【実施例】
【0087】
下記の例示的実施例は、本明細書に記載される組成物及び方法の実施形態の代表的なものであるが、決して限定的であることは意図されていない。
【0088】
実施例1−LIFに対して特異的なラット抗体の生成
ヒトLIFのアミノ酸23〜202をコードするcDNAを発現プラスミド内にクローン化した(Aldevron GmbH,Freiburg,Germany)。微粒子衝撃(「遺伝子銃」)のための携帯型器具を使用するDNA被覆金粒子の皮内適用によって、実験用ラット(ウィスター系)の群を免疫した。一過性でトランスフェクトされたHEK細胞上の細胞表面発現は、LIFタンパク質のN末端に付加されたタグを認識する抗タグ抗体を用いて確証した。一連の免疫後に血清試料を収集し、上述した発現プラスミドを用いて一過性でトランスフェクトしたHEK細胞を対象にフローサイトメトリーで試験した。抗体産生細胞を単離し、標準手法に従ってマウス骨髄腫細胞(Ag8)と融合させた。LIFに対して特異的なハイブリドーマ産生抗体を上述したようにフローサイトメトリーアッセイにおけるスクリーニングによって同定した。陽性ハイブリドーマ細胞の細胞ペレットは、RNA保護剤(RNAlater、製品番号:AM7020、ThermoFisher Scientific)を使用して調製し、更に抗体の可変ドメインをシークエンシングするために処理した。
【0089】
実施例2−LIFに対して特異的なマウス抗体の生成
ヒトLIFのアミノ酸23〜202をコードするcDNAを発現プラスミド内にクローン化した(Aldevron GmbH,Freiburg,Germany)。微粒子衝撃(「遺伝子銃」)のための携帯型器具を使用するDNA被覆金粒子の皮内適用によって、実験用マウス(NMRI系)の群を免疫した。一過性でトランスフェクトされたHEK細胞上の細胞表面発現は、LIFタンパク質のN末端に付加されたタグを認識する抗タグ抗体を用いて確証した。一連の免疫後に血清試料を収集し、上述した発現プラスミドを用いて一過性でトランスフェクトしたHEK細胞を対象にフローサイトメトリーで試験した。抗体産生細胞を単離し、標準手法に従ってマウス骨髄腫細胞(Ag8)と融合させた。LIFに対して特異的なハイブリドーマ産生抗体を上述したようにフローサイトメトリーアッセイにおけるスクリーニングによって同定した。陽性ハイブリドーマ細胞の細胞ペレットは、RNA保護剤(RNAlater、製品番号:AM7020、ThermoFisher Scientific)を使用して調製し、更に抗体の可変ドメインをシークエンシングするために処理した。
【0090】
実施例3−LIFに対して特異的なラット抗体のヒト化
その後のヒト化のために、ラット免疫由来の1つのクローン(5D8)を選択した。ヒト化は、標準CDRグラフト化法を用いて実施した。重鎖及び軽鎖領域は、標準分子クローニング技術を用いて5D8ハイブリドーマからクローン化し、サンガー法によってシークエンシングした。次にヒト重鎖及び軽鎖可変配列に対してBLASTサーチを実施し、各々から4つの配列をヒト化のための受容体フレームワークとして選択した。これらの受容体フレームワークは、T細胞応答エピトープを除去するために脱免疫化した。5D8の重鎖及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3は、4つの異なる重鎖受容体フレームワーク(H1〜H4)並びに4つの異なる軽鎖フレームワーク(L1〜L4)内にクローン化した。次に全16種の抗体を:CHO−S細胞(Selexis)における発現;LIF−誘導性STAT3リン酸化の阻害;及び表面プラズモン共鳴(SPR)による結合親和性について試験した。これらの実験は、表1に要約した。
【0091】
【表1】
【0092】
10日間の細胞培養後に、トランスフェクト細胞の発現性能をフェドバッチ培養内のエルレンマイヤーフラスコ(細胞3×10
5個/mLで播種する、培養容積:200mL)内で比較した。この時点に細胞を採取し、プロテインAカラムを使用して分泌抗体を精製し、その後に定量した。H3重鎖を使用した抗体を除く全ヒト化抗体が発現した。H2及びL2可変領域は、他の可変領域(配列番号42及び配列番号46)と比較して良好に機能した。
【0093】
チロシン705でのLIF誘導性STAT3リン酸化の阻害は、ウェスタンブロットによって決定した。U251神経膠腫細胞は、6ウエルプレート内で細胞100,000個/ウエルの密度で平板培養した。細胞は、任意の処置前24時間に渡り完全培地中で培養し、処置後に細胞を8時間に渡り血清飢餓させた。その後、細胞を濃度10μg/mlの指示した抗体と共に一晩に渡り。処置後、リン酸塩及びプロテアーゼ阻害剤を含有する放射免疫沈降アッセイ(RIPA)溶解バッファー中でタンパク質を入手し、定量し(BCAタンパク質アッセイ、Thermo Fisher Scientific)、ウェスタンブロットにおいて使用した。ウェスタンブロットのために、膜は1時間に渡り5%のスキムミルク−TBST中でブロックし、一次抗体と共に一晩(p−STAT3、製品番号9145、Cell Signaling又はSTAT3、製品番号9132、Cell Signaling)又は30分間(βアクチン−ペルオキシダーゼ、製品番号A3854、Sigma−Aldrich)に渡りインキュベートした。次にTBSTを用いて膜を洗浄し、二次抗体と共にインキュベートし、再び洗浄した。タンパク質は、化学発光(SuperSignal Substrate、製品番号34076、Thermo Fisher Scientific)によって検出した。これらの結果は、
図1に示した。pSTAT3バンドが濃いほど、存在する阻害は少ない。標識化5D8(非ヒト化ラット)、A(H0L0)、C(H1L2)、D(H1L3)及びG(H2L2)レーンにおいては、阻害が高度であった;H(H2L3)、O(H4L2)及びP(H4L3)における阻害は、中等度であった;B(H1L1)、E(H1L4)、F(H2L1)、I(H2L4)、N(H4L1)及びQ(H4L4)においては、阻害が存在しなかった。
【0094】
LIF誘導性STAT3リン酸化の阻害を示した抗体は、次に結合親和性を決定するためにSPRによって分析した。手短には、Biacore(商標)2002 Instrumentを使用して、アミン結合hLIFのA(H0L0)、C(H1L2)、D(H1L3)並びにG(H2L2)、H(H2L3)及びO(H4L2)ヒト化抗体への結合を観察した。速度定数及び親和性は、6種のリガンド濃度での全センサーチップ表面上で生成された全センサーグラムの数学的センサーグラムフィッティング(ラングミュア相互作用モデル[A+B=AB])によって決定した。速度定数及び親和性を計算するためには、各濃度の最良近似曲線(最小χ
2)を使用した。表1を参照されたい。
【0095】
この実験セットアップでは検体として二価抗体を使用したので、最良近似センサーグラムもまた、ヒト化抗体の標的結合機序に関するより詳細な洞察を得るために、二価検体近似モデル[A+B=AB;AB+B=AB2]に基づいて分析した。二価近似モデル[A+B=AB;AB+B=AB2]を使用した運動センサーグラム分析は、mAb試料の相対親和性ランキングを確証した。
【0096】
より詳細な分析を行うために、その高い結合親和性及びバッチ培養からの高い収率のために、H2及びL2を含むヒト化5D8を選択した。
【0097】
実施例4−クローン5D8のヒト化はLIFへの結合を改善する
本出願者らは、更なる分析のためにH2L2クローン(h5D8)を選択し、親ラット5D8(r5D8)及びマウスクローン1B2への結合についてSPRによって比較した。1B2抗体は、以前にthe Deutsche Sammlung von Mikroorganismen and Zellkulturen GmbHに預託された、以前に開示されたマウス抗LIF抗体(DSM ACC3054)であり、比較目的のために含めた。大腸菌(E.coli)細胞及びHEK−293細胞それぞれから精製された組み換えヒトLIFをリガンドとして使用した。ヒト又は大腸菌(E.coli)起源由来のLIFは、アミン結合化学を使用してBiacore光センサーチップの表面に共有結合させ、結合親和性は、速度定数から計算した。
【0098】
材料及び方法
大腸菌(E.coli)由来ヒトLIFは、Milliporeから入手した;参照LIF 1010;HEK−293細胞由来ヒトLIFは、ACRO Biosystemsから入手した;参照LIF−H521b。LIFは、Biacore Amine結合キット(BR−1000−50;GE−Healthcare,Uppsala)を用いてセンサーチップに結合させた。試料は、Biacore(商標)2002 Instrument上でCM5光センサーチップ(BR−1000−12;GE−Healthcare,Uppsala)を用いてランさせた。機械(BR−1001−88;GE−Healthcare,Uppsala)のラン中にはBiacore HBS−EP緩衝液を使用した。結合センサーグラムの動態分析は、BIAevaluation 4.1ソフトウェアを使用して実施した。速度定数及び親和性は、検体濃度を増加させながらの全センサーチップ表面上で生成された全センサーグラムの数学的センサーグラムフィッティング(ラングミュア相互作用モデル[A+B=AB])によって決定した。センサーグラムは更に、決定されたラングミュア抗体−標的親和性(例えば、親和力の寄与)への二価の寄与に基づく推定値を生成するために、成因分析を含む、二価検体センサーグラムフィッティングモデル[A+B=AB;AB+B=AB
2]に基づいて分析した。各濃度の最良近似曲線(最小χ
