特表2021-524064(P2021-524064A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-524064(P2021-524064A)
(43)【公表日】2021年9月9日
(54)【発明の名称】弦楽器教授装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G09B 15/06 20060101AFI20210813BHJP
【FI】
   G09B15/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-564544(P2020-564544)
(86)(22)【出願日】2019年5月17日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月17日
(86)【国際出願番号】AU2019050482
(87)【国際公開番号】WO2019218029
(87)【国際公開日】20191121
(31)【優先権主張番号】2018203539
(32)【優先日】2018年5月18日
(33)【優先権主張国】AU
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】512120845
【氏名又は名称】バロッソ,ルイジ
(71)【出願人】
【識別番号】512120856
【氏名又は名称】バロッソ,カルラ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】バロッソ,ルイジ
(57)【要約】
本発明は、弦楽器を演奏する生徒の弓を持たない方の腕(2、3、4、5、6)の手首の位置を教えるように適合された装置(10)と、正しい手首の位置をモニタリングする方法とを提供する。装置(10)は、非接触近接センサ(22)と、近接情報送信機(23)と、関連回路(20)と、電源(21)と、一実施形態ではハウジング(11、12)とを含む。ハウジングは弦楽器の動作位置に取り付け可能であり、非接触近接センサ(22)は、生徒の手首又は手の内側部分(8)が、生徒の手(2)と前腕(3)とのずれに関連する閾値距離(D)よりも非接触近接センサの近くにきた場合に少なくとも感知できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弦楽器を演奏する生徒の弓を持たない方の腕の手首の位置を教えるように適合された装置であって、当該装置は、
近接を感知する非接触近接センサと、
前記非接触近接センサから前記生徒に又は教師に近接情報を提供するように適合された近接情報送信機と、
前記非接触近接センサ及び前記近接情報送信機を制御する回路と、
を含み、
前記非接触近接センサは、前記生徒の手首又は手の内側部分が、前記生徒の手と前腕とのずれに関連する閾値距離よりも前記非接触近接センサの近くにきた場合に少なくとも感知できるように、前記弦楽器の動作位置に取り付け可能である、装置。
【請求項2】
少なくとも前記非接触近接センサは、前記弦楽器が標準的なキャリングケース内に入れられているときに前記装置を前記弦楽器に取り付けたままにできるような寸法のハウジング内に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記非接触近接センサは容量センサである、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記容量センサはフレキシブルフィルムセンサである、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記近接情報送信機は、前記非接触近接センサが前記生徒の手首が前記閾値距離に又は前記閾値距離よりも近くにあることを感知した場合に警報音を発するオーディオスピーカを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記回路は無線通信装置を含み、前記非接触近接センサの作動に関するデータを、無線接続されたスマートフォン、タブレット又は他のコンピュータ装置に通信するように適合されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記弦楽器はバイオリン又はヴィオラである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記動作位置はバイオリン又はヴィオラのノーズである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
弦楽器を演奏する生徒の弓を持たない方の腕の手首の位置をモニタリングする方法であって、当該方法は、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置を提供するステップと、
少なくとも前記非接触近接センサを前記弦楽器の動作位置に取り付けるステップと、
前記弦楽器を演奏するステップと、
前記近接情報を受信するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弦楽器の音楽指導に関し、具体的には、限定されないが、バイオリン又はヴィオラの生徒の弓を持たない方の腕(non-bowing arm)の正しい手首の位置を教えるための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオリン教授業において理解されているように、バイオリン奏者の弓を持たない方の腕の姿勢は、正しいバイオリン演奏技術の重要な部分である。
