特表2021-523386(P2021-523386A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-523386(P2021-523386A)
(43)【公表日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】光センサチップ
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20210806BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20210806BHJP
   G01S 17/36 20060101ALI20210806BHJP
【FI】
   G01S7/481 Z
   G02B6/12
   G01S17/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2021-513375(P2021-513375)
(86)(22)【出願日】2019年5月9日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月14日
(86)【国際出願番号】US2019031632
(87)【国際公開番号】WO2019217761
(87)【国際公開日】20191114
(31)【優先権主張番号】15/977,957
(32)【優先日】2018年5月11日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520437076
【氏名又は名称】シルク テクノロジーズ インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】特許業務法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォン、ダゾン
(72)【発明者】
【氏名】ルフィ、ブラッドレー ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】アスガリ、メヘディ
【テーマコード(参考)】
2H147
5J084
【Fターム(参考)】
2H147AA02
2H147AB03
2H147AB04
2H147AB05
2H147AB22
2H147BA05
2H147BC05
2H147BE01
2H147BE13
2H147BE22
2H147CA21
2H147CB03
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14B
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA23
5J084BA36
5J084BA38
5J084BA50
5J084BA52
5J084BB02
5J084BB04
5J084BB28
5J084BB34
5J084CA30
5J084CA42
5J084EA31
(57)【要約】
LIDARチップは、出発LIDAR信号がチップから出射する際に通るファセットに、出発LIDAR信号を導くユーティリティ導波路を有する。チップは、また、ユーティリティ導波路からの出発LIDAR信号の一部を除去する制御分岐を有する。制御分岐は、出発LIDAR信号の除去された部分からの光を有する光信号を受光する制御光センサを有する。チップは、また、ユーティリティ導波路からの出発LIDAR信号の第2の部分を除去するデータ分岐を有する。データ分岐は、出発LIDAR信号の第2の部分からの光を有する参照光信号と、チップから離れた物体から反射された光を有する比較光信号とを結合する光結合部を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送媒体のスラブ領域から離れるように延伸する前記光伝送媒体のリッジを有する1つ以上のリッジ導波路を有するLIDARチップであって、
前記リッジは、
1μmよりも大きく、4μm未満の幅を有し、
前記リッジは、
1μmよりも大きく、4μm未満の高さを有し、
前記スラブ領域は、
0.0μmよりも大きく、3μm未満の厚さを有する、
LIDARチップ。
【請求項2】
前記チップは、
シリコン・オン・インシュレータ・チップである、
請求項1に記載のチップ。
【請求項3】
前記1つ以上のリッジ導波路は、
シングルモード導波路である、
請求項1に記載のチップ。
【請求項4】
前記1つ以上のリッジ導波路の少なくとも1つは、
マルチモード寸法の1つ以上のセクションを有する、
請求項1に記載のチップ。
【請求項5】
前記1つ以上のリッジ導波路の少なくとも1つは、
テーパ部を有する、
請求項1に記載のチップ。
【請求項6】
前記1つ以上のリッジ導波路の少なくとも1つは、
前記リッジが0.5μmより大きい厚さを有する1つ以上スラブ領域から離れるように延伸する湾曲部を有する、
請求項1に記載のチップ。
【請求項7】
出発LIDAR信号を、前記出発LIDAR信号がチップから出射する際に通るファセットに伝送するユーティリティ導波路、
前記ユーティリティ導波管から、出発LIDAR信号の一部を送り出す制御分岐であって、出発LIDAR信号の分岐された部分からの光を有する光信号を受光する制御光センサを有する制御分岐、
前記ユーティリティ導波路からの出発LIDAR信号の第2の部分を送り出すデータ分岐であって、出発LIDAR信号の第2の分岐された部分からの光を有する参照光信号と、前記チップから離れた物体から反射された光を有する比較光信号とを結合する光結合部を有するデータ分岐、
を有するLIDARチップ。
【請求項8】
前記ユーティリティ導波路は、
1μmよりも大きく、及び、4μm未満の幅を有する光伝送媒体のリッジを有するリッジ導波路であって、
前記リッジは、
1μmより大きく、4μm未満の高さを有し、
前記リッジは、
0.0μmより大きく、3μm未満の厚さを有する光伝送媒体のスラブ領域から離れるように延伸する、
請求項7に記載のチップ。
【請求項9】
前記制御光センサからの出力に応じて、出発LIDAR信号の周波数を調整するように構成された電子回路を有するシステムに含まれる、
請求項7に記載のチップ。
【請求項10】
前記データ分岐は、
前記比較光信号からの光を有する光信号を受信するサンプリング光センサを有する、
請求項7に記載のチップ。
【請求項11】
前記サンプリング光センサの出力に応じて、前記比較光信号の強度を減衰する電子回路を有するシステムに含まれる、
請求項7に記載のチップ。
【請求項12】
前記サンプリング光センサの出力に応じて、前記出発LIDAR信号の強度を減衰する電子回路を有するシステムに含まれる、
請求項10に記載のチップ。
【請求項13】
前記比較光信号は、
前記参照光信号からの光を有さない、
請求項7に記載のチップ。
【請求項14】
