(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本発明は、非イオン性、カチオン性、アニオン性および両性界面活性剤から選択される界面活性剤を、10〜50wt%未満の少なくとも1種のC10−C14アルコールおよび10〜30wt%のC4−C6酸素含有共溶媒と組み合わせて含む濡れ組成物と、濡れ組成物の使用方法と、濡れ組成物を含有する製品とに関する。
前記組成物が、C4−C6水溶性アルコール、C4−C6水溶性エステル、C4−C6水溶性エーテル、およびそれらの混合物から選択されるC4−C6酸素含有共溶媒を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の濡れ組成物。
前記組成物が、アルコールアルコキシレート、アルキルベンゼンスルホン酸塩およびベンジルアルキル第四級アンモニウム界面活性剤、ならびにそれらの混合物から選択される界面活性剤を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の濡れ組成物。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、単数形のみを指定することが明示的に述べられていない限り、単数形および複数形の両方を指定する。
【0024】
「約」という用語および一般的な範囲の使用は、約という用語で修飾されているか否かにかかわらず、理解される数が本明細書に記載の正確な数に限定されないことを意味し、本発明の範囲から逸脱することはないが、実質的に引用された範囲内の範囲を指すことが意図されている。本明細書で使用される場合、「約」は、当業者によって理解されるであろうし、使用される文脈によってある程度変化するであろう。使用される文脈から当業者には明らかでない用語の使用がある場合、「約」は、その特定の用語のプラスまたはマイナス10%までを意味する。
【0025】
本明細書で言及されるパーセンテージ(%)は、別段の指示がない限り、重量パーセント(すなわち、wt%、w/wまたはw/v)に基づくものである。
【0026】
本明細書に記載の濡れ組成物は、望ましくは低エネルギー表面を濡らす水性液体への添加を意図している。濡れ組成物は、界面活性剤を、長鎖アルコールおよび酸素含有共溶媒と組み合わせて含む。濡れ組成物を水性液体に添加することにより、水性液体の表面張力を低下させることができる。
【0027】
一態様では、本発明は、以下を含む濡れ組成物を提供する:
(a)10〜50wt%未満の1種または複数種のC10−C14アルコールと;
(b)10〜30wt%の1種または複数種のC4−C6酸素含有共溶媒と;
(c)20〜60wt%の、非イオン性、カチオン性、アニオン性および両性界面活性剤から選択される1種または複数種の界面活性剤と;
(d)0〜25wt%の水と;
(e)0〜10wt%の他の添加剤。
【0028】
濡れ組成物は、組成物の成分として少なくとも1種のC10−C14アルコールを含む。少なくとも1種のC10−C14アルコールは、10〜50%未満の量で濡れ組成物中に存在する。濡れ組成物は、単一のC10−C14アルコールを含み得る。あるいは、濡れ組成物がC10−C14アルコールの混合物を含有し得るように、複数のC10−C14アルコールが存在し得る。C10−C14アルコールまたはC10−C14アルコールの混合物は、濡れ組成物のアルコール成分とみなすことができる。
【0029】
C10−C14アルコールは、分子内に多数の炭素原子が存在するため、一般に水に不溶性または難溶性である。「非水溶性」とは、熱および/または撹拌を加えてもアルコールが水に溶解しないことを意味する。C10−C14アルコールは、20℃における水への溶解度が10mg/L以下であり得る。
【0030】
C10−C14アルコールは脂肪族アルコールであり、10〜14個の炭素原子からなる直鎖もしくは分岐の炭化水素構造を有する第一級、第二級または第三級アルコールであり得る。したがって、アルコールの鎖長は、C10からC14以下であり得る。
【0031】
濡れ組成物中のC10−C14アルコールの使用は重要であるが、それは、以下でさらに説明するように、濡れ組成物中の界面活性剤が液体/蒸気界面で集合する能力に、そのようなアルコールが有利に影響を及ぼすと考えられるためである。
【0032】
一実施形態では、濡れ組成物は、2種以上のC10−C14アルコールの混合物を含む。例えば、本発明の一実施形態の濡れ組成物は、C12アルコールとC14アルコールとの混合物を含むことができる。そのような実施形態では、濡れ組成物のアルコール成分中のC10−C14アルコールの総量は、10〜50重量%未満の範囲内にとどまる。
【0033】
一実施形態では、濡れ組成物は、少なくとも1種のC10−C14直鎖脂肪族アルコールを含む。しかしながら、濡れ組成物中には、複数の直鎖C10−C14アルコールが存在し得る。
【0034】
有利には、C10−C14アルコールは、1−オクタノール(C8アルコール)などの他の長鎖脂肪族アルコールよりも臭気が少ない。したがって、いくつかの実施形態では、C10−C14アルコールを含む濡れ組成物は、組成物の臭気をマスキングするための香料などの添加剤を必要としない。
【0035】
一実施形態では、濡れ組成物は、C10、C12またはC14直鎖脂肪族アルコール、またはそのようなアルコールの混合物を含む。例示的な直鎖脂肪族C10、C12およびC14アルコールは、1−デカノール、1−ドデカノールおよび1−テトラデカノールであり得る。
【0036】
一実施形態では、濡れ組成物は、C12アルコールを、単独で、またはC10アルコールもしくはC14アルコールと組み合わせて含む。
【0037】
濡れ組成物が、C12アルコールをC10アルコールまたはC14アルコールと混合して含むとき、アルコールの混合物中のC12アルコールとC10アルコールまたはC14アルコールとの相対比率は、50:50〜90:10の範囲であり得る。
【0038】
当業者であれば、C12アルコールとC10アルコールまたはC14アルコールのいずれかとの相対比率は、重量による各成分の相対量に基づくものであることを理解するであろう。すなわち、相対比率50:50では、組成物は、C12アルコールと、C10アルコールまたはC14アルコールのいずれかとを、等重量で含むことになる。したがって、相対比率は、混合物中のアルコール化合物の重量比も反映することができる。
【0039】
一実施形態では、濡れ組成物は、C12アルコールを、C10アルコールと組み合わせて含む。そのような実施形態では、C12アルコールとC10アルコールとの相対比率は、重量で80:20〜90:10の範囲であり得る。一実施形態では、C12アルコールとC10アルコールとの相対比率は、重量で約88:12である。
【0040】
別の実施形態では、濡れ組成物は、C12アルコールを、C14アルコールと組み合わせて含む。そのような実施形態では、C12アルコールとC14アルコールとの相対比率は、重量で56:44〜87:13の範囲であり得る。一実施形態では、C12アルコールとC14アルコールとの相対比率は、重量で約70:30である。
【0041】
C12アルコールは、C10またはC14アルコールよりも大きな量で存在し得るため、濡れ組成物のアルコール成分の主成分(すなわち、成分(a))を形成し得る。
【0042】
一実施形態では、濡れ組成物は、1−デカノールまたは1−テトラデカノールと組み合わせた1−ドデカノールの混合物を含む。組成物中の1−ドデカノールと1−デカノールまたは1−テトラデカノールのいずれかとの相対比率は、上述の範囲内であり得る。
【0043】
ある特定の実施形態では、濡れ組成物は、1−ドデカノールと1−テトラデカノールとの混合物を含む。アルコールの混合物中の1−ドデカノールと1−テトラデカノールとの相対比率は、重量で50:50〜90:10の範囲であり得る。例えば、1−ドデカノールと1−テトラデカノールとの相対比率は、重量で50:50、56:44、60:40、70:30、80:20、87:13、85:15または90:10から選択され得る。
【0044】
濡れ組成物は、適量のC10−C14アルコールを含むことができる。C10−C14アルコールの総量は、組成物の残りの成分とバランスが取れており、これらの成分も定義された比率で存在する。
【0045】
いくつかの実施形態では、濡れ組成物中のC10−C14アルコールの総量は、組成物の少なくとも12%であり、組成物の少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも20%、または少なくとも25%であり得る。C10−C14アルコールの総量は、組成物の最大49重量%、最大48重量%、最大47重量%、最大45重量%、最大35重量%、最大30重量%、または最大28重量%であり得る。C10−C14アルコールの総量は、これらの上限および下限のいずれかの範囲内の任意の濃度、例えば、15〜45重量%、または20〜40重量%であり得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、濡れ組成物は、本明細書に記載されているように、10〜40wt%の1種または複数種のC10−C14アルコールを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、濡れ組成物は、総量が約10、15、18、20、23、25、27、30、32、35、40、または45wt%の1種または複数種のC10−C14アルコールを含み得る。
【0048】
濡れ組成物はまた、組成物の成分として少なくとも1種のC4−C6酸素含有共溶媒を含む。C4−C6酸素含有共溶媒は、一般に水溶性または水混和性であり、濡れ組成物中の1種または複数種のC10−C14アルコールの可溶化剤として作用することができる。これは、C10−C14アルコール(またはそのようなアルコールの混合物)が界面活性剤と組み合わされたときに、安定した組成物の形成を助けることができる。C4−C6酸素含有共溶媒は、水への溶解度が20℃で1000mg/L以上であり得る。
【0049】
C4−C6酸素含有共溶媒は、1つまたは複数のタイプの酸素含有基を有し得る。C4−C6酸素含有共溶媒中に存在し得る様々なタイプの酸素含有官能基のいくつかの例としては、アルコール基、エステル基およびエーテル基などが挙げられる。C4−C6酸素含有共溶媒は、そのような官能基の組み合わせ、例えばアルコール基とエーテル基との組み合わせを有し得る。好ましくは、C4−C6酸素含有共溶媒は、引火点が低く、および/もしくは蒸発速度が遅く、ならびに/または悪臭を発しない。
【0050】
C4−C6酸素含有共溶媒は、環境条件に曝されたときに、半減期の短い非毒性の分解産物に分解可能な化合物から選択することができる。
【0051】
濡れ組成物に組み込むのに適したC4−C6酸素含有共溶媒のいくつかの例としては、水溶性または水混和性のC4−C6エステル、C4−C6アルコール、C4−C6エーテル、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0052】
