(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-524001(P2021-524001A)
(43)【公表日】2021年9月9日
(54)【発明の名称】ジェットエンジンを冷却するためのノズルと装置、ジェットエンジンのメンテナンスのための方法
(51)【国際特許分類】
F01D 25/30 20060101AFI20210813BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20210813BHJP
F01D 25/12 20060101ALI20210813BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20210813BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20210813BHJP
【FI】
F01D25/30 B
F01D25/00 X
F01D25/12 E
F02C7/00 A
F02C7/18 Z
F02C7/00 F
F01D25/30 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2021-510549(P2021-510549)
(86)(22)【出願日】2019年4月24日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月8日
(86)【国際出願番号】FI2019050330
(87)【国際公開番号】WO2019211518
(87)【国際公開日】20191107
(31)【優先権主張番号】20185402
(32)【優先日】2018年5月2日
(33)【優先権主張国】FI
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520428281
【氏名又は名称】エフシーエス エイヴィオニクス オーワイ
【氏名又は名称原語表記】FCS AVIONICS OY
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【弁理士】
【氏名又は名称】金高 寿裕
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【弁理士】
【氏名又は名称】小磯 貴子
(72)【発明者】
【氏名】ホタネン,パウリ
(72)【発明者】
【氏名】ラハトネン,ヴィレ−ヴェイッコ
(57)【要約】
本開示は、メンテナンスのためのジェットエンジン(2)を冷却するためのノズル(12)に関連する。ジェットエンジン(2)は、ジェットエンジン(2)の排出ガスの出口に向かう排出管(21)を備える。ノズル(12)は、排出管(21)から吸気するために、排出管(21)に密閉状態で接続されるのに適した円形形状を有する吸気アダプタ(121)と、吸気アダプタ(121)から吸気するために吸気アダプタ(121)と流体的に接続された吸気管(122)と、を備える。吸気管(122)は、吸気装置(13)に接続されるように構成されている。本開示は、メンテナンスのためのジェットエンジン(2)を冷却する装置(1)、及び、ジェットエンジン(2)のメンテナンスのための方法にも関連する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メンテナンスのためのジェットエンジン(2)を冷却するためのノズル(12)であって、前記ジェットエンジン(2)は、前記ジェットエンジン(2)の排出ガスの出口に向かう排出管(21)を備え、
前記ノズル(12)は、
前記排出管(21)から吸気するために、前記排出管(21)に接続されるのに適した円形形状を有する吸気アダプタ(121)と、
前記吸気アダプタ(121)から吸気するために前記吸気アダプタ(121)と流体的に接続され、吸気装置(13)に接続されるように構成された吸気管(122)と、
を備え、
前記吸気アダプタ(121)は、前記排出管(21)に対して密閉状態で接続されるように構成されていることを特徴とするためのノズル(12)。
【請求項2】
前記吸気アダプタ(121)は、円錐形状を有することを特徴とする、請求項1に記載のノズル(12)。
【請求項3】
前記吸気アダプタ(121)は円形形状を有し、前記円形形状の吸気アダプタ(121)は、断面がU形形状であって半開放の円形管を形成し、前記吸気管(122)は、前記円形形状の吸気アダプタ(121)の前記半開放の円形管の周縁に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のノズル(12)。
【請求項4】
前記吸気アダプタ(121)は、前記排出管(21)の密閉部を形成するための弾性材を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のノズル(12)。
【請求項5】
前記排出管(21)は、少なくとも1つのリム(121a)を備え、前記リム(121a)には弾性の密閉部が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載のノズル(12)。
【請求項6】