出発LIDAR信号がチップから出射する際に通るファセットで終端するユーティリティ導波路であって、また、前記出発LIDAR信号からの光を有するLIDAR入力光信号を、前記ファセットを介して受光するように構成されるユーティリティ導波路、
前記LIDAR入力光信号からの光を有する光信号を受光する光センサを有するデータ分岐、
を有するLIDARチップ。
【請求項15】
前記ユーティリティ導波路は、
1μmより大きく、4μm未満の幅を有する光伝送媒体のリッジを有するリッジ導波路であり、
前記リッジは、
1μmより大きく、4μm未満の高さを有し、及び、
前記リッジは、
0.5μmより大きく、3μm未満の厚さを有する光伝送媒体のスラブ領域から離れるように延伸する、
請求項14に記載のチップ。
【請求項16】
前記光センサの出力に応じて、LIDAR入力光信号からの光を有する光信号の強度を減衰させる電子回路を有するシステムに含まれる、
請求項14に記載のチップ。
【請求項17】
出発LIDAR信号がLIDARチップから出射する際に通るファセットで終端するユーティリティ導波路、
前記ユーティリティ導波路上の前記出発LIDAR信号の強度を減衰するように構成される光減衰器、
を有するLIDARチップ。
【請求項18】
前記出発LIDAR信号からの光を有する光信号を受光するサンプリング光センサ、
を有するシステムであって、前記サンプリング光センサの出力に応じて、前記減衰器を動作させる電子回路を有するシステム、
に含まれる請求項17に記載のチップ。
【請求項19】
前記チップから離れて配置される物体によって反射される光を有するLIDAR入力光信号からの光を有する比較光信号を受光する導波路、
前記導波路上の前記比較光信号の強度を減衰するように構成された光減衰器、
を、さらに、有する請求項17に記載のチップ。
【請求項20】
光源からの光を有する光信号を受光するサンプリング光センサ、
を有するシステムであって、前記サンプリング光センサの出力に応じて、前記減衰器を動作する電子回路を有するシステム、
に含まれる請求項19に記載のチップ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本出願は、2006年5月11日に出願された米国特許出願シリアル番号15/977,957号の優先権を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、光学デバイスに関する。特に、本発明は、 LIDARチップに関する。
【背景技術】
【0003】
ADAS(先進運転支援システム)、及び、AR(拡張現実感)のようなアプリケーションに、経済的に、展開できる3D感知システムに関する商業的需要が高まっている。LIDAR(光検出、及び、測距)センサを用いて、シーンをレーザ光で照らし、及び、返された信号を測定することによって、目標シーンの3D画像を構築する。
【0004】
周波数変調連続波(FMCW)は、LIDARアプリケーションに使用できるコヒーレント検出方法の一例である。FMCW技術は、1つの測定で物体の距離、及び、速度の両方を決定できる。加えて、FMCW技術は、周囲の光、及び、他のLIDARシステムからの光に対する感度を減少させてきた
【0005】
FMCWLIDAR統合チップは、まだ、利用できない。さらに、LIDARチップの構成要素の一部を有するチップを生成する努力は、信号劣化なく送信できる光電力の量に制限されてきた。この信号劣化は、反射物体へ送信されるレーザ出力の量を制限する。送信されるレーザ出力の量の制限は、デバイスの全体的な感度を制限する。これらの理由から、所望の感度レベルを達成するために必要とされる光電力を提供する一方、LIDARチップを統合できるプラットフォームの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
LIDARチップは、光伝送媒体のスラブ領域から離れて延びる前記光伝送媒体のリッジを有する1つ以上のリッジ導波路を有する。リッジは、1μmより大きく4μm未満の幅、及び、1μmより大きく4μm未満の高さを有する。スラブ領域は、0.0μmより大きく3μm未満の厚さを有する。いくつかの例では、チップは、シリコン・オン・インシュレータチップである
【0007】
LIDARチップの他の実施形態は、前記出発LIDAR信号をファセットに導くユーティリティ導波路を有し、そのファセットを通って、出発LIDAR信号は、前記チップから出射する。前記チップは、また、前記ユーティリティ導波路からの前記出発LIDAR信号の一部を除去する制御分岐を有している。前記制御分岐は、前記出発LIDAR信号の前記除去された部分からの光を有する光信号を受信する制御光センサを有している。前記チップは、また、前記ユーティリティ導波路からの前記出発LIDAR信号の第2の部分を除去するデータ分岐を有している。前記データ分岐は、前記出発LIDAR信号の前記第2の部分からの光を有する参照光信号を、前記チップから離れて配置される物体から反射された光を有する比較光信号に結合する光結合部を有している。
【0008】
前記チップの他の実施形態は、ファセットで終端するユーティリティ導波路を有し、そのファセットを通って、出発LIDAR信号は、前記チップから出射する。前記ユーティリティ導波路は、また、前記ファセットを通ってLIDAR入力光信号を受け取るように構成されている。前記LIDAR入力光信号は、前記出発LIDAR信号からの光を有している。前記チップは、また、前記LIDAR入力光信号からの光を有する光信号を受信するように構成された光センサを有するデータ分岐を有している。
【0009】
前記チップの別の実施形態は、ファセットで終端するユーティリティ導波路を有し、そのファセットを通って、出発LIDAR信号の少なくとも一部が、前記LIDARチップから出射する。前記チップは、また、前記ユーティリティ導波路上の前記出発LIDAR信号の強度を減衰させるように構成された光減衰器を有している。
【0010】
前記チップの別の実施形態は、LIDAR入力光信号からの光を有する比較光信号受け取る導波路を有している。前記LIDAR入力光信号は、前記チップから離れて配置される物体によって反射された光を有している。前記チップは、また、前記導波路上の前記比較光信号の強度を減衰させるように構成された光減衰器を有している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】LIDARチップの平面図である。
【0012】
図2】シリコン・オン・インシュレータ・ウェハから構成された図1に係るLIDARチップの断面図である。
【0013】
図3】オフチップスキャン機構で用いられる図1のLIDARチップを示す。
【0014】
図4】オフチップスキャン機構の他の実施形態で用いられる図1のLIDARチップを示す。
【0015】
図5】統合されたスキャン機構を有する図1のLIDARチップの断面図である。
【発明の詳細な説明】
【0016】
【実施例1】
【0017】
