(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-523092(P2021-523092A)
(43)【公表日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】アルファ−(ジアリールメチル)アルキルアミンの改良された不斉合成
(51)【国際特許分類】
C07C 209/62 20060101AFI20210806BHJP
C07C 211/27 20060101ALI20210806BHJP
C07C 213/08 20060101ALI20210806BHJP
C07C 217/56 20060101ALI20210806BHJP
C07C 313/06 20060101ALN20210806BHJP
C07B 53/00 20060101ALN20210806BHJP
【FI】
C07C209/62
C07C211/27
C07C213/08
C07C217/56
C07C313/06
C07B53/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2020-550679(P2020-550679)
(86)(22)【出願日】2019年3月20日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月14日
(86)【国際出願番号】IB2019052247
(87)【国際公開番号】WO2019180627
(87)【国際公開日】20190926
(31)【優先権主張番号】201821010383
(32)【優先日】2018年3月21日
(33)【優先権主張国】IN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】521135669
【氏名又は名称】ピラマル・ファーマ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PIRAMAL PHARMA LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ラジェンデル・レディ・レレティ
(72)【発明者】
【氏名】シャラドスリカル・コットゥリ
(72)【発明者】
【氏名】ヨゲシュ・ワマン
(72)【発明者】
【氏名】チラグ・パテル
(72)【発明者】
【氏名】ラジェシュ・シェノイ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC81
4H006BB25
4H006BD70
4H006BJ50
4H006BP30
4H006BU38
4H006TA01
(57)【要約】
本発明は、アルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(以下、化合物(1)と称する)またはその薬学的に許容される塩および誘導体の改良された不斉合成に関する。この方法は、キラルα-(ジアリールメチル)アルキルアミン(4)およびキラルアミン(5)の選択的形成をもたらす、α-ジアリールメタンの独特の基質特異的位置選択的リチオ化と、それに続くN-tert-ブタンスルフィニルイミンへの高度にジアステレオ選択的な付加を含み;続く、スルフィニル基の除去は、対応するアルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(1)または相対的キラルアミン(1”)を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】
[式中、R、R
1およびR
2は独立して、H、C
1-C
10直鎖または分枝鎖または環式アルキル、置換または非置換アリール、エステル、ヘテロアリール、ハロ、ハロアルキルから選択される]
によって表されるアルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(1)またはその塩の製造方法であって、
(a)リチオ化剤の存在下、以下の式:
【化2】
で表されるジアリールメチル化合物(3)を、以下の式:
【化3】
で表されるN-tert-ブタンスルフィニルイミン化合物(2)と反応させること;
(b)以下の式:
【化4】
で表される、段階(a)の化合物アルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン化合物(4)からスルフィニル基を除去すること;
を含む、方法。
【請求項2】
ステップ(a)が、以下の式:
【化5】
[式中、R
2は、前記と同意義である]
