(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-523213(P2021-523213A)
(43)【公表日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】癌を治療する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20210806BHJP
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A61K 45/00 20060101ALI20210806BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20210806BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20210806BHJP
【FI】
A61K39/395 U
A61K31/7068
A61K31/675
A61K31/4164
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A61K31/706
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A61K31/136
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A61P43/00 121
A61K45/00
A61K39/395 T
C12N5/0783
C12N15/13ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】91
(21)【出願番号】特願2020-564674(P2020-564674)
(86)(22)【出願日】2019年5月14日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月14日
(86)【国際出願番号】US2019032184
(87)【国際公開番号】WO2019222188
(87)【国際公開日】20191121
(31)【優先権主張番号】62/679,346
(32)【優先日】2018年6月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/671,181
(32)【優先日】2018年5月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/750,026
(32)【優先日】2018年10月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/827,312
(32)【優先日】2019年4月1日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520444638
【氏名又は名称】ジャウンス セラピューティックス, インク.
【氏名又は名称原語表記】JOUNCE THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ハーヴェイ, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ロー, デボラ
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン, アマンダ, エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ファン, マーティン, ユー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
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4C086CB05
4C086CB09
4C086CB21
4C086CB22
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4C086EA10
4C086EA11
4C086EA17
4C086MA01
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4C086NA14
4C086ZB26
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4C206MA02
4C206MA04
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4C206NA14
4C206ZB26
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、癌を治療する方法、および癌の治療アプローチを選択するための方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象における癌を治療する方法で使用するための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニストであって、(i)前記一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の用量を前記対象に投与することと、(ii)前記投与後、前記対象から一つまたは複数の末梢血検査試料を得ることと、(iii)前記一つまたは複数の末梢血検査試料中に存在するCD4+ T細胞のICOSおよび/またはT−betレベルを測定することと、(iv)対照と比較した場合、前記一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかに、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が存在するかどうかを判定することと、(v)(a)前記一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の追加用量、または(b)前記抗ICOSアゴニストを、前記一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定される場合、前記対象に投与することと、を含む、方法で使用するための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項2】
ステップ(iii)が、前記一つまたは複数の末梢血検査試料中に存在するCD4+ T細胞のICOSレベルを測定することを含み、ステップ(iv)が、対照と比較した場合、前記一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれか一つにおいてICOSレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が存在するかどうかを判定することを含み、およびステップ(v)が、(a)前記一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の追加用量、または(b)抗ICOSアゴニストを、前記一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、ICOSレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定される場合、前記対象に投与することを含む、請求項1に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項3】
ステップ(iii)が、前記一つまたは複数の末梢血検査試料中に存在するCD4+ T細胞のT−betレベルを測定することを含み、ステップ(iv)が、対照と比較した場合、前記一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれか一つにおいてT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が存在するかどうかを判定することを含み、およびステップ(v)が、(a)前記一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の追加用量、または(b)抗ICOSアゴニストを、前記一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、T−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定される場合、前記対象に投与することを含む、請求項1または2に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項4】
ステップ(iii)が、前記一つまたは複数の末梢血検査試料中に存在するCD4+ T細胞のICOSおよびT−betレベルを測定することを含み、ステップ(iv)が、対照と比較した場合、前記一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれか一つにおいてICOSおよびT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が存在するかどうかを判定することを含み、およびステップ(v)が、(a)前記一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の追加用量、または(b)抗ICOSアゴニストを、前記一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定される場合、前記対象に投与することを含む、請求項1に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項5】
ステップ(iii)が、前記一つまたは複数の末梢血検査試料中に存在するCD4+ T細胞のICOSおよびT−betレベルを測定することを含み、ステップ(iv)が、対照と比較した場合、前記一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれか一つにおいてICOSおよびT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が存在するかどうかを判定することを含み、およびステップ(v)が、(a)前記一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の追加用量、または(b)抗ICOSアゴニストを、前記一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、ICOSおよびT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定される場合、前記対象に投与することを含む、請求項1に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項6】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、免疫療法を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項7】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、抗CTLA−4アンタゴニスト抗体を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項8】
前記抗CTLA−4アンタゴニスト抗体が、イピリムマブ、トレメリムマブ、およびBMS−986249からなる群から選択される、請求項7に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項9】
前記抗CTLA−4アンタゴニスト抗体が、イピリムマブである、請求項8に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項10】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、抗PD−1または抗PD−L1アンタゴニスト抗体を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項11】
前記抗PD−1または抗PD−L1アンタゴニスト抗体が、アベルマブ、アテゾリズマブ、CX−072、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、チスレリズマブ、JNJ−63723283、ゲノリムズマブ、AMP−514、AGEN2034、デュルバルマブ、およびJNC−1からなる群から選択される、請求項10に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項12】
前記抗PD−1または抗PD−L1アンタゴニスト抗体が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、およびデュルバルマブからなる群から選択される、請求項11に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項13】
前記一つまたは複数の抗癌療法、または抗ICOSアゴニストが、抗ICOSアゴニスト抗体を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項14】
前記抗ICOSアゴニスト抗体が、JTX−2011、BMS−986226、およびGSK3359609からなる群から選択される、請求項13に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項15】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、表2に列挙された一つまたは複数の前記療法を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項16】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、化学療法を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項17】
前記化学療法剤が、カペシタビン、シクロホスファミド、ダカルバジン、テモゾロミド、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、エピルビシン、エリブリン、5−FU、ゲムシタビン、イリノテカン、イクサベピロン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、nab−パクリタキセル、ペメトレキセド、ビノレルビン、ビンクリスチン、エルロチニブ、アファチニブ、ゲフィチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、トラメチニブ、ベムラフェニブ、およびコビメタニブ(cobimetanib)からなる群から選択される、請求項16に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項18】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、放射線療法を含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項19】
ステップ(v)が、前記一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定された場合、抗ICOS抗体アゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項20】
前記抗ICOS抗体アゴニストが、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1、(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2、(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3、(d)配列番号8のアミノ酸配列を含むLCDR1、(e)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR2、および(f)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR3からなる群から選択される少なくとも一つのCDRを含み、前記CDRのうちの一つまたは複数が、1個または2個のアミノ酸置換を含む、請求項13〜19のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項21】
前記抗ICOS抗体アゴニストが、(a)配列番号 5のアミノ酸配列を含むHCDR1、(b)配列番号 6のアミノ酸配列を含むHCDR2、(c)配列番号 7のアミノ酸配列を含むHCDR3、(d)配列番号 8のアミノ酸配列を含むLCDR1、(e)配列番号 9のアミノ酸配列を含むLCDR2、および(f)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、請求項20に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項22】
前記抗ICOS抗体アゴニストが、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(b)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項13〜21のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項23】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、(i)抗CTLA−4アンタゴニスト抗体、(ii)抗PD−1または抗PD−L1アンタゴニスト抗体、(iii)抗ICOSアゴニスト抗体、(iv)表2の療法、(v)化学療法、および(vi)放射線療法のうちの少なくとも二つの任意の組み合わせを含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項24】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、(i)抗CTLA−4アンタゴニスト抗体、(ii)抗PD−1または抗PD−L1アンタゴニスト抗体、(iii)抗ICOSアゴニスト抗体、(iv)表2の療法、(v)化学療法、および(vi)放射線療法のうちの少なくとも三つの任意の組み合わせを含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項25】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、前記一つまたは複数の末梢血検査試料を取得する前に二回以上投与される、請求項1〜24のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項26】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、前記一つまたは複数の末梢血検査試料を取得する前に三回以上投与される、請求項25に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項27】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、前記一つまたは複数の末梢血検査試料を取得する前に四回以上投与される、請求項26に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項28】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、前記一つまたは複数の末梢血検査試料を取得する前に五回以上投与される、請求項27に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項29】
前記一つまたは複数の末梢血検査試料の取得が、前記一つまたは複数の抗癌療法の前記用量の前記一回または複数回の投与後4週間未満に実施される、請求項1〜28のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項30】
前記一つまたは複数の末梢血検査試料の取得が、前記一つまたは複数の抗癌療法の前記用量の前記一回または複数回の投与後3週間未満に実施される、請求項29に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項31】
前記一つまたは複数の末梢血検査試料の取得が、前記一つまたは複数の抗癌療法の前記用量の前記一回または複数回の投与後2週間未満に実施される、請求項30に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項32】
前記一つまたは複数の末梢血検査試料の取得が、前記一つまたは複数の抗癌療法の前記用量の前記一回または複数回の投与後一週間未満に実施される、請求項31に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項33】
前記一つまたは複数の抗癌療法の前記用量が、定期的な間隔で複数回投与される、請求項1〜32のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項34】
前記定期的な間隔が、毎週の用量、二週間毎の用量、三週間毎の用量、四週間毎の用量、六週間毎の用量、九週間毎の用量、および十二週間毎の用量からなる群から選択される、請求項33に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項35】
前記一つまたは複数の末梢血検査試料の取得が、複数の末梢血検査試料の取得を含み、検査試料が一回または複数回の投与と同時に取得される、請求項33または34に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項36】
前記一つまたは複数の末梢血検査試料の取得が、複数の末梢血検査試料の取得を含み、検査試料が前記複数回の投与の間に取得される、請求項33または34に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項37】
前記方法が、前記一つまたは複数の抗癌療法が四回以上の間隔で投与された後、対照と比較してICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が、前記末梢血検査試料のいずれか一つでも検出されない場合、前記一つまたは複数の抗癌療法の投与を停止することをさらに含む、請求項33〜36のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項38】
前記方法が、前記一つまたは複数の抗癌療法が五回以上、六回以上、七回以上、八回以上、九回以上、または十回以上の間隔で投与された後、対照と比較してICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が存在しないという判定に基づいて、末梢血検査試料が取得される場合、前記一つまたは複数の抗癌療法の投与を停止することをさらに含む、請求項37に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項39】
前記方法が、一つまたは複数の前記末梢血検査試料の一部を保存することをさらに含む、請求項1〜38のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項40】
ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇した前記CD4+ T細胞の一部が、一つまたは複数の前記末梢血検査試料から単離され、前記CD4+ T細胞の生存率の維持に適した条件下で保存される、請求項1〜39のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項41】
前記保存されたCD4+ T細胞が、細胞培養培地中に保存される、請求項40に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項42】
前記保存されたCD4+ T細胞が、100,000細胞/mLを超える濃度で保存される、請求項40または41に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項43】
前記保存されたCD4+ T細胞が、100,000細胞/mL〜1億細胞/mLの濃度で保存される、請求項42に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項44】
請求項40〜43のいずれか一項に記載の使用または方法に従って得られたCD4+ T細胞の懸濁液。
【請求項45】
前記対照は末梢血検査試料を含み、これは前記一つまたは複数の抗癌療法を前記対象に一回または複数回投与する前に、前記対象から任意に取得される、請求項1〜43のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項46】
前記対照が、前記一つまたは複数の抗癌療法を受けていない健康な個体から取得した末梢血試料を含む、請求項1〜43のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項47】
ICOSおよび/またはT−betレベルが、免疫測定法の使用を含む、請求項1〜43、45、46のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項48】
前記免疫測定法が、ICOSの細胞内ドメインに結合してICOSを検出する抗体の使用を含む、請求項47に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項49】
前記抗体が、配列番号27の重鎖可変領域配列と配列番号31の軽鎖可変領域配列とを含むか、または前記抗体が、配列番号35の重鎖可変領域配列と配列番号39の軽鎖可変領域配列とを含む、請求項48に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項50】
前記抗体が、配列番号27の重鎖可変領域配列と配列番号31の軽鎖可変領域配列とを含む抗体と交差競合するか、または配列番号35の重鎖可変領域配列と配列番号39の軽鎖可変領域配列とを含む抗体と交差競合する、請求項48に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項51】
対照と比較してICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD8+ T細胞の集団が、前記試料中では検出されない、前記一つまたは複数の末梢血検査試料中に存在するCD8+ T細胞のICOSおよび/またはT−betレベルを測定することをさらに含む、請求項1〜43または45〜50のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項52】
前記癌が、胃癌、任意選択的にトリプルネガティブ乳癌(TNBC)である乳癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、膀胱癌、子宮内膜癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、ホジキンリンパ腫、卵巣癌、および頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)から選択される、請求項1〜43または45〜51のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項53】
前記対象がヒト患者である、請求項1〜43または45〜52のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項54】
ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の前記集団が、前記一つまたは複数の抗癌療法によって誘導されたCD4+ T細胞の新しい別個の集団を含む、請求項1〜43または45〜53のいずれか一項に記載の使用のための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニスト。
【請求項55】
前記方法が、CD4+ T細胞の前記集団が増殖するのに適した初期培養条件下で、請求項44のCD4+ T細胞の前記懸濁液を培養することを含む、ICOS発現が上昇したCD4+ T細胞の増殖した集団を生成する方法。
【請求項56】
CD4+ T細胞の前記集団を増殖させるのに好適な前記初期条件が、CD4+ T細胞の前記懸濁液をCD3アゴニストと接触させることを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記CD3アゴニストが、抗CD3抗体(例えば、OKT3)である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
CD4+ T細胞の前記集団を増殖させるのに好適な前記初期条件が、前記懸濁液を、抗PD−1抗体アンタゴニスト、抗CTLA−4抗体、およびICOSアゴニストのうちの一つまたは複数と接触させることを含む、請求項55〜57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
CD4+ T細胞の前記集団を増殖させるのに好適な前記初期条件が、前記懸濁液を、IL−2、IL−12、および抗IL−4からなる群から選択される一つまたは複数の化合物(例えば、二つ以上、または三つすべて)と接触させることを含む、請求項55〜58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
CD4+ T細胞の前記集団を増殖させるのに好適な前記初期条件が、前記懸濁液を、抗CD28抗体アゴニストと接触させることを含む、請求項55〜58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記CD3アゴニストおよび抗CD28アゴニストが、四量体抗体複合体中に存在する、請求項57〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
CD4+ T細胞の前記懸濁液が、前記初期培養条件下で、一〜五日間(例えば、およそ1、2、3、4、または五日間)インキュベートされる、請求項55〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
CD4+ T細胞の前記懸濁液を、CD4+ T細胞の前記集団を増殖させるのに好適な第二の培養条件下でインキュベートすることをさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記細胞が、前記第二の培養条件の適用前に洗浄される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記第二の培養条件が、細胞の前記懸濁液を、抗PD−1抗体アンタゴニスト、抗CTLA−4抗体、およびICOSアゴニストのうちの一つまたは複数と接触させることを含む、請求項63または64に記載の方法。
【請求項66】
