬化、不十分な機械的強度、および他の欠点のために、多くの用途に適していない。
【0004】
無毒で改善された特性を有するいくつかの種類のヒドロゲル接着剤が開発されている。これらのヒドロゲルは、一般に、求核性基を有する成分を、反応して架橋ネットワークを形成する求電子性基を有する成分と反応させることによって形成される。しかしながら、これらのヒドロゲルは通常、溶解が速すぎるか、十分な接着力がないか、または機械的強度が不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、上記の欠点の1つまたは複数を克服する改善された接着剤配合物を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、1つまたは複数の生体組織を接着、密封、または処置するための組成物が提供される。接着剤組成物は、1つまたは複数のポリマー成分と、デンドリマー成分とを含む。ある実施形態では、ポリマー成分は、1つまたは複数のアルデヒド基を有するポリマーを含む。ある実施形態では、デンドリマー成分は、1つまたは複数の表面基を有する少なくとも2つのアームまたは分岐を有するデンドリマーを含む。ある実施形態では、デンドリマー成分は、表面にアミン基を有するデンドリマーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】破裂圧力(burst pressure)測定の実験装置を示す。
【
図3】外科用シーラントの破裂強度に適合させたASTM標準試験方法に従う破裂圧力試験におけるデキストラン成分の影響を示す。
【
図4】外科用シーラントの破裂強度に適合させたASTM標準試験方法に従う破裂圧力試験におけるアルギン酸塩成分の影響を示す。
【
図5】外科用シーラントの破裂強度に適合させたASTM標準試験方法に従う破裂圧力試験におけるデンドリマー成分の影響を示す。
【
図6】外科用シーラント(スプレーアプリケータ)の破裂強度に適合させたASTM標準試験方法に従う破裂圧力試験における、pH10の30%デンドリマーと組み合わせた様々な割合(%)のデキストランおよびアルギン酸塩の影響を示す。
【
図7】外科用シーラント(シリンジアプリケータ)の破裂強度に適合させたASTM標準試験方法に従う破裂圧力試験における、pH9.3の30%デンドリマーと組み合わせた様々な割合(%)のデキストランおよびアルギン酸塩の影響を示す。
【
図8】外科用シーラント(シリンジアプリケータ)の破裂強度に適合させたASTM標準試験方法に従う破裂圧力試験における、pH10の30%デンドリマーと組み合わせた様々な割合(%)のデキストランおよびアルギン酸塩の影響を示す。
【
図9】様々なデキストラン−アルギン酸塩−デンドリマー組成物(Dex−Alg−Den)のpH10でのニュートラルレッド取り込み(NRU)細胞生存率データを示す。
【
図10】NRU標準法で測定した細胞生存率における、pH9.3の30%デンドリマーと組み合わせた様々な割合(%)のデキストランおよびアルギン酸塩の影響を示す。
【
図11】NRU標準法で測定した細胞生存率における、pH10の30%デンドリマーと組み合わせた様々な割合(%)のデキストランおよびアルギン酸塩の影響を示す。
【
図12】(i)水中の30重量%(wt%)デンドリマー;ならびに(ii)水中の15重量%(wt%)の酸化デキストランおよび10重量%(wt%)の酸化アルギン酸塩;を充填したダブルバレルシリンジを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、少なくとも部分的に、生体組織および/または医療用インプラントで使用するための生体適合性接着剤(biocompatible adhesive material)に関する。生体適合性接着剤は、デンドリマー成分と、1つまたは複数の線状または分岐ポリマー成分とを含む。デンドリマーおよび1つまたは2つ以上の線状または分岐ポリマー成分は、新しい単純ではない特性を実現するように設計される。本開示のある実施形態の文脈において有用となり得る特定の成分、線状または分岐ポリマー、デンドリマー、および方法に関連する特定の情報は、米国特許第8,802,072号に開示されており、これは全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0009】
1つまたは複数の線状または分岐ポリマー成分は、2つの異なるポリマー(例えば、デキストラン−アルデヒドおよびアルギン酸塩−アルデヒド)であり、これらを一緒に混合して混合物を形成する。2つの線状または分岐ポリマー成分は、内部凝集特性および生体組織/合成グラフトとの接着特性の両方を強化する相乗特性を提供する。アルギン酸塩は酸化されてその骨格にアルデヒド基を生成し、これがプロトン化されていないデンドリマーアミンと共有結合的に反応する。修飾されたアルギン酸塩の骨格は負に荷電したままであり、組織および正に荷電したデンドリマー成分の両方との相互作用の追加メカニズムを生じさせる。修飾デキストランは材料の分解速度を調節するが、一方修飾アルギン酸塩は、接着力を高めまた機械的エネルギー吸収に関与するのに重要な役割を果たす。アルギン酸塩はアニオン性多糖類であり、接着増強剤(adhesive enhancer)としてのその使用のために酸化される。
【0010】
デンドリマー成分は第一級アミン表面基を有する。デンドリマー成分のpHを変化させてプロトン化/非プロトン化アミンの比を変更する。デンドリマーのpHを低下させることによって、より高いプロトン化アミン/非プロトン化アミンの比が達成される。正に荷電したプロトン化アミンは、新たなポリマー成分の負に荷電した主鎖(修飾アルギン酸塩のCOO−)と相互作用して、材料を強化することができる。これらの正に荷電したアミンは、生体組織または合成グラフトに存在する負に荷電した基とも相互作用し、接着能力を促進する。
【0011】
一態様では、デンドリマー成分と線状または分岐ポリマー成分とを含む生体適合性接着剤を本明細書において提供する。
【0012】
ある実施形態において、デンドリマーは、約1,000〜約1,000,000ダルトン(Da)の分子量を有する。ある実施形態において、デンドリマーは、約5,000〜約500,000Daの分子量を有する。ある実施形態では、デンドリマーは、約10,000〜約100,000Daの分子量を有する。
【0013】
別のある実施形態では、デンドリマーは、デンドリマーの表面基の少なくとも25%に第一級アミンを有するある世代のデンドリマーである。別のある実施形態では、デンドリマーは、デンドリマーの表面基の少なくとも50%に第一級アミンを有するある世代の世代デンドリマーである。別のある実施形態では、デンドリマーは、デンドリマーの表面基の少なくとも75%に第一級アミンを有するある世代のデンドリマーである。
【0014】
ある実施形態では、デンドリマーは、少なくとも2〜6世代にわたって延びる。ある実施形態では、デンドリマーは、少なくとも3〜5世代にわたって延びる。
【0015】
ある実施形態では、デンドリマーは、第5世代PAMAM由来デンドリマーである。
【0016】
ある実施形態において、線状または分岐ポリマーはアニオン性ポリマーである。ある実施形態では、線状または分岐ポリマーは多糖類である。ある実施形態では、線状または分岐ポリマーはアルギン酸塩である。
【0017】
ある実施形態では、線状または分岐ポリマーは、約3,000〜約3,000,000Daの分子量を有する。ある実施形態では、線状または分岐ポリマーは、約10,000〜約1,000,000Daの分子量を有する。ある実施形態では、線状または分岐ポリマーは、約30,000〜約300,000Daの分子量を有する。
【0018】
ある実施形態では、生体適合性接着剤は、第2の線状または分岐ポリマー成分をさらに含む。
【0019】
ある実施形態において、第2の線状または分岐ポリマーは、酸化された多糖類である。ある実施形態において、第2の線状または分岐ポリマーは、酸化デキストランである。
【0020】
ある実施形態では、デキストランの第一級ヒドロキシルの少なくとも10%がアルデヒドに酸化されている。ある実施形態では、デキストランの第一級ヒドロキシルの少なくとも25%がアルデヒドに酸化されている。ある実施形態において、デキストランの第一級ヒドロキシルの少なくとも40%がアルデヒドに酸化されている。
【0021】
ある実施形態では、デンドリマー成分、線状または分岐ポリマー成分、あるいは第2の線状または分岐ポリマー成分は、発泡剤、pH調整剤、増粘剤、抗菌剤、着色剤、界面活性剤、放射線不透過剤、および生物活性成分からなる群より選択される添加剤をさらに含む。
【0022】
ある実施形態では、デンドリマー成分、線状または分岐ポリマー成分、あるいは第2の線状または分岐ポリマー成分は、溶液中にある。ある実施形態では、デンドリマー成分、線状または分岐ポリマー成分、あるいは第2の線状または分岐ポリマー成分は、水溶液中にある。
【0023】
ある実施形態では、デンドリマー成分、線状または分岐ポリマー成分、あるいは第2の線状または分岐ポリマー成分の水溶液は、約7〜約11のpHを有する。ある実施形態では、デンドリマー成分、線状または分岐ポリマー成分、あるいは第2の線状または分岐ポリマー成分の水溶液は、約8〜約10のpHを有する。ある実施形態では、デンドリマー成分、線状または分岐ポリマー成分、あるいは第2の線状または分岐ポリマー成分の水溶液は、約9のpHを有する。
【0024】
ある実施形態では、デンドリマー成分は、水溶液の1〜50重量%を構成する。ある実施形態では、デンドリマー成分は、水溶液の10〜40重量%を構成する。ある実施形態では、デンドリマー成分は、水溶液の約30重量%を構成する。
【0025】
ある実施形態では、線状または分岐ポリマー成分は、水溶液の1〜30重量%を構成する。ある実施形態では、線状または分岐ポリマー成分は、水溶液の10〜25重量%を構成する。ある実施形態では、線状または分岐ポリマー成分は、水溶液の約20重量%を構成する。
【0026】
ある実施形態では、第2の線状または分岐ポリマー成分は、水溶液の1〜30重量%を構成する。ある実施形態では、第2の線状または分岐ポリマー成分は、水溶液の10〜25重量%を構成する。ある実施形態では、第2の線状または分岐ポリマー成分は、水溶液の約20重量%を構成する。
【0027】
別の態様では、1つまたは複数の生体組織または補綴材料を接着、密封または処置する方法であって、前記1つまたは複数の生体組織の1つまたは複数の表面に生体適合性接着剤を塗布することを含む方法を提供する。
【0028】
ある実施形態では、生体適合性接着剤はスプレーとして塗布される。ある実施形態では、生体適合性接着剤はシリンジを介して塗布される。
【0029】
例示的な医療用途
皮膚裂傷
