特表2021-523938(P2021-523938A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-523938神経ステロイド誘導体およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-523938(P2021-523938A)
(43)【公表日】2021年9月9日
(54)【発明の名称】神経ステロイド誘導体およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07J 7/00 20060101AFI20210813BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20210813BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20210813BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20210813BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20210813BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20210813BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20210813BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20210813BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20210813BHJP
   A61K 31/57 20060101ALI20210813BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210813BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20210813BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20210813BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20210813BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20210813BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20210813BHJP
   A61K 9/02 20060101ALI20210813BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20210813BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20210813BHJP
【FI】
   C07J7/00CSP
   A61P25/24
   A61P25/22
   A61P25/04
   A61P29/00
   A61P21/00
   A61P25/08
   A61P25/16
   A61P25/14
   A61K31/57
   A61P43/00 121
   A61K45/00
   A61P43/00 123
   A61K47/44
   A61K47/26
   A61K47/14
   A61K9/06
   A61K9/02
   A61K9/70 401
   A61K47/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2021-510564(P2021-510564)
(86)(22)【出願日】2019年5月3日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月19日
(86)【国際出願番号】IB2019000517
(87)【国際公開番号】WO2019211668
(87)【国際公開日】20191107
(31)【優先権主張番号】16/403,100
(32)【優先日】2019年5月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/667,100
(32)【優先日】2018年5月4日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520429587
【氏名又は名称】アセラス ファーマシュウティカルズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライソン,ナーサン
(72)【発明者】
【氏名】シャーマ,アヴィナッシュ,チャンダー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C091
【Fターム(参考)】
4C076AA01
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA12
4C076AA17
4C076AA22
4C076AA24
4C076AA29
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA72
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB21
4C076BB24
4C076BB25
4C076BB29
4C076BB30
4C076BB31
4C076CC01
4C076CC42
4C076DD29G
4C076DD46A
4C076DD68A
4C076EE53A
4C076FF02
4C076FF17
4C076FF57
4C084AA19
4C084AA27
4C084MA02
4C084MA13
4C084MA16
4C084MA17
4C084MA22
4C084MA23
4C084MA28
4C084MA31
4C084MA32
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA43
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA58
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA051
4C084ZA052
4C084ZA061
4C084ZA062
4C084ZA081
4C084ZA082
4C084ZA121
4C084ZA122
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086DA10
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA16
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA28
4C086MA31
4C086MA32
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA56
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086NA15
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZC75
4C091AA01
4C091BB01
4C091CC01
4C091DD01
4C091EE05
4C091FF01
4C091GG01
4C091HH01
4C091JJ03
4C091KK01
4C091LL01
4C091MM03
4C091NN01
4C091PA02
4C091PA05
4C091PB02
4C091QQ01
4C091RR09
(57)【要約】
本発明は、改善された溶解性および生物学的利用能を有する、ガナキソロンおよびアロプレグナノロンの誘導体などの新規の神経ステロイド誘導体化合物を企図する。新規の神経ステロイド誘導体化合物は、以下の式(I)および(II)を特徴とし、式中、Rがメチルまたは水素であり、Rがエステル官能基(R−C(O)O−)であり、Rが水素であり、Rがアルファまたはベータ水素であり、RがR−CO−または任意の炭化水素構造(R−)であり、R(RまたはR中)が独立して、線状または分岐、飽和または不飽和である10個以下の炭素原子を含む任意の構造から選択され、構造内に環状または芳香族官能基を含み得、Rが1つ以下のOHもしくはNR、または2つのエーテルもしくはチオエーテル官能基を含有する。
【化1】

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む式を有する神経ステロイド化合物であって、
【化1】
式中、Rがメチルまたは水素であり、Rがエステル官能基(R−C(O)O−)であり、Rが水素であり、Rがアルファまたはベータ水素であり、RがR−CO−または任意の炭化水素構造(R−)であり、R(RまたはR中)が独立して、線状または分岐、飽和または不飽和である10個以下の炭素原子を含む任意の構造から選択され、前記構造内に環状または芳香族官能基を含み得、Rが1つ以下のOHもしくはNR、または2つのエーテルもしくはチオエーテル官能基を含有する、神経ステロイド化合物。