前記第二の培養条件が、細胞の前記懸濁液を、IL−2、IL−12、および抗IL−4からなる群から選択される一つまたは複数の化合物(例えば、二つ以上、または三つすべて)と接触させることを含む、請求項63〜65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記第二の培養条件が、細胞の前記懸濁液を抗CD28抗体アゴニストと接触させることを含む、請求項63〜66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記第二の培養条件が、細胞の前記懸濁液をCD3アゴニストおよび/またはCD28アゴニストと接触させることを含まない、請求項63〜66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記第二の培養条件が、1〜5日間(例えば、1、2、3、4、または5日間)維持される、請求項63〜68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
請求項55〜69に記載の方法のいずれか一つにより作製された細胞の懸濁液。
【請求項71】
必要に応じて、請求項44に記載のT細胞の懸濁液は、それを必要とする対象の癌を治療する方法で使用するために、前記対象から単離され、前記方法は、前記対象に細胞の前記懸濁液を投与することを含む、請求項70に記載の細胞の懸濁液。
【請求項72】
(i)一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の用量を前記対象に投与することと、(ii)前記投与後、前記対象から一つまたは複数の末梢血検査試料を得ることと、(iii)前記一つまたは複数の末梢血検査試料中に存在するCD4+ T細胞のICOSおよび/またはT−betレベルを測定することと、(iv)対照と比較した場合、前記一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかに、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が存在するかどうかを判定することと、(v)(a)前記一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の追加用量、または(b)抗ICOSアゴニストを、前記一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定される場合、前記対象に投与することと、を含む、それを必要とする対象における癌を治療する方法。
【請求項73】
対象が(a)一つまたは複数の抗癌療法による継続治療、または(b)抗ICOSアゴニストによる治療から利益を得ることができるかどうかを判定するための方法であって、前記対象の血液試料の末梢CD4+ T細胞のICOSおよび/またはT−betレベルを判定することを含み、対照と比較して増加したICOSおよび/またはT−betレベルの検出が、前記一つまたは複数の抗癌療法が、抗ICOS抗体アゴニスト治療を含まない場合、任意に、抗ICOS抗体アゴニストと組み合わせた継続治療、または抗ICOSアゴニストによる治療から、前記対象が利益を得る可能性があることを示す、方法。
【請求項74】
前記方法が、前記対象の血液試料の末梢CD4+ T細胞のICOSレベルを判定することを含み、対照と比較して増加したICOSレベルの検出が、前記一つまたは複数の抗癌療法が、抗ICOS抗体アゴニスト治療を含まない場合、任意に、抗ICOS抗体アゴニストと組み合わせた継続治療、または抗ICOSアゴニストによる治療から、前記対象が利益を得る可能性があることを示す、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記方法が、前記対象の血液試料の末梢CD4+ T細胞のT−betレベルを判定することを含み、対照と比較して増加したT−betレベルの検出が、前記一つまたは複数の抗癌療法が、抗ICOS抗体アゴニスト治療を含まない場合、任意に、抗ICOS抗体アゴニストと組み合わせた継続治療、または抗ICOSアゴニストによる治療から、前記対象が利益を得る可能性があることを示す、請求項73または74に記載の方法。
【請求項76】
前記方法が、前記対象の血液試料の末梢CD4+ T細胞のICOSおよびT−betレベルを判定することを含み、対照と比較して増加したICOSまたはT−betレベルの検出が、前記一つまたは複数の抗癌療法が、抗ICOS抗体アゴニスト治療を含まない場合、任意に、抗ICOS抗体アゴニストと組み合わせた継続治療、または抗ICOSアゴニストによる治療から、前記対象が利益を得る可能性があることを示す、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
前記一つまたは複数の抗癌療法が免疫療法を含む、請求項73〜76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、抗CTLA−4アンタゴニスト抗体を含む、請求項73〜77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記抗CTLA−4アンタゴニスト抗体が、イピリムマブ、トレメリムマブ、およびBMS−986249からなる群から選択される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記抗CTLA−4アンタゴニスト抗体がイピリムマブである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、抗PD−1または抗PD−L1アンタゴニスト抗体を含む、請求項73〜80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記抗PD−1または抗PD−L1アンタゴニスト抗体が、アベルマブ、アテゾリズマブ、CX−072、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、チスレリズマブ、JNJ−63723283、ゲノリムズマブ、AMP−514、AGEN2034、デュルバルマブ、およびJNC−1からなる群から選択される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記抗PD−1または抗PD−L1アンタゴニスト抗体が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、およびデュルバルマブからなる群から選択される、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記一つまたは複数の抗癌療法、または前記抗ICOSアゴニストが、抗ICOSアゴニスト抗体を含む、請求項73〜83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記抗ICOSアゴニスト抗体が、JTX−2011、BMS−986226、およびGSK3359609からなる群から選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、表2に列挙された一つまたは複数の前記療法を含む、請求項73〜85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、化学療法を含む、請求項73〜86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記化学療法剤が、カペシタビン、シクロホスファミド、ダカルバジン、テモゾロミド、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、エピルビシン、エリブリン、5−FU、ゲムシタビン、イリノテカン、イクサベピロン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、nab−パクリタキセル、ペメトレキセド、ビノレルビン、ビンクリスチン、エルロチニブ、アファチニブ、ゲフィチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、トラメチニブ、ベムラフェニブ、およびコビメタニブ(cobimetanib)からなる群から選択される、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、放射線療法を含む、請求項73〜88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
ステップ(v)が、前記一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定された場合、抗ICOS抗体アゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項73〜89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記抗ICOS抗体アゴニストが、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1、(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2、(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3、(d)配列番号8のアミノ酸配列を含むLCDR1、(e)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR2、および(f)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR3からなる群から選択される少なくとも一つのCDRを含み、前記CDRのうちの一つまたは複数が、1個または2個のアミノ酸置換を含む、請求項73〜90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記抗ICOS抗体アゴニストが、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1、(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2、(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3、(d)配列番号8のアミノ酸配列を含むLCDR1、(e)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR2、および(f)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記抗ICOS抗体アゴニストが、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(b)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項73〜92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、(i)抗CTLA−4アンタゴニスト抗体、(ii)抗PD−1または抗PD−L1アンタゴニスト抗体、(iii)抗ICOSアゴニスト抗体、(iv)表2の療法、(v)化学療法、および(vi)放射線療法のうちの少なくとも二つの任意の組み合わせを含む、請求項73〜93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、(i)抗CTLA−4アンタゴニスト抗体、(ii)抗PD−1または抗PD−L1アンタゴニスト抗体、(iii)抗ICOSアゴニスト抗体、(iv)表2の療法、(v)化学療法、および(vi)放射線療法のうちの少なくとも三つの任意の組み合わせを含む、請求項73〜94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、前記一つまたは複数の末梢血検査試料を取得する前に二回以上投与される、請求項73〜95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、前記一つまたは複数の末梢血検査試料を取得する前に三回以上投与される、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、前記一つまたは複数の末梢血検査試料を取得する前に四回以上投与される、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記一つまたは複数の抗癌療法が、前記一つまたは複数の末梢血検査試料を取得する前に五回以上投与される、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記一つまたは複数の末梢血検査試料の取得が、前記一つまたは複数の抗癌療法の前記用量の前記一つまたは複数の投与後4週間未満に実施される、請求項73〜99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記一つまたは複数の末梢血検査試料の取得が、前記一つまたは複数の抗癌療法の前記用量の前記一つまたは複数の投与後3週間未満に実施される、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記一つまたは複数の末梢血検査試料の取得が、前記一つまたは複数の抗癌療法の前記用量の前記一つまたは複数の投与後2週間未満に実施される、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記一つまたは複数の末梢血検査試料の取得が、前記一つまたは複数の抗癌療法の前記用量の前記一つまたは複数の投与後一週間未満に実施される、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記一つまたは複数の抗癌療法の前記用量が、定期的な間隔で複数回投与される、請求項73〜103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記定期的な間隔が、一週毎の用量、二週毎の用量、三週毎の用量、四週毎の用量、六週毎の用量、九週毎の用量、および十二週毎の用量からなる群から選択される、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記一つまたは複数の末梢血検査試料の取得が、複数の末梢血検査試料の取得を含み、検査試料が一つまたは複数回の投与と同時に取得される、請求項104または105に記載の方法。
【請求項107】
前記一つまたは複数の末梢血検査試料の取得が、複数の末梢血検査試料の取得を含み、検査試料が複数回の投与の間に取得される、請求項104または105に記載の方法。
【請求項108】
前記方法が、前記一つまたは複数の抗癌療法が四回以上の間隔で投与された後、対照と比較してICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が、前記末梢血検査試料のいずれか一つでも検出されない場合、前記一つまたは複数の抗癌療法の投与を停止することをさらに含む、請求項104〜107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記方法が、前記一つまたは複数の抗癌療法が五回以上、六回以上、七回以上、八回以上、九回以上、または十回以上の間隔で投与された後、対照と比較してICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が存在しないという判定に基づいて、末梢血検査試料が取得される場合、前記一つまたは複数の抗癌療法の投与を停止することをさらに含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記方法が、一つまたは複数の前記末梢血検査試料の一部を保存することをさらに含む、請求項73〜109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇した前記CD4+ T細胞の一部が、一つまたは複数の前記末梢血検査試料から単離され、前記CD4+ T細胞の生存率の維持に適した条件下で保存される、請求項73〜110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記保存されたCD4+ T細胞が、細胞培養培地中に保存される、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記保存されたCD4+ T細胞が、100,000細胞/mLを超える濃度で保存される、請求項111または112に記載の方法。
【請求項114】
前記保存されたCD4+ T細胞が、100,000細胞/mL〜1億細胞/mLの濃度で保存される、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
請求項111〜114のいずれか一項に記載の方法に従って得られたCD4+ T細胞の懸濁液。
【請求項116】
前記対照は末梢血検査試料を含み、これは前記一つまたは複数の抗癌療法を前記対象に一回または複数回投与する前に、前記対象から任意に取得される、請求項73〜114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記対照が、前記一つまたは複数の抗癌療法を受けていない健康な個体から取得した末梢血試料を含む、請求項73〜114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
ICOSおよび/またはT−betレベルの判定が、免疫測定法の使用を含む、請求項73〜114、116、または117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記免疫測定法が、ICOSの細胞内ドメインに結合してICOSを検出する抗体の使用を含む、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記抗体が、配列番号27の重鎖可変領域配列と配列番号31の軽鎖可変領域配列とを含むか、または前記抗体が、配列番号35の重鎖可変領域配列と配列番号39の軽鎖可変領域配列とを含む、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記抗体が、配列番号27の重鎖可変領域配列と配列番号31の軽鎖可変領域配列とを含む抗体と交差競合するか、または配列番号35の重鎖可変領域配列と配列番号39の軽鎖可変領域配列とを含む抗体と交差競合する、請求項119に記載の方法。
【請求項122】
対照と比較してICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD8+ T細胞の集団が、前記試料中では検出されない、前記一つまたは複数の末梢血検査試料中に存在するCD8+ T細胞のICOSおよび/またはT−betレベルを測定することをさらに含む、請求項73〜114または116〜121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記癌が、胃癌、任意選択的にトリプルネガティブ乳癌(TNBC)である乳癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、膀胱癌、子宮内膜癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、ホジキンリンパ腫、卵巣癌、および頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)から選択される、請求項73〜114または116〜122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記対象が、ヒト患者である、請求項73〜114または116〜123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の前記集団が、前記一つまたは複数の抗癌療法によって誘導されたCD4+ T細胞の新しい別個の集団を含む、請求項73〜114または116〜124のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
即時出願には、ASCII形式で電子的に提出された配列表が含まれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。前述のASCIIコピーは、2019年5月13日に作成され、51266−006WO5_Sequence_Listing_5.13.19_ST25ST25という名前で、サイズは41,815バイトである。
【0002】
本発明は、癌を治療する方法、および癌の治療アプローチを選択するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ICOS(誘導性T細胞共刺激分子;CD278)は、B7/CD28/CTLA−4免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、T細胞上に特異的に発現する。構造的にT細胞上に発現し、休止T細胞の完全な活性化に必要な共刺激シグナルを提供するCD28とは異なり、ICOSは最初のT細胞の活性化後にのみ発現する。
【0004】
ICOSは、T細胞応答の多様な側面に関与している(Simpson et al.,Curr.Opin.Immunol.22:326−332,2010に概説)。これは、胚中心の形成、T/B細胞の協働、および免疫グロブリンクラスの切り替えにおいて役割を果たす。ICOS欠損マウスは、胚中心形成の障害を示し、インターロイキンIL−10の産生が低下する。これらの欠損は、特にT濾胞ヘルパー細胞の欠損と関連している。ICOSはまた、Th1、Th2、およびTh17を含む他のT細胞サブセットの発達および機能にも役割を果たす。特に、ICOSは、Th1細胞およびTh2細胞の両方に関連するT細胞増殖およびサイトカイン分泌を共刺激する。したがって、ICOSノックアウトマウスは、糖尿病モデル(Th1)、気道炎症モデル(Th2)、およびEAE神経炎症モデル(Th17)を含む、さまざまな疾患モデルにおいて自己免疫表現型の発達障害を示す。
【0005】
ICOSは、エフェクターT(Teff)細胞機能を調節する役割に加えて、制御性T細胞(Treg)も調節する。ICOSはTregで高レベルで発現し、Tregの恒常性および機能に関与している。
【0006】
活性化すると、ジスルフィド連結ホモ二量体であるICOSは、PI3KおよびAKT経路を介してシグナルを誘導する。後続のシグナル伝達現象は、系統特異的な転写因子(例えば、T−bet、GATA−3)の発現をもたらし、T細胞の増殖および生存に影響を及ぼす。
【0007】
B7スーパーファミリーのメンバーでもあるICOSリガンド(ICOSL;B7−H2;B7RP1;CD275;GL50)は、ICOSの唯一のリガンドであり、B細胞、マクロファージ、および樹状細胞の細胞表面上に発現する。ICOSLは、ICOSとの相互作用において、細胞表面上で非共有結合ホモ二量体として機能する。マウスICOSLではないが、ヒトICOSLは、ヒトCD28およびCTLA−4に結合すると報告されている(Yao et al.,Immunity 34:729−740,2011)。
【0008】
T−bet(T細胞で発現する Tボックス)は、転写因子の Tボックスファミリーのメンバーで、胸腺細胞および Th1細胞で選択的に発現する系統決定転写因子である。これは、Th1遺伝子プログラムを活性化させることと、反対のTh2およびTh17遺伝子プログラムを抑制することの両方によって、ナイーブTh前駆細胞からTh1系統の発達を開始する。T−betは、インターフェロンガンマ(IFN−γ)およびケモカイン受容体CXCR3をコードする遺伝子を含む、Th1細胞機能に重要な一連の遺伝子の転写を活性化し、分極したTh2細胞をTh1経路にリダイレクトすることもできる。T−betはまた、自然免疫系の細胞、例えばNK細胞および樹状細胞と同様に、CD8+T細胞におけるIFN−γ産生を制御する。ヒトT−betの発現は、Th1およびナチュラルキラー細胞におけるIFN−γ発現と相関し、ナイーブTh前駆細胞からTh1系統の発達を開始する上で、この遺伝子の役割を示唆する(Szabo et al.,Cell 100(6):665−69,2000)。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、それを必要とする対象における癌を治療する方法で使用するための一つまたは複数の抗癌療法または抗ICOSアゴニストを提供し、本方法には、(i)一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の用量を対象に投与することと、(ii)投与後、対象から一つまたは複数の末梢血検査試料を得ることと、(iii)一つまたは複数の末梢血検査試料中に存在するCD4+ T細胞のICOSおよび/またはT−betレベルを測定することと、(iv)対照と比較して、一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかに、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が存在するかどうかを判定することと、(v)(a)一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の追加用量、または(b)抗ICOSアゴニストを、一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定される場合、対象に投与することと、が含まれる。
【0010】
本発明はまた、それを必要とする対象(例えば、ヒト患者)における癌を治療する方法も提供し、本方法には、(i)一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の用量を対象に投与することと、(ii)投与後、対象から一つまたは複数の末梢血検査試料を得ることと、(iii)一つまたは複数の末梢血検査試料中に存在するCD4+ T細胞のICOSおよび/またはT−betレベルを測定することと、(iv)対照と比較して、一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかに、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が存在するかどうかを判定することと、(v)(a)一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の追加用量、または(b)抗ICOSアゴニストを、一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定される場合、対象に投与することと、が含まれる。
【0011】
一部の実施形態では、ステップ(iii)は、一つまたは複数の末梢血検査試料中に存在するCD4+ T細胞のICOSレベルを測定することを含み、ステップ(iv)は、対照と比較した場合、一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれか一つにおいてICOSレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が存在するかどうかを判定することを含み、およびステップ(v)は、(a)一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の追加用量、または(b)抗ICOSアゴニストを、一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、ICOSレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定される場合、対象に投与することを含む。
【0012】
一部の実施形態では、ステップ(iii)は、一つまたは複数の末梢血検査試料中に存在するCD4+ T細胞のT−betレベルを測定することを含み、ステップ(iv)は、対照と比較した場合、一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれか一つにおいてT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が存在するかどうかを判定することを含み、およびステップ(v)は、(a)一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の追加用量、または(b)抗ICOSアゴニストを、一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、T−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定される場合、対象に投与することを含む。
【0013】
一部の実施形態では、ステップ(iii)は、一つまたは複数の末梢血検査試料中に存在するCD4+ T細胞のICOSおよびT−betレベルを測定することを含み、ステップ(iv)は、対照と比較した場合、一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれか一つにおいてICOSおよびT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が存在するかどうかを判定することを含み、およびステップ(v)は、(a)一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の追加用量、または(b)抗ICOSアゴニストを、一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定される場合、対象に投与することを含む。
【0014】
一部の実施形態では、ステップ(iii)は、一つまたは複数の末梢血検査試料中に存在するCD4+ T細胞のICOSおよびT−betレベルを測定することを含み、ステップ(iv)は、対照と比較した場合、一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれか一つにおいてICOSおよびT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が存在するかどうかを判定することを含み、およびステップ(v)は、(a)一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の追加用量、または(b)抗ICOSアゴニストを、一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、ICOSおよびT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定される場合、対象に投与することを含む。
【0015】
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、例えば、抗CTLA−4アンタゴニスト抗体(例えば、イピリムマブ、トレメリムマブ、またはBMS−986249)、抗PD−1または抗PD−L1アンタゴニスト抗体(例えば、アベルマブ(avelumab)、アテゾリズマブ、CX−072、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ(cemiplimab)、スパルタリズマブ(spartalizumab)、チスレリズマブ(tislelizumab)、JNJ−63723283、ゲノリムズマブ(genolimzumab)、AMP−514、AGEN2034、デュルバルマブ、またはJNC−1)、または抗ICOSアゴニスト抗体(例えば、JTX−2011、BMS−986226、またはGSK3359609)などの免疫療法を含む。一部の実施形態では、抗ICOSアゴニストは、抗ICOSアゴニスト抗体(例えば、JTX−2011、BMS−986226、またはGSK3359609)を含む。
