(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-523840(P2021-523840A)
(43)【公表日】2021年9月9日
(54)【発明の名称】工具及び工具を操作する方法
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20210813BHJP
B25B 23/14 20060101ALI20210813BHJP
【FI】
B25F5/00 C
B25B23/14 620Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2021-514476(P2021-514476)
(86)(22)【出願日】2019年5月13日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月13日
(86)【国際出願番号】EP2019062212
(87)【国際公開番号】WO2019219611
(87)【国際公開日】20191121
(31)【優先権主張番号】102018111652.7
(32)【優先日】2018年5月15日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】520447639
【氏名又は名称】シュタールヴィレ エドゥアルド ヴィレ ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンフリート チジワ
【テーマコード(参考)】
3C038
3C064
【Fターム(参考)】
3C038CB02
3C038CB06
3C064AA01
3C064BA24
3C064BA25
3C064BA26
3C064BB58
3C064BB81
3C064BB89
3C064CB81
3C064DA36
3C064DA60
3C064EA05
3C064EA06
(57)【要約】
本発明は、工具(100)、特にトルク工具、トルク試験装置又は回転角試験装置に関し、工具(100)のユーザを識別するためのユーザ識別ユニット(10)と、工具(100)をハンドリングするためのユーザ固有のデータが収集されるユーザデータユニット(11)と、工具(100)の用途のための作業データが収集される作業データユニット(12)と、データユニット(11)及び作業データユニット(12)に接続され、データがユーザによる工具(100)の操作中に記録され、ユーザデータユニット(11)及び作業データユニット(12)で収集されたデータと比較され、ずれがある場合に適応される学習ユニット(13)と、ユーザデータユニット(11)及び作業データユニット(12)に接続され、ユーザ固有のデータ及び作業データに応じて適応及び制御可能な適応ユニット(14)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具(100)、特にトルク工具、トルク試験装置又は回転角試験装置であって、
前記工具(100)のユーザを識別するためのユーザ識別ユニット(10)と、
前記工具(100)をハンドリングするためのユーザ固有のデータが収集されるユーザデータユニット(11)と、
前記工具(100)の用途のための作業データが収集される作業データユニット(12)と、
前記ユーザデータユニット(11)及び前記作業データユニット(12)に接続され、データが、ユーザによる前記工具(100)の操作中に記録され、前記ユーザデータユニット(11)及び前記作業データユニット(12)で収集されたデータと比較されて、ずれが生じた場合に適応される学習ユニット(13)と、
前記ユーザデータユニット(11)及び前記作業データユニット(12)に接続され、前記工具(100)の操作が前記ユーザ固有のデータ及び前記作業データに応じて適応及び制御可能である適応ユニット(14)と、
を備える、工具(100)。
【請求項2】
前記ユーザ固有のデータは、個人識別に関するデータ、及び/又はユーザによって加えられた力のタイプに関するデータ、及び/又はユーザにより達成可能なトルクに関するデータ、及び/又はユーザによる過度な引裂のタイプ及び程度に関するデータを含むことを特徴とする、請求項1に記載の工具(100)。
【請求項3】
前記作業データは、ねじ継手のタイプに関するデータ、及び/又はねじ込み角度に関するデータ、及び/又はねじ込み手段の材料に関するデータ、及び/又はねじ込みが行われる材料に関するデータを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の工具(100)。