【請求項2】
R1がメチルであり、R2が生理学的に切断可能なエステルであり、R4がアルファ配置である、請求項1に記載の神経ステロイド化合物。
【請求項3】
R1が水素であり、R2が生理学的に切断可能なエステルであり、R4がアルファ配置である、請求項1に記載の神経ステロイド化合物。
【請求項4】
(a)請求項1に記載の生理学的に切断可能なエステル化合物の化合物または混合物と、(b)薬学的に許容される油性ビヒクルと、を含む、医薬組成物。
【請求項5】
前記薬学的に許容される油性ビヒクルが、植物油とスクロースアセテートイソブチレート(SAIB)との混合物である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記薬学的に許容される油性ビヒクルが、植物油または植物油の混合物である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記薬学的に許容される油性ビヒクルが、約75%を超えるヒマシ油からなる、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記薬学的に許容される油性ビヒクルが、75%を超える中鎖トリグリセリド(MCT)の神経ステロイド化合物からなる、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記薬学的に許容される油性ビヒクルが、SAIBである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の生理学的に切断可能なエステル化合物の前記化合物または混合物が、前記組成物の約1重量%〜約75重量%の量の神経ステロイド化合物を含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物が、湿潤剤をさらに含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬組成物が、増粘剤をさらに含む、請求項4または11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物が、水をさらに含む、請求項4、11または12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬組成物が、チキソトロピー性である、請求項12または13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記医薬組成物が、固体またはワックスである、請求項12または13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記医薬組成物が、それを必要とする対象に投与するためにカートリッジ、注射器、スプレーボトル、パッチ、またはディスペンサーボトルなどの医療デバイスに配置される、請求項4および11〜14のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記医薬組成物が、それを必要とする対象に投与するためにゲルカプセルに配置される、請求項4および11〜14のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記医薬組成物が、それを必要とする対象に投与するための局所剤形(クリーム、ゲル、またはパッチ)である、請求項4および10のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記医薬組成物が、それを必要とする対象に投与するための坐剤である、請求項4および11〜14のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記医薬組成物が、それを必要とする対象に投与するために注射用の注射器に配置される、請求項4、6および10のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記医薬組成物が、それを必要とする対象に投与するために注射用の注射器に配置される、請求項4、6および10のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項22】
請求項1に記載の化合物のいずれか1つまたは混合物の1日あたり最大約5〜500mgの1日用量を提供する、医薬組成物。
【請求項23】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の生成物または組成物が、気分障害(任意の形態のうつ病、大うつ病、産後うつ病、双極性障害、不安症)、疼痛(神経因性疼痛、線維筋痛)、または運動障害(発作、てんかん、不随意運動(パーキンソン病)、運動異常、振戦、RLS)を治療するためにそれを必要とする患者への治療を含む、使用方法。
【請求項24】
前記治療において、請求項1〜20のいずれか一項に記載の生成物または組成物および別の薬剤(より具体的には、前記油性ビヒクルと適合性のある薬剤)を組み合わせることを含む、使用方法。
【請求項25】
以下を含む式を有する神経ステロイド化合物であって、
【化2】
式中、Rがメチルまたは水素であり、Rがエステル官能基(R−C(O)O−)であり、Rが水素であり、Rがアルファまたはベータ水素であり、RがR−CO−または任意の炭化水素構造(R−)であり、R(RまたはR中)が独立して、線状または分岐、飽和または不飽和である10個以下の炭素原子を含む任意の構造から選択され、前記構造内に環状または芳香族官能基を含み得、Rが1つ以下のOHもしくはNR、または2つのエーテルもしくはチオエーテル官能基を含有する、神経ステロイド化合物。
【請求項26】
(a)請求項25に記載の生理学的に切断可能なエステル化合物の化合物または混合物と、(b)薬学的に許容される油性ビヒクルと、を含む、医薬組成物。
【請求項27】
前記薬学的に許容される油性ビヒクルが、植物油とスクロースアセテートイソブチレート(SAIB)との混合物である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記薬学的に許容される油性ビヒクルが、植物油または植物油の混合物である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記薬学的に許容される油性ビヒクルが、約75%を超えるヒマシ油からなる、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記薬学的に許容される油性ビヒクルが、75%を超える中鎖トリグリセリド(MCT)の神経ステロイド化合物からなる、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記薬学的に許容される油性ビヒクルが、SAIBである、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項32】
請求項1に記載の生理学的に切断可能なエステル化合物の前記化合物または混合物が、前記組成物の約1重量%〜約75重量%の量の神経ステロイド化合物を含む、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記医薬組成物が、湿潤剤をさらに含む、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記医薬組成物が、増粘剤をさらに含む、請求項25または33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記医薬組成物が、水をさらに含む、請求項25、33または34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記医薬組成物が、チキソトロピー性である、請求項34または35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記医薬組成物が、固体またはワックスである、請求項34または35に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記医薬組成物が、それを必要とする対象に投与するためにスプレー、吸入剤、またはエアロゾルディスペンサーに配置される、請求項25および33〜36のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記医薬組成物が、それを必要とする対象に投与するためにゲルカプセルに配置される、請求項4および33〜36のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記医薬組成物が、それを必要とする対象に投与するための坐剤である、請求項4および33〜36のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項41】
請求項25に記載の化合物のいずれか1つまたは混合物の1日あたり最大約500mgの1日用量を提供する、医薬組成物。
【請求項42】
R1がメチルであり、R2が生理学的に切断可能なエステルであり、R4がアルファ配置である、請求項25に記載の神経ステロイド化合物。
