特表2021-523541(P2021-523541A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-523541(P2021-523541A)
(43)【公表日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】水中プラズマ発生装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20210806BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20210806BHJP
【FI】
   H05H1/24
   B01J19/08 D
   B01J19/08 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2020-564182(P2020-564182)
(86)(22)【出願日】2018年5月16日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月13日
(86)【国際出願番号】KR2018005632
(87)【国際公開番号】WO2019221313
(87)【国際公開日】20191121
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520440032
【氏名又は名称】ケー フュージョン テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】クワク、ホン キル
【テーマコード(参考)】
2G084
4G075
【Fターム(参考)】
2G084BB02
2G084BB37
2G084CC11
2G084CC32
2G084CC35
4G075AA14
4G075AA63
4G075BA08
4G075BB05
4G075BD09
4G075CA42
4G075CA47
4G075CA54
4G075DA02
4G075DA18
4G075EB21
4G075EB41
4G075EB50
4G075FA01
4G075FB02
4G075FB04
4G075FB06
4G075FC15
(57)【要約】
本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置は、内側に長手方向に沿って作動流体が通過可能な流路が形成されるリアクター;及び、前記流路に配置されて前記流路を複数個の空間に区画し、内側に前記複数個の空間を互いに連通させ、前記流路に比して断面の幅が相対的に小さな少なくとも一つ以上の貫通孔が形成され、一側に前記貫通孔に流入した前記作動流体と摩擦される金属性触媒を備える誘電性挿入物;を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に長手方向に沿って作動流体が通過可能な流路が形成されるリアクター;及び
前記流路に配置されて前記流路を複数個の空間に区画し、内側に前記複数個の空間を互いに連通させ、前記流路に比して断面の幅が相対的に小さな少なくとも一つ以上の貫通孔が形成され、一側に前記貫通孔に流入した前記作動流体と摩擦される金属性触媒を備える誘電性挿入物;
を含む、水中プラズマ発生装置。
【請求項2】
前記リアクターの一側空間に流入した前記作動流体には、空洞現象により負電荷の表面電位を帯びる予め設定された大きさ以下の微細気泡が発生し、
前記作動流体と共に前記貫通孔に流入して前記金属性触媒を通過する前記微細気泡は、前記金属性触媒から放出される同種電荷により崩壊されてプラズマを発生させ、
前記誘電性挿入物を通して前記リアクターの他側空間に移動された前記作動流体は、前記プラズマに露出されてイオン化される、請求項1に記載の水中プラズマ発生装置。
【請求項3】
前記リアクターの他側空間に対応する前記リアクターの外面に設けられ、前記プラズマを通してイオン化された前記作動流体の流れに磁場を印加して前記作動流体に含まれたイオンを電気的極性によって分離させるイオン分離部;
をさらに含む、請求項2に記載の水中プラズマ発生装置。
【請求項4】
前記作動流体は、比抵抗10Ω・cm以上の軽水(HO)または前記軽水と重水(DO)が混合されたものであり、
前記イオン分離部は、前記作動流体からHイオン及びOHイオンを分離する、請求項3に記載の水中プラズマ発生装置。
【請求項5】
前記イオン分離部は、
前記リアクターの軸方向に対する垂直方向に沿って前記リアクターの一側外面に設けられ、S極性を有する第1磁性体;及び
前記リアクターの他側外面に設けられて前記第1磁性体に対向配置され、N極性を有する第2磁性体;
を含む、請求項3に記載の水中プラズマ発生装置。
【請求項6】
前記イオン分離部は、
内側に前記第1磁性体及び前記第2磁性体を収容して固定させ、前記リアクターの外面にモジュール形態に結合可能な磁性体固定部;をさらに含む、請求項5に記載の水中プラズマ発生装置。
【請求項7】
前記磁性体固定部は、
内側に前記リアクター、前記第1磁性体及び前記第2磁性体を収容可能な収容空間が形成されるハウジング部;
前記ハウジング部の内側に結合されて前記収容空間を複数個に区画し、前記第1磁性体及び前記第2磁性体を支持して前記リアクターの軸方向に対する垂直方向に前記第1磁性体及び前記第2磁性体の移動を制限する隔膜部;及び
前記ハウジング部の軸方向に沿って前記ハウジング部の一側端部に締結され、前記リアクターの軸方向に前記第1磁性体及び前記第2磁性体の移動を制限し、内側に前記リアクターが貫通可能なリアクター貫通孔が形成されるブラケット部;
を含む、請求項6に記載の水中プラズマ発生装置。
【請求項8】
前記流路は、
外部から流入した前記作動流体が収容される第1流路;
前記誘電性挿入物を通過した前記作動流体が収容される第2流路;及び
前記第1流路及び前記第2流路を互いに連通させ、前記第1流路及び前記第2流路に比して相対的に小さな内径の大きさに形成される第3流路;
を含み、
前記第1流路及び前記第3流路の間には、前記作動流体の移動方向に沿って前記誘電性挿入物が係って支持される係止ジョーが形成され、
前記第2流路及び前記第3流路の間には、前記誘電性挿入物から吐出されて前記第3流路側に逆流する前記作動流体の移動を案内する案内面が形成される、請求項3に記載の水中プラズマ発生装置。
【請求項9】
前記案内面は、曲面または傾斜面の構造に形成される、請求項8に記載の水中プラズマ発生装置。
【請求項10】
前記リアクターの外側には、前記リアクターの長手方向に沿って前記リアクターの端部から予め設定された深さに陥没して前記イオン分離部が安着し、前記イオン分離部の移動を制限して前記イオン分離部を前記第2流路に対応する位置に配置させる安着支持溝が形成される、請求項8に記載の水中プラズマ発生装置。
【請求項11】
前記第2流路の長さは、前記第1流路の長さと前記第3流路の長さが連結された長さよりさらに長く形成される、請求項10に記載の水中プラズマ発生装置。
【請求項12】
前記第1流路の直径と前記貫通孔の直径の比率は、10:0.5〜10:4の少なくともいずれか一つの大きさに形成される、請求項8に記載の水中プラズマ発生装置。
【請求項13】
前記誘電性挿入物は、
予め設定された誘電率を有する誘電性素材で形成され、前記第1流路、前記第2流路及び前記第3流路にわたって収容される誘電体;及び
前記第1流路に収容され、一面が前記誘電体に接触した状態で前記誘電体の前方に配置される金属性挿入物;
を含む、請求項12に記載の水中プラズマ発生装置。
【請求項14】
前記誘電体は、
前記第1流路に対応する大きさに形成されて前記第1流路に収容され、一面が前記係止ジョーに係って支持される第1部分;
前記第1部分から軸方向に沿って予め設定された長さに延びて前記第3流路に収容され、前記第3流路に対応する大きさに形成される第2部分;及び
前記第2部分から軸方向に沿って予め設定された長さに延びて前記第2流路に収容され、前記作動流体の移動方向に向かって直径の大きさが次第に減少する第3部分;
を含む、請求項13に記載の水中プラズマ発生装置。
【請求項15】
前記第1磁性体及び前記第2磁性体が対向配置された方向に対して垂直な方向に対向配置され、前記リアクターを貫通して一部が前記流路の他側空間に収容される金属性プローブ;をさらに含む、請求項5に記載の水中プラズマ発生装置。
【請求項16】
前記流路の他側空間で、前記誘電性挿入物の端部と前記金属性プローブとの間の距離は、前記金属性プローブと前記リアクターの端部との間の距離よりさらに長く形成される、請求項15に記載の水中プラズマ発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中プラズマ発生装置に関し、より詳細には、一方向に移動中である流体(液体)の中に多量の微細気泡(Micro−Nano Bubble)を発生させ、これを利用して連続的にプラズマを発生させることができる水中プラズマ発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマとは、超高温で負電荷を持つ電子(e−)と正電荷を帯びたイオン(A+、水素原子核)とに分離された気体状態を意味する。また、プラズマは、電気を帯びた粒子が集まっている気体を意味することもある。プラズマは、電荷分離度が非常に高いが、全体的に負と正の電荷数が同一で電気的に中性を帯びるようになる。分子状態の気体に高いエネルギーが加えられると数万℃で気体は電子と原子核とに分離されてプラズマ状態となる。