で表されるリチオ化ジアリールメチルアニオン化合物(3-Li)のインサイチュ形成を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)で使用されるリチオ化剤が、n-ブチルリチウム(n-BuLi)、フェニルリチウム、メチルリチウム、tert-ブチルリチウムまたはそれらの混合物から選択される有機リチウム化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(b)が、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸またはそれらの混合物などの酸によるアルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン化合物(4)の処理によって、アミンのスルフィニル置換を切断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
以下の式:
【化6】
[式中、R、R
1、R
2は独立して、H、C
1-C
10直鎖または分枝鎖または環式アルキル、置換または非置換アリール、エステル、ヘテロアリール、ハロ、ハロアルキルから選択される]
によって表されるキラルアミン化合物(1”)またはその塩の製造方法であって、
(x)リチオ化剤の存在下、以下の式:
【化7】
によって表されるジアリールメチル化合物(6)を、以下の式:
【化8】
によって表されるN-tert-ブタンスルフィニルイミン化合物(2)と反応させること;
(y)以下の式:
【化9】
によって表される段階(x)の化合物スルフィニルアミン(5)からスルフィニル基を除去すること;
を含む、方法。
【請求項6】
ステップ(x)が、以下の式:
【化10】
[式中、R
2は、前記と同意義である]
で表されるo-リチオ化ジアリールメチルアニオン化合物(6-Li)のインサイチュ形成を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(x)で使用されるリチオ化剤が、n-ブチルリチウム(n-BuLi)、フェニルリチウム、メチルリチウム、tert-ブチルリチウムまたはそれらの混合物から選択される有機リチウム化合物である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(y)が、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸またはそれらの混合物などの酸によるスルフィニルアミン化合物(5)の処理によって、アミンのスルフィニル置換を切断することを含む、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(以下、化合物(1)と称する)またはその薬学的に許容される塩および誘導体の改良された不斉合成に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の従来技術の議論は、適切な技術的文脈で本発明を提示することを意図しており、その重要性が適切に理解されることを可能にする。明確に反対の指示がない限り、本明細書における従来技術への言及は、そのような技術が広く知られている、またはその分野における一般的な知識の一部を形成するという明示的または黙示的な承認として解釈されるべきではない。
【0003】
式(1)の化合物、アルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミンは、活性物質、HIVプロテアーゼ阻害剤活性化合物などの多くの薬剤、薬剤候補、および生物活性物質中に存在する、遍在構造モチーフである;デナグリプチン、メラノコルチン-5受容体(MC5R)活性物質、HIVプロテアーゼ活性化合物など。式(1)の化合物は、キラル多座配位子の不斉合成にも効果的に使用される。式(1)の化合物、アルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミンは、構造的に以下:
【化1】
[式中、R、R
1およびR
2は独立して、H、C
1-C
10直鎖または分枝鎖または環式アルキル、置換または非置換アリール、エステル、ヘテロアリール、ハロ、ハロアルキルから選択される]
の通り表される。
【化2】
【0004】
式(1)のアミン化合物は、いくつかの生物活性化合物の重要な中間体であり;その調製のための多くの方法が当該技術分野で知られている。
【0005】
学術論文Tetrahedron:Asymmetry 10、p 1189-1192(1999)は、アミノ酸からの(S)-α-(ジフェニルメチル)アルキルアミンの合成を開示した。たとえば、該論文は、アミノアルコールをジホスゲンで処理してオキサゾリジノンを生成し、オキサゾリジノンの水素化が簡単であることを証明し、標的アミンが容易に精製される一般的な変換を開示した。
【化3】
【0006】
学術論文Tetrahedron: Asymmetry、Vol. 8、No. 1、pp. 149-153(1997)およびTetrahedron: Asymmetry 10、p 1189-1192(1999)は、対応するプロリンからの(S)-2-(ジフェニルメチル)ピロリジンの合成を開示した。たとえば、該論文は、(S)-L-プロリンを、メタノール中でクロロギ酸エチルおよび炭酸カリウムで処理して、対応するエステルを得る変換を開示した。生成物は、臭化フェニルマグネシウム(2当量)とのグリニャール反応に直接付され、インサイチュ環化により環式化合物が生成された;触媒としてパラジウム炭素を使用するその後の水素化により、この化合物は、(S)-2-(ジフェニルメチル)ピロリジンを提供した。