1つの光チップ上に、完全光学LIDAR機能を統合するLIDARチップが開示される。チップは、また、チップの光学的機能を監視し、及び、制御するための光学部品を提供する。例えば、チップは、チップから送信される出発LIDAR信号の周波数、及び、強度を制御するための光学部品を有している。チップは、また、チップから離れた物体によって反射された後、チップによって受信されるLIDAR入力光信号の強度を制御するための光学部品を有している。
【0018】
チップは、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)プラットフォームのような様々なプラットフォーム上での構築に適している。チップは、複数の導波路を有することができるが、導波路の寸法は、これらのチップ構造をLIDARアプリケーションに適合させるために、標準的なシリコンフォトニクスLIDARアプローチの寸法よりも、大きくされている。LIDARチップは、チップから離れて配置される物体によって反射される出力光信号を送信する。反射された光信号の一部は、LIDARチップによって受信される。このメカニズムの結果、処理のためにLIDARチップに実際に利用できる反射された光信号の出力は、望ましくないほど、低くなる可能性がある。
【0019】
SOI型プラットフォームから構築されたLIDARチップで一般的に用いられる導波路の寸法は、多くの場合、これらのチップを、LIDARアプリケーションに適用することを困難に、又は、不可能にもする光電力、及び、位相損失の原因である。しかし、本発明者は、これらのLIDARチップをLIDARアプリケーションにうまく適用できるようにするシングル・モード構成を維持しながら、導波路の寸法を増大させることを見出した。例えば、チップは、光伝送媒体のスラブ領域から延びる、シリコンのような光伝送媒体のリッジを各々が有するリッジ導波路を有することができる。リッジが、1μmより大きく、4μm未満の幅、1μmより大きく、4μm未満の高さを有し、及び、0.0μmより大きく、3μm未満の厚さのスラブ領域から延びるように構成することによって、チップは、LIDARアプリケーションにうまく用いられるようになる。
【0020】
図1は、レーザ共振器を有するLIDARチップの平面図である。レーザ共振器は、レーザ用の利得媒質(図示せず)を有すること、又は、構成することができる光源10を有している。チップは、また、光源10からの光信号を受け取る共振器導波路12を有している。光源を凹部13内に配置し、光源のファセットを、共振器導波路12のファセットで位置合わせし、光源、及び、共振器導波路12が、光信号を交換できるようにする。共振器導波路12は、光信号を部分反射装置14に進める。図示された部分反射装置14は、ブラッグ格子のような光学的格子である。しかし、他の部分反射装置14を用いることができ、例えば、ミラーを、エシェル格子、及び、配列される導波路格子と、合わせて、用いることができる。
【0021】
部分反射装置14は、光信号の戻り部分を、戻り信号として、共振器導波路12に戻す。例えば、共振器導波路12は、光源10に、光信号の戻り信号を戻し、その結果、光信号の戻り部分は、利得媒質を通って進む。光源10は、戻り信号の少なくとも一部を、共振器導波路12で受光される光信号に加算すように構成されている。例えば、光源10は、利得媒質から受光された戻り信号を利得媒体に戻すように反射する、高度に、完全に、又は、部分的に反射する装置15を有することができる。その結果、光は、部分反射装置14と反射装置15との間で共振し、分布ブラッグ反射(DBR)型レーザ共振器を形成できる。DBR型レーザ共振器は、DBFレーザよりも、本質的に狭い線幅、及び、より長いコヒーレンス長を有し、したがって、チップからのLIDAR出力信号を反射する物体がチップから遠く離れて位置するときの性能を改善する。
【0022】
部分帰還装置14は、共振器導波路12から受光した光信号の一部を、チップに含まれるユーティリティ導波路16に通す。部分反射装置14からユーティリティ導波路16が受光する光信号の一部は、レーザ共振器の出力として作用する。レーザ共振器の出力は、ユーティリティ導波路16の出発LIDAR信号として作用する。ユーティリティ導波路16は、ファセット18で終端し、及び、出発LIDAR信号をファセット18に搬送する。ファセット18を通って進行する出発LIDAR信号が、チップを出射し、及び、LIDAR出力信号として作用するように、ファセット18を配置できる。例えば、ファセット18を通って進む出発LIDAR信号が、チップを出射し、及び、LIDAR出力信号として作用するように、ファセット18を、チップの縁部に配置できる。
【0023】
LIDAR出力信号は、チップから離れて進み、及び、LIDAR信号の経路内の物体によって反射される。反射された信号は、物体から離れる。反射された信号の少なくとも一部は、ユーティリティ導波路16のファセット18に戻る。したがって、反射信号の一部は、ファセット18を通ってユーティリティ導波路16に入射し、及び、ユーティリティ導波路16によって導かれたLIDAR入力信号として作用できる。
【0024】
ユーティリティ導波路16は、ファセット18の前にテーパ部分を有することができる。例えば、ユーティリティ導波路16は、ファセット18で終端するテーパ20を有することができる。テーパ20は、ユーティリティ導波路16を、LIDAR入力光、及び、出発LIDAR信号に効率的に結合するために必要なアライメント公差を緩和できる。したがって、テーパ20は、処理のために、うまくチップに戻されるLIDAR入力信号のパーセンテージを増加できる。いくつかの例では、ファセット18が、ユーティリティ導波路16の直線部分の断面の面積の2倍、5倍、又は、10倍の面積を有するように、テーパ20を構成する。図1は、テーパ20を水平テーパとして示しているが、テーパ20は、水平、及び/又は、垂直テーパにできる。水平、及び/又は、垂直テーパを、直線状、及び/又は、曲線状にできる。いくつかの例では、テーパ20は、断熱テーパである。
【0025】
チップは、LIDARデータのために処理される光信号が生成されるデータ分岐24を有している。データ分岐は、ユーティリティ導波路16からの光信号の一部をデータ分岐に移す光カプラ26を有している。例えば、光カプラ26は、ユーティリティ導波路16からの出発LIDAR信号の一部を、参照信号として参照導波路27に結合する。参照導波路27は、参照信号を光結合部28に伝送する。
【0026】
光カプラ26は、また、ユーティリティ導波路16からのLIDAR入力信号の一部を、比較信号として、比較導波路30に結合する。比較信号は、LIDAR入力信号からの光の少なくとも一部を有している。比較信号は、参照光信号からの光を排除できる。比較導波路30は、比較信号を光結合部28に伝送する。
【0027】
