(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
前記抗体又は前記その抗原結合断片が、残基HGKCEHSINMQEPSC(配列番号57)又はDAGYTGQHCEKKDYSVL(配列番号58)内でTMEFF2の前記膜近位領域に結合する、請求項1又は2に記載の単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片。
VH3_3−23(配列番号53)又はVH1_1−69(配列番号54)に由来する重鎖可変領域(VH)フレームワークを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片。
VKI_L11(配列番号55)又はVKIIII_A27(配列番号56)に由来する軽鎖可変領域(VL)フレームワークを含む、請求項7に記載の単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片。
前記抗体が、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片。
請求項13〜18のいずれか一項に記載の抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を産生する方法であって、前記抗体が発現する条件下で請求項26に記載の宿主細胞を培養することと、前記宿主細胞によって産生された前記抗体を回収することとを含む、方法。
TMEFF2陽性癌の治療を必要とする対象においてTMEFF2陽性癌を治療する方法であって、治療に有効な量の請求項1〜21のいずれか一項に記載の単離された抗TMEFF2抗体若しくはその抗原結合断片、又は請求項22に記載の医薬組成物を、前記対象に投与して、前記TMEFF2陽性癌を治療することを含む、方法。
前記抗体が、TMEFF2の配列番号110の前記膜近位領域に結合する、請求項35に記載の単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片。
前記抗体が、残基HGKCEHSINMQEPSC(配列番号57)又はDAGYTGQHCEKKDYSVL(配列番号58)内でTMEFF2の前記膜近位領域に結合する、請求項35〜37のいずれか一項に記載の単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片。
TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
a)前記第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び22のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
b)前記第1のドメインが、配列番号25のVH及び配列番号28のVLを含み、前記第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
c)前記二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくは前記その抗原結合断片が、配列番号32の第1の重鎖(HC1)、配列番号35の第1の軽鎖(LC1)、配列番号76の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号77の第2の軽鎖(LC2)を含む、
単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片。
TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
a)前記第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び22のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
b)前記第1のドメインが、配列番号25のVH及び配列番号28のVLを含み、前記第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
c)前記二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくは前記その抗原結合断片が、配列番号32のHC1、配列番号35のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、
単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片。
TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
a)前記第1のドメインが、それぞれ配列番号11、13、16、19、21、及び23のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
b)前記第1のドメインが、配列番号26のVH及び配列番号29のVLを含み、前記第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
c)前記二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくは前記その抗原結合断片が、配列番号33のHC1、配列番号36のLC1、配列番号76のHC2、及び配列番号77のLC2を含む、
単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片。
TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
a)前記第1のドメインが、それぞれ配列番号11、13、16、19、21、及び23のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
b)前記第1のドメインが、配列番号26のVH及び配列番号29のVLを含み、前記第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
c)前記二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくは前記その抗原結合断片が、配列番号33のHC1、配列番号36のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、
単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片。
TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
a)前記第1のドメインが、それぞれ配列番号10、14、17、18、20、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
b)前記第1のドメインが、配列番号27のVH及び配列番号30のVLを含み、前記第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
c)前記二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくは前記その抗原結合断片が、配列番号34のHC1、配列番号37のLC1、配列番号76のHC2、及び配列番号77のLC2を含む、
単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片。
TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
a)前記第1のドメインが、それぞれ配列番号10、14、17、18、20、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
b)前記第1のドメインが、配列番号27のVH及び配列番号30のVLを含み、前記第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
c)前記二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくは前記その抗原結合断片が、配列番号34のHC1、配列番号37のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、
単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片。
TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
a)前記第1のドメインが、それぞれ配列番号11、13、16、18、20、及び22のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
b)前記第1のドメインが、配列番号26のVH及び配列番号31のVLを含み、前記第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
c)前記二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくは前記その抗原結合断片が、配列番号33のHC1、配列番号38のLC1、配列番号76のHC2、及び配列番号77のLC2を含む、
単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片。
TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
a)前記第1のドメインが、それぞれ配列番号11、13、16、18、20、及び22のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
b)前記第1のドメインが、配列番号26のVH及び配列番号31のVLを含み、前記第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
c)前記二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくは前記その抗原結合断片が、配列番号33のHC1、配列番号38のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、
単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片。
TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
a)前記第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び86のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
b)前記第1のドメインが、配列番号87のVH及び配列番号88のVLを含み、前記第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
c)前記二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくは前記その抗原結合断片が、配列番号91のHC1、配列番号92のLC1、配列番号76のHC2、及び配列番号77のLC2を含む、
単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片。
TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
a)前記第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び86のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
b)前記第1のドメインが、配列番号87のVH及び配列番号88のVLを含み、前記第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
c)前記二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号91のHC1、配列番号92のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、
単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片。
TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
a)前記第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び86のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
b)前記第1のドメインが、配列番号89のVH及び配列番号90のVLを含み、前記第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
c)前記二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくは前記その抗原結合断片が、配列番号93のHC1、配列番号94のLC1、配列番号76のHC2、及び配列番号77のLC2を含む、