【0016】
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、表2に列記される療法のうちの一つまたは複数を含む。
【0017】
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、化学療法(例えば、カペシタビン、シクロホスファミド、ダカルバジン、テモゾロミド、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、エピルビシン、エリブリン、5−FU、ゲムシタビン、イリノテカン、イクサベピロン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、nab−パクリタキセル、ペメトレキセド、ビノレルビン、ビンクリスチン、エルロチニブ、アファチニブ、ゲフィチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、トラメチニブ、ベムラフェニブ、およびコビメタニブ(cobimetanib))を含む。
【0018】
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、放射線療法を含む。
【0019】
一部の実施形態では、ステップ(v)は、一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定される場合、対象への抗ICOS抗体アゴニストの投与を含む。
【0020】
一部の実施形態では、抗ICOS抗体アゴニストは、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1、(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2、(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3、(d)配列番号8のアミノ酸配列を含むLCDR1、(e)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR2、および(f)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR3からなる群から選択される少なくとも一つのCDRを含み、CDRのうちの一つまたは複数が、1個または2個のアミノ酸置換を含む。
【0021】
一部の実施形態では、抗ICOS抗体アゴニストは、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1、(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2、(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3、(d)配列番号8のアミノ酸配列を含むLCDR1、(e)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR2、および(f)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0022】
一部の実施形態では、抗ICOS抗体アゴニストは、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(b)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0023】
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、(i)抗CTLA−4アンタゴニスト抗体、(ii)抗PD−1または抗PD−L1アンタゴニスト抗体、(iii)抗ICOSアゴニスト抗体、(iv)表2の療法、(v)化学療法、および(vi)放射線療法のうちの少なくとも二つまたは少なくとも三つの任意の組み合わせを含む。
【0024】
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、一つまたは複数の末梢血検査試料を取得する前に、二回、三回、四回、五回、またはそれ以上の回数投与される。
【0025】
一部の実施形態では、一つまたは複数の末梢血検査試料の取得は、一つまたは複数の抗癌療法の用量の一つまたは複数の投与後、4週間、3週間、2週間、または1週間未満に実施される。
【0026】
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法の用量は、定期的な間隔、例えば、毎週の用量、二週間毎の用量、三週間毎の用量、四週間毎の用量、六週間毎の用量、九週間毎の用量、および十二週間毎の用量からなる群から選択される定期的な間隔で複数回投与される。
【0027】
一部の実施形態では、一つまたは複数の末梢血検査試料の取得は、複数の末梢血検査試料の取得を含み、検査試料は、一つまたは複数の投与と同時に取得される。
【0028】
一部の実施形態では、一つまたは複数の末梢血検査試料の取得は、複数の末梢血検査試料の取得を含み、検査試料は、複数の投与の合間に取得される。
【0029】
一部の実施形態では、方法は、一つまたは複数の抗癌療法が四回以上の間隔で投与された後、対照と比較してICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が、末梢血検査試料のいずれか一つでも検出されない場合、一つまたは複数の抗癌療法の投与を停止することをさらに含む。
【0030】
一部の実施形態では、方法は、一つまたは複数の抗癌療法が五回以上、六回以上、七回以上、八回以上、九回以上、または十回以上の間隔で投与された後、対照と比較してICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が存在しないという判定に基づいて、末梢血検査試料が取得される場合、一つまたは複数の抗癌療法の投与を停止することをさらに含む。
【0031】
一部の実施形態では、方法は、一つまたは複数の末梢血検査試料の一部を保存することをさらに含む。
【0032】
一部の実施形態では、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の一部は、一つまたは複数の末梢血検査試料から単離され、CD4+ T細胞の生存率の維持に適した条件下で保存される。
【0033】
一部の実施形態では、保存されたCD4+ T細胞は、細胞培養培地中に保存される。
【0034】
一部の実施形態では、保存されたCD4+ T細胞は、100,000細胞/mLを超える濃度、例えば100,000細胞/mL〜1億細胞/mLで保存される。
【0035】
本発明はまた、本明細書に記載される方法に従って得られたCD4+ T細胞の懸濁液を提供する。
【0036】
一部の実施形態では、対照は、対象への一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の投与の前に、任意で対象から取得される末梢血検査試料を含む。
【0037】
一部の実施形態では、対照は、一つまたは複数の抗癌療法を受けていない健康な個体から取得した末梢血試料を含む。
【0038】
一部の実施形態では、ICOSおよび/またはT−betレベルの判定は、免疫測定法、例えば、ICOSの細胞内ドメインに結合してICOSを検出する抗体の使用を含む免疫測定法の使用を含む。
【0039】
一部の実施形態では、抗体は、配列番号27の重鎖可変領域配列と、配列番号31の軽鎖可変領域配列とを含むか、または抗体は、配列番号35の重鎖可変領域配列と、配列番号39の軽鎖可変領域配列とを含む。
【0040】
一部の実施形態では、抗体は、配列番号27の重鎖可変領域配列と、配列番号31の軽鎖可変領域配列とを含む抗体と交差競合するか、または配列番号35の重鎖可変領域配列と、配列番号39の軽鎖可変領域配列とを含む抗体と交差競合する。
【0041】
一部の実施形態では、方法は、一つまたは複数の末梢血検査試料中に存在するCD8+T細胞のICOSおよび/またはT−betレベルの測定をさらに含み、対照と比較してICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD8+T細胞の集団は、試料中では検出されない。
【0042】
一部の実施形態では、癌は、胃癌、乳癌、任意でトリプルネガティブ乳癌(TNBC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、膀胱癌、子宮内膜癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、ホジキンリンパ腫、卵巣癌、および頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)から選択される。
【0043】
一部の実施形態では、対象はヒト患者である。
【0044】
一部の実施形態では、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団は、一つまたは複数の抗癌療法によって誘導された新しい別個のCD4+ T細胞の集団を含む。
【0045】
本発明はまた、ICOS発現が上昇したCD4+ T細胞の増殖した集団を生成する方法を含み、この方法は、CD4+ T細胞の集団が増殖するのに適した初期培養条件下で、前述のCD4+ T細胞の懸濁液を培養することを含む。CD4+ T細胞の集団の増殖に適したこれらの初期条件は、懸濁液を、例えばCD3アゴニスト(例えば、OKT3)、抗PD−1抗体アンタゴニスト、抗CTLA−4抗体、およびICOSアゴニストのうちの一つまたは複数、ならびに任意に、IL−2、IL−12、および抗IL−4を含む群から選択される一つまたは複数の化合物(例えば、二つ以上、または三つすべて)と接触させることを含み得る。これらの方法はまた、懸濁液を、例えばCD28アゴニストと接触させることを含み得る。特定の実施形態では、CD3アゴニストおよび抗CD28アゴニストは、四量体抗体複合体中に存在する。そのような方法では、CD4+ T細胞の懸濁液を、初期培養条件下で、例えば、一〜五日間(例えば、およそ1、2、3、4、または5日間)インキュベートする。
【0046】
特定の実施形態では、方法は、CD4+ T細胞の集団を増殖させるのに好適な第二の培養条件下で、CD4+ T細胞の懸濁液をインキュベートすることをさらに含むことができる。ここで、任意に、細胞を第二の培養条件の適用前に洗浄する。特定の実施形態では、第二の培養条件は、例えば、細胞の懸濁液を抗PD−1抗体アンタゴニスト、抗CTLA−4抗体、およびICOSアゴニストと接触させることを含み得る。特定の実施形態では、第二の培養条件は、細胞の懸濁液をIL−2、IL−12、および抗IL−4を含む群から選択される一つまたは複数の化合物(例えば、二つ以上、または三つすべて)と接触させることを含む。さらに、または別の方法として、第二の培養条件は、細胞の懸濁液を抗CD28抗体アゴニストと接触させることを含む。あるいは、特定の実施形態では、第二の培養条件は、細胞の懸濁液をCD3アゴニストおよび/またはCD28アゴニストと接触させることを含まない。第二の培養条件は、例えば、1〜5日間(例えば、1、2、3、4、または5日間)維持することができる。
【0047】
別の実施形態では、本発明は、前述の培養方法のいずれか一つによって生成される細胞の懸濁液を特徴とする。
【0048】
本発明はまた、対象が(a)一つまたは複数の抗癌療法による継続治療、または(b)抗ICOSアゴニストによる治療から利益を得ることができるかどうかを判定するための方法を提供し、方法は、対象の血液試料の末梢CD4+ T細胞のICOSおよび/またはT−betレベルを判定することを含み、対照と比較して増加したICOSおよび/またはT−betレベルの検出が、一つまたは複数の抗癌療法が、抗ICOS抗体アゴニスト治療を含まない場合、任意に、抗ICOS抗体アゴニストと組み合わせた治療、または抗ICOSアゴニストによる治療の継続治療から、対象が利益を得る可能性があることを示す。
【0049】
一部の実施形態では、方法は、対象の血液試料の末梢CD4+ T細胞のICOSレベルを判定することを含み、対照と比較して増加したICOSレベルの検出が、一つまたは複数の抗癌療法が、抗ICOS抗体アゴニスト治療を含まない場合、任意に、抗ICOS抗体アゴニストと組み合わせた治療、または抗ICOSアゴニストによる治療の継続治療から、対象が利益を得る可能性があることを示す。
【0050】
一部の実施形態では、方法は、対象の血液試料の末梢CD4+ T細胞のT−betレベルを判定することを含み、対照と比較して増加したT−betレベルの検出が、一つまたは複数の抗癌療法が、抗ICOS抗体アゴニスト治療を含まない場合、任意に、抗ICOS抗体アゴニストと組み合わせた治療、または抗ICOSアゴニストによる治療の継続治療から、対象が利益を得る可能性があることを示す。
【0051】
一部の実施形態では、方法は、対象の血液試料の末梢CD4+ T細胞のICOSおよびT−betレベルを判定することを含み、対照と比較して増加したICOSまたはT−betレベルの検出が、一つまたは複数の抗癌療法が、抗ICOS抗体アゴニスト治療を含まない場合、任意に、抗ICOS抗体アゴニストと組み合わせた治療、または抗ICOSアゴニストによる治療の継続治療から、対象が利益を得る可能性があることを示す。
【0052】
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、例えば、抗CTLA−4アンタゴニスト抗体(例えば、イピリムマブ、トレメリムマブ、またはBMS−986249)、抗PD−1または抗PD−L1アンタゴニスト抗体(例えば、アベルマブ(avelumab)、アテゾリズマブ、CX−072、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ(cemiplimab)、スパルタリズマブ(spartalizumab)、チスレリズマブ(tislelizumab)、JNJ−63723283、ゲノリムズマブ(genolimzumab)、AMP−514、AGEN2034、デュルバルマブ、またはJNC−1)、または抗ICOSアゴニスト抗体(例えば、JTX−2011、BMS−986226、またはGSK3359609)などの免疫療法を含む。一部の実施形態では、抗ICOSアゴニストは、抗ICOSアゴニスト抗体(例えば、JTX−2011、BMS−986226、またはGSK3359609)を含む。
【0053】
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、表2に列記される療法のうちの一つまたは複数を含む。
【0054】
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、化学療法(例えば、カペシタビン、シクロホスファミド、ダカルバジン、テモゾロミド、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、エピルビシン、エリブリン、5−FU、ゲムシタビン、イリノテカン、イクサベピロン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、nab−パクリタキセル、ペメトレキセド、ビノレルビン、ビンクリスチン、エルロチニブ、アファチニブ、ゲフィチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、トラメチニブ、ベムラフェニブ、およびコビメタニブ(cobimetanib))を含む。
【0055】
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、放射線療法を含む。
【0056】
一部の実施形態では、ステップ(v)は、一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定される場合、対象への抗ICOS抗体アゴニストの投与を含む。
【0057】
一部の実施形態では、抗ICOS抗体アゴニストは、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1、(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2、(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3、(d)配列番号8のアミノ酸配列を含むLCDR1、(e)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR2、および(f)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR3からなる群から選択される少なくとも一つのCDRを含み、CDRのうちの一つまたは複数が、1個または2個のアミノ酸置換を含む。
【0058】
一部の実施形態では、抗ICOS抗体アゴニストは、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1、(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2、(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3、(d)配列番号8のアミノ酸配列を含むLCDR1、(e)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR2、および(f)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0059】
一部の実施形態では、抗ICOS抗体アゴニストは、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または(b)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0060】
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、(i)抗CTLA−4アンタゴニスト抗体、(ii)抗PD−1または抗PD−L1アンタゴニスト抗体、(iii)抗ICOSアゴニスト抗体、(iv)表2の療法、(v)化学療法、および(vi)放射線療法のうちの少なくとも二つまたは少なくとも三つの任意の組み合わせを含む。
【0061】
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、一つまたは複数の末梢血検査試料を取得する前に、二回、三回、四回、五回、またはそれ以上の回数投与される。
【0062】
一部の実施形態では、一つまたは複数の末梢血検査試料の取得は、一つまたは複数の抗癌療法の用量の一つまたは複数の投与後、4週間、3週間、2週間、または1週間未満に実施される。
【0063】
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法の用量は、定期的な間隔、例えば、毎週の用量、二週間毎の用量、三週間毎の用量、四週間毎の用量、六週間毎の用量、九週間毎の用量、および十二週間毎の用量からなる群から選択される定期的な間隔で複数回投与される。
【0064】
一部の実施形態では、一つまたは複数の末梢血検査試料の取得は、複数の末梢血検査試料の取得を含み、検査試料は、一つまたは複数の投与と同時に取得される。
【0065】
一部の実施形態では、一つまたは複数の末梢血検査試料の取得は、複数の末梢血検査試料の取得を含み、検査試料は、複数の投与の合間に取得される。
【0066】
一部の実施形態では、方法は、一つまたは複数の抗癌療法が四回以上の間隔で投与された後、対照と比較してICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が、末梢血検査試料のいずれか一つでも検出されない場合、一つまたは複数の抗癌療法の投与を停止することをさらに含む。
【0067】
一部の実施形態では、方法は、一つまたは複数の抗癌療法が五回以上、六回以上、七回以上、八回以上、九回以上、または十回以上の間隔で投与された後、対照と比較してICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団が存在しないという判定に基づいて、末梢血検査試料が取得される場合、一つまたは複数の抗癌療法の投与を停止することをさらに含む。
【0068】
一部の実施形態では、方法は、一つまたは複数の末梢血検査試料の一部を保存することをさらに含む。
【0069】
一部の実施形態では、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の一部は、一つまたは複数の末梢血検査試料から単離され、CD4+ T細胞の生存率の維持に適した条件下で保存される。
【0070】
一部の実施形態では、保存されたCD4+ T細胞は、細胞培養培地中に保存される。
【0071】
一部の実施形態では、保存されたCD4+ T細胞は、100,000細胞/mLを超える濃度、例えば100,000細胞/mL〜1億細胞/mLで保存される。
【0072】
本発明はまた、本明細書に記載される方法に従って得られたCD4+ T細胞の懸濁液を提供する。
【0073】
一部の実施形態では、対照は、対象への一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の投与の前に、任意で対象から取得される末梢血検査試料を含む。
【0074】
一部の実施形態では、対照は、一つまたは複数の抗癌療法を受けていない健康な個体から取得した末梢血試料を含む。
【0075】
一部の実施形態では、ICOSおよび/またはT−betレベルの判定は、免疫測定法、例えば、ICOSの細胞内ドメインに結合してICOSを検出する抗体の使用を含む免疫測定法の使用を含む。
【0076】
一部の実施形態では、抗体は、配列番号27の重鎖可変領域配列と、配列番号31の軽鎖可変領域配列とを含むか、または抗体は、配列番号35の重鎖可変領域配列と、配列番号39の軽鎖可変領域配列とを含む。
【0077】
一部の実施形態では、抗体は、配列番号27の重鎖可変領域配列と、配列番号31の軽鎖可変領域配列とを含む抗体と交差競合するか、または配列番号35の重鎖可変領域配列と、配列番号39の軽鎖可変領域配列とを含む抗体と交差競合する。
【0078】
一部の実施形態では、方法は、一つまたは複数の末梢血検査試料中に存在するCD8+T細胞のICOSおよび/またはT−betレベルの測定をさらに含み、対照と比較してICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD8+T細胞の集団は、試料中では検出されない。
【0079】
一部の実施形態では、癌は、胃癌、乳癌、任意でトリプルネガティブ乳癌(TNBC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、膀胱癌、子宮内膜癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、ホジキンリンパ腫、卵巣癌、および頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)から選択される。
【0080】
一部の実施形態では、対象はヒト患者である。
【0081】
一部の実施形態では、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団は、一つまたは複数の抗癌療法によって誘導された新しい別個のCD4+ T細胞の集団を含む。
【0082】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1は、ICOSの細胞内エピトープに結合するM13抗ICOS検出抗体(例えば、表3および国際公開第2017/070423号、2M13を参照)を示す概略図である。ICOSへのM13の結合は、ICOS細胞外領域への治療用抗ICOS抗体JTX−2011の結合を妨げない。
図2は、試料がICOS
HIGH CD4+ T細胞の集団を含むかどうかを判定するためのアプローチを示す概略図である。
図3Aは、サイクル3〜15にわたって0.3mg/kgのJTX−2011のq3wでの単剤療法に対する確認された部分奏効(cPR)を有する胃癌患者からの試料中のCD4+ T細胞におけるICOS発現を示す一連の等高線プロットである。
図3Bは、サイクル3〜15にわたって0.3mg/kgのJTX−2011のq3wでの単剤療法に対する確認された部分奏効(cPR)を有する胃癌患者からの試料中の経時的な標的病変のサイズの変化率を示すプロットである。
図4は、サイクル7〜11にわたって0.1mg/kgのJTX−2011および240mgのニボルマブのq3wでの併用療法に対する確認された部分奏効を有する胃癌患者からの試料中のCD4+ T細胞におけるICOS発現を示す一連の等高線プロットである。
図5は、サイクル4〜6にわたって0.3mg/kgのJTX−2011および240mgのニボルマブのq3wでの併用療法を受けている安定性疾患の胃癌患者からの試料中のCD4+ T細胞におけるICOS発現を示す一連の等高線プロットである。
図6は、0.3mg/kgのJTX−2011および240mgのニボルマブのq3wでの併用療法を受けている安定性疾患または進行性疾患のトリプルネガティブ乳癌(TNBC)患者からの試料中のCD4+ T細胞におけるICOS発現を示す一連の等高線プロットである。
図7Aは、JTX−2011単剤療法またはJTX−2011とニボルマブの併用療法を受け、ICOSレベルの上昇がある場合とない場合(ありおよびなし)のCD4+ T細胞を有する癌患者の数を示すプロットである。丸は進行性疾患の患者を表し、四角は安定性疾患の患者を表し、塗りつぶされた三角形は部分奏効が未確認の患者を表し、塗りつぶされていない三角形は部分奏効が確認された患者を表す。
図7Bは、JTX−2011単剤療法またはJTX−2011とニボルマブの併用療法を受けている癌患者における、標的病変のベースラインからの変化率を、ICOS
hi CD4+ T細胞集団の出現と比較するウォーターフォールプロットである。
図7Cは、JTX−2011単剤療法またはJTX−2011とニボルマブの併用療法に対する進行性疾患(PD)、安定性疾患(SD)、未確認陽性反応(PR)、および確認された陽性反応(cPR)を有する癌患者の割合を示すグラフであり、ICOS発現を増加させたCD4+ T細胞がある場合とない場合とがある。
図8Aは、0.25mg/kgのJTX−10110−mG2aの週一回投与を受けているSa1/N担腫瘍マウスにおける、投与後1時間と比較して投与後48時間のICOS染色の増加を示すグラフである。
図8Bは、0.25mg/kgのJTX−10110−mG2aの週一回投与を受けているSa1/N担腫瘍マウスからの投与後48時間でのCD4+ T細胞におけるICOS発現を示す等高線プロットである。
図9は、サイクル7〜12にわたって0.1mg/kgのJTX−2011および240mgのニボルマブのq3wでの併用療法に対する確認された部分奏効(cPR)を有する胃癌患者からの試料中のCD4+ T細胞におけるICOS発現を示す一連の等高線プロットである。サイクル12で、T−bet発現をICOS+ CD4+ T細胞で評価した。
図10は、サイクル3〜15にわたって0.3mg/kgのJTX−2011のq3wでの単剤療法に対する確認された部分奏効(cPR)を有する胃癌患者からの試料中のCD4+ T細胞におけるICOSおよびT−bet発現を示す一連の等高線プロットである。
図11は、サイクル5〜7にわたって0.3mg/kgのJTX−2011および240mgのニボルマブのq3wでの併用療法で治療された安定性疾患のTNBC患者からの試料中のCD4+ T細胞におけるICOSおよびT−bet発現を示す一連の等高線プロットである。
図12は、サイクル1〜9にわたって0.3mg/kgのJTX−2011および240mgのニボルマブのq3wでの併用療法で治療された安定性疾患のTNBC患者からの試料中のCD4+ T細胞におけるICOSおよびT−bet発現を示す一連の等高線プロットである。
図13は、破傷風トキソイドによる刺激後のICOS
loおよびICOS
hi CD4+ T細胞におけるIFNγ、TNFα、およびIL−2のレベルを示す一連のグラフである。挿入図には、二つの細胞集団を強調する代表的な等高線プロットが示されている。各三セットの第一のバーはIFNγであり、各三セットの第二のバーはTNF−aであり、各三セットの第三のバーはIL−2である。
図14Aは、フローサイトメトリープロファイリングによってICOS発現について調べた試料の概要を示す表である。
図14Bは、さまざまな時点でニボルマブに反応したNSCLC患者(左パネル)およびペンブロリズマブに反応したNSCLC患者(右パネル)におけるCD4+ T細胞のICOSレベルを示す、重ね合わせたヒストグラムの対である。ヒストグラムは、各レスポンダーのベースラインプロファイルから始めて、時系列に並べられている。
図15Aは、有意に差次的に発現され(FDR調整されたp値<0.05)、ICOS
hiおよびICOS
lo CD4+ T細胞にわたって転写の違いの重要な要素を定義する遺伝子を示す、遺伝子発現ヒートマップである。
図15Bは、ICOS
hi対ICOS
lo CD4+ T細胞集団における主要なエフェクター経路の調節をまとめた表である。全体的なFDR補正されたq値が0.5未満の経路を示す。
図15Cは、同種移植片拒絶経路の概要を示す概略図である。
図16Aは、後期サイクルの均一なICOS
hi T細胞集団における、Tbet、CD25、FoxP3、およびTIGIT発現を示す一連の等高線プロットである。
図16Bは、二つの時点でcPRを有する胃癌患者におけるLag−3、TIGIT、FoxP3、CD4、およびCD8発現を示す一連のプロットである。
図17は、JTX−2011治療に対して確認されたPRを有する対象におけるCD8+ およびCD4+ T細胞の初期および後期増殖を示すプロットである。長期的にプロファイリングした4人の対象の平均値を示す。
図18は、JTX−2011で治療した後のTCRレパートリーのポリクローナル増殖を示すプロットである。22人の対象の平均値を示す。
図19Aおよび19Bは、ICOS
hi CD4+ T細胞の非出現(
図19A)および出現(
図19B)の対象における腫瘍関連クローンおよびデノボクローンの頻度を示す一対のグラフである。
図20Aは、フローサイトメトリーによるcPRを有する患者のICOS
hi CD4+ T細胞集団の均一性を示すヒストグラムである。
図20Bは、既知の変異状態を有する患者から単離されたPBMCのELISPOTによって測定される、抗原特異的な応答を示すグラフである。第一のバーは陰性対照であり、第二のバーは陽性対照であり、第三のバーはKRAS/PTEN/BRAFである。検査した変異は、KRAS G12D、PTEN R173C、およびBRAF E26Dであった。ペプチドの長さは15アミノ酸であった。変異は、両側に野生型配列の7アミノ酸が隣接するペプチドの中心にあった。三つのペプチドを、それぞれ2μg/mLでプールした。陽性対照は、一般的なCMV、EBV、およびインフルエンザ抗原からなる2μg/mLのCEFペプチドプールであった。陰性対照は媒体であった。
図21は、ICOS
hi T細胞出現を有する患者の六ヵ月間のPFS中央値を示すプロットである。
図22は、ICOS
hi T細胞出現未到達の患者のOS中央値を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0084】