【請求項4】
前記ユーザデータユニット(11)及び前記作業データユニット(12)は、中央データベース(15)に割り当てられることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載の工具(100)。
【請求項5】
前記中央データベース(15)が前記工具(100)内に配置されることを特徴とする、請求項4に記載の工具(100)。
【請求項6】
工具(100)、特にトルク工具、トルク試験装置又は回転角試験装置を操作するための方法であって、
前記工具(100)のユーザがユーザ識別ユニット(10)で識別され、
前記工具(11)をハンドリングするためのユーザ固有のデータは、ユーザデータユニット(11)に収集され、
前記工具(100)の用途のための作業データは、作業データユニット(12)に収集され、
データは、前記ユーザデータユニット(11)及び前記作業データユニット(12)に接続された学習ユニット(13)に、ユーザによる前記工具(100)の操作中に記録され、前記ユーザデータユニット(11)及び前記作業データユニット(12)で収集されたデータと比較されて、ずれが生じた場合に適応され、
前記工具(100)の操作は、前記ユーザ固有のデータ及び前記作業データに応じて、前記ユーザデータユニット(11)及び前記作業データユニット(12)に接続された適応ユニット(14)において適応及び制御される、方法。
【請求項7】
ユーザは、識別子を入力すること、及び/又は生体認証データを記録すること、及び/又は光学コードを読み取ることによって、前記ユーザ識別ユニット(10)で識別されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記適応ユニット(14)は、前記工具の操作が適応されたときに前記ユーザに警告メッセージを出力することを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具、特にトルク工具、トルク試験装置又は回転角試験装置に関する。さらに、本発明は、対応する工具を操作するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
手持ち工具の場合、最適な結果を達成できるようにするために、工具の正しい操作は、ユーザによる工具の操作のタイプに大きく依存する。手持ち工具は、例えば、トルク工具などの手持ちねじ込み工具である。トルク工具では、最大操作力を加えている間も、接続するコンポーネント間に必要なクランプ力を保証するために、定義された締め付けトルクが、ねじ又はナットなどの接続要素に加えられる。ユーザが工具を誤って操作すると、例えば、過度な引裂が発生する可能性がある。しかし、加えられるトルクが低すぎて、接続するコンポーネント間に十分な接続を確立できない可能性もある。それ故、工具を使用して達成される作業結果は、工具のユーザによって大きく異なる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、ハンドリング及び達成される作業結果を改善可能とするための工具ならびに工具を操作するための方法を提供することである。
【0004】
この目的は、独立請求項の特徴によって達成される。本発明の有利な実施形態及び展開は、従属請求項に規定されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による工具は、工具のユーザを識別するためのユーザ識別ユニットと、工具をハンドリングするためのユーザ固有のデータが収集されるユーザデータユニットと、工具の用途のための作業データが収集される作業データユニットと、ユーザデータユニット及び作業データユニットに接続され、データが、ユーザによる工具の操作中に検出され、ユーザデータユニット及び作業データユニットで収集されたデータと比較されて適応される学習ユニットと、ユーザデータユニット及び作業データユニットに接続され、工具の操作がユーザ固有のデータ及び作業データに応じて適応及び制御可能である適応ユニットと、を備えることを特徴とする。
【0006】
