特表2021-523536(P2021-523536A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-523536(P2021-523536A)
(43)【公表日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】燃料電池用膜加湿器
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20210806BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20210806BHJP
【FI】
   H01M8/04 N
   H01M8/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-563901(P2020-563901)
(86)(22)【出願日】2018年6月29日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月12日
(86)【国際出願番号】KR2018007436
(87)【国際公開番号】WO2019235683
(87)【国際公開日】20191212
(31)【優先権主張番号】10-2018-0065092
(32)【優先日】2018年6月5日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】キム ドウ
(72)【発明者】
【氏名】キム キョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム インホ
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127EE17
(57)【要約】
本発明の燃料電池用膜加湿器は、複数の中空糸膜を収容するミドルケースと、前記ミドルケースと結合されるキャップケースと、前記複数の中空糸膜の端部に形成されたポッティング部と、前記キャップケースと前記ミドルケースの端部との間に配置されてその間を気密に結合する組立部材と、前記キャップケースの内側から前記ポッティング部の縁部側に延びて前記キャップケースと前記ポッティング部との間を気密に結合する突出部とを含む。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中空糸膜を収容するミドルケースと、
前記ミドルケースと結合されるキャップケースと、
前記複数の中空糸膜の端部に形成されたポッティング部と、
前記キャップケースと前記ミドルケースの端部との間に配置されてその間を気密に結合する組立部材と、
前記キャップケースの内側から前記ポッティング部の縁部側に延びて前記キャップケースと前記ポッティング部との間を気密に結合する突出部とを含む、燃料電池用膜加湿器。
【請求項2】
前記キャップケースは、前記ミドルケースと結合され、前記ポッティング部の外径より大きい内径を有する大径部と、前記大径部の一面から突出し、前記ポッティング部の外径より小さい内径を有する小径部とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項3】
前記組立部材は、
前記キャップケースと前記ミドルケースの端部との間に配置される本体部と、
前記本体部の外側端部から前記中空糸膜の長手方向に延びて前記ミドルケースの端部の外側面に接触する第1レッグ部と、
前記本体部の内側端部から前記中空糸膜の長手方向に延びて前記ミドルケースの端部の内側面に接触する第2レッグ部とを含むことを特徴とする、請求項2に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項4】
前記組立部材は、前記キャップケースの突出部と前記第2レッグ部との間に満たされる充填部をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項5】
前記キャップケースの突出部は前記第2レッグ部に接触するように形成されることを特徴とする、請求項3に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項6】
前記ミドルケースの端部の外側面には前記第1レッグ部を収容する段差部が設けられることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項7】
前記キャップケースは、前記ミドルケースの端部に対向する面に突出した突起を含むことを特徴とする、請求項6に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項8】
前記突出部は内側面に斜めに形成された傾斜面を含み、
前記ポッティング部は外側面に斜めに形成されて前記突出部の傾斜面に圧着される傾斜面を含むことを特徴とする、請求項3に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項9】
前記組立部材は、前記キャップケースの突出部と前記第2レッグ部との間に満たされる充填部をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項10】