癌を治療する方法が提供される。方法は、一つまたは複数の抗癌療法を用いて対象を治療し、次いで、対象の末梢血試料がICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞を含むかどうかを判定することを含む。含む場合、(a)一つまたは複数の抗癌療法での治療が、任意で抗ICOSアゴニスト抗体との組み合わせで継続されるか、または(b)一つまたは複数の抗癌療法でさらなる治療を行わない場合、対象は抗ICOSアゴニスト(例えば、抗ICOSアゴニスト抗体)で治療される。また、末梢血試料からのCD4+ T細胞中のICOSおよび/またはT−betレベルの上昇の検出に基づいて、対象が一つまたは複数の抗癌療法による継続治療、または抗ICOSアゴニスト(例えば、抗ICOSアゴニスト抗体)による治療から利益を得ることができるかどうかを判定するための方法も提供される。そのような細胞集団が試料中に特定される場合、対象は、(a)任意で抗ICOSアゴニスト抗体と組み合わせて、一つまたは複数の抗癌療法での継続治療、または(b)一つまたは複数の抗癌療法でさらなる治療を行わない場合、抗ICOSアゴニスト(例えば、抗ICOSアゴニスト抗体)による治療のいずれかから利益を得ることができる。
【0085】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、組織的な目的のためのみであり、記載される主題を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0086】
特許出願、特許公報、およびGenbank受託番号を含む、本明細書に引用されるすべての参考文献は、各個別の参考文献が、参照によりその全体が組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0087】
I.定義
別途定義されない限り、本開示に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者に一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上別段の必要がない限りまたは明示的に示されていない限り、単数形用語は複数形を含み、複数形用語は単数形を含むものとする。さまざまな情報源または参考文献の間で定義に矛盾がある場合は、本明細書に提供される定義が優先される。
【0088】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、「からなる」実施形態および/または「本質的にからなる」実施形態を含むことが理解される。
【0089】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段の指示がない限り、複数の参照を含む。
【0090】
本明細書の「または」という用語の使用は、代替物が相互に排他的であることを意味するものではない。
【0091】
本出願では、「または」の使用は、当業者によって明示的に記載または理解されない限り、「および/または」を意味する。複数の従属請求項の文脈において、「または」の使用は、複数の先行する独立請求項または従属請求項を遡って指す。
【0092】
当業者に理解されるように、本明細書における値またはパラメータの「約」への言及は、その値またはパラメータ自体に向けられた実施形態を含む(および説明する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。
【0093】
「核酸分子」、「核酸」、および「ポリヌクレオチド」という用語は、互換的に使用されてもよく、ヌクレオチドのポリマーを指す。ヌクレオチドのこのようなポリマーは、天然および/または非天然ヌクレオチドを含有してもよく、限定されないが、DNA、RNA、およびPNAを含む。「核酸配列」とは、核酸分子またはポリヌクレオチドを含むヌクレオチドの直鎖配列を指す。
【0094】
「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために互換的に使用され、最小の長さに限定されない。アミノ酸残基のこのようなポリマーは、天然または非天然のアミノ酸残基を含有することができ、ペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸残基の二量体、三量体、および多量体を含むが、これらに限定されない。全長タンパク質およびその断片の両方が、定義により包含される。用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、シアリル化、アセチル化、リン酸化なども含む。さらに、本開示の目的のために、「ポリペプチド」は、タンパク質が所望の活性を維持する限り、天然配列に対する欠失、付加、および置換(一般的に保存的性質の)などの修飾を含むタンパク質を指す。これらの修飾は、部位特異的突然変異誘発を介して、意図的であってもよく、または、例えば、タンパク質を生成する宿主の突然変異またはPCR増幅によるエラーを介してなど、偶発的であってもよい。
【0095】
本明細書で使用される場合、ペプチド、ポリペプチドまたは抗体配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」および「相同性」は、特定のペプチドまたはポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の割合として定義され、必要に応じて配列を調整し、ギャップを導入した後、最大パーセントの配列同一性を達成し、配列同一性の一部として保存的置換を考慮しない。アミノ酸配列同一性の割合を判定する目的のためのアライメントは、当技術分野の範囲内のさまざまな方法で、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGNまたはMEGALIGN(商標)(DNASTAR)ソフトウェアなどの公開されているコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較される配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。
【0096】
アミノ酸置換は、ポリペプチド中の一つのアミノ酸を別のアミノ酸と置換することを含みうるが、これに限定されない。例示的な置換を表1に示す。アミノ酸置換を目的の抗体に導入し、生成物を所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合、減少した免疫原性、または改善されたADCCもしくはCDCについてスクリーニングすることができる。
【0098】
アミノ酸は、一般的な側鎖特性に従ってグループ化されうる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0099】
非保存的な置換は、これらのクラスの一つのメンバーを別のクラスに交換することを伴う。
【0100】
「ICOS」および「誘導性T細胞共刺激」は、本明細書で使用される場合、細胞内でのICOSの発現および処理から生じる任意の天然ICOSを指す。用語は、特に指示がない限り、霊長類(例えば、ヒトおよびカニクイザル)および齧歯類(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳類を含む、任意の脊椎動物源由来のICOSを含む。用語はまた、例えば、スプライスバリアントまたはアレルバリアントなどの、ICOSの天然に存在するバリアントを含む。シグナル配列(アミノ酸1〜20)を有する例示的なヒトICOS前駆体タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号11に示される。例示的な成熟ヒトICOSのアミノ酸配列は、配列番号12に示される。ICOSの細胞内部分は、配列番号11および12内に下線を引くことによって表3に示される。シグナル配列(アミノ酸1〜20)を有する例示的なマウスICOS前駆体タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号13に示される。例示的な成熟マウスICOSのアミノ酸配列は、配列番号14に示される。シグナル配列(アミノ酸1〜20)を有する例示的なラットICOS前駆体タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号15に示される。例示的な成熟ラットICOSのアミノ酸配列は、配列番号16に示される。シグナル配列(アミノ酸1〜20)を有する例示的なカニクイザルICOS前駆体タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号17に示される。例示的な成熟カニクイザルICOSのアミノ酸配列は、配列番号18に示される。
【0101】
本明細書において使用される場合、「T−bet」、「T細胞特異的T−Box転写因子T−Bet」、または「T−Box21」は、細胞におけるT−betの発現および処理から生じるTBX21遺伝子によりコードされる、任意の天然T−betを指す。用語は、特に指示がない限り、霊長類(例えば、ヒトおよびカニクイザル)および齧歯類(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳類を含む、任意の脊椎動物源由来のT−betを含む。用語はまた、天然に存在するT−betのバリアント、例えば、スプライスバリアントまたはアレルバリアントを含む。例示的なヒトT−betタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号43に示される。例示的なマウスT−betのアミノ酸配列は、配列番号44に示される。
【0102】
抗原またはエピトープに「特異的に結合する」という用語は、当該技術分野でよく理解される用語であり、かかる特異的結合を決定する方法も当該技術分野で周知である。分子は、代替の細胞または物質とよりも、特定の細胞または物質と、より頻繁に、より速く、より長い持続時間で、および/またはより高い親和性で反応または会合する場合、「特異的結合」または「優先結合」を示すと言われる。抗体は、他の物質に結合するよりも、より高い親和性、結合力、より容易に、および/またはより長い持続時間で結合する場合、標的に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。例えば、ICOSエピトープに特異的または優先的に結合する抗体は、他のICOSエピトープまたは非ICOSエピトープに結合するよりも、より高い親和性、結合力、より容易に、および/またはより長い持続時間でこのエピトープに結合する抗体である。また、この定義を読むことにより、例えば、第一の標的に特異的または優先的に結合する抗体(または部分またはエピトープ)は、第二の標的に特異的または優先的に結合する場合がある、または結合しない場合があることも理解される。したがって、「特異的結合」または「優先結合」は、必ずしも排他的結合(それを含むことができるが)を必要としない。一般的に、必ずしもそうとは限らないが、結合への言及は優先結合を意味する。「特異性」とは、抗原に選択的に結合する結合タンパク質の能力を指す。
【0103】
本明細書で使用される場合、「実質的に純粋」とは、少なくとも50%純粋(すなわち、汚染物質を含まない)、より好ましくは少なくとも90%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、さらにより好ましくは少なくとも98%純粋、最も好ましくは少なくとも99%純粋である物質を指す。
【0104】
本明細書で使用される場合、「エピトープ」という用語は、抗原結合分子(例えば、抗体、抗体断片、または抗体結合領域を含有する足場タンパク質)が結合する標的分子(例えば、タンパク質、核酸、炭水化物、または脂質などの抗原)上の部位を指す。エピトープは、アミノ酸、ポリペプチド、または糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面群を含むことが多く、特定の三次元構造特性および特定の電荷特性を有する。エピトープは、標的分子の隣接および/または並置された非隣接残基(例えば、アミノ酸、ヌクレオチド、糖、または脂質部分)の両方から形成され得る。直鎖状エピトープ(例えば、アミノ酸、ヌクレオチド、糖、または脂質部分)とも呼ばれる隣接残基から形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒への曝露時に保持されるが、非隣接残基から形成されるエピトープは、非直鎖状または立体構造エピトープとも呼ばれ、三次フォールディングによって形成され、典型的には、変性溶媒での処理時に失われる。エピトープは、少なくとも3個、少なくとも5個、または8〜10個の残基(例えば、アミノ酸またはヌクレオチド)を含み得るが、これらに限定されない。一部の例では、エピトープは、長さが20残基未満(例えば、アミノ酸またはヌクレオチド)、15残基未満、または12残基未満である。
【0105】
二つの抗体は、抗原に対して競合結合を示す場合、抗原内の同じエピトープに結合するか、または重複するエピトープに結合してもよい。したがって、一部の実施形態では、抗体は、同じエピトープまたは重複エピトープへの抗体の結合に特異的に干渉する場合、別の抗体と「交差競合」すると言われる。
【0106】
本明細書の「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、所望の抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体(二重特異性T細胞誘導など)および三重特異性抗体)、ならびに抗体断片を含むがこれらに限定されない、さまざまな抗体構造を包含する。
【0107】
抗体という用語は、Fv、一本鎖Fv(scFv)、Fab、Fab'、di−scFv、sdAb(単一ドメイン抗体)、および(Fab')2(化学的に連結されたF(ab')2を含む)などの抗原に結合することができる断片を含むが、これらに限定されない。抗体のパパイン消化により、それぞれが単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片と称される二つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化できることが名称に反映されている残りの「Fc」断片とが生じる。ペプシン処理は、二つの抗原結合部位を有し、依然として抗原を架橋することができるF(ab')2断片を生成する。抗体という用語はまた、限定されないが、キメラ抗体、ヒト化抗体、およびマウス、ヒト、カニクイザルなどのさまざまな種の抗体を含む。さらに、本明細書に提供されるすべての抗体構築物について、他の生物からの配列を有するバリアントも企図される。したがって、抗体のヒトバージョンが開示される場合、当業者であれば、ヒト配列ベースの抗体をマウス、ラット、ネコ、イヌ、ウマなどの配列へと形質転換する方法を理解するであろう。抗体断片はまた、一本鎖scFv、タンデムdi−scFv、ダイアボディ、タンデムtri−sdcFv、ミニボディなどのいずれかの配向も含む。抗体断片はまた、ナノボディ(軽鎖を含まない重鎖の可変ドメインの対などの単一の単量体ドメインを有する抗体である、sdAb)を含む。一部の実施形態では、抗体断片を、特異的な種(例えば、ヒトscFvまたはマウスscFv)と呼ぶことができる。これは、構築物の源ではなく、非CDR領域の少なくとも一部の配列を示す。
【0108】
「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体集団の一抗体を指し、すなわち、その集団を含む個々の抗体は、わずかな量で存在し得る自然に発生する可能性のある変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は特異性が高く、単一の抗原部位に向けられている。さらに、異なる決定因子(エピトープ)に向けられている異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調合剤とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原の単一の決定因子に向けられている。したがって、モノクローナル抗体の試料は、抗原の同じエピトープに結合することができる。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体の特性を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、モノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein,1975,Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製されてもよく、または米国特許第4,816,567号に記載されるように組換えDNA法によって作製されてもよい。モノクローナル抗体はまた、例えばMcCafferty et al.,1990,Nature 348:552−554に記載される技術を使用して生成されたファージライブラリから単離することもできる。
【0109】
「CDR」という用語は、当業者に対する少なくとも一つの識別方法によって定義される相補性決定領域を示す。一部の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けスキーム、Kabat番号付けスキーム、KabatとChothiaとの組み合わせ、AbM定義、接触定義、ならびに/またはKabat、Chothia、AbM、および/もしくは接触定義の組み合わせのいずれかに従って定義され得る。例示的なCDR(CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、およびCDR−H3)は、L1のアミノ酸残基24〜34、L2の50〜56、L3の89〜97、H1の31〜35B、H2の50〜65、およびH3の95〜102において生じる (Kabat et al.,Sequences of Proteins of lmmunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991))。AbM定義は、例えば、L1のアミノ酸残基24〜34、L2の50〜56、L3の89〜97、H1のH26〜H35B、H2の50〜58、およびH3の95〜102におけるCDR(CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、およびCDR−H3)を含み得る。接触定義は、例えば、L1のアミノ酸残基30〜36、L2の46〜55、L3の89〜96、H1の30〜35、H2の47〜58、およびH3の93〜101におけるCDR(CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、およびCDR−H3)を含み得る。Chothia定義は、例えば、L1のアミノ酸残基24〜34、L2の50〜56、L3の89〜97、H1の26〜32...34、H2の52〜56、およびH3の95〜102におけるCDR(CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、およびCDR−H3)を含み得る。V
H中のCDR1を除き、CDRは、一般に、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。抗体内のさまざまなCDRを適切な数字および鎖の種類によって指定することができ、限定されることなく、a)CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、およびCDR−H3、b)CDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3、c)LCDR−1、LCDR−2、LCDR−3、HCDR−1、HCDR−2、およびHCDR−3、またはd)LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3などが含まれる。本明細書で使用される「CDR」という用語は、超可変ループを含むHVRまたは「超可変領域」を包含する。例示的な超可変ループは、アミノ酸残基26〜32(L1)、50〜52(L2)、91〜96(L3)、26〜32(H1)、53〜55(H2)、および96〜101(H3)で生じる(ChothiaおよびLesk,J.Mol.Biol.196:901−917(1987))。
【0110】
「重鎖可変領域」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも三つの重鎖CDRを含む領域を指す。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、三つのCDRと、少なくともFR2およびFR3とを含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、少なくとも重鎖HCDR1、フレームワーク(FR)2、HCDR2、FR3、およびHCDR3を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域はまた、FR1の少なくとも一部および/またはFR4の少なくとも一部を含む。
【0111】
「重鎖定常領域」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも三つの重鎖定常ドメインのCH1、CH2、およびCH3を含む領域を指す。当然ながら、ドメイン内の非機能変更的欠失および変更は、別段の指定がない限り、「重鎖定常領域」という用語の範囲内に包含される。非限定的な例示的重鎖定常領域は、γ、δ、およびαを含む。非限定的な例示的重鎖定常領域は、ε、およびμも含む。各重定常領域は、抗体アイソタイプに対応する。例えば、γ定常領域を含む抗体はIgG抗体であり、δ定常領域を含む抗体はIgD抗体であり、α定常領域を含む抗体はIgA抗体である。さらに、μ定常領域を含む抗体はIgM抗体であり、ε定常領域を含む抗体はIgE抗体である。特定のアイソタイプは、サブクラスにさらに細分化することができる。例えば、IgG抗体には、IgG1(γ
1定常領域を含む)抗体、IgG2(γ
2定常領域を含む)抗体、IgG3(γ
3定常領域を含む)抗体、およびIgG4(γ
4定常領域を含む)抗体が含まれるが、これらに限定されず、IgA抗体には、IgA1(α
1定常領域を含む)抗体およびIgA2(α
2定常領域を含む)抗体が含まれるがこれらに限定されず、IgM抗体にはIgM1およびIgM2が含まれるが、これらに限定されない。
【0112】
「重鎖」という用語は、本明細書で使用される場合、リーダー配列を伴う、または伴わない、少なくとも重鎖可変領域を含むポリペプチドを指す。一部の実施形態では、重鎖は、重鎖定常領域の少なくとも一部を含む。「完全長重鎖」という用語は、本明細書で使用される場合、リーダー配列を伴う、または伴わない、重鎖可変領域および重鎖定常領域を含むポリペプチドを指す。
【0113】
「軽鎖可変領域」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも三つの軽鎖CDRを含む領域を指す。一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、三つのCDRと、少なくともFR2およびFR3とを含む。一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、少なくとも軽鎖LCR1、フレームワーク(FR)2、LCD2、FR3、およびLCD3を含む。例えば、軽鎖可変領域は、軽鎖CDR1、フレームワーク(FR)2、CDR2、FR3、およびCDR3を含むことができる。一部の実施形態では、軽鎖可変領域はまた、FR1の少なくとも一部および/またはFR4の少なくとも一部を含む。
【0114】
「軽鎖定常領域」という用語は、本明細書で使用される場合、軽鎖定常ドメイン、C
Lを含む領域を指す。非限定的な例示的軽鎖定常領域は、λおよびKを含む。当然ながら、ドメイン内の非機能変更的欠失および変更は、別段の指定がない限り、「軽鎖定常領域」という用語の範囲内に包含される。
【0115】
「軽鎖」という用語は、本明細書で使用される場合、リーダー配列を伴う、または伴わない、少なくとも軽鎖可変領域を含むポリペプチドを指す。一部の実施形態では、軽鎖は、軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む。「完全長軽鎖」という用語は、本明細書で使用される場合、リーダー配列を伴う、または伴わない、軽鎖可変領域および軽鎖定常領域を含むポリペプチドを指す。
【0116】
本明細書の目的における「受容体ヒトフレームワーク」は、以下に定義されるように、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(V
L)フレームワークまたは重鎖可変ドメイン(V
H)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する受容体ヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含み得るか、またはアミノ酸配列変化を含み得る。一部の実施形態では、アミノ酸変化の数は、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、または2個以下である。一部の実施形態では、V
L受容体ヒトフレームワークは、V
Lヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。
【0117】
「親和性」は、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有相互作用の合計の強度を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般的に解離定数(KD)によって表され得る。親和性は、当該技術分野で公知の一般的方法によって測定することができる(例えば、ELISA KD、KinExA、生体層干渉計(BLI)、および/または本明細書に記載されるものを含む表面プラズモン共鳴デバイス(BIAcore(登録商標)デバイスなど)など)。
【0118】
本明細書で使用される場合、「KD」、「Kd」、「Kd」、または「Kd値」という用語は、抗体−抗原相互作用の平衡解離定数を指す。
【0119】
「生物学的活性」という用語は、分子の任意の一つまたは複数の(インビボで天然に存在するか、または組み換え手段によって提供される、もしくは可能になる)生物学的特性を指す。生物学的特性としては、限定されないが、受容体に結合すること、細胞増殖を誘導すること、細胞増殖を阻害すること、他のサイトカインを誘導すること、アポトーシスを誘導すること、および酵素活性が挙げられる。一部の実施形態では、ICOSタンパク質の生物活性としては、例えば、Th1細胞およびTh2細胞に関連するT細胞増殖およびサイトカイン分泌の共刺激、Treg細胞の調節、転写因子遺伝子発現の調節を含むT細胞分化への影響、PI3KおよびAKT経路を介したシグナル伝達の誘導、およびADCCの媒介が挙げられる。
【0120】
用語「実質的に類似している」または「実質的に同じ」は、本明細書で使用される場合、当業者が、二つ以上の値の差に、当該値によって測定される生物学的特性の文脈内で、生物学的および/または統計的有意性がほとんどまたは全くないと見なすような、二つ以上の数値の間の十分に高度な類似性を示す。一部の実施形態では、二つ以上の実質的に類似した値は、約5%以下、約10%以下、約15%以下、約20%以下、約25%以下、または約50%以下のうちのいずれか一つによる差がある。
【0121】
語句「実質的に異なっている」は、本明細書で使用される場合、当業者が、二つの値の差に、当該値によって測定される生物学的特性の文脈内で、統計的有意性があると見なすような、二つの数値の間の十分に高度な差を示す。一部の実施形態では、二つの実質的に異なる数値は、約10%超、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約45%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、または約100%超のうちのいずれか一つによる差がある。
【0122】
語句「実質的に低減された」は、本明細書で使用される場合、当業者が、二つの値の差に、当該値によって測定される生物学的特性の文脈内で、統計的有意性があると見なすような、数値と基準数値との間の十分に高度な低減を示す。一部の実施形態では、実質的に低減された数値は、基準値と比較して、約10%超、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約45%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、または約100%超のうちのいずれか一つによる低減がある。
【0123】
語句「実質的に増加した」は、本明細書で使用される場合、当業者が、二つの値の差に、当該値によって測定される生物学的特性の文脈内で、統計的有意性があると見なすような、数値と基準数値との間の十分に高度な増加を示す。一部の実施形態では、実質的に増加した数値は、基準値と比較して、約10%超、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約45%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、または約100%超のうちのいずれか一つによる増加がある。
【0124】
「単離された」という用語は、本明細書で使用される場合、それが一般的に天然に見られる、または生成される構成要素の少なくとも一部から分離された分子を指す。例えば、ポリペプチドは、それが産生された細胞の構成要素の少なくとも一部から分離されたときに「単離された」と称される。ポリペプチドが発現後に細胞によって分泌され、ポリペプチドを含有する上清を、それを産生した細胞から物理的に分離する場合、ポリペプチドを「単離する」と見なされる。同様に、ポリヌクレオチドは、それが典型的に天然に見出される大きなポリヌクレオチド(例えば、DNAポリヌクレオチドの場合には、ゲノムDNAまたはミトコンドリアDNAなど)の一部ではないとき、または、例えば、RNAポリヌクレオチドの場合、産生された細胞の少なくとも一部の構成要素から分離されるとき、「単離された」と称される。したがって、宿主細胞内のベクターに含まれるDNAポリヌクレオチドは、「単離された」と呼称され得る。
【0125】
「個体」、「患者」、または「対象」という用語は、本明細書では、動物、例えば哺乳動物を指すために互換的に使用される。一部の実施形態では、ヒト、齧歯類、サル、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、哺乳類実験動物、哺乳類家畜、哺乳類競技用動物、および哺乳類愛玩動物を含むがこれに限定されない、哺乳動物を治療する方法が提供される。一部の例では、「個体」または「対象」は、疾患または障害の治療を必要とする個体または対象を指す。一部の実施形態では、治療を受ける対象は、対象が治療に関連する障害を有する、または障害を発症する十分なリスクがあると特定されたという事実を指定する患者であり得る。
【0126】