一実施形態では、C4−C6酸素含有共溶媒は、水溶性または水混和性のC4−C6エステルであり得る。そのようなエステルは、C1−C3カルボン酸のC1−C3アルキルエステルであり得る。一実施形態では、水溶性C4−C6エステルは、乳酸のC1−C3アルキルエステルである。乳酸エステルの例としては、乳酸エチルおよび乳酸プロピルが挙げられる。
【0053】
一実施形態では、C4−C6酸素含有共溶媒は、水溶性または水混和性のC4−C6アルコールであり得る。水溶性または水混和性のC4−C6アルコールの全ての異性体を使用することができ、これには、直鎖または分岐の第一級、第二級および第三級アルコールが挙げられる。そのようなC4−C6アルコールは、ジオール、トリオールまたはテトロールなどのポリオールでもあり得る。水溶性または水混和性のC4−C6アルコールの例としては、tert−ブタノール、tert−アミルアルコール、グリセロール、トリエタノールアミン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールなどのアルキレングリコール、ジエチレングリコールおよびジプロピレングリコールなどのアルキレングリコールのエーテル、ならびに2−ブトキシエタノールおよびブトキシプロパノールなどのアルキレングリコールのモノアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
一実施形態では、C4−C6酸素含有共溶媒は、水溶性または水混和性のC4−C6エーテルであり得る。そのようなエーテルは、直鎖または分岐の炭化水素鎖に割って入っている1個または複数個の酸素ヘテロ原子を有し得る。水溶性または水混和性のC4−C6エーテルの例としては、アルコールのモノアルキルエーテルおよびエチレングリコールなどのアルキレングリコールのジアルキルエーテルなどが挙げられる。アルコールモノエーテルの例はエトキシブタノールであり、一方、アルキレングリコールジアルキルエーテルはエチレングリコールジメチルエーテルである。
【0055】
例示的な実施形態では、濡れ組成物は、乳酸エチル、2−ブトキシエタノールおよびジエチレングリコールから選択されるC4−C6酸素含有共溶媒を含む。
【0056】
一実施形態では、濡れ組成物は、(a)10〜40%の1種または複数種のC10−C14アルコールと;(b)10〜30%の、乳酸エチル、2−ブトキシエタノールおよびジエチレングリコールから選択されるC4−C6酸素含有共溶媒とを含む。一実施形態では、成分(a)は、C12アルコールを、任意選択でC10またはC14アルコールと組み合わせて含む。
【0057】
濡れ組成物の共溶媒成分は、組成物の10〜30%を構成する。濡れ組成物のこの成分中にC4−C6酸素含有共溶媒の混合物が存在するとき、存在する全てのC4−C6酸素含有共溶媒の総量は、10〜30%の範囲であることが理解されよう。
【0058】
いくつかの実施形態では、共溶媒成分は、濡れ組成物の30重量%未満を形成する。例えば、共溶媒成分は、最大28重量%、最大27重量%、最大25重量%、最大23重量%、最大20重量%、または最大18重量%であり得る。濡れ組成物は、共溶媒を、少なくとも10重量%、少なくとも11重量%、少なくとも12重量%、少なくとも13重量%、少なくとも14重量%、または少なくとも15重量%の量で含み得る。濡れ組成物は、C4−C6酸素含有共溶媒の量を、これらの上限および下限のいずれかの範囲内で、例えば、12〜25%、または15〜23%の濃度で含み得る。
【0059】
ある特定の実施形態では、濡れ組成物は、C4−C6酸素含有共溶媒として2−ブトキシエタノールを含む。2−ブトキシエタノールは、組成物中に約12.5重量%、13.5重量%、15重量%、17.5重量%、18重量%、20重量%、22.5重量%、または25重量%の量で存在し得る。
【0060】
別の特定の実施形態では、濡れ組成物は、C4−C6酸素含有共溶媒としての乳酸エチルを含む。乳酸エチルは、組成物中に約15重量%または25重量%の量で存在し得る。
【0061】
別の特定の実施形態では、濡れ組成物は、C4−C6酸素含有共溶媒としてジエチレングリコールを含む。ジエチレングリコールは、約22.5重量%または25重量%の量で組成物中に存在し得る。
【0062】
濡れ組成物中に使用されるC10−C14アルコールおよびC4−C6酸素含有共溶媒の量は、合わせて、組成物の少なくとも20wt%を構成し得る。いくつかの実施形態では、C10−C14アルコールおよびC4−C6酸素含有共溶媒は、合わせて、濡れ組成物の少なくとも30wt%を構成し得る。
【0063】
一実施形態では、C10−C14アルコールおよびC4−C6酸素含有共溶媒の合計量は、濡れ組成物の50wt%未満である。例えば、C10−C14アルコールおよびC4−C6酸素含有共溶媒成分は、合わせて、濡れ組成物の49wt%、48wt%、47wt%、46wt%または45wt%以下を形成し得る。濡れ組成物の残りの部分は、界面活性剤と水と他の添加剤とから形成され得る。
【0064】
また、本発明の濡れ組成物は、界面活性剤も含む。界面活性剤成分は、濡れ組成物の20〜60重量%を構成し、非イオン性、カチオン性、アニオン性および両性界面活性剤から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含む。濡れ組成物の界面活性剤成分は、前述の界面活性剤の2種以上の混合物を含み得る。界面活性剤の混合物が存在する場合、濡れ組成物中の界面活性剤の総量は、20〜60%の範囲である。
【0065】
濡れ組成物の界面活性剤成分が、有機シリコーン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤を含まないことが要件である。
【0066】
濡れ組成物用の界面活性剤は両親媒性化合物であり、水を含む水性液体の表面張力を低下させることができるものから選択することができる。界面活性剤は、標的水性液体に少なくとも部分的に、好ましくは完全に溶解しなければならない。「少なくとも部分的に溶解する」ということは、界面活性剤の量の少なくとも約50、65、75、80、90または95%が水性液体に溶解することができることを意味する。当業者であれば、選択された界面活性剤の水性液体溶媒への溶解度を容易に決定することができるであろう。
【0067】
界面活性剤は、濡れ組成物中のC10−C14アルコール、C4−C6酸素含有共溶媒、または他の添加剤と化学反応を起こしてはならない。さらに、界面活性剤は、それが添加される水性液体と、またはそれが添加される水性液体中の成分と化学反応を起こさないものが選択されるべきである。塗布熱でも化学反応を起こしてはならない。「化学反応を起こさない」または「化学反応なし」とは、新たな化学生成物を形成する反応がないことを意味する。化学物質間に、水素結合または他の可逆的な化学的相互作用がある場合がある。界面活性剤は、低エネルギー表面と化学的に反応してはならず、そうでなければ接着性の問題が生じる。好ましくは、界面活性剤は、低エネルギー表面と水素結合または他の結合を形成しない。
【0068】
界面活性剤は、非毒性であり、不燃性のものが有利に選択される。界面活性剤は、それが添加される水性液体の特性に悪影響を及ぼさずに、その表面張力を低下させるか、または低下させるのを助けるものでなければならない。界面活性剤が、色、粘度および臭気を含む水性液体の特性を変化させないことが有利である。
【0069】
一実施形態では、界面活性剤は、生体適合性、生分解性、および非毒性であり得る。これは、環境適合性ならびに自然の水路に存在する魚および他の生物に対する非毒性が望まれる、農業用組成物での使用を意図した濡れ組成物にとって有利であり得る。毛髪、皮膚または爪への塗布を意図した化粧品または栄養補助食品/医薬品組成物など、生体適合性が望まれる他の用途では、界面活性剤は非アレルギー性であり、皮膚を刺激しないものを選択する必要がある。
【0070】
別の実施形態では、界面活性剤は、水性ベースの樹脂などの複合水性液体を分散相に保持するように選択されたものであり得る。これは、二酸化チタンなどの顔料粒子を樹脂に使用するときに特に重要である。例えば、パーティクルボードの形成などで使用される木材粒子フレークのコーティングに樹脂を使用するとき、選択する界面活性剤は、キュアリングプロセス中にボードが曝される温度で耐熱性があり、樹脂がキュアリングして硬化する能力に影響を与えないものでなければならない。界面活性剤が耐熱性でない場合、高温で界面活性剤が分解されても、周囲環境に悪影響を及ぼさない非毒性副産物で終わる必要がある。樹脂が紙のコーティング用であるとき、界面活性剤分子の分解のいかなる副産物によっても紙が変色しないことが重要であるならば、界面活性剤はUV安定性でなければならない。
【0071】
別の実施形態では、界面活性剤は、粉末除草剤、殺虫剤もしくは肥料、または他の薬剤を含む他の粉末製剤を安定な水性懸濁液中に保持して、除草剤、殺虫剤、肥料または他の薬剤をスプレーとして散布できるようにするために選択されたものであってよい。
【0072】
界面活性剤は、それが添加される水性液体の動的濡れ性を低下させることができるものでなければならない(ただし、静的測定を使用してこれを決定することができる)。一部の界面活性剤は、水性液体の静的表面張力を低下させることができるが、一部の界面活性剤の分子量が高いことと、その結果として分子移動度が低いことは、水性液体の動的表面張力を低下させることができないことを意味する;これは、いくつかの実施形態では、それらの価値を下げる。
【0073】
いくつかの実施形態では、界面活性剤が非発泡性であることが望ましい場合がある。しかしながら、濡れ組成物は、非発泡性界面活性剤の使用に限定されず、その理由は、濡れ組成物中で発泡抑制剤として作用し得るC10−C14アルコールによって発泡が抑制される可能性があるためである。例えば、モノアルキルまたはジアルキルスルホコハク酸のナトリウム塩などのアニオン性界面活性剤は、液体の表面張力を効果的に低下させることができるが、それらを使用すると、多くの用途において泡の蓄積につながる。そのような状況では、C10−C14アルコールは、泡の形成を抑制するように作用し得る。
【0074】
濡れ組成物は、非イオン性、カチオン性、アニオン性および両性界面活性剤から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含む。水性液体中でミセルに自己集合することができる界面活性剤が使用され得る。
【0075】
濡れ組成物中には複数の界面活性剤が存在してもよく、各界面活性剤は同じまたは異なるタイプの界面活性剤であってよい。界面活性剤が本明細書で単数形で言及されるとき、文脈から明らかにされない限り、その範囲内に複数の界面活性剤を含むことを理解されたい。
【0076】
一般に、ある界面活性剤を別の界面活性剤に添加しても、通常は表面張力に相加効果をもたらさない。むしろ、多くの状況下では、界面活性剤混合物が表面張力を低下させる能力は、混合物内で最も性能の高い界面活性剤の能力に制限され得る。
【0077】
