(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-523502(P2021-523502A)
(43)【公表日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】指紋検出用のコンパクトな光学センサ
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20210806BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20210806BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20210806BHJP
H04N 5/369 20110101ALI20210806BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20210806BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20210806BHJP
【FI】
G06T1/00 400G
H01L27/146 A
H01L27/146 D
H01L27/144 K
H04N5/369
G01J1/02 Q
G01J1/02 P
G09F9/00 366Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2021-513000(P2021-513000)
(86)(22)【出願日】2019年5月7日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月21日
(86)【国際出願番号】EP2019061738
(87)【国際公開番号】WO2019215192
(87)【国際公開日】20191114
(31)【優先権主張番号】18170996.5
(32)【優先日】2018年5月7日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】18184693.2
(32)【優先日】2018年7月20日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520438545
【氏名又は名称】ウェーブタッチ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520438556
【氏名又は名称】ウェーブタッチ デンマーク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シャン, ペン
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン, ヨーゲン コースガード
【テーマコード(参考)】
2G065
4M118
5B047
5C024
5G435
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本開示は、指紋検出器などの画像認識デバイスで使用するための光学センサに関する。本開示の光学センサは、コンパクトかつ費用効率の高い構造で改善された光透過率を有している。特に、本開示の光学センサは、スマートフォンなどの電子機器のディスプレイパネルの下に配置できる。一実施形態は、ディスプレイパネルの上部で指紋から返された光を検出/画像化するためにディスプレイパネルの下に配置するための光学センサシステムに関し、光学センサは、光集束素子のアレイを備えた前側と、集束素子と整列した光学的に透明な開口のアレイを備えた不透明な裏側とを有するマイクロレンズ構造、及びマイクロレンズ構造の裏側に面する光学検出器のセンサアレイを含む。光学センサシステムは、好ましくは、物体から返された光が、マイクロレンズ構造によって透明な開口を通してセンサアレイの上に集束できるように構成される。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネルの上部で物体から返された光を検出及び/または画像化するために前記ディスプレイパネルの下に配置するための光学センサシステムであって、
−光集束素子のアレイを備えた前側と、前記集束素子と整列した光学的に透明な開口のアレイを備えた不透明な裏側とを有するマイクロレンズ構造と、
−前記マイクロレンズ構造の前記裏側に面する光学検出器のセンサアレイと
を備え、
前記光学センサシステムは、前記物体から返された光が、前記マイクロレンズ構造によって前記透明な開口を通して前記センサアレイの上に集束できるように構成される、前記光学センサシステム。
【請求項2】
前記光学センサシステムは、入射角が所定の値を超える返された光は検出されないが、入射角が10度未満の前記所定の値以下の返された光は、前記マイクロレンズ構造によって前記センサアレイに集束されるように構成される、請求項1に記載の光学センサシステム。
【請求項3】
前記入射角の前記所定の値は5度である、請求項2に記載の光学センサシステム。
【請求項4】
各集束素子は、前記センサアレイ上の対応するピクセルに返された光を集束させる、及び/または画像化するように構成される、先行請求項のいずれかに記載の光学センサ。
【請求項5】
前記マイクロレンズ構造は、前記所定の値を超える入射角を有する前記返された光の少なくとも一部を吸収するように構成される、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項6】
前記マイクロレンズ構造は、好ましくは前記マイクロレンズアレイの前記前側に向かって、前記所定の値を超える入射角を有する前記返された光の少なくとも一部を反射するように構成される、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項7】
反射性材料は、前記透明な開口を形成するために、及び前記マイクロレンズの内側の前記裏側に入射する光が、前記透明な開口を通して透過される、または前記反射性材料によって反射されるように、前記マイクロレンズ構造の前記裏側に付着される、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項8】
アルミ箔などの金属箔は、前記マイクロレンズ構造の前記裏側が前記マイクロレンズ構造の前記前側に向かって反射するように前記マイクロレンズ構造の前記裏側に付着される、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項9】
前記透明な開口は前記金属箔の穴として設けられる、先行請求項8のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項10】
前記センサアレイは、集束素子ごとに1つのピクセルのみ備える、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項11】
前記センサアレイの複数の隣接するピクセルはグループで組み立てられ、ピクセルの各グループは、前記センサアレイが集束素子ごとに1つのアクティブなピクセルのみ含むように1つのアクティブなピクセルとして機能するように構成される、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項12】
前記マイクロレンズ構造の前記前側と前記裏側との間の距離は100μm未満である、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項13】
前記集束素子は、30μm未満の直径を有する、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項14】
前記集束素子は、15μm未満の後方焦点距離を有するように構成される、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項15】
前記マイクロレンズ構造の前記開口は、200μm2未満の面積を有する、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項16】
前記センサアレイが前記開口から間隔を置いて配置されるように、前記センサアレイは前記マイクロレンズアレイの前記裏側までの所定の距離で取り付けられる、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項17】
IR光が前記ディスプレイパネルの上部で指紋に入射するように、前記マイクロレンズ構造の前記前側に向かって光を透過させるための少なくとも1つの赤外線光源をさらに備える、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項18】
発光ディスプレイパネルからの光を利用するように構成された、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項19】
前記マイクロレンズ構造は、射出成形によってまたはフィルム押圧によってポリマー材料で製造される、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項20】
指紋検出器などの画像認識デバイスであって、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステムと、画像情報を記憶するためのストレージユニットと、画像を認識するために前記センサアレイからの信号を処理するための処理ユニットとを備える、前記画像認識デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像認識デバイス、例えば指紋検出器などの生体認証システムで使用するための光学センサに関する。本開示の光学センサは、コンパクトかつ費用効率の高い構造で改善された光透過率を有している。特に、本開示の光学センサは、スマートフォンなどの電子機器のディスプレイパネルの下に配置できる。