2)を使用して速度定数及び親和性を計算した。これらの親和性実験の要約は、表2(大腸菌(E.coli)中で作製されたヒトLIF)及び表3(HEK 293細胞中で作製されたヒトLIF)に示した。
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】
この実験セットからのラングミュア1:1センサーグラムフィッティングモデルは、ヒト化5D8(h5D8)抗体がマウス1B2及びr5D8よりもヒトLIFへ約10〜25倍高い親和性で結合したことを示している。
【0102】
次に、h5D8抗体をSPRによって多数の種のLIFに対して試験した。h5D8 SPR結合動態検査は、様々な種及び発現系:ヒトLIF(大腸菌(E.coli)、HEK293細胞);マウスLIF(大腸菌(E.coli)、CHO細胞);ラットLIF(大腸菌(E.coli));カニクイザルLIF(酵母、HEK293細胞)に由来する組み換えLIF検体に対して実施した。
【0103】
材料及び方法
h5D8抗体は、非共有的なFc特異的捕獲によってセンサーチップ表面に固定化した。組み換えIg(Fc)特異的黄色ブドウ球菌(S.aureus)タンパク質A/GをLIF検体への抗LIF抗体の立体的に均一且つ柔軟性の提示を許容する捕獲剤として使用した。LIF検体の入手源は、下記の通りである:ヒトLIF(大腸菌(E.coli)由来;Millipore参照番号LIF 1050);ヒトLIF(HEK細胞由来、ACRO Biosystems LIF−H521);マウスLIF(大腸菌(E.coli);Millipore製品番号NF−LIF2010);マウスLIF(CHO細胞由来;Reprokine製品番号RCP09056);サルLIF(酵母、Kingfisher Biotech製品番号RP1074Y);HEK−293細胞中で生成されたサルLIF。全h5D8は、数種の種由来のLIFへの結合を示した。この親和性実験の要約は、表4に示した。
【0104】
【表4】
【0105】
実施例5−ヒト化クローン5D8はin vitroでのSTAT3のLIF誘導性リン酸化を阻害する
h5D8の生物学的活性を決定するために、ヒト化バージョン及び親バージョンをLIF活性化の細胞培養モデルにおいて試験した。
図2Aは、神経膠腫細胞系をヒトLIFと共にインキュベートした場合にヒト化クローンがSTAT3リン酸化(Tyr 705)の増加した阻害を示すことを示している。
図2Bは、h5D8抗体の様々な希釈物を用いて反復した、
図2Aの同一セットアップを用いた実験を示している。
【0106】
方法
U251神経膠腫細胞は、細胞150,000個/ウエルの密度で6ウエルプレート内で平板培養した。細胞は、任意の処置前の24時間に渡り完全培地中で培養した。その後、細胞は、10μg/mlの濃度でr5D8抗LIF抗体若しくはh5D8抗LIF抗体を用いて一晩処置した、又は処置しなかった(コントロール細胞)。
【0107】
処置後、リン酸塩及びプロテアーゼ阻害剤を含有する放射免疫沈降アッセイ(RIPA)溶解バッファー中でタンパク質を入手し、定量し(BCAタンパク質アッセイ、Thermo Fisher Scientific)、ウェスタンブロットにおいて使用した。ウェスタンブロットのために、膜は1時間に渡り5%のスキムミルク−TBST中でブロックし、一晩(p−STAT3、製品番号9145、Cell Signaling若しくはSTAT3、製品番号9132、Cell Signaling)又は30分間(βアクチン−ペルオキシダーゼ、製品番号A3854、Sigma−Aldrich)に渡り一次抗体と共にインキュベートした。次にTBSTを用いて膜を洗浄し、必要であれば二次抗体と共にインキュベートし、再び洗浄した。タンパク質は、化学発光(SuperSignal Substrate、製品番号34076、Thermo Fisher Scientific)によって検出した。
【0108】
実施例6−U−251細胞中でのLIFの内因性レベルへのh5D8抗体処置のIC
50値
本出願者らは、更に、U−251細胞中の血清飢餓条件下でのh5D8に対する生物学的阻害について、490ピコモル(
図3A)と極めて低いIC
50を決定した。代表的な結果については
図3A及び3B並びに表5を参照されたい。
【0109】
【表5】
【0110】
方法
U−251細胞を(条件によって)6cmプレート当たり細胞600,000個で播種した。細胞を血清飢餓(0.1%のFBS)下の37℃で一晩、対応する濃度(滴定)においてh5D8により処置した。pSTAT3に対する陽性コントロールとして、組み換えLIF(R&D番号:7734−LF/CF)を使用して37℃で10分間に渡り1.79nMで細胞を刺激した。pSTAT3の陰性コントロールとして、JAK I阻害剤(Calbiochem番号420099)を37℃で30分間に渡り1μMで使用した。細胞は次に、MSD Meso Sector S600によって検出可能なタンパク質レベルを測定するために、Meso Scale Discovery Multi−SpotアッセイシステムTotal STAT3(製品番号:K150SND−2)及びリン−STAT3(Tyr705)(製品番号:K150SVD−2)キットのプロトコルに従って溶解物のために氷上で採取した。
【0111】
実施例7−ヒトLIFに特異的に結合する追加の抗体
ヒトLIFに特異的に結合する他のラット抗体クローン(10G7及び6B5)を同定し、それらの結合特性の要約を下記の表6に示したが、クローン1B2が比較として機能した。
【0112】
方法
動的リアルタイム結合分析は、検体として組み換えLIF標的タンパク質[ヒトLIF(大腸菌(E.coli));Millipore製品番号:LIF 1010及びヒトLIF(HEK293細胞);ACRO Biosystems製品番号:LIF−H521b]を適用して、CM5光センサーチップの表面上に固定化した抗LIF mAbである1B2、10G7及び6B5を対象に実施した。
【0113】
速度定数及び親和性は、包括的(センサーグラムセットの同時フィッティング)並びに単一曲線フィッティングアルゴリズムを適用するラングミュア1:1結合モデルを使用する数学的センサーグラムフィッティングによって入手した。包括的フィッティングの妥当性は、k
obs分析によって評価した。
【0114】
【表6】
【0115】
実施例8−追加の抗LIF抗体はin vitroのSTAT3のLIF誘導性リン酸化を阻害する
追加のクローンをそれらが細胞培養中でSTAT3のLIF誘導性リン酸化を阻害する能力について試験した。
図4に示したように、クローン10G7及び以前に詳述したr5D8は、1B2クローンと比較して、LIF誘導性STAT3リン酸化の高度の阻害を示した。陽性コントロールとして抗LIFポリクローナル抗血清(陽性)を含めた。6B5は阻害を示さなかったが、これはこの実験において使用した非グリコシル化LIFへの6B5結合の欠如の可能性があることによって説明することができる。
【0116】
方法
患者由来神経膠腫細胞を6ウエルプレート内で細胞150,000個/ウエルの密度で平板培養した。細胞は、任意の処置前の24時間に渡り、B27(Life Technologies)、ペニシリン/ストレプトマイシン及び成長因子(20ng/mlのEGF及び20ng/mlのFGF−2[PeproTech])が補給されたNeurobasal培地(Life Technologies)から成るGBM培地中で培養した。次の日、細胞は、大腸菌(E.coli)中又は組み換えLIF+指示した抗体の混合物中で生成した組み換えLIF(抗体については10μg/ml及び組み換えLIFについては20ng/mlの最終濃度)を用いて15分間に渡り処置した、又は処置しなかった。処置後、リン酸塩及びプロテアーゼ阻害剤を含有する放射免疫沈降アッセイ(RIPA)溶解バッファー中でタンパク質を入手し、定量し(BCAタンパク質アッセイ、Thermo Fisher Scientific)、ウェスタンブロットにおいて使用した。ウェスタンブロットのために、膜は1時間に渡り5%のスキムミルク−TBST中でブロックし、一晩(p−STAT3、製品番号9145、Cell Signaling)又は30分間(βアクチン−ペルオキシダーゼ、製品番号A3854、Sigma−Aldrich)に渡り一次抗体と共にインキュベートした。次にTBSTを用いて膜を洗浄し、必要であれば二次抗体と共にインキュベートし、再び洗浄した。タンパク質は、化学発光(SuperSignal Substrate、製品番号34076、Thermo Fisher Scientific)によって検出した。
【0117】
実施例9−LIFは複数の腫瘍タイプに渡って高度に過剰発現する
LIF発現の程度を決定するために、多数のヒト腫瘍タイプを対象に免疫組織学的検査を実施した。
図5に示したように、LIFは、多形性膠芽腫(GBM)、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌及び結腸直腸癌(CRC)において高度に発現する。
【0118】
実施例10−ヒト化クローンh5D8は非小細胞肺癌のマウスモデルにおける腫瘍増殖を阻害する
ヒト化5D8クローンがin vivoでのLIF陽性の癌を阻害する能力を決定するために、この抗体を非小細胞肺癌(NSCLC)のマウスモデルにおいて試験した。
図6は、ビヒクル陰性コントロールに比較した、この抗体を用いて治療されたマウスにおける腫瘍増殖の減少を示している。
【0119】
方法
高いLIFレベルを備えるマウス非小細胞肺癌(NSCLC)細胞系KLN205は、in vivo化学発光モニタリングのためにホタルルシフェラーゼ遺伝子を発現するレンチウイルスを用いて安定性で感染させた。マウスモデルを開発するために、5×10
