(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
腎線維症と関連するタンパク質を検出するための組成物および方法を開示する。このようなバイオマーカーは、腎線維症に対する感受性が強い個体自身のライフスタイルを管理し、疾患の更なる進行を遅らせることを可能にするのに有用であり得る。このようなバイオマーカーは、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、またはSMADファミリーメンバー7(SMAD7)のうちの少なくとも1つを含み得る。
前記バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、またはSMADファミリーメンバー7(SMAD7)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
前記バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、結合組織増殖因子(CTGF)、またはC−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の方法。
前記バイオマーカーが、コルチコステロン、アルドステロン、ADAMメタロペプチダーゼドメイン17(ADAM17)、C−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)、カドヘリン1(CDH1)、結合組織増殖因子(CTGF)、表皮増殖因子受容体(EGFR)、フィブロネクチン1(FN1)、ガレクチン−1(LGALS1)、ガレクチン−3(LGAS3)、肝細胞増殖因子(HGF)、細胞間接着分子1(ICAM1)、インターロイキン1ベータ(IL1B)、インターロイキン6(IL6)、クルッペル様因子15(KLF15)、マトリックスメタロペプチダーゼ2(MMP2)、マトリックスメタロペプチダーゼ7(MMP7)、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)、核因子カッパーBサブユニット1(NFKB1)、ネフリン(NPHS1)、ポディシン(NPHS2)、核受容体サブファミリー3グループCメンバー2(NR3C2)、セルピンファミリーEメンバー1(SERPINE1)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー3(SMAD3)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、シグナル伝達転写活性化因子3(STAT3)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、ウロモデュリン(UMOD)、または血管内皮増殖因子A(VEGFA)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
前記測定するステップが、タンパク質測定、イムノアッセイ、フローサイトメトリー、質量分析、または核酸配列もしくは発現の分析を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
個体において腎線維症と関連するバイオマーカーを識別する方法であって、正常対照と比較して、腎線維症において発現が増加したまたは低下したバイオマーカーを識別することを含む方法。
前記バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)またはメタロペプチダーゼ2(MMP2)のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
前記バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、またはSMADファミリーメンバー7(SMAD7)のうちの少なくとも1つを含む、請求項8または9に記載の方法。
前記バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、結合組織増殖因子(CTGF)、またはC−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)のうちの少なくとも1つを含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
前記バイオマーカーが、コルチコステロン、アルドステロン、ADAMメタロペプチダーゼドメイン17(ADAM17)、C−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)、カドヘリン1(CDH1)、結合組織増殖因子(CTGF)、表皮増殖因子受容体(EGFR)、フィブロネクチン1(FN1)、ガレクチン−1(LGALS1)、ガレクチン−3(LGAS3)、肝細胞増殖因子(HGF)、細胞間接着分子1(ICAM1)、インターロイキン1ベータ(IL1B)、インターロイキン6(IL6)、クルッペル様因子15(KLF15)、マトリックスメタロペプチダーゼ2(MMP2)、マトリックスメタロペプチダーゼ7(MMP7)、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)、核因子カッパーBサブユニット1(NFKB1)、ネフリン(NPHS1)、ポディシン(NPHS2)、核受容体サブファミリー3グループCメンバー2(NR3C2)、セルピンファミリーEメンバー1(SERPINE1)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー3(SMAD3)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、シグナル伝達転写活性化因子3(STAT3)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、ウロモデュリン(UMOD)、または血管内皮増殖因子A(VEGFA)のうちの少なくとも1つを含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
前記測定することが、タンパク質測定、イムノアッセイ、フローサイトメトリー、質量分析、または核酸配列もしくは発現の分析を含む、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
個体において腎線維症と関連するバイオマーカーを検出するための組成物であって、前記バイオマーカーの量、および/または前記バイオマーカーをコードするかもしくはその発現を調節する核酸(例えばゲノムDNAまたはmRNA)の量もしくはそこにおける突然変異を測定する試薬を含む、組成物。
前記バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)またはメタロペプチダーゼ2(MMP2)のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の組成物。
前記バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、またはSMADファミリーメンバー7(SMAD7)のうちの少なくとも1つを含む、請求項15または16に記載の組成物。
前記バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、結合組織増殖因子(CTGF)、またはC−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)のうちの少なくとも1つを含む、請求項15から17のいずれか一項に記載の組成物。
前記バイオマーカーが、コルチコステロン、アルドステロン、ADAMメタロペプチダーゼドメイン17(ADAM17)、C−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)、カドヘリン1(CDH1)、結合組織増殖因子(CTGF)、表皮増殖因子受容体(EGFR)、フィブロネクチン1(FN1)、ガレクチン−1(LGALS1)、ガレクチン−3(LGAS3)、肝細胞増殖因子(HGF)、細胞間接着分子1(ICAM1)、インターロイキン1ベータ(IL1B)、インターロイキン6(IL6)、クルッペル様因子15(KLF15)、マトリックスメタロペプチダーゼ2(MMP2)、マトリックスメタロペプチダーゼ7(MMP7)、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)、核因子カッパーBサブユニット1(NFKB1)、ネフリン(NPHS1)、ポディシン(NPHS2)、核受容体サブファミリー3グループCメンバー2(NR3C2)、セルピンファミリーEメンバー1(SERPINE1)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー3(SMAD3)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、シグナル伝達転写活性化因子3(STAT3)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、ウロモデュリン(UMOD)、または血管内皮増殖因子A(VEGFA)のうちの少なくとも1つを含む、請求項15から18のいずれか一項に記載の組成物。
前記測定することが、タンパク質測定、イムノアッセイ、フローサイトメトリー、質量分析、または核酸配列もしくは発現の分析を含む、請求項15から19のいずれか一項に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
用語および定義
本開示をより容易に理解するために、ある特定の用語を最初に定義する。以下の用語および他の用語に関する追加の定義は、本明細書全体にわたって明記する。
【0014】
本開示の広範な範囲を示す数値範囲およびパラメーターは、概算であったとしても、特定の例において示す数値は、可能な限り正確に報告する。しかし、いずれの数値も、その個別の試験測定値において認められる標準偏差から必然的に生じるある特定の誤差が本質的に含まれる。更に、本明細書において開示する全ての範囲は、その中に包含される任意のおよび全ての部分範囲を包含することを理解するべきである。例えば、「1から10」の規定された範囲は、最小値の1と最大値の10との間の(およびこれらを含む)任意のおよび全ての部分範囲;すなわち、最小値が1またはそれよりも多い範囲内、例えば1から6.1で始まり、最大値が10またはそれ未満、例えば、5.5から10で終わる全ての部分範囲を含むことを考慮するべきである。更に、「本明細書に組み込まれるものとする」と称される任意の参考文献は、その全体が組み込まれるものとして理解するべきである。
【0015】
この明細書において使用する単数形の「1つの(a)」「1つの(an)」、および「その(the)」は、1つの指示対象を明示的におよび明白に限定しない限り、複数形の指示対象を含むことを更に留意されたい。「および/または」という用語は、全般的に、少なくとも一方または他方を指すために使用される。一部の場合では、「および/または」という用語は、「または」という用語と互換可能に使用される。本明細書において使用する「としては、〜を含む(including)」という用語は、「としては、これらに限定されないが、〜がある」という句を意味し、それと互換可能に使用される。本明細書において使用する「例えば(such as)」という用語は、「これらに限定されないが、例えば」という句を意味し、それと互換可能に使用される。
【0016】
別段の定義がない限り、本明細書において使用する全ての技術用語および科学用語は、当業者に通常理解されるものと同じ意味を有する。
【0017】
また、本明細書で使用する「少なくとも1つ」は、1つから群全部までの任意の数が考えられる。例えば、4つのバイオマーカーを列挙する場合、「少なくとも1つ」という句は、1、2、3または4つのバイオマーカーを意味すると理解される。同様に、10個のバイオマーカーを列挙する場合、「少なくとも5つ」という句は、5、6、7、8、9、または10個のバイオマーカーを意味すると理解される。
【0018】
また、本明細書で使用する「含む」は、「からなる」という用語を使用してより詳細に定義される具体物を含む。
【0019】
抗体:本明細書で使用する「抗体」という用語は、免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子の断片で実質的にコードされる1つまたは複数のポリペプチドからなるポリペプチドを指す。認識されている免疫グロブリン遺伝子としては、カッパー、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロンおよびミュー定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子がある。軽鎖は、典型的には、カッパーまたはラムダのいずれかとして分類される。重鎖は、典型的には、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンとして分類され、これらは免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEをそれぞれ定義する。典型的な免疫グロブリン(抗体)構造単位がテトラマーを含むことは公知である。各テトラマーは、ポリペプチド鎖の2つの同一の対からなり、各対は、1つの「軽」鎖(約25kD)および1つの「重」鎖(約50〜70kD)を有する。各鎖のN末端は、抗原認識に対して主に応答する約100から110またはそれよりも多いアミノ酸の可変領域を定義する。「可変軽鎖」(VL)および「可変重鎖」(VH)という用語は、これらの軽および重鎖をそれぞれ指す。抗体は、特定の抗原に対して特異的な場合がある。抗体またはその抗原は、分析物または結合相手のいずれかである場合がある。抗体は、無傷の免疫グロブリンとしてまたはさまざまなペプチダーゼを用いて消化することによって産生された多数の十分に特徴付けられた断片として存在する。したがって、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域におけるジスルフィド結合より下の抗体を消化し、ジスルフィド結合によってVH−CH1に接合したそれ自体が軽鎖であるFabのダイマーであるF(ab)’2を生成する。F(ab)’2は、穏やかな条件下で還元され、ヒンジ領域におけるジスルフィド結合が切断され、その結果(Fab’)2ダイマーがFab’モノマーへ変換される場合がある。Fab’モノマーは、実質的にヒンジ領域の一部を有するFabである。さまざまな抗体断片が、無傷の抗体の消化の観点から定義されるが、当業者であれば、このようなFab’断片は、化学的にまたは組換えDNA方法論を利用することによってのいずれかでデノボ合成を行ってもよいことを理解するであろう。したがって、本明細書で使用する「抗体」という用語は、抗体全体を改変するかまたは組換えDNA方法論を使用してデノボ合成することによってのいずれかで生成した抗体断片も含む。一部の実施形態では、抗体は単一鎖抗体、例えば可変重鎖および可変軽鎖が一緒に接合し(直接的にまたはペプチドリンカーを介して)、連続的なポリペプチドを形成する単一鎖Fv(scFv)抗体である。単一鎖Fv(「scFv」)ポリペプチドは、共有連結VH::VLヘテロダイマーであり、これは、直接接合しているかまたはペプチドをコードするリンカーによって接合しているかのいずれかのVHおよびVLをコードする配列を含む核酸から発現する場合がある(例えば、Huston, et al. (1988) Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 85:5879-5883を参照されたい)。自然に凝集していたが、抗体V領域から化学的に分離されたポリペプチド軽鎖およびポリペプチド重鎖がscFv分子へ変換され、それが抗原結合部位の構造と実質的に類似している3次元構造へ折りたたまれることになるための多数の構造が存在する。例えば米国特許第5,091,513号および同第5,132,405号および同第4,956,778号を参照されたい。
【0020】
「抗体」という用語は、例えば、組合せ変異誘発およびファージディスプレイによって生成される、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体およびキメラ抗体を含む。「抗体」という用語は、抗体の模倣物またはペプチド模倣物も含む。ペプチド模倣物は、ペプチドおよびタンパク質がベースのまたはこれら由来の化合物である。本開示のペプチド模倣物は、典型的には、自然界には存在しないアミノ酸を使用した公知のペプチド配列の構造的改変、立体配座の拘束、等立体的な(isosteric)置換えなどによって得ることができる。
【0021】
対立遺伝子:本明細書で使用する「対立遺伝子」という用語は、同じ遺伝子座(例えば、遺伝子)のヌクレオチド配列の異なるバージョンを指す。
【0022】
対立遺伝子特異的プライマー伸長(ASPE):本明細書で使用する「対立遺伝子特異的プライマー伸長(ASPE)」という用語は、プライマーを利用した突然変異検出方法を指し、これは対応するDNA配列にハイブリダイズし、このようなプライマーの3’末端ヌクレオチドのハイブリダイゼーションの成功に応じて伸長される。典型的には、標的配列との完全な一致を形成する3’末端ヌクレオチドを有する伸長プライマーが伸長され、伸長産物を形成する。改変されたヌクレオチドは、伸長産物に組み込むことができ、このようなヌクレオチドは、検出の目的で伸長産物を効果的に標識する。あるいは、伸長プライマーは、標的配列とのミスマッチを形成する3’末端ヌクレオチドを代わりに含む場合がある。この場合、伸長のために使用されるポリメラーゼがエキソヌクレアーゼ活性を意図せずに有さない限りプライマー伸長は起こらない。
【0023】
増幅:本明細書で使用する「増幅」という用語は、標的核酸をコピーし、その結果、選択された核酸配列のコピーの数を増加させるための当技術分野において公知の任意の方法を指す。増幅は、指数関数的であっても直線的であってもよい。標的核酸は、DNAまたはRNAのいずれかであってもよい。典型的には、このように増幅された配列は、「増幅生成物」を形成する。増幅は、さまざまな方法で達成してもよく、その方法としては、これらに限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)、転写ベース増幅、等温増幅、ローリングサークル増幅などがある。増幅は、プライマー対の相対的に同量の各プライマーで行い、二本鎖増幅生成物を生成してもよい。しかし、非対称PCRを使用し、当技術分野において周知のように、一本鎖産物を主にまたは排他的に増幅してもよい(例えば、Poddar, Molec. And Cell. Probes 14:25-32 (2000))。これは、一方のプライマーの濃度を、対の他方のプライマーに対して顕著に減少させる(例えば、1/100の差にする)ことによって、プライマーの各対を使用して達成することができる。非対称PCRによる増幅は、一般的に直線的である。当業者であれば、異なる増幅方法を一緒に使用してもよいことは理解するであろう。
【0024】
動物:本明細書で使用する「動物」という用語は、動物界の任意のメンバーを指す。一部の実施形態では、「動物」は、発達の任意の段階におけるヒトを指す。一部の実施形態では、「動物」は、発達の任意の段階における非ヒト動物を指す。ある特定の実施形態では、非ヒト動物は、哺乳動物(例えば、齧歯動物、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、および/またはブタ)である。一部の実施形態では、動物としては、これらに限定されるものではないが、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫、および/または蠕虫がある。一部の実施形態では、動物は、トランスジェニック動物、遺伝子操作された動物、および/またはクローンであってもよい。
【0025】
およそ:本明細書で使用する「およそ」または「約」という用語は、目的の1つまたは複数の値に適用される場合、規定された指示対象の値と類似の値を指す。ある特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、特に記載がないかまたは文脈から特に明白ではない限り、規定された指示対象の値のいずれの方向(それよりも多いまたはそれ未満)でも25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満の範囲内に入るさまざまな値を指す(このような数が可能な値の100%を超えることになる場合を除く)。また、本出願全体にわたって、「約」という用語は、値が、デバイスに関する誤差の固有の変数、値を判定するために用いられる方法、または試料間に存在する変数を含むことを示すために使用される。
【0026】
目的の症候群または疾患と関連する:本明細書で使用する「目的の症候群または疾患と関連する」は、バリアントが、非症候群または非疾患対照よりも目的の症候群または疾患を呈する患者において認められることを意味する。一般的に、このような関連の統計的有意性は、複数の患者をアッセイすることによって判定することができる。
【0027】
生物学的試料および試料:本明細書で使用する「試料」または「生物学的試料」という用語は、対象、個体または他の生物学的原料から得られた任意の試料を包含する。生物学的試料としては、非限定的な例の目的で、血液、血漿、血清、体液もしくは組織生検、無細胞(cell-free)核酸(例えば、DNAまたはRNA)、尿、糞便、表皮試料、皮膚試料、頬スワブ、精液、羊水、培養細胞、骨髄試料および/または絨毛膜絨毛があり得る。好都合な生物学的試料は、例えば、頬側腔表面からの剥離細胞によって得られる場合がある。生物学的試料という用語は、本明細書において記載する検出のために核酸またはタンパク質を放出するように、そうでなければ利用可能にするように処理されている試料を包含する。無細胞DNA、例えば血漿、羊水などにおいて認められるものも含まれる。例えば、生物学的試料は、生物学的試料中の細胞からRNAを逆転写することによって得られたcDNAを含んでいてもよい。生物学的試料は、胎児、若齢成人、成人などの人生の段階から得てもよい。固定または凍結した組織も使用してもよい。
【0028】
バイオマーカー:本明細書で使用する「バイオマーカー」または「マーカー」という用語は、単独でまたは他のバイオマーカーと組み合わせて、診断するために、または目的の疾患もしくは症候群の診断もしくは予後に役立つために;目的の疾患もしくは症候群の進行をモニターするために;および/または目的の症候群もしくは疾患のための処置の有効性をモニターするために使用することができる、1つまたは複数の核酸、ポリペプチドおよび/または他の生体分子(例えば、コレステロール、脂質)を指す。本明細書で使用し、当業者によって通常用いられるバイオマーカーは、ホルモンもしくは他の小分子(例えば、コルチコステロン、アルドステロン)、タンパク質(表皮増殖因子受容体)、またはバイオマーカーをコードする遺伝子(EGFRまたはEGFR)のいずれかとして挙げられる。
【0029】
結合剤:本明細書で使用する「結合剤」という用語は、目的の第2の(すなわち、異なる)分子に特異的にかつ選択的に結合することができる分子を指す。相互作用は、例えば水素結合、ファンデルワールス相互作用、または静電的もしくは疎水的相互作用の結果としての非共有結合であってもよく、または共有結合であってもよい。「可溶性の結合剤」という用語は、固体支持体と結合(すなわち、共有または非共有結合)しない結合剤を指す。
【0030】
キャリア:「キャリア」という用語は、症状はないが、その子供に受け継がれる場合がある突然変異を保有するヒトを指す。典型的には、常染色体劣性障害の場合、キャリアは、疾患をもたらす突然変異を含む1つの対立遺伝子および正常であるかまたは疾患に関連しない第2の対立遺伝子を有する。
【0031】
クロマトグラフィー:「クロマトグラフィー」という用語は、液体または気体によって運搬された化学混合物が、固定された液相または固相の周囲または上を流れるために、化学実体の異なる分布の結果として構成成分に分離される方法を指す。「液体クロマトグラフィー」(LC)という用語は、流体が、微粉化した物質のカラムを通ってまたはキャピラリー経路を通って均一に浸透するために、流体溶液の1つまたは複数の構成成分が選択的に遅延される方法を意味する。遅延は、この流体が固定相に関連して移動するために、1つまたは複数の固定相とバルク流体(すなわち、移動相)との間の、混合物の構成成分の分布に起因する。「液体クロマトグラフィー」としては、逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)および高乱流液体クロマトグラフィー(HTLC)がある。「HPLC」または「高性能液体クロマトグラフィー」という用語は、移動相を高圧下で固定相に通して強制的に押し通すことによって、分離の度合いを増大させた液体クロマトグラフィー、典型的には、高密度充填カラムを指す。
【0032】
コード配列対非コード配列:本明細書で使用する「コード配列」という用語は、転写しおよび/または翻訳し、mRNAおよび/もしくはポリペプチドまたはこれらの断片を産生することができる核酸もしくはその相補体またはこれらの一部の配列を指す。コード配列としては、ゲノムDNAまたは未成熟一次RNA転写物におけるエクソンがあり、これらは、細胞の生化学的機構によって一緒に接合し、成熟mRNAを提供する。アンチセンス鎖は、このような核酸の相補体であり、コード配列をそこから推測することができる。本明細書で使用する「非コード配列」という用語は、in vivoでアミノ酸へ転写されないか、またはtRNAが、アミノ酸が配置されるように相互作用しないかもしくは配置されるように試みない、核酸もしくはその相補体、またはこれらの一部の配列を指す。非コード配列は、ゲノムDNAにおけるイントロン配列または未成熟一次RNA転写物と、遺伝子関連配列、例えばプロモーター、エンハンサー、サイレンサーなどの両方を含む。
【0033】
相補:本明細書で使用する「相補体」、「相補的」および「相補性」という用語は、ワトソン/クリックペアリング規則に従ったヌクレオチド配列のペアリングを指す。例えば、配列5’−GCGGTCCCA−3’は5’−TGGGACCGC−3’の相補的配列を有する。相補体配列は、DNA配列に相補的なRNAの配列とすることもできる。天然の核酸において通常認められないある特定の塩基が、相補的核酸に含まれていてもよく、その相補的核酸としては、これらに限定されないが、イノシン、7−デアザグアニン、ロックド核酸(LNA)、およびペプチド核酸(PNA)がある。相補性は、完璧である必要はなく;安定な二本鎖が、ミスマッチ塩基対、変性性、または非対応塩基を含む場合がある。核酸技術の分野の当業者であれば、例えば、オリゴヌクレオチド長、オリゴヌクレオチドの塩基組成および配列、ミスマッチ塩基対のイオン強度および発生を含む多数の変数を考慮して経験的に二本鎖安定性を判定することができる。
【0034】
保存:本明細書で使用する「保存残基」という用語は、同じ構造および/または機能を有する複数のタンパク質間の同じアミノ酸を指す。保存残基の領域は、タンパク質構造または機能にとって重要な場合がある。したがって、3次元タンパク質で識別されるような隣接する保存残基が、タンパク質構造または機能にとって重要な場合がある。3−D構造の保存残基または保存領域を見出すために、異なる種からのまたは同じ種の個体の、同じまたは類似したタンパク質に関する配列の比較を行ってもよい。
【0035】
