特表2021-524191(P2021-524191A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-524191アレイアンテナを測定するための位相補償方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-524191(P2021-524191A)
(43)【公表日】2021年9月9日
(54)【発明の名称】アレイアンテナを測定するための位相補償方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/06 20060101AFI20210813BHJP
   G01R 29/10 20060101ALI20210813BHJP
【FI】
   H01Q21/06
   G01R29/10 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-563511(P2020-563511)
(86)(22)【出願日】2018年12月28日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月11日
(86)【国際出願番号】CN2018124558
(87)【国際公開番号】WO2019214259
(87)【国際公開日】20191114
(31)【優先権主張番号】201810432530.1
(32)【優先日】2018年5月8日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519461336
【氏名又は名称】クアンチー インスティテュート オブ アドヴァンスト テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】KUANG−CHI INSTITUTE OF ADVANCED TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ルオペン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ジーヤ
(72)【発明者】
【氏名】ティエン,フア
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,ジエ
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA02
5J021DB03
5J021FA06
5J021GA02
5J021JA10
(57)【要約】
本発明は、アレイアンテナを測定するための位相補償方法及び装置を提供し、該位相補償方法は、測定した第1アレイユニット及び第2アレイユニットの遠視野パターンを導出して、座標系を設定することにより第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係を確定するステップS1と、第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係に基づいて、第1アレイユニットと第2アレイユニットとの間の導波路長差を確定するステップS2と、導波路長差に基づいて、第2アレイユニットを位相補償するステップS3とを含む。本発明は、各アレイユニットが位相補償及びポートのゼロ校正を行った後に、ビーム指向誤差の追加導入を防止することで、レドームの電気特性のテスト精度を向上させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アレイユニット及び第2アレイユニットを含むアレイアンテナを測定するための位相補償方法であって、
測定した前記第1アレイユニット及び前記第2アレイユニットの遠視野パターンを導出して、座標系を設定することにより前記第1アレイユニット及び前記第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係を確定するステップS1と、
前記第1アレイユニット及び前記第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係に基づいて、前記第1アレイユニットと前記第2アレイユニットとの間の導波路長差を確定するステップS2と、
前記導波路長差に基づいて、前記第2アレイユニットを位相補償するステップS3とを含むことを特徴とするアレイアンテナを測定するための位相補償方法。
【請求項2】
ステップS1は、
測定した前記第1アレイユニット及び前記第2アレイユニットの遠視野パターンを導出して、(x、y、z)で表される座標系を設定するステップS11と、
第1座標系を設定し、前記第1アレイユニットを原点0とするとともに、前記原点0の座標を(x0、y0、z0)とし、アレイアンテナビーム指向を
とするステップであって、前記アレイアンテナビーム指向を
とすることは、
座標系(x、y、z)において、アレイアンテナビーム指向のxy平面における投影とx軸正方向とのなす角を