前記キャップケースの突出部は前記第2レッグ部に接触するように形成されることを特徴とする、請求項8に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項11】
前記ミドルケースの端部の外側面には前記第1レッグ部を収容する段差部が設けられることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項12】
前記キャップケースは、前記ミドルケースの端部に対向する面に突出した突起を含むことを特徴とする、請求項11に記載の燃料電池用膜加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池用膜加湿器に関するもので、より詳しくは機械的組立構造によって高温/高圧/多湿の環境で気密機能を果たすことができる燃料電池用膜加湿器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは水素と酸素を結合させて電気を生産する発電型電池である。燃料電池は、乾電池や蓄電池などの一般化学電池とは違い、水素と酸素が供給される限り、ずっと電気を生産することができ、熱損失がなくて内燃機関より効率が2倍程度高いという利点がある。
【0003】
また、水素と酸素の結合によって発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するから、公害物質の排出が少ない。よって、燃料電池は環境に優しいだけでなく、エネルギー消費増加による資源枯渇に対するおそれを減らすことができるという利点を有する。
【0004】
このような燃料電池は、使われる電解質の種類によって、大きくは、高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC)、リン酸型燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell:PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell:MCFC)、固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)、及びアルカリ型燃料電池(Alkaline Fuel Cell:AFC)などに分類することができる。
【0005】
これらの燃料電池のそれぞれは根本的に同じ原理によって作動するが、使われる燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。このうち、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)は、他の燃料電池に比べ、低温で動作するという点、及び出力密度が高くて小型化が可能であるから、小規模据置型発電装備だけではなく輸送システムにおいても最も有望なものであると知られている。
【0006】
高分子電解質型燃料電池(PEMFC)の性能を向上させることにおいて最も重要な要因の一つは、膜電極組立体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の高分子電解質膜(Polymer Electrolyte Membrane又はProton Exchange Membrane:PEM)に一定量以上の水分を供給することによって含水率を維持するようにすることである。高分子電解質膜が乾燥すれば、発電効率が急激に低下するからである。
【0007】
高分子電解質膜を加湿する方法としては、1)耐圧容器に水を満たした後、対象気体を拡散器(diffuser)に通過させて水分を供給するバブラー(bubbler)加湿方式、2)燃料電池反応に必要な供給水分量を計算し、ソレノイドバルブを通してガス流動管に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を用いてガス流動層に水分を供給する膜加湿方式などがある。
【0008】
これらの中でも、排気ガス中に含まれる水蒸気のみ選択的に透過させる膜を用いて水蒸気を、高分子電解質膜に供給されるガスに提供することによって高分子電解質膜を加湿する加湿膜方式が加湿器を軽量化及び小型化することができるという点で有利である。
【0009】
加湿膜方式に使われる選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当たり透過面積の大きい中空糸膜が好ましい。すなわち、中空糸膜を用いて膜加湿器を製造する場合、接触表面積の広い中空糸膜の高集積化が可能であり、小容量でも燃料電池を十分に加湿することができ、低価素材の使用が可能であり、燃料電池から高温で排出されるオフガスに含まれた水分及び熱を回収して加湿器を通して再使用することができるという利点を有する。
【0010】
一方、一般的な燃料電池用膜加湿器は、ハウジング部の内部に中空糸膜が収容され、ポッティング部によって中空糸膜はハウジング部の内壁に接着される。中空糸膜はスタックの所望の出力値によって特定の本数がハウジング部内に収容され、ポッティング部によってハウジング部に接着及び固定される。燃料電池用膜加湿器にはブロワーから流入した高温の空気とスタックから流入した高温多湿の空気が流入する。ポッティング部は熱膨張率及び熱収縮率が高くてハウジング部とポッティング部との間に隙間が生じ、これを通して空気が漏出する。これを防止するために、ハウジング部とポッティング部との間にはシーラントが塗布される。