図示の光カプラ26は、参照導波路27、及び、比較導波路30に十分に近接してユーティリティ導波路16を配置し、ユーティリティ導波路16からの光を、参照導波路27、及び、比較導波路30に結合する結果である。しかし、他の信号分岐構成要素を用いて、ユーティリティ導波路16からの光信号の一部を参照導波路27、及び、比較導波路30に移すことができる。適切な信号分岐構成要素の例には、これらに限定されないが、y結合器、マルチモード干渉カプラ(MMIs)、及び、集積光サーキュレータが含まれる。
【0028】
光結合部28は、比較信号と参照信号とを合成信号に合成する。参照信号は、出発LIDAR信号からの光を有している。例えば、参照信号は、出発LIDAR信号のサンプルとして作用できる。参照信号は、LIDAR出力信号、及び、LIDAR入力信号からの光を排除できる。これに対し、比較信号光は、LIDAR入力信号からの光を有している。例えば、比較信号は、LIDAR入力信号のサンプルとして作用できる。したがって、比較信号は、チップから離れた物体によって反射されている一方、LIDAR出力信号は、反射されていない。チップ、及び、反射物体が、相対的に移動している場合、比較信号、及び、参照信号は、ドップラー効果に起因する異なる周波数を有する。その結果、比較信号と参照信号との間でうなりが生ずる。
【0029】
光結合部28は、また、得られた複合サンプル信号を第1の検出器導波路36、及び、第2の検出器導波路38上に分割する。第1の検出器導波路36は、複合サンプル信号の第1の部分を、複合サンプル信号の第1の部分を第1の電気信号に変換する第1の光センサ40に伝送する。第2の検出器導波路38は、複合サンプル信号の第2の部分を、複合サンプル信号の第2の部分を第2の電気信号に変換する第2の光センサ42に伝送する。好適な光センサの例には、ゲルマニウム・フォトダイオード(PDs)、及び、アバランチ・フォトダイオード(APDs)が含まれる。
【0030】
光結合部28、第1の光センサ40、及び、第2の光センサ42を、電気データ信号を出力するバランス型光検出器として接続できる。例えば、光結合部28、第1の光センサ40、及び、第2の光センサ42を、信号光電流の直流成分が相殺するように接続でき、検出感度を改善する。第1の光センサ40、及び、第2の光センサ42をバランス型光検出器として接続するための適切な方法には、第1の光センサ40、及び、第2の光センサ42を直列に接続することが含まれる。一例では、第1の光センサ40、及び、第2の光センサ42は、直列に接続されたアバランチ・フォトダイオードである。小さな信号変動の検出には、バランス型光検出が望ましい。
【0031】
好適な光結合部28の一例は、2×2MMI装置のようなマルチモード干渉(MMI)装置である。他の適切な光結合部28は、断熱スプリッタ、及び、指向性カプラを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、例示された光結合部28の機能は、2つ以上の光学部品、又は、光学部品の組み合わせによって実施される。
【0032】
単一の光センサは、第1の光センサ40、及び、第2の光センサ42に置き換えることができ、及び、データ信号を出力できる。単一の光センサが、第1の光センサ40、及び、第2の光センサ42に置き換わる場合、光結合部28は、光分割機能を有する必要はない。その結果、図示された光光結合部28は、図示の2×1光結合部よりも、2×1光結合部にできる。例えば、図示された光光結合部は、2×1MMI装置にできる。これらの場合、チップは、複合サンプル信号を光センサに伝送する単一の検出器導波路を有している。
【0033】
データ分岐は、比較導波路30に沿って配置されるデータ光減衰器44を有し、データ光減衰器44を操作し、比較導波路30の比較信号を減衰できる。チップは、また、ユーティリティ導波路16に沿って配置される出力光減衰器46を有し、出力光減衰器46操作し、ユーティリティ導波路16上の出発LIDAR信号を減衰できる。データ光減衰器44、及び/又は、出力光減衰器46のための適切な減衰器は、光信号の強度を減衰させるように構成される。光信号の強度を減衰させるように構成された適切な減衰器の例には、キャリア注入ベースのPINダイオード、電気吸収変調器、及び、マッハ・ツェンダ(MZ)変調器が含まれる。
【0034】
チップは、また、比較導波路30からの比較信号の一部をサンプリング導波路52に結合するサンプリング指向性カプラ50を有している。比較信号の結合部分は、サンプリング信号として作用する。サンプリング導波路52は、サンプリング信号をサンプリング光センサ54に伝送する。図1は、サンプリング導波路52への比較信号の一部を伝送するサンプリング指向性カプラ50を示しているが、他の信号分岐構成要素を用い、 比較導波路30からの比較信号の一部をサンプリング導波路52に伝送できる。適切な信号分岐構成要素の例には、これらに限定されるものではないが、y結合器、及び、MMIが含まれる。
【0035】
チップは、レーザ共振器の動作を制御するための制御分岐55を有している。制御分岐は、ユーティリティ導波路16からの出発LIDAR信号の一部を制御導波路57に伝送する指向性カプラ56を有している。出発LIDAR信号の結合部分は、分岐信号として作用する。図1は、出発LIDAR信号の一部を制御導波路57に移動させる指向性カプラ56を示しているが、他の信号分岐構成要素を用い、ユーティリティ導波路16からの出発LIDAR信号の一部を制御導波路57に伝送できる。適切な信号分岐構成要素の例には、y結合器、及び、MMIsが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0036】
制御導波路57は、分岐された信号を分割し、次に、分岐された信号の異なる部分を、分岐された信号の部分間の位相差で再合成する干渉計58に、分岐された信号を伝送する。図示の干渉計58は、マッハ・ツェンダ干渉計であるが、他の干渉計を用いることもできる。
【0037】
干渉計58は、制御光信号を干渉計導波路60に出力する。干渉計導波路60は、制御光信号を電気制御信号としての電気信号に変換する制御光センサ61に、制御光信号を伝送する。干渉計信号は、出発LIDAR信号の周波数の関数である強度を有する 例えば、マッハ・ツェンダ干渉計は、フリンジパターンを有する正弦波制御光信号を出力する。出力LIDAR信号の周波数に関する変化は、制御光信号の周波数に関する変化を引き起こす。したがって、制御光センサ61から出力される電気制御信号の周波数は、出発LIDAR信号の周波数の関数である。他の検出メカニズムを、制御光センサ61の代わりに用いることができる。例えば、制御光センサ61は、光結合部28、第1の光センサ40、及び、第2の光センサ42として配置されたバランス型光検出器に置き換えできる。
【0038】