【請求項43】
R1が水素であり、R2が生理学的に切断可能なエステルであり、R4がアルファ配置である、請求項25に記載の神経ステロイド化合物。
【請求項44】
医薬組成物であって、(1)エステル化されたガナキサロン誘導体と、(2)油性ビヒクルと、(3)湿潤剤もしくは湿潤剤の混合物および/または薬学的に許容される界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物と、を含む、医薬組成物。
【請求項45】
医薬組成物であって、(1)エステル化されたガナキサロン誘導体と、(2)油性ビヒクルと、(3)湿潤剤もしくは湿潤剤の混合物および/または薬学的に許容される界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物と、(5)増粘剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項46】
医薬組成物であって、(1)エステル化されたガナキサロン誘導体と、(2)油性ビヒクルと、(3)湿潤剤もしくは湿潤剤の混合物および/または薬学的に許容される界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物と、(4)増粘剤と、(5)任意に水と、を含む、医薬組成物。
【請求項47】
チキソトロピー性医薬組成物であって、(1)エステル化されたガナキサロン誘導体と、(2)油性ビヒクルと、(3)湿潤剤もしくは湿潤剤の混合物および/または薬学的に許容される界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物と、(4)増粘剤と、(5)任意に水と、を含む、チキソトロピー性医薬組成物。
【請求項48】
前記増粘剤が、コロイド状シリカである、請求項47に記載のチキソトロピー性医薬組成物。
【請求項49】
前記神経ステロイドが、プロピオン酸ガナキソロン、エナント酸ガナキソロン、シピオン酸ガナキソロン、ウンデカン酸ガナキソロン、およびそれらの組み合わせまたは混合物からなる神経ステロイドの群から選択される、請求項1に記載の神経ステロイド。
【請求項50】
前記神経ステロイドが、プロピオン酸ガナキソロン、エナント酸ガナキソロン、シピオン酸ガナキソロン、ウンデカン酸ガナキソロン、およびそれらの組み合わせまたは混合物からなる神経ステロイドの群から選択される、請求項25に記載の神経ステロイド。
【請求項51】
対象、例えば、動物またはヒトを病状に対して治療するための医薬組成物であって、前記対象が、前記病状のための治療を必要とし、前記方法組成物が、
(a)プロピオン酸ガナキソロン、エナント酸ガナキソロン、シピオン酸ガナキソロン、ウンデカン酸ガナキソロン、およびそれらの組み合わせまたは混合物からなる神経ステロイドの群から選択される神経ステロイドと、
(b)薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項52】
対象、すなわち動物またはヒトを病状に対して治療する方法であって、前記対象が、前記病状を治療するための治療を必要とし、前記方法が、
前記対象を前記病状に対して治療するために、有効量の請求項4〜24および51に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項53】
前記病状が、疼痛である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記疼痛が、急性疼痛である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
神経因性疼痛における前記疼痛、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記病状気分障害、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記気分障害が、うつ病である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記病状が、運動障害である、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記運動障害が、発作、てんかん、振戦、およびパーキンソン病からなる気分障害の群から選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
対象、すなわち動物またはヒトを病状に対して治療する方法であって、前記対象が、前記病状を治療するための治療を必要とし、前記方法が、
前記対象を前記病状に対して治療するために、有効量の請求項25〜41および51に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項61】
前記病状が、疼痛である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記疼痛が、急性疼痛である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記疼痛が、神経因性疼痛である、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記病状気分障害、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記気分障害が、うつ病である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記病状が、運動障害である、請求項60に記載の方法。
【請求項67】
前記運動障害が、発作、てんかん、振戦、およびパーキンソン病からなる運動障害の群から選択される、請求項66に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本出願は、2018年5月4日に申請された米国仮出願第62/667,100号に対する優先権およびその利益を主張し、あたかも本明細書に完全に記載されているかのように、その全体が参照により組み込まれる。
【0003】
本発明は、改善された溶解性および生物学的利用能を有する新しい神経ステロイド誘導体化合物、および有効成分として新規の神経ステロイド誘導体化合物を含む医薬組成物、および神経ステロイド誘導体化合物で製剤された新規の医薬組成物、神経ステロイド誘導体化合物で製剤された医薬品の製造品、さらに疼痛、例えば、急性疼痛および/または神経因性疼痛、および線維筋痛、気分障害、例えば、うつ病、大うつ病、産後うつ病、双極性障害、不安症、ならびに運動障害、例えば、てんかん、振戦、およびパーキンソン病などの病状を治療するため、また療法効果および成果を改善するためのその療法的使用に関する。
【背景技術】
【0004】
神経ステロイドは、ホルモン作用を欠いているが、イオンチャンネル型受容体の調節を通じて神経細胞の興奮性に影響を与えるステロイドホルモン誘導体である。神経ステロイドは、天然(脳で産生される)および合成にさらに細分される。一部の著者は、天然ステロイドのグループでホルモン性神経ステロイドおよび通常の神経ステロイドを区別する。アロプレグナノロンまたはテトラヒドロデオキシコルチコステロンのようなホルモン代謝物を含む後者のグループは、ホルモン活性を欠いている。しかし、ホルモンおよびその誘導体の両方が、ほとんどの生理学的機能を共有する。通常、ホルモンおよびその代謝物の影響を区別するのは非常に困難である。これらのすべての物質は、アポトーシス促進因子および抗アポトーシス因子の発現、細胞内シグナル伝達経路、神経伝達、酸化、ならびに炎症プロセスの調整においてそれらの活性に影響を及ぼし得る。中枢および末梢神経系の損傷、虚血、神経変性疾患、または発作の治療における神経ステロイドの効力を示すために、これまでに複数の研究が行われてきた。
【0005】
5α−プレグナン−3α−オール−20−オンとしても既知のアロプレグナノロンは、内因性の抑制性プレグナン神経ステロイドである。それはGABAA受容体でのγ−アミノ酪酸(GABA)の作用の強力な正のアロステリックモジュレーターであるが、水性液体において低い溶解度を有する。アロプレグナノロンは、抗不安活性、鎮静活性、および抗けいれん活動を含むベンゾジアゼピンなどのGABAA受容体でのGABA作用の他の正のアロステリックモジュレーターと同様の効果を有する。内因的に産生されたアロプレグナノロンは、GABAA受容体を微調整し、GABAA受容体でのいくつかの正のアロステリックモジュレーターおよびアゴニストの作用を調節することにより、極めて重要な神経生理学的役割を果たす。Borowitz,et al.Front.Endocrin.2011,2,1を参照されたい。
【0006】