角とし、アレイアンテナビーム指向とxz平面とのなす角を
角とすることを含むステップS12と、
第2座標系を設定し、前記第2アレイユニットを座標軸における他の点01とするとともに、前記他の点01の座標を(x1、y1、z1)とするステップS13とを含むことを特徴とする請求項1に記載の位相補償方法。
【請求項3】
ステップS2は、
前記他の点01から前記アレイアンテナビーム指向方向に垂線を引き、前記垂線と前記アレイアンテナビーム指向方向線との交点Mを取得して、前記アレイアンテナビーム指向方向における前記導波路長差OMを決定するステップS21と、
ベクトルOMとベクトルO1Mとの垂直関係に基づいて、前記導波路長差OMを算出するステップS22とを含むことを特徴とする請求項2に記載の位相補償方法。
【請求項4】
ステップS1の前に、
前記第2アレイユニットの位相
を予め決定することを含み、
ステップS3は、
前記導波路長差OM及び前記第2アレイユニットの位相
を位相補償式に代入して、前記第1アレイユニットの位相
を決定し、ここで、前記位相補償式は、
,であることを特徴とする請求項3に記載の位相補償方法。
(式中、rは導波路長差を示し、
は波長を示す。)
【請求項5】
前記位相補償方法はさらに、
前記第1アレイユニットを前記第2アレイユニットの位置にシフトするとともに、前記シフトした第1アレイユニットを第3アレイユニットとして設定して、前記第3アレイユニットを位相補償し、前記第3アレイユニットの位相反転によって前記第1アレイユニットの位相を得ることを含むことを特徴とする請求項4に記載の位相補償方法。
【請求項6】
前記第2アレイユニットを前記第1アレイユニットの位置にシフトするとともに、前記シフトした第2アレイユニットを第4アレイユニットとして設定して、前記第4アレイユニットを位相補償し、前記第4アレイユニットの位相反転によって前記第2アレイユニットの位相を得ることをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の位相補償方法。
【請求項7】
各アレイユニットを電子切り換えスイッチに接続するとともに、前記電子切り換えスイッチにより前記各アレイユニットを制御し、各アレイユニットの遠距離場を順次テストすることをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の位相補償方法。
【請求項8】
第1アレイユニット及び第2アレイユニットを含むアレイアンテナを測定するための位相補償装置であって、
測定した前記第1アレイユニット及び前記第2アレイユニットの遠視野パターンを導出して、座標系を設定することにより前記第1アレイユニット及び前記第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係を確定するための第1確定モジュールと、
前記第1アレイユニット及び前記第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係に基づいて、前記第1アレイユニットと前記第2アレイユニットとの間の導波路長差を確定するための第2確定モジュールと、
前記導波路長差に基づいて、前記第2アレイユニットを位相補償するための位相補償モジュールとを含むことを特徴とするアレイアンテナを測定するための位相補償装置。
【請求項9】
前記位相補償装置はさらに、
前記第1アレイユニットを前記第2アレイユニットの位置にシフトするとともに、前記シフトした第1アレイユニットを第3アレイユニットとして設定して、前記第3アレイユニットを位相補償し、前記第3アレイユニットの位相反転によって前記第1アレイユニットの位相を得るための第1シフト反転モジュールを含むことを特徴とする請求項8に記載の位相補償装置。
【請求項10】
前記位相補償装置はさらに、
前記第2アレイユニットを前記第1アレイユニットの位置にシフトするとともに、前記シフトした第2アレイユニットを第4アレイユニットとして設定して、前記第4アレイユニットを位相補償し、前記第4アレイユニットの位相反転によって前記第2アレイユニットの位相を得るための第2シフト反転モジュールを含むことを特徴とする請求項9に記載の位相補償装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ分野に関し、具体的には、アレイアンテナを測定するための位相補償方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アレイアンテナ及びそのレドームを測定する過程において、アレイユニットが回転テーブルの回転中心からずれると、測定して得られた遠視野パターンに誤差が生じやすく、位相誤差が敏感であり、測定した位相に前処理(位相補償)を施しないと、各アレイユニットが得られた遠視野をビーム合成する際にビーム指向ずれが生じることで、波透過率及び他の電気特性指標の測定精度に影響を及ぼす。
【0003】