皮膚裂傷は、事故、外傷、または外科的処置の結果として生じる皮膚の裂け傷である。裂傷は、皮膚の穴を塞ぎ、出血を止め、また感染を防ぐために処置を必要とすることがよくある。皮膚の軽度の裂傷は、創傷を覆うために接着性組織を使用して処置することができる。しかしながら、より大きな裂傷は、創傷を密封するのを助けるために縫合糸またはグルー(glue)を必要とすることが多い。たとえば、組織のギザギザの縁または弛んだフラップを有する0.25インチより深い裂傷を処置するのに縫合糸または接着剤を使用することが一般的に推奨される。裂傷の場所も処置の形態に影響を与える場合がある。例えば、絆創膏は関節の可動性を制限する傾向があるため、接着剤を使用して関節の皮膚裂傷を処置することが好都合である。皮膚の裂傷を処置するのに縫合糸または接着剤を使用すると、瘢痕形成の可能性も減らすことができる。
【0030】
肝裂傷
肝臓の裂傷は、外傷から、または外科的処置の結果として生じ得る。肝臓は高度に血管新生された臓器であり、裂傷または外傷時に大量に出血する。肝組織の性質上、肝裂傷の修復は困難である。肝臓組織は凝集力(cohesive strength)が非常に弱く、その結果、縫合糸やステープルは肝臓組織を引っ張る可能性があるため満足できるものではない。肝臓に栄養を供給する動脈に達することが困難であるという事実と相まって、肝臓の裂傷に対する満足のいく創傷処置法がないことは、肝臓の裂傷を特に深刻にする。実際に、肝臓の重度の裂傷は、出血による患者の死につながることがよくある。したがって、肝裂傷を処置するための新たな材料が必要である。
【0031】
肺手術
本発明のシーラントおよび方法は、肺手術において有用である。肺手術の種類には、肺葉切除術、肺生検、肺組織除去術、および肺全摘術が含まれる。肺手術に関連するリスクには、創傷感染;術後内出血;エアリーク;切開部位の痛みまたはしびれ;肺の感染症(肺炎)が含まれる。さらに、肺切除や剥皮術などの胸部手術後に空気漏れが頻繁に観察される。長時間の胸腔ドレナージ、長い回復時間、および肺手術に関連する術後合併症の結果生じる、気管支胸膜瘻や感染症などの重篤な合併症を予防または軽減するために、気密シールを作成することが重要である。本発明のシーラントおよび方法は、気胸および肺エアリークの処置などの、肺手術の問題のある状況のいくつかを低減または排除するはずである。
【0032】
角膜−角膜裂傷/穿孔
角膜の穿孔は、様々な病状(感染、炎症、乾燥症、神経栄養性症状(neurotrophication)、および変性など)や外傷(化学的、熱的、外科的、および浸透性)によって生じる。残念ながら、角膜の穿孔は視力の喪失や個人の生活の質の低下につながることが多い。穿孔の種類および起源に応じて、創傷の縫合から角膜移植まで、様々な処置方法が有効となり得る。しかしながら、角膜の繊細な組成および創傷の重症度を考えると、外科的処置は困難であり、それは手術後の漏出および重度の乱視の可能性を増大させる。例えば標準的な縫合手順では処置できない穿孔など、特定の場合には、組織接着剤(グルー)を使用して創傷を修復する。このタイプの処置は、方法が簡単で、迅速かつ安全であり、眼球の完全性の迅速な回復の要件に合致してさらなる合併症を回避するため、非常に魅力的である。創傷への容易かつ迅速な塗布に加えて、接着剤の特徴には:1)適切な接着力で(壊死したまたはしていない、多くの場合湿っている)組織に結合する;2)無毒である;3)生分解性または吸収性である;4)滅菌可能である;および5)治癒過程を妨げない;ことが含まれる。
【0033】
様々なアルキルシアノアクリレートを小さな穿孔の修復に利用できる。しかしながら、これら「スーパーグルー」は大きな不都合を示す。それらのモノマー、特に短いアルキル鎖を有するものは、部分的にはin situでホルムアルデヒドを生成する能力のために有毒となり得る。それらはまた、重合が速すぎるため、塗布が困難になる可能性があり、一旦重合すると、グルーの表面が粗くかつ硬くなり、患者に不快感を与え、コンタクトレンズを着用する必要を生じさせる。シアノアクリレートは角膜シーラントとして許容されてはいるが、白内障の形成、角膜浸潤、緑内障、巨大乳頭結膜炎、瞼球癒着の形成など、多くの合併症が報告されている。さらに、患者の60%以上で、追加の外科的介入が必要とされる。
【0034】
他のグルーも開発されている。フィブリンに基づく接着性止血剤は、通常、フィブリノーゲン、トロンビン、および第XIII因子で構成されている。光で活性化されるフィブリノーゲンおよび光増感剤を含むシステムも試験されている。接着性止血剤が組織接着剤の要件を満たす固有の特性を有する場合、患者への汚染を避けるために自家製品(緊急時に時間がかかる)または臨床使用前の厳しい処理が必要とされる。角膜穿孔の理想的なシーラントは、1)正常な視力を損なわない、2)眼圧(IOP)をすばやく回復する、3)眼の構造的完全性を維持する、4)治癒を促進する、5)湿った組織表面に付着する、6)分子量依存性でかつ正常な角膜機能に有利な溶質拡散特性を有する、7)創傷へのポリマーの制御された配置を可能にするレオロジー特性を有する、および8)穏やかな条件下で重合するべきである。
【0035】
縫合糸の使用には制限と欠点がある。第一に、特に複数回の糸通が必要な場合、縫合糸の配置自体が角膜組織に外傷を負わせる。第二に、縫合材料は改善しているが、10−0ナイロン(角膜や他の場所で選択される縫合糸)などの縫合糸は、感染病巣として機能し、角膜の炎症および血管新生を引き起こす。持続的な炎症および血管新生により、角膜の瘢痕化の傾向が高まる。第三に、角膜縫合はしばしば不均一な治癒をもたらし、その結果、正乱視および不正乱視を引き起こす。術後、縫合糸は緩んだり切れたりする傾向もあり、迅速な除去に追加の注意が必要である。最後に、効果的な縫合は、習得した技術的スキルを必要とし、それは外科医ごとに大きく異なる可能性があり、また長引く手術時間を要する可能性がある。
【0036】
角膜−角膜移植
角膜移植または全層角膜移植手術中に、病変のある角膜を、トレフィンと呼ばれる特別な丸い切削工具で除去する。ドナー角膜を、一致するサイズにカットする。次に、ドナー角膜を眼の上に置き、移植片の周りを約16本の縫合糸で固定して、新しい角膜を所定の位置に固定する。縫合糸は以下の欠点などに関連するため、縫合糸を使用しない手順が非常に望ましいであろう:(1)縫合糸は感染のための部位を提供する、(2)縫合された角膜は、縫合糸の除去が必要となる前に、治癒するのに3ヶ月かかる;および(3)縫合糸から新しい角膜組織に加えられるひずみは、角膜を歪める可能性がある。眼の接着剤は縫合糸へのアジュバント(補助剤)として機能する、および/または必要な縫合数を減らすことができる。
【0037】
角膜−透明角膜切開
耳側角膜の透明角膜切開(Clear Corneal Incision)は、超音波水晶体乳化吸引術でいくつかの利点を提供する。超音波水晶体乳化吸引術に関連する主な利点は、入口の傷のサイズが小さくなることである。より小さな傷は、より少ない縫合を必要とするかまたは全く縫合を必要とせず、乱視の誘発を最小限に抑え、出血または結膜下出血を減らし、また視力の回復を早める。Agapitos, P. J. Curr. Opin. Ophthalmol. 1993, 4, 39-43 and Lyle, W. A.; Jin, G. J. J. Cataract Refract. Surg. 1996, 22, 1456-1460を参照されたい。外科医は通常、平衡塩類溶液で前房を膨らませ、前部の角膜に圧力を加えて創傷からの漏出をチェックすることにより、処置の完了時に透明角膜切開を検査する。漏れがある場合は、生理食塩水で傷口をハイドレーションして、傷口を完全に密閉することができる。これは、生理食塩水を開いた間質の縁に注入することによって行われる。ハイドレーションは、傷の2つの端を一緒にして、しっかりとした密閉を作り出す。次に、内皮細胞ポンプが創傷の前部および後部の両方から流体を除去し、創傷をさらに一緒に密封することができる。Fine, I. H. J. Cataract Refract. Surg. 1991, 17 (Suppl), 672-676を参照されたい。ただし、流体の流れに関するこれらの試験は、術後早期に眼が十分に加圧されたままであること、ハイドレーションした創傷が角膜内皮によって急速にデタージス(deturgesced)されないこと、および創傷からの房水の流出がないことが、房水を汚染して感染しやすくする可能性がある涙液膜からの表面流体が創傷に流れ込むことができないことと相関していることなどの、いくつかの仮定を行う。しかしながら、眼圧は術後に変化することが知られており、しばしば5mmHg未満に低下し、遠隔測定による眼圧監視装置は、まばたきに反応して個々の眼に眼圧の大きな変動が生じることを示唆している。Shingleton, B. J.; Wadhwani, R. A.; O’Donoghue, M. W.; Baylus, S.; Hoey, H. J. Cataract Refract. Surg. 2001, 27, 524-527 and Percicot, C. L.; Schnell, C. R.; Debon, C.; Hariton, C. J. Pharmacol. Toxicol. Methods 1996, 36, 223-228を参照されたい。
【0038】
ある研究では、光干渉断層撮影(OCT)により、透明角膜切開創の形態が一定ではなく、眼圧の変化に応じて変化することが確認された。McDonnell, P. J.; Taban, M.; Sarayba, M.; Rao, B.; Zhang, J.; Schiffman, R.; Chen, Z. P. Ophthalmology 2003, 110, 2342-2348を参照されたい。眼が十分に加圧されると(20mmHg以上)、眼房は深く形成され、創傷の縁は十分に並置された。40〜50mmHgまでの眼圧の上昇は、創傷縁の離開をもたらさなかった。眼圧が10mmHg以下に低下すると、創傷の縁は次第に離開した。離開は、創傷の内面(internal aspect)で始まり、後部および周縁部の創傷小葉(wound leaflet)の後方移動を伴った。この離開は、切開の内面にくさび形の隙間をもたらした。この創傷縁の離開と一致して、創傷を通る房水の自発的な流れが観察され、眼房は浅くなった。眼圧を上昇させると、角膜創傷の表面縁での迅速な閉鎖、創傷からの体液漏出の終了、および前房の深化がもたらされた。墨汁が角膜の表面に滴下され、透明角膜切開内で手術顕微鏡を通してすぐに見えるようになった。創傷の組織学的検査により、すべての角膜における切開の縁に沿って墨汁粒子が部分的に浸透していることが確認された。これらの研究は、眼圧の一時的な低下により透明角膜切開における創傷の並置が不十分になる可能性があり、角膜を横切って前房に流体が流れる可能性があり、付随する眼内炎のリスクがあることを示した。McDonnell, P. J.; Taban, M.; Sarayba, M.; Rao, B.; Zhang, J.; Schiffman, R.; Chen, Z. P. Ophthalmology 2003, 110, 2342-2348を参照されたい。
【0039】