【化4】
【0007】
学術論文Organic Process Research & Development 17(1)、69-76(2013)は、対応するジアリールケトンからの(S)-N-Bocビス(4-フルオロフェニル)アラニンの合成を開示した。たとえば、該論文は、イソシアノ酢酸エチルを塩基の存在下で4,4'-ジフルオロベンゾフェノンと反応させて、求めるN-ホルミルデヒドロアミノエステルを得る変換を開示した。化合物はさらに、適切な無水物でジアミドを形成し、続いてメタノール性炭酸カリウムで処理することによって、エチル2-アセトアミド-3,3-ビス(4-フルオロフェニル)アクリレートおよびエチル2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3,3-ビス(4-フルオロフェニル)アクリレートに別々に変換される。
【化5】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の引用文献から、前述の引用特許文書に記載されているアルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(1)の調製方法が、主に臨界的反応条件、試薬、および長時間の後処理手順を伴うことが明らかである。たとえば、従来技術の手順は、グリニャール反応、環化および金属触媒水素化を含む最終アミン化合物に到達するための複数の方法ステップの使用を含む。一般に、グリニャール反応は湿気に敏感であるため、複数の不純物を生成する可能性があり、工業レベルで処理することが重要である。また、報告された方法は、複雑な試薬と長い後処理手順を含み、これは方法をより高価にし、したがって方法は工業的に実現可能ではない。
【0009】
これらの欠点を考慮して、式(1)の化合物を調製するための工業的に実行可能な商業的方法を開発する必要がある;これは、単純で効率的かつ費用効果の高い方法であり、所望の化合物を改善された収率および純度で提供する。
【0010】
本発明の発明者らは、従来技術で報告された方法に関連する問題に対処する改良された方法を開発した。本発明の発明者らは、エナンチオに富むアルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(1)に近づく直接的な方法は、エルマンのイミンへのジアリールメチルアニオンの不斉付加であると推論し、これは、現在考えられている化学部分において当該技術分野で明示的に報告されていない。しかしながら、これらの反応条件は、驚くべきことに、α-ジアリールメタンの独特の基質特異的位置選択的リチオ化をもたらした。本発明者らは、これらの合成努力は、既知および新規の生物活性物質の発見を含むさまざまな研究用途において価値がありえること、そしてまた、広い基質範囲に拡張されうることを想定している。本発明の方法は、毒性のある、臨界的および/または高価な触媒、溶媒および試薬の使用を含まない。さらに、該方法は追加の精製および臨界的な結晶化手順を必要としない。したがって、本発明は、アルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(1)およびその中間体を調製するための方法を提供する;これは、シンプルで効率的、費用効果が高く、環境に優しく、大規模な操作のために商業的に拡張可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概略
1つの態様では、本発明は、リチオ化ジアリールメチル(3-Li)アニオンをN-tert-ブタンスルフィニルイミン(2)と反応させて、アルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(4)を生成し;続いて、スルフィニル基を除去することを含む、アルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(1)の改良された製造方法に関する。
【0012】
1つの態様では、本発明は、リチオ化ジアリールメチル(3-Li)アニオンを、N-tert-ブタンスルフィニルイミン(2)と反応させることを含む、アルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(4)の改良された製造方法に関する。
【0013】
1つの態様では、本発明は、
(a)リチオ化剤の存在下、ジアリールメチル化合物(3)を、N-tert-ブタンスルフィニルイミン(2)と反応させること;
(b)段階(a)の化合物アルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(4)からスルフィニル基を除去すること;
を含む、アルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(1)の改良された製造方法に関する。
【0014】
