(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-523063(P2021-523063A)
(43)【公表日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】車両ための改善された傾斜サスペンション
(51)【国際特許分類】
B62K 5/06 20060101AFI20210806BHJP
B62K 5/10 20130101ALI20210806BHJP
【FI】
B62K5/06
B62K5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2021-512999(P2021-512999)
(86)(22)【出願日】2019年5月7日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月30日
(86)【国際出願番号】EP2019061674
(87)【国際公開番号】WO2019215144
(87)【国際公開日】20191114
(31)【優先権主張番号】2020889
(32)【優先日】2018年5月8日
(33)【優先権主張国】NL
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520435522
【氏名又は名称】ユーセー・ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マヒール・ヘラルドス・テオドルス・マリー・バーレンブルグ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンデル・プル・ヨハネス・デ・フィッセール
(72)【発明者】
【氏名】ペル・アリーセン
【テーマコード(参考)】
3D011
【Fターム(参考)】
3D011AA03
3D011AC01
3D011AD19
(57)【要約】
車両フレーム(102、108)、1つの前輪(124)、2つの後輪(112A、112B)および2つのスイングアームを含む傾斜可能な車両(100)が記載されている。スイングアームは、第1の端部で車両フレーム上の枢動点(121)に、および反対側の端部で後輪の1つに枢動可能に結合されている。スイングアーム(41)は、車両フレーム(102、108)の対称面にある回転軸(42)の周りで回転可能である。2つのリンケージ(63、64)のそれぞれは、第1の端部において、スイングアームの1つの枢動点に結合されている。車両は、リンケージ(63、64)とロッカーアーム(40)の一方の外端との間に配置された2つの接続アーム(53、56)を備える。接続アームは、非線形バネ特性を作成するために、リングの少なくとも2つのグループで構成された複数の皿バネを含む弾性部材(61、62)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜可能な車両(100)であって、
車両フレーム(102,108)と、
1つの前輪(124)と、
2つの後輪(112A,112B)と、
2つのスイングアーム(114A,114B)であって、各前記スイングアームは、第1端部において前記車両フレームの枢動点(121)に枢動可能に連結され、かつ対向端部において前記後輪の1つに連結される、2つのスイングアーム(114A,114B)と、
前記車両フレーム(102,108)の対称面にある回転軸(42)回りに回転可能に配置されたロッカーアーム(41)と、
2つのリンケージ(63,64)であって、各前記リンケージは、第1端部において一方の前記スイングアームの前記枢動点(121)に連結される、2つのリンケージ(63,64)と、
2つの接続アーム(53,56)であって、各前記接続アームは、一方のリンケージ(63,64)の第2端部および前記ロッカーアーム(40)の1つの外側端部の間に配置される、2つの接続アーム(53,56)と、
を備え、
各前記接続アームは、弾性部材(61,62)を備え、前記弾性部材は、少なくとも2つのリンググループで構成された複数の皿バネを備え、非線形のバネ特性を形成する、傾斜可能な車両(100)。
【請求項2】
前記弾性部材が増加されると前記皿バネが圧縮されるように前記弾性部材が配置される、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
皿バネの各グループが、
− 直列の2つのバネ
− 直列の2つのバネと、直列の2つのバネの両側に並列に配置された1つの追加のバネ
− 直列の2つのバネと、直列の2つのバネの両側に並列に配置された2つの追加のバネ
− 直列の2つのバネと、直列の2つのバネの両側に並列に配置された3つの追加のバネ
