特表2021-523742(P2021-523742A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-523742複合アルコール飲料を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-523742(P2021-523742A)
(43)【公表日】2021年9月9日
(54)【発明の名称】複合アルコール飲料を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12G 3/04 20190101AFI20210813BHJP
   C12H 6/02 20190101ALI20210813BHJP
【FI】
   C12G3/04
   C12H6/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2021-514452(P2021-514452)
(86)(22)【出願日】2019年5月17日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月18日
(86)【国際出願番号】AU2019000059
(87)【国際公開番号】WO2019217989
(87)【国際公開日】20191121
(31)【優先権主張番号】2018901745
(32)【優先日】2018年5月18日
(33)【優先権主張国】AU
(31)【優先権主張番号】2019100418
(32)【優先日】2019年4月17日
(33)【優先権主張国】AU
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520452699
【氏名又は名称】アード コア プロプリエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100201606
【弁理士】
【氏名又は名称】田岡 洋
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ジョン マルコム エドワード
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド アーロン ウィルハイム ウィザーズ
【テーマコード(参考)】
4B115
【Fターム(参考)】
4B115LG01
4B115LG02
4B115NG02
4B115NG03
4B115NP01
4B115NP02
4B115NP07
(57)【要約】
【解決手段】 複合アルコール飲料を製造するための方法であって、複数のアルコール飲料であって、その各々が個々のモルト又は個々のグレーンから単独で又はベースモルト若しくはベースグレーンと共に製造される複数のアルコール飲料を製造するステップと、複数のアルコール飲料を混合して複合アルコール飲料を製造するステップと、を含む方法。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合アルコール飲料を製造するための方法であって、
複数のアルコール飲料であって、その各々が個々のモルト又は個々のグレーンから単独で又はベースモルト若しくはベースグレーンと共に製造される複数のアルコール飲料を製造するステップaと、
前記複数のアルコール飲料を混合して前記複合アルコール飲料を製造するステップbと、を含む方法。
【請求項2】
前記複合アルコール飲料を製造する方法がスピリットを製造する方法を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スピリットがウイスキーである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記個々のモルト又は個々のグレーンが焙煎され又は焙煎されていない、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記複数のアルコール飲料の各々を製造することが、
a.第1の個々のモルトを単独で又は第1のベースモルトと共に容器内で醸造してモルト麦汁を作製することと、
b.前記モルト麦汁を発酵させてモルトウォッシュを作製することと、
c.前記モルトウォッシュを蒸留してニューメイクを作製することと、
d.前記ニューメイクを樽内で熟成させることと、