ガナキソロン、3a−ヒドロキシ−3−メチル−5a−プレグナン−20−オン、または(3a,5a)−3−ヒドロキシ−3−メチルプレグナン−20−オン、またはCCD1042は、GABA受容体のモジュレーターとして作用する合成神経ステロイド類似体である。ガナキソロンは、臨床試験で安全性が試験されており、非常に高用量でも副作用は比較的軽度である。それは、側頭葉発作、ならびに月経随伴性てんかんの治療に有望であること示している。ガナキソロンはまた、心的外傷後ストレス障害、脆弱X症候群、神経因性疼痛、新生児けいれん、および産後うつ病の治療に関しても研究中である。ガナキソロンは、全身性欠神発作、ならびに単純および複雑な部分発作の治療に有用である可能性のある抗けいれん薬および抗てんかん薬であると教示される神経ステロイドである。Carter,et al.:J.Pharm.And Exp.Ther.,Vol.280,#3,1284−1295を参照されたい。ガナキソロンはまた、GABAAの正のアロステリックモジュレーターであると教示されるが、片頭痛に関する第2相臨床試験において疼痛緩和までの時間に利益を示すことができなかった。ガナキソロンは、プロトカドヘリン−19遺伝子(PCDH19)女性てんかんの治療に関して米国FDAにより承認されている。ガナキソロンは、成人および子供で十分に許容される。
【0007】
GABAA受容体は、中枢神経系における第1の抑制性シナプス伝達の著しい部分を仲介する。ガナキソロンなどの神経ステロイドに加えて、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、および全身麻酔薬などの多くの化合物もGABAA受容体タンパク質の異なる部位と結合し、それにより受容体の強力なアロステリックモジュレーターとして作用する。ベンゾジアゼピン(例えば、バリウム)およびバルビツレート(例えば、フェノバルビタール)の中には、クリニックで様々な発作を治療するために使用されてきた周知の抗てんかん薬がある。これらの化合物は、発作活動の様々な前臨床動物モデルで著しい効力を示してきた。さらに、それらは、強力な抗不安薬、筋弛緩薬、および鎮静薬としても知られている。今日までに、GABAA受容体タンパク質のこれらのアロステリックモジュレーターが、急性および神経因性の両方の疼痛状態の疼痛モデルにおいて著しい効力を有するという文書化された証拠はない。
【0008】
残念ながら、ガナキソロンはまた、水性液体において限られた溶解度も有する。このように、>1%のガナキソロンの濃度を有する典型的な水性液体医薬品は、一般に、固体の懸濁液または分散液として製剤される。ガナキソロンを含む医薬液は、2013年10月31日に公開された米国公開第2013/0287851号に記載されている。薬物のほぼ80%が経口投与後の糞便中に回収されることが報告されているため、ガナキソロンの低い溶解度が生体内での低い生物学的利用能の少なくとも一部の原因である可能性がある。
【0009】
したがって、ガナキソロンおよびアロプレグナノロンの溶解性および生物学的利用能の改善に対して明確な必要性がある。それらの療法効果および成果を改善するために、より効率的な方法でガナキソロンおよび/またはオールプレグナノロンを送達することができる改善された製剤が必要である。
【0010】
2003年11月13日に公開された米国公開第2003/0211162号は、ガナキソロンの溶液を噴霧乾燥して、小さな粒子を産生し、可溶化の速度を高め、有効性を高める方法を記載している。2007年6月28日に公開された米国公開第2007/0148252号および2007年6月21日に公開された同2007/0141161号によると、そのような粒子は、固体剤形用の粉末および液体剤形用の分散液として使用するために安定化される。また、ガナキソロンのアルファ型およびベータ型のエステルは、神経因性疼痛の治療に関して、2006年1月12日に公開された米国特許公開第2006/0009432号に記載されており、これらの新しい組成物の例はあるが、それらの溶解性および使用法は不足している。
【0011】
したがって、改善された溶解性を有する新規の神経ステロイド型化合物、さらに疼痛、例えば、急性疼痛および神経因性疼痛、および線維筋痛、気分障害、例えば、うつ病、大うつ病、産後うつ病、双極性障害、不安症、ならびに運動障害、例えば、てんかん、発作、振戦、およびパーキンソン病などの病状を治療するため、また療法効果および成果を改善するための改善された生物学的利用能を有する化合物で製剤された医薬組成物に対して明確な必要性がある。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、新規の神経ステロイド誘導体、それで製剤された医薬組成物、およびその使用方法の発見を通じて、神経ステロイドに関する現在の最先端技術の上記の問題および欠点を克服する。
【0013】
一般的に言えば、本発明は、薬学的に切断可能なエステル機能を有する修飾神経ステロイドを提供し、ここで、新規の神経ステロイドは、以下のように式(I)を特徴とし、
【0014】
【化1】
【0015】
式中、Rがメチルまたは水素であり、Rがエステル官能基 (R−C(O)O−)であり、Rが水素であり、Rがアルファまたはベータ水素であり、RがR−CO−、または任意の炭化水素構造(R−)であり、R(RまたはR中)が独立して、線状または分岐、飽和または不飽和である10個以下の炭素原子を含む任意の構造から選択され、構造内に環状または芳香族官能基を含み得、Rが1つ以下のOHもしくはNR、または2つのエーテルもしくはチオエーテル官能基を含有する。
【0016】
具体的に言えば、Rは、好ましくは、式(II)を特徴とする新規の修飾神経ステロイド化合物を提供するためにアルファ位にあり、
【0017】
【化2】
【0018】
式中、Rがメチルまたは水素であり、Rがエステル官能基(R−C(O)O−)であり、Rが水素であり、Rがアルファまたはベータ水素であり、RがR−CO−または任意の炭化水素構造(R−)であり、R(RまたはR中)が独立して、線状または分岐、飽和または不飽和である10個以下の炭素原子を含む任意の構造から選択され、構造内に環状または芳香族官能基を含み得、Rが1つ以下のOHもしくはNR、または2つのエーテルもしくはチオエーテル官能基を含有する。
【0019】
本発明によれば、それは、
(a)式(I)または式(II)を特徴とする修飾神経ステロイド化合物と、(b)薬学的に許容される賦形剤とからなる新規の医薬組成物に関し、ここで、新規の医薬組成物は、病状、例えば、急性および/または神経因性疼痛、および線維筋痛、気分障害(うつ病、大うつ病、産後うつ病、双極性障害、不安症)、または運動障害(てんかん、振戦、パーキンソン病)を治療するために好適である。
【0020】
本発明はまた、(a)式(I)または式(II)を特徴とする修飾神経ステロイド化合物と、(b)少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と、(c)急性疼痛および/もしくは神経因性疼痛、および線維筋痛症、運動障害、例えば、てんかん、発作、振戦、およびパーキンソン病、または気分障害、例えば、うつ病などの病状を治療するために本組成物を使用するための説明書が記載されたラベルとを含む組成物を例とする製造品にも関する。
【0021】
本発明はさらに、上の式Iまたは式IIを特徴とするような修飾神経ステロイド、そのような病状を治療するのに有用な医薬組成物を調製するための新規の方法を対象とし、本方法は、(a)上の式Iまたは式IIを特徴とするような修飾神経ステロイドを薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて、対象、例えば、ヒトを含む動物への投与に許容される新規の医薬製剤を形成することと、(b)急性疼痛および/もしくは神経因性疼痛、および線維筋痛症、運動障害、例えば、てんかん、発作、振戦、およびパーキンソン病、または気分障害などの病状の治療に関する書面による指示とともに製剤を包装することであって、本治療が処方された治療計画に従って、処方された有効量でそのような治療を必要とする患者に新規の医薬製剤を投与することによる、包装することとを含む。
【0022】
さらに、本発明は、急性および/または神経因性疼痛などの病状を治療するための方法に対して記載され、本方法は、それを必要とする患者への療法用量の神経ステロイド組成物の投与を含む。
【0023】
本発明の上の要約は、本発明の開示された各実施形態またはすべての実施を記載することを意図するものではないことをさらに理解されたい。この説明は、例示的な実施形態をさらに例示する。本明細書全体のいくつかの箇所で、様々な組み合わせで使用され得る例を通じて指南が提供される。各例で、例は代表的なグループとしてのみ機能し、排他的な例として解釈されるべきではない。
【0024】
したがって、以下の詳細な説明および例は、本発明の理解を助けるために提供される。したがって、本発明から逸脱することなく、例えば、記載される製剤、方法、および手順において任意の変更が行われ得ることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明によれば、本明細書で使用される場合、以下の用語は、特に明記されない限り、以下の意味で定義される。
【0026】
「生理学的に切断可能なエステル」という用語は、式(I)の神経ステロイドのヒドロキシルの誘導体、および酸または酸誘導体を指し、ここで、生成物は体内で切断されて、化合物式(I)または活性代謝物が所与される。
【0027】