5個のKLN205非小細胞肺癌(NSCLC)細胞は、肋間穿刺によって8週齢の免疫応答同系DBA/2マウスの左肺に正所性で植え込んだ。マウスには、コントロールビヒクル又は15mg/kg又は30mg/kgのh5D8抗体を週2回腹腔内投与し、化学発光によって腫瘍増殖を監視した。化学発光イメージングのために、マウスには、1〜2%の吸入イソフルラン麻酔下で0.2mLの15mg/mLのD−ルシフェリン麻酔の腹腔内注射を実施した。化学発光シグナルは、高感受性冷却CCDカメラから成るIVISシステム2000シリーズ(Xenogen Corp.,Alameda,CA,USA)を使用して監視した。Living Imageソフトウェア(Xenogen Corp.)を使用して、画像データにグリッドを追加し、枠で囲まれた各領域内の全化学発光シグナルを積分した。データは、関心対象領域(ROI)内の全光子束放射(光子/秒)を使用して分析した。結果は、h5D8抗体を用いた治療が腫瘍緩解を促進することを証明している。データは、平均±SEMとして提示した。
【0120】
実施例11−h5D8は多形性膠芽腫のマウスモデルにおける腫瘍増殖を阻害する
ヒト細胞系U251を発現するルシフェラーゼを用いた正所性GBM腫瘍モデルにおいて、r5D8は、週2回、300μgのr5D8及びh5D8が腹腔内(IP)注射によって投与されたマウスにおいて腫瘍容積を有意に減少させた。この試験の結果は、
図7Aに示した(治療後第26日での定量)。この実験は更に、200μg又は300μgを用いて治療したヒト化h5D8マウスを使用して実施し、治療7日後に腫瘍の統計的有意な減少を示した。
【0121】
方法
ルシフェラーゼを安定性で発現するU251細胞を採取し、PBS中で洗浄し、400gで5分間に渡り遠心し、PBS中に再懸濁させ、自動セルカウンター(Countess,Invitrogen)を用いて計数した。細胞は、最高生存率を維持するために氷上で維持した。マウスには、ケタミン(Ketolar50(登録商標))/キシラシン(Rompun(登録商標))(それぞれ、75mg/kg及び10mg/kg)の腹腔内投与により麻酔した。各マウスは、定位器具内に注意深く配置し、固定した。頭部の毛髪は脱毛クリームを用いて除去し、頭蓋骨を露出させるために外科用メスを用いて頭皮を切開した。ラムダに向かって側方に1.8mm及び前方に1mmの座標で、小さな切開部をドリルで注意深く作製した。深さ2.5mmで、右線条体内へハミルトン30Gシリンジを使用して5μLの細胞を接種した。頭部切開部はHystoacryl組織接着剤(Braun)を用いて閉鎖し、マウスには皮下鎮痛性メロキシカム(Metacam(登録商標))(1mg/kg)を注射した。各マウスに植え込まれた最終細胞数は、3×10
5個であった。
【0122】
マウスは、週2回、腹腔内投与されたh5D8により治療した。治療は、腫瘍細胞接種直後の第0日に開始した。マウスは、h5D8又はビヒクルコントロールの全2回の投与を受けた。
【0123】
体重及び腫瘍容積:体重は、週2回測定し、腫瘍増殖は、第7日に化学発光(Xenogen IVISスペクトル)によって定量した。in vivoでの化学発光活性を定量するために、マウスをイソフルオラン(isofluorane)により麻酔し、ルシフェリン基質(PerkinElmer)(167μg/kg)を腹腔内注射した。
【0124】
バイオルミネセンス(Xenogen IVISスペクトル)によって決定した腫瘍サイズを第7日に評価した。各治療群についての個々の腫瘍測定及び平均±SEMを計算した。統計的有意性は、対応のないノンパラメトリックのマン・ホイットニーU検定を使用して決定した。
【0125】
実施例12−h5D8は卵巣癌のマウスモデルにおける腫瘍増殖を阻害する
r5D8の有効性を他の2種の同系腫瘍モデルにおいて評価した。卵巣同所性腫瘍モデルID8における週2回300μgのr5D8のIP投与は、腹部容積によって測定される腫瘍増殖を有意に阻害した(
図8A及び8B)。
図8Cの結果は、h5D8が更に200μg超の用量でも腫瘍容積を減少させたことを示している。
【0126】
方法
ID8細胞を10%のウシ胎児血清(FBS)(Gibco,Invitrogen)、40U/mLのペニシリン及び40μg/mLのストレプトマイシン(PenStrep)(Gibco,Invitrogen)並びに0.25μg/mLのPlasmocin(Invivogen)が補給されたダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)(Gibco,Invitrogen)中で培養した。
【0127】
ID8細胞を採取し、PBS中で洗浄し、400gで5分間遠心し、PBS中に再懸濁させた。細胞は最高生存率を維持するために氷上で維持し、200μLの細胞懸濁液は、27Gのニードルを用いて腹腔内注射した。マウスに植え込まれた最終細胞数は、5×10
6個であった。
【0128】
マウスを指示した様々な用量で腹腔内投与されたh5D8の週2回の投与により治療した。体重を週2回測定し、腫瘍の進行は、カリパス(Fisher Scientific)を使用して腹囲を測定することによって監視した。
【0129】
実施例13−r5D8は結腸直腸癌のマウスモデルにおける腫瘍増殖を阻害する
皮下結腸CT26腫瘍を有するマウスにおいて、r5D8(週2回、300μgのIP投与)は、腫瘍増殖を有意に阻害した(
図9A及び9B)。
【0130】
方法
CT26細胞を10%ウシ胎児血清(FBS)、40U/mLのペニシリン及び40μg/mLのストレプトマイシン(PenStrep)並びに0.25μg/mLのPlasmocinが補給されたロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI[Gibco,Invitrogen])中で培養した。
【0131】
CT26細胞(8×10
5個)をトリプシン化し、PBSですすぎ洗い、400gで5分間に渡り遠心し、100μLのPBS中に再懸濁させた。細胞は、細胞死を回避するために氷上で維持した。CT26細胞は、27Gのニードルを用いる皮下注射によってマウスに投与した。
【0132】
300μgのr5D8又はビヒクルコントロールは、CT26細胞植え込み後第3日から週2回、腹腔内投与(IP)を介してマウスに投与した。
【0133】
体重及び腫瘍容積は、週3回測定した。腫瘍容積は、カリパス(Fisher Scientific)を用いて測定した。
【0134】
実施例14−r5D8は腫瘍モデルにおける炎症性浸潤を減少させる
U251 GBM正所性モデルでは、M2極性化マクロファージのマーカーであるCCL22の発現は、
図10Aに示したようにr5D8により治療された腫瘍において有意に減少した。この所見は、更に、
図10Bに示したように(MRC1及びCCL22の両方について、上方のコントロールを下方の治療済みと比較されたい)、3例の患者試料が治療後にCCL22及び(同様にM2マクロファージのマーカーである)CD206(MRC1)の発現における有意な減少を示したr5D8を使用して生理学的に重要な器官型組織切片培養モデルにおいても確証された。更に、r5D8は、免疫応答マウスにおける同系ID8(
図10C)及びCT26(
図10D)腫瘍におけるCCL22
+M2マクロファージも又減少させた。
【0135】
実施例15−r5D8は非骨髄性エフェクター細胞を増加させる
更なる免疫機序を調査するために、r5D8が腫瘍微細環境内でT細胞及び他の非骨髄性エフェクター細胞に及ぼす効果を評価した。卵巣正所性ID8同系モデルにおいて、r5D8治療は、
図11Aに示したように腫瘍内NK細胞の増加並びに全及び活性化CD4
+及びCD8
+T細胞の増加を生じさせた。同様に、同系結腸CT26腫瘍モデルにおいて、r5D8は、11Bにおいて示したように、腫瘍内NK細胞を増加させ、CD4+及びCD8+T細胞を増加させ、CD4
+CD25
+FoxP3
+T−reg細胞を減少させる傾向を示した。CD4
+CD25
+FoxP3
+T−reg細胞における減少の傾向は、更に、
図11Cに示したようにr5D8治療後の同系正所性KLN205腫瘍モデルにおいても観察された。有効性を媒介するためのT細胞の動員と一致して、CT26モデルにおけるCD4
+及びCD8
+T細胞の欠失は、
図12に示したように、r5D8の抗腫瘍有効性を阻害した。
【0136】
T細胞を欠失させるための方法
CT26細胞は、10%のウシ胎児血清(FBS)(Gibco,Invitrogen)、40U/mLのペニシリン及び40μg/mLのストレプトマイシン(PenStrep)(Gibco,Invitrogen)並びに0.25μg/mLのPlasmocin(Invivogen)が補給されたRPMI培養培地(Gibco,Invitrogen)中で培養した。CT26細胞(5×10
5個)を収集し、PBSですすぎ洗い、400gで5分間に渡り遠心し、100μLのPBS中に再懸濁させた。細胞は、細胞死を回避するために氷上で維持した。CT26細胞は、27Gのシリンジを用いる皮下注射によってマウスの左右の側腹部に投与された。マウスは、試験デザインに指示したように、腹腔内投与されたr5D8により週2回治療された。ビヒクルコントロール(PBS)、ラットr5D8及び/又は抗CD4及び抗CD8は、試験デザインに記載したように、腹腔内注射(IP)によってマウスに週2回投与された。全抗体治療は、同時に投与された。
【0137】
実施例16−ヒトLIFとの複合体中のh5D8の結晶構造
h5D8の結晶構造は、h5D8が結合したLIF上のエピトープを決定するため、及び結合すると沈降するh5D8の残渣を決定するために、3.1Åの分解能に分解された。共結晶構造は、LIFのN末端ループがh5D8の軽鎖可変領域と重鎖可変領域の間の中央に位置することを解明した(