を含む請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記複合アルコール飲料を製造するための所定の数のアルコール飲料を決定することを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、前記複合アルコール飲料を形成するために混合する前記所定の数のアルコール飲料の各々から1つ以上の樽を選択することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記所定の数のアルコール飲料が6つのアルコール飲料である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、前記複合アルコール飲料を瓶詰めすることを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の方法により製造された複合アルコール飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合アルコール飲料を製造するための方法に関する。1つの特定の例によれば、本発明は、ウイスキーを製造するための方法及びその方法によって製造された製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の提案又は製品についての以下の参照及び説明は、当該技術分野における一般知識の陳述又は承認であることが意図されておらず、またそのように解釈されるべきではない。特に、以下の先行技術の議論は、当業者によって一般的に又はよく知られていることには関係しないが、関連する先行技術提案の識別がその一部でしかない本発明の進歩性の理解を支援する。
【0003】
現在、ウイスキー等のアルコール飲料を製造するプロセスにおいては、所望のグレーン及び/又はモルト(通常は1つ又は2つの品種であり、典型的には焙煎されていない)がミルで粉砕され、醸造のためにマッシュ容器に一緒に加えられる。醸造が完了すると、甘い液体(麦汁と呼ばれる)が排出され、発酵容器にポンプで送られて、そこで酵母が加えられる。酵母は麦汁中の糖をアルコール、二酸化炭素、及び他の多くの二次化合物に変換する。発酵が完了すると、その液体(今やウォッシュと呼ばれる)は蒸留プロセスを通され、そこで所望のアルコールが濃縮されて回収される(蒸留は典型的には2回又は3回行われる)。その後、最終的なスピリット(しばしばニューメイクと呼ばれる)が1つ以上の樽に充填され、所望の/必要な年数の間熟成される。熟成すると、今や熟成したスピリットがウイスキーとして瓶詰めされる。
【0004】
従って、作製されたウイスキーの味は、例えば、熟成及び用いられた樽、更には蒸留プロセスだけでなく、最初に用いられたグレーン又はモルト等の多くの要因に依存する。
【0005】
商業的には、特定のタイプのウイスキーは、それらが製造された場所に応じてよく知られている。例えば、スコッチウイスキーはスコットランドで製造される一方で、バーボンは米国で製造される。これらのウイスキー飲料は、それらの味に影響を与える地理的な関連性を有する可能性があり、それらの味は、それらが製造される方法によっても影響を受ける場合がある。従って、商業的に魅力的な特定の味を有することができる新しいタイプのウイスキー又はスピリットを製造することがしばしば望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術の飲料の欠点及び不利益を改善し又は少なくとも有用な代替物を提供し得る複合アルコール飲料を製造するための方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様によれば、複合アルコール飲料を製造するための方法がここに提供される。その方法は、複数のアルコール飲料から複合アルコール飲料を製造することと、これらアルコール飲料を混合して複合アルコール飲料を形成することと、を含むことができる。
【0008】
本発明の更なる例によれば、複合アルコール飲料を製造するための方法がここに提供され、その方法は、複数のアルコール飲料であって、その各々が個々のモルト又は個々のグレーンから単独で又はベースモルト若しくはベースグレーンと共に製造される複数のアルコール飲料を製造するステップと、複数のアルコール飲料を混合して複合アルコール飲料を製造するステップと、を含む。
【0009】
1つの特定の例では、複合アルコール飲料を製造する方法は、スピリットを製造する方法を含み、更なる例では、スピリットはウイスキーである。しかし、当業者であれば、複合アルコール飲料は、原料から製造された任意の形態の飲料であることができ、また複合アルコール飲料は、原料から製造された複数のアルコール飲料を組み合わせることによって形成されることを理解するはずである。