【背景技術】
【0002】
指紋センサは、プライバシー及びデータの保護、ならびに識別認証のためにスマートフォン、タブレット、ラップトップなどのディスプレイ付き電子機器の中に大規模に統合されている。今日、最も一般的な指紋センサは、デバイスのディスプレイとは独立して機能する容量センサである。容量センサは電子ディスプレイと容易に統合されないため、デバイスの前面のほぼ全体を覆うディスプレイに向けた現在の動きは、指紋センサを前面と統合することを難しくしている。
【0003】
指からの反射は、カバーガラス及びディスプレイを通って指紋センサへ後方散乱できるため、光学指紋センサは、ディスプレイのカバーガラスの真下に配置できる。しかし、指紋のぼやけた画像を回避するためには、光学指紋センサは、通常、光線がセンサアレイのピクセルに衝突する前に指からの大きな角度の後方散乱反射を除去する必要がある。
【0004】
現在のフィルタリング技術は、ディスプレイとセンサアレイとの間に位置する光吸収チャネルを提供し、それによってコリメータとして機能する。例えば、米国第2017/270342号及び米国第2018/012069号を参照すること。望ましくない背景光を実質的に除去するために、チャネルの厚さは約300ミクロンでなければならず、あらゆるチャネルの直径は約30ミクロンであり、溝は約50ミクロンである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの吸収チャネルの問題は、所望の光の相当な部分が吸収されてしまう点である。そして、吸収チャネルを製造するために使用される現在の技術は高価であり、高い収率を提供しない。したがって、本発明の1つの目的は、費用効率が高く、電子機器で透明なディスプレイと統合できる指紋検出のための光学センサ解決策を提供することである。
【0006】
望ましくない光が散乱または吸収されるが、所望の光をセンサアレイのピクセルの上に集束させるためのマイクロレンズのアレイを含むマイクロレンズ構造を用いることによって、本開示はこれらの問題を解決する。したがって、本開示は、ディスプレイパネルの上部で指紋などの物体から返された光を検出するために(透明な)ディスプレイパネルの下に配置するための、光学センサシステムとしても知られる光学センサに関する。第1の実施形態では、光学センサは、光集束/画像形成素子のアレイを備えた前側と、少なくとも部分的に透明な裏側とを有するマイクロレンズ構造を含む。裏側は、集束素子と整列した、例えば窓の形の光学的に透明な/光透過性の開口のアレイを備えてよい。すなわち、各マイクロレンズの焦点は、好ましくは対応する開口内に位置する。好ましい実施形態では、透明であるのは開口だけであり、一方裏側の残りの領域は、例えば遮光層の形で、例えば不透明など光透過性ではない、すなわち遮光性であり、したがって光は、裏側の不透明部分を通って透過できない。光透過の遮断は、吸収/遮光着色/反射性材料または表面の一定の粗さなどの当該技術で既知の種々の手段によって実現できる。
【0007】
光学検出器のセンサアレイが設けられてよく、センサアレイはマイクロレンズ構造の裏側に面する。すなわち、好ましくは、各マイクロレンズの焦点は対応する開口内に位置するので、好ましくは、光学センサシステムは、物体から返された光をマイクロレンズ構造によって、透明な開口を通してセンサアレイの上に集束できるように構成される。
【0008】
光学センサは、好ましくは、入射角が所定の値以下である指紋光はセンサアレイに集束されるが、入射角が該所定の値を超える指紋光は検出されないように構成される。入射角の所定の値は、例えば、20度または15度、好ましくは10度、より好ましくは8度、なおより好ましくは6度、最も好ましくは5度であってよい。あるいは、それは選択された実施形態では、4度または3度であってもよい。本開示の光学センサは、光源としてのディスプレイパネル、及び/または1つ以上の別々の光源と連動するように構成されてよい。
【0009】
本開示は、さらに、本開示の光学センサを含む指紋検出器などの画像認識デバイスに関する。指紋センサは、例えば指紋を検出するなど、画像を認識するためにセンサアレイからの信号を処理するための処理ユニットを含んでよい。指紋センサは、さらに、好ましくは暗号化されたフォーマットで指紋情報を記憶するためのストレージユニットを含んでよい。処理ユニット、ストレージユニット、及びセンサアレイは、1つの集積回路/構成要素の部分であってよい。
【0010】
追加の実施形態は、ユーザーが触れるための接合部分としてのディスプレイパネル上に形成された上部透明層と、本明細書に開示する光学センサとを含むディスプレイパネルを含む、指紋を光学的に検出するためのスマートフォン、タブレット、ラップトップなどの電子機器に関する。ディスプレイパネルは発光ディスプレイピクセルを含んでよく、各ピクセルは、ディスプレイ画像の一部分を形成するために発光するように構成され、上部透明層は、ディスプレイパネルから表示画像へ光を透過させるために構成される。
【0011】
本開示は、さらに、ディスプレイパネルの下方に位置するマイクロレンズ構造内に配置されたマイクロレンズによって、光学検出器のセンサアレイに指紋光を集束させ、画像化するステップを含む、透明ディスプレイパネルの上部で指紋から返された光を検出するための方法に関し、指紋光、すなわち物体から返された光は、上述のように所定の入射角の範囲内で受光される。
【0012】
本開示は、さらに、本開示の光学センサシステムで使用するために適している整列した開口を有するマイクロレンズ構造の製作方法に関する。製作方法は、好ましい実施形態では、マイクロレンズ構造の裏側に適用される感光性材料の使用を対象とする。感光性材料は、光を受光するとその特性を変える任意の材料であってよく、マイクロレンズ構造の前側を通して、例えばコリメート光などの光を照射することによって、マイクロレンズ構造の光学特性は、正確に整列した透明の開口が、マイクロレンズ構造の裏側の感光性材料に作成され、それによって裏側に透明な開口を有するマイクロレンズ構造の正確であるが、費用効率の高い製造がもたらされることを確実にできる。
【0013】
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】本開示のマイクロレンズ構造の例示的な単一マイクロレンズ及び対応するピクセルの横断(cut−through)側面図である。マイクロレンズの前側の集束素子は、凸状の前面によってピクセル上に光を集束させる。
【
図1B】本開示のマイクロレンズ構造の部分として凹状の前面を有する例示的な単一マイクロレンズ及び対応するピクセルの横断側面図を示す。
【
図1C】本開示のマイクロレンズ構造の部分として凸状の前面及び曲線状の裏側を有する例示的な単一マイクロレンズ、ならびに対応するピクセルの横断側面図を示す。
【
図1D】本開示のマイクロレンズ構造の部分としての凸状の前面及び反射する裏側を有する例示的な単一マイクロレンズ、ならびに対応する指紋の横断側面図を示す。
【
図2】アレイに配列された11の当接するマイクロレンズを含むマイクロレンズ構造の部分の概略図の横断図を示す。
【
図3】
図1Aに示すマイクロレンズ及びピクセルの斜視図を示す。
【
図4】ピクセルアレイの前のマイクロレンズ構造のアレイ形成部分に配列された
図3の複数のマイクロレンズの斜視図を示す。
【
図5】マイクロレンズのアレイの前側の別の斜視図を示す。
【
図6】
図5のマイクロレンズアレイの裏側を示す。円は透明な開口を示す。裏側の残りの部分は不透明である。
【
図7】
図5〜
図6のマイクロレンズアレイに対応するピクセルアレイの例を示す。黒い正方形はピクセルを示す。
【
図8】対応するマイクロレンズと透明な開口とピクセルの関係の図を示す。
【
図9】マイクロレンズが六角形の構成で配列されるマイクロレンズ構造のマイクロレンズの別の配列を示す。
【
図10】指紋センサの例示的な位置が電話のディスプレイの下である携帯電話/スマートフォンの外形を示す。
【
図11】携帯電話ユーザーが触れるカバーガラスが、OLEDディスプレイの上方に位置する
図10のセットアップの横断側面図を示す。指紋センサはOLEDディスプレイの下方に位置する。
【
図12】本開示の光学センサの一実施形態の機能性の図を示す。入射角が0°の指紋からの反射光は、マイクロレンズによってピクセルに集束される。
【
図13】
図12に対応するが、入射角はいま6°である。結果として、光は、マイクロレンズによって集束され、マイクロレンズ構造の裏側を通って透過されるが、入射角がより大きくなると、集束した光は、センサアレイとマイクロレンズ構造の裏側との間の間隔のためにピクセルに当たらない。すなわち、入射角がより大きい望ましくない光は検出されない。
【
図14】
図12に対応するが、入射角はいま13°である。結果として、光はマイクロレンズによって集束されるが、透明な開口の外側では不透明であるマイクロレンズ構造の裏側によって吸収される。すなわち、入射角がより大きい望ましくない光は検出されない。
【
図20】
図2に示すマイクロレンズアレイに入射する入射角が30°の光の波面を示す。光は、マイクロレンズによって集束されるが、次いで不透明な表面によって吸収される。
【
図21】
図2に示すマイクロレンズアレイに入射する入射角が30°の光の波面を示すが、開口がないと、背面全体が透明である。
【
図22】指紋センサの他に取り付けられた指紋センサの光源としての赤外線LEDの例示的な構成を示す。
【
図24】光源がピクセルと統合されて同軸照明を提供する単一のマイクロレンズの横断側面図を示す。
【
