(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
交換媒体を保持する1つ以上のチャンバを画定する内面及び外面を有する環状体であって、前記内面及び外面が複数の開口部を画定し、前記内面が前記環状体の第1の端部において中央開口部と流体連通する中央容積を画定する、前記環状体を備える、工業排水を処理する装置であって、
流体容積内で回転するとき、前記環状体は、前記中央開口部を介して前記中心容積内へ、前記内面によって画定される前記開口部を介して前記1つ以上のチャンバ内へ、及び前記外面によって画定される前記開口部からの流体の流れを促進する、装置。
前記内面及び外面によって画定される前記開口部よりも小さい開口部を有するメッシュを備え、前記メッシュは前記交換媒体を前記1つ以上のチャンバ内に保持する、請求項1に記載の装置。
前記環状体が規定量の交換媒体を保持するように構成され、前記規定量は、前記1つ以上のチャンバ内の交換媒体の深さが前記1つ以上のチャンバを流れる前記流体の所望の流量又は滞留時間に対応するように決定される、請求項1に記載の装置。
中空部に連結され、前記容器内の開放部を取り囲む前記容器の外部部分に確実に装着されるように構成される容器開口アダプタプレートを備え、前記容器開口アダプタプレートが前記容器の前記外部部分に確実に装着されるとき、前記マストが前記容器内の前記流体容積内に延在する、請求項13に記載のシステム。
前記回転床装置をマストの内部を介して前記流体容積内に位置決めするステップを含み、前記マストは支持体上に装着可能であり、前記マストは前記流体容積に向かって又は前記流体容積内へ延在する、請求項15に記載の方法。
容器内の開口部の大きさに基づいて前記容器に固定するように調整可能に構成され得るアダプタ装置を用いて、前記流体容積を含む容器の開口部に前記マストを固定するステップを含む、請求項16に記載の方法。
前記流体内の前記回転床装置を、前記流体容積の重心より上の位置に、又は前記流体容積の重心から半径方向にオフセットした位置に位置決めするステップを含む、請求項15に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい実施形態及び他の例示的な実施形態は、添付の図面に関連して開示される。
【0013】
いくつかの実施形態では、例示的なRBA(回転床装置)は、分解することなく原子力分野で使用する媒体と共にイオン交換に使用することができる。いくつかの状況では、RBAは少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも95%の汚染物質を数時間以内に除去することができる。いくつかの実施形態では、RBAを使用して、RBA内のチャンバを様々なイオン交換媒体で充填することによって複数の汚染物質を同時に除去することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、RBAは効率的な混合装置を提供することができる。いくつかの状況では、直径400mm、高さ800mmの単一のRBAで、2900m
3の液体を含む廃液タンクの内容物を効果的に撹拌しかき混ぜる(agitate and stir)ことができる。RBAは、遠隔ラッチ及び脱ラッチRBAを有する工学的方式を使用して配備することができる。RBAによる核廃水処理に関連するコストは、従来の固定床イオン交換システムを使用するコストよりも低い。
【0015】
いくつかの実施形態及びいくつかの状況では、RBA技術は従来の水処理システムと比較して多くの利点がある。1つの潜在的な利点としては、RBAシステムは、配管、弁、ポンプ、圧力容器、制御システム、センサ、圧力計及び漏洩の可能性のある多数の接続部を必要とする従来の水処理システムよりも使用設備が少ないことである。従来の水処理システムは操作が比較的複雑であり、化学的性質に問題がある。いくつかの実施形態及び/又は状況では、本出願の態様により貯蔵タンク又はプールから処理設備への廃棄物の汲み上げに関連するコストを低減し、及び/又は潜在的危険性を最小限にすることができる。また所与量の廃水処理に必要な時間を短縮し、利用可能な媒体容量をより良く利用することにより、固形廃棄物の生成量を削減することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、RBAが任意の適切な量の液体を処理するように構成することができる。一実施形態では、RBAは44m
3/時又は200gpm(0.76m
3/分)を処理することができる。これは30〜35gpm(0.11〜0.13m
3/分)を処理する通常の核廃水システムよりも約6倍速い。
【0017】
イオン交換及び/又は逆浸透等の従来の処理システムは、RBAと同じ流れを提供するために、2つの列、非常に大容量の容器及びいくつかの二重経路付き膜アレイを必要とする。このタイプのシステムは持ち運びできず、全てのタンク施設の中央に設置する必要がある。タンクの水は敷地を横切る配管とホースを介してポンプで汲み上げなければならない。相対コストが高い。
【0018】
従来のイオン交換システム、特に逆浸透システムは、イオン交換床及び感応膜の汚れを防止するために前濾過及び後濾過を必要とする。これらの濾過器によって、多量の廃棄物及び濾過器の関連コスト、濾過器交換による処分及び必要作業員が増加する。
【0019】
従来のイオン交換及び逆浸透システムは、44m
3/時が可能な2列システムに対して60〜120平方メ−トルのような大きな設置面積を必要とする。これら全ての設備を建物又は何らかの囲いで天候から保護し、凍結しないように加熱しなければならない。これにより全体的なコストが著しく増加する。
【0020】
いくつかの実施形態では、RBAシステムが含み得る設備はより単純で少量であり、RBAシステムは携帯可能であり、ほとんどの状況において建物又は加熱装置を必要としない。RBAを設置してタンク内の水に接近可能な場合、最小限の支援業務で処理することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、RBAは軸に接続される多孔質コンテナ内に置かれているイオン交換媒体を含むことができる。RBAを廃液中に下ろし、外部駆動モータを使用して回転させることができる。動作中、水又は他の流体がRBAの中心部に吸引され、媒体を通して排出される。原子力用途では、従来のイオン交換システムの代わりに(又はそれに加えて)RBAで放射性汚染物質を除去することができる。
【0022】
いくつかの状況では、いくつかのRBAシステム、装置及び/又は方法の実施形態は、1つ以上の利点がある。(1)処理プラントが(一時的又は永久的に)不要であること。(2)この手法は懸濁固形物による汚染に耐性があるため、濾過を必要とする可能性が低いこと。(3)処理済排水の受入容器が不要であること。(4)配備時間を大幅に短縮することができること。(5)使用済カートリッジは使用後にタンク内の水の上方で回転させるだけで脱水し、埋設場所で受け入れることができること。(6)標準プラントと比較して設置面積が最小であること。(7)コストを著しく削減すること。(8)単一の汚染脱水放射性カートリッジを処分するという簡素化によって廃棄物管理コストを削減すること。又は(9)そうでなければ作業者が放射線量を受けることになる複数の工程段階を除去することによって、ALARA(合理的に達成可能な限り低い)を非常に強化すること。加えて、いくつかの状況及び/又は実施形態では、放射性排水を収容するタンク/コンテナ内で全ての動作を単純な遠隔操作で行うことができ、これにより作業者の放射性源物質との接触を最小限に抑えることができる。
【0023】
原子力産業界には、従来の固定床システムを使用する場合と比較してかなりのコスト及び/又は時間の節約を達成できるRBAの用途が複数ある。その一例が、日本の福島第一原子力発電所に貯蔵されている放射性廃棄物の処理である。これらの廃棄物には、生物蓄積性のために特に環境上懸念される放射性同位体I−129が大量に含まれる。従来の手法でこれらの廃棄物を処理するには大規模な固定床イオン交換プラントを建設する必要があり、貯蔵タンクから処理施設まで大量の廃棄物を運ぶリスクがある。これは環境漏洩/流出による環境リスクの増加をもたらす。本出願の態様はRBAを使用してタンク内の廃棄物を直接処理する代替的な手法を提供することができ、これにより液体移動を最小限に抑え、環境リスクを軽減する。
【0024】
RBAを採用することができる追加の用途には以下のものが含まれるが、これらに限定されない。(1)放射性使用済燃料及び他の固形廃棄物を貯蔵する燃料プール内の浮遊(静的又は移動式)台から配備すること。(2)商業用原子力発電所における既存の固定イオン交換システムと置き換えること。これは高健全性コンテナ(HIC)又は他のタンク若しくは容器の最上部に配置して、廃液を処理し、使用済イオン交換樹脂を遠隔で排出し、新しいイオン交換樹脂を連続的な流れ工程で再装填することを含む。(3)Cs−137、Tc−99、Sr−90、I−129を含むがこれらに限定されない高レベル廃棄物(HLW)タンク内の懸念される特定の放射性核種を抽出すること。いくつかの実施形態では、RBAをサイズ決定及び装填することで放射線分解による過剰な水素の生成及び同位体崩壊による過剰な熱の発生を回避することができる。HLW処理に対して固定イオン交換カラムを使用するとき、これら2つが大きな制限をかける要因となる。(4)ガラスの完全性低下又はガラス化工程(例えばクロム酸塩)の間等の廃棄物負荷を最小限にする非放射性種を抽出すること。(5)1回の使用用途に対してRBAにイオン交換媒体を充填することに加えて、並びに連続的及び複数回用途に対してRBAに媒体を遠隔的に充填及び排出することに加えて、いくつかの実施形態では、RBAは再使用可能なRBAにおいてイオン交換媒体の使い捨て前装填カートリッジを使用するように構成することができる。いくつかの状況では、これによりカートリッジ内の使用済イオン交換媒体を分離して、個々のイオン交換媒体及び関連する放射性核種を効率的に廃棄処分することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、RBAの構成は以下を含む。(1)遮蔽−RBA交換又は交換中に媒体に吸着される放射性同位体による作業者の線量を低減する。(2)自動化−RBAと作業者との接触を最小限に抑えるように構成され、放射能に関連する危険性を低減する。(3)RBA構成−様々な用途及び状況に応じて構成を修正することができる。(4)媒体選択−使用するRBA内のスクリーンの大きさを選択して媒体を保持することによって、固定床IXシステムと比較してより粒子径の小さい媒体を使用することができ、媒体の反応速度の改善、廃棄物処理時間の短縮及びプロジェクトコストの削減をもたらす。(5)場合によってはRBAを使用して固体粒子状非放射性廃棄物を除去することが必要とされることがあり、これはRBA内にPOWDEX(登録商標)等の粉末濾過媒体を導入することによって、又は連続的に細孔径を減少させる複数の段階的かつ目盛り付きの濾過スクリーンを追加してRBA周囲全体にわたり汚れのない段階的な濾過を提供することによって達成することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、回転床装置を使用して、溶液と固相との間の物質移動が不十分であるために反応速度が遅くなることを最小限に抑えることができる。回転床の構成は柔軟性があり、いくつかの状況では、触媒、吸着剤及びイオン交換体を含む多数の種類の固相との不均一反応に使用することができる。回転床装置を利用することで、いくつかのシナリオでは、工程の種類に応じて工程の高速化、高収率化又は試薬消費量の削減をもたらすことができる。加えて、回転床装置はいくつかの状況では粉砕及び微粒子を最小限に抑えることで固相粒子の寿命を延ばすことができ、同時に固相回収及び再利用を簡素化することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、回転床装置の構成により異なる同位体又はイオンをターゲットとする複数種類のイオン交換媒体を保持することができる。一実施形態では、異なるイオン交換媒体を回転床装置内で同時に使用することができ、例えば、異なるイオン交換媒体を回転床装置内の別個の区画に置くことができる。これにより固定床イオン交換システムと比較して回転床装置を柔軟にすることができる。別の実施形態では、回転床装置で単一のイオン交換媒体を使用することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、大規模工業用途の回転床装置がかなりの大きさ及び/又は重量を有する場合がある。したがっていくつかの実施形態では、小規模又は実験室サイズの用途とは対照的に、構造上及び/又は支持上の考慮事項が重要な技術的課題となり得る。核関連又は他の用途では、ある種の高純度物質への人間の曝露を最小限に抑えるというさらなる技術的課題をもたらす場合もある。
【0029】
図18は、例示的な装置8000及び/又はシステム8001の態様を示す。いくつかの実施形態では、装置及び/又はシステムは、回転がRBAの交換媒体(例えば、イオン交換材料)床を横切る液体の半径方向の流れを誘発することに基づいて構成される。いくつかの実施形態では、外部ケーシング及び内部ケーシング並びに上板及び下板によって形成されるアニュラス部によって媒体を収容する。いくつかの実施形態では、上板及び下部板は軸線方向の流れを防止するアニュラス部の最上部及び底部を閉鎖する。しかしながら、内部ケーシング及び外部ケーシングは両方とも穿孔され、流体の半径方向の流れを可能にする。図示の穿孔の大きさは単に例示的なものであり、必ずしも縮尺通りではない。いくつかの実施形態では、内部ケーシング及び外部ケーシングは粒状交換媒体を封じ込める1つ以上の(例えば、内部及び外部の)メッシュを構造的に支持する。