【0010】
更に別の例によれば、個々のモルト又は個々のグレーンは、焙煎され又は焙煎されていない。
【0011】
更に別の形態によれば、複数のアルコール飲料の各々を製造することは、第1の個々のモルトを単独で又は第1のベースモルトと共に容器内で醸造してモルト麦汁を作製することと、モルト麦汁を発酵させてモルトウォッシュを作製することと、モルトウォッシュを蒸留してニューメイクを作製することと、ニューメイクを樽内で熟成させることと、を含む。
【0012】
別の例によれば、その方法は、複合アルコール飲料を製造するための所定の数のアルコール飲料を製造することを含む。しかし、アルコール飲料の数は、予め決定される必要はなく、プロセスの間でいつでも決定され得ることが理解されるはずである。1つの特定の例では、アルコール飲料の数及び比率は、複合アルコール飲料の特定の/具体的な所望の味プロファイルに基づいて決定される。
【0013】
別の形態によれば、その方法は、所定の数のアルコール飲料に基づいて、アルコール飲料の醸造物の1つ以上の樽を選択して、別の醸造物の1つ以上の樽の別の選択と混合することを更に含むことができる。即ち、その方法は、複合アルコール飲料を形成するために混合する所定の数のアルコール飲料の各々から1つ以上の樽を選択することを更に含むことができる。従って、例えば、複合アルコール飲料は、所定の数としての3つのアルコール飲料の混合物を含むものと決定されてよい。従って、所望の味又は結果に応じて、1つ以上の樽の選択の比率は同じである必要はなく、それに応じて変えることができる。例えば、第1のアルコール飲料(又は醸造物)から1つの樽、第2のアルコール飲料から2つの樽、第3のアルコール飲料から3つの樽等を選択することができ、これらの比率はそれらに応じて変えることができる。
【0014】
別の特定の例によれば、その方法は、6つのアルコール飲料を製造することを含む。アルコール飲料の数は6に限定されず、複合アルコール飲料の所望の味プロファイルに応じて決定され得ることが理解されるはずである。
【0015】
更なる例によれば、その方法は、複合アルコール飲料を瓶詰めすることを含む。更に別の態様では、その方法は、瓶詰めに先立ち複合アルコール飲料を寝かせることを含む。
【0016】
本発明の1つの態様によれば、ここに説明される方法/プロセスのいずれかによって製造された複合アルコール飲料もここに提供される。
【0017】
ここに説明される特徴の任意の組み合わせは、複合アルコール飲料を製造するための方法において適用され得ることが理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、好ましい実施形態の以下の非限定的な説明からよりよく理解されるであろう。
【0019】
図1図1は複合アルコール飲料を製造するための方法の一例を示すフローチャートである。
図2図2は複合アルコール飲料を製造するための別の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
複合アルコール飲料を製造するための方法の例を図1及び2に示す。
【0021】
これらの例において、複合アルコール飲料を製造するための方法は、複数のアルコール飲料を製造することを含み、複数のアルコール飲料の各々は、個々のモルト又は個々のグレーンから単独で又はベースモルト若しくはベースグレーンと共に製造される。
【0022】
従って、複数のアルコール飲料の各々は、個々のモルト(モルト化されている)又はグレーン(モルト化されていない)のいずれか1つ又は組み合わせを、ベースモルト(モルト化されている)又はグレーン(モルト化されていない)を伴い又は伴わずに含むことができる。
【0023】
従って、複数のアルコール飲料の各々は、
−個々のモルト;又は、
−個々のモルト及びベースモルト;又は、
−個々のモルト及びベースグレイン(モルト化されていない);又は、
−個々のグレーン(モルト化されていない);又は、
−個々のグレーン(モルト化されていない)及びベースモルト;又は、
−個々のグレーン(モルト化されていない)及びベースグレーン(モルト化されていない)、
から製造され得ることが理解されるはずである。
【0024】
次いで、複数のアルコール飲料を混合することによって複合アルコール飲料が製造される。
【0025】