の少なくとも1つの構成を備える、請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
バネストロークが増加するとともに前記非線形のバネ特性が連続的に増加する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両。
【請求項5】
前記非線形のバネ特性の導関数は、増加する階段関数である、請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記非線形のバネ特性の導関数は、第1ステップおよび第2ステップの間の遷移を除き、増加する階段関数である、請求項4に記載の車両。
【請求項7】
前記階段関数が4つのステップを有する、請求項5または6に記載の車両。
【請求項8】
前記車両が電気モーターおよび前記モーターに電力を供給するバッテリーを備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三輪電動スクーターのような傾斜可能な車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両のフレームに後輪を結合する2つのスイングアームの存在により傾斜可能な三輪車両を開示している。車両は、運転者に快適さを提供するためにサスペンションを備えている。サスペンションに関する詳細は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/121289号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の一つは、改良されたサスペンションを有する傾斜可能な車両を提供することである。
【0005】
本発明は、車両フレーム、1つの前輪、および2つの後輪を備える傾斜可能な車両を提供する。車両はまた、2つのスイングアームを含み、各スイングアームは、第1の端部で車両フレームの枢動点に枢動可能に結合され、反対側の端部で後輪の1つに結合される。ロッカーアームは、車両フレームの対称面にある回転軸回りに回転可能に配置されている。車両はさらに2つのリンケージであって、各リンケージは、第1の端部がスイングアームの1つに枢動点で結合される2つのリンケージと、2つの接続アームであって、各接続アームは、リンケージの1つの第2の端部とロッカーアームの1つの外端との間に配置される、2つの接続アームと、を備える。各接続アームは、弾性部材を備え、弾性部材は、非線形バネ特性を形成するように、少なくとも2つのリング群に配置された多数の皿バネを備える。
【0006】
この構成により、弾性要素の重量を最小限にすることができながら、後輪にかかる非傾斜サスペンションに関連する移動量と力および限られた空間におけるリンケージの移動量の比が高くすることができる。
【0007】
車両のサスペンション部品は、限られた空間内、例えば車両のバッテリパックの隣に配置されているため、加えられた力を放散することができる偏向をほとんど許さないサスペンション手段を使用することが好ましいということに留意すべきである。この事実は、短い変位で大きな力を吸収することができる皿バネを利用することによって最も容易になる。任意選択で、弾性部材を増やすと皿バネが圧縮されるように弾性部材が配置される。
【0008】
任意選択で、皿バネの各グループは、以下の構成の少なくともいずれかを備える:
− 直列の2つのバネ
− 直列の2つのバネと、直列の2つのバネの両側に並列に配置された1つの追加のバネ
− 直列の2つのバネと、直列の2つのバネの両側に並列に配置された2つの追加のバネ
− 直列の2つのバネと、直列の2つのバネの両側に並列に配置された3つの追加のバネ。
【0009】
皿バネの向きと積み重ねのこのような変化によって提供される非線形バネ特性利用して、快適なサスペンションを提供できると同時に、最も剛性の高いバネ特性を提供する最大量の並列スプリングの配置は、後輪またはスイングアームに過度の力が加えられた場合にサスペンションチェーン全体が損傷するのを防ぐ。
【0010】
非線形バネ特性は、バネストロークの増加に伴い、可変の割合で連続的に増加する場合がある。
【0011】
本発明のこれらおよび他の態様は明らかであり、以下に記載される実施例を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態による傾斜可能な車両の斜視図を概略的に示す。
【
図3】傾斜位置にある車両の背面図を概略的に示す。
【
図5A】サスペンション装置を有する1つの後輪を概略的に示す。
【
図5B】一実施形態による、非傾斜位置にあるサスペンション装置の一部の側面図を示す。
【
図6】一実施形態による1つの皿バネの上面図および側面図を概略的に示す。