【0030】
いくつかの実施形態では、アニュラス部に多数の仕切り又はバッフルを設けることができる。いくつかの実施形態では、これらは半径方向に配向することができる(4つ示しているが、任意の偶数が許容される)。いくつかの実施形態では、アニュラス部の内部構造によって交換媒体を保持する複数のチャンバを設けることができる。
【0031】
(イオン)交換工程を行うためにRBR(回転床反応器)を回転させる。RBRの回転により、RBRをラジアルポンプと同じ又は類似の方法で作動させる。バッフル及び媒体が回転し、それにより求心加速度によって媒体間隙を通って水を外向きに押し出す。RBRを通る液体の外向き半径方向移動によって、開放内部コアから媒体を通って半径方向外向きに、そして外部ケーシングを通って再びバルクタンク内へ入る流体の流れを生成する。いくつかの実施形態では、回転を継続することでこの流体の流れを維持し、それによってRBRを通るポンプ作用を誘発することができる。媒体上の流体の流れは、(イオン)交換工程を可能にする/容易にする。
【0032】
いくつかの実施形態では、RBRの回転速度を各個々の用途の要件(例えば、流体の種類/組成物、交換媒体、流体容積/寸法等に基づく)に応じて制御する。いくつかの実施形態では、RBRの回転速度が200〜500rpmの間で効果的であることが示されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、装置は内面を有する環状体901を含み、次いで、外面は交換媒体を保持する内部容積に対する1つ以上のチャンバを画定する。いくつかの実施形態では、内面及び外面に複数の開口部を見出す。環状体の有孔外部ケーシングは、交換媒体802を含むメッシュを構造的に支持する。メッシュの細孔径は交換媒体の種類に依存する。いくつかの実施形態では、メッシュ細孔径は約100ミクロンである。メッシュ細孔の大きさ及び外部ケーシング内のより大きな穴の大きさは、異なる用途に最適化することができる。いくつかの実施形態では、構造的ケーシングとメッシュの組み合わせの構成により、RBRがその動作速度で回転するときに生じる負荷の下で媒体がアニュラス部から漏れるのを防止する。
【0034】
環状体の有孔内部ケーシングはメッシュを構造的に支持し、媒体が内径上でアニュラス部から漏れるのを防止する。いくつかの実施形態では、求心加速度によって回転負荷が内部メッシュに伝わらないため、内部メッシュに対する構造的要件はより少ない。
【0035】
いくつかの実施形態では、環状体は含有中央開口部を画定する下板を含む。いくつかの実施形態では、RBRの下板は媒体が格納容器アニュラス部から漏れるのを防止する。いくつかの実施形態では、板の中央部は内部RBRコア直径と同様の直径の開口部を提供するように開いており、それによってバルク液体容積から開口部を通ってRBRの開放コア(中心容積)への流体の自由な流れを可能にする。
【0036】
いくつかの実施形態では、装置はバッフルを含む。いくつかの実施形態では、バッフルは媒体の回転をRBRの回転に拘束する。いくつかの実施形態では、バッフルを使用することで異なるタイプの媒体を使用してRBRを充填することも可能である。いくつかの実施形態では、RBRは直径方向に反対側のアニュラスセクションを同じ媒体で充填することによって平衡化する。
【0037】
いくつかの実施形態では、交換媒体802は粒状形態である。媒体は、アニュラス部が媒体で一杯になるか、又は流れ、流体及び媒体の考慮事項に基づいて充填されるまで、RBRに形成される開口部のセクションに注ぐことができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、環状体は上板803を含む。いくつかの実施形態では、上RBR板はバルク液体コンテナからRBRの中央コアへの流体の流れを可能にする中央開口部を任意に含む。上板上の接合ディテールによってRBRを駆動軸804に固定可能にし、モータの回転をRBRの回転に変換する機構を提供する。
【0039】
いくつかの実施形態では、システム及び/又は装置は回転防止フレーム806等の回転防止構造を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、システム及び/又は装置は1つ以上の下部軸受805及び/又は上部軸受810を含み、回転防止フレーム806内で駆動軸を回転可能にする駆動軸を支持する。
【0041】
いくつかの実施形態では、回転防止フレーム806は構造体及び/又はフレームを含み、これらを使用してモータ及び駆動軸を支持する。いくつかの実施形態では、回転防止フレ−ムはモータ及びRBRを連結する駆動軸を支持する2つの軸受を支持する。駆動軸を支持することに加えて、いくつかの実施形態では、回転防止フレームを使用して駆動時にRBR及びモータ組立体全体が回転するのを防止することができる。いくつかの状況では、全ての回転部品及び廃液内のRBRの抵抗によりトルクをモータに伝え戻し、これを反応させて組立体全体が回転するのを防止しなければならない。したがっていくつかの実施形態では、フレームは固定配備フレーム(マスト等)に対して反応するように構成される多数(2層の各々に示される4個)の回転防止転がり軸受807を支持することができ、組立体の不要な回転を防止しながらRBR及びモータ組立体の配備及び格納を可能にする。
【0042】
いくつかの実施形態では、システム及び/又は装置は軸受のセットを含むことができる回転防止軸受807を含み、これを使用してRBRを固定配備構造に戻すトルク反作用を提供する。
【0043】
いくつかの実施形態では、システム及び/又は装置は肩付きねじ808又は他の1つ以上の取り付け機構を含み、回転防止転がり軸受を回転防止フレームに固定する。
【0044】
いくつかの実施形態では、システム及び/又は装置は駆動軸継手809を含み、駆動軸をモータの出力軸に接続する。
【0045】
いくつかの実施形態では、システム及び/又は装置は駆動モータ811を含む。いくつかの実施形態では、駆動モータは回転電力を供給して廃液内でRBRを回転させる電気駆動モータであるか、又は電気駆動モータを含む。図示の駆動モータは任意の動作に対してサイズ決定されておらず、その大きさは目安にすぎない。いくつかの実施形態では、モータは処理される廃液からモータを守るように装着される。しかしながら他の実施形態では、モータはRBR及び駆動組立体全体を水没させることを可能にする水中モータ駆動システムであってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、システム及び/又は装置は構造ハウジングを含むモータハウジング812を含み、動作中のモータの損傷を防止する。いくつかの実施形態では、システム及び/又は装置は
図18に図示する昇降フック813のような昇降機構を含む。
【0047】
昇降機構は、RBR及び/又は駆動システムを処理されるバルク液体の内外で昇降させる機構を提供する。昇降の原動力は、例えばシステム配備構造に組み込まれる外部ホイスト又は他の機構によって提供することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、システム及び/又は装置は伸縮具/ユニットを含み、環状体を流体容積内に昇降させるか、又はそうでなければ位置決めする。
【0049】
図19は、例示的な装置9000及び/又はシステム9001の態様を示す断面図である。いくつかの実施形態では、例示的な装置9000及び/又はシステム9001は、昇降フック901と、モータハウジング902と、上部軸受903と、回転防止フレーム904と、下部軸受905と、開放下部中央開口部906と、有孔内部コア907と、有孔外部ケーシング908と、固体下板909と、交換媒体(RBR内に収容される)910と、本体911と、開放中央開口を含む固体上板912と、回転防止転がり軸受913と、駆動軸914と、駆動軸継手915と、駆動モータ916と、を含むことができる。
【0050】
図20は、例示的な装置9000及び/又はシステム9001の上面図の態様を示す。
【0051】
図21は、例示的な装置2100の態様を示す半径方向断面図である。この図は、有孔外部ケーシング2101と、有孔内部コア2102と、開放下部中央開口部2103と、半径方向バッフル2104と、の例を示す。
【0052】
図22は、
図21に示す線A−Aに沿った例示的な装置2100の態様を示す軸線方向断面図である。下板は2105とラベル付けしている。
【0053】
いくつかの実施形態では、RBRは特定の用途に応じてサイズ決定される。例えば、RBRを大きくして所与の開口部(例えば、容器開放部及び/又はマスト内)に嵌合させ、また十分に小さくして廃棄用200リットルドラム缶内に嵌合させる。RBRは、他の用途/配備の要件に基づいてサイズ決定することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、大部分の構成要素の材料を所与の用途に応じて選択する。いくつかの実施形態では、環状体内の構成要素等の構成要素は腐食防止用のステンレス鋼である。侵食性環境では、再使用及び/又はより大きなRBRに対して炭素鋼を使用することができる。いくつかの実施形態では、いくつかの構成要素を例えば使い捨て可能な部品、例えばカートリッジシステム等のプラスチックとすることができる。
【0055】
<核タンク廃棄物処理への応用>
いくつかの実施形態では、回転床装置を使用して、原子力発電所等における核反応によって通常生成される放射性核種等の放射性物質で汚染された、タンクに貯蔵されている廃水を処理することができる。回転床装置は、貯蔵タンクの最上部の穴を介して汚染水に挿入することができる。
【0056】
以下の仮定のより多くに当てはまるとき、回転床装置を使用してタンクに貯蔵される汚染廃水を処理することがより容易になることを理解されたい。もちろん以下の仮定のいずれも、本出願又は任意の他の用途における回転床装置の使用要件ではない。
・放射線レベルが非常に低く、手動での介入/操作が実用的であること。
・事業所所有者によって及び/又はRBR配備前に処理水のサンプリング及び分析を行うこと。
・回転床装置が配備されているタンクへクレーン及び運搬車が走行して接近可能であること。
・タンク周辺の道路及び土地が利用可能であり、回転床装置の動作中にクレーン及び運搬車を使用できること。
・タンクの最上部及びタンク開放部に作業員が完全に接近できること。
・タンクアクセス開放部は少なくとも200mm、好ましくは600mmであること。
・回転床ユニットは一度使用すると廃棄し、再充填しないこと。
・各回転床装置を一度使用して廃棄すること、又は媒体を排出して再装填することができること。排出された媒体は、高健全性コンテナ又は他の適切なコンテナに廃棄することができること。
・回転床装置は、全開蓋及びバンドクランプ係止蓋付き200Lドラム缶(直径590mm、高さ900mm)に収納できること。
・各回転床装置の寸法は、高さ800mm、直径400mm(アスペクト比2:1)であること。
・イオン交換媒体密度は700kg/m
3であること。
・回転床装置はタンク内の水位より上で回転し、処理後の余分な水を除去すること。
・回転床ユニットを含む湿潤又は汚染された機械物品をプラスチック又は構成コンテナで覆い、タンクから取り出すときに汚染を防止すること。
・回転床装置は、約2.5m×12mの平台型トレーラで輸送可能であること。
【0057】
<回転床装置のサイズ決定>
回転床装置は、任意の適切な大きさにできることを理解されたい。貯蔵タンク内の汚染廃水の処理に使用する場合、回転床装置の大きさは、タンク最上部のアクセス開放部に嵌合するように十分小さくすべきである。
【0058】
一実施形態では、回転床装置の外径は600mm以下(機械的取付具及びハウジングを考慮すると約400mm)であり、アクセス開放部に嵌合する。大きさの観点から、タンク内処理用回転床装置の主な寸法制限がアクセス開放部の寸法となる。イオン交換媒体の容積を最大化するために、回転床装置の寸法は2:1のアスペクト比、例えばH(高さ):800mm、OD(外径):400mmとすることができる。これらの寸法には付加的な利点があり、一旦利用した回転床装置を従来の200リットルドラム缶(約590mm×900mm)に移し、一時的な保管及びその後の廃棄ができる。
【0059】
回転床装置は、任意の適切なイオン交換媒体容量を有することができる。一実施形態では、回転床装置の容量は同じ媒体を有する固定床イオン交換システムのイオン交換媒体の最小容量と少なくとも同程度とすることができる。しかしながら、一般的に媒体使用効率の向上及び物質移動効果の改善のために、回転床装置で使用するときには固定床イオン交換カラムと比較して媒体の装填容量はより大きくなる。
【0060】
RBRの所与の床容積に対して、異なる床形状により異なる流量及び結果をもたらす可能性がある。試験では、96LのRBRをその円筒軸線に沿ってそれぞれ1.5倍及び2倍延伸した。これにより
図27に見られるようにアスペクト比が2:1、3:1及び4:1(高さ:外径)となった。容積を一定に保つために、それに応じて内径を大きくして床を薄くした。200rpmでの3つの大きさの流量は、以前と同じ床抵抗(1.0E10m
−2)でそれぞれ11m
3/h、32m
3/h、52m
3/hであった(