対照:本明細書で使用する「対照」という用語は、それに対して結果が比較される標準であるというその技術分野で理解されている意味を有する。典型的には、対照は、変数を取り出すことによって、実験における整合性を強化して、このような変数に関する結論をもたらすために使用される。一部の実施形態では、対照は、試験反応またはアッセイと同時に行われ、比較物を提供する反応またはアッセイである。一実験では、「試験」(すなわち、試験される変数)が適用される。第2の実験では、「対照」、試験される変数は適用されない。一部の実施形態では、対照は、過去に用いられた対照(すなわち、以前に行われた試験もしくはアッセイのもの、またはすでに公知の量もしくは結果)である。一部の実施形態では、対照は印刷された、またはそうでなければ保存された記録であるかまたはそれを含む。対照は、公知の量の目的のバイオマーカーを含む陽性対照であっても、または目的のバイオマーカーを全く含まない陰性対照であってもよい。
【0036】
一部の実施形態では、バイオマーカーに関する「対照」または「所定の標準」は、健常対象におけるバイオマーカーの発現レベルまたは同じ対象からの非罹患または非症候性組織における前記バイオマーカーの発現レベルを指す。所与のバイオマーカーに関する対照または所定の標準発現レベルまたはタンパク質の量は、慣例の実験のみを使用したプロスペクティブおよび/またはレトロスペクティブ統計研究によって確立することができる。このような所定の標準発現レベルおよび/またはタンパク質レベル(量)は、周知の方法を使用して当業者によって判定することができる。
【0037】
粗製物:本明細書で使用する「粗製物」という用語は、生物学的試料に関連して使用する場合、実質的に精製されていない状況にある試料を指す。例えば、粗製試料は、細胞溶解物または生検組織試料とすることができる。粗製試料は、溶液中にまたは乾燥調製物として存在していてもよい。
【0038】
欠失:本明細書で使用する「欠失」という用語は、自然発生の核酸から1つまたは複数のヌクレオチドが除去される突然変異を包含する。
【0039】
目的の疾患または症候群:本明細書で使用する目的の疾患または症候群は、腎線維症である。
【0040】
検出する:本明細書で使用する「検出する」、「検出された」または「検出すること」という用語は、「測定」、「測定された」または「測定すること」を含み、その逆もまた同様である。
【0041】
検出可能な部分:本明細書で使用する「検出可能な部分」または「検出可能な生体分子」または「レポーター」という用語は、定量アッセイにおいて測定することができる分子を指す。例えば、検出可能な部分は、測定することができる産物(例えば、目視可能な産物)へ基質を変換するために使用することがある酵素を含んでいてもよい。または、検出可能な部分は、定量化することができる放射性同位体であってもよい。または、検出可能な部分は、フルオロフォアであってもよい。または、検出可能な部分は、発光分子であってもよい。または、他の検出可能な分子を使用してもよい。
【0042】
エピジェネティック:本明細書で使用するエピジェネティックエレメントは、基礎的なDNA配列における変化以外の機序によって遺伝子発現を変化させる場合がある。このようなエレメントは、パラ変異、刷り込み、遺伝子サイレンシング、X染色体不活性化、位置効果、再プログラミング、トランスベクション、母性効果、ヒストン改変、およびヘテロクロマチンを調節するエレメントを含んでいてもよい。
【0043】
エピトープ:本明細書で使用する「エピトープ」という用語は、特定の抗体または抗体様タンパク質と接触する分子または分子化合物(例えば、ポリペプチドまたはタンパク質複合体)の断片または部分を指す。
【0044】
エクソン:本明細書で使用するエクソンは、RNAの他の部分(例えば、イントロンとして公知の介在領域)がRNAスプライシングによって除去された後に、成熟したまたはプロセシングされたRNAにおいて認められる核酸配列である。したがって、エクソン配列は、一般的に、タンパク質またはタンパク質の一部をコードする。イントロンは、RNAスプライシングによって周囲のエクソン配列から除去されるRNAの一部である。
【0045】
発現および発現されたRNA:本明細書で使用する発現されたRNAは、タンパク質またはポリペプチドをコードするRNA(「コードRNA」)、および転写されるが翻訳されない任意の他のRNA(「非コードRNA」)である。「発現」という用語は、ポリペプチドがDNAから産生されることによるプロセスを意味するために本明細書において使用される。プロセスは、遺伝子のmRNAへの転写およびこのmRNAのポリペプチドへの翻訳を伴う。それが使用される文脈に応じて、「発現」は、RNA、タンパク質またはその両方の産生を指してもよい。
【0046】
タンパク質の量および/または本開示のバイオマーカーの発現の測定は、転写された分子またはその対応するタンパク質の発現を検出するためのさまざまな周知の方法のいずれかによって評価してもよい。このような方法の非限定的な例としては、分泌されたタンパク質を検出するための免疫学的方法、タンパク質精製方法、タンパク質機能または活性アッセイ、核酸ハイブリダイゼーション方法、核酸逆転写方法、および核酸増幅方法がある。ある特定の実施形態では、バイオマーカーの発現遺伝子は、バイオマーカー遺伝子に対応するタンパク質、例えば、バイオマーカー遺伝子に対応するオープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質、またはその正常な翻訳後改変の全てもしくは一部を受けたタンパク質と特異的に結合する、抗体(例えば放射標識された、発色団標識された、フルオロフォア標識された、または酵素標識された抗体)、抗体誘導体(例えば基質とまたはタンパク質−リガンド対{例えばビオチン−ストレプトアビジン}のタンパク質もしくはリガンドとコンジュゲートした抗体)、または抗体断片(例えば単一鎖抗体、単離された抗体超可変ドメインなど)を使用して評価する。ある特定の実施形態では、試薬は、検出可能な物質で直接的にまたは間接的に標識してもよい。検出可能な物質は、例えば、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、および酵素補助因子からなる群から例えば選択してもよい。抗体を標識する方法は、当技術分野において周知である。
【0047】
別の実施形態では、バイオマーカー遺伝子の発現は、試料中の細胞からmRNA/cDNA(すなわち、転写されたポリヌクレオチド)を調製することによって、およびmRNA/cDNAを、バイオマーカー遺伝子およびその断片を含むポリヌクレオチドの相補体である参照ポリヌクレオチドとハイブリダイズすることによって評価される。cDNAは、必要に応じて、さまざまなポリメラーゼ連鎖反応方法のいずれかを使用してから、参照ポリヌクレオチドとハイブリダイゼーションして増幅することができ;好ましくは、増幅は行わない。
【0048】
家族歴:本明細書で使用する「家族歴」という用語は、典型的には、親および兄弟姉妹を含む個体の近親者と関連する事象(例えば、疾患関連障害または突然変異キャリア)の発生を指す。家族歴は、祖父母および他の親戚も含んでいてもよい。
【0049】
フランキング:本明細書で使用する「フランキング」という用語は、プライマーが、標的上の増幅しようとしている目的の領域に隣接している標的核酸にハイブリダイズするという意味である。当業者であれば、好ましいプライマーは、目的領域から5’でハイブリダイズするプライマーの対であり、1つは標的二本鎖DNA分子の各鎖上にあり、その結果、ヌクレオチドが、好適なDNAポリメラーゼによってプライマーの3’末端に付加され得るようになることは理解するであろう。例えば、変異体配列に隣接するプライマーは、変異体配列に実際はアニールせず、むしろ変異体配列に隣接する配列にアニールする。一部の場合では、エクソンに隣接するプライマーは、エクソン配列に一般的にアニールしないように、むしろエクソンに隣接する配列(例えばイントロン配列)にアニールするように設計される。しかし、一部の場合では、増幅プライマーは、エクソン配列にアニールするように設計してもよい。
【0050】
遺伝子:本明細書で使用する遺伝子は、遺伝の単位である。一般的に、遺伝子は、タンパク質または機能性RNAをコードするDNAの一部である。遺伝子は、遺伝の単位に対応するゲノム配列の位置特定が可能な領域である。遺伝子は、調節領域、転写領域、およびまたは他の機能性配列領域と関連している場合がある。
【0051】
遺伝子型:本明細書で使用する「遺伝子型」という用語は、生物の遺伝的構成を指す。より詳細には、この用語は、個体に存在する対立遺伝子の同一性を指す。個体またはDNA試料の「遺伝子タイピング」は、公知の多形性部位において個体が保有する2つの対立遺伝子のヌクレオチド塩基に関して性質を識別することを指す。
【0052】
遺伝子調節性エレメント:本明細書で使用する遺伝子調節性エレメントまたは調節配列は、調節性タンパク質、例えば転写因子が結合し、遺伝子発現を調節するDNAのセグメントである。このような調節領域は、調節される遺伝子の上流にあることが多い。
【0053】
健常個体:本明細書で使用する「健常個体」または「対照」という用語は、目的の症候群および/または疾患と診断されていない対象を指す。
【0054】
ヘテロ接合体:本明細書で使用する「ヘテロ接合体」または「HET」という用語は、同じ遺伝子の2つの異なる対立遺伝子を保有する個体を指す。本明細書で使用する「ヘテロ接合体」という用語は、「複合ヘテロ接合体」または「複合ヘテロ接合変異体」を包含する。本明細書で使用する「複合ヘテロ接合体」という用語は、2つの異なる対立遺伝子を保有する個体を指す。本明細書で使用する「複合ヘテロ接合変異体」という用語は、対立遺伝子の2つの異なるコピーを保有する個体を指し、このような対立遺伝子は、遺伝子の変異型として特徴付けられる。
【0055】
ホモ接合体:本明細書で使用する「ホモ接合体」という用語は、同じ対立遺伝子の2つのコピーを保有する個体を指す。本明細書で使用する「ホモ接合変異体」という用語は、同じ対立遺伝子の2つのコピーを保有する個体を指し、このような対立遺伝子は、遺伝子の変異型として特徴付けられる。
【0056】
ハイブリダイズ:本明細書で使用する「ハイブリダイズ」または「ハイブリダイゼーション」という用語は、2つの相補的核酸鎖が適切にストリンジェントな条件下で互いにアニールする方法を指す。ハイブリダイゼーションに好適なオリゴヌクレオチドまたはプローブは、典型的には、10〜100ヌクレオチド長(例えば、18〜50、12〜70、10〜30、10〜24、18〜36ヌクレオチド長)を含む。核酸ハイブリダイゼーション技術は、当技術分野において周知である。当業者は、相補性の少なくとも1つの所望のレベルを有する配列が安定にハイブリダイズすることになり、同時に相補性がより低いものは安定にハイブリダイズしないことになるように、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェントをどのように推定し、調整するかを理解している。ハイブリダイゼーション条件およびパラメーターの例は、例えば、Sambrook, et al., 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Second Edition, Cold Spring Harbor Press, Plainview, N.Y.; Ausubel, F. M. etal. 1994, Current Protocols in Molecular Biology. John Wiley & Sons,Secaucus, N.J.を参照されたい。
【0057】
同一性またはパーセント同一性:本明細書で使用する「同一性」または「パーセント同一性」という用語は、2つのアミノ酸配列間または2つの核酸配列間の配列同一性を指す。パーセント同一性は、2つの配列を整列させることによって判定することができ、比較する配列によって共有される位置における同一の残基(すなわち、アミノ酸またはヌクレオチド)の数を指す。配列アラインメントおよび比較は、当技術分野におけるアルゴリズム標準(例えば、Smith and Waterman, 1981, Adv. Appl. Math. 2:482; Needleman andWunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48:443; Pearson and Lipman, 1988, Proc. Natl.Acad. Sci., USA, 85:2444)を使用して、またはBLASTおよびFASTAとして公的に利用可能なこれらのアルゴリズムのコンピューター化バージョン(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0、Genetics Computer Group、575 Science Drive、Madison、WI)によって行ってもよい。また、国立衛生研究所、Bethesda、MDを介して利用可能なENTREZを、配列を比較するために使用してもよい。他の場合では、市販されているソフトウェア、例えばGenomeQuestを使用し、パーセント同一性を判定してもよい。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、個別のプログラム(例えば、BLASTN;National Center for Biotechnology Informationに関するインターネットサイトで利用可能)のデフォルトパラメーターを使用してもよい。一実施形態では、2つの配列のパーセント同一性は、各アミノ酸ギャップが、2つの配列間の単一のアミノ酸ミスマッチであったかのように重み付けられるように、1のギャップウェイトを有するGCGを使用して判定してもよい。または、GCG(Accelrys、SanDiego、CA)配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)を使用してもよい。
【0058】
本明細書で使用する、それに対して少なくとも90%の同一性という用語は、示された配列に対して90から100%の同一性の範囲である配列を含み、その間の全ての範囲を含む。したがって、それに対して少なくとも90%の同一性という用語は、示された配列に対して91、91.5、92、92.5、93、93.5、94、94.5、95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99、99.5または100パーセントの同一性である配列を含む。同様に、「少なくとも70%同一性」という用語は、70から100%の同一の範囲である配列を含み、その間の全ての範囲を含む。パーセント同一性の判定は、本明細書において記載するアルゴリズムを使用して判定する。
【0059】
挿入または付加:本明細書で使用する「挿入」または「付加」という用語は、天然に存在する分子と比較して、それぞれ1つもしくは複数のアミノ酸残基またはヌクレオチドの付加をもたらすアミノ酸またはヌクレオチド配列における変化を指す。
【0060】
In vitro:本明細書で使用する「in vitro」という用語は、多細胞生物内ではなく、人工環境において、例えば、試験管または反応容器、細胞培養などにおいて起こる事象を指す。
【0061】
In vivo:本明細書で使用する「in vivo」という用語は、多細胞生物、例えばヒトまたは非ヒト動物内で起こる事象を指す。
【0062】
単離された:本明細書で使用する「単離された」という用語は、(1)最初に生成された場合に、関連していた構成成分の少なくとも一部から分離された(自然界および/または実験用設定であるかどうかにかかわらず)、および/または(2)人の手によって生成、調製、ならびに/または製造された物質および/もしくは実体を指す。単離された物質および/または実体は、それらが最初に関連していた他の構成成分の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、約99%、実質的に100%、または100%から分離してもよい。一部の実施形態では、単離された薬剤は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%を超えて、実質的に100%、または100%純粋である。本明細書で使用する物質は、他の構成成分を実質的に含まない場合、「純粋」である。本明細書で使用する「単離された細胞」という用語は、多細胞生物に含まれていない細胞を指す。
【0063】
標識された:「標識された」および「検出可能な薬剤または部分で標識された」という用語は、本明細書において互換可能に使用され、実体(例えば、核酸プローブ、抗体など)が、例えば、別の実体(例えば、核酸、ポリペプチドなど)へ結合した後に、標識(例えば、可視化された放射能の検出など)を検出することによって測定できることを明記する。検出可能な薬剤または部分は、それを測定することができ、その強度が結合する実体の量と関連する(例えば比例する)シグナルを生成するように選択してもよい。タンパク質およびペプチドを標識および/または検出するためのさまざまなシステムは当技術分野において公知である。標識されたタンパク質およびペプチドは、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、化学的または他の手段によって検出可能な標識を組み込むかまたはそれとコンジュゲートすることによって調製することができる。標識または標識部分は、直接的に検出可能であってもよく(すなわち、検出可能にするための任意の更なる反応または操作を必要としない、例えば、フルオロフォアは直接検出可能である)、または間接的に検出可能であっても(すなわち、検出可能な別の実体との反応または結合を介して検出可能になる、例えば、ハプテンは、免疫染色によってレポーター、例えばフルオロフォアを含む適切な抗体と反応した後、検出可能である)よい。好適な検出可能な薬剤としては、これらに限定されるものではないが、放射性ヌクレオチド、フルオロフォア、化学発光剤、微粒子、酵素、比色標識、磁性標識、ハプテン、分子ビーコン、アプタマービーコンなどがある。
【0064】
マイクロRNA:本明細書で使用するマイクロRNA(miRNA)は、遺伝子発現の転写後調節に関与する短い(20〜24ヌクレオチド)非コードRNAである。マイクロRNAは、mRNAの安定性と翻訳の両方に影響を与える場合がある。例えば、マイクロRNAは、標的mRNAの3’UTRにおける相補的配列へ結合し、遺伝子サイレンシングをもたらす場合がある。miRNAは、タンパク質をコードするかまたはコードしないかのいずれかである場合がある、キャップされ、ポリアデニル化された一次転写物(pri−miRNA)の一部として、RNAポリメラーゼIIによって転写される。一次転写物は、ドローシャリボヌクレアーゼIII酵素によって切断され、およそ70ヌクレオチドのステムループ前駆体miRNA(プレ−miRNA)を産生する場合があり、これは細胞質ダイサーリボヌクレアーゼによって更に切断され、成熟miRNAおよびアンチセンスmiRNAスター(miRNA
*)産物を産生する場合がある。成熟miRNAは、RNA誘発サイレンシング複合体(RISC)へ組み込まれる場合があり、これは、miRNAとの不完全なペアリングを介して標的mRNAを認識することができ、最も一般的には、標的mRNAの翻訳阻害または不安定化をもたらす。
【0065】
マルチプレックスPCR:本明細書で使用する「マルチプレックスPCR」という用語は、異なるプライマー対を使用してそれぞれプライミングされる2つまたはそれよりも多い領域を並行して増幅することを指す。
【0066】
マルチプレックスASPE:本明細書で使用する「マルチプレックスASPE」という用語は、多形を検出するためのマルチプレックスPCRおよび対立遺伝子特異的プライマー伸長(ASPE)を組み合わせたアッセイを指す。典型的には、マルチプレックスPCRは、ASPEプライマーに関する標的配列の役割を果たすことになるDNAの領域を最初に増幅するために使用される。対立遺伝子特異的プライマー伸長の定義を参照されたい。
【0067】
突然変異および/またはバリアント:本明細書で使用する突然変異およびバリアントという用語は互換可能に使用され、核酸またはタンパク質配列の変化を説明する。本明細書で使用する「変異体」という用語は、遺伝子の突然変異した、または潜在的に非機能的な形態を指す。この用語は、当技術分野において公知のように、点突然変異から大きな染色体の再配列まで遺伝子が機能しないようにする任意の突然変異を含む。
【0068】
核酸:本明細書で使用する「核酸」は、ポリヌクレオチド、例えばデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)である。その用語は、単鎖の核酸、二本鎖の核酸、mRNA、ならびにヌクレオチドまたはヌクレオシド類似体から作製されるRNAおよびDNAを含むために使用される。
【0069】
ポリペプチドまたはタンパク質:本明細書で使用する「ポリペプチド」および/または「タンパク質」という用語は、アミノ酸のポリマーを指し、特定の長さは指さない。したがって、ペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質は、ポリペプチドおよび/またはタンパク質の定義の範囲内に含まれる。「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書において互換可能に使用され、部分または完全長タンパク質のいずれかを含む場合があるタンパク質分子を説明する。「ペプチド」という用語は、別段文脈上指示がない限り、完全長未満のタンパク質または非常に短いタンパク質を示すために使用される。
【0070】
当技術分野において公知のように、「タンパク質」、「ペプチド」、「ポリペプチド」および「オリゴペプチド」は、そのアルファ炭素が、一方のアミノ酸のアルファ炭素のカルボキシル基と他方のアミノ酸のアルファ炭素のアミノ基との間の縮合反応によって形成されるペプチド結合を介して連結されているアミノ酸(典型的には、L−アミノ酸)の鎖である。典型的には、タンパク質を構成するアミノ酸は、順に番号が付され、アミノ末端残基から始まり、タンパク質のカルボキシ末端残基に向かって増加する。アミノ酸残基に関する略語は、当技術分野において使用される標準的な3文字および/または1文字のコードであり、20個の一般的なL−アミノ酸のうちの1つを指す。
【0071】
本明細書で使用するポリペプチドまたはタンパク質「ドメイン」は、独立したユニットを含むポリペプチドまたはタンパク質に沿った領域を含む。ドメインは、構造、配列および/または生物活性の観点から定義してもよい。一実施形態では、ポリペプチドドメインは、タンパク質の残りから実質的に独立した様式で折り畳まれるタンパク質の領域を含んでいてもよい。ドメインは、ドメインデータベース、例えば、これらに限定されないが、PFAM、PRODOM、PROSITE、BLOCKS、PRINTS、SBASE、ISREC PROFILES、SAMRT、およびPROCLASSを使用して同定してもよい。
【0072】
プライマー:本明細書で使用する「プライマー」という用語は、核酸試料中の相補的配列にハイブリダイズすることができる短い単鎖のオリゴヌクレオチドを指す。典型的には、プライマーは、鋳型依存性DNA合成の開始点としての役目を果たす。デオキシリボヌクレオチドは、DNAポリメラーゼによってプライマーに付加することができる。一部の実施形態では、プライマーへのこのようなデオキシリボヌクレオチドの付加は、プライマー伸長としても公知である。本明細書で使用するプライマーという用語は、合成されることもあるプライマーの全ての形態を含み、これらのプライマーとしては、ペプチド核酸プライマー、ロックド核酸プライマー、ホスホロチオエート改変プライマー、標識プライマーなどがある。PCR反応用の「プライマー対」または「プライマーセット」は、典型的には一連のプライマーを指し、これらのプライマーとしては、典型的には、「フォワードプライマー」および「リバースプライマー」がある。本明細書で使用する「フォワードプライマー」は、dsDNAのアンチセンス鎖にアニールするプライマーを指す。「リバースプライマー」は、dsDNAのセンス鎖にアニールする。
【0073】
多形:本明細書で使用する「多形」という用語は、遺伝子またはその一部の1つを超える形態の共存を指す。
【0074】
部分および断片:本明細書で使用する「部分」および「断片」という用語は、互換可能に使用され、ポリペプチド、核酸、または他の分子構築物の一部を指す。
【0075】
精製または分離:「精製」もしくは「分離」という用語またはこれらの派生語は、目的の分析物以外の全ての材料を試料マトリックスから除去することを必ずしも指すものではない。代わりに、一部の実施形態では、「精製」または「分離」という用語は、試料マトリックスに存在する1つまたは複数の他の構成成分と比較して、目的の1つまたは複数の分析物の量を豊富にする手順を指す。一部の実施形態では、「精製」または「分離」手順は、分析物の検出に干渉する場合がある試料の1つまたは複数の構成成分、例えば、質量分析による分析物の検出に干渉する場合がある1つまたは複数の構成成分を除去するために使用することができる。
【0076】
定量的およびリアルタイムPCR:「定量的PCR」または「qPCR」という用語は、PCR反応の開始時に使用される標的核酸配列の量の定量化を可能にする方法を記載するために使用される。「定量的PCR」という用語は、最初に存在する標的核酸配列の定量を可能にする全てのPCRベースの技術を包含する。
【0077】
「リアルタイムPCR」という用語は、PCRの各サイクル中に生成され、PCRの開始前の鋳型核酸の量に比例する生成物を検出し、測定する方法を記載するために使用される。得られた情報、例えば増幅曲線は、標的核酸の存在を判定し、および/または標的核酸配列の初期量を定量化するために使用することができる。一部の例では、リアルタイムPCRは、リアルタイム逆転写酵素PCR(rRT−PCR)である。「リアルタイムPCR」という用語は、PCR反応全体にわたってまたはリアルタイムでPCR生成物を検出することを可能にする定量的PCR技術のサブセットを示すために使用される。
【0078】
センス鎖対アンチセンス鎖:本明細書で使用する「センス鎖」という用語は、機能性タンパク質のコード配列の少なくとも1つの部分を含む二本鎖のDNA(dsDNA)の鎖を指す。本明細書で使用する「アンチセンス鎖」という用語は、センス鎖の逆相補であるdsDNAの鎖を指す。
【0079】
有意差:本明細書で使用する「有意差」という用語は、十分に当業者の知識の範囲内であり、各特定のバイオマーカーを参照しながら経験的に判定されることになる。例えば、健常対象と比較した、目的の疾患または症候群を呈する対象のバイオマーカーの発現における有意差は、統計的に有意なタンパク質の量における任意の差である。
【0080】
類似体または相同体:本明細書で使用する「類似体」または「相同体」という用語は、アミノ酸またはヌクレオチド配列に言及する場合、野生型アミノ酸配列とある程度の相同性または同一性を有するポリペプチドを意味する。相同性の比較は、眼によって、またはより一般的には、容易に利用可能な配列比較プログラムを用いて行うことができる。これらの市販されているコンピュータープログラムは、2つまたはそれよりも多い配列間のパーセント相同性を算出することができる(例えばWilbur, W. J. and Lipman, D. J., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,80:726-730)。例えば、相同性配列は、代替の実施形態では、そのアミノ酸配列が互いに少なくとも70%同一、75%同一、80%同一、85%同一、90%同一、95%同一、97%同一、または98%同一であるアミノ酸配列を含むと解釈してもよい。
【0081】