図1を参照すると、複合アルコール飲料を製造するための方法の一例が示されており、その方法は、ステップ100において第1の原料から第1のアルコール飲料を製造することと、ステップ110において第2の原料から第2のアルコール飲料を製造することと、を含む。ステップ120では、第1のアルコール飲料と第2のアルコール飲料が混合されて、複合アルコール飲料を形成/製造する。
【0026】
1つの特定の例によれば、第1の原料及び第2の原料は、個々のモルト又は個々のグレーンを単独で又はベースグレーン若しくはベースモルトと共に含むことができる。
【0027】
更に、第1の個々のモルト/グレーン及び第2の個々のモルト/グレーンは、同じ又は異なるタイプのモルト/グレーンであり得る。
【0028】
当業者であれば、製造されている複合アルコール飲料に応じて、ステップ100及び110が順次又は並行してなされ得ることを理解するはずである。更に、製造され、次いで最終的に混合され、次いで複合アルコール飲料において形成されるアルコール飲料の数は、やはり複合アルコール飲料に必要とされるタイプ又は香味プロファイルに応じて、予め決定され得る。1つの特定の例によれば、ウイスキーを製造する場合、熟成のタイムスケールが長いことにより、第2(又は第3、第4、第5、第6等)のアルコール飲料をどうするかに関する決定は、ステップ120でプロセスの最後に同時にブレンドするのに熟成飲料を利用可能にするために、典型的にはプロセスの開始時になされる。
【0029】
ウイスキーを製造するためのプロセスの一例を図2に示す。
【0030】
図2においては、ステップ200で、望ましい個々のモルト又はグレーンが選択され、醸造される。ステップ200は、個々のモルト又は個々のグレーンを単独で又はベースモルト/グレーンと共に醸造することを含み得ることが理解されるはずである。
【0031】
次いでステップ210では、作製された醸造物が発酵され、次いでステップ220では、発酵された醸造物が蒸留プロセスを受ける。特に、蒸留はまた、方法がステップ230に進む前に何度も起こり得る。次いでステップ230では、作製されたニューメイク又は飲料は、ニューメイクをそれ自身の1つ以上の樽に所望の期間収容しておくことによって熟成され、その所望の期間は、作製されている複合アルコール飲料の香味プロファイル又はタイプに応じて予め決定され得る。
【0032】
図2はまた、ステップ210〜230のプロセスを用いて(それぞれステップ210N〜230Nで示される)、多数のアルコール飲料が作製され得ることを示している。複数の又は多数のアルコール飲料が作製され、各々がそれら自身の醸造、発酵、蒸留、及び熟成のプロセスを経るにつれ、それらは次いでステップ240で全て組み合わされて、最終的に複合ウイスキーが作製される。1つの特定の例によれば、複数のアルコール飲料は、特定の比率に従って組み合わせることができる(例えば、以下の実施例2に示されるように)。
【0033】
特に、複合アルコール飲料は、次いで寝かせられ次いで瓶詰めされてから、消費に供することができる。
【0034】
1つの例によれば、最終的な複合アルコール飲料を作製するために形成される所望のアルコール飲料の数及び具体的な比率は、ステップ200でプロセスを開始するのに先立ち予め決定することができる。これは、典型的には、複合ウイスキーにおいて望ましいタイプ及び/又は香味プロファイルに依存する。しかし、プロセス中のいつでも、複合アルコール飲料を製造するために組み合わせるアルコール飲料の数及び比率を決定することも可能である。
【0035】
従って、1つの特定の例によれば、複数のアルコール飲料を寝かせて熟成させ、特定の時点で味わってみて、熟成又は特定の香味プロファイルを試験することができる。この段階で、どのアルコール飲料を混合し又は混合物に加えて複合アルコール飲料を製造すべきかを決定することができる。
【0036】
ウイスキーの製造に関して、このプロセスの更なるいくつかの実施例を以下に提供する。しかし、当業者であれば、ここに説明されるプロセスはウイスキーに限定されないことを理解するはずである。従って、例えば、そのプロセスは、特定のタイプの複合アルコール飲料を製造するために必要とされる蒸留又は熟成を行わないことによって用いられてもよい。
【0037】
<実施例1>
以下は、ここに説明される方法の一例であり、その方法は、多重焙煎モルトウイスキー製造のための差別化された製造プロセスを含む。
【0038】
従って、本実施例では、方法は、