単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片。
TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
a)前記第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び86のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
b)前記第1のドメインが、配列番号89のVH及び配列番号90のVLを含み、前記第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
c)前記二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくは前記その抗原結合断片が、配列番号93のHC1、配列番号94のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、
単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片。
前記抗体が、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプである、請求項35〜56のいずれか一項に記載の単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片。
前記抗体が、HC1、HC2、又はHC1及びHC2に、位置234でアラニン、位置235でアラニン、又は位置234でアラニン及び位置235でアラニンを含み、残基の付番が、EUインデックスに従う、請求項35〜57のいずれか一項に記載の単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片。
前記抗体が、HC1及びHC2に、位置228でプロリンを含み、残基の付番が、EUインデックスに従う、請求項35〜58のいずれか一項に記載の単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片。
前記抗体が、HC1に位置405でフェニルアラニン及び位置409でアルギニン、並びにHC2に位置405でロイシン及び位置409でリジンを含む、請求項35〜59のいずれか一項に記載の単離された二重特異性抗TMEFF2xCD3抗体又はその抗原結合断片。
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を産生する方法であって、前記抗体が発現する条件下で請求項64に記載の宿主細胞を培養することと、前記宿主細胞によって産生された前記二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又は前記その抗原結合断片を回収及び精製することと、を含む、方法。
TMEFF2陽性癌の治療を必要とする対象においてTMEFF2陽性癌を治療する方法であって、治療に有効な量の請求項45〜60のいずれか一項に記載の二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片、又は請求項61に記載の医薬組成物を、前記対象に投与して、前記TMEFF2陽性癌を治療することを含む、方法。
TMEFF2陽性癌の治療用薬品の製造のための、請求項45〜60のいずれか一項に記載の単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片の使用。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本明細書に引用されている特許及び特許出願を含む(但しそれらに限定されない)全ての刊行物は、完全に記載されているかのように参照により、本明細書に組み込まれる。
【0051】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的でのみ使用され、限定を意図するものではないと理解すべきである。特に断らない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
【0052】
本明細書に記載されているものと同様又は同等の任意の方法及び材料を、本発明の試験を実施するために使用することができるが、例示的な材料及び方法を本明細書に記載する。本発明を説明及び特許請求する上で以下の用語が使用される。
【0053】
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用されるとき、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば、「細胞(a cell)」という言及には、2つ又は3つ以上の細胞の組み合わせ、及びこれに類するものなどが含まれる。
【0054】
文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、明細書及び特許請求の範囲を通して、単語「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などは、排他的又は排外的な意味とは対照的に、包括的な意味で、即ち、「〜を含むがこれらに限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【0055】
「特異的結合」、「特異的に結合する」、又は「特異的な結合」、又は「結合する」とは、抗体が、抗原又は抗原内のエピトープに、他の抗原に対するよりも高い親和性で結合することを指す。典型的には、抗体は、約5×10
−8M以下、例えば約1×10
−9M以下、約1×10
−10M以下、約1×10
−11M以下、又は約1×10
−12M以下の平衡解離定数(K
D)で抗原又は抗原内のエピトープに結合し、非特異性抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合に関しては、典型的には、そのK
Dより少なくとも100倍小さいK
Dで結合する。解離定数は、本明細書に記載のプロトコルを使用して測定することができる。しかしながら、抗原又は抗原内のエピトープに結合する抗体は、他の関連抗原、例えば、ヒト又はサル、例えば、Macaca fascicularis(カニクイザル、cyno)、又はPan troglodytes(チンパンジー、chimp)などの他の種由来の同じ抗原(ホモログ)に対して交差反応性を有する場合がある。単一特異性抗体は、1つの抗原又は1つのエピトープに結合するが、二重特異性抗体は、2つの異なる抗原又は2つの異なるエピトープに結合する。
【0056】
「抗体」は、広義の意味を有し、マウス、ヒト、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体を含むモノクローナル抗体、抗原結合断片、二重特異性、三重特異性、四重特異性などの多重特異性抗体、二量体、四量体、又は多量体抗体、一本鎖抗体、ドメイン抗体、並びに必要とされる特異性の抗原結合部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された形態を含む免疫グロブリン分子を含む。「完全長抗体」は、ジスルフィド結合により相互接続された、2本の重鎖(HC)及び2本の軽鎖(LC)、並びにこれらの多量体(例えばIgM)からなる。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)、並びに重鎖定常領域(ドメインCH1、ヒンジ、CH2、及びCH3からなる)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域(constant region、CL)から構成される。VH領域及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)が散在しており相補性決定領域(complementarity determining regions、CDR)と呼称される超可変領域に更に分類され得る。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4で配置された、3つのCDR及び4つのFRセグメントで構成される。
【0057】
「相補性決定領域(CDR)」は、抗原に結合する抗体の領域である。CDRは、Kabat(Wu et al.(1970)J Exp Med132:211−50)(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)、Chothia(Chothia et al.(1987)J Mol Biol 196:901−17),IMGT(Lefranc et al.(2003)Dev Comp Immunol 27:55−77)、及びAbM(Martin and Thornton(1996)J Bmol Biol 263:800−15)などの、様々な記述を使用して定義することができる。様々な記述と、可変領域の付番との対応が記載されている(例えば、Lefranc et al.(2003)Dev Comp Immunol 27:55−77、Honegger and Pluckthun,(2001)J Mol Biol 309:657−70、International ImMunoGeneTics(IMGT)データベース、ウェブリソース、www.imgt.org)。UCL Business PLCによるabYsisなどの利用可能なプログラムを使用して、CDRを描写することができる。本明細書で使用する場合、「CDR」、「HCDR1」、「HCDR2」、「HCDR3」、「LCDR1」、「LCDR2」、及び「LCDR3」という用語は、明細書で別途明示的に記載のない限り、上述のKabat、Chothia、IMGT、又はAbMの方法のうちのいずれかによって定義されるCDRを含む。
【0058】
免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、5つの主要なクラス、即ちIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てられ得る。IgA及びIgGは、アイソタイプのIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4として更に細分類される。どのような脊椎動物種の抗体軽鎖も、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明確に異なるタイプ、即ち、カッパ(κ)及びラムダ(λ)のうちの一方に割り当てることができる。
【0059】
「抗原結合断片」とは、抗原に結合する免疫グロブリン分子の一部を意味する。抗原結合断片は合成ポリペプチド、酵素により入手可能なポリペプチド、又は遺伝子操作されたポリペプチドであってもよく、VH、VL、VH及びVL、Fab、F(ab’)2、Fd及びFv断片、1つのVHドメイン又は1つのVLドメインからなるドメイン抗体(dAb)、サメ可変性IgNARドメイン、ラクダ化VHドメイン、FR3−CDR3−FR4部分などの、抗体のCDRを模倣したアミノ酸残基からなる最小の認識単位、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2、及び/又はLCDR3が挙げられる。VH及びVLドメインは互いに、合成リンカーを介して結合し、様々なタイプの一本鎖抗体設計を形成することができ、VH及びVLドメインが、個別の一本鎖抗体構築物により発現される場合では、VH/VLドメインが分子内、又は分子間で対合し、一価の抗原結合部位、例えば一本鎖Fv(single chain Fv、scFv)又は二重特異性抗体を形成することができ、これらは、例えば国際公開第1998/44001号、同第1988/01649号、同第1994/13804号、及び同第1992/01047号に記載されている。
【0060】
「モノクローナル抗体」とは、抗体分子の実質的に均質な母集団(即ち、母集団を含む個別の抗体が、抗体重鎖からC末端リジンを除去する、又は、アミノ酸異性化若しくはアミド分解、メチオニン酸化若しくはアスパラギン若しくはグルタミンアミド分解などの翻訳後修飾といった、可能な周知の変更を除いて同一である)から入手される抗体を意味する。モノクローナル抗体は典型的には、1つの抗原性エピトープに結合する。二重特異性モノクローナル抗体は、2つの異なる抗原性エピトープに結合する。モノクローナル抗体は、抗体集団内で不均一なグリコシル化を有し得る。モノクローナル抗体は、単一特異性であってもよく、又は、二重特異性などの多重特異性であってもよく、一価、二価、又は多価であってもよい。
【0061】
「単離された」とは、組み換え細胞などの分子が産生されるシステムの他の成分から実質的に分離及び/又は精製されている、分子の均質な母集団(例えば、合成ポリヌクレオチド又は抗体などのタンパク質)に加えて、少なくとも1つの精製又は単離工程に供されたタンパク質を指す。「単離抗体」とは、他の細胞材料及び/又は化学物質を実質的に含まない抗体を意味し、より高い純度、例えば80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の純度まで単離された抗体を包含する。
【0062】