それにもかかわらず、米国およびヨーロッパでは、強膜トンネル切開よりも自己閉鎖透明角膜切開を好む外科医の割合が漸進的に増加している。Leaming, D. V. J. Cataract Refract. Surg. 1995, 21, 378-385 and Leaming, D. V. J. Cataract Refract. Surg. 2001, 27, 948-955を参照されたい。しかしながら、いくつかの研究は、透明角膜切開白内障手術後の術後眼内炎の発生率の増加を明らかにし、最近の遡及的症例対照研究は、透明角膜切開が、強膜トンネル切開と比較した場合に、急性白内障手術後眼内炎の統計的に有意な危険因子であると報告した。John, M. E.; Noblitt, R. Endophthalmitis. Scleral tunnel vs. clear corneal incision; Slack, Inc.: Thorofare, NJ, 2001; Colleaux, K. M.; Hamilton, W. K. Can. J. Ophthalmol. 2000, 35, 373-378; Nagaki, Y.; Hayasaka, S.; Kadoi, C.; Matsumoto, M.; Yanagisawa, S.; Watanabe, K.; Watanabe, K.; Hayasaka, Y.; Ikeda, N.; Sato, S.; Kataoka, Y.; Togashi, M.; Abe, T. J. Cataract. Refract. Surg. 2003, 29, 20-26; Stonecipher, K. G.; Parmley, V. C.; Jensen, H.; Rowsey, J. J. Arch. Ophthalmol. 1991, 109, 1562-1563; Lertsumitkul, S.; Myers, P. C.; O’Rourke, M. T.; Chandra, J. Clin. Exp. Ophthalmol. 2001, 29, 400-405; およびBlake, A. C.; Holekamp, N. M.; Bohigian, G.; Thompson, P. A. Am. J. Ophthalmol. 2003, 136, 300-305を参照されたい。重度の眼内炎の後の視覚的結果は常に警戒されている。西オーストラリア州の眼内炎研究では、対象の半数以上が視覚障害を患い、41%が20/200よりも悪く、53%が20/125よりも悪く、58%が20/40よりも悪かった。Semmens, J. B.; Li, J.; Morlet, N.; Ng, J. Clin. Exp. Ophthalmol. 2003, 31, 213-219を参照されたい。白内障後の眼内炎は依然として、視力回復処置の潜在的に失明をきたす合併症のままである。
【0040】
屈折矯正手術−レーザー支援角膜曲率形成術(レーシック/LASIK)
レーザー支援角膜曲率形成術(Laser-assisted in situ Keratomileusis)は一般的な屈折矯正外科手術であり、マイクロケラトームブレードによって薄くヒンジ付きの角膜フラップが作成される。次に、このフラップを脇に移動して、エキシマレーザービームで角膜実質組織を非常に正確に切除し、近眼(近視)と乱視を矯正する。処置の終わりに、フラップを元に戻して治癒させる。しかしながら、外傷があると、このフラップは治癒前に位置がずれ、フラップの脈理(皺襞)および重度の視力喪失を引き起こす可能性がある。この合併症が発生した場合、処置は、フラップの迅速な交換およびフラップの縫合を伴う。縫合糸の使用には上記のように制限と欠点がある。これらの新規な接着剤は、レーシックフラップの位置ずれや脈理(皺襞)の処置にも役立つ可能性がある。これらの視覚を低下させるフラップの合併症は、一般的な処置であるLASIKの後に見られることは珍しくなく、現在、フラップの再配置と縫合によって処置されている(かなりの手術時間と技術的スキルを必要とする)。組織接着剤は、フラップを固定するためのより有効な手段を提供することができる。
【0041】
屈折矯正手術−レンズの交換
レンズの機能低下や損傷につながる白内障やその他の病気または怪我は、天然のレンズを交換することを必要とする。正常な眼の水晶体の光学特性は、天然のヒドロゲルを形成する「クリスタリン」と呼ばれる高濃度のタンパク質の結果である。脊椎動物の水晶体では、様々なサイズのタンパク質集合体、α−、β−、およびγ−クリスタリンが、高屈折率の媒体を生成していることが分かっている。調節の解剖学的基礎には、水晶体物質、水晶体嚢、小帯線維、毛様体筋、および脈絡膜の弾性部分が含まれる。調節は、レンズの形状と厚さを正確に制御することにより行われる。水晶体嚢は、様々な水晶体外力を水晶体物質に伝達するのに不可欠である。
【0042】
現代の白内障手術は、小さな切開(通常は2.5〜3.5mm)を通して行うことができる。切開が行われると、前房が粘弾性物質で満たされ、水晶体嚢に針が刺される。この切開から、嚢切開鉗子を使用して直径約1.5mmの小さな連続環状嚢切開(CCC)が行われる。次に、水晶体嚢内超音波乳化吸引術が行われ、水晶体上皮細胞が吸引によって除去される。
【0043】
水晶体(レンズ)の正常な機能は、網膜上に集光させることである。白内障を取り除くと、眼は集光させるためのレンズがない状態になるため、通常は人工(眼内)レンズが眼の中に配置される。ほとんどの眼内レンズは、プラスチック、シリコン、またはアクリル化合物でできており;可動部分はなく;かつ残りの人生の間存続する。これらの眼内レンズインプラントは、後嚢によって所定の位置に保持され、眼の調節を提供することはできない。本明細書に記載のin situ架橋材料を水晶体嚢に再充填することにより、20歳の水晶体と同様の機械的特性を有する合成ヒドロゲルを生成する可能性を提供する。したがって、本発明は、天然水晶体の特性を再現する材料を記載し、これらの合成ヒドロゲルは水晶体嚢の完全性を維持し、部分的または完全な調節を得て、患者の視力を回復する。
【0044】
網膜−網膜円孔
凍結療法、ジアテルミー、および光凝固術などの網膜円孔の処置に一般的に使用される技術は、主に適用の遅れと脈絡網膜接着の弱い強度のために、難治性網膜剥離の場合にはうまくいかない。シアノアクリレートによる網膜復位術 (Retinopexy)が特定の場合に使用されてきた。脈絡網膜接着は、以前の技術よりも強く、長持ちすることも実証されている。角膜穿孔の処置に関して前述したように、シアノアクリレート接着剤の非常に急速な重合(例えば、網膜へのインジェクターの接着のリスク)、水性条件での使用の困難さ、および毒性は、この方法に関連する不都合およびリスクである。モノマーにイオフェンジラート(iophendylate)を添加することで重合を遅くすることができるが、それでも反応は2〜3秒で生じる。重合したシアノアクリレートの硬さのため、処置した孔の縁での網膜裂孔のリスクも見られる。
【0045】
網膜−硝子体切除術/強膜切開術の切開
硝子体は、通常は透明なゲル状の物質であり、眼の中心を満たす。眼の体積の約2/3を占め、出生前に眼の形態および形状を与える。眼底を冒す特定の問題は、硝子体切除術、または硝子体の外科的除去を必要とする場合がある。硝子体切除術の間、外科医は別々の器具のために眼に小さな切開/穿刺(強膜切開)を作成する。これらの切開は、虹彩のすぐ後ろで網膜の前にある眼の毛様体扁平部に配置される。これらの切開を通過する器具には、ライトパイプ、注入ポート、および硝子体切除切断装置が含まれる。経毛様体扁平部硝子体切除術が完了すると、各強膜切開部位は、8−0シルクまたは7−0ポリグリコール酸縫合糸の単結節縫合で閉じられる。眼は水性および栄養性の液体を分泌するので、硝子体切除後、硝子体が交換されるまで眼は液体で満たされる。
【0046】
硝子体切除術を必要とする最も一般的な眼の状態には、1)網膜剥離または出血などの糖尿病網膜症による合併症、2)黄斑円孔、3)網膜剥離、4)網膜前膜線維症、5)眼内出血(硝子体出血)、6)損傷または感染、および7)以前の眼科手術に関連する特定の問題が含まれる。
【0047】
緑内障−濾過胞(ブレブ)
緑内障手術後に濾過胞が漏れると、管理が難しく、視力を脅かす深刻な合併症を引き起こす可能性がある。濾過胞は、前房の低張および浅化、脈絡膜滲出、黄斑症、網膜皺襞および脈絡膜皺襞、上脈絡膜出血、角膜代償不全、周辺虹彩前癒着、および白内障形成をもたらす可能性がある。濾過胞はまた、ブレブ機能の喪失および眼内炎の重篤な合併症を引き起こす可能性がある。代謝拮抗剤の使用により、ブレブ漏出の発生率が増加する。5−フルオロウラシルまたはマイトマイシンCで治療した眼のブレブ漏出は、患者の20〜40%で生じる可能性がある。代謝拮抗剤で治療した眼のブレブ漏出は、薄い無血管組織のため、および異常な線維性血管反応のため、治癒が難しい場合がある。保存的管理を使用しても漏れが続く場合は、先細血管針で9−0から10−0のナイロンまたは吸収性縫合糸を使用して、結膜創を閉じることができる。薄壁または無血管のブレブでは、縫合は、組織を引き裂き、より大きな漏れを引き起こす可能性があるため、勧められない。ブレブ漏出を閉じるためにフィブリン接着剤が使用されてきた。この接着剤は、トロンビンと同時に結膜創に塗布され、塗布部位にフィブリン血餅を形成する。フィブリンは湿った組織に接着しないため、塗布中に術野が乾燥している必要がある。シアノアクリレート接着剤を使用して結膜の開口部を閉じてもよい。グルーを塗布するには、周囲の組織を乾燥させ、シアノアクリレートを1滴垂らす。その速い反応を考えると、外科医は、アプリケータを組織に密封したり、周囲の組織を接着剤で密封したりしないように注意する必要がある。次に、ソフトコンタクトレンズをグルーの上に付けて、患者の不快感を軽減する。しかしながら、この手法は、シアノアクリレートがブレブから漏れてより大きな傷を生じさせる場合、実際に問題を悪化させる可能性がある。
【0048】
眼科形成術(Oculoplastics)−眼瞼形成術の切開
眼瞼形成術は、余分な皮膚や脂肪を取り除き、眼の周りの周囲の筋肉や腱を強化して、眼の下の垂れ下がったまぶたやたるみを矯正する手術である。上まぶたと下まぶたで同時にまたは別々に行うことができる。操作は、従来の技術またはレーザー技術のいずれかを使用して行うことができる。上まぶたの手術では、まぶたの自然なラインやしわ、眼の角の笑い線に切り込みを入れる。下まぶたの手術では、通常、まつげのすぐ下に切り込みを入れる。これは、傷跡が眼の自然なひだに沿って走り、可能な限りそれらを隠すことを意味する。余分な脂肪と緩んだ皮膚を取り除き、縫合糸を使用して切り込みを閉じる。脂肪だけを取り除く場合は、下まぶたの内側に切り込みを入れて、目に見える傷を残さないことがある。組織接着剤は、手術中に作られた切り込みを固定するためのより効果的な手段を提供することができる。
【0049】
胃腸吻合