図25】光源として4つのIR LEDが指紋センサの回りに取り付けられた実施例を示す。
【
図26】IR LEDが指紋センサに統合されているのを示す。
【
図27】
図24にも示すように同軸照明を実行するために1つの単一ピクセルに統合されたマイクロLEDを示す。
【
図28】30°及び0°の入射角を有する2つの波面とともに細長い開口を有するマイクロレンズアレイの概略図を示す。
【
図29】細長い開口を含むマイクロレンズアレイの機能性の図を示す。入射角が6°の指紋からの反射光は、開口を形成するために働く不透明な表面によって遮断される。
【
図30】感光性材料を使用することによってマイクロレンズと整列する開口の製作のための概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明のおもな利点は、マイクロレンズ構造が、所定の入射角の範囲内の所望の光がセンサアレイ上のピクセルに画像化できるように、所望の光を集束させることができる点である。先行技術の解決策と比較すると、これは、所望の光のより多くが検出される、すなわち本マイクロレンズ構造は、所望の光のより高い透過率を有することを意味する。検出器に対する光が多いほど、より迅速に及び/またはより正確に指紋を検出できる。
【0016】
本マイクロレンズ構造を用いると、例えばおそらくピクセルの3分の1だけなど、標準的なCCDまたはCMOSアレイの中のピクセルの一部だけが検出に使用されるように、光を集束させることもできる。これにより、読み取りがはるかに高速になる、ピクセルがはるかに少ないセンサアレイを使用できるようになる。すなわち指紋センサは、より速く指紋を検出できる。ピクセルは、CCD(電荷結合素子)、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)、またはフォトダイオードのピクセルである可能性がある。
【0017】
別の利点は、本開示の構造を非常にコンパクトにすることができる点である。先行技術の解決策は、適切に機能するためには吸収チャネルの一定の高さを必要とする。吸収チャネルは、通常、300〜500μmの高さを有するのに対し、一方本マイクロレンズ構造は、わずか50〜100μmの高さで作ることができる。これは、電子ディスプレイデバイスをますます薄くするという現在の傾向にはるかによく適合する。
【0018】
マイクロレンズ構造の各集束素子は、特定の光学的な設計及び構成に合わせてカスタマイズできる。集束素子は、球形、非球形、ピラミッド形、凸状、凹状などである場合がある。設計は、マイクロレンズを囲む媒体に依存する。例えば、接合部分が空気である場合、集束素子は、通常球形となるであろう。接合部分が接着剤である場合、集束素子は、通常非球形になるであろう。裏側は平面である場合もあるが、例えば、球形、非球形、ピラミッド形、凸状、凹状など、光の集束、後方焦点距離の調整、収差補正などに役立つように設計することもできるであろう。
【0019】
コストを削減するために、本マイクロレンズ構造は、すべての集束素子が同一になるように製造できる。
【0020】
上述のように、マイクロレンズ構造は、指紋を通して、光が透過できる裏側を含んでよい。好ましい実施形態では、透明であるのはマイクロレンズアレイの裏側全体ではなく、集束素子のアレイに対応する透明な開口のアレイなどの透明な開口だけである。裏側の残りの部分は不透明にされる場合がある。透明な開口は
図6に例示されている。マイクロレンズ構造は、好ましくは、該集束素子のそれぞれが、該透明開口の1つと光学的に一致するように構成される。これらの透明な開口は、所定の入射角の範囲内の光だけがセンサアレイに透過されることを確実にするために役立つ。望ましくない光は、それが検出器/センサアレイに当たらないように、例えば散乱または吸収される場合がある。マイクロレンズ構造は、例えば、該所定の値を超える入射角を有する指紋光の少なくとも一部を吸収するまたは散乱させるように構成されてよい。例えば、マイクロレンズ構造は、集束素子及び光透過性である透明な開口を有する前側を除き、光吸収性となるように構成される場合がある。これは、例えば、光吸収性でなければならないマイクロレンズ構造の表面部分に暗い色を適用することによって実現できる。不透明性も、裏側表面を粗くすることによって提供できる。別の解決策は、例えば裏側表面の少なくとも一部分を少なくとも部分的に反射する材料で覆うことによって裏側表面を少なくとも部分的に反射性にすることである。
【0021】
好ましい実施形態では、本開示の光学センサは、指紋光が集束され、センサアレイに画像化されるように構成される。すなわち、各マイクロレンズは、センサアレイ上の対応するピクセルに指紋光を集束させる及び/または画像化するように構成されてよい。したがって、マイクロレンズ構造は、各集束素子が、マイクロレンズ構造の裏側の対応する透明な開口を通して指紋光を収束できるように構成されてよい。集束は、例えば、集束素子の少なくとも一部またはすべてに球面を与えることによって実現されてよい。
【0022】
好ましい実施形態では、マイクロレンズ構造の個々のマイクロレンズ要素間に接合部分がなく、マイクロレンズ内側の大半は好ましくは透明な材料の固形で均質な塊である。側面、すなわちそれぞれ個々のマイクロレンズ要素の前側及び裏側を繋ぐ面が、望ましくない光が側面によって吸収されるように不透明である場合、本開示の光学センサの光学特性は改善されるであろう。しかしながら、それにより、マイクロレンズ構造は、製造するのがはるかに複雑かつ高価になるであろう。代わりに、光学特性は、費用効率が高く設計及び製造できる開口によって制御できる。
【0023】
上述したように、センサアレイは、標準的なCCDセンサアレイであってよい。しかしながら、通常、標準的なセンサのピクセルの1/4と1/2の間、おそらく1/10と1/2の間しか実際にはこのセットアップで使用されないので、本明細書で使用するセンサアレイは、マイクロレンズごとに1つのピクセルしか含まないように構成されてよい。ピクセルがより少ないと、センサアレイの読み出しははるかに速くなり、したがって指紋検出器はより効率的になることができる。
【0024】
本開示の光学センサは、通常、接触面からマイクロレンズ構造までの距離がマイクロレンズ構造及びセンサアレイの設計に光学的な制約を与える所定のディスプレイパネルに合うように光学的に設計される。標準的な市販のセンサアレイでは、別の光学的制約を与えるピクセルサイズが事前に定められる。カスタマイズされたセンサアレイでは、ピクセルサイズは、光学設計空間の一部となる場合がある。
【0025】
追加の実施形態では、本開示の光学センサは、少なくとも1つの光学フィルタを含む。そのような光学フィルタは、望ましくない背景光などの所定の波長範囲の光を除去するように構成できるカラーフィルタであってよい。また、フィルタは、光源の波長範囲だけが通過できるように構成されてもよい。例えば、IR光源が使用される場合、カラーフィルタは、IR光だけを透過させるように構成できる。OLEDディスプレイパネルは、通常、3つの異なる波長範囲の光を用いる。カラーフィルタは、次いで、これらの波長範囲のうちの1つまたは2つだけを透過させるように構成される場合がある。例えば、フィルタは、
図1A〜1C及び
図12〜19に例示するように、例えばセンサアレイのすぐ前など、マイクロレンズ構造の裏側とセンサアレイの間に設けられてよい。
【0026】
本開示の光学センサは、例えば、通常はディスプレイパネルの一部であるOLED光源を使用することによって、例えば電子機器のディスプレイパネルなどの発光ディスプレイパネルからの光を利用するように構成されてよい。しかしながら、OLEDは、通常表示面に向かって上方に、及び下方に−指紋センサに向かって−の両方に光を照らす。したがって、この下方のOLED光を指紋から反射された光と区別する必要と思われるため、これは好ましい解決策ではない。したがって、好ましい解決策は、光が、指紋が位置する接触面から透過されるように光を透過させるための少なくとも1つの(別個の)光源を提供することである。光源(複数可)は、有利なことに、約700〜900nmまたは800〜900nmなどの赤外光、代わりにまたはさらに緑色光を発するために構成されてよい。しかしながら、他の波長範囲も可能である。光源は、非常に費用効率が高く提供することができ、非常にコンパクトであり得る少なくとも1つのレーザーまたはLEDであってよい。光が接触面から透過されるように、1つ以上の光源を統合するための多くの解決策がある。図面は多様な実施例を示す。好ましい解決策は、
図25に例示するように、センサアレイの回りに分配された4つの光源である。また、光源(複数可)は、センサアレイに統合されてよい。光源(複数可)は、マイクロレンズ構造の開口と光学的に一致しているセンサアレイの各ピクセルで統合することさえできる。これは、同軸照明を確実にする1つの方法である。また、光源(複数可)は、ディスプレイパネル上のカバーガラスが、
図22〜
図23に例示するように、光を分配するための導波路として使用されるように統合されてもよい。
【0027】
好ましい実施形態では、マイクロレンズ構造は、好ましくは射出成形またはフィルム押圧によってPMMAまたはPCなどのポリマー材料で製造される。マイクロレンズ構造は、各ユニットが複数のマイクロレンズ構造を含む大きいユニットで製造できる。光学センサで使用するための個々のマイクロレンズ構造は、次いで大きいユニットをより小さい構造に切断することによって提供される場合がある。
【0028】
透明な開口は、開口を除いて、吸収色、好ましくは黒などの暗い色でマイクロレンズ構造の裏側を塗装し、それによって透明な開口を形成することによって提供される場合がある。塗装は、例えばマスクの組み合わせを用いてなど、マイクロレンズ構造上に印刷することによって提供される場合がある。透明な開口は任意の幾何学形状である場合があるが、光学的な画像化の理由から、円形の構造が好ましい。透明な開口は、有利なことに、800μm