【0011】
空気が漏出する場合、ブロワーから流入した空気が燃料電池用膜加湿器から漏出してスタックに流入した空気の量が小さくなるから実際にスタックで必要な流入量より多い量をブロワーから付加的に供給しなければならないので、ブロワーの消費電力量が多くなり、これはシステム電力損失につながる。よって、最大限に漏出がないようにすることが全体的な電力効率の側面で有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は機械的組立構造によって高温/高圧/多湿の環境で気密機能を果たすことができる燃料電池用膜加湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の燃料電池用膜加湿器は、複数の中空糸膜を収容するミドルケースと、前記ミドルケースと結合されるキャップケースと、前記複数の中空糸膜の端部に形成されたポッティング部と、前記キャップケースと前記ミドルケースの端部との間に配置されてその間を気密に結合する組立部材と、前記キャップケースの内側から前記ポッティング部の縁部側に延びて前記キャップケースと前記ポッティング部との間を気密に結合する突出部とを含む。
【0014】
前記キャップケースは、前記ミドルケースと結合され、前記ポッティング部の外径より大きい内径を有する大径部と、前記大径部の一面から突出し、前記ポッティング部の外径より小さい内径を有する小径部とを含むことが好ましい。
【0015】
前記組立部材は、前記キャップケースと前記ミドルケースの端部との間に配置される本体部と、前記本体部の外側端部から前記中空糸膜の長手方向に延びて前記ミドルケースの端部の外側面に接触する第1レッグ部と、前記本体部の内側端部から前記中空糸膜の長手方向に延びて前記ミドルケースの端部の内側面に接触する第2レッグ部とを含むことが好ましい。
【0016】
前記組立部材は、前記キャップケースの突出部と前記第2レッグ部との間に満たされる充填部をさらに含むことができる。
【0017】
前記キャップケースの突出部は前記第2レッグ部に接触するように形成されることができる。
前記ミドルケースの端部の外側面には前記第1レッグ部を収容する段差部が設けられることが好ましい。
【0018】
前記キャップケースは、前記ミドルケースの端部に対向する面に突出した突起を含むことが好ましい。
【0019】
前記突出部は内側面に斜めに形成された傾斜面を含み、前記ポッティング部は外側面に斜めに形成されて前記突出部の傾斜面に圧着される傾斜面を含むことができる。
【0020】
前記組立部材は、前記キャップケースの突出部と前記第2レッグ部との間に満たされる充填部をさらに含むことができる。
【0021】
前記キャップケースの突出部は前記第2レッグ部に接触するように形成されることができる。
【0022】
前記ミドルケースの端部の外側面には前記第1レッグ部を収容する段差部が設けられることが好ましい。
前記キャップケースは、前記ミドルケースの端部に対向する面に突出した突起を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
前述した本発明の燃料電池用膜加湿器によれば、機械的組立構造によって高温/高圧/多湿の環境で気密機能を果たすことができる。
【0024】
また、化学的気密方式ではない機械的気密方式であるので、従来の化学的気密方式に必要なポリウレタン/シーラント塗布及び硬化工程を省略することができるようになり、作業時間の短縮、作業効率の向上及び大量生産体制の構築が可能である。
【0025】
また、膜加湿器の内部に配置される単位カートリッジ不良の発生の際、再作業性が良好であって部品スクラップ比を低下させることができる。
【0026】
また、膜加湿器を分解し、該当不良カートリッジのみ交替して再組立を行えば良いので、再作業性及び部品の再活用の面で有利である。
【0027】
そして、組立部材とキャップケースの突出部構造によって2箇所以上の部品の間を同時に気密に結合することができるので、製作及び組立が非常に簡便で効率的である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施例による燃料電池用膜加湿器を示す分解斜視図である。
図2】本発明の一実施例による燃料電池用膜加湿器を示す分解斜視図である。
図3】本発明の第1実施例による膜加湿器を示す断面図である。
図4】本発明の一実施例による中空糸膜カートリッジを示す斜視図である。
図5】本発明の一実施例による組立部材を示す斜視図である。
図6】本発明の第2実施例による膜加湿器を示す断面図である。
図7】本発明の第3実施例による膜加湿器を示す断面図である。
図8】本発明の第4実施例による膜加湿器を示す断面図である。
図9】本発明の第5実施例による膜加湿器を示す断面図である。