特異的:本明細書で使用する「特異的」という用語は、オリゴヌクレオチドプライマーに関連して使用する場合、適切なハイブリダイゼーションまたは洗浄条件下で、目的の標的にハイブリダイズし、目的ではない核酸に実質的にハイブリダイズすることはできないオリゴヌクレオチドまたはプライマーを指す。配列同一性のレベルがより高いほど好ましく、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性が含まれる。一部の実施形態では、特異的オリゴヌクレオチドまたはプライマーは、オリゴヌクレオチドおよび核酸が整列された場合にハイブリダイズされるかまたは増幅されることになる核酸の一部と、少なくとも4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、35、40、45、50、55、60、65、70個、またはそれよりも多い配列同一性の塩基を含む。
【0082】
当技術分野において公知のように、核酸配列を互いにハイブリダイズさせるための条件は、ストリンジェントが低いものから高いものまでの範囲として記載される場合がある。一般的に、ストリンジェントが高いハイブリダイゼーション条件は、低塩緩衝液中、高温でハイブリッドを洗浄することを指す。ハイブリダイゼーションは、当技術分野において標準的なハイブリダイゼーション溶液、例えば0.5M NaHPO
4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を使用して65℃で結合DNAをろ過し、0.25M NaHPO
4、3.5%SDSで洗浄し、続いて0.1×SSC/0.1%SDS中で、プローブの長さに応じて室温から68℃までの温度範囲で洗浄してもよい(例えば、Ausubel, F.M. et al., Short Protocols in Molecular Biology, 4
thEd., Chapter 2, John Wiley & Sons, N.Yを参照されたい)。例えば、ストリンジェントが高い洗浄は、6×SSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム中、14塩基のオリゴヌクレオチドプローブに関しては37℃、または17塩基のオリゴヌクレオチドプローブに関しては48℃、または20塩基のオリゴヌクレオチドプローブに関しては55℃、または25塩基のオリゴヌクレオチドプローブに関しては60℃、または約250ヌクレオチド長のヌクレオチドプローブに関しては、65
oCでの洗浄を含む。核酸プローブは、例えば、[γ−
32P]ATPで末端標識することによって、またはランダムプライマー標識により放射標識ヌクレオチド、例えば[α−
32P]dCTPを組み込むことによって、放射性ヌクレオチドで標識してもよい。あるいは、プローブは、ビオチン化またはフルオレセイン標識ヌクレオチドを組み込むことによって標識してもよく、プローブは、ストレプトアビジンまたは抗フルオレセイン抗体を使用して検出される。
【0083】
siRNA:本明細書で使用するsiRNA(低分子阻害性RNA)は、約20個の相補的ヌクレオチドから構成される実質的に二本鎖のRNA分子である。siRNAは、より大きい二本鎖の(ds)RNA分子が分解されることによって作成される。siRNAがmRNAと相互作用し、mRNAの分解をもたらすことによって、siRNAは、その対応するmRNAを本質的に2つに分割することにより遺伝子発現を抑制することができる。siRNAは、DNAと相互作用し、クロマチンのサイレンシングおよびヘテロクロマチンの拡大を促進することもできる。
【0084】
対象または個体または患者:本明細書で使用する「対象」または「個体」という用語は、ヒトまたは任意の非ヒト動物を指す。対象または個体は患者とすることができ、それは疾患を診断または処置するために医療提供者に提供されるヒトを指し、一部の場合では、疾患は腎線維症または関連する症候群である。ヒトは、出生前後の形態を含む。また、本明細書で使用する「個体」、「対象」または「患者」という用語は、全ての温血動物を含む。一実施形態では対象または個体または患者はヒトである。一実施形態では、個体は、腎線維症を有するか、または腎線維症を発症するリスクが高い対象または患者である。
【0085】
実質的に:本明細書で使用する「実質的に」という用語は、目的の特徴または性質の完全なまたはほぼ完全な程度もしくは度合いを示す定性的な状態を指す。生物学的技術分野の当業者であれば、生物学的および化学的現象が、完結するまで進む、および/もしくは完全な状態に進む、または確定的な結果に到達するかもしくはそのような結果を回避することは、あるとしてもめったにないことを理解するであろう。したがって、「実質的に」という用語は、多くの生物学的および化学的現象における固有の完全性の潜在的な欠如を捉えるために本明細書において使用される。
【0086】
実質的に相補的:本明細書で使用する「実質的に相補的」という用語は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることができる2つの配列を指す。当業者であれば実質的に相補的な配列が、その全長に沿ってハイブリダイズすることを必要としないことを理解するであろう。一部の実施形態では、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、少なくとも以下と同じくらいストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を指す:50%ホルムアミド、5×SSC、50mM NaH
2PO
4、pH6.8、0.5%SDS、0.1mg/mLの超音波処理されたサケ精液DNA、および5×デンハルト溶液中、42℃で一晩ハイブリダイゼーション;2×SSC、0.1%SDSで45℃で洗浄;および0.2×SSC、0.1%SDSで、45℃で洗浄。一部の実施形態では、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、20個の隣接するヌクレオチドの伸展にわたって2つの塩基よりも多く異なる2つの核酸のハイブリダイゼーションを可能にするべきではない。
【0087】
置換:本明細書で使用する「置換」という用語は、天然に存在する分子と比較してそれぞれ異なるアミノ酸またはヌクレオチドによる1つもしくは複数のアミノ酸またはヌクレオチドの置換えを指す。
【0088】
(疾患)に罹患したまたはそれを有する:疾患、障害、および/または状態を「を有する」またはこれら「に罹患した」個体または対象は、疾患、障害、および/または状態の1つまたは複数の症状と診断されているかまたはこれらを示す。
【0089】
に対する感受性が強い:疾患、障害、および/または状態「に対する感受性が強い」個体または対象は、疾患、障害、および/または状態と診断されていない。一部の実施形態では、疾患、障害、および/または状態に対する感受性が強い個体または対象は、疾患、障害、および/または状態の症状を示さない場合がある。一部の実施形態では、疾患、障害、および/または状態に対する感受性が強い個体または対象は、疾患、障害、および/または状態を発症するであろう。一部の実施形態では、疾患、障害、および/または状態に対する感受性が強い個体または対象は、疾患、障害、および/または状態を発症しないであろう。
【0090】
固体支持体:「固体支持体」または「支持体」という用語は、生体分子が結合される場合がある基質を提供する構造を意味する。例えば、固体支持体は、アッセイウェル(すなわち、マイクロタイタープレートなど)であってもよいか、または固体支持体は、アレイ上の位置、または可動支持体、例えばビーズであってもよい。
【0091】
上流および下流:本明細書で使用する「上流」という用語は、分子がタンパク質である場合、第2の残基のN末端残基を、または分子が核酸である場合、第2の残基の5’末端残基を指す。また、本明細書で使用する「下流」という用語は、分子がタンパク質である場合、第2の残基のC末端である残基を、または分子が核酸である場合、第2の残基の3’末端残基を指す。本明細書において開示するタンパク質、ポリペプチドおよびペプチド配列は、N末端アミノ酸からC末端酸まで全て挙げられ、本明細書において開示する核酸配列は分子の5’末端から分子の3’末端まで全て挙げられる。
概要
【0092】
本明細書における開示は、目的の遺伝子および/または症候群と関連する障害をより正確に診断するために使用することができる、目的の遺伝子の疾患および/または症候群におけるバイオマーカー発現の変化の検出を提供する。
【0093】
一部の実施形態では、試料は核酸を含有する。一部の実施形態では、試験するステップは、核酸シークエンシングを含む。一部の実施形態では、試験するステップは、ハイブリダイゼーションを含む。一部の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、目的のバイオマーカーの領域に特異的な1つまたは複数のオリゴヌクレオチドプローブを使用して行う。一部の実施形態では、バイオマーカー発現における変化と関連する変異を検出するために、ハイブリダイゼーションは、単一のヌクレオチドミスマッチを無効にするのに十分にストリンジェントな条件下で行う。一部の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、マイクロアレイを用いて行う。一部の実施形態では、試験するステップは、制限酵素消化を含む。一部の実施形態では、試験するステップは、PCR増幅を含む。一部の実施形態では、PCR増幅はデジタルPCR増幅である。一部の実施形態では、試験するステップは、プライマー伸長を含む。一部の実施形態では、プライマー伸長は一塩基プライマー伸長である。一部の実施形態では、試験するステップは、マルチプレックス対立遺伝子特異的プライマー伸長(ASPE)を行うことを含む。
【0094】
一部の実施形態では、バイオマーカーは、ペプチドまたはタンパク質である。一部の実施形態では、試験するステップは、アミノ酸シークエンシングを含む。一部の実施形態では、試験するステップは、目的のバイオマーカーを特に認識する1つまたは複数の抗体を使用したイムノアッセイを行うことを含む。一部の実施形態では、試験するステップは、プロテアーゼ消化(例えば、トリプシン消化)を含む。一部の実施形態では、試験するステップは、2D−ゲル電気泳動を行うことを更に含む。
【0095】
一部の実施形態では、試験するステップは、質量分析を使用して1つまたは複数のバイオマーカーの存在を判定することを含む。一部の実施形態では、質量分析のフォーマットは、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化、飛行時間型(MALDI−TOF)、エレクトロスプレー(ES)、IR−MALDI、イオンサイクロトロン共鳴(ICR)、フーリエ変換、およびこれらの組合せの中から選択される。
【0096】
一部の実施形態では、試料は、細胞、組織(例えば、組織または体液生検)、全血、口内洗浄液、血漿、血清、尿、便、唾液、臍帯血、絨毛膜絨毛試料、絨毛膜絨毛試料培養物、羊水、羊水培養物、経頸管洗浄液、無細胞核酸(例えば、DNAまたはRNAまたはmRNAまたはmiRNA)、またはこれらの組合せから得られた生物学的試料である。更なる実施形態では、試料は、妊婦および/または胎児DNA由来の血液または血液製剤(例えば、血漿または血清)から得られる。ある特定の実施形態では、試料は、血漿、羊水などからの無細胞DNAである。
【0097】
一部の実施形態では、試験するステップは、バイオマーカー(例えば、核酸、ペプチド、タンパク質または他の生体分子、例えばステロイドまたはコレステロールなど)の量を判定することを含む。一部の実施形態では、試験するステップは、バイオマーカーの所定の位置におけるヌクレオチドおよび/またはアミノ酸の同一性を判定することを含む。一部の実施形態では、バイオマーカーにおける突然変異の存在は、対照またはバイオマーカーの非変異型と、所定の位置におけるヌクレオチドおよび/またはアミノ酸の同一性を比較することによって判定する。
【0098】
実施形態では、方法は、複数の個体においてバイオマーカーまたはバイオマーカーにおける突然変異に関するアッセイ(例えば、シークエンシング)を行い、関連性の統計的有意性を判定することを含んでいてもよい。
【0099】
別の態様では、本開示は、目的のバイオマーカーを検出するための試薬、例えば、これらに限定されないが、バイオマーカー(例えば、特定の核酸または核酸配列における突然変異)に特異的に結合する核酸プローブ、またはバイオマーカーに特異的に結合する1つまたは複数のプローブを含むアレイを提供する。一部の実施形態では、本開示は、バイオマーカーに特異的に結合する抗体を提供する。一部の実施形態では、試薬のうちの少なくとも1つは、検出可能な部分で標識されている。
【0100】
一部の実施形態では、本開示は、このような試薬のうちの1つまたは複数を含むためのキットを提供する。一部の実施形態では、1つまたは複数の試薬は、マイクロアレイの形態で提供される。一部の実施形態では、キットは、プライマー伸長のための試薬を更に含む。一部の実施形態では、キットは、バイオマーカーを含まない陰性対照、および/または健常個体を示す対照および/または既知量のバイオマーカーを有する陽性対照を更に含む。一部の実施形態では、試薬のうちの少なくとも1つは、検出可能な部分で標識されている。一部の実施形態では、キットは、個体が目的の症候群または疾患を有するかどうかを、目的のバイオマーカーに基づいてどのように判定するかに関する取扱説明書を更に含む。
【0101】
一部の場合では、1つまたは複数のバイオマーカーの量は、ある特定の実施形態では、(a)バイオマーカーによって調節されるポリペプチドまたはタンパク質の量を検出すること;(b)バイオマーカーを調節するポリペプチドまたはタンパク質の量を検出すること;または(c)バイオマーカーの代謝産物の量を検出することによって検出してもよい。
【0102】
更に別の態様では、本明細書における開示は、バイオマーカーの検出に対応する情報をコードするコンピューター可読媒体を提供する。
腎線維症を診断するための方法および組成物
【0103】
本開示の実施形態は、腎線維症の存在を、または発症リスクの増加を診断するための組成物および方法を含む。本開示の方法および組成物は、対象から遺伝的および/または生化学的情報を得てまたは提供して、その対象または他の対象に関する腎線維症の発症の存在またはリスクの増加を客観的に診断するために使用してもよい。方法および組成物は、さまざまな方法で具体化してもよい。
【0104】
一実施形態では、個体において腎線維症と関連するバイオマーカーを検出するための方法であって、個体から生物学的試料を得るステップと;生物学的試料中の、バイオマーカーの量、および/またはバイオマーカーをコードするかもしくはその発現を調節する核酸(例えばゲノムDNAまたはmRNA)の量もしくはそこにおける突然変異を測定するステップとを含む方法を開示する。実施形態では、バイオマーカーは、コルチコステロン、アルドステロン、ADAMメタロペプチダーゼドメイン17(ADAM17)、C−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)、カドヘリン1(CDH1)、結合組織増殖因子(CTGF)、表皮増殖因子受容体(EGFR)、フィブロネクチン1(FN1)、ガレクチン−1(LGALS1)、ガレクチン−3(LGAS3)、肝細胞増殖因子(HGF)、細胞間接着分子1(ICAM1)、インターロイキン1ベータ(IL1B)、インターロイキン6(IL6)、クルッペル様因子15(KLF15)、マトリックスメタロペプチダーゼ2(MMP2)、マトリックスメタロペプチダーゼ7(MMP7)、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)、核因子カッパーBサブユニット1(NFKB1)、NPHS1ネフリン(NPHS1)、ポディシン(NPHS2)、核受容体サブファミリー3グループCメンバー2(NR3C2)、セルピンファミリーEメンバー1(SERPINE1)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー3(SMAD3)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、シグナル伝達転写活性化因子3(STAT3)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、ウロモデュリン(UMOD)、または血管内皮増殖因子A(VEGFA)のうちの少なくとも1つを含む。ある特定の実施形態では、バイオマーカーのうちの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個または全てを測定する。ある特定の実施形態では、バイオマーカーは、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、結合組織増殖因子(CTGF)、またはC−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)のうちの少なくとも1つを含む。ある特定の実施形態では、バイオマーカーは、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、またはSMADファミリーメンバー7(SMAD7)のうちの少なくとも1つを含む。ある特定の実施形態では、バイオマーカーは、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)またはメタロペプチダーゼ2(MMP2)のうちの少なくとも1つを含む。
【0105】
更におよび/またはあるいは、方法は、少なくとも1つの正規化(例えば、ハウスキーピング)遺伝子の測定を含んでいてもよい。非限定的な一実施形態では、ハウスキーピング遺伝子は、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼであってもよい。または、他のハウスキーピング遺伝子を使用してもよい。または、これらのバイオマーカーのさまざまな組合せの測定を行ってもよい。
【0106】
更におよび/またはあるいは、他のバイオマーカーを測定してもよい。
【0107】
本明細書において開示するさまざまな方法は、目的のバイオマーカーを測定するために使用してもよい。一実施形態では、測定することは、ペプチドまたはポリペプチドバイオマーカーを測定することを含む。例えば、一実施形態では、測定することは、イムノアッセイを含む。または、測定することは、フローサイトメトリーを含んでいてもよい。または、測定することは、質量分析を含んでいてもよい。または、本明細書において詳細に論じられる核酸方法を使用してもよい。
【0108】
さまざまな生物学的試料のタイプを使用してもよい。ある特定の実施形態では、試料は、血液、血清、血漿、体液もしくは組織生検、または無細胞核酸を含む。または、本明細書において開示する他の試料のタイプを使用してもよい。
【0109】
ある特定の実施形態では、本開示は、個体において腎線維症と関連するバイオマーカーを識別する方法を提供する。方法は、対照個体または母集団と比較して、腎線維症において発現が増加したまたは低下した少なくとも1個のバイオマーカーを識別するステップを含んでいてもよい。実施形態では、対照は、腎臓病状が検出されないかまたは検出できない健常個体である。一部の実施形態では、対照は疾患対照である。このような疾患対照は、腎線維症ではない腎臓疾患を呈する個体を含んでいてもよい。
【0110】
他の実施形態では、本開示は、個体における腎線維症の存在またはそれに対する感受性を検出するための方法を提供する。方法は、個体から生物学的試料を得るステップと;試料中の、バイオマーカーの量、および/またはバイオマーカーをコードするかもしくはその発現を調節する核酸(例えばゲノムDNAまたはmRNA)の量もしくはそこにおける突然変異を測定するステップとを含んでいてもよい。一実施形態では、バイオマーカーは、試料中に、コルチコステロン、アルドステロン、ADAMメタロペプチダーゼドメイン17(ADAM17)、C−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)、カドヘリン1(CDH1)、結合組織増殖因子(CTGF)、表皮増殖因子受容体(EGFR)、フィブロネクチン1(FN1)、ガレクチン−1(LGALS1)、ガレクチン−3(LGAS3)、肝細胞増殖因子(HGF)、細胞間接着分子1(ICAM1)、インターロイキン1ベータ(IL1B)、インターロイキン6(IL6)、クルッペル様因子15(KLF15)、マトリックスメタロペプチダーゼ2(MMP2)、マトリックスメタロペプチダーゼ7(MMP7)、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)、核因子カッパーBサブユニット1(NFKB1)、NPHS1ネフリン(NPHS1)、ポディシン(NPHS2)、核受容体サブファミリー3グループCメンバー2(NR3C2)、セルピンファミリーEメンバー1(SERPINE1)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー3(SMAD3)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、シグナル伝達転写活性化因子3(STAT3)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、ウロモデュリン(UMOD)、または血管内皮増殖因子A(VEGFA)のうちの少なくとも1つを含み、バイオマーカーに関する測定値を、バイオマーカーに関する対照値とそれぞれ比較する。ある特定の実施形態では、バイオマーカーのうちの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個または全てを測定する。ある特定の実施形態では、バイオマーカーは、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、結合組織増殖因子(CTGF)、またはC−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)のうちの少なくとも1つを含む。ある特定の実施形態では、バイオマーカーは、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、またはSMADファミリーメンバー7(SMAD7)のうちの少なくとも1つを含む。ある特定の実施形態では、バイオマーカーは、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)またはメタロペプチダーゼ2(MMP2)のうちの少なくとも1つを含む。
【0111】
実施形態では、対照値は、健常個体、または肺もしくは心血管病状が検出されていないもしくは検出不可能な個体から判定される。一部の実施形態では、対照は疾患対照である。このような疾患対照は、腎線維症ではない腎臓疾患を呈する個体を含んでいてもよい。
【0112】
更におよび/またはあるいは、方法は、少なくとも1つの正規化(例えば、ハウスキーピング)遺伝子の測定を含んでいてもよい。非限定的な一実施形態では、ハウスキーピング遺伝子は、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼであってもよい。または、他のハウスキーピング遺伝子を使用してもよい。または、これらのバイオマーカーのさまざまな組合せの測定を行ってもよい。
【0113】
更におよび/またはあるいは、他のバイオマーカーを測定してもよい。
【0114】
本明細書において開示するさまざまな方法は、目的のバイオマーカーを測定するために使用してもよい。一実施形態では、測定することは、ペプチドまたはポリペプチドバイオマーカーを測定することを含む。例えば、一実施形態では、測定することは、イムノアッセイを含む。または、測定することは、フローサイトメトリーを含んでいてもよい。または、測定することは、フローサイトメトリーを含んでいてもよい。または、測定することは、質量分析を含んでいてもよい。または、本明細書において詳細に論じられる核酸方法を使用してもよい。
【0115】
さまざまな試料のタイプを使用してもよい。ある特定の実施形態では、生物学的試料は、汗、尿、唾液、頬側スワブ、血液、血清、血漿、体液もしくは組織生検、または無細胞核酸を含む。または、本明細書において開示する他の試料のタイプを使用してもよい。
【0116】
更に他の実施形態は、個体において腎線維症と関連するバイオマーカーを検出するための組成物を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、バイオマーカーの量を測定する試薬、および/またはバイオマーカーをコードするかもしくはバイオマーカーのレベルの発現を調節する核酸(例えばゲノムDNAまたはmRNA)の量を測定するかもしくは突然変異を検出するための試薬を含む。実施形態では、バイオマーカーは、試料中に、コルチコステロン、アルドステロン、ADAMメタロペプチダーゼドメイン17(ADAM17)、C−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)、カドヘリン1(CDH1)、結合組織増殖因子(CTGF)、表皮増殖因子受容体(EGFR)、フィブロネクチン1(FN1)、ガレクチン−1(LGALS1)、ガレクチン−3(LGAS3)、肝細胞増殖因子(HGF)、細胞間接着分子1(ICAM1)、インターロイキン1ベータ(IL1B)、インターロイキン6(IL6)、クルッペル様因子15(KLF15)、マトリックスメタロペプチダーゼ2(MMP2)、マトリックスメタロペプチダーゼ7(MMP7)、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)、核因子カッパーBサブユニット1(NFKB1)、ネフリン(NPHS1)、ポディシン(NPHS2)、核受容体サブファミリー3グループCメンバー2(NR3C2)、セルピンファミリーEメンバー1(SERPINE1)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー3(SMAD3)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、シグナル伝達転写活性化因子3(STAT3)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、ウロモデュリン(UMOD)、または血管内皮増殖因子A(VEGFA)のうちの少なくとも1つを含む。ある特定の実施形態では、バイオマーカーのうちの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個または全てを測定する。ある特定の実施形態では、バイオマーカーは、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、結合組織増殖因子(CTGF)、またはC−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)のうちの少なくとも1つを含む。ある特定の実施形態では、バイオマーカーは、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、またはSMADファミリーメンバー7(SMAD7)のうちの少なくとも1つを含む。ある特定の実施形態では、バイオマーカーは、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)またはメタロペプチダーゼ2(MMP2)のうちの少なくとも1つを含む。
【0117】
更におよび/またはあるいは、組成物は、少なくとも1つの正規化(例えば、ハウスキーピング)遺伝子を測定するための試薬を含んでいてもよい。非限定的な一実施形態では、ハウスキーピング遺伝子は、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼであってもよい。または、他のハウスキーピング遺伝子を使用してもよい。または、これらのバイオマーカーのさまざまな組合せの測定を行ってもよい。