【0003】
言い換えれば、固体にエネルギーを加えると液体、気体となり、さらにこの気体状態に高いエネルギーを加えると数万℃で気体は原子核周囲を回っている最外殻電子(e−)が軌道を離脱(イオン化エネルギー)したイオン化状態となるが、このとき、分子状態の気体特性を失った異なる次元の物質となる。プラズマを第4の物質状態という。このようなイオン化状態で、A原子は、下記のような構造式となる。
【0004】
[構造式]A原子⇔A++e−
プラズマは、原子の核周囲を回っている最外殻電子が解離してカチオンとアニオンが共存した状態で、電気的には中性を帯びる。プラズマは、電気をよく通るようになる。
【0005】
また、物質がイオン化された状態で時間が経つにつれ、また安定した本来の状態に戻りながらエネルギーを放出するが、自然現象で見られる代表的なプラズマがすなわち稲妻であり、北極地方のオーロラ、大気の中のイオン層等がプラズマ状態である。
【0006】
プラズマは、原子核と電子が分離された状態であって、気体状態の原子に多くの熱を加えた時に分離されて現れる現象であるため、摂氏1,500万℃を超える熱い太陽の中で全ての原子はプラズマ状態であるようになる。
【0007】
宇宙全体を見ると、プラズマが最もよくある状態であるといえる。しかし、日常生活でプラズマを利用するためには、このように人工的に作らなければならない。プラズマを人工的に生成実用化しようとする努力は、年ごろ着実に推進されてきた。
【0008】
プラズマを作るためには、熱を加える方法で作り出すことができ、高い電場や磁場を加えて電子の衝突を誘導して作り出すことができる。多くは直流、超高周波、電子ビーム等の電気的方法を加えてプラズマを生成した後、磁場等を使用してこのような状態を維持するようにしなければならない。
【0009】
しかし、エネルギーに使用するために既存に使用されてきた技術、即ち、気体を通した高い密度を有するプラズマ生成技術は、入力エネルギーが出力エネルギーより大きいか、超高温を利用したプラズマを閉じ込めることができる超高温状態に耐える物質を開発できず、進行が難しい状態である。
【0010】
また、プラズマは、直接産業的に使用され得るエネルギー源であるが、既存のプラズマ生成方式では、多くの電気を使用してプラズマを作り、ここで得られた電気をエネルギー源に使用する矛盾が繰り返され、結局、エネルギー使用の効率を低下させる深刻な問題を抱えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第10−2010−0011246号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記のような問題点を解決するために案出されたものであって、本発明の目的は、空洞現象を通して一方向に移動する流体内に5μmの大きさ以下に形成され、負電荷の表面電位を帯びる微細気泡(Micro−Nano Bubble)を大量に発生させ、金属性触媒を通して流体と共に移動される微細気泡に同種電荷を印加して斥力により微細気泡を連続で崩壊させることで高密度のプラズマを生成できる水中プラズマ発生装置を提供することである。
【0013】
本発明の課題は、以上において言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するための本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置は、内側に長手方向に沿って作動流体が通過可能な流路が形成されるリアクター;及び、前記流路に配置されて前記流路を複数個の空間に区画し、内側に前記複数個の空間を互いに連通させ、前記流路に比して断面の幅が相対的に小さな少なくとも一つ以上の貫通孔が形成され、一側に前記貫通孔に流入した前記作動流体と摩擦される金属性触媒を備える誘電性挿入物;を含む。
【0015】
前記リアクターの一側空間に流入した前記作動流体には、空洞現象により負電荷の表面電位を帯びる予め設定された大きさ以下の微細気泡が発生し、前記作動流体と共に前記貫通孔に流入して前記金属性触媒を通過する前記微細気泡は、前記金属性触媒から放出される同種電荷により崩壊されてプラズマを発生させ、前記誘電性挿入物を通して前記リアクターの他側空間に移動された前記作動流体は、前記プラズマに露出されてイオン化され得る。
【0016】
前記リアクターの他側空間に対応する前記リアクターの外面に設けられ、前記プラズマを通してイオン化された前記作動流体の流れに磁場を印加して前記作動流体に含まれたイオンを電気的極性によって分離させるイオン分離部;をさらに含むことができる。
【0017】
前記作動流体は、比抵抗10Ω・cm以上の軽水(HO)または前記軽水と重水(DO)が混合されたものであり、前記イオン分離部は、前記作動流体からHイオン及びOHイオンを分離することができる。
【0018】
前記イオン分離部は、前記リアクターの軸方向に対する垂直方向に沿って前記リアクターの一側外面に設けられ、S極性を有する第1磁性体;及び、前記リアクターの他側外面に設けられて前記第1磁性体に対向配置され、N極性を有する第2磁性体;を含むことができる。
【0019】
前記イオン分離部は、内側に前記第1磁性体及び前記第2磁性体を収容して固定させ、前記リアクターの外面にモジュール形態に結合可能な磁性体固定部;をさらに含むことができる。
【0020】
前記磁性体固定部は、内側に前記リアクター、前記第1磁性体及び前記第2磁性体を収容可能な収容空間が形成されるハウジング部;前記ハウジング部の内側に結合されて前記収容空間を複数個に区画し、前記第1磁性体及び前記第2磁性体を支持して前記リアクターの軸方向に対する垂直方向に前記第1磁性体及び前記第2磁性体の移動を制限する隔膜部;及び、前記ハウジング部の軸方向に沿って前記ハウジング部の一側端部に締結され、前記リアクターの軸方向に前記第1磁性体及び前記第2磁性体の移動を制限し、内側に前記リアクターが貫通可能なリアクター貫通孔が形成されるブラケット部;を含むことができる。
【0021】
前記流路は、外部から流入した前記作動流体が収容される第1流路;前記誘電性挿入物を通過した前記作動流体が収容される第2流路;及び、前記第1流路及び前記第2流路を互いに連通させ、前記第1流路及び前記第2流路に比して相対的に小さな内径の大きさに形成される第3流路;を含み、前記第1流路及び前記第3流路の間には、前記作動流体の移動方向に沿って前記誘電性挿入物が係って支持される係止ジョーが形成され、前記第2流路及び前記第3流路の間には、前記誘電性挿入物から吐出されて前記第3流路側に逆流する前記作動流体の移動を案内する案内面が形成され得る。
【0022】
前記案内面は、曲面または傾斜面の構造に形成され得る。
【0023】
前記リアクターの外側には、前記リアクターの長手方向に沿って前記リアクターの端部から予め設定された深さに陥没して前記イオン分離部が安着し、前記イオン分離部の移動を制限して前記イオン分離部を前記第2流路に対応する位置に配置させる安着支持溝が形成され得る。
【0024】
前記第2流路の長さは、前記第1流路の長さと前記第3流路の長さが連結された長さよりさらに長く形成され得る。
【0025】
前記第1流路の直径と前記貫通孔の直径の比率は、10:0.5〜10:4の少なくともいずれか一つの大きさに形成され得る。
【0026】
前記誘電性挿入物は、予め設定された誘電率を有する誘電性素材で形成され、前記第1流路、前記第2流路及び前記第3流路にわたって収容される誘電体;及び、前記第1流路に収容され、一面が前記誘電体に接触した状態で前記誘電体の前方に配置される金属性挿入物;を含むことができる。
【0027】
前記誘電体は、前記第1流路に対応する大きさに形成されて前記第1流路に収容され、一面が前記係止ジョーに係って支持される第1部分;前記第1部分から軸方向に沿って予め設定された長さに延びて前記第3流路に収容され、前記第3流路に対応する大きさに形成される第2部分;及び、前記第2部分から軸方向に沿って予め設定された長さに延びて前記第2流路に収容され、前記作動流体の移動方向に向かって直径の大きさが次第に減少する第3部分;を含むことができる。
【0028】
前記第1磁性体及び前記第2磁性体が対向配置された方向に対して垂直な方向に対向配置され、前記リアクターを貫通して一部が前記流路の他側空間に収容される金属性プローブ;をさらに含むことができる。
【0029】
前記流路の他側空間で、前記誘電性挿入物の端部と前記プローブとの間の距離は、前記プローブと前記リアクターの端部との間の距離よりさらに長く形成され得る。
【発明の効果】