図10】本発明の第6実施例による膜加湿器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は多様な変換を加えることができ、さまざまな実施例を有するが、ここでは特定の実施例を例示し、詳細に説明しようとする。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。
【0030】
本発明で使用した用語はただ特定の実施例を説明するために使用したものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上で明白に他に指示しない限り、複数の表現を含む。本発明で、‘含む’又は‘有する’などの用語は明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組合せが存在することを示そうとするものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組合せの存在又は付加の可能性を予め排除しないと理解されなければならない。以下、図面に基づいて本発明の実施例による燃料電池用膜加湿器を説明する。
【0031】
図1及び図2は本発明の一実施例による燃料電池用膜加湿器を示す分解斜視図である。図1及び図2に示すように、本発明の一実施例による燃料電池用膜加湿器は、ミドルケース110、キャップケース120、ポッティング部130、及び組立部材200を含む。
【0032】
ミドルケース110はキャップケース120と結合して膜加湿器の外形をなす。ミドルケース110とキャップケース120はポリカーボネートなどの硬質プラスチック又は金属からなり得る。ミドルケース110とキャップケース120は、図1のように、幅方向の断面形状が円形であるか、あるいは、図2のように、幅方向の断面形状が多角形であり得る。前記多角形は、方形、正方形、台形、平行四辺形、五角形、六角形などであってよく、前記多角形は角部がラウンド形態であってもよい。また、前記円形は楕円形であってもよい。ミドルケース110には、それぞれ第2流体が供給される第2流体流入口112と第2流体が排出される第2流体流出口113とが形成されている。これと反対に、“113”が第2流体流入口となり、“112”が第2流体流出口となってもよい。
【0033】
ミドルケース110の内部には複数の中空糸膜を収容した中空糸膜モジュールが配置される。中空糸膜モジュールは複数の中空糸膜が集積した中空糸膜束であるか又は中空糸膜を収容した複数の中空糸膜カートリッジ140(図3参照)を含むことができる。図面では中空糸膜モジュールが中空糸膜カートリッジ140を含む場合を例示しており、中空糸膜モジュールが中空糸膜束を含む場合を排除するものではない。
【0034】
キャップケース120はミドルケース110の両端に結合される。それぞれのキャップケース120には流体出入口121が形成されている。この中で一方は第1流体流入口になり、他方は第1流体流出口になる。一側のキャップケース120の流体出入口121に流入した第1流体は中空糸膜カートリッジ140の内部に収容された中空糸膜の内部管路を通過した後、他側のキャップケース120の流体出入口121を通して排出される。中空糸膜は、例えば、ナフィオン(Nafion)素材、ポリエーテルイミド(polyetherimide)素材、ポリイミド(PI)素材、ポリフェニルスルホン(polyphenylsulfone)、ポリスルホン(PS)素材、又はポリエーテルスルホン(PES)素材の中空糸膜にすることができる。
【0035】
中空糸膜モジュールが複数の中空糸膜カートリッジ140を含む場合、中空糸膜カートリッジ140の一側には、第2流体流入口112を通して膜加湿器に流入した第2流体が中空糸膜カートリッジ140の内部に流入するようにする第1メッシュ部142が形成され、他側には、中空糸膜カートリッジ140の内部で水分を交換した第2流体が中空糸膜カートリッジ140の外部に流出するようにする第2メッシュ部(図示せず)が形成される得る。
【0036】
中空糸膜カートリッジ140又は中空糸膜束の両端部には、中空糸膜を結束しながら中空糸膜の間の空隙を埋めるポッティング部130が形成される。これにより、中空糸膜モジュールの両端部はポッティング部130によって塞がり、その内部には第2流体が通過する流路が形成される。ポッティング部130の素材は公知のものであるので、この明細書で詳細な説明は省略する。
【0037】
図3は本発明の第1実施例による膜加湿器を示す断面図、図4は本発明の一実施例による中空糸膜カートリッジを示す斜視図、図5は本発明の一実施例による組立部材を示す斜視図である。
【0038】
以下では中空糸膜モジュールが中空糸膜カートリッジ140を含む実施例を示して説明する。また、中空カートリッジ140は図面に一つのみ示されているが、膜加湿器内に複数の中空糸膜カートリッジ140を含む場合を排除するものではない。
【0039】
図4の中空糸膜カートリッジ140は膜加湿器のケースの内部に配置される複数のカートリッジの中で一つのカートリッジを示すものである。図5は一つのカートリッジ及びポッティング部を備える場合の組立部材を示すものであり、図示の組立部材200は、全体として向き合う一対の直線部と一対の半円部が互いに連結された形態を有するように構成される。図5(a)はキャップケース120と接触する側から見た斜視図、図5(b)はその反対側から見た斜視図である。