【0118】
例えば、本明細書において詳述する組成物は、ペプチドまたはポリペプチドバイオマーカーを測定するための試薬を含んでいてもよい。一実施形態では、組成物は、イムノアッセイを行うための試薬を含む。または、組成物は、フローサイトメトリーを行うための試薬を含んでいてもよい。または、組成物は、質量分析を行うための試薬を含んでいてもよい。または、本明細書において詳細に論じられる組成物は、核酸の特定の配列の存在および/または発現レベルを判定するための試薬を含んでいてもよい。各実施形態に関しては、試薬の少なくとも一部(例えば、プライマー、プローブ、抗体、または結合剤)は、検出可能な部分で標識してもよい。
【0119】
一部の実施形態では、組成物は、キットとして製剤化してもよい。したがって、他の実施形態は、本明細書において開示する組成物の少なくとも一部および/または本明細書において開示する方法を行うための試薬を含むキットを含む。一部の実施形態では、提供されるキットは、健常個体を示す対照、例えば、目的の疾患および/または症候群を有していない個体からの核酸および/またはタンパク質試料を含む。または、キットは、陰性対照(試料中にバイオマーカーを含まない)および/または試料中に既知量のバイオマーカーを含む陽性対照を含んでいてもよい。各実施形態に関しては、試薬の少なくとも一部の(例えば、プライマー、プローブ、抗体、または結合剤)は、検出可能な部分で標識してもよい。キットは、個体が目的の疾患および/または症候群を有しているかどうかを、または目的の疾患および/または症候群を発症するリスクがあるかどうかをどのように判定するかに関する取扱説明書も含んでいてもよい。このようなキットは、取扱説明書および/または更なる情報および/または取扱説明書を含むコンピューター可読媒体および/または方法を行うための他の情報を含んでいてもよい。
【0120】
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書において開示する方法を行うためのおよび/または本明細書において記載する組成物を使用するためのシステムを提供する。
ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質アッセイ
【0121】
ある特定の実施形態では、目的のバイオマーカーは、タンパク質(またはペプチドまたはポリペプチドレベル)において検出され、すなわち、遺伝子産物が分析される。例えば、タンパク質またはその断片は、アミノ酸シークエンシング方法、または目的のバイオマーカーに存在する1つもしくは複数のエピトープを特異的に認識するか、もしくは一部の場合では、目的の突然変異に対して特異的である1つまたは複数の抗体を使用したイムノアッセイによって分析することができる。タンパク質は、プロテアーゼ消化(例えば、トリプシン消化)によって分析することもでき、一部の実施形態では、消化されたタンパク質産物は、2次元ゲル電気泳動によって更に分析することができる。
抗体検出
【0122】
目的のバイオマーカーに結合する特異的抗体は、当技術分野において公知のさまざまな方法のいずれかにおいて用いることができる。特定のエピトープ、ポリペプチド、および/またはタンパク質に対する抗体は、当技術分野におけるさまざまな公知の方法のいずれかを使用して生成することができる。例えば、抗体に対する所望のエピトープ、ポリペプチド、またはタンパク質を生成し、動物、典型的には、哺乳動物(例えば、ロバ、マウス、ウサギ、ウマ、ニワトリなど)に注入することができ、動物によって産生された抗体を動物から採取することができる。モノクローナル抗体も、不死化細胞系を用いて目的の抗体を発現するハイブリドーマを産生することによって生成することができる。
【0123】
一部の実施形態では、抗体および/または他の結合剤は、本明細書において記載するような検出可能な部分で標識されている。
【0124】
抗体の検出方法は当技術分野において周知であり、その抗体の検出方法としては、これらに限定されるものではないが、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびウエスタンブロットがある。一部のこのような方法は、アレイフォーマットで行うことができる。
【0125】
例えば、一部の実施形態では、目的のバイオマーカーは、バイオマーカーを特異的に認識する第1の抗体(または抗体断片)を使用して検出する。抗体は、検出可能な部分(例えば、化学発光分子)、酵素、または第2の結合剤(例えば、ストレプトアビジン)で標識してもよい。または、第1の抗体は、当技術分野において公知のように第2の抗体を使用して検出してもよい。
【0126】
ある特定の実施形態では、方法は、捕捉支持体を添加することを更に含んでいてもよく、捕捉支持体は、バイオマーカーを認識し、そこに結合する少なくとも1つの捕捉支持体結合剤を含み、その結果、バイオマーカーが捕捉支持体上に固定化される。ある特定の実施形態では、方法は、捕捉支持体上のバイオマーカーおよび/または複数の結合剤分子の少なくとも一部を特異的に認識し、そこに結合することができる第2の結合剤を添加することを更に含んでいてもよい。実施形態では、捕捉支持体上のバイオマーカーおよび/または複数の結合剤分子の少なくとも一部を特異的に認識し、そこに結合することができる結合剤は、可溶性の結合剤(例えば、二次抗体)である。目的のバイオマーカーの結合が、酵素に対する基質を添加することによって測定され、形成された生成物の量が定量化されるように、二次抗体を(例えば、酵素を用いて)標識してもよい。
【0127】
実施形態では、捕捉固体支持体は、アッセイウェル(すなわち、マイクロタイタープレートなど)であってもよい。または、捕捉固体支持体は、アレイ上の位置、または可動支持体、例えばビーズであってもよい。または捕捉支持体は、フィルターであってもよい。
【0128】
一部の場合では、バイオマーカーは、第1の結合剤(例えば、バイオマーカーに特異的であり、検出可能な部分で標識された一次抗体)および第2の結合剤(例えば、一次抗体または第2の一次抗体を認識する二次抗体)と複合体を形成することが可能であってもよく、第2の結合剤が第3の結合剤(例えば、ビオチン)と複合体を形成する場合、次いでそれは、捕捉支持体に連結された第3の結合剤を認識する試薬(例えば、ストレプトアビジン)を有する捕捉支持体(例えば、磁気ビーズ)と相互作用することができる。次いで、複合体(標識された一次抗体:バイオマーカー:第2の一次抗体−ビオチン:ストレプトアビジン−ビーズ)を、磁石(例えば、磁性プローブ)を使用して捕捉し、複合体の量を測定してもよい。または、2つまたはそれよりも多い結合剤のそのような複合体、例えば当業者であれば公知のものの代替のバージョンを用いてもよい。例えば、一部の場合では、第1の結合剤は、検出可能な部分、例えば本明細書において記載するもので標識されている第2の結合剤を認識し、第2の結合剤は、(第1のもしくは第2の結合剤および/または第3の結合剤上に存在するリガンドを介して)捕捉支持体を認識する場合がある。
【0129】
さまざまな結合剤を、本開示の方法において使用してもよい。例えば、捕捉支持体に結合した結合剤、または第2の抗体は、バイオマーカーを認識する抗体または抗体断片のいずれかであってもよい。または、結合剤は、非タンパク質標的に結合するタンパク質(すなわち、小分子バイオマーカーに特異的に結合するタンパク質、またはタンパク質に結合する受容体など)を含んでいてもよい。
【0130】
ある特定の実施形態では、固体支持体は、不動化剤で処置してもよい。例えば、ある特定の実施形態では、目的のバイオマーカー、またはバイオマーカーを認識する一次抗体または他の結合剤は、不動化表面(すなわち、非特異的結合を減少させるために処置されている表面)上に捕捉してもよい。1つのこのような不動化剤はBSAである。更におよび/またはあるいは、使用する結合剤は抗体であり、固体支持体は、タンパク質A、タンパク質G、タンパク質A/G、タンパク質L、または結合剤(例えば、抗体)に高い親和性で結合する別の薬剤で被覆してもよい。これらのタンパク質は抗体のFcドメインに結合し、したがって目的のタンパク質または複数のタンパク質を認識する抗体の結合を方向付けることができる。
LC−MS/MSアッセイ
【0131】
液体クロマトグラフィー(LC)および/または液体クロマトグラフィー−質量分析(例えば、LC−MS/MS)アッセイを、本明細書において開示するある特定のバイオマーカーを検出するために使用してもよい。
【0132】
液体クロマトグラフィー(LC)に関しては、クロマトグラフィーカラムは、典型的には、化学的部分(すなわち、画分)の分離を促進するための媒体(すなわち、充填材料)を含む。媒体としては、微細粒子があり得る。粒子は、さまざまな化学的部分と相互作用し、化学的部分、例えば本明細書において開示するバイオマーカー分析物の分離を促進する結合表面を含む。1つの好適な結合表面は、疎水性結合表面、例えばアルキル結合表面である。アルキル結合表面は、C−4、C−8、またはC−18結合アルキル基、好ましくはC−18結合基を含んでいてもよい。クロマトグラフィーカラムは、試料を受け入れるための入口ポートおよび分画した試料を含む流出物を排出するための出口ポートを含む。方法では、試料(またはプレ−精製試料)は、入口ポートでカラムに適用し、溶媒または溶媒混合物で溶出し、出口ポートで排出してもよい。目的の異なる分析物を溶出するために、異なる溶媒モードを選択してもよい。例えば、勾配モード、アイソクラチックモード、またはポリタイプ(polytyptic)(すなわち混合)モードを使用して液体クロマトグラフィーを行ってもよい。一部の場合では、LCアッセイは、第1の精製用の抽出カラムおよびより高分解能な精製用の分析カラムの使用を含む。「分析カラム」という用語は、被検試料マトリックスの構成成分の分離をもたらすのに十分なクロマトグラフィープレートを有するクロマトグラフィーカラムを指す。好ましくは、分析カラムから溶出さる構成成分は、目的の分析物の存在または量を判定することを可能にする方法で分離する。一部の実施形態では、分析カラムは、約5μmの平均直径を有する粒子を含む。一部の実施形態では、分析カラムは、官能化シリカまたはポリマー−シリカハイブリッド、または高分子粒子またはモノリシックシリカ静止相、例えばフェニル−ヘキシル官能化分析カラムである。分析カラムは、典型的には、非保持材料から保持材料を分離するかまたは抽出し、「精製」試料を得て、更なる精製または分析を行うために使用する「抽出カラム」と区別する場合がある。
【0133】
ある特定の実施形態では、液体クロマトグラフィーとしては、高乱流液体クロマトグラフィーまたはハイスループット液体クロマトグラフィー(HTLC)があり得る。例えば、Zimmer et al., J. Chromatogr. A 854:23-35 (1999)を参照されたい;米国特許第5,968,367号;同第5,919,368号;同第5,795,469号;および5,772,874号も参照されたい。従来のHPLC分析は、カラムを通過する試料の層流が、目的の分析物を試料から分離するための基礎であるカラム充填に依存する。このようなカラムでは、分離は拡散的な方法である。乱流、例えばHTLCカラムおよび方法によって生じるものは、物質が移動する速度を高め、得られた分離特性を改善する場合がある。一部の実施形態では、高乱流液体クロマトグラフィー(HTLC)は、単独でまたは1つもしくは複数の精製方法と組み合わせて使用し、目的のバイオマーカーを精製してから、質量分析を行ってもよい。そのような実施形態において、試料は、分析物を捕捉するHTLC抽出カートリッジを使用して抽出してもよく、次いで溶出し、第2のHTLCカラムまたは分析用HPLCカラムでクロマトグラフィーを行ってから、イオン化を行う。これらのクロマトグラフィー手順に関与するステップは、自動の様式で接続することができるため、分析物の精製中にオペレーターが関与するための必須要件は最小限にすることができる。また、一部の実施形態では、高乱流液体クロマトグラフィー試料の調製方法を使用すると、液液抽出を含む他の試料の調製方法を必要とすることがなくなる場合がある。したがって、一部の実施形態では、被検試料、例えば、生物学的流体は、高乱流液体クロマトグラフィーシステムで直接処理する、例えばそこに注入することができる。
【0134】
例えば、典型的な高乱流または乱流液体クロマトグラフィーシステムでは、試料は、大きな(例えば、>25ミクロン)粒子が充填された狭い(例えば、内径0.5mmから2mm×長さ20から50mm)カラムに直接注入してもよい。流速(例えば、1分当たり3〜500mL)がカラムに適用された場合に、カラムの幅が比較的狭いため、移動相の速度は増加する。カラムに存在する大きな粒子によって、速度が増加し、背圧が生じることを阻止し、粒子間の揺れ動く渦の形成を促進し、その結果カラム内に乱流をもたらすことができる。
【0135】
高乱流液体クロマトグラフィーでは、分析物分子は、粒子に素早く結合する場合があり、通常はカラムの全長に沿って広がったり拡散したりしない。この縦方向の拡散が減少することによって、試料マトリックスからの目的の分析物の優れたより迅速な分離が一般的に得られる。更に、カラム内の乱流によって、分子が粒子の傍を通るときに生じるそれらの摩擦が一般的に減少する。例えば、従来のHPLCでは、粒子の最も近くを通る分子は、粒子間の進路の中心を通って流れるものよりもゆっくりとカラムに沿って移動する。流速におけるこの差によって、分析物の分子がカラムの全長に沿って広がる。乱流がカラムに導入された場合、粒子からの分子の摩擦はごくわずかであり、縦方向の拡散が減少する。
【0136】
本開示の方法およびシステムは、質量分析を使用し、目的のバイオマーカーを検出し、定量化してもよい。本明細書で使用する「質量分析」または「MS」という用語は、その質量電荷比率または「m/z」に基づいてイオンをろ過し、検出し、測定する方法を一般的に指す。MS技術では、目的の1つまたは複数の分子がイオン化され、その後、イオンが質量分析計に導入され、電界の組合せによって、イオンが質量(「m」)および電荷(「z」)に依存する空間の進路をたどる。
【0137】
ある特定の実施形態では、質量分析計は「四重極」システムを使用する。「四重極」または「四重極イオントラップ」質量分析計では、振動無線周波数(RF)電場内のイオンは、電極間に適用された直流(DC)電圧、RFシグナルの振幅、およびm/zに比例する力を経験する。電圧および振幅は、特定のm/zを有するイオンのみが四重極の全長を通り、同時に全ての他のイオンが偏向されるように選択することができる。したがって、四重極の機器は、機器に注入されたイオンのための「質量フィルター」と「質量検出器」の両方として作動することができる。
【0138】
ある特定の実施形態では、タンデムマススペクトロメトリーを使用する。例えば、「Methodsand Apparatus for Tandem Mass Spectrometry」と題される米国特許第6,107,623号を参照されたく、これは、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。ある特定の実施形態では、MS技術の選択性は、「タンデムマススペクトロメトリー」または「MS/MS」を使用することによって強化することができる。MS/MSの選択性は、一部では分析前の大規模な試料の浄化の必要性を最小化することができるため、MS/MS方法は、複雑な混合物、特に生物学的試料の分析にある程度有用である。
【0139】
実施形態では、本開示の方法およびシステムは、トリプル四重極MS/MSを使用する(例えば、Yost, Enke in Ch. 8 of Tandem Mass Spectrometry, Ed. McLafferty,pub. John Wiley and Sons, 1983を参照されたい)。トリプル四重極MS/MS機器は、典型的には、フラグメンテーション手段によって分離された2つの四重極質量フィルターからなる。一実施形態では、機器は、イオン封じ込めまたは伝達デバイスとしてRFのみのモードで操作される四重極マスフィルターを備えていてもよい。実施形態では、四重極は、衝突ガスを1から10ミリトールの間の圧力で更に備えていてもよい。多くの他のタイプの「ハイブリッド」タンデム質量分析計も公知であり、磁気セクター分析器および四重極フィルターのさまざまな組合せを含む本開示の方法およびシステムにおいて使用することができる。これらのハイブリッド機器は、高分解能磁気セクター分析器(すなわち、二重集束の組合せで配置される磁気セクターと静電的セクターの両方を備えた分析器)を、質量フィルターのいずれかまたは両方として備えていることが多い。高分解能質量フィルターを使用すると、化学的ノイズを非常に低レベルに減少させるのに非常に効果的であり得る。
【0140】
本開示の方法およびシステムに関しては、さまざまな方法を使用してイオンを生成することができ、その方法としては、これらに限定されないが、電子イオン化、化学的イオン化、高速原子衝突、電解脱離、およびマトリックス支援レーザー脱離イオン化(「MALDI」)、表面増強レーザー脱離イオン化(「SELDI」)、光子イオン化、エレクトロスプレーイオン化、および誘導結合プラズマがある。
【0141】
複数の分析物を、LC−MS/MSおよび2D−LC−MS/MS方法によって同時にまたは連続的に分析することができる。現在開示されている方法による分析に適した例示的な分析物としては、これらに限定されるものではないが、ビタミン、ステロイド、ペプチド、タンパク質、および核酸がある。当業者であれば、現在開示されている対象物質をレビューした後に、他の同様の分析物が、本明細書において開示する方法およびシステムによって分析することができることを認識するであろう。したがって、代替の実施形態では、方法およびシステムは、ビタミン、ペプチドおよびタンパク質バイオマーカー、乱用薬物および治療薬物を定量化するために使用してもよい。例えば、各分析物に関するカギとなるパラメーターの最適化は、高度に調整された生物分析アッセイを提供するためのモジュール式方法の開発戦略を使用して行うことができる。したがって、ある特定のステップは、本明細書において開示するように測定される分析物に応じて多様であってもよい。
【0142】
また、本開示の方法およびシステムの実施形態は、測定される分析物のうちの多くに関して以前に達成可能であった感度よりも優れた感度を提供する場合がある。例えば、この最適化手順を使用することによって、1デシリットル当たり約0.05ミリグラム(mg/dL)、または0.1mg/dL未満、または1mg/dL未満、または5mg/dL未満の定量(LOQ)下限値が達成される。検出のレベルによって、0.5mLから1mLを超える範囲の試料体積の分析が可能となる場合がある。
核酸アッセイ
【0143】
ある特定の実施形態では、本明細書において開示するバイオマーカーは核酸レベルで検出される。一実施形態では、本開示は、対象における目的の症候群または疾患(例えば、腎線維症)の発症の存在をまたは発症のリスクの増加を診断するための方法を含む。本方法は、対象からの組織または体液試料から核酸を得るステップと、アッセイを行い、核酸(例えば、DNAまたはRNAまたはmRNA)バイオマーカーの量を測定するステップとを含んでいてもよい。
【0144】
更におよび/またはあるいは、方法は、対象からの組織または体液試料から核酸を得るステップと、アッセイを行い、対象の核酸においてバリアント配列(すなわち、突然変異)が存在するかどうかを識別するステップとを含んでいてもよい。ある特定の実施形態では、方法は、バリアントを、目的の症候群または疾患と関連する公知のバリアントと比較し、バリアントが目的の症候群または疾患と関連するすでに識別されているバリアントであるかどうかを判定することを含んでいてもよい。または、方法は、バリアントを、新規の以前に特徴付けられていないバリアントとして識別することを含んでいてもよい。バリアントが新規のバリアントである場合、方法は、分析を行い、突然変異が、遺伝子の発現および/または遺伝子によってコードされるタンパク質の機能に対して有害であることが予想されるかどうかを判定することを更に含んでいてもよい。方法は、バリアントプロファイル(すなわち、対象における識別された変異の編集)を使用し、目的の症候群もしくは疾患の存在または目的の症候群もしくは疾患を発症するリスクの増加を診断することを更に含んでいてもよい。
【0145】
核酸分析は、ゲノムDNA(無細胞DNAを含む)、メッセンジャーRNA(無細胞RNAを含む)、および/またはRNAから作製されたcDNAに対して行うことができる。また、さまざまな実施形態において、核酸は、遺伝子、RNA、エクソン、イントロン、遺伝子調節エレメント、発現RNA、siRNA、またはエピジェネティックエレメントを含む。また、スプライス部位、転写因子結合、A−I編集部位、マイクロRNA結合部位、および機能性RNA構造部位を含む調節エレメントを、変異(すなわち、バリアント)に関して評価してもよい。したがって、本開示の方法および組成物のそれぞれに関しては、バリアントは、以下のうちの少なくとも1つを包含する核酸配列を含んでいてもよい:(1)AからIへの編集部位;(2)スプライス部位;(3)保存された機能性RNA構造;(4)検証された転写因子結合部位(TFBS);(5)マイクロRNA(miRNA)結合部位;(6)ポリアデニル化部位;(7)公知の調節エレメント;(8)miRNA遺伝子;(9)ROIにおいてコードされた小さい核小体RNA遺伝子;および/または(10)胎盤哺乳動物にわたる超保存エレメント。
【0146】
多くの実施形態では、核酸は生物学的試料から抽出する。一部の実施形態では、核酸は、増幅することなく分析する。一部の実施形態では、核酸は、当技術分野において公知の技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))、定量的PCRおよび/またはリアルタイムPCR(核酸の量を判定するため)を使用して増幅し、増幅した核酸をその後の分析において使用する。いくつかのアプリコン(例えば、異なるゲノム領域から)を、複数のプライマー対のセットを使用して一度に増幅させるマルチプレックスPCRを用いてもよい。例えば、核酸は、シークエンシング、ハイブリダイゼーション、PCR増幅、制限酵素消化、プライマー伸長、例えば一塩基プライマー伸長またはマルチプレックス対立遺伝子特異的プライマー伸長(ASPE)、またはDNAシークエンシングによって分析することができる。一部の実施形態では、核酸は、野生型対立遺伝子に関する増幅生成物のサイズが変異体対立遺伝子のものと異なるような様式で増幅される。したがって、特定の変異体対立遺伝子の存在の有無は、例えば、電気泳動ゲルで増幅生成物のサイズの違いを検出することによって判定することができる。例えば、遺伝子領域の削除または挿入は、サイズベースのアプローチを使用するのに特に適している場合がある。
【0147】
ある特定の例示的な核酸分析方法を以下に詳述する。
対立遺伝子特異的増幅
【0148】
一部の実施形態では、例えば、目的の疾患および/または症候群に関するバイオマーカーが突然変異である場合、バイオマーカーは、対立遺伝子特異的増幅アッセイを使用して検出する。このアプローチは、特異的対立遺伝子のPCR増幅(PASA)(Sarkar, et al., 1990 Anal. Biochem. 186:64-68)、対立遺伝子特異的増幅(ASA)(Okayama, et al., 1989 J. Lab. Clin. Med. 114:105-113)、対立遺伝子特異的PCR(ASPCR)(Wu, et al. 1989 Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 86:2757-2760)、および増幅抵抗性突然変異システム(ARMS)(Newton, et al., 1989 Nucleic Acids Res. 17:2503-2516)とさまざまに称される。これらの参考文献の内容全体が、本明細書にそれぞれ組み込まれるものとする。この方法は、単一の塩基置換、ならびにマイクロの削除/挿入に適用可能である。
【0149】
例えば、PCRベースの増幅方法に関しては、増幅プライマーを、それらが異なる対立遺伝子間(例えば、野生型対立遺伝子と変異体対立遺伝子との間)で識別できるように設計してもよい。したがって、増幅生成物の存在の有無は、遺伝子突然変異が所与の核酸試料に存在するかどうかを判定するために使用することができる。一部の実施形態では、対立遺伝子特異的プライマーを、増幅生成物の存在が遺伝子突然変異の指標であるように設計することができる。一部の実施形態では、対立遺伝子特異的プライマーを、増幅生成物の不在が遺伝子突然変異の指標であるように設計することができる。
【0150】
一部の実施形態では、2つの相補的反応を使用する。一方の反応は、野生型対立遺伝子に特異的なプライマーを用い(「野生型特異的反応」)、他方の反応は、変異体対立遺伝子に関するプライマーを用いる(「変異体特異的反応」)。2つの反応は、一般的な第2のプライマーを用いてもよい。特定の対立遺伝子(例えば、野生型対立遺伝子または変異体対立遺伝子)に特異的なPCRプライマーは、標的の1つの対立遺伝子バリアントと一般的に完全に一致するが、他の対立遺伝子バリアント(例えば、変異体対立遺伝子または野生型対立遺伝子)と一致しない。ミスマッチは、プライマーの3’末端に/その付近に位置する場合があり、完全に一致した対立遺伝子の優先的な増幅をもたらす。増幅生成物を1つまたは両方の反応から検出することができるかどうかが、変異体対立遺伝子の存在の有無を示す。野生型特異的反応のみからの増幅生成物の検出が、野生型対立遺伝子のみの存在(例えば、野生型対立遺伝子のホモ接合性)を示す。変異体特異的反応における増幅生成物の検出は、変異体対立遺伝子のみの存在(例えば、変異体対立遺伝子のホモ接合性)を示すにすぎない。両反応からの増幅生成物の検出は、(例えば、ヘテロ接合体)を示す。本明細書で使用するこのアプローチは、「対立遺伝子特異的増幅(ASA)」と称されることになる。
【0151】
対立遺伝子特異的増幅は、ジャンクションにわたって部分的にハイブリダイズするプライマーを使用することによって、重複、挿入、または反転を検出するためにも使用することができる。ジャンクションのオーバーラップの程度は、特異的増幅を可能にするように変えることができる。
【0152】
増幅生成物は、サイズによって核酸を分離するためのゲルを介して(例えば、電気泳動によって)移動した核酸のバンドを(例えば、1つまたは複数の染料を用いて)可視化することによることを含む、当技術分野において公知の方法によって調べることができる。
対立遺伝子特異的プライマー伸長
【0153】
一部の実施形態では、対立遺伝子特異的プライマー伸長(ASPE)のアプローチを、遺伝子変異を検出するために使用する。ASPEは、伸長生成物が特定の対立遺伝子(例えば、変異体対立遺伝子または野生型対立遺伝子)の存在においてのみ得られるように、伸長反応における対立遺伝子間(例えば、変異体対立遺伝子と野生型対立遺伝子との間)で識別することができる対立遺伝子特異的プライマーを用いる。伸長生成物は、例えば、伸長反応において標識されたデオキシヌクレオチドを用いることによって、検出可能であっても検出可能になってもよい。さまざまな検出可能な部分(すなわち、標識)のいずれかは、これらの方法における使用に適合し、その検出可能な部分としては、これらに限定されないが、放射性標識、蛍光標識、化学発光標識、酵素標識などがある。一部の実施形態では、ヌクレオチドは、その後検出可能な標識、例えば、ストレプトアビジンコンジュゲート蛍光染料が結合することができるビオチン分子に(直接的にまたは間接的に)結合することができる実体で標識される。一部の実施形態では、反応は、例えば、同じ伸長反応における多くの対立遺伝子特異的プライマーを使用してマルチプレックスで行う。