もう1つの態様では、本発明は、o-リチオ化ジアリールメチル化合物(6-Li)アニオンをN-tert-ブタンスルフィニルイミン(2)と反応させて、スルフィニルアミン(5)を生成し;続いて、スルフィニル基を除去することを含む、キラルアミン(1”)の改良された製造方法に関する。
【0015】
1つの態様では、本発明は、o-リチオ化ジアリールメチル化合物(6-Li)アニオンを、N-tert-ブタンスルフィニルイミン(2)と反応させることを含む、スルフィニルアミン(5)の改良された製造方法に関する。
【0016】
1つの態様では、本発明は、
(x)リチオ化剤の存在下、ジアリールメチル(6)を、N-tert-ブタンスルフィニルイミン(2)と反応させること;
(y)段階(x)の化合物スルフィニルアミン(5)からスルフィニル基を除去すること;
を含む、キラルアミン(1”)の改良された製造方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な記載
したがって、本明細書は、以下の式:
【化6】
[式中、R、R
1およびR
2は独立して、H、C
1-C
10直鎖または分枝鎖または環式アルキル、置換または非置換アリール、エステル、ヘテロアリール、ハロ、ハロアルキルから選択される]
によって表されるアルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(1)の改良された製造方法であって、
(a)リチオ化剤の存在下、以下の式:
【化7】
で表されるジアリールメチル化合物(3)を、以下の式:
【化8】
で表されるN-tert-ブタンスルフィニルイミン化合物(2)と反応させること;
(b)以下の式:
【化9】
で表される、段階(a)の化合物アルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン化合物(4)からスルフィニル基を除去すること;
を含む、方法に関する。
【0018】
前述の方法によって得られた化合物(1)は、任意選択で、さまざまな治療的に活性な薬物または進化した薬物中間体に変換される。
【0019】
1つの実施態様では、ステップ(a)で使用されるリチオ化剤は、n-ブチルリチウム(n-BuLi)、フェニルリチウム、メチルリチウム、tert-ブチルリチウムまたはそれらの混合物から選択される有機リチウム化合物である。
【0020】
1つの実施態様では、使用されるリチオ化剤は、n-ブチルリチウム(n-BuLi)である。したがって、本発明は、以下の式:
【化10】
[式中、R、R
1およびR
2は独立して、H、C
1-C
10直鎖または分枝鎖または環式アルキル、置換または非置換アリール、エステル、ヘテロアリール、ハロ、ハロアルキルから選択される]
によって表されるアルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン化合物(4)の改良された製造方法であって、
以下の式:
【化11】
によって表される化合物(3-Li)のリチオ化ジアリールメチルアニオンを、以下の式:
【化12】
で表されるN-tert-ブタンスルフィニルイミン化合物(2)と反応させることを含む、方法に関する。
【0021】
前述の方法によって得られた化合物(4)は、任意選択で、化合物アルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(4)からスルフィニル基を除去することによって、アルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(1)に変換される。
【0022】
本発明の文脈において、たとえば、任意選択で変換される方法ステップなどの、任意の要素に関して使用される場合の「任意選択で」という用語は、対象化合物がその後化合物(1)に変換されるか、あるいは、変換されないことを意味することを意図する。両方の代替案は、本発明の範囲内にあることが意図される。
【0023】
特定の実施態様では、アルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(1)の製造方法は、以下のステップ:
(i)溶媒にジアリールメチル化合物(3)を溶解すること;
(ii)段階(i)の反応混合物を、約0℃の温度に冷却すること;
(iii)段階(ii)の撹拌溶液に、n-ブチルリチウム(n-BuLi)を添加すること;
(iv)段階(iii)の反応混合物を、約-78℃の温度に冷却すること;
(v)段階(iv)の撹拌溶液に、N-tert-ブタンスルフィニルイミン(2)を添加すること;
(vi)段階(v)の反応混合物を、約-78℃の温度にて撹拌すること;
(vii)アルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン化合物(4)を単離すること;
(viii)スルフィニル基を除去すること;
を含む。
【0024】
上記の特定の実施態様による本発明の方法は、以下のスキーム(A)に示される;
【化13】
[式中、R、R
1およびR
2は独立して、H、C
1-C
10直鎖または分枝鎖または環式アルキル、置換または非置換アリール、エステル、ヘテロアリール、ハロ、ハロアルキルから選択される]