「ヒト化抗体」とは、少なくとも1つのCDRが非ヒト種に由来し、少なくとも1つのフレームワークがヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体を意味する。ヒト化抗体は、フレームワークに置換を含むことができるため、フレームワークは、発現したヒト免疫グロブリン又はヒト免疫グロブリン生殖系遺伝子配列の厳密なコピーではない場合がある。
【0063】
「ヒト抗体」とは、ヒト対象に投与されるときに、最小の免疫応答を有するように最適化された抗体を意味する。ヒト抗体の可変領域は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する。ヒト抗体が定常領域又は定常領域の一部分を含む場合、定常領域もヒト免疫グロブリン配列に由来する。ヒト抗体は、ヒト抗体の可変領域がヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られた場合のヒト起源の配列に「由来する」重鎖及び軽鎖可変領域を含む。そのような例示的な系は、ファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリ、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座を担持するマウス又はラットなどの、非ヒトトランスジェニック動物である。「ヒト抗体」は、典型的には、ヒト抗体及びヒト免疫グロブリン座位を得るために使用する系間の違い、フレームワーク若しくはCDR、又はその両方への、体細胞変異の導入又は意図的な置換の導入に起因する、ヒトで発現する免疫グロブリンと比較したときの、アミノ酸の違いを含む。典型的には、「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子によってコードされているアミノ酸配列に対して、アミノ酸配列が少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である。場合によっては、「ヒト抗体」は、例えば、Knappik et al.,(2000)J Mol Biol 296:57−86に記載のヒトフレームワーク配列分析により誘導される、コンセンサスフレームワーク配列、又は、例えば、Shi et al.,(2010)J Mol Biol 397:385−96、及び国際公開第2009/085462号に記載の、ファージ上に提示されるヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリに組み込まれた、合成HCDR3を含み得る。
【0064】
少なくとも1つのCDRが非ヒト種に由来する抗体は、「ヒト抗体」の定義には含まれない。
【0065】
「組み換え」は、異なる源からのセグメントを接合して組み換えDNA、抗体、又はタンパク質を産生するときに、組み換え手段によって調製、発現、作製、又は単離されたDNA、抗体、及び他のタンパク質を指す。
【0066】
「エピトープ」は、抗体が特異的に結合する抗原の部分を指す。エピトープは典型的には、アミノ酸又は多糖側鎖などの化学的に活性な(極性、非極性又は疎水性など)部分の表面集団からなり、特定の三次元構造特性並びに特定の電荷特性を有し得る。エピトープは、立体配座上の空間単位を形成する連続的な及び/又は不連続なアミノ酸によって構成され得る。不連続なエピトープでは、抗原の直鎖配列の異なる部分にあるアミノ酸が、タンパク質分子の折り畳みにより三次元空間でごく近接するようになる。
【0067】
「二重特異性」は、2つの異なる抗原、又は同じ抗原中の2つの異なるエピトープと特異的に結合する抗体を指す。二重特異性抗体は、他の関連抗原、例えば、ヒト若しくはサル、例えば、Macaca cynomolgus(カニクイザル、cyno)、若しくはPan troglodytesなどの他の種からの、同じ抗原(ホモログ)に対する交差反応性を有し得るか、又は2つ又は3つ以上の異なる抗原間で共有されるエピトープに結合し得る。
【0068】
「多重特異性」とは、同じ抗原内の2つ又は3つ以上の異なる抗原、又は2つ又は3つ以上の異なるエピトープに特異的に結合する抗体を意味する。多重特異性抗体は、他の関連抗原、例えば、ヒト若しくはサル、例えば、Macaca cynomolgus(カニクイザル、cyno)、若しくはPan troglodytesなどの他の種からの、同じ抗原(ホモログ)に対する交差反応性を有し得るか、又は2つ又は3つ以上の異なる抗原間で共有されるエピトープに結合し得る。
【0069】
「変異体」は、1つ又は2つ以上の修飾、例えば、1つ又は2つ以上の置換、挿入、又は欠失によって参照ポリペプチド又は参照ポリヌクレオチドとは異なるポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す。
【0070】
「ベクター」は、生物系内で複製可能な、又はそのような系間を移動することができる、ポリヌクレオチドを指す。ベクターポリヌクレオチドは、典型的には、ベクターを複製することができる生物学的要素を利用して生物系(例えば、細胞、ウイルス、動物、植物)及び再構成された生物系におけるこれらポリヌクレオチドの複製又は維持を促進する機能を有する、複製起点、ポリアデニル化シグナル、又は選択マーカーなどの要素を含む。ベクターポリヌクレオチドは、一本鎖又は二本鎖のDNA若しくはRNA分子、又はこれらのハイブリッドであり得る。
【0071】
「発現ベクター」は、発現ベクター中に存在するポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの翻訳を指令するために、生物系又は再構成された生物系において利用することができるベクターを指す。
【0072】
「ポリヌクレオチド」とは、糖−ホスフェート主鎖により共有結合した、又は他の等価な共有化学反応により結合した、ヌクレオチド鎖を含む合成分子を意味する。cDNAは、例示的な合成ポリヌクレオチドである。
【0073】
「ポリペプチド」又は「タンパク質」は、ペプチド結合によって連結されてポリペプチドを形成する少なくとも2つのアミノ酸残基を含む分子を指す。50個未満のアミノ酸からなる小分子ポリペプチドは、「ペプチド」と称され得る。
【0074】
「TMEFF2」は、EGF様、及びトモレグリン2とも呼ばれる2つのフォリスタチン様ドメイン2を有する、ヒト膜貫通タンパク質を指す。完全長ヒトTMEFF2のアミノ酸配列は、配列番号1に示される。TMEFF2の細胞外ドメインは、配列番号2に示され、これは全長TMEFF2の残基40〜374に及ぶ。TMEFF2細胞外ドメインは、3つの異なるサブドメイン、Kazal様1(残基85〜137)、Kazal様2(残基176〜229)、及びEGFドメイン(残基261〜301)を保有する。TMEFF2 EGFドメインは、配列番号3に示される。TMEFF2「膜近位領域」は、EGFドメイン及びN−C末端リンカー領域(例えば、配列番号1の全長ヒトTMEFF2の残基230〜320)を包含する、配列番号110のTMEFF2 reqionを指す。本明細書のタンパク質、ポリペプチド、及びタンパク質断片に対する全ての言及は、非ヒト種からのものとして明示的に指定されない限り、それぞれのタンパク質、ポリペプチド、又はタンパク質断片のヒトバージョンを指すことが意図される。したがって、「TMEFF2」は、非ヒト種、例えば、「マウスTMEFF2」又は「サルTMEFF2」などからのものとして指定されない限り、ヒトTMEFF2を意味する。
【0075】
配列番号1(完全長ヒトTMEFF2)
MVLWESPRQCSSWTLCEGFCWLLLLPVMLLIVARPVKLAAFPTSLSDCQTPTGWNCSGYD
DRENDLFLCDTNTCKFDGECLRIGDTVTCVCQFKCNNDYVPVCGSNGESYQNECYLRQAA
CKQQSEILVVSEGSCATDAGSGSGDGVHEGSGETSQKETSTCDICQFGAECDEDAEDVWC
VCNIDCSQTNFNPLCASDGKSYDNACQIKEASCQKQEKIEVMSLGRCQDNTTTTTKSEDG
HYARTDYAENANKLEESAREHHIPCPEHYNGFCMHGKCEHSINMQEPSCRCDAGYTGQHC
EKKDYSVLYVVPGPVRFQYVLIAAVIGTIQIAVICVVVLCITRKCPRSNRIHRQKQNTGH
YSSDNTTRASTRLI
【0076】
配列番号2(ヒトTMEFF2の細胞外ドメイン)
FPTSLSDCQTPTGWNCSGYDDRENDLFLCDTNTCKFDGECLRIGDTVTCVCQFKCNNDYV
PVCGSNGESYQNECYLRQAACKQQSEILVVSEGSCATDAGSGSGDGVHEGSGETSQKETS
TCDICQFGAECDEDAEDVWCVCNIDCSQTNFNPLCASDGKSYDNACQIKEASCQKQEKIE
VMSLGRCQDNTTTTTKSEDGHYARTDYAENANKLEESAREHHIPCPEHYNGFCM HGKCEHSINMQEPSCRCDAGYTGQHCEKKDYSVLYVVPGPVRFQYVLIAAVIGTIQIAVICVVVLCITRKCPRSNRIHRQKQNTGHYSSDNTTRASTRLI
【0077】
TMEFF2 EGFドメイン 配列番号3
HHIPCPEHYNGFCMHGKCEHSINMQEPSCRCDAGYTGQHCE
【0078】
TMEFF2膜近位領域 配列番号110
NTTTTTKSEDGHYARTDYAENANKLEESAREHHIPCPEHYNGFCMHGKCEHSINMQEPSCRCDAGYTGQHCEKKDYSVLYVVPGPVRFQYV
【0079】
「CD3」は、多分子T細胞受容体(T cell receptor、TCR)複合体の一部としてT細胞上で発現され、2つ又は4つの受容体鎖:CD3イプシロン、CD3デルタ、CD3ゼータ、及びCD3ガンマの会合から形成されたホモ二量体又はヘテロ二量体からなる抗原を指す。ヒトCD3イプシロンは、配列番号4のアミノ酸配列を含む。本明細書のタンパク質、ポリペプチド、及びタンパク質断片に対する全ての言及は、非ヒト種からのものとして明示的に指定されない限り、それぞれのタンパク質、ポリペプチド、又はタンパク質断片のヒトバージョンを指すことが意図される。したがって、「CD3」は、非ヒト種、例えば、「マウスCD3」「サルCD3」などからのものとして指定されない限り、ヒトCD3を意味する。
【0080】
配列番号4(ヒトCD3イプシロン)
MQSGTHWRVLGLCLLSVGVWGQDGNEEMGGITQTPYKVSISGTTVILTCPQYPGSEILWQ
HNDKNIGGDEDDKNIGSDEDHLSLKEFSELEQSGYYVCYPRGSKPEDANFYLYLRARVCE
NCMEMDVMSVATIVIVDICITGGLLLLVYYWSKNRKAKAKPVTRGAGAGGRQRGQNKERP
PPVPNPDYEPIRKGQRDLYSGLNQRRI
【0081】
配列番号5(ヒトCD3イプシロン細胞外ドメイン)
DGNEEMGGITQTPYKVSISGTTVILTCPQYPGSEILWQHNDKNIGGDEDDKNIGSDEDHL
SLKEFSELEQSGYYVCYPRGSKPEDANFYLYLRARVCENCMEMD
【0082】
「二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体」、TMEFF2/CD3抗体、TMEFF2xCD3抗体などは、TMEFF2及びCD3に結合する抗体を指す。
【0083】
「〜と組み合わせて」とは、2つ又は3つ以上の治療薬を、混合物の状態で一緒に、単剤として同時に、又は単剤として任意の順序で逐次、対象に投与することを意味する。
【0084】
「TMEFF2陽性癌」は、TMEFF2タンパク質の測定可能なレベルを示す癌組織又は癌細胞を指す。TMEFF2タンパク質のレベルは、生細胞又は溶解細胞で、例えばELISA、免疫蛍光法、フローサイトメトリー、又は放射免疫アッセイを使用する周知のアッセイを使用して、測定することができる。
【0085】
「サンプル」は、対象から単離された類似の流体、細胞、又は組織に加えて、対象の体内に存在する流体、細胞、又は組織の収集物を指す。例示的なサンプルは、血液、血清及び漿膜液、血漿、リンパ液、尿、唾液、嚢胞液、涙液、糞便、喀痰などの体液、分泌組織及び器官の粘膜分泌液、膣分泌液、非固形腫瘍に関連するものなどの腹水、胸膜腔、心膜腔、腹膜腔、腹腔、及び他の体腔の流体、気管支洗浄によって回収された流体、対象又は生物源、例えば、細胞及び器官の培養培地(細胞又は器官の馴化培地を含む)、洗浄液などと接触した液体溶液、組織生検、穿刺吸引、又は外科的に切除された腫瘍組織のものである。
【0086】
「癌細胞」又は「腫瘍細胞」とは、インビボ、エクスビボ、又は組織培養のいずれかにおいて、自然発生的な又は導入された表現型の変化を有する癌性、前癌性、又は形質転換細胞を指す。これらの変化は、必ずしも新たな遺伝物質の取り込みを伴うものではない。形質転換は、形質転換ウイルスの感染及び新たなゲノム核酸の取り込み、又は外因性の核酸の取り込みにより発生し得るが、自然に又は発癌物質に対する曝露に続いて発生し、それにより内因性の遺伝子を変異させ得る。形質転換/癌は、in vitro、in vivo、及びex vivoにおける、形態学的変化、細胞の不死化、異常な増殖制御、病巣の形成、増殖、悪性病変、腫瘍特異的マーカーレベルの調節、浸潤性、ヌードマウスなどの好適な動物宿主における腫瘍の増殖などによって例示される(Freshney,Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique(3rd ed.1994))。