【0030】
本発明の実施例によれば、内側に作動流体が移動可能な流路が形成されるリアクター、及び流路に収容されて流路の一側空間に空洞現象を誘発し、一側に流体の流れ時に摩擦電気を発生させる金属性触媒を備えることで、リアクターに流入して一方向に移動する流体内に5μmの大きさ以下に形成され、負電荷の表面電位を帯びる微細気泡を大量に発生させ、流体と共に移動される微細気泡に同種電荷を印加して斥力により微細気泡を連続で崩壊させて高密度のプラズマを連続的に生成することができる。
【0031】
また、従来の気体プラズマ発生装置のように数千〜数万ボルト以上の高電圧を利用することなく、室温で炭化水素系オイルや、軽水(HO)または軽水と重水(DO)が混合された作動流体の循環だけでプラズマを生成できることで、気体プラズマに比して高密度のプラズマを生成できることはもちろん、装置の構造を単純化してコストを節減することができる。
【0032】
また、作動流体を一方向に循環させて連続的にプラズマを生成でき、プラズマが液状の流体の中に閉じ込められた状態で発生することで、音波発光(Sonoluminescence)または化学発光(Chemoluminescence)を通したプラズマの生成を排除して工程を簡素化でき、プラズマの損失率を最小化することができる。
【0033】
また、速い速度で循環する作動流体内で高密度のプラズマを発生させて作動流体をイオン化し、イオン化された作動流体が移動される経路に磁場を形成して作動流体に含まれたイオンを電気的極性によって効率的に分離させることができる。
【0034】
また、軽水(HO)または軽水と重水(DO)の混合物を作動流体に適用する場合、振動弛緩(Oscillation Relaxation)現象の発生なしにイオン化された作動流体からHイオン及びOHイオンを分離でき、さらに分離されたHイオンを収集して高純度の水素を大量生産することができる。
【0035】
また、プラズマが発生する内部空間に一部が露出されるようにリアクターに脱着可能な複数個のプローブを備えることで、プローブにキャパシタ等を連結する場合、高電圧の電気エネルギーを獲得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置を概略的に示した構成図である。
図2】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置のリアクターを示した横断面図である。
図3】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置のリアクターに誘電性挿入物が配置された状態を示した横断面図である。
図4】誘電性挿入物のそれぞれ異なる実施例を示した横断面図である。
図5】誘電体のそれぞれ異なる実施例を示した図である。
図6】誘電体のそれぞれ異なる実施例を示した図である。
図7】誘電体のそれぞれ異なる実施例を示した図である。
図8】誘電体のそれぞれ異なる実施例を示した図である。
図9】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置を示した縦断面図である。
図10】本発明の実施例に係る磁性体固定部を示した図である。
図11】本発明の実施例に係る磁性体固定部を示した図である。
図12】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置に金属性プローブが設けられた状態を示す図である。
図13】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置からプラズマが発生する様子を示したイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下においては、添付の図面を参照して多様な実施例をより詳細に説明する。本明細書に記載の実施例は、多様に変形され得る。特定の実施例が図面で描写され、詳細な説明で詳しく説明され得る。しかし、添付の図面に開示された特定の実施例は、多様な実施例を容易に理解するようにするためのものであるだけである。従って、添付の図面に開示された特定実施例により技術的思想が制限されるものではなく、発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての均等物または代替物を含むものと理解されるべきである。
【0038】
第1、第2等のように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するのに使用され得るが、このような構成要素は、上述した用語により限定されることはない。上述した用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0039】
本明細書において、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためのものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか、「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されているか、または接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。これに対して、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか、「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されるべきである。
【0040】
一方、本明細書において使用される構成要素に対する「モジュール」または「部」は、少なくとも一つの機能または動作を遂行する。そして、「モジュール」または「部」は、ハードウェア、ソフトウェアまたはハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより機能または動作を遂行することができる。また、特定ハードウェアで遂行されなければならないか、少なくとも一つのプロセッサで遂行される「モジュール」または「部」を除く複数の「モジュールら」または複数の「部ら」は、少なくとも一つのモジュールに統合されてもよい。単数の表現は、文脈上、明らかに異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0041】
その他にも、本発明を説明するにあたって、関連した公知機能あるいは構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合、それについての詳細な説明は、縮約または省略する。
【0042】
図1は、本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置を概略的に示した構成図であり、図2は、本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置のリアクターを示した横断面図であり、図3は、本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置のリアクターに誘電性挿入物が配置された状態を示した横断面図である。また、図4は、誘電性挿入物のそれぞれ異なる実施例を示した横断面図であり、図5から図8は、誘電体のそれぞれ異なる実施例を示した図であり、図9は、本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置を示した縦断面図である。また、図10から図11は、本発明の実施例に係る磁性体固定部を示した図であり、図12は、本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置に金属性プローブが設けられた状態を示す図である。
【0043】
図1及び図2を参照すると、本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置1(以下、「水中プラズマ発生装置1」という)は、一方向に移動中である作動流体に多量の微細気泡(Micro−Nano Bubble)を発生させ、これを利用して連続的にプラズマを発生させることができるプラズマ発生装置であって、リアクター10を含む。
【0044】
リアクター10は、誘電率を有する誘電性素材で作製され、内側に作動流体が通過され得る管形の構造に形成される。例えば、誘電性素材は、透光性多結晶質セラミック、エンジニアリングプラスチック、アクリル、タンタル(Tantalum)、クォーツ、パイレックス(登録商標)、ファイバーグラス、クリスタル等に適用され得る。
【0045】
さらに詳細には、リアクター10は、一側に作動流体が流入する流入口が形成され、他側に作動流体が流出する流出口が形成され、内側に長手方向に沿って流入口と流出口を連結して作動流体が通過可能な流路が形成される管形構造に形成される。
【0046】
ここで、流路は、長さまたは内径の大きさが異なる複数個の区間に区分され得る。
【0047】