電子回路62は、チップ上の1つ以上の構成要素を動作させることができる。例えば、電子回路62は、光源10、データ光減衰器44、出力光減衰器46、第1の光センサ40、第2の光センサ42、サンプリング光センサ54、及び、制御光センサ61と電気的に通信でき、及び、その動作を制御できる。電子回路62は、チップ外に示されているが、電子回路の全部、又は、一部を、チップ上に含めることができる 例えば、チップは、第1の光センサ40を第2の光センサ42と直列に接続する導電体を有することができる。
【0039】
チップの動作中、電子回路62は、光源10を動作させて、レーザ共振器が、出発LIDAR信号を出力するようにする。次いで、電子回路62は、各サイクルが少なくとも距離データポイントを生成する一連のサイクルを通して、チップを動作させる。各サイクルの間、データ信号は、複数回、サンプリングされる。各サンプルの間に、電子機器は、出発LIDAR信号の周波数を調整する。以下でより詳細に説明するように、電子機器は、時間の関数としての出発LIDAR信号の周波数が電子回路に知られるように、出発LIDAR信号の周波数を制御するために、制御分岐からの出力を使用できる。いくつかの例では、サイクルは、第1のサンプル、及び、第2のサンプルを有している。第1のサンプルの間、電子回路62は、出発LIDAR信号の周波数を増加させることができ、及び、第2のサンプルの間、電子回路62は、出発LIDAR信号の周波数を減少させることができる。例えば、レーザ共振器を、1550nmの波長を有する出発LIDAR信号(及び、それに応じて、LIDAR出力信号)を出力するように構成できる。第1のサンプルの間、電子回路62は、出発LIDAR信号(及び、それに応じて、LIDAR出力信号)の周波数を増加し、波長が1550nmから1459.98nmに減少し、続いて、出発LIDAR信号の周波数を減少し、波長が1459.98nmから1550nmに増加するようにできる。
【0040】
第1のサンプルの間、出発LIDAR信号の周波数を増加するときに、LIDAR出力信号は、チップから離れて進み、そして、LIDAR入力信号としてチップに戻る。LIDAR入力信号の一部は、比較信号になる。LIDAR出力信号、及び、LIDAR入力信号が、チップと反射物体との間を移動している間に、出発LIDAR信号の周波数は増加し続ける。出発LIDAR信号の一部は参照信号となるので、参照信号の周波数は増加し続ける。結果として、比較信号は、光結合部に同時に入射する参照信号よりも低い周波数で、光結合部に入射する。さらに、反射物体がチップから遠く配置されるほど、参照信号の周波数は、LIDAR入力信号がチップに戻る前に、より増加する。したがって、比較信号の周波数と参照信号の周波数との差が大きいほど、反射物体は、チップからさらに離れる。その結果、比較信号の周波数と参照信号の周波数との差は、チップと反射物体との間の距離の関数である。
【0041】
同じ理由で、第2のサンプルの間、出発LIDAR信号の周波数を減少するときに、比較信号は、光結合部に同時に入射する参照信号よりも高い周波数で、光結合部に入射し、及び、第2のサンプル中の比較信号の周波数と参照信号の周波数との間の差も、チップと反射物体との間の距離の関数である。
【0042】
いくつかの例では、チップ、及び、反射物体の相対的な移動もまた比較信号の周波数に影響を及ぼすので、比較信号の周波数と参照信号の周波数との間の差を、ドップラー効果の関数にできる。例えば、チップが、反射物体に向かって、又は、反射物体から離れて移動し、及び/又は、反射物体が、チップに向かって、又は、チップから離れて移動しているとき、ドップラー効果は、比較信号の周波数に影響を及ぼす可能性がある。比較信号の周波数は、反射物体が、チップに向かって、又は、チップから離れて移動している速度、及び/又は、チップが、反射物体に向かって、又は、反射物体から離れて移動している速度の関数であるため、比較信号の周波数と参照信号の周波数との差も、反射物体が、チップに向かって、又は、チップから離れて移動している速度、及び/又は、チップが、反射物体に向かって、又は、反射物体から離れて移動している速度の関数である。したがって、比較信号の周波数と参照信号の周波数との差は、チップと反射物体との間の距離の関数であり、及び、ドップラー効果の関数でもある。
【0043】
複合サンプル信号、及び、データ信号は、それぞれ、比較信号、及び、参照信号を有効に比較する。例えば、光結合部は、比較信号、及び、参照信号を結合し、及び、これらの信号は、異なる周波数を有するので、比較信号と参照信号との間でうなりが生ずる。したがって、複合サンプル信号、及び、データ信号は、比較信号と参照信号との間の周波数差に関連するビート周波数を有し、及び、ビート周波数を用いて、比較信号、及び、参照信号の周波数の差を判定できる。複合サンプル信号、及び/又は、データ信号に関するより高いビート周波数は、比較信号、及び、参照信号の周波数の間に、より高い差を示す。その結果、データ信号のビート周波数は、チップ、及び、反射物体の間の距離の関数であり、及び、ドップラー効果の関数でもある。
【0044】
上述のように、ビート周波数は、2つの未知数、チップと反射物体との間の距離、及び、チップ、及び、反射物体の相対速度(すなわち、ドップラー効果の寄与)の関数である。比較信号と参照信号との間の周波数差の変化(Δf)は、Δf=2Δvf/cで与えられ、ここで、fは、LIDAR出力信号、したがって、参照信号の周波数であり、及び、Δvは、チップ、及び、反射物体の相対速度であり、及び、cは、空気中の光の速度である。多数の異なるサンプルを用いることにより、電子回路62は、2つの未知数を解決できる。例えば、第1のサンプルについて判定されたビート周波数は、未知の距離、及び、ドップラー寄与に関連し、及び、第2のサンプルについて判定されたビート周波数も、未知の距離、及び、ドップラー寄与に関連する。2つの関係を利用することによって、電子回路62は、2つの未知数を解決できる。したがって、ドップラー効果に影響されることなく、チップと反射物体との間の距離を判定できる。さらに、いくつかの例では、電子回路62は、この距離を、ドップラー効果と組み合わせて用いて、チップに向かう、又は、チップから離れる反射物体の速度を判定する。
【0045】
ターゲット、及び、ソースの相対速度がゼロ、又は、非常に小さい場合、ビート周波数に対するドップラー効果の寄与は、本質的には、ゼロである。これらの場合、ドップラー効果は、ビート周波数に、実質的に寄与せず、及び、電子回路62は、第1のサンプルだけを取って、チップと反射物体との間の距離を判定できる。
【0046】