2未満、より好ましくは400μm
2未満、より好ましくは200μm
2未満、最も好ましくは100μm
2未満または約100μm
2の面積を有してよい。すなわち、開口は円筒形であってよい。
【0029】
また、透明の開口は、マイクロレンズ構造の裏側の少なくとも一部を、完全に反射性、または部分的に反射性で部分的に吸収性など、少なくとも部分的に反射性にすることによって提供できる。これは、反射性材料がマイクロレンズ構造の裏側に、すなわちマイクロレンズ構造の下方に付着されて、反射性材料要素間に透明な開口を作成する、
図15Bに例示するようなマイクロレンズ構造の裏側に反射性材料を付着することによって実現できる。この解決策の利点は、反射する裏側に入射する光が反射されてディスプレイパネルに戻され、それによってディスプレイパネル上で指紋などの物体を照らすために使用できる点である。すなわち、マイクロレンズ構造での吸収のため、消耗される光子はより少なくなるが、照明に再利用することができ、それによって光源の利用が増え、デバイスの効率が改善される。
【0030】
本開示の一実施形態では、マイクロレンズ構造の反射する裏側は、マイクロレンズ構造の裏側に付着することができるアルミニウム箔などの金属箔などの金属によって提供される。透明な開口は、マイクロレンズ構造の個々のマイクロレンズとの一致が実現されるように、金属箔を切断する、及び/または金属箔の中に穴を打ち抜くことによって提供できる。
【0031】
本開示の光学センサの一実施形態では、マイクロレンズ構造の前側と裏側との間の距離は、400μm未満、より好ましくは300μm未満、なおより好ましくは200μm未満であるが、さらにより好ましくは100μm未満、なおより好ましくは75μm未満、さらにより好ましくは60μm未満、最も好ましくは55μm未満である。マイクロレンズ構造の集束素子、すなわちマイクロレンズは、100μm未満、より好ましくは50μm未満、なおより好ましくは30μm未満、最も好ましくは25μm未満または約25μmの直径を有してよい。個々の集束素子は、30μm未満、より好ましくは20μm未満、より好ましくは15μm未満、最も好ましくは10μm未満または約10μmの後方焦点距離を有するように構成されてよい。したがって、センサアレイの平面内のマイクロレンズ構造の設置面積は、400mm
2未満、より好ましくは200mm
2未満、最も好ましくは100mm
2未満または約100mm
2であってよい。
【0032】
本開示の光学センサの一実施形態では、センサアレイは、マイクロレンズ構造に接着される。本開示の光学センサの光学特性をさらに改善するために、図面の多くで例示するように、センサアレイは、マイクロレンズ構造の裏側から間隔を置いて配置されてよい。この間隔は接着剤によって実現されてよい。マイクロレンズ構造とセンサアレイとの間のこの付着は、マイクロレンズ構造とセンサアレイとの間の接合部分が空気である、またはそれが透明な接着剤であり得るように提供されてよい。例えば、センサアレイは、例えば5〜30μm、好ましくは10〜15μmの所定の距離など、マイクロレンズ構造の裏側までの所定の距離で取り付けられる。この距離は、通常、集束素子の後方焦点距離に一致する。この間隔により、例えば所定の角度よりもわずかに大きい入射角の入射光など、透明な開口を通って透過される望ましくない光の部分が対応するピクセルに当たらないことが確実になる。
【0033】
その結果として、本開示の光学センサの総高さは、500μm未満、より好ましくは300μm未満、より好ましくは200μm、なおより好ましくは150μm、最も好ましくは100μm未満であってよい。
【0034】
光学センサは、実質的に正方形または矩形であってよい。しかしながら、センサがラインスキャナとなるように、実質的に細長い実施形態もオプションである。
【0035】
一実施形態は、光集束素子のアレイを備えた前側及び集束素子と整列した光学的に透明な開口のアレイを備えた遮光層を有するマイクロレンズ構造と、遮光層の下に配置された光学検出器のセンサアレイとを含む、画像を取得するための光学センサ(システム)に関し、マイクロレンズ構造は、マイクロレンズ構造の上方から開口に光学信号を収束するように構成され、光学信号は開口を介してセンサアレイに透過される。該マイクロレンズ構造の焦点は、好ましくは該開口内に位置する。開口は、有利なことに円筒形であってよい。サイズに関して、マイクロレンズ構造の中のマイクロレンズの数は、好ましくは少なくとも121である。
【0036】
開口アレイの厚さ
本開示の追加の実施形態では、細長い、例えば円筒形の開口を形成するために、開口は、例えば少なくとも3μm、より好ましくは少なくとも6μm、なおより好ましくは少なくとも9μm、さらにより好ましくは少なくとも12μm、最も好ましくは少なくとも15μmなどの開口の主平面に垂直な軸に沿ったかなりの厚さを有する。マイクロレンズ構造の細長い開口の厚さは、開口が、大きい入射角の望ましくない光を除去する能力に多大な影響を与える場合がある。開口を形成するように働くマイクロレンズ構造の裏側の非光透過性部分は、光透過性開口/光学的に透明な開口と同様の厚さを有してよい。代わりに、不透明な非光透過性部分は、センサアレイに垂直な軸に沿って、少なくとも3μm、より好ましくは少なくとも6μm、なおより好ましくは少なくとも9μm、さらにより好ましくは少なくとも12μm、最も好ましくは少なくとも15μmなどの実質的な厚さを有する細長い開口の形成のために実質的に3次元の構成で適用されてよい。細長い開口の厚さがより大きくなると、光が例えば不透明な塗料などの非光透過性部分によって遮断/吸収されずに開口を通過できる入射角が小さくなる場合がある。少なくとも3μm、より好ましくは少なくとも6μm、なおより好ましくは少なくとも9μm、さらにより好ましくは少なくとも12μm、最も好ましくは少なくとも15μmなどの細長い開口のかなりの厚さを有することによって、開口とセンサアレイとの間の空間の必要性が否定される場合がある。したがって、入射角が大きい指紋光は、開口によって遮断または吸収され得る。細長い開口部は、
図28及び
図29に例示される。
【0037】
マイクロレンズ、開口、及びセンサアレイ間の間隔
本開示の追加の実施形態では、開口アレイからセンサアレイを電気的に絶縁するための手段が提供される。絶縁手段は、センサアレイと開口アレイとの間での層の使用を含んでよく、層は、空隙などの間隙から、または実質的に絶縁体である材料によって成る場合がある。絶縁層を組み込むことによって、マイクロレンズ構造の開口アレイは、配列が、雑音の増加またはアセンブリの短絡を含むなど、センサアレイの出力信号の歪みにつながる危険を冒すことなく、光電ピクセルを含むセンサアレイに面する導電材料で製作され得る。好ましくは、開口は、望ましくない背景光など、所定の波長範囲の光を除去するように構成される、1つの光学フィルタ、またはマイクロレンズごとに1つなど複数の光学フィルタを含む。また、フィルタは、光源の波長範囲だけが通過するのを可能にするように構成されてもよい。フィルタは、マイクロレンズ構造の開口と同じ層に設けられてよい。フィルタ層は、さらに、各フィルタが非光透過性塗料で囲まれるように、マイクロレンズごとに単一のフィルタを含んでよい。このようにして、光フィルタは、開口を構成してよい、または開口の一部を形成してよい。例えば、マイクロレンズ構造の各開口はフィルタを含んでよい。
【0038】
追加の実施形態では、開口アレイは、センサアレイと接触していてよいが、別の実施形態では、空隙とともにセンサアレイに隣接して配置されてよい。センサ配列の部分間に間隔がないことは、デバイスの大量生産に役立ち得る。
【0039】
本開示の追加の実施形態では、開口はマイクロレンズ層と接触している。代わりに、開口は、マイクロレンズアレイと開口との間に間隙があるように、マイクロレンズ層と接触していない場合もある。
【0040】
マイクロレンズと整列した開口の製作
本開示の追加の実施形態では、整列した開口を有するマイクロレンズ構造の製作のための方法が提供される。好ましくは、制作方法は、マイクロレンズ構造の裏側に適用される感光性材料の使用に依存する。感光性材料は、光を受光するとその特性を変える任意の材料であってよく、したがってマイクロレンズ構造の製作に続く最終的な結果として、光を受光した感光性材料の領域及び光を受光しなかった領域が入射光の異なる透過率を有することになる。したがって、感光性材料は、例えば適切な現像剤の溶解度が、UV光などの光の照射によって変えられるポジ型のフォトポリマーなどのフォトポリマーであってよい。製作のための方法は、好ましくは、光がマイクロレンズ構造によって受光され、反射されることに依存し、各マイクロレンズまたはマイクロレンズアレイによって受光される光は、該マイクロレンズ構造の裏側の感光性材料の上の単一点に集束される。感光性材料を照射する光は、好ましくはマイクロレンズの焦点で、該材料変化を生じさせるのに十分であり、フォトポリマーが使用される場合、マイクロレンズ構造のマイクロレンズと正確に整列した透明な開口が形成され得る。当業者は、整列した透明な開口を有するマイクロレンズ構造を達成するために、フォトポリマー、波長、及び線量の要件の多くの組み合わせが可能であることを認識している。
【0041】