【0087】
「約」は、当業者によって決定される特定の値について許容される誤差範囲内であることを意味し、これは、その値が測定又は決定される方法、即ち測定システムの制限事項にある程度依存する。特定のアッセイ、結果、又は実施形態の文脈において実施例又は明細書のその他の箇所に別途明示的に記載のない限り、「約」は、当該技術分野の実施に従う1つの標準偏差又は5%までの範囲のいずれかのより高い範囲内であることを意味する。
【0088】
「対象」は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」は、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などの哺乳動物及び非哺乳動物などの全ての脊椎動物を包含する。記載されている場合を除き、「患者」及び「対象」という用語は、互換的に使用される。
【0089】
「治療する」、又は「治療」とは、治療的処置、及び予防的(prophylactic)若しくは予防的(preventative)手段の両方を意味し、対象は、望ましくない生理学的変化又は疾患を予防する、又は低減させる(少なくする)予定である。有益な又は所望の臨床結果としては、検出可能であろうと又は検出不可能であろうと、症状の緩和、疾患の程度の軽減、安定した(即ち、悪化しない)疾患状態、疾患の進行の遅延又は鈍化、疾患状態の改善又は緩和、及び寛解(部分的であろうと又は全体的であろうと)が挙げられる。「治療」はまた、対象が治療を受けていない場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長させることを意味し得る。治療を要する者には、既に状態若しくは疾患を有している者、及び、状態若しくは疾患を有しやすい者、又は状態若しくは疾患を予防しようとする者が含まれる。
【0090】
「治療に有効な量」とは、必要な用量及び期間で所望の治療結果を得るための有効量を指す。治療に有効な量は、個体の病態、年齢、性別、及び体重などの要因、並びに個体において所望の応答を引き出す1つの治療薬又は治療薬の組み合わせの能力によって様々であってもよい。有効な1つの治療薬、又は治療薬の組み合わせの例示的な指標としては、例えば、患者の改善された健康が挙げられる。
【0091】
本明細書全体を通して、抗体の定常領域におけるアミノ酸残基の付番は、特に明示的に指定されない限り、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,Public Health Service,National Institutes of Health(Bethesda,MD)(1991)に記載のEUインデックスに従う。
【0092】
従来の1文字及び3文字のアミノ酸コードを、表1に示すとおりに本明細書で使用する。
【0094】
物質の組成
本発明は、抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片、本発明の抗TMEFF2抗体の抗原結合断片を含む多重特異性抗体、及び二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。本発明は、本発明の抗体をコードするポリペプチド及びポリヌクレオチド、又はそれらの相補的核酸、ベクター、宿主細胞、並びにそれらを作製及び使用する方法を提供する。
【0095】
抗TMEFF2抗体
TMEFF2発現は、他の正常組織と比較して、前立腺組織及び前立腺腺癌に著しく豊富である。膜状TMEFF2は、疾患進行全体を通じて保持され、抗腫瘍療法の可能な標的として機能する。TMEFF2は、プロテアーゼにより切断され、抗原の可溶性形態を生じることが既知である。本発明では、TMEFF2の膜近位領域に導かれる抗体を生成して、膜TMEFF2への抗体結合を最大化し、得られた抗体の可溶性TMEFF2形態への結合を生じる可能性を最小限にした。
【0096】
本発明は、TMEFF2の配列番号110の膜近位領域に結合する、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。TMEFF2の膜近位領域に結合する本発明の抗TMEFF2抗体は、細胞によって内在化されない。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、非内在化抗TMEFF2抗体は、内在化抗TMEFF2抗体と比較すると、TMEFF2の内在化及び分解の欠如から生じる抗体エフェクター機能によって媒介される、発癌に対して改善された効果を有することを予想することができる。
【0097】
「膜近位領域に結合する」とは、水素/重水素交換(H/D交換)を使用して同定される抗体エピトープ残基の90%が、TMEFF2の膜近位領域内に存在することを意味する。エピトープ残基は、H/D交換を通じた重水素化レベルの少なくとも5%の違いで、試験抗体によって保護されるものである。例示的なそのような抗体は、本明細書に記載のTMEB675、TMEB570、TMEB674、TMEB565、TMEB762、及びTMEB757である。
【0098】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、残基HGKCEHSINMQEPSC(配列番号57)又はDAGYTGQHCEKKDYSVL(配列番号58)内でTMEFF2の膜近位領域に結合する。残基HGKCEHSINMQEPSC(配列番号57)内に結合する例示的な抗TMEFF2抗体は、TMEB570である。残基DAGYTGQHCEKKDYSVL(配列番号58)内に結合する例示的な抗TMEFF2抗体は、TMEB675である。TMEB675変異体TMEB762及びTMEB757もまた、残基DAGYTGQHCEKKDYSVL(配列番号58)内でTMEFF2の膜近位領域に結合することが予想される。
【0099】
H/D交換アッセイでは、組み換えにより発現するTMEFF2 ECDを、抗体の存在又は非存在下の重水素化水中で所定の時間にわたってインキュベートし、抗体によって保護されていない交換可能な水素原子での重水素組み込みが生じ、タンパク質のプロテアーゼ消化及びLC−MSを使用するペプチド断片の分析が続く。H/D交換アッセイは、既知のプロトコルを使用して実施することができる。例示的なプロトコルを実施例5に記載する。
【0100】
本発明はまた、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又はその抗原結合断片が、TMEFF2の膜近位領域への結合に関して、配列番号25の重鎖可変領域(VH)及び配列番号28の軽鎖可変領域(VL)、配列番号26のVH及び配列番号29のVL、配列番号27のVH及び配列番号30のVL、配列番号26のVH及び配列番号31のVL、配列番号87のVH及び配列番号88のVL、又は配列番号89のVH及び配列番号90のVL、を含む参照抗体と競合する、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0101】
TMEFF2の膜近位領域への試験抗体の結合に関する参照抗体との競合は、周知の方法を使用してインビトロでアッセイすることができる。例えば、非標識参照抗体の存在下での、MSD Sulfoタグ(商標)NHS−エステル標識試験抗体の、TMEFF2の膜近位領域への結合は、ELISAによって評価することができるか、又はBiacore分析若しくはフローサイトメトリーを使用して競合を実証することができる。試験抗体が、TMEFF2の膜近位領域への参照抗体の結合を85%以上、例えば、90%以上、又は95%以上阻害すると、試験抗体は、TMEFF2への結合に関して参照抗体と競合する。
【0102】
本発明はまた、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片であって、
それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び22、
それぞれ配列番号11、13、16、19、21、及び23、
それぞれ配列番号10、14、17、18、20、及び24、
それぞれ配列番号11、13、16、18、20、及び22、又は
それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び86、の重鎖相補性決定領域(heavy chain complementarity determining region 1、HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域(light chain complementarity determining region 1、LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0103】
いくつかの実施形態では、本発明の単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、約0.4×10
−9M以下の平衡解離定数(K
D)でTMEFF2の膜近位領域に結合し、K
Dが、室温でpH4.5〜5.0の酢酸緩衝液中の表面プラズモン共鳴を使用して測定される。
【0104】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、約0.1×10
−10M〜約0.4×10
−9MのK
DでTMEFF2の膜近位領域に結合する。
【0105】
TMEFF2の膜近位領域に対する抗体の親和性は、任意の好適な方法を使用する実験によって決定することができる。例示的な方法は、ProteOn XPR36、Biacore3000又はKinExA装置、ELISA、若しくは当業者に既知の競合的結合アッセイを利用する。抗体のTMEFF2に対する親和性についての測定値は、異なる条件(例えば、容量オスモル浸透圧濃度、pH)下で測定した場合に変動し得る。したがって、親和性及び他の結合パラメータ(例えば、K
D、K
on、及びK
off)の測定は、典型的には、本明細書に記載の標準的な条件及び緩衝液などの標準化緩衝液を用いて行われる。例えばBiacore 3000又はProteOnを使用した親和性測定での内部エラー(標準偏差(standard deviation、SD)として測定されるもの)は典型的に、典型的な検出範囲内で測定した場合、5〜33%の範囲内であり得ることが当業者には分かるであろう。したがって、K
D値を指すとき、「約」という用語は、アッセイにおける典型的な標準偏差を反映する。例えば、K
Dが1×10
−9Mの場合の典型的なSDは、±0.33×10
−9M以下である。
【0106】
本発明はまた、VH3_3−23(配列番号53)又はVH1_1−69(配列番号54)に由来する重鎖可変領域(VH)フレームワークを含む、TMEFF2の膜近位領域に結合する、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0107】
本発明はまた、VKI_L11(配列番号55)又はVKIIII_A27(配列番号56)に由来する軽鎖可変領域(VL)フレームワークを含む、TMEFF2の膜近位領域に結合する、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0108】
本発明はまた、配列番号53のVH3_3−23及び配列番号55のVKI_L11にそれぞれ由来するVHフレームワーク及びVLフレームワークを含む、TMEFF2の膜近位領域に結合する、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0109】
本発明はまた、配列番号54のVH1_1−69及び配列番号56のVKIII_A27にそれぞれ由来するVHフレームワーク及びVLフレームワークを含む、TMEFF2の膜近位領域に結合する、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0110】
本発明はまた、配列番号54のVH1_1−69及び配列番号55のVKI_L11にそれぞれ由来するVHフレームワーク及びVLフレームワークを含む、TMEFF2の膜近位領域に結合する、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0111】
特定のフレームワーク又は生殖系列配列「に由来する」重鎖又は軽鎖可変領域を含む抗体は、本明細書で述べるトランスジェニックマウス、ラット、若しくはニワトリから、又はファージディスプレイライブラリからなどの、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られる抗体を指す。生殖系列配列に由来する特定のフレームワークを含む抗体は、例えば自然発生する体細胞変異又は意図的な置換に起因する、その由来である配列と比較した際のアミノ酸の違いを含み得る。
【0112】