1.各焙煎モルトを個別に又は1つ以上のニュートラルな非焙煎ベースモルトと共にマッシュ容器に加え、各焙煎モルトを個々に効果的に醸造すること。特に、これは、焙煎モルト、非焙煎モルト、又は乾燥モルトを含むことができ、従って、モルトのスタイル又は異なる種別若しくはタイプに限定されない;
2.個々の焙煎モルト麦汁を個別に発酵させること;
3.個々の焙煎モルトウォッシュを個別に蒸留すること;
4.個々の焙煎モルトニューメイクをそれ自身の1つ以上の樽内で熟成させること;及び
5.個々の焙煎モルトウイスキーを他の異なる個々の焙煎及び非焙煎モルトウイスキーとブレンドして、最終製品(ウイスキー)を形成すること
を含む。
【0039】
本実施例では、作製されたウイスキーは6つのモルトウイスキーを備え、6つのモルトの各々は(個々に又はニュートラルな非焙煎ベースモルトとの組み合わせにおいて)、単独で醸造、発酵、蒸留、熟成され、次いでブレンドされて最終的な複合製品が作製される。
【0040】
<実施例2>
レシピの一例を以下に提供し、実施例1のステップの各々が更にどのように適用され得るのかを示す。
【0041】
1.各焙煎モルトは、個別に又は1つ以上のニュートラルな非焙煎ベースモルトと共にマッシュ容器に加えられ、各焙煎モルトを個々に効果的に醸造する。
a.醸造物1:100%ペールモルト
b.醸造物2:30%ペールモルト、70%チョコレート焙煎モルト
c.醸造物3:40%ペールモルト、60%ヘビリーピーテッド焙煎モルト
d.醸造物4:20%ペールモルト、80%アンバー焙煎モルト
e.醸造物5:10%ペールモルト、90%キャラメル焙煎モルト
f.醸造物6:50%ペールモルト、50%アロマティック焙煎モルト
【0042】
2.次いで、各個々の焙煎モルト麦汁が個別に発酵させられる。
a.醸造物1からの麦汁を個別に発酵させる
b.醸造物2からの麦汁を個別に発酵させる
c.醸造物3からの麦汁を個別に発酵させる
d,醸造物4からの麦汁を個別に発酵させる
e.醸造物5からの麦汁を個別に発酵させる
f.醸造物6からの麦汁を個別に発酵させる
【0043】
3.次いで、各個々の焙煎モルトウォッシュが個別に蒸留される。
a.醸造物1からのウォッシュを個別に蒸留する(これは1回、2回、3回、又はそれ以上生じてよい、典型的には2回生じる)
b.醸造物2からのウォッシュを個別に蒸留する(これは1回、2回、3回、又はそれ以上生じてよい、典型的には2回生じる)
c.醸造物3からのウォッシュを個別に蒸留する(これは1回、2回、3回、又はそれ以上生じてよい、典型的には2回生じる)
d.醸造物4からのウォッシュを個別に蒸留する(これは1回、2回、3回、又はそれ以上生じてよい、典型的には2回生じる)
e.醸造物5からのウォッシュを個別に蒸留する(これは1回、2回、3回、又はそれ以上生じてよい、典型的には2回生じる)
f.醸造物6からのウォッシュを個別に蒸留する(これは1回、2回、3回、又はそれ以上生じてよい、典型的には2回生じる)
【0044】
4.次いで、各個々の焙煎モルトニューメイクがそれ自身の樽内で熟成させられる。当業者であれば、ウイスキーを製造するための現在のオーストラリアの法律によると、熟成は少なくとも2年間なされるべきであり、ウイスキーのタイプ、樽のタイプ、樽のサイズ、及び当業者に知られているであろう他の要因に応じて、2年以上のどの範囲でもあり得ることを理解するはずである。
a.醸造物1からのニューメイクスピリットをそれ自身の複数の樽に充填する
b.醸造物2からのニューメイクスピリットをそれ自身の複数の樽に充填する
c.醸造物3からのニューメイクスピリットをそれ自身の複数の樽に充填する
d.醸造物4からのニューメイクスピリットをそれ自身の複数の樽に充填する
e.醸造物5からのニューメイクスピリットをそれ自身の複数の樽に充填する
f.醸造物6からのニューメイクスピリットをそれ自身の複数の樽に充填する
【0045】
5.次いで、各個々の焙煎モルトウイスキーが、他の異なる個々の焙煎及び非焙煎モルトウイスキーのいくつか又は全部とブレンドされ、最終製品(ウイスキー)が形成される。以下はその1つの例である。
a.醸造物1ウイスキーの10樽を選択し、ブレンド用バットに加える。
b.醸造物2ウイスキーの3樽を選択し、ブレンド用バットに加える。
c.醸造物3ウイスキーの34樽を選択し、ブレンド用バットに加える。
d.醸造物4ウイスキーの1樽を選択し、ブレンド用バットに加える。
e.醸造物5ウイスキーの18樽を選択し、ブレンド用バットに加える。
f.醸造物6ウイスキーの11樽を選択し、ブレンド用バットに加える。