【0154】
一部の実施形態では、伸長生成物は、固形物または半固体支持体、例えばビーズ、マトリックス、ゲルなどにハイブリダイズする。例えば、伸長生成物は、特定の核酸配列(例えば、対立遺伝子特異的プライマーの一部として含まれる)でタグ付けしてもよく、固体支持体は、「抗タグ」(例えば、伸長生成物におけるタグに相補的な核酸配列)に付着させてもよい。伸長生成物は、固体支持体上で捕捉し、検出することができる。例えば、ビーズを選別し、検出してもよい。この様式で用いることができる1つのこのようなシステムは、TM Bioscience製のLUMlNEX(商標)MAPシステムであり、これは嚢胞性線維症の突然変異の検出に適応することができ、ユニバーサルビーズアレイ(TAG−IT(商標))として販売されている。
単一ヌクレオチドプライマー伸長
【0155】
一部の実施形態では、プライマーが、1つのヌクレオチドのみによって伸長するように設計された、単一ヌクレオチドプライマー伸長(SNuPE)アッセイを使用する。このような方法では、プライマーの3’末端のすぐ下流にあるヌクレオチドの同一性は公知であり、野生型対立遺伝子と比較して変異体対立遺伝子の点で異なる。SNuPEは、1つの特定の種類のデオキシヌクレオチドのみが標識された(例えば、dATPが標識された、dCTPが標識された、dGTPが標識された、またはdTTPが標識された)伸長反応を使用して行うことができる。したがって、検出可能な伸長生成物の存在は、目的の位置(例えば、プライマーの3’末端のすぐ下流にある位置)におけるヌクレオチドの同一性の指標として、したがってその位置における突然変異の存在の有無の指標として使用することができる。SNuPEは、米国特許第5,888,819号;米国特許第5,846,710号;米国特許第6,280,947号;米国特許第6,482,595号;米国特許第6,503,718号;米国特許第6,919,174号;Piggee, C. et al. Journal of Chromatography A 781 (1997), p. 367-375("Capillary Electrophoresis for the Detection of Known Point Mutations bySingle-Nucleotide Primer Extension and Laser-Induced FluorescenceDetection"); Hoogendoorn, B. et al., Human Genetics (1999) 104:89-93,("Genotyping Single Nucleotide Polymorphism by Primer Extension and HighPerformance Liquid Chromatography")に記載されているように行うことができる。
【0156】
突然変異の存在の有無を正確で迅速に検出するために、一部の実施形態では、プライマー伸長を質量分析と組み合わせることができる。米国特許第5,885,775号、Haffら(analysis of single nucleotide polymorphism analysis by massspectrometry);米国特許第7,501,251号、Koster(DNA diagnosisbased on mass spectrometry)を参照されたい。好適な質量分析のフォーマットとしては、これらに限定されるものではないが、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化、飛行時間型(MALDI−TOF)、エレクトロスプレー(ES)、IR−MALDI、イオンサイクロトロン共鳴(ICR)、フーリエ変換、およびこれらの組合せがある。
オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ
【0157】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(「OLA」または「OL」)を使用する。OLAは、標的分子の短鎖の隣接配列にハイブリダイズすることができるように設計された2つのオリゴヌクレオチドを用いる。典型的には、オリゴヌクレオチドのうちの1つは、ビオチン化されており、他は、例えばストレプトアビジンコンジュゲート蛍光部分で検出可能に標識されている。正確な相補的配列が標的分子において認められる場合、オリゴヌクレオチドは、その末端が隣接するようにハイブリダイズすることになり、ライゲーション基質を生成し、それを捕捉し、検出することができる。例えば、Nickerson et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87:8923-8927、Landegren, U. et al. (1988) Science 241:1077-1080および米国特許第4,998,617号を参照されたい。
ハイブリダイゼーションアプローチ
【0158】
一部の実施形態では、核酸の存在は、配列の少なくとも一部を含むプローブにハイブリダイゼーションすることによって検出するおよび/または定量化する。
【0159】
一部の実施形態では、核酸は、目的のバイオマーカーに特異的であり、単一ヌクレオチドミスマッチを無効にするのに十分にストリンジェントな条件下で、1つまたは複数のオリゴヌクレオチドプローブを使用したハイブリダイゼーションによって分析する。ある特定の実施形態では、好適な核酸プローブは、正常遺伝子と変異体遺伝子との間で識別することができる。したがって、例えば、当業者であれば、個体が特定の対立遺伝子に関するホモ接合体であるかヘテロ接合体であるかを判定するために、本発明のプローブを使用することができる。
【0160】
核酸ハイブリダイゼーション技術は当技術分野において周知である。当業者であれば、少なくとも所望のレベルの相補性を有する配列が安定にハイブリダイズすることになり、同時に相補的がより低いものはならないことになるようにハイブリダイゼーション条件のストリンジェントさをどのように推定し、調整するかは理解している。ハイブリダイゼーション条件およびパラメーターの例に関しては、例えば、Sambrook, et al., 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Second Edition, Cold Spring Harbor Press, Plainview, N.Y.;Ausubel, F. M. et al.1994, Current Protocols in Molecular Biology. John Wiley & Sons, Secaucus,N.Jを参照されたい。
【0161】
一部の実施形態では、バイオマーカー核酸配列をハイブリダイズするプローブ分子は、液相または、更に好ましくは、固相ハイブリダイゼーションによって、増幅生成物におけるこのような配列を検出するために使用することができる。固相ハイブリダイゼーションは、例えば、プローブをマイクロチップに取り付けることによって達成することができる。
【0162】
核酸プローブは、リボ核酸および/またはデオキシリボ核酸を含んでいてもよい。一部の実施形態では、提供される核酸プローブはオリゴヌクレオチド(すなわち、「オリゴヌクレオチドプローブ」)である。一般的に、オリゴヌクレオチドプローブは、目的の遺伝子の相同領域に特異的に結合するのに十分に長いが、プローブと試験されることになる核酸試料との間の1つのヌクレオチドの差がハイブリダイゼーションを攪乱するように十分に短い。典型的には、オリゴヌクレオチドプローブのサイズは、およそ10から100ヌクレオチドまで変化する。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、15から90、15から80、15から70、15から60、15から50、15から40、15から35、15から30、18から30、または18から26ヌクレオチド長まで変化する。当業者であれば理解するように、オリゴヌクレオチドプローブの最適な長さは、オリゴヌクレオチドプローブが用いられ得る特定の方法および/または条件に依存する場合がある。
【0163】
一部の実施形態では、核酸プローブは、例えば核酸増幅および/または伸長反応のためのプライマーとして有用である。例えば、ある特定の実施形態では、バリアントに関して評価することになる遺伝子配列は、エクソン配列を含む。ある特定の実施形態では、エクソン配列および追加のフランキング配列(例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55ヌクレオチドのまたはそれよりも多いUTRおよび/またはイントロン配列)はアッセイで分析する。または、イントロン配列または他の非コード領域が、潜在的に有害な変異に関して評価される場合がある。または、これらの配列の一部を使用してもよい。このようなバリアント遺伝子配列は、本明細書において記載する変異のうちの少なくとも1つを有する配列を含んでいてもよい。
【0164】
本開示の他の実施形態は、目的の症候群および/または疾患と関連する変異を含む単離された遺伝子配列を提供する。このような遺伝子配列は、対象に関する腎線維症の発症の存在またはリスクの増加を客観的に診断するために使用してもよい。ある特定の実施形態では、単離された核酸は、非バリアント配列またはバリアント配列のいずれか1つまたはこれらの組合せを含んでいてもよい。例えば、ある特定の実施形態では、遺伝子配列はエクソン配列を含む。ある特定の実施形態では、エクソン配列および追加のフランキング配列(例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55ヌクレオチドのまたはそれよりも多いUTRおよび/またはイントロン配列)はアッセイで分析する。または、イントロン配列または他の非コード領域を使用してもよい。または、これらの配列の一部を使用してもよい。ある特定の実施形態では、遺伝子配列は、本明細書において開示するバイオマーカー遺伝子のうちの少なくとも1つからのエクソン配列を含む。
【0165】
一部の実施形態では、核酸プローブは、本明細書において記載する検出可能な部分で標識される。
定量的およびリアルタイムPCR
【0166】
定量的PCRは当技術分野において公知であり、PCR反応の開始時に存在する標的バイオマーカー核酸配列の量を定量化するために使用してもよい。リアルタイムPCRの原理は、例えば、Held et al. "Real Time Quantitative PCR" Genome Research6:986-994 (1996)に全般的に記載されている。一般的に、リアルタイムPCRは、各増幅サイクルにおけるシグナルを測定する。一部のリアルタイムPCR技術は、全ての増殖サイクルが完了したときにシグナルを放出するフルオロフォアに依存する。このようなフルオロフォアの例は、二本鎖のDNAに結合すると、定義された波長において蛍光を放出する蛍光染料、例えばSYBRグリーンである。したがって、各増幅サイクル中に二本鎖のDNAが増加すると、PCR生成物の蓄積に起因する蛍光強度が増加する。リアルタイムPCRにおける検出のために使用されるフルオロフォアの別の例は、この文献の他の箇所で記載している配列特異的蛍光レポータープローブである。このようなプローブの例はTaqMan(登録商標)プローブである。配列特異的レポータープローブの使用によって、標的配列の検出が高い特異度で提供され、非特異的DNA増幅の存在下でさえ定量が可能になる。蛍光プローブは、同じ反応においていくつかの遺伝子を検出するための、異なる色の標識を有する特異的プローブに基づいた、マルチプレックスアッセイにも使用することができる。例えば、マルチプレックスアッセイは、同じPCR反応混合物中で、さまざまなフルオロフォアで標識されたいくつかの配列特異的プローブを使用することができ、そのフルオロフォアとしては、これらに限定されないが、FAM、JA270、CY5.5、およびHEXがある。
【0167】
リアルタイムPCRは、PCR反応の過程で測定可能なパラメーター、例えば蛍光の検出に依存する。測定可能なパラメーターの量は、PCR生成物の量に比例し、それによって「リアルタイムでの」PCR生成物の増加の観察が可能となる。一部のリアルタイムPCR方法は、PCR反応の観察可能な進行に基づいて投入DNA鋳型の定量化を可能にする。データの分析および処理を以下に記載する。核酸増幅アッセイの文脈において、「成長曲線」または「増幅曲線」は、独立変数が増幅サイクルの数であり、従属変数が、フルオロフォアによって放出される蛍光のように増幅の各サイクルで測定される増幅依存性の測定可能なパラメーターである関数のグラフである。上記で検討されたように、増幅した標的核酸の量は、フルオロフォア標識プローブを使用して検出することができる。典型的には、増幅依存性の測定可能なパラメーターは、ハイブリダイゼーション時に、または核酸ポリメラーゼのヌクレアーゼ活性によるプローブの加水分解時に、プローブによって放出される蛍光の量である。蛍光放出における増加はリアルタイムで測定され、標的核酸増幅(例えば、インフルエンザ核酸増幅)における増加と直接関連する。一部の例では、蛍光(dR
n)における変化は、式dR
n=R
n+−R
n−(式中、R
n+は、各時点における生成物の蛍光放出であり、R
n−は、ベースラインの蛍光放出である)を使用して計算される。dR
n値を、サイクル数に対してプロットし、増幅プロットが得られる。典型的なポリメラーゼ連鎖反応では、成長曲線は、指数関数的成長の、続いてプラトーなセグメントを含み、直線スケールを使用した場合にS字型の増幅プロットが得られる。成長曲線は、「クロスポイント」値または「C
p」値によって特徴付けられ、これは「閾値」または「サイクル閾値」(C
t)と称する場合もあり、測定可能なパラメーターが所定の大きさに達した場合のサイクル数である。例えば、フルオロフォア標識プローブを用いる場合、閾値(C
t)は、蛍光放出(dR
n)が選択された閾値を超えるPCRサイクル数であり、これは典型的には、ベースラインの標準偏差の10倍である(しかし、この閾値レベルは必要に応じて変更することができる)。C
t値が低いほど、増幅の完了が速いことを表し、同時に、C
t値が高いほど、増幅の完了が遅いことを表す。増幅の効率が類似している場合、C
t値が低いほど標的核酸の出発量が多いことを反映し、同時に、C
t値が高いほど、標的核酸の出発量が少ないことを反映する。既知の濃度の対照核酸を、さまざまな既知の濃度の対照核酸で「標準曲線」または一連の「対照」C
t値を生成するために使用する場合、標的および対照核酸のC
t値を比較することによって、試料中の標的核酸の絶対量を判定することが可能になる。
アレイ
【0168】
本明細書において述べるさまざまな方法は、バイオマーカーのセットを単一の実験において分析および/または検出することを可能にするアレイを用いた使用に適応してもよい。例えば、複数のバイオマーカー(またはこれらの一部)および/またはバイオマーカーを含む複数の変異は、同時に分析することができる。特に、核酸試薬(例えば、プローブ、プライマー、オリゴヌクレオチドなど)の使用を伴う方法は、アレイベースのプラットフォーム(例えば、マイクロアレイ)への適応に特に適する。一部の実施形態では、アレイは、目的のバイオマーカーにおける変異の検出に対して特異的な1つまたは複数のプローブを含む。
DNAシークエンシング
【0169】
ある特定の実施形態では、目的のバイオマーカーの診断は、核酸シークエンシングによって、配列、ゲノム位置もしくは配置における変化を、および/または核酸もしくは核酸パネルのゲノムのコピー数を検出することによって行う。
【0170】
一部の実施形態では、方法は、対象からの組織または体液試料から核酸を得ることと、核酸の少なくとも一部をシークエンシングして、少なくとも1つの遺伝子に関する試料核酸配列を得ることとを含んでいてもよい。ある特定の実施形態では、方法は、バリアントを腎線維症と関連する公知のバリアントと比較し、バリアントが、腎線維症と関連するものとしてすでに識別されているバリアントかどうかを判定することを含んでいてもよい。または、方法は、新規の以前に特徴付けられていないバリアントとしてバリアントを識別することを含んでいてもよい。バリアントが新規のバリアントである場合、または一部の場合では以前に特徴付けられた(すなわち、識別された)バリアントである場合、方法は、分析を行い、突然変異が、遺伝子の発現および/または遺伝子によってコードされるタンパク質の機能に対して有害であることが予想されるかどうかを判定することを更に含んでいてもよい。方法は、バリアントプロファイル(すなわち、対象において識別されたバリアントの編集物)を使用し、腎線維症の存在または腎線維症を発症するリスクの増加を診断することを更に含んでいてもよい。
【0171】
例えば、ある特定の実施形態では、次世代(超並列シークエンシング)を使用してもよい。または、サンガーシークエンシングを使用してもよい。または、次世代(超並列シークエンシング)およびサンガーシークエンシングの組合せを使用してもよい。更におよび/またはあるいは、シークエンシングは、合成による単一分子シークエンシングのうちの少なくとも1つを含む。したがって、ある特定の実施形態では、複数のDNA試料をプールで分析し、変化を示す試料を識別する。更にまたはあるいは、ある特定の実施形態では、複数のDNA試料を複数のプールで分析し、少なくとも2つのプールで同一の変化を示す個体試料を識別する。
【0172】
シークエンシングを行うための1つの従来の方法は、Sanger et al.,1977, Proc Natl Acad Sci U S A, 74:5463-67に記載されているような連鎖停止およびゲル分離によるものである。別の従来のシークエンシング方法は、核酸断片の化学的分解を伴う。Maxam et al., 1977, Proc. Natl. Acad. Sci., 74:560-564を参照されたい。また、ハイブリダイゼーションによるシークエンシングに基づいた方法が開発されている。例えば、Harrisら、米国特許出願公開第20090156412号を参照されたい。
【0173】
他の実施形態では、核酸のシークエンシングは、PCRなどの方法による増幅によって、単一分子または単一分子由来のほぼ同一の分子のグループを超並列シークエンシング(「次世代シークエンシング」としても公知である)することによって達成される。超並列シークエンシングは、例えば、Lapidusら、米国特許第7,169,560号、Quakeら、米国特許第6,818,395号、Harris、米国特許第7,282,337号およびBraslavsky, et al., PNAS (USA), 100: 3960-3964 (2003)で示され、その内容は、参照により本明細書にそれぞれ組み込まれるものとする。
【0174】
次世代シークエンシングでは、PCRまたは全ゲノム増幅を核酸に対して行って、分析に十分な量の核酸を得ることができる。次世代シークエンシングの一部の形態では、方法は、増幅されていないDNAからDNA配列を評価することができるため、増幅は必須ではない。判定されると、被検試料からの核酸の配列および/またはゲノム配置および/またはゲノムコピー数を、これらの試料が採取された時点で腎線維症に罹患したことが認められていない1つまたは複数の個体由来の標準参照と比較する。被検試料からの核酸の配列および/またはゲノム配置および/またはゲノム配置および/またはコピー数と標準参照との間の全ての差をバリアントと考える。
【0175】
次世代(超並列シークエンシング)では、目的の全ての領域のシークエンスが一緒に行われ、読み取られる各配列の起点は、参照配列と(アラインメントを)比較することによって判定される。目的の領域は、1つの反応で一緒に富化するか、または個別に富化し、次いで合わせてからシークエンシングを行ってもよい。ある特定の実施形態では、アッセイに含まれる遺伝子のコードエクソン由来のDNA配列は、無作為に断片化されたゲノムDNAを特定のRNAプローブにバルクハイブリダイゼーションすることによって富化される。同じアダプター配列が全ての断片の末端に付着し、1つの反応で1つのプライマー対を用いたPCRによって、全てのハイブリダイゼーションで捕捉された断片が富化される。ハイブリダイゼーションによってあまり効率的に捕捉されていない領域は、特異的プライマーを用いたPCRによって増幅される。更に、特異的プライマーを用いたPCRは、類似の配列(「疑似エクソン」)がゲノムの他の箇所で存在するエクソンを増幅するために使用してもよい。
【0176】
超並列シークエンシングを使用するある特定の実施形態では、PCR生成物を連結させ、長い一続きのDNAを形成し、これを(例えば、音響エネルギーによって)短断片に切断する。このステップによって、断片末端が、目的の領域全体にわたって分布することが確実になる。その後、一続きのdAヌクレオチドを各断片の3’末端に加え、これによって断片はオリゴ(dT)プライマーで被覆された平面に結合する(「フローセル」)。次いで各断片を、蛍光標識されたヌクレオチドを用いてオリゴ(dT)プライマーを伸長することによってシークエンスを決定してもよい。各シークエンシングサイクル中、1種類のヌクレオチド(A、G、T、またはC)のみが添加され、これによって1つのヌクレオチドのみが、連鎖停止ヌクレオチドの使用を介して組み込まれることが可能となる。例えば、1回目のシークエンシングサイクル中、蛍光標識されたdCTPを添加してもよい。このヌクレオチドが、次のヌクレオチドとしてCを必要とするその成長中の相補的DNA鎖にのみに組み込まれることになる。各シークエンシングサイクルの後、フローセルの画像を撮影し、どの断片が伸長されたかを判定する。Cを組み込んだDNA鎖は光を放出することになり、同時にCを組み込んでいないDNA鎖は暗く見えることになる。連鎖停止を逆にし、成長中のDNA鎖を再び伸長させ、方法を合計で120サイクル繰り返す。
画像を、「リード」と通常称される、各断片の3’末端の25から60塩基を繰り返す塩基の文字列に変換する。次いでリードを、分析されたDNAに関する参照配列と比較する。25塩基の任意の所与の文字列は、ヒトゲノムにおいて典型的には1回だけ発生するため、大部分のリードはヒトゲノムにおいて1つの特定の場所に「整列させる」ことができる。最後に、各ゲノム領域のコンセンサス配列を、利用可能なリードから構築し、その位置における参照の正確な配列と比較してもよい。コンセンサス配列と参照との間の任意の差を配列バリアントと称する。
検出可能な部分
【0177】
ある特定の実施形態では、本発明に従って使用するおよび/または本発明が提供するある特定の分子(例えば、核酸プローブ、抗体など)は、1つもしくは複数の検出可能な実体または部分を含み、すなわち、このような分子はこのような実体または部分で「標識」されている。
【0178】
さまざまな検出可能な薬剤のいずれかを、本開示の実施において使用することができる。好適な検出可能な薬剤としては、これらに限定されるものではないが:さまざまなリガンド、放射性核種;蛍光染料;化学発光剤(例えば、アクリジニウム(acridinum)エステル、安定化ジオキセタンなど);生物発光剤;スペクトル分解可能な無機蛍光半導体ナノ結晶(すなわち、量子ドット);微粒子;金属ナノ粒子(例えば、金、銀、銅、白金など);ナノクラスター;常磁性金属イオン;酵素;比色標識(例えば、染料、コロイド金など);ビオチン;ジオキシゲニン;ハプテン;および抗血清またはモノクローナル抗体が利用可能であるタンパク質がある。
【0179】
一部の実施形態では、検出可能な部分はビオチンである。ビオチンは、それ自体が検出可能である他の部分(例えば、蛍光部分)に典型的には(直接的にまたは間接的に)コンジュゲートしているアビジン(例えば、ストレプトアビジン)に結合することができる。
【0180】
以下に、使用してもよい一部の検出可能な部分の一部の非限定的な例を記載する。
蛍光染料
【0181】
ある特定の実施形態では、検出可能な部分は蛍光染料である。さまざまな化学構造および物理的特性の多くの公知の蛍光染料が、本開示の実施における使用に好適である。蛍光検出可能な部分は、検出器によって捕捉された放出光を用い、レーザーによって刺激することができる。検出器は、その強度を記録する電荷結合デバイス(CCD)または共焦点顕微鏡とすることができる。
【0182】
好適な蛍光染料としては、これらに限定されるものではないが、フルオレセインおよびフルオレセイン染料(例えば、フルオレセインイソチオシアニンまたはFITC、ナフトフルオレセイン、4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン、6−カルボキシフルオレセインまたはFAMなど)、ヘキサクロロ−フルオレセイン(HEX)、カルボシアニン、メロシアニン、スチリル染料、オキソノール染料、フィコエリトリン、エリスロシン、エオシン、ローダミン染料(例えば、カルボキシテトラメチルローダミンまたはTAMRA、カルボキシローダミン6G、カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、リサミンローダミンB、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミン(TMR)など)、クマリンおよびクマリン染料(例えば、メトキシクマリン、ジアルキルアミノクマリン、ヒドロキシクマリン、アミノメチルクマリン(AMCA)など)、Q−DOTS.オレゴングリーン染料(例えば、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514など)、テキサスレッド、テキサスレッド−X、スペクトルレッド、スペクトルグリーン、シアニン染料(例えば、CY−3、CY−5、CY−3.5、CY−5.5など)、アレクサフルオル染料(例えば、アレクサフルオル350、アレクサフルオル488、アレクサフルオル532、アレクサフルオル546、アレクサフルオル568、アレクサフルオル594、アレクサフルオル633、アレクサフルオル660、アレクサフルオル680など)、ボディピー染料(例えば、ボディピーFL、ボディピーR6G、ボディピーR、ボディピーTR、ボディピー530/550、ボディピー558/568、ボディピー564/570、ボディピー576/589、ボディピー581/591、ボディピー630/650、ボディピー650/665など)、IR染料(例えば、IRD40、IRD700、IRD800など)などがある。蛍光染料を他の化学実体、例えばタンパク質およびペプチドにカップリングするための好適な蛍光染料および方法の更なる例に関しては、例えば、"The Handbook of Fluorescent Probes and ResearchProducts", 9th Ed., Molecular Probes, Inc., Eugene, ORを参照されたい。蛍光標識薬剤の好ましい性質としては、高モル吸収係数、高蛍光量子収率、および光安定性がある。一部の実施形態では、標識フルオロフォアは、紫外線範囲のスペクトル(すなわち、400nm未満)ではなく、可視範囲のスペクトル(すなわち、400から750nmの間)で吸収および放出波長を示す。
【0183】