【0040】
キャップケース120の内面は組立部材200によってミドルケース110の端部111から離隔するように組み立てられる。また、キャップケース120の内面はポッティング部130からも離隔するように組み立てられる。
【0041】
そして、ポッティング部130とカートリッジ140の外面はミドルケース110の内面から離隔して配置される。よって、第2流体がポッティング部130とミドルケース110との間の空間で流動するようになる。
【0042】
ミドルケース110とキャップケース120は複数のボルト、押込、溶接、クランピングなどの多様な締結方式(図示せず)で組み立てられる。ここで、組立部材200がその間に挿入されて圧着されるように組み立てられる。図3以降の断面図はボルトなどの締結部を通らない平面で切断した断面図であるので、ボルトなどの締結部が示されていない。
【0043】
前述したように、ミドルケース110とキャップケース120は多角形又は円形の断面を有するが、図3以降の断面図はミドルケース110とキャップケース120が四角形断面を有する場合を示す。
【0044】
キャップケース120は、ミドルケース110と結合され、ポッティング部130の外径L3より大きい内径L1を有する大径部127と、大径部127の一面から突出し、ポッティング部130の外径L3より小さい内径L2を有する小径部129とを含むことができる。
【0045】
ここで、外径と内径及び大径部と小径部は一般的に円形パイプの直径に関連した用語であり、膜加湿器ハウジングが円形、楕円形、及び多角形の場合のいずれにも適用される。
【0046】
特に、膜加湿器ハウジングが多角形の場合、キャップケース120の流体出入口121が形成された小径部129の向き合う内面間の距離L2はポッティング部130の向き合う外面間の距離L3より小さく形成されると言える。したがって、ポッティング部130は後述する突出部125によって長手方向に圧着されて固定されることができる。このようなキャップケース120の形態は第1実施例ではなく以下の全ての実施例にそのまま適用可能である。
【0047】
また、ミドルケース110の向き合う内面間の距離よりポッティング部130の向き合う外面間の距離L3が小さく形成され、ポッティング部130がミドルケース110の内部に離隔して配置される。よって、組立部材200はミドルケース110とポッティング部130との間に配置されることにより、ポッティング部130がミドルケース110に対して動けないように固定することができる。
【0048】
組立部材200はキャップケース120とミドルケース110の端部との間に配置されてその間を気密に結合するように組み立てられ、キャップケース120は、その内側からポッティング部130の縁部側に延びてキャップケース120とポッティング部130との間を気密に結合する突出部125を含む。
【0049】
組立部材200は、キャップケース120とミドルケース110の端部との間に配置される本体部210と、本体部210の外側端部から中空糸膜の長手方向に延びてミドルケース110の端部111の外側面に接触する第1レッグ部220と、本体部210の内側端部から中空糸膜の長手方向に延びてミドルケース110の端部の内側面に接触する第2レッグ部230とを含むことができる。
【0050】
図3の断面図で一対の組立部材200が左右対称になるように配置されたものとして示されているが、実際には単一体に形成された組立部材200が全体的に四角形リング形態を有するように形成されることが理解可能であろう。
【0051】
前記本体部210はキャップケース120の内面及びミドルケース110の端部111によって圧着されるように配置される。
【0052】
前記第1レッグ部220は、図3を基準にするとき、本体部210の外側端部から下方に、すなわち中空糸膜の長手方向に延びてミドルケース110の端部111の外側面に接触するように配置される。
【0053】
前記第2レッグ部230は本体部210の内側端部から下方に、すなわち中空糸膜の長手方向に延びてミドルケース110の端部111の内側面に接触するように配置される。
【0054】
よって、第1レッグ部220と第2レッグ部230との間にはミドルケース110の端部が挿入される溝が形成され得る。
【0055】
また、前記第1レッグ部220の外面はキャップケース120の内面に接触することもできるが、図示のように接触しないこともある。
【0056】
前記ミドルケース110の端部111の外側面には、前記第1レッグ部220を収容する段差部115が設けられ得る。これにより、ミドルケース110の外面と第1レッグ部220の外面がほぼ同一平面をなすことができる。
【0057】
前記突出部125はキャップケース120の内側からポッティング部130側に、すなわち中空糸膜の長手方向に延びてポッティング部130の縁部を圧着するように形成される。突出部125はキャップケース120の内面からポッティング部130の一側面までの距離より大きい長さに延び得る。一般的に、ポッティング部130はキャップケース120より軟質の素材からなるので、組立の際にポッティング部130がキャップケース120を圧着して収縮させるようになる。
【0058】