【0046】
上記ステップ5において、各醸造物の選択された樽の数は、所望の香味プロファイルに依存することが理解されるはずである。各個々のモルトウイスキーは香味及び強度が非常に異なるので、34樽の醸造物3ウイスキーが必要になる場合があるが、この例では、はるかに強力な醸造物4ウイスキーは1樽だけ必要であってよい。
【0047】
次いで、最終的な複合ウイスキーは、瓶詰めされ得る状態になるまでしばらく寝かせられる。複合ウイスキーを寝かせるための時間は変動する可能性があり、典型的には48時間から1ヶ月であることが理解されるはずである。複合ウイスキーはまた、典型的にはステンレス鋼製バット又は大きな木製バット内で寝かせられる。
【0048】
上記の例は少なくとも6つのグレーンの使用を説明しているが、ここに説明される方法は、グレーン又はモルトの数に限定されないことが理解されるはずである。好ましい実施形態では、複数のグレーン又はモルトが用いられる。
【0049】
従って、本発明は、多重焙煎モルトウイスキーのための差別化された製造プロセスを提供することができる。
【0050】
本方法は主としてウイスキーに関連して説明されてきたが、その方法はウイスキーに限定されず、一般的にはウイスキー及びスピリッツ以外にも多くの異なるタイプの複合アルコール飲料の製造に適用することができ、更に、ブランデーを製造するためにブドウに、又はラム酒を製造するためにサトウキビ製品に適用することができることが理解されるはずである。
【0051】
ここで用いられる「備えている(comprising)」、「備える(comprises)」、「備えられる(comprised)」等の任意の形態の単語は、包括的な意味で用いられ、その意味を排除又は限定するものではないことが理解されるはずである。
【0052】
当業者であれば、ここで説明された本発明が、具体的に説明された以外の変更及び修正を受け易いことを理解するはずである。全てのそのような変更及び修正は、本発明の範囲及び精神の範囲内にあるものと考えられるべきであり、本発明の性質は、前述の説明から決定されるべきである。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2020年3月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合アルコール飲料を製造するための方法であって、
複数のアルコール飲料であって、その各々が個々のモルト又は個々のグレーンから単独で又はベースモルト若しくはベースグレーンと共に製造される複数のアルコール飲料を製造するステップaと、
前記複数のアルコール飲料を混合して前記複合アルコール飲料を製造するステップbと、
を含み、
前記ステップaが、各アルコール飲料に対して、
i.前記個々のモルト又は個々のグレーンを単独で又は前記ベースモルト若しくはベースグレーンと共に容器内で醸造して麦汁を作製することと、
ii.前記麦汁を発酵させてウォッシュを作製することと、
iii.前記ウォッシュを蒸留してニューメイクを作製することと、
iv.前記ニューメイクを樽内で熟成させることと、
を含み、
前記複数のアルコール飲料の少なくとも2つが、各々、焙煎された個々のモルトから製造される
方法。
【請求項2】
前記複合アルコール飲料を製造する方法がスピリットを製造する方法を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スピリットがウイスキーである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、前記複合アルコール飲料を製造するための所定の数のアルコール飲料を決定することを含む、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、前記複合アルコール飲料を形成するために混合する前記所定の数のアルコール飲料の各々から1つ以上の樽を選択することを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の数のアルコール飲料が6つのアルコール飲料である、請求項又はに記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、前記複合アルコール飲料を瓶詰めすることを含む、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載の方法により製造された複合アルコール飲料。
【国際調査報告】