本明細書に記載のような界面活性剤(界面活性剤のブレンドを含む)は、有利には、約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16または17を超える親水性親油性バランス(HLB)を有し得る。
【0078】
有利には、界面活性剤は、濡れ組成物の20wt%以上から最大60wt%の量で存在する。界面活性剤は、少なくとも約20、25、30、35、40、45、50、55、60wt%の量で、またはそれらの極限内の任意の濃度で存在することができる。例えば、界面活性剤成分は、濡れ組成物の25〜55wt%または40〜50wt%を形成することができる。さらに、複数の界面活性剤が存在してもよく、複数の界面活性剤が存在するとき、濡れ組成物中の界面活性剤の総量は、所望の濃度範囲内にある。
【0079】
濡れ組成物を調製するために使用される界面活性剤は、固体または液体の形態であり得る。一実施形態では、界面活性剤は液体形態である。界面活性剤の混合物が使用されるとき、界面活性剤のブレンドは液体形態であり得る。液体形態の界面活性剤をC10−C14アルコールおよび極性成分と合わせて本明細書に記載の濡れ組成物を形成することが、より好都合であり得る。いくつかの実施形態では、成分をまとめるのを補助するために、熱を加えることができる。
【0080】
液体形態の界面活性剤は、原液(すなわち、界面活性剤のみを含む)または溶媒に溶解もしくは分散した界面活性剤を含む溶液であり得る。例示的な溶媒は、水であり得る。したがって、界面活性剤化合物は、界面活性剤溶液の一部を形成する。他の化合物または成分も、界面活性剤溶液中に存在し得る。
【0081】
界面活性剤溶液は、溶媒に溶解または分散した適量の界面活性剤を含み得る。例えば、界面活性剤溶液は、溶媒中に50%、60%、70%、80%、85%、90%または95%の界面活性剤を含み得る。
【0082】
濡れ組成物の界面活性剤成分は、活性界面活性剤化合物(単数または複数)それ自体から構成されることが理解されよう。したがって、界面活性剤溶液を使用して濡れ組成物を調製するとき、C10−C14アルコール成分と合わせる界面活性剤溶液の量は、最終的な濡れ組成物中の活性界面活性剤化合物の結果としての濃度が20〜60wt%の範囲になるように選択される。例示として、50wt%の界面活性剤溶液50gを含む濡れ組成物100gは、25wt%の界面活性剤を含むことになる。
【0083】
界面活性剤は、エトキシレート、例えばノニルフェノールアルコキシレート、もしくはアルコールアルコキシレート、例えばアルコキシレート(BL8として販売されている);ドデシル硫酸塩;または第四級アルキルアンモニウム化合物であり得る。界面活性剤は、Teric(登録商標)(Tericシリーズのいずれか、ただしN、12A、9A、13A9、16A、7ADNおよびBLシリーズが好ましい)、DS10025(登録商標)またはDS10030(登録商標)、Tweeen(登録商標)、Dynol(登録商標)またはSurfynol(登録商標)のブランドで販売されているものであり得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は非イオン性である。非イオン性界面活性剤(界面活性剤のブレンドを含む)は、約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16または17を超える親水性親油性バランス(HLB)を有し得る。
【0085】
単独で、または1種もしくは複数種の他の界面活性剤と組み合わせて適切に使用することができる非イオン性界面活性剤のいくつかの例には、以下のものが挙げられる:脂肪アルコールエトキシレート(オクタエチレングリコールモノドデシルエーテルおよびペンタエチレングリコールモノドデシルエーテルなど);アルキルフェノールエトキシレート(ノノキシノールおよびTriton X−100など);脂肪酸エトキシレート(ステアリン酸、オレイン酸またはラウリル酸の脂肪酸エトキシレートなど)、エトキシル化アミンおよび脂肪酸アミド(ポリエトキシル化牛脂アミン、ならびにコカミドモノエタノールアミンおよびコカミドジエタノールアミンなどのアミド);エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(ポロキサマーなど);グリセロールの脂肪酸エステル(グリセロールモノステアレートおよびグリセロールモノラウレートなど)、ソルビトールの脂肪酸エステル(ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレートおよびソルビタントリステアレートなどのSpan(登録商標)界面活性剤、およびそれらのエトキシレート、例えばTween(登録商標)20、Tween(登録商標)40、Tween(登録商標)60、およびTween(登録商標)80など);スクロースの脂肪酸エステル;ならびにアルキルポリグルコシド(デシルグルコシド、ラウリルグルコシドおよびオクチルグルコシドなど)。非イオン性界面活性剤は、エトキシル化テトラメチルデシンジオール(例えば、Surfynol(商標)ブランド)であり得、これは、単独のものであるか、またはアルキレングリコール(エチレングリコールなど)もしくはアルコールアルコキシレートとの混合物であり得る。
【0086】
一実施形態では、濡れ組成物は、アルキルポリグルコシド界面活性剤を含む。アルキルポリグルコシドは、親水性の糖ベースの頭部基およびC
8−C
16脂肪アルコール尾部を有する糖由来(すなわち、グルコースおよびスクロース)の界面活性剤である。そのような界面活性剤は、それらの性能および最小限の環境影響のために望ましいものとなり得る。さらに、それらが生分解性で天然物由来であるため、それらは環境に優しい濡れ組成物にとって魅力的な候補となることができる。アルキルポリグルコシドを、C10−C14アルコール成分および極性成分と合わせて溶液中に供給し、濡れ組成物を形成することができる。例えば、アルキルポリグルコシドは、水中で50wt%の溶液で提供され得る。
【0087】
グリコールおよびグリセロールなどのアルコールの脂肪酸エステル(モノ−、ジ−およびトリ−エステル)も、いくつかの実施形態では望ましい場合があるが、その理由は、これらの界面活性剤からの分解産物が最小限の環境影響をもたらし、これらが農業用途に望ましいものであるためである。
【0088】
いくつかの実施形態では、界面活性剤はアニオン性である。アニオン性界面活性剤は、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩およびカルボン酸塩の界面活性剤から選択されるクラスに属し得る。アニオン性界面活性剤は、遊離酸の形態で、または中和された形態で、例えばアンモニウム、有機アミン、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩形態を含む塩の形態で使用することができる。
【0089】
単独で、または1種もしくは複数種の他の界面活性剤と組み合わせて適切に使用することができるアニオン性界面活性剤のいくつかの例には、以下のものが挙げられる:アルキル硫酸塩(ラウリル硫酸ナトリウムおよびドデシル硫酸ナトリウムなど);アルキルエーテル硫酸塩(ラウレス硫酸ナトリウムおよびミレス硫酸ナトリウムなど);スルホコハク酸塩(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなど);アルキルベンゼンスルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸塩およびドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸塩など);アリール−アルキルエーテルリン酸塩;アルキルエーテルリン酸塩;ならびにアルキルカルボン酸塩(ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、およびラウロイルサルコシン酸ナトリウムなど)。当業者であれば、前述のアニオン性界面活性剤の他の塩形態が存在し得ることを理解するであろう。
【0090】
いくつかの実施形態では、モノもしくはジスルホン化もしくはリン酸化脂肪族直鎖または分岐アルコールなどのアニオン性界面活性剤が好ましい場合がある。また、アルファオレフィンスルホン酸塩および第二級アルカンスルホン酸塩などの炭化水素の直接スルホン化に由来する界面活性剤も使用され得る。
【0091】
特定の実施形態では、LABS酸(直鎖ドデカルベンジルスルホン酸)、ならびにアンモニウムLABSおよびトリエタノールアミンLABSなどのLABS塩として一般的に知られているモノスルホン化アリールアルキルフェノール様界面活性剤が適している。遊離酸形態および中和形態のドデシルジフェニルジスルホン酸塩(例えば、Dowfax 2AO)を、特に適切な非イオン性界面活性剤と組み合わせて使用してもよい。スルホコハク酸ジオクチルならびにそのナトリウムおよびアンモニウム塩(DOS)は、特に脂肪族アルコールアルコキシレートと組み合わせて、有用な急速湿潤剤となり得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、界面活性剤はカチオン性である。カチオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム化合物およびpH依存性の第一級、第二級または第三級アミンから選択されるクラスに属し得る。カチオン性界面活性剤は、中和された形態で、例えば臭化物および塩化物の塩形態を含む塩の形態で使用することができる。
【0093】
単独で、または1種もしくは複数種の他の界面活性剤と組み合わせて適切に使用することができるカチオン性界面活性剤のいくつかの例には、以下などのアルキル第四級アンモニウム化合物が挙げられる:塩化ベヘントリモニウム、塩化ジメチルベンジルアンモニウム、塩化セタルコニウム(CKC)および塩化ステアラルコニウムを含む塩化ベンザルコニウム(BAC)、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンゾドデシニウム、臭化カルベトペンデシニウム、臭化セトリモニウム(CTAB)、塩化セトリモニウム(CTAC)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ジデシルメチルアンモニウム、臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DODAB)、塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、臭化ドミフェン、オクテニジン二塩酸塩、ならびに臭化トンゾニウム。当業者であれば、前述のカチオン性界面活性剤の他の塩形態が存在し得ることを理解するであろう。
【0094】