図27)。以下の表から、RBRのアスペクト比を調節して長さを増加させ、又は床の深さを減少させることで、RBRを通る流量を著しく変化させることができると分かる。
【0062】
いくつかの実施形態では、交換媒体及び/又は環状体などの装置/システムの態様は、所望の流量に基づく高さ/深さ比を有するように構成される。いくつかの実施形態では、この比は装置を挿入しなければならない開口部の大きさ(例えば、容器開放部又はマスト内部)にも依存する。
【0063】
<回転床装置のタンク内配備選択肢1>
回転床装置を貯蔵タンク内に配備し、汚染廃水を処理することができる方法は多数ある。以下に2つの選択肢をより詳細に説明する。第1の選択肢を
図1〜4に示す。これは、回転床システム(回転床配備システムとも呼ばれる)の様々な構成要素の斜視図を示す。この構成では台を利用し、より直接的な手動操作を行う。
【0064】
図1は、タンク内廃棄物処理用途の例示的な回転床配備システムの斜視図である。
図2は、モジュール式機械設備の収容に使用できる例示的な平台運搬車の斜視図である。
図3は、タンクの最上部に配置される例示的な作業台の斜視図であり、タンク内に延在するRBA構造を示す。
図4は、マスト内の例示的なRBA駆動モジュールユニットの斜視図である(左側)。
図4Aは、RBA単体を示す(右側)。いくつかの実施形態では、工業排水を処理する方法は、交換媒体を保持する1つ以上のチャンバを備える回転床装置を流体容積内に位置決めするステップと、回転床装置を回転させて回転床装置の1つ以上のチャンバを通る流体の流れを促進するステップと、を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、本方法は、マストの内部を介して回転床装置を流体容積内に位置決めするステップを含み、マストは支持体上に装着可能であり、流体容積に向かって又は流体容積内に延在する。
【0066】
いくつかの実施形態では、本方法は、流体容積内の回転床装置を第1の期間中第1の速度で回転させて、流体容積の混合を容易にするステップと、流体容積内の回転床装置を第2の期間中第2の速度で回転させて、交換媒体のイオン交換又は吸着を可能にする滞留時間を提供するステップと、を含む。いくつかの実施形態では、RBAの回転速度は、例えば本明細書に記載される試験に例示するように試験試料に基づいて又は別の方法で特定することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、本方法は、回転床装置の回転中にマストに対して回転床装置を支持するステップを含む。いくつかの実施形態では、RBAはマスト又は他の構造に当接又は別の方法で係合可能な回転防止構造を使用して支持される。
【0068】
図5は、
図1に示す回転床システムの機械的配備手順の例示的な実施形態の態様を示す流れ図である。手順は、以下のステップのうち1つ以上を含むことができる。ステップ1:RBAマストと、タンク開放部アダプタプレートと、RBAユニットと、RBA駆動モジュール付き頂冠ハウジングと、モジュール式調節可能作業台と、必要な遮蔽格納容器と、を平台運搬車でタンク位置まで輸送する。クレーンは設備の移動用に設定されている。ステップ2:手すり及びハウジングを有するタンクトップのモジュール式台を持ち上げ、タンク開放部の最上部に装着する。通常のタンクはしごを使用して作業者が接近する。支持設備、発電機、噴霧リング給水装置及び遮蔽コンテナ保持装置は地上に配置し、必要に応じて接続する。
【0069】
ステップ3:タンクハッチを手動で取り外す。タンク開口部アダプタ装置(タンク開放部と台の間に噴霧リングを含む)を設置する。ステップ4:クレーンでRBAマストを持ち上げ、開口部を通してタンク内に下ろし、アダプタ装置に固着させる。次いでクレーンを切り離す。ステップ5:地上で、RBAユニットを頂冠内に収容されるRBA駆動モジュールに接続する。この接続されたシステムをアダプタ装置まで持ち上げる。この頂冠部はアダプタ装置に固着されている。サービスをウィンチと電気駆動モータに接続し、次いでRBAユニットをマスト内に下ろして動作可能な状態にする。
【0070】
ステップ6:タンク内のRBAを作動させて排水を一定時間処理する。ステップ7:RBAを交換してタンク内の排水処理を継続する必要があるか?その場合は、ステップ8及び9に従ってRBA駆動モジュールとRBAユニットを取り外し、ステップ5及び6に従って交換用RBA駆動モジュールとRBAユニットを取り付ける。ステップ8:噴霧リングを通してRBA駆動モジュールとRBAユニットを最上位置まで上げ、タンク内で回転乾燥させ、ウィンチとモータからサービスを切り離す。クレーンを使用して頂冠部を持ち上げ、RBAユニットを取り外して格納容器に入れる。ステップ9:クレーンを使用してRBA駆動モジュール(頂冠部に収容されている)とRBAユニットを運搬車まで持ち上げる。
【0071】
ステップ10:クレ−ンをRBAマストに取り付け、タンクから切り離す。噴霧リングをオンにし、噴霧リングを通してRBAマストを持ち上げ、タンクから出す。RBAマストを袋詰めし、汚染を防止する。RBAマストをタンクから持ち上げて運搬車に載せる。ステップ11:タンク開口部アダプタを取り外し、袋に入れて汚染を防止してから持ち上げ、運搬車の所定の位置に戻す。タンクハッチを交換する。ステップ12:タンク最上部からモジュール式の台を取り外し、運搬車に載せて次のタンクに移動する。
【0072】
RBAユニットは駆動軸を介してモータに接続されている。モータは、頂冠部の最上部にあるウィンチを介してRBAマストの長さの内側にシステムを導く駆動モジュール内に収容されている。このモジュールにはRBAマストの運搬車に設置されている90度離れた4つの運搬車輪がある。マストの底部まで下ろすと、流量分布増加に使用する任意のホースを取り付けた開放フレームベースコンテナに接続する。マスト底部の4つの運搬車輪チャネルのそれぞれに停止部があり、マストからモジュールが出るのを防止する。駆動モジュール内には水中電動RBA駆動モータがある。駆動モータ電源は、ウィンチの横に取り付けられている格納式ケーブルによってマストの最上部から供給される。RBAを取り付けた駆動部とモータは、マストの最上部に取り付けられる電動ウィンチ、マストホイストによって昇降される。
【0073】
イオン交換媒体を交換する必要があるとき又は除染工程が成功したとき、RBAを取り外す。最初にウィンチがモータ−RBAシステムを最上位置まで上げる。最上部ではシステムは固定され、噴霧で潜在的な汚染を除去する。RBAを回転させて媒体及び装置の乾燥を補助することができる。RBAとモータから水を滴下させた後、RBAとモータを包んで汚染を最小限に抑え、クレーンを使用して遮蔽コンテナ内に置く。これを地上に下ろして処分する。継続処理のため別のRBAユニットをタンクの最上部に上げ、接続し、手順を再開する。
【0074】
工程は以下のステップのうち1つ以上を含むことができる。ステップ1:マストホイストを使用して、RBA駆動モジュールユニットを頂冠構造まで持ち上げて固定する。ステップ2:ユニットを頂冠部内の噴霧で除染する。ステップ3:ユニットを回転させて水の除去を補助し、水を流出させる時間を割り当てる。ステップ4:モータの電源をオフして閉塞するか、又は切り離す。ステップ5:クレーンを取り付け、マストホイストを切り離す。ステップ6:RBA駆動モジュールユニットを包装して汚染を防止し、台上の遮蔽コンテナ内まで持ち上げる。ステップ7:クレーンをユニットから切り離し、コンテナを密閉し、クレーンを接続する。ステップ8:クレ−ンがRBAを地面に下ろし、処分/除染/リサイクルする。ステップ9:次いでクレーンを待機中の別のRBAユニットに取り付け、設置工程を繰り返す。
【0075】
<回転床装置のタンク内配備選択肢2>
この選択肢は作業員の放射線量を最小限に抑えるように構成されている。手動操作が少なく、遠隔操作が増加し、事業所での支援要件を最小限に抑えるように構成されている。この構成は2つの主要構成要素、すなわちタンクの開放部に置かれるRBAを内蔵する移動式RBAユニット(MRU)を単一のアダプタ装置で支持するものである。第二の主要構成要素は、2.5m×長さ14〜15mの支持トレーラである。トレーラの尾端部には、タンク最上部への接近に十分なリーチを持つ3〜5トンの油圧ブームクレーンがある。
【0076】
トレーラ支持ユニットは、以下のうち1つ以上を含むことが出来る。(1)MRU、噴霧リングポンプ、油圧クレーン、制御システム及び照明に電力を供給する発電機。(2)クレーン油圧ユニット。(3)MRU/RBAユニットを輸送する貯蔵コンテナ。(4)新品及び使用済みRBA/ドラム缶の貯蔵部屋。(5)使用済みRBAの遮蔽貯蔵場所(線量評価で遮蔽が必要と示している場合)。(6)真水貯蔵タンク及びタンク開放部内の噴霧リング用ポンプ(タンクから取り外すRBAすすぎ)、(7)タンク内のRBAのCCTVモニタを有する制御盤。及び(8)MRU上の保守作業及びRBA交換筐体(筐体の改造により、消耗したRBAを排出し、再充填して再使用する装置を提供することができる。使用済媒体は所望のコンテナに送られる)。
【0077】
タンクの最上部には、任意のタンク開放部に合わせて調節可能なアダプタがある。アダプタにはCCTVカメラ及び照明が含まれており、MRUの動作を見ることができる。アダプタには2つの溝付き開放部があり、MRU上で180度離れている2つの位置決めラグを受け入れ、MRUを所定の位置に固着させて動作させる。
【0078】
MRUは上部セクションと下部セクションの2部品からなる伸縮ユニットである。MRUは、RBAを水位下約1メ−トルに置くように構成されている。3つのオフセットラグ構成により、MRUを3つの異なる深度レベルに置き、タンク構成及び水位をわずかに変動させることができる。下部セクションには固定位置にあるRBAとモータが含まれている。下部セクションの最上部は上部セクション内側の持ち上げ位置として使用する。2本のケーブルが上部セクションの最上部を通って延在し、両方のセクションが持ち上がるまで下部セクションを上部セクションに引き寄せる。この構成により別個のRBAウィンチが不要となる。上部セクションには、水から持ち上げたときに下部セクションの濡れた部分をすすぐ噴霧リングが含まれる。
【0079】
MRUの配備及び操作は、以下のステップのうち1つ以上を含むことができる。ステップ1:支持トレーラを処理タンクに隣接させる。ステップ2:支持トレーラ張り出し材を延伸させ、クレーンを操作する。ステップ3:発電機又は事業所電源を起動/接続し、油圧ユニットを起動する。ステップ4:必要に応じて、支持トレーラクレーンを使用して、タンクの蓋をタンク上の作業員が取り外す。ステップ5:クレーンでアダプタをタンク開放部まで持ち上げ、設置、照明、カメラの接続を完了させる。ステップ6:MRUに新しく装填したRBAを準備し、電源及び水ラインを接続し、MRU上にRBAカバーを置く(RBAカバーをRBA及びMRUの接液部分を完全に覆うように特別に嵌合させたコンテナとでき、支持トレーラ及びタンクからの及びこれらへの移動、汚染防止に使用することができる)。ステップ7:MRUをタンク開放部まで持ち上げ、RBAカバーを取り外してアダプタの側面にあるスタンドに固着させ、MRUを適切な深さ/ラグ設定でアダプタ内に置く。これで動作準備ができる。
【0080】
以下のステップのうち1つ以上を使用して、MRUを取り外すか、又はRBAを交換することができる。ステップ1:クレーンをMRUに取り付ける。ステップ2:クレーンが下部セクションを持ち上げるときに噴霧リングが作動してすすぎ落とし、RBAが回転して水を除去し、CCTVによって動作を監視する。ステップ3:MRUをアダプタから持ち上げるとすぐに開放部横のRBAカバー内に下ろす。作業員はカバーを所定の位置に固着させる(遠隔操作が可能であり、毎回タンク上に作業員が行くのを避ける)。ステップ4:RBAカバー付きMRUを支持トレーラ筐体まで下ろしてRBA交換し、及び/又は貯蔵コンテナ内に置いて次の場所に移動する。ステップ5:MRUをタンク最上部に戻して処理するか、又はクレーンを使用してタンク最上部からアダプタを取り外す。ステップ6:必要に応じてタンクの蓋をクレーン補助装置に交換し、クレーンブームをトレーラの走行位置に駐車する。ステップ7:電気、給水接続、照明、カメラの接続を全て取り外す。ステップ8:支持トレーラ張り出し材を引っ込める。これでトレーラ及びMRUの移動準備ができる。
【0081】
MRUは最小限の外部支援しか必要とせず、数時間以内に設置して作動させることができる。工程時間は本明細書の他の箇所に記載されているものと同じである。しかしながら前述のように、ユニットを追加すると処理効率が向上する。1台の支持トレーラで複数のMRUの動作に必要な支援をすることができる。バッチ処理タンクは、支持トレーラクレーンが到達可能な運搬車道の近くにあることが好ましい。ここでもバッチ処理タンクとして各グループ内の1〜2個のタンクを使用して、タンクをグループとして処理する。
【0082】
MRUの構成はより単純でユニットあたりのコストが低く、保守が容易である。ユニット当たりのコストをより削減すると、同じ予算内でより多くの処理ユニットを使用できる。MRUは、廃水タンクファームの完成後に他のプロジェクトに使用することができる。
【0083】
他の多数のRBA構成を使用して廃水から放射性汚染物質を除去することができることを理解されたい。追加のRBA構成の例には、本明細書の最後に参照により組み込まれる特許に記載されているもののいずれかが含まれる。
【0084】
図23は、流体容積を含む容器の上に配置される例示的な支持構造の態様を示す。いくつかの実施形態では、容器を収容する建物の下で動作するようにシステムを構成することができる。これは、接近が制限される100m