本発明のシーラントおよび方法は、胃腸吻合手術に有用となるはずである。胃腸吻合は、2つの腸をつなぎ合わせる技術である。胃腸吻合には、機械的なステープル留め技術と手で縫合する手法の両方を含む、多くの技術がある。その技術には、2つの空腸の単純な末端吻合、より複雑な結腸肛門吻合、または胆管腸接合が含まれ得る。縫合糸またはステープルを使用する技術に関する1つの問題は、縫合糸またはステープルの周りに漏れが生じる可能性があることである。たとえば、5〜8%の漏出率を報告するBruce et al. Br. J. Surg. 88:1157-1168 (2001)を参照されたい。しかしながら、本発明のシーラントおよび方法は、腸の吻合に使用される縫合糸またはステープルを補完するために使用することができ、漏出を減らすより良好な密閉を提供する。失敗した吻合の結果を適切に密封するための組成物および手法は難しく、しばしば生命を脅かす。失敗は、不十分な外科技術(例えば、正しく挿入されなかった縫合糸;きつく結びすぎて末端を虚血にする結び目;またはステープルガンの誤った使用)を含む無数の要因によって引き起こされ得るが、本発明のシーラントおよび方法は、胃腸吻合術の失敗の原因のいくつかを低減または排除するはずである。
【0050】
前立腺切除術−尿道膀胱吻合
本発明のシーラントおよび方法は、前立腺切除術の尿道膀胱吻合術において有用であるはずである。前立腺切除術の尿道膀胱吻合は、患者の前立腺を外科的に切除した後、患者の尿管と膀胱を接合する技術である。失敗は、不十分な外科的技術(例えば、正しく挿入されなかった縫合糸、きつく結びすぎて末端を虚血性にする結び目)を含む無数の要因によって引き起こされる。本発明のシーラントおよび方法は、前立腺切除術の尿道膀胱吻合手順の失敗の原因のいくつかを低減または排除するはずである。
【0051】
軟骨、半月板および椎間板の修復
軟骨組織は、筋骨格系の関節における荷重支持およびエネルギー散逸に寄与する上で重要な役割を果たす。これらの組織には、主に細胞密度が非常に低い無血管および無リンパ管組織である関節軟骨が含まれる。その結果、関節軟骨は、怪我や老化後、限られた自己修復能力を有する。半月板、椎間板または関節における軟骨の変性は、患者に激しい衰弱性の痛みを引き起こす可能性がある。これらの組織への損傷はしばしば何年もの間保持され、最終的にはより深刻な二次的損傷につながる可能性がある。Moskowitz, R. W., Osteoarthritis: diagnosis and medical/surgical management. 2
nd ed.; W.B. Saunders Company: 1984を参照されたい。今日、米国では、外傷または生涯にわたる摩耗の結果として、毎年100万を超える膝関節、股関節、および肩関節の外科手術が行われている。Praemer, A.; Furner, S.; Rice, D. P. Musculoskeletal Conditions in the United States, American Academy of Orthopaedic Surgeons: Rosemont, Illinois, 1999を参照されたい。多くの患者が軟骨変性に苦しんでいるにもかかわらず、軟骨変性の広く利用可能な治療選択肢は、抗炎症剤の慢性投与、関節全置換術、骨切り術、または同種移植片移植のみであり、それぞれが混合した長期結果につながる。本発明の組成物および方法は、そのような障害および損傷の処置に有用であるはずである。
【0052】
組織平面への適用
本発明の材料は、組織の2つの平面に塗布することができ、その後にこれら2つの組織を一緒に密封することができる。時間の経過とともに、シーラント/ヒドロゲルは、新しい組織がその領域に成長するにつれて劣化する。適用には、多くの美容および組織修復手術が含まれる。シーラントは、その手法が感染症などの関連合併症を伴う漿液腫の形成をもたらす可能性のある著しい組織平面の分離を伴う場合に使用され、例えば、乳房切除術や乳腺腫瘍摘出術などの一般外科手術、腹壁形成術(abdominoplasty)、しわ切除術(rhytidectomy)、または鼻形成術(rhinoplasty)、乳房形成術およびその他の美容整形または再建手術もしくは手技、額リフトおよび臀部リフト、ならびに植皮、生検閉鎖、口蓋裂再建、ヘルニア修復、リンパ節切除、鼠径部修復、帝王切開、腹腔鏡下トロッカー修復(laparoscopic trocar repair)、会陰裂傷修復、および手の手術などの形成外科手術である。
【0053】
血管および心血管の修復
本発明の組成物および方法は、血管および心血管組織を修復、閉鎖および/または固定するために使用することができる。代表的な手法には、冠動脈バイパス移植術、冠動脈形成術、診断的心臓カテーテル検査、頸動脈内膜剥離術、および弁修復が含まれる。シーラントの追加の用途は、心筋梗塞後の心臓組織の修復である。ポリマーは梗塞組織に塗布され、弱くなった組織に構造的支持を提供する。たとえば、この材料は心臓組織のスリーブとして機能する。
【0054】
硬膜組織の修復
硬膜組織は、脳と脊髄を覆い、頭蓋骨の内面を裏打ちする線維性の膜である。硬膜修復の標準的な方法は、結節縫合の適用および硬膜代用材料の使用(硬膜形成術)を含む。これは精細な手術であり、手術針によって作られたピンホールが漏れを引き起こす可能性があるという制限がある。さらに、術中の脱水は硬膜を収縮させ、縫合糸で縁を近づけることが難しいため、閉鎖が困難になる可能性がある。高齢の患者では、硬膜が薄くて壊れやすいため、硬膜を伸ばしたり縫合したりすると硬膜が裂けやすくなることがよくある。フィブリンなどの接着剤は、硬膜組織の修復のために検討されてきたが、限られた成功しか得られていない。“Glue in the Repair of Dural Defects in Craniofacial Resections,” J. Latyngology and Otology 1992, 106, 356-57; Kjaergard et al., “Autologous Fibrin Glue Preparation and Clinical Use in Thoracic Surgery,” Eur. J. Cardio-Thorc. Surg. 1992, 6, 52-54; Thompson et al., “Fibrin Glue: A Review of Its Preparation, Efficacy, and Adverse Effects as a Topical Hemostat,” Drug Intelligence and Clinical Pharmacy 1988, 22, 946-52;および Brennan, “Fibrin Glue,” Blood Reviews 1991, 5, 240-44を参照されたい。本発明のシーラントおよび方法は、開頭術または椎弓切除術後の硬膜を修復するのに有用であり、術後の脳脊髄液の漏出を防ぐはずである。Preul et al. Neurosurgery 2003, 53, 1189-1199 and Balance, C.A. in “Some Points in the Surgery of the Brain and Its Membranes” London, Macmillan & Coを参照されたい。
【0055】
注射部位の創傷
多くの治療薬が注射によって患者に投与される。しかしながら、この手法の1つの合併症は、注射部位の組織が感染したり、治癒が不十分になる可能性があることである。感染症が発生しやすい臨床状況の1つは、治療薬が患者の眼に注射される場合である。この投与方法は、加齢性黄斑変性症(AMD)の処置に使用され、約2%の患者が感染症または眼内炎を患うことになる。
【0056】
加齢性黄斑変性症は、読書や運転などの「まっすぐな」活動に必要な鋭い中心視力をぼかす病気である。具体的には、AMDは網膜の進行性疾患であり、視力の中心領域(黄斑)の光受容細胞(視細胞)が機能を停止し、最終的には死ぬ。この病気は遺伝要因と環境要因の組み合わせによって引き起こされ、60歳以上の人々に最も一般的である。実際、AMDは高齢者の視覚障害の主な原因である。米国では1500万人がAMDを患っており、毎年約200万人が新たに診断されていると見積もられている。AMDにはウェット型(滲出型)とドライ型(萎縮型)の2種類がある。ウェット型AMDは、網膜の後ろの異常な血管が黄斑の下で成長し始めたときに発生する。これらの新しい血管は非常に壊れやすく、血液や体液が漏れることがよくある。血液および体液は、黄斑を眼の後ろの正常な場所から持ち上げる。黄斑の損傷は急速に起こり、中心視力の喪失はすぐに起きる。一方、ドライ型AMDは、黄斑の光受容細胞がゆっくりと壊れ、罹患した眼の中心視力が徐々にぼやける場合に発生する。中心視力は徐々に失われる。この病気では、血管内皮増殖因子(VEGF)が重要な成長因子であり、新しい血管成長を促進する。現在、網膜色素上皮(RPE)細胞が栄養不足(すなわち、虚血)により枯渇し始めると、VEGFがアップレギュレートされ、新しい血管が作られると考えられている。しかし、血管は適切に形成されず、漏出が生じる。この漏出は黄斑の瘢痕化を引き起こし、最終的には中心視力の喪失をもたらす。この血管新生プロセスを防止または阻害するために、抗血管新生薬が患者に投与される。ほとんどの場合、薬は眼球の硝子体に注射され、血管が増殖する網膜下腔に入る。これらの薬には、マクジェン(mucagenm)、乳酸スクアラミン、コンブレタスタチン4プロドラッグ、およびアバスチンが含まれる。
【0057】
本発明のシーラントおよび方法は、注射部位の創傷を密封するのに有用であるはずである。様々な可能性の中で、注射を行ってからシーラントを注射部位に塗布することができ、あるいはシーラントを塗布してからシーラントを通して注射を行ってもよい。
【0058】
生物活性物質(biologically active agent)および医薬活性物質(pharmaceutically active agent)
ある実施形態において、生物活性物質を、本発明の生体適合性接着剤に組み込むことができる。本発明の組成物での使用に適した活性物質には、トランスフォーミング成長因子(TGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、上皮成長因子(EGF)、結合組織活性化ペプチド(CTAP)、骨形成因子などの成長因子、ならびにそのような成長因子の生物学的に活性な類似体、フラグメント、および誘導体が含まれる。多機能調節タンパク質であるトランスフォーミング成長因子(TGF)スーパー遺伝子ファミリーのメンバーは特に好ましい。TGFスーパー遺伝子ファミリーのメンバーには、トランスフォーミング成長因子ベータ(たとえば、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3);骨形成タンパク質(例えば、BMP−1、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−9);ヘパリン結合成長因子(例えば、線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF));インヒビン(例えば、インヒビンA、インヒビンB);増殖分化因子(たとえば、GDF−1);およびアクチビン(たとえば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB)が含まれる。