好ましいカチオン性界面活性剤は、塩化ベンザルコニウム(BAC)のクラスに属し、塩化ジメチルベンジルアンモニウム、塩化セタルコニウムおよび塩化ステアラルコニウム界面活性剤から選択され得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は両性である。両性界面活性剤は、同じ界面活性剤分子内に酸性基と塩基性基とを有する。酸性基および塩基性基は、pHに応じてアニオン性基またはカチオン性基を形成することができる。両性界面活性剤は、双性イオンであることができ、特定のpHでは負電荷と正電荷との両方を帯びる場合がある。
【0096】
両性界面活性剤はいくつかの状況で採用され得るが、その理由は、そのような界面活性剤が特定のpH条件下でカチオン性またはアニオン性界面活性剤として振る舞うことができるためである。例えば、酸性または低pH(例えばpH≦6)では、両性界面活性剤はプロトン化され、カチオン性界面活性剤として作用することができ、一方、アルカリ性または高pH(例えばpH≧8)では、両性界面活性剤は脱プロトン化され、アニオン性界面活性剤として作用することになる。
【0097】
単独で、または1種もしくは複数種の他の界面活性剤と組み合わせて適切に使用することができる両性界面活性剤のいくつかの例には、以下のものが挙げられる:ラウラミンオキシドおよびミリスタミンオキシドなどのアルキルアミンオキシド;コカミドプロピルベタインなどのベタイン;ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレイミドプロピルヒドロキシスルタイン、タロウアミドプロピルヒドロキシスルタイン、エルカミドプロピルヒドロキシスルタイン、およびラウリルヒドロキシスルタインなどのヒドロキシスルタイン;ならびにラウランホ酢酸ナトリウムなどのアンホ酢酸。
【0098】
一組の実施形態では、濡れ組成物は、双性イオン形態の両性界面活性剤などの双性イオン界面活性剤を含まない。
【0099】
一組の実施形態では、濡れ組成物は、アルコールアルコキシレート、アルキルベンゼンスルホン酸塩、および塩化ベンザルコニウム界面活性剤から選択される界面活性剤を含む。界面活性剤の混合物も考えられる。例えば、濡れ組成物は、アルコールアルコキシレートとアルキルベンゼンスルホン酸塩との界面活性剤混合物を含み得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、界面活性剤の混合物中の界面活性剤のうちの1つは乳化剤として作用し、濡れ組成物を安定な配合物として維持するのを助け得る。
【0101】
一実施形態では、濡れ組成物は界面活性剤の混合物を含み得、界面活性剤の1つは、ドデシルベンゼンスルホン酸塩などのアルキルベンゼンスルホン酸塩である。アルキルベンゼンスルホン酸塩は、乳化剤として作用し、濡れ組成物を安定化させ、組成物成分の相分離を防止または最小化するのを助けることができる。濡れ組成物は、乳化剤として比較的少量のアルキルベンゼンスルホン酸塩のみを必要とし得る。一実施形態では、濡れ組成物は、最大5wt%のアルキルベンゼンスルホン酸塩を含む。
【0102】
C10−C14アルコール、C4−C5酸素含有共溶媒および界面活性剤は、添加剤と組み合わせることができる。そのような添加剤としては、水および他の水ではない添加剤が挙げられる。水は、濡れ組成物の0〜25wt%、0〜20wt%、0〜15wt%または0〜10wt%を構成し得、他の添加剤は、濡れ組成物の0〜10wt%、0〜5wt%または0〜2wt%を構成し得る。
【0103】
本発明の濡れ組成物は、水または他の添加剤を代替成分として含むことができるか、または水および他の添加剤の両方の組み合わせを所望の濃度内で含むことができることが理解されよう。さらに、他の添加剤の混合物を使用することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、濡れ組成物は、C10−C14アルコールと、C4−C5酸素含有共溶媒と、界面活性剤と、水と、他の添加剤とから本質的に構成され得る。使用するC10−C14アルコール、C4−C5酸素含有共溶媒および界面活性剤の量が合計100%にならない場合には、水および他の添加剤をこれらの成分に添加し、濡れ組成物の総質量または体積を100%にすることができる。したがって、水および他の添加剤は、濡れ組成物の残りの部分を形成する。
【0105】
しかしながら、水および他の添加剤は、濡れ組成物に必須のものではなく、水および他の添加剤がない場合、濡れ組成物は、本明細書に定義される量のC10−C14アルコールと、C4−C6酸素含有共溶媒と、界面活性剤とから本質的に構成され得ることが理解されよう。
【0106】
いくつかの実施形態では、濡れ組成物は、組成物の成分として水を含む。水は、定義された極限内の適切な量で濡れ組成物中に存在し得る。水は、濡れ組成物の別の成分の一部として添加されてもよく、または別個の成分として意図的に添加されてもよい。一実施形態では、濡れ組成物は、0、0.05、0.1、0.5、1、2、5、10、15、20、25重量%、またはこれらの極限間の任意の濃度から選択される量の水を含む。一実施形態では、濡れ組成物は、5〜10wt%の水を含む。水は、存在するとき、機能性成分または添加剤のいくつかの共溶媒として作用し得る。
【0107】
濡れ組成物中に存在する水は、濡れ組成物によって表面張力が低下することが望まれ、濡れ組成物自体が添加される標的水性液体(水または水を含有する液体であり得る)と区別されることが理解されよう。
【0108】
濡れ組成物中に組み込むことができる水以外の添加剤としては、水混和性C1−C3有機溶媒、香料、消泡剤、不凍剤、乳化剤、活性化合物、塩、染料(または他の着色剤)および粒子(例えば、二酸化チタンなどの顔料粒子)、安定化剤、防腐剤および/または緩衝剤が挙げられる。他の添加剤は、任意の適切な量で存在し得る。所望の量は、これらの添加剤の使用の結果として濡れ組成物に付与されることが望まれる効果(例えば、芳香または色の強さ)によって決まる場合がある。いくつかの実施形態では、他の添加剤は、濡れ組成物の約0.05、0.1、0.5、1、2、5、10重量%からの量で存在し得る。いくつかの実施形態では、濡れ組成物は、0〜5wt%の他の添加剤を含み得る。
【0109】
一実施形態では、濡れ組成物は、水混和性C1−C3有機溶媒である添加剤を含む。水混和性C1−C3有機溶媒が濡れ組成物中にある場合、それは最大10wt%の量で存在することができる。水混和性C1−C3有機溶媒は、極性溶媒であってもよい。
【0110】
「水混和性」とは、C1−C3有機溶媒が水と混合して均一溶液を形成することができることを意味する。水混和性C1−C3有機溶媒の例としては、アセトアルデヒド、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エタノール、エチレングリコール、グリセロール、メタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、1,3−プロパンジオール、およびプロピレングリコールが挙げられる。
【0111】
一実施形態では、水混和性C1−C3有機溶媒は、水混和性C1−C3アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノールおよびイソ−プロパノールであり、好ましくはエタノールである。
【0112】
濡れ組成物中の水混和性C1−C3有機溶媒(C1−C3アルコールなど)の量は、溶媒が可燃性であるため、5wt%未満に制限されることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、C1−C3有機溶媒は、濡れ組成物の5wt%以下の量で存在することが望ましい場合がある。
【0113】
いくつかの実施形態では、濡れ組成物は、水と水混和性C1−C3有機溶媒の混合物を含み得る。当業者であれば、水および水混和性C1−C3有機溶媒がそれぞれ極性化合物であり得ることを理解するであろう。
【0114】
濡れ組成物中に水および/または水混和性C1−C3有機溶媒があることが望ましい場合があるが、その理由は、これらの添加剤が濡れ組成物中のC10−C14アルコールおよび界面活性剤を相溶化するのを助けると考えられるためである。したがって、水および水混和性C1−C3有機溶媒は、C10−C14アルコールおよび界面活性剤の相溶化剤として作用し得る。それらはまた、濡れ組成物中のC10−C14アルコールおよび界面活性剤が、濡れ組成物が添加される水性液体に溶解するのを助けることもある。
【0115】
濡れ組成物中の添加剤は、心地よい匂いを提供する香料を有する化合物であり得る。本発明の濡れ組成物は強い臭気を放つものではないが、心地よい匂いを付与するために、または不快な臭いを抑えるかもしくはマスキングするために、必要に応じて、香料を濡れ組成物に添加することができる。
【0116】
一実施形態では、香料は精油である。精油は、レモンもしくはオレンジ油、または松根油であり得る。香料は、フェノール性アルデヒドを含み得る。フェノール性アルデヒドは、バニリンまたはイソバニリンであり得る。香料は、濃縮された形態で、または溶媒中に、1、2、5、10wt%溶液として添加され得る。例えば、バニリンは、エタノールなどの溶媒中に(例えば10wt%で)添加され得る。
【0117】
濡れ組成物は、有利には無害なものである。濡れ組成物が不燃性である場合も有利である。濡れ組成物は、高温で、例えば40℃まで安定でなければならない。これらの特性を確実に満たすために、組成物の成分は、個別におよび/または一緒に合わせたときにも、これらの要件を満たす必要がある。
【0118】
いくつかの実施形態では、C10−C14アルコール、C4−C6酸素含有共溶媒、界面活性剤および他の添加剤を含む濡れ組成物の成分は、好ましくは、環境ならびに植物、海洋生物および動物に対して無毒かつ無害である分解産物に容易に分解することができる環境に優しい化合物から選択される。これは、本発明の濡れ組成物が、フッ素系界面活性剤および有機シリコーン系界面活性剤に関連する重大な環境的および生物学的問題を回避することを可能にするため、有利であり得る。
【0119】
一実施形態では、濡れ組成物は、1−ドデカノール(10〜40%)と、2−ブトキシエタノール(10〜30%)と、非イオン性界面活性剤(20〜60%)とのブレンドを含み、任意に≦10%の水が添加される。
【0120】
一実施形態では、濡れ組成物は、1−ドデカノール(10〜40%)と、2−ブトキシエタノール(10〜30%)と、アニオン性界面活性剤(20〜60%)とのブレンドを含み、任意に≦10%の水が添加される。
【0121】
一実施形態では、濡れ組成物は、1−ドデカノール(10〜40%)と、2−ブトキシエタノール(10〜30%)と、カチオン性界面活性剤(20〜60%)とのブレンドを含み、任意に≦10%の水が添加される。
【0122】
別の実施形態では、濡れ組成物は、1−ドデカノールおよび1−テトラデカノール(C12およびC14アルコールの70:30または56:44ブレンド10〜40%)と、2−ブトキシエタノール(10〜30%)と、非イオン性界面活性剤(20〜60%)とのブレンドを含み、任意に≦10%の水が添加される。
【0123】