本発明はまた、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び22のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0113】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号25のVH及び配列番号28のVLを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、VHは、配列番号39のポリヌクレオチドによってコードされ、VLは、配列番号42のポリヌクレオチドによってコードされる。
【0115】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号32のHC及び配列番号35のLCを含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、HCは、配列番号46のポリヌクレオチドによってコードされ、VLは、配列番号49のポリヌクレオチドによってコードされる。
【0117】
本発明はまた、それぞれ配列番号11、13、16、19、21、及び23のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0118】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号26のVH及び配列番号29のVLを含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、VHは、配列番号40のポリヌクレオチドによってコードされ、VLは、配列番号43のポリヌクレオチドによってコードされる。
【0120】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号33のHC及び配列番号36のLCを含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、HCは、配列番号47のポリヌクレオチドによってコードされ、LCは、配列番号50のポリヌクレオチドによってコードされる。
【0122】
本発明はまた、それぞれ配列番号10、14、17、18、20、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0123】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号27のVH及び配列番号30のVLを含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、VHは、配列番号41のポリヌクレオチドによってコードされ、VLは、配列番号44のポリヌクレオチドによってコードされる。
【0125】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号34のHC及び配列番号37のLCを含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、HCは、配列番号48のポリヌクレオチドによってコードされ、LCは、配列番号51のポリヌクレオチドによってコードされる。
【0127】
本発明はまた、それぞれ配列番号11、13、16、18、20、及び22のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0128】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号26のVH及び配列番号31のVLを含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、VHは、配列番号40のポリヌクレオチドによってコードされ、VLは、配列番号45のポリヌクレオチドによってコードされる。
【0130】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号33のHC及び配列番号38のLCを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、HCは、配列番号47のポリヌクレオチドによってコードされ、LCは、配列番号52のポリヌクレオチドによってコードされる。
【0132】
本発明はまた、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び86のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0133】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号87のVH及び配列番号88のVLを含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、VHは、配列番号95のポリヌクレオチドによってコードされ、VLは、配列番号96のポリヌクレオチドによってコードされる。
【0135】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号91のHC及び配列番号92のLCを含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、HCは、配列番号97のポリヌクレオチドによってコードされ、LCは、配列番号98のポリヌクレオチドによってコードされる。
【0137】
本発明はまた、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び86のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0138】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号89のVH及び配列番号90のVLを含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、VHは、配列番号99のポリヌクレオチドによってコードされ、VLは、配列番号100のポリヌクレオチドによってコードされる。
【0140】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号93のHC及び配列番号94のLCを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、HCは、配列番号101のポリヌクレオチドによってコードされ、LCは、配列番号102のポリヌクレオチドによってコードされる。
【0142】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、多重特異性抗体である。
【0143】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、二重特異性抗体である。
【0144】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2二重特異性抗体又はその抗原結合断片は、T細胞抗原に結合する。
【0145】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2二重特異性抗体又はその抗原結合断片は、CD3に結合する。
【0146】
いくつかの実施形態では、単離された抗TMEFF2二重特異性抗体又はその抗原結合断片は、CD3イプシロンに結合する。
【0147】
本発明の例示的な抗TMEFF2抗体のVH、VL、HCDR、LCDR、HC、及びLC配列は、表5〜12に示される。
【0148】
実施例で説明する実施形態は、一方が重鎖に由来し、一方が軽鎖に由来する可変ドメインの対を含むが、当業者であれば、代替的な実施形態が単一の重鎖又は軽鎖可変ドメインを含み得ることを認識するであろう。単一可変ドメインを使用して、TMEFF2に結合することができる2ドメイン特異性抗原結合断片を形成することができる可変ドメインについて、スクリーニングすることができる。スクリーニングは、例えば、国際公開第1992/01047号に開示されている階層的二重コンビナトリアルアプローチ(hierarchical dual combinatorial approach)を使用したファージディスプレイスクリーニング法によって行うことができる。このアプローチでは、VH鎖又はVL鎖のいずれかのクローンを含む個別のコロニーを使用して、他方の鎖(VL又はVH)をコードしているクローンの完全なライブラリに感染させ、得られた二本鎖特異的抗原結合ドメインを既知の方法及び本明細書に記載されるものを使用してファージディスプレイ技術に従って選択する。したがって、個々のVH及びVLポリペプチド鎖は、国際公開第1992/01047号に開示の方法を使用して、加えて抗TMEFF2抗体を同定するのに有用である。
【0149】
相同抗体
表9に示されるVH又はVLアミノ酸配列を含む本発明の抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片の変異体は、本発明の範囲内である。例えば、変異体は、親抗体と比較すると、相同抗体が、TMEFF2への匹敵する結合又は改善された安定性などの機能特性を保持しているか又は改善された機能特性を有する限り、VH及び/又はVLに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸置換を含み得る。いくつかの実施形態では、配列同一性は、本発明のVH又はVLアミノ酸配列に対して、約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%であり得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、本発明の相同抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、約0.4×10
−9M以下の平衡解離定数(K
D)でTMEFF2の膜近位領域に結合し、K
Dが、室温でpH4.5〜5.0の酢酸緩衝液中の表面プラズモン共鳴を使用して測定される。
【0151】
いくつかの実施形態では、本発明の相同抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、約0.1×10
−10M〜約0.4×10
−9MのK
DでTMEFF2の膜近位領域に結合する。
【0152】
本発明はまた、配列番号25のVH及び配列番号28のVLを含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片であって、VH、VL、又はVH及びVLの両方が、所望により1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸置換を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
【0153】
本発明はまた、配列番号26のVH及び配列番号29のVLを含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片であって、VH、VL、又はVH及びVLの両方が、所望により1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸置換を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
【0154】
本発明はまた、配列番号27のVH及び配列番号30のVLを含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片であって、VH、VL、又はVH及びVLの両方が、所望により1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸置換を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
【0155】
本発明はまた、配列番号26のVH及び配列番号31のVLを含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片であって、VH、VL、又はVH及びVLの両方が、所望により1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸置換を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
【0156】
本発明はまた、配列番号87のVH及び配列番号88のVLを含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片であって、VH、VL、又はVH及びVLの両方が、所望により1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸置換を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
【0157】
本発明はまた、配列番号89のVH及び配列番号90のVLを含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片であって、VH、VL、又はVH及びVLの両方が、所望により1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸置換を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