「試料」または「患者試料」という用語は本明細書で使用される場合、例えば、物理的、生化学的、化学的、および/または生理学的特性に基づいて、特徴付けられるおよび/または特定される細胞および/または他の分子実体を含む、関心のある対象から得られるまたは誘導される組成物を指す。例えば、「検査試料」という語句およびその変形は、特徴付けられるべき細胞および/または分子実体を含むことが予想される、または知られている、関心のある対象から得られた任意の試料を指す。「組織または細胞試料」とは、対象または患者の組織から得られた類似の細胞の集まりを意味する。組織または細胞試料の供給源は、血液(例えば、末梢血)または任意の血液成分;新鮮、凍結および/または保存された器官または組織試料または生検もしくは吸引物からの固形組織;脳脊髄液、羊水、腹膜液、または間質液などの体液;対象の妊娠中または発達中の任意の時点の細胞であり得る。組織試料はまた、初代細胞または培養細胞または細胞株であってもよい。任意で、組織または細胞試料は、疾患組織/器官から得られる。組織試料は、保存剤、抗凝固剤、緩衝剤、固定剤、栄養剤、抗生物質など、自然界では組織と自然に混合されない化合物を含み得る。一部の実施形態では、試料は、CD4+細胞を含む、対象または患者から得られた末梢血を含む。一部の実施形態では、試料は、末梢血から単離されたCD4+細胞を含む。
【0127】
本明細書で使用される場合、「対照」、「対照試料」、「参照」、または「参照試料」は、比較の目的で使用される任意の試料、標準、またはレベルを指す。対照または参照は、健常および/または疾患のない試料から得ることができる。一部の例では、対照または参照は、未処理の試料または患者から得ることができる。一部の例では、参照は、対象個体の非疾患または非治療試料から得られる。一部の例では、参照は、対象または患者ではない一つまたは複数の健康な個体から得られる。一部の実施形態では、対照試料、参照試料、参照細胞、または参照組織は、治療(例えば、一つまたは複数の抗癌治療)の一回または複数回の投与の前、または本発明の方法のいずれかを受ける前の時点で、患者または対象から得られる。
【0128】
「疾患」または「障害」は、本明細書で使用される場合、治療が必要および/または望ましい状態を指す。一部の実施形態では、疾患または障害は、癌である。
【0129】
「癌」および「腫瘍」は、本明細書で使用される場合、動物における任意の異常な細胞または組織の成長または増殖を指す互換性のある用語である。本明細書で使用される場合、「癌」および「腫瘍」という用語は、固形癌および血液/リンパ性癌を包含し、また悪性、前癌性、および異形成などの良性の増殖も包含する。癌の例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病が挙げられるが、これらに限定されない。このような癌のより特定の非限定的な例としては、胃癌、乳がん(例:トリプルネガティブ乳癌(TNBC))、非小細胞肺癌(NSCLC)、扁平上皮癌、小細胞肺癌、下垂体癌、食道癌、星状細胞腫、軟部組織肉腫、肺腺癌、肺扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、消化器癌、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌(子宮体部子宮内膜癌を含む)、唾液腺癌、腎臓癌、腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、脳癌、精巣癌、胆管癌、胆嚢癌、黒色腫、およびさまざまなタイプの頭頸部癌が挙げられる。これらの癌、およびその他の癌は、本発明の方法に従って治療または分析することができる。
【0130】
本明細書で使用される場合、「治療」は、有益なまたは望ましい臨床結果を得るためのアプローチである。本明細書で使用される場合、「治療」は、ヒトを含む哺乳動物における疾患に対する治療薬の任意の投与または適用を網羅する。本開示の目的上、有益な、または望ましい臨床結果としては:一つまたは複数の症状の緩和、疾患の程度の減少、疾患の拡散(例えば、転移、例えば、肺またはリンパ節への転移)の予防または遅延、疾患の再発の予防または遅延、疾患の進行の遅延または緩徐、病状の改善、疾患または疾患の進行の阻害、疾患またはその進行の阻害または遅延、発生の阻止、および緩解(部分または完全)のいずれか一つまたは複数を含まれるが、これらに限定されない。また、「治療」には、増殖性疾患の病理学的結果の低減も含まれる。本明細書に提供される方法は、治療のこれらの態様のうちのいずれか一つまたは複数を企図する。上記に沿って、治療という用語は、障害のあらゆる側面の100%の除去を必要としない。
【0131】
「寛解」とは、抗癌療法を投与しないことと比較して、一つまたは複数の症状の軽減または改善を意味する。「寛解」には、症状の持続時間の短縮または低減も含まれる。
【0132】
癌の文脈において、「治療する」という用語は、癌細胞の増殖の抑制、癌細胞の複製の抑制、全体的な腫瘍量の減少、および疾患に関連する一つまたは複数の症状の寛解のいずれかまたはすべてを含む。
【0133】
「防止」は、本明細書で使用される場合、疾患にかかりやすいが、まだ疾患と診断されていない対象における疾患の発生または再発に関して、予防を提供することを含む。特に明記されていない限り、「低減する」、「抑制する」または「防止する」という用語は、常に完全な防止を示すものではなく、または要求とするものでもない。
【0134】
「所定のカットオフ」および「所定のレベル」とは、一般に、所定のカットオフ/レベルがすでにさまざまな臨床パラメータ(例えば、疾患の重症度、進行/非進行/改善など)と関連または関係づけられている所定のカットオフ/レベルに対するアッセイ結果を比較することにより、診断/予後/治療有効性の結果を評価するために用いられる、アッセイカットオフ値を指す。本開示は、例示的な所定のレベルを提供し得るが、カットオフ値が、免疫測定法の性質(例えば、用いられる抗体など)に応じて変化し得ることは周知である。さらに、本明細書の開示を他の免疫測定法に適合させて、本開示に基づいて、それらの他の免疫測定法のために免疫測定法特異的カットオフ値を得ることは、十分に当業者の範囲内である。所定のカットオフ/レベルの正確な値は、アッセイ間で変化し得るが、本明細書に記載される相関関係(ある場合)は、概して適用可能であり得る。
【0135】
一部の実施形態では、「上昇したICOSのレベル」、「上昇したICOSレベル」、「上昇したレベルでのICOS」、「ICOS
HIGH」、および「ICOS
hi」という用語は、例えば、一つまたは複数の抗癌療法で対象を治療した後、対象の末梢血試料中の対象の細胞(例えば、CD4+ T細胞)でICOSレベルが増加したことを指す。増加したレベルは、例えば、治療されている対象からの末梢血試料であり得る対照と比較して決定することができるが、一つまたは複数の抗癌療法による任意の治療の前、または一つもしくは複数の抗癌療法の二回目以降のサイクルによる治療の前のいずれかに決定することができる。あるいは、対照は、健康な個体の一致した試料(例えば、末梢血試料)からのレベルとすることができる。一部の実施形態では、ICOSのレベルは、発現されたタンパク質のレベルで決定され、これは、一部の実施形態では、ICOSの細胞内部分に向けられた抗体を使用して検出され得る。一部の実施形態では、かかる抗体を使用した検出は、フローサイトメトリーの使用によって行われる。一部の実施形態では、対照と比較して平均蛍光強度(MFI)が少なくとも2倍(例えば、少なくとも3倍、4倍、5倍、7.5倍、10倍、または15倍)に増加していることは、上昇したICOSレベルが検出されたことを示す。一部の実施形態では、末梢血試料中のCD4+ T細胞の少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%)でICOSレベルの増加が検出されたことは、対象がICOS hi試料を有することを示す。一部の実施形態では、末梢血液試料中のCD4+ T細胞の少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%)で、対照と比較して平均蛍光強度(MFI)が少なくとも2倍(例えば、少なくとも3倍、4倍、5倍、7.5倍、10倍、または15倍)に増加していることは、上昇したICOSレベルが検出されたことを示す。一部の実施形態では、上昇したICOSレベルは、末梢血検査試料中のCD4+ T細胞における全ICOS発現レベル(例えば、mRNAレベルまたはタンパク質レベル)が、対照試料と比較して、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれ以上に増加することを意味する。一部の実施形態では、上昇したICOSレベルは、末梢血試料中のCD4+ T細胞における全ICOS発現レベル(例えば、mRNAレベルまたはタンパク質レベル)が、対照試料と比較して、少なくとも約1.1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、またはそれ以上に増加することを意味する。
【0136】
一部の実施形態では、「上昇したT−betのレベル」、「上昇したT−betレベル」、「上昇したレベルでのT−bet」、「T−bet
HIGH」、および「T−bet
hi」という用語は、例えば、一つまたは複数の抗癌療法で対象を治療した後、対象の末梢血試料中の対象の細胞(例えば、CD4+ T細胞)でT−betレベルが増加したことを指す。増加したレベルは、例えば、治療されている対象からの末梢血試料であり得る対照と比較して決定することができるが、一つまたは複数の抗癌療法による任意の治療の前、または一つもしくは複数の抗癌療法の二回目以降のサイクルによる治療の前のいずれかに決定することができる。あるいは、対照は、健康な個体の一致した試料(例えば、末梢血試料)からのレベルとすることができる。一部の実施形態では、T−betのレベルは、発現されたタンパク質のレベルで決定され、これは、一部の実施形態では、T−betに向けられた抗体を使用して検出され得る。一部の実施形態では、かかる抗体を使用した検出は、フローサイトメトリーの使用によって行われる。一部の実施形態では、対照と比較して平均蛍光強度(MFI)が少なくとも2倍(例えば、少なくとも3倍、4倍、5倍、7.5倍、10倍、または15倍)に増加していることは、上昇したT−betレベルが検出されたことを示す。一部の実施形態では、末梢血試料中のCD4+ T細胞の少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%)でT−betレベルの増加が検出されたことは、対象がT−bet hi試料を有することを示す。一部の実施形態では、末梢血液試料中のCD4+ T細胞の少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%)で、対照と比較して平均蛍光強度(MFI)が少なくとも2倍(例えば、少なくとも3倍、4倍、5倍、7.5倍、10倍、または15倍)に増加していることは、上昇したT−betレベルが検出されたことを示す。一部の実施形態では、上昇したT−betレベルは、末梢血検査試料中のCD4+ T細胞における全T−bet発現レベル(例えば、mRNAレベルまたはタンパク質レベル)が、対照試料と比較して、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれ以上に増加することを意味する。一部の実施形態では、上昇したT−betレベルは、末梢血試料中のCD4+ T細胞における全T−bet発現レベル(例えば、mRNAレベルまたはタンパク質レベル)が、対照試料と比較して、少なくとも約1.1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、またはそれ以上に増加することを意味する。
【0137】
「抑制」または「抑制する」という用語は、任意の表現型特性の減少もしくは停止、またはその特性の発生率、程度、もしくは可能性の減少または停止を指す。「低減する」または「抑制する」とは、基準と比較して、活性、機能、および/または量を減少させる、低減する、または阻止することである。一部の実施形態では、「低減する」または「抑制する」とは、20%以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。一部の実施形態では、「低減する」または「抑制する」とは、50%以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。一部の実施形態では、「低減する」または「抑制する」とは、75%、85%、90%、95%以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。一部の実施形態では、上述の量は、同じ期間にわたる対照用量(プラセボなど)と比較して、一定期間にわたって抑制または減少する。
【0138】
本明細書で使用される場合、「疾患の発症を遅延する」は、疾患(癌など)の発症を延期、阻害、緩徐、遅延、安定化、抑圧、および/または順延することを意味する。この遅延は、疾患および/または治療される個体の病歴に応じて、さまざまな時間の長さであり得る。当業者には明らかであるように、十分または有意な遅延は、実質的に、個体が疾患を発症しないことにおいて予防を包含し得る。例えば、転移の発生などの後期ステージの癌を遅延させることができる。
【0139】
本明細書で使用される場合、機能または活性を「抑圧する」ことは、目的の条件またはパラメータを除く以外は、同一の条件で比較して、あるいは別の条件で比較して、機能または活性を低減することである。例えば、腫瘍増殖を抑圧する抗体は、抗体の非存在下での腫瘍の増殖速度と比較して、腫瘍の増殖速度を低減する。
【0140】
物質/分子、アゴニスト、またはアンタゴニストの「治療有効量」は、個体の病態、年齢、性別、および体重、ならびに個体において所望の反応を誘発するための物質/分子、アゴニスト、またはアンタゴニストの能力などの要因によって変化し得る。治療有効量はまた、物質/分子、アゴニスト、またはアンタゴニストの任意の毒性または有害効果を、治療有益効果が上回るものである。治療有効量は、一回または複数回の投与で送達され得る。治療有効量は、望ましい治療および/または予防結果を、必要な用量および期間で達成するための有効な量を指す。本発明の治療の治療有効量は、癌治療の評価に一般的に使用されるさまざまなエンドポイントによって測定することができ:生存期間の延長(OSおよびPFSを含む);客観的応答(CRまたはPRを含む)の結果;腫瘍の退縮、腫瘍の重量またはサイズの縮小、疾患進行までの時間の延長、生存期間の延長、PFSの延長、OS率の改善、応答期間の延長、生活の質の改善、および/または癌の徴候または症状の改善を含むが、これらに限定されない。
【0141】
本明細書で使用される場合、「進行性疾患(PD)」という用語は、試験での最小の合計(これは試験での最小のベースラインの合計を含む)を基準として、標的病変の直径の合計が少なくとも20%増加することを意味する。20%の相対的増加に加えて、合計は少なくとも5mmの絶対的増加も示さなければならない。一つまたは複数の新病変の出現も進行と見なす。
【0142】
本明細書で使用される場合、「部分奏効」(PR)という用語は、ベースラインの直径の合計を基準として、標的病変の直径の合計が少なくとも30%減少することを意味する。
【0143】
本明細書で使用される場合、「完全奏効」(CR)という用語は、任意の標的リンパ節の短軸が<10mmに縮小した、すべての標的病変の消失を指す。
【0144】
本明細書で使用される場合、「安定性疾患」(SD)という用語は、試験中の直径の最小合計を基準として、PRの資格を得るのに十分な収縮もPDの資格を得るのに十分な増加も意味しない。
【0145】
本明細書で使用される場合、「最良総合効果」(BOR)という用語は、確認の要件を考慮に入れた上で、試験治療の開始から最も早い客観的進行または新たな抗癌療法の開始まで記録された最良効果である。患者の最良総合効果の割り当ては、標的疾患および非標的疾患の両方の所見に依存し、新病変の出現も考慮する。最良総合効果は、試験の過程で研究者が提供する評価応答を用いたアルゴリズムを介して算出する。
【0146】
本明細書で使用される場合、「評価不能」(NE)という用語は、標的病変の不完全な放射線学的評価が行われた場合、または応答の信頼できる評価を行う能力に影響を及ぼすベースラインからの測定方法に変化がある場合を指す。
【0147】
本明細書で使用される場合、「客観的奏効率」(ORR)という用語は、RECIST 1.1による部分奏効または完全奏効(PR+CR)の最良総合効果を達成した患者の割合に等しい。
【0148】
本明細書で使用される場合、「全生存」(OS)という用語は、診断または治療時点から1年、5年など、定義された期間生存している患者の割合を指す。全生存はカプラン・マイヤー法により評価され、95%信頼区間(CI)が各治療群のOS中央値に提供される。
【0149】
本明細書で使用される場合、「無増悪生存期間」(PFS)という用語は、癌が進行または悪化することなく生存している患者を指す。PFSは、治療の選択から、RECIST(第1.1版)により定義される客観的進行の最初のX線写真による記録、または何らかの原因による死亡までの期間と定義することができる。
【0150】
「薬学的に許容可能な担体」とは、対象に投与するための「医薬組成物」を一緒に含む治療剤と共に、当技術分野で従来的に使用される非毒性の固体、半固体、または液体充填剤、希釈剤、封入材料、製剤補助剤、または担体を指す。薬学的に許容可能な担体は、使用される用量および濃度でレシピエントにとって非毒性であり、製剤の他の成分と適合性がある。薬学的に許容可能な担体は、使用される製剤に適切である。
【0151】
「滅菌」製剤は、無菌であるか、または生きた微生物およびその胞子を本質的に含まない。
【0152】
一つまたは複数のさらなる治療剤と「組み合わせた」投与には、同時(同時発生的)投与および任意の順序での連続投与または順次投与が含まれる。
【0153】
「同時発生的」という用語は本明細書では、投与の少なくとも一部が時間的に重複する場合、または一つの治療剤の投与が他の治療剤の投与と比較して短期間(例えば、一日以内)に収まる場合の、二つ以上の治療剤の投与を指すために使用される。例えば、二つ以上の治療剤は、ほぼ指定の分数以下の時間間隔で投与される。
【0154】
「順次」という用語は本明細書では、一つまたは複数の薬剤の投与が一つまたは複数の他の薬剤の投与を中断した後も続く、または一つまたは複数の薬剤の投与が一つまたは複数の他の薬剤の投与前に開始される、二つ以上の治療剤の投与を指すために使用される。例えば、二つ以上の治療剤の投与は、ほぼ指定の分数を超える時間間隔で投与される。
【0155】
本明細書で使用される場合、「併用」とは、ある治療法を別の治療法に加えて投与することを指す。したがって、「併用」とは、ある治療法を他の治療法の投与前、間、または後に、個体に投与することを指す。
【0156】
「標識」および「検出可能な標識」という用語は、反応(例えば、ポリヌクレオチド増幅または抗体結合)を検出可能にするために、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに付着した部分を意味する。標識を含むポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、「検出可能に標識された」と称され得る。したがって、「標識結合タンパク質」という用語は、結合タンパク質の同定を提供する標識が組み込まれたタンパク質を指す。「標識オリゴヌクレオチド」、「標識プライマー」、「標識プローブ」などの用語は、標識オリゴヌクレオチド、プライマー、またはプローブを含むか、またはそれらにハイブリダイズする核酸の同定を提供する、標識が組み込まれたポリヌクレオチドを指す。一部の実施形態では、標識は、例えば、放射性標識アミノ酸の組み込み、または標識アビジン(例えば、光学的または比色法によって検出され得る蛍光マーカーまたは酵素活性を含むストレプトアビジン)によって検出され得るビオチニル部分のポリペプチドへの付着など、視覚的または器具的手段によって検出可能なシグナルを生成できる、検出可能なマーカーである。標識の例には、以下が含まれるが、これらに限定されない:放射性同位体または放射性核種(例えば、
3H、
14C、
35S、
90Y、
99Tc、
111ln、
125I、
131I、
177Lu、
166Ho、または
153Sm);色原体、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニドリン光体)、酵素標識(例えば、西洋わさびペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ);化学発光マーカー;ビオチニル基;二次レポーターにより認識された所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシン ジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ);およびガドリニウムキレートなどの磁性造影剤。免疫測定法に一般的に用いられる標識の代表例には、例えば、アクリジニウム化合物などの光を生成する部分、および例えばフルオレセインなどの蛍光を生成する部分が含まれる。一部の実施形態では、部分自体は検出可能に標識化されなくてもよいが、さらに別の部分との反応時に検出可能になり得る。
【0157】
「抱合体」という用語は、治療剤または細胞傷害剤などの第二の化学部分に化学的に連結される抗体を指す。「薬剤」という用語は、化合物、化合物の混合物、生体高分子、または生体材料から作製された抽出物を含む。一部の実施形態では、治療剤または細胞傷害剤は、百日咳毒素、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシン(anthracin)ジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−ジヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ならびにピューロマイシンおよびその類縁体または相同体を含むが、これらに限定されない。免疫測定法の文脈において用いられる場合、抱合抗体は、検出抗体として使用される検出可能に標識された抗体であってもよい。
【0158】
本明細書で使用される場合、用語「フローサイトメトリー」は、一般に、全細胞または細胞成分などの生物学的粒子をフローサイトメトリーによって特徴付けるための技術を指す。免疫細胞の試料に対してフローサイトメトリーを実施するための方法は当技術分野で周知である(例えば、Jaloszeski et al.,Method in Molecular Biology(1998),vol.91:Flow Cytometry Protocols,Humana Press;Longobanti Givan,(1992)Flow Cytometry,First Principles,Wiley Lissを参照)。フローサイトメトリーのすべての公知の形態、特に蛍光標識分子がフローサイトメトリーによって評価される、蛍光活性化細胞分類(FACS)を含むことが意図される。
【0159】
「増幅」という用語は、核酸配列またはその相補体の一つまたは複数のコピーを生成するプロセスを指す。増幅は、線形または指数関数的(例えば、PCR)であってもよい。
【0160】
「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」の技術は、本明細書で使用される場合、一般に、例えば米国特許第4,683,195号に記載されるように、RNAおよび/またはDNAなどの核酸の特定の領域が増幅される手順を指す。一般に、オリゴヌクレオチドプライマーは、増幅されるテンプレートの反対側の鎖に、所望の距離だけ離れてハイブリダイズするように設計される。PCRは、特定のRNA配列、全ゲノムDNAからの特定のDNA配列、および全細胞RNA、バクテリオファージまたはプラスミド配列などから転写されたcDNAを増幅するために使用することができる。
【0161】
「定量的リアルタイムPCR」または「qRT−PCR」は、増幅された産物の量または相対量を定量化できるようにPCRを実施するPCRの形態を指す。この技術は、Cronin et al.,Am.J.Pathol.164(l):35−42(2004);およびMa et al.,Cancer Cell 5:607−616(2004)を含む、さまざまな出版物に記載されている。
【0162】
「標的配列」、「標的核酸」、または「標的核酸配列」という用語は、一般に、目的のポリヌクレオチド配列、例えば、qRT−PCRを用いた増幅のために標的とされるポリヌクレオチド配列を指す。
【0163】
「検出」という用語は、直接的および間接的検出を含む、任意の検出手段を含む。
【0164】
II.治療方法
本発明は、このような治療を必要とする患者の癌を治療する方法を提供する。本方法には、(i)一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の用量を患者に投与することと、(ii)患者から一つまたは複数の末梢血検査試料を得ることと、(iii)一つまたは複数の末梢血検査試料中に存在するCD4+ T細胞のICOSおよび/またはT−betレベルを測定することと、(iv)対照と比較して、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇した一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかに、CD4+ T細胞の集団が存在するかどうかを判定することと、(v)(a)一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の追加用量、または(b)一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定される場合、一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の追加用量の非存在下で、抗ICOSアゴニスト(例えば、抗ICOSアゴニスト抗体)を患者に投与することと、が含まれる。任意で、抗ICOSアゴニスト抗体はまた、ICOSおよび/またはT−betレベルの上昇したCD4+ T細胞を有すると判定され、一つまたは複数の抗癌療法が、抗ICOSアゴニスト抗体療法でない場合に、一つまたは複数の抗癌療法の一つまたは複数の追加用量が投与されている患者にも投与される。
【0165】
本発明はまた、対象が一つまたは複数の抗癌療法による継続治療から利益を得ることができるかどうかを判定するための方法を提供する。本方法は、対象の血液試料の末梢CD4+ T細胞のICOSおよび/またはT−betレベルを判定することを含み、対照と比較して増加したICOSおよび/またはT−betレベルの検出が、(a)一つまたは複数の抗癌療法が、抗ICOS抗体アゴニスト治療を含まない場合、任意に、抗ICOS抗体アゴニストによる治療と組み合わせた継続治療、または(b)一つまたは複数の抗癌療法による継続治療の非存在下で、抗ICOSアゴニスト(例えば、抗ICOSアゴニスト抗体)治療から、対象が利益を得る可能性があることを示す。
【0166】
本明細書に記載されるように治療され得る患者は、癌を有する患者である。癌のタイプは、本明細書に列挙された、または当技術分野で公知の任意のタイプの癌とすることができる。例示的な癌のタイプには、胃癌、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌(TNBC))、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC))、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、膀胱癌、子宮内膜癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、ホジキンリンパ腫、卵巣癌、および頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)が挙げられるが、これらに限定されない。また、本発明の方法に従って治療できる追加の癌のタイプについては、上記の癌の定義も参照されたい。
【0167】
本明細書に記載するように治療が可能である患者は、抗癌療法を以前に受けたことがない患者、および一つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5回以上)の抗癌療法の(例えば、1、2、3、4、5回以上の)用量またはサイクルを以前に受けたことがある患者を含む。
【0168】
本明細書に列挙される抗癌療法のいずれかおよび当技術分野で公知の他の抗癌療法を、本発明の方法に関連して使用することができる。一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、二つ以上の抗癌療法である。一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、三つ以上の抗癌療法である。とりわけ、免疫療法、化学療法、および癌ワクチンなど、本発明で使用されうる抗癌療法の特定の非限定的な例を以下に示す。
【0169】
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、患者から一つまたは複数の末梢血検査試料を取得する前に、一回投与される。一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、患者から一つまたは複数の末梢血検査試料を取得する前に、二回以上投与される。一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、患者から一つまたは複数の末梢血検査試料を取得する前に、二回以上(例えば、三回以上、四回以上、または五回以上)投与される。
【0170】
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、定期的な間隔で患者に複数回投与される。これらの複数回の投与は、投与サイクルまたは治療サイクルとも称され得る。一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、患者に、二サイクル超、三サイクル超、四サイクル超、五サイクル超、十サイクル超、十五サイクル超、または二十サイクル超の間投与される。
【0171】
一部の実施形態では、定期的な間隔は、週一回の用量、二週間に一回の用量、三週間に一回の用量、四週間に一回の用量、五週間に一回の用量、六週間に一回の用量、七週間に一回の用量、八週間に一回の用量、九週間に一回の用量、十週間に一回の用量、十一週間に一回の用量、または十二週間に一回の用量である。
【0172】
場合によっては、一つまたは複数の抗癌療法の投与後四週間未満(例えば、三週間未満、二週間未満、または一週間未満)の患者から一つまたは複数の末梢血検査試料が取得される。
【0173】
一部の実施形態では、一つまたは複数の末梢血検査試料は、一つまたは複数の投与と同時に一度に得られる複数の試料として取得される。一部の実施形態では、一つまたは複数の末梢血検査試料は、複数回の投与の間の時間の間に得られた複数の試料として得られる。
【0174】
一部の実施形態では、対照試料は、一つまたは複数の抗癌療法の第一の用量の投与前(例えば、第一のサイクルの前)に同じ患者から取得された末梢血試料である。一部の実施形態では、対照試料は、末梢血検査試料の採取前に、一つまたは複数の抗癌療法の二回目またはそれ以上の(例えば、三回目、四回目、五回目、またはそれ以上の)用量の投与前に、同じ患者から得られた末梢血試料である。一部の実施形態では、対照試料は、抗癌療法を受けていない健康な患者から得られた末梢血試料である。一部の実施形態では、対照は、本明細書に記載されるように、対照試料中のレベルに対応することが既知であるか、または決定されたレベルである。
【0175】