図2及び図3を参照すると、流路は、流入口と連結され、作動流体が供給される場合、外部から流入した作動流体が収容される第1流路11と、流出口と連結され、リアクター10の軸方向に沿って第1流路11に対向する位置に形成され、後述する誘電性挿入物20を通過した作動流体が収容される第2流路12、及び、第1流路11及び第2流路12の間に形成されて第1流路11及び第2流路12を互いに連通させ、第1流路11及び第2流路12に比して相対的に小さな内径の大きさに形成される第3流路13を含むことができる。ここで、第2流路12の長さL2は、第1流路11の長さL1及び第3流路13の長さL3よりさらに長く形成され、第1流路11の長さと第3流路13の長さが連結された長さよりさらに長く形成され得る。これを通して、後述するイオン分離部30を通して第2流路12に形成される磁界区間をより長く形成し、イオン分離効率を極大化することができる。例えば、流路は、後述する誘電性挿入物20の外形に対応する形状に形成され、流路の一区間と誘電性挿入物20の一区間は、多面体形状に形成され得る。これを通して、誘電体21挿入物が流路内で回転することを予防して、後述する金属性挿入物22及びホールディング挿入物23に形成された貫通孔20aと誘電性挿入物20に形成された貫通孔20aの位置が外れることを予防できる。また、第1流路11の内径及び第2流路12の内径は、互いに異なる大きさに形成され得る。これを通して、作業者が誘電性挿入物20を流路に挿入する場合、第1流路11と第2流路12の混同を予防できる。
【0048】
また、流路を形成するリアクター10の内側には、係止ジョー14及び案内面15が形成され得る。
【0049】
さらに詳細には、第1流路11及び第3流路13の間には、作動流体の移動方向に沿って誘電性挿入物20が係って支持される係止ジョー14が形成され、第2流路12及び第3流路13の間には、誘電性挿入物20から吐出されて第3流路13側に逆流する作動流体と接触して、作動流体の移動を案内する案内面15が形成され得る。
【0050】
ここで、案内面15は、作動流体との接触時、抵抗力を最小化できるように、作動流体が逆流する方向に向かって弧形状に曲げられた曲面または直線形状に傾斜した傾斜面の構造に形成され得る。これによって、誘電性挿入物20から吐出されて逆流する作動流体を円滑に誘電性挿入物20側に案内することはもちろん、逆流する作動流体とリアクター10の内面間の摩擦を最小化してリアクター10の損傷を予防できる。
【0051】
また、リアクター10の外側には、安着支持溝16が形成され得る。
【0052】
安着支持溝16は、第2流路12に対応する位置に形成され、リアクター10の長手方向に沿ってリアクター10の端部から予め設定された深さに陥没して形成され得る。そして、安着支持溝16は、後述するイオン分離部30の第1磁性体31及び第2磁性体32が互いに対向した状態で設けられ得るようにリアクター10の軸方向に対して垂直な方向に沿ってリアクター10の一側及び他側にそれぞれ形成され得る。これによって、安着支持溝16に安着したイオン分離部30は、リアクター10の軸方向に沿って移動が制限され、第2流路12に対応する位置に配置され得る。また、イオン分離部30が設けられる安着支持溝16は、第2流路12と同じ長さに形成され得る。従って、リアクター10の長手方向に沿って安着支持溝16が形成された区間の長さは、第1流路11及び第2流路12が形成された区間の長さよりさらに長く形成され、これを通してイオン分離部30の磁界区間を増大してイオン分離効果を向上させることができる。
【0053】
また、流入口及び流出口が形成されるリアクター10の一側及び他側端部には、それぞれ他の部品との連結のために外周面にねじ山が形成された複数個の締結部が備えられ得る。例えば、リアクター10の内部に流入する高圧の作動流体に耐えるために、流入口側の締結部の長さは、流出口側の締結部の長さよりさらに長く形成され得る。そして、流入口の内径は、流出口の内径よりさらに大きく形成され得る。しかし、締結部の長さ及び内径の大きさは、これに限定されるものではなく、多様な形態及び構造に変更されて適用され得る。
【0054】
また、リアクター10の各締結部には、他の部品との連結時、作動流体の漏水を予防できるように他の部品と締結部との間の気密を維持するパッキング部材(図示しない)が設けられ得る。例えば、パッキング部材は、Oリング(O−ring、O字形ゴムリング)またはガスケット形態に形成され得る。しかし、パッキング部材は、必ずしもこの形状に限定されるものではなく、多様な形態に変更されて適用され得る。
【0055】
また、リアクター10には、後述する金属性プローブ40を挿入可能なプローブ挿入孔(図示しない)がさらに形成され得る。プローブ挿入孔は、プローブ40の外面に対応する大きさに形成され、リアクター10の表面から第2流路12まで連通されるようにリアクター10を貫通して形成され得る。
【0056】
また、リアクター10には、プローブ挿入孔を選択的に開閉させることのできる開閉部材(図示しない)がさらに備えられ得る。
【0057】
開閉部材は、プローブ挿入孔に挿入される挿入部、及び挿入部の外側に備えられて挿入部がプローブ挿入孔に挿入される場合、リアクター10の外面に支持される支持部を含むことができる。例えば、開閉部材は、リアクター10と同一の誘電性素材で形成されるか、所定の弾性力を有する気密性素材で形成され得る。
【0058】
従って、リアクター10に金属性プローブ40が設けられない場合、作業者は、開閉部材をプローブ挿入孔に挿入してプローブ挿入孔を閉鎖させ、これを通してプローブ挿入孔に作動流体が流出することを予防できる。
【0059】
また、本水中プラズマ発生装置1は、誘電性挿入物20を含む。
【0060】
図3及び図4を参照すると、誘電性挿入物20は、リアクター10に挿入され、作動流体から電子が放出される空洞現象によるプラズマ生成に必要な環境を提供するように構成される。
【0061】
さらに詳細には、誘電性挿入物20は、流路に配置されて流路を複数個の空間に区画する。そして、誘電性挿入物20の内側には、区画された複数個の空間(第1流路11及び第2流路12)を互いに連通させ、流路(第1流路11)に比して断面の幅が相対的に小さな貫通孔20aが形成される。ここで、第1流路11の直径と貫通孔20aの直径の比率は、10:1の比率に適用されることが好ましくあり得る。しかし、第1流路11の直径と貫通孔20aの直径の比率は、必ずしもこれに限定されるものではなく、10:0.5〜10:4の少なくともいずれか一つの大きさに適用され得る。また、誘電性挿入物20の一側には、作動流体の流入時、貫通孔20aに流入した作動流体と摩擦されて作動流体と共に貫通孔20aを通過する微細気泡に電子を放出する金属性触媒(金属性挿入物22)を備える。
【0062】
従って、図4に示されたように、リアクター10の一側空間(第1流路11)に流入した作動流体には、第1流路11及び貫通孔20aの間で発生する空洞現象(cavitation)により負電荷の表面電位を帯びる50μm以下の多量の微細気泡が発生し得る。さらに詳細には、第1流路11に流入する高圧の作動流体には、空洞現象によって5μm以下の大きさに収縮する多量の微細気泡が発生し、5μm以下の大きさに収縮した多量の微細気泡は、ゼータ電位(zeta potential)特性によって表面に負電位が急増するようになる。そして、作動流体と共に貫通孔20aに流入して金属性触媒(金属性挿入物22)を通過する多量の微細気泡は、表面電位の電荷(−電荷)と金属性触媒から放出される同種電荷(−電荷)との間の斥力により連続的に崩壊されて高密度のプラズマを発生させることができる。併せて、誘電性挿入物20を通して吐出されてリアクター10の他側空間(第2流路12)に移動された作動流体は、高密度のプラズマに露出されてイオン化され得る。
【0063】
誘電性挿入物20についてさらに詳細に説明する。
【0064】
図4及び図5を参照すると、誘電性挿入物20は、予め設定された誘電率を有する誘電性素材で形成され、第1流路11及び第3流路13に対応する大きさに形成されて第1流路11、第2流路12及び第3流路13にわたって収容され、内側に貫通孔20aが形成される誘電体21を含むことができる。例えば、誘電体21は、エンジニアリングプラスチック、アクリル、クォーツ、パイレックス(登録商標)、セラミック、ファイバーグラス及びクリスタル等のように所定の誘電率を有する多様な誘電性素材に適用され得る。
【0065】
リアクター10に収容される誘電体21は、流路に配置される位置によって第1部分211、第2部分212及び第3部分213に区分され得る。
【0066】
第1部分211は、第1流路11に対応する大きさに形成されて第1流路11に収容され、作動流体が流入する場合、作動流体に加圧されて一面が係止ジョー14に係って支持され得る。例えば、第1部分211は、後述する第2部分212及び第3部分213に比して断面の大きさがさらに広く形成され得る。即ち、第1部分211は、第1流路11に対応する大きさに形成されて第1流路11を形成するリアクター10の内周面に支持されることはもちろん、作動流体の移動方向に沿ってリアクター10の内側に形成された係止ジョー14に係って支持されることで、作動流体の流入時にも作動流体の圧力により流動されず、安定して固定された状態を維持することができる。
