特表2021-523799(P2021-523799A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-523799呼吸不全検知システムおよび関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-523799(P2021-523799A)
(43)【公表日】2021年9月9日
(54)【発明の名称】呼吸不全検知システムおよび関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/08 20060101AFI20210813BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20210813BHJP
   A61B 8/08 20060101ALI20210813BHJP
   G01S 15/34 20060101ALI20210813BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20210813BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20210813BHJP
   G16H 50/20 20180101ALI20210813BHJP
【FI】
   A61B5/08
   A61B5/113
   A61B8/08
   G01S15/34
   G08B25/04 K
   G08B21/02
   G16H50/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2020-564696(P2020-564696)
(86)(22)【出願日】2019年5月23日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月23日
(86)【国際出願番号】US2019033852
(87)【国際公開番号】WO2019226956
(87)【国際公開日】20191128
(31)【優先権主張番号】62/675,560
(32)【優先日】2018年5月23日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517075883
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ワシントン
【氏名又は名称原語表記】University of Washington
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ゴラコタ, シャムナス
(72)【発明者】
【氏名】サンシャイン, ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ナンダクマール, ラジャラクシュミ
【テーマコード(参考)】
4C038
4C601
5C086
5C087
5J083
5L099
【Fターム(参考)】
4C038SS09
4C038SV01
4C038SV05
4C038SX07
4C038SX09
4C038VA04
4C038VA18
4C038VB28
4C038VB31
4C038VB33
4C038VB40
4C038VC14
4C038VC20
4C601DD18
4C601HH10
4C601JB28
4C601JB49
4C601LL26
5C086AA22
5C086BA01
5C086BA07
5C086CA16
5C086CA21
5C086CA22
5C086CA25
5C086CB01
5C086CB07
5C086CB19
5C086CB40
5C086DA40
5C086FA06
5C086FA15
5C087AA02
5C087AA07
5C087AA16
5C087AA37
5C087BB20
5C087DD03
5C087DD24
5C087DD29
5C087DD49
5C087EE18
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
5J083AB17
5J083AC29
5J083AD04
5J083AE08
5J083AF01
5J083BA13
5J083BE43
5J083CA02
5J083DA06
5L099AA04
5L099AA15
(57)【要約】
呼吸不全検出システムおよび関連する装置ならびに方法が開示される。一の実施形態では、モバイルデバイスの一つまたは複数のトランスデューサが音響エネルギーを被験体に向けて発し、対応する反射信号を受信する。一の実施形態では、前記システムは前記反射信号を分析して前記被験体と前記モバイルデバイスとの間を判断する。前記システムは、前記被験体の運動データを前記反射信号から抽出する。抽出された前記運動データに少なくとも部分的に基づいて、前記システムは前記被験体の粗大運動を識別し、および/または前記被験体の一つまたは複数の呼吸パラメータを判断する。いくつかの実施形態では、前記システムは、前記呼吸パラメータを用いて前記被験体が現在救助介入を必要としているか否かを判断する。前記被験体が現在救助介入を必要としている場合、前記システムは緊急サービスから救援を勧誘することができ、前記被験体により特定された緊急連絡先に連絡することができ、および/または解毒剤を投与することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸不全を示す事象を検出するために電子装置を動作させる方法であって、
前記電子装置の第1のトランスデューサを用いて被験体に向けて音響エネルギーを送信する工程と、
送信された前記音響エネルギーに対応する反射信号を、前記電子装置の第2のトランスデューサを用いて受信する工程と、
前記反射信号中の前記被験体の運動データを識別する工程と、
前記被験体が、呼吸不全を示す事象を経験しているか否かを、識別された前記運動データに少なくとも部分的に基づいて判断する工程と、を含み、
送信された前記音響エネルギーは、第1の周波数から第2の周波数へ増大し、
前記第2の周波数は、音響信号の人間の可聴な周波数スペクトルの範囲外であり、
前記第2のトランスデューサは、受信された前記反射信号に対応する電気信号を生成するように構成される、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記運動データを識別する工程は、さらに
前記反射信号の一次変換を計算する工程と、
前記運動データの一次変換の周波数ビンを検索する工程と、
前記運動データを含む周波数ビンを識別する工程と、
前記被験体と前記第2のトランスデューサとの間の距離を判断する工程と、を含み、
前記距離は、前記識別された周波数ビンに対応する、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記一次変換の周波数ビンを検索する工程は、前記第2のトランスデューサから最小の距離に対応する周波数ビンから開始して、識別された周波数ビン中に運動データが識別されるまで周波数ビンを逐次に検索する工程を含む、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、
前記運動データは第2の運動データであり、
前記一次変換の周波数ビンを検索する工程は、以前に受信した反射信号の一部に対応する第1の運動データを含んでいる、以前に識別された周波数ビンから開始して、前記第2の運動データの周波数ビンを検索する工程を含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記識別された周波数ビンが、前記以前に識別された周波数ビンとは異なり、
識別された前記第2の運動データに少なくとも部分的に基づいて、前記被験体が呼吸不全を示す事象を経験しているか否かを判断する工程は、前記被験体が呼吸不全を示す事象を経験していないと判断する工程を含む、方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法であって、
前記被験体は、第1の被験体であり、
識別された前記運動データは、第1の識別された運動データであり、
識別された前記周波数ビンは、第1の識別された周波数ビンであり、
前記距離は、第1の距離であり、
前記方法は、前記反射信号の一次変換の第2の周波数ビン中において、第2の被験体に対応する第2の運動データを識別する工程をさらに含み、
前記第2の運動データを識別する工程は、前記第2の被験体と前記第2のトランスデューサとの間の第2の距離を判断する工程を含み、前記第2の距離は、識別された前記第2の周波数ビンに対応している、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、識別された前記第2の運動データに少なくとも部分的に基づいて前記第2の被験体が呼吸不全を示す事象を経験しているか否かを判断する工程をさらに含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記被験体が呼吸不全を示す事象を経験しているか否かを判断する工程が、
前記運動データ中に前記被験体の粗大運動が存在するか否かを判断する工程と、
前記被験体が呼吸不全を示す事象を経験していないと判断する工程とを含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記被験体が呼吸不全を示す事象を経験しているか否かを判断する工程が、
識別された前記運動データに少なくとも部分的に基づいて、前記被験体の一つまたは複数の呼吸パラメータを判断する工程と、
前記一つまたは複数の呼吸パラメータと、一つまたは複数の対応する所定の閾値と比較する工程とを含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記被験体が呼吸不全を示す事象を経験しているか否かを判断する工程が、前記運動データをフィルタリングして1Hz以上の周波数を除去する工程を含む、方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記一つまたは複数の呼吸パラメータを判断する工程が、
識別された前記運動データ中のピークを識別する工程、
識別された前記ピークの少なくとも一つを用いて、前記一つまたは複数の呼吸パラメータを計算する工程とを含み、
前記一つまたは複数の呼吸パラメータは、前記被験体の呼吸速度、識別された前記運動データ中の識別された連続したピークを分ける時間量、少なくとも一つの識別された前記ピークの振幅、少なくとも一つの識別された前記ピークのプロミネンス、またはこれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、識別された前記運動データ中のピークを識別する工程が、
前記被験体の以前に判断されたベースライン呼吸パラメータを用いて前記ピークを識別すること、20以上のサンプルによって区切られたピークのみを使用すること、またはこれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、
前記一つまたは複数の呼吸パラメータは、前記被験体の呼吸速度、識別された前記運動データ中の識別された連続したピークを分ける時間量、またはこれらの組み合わせを含み、
前記一つまたは複数の呼吸パラメータを比較する工程は、前記呼吸速度と呼吸速度の閾値を比較すること、前記時間量を時間量の閾値と比較すること、またはこれらの組み合わせを含み、
前記被験体の呼吸速度が前記呼吸速度の閾値と同一またはこれ以下であるか、識別された前記運動データ中の識別された連続したピークを分ける時間量が前記時間量の閾値と同一またはこれ以下であるか、またはこれらの組み合わせを判断し、
前記被験体が呼吸不全を示す事象を経験しているかを判断する工程は、前記被験体が呼吸抑制事象、中枢性無呼吸事象、またはこれらの組み合わせを経験しているかを判断する工程をさらに含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、被験体に応答を促すためにアラートまたはアラームをトリガする工程をさらに含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記被験体が所定の時間量の範囲内で前記アラートまたはアラームに対して応答していないかを判断し、前記アラートまたはアラームをトリガした後に判断された前記被験体の呼吸パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記被験体が悪化しているかを判断し、またはこれらの組み合わせを判断する工程と、
緊急サービスからの救助介入を勧誘し、前記被験体によって予め指定された連絡先からの救助介入を勧誘し、またはこれらの組み合わせによって前記アラートまたはアラームをエスカレートさせる工程とをさらに含む、方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
前記被験体が所定の時間量の範囲内で前記アラートまたはアラームに対して応答していないことを判断し、前記アラートまたはアラームをトリガした後に判断された前記被験体の呼吸パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記被験体が悪化しているかを判断し、またはこれらの組み合わせを判断する工程と、