好ましい実施形態では、フォトポリマーは、物体から反射した光に対して非透過性(例えば、不透明)である。別の実施形態では、フォトポリマーは、金属などの二次材料でマイクロレンズ構造の裏側をコーティングした後に、犠牲層として使用されてよい。開口の製作のために使用される光は、必ずしもそうとは限らないが、コリメート光及び/またはコヒーレント光であってよく、さらに実質的に単一の波長から成ってよい、または波長の幅広いスペクトルから成ってもよい。製作プロセスの好ましい実施形態では、実質的にコリメートされた光が使用され、マイクロレンズ構造のマイクロレンズを通過する入射光は、より狭いスポットの中に集束されることになる。フォトポリマーなどの適用された感光性材料の厚さは、製作後に、マイクロレンズ構造の裏側に実質的に垂直な軸に沿って、開口の長さに反映される。好ましくは、限定的とならずに、製作プロセスはフォトマスクを必要とせずに実施される。例えば表面が完全に複数の凸状構造から成るように、指紋光が受光されるマイクロレンズ構造の前部を完全にマイクロレンズから成るようにすることによって、すべての入射光を一方のレンズの焦点に集束できるので、マイクロレンズ構造全体が同時に照射され得る。別の実施形態では、コリメート光は、最終的な開口のサイズ及び形状を調整できるために非ゼロ入射角を有してよい。さらに、コリメート光は線または面の形であってよい。別の実施形態では、マイクロレンズアレイと感光性材料との間に空気、ポリマー、ガラス、または他の絶縁材料の層がある。少なくとも1つの光源が製作中に使用され、複数の光源が使用されてよく、それらはさらに同じまたは異なる波長を有してよい。
図30は、感光性材料で覆われたマイクロレンズ構造の裏側で開口を生成するためにコリメート光を使用する例を示す。
【0042】
別の実施形態では、製作方法は、マイクロレンズ構造の裏側へのレーザーアブレーションに敏感である材料の適用に依存する。つまり、材料は、好ましくは物体から返された光に対して非透過性である。レーザー光は、材料の適用に続き、その後、マイクロレンズ構造のマイクロレンズが、非透過性材料の上にレーザー光を集束させ、材料内に開口を形成するのに役立つように、マイクロレンズ構造の前側で光ってよい。当業者は、多くのタイプのレーザー光源及び感光性材料が、レーザーアブレーションによって開口を形成するために組み合され得ることを認識している。
【0043】
レンズの特性
本明細書で使用するように、レンズ(例えば、マイクロレンズ)は、レンズの中心を通るレンズのマイクロレンズ構造に垂直な平面に沿って、半球形、非球形、円錐形、三角形、矩形、多角形、またはその組み合わせである断面構造を有する要素を含むが、これに限定されるものではない。
【0044】
レンズは、それが少なくとも物体から返された光に対して実質的に透明であるように光学特性を有してよい。さらに、レンズは、1を超える、好ましくは少なくとも1.1、より好ましくは少なくとも1.2、なおより好ましくは少なくとも1.25、最も好ましくは少なくとも1.25を超える屈折率を有してよい。好ましくは、コリメート入射光は、マイクロレンズによって、マイクロレンズの焦点面に位置する単一の点に集束される。
【0045】
本開示の追加の実施形態では、レンズは、線形レンズアレイ、及び/または最密六方アレイもしくは任意の他の2次元アレイなどの2次元レンズアレイなど、レンチキュラーレンズである。レンチキュラーレンズを用いるマイクロレンズ構造の開口は、ピンホール開口の代わりにスリットの使用であってよいが、これに限定されるものではない。本開示の追加の実施形態では、開口は、正方形などの矩形、楕円形、または多角形などの他の形状を有する。
【0046】
実施例
図1Aは、本開示のマイクロレンズ構造の例示的な単一マイクロレンズ及び対応するピクセルの横断側面図を示す。マイクロレンズの前側にある集束素子は、凸状の前面によってピクセルの上に光を集束させる。凸状の前面は、空気などのそれ自体よりも低い屈折率の媒体内に位置するとき、集束素子として機能する。裏側の部分は不透明に塗装される。未塗装の部分は透明な開口である。所望の光は開口を通過し、次いで光学検出器であるピクセルに当たる。望ましくない光は、塗料によって吸収され、フィルタによって除去される、またはピクセルの外部で当たる。
図1Aのマイクロレンズの前側は、24ミクロンの曲率半径を有する球である。一方、裏側は平面である。マイクロレンズの長さは54ミクロンであり、幅及び高さはともに24ミクロンである。後方焦点距離は13ミクロンである。裏側の中心の透明な開口は円形であり、それは裏側の残りを不透明に塗装するまたはそれを粗くすることによって形成される。対応するピクセルのサイズは8×8ミクロンである。前側、裏側、及びピクセルの中心は1対1で対応している。言い換えると、前側、裏側、及びピクセルは同軸である。マイクロレンズは、空気にさらされるように設計される。すなわち、マイクロレンズの前側及び裏側への接合部分は空気でなければならない。ピクセルの前のフィルタは、例えば信号波長の光だけが通過することを可能にすることによって望ましくない波長の光を除去するために設けられる。適切なフィルタは、背景光を大幅に低減できる。
【0047】
指紋に敏感な領域のサイズは、実際の必要性に依存する。指紋に敏感である10mmx10mmの領域を提供するためには、
図1Aに示すようなマイクロレンズ及びピクセルの417x417アレイが適しているであろう。
【0048】
別の実施例では、マイクロレンズの前側は、曲率半径が50ミクロンの球形である。一方、裏側は平面である。マイクロレンズの長さは100ミクロンであり、幅及び高さはともに50ミクロンである。後方焦点距離は20ミクロンである。裏側の中心、すなわち同軸の透明な開口は、直径20ミクロンの円形である。対応するピクセルのサイズは15x15ミクロンである。マイクロレンズは空気にさらされるように設計される。
【0049】
図1Bは、本開示のマイクロレンズ構造の例示的な単一マイクロレンズ及び対応するピクセルの横断側面図を示す。マイクロレンズの前側にある凹状の集束素子は、ピクセルの上に光を集束させる。凹状の前面は、それ自体よりも高い屈折率の媒体内に位置するとき、集束素子として機能する。
【0050】
図1Cは、本開示のマイクロレンズ構造の例示的な単一マイクロレンズ及び対応するピクセルの横断側面図を示す。マイクロレンズの前側にある集束素子は、ピクセルに光を集束させる。マイクロレンズの前側は凸状であり、マイクロレンズの裏側は平坦ではなく、それは光の集束に役立つために湾曲している。これにより、後方焦点距離の調整、収差補正などが実現できる。
【0051】
図1Dは、マイクロレンズの裏側のある種の反射性材料が、透明な開口を形成するために使用されることを示す。示している実施例では、入射角が大きい光が反射性材料に入射している。光は吸収される代わりに、ディスプレイパネルに向かって反射されて戻り指紋の照明を増やす。すなわち、指紋は、マイクロレンズの反射する裏側によって反射された光だけではなく、元の光源によっても照らされる。
【0052】
図2は、アレイに配列された11の当接するマイクロレンズを含むマイクロレンズ構造の一部の概略図の横断図を示す。個々のマイクロレンズは水平物を用いて示されていても、マイクロレンズ間に接合部分はなく、マイクロレンズ間の光分離は必要ではないため、これにより製造費は削減される。これは、隣接するチャネル間の光分離が必要である先行技術の光学チャネル解決策とは対照的である。
【0053】
図3は、
図1Aに示すマイクロレンズ及びピクセルの斜視図を示す。透明な側面が示されている。
【0054】
図4は、ピクセルアレイの前のマイクロレンズ構造のアレイ形成部分に配列された
図3の複数のマイクロレンズの斜視図を示す。実際的な実施態様は、通常数千ものマイクロレンズを含むので、121のマイクロレンズの示されているアレイは、実際のマイクロレンズ構造の非常に小さい部分にすぎない。
【0055】
図5は、マイクロレンズのアレイの前側の別の斜視図を示す。
図5の実施例は、円形の前面を示しているが、領域を形成できる限り、例えば六角形、三角形などの他のオプションも可能である。
【0056】
図6は、
図5のマイクロレンズアレイの裏側を示す。円は透明な開口を示す。裏側の残りの部分は、望ましくない光が吸収されるように不透明である、または粗い。また、開口の形状は、正方形、六角形、他の等辺多角形である場合もあるであろうが、円形が最も好ましい。隣接するマイクロレンズ間に光分離がない場合、透明な開口は望ましくない光を除去/吸収するために重要である。
【0057】
図7は、
図5〜
図6のマイクロレンズアレイに対応するピクセルアレイの実施例を示す。黒の正方形が利用されているピクセルを示す。各正方形は、1つの有効なピクセルを表す。個々のピクセルの形状も変わる場合があり、ピクセルのサイズは光学設計の一部である。有効なピクセルは、CCDピクセル、COMSピクセル、及びフォトダイオードなど、1つのピクセルまたは複数のピクセルであろう。センサアレイ内で1つの有効なピクセルにいくつかの(隣接する)ピクセルを組み立てることは、ソフトウェアによって制御できる。
【0058】
図8は、対応するマイクロレンズと透明な開口とピクセルの関係の図を示す。この場合、単一マイクロレンズは正方形である。開口は円形であり、実質的により小さい面積を有する。ピクセルは、直径で開口と一致する正方形である。示すような正方形のマイクロレンズ配列は、マイクロレンズアレイの前側を十分に利用する。それは、可能な限り多くの光を集光し、それによって先行技術の光学指紋センサと比較して光透過率を改善する。
【0059】
図9は、マイクロレンズが六角形の構成で配列されるマイクロレンズ構造のマイクロレンズの別の配列を示す。
図9の正方形の配列と比較すると、マイクロレンズの空間配列の空間効率はより低いため、この六角形の配列は、通常より低い光透過率を有する。
【0060】
図10は、電話のディスプレイの下の指紋センサの例示的な位置とともに携帯電話/スマートフォンの外形を示す。携帯電話が透明なディスプレイを有する限り、本開示の光学センサ及び指紋検出器は、ディスプレイの下のどこにでも取り付けることができる。
【0061】