検出可能な部分は、例えば蛍光共鳴エネルギー伝達(FRET)などにおいて1つを超える化学実体を含んでいてもよい。共鳴伝達は、放出強度の全体的な増強をもたらす。例えば、Ju et. al. (1995) Proc. Nat'l Acad. Sci. (USA) 92:4347を参照されたく、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれるものとする。共鳴エネルギー伝達を達成するために、第1の蛍光分子(「ドナー」蛍光)が光を吸収し、それを、第2の蛍光分子(「アクセプター」蛍光)に励起された電子の共鳴を介して伝達する。1つのアプローチでは、ドナー染料とアクセプター染料の両方が一緒に連結し、オリゴプライマーに付着することができる。ドナーおよびアクセプター染料を核酸に連結させる方法は、例えばLeeらの米国特許第5,945,526号に記載されている。使用することができる染料のドナー/アクセプター対としては、例えば、フルオレセイン/テトラメチルローダミン、IAEDANS/フルオレセイン、EDANS/DABCYL、フルオレセイン/フルオレセイン、ボディピーFL/ボディピーFL、およびフルオレセイン/QSY7染料がある。例えば、Leeらの米国特許第5,945,526号を参照されたい。これらの染料のうちの多くは、例えばMolecular Probes Inc.(Eugene、Oreg.)からも市販されている。好適なドナーフルオロフォアとしては、6−カルボキシフルオレセイン(FAM)、テトラクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(TET)、2’−クロロ−7’−フェニル−1,4−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(VIC)などがある。
酵素
【0184】
ある特定の実施形態では、検出可能な部分は酵素である。好適な酵素の例としては、これらに限定されるものではないが、ELISAにおいて使用されるもの、例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼなどがある。他の例としては、ベータ−グルクロニダーゼ、ベータ−D−グルコシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼなどがある。酵素は、リンカー基、例えばカルボジイミド、ジイソシアネート、グルタルアルデヒドなどを使用して分子にコンジュゲートしてもよい。
放射性同位体
【0185】
ある特定の実施形態では、検出可能な部分は放射性同位体である。例えば、分子は、同位体標識されていてもよい(すなわち、自然界で通常認められる原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子で置き換えられている1つまたは複数の原子を含んでいてもよい)か、または同位体は、分子に付着していてもよい。分子へ組み込まれる場合がある同位体の非限定的な例としては、水素、炭素、フッ素、リン、銅、ガリウム、イットリウム、テクネチウム、インジウム、ヨウ素、レニウム、タリウム、ビスマス、アスタチン、サマリウム、およびルテチウムの同位体(すなわち、3H、13C、14C、18F、19F、32P、35S、64Cu、67Cu、67Ga、90Y、99mTc、111In、125I、123I、129I、131I、135I、186Re、187Re、201T1、212Bi、213Bi、21lAt、153Sm、177Lu)がある。
【0186】
一部の実施形態では、シグナル増幅は、検出可能な部分として標識されたデンドリマーを使用して達成され(例えば、Physiol Genomics 3:93-99, 2000を参照のこと)、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれるものとする。蛍光標識されたデンドリマーは、Genisphere(Montvale、N.J.)から入手可能である。これらは、当技術分野において公知の方法によってオリゴヌクレオチドプライマーに化学的にコンジュゲートしてもよい。
システム
【0187】
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書において開示する方法を行うためのおよび/または本明細書において記載する組成物を使用するためのシステムを提供する。ある特定の実施形態では、システムは、キットを含んでいてもよい。または、システムは、本明細書において開示する方法を行うためのコンピューター化された取扱説明書および/または試薬を含んでいてもよい。例えば、本発明のシステムを
図4に示す。
【0188】
例えば、一部の実施形態では、システムは、少なくとも1つの目的のバイオマーカーを含むと考えられる試料(例えば、生物学的試料)を提供するためのステーション;必要に応じて、試料中の他の構成成分から少なくとも1つの目的のバイオマーカーを分離するためのステーション;目的のバイオマーカーの量を測定するためのステーション;および結果を分析し、それによって試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの存在または量を判定するためのステーションを含んでいてもよい。また、ある特定の実施形態では、ステーションのうちの少なくとも1つは、コンピューターによって自動化されているかおよび/または制御されている。
【0189】
実施形態では、バイオマーカーは、バイオマーカー、および/またはバイオマーカーをコードするかもしくはその発現を調節する核酸(例えばゲノムDNAまたはmRNA)の量もしくはそこにおける突然変異を含む。バイオマーカーは、コルチコステロン、アルドステロン、ADAMメタロペプチダーゼドメイン17(ADAM17)、C−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)、カドヘリン1(CDH1)、結合組織増殖因子(CTGF)、表皮増殖因子受容体(EGFR)、フィブロネクチン1(FN1)、ガレクチン−1(LGALS1)、ガレクチン−3(LGAS3)、肝細胞増殖因子(HGF)、細胞間接着分子1(ICAM1)、インターロイキン1ベータ(IL1B)、インターロイキン6(IL6)、クルッペル様因子15(KLF15)、マトリックスメタロペプチダーゼ2(MMP2)、マトリックスメタロペプチダーゼ7(MMP7)、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)、核因子カッパーBサブユニット1(NFKB1)、ネフリン(NPHS1)、ポディシン(NPHS2)、核受容体サブファミリー3グループCメンバー2(NR3C2)、セルピンファミリーEメンバー1(SERPINE1)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー3(SMAD3)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、シグナル伝達転写活性化因子3(STAT3)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、ウロモデュリン(UMOD)、または血管内皮増殖因子A(VEGFA)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。ある特定の実施形態では、バイオマーカーのうちの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個または全てを測定する。ある特定の実施形態では、バイオマーカーは、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、結合組織増殖因子(CTGF)、またはC−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)のうちの少なくとも1つを含む。ある特定の実施形態では、バイオマーカーは、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、またはSMADファミリーメンバー7(SMAD7)のうちの少なくとも1つを含む。ある特定の実施形態では、バイオマーカーは、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)またはメタロペプチダーゼ2(MMP2)のうちの少なくとも1つを含む。
【0190】
更におよび/またはあるいは、システムは、少なくとも1つの正規化(例えば、ハウスキーピング)遺伝子の測定を含んでいてもよい。非限定的な一実施形態では、ハウスキーピング遺伝子は、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼであってもよい。または、他のハウスキーピング遺伝子を使用してもよい。または、これらのバイオマーカーのさまざまな組合せの測定を行ってもよい。
【0191】
システムは、バイオマーカーを少なくとも部分的に精製するためのステーションを含んでいてもよい。実施形態では、精製するためのステーションは、タンパク質を沈殿させるためのステーションを含む。バイオマーカーを精製するためのステーションは、目的のバイオマーカーを被検試料から抽出するための、および/または試料を希釈するための構成成分を含んでいてもよい。実施形態では、ステーション抽出は、液液抽出のためのステーションを含む。液液抽出のためのステーションは、溶媒を試料へ添加し、廃棄フラクションを除去するための装置および試薬を含んでいてもよい。一部の場合では、同位体標識された内部標準は、手順中に起こる場合があるバイオマーカーの損失を標準化するために使用する。したがって、(例えば、液液抽出を)精製するためのステーションは、フードまたは溶媒を扱うために必要な他の安全機能を含んでいてもよい。
【0192】
ある特定の実施形態では、本開示の方法およびシステムは、液体クロマトグラフィーまたは複数の液体クロマトグラフィーステップを含んでいてもよい。ある特定の実施形態では、2次元液体クロマトグラフィー(LC)手順を使用する。例えば、一実施形態では、本開示の方法およびシステムは、目的のバイオマーカーをLC抽出カラムから分析カラムへ移すことを含んでいてもよい。一実施形態では、少なくとも1つの目的のバイオマーカーを抽出カラムから分析カラムへ移すことは、ハートカッティング技術によって行う。別の実施形態では、目的のバイオマーカーを、クロマトフォーカシング技術によって抽出カラムから分析カラムへ移す。あるいは、目的のバイオマーカーを、カラムスイッチング技術によって抽出カラムから分析カラムへ移す。これらの移すステップは、手動で行ってもよく、オンラインシステムの一部であってもよい。必要に応じて、抽出カラムは、本明細書において記載する方法およびシステムにおいて使用することができない場合がある。
【0193】
抽出または分析液体クロマトグラフィーに使用してもよい固定相および移動相を含むさまざまなカラムを本明細書において記載する。必要に応じて抽出液体クロマトグラフィーに使用するカラムは、目的のバイオマーカーによって多様であってもよい。分析液体クロマトグラフィーに使用するカラムは、目的のバイオマーカーおよび/または抽出液体クロマトグラフィーステップに使用されたカラムによって多様であってもよい。例えば、ある特定の実施形態では、分析カラムは、約3μmの平均直径を有する粒子を含む。一部の実施形態では、分析カラムは、官能化シリカもしくはポリマー−シリカハイブリッド、または高分子粒子もしくはモノリシックシリカ固定相、例えばフェニル−ヘキシル官能化分析カラムである。
【0194】
他の構成成分から分離した後、バイオマーカーは、本明細書において記載する技術(例えば、免疫検出、LC−MS/MS、RNA、DNAの測定および/または本明細書において開示する他の技術)のいずれか1つによって分析してもよい。
【0195】
図4は、本開示のシステム(102)の実施形態の図面を提供する。
図4で示すように、システムは、目的のバイオマーカーを含み得る試料(104)をサンプリング容器へ等分するためのステーションを含んでいてもよい。一実施形態では、試料は1つまたは複数の容器へ等分し、液液抽出または試料の希釈を容易にする。等分するためのステーションは、分析に使用されない生物学的試料の一部を廃棄するためのレセプタクルを含んでいてもよい。
【0196】
システムは、内部標準を試料へ添加するためのステーション(108)を更に含んでいてもよい。実施形態では、内部標準は、非天然同位体で標識された目的のバイオマーカーを含む。したがって、内部標準を添加するためのステーションは、同位体標識された内部標準溶液を試料へ添加することを容易にするための安全機構を含んでいてもよい。一部の実施形態では、システムは、例えば、液液抽出、タンパク質沈殿および/または試料の希釈によって精製するためのステーション(110)も含んでいてもよい。
【0197】
システムは、また、例えば、試料を液体クロマトグラフィー(LC)によって更に精製するためのステーションを含んでいてもよい。本明細書において記載する実施形態では、液体クロマトグラフィーのためのステーションは、抽出液体クロマトグラフィーまたはHPLCカラムおよび/または分析LCもしくはHPLCカラム(112)および/またはHTLCカラムまたは本明細書において記載する他のカラムを含んでいてもよい。液体クロマトグラフィーのためのステーションは、固定相を含むカラム、ならびに移動相として使用される溶媒を含む容器またはレセプタクルを含んでいてもよい。実施形態では、移動相は、アセトニトリル、ギ酸アンモニウム、および水、または水性揮発性緩衝液と混和性の他の溶媒の勾配を含む。したがって、一実施形態では、ステーションは、1つまたは複数のカラムに適用されることになる個々の溶媒の量を調整するための適切なラインおよびバルブを含んでいてもよい。また、ステーションは、目的のバイオマーカーを含まないフラクションをLCから除去および廃棄するための手段を含んでいてもよい。実施形態では、目的のバイオマーカーを含まないフラクションは、カラムから連続的に除去され、廃棄レセプタクルへ送られて、除染され、廃棄される。
【0198】
さまざまな抽出LCシステムを使用してもよい。例えば、システムがアスコルビン酸を測定するために使用される実施形態では、分析カラムを備え、アセトニトリルおよび水の勾配を含む移動相を備えた抽出カラムを使用する。システムは、また、抽出カラムの後に一般的に含まれる分析LCカラムを含んでいてもよい(
図4に示していない)。分析カラムは、更なる特性評価および定量に必要とされる場合があるため、目的のバイオマーカーの更なる精製および濃縮を促進することがある。
【0199】
また、システムは、目的のバイオマーカーを特性評価および定量化を行うためのステーション(116)を含んでいてもよい。一実施形態では、システムは、バイオマーカーの質量分析(MS)および/またはタンデムマススペクトロメトリー(MS/MS)を行うためのステーションを含んでいてもよい。または、他の測定技術、例えば、本明細書において記載する測定技術のいずれかを使用してもよい。また、特性評価および定量化を行うためのステーションは、結果を分析するためのコンピューターおよびソフトウェアを含んでいてもよい(118)。実施形態では、分析は、目的のバイオマーカーの同定と定量化の両方を含む。
【0200】
一部の実施形態では、精製または分離ステップのうちの1つまたは複数は、「オンライン」で行うことができる。本明細書で使用する「オンライン」という用語は、システムのさまざまな構成成分が動作可能に接続され、一部の実施形態では互いに流体連通しているシステムへ、被検試料が配置される、例えば注入されるような方法で行われる、精製または分離ステップを指す。オンラインシステムは、試料のアリコートを1つの容器から取り出し、このようなアリコートを別の容器へ移すためのオートサンプラーを含んでいてもよい。
【0201】
一部の実施形態では、オンライン精製または分離方法を自動化することができる。そのような実施形態において、ステップは、プロセスがセットアップされ、開始されると、オペレーターの介入を必要とすることなく行うことができる。例えば、一実施形態では、システム、またはシステムの一部は、1つまたは複数のコンピューターによって制御されてもよい(120)。したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、ポンプ、バルブ、オートサンプラーなどを含むシステムのさまざまな構成要素を制御するためのソフトウェアを含んでいてもよい。このようなソフトウェアは、試料および溶質の添加の正確なタイミングと流速とを介して抽出プロセスを最適化するために使用することができる。
【0202】
方法およびシステムを含むステーションにおけるステップの一部または全ては、オンラインであってもよいが、ある特定の実施形態では、ステップの一部のまたは全ては「オフライン」で行ってもよい。「オンライン」という用語とは対照的に、「オフライン」という用語は、前のおよび/または後の精製もしくは分離ステップおよび/または分析ステップとは別に行われる精製、分離、または抽出手順を指す。このようなオフライン手順では、目的の分析物は、典型的には、例えば、抽出カラムでまたは液/液抽出によって試料マトリックス中の他の構成成分から分離され、次いでその後別のクロマトグラフィーまたは検出器システムへ導入するために収集される。オフライン手順は、典型的には、オペレーター側の手動での介入を必要とする。
キット
【0203】
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書において開示する方法および組成物に従って使用するためのキットを提供する。一般的に、キットは、1つまたは複数の目的のバイオマーカーを検出する1つまたは複数の試薬を含む。実施形態では、試薬のうちの少なくとも1つ(例えば、プライマー、プローブ抗体または他の結合剤)は、検出可能な部分で標識されている。好適な試薬は、核酸プローブおよび/または抗体もしくはその断片を含んでいてもよい。一部の実施形態では、好適な試薬は、アレイ、例えばマイクロアレイまたは突然変異パネルの形態で提供される。
【0204】
一部の実施形態では、提供されるキットは、本明細書において記載するさまざまな検出方法のうちの少なくとも1つ(例えば、定量的PCRおよび/またはリアルタイムPCR、シークエンシング、ハイブリダイゼーション、プライマー伸長、マルチプレックスASPE、イムノアッセイなど)を行うための試薬を更に含む。例えば、キットは、緩衝液、酵素、および/または本明細書において記載する方法において使用するための、例えば、ELISA実験を行うためのプライマー指向増幅を介して核酸を増幅する定量的PCRおよび/またはリアルタイムPCRのための試薬を必要に応じて含んでいてもよい。
【0205】
一部の実施形態では、提供されるキットは、健常個体を示す対照、例えば、腎線維症を有していない個体からの核酸および/またはタンパク質試料を更に含む。更におよび/またはあるいは、一部の実施形態では、提供されるキットは、腎線維症に罹患している個体を示す陽性疾患対照を更に含む。または、既知量の目的のバイオマーカーを含む陽性対照および/またはバイオマーカーを有さない陰性対照を含んでいてもよい。キットは、個体が目的の疾患および/または症候群を有しているかどうかを、または目的の疾患および/または症候群を発症するリスクがあるかどうかをどのように判定するかに関する取扱説明書も含んでいてもよい。
【0206】
一部の実施形態では、目的のバイオマーカーに対応する情報をコードするコンピューター可読媒体が提供される。このようなコンピューター可読媒体は、本発明のキットに含まれていてもよい。
腎線維症バイオマーカーを識別するための方法
データマイニング
【0207】
本開示のある特定の実施形態では、バイオマーカーは、データマイニングアプローチを使用して識別される。例えば、
図1、2および3を参照されたく、これらは、このようなアプローチを使用して腎線維症と関連すると識別されたバイオマーカーを示す。例えば、一部の場合では、公開データベース(例えば、PubMed)で、ある特定の疾患に(直接的にまたは間接的に)リンクしていることが示されている遺伝子を検索してもよい。このアプローチは、2018年5月11日に出願された米国特許出願公開第15/977,000号に記載されており、この開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。次いで、このような遺伝子をバイオマーカーとして評価してもよい。
疾患適応モデルの構築
【0208】
公開されたピアレビュー調査に基づく疾患モデル(例えば、遺伝子/タンパク質−遺伝子/タンパク質相互作用ネットワーク)を、次世代シークエンシング、バリアント、CNV、マイクロアレイ、代謝、SAGE、プロテオミクス、siRNA、マイクロRNA、およびスクリーニングデータの機能分析に適した統合ソフトウェアを使用した疾患生物学をシミュレーションするために構築した。得られた結果は、腎線維症と関連する遺伝子セットに関する単一の相互作用ネットワークであった。適応モデルを、組織特異的に生成し:モデルを、腎臓(例えば、腎実質)において示される遺伝子を使用して構築した。
【0209】
モデルは、遺伝子/タンパク質およびこれらの間の相互作用を含んでいた。このようなモデルの例を
図1に示す。これらの遺伝子/タンパク質は、最初の対象物または「シード」(すなわち、データマイニングから識別された57個の関連性が高い遺伝子/タンパク質、これは、組織ベースのモデリングアプローチを使用した26個の遺伝子/タンパク質に最終的に限定された)と最初の対象物とリンクするモデリングにおいて識別された54個の二次遺伝子/タンパク質との両方を含んでいた。更に、遺伝子/タンパク質ではないが、化学物質または小分子(コルチコステロンおよびアルドステロン[コルチコステロンは、in vivoでのナトリウムおよびカリウムレベルの主要な恒常性モジュレーターのうちの1つであるミネラルコルチコイドのアルドステロンに対する前駆体分子である])であり、公開されたピアレビューされた調査によって腎線維症に関与することが公知である、2つの潜在的な候補試験/バイオマーカーがモデル構築に含まれていた。適応モデリングは、調査中の適応と直接関連する遺伝子周囲の特定の組織におけるタンパク質−タンパク質−化学物質(小分子)相互作用「ネイバーフッド(neighborhood)」をシミュレートする。バイオマーカー(すなわち、サイトカイン、miRNA、転写調節因子)の性質を右側の囲みに示す。
モデル検証
【0210】
適応モデリングは、モデリングが疾患生物学を正確にシミュレートすることを保証するための検証を含む反復プロセスである。統計的アプローチを、モデルを検証し、独立したサードパーティーデータソースにおいてモデルから遺伝子の富化を立証するために利用した。
図2で示すように、適応モデリングは、レニン−アンジオテンシン−アルドステロンシステムおよび上皮細胞におけるアルドステロンシグナル伝達の構成要素を含む公知の生物学的経路の多くを正確にとらえ、これは、適応モデリングにおける化学物質または小分子コルチコステロンおよびアルドステロンを含むことによる潜在的に有益な効果の指標である。
候補バイオマーカーのランキング
【0211】
段階的な方法を、候補バイオマーカーに関する信頼スコアを提供するために使用した。ランク1の候補バイオマーカー(すなわち、最も信頼性が高い候補物質)は、適応ネットワークをモデル化するために1人または複数の治療専門家によって「バイオマーカー」として個別に推奨された、遺伝子、タンパク質、または化学物質であった。ランク2の候補バイオマーカー(すなわち信頼性が低い候補物質)は、適応ネットワークをモデル化するためのデータマイニングによって識別された遺伝子、タンパク質、または化学物質、例えば、MEDLINEデータマイニングを介して識別された腎線維症の示された疾患に特異的な遺伝子またはタンパク質であった。ランク3の候補バイオマーカー(すなわち信頼性が最も低い候補物質)は、ランク1でもランク2でもない遺伝子またはタンパク質、例えば、トリプレットに基づくモデリングを介して得られた追加の遺伝子またはタンパク質であった(
図1)。
図3は、ランク2および3のバイオマーカーに関するこのような分析の例を示す。ランク1のバイオマーカーは、
図1で影付きの記号で示される。
【0212】
一実施形態では、このような分析の結果によって、コルチコステロン、アルドステロン、ADAMメタロペプチダーゼドメイン17(ADAM17)、C−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)、カドヘリン1(CDH1)、結合組織増殖因子(CTGF)、表皮増殖因子受容体(EGFR)、フィブロネクチン1(FN1)、ガレクチン−1(LGALS1)、ガレクチン−3(LGAS3)、肝細胞増殖因子(HGF)、細胞間接着分子1(ICAM1)、インターロイキン1ベータ(IL1B)、インターロイキン6(IL6)、クルッペル様因子15(KLF15)、マトリックスメタロペプチダーゼ2(MMP2)、マトリックスメタロペプチダーゼ7(MMP7)、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)、核因子カッパーBサブユニット1(NFKB1)、ネフリン(NPHS1)、ポディシン(NPHS2)、核受容体サブファミリー3グループCメンバー2(NR3C2)、セルピンファミリーEメンバー1(SERPINE1)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー3(SMAD3)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、シグナル伝達転写活性化因子3(STAT3)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、ウロモデュリン(UMOD)、または血管内皮増殖因子A(VEGFA)のうちの少なくとも1つが識別される。または、方法は、バイオマーカーのうちの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個または31個全てを、腎線維症と高度に関連しているとして同定し得る。ある特定の実施形態では、バイオマーカーは、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、結合組織増殖因子(CTGF)、またはC−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)のうちの少なくとも1つを含む。ある特定の実施形態では、バイオマーカーは、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、またはSMADファミリーメンバー7(SMAD7)のうちの少なくとも1つを含む。ある特定の実施形態では、バイオマーカーは、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)またはメタロペプチダーゼ2(MMP2)のうちの少なくとも1つを含む。更におよび/またはあるいは、方法は、少なくとも1つの正規化(例えば、ハウスキーピング遺伝子)を識別することを含んでいてもよい。
分子
【0213】
ある特定の実施形態では、本開示は、目的の症候群または疾患に関するバイオマーカー(すなわち、統計的に有意な様式で腎線維症と関連する核酸配列におけるバリアント)を識別するための方法を含む。新規のバイオマーカーに関してアッセイされる遺伝子および/またはゲノム領域は、目的の症候群および/または疾患に対して遺伝的連鎖および/または生物学的原因を示す生化学的経路におけるその重要性に基づいて選択してもよい。または、バイオマーカーに関してアッセイされる遺伝子および/またはゲノム領域は、家族における腎線維症の遺伝に遺伝学的に連鎖しているDNA領域に対して遺伝的連鎖に基づいて選択してもよい。または、バイオマーカーに関してアッセイされる遺伝子および/またはゲノム領域は、まだ評価されていない染色体のある特定の領域をカバーするために体系的に評価してもよい。
【0214】
他の実施形態では、新規のバイオマーカーに関して評価される遺伝子またはゲノム領域は、腎線維症の発症に関連し得る生化学的経路の一部であってもよい。バリアントおよび/またはバリアントの組合せは、以下の方法のうちの1つまたは複数に基づき、それらの臨床的重要性に関して評価してもよい。バリアントまたはバリアントの組合せが、腎線維症または関連する病状を呈さない対象よりもそれを呈する対象からの核酸においてより頻繁に生じることが報告されているかまたは公知である場合、腎線維症に少なくとも潜在的に罹りやすいと考えられる。バリアントまたはバリアントの組合せが、腎線維症を有する個体に排他的にまたは優先的に伝達されることが報告されているかまたは公知である場合、腎線維症に少なくとも潜在的に罹りやすいと考えられる。逆に、バリアントが両方の集団で同様の頻度で認められる場合、腎線維症の発症と関連する可能性は低い。