【0059】
上記の生物活性物質に加えて、多数の医薬物質(pharmaceutical agent)が当技術分野で知られており、本発明の生体適合性接着剤での使用に適している。「医薬物質」という用語には、薬剤;ビタミン;ミネラルサプリメント;病気や疾患の処置、予防、診断、治癒または緩和に使用される物質;あるいは体の構造や機能に影響を与える物質;あるいは、所定の生理学的環境に置かれた後に生物学的に活性になるかまたはより活性になるプロドラッグ;が含まれるが、これに限定されない。
【0060】
有用な医薬物質の幅広いカテゴリーの非限定的な例には、以下の治療カテゴリーが含まれる:同化剤、制酸剤、抗喘息剤、抗コレステロール剤および抗脂質剤、抗凝固剤、抗痙攣剤、止瀉剤、制吐剤、抗感染症剤、抗炎症剤、抗躁剤、抗嘔吐剤、抗腫瘍剤、抗肥満剤、解熱鎮痛剤、鎮攣剤、抗血栓剤、抗尿酸血症剤、抗狭心症剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、食欲抑制剤、生物学的製剤、脳拡張剤、冠血管拡張剤、充血除去剤、利尿剤、診断薬、赤血球生成剤、去痰剤、胃腸鎮静剤、血糖上昇剤、催眠剤、血糖降下剤、イオン交換樹脂、緩下剤、ミネラルサプリメント、粘液溶解剤、神経筋剤、末梢血管拡張剤、向精神剤、鎮静剤、刺激剤、甲状腺剤および抗甲状腺剤、子宮弛緩剤、ビタミン、およびプロドラッグ。
【0061】
より具体的には、有用な医薬物質の非限定的な例には、以下の治療カテゴリーが含まれる:非ステロイド性抗炎症剤、オピエートアゴニストおよびサリチル酸塩などの鎮痛剤;H
1ブロッカーおよびH
2ブロッカーなどの抗ヒスタミン剤;駆虫剤、抗嫌気性菌剤(antianaerobics)、抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、抗真菌性抗生物質、セファロスポリン系抗生物質、マクロライド系抗生物質、その他のベータラクタム系抗生物質、ペニシリン系抗生物質、キノロン系抗生物質、スルホンアミド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、抗マイコバクテリア剤、抗結核抗マイコバクテリア剤、抗原虫剤、抗マラリア剤、抗ウイルス剤、抗レトロウイルス剤、殺疥癬虫剤、および尿路抗感染症剤などの抗感染症剤;アルキル化剤、ナイトロジェンマスタードアルキル化剤、ニトロソウレアアルキル化剤、代謝拮抗剤、プリンアナログ代謝拮抗剤、ピリミジンアナログ代謝拮抗剤、ホルモン抗腫瘍剤、天然抗腫瘍剤、抗生物質天然抗腫瘍剤、およびビンカアルカロイド天然抗腫瘍剤などの抗腫瘍剤;抗コリン剤、抗ムスカリン性抗コリン剤、麦角アルカロイド、副交感神経刺激剤、コリン作動薬系副交感神経刺激剤、コリンエステラーゼ阻害剤系副交感神経刺激剤、交感神経遮断剤、α遮断剤系交感神経遮断剤、β遮断剤系交感神経遮断剤、交感神経様作用剤、およびアドレナリン作動薬系交感神経様作用剤などの自律神経作用薬剤;抗狭心症剤、β遮断剤系抗狭心症剤、カルシウムチャネル遮断剤系抗狭心症剤、硝酸塩抗狭心症剤、抗不整脈剤、強心配糖体系抗不整脈剤、クラスI抗不整脈剤、クラスII抗不整脈剤、クラスIII抗不整脈剤、クラスIV抗不整脈剤、抗高血圧剤(降圧剤)、α遮断剤系降圧剤、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)系降圧剤、β遮断剤系降圧剤、カルシウムチャネル遮断剤系降圧剤、中枢作用性アドレナリン作動性降圧剤、利尿性降圧剤、末梢血管拡張剤系降圧剤、抗高脂血症剤、胆汁酸封鎖剤系抗高脂血症剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤系抗高脂血症剤、イノトロープ(inotrope)、強心配糖体系イノトロープ、および血栓溶解剤などの心血管作用薬剤;抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、副腎皮質ステロイド系抗炎症剤、鎮痒剤/局所麻酔剤、局所抗感染症剤、抗真菌性局所抗感染症剤、抗ウイルス性局所抗感染症剤、および局所抗腫瘍剤などの皮膚科用薬剤;酸性化剤、アルカリ化剤、利尿剤、炭酸脱水酵素阻害剤系利尿剤、ループ利尿剤、浸透圧性利尿剤、カリウム保持性利尿剤、チアジド系利尿剤、電解質置換剤、および尿酸排泄剤などの電解質剤および腎臓作用薬剤;膵臓酵素および血栓溶解酵素などの酵素;止瀉剤、制吐剤、胃腸抗炎症剤、サリチル酸系胃腸抗炎症剤、制酸剤系抗潰瘍剤、胃酸ポンプ阻害剤系抗潰瘍剤、胃粘膜抗潰瘍剤、H
2ブロッカー系抗潰瘍剤、胆石溶解剤、消化剤、催吐剤、緩下剤および便軟化剤、ならびに消化管運動促進剤などの胃腸作用薬剤;吸入麻酔剤、ハロゲン化吸入麻酔剤、静脈麻酔剤、バルビツール酸系静脈麻酔剤、ベンゾジアゼピン系静脈麻酔剤、およびオピエートアゴニスト系静脈麻酔剤などの全身麻酔剤;抗貧血剤、造血性抗貧血剤、凝固剤、抗凝固剤、止血凝固剤、血小板阻害剤系凝固剤、血栓溶解酵素系凝固剤、および血漿増量剤などの血液作用薬剤;堕胎剤、副腎物質(adrenal agent)、副腎皮質ステロイドホルモン、アンドロゲン、抗アンドロゲン、抗糖尿病剤、スルホニル尿素抗糖尿病剤、抗低血糖症剤、経口避妊剤、プロゲスチン避妊剤、エストロゲン、排卵誘発剤(fertility agent)、子宮収縮剤、副甲状腺物質、下垂体ホルモン、プロゲスチン、抗甲状腺剤、甲状腺ホルモン、および子宮収縮抑制剤などのホルモンおよびホルモン調整剤;免疫グロブリン、免疫抑制剤、トキソイド、およびワクチンなどの免疫生物学的薬剤;アミド局所麻酔剤およびエステル局所麻酔剤などの局所麻酔剤;抗痛風抗炎症剤、副腎皮質ステロイド系抗炎症剤、金化合物抗炎症剤、免疫抑制性抗炎症剤、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、サリチル酸系抗炎症剤、骨格筋弛緩剤、神経筋遮断剤骨格筋弛緩剤、およびリバース神経筋遮断剤骨格筋弛緩剤などの筋骨格作用薬剤;抗痙攣剤、バルビツール酸塩抗痙攣剤、ベンゾジアゼピン抗痙攣剤、抗片頭痛剤、抗パーキンソン病剤、抗めまい剤、オピエートアゴニスト、およびオピエートアンタゴニストなどの神経学的薬剤;抗緑内障剤、β遮断剤系抗緑内障剤、縮瞳抗緑内障剤、散瞳剤、アドレナリン作動薬系散瞳剤、抗ムスカリン性散瞳剤、眼科用麻酔剤、眼科用抗感染症剤、眼科用アミノグリコシド系抗感染症剤、眼科用マクロライド系抗感染症剤、眼科用キノロン系抗感染症剤、眼科用スルホンアミド系抗感染症剤、眼科用テトラサイクリン系抗感染症剤、眼科用抗炎症剤、眼科用副腎皮質ステロイド系抗炎症剤、および眼科用非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)などの眼科用薬剤;抗うつ剤、複素環系抗うつ剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、三環系抗うつ剤、抗躁剤、抗精神病剤、フェノチアジン抗精神病剤、抗不安剤、鎮静剤、催眠剤、バルビツレート鎮静剤および催眠剤、ベンゾジアゼピン抗不安剤、鎮静剤および催眠剤、および精神刺激剤などの向精神剤;鎮咳剤、気管支拡張剤、アドレナリン作動薬系気管支拡張剤、抗ムスカリン性気管支拡張剤、去痰剤、粘液溶解剤、呼吸器抗炎症剤、および呼吸器副腎皮質ステロイド系抗炎症剤などの呼吸器作用薬剤;解毒剤、重金属拮抗剤/キレート剤、薬物乱用剤、薬物乱用抑止剤、および薬物乱用離脱剤などの毒物学的薬剤;ミネラル;ならびにビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどのビタミン。
【0062】
上記のカテゴリーからの有用な医薬物質の好ましいクラスには以下が含まれる:(1)ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセンなどの非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)鎮痛剤;(2)コデイン、フェンタニル、ヒドロモルフォン、モルヒネなどのオピエートアゴニスト鎮痛剤;(3)アスピリン(ASA)(腸溶性ASA)などのサリチル酸系鎮痛剤;(4)クレマスチンおよびテルフェナジンなどのH
1ブロッカー抗ヒスタミン剤;(5)シメチジン、ファモチジン、ニザジン、およびラニチジンなどのH
2ブロッカー抗ヒスタミン剤;(6)ムピロシンなどの抗感染症剤;(7)クロラムフェニコールおよびクリンダマイシンなどの抗嫌気性菌抗感染症剤;(8)アムホテリシンb、クロトリマゾール、フルコナゾール、ケトコナゾールなどの抗真菌性抗生物質抗感染症剤;(9)アジスロマイシンおよびエリスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質抗感染症剤;(10)アズトレオナムおよびイミペネムなどのその他のβラクタム系抗生物質抗感染症剤;(11)ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、およびペニシリンVなどのペニシリン系抗生物質抗感染症剤;(12)シプロフロキサシンおよびノルフロキサシンなどのキノロン系抗生物質抗感染症剤;(13)ドキシサイクリン、ミノサイクリン、およびテトラサイクリンなどのテトラサイクリン系抗生物質抗感染症剤;(14)イソニアジド(INH)、およびリファンピンなどの抗結核抗マイコバクテリア抗感染症剤;(15)アトバコンおよびダプソンなどの抗原虫抗感染症剤;(16)クロロキンおよびピリメタミンなどの抗マラリア抗原虫抗感染症剤;(17)リトナビルおよびジドブジンなどの抗レトロウイルス抗感染症剤;(18)アシクロビル、ガンシクロビル、インターフェロンα、リマンタジンなどの抗ウイルス抗感染症剤;(19)カルボプラチンおよびシスプラチンなどのアルキル化抗腫瘍剤;(20)カルムスチン(BCNU)などのニトロソウレア系アルキル化抗腫瘍剤;(21)メトトレキサートなどの代謝拮抗抗腫瘍剤;(22)フルオロウラシル(5−FU)およびゲムシタビンなどのピリミジンアナログ代謝拮抗剤系抗腫瘍剤;(23)ゴセレリン、リュープロリド、タモキシフェンなどのホルモン抗腫瘍剤;(24)アルデスロイキン、インターロイキン−2、ドセタキセル、エトポシド(VP−16)、インターフェロンα、パクリタキセル、およびトレチノイン(ATRA)などの天然抗腫瘍剤;(25)ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、マイトマイシンなどの抗生物質系天然抗腫瘍剤;(26)ビンブラスチンおよびビンクリスチンなどのビンカアルカロイド系天然抗腫瘍剤;(27)ニコチンなどの自律神経作用薬剤;(28)ベンズトロピンおよびトリヘキシフェニジルなどの抗コリン性自律神経作用薬剤;(29)アトロピンおよびオキシブチニンなどの抗ムスカリン性抗コリン性自律神経作用薬剤;(30)ブロモクリプチンなどの麦角アルカロイド自律神経作用薬剤;(31)ピロカルピンなどのコリン作動性アゴニスト系副交感神経刺激剤;(32)