さらに、工具の操作方法は、工具のユーザがユーザ識別ユニットで識別され、工具をハンドリングするためのユーザ固有のデータが、ユーザデータユニットに収集され、工具の用途のための作業データが、作業データユニットに収集され、ユーザによる工具の操作中に、データが、ユーザデータユニット及び作業データユニットに接続された学習ユニットで検出され、ユーザデータユニット及び作業データユニットで収集されたデータと比較されて適応され、工具の操作が、ユーザ固有のデータ及び作業データに応じて、ユーザデータユニット及び作業データユニットに接続された適応ユニットにおいて適応及び制御される、ことを特徴とする。
【0007】
このようにして、ユーザに適応させることができるインテリジェントな工具を作成することができ、その結果、ユーザのための工具のハンドリング及び工具で達成される作業結果を改善することができる。工具はその工具のユーザを識別できるため、工具の操作のタイプをこのユーザ専用に設定でき、各ユーザに工具の操作又はハンドリングの個別の方法を割り当てることができる。用途、つまり現在、工具を使用して実行される用途も考慮されるため、工具を制御するときに工具の使用タイプも考慮に入れることができる。
【0008】
最初に、工具の現在のユーザが識別されるため、工具は最初からどのユーザが現在その工具を操作しているかを知っている。このユーザに関するユーザ固有のデータがユーザデータユニットに既に収集されている場合は、これらのデータを比較して、このユーザによる工具の操作の種類が以前の操作中にどのように行われたかを工具が事前に認識できるようにすることができる。これまでその工具を使用したことがない新規ユーザの場合、このユーザを新規ユーザとしてユーザデータユニットに入力し、このユーザの現在及び将来のユーザ固有のデータを収集することができる。工具が操作される場合、工具の操作を現在のユーザ及び現在の用途に適応させるために、ユーザデータユニット及び作業データユニットからのデータの両方が基礎として使用される。工具の操作中に、ユーザの操作の種類に関する新しいデータが学習ユニットによって記録され、ユーザデータユニット及び作業データユニットのデータと比較される。データにずれがある場合又は新しいデータの場合、これらのデータはユーザデータユニット及び/又は作業データユニットに収集され、適応又は更新される。このようにして、学習システムを作成することができ、それによって工具の操作の継続的な最適化を達成することができる。さらに、少なくともユーザデータユニット及び作業データユニットに接続される適応ユニットが提供されているので、ユーザデータユニット及び作業データのデータに応じて、工具の操作を適応及び制御することができる。
【0009】
ユーザ固有のデータは、例えば、個人識別に関するデータ及び/又はユーザによって加えられる力のタイプに関するデータ、及び/又はユーザによって達成され得るトルクに関するデータ、及び/又はユーザによる過度な引裂のタイプ及び程度に関するデータを含むことができる。従って、ユーザ固有のデータは、好ましくは、それぞれのユーザによる工具の操作又はハンドリングのタイプに関するデータを含む。また、ユーザ本人の個人データも、ユーザデータユニットにユーザ固有データとして個人識別子の形で記録することが好ましく、各ユーザに本人のデータ又は本人のユーザ固有のデータを割り当てることができる。各ユーザは、異なる仕方で工具を操作する。例えば、各ユーザは工具に異なる力を適用する。達成できるトルクもユーザごとに異なる。さらに、過度な引裂のリスクは、それぞれのユーザによって異なる。これらのデータはすべて、ユーザデータユニットにユーザ固有のデータとして収集できる。さらなるユーザ固有のデータも考えられる。
【0010】
作業データは、例えば、ねじ継手のタイプに関するデータ及び/又はねじ込み角度に関するデータ及び/又はねじ込み手段の材料に関するデータ及び/又はねじ込みが行われる材料に関するデータを含むことができる。さらなる作業データも考えられる。ねじ継手は、例えば、硬くても軟らかくても構わない。例えば、硬いねじ継手の場合、ねじ頭が硬い表面にぶつかり、トルクが急激に増加する。しかしながら、軟らかいねじ継手の場合、トルクはゆっくりと増加するため、よりソフトに増加する。さらに、ねじ込み角度は用途によって異なる場合がある。つまり、工具の操作の種類も異なり、それに応じて適応される必要がある。また、ねじなどのねじ込み手段の材料だけでなく、ねじ込みが発生する材料も、工具の操作に影響を与える可能性がある。
【0011】