そのような生理学的に切断可能なエステルは、「プロドラッグ」と見なされ得る。そのような「プロドラッグ」は、そのようなプロドラッグが対象に投与されたときに、対応するヒドロキシル化合物(ここで、R2がヒドロキシルである)の生物学的利用能を増加させる場合に特に価値がある。例えば、経口投与された「プロドラッグ」は、血液中により容易に吸収され得、組織、細胞、腫瘍、分子標的および器官(例えば、脳またはリンパ系)などの対象の生物学的区画への親化合物の送達を促進し得、経口固形物または腸薬剤(カプセル、ゲルカプセル、錠剤、経口的崩性錠剤、舌下錠剤、カプレット、ピル、ロゼンジ、トローチ、粉末、液体、溶液、懸濁液、エリキシル剤、エマルジョン、シロップ、チンクチャーなど)、局所剤、膣剤、または坐剤を含む経皮剤(クリーム、ゲル、軟膏、ローション、フォーム、経皮パッチ、スプレー、ロールオン、ワックス、カプセル、腔坐剤、吸入剤など)、経鼻/経口剤(水性ゲル、油性ゲル、スプレー、エアロゾル、吸入剤など)、直腸剤および膣剤(エネマ、坐剤、注水など)、ならびに注射可能剤(表皮、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、心臓内、眼内、髄腔内、関節内、筋肉内ボーラスなど)などの代替医薬品の開発を可能にし得、これはまた、意図された適応症で使用するために患者に対する特定の調整を行うためのより好ましい患者受容、安全性プロファイル、および/または薬物動態も有し得る。
【0028】
プロドラッグの一般的な概要は、(1)”Pro−drugs As Novel Delivery Systems,”Vol.14 of the ACS Symposium Series,by T.Higuchi and V.Stella、および(2)”Bioreversible Carriers in Drug Design,”American Pharmaceutical Association,Porgamon Press,1987,Edward B.Roche,Ed.で提供されている。
【0029】
本発明による誘導体として使用され得る「カルボノイル基」Rを形成し、「プロドラッグ」基R2を形成するカルボン酸には、非置換または置換された低級直鎖または分岐鎖アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールアルキル実体から誘導されるモノカルボン酸が含まれる。天然に存在するカルボン酸は、一般に、薬学的に活性な成分の許容される切断可能なエステルであり得る好ましいクラスである。
【0030】
「低級アルキル」カルボン酸という用語は、カルボキシル基に結合した1〜12(12)個の炭素原子を有する一価の飽和脂肪族炭化水素ラジカルを指す。アルキルは、直鎖(すなわち、線状)、分岐鎖、または環状構造であり得る。低級アルキルラジカルの代表的な例には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、アミル、sec−ブチル、tert−ブチル、tert−ペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルエチル(シピオネート)、ウンデカノエートなどが含まれる。
【0031】
ラジカルは、本発明の範囲内にある化合物の調製を著しく妨害せず、新規の化合物の効力を著しく低減しない位置で、置換基で任意に置換され得る。アルキルは、ハロ、ヒドロキシル、エーテル、シアノ、ニトロ、またはアミノからなる群から独立して選択される1つ〜3つの置換基で任意に置換され得る。
【0032】
低級「アルケニル」カルボン酸という用語は、1〜12個の炭素を有し、直鎖、分岐鎖、および環状基であり得、3つ以下の二重結合を有する脂肪族基を指し、これらはすべて、アルキル基と同様に任意に置換され得る。カルボン酸中の低級アルケニルラジカルの代表的な例には、ビニル(エテニル)、アリル(プロペン−3−イル)、1−ブテン−4−イル、2−ブテン−4−イル、1−ペンテン−5−イルなどが含まれる。
【0033】
低級「アルキニル」カルボン酸という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有し、任意に置換され得る直鎖および分岐鎖基を含む不飽和炭化水素基を指す。好適なアルキニル基には、アルキル基と同様に任意に置換され得るプロピン−3−イル、ペンチン−5−イルなどが含まれる。
【0034】
芳香族カルボン酸は、少なくとも1つのベンゼン環またはベンゼンに似た実体の存在を特徴とするカルボン酸である。したがって、芳香族カルボン酸には、安息香酸、2−フェニルエタン酸、オルト−メチル安息香酸、メタ−メチル安息香酸、およびパラ−メチル安息香酸が含まれるが、これらに限定されない。芳香族カルボン酸はまた、効力を著しく低減しない置換基、例えば、1〜5個の低級アルキル、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、低級アルコキシ、アミノ、シアノなどで置換され得る。
【0035】
さらに、置換カルボン酸は、脂肪酸カルボキシル基の炭素鎖に結合したN、S、または0などの非炭素原子を含有し得る。したがって、ヘテロカルボン酸は、(R)2−N−R’−C(O)OH、RS−R’−C(O)OH、またはR−(O−R’)n−C(O)OHであり、式中、Rは前述のように定義され(下記を参照されたい)、R’は分岐もしくは直鎖アルキル、低級アルケニル、または低級アルキンル、アルキルアリール、もしくはアリールアルキル基であり、任意にヘテロ原子置換基を有し、200g/mol以下の分子量を有する。
【0036】
「神経活性ステロイド」という用語は、GABA−AおよびNMDA受容体を含む膜イオンチャネルへの直接作用によりニューロンの興奮性を急速に変化させる内因性ステロイド(またはその合成類似体)を指す。
【0037】
「薬学的に許容されるカルボン酸」という用語は、カルボン酸部分を意味し、これは、医薬製剤および組成物を形成するのに有用であり、生理学的に許容され、この部分を受け取る対象に対して一般に無毒である。
【0038】
医薬組成物
ホルモンベースの薬物の経鼻投与の方法は知られており、例えば、薬物投与のための油ベースのビヒクルは、2014年11月4日に発行された米国特許第8,877,230号および “Controlled Release Delivery System for Nasal Applications”という題目の米国公開出願第2012/0009250号に記載されている。
【0039】
一般に神経ペプチド、より具体的にはガナキソロンおよびアロプレグナノロンは、上記のように、ほとんどの一般的な水ベースの医薬用ビヒクルに難溶性であり、液体形態の薬物の投与にも使用され得る植物油にも難溶性である。これは、炭化水素の複数の環が支配的である構造の結果であり、ほとんどの場合、極性基を欠いている((図I)の神経ステロイドのコア構造を参照されたい)。
【0040】
神経ステロイドのエステルを作製することは、油ベースのビヒクルにおける親薬物の溶解度を増加し得る。植物油は、ステロイド化合物の異なる溶解度を示し得る。Riffkin et al.:J Pharm Sci 1964,53(8),891を参照されたい。
【0041】
経口送達用の脂質ベースのビヒクルのいくつかの例は、2000年8月1日に発行された米国特許第6,096,338号に記載されている。これと同様のシリカは、1980年代からチキソトロピー性組成物の作製に使用されており、1985年2月5日に発行された米国特許第4,497,918号に記載されている。本発明において有用な油相および水相の両方を含むチキソトロピー性マクロエマルジョンは、2017年12月7日に公開された米国公開第2017/0348276号に記載されている。
【0042】
本発明によるある特定の実施形態によれば、製剤は、(1)エステル化されたガナキサロン誘導体と、(2)油性ビヒクルと、(3)湿潤剤もしくは湿潤剤の混合物および/または薬学的に許容される界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物とを含む。
【0043】
本発明によるある特定の実施形態によれば、製剤は、(1)エステル化されたガナキサロン誘導体と、(2)油性ビヒクルと、(3)湿潤剤もしくは湿潤剤の混合物および/または薬学的に許容される界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物と、(4)増粘剤とを含む。
【0044】
本発明によるある特定の実施形態によれば、製剤は、(1)エステル化されたガナキサロン誘導体と、(2)油性ビヒクルと、(3)湿潤剤もしくは湿潤剤の混合物および/または薬学的に許容される界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物と、(4)増粘剤と、(5)任意に水とを含む。
【0045】
本発明によるある特定の実施形態によれば、製剤は、(1)エステル化されたガナキサロン誘導体と、(2)油性ビヒクルと、(3)湿潤剤もしくは湿潤剤の混合物および/または薬学的に許容される界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物と、(4)増粘剤と、任意に水とを含み、ここで、成分の組み合わせがチキソトロピー性混合物を形成する。
【0046】
本発明によるある特定の実施形態によれば、製剤は、(1)エステル化されたガナキサロン誘導体と、(2)油性ビヒクルと、(3)湿潤剤もしくは湿潤剤の混合物および/または薬学的に許容される界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物と、(4)増粘剤、例えば、コロイド状シリカとを含み、ここで、成分の組み合わせがチキソトロピー性混合物を形成する。