3のタンク内に10Lの小型RBRを配備する例示的な工学的システムを表す。貯蔵核廃棄物を処理するときに接近が制限されることは珍しくない。このためいくつかの実施形態では、RBAの配備に工学的解決策を使用してこれらの接近制限の課題を克服することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、システムの取扱制限を容器上方の上部空間によって制限することができる。例えば、手動取扱制限が20ポンド(9.1kg)未満で充填RBRが80ポンド(36kg)である場合、システムの構成によりこの制限を回避することができる。
【0086】
図24は、RBR、モータ及び駆動軸ユニットの組立をタンク最上部で行う例示的なシステム/方法を示す。ねじジャッキとトロリーを使用してRBRを操縦することができ、部品を地上からタンクまで持ち上げる滑運搬車が必要となる場合がある。
【0087】
図25は、RBR、モータ及び駆動軸ユニットの組立を地上で行う例示的なシステム/方法を示す。走路ビームを使用して、滑運搬車で垂直に持ち上げながらユニットを所定の位置に移動させることができる。いくつかの実施形態では、モジュール式/伸縮式駆動軸の構成により走路ビーム解決策を実現することができる。
【実施例】
【0088】
以下の実施例を提供し、開示される主題を更に例示する。これらはいかなる方法においても特許請求の範囲の制限又は限定に使用するべきではない。実験室規模のS3回転床反応器(RBR)を使用して一連の実験を行い、原子力用途における回転床装置の使用の適合性を評価した。実験を行うことにより、原子力産業に関心のある解決策における媒体安定性及びRBR性能を評価した。
【0089】
いくつかの状況では、RBRをバイオテクノロジー及び製薬分野での用途に使用することができる。RBR装置は、固相を充填床として回転円筒内に保持する。RBRが回転すると、連続的に循環する流れが発生する。反応液を容器の底部から迅速に吸引し、固相を通して浸透させ、迅速に容器に戻す。効率的な物質移動の結果、処理時間を最小限に抑え、材料容量を増大させ、工程の流量を増大させる。
【0090】
試験を行い、イオン交換媒体及び吸着媒体を含む回転床を使用して世界中の様々な場所で液体放射性排水を浄化する適合性を評価した。試験の目的は、いくつかの媒体を使用してRBR性能を評価し、媒体安定性、反応速度、懸濁固形物の影響及び回転速度の影響を調査することであった。
【0091】
<資機材>
RBRは撹拌機構を含み、1リットルの反応容器に配置される。
図10は、粒状媒体を含むRBRの上面斜視図を示す(5時間回転後)。動作中に発生した遠心力によって媒体が外側スクリーンに押し出されたことに注意されたい。
【0092】
RBRを全ての実験で使用した。外半径33.5mm、内半径18.1mm、高さ29.5mmで、4つの別々の区画に分かれている。内壁及び外壁には100ミクロンのスクリーンが嵌合し、媒体を保持する。理論上媒体を充填可能な総容積は、区画当たり約73.6cm
3又は18.4cm
3であるが、実際には区画を充填する媒体をより少なくして膨潤を許容できる。
【0093】
有効床深さ、すなわち内側スクリーンと外側スクリーンとの間の距離は15.4mmである。したがって作動中の空床接触時間(EBCT)はせいぜい数秒程度であり、汚染物質を完全に除去するには媒体を複数回通過させる必要がある。これは、EBCTが典型的には3〜5分であり、1回の通過で汚染物質を除去することを目的とする固定床システムとは対照的である。
【0094】
複数の種が平衡状態で存在する汚染物質を含む排水(例えば、福島の廃棄物中のRu106)では、理論的にはRBRによってより良好に除去することが可能である。これはシステムが閉じており、平衡状態にある1つの種を除去すると、システムが再平衡化してRBR内の樹脂/吸着剤による除去に適した種をより多く生成するからである。
【実施例1】
【0095】
<媒体の摩耗>
RBRを通して液体の流れを駆動するRBRの動作中にはかなりの力が発生する。1つの懸念は、RBRの動作によって粒状媒体、特に耐摩耗性が低いことが知られている媒体を損傷する場合があることであった。これを試験するために、Cs−Treat(登録商標)の試料を使用して媒体の安定性を調査した。この特定の媒体はフィンランドのフォータム社により製造された粒状ヘキサシアノ鉄酸塩であり、例えばこれを使用して福島の損傷した原子炉で進行中の冷却動作により生成される液体廃棄物からCs−137を選択的に除去することができる。Cs−Treatは他の競合イオン存在下でCs−137を除去するのに非常に効果的であるが、物理的強度が非常に弱いため、複数の事業所(例えば福島、ブラッドウェル)で固定カラムシステムの運用上の問題を引き起こしている。これはおそらく媒体の安定性という点で最悪のシナリオを表している。
【0096】
受け取ったCs−Treatは大量の微粒子を含んでいた(Cs−Treatでは典型的である)。水道水で繰り返し洗浄してこれらを除去し、次いで媒体を300μmのふるいで湿式ふるいにかけて小粒子を除去し、約40℃で乾燥させた。
【0097】
洗浄したCs−Treatを5gずつRBR内の4つの区画の各々に入れた。RBRを密封し、車軸を撹拌モータに取り付けて接続した。RBR組立体を水道水を含む4リットルのビーカー中に約半分下げた。撹拌機を作動させ、500rpmに設定した。実験の進行による水の透明度の変化を記録した。
【0098】
RBRを合計2日間にわたって13.25時間回転させ、2日間の間に5回の停止−開始サイクルを展開し、実際の使用で起こり得ることをシミュレートした。開始から数時間以内にビーカー内の水が薄茶色に変わったことに注目した。次にこれを交換して真水を添加した。しかし実験が進むにつれて、実験の13.25時間の間に更に3回も水を交換したにもかかわらず、水は茶色くなり続けた。
【0099】
この茶色は媒体の摩耗が起きていることを示している。
【0100】
最初の500rpmではなく250rpmの回転速度を用いて実験を繰り返した。これは圧力を低下させるが、廃液からの汚染物質の除去に必要な時間も増加させる場合がある。媒体を合計12.75時間、再び2日間にわたって回転させ、今回は合計6回の停止−開始サイクルであった。それでも水は実験中に茶色に変わったが、500rpm実験中に比べると顕著に少なく、実験が進むにつれて減少しているように見えた。これはおそらくCs−Treatの捕捉粒子がRBR組立中に破砕されたことによって、RBRの装填中に微粒子の一部が発生した可能性を示唆している。
【0101】
各実験の終了後、RBRの内容物を水のビーカーに入れて洗浄し、微粒子含有量を評価した。両実験における媒体の写真を
図11に示す。
図11から明らかなように、500rpmの実験では当初の媒体(左写真)と比較して媒体の分解がかなり進んでいることがわかる。250rpmでのCs−Treatの分解は最小であり、媒体はおそらく固定床イオン交換システムで使用するのに十分清潔であると考えられる。
【0102】
Cs−Treatは蒸留水又は脱イオン水では不安定であることが知られているが、通常の水道水は十分な溶解塩を含み、顆粒の安定性を維持すると仮定する。
【0103】
しかし、今回は水道水ではなくビーカー内の10,000mg/l NaCl溶液を使用して安定性実験を繰り返すことでこの仮定を試験した。RBRに区画あたり5gの洗浄Cs−Treatを装填し、以前に行ったように500rpmで回転させた。しかしながら今回は実験開始から4時間後に終了するまで液体は透明のままであった。4時間後のCs−Treatの検査では、媒体分解の証拠は全く示されなかった。追加試験では、同様の塩溶液が1000rpmまでの速度で媒体の摩耗を防止することを示した。
【0104】
媒体摩耗試験は、Cs−Treatの安定性が回転する液体の組成に依存することを示している。そのためイオン強度が比較的低い溶液については任意のシステム配備の前に安定性を試験することが必要である。しかしながら処理液体に十分な塩が溶解していれば、Cs−TreatはRBR内で安定である。
【0105】
ココナツ由来粒状活性炭(GAC)を使用して同様の耐摩耗性実験も行った。GACを洗浄して微粒子を除去し、材料を5gずつRBR内の4つの区画の各々に入れた。次いでこのシステムを水道水を含む4リットルのガラスビーカーに入れ、1日に3回の停止−開始サイクルで500rpmの速度で2日間にわたって合計13.5時間回転させた。全2日間で水中への微粒子放出の証拠は観察されず、実験終了時のRBR内のGACの検査では微粒子発生又は媒体摩耗の証拠は示されなかった。
【実施例2】
【0106】
<媒体洗浄及び脱水>
RBRの1つの用途として可能性があるのは媒体洗浄及び脱水である。原子力産業で使用される粒状媒体の多くは、水処理システムをオンラインにする前に、微粒子を大規模洗浄で除去する必要がある。洗浄ステップがないと微粒子は媒体カラムの部分的な閉塞を引き起こし、媒体床全体で高圧差が生じ、媒体を通る水流が不十分になる場合がある。放射能を含む微粒子が媒体床から放出され、水処理システム全体の他の場所で問題を引き起こす場合もある。洗浄手順には数時間を要し、大量の廃棄物が発生して処分が必要になる場合がある。
【0107】
汚れた媒体をRBR内に入れて数秒間脈動させる試験によって、GACの試料から微粒子の大部分を除去することが可能であることを実証した。同様の方法でCs−Treatを洗浄できるかどうかも調査した。
【0108】
未洗浄Cs−Treatを5gずつRBRの各区画に入れ、RBRを4リットルのビーカーの水道水に浸漬した。次にシステムを4回脈動させ、各脈動は約5秒間590rpmの速度で約1分間持続した。多くの微粒子が水中に放出された。追加実験では、当初の4脈動後は微粒子がそれ以上放出されず、回転速度が変化しても洗浄手順に実際の影響を及ぼさないことを示した。
【0109】
図12は、元の未洗浄Cs−Treatと比較した、脈動後のCs−Treatの写真を示す。脈動によりCs−Treatに当初存在していた微粒子の大部分を除去したことは明らかである。残留微粒子はおそらく媒体性能に影響を与えず、重要なことに、追加実験ではそれらが継続動作中に放出されず、RBR内に捕捉されたままである可能性が高いことを示唆した。これにより回転床装置に装填される媒体を使用前に迅速に洗浄し、発生する洗浄水の量を最小限に抑える方法を潜在的に提供する。
【実施例3】
【0110】
<回転速度>
赤色染料(AlluraRed、アルラレッド)及び強塩基陰イオン交換樹脂(EnergySolutions、CN100)を使用してRBR性能に対する回転速度の影響を研究した。媒体とRBRを通過する水の有効接触時間は極めて短く、わずか数秒であり、これは回転速度が増加するにつれて減少する。最終的に、接触時間が短すぎて汚染物質(この場合アルラレッド染料)が媒体上の活性吸着部位と効果的に相互作用せず、液体と固体吸着剤との間の物質移動速度によって取り込みが制限される場合がある。そのため回転速度を上げても除去速度を改善しない限界があり得る。この仮定を以下の一連の実験で調査した。
【0111】
樹脂を5.0gずつRBR内の各区画に装填し、RBRをバッフルした1リットル反応器内に置いた。40μMアルラレッド溶液(0.02g/l)を1リットル添加し、RBRを指定の回転速度でオンにした。赤色が溶液から完全に消失するまでの時間を記録した。各実験で新しい染料溶液を使用して、回転速度を200rpmから600rpmまで変化させた。
【0112】
樹脂ビーズの直径を約400μmと仮定すると、各回転速度で反応器を通過する体積を実験中に計算することができる。結果を下記テーブル1(表2)に示す。
【0113】
テ−ブル1:回転速度の結果
【表2】
【0114】
テ−ブル1は、染料溶液と樹脂ビーズとの接触時間がより長いとき、染料除去効率はより低い回転速度でより大きいことを示す。200及び300rpmの両方とも全ての染料を除去するには樹脂を約11回通過させる必要がある。回転速度が増加するにつれて流量が増加するため、樹脂と染料分子の接触時間が減少し、結果として染料除去効率が低下し、染料を完全に除去するまでに樹脂を通過する回数がより多くなる。
【0115】
染料の除去にかかる時間に関しては、600rpmを超えて速度を増加させても、染料の除去にかかる時間が改善(もしあれば)する可能性は限られることが結果から明らかである。速度を増加させると発生する圧力も増加し、したがってより壊れやすい媒体が損傷する可能性が高くなるため、より高い回転速度を調査する動機はほとんどない。
【0116】
同量のイオン交換樹脂を使用する固定床システムは、RBRを使用するどの時間よりも大幅に時間がかかるだろう。樹脂の接触時間を3分間、陰イオン交換樹脂の嵩密度を700g/lと仮定すると、1リットルの染料溶液の処理に必要な時間を大まかに推定することができる。20gの樹脂は28.6mlの体積に等しいため、3分間のEBCTを得るためには染料を9.53ml/分の流量で樹脂のカラムに通す必要があり、これは1リットルの染料溶液の処理に約105分かかることを意味する。
【実施例4】
【0117】
<懸濁固形物の影響>
水処理に使用する従来の固定床イオン交換樹脂システムは、一般的に流入水に懸濁固形物が実質的に含まれないことを必要とする。流入水にかなりのレベルの懸濁固形物が含まれる場合、これらはイオン交換媒体によって濾過され、媒体カラム全体の圧力上昇をもたらし、水流が不十分になり、媒体の早期交換につながる可能性がある。RBRの有効床深さは非常に短いので、微粒子を効果的に保持せず、懸濁固形物の許容範囲が大きくなり、流入水を濾過する必要性を低減又は排除すると考えられる。モンモリロナイト粘土を含むアルラ染料溶液を使用して固形物の影響を調査した。