動作中、電子回路62は、制御光センサ61から出力される電気制御信号に応答して、出発LIDAR信号の周波数を調整することができる 制御光センサ61から出力される電気制御信号の大きさは、出発LIDAR信号の周波数の関数である。したがって、電子回路62は、制御の大きさに応じて、出発LIDAR信号の周波数を調整できる。例えば、1つのサンプルの間に出発LIDAR信号の周波数を変化させながら、電子回路62は、時間の関数として、電気制御信号の大きさに関する適切な値の範囲を有することができる。サンプルの間の複数の異なる時点で、電子回路62は、電気制御信号の大きさを、サンプルの間の現在の時間に関連する値の範囲と比較できる。電気制御信号の大きさが、出発LIDAR信号の周波数が電気制御信号の大きさの関連付けられた範囲外であることを示す場合、電子回路62は、光源10を動作させて、出発LIDAR信号の周波数を変化させて、それが関連付けられた範囲内に入射するようにできる。電気制御信号の大きさが、出発LIDAR信号の周波数が電気制御信号の大きさの関連付けられた範囲内にあることを示す場合、電子回路62は、出発LIDAR信号の周波数を変化させない。
【0047】
動作中、電子回路62は、サンプリング光センサ54からのサンプリング信号に応じて、出力光減衰器46によって提供される減衰のレベルを調整できる。例えば、電子回路62は、出力光減衰器46を動作させ、第1の信号閾値を超えるサンプリング信号の大きさに応じて、減衰量を増加させ、及び/又は、第2の信号閾値未満であるサンプリング信号の大きさに応じて、出力低下の大きさを減少させる。
【0048】
いくつかの例では、電子回路62は、出力光減衰器46によって提供される減衰のレベルを調整し、レーザ共振器の性能上の逆反射の影響を防止、又は、低減する。例えば、第1の信号閾値、及び/又は、第2の信号閾値は、レーザ共振器の性能上の逆反射の影響を防止、又は、低減するように、任意に選択できる。LIDAR入力信号の一部が戻りLIDAR信号としてレーザ共振器に戻るとき、逆反射が起こる。いくつかの例では、ファセット18を通過するLIDAR入力信号の50%程度が、レーザ共振器に戻る。部分反射装置14に入射する戻りLIDAR信号の出力が、最小出力低下閾値を超えて、部分反射装置14から出射する出発LIDAR信号の出力よりも下回って減少(「出力低下」)しない場合、戻りLIDAR信号は、レーザ共振器の性能に影響を及ぼす可能性がある。図示のチップでは、最小出力低下閾値は約35dB(0.03%)にできる。したがって、戻りLIDAR信号は、部分反射装置14に入射する戻りLIDAR信号の出力が、部分反射装置14から出射する出発LIDAR信号の出力よりも35dB以下である場合に、レーザ共振器の性能に影響を及ぼす可能性がある。
【0049】
電子回路62は、出力光減衰器46を動作させ、例えば、目標物体が非常に近くにある、又は、高い反射性を有している、又は、その両方であるときに、低出力低下の影響を低減できる。図1から明らかなように、減衰のレベルを増大するように出力光減衰器46を動作させることにより、部分反射装置14に入射する戻りLIDAR信号の出力が低減され、及び、部分反射装置14から離れた位置で、戻り出発LIDAR信号の出力が低減される。出力光減衰器46が部分反射装置14から離れて配置されているため、部分反射装置14から出射する出発LIDAR信号の出力は、出力光減衰器46の動作によって、直接的には、影響されない。したがって、減衰のレベルを増大させるように出力光減衰器46を動作させることは、出力低下のレベルを増大する。その結果、電子機器は、光減衰器46を使用して、出力低下を調整できる。
【0050】
さらに、サンプリング信号の大きさは、出力低下に関連付けられる。例えば、サンプリング信号の大きさは、図1から明らかなように、比較信号の出力に関連付けられる。比較信号は、LIDAR入力信号の一部であるため、サンプリング信号の大きさは、LIDAR入力信号の出力に関連付けられる。この結果は、戻りLIDAR信号が、LIDAR入力信号の一部であるので、サンプリング信号の大きさも、戻りLIDAR信号の出力に関連付けられることを意味する。したがって、サンプリング信号の大きさは、出力低下に関連付けられる。
【0051】
サンプリング信号の大きさが出力低下に関連付けられるため、電子回路62は、サンプリング信号の大きさを用いて、出力光減衰器を動作させ、比較信号出力の大きさを目標範囲内に維持できる。例えば、電子回路62は、出力低下の大きさが第1の閾値以下であることを示すサンプリング信号に応じて、出力低下の大きさを増加させるように出力光減衰器46を動作させることができ、及び/又は、電子回路62は、出力低下の大きさが第2の閾値以上であることを示すサンプリング信号に応じて、出力低下の大きさを減少させるように出力光減衰器46を動作させることができる。いくつかの例では、第1の閾値は、最小出力低下閾値以上である。一例では、電子回路62は、第1の信号閾値を超えるサンプリング信号の大きさに応じて、出力低下の大きさを増加させるように出力光減衰器46を動作させ、及び/又は、第2の信号閾値未満のサンプリング信号の大きさに応じて、出力低下の大きさを減少させる。第1の閾値、第2の閾値、第1の信号閾値、及び、第2の信号閾値からなる群から選択された1つ、2つ、3つ、又は、4つの変数の識別を、LIDARチップシステムのセットアップ中の光チップのキャリブレーションから、判定できる。
【0052】
複合光信号の出力が出力閾値を超えると、光センサは、飽和になる可能性がある。光センサが飽和になると、データ信号の大きさは、出力閾値を超えて複合光信号の出力に増加があっても、増加しない最大値に行き当たる。したがって、複合光信号の出力が出力閾値を超えると、データが、失われる可能性がある。動作中、電子回路62は、データ光減衰器44によって提供される減衰のレベルを調整し、その結果、複合光信号の出力は、出力閾値未満に維持される。
【0053】
図1から明らかなように、サンプリング信号の大きさは、比較信号の出力に関連付けられる。したがって、電子回路62は、サンプリング信号からの出力に応じて、データ光減衰器44を動作できる。例えば、電子回路62は、サンプリング信号の大きさが比較信号の出力を示す場合に、データ光減衰器を動作させて、比較信号の減衰量を増加させ、及び/又は、サンプリング信号の大きさが比較信号の出力を示す場合に、データ光減衰器を動作させて、比較信号の減衰量を減少させ。例えば、いくつかの例では、電子回路62は、サンプリング信号の大きさが上側比較閾値以上であるときに、比較信号の減衰を増加させることができ、及び/又は、サンプリング信号の大きさが上側比較信号閾値以下であるときに、電子回路62は、比較信号の減衰を減少させることができる。
【0054】
上述のように、電子回路62は、サンプリング信号に応じて、出力光減衰器46によって提供される減衰のレベルを調整できる。電子回路62は、追加的に、又は、サンプリング信号に応じて、出力光減衰器46によって提供される減衰のレベルを調整する代わりに、サンプリング信号に応じて、データ光減衰器44によって提供される減衰のレベルを調整できる。
【0055】