【0025】
上記の方法のステップ(i)〜ステップ(viii)(スキーム(A)に示される)までのいずれかの方法ステップで使用される溶媒は、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、2-メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-ジオキサンおよび1,3-ジオキサンなどのエーテル溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、t-アミルアルコール、t-ブチルアルコールおよびヘキサノールなどのアルコール溶媒;ジクロロメタン、4-ブロモトルエン、ジヨードメタン、四塩化炭素、クロロベンゼンおよびクロロホルムなどのハロゲン化溶媒;アセトンなどのケトン;アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびN-メチルピロリドン(NMP)などの非プロトン性溶媒;トルエン、キシレンおよびベンゼンなどの芳香族溶媒;水またはそれらの混合物から選択される。
【0026】
上記の方法のステップ(ii)(スキーム(A)に示される)で言及される「約0℃の温度」という用語は、-5℃〜+5℃の範囲でありうる。
【0027】
上記の方法のステップ(iv)または(vi)(スキーム(A)に示される)で言及される「約-78℃の温度」という用語は、-70℃〜-90℃の範囲でありうる。
【0028】
ステップ(i)〜ステップ(viii)までの任意の方法ステップで言及される「単離」という用語は、水の添加、二相溶媒後処理、溶媒層または沈殿の分離、溶媒の蒸発、濾過、洗浄および乾燥を含むステップに対応する方法を使用して得られた生成物を単離または分離することに対応する。
【0029】
任意の方法ステップ(viii)で言及される「スルフィニル基の除去」という用語は、アミンのスルフィニル置換の切断および遊離アミン化合物の生成に対応する。スルフィニル基の除去は、化物(4)を、酸、たとえば、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸またはそれらの混合物で処理することによって達成される。
【0030】
本発明の発明者らは、エナンチオに富むアルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(1)に近づく直接的な方法は、エルマンのイミンへのジアリールメチルアニオンの不斉付加であると推論し、これは、現在考えられている化学部分において当該技術分野で明示的に報告されていない。しかしながら、これらの反応条件は、驚くべきことに、α-ジアリールメタンの独特の基質特異的位置選択的リチオ化をもたらした。本発明者らは、これらの合成努力は、デナグリプチン、メラノコルチン-5受容体(MC5R)活性物質、HIVプロテアーゼ阻害剤活性化合物などの既知および新規の生物活性物質の発見を含むさまざまな研究用途において価値がありえること、そしてまた、広い基質範囲に拡張されうることを想定している。
【0031】
上記の特定の実施態様による本発明の方法は、以下のスキーム(B)に示される;
【化14】
[式中、Rは、下記の表-1に列挙された可変部分を表す]
【0032】
以下に示される代表的な場合において、さまざまなN-tert-ブタンスルフィニルアルジミン(2a-1)へのジアリールメチル(3a)求核試薬の付加が研究された。たとえば、THF中で(2a)とジフェニルメチルリチウム(3a-Li)を-78℃で2時間反応させると、アルファ-(ジフェニルメチル)フェニルアミン誘導体(4a)が約93%の収率にて、高いジアステレオマー比(dr98:2)で得られる。反応のジアステレオ選択性は、粗生成物の
1H NMR分析により98:2であると決定された。得られた化合物(4a-1)をさらに塩酸で処理してスルフィニル基を除去した。
【0033】
表-1.さまざまなN-tert-ブタンスルフィニルアルジミンへのジアリールメチル求核試薬の付加
a
【表1】
表-1
【0034】
もう1つの実施態様では、o-リチオ化ジアリールメチル化合物(6-Li)アニオンを、N-tert-ブタンスルフィニルイミン(2)と反応させて、スルフィニルアミン(5)を生成し;続いて、スルフィニル基を除去することを含む、キラルアミン(1”)の改良された製造方法を提供する。
【0035】
さらなる実施態様では、o-リチオ化ジアリールメチル化合物(6-Li)アニオンを、N-tert-ブタンスルフィニルイミン(2)と反応させることを含む、スルフィニルアミン(5)の改良された製造方法を提供する。
【0036】
したがって、本発明は、以下の式:
【化15】
[式中、R、R
1、R
2は独立して、H、C
1-C
10直鎖または分枝鎖または環式アルキル、置換または非置換アリール、エステル、ヘテロアリール、ハロ、ハロアルキルから選択される]
によって表されるキラルアミン化合物(1”)の改良された製造方法であって、
(x)リチオ化剤の存在下、以下の式:
【化16】