【0158】
本発明はまた、配列番号25、26、27、87、又は89のVHに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有するVHを含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。所望により、CDR内に上記配列番号からの配列の変異は全く存在しない。
【0159】
本発明はまた、配列番号28、29、30、31、88、又は90のVLに少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有するVLを含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。所望により、CDR内に上記配列番号からの配列の変異は全く存在しない。
【0160】
選択抗TMEFF2抗体のVHドメインのアミノ酸配列のアラインメントは
図1に示され、選択抗TMEFF2抗体のVLドメインのアミノ酸配列のアラインメントは
図2に示される。VH及びVL鎖は、各行の先頭の配列番号によって同定される。抗体間で異なる残基位置は、VH及び/又はVLにおいて置換可能な部位である。例えば、置換は、(配列番号25に基づく付番の)配列番号25、27、87、及び89のVHにおける残基位置14、20、54、56、59、76、82、84、93、107で行うことができる。同様に、配列番号28、30、88、及び90のVLにおける残基位置1、95、及び107で置換を行ってもよい。行われ得る例示的な置換は、保存的アミノ酸置換、又は各抗TMEFF2抗体における対応する残基位置に存在するアミノ酸残基による置換である。
【0161】
2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアライメントのために導入する必要があるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮した、配列により共有される同一の位置の数の関数である(即ち、同一性%=同一の位置の数/位置の総数×100)。
【0162】
2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE.Meyers及びW.Millerのアルゴリズム(Comput.Appl.Biosci 4:11−17(1988))を使用して、PAM120重み付け残基表、ギャップ長ペナルティ12、及びギャップペナルティ4を使用して決定することができる。加えて、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(www.Gcg.comで入手可能)のGAPプログラムに組み込まれているNeedleman及びWunschのアルゴリズム(J.Mol.Biol.48:444−453(1970))を使用して、Blossum 62マトリックス又はPAM250マトリックスのいずれか、並びにギャップ重み(gap weight)16、14、12、10、8、6、又は4、及び長さ重み(length weight)1、2、3、4、5、又は6を使用して、決定することができる。
【0163】
保存的修飾を有する抗体
本発明はまた、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3配列を含むVHと、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3配列を含むVLとを含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片であって、CDR配列のうちの1つ又は2つ以上が、本明細書に記載の抗体(例えば、表5〜12に示される抗体)に基づく特定のアミノ酸配列、又はその保存的修飾を含み、抗体が、親抗体の所望の機能特性を保持している、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0164】
いくつかの実施形態では、保存的修飾を有する抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、約0.4×10
−9M以下の平衡解離定数(K
D)でTMEFF2の膜近位領域に結合し、K
Dが、室温でpH4.5〜5.0の酢酸緩衝液中の表面プラズモン共鳴を使用して測定される。
【0165】
いくつかの実施形態では、保存的修飾を有する抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片は、約0.1×10
−10M〜約0.4×10
−9MのK
DでTMEFF2の膜近位領域に結合する。
【0166】
本発明はまた、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び22のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、並びにそれらの保存的修飾を含む、単離された抗TMEFF2又はその抗原結合断片を提供する。
【0167】
本発明はまた、それぞれ配列番号配列番号11、13、16、19、21、及び23のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、並びにそれらの保存的修飾を含む、単離された抗TMEFF2又はその抗原結合断片を提供する。
【0168】
本発明はまた、それぞれ配列番号10、14、17、18、20、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、並びにそれらの保存的修飾を含む、単離された抗TMEFF2又はその抗原結合断片を提供する。
【0169】
本発明はまた、それぞれ配列番号11、13、16、18、20、及び22のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、並びにそれらの保存的修飾を含む、単離された抗TMEFF2又はその抗原結合断片を提供する。
【0170】
本発明はまた、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び86のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、並びにそれらの保存的修飾を含む、単離された抗TMEFF2又はその抗原結合断片を提供する。
【0171】
本発明はまた、配列番号25のVH及び配列番号28のVL、並びにそれらの保存的修飾を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0172】
本発明はまた、配列番号26のVH及び配列番号29のVL、並びにそれらの保存的修飾を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0173】
本発明はまた、配列番号27のVH及び配列番号30のVL、並びにそれらの保存的修飾を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0174】
本発明はまた、配列番号26のVH及び配列番号31のVL、並びにそれらの保存的修飾を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0175】
本発明はまた、配列番号87のVH及び配列番号88のVL、並びにそれらの保存的修飾を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0176】
本発明はまた、配列番号89のVH及び配列番号90のVL、並びにそれらの保存的修飾を含む、単離された抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0177】
「保存的修飾」とは、アミノ酸修飾を含む抗体の結合特性に著しく影響を与えることも変化させることもないアミノ酸修飾を指す。保存的修飾は、アミノ酸の置換、付加、及び欠失を含む。保存的アミノ酸置換は、あるアミノ酸が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置き換えられる置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、明確に定義されており、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン、トリプトファン)、芳香族側鎖(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン、チロシン)、脂肪族側鎖(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン)、アミド(例えば、アスパラギン、グルタミン)、β分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び含硫黄側鎖(システイン、メチオニン)を有するアミノ酸を含む。更に、アラニンスキャニング変異誘発について以前に説明されているように(MacLennan et al.,(1988)Acta Physiol Scand Suppl 643:55−67、Sasaki et al.,(1988)Adv Biophys 35:1−24)、ポリペプチド内のいずれの天然残基もアラニンで置換され得る。本発明の抗体に対するアミノ酸置換は、例えばPCR突然変異誘発(米国特許第4,683,195号)などの既知の方法によって行うことができる。あるいは、変異体のライブラリは、例えば、ランダムコドン(NNK)又は非ランダムコドン(例えば11個のアミノ酸(Ala、Cys、Asp、Glu、Gly、Lys、Asn、Arg、Ser、Tyr、Trp)をコードするDVKコドン)を使用して生成することもできる。結果として生じる抗体変異体は、それらの特性に関して、本明細書に記載のアッセイを使用して試験することができる。
【0178】
免疫コンジュゲート(Immunoconjugates)
「免疫コンジュゲート」は、1つ又は2つ以上の異種分子(複数可)とコンジュゲートさせた本発明の抗体を指す。
【0179】
本発明はまた、異種分子とコンジュゲートした本発明の単離された抗体又はその抗原結合断片を含む、免疫複合体を提供する。
【0180】
いくつかの実施形態では、異種分子は、検出可能な標識である。
【0181】
検出可能な標識にコンジュゲートした本発明の単離された抗体又はその抗原結合断片は、多様なサンプルにおけるTMEFF2の発現を評価するために使用することができる。検出可能な標識としては、本発明の単離された抗体又はその抗原結合断にコンジュゲートすると、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的、又は化学的な手段を介してその後検出可能になる組成物が挙げられる。
【0182】
例示的な検出可能な標識としては、放射性同位体、磁気ビーズ、金属ビーズ、コロイド粒子、蛍光染料、電子密度試薬、酵素(例えば、一般的にELISAにおいて使用される)、ビオチン、ジゴキシゲニン、ハプテン、発光分子、化学発光分子、蛍光色素、フルオロフォア、蛍光消光剤、有色分子、放射性同位体、シンシレート(scintillates)、アビジン、ストレプトアビジン、プロテインA、プロテインG、抗体又はその断片、ポリヒスチジン、Ni
2+、Flagタグ、mycタグ、重金属、酵素、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、電子供与体/受容体、アクリジニウムエステル、及び比色基質が挙げられる。
【0183】
検出可能な標識は、例えば、検出可能な標識が放射性同位体であるときなど、自発的にシグナルを発し得る。他の場合では、検出可能な標識は、外場によって刺激された後、シグナルを放出する。
【0184】
例示的な放射性同位体は、γ放出、オージェ放出、β放出、アルファ放出、又はポジトロン放出性の放射性同位体であり得る。例示的な放射性同位体としては、
3H、
11C、
13C、
15N、
18F、
19F、
55Co、
57Co、
60Co、
61Cu、
62Cu、
64Cu、
67Cu、
68Ga、
72As、
75Br、
86Y、
89Zr、
90Sr、
94mTc、
99mTc、
115In、
1231、
1241、
125I、
1311、
211At、
212Bi、
213Bi、
223Ra、
226Ra、
225Ac、及び
227Acが挙げられる。
【0185】