【0215】
バリアントまたはバリアントの組合せが、このタンパク質またはこの生体系の機能を測定するのに適切な実験用モデルシステムにおいて、タンパク質または生体系の機能に対して全体的に有害な影響を有することが報告されているかまたは公知である場合、およびこのバリアントまたはバリアントの組合せが、目的の症候群および/または疾患と関連することが公知の1つまたは複数の遺伝子に影響を与える場合、目的の症候群および/または疾患を少なくとも潜在的に患いやすいと考えられる。例えば、バリアントまたはバリアントの組合せが、タンパク質または核酸の配列および/または構造に対して予測される影響に基づいて、タンパク質または遺伝子発現に対して全体的に有害な影響を有する(すなわち、ナンセンス突然変異、フレームシフト突然変異、またはスプライス部位突然変異、または更にミスセンス突然変異をもたらす)ことが予測される場合、およびこのバリアントまたはバリアントの組合せが、腎線維症および/または関連する病状と関連することが公知である1つまたは複数の遺伝子に影響を与える場合、目的の症候群および/または疾患に少なくとも潜在的に罹りやすいと考えられる。
【0216】
また、ある特定の実施形態では、バリアントの総数が重要な場合がある。被検試料において、少なくとも高い確率で腎線維症と関連するとして評価されたバリアントまたはいくつかのバリアントが個々にまたは組合せで検出される場合、次いでその遺伝的材料においてこのバリアントまたはこれらのバリアントが検出された個体は、腎線維症に罹患しているかまたはそれを発症するリスクが高いとして診断することができる。
【0217】
例えば、本明細書における開示は、対象における腎線維症の存在またはそれを発症するリスクの増加を診断するための方法を提供する。このような方法は、組織または体液の試料から核酸を得ることを含んでいてもよい。方法は、核酸のシークエンシングを行うか、または核酸のゲノム配置またはコピー数を判定し、核酸配列またはゲノム配置またはコピー数において1つまたは複数のバリアントが存在するかどうかを検出することを更に含んでいてもよい。方法は、1つまたは複数のバリアントの臨床的重要性を評価するステップを更に含んでいてもよい。このような分析は、罹患した集団(すなわち、疾患を有する対象)におけるバリアント配列の関連性の程度を評価することを含んでいてもよい。このような分析は、突然変異が遺伝子発現および/またはタンパク質機能に対して有し得る影響の程度を分析することも含んでいてもよい。方法は、評価に基づいて、腎線維症の存在またはそれを発症するリスクの増加を診断することも含んでいてもよい。
【0218】
以下の例は、開示のある特定の態様を例示する役割を果たす。これらの例は限定を意図するものではない。
【実施例】
【0219】
(実施例1)
腎線維症に関するバイオマーカー
本明細書において開示するバイオマーカーは、上記で検討した技術のいずれかを使用するか、または一部の場合では、以下に開示する非限定的なアッセイのうちの1つによって測定してもよい。
トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFβ1)
【0220】
トランスフォーミング増殖因子ベータ1は、サイトカインのトランスフォーミング増殖因子ベータスーパーファミリーのポリペプチドメンバーである。それは、TGFβ1遺伝子によってコードされる。それは、細胞の成長、増殖、分化およびアポトーシスの制御を含む多くの細胞機能を行う分泌タンパク質である。TGFβ1は、イムノアッセイによって測定することができる(例えば、Kropf et al., Clinical Chemistry, 1997, 43:1965-74を参照のこと)。
ウロモデュリン(UMOD)
【0221】
ウロモデュリンは、タム−ホースフォール糖タンパク質(THP)としても公知であり、ヒトでは、UMOD遺伝子によってコードされる糖タンパク質である。ウロモデュリンは、尿中に排泄される最も豊富なタンパク質である。ウロモデュリンは、ELISA(例えば、ThermoFisher Scientific)または当技術分野において公知の他の方法によって測定することができる。
結合組織増殖因子(CTGF)
【0222】
結合組織増殖因子は、細胞外マトリックス関連ヘパリン結合タンパク質のCCNファミリーのマトリックス細胞タンパク質である。CTGFは、細胞接着および遊走、細胞増殖および血管新生に重要な役割を有し、線維性疾患に関与する。CTGFは、ELISA(例えば、BioVendor Research and Diagnostic Products)または当技術分野において公知の他の方法によって測定してもよい。
EGFR
【0223】
表皮増殖因子受容体(EGFR)は、ヒトにおける膜貫通型受容体タンパク質である。EGFR発現レベルは、4〜5ミクロンのFFPE組織断片を使用した蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)によって測定する。あるいは、発現は、血清、血漿、尿、骨髄、血液、脳脊髄液、FNA、または骨髄で測定してもよい。遺伝子突然変異分析は、リアルタイムPCR、単一塩基伸長および/またはDNAシークエンシングを使用して行う。遺伝子突然変異は、例えば、組織、血清、血漿または尿において判定することができる。
カドヘリン(CDH1)、SMADファミリーメンバー(例えば、SMAD4)
カドヘリン−1は、CAM120/80または上皮カドヘリン(E−カドヘリン)としても公知であり、CDH1遺伝子によってコードされるタンパク質である。CDH1は、CD324(分化クラスター324)としても表されており、腫瘍サプレッサーである。
【0224】
SMADは、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF−B)スーパーファミリーの受容体に関する主なシグナル伝達である構造的に類似しているタンパク質のファミリーを含み、細胞の発達および成長を調節するために非常に重要である。3つの異なるサブタイプのSMAD:受容体調節SMAD(RSMAD)、共通パートナーSMAD(Co−SMAD、および阻害性SMAD(I−SMAD)が存在する。Smadファミリーの8つのメンバーは、これらの3つのグループの間で分けられる。2つの受容体調節SMADおよび1つのco−SMADのトリマーは、ある特定の遺伝子の発現を調節する転写因子として作用する。
【0225】
遺伝性がんと関連するこれらの遺伝子は、次世代シークエンシング分析によって調査する。更に、フランキング非コード領域の一部も調査する。包括的な欠失/重複テストは、20個の遺伝子に関してはマイクロアレイCGHを使用して、CHEK2およびPMS2遺伝子に関してはマルチプレックスライゲーション依存プローブ増幅(MLPA)によって行う。このパネルで試験が行われる遺伝子は、APC、ATM、AXIN2、BLM、BMPR1A、BRCA1、BRCA2、CDH1、CDKN2A、CHEK2、EPCAM、MLH1、MSH2、MSH6、MUTYH、PMS2、POLD1、POLE、PTEN、SMAD4、STK11およびTP53があり得る。または、追加の遺伝子(例えば、SMAD2、SMAD3、SMAD7)を追加してもよい。臨床的に重要な所見は、サンガーシークエンシングまたはqPCRによって確認される。結果は、ACMGガイドラインおよびHuman Genome Variation Society(HGVS)が推奨する命名法を使用して報告する。
ガレクチン−1およびガレクチン−3
【0226】
ガレクチン−およびガレクチン−3は、ELISAまたは他の市販されているイムノアッセイシステムによって測定する。例えば、Alam et al., Kidney Int. Rep., 2018, 21:103-111;Al-Obaidi et al.,FASEB J., 2019, 33:373-387;Tan et al., Diabetologia, 2018, 61:1212-1219;de Boeret al., BMJ Open Diabetes Res. Care, 2017, Nov 14; 5(1):e000461;Rebholz et al.,Kidney Int., 2018, 93:252-259;Martinez-Martinez et al., J. Hypertens., 2018,36:368-376を参照されたい。
セルピンファミリーEメンバー1(SERPINE1)
【0227】
プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1(PAI−1)は、内皮プラスミノーゲン活性化因子阻害剤またはSERPINE1としても公知であり、ヒトにおいてSERPINE1遺伝子によってコードされるタンパク質である。上昇したPAI−1は、血栓症およびアテローム性動脈硬化症に関するリスク因子である。PAI−1は、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、ならびにプラスミノーゲンおよび線維素溶解の活性化因子であるウロキナーゼ(uPA)の主要な阻害剤として機能するセリンプロテアーゼ阻害剤(セルピン)である。それはセリンプロテアーゼ阻害剤(セルピン)タンパク質(SERPINE1)である。PAI−1遺伝子は染色体7(7q21.3−q22)に位置するSERPINE1である。プロモーター領域において4G/5Gとして公知である共通の多形が存在する。5G対立遺伝子は、4Gよりも転写活性がわずかに低い。
メタロペプチダーゼ(MMP2、MMP7、およびMMP9)
【0228】
マトリックスメタロプロテイナーゼ(metallowproteinnase)(MMP)ファミリーのタンパク質は、通常の生理学的プロセス、例えば、胚発生、生殖、および組織リモデリング、ならびに疾患プロセス、例えば、関節炎および転移において細胞外マトリックス(ECM)の分解に関与する。大部分のMMPは、細胞外プロテイナーゼによって切断された場合に活性化される不活性プレタンパク質として分泌される。
【0229】
MMP−2(MMP2遺伝子によってコードされる)を活性化するには、タンパク質分解処理が必要である。膜1型MMP(MT1−MMP/MMP14)とメタロプロテイナーゼ2の組織阻害剤との複合体は、細胞外環境から細胞表面にプロMMP2を動員する。次いで、活性化には、MT1−MMPの活性分子および自己触媒的切断が必要である。インテグリン鎖をクラスター化すると、MMP−2の活性化が促進される。
【0230】
マトリックスメタロプロテイナーゼ−7(MMP7遺伝子によってコードされる)は、ヒトにおいてMMP7遺伝子によってコードされる酵素である。マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)ファミリーのタンパク質は、通常の生理学的プロセス、例えば、胚発生、生殖、および組織リモデリング、ならびに疾患プロセス、例えば、関節炎および転移において細胞外マトリックスの分解に関与する。MMP−7は、プロテオグリカン、フィブロネクチン、エラスチンおよびカゼインを分解する。MMP7は創傷治癒に関与し、腸粘膜においてディフェンシンの調節に関与している。
【0231】
MMP−9(MMP9遺伝子によってコードされる)は、炎症、組織リモデリング、創傷治癒、ならびに組織結合増殖因子およびサイトカイン動員のバイオマーカーである。その発現は、異常なコラーゲン沈着と関連する。MMP−9は、リウマチ性関節炎、冠動脈疾患、慢性閉塞性肺疾患、多発性硬化症、喘息、およびがんを含む多くの臨床的病態の病態形成の一因となる。MMPは不活性チモーゲンとして合成され、プロペプチドドメインの加水分解的切断によって酵素的に活性化される必要がある。MMPは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ゲルザイモグラフィー、基質アッセイ、またはin situザイモグラフィーによって測定する。ゲルザイモグラフィーでは、タンパク質は、ゼラチンに埋め込まれた非還元SDS−PAGEゲルを使用した電気泳動によって分離される。分離した後、SDSをゲルから取り出し、ゲルを、酵素活性に必須の必須補因子を含有する溶液に浸す。ゲル内のMMPはゼラチンを消化し、クーマシーブルーで染色された後、暗青背景上で透明バンドをもたらす。in situザイモグラフィーに関しては、組織切片は蛍光基質ペプチドに浸される。蛍光基質は、組織切片に存在するMMP−9によって加水分解されるため、蛍光の損失は、蛍光背景上で黒い穴(ABCAM)として認められる。
ネフリン(NPHS1)およびポドシン(NPHS2)
【0232】
ネフリンは、NPHS1遺伝子によってコードされており、腎濾過バリアが適切に機能するために必要なタンパク質である。ポドシンはNPHS2遺伝子によってコードされる。腎濾過バリアは、有窓内皮細胞、糸球体基底膜、および上皮細胞の有足細胞からなる。ネフリンは、スリットダイアフラムの構造的構成成分である膜貫通タンパク質であり、有足細胞の先端にある。NPHS1は、8つの遠位IgG様ドメインおよび1つの近位フィブロネクチンIII型ドメインを含む細胞外ドメイン、膜貫通ドメインならびに短い細胞内ドメインを有する。NPHS1分子は、ホモ親和性相互作用とヘテロ親和性相互作用の両方を示す。ヘテロ親和性相互作用パートナーの中でも、スリットダイアフラムタンパク質、例えばIRRE様タンパク質1(KIRREL、ネフリン様タンパク質1、NEPH1)、KIRREL3(NEPH2)およびKIRREL2(NEPH3)のKinがスリットダイアフラム構造を安定化させることを示した。細胞内ポドシン(NPHS2)、CD2関連タンパク質(CD2AP)ならびにIQGAP、MAGI、CASKおよびスペクトリンなどのアドヘレンス(adherins)ジャンクション関連タンパク質は、全てNPHS1と相互作用する。ネフリンは、スリットダイアフラム自体の分子構造を組織化するうえで主要な役割を果たしている場合があり、その結合パートナーを介してアクチン細胞骨格に結合している。NPHS1またはNPHS2の変異は、DNAシークエンシングによって検出することができ、重度の蛋白尿の早期の発症および末期の腎疾患への急速な進行をもたらし得る。
シグナル伝達転写活性化因子3(STAT3)
【0233】
シグナル伝達転写活性化因子3(STAT3遺伝子によってコードされる)は、STATタンパク質ファミリーのメンバーである。サイトカインおよび増殖因子に応答して、STAT3は受容体関連ヤヌスキナーゼ(JAK)によってリン酸化され、ホモまたはヘテロダイマーを形成し、細胞核へ移行し、転写活性化因子として作用する。STAT3における突然変異(Mutatation)は、遺伝子STAT3の全てをコードするヌクレオチドに加えて、保存されたドナーおよびアクセプタースプライス部位、ならびに典型的には、5’および3’UTRにおける20個のフランキングヌクレオチドをカバーする各コードエクソンの上流および下流にある少なくとも2個、典型的には、20個のフランキングイントロンヌクレオチドをDNAシークエンシングすることによって検出される。
細胞間接着分子1(ICAM1)
【0234】
CD54(分化クラスター54)としても公知であり、ICAM1遺伝子によってコードされるICAM−1(細胞間接着分子1)は、ヒトにおいてICAM1遺伝子によってコードされるタンパク質である。ICAM−1は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。この細胞表面糖タンパク質は、典型的には、内皮細胞および免疫系細胞上に発現し、CD11a/CD18またはCD11b/CD18型のインテグリンに結合する。ICAM−1は、イムノアッセイ(例えば、Pacific Biomarkers)によって測定することができる。
インターロイキン6(IL6)
【0235】
IL6遺伝子によってコードされるインターロイキン6(IL−6)は、炎症促進性サイトカインと抗炎症物質マイオカインの両方として作用するインターロイキンである。ヒトでは、IL6遺伝子によってコードされる。インターロイキン6は、T細胞およびマクロファージによって分泌され、例えば感染中および炎症を引き起こす組織損傷後の免疫応答を刺激する。IL−6は、感染症との闘いにおいても役割を果たす。更に、骨芽細胞はIL−6を分泌し、破骨細胞形成を刺激する。多くの血管の中膜における平滑筋細胞も、炎症促進性サイトカインとしてIL−6を生成する。IL−6の抗炎症性サイトカインとしての役割は、TNF−アルファおよびIL−1に対するその阻害効果、およびIL−1raおよびIL−10の活性化を通して介在される。IL−6は、発熱および急性期応答の重要なメディエーターである。血液脳関門を通過し、視床下部においてPGE
2の合成を開始し、体温の設定値を変更することができる。筋肉および脂肪組織では、IL−6は、エネルギーの移行を刺激し、それが体温上昇につながる。IL−6は、病原体関連分子パターン(PAMP)と称される特定の微生物分子に応答したマクロファージによって分泌される場合があり、筋肉収縮に応答して上昇するマイオカイン(筋肉から産生されるサイトカイン)とも考えられている。IL6は、生物学的アッセイ(例えば、Nordan et al., Curr. Protoc. Immunol., 2001を参照のこと)によって、またはELISAによって測定することができる。
血管内皮増殖因子A(VEGFA)
【0236】
血管内皮増殖因子(VEGF)は、血管透過因子(VPF)としても公知であり、34から45キロダルトンのホモ二量体であるヘパリン結合糖タンパク質である。VEGFは、内皮細胞に特異的な、強力な血管新生、マイトジェン、および血管透過強化活性を有する。VEGFは、創傷治癒、排卵、月経、血圧の維持、および妊娠を含むいくつかの生理学的プロセスにおいて重要な役割を果たすと考えられている。VEGFは、関節炎、乾癬、黄斑変性症、および糖尿病性網膜症を含む血管新生を伴う多数の病理学的プロセスとも関連している。また、VEGFを含む血管新生促進因子の腫瘍発現は、多数のヒトがんにおいて進行した腫瘍の進行と関連している。VEGFは、酵素イムノアッセイ(EIA)を使用して血清において測定することができる。
インターロイキン1ベータ(IL1B)
【0237】
IL1B遺伝子によってコードされるインターロイキン1ベータ(IL1β)は、ヒトにおいてIL1B遺伝子によってコードされるサイトカインタンパク質である。インターロイキン−1(IL−1)に関しては2つの遺伝子:IL−1アルファおよびIL−1ベータが存在する。IL−1β前駆体は、細胞質ゾルのカスパーゼ1(インターロイキン1ベータコンバターゼ)によって切断され、成熟IL−1βを形成する。IL−1βはサイトカインのインターロイキン1ファミリーのメンバーである。このサイトカインは、プロタンパク質として活性化マクロファージによって産生され、これはカスパーゼ1(CASP1/ICE)によってその活性型へとタンパク質分解的にプロセシングされる。このサイトカインは、炎症応答の重要なメディエーターであり、細胞増殖、分化、およびアポトーシスを含むさまざまな細胞活性に関与する。IL−1βの産生が増加すると、多数の異なる自己炎症性症候群が生じる。IL−1ベータは、RIAまたは他のイムノアッセイによって測定することができる(例えば、Endres et al., Clin. Immunol Immunopathol., 1988, 49:424-38を参照のこと)。
C−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)
【0238】
ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド2(CCL2遺伝子によってコードされる)は、単球走化性タンパク質1(MCP1)および小誘導性サイトカインA2とも称される。CCL2は、CCケモカインファミリーに属する小サイトカインである。CCL2は、単球、記憶T細胞、および樹状細胞を、組織損傷または感染症のいずれかによって生じた炎症部位へ動員させる。糸球体腎炎のモデルにおいて抗CCL2抗体を投与すると、マクロファージおよびT細胞の浸潤が減少し、半月体形成、ならびに瘢痕および腎障害が減少する。CCL2プロモーター領域内のCpG部位の低メチル化は、血液血清中のCCL2レベルを増加させる高レベルの血液グルコースおよびTGによる影響を受ける。後者は、2型糖尿病の血管合併症において重要な役割を果たす。CCL2は、ELISA(Cisbio)によって測定することができる。
肝細胞増殖因子(HGF)
【0239】
肝細胞増殖因子は、HGF遺伝子によってコードされ、細胞成長、細胞運動性、および形態形成を調節する。肝細胞増殖因子は、間葉細胞によって分泌され、主に上皮由来の細胞に対して多機能性サイトカインとして作用する。有糸分裂誘発、細胞運動性、およびマトリックス浸潤を刺激するためのその能力は、血管新生、腫瘍形成、および組織再生において中心的な役割を果たす。肝細胞増殖因子は、ELISAによって測定することができる(Yamanougchi et al., Resp. Med., 1998, 92:273-278)。
コルチコステロンおよびアルドステロン
【0240】
コルチコステロンは、血清の凍結された試料からLC−MS/MSによって測定する。アルドステロンは、血清または血漿からLC−MS/MSによって測定し;試料は凍結する必要はない。
ADAMメタロプロテイナーゼドメイン17(ADAM17)
【0241】
ADAMメタロペプチダーゼドメイン17(ADAM17)は、TACE(腫瘍壊死因子α−変換酵素)とも呼ばれ、ディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼのADAMタンパク質ファミリーに属する70−kDaの酵素である。定量的PCRは、ADAM17のmRNAレベルを測定するために使用してもよい。ELISAはADAM17タンパク質レベルを測定するために使用してもよい。
フィブロネクチン1(FN1)
【0242】
フィブロネクチンは、インテグリンと呼ばれる膜貫通受容体タンパク質に結合する細胞外マトリックスの高分子量(約440kDa)の糖タンパク質である。フィブロネクチンは、他の細胞外マトリックスタンパク質、例えばコラーゲン、フィブリン、およびヘパラン硫酸プロテオグリカン(例えばシンデカン)にも結合する。
クルッペル様因子15(KLF15)
【0243】
クルッペル様因子15は、クルッペル様因子ファミリーのKLF15遺伝子によってコードされるタンパク質(proten)である。その以前の表記であるKKLFは、腎臓富化クルッペル様因子を表す。発現レベルは、リアルタイムPCRによって測定してもよい(例えば、Mallipattu et al., J. Biol. Chem, 2012, 287:19122-35を参照のこと)。
核因子カッパーBサブユニット1(NFKB1)
【0244】
核因子NF−カッパー−Bp105サブユニットは、ヒトにおいてNFKB1遺伝子によってコードされるタンパク質である。105kDタンパク質は、26Sプロテアソームによって同時翻訳のプロセシングを受け、50kDのタンパク質を産生する場合がある。105kDタンパク質はRelタンパク質特異的転写阻害剤であり、50kDのタンパク質はNF−カッパーBタンパク質複合体のDNA結合サブユニットである。活性化NF−κBは、核へ移行し、さまざまな生物学的機能に関与する遺伝子の発現を刺激し;200個を超える公知の遺伝子が、特定の条件下でさまざまな細胞型におけるNF−κBの標的である。NF−κBの不適切な活性化は、多数の炎症性疾患と関連しており、同時にNF−κBの持続的な阻害は、不適切な免疫細胞の発達または細胞成長の遅延につながる。核因子カッパーBサブユニット1は、リアルタイムPCRによって測定することができる。
核受容体サブファミリー3グループCメンバー2(NR3C2)
【0245】
この遺伝子は、制限された標的細胞内の塩および水分バランスに対するアルドステロンの作用を介在するミネラルコルチコイド受容体をコードする。タンパク質は、ミネラルコルチコイド応答エレメントに結合するリガンド依存性転写因子として機能して、標的遺伝子を転写活性化する。この遺伝子における変異は、常染色体優性偽性低アルドステロン症I型という尿中の塩の浪費によって特徴付けられる障害をもたらす。この遺伝子における欠陥は、妊娠中の重度の増悪を伴う早期発症高血圧とも関連する。
(実施例2)
実施形態
【0246】
本開示は、以下の非限定的な実施形態を参照することによってより理解することができる。
【0247】
A.1.個体において腎線維症と関連するバイオマーカーを検出するための方法であって、
個体から生物学的試料を得るステップと;
生物学的試料中の、バイオマーカーの量、および/またはバイオマーカーをコードするかもしくはその発現を調節する核酸(例えばゲノムDNAまたはmRNA)の量もしくはそこにおける突然変異を測定することと
を含む方法。
【0248】
A.2.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)またはメタロペプチダーゼ2(MMP2)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0249】
A.3.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、またはSMADファミリーメンバー7(SMAD7)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0250】
A.4.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、結合組織増殖因子(CTGF)、またはC−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0251】
A.5.バイオマーカーが、コルチコステロン、アルドステロン、ADAMメタロペプチダーゼドメイン17(ADAM17)、C−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)、カドヘリン1(CDH1)、結合組織増殖因子(CTGF)、表皮増殖因子受容体(EGFR)、フィブロネクチン1(FN1)、ガレクチン−1(LGALS1)、ガレクチン−3(LGAS3)、肝細胞増殖因子(HGF)、細胞間接着分子1(ICAM1)、インターロイキン1ベータ(IL1B)、インターロイキン6(IL6)、クルッペル様因子15(KLF15)、マトリックスメタロペプチダーゼ2(MMP2)、マトリックスメタロペプチダーゼ7(MMP7)、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)、核因子カッパーBサブユニット1(NFKB1)、ネフリン(NPHS1)、ポディシン(NPHS2)、核受容体サブファミリー3グループCメンバー2(NR3C2)、セルピンファミリーEメンバー1(SERPINE1)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー3(SMAD3)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、シグナル伝達転写活性化因子3(STAT3)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、ウロモデュリン(UMOD)、または血管内皮増殖因子A(VEGFA)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0252】