【0047】
本発明によるある特定の実施形態によれば、油性ビヒクルの代表的な例には、薬学的に許容される植物油、モノグリセリド、ジグリセリド、安息香酸ベンジル、スクロースアセテートイソブチレート(SAIB)、合成トリグリセリド、合成油、およびそれらの任意の組み合わせまたは混合物が含まれる。
【0048】
本発明によるある特定の実施形態によれば、薬学的に許容される植物油の代表的な例には、アーモンドオイルスウィート(Prunus dulcis)、アーモンドオイルバージン(Prunus amygdalus)、アロエベラオイル(Aloe barbadensis)、アプリコットカーネルオイル(Prunus armeniaca)、アルガンオイル(Argania spinosa)、アボカダオイル(Persea americana)、アプリコットオイル(Prunus armeniaca)、アムラオイル(Emblica officinalis)、ボラージオイル(Borago officinalis)、ブラックシードオイル(Nigella sativa)、ニンジンオイル(Daucus carota) )、ココナッツオイル(Cocus nucifera)、トウモロコシオイル、キュウリオイル(Cucumis sativa)、チャウルモグラオイル(Hydnocarpus wightianus)、エミューオイル(Dromaius novae−Hollandiae)、イブニングプリムローズオイル(Oenothera biennis)、フラックスシードオイル(Linum usitatissimum)、グレープシードオイル(Vitus vinifera)、ヘーゼルナッツオイル(Avekkana)、精製ホホバオイル(Simmondsia chinensis)、モリンガオイル(Moringa oliefera)、マルーラオイル(Sclerocarya birrea)、小麦胚芽オイル(Triticum vulgare)、マカダミアオイル(Macadamia ternifolia)、ムスクメロンオイル(Cuvumis melon)、ムスクオイル(Abelmoschus moschatus)、マスタードオイル、ニームオイル(Azadirachta indica)、オリーブオイル(Olea europaea)、ピーチカーネルオイル(Prunus persica)、ピーナッツオイル(Arachis hypogeae)、ザクロオイル(Punica granatum)、オランダビユオイル(Psoralea corylifolia)、プリムローズオイル(Oenothera bienni)、パパイヤシードオイル(Carica papaya)、ローズヒップシードオイル(Rosa rubiginosa)、サフラワーオイル、セサミシード(精製)(Sesamum indicum)、シーバックソーンオイル(Hippophae rhamnoides) 、大豆オイル(Soja hispida)、ヒマワリオイル(Helianthus annus)、スウィートアーモンドオイル(Prunus amygdalus Var.Dulcus)、スウィートチェリーカーネルオイル(Prunus avium)、クルミオイル(Juglans regia)、スイカオイル(Citrullus vulgaris)が含まれる。
【0049】
本発明による薬学的に許容される合成油には、SAIB、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(ポロキサマー)、アルキル修飾PEGまたはポロキサマー、シリコーン、および鉱油が含まれる。
【0050】
本発明によるある特定の好ましい実施形態によれば、油性ビヒクルには、中鎖トリグリセリド、ヒマシ油、ゴマ油、PEG、ポロキサマー、SAIB、またはそれらの混合物が含まれる。
【0051】
本発明によるある特定の実施形態によれば、ガナキソロン療法的活性物質を含むか、または活性物質の混合物は、式1により記載される1つ以上の化合物を含む。
【0052】
本発明によるある特定の実施形態によれば、ガナキソロン療法的活性物質または活性物質の混合物は、式2により記載される1つ以上の化合物を含む。
【0053】
本発明によるある特定の実施形態によれば、ガナキソロン療法的活性物質は、純粋であるか、または活性物質の混合物であり、これは、式2の化合物の異性体のアルファ形態の1つ以上の形態から生じる。
【0054】
本発明によるある特定の実施形態によれば、ガナキソロン療法的活性物質には、プロピオン酸ガナキソロン、エナント酸ガナキソロン、シピオン酸ガナキソロン、ウンデカン酸ガナキソロン、およびそれらの組み合わせまたは混合物が含まれる。
【0055】
ある特定の実施形態によれば、湿潤剤もしくは湿潤剤の混合物および/または薬学的に許容される界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物は、ポリソルベート、ポリオキシエチレン水素化植物油、ポリオキシエチレン植物油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン、ブロックコポリマー、ポリグリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリド、ポリオキシエチレンステロール、またはそれらの誘導体もしくは類似体、ポリオールと、脂肪酸、グリセリド、植物油、水素化植物油、分別油、およびステロールからなる群の少なくとも1つのメンバーとの反応混合物、コハク酸トコフェリルポリエチレングリコール、糖エステル、糖エーテル、スクログリセリド、アルキルグルコシド、アルキルマルトシド、アルキルチオグルコシド、ラウリルマクロゴルグリセリド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、例えば、ポロキサマー−108、188、217、238、288、338、407、124、182、183、212、331、もしくは335、またはそれらの組み合わせ、イオン性親水性界面活性剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムまたはドキュセートナトリウム、胆汁酸、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、ならびにそれらの塩およびにそれらの混合物を含む。
【0056】
本発明のある特定の実施形態によれば、製剤は、レオロジー修飾(増粘剤)剤をさらに含む。増粘剤は、好ましくは、製剤の大部分の液相(油または水)に添加されるであろう。大部分の相が油(水相の有無にかかわらず)である製剤の場合、薬学的に許容される増粘剤には、コロイド状シリカ、シリケート、アルミナ、高分子量ポリマーまたは固体/ワックス状物質、蜂ワックス、アルミナ、シリカ、コロイド状シリカ、シリケートおよび高融点ワックス、ならびに/またはセトステアリルアルコールが含まれる。大部分の相が水性である製剤の場合、増粘剤は、好ましくは、薬学的に許容される親水性ポリマー、例えば、HPMC、HPC、ナトリウムCMC、ナトリウムCMCおよびMCC、天然ガム、例えば、キサンタンガム、グアーガム、アカシアガム、トラガカントガム、デンプン、例えば、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、およびアルファ化デンプンである。増粘剤は、混合相システムの両方の相に添加され得る。
【0057】
本発明のある特定の実施形態によれば、水を含む製剤は、界面活性剤と、浸透圧補体とをさらに含み得る。
【0058】
また、本発明のある特定の実施形態によれば、界面活性剤の例には、グリコールジステアレート、ソルビタントリオレート、プロピレングリコールイソステアレート、グリコールステアレート、ソルビタンセスキオレート、レシチン、ソルビタンオレート、ソルビタンモノステアレートNF、ソルビタンステアレート、ソルビタンイソステアレート、ステアレス−2、オレス−2、グリセリルラウレート、セテス−2、PEG−30ジポリヒドロキシステアレート、グリセリルステアレートSE、ソルビタンステアレート(および)スクロースココエート、PEG−4ジラウレート、メチルグルコースセスキステアレート、レシチンHLB(可変)PEG−8ジオレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンラウレート、PEG−40ソルビタンペロレート、ラブラフィルM1944CS、ローレス−4、PEG−7グリセリルココエート、PEG−20アーモンドグリセリド、PEG−25水素化ヒマシ油、ステアラミドMEA、グリセリルステアレート(および)PEG−100ステアレート、ポリソルベート85、PEG−7オリベート、セテアリルグルコシド、ステアラミドMEA、PEG−8オレート、ポリグリセリル−3メチグルコース(Methyglucose)ジステアレート、オレス−10、オレス−10/ポリオキシル10オレイエーテルNF、セテス10、PEG−8ラウレート、コカミドMEA、ポリソルベート60 NF、ポリソルベート60、ポリソルベート80、イソステアレス−20、PEG−60アーモンドグリセリド、PEG−20メチルグルコースセスキステアレート、セテアレス−20、オレス−20、ステアレス−20、ステアレス−20、ステアレス−21、ステアレス−21、セテス−20、およびステアレス−100が含まれる。