解毒剤を前記被験体に投与するか、別の装置に解毒剤を前記被験体に投与するように指示する工程とをさらに含む、方法。
【請求項17】
オピオイド過剰投与のインジケータを識別するためにモバイルデバイスを動作させる方法であって、
前記モバイルデバイスの第1のトランスデューサを用いて被験体に向けて音を送信する工程と、
送信された前記音に対応する反射音信号を、前記モバイルデバイスの第2のトランスデューサを用いて受信する工程と、
前記反射音信号から前記被験体の運動データを抽出する工程と、
前記被験体と前記モバイルデバイスとの間の距離を、前記反射音信号に少なくとも部分的に基づいて判断する工程と、
前記被験体が、現在救助介入を必要としているか否かを、抽出された前記運動データに少なくとも部分的に基づいて判断する工程と、を含み、
送信された前記音は、第1の周波数から第2の周波数へ時間とともに増大し、
前記第2の周波数は、音響信号の人間の可聴な周波数スペクトルの範囲外であり、
前記第2のトランスデューサは、受信された前記反射音信号に対応する電気信号を生成するように構成される、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記被験体が、現在救助介入を必要としているか否かを判断する工程は、
抽出された前記運動データ中に前記被験体の粗大運動が存在しているかを判断する工程と、
抽出された前記運動データ中に前記被験体の粗大運動が存在していると判断したしたことに少なくとも部分的に基づいて、前記被験体が、現在救助介入を必要としていないと判断する工程とを含む、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、
前記被験体が、現在救助介入を必要としているか否かを判断する工程は、
抽出された前記運動データに少なくとも部分的に基づいて、前記被験体の一つまたは複数の呼吸パラメータを判断する工程と、
前記被験体の前記一つまたは複数の呼吸パラメータを、一つまたは複数の対応する呼吸パラメータの閾値と比較する工程と、
前記被験体が、現在救助介入を必要としているか否かを、前記比較に少なくとも部分的に基づいて判断する工程とを含み、
前記方法は、前記被験体を救助するために緊急サービスへ通報する工程、前記被験体により予め特定された個人に前記被験体を救助するように通報する工程、解毒剤を前記被験体に投与するか、別の装置に解毒剤を前記被験体に投与するように指示する工程、またはこれらの組み合わせをさらに含む、方法。
【請求項20】
オピオイド過剰投与のインジケータを識別するための方法であって、
電子装置の第1のトランスデューサを用いて被験体に向けて音響エネルギーを送信する工程と、
送信された前記音響エネルギーに対応する反射信号を、前記電子装置の第2のトランスデューサを用いて受信する工程と、
前記反射信号から前記被験体の運動データを抽出する工程と、
抽出された前記運動データ中に前記被験体の粗大運動が存在するか否かを判断する工程と、
抽出された前記運動データ中に粗大運動が存在する場合に、前記被験体が現在救助介入を必要としていないと判断する工程と、
抽出された前記運動データ中に粗大運動が存在しない場合に、前記被験体の一つまたは複数の呼吸パラメータを抽出された前記運動データに少なくとも部分的に基づいて判断し、前記一つまたは複数の呼吸パラメータを一つまたは複数の対応する呼吸パラメータの閾値と比較し、前記比較に基づいて前記被験体が救助介入を必要としているか否かを判断する工程と、を含み、
送信された前記音は、第1の周波数から第2の周波数へ時間とともに増大し、
前記第2の周波数は、音響信号の人間の可聴な周波数スペクトルの範囲外であり、
前記第2のトランスデューサは、受信された前記反射信号に対応する電気信号を生成するように構成される、方法。
【請求項21】
電子装置によって一つまたは複数のプロセッサを介して実行された場合に、前記電子装置に呼吸不全を示す事象を検出する方法を実施させる命令を格納している、非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記命令が、
前記電子装置の第1のトランスデューサを用いて被験体に向けて音響エネルギーを送信するための命令と、
送信された前記音響エネルギーに対応する反射信号を、前記電子装置の第2のトランスデューサを用いて受信するための命令と、
前記反射信号から前記被験体の運動データを識別するための命令と、
前記被験体が呼吸不全を示す事象を経験しているか否かを前記識別された運動データに少なくとも部分的に基づいて判断するための命令と、を含み、
送信された前記音響エネルギーは、第1の周波数から第2の周波数へ増大し、
前記第2の周波数は、音響信号の人間の可聴な周波数スペクトルの範囲外であり、
前記第2のトランスデューサは、受信された前記反射音信号に対応する電気信号を生成するように構成される、非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項22】
モバイルデバイスによって一つまたは複数のプロセッサを介して実行された場合に、前記モバイルデバイスにオピオイド過剰投与のインジケータを識別する方法を実施させる命令を格納している、非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記命令が、
前記モバイルデバイスの第1のトランスデューサを用いて被験体に向けて音を送信するための命令と、
送信された前記音に対応する反射音信号を、前記モバイルデバイスの第2のトランスデューサを用いて受信するための命令と、
前記反射音信号から前記被験体の運動データを抽出するための命令と、
前記被験体と前記モバイルデバイスとの間の距離を前記反射音信号に少なくとも部分的に基づいて判断するための命令と、
前記被験体が、現在救助介入を必要としているか否かを、抽出された前記運動データに少なくとも部分的に基づいて判断するための命令と、を含み、
送信された前記音は、第1の周波数から第2の周波数へ時間とともに増大し、
前記第2の周波数は、音響信号の人間の可聴な周波数スペクトルの範囲外であり、
前記第2のトランスデューサは、受信された前記反射音信号に対応する電気信号を生成するように構成される、非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項23】
電子装置によって一つまたは複数のプロセッサを介して実行された場合に、前記電子装置にオピオイド過剰投与のインジケータを識別する方法を実施させる命令を格納している、非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記命令が、
前記電子装置の第1のトランスデューサを用いて被験体に向けて音響エネルギーを送信するための命令と、
送信された前記音響エネルギーに対応する反射信号を、前記電子装置の第2のトランスデューサを用いて受信するための命令と、
前記反射音信号から前記被験体の運動データを抽出するための命令と、
抽出された前記運動データ中に前記被験体の粗大運動が存在しているか否かを判断するための命令と、
抽出された前記運動データ中に粗大運動が存在している場合に前記被験体が現在救助介入を必要としていないと判断するための命令と、
抽出された前記運動データ中に粗大運動が存在してない場合に前記被験体の一つまたは複数の呼吸パラメータを抽出された前記運動データに少なくとも部分的に基づいて判断するための命令と、
抽出された前記運動データ中に粗大運動が存在してない場合に前記一つまたは複数の呼吸パラメータと一つまたは複数の対応する呼吸パラメータの閾値と比較するための命令と、
抽出された前記運動データ中に粗大運動が存在してない場合に前記被験体が救助介入を必要としているか否かを前記比較に基づいて判断するための命令と、を含み、
送信された前記音の周波数は、第1の周波数から第2の周波数へ時間とともに増大し、
前記第2の周波数は、音響信号の人間の可聴な周波数スペクトルの範囲外であり、
前記第2のトランスデューサは、受信された前記反射信号に対応する電気信号を生成するように構成される、非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願>
本出願は、2018年5月23日に出願された米国仮出願第62/675,560号の利益を主張する。この出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
<技術分野>
本開示は、被験体の運動および呼吸を監視するためのシステムおよび関連する方法に関する。特に、本開示は、呼吸不全を示す事象を特定する被験体の身体の運動を監視するシステムおよび方法を対象としている。
【背景技術】
【0003】
高用量では、オピオイド(特にフェンタニル)は急速な呼吸停止(無呼吸)、低酸素血症/過炭酸ガス呼吸不全、および死を引き起こす可能性があり、これは意図しないオピオイドの過剰投与によって一般的に人々が死亡する生理学的結果である。致死的なオピオイドの過剰投与は、米国では依然として公衆衛生上の流行である。米国だけでも毎日100人を超える人がオピオイドの過剰投与により死亡しており、疾病対策予防センター(CDC)のデータによると、この流行は悪化している。
【0004】
多くの生命を脅かす医療上の緊急事態とは異なり、オピオイドの毒性は、過量投与の迅速な同定と過剰投与の解毒剤(ナロキソン)の投与、または支持的な呼吸ケアによって容易に回復する。このように、致死的なオピオイド過剰投与事件の根本的な課題は、犠牲者が単独で、あるいは訓練を受けていない、あるいは障害を持った傍観者の中で死亡するということである。さらに、このようなケースの多くでは、被害者は何の援助も受けていないか、あるいは不十分な診断と治療を受けている。例えば、キング郡シアトル(地理的面積5,975km2)における過去の9-1-1応答時間とオピオイドの過剰投与による死亡例の場所を見ると、死亡例の90%近くが平均的な9-1-1応答時間である8分未満で到達可能な場所で発生していることがわかる。このように、オピオイドの過剰投与の事象をタイムリーかつ正確に検出し、この応答時間内に迅速に介入することで、オピオイドの過剰投与による将来の死亡を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本技術の様々な実施形態に従って構成されたオピオイド過剰投与検出システムの概略図である。
【0006】
図2】本技術の様々な実施形態に従って構成されたシステムのブロック図である。
【0007】
図3】本技術の様々な実施形態に従って構成されたオピオイド過剰投与検出システムを動作させる方法のフロー図である。
【0008】
図4】本技術の様々な実施形態に従った反射信号取得アプローチを示すグラフである。
【0009】
図5】本技術の様々な実施形態に従って、反射信号の一次変換の周波数ビンから抽出された運動波形を示すグラフである。
【0010】
図6】本技術の様々な実施形態に従って、図5の運動波形において識別されたピークを示すグラフである。
【0011】
図7】本技術の様々な実施形態に従って、反射された音声信号から運動データを検出し、運動波形を構築する方法のフロー図である。
【0012】
図8】本技術の様々な実施形態に従って、介入がない場合に致命的な可能性のあるオピオイド過剰投与を示す事象を特定するための方法のフロー図である。
【0013】
図9】本技術の様々な実施形態に従って識別された複数の中枢性無呼吸オピオイド過剰投与の事象を描写した運動波形を示すグラフである。
【0014】
図10】本技術の様々な実施形態に従って識別された呼吸抑制オピオイド過剰投与の事象を描写した運動波形を示すグラフである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
<発明の詳細な説明>
本技術は、一般に、被験体の運動および呼吸を監視するためのシステム、装置、および関連する方法に関する。本技術の一実施形態では、システムおよび方法は、被験体がオピオイドを使用している間、被験体の運動および呼吸を監視する。これらおよび他の実施形態では、システム、装置、および方法は、スピーカを使用して、被験体に向かって聞き取れない音響信号を送信する。音響信号は、被験体の胸部または腹部などの表面で反射し、スピーカ/マイクから被験体の胸部または腹部までの距離に対応した時間遅れた後にマイクに戻る。被験体の呼吸によって被験体の胸部または腹部が動くと、被験体の胸部または腹部からスピーカ/マイクまでの距離が変化し、その結果、音響信号がスピーカによって送信されてからマイクで反射信号として受信されるまでの時間遅延が変化する。送信音響信号の周波数が時間の経過とともに直線的に増加する実施形態では、ある周波数の音響信号がスピーカによって送信されてから、同じ周波数の反射音響信号がマイクで受信されるまでの間の時間遅延は、固有の周波数シフトに変換される。
【0016】