図13A)。更に、h5D8は、LIFのヘリックスA及びC上の残基と相互作用し、それにより不連続である立体構造エピトープ形成した。結合は、幾つかの塩橋、H結合及びファンデルワールス相互作用によって駆動される(表7、
図13B)。LIFのh5D8エピトープは、gp130との相互作用の領域に及ぶ。Boulanger,M.J.,Bankovich,A.J.,Kortemme,T.,Baker,D.& Garcia,K.C.Convergent mechanisms for recognition of divergent cytokines by the shared signaling receptor gp130.Molecular cell 12,577−589(2003)を参照されたい。結果は、下記の表7に要約し、
図13に描出した。
【0138】
【表7】
【0139】
【表8】
【0140】
方法
LIFは、HEK 293S(Gnt I
−/−)細胞中において一過性で発現させ、Ni−NTA親和性クロマトグラフィーを使用し、その後に20mMのTris(pH8.0)及び150mMのNaClを用いるゲル濾過クロマトグラフィーによって精製した。組み換えh5D8 Fabは、HEK 293F細胞中で一過性で発現させ、KappaSelect親和性クロマトグラフィーを使用し、その後にカチオン交換クロマトグラフィーによって精製した。精製されたh5D8 Fab及びLIFを1:2.5のモル比で混合し、30分間に渡り室温でインキュベートし、その後にEndoHを用いて脱グリコシル化した。引き続いてゲル濾過クロマトグラフィーを使用して複合体を精製した。この複合体を20mg/mLに濃縮し、希薄マトリックススクリーンを使用する結晶化トライアルのためにセットアップした。結晶は、4℃で、19(v/v)%のイソプロパノール、19(w/v)%のPEG 4000、5(v/v)%のグリセロール、0.095Mのクエン酸ナトリウム(pH5.6)を含有する条件下で形成された。結晶は、カナディアン・ライト・ソース(Canadian Light Source:CLS)での08ID−1ビームラインで3.1Åの分解能に分解した。データを収集し、Kabsch et al.Xds.Acta crystallographica.Section D,Biological crystallography 66,125−132(2010)によってXDSを使用して処理及びスケーリングした。構造は、Phaser as per McCoy et al.Phaser crystallographic software.J Appl Crystallogr 40,658−674(2007)を使用する分子置換法によって決定した。構造が許容可能なR
work及びR
freeに収束するまで、Coot及びphenix.refineを使用して、モデルの構築及び精錬の数回の反復を実施した。Emsley et al.Features and development of Coot.Acta crystallographica.Section D,Biological crystallography 66,486−501(2010);及びAdams,et al.PHENIX:a comprehensive Python−based system for macromolecular structure solution.Acta crystallographica.Section D,Biological crystallography 66,213−221(2010)のそれぞれを参照されたい。図面は、PyMOL(The PyMOL Molecular Graphics System,Version 2.0 Schroedinger,LLC)において生成された。
【0141】
実施例17−h5D8はLIFに対する高度の特異性を有する。
本発明者らは、結合特異性を決定するために、h5D8の他のLIFファミリーメンバーへの結合を試験しようと考えた。Octet96分析を使用すると、h5D8のヒトLIFへの結合は、両方のタンパク質が大腸菌(E.coli)中で生成された場合、LIFの最高ホモロジーIL−6ファミリーメンバーであるオンコスタチンM(OSM)の結合のおよそ100倍である。両方のタンパク質が哺乳動物系中で生成された場合は、h5D8は、OSMへの結合を示さない。データは、表8に要約した。
【0142】
【表9】
【0143】
方法
Octet結合実験:試薬は、製造業者が提供したマニュアルに従って使用及び調製した。基本的速度実験は、下記:センサー/プログラムのセットアップ:i)平衡化(60秒間);ii)装填(15秒間);iii)ベースライン(60秒間);iv)会合(180秒間);及びv)解離(600秒間)のように、Octet Data Acquisitionソフトウェアのバージョン9.0.0.26を使用して実施した。
【0144】
サイトカインに対するh5D8のOctet親和性:基本的速度実験は、Octetデータ取得ソフトウェアのバージョン9.0.0.26を使用して下記のように実施した:アミン反応性第二世代バイオセンサー(AR2G)は、少なくとも15分間に渡り水中で水和させた。h5D8のバイオセンサーへのアミン共役結合は、Amine Coupling Second Generationキットを用いてForteBio Technical Note 26(参考文献を参照されたい)に従って実施した。浸漬ステップは、下記:i)水中での60秒間の平衡化;ii)水中の20mMのECD、10mMのスルホ−NHS中での300秒間の活性化;iii)10mMの酢酸ナトリウム(pH6.0)、10μg/mlのh5D8中での600秒間の固定化;iv)1Mのエタノールアミン(pH8.5)中での300秒間のクエンチ;v)水中での120秒間のベースライン、次に速度実験は、その後の30℃、1000rpmでの浸漬及びリードステップを用いて実施した;vi)1×の反応速度緩衝液中で60秒間のベースライン;vii)1×の反応速度緩衝液中の180秒間のサイトカインの適切な連続希釈液の会合;viii)1×の速度緩衝液中の300秒間の解離;ix)10mMのグリシン(pH2.0)及び1×の反応速度緩衝液それぞれの間で交番する3回の再生/中和サイクル(3サイクルについてそれぞれ5秒間)のように、30℃、1000rpmで実施した。バイオセンサーは、再生後、その後の結合分析のために再使用した。
【0145】
哺乳動物細胞から生成したヒト組み換えLIF(LIF−H521b)は、ACROBiosystemsからであった;哺乳動物細胞中で生成したヒト組み換えOSM(8475−OM/CF)は、R&Dからであった;及び大腸菌(E.coli)細胞中で生成したヒト組み換えOSM(295−OM−050/CF)は、R&Dからであった。
【0146】
実施例18−h5D8 fabの結晶構造
h5D8 Fabの5種の結晶構造は、極めて広範囲の化学的条件下で決定した。これらの構造の高い分解能は、CDR残基の立体構造が低い柔軟性と関連しており、様々な化学的環境において高度に類似であることを示している。この抗体の固有の特徴は、可変重鎖領域の100位における非標準システインの存在である。構造分析は、システインが対になっておらず、溶媒が殆ど到達できないことを示している。
【0147】
h5D8 Fabは、そのIgGのパパイン消化、その後に標準的な親和性、イオン交換及びサイズクロマトグラフィー技術を用いた精製によって得た。蒸気拡散法を使用して結晶を得ると、分解能が1.65Å〜2.0Åの範囲に渡る5種の結晶構造が決定された。全構造は、5種の異なるpHレベル:5.6、6.0、6.5、7.5及び8.5に渡る結晶化条件にもかかわらず、同一結晶空間群に分解され、類似の単位格子寸法(P212121、a〜53.8Å、b〜66.5Å、c〜143.3Å)を備えていた。従って、これらの結晶構造は、結晶充填アーチファクトによって妨げられないh5D8Fabの三次元配置を広範囲の化学的条件に渡って比較することを可能にする。
【0148】
電子密度は、全相補性決定領域(CDR)残基について観察され、これらは引き続いてモデリングされた。著明にも、LCDR1及びHCDR2は、浅部LCDR3及びHCDR3領域と一緒に抗原結合部位の中心で結合溝を形成する細長い立体構造を採用していた(
図14A)。5種の構造は、0.197Å〜0.327Åの範囲に渡る全原子の二乗平均根偏差を伴って、全残基に渡って高度に類似である(
図14A)。これらの結果は、CDR残基の立体構造が5.6〜8.5の範囲に渡るpHレベル並びに150mM〜1Mの範囲に渡るイオン強度を含めて、様々な化学的環境において維持されることを示した。h5D8抗原結合部位の静電表面の分析は、優勢な疎水性パッチを伴わずに正に荷電及び負に荷電した領域が親水特性に同等に寄与することを解明した。h5D8は、HCDR3の塩基(Cys100)での非標準システインの珍しい特徴を有する。全5種の構造において、この遊離システインは整列させられており、ジスルフィドスクランブルを形成することはない。更に、遊離システインは、Cys(システニル化)又はグルタチオン(グルタチオン化)の添加によって改変されず、主鎖と重鎖のLeu4、Phe27、Trp33、Met34、Glu102及びLeu105の側鎖原子とのファンデルワールス相互作用(3.5〜4.3Åの距離)を作り出す(
図14B)。最後に、Cys100は、CDR1及びHCDR3の立体構造を媒介することに関係していると思われる、大部分が埋め込まれた構造残基である。従って、本出願者らの5種の結晶構造におけるこの領域の均質な配置によって観察されるように、他のシステインとの反応性を有する可能性は低い。
【0149】
方法