しかしながら、従来の測定において、通常上記誤差を無視するか、又は単一アンテナの位置を調整することにより、単一アンテナをテストする際に、アンテナが回転テーブルの回転中心に位置するため、従来の測定においてテスト効率が低く、テスト治具が複雑であるか、又は固有のテスト誤差が存在するという欠点がある。
【0004】
関連技術における問題については、現在有効な解決策が提案されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
関連技術における問題については、本発明は、各アレイユニットが位相補償及びポートのゼロ校正を行った後に、ビーム指向誤差の追加導入を防止することで、レドームの電気特性のテスト精度を向上させることができるアレイアンテナを測定するための位相補償方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術的手段は、次のとおりである。
【0007】
本発明の一態様によれば、第1アレイユニット及び第2アレイユニットを含むアレイアンテナを測定するための位相補償方法を提供する。
【0008】
該位相補償方法は、測定した第1アレイユニット及び第2アレイユニットの遠視野パターンを導出して、座標系を設定することにより第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係を確定するステップS1と、第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係に基づいて、第1アレイユニットと第2アレイユニットとの間の導波路長差を確定するステップS2と、導波路長差に基づいて、第2アレイユニットを位相補償するステップS3とを含む。
【0009】
本発明の一実施例によれば、ステップS1は、測定した第1アレイユニット及び第2アレイユニットの遠視野パターンを導出して、座標系((x、y、z)で表される)を設定するステップS11と、第1座標系を設定し、第1アレイユニットを原点0とするとともに、原点0の座標を(x0、y0、z0)とし、アレイアンテナビーム指向を
とするステップであって、アレイアンテナビーム指向を
とすることは、座標系(x、y、z)において、アレイアンテナビーム指向のxy平面における投影とx軸正方向とのなす角を
角とし、アレイアンテナビーム指向とxz平面とのなす角を
角とすることとを含むステップS12と、第2座標系を設定し、第2アレイユニットを座標軸における他の点01とするとともに、他の点01の座標を(x1、y1、z1)とするステップS13とを含む。
【0010】
本発明の一実施例によれば、ステップS2は、他の点01からアレイアンテナビーム指向方向に垂線を引き、垂線とアレイアンテナビーム指向方向線との交点Mを取得して、アレイアンテナビーム指向方向における導波路長差OMを決定するステップS21と、ベクトルOMとベクトルO1Mとの垂直関係に基づいて、導波路長差OMを算出するステップS22とを含む。
【0011】
本発明の一実施例によれば、ステップS1の前に、第2アレイユニットの位相
を予め決定することを含み、ステップS3は、導波路長差OM及び第2アレイユニットの位相
を位相補償式に代入して、第1アレイユニットの位相
を決定し、ここで、位相補償式は、
,であり、
式中、rは導波路長差を示し、
は波長を示す。
【0012】
本発明の一実施例によれば、位相補償方法はさらに、第1アレイユニットを第2アレイユニットの位置にシフトするとともに、シフトした第1アレイユニットを第3アレイユニットとして設定して、第3アレイユニットを位相補償し、第3アレイユニットの位相反転によって第1アレイユニットの位相を得ることを含む。
【0013】
本発明の一実施例によれば、さらに、第2アレイユニットを第1アレイユニットの位置にシフトするとともに、シフトした第2アレイユニットを第4アレイユニットとして設定して、第4アレイユニットを位相補償し、第4アレイユニットの位相反転によって第2アレイユニットの位相を得ることを含む。
【0014】
本発明の一実施例によれば、さらに、各アレイユニットを電子切り換えスイッチに接続するとともに、電子スイッチにより各アレイユニットを制御し、各アレイユニットの遠距離場を順次テストすることを含む。
【0015】
本発明の他の態様によれば、第1アレイユニット及び第2アレイユニットを含むアレイアンテナを測定するための位相補償装置を提供する。
【0016】
該アレイアンテナを測定するための位相補償装置は、測定した第1アレイユニット及び第2アレイユニットの遠視野パターンを導出して、座標系を設定することにより第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係を確定するための第1確定モジュールと、第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係に基づいて、第1アレイユニットと第2アレイユニットとの間の導波路長差を確定するための第2確定モジュールと、導波路長差に基づいて、第2アレイユニットを位相補償するための位相補償モジュールとを含む。