【0067】
第2部分212は、第1部分211から軸方向に沿って予め設定された長さに延びて、第3流路13に対応する大きさに形成されて第3流路13に収容され得る。例えば、第2部分212は、第1部分211よりさらに長く形成されることが好ましくあり得る。
【0068】
また、第2部分212には、逆流した作動流体が収容可能な捕集溝214が形成され得る。
【0069】
捕集溝214は、後述する第3部分213から吐出されて第3部分213の表面に沿って第2部分212に向かって逆流する作動流体が流入し得るように、第2部分212の外周面から内側に向かって予め設定された深さに陥没して形成され得る。
【0070】
そして、捕集溝214は、図7に示されたように、第2部分212の外面に単一形態に形成されるか、図5図6及び図8に示されたように、第2部分212の長手方向に沿って複数個に形成され得る。ここで、第2部分212の長手方向に沿って複数個に形成された捕集溝214は、第2部分212の長手方向に沿って少なくとも2つ以上の位置に形成され得、等間隔に離隔されて配置され得る。
【0071】
一方、図5から図8を参照すると、捕集溝214は、第3部分213から予め設定された距離だけ離隔された位置に形成され得る。即ち、第3部分213と隣接した位置に形成される捕集溝214と第3部分213との間には、捕集溝214と第3部分213を離隔させるブロック部212aが備えられ、これを通して第3部分213の表面に沿って捕集溝214側に流入する作動流体の流入を最小化することができる。
【0072】
また、捕集溝214は、図8に示されたように、V字またはU字等、多様な形態に食刻された形状に形成され得る。
【0073】
これを通して、捕集溝214は、作動流体が収容可能な所定の空間を提供して作動流体が第1部分211に逆流することを低減させることはもちろん、作動流体が円滑に流出入可能な形態に形成されることで、捕集溝214に収容された作動流体が第3部分213を通して吐出される作動流体と共に合流されるようにしてプラズマ発生を加速化させることができる。
【0074】
しかし、第2部分212には、必ずしも捕集溝214が形成されなければならないものではなく、捕集溝214は、必要に応じて選択的に誘電体21に形成され得る。
【0075】
再び、図4及び図5を参照すると、第3部分213は、第2部分212から軸方向に沿って予め設定された長さに延びて、第2部分212と同じ外形の大きさに形成されて第2流路12に収容され得る。そして、第3部分213は、作動流体の移動方向に向かって直径の大きさが次第に減少する構造に形成され得る。
【0076】
即ち、第3部分213は、第2部分212から延びて第2流路12に露出された状態で配置され、作動流体の移動方向に向かって直径の大きさが次第に減少する表面構造を通して、端部から吐出されて逆流する作動流体を第2部分212側に円滑に案内でき、これを通してプラズマ反応を加速させることができる。
【0077】
また、第2流路12に露出された第3部分213の表面は、外側に向かって曲げられた曲面形状に形成され得る。従って、第3部分213を通して吐出されて逆流する作動流体は、曲面形状に形成された第3部分213の表面に沿って第2部分212側に移動され得る。
【0078】
しかし、第3部分213の表面形状は、これに限定されるものではなく、多様な構造及び形状に変更されて適用され得る。
【0079】
図6を参照すると、第3部分213の表面は、内側に向かって凹に曲げられた曲面形状に形成され得る。従って、第3部分213を通して吐出されて逆流する作動流体は、内側に向かって凹に曲げられた曲面形状の第3部分213の表面に沿って第2部分212側に移動され得る。また、第3部分213から吐出されて逆流する作動流体は、上述の第3部分213の表面形状構造及び第3部分213から連続的に吐出される作動流体の流れを通して加速化され得る。
【0080】
また、図7を参照すると、第3部分213の表面は、傾斜面の形態に形成され得る。従って、第3部分213を通して吐出されて逆流する作動流体は、傾斜面形状の第3部分213の表面に沿って第2部分212側に移動され得る。
【0081】
一方、貫通ホールが形成された誘電体21の内部には、渦流突起215がさらに形成され得る。
【0082】
図5を参照すると、渦流突起215は、貫通孔20aを通過する作動流体に渦流が発生し得るように、誘電体21の長手方向に沿って誘電体21の内面全体に螺旋形状に突設され得る。これによって、誘電体21の内部で微細気泡の発生がさらに活性化され得ることはもちろん、微細気泡の崩壊をさらに加速化させることができる。
【0083】
また、図3及び図4を参照すると、誘電性挿入物20は、金属性挿入物22と、ホールディング挿入物23をさらに含むことができる。
【0084】
金属性挿入物22は、第1流路11に収容され、一面が誘電体21に接触した状態で誘電体21の前方に配置され、作動流体の流入時、作動流体と摩擦されて電子を放出し得る。例えば、金属性挿入物22は、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル、銅、アルミニウム、白金、パラジウム、チタン等の多様な金属からなり得る。また、金属性挿入物22は、予め設定された厚さに形成され、第1流路11に対応する外形の大きさに形成され得る。また、金属性挿入物22の内側には、作動流体が通過可能な貫通孔20aが形成され得る。例えば、貫通孔20aの内部には、螺旋形の溝が形成され、作動流体が通過する場合、作動流体に渦流現象(スクリュー現象)を誘導し得る。
【0085】
ホールディング挿入物23は、第1流路11に収容されて金属性挿入物22の前方に配置され、金属性挿入物22に接触した状態を維持することができる。そして、ホールディング挿入物23は、作動流体の流入時、金属性挿入物22から放出される電子をホールディング(holding)できるように所定の誘電率を有する誘電性素材で形成され得る。即ち、ホールディング挿入物23は、金属性挿入物22から発生する電子を蓄積する役割を果たすことができる。例えば、ホールディング挿入物23は、エンジニアリングプラスチック(PC)、アクリル、クォーツ、パイレックス(登録商標)、セラミック、ファイバーグラス及びクリスタル等のように所定の誘電率を有する誘電性素材で形成され得る。また、ホールディング挿入物23は、予め設定された厚さに形成され、第1流路11に対応する外形の大きさに形成され得る。また、ホールディング挿入物23の内側には、作動流体が通過可能な貫通孔20aが形成され得る。例えば、貫通孔20aの内部には、螺旋形の溝が形成され、作動流体が通過する場合、作動流体に渦流現象(スクリュー現象)を誘導し得る。
【0086】
また、本水中プラズマ発生装置1は、イオン分離部30をさらに含むことができる。
【0087】
図3及び図9を参照すると、イオン分離部30は、誘電性挿入物20を通過した作動流体が収容されるリアクター10の他側空間(第2流路12)に対応するリアクター10の外面に設けられ、プラズマを通してイオン化された作動流体の流れに磁場を印加して作動流体に含まれたイオンを電気的極性によって分離させることができる。
【0088】
即ち、イオン分離部30は、プラズマを通してイオン化された作動流体の流れに磁場を印加して作動流体からHイオン及びOHイオンを分離することができる。このとき、リアクター10に供給される作動流体は、比抵抗10Ω・cm以上の軽水(HO)または軽水と重水(DO)が混合された混合流体であってよい。
【0089】
イオン分離部30についてさらに詳細に説明する。
【0090】
イオン分離部30は、リアクター10の外面に互いに対向配置される複数個の磁性体を含むことができる。
【0091】
複数個の磁性体は、リアクター10の軸方向に対する垂直方向に沿ってリアクター10の一側外面に設けられ、S極性を有する第1磁性体31と、リアクター10の他側外面に設けられて第1磁性体31に対向配置され、N極性を有する第2磁性体32を含むことができる。これを通して、イオン分離部30は、作動流体の流れに磁場を印加し、作動流体に含まれたイオンを作動流体の流れから電気的極性によって磁場の方向に垂直に分離させることができる。一方、図面に示されたものとは異なり、S極性とN極性が互いに相反した位置に配置され得るように、第1磁性体31と第2磁性体32は、リアクター10の軸方向に対する垂直方向に沿って互いに相反した位置に配置され得る。これを通して、イオン分離部30で分離されて作動流体と共に移動されるイオンの方向を変更することができる。
【0092】
また、イオン分離部30は、磁性体固定部33をさらに含むことができる。
【0093】