h5D8−1 IgGは、Catalent Biologicsから入手し、25mMのヒスチジン、6%のスクロース、0.01%のポリソルベート80、pH6.0中で調製した。調製したIgGは、PBS、1.25mMのEDTA、10mMのシステイン中の37℃で1時間に渡り、1:100のμgのパパイン(Sigma)を用いた消化前に、10KのMWCOコンセントレーター(Millipore)を用いてPBS中で広範に緩衝液交換させた。パパイン消化IgGは、AKTA Startクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare)を使用してプロテインAカラム(GE Healthcare)に通して流動させた。h5D8 Fabを含有するプロテインAフロースルーを回収し、10KのMWCOコンセントレーター(Millipore)を使用して20mMの酢酸ナトリウム(pH5.6)中で緩衝液交換させた。結果として生じた試料は、AKTA Pureクロマトグラフィーカラム(GE Healthcare)を使用してMono Sカチオン交換カラム(GE Healthcare)上に装填した。1Mの塩化カリウムの勾配を用いた溶出は、20mMのTris−HCl、150mMの塩化ナトリウム、pH8.0.でのSuperdex 200 Increaseゲル濾過カラム(GE Healthcare)を使用して回収され、濃縮され、均一なサイズに精製された優勢h5D8 Fabピークを生じさせた。h5D8 Fabの高純度は、還元及び非還元条件下でSDS−PAGEにより確証された。
【0150】
精製したh5D8 Fabは、10KのMWCOコンセントレーター(Millipore)を用いて25mg/mLに濃縮した。Oryx 4ディスペンサー(Douglas Instruments)を使用し、20℃で希薄マトリックス96条件の市販のスクリーンJCSG TOP96(Rigaku Reagents)及びMCSG−1(Anatrace)を用いて蒸気拡散結晶化実験をセットアップした。結晶を入手し、5種の結晶化条件:1)0.085Mのクエン酸ナトリウム、25.5(w/v)%のPEG 4000、0.17Mの酢酸アンモニウム、15(v/v)%のグリセロール、pH5.6;2)0.1MのMES、20(w/v)%のPEG 6000、1Mの塩化リチウムpH6.0;3)0.1MのMES、20(w/v)%のPEG 4000、0.6Mの塩化ナトリウム、pH6.5;4)0.085MのHEPESナトリウム、17(w/v)%のPEG 4000、8.5(v/v)%の2−プロパノール、15(v/v)%のグリセロール、pH7.5;及び5)0.08MのTris、24(w/v)%のPEG 4000、0.16Mの塩化マグネシウム、20(v/v)%のグリセロール、pH8.5、に従って4日後に採取した。液体窒素中での急速冷凍の前に、結晶を含有する母液には、必要に応じて5〜15(v/v)%のグリセロール又は10(v/v)%のエチレングリコールを補給した。結晶にはAdvanced Photon SourceでX線シンクロトロン放射を受けさせ、ビームライン23−ID−D(Chicago,IL)及び回折パターンをPilatus3 6M検出器上で記録した。データは、XDSを用いて処理し、構造は、Phaserを用いる分子置換によって決定した。精錬は、Cootにおける反復モデル構築を用いたPHENIXにおいて実施した。図面は、PyMOLにおいて生成された。全ソフトウェアには、SBGridを通してアクセスした。
【0151】
実施例19−h5D8保存結合(preserve binding)のシステイン100での突然変異
h5D8の分析は重鎖の可変領域における100位(C100)での遊離システイン残基を解明した。h5D8変異体は、ヒト及びマウスLIFに対する結合及び親和性を特徴付けるために、C100を各天然型アミノ酸と置換することによって生成した。結合は、ELISA及びOctetアッセイを用いて特徴付けた。結果は、表9に要約した。ELISAのEC50曲線は、
図15に示した(
図15A、ヒトLIF及び
図15B、マウスLIF)。
【0152】
【表10】
【0153】
方法
ELISA:ヒト及びマウスLIFへのh5D8 C100変異体の結合は、ELISAによって決定した。組み換えヒト又はマウスLIFタンパク質を4℃で一晩かけて1μg/mLでMaxisorp 384ウエルプレート上にコーティングした。プレートは、室温で2時間に渡り1×ブロッキング緩衝液を用いてブロックした。各h5D8 C100変異体の滴定を追加し、室温で1時間に渡り結合するに任せた。プレートをPBS+0.05%のTween−20により3回洗浄した。HRP結合抗ヒトIgGを添加し、室温で30分間に渡り結合するに任せた。プレートはPBS+0.05%のTween−20を用いて3回洗浄し、1×のTMB基質を用いて展開させた。反応は1MのHClを用いて停止させ、450nmでの吸光度を測定した。図面及び非線形回帰分析の生成は、Graphpad Prismを用いて実施した。
【0154】
Octet RED96:ヒト及びマウスLIFに対するh5D8 C100変異体の親和性は、Octet RED96システムを用いてBLIによって決定した。h5D8 C100変異体を抗ヒトFcバイオセンサー上に7.5μg/mLで装填し、その後に1×速度緩衝液中で30秒間のベースラインが続いた。ヒト又はマウスLIFタンパク質の滴定は、90秒間に渡り装填されたバイオセンサーに関連しており、300秒間に渡り1×の速度緩衝液中で解離するに任せた。KDは、1:1の包括的フィッティングモデルを使用し、データ分析ソフトウェアによって計算した。
【0155】
実施例20−h5D8はin vitroでgp130へのLIFの結合をブロックする
h5D8がLIFがLIFRに結合することを防止するかどうかを決定するために、Octet RED 96プラットフォームを使用する分子結合アッセイを実施した。h5D8は、抗ヒトFc捕獲によってAHCバイオセンサー上に装填した。次に、バイオセンサーをLIF中に浸漬すると、予想通りに、会合が観察された(
図16A、中央の3番目)。その後に、バイオセンサーを様々な濃度のLIFR中に浸漬した。用量依存性会合が観察された(
図16A、右の3番目)。コントロール実験は、この会合がLIF特異的であり(図示していない)、h5D8又はバイオセンサーとの非特異的相互作用には起因しないことを証明した。
【0156】
h5D8及びLIFの結合を詳細に特徴付けるために、一連のELISA結合実験を実施した。h5D8及びLIFをプレインキュベートし、次に組み換えヒトLIFR(hLIFR)又はgp130の何れかをコーティングしたプレートに導入した。h5D8/LIF複合体とコーティングされた基質との間の結合の欠如は、h5D8が何らかの方法でLIFの受容体への結合を崩壊させたことを示している。更に、LIF(アイソタイプコントロール、(−)で指示した)には結合しなかった、又は公知の結合部位(B09はLIF結合についてgp130又はLIFRの何れかと競合しない;r5D8は、h5D8のラット親バージョンである)でLIFに結合する何れかであるコントロール抗体も又使用した。ELISAの結果は、h5D8/LIF複合体がhLIFRに(r5D8/LIF複合体と同様に)結合できたことを示しており、これは、これらの抗体がLIF/LIFR会合を妨害しないことを示している(
図16A)。これとは対照的に、h5D8/LIF複合体(及びr5D8/LIF複合体)は、組み換えヒトgp130に結合することができなかった(
図16B)。これは、LIFがh5D8に結合した場合に、LIFのgp130結合部位が影響を受けたことを示している。
【0157】
実施例21−ヒト組織中でのLIF及びLIFRの発現
LIF及びLIFRの発現レベルを決定するために、多数の様々なタイプのヒト組織を対象に定量的リアルタイムPCRを実施した。
図17A及び17Bに示した平均発現レベルは、全RNAの100ng当たりのコピー数である。大多数の組織は、全RNAの100ng当たり少なくとも100コピーを発現した。LIF mRNAの発現は、ヒト脂肪組織(腸間膜回腸[1])、血管組織(脈絡叢[6]及び腸間膜[8])及び臍帯[68]組織中で最高であり、脳組織(皮質[20]及び黒質[28])中で最低であった。LIFR mRNAの発現は、ヒト脂肪組織(腸間膜回腸[1])、血管組織(肺[9])、脳組織[11〜28]及び甲状腺[66]組織中で最高であり、PBMC[31]中で最低であった。カニクイザル組織中のLIF及びLIFR mRNAの発現レベルは、ヒト組織中で観察された発現レベルと類似であり、ここでLIF発現は脂肪組織中で高く、LIFR発現は、脂肪組織中で高く、PBMC中で低かった(データは示していない)。
【0158】
図17A及び
図17Bについての組織のナンバリングは:1−脂肪(腸間膜回腸);2−副腎;3−膀胱;4−膀胱(三角部);5−血管(脳:中脳動脈);6−血管(脈絡叢);7−血管(冠動脈);8−血管(腸間膜(結腸));9−血管(肺);10−血管(腎臓);11−脳(扁桃);12−脳(尾状核);13−脳(小脳);14−脳(皮質:前帯状);15−脳(皮質:後帯状);16−脳(皮質:前頭部−側頭部);17−脳(皮質:前頭部−中頭部);18−脳(皮質:後頭部);19−脳(皮質:前頭頂);20−脳(皮質:側頭部);21−脳(背側縫線核);22−脳(海馬);23−脳(視床下部:前部);24−脳(視床下部:後部);25−脳(青斑核);26−脳(延髄);27−脳(側座核);28−脳(黒質);29−胸部;30−盲腸;31−末梢血単核球(PBMC);32−結腸;33−後根神経節(DRG);34−十二指腸;35−卵管;36−胆嚢;37−心臓(左心房);38−心臓(左心室);39−回腸;40−空腸;41−腎臓(皮質);42−腎臓(髄質);43−腎臓(骨盤);44−肝臓(実質);45−肝臓(気管支:主);46−肝臓(気管支:第3次);47−肺(実質);48−リンパ腺(扁桃腺);49−筋肉(骨格);50−食道;51−卵巣;52−膵臓;53−松果体;54−下垂体;55−胎盤;56−前立腺;57−直腸;58−皮膚(包皮);69−脊髄;60−脾臓(実質);61−胃(洞);62−胃(本体);63−胃(基底部);64−胃(幽門管);65−精巣;66−甲状腺;67−気管;68−臍帯;69−尿管;70−子宮(頸部);71−子宮(子宮筋層);及び72−輸精管である。