【0118】
3リットルの蒸留水を4リットルのビーカーに入れ、モンモリロナイト粘土を5g添加した。混合物を数時間激しく撹拌して粘土を分散させ、一晩放置した。アルラ染料を0.06g添加し、混合物を染料が全て溶解するまで激しく撹拌した。(モンモリロナイト粘土は負電荷を持つ陽イオン交換材料であり、同じく負電荷を持つアルラ染料とは相互作用しない。そのため陰イオン交換樹脂による染料除去に対する固形物の影響を評価できるはずである。)
【0119】
1リットルの染料/粘土混合物を1リットルのガラス製反応容器に入れた。RBRを混合物中に下ろし、回転速度を選択した。染料を完全に除去する時間(目視観察に基づく)を記録した。実験終了前後の混合物の写真を
図13〜14に示す。
【0120】
染料の除去には、300rpmの回転速度で約12分、500rpmの回転速度で約8分かかった。この時間はいずれも染料溶液単独の除去時間よりも長く、粘土粒子の存在が樹脂による染料の除去を物理的に阻害する可能性があることを示唆している。実験後のRBRの検査では、粘土があったとしても媒体によって保持されるのはごくわずかであることが示された。これは、RBR内の樹脂の有効床深さが短いため、粘土を保持しないであろうという当初の考えを確認するものである。しかし、より大きな回転床装置を使用するときには有効床深さが著しく増大し、フィルタとして作用する可能性がより高くなるため、懸濁固形物の影響を受けやすくなることに留意されたい。ただしこのような場合でも、同等の固定床媒体システムよりは影響が少ない可能性が高い。
【実施例5】
【0121】
<沈降固形物の影響>
多くの核廃棄物(例えば、DOEHLWタンク)は、タンクの底部に沈降汚泥を含む。そのため十分遅い速度でRBRを使用し、乱流を避けて沈降汚泥を乱さないことが望ましい。この可能性を水酸化第二鉄(Fe(OH)
3)汚泥を使用して調べた。3リットルの蒸留水をビーカーに入れ、塩化第二鉄、FeCl
3の40%溶液を6ml添加した。次いで1N水酸化ナトリウムを使用してpHを5.83に調整したところ、微細な褐色水酸化第二鉄の沈降物が大量に発生した。これを沈降させ、RBRを水位の最上部に向けて配置した。最低速度設定(50rpm)でも動作中に著しい乱流が発生し、汚泥層の擾乱をもたらした。そのため実験室で利用可能な設備を使用してRBRを動作させる有効性を評価することはできなかった。しかしこれは他の条件(例えば回転速度がより遅い、汚泥層上のRBRの高さがより大きい等)で不可能であることを意味するものではない。この実験では、回転速度が非常に低くても、RBRが容器中で良好な混合を引き起こすことを実証した。
【実施例6】
【0122】
<大容量染料試験>
最初の染料除去実験は、RBRで作動するように最適化されたガラス反応容器で行った。この容器は渦の形成を最小限に抑え、RBRの効率を最大化にするように構成されている。この状況はいかなる大規模分野用途においても起こりそうにないため、非最適化長方形タンクを使用して研究を行った。この実験的な設定では、性能は、タンク内の混合が不十分であるため効率が悪いと予想され、実際の実規模用途で遭遇すると思われる条件をより公平に表現している。
【0123】
20リットルの蒸留水を長方形タンクに入れ、アルラレッド染料を0.4g添加した。全ての染料が溶解して溶液が均一な色になるまで、従来の頭上撹拌機を使用して混合物を十分に撹拌した。陰イオン交換樹脂を5gずつRBRの各区画に装填し、RBRをタンクのほぼ中央に配置した。速度を500rpmに設定し、システムをオンにした。RBRの動作中に大きな渦は認められず、2時間24分後には全ての染料を除去したと判断した。最適化されたガラス反応器を使用した場合、1リットルの溶液から染料を除去するのに同量の樹脂で6分かかった。したがって直接スケールアップすると仮定すると、最適化された条件下で20リットルを処理するのに2時間かかることが予想された。このように、非最適化長方形タンクを使用してもRBR効率を大きく低下させなかった。
【0124】
実験終了時の樹脂ビーズを顕微鏡で検査したところ、それらがほぼ完全に均一に着色され、利用可能な樹脂容量が良好に利用されていることを示した。樹脂を使い果たすまで動作するとき、この均一な利用により従来の固定床システムと比較して媒体使用量を減少させることが期待される。
【実施例7】
【0125】
<模擬核タンク廃棄物とGX−194媒体>
アルラ染料実験から得られた反応速度データを利用して、核タンク廃棄物、すなわち福島のタンク廃棄物の例に関連する試験を構成する。20リットルの蒸留水を長方形タンクに入れ、人工海水塩を179.75g添加した。これは通常の海水強度の約25%に相当し、初期の福島の廃棄物タンク構成の一部を表現するものである。次に混合物を十分に撹拌して塩を溶解させたが、非常に少量の固形物が溶解せずにタンクの底部に残ったことが分かった。この残留固形物はおそらく総添加塩量の<0.5%を占める。アンチモン1000mg/l溶液を10ml使用してこの溶液を混ぜ、全濃度約500μg/lとした。少量の1NNaOH溶液を使用してpHを7.69に調整し、アンチモン標準中に存在する硝酸を中和した。試料をSbについて分析した。
【0126】
RBRに洗浄済みGX−194媒体を32g(区画当たり8g)装填し、タンクの中心に置き、500rpmの速度で5時間回転させた。50mlの試料を30分毎に採取し、その後分析してアンチモン含量を特定した。各試料のpHも記録した。結果を下記テーブル2(表3)に示す。
【0127】
テ−ブル2:GX−194媒体を用いた模擬核タンク廃棄物のアンチモン除去
【表3】
【0128】
最初のアンチモン濃度は500μg/lに近いと予想していた。394μg/lという濃度は予想より低く、実験室のミス又は20リットルタンク内でのアンチモンの吸着/沈殿のいずれかである可能性があるが、アンチモン塩の溶解度を考慮すると後者の可能性は低い。アンチモン除去は最初非常に急速に進み、濃度はわずか30分で394μg/lから84μg/lに低下した。その後アンチモンの低下はずっと遅くなり、180分から実験終了の300分まで試料間の差はほとんどなくなる。
【0129】
180分〜300分の間のアンチモン濃度の変動は、タンク水の分析的変動又は不均質性のいずれかによりタンク全体のアンチモン濃度がわずかに変動したことによるものと考えられる。分析検出限界は5μg/lであり、180分後のアンチモン濃度は限界に近かった。(この潜在的な不均質性は、後の放射性同位体実験においてタンク内の異なる位置から同じ時間隔で複数の試料を分析用に採取して調査し、タンク内の濃度が非常に安定していることが判明した。)アンチモンの除去速度は、144分後に全ての染料を除去したと判断したときの同じタンク内の染料実験と同様であったと考えられる。
【0130】
RBRを通る水流は実施例3(テ−ブル1参照)において約66ml/sであると推定されたが、GX−194を通る流量は、媒体の粒状性及び粒子径がより小さいために標準的なイオン交換ビーズを通るよりも少し遅いと予想される。しかしながらこの流量を最大として使用すると、30分後に118,800ml又は118.8リットルの液体がRBRを通過し、結果としてGX−194媒体を通過した。これは20リットルタンクのほぼ6倍の体積に相当するので、アンチモンの大部分が媒体を通過する最初の数回の間に除去されることは明らかである。おそらくGX194の表面部位がアンチモンで飽和し、したがってアンチモンが媒体中を砂粒内のより深い吸着部位まで移動しなければならないため、除去速度が低下すると思われる。
【実施例8】
【0131】
<模擬核タンク廃棄物とCs−Treat媒体>
20リットルの蒸留水を長方形タンクに入れ、人工海水塩を179.75g添加した。これは通常の海水強度の約25%に相当し、初期の福島の廃棄物タンク構成の一部を表現するものである。次に混合物を十分に撹拌して塩を溶解させたが、非常に少量の固形物が溶解せずにタンクの底部に残った(アンチモン実験でも見られた)。先のアンチモン実験と同様に、この残留固形物はおそらく総添加塩量の<0.5%を占める。次いでCsClを0.0283g添加して全セシウム濃度を約1mg/lとし、混合物を更に3時間撹拌してセシウムを確実に均一に分散させた。
【0132】
RBRに洗浄済みCs−Treatを20g(区画当たり5g)装填し、タンクの中心に置き、350rpmの速度で5時間回転させた。50mlの試料を30分毎に採取し、その後分析してセシウム含量を特定した。各試料のpHも記録した。実験中に間隔をおいてタンクの両側から2つの別々の試料(A及びB)を同時に採取し、溶液の均質性を確認した。実験開始前の溶液の試料も分析のために送った。結果をテーブル3(表4)に示す。
【0133】
テ−ブル3:Cs−Treat媒体を用いた模擬核タンク廃棄物のセシウム除去
【表4】
【0134】
最初のセシウム濃度は正確に1000μg/l(1mg/l)であり、予想通り塩化セシウムを模擬溶液に添加しても沈殿がなく、タンク側面への吸着もないことを示している。セシウム除去は最初急速に進み、実験開始30分以内に濃度が約50%低下した。しかしセシウムの大部分を除去すると溶液中に残った微量の更なる除去には比較的時間がかかり、濃度を22μg/lから実験終了時の9μg/lまで低下させるのに2時間かかった。実験を続けていれば追加でセシウムの除去が進んだかもしれないが、セシウムの減少速度は低下していたので、RBRの運転を継続しても得られるものはほとんどなかった。
【0135】
この実験は、GX−194を使用した前回の実験の速度500rpmよりも低速で行ったことは注目に値する。GX−194実験の減少速度は最初はより速かったが(開始30分以内にアンチモンを77%除去)、その後経時的に減少し、実験終了時にはアンチモンもセシウムと同程度まで減少した。
【0136】
二重試料分析ではA試料とB試料の差が比較的小さいことが示された。このことはタンクが均質であることを示しており、RBRの回転でタンク内容物を十分適切に混合したことを示唆している。またCs−Treat微粒子の放出の証拠も見られず、これはRBR動作中に発生した力が媒体の分解を引き起こさなかったことを示唆している。
【0137】
実験終了後のRBR内のCs−Treat媒体の写真を
図15に示す。媒体はGX−194よりも良好に脱水され、RBRの底部に沈降しているようである。媒体をRBRから取り出して検査したところ、Cs−Treatが実験中に安定していたことを確認する微粒子発生の証拠はなかった。RBRが部分的にしかCs−Treatで充填されていなくても、分析デ−タでは水がCs−Treatを効果的に通過したことを明確に実証したことは注目に値する。
【0138】
<放射性試験>
非放射性種を使用した試験の成功に続いて放射性実験を行い、放射性追跡子を使用したRBR性能を確認し、福島で見られるような核廃棄物に関連するデ−タを生成した。以下の機器を使用して放射性分析を行った。パーキンエルマー2480オートガンマカウンターWallacWizard3。ガンマ検出器(セシウムとストロンチウム)−逆電極同軸ゲルマニウム検出器(炭素複合材窓)、キャンベラ1993、型番:GR3520。ガンマ検出器(ヨウ素)−低エネルギーゲルマニウム検出器(炭素複材窓)、キャンベラ1992、型番:GL2020−S。
【0139】
いくつかの実験中、5〜10mlの液体試料を定期的に採取して同位体除去速度を追跡した。これらの試料は、Wizard3を使用し、10分間の計数プロトコルを使用して分析して、1分間当たりの生の計数(cpm)データを取得した。初期試料及び最終試料を適宜較正ゲルマニウム検出器で計数して、放射能の絶対値を得た。放射性試験中に使用した同位体の特性をテーブル4(表5)に示す。
【0140】
テ−ブル4:同位体特性
【表5】
【0141】
<I−125試験−実施例9〜12>
10−5M NaOH中の1mCiの無担体I−125をパーキンエルマーから入手した。この同位体は半減期が60.14日であり、電子捕獲及び低エネルギーガンマ線(35.5keV)の放出を経てTe−125に崩壊する。これらの良好な崩壊特徴及び利用可能性により、福島の廃棄物タンクに見られるような核タンク廃棄物に見られる長寿命I−129の良好な代替物となることが可能になった。
【0142】
パーキンエルマーから受け取った生成物を10−5M NaOHを使用して総量5mlに希釈し、取り扱いをより容易にした。希釈溶液を使用して全ての実験溶液を混ぜた。I−125実験の全てについて、使用したマトリックスは5%海水であった。これは、ペットショップから購入した合成海水濃縮液を推奨濃度の5%に希釈して合成した。
【実施例9】
【0143】
<I−125反応速度>
20リットルの5%海水を調製し、約0.2mCiのI−125で混ぜた。この溶液にヨウ化物(10μg/l)及びヨウ素酸塩(10μg/l)の冷ヨウ素も添加し、よく撹拌して合計20μg/lのヨウ素濃度を得た。次いで混合物を一晩放置して平衡化させた。RBRの2つのチャンバ内にAgGACを7g、他の2つのチャンバ内にGX−194を7g装填した。GX−194について0.64g/ml(製造業者のデータシートから得られる)の嵩密度、及びAgGACについて0.54g/ml(実験室で測定される)の嵩密度を仮定すると、RBR内の媒体の体積は、GX−194及びAgGACについてそれぞれ21.9ml及び25.9mlであった。
【0144】
模擬物質に入れる前に、RBRを脱イオン水のビーカーに入れて数回脈動させ、微粒子又は媒体が放出されないことを確実にした。実験のパラメ−タは以下の通りであった。初期pH=7.4。回転速度=400rpm。回転時間=24時間。初期I125放射能=595,700Bq/l。