前記排出管(21)は、本質的に弾性材からなり、任意的には、少なくとも部分的に当該弾性材の内部に配置される固定の支持構造が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載のノズル(12)。
【請求項7】
メンテナンスのためのジェットエンジン(2)を冷却する装置(1)であって、
前記装置(1)を地上で可動に支持するように配置されたフレーム(11)と、
請求項1から6のいずれか一項に記載され、前記フレーム(11)によって支持されるノズル(12)と、
前記ノズル(12)に接続され、前記ノズル(12)から吸気する吸気装置(13)と、
を備えたことを特徴とする装置(1)。
【請求項8】
前記フレーム(11)は、前記フレーム(11)に対して前記ノズル(12)の垂直位置を調節する位置調節手段を備えたことを特徴とする、請求項7に記載の装置(1)。
【請求項9】
ジェットエンジン(2)のメンテナンスのための方法であって、
前記ジェットエンジン(2)の排出ガスの出口への排出管(21)を備えたジェットエンジン(2)を用意し、
請求項7又は8に記載の装置(1)のノズル(12)を前記排出管(21)に接続し、
前記装置(1)を用いて前記排出管(21)から吸気して、前記ジェットエンジン(2)を冷却し、
冷却された前記ジェットエンジン(2)に対するメンテナンス作業を実行する、方法。
【請求項10】
前記ジェットエンジン(2)は、前記排出管(21)と流体的に接続される吸気口(22)を備え、
前記方法は、冷気を前記吸気口(22)に供給することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジェットエンジンのメンテナンスに関し、特に、メンテナンスのためにジェットエンジンを冷却するためのノズルに関する。本開示はさらに、メンテナンスのためにジェットエンジンを冷却するための装置と、ジェットエンジンのメンテナンスのための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
特に航空分野においては、ジェットエンジンは、その信頼性の高い稼働を確実にするために、頻繁に補修を行う必要がある。経済的な理由から、メンテナンスによる中断の間に極力多くの稼働時間を可能にするべく、メンテナンス時間を極力短くしなければならない。
【0003】
ジェットエンジンが使用される場合、ジェットエンジンは過熱する。メンテナンス作業は高熱のジェットエンジンに対して行うことができないため、ジェットエンジンを冷却する必要がある。この冷却は、単にジェットエンジンを止め、ジェットエンジンがそれ自体で冷却するまで待機することで実行できる。しかし、この待機は、メンテナンスによる中断期間を延長させる。
【0004】
代替的に、排出管に配置された吸気管によりジェットエンジンの排出管から吸気することによってジェットエンジンを冷却することが可能である。これは、例えばプラスチックフィルムとテープを用いて排出管の残り部分を密閉することによって、より効果的に実行できる。しかし、密閉をするのは時間が掛かり、かつ困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、ノズル、当該ノズルを備えた装置、及び、上記課題を克服するために当該装置を利用する方法である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の目的は、独立項で規定される事項によって特徴付けられる、ノズル、当該ノズルを備えた装置、及び、当該装置を利用する方法によって、達成される。本開示の好適な実施形態は、従属項において開示される。
【0007】
本開示は、メンテナンスのためのジェットエンジンを冷却するためのノズルを提供する発案に基づいている。ノズルは、排出管から吸気するために、ジェットエンジンの排出管に対して密閉状態で接続されるのに適した円形形状を有する吸気アダプタと、吸気アダプタから吸気するために吸気アダプタと流体的に接続される吸気管と、を備える。吸気管は、吸気装置に接続されるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示のノズルの利点は、人手による密閉固定やテープ貼付の必要がなくジェットエンジンの排気に対する素早い取り付けが可能であるため、ジェットエンジンがメンテナンスに受け付けられた後に早期に冷却を開始できる点にある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下では、以下の図面を参照して好適な実施形態によって、より詳細に本開示が記述される。
【
図1】本開示の実施形態に係るノズルの斜視図である。
【
図2】ジェットエンジンの排出管に接続された、本開示の実施形態に係るノズルを示す図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、メンテナンスのためにジェットエンジン2を冷却するためのノズル12に関連する。例えば、ジェットエンジン2は、ターボジェットエンジン、ターボファンエンジン、又は、ターボプロップエンジンである。ジェットエンジン2は、ジェットエンジン2の排出ガスの出口に向かう排出管21を備える。この高温の排出ガスは、スラストを生成するために利用される。排出管21は、排出パイプ若しくは排出容器と、ジェットエンジン2の後部に放射状に設けられた円錐状の排出体と、の間の通路により形成されてもよい。代替的に、排出管21は、単に排出パイプによって形成されてもよい。いくつかの場合では、排出パイプは、円錐状の排出体を越えて長手方向に延び、それによって、排出管21の端部、又は排出ノズルが単に排出パイプによって形成される。