【0003】
図1を参照して、バイオリンの生徒によって往々にして取られる誤った姿勢を示し、バイオリンの生徒の手2及び前腕3は、手首4が伸びることによってずれているため、手首2の中心線5及び前腕3の中心線6がそれぞれ斜めに配置され、手首4がバイオリンのネック及び指板1の近くに配置されている。
【0004】
図2を参照して、正しい姿勢を示し、手2及び前腕3の中心線がほぼまっすぐな整列7になっている。
【0005】
既知の教授補助器具は、弦楽器への又は生徒の手又は腕への取り付け具を含み、演奏の間に手首が伸びるのを防止するための物理的な制限を提供する。そのような補助器具はかさばりって保管が難しく、気を散ったり概して不快なものである。
【0006】
したがって、上述の欠点のうちの1つ以上を解消するか又は先行技術の解決策に対する有用な代替策を提供する、手首の位置を教えるための改善された装置を提供するニーズがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の広い態様によれば、弦楽器を演奏する生徒の弓を持たない方の腕の手首の位置を教えるように適合された装置が提供され、当該装置は、
非接触の近接を感知する非接触近接センサと、
前記非接触近接センサから前記生徒に又は教師に近接情報を提供するように適合された近接情報送信機と、
前記非接触近接センサ及び前記近接情報送信機を制御する回路と、
を含み、
前記非接触近接センサは、前記生徒の手首又は手の内側部分が、前記生徒の手と前腕とのずれに関連する閾値距離よりも前記非接触近接センサの近くにきた場合に少なくとも感知できるように、前記弦楽器の動作位置に取り付け可能である。
【0008】
一実施形態では、少なくとも前記非接触近接センサは、前記弦楽器が標準的なキャリングケース内に入れられているときに前記装置を前記弦楽器に取り付けたままにできるような寸法のハウジング内に配置されている。
【0009】
一実施形態では、前記非接触近接センサは容量センサである。前記容量センサはフレキシブルフィルムセンサであってもよい。
【0010】
一実施形態では、前記近接情報送信機は、前記非接触近接センサが前記生徒の手首が前記閾値距離に又は前記閾値距離よりも近くにあることを感知した場合に警報音を発するオーディオスピーカを含む。
【0011】
一実施形態では、前記回路は無線通信装置を含み、前記非接触近接センサの作動に関するデータを、無線接続されたスマートフォン、タブレット又は他のコンピュータ装置に通信するように適合されている。
【0012】
一実施形態では、前記弦楽器はバイオリン又はヴィオラであり、前記動作位置はバイオリン又はヴィオラのノーズであり得る。
【0013】
本発明の第2の広い態様によれば、弦楽器を演奏する生徒の弓を持たない方の腕の手首の位置をモニタリングする方法が提供され、当該方法は、
本発明の第1の広い態様の装置を提供するステップと、
少なくとも前記非接触近接センサを前記弦楽器の動作位置に取り付けるステップと、
前記弦楽器を演奏するステップと、
前記近接情報を受信するステップと、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、伸びた手首を含む、弓を持たない方の腕が正しくないバイオリン奏者を示す。
図2図2は、弓を持たない方の腕の手及び前腕が実質的に揃っているバイオリン奏者を示す。
図3図3は、生徒が正しい姿勢を用いた状態のバイオリンに設置された本発明の一実施形態に係る装置を示す。
図4図4は、誤った姿勢の結果として可聴アラームが作動した状態の図3の装置を示す。
図5図5は、図3の装置の外観斜視図である。
図6図6は、図3の装置の内部コンポーネントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を以下で説明する。
【0016】
先ず図3を参照して、本発明の実施形態の装置10が、バイオリンのネック1と本体9との間の接合部の下に配置されたバイオリンのノーズ30の周りに設置された状態を示す。生徒の内側手首面8は、装置10内部の非接触近接センサから十分な距離を置いて配置されており、正しい姿勢である結果、装置は警報信号を発しない。
【0017】
次に、図4を参照して、内側手首サービス(inner wrist service)8は、生徒の姿勢が悪化するにつれて距離Dまで装置10に近づいた状態を示し、その時点で装置10は、スピーカーを介して可聴アラーム信号40を発する。
【0018】
次に図5を参照して、組み立てられた装置10の斜視図を示す。装置10は、組立の間に第2のハウジング部12に取り付けられる第1のハウジング部11を含むハウジングを含む。穿孔されたスピーカー出口13がハウジングの側面に設けられて、スピーカーからの音がハウジングを出ることができるようになっている。成形された凹部14は、バイオリンのノーズ30の周囲にフィットするように形成されている。可撓性ストラップ16はハウジングの一方側から突出し、ネック1と本体19との間でネック1の周囲にフィットするとともに、図示の取り付け孔のうちの1つを介してハウジングの反対側のキャッチ15に取り付けられるように適合されている。第1のハウジング部11及び第2のハウジング部12により提供されるハウジングの外寸は約2cmの深さHを提供し、これにより、装置10は、標準的な収納ケース内にありながら、バイオリンに取り付けられたままで留まることができる。先行技術の物理的な装置は、手首8との物理的な接触を提供する必要からはるかに大きくなければならず、収納するのがより困難である。