図10及び図11を参照すると、磁性体固定部33は、内側に第1磁性体31及び第2磁性体32を収容して固定させることができる。さらに詳細には、磁性体固定部33は、リアクター10の軸方向及びリアクター10の軸方向に対する垂直方向への第1磁性体31及び第2磁性体32の移動を制限できる。そして、磁性体固定部33は、リアクター10の外面にモジュール形態に結合され得る。
【0094】
また、磁性体固定部33は、ハウジング部331、隔膜部332、及びブラケット部333を含むことができる。
【0095】
ハウジング部331は、内側にリアクター10、第1磁性体31及び第2磁性体32を収容可能な収容空間が形成され、リアクター10の軸方向に沿ってリアクター10の外側に結合されてリアクター10の外面に固定され得る。例えば、ハウジング部331は、リアクター10の他側空間(第2流路12)に対応する長さに形成され得る。しかし、ハウジング部331の長さは、必ずしもこれに限定されるものではなく、必要に応じてリアクター10の外面の長さより短い長さに形成され得る。
【0096】
隔膜部332は、ハウジング部331の内側に結合されて収容空間を複数個に区画し、第1磁性体31及び第2磁性体32を支持してリアクター10の軸方向に対する垂直方向に第1磁性体31及び第2磁性体32の移動を制限できる。例えば、隔膜部332は、予め設定された厚さを有する板形構造に形成され、SUS素材で形成され得る。そして、ハウジング部331の収容空間は、隔膜部332によりリアクター10が収容される第1収容空間、第1収容空間と連通されて第1磁性体31及び第2磁性体32がそれぞれ収容される第2収容空間、及び後述するブラケット部333が挿入されて固定される第3収容空間に区画され得る。
【0097】
ブラケット部333は、ハウジング部331の軸方向に沿ってハウジング部331の一側端部に複数個の締結手段を通して締結され、リアクター10の軸方向に第1磁性体31及び第2磁性体32の移動を制限し、内側にリアクター10が貫通可能な通孔が形成され得る。また、ブラケット部には、複数個の締結手段が貫通可能な複数個の通孔がさらに形成され得る。また、ブラケット部333は、鉛等のように磁性体の磁力を遮断できる素材で形成され得る。
【0098】
また、本水中プラズマ発生装置1は、金属性プローブ40をさらに含むことができる。
【0099】
図12の(a)を参照すると、金属性プローブ40は、複数個で備えられ、第1磁性体31及び第2磁性体32が対向配置された方向に対して垂直な方向に対向配置され、リアクター10を貫通して一部が流路の他側空間(第2流路12)に収容され得る。従って、複数個の金属性プローブ40にキャパシタ等を連結する場合、高電圧の電気エネルギーを獲得することができる。例えば、金属性プローブ40は、銀、銅、アルミニウム、金、ニッケル及び銅等の多様な金属素材で形成され得る。
【0100】
一方、図12の(b)を参照すると、流路の他側空間(第2流路12)で、誘電性挿入物20の端部と金属性プローブ40との間の距離D1は、金属性プローブ40とリアクター10の端部との間の距離D2よりさらに長く形成され得る。
【0101】
また、本水中プラズマ発生装置1は、浄水部(図示しない)及び動力部(図示しない)をさらに含むことができる。
【0102】
浄水部は、作動流体を浄水することができる。ここで、作動流体は、軽水、軽水と重水の混合流体、炭化水素系オイル等を使用することができ、仮に、軽水を使用する場合、比抵抗10Ω・cm以上の範囲で浄水されることが好ましくあり得る。また、軽水と重水が混合された混合流体を作動流体に使用する場合、重水を軽水に対比して0.01%から100%程度に配合して使用することが好ましくあり得る。また、炭化水素系オイル、またはミネラルオイル(Mineral Oil)を使用する場合、粘度が40以下のものを使用することが好ましくあり得る。
【0103】
動力部は、浄水部で浄水された作動流体をリアクター10の内部に供給するための動力を提供することができる。即ち、動力部は、動力部の一側に配置される後述するポンプを回転させ、作動流体をリアクター10に予め設定された圧力で伝達することができる。
【0104】
また、本水中プラズマ発生装置1は、ポンプ(図示しない)、貯蔵タンク(図示しない)及び流量調節部(図示しない)をさらに含むことができる。
【0105】
ポンプは、動力部の一側に配置され、動力部から動力の伝達を受けて、リアクター10に作動流体を既設定された圧力で伝達することができる。例えば、ポンプの駆動によって、後述する貯蔵タンクに貯蔵された作動流体は、貯蔵タンクからポンプに伝達され、ポンプに伝達された作動流体は、リアクター10に供給され得る。
【0106】
貯蔵タンクは、リアクター10及び後述する温度調節部を通過した作動流体を貯蔵し、ポンプに作動流体を供給することができる。例えば、貯蔵タンクの内部には、循環して流入した作動流体の状態を安定化させるための隔壁が設けられ得る。また、貯蔵タンクには、温度調節のために熱交換器(図示しない)がさらに設けられ得る。
【0107】
流量調節部は、貯蔵タンクからリアクター10に流入する中間に配置され、リアクター10に流入する作動流体の流量を調節するように構成され得る。例えば、流量調節部は、ポンプとリアクター10との間に配置され得る。
【0108】
また、本水中プラズマ発生装置1は、蓄圧器(図示しない)、流体移動部(図示しない)、計測部(図示しない)及びコントロールパネル(図示しない)をさらに含むことができる。
【0109】
蓄圧器は、流量調節部とリアクター10との間に設けられ、作動流体が一定に流れずプラズマが瞬間的に切れてまた発生する脈動現象を防止できる。例えば、蓄圧器は、脈動現象を低減するために2台以上設けられることが好ましくあり得る。
【0110】
流体移動部は、浄水部、リアクター10及び貯蔵タンク等、上述したそれぞれの装置を互いに連結する配管形態に形成され、内部に作動流体が循環され得る流路が形成され得る。例えば、流体移動部は、誘電性素材で形成され得る。
【0111】
計測部は、リアクター10の入口、出口及び流体移動部の少なくともいずれか一箇所に配置され、作動流体の圧力及び温度を計測することができる。これを通して、計測された作動流体の圧力及び温度は、作動流体の圧力及び温度を制御する用途に使用され得る。例えば、リアクター10の入口で測定された作動流体の温度及び圧力がプラズマ発生に十分な圧力及び温度に達していない場合、ポンプ(図示しない)を制御して圧力を高めることができる。そして、後述する温度調節部(図示しない)で作動流体の温度を低減させることを中止させることができる。また、温度調節部に流入する流体移動部に配置された計測部は、作動流体の温度を測定して、リアクター10の内部で摩擦熱及びプラズマ発生によって上昇した作動流体の温度を測定することができる。そして、測定された温度は、温度調節部で作動流体の温度を調節するデータとして使用され得る。
【0112】
コントロールパネルは、本水中プラズマ発生装置1をつけたり消したりすることができる電源装置、及び作動流体の圧力及び温度を調節できる操作装置を含むことができる。そして、コントロールパネルは、上述した計測部により計測される圧力及び温度を表示できるディスプレイパネルをさらに含むことができる。
【0113】
また、本水中プラズマ発生装置1は、分岐管(図示しない)をさらに含むことができる。
【0114】
分岐管は、リアクター10の他側に連結されて作動流体と共にイオン分離部30を通して分離されたイオンを互いに異なる方向に案内できる。例えば、分岐管は、誘電性素材で形成され得る。
【0115】
以下においては、図3及び図4を参照して、作動流体の流れ、作動流体の流れと連係される各挿入物の作用、微細気泡の形成過程及び崩壊過程を説明する。
【0116】
参考までに、作動流体の流れ、作動流体の流れと連係される各挿入物の作用、微細気泡の形成過程及び崩壊過程を説明するための各構成については、説明の便宜上、本水中プラズマ発生装置1を説明しながら使用した図面符号を同一に使用し、同一または重複した説明は省略する。
【0117】
まず、一実施例に係る誘電性挿入物20を通した作動流体の流れ、作動流体の流れと連係される各挿入物の作用、微細気泡の形成過程及び崩壊過程を説明する。
【0118】
図3及び図4の(a)を参照すると、リアクター10の第1流路11を通して誘電性挿入物20、金属性挿入物22及びホールディング挿入物23を順に挿入する。誘電性挿入物20を挿入する時には、第3部分213が先に第1流路11に挿入され得るように挿入する。
【0119】
本水中プラズマ発生装置1を作動させると、高圧の作動流体がリアクター10の流入口側に流入する。このとき、作動流体が高圧で流入するので、誘電性挿入物20、金属性挿入物22及びホールディング挿入物23を順に密着させる。
【0120】
作動流体は、リアクター10の内部に流入して直線で貫通ホールに向かって流れる第1流れf1と、第1流れf1の間で渦流が形成される第2流れf2を形成することができる。作動流体が流れるリアクター10の第1流路11の直径より誘電性挿入物20、金属性挿入物22及びホールディング挿入物23に形成された貫通孔20aの直径が相対的に非常に狭いため、ホールディング挿入物23の貫通孔20aの近くで貫通孔20aに流入しなかった作動流体は渦流を形成する第3流れf3を有し得る。そして、第3流れf3は、また第1流れf1に組み込まれて貫通孔20aの内部に流入し得る。