これらの周波数シフトは、被験体の胸部または腹部とスピーカ/マイクとの間の距離の変化を測定して、被験者を監視するために使用される。例えば、システム、装置、および方法(例えば、連続的に)は、反射信号の一次変換(例えば、高速フーリエ変換)を取得し、その結果得られた変換の周波数ビンにおいて被験体に関連する運動データを検索して、測定装置からの被験体の距離を監視する。いくつかの実施形態では、システム、装置、および方法は、運動データを抽出および分析して、被験体の粗大運動を検出する。これらおよび他の実施形態では、システム、装置、および方法は、被験体の一つまたは複数の呼吸パラメータ(例えば、呼吸速度)を決定するために、運動データを抽出および分析する。システム、装置、および方法は、計算された呼吸パラメータを、被験体の一つまたは複数のベースライン呼吸パラメータ、および/または一つまたは複数の所定の閾値と比較する。この比較に少なくとも部分的に基づいて、システム、装置、および方法は、介入がない場合に致命的な可能性のあるオピオイド過剰投与を示す事象(例えば、呼吸抑制事象、中枢性無呼吸事象など)を検出することができる。これらおよび他の実施形態では、システム、装置、および方法は、事象の検出に対する応答として、一つまたは複数のアラートまたはアラームをトリガし、救助介入を勧誘し、および/またはオピオイド解毒剤を被験体に投与することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、本技術のシステムは、モバイルデバイス(例えば、スマートフォン)を含む。モバイルデバイスは、少なくとも一部において、本技術の一つまたは複数の方法を実行するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、モバイルデバイスは、急性オピオイド毒性に関連する呼吸抑制、無呼吸、および粗大運動を特定するために、聞き取れない音響信号の周波数シフトを使用し、短距離アクティブソナーとして動作する。モバイルデバイスは大部分がユビキタスであるため、本技術のシステム、装置、および方法は、医療グレードの装置またはオピオイド毒性の診断徴候についての訓練された認識に依存する過量投与診断に関する従来の人間ベースのアプローチを省略することができる。その結果、開示された技術は、被験体を監視する技術者(例えば、病院、自己注射施設、および/または被験体の自宅、ホテルの部屋、または他の場所における)に関連する時間および/または費用を減少させるか、または排除することができる。さらに、いくつかの実施形態では、開示された技術は、単一のシステムおよび/またはモバイルデバイスを介した、複数の被験体の同時監視および運動検出を提供する。このようにして、本技術は、オピオイドまたは他の薬物使用者のために、非侵襲的で、低障壁で、害が低減された監視および/またはレスキュー介入を提供する。
【0018】
本開示のこれらの側面および他の側面は、以下にさらに詳細に記載される。特定の詳細事項は、本開示の様々な実施形態の完全な理解を提供するために、以下の説明および図1〜10に記載されている。様々な実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知のシステムおよび方法を記載した他の詳細事項は、以下の開示には記載されていない。
【0019】
本技術は、主にオピオイド過剰投与を検出するという文脈で以下に記載されるが、当技術に熟練した者によって理解されるように、本明細書に記載される本技術は、様々な用途で使用することができる。例えば、本技術のシステム、装置、および方法は、医療患者監視(例えば、病院内、患者の自宅、手術後の回復中など)の状況で採用することができ、および/またはオピオイド以外の薬物の使用者に害の低減監視および/または介入を提供するために採用することができる。例えば、本技術のシステム、装置、および方法は、ベンゾジアゼピン、アルコール、睡眠補助薬(例えば、アンビエン)、抗痙攣薬(例えば、ガバペンチン)、および/またはオピオイドに加えて、またはオピオイドに代えて、他の薬物または薬物治療を使用している被験体を監視するために採用することができる。本技術の以下に選択された実施形態は、例示目的のためであり、本技術をそのような用途に限定するものではない。
<A 本技術の選択された実施形態>
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本技術の様々な実施形態に従って構成されたオピオイド過剰投与システム100の概略図である。システム100の装置110は、被験体の胸部および腹部103が装置110から約距離D(例えば、1m)離れているように、被験体101の近くに配置される。第1のトランスデューサ115(例えば、ラウドスピーカ)は、音105を含む音響エネルギー(例えば、約20Hz〜約22kHz以上の間の音)を発するように構成されている。第2のトランスデューサ116(例えば、マイク)は、被験体の身体102から受信した反射音106を含む音響エネルギーを受信するように構成されている。通信リンク113(例えば、アンテナ)は、装置110を通信ネットワーク(例えば、インターネット、携帯電話通信ネットワーク、Wi-Fiネットワークなど)に通信的に結合する。ユーザインタフェース118は、被験体101および/または別のユーザからの入力を受信するように構成され、被験体101および/または別のユーザに視覚的な出力を提供するようにさらに構成される。図1の例示された実施形態では、ユーザインタフェース118は、タッチスクリーンディスプレイを含む。いくつかの実施形態では、ユーザインタフェース118は、例えば、一つまたは複数のキーパッド、タッチパッド、タッチスクリーン、トラックボール、マウス、および/または追加のユーザインタフェース装置またはシステム(例えば、音声入力/出力システム)を含んでもよい。さらに、いくつかの実施形態では、装置110とは別の一つまたは複数の追加のスピーカ125および/またはマイク126が、任意で被験体101の近くに配置され、通信リンク113および/または別の通信リンクを介して装置110に通信的に結合されてもよい。いくつかの他の実施形態では、装置110は、一つまたは複数の追加のスピーカおよび/またはマイク(図示せず)を含んでもよい。
【0021】
図1に例示された実施形態では、装置110は、携帯電話(例えば、スマートフォン)として描かれている。しかしながら、他の実施形態では、装置110は、例えば、タブレット、パーソナルディスプレイアシスタント、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、セットトップボックス、および/または音を送受信するように構成された他の電子デバイスなど、任意の適切な電子デバイスを含み得る。特定の実施形態では、装置110は、一つまたは複数のシステムおよび/または装置(例えば、ベビーモニター、セキュリティシステム、自動車エンターテイメントシステム、ステレオシステム、ホームインカムシステム、時計ラジオ)の構成要素を含み得る。さらに、図1に例示された実施形態では、被験体101(例えば、人間の成人または人間の子供)は、ベッド104(例えば、被験体の寝室のベッド、医療施設のベッド、自己注射施設のベッドなど)の上に横たわっている様子が示されている。しかしながら、他の実施形態では、被験体101は直立していてもよい。いくつかの実施形態では、システム100は、音105を一つまたは複数の追加の被験体(図示せず)に向けて発し、反射音106を受信するように構成されてもよい。
【0022】
動作において、装置110は、第1の周波数(例えば、約18kHz)から第2の周波数(例えば、約22kHz)まで掃引する、例えば、周波数変調連続波(FMCW)音声信号を含む音声信号を生成する。第1のトランスデューサ115は、生成された音声信号を音105として被験体101に向けて送る。音105の一部は、被験体の胸部または腹部103によって反射および/または後方散乱され、反射音106として第2のトランスデューサ116に向かう。第2のトランスデューサ116は、反射音106を受信し、それを一つまたは複数の電気音声信号に変換する。以下でさらに詳細に論じるように、システム100および/または装置110は、被験体の胸部または腹部103の動きに対応する電気音声信号中のピークを検出するように構成することができる。システム100および/または装置110は、検出されたピークに基づいて、介入がない場合に致命的な可能性のあるオピオイド過剰投与を示す一つまたは複数の事象(例えば、呼吸抑制、無呼吸、粗大運動の欠如など)を特定および/または曖昧さをなくすようにさらに構成することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、システム100は、解毒剤装置または自動放出パッチ129を含む。解毒剤装置またはパッチ129は、オピオイド解毒剤(例えば、ナロキソンまたは他のオピオイド解毒剤)を被験体の身体102内に放出するように構成されている。解毒剤装置またはパッチ129は、オピオイドが被験体の身体102内に導入される前またはされた直後に、被験体101に装着および/または接続させることができる。図3に関連して以下にさらに詳細に説明するように、システム100は、システム100が、救助介入がない場合に致命的な可能性のあるオピオイド過剰投与を示す事象を識別したとき、および/または被験体が無反応であるときに、解毒剤を被験体の身体102内に放出するように、解毒剤装置またはパッチ129に指示することができる。
【0024】
以下の議論では、本技術が実装され得る好適な環境の簡潔で一般的な説明がなされる。必須ではないが、本技術の側面は、汎用コンピュータによって実行されるルーチンなどのコンピュータにより実行可能な命令の一般的な文脈で説明される。本技術の側面は、本明細書で詳細に説明したコンピュータにより実行可能な命令のうちの一つまたは複数を実行するように特別にプログラムされ、構成され、または構築された特別な目的を有するコンピュータまたはデータプロセッサに具現化され得る。本技術の側面はまた、タスクまたはモジュールが、通信ネットワーク(例えば、無線通信ネットワーク、有線通信ネットワーク、セルラー通信ネットワーク、インターネット、近距離無線ネットワーク(例えば、ブルートゥース(登録商標)を介して)など)を介してリンクされたリモート処理装置によって実行される分散コンピューティング環境においても実施することができる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、ローカルおよびリモートメモリ記憶装置の両方に配置されてもよい。
【0025】
本技術の局面における、コンピュータにより実装される指令、データ構造、画面表示、および他のデータは、磁気的または光学的に読み取り可能なコンピュータディスクを含むコンピュータ読み取り可能な記録媒体上に、半導体メモリ、ナノテクノロジーメモリ、有機または光学メモリ、または他のポータブルおよび/または非一過性のデータ記録媒体上のマイクロコードとして記録または配布されてもよい。いくつかの実施形態では、本技術の側面は、インターネット上または他のネットワーク(例えば、ブルートゥース(登録商標)ネットワーク)を介して、伝搬信号上または伝搬媒体(例えば、電磁波、音波)上で期間にわたって配布されてもよく、または任意のアナログまたはデジタルネットワーク(パケット交換、回路交換、または他のスキーム)上で提供されてもよい。
【0026】
図2は、本技術の実施形態に従って構成されたオピオイド過剰投与検出装置および/またはシステム210(例えば、装置210および/または図1のシステム100)のブロック図である。システム210は、メモリ211を含む複数の構成要素(例えば、一つまたは複数のコンピュータ読み取り可能な記録モジュール、コンポーネント、デバイス)から構成される。いくつかの実施形態では、メモリ211は、コンピュータおよび/またはモバイルデバイス(例えば、図1の装置110、タブレット、スマートフォン、PDA、ポータブルメディアプレーヤ、または他の「既製の」モバイルデバイス)にインストールされたおよび/または動作する一つまたは複数のアプリケーションを含む。メモリ211はまた、情報(例えば、音声データ、被験体情報またはプロファイル、環境データ、一つまたは複数のセンサから収集されたデータ、メディアファイル)を記録するように構成され得る。プロセッサ212(例えば、一つまたは複数のプロセッサまたは分散処理要素)は、メモリ211に結合され、そこに記録された動作および/または命令を実行するように構成される。
【0027】
プロセッサに作動的に結合されたスピーカ215(例えば、図1の第1のトランスデューサ115および/またはスピーカ125)は、プロセッサ212および/またはシステム210の一つまたは複数の他の構成要素から音声信号を受信し、音声信号を音(例えば、図1の音105)として出力するように構成されている。いくつかの実施形態では、スピーカ215は、モバイルデバイス(例えば、スマートフォンまたはタブレット)内に配置された従来のダイナミックラウドスピーカを含む。いくつかの実施形態では、スピーカ215は、イヤホントランスデューサおよび/またはスタンドアロンラウドスピーカを含む。他の実施形態では、スピーカ215は、人間の可聴な周波数スペクトルの範囲の少なくとも一部(例えば、約20Hzと約22kHzの間)の音響エネルギーを出力するように構成された好適なトランスデューサを含む。
【0028】