チップのための適切なプラットフォームには、シリカ、リン化インジウム、及び、シリコン・オン・インシュレータ・ウェハが含まれるが、これらに限定されない。図2は、シリコン・オン・インシュレータ・ウェハから構成されたチップの一部の断面図である。シリコン・オン・インシュレータ(SOI)・ウェハは、基板82と光伝送媒体84との間に、埋め込み層80を有している。シリコン・オン・インシュレータ・ウェハでは、埋め込み層は、シリカである一方、基板、及び、光伝送媒体は、シリコンである。SOIウェハなどの光学プラットフォームの基板は、チップ全体の基盤として機能できる。例えば、図1に示す光学部品は、基板の上面、及び/又は、側面に接して、又は、上に、配置できる。
【0056】
図2に示されたチップの部分は、シリコン・オン・インシュレータ・ウェハから構成されたチップと共に用いられるのに適した導波路構造を有している。光伝送媒体のリッジ86は、光伝送媒体のスラブ領域88から離れて延伸する。光信号は、リッジの頂点と埋め込み酸化物層との間に制限される。
【0057】
リッジ導波路の寸法は、図2で符号付けされている。例えば、リッジは、wで符号付けされた幅、及び、hで符号付けされた高さを有している。スラブ領域の厚さは、符号付けられたTである。LIDARアプリケーションに関して、これらの寸法は、他のアプリケーションで用いられるよりも高いレベルの光電力を用いる必要があるため、他のアプリケーションよりも重要である。リッジ幅(符号付けられたw)は、1μmより大きく、及び、4μm未満であり、リッジ高さ(符号付けられたh)は、1μmより大きく4μm未満であり、スラブ領域の厚さは、0.5μmより大きく3μm未満である。これらの寸法は、導波路の直線部分、又は、実質的な直線部分、導波路の湾曲部分、及び、導波路のテーパ部分に適用できる。したがって、導波路のこれらの部分は、シングルモードとなる。しかし、場合によっては、これらの寸法は、導波路の直線部分、又は、実質的な直線部分に適用される一方、導波路の湾曲部分、及び/又は、導波路のテーパ部分は、これらの範囲外の寸法を有する。例えば、図1に示すユーティリティ導波路16のテーパ部分は、4μmより大きく、及び、4μm〜12μmの幅、及び/又は、高さを有することができる。追加的に、又は、代替的に、導波路の湾曲部分は、導波路の湾曲部分における光損失を低減するために、薄くされたスラブ厚さを有することができる。例えば、導波路の湾曲部分は、0.0μm以上、0.5μm未満の厚さで、スラブ領域から離れるように延伸するリッジを有することができる。上記の寸法によって、一般的には、シングルモード構造を有する導波路の直線部分、又は、実質的な直線部分が提供される一方、それらは、結果として、マルチモードであるテーパ部分、及び/又は、湾曲部分にできる。マルチモード・ジオメトリとシングルモード・ジオメトリとの間の結合は、高次モードを実質的に励起しないテーパを使用して行うことができる。したがって、導波路で伝送される信号が、マルチモードの寸法を有する導波路セクションで伝送される場合であっても、シングルモードで伝送されるように、導波路を構成できる。図2の導波路の構造は、共振器導波路12、ユーティリティ導波路16、参照導波路27、比較導波路30、第1の検出器導波路36、第2の検出器導波路38、サンプリング導波路52、制御導波路57、及び、干渉計導波路60からなる群から選択された導波路の全部、又は、一部に適している。
【0058】
ユーティリティ導波路16とインターフェイスで接続される光源10は、チップから離れており、その後、チップに取り付けられる利得要素にできる。例えば、光源10は、フリップチップ配置を用いてチップに取り付けられる利得要素にできる。
【0059】
フリップチップ配置の使用は、光源10が、シリコン・オン・インシュレータ・ウェハから構成されたチップ上のリッジ導波路とインターフェイス接続されるであろう場合に、適している。シリコン・オン・インシュレータ・ウェハから構成されたチップ上のフリップチップ利得素子とリッジ導波路との間の適切なインターフェイスの例を、それぞれが全体として本出願に組み込まれる、2017年7月11日に発行された米国特許番号9、705、278号、及び、1999年11月23日に発行された米国特許番号第5、991、484号に見つけることができる。この構成は、光源10としての使用に適している。光源10が利得要素である場合には、電子回路62は、利得要素を介して印加される電流のレベルを変化させることによって、出発LIDAR信号の周波数を変更できる。
【0060】
減衰器は、チップから分離しており、その後、チップに取り付けられる構成要素にできる。例えば、減衰器を、フリップチップ配置のチップに取り付けられる減衰器チップに含めることができる。減衰器チップの使用は、データ減衰器、及び、制御減衰器からなる群から選択された減衰器の全部、又は、一部に適している。
【0061】
離れた構成要素上に減衰器を含める代わりに、減衰器の全部、又は、一部をチップに統合できる。例えば、シリコン・オン・インシュレータ・ウェハから構成されたチップ上のリッジ導波路とインターフェイス接続される減衰器の例を、それぞれが全体として本出願に組み込まれる、1999年6月1日に発行された米国特許番号第5、908、305号に見つけることができる。チップと統合された減衰器の使用は、データ減衰器、及び、制御減衰器からなる群から選択された光センサの全て、又は、一部に適している。
【0062】
チップ上の導波路とインターフェイス接続される光センサは、チップから分離しており、その後、チップに取り付けられる構成要素にできる。例えば、光センサは、フォトダイオード、又は、バランチフォトダイオードにできる。好適な光センサ要素の例には、日本の浜松市に所在するHamamatsu製InGaAs PINフォトダイオード、又は、日本の浜松市に所在するHamamatsu製InGaAs APD(アバランチフォトダイオード)が含まれるが、これらに限定されない。これらの光センサを、図1に示すように、チップに集中的に配置できる。或いは、光センサで終端する導波路の全部、又は、一部を、チップの端部に配置されるファセット18で終端させるようにでき、及び、光センサを、ファセット18上のチップの端部に取り付け、光センサがファセット18を通過する光を受光するようにできる。チップとは離れた構成要素である光センサの使用は、第1の光センサ40、第2の光センサ42、サンプリング光センサ54、及び、制御光センサ61からなる群から選択された光センサの全部、又は、一部に適している。
【0063】
離れた構成要素である光センサの代わりに、光センサの全部、又は、一部をチップに統合できる。例えば、シリコン・オン・インシュレータ・ウェハから構成されたチップ上のリッジ導波路とインターフェイス接続される光センサの例を、全体として本出願に組み込まれる、Optics Express Vol.15、No.21、13965−13971(2007)、20012年1月10日に発行された米国特許番号第8,093,080号、2012年8月14日に発行された米国特許番号第8,242,432号、及び、200年8月22日に発行された米国特許番号第6,108,8472号に見つけることができる。チップに統合された光センサの使用は、第1の光センサ40、第2の光センサ42、サンプリング光センサ54、及び、制御光センサ61からなる群から選択された光センサの全部、又は、一部に適している。