【0159】
実施例22−用量の選択、用量の増加及び一様な投与
抗LIF抗体の用量選択、用量の増加及び一様な投与については、下記に記載する。h5D8の安全性評価のためには、マウス及びカニクイザルを使用した。
【0160】
100mg/kgまでの週1回IV投与を摂取したマウス及びサルにおける4週間のGLP毒性試験において、治療関連性有害作用は全く観察されなかった。従って、重篤な毒性が発現しない最大投与量(HNSTD)は、>100mg/kgであり、無毒性量(NOAEL)は、本試験の条件下で両方の動物種において100mg/kg IVであると確証された。用量は、ヒト等価量(HED)を確証するためにスケーリングした。HEDを推定するためには、体表面積(BSA)をベースとするスケーリングアプローチを採用した。これらのGLP毒性試験に基づいて、最高推奨初回投与量(MRSD)を下記に示すように推定した:
・ マウスNOAELからの10倍の安全係数を用いた0.81mg/kg IV HED
・ マウスにおける10%に重篤な毒性を発現する投与量に基づく>10mg/kg IV
・ カニクイザルNOAELからの10倍の安全係数を用いた3.2mg/kg IV HED
・ HNSTDの1/6に基づく>16.7mg/kg IV
毒性試験に基づいて、第1相試験における進行癌患者集団のための保存的アプローチを考慮に入れると、1mg/kg(又は75mgの一様な用量)IVのMRSDは、データによって支持された。
【0161】
MRSDを設定する際には、薬理的活性量(PAD)も又考察されてきた。現在までに利用可能なマウス薬理学モデルにおける薬理学、PK及びLIF安定化データに基づいて、下記のアプローチを使用してPADを推定した。U251マウス異種移植片モデルにおける用量反応に基づいて、最適有効用量は、週2回約300μg IPであると思われ、この用量レベルは、約230μg/mLの最終投与前のトラフ血清中濃度と関連していた。血清中LIFレベルの最大安定化はこのモデルにおけるこの300μgの用量で達成されていたというエビデンスがあり、これは更に、10、30及び100mg/kgの用量でのマウスGLP毒性試験における血清中LIF安定化データによっても支持された。サルPKデータに当てはめ、ヒトに対してスケーリングした2コンパートメントモデルを使用すると、3週毎の1500mgの臨床用量は、約500μg/mLのC
troughを提供するであろう。同様に、このU251マウス異種移植片モデルにおける週2回20μgの最小有効量は、約20μg/mLの最終投与前のトラフ血清中濃度と関連していた;この20μgの用量で達成したのは約50%の最大血清中LIF安定化だけであるというエビデンスがあり、これは、マウスPK忍容性試験における0.5mg/kg IVの用量で最小LIF安定化が得られるというエビデンスによって支持された。3週毎の75mgの臨床用量は、約25μg/mLのC
troughを提供するであろう。マウス同系モデルから入手できる追加のPK−PD(LIF安定化)データは、U251マウス異種移植片モデルに由来するPADを支持した。
【0162】
従って、75mg(i.v.)の開始用量は、マウス及びサルにおける両方の毒性試験データ並びにマウス異種移植片モデルにおける最小有効用量に基づいて適切であると見なされた。1500〜2000mgの最高臨床用量は、毒性試験データによって支持された。一様な投与アプローチは、試験物品関連有害所見の非存在と結び付けると、動物モデルにおける線状PKの観察に基づいて適切であった。
【0163】
実施例23−h5D8についての第1相用量エスカレーション及び用量漸増試験
第1相臨床試験は、癌の断面積に対する単剤療法におけるh5D8の安全性プロフィール及び適正な投与を確証するために策定された。主目的は:1)進行性固形腫瘍を有する患者におけるh5D8の安全性及び忍容性を評価する;2)h5D8単剤療法のための推奨用量を決定する;及び3)RECIST 1.1基準に従って、h5D8の全奏効率(ORR)によって測定される、予備的抗腫瘍活性を評価することであった。副次的目的は:h5D8のPK及び免疫原性を特徴付ける;及び2)RECIST 1.1による病勢コントロール率(DCR)及び無増悪生存率(PFS)を含む、進行性固形腫瘍を有する患者における有効性パラメーターを評価することであった。探索的目的は:1)薬物動態、薬力学と患者安全性及び抗腫瘍活性へのh5D8曝露との間の関係を探索する;b)抗腫瘍LIF発現がh5D8の抗腫瘍活性と相関するかどうかを評価する;c)周辺及び腫瘍におけるh5D8の薬力学的作用を特徴付ける、及びd)探索的バイオマーカーにh5D8治療が及ぼす影響を特徴付けることであった。
【0164】
本試験は、オープンラベルの第1相試験として設計され、進行性固形腫瘍患者を登録した。本試験は、Q3Wで1回静脈内に投与されるh5D8の一様な用量を用いる加速滴定3+3デザインで実施され、現在も実施されている(75mg、225mg、750mg、1125mg及び1500mgの用量コホートで)。
【0165】
抗腫瘍反応試験は、癌臨床試験の固形癌の治療効果判定のガイドライン(RECIST)1.1によって評価するように設計した。評価は、ベースライン時及び初期6カ月間は6週毎及び次に確証された疾患の進行又は患者の離脱までのその後は12週間毎に実施するように設計された。有害事象は、有害事象共通用語基準(CTCAE)、バージョン4.03に従って等級分けされ、試験中及び最終治療後30日間は連続的に評価されるように設計された。
患者41例が登録され、投与された。患者の人口学的統計は、表10に示した。
【0166】
【表11】
【0167】
用量制限毒性(DLT)は、下記:1)h5D8に関連がある可能性があるとしてデータレビュー委員会(DRC)と一致して治験責任者の同意の下で評価される、サイクル1後の21日間中の第1日に観察されたもの;2)任意の薬物関連グレード≧3の有害事象(AE)、の通りに規定した。明確な代替の説明及び事前に規定された、自己限定性のグレード3AEを備えるAEは、下記:1)適切な薬物療法を用いると72時間以内にグレード≦2に寛解する疲労、悪心、嘔吐又は下痢;2)臨床上有意ではないと見なされる一過性(持続時間≦72時間)のグレード3の生化学的異常;3)≦72時間持続するグレード3の好中球減少症;及び4)臨床的に有意な出血を伴わないグレード3の血小板減少症、を含めて非DLTであると見なされた。サイクル2の第1日の開始を14日間を超えて遅延させる任意のグレードの薬物関連AEは、DRCによってDLTであると見なされる可能性がある。コホート1〜5の現在までの安全性試験要約は、表11に示した。
【0168】
【表12】
【0169】
何れの用量でも、用量制限毒性又は忍容性問題は観察されていない。概して、これらのデータは、h58が、試験した全ての用量で安全且つ良好に忍容されたことを示している。
【0170】
実施例24−h5D8を用いて治療された患者のケーススタディ
対象0106−002は、転移性疾患のために4ラインの事前の全身性抗癌療法により複数回の予備治療を受けていた、ステージIVの膵臓癌を有する68歳の白人の女性である。対象は、最初はステージII/IIIの中等度から低分化までの膵管腺癌を有すると診断された。対象は、約167日間に渡りネオアジュバントであるFLOFIRINOXを用いて治療され、部分奏効を達成した。対象は、「治癒的」腹腔鏡下膵体尾部切除術及び膵脾合併切除術を受け、その後に約7カ月間に渡りアジュバントのゲムシタビンの投与を受けた時点に、対象は膵床における再発性「進行」を発生した。対象がゲムシタビン及びAbraxaneによる治療を約2カ月間受けると、部分奏効の最良効果が得られたが、その後に膵床及び腹腔リンパ節における「進行」が続いた。対象はその後、約2週間に渡り5FU及びOnivyde(リポソームイリノテカン)を摂取したが、これは毒性のために投薬中止された。約2カ月間、対象は研究用Wnt阻害剤(Samumed)を用いて治療されたが、横隔膜の上下の悪性リンパ節腫脹症を伴う「進行」を有していた。約4カ月間に渡り、対象は、ピリミジンヌクレオシド代謝阻害剤(Fujiflim)を摂取し、「部分奏効」である最良効果が生じた。対象は、X線所見上の進行並びに増加するCA19−9が確証されたので、h5D8臨床試験に登録された。彼女がh5D8臨床試験の前に受けた治療の結果は、表13に要約した。(PR=部分奏効;PD=進行;SD=安定)
【0171】
【表13】
【0172】