【0059】
本発明によるある特定の好ましい実施形態によれば、好ましくは、神経ステロイド療法活性剤は活性ステロイドのエナテートエステルであり、油性ビヒクルはヒマシ油であり、湿潤剤はオレオイルポリオキシルグリセリドである。任意に、シリカは、好ましい増粘剤として使用され得る。
【0060】
本発明において有用な化合物は、本明細書で定義される式(I)のものである。ガナキソロン(3a−ヒドロキシ−3b−メチル−5a−プレナン−20−オン)およびアロプレグナノロン(3a−ヒドロキシ−5a−プレナン−20−オン)が好ましい化合物である。本明細書の前に言及したように、3−ヒドロキシ基の生理学的に切断可能なエステル、特にガナキソロンも有用である。そのようなエステルが由来し得るカルボン酸は前に一般的に言及されたが、以下は、3位でエステルを形成するのに有用なカルボン酸のリストである:酢酸、n−プロピオン酸、n−酪酸、t−ブチルカルボン酸、n−ペンタン酸、安息香酸、モルホリノカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、n−プロペン酸、e−ブテン酸など。神経ステロイドのエステル誘導体は、1999年8月17日に発行された米国特許第5,939,545号を参照することにより見ることができる。
【0061】
本発明の組成物は、目的の化合物を可溶性の形態で患者に導入し、親活性化合物の溶解性の制限を克服する任意の好適な経路により投与され得る。本発明の組成物は、プロドラッグであり、投与後、加水分解酵素の作用または自然加水分解を介して、親活性化合物に変換される。投与様式は、経口(頬側または舌下を含む)、非経口的(例えば、静脈内、筋肉内、皮下、真皮下)、局所的(経皮的)、または腸の通過以外の任意の他の許容される経路、坐剤(膣または肛門)、および当業者に明らかであり得、本明細書の上の段落30に記載されているような他の経路であり得る。
【0062】
薬学的に許容される賦形剤には、溶媒、希釈剤、結合剤、潤滑剤、防腐剤、崩壊剤、湿潤剤、界面活性剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、香味料、甘味料などが含まれる。これらの賦形剤の例は、標準的な出版物であるRemington’s Pharmaceutical Sciences,19 Edition,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.−1995(”Remington’s”)で見ることができる。製剤を調製するための技法は、Remington’sで詳細に見ることができる。
【0063】
本発明による剤形には、液体、油、半固体エマルジョンまたはクリーム、固体、ワックス、カプセルおよび錠剤、ならびに患者に投与され得る本明細書の上の段落30に列挙されたものが含まれる。好ましい投与経路は、所望の状態に対する安全性および効力を達成しながら、効率的かつ便利な方法で患者に薬物を提供するものである。
【0064】
選択された薬物の好ましい投薬量は、薬物の効能および患者の状態の両方に依存する。本組成物は、患者の年齢および体重、患者の症状の重症度、ならびに選択された投与経路などの任意の関連する要因を考慮に入れる治療医により処方される必要がある。
【0065】
剤形および投与経路に応じて、投与される組成物中の活性化合物の量は、治療されている対象に病状を緩和、調節、または予防するための所望の量、すなわち、治療上有効な量の活性物質を送達するのに十分であろう。したがって、本発明の別の態様は、病状の治療に有用な組成物を調製するための式(I)の成分の使用である。本化合物は、許容される製剤を形成するために賦形剤で閉じ込められ、次に投与のための書面による指示を提供するラベルと組み合わされる。
【0066】
本発明の別の態様は、病状を治療するのに好適な医薬組成物であり、この組成物は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む。一般に、活性化合物の量は、投薬量単位あたり約1ミリグラム(mg)〜約500mg、好ましくは約2mg〜100mg、最も好ましくは約5mg〜50mgで変動する。剤形のサイズに応じて、活性物質は、約1重量%〜約90重量%、好ましくは50重量%未満の間で変動し得る。
【0067】
したがって、活性物質のパーセンテージは、例えば、1、2、3、4、5、10、20、30、40、50パーセント、または所望に応じて任意の中間のパーセンテージもしくは範囲であり得る。所望の組成パーセンテージを有する剤形を使用することにより、当該分野の医師は、約0.1mg/対象の体重キログラム(kg)〜約100mg/kg、好ましくは約0.1mg/kg〜約10mg/kgを達成するほど十分に投与する。剤形に添付されているラベルは、本組成物を使用して病状を治療するための指示を提供する。治療は、必要に応じて、急性、亜慢性(短期間)、または慢性的であり得る。
【0068】
組成物は、本組成物中のプロドラッグの各々の溶解度の限界まで、すべての比率で異なるエステルプロドラッグ活性物質の組み合わせを含み得、その結果、この組み合わせは、本組成物中の成分プロドラッグのいずれかで達成され得るよりも本組成物中の親活性分子のより高い濃度を達成する。
【0069】
本発明の組成物は、他の有効成分とさらに組み合わされ得る。
【0070】
本発明による組成物は、神経学的状態を含む多くの医学的状態を治療するために使用され得る。好ましい用量および投与経路は、治療される状態の性質に依存し得る。本発明による神経ステロイドで治療され得る状態には、(i)うつ病、大うつ病、産後うつ病、双極性うつ病、不安症などの気分障害、(ii)疼痛(急性、慢性、神経因性、侵害受容性、線維筋痛症など)、または(iii)様々な形態の発作、てんかん、パーキンソン病、および振戦などの運動障害に関連する適応症が含まれ得る。
【0071】
上記の明細書に言及されているすべての出版物、特許、特許出願などは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
本発明の様々な修正および変形は、本発明の範囲および真意から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して記載されてきたが、特許請求される本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、当業者には明らかである本発明を実施するために記載された様式の様々な修正は、以下の特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【0073】
以下の実施例は、当業者のための指南として提供される。実施例は、本発明の実施形態を理解および実施するのに有用な特定の方法論を提供するだけであるため、実施例は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0074】
実施例1.エステルの合成
【0075】
ガナキソロンを、約50mlのメチレンクロリド中で約1時間穏やかに加熱(約60℃)しながら、1.25当量の酸クロリド(プロピル、ヘプタノイル(エナンテート)、またはシクロへキシルプロピル(シピオネート))と反応させる。次に、混合物を約200mlの約0.1M水相で2回抽出する。有機相をNa2HCO3上で乾燥させ、次に蒸発させた。残留物をHPLCにより制御されたときに純粋になるまで(約>98%)、クロマトグラフィーにより精製する。
【0076】
アロプレグナナロンエステルを同様の方法で調製する。
【0077】
実施例2.エステルの油中の溶解度
表中の各原薬の約150mgの試料を試験管内の約300mgの試験溶媒に配置する。試料を回転させ、温水浴で穏やかに加熱する。追加の溶媒を溶解度に達するまで約100mgの増分で添加する。試料を一晩冷却し、沈殿が観察された場合は、室温での溶解度が得られるまで、さらに溶媒を少しずつ再度添加する。結果を表1、2、および3に示す。この結果は、ヒマシ油中のエステル形態の改善された溶解度を示す。エナント酸ガナキソロンは液体であり、試験した油と混和性があるように見えた。この実施例は、親ステロイドの乏しい溶解度、およびエステル化されたときの活性物質の溶解度の著しい増加を示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【0078】
実施例3.ヒマシ油製剤中の14%シピオン酸ガナキソロン
ヒマシ油(約82部)とオレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)とを完全に混合する。シピオン酸ガナキサロン(約14部)を添加し、混合すると溶解して、透明なゲルまたは粘稠な溶液を形成する。ガナキソロン活性の等価濃度は、約10.2%である。
【0079】
実施例4.ヒマシ油製剤中の15%プロピオン酸ガナキソロン
ヒマシ油(約81部)とオレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)とを完全に混合する。プロピオン酸ガナキサロン(約15部)を添加し、混合すると溶解して、透明なゲルまたは粘稠な溶液を形成する。ガナキソロン活性の等価濃度は、約12.9%である。