によって表されるジアリールメチル化合物(6)を、以下の式:
【化17】
によって表されるN-tert-ブタンスルフィニルイミン化合物(2)と反応させること;
(y)以下の式:
【化18】
によって表される段階(x)の化合物スルフィニルアミン(5)からスルフィニル基を除去すること;
を含む、方法に関する。
【0037】
前述の方法によって得られた化合物(1”)は、任意選択で、さまざまな治療的に活性な薬物または進化した薬物中間体に変換される。
【0038】
1つの実施態様では、ステップ(x)で使用されるリチオ化剤は、n-ブチルリチウム(n-BuLi)、フェニルリチウム、メチルリチウム、tert-ブチルリチウムまたはそれらの混合物から選択される有機リチウム化合物である。
【0039】
1つの実施態様では、使用されるリチオ化剤は、n-ブチルリチウム(n-BuLi)である。したがって、本発明は、以下の式:
【化19】
[式中、R、R
1およびR
2は独立して、H、C
1-C
10直鎖または分枝鎖または環式アルキル、置換または非置換アリール、エステル、ヘテロアリール、ハロ、ハロアルキルから選択される]
によって表されるスルフィニルアミン化合物(5)の改良された製造方法であって、
以下の式:
【化20】
によって表される化合物(6-Li)のo-リチオ化ジアリールメチルアニオンを、以下の式:
【化21】
で表されるN-tert-ブタンスルフィニルイミン化合物(2)と反応させることを含む、方法に関する。
【0040】
前述の方法によって得られた化合物(5)は、任意選択で、化合物スルフィニルアミン(5)からスルフィニル基を除去することによって、キラルアミン(1”)に変換される。
【0041】
本発明の文脈において、たとえば、任意選択で変換される方法ステップなどの、任意の要素に関して使用される場合の「任意選択で」という用語は、対象化合物がその後化合物(1”)に変換されるか、あるいは、変換されないことを意味することを意図する。両方の代替案は、本発明の範囲内にあることが意図される。
【0042】
特定の実施態様では、キラルアミン(1”)の製造方法は、以下のステップ:
(xi)溶媒にジアリールメチル化合物(6)を溶解すること;
(xii)段階(xi)の反応混合物を、約0℃の温度に冷却すること;
(xiii)段階(xii)の撹拌溶液に、n-ブチルリチウム(n-BuLi)を添加すること;
(xiv)段階(xiii)の反応混合物を、約-78℃の温度に冷却すること;
(xv)段階(xiv)の撹拌溶液に、N-tert-ブタンスルフィニルイミン(2)を添加すること;
(xvi)段階(xv)の反応混合物を、約-78℃の温度にて撹拌すること;
(xvii)スルフィニルアミン化合物(5)を単離すること;
(xviii)スルフィニル基を除去すること;
を含む。
【0043】
上記の特定の実施態様による本発明の方法は、以下のスキーム(C)に示される;
【化22】
[式中、R、R
1およびR
2は独立して、H、C
1-C
10直鎖または分枝鎖または環式アルキル、置換または非置換アリール、エステル、ヘテロアリール、ハロ、ハロアルキルから選択される]
【0044】
上記の方法のステップ(xi)〜ステップ(xviii)(スキーム(C)に示される)までのいずれかの方法ステップで使用される溶媒は、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、2-メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-ジオキサンおよび1,3-ジオキサンなどのエーテル溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、t-アミルアルコール、t-ブチルアルコールおよびヘキサノールなどのアルコール溶媒;ジクロロメタン、4-ブロモトルエン、ジヨードメタン、四塩化炭素、クロロベンゼンおよびクロロホルムなどのハロゲン化溶媒;アセトンなどのケトン;アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびN-メチルピロリドン(NMP)などの非プロトン性溶媒;トルエン、キシレンおよびベンゼンなどの芳香族溶媒;水またはそれらの混合物から選択される。
【0045】
上記の方法のステップ(xii)(スキーム(C)に示される)で言及される「約0℃の温度」という用語は、-5℃〜+5℃の範囲でありうる。
【0046】
上記の方法のステップ(xiv)または(xvi)(スキーム(A)に示される)で言及される「約-78℃の温度」という用語は、-70℃〜-90℃の範囲でありうる。
【0047】
ステップ(xi)〜ステップ(xviii)までの任意の方法ステップで言及される「単離」という用語は、水の添加、二相溶媒後処理、溶媒層または沈殿の分離、溶媒の蒸発、濾過、洗浄および乾燥を含むステップに対応する方法を使用して得られた生成物を単離または分離することに対応する。
【0048】