プロセッサに作動的に結合されたマイク216(例えば、図1の第2のトランスデューサ116および/またはマイク126)は、音を受信し、音を一つまたは複数の電気音声信号に変換し、電気音声信号をメモリ211および/またはプロセッサ212に送信するように構成されている。いくつかの実施形態では、マイク216は、モバイルデバイス(例えば、スマートフォンまたはタブレット)に配置されたマイクを含む。いくつかの実施形態では、マイク216は、イヤホン上に配置され、および/または一つまたは複数のイヤホンに接続されたケーブルに沿って配置される。他の実施形態では、マイク216は、人間の可聴な周波数スペクトルの範囲の少なくとも一部の音響エネルギーを受信するように構成された別の好適なトランスデューサを含む。さらに、いくつかの実施形態では、スピーカ215およびマイク216は、距離(例えば、2cm以上、約2cmと約10cmの間、約4cmと約8cmの間、または少なくとも約6cm)により離れている。しかし、他の実施形態では、スピーカ215は、マイク216のすぐ近くに隣接している。特定の実施形態では、単一のトランスデューサが、音エネルギーを送信し、音エネルギーを受信することができる。さらなる実施形態では、スピーカ215および/またはマイク216は、一つまたは複数のトランスデューサアレイを形成するための一つまたは複数の追加のトランスデューサを含む。トランスデューサアレイは、ビームフォーミングされた音声信号を送信および/または受信するように構成することができる。
【0029】
通信構成要素213(例えば、有線通信リンクおよび/または無線通信リンク(例えば、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi、赤外線および/または別の無線伝送ネットワーク))は、システム210を一つまたは複数の通信ネットワーク(例えば、電話通信ネットワーク、インターネット、Wi-Fiネットワーク、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、ブルートゥース(登録商標)ネットワーク)に通信的に結合する。データベース214は、被験者の動きの識別に使用されるデータ(例えば、音声信号、被験体から取得したデータ、方程式、フィルタ)を記録するように構成されている。一つまたは複数のセンサ217は、運動の検出および/または識別に使用するための追加データを提供するように構成されている。一つまたは複数のセンサ217は、例えば、一つまたは複数のECGセンサ、血圧モニタ、ガルバノメータ、加速度計、温度計、湿度計、血圧センサ、高度計、ジャイロスコープ、地磁気計、近接センサ、気圧計、および/またはホール効果センサを含むことができる。
【0030】
一つまたは複数のディスプレイ218(例えば、図1のユーザインタフェース118)は、システム210によって取得および処理されたデータのビデオ出力および/またはグラフィカル表示を提供する。電源219a(例えば、建物の電力システムに接続された電力ケーブル、一つまたは複数の電池および/またはコンデンサ)は、システム210の構成要素に電力を供給する。一つまたは複数の電池を含む実施形態では、電源219aは、例えば、電力ケーブル、誘導充電、共振充電、および/または別の適切な充電方法を介して充電するように構成することができる。さらに、いくつかの実施形態では、システム210は、任意で、一つまたは複数の他の構成要素219b(例えば、一つまたは複数のマイク、カメラ、全地球測位システム(GPS)センサ、近距離無線通信(NFC)センサ)を含む。
【0031】
以下でさらに詳細に説明するように、システム210は、被験体に向かって音を送信し、被験体から反射された音を受信するように構成されている。送信された音および受信された音は、システム210によって使用されて、被験体の動きを検出し、介入がない場合に致命的な可能性のあるオピオイド過剰投与を示す被験体の一つまたは複数の事象(例えば、呼吸抑制事象、中枢性無呼吸事象など)を特定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、例えば、メモリ211は、音声信号(例えば、約18kHzから約22kHz以上まで掃引するFMCW音声信号)を生成し、生成された音声信号をスピーカ215に提供するための命令を含む。スピーカ215は、音声信号を音(例えば、一つまたは複数の波形からなる音響エネルギー)として送信し、送信された音の少なくとも一部をスピーカ215に近接する被験体(例えば、図1の被験体101)に向ける。音の一部は、マイク216に向かって反射または後方散乱され、このマイク216は、音を電気音声信号に変換する。メモリ211は、被験体の運動(例えば、被験体の胸部および/または腹部の動き)を検出し、周期的な運動(例えば、呼吸器の運動)と非周期的な運動との間の曖昧さをなくし、検出された被験体の運動に基づいて、介入がない場合に致命的な可能性のあるオピオイド過剰投与を示す被験体の一つまたは複数の事象(例えば、呼吸抑制事象、中枢性無呼吸事象など)を識別するために、電気音声信号を処理するための指令をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、識別された事象の兆候は、ディスプレイ218に出力することができ、および/または通信構成要素213を介して医療の専門家(例えば、看護師、医師、緊急救命士、救急救命士)に送信することができる。特定の実施形態では、システム210は、被験体についてのベースライン呼吸情報(例えば、呼吸周波数)を決定し、ベースライン呼吸情報を記録するように構成することができる。ベースライン呼吸情報は、呼吸事象を特定するために、後続の呼吸測定値と比較することができる。
【0032】
図3は、本技術の様々な実施形態に従って構成されたオピオイド過剰投与検出システムを動作させるためのルーチン330を示すフロー図である。ルーチン330は、オピオイド過剰投与検出システムの様々な構成要素によって、少なくとも部分的に実行される。例えば、ルーチン330の一つまたは複数のステップの全てまたはサブセットは、トランスデューサ(例えば、スピーカ、マイクなど)、通信リンク、および/またはシステムの一つまたは複数の他の構成要素によって実行され得る。さらに、ルーチン330は、メモリ(例えば、図2のメモリ211)に記録され、一つまたは複数のプロセッサ(例えば、図2のプロセッサ212)によって実行される命令のセットを含み得る。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、システム(例えば、図1のシステム100)の装置(例えば、図1の装置110)に記録された一つまたは複数のアプリケーションを含む。
【0033】
ルーチン330は、トランスデューサが被験体に近接して配置された後(例えば、被験体から1m離れて、被験体から約0.5m〜10m離れて、被験体から約1m〜5m離れて)、ブロック331で開始される。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、被験体に対するトランスデューサの配向を検出し、この検出に基づいて、ユーザに是正措置をとるように促すことができる。例えば、ルーチン330は、トランスデューサを含む測定装置の所定の側面(例えば、図1に示された装置110の正面を向く部分)が、被験体に対して所定の向きに配向されている場合、より正確な検出を提供できる。いくつかの実施形態では、例えば、トランスデューサ(例えば、スピーカ)が配置されているか、または最も近接に配置されている測定装置の側面が、被験体に向かって配向されていることが好ましい場合がある。しかしながら、トランスデューサと他のトランスデューサ(例えば、マイク)とが測定装置の同じ側面にない実施形態では、他のトランスデューサが配置されている測定装置の側面が、被験体にまっすぐに向いている、および/または実質的に被験体に向かって方向付けられている場合に、被験体からの音声を取得することが好ましい場合がある。
【0034】
ルーチン330は、例えば、一つまたは複数のセンシング機構(例えば、一つまたは複数のジャイロスコープ、加速度計、コンパスセンサ、カメラ)を使用して、測定装置の向きを決定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、例えば、一つまたは複数のセンシング機構は、図2を参照して説明した一つまたは複数のセンサ217を含む。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、決定された向きに基づいて修正行動をとるように被験体および/または他のユーザに指示する一つまたは複数の可聴および/または可視の指示を生成することができる。修正行動は、例えば、測定装置を被験体の位置に向けて移動および/または配向させることを含むことができる。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、一つまたは複数の修正行動が検出されるまで進行しないことがある。あるいは、他のブロックがルーチン330で実行される間、一つまたは複数の可聴および/または可視の指示が持続してもよい。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、検出された配向に基づいて検出の閾値を調整するように構成されてもよい。
【0035】
ブロック332では、ルーチン330は、一つまたは複数の音声信号を生成する。いくつかの実施形態では、音声信号は、第1の周波数から第2のより高い周波数まで直線的に掃引する複数の掃引音声信号または「チャープ」を含む鋸歯波形(図4参照)を有するFMCW信号を含む。いくつかの実施形態では、チャープは、第1の周波数(例えば、約18kHz)から第2の周波数(例えば、22kHz以上)まで掃引する。当業者であれば理解できるように、典型的な人間の耳の周波数スペクトルは、20Hzから約20kHzの範囲であり、多くのトランスデューサは、このスペクトル上で再生するように構成されている。しかし、人間が年をとるにつれて、より高い周波数に対する耳の感度は、典型的な成人の人間において、約18kHzを超える周波数を持つ音は実質的に聞き取れない程度にまで低下する。したがって、第1および第2の周波数を約18kHzと等しいか、または約18kHzより大きい周波数を有するように選択することによって、ほとんどの被験体には気づかれず、および/またはほとんどの被験体には邪魔にならない周波数範囲で再生するように構成された従来のラウドスピーカを介して音を送ることが可能である。他の実施形態では、チャープは、第1の周波数(例えば、18kHz)から第2の周波数(例えば、約20kHzより大きく約48kHzより小さい周波数、約22kHz〜約44kHzの間の周波数)まで掃引する。さらなる実施形態では、チャープは、人間の可聴範囲外の2つの周波数(例えば、約20kHzより大きく、約48kHzより小さい周波数)の間を掃引する。さらに、いくつかの実施形態では、ルーチン330は、正弦波形、三角波形、および/または方形波形を有するFMCW信号を含む音声信号を生成する。他の実施形態では、ルーチン330は、パルス変調された波形を含む音声信号を生成する。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、別の好適な変調方法を用いて音声信号を生成する。
【0036】
ブロック333では、ルーチン330は、生成された音声信号を、音声信号を音響エネルギー(例えば、図1の音105)に変換するように構成されたスピーカ(例えば、図1の第1のトランスデューサ115および/または図2のスピーカ215)に提供し、ルーチン330は、音響エネルギーの少なくとも一部を(例えば、連続的に、周期的に、散発的に)被験体に向かって発する。ブロック334において、ルーチン330は、マイク(例えば、図1の第2のトランスデューサ116および/または図2のマイク216)を用いて反射信号を取得する。反射信号は、ブロック333で被験体に向けて送られ、マイクに向かって反射または後方散乱され、マイクによって電気信号に変換された音の一部に対応するデータを含む。
【0037】
図4は、本技術の様々な実施形態に従ってルーチン330がブロック332〜334で実行する反射信号取得アプローチを描いたグラフ450である。図3および図4を一緒に参照すると、グラフ450は、ルーチン330のブロック332において生成され、ルーチン330のブロック333において発せられる複数の送信信号453(第1の送信信号453a、第2の送信信号453b、および第n番目の送信信号453nとして個別に識別される)を含む。グラフ450はまた、ルーチン330のブロック333において取得される複数の対応する反射信号455(第1の反射信号455a、第2の反射信号455b、および第n番目の反射信号455nとして個別に識別される)を含む。複数の送信信号453は、時間T掃引(例えば、約5ms〜約15msの間、約9ms〜約11msの間、または約10ms)にわたって、第1の周波数f(例えば、18kHz)と第2のより高い周波数f(例えば、22kHz以上)との間を直線的に掃引するFMCW信号を含む。チャープ持続時間T掃引は、動作距離(例えば、図1の距離D)内のすべての点からの反射が、チャープが終了する前に到着し始めるように選択される。ある特定の実施形態では、例えば、動作距離は約1メートルであり、チャープ継続時間は10msが選択され、これにより周波数分解能は100Hzとなる。
【0038】
個々の送信信号453は、スピーカ(例えば、図1の第1のトランスデューサ115)から発せられ、反射信号455のうちの対応する一つが、送信信号453がラウドスピーカから発せられてから一定時間後にマイク(例えば、図2の第2のトランスデューサ116)で受信される。例えば、第1の送信信号453aがスピーカから被験体に向かって発せられ、対応する第1の反射信号455aが時間遅延Δt後にマイクで受信される。時間遅延Δtは次式で与えられる。
【数1】