【0121】
貫通孔20aの内部に流入した作動流体は、金属性挿入物22、ホールディング挿入物23及び誘電性挿入物20の貫通孔20aの内部に形成された螺旋形の溝等により渦流を形成する第4流れf4を形成することができる。そして、貫通孔20aの内部に流入した作動流体は、金属性挿入物22と摩擦して流れるようになる。このような摩擦により金属性挿入物22から大量の電子が放出される。金属性挿入物22から放出された電子の一部は作動流体と共に流れていき、放出された電子の他の一部はホールディング挿入物23に蓄積されるようになる。
【0122】
貫通孔20aの内部に流入した作動流体は、非常に狭くなった直径のため空洞現象により微細気泡を形成することができる。このような微細気泡は、貫通孔20aの内部を通りながらさらに多く形成される。また、形成された微細気泡は作動流体内に留まり、作動流体が誘電性挿入物20の貫通孔20aを通過する場合、崩壊され得る。微細気泡の崩壊と作動流体に帯電した電子により誘電性挿入物20の第2部分212の貫通孔20a及び第2流路12でプラズマが主に発生する。
【0123】
ここで、微細気泡は、多くは直径50μm以下の大きさを持つ気泡を意味する。微細気泡は、気液界面により囲まれて形成され、その界面に水の表面張力が作用する。表面張力は、気泡内部を圧縮する力で作用し得る。環境圧力による気泡内部の圧力上昇は、理論的に下記の式1により求めることができる。
<式1> ΔP=4σ/D
ここで、ΔPは圧力上昇の程度であり、σは表面張力、Dは気泡直径である。
【0124】
【表1】
【0125】
前記表1を参照すると、直径が約10μmである微細気泡は、約0.3気圧の内部圧力を有し、直径が1μmである微細気泡は、約3気圧の圧力を有する。また、界面には、イオン濃度が増加するようになる。このような微細気泡が崩壊(Collapse)するとき、約40KHzの超音波と約140dbの高い音圧、そして4000℃から6000℃に達する瞬間的な高熱が発生する。このような超音波、高い音圧及び瞬間的な高熱と作動流体内の浮遊電子により微細気泡が崩壊しながらプラズマが発生する。
【0126】
オイルまたは水等の流体の場合、作動流体の走行速度が速くなり、局部圧力が蒸気圧より低くなると、作動流体が水蒸気化されて空洞(cavity)が発生する。
【0127】
通常の気泡は、水面に上昇して表面で破裂するが、原子や分子の大きさに近いマイクロ(μm)ナノサイズになると、同じ物質でも異なる行動や性質を有するようになるが、気泡でも同じ現象がある。50μm(0.05mm)以下の微細気泡は、水中で縮小されてついに消滅するが、この過程で核生成(nucleation)、気泡成長、そして適切な条件での内破崩壊等、最小限3つの連続的なステップを経る。
【0128】
この過程で、微細気泡は、それ以上自身を維持するためにエネルギーを吸収できない程度に過大成長し、「急激な崩壊」を通して猛烈に内破され、この崩壊ステップの間に放出される温度と圧力は、閉じ込められていた気体の分子が割れる程度におびただしく上昇するが、これは「均一超音波化学」の基礎となる現象でもある。
【0129】
また、微細気泡は、電荷を帯びており、周辺に電場によって上昇しながらジグザグに運動をする。このとき、微細気泡そのものが微細な振動を起こすが、「自己加圧効果」により1μsec(1/1,000,000秒)程度の短い時間での圧縮と崩壊の連鎖反応を繰り返す。
【0130】
また、自己加圧効果は、球形の界面を有する微細気泡内部で表面張力が気体を圧縮する力により発生するが、膨張または崩壊するとき、崩壊する気泡内部の強力な圧力と温度は、核反応を触発させる程度に高くなる。このとき、微細気泡の内部温度は、太陽の表面温度に匹敵する5,500℃まで瞬間的に上昇し、微細気泡の壁の崩壊(内破)速度は7,000m/secまで加速され、その衝撃波は11,000m/secに達し、20,000K〜30,000K(ケルビン温度)まで達する強烈な光を発するが、これがすなわちプラズマの発生である。
【0131】
このような微細気泡の破壊力は、水または他の流体と関連した日常生活でもよく現れている。例えば、水中でプロペラの回転によりプロペラまたは船体表面に流れる流体の走行速度が速くなり、局部圧力が蒸気圧より低くなることで空洞現象が生じ、この過程で数多くの微細気泡が発生し、生成と崩壊が連続で繰り返されるが、この微細気泡が崩壊する度に発生するおびただしいエネルギーは、金属プロペラと船体、ポンプ等の表面を毀損させるため、船舶の運航に莫大な支障をきたしている。このような結果を通して微細気泡の破壊力は証明されている。
【0132】
誘電性挿入物20の貫通孔20aを通過した作動流体は、第3部分213の前方側、即ち、リアクター10の流出口側に向かって放出されるようになる。放出される作動流体の一部は、第3部分213の表面に沿って第2部分212に向かって逆流する第5流れf5を形成し、放出される作動流体の他の一部は、第3部分213の前方側に流れる第6流れf6を形成する。
【0133】
第5流れf5による作動流体は、第3流路13と誘電性挿入物20の第2部分212の微細な隙間の間に流れ込み得る。先に言及したように、誘電性挿入物20の第2部分212の直径は第3流路13と対応するように形成され、誘電性挿入物20の第2部分212とリアクター10の第2流路12が互いに密着するように誘電性挿入物20がリアクター10の内部に挿入されなければならない。そうでない場合、多くの量の作動流体が第3流路13を通して逆流し、プラズマ発生の効率が低下し得る。
【0134】
第3流路13と誘電性挿入物20との間に逆流した作動流体は、誘電性挿入物20の第2部分212に形成された捕集溝214に流入するようになる。流入した作動流体は、捕集溝214に留まっていて、第6流れf6が強くなると、また第3流路13と誘電性挿入物20との間を通して第2流路12側に抜け出ながら第6流れf6をさらに強化させることができる。この時には、捕集溝214に留まっていた作動流体に含まれた微細気泡が崩壊してプラズマをさらに多く発生させることができる。
【0135】
このように、捕集溝214は、逆流する作動流体が留まることのできる空間を提供すると同時に第2流路12で発生するプラズマを強化させる2つの役割を全て果たすことができる。
【0136】
次に、他の実施例に係る誘電性挿入物20を通した作動流体の流れ、作動流体の流れと連係される各挿入物の作用、微細気泡の形成過程及び崩壊過程を説明する。
【0137】
図4の(b)に示されたリアクター10の内部の誘電性挿入物20、金属性挿入物22a、22b、22c、22d及びホールディング挿入物23a、23b、23cは、図4の(a)に示されたリアクター10の内部と比較して誘電性挿入物20の長さ、金属性挿入物22a、22b、22c、22d及びホールディング挿入物23a、23b、23cの個数のみが異なるだけで、他の構成要素は実質的に同一であるので、重複した説明を省略する。
【0138】
図4の(b)を参照すると、リアクター10の内部に挿入された誘電性挿入物20は1個であり、金属性挿入物22a、22b、22c、22dは計4個であり、ホールディング挿入物23a、23b、23cは計3個である。しかし、金属性挿入物22a、22b、22c、22d及びホールディング挿入物23a、23b、23cの個数は、必要に応じて変更されて適用され得る。
【0139】
誘電性挿入物20の第2部分212は、図4の(a)に示された誘電性挿入物20と比較したとき、もう少し長く形成される。これは、誘電性挿入物20の第2部分212側に第4金属性挿入物22dがもう一つ挿入されるからである。具体的に、誘電性挿入物20の第2部分212を貫通して第4金属性挿入物22dが誘電性挿入物20の前面側で先に挿入される。誘電性挿入物20は、前面側に第4金属性挿入物22dが差し込まれたままリアクター10の内部に挿入される。従って、第3部分213の始まりの部分が第2流路12から始まることができるように、第2部分212は、第4金属性挿入物22dの厚さだけさらに長く形成され得る。ただし、図面に示されたものとは異なり、誘電性挿入物20の第2部分212がもう少し長く形成されないこともあり得る。
【0140】
第4金属性挿入物22dの内径は、誘電性挿入物20の第2部分212の外径と対応し、第4金属性挿入物22dの外径は、リアクター10の内径に対応する。第4金属性挿入物22dは、第1流路11に差し込まれながら、前面側には係止ジョー14と接触し、後面側には誘電体21挿入物の第1部分211と接触する。
【0141】