任意の方法ステップ(xviii)で言及される「スルフィニル基の除去」という用語は、アミンのスルフィニル置換の切断および遊離アミン化合物の生成に対応する。スルフィニル基の除去は、化合物物(5)を、酸、たとえば、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸またはそれらの混合物で処理することによって達成される。
【0049】
上記の特定の実施態様による本発明の方法は、以下のスキーム(D)に示される;
【化23】
[式中、Rは、下記の表-2に列挙された可変部分を表す]
【0050】
以下に示される代表的な場合において、さまざまなN-tert-ブタンスルフィニルアルジミン(2a,d,f,g,j)へのジアリールメチル(6a)求核試薬の付加が研究された。たとえば、THF中で(2a)とジフェニルメチルo-リチウム(6a-Li)を-78℃で2時間反応させると、スルフィニルアミン誘導体(5a)が約90-95%の収率にて、粗生成物の
1H NMR分析による高いジアステレオマー比(dr 90:10〜95:5)で得られる。得られた化合物(5a,d,f,g,j)をさらに塩酸で処理してスルフィニル基を除去した。
【0051】
表-2.さまざまなN-tert-ブタンスルフィニルアルジミンへのo-リチオ化ジアリールメチル求核試薬の付加
a
【表1】
表-2
【0052】
本発明が、アルファ-ジアリールメタンの独特の基質特異的位置選択的リチオ化と、それに続くN-tert-ブタンスルフィニルイミンへの高度にジアステレオ選択的な付加であり、それが、キラルアルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン(4)およびキラルアミン(5)の選択的形成をもたらすことは明らかである。
【0053】
有利なことに、本発明の方法の上記で特定された要素は、方法の全体的なコストの削減に効果的に寄与する。
【0054】
本発明は、本発明の例示として提供され、本発明の範囲を限定しない以下の実施例によってさらに説明される。本発明は、その特定の実施態様に関して説明されてきたが、特定の修正および均等物は当業者には明らかであり、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【実施例1】
【0055】
(R)-2-メチル-N-((R)-1,2,2-トリフェニルエチル)プロパン-2-スルフィンアミド(4a):
フラスコに2.5mLのテトラヒドロフラン(THF)を入れ、続いて、約0℃の温度でビフェニルメタン(3)(4.77 mmol)およびn-ブチルリチウム(シクロヘキサン中1.6 M、2.86 mmol)を加えた。反応混合物をさらに約-78℃の温度に冷却し、撹拌溶液にN-tert-ブタンスルフィニルアルジミン(2a)(200 mg、0.9 5mmol)を加えた。-78℃の温度で約1時間、反応混合物の撹拌を継続し、続いて、同じ温度で水(5 mL)を滴下した。反応混合物を酢酸エチル(5 mL×3)で抽出し、分離した有機層を蒸発させて、化合物(4a)を収量(330 mg、93%)で得た。
【実施例2】
【0056】
(R)-N-((R)-1-(2-クロロフェニル)-2,2-ジフェニルエチル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(4b):
フラスコに2.5mLのテトラヒドロフラン(THF)を入れ、続いて、約0℃の温度でビフェニルメタン(3)(4.1 mmol)およびn-ブチルリチウム(シクロヘキサン中1.6 M、2.46 mmol)を加えた。反応混合物をさらに約-78℃の温度に冷却し、撹拌溶液にN-tert-ブタンスルフィニルアルジミン(2b)(200 mg、0.82 mmol)を加えた。-78℃の温度で約1時間、反応混合物の撹拌を継続し、続いて、同じ温度で水(5 mL)を滴下した。反応混合物を酢酸エチル(5 mL×3)で抽出し、分離した有機層を蒸発させて、化合物(4b)を収量(300 mg、90%)で得た。
【実施例3】
【0057】
(R)-N-((R)-1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-2,2-ジフェニルエチル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(4c)
フラスコに2.5mLのテトラヒドロフラン(THF)を入れ、続いて、約0℃の温度でビフェニルメタン(3)(3.82 mmol)およびn-ブチルリチウム(シクロヘキサン中1.6 M、2.29 mmol)を加えた。反応混合物をさらに約-78℃の温度に冷却し、撹拌溶液にN-tert-ブタンスルフィニルアルジミン(2c)(200 mg、0.76 mmol)を加えた。-78℃の温度で約1時間、反応混合物の撹拌を継続し、続いて、同じ温度で水(5 mL)を滴下した。反応混合物を酢酸エチル(5 mL×3)で抽出し、分離した有機層を蒸発させて、化合物(4c)を収量(290 mg、91%)で得た。
【実施例4】
【0058】
(R)-2-メチル-N-((S)-3-メチル-1,1-ジフェニルブタン-2-イル)プロパン-2-スルフィンアミド(4j)