図3にはポッティング部130の縁部が突出部125によって圧着される前の形態が点線で示されている。すなわち、ポッティング部130が突出部125によって圧着されれば、ポッティング部130の縁部が突出部125によって所定の深さだけ収縮することにより、その間が気密に結合させることができる。
【0059】
前記突出部125は図3の断面図に2個の部材であるとして示されているが、実際にはキャップケース120に一体に形成され、多角形又は円形のリブ形態を有するように形成される。突出部125の外面はポッティング部130及び中空糸膜カートリッジ140の外面と同じ平面を成すように形成させることができる。
【0060】
そして、前記キャップケース120はミドルケース110の端部に対向する面に突出した突起123を含むことが好ましい。突起123を断面が半円又は多様な形状のリブ形態を有するように形成させることができる。この突起123は特に前記組立部材200の本体部210をさらに圧着して気密性を向上させるだけでなく、本体部210が圧着過程で動かないように固定する役割を果たす。
【0061】
第1実施例の膜加湿器によれば、組立部材200がミドルケース110の端部とキャップケース120との間を気密に結合し、同時にキャップケース120の突出部125がキャップケース120とポッティング部130との間を気密に結合することができる。
【0062】
図6は本発明の第2実施例による膜加湿器を示す断面図である。第2実施例による膜加湿器は、組立部材200がキャップケース120の突出部125と第2レッグ部230との間に満たされる充填部250をさらに含む点で、第1実施例とは違う。
【0063】
前述したように、図3図10に示す実施例は、複数の中空糸膜がカートリッジ140に収容され、その一つ又は複数のカートリッジがミドルケース110の内部に配置されたものを示す。
【0064】
前述したように、キャップケース120の内面とポッティング部130は互いに離隔して配置されるので、前記充填部250はキャップケース120の突出部125と第2レッグ部230との間に満たされるように形成される。これにより、キャップケース120の内面とカートリッジ140との間の空間に流入した第2流体が中空糸膜を通過せずに流体出入口121側に漏洩することをさらに防止することができる。
【0065】
充填部250の上下長は、図3に示すように、突出部125の長さと同一に形成されることもでき、第2レッグ部230の長さと同一に形成されることもできる。また、図3で第1レッグ部220及び第2レッグ部230の長さは突出部125より長く形成されているが、第1レッグ部220及び第2レッグ部230の長さを突出部125の長さと同一に形成させることもできる。この場合、充填部250の上下長も第2レッグ部230及び突出部125の長さと同一に形成させることができる。
【0066】
組立部材200はキャップケース120より硬度の低い軟質素材からなり、充填部250の幅は第2レッグ部230の内面と突出部125の外面との間の幅より少し大きく形成されることにより、組立の際に圧着されて収縮するようにすることができる。
【0067】
図7は本発明の第3実施例による膜加湿器を示す断面図である。第3実施例による膜加湿器は、キャップケース120の突出部125が第2レッグ部230に接触するように形成される点で、第1実施例とは違う。
【0068】
第1実施例の場合、前記突出部125の外面はポッティング部130の外面と同一平面を成したが、第3実施例の場合、突出部125はその左右方向の厚さがずっと厚く形成され、その外面が組立部材200の第2レッグ部230の内面に接触するようになる。
【0069】
よって、突出部125の内面とミドルケース110の端部111との間の空間を突出部125と組立部材200によって完全に満たすことができる。これにより、キャップケース120の内面とカートリッジ140との間の空間に流入した第2流体が中空糸膜を通過せずに流体出入口121側に漏洩することをさらに防止することができる。
【0070】
突出部125の上下方向の長さは組立部材200の上下方向の長さより小さく形成されているが、組立部材200と同じ長さを有するように形成させることもできる。
【0071】
また、キャップケース120の内面に形成された突起123が本体部210を圧着することにより、本体部210がキャップケース120とミドルケース110の端部111との間を確かに気密に結合することができる。
【0072】
図8は本発明の第4実施例による膜加湿器を示す断面図である。第4実施例による膜加湿器は、突出部125の内側面に斜めに形成された傾斜面126を含み、ポッティング部130は外側面に斜めに形成されて突出部125の傾斜面126に圧着される傾斜面132を含む点で、第1実施例とは違う。
【0073】
前記突出部125の内側面には傾斜面126が形成され、前記ポッティング部130の上端部の両側角部にも傾斜面132が形成される。組立の際に突出部125の傾斜面126の内側にポッティング部130の傾斜面132が挿入しながら圧着されるので、キャップケース120とポッティング部130との間の気密性能が向上することができる。
【0074】