例示的な金属原子は、20超の原子番号を有する金属、例えば、カルシウム原子、スカンジウム原子、チタン原子、バナジウム原子、クロム原子、マンガン原子、鉄原子、コバルト原子、ニッケル原子、銅原子、亜鉛原子、ガリウム原子、ゲルマニウム原子、ヒ素原子、セレン原子、臭素原子、クリプトン原子、ルビジウム原子、ストロンチウム原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、ニオブ原子、モリブデン原子、テクネチウム原子、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、銀原子、カドミウム原子、インジウム原子、スズ原子、アンチモン原子、テルル原子、ヨウ素原子、キセノン原子、セシウム原子、バリウム原子、ランタン原子、ハフニウム原子、タンタル原子、タングステン原子、レニウム原子、オスミウム原子、イリジウム原子、白金原子、金原子、水銀原子、タリウム原子、鉛原子、ビスマス原子、フランシウム原子、ラジウム原子、アクチニウム原子、セリウム原子、プラセオジム原子、ネオジム原子、プロメチウム原子、サマリウム原子、ユウロピウム原子、ガドリニウム原子、テルビウム原子、ジスプロシウム原子、ホルミウム原子、エルビウム原子、ツリウム原子、イッテルビウム原子、ルテチウム原子、トリウム原子、プロトアクチニウム原子、ウラン原子、ネプツニウム原子、プルトニウム原子、アメリシウム原子、キュリウム原子、バーケリウム原子、カリホルニウム原子、アインスタイニウム原子、フェルミウム原子、メンデレビウム原子、ノーベリウム原子、又はローレンシウム原子である。
【0186】
好適な色素としては、例えば、5(6)−カルボキシフルオレセイン、IRDye 680RDマレイミド、又はIRDye 800CW、ルテニウムポリピリジル色素などの任意の市販の色素が挙げられる。
【0187】
好適なフルオロフォアは、フルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocyante、FITC)、フルオレセインチオセミカルバジン、ローダミン、テキサスレッド、CyDyes(例えば、Cy3、Cy5、Cy5.5)、Alexa Fluors(例えば、Alexa488、Alexa555、Alexa594、Alexa647)、近赤外(near infrared、NIR)(700〜900nm)蛍光染料、並びにカルボシアニン及びアミノスチリル染料である。
【0188】
検出可能な標識とコンジュゲートした、本発明の単離された抗体又はその抗原結合断片は、造影剤として使用することができる。
【0189】
本発明の単離された抗体又はその抗原結合断片は、既知の方法を使用して検出可能な標識とコンジュゲートさせることができる。
【0190】
いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、キレート剤と複合体を形成している。
【0191】
いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、リンカーを介して本発明の抗体又はその抗原結合断片とコンジュゲートする。
【0192】
検出可能な標識は、既知の方法を使用して、本発明の抗体又はその抗原結合断に、直接又は間接的に連結することができる。好適なリンカーは、当該技術分野において既知であり、例えば、補欠分子族、非フェノールリンカー(N−スクシミジル−ベンゾエートの誘導体、ドデカボラート)、大環状及び非環式の両キレート剤のキレート部分、例えば、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10,四酢酸(DOTA)の誘導体、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)の誘導体、S−2−(4−イソチオシアナトベンジル)−1,4,7−トリアザシクロノナン−1,4,7−三酢酸(NOTA)の誘導体、及び1,4,8,11−テトラアザシクロドデカン−1,4,8,11−四酢酸(TETA)の誘導体、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジピミダートHCl)、活性エステル(例えば、ジスクシンイミジルスベラート)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアナート(例えば、トルエン2,6−ジイソシアナート)、及びビス−活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)、並びに他のキレート部分が挙げられる。好適なペプチドリンカーは周知である。
【0193】
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0194】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、抗体が、TMEFF2の膜近位領域に結合する、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。いずれの特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、TMEFF2の膜近位領域に結合する二重特異性抗体は、腫瘍細胞のT細胞媒介性殺傷の媒介に、より効果的であり得る。
【0195】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインとを含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、抗体が、TMEFF2の膜近位領域への結合に関して、配列番号25の重鎖可変領域(VH)及び配列番号28の軽鎖可変領域(VL)、配列番号26のVH及び配列番号29のVL、配列番号27のVH及び配列番号30のVL、配列番号26のVH及び配列番号31のVL、配列番号87のVH及び配列番号88のVL、又は配列番号89のVH及び配列番号90のVL、を含む参照抗体と競合する、単離された二重特異性抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0196】
いくつかの実施形態では、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片は、約0.4×10
−9M以下の解離定数(K
D)でTMEFF2の膜近位領域に結合し、K
Dが、室温でpH4.5〜5.0の酢酸緩衝液中の表面プラズモン共鳴を使用して測定される。
【0197】
いくつかの実施形態では、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片は、約0.1×10
−10M〜約0.4×10
−9MのK
DでTMEFF2の膜近位領域に結合する。
【0198】
本発明はまた、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、第1のドメインが、
それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び22、
それぞれ配列番号11、13、16、19、21、及び23、
それぞれ配列番号10、14、17、18、20、及び24、o
それぞれ配列番号11、13、16、18、20、及び22、又は
それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び86、のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0199】
本発明はまた、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、第2のドメインが、
それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65、又は
それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73、のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0200】
本発明はまた、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、第1のドメインが、
配列番号25のVH及び配列番号28のVL、
配列番号26のVH及び配列番号29のVL、
配列番号27のVH及び配列番号30のVL、
配列番号26のVH及び配列番号31のVL、
配列番号87のVH及び配列番号88のVL、又は
配列番号89のVH及び配列番号90のVL、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0201】
本発明はまた、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、第2のドメインが、
配列番号66のVH及び配列番号67のVL、又は
配列番号74のVH及び配列番号75のVL、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0202】
いくつかの実施形態では、第2のドメインは、配列番号59のVH及び配列番号111のVLを含む。
【0203】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び22のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号25のVH及び配列番号28のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号32の第1の重鎖(HC1)、配列番号35の第1の軽鎖(LC1)、配列番号76の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号77の第2の軽鎖(LC2)を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0204】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び22のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号25のVH及び配列番号28のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号32のHC1、配列番号35のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0205】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
第1のドメインが、それぞれ配列番号11、13、16、19、21、及び23のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号26のVH及び配列番号29のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号33のHC1、配列番号36のLC1、配列番号76のHC2、及び配列番号77のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0206】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
第1のドメインが、それぞれ配列番号11、13、16、19、21、及び23のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号26のVH及び配列番号29のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号33のHC1、配列番号36のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0207】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
第1のドメインが、それぞれ配列番号10、14、17、18、20、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号27のVH及び配列番号30のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号34のHC1、配列番号37のLC1、配列番号76のHC2、及び配列番号77のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0208】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
第1のドメインが、それぞれ配列番号10、14、17、18、20、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号27のVH及び配列番号30のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号34のHC1、配列番号37のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0209】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
第1のドメインが、それぞれ配列番号11、13、16、18、20、及び22のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号26のVH及び配列番号31のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号33のHC1、配列番号38のLC1、配列番号76のHC2、及び配列番号77のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0210】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