ピリドスチグミンなどのコリンエステラーゼ阻害剤系副交感神経刺激剤;(33)プラゾシンなどのα遮断剤系交感神経遮断剤;(34)アテノロールなどのβ遮断剤系交感神経遮断剤;(35)アルブテロールおよびドブタミンなどのアドレナリン作動薬系交感神経刺激剤;(36)アスピリン(ASA)(腸溶性ASA)などの心血管作用薬剤;(37)アテノロールやプロプラノロールなどのβ遮断剤系抗狭心症剤;(38)ニフェジピンおよびベラパミルなどのカルシウムチャネル遮断剤系抗狭心症剤;(39)硝酸イソソルビド(ISDN)などの硝酸塩抗狭心症剤;(40)ジゴキシンなどの強心配糖体系抗不整脈剤;(41)リドカイン、メキシレチン、フェニトイン、プロカインアミド、キニジンなどのクラスI抗不整脈剤;(42)アテノロール、メトプロロール、プロプラノロール、チモロールなどのクラスII抗不整脈剤;(43)アミオダロンなどのクラスIII抗不整脈剤;(44)ジルチアゼムおよびベラパミルなどのクラスIV抗不整脈剤;(45)プラゾシンなどのα遮断剤系降圧剤;(46)カプトプリルおよびエナラプリルなどのアンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)系降圧剤;(47)アテノロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロールなどのβ遮断剤系降圧剤;(48)ジルチアゼムおよびニフェジピンなどのカルシウムチャネル遮断剤系降圧剤;(49)クロニジンおよびメチルドパなどの中枢作用性アドレナリン作動性降圧剤;(50)アミロリド、フロセミド、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)、およびスピロノラクトンなどの利尿性降圧剤;(51)ヒドララジンおよびミノキシジルなどの末梢血管拡張剤系降圧剤;(52)ゲムフィブロジルおよびプロブコールなどの抗高脂血症剤;(53)コレスチラミンなどの胆汁酸封鎖剤系抗高脂血症剤;(54)ロバスタチンおよびプラバスタチンなどのHMG−CoA還元酵素阻害剤系抗高脂血症剤;(55)アムリノン、ドブタミン、ドーパミンなどのイノトロープ;(56)ジゴキシンなどの強心配糖体系イノトロープ;(57)アルテプラーゼ(TPA)、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ、およびウロキナーゼなどの血栓溶解剤;(58)コルヒチン、イソトレチノイン、メトトレキサート、ミノキシジル、トレチノイン(ATRA)などの皮膚科用薬剤;(59)ベタメタゾンおよびデキサメタゾンなどの皮膚科用副腎皮質ステロイド系抗炎症剤;(60)アムホテリシンB、クロトリマゾール、ミコナゾール、およびナイスタチンなどの抗真菌性局所抗感染症剤;(61)アシクロビルなどの抗ウイルス性局所抗感染症剤;(62)フルオロウラシル(5−FU)などの局所抗腫瘍剤;(63)ラクツロースなどの電解質剤および腎臓作用薬剤;(64)フロセミドなどのループ利尿剤;(65)トリアムテレンなどのカリウム保持性利尿剤;(66)ヒドロクロロチアジド(HCTZ)などのチアジド系利尿剤;(67)プロベネシドなどの尿酸排泄剤;(68)RNaseおよびDNaseなどの酵素;(69)アルテプラーゼ、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼなどの血栓溶解酵素;(70)プロクロルペラジンなどの制吐剤;(71)スルファサラジンなどのサリチル酸系胃腸抗炎症剤;(72)オメプラゾールなどの胃酸ポンプ阻害剤系抗潰瘍剤;(73)シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、およびラニチジンなどのH
2ブロッカー抗潰瘍剤;(74)パンクレリパーゼなどの消化剤;(75)エリスロマイシンなどの消化管運動促進剤;(76)フェンタニルなどのオピエートアゴニスト系静脈麻酔剤;(77)エリスロポエチン、フィルグラスチム(G−CSF)、およびサルグラモスチム(GM−CSF)などの造血性抗貧血剤;(78)抗血友病因子1−10(AHF1−10)などの凝固剤;(79)ワーファリンなどの抗凝固剤;(80)アルテプラーゼ、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼなどの血栓溶解酵素系凝固剤;(81)ブロモクリプチンなどのホルモンおよびホルモン調整剤;(82)メトトレキサートなどの堕胎剤;(83)インスリンなどの抗糖尿病剤;(84)エストロゲンやプロゲスチンなどの経口避妊剤;(85)レボノルゲストレルおよびノルゲストレルなどのプロゲスチン避妊剤;(86)結合型エストロゲン、ジエチルスチルベストロール(DES)、エストロゲン(エストラジオール、エストロン、およびエストロピペート)などのエストロゲン;(87)クロミフェン、ヒト絨毛性ゴナダトロピン(HCG)、メノトロピンなどの排卵誘発剤;(88)カルシトニンなどの副甲状腺物質;(89)デスモプレシン、ゴセレリン、オキシトシン、バソプレッシン(ADH)などの下垂体ホルモン;(90)メドロキシプロゲステロン、ノルエチンドロン、およびプロゲステロンなどのプロゲスチン;(91)レボチロキシンなどの甲状腺ホルモン;(92)インターフェロンβ−1bおよびインターフェロンγ−1bなどの免疫生物学的薬剤;(93)免疫グロブリンIM、IMIG、IGIMおよび免疫グロブリンIV、IVIG、IGIVなどの免疫グロブリン;(94)リドカインなどのアミド局所麻酔剤;(95)ベンゾカインおよびプロカインなどのエステル局所麻酔剤;(96)ベクロメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、およびプレドニゾンなどの筋骨格副腎皮質ステロイド系抗炎症剤;(97)アザチオプリン、シクロホスファミド、およびメトトレキサートなどの筋骨格抗炎症免疫抑制剤;(98)ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラック、ナプロキセンなどの筋骨格非ステロイド性抗炎症剤(NSAID);(99)バクロフェン、シクロベンザプリン、ジアゼパムなどの骨格筋弛緩剤;(100)ピリドスチグミンなどのリバース神経筋遮断剤系骨格筋弛緩剤;(101)ニモジピン、リルゾール、タクリン、チクロピジンなどの神経学的薬剤;(102)カルバマゼピン、ガバペンチン、ラモトリジン、フェニトイン、バルプロ酸などの抗痙攣剤;(103)フェノバルビタールおよびプリミドンなどのバルビツール酸系抗痙攣剤;(104)クロナゼパム、ジアゼパム、ロラゼパムなどのベンゾジアゼピン系抗痙攣剤;(105)ブロモクリプチン、レボドパ、カルビドパ、ペルゴリドなどの抗パーキソン剤;(106)メクリジンなどの抗めまい剤;(107)コデイン、フェンタニル、ヒドロモルフォン、メタドン、およびモルヒネなどのオピエートアゴニスト;(108)ナロキソンなどのオピエートアンタゴニスト;(109)チモロールなどのβ遮断剤系抗緑内障剤;(110)ピロカルピンなどの縮瞳抗緑内障剤;(111)ゲンタマイシン、ネオマイシン、およびトブラマイシンなどの眼科用アミノグリコシド系抗感染症剤;(112)シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、およびオフロキサシンなどの眼科用キノロン系抗感染症剤;(113)デキサメタゾンおよびプレドニゾロンなどの眼科用副腎皮質ステロイド系抗炎症剤;(114)ジクロフェナクなどの眼科用非ステロイド性抗炎症剤(NSAID);(115)クロザピン、ハロペリドール、およびリスペリドンなどの抗精神病剤;(116)クロナゼパム、ジアゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、プラゼパムなどのベンゾジアゼピン系抗不安剤、鎮静剤、および催眠剤;(117)メチルフェニデートおよびペモリンなどの精神刺激剤;(118)コデインなどの鎮咳剤;(119)テオフィリンなどの気管支拡張剤;(120)アルブテロールなどのアドレナリン作動薬系気管支拡張剤;(121)デキサメタゾンなどの呼吸器副腎皮質ステロイド系抗炎症剤;(122)フルマゼニルおよびナロキソンなどの解毒剤;(123)ペニシラミンなどの重金属拮抗剤/キレート剤;(124)ジスルフィラム、ナルトレキソン、ニコチンなどの薬物乱用抑止剤;(125)ブロモクリプチンなどの薬物乱用離脱剤;(126)鉄、カルシウム、およびマグネシウムなどのミネラル;(127)シアノコバラミン(ビタミンB12)およびナイアシン(ビタミンB3)などのビタミンB化合物;(128)アスコルビン酸などのビタミンC化合物;(129)カルシトリオールなどのビタミンD化合物。
【0063】
上記に加えて、以下のあまり一般的ではない薬剤も使用することができる:クロルヘキシジン;油中のシピオン酸エストラジオール;油中の吉草酸エストラジオール;フルルビプロフェン;フルルビプロフェンナトリウム;イベルメクチン;レボドパ;ナファレリン;およびソマトロピン。さらに、以下の薬物も使用することができる:組換えβグルカン;ウシ免疫グロブリン濃縮物;ウシスーパーオキシドジスムターゼ;フルオロウラシル、エピネフリン、およびウシコラーゲンを含む製剤;組換えヒルジン(r−Hir)、HIV−1免疫原;ヒト抗TAC抗体;組換えヒト成長ホルモン(r−hGH);組換えヒトヘモグロビン(r−Hb);組換えヒトメカセルミン(r−IGF−1);組換えインターフェロンβ−1a;レノグラスチム(G−CSF);オランザピン;組換え甲状腺刺激ホルモン(r−TSH);およびトポテカン。
【0064】
さらに、以下の静脈内投与用製品を使用することができる:アシクロビルナトリウム;アルデスロイキン;アテノロール;ブレオマイシン硫酸塩、ヒトカルシトニン;サケカルシトニン;カルボプラチン;カルムスチン;ダクチノマイシン、ダウノルビシンHCl;ドセタキセル;ドキソルビシンHCl;エポエチンアルファ;エトポシド(VP−16);フルオロウラシル(5−FU);ガンシクロビルナトリウム;ゲンタマイシン硫酸塩;インターフェロンアルファ;リュープロレリン酢酸塩;メペリジンHCl;メタドンHCl;メトトレキサートナトリウム;パクリタキセル;ラニチジンHCl;ビンブラスチン硫酸塩;およびジドブジン(AZT)。
【0065】