一般的に、キャップケース120の硬度がポッティング部130より高いため、組立の際、前記突出部125の傾斜面126が前記ポッティング部130の傾斜面132を圧着して収縮させるようになる。
【0075】
キャップケース120の突出部125とポッティング部130との間に傾斜部同士互いに圧着されるから、気密性能が他の実施例より一層向上させることができる。
【0076】
また、前記突出部125の傾斜面126と前記ポッティング部130の傾斜面132を同時に形成することもできるが、前記突出部125のみに傾斜面126を形成することもできる。この場合、突出部125の硬度がポッティング部130より高いため、突出部125の傾斜面126がポッティング部130の角部を圧着して傾斜面を形成するように変形させることができる。
【0077】
図9は本発明の第5実施例による膜加湿器を示す断面図である。第5実施例による膜加湿器は、組立部材200がキャップケース120の突出部125と第2レッグ部230との間に満たされる充填部250をさらに含む点で、第4実施例とは違う。
【0078】
前述したように、キャップケース120の内面とポッティング部130は離隔して配置されるので、前記充填部250はキャップケース120の突出部125と第2レッグ部230との間に満たされるように形成される。これにより、キャップケース120の内面とカートリッジ140との間の空間に流入した第2流体が中空糸膜を通過せずに流体出入口121側に漏洩することをさらに防止することができる。
【0079】
充填部250の上下長は、図9に示すように、突出部125の長さと同一に形成されることもでき、第2レッグ部230の長さと同一に形成されることもできる。また、図9で第1レッグ部220及び第2レッグ部230の長さは突出部125より長く形成されているが、第1レッグ部220及び第2レッグ部230の長さは突出部125の長さと同一に形成されることもできる。この場合、充填部250の上下長も第2レッグ部230及び突出部125の長さと同一に形成されることができる。
【0080】
組立部材200はキャップケース120より硬度の低い軟質素材からなり、充填部250の幅は第2レッグ部230の内面と突出部125の外面との間の幅よりちょっと大きく形成され、組立の際に圧着されて収縮することができる。
【0081】
図10は本発明の第6実施例による膜加湿器を示す断面図である。第6実施例による膜加湿器は、キャップケース120の突出部125が第2レッグ部230に接触するように形成される点で、第4実施例とは違う。
【0082】
第4実施例の場合、前記突出部125の外面はポッティング部130の外面と同一平面を成したが、第6実施例の場合、突出部125はその左右方向の厚さがずっと厚く形成され、その外面が組立部材200の第2レッグ部230の内面に接触するようになる。
【0083】
よって、突出部125の内面とミドルケース110の端部111との間の空間が突出部125と組立部材200によって完全に満たされることができる。これにより、キャップケース120の内面とカートリッジ140との間の空間に流入した第2流体が中空糸膜を通過せずに流体出入口121側に漏洩することをさらに防止することができる。
【0084】
突出部125の上下方向の長さは組立部材200の上下方向の長さより小さく形成されているが、組立部材200と同じ長さを有するように形成されることもできる。
【0085】
また、第5実施例及び第6実施例による膜加湿器は、組立部材200が本体部210、第1レッグ部220及び第2レッグ部230を含み、突出部125の内側面が傾斜面を有するように形成され、ミドルケース110の端部111に対向するキャップケース120の内面に突出した突起123が本体部210を圧着する点は第4実施例と同一である。
【0086】
以上では本発明の好適な実施例について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範疇内で、構成要素の付加、変更、削除又は追加などによって本発明を多様に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲に含まれると言える。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の多様な実施例による組立部材を含む燃料電池用膜加湿器は、機械的組立構造によって高温/高圧/多湿の環境で気密機能を果たすことができる。
【0088】
また、化学的気密方式ではない機械的気密方式であるので、従来の化学的気密方式に必要なポリウレタン/シーラント塗布及び硬化工程を省略することができるようになり、作業時間の短縮、作業効率の向上及び大量生産体制の構築が可能である。
【0089】
また、膜加湿器の内部に配置される単位カートリッジ不良の発生の際、再作業性が良好であって部品スクラップ比を低下させることができる。
【0090】
また、膜加湿器を分解して該当不良カートリッジのみ交替して再組立すれば良いので、再作業性及び部品の再活用の面で有利である。
そして、組立部材とキャップケースの突出部構造によって2箇所以上の部品の間を同時に気密に結合することができるので、製作及び組立が非常に簡便で効率的である。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】