第1のドメインが、それぞれ配列番号11、13、16、18、20、及び22のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号26のVH及び配列番号31のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号33のHC1、配列番号38のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0211】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び86のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号87のVH及び配列番号88のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号91の第1の重鎖(HC1)、配列番号92の第1の軽鎖(LC1)、配列番号76の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号77の第2の軽鎖(LC2)を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0212】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び86のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号87のVH及び配列番号88のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号91のHC1、配列番号92のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0213】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び86のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号89のVH及び配列番号90のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号93の第1の重鎖(HC1)、配列番号94の第1の軽鎖(LC1)、配列番号76の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号77の第2の軽鎖(LC2)を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0214】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、
第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び86のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号89のVH及び配列番号90のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片が、配列番号93のHC1、配列番号94のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0215】
操作及び修飾された抗体
本発明の抗体又はその抗原結合断片を更に操作して、親抗体と比較すると類似の又は変化した特性を有する修飾抗体を生成することができる。本発明の抗体では、VH、VL、VH及びVL、定常領域、重鎖フレームワーク、軽鎖フレームワーク、又は6つのCDRのうちのいずれか若しくは全てが操作されてもよい。
【0216】
本発明の抗体は、CDRグラフト化により操作されてもよい。本発明の抗体の1つ又は2つ以上のCDR配列を、異なるフレームワーク配列にグラフト化してもよい。CDRグラフト化は、既知の方法及び本明細書に記載の方法を使用して行うことができる。
【0217】
使用され得るフレームワーク配列は、生殖系列抗体遺伝子配列を含む公開DNAデータベース又は刊行されている参照文献から得ることができる。例えば、ヒト重鎖及び軽鎖可変ドメイン遺伝子に関する生殖系列DNA及びコードタンパク質配列は、IMGT(登録商標)、international ImMunoGeneTics information system(登録商標)www.Imgt.orgに見出すことができる。本発明の抗体の既存のフレームワーク配列を置き換えるために使用することができるフレームワーク配列は、VH若しくはVLの全長、又はFR1、FR2、FR3、及びFR4の長さにわたって親可変ドメインに対して最も高い同一性パーセント(%)を示すものであってもよい。更に、好適なフレームワークは、更に、VH及びVLのCDR1及びCDR2の長さ、又は同一のLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、及びHCDR2の標準構造に基づいて選択され得る。好適なフレームワークは、既知の方法、例えば、米国特許第8,748,356号に記載のヒトフレームワーク適応又は米国特許第7,709,226号に記載の超ヒト化を使用して選択され得る。
【0218】
親抗体及び操作を受けた抗体のフレームワーク配列を、更に、例えば米国特許第6,180,370号に記載のとおり、復帰突然変異によって更に修飾して、生成される抗体の抗原への結合を回復及び/又は改善させることができる。親抗体又は操作を受けた抗体のフレームワーク配列を、更に、フレームワーク領域内の(あるいは1つ又は2つ以上のCDR領域内の)1つ又は2つ以上の残基を変異させることによって修飾して、T細胞エピトープを除去し、それにより抗体の潜在的な免疫原性を低減することもできる。このアプローチは「脱免疫」とも呼ばれ、米国特許出願公開第20070014796号に更に詳述されている。
【0219】
本発明の抗体のCDR残基を変異させて、TMEFF2及び/又はCD3に対する抗体の親和性を調節することができる。
【0220】
本発明の抗体のCDR残基を変異させて、翻訳後修飾のリスクを最小化することができる。脱アミノ化(NS)、酸触媒加水分解(DP)、異性化(DS)、又は酸化(W)についての推定モチーフのアミノ酸残基を天然のアミノ酸のいずれかで置換して、当該モチーフの突然変異を誘発することができ、得られた抗体を、本明細書に記載の方法を使用して、その機能及び安定性について試験することができる。
【0221】
安定性、選択性、交差反応性、親和性、免疫原性、又は他の望ましい生物学的若しくは生物物理学的特性を改善するために修飾される本発明の抗体は、本発明の範囲内である。抗体の安定性は、分子内力及び分子間力の中でも特に、(1)固有の安定性に影響を及ぼす個々のドメインのコアパッキング、(2)HCとLCとの対合に影響するタンパク質/タンパク質界面相互作用、(3)極性残基及び帯電残基の埋没、(4)極性残基及び帯電残基の水素(H)結合ネットワーク、並びに(5)表面電荷及び極性残基の分布、を含む、多くの要因によって影響を受ける(Worn et al.,(2001)J Mol Biol 305:989−1010)。構造を不安定化させる可能性のある残基は、抗体の結晶構造に基づいて、又は場合によっては分子モデリングによって同定することができ、また、抗体の安定性に対する残基の効果は、同定された残基において変異を保有する変異体を生成及び評価することによって試験することができる。抗体の安定性を高める方法の1つには、示差走査熱量測定法(differential scanning calorimetry、DSC)によって測定したときの熱転移中点温度(T
m)を高くするというものがある。一般に、タンパク質のT
mは、その安定性と相関しており、溶液中でのアンフォールディング及び変性のしやすさ、並びにそのタンパク質がアンフォールディングする傾向に応じた分解プロセスとは逆相関する(Remmele et al.,(2000)Biopharm 13:36−46)。多数の研究で、DSCによって熱安定性として測定された配合物(formulations)の物理的安定性のランク付けと他の方法によって測定された物理的安定性との間に相関が見出されている(Gupta et al.,(2003)AAPS PharmSci 5E8;Zhang et al.,2004)J Pharm Sci 93:3076−89;Maa et al.,(1996)Int J Pharm 140:155−68;Bedu−Addo et al.,(2004)Pharm Res 21:1353−61;Remmele et al.,(1997)Pharm Res 15:200−8)。配合物の研究により、FabのT
mは、対応するmAbの長期物理的安定性と密接な関係があることが示唆されている。
【0222】
C末端リジン(C-terminal lysine、CTL)は、注入された抗体から、血流中の内因性循環カルボキシペプチダーゼによって除去され得る(Cai et al.,(2011)Biotechnol Bioeng 108:404−412)。製造中、米国特許出願公開第20140273092号に記載のとおり、細胞外Zn
2+、EDTA、又はEDTA−Fe
3+の濃度を制御することによって、CTLの除去を最高レベル未満に制御することができる。抗体のCTL含量は、既知の方法を使用して測定することができる。
【0223】
本発明の抗体に対してFc置換を行って、抗体エフェクター機能及び/又は薬物動態特性を調節することができる。従来の免疫機能では、抗体−抗原複合体と免疫系の細胞との相互作用の結果、エフェクター機能、例えば、抗体依存性細胞障害、マスト細胞の脱顆粒、及び食作用から免疫調整性シグナル、例えば、リンパ球の増殖及び抗体の分泌の制御に及ぶ広範な応答が生じる。これら相互作用全てが、抗体又は免疫複合体のFcドメインの、細胞上の特殊な細胞表面受容体への結合を通して開始される。抗体及び免疫複合体によって誘発される細胞応答の多様性は、Fc受容体:FcγRI(CD64)の異種性から生じ、FcγRIIa(CD32A)及びFcγRIII(CD16)は、Fcγ受容体を活性化し(即ち、免疫系の増強)、一方、FcγRIIb(CD32B)は、阻害性Fcγ受容体である(即ち、免疫系の減弱)。FcRn受容体への結合は、抗体の半減期を調節する。
【0224】
いくつかの実施形態では、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、Fc領域に少なくとも1つの置換を含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、Fc領域に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個の置換を含む。
【0226】
抗体半減期を調節するために置換され得るFc位置。抗体の半減期を延長するために行うことができる例示的な単独又は組み合わせの置換は、置換M428L/N434S、M252Y/S254T/T256E、T250Q/M428L、N434A、及びT307A/E380A/N434Aである。抗体の半減期を短縮するために行うことができる例示的な単独又は組み合わせの置換は、置換H435A、P257I/N434H、D376V/N434H、M252Y/S254T/T256E/H433K/N434F、T308P/N434A、及びH435Rである。
【0227】
いくつかの実施形態では、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、M428L/N434S、M252Y/S254T/T256E、T250Q/M428L、N434A、T307A/E380A/N434A、H435A、P257I/N434H、D376V/N434H、M252Y/S254T/T256E/H433K/N434F、T308P/N434A、及びH435Rからなる群から選択される、少なくとも1つの置換をFc領域に含む。
【0228】
いくつかの実施形態では、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、抗体の活性化Fcγ受容体(Fc recepter、FcγR)への結合を低減する及び/又はC1q結合、補体依存性細胞障害(complement dependent cytotoxicity、CDC)、抗体依存性細胞介在性細胞障害(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)、若しくは貪食作用(antibody-dependent cell-mediated phagocytosis、ADCP)などのFcエフェクター機能を低減する、少なくとも1つの置換をFc領域に含む。
【0229】
FcγRを活性化しその後エフェクター機能を低減するために、抗体の結合を低減するために置換され得るFc位置は、IgG1における置換L234A/L235A、IgG2におけるV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S、IgG4におけるF234A/L235A、IgG4におけるS228P/F234A/L235A、全てのIgアイソタイプにおけるN297A、IgG2におけるV234A/G237A、IgG1におけるK214T/E233P/L234V/L235A/G236−