【0011】
ノズル12は、吸気アダプタ121を備える。吸気アダプタ121は、ジェットエンジン2を冷却すべく排出管21から吸気するために、ジェットエンジン2の排出管21に密閉状態で接続されるように構成されている。この場合、密閉状態で接続とは、排出管21と吸気アダプタ121の間で実質的に空気漏れがないことを意味する。吸気アダプタ121と排出管21との接続が
図2に示される。一実施形態によれば、吸気アダプタ121は、排出管21との間で密閉部を形成するために弾性材を備える。例えば、吸気アダプタ121は、プラスチックのような強固な材料からなる。一実施形態によれば、吸気アダプタ121は、少なくとも1つのリム121aを備え、リム121aには弾性の密閉部が設けられている。代替的に、吸気アダプタ121がそれ自体で、本質的に、シリコンラバーのような弾性材からなり、任意的には、吸気アダプタ121の弾性部分を支持するための固定の支持構造が設けられている。
【0012】
ノズル12は、吸気管122を備える。吸気管122は、吸気アダプタ121から吸気するために吸気アダプタ121と流体的に接続されている。吸気管122は、吸気装置13に接続されるように構成されている。
【0013】
吸気アダプタ121は、円形形状を有する。その円形形状は、対応する円形形状を有する排出管21に対する接続を容易にする。一実施形態によれば、吸気アダプタ121は、円錐形状を有している。この場合、吸気アダプタ121は、当該円錐形状の円形の周縁に形成された1つのリム121aを備える。円錐形状の吸気アダプタ121は、排出管が排出パイプと円錐状の排出体によって形成されているジェットエンジンと、排出管、又は少なくとも排出ノズルが単に排出パイプによって形成されているジェットエンジンとに適している。ノズル12が使用される場合、円錐形状の吸気アダプタ121がジェットエンジン2の排出部に嵌合し、それによって、リム121aが排出パイプ又は排出ノズルに接触するようになる。円錐形状の吸気アダプタ121は、
図1及び
図2に示される。
【0014】
別の実施形態によれば、吸気アダプタ121は、断面がU形形状であって半開放の円形管を形成し、吸気管122は、円形形状の吸気アダプタ121の半開放の円形管の周縁に接続されている。この場合、吸気アダプタ121は、半開放の円形管の内側の周縁と外側の周縁に形成された2つのリム121aを備える。円形形状の吸気アダプタ121は、排出管が排出パイプと円錐状の排出体によって形成されているジェットエンジンに適している。ノズル12が使用される場合、円形形状の吸気アダプタ121が排出パイプと円錐状の排出体の間に嵌合し、それによって、内側のリム121aが円錐状の排出体に接触し、外側のリム121aが排出パイプに接触するようになる。円形形状の吸気アダプタ121は、
図3に示される。
【0015】
本開示は、メンテナンスのためにジェットエンジン2を冷却する装置1にも関連する。装置1は、装置1を地上で可動に支持するように配置されたフレーム11を備える。例えば、フレーム11は、フレームの底部に車輪を備える。
【0016】
装置1は、上述したノズル12を備える。ノズル12は、フレーム11によって支持される。例えば、フレーム11は少なくとも1つの支持アーム111を備え、ノズル12は支持アーム111によって支持される。
【0017】
好ましくは、ノズル12は、装置1に取り外し可能に配置される。これは、対象となるジェットエンジンのタイプに従ってノズル12を選択し、取り換えることを可能にする。
【0018】
一実施形態によれば、フレーム11は、フレーム11に対してノズル12の垂直位置を調節する位置調節手段を備える。例えば、位置調節手段は、支持アーム111に配置される。例えば、支持アーム111は、その長さを変更する伸縮自在の構造を有する。位置調節手段の目的は、地上から異なる高さにおいてジェットエンジン2を有する航空機のジェットエンジン2を冷却する装置1を使用することを可能にすることである。
【0019】
装置1は、ノズル12に接続され、ノズル12から吸気する吸気装置13を備える。例えば、吸気装置13は、吸気ファンである。一実施形態によれば、吸気装置13は、ノズル12に対して空気を吹きかけることもできる。
【0020】
本開示は、ジェットエンジン2のメンテナンスのための方法にも関連する。この方法は、ジェットエンジン2の排出ガスの出口への排出管21を備えたジェットエンジン2を用意することを含む。ジェットエンジン2は、ジェットエンジン2の使用中高温になる。上述した装置1のノズル12を、排出管21に接続する。そして、装置1を用いて排出管21を吸気し、ジェットエンジン2を冷却する。それから、冷却されたジェットエンジン2に対するメンテナンス作業を実行する。
【0021】
ジェットエンジン2は、排出管21と流体的に接続される吸気口22を備える。一実施形態によれば、上記方法は、冷気を吸気口22に供給することを含む。この場合、冷気は、吸気口22から排出管21に流れ、装置1まで進む。冷気は、雰囲気よりも冷えている空気に関連する。冷気を吸気口22まで供給することは、ジェットエンジン2の冷却をより効率化させる。
【国際調査報告】