図11は、携帯電話ユーザーが触れるのに適したカバーガラスが、OLEDディスプレイの上方に位置する
図10のセットアップの横断側面図を示す。指紋センサは、OLEDディスプレイの下方に位置する。本開示の指紋検出器は、通常、ディスプレイパネル及びカバーガラスよりもはるかに薄くなるため、
図11のサイズは現実的に示されていない。
【0062】
図12は、本開示の光学センサの一実施形態の機能性の図を示す。入射角が0°の指紋から反射された光は、マイクロレンズによって対応するピクセルに集束される。反射光はマイクロレンズアレイに到達する前に、反射光はカバーガラス及び透明なまたは半透明なディスプレイパネルを通過する。他の手段では、本開示の光学センサ及び画像認識デバイスは、他の透明なまたは半透明な材料の下に取り付けることができる。
【0063】
図13は、
図12に対応するが、反射光の入射角はいま6°である。結果として、光はマイクロレンズによって集束され、マイクロレンズ構造の裏側を通って透過されるが、入射角がより大きくなると、集束した光はセンサアレイとマイクロレンズ構造の裏側との間の間隔のため、ピクセルに当たらない。すなわち、入射角がより大きい望ましくない光は検出されない。
【0064】
図14は
図12に対応するが、入射角はいま13°である。結果として、光はマイクロレンズによって集束されるが、透明な開口の外側では不透明であるマイクロレンズ構造の裏側によって吸収される。すなわち、入射角が大きい望ましくない光は検出されない。
【0065】
図15Aは、入射角がそれぞれ0度、6度、及び13度の、指紋から反射された光を示す
図12〜14の組み合わせである。使用する光源はOLEDディスプレイである。OLEDは、本開示の指紋センサにとって便利な光源である。OLEDは、十分に強い光を発し、適切な制御により、OLEDは均一な照明を提供する。しかし、OLEDは多くの背景光も提供する。さらに、OLEDディスプレイは可視光を発する。この結果、周囲光がピクセルに対する背景光にもなる。これが、IR光源が好まれる理由の1つである。
【0066】
図15Bは、
図15Aに示すマイクロレンズアレイの吸収性の裏側表面に代わるために反射性材料の要素をどのようにして利用できるのかを示す。結果として、光は、マイクロレンズ構造の裏側で光子を吸収させる代わりに、指紋に向かって反射して戻されて、指紋の照明を増す場合がある。
【0067】
図16は、マイクロレンズ及び開口を通る光の透過を示す
図15Aの拡大図である。入射角が0度の光がピクセルに集束され、入射角6°の光がマイクロレンズによって集束され、開口を通って透過されるが、マイクロレンズの裏側とセンサアレイとの間の間隔のためにピクセルに当たらない。入射角13°の光はマイクロレンズによって集束されるが、マイクロレンズの裏側の不透明な部分によって吸収される。
【0068】
図17は、入射角0度の状況を示す
図12の拡大図である。
【0069】
図18は、入射角が6度の状況を示す
図13の拡大図である。集束光の部分は、マイクロレンズの裏側によって吸収され、集束光の一部は、開口を通して透過されるが、ピクセルに当たらないため、検出されない。
【0070】
図19は、入射角が13度の状況を示す
図14の拡大図である。
【0071】
図20は、
図2に示すマイクロレンズアレイに入射する入射角が30°の光の波面を示す。光は、マイクロレンズによって集束されるが、次いで塗装された裏側表面によって吸収される。
【0072】
図21は、
図2に示すマイクロレンズアレイに入射する入射角が30°の光の波面を示すが、開口がないと、裏面全体は透明である。次いで、光はマイクロレンズによって集束され、隣接するピクセルに透過される。すなわち、入射角が大きい望ましくない光は、センサアレイに透過される。この実施例は、不透明な裏側の透明な開口の重要性を示す。すなわち、それらは、所望の光だけがセンサアレイに透過されることを確実にするために役立つ。
【0073】
図22は、マイクロレンズ構造及びセンサアレイの他に取り付けられた指紋センサの光源としての赤外線LEDの例示的な構成を示す。IR LEDは、指紋に敏感でなければならない接触領域を照らすように構成される場合がある。IR LEDは、特定の光学構造に対して大きな発散角を有する。光はカバーガラスによって誘導され、それによって、指紋検出のために十分な光があるように適切に分配される。
【0074】
図23は、IR LEDがディスプレイパネル及びカバーガラスの角または側面の近くに取り付けられる実施例を示す。リフレクタは、IR LEDから光を反射してカバーガラスの中に戻すために設けられる。この実施例では、IR LEDは、指紋センサから間隔を置いて配置されて取り付けられ、カバーガラスはIR光のための導波路として使用される。
【0075】
図24は、光源がピクセルと統合されて、同軸照明、つまりマイクロLEDなどの光源を提供する単一マイクロレンズの横断側面図を示す。これにより指紋の最適な照明が提供されるが、それはあらゆるアクティブなピクセルに光源を必要とするため、必ずしも費用効率の高い解決策ではない。この場合、開口が
図1D及び
図15Bに例示するように反射性材料によって形成される場合、ピクセルに向かう反射性材料の裏側は光吸収性材料によって覆われなければならない。
【0076】
図25は、4つのIR LEDが光源としてセンサアレイの回りに取り付けられた実施例を示す。これは、それによりタッチセンシティブ表面の実質的に均一な照明が提供されるため好ましい解決策であり、解決策は費用効率も高い。
【0077】
図26は、IR LEDが指紋センサに統合されているのを示す。これにより、1つの光源のみでタッチセンシティブ表面の実質的に同軸の優れた照明が提供されるであろう。ただし、光源によって必要とされる空間がセンサアレイの一部となるため、検出が損なわれるであろう。
【0078】
図27は、
図24にも示すように同軸照明を実行するために1つの単一ピクセルに統合されたマイクロLEDを示す。
【0079】
図28は、細長い開口を有するマイクロレンズアレイの概略図を示す。この場合、開口はマイクロアレイ構造の主平面に垂直な軸に沿って実質的に細長い。入射角が30°及び0°の2つの波面が示され、入射角が大きい方の波面は、細長い開口の側面の不透明な塗料によって遮断されるため、センサアレイのピクセルに到達しない。
【0080】
図29は、細長い開口を含むマイクロレンズアレイの機能性の図を示し、不透明な塗料が、細長い開口の側壁を作り上げている。入射角が6°の指紋から反射された光は、細長い開口部内の塗料によって遮断される。望ましくない波長をえり分けるためのフィルタは、部分的に細長い開口内に配置されて示される。
【0081】
図30は、マイクロレンズと整列する開口の製作のための概略図を示す。マイクロレンズアレイの裏側に感光性材料を適用し、続いてマイクロレンズを通して該材料をコリメート光によって照射することによって、感光性材料は取り除かれて、マイクロレンズと整列した開口を形成し得る。好ましくは、感光性材料の残りの部分は、その後、物体から返された、すなわち高すぎる入射角を有して返された望ましくない光を遮断する不透明な塗料を構成するであろう。
【0082】
詳細
本開示は、以下で、番号を付けた項目に関してさらに詳細に説明される。
【0083】
1.ディスプレイパネルの上部で指紋などの物体から返された光を検出/画像化するために前記ディスプレイパネルの下に配置するための光学センサ(システム)であって、
−光集束素子のアレイを備えた前側と、前記集束素子と整列した光学的に透明な開口のアレイを備えた不透明な裏側とを有するマイクロレンズ構造と、
−前記マイクロレンズ構造の前記裏側に面する光学検出器のセンサアレイと
を備え、
入射角が所定の値を超える指紋光は検出されないが、入射角が前記所定の値以下の指紋光は、前記マイクロレンズ構造によって前記センサアレイに集束されるように、前記光学センサは構成される、前記光学センサ。
【0084】
2.前記入射角の前記所定の値は、10度、より好ましくは8度、なおより好ましくは6度、最も好ましくは5度である、項目1に記載の光学センサ。
【0085】
3.前記マイクロレンズは同一である、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0086】
4.前記マイクロレンズアレイは、前記集束素子のそれぞれが前記透明な開口の1つと光学的に一致するように構成される、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0087】
5.指紋光は前記センサアレイに画像化されるように構成された、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0088】
6.各マイクロレンズは、前記センサアレイ上の対応するピクセルに指紋光を集束させる及び/または画像化するように構成される、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0089】
7.前記マイクロレンズ構造は、各集束素子が、対応する透明な開口を通して指紋光を収束することができるように構成される、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0090】
8.前記集束素子の少なくとも一部またはすべては球面を有する、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0091】
9.前記マイクロレンズ構造は、前記所定の値を超える入射角を有する前記指紋光の少なくとも一部を吸収するように構成される、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0092】