対象は、彼女のh5D8の初回用量を1125mgで摂取したが、ごく最近の用量は、約165日後のサイクル9(C9)(1500mg)であった。ベースライン時に、対象は、臨床的に有意な検査異常値を有していなかった;米国東海岸癌臨床試験グループ(「ECOG」)ステータス=1;1658の上昇したCA19−9。2本のリンパ節(1本は胸部及び1本は腹部)は標的病変であると同定されたが、腹部リンパ節腫脹症は非標的病変であると同定された。サイクル3の第1日(「C3D1」)に、彼女のECOGステータスは0に改善し、CA19−9は1069に低下し、総合RECIST効果は「安定」であった。歴史的に、CA19−9は、疾患の信頼できる予測マーカーであった。医師によると、腹痛のために必要とされたオキシコドンの使用は、もはや必要ではなかった。対象はサイクル6を摂取し、約2週間後、患者の鎮痛要件は増大し、治験実施機関からは遠隔の地で入院した。現在、対象は、1日2回、麻薬性鎮痛薬を必要とするベースラインに戻っている。対象は、反復スキャンを受け、「安定」を示した。彼女のCA19−9はサイクル5の時点に増加したが、サイクル9にはベースラインより下及びサイクル3での初期低下より下に戻った。結果は表13に示した。対象は、治療からの有害事象を全く経験しなかった。
【0173】
【表14】
【0174】
対象0102−001は、6ラインの全身性抗癌療法によって複数回の予備治療を受けていたステージIVの子宮平滑筋肉腫を有する78歳の白人女性である。対象は、最初にT1B子宮平滑筋肉腫を有すると診断され、治癒的TAH/BSOを受けた局所的再発が初期診断の約3年後に発生したが、これは外科的切除術により治療された;化学放射線療法は拒否された。対象は、約2年後に再発し、4サイクルのゲムシタビン及びドセタキセルにより治療されたがまちまちな応答を示した。対象は次に、3サイクルのドキシルを摂取し、得られた最良効果は「進行」であった。この後に2カ月間のビノレルビンが摂取され、得られた最良効果はPDであった。トラベクチジンは、約4カ月間投与されてまちまちな応答を示し、毒性のために投薬が中止された。対象は、次に4カ月間のDTICにより治療されたが、得られた最良効果はPDであった。対象は、約22日間に渡り10分割での計3750cGyに渡り主要骨髄内腫瘤への放射線療法(XRT)を受け、引き続いて約1カ月間に渡りVotrientを摂取したが、得られた最良効果はPDであった。彼女の以前の治療の結果は、表14に示した。
【0175】
【表15】
【0176】
ベースライン時に、対象は臨床的有意な検査値を有していなかった;ECOG=1、及び13の上昇したCA−125。対象は、h5D8の初回用量を750mgで摂取し、彼女のCA−125はC3によって9へ減少していた。C5の評価時、彼女のCA−125は8であり、総合RECIST効果は、「安定」であった。
【0177】
彼女のベースラインスキャンから、1カ所の肺病変、1カ所の肝病変、2カ所の直筋及び1カ所の骨盤盲嚢病変が標的病変であると同定され、腹腔病変は、非標的病変であると同定された。C7の評価時、彼女のCA−125は9であり、対象は、「安定」の総合RECIST効果を有していた。3カ所の標的病変及び以前の放射線療法ポートのC7画像は、
図18A〜Cに示した。上記の結果は、表15に示した。
【0178】
【表16】
【0179】
対象0101−001は、転移性疾患のために一次全身性抗癌療法を受けていた、ステージIVのKRAS+結腸直腸癌を有する50歳の白人女性である。対象は、最初にステージIIIの中等度分化型結腸直腸腺癌(T3N2M0)を有すると診断された。対象は、治癒的ロボット使用低位前方切除術を受け、その後に約7カ月間に渡りアジュバントの5FU及びFOLFOXを摂取した。対象は約2年後に肺転移を再発し、待機的管理を選択し、彼女のステージIV疾患のために緩和的全身性療法を受けなかった。再発の約1年後、肺転移は進行し続けた。対象は、mCRCのための第一線化学療法を拒絶し、彼女の第一線療法としてh5D8臨床試験を選択した。
【0180】
対象は、彼女のh5D8の初回用量を225mgで摂取し、最近の用量は、約4カ月後のC6(750mg)であった。ベースライン時に、対象は、臨床的有意な検査異常を有していなかった;ECOGステータス=0;11.8の上昇した腫瘍マーカー(CEA)。2カ所の右肺下葉が標的病変であると同定され、2カ所の非標的病変(卵巣及び骨)が同定された。C3評価時に、応答は「安定」であり、CEAは、11.8に上昇していた。C5評価時に、対象は「安定」を有していたが、C6治療後に放射線的進行が続いた。結果は、表16に示した。
【0181】
【表17】
【0182】
対象0106−005は、卵管癌を有する75歳の白人女性である。対象は、治癒的TAH BSO、LN摘出術及び減量術を受け、その後にアジュバントのカルボプラチン及びタキソールを投与された。対象は、約5年後に悪性腺症を再発し、大動脈分岐部でのLNへの緩和的放射線療法(55cGy)を受けた。対象はLNの進行を有し、大動脈周囲のLNへの緩和的放射線療法(60cGy)を受けた。対象は、肺転移を発現し、約1カ月間に渡り治験薬であるBET阻害剤を用いて治療されたが、これは毒性のために投薬が中止され、その後に約4カ月間に渡り治験薬の抗PD−1が投与され、「安定」の最良効果が得られた。次に対象は約200日間に渡り治験薬のTIGIT阻害剤を用いて治療され、「安定」の最良効果が得られた。進行後、対象は約4カ月間に渡り治験薬のモノクローナル抗体を用いて治療され、「安定」の最良効果が得られた。対象は、進行が確証され、h5D8臨床試験に登録された。彼女の以前の治療の結果は、表17に示した。
【0183】
【表18】
【0184】
対象は、h5D8の初回投与の750mgを摂取した;C4での2カ月後、h5D8サイクルの用量は、1125mgに増量された。彼女の最終用量(C6)は、この用量エスカレーションの約44日後に投与された。対象は、治療の約1カ月後に放射線的進行を有し、彼女のEOT(治験薬投与終了)来院を実施した。ベースライン時に、対象は臨床的有意な検査値を有しておらず、ECOGパフォーマンスステータス=1であった。対象は、血液中の腫瘍マーカーを発現しなかった。2カ所の肺病変(1カ所は右上肺葉及び1カ所は左胸郭入口)が標的病変であると選択され、非標的病変としては複数の肺結節が選択された。対象は、治療関連性有害事象を経験しなかった。これらの治験の結果は、表18に示した。
【0185】
【表19】
【0186】
対象0301−002は、卵巣癌を有すると診断された66歳の白人女性である。対象は、ネオアジュバントであるカルボプラチン及びタキソールにより治療され、その後に約4カ月後に治癒的子宮摘出術、BSO及び大網切除術を受け、更に約3カ月間に渡り追加のカルボプラチン/タキソール投与が行われた。対象は約8カ月間で再発し、約6カ月間に渡りカルボプラチン/タキソールを用いた緩和的化学療法を摂取した;最良効果は報告されていない。対象はこの化学療法の約3カ月後に放射線的進行を示し、約7カ月間に渡りドキソルビシンにより治療され、「安定」の最良効果が得られた;対象は、約4カ月後に再度進行した。対象は、次に約3カ月間に渡り単剤のタキソールを摂取したが、得られた最良効果は「進行」であった。約6カ月間、対象はゲムシタビン及びカルボプラチンにより治療され、「安定」の最良効果が得られた。対象は、この治療の約3カ月後に放射線的進行を有し、h5D8臨床試験に登録された。彼女の以前の治療からの結果は、表19に示した。
【0187】
【表20】
【0188】
対象は、1500mgのh5D8の初回投与を摂取した。彼女の直近の投与C7は、約5カ月後であった。ベースライン時に、対象は臨床的有意な検査値を有しておらず、ECOGパフォーマンスステータス=0であった。彼女のCA−125は、ベースライン時に412.3であった。3カ所の病変(1カ所は膵インプラント、1カ所は下肋部における軟部組織及び1カ所の胸膜結節)が標的病変として選択され、3カ所の非標的病変(肝臓、腹膜及び後腹膜結節)が同定された。対象は、治療関連性有害事象を経験しなかった。彼女の治験の結果は、表20に示した。
【0189】
【表21】
【0190】
対象0102−004は、頭頸部癌と診断された65歳の白人女性である。対象は、治癒的全舌切除術を受け、1カ月後にアジュバント放射線療法(6000cGy)を受けた。対象は約10カ月後に肺転移を伴って再発し、その後に約1週間に渡り放射線照射(5000cGy)を受けた。肺疾患の進行が見られ、放射線照射の8カ月後に新規な骨転移が見られ、対象は約1年間と45日間に渡りイピリムマブ及びニボルマブにより治療され、「安定」の最良効果が得られた。対象は、放射線的進行を有し、h5D8臨床試験に登録された。彼女の以前の治療の結果は、表21に示した。
【0191】
【表22】
【0192】
対象は、彼女のh5D8の初回用量を1500mgで摂取し、直近の用量は、約155日後のC7の投与であった。ベースライン時に、対象は臨床的有意な検査値を有しておらず、ECOGパフォーマンスステータス=1であった。対象は、末梢血腫瘍マーカーを発現しなかった。4カ所の病変(2カ所の肺病変及び2カ所の胸膜病変)は、標的病変であると選択され、2カ所の骨病変は、非標的病変であると同定された。結果は、表22に示した。
【0193】
【表23】
【0194】
対象0201−003は、粘液性脂肪肉腫を有すると診断された57歳の白人男性である。対象は、ネオアジュバントであるアドリアマイシン及びイフォスファミドにより約4カ月間及び右脹脛へのネオアジュバントの放射線療法(5000cGy)により約35日間に渡り治療された。対象は次に、右脹脛の治癒的な広範な切除術、後脛骨神経の切除術並びに膝窩、前脛骨及び後脛骨及び腓骨血管の摘出術を受けた。対象は、胸膜疾患及び胸部における悪性リンパ節腫脹症を再発した。対象は、約41日間に渡りゲムシタビン及びタキソテレにより治療され、得られた最良効果は「進行」であった。対象は次に、4カ月間に渡りダカルバジンにより治療され、「部分奏効」の最良効果が得られた。対象は、22日後に放射線的進行を有し、h5D8臨床試験に登録された。彼女の以前の治療の結果は、表23に示した。
【0195】
【表24】
【0196】