式中、dはラウドスピーカと被験体との距離、Vは音速(例えば、海面で約340m/s)である。送信された周波数は時間とともに直線的に増加するため、反射信号の時間遅延は、送信信号と比較して周波数シフトに変換される。個々の送信信号とそれに対応する反射信号の間の周波数シフトΔfは次式で与えられる。
【数2】

受信機からの距離が異なる複数の反射機を使用すると、それらの反射は信号中の異なる周波数シフトに変換される。このようにして、被験体の身体の一部(例えば、被験体の腕、脚、頭、胸、腹部など)と測定装置との間の距離は、ブロック334で取得された反射信号中の周波数シフトとして捕捉される。患者の身体の部分と測定装置との間の距離の変化を監視することにより、運動(例えば、粗大運動、呼吸運動など)を監視することができる。
【0039】
再び図3を参照すると、ルーチン330のブロック335および336において、送信された音声信号および反射された音声信号を分析して周波数シフトを検出し、被験体の運動データが抽出される。ルーチン330のブロック355において、信号を使用して、測定装置と被験体.との間の距離が決定される。いくつかの実施形態では、図7を参照して以下にさらに詳細に説明されるように、ルーチン330は、反射信号の高速フーリエ変換(FFT)を計算する。例えば、ルーチン330は、(図4に示すように)整数個のチャープ持続時間にわたってFFTを計算する。N個のチャープにわたってFFTを計算すると、結果として得られる各FFT周波数ビンの幅がNの係数だけ減少する。一実施形態では、掃引持続時間T掃引が10msの15回のチャープにわたって計算されたFFTは、6.66Hzの周波数分解能をもたらし、0.7cmの胸の動きによる抑制された呼吸運動の捕捉を可能にする。数回のチャープにわたってFFTを取得すると、高周波数の運動は平均化される(したがって失われる)が、人間の被験体の平均呼吸回数は1分間に20回未満である(これは比較的低周波数の運動である)。したがって、この手順では呼吸運動が有意に失われることはない。
【0040】
反射信号のFFTを計算した後、ルーチン330は、結果として得られた周波数ビン中を、被験体の運動データを求めて解析する。各周波数ビンは、測定装置から離れた距離に対応する。したがって、被験体の運動信号は、被験体と測定装置との間の距離に対応する固有の周波数ビンに存在することになる。言い換えれば、FFTの周波数ビン内の被験体の運動データを特定することは、周波数ビンに対応する距離だけ被験体が測定装置から離れていることを示す。
【0041】
いくつかの実施形態では、FFTは、得られたFFTの周波数ビンのうち、最初の(測定装置からの距離が0メートルに対応する)から分析を開始し、運動データが識別されるまで次の周波数ビンに進む。他の実施形態では、ルーチン330は、運動データが以前の周波数ビンで識別されたか否かに関係なく、FFTの各周波数ビンを分析する。これらの実施形態では、ルーチン330は、測定装置から離れた距離が異なる複数の被験体に対応する複数の運動信号を特定することができる。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、以下の議論に従って、識別された運動信号の各々を監視することができる。他の実施形態では、ルーチン330は、以下の議論に従って、識別された運動信号のサブセット(例えば、測定装置に最も近いところで識別された運動信号)を監視することができる。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、ルーチンがFFTのいずれの周波数ビンにおいても運動データを特定できない場合に、被験体からの応答を促すためにブロック342に進むことができる。
【0042】
ブロック336において、ルーチン330は、ブロック335において反射信号から識別され抽出された運動データを使用して、被験体のベースライン呼吸パラメータを決定する。以下でより詳細に議論されるように、ルーチン330は、介入がない場合に致命的な可能性のある過剰投与を示す事象を検出するために、ベースライン呼吸パラメータを使用することができる。例えば、ルーチン330は、ベースライン呼吸パラメータを被験体の基準として使用することができる。したがって、ルーチン330は、例えば、人間の異常に低い呼吸速度が、特定の被験体にとっては正常であることを決定することができる(または、被験体がオピオイドをその日の早くに使用した別の事実の結果であることを決定する)。ルーチン330は、ブロック335で抽出された運動波形のピークを特定して分析することにより、被験体の呼吸測定値を決定する。
【0043】
図5は、N個のチャープ持続時間にわたって反射信号のFFTの周波数ビンから抽出された例示的な運動波形565(例えば、呼吸信号)を示すグラフ560である。図5に示すように、グラフ560に例示された運動波形565は、7つのピーク567を含む。図6は、図5の運動波形565においてルーチン330が識別したピーク567に対応する複数のピーク677を示すグラフ670である。図3図5、および図6を一緒に参照することにより、いくつかの実施形態では、ルーチン330は、60秒の間隔内で運動波形中に存在するピークの数を決定することにより、被験体の呼吸速度を決定する。例えば、図5のX軸が30秒の間隔を含むと仮定すると、ルーチン330は、被験体の呼吸速度が1分間に14回の呼吸(7ピーク/30秒=14ピーク/60秒)であると決定する。オピオイドが被験体の体内に導入される前または導入された直後に計算された呼吸速度(例えば、単一呼吸速度、平均呼吸速度、スライディング呼吸速度)が、被験体のベースライン呼吸速度として使用される。これらおよび他の実施形態では、ルーチン330は、運動波形の個々のピークを分離する時間の長さを決定する。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、オピオイドが被験体の体内に導入される前または導入された直後の、運動波形における連続した(例えば、すぐに隣接した)ピークを分離する時間の平均長さをベースラインとして使用する。これらおよび他の実施形態では、ルーチン330は、識別されたピークのピーク振幅および/またはピークプロミネンスを決定する。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、オピオイドが被験体の体内に導入される前または導入された直後に計算された平均ピーク振幅および/または平均ピークプロミネンスをベースラインパラメータまたは測定値として使用する。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、呼吸信号の周期性を利用する。例えば、ルーチン330は、最小の指定されたサンプル数(例えば、1分間に20回の最大呼吸数に対応する20回のサンプル)によって区切られたピークのみを使用することができる。これらおよび他の実施形態では、ルーチン330は、連続した期間にわたる一つまたは複数の呼吸パラメータのそれぞれの加重平均を取ることによって、一つまたは複数の呼吸パラメータ(例えば、ベースラインまたは他の呼吸パラメータ)を更新する。
【0044】
オピオイドが被験体の中枢神経系に作用している間の胸部および腹部の呼吸変位は比較的小さく、したがって、反射信号に小さな周波数シフトを引き起こす。4kHzの帯域幅を持つFMCW信号の場合、例えば、オピオイドが被験体の中枢神経系に作用している間の呼吸変位は、8.33Hz未満の周波数シフトを引き起こす可能性がある。このように、小さな振幅の運動は、呼吸信号にノイズを導入し、呼吸測定のエラーを引き起こす可能性がある。このため、いくつかの実施形態では、ルーチン330は、呼吸パラメータを決定する前に、反射信号から抽出された運動データをフィルタリングする。例えば、ルーチン330は、バンドパス間引きカスケード統合コムフィルタを介して運動データを供給することで、選択された周波数(例えば、1Hz)よりも高いノイズを除去し、信号を特定の比(例えば、2の比)で間引く。
【0045】
再び図3を参照すると、ブロック337においてルーチン330は、ルーチン330のブロック333および334と同様の方法で、音を被験体に向けて送り、対応する反射信号を取得する。さらに、ルーチン330は、上述のルーチンのブロック335と同様の方法で、被験体と測定装置との間の距離を決定する。いくつかの実施形態では、ブロック335とは対照的に、ブロック337においてルーチン330は、最初に、最後に決定された被験体と測定装置との間の距離に対応する周波数ビンを監視する。運動データがその周波数ビン内にまだ存在する場合、ルーチン330は、被験体と測定装置との間の距離が変化していないと判定し(ブロック338)、ブロック339に進む。一方、運動データが対応する周波数ビン内に存在しない場合、ルーチン330は、ブロック335に関連して上述したように、運動データのFFTの他の周波数ビン(例えば、測定装置からの最小の距離に対応する周波数ビンから開始する)を検索する。ルーチン330が別の周波数ビンで被験体に対応する運動データを識別する場合、ルーチン330は、被験体が測定装置に関して有意に移動したと判定する。いくつかの実施形態では、被験体の有意な動きは、被験体が現在、致命的な可能性のあるオピオイド過剰投与の兆候を示していないことを示すものとして解釈することができる。したがって、ルーチン330は、ブロック337に戻ることができる。他の実施形態では、ルーチン330は、ブロック339に進み、別の周波数ビンで識別された運動データ中に粗大運動が検出されたかどうかを判定することができる。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、ルーチン330がいずれの周波数ビンにおいても運動データを特定することができない場合に、被験体からの応答を促すためにブロック342に進むことができる。
【0046】
ブロック339で、ルーチン330は、ブロック337で反射信号から抽出された運動データ中に被験体の粗大運動が存在するかどうかを判定する。上述したように、オピオイドが被験体の中枢神経系に作用している間は、胸部および腹部の呼吸変位は比較的小さく、したがって、反射信号に小さな周波数シフトを引き起こす。対照的に、粗大運動(例えば、被験体の手、腕、足、脚部、頭などの運動)は、反射信号の中で比較的大きな周波数シフトを引き起こす。一般的に粗大運動を示す被験体の身体の部分は、呼吸運動が捕捉される被験体の胸部および腹部に近く、測定装置からの距離が被験体の胸部および腹部とほぼ同じであるため、粗大運動によって引き起こされる周波数シフトを、同じ周波数ビン内の呼吸運動に起因する周波数シフトに加算することができる。粗大運動は、より抑制されたな呼吸運動の振幅に比べて高い振幅を有する(したがって、しばしば呼吸運動データを圧倒する)ため、粗大運動は、反射信号から呼吸運動信号を抽出することを困難にすることがある。それにもかかわらず、粗大運動の存在は、被験体が活動的であることを示し、したがって、過剰投与されていないことを示す。したがって、ルーチン330は、周期的、低周波数、および低振幅の運動を有する呼吸信号を、非周期的、高周波数、および高振幅の運動を有する粗大運動信号から区別する。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、ルーチン330のブロック336と同様の方法で、抽出された運動波形のピークを分析することによって、粗大運動を識別する。例えば、ルーチン330は、運動波形に存在するピークの周波数および振幅を分析する。ルーチン330が、運動波形が、典型的な呼吸ピークよりも高い周波数およびより大きな振幅(例えば、2倍の大きさ)を有するピークを含むと判定した場合、ルーチン330は、運動波形に粗大運動が存在し、被験体が現在、致命的な可能性のあるオピオイド過剰投与の兆候を示していないと判定する。この場合、ルーチン330は、ブロック337に戻り、被験体の監視を継続する。そうでなければ、ルーチン330が、粗大運動が運動波形中に検出されない(または数秒間だけ存在する)と判定した場合、ルーチン330は、運動波形が呼吸運動データを含むと判定し、ブロック340に進む。
【0047】
ブロック340において、ルーチン330は、反射信号から抽出された運動波形のピークを使用して、被験体の一つまたは複数の呼吸パラメータを決定する。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、オピオイドが被験体の身体に導入される前またはされた直後にブロック336で計算されたベースライン呼吸パラメータを使用して、運動波形中のピークを特定する。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、ルーチン330のブロック336と同様の方法で呼吸パラメータを決定する。
【0048】
ブロック341において、ルーチン330は、介入がない場合に致命的な可能性のあるオピオイド過剰投与を示す事象を識別する。例えば、ルーチン330は、呼吸抑制事象または中枢性無呼吸事象が運動波形中に検出されるかどうかを決定するが、これらの事象は両方とも致死的なオピオイド過剰投与を示すか、またはそれに先行する。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、ブロック340で決定された呼吸パラメータを呼吸パラメータの閾値と比較することによって事象を識別する。一例として、ルーチン330は、ブロック340で計算された呼吸速度を呼吸速度の閾値(例えば、1分間に7回の呼吸)と比較する。ブロック340で計算された呼吸速度が呼吸速度の閾値と等しいか、または呼吸速度の閾値未満である場合、ルーチン330は、被験体が呼吸抑制事象を経験していると判断し、ブロック342に進む。別の例として、ルーチン330は、ブロック340において運動波形中で識別された2つの連続するピークの間の経過時間量を時間量の閾値(例えば、10秒)と比較する。2つの連続するピークの間の時間量が時間量の閾値と等しいか、または時間量の閾値よりも大きい場合、ルーチン330は、被験体が中枢性無呼吸事象を経験していると判定し、ブロック342に進む。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、ブロック340で計算された呼吸パラメータを、ブロック336で計算されたベースライン呼吸パラメータと比較して、オピオイド過剰投与事象を特定する。例えば、ルーチン330は、ブロック340で計算された呼吸パラメータのうちの一つまたは複数の呼吸パラメータと、対応する一つまたは複数ベースライン呼吸パラメータの閾値と比較した差が、差の閾値と等しいかこれより大きい場合に、および/または指定された期間にわたって差の閾値と等しいかこれより大きい場合に、被験体がオピオイド過剰投与事象を経験していると判断することができる。ルーチン330が、介入がない場合に致命的な可能性のあるオピオイド過剰投与を示す事象を検出しない場合、ルーチン330は、ブロック337に戻る。
【0049】
ブロック342において、ルーチン330は、被験体に応答を促す。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、音声および/または視覚的なアラートおよび/またはアラームをトリガすることによって、被験体に応答を促す。ブロック343において、ルーチン330は、被験体が応答したか否かを判定する。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、被験体がシステムと相互作用したか否か(例えば、ボタンを押したか否か)を判定することによって、被験体がアラート/アラームをトリガしてから大きな粗大運動を示したかどうかを判定することによって、および/または被験体が別の方法で応答したかどうかを判定することによって、被験体がアラート/アラームに応答したかどうかを判定することができる。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、被験体が応答するまで時間をかけてアラート/アラームをエスカレートさせる(例えば、アラート/アラームをより大きくすることによって、表示された色を変更することによって、アラート/アラームを点滅させることによって、など)ことができる。これらおよび他の実施形態では、ルーチン330は、被験体を監視し続けることができ(例えば、ブロック337〜342を繰り返すことによって)、および/または、ルーチン330が被験体者の呼吸パラメータが悪化していることを検出した場合に、アラート/アラームのエスカレーションを加速することができる。ルーチン330が、被験体がアラート/アラームに応答したと判定した場合、ルーチン330は、ブロック337に戻ることができる。一方、ルーチン330が、被験体がアラート/アラームに応答していない(例えば、所定の期間内に)と判定した場合、および/または、ルーチン330が、被験体の呼吸パラメータが、介入が無い場合に致死的なオピオイド過剰投与の大きな危険性を示すと判定した場合、ルーチン330は、ブロック344に進むことができる。
【0050】