フラスコに2.5mLのテトラヒドロフラン(THF)を入れ、続いて、約0℃の温度でビフェニルメタン(3)(8.55 mmol)およびn-ブチルリチウム(シクロヘキサン中1.6 M、5.13 mmol)を加えた。反応混合物をさらに約-78℃の温度に冷却し、撹拌溶液にN-tert-ブタンスルフィニルアルジミン(2j)(300 mg、1.71 mmol)を加えた。-78℃の温度で約1時間、反応混合物の撹拌を継続し、続いて、同じ温度で水(5 mL)を滴下した。反応混合物を酢酸エチル(5 mL×3)で抽出し、分離した有機層を蒸発させて、化合物(4j)を収量(546 mg、93%)で得た。
【実施例5】
【0059】
(S)-3-メチル-1,1-ジフェニルブタン-2-アミン(1j)
フラスコにジオキサン1 mLを入れ、Pアルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン 4j(100 mg、0.29 mmol)および塩酸溶液(ジオキサン中4.0 M、2.9 mmol、0.72 mL)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、反応混合物を真空下で濃縮した。粗残渣に水(2mL)を加え、続いて、6 M NaOH水溶液を加えて、pH12〜13に調整した。反応混合物を酢酸エチル(5 mL×3)抽出し、分離した有機層を蒸発させて、遊離アミン化合物(1j)を収量(69 mg)で得た。
【実施例6】
【0060】
(S)-4-メチル-1,1-ジフェニルペンタン-2-アミン(1k)
フラスコにジオキサン1 mLを入れ、Pアルファ-(ジアリールメチル)アルキルアミン 4j(100 mg、0.29 mmol)および塩酸溶液(ジオキサン中4.0 M、2.8 mmol、0.7 mL)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、反応混合物を真空下で濃縮した。粗残渣に水(2mL)を加え、続いて、6 M NaOH水溶液を加えて、pH12〜13に調整した。反応混合物を酢酸エチル(5 mL×3)抽出し、分離した有機層を蒸発させて、遊離アミン化合物(1k)を収量(70 mg)で得た。
【実施例7】
【0061】
(S)-N-((R)-(2-メトキシ-5-(4-メトキシベンジル)フェニル)(フェニル)メチル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(5a)
フラスコに2.5mLのテトラヒドロフラン(THF)を入れ、続いて、約0℃の温度でビス(4-メトキシフェニル)メタン(6a)(4.77 mmol)およびn-ブチルリチウム(シクロヘキサン中1.6 M、2.86 mmol)を加えた。反応混合物をさらに約-78℃の温度に冷却し、撹拌溶液にN-tert-ブタンスルフィニルアルジミン(2a)(200 mg、0.95 mmol)を加えた。-78℃の温度で約1時間、反応混合物の撹拌を継続し、続いて、同じ温度で水(5 mL)を滴下した。反応混合物を酢酸エチル(5 mL×3)で抽出し、分離した有機層を蒸発させて、化合物(5a)を収量(384 mg、92%)で得た。
【実施例8】
【0062】
(S)-N-((R)-(2-メトキシ-5-(4-メトキシベンジル)フェニル)(p-トルイル)メチル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(5d)
フラスコに2.5mLのテトラヒドロフラン(THF)を入れ、続いて、約0℃の温度でビス(4-メトキシフェニル)メタン(6a)(5.59 mmol)およびn-ブチルリチウム(シクロヘキサン中1.6 M、3.35 mmol)を加えた。反応混合物をさらに約-78℃の温度に冷却し、撹拌溶液にN-tert-ブタンスルフィニルアルジミン(2d)(247 mg、1.11 mmol)を加えた。-78℃の温度で約1時間、反応混合物の撹拌を継続し、続いて、同じ温度で水(5 mL)を滴下した。反応混合物を酢酸エチル(5 mL×3)で抽出し、分離した有機層を蒸発させて、化合物(5d)を収量(460 mg、92%)で得た。
【実施例9】
【0063】
(S)-N-((S)-フラン-2-イル(2-メトキシ-5-(4-メトキシベンジル)フェニル)メチル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(5f)
フラスコに2.5mLのテトラヒドロフラン(THF)を入れ、続いて、約0℃の温度でビス(4-メトキシフェニル)メタン(6a)(6.27 mmol)およびn-ブチルリチウム(シクロヘキサン中1.6 M、3.76 mmol)を加えた。反応混合物をさらに約-78℃の温度に冷却し、撹拌溶液にN-tert-ブタンスルフィニルアルジミン(2f)(248 mg、1.25 mmol)を加えた。-78℃の温度で約1時間、反応混合物の撹拌を継続し、続いて、同じ温度で水(5 mL)を滴下した。反応混合物を酢酸エチル(5 mL×3)で抽出し、分離した有機層を蒸発させて、化合物(5f)を収量(490 mg、92%)で得た。
【国際調査報告】