【0145】
試料を定期的に採取し、放射能をWizardで測定し、I−125の除去速度を研究した。
【0146】
溶液の初期放射能及び最終放射能も較正ガンマ検出器で測定して、Wizardで生成した1分間当たりの生の計数とは対照的に、絶対放射能値とした。
【0147】
溶液の最終放射能は2,571.5Bq/lであり、合計DFは142で、元の放射能の99.57%の除去と同等である。I−125の除去速度は最初は非常に速く、開始1時間で放射能の94.55%を除去した。次いで除去速度は大幅に低下したが、これはおそらく全ヨウ素濃度がμg/lレベル未満に低下すると媒体と溶液との接触時間が不十分になり、I−125と利用可能な吸着部位とで効率的な相互作用が可能になるためと考えられる。
【0148】
最初の実験で得られたRBRに0.2mCiに近い放射能を装填し、I−125を混ぜた第2の20Lの5%海水溶液に入れた。この溶液を第1の溶液と同じ方法で調製し、また一晩平衡化させた。この第2の実験の特定パラメータは、以下の通りであった。初期pH=7.00。回転速度=400rpm。回転時間=24時間。初期I−125放射能=606,800Bq/l。
【0149】
第2の溶液の最終放射能は3670.4Bq/lであり、DFは164で、元の放射能の99.40%の除去と同等である。この結果は最初の実験と非常に類似しており、最初の20Lタンクを処理しても媒体の容量に大きな影響はなかったことを示している。したがって、24時間後の残留I−125放射能は、媒体容量の問題ではなく、前述のように物質移動効果である可能性が最も高い。両実験のデータを以下のテーブル5(表6)及びテーブル6(表7)に示す。
【0150】
テーブル5:ヨウ素除去−実験1
【表6】
【0151】
テーブル6:ヨウ素除去−実験2
【表7】
【実施例10】
【0152】
<I−125同位体希釈>
I−125反応速度実験の結果に基づいて、I−125の大部分を除去した後に模擬物質に冷ヨウ素を追加で添加することの効果を試験し、これが除去速度を高めるかどうかを調べることにした。5%海水模擬物質を調製し、実施例9に記載したように0.2mCiのI−125、冷ヨウ化物及び冷ヨウ素酸塩を混ぜて一晩平衡化させた。
【0153】
前述のようにRBRにAgGACを2×7g及びGX−194を2×7g装填した。実験を開始し、Wizard3で分析するために1時間毎に試料を採取して8時間行った。8時間後実験を停止し、RBRを溶液から取り出し、等量の冷ヨウ化物及びヨウ素酸塩を溶液に添加して全ヨウ素濃度を約20μg/lに戻した。溶液を再び一晩平衡化させた。翌日RBRを交換して1時間毎に試料を採取しながら更に8時間行った。開始時の実験パラメータは以下の通りであった。
【0154】
初期pH=7.82。回転速度=400rpm。回転時間=8時間(×2)。初期I−125放射能=385,000Bq/l。
【0155】
初期放射能が低いのは、最初の実験を行ってから同位体希釈実験を行うまでの間にI−125が減衰したためである。冷ヨウ素の量は一定のままなので、放射能を利用して2つの媒体によるヨウ素の除去速度を追跡しただけであるため、減少したI−125放射能は実験に影響を与えないであろう。
【0156】
実験の結果は決定的ではなかった。8時間の反応後、媒体は最初にI−125の98.09%を除去したが、これは7.5時間後にI−125の99.02%を除去した以前の実験よりもかなり少ない。冷ヨウ素を追加した後RBRを再開すると、初日の実験終了時と比較してI−125除去速度に若干の増加が見られたが、期待していた大きな増加は実現しなかった。理論的にはこの実験の結果では冷ヨウ素の添加が残留I−125の除去速度を増加させたはずなので、実施例9の結果とほぼ同じであるはずである。挙動の差の原因は不明である。
【0157】
<微量I−125テスト−実施例11〜12>
実施例9および10から得られたデータでは、I−125取り込みの大部分が反応時間の8時間後に完了したことが示された。これにより福島で見られるような核タンク廃棄物中のI-129と同様の放射能を使用して微量I−125実験を実施することが可能になった。すなわち約25Bq/lである。
【0158】
これらの溶液に冷ヨウ素(10μg/l)を添加して、放射性I−129(約4.2μg/l)と、環境からの非放射性ヨウ素と、核分裂によって生成された非放射性同位体の混合物と、を含む福島廃棄物を模倣した。この低レベルの放射能はWizardでは正確に測定できないため、ゲルマニウム検出器を使用して初期放射能及び最終放射能のみを記録した。最終試料を正確に分析するために、環境試料中のI−129測定の標準手順に従い3リットルの溶液をイオン交換樹脂に通して樹脂を直接計数した。
【実施例11】
【0159】
<縮小粒子径を使用したI−125除去>
物質移動を改善するために、GX−194及びAgGACの試料を慎重に粉砕し、ふるいにかけて洗浄して、粒子範囲を直径212〜300μmと狭くした。粉砕媒体を共に慎重に混合して充填床として使用した。全質量40gの50/50重量混合媒体をRBRに慎重に装填し、RBRを完全に充填した。この実験では媒体粒子径の減少から流動抵抗の増大が予想されたため、回転速度は500rpmまで増加させた。実験の他のパラメータは次のとおりであった。初期pH=8.05。回転速度=500rpm。回転時間=8時間。初期I−125放射能=28.6Bq/l。核タンク廃棄物模擬物質は、微量I−125試験セクションに記載された特性を有していた。
【0160】
RBRを最初に脱イオン水を含むビーカー中で数回脈動させ、任意の微粒子又は遊離媒体粒子を除去した。ところがこの予防措置にもかかわらず実験中に少量の媒体が放出された。しかしながらタンクの検査によって、失われた媒体の量は存在する全媒体の<<1%であったため実験に過度に影響しなかったことが示された。実験の最後に注意を払い、分析用に試料を採取したときにいかなる微粒子も排除し、追加の予防措置として分析前に3リットルを濾過した。天板を取り外した実験終了時のRBRの写真を
図16に示す。媒体は均一に充填されており、8時間回転中の損失が無視できることは明らかである。溶液中のI−125の最終放射能は0.244Bq/lと特定し、合計DF117及びI−125の除去率99.15%とした。
【実施例12】
【0161】
<二重RBRを使用したI−125除去>
この実験の目的は模擬物質と接触する媒体の量を最大にすることであった。この達成のために、
図17に示すように第2のRBRを構成に追加した。媒体を粉砕してふるいにかけることは骨の折れる工程であり、前回の実験で粒子径を小さくしても利益は限られることが示されたため、この実験では通常サイズのGX−194及びAgGACを使用した。
【0162】
この実験における媒体は別個の床として保持した。一方のRBRは49.5gのGX−194で満たし、他方のRBRは43.1gのAgGACで満たした。使用した模擬物質はI−125、冷ヨウ素酸塩及びヨウ化物を混ぜた5%合成海水からなり、全ヨウ素濃度は約10μg/lとした。全てのヨウ素実験と同様に、溶液を使用前に一晩平衡化させた。他の実験パラメータは次の通りである。初期pH=7.35。回転速度=400rpm。回転時間=8時間。初期I−125放射能=30.8Bq/l。
【0163】
実験の過程で媒体損失又は微粒子発生の証拠はなかった。8時間の回転後、実験を停止してRBRを除去し、分析のために試料を3リットル採取した。最終放射能は0.760Bq/lと特定した。これはDF41及びI−125放射能の97.5%の除去に相当する。この性能はより小さな粒子径の混合床を有する単一RBRよりも少し悪く、体積対質量比を減少させても性能が向上しないことを示している。
【0164】
I−125の残留放射能0.76Bq/lが容易に除去されないことを確認するために、残留溶液(約16L)を使用して更なる実験を行った。単一のRBRに正規サイズのAgGACとGX−194の50/50混合物約45gを充填し、残留模擬物中に置いた。次いでこれを8時間回転させ、溶液から取り出して、分析のために試料を更に3リットル採取した。少量の媒体粒子がRBRから放出したが、性能に影響を与えるほどではなかった。最終試料の分析では放射能が0.760Bq/lから0.414Bq/lに更に減少しており、追加DF1.8は45.5%の除去に相当する。全体として2つの実験の組み合わせでは合計DF74であり、I−125の98.7%の除去に相当する。
【実施例13】
【0165】
<I−129除去>
福島等における核タンク廃水で懸念される同位体はI−129であり、実施例9〜12で使用したより短寿命のI−125ではない。しかし、2つの同位体の化学的性質は全く同じである。I−129は入手可能性が限られているため、実際にI−129を使用したデータの生成には単一の実験を行った。これには非放射性ヨウ化物及びヨウ素酸塩の両方を2.5μg/l添加した標準的な5%海水を使用した。I−129と組み合わせると全ヨウ素含量は約10μg/lとなり、これはI−125実験と同じである。RBRはAgGACを7g含有する2つの区画と、GX−194を7g含有する2つの区画とを含み、これは微量I−125実験より少ない。他の実験パラメータは次の通りである。初期pH=7.56。回転速度=400rpm。回転時間=8時間。初期I−129放射能=26.9Bq/l。
【0166】
実験終了時にI−129放射能は0.170Bq/lに減少し、全体DF158であり、これはI−129の99.4%の除去に相当する。期模擬物質中の全ヨウ素濃度10μg/lに基づき、非放射性ヨウ素がI−129と同じ挙動を示すと仮定すると、初実験での最終ヨウ素濃度は0.06μg/l又はわずか60ng/lとなった。使用した媒体の量が少ないにもかかわらず、性能は以前の微量レベルのI−125実験よりもわずかに良好であった。これは、媒体容量ではなく物質移動問題がI−129除去を限定することを示唆している。
【0167】
<Sr−85試験−実施例14〜16>
実施例14〜16は、Sr−85除去のRBR性能を試験した。
【0168】
0.5M HCl中の0.5mCiのSr−85をパーキンエルマーから入手した。これを0.5MHClで5mlの容量に希釈して、全てのSr−85実験に使用する原液を生成した。高濃度のCaとMgがSr−85除去を妨害するので、合成海水はSr−85実験には使用しなかった。高濃度のCaとMgは、例えば炭酸塩蒸留段階とSr−Treat媒体の組み合わせなどのより早い処理段階で除去されているため、適用可能な核廃水には存在しない。テーブル7(表8)に記載されている模擬物質はSr−85の全ての実験に使用され、福島のタンクのような核タンク廃棄物に見られるものを合理的に表現したものである。テーブル中のCa、Mg及びSrに加えてナトリウムも他の陽イオンとして存在する。
【0169】
テーブル7:Sr−85実験の核廃水模擬物質
【表8】
【0170】
Sr−85原液には酸が含まれるため、溶液にSr−85を混ぜてpHを所望の範囲に戻した後に水酸化ナトリウムを使用した。全ての実験に使用した媒体は、ゼオライトであるUOP IONSIV(登録商標)R9515−G(20×50メッシュ)であった。実験室で特定した嵩密度は約0.78g/mlであった。ゼオライトをよく洗浄して微粒子を除去し、乾燥させてRBRに使用した。
【実施例14】
【0171】
<Sr−85反応速度>
20リットルの模擬物質を調製し、約0.1mCiのSr−85で混ぜた。これを前述のように所望のpH範囲に調整した。RBRにチャンバ当たり10gの洗浄ゼオライト(約12.8ml)を装填し、脱イオン水のビーカー内で脈動させて微粒子を除去した。これを模擬物質に入れ、1時間毎に試料を採取しながら8時間回転させてWizardで分析した。実験開始時と終了時にも試料を採取し、ゲルマニウム検出器で分析した。他の実験パラメータは次の通りである。初期pH=8.06。回転速度=400rpm。回転時間=8時間。初期Sr−85放射能=177,600Bq/l。
【0172】
Sr−85の取込速度はI−125反応速度実験と非常に類似しており、テーブル8(表9)に見ることができる。開始1時間で約95%のSr−85を除去し、実験終了時に初期放射能の99%超を除去した。ゲルマニウム計数機で測定した最終放射能は1150.7Bq/lであり、合計DF154であった。非放射性ストロンチウムがSr−85と同じ挙動をすると仮定すると、これはストロンチウム濃度が最初の50μg/lから0.26μg/lに低下したことを示す。
【0173】
テーブル8:Sr−85除去
【表9】
【実施例15】
【0174】
<二重RBRを使用したSr−85除去>
互いに積み重ねた2つのRBRを使用して別のSr−85実験を行い、媒体を通る水流を増加させる効果を調査した。ゼオライトを40g使用したが、1つのRBRの4つのチャンバに分配する代わりに、2つのRBRの利用可能な8つのチャンバを通して媒体を均等に分配した。ゆえに有効媒体接触時間は前の実験と比較して半分になったが、体積対質量比は一定のままとなった。他の実験パラメータは次の通りである。初期pH=7.87。回転速度=400rpm。回転時間=8時間。初期Sr−85放射能=170,940Bq/l。
【0175】
二重RBR配列のSr−85除去の初期速度は最初の実験と同様であり、開始1時間で94%超の放射能を除去した。結果をテーブル9(表10)に示す。しかし実験終了時のSr−85放射能の全除去量は実施例14の結果よりもわずかに減少した。最終的なSr−85放射能は2075.8Bq/lに減少し、DF82.3であり、これはDF154を達成した前回の実験よりもかなり小さい。このことは有効床接触時間を半分にしてタンクの回転率を2倍にすることが逆効果であることを示している。これはSr−85除去が物質移動因子によって制限される場合に予想されることである。