ユーザデータユニット及び作業データユニットのデータは、それぞれのデータユニット自体に格納できるため、ユーザデータユニット及び作業データユニットにそれぞれ独自のデータベースを割り当てることができる。しかしながら、ユーザデータユニット及び作業データユニットが割り当てられた中央データベースが提供され、ユーザデータユニット及び作業データユニットがそれらのデータを中央データベースにアーカイブして格納できるようにすることも可能である。そのため、各ユニットがデータベース自体を持っている必要はなく、従って独自の記憶装置を持つ必要もない。
【0012】
この中央データベースは工具内に配置できるため、工具に統合できる。ただし、中央データベースを工具の外部に配置することも可能である。ユーザデータユニットと作業データユニットは、中央データベースにデータを送信するために、無線接続又はケーブル接続を介して中央データベースに接続できる。
【0013】
工具を現在操作しているユーザは、ユーザ識別ユニットでさまざまな方法で識別できる。例えば、ユーザによって識別子を入力することによって、特定の識別子を各ユーザに割り当てることができる。識別子は、例えば、番号コードであり得る。また、身分証明カードや身分証明スティックの挿入や検出も可能である。さらに、指紋などのユーザの生体認証データを介して識別を行うこともできる。また、ユーザに割り当てられたQRコードなどの光学コードを読み込むこともできる。ユーザは、工具の操作の開始時に識別されることが好ましい。
【0014】
ユーザ固有のデータと作業データとにより、工具の操作時に工具の適応又は工具の作業方法の適応が必要な場合、この適応をユーザが気付くことなく自動的に実行できる。しかしながら、適応ユニットは、工具の操作が適応された時に警告メッセージをユーザに出力することも可能であり、それにより、ユーザは適応を認識し、必要に応じて、どの形態の適応が当該工具に行われたかを知ることができる。警告メッセージは、例えば、光及び/又は音響信号によって与えることができる。
【0015】
また、ユーザデータユニット及び/又は作業データユニット及び/又は中央データベースを、ケーブル又は無線を介して、PPS/ERPシステムなどの企業ソフトウェアシステムに接続することができる。その結果、この企業ソフトウェアシステムとユーザデータユニット及び/又は作業データユニット及び/又は中央データベースとの間のデータの比較が可能となる。この比較は、例えば、工具が現在配置されている場所を判別するために使用できる。さらに、企業ソフトウェアシステムの作業計画から中央データベース及び/又は作業データユニット及び/又はユーザデータユニットへ、データの入力又は転送が可能である。さらに、実際の締め付けトルク、実行されたねじ接続の数、回数、ユーザIDなどのデータは、工具又は作業データユニット及び/又はユーザデータユニット及び/又は中央データベースから企業ソフトウェアシステムへ送信することができ、そこで評価及び/又は管理することができる。
【0016】
本発明を改善するさらなる手段は、単一の図を参照する本発明の好ましい実施形態の説明とともに、以下により詳細に示されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1では、工具100が非常に簡略化された概略図で示されている。工具100、特に手持ち工具は、例えば、トルク工具、トルク試験装置、又は回転角試験装置であり得る。他のタイプの工具100も考えられる。
【0019】
工具100は、ユーザ識別ユニット10を有する。工具100を現在操作しているユーザは、ユーザ識別ユニット10を介して識別される。様々なユーザに関連する個人データをユーザ識別ユニット10に格納できるため、工具100上の自分自身を識別し、割り当てることができる。ユーザを識別するために、例えば、番号コードの形式で識別子を手動で入力するか、カード又はスティックを使用してIDを読み込むことができる。さらに、ユーザがユーザ識別ユニット10上で指紋により自分自身を識別するというように、ユーザの生体認証データを使用して識別を行うこともできる。他のオプションとしては、ユーザを識別するための光学コード又はRFID又はNFCシステムがある。さらに、ユーザが工具100から離れて配置された中央システムにログインすることも可能であり、この中央システムは、好ましくは、読み込みデータを、無線を介して工具100内のユーザ識別ユニット10に転送することができる。
【0020】