上記のカテゴリーからの有用な医薬物質のさらに具体的な例には以下が含まれる:(a)アンドロゲン阻害剤、代謝拮抗剤、細胞毒性剤、および免疫調節剤などの抗腫瘍剤;(b)デキストロメトルファン、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、ノスカピン、クエン酸カルベタペンタン、および塩酸クロルフェジアノールなどの鎮咳剤;(c)マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸フェニンダミン、マレイン酸ピリラミン、コハク酸ドキシラミン、およびクエン酸フェニルトロキサミンなどの抗ヒスタミン剤;(d)塩酸フェニレフリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩酸プソイドエフェドリン、およびエフェドリンなどの充血除去剤;(e)リン酸コデイン、硫酸コデイン、およびモルヒネなどの様々なアルカロイド;(f)塩化カリウム、塩化亜鉛、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、およびその他のアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩などのミネラルサプリメント;(g)コレスチラミンなどのイオン交換樹脂;(h)N−アセチルプロカインアミドなどの抗不整脈剤;(i)アセトアミノフェン、アスピリン、およびイブプロフェンなどの解熱鎮痛剤;(j)フェニル−プロパノールアミン塩酸塩またはカフェインなどの食欲抑制剤;(k)グアイフェネシンなどの去痰剤;(1)水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムなどの制酸剤;(m)ペプチド、ポリペプチド、タンパク質およびアミノ酸、ホルモン、インターフェロンまたはサイトカイン、ならびにインターロイキン1−18(変異体および類似体を含む)などの他の生物活性ペプチド化合物、RNase、DNase、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)および類似体、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β)、線維芽細胞成長因子(FGF)、腫瘍壊死因子−αおよびβ(TNF−αおよびβ)、神経成長因子(NGF)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、表皮成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子相同因子(FGFHF)、肝細胞成長因子(HGF)、インスリン成長因子(IGF)、浸潤阻害因子−2(IIF−2)、骨形態形成タンパク質1−7(BMP1−7)、ソマトスタチン、チモシンα1、ガンマグロブリン、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、補体因子、hGH、tPA、カルシトニン、ANF、EPOおよびインスリンなどの生物学的製剤;(n)抗真菌剤、抗ウイルス剤、消毒剤、および抗生物質などの抗感染症剤。
【0066】
あるいは、医薬物質は、メトクロプラミド、センサミド(Sensamide)またはノイセンサミド(neusensamide)(Oxigene社製);プロフィロマイシン(Vion社製);RSR13(Allos社製);チミタク(Thymitaq)(Agouron社製)、エタニダゾールまたはイオベングアン(Nycomed社製);ガドリニウムテキサフィリン(Pharmacyclics社製);BuDR/Broxine(NeoPharm社製);IPdR(Sparta社製);CR2412(Cell Therapeutic社製);LlX(Terrapin社製);などの放射線増感剤であってもよい。好ましくは、生物活性物質は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、アミノ酸、多糖類、成長因子、ホルモン、抗血管新生因子、インターフェロンまたはサイトカイン、およびプロドラッグからなる群より選択される。特に好ましい実施形態では、生物活性物質は、治療薬またはプロドラッグであり、最も好ましくは、化学療法剤、ならびにパクリタキセル、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗炎症剤および抗凝固剤などの他の抗腫瘍剤からなる群より選択される薬物である。
【0067】
生物活性物質は治療的有効量で使用される。生物活性物質の有効量は、使用される特定の材料に依存するが、約1%〜約65%の生物活性物質の量が望ましい場合がある。特定の生物活性物質に関して効果的レベルの治療を達成するためにより少ない量を使用してもよい。
【0068】
滅菌手順
化学組成物を滅菌するための様々な手順が当技術分野で知られている。滅菌は、化学的、物理的、または照射技術によって達成することができる。化学的方法の例には、エチレンオキシドまたは過酸化水素蒸気への暴露が含まれる。物理的方法の例には、加熱(乾熱または湿熱)、レトルト缶詰、およびろ過による滅菌が含まれる。英国薬局方は、効果的な滅菌のために、最低160℃で2時間以上、最低170℃で1時間以上、および最低180℃で30分以上加熱することを推奨している。加熱滅菌の例については、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,136,326号を参照されたい。化学組成物を膜に通すことを使用して組成物を滅菌することができる。例えば、濾過される組成物に対して不活性な材料を含む0.22ミクロンフィルターなどの小さな細孔フィルターを通して組成物を濾過する。ある実施形態では、濾過は、クラス100,000以上のクリーンルームで行われる。照射方法の例には、ガンマ線照射、電子線照射、マイクロ波照射、可視光照射などが含まれる。1つの好ましい方法は、米国特許第6,743,858号;同第6,248,800号;および同第6,143,805号に記載されているように電子線照射であり、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
電子線照射のためのいくつかの光源がある。電子線加速器の2つの主要なグループは、(1)絶縁コア変圧器を使用するダイナミトロン(Dynamitron)と(2)高周波(RF)線形加速器(ライナック(linac))である。ダイナミトロンは、電子にエネルギーを与えるように設計された粒子加速器(4.5MeV)である。高エネルギー電子は、ガラス絶縁ビームチューブ(加速管)の長さ内に配置された加速電極の静電界によって生成および加速される。排出ビームチューブの延長部およびビーム輸送系(ドリフトパイプ)を通って移動するこれらの電子は、ビームウィンドウを通って真空エンクロージャーを離れる前に、「スキャンされた」ビームを生成するために磁石偏向システムにかけられる。線量は、パーセントスキャン、ビーム電流、およびコンベア速度の制御で調整できる。ある実施形態では、使用される電子線放射は、少なくとも約2マイクロキュリー(μCi)/cm
2、少なくとも約5μCi/cm
2、少なくとも約8μCi/cm
2、または少なくとも約10μCi/cm
2の初期フルエンス(流束量)に維持され得る。ある実施形態では、使用される電子線放射は、約2〜約25μCi/cm
2の初期フルエンスを有する。ある実施形態では、電子線線量は、約5〜50キログレイ(kGy)、または約15〜約20kGyであり、具体的な線量は、電子線照射を受ける材料の密度ならびにそこにあると推定されるバイオバーデンの量に応じて選択される。そのような要因は十分に当業技術の範囲内である。
【0070】
滅菌される組成物は、ガラスまたはプラスチックなどの少なくとも部分的に電子線透過性の任意のタイプの容器中にあってよい。本発明の実施形態では、容器は、密封されていても開口部を有していてもよい。ガラス容器の例には、アンプル、バイアル、シリンジ、ピペット、アプリケータなどが含まれる。電子線照射の浸透は、パッケージングの関数である。静止した電子線の側からの十分な浸透がない場合、適切な浸透を達成するために容器を反転させまたは回転させてもよい。あるいは、電子線源を、静止したパッケージの周りで移動させてもよい。製品負荷での線量分布および線量浸透を決定するために、線量マッピングを実施してよい。これにより、製品内の最小および最大線量区域が特定される。
【0071】
可視光を使用した滅菌の手順は、米国特許第6,579,916号に記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。滅菌用の可視光は、滅菌を達成するのに十分な出力と波長幅の従来のジェネレーターを使用して生成できる。ジェネレーターは、PurePulse Technologies,Inc.(4241 Ponderosa Ave,San Diego,Calif.92123,USA)からPureBright(登録商標)インライン滅菌システムの商品名で市販されている。PureBright(登録商標)インライン滅菌システムは、可視光を使用して、表面の太陽光の約90,000倍の強度で透明な液体を滅菌する。UV光の透過量が気になる場合は、従来の紫外線(UV)吸収材を使用してUV光を除去することができる。
【0072】
ある実施形態において、組成物は、少なくとも約10
−3の無菌性保証レベル(SAL)をもたらすように滅菌される。無菌性保証レベルの測定は、例えば、ISO/CD 14937に記載されており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。ある実施形態では、無菌性保証レベルは、少なくとも約10
−4、少なくとも約10
−5、または少なくとも約10
−6であり得る。
【0073】
本発明のある実施形態では、キットの組成物、試薬、または成分のうちの1つまたは複数が滅菌されている。滅菌は、ガンマ線、電子線(電子ビーム)、乾熱滅菌、エチレンオキシド滅菌、またはそれらの任意の組み合わせを使用して達成することができる。キットの組成物、試薬または成分は、水溶液またはそのままで滅菌することができる。
【0074】
ある実施形態において、本発明は、前記滅菌が、エチレンオキシド、過酸化水素、熱、ガンマ線照射、電子線照射、マイクロ波照射、または可視光照射による処理によって行われる前述の方法に関する。
【0075】
送達システム
本発明の接着剤は、例えば、多数の既知の送達デバイスを使用して、患者の創傷、空隙、または損傷した組織に送達することができる。例えば、送達システムは、シングルバレルシリンジシステムであり得る。ある実施形態では、シングルバレルシリンジは、複動式のシングルバレルシリンジシステムである。特定の状況では、ダブルバレルまたはマルチバレルシリンジシステムが望ましい場合がある。一部の場合には、混合チャンバ内で液体の2つ以上の流れを流す送達デバイスが好ましい場合がある。あるいは、2つの固体および2つの液体を混合し、その後これらの液体の流れを別々に混合チャンバに流す送達デバイスが有利となり得る。ある実施形態では、送達は、機械、圧縮空気またはガスなどによって支援され得る。もちろん、送達デバイスのサイズ、送達デバイスの長さ、および/または送達を支援するための機械の使用に変更を加えることができる。
【実施例】
【0076】
本明細書に記載の発明をより完全に理解するために以下の実施例を示す。本出願に記載する例は、本明細書で提供される化合物、組成物、材料、デバイス、および方法を説明するために提供されており、それらの範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0077】
実施例1
破裂圧力試験(Burst Pressure Test)
試験方法および設定