【0176】
テーブル9:二重RBRを使用したSr−85除去
【表10】
【実施例16】
【0177】
<減少回転速度を用いたSr−85除去>
開始1時間後に回転速度を低下させて媒体との接触時を効果的に増加させるが、タンク内容物の回転率を減少させることを除いて、実施例14に記載したものと同じ構成を用いて別の実験を行った。単一のRBRでチャンバ当たり10gのゼオライトを使用したが、実験の1時間後に回転速度を400rpmから200rpmに低下させた。他の実験パラメータは次の通りである。初期pH=7.82。回転速度=400rpm、1時間後200rpm。回転時間=8時間。初期Sr−85放射能=126,540Bq/l。
【0178】
Sr−85除去速度は、実施例14の速度と非常に類似していた。結果をテーブル10(表11)に示す。Sr−85放射能の全除去量はわずかに少ないが、実施例15の二重RBR実験よりも大きい。最終的なSr−85放射能は954.6Bq/lに減少し、DF133であり、これはDF154を達成した最初のSr−85実験よりもわずかに少ないだけである。2つの結果が近接していることを考えると、開始1時間後に回転速度を低下させることで何らかの効果が得られたかどうかを判断することは困難である。接触時間を増加させても、開始1時間の反応でSr−85の大部分を除去した後に溶液中に残った微量Sr−85の除去量を著しく増加させる効果はなかった。
【0179】
テーブル10:減少回転速度を用いたSr−85除去
【表11】
【実施例17】
【0180】
<Cs−137除去>
この実施例では、Cs−137の原液(1M HCl中)を使用してCs−137除去を試験した。模擬物質として5%海水溶液を使用し、水酸化ナトリウムを使用してCs−137を添加した後にpHを調整した。Cs−137の低放射能源しか入手できず、これはWizardでの分析は計数が少ないため不確実性が高いことを意味していた。したがって、I−125及びSr−85実験に基づいて8時間の反応時間で十分であると仮定した。使用したCs−137が無担体であるかどうかに関する情報が得られなかったため、海水模擬物質に添加したセシウム(放射性及び非放射性)の総量は不明であった。冷セシウムは添加しなかった。
【0181】
RBRを洗浄Cs−Treatで充填し、全ての区画を完全に満たした。これには合計37.8gの媒体が必要であった。通常通り、RBRを脱イオン水で数回脈動させて微粒子を除去した後、Cs−137を混ぜた5%海水模擬物質を含む20リットルタンクに入れた。他の実験パラメータは次の通りである。初期pH=6.65。回転速度=400rpm。回転時間=8時間。初期Cs−137放射能=11,222Bq/l。
【0182】
ゲルマニウム検出器での最終溶液の分析により最終Cs−137放射能は38.99Bq/lであった。これはDF288と同等であり、溶液中に最初に存在するCs−137の99.65%の除去に相当する。このDFは実験の中で得られた最高値であり、おそらくCs−Treatが試験条件下でCs−137に対して非常に高い親和性を持つことが知られているためと考えられる。試験した他の媒体は親和性がかなり低く、Cs−Treatと比較して性能が低いことを反映していると思われる。
【0183】
<結果の考察>
上記の実施例に記載された実験研究により、原子力用途における回転床装置技術の利用可能性が明確に示された。試験完了により以下の結論を出すことができる。
【0184】
第1に、核排水処理用途に使用する媒体として選択したものは全てRBR内で安定しており、分解して微粒子を発生させないことが示された。最初の観察でCs−Treatが使用中に分解したのは、RBR内で発生した圧力によるものではなく溶液の性質によることが判明した。より高い塩分濃度の溶液で追加試験し、Cs−Treatが確かに安定していることを実証した。この特定の製品がおそらく現在使用されている中で最も脆い媒体なため、Cs−Treatの安定性は重要である。
【0185】
第2に、RBRは優れた混合特性を有し、試験では20リットルタンク内の液体が均質であることを実証した。
【0186】
第3に、放射性物質及び非放射性物質の両試験では、溶液からの汚染物質除去は最初非常に急速であり、典型的には試験した実験条件下で動作開始1時間以内に95%以上が吸着されたことを実証した。これは従来の固定床イオン交換システムで同等量の溶液を処理するよりも著しく速い。
【0187】
第4に、この手法は単純で頑丈であり、実験室規模では高濃度の懸濁固形物による汚染に対して耐性がある。しかしながら有効媒体床深さがより大きい場合には、懸濁固形物は実規模でより大きな影響を与え得る。
【0188】
第5に、実規模で追加試験を行って最適な回転速度を特定すべきである。実験室での回転速度実験の結果は可変的であり、確固とした結論を導き出すことはできなかった。回転速度を増加させると処理される液体の回転率が増加するが、各通過における液体と媒体の接触時間は減少する。
【0189】
第6に、μg/lスケ−ルで存在する関心のある種を用いて行われた最初の実験は、濃度が一桁小さくなると除去速度が劇的に遅くなることを明確に示した。同じ媒体を使用する同等の固定床システムでは少なくともDF1000が得られるはずであるが、得られたDFは一貫して数百であった。固定床システムにおける接触時間は典型的には約5分であり、1リットル当たりサブミクログラム量の種が媒体吸着部位と相互作用する機会が十分に与えられている。これら超低レベルでRBRシステムの性能が比較的低いのは、媒体と液相間の物質移動の問題である可能性を示唆している。処理目標がそれほど厳しくない非原子力用途では、ほとんどの原子力用途で望まれるng/lレベルではなくmg/l又はμg/lレベルまで汚染物質を除去するだけでよいので、これらの物質移動の問題は当てはまらない。
【0190】
第7に、実験室規模でのRBRの積み下ろしは厄介であり、放射能試験中に四肢が望ましくない放射線量を浴びる可能性がある。媒体流出の機会を最小限に抑え、積み下ろし作業を簡素化する大規模ユニットの構成変更が望まれる。
【0191】
<結論>
実験室での実験は、原子力用途における回転床装置の使用の実行可能性を実証した。媒体の安定性、混合効果及び回転床構成全体の適合性を確認した。しかしこの実験は小規模でしか行われておらず、より大規模な研究を行い、この手法を更に発展させて確認すべきである。実験室規模では極微量レベルの汚染物質を除去するRBRの能力に限界があることが明らかになっており、これは液相と固相との間の物質移動の関数であると考えられる。原子力産業以外のほとんどの用途では一般に汚染物質がはるかに高い濃度で存在し、原子力産業ほど低いレベルまで除去する必要がないので、この限界は問題にならないであろう。システムをより大規模で使用するときには有効層深さの増加により媒体と液相間の有効接触時間が増加するため、この限界は適用されないと考えられる。とはいえ、試験を行ってこの仮説を確認するべきである。
【0192】
原子力産業において液体廃棄物処理に一般的に使用される媒体は、RBRにおいて安定であるように思われる。RBRと長時間接触後の液体の実験室試験では、有意な量の微粒子の発生は示されず、固体媒体の試験でも分解の証拠は無視できるほどであった。
【0193】
実験室実験は、RBRが懸濁固形物(SS)による汚れに対して耐性があり、高SS(モンモリロナイト粘土に例示される)の存在は色素の取込速度をほんのわずかに低下させるだけであることを示した。しかしながら有効媒体床深さが大幅に大きくなるような大規模な場合には、懸濁固形物が大きな影響を及ぼし得ることに注意することが重要である。
【0194】
回転速度とシステムの効率との間にはトレードオフがあるように思われる。高流量(回転速度)では媒体と液相間の接触時間が短すぎるため、媒体は汚染物質の除去に効果的ではない。回転速度をより上げるとタンクの回転数を増加させるが、ある限界を超えると回転速度を更に上げても効果がないことが判明する。実験室規模では床深さが非常に短く(<1cm)、対応する接触時間が短いため、この影響が増幅される可能性が高い。
【0195】
ストロンチウム、セシウム及びヨウ素の放射性同位体の除去について媒体を試験した。いずれの場合もRBRは最初は非常に効果的であり、1時間で約95%の放射能を除去した。しかしながらその後除去速度は劇的に低下し、反応時間を24時間追加しても除去したのは初期放射能の4〜4.5%であった。この理由はおそらく物質移動の問題によるものと考えられ、活性成分が数十ppb(μg/l)レベルから数百ppt(ng/l)レベルまで減少したために、媒体と溶液との間に意味のある相互作用を行うのに十分な時間がないことを意味する。大規模な場合には床深さが増加して媒体接触時間が長くなるため、これは問題とならないはずである。
【0196】
Sr−85を使用して単一のRBRを使用する方が、互いに折り重った2つのRBR間で分割された同量の媒体を使用するよりも効率的であることが示された。これはおそらく床深さが減少したためであろう。追加のRBRを使用して流量を2倍にしたと仮定すると、媒体を通る水圧負荷率(ml/cm
2)は同じままのはずであるが、接触時間は50%減少した。このデータは、接触時間が重要なパラメータであることを示す、前の段落でなされた物質移動の制限に関する意見を補強するものである。
【0197】
結論として、実験室ベースの試験が励みになり、RBRがより高価な固定床イオン交換システムに対する実行可能な代替物である可能性が高いことを示した。とはいえ、より大きな床深さを有する数キログラムの媒体を使用してより大規模の試験を行い、本格的な開発の指針となる追加データを生成すべきである。
【0198】
一連の実験を構成し、遠隔配備された大規模RBRを運用することの実現可能性を実証し、以前に得られた実験室データが工業用途に拡張可能かどうかを確認した。試験は大量の水から微量の汚染物質をうまく除去できるかどうかを特定し、汚染物質の取込速度及び回転速度の効果の両方についていくつかの情報を得るように構成された。これらは1Fに貯蔵される処理水の処理に関連する条件をシミュレートするが、模倣するようには構成されていなかった。
【0199】
試験目的で57L容量のRBRを製造した。これは1Fで使用予定の130LのRBRよりも小さいが、過度に大きなタンクを必要とせずに工業規模のRBRの実証を可能にした。
【0200】
22m
3のタンクを使用して試験を行った。このタンクは、RBRの配備及び試験をサポートするための大きさ及び所有者の能力に基づいて選択した。
【0201】
福島事業所の最大タンクである2700m
3の容量を持つ96LのRBR(外径400mm×内径100mm×高さ800mm)の機能をシミュレーションにより試験した。
【0202】
福島事業所においてはタンクへの接近が制限されているため、通常の研究所構成のようにRBRを中心に配置することは不可能である。そこでRBRの位置を変えながらRBRを通る流量とタンクの混合時間を監視し、RBRの配置が性能に及ぼす影響を評価した。粘性抵抗係数(α)が1.0E10、RPMが300の場合、流量はRBRの位置とは無関係におよそ25m
3/hrであることが分かった。不均質な濃度から開始して、任意の所与の時点で最終濃度の±10%以内に到達するのに必要な時間として定義されるタンクの混合時間を
図26に示す。
【0203】
いくつかの実施形態では、これはRBRが流体容積の重心の上方に配置されるか又は流体容積の重心から半径方向にオフセットして配置されるときに混合が効果的であり得ることを例示する。
【0204】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される装置、システム及び方法は、分析及び試験に基づき以下のパラメータのうち1つ以上を調整することによって構成/制御することができる。
・回転速度を上げると流量が増加し、したがって工程時間を短縮させる。
・RBRアスペクト比の調整−入口をより大きくして媒体床をより薄くすると流量を増加させることができるが、RBR媒体体積(したがって吸着度)を減少させる可能性がある。
・物理的な(球形又は粒状の)観点から媒体タイプを選択すると、いくつかの状況では細孔率を変化させ、ひいては媒体内の流量及び滞留時間も変化させることができる。
【0205】
57LのRBRについて試験を実行し、96LのRBRについて更に分析した。実行した分析及び試験に基づいて、RBR性能の観点から多数の大きさのRBRを採用することができる。
【0206】
<専門用語及び解釈に関する規定>
「連結される(coupled)」という用語は、2つの部材が直接的又は間接的に互いに接合することを意味する。このような接合は本質的に静的なものでもあってもよく、又は本質的に移動可能であってもよい。このような接合は、2つの部材若しくは2つの部材及び任意の追加の中間部材を互いに一体的に一体本体として形成するか、又は2つの部材若しくは2つの部材及び任意の追加の中間部材を互いに取り付けることで達成することができる。このような接合は本質的に永久的なものであってもよく、又は代替的に、本質的に取り外し可能若しくは解放可能であってもよい。
【0207】
「連結される」という用語は、本質的に永久的であるか、又は本質的に解放可能及び/若しくは取り外し可能な接合を含む。永久接合とは、元の状態に反転させる又は戻すことができない方法で構成要素を一緒に接合することを指す。解放可能な接合とは、元の状態に反転させる又は戻すことができる方法で構成要素を一緒に接合することを指す。