A.6.測定することが、タンパク質を測定することを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0253】
A.7.測定することが、核酸配列または発現を分析することを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0254】
A.8.生物学的試料が、体液または組織生検、無細胞核酸、血液、尿、血清または血漿を含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0255】
A.9.測定することが、イムノアッセイを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0256】
A.10.測定することが、フローサイトメトリーを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0257】
A.11.測定することが、質量分析または液体クロマトグラフィータンデムマススペクトロメトリー(LC−MS/MS)を含む、先行または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0258】
A.12.バイオマーカーのうちの少なくとも5つを測定することを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0259】
B.1.個体において腎線維症と関連するバイオマーカーを識別する方法であって、正常対照と比較して、腎線維症を有するかまたはそれに罹患した個体において発現が増加したまたは低下したバイオマーカーを識別することを含む方法。
【0260】
B.2.個体における腎線維症の存在またはそれに対する感受性を検出するための方法であって、
個体から生物学的試料を得るステップと;
バイオマーカーの量、および/またはバイオマーカーをコードするかもしくはその発現を調節する核酸(例えばゲノムDNAまたはmRNA)の量もしくはそこにおける突然変異を測定するステップと;
生物学的試料中の、バイオマーカーの量、および/またはバイオマーカーをコードするかもしくはその発現を調節する核酸の量もしくはそこにおける突然変異を、バイオマーカーに関する対照値と比較することと
を含む方法。
【0261】
B.3.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)またはメタロペプチダーゼ2(MMP2)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0262】
B.4.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、またはSMADファミリーメンバー7(SMAD7)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0263】
B.5.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、結合組織増殖因子(CTGF)、またはC−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0264】
B.6.バイオマーカーが、コルチコステロン、アルドステロン、ADAMメタロペプチダーゼドメイン17(ADAM17)、C−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)、カドヘリン1(CDH1)、結合組織増殖因子(CTGF)、表皮増殖因子受容体(EGFR)、フィブロネクチン1(FN1)、ガレクチン−1(LGALS1)、ガレクチン−3(LGAS3)、肝細胞増殖因子(HGF)、細胞間接着分子1(ICAM1)、インターロイキン1ベータ(IL1B)、インターロイキン6(IL6)、クルッペル様因子15(KLF15)、マトリックスメタロペプチダーゼ2(MMP2)、マトリックスメタロペプチダーゼ7(MMP7)、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)、核因子カッパーBサブユニット1(NFKB1)、ネフリン(NPHS1)、ポディシン(NPHS2)、核受容体サブファミリー3グループCメンバー2(NR3C2)、セルピンファミリーEメンバー1(SERPINE1)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー3(SMAD3)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、シグナル伝達転写活性化因子3(STAT3)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、ウロモデュリン(UMOD)、または血管内皮増殖因子A(VEGFA)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0265】
B.7.測定することが、タンパク質を測定することを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0266】
B.8.測定することが、核酸配列または発現を分析することを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0267】
B.9.生物学的試料が、体液または組織生検、無細胞核酸、血液、尿、血清または血漿を含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0268】
B.10.測定することが、イムノアッセイを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0269】
B.11.測定することが、フローサイトメトリーを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0270】
B.12.測定することが、質量分析または液体クロマトグラフィータンデムマススペクトロメトリーを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0271】
B.13.バイオマーカーのうちの少なくとも5つを測定することを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0272】
C.1.個体において腎線維症と関連するバイオマーカーを検出するための組成物であって、バイオマーカーの量、および/またはバイオマーカーをコードするかもしくはその発現を調節する核酸(例えばゲノムDNAまたはmRNA)の量もしくはそこにおける突然変異を測定する試薬を含む組成物。
【0273】
C.2.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)またはメタロペプチダーゼ2(MMP2)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の組成物。
【0274】
C.3.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、またはSMADファミリーメンバー7(SMAD7)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の組成物。
【0275】
C.4.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、結合組織増殖因子(CTGF)、またはC−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の組成物。
【0276】
C.5.バイオマーカーが、コルチコステロン、アルドステロン、ADAMメタロペプチダーゼドメイン17(ADAM17)、C−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)、カドヘリン1(CDH1)、結合組織増殖因子(CTGF)、表皮増殖因子受容体(EGFR)、フィブロネクチン1(FN1)、ガレクチン−1(LGALS1)、ガレクチン−3(LGAS3)、肝細胞増殖因子(HGF)、細胞間接着分子1(ICAM1)、インターロイキン1ベータ(IL1B)、インターロイキン6(IL6)、クルッペル様因子15(KLF15)、マトリックスメタロペプチダーゼ2(MMP2)、マトリックスメタロペプチダーゼ7(MMP7)、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)、核因子カッパーBサブユニット1(NFKB1)、ネフリン(NPHS1)、ポディシン(NPHS2)、核受容体サブファミリー3グループCメンバー2(NR3C2)、セルピンファミリーEメンバー1(SERPINE1)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー3(SMAD3)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、シグナル伝達転写活性化因子3(STAT3)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、ウロモデュリン(UMOD)、または血管内皮増殖因子A(VEGFA)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の組成物。
【0277】
C.6.測定することが、タンパク質を測定することを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の組成物。
【0278】
C.7.測定することが、核酸配列または発現を分析することを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の組成物。
【0279】
C.8.生物学的試料が、体液または組織生検、無細胞核酸、血液、尿、血清または血漿を含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の組成物。
【0280】
C.9.測定することが、イムノアッセイを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の組成物。
【0281】
C.10.測定することが、フローサイトメトリーを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の組成物。
【0282】
C.11.測定することが、質量分析または液体クロマトグラフィータンデムマススペクトロメトリー(LC−MS/MS)を含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の組成物。
【0283】
C.12.バイオマーカーのうちの少なくとも5つを測定するための、先行および/または後続する実施形態のいずれかを含む組成物。
【0284】
C.13.少なくとも1つの試薬が、検出可能な部分で標識されている、先行および/または後続する実施形態のいずれかを含む組成物。
【0285】
D.1.個体において腎線維症と関連するバイオマーカーを検出するための試薬を含むキットであって、バイオマーカーの量、および/またはバイオマーカーをコードするかもしくはその発現を調節する核酸(例えばゲノムDNAまたはmRNA)の量もしくはそこにおける突然変異を測定する試薬;および使用するための取扱説明書を含むキット。
【0286】
D.2.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)またはメタロペプチダーゼ2(MMP2)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載のキット。
【0287】
D.3.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、またはSMADファミリーメンバー7(SMAD7)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載のキット。
【0288】
D.4.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、結合組織増殖因子(CTGF)、またはC−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載のキット。
【0289】
D.5.バイオマーカーが、コルチコステロン、アルドステロン、ADAMメタロペプチダーゼドメイン17(ADAM17)、C−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)、カドヘリン1(CDH1)、結合組織増殖因子(CTGF)、表皮増殖因子受容体(EGFR)、フィブロネクチン1(FN1)、ガレクチン−1(LGALS1)、ガレクチン−3(LGAS3)、肝細胞増殖因子(HGF)、細胞間接着分子1(ICAM1)、インターロイキン1ベータ(IL1B)、インターロイキン6(IL6)、クルッペル様因子15(KLF15)、マトリックスメタロペプチダーゼ2(MMP2)、マトリックスメタロペプチダーゼ7(MMP7)、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)、核因子カッパーBサブユニット1(NFKB1)、ネフリン(NPHS1)、ポディシン(NPHS2)、核受容体サブファミリー3グループCメンバー2(NR3C2)、セルピンファミリーEメンバー1(SERPINE1)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー3(SMAD3)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、シグナル伝達転写活性化因子3(STAT3)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、ウロモデュリン(UMOD)、または血管内皮増殖因子A(VEGFA)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載のキット。
【0290】
D.6.測定することが、タンパク質を測定することを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載のキット。
【0291】
D.7.測定することが、核酸配列または発現を分析することを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載のキット。
【0292】
D.8.生物学的試料が、体液または組織生検、無細胞核酸、血液、尿、血清または血漿を含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載のキット。
【0293】
D.9.測定することが、イムノアッセイを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載のキット。
【0294】
D.10.測定することが、フローサイトメトリーを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載のキット。
【0295】
D.11.測定することが、質量分析または液体クロマトグラフィータンデムマススペクトロメトリー(LC−MS/MS)を含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載のキット。
【0296】
D.12.バイオマーカーのうちの少なくとも5つを測定するための、先行および/または後続する実施形態のいずれかを含むキット。
【0297】
D.13.少なくとも1つの試薬が、検出可能な部分で標識されている、先行および/または後続する実施形態のいずれかを含むキット。
【0298】
E.1.個体において腎線維症と関連するバイオマーカーを検出するためのシステム。
【0299】
E.2.バイオマーカーを含むと考えられる試料を提供するためのステーション;必要に応じて、試料中の他の構成成分からバイオマーカーを分離するためのステーション;バイオマーカーの量を測定するためのステーション;および試料中のバイオマーカーの存在または量を判定するための結果を分析するためのステーションを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0300】
E.3.ステーションのうちの少なくとも1つが、コンピューターによって自動化されているかおよび/または制御されている、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0301】
E.4.測定が、バイオマーカーの量、および/またはバイオマーカーをコードするかもしくはその発現を調節する核酸(例えばゲノムDNAまたはmRNA)の量もしくはそこにおける突然変異を測定することを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0302】
E.5.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)またはメタロペプチダーゼ2(MMP2)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載のシステム。
【0303】
E.6.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、またはSMADファミリーメンバー7(SMAD7)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載のシステム。
【0304】
E.7.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、結合組織増殖因子(CTGF)、またはC−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載のシステム。
【0305】
E.8.バイオマーカーが、コルチコステロン、アルドステロン、ADAMメタロペプチダーゼドメイン17(ADAM17)、C−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)、カドヘリン1(CDH1)、結合組織増殖因子(CTGF)、表皮増殖因子受容体(EGFR)、フィブロネクチン1(FN1)、ガレクチン−1(LGALS1)、ガレクチン−3(LGAS3)、肝細胞増殖因子(HGF)、細胞間接着分子1(ICAM1)、インターロイキン1ベータ(IL1B)、インターロイキン6(IL6)、クルッペル様因子15(KLF15)、マトリックスメタロペプチダーゼ2(MMP2)、マトリックスメタロペプチダーゼ7(MMP7)、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)、核因子カッパーBサブユニット1(NFKB1)、ネフリン(NPHS1)、ポディシン(NPHS2)、核受容体サブファミリー3グループCメンバー2(NR3C2)、セルピンファミリーEメンバー1(SERPINE1)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー3(SMAD3)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、シグナル伝達転写活性化因子3(STAT3)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、ウロモデュリン(UMOD)、または血管内皮増殖因子A(VEGFA)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載のシステム。
【0306】
E.9.ハウスキーピング遺伝子が、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼである、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法、組成物、キットまたはシステム。
【0307】
E.10.測定することが、タンパク質を測定することを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0308】
E.11.測定することが、核酸配列または発現を分析することを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0309】
E.12.生物学的試料が、体液または組織生検、無細胞核酸、血液、尿、血清または血漿を含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0310】
E.13.測定することが、イムノアッセイを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0311】
E.14.測定することが、フローサイトメトリーを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0312】
E.15.測定することが、質量分析または液体クロマトグラフィータンデムマススペクトロメトリー(LC−MS/MS)を含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0313】
E.16.バイオマーカーのうちの少なくとも5つを測定するための、先行および/または後続する実施形態のいずれかを含むシステム。
【0314】
F.1.腎線維症を発症しているかまたはそれに対する感受性が強い個体を処置する方法であって、正常対照と比較して腎線維症において発現が増加したまたは低下したバイオマーカーを識別することを含む、腎線維症を有しているかまたはそれに罹患した個体において腎線維症と関連するバイオマーカーを識別することを含む方法。
【0315】
F.2.腎線維症を発症しているかまたはそれに対する感受性が強い個体を処置する方法であって、
個体から試料を得ることと;
試料中の、バイオマーカーの量、および/またはバイオマーカーをコードするかもしくはその発現を調節する核酸(例えばゲノムDNAまたはmRNA)の量もしくはそこにおける突然変異を測定することと;
試料中の、バイオマーカーの量、および/またはバイオマーカーをコードするかもしくはその発現のうちの少なくとも1つの発現を調節する核酸の量もしくはそこにおける突然変異を、バイオマーカーに関する対照値と比較することと;
個体における遺伝子発現と対照値との間の差が、個体が、腎線維症を発症している場合があるか(すなわち、その存在を診断されるか)、または発症することに対する感受性が強い(すなわち、そのリスクが高い)ことを示す場合に、腎線維症に関して個体を処置するかまたは腎線維症が発症する速度を減少させることと
を含む方法。
【0316】
F.3.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)またはメタロペプチダーゼ2(MMP2)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0317】
F.4.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、またはSMADファミリーメンバー7(SMAD7)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0318】
F.5.バイオマーカーが、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、メタロペプチダーゼ2(MMP2)、ウロモデュリン(UMOD)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、結合組織増殖因子(CTGF)、またはC−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0319】
F.6.バイオマーカーが、コルチコステロン、アルドステロン、ADAMメタロペプチダーゼドメイン17(ADAM17)、C−Cモチーフケモカインリガンド2(CCL2)、カドヘリン1(CDH1)、結合組織増殖因子(CTGF)、表皮増殖因子受容体(EGFR)、フィブロネクチン1(FN1)、ガレクチン−1(LGALS1)、ガレクチン−3(LGAS3)、肝細胞増殖因子(HGF)、細胞間接着分子1(ICAM1)、インターロイキン1ベータ(IL1B)、インターロイキン6(IL6)、クルッペル様因子15(KLF15)、マトリックスメタロペプチダーゼ2(MMP2)、マトリックスメタロペプチダーゼ7(MMP7)、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)、核因子カッパーBサブユニット1(NFKB1)、ネフリン(NPHS1)、ポディシン(NPHS2)、核受容体サブファミリー3グループCメンバー2(NR3C2)、セルピンファミリーEメンバー1(SERPINE1)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー3(SMAD3)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、SMADファミリーメンバー7(SMAD7)、シグナル伝達転写活性化因子3(STAT3)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFB1)、ウロモデュリン(UMOD)、または血管内皮増殖因子A(VEGFA)のうちの少なくとも1つを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0320】
F.7.測定することが、タンパク質を測定することを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0321】
F.8.測定することが、核酸配列または発現を分析することを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0322】
F.9.生物学的試料が、体液または組織生検、無細胞核酸、血液、尿、血清または血漿を含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0323】
F.10.測定することが、イムノアッセイを含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0324】
F.11.測定することが、フローサイトメトリーまたは質量分析または液体クロマトグラフィータンデムマススペクトロメトリー(LC−MS/MS)を含む、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0325】
F.12.バイオマーカーのうちの少なくとも5つを測定する、先行および/または後続する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0326】
G.1.バイオマーカーのうちの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個、または全てを測定する、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の方法、組成物、キットまたはシステム。
【0327】
G.2.測定が、少なくとも1つの正規化(例えば、ハウスキーピング)遺伝子の測定を含んでいてもよい、先行および/または後続する実施形態のいずれかに記載の方法、組成物、キットまたはシステム。
【0328】
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