別の実施形態では、濡れ組成物は、1−ドデカノールおよび1−テトラデカノール(C12およびC14アルコールの70:30または56:44ブレンド10〜40%)と、ジエチレングリコール(10〜30%)と、非イオン性界面活性剤(20〜60%)とのブレンドを含み、任意に≦10%の水が添加される。
【0124】
別の実施形態では、濡れ組成物は、1−ドデカノールおよび1−テトラデカノール(C12およびC14アルコールの70:30または56:44ブレンド10〜40%)と、乳酸エチル(10〜30%)と、非イオン性界面活性剤(20〜60%)とのブレンドを含み、任意に≦10%の水が添加される。
【0125】
上記の濡れ組成物の全ての実施形態において、任意に≦10%のドデシルベンゼンスルホン酸塩が乳化剤として添加され得る。
【0126】
一実施形態では、本発明の濡れ組成物は、以下の重量で以下の成分からなる組成物ではない:
(i)Teric BL8(50%)、2−ブトキシエタノール(25%)、ドデカノール(25%);
(ii)Teric BL8(50%)、2−ブトキシエタノール(22.5%)、ドデカノール(27.5%);
(iii)Teric BL8(50%)、2−ブトキシエタノール(20%)、ドデカノール(30%);
(iv)Teric BL8(50%)、2−ブトキシエタノール(17.5%)、ドデカノール(32.5%);
(v)Teric BL8(50%)、2−ブトキシエタノール(15%)、ドデカノール(35%);
(vi)Teric BL8(50%)、2−ブトキシエタノール(25%)、C10−C12アルカノールブレンド(25%)。
【0127】
別の実施形態では、濡れ組成物は、15〜25wt%の2−ブトキシエタノールと残りの25〜30wt%のドデカノールと組み合わせた50wt%のアルコールエトキシレート界面活性剤からはならない。
【0128】
配合された濡れ組成物は、水性液体に添加されて水性液体の表面張力を変えることを意図している。
【0129】
濡れ組成物は、望ましくは、C10−C14アルコールと、C4−C6酸素含有共
溶媒と、界面活性剤とを含む安定な混合物の形態であり、任意選択で水および/または他の添加剤を含む。濡れ組成物は、安定な溶液、懸濁液または乳濁液の形態であり得る。「安定」であるということは、濡れ組成物の形成後またはその貯蔵中に、濡れ組成物の曇り、もしくは粘度の変化、または組成物の成分の実質的な分離(例えば、相分離、沈降または沈殿など)がないことを意味する。濡れ組成物は、4〜40℃の範囲の温度で少なくとも5時間安定であることができる。好ましい実施形態では、濡れ組成物は、数週間、数ヶ月または数年にわたって安定であり、貯蔵寿命を延ばす。しかしながら、いくつかの実施形態では、濡れ組成物は、使用直前に調製することができ、その場合には、短期間だけ安定であればいい。例えば、C12〜C14などの高分子量アルコールの一部の組成物では、アルコールと界面活性剤をまとめるのに熱が役立ち得る。そのような状況では、濡れ組成物は分離が起こる前に使用され得る。
【0130】
濡れ組成物の濁度調査は、配合物の安定性の評価に役立ち得る。
【0131】
濡れ組成物を形成するために、所望の量の界面活性剤を最初に所望の量のC10−C14アルコールと組み合わせ、次いで所望の量のC4−C6酸素含有共溶媒を初期混合物に添加し、合わせて濡れ組成物を形成する。必要に応じて、水および/または水混和性C1−C3有機溶媒などの添加剤のある量も、混合物に添加され得る。しかしながら、製造の順序は重要ではなく、濡れ組成物の成分は、任意の順序で一緒に合わせることができる。例えば、界面活性剤およびC4−C6酸素含有共溶媒を最初に一緒に混合してから、C10−C14アルコールを添加してもよい。さらに、界面活性剤を最後に混合してもよい。
【0132】
濡れ組成物が、少なくとも2種の異なるC10−C14アルコールの混合物、例えば1−ドデカノール(C12アルコール)と1−デカノール(C10アルコール)または1−テトラデカノール(C14アルコール)のいずれかとの混合物を含む場合、選択されたアルコールの所望の量を、界面活性剤およびC4−C6酸素含有共溶媒と、別個にまたは組み合わせてのいずれかで合わせることができる。
【0133】
いくつかの実施形態では、2種以上の異なるC10−C14アルコールのブレンドが、界面活性剤およびC4−C6酸素含有共溶媒と合わせられる。例えば、相対的C12:C14比が70:30および56:44である1−ドデカノールおよび1−テトラデカノールを含有する市販の調製物が利用可能である。混合物に異なるアルコールを導入するために、市販の調製物の選択された量を、界面活性剤およびC4−C6酸素含有共溶媒に添加することができる。必要に応じて、1種または複数種の追加のC10−C14アルコールを添加することもできる。例えば、アルコールブレンドに加えて、さらなる量の1−ドデカノール(C12アルコール)を共溶媒および界面活性剤と合わせて、さらなるアルコールを導入してもよく、および/または濡れ組成物中のC10−C14アルコールの相対比率を変更させてもよい。
【0134】
水、水性樹脂、農産物または他の水性材料であろうと、水性液体に添加する前に、濡れ組成物を完全な配合物として調製することが重要である。
【0135】
したがって、C10−C14アルコール、C4−C6酸素含有共溶媒、界面活性剤、ならびに任意選択で水および他の添加剤は、それらが水性液体に組み合わせて添加され、水性液体に別々に添加されないように、濡れ組成物中に一緒に存在する。具体的には、アルコール湿潤剤は、界面活性剤の水溶液に段階的に添加されない。水性液体に添加剤として界面活性剤と共にC10−C14アルコールを添加することの利点は、濡れ組成物を都合よく使用前に販売し、輸送し、保管することができることである。別の利点は、濡れ組成物を水性液体に添加する際に、C10−C14アルコールと界面活性剤との相対濃度が固定されているため、エンドユーザーが水性液体に添加する各成分の量を考慮する必要がないことである。
【0136】
使用時には、濡れ組成物は水性液体に添加され、水性液体の表面張力を低下させる。
【0137】
有利には、本発明の濡れ組成物は、濡れ組成物を含有する水性液体が、20℃で25mN/m未満の表面張力を達成することを可能にする。いくつかの実施形態では、本発明の濡れ組成物は、濡れ組成物を含有する水性液体の表面張力を、20℃で24mN/m、23mN/m、22mN/m、21mN/m、20mN/m、19mN/m、または18mN/m未満に低下させることができる。
【0138】
本発明の濡れ組成物でそのような低い表面張力を達成する能力は、予想外である。同等値の低い表面張力は、フッ素系界面活性剤および有機シリコーン系界面活性剤のみで達成可能であると一般的に考えられている。本発明の濡れ組成物は、好ましくは、フッ素系界面活性剤および有機シリコーン系界面活性剤を含まない。このように、フッ素系界面活性剤および有機シリコーン系界面活性剤の非存在下でそのような低い表面張力値を達成する濡れ組成物の能力は、驚くべきものである。
【0139】
当業者は、既知の技法を用いて、本発明の濡れ組成物を含有する水性液体の表面張力を測定することができる。一つの例示的技法は、ペンダントドロップゴニオメトリーであり、これは、ペンダントドロップの形状の光学的分析から表面張力および界面張力を測定することを可能にする。
【0140】
界面活性剤は、いったん水性液体に添加されると、液体/蒸気界面で集合して液体の表面張力を低下させることができる。しかしながら、本発明の濡れ組成物におけるC10−C14アルコールと界面活性剤との組み合わせは、界面活性剤の性能を高めことができ、驚くべきことに、界面活性剤単独で可能である以上に、表面張力をさらに低下させることができる。C10−C14アルコールと界面活性剤は、相加的または相乗的に相互作用して、表面張力を低下させ得る。
【0141】
理論によって限定されることを望まないが、不溶性C10−C14アルコールは、非イオン性、アニオン性およびカチオン性界面活性剤におけるミセルの形成を制限するか、さらには防止し、その結果、三相濡れ界面に移動することができる溶液中の界面活性剤分子の濃度が高くなり、それによってこれらの界面活性剤の通常の濡れ性能が向上すると考えられている。
【0142】
C10−C14アルコールは、水に不溶性または難溶性であり、分散させるのが困難であるため、C4−C6酸素含有共溶媒の存在は、界面活性剤の存在下でのC10−C14アルコールの分散および可溶化を助ける。分散したC10−C14アルコールは、濡れ組成物が添加された水性液体中で準安定状態にあることができ、水溶液から非常に急速に相分離する傾向があり、その結果、アルコールおよび関連する界面活性剤の濡れ界面への急速な移動が生じる。三相界面へのこの迅速な移動は、界面での界面活性剤の分散を助け、低エネルギー表面などの表面を濡らす水性液体の能力の向上に寄与すると考えられている。
【0143】
C10−C14アルコールの相分離は、界面活性剤分子の分散のための大きな表面積を提供する小液滴またはマイクロコロイドを形成する場合もある。
【0144】
C10−C14アルコールはまた、水性液体中の界面活性剤ミセルの形成を制限するか、さらには防止し、その結果、三相濡れ界面に移動することができる溶液中の界面活性剤分子の濃度がより高くなり、これらの界面活性剤の通常の濡れ性能が向上する。
【0145】
いくつかの実施形態では、本発明の濡れ組成物を含む水性液体中にミセルが形成されないか、またはミセルの形成が減少する。水性液体中に「ミセルが形成されない」または「ミセルの形成が減少する」とは、水性液体中で自己集合するミセルがいくつか存在し得ることを理解されたい。
【0146】
ミセルを形成することの不利な点は、水性液体の表面張力を低下させてアルコールを分散させるために利用可能な界面活性剤が少なくなることであり、例えば、界面活性剤がミセルを形成する場合、形成する乳濁液を安定化させるために利用可能な界面活性剤が少なくなることである。界面活性剤分子が濡れ中間相に拡散する前にミセルが分解する代わりに、界面活性剤と結合した長鎖アルコールは、溶液中で準安定状態にあるため、急速に濡れ中間相に移動する。この結果、界面活性剤単独の場合よりもはるかに迅速に濡れ界面に移動する高濃度の会合界面活性剤が得られることになるが、これは臨界ミセル濃度によって制限されていたであろう。
【0147】
C10−C14アルコールの三相濡れ界面への急速な移動により、界面活性剤分子が放出され、これは、ミセルがない場合、三相濡れ界面にも急速に拡散し、その結果、界面活性剤分子が溶液内から三相接触線での液体/空気中間層に拡散にすることにより、水性液体が低エネルギー表面全体に急速に拡散するため、スティックスリップ現象が減少する。
【0148】
濡れ組成物が添加される液体は、水性または実質的に水性である。水性液体には、水が含まれる。水性液体は、純水(もしくは実質的に純水)であり得、または再生水もしくは廃水であり得る。水性液体は、水を含む溶液であり得る。液体は、望ましくは、低エネルギー疎水性表面を濡らす任意の水性液体であり得る。
【0149】