10.前記マイクロレンズ構造(の前記表面)は、前記集束素子及び光透過性である前記透明な開口を除き、光吸収性であるように構成される、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0093】
11.前記マイクロレンズアレイの前記裏側の不透明性は、光の反射及び/または吸収により提供される、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0094】
12.前記マイクロレンズ構造は、好ましくは前記マイクロレンズアレイの前記前側に向かって、前記所定の値を超える入射角を有する前記指紋光の少なくとも一部を反射するように構成される、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0095】
13.金属箔などの反射性材料は、前記マイクロレンズ構造の前記裏側に付着されて前記透明な開口を形成する、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0096】
14.前記マイクロレンズの(内側の)前記裏側に入射する光は、前記透明な開口を通して透過されるか、または前記反射性材料によって反射される、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0097】
15.アルミ箔などの金属箔は、前記マイクロレンズ構造の前記裏側が前記マイクロレンズ構造の前記前側に向かって反射するように、前記マイクロレンズ構造の前記裏側に付着される、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0098】
16.前記透明な開口は前記金属箔の中の穴として設けられる、先行する項目8のいずれかに記載の光学センサ。
【0099】
17.透明な開口は、前記金属箔を切断する及び/または金属箔で穴を打ち抜くことによって前記金属箔に設けられる、先行する項目15〜16のいずれかに記載の光学センサ。
【0100】
18.前記センサアレイは、マイクロレンズごとに1つのピクセルのみ備える、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0101】
19.複数の隣接するピクセルはグループで組み立てられ、ピクセルの各グループが1つのアクティブなピクセルとして機能するように構成される、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0102】
20.前記センサアレイは、CCD、CMOS、またはフォトダイオードのアレイである、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0103】
21.前記マイクロレンズ構造の前記前側と前記裏側との間の距離は、400μm未満、より好ましくは100μm未満、なおより好ましくは75μm未満、さらにより好ましくは60μm未満、最も好ましくは55μm未満である、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0104】
22.前記集束素子は、100μm未満、より好ましくは30μm未満、最も好ましくは25μm未満または約25μmの直径を有する、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0105】
23.前記集束素子は、30μm未満、より好ましくは15μm未満、最も好ましくは10μm未満または約10μmの後方焦点距離を有するように構成される、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0106】
24.前記マイクロレンズ構造の前記開口は、800μm
2未満、より好ましくは400μm
2未満、最も好ましくは100μm
2未満または約100μm
2の面積を有する、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0107】
25.前記マイクロレンズ構造の設置面積は、400mm
2未満、より好ましくは200mm
2未満、最も好ましくは100mm
2未満または約100mm
2である、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0108】
26.前記センサアレイは、例えば5〜30μm、好ましくは10〜15μmの所定距離、前記開口から間隔を置いて配置されるように、前記マイクロレンズアレイの前記裏側までの所定の距離で取り付けられる、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0109】
27.前記センサアレイは、前記マイクロレンズ構造に接着される、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0110】
28.所定の波長範囲の光をフィルタで除去するように構成された少なくとも1つの光学フィルタを備える、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0111】
29.前記マイクロレンズ構造の前記前側に向かって光を透過させるための少なくとも1つの光源をさらに備える、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0112】
30.前記光源(複数可)は、赤外光を発するために構成される、項目29に記載の光学センサ。
【0113】
31.前記光源(複数可)は、緑色光を発するために構成される、項目29に記載の光学センサ。
【0114】
32.前記少なくとも1つの光源はレーザーまたはLEDである、項目29〜31のいずれかに記載の光学センサ。
【0115】
33.前記少なくとも1つの光源は前記センサアレイに統合される、項目29〜32のいずれかに記載の光学センサ。
【0116】
34.光源は、前記マイクロレンズ構造の開口と光学的に一致する前記センサアレイの各ピクセル内で統合される、項目29〜33のいずれかに記載の光学センサ。
【0117】
35.発光ディスプレイパネルからの光を利用するように構成された、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0118】
36.前記マイクロレンズ構造は、射出成形によってポリマー材料で製造される、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0119】
37.前記マイクロレンズ構造はフィルム押圧によって製造される、先行する項目のいずれかに記載の光学センサ。
【0120】
38.画像を光学的に検出するための画像認識デバイスであって、先行する項目のいずれかに記載の光学センサと、前記センサアレイからの信号を処理するための処理ユニットとを備える、前記画像認識デバイス。
【0121】
39.画像データを記憶するためのストレージユニットを備える、項目38に記載の画像認識デバイス。
【0122】
40.指紋を光学的に検出するための電子機器であって、
−ユーザーが触れるための接合部分としてディスプレイパネル上に形成された上部透明層を備える前記ディスプレイパネルと、
−先行する項目1〜37のいずれかに記載の光学センサ、または項目38〜39のいずれかに記載の画像認識デバイスと
を備える、前記電子機器。
【0123】
41.前記ディスプレイパネルは、発光ディスプレイピクセルを備え、各ピクセルは、表示画像の一部分を形成するための光を発するように構成され、前記上部透明層は、前記ディスプレイパネルから表示画像に前記光を透過させるために構成される、項目40に記載の電子機器。
【0124】
42.ディスプレイパネルの上部で指紋から返された光を検出するための方法であって、
−前記ディスプレイパネルの下方に位置するマイクロレンズ構造に配列されたマイクロレンズによって光学検出器のセンサアレイに指紋光を集束させ、画像化するステップであって、前記指紋光が所定の入射角の範囲内で受光される、前記集束させ、画像化するステップを含む、前記方法。
【0125】
43.前記所定の入射角は10度、より好ましくは8度、なおより好ましくは6度、最も好ましくは5度である、項目42に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2021年1月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネルの上部で物体から返された光を検出及び/または画像化するために前記ディスプレイパネルの下に配置するための光学センサシステムであって、前記光学センサシステムは、
−光集束素子のアレイを備えた前側と、前記集束素子と整列した光学的に透明な開口のアレイを備えた不透明な裏側とを有するマイクロレンズ構造と、
−前記マイクロレンズ構造の前記裏側に面する光学検出器ピクセルのセンサアレイであって、各開口は、前記光学検出器ピクセルのうちの少なくとも1つと整列している、センサアレイと
を備え、
前記光学センサシステムは、前記物体から返された光が、前記マイクロレンズ構造によって前記透明な開口を通して前記センサアレイの上に集束できるように、かつ、入射角が所定の値以下である前記物体から返された光が、前記マイクロレンズ構造によって前記センサアレイに集束するが、入射角が前記所定の値を超える前記物体から返された光が、検出されないように構成される、光学センサシステム。
【請求項2】
前記入射角の前記所定の値は、10度である、請求項1に記載の光学センサシステム。
【請求項3】
前記入射角の前記所定の値は、5度である、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項4】