ユーザ識別ユニット10は、無線又はケーブルによってユーザデータユニット11に接続されている。このユーザデータユニット11には、工具100をハンドリングするためのユーザ固有のデータが収集されている。各ユーザについて、ユーザ固有のデータをユーザデータユニット11に割り当てることができ、工具100の操作中に又は操作のために呼び出すことができる。従って、工具100は、ユーザが以前の使用時に工具100をどのように取り扱ったか、又はどのように処理できたかを認識することができる。ユーザ固有のデータは、好ましくは、ユーザを明確に識別でき、さらにユーザ固有のデータを当該ユーザに割り当てることができるように、ユーザ識別ユニットからのデータと比較される個人識別子を含む。さらに、ユーザ固有のデータは、達成できるトルク、加力のタイプ、及び/又はユーザによる過度な引裂のタイプ及び程度であり得る。
【0021】
ユーザ固有のデータに加えて、工具は、作業データユニット12に収集されるさまざまな用途の作業データも認識する。作業データは、例えば、ねじ継手のタイプ、ねじ込み角度、ねじ込み手段の材料及び/又はねじ込みが発生する材料であり得る。
【0022】
ユーザデータユニット11のユーザ固有のデータ及び作業データユニット12の作業データを最新の状態に保ち、それらを何度も適応させることができるようにするために、学習ユニット13が提供されており、ケーブル又は無線を介してユーザデータユニット11及び作業データユニット12に接続されている。学習ユニット13では、ユーザによる工具100の操作中にデータが記録され、ユーザデータユニット11及び作業データユニット12で収集されたデータと比較され、ユーザデータユニット11及び作業データユニット12にずれが生じた場合に調整される。学習ユニット13によってそれぞれのユーザの特徴及びそれぞれの用途の特徴に対して継続的に適応及び最適化することができるので、工具100の学習を行うことができる。学習ユニット13は、例えば、1つ又は複数のセンサを備えることができ、これを介して、ユーザによるハンドリングのタイプ及び現在の用途を認識及び記録することができる。
【0023】
工具100をそれぞれのユーザ及びそれぞれの用途に合わせて調整するために、適応ユニット14も提供され、それによって、工具100の操作は、ユーザデータユニット11のユーザ固有のデータ及び作業データユニット12の作業データに応じて適応及び制御され得る。適応ユニット14は、工具100を用いて、計画された作業のずれを検出し、補償することができる。適応ユニット14は、警告メッセージをユーザに出力することもでき、その結果、ユーザは、フィードバックを受け取って、ずれがあること及び適応が行われていることを認識する。警告は、光信号又は音響信号によって与えることができる。
【0024】
さらに、ユーザによる工具100の特定のハンドリングに基づいて、これがユーザ識別ユニット10にログオンしたユーザであるかどうかも認識でき、ユーザが誤ってログオンした場合、適応ユニット14上で警告メッセージを介して、対応するフィードバックを出力することができる。
【0025】
従って、工具100は、インテリジェント制御システムを有し、その結果、工具100は、ユーザ固有のデータ及び作業データを認識し、それぞれのユーザ及びそれぞれの用途に対して最適な作業結果を達成できるような方法で、適応ユニット14を介してユーザによる工具の使用又はハンドリングを制御することができる。これは、例えば、ユーザが例示的なねじ継手を数回締めることによって達成することができ、工具100は、学習ユニット13にデータを記録し、それに応じて、ユーザデータユニット11及び作業データユニット12のデータを適応させる。その結果、適応ユニット14を介して、工具100の操作及び操作方法の適応を生じさせることができる。
【0026】
ここに示す実施形態では、ユーザデータユニット11及び作業データユニット12のデータは、工具100内に配置された中央データベース15に格納されている。ユーザデータユニット11及び作業データユニット12は、それぞれ無線又はケーブルによって中央データベース15に接続されている。
【0027】
本発明の実施形態は、上記で特定された好ましい実施形態に限定されない。むしろ、根本的に異なる設計の場合でも示されている解決策を利用する多くの変形が考えられる。構造の詳細、空間配置及び方法のステップを含む、特許請求の範囲、説明又は図面から生じるすべての特徴及び/又は利点は、個別に及び多種多様な組み合わせの両方で本発明に不可欠であり得る。
【符号の説明】
【0028】
100:工具
10:ユーザ識別ユニット
11:ユーザデータユニット
12:作業データユニット
13:学習ユニット
14:適応ユニット
15:中央データベース
【国際調査報告】