【
図7】一実施形態による、
図5Aの接続アームの断面を概略的に示す。
【
図8】一実施形態による、バネストロークに対するバネ力のグラフを示す。
【
図9】S_totの関数としてd(F_tot)/dSの値のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
なお、異なる図面における同じ参照番号を持つアイテムは、同一の構造的特徴及び同一の機能を有する、又は同じ信号であることに留意すべきである。このようなアイテムの機能および/または構造が説明されている場合、詳細な説明でそれらを繰り返し説明する必要はない。
【0014】
図1は、本実施形態に係る傾斜可能な車両100の斜視図を示す。この例では、車両100は、前輪124および2つの後輪112を含み、後輪のうちの1つのみが
図1に示されている。車両100は、前輪124のハブに配置され得る電気モーターでモーター駆動され得る。車両100は、さらに、シート140、ハンドルバーフレーム142、およびハンドルバー148を備える。照明モジュール150は、ハンドルバーフレーム142上に配置されている。車両100はまた、シート140およびハンドルバーフレームの間に配置された前部フレーム要素108を備える。シート140の下には、主後部フレームロッド102、弓状部109、およびバッテリー107がある。照明モジュール150およびモーターは、バッテリーによって電力を供給され得る。
【0015】
車両100は、2つのロッド116、2つの湾曲スラット115、およびヒンジジョイント120に配置されたブリッジ113によって形成される連結フレームを備える。車両100の側面図を示す
図2を参照されたい。湾曲スラット115は、ヒンジ接続部106で前部フレーム要素108上に回転可能に配置されている。後輪112は、支持ロッド114を介して後部フレームに取り付けられ、回転点121で後部フレームに回転可能に接続されている。支持ロッド114は、スイングアーム114とも呼ばれる。このようにして、後輪112のそれぞれは、後部フレーム(すなわち、主後部フレームロッド102)に対して移動することができる。ヒンジジョイント120のブリッジ113は任意選択であり、省略可能であるが、ブリッジ113は連結フレームの強度を改善することに留意されたい。
【0016】
図2から分かるように、車両が展開状態にある場合に、ロッド116の一部は、弓状部109によって囲まれている。ヒンジ111、110、120および106が存在するため、ユーザがシート140に座ると、2つのヒンジ110および106はさらに離れるように強制される。これは、連結フレームが引き伸ばされ、ヒンジジョイント120が上向きに押し上げられることを意味する。スラットは、柔軟な素材で作ることができるが、代わりにスラットを硬くすることも可能であることに留意すべきである。これらは、木、プラスチック、金属、またはその他の適切な材料で作ることができる。
【0017】
図3は、傾斜した位置での車両100の背面図を概略的に示す。破線105は、車両100のフレームの対称面を示している。この対称面105(主面とも呼ばれる)は、車両100が傾斜しているときに地面104と角度をなす。車両100の傾斜は、
図3の例に示すように、右に曲がるときにユーザ(図示せず)が右に傾いた結果である可能性がある。スイングアーム114の回転、およびスイングアーム114間の特定の結合機構により、両方の後輪112ホイールは地面と接触し続ける。
【0018】
図4は、車両の一部の底面図を概略的に示す。
図4は、車両のフレーム(図示せず)に固定されたサブフレーム40を示す。ロッカーアーム41は、サブフレーム40に回転可能に結合され、回転軸42回りに回転可能である。回転軸42は、対称面105にある。仮想管44は、サブフレーム40に固定され、車両フレームの対称面105に垂直な方向に延びる。仮想管44内では、2つの車軸45、46が回転軸121回りに回転可能に配置されている。これらの車軸45、46のそれぞれは、それぞれスイングアーム114A、114Bの1つに固定されている。スイングアーム114A、114Bは、後輪112A、112Bに接続されている。第1の後輪112Aは、回転軸51回りに回転可能に配置され、第2後輪112Bは、回転軸52回りに回転可能に配置されている。車両100の完全直立位置では、回転軸51および52が整列していることに留意されたい。
【0019】