【0019】
次に図6を参照して、装置10を組立の前の第1のハウジング部11がない状態で示し、第2のハウジング部12内に設置された内部コンポーネントを示す。装置10は、組立後にスピーカー出口13の後ろに配置されるオーディオスピーカ23を含む。オーディオスピーカ23は、プリント回路基板20上の回路に電気的に接続されている。また、プリント回路基板20上の回路には、第1のハウジング部品11及び第2のハウジング部品12の外形に実質的に追従するように弧状に曲げられたフレキシブル容量センサからなる非接触近接センサ22も接続されている。本実施形態におけるバッテリ21の形態の電源は、プリント回路基板20及び取り付けられたコンポーネントに電力を供給する。バッテリ21は、充電式のリチウムイオンバッテリであることが好ましい。USBポート24はバッテリ21のための充電接続を提供し、プリント回路基板20上の回路内に含まれるマイクロプロセッサ上の動作パラメータの外部プログラミング又は調整のためにも使用され得る。
【0020】
装置の電源をオン又はオフにするためにオン-オフスイッチ(図示せず)も設けられ得る。非接触近接センサ22の感度は、トリガー距離Dが各設置に適したものとなるようにマイクロUSBポート24を介して調整され得る。
【0021】
上述した実施形態によれば、非接触近接センサ22がトリガー距離D未満の内側手首面8の近接を検出した場合に、オーディオスピーカ23が作動される、これは、本発明の最も広い態様で特定された生徒又は教師に近接情報を送信する1つの方法である。他の実施形態では、より複雑な近接情報を伴い、そのような近接情報は外部装置に送信され、生徒に対する教授又は学習セッションの後に調べられ得る。例えば、近接情報は、プリント回路基板20上のメモリに記憶され、レッスン後にUSBポート24を介して外部のスマートフォン、タブレット又は他のコンピュータ装置に送信される測定された近接の時間プロファイルを含み得る。さらに別の実施形態は、非接触近接センサ22が近接を検出した場合に不動光又は点滅光を照らす警告灯の形態の近接情報送信機を伴い得る。
【0022】
そのため、本発明者は、先行技術の物理的な制約とは異なって、手首の姿勢が誤ったものになるまで生徒に気付かれない手首の姿勢を矯正するための改善された装置を提供した。
【0023】
当業者であれば、最も広い範囲及び特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明に対して多くの変更が加えられ得ることも分かるであろう。
【0024】
例えば、上記の実施形態ではUSBポート24を介してプログラムされ且つ通信されるが、Bluetooth(登録商標)又はWi−Fiインタフェースを含む他のインタフェースも電力要件及び装置内の物理的空間が許せば、本発明の範囲内にある。当業者であれば、プリント回路基板20上の回路の一部を形成する電子コンポーネントは容易に入手可能であり、本発明の機能及び外部装置との通信を目的とした拡張機能を提供するために容易に構成可能であることが分かる。当業者であれば、USBポート24を介して又は無線リンクを介して通信する装置によって記憶される近接データを処理するとともに、該情報を教師又は生徒に有用な形で表示するためにアプリを記述できることが分かる。例えば、マイクロホンも装置内にも設けられている場合、近接情報の時間プロフィールと共に演奏を記録したものを記憶することができ、これにより、生徒は、音楽のどの部分で理想的な姿勢から外れる傾向にあるかを理解することができる。
【0025】
さらに、上述の実施形態で説明した非接触近接センサは、皮膚を感知するのによく適合した容量センサであるが、レーザー等の手首又は手の近接を適切に測定することが可能な他のセンサは本発明の範囲内にあり、生徒に対して手首又は手の内面8に金属又は他の物質を配置することを求め得るセンサを含む。したがって、特許請求の範囲における「非接触近接センサ」という用語は、別段文脈上で必要する場合を除いて、手首又は手の近接を測定するのに適したそのような他の非接触センサも含む。
【0026】
さらに、上記の実施形態では、非接触近接センサ、近接情報送信機、回路及び電源を収容するハウジングを含むが、ハウジングを含まないか又は有線又は通信リンクにより接続された2つ以上のハウジングを含む他の実施形態も本発明の範囲内にある。
【0027】
さらに、図に記載した実施形態の配置は、演奏者の手首が非接触近接センサに最も近接する結果を通常もたらすが、非接触近接センサの他の配置又は演奏位置によって、演奏者の手(例えば掌)が最も近接する結果をもたらし得る。
【0028】
明示的な文言又は必要な暗示により別段文脈上で必要な場合を除いて、以下の特許請求の範囲及び本発明の先の説明において、「含む」という用語は包括的な意味で用いられている。すなわち、記載された特徴の存在を特定するために用いられるが、本発明の様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在又は追加を排除するものではない。さらに、特許請求の範囲に記載の任意の方法ステップは、別段文脈上で必要な場合を除いて、時間的に記載された順番で行われるか又は一旦始まった場合に休止することなく行われることを必ずしも意図していない。
本明細書において何らかの先行技術の刊行物が言及されている場合、そのような言及は、当該刊行物が、オーストラリア又はその他の国において当該技術分野の技術常識の一部を構成することを認めるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】