水性液体は、農業用組成物からなり得るか、または農業用組成物を含み得る。農業用組成物は、殺虫剤、駆虫剤、殺ダニ剤、防かび剤、殺線虫剤、殺菌剤、除草剤、肥料または微量栄養素として使用するためのものであり得る。一実施形態では、農業用組成物は、グリホサート(N−(ホスホノメチル)グリシン)である。グリホサートは、雑草、特に、例えば作物と競合することが知られている一年生広葉雑草および一年草を枯死させるために使用される、広スペクトルの浸透性除草剤である。本発明の濡れ組成物は、粉末状の水溶性除草剤、例えばDupont社のBrush−off(商標)などに適用される組成物中で使用され得る。濡れ組成物は、MCPA(2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸)、2−4D(2,4−ジクロロフェノキシ酢酸)などの他の除草剤、およびトリクロピル(3,5,6−トリクロロ−2−ピリジニルオキシ酢酸)またはピクロラムなどの木質雑草除草剤に添加することができる。一実施形態では、濡れ組成物は、窒素、ならびにマグネシウム、カルシウムおよびホウ素肥料またはNPK(窒素、リンおよびカリウム)肥料などの、植物の葉に散布される葉面肥料に添加することができる。
【0150】
濡れ組成物は、農業用組成物が茎葉の表面を濡らす能力を高めることができる。別の実施形態では、濡れ組成物は、農業用組成物が木材ベースの基材の表面を濡らす能力を高めることができるため、害虫に対する抑止力を提供する。例えば、挽き材は、使用前に駆虫剤および/または防かび剤に含浸および/または浸漬され得る。さらに、濡れ組成物は、農業用組成物が種子を濡らす能力を向上させることができる。例えば、駆虫剤および/または防かび剤で種子をコーティングし、発芽前に種子を保護することができる。種子着色剤も、濡れシステムと共に添加することができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、濡れ組成物は、例えば作物に散布することができる農業用組成物のより微細なエアロゾルスプレーの形成を可能にする。これらの実施形態では、中〜高分子量(例えば、250,000〜100,000)のポリアクリルアミドまたはポリアクリレートを最終スプレー混合物に組み込むと、液滴を安定化させ、低エネルギー表面へのスプレーおよび/または他の散布後の水性液体の蒸発を最小限に抑え、オーバースプレーによる損傷を防止するのに役立つ可能性がある。
【0152】
一実施形態では、本発明の濡れ組成物を含む農業用組成物が提供される。
【0153】
水性液体は、医薬品、栄養補助食品、もしくは化粧品からなり得るか、またはそれらを含み得る。一実施形態では、液体は、薬剤化合物からなるか、またはそれを含む。一実施形態では、濡れ組成物は、医薬品、栄養補助食品または化粧品が、皮膚、毛髪および/または爪を含むヒトもしくは動物の体の表面を濡らす能力を増加させることができる。いくつかの実施形態では、濡れ組成物は、医薬品、栄養補助食品または化粧品のより微細なエアロゾルスプレー、例えばヘアスプレーの形成を可能にする。例えば、薬剤を、エアロゾルとして送達することができる。
【0154】
記載されている濡れ組成物の利点は、水性液体に添加されると、液体中の固形物が組成物によって分散されるため、固形物が「落ちる」傾向が減少することである。これは、濡れ組成物が、高固形物量の水性液体での濡れを、他の方法、すなわち濡れ組成物がない状況で使用した場合以上に可能にすることを意味する。高固形物量の液体での濡れの利点は、液体を固体に含浸させる際に液体のクロマトグラフ分離が少なくなることである。液体の分離が減ることで、より均一な含浸固体が得られ、最終的にはより強く、より耐久性のあるものになる。固体分散の別の利点は、低エネルギー表面を、より粘性の高い水性液体で濡らすことができることである。
【0155】
水性液体は、複合液体であり得る。複合液体は、水性ベースの樹脂、水性ベースの塗料または染料であり得る。樹脂の粘度は高く、硬化またはキュアリングする能力を備え得る。樹脂は、特定の樹木から産出される天然由来の物質であり得る。しかしながら、樹脂は天然物であっても合成物であってもよい。樹脂は、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂またはポリエステル樹脂であり得る。樹脂は、アミンまたはホルムアルデヒドタイプの樹脂であり得る。いくつかの実施形態では、樹脂は、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、またはレゾルシノール樹脂である。一実施形態では、水性液体は、紙または木材粒子フレークを濡らすための樹脂である。
【0156】
一実施形態では、本発明の濡れ組成物を含む樹脂が提供される。
【0157】
別の実施形態では、濡れ組成物は、鉱業、道路建設、または粉塵抑制を必要とするその他の土木工事において、粉塵抑制用に利用される水性液体中に使用され得る。また、水に添加して、非常に小さな液滴サイズの乳濁液を散布することで粉塵の拡散を最小限に抑え、最小限の量の液体で最大の被覆率と粉塵抑制とを実現することもできる。この場合、濡れ組成物は、純水または廃水もしくは再生水または適していると考えられる任意の水性流体に添加され得る。
【0158】
濡れ組成物は、消火泡を製造するための水性液体に使用され得る。
【0159】
濡れ組成物は、コンクリートを形成するために使用されるセメント組成物に添加され、コンクリートの広がりまたは流動性を向上させ、コンクリートの浸透を助けることができる。
【0160】
濡れ組成物は、原油を水から分離するために利用される液体に使用され、原油の回収を可能にし得る。その点で、濡れ組成物は、油−水界面を破壊し、その結果、油を水から分離するのを助けることができる。
【0161】
濡れ組成物を水性液体に添加すると、水性液体の表面張力が低下する。水性液体の表面張力は、濡れ組成物を添加すると、濡れ組成物がない場合の同じ水性液体の表面張力に比べて低下する。したがって、濡れ組成物をその中に有する水性液体の接触角は、濡れ組成物がない場合の同じ水性液体に比べて、低エネルギー疎水性表面上で減少することになる。濡れ組成物は、水性液体に添加されると、低エネルギー表面の水濡れ性を向上させる。言い換えれば、濡れ組成物を使用して、疎水性表面の水濡れ性を高めることができる。
【0162】
本発明の別の態様によれば、水性液体の表面張力を低下させる方法が提供され、本方法は、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つの濡れ組成物を水性液体に添加する工程を含む。
【0163】
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つの濡れ組成物と水性液体とを含む水性液体組成物が提供される。濡れ組成物を含む水性液体組成物は、その中に濡れ組成物が存在するため、表面張力が低下した組成物であり得る。
【0164】
濡れ組成物を含む水性液体組成物は、表面張力が低下した樹脂組成物または農業用組成物であり得る。
【0165】
濡れ組成物を含む水性液体組成物は、エアロゾル組成物またはスプレー組成物とすることができ、これは、空気などの気体中で液滴のミストを提供するように配合されている。本発明の濡れ組成物の添加により水性液体の表面張力を低下させると、濡れ組成物を含む水性液体を、濡れ組成物がない場合の同じ水性液体と比較してより小さな液滴サイズのエアロゾルまたはスプレーとして、適切な液体リザーバーから分注または排出することができる。液滴サイズが縮小されたエアロゾルまたはスプレーは、同じ量の散布液体に対してより良好な被覆率をもたらし、それによってスプレーがより効率的になる。エアロゾルは、塗料業、例えばスプレー塗料で使用するために配合され得る。あるいは、エアロゾルは、消臭剤またはヘアスプレーなどの化粧品として使用するためのものであり得る。いくつかの実施形態では、エアロゾルは、駆虫剤などの農業用スプレーである。エアロゾルはまた、洗浄剤として使用するためのものであり得る。
【0166】
本発明の別の態様では、液体リザーバーに連結したエアロゾルスプレーデバイスから分注されるエアロゾルスプレーの液滴サイズを縮小させる方法であって、本発明の濡れ組成物を、エアロゾルスプレーデバイスに連結した液体リザーバーに添加する工程と、デバイスから液体をスプレーする工程とを含む方法が提供される。
【0167】
本発明の濡れ組成物は、任意の手段で水性液体に添加され得る。一実施形態では、濡れ組成物は、水性液体に滴加される。濡れ組成物の添加は、手動で行うことも、または送達システムをプログラムするコンピュータによって制御することもできる。異なる水性液体は、表面張力の所望の減少を達成するために、異なる量の濡れ組成物を必要とするであろう。いくつかの実施形態では、濡れ組成物は、徐々に添加される(C10−C14アルコール、C4−C6酸素含有共溶媒および界面活性剤は、依然として一緒に添加されることに留意されたい)。各増分の添加に続いて、水溶液を、その表面張力と、それが低エネルギー疎水性表面を濡らす能力に関して観察することができる。いったん所望の濡れを達成すると、さらなる量の濡れ組成物を水性液に添加する必要はない。あるいは、既知量の濡れ組成物を水性液に添加することができる。既知量は、事前の実験に基づいて決定することができる。
【0168】
水性液体に添加される濡れ組成物の量は、望ましくないミセル形成がないため、制限されない。したがって、ミセルが形成される濃度(臨界ミセル濃度)まで一定レベルの濡れ性に達する界面活性剤とは異なり、本発明の濡れ組成物を任意の実用的な濃度まで添加し、Teflonまたは他の非常に低い表面エネルギーの表面などの非常に濡れにくい表面上での濡れを向上させることができる。いくつかの実施形態では、液体に添加する濡れ組成物の量を増加させると、水性液体の表面張力をさらに低下させることができる。
【0169】
濡れ組成物が表面に対する水性液体の濡れに有利な影響を確実に与える量の濡れ組成物を、水性液体に添加しなければならない。水性液体に添加される濡れ組成物の量は、約10、5、4、3、2、1.5、1、0.15、0.05、0.10または0.005vol%であり得る。一実施形態では、濡れ組成物は、0.1〜5vol%、0.5〜4vol%、および1〜3vol%から選択される範囲の量で、水性液体に添加される。濡れ組成物の添加量が多すぎると、不必要な費用がかかることがある。添加量が少なすぎると、濡れに望ましい効果が得られない。いくつかの実施形態では、濡れ組成物の量は、約0.5、0.3、0.1または0.15wt%のC10−C14アルコールを有する水性液体となるように添加される。濡れ組成物の過量投与によって引き起こされる唯一の有害な影響は、濡れがあまりにも急速に起こることであるように思われるが、これはほとんど問題ではない。従来の界面活性剤と比較して、より低用量の濡れ組成物を使用して、水性液体の濡れ性を向上させることができる。
【0170】
いったん臨界ミセル濃度に達すると、ミセル形成により界面活性剤が表面張力を低下させる能力が制限され得る従来の界面活性剤とは異なり、本発明の濡れ組成物は、水性液体に対する濡れ組成物の用量を増加させることにより、表面張力をますます低下させ続けることができる。
【0171】