各集束素子は、前記センサアレイ上の少なくとも1つの対応するピクセルに返された光を集束させる、及び/または画像化するように構成される、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項5】
前記マイクロレンズ構造は、前記所定の値を超える入射角を有する前記返された光の少なくとも一部を吸収するように構成される、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項6】
前記マイクロレンズ構造は、好ましくは前記マイクロレンズアレイの前記前側に向かって、前記所定の値を超える入射角を有する前記返された光の少なくとも一部を反射するように構成される、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項7】
反射性材料は、前記透明な開口を形成するために、及び前記マイクロレンズの内側の前記裏側に入射する光が、前記透明な開口を通して透過される、または前記反射性材料によって反射されるように、前記マイクロレンズ構造の前記裏側に付着される、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項8】
アルミ箔などの金属箔は、前記マイクロレンズ構造の前記裏側が前記マイクロレンズ構造の前記前側に向かって反射するように前記マイクロレンズ構造の前記裏側に付着される、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項9】
前記透明な開口は前記金属箔の穴として設けられる、先行請求項8のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項10】
前記センサアレイは、集束素子ごとに1つのピクセルのみ備える、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項11】
前記センサアレイの複数の隣接するピクセルはグループで組み立てられる、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項12】
前記マイクロレンズ構造の前記前側と前記裏側との間の距離は、400μm未満または100μm未満である、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項13】
前記集束素子は、100μm未満または30μm未満の直径を有する、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項14】
前記集束素子は、30μm未満または15μm未満の後方焦点距離を有するように構成される、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項15】
前記マイクロレンズ構造の前記開口は、800μm2未満または200μm2未満の面積を有する、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項16】
前記センサアレイが前記開口から間隔を置いて配置されるように、前記センサアレイは前記マイクロレンズアレイの前記裏側までの所定の距離で取り付けられる、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項17】
IR光が前記ディスプレイパネルの上部で物体に入射するように、前記マイクロレンズ構造の前記前側に向かって光を透過させるための少なくとも1つの赤外線光源をさらに備える、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項18】
発光ディスプレイパネルからの光を利用するように構成された、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項19】
前記マイクロレンズ構造は、射出成形によってまたはフィルム押圧によってポリマー材料で製造される、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステム。
【請求項20】
指紋検出器などの画像認識デバイスであって、先行請求項のいずれかに記載の光学センサシステムと、画像情報を記憶するためのストレージユニットと、画像を認識するために前記センサアレイからの信号を処理するための処理ユニットとを備える、画像認識デバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本開示は、さらに、本開示の光学センサシステムで使用するために適している整列した開口を有するマイクロレンズ構造の製作方法に関する。製作方法は、好ましい実施形態では、マイクロレンズ構造の裏側に適用される感光性材料の使用を対象とする。感光性材料は、光を受光するとその特性を変える任意の材料であってよく、マイクロレンズ構造の前側を通して、例えばコリメート光などの光を照射することによって、マイクロレンズ構造の光学特性は、正確に整列した透明の開口が、マイクロレンズ構造の裏側の感光性材料に作成され、それによって裏側に透明な開口を有するマイクロレンズ構造の正確であるが、費用効率の高い製造がもたらされることを確実にできる。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
ディスプレイパネルの上部で物体から返された光を検出及び/または画像化するために前記ディスプレイパネルの下に配置するための光学センサシステムであって、
−光集束素子のアレイを備えた前側と、前記集束素子と整列した光学的に透明な開口のアレイを備えた不透明な裏側とを有するマイクロレンズ構造と、
−前記マイクロレンズ構造の前記裏側に面する光学検出器のセンサアレイと
を備え、
前記光学センサシステムは、前記物体から返された光が、前記マイクロレンズ構造によって前記透明な開口を通して前記センサアレイの上に集束できるように構成される、前記光学センサシステム。
(項目2)
前記光学センサシステムは、入射角が所定の値を超える返された光は検出されないが、入射角が10度未満の前記所定の値以下の返された光は、前記マイクロレンズ構造によって前記センサアレイに集束されるように構成される、項目1に記載の光学センサシステム。
(項目3)
前記入射角の前記所定の値は5度である、項目2に記載の光学センサシステム。
(項目4)
各集束素子は、前記センサアレイ上の対応するピクセルに返された光を集束させる、及び/または画像化するように構成される、先行項目のいずれかに記載の光学センサ。
(項目5)
前記マイクロレンズ構造は、前記所定の値を超える入射角を有する前記返された光の少なくとも一部を吸収するように構成される、先行項目のいずれかに記載の光学センサシステム。
(項目6)
前記マイクロレンズ構造は、好ましくは前記マイクロレンズアレイの前記前側に向かって、前記所定の値を超える入射角を有する前記返された光の少なくとも一部を反射するように構成される、先行項目のいずれかに記載の光学センサシステム。
(項目7)
反射性材料は、前記透明な開口を形成するために、及び前記マイクロレンズの内側の前記裏側に入射する光が、前記透明な開口を通して透過される、または前記反射性材料によって反射されるように、前記マイクロレンズ構造の前記裏側に付着される、先行項目のいずれかに記載の光学センサシステム。
(項目8)
アルミ箔などの金属箔は、前記マイクロレンズ構造の前記裏側が前記マイクロレンズ構造の前記前側に向かって反射するように前記マイクロレンズ構造の前記裏側に付着される、先行項目のいずれかに記載の光学センサシステム。
(項目9)
前記透明な開口は前記金属箔の穴として設けられる、先行項目8のいずれかに記載の光学センサシステム。
(項目10)
前記センサアレイは、集束素子ごとに1つのピクセルのみ備える、先行項目のいずれかに記載の光学センサシステム。
(項目11)
前記センサアレイの複数の隣接するピクセルはグループで組み立てられ、ピクセルの各グループは、前記センサアレイが集束素子ごとに1つのアクティブなピクセルのみ含むように1つのアクティブなピクセルとして機能するように構成される、先行項目のいずれかに記載の光学センサシステム。
(項目12)
前記マイクロレンズ構造の前記前側と前記裏側との間の距離は100μm未満である、先行項目のいずれかに記載の光学センサシステム。
(項目13)
前記集束素子は、30μm未満の直径を有する、先行項目のいずれかに記載の光学センサシステム。
(項目14)
前記集束素子は、15μm未満の後方焦点距離を有するように構成される、先行項目のいずれかに記載の光学センサシステム。
(項目15)
前記マイクロレンズ構造の前記開口は、200μm2未満の面積を有する、先行項目のいずれかに記載の光学センサシステム。
(項目16)
前記センサアレイが前記開口から間隔を置いて配置されるように、前記センサアレイは前記マイクロレンズアレイの前記裏側までの所定の距離で取り付けられる、先行項目のいずれかに記載の光学センサシステム。
(項目17)
IR光が前記ディスプレイパネルの上部で指紋に入射するように、前記マイクロレンズ構造の前記前側に向かって光を透過させるための少なくとも1つの赤外線光源をさらに備える、先行項目のいずれかに記載の光学センサシステム。
(項目18)
発光ディスプレイパネルからの光を利用するように構成された、先行項目のいずれかに記載の光学センサシステム。
(項目19)
前記マイクロレンズ構造は、射出成形によってまたはフィルム押圧によってポリマー材料で製造される、先行項目のいずれかに記載の光学センサシステム。
(項目20)
指紋検出器などの画像認識デバイスであって、先行項目のいずれかに記載の光学センサシステムと、画像情報を記憶するためのストレージユニットと、画像を認識するために前記センサアレイからの信号を処理するための処理ユニットとを備える、前記画像認識デバイス。
【国際調査報告】