一部の実施形態では、方法は、一つまたは複数の末梢血検査試料の一部を保存することをさらに含む。一部の実施形態では、末梢血検査試料由来のCD4+ T細胞の一部が、対照試料由来のCD4+ T細胞と比較して、ICOSおよび/またはT−betレベルの上昇が判定された場合、当該方法は、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞を単離し、CD4+ T細胞の生存率の維持に適した条件下でCD4+ T細胞を保存することをさらに含む。CD4+ T細胞の生存率の維持に好適な当技術分野で公知の任意の保存方法を使用し得る。一部の実施形態では、保存されたCD4+ T細胞は、細胞培養培地中に保存される。一部の実施形態では、保存されたCD4+ T細胞は、100,000細胞/mLを超える濃度で保存される。一部の実施形態では、保存されたCD4+ T細胞は、100,000細胞/mL〜1億細胞/mLの濃度で保存される。一部の実施形態では、本発明は、それに応じて得られた保存されたCD4+ T細胞の懸濁液を提供する。
【0176】
一部の実施形態では、方法は、一つまたは複数の末梢血検査試料のいずれかが、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の集団を含むと判定される場合、治療用抗ICOSアゴニスト抗体を患者に投与することをさらに含む。一部の実施形態では、ICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞の検出された集団は、一つまたは複数の抗癌療法によって誘導された、新しい別個のCD4+ T細胞集団であるか、またはそれを含む。治療的抗ICOSアゴニスト抗体に関する情報は、以下に提供される。
【0177】
一部の実施形態では、方法は、対照試料と比較してICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞集団が、所定の投与サイクル数の後に観察されない場合、一つまたは複数の抗癌療法の投与を中止することをさらに含む。所定の投与サイクル数は、四サイクル以上(例えば、五サイクル以上、六サイクル以上、または七サイクル以上、八サイクル以上、九サイクル以上、または十サイクル以上)であってもよい。一部の実施形態では、本方法は、対照試料と比較してICOSおよび/またはT−betレベルが上昇したCD4+ T細胞集団が観察されず、任意に、患者が当該技術分野で公知のルーチンの方法により進行性疾患を有すると判定された場合、所定の投与サイクル数(例えば、四サイクル以上)の前に、一つまた複数の抗癌療法の投与を停止することをさらに含む(例えば、RECIST1.1基準に従ってX線画像の進行によって特定された進行性疾患;例えば、上記の基準を参照)。
【0178】
III.本発明の方法で使用するための例示的な抗癌療法
例として、本明細書に列挙される、または当技術分野で公知の任意の抗癌療法を、本明細書に記載される方法に関連して使用することができる。例示的な抗癌療法を以下に説明する。
【0179】
a.免疫療法
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は免疫療法である。癌と免疫系の相互作用は複雑で多面的である。de Visser et al.,Nat.Rev.Cancer (2006)6:24−37を参照のこと。多くの癌患者は抗腫瘍免疫反応を起こすように見えるが、癌は免疫の検出および破壊を回避するための戦略も開発する。近年、癌やその他の障害の治療や予防のために免疫療法が開発されている。免疫療法は、他の治療法にはない細胞特異性の利点を提供する。したがって、免疫ベース療法の有効性を高める方法は、臨床的に有益であり得る。
【0180】
i.治療用抗ICOS抗体
本発明で使用され得る治療用抗ICOS抗体には、ヒト化抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、および本明細書に記載される重鎖および/または軽鎖CDRのいずれかを含む抗体が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、抗体は、単離された抗体である。一部の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態では、抗ICOS抗体は、抗ICOSアゴニスト抗体である。国際公開2016/154177および国際公開2017/070423を参照のこと。これらはそれぞれ参照により本明細書に具体的に援用される。
【0181】
一部の実施形態では、治療用抗ICOSアゴニスト抗体は、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1、(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2、(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3、(d)配列番号8のアミノ酸配列を含むLCDR1、(e)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR2、および(f)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される、少なくとも一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、または六つのCDRを含む。さまざまな実施形態では、一つまたは複数のCDRは、ICOSへの特異的結合を破壊しない置換または欠失を含む。一部の実施形態では、一つまたは複数のCDRは、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換を含み、これは任意で保存的アミノ酸での置換を含んでもよい。一部の実施形態では、一つまたは複数のCDRは、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の欠失を含む。
【0182】
一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1、(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2、(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3、(d)配列番号8のアミノ酸配列を含むLCDR1、(e)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR2、および(f)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む六つのCDRを含む。
【0183】
一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、重鎖可変領域と重鎖定常領域の少なくとも一部を含む少なくとも一つの重鎖、および軽鎖可変領域と軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む少なくとも一つの軽鎖を含む。一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、各重鎖が重鎖可変領域および重鎖定常領域の少なくとも一部を含む、二つの重鎖と、各軽鎖が軽鎖可変領域および軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む、二つの軽鎖とを含む。本明細書で使用される場合、一本鎖Fv(scFv)、または例えば、六つすべてのCDR(三つの重鎖CDRおよび三つの軽鎖CDR)を含む単一のポリペプチド鎖を含む任意の他の抗体は、重鎖および軽鎖を有すると見なされる。一部の実施形態では、重鎖は、三つの重鎖CDRを含む抗ICOS抗体の領域である。一部の実施形態では、軽鎖は、三つの軽鎖CDRを含む治療用抗ICOS抗体の領域である。
【0184】
一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1、(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2、および(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3から選択されるVH CDR配列のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべてを含む。
【0185】
一部の実施形態では、治療用抗体は、(a)配列番号8のアミノ酸配列を含むLCDR1、(b)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR2、および(c)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択されるVL CDR配列のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべてを含む。
【0186】
一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1、(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2、および(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3から選択されるVH CDR配列のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべてを含む(I)VHドメインと、(d)配列番号8のアミノ酸配列を含むLCDR1、(e)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR2、および(f)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択されるVL CDR配列のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべてを含む、(II)VLドメインと、を含む。
【0187】
一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、その配列を含む抗ICOS抗体は、ICOSに結合する能力を保持する。一部の実施形態では、配列番号3において、合計1〜10個のアミノ酸が、置換、挿入、および/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、CDRの外側の領域(すなわち、FR内)で発生する。任意で、治療用抗ICOS抗体は、配列番号3のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。
【0188】
一部の実施形態では、VHは、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1、(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2、および(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む。
【0189】
一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体が提供され、この抗体は、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、その配列を含む抗ICOS抗体は、ICOSに結合する能力を保持する。一部の実施形態では、配列番号4において、合計1〜10個のアミノ酸が、置換、挿入、および/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、CDRの外側の領域(すなわち、FR内)で発生する。任意で、治療用抗ICOS抗体は、配列番号4のVL配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。
【0190】
一部の実施形態では、VLは、(a)配列番号8のアミノ酸配列を含むLCDR1、(b)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR2、および(c)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0191】
一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列と、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して置換(たとえば、保存的置換)、挿入、または欠失を含み、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して置換(たとえば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、その配列を含む抗ICOS抗体は、ICOSに結合する能力を保持する。一部の実施形態では、配列番号3において、合計1〜10個のアミノ酸が、置換、挿入、および/または欠失されている。一部の実施形態では、配列番号4において、合計1〜10個のアミノ酸が、置換、挿入、および/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、CDRの外側の領域(すなわち、FR内)で発生する。任意で、治療用抗ICOS抗体は、配列番号3のVH配列と、配列番号4のVL配列とを含み、一方または両方の配列の翻訳後修飾を含む。
【0192】
一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1、(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2、および(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む(I)VHドメインと、(d)配列番号8のアミノ酸配列を含むLCDR1、(e)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR2、および(f)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む(II)VLドメインとを含む。
【0193】
一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、本明細書に提供される実施形態のいずれかにおけるVHと、本明細書に提供される実施形態のいずれかにおけるVLとを含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号3および配列番号4のVH配列およびVL配列をそれぞれ含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。
【0194】
一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖、またはそのバリアントを含む。
【0195】
一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそのバリアントを含む。
【0196】
一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖、またはそれらのバリアントを含む。
【0197】
一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、上述の六つのCDRを含み、ICOSに結合する。一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、上述の六つのCDRを含み、ICOSに結合し、Teff細胞の数を増加させ、および/またはTeff細胞を活性化し、および/またはTreg細胞の数を減少させ、および/またはヒトなどの哺乳類におけるTeff細胞対Treg細胞の比率を増加させる。一部の実施形態では、Treg細胞は、CD4+ FoxP3+ T細胞である。一部の実施形態では、Teff細胞はCD8+T細胞である。一部の実施形態では、Teff細胞は、CD4+FoxP3−T細胞および/またはCD8+T細胞である。
【0198】
例示的な治療用抗ICOS抗体としては、限定されないが、JTX−2011(vopratelimab;Jounce Therapeutics;米国特許出願公開第2016/0304610号;国際公開第2016/154177号;国際公開第 2017/070423号)およびBMS−986226(Bristol−Myers Squibb)が挙げられる。
【0199】
概して、治療用抗ICOS抗体は、用量当たり、約10μg/kg体重〜約100mg/kg体重の範囲の量で投与され得る。一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、用量当たり、約50μg/kg体重〜約5mg/kg体重の範囲の量で投与され得る。一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、用量当たり、約100μg/kg体重〜約10mg/kg体重の範囲の量で投与され得る。一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、用量当たり、約100μg/kg体重〜約20mg/kg体重の範囲の量で投与され得る。一部の実施形態では、治療用抗ICOS抗体は、用量当たり、約0.5mg/kg体重〜約20mg/kg体重の範囲の量で投与され得る。一部の実施形態では、抗ICOS抗体は、用量当たり、約0.05mg/kg体重〜約10mg/kg体重の範囲の量で投与され得る。一部の実施形態では、抗ICOS抗体は、約5mg/kg体重以下、例えば4mg/kg未満、3mg/kg未満、2mg/kg未満、または1mg/kg未満の抗体の範囲の量で投与されてもよい。具体的な例では、治療用抗ICOS抗体は、0.1mg/kg、0.3mg/kg、または1.0mg/kgで、3、6、9、または12週間に一回投与される。
【0200】
ii.抗CTLA−4アンタゴニスト抗体
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、抗CTLA−4アンタゴニスト抗体である。抗CTLA−4アンタゴニスト抗体は、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA−4)の活性を阻害し、それによって免疫系を活性化することができる薬剤を指す。CTLA−4アンタゴニストは、CTLA−4に結合し、CTLA−4媒介性免疫抑制を逆転させる可能性がある。非限定的で例示的な抗CTLA−4抗体は、イピリムマブ(YERVOY(登録商標)、BMS)であり、これは、例えば、米国FDAによって承認された、当技術分野で公知の方法に従って投与され得る。例えば、イピリムマブは、3mg/kgの量を三週間毎に90分かけて計4回(切除不能または転移性黒色腫)、または10mg/kgを三週間毎に90分かけて計4回、その後、10 mg/kgを12週間毎に、最長3年間、または再発もしくは許容できない毒性(アジュバント黒色腫)が確認されるまで、静脈内投与することができる。
【0201】
iii.OX40アゴニスト抗体
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、アゴニスト抗OX40抗体である。OX40アゴニスト抗体は、OX40の活性を誘導し、それによって免疫系を活性化し、抗腫瘍活性を強化する薬剤を指す。非限定的で、例示的なアゴニスト抗OX40抗体は、Medi6469、Medlmmune、およびMOXR0916/RG7888、Rocheである。これらの抗体は、当業者によって適切であると決定された方法およびレジメンに従って投与され得る。
【0202】
iv.PD−1療法
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、PD−1療法である。PD−1療法は、PD−L1および/またはPD−L2へのPD−1結合を調節する任意の療法を包含する。PD−1療法は、例えば、PD−1および/またはPD−L1と直接相互作用し得る。一部の実施形態では、PD−1療法は、PD−1の活性に直接結合する、および/または影響を及ぼす分子を含む。一部の実施形態では、PD−1療法は、PD−L1の活性に直接結合する、および/または影響を及ぼす分子を含む。したがって、PD−1またはPD−L1に結合し、PD−1とPD−L1の相互作用を阻害する抗体は、PD−1治療薬である。PD−1療法の望ましいサブタイプが意図される場合、PD−1と直接相互作用する分子が関与する療法については「PD−1特異的」、またはPD−L1と直接相互作用する分子については「PD−L1特異的」という語句によって、必要に応じて指定される。別途指定されない限り、PD−1療法に関する本明細書に含まれるすべての開示は、PD−1特異的および/またはPD−L1特異的療法と同様に、PD−1療法に一般的に適用される。
【0203】
非限定的で、例示的なPD−1療法としては、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標)、BMS−936558、MDX−1106、ONO−4538);ピディリズマブ、ランブロリズマブ/ペンブロリズマブ(KEYTRUDA、MK−3475);BGB−A317、チスレリズマブ(BeiGene/Celgene);デュルバルマブ(抗PD−L1抗体、MEDI−4736;AstraZeneca/Medlmmune);RG−7446、アベルマブ(抗PD−L1抗体;MSB−0010718C;Pfizer);AMP−224;BMS−936559(抗PD−L1抗体);AMP−514;MDX−1105;A B−011;抗LAG−3/PD−1;スパルタリズマブ(CoStim/Novartis);抗PD−1抗体(Kadmon Pharm.);抗PD−1抗体(Immunovo);抗TEVI−3/PD−l抗体(AnaptysBio);抗PD−L1抗体(CoStim/Novartis);RG7446/MPDL3280A(抗PD−L1抗体、Genentech/Roche);KD−033(Kadmon Pharm.);AGEN−2034(Agenus);STI−A1010;STI−A1110;TSR−042;アテゾリズマブ(TECENTRIQ(商標));およびプログラム死1(PD−1)またはプログラム死リガンド1(PD−L1)に対する他の抗体が挙げられる。
【0204】
PD−1療法は、当技術分野で公知のレジメン、例えば、米国FDA承認のレジメンに従って投与される。一例では、ニボルマブは、二週間毎に240mg(切除不能または転移性黒色腫、黒色腫の補助薬物療法、非小細胞肺癌(NSCLC)、進行性腎細胞癌、局所進行性腎細胞癌、MSI−HまたはdMMR転移性結腸直腸癌および肝細胞癌)、または三週間毎に3mg/kg(古典的ホジキンリンパ腫、頭頸部の再発性または転移性扁平上皮癌)の量を60分かけて点滴静注で投与する。別の例では、ペンブロリズマブは、三週間に一回、200mgの量を30分かけて点滴静注により投与される。別の例では、アテゾリズマブは、三週間毎に、1200mgの量を60分かけて点滴静注により投与される。別の例では、アベルマブは、二週間毎に、10mg/kgの量を60分かけて点滴静注により投与される。別の例では、デュルバルマブは、二週間毎に、10mg/kgの量を60分かけて点滴静注により投与される。
【0205】
v.TIGITアンタゴニスト
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、TIGITアンタゴニストである。TIGITアンタゴニストとは、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)の活性を拮抗または阻害し、それによってTIGIT介在性免疫抑制を逆転させることができる薬剤を指す。非限定的で例示的なTIGITアンタゴニストは、BMS−986207(Bristol−Myers Squibb/Ono Pharmaceuticals)である。これらの薬剤は、当業者によって適切であると判断された方法およびレジメンに従って投与され得る。
【0206】
vi.IDO阻害剤
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、IDO阻害剤である。IDO阻害剤とは、インドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)の活性を阻害し、それによってIDO介在性免疫抑制を逆転することができる薬剤を指す。IDO阻害剤は、IDO1および/またはID02(INDOL1)を阻害し得る。IDO阻害剤は、可逆的または不可逆的なIDO阻害剤であってもよい。可逆的IDO阻害剤は、触媒部位または非触媒部位のいずれかでIDO酵素活性を可逆的に阻害する化合物である一方、不可逆的IDO阻害剤は、酵素との共有結合を形成することによってIDO酵素活性を不可逆的に阻害する化合物である。非限定的で例示的なIDO阻害剤は、例えば、米国特許出願公開第2016/0060237号、および米国特許出願公開第2015/0352206号に記載される。非限定的で例示的なIDO阻害剤としては、Indoximod(New Link Genetics)、INCB024360(Incyte Corp)、1−メチル−D−トリプトファン(New Link Genetics)、およびGDC−0919/navoximod(Genentech/New Link Genetics)が挙げられる。これらの薬剤は、当業者によって適切であると判断された方法およびレジメンに従って投与され得る。
【0207】
vii.RORγ− アゴニスト
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、RORγアゴニストである。RORγアゴニストは、レチノイン酸関連オーファン受容体ガンマ(RORγ)の活性を誘導することができ、それによって免疫抑制機構を減少させる薬剤を指す。非限定的で例示的なRORγアゴニストとしては、限定されないが、LYC−55716(Lycera/Celgene)およびINV−71(Innovimmune)が挙げられる。これらの薬剤は、当業者によって適切であると判断された方法およびレジメンに従って投与され得る。
【0208】
b.化学療法
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、化学療法剤である。使用され得る例示的な化学療法剤としては、カペシタビン、シクロホスファミド、ダカルバジン、テモゾロミド、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、エピルビシン、エリブリン、5−FU、ゲムシタビン、イリノテカン、イクサベピロン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、nab−パクリタキセル、ABRAXA E(登録商標)(タンパク質結合パクリタキセル)、ペメトレキセド、ビノレルビン、ビンクリスチン、エルロチニブ、アファチニブ、ゲフィチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、トラメチニブ、ベムラフェニブ、およびコビメタニブ(cobimetanib)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの薬剤は、当業者によって適切であると判断された方法およびレジメンに従って投与され得る。
【0209】
c.癌ワクチン
一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、癌ワクチンである。癌ワクチンは、樹状細胞の抗原移動および活性化に対する潜在的なアプローチとして研究されている。特に、免疫チェックポイントまたは共刺激経路のアゴニストと組み合わせたワクチン接種は、耐性を克服し、抗腫瘍応答の増加をもたらすエビデンスを示している。腫瘍に対する免疫応答を促進するための異なるアプローチを用いたさまざまな癌ワクチンが試験されている(例えば、Emens LA、Expert Opin Emerg Drugs 13(2):295−308 (2008)を参照)。アプローチは、腫瘍に対するB細胞、T細胞、またはプロフェッショナル抗原提示細胞の応答を強化するように設計されている。癌ワクチンの例示的な型としては、ペプチド/タンパク質として、または遺伝子操作されたDNAベクター、ウイルス、細菌などとして送達され得る、別個の腫瘍抗原を標的とすることを採用するペプチドベースのワクチン、および 例えば、患者由来の樹状細胞、自家腫瘍細胞または腫瘍細胞溶解物、同種腫瘍細胞などから開発されたワクチンを含むが、これらに限定されない、あまり明確に定義されていない標的に対する癌ワクチン開発のための細胞生物学的アプローチが挙げられるが、これらに限定されない。
【0210】
例示的な癌ワクチンとしては、限定されないが、樹状細胞ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、腫瘍細胞ワクチンなどが挙げられる。一部の実施形態では、かかるワクチンは、抗腫瘍応答を増強する。癌ワクチンの例には、MAGE3ワクチン(例えば、黒色腫および膀胱癌)、MUC1ワクチン(例えば、乳癌)、EGFRv3(Rindopepimut、例えば、多形性膠芽腫を含む脳癌)、またはALVAC−CEA(例えば、CEA+癌)が含まれるが、これらに限定されない。
【0211】
非限定的で例示的な癌ワクチンはまた、抗原提示細胞を含む自家末梢血単核球(PBMC)に由来する、Sipuleucel−Tを含む(例えば、Kantoff PW et al.,N Engl J Med.363:411−22 (2010)を参照)。Sipuleucel−T世代では、患者のPBMCは、前立腺酸性ホスファターゼ(前立腺抗原)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(免疫細胞活性化因子)の組換え融合タンパク質であるPA2024を用いてex vivoで活性化される。癌ワクチン候補への別のアプローチは、黒色腫などの腫瘍組織で変異した特定のペプチドに対する免疫応答を生成することである(例えば、Carreno et al.,Science 348:6236,2015を参照)。かかる変異ペプチドは、一部の実施形態では、ネオ抗原と称され得る。腫瘍ワクチンにおけるネオ抗原の使用の非限定的な例として、主要組織適合性複合体タンパク質HLA−A*02:01に結合すると予測される腫瘍内のネオ抗原が、黒色腫などの癌を有する個々の患者について特定される。患者由来の樹状細胞をex vivoで成熟させ、その後ネオ抗原と共にインキュベートする。次いで、活性化した樹状細胞を患者に投与する。一部の実施形態では、癌ワクチンの投与後、ネオ抗原に対する頑強なT細胞免疫が検出可能である。
【0212】
一部のこのような実施形態では、癌ワクチンは、ネオ抗原を使用して開発される。一部の実施形態では、癌ワクチンは、DNAワクチンである。一部の実施形態では、癌ワクチンは、PROSTVAC(rilimogene galvacirepvec/rilimogene glafolivec)などの癌抗原を含む操作されたウイルスである。一部の実施形態では、癌ワクチンは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)遺伝子をトランスフェクトした腫瘍細胞ワクチンである、GVAXなどの操作された腫瘍細胞を含む(例えば、Nemunaitis、Expert Rev.Vaccines 4:259−274、2005を参照)。