対象は、彼女のh5D8の初回用量を1125mgで摂取し、直近の用量は、約136日後の(C6)(1500mg)であった。ベースライン時に、対象は、臨床的有意な検査異常値を有しておらず、ECOGパフォーマンスステータス=1であった。対象は、末梢血腫瘍マーカーを有していなかった。2カ所の胸膜塊が標的病変として選択され、3カ所(1カ所の胸膜塊及び2カ所のLNS)の非標的病変が選択された。結果は、表24に示した。対象は、治療関連性有害事象を経験していなかった。
【0197】
【表25】
【0198】
実施例25−h5D8治療への陽性の応答を示すバイオマーカー
対象0201−003は、骨髄性脂肪肉腫を有すると診断された57歳の白人男性である。彼の現在の治療の結果は、表23に示した。12週間後の対象のh5D8C5の評価は、彼の巨大な肺転移性標的病変のRECIST基準によると増加を示さなかった(167mm)。表24を参照されたい。対象は治療レジメン(+14週間)を受けており、最良効果は「安定」であると記録された。h5D8治療のバイオマーカーを決定するために転移性肺部位からの生検試料を収集した。生検が採取された時点に、対象は、飽和LIF安定化のエビデンスを示した。対象0201−003のLIF安定化は、
図19に示した。
【0199】
抗腫瘍免疫についてのバイオマーカーは、「治療中(on−treatment)」生検において予備h5D8治療に比較して観察された。結果は、
図20A〜Cに示した。結果は、CD8陽性T細胞浸潤における増加を示しており、更に腫瘍関連性マクロファージ(「TAM」)集団における増加も又示している。
図20Aを参照されたい。TAMは、免疫賦活表現型(MHCII+)を示した。
図20Bを参照されたい。pSTAT3+核における減少も又観察された。
図20Cを参照されたい。
【0200】
対象0301−003は、ステージIVの後腹膜傍神経節腫を有する47歳の白人女性である。彼女のh5D8治療前の結果は、表25に示した。
【0201】
【表26】
【0202】
6週間後の彼女のh5D8 C3の評価は、肺及び肝臓転移性標的病変のRECIST基準による安定性CEAレベル(0.5ng/ml)及び「安定」を示した。対象は、治療レジメン(+11週間)に留まり、最良効果は「安定」であったと記録された。h5D8治療のバイオマーカーを決定するために、転移性肝臓部位からの生検試料を収集した。LIF安定化データは、この時点には処理されなかった。
【0203】
抗腫瘍免疫についてのバイオマーカーは、「治療中」生検において予備h5D8治療に比較して観察された。結果は、
図21A〜Cに示した。これらの結果は、CD8陽性T細胞浸潤における増加を示した。
図21A及び抑制表現型(CD163+;CD206+)に向かう低下したTAM偏極を参照されたい。
図21Bを参照されたい。pSTAT+核における減少も又観察された。
図21Cを参照されたい。
【0204】
対象0301−004は、ステージIVの膵臓腺癌を有する74歳の白人男性である。対象は、h5D8治療の前に2種の治療を受けていた。彼の以前の治療の結果は、表26に示した。
【0205】
【表27】
【0206】
対象0301−004は、極めて侵襲性の強い癌を有し、これはFOLFOX上の即時「進行」状態を含めて、腫瘍発生時に投与された2種の第一線治療療法に本質的に急速に失敗した。対象は、h5D8治療レジメン(6週間)を受けた。生検試料は、転移性肝臓部位から収集した。LIF安定化データは、この時点には処理されなかった。
【0207】
抗腫瘍免疫についてのバイオマーカーは、「治療中」生検において予備h5D8治療に比較して観察された。結果は、
図22に示した。免疫組織化学検査は、LIF
lowと特徴付けられる対象を生じさせた。高度に攻撃性の化学療法レジメンを受けていて迅速な疾患進行にもかかわらず、CD8+T細胞集団の拡張が腫瘍微小環境において観察された。
図22を参照されたい。マクロファージ集団への穏当な作用が観察された(データは示していない)。更に、pSTAT3+核における差は観察されなかった(データは示していない)。
【0208】
対象0201−004は、ステージIVの黒色腫を有する66歳の白人男性である。対象には、h5D8臨床試験の前に1種の治療が投与されていた。最良効果は評価できず、結果は示されていない(ニボルマブ;4カ月間)。失敗に終わったニボルマブ治療は、深刻な腫瘍免疫抑制を示した。対象は、治療レジメン(6週間)を受けており、最良効果は「進行」であると記録された。生検試料は、転移性皮膚部位から収集した。生検試料の収集時、対象においては概して高レベルのLIFが安定化アッセイによって観察され、LIF安定化の飽和のエビデンスは得られなかった。LIF安定化アッセイの結果は、表23に示した。
【0209】
抗腫瘍免疫についてのバイオマーカーは、「治療中」生検において予備h5D8治療に比較して観察された。結果は、
図24に示した。免疫組織化学的検査は、LIF
highと特徴付けられる対象を生じさせた。マクロファージ分析は、腫瘍微小環境(TME)に限定され、T細胞活性における変化を殆ど示さなかった(データは示していない)。MHCII+では、増加したマクロファージ表現型偏極が観察された。
図24を参照されたい。用手病理検査の予備試験結果は、pSTAT3+核が治療中試料において減少することを示している。
【0210】
対象0301−002は、卵巣癌を有すると診断された66歳の白人女性である。彼女の現在の治療の結果は、表19に示した。12週間後の対象のh5D8 C5の評価は、CA19−9(412〜1072U/ml)における増加を示したが、彼女の標的病変はRECIST基準による有意な増加を示さなかった(107〜109mm)。表20を参照されたい。対象は治療レジメン(+16週間)を受けており、最良効果は「安定」であると記録された。h5D8治療のバイオマーカーを決定するために、転移性リンパ節部位からの生検試料を収集した。生検が採取された時点に、対象は、飽和LIF安定化のエビデンスを示した。対象0201−003のLIF安定化は、
図25に示した。
【0211】
抗腫瘍免疫についてのバイオマーカーは、「治療中」生検において予備h5D8治療に比較して観察された。腫瘍免疫バイオマーカーにおける観察可能な変化はなかった(データは示していない)。免疫組織化学検査は、LIF
lowと特徴付けられる対象を生じさせた。
【0212】
効果的なh5D8治療のためのバイオマーカーを決定するための上記のアッセイの結果の要約は、表27に示した。複数のパラメーターは、増加した抗腫瘍免疫、TAM調節及びLIFシグナル伝達にh5D8治療が及ぼす効果を証明している(NC=変化なし;NE=効果なし)。
【0213】
【表28】
【0214】
実施例26−hD5を投与された対象におけるh5D8のPK/PD
ヒトにおけるh5D8抗体の薬物動態を決定するために、h5D8のレベルを臨床試験から治療された患者の血清中で測定した。手短には、ヒト血清試料中のh5D8抗体の定量は、サンドイッチイムノアッセイによって実施した。患者の血清試料中のh5D8抗体は、rhuLIF(組み換えヒトLIF)被覆MSDプレート上に捕捉し、スルホ標識抗ヒトIgG(スルホ抗h5d8−Fab2−IgG)抗体により検出した。スルホシグナルは、MSDリーダーS600によって測定し、h5D8標準曲線を使用して定量した。
図26に示した結果は、h5D8が約17日間の推定半減期を伴う標準薬物動態を示すことを明らかにした。更に、これらの結果は、h5D8が3週毎の750〜1500mgの用量範囲に渡って線形PKを示し、標的媒介性薬物動態の飽和が225mg超で発生することを示している。
【0215】
標的LIFがh5D8抗体に関与するかどうかを決定するために、捕捉ELISAアッセイを使用して治療後の全LIFレベルを決定した。LIFの半減期は血漿中では比較的に短く、h5D8によって結合されると増加し、増加した血漿中LIFレベルをもたらす。従って、末梢血中のLIFレベルの増加は、ターゲットエンゲージメントを指示する。
図27A〜Bは、h5D8の静脈内投与を摂取した後の複数の患者における全LIFレベルの時間経過を示している。これらをまとめると、データは、非飽和投与レベルでの3サイクルの薬物投与後の標的飽和を示している(コホート2〜3)。
図27Bを参照されたい。
【0216】
患者血清試料中の全LIFレベルは、サンドイッチイムノアッセイによって定量した。手短には、MSDプレートは、抗LIF A4捕捉抗体(ウサギモノクローナル)を用いてスポットコーティングした。患者血清試料と共にインキュベーションした後、結合LIF/h5D8複合体は、スルホタグ標識抗LIF抗体7C3 PB001によって検出した。スルホシグナルは、MSDリーダーS600によって測定し、患者血清LIF/h5D8レベルは、rhLIF/h5D8標準曲線を使用して定量した。
【0217】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示して記載してきたが、当業者にはそのような実施形態が例としてのみ提供されていることは明白であろう。今では、本発明から逸脱することなく、当業者であれば、数多くの変形、変化及び置換を思い付くであろう。本発明を実施する際には、本明細書に記載した本発明の実施形態の様々な変形を使用できることを理解すべきである。
【0218】
全ての刊行物、特許出願、交付済み特許及び本明細書に言及した他の文献は、各個別の刊行物、特許出願、交付済み特許又は他の文献が詳細に、且つ個別にその全体として参照により本明細書に組み込まれると指示されたかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参考文献によって組み込まれた本文中に含有される定義は、本開示における定義とそれらが矛盾する程度まで除外される。
【0219】
配列表
【表29】
【0220】
【表30】
【0221】
【表31】