この方法の目的は、軟組織上のシーラントの最大破裂圧力または破壊強度を評価することである。この試験方法は、様々なシーラントの性能を比較する手段を提供する。このプロトコルは、外科用シーラントのバースト10強度の標準試験方法(Standard Test Method for Burst 10 Strength of Surgical Sealants):2015年に再承認されたDesignation F2392−04を応用したものであり、様々な接着剤の品質保証、開発および比較試験のための臨床的に意味のあるモデルとして使用できる。
【0078】
シーラント強度およびシステム故障メカニズムを決定するための試験機(
図1および
図2を参照)は基本的に次のものを含む:
・テストフィクスチャ、テスト基材と塗布されたシーラントとを含む固定フィクスチャ。
流体は一定の速度でフィクスチャに流れ込み、密封された基材の加圧を可能にする。
・Pump Systems社のシリンジポンプモデルNE−1000プログラマブルシングルシリンジポンプ(Programmable Single Syringe Pump)をこのプロトコルで使用する。生理食塩水または20水が試験液である。
・圧力トランスデューサまたはゲージ、コールパーマーから購入したPendoTech PREPS−N−000 PressureMATを用いて流体ラインの圧力を測定する。
・センサによって生成される信号を変換して記録コンピュータに送ることができるマイクロコントローラおよびモニタ25を含む、データ収集システム。
【0079】
破裂圧力試験を実施するために、小腸を新たに採取する。理想的には、採取後24時間以内に組織を使用し、5〜10℃に保つ必要がある。シーラントを塗布する前に試験片を室温に戻す。破裂試験を実施するための基材を調製するために、組織サンプルを各辺の長さが3.0cmの正方形にカットする。3mmの穴開けパンチを使用して、サンプルの中央に穴を作成する。目的が縫合線上での性能を理解することである場合、メスの刃で3mmの切開を行い、単一の縫合点で閉じる。
【0080】
図1に示すように、サンプル基材をホルダ上に固定した後、100μLのシーラントを均一に分散させて穴/切開を覆う。シーラント塗布の5分後、破裂試験を実施することができる。シリンジポンプを、10mL/分の注入速度に設定する。各試験の最大破裂圧力を記録し、組織基材の違いに関連する大きな変動のために少なくとも3回繰り返す。
【0081】
結果
図3は、デキストランアルデヒド固形分の増加が破裂圧力にプラスの影響を及ぼし、破裂圧力値が、デキストランが5%に固定されている場合の83mmHgから20%デキストランでの146mmHgに上昇することを示す。
【0082】
図4は、デンドリマー:デキストランシステムへの酸化アルギン酸塩の添加の影響を示す。酸化アルギン酸塩(5、10または20%)の添加は、破裂圧力値をほぼ2倍にすることが理解できる。
【0083】
図5は、デンドリマー固形分に対する破裂圧力の高い感受性を示す。デンドリマー固形分が10から30重量%に増加すると、破裂圧力がほぼ10倍に上昇する。
【0084】
図6、7、および8は、材料の異なる塗布方法(スプレーとシリンジ)による破裂圧力の結果、および結果に対するデンドリマー溶液のpHの影響(pH=9.3または10)を示す。
【0085】
実施例2
ニュートラルレッドの取り込み、細胞毒性の評価
ニュートラルレッド取り込みは、FDAガイダンスドキュメントISO−10933:「医療機器の生物学的評価」に準拠した細胞生存率/細胞毒性の評価を提供し、医療機器の評価に広く使用されている。簡単に説明すると、試験品を24時間浸漬させて浸出性または分解生成物を抽出および溶解させた培地に細胞を曝す。処理培地に細胞を24時間曝す。ニュートラルレッドへの曝露後、生細胞はニュートラルレッド色素を吸収し、それをリソソームに組み込むことができる。細胞を溶解させた後、ニュートラルレッドの色素が放出され、生細胞に比例する吸収によって定量化することができる。生細胞の割合(%)を、細胞培地が材料で処理されない対照と比較する。
【0086】
表1は、
図9に示すNRU試験のための様々なポリマーの濃度を要約する。試験したすべての配合物は、70%を超える生存率値を示し、これは生体適合性の結果と見なされる。
【表1】
【0087】
図10および11は、細胞生存率に対するpHの影響を示す。一部の低pHのデンドリマーサンプルの生体適合性にほんのわずかな低下があるが、試験した組成物のほとんどが高い細胞生存率を維持している。
【0088】
実施例3
生体適合性接着剤の例示的配合
【表2】
【0089】
以下の「デンドリマー側」および「多糖類側」への言及は、ダブルバレルシリンジに別々に充填される2つの混合物に関するものである。
図12を参照されたい。
【0090】
30%Dend pH9.3+20% AlgOx
デンドリマー側はpH9.3の水溶液中の30wt%のPAMAMデンドリマーを含み、デンドリマーの表面基の25%がアミンであり、多糖類側は水溶液中の20wt%の酸化アルギン酸塩を含み、酸化アルギン酸塩の単糖の40%がアルデヒド基を含む、シーラント配合物(sealant formulation)。2つの液体成分が混合されると、それらは約10秒でヒドロゲルを形成する。
【0091】
30%Dend pH10.6+20% AlgOx
デンドリマー側はpH10.6の水溶液中の30wt%のPAMAMデンドリマーを含み、デンドリマーの表面基の25%がアミンであり、多糖類側は水溶液中の20wt%の酸化アルギン酸塩を含み、酸化アルギン酸塩の単糖の40%がアルデヒド基を含む、シーラント配合物。2つの液体成分が混合されると、それらは5秒未満でヒドロゲルを形成する。
【0092】
15%Dend pH9.3+20% AlgOx
デンドリマー側はpH9.3の水溶液中の15wt%のPAMAMデンドリマーを含み、デンドリマーの表面基の25%がアミンであり、多糖類側は水溶液中の20wt%の酸化アルギン酸塩を含み、酸化アルギン酸塩の単糖の40%がアルデヒド基を含む、シーラント配合物。2つの液体成分が混合されると、それらは約30秒でヒドロゲルを形成する。
【0093】
15%Dend pH10.6+20% AlgOx
デンドリマー側はpH10.6の水溶液中の15wt%のPAMAMデンドリマーを含み、デンドリマーの表面基の25%がアミンであり、多糖類側は水溶液中の20wt%の酸化アルギン酸塩を含み、酸化アルギン酸塩の単糖の40%がアルデヒド基を含む、シーラント配合物。2つの液体成分が混合されると、それらは約15秒でヒドロゲルを形成する。
【0094】
30%Dend pH9.3+10% AlgOx
デンドリマー側はpH9.3の水溶液中の30wt%のPAMAMデンドリマーを含み、デンドリマーの表面基の25%がアミンであり、多糖類側は水溶液中の10wt%の酸化アルギン酸塩を含み、酸化アルギン酸塩の単糖の40%がアルデヒド基を含む、シーラント配合物。2つの液体成分が混合されると、それらは約20秒でヒドロゲルを形成する。
【0095】
30%Dend pH10.6+10% AlgOx
デンドリマー側はpH10.6の水溶液中の30wt%のPAMAMデンドリマーを含み、デンドリマーの表面基の25%がアミンであり、多糖類側は水溶液中の10wt%の酸化アルギン酸塩を含み、酸化アルギン酸塩の単糖の40%がアルデヒド基を含む、シーラント配合物。2つの液体成分が混合されると、それらは約10秒でヒドロゲルを形成する。
【0096】
15%Dend pH9.3+10% AlgOx
デンドリマー側はpH9.3の水溶液中の15wt%のPAMAMデンドリマーを含み、デンドリマーの表面基の25%がアミンであり、多糖類側は水溶液中の10wt%の酸化アルギン酸塩を含み、酸化アルギン酸塩の単糖の40%がアルデヒド基を含む、シーラント配合物。2つの液体成分が混合されると、それらは約45秒でヒドロゲルを形成する。
【0097】
15%Dend pH10.6+10% AlgOx
デンドリマー側はpH10.6の水溶液中の15wt%のPAMAMデンドリマーを含み、デンドリマーの表面基の25%がアミンであり、多糖類側は水溶液中の10wt%の酸化アルギン酸塩を含み、酸化アルギン酸塩の単糖の40%がアルデヒド基を含む、シーラント配合物。2つの液体成分が混合されると、それらは約25秒でヒドロゲルを形成する。
【0098】
30%Dend pH10.6+15% DexOx&10% AlgOx
デンドリマー側はpH10.6の水溶液中の30wt%のPAMAMデンドリマーを含み、デンドリマーの表面基の25%がアミンであり、多糖類側は水溶液中の10wt%の酸化アルギン酸塩および15wt%の酸化デキストランを含み、酸化アルギン酸塩のモノマー単位の40%がアルデヒド基を含み、酸化デキストランのモノマー単位の50%がアルデヒド基を含む、シーラント配合物。2つの液体成分が混合されると、それらは5秒未満でヒドロゲルを形成する。
【0099】
30%Dend pH9.3+15% DexOx&10% AlgOx
デンドリマー側はpH9.3の水溶液中の30wt%のPAMAMデンドリマーを含み、デンドリマーの表面基の25%がアミンであり、多糖類側は水溶液中の10wt%の酸化アルギン酸塩および15wt%の酸化デキストランを含み、酸化アルギン酸塩のモノマー単位の40%がアルデヒド基を含み、酸化デキストランのモノマー単位の50%がアルデヒド基を含む、シーラント配合物。2つの液体成分が混合されると、それらは約10秒でヒドロゲルを形成する。
【0100】
30%Dend pH10.6+15% DexOx&3% AlgOx
デンドリマー側はpH10.6の水溶液中の30wt%のPAMAMデンドリマーを含み、デンドリマーの表面基の25%がアミンであり、多糖類側は水溶液中の3wt%の酸化アルギン酸塩および15wt%の酸化デキストランを含み、酸化アルギン酸塩のモノマー単位の40%がアルデヒド基を含み、酸化デキストランのモノマー単位の50%がアルデヒド基を含む、シーラント配合物。2つの液体成分が混合されると、それらは5秒未満でヒドロゲルを形成する。
【0101】
30%Dend pH9.3+15% DexOx&3% AlgOx
デンドリマー側はpH9.3の水溶液中の30wt%のPAMAMデンドリマーを含み、デンドリマーの表面基の25%がアミンであり、多糖類側は水溶液中の3wt%の酸化アルギン酸塩および15wt%の酸化デキストランを含み、酸化アルギン酸塩のモノマー単位の40%がアルデヒド基を含み、酸化デキストランのモノマー単位の50%がアルデヒド基を含む、シーラント配合物。2つの液体成分が混合されると、それらは約15秒でヒドロゲルを形成する。
【0102】
シーラントの組成は、それぞれのシリンジ側での各成分の重量%で表される。
図12の例は、30wt%のデンドリマー+15wt%の酸化デキストランおよび10wt%の酸化アルギニン酸塩を含むシリンジを示す。
【0103】
シーラントの最終組成(混合して塗布した後)は、混合物が各側から1:1である場合、15wt%デンドリマー+7.5wt%酸化デキストランおよび10wt%酸化になる。
【国際調査報告】