濡れ組成物を水性液体に添加した後、水性液体の表面張力は、約70ダイン/cm未満に低下し得る。特定の実施形態では、濡れ組成物は、有利には、水性液体の表面張力を約25、24、23、22、21、20、19または18ダイン/cm未満に低下させ得る。いくつかの実施形態では、表面張力を最低限に低下させることが望ましい場合がある。他の実施形態では、現在のアニオン性、カチオン性および非イオン性界面活性剤によって達成される表面張力をわずかに下回る程度にまで表面張力を低下させれば十分である。他の実施形態では、現在のスーパースプレッダーと同様の表面張力、すなわち<23ダイン/cmを達成することが望ましい場合がある。他の実施形態では、現在の有機シリコーン系スーパースプレッダーと同様の表面張力、すなわち<20ダイン/cmを達成することが望ましい場合がある。他の実施形態では、現在のフッ素系界面活性剤スーパースプレッダーと同様の表面張力、すなわち<18ダイン/cmを達成することが望ましい場合がある。所望の表面張力は、当業者によって決定されることができ、これを達成するために必要な濡れ組成物の対応する量を添加することができる。
【0172】
水性液体への濡れ組成物の添加はまた、濡れ性の向上を反映して、表面における水性液体の静的または前進水接触角に影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、液体の前進水接触角は、約90、80、70、60、50、40、30、20、10または5°未満に減少し得る。一実施形態では、水性液体の前進接触角は10°未満に減少し得る。所望の濡れ性は、当業者が決定することができる。
【0173】
本発明の濡れ組成物は、低表面エネルギー表面上での水性液体の広がりを助けるための「スーパースプレッダー」として機能し得る。本発明の濡れ組成物は、現在知られている有機シリコーン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤と少なくとも同等またはそれ以上のレベルで性能を発揮し得る。
【0174】
低エネルギー表面の水濡れ性の増加は、本発明の濡れ組成物を含む液体で表面をより迅速にコーティングすることができることを意味し得る。低エネルギー表面の濡れ性は、本発明を利用していない液体の場合と比較して、1桁、2桁または3桁速くなり得る。これは、費用および時間の節約を表している。いくつかの実施形態では、基材の表面をコーティングまたは含浸させるために必要とされる水性液体が少なくて済み、これもまた重要な商業的利益を表している。コーティングを施すために必要とされる液体の量を減らしても、製品の品質に悪影響を及ぼすことはないはずである。樹脂コーティングに関して、いくつかの実施形態では、必要な樹脂は少なくなるが、最終的な樹脂コーティングまたは含浸製品のテーバー摩耗耐性、引っかき傷、汚れおよび/または耐衝撃性に変化はない。
【0175】
本発明に従って(すなわち、濡れ組成物の添加によって)修飾された樹脂でコーティングされた木材粒子フレークを含む物品では、被削性が向上し得る。被削性の向上とは、「チップアウト」の発生、すなわち、ラミネートの接着およびパネルの強度にとって重要なパネルの表層からの個々の未樹脂加工フレークまたはフレークの集まりの除去が減少することを意味する。これは、個々のフレーク上の樹脂分布が改善され、フレーク間の樹脂分布のばらつきが減少したことに起因すると考えられる。この実施形態における本発明の濡れ組成物を使用することにより、樹脂とフレークとを混合するように設計されたブレンダーの設定に柔軟性を持たせることができる。これは、モーター電流の減少および電力の節約をもたらすことができる。樹脂の分配に関しては、樹脂の使用量を低減させ、および/または密度を低下させ、したがって木材の使用量を減らすことができ、これは必然的に費用削減につながる。
【0176】
他の実施形態では、濡れ組成物は、濡れ組成物がない場合に同じ液体によって形成されるエアロゾルよりも小さい液滴を含むエアロゾルの形成を可能にする。エアロゾルは、液滴のミストである。濡れ組成物は、エアロゾルの形成に先立って添加してもよいし、エアロゾルが形成されると同時に、すなわちミストの液滴が生成されると同時に添加してもよい。
【0177】
エアロゾルの液滴が小さいほど、液滴は空気中に分散しやすくなるため、より細かいミストがより大きな表面積をカバーすることができるようになる。一実施形態では、本発明による濡れ組成物を用いて形成されたエアロゾルの平均液滴サイズは、濡れ組成物がない場合の同じ液体の液滴サイズよりも約10、20、30、40、50、60、70または80%小さい。一実施形態では、本発明の濡れ組成物を用いて調製されたエアロゾルは、濡れ組成物がない場合の同じ液体のエアロゾルよりも約10、20、30、40、50、60、70または80%広い領域に分散することができる。
【0178】
本発明のさらなる態様によれば、比較的高い表面エネルギーの液体で低エネルギー表面を濡らす方法が提供され、本方法は以下の工程を含む;
本発明の実施形態の濡れ組成物を液体に添加する工程と;
低エネルギー表面と濡れ組成物を含む液体とを接触させる工程。
【0179】
濡れ組成物を含む液体の接触角は、濡れ組成物がない場合の同じ液体の接触角と比較して、低エネルギー表面上で減少する。
【0180】
接触角の測定方法は、当業者には知られているであろう。例えば、接触角ゴニオメトリーは、1つの適切な方法の例である。接触角ゴニオメトリーは、標的水性液体に対する濡れ組成物の効果、および処理された水性液体が葉、木材、紙などの標的基材を濡らす能力の直接評価を可能にする。
【0181】
本発明の濡れ組成物を水性液体に添加すると、水性液体による疎水性表面の迅速かつ実質的に完全な濡れがもたらされる。濡れ組成物中のC10−C14アルコールは、濡れ作用を妨害するであろう界面活性剤ミセルの形成の可能性を減少させると考えられる。
【0182】
低エネルギー表面は基材の一部を形成してもよく、本明細書に記載の濡れ組成物を用いて、水性液体での基材の濡れを向上させることが望ましい場合がある。
【0183】
本発明の濡れ組成物をその中に含む水性液体によって濡れることが望まれる基材は、限定されない。基材は、比較的大きな連続表面積を有するものであってもよいし、微粒子状のものであってもよい。基材は、繊維状であってもよいし、多孔質であってもよい。一実施形態では、基材は紙である。別の実施形態では、基材は、ガラス繊維断熱材などの人工繊維である。基材は天然物であってもよい。一実施形態では、基材は革である。基材は、天然繊維または合成繊維を含み得る。天然繊維は、羊毛であり得る。天然繊維は、処理されていてもよく、例えば、皮革処理された羊毛であり得る。合成繊維は、PTFE、ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨン、アセテート、スパンデックス、アクリル(例えばOrlon(商標))、またはパラアラミド(例えばKevlar(登録商標))を含むか、これらで構成され得る。基材は、ポリ(テトラフルオロエチレン)(Teflon(登録商標))などの合成ポリマーであり得る。基材は、種子であり得る。基材は、植物の葉、芽、茎および根を含む茎葉であり得る。基材は、木質ベースであってもよいし、木材ベースであってもよい。木材ベースの製品には、楽器などの木製工芸品;竹製品;杖および籐製品;コルク製品および枝編み細工品などが挙げられる。その他の木材ベースの製品には、挽き材、合板、張り板、ならびにチップボード、ハードボード、中・高密度繊維板(MDF)、配向性ストランドボードおよびパーティクルボードを含む再構成木材製品が挙げられる。基材は、茎葉ベースのものであり得る。茎葉ベースの基材は、葉、枝、種子、茎、樹皮、根、または生死にかかわらず植物の任意の部分であり得る。基材はまた、再構成木材製品の構成要素となり得る木材粒子フレークであってもよいし、含浸された、例えば加圧含浸されたか、駆虫剤または防かび剤で浸漬された挽き材であってもよい。
【0184】
濡れ組成物を含む水性液体によって濡れることが望まれる基材の表面の表面エネルギーは、低い。表面の表面エネルギーは、約50、40、30または25ダイン未満であり得る。基材の表面は、疎水性である。「疎水性」とは、表面の静的または前進水接触角が、約90、100、110、120、130、140、150、160、170または175°を超えることを意味する。疎水性は、基材の表面の上部数層の化学的機能性によって付与され得る。あるいは、またはそれに加えて、疎水性は、表面粗さによって提供される。表面粗さは、表面の多孔性、および粗さをもたらす他の形態的特徴を含む。
【0185】
濡れ組成物は、表面全体にわたる水性液滴の広がりを増加させるために使用され得る。濡れ組成物は、水性液体の基材への浸透を増加させるために使用され得る。水性液体の浸透により、多孔質基材に水性液体を含浸させることが可能になる。
【0186】
表面の濡れ性は、当業者に知られている任意の手段によって測定することができる。濡れ性は、接触角ゴニオメトリーによって測定することができる。有利なことに、濡れ性は、固着(または静的)液滴測定を用いて測定される。
【0187】
濡れ性は、ペンダントドロップゴニオメトリーなど、水を含む水性液体の表面張力の変化を測定する方法を用いて測定することができる。濡れ組成物を含有しない水性液体は、比較基準を参照して評価される表面張力の低下を伴う比較基準として使用され得る。
【0188】
あるいは、濡れ性は、前進および/または後退接触角測定を用いて測定され、任意選択でWilhelmy天秤を用いて測定される。比較データは、同じ時間の濡れ性測定を使用する必要がある。
【0189】
濡れ組成物は、農業用組成物が茎葉の表面を濡らす能力を高めることができる。別の実施形態では、濡れ組成物は、農業用組成物が木材ベースの基材の表面を濡らす能力を高めることができるため、害虫に対する抑止力を提供する。例えば、挽き材は、使用前に駆虫剤および/または防かび剤に含浸および/または浸漬され得る。さらに、濡れ組成物は、農業用組成物が種子を濡らす能力を向上させることができる。例えば、駆虫剤および/または防かび剤で種子をコーティングし、発芽前に種子を保護することができる。種子着色剤も、濡れシステムと共に添加することができる。
【0190】
基材の表面は、濡れ組成物を含む水性液体でコーティングまたは含浸することができる。基材表面が水性液体によってコーティングされる実施形態では、有利には、利用可能な全表面積の少なくとも約90、80、70、60または50%がコーティングされる。多孔質基材表面が含浸される実施形態では、有利には、利用可能な全空隙の少なくとも約90、80、70、60または50%が液体で満たされる。
【0191】
本発明の別の態様では、本明細書に記載の濡れ組成物を含む水性液体組成物でコーティングまたは含浸された低エネルギー表面を有する製品が提供される。製品は、水性液体組成物でコーティングまたは含浸された紙またはパーティクルボードであり得る。
【0192】