ブロック344において、ルーチン330は、救助介入を勧誘し、および/またはオピオイド解毒剤を投与する。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、緊急サービス(例えば、911にダイヤルすることによって、および/または被験体の現在位置を救急救命士または救急隊員に送信することによって)への通報またはアラートを開始することによって、救助介入を勧誘する。これらおよび他の実施形態では、ルーチン330は、家族または友人(例えば、被験体によって指定された緊急連絡先)への通話または警報を開始することによって救助介入を勧誘する。被験体によって現在着用されているおよび/または被験体に接続されている解毒剤装置または自動放出パッチ129を有するこれらおよび他の実施形態では、ルーチン330は、解毒剤装置またはパッチに、オピオイド解毒剤(例えば、ナロキソンまたは他のオピオイド解毒剤)を被験体の身体102内に放出するように指示することができる。
【0051】
ルーチン330のステップは、特定の順序で議論され、図示されているが、図3のルーチン330によって図示される方法は、そのように限定されない。他の実施形態では、方法は、異なる順序で実行され得る。例えば、ルーチン330の任意のステップは、ルーチン330の他のステップのいずれかの前、途中、および/または後に実行することができる。さらに、当業者は、図示された方法が変更されても、本技術のいくつかの実施形態の範囲内に留まることができることを容易に認識するであろう。例えば、図3に図示されたルーチン330の一つまたは複数のステップは、いくつかの実施形態では省略され、および/または繰り返され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、ルーチン330は、図3に図示されたルーチン330の間に収集および/または分析されたデータを記録および/または出力することができる。例えば、ルーチン330は、取得された反射信号で識別された運動波形、被験体と測定装置との間の距離決定、粗大運動事象、計算された呼吸パラメータ、介入がない場合に致命的な可能性のあるオピオイド過剰投与を示す識別された事象、トリガーされたアラート/アラーム、検出された被験体の応答(またはその欠如)、救助介入の勧誘、および/またはオピオイド解毒剤の投与に関連するデータの全部または一部を記録してもよい。いくつかの実施形態では、ルーチン330は、メモリまたはデータベース(例えば、図2のメモリ211および/またはデータベース214)にレコードを格納する。これらおよび他の実施形態では、ルーチン330は、レコードの一つまたは複数をレポートに出力し、および/またはディスプレイ(例えば、図1のユーザインタフェース118および/または図2のディスプレイ218)に出力することができる。
【0053】
図7は、本技術の様々な実施形態に従って、反射された音声信号中にあり、運動波形を構築する運動データを検出するためのルーチン780のフロー図である。ルーチン780は、オピオイド過剰投与検出システムの様々な構成要素によって、少なくとも部分的に実行される。例えば、ルーチン780の一つまたは複数のステップの全てまたはサブセットは、トランスデューサ(例えば、スピーカ、マイクなど)、通信リンク、FMCW受信機、および/またはシステムの一つまたは複数の他の構成要素によって実行され得る。さらに、ルーチン780は、メモリ(例えば、図2のメモリ211)に記憶され、一つまたは複数のプロセッサ(例えば、図2のプロセッサ212)によって実行される命令のセットを含み得る。いくつかの実施形態では、ルーチン780は、システム(例えば、図1のシステム100)の装置(例えば、図1の装置110)に格納された一つまたは複数のアプリケーションを含み得る。
【0054】
ルーチン780は、図3のブロック332〜334および図4を参照して上述したように、複数の送受信サイクルを監視するブロック781で開始される。ルーチン780は、複数の反射信号(例えば、図4の反射信号455)を受信し、所定数N(例えば、5、10、15、20、40、50)にわたるチャープまたは送受信サイクルの複数の一次周波数変換(例えば、FFT)を計算する。当業者であれば理解できるように、周波数変換は、信号を第一の領域(例えば、時間領域)から周波数領域に変換および/または復調する。ルーチン780のブロック781において計算される一次変換は、反射信号の周波数スペクトルを複数の周波数ビンで表す。各ビンは、反射信号の周波数スペクトルの離散的な部分を表す。いくつかの実施形態では、例えば、ルーチン780は、ルーチン780によって受信された15個の反射信号の系列毎に、複数の5120ポイントFFTを計算する。
【0055】
ブロック782において、ルーチン780は、ブロック781において計算された一次変換の個々のビンの二次周波数変換(例えば、FFT)を、所定の持続時間(例えば、5秒、10秒、30秒、60秒、5分、10分)にわたって計算する。ルーチン780が最初にブロック782に進むとき、インデックス値mは1に設定される。従って、ルーチン780は、時間の関数として、複数の一次変換の1番目のビンについてのFFTを実行する。1番目のビンは、測定装置からの距離0mに対応する。いくつかの実施形態では、例えば、ルーチン780は、30秒の持続時間にわたって、複数の一次変換の1番目のビンについて24,000ポイントのFFTを計算する。
【0056】
ブロック783において、ルーチン780は、ブロック782で計算された二次変換を分析して、二次変換が呼吸周波数に関連する一つまたは複数のピークを含むかどうかを決定する。いくつかの実施形態では、例えば、ルーチン780は、ブロック782からの二次変換を分析して、典型的な人間の呼吸周波数を含む範囲である約0.1Hzまたは約0.9Hzの間(例えば、約0.5Hzと約0.7Hzの間)にピークが検出されるかどうかを決定する。これらの周波数値、またはその近くでピークが検出されない場合、ルーチン780はブロック782に戻り、インデックス値mに1を加算する(すなわち、m+1)。ルーチン780は、ブロック782において、所定の期間にわたって一次変換の次のビンmについて新しい二次変換を計算する。ルーチン780は、ルーチン780が呼吸周波数に対応するピークを検出するまで、および/またはmの所定値(例えば、58、60、100、200)に達するまで、二次変換を反復的に計算し続ける。ルーチン780が約0.1Hzと約0.9Hzの間のピークを検出すると、ルーチン780は、ピークが検出されたビン番号に対応するインデックスmをmpeakとして格納し、ブロック784に進む。いくつかの実施形態では、最悪のシナリオでは、ルーチン780は、呼吸信号を分離する前に、48個のビンを反復処理する。
【0057】
ブロック784において、ルーチン780は、反射音声信号から運動データを抽出する。いくつかの実施形態では、ルーチン780は、複数の反射音声の一次変換を計算し続け、時間の関数として一次変換のビンmpeakの二次変換を計算する。ルーチン780はまた、ブロック783においてルーチン780によって得られたmpeakインデックスを用いて、測定装置(例えば、図1の装置110)と被験体との間の距離Dを計算することができる。例えば、各ビンのバンド幅がb(Hz)であり、検出された呼吸運動がブロック781の一次変換のmpeak番目のビンで検出された場合、被験体の動きに起因する結果としての周波数シフトは、約b*mpeak*2)である。上記の式1を用いて、時間遅延および対応する測定装置からの距離を求めることができる。
【0058】
ブロック785において、ルーチン780は、ブロック782において計算された二次変換を用いて、時間の関数としての被験体の胸部および/または腹部の動きの運動波形(例えば、図5の運動波形565)を構築する。いくつかの実施形態では、図3に関して上述した議論に従って、運動波形は、呼吸パラメータを計算し、粗大運動を検出し、および/または介入がない場合に致命的な可能性のあるオピオイド過剰投与を示す事象を特定するために分析され得る。
【0059】
ブロック786において、ルーチン780は終了する。いくつかの実施形態では、ルーチン780は、次のN個のチャープ数にわたって一次変換を計算するためにブロック781に戻る。いくつかの実施形態では、ルーチン780は、ルーチン780がブロック781で計算された一次変換の1番目のビンについての二次変換をブロック782で計算するように、ブロック781に戻る前にインデックス値mをリセットする。他の実施形態では、ブロック781に戻る際に、ルーチン780はインデックス値mをリセットせず、このようにしてルーチン780は、前のN個のチャープにおいて運動データが識別されたブロック781で計算した一次変換の周波数ビンについての二次変換をブロック782で計算する。ルーチン780が、前に運動データを含んでいた周波数ビン中に運動データが存在しないと判断した場合、ルーチン780は、インデックス値mを(例えば、1だけ)増加または減少させ、インデックス値mを1に戻してリセットし、および/または別の周波数ビンにおいて二次変換を計算することができる。
【0060】
ルーチン780のステップは、特定の順序で議論され、図示されているが、図7のルーチン780によって図示される方法は、そのように限定されない。他の実施形態では、方法は、異なる順序で実行され得る。例えば、ルーチン780の任意のステップは、ルーチン780の他のステップのいずれかの前、途中、および/または後に実行することができる。さらに、当業者は、図示された方法が変更されても、本技術のいくつかの実施形態の範囲内に留まることができることを容易に認識するであろう。例えば、図7に図示されたルーチン780の一つまたは複数のステップは、いくつかの実施形態では省略され、および/または繰り返され得る。
【0061】
図8は、本技術の様々な実施形態に従って、介入がない場合に致命的な可能性のあるオピオイド過剰投与を示す事象を特定するためのルーチン890のフロー図である。ルーチン890は、オピオイド過剰投与検出システムの様々な構成要素によって、少なくとも部分的に実行される。例えば、ルーチン890の一つまたは複数のステップの全てまたはサブセットは、トランスデューサ(例えば、スピーカ、マイクなど)、通信リンク、FMCW受信機、および/またはシステムの一つまたは複数の他の構成要素によって実行され得る。さらに、ルーチン890は、メモリ(例えば、図2のメモリ211)に記憶され、一つまたは複数のプロセッサ(例えば、図2のプロセッサ212)によって実行される命令のセットを含み得る。いくつかの実施形態では、ルーチン890は、システム(例えば、図1のシステム100)の装置(例えば、図1の装置110)に格納された一つまたは複数のアプリケーションを含み得る。
【0062】
ブロック891において、ルーチン890は、運動波形のピーク(例えば、図5の運動波形565において識別されたピーク567)を分析する。いくつかの実施形態では、ルーチン890は、被験体のベースライン呼吸パラメータを使用して、被験体の呼吸に対応する運動波形のピークを特定する。これらおよび他の実施形態では、ルーチン890は、識別されたピークに基づいて、一つまたは複数の呼吸パラメータを決定する。例えば、ルーチン890は、60秒の間隔内で運動波形内で識別されたピークの数を決定することにより、被験体の呼吸速度を決定する。これらおよびさらに他の実施形態では、ルーチン890は、運動波形において識別された連続したピークを区切る時間の長さを決定する。これらおよびさらに他の実施形態では、ルーチン890は、識別されたピークのピーク振幅および/またはピークプロミネンスを決定する。いくつかの実施形態では、ルーチン890は、呼吸信号の周期性を利用する。例えば、ルーチン890は、最小の指定されたサンプル数(例えば、1分間に20回の最大呼吸数に対応する20のサンプル)によって分離されたピークのみを分析/使用する。
【0063】
ブロック892において、ルーチン890は、所定の期間内に識別されたピークの数が、60秒間隔あたりのピーク数の所定の閾値数以下であるか否かを決定する。いくつかの実施形態では、60秒間隔あたりのピーク数の所定の閾値数は、7個以下のピーク数に設定され、よって、60秒間隔で7個以下のピーク数と識別された場合に呼吸抑制事象として識別される。1分間あたりのピーク数が7個という閾値は、AHRQ(Agency for Healthcare Research and Quality)が病院のラピッド・レスポンス・システムの採用を推奨している速度に対応する。ルーチン890が、所定の60秒間隔で運動波形内に7個以下のピークを識別する場合、ルーチン890は、ブロック893で呼吸抑制の事象を識別する。そうでなければ、ルーチン890はブロック896に進む。
【0064】
ブロック894において、ルーチン890は、運動波形において識別された連続したピークが、予め定められた持続時間の閾値(例えば、10秒)よりも大きい持続時間によって分離されているかどうかを決定する。いくつかの実施形態では、所定の持続時間の閾値は10秒以上に設定され、よって、10秒以上の間呼吸が不在であると、中枢性無呼吸事象として識別される。10秒という所定の持続時間の閾値は、食品医薬品局(FDA)による無呼吸事象の定義と、この閾値を検出するためのFDA承認装置の要件とに対応する。ルーチン890が、運動波形において識別された連続したピークが、予め定められた持続時間の閾値と等しいかそれ以上の持続時間で区切られていることを検出した場合、ルーチン890は、ブロック895において中枢性無呼吸の事象を識別する。そうでなければ、ルーチン890はブロック896に進む。
【0065】
いくつかの実施形態では、ルーチン890は、介入がない場合に致命的な可能性のあるオピオイド過剰投与を示す事象を識別するために、ブロック892〜895において述べたものの他に一つまたは複数の他の呼吸パラメータを使用することができる。例えば、ルーチン890は、ピーク振幅および/またはピークプロミネンスを使用することができる。一つまたは複数の他の呼吸パラメータは、ベースライン呼吸パラメータあるいは一つまたは複数の他の、以前に決定された呼吸測定値と比較することができる。これらの実施形態では、ルーチン890は、呼吸パラメータの変化が所定の閾値の変化および/または時間の経過に伴う所定の閾値の変化を超える場合に、オピオイド過剰投与の事象を特定することができる。
【0066】
決定ブロック896において、ルーチン890は、運動波形中に追加のピークがあるかどうかを決定する。運動波形に追加のピークがある場合、ルーチン890はブロック891に戻る。そうでなければ、ルーチン890はブロック897で終了する。
【0067】
ルーチン890のステップは、特定の順序で議論され、図示されているが、図8のルーチン890によって図示される方法は、そのように限定されない。他の実施形態では、方法は、異なる順序で実行され得る。例えば、ルーチン890の任意のステップは、ルーチン890の他のステップのいずれかの前、途中、および/または後に実行することができる。さらに、当業者は、図示された方法が変更されても、本技術のいくつかの実施形態の範囲内に留まることができることを容易に認識するであろう。例えば、図8に図示されたルーチン890の一つまたは複数のステップは、いくつかの実施形態では省略され、および/または繰り返され得る。
【0068】
図9および10は、本技術の様々な実施形態に従って、ルーチン330および/または890(図3および8)によって識別され得る、介入がない場合に致命的な可能性のあるオピオイド過剰投与を示す事象の例を示す。図9は、例えば、図3のブロック341および図8のブロック892および893を参照して上述した中枢性無呼吸の事象の一例を描いたグラフ900である。呼吸運動波形905は、複数組の連続したピーク(907aおよび907b、907bおよび907c、907cおよび907d)を含み、ここで、各組のピークは所定の時間量の閾値(例えば、約10秒)と等しいかそれ以上の時間量で区切られている。連続したピークの複数の組は、対応する被験体が、いくつかの中枢性無呼吸の事象に続いて、深呼吸(ピーク907eで示される)を経たことを例示する。
【0069】
図10は、図3のブロック341および図8のブロック894および895を参照して上述した呼吸抑制の事象の一例を描写したグラフ1010である。運動波形1015は、複数のピーク1017(個別にピーク1017a〜1017lとして識別される)を含む。図示されているように、各ピークのプロミネンスは、図5の運動波形565または図9の運動波形905における各ピークのプロミネンスよりもはるかに小さい。さらに、波形1015で識別された11個のピークは、約100秒のスパンにわたって行われた11回の呼吸に対応しており、これは、1分間に7回未満の呼吸速度に対応する。このように、所定の時間(例えば、100秒)にわたるピーク1017の数は、対応する被験体が呼吸抑制事象を経たことを示している。
B.実施例
【0070】
本技術のいくつかの側面は、以下の実施例に記載されている。
1. 呼吸不全を示す事象を検出するために電子装置を動作させる方法であって、
前記電子装置の第1のトランスデューサを用いて被験体に向けて音響エネルギーを送信する工程と、
送信された前記音響エネルギーに対応する反射信号を、前記電子装置の第2のトランスデューサを用いて受信する工程と、
前記反射信号中の前記被験体の運動データを識別する工程と、
前記被験体が、呼吸不全を示す事象を経験しているか否かを、識別された前記運動データに少なくとも部分的に基づいて判断する工程と、を含み、
送信された前記音響エネルギーは、第1の周波数から第2の周波数へ増大し、
前記第2の周波数は、音響信号の人間の可聴な周波数スペクトルの範囲外であり、
前記第2のトランスデューサは、受信された前記反射信号に対応する電気信号を生成するように構成される、方法。