第4金属性挿入物22dが差し込まれた誘電性挿入物20がリアクター10の内部に挿入された後、第4金属性挿入物22dを除く第1から第3金属性挿入物22a、22b、22cと第1から第3ホールディング挿入物23a、23b、23cが順に交互にリアクター10の内部に挿入される。具体的に、誘電性挿入物20、第3金属性挿入物22c、第3ホールディング挿入物23c、第2金属性挿入物22b、第2ホールディング挿入物23b、第1金属性挿入物22a、第1ホールディング挿入物23aが順にリアクター10の内部に挿入される。
【0142】
以下、作動流体の流れ及び作動流体の流れと連係される各挿入物の作用を説明する。
【0143】
リアクター10の第1流路11を通して、上述したように、誘電性挿入物20、金属性挿入物22a、22b、22c、22d及びホールディング挿入物23a、23b、23cが挿入されたリアクター10の内部に高圧の作動流体が流入する。
【0144】
作動流体は、上述したように、誘電性挿入物20、金属性挿入物22a、22b、22c、22d及びホールディング挿入物23a、23b、23cに形成された貫通孔20aを通して流れる第1流れf1と、第1ホールディング挿入物23aの外面とぶつかって渦流が形成される第3流れf3を形成することができる。
【0145】
貫通孔20aの内部に流入した作動流体は、ホールディング挿入物23a、23b、23c、第1から第3金属性挿入物22a、22b、22c及び誘電性挿入物20の貫通孔20aに形成された螺旋形の溝等により渦流となる第4流れf4を形成することができる。
【0146】
第4流れf4は、第1ホールディング挿入物23a、第1金属性挿入物22a、第2ホールディング挿入物23b、第2金属性挿入物22b、第3ホールディング挿入物23c及び第3金属性挿入物22cに順に接触する。これによって、各金属性挿入物22a、22b、22cから大量の電子が作動流体に流入し、放出された電子の一部はホールディング挿入物23a、23b、23cに蓄積され、放出された電子の他の一部は第4流れf4と共に第3部分213を通して放出される。
【0147】
第3部分213の前方側に向かって放出された作動流体の一部は、第3部分213の表面に沿って第2部分212に向かって逆流する第5流れf5を形成する。そして、第3部分213の前方側に向かって放出された作動流体の他の一部は、第3部分213の前方側に流れる第6流れf6を形成する。
【0148】
このとき、第5流れf5は、第3流路13と誘電性挿入物20の第2部分212の微細な隙間の間に流れ込み得る。第3流路13と誘電性挿入物20との間に逆流した作動流体は、誘電性挿入物20の捕集溝214に流入する。
【0149】
そして、捕集溝214に流入した作動流体は、上述したように、第6流れf6が強くなると、また第3流路13と誘電性挿入物20との間を通して第2流路12側に抜け出ることができる。
【0150】
一方、捕集溝214に流入した作動流体及び第3流路13と誘電性挿入物20の隙間に逆流した作動流体は、第1流路11の内側端部に配置された第4金属性挿入物22dと接触し、もう一度プラズマを形成することができる。具体的に、捕集溝214に流入した作動流体は、第3流路13と誘電性挿入物20の隙間に逆流した作動流体と会って第1流路11側まで流入し得る。このとき、作動流体は、第1流路11側の内側端部に配置された第4金属性挿入物22dと接触して電子の供給を受けることができる。
【0151】
このような第4金属性挿入物22dは、第5流れf5を通して第1流路11側に流入した作動流体が誘電性挿入物20と接触して発生し得る誘電性挿入物20のすす及び損傷を減少させることができる。また、第4金属性挿入物22dは、逆流した第5流れf5に電子を供給することでプラズマ発生をさらに加速させることができる。
【0152】
図13は、本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置1からプラズマが発生する様子を示したイメージである。参考までに、図13は、リアクター10の内部で発生するプラズマがより鮮明に表現されるようにするために暗室状態で撮影された。
【0153】
図4及び図13を参照すると、リアクター10の内部で作動流体の流れによってプラズマは発生と消滅を繰り返す。また、複数の位置でプラズマが同時に発生することもあり得る。
【0154】
第1プラズマP1は、誘電性挿入物20の捕集溝214に入っている作動流体で発生したプラズマである。先に言及したように、誘電性挿入物20の端部から吐出された作動流体の一部は、捕集溝214側に逆流して捕集溝214に入っている。捕集溝214に入った作動流体は、捕集溝214の内部で誘電性挿入物20の円周表面に沿って回転するようになる。このような回転過程で第1プラズマP1が発生し得る。
【0155】
第2プラズマP2は、捕集溝214の内部にあった作動流体が第3部分213の端部側に漏れ出ながら発生し得る。捕集溝214の内部にあった作動流体は、第3部分213の端部側から吐出される作動流体の流れに合流して、第3部分213の端部側に吐出される作動流体の流れを強化させることができるが、このような過程で第2プラズマP2が発生し得る。一方、第2プラズマP2は、捕集溝214の内部にあった作動流体が誘電性挿入物20の第3部分213の外側に吐出される作動流体の流れを強化させるということを示す一例であるといえる。
【0156】
第3プラズマP3は、誘電性挿入物20の貫通ホールから第3部分213の端部に吐出される作動流体で発生し得る。第3プラズマP3は、貫通ホールの内部から発生することもあり得る。そして、第3プラズマP3は、誘電性挿入物20を抜け出した直後にも発生し得る。このような第3プラズマP3は、リアクター10の内部で発生するプラズマの中で主なプラズマであるといえる。例えば、第3プラズマP3にキャパシタ等と連結された金属性プローブ40を連結する場合、電気エネルギーを獲得することができる。
【0157】
このように、本発明の実施例によれば、内側に作動流体が移動可能な流路が形成されるリアクター10、及び流路に収容されて流路の一側空間に空洞現象を誘発し、一側に流体の流れ時に摩擦電気を発生させる金属性触媒を備えることで、リアクター10に流入して一方向に移動する流体内に5μmの大きさ以下に形成され、負電荷の表面電位を帯びる微細気泡を大量に発生させ、流体と共に移動される微細気泡に同種電荷を印加して斥力により微細気泡を連続で崩壊させて高密度のプラズマを連続的に生成することができる。
【0158】
また、従来の気体プラズマ発生装置のように数千〜数万ボルト以上の高電圧を利用することなく、室温で炭化水素系オイルや、軽水(HO)または軽水と重水(DO)が混合された作動流体の循環だけでプラズマを生成できることで、気体プラズマに比して高密度のプラズマを生成できることはもちろん、装置の構造を単純化してコストを節減することができる。
【0159】
また、作動流体を一方向に循環させて連続的にプラズマを生成でき、プラズマが液状の流体の中に閉じ込められた状態で発生することで、音波発光(Sonoluminescence)または化学発光(Chemoluminescence)を通したプラズマの生成を排除して工程を簡素化でき、プラズマの損失率を最小化することができる。
【0160】
また、速い速度で循環する作動流体内で高密度のプラズマを発生させて作動流体をイオン化し、イオン化された作動流体が移動される経路に磁場を形成して作動流体に含まれたイオンを電気的極性によって効率的に分離させることができる。
【0161】
また、軽水(HO)または軽水と重水(DO)の混合物を作動流体に適用する場合、振動弛緩(Oscillation Relaxation)現象の発生なしにイオン化された作動流体からHイオン及びOHイオンを分離でき、さらに分離されたHイオンを収集して高純度の水素を大量生産することができる。
【0162】
また、プラズマが発生する内部空間に一部が露出されるようにリアクター10に脱着可能な複数個のプローブを備えることで、プローブにキャパシタ等を連結する場合、高電圧の電気エネルギーを獲得することができる。
【0163】
以上においては、本発明の好ましい実施例について図示して説明したが、本発明は、上述した特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲において請求する本発明の要旨を外れることなく当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者により多様な変形実施が可能であることはもちろん、このような変形実施は、本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならないだろう。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本実施例に係る水中プラズマ発生装置は、電気エネルギーを発生させる発電システムに使用され得る。
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5(a)】
図5(b)】
図6(a)】
図6(b)】
図7(a)】
図7(b)】
図8(a)】
図8(b)】
図9
図10
図11
図12(a)】
図12(b)】
図13
【国際調査報告】