一実施形態では、濡れることが望まれる基材は、本発明の濡れ組成物を含む水性液体組成物でプレコーティングまたは予備含浸され得る。基材のプレコーティングまたは予備含浸は、濡れ組成物でも処理された、後で塗布される水性液体組成物との基材の接触を向上させるのに役立つ。例えば、パーティクルボードフレークは、他のフレークと接着される前に、本発明の濡れ組成物を含む水性液体組成物でプレコーティングされ(例えば、濡れ組成物を含む水性液体をフレークにスプレーすることによって)、パーティクルボードを形成することができる。プレコーティングされたフレークは、パーティクルボードの表面エネルギーが上昇するのを補助することができ、それにより、パーティクルボードが、濡れ組成物も含む水性液体組成物によってより容易に濡れることを可能にする。
【0193】
また、本発明の濡れ組成物を用いて表面エネルギーが変えられた基材を形成することができることも判明している。例えば、本発明の濡れ組成物を含む水性液体でプレコーティングしたパーティクルボードフレークでパーティクルボードを形成することにより、パーティクルボード基材の表面エネルギーを変えることができる。これにより、通常の樹脂など、水性液体であっても非水性液体であっても、通常の液体でパーティクルボードをより容易に濡らすことができる。いくつかの実施形態では、濡れ組成物は、パーティクルボード基材の表面エネルギーを増加させることができ、それにより、パーティクルボードとパーティクルボード基材を濡らすのに望まれる液体(例えば樹脂)との間の界面エネルギーを低下させ、液体が基材上でより効果的に広がることを可能にすると考えられる。これにより、樹脂がパーティクルボード基材を濡らす能力が向上し、結果として、パーティクルボードの曲げ強度および引張強度などの基材の機械的特性が改良され得る。
【0194】
次に、本発明の実施形態を以下の実施例を参照して説明するが、これらは決して限定されるものではない。
【実施例】
【0195】
(濡れ組成物を調製するための一般的な手順)
濡れ組成物を形成するために、所望の量の界面活性剤と所望の量のC4−C6酸素共溶媒とを合わせて初期混合物を形成する。この初期混合物に所望の量のC10−C14アルコールを添加し、得られた組成物を混合する。必要に応じて、所望の量の水および他の添加剤をC10−C14アルコールの後に添加することもできる。
【0196】
(実施例1〜27:濡れ組成物および濡れ組成物が表面張力に及ぼす影響)
上記の一般的なプロトコルを使用して、表1に詳述されているように、様々な種類および量の成分を含む様々な濡れ組成物を調製した。
【0197】
調製した濡れ組成物試料を超純水で希釈し、0.1%、0.5%および1.0wt%の濃度で濡れ組成物を有する水性組成物を形成した。次いで、調製した試料の表面張力をペンダントドロップゴニオメトリーにより評価した。水のみ、または水と界面活性剤のみまたはC12アルコールのみの基準試料(R1〜R6)、ならびに1−オクタノール(C8アルコール)を界面活性剤と含む比較例(CE1)または1−ドデカノール(C12アルコール)を双性イオン界面活性剤と含む比較例(CE2)も調製し、試験した。
【0198】
様々な濃度の試験組成物を含む水性組成物に対して、ペンダントドロップゴニオメトリーを用いて表面張力(mN/m)測定を行った。ビデオキャプチャ画像を4.0002mmのチタンボールで校正した後、超純水を使用して20℃でゴニオメータをチェックした。
【0199】
表1は、ペンダント液滴ゴニオメーターによる表面張力の結果ならびに濃度効果も示している。示されている結果は、液体および濃度差の両方のp値が<0.001である分散分析の要約である。
【表1-1】
【表1-2】
備考:
1.超純水。
2.Teric BL8(非イオン性)界面活性剤。
3.カチオン性塩化ジメチルベンジルアンモニウム界面活性剤。
4.0.1wt%の濃度で飽和。
5.アニオン性直鎖ドデカルベンジルスルホン酸界面活性剤。
6.Silwet L−77と同一の有機シリコーン系界面活性剤。
7.双性イオン性ラウラミンオキシド界面活性剤。
【0200】
結果:
表1に見られるように、超純水の表面張力は、20℃で約72mN/mであった。本発明の濡れ組成物は、試験した濃度のうちの1つまたは複数で、水の表面張力を24mN/m未満の値に有意に低下させることができた。いくつかの実施例では、表面張力の低下における濡れ組成物の性能は、比較の有機シリコーン界面活性剤の性能に近似しているか、またはそれを超えている。
【0201】
実施例25、26および27の濡れ組成物が水の表面張力に及ぼす影響も、
図1〜6に示している。
【0202】
図1に見られるように、非イオン性界面活性剤と2−ブトキシエタノール、およびドデカノールとテトラデカノールのブレンド(70:30)を含む濡れ組成物の0.1%を水に添加すると、水の表面張力が低下し、表面張力は時間の経過とともに低下し続けた。
【0203】
同様の表面張力低下の結果は、
図2〜6に示すように、異なる用量で水に適用したドデカノールおよび2−ブトキシエタノールと合わせたアニオン性またはカチオン性界面活性剤を有する濡れ組成物でも達成される。
【0204】
(実施例29:濡れ組成物と農業用組成物との相溶性)
本発明の濡れ組成物と市販の除草剤濃縮物との相溶性を評価した。
【0205】
2−ブトキシエタノール(25%)、C12:C14(70:30)(25%)および8NB(50%)の混合物を含む濡れ組成物を調製した。
【0206】
市販の濃縮除草剤製剤を、製造業者の指示に従って水で希釈し、所望の除草剤濃度のすぐに使える製剤を提供した。次いで、濡れ組成物を、製剤1リットル当たり2gの濡れ組成物の量で希釈除草剤製剤に添加した。したがって、除草剤中の濡れ組成物の濃度は0.2wt%である。濡れ組成物を含む除草剤を4℃で少なくとも5時間貯蔵し、濡れ組成物と除草剤製剤との相溶性および最終組成物の安定性を評価した。
【0207】
以下の結果が得られた:
・ GARLONタイプの製品、乳濁液濃縮物を水で希釈し、最終除草剤濃度1.7ml/lのすぐにスプレーできる組成物にした。濡れ組成物をスプレー製剤に添加した。曇っていて安定した乳濁液が形成され、5時間の貯蔵後に非相溶性は観察されなかった。
・ GRAZONタイプの製品、乳濁液濃縮物を水で希釈し、最終除草剤濃度5ml/lのすぐにスプレーできる組成物にした。濡れ組成物をスプレー製剤に添加した。曇っていて安定した乳濁液が形成され、5時間の貯蔵後に非相溶性は観察されなかった。
・ MCPA 750、水溶性濃縮物を水で希釈し、最終除草剤濃度1.4ml/lのすぐにスプレーできる溶液にした。濡れ組成物をスプレー製剤に添加した。透明で安定した溶液が形成され、5時間の貯蔵後に非相溶性は観察されなかった。
・ 2,4−D 625アミン、水溶性濃縮物を水で希釈し、最終除草剤濃度1.4ml/lのすぐにスプレーできる溶液にした。濡れ組成物をスプレー製剤に添加した。透明で安定した溶液が形成され、5時間の貯蔵後に非相溶性は観察されなかった。
・ メトスルフロン、水和剤を水で希釈し、最終除草剤濃度0.5g/lのすぐにスプレーできる溶液にした。濡れ組成物をスプレー製剤に添加した。わずかに曇った組成物が形成された。
【0208】
(実施例30.様々な濡れ組成物と農業用組成物との相溶性)
本発明の様々な濡れ組成物と市販の除草剤濃縮物との相溶性を評価した。
【0209】
除草剤組成物を水中で1%(w/w)の濃度に希釈し、選択した濡れ組成物を2%(w/w)の濃度で除草剤組成物に添加した。相溶性試験に使用した濡れ組成物は、表1に示す実施例23、24および25であった。
【0210】
試験した除草剤組成物は以下の通りであった:
・ グリホサート360g/l(Roundup(登録商標))
・ MCPA(2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸)広葉除草剤
・ ブトキシエチルエステル100g/lとして存在するGrazon300g/L TRICLOPYR
・ ピクロラム木質雑草除草剤
・ BrushOff(登録商標)(メトスルフロンメチル粉末)、600g/kgの木質雑草除草剤で、水和剤である。
・ 2,4D(2,4−ジクロロフェノキシ酢酸)広葉樹除草剤
【0211】
濡れ組成物を含む全ての除草剤混合物は、5℃で48時間安定であった。濡れ組成物と除草剤製剤との分離は観察されなかった。
【0212】
(実施例31:濡れ組成物と樹脂組成物との相溶性)
本発明の濡れ組成物と、水溶液中に最大65%の固形物を含有するメラミン尿素ホルムアルデヒド樹脂との相溶性は、濡れ組成物を樹脂に添加することによって評価される。
【0213】
固形物は濡れ組成物と反応せず、濡れ組成物を含有する樹脂は安定な乳濁液である。
【0214】
(実施例32:濡れ組成物と葉面肥料との相溶性)
濡れ組成物と、硫酸アンモニウム、ドロマイトおよび石膏分散液、銅塩、(カルシウム)および種々の窒素葉面肥料などの液体葉面肥料との相溶性は、濡れ組成物を肥料に添加することによって試験される。液体肥料製剤は安定である。
【0215】
(実施例33:パーティクルボード床材における濡れ組成物の使用)
濡れ組成物とパーティクルボード床材樹脂との相溶性および製造プロセスを評価し、濡れ組成物の使用によって得られる改良点を判定した。
【0216】
床材の製造は、アルキルエトキシレート8NB 50%、C12およびC14アルコール(1−ドデカノールおよび1−テトラデカノール)の70:30混合物25%、2−ブトキシエタノール25%からなる濡れ組成物0.2%を、シングルデイライトパーティクルボードプレスで製造した床材の表面と芯の両方に添加して行った。パーティクルボード床材にとって最も重要な特性である濡れ耐久性、すなわち濡れ条件下での曲げ強度に有意な改善が見られた。
【0217】
本発明の濡れ組成物を使用することにより、より低い密度での実行が可能となり、かなりの費用削減がもたらされる。また、廃棄物からリサイクルされたフレークで実行することも可能であり、プロセスおよび製品の環境への影響およびカーボンフットプリントが削減される。
【0218】
本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変更が当業者には明らかであろう。
【0219】
以下の特許請求の範囲では、文脈上別段の解釈を必要としない限り、「含む(comprise)」という単語、ならびに「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」などの変形は、記載された整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を包含することを意味するが、他の整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を除外することを意味しないと理解されよう。
【0220】
本明細書において、過去の出版物(もしくはそれから派生した情報)への言及、または既知の事項への言及は、その過去の出版物(もしくはそれから派生した情報)または既知の事項が、本明細書が関連する努力傾注分野における一般知識の一部を形成していることを承認するもの、認めるもの、またはいかなる形式で示唆するものとしても解釈されるべきではない。