図4は、第1接続アーム53が、ロッカーアーム41上の枢動点54と枢動点55の間に配置されていることをさらに示している。同様に、第2接続アーム56は、ロッカーアーム41上の枢動点57と枢動点58との間に配置される。枢動点55と車軸45との間に、第1リンケージ63が配置されている。同様に、枢動点58と車軸46との間に、第2リンケージ64が配置されている。リンケージ63、64のそれぞれの第1の端部は、枢動点121でスイングアームの1つに結合されている。リンケージ63、64の第2の端部は、ロッカーアーム41の一方の外端に結合されている。
【0020】
運転中のドライバーのために快適さを提供するために、後輪112は吊下げられている。サスペンションは、接続アーム53、56のそれぞれに含まれる弾性部材61、62によって実現される。接続アーム53、56に弾性部材61、62を配置することにより、力を加えると接続アームの長さが変化する。
【0021】
図5Aは、サスペンション構成を備えた後輪112Aのうちの1つの側面図を示している。運転中に後輪112Aが路面の凹凸にぶつかると、矢印Fupで示すように、後輪が急に上向きになる。スイングアーム114Aが軸121の回りで回転可能なリンケージ63に結合されているという事によって、接続アーム53は、
図5Aの矢印Fpullよって示されるように引っ張られる。ロッカーアーム41は回転できるが、両輪112に急激な力が加わった場合は回転しないことに留意されたい。ロッカーアーム41は、車両の傾斜角が変化した場合にのみ回転することを意図している。これは、傾斜角を変えずに、ロッカーアーム41の外端の1つにある枢動点54が、
図5Aの固定点と見なされるべきであることを意味する。したがって、接続アーム53が引っ張られると、弾性部材61が伸ばされる。上向きの力Fupが終了すると、引っ張り力がなくなり、弾力部材61が短くなり、無負荷状態に戻る。
【0022】
なお、本実施形態では、スイングアーム114A自体が弾性ではないことに留意されたい。上記の後輪のサスペンションは、スイングアーム114Aが回転点121を中心に回転するように配置され、弾性部材61を備える接続アーム53に固定されていることの結果である
【0023】
図5Bは、本実施形態に係る非傾斜位置にあるサスペンション機構の一部の側面図を示す。スイングアーム114Aは2つ示されている。つまり、一方は無負荷状態(114A(1)参照)であり、他方は負荷状態(114A(2)参照)である。荷重による回転軸51の垂直変位は、Δswingで示し、荷重による弾性部材61の伸長方向に沿った枢動点55の変位をΔresで示す。Δresの値は、弾性部材61の伸びに直接関係する。特定の実施形態では、スイングアーム114Aの長さ(枢動点121と回転軸51との間の距離として定義される)は330mmであり、リンケージ63の長さ(枢動点55と枢動点121との間の距離として定義される)は、40mmである。その場合、Δswing/Δresとして定義されるサスペンション比は、330/40=8.25に等しい。好ましい実施形態では、このサスペンション比は、8から14の間の範囲にある。
【0024】
以下の表1は、異なる負荷におけるスイングアーム114Aの旋回角度(Sw.A.Rot)および、弾性部材61の圧縮に等しいいわゆるロッドの伸び(Rod_EXT)の例を示す。表1のロッドの長さ(L_Rod)とロッドの伸びの値はmmで示されている。
【0026】
弾性部材61、62のそれぞれは、皿ワッシャまたは皿バネとしてよりよく知られている、いわゆる円錐ディスクバネと呼ばれるいくつかのリングを含む。バネは、非線形のバネ特性を作成するために、異なる積み重ねおよび/または方向の構成の少なくとも2つのグループで構成される。
【0027】
図6は、本実施形態に係る一つの皿バネの上面図および側面図を示す。バネ60は、内径Di、外径Deを有する。
図6の下部からわかるように、サスペンションリング60は完全に平らではない。内周は、リングの外周の平面に平行な平面にあるが、その平面にはない。サスペンションリング60に十分な力が加えられると、それが押し込まれ、加えられた力およびサスペンションリング60の強度に応じて、リングは完全にまたはある程度平らになる。
【0028】
図7は、実施形態に係る
図5Aの接続アーム53の断面を模式的に示している。接続アーム53は、第1のリンケージ71と第2のリンケージ72とを備える。第1のリンケージ71は、
図4に示される弾性部材61を具体化するショックアブソーバを介して第2のリンケージ72に弾性的に結合されている。ショックアブソーバは、円筒形ハウジングであり得るがこれに限定されない外側ハウジング74を備える。外側ハウジング74は、片側がリンケージ72に固定されている。反対側では、外側ハウジング74は、他のリンケージ、つまりリンケージ71のための開口部を含み、リンケージ71が出入りする。外側ハウジング74には、リンケージ71の外端に固定された端部ストップ75が配置されている。この特定の例では、10個の皿バネ60Aが外側ハウジング74内に配置されている。バネ60Aは、リンケージ71の周りに配置されている。リンケージ71の断面は、バネ60Aの内径D