【0017】
本発明の一実施例によれば、位相補償装置はさらに、第1アレイユニットを第2アレイユニットの位置にシフトするとともに、シフトした第1アレイユニットを第3アレイユニットとして設定して、第3アレイユニットを位相補償し、第3アレイユニットの位相反転によって第1アレイユニットの位相を得るための第1シフト反転モジュールを含む。
【0018】
本発明の一実施例によれば、位相補償装置はさらに、第2アレイユニットを第1アレイユニットの位置にシフトするとともに、シフトした第2アレイユニットを第4アレイユニットとして設定して、第4アレイユニットを位相補償し、第4アレイユニットの位相反転によって第2アレイユニットの位相を得るための第2シフト反転モジュールを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明の有益な効果は、本発明は、測定した第1アレイユニット及び第2アレイユニットの遠視野パターンを導出して、座標系を設定することにより第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係を確定し、次に第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係に基づいて、第1アレイユニットと第2アレイユニットとの間の導波路長差を確定し、最後に導波路長差に基づいて、第2アレイユニットを位相補償することで、各アレイユニットが位相補償及びポートのゼロ校正を行った後に、ビーム指向誤差の追加導入を防止することで、レドームの電気特性のテスト精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下、本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、実施例において使用する必要がある添付図面を簡単に説明し、以下に説明する図面は、本発明の幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとっては創造的努力なしにこれらの図面から他の図面を導き出すこともできることは明らかである。
【0021】
図1図1は本発明の実施例に係るアレイアンテナを測定するための位相補償方法のフローチャートである。
図2図2は本発明の実施例に係る遠視野パターンを示す図である。
図3図3は本発明の第1実施例に係る1次元位相比較を示す図である。
図4図4は本発明の第1実施例に係る2次元位相比較を示す図である。
図5図5は本発明の第1実施例に係る位相補償誤差を示す図である。
図6図6は本発明の第2実施例に係る1次元位相比較を示す図である。
図7図7は本発明の第2実施例に係る2次元位相比較を示す図である。
図8図8は本発明の第2実施例に係る位相補償誤差を示す図である。
図9図9は本発明の実施例に係るアレイアンテナを測定するための位相補償装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例における添付図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的手段を明確かつ完全に説明する。説明される実施例は本発明の実施例のすべてではなく、その一部に過ぎないことは明らかである。本発明における実施例に基づいて、当業者が得られるすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0023】
本発明の実施例によれば、第1アレイユニット及び第2アレイユニットを含むアレイアンテナを測定するための位相補償方法を提供する。
【0024】
図1に示すように、本発明の実施例に係るアレイアンテナを測定するための位相補償方法は、測定した第1アレイユニット及び第2アレイユニットの遠視野パターンを導出して、座標系を設定することにより第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係を確定するステップS101と、第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係に基づいて、第1アレイユニットと第2アレイユニットとの間の導波路長差を確定するステップS103と、導波路長差に基づいて、第2アレイユニットを位相補償するステップS105とを含む。
【0025】
本発明の上記技術的解決手段によれば、測定した第1アレイユニット及び第2アレイユニットの遠視野パターンを導出して、座標系を設定することにより第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係を確定し、次に第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係に基づいて、第1アレイユニットと第2アレイユニットとの間の導波路長差を確定し、最後に導波路長差に基づいて、第2アレイユニットを位相補償することで、各アレイユニットが位相補償及びポートのゼロ校正を行った後に、ビーム指向誤差の追加導入を防止することで、レドームの電気特性のテスト精度を向上させることができる。