【0213】
ワクチンは、当業者によって適切であると判断される方法およびレジメンに従って投与され得る。
【0214】
d.追加の例示的な抗癌療法
さらなる非限定的で例示的な抗癌療法としては、Luspatercept(Acceleron Pharma/Celgene)、Motolimod(Array BioPharma/Celgene/VentiRx Pharmaceuticals/Ligand)、GI−6301(GlobeImmune/Celgene/NantWorks)、GI−6200(GlobeImmune/Celgene/NantWorks)、BLZ−945(Celgene/Novartis)、ARRY−382(Array BioPharma/Celgene)、または表2に示すいずれかの抗癌療法が挙げられる。これらの薬剤は、当業者によって適切であると判断された方法およびレジメンに従って投与され得る。一部の実施形態では、一つまたは複数の抗癌療法は、手術および/または放射線療法を含む。したがって、抗癌療法は、アジュバントまたはネオアジュバント設定で任意に利用することができる。
【0215】
e.組み合わせ
さまざまな実施形態では、患者に投与される抗癌治療は、例えば、上記または本明細書の他の場所に記載される一つまたは複数の抗癌治療を含む、一つまたは複数(例えば、二つ、三つ、またはそれ以上)の抗癌治療の組み合わせである。
【0216】
さまざまな例では、抗ICOSアゴニスト抗体(例えば、JTX−2011などの上述の抗体)は、別の免疫療法と組み合わせて投与される(例えば、上記を参照)。一例では、抗ICOSアゴニスト抗体(例えば、JTX−2011などの上述の抗体)は、PD−1療法(例えば、上記のPD−1療法)と組み合わせて投与される。したがって、本発明は、さまざまな例で、抗ICOSアゴニスト抗体(例えば、JTX−2011)と、ニボルマブ、ピディリズマブ、ランブロリズマブ/ペンブロリズマブ、BGB−A317、チスレリズマブ、デュルバルマブ、RG−7446、アベルマブ、AMP−224、BMS−936559、AMP−514、MDX−1105、A B−011、抗LAG−3/PD−1、スパルタリズマブ(CoStim/Novartis)、抗PD−1抗体(Kadmon Pharm.)、抗PD−1抗体(Immunovo)、抗TEVI−3/PD−l抗体(AnaptysBio)、抗PD−L1抗体(CoStim/Novartis)、RG7446/MPDL3280A、KD−033(Kadmon Pharm.)、AGEN−2034(Agenus)、STI−A1010、STI−A1110、TSR−042、アテゾリズマブ、およびプログラム死1(PD−1)またはプログラム死リガンド1(PD−L1)に対する他の抗体のうちの一つまたは複数との組み合わせで投与することを含む。ある特定の例では、JTX−2011はニボルマブと共に投与される。
【0217】
任意で、上述の組み合わせは、一つまたは複数の追加的抗癌剤(例えば、免疫療法)をさらに含む。したがって、上述の組み合わせは、任意で、抗CTLA−4アンタゴニスト抗体(例えば、イピリムマブ)、抗OX40抗体(例えば、Medi6469)、またはMOXR0916/RG7888)、TIGITアンタゴニスト(例えば、BMS−986207)、IDO阻害剤(例えば、indoximod、INCB024360、1−メチル−D−トリプトファン、またはGDC−0919/navoximod)、RORγアゴニスト(例えば、LYC−55716およびINV−71)、または化学療法剤(例えば、上記参照)、または癌ワクチン(例えば、上記参照)のうちの一つまたは複数を含み得る。
【0218】
他の例では、本発明の組み合わせは、抗ICOSアゴニスト抗体(例えば、JTX−2011など、上記の抗体)、および抗CTLA−4アンタゴニスト抗体(例えば、イピリムマブ)、抗OX40抗体(例えば、Medi6469)、またはMOXR0916/RG7888)、TIGITアンタゴニスト(例えば、BMS−986207)、IDO阻害剤(例えば、indoximod、INCB024360、1−メチル−D−トリプトファン、またはGDC−0919/navoximod)、RORγアゴニスト(例えば、LYC−55716およびINV−71)、または化学療法剤(例えば、上記参照)、または癌ワクチン(例えば、上記参照)のうちの一つまたは複数を含む。
【0219】
さまざまな例では、組み合わせの成分は、本明細書に記載の投与レジメン(例えば、米国FDA承認の投与レジメン、上記参照)に従って、または当業者によって適切であると判断された他のレジメンを使用して投与される。
【0220】
IV.医薬組成物および投与
一つまたは複数の抗癌療法を含む組成物は、当業者により適切であると判断されるように、さまざまな薬学的に許容可能な担体を有する製剤で提供される(例えば、Gennaro,Remington:The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons:Drugfacts Plus,20
th ed.(2003);Ansel et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7
th ed.,Lippincott,Williams and Wilkins (2004);Kibbe et al.,Handbook of Pharmaceutical Excipients,3
rd ed.,Pharmaceutical Press (2000)を参照)。ビヒクル、アジュバント、および希釈剤を含む、さまざまな薬学的に許容可能な担体が利用可能である。さらに、pH調整剤および緩衝剤、等張化調整剤、安定剤、湿潤剤などのさまざまな薬学的に許容可能な補助物質も利用可能である。非限定的で例示的な担体としては、生理食塩水、緩衝生理食塩水、ブドウ糖、水、グリセロール、エタノール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0221】
抗癌療法は、当技術分野で公知であるように(例えば、FDA承認レジメンに従って)、または本明細書の他の箇所に示されるように(例えば、上記参照)、本発明の方法の実践において投与される。一部の実施形態では、本発明の抗癌療法は、癌の治療に有効な量で投与される。治療有効量は、典型的には、治療される対象の体重、対象の身体的状態または健康状態、治療される状態の広がり、治療される対象の年齢、医薬製剤方法、および/または投与方法(例えば、投与時間および投与経路)に依存する。
【0222】
一部の実施形態では、抗癌療法は、静脈内、動脈内、非経口、腫瘍内、腹腔内、または皮下を含むが、これらに限定されないさまざまな経路によりin vivoで投与され得る。適切な製剤および投与経路は、意図される用途に従って当業者によって選択され得る。
【0223】
V.全ICOSおよび/またはT−bet発現レベルの検出のための例示的な方法
本明細書では、一つまたは複数の抗癌療法に対する患者の反応性を評価する方法が提供される。一部の実施形態では、任意で抗ICOSアゴニスト抗体と組み合わせて、一つまたは複数の抗癌療法による継続治療から利益を得ることができる対象を特定する方法が提供される。
【0224】
a.例示的な抗体ベースの検出方法
一部の実施形態では、方法は、一つまたは複数の抗癌療法で治療された患者が、例えば、抗ICOS抗体および/または抗T−bet抗体、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドを使用して、ICOSおよび/またはT−betの発現が上昇した末梢血中のCD4+ T細胞を有するかどうかを判定することを含む。一部の実施形態では、検出方法は、患者試料(例えば、末梢血試料、またはその一部)を抗体、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドと接触させることと、結合レベルが対照のものと異なるかどうかを判定することとを含む。一部の実施形態では、末梢血検査試料由来のCD4+ T細胞を、抗ICOS検出抗体および/または抗T−bet検出抗体と接触させ、抗体(または複数の抗体)とCD4+ T細胞との間の結合を判定する。試験試料由来のCD4+ T細胞が、対照試料由来のCD4+ T細胞と比較して、抗体(または複数の抗体)に対する結合活性の増加を有することが示される場合、任意で、本明細書に記載されるように、抗ICOSアゴニスト抗体治療と組み合わせた、一つまたは複数の抗癌療法による継続治療が示される。
【0225】
特異的な抗体−抗原結合を検出するための当技術分野で公知のさまざまな方法を用いることができる。これらのアッセイには、限定されるものではないが、フローサイトメトリー(例えば、蛍光活性化セルソーター(FACS)を含む)、間接免疫蛍光法、固相酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ELISpotアッセイ、蛍光偏光免疫測定法(FPIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、酵素免疫測定法(EIA)、比濁阻害免疫測定法(NIA)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、および放射性免疫測定法(RIA)、ウェスタンブロッティング(細胞内ウェスタンを含む)、免疫蛍光染色、マイクロエングレービング(Han et al.,Lab Chip 10(11):1391−1400,2010参照)、Quant−iT および Qubitタンパク質アッセイキット、NanoOrangeタンパク質定量キット、CBQCAタンパク質定量キット、EZQタンパク質定量キット、Click−iT試薬、Pro−Q Diamondリン酸化タンパク質染色、Pro−Q糖タンパク質染色キット、ペプチドおよびタンパク質配列決定、N末端アミノ酸分析(LifeScience Technologies,Grand Island,NY)、ケミルミネッセンスまたは比色分析ベースのELISAサイトカインアレイ(Signosis)細胞内サイトカイン染色(ICS)、BD Phosflow(商標)および BD(商標)Cytometric Bead Array(BD Sciences,San Jose,CA)、CyTOF Mass Cytometer(DVS Sciences,Sunnyvale CA)、質量分析、マイクロプレート捕捉および検出アッセイ(Thermo Scientific,Rockland,IL)、マルチプレックス・テクノロジー(例えば、Luminex,Austin,TX)、FlowCellectT(商標)T細胞活性化キット(EMD Millipore)、表面プラズモン共鳴(SPR)ベースの技術(例えば、Biacore,GE Healthcare Life Sciences,Uppsala,Sweden)、CD4+エフェクターメモリーT細胞単離キットおよびCD8+CD45RA+エフェクターT細胞単離キット(Miltenyi Biotec Inc.,CA)、EasySep(商標)ヒトT細胞濃縮キット(StemCells,Inc.,Vancouver,Canada)、ヒトThr/Th2/Thr7表現型キット(BD Biosciences,CA)、組み込まれたブロモデオキシウリジン(BrdU)または7−アミノアクチノマイシンDの免疫蛍光染色を含む。John Wiley & Sons,Inc.によるCurrent Protocols in Immunology(2004)セクション3.12.1−3.12.20 、またはJohn Wiley & Sons,Inc.によるCurrent Protocols in Immunology (2013)も参照のこと。これら文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0226】
指示薬部分、または標識基は、対象抗体に付着させることができ、アッセイ装置の利用可能性および適合可能な免疫測定法手順によってしばしば決定されるさまざまな方法の使用のニーズを満たすように選択される。
【0227】
適切な標識には、限定されないが、放射性核種(例えば、
125I、
131I、
35S、
3H、または
32P)、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、西洋わさびペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、またはβ−ガラクトシダーゼ)、蛍光部分またはタンパク質(例えば、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリスリン、GFP、またはBFP)、または発光部分(例えば、Quantum Dot Corporation,Palo Alto,Califによって供給されるQdot(商標)ナノ粒子)が挙げられる。上述のさまざまな免疫測定法を実施するために使用される一般的技術は、当業者に公知である。
【0228】
場合によっては、抗ICOS検出抗体は標識される必要はなく、その存在は、第一の抗ICOS抗体に結合する第二の標識化抗体を使用して検出され得る。
【0229】
場合によっては、抗T−bet検出抗体は標識される必要はなく、その存在は、第一の抗T−bet抗体に結合する第二の標識化抗体を使用して検出され得る。
【0230】
一部の実施形態では、末梢血検査試料由来のCD4+細胞を、抗ICOS検出抗体および/または抗T−bet検出抗体と接触させ、抗体(または複数の抗体)とCD4+細胞との間の結合を判定する。一部の実施形態では、CD4+ T細胞における全ICOSおよび/またはT−bet発現のレベルは、蛍光活性化セルソーターを使用して決定される。蛍光活性化セルソーターは、複数のカラーチャネル、低角度および鈍角光散乱検出チャネル、インピーダンスチャネルなど、さまざまな程度の洗練度を有することができる。細胞は、死細胞に関連する色素(例えば、ヨウ化プロピジウム)を用いることによって、死細胞に対して選択され得る。FACS装置は、一般に、光源、通常はレーザー、および光散乱または発光パラメータを使用して、混合物中の細胞粒子または細胞亜集団を検出するためのいくつかの検出器を含む。FACSの根本的なメカニズムは当技術分野で周知であり、本質的に、単一粒子が励起光源を通過して液体媒体中を流れる場合に、それらを走査(例えば、カウント、サイズまたは蛍光標識によるソート)することを伴う。励起源からの光が移動する粒子に当たると、光が散乱し、蛍光が放出される。前方散乱(FSC、前方方向、すなわちビームと同じ方向に散乱した光)は、細胞サイズおよび形態などの粒子に関する基本的な形態的学情報を提供する。入射ビームに対して90°で散乱する光は、屈折光または反射光によるものであり、側方散乱光(SSC)と呼ばれる。このパラメータは、粒子の粒度と細胞表面トポロジーを測定する。まとめると、前方および広角方向の両方の散乱信号を使用して、細胞のサイズ、形態、および粒度に基づいて細胞の亜集団を特定する。この情報は、異種試料中のさまざまな細胞集団を区別するために使用される。
【0231】
本明細書に記載される方法の検出態様で使用するための例示的な抗ICOS抗体は、ICOSの内部(すなわち、細胞内)エピトープを認識する抗体である。ICOSはT細胞の表面に発現することができるが、全細胞ICOSの大部分(例えば、約80%)が細胞内ストアに存在すると推定される。JTX−2011などの例示的な治療用抗ICOS抗体は、ICOSの細胞外エピトープを認識するが、細胞内ICOSエピトープに特異的に結合する抗ICOS検出抗体を使用すると、全ICOS発現レベルを判定することができる。細胞内ICOSエピトープを認識し、したがって全ICOSを検出する方法で使用できる抗体の例には、2M13および2M19(国際公開第2017/070423号を参照、以下の表3も参照)、ならびにそれらのバリアントが含まれる。さらに、ICOSへの結合のために2M13および2M19と競合する抗体を使用して、本発明の方法に従ってICOSを検出することができる。
【0232】
b.例示的な核酸ベースの検出方法
一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、mRNAレベルを測定することを含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、ICOSおよび/またはT−bet mRNAを測定することを含む。
【0233】
mRNAレベルを判定する任意の適切な方法を使用し得る。mRNAの評価方法には、例えば、相補的DNAプローブを使用したハイブリダイゼーションアッセイ(標的配列に特異的な標識リボプローブを用いたin situハイブリダイゼーション、ノーザンブロット、および関連技術など)、およびさまざまな核酸増幅アッセイ(標的配列に特異的な相補的プライマーを用いたRT−PCR、および例えば、分岐DNA、SISB A、TMAなどの他の増幅型検出方法など)が挙げられる。
【0234】
一部の実施形態では、mRNAレベルは、定量的RT−PCRによって決定される。一部の実施形態では、mRNAレベルは、デジタルPCRによって決定される。一部の実施形態では、mRNAレベルは、RNA−Seqによって決定される。一部の実施形態では、mRNAレベルは、RNase保護アッセイ(RPA)によって決定される。一部の実施形態では、mRNAレベルは、ノーザンブロットによって決定される。一部の実施形態では、mRNAレベルは、in situハイブリダイゼーション(ISH)によって決定される。一部の実施形態では、mRNAレベルは、定量的RT−PCR、マイクロアレイ、デジタルPCR、RNA−Seq、RNase保護アッセイ(RPA)、ノーザンブロット、およびin situハイブリダイゼーション(ISH)から選択される方法によって決定される。
【0235】
一部の実施形態では、例えば、定量的RT−PCRを使用する場合、二つのmRNA間で閾値サイクル番号を比較し、閾値が低いほど、それぞれのmRNAのレベルが高いことを示す。非限定的な例として、一部の実施形態では、ICOS mRNAのレベルおよび少なくとも一つの参照mRNAのレベルが分析され、ICOSの閾値サイクル番号(Ct)が28であり、参照mRNAのCtが30である場合、ICOSは参照と比較して高いレベルにある。さまざまな実施形態では、任意のタイプの定量的または半定量的分析方法について、同様の比較を実施してもよい。
【0236】
一部の実施形態では、少なくとも一つのmRNAのレベルが正規化される。一部の実施形態では、少なくとも二つのmRNAのレベルが正規化され、互いに比較される。一部の実施形態では、かかる正規化は、レベルが同時におよび/または同じアッセイ反応で決定されない場合、mRNAレベルの比較を可能にし得る。当業者であれば、アッセイに応じて、少なくとも一つの参照mRNAまたは他の因子などの正規化のための適切な基礎を選択することができる。
【0237】
一部の実施形態では、少なくとも一つの参照mRNAはハウスキーピング遺伝子を含む。一部の実施形態では、少なくとも一つの参照mRNAは、RPLP0、PPIA、TUBB、ACTB、YMHAZ、B2M、UBC、TBP、GUSB、HPRT1、またはGAPDHのうちの一つまたは複数を含む。
【0238】
VI.実施例
以下で考察する実施例は、本発明の純粋な例示であることを意図しており、いかなる方法でも本発明を制限すると見なされるべきではない。実施例は、以下の実験がすべてであるか、または実施される唯一の実験であることを示すことを意図していない。使用した数値(例えば、量、温度など)に関して正確さを確保するために努力してきたが、実験上の誤差や偏差はある程度考慮する必要がある。別段の指示がない限り、部品は重量部、分子量は重量平均分子量、温度は摂氏度、圧力は大気圧またはその付近である。
【0239】
実施例1:JTX−2011単剤療法またはJTX−2011とニボルマブの併用療法を受けている癌患者のCD4+ T細胞における全ICOS発現の検査
試験デザイン
JTX−2011単剤療法(0.3mg/kg q3w)またはJTX−2011(0.1mg/kgまたは0.3mg/kg q3w)およびニボルマブ(240mg q3w)の併用療法を受けている胃癌、非小細胞肺癌(NSCLC)またはトリプルネガティブ乳癌(TNBC)患者44例のCD4+ T細胞における全ICOS発現を、以下に記載されるようにマルチカラーフローサイトメトリーを用いて評価した。これらの患者のうち、治療に対する最良総合効果(BOR)として、4例が確定部分奏効(cPR)、3例が未確定部分奏効(PR)、17例が安定性疾患(SD)、および20例が進行性疾患(PD)を示した。
【0240】
フローサイトメトリーによるCD4+ T細胞における全ICOS発現の評価
末梢血単核球(PBMC)は、BDバキュテイナCPT単核球調製材を用いた密度勾配分離により、患者の全血試料から採取した。次いで、単離されたPBMC試料を凍結し、フローサイトメトリーアプリケーションで使用するまで−80°Cで保存した。分析時に、PBMC試料チューブを37°Cの水浴中で約2分間解凍した。次いで、各試料をFACS緩衝液(1×PBS、2%FBS、0.01%アジ化ナトリウム、2mM EDTA)を含む15mLのコニカルチューブに移し、細胞を列挙した。染色は、試料当たり1×10
6個のPBMCに対して実施した。列挙後、PBMCを500xgで3分間遠心分離して、細胞ペレットを得た。過剰な緩衝液を吸引し、細胞ペレットをFACS緩衝液中に再懸濁した。細胞ペレットの再懸濁を、96ウェル丸底プレートのウェルに等しく分割し、その後、各ウェルを、1×10
5PBMC当たり5μLのFcブロック(Human TruStain FcX、BioLegend Cat #422302)を使用して、室温で20分間Fcブロックした。ブロッキング後、プレートを500xgで3分間遠心分離し、過剰な緩衝液を除去した。
【0241】
全ICOSレベルを評価するための一次染色カクテル用に指定されたウェルは、抗ヒトCD3(クローン:UCHT1)、抗ヒトCD4(クローン:OKT4)、およびJTX−2011 Dylight650を含有する100μLのマスター染色ミックスを受けた。アイソタイプ染色カクテル用に指定されたウェルは、抗ヒトCD−3(クローン:UCHT1)、抗ヒトCD4(クローン:OKT4)、および抗RSV Dylight650を含有する100μLのマスター染色ミックスを受けた。染色カクテルを4°Cで30分間インキュベートし、次いで500xgで3分間遠心分離し、FACS緩衝液で二回洗浄した。その後、全てのウェルを固定し、30分間透過処理した(eBioscience FOXP3/Transcription Factor Staining Buffer Set ref.#00−5523−00 Life Technologies)。透過処理後、プレートを500xgで3分間遠心分離し、過剰な緩衝液を除去した。一次染色カクテルに指定されたウェルは、抗T−bet(クローン:4B10)、ストレプトアビジンPE(BioLegend Cat 405204)、およびICOSの内部エピトープを認識するビオチン化M13抗ICOS検出抗体(Jounce Therapeutics)を含有する、1x透過化緩衝液(eBioscience FOXP3/Transcription Factor Staining Buffer Set ref.#00−5523−00 Life Technologies)で希釈した100μLのマスター染色ミックスを受けた(
図1参照)。
【0242】
アイソタイプコントロール染色カクテル用に指定されたウェルは、ストレプトアビジンPEのみを含有する、1x透過化緩衝液(eBioscience FOXP3/Transcription Factor Staining Buffer Set ref.#00−5523−00 Life Technologies)で調製した100μLのマスター染色ミックスを受けた。
【0243】
染色カクテルを、4°Cで30分間インキュベートした。次いで、プレートを500xgで3分間遠心分離し、1x透過化緩衝液で二回洗浄した。次いで、ウェルの内容物を150μLのFACS緩衝液中に再懸濁した。染色された試料は、BD FACS Cantoフローサイトメーターを使用して直ちに分析され、得られたデータはFlowJo分析ソフトウェアを使用して分析された。
【0244】
CD4+ T細胞のICOS
hi集団を含むかどうかを判断するための試料の分析を
図2に示す。ゲートは、ICOS
lo集団およびICOS
hi集団を二分するために描かれ、ICOS
lo象限およびICOS
hi象限のヒストグラムは、計算された幾何学的平均蛍光強度で重ね合わされている。
【0245】
結果
ICOS
hi CD4+ T細胞集団の出現および安定化は、JTX−2011(0.3mg/kg、q3w)単剤療法に対してcPRを有する胃癌患者で観察された。集団は、第3サイクル後に早くも検出され、増殖し、第15サイクル後は安定していた(
図3A)。ICOS
hi CD4+T集団の出現および安定化は、RECIST 1.1基準に従って評価された標的病変サイズの減少によって示されるように、臨床活動のエビデンスと相関していた(
図3B)。
【0246】
ICOS発現レベル(ICOS
hi)が上昇したCD4+ T細胞の集団の出現は、JTX−2011(0.1mg/kg、q3w)とニボルマブ(240mg、q3w)の併用療法に対してcPRを有する胃癌患者からの試料においても観察された。この集団は第7サイクル後に検出され、その後、少なくとも第11サイクルまでは集団の安定化が認められた(
図4)。
【0247】
JTX−2011(0.3mg/kg、q3w)およびニボルマブ(240mg、q3w)の併用療法に反応して安定性疾患を呈した胃癌患者からの試料において、ICOS
hiCD4+ T細胞の一過性集団が観察された(
図5)。ICOS
hi CD4+ T細胞の集団は、第4サイクル後に観察され、第5サイクル後に増殖したが、疾患が進行する前に、第6サイクル後には減少した。
【0248】
JTX−2011(0.3mg/kg、q3w)およびニボルマブ(240mg、q3w)の併用療法に反応してSDまたはPDを示したTNBC患者では、ICOS
hi CD4+ T細胞の集団は観察されなかった(
図6)。
【0249】
結論
ICOS
hi CD4+ T細胞集団は、cPRおよびPRを有する全患者、並びに治療に反応してBORとして安定性疾患を有する17人の患者のうち11人で観察された。この集団は、治療に反応して安定性疾患を有する残りの6人の患者でも、進行性疾患を有する20人の患者でも観察されなかった(
図7A〜7C)。この集団の出現は、標的病変サイズのベースラインからの変化率に対応する生物活性のエビデンスと相関していた(
図7A〜7C)。
【0250】
実施例2:JTX−1011−mG2aを投与されたSa1/N担癌マウスのCD4+ T細胞における全ICOS発現の検査
試験デザイン
Sa1/N線維肉腫を有するマウス(Ostrand−Rosenberg,2001,Curr.Protoc.Immunol.,Chapter 20)は、0.25mg/kgのJTX−1011−mG2aを週一回投与された。全血試料を、抗体の二回目の投与の1時間後および48時間後に採取し、以下に記載されるようにCD4+ T細胞における全ICOS発現について分析した。
【0251】
フローサイトメトリーによるCD4+ T細胞における全ICOS発現の評価
末梢血試料は、尾静脈を介してBD NaEDTA Microtainerチューブに採取し、フロー分析のために新たに染色した。100μLの全血を96ウェル丸底プレート中の適切なウェルに割り当て、その後、各ウェルを4°Cで15分間Fcブロックした。 Fcブロッキングは、TruStain fcX(抗マウスCD16/32)抗体(BioLegend,Cat# 101320)を用いて実施した。
【0252】
全ICOSレベルを評価するために一次染色カクテルに指定されたウェルは、抗CD3(クローン145−2C11)、抗CD4(クローンGK1.5)、抗CD8(クローン53−6.7)、抗ICOS(JTX−2011 DyLight650、Jounce Therapeutics)を含有する、100μLのマスター染色ミックスを受けた。アイソタイプ染色カクテル用に指定されたウェルは、種および蛍光色素特異的アイソタイプコントロールを含有する、100μLのマスター染色ミックスを受けた。染色カクテルを4°Cで30分間インキュベートし、次いで500xgで3分間遠心分離し、FACS緩衝液で二回洗浄した。その後、全てのウェルを固定し、30分間透過処理した(eBioscience FOXP3/Transcription Factor Staining Buffer Set ref.#00−5523−00 Life Technologies)。透過処理後、プレートを500xgで3分間遠心分離し、過剰な緩衝液を除去した。一次染色カクテル用に指定されたウェルは、抗FoxP3(クローンFJK−16s)を含有する、1x透過化緩衝液(eBioscience FOXP3/Transcription Factor Staining Buffer Set ref.# 00−5523−00 Life Technologies)で調製した100μLのマスター染色ミックスを受けた。
【0253】
アイソタイプコントロール染色カクテル用に指定されたウェルは、ラットIgG2a、kappaアイソタイプコントロール抗体を含有する、1x透過化緩衝液(eBioscience FOXP3/Transcription Factor Staining Buffer Set ref.# 00−5523−00 Life Technologies)で調製した100μLのマスター染色ミックスを受けた。
【0254】
染色カクテルを、4°Cで30分間インキュベートした。次いで、プレートを500xgで3分間遠心分離し、1x透過化緩衝液で二回洗浄した。次いで、ウェルを150μLのFACS緩衝液中に再懸濁した。染色された試料は、BD FACS Cantoフローサイトメーターで直ちに分析され、得られたデータはFlowJo分析ソフトウェアを使用して分析された。
【0255】
結果と結論
ICOS染色の増加は、投与後1時間と比較して、JTX−1011−mG2aの第二サイクルの投与後48時間で観察された(
図8A)。この染色の増加は、JTX−1011−mG2aの投与後48時間での明確なICOS
hi CD4+ T細胞集団の急速な出現と一致した(
図8B)。
【0256】
実施例3:JTX−2011単剤療法またはJTX−2011とニボルマブの併用療法を受けている癌患者のCD4+ T細胞における全ICOSおよびT−bet発現の検査
試験デザイン
JTX−2011単剤療法(0.3mg/kg q3w)またはJTX−2011(0.1mg/kgまたは0.3mg/kg q3w)およびニボルマブ(240mg q3w)の併用療法を受けている胃癌、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、または子宮内膜癌患者のCD4+ T細胞における全ICOSおよびT−bet発現を、以下に記載されるようにマルチカラーフローサイトメトリーを用いて評価した。
【0257】
フローサイトメトリーによるCD4+ T細胞における全ICOSおよびT−bet発現の評価
末梢血単核球(PBMC)は、BDバキュテイナCPT単核球調製材を用いた密度勾配分離により、患者の全血試料から採取した。分析時に、PBMC試料チューブを37°Cの水浴中で約2分間解凍した。次いで、各試料をFACS緩衝液(1×PBS、2%FBS、0.01%アジ化ナトリウム、2mM EDTA)を含む15mLのコニカルチューブに移し、細胞を列挙した。染色は、試料当たり1×10
6個のPBMCに対して実施した。列挙後、PBMCを500xgで3分間遠心分離して、細胞ペレットを得た。過剰な緩衝液を吸引し、細胞ペレットをFACS緩衝液中に再懸濁した。細胞ペレットの再懸濁を、96ウェル丸底プレートのウェルに等しく分割し、その後、各ウェルを、1×10