iよりも小さい。リンケージ71は、好ましくは円形断面を有し、その結果、バネ60Aは、リンケージ71の周りに都合よく配置することができる。ただし、リンケージの断面は、長方形、三角形、星型など、さまざまな形をとることができることに留意されたい。
【0029】
バネ60は、特定の構成で配置される。この例では、6つのリングが並列に配置され(グループ76を参照)、別の4つのバネが直並列に配置されている(グループ77を参照)。グループ76と77のそれぞれは、線形のバネ定数特性を有するが、組み合わせると、合計のバネ特性は異なる勾配を持つ2つの傾斜を含み、非線形のバネ定数特性になる。
【0030】
ゼロの力から出発して、バネ特性は、最も弱いグループ、すなわちグループ77によって決定されるであろう。力が特定の値に達すると、バネの特性は、グループ76であるより硬いグループによって決定される。別のグループ78は、この例では、リンケージ71の周りに配置されておらず全体のバネ特性に追加されない2つの皿バネ60Bを含む。グループ78の機能は、後輪112の戻りまたは下向きストローク中に、端部ストップ75、リンケージ71、および周囲の構成要素の動きを減衰させることである。バネ60Bがリンケージ71の周りに配置されていないため、リンケージ71および端部ストップ75の外向きストロークは、バネ60Bの直径の35%未満であることが好ましく、それにより戻りストローク中にそれらが元の位置に戻れない程度に回転するのを防ぐことに留意されたい。グループ78は、皿バネを備えるが、これに限定されない。他のタイプの弾性要素を使用して、この例のバネ60Bによって提供されるのと同じ機能を果たすことができる。
【0031】
図8は、実施の形態に係るバネストロークに対するバネ力のグラフを示す。この実施形態では、弾性部材61は、4つのグループの皿バネを含む。
図8のグラフでは、値F_totは、弾性部材にかかる総力を表し、S_totは、弾性部材61の総バネストロークを表す。
図8からわかるように、線81は、グラフの勾配が突然変化する3つの遷移を示す。これらの変化は、
図9に示すように、S_totの関数として値d(F_tot)/dSのグラフを示すことで最もよく表すことができる。この特定の例では、d(F_tot)/dSの値は4つのステップを示す。第2のステップは、第1のステップよりも低くなっている。第2のステップの後、関数はさらに2つのステップを示し、各ステップは、前のステップよりも高くなっている。
【0032】
図9の最も高いステップは、
図7にグループ76として示された、並列に複数の皿バネを配置することにより実現することができる。このような並列バネの配置は、特性の終わりに非常に硬いサスペンションをもたらす。
図8のこの最後の非常に急な部分は、過度の力が発生した場合に周囲の構成要素への損傷を回避する。それでもドライバーに十分な快適さを提供するために、弾性部材61は、少なくとも、
図7のグループ77に示すようにリングのさらなるグループを含む。このグループにより、バネ定数特性の急勾配部分も少なくなる。
【0033】
なお、上記では「バー」および「管(チューブ)」の両方の用語が使用されていることに留意されたい。「管(チューブ)」は、中空のバーと見なされるが、「バー」は必ずしも中空である必要はない。いくつかの実施形態では、上記のバーは、均質(中空ではない)または少なくとも部分的に均質であり得る。
【0034】
なお、上述の実施形態は、発明を制限するために示したものではなく、当業者が多くの代替実施例を設計することができるであろうことに留意すべきである。傾斜可能な車両は、例えば、1つだけではなく2つの前輪を含み得る。
【0035】
特許請求の範囲において、括弧の間に配置された参照記号は、請求項を限定するものとして解釈されてはならない。動詞「comprise(備える)」とその活用形の使用は、請求項に記載されているもの以外の要素またはステップの存在を排除するものではない。要素の前にある冠詞「a」または「an」は、そのような要素が複数存在することを排除するものではない。特定の手段が相互に異なる従属クレームに記載されているという単なる事実は、これらの措置の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
【符号の説明】
【0036】
41 ロッカーアーム
53,56 接続アーム
61 弾性部材
63,64 リンケージ
100 車両
102 主後部フレームロッド
108 前部フレーム要素
112A,112B 後輪
114A,114B スイングアーム
124 前輪
【国際調査報告】