【0080】
実施例5.ヒマシ油製剤中の30%エナント酸ガナキソロン
ヒマシ油(約66部)とオレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)とを完全に混合する。エナント酸ガナキサロン(約30部)を添加し、混合すると溶解して、透明なゲルまたは粘稠な溶液を形成する。ガナキソロン活性の等価濃度は、約22.5%である。
【0081】
実施例6.ヒマシ油製剤中の36%エナント酸ガナキソロン
ヒマシ油(60部)とオレオイルポリオキシルグリセリド(約3.7部)とを完全に混合する。エナント酸ガナキサロン(約36.3部)を添加し、混合すると溶解して、透明なゲルまたは粘稠な溶液を形成する。ガナキソロン活性の等価濃度は、約27.2%である。
【0082】
実施例7.ヒマシ油製剤中の36%エナント酸ガナキソロン
コロイド状二酸化ケイ素(約4部)を、ヒマシ油(約92部)に分散する。オレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)を添加し、混合して、均一なゲルを形成する。この混合物の約63.7部を約40℃に温め、エナント酸ガナキサロン(約36.3部)を溶解して、透明なゲルを形成する。ガナキソロン活性の等価濃度は、約27.2%である。
【0083】
実施例8.ヒマシ油製剤中のガナキソロンエステル混合物
コロイド状二酸化ケイ素(約4部)を、ヒマシ油(約62.2部)に分散する。混合物を約約40℃に温め、シピオン酸ガナキサロン(4.9部)、プロピオン酸ガナキサロン(約4.9部)、およびエナント酸ガナキサロン(約20部)を添加し、混合して、透明な溶液を形成する。オレオイルポリオキシルグリセリド(4部)を添加し、混合して、均一なゲルを生成する。ガナキソロン活性の等価濃度は、約22.7%である。
【0084】
実施例9.36%エナント酸ガナキソロン製剤
コロイド状二酸化ケイ素(約4部)を、中鎖トリグリセリド(約55.7部)に分散する。混合物を約約40℃に温め、次にエナント酸ガナキサロン(約36.3部)を溶解して、透明な混合物を形成する。次に、オレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)を添加し、混合して、均一な透明なゲルを形成する。ガナキソロン活性の等価濃度は、約27.2%である。
【0085】
実施例10.36%エナント酸ガナキソロン製剤
コロイド状二酸化ケイ素(約4部)を、ゴマ油(約55.7部)に分散する。混合物を約約40℃に温め、エナント酸ガナキサロン(約36.3部)を添加して、溶解し、透明な混合物を形成する。オレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)を添加し、混合して、均一な透明なゲルを形成する。ガナキソロン活性の等価濃度は、約22.7%である。
【0086】
実施例11.36%エナント酸ガナキソロン製剤
コロイド状二酸化ケイ素(約4部)を、ゴマ油(約15.7部)、中鎖トリグリセリド(約20部)、およびヒマシ油(約20部)の混合物中に分散する。混合物を約約40℃に温め、次にエナント酸ガナキサロン(約36.3部)を添加して、溶解し、透明な混合物を形成する。オレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)を添加し、混合して、均一な透明なゲルを形成する。ガナキソロン活性の等価濃度は、約27.2%である。
【0087】
実施例12.ガナキソロンエステル混合製剤
コロイド状二酸化ケイ素(約4部)を、ゴマ油(約20部)、中鎖トリグリセリド(21.2部)、およびヒマシ油(約21部)の混合物中に分散する。混合物を約約40℃に温め、次にエナント酸ガナキサロン(約20部)、プロピオン酸ガナキソロン(約4.9部)およびシピオン酸ガナキソロン(約4.9部)を溶解して、透明な混合物を形成する。オレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)を添加し、混合して、均一な透明なゲルを形成する。ガナキソロン活性の等価濃度は、約23%である。
【0088】
実施例13.ガナキソロンエステル混合製剤
約約40℃に温めた約28部のヒマシ油に、プロピオン酸ガナキソロン(約3部)およびシピオン酸ガナキソロン(約4部)を添加し、すべてが溶解して透明な混合物が形成されるまで混合物を攪拌する。エステルは、混合物の約20%を構成した。親ガナキソロン活性の等価濃度は、約15.8%である。
【0089】
実施例14.ガナキソロンエステル混合製剤
エナント酸ガナキサロン(約81部)、シピオン酸ガナキサロン(約16部)をゴマ油(約45部)に溶解した。ガナキソロンエステルの濃度は、約68%である。親ガナキソロン活性の等価濃度は、約50.1%である。
【0090】
実施例15.ガナキソロンエステル混合製剤
エナント酸ガナキサロン(約81部)、シピオン酸ガナキサロン(約16部)をヒマシ油(約45部)に溶解し、それにシリカ(約6部)およびオレオイルポリオキシルグリセリド(約6部)を高剪断混合で添加して、ゲルを形成する。ガナキソロンエステルの濃度は、約63%である。親ガナキソロン活性の等価濃度は、約46%である。
【0091】
実施例16.ガナキソロンエステルの乳化製剤
中鎖トリグリセリド(約30部)とポリオキシル35ヒマシ油(約2部)とを混合する。混合物を約60℃に加熱し、次にエナント酸ガナキサロン(約36.3部)を添加し、溶解して、透明な油性溶液を形成する。これとは別に、Carbomer971P(約0.4部)を約65℃の水(約31.3部)に分散する。油相薬液を水相液に添加し、乳化させる。pHを約1N NaOH溶液で約6.5〜約7.5に調整する。混合物を連続混合しながらほぼ室温に冷却して、白色の不透明な水性ゲルを形成する。ガナキソロン活性の等価濃度は、約27.2%である。
【0092】
実施例17.ガナキソロンを含有するゲルカプセル
実施例10の神経ステロイド組成物(約138mg)(約36.3%の神経ステロイドエステル組成物)を約2mgの蜜蝋で温め、次に約40℃に冷却する。ワックス状の生成物を、まだ温かく液体の状態でゼラチンカプセルに注ぎ、次に秤量する。カプセルを密封して、約50mgのガナキソロンエステル(約37mgのガナキソロンの用量に相当)を提供する医薬剤形を作製する。
【0093】
実施例18.ガナキソロンを含有する鼻ディスペンサー
実施例7の神経ステロイド組成物(約36.3%の神経ステロイドエステル)を米国特許出願第15/613,116号に記載されているように、鼻ディスペンサーに充填し、次にキャップをし、密封する。鼻ディスペンサーは、各作動で約125uLの用量を提供する。鼻に使用すると、この医薬剤形は、1つの鼻孔に投与されたときに、作動ごとに約44.5mgのガナキソロンエステル(約33.3mgのガナキソロンの用量に相当)を提供し得る。両方の鼻孔に適用される場合、投与される総用量は、約89mgのガナキソロンエステル(約66.6mgのガナキソロンの用量に相当)である。
【0094】
実施例19.ガナキソロン親製剤
コロイド状二酸化ケイ素(約4部)を、ゴマ油(約15.7部)、中鎖トリグリセリド(約20部)、およびヒマシ油(約20部)の混合物中に分散する。混合物を約約40℃に温め、次にエナント酸ガナキサロン(約0.5部)を添加して、溶解し、透明な混合物を形成する。オレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)を添加し、混合して、均一な透明なゲルを形成する。ガナキソロン活性の濃度は、約0.8%である。
【0095】
実施例20.シピオン酸ガナキソロン/カンナビジオールゲル混合物
約約40℃に温めたヒマシ油(約72部)に、シピオン酸ガナキソロン(約10部)およびカンナビジオール(約10部)を添加し、ほぼ溶解するまで攪拌すると、透明な混合物が所与される。コロイド状シリカ(約4部)およびオレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)を添加し、高剪断力を使用して混合して、均一な透明なゲルを提供する。
【0096】
実施例21.ヒマシ油製剤中の25%エナント酸アロプレグナノロン
ヒマシ油(約71部)とオレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)とを完全に混合する。エナント酸アロプレグナノロン(約25部)を添加し、混合すると溶解して、透明なゲルまたは粘稠な溶液を形成する。アロプレグナノロン活性の等価濃度は、約22%である。
【0097】
本明細書で引用されたすべての刊行物の完全な開示は、あたかも各々が個別に完全に本明細書に記載および組み込まれているかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0098】
本発明に対する様々な修正および変更は、本発明の範囲および真意から逸脱することなく、当業者に明らかになるであろう。例示的な実施形態および実施例は、例としてのみ提供されており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の範囲は、以下に記載される特許請求の範囲によってのみ制限される。
【国際調査報告】