【0064】
様々な光学装置プラットフォームと一体化された光学格子構造が、利用できる。例えば、リッジの頂点、及び/又は、リッジの後側に溝を形成することによって、リッジ導波路に、ブラッグ格子を形成できる。
【0065】
いくつかの実施例では、LIDAR出力信号を走査することが望ましい。上記のチップ構造は、LIDARアプリケーションで使用される様々な走査機構との使用に適している。例えば、出発LIDAR信号を、1つ以上の反射装置、及び/又は、1つのよりコリメートされた装置によって受光できる。1つ以上の反射装置を、LIDA出力信号を再誘導、及び/又は、操舵するように構成し、LIDAR出力信号の走査を提供するようにできる。好適な反射装置には、機械的に駆動されるミラー、及び、微小電気機械システム(MEMS)ミラーを含むミラーが含まれるが、これらに限定されない。1つ以上のコリメート装置は、LIDA出力信号のコリメーションを提供し、したがって、ユーティリティ導波路16で受光されるLIDA入力信号の部分を増加できる。好適なコリメート装置には、単一のレンズ、及び、複合レンズが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
図3は、反射装置90、及び、コリメート装置92と共に使用される上述のチップを示している。例えば、レンズは、LIDA出力信号を受光し、及び、LIDA出力信号のコリメーションを提供するコリメート装置として機能する。ミラーは、コリメートされたLIDA出力信号を受光し、及び、コリメートされたLIDA出力信号を所望の方向に反射する反射装置90として機能する。Aで符号づけられる矢印で示されているように、電子回路は、コリメートされたLIDA出力信号を操舵し、及び/又は、コリメートされたLIDA出力信号を走査するように、ミラーを動かすことができる。ミラーの動作は、2次元、又は、3次元にできる。適切なミラーには、機械的に駆動されるミラー、及び、微小電気機械システム(MEMS)ミラーが含まれるが、これらに限定されない。
【0067】
図4は、反射装置90、及び、コリメート装置92と共に使用される上述のチップを示している。例えば、ミラーは、LIDA出力信号を受光し、及び、LIDA出力信号を所望の方向に反射する反射装置90として機能する。Aで符号付けられた矢印で示されているように、電子回路は、LIDA出力信号を操舵し、及び/又は、LIDA出力信号を走査するように、ミラーを動かすことができる。レンズは、ミラーからLIDA出力信号を受光し、及び、LIDA出力信号のコリメーションを提供するコリメート装置92として機能する。レンズを、ミラーの動作とともに動くように構成し、レンズが、ミラーの異なる位置でLIDA出力信号を受信し続けるようにできる。或いは、ミラーの動作を、十分に制限し、レンズが、ミラーの異なる位置でLIDA出力信号を受光し続けるようにできる。ミラーの動作は、2次元、又は、3次元にできる。適切なミラーには、機械的に駆動されるミラー、及び、微小電気機械システム(MEMS)ミラーが含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
SOI MEMS(silicon−on−insulator Micro Electro Mechanical System)技術のような技術を、MEMSミラーなどの反射装置をチップに組み込むために、用いることができる。例えば、図5は、ユーティリティ導波路16の長手方向軸を通って得られるチップの一部の断面図である。図示されたチップは、シリコン・オン・インシュレータ導波路上に形成されている。ミラー凹部は、光伝送媒体を通って基盤まで延在する。ミラーは、ユーティリティ導波路からLIDAR出力信号を受光するように、ミラー凹部内に配置される。レンズは、ミラーからLIDAR出力信号を受光し、及び、LIDAR出力信号のコリメーションを提供するコリメート装置92として機能する。レンズを、ミラーの動作とともに動くように構成し、レンズが、ミラーの異なる位置でLIDAR出力信号を受信し続けるようにできる。或いは、ミラーの動作を、十分に制限し、レンズが、ミラーの異なる位置でLIDA出力信号を受光し続けるようにできる。電子回路は、ミラーの動作を2次元、又は、3次元で制御できる。
【0069】
適切な電子回路には、アナログ電気回路、デジタル電気回路、プロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、コンピュータ、マイクロコンピュータ、又は、上述した動作、監視、及び、制御機能を実行するのに適した組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、コントローラは、動作、制御、及び、監視機能の実行中に、コントローラによって実行される命令を有するメモリへアクセスする。電子回路は、一つの部品として、一つの場所に図示されているが、電子回路は、互いに独立し、及び/又は、異なる位置に配置された複数の異なる構成要素を含むことができる。さらに、上述したように、開示された電子回路の全て、又は、一部を、チップと統合された電子回路を有するチップ上に含めることができる。
【0070】
レーザ共振器は、チップ上に配置されているとして示されているが、レーザ共振器の全部、又は、一部を、チップから離れて配置できる。例えば、ユーティリティ導波路16は、出発LIDAR信号が、チップから離れたレーザ共振器からユーティリティ導波路16に入射する際に通過する第2のファセットで終端できる。
【0071】
チップは、図示された構成要素に加えて、構成要素を有することができる。一例として、光減衰器(図示せず)を、第1の検出器導波路36、及び、第2の検出器導波路38に沿って配置できる。電子回路は、これらの減衰器を動作させ、その結果、第1の光センサ40に到達する複合サンプル信号の第1の部分の出力が、第2の光センサ40に到達する複合サンプル信号の第2の部分の出力と同じか、又は、ほぼ同じにできる。電子回路は、複合サンプル信号の第1の部分の出力レベルを示す第1の光センサ40からの出力、及び、複合サンプル信号の第2の部分の出力レベルを示す光センサ42からの出力に応じて、減衰器を動作できる。
【0072】
本発明のその他の実施形態、組合せ、及び、修正は、これらの教示に鑑みて当業者に、容易に、生じるであろう。したがって、本発明は、上記の明細書、及び、添付図面と合わせて検討したときの実施形態、及び、修正をすべて含む、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。


図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】