5PBMC当たり5μLのFcブロック(Human TruStain FcX、BioLegend Cat #422302)を使用して、室温で20分間Fcブロックした。ブロッキング後、プレートを500xgで3分間遠心分離し、過剰な緩衝液を除去した。
【0258】
全ICOSレベルを評価するための一次染色カクテル用に指定されたウェルは、抗ヒトCD3(クローン:UCHT1)、抗ヒトCD4(クローン:OKT4)、およびJTX−2011 Dylight650を含有する100μLのマスター染色ミックスを受けた。アイソタイプ染色カクテル用に指定されたウェルは、抗ヒトCD−3(クローン:UCHT1)、抗ヒトCD4(クローン:OKT4)、および抗RSV Dylight650を含有する100μLのマスター染色ミックスを受けた。染色カクテルを4°Cで30分間インキュベートし、次いで500xgで3分間遠心分離し、FACS緩衝液で二回洗浄した。その後、全てのウェルを固定し、30分間透過処理した(eBioscience FOXP3/Transcription Factor Staining Buffer Set ref.#00−5523−00 Life Technologies)。透過処理後、プレートを500xgで3分間遠心分離し、過剰な緩衝液を除去した。一次染色カクテルに指定されたウェルは、抗T−bet(クローン:4B10)、ストレプトアビジンPE、およびICOSの内部エピトープを認識するビオチン化M13抗ICOS検出抗体を含有する、1x透過化緩衝液(eBioscience FOXP3/Transcription Factor Staining Buffer Set ref.#00−5523−00 Life Technologies)で希釈した100μLのマスター染色ミックスを受けた(
図1参照)。
【0259】
アイソタイプコントロール染色カクテル用に指定されたウェルは、ストレプトアビジンPEのみを含有する、1x透過化緩衝液(eBioscience FOXP3/Transcription Factor Staining Buffer Set ref.# 00−5523−00 Life Technologies)で調製した100μLのマスター染色ミックスを受けた。
【0260】
染色カクテルを、4°Cで30分間インキュベートした。次いで、プレートを500xgで3分間遠心分離し、1x透過化緩衝液で二回洗浄した。次いで、ウェルの内容物を150μLのFACS緩衝液中に再懸濁した。染色された試料は、BD FACS Cantoフローサイトメーターを使用して直ちに分析され、得られたデータはFlowJo分析ソフトウェアを使用して分析された。
【0261】
結果と結論
ICOS
hiCD4+ T細胞集団の出現および安定化は、JTX−2011(0.1mg/kg、q3w)とニボルマブ(240mg、q3w)の併用療法に対してcPRを有する胃癌患者からのPBMC試料において観察された。この集団は、早ければ第10サイクルとして検出され、T−betレベル(T−bet
hi)が上昇したICOS
hi CD4+ T細胞の亜集団を含むことがさらに特定された(
図9)。
【0262】
ICOS
hi/T−bet
hi CD4+ T細胞の集団の出現は、JTX−2011(0.3mg/kg、q3w)単剤療法に対してcPRを有する胃癌患者の試料でも観察された。この集団は第3サイクル後に検出され、その後、少なくとも第15サイクルまでは集団の安定化が認められた(
図10)。
【0263】
JTX−2011(0.3mg/kg、q3w)およびニボルマブ(240mg、q3w)の併用療法に反応してSDを示したTNBCおよび子宮内膜癌患者では、ICOS
hi/ T−bet
hiCD4+ T細胞の集団は観察されなかった(
図11および
図12)。
【0264】
実施例4:ICOS
hiCD4+ T細胞集団の増殖
4.1
健康なドナーPBMCを、5%のヒトAB血清(Sigma H4522)および1%の抗生物質抗真菌溶液(Sigma A5955)を補充した500uLのAIM−V培地(Thermo A3830801)中のウェル当たり約3×10
5細胞の密度で48ウェルプレートのウェルに分配した。
【0265】
培養培地に、OKT−3+IL−2をさらに補充して、CD4+ T細胞間のICOS発現を誘導した。すべてのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0266】
細胞を37°Cで3日間インキュベートし、その後、新鮮な培地および初期刺激に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。培地に、ニボルマブ(抗PD−1)をさらに補充して、ICOS発現を維持し、CD4+ T細胞間の枯渇を防止した。すべてのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0267】
細胞を37°Cでさらに4日間インキュベートし、その後、新鮮な培地と、初期刺激およびICOS維持に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。次いで、細胞を37°Cでさらに3日間インキュベートし、次いで染色および固定した。合計10日間のインキュベーションの終了時に、細胞は少なくとも24倍に増殖した。
【0268】
4.2
健康なドナーPBMCを、5%のヒトAB血清(Sigma H4522)および1%の抗生物質抗真菌溶液(Sigma A5955)を補充した500uLのAIM−V培地(Thermo A3830801)中のウェル当たり約3×10
5細胞の密度で48ウェルプレートのウェルに分配した。
【0269】
培養培地に、OKT−3+IL−2+ICOS−Lをさらに補充して、CD4+ T細胞間のICOS発現を誘導した。以前に培養プレートにコーティングされたICOS−L(プレート結合型フォーマット)を除き、全てのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0270】
細胞を37°Cで3日間インキュベートし、その後、新鮮な培地および初期刺激に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。培地に、ニボルマブ(抗PD−1)をさらに補充して、ICOS発現を維持し、CD4+ T細胞間の枯渇を防止した。以前に培養プレートにコーティングされたICOS−L(プレート結合型フォーマット)を除き、全てのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0271】
細胞を37°Cでさらに4日間インキュベートし、その後、新鮮な培地と、初期刺激およびICOS維持に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。次いで、細胞を37°Cでさらに3日間インキュベートし、次いで染色および固定した。合計10日間のインキュベーションの終了時に、細胞は少なくとも24倍に増殖した。
【0272】
4.3
健康なドナーPBMCを、5%のヒトAB血清(Sigma H4522)および1%の抗生物質抗真菌溶液(Sigma A5955)を補充した500uLのAIM−V培地(Thermo A3830801)中のウェル当たり約3×10
5細胞の密度で48ウェルプレートのウェルに分配した。
【0273】
培養培地に、IL−2+IL−12+抗IL−4+幹細胞ImmunoCultヒトCD3/CD28 T細胞活性化剤(Cat#10971)をさらに補充して、CD4+ T細胞間でICOS発現を誘導した。すべてのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0274】
細胞を37°Cで3日間インキュベートし、その後、新鮮な培地および初期刺激に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。培地に、ニボルマブ(抗PD−1)をさらに補充して、ICOS発現を維持し、CD4+ T細胞間の枯渇を防止した。すべてのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0275】
細胞を37°Cでさらに4日間インキュベートし、その後、新鮮な培地と、初期刺激およびICOS維持に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。次いで、細胞を37°Cでさらに3日間インキュベートし、次いで染色および固定した。合計10日間のインキュベーションの終了時に、細胞は少なくとも24倍に増殖した。
【0276】
4.4
健康なドナーPBMCを、5%のヒトAB血清(Sigma H4522)および1%の抗生物質抗真菌溶液(Sigma A5955)を補充した500uLのAIM−V培地(Thermo A3830801)中のウェル当たり約3×10
5細胞の密度で48ウェルプレートのウェルに分配した。
【0277】
培養培地に、IL−2+IL−12+抗IL−4+幹細胞ImmunoCultヒトCD3/CD28 T細胞活性化剤(Cat#10971)+ ICOS−Lをさらに補充して、CD4+ T細胞間でICOS発現を誘導した。以前に培養プレートにコーティングされたICOS−L(プレート結合型フォーマット)を除き、全てのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0278】
細胞を37°Cで3日間インキュベートし、その後、新鮮な培地および初期刺激に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。培地に、ニボルマブ(抗PD−1)をさらに補充して、ICOS発現を維持し、CD4+ T細胞間の枯渇を防止した。以前に培養プレートにコーティングされたICOS−L(プレート結合型フォーマット)を除き、全てのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0279】
細胞を37°Cでさらに4日間インキュベートし、その後、新鮮な培地と、初期刺激およびICOS維持に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。次いで、細胞を37°Cでさらに3日間インキュベートし、次いで染色および固定した。合計10日間のインキュベーションの終了時に、細胞は少なくとも24倍に増殖した。
【0280】
4.5
健康なドナーPBMCを、5%のヒトAB血清(Sigma H4522)および1%の抗生物質抗真菌溶液(Sigma A5955)を補充した500uLのAIM−V培地(Thermo A3830801)中のウェル当たり約3×10
5細胞の密度で48ウェルプレートのウェルに分配した。
【0281】
培養培地に、OKT−3+IL−2をさらに補充して、CD4+ T細胞間のICOS発現を誘導した。すべてのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0282】
細胞を37°Cで3日間インキュベートし、その後、新鮮な培地および初期刺激に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。培地に、イピリムマブ(抗CTLA−4)をさらに補充して、ICOS発現を維持し、CD4+ T細胞間の枯渇を防止した。すべてのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0283】
細胞を37°Cでさらに4日間インキュベートし、その後、新鮮な培地と、初期刺激およびICOS維持に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。次いで、細胞を37°Cでさらに3日間インキュベートし、次いで染色および固定した。合計10日間のインキュベーションの終了時に、細胞は少なくとも24倍に増殖した。
【0284】
4.6
健康なドナーPBMCを、5%のヒトAB血清(Sigma H4522)および1%の抗生物質抗真菌溶液(Sigma A5955)を補充した500uLのAIM−V培地(Thermo A3830801)中のウェル当たり約3×10
5細胞の密度で48ウェルプレートのウェルに分配した。
【0285】
培養培地に、OKT−3+IL−2+ICOS−Lをさらに補充して、CD4+ T細胞間のICOS発現を誘導した。以前に培養プレートにコーティングされたICOS−L(プレート結合型フォーマット)を除き、全てのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0286】
細胞を37°Cで3日間インキュベートし、その後、新鮮な培地および初期刺激に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。培地に、イピリムマブ(抗CTLA−4)をさらに補充して、ICOS発現を維持し、CD4+ T細胞間の枯渇を防止した。以前に培養プレートにコーティングされたICOS−L(プレート結合型フォーマット)を除き、全てのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0287】
細胞を37°Cでさらに4日間インキュベートし、その後、新鮮な培地と、初期刺激およびICOS維持に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。次いで、細胞を37°Cでさらに3日間インキュベートし、次いで染色および固定した。合計10日間のインキュベーションの終了時に、細胞は少なくとも24倍に増殖した。
【0288】
4.7
健康なドナーPBMCを、5%のヒトAB血清(Sigma H4522)および1%の抗生物質抗真菌溶液(Sigma A5955)を補充した500uLのAIM−V培地(Thermo A3830801)中のウェル当たり約3×10
5細胞の密度で48ウェルプレートのウェルに分配した。
【0289】
培養培地に、IL−2+IL−12+抗IL−4+幹細胞ImmunoCultヒトCD3/CD28 T細胞活性化剤(Cat#10971)をさらに補充して、CD4+ T細胞間でICOS発現を誘導した。すべてのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0290】
細胞を37°Cで3日間インキュベートし、その後、新鮮な培地および初期刺激に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。培地に、イピリムマブ(抗CTLA−4)をさらに補充して、ICOS発現を維持し、CD4+ T細胞間の枯渇を防止した。すべてのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0291】
細胞を37°Cでさらに4日間インキュベートし、その後、新鮮な培地と、初期刺激およびICOS維持に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。次いで、細胞を37°Cでさらに3日間インキュベートし、次いで染色および固定した。合計10日間のインキュベーションの終了時に、細胞は少なくとも24倍に増殖した。
【0292】
4.8
健康なドナーPBMCを、5%のヒトAB血清(Sigma H4522)および1%の抗生物質抗真菌溶液(Sigma A5955)を補充した500uLのAIM−V培地(Thermo A3830801)中のウェル当たり約3×10
5細胞の密度で48ウェルプレートのウェルに分配した。
【0293】
培養培地に、IL−2+IL−12+抗IL−4+幹細胞ImmunoCultヒトCD3/CD28 T細胞活性化剤(Cat#10971)+ ICOS−Lをさらに補充して、CD4+ T細胞間でICOS発現を誘導した。以前に培養プレートにコーティングされたICOS−L(プレート結合型フォーマット)を除き、全てのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0294】
細胞を37°Cで3日間インキュベートし、その後、新鮮な培地および初期刺激に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。培地に、イピリムマブ(抗CTLA−4)をさらに補充して、ICOS発現を維持し、CD4+ T細胞間の枯渇を防止した。以前に培養プレートにコーティングされたICOS−L(プレート結合型フォーマット)を除き、全てのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0295】
細胞を37°Cでさらに4日間インキュベートし、その後、新鮮な培地と、初期刺激およびICOS維持に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。次いで、細胞を37°Cでさらに3日間インキュベートし、次いで染色および固定した。合計10日間のインキュベーションの終了時に、細胞は少なくとも24倍に増殖した。
【0296】
4.9
健康なドナーPBMCを、5%のヒトAB血清(Sigma H4522)および1%の抗生物質抗真菌溶液(Sigma A5955)を補充した500uLのAIM−V培地(Thermo A3830801)中のウェル当たり約3×10
5細胞の密度で48ウェルプレートのウェルに分配した。
【0297】
培養培地に、OKT−3+IL−2をさらに補充して、CD4+ T細胞間のICOS発現を誘導した。すべてのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0298】
細胞を37°Cで3日間インキュベートし、その後、新鮮な培地と、OKT−3を除く初期刺激に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移して、ICOS発現を維持し、CD4+ T細胞間の枯渇を防止した。すべてのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0299】
細胞を37°Cでさらに4日間インキュベートし、その後、新鮮な培地と、OKT−3を含む初期刺激およびICOS維持に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。次いで、細胞を37°Cでさらに3日間インキュベートし、次いで染色および固定した。合計10日間のインキュベーションの終了時に、細胞は少なくとも24倍に増殖した。
【0300】
4.10
健康なドナーPBMCを、5%のヒトAB血清(Sigma H4522)および1%の抗生物質抗真菌溶液(Sigma A5955)を補充した500uLのAIM−V培地(Thermo A3830801)中のウェル当たり約3×10
5細胞の密度で48ウェルプレートのウェルに分配した。
【0301】
培養培地に、OKT−3+IL−2+ICOS−Lをさらに補充して、CD4+ T細胞間のICOS発現を誘導した。以前に培養プレートにコーティングされたICOS−L(プレート結合型フォーマット)を除き、全てのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0302】
細胞を37°Cで3日間インキュベートし、その後、新鮮な培地と、OKT−3を除く初期刺激に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移して、ICOS発現を維持し、CD4+ T細胞間の枯渇を防止した。以前に培養プレートにコーティングされたICOS−L(プレート結合型フォーマット)を除き、全てのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0303】
細胞を37°Cでさらに4日間インキュベートし、その後、新鮮な培地と、OKT−3を含む初期刺激およびICOS維持に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。次いで、細胞を37°Cでさらに3日間インキュベートし、次いで染色および固定した。合計10日間のインキュベーションの終了時に、細胞は少なくとも24倍に増殖した。
【0304】
4.11
健康なドナーPBMCを、5%のヒトAB血清(Sigma H4522)および1%の抗生物質抗真菌溶液(Sigma A5955)を補充した500uLのAIM−V培地(Thermo A3830801)中のウェル当たり約3×10
5細胞の密度で48ウェルプレートのウェルに分配した。
【0305】
培養培地に、IL−2+IL−12+抗IL−4+幹細胞ImmunoCultヒトCD3/CD28 T細胞活性化剤(Cat#10971)をさらに補充して、CD4+ T細胞間でICOS発現を誘導した。すべてのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0306】
細胞を37°Cで3日間インキュベートし、その後、新鮮な培地と、幹細胞ImmunoCultヒトCD3/CD28 T細胞活性化剤を除く初期刺激に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移して、ICOS発現を維持し、CD4+ T細胞間の枯渇を防止した。すべてのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0307】
細胞を37°Cでさらに4日間インキュベートし、その後、新鮮な培地と、幹細胞ImmunoCultヒトCD3/CD28 T細胞活性化剤を含む初期刺激およびICOS維持に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。次いで、細胞を37°Cでさらに3日間インキュベートし、次いで染色および固定した。合計10日間のインキュベーションの終了時に、細胞は少なくとも24倍に増殖した。
【0308】
4.12
健康なドナーPBMCを、5%のヒトAB血清(Sigma H4522)および1%の抗生物質抗真菌溶液(Sigma A5955)を補充した500uLのAIM−V培地(Thermo A3830801)中のウェル当たり約3×10
5細胞の密度で48ウェルプレートのウェルに分配した。
【0309】
培養培地に、IL−2+IL−12+抗IL−4+幹細胞ImmunoCultヒトCD3/CD28 T細胞活性化剤(Cat#10971)+ ICOS−Lをさらに補充して、CD4+ T細胞間でICOS発現を誘導した。以前に培養プレートにコーティングされたICOS−L(プレート結合型フォーマット)を除き、全てのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0310】
細胞を37°Cで3日間インキュベートし、その後、新鮮な培地と、幹細胞ImmunoCultヒトCD3/CD28 T細胞活性化剤を除く初期刺激に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移して、ICOS発現を維持し、CD4+ T細胞間の枯渇を防止した。以前に培養プレートにコーティングされたICOS−L(プレート結合型フォーマット)を除き、全てのサプリメントを可溶性フォーマットで送達した。
【0311】
細胞を37°Cでさらに4日間インキュベートし、その後、新鮮な培地と、幹細胞ImmunoCultヒトCD3/CD28 T細胞活性化剤を含む初期刺激およびICOS維持に使用されたすべてのサプリメントを含む新しいウェルに移した。次いで、細胞を37°Cでさらに3日間インキュベートし、次いで染色および固定した。合計10日間のインキュベーションの終了時に、細胞は少なくとも24倍に増殖した。
【0312】
実施例5:抗原特異的ICOS
hiおよびICOS
lo CD4+ T細胞におけるサイトカイン応答の評価
試験デザイン
健康なドナーからのPBMCを刺激して、破傷風トキソイドをモデルリコール抗原として使用してICOS
hi CD4+ T細胞集団を誘導した。抗原を用いた24時間の刺激の後、細胞を洗浄して刺激を除去し、CD4+ T細胞を休止させた。洗浄後、可溶性JTX−2011を添加し、細胞内サイトカイン産生を、ブレフェルジンAの存在下で6時間インキュベーションした後、フローサイトメトリーにより評価した。
【0313】
結果と結論
可溶性JTX−2011によるex vivo刺激は、ICOS
hi CD4+ T細胞がすでに存在する場合のみ活性であった。JTX−2011は、抗原特異的なICOS
hiではIFNγおよびTNFαの両方が平均4倍に増加することを特徴とする強力な多機能性サイトカイン応答を誘発したが、ICOS
lo CD4+ T細胞では誘発しなかった(
図13)。
【0314】
実施例6:ICOS
hi CD4+ T細胞の出現に対するPD−1阻害の影響の評価
試験デザイン
標準治療PD−1阻害剤治療を受けている対象からの試料は、市販のバイオレポジトリーから得られた。合計で、主に肺癌または黒色腫を有する77人の対象からのPBMCを、フローサイトメトリープロファイリングによりCD4+ T細胞の集団の出現について評価した(
図14A)。
【0315】
結果と結論
ニボルマブに反応したNSCLC対象およびペンブロリズマブに反応したNSCLC対象の縦断的フロープロファイルは、ICOS
hi CD4+ T細胞の誘導を示さなかった(
図14B)。したがって、ICOS
hi CD4+ T細胞の集団の出現は、PD−1阻害ではなくJTX−2011活性と相関する。
【0316】
実施例7:ICOS
hiおよびICOS
lo CD4+ T細胞の転写および表現型プロファイリング
試験デザイン
治療下で発現したICOS
hi細胞を有する対象からの精製CD4+ T細胞と、細胞集団を示さない参照癌患者からのCD4+ T細胞の転写解析を、Nanostringのヒト免疫学パネルを使用して実施した。また、末梢血T細胞の免疫表現型は、JTX−2011単独またはニボルマブとの併用での治療前後のさまざまな時点でフローサイトメトリーにより評価した。
【0317】
結果と結論
ICOS
hi CD4+ T細胞は、転写プロファイリングおよびフローサイトメトリーによる免疫表現型評価の両方によって示されるように、ICOS
lo細胞とは異なることが見出された。患者およびドナーのCD4+ T細胞試料は、ピアソンの相関係数を使用して非監視クラスタリングを適用する際に、別個のクラスタを形成した(
図15A)。遺伝子セット濃縮分析は、いくつかの経路の変調への傾向を示し(
図15B)、ICOS
hi CD4+ T細胞は、特に、エフェクター経路において濃縮されることが見出された。具体的には、同種移植片拒絶経路の構成要素(
図15Cに示す)は、ICOS
lo CD4+ T細胞と比較して、ICOS
hi CD4+ T細胞で上方制御されることが見出された。
【0318】
後期サイクルの均一なICOS
hi集団を有する対象における系統および活性化マーカーの評価により、ICOS
hi CD4+ T細胞は、主にTh1系統のTエフェクター細胞であることが明らかになった(
図16A)。ICOS
hi CD4+ T細胞は、Treg中で濃縮されなかった。T−分布型確率的近傍埋め込み法(tSNE)クラスタリングアルゴリズムを使用したcPRを有する胃癌対象のベースラインおよび治療中の解析は、JTX−2011処置後、非Treg細胞(FoxP3−)上のLAG−3発現の全体的減少およびTIGIT発現の増加を示した(
図16B)。全体として、ICOS
hi集団が出現した対象においては、Tbet+非Treg CD4+ およびCD8+ T細胞の活性化の増加が観察されたが、枯渇は認められなかった。
【0319】
JTX−2011治療に対するPRが確認された対象における平均Ki−67染色の縦断的解析は、CD8+T細胞およびCD4+ T細胞の初期および後期増殖をそれぞれ示し、ICOS
hi集団が出現した対象の二相性増殖を特徴とする(
図17)。
【0320】
実施例8:JTX−2011による治療後のT細胞受容体レパートリーのクローン性の検査
試験デザイン
T細胞受容体レパートリーのクローン性を、Adaptive Biotechnologies ImmunoSeqアッセイを使用して末梢T細胞およびアーカイブ腫瘍組織で評価した。
【0321】
結果と結論
末梢血T細胞受容体(TCR)レパートリーのクローン存在量の変化の解析により、JTX−2011治療後の対象の18/22(約82%)で、単剤療法によるものも含めて、治療中の有意なクローン増殖が特定された。JTX−2011誘発性の末梢クローン性変化の縦断的プロファイリングは、循環レパートリーの二相性増殖を示す(
図18)。バイスタンダーおよび腫瘍関連クローンの縦断的プロファイリングは、ICOS
hi CD4+ T細胞の出現のない代表的な対象におけるTCRクローンの無差別なポリクローナル増殖を示す(
図19A)。クローン性増殖も観察されたが、ICOS
hi CD4+ T細胞の出現を有する対象では、バイスタンダーと比較して腫瘍関連クローンの増殖がより大きかった(
図19B)。末梢で検出された増殖クローンは、アーカイブ腫瘍試料中に存在する腫瘍関連クローンであり、JTX−2011が細胞介在性抗腫瘍免疫を増強するように機能し得ることを示唆している。
【0322】
全体として、治療中のTCRクローン性評価は、ICOS
hi CD4+ T細胞表現型を示す対象において、腫瘍関連クローンのより大きな増殖を伴うクローン増殖を示す一方、JTX−2011治療では、ICOS
hi CD4+ T細胞の出現に関わらず、デノボT細胞クローン増殖が生じる。
【0323】
実施例9:奏効患者のPBMCの解析
試験デザイン
均一なICOS
hi CD4+ T細胞集団を有するPRが確認された対象からのPBMCを、抗原特異性の評価のために選択した。ELISPOTリーダーを使用してIFNγ分泌を検出し、PBMCの刺激を行った。ペプチドを、2μg/mLの各変異ペプチドを含有するプールとして試験した。
【0324】
結果と結論
フローサイトメトリー解析により、選択された時点でのICOS
hi CD4+ T細胞集団の均一性が示された(
図20A)。奏効患者のPBMCの分析は、
腫瘍抗原特異的免疫応答が治療中に観察され得ることを示唆している(
図20B)。
【0325】
実施例10:ICOS
hiの出現および生存の検査
試験デザイン
評価可能な試料を用いたICONIC試験から50人の患者のサブセット由来のPBMCでアドホックのフローサイトメトリー表現型決定を実施した。事後統計分析のための未調整のp値を含む、臨床的特性および転帰を分析した。
【0326】
結果と結論
ICOS
hi末梢CD4+ T細胞の明確で持続的な集団の出現は、JTX−2011単剤療法およびニボルマブとの併用療法の両方で、PFSの改善と共に生存率の改善と関連していた(
図21)(ICOS
hi CD4+ T細胞を有する患者の中央値6.2ヶ月に対し、ICOS
lo CD4+ T細胞のみを有する患者およびICOS
hi T細胞の出現が分析されなかった患者を含む、すべての試験中の患者では2ヶ月)。このICOS
hi末梢CD4+ T細胞の別個の集団の出現は、OSの改善とも関連していた(
図22)(ICOS
hi CD4+ T細胞を有する患者では中央値に未到達であるのに対し、ICOS
lo CD4+ T細胞のみを有する患者では9ヵ月、ICONIC試験の全患者では9.3ヵ月)。
【0327】
本開示は、その精神またはその本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化されてもよい。したがって、前述の実施形態は、本開示を限定するものではなく、あらゆる点において例示的であると見なされるべきである。したがって、本開示の範囲は、前述の説明よりもむしろ添付の特許請求の範囲によって示されており、したがって、特許請求の範囲の意味および同等性の範囲内に入るすべての変更は、本明細書に包含されることが意図されている。
【国際調査報告】