2. 実施例1の方法であって、前記運動データを識別する工程は、さらに
前記反射信号の一次変換を計算する工程と、
前記運動データの一次変換の周波数ビンを検索する工程と、
前記運動データを含む周波数ビンを識別する工程と、
前記被験体と前記第2のトランスデューサとの間の距離を判断する工程と、を含み、
前記距離は、前記識別された周波数ビンに対応する、方法。

3. 実施例2の方法であって、前記一次変換の周波数ビンを検索する工程は、前記第2のトランスデューサから最小の距離に対応する周波数ビンから開始して、識別された周波数ビン中に運動データが識別されるまで周波数ビンを逐次に検索する工程を含む、方法。

4. 実施例2の方法であって、
前記運動データは第2の運動データであり、
前記一次変換の周波数ビンを検索する工程は、以前に受信した反射信号の一部に対応する第1の運動データを含んでいる、以前に識別された周波数ビンから開始して、前記第2の運動データの周波数ビンを検索する工程を含む、方法。

5. 実施例4の方法であって、
前記識別された周波数ビンが、前記以前に識別された周波数ビンとは異なり、
識別された前記第2の運動データに少なくとも部分的に基づいて、前記被験体が呼吸不全を示す事象を経験しているか否かを判断する工程は、前記被験体が呼吸不全を示す事象を経験していないと判断する工程を含む、方法。

6. 実施例2〜4のいずれか一つの方法であって、
前記被験体は、第1の被験体であり、
識別された前記運動データは、第1の識別された運動データであり、
識別された前記周波数ビンは、第1の識別された周波数ビンであり、
前記距離は、第1の距離であり、
前記方法は、前記反射信号の一次変換の第2の周波数ビン中において、第2の被験体に対応する第2の運動データを識別する工程をさらに含み、
前記第2の運動データを識別する工程は、前記第2の被験体と前記第2のトランスデューサとの間の第2の距離を判断する工程を含み、前記第2の距離は、識別された前記第2の周波数ビンに対応している、方法。

7. 実施例6の方法であって、識別された前記第2の運動データに少なくとも部分的に基づいて前記第2の被験体が呼吸不全を示す事象を経験しているか否かを判断する工程をさらに含む、方法。

8. 実施例1〜7のいずれか一つの方法であって、前記被験体が呼吸不全を示す事象を経験しているか否かを判断する工程が、
前記運動データ中に前記被験体の粗大運動が存在するか否かを判断する工程と、
前記被験体が呼吸不全を示す事象を経験していないと判断する工程とを含む、方法。

9. 実施例1〜8のいずれか一つの方法であって、前記被験体が呼吸不全を示す事象を経験しているか否かを判断する工程が、
識別された前記運動データに少なくとも部分的に基づいて、前記被験体の一つまたは複数の呼吸パラメータを判断する工程と、
前記一つまたは複数の呼吸パラメータと、一つまたは複数の対応する所定の閾値と比較する工程とを含む、方法。

10. 実施例9の方法であって、前記被験体が呼吸不全を示す事象を経験しているか否かを判断する工程が、前記運動データをフィルタリングして1Hz以上の周波数を除去する工程を含む、方法。

11. 実施例9または実施例10の方法であって、前記一つまたは複数の呼吸パラメータを判断する工程が、
識別された前記運動データ中のピークを識別する工程、
識別された前記ピークの少なくとも一つを用いて、前記一つまたは複数の呼吸パラメータを計算する工程とを含み、
前記一つまたは複数の呼吸パラメータは、前記被験体の呼吸速度、識別された前記運動データ中の識別された連続したピークを分ける時間量、少なくとも一つの識別された前記ピークの振幅、少なくとも一つの識別された前記ピークのプロミネンス、またはこれらの組み合わせを含む、方法。

12. 実施例11の方法であって、識別された前記運動データ中のピークを識別する工程が、
前記被験体の以前に判断されたベースライン呼吸パラメータを用いて前記ピークを識別すること、20以上のサンプルによって区切られたピークのみを使用すること、またはこれらの組み合わせを含む、方法。