【0026】
本発明の技術的解決手段を容易に理解するために、以下具体的な実施例によって詳細に説明する。
【0027】
本発明はアレイアンテナを測定するための位相補償方法を開示し、該位相補償方法は、測定した第1アレイユニット及び第2アレイユニットの遠視野パターンを導出して、座標系を設定することにより第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係を確定するステップS1を含む。
【0028】
該ステップS1では、該ステップS1は、測定した第1アレイユニット及び第2アレイユニットの遠視野パターンを導出して、座標系((x、y、z)で表される)を設定するステップS11と、第1座標系を設定し、第1アレイユニットを原点0とするとともに、原点0の座標を(x0、y0、z0)とし、アレイアンテナビーム指向を
とするステップであって、アレイアンテナビーム指向を
とすることは、座標系(x、y、z)において、アレイアンテナビーム指向のxy平面における投影とx軸正方向とのなす角を
角とし、アレイアンテナビーム指向とxz平面とのなす角を
角とすることとを含むステップS12と、第2座標系を設定し、第2アレイユニットを座標軸における他の点01とするとともに、他の点01の座標を(x1、y1、z1)とするステップS13とを含み、具体的には、
【0029】
図2に示すように、測定した第1アレイユニット及び第2アレイユニットの遠視野パターンを導出して、座標系を設定し、第1アレイユニットの座標系が(x、y、z)で表され、座標系(x、y、z)において、アレイアンテナビーム指向方向OMのxy平面における投影とx軸正方向とのなす角を方向角
(又はphi)とし、アレイアンテナビーム指向方向OMと直線ozとのなす角を高底角
(theta)とし、第2アレイユニットの座標系が(x’、y’、z’)で表され、該座標系(x’、y’、z’)の原点を01とする。
【0030】
ステップS2:第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係に基づいて、第1アレイユニットと第2アレイユニットとの間の導波路長差を確定する。
該ステップS2において、ステップS2は、他の点01からアレイアンテナビーム指向方向に垂線を引き、垂線とアレイアンテナビーム指向方向線との交点Mを取得して、アレイアンテナビーム指向方向における導波路長差OMを決定するステップS21と、ベクトルOMとベクトルO1Mとの垂直関係に基づいて、導波路長差OMを算出するステップS22とを含む。
【0031】
引き続き図2を参照すると、点O1からアレイアンテナビーム指向方向OMに垂線O1Mを引くとともに、該垂線O1Mとアレイアンテナビーム指向方向OMとの交点をMとし、幾何学的位置関係に基づいて、三角形OO1Mが直角三角形であることを確定でき、ベクトルによって該関係がベクトルOM⊥ベクトルO1Mに示され、該幾何学的位置関係によって導波路長差OMを取得し、具体的には以下のとおりである。
【0032】
以下の座標により上記のベクトルを決定でき、即ちベクトル
,ベクトル

幾何学的関係によって、


又は:


又はr=0(切り捨て)、
ただし、
を決定することができる。
【0033】
したがって、上記式に基づいて導波路長差OMを求めることができ、導波路長差OMを計算した後、さらに第2アレイユニットの位相に対して導波路長差補償を行う。
【0034】
ステップS3:導波路長差に基づいて、第2アレイユニットを位相補償する。
【0035】
また、ステップS1の前に、第2アレイユニットの位相
を予め決定することを含み、ステップS3は、導波路長差OM及び第2アレイユニットの位相
を位相補償式に代入して、第1アレイユニットの位相
を決定し、ここで、位相補償式は、
,であり、
式中、rは導波路長差を示し、
は波長を示す。
【0036】
該実施例において、該位相補償の条件は、1、アンテナ1(又は第1アレイユニット)をOに配置し、アンテナ2(又は第2アレイユニット)をO1に配置することと、2、遠距離場は参照座標系原点(0、0、0)を導出するとともに、位相補償する過程においてさらにアンテナ1の位相
(又はphase0)、アンテナ2の位相
(又はphase1)、原点O及び他の点O1の空間座標は、以下のように計算されることとを含む。
(又はPhase0=phase1+360*r/lamda),
式中、rは導波路長差を示し、
は波長を示す。
【0037】
その後検証して、phase1、O及びO1の空間座標からアンテナ1の位相phase0を求める。
【0038】
また、該位相補償方法はさらに、第1アレイユニットを第2アレイユニットの位置にシフトするとともに、シフトした第1アレイユニットを第3アレイユニットとして設定して、第3アレイユニットを位相補償し、第3アレイユニットの位相反転によって第1アレイユニットの位相を得ることを含む。