【0208】
解放可能な接合は、構成要素の解放の困難さ並びに/又は構成要素が通常の動作及び/若しくは使用の一部として解放されるかどうかに基づいて、更に分類することができる。容易に又は簡単に解放可能な接合とは、容易に、簡単に及び/又は迅速に、困難又は労力をほとんど又は全くかけずに解放可能な接合を指す。解放困難又は解放が堅固な接合とは、解放が困難、堅固又は難儀であり、及び/又は解放に相当の努力を必要とする接合を指す。接合は、通常の動作及び/若しくは構成要素の使用の一部として又は特別な状況及び/若しくは事情にのみ、解放すること又は解放を意図することができる。後者の接合の場合は、特別な事情が生じるまで長期間、無期限に接合されたままであることを意図することができる。
【0209】
構成要素は、任意のタイプの締結方法及び/又は留め具を使用して一緒に接合することができることを理解されたい。締結方法は、構成要素を接合する方法を指す。留め具は、一般的に機械的締結方法を使用して構成要素同士を機械的に接合する別個の構成要素である。締結方法及び/又は留め具の例のリストを以下に示す。このリストは、締結方法及び/又は留め具が一般的に永久的であるか、容易に解放されるか又は解放が困難であるかによって分類される。
【0210】
永久締結方法の例としては、溶接、はんだ付け、ろう付け、圧着、リベット締め、ステープル留め、ステッチング、ある種の釘打ち、ある種の接着及びある種のセメント付けが挙げられる。永久留め具の例には、ある種の釘、ある種のダウエルピン、ほとんどの種類のリベット、ほとんどの種類のステープル、ステッチ、ほとんどの種類の構造用タイ及びトグルボルトが挙げられる。
【0211】
容易に解放可能な締結方法の例としては、クランプ、ピン止め、クリッピング、ラッチ、クラスピング、ボタン留め、ジッピング、バックル留め及び結束が挙げられる。容易に解放可能な留め具の例としては、スナップファスナ、保持リング、止め輪、分割ピン、リンチピン、Rピン、クレビスファスナ、コッターピン、ラッチ、フック及びループファスナ(VELCRO(登録商標))、フック及びアイファスナ、プッシュピン、クリップ、クラスプ、クランプ、ジップタイ、ジッパー、ボタン、バックル、分割ピンファスナ及び/又はコンフォーマットファスナが挙げられる。
【0212】
解放困難な締結方法の例としては、ボルト締め、ねじ締め、ほとんどの種類のねじ式締結及びある種の釘締めが挙げられる。解放困難な留め具の例としては、ボルト、ねじ、ほとんどの種類のねじ式留め具、ある種の釘、ある種のダウエルピン、多種類のリベット、多種類の構造的タイが挙げられる。
【0213】
締結方法及び留め具は、これらの最も一般的な構成及び/又は用途に基づいて上記に分類されることを理解されたい。締結方法及び留め具は、これらの特定の構成及び/又は用途に応じて、他のカテゴリ又は複数のカテゴリに分類することができる。例えばロープ、紐、ワイヤ、ケーブル、チェーン等は、用途に応じて永久的であってもよく、容易に解放可能であってもよく、解放困難であってもよい。
【0214】
特許請求の範囲又は明細書に記載されるいずれの方法も、別段の記載がない限り、ステップを特定の順序で行うことを要求するものと解釈されるべきではない。またこれらの方法は、別段の記載がない限り、列挙されたステップを任意の順序で実行するよう支持するものと解釈されるべきである。
【0215】
「左」、「右」、「前」、「後」等の空間的又は方向的用語は、図面に示されるように主題に関連する。しかしながら、記載された主題は様々な代替的な方向を想定していることが理解されるべきであり、したがってそのような用語は限定的であると考えるべきではない。
【0216】
原文「the」、「a」及び「an」のような冠詞は単数形又は複数形を意味することができる。また、「又は」の前に「いずれか」(又は「又は」が排他的であることを明白に意味する他の類似の言語−例えば「x」又は「y」の一方のみ等)なしで使用するとき、「又は」は包含的であると解釈するものとする(例えば、「x又はy」はx又はyの一方又は両方を意味する)。
【0217】
「及び/又は」という用語もまた、包含的であると解釈するものとする(例えば「x及び/又はy」はx又はyの一方又は両方を意味する)。「及び/又は」又は「又は」が3つ以上の項目グループの接続詞として使用される状況では、そのグループは1つの項目のみ、全ての項目を一緒に、又は任意の項目の組合せ若しくは数を含むと解釈されるべきである。
【0218】
有する、有している、含む、含んでいる(原文have、having、include及びincluding)という用語は、備える(comprise及びcomprising)という用語と同義であると解釈されるべきである。またこれらの用語の使用は、これらの用語が「から成る」又は「本質的に〜から成る」と置き換えられる、より狭い代替実施形態を開示し、支持するものとして理解されるべきである。
【0219】
別段の記載がない限り、本明細書(特許請求の範囲を除く)で使用される寸法、物理的特性等を表す全ての数字又は表現は、全ての場合において「約」という用語によって修正されるものと理解される。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限する試みとしてではなく、明細書又は特許請求の範囲に列挙される各数値パラメータは「約」という用語によって修正され、列挙される有効数字の数に照らして及び通常の四捨五入技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0220】
開示された全ての範囲は、任意の及び全ての部分範囲、又は各範囲によって包含される任意の及び全ての個々の値を列挙する請求項を包含し、支持するものと理解されるべきである。例えば1〜10の記載された範囲は、最小値1と最大値10との間及び/又はそれらを含む任意の及び全ての部分範囲若しくは個々の値を列挙する請求項を含み、かつ支持すると考えられるべきである。すなわち1以上の最小値で始まり10以下の最大値で終わる全ての部分範囲(例えば、5.5〜10、2.34〜3.56等)、又は1〜10の任意の値(例えば、3、5.8、9.9994等)を列挙する請求項を含み、かつ支持すると考えられるべきである。
【0221】
開示された全ての数値はいずれかの方向に0〜100%の範囲で可変であると理解されるべきであり、したがってそのような値又はそのような値によって形成され得る任意の及び全ての範囲若しくは部分範囲を列挙する請求項を支持する。例えば、8と記載された数値は0〜16(いずれかの方向に100%)まで変化し、その範囲自体(例えば0〜16)、範囲内の任意の部分範囲(例えば2〜12.5)又はその範囲内の任意の個々の値(例えば15.2)を列挙する請求項を支持すると理解されるべきである。
【0222】
図面は、縮尺通りに描かれた1つ以上の実施形態及び/又は縮尺通りに描かれていない1つ以上の実施形態を例示していると解釈されるものとする。すなわち、図面が例えば以下のものを示すものとして解釈できることを意味する。(a)全てが縮尺通りに描かれているもの、(b)全てが縮尺通りに描かれていないもの、又は(c)縮尺通りに描かれた1つ以上の構成及び縮尺通りに描かれていない1つ以上の構成。したがって図面は単独で又は相対的に、図示された構成のいずれかの大きさ、比率及び/又は他の寸法の列挙を支持する役割を果たすことができる。更にそのような大きさ、比率及び/又は他の寸法は全て、いずれかの方向に0〜100%で可変であると理解されるべきであり、したがってそのような値又はそのような値によって形成され得る任意の及び全ての範囲若しくは部分範囲を列挙する特許請求の範囲を支持する。
【0223】
特許請求の範囲に記載される用語は、広く使用されている一般的な辞書及び/又は関連する技術辞書の関連項目、当業者によって一般的に理解されている意味等を参照することによって決定されるような、それらの通常及び慣習的な意味を与えられるべきである。これらの情報源のいずれか1つ又は組み合わせによって与えられる最も広い意味が特許請求の範囲の用語に与えられるべきである(例えば2つ以上の関連する辞書項目を組み合わせて、項目の組み合わせの最も広い意味を提供すべきである等)という理解の下で、以下の例外のみを適用する。(a)用語がその通常及び慣習的な意味よりも拡張的に使用される場合、その用語はその通常及び慣習的な意味に追加の拡張的な意味を加えて与えられるべきである。又は(b)用語が、その用語の後に「本明細書で使用されるようように」又は類似の語句(例えば、「この用語は〜意味する」、「この用語は〜定義される」、「本開示の目的のためにこの用語は〜意味する」等)を列挙することによって異なる意味を有するように明示的に定義されている場合。具体例への言及、「すなわち」の使用、「発明」という用語の使用等は、例外(b)を行使すること、又はそうでなければ列挙された請求項の用語の範囲を限定することを意味するものではない。例外(b)が適用される状況を除き、本明細書に含まれるいかなる内容も特許請求の範囲の放棄又は否認と考えられるべきではない。
【0224】
特許請求の範囲に列挙される主題は、本明細書に記載又は例示されている任意の実施形態、構成又は構成の組み合わせと同一範囲ではなく、また同一範囲内にあると解釈されるべきではない。このことはたとえ構成又は構成の組み合わせの単一の実施形態のみが本明細書に記載又は例示されている場合であっても同様である。
【0225】
<参照による援用>
以下にリストアップする各文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書及び1つ以上の組み込まれる文献の両方で同じ用語が使用される場合は、その用語がこの本明細書において異なる意味を有すると明示的に定義されていない限り、これらの情報源のいずれか1つ又は組み合わせによって与えられる最も広い意味を有すると解釈されるべきである。以下の文献と本明細書との間に矛盾がある場合には本明細書が優先するものとする。組み込まれた主題を使用して、明示的に列挙又は描写された主題の範囲を限定又は狭めるべきではない。
・ドイツ登録特許(出願番号DE−19702017351号、登録番号DE−2017351A1号)、出願日1970年4月10日、発行日1974年10月10日、発明の名称「Chemical Reaction on Insoluble Vehicle Using Centrifuging」)。
・日本登録特許(出願番号昭54−68618号、公開番号特開昭55−157331A号、出願日1979年5月29日、公開日1980年12月8日、発明の名称「イオン交換装置」)。
・カナダ登録特許(出願番号CA−353226号、登録番号CA−1143293号、出願日1980年6月2日、公開日1983年3月22日、発明の名称「Apparatus and Process for Treating Liquid Material While Subjected to a Centrifugal Force」)。
・米国登録特許(出願番号第06/803,815号、登録番号第4,683,062号、出願日1985年12月2日、公開日1987年7月28日、発明の名称「Method of Circulation of a Liquid Phase Through a Solid Phase Particularly for Biocatalytical Reactions and a Device for Realization Thereof」)。
・日本登録特許(出願番号平1−206963号、公開番号特開平03−72998号、出願日1989年8月11日、公開日1991年3月28日、発明の名称「液体処理装置」)。
・米国登録特許(出願番号第07/569,422号、登録番号第5,139,953号、出願日1990年8月20日、発行日1992年8月18日、発明の名称「Rotary Column Reactor」)。
・米国登録特許(出願番号第07/771,990号、登録番号第5,200,074号、出願日1991年10月8日、発行日1993年4月6日、発明の名称「Ion-exchange Apparatus Having Rotatable Cartridges」)。
・米国登録特許(出願番号第08/422626号、登録番号第第5,705,390号、出願日1995年4月14日、発行日1998年1月6日、発明の名称「Bioreactor」)。
・米国登録特許(出願番号第14/327153号、登録番号第9,333,479号、出願日2014年7月9日、発行日2016年5月10日、発明の名称「Device for Performing a Chemical Transformation in Fluidic Media」)。
・米国登録特許(出願番号第15/026408号、公開番号第2016/0237391号、出願日2016年3月31日、公開日2016年8月18日、発明の名称「A Process for Chemical and/or Biological Transformation」)。
・米国登録特許(出願番号第15/027758号、公開番号第2016/0243462号、出願日2016年4月7日、公開日2016年8月25日、発明の名称「A Reactor for Biological or Chemical Transformation」)。
・米国登録特許(出願番号第15/029024号、公開番号第2016/0256843号、出願日2016年4月13日、公開日2016年9月8日、発明の名称「An Auxiliary Reactor for Biological or Chemical Transformation」)。