13. 実施例11または12の方法であって、
前記一つまたは複数の呼吸パラメータは、前記被験体の呼吸速度、識別された前記運動データ中の識別された連続したピークを分ける時間量、またはこれらの組み合わせを含み、
前記一つまたは複数の呼吸パラメータを比較する工程は、前記呼吸速度と呼吸速度の閾値を比較すること、前記時間量を時間量の閾値と比較すること、またはこれらの組み合わせを含み、
前記被験体の呼吸速度が前記呼吸速度の閾値と同一またはこれ以下であるか、識別された前記運動データ中の識別された連続したピークを分ける時間量が前記時間量の閾値と同一またはこれ以下であるか、またはこれらの組み合わせを判断し、
前記被験体が呼吸不全を示す事象を経験しているかを判断する工程は、前記被験体が呼吸抑制事象、中枢性無呼吸事象、またはこれらの組み合わせを経験しているかを判断する工程をさらに含む、方法。

14. 実施例13の方法であって、被験体に応答を促すためにアラートまたはアラームをトリガする工程をさらに含む、方法。

15. 実施例14の方法であって、
前記被験体が所定の時間量の範囲内で前記アラートまたはアラームに対して応答していないかを判断し、前記アラートまたはアラームをトリガした後に判断された前記被験体の呼吸パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記被験体が悪化しているかを判断し、またはこれらの組み合わせを判断する工程と、
緊急サービスからの救助介入を勧誘し、前記被験体によって予め指定された連絡先からの救助介入を勧誘し、またはこれらの組み合わせによって前記アラートまたはアラームをエスカレートさせる工程とをさらに含む、方法。

16. 実施例14の方法であって、
前記被験体が所定の時間量の範囲内で前記アラートまたはアラームに対して応答していないことを判断し、前記アラートまたはアラームをトリガした後に判断された前記被験体の呼吸パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記被験体が悪化しているかを判断し、またはこれらの組み合わせを判断する工程と、
解毒剤を前記被験体に投与するか、別の装置に解毒剤を前記被験体に投与するように指示する工程とをさらに含む、方法。

17. オピオイド過剰投与のインジケータを識別するためにモバイルデバイスを動作させる方法であって、
前記モバイルデバイスの第1のトランスデューサを用いて被験体に向けて音を送信する工程と、
送信された前記音に対応する反射音信号を、前記モバイルデバイスの第2のトランスデューサを用いて受信する工程と、
前記反射音信号から前記被験体の運動データを抽出する工程と、
前記被験体と前記モバイルデバイスとの間の距離を、前記反射音信号に少なくとも部分的に基づいて判断する工程と、
前記被験体が、現在救助介入を必要としているか否かを、抽出された前記運動データに少なくとも部分的に基づいて判断する工程と、を含み、
送信された前記音は、第1の周波数から第2の周波数へ時間とともに増大し、
前記第2の周波数は、音響信号の人間の可聴な周波数スペクトルの範囲外であり、
前記第2のトランスデューサは、受信された前記反射音信号に対応する電気信号を生成するように構成される、方法。

18. 実施例17の方法であって、前記被験体が、現在救助介入を必要としているか否かを判断する工程は、
抽出された前記運動データ中に前記被験体の粗大運動が存在しているかを判断する工程と、
抽出された前記運動データ中に前記被験体の粗大運動が存在していると判断したしたことに少なくとも部分的に基づいて、前記被験体が、現在救助介入を必要としていないと判断する工程とを含む、方法。

19. 実施例17または18の方法であって、
前記被験体が、現在救助介入を必要としているか否かを判断する工程は、
抽出された前記運動データに少なくとも部分的に基づいて、前記被験体の一つまたは複数の呼吸パラメータを判断する工程と、
前記被験体の前記一つまたは複数の呼吸パラメータを、一つまたは複数の対応する呼吸パラメータの閾値と比較する工程と、
前記被験体が、現在救助介入を必要としているか否かを、前記比較に少なくとも部分的に基づいて判断する工程とを含み、
前記方法は、前記被験体を救助するために緊急サービスへ通報する工程、前記被験体により予め特定された個人に前記被験体を救助するように通報する工程、解毒剤を前記被験体に投与するか、別の装置に解毒剤を前記被験体に投与するように指示する工程、またはこれらの組み合わせをさらに含む、方法。

20. オピオイド過剰投与のインジケータを識別するための方法であって、
電子装置の第1のトランスデューサを用いて被験体に向けて音響エネルギーを送信する工程と、
送信された前記音響エネルギーに対応する反射信号を、前記電子装置の第2のトランスデューサを用いて受信する工程と、
前記反射信号から前記被験体の運動データを抽出する工程と、
抽出された前記運動データ中に前記被験体の粗大運動が存在するか否かを判断する工程と、
抽出された前記運動データ中に粗大運動が存在する場合に、前記被験体が現在救助介入を必要としていないと判断する工程と、
抽出された前記運動データ中に粗大運動が存在しない場合に、前記被験体の一つまたは複数の呼吸パラメータを抽出された前記運動データに少なくとも部分的に基づいて判断し、前記一つまたは複数の呼吸パラメータを一つまたは複数の対応する呼吸パラメータの閾値と比較し、前記比較に基づいて前記被験体が救助介入を必要としているか否かを判断する工程と、を含み、
送信された前記音は、第1の周波数から第2の周波数へ時間とともに増大し、
前記第2の周波数は、音響信号の人間の可聴な周波数スペクトルの範囲外であり、
前記第2のトランスデューサは、受信された前記反射信号に対応する電気信号を生成するように構成される、方法。

21. 電子装置によって一つまたは複数のプロセッサを介して実行された場合に、前記電子装置に呼吸不全を示す事象を検出する方法を実施させる命令を格納している、非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記命令が、
前記電子装置の第1のトランスデューサを用いて被験体に向けて音響エネルギーを送信するための命令と、
送信された前記音響エネルギーに対応する反射信号を、前記電子装置の第2のトランスデューサを用いて受信するための命令と、
前記反射信号から前記被験体の運動データを識別するための命令と、
前記被験体が呼吸不全を示す事象を経験しているか否かを前記識別された運動データに少なくとも部分的に基づいて判断するための命令と、を含み、
送信された前記音響エネルギーは、第1の周波数から第2の周波数へ増大し、
前記第2の周波数は、音響信号の人間の可聴な周波数スペクトルの範囲外であり、
前記第2のトランスデューサは、受信された前記反射音信号に対応する電気信号を生成するように構成される、非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体。

22. モバイルデバイスによって一つまたは複数のプロセッサを介して実行された場合に、前記モバイルデバイスにオピオイド過剰投与のインジケータを識別する方法を実施させる命令を格納している、非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記命令が、
前記モバイルデバイスの第1のトランスデューサを用いて被験体に向けて音を送信するための命令と、
送信された前記音に対応する反射音信号を、前記モバイルデバイスの第2のトランスデューサを用いて受信するための命令と、
前記反射音信号から前記被験体の運動データを抽出するための命令と、
前記被験体と前記モバイルデバイスとの間の距離を前記反射音信号に少なくとも部分的に基づいて判断するための命令と、
前記被験体が、現在救助介入を必要としているか否かを、抽出された前記運動データに少なくとも部分的に基づいて判断するための命令と、を含み、
送信された前記音は、第1の周波数から第2の周波数へ時間とともに増大し、
前記第2の周波数は、音響信号の人間の可聴な周波数スペクトルの範囲外であり、
前記第2のトランスデューサは、受信された前記反射音信号に対応する電気信号を生成するように構成される、非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体。

23. 電子装置によって一つまたは複数のプロセッサを介して実行された場合に、前記電子装置にオピオイド過剰投与のインジケータを識別する方法を実施させる命令を格納している、非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記命令が、
前記電子装置の第1のトランスデューサを用いて被験体に向けて音響エネルギーを送信するための命令と、
送信された前記音響エネルギーに対応する反射信号を、前記電子装置の第2のトランスデューサを用いて受信するための命令と、
前記反射音信号から前記被験体の運動データを抽出するための命令と、
抽出された前記運動データ中に前記被験体の粗大運動が存在しているか否かを判断するための命令と、
抽出された前記運動データ中に粗大運動が存在している場合に前記被験体が現在救助介入を必要としていないと判断するための命令と、
抽出された前記運動データ中に粗大運動が存在してない場合に前記被験体の一つまたは複数の呼吸パラメータを抽出された前記運動データに少なくとも部分的に基づいて判断するための命令と、
抽出された前記運動データ中に粗大運動が存在してない場合に前記一つまたは複数の呼吸パラメータと一つまたは複数の対応する呼吸パラメータの閾値と比較するための命令と、
抽出された前記運動データ中に粗大運動が存在してない場合に前記被験体が救助介入を必要としているか否かを前記比較に基づいて判断するための命令と、を含み、
送信された前記音の周波数は、第1の周波数から第2の周波数へ時間とともに増大し、
前記第2の周波数は、音響信号の人間の可聴な周波数スペクトルの範囲外であり、
前記第2のトランスデューサは、受信された前記反射信号に対応する電気信号を生成するように構成される、非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体。
<結論>
【0071】
本技術の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的であることを意図したものではなく、また、本技術を上記に開示された正確な形態に限定することを意図したものではない。本技術の特定の実施形態およびその例は、例示の目的で上記に記載されているが、関連する技術に熟練した当業者であれば認識可能であるように、本技術の範囲内で様々な同等の変形が可能である。例えば、ステップが所定の順序で提示および/または論じられているが、代替的な実施形態は、異なる順序でステップを実行することができる。さらに、本明細書に記載された様々な実施形態は、さらなる実施形態を提供するために組み合わせることもできる。
【0072】
前述から、本技術の特定の実施形態が、例示の目的で本明細書に記載されているが、周知の構造および機能は、本技術の実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、示されておらず、または詳細に記載されていないことが理解されるであろう。参照により本明細書に組み込まれた任意の材料が本開示と矛盾する範囲で、本開示が支配する。文脈が許す限り、単数形または複数形の用語は、それぞれ、複数形または単数形の用語を含むこともできる。さらに、単語「または」が、2以上の項目のリストを参照して、他の項目から除外された単一の項目のみを意味するように明示的に限定されない限り、そのようなリストにおける「または」の使用は、(a)リスト内の任意の単一の項目、(b)リスト内のすべての項目、または(c)リスト内の項目の任意の組み合わせを含むと解釈される。文脈が許す限り、単数形または複数形の用語は、それぞれ、複数形または単数形の用語を含むこともできる。さらに、本明細書で使用されるように、「Aおよび/またはB」の「および/または」という語句は、A単独、B単独、およびAおよびBの両方を指す。 さらに、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(having)」、および「と(with)」という語句は、同じ特徴および/または追加のタイプの他の特徴の任意のより多くの数が排除されないような、少なくとも言及された特徴(複数可)を含むことを意味するために、全体を通して使用される。
【0073】
前述のことから、本技術から逸脱することなく、様々な改変が可能であることも理解されるであろう。例えば、本技術の様々な構成要素をさらにサブコンポーネントに分割することができ、または本技術の様々な構成要素および機能を組み合わせおよび/または統合することができる。さらに、本技術の特定の実施形態に関連する利点が、それらの実施形態の文脈で記載されているが、他の実施形態もまた、そのような利点を発揮することができ、すべての実施形態が、本技術の範囲内に収まるために、必ずしもそのような利点を発揮する必要はない。したがって、本開示および関連技術は、本明細書に明示的に示されていないまたは記載されていない他の実施形態を包含することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】