【0039】
該実施例において、上記位相補償をシミュレーション検証する過程は、引き続き図2を参照し、アンテナ1が(0、0、0)に位置し、アンテナ1が(0、100、0)にシフトし、即ちアンテナ2を得、アンテナ2の位相を位相補償して、補償後の結果は図3図4及び図5に示すとおりである。
【0040】
また、第2アレイユニットを第1アレイユニットの位置にシフトするとともに、シフトした第2アレイユニットを第4アレイユニットとして設定して、第4アレイユニットを位相補償し、第4アレイユニットの位相反転によって第2アレイユニットの位相を得ることをさらに含む。
【0041】
該実施例において、上記位相補償を逆検証する過程は、引き続き図2を参照し、アンテナ1が(0、100、0)に位置し、アンテナ1が(0、0、0)にシフトし、即ちアンテナ2を得、アンテナ2の位相を位相補償して、補償後の結果は図6図7及び図8に示すとおりである。
【0042】
また、各アレイユニットを電子切り換えスイッチに接続するとともに、電子スイッチにより各アレイユニットを制御し、各アレイユニットの遠距離場を順次テストすることで、アンテナ位置を移動する必要がなく、アンテナを固定し、各アレイユニットを電子切り換えスイッチに接続し、各アレイユニットの遠距離場を順次テストすることによりテスト効率を向上させることをさらに含む。
【0043】
本発明の他の態様によれば、第1アレイユニット及び第2アレイユニットを含むアレイアンテナを測定するための位相補償装置を提供する。
【0044】
図9に示すように、該アレイアンテナを測定するための位相補償装置は、測定した第1アレイユニット及び第2アレイユニットの遠視野パターンを導出して、座標系を設定することにより第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係を確定するための第1確定モジュール91と、第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係に基づいて、第1アレイユニットと第2アレイユニットとの間の導波路長差を確定するための第2確定モジュール92と、導波路長差に基づいて、第2アレイユニットを位相補償するための位相補償モジュール93とを含む。
【0045】
本発明の一実施例によれば、位相補償装置はさらに、第1アレイユニットを第2アレイユニットの位置にシフトするとともに、シフトした第1アレイユニットを第3アレイユニットとして設定して、第3アレイユニットを位相補償し、第3アレイユニットの位相反転によって第1アレイユニットの位相を得るための第1シフト反転モジュール(図示せず)を含む。
【0046】
本発明の一実施例によれば、位相補償装置はさらに、第2アレイユニットを第1アレイユニットの位置にシフトするとともに、シフトした第2アレイユニットを第4アレイユニットとして設定して、第4アレイユニットを位相補償し、第4アレイユニットの位相反転によって第2アレイユニットの位相を得るための第2シフト反転モジュール(図示せず)を含む。
【0047】
なお、該位相補償装置では、第1確定モジュール91、第2確定モジュール92、位相補償モジュール93、第1オフセット反転モジュール及び第2オフセット反転モジュールのみが限定されているが、当業者であれば、位相補償方法に対応する他のモジュールが本発明の位相補償装置に適用されていることを言うまでもなく理解でき、例えば、本発明の一実施例によれば、該位相補償装置は、各アレイユニットを電子切り換えスイッチに接続するとともに、電子スイッチにより各アレイユニットを制御し、各アレイユニットの遠距離場を順次テストすることで、アンテナ位置を移動する必要がなく、アンテナを固定し、各アレイユニットを電子切り換えスイッチに接続し、各アレイユニットの遠距離場を順次テストすることによりテスト効率を向上させるための接続ユニットをさらに含み、本発明はこれに限定されない。
【0048】
要約すると、本発明の上記技術的解決手段によれば、測定した第1アレイユニット及び第2アレイユニットの遠視野パターンを導出して、座標系を設定することにより第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係を確定し、次に第1アレイユニット及び第2アレイユニットの空間的な幾何学的関係に基づいて、第1アレイユニットと第2アレイユニットとの間の導波路長差を確定し、最後に導波路長差に基づいて、第2アレイユニットを位相補償することで、各アレイユニットが位相補償及びポートのゼロ校正を行った後に、ビーム指向誤差の追加導入を防止することで、レドームの電気特性のテスト精度を向上させることができる。
【0049】
以上の説明は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するためのものではなく、本発明の精神及び原則内で行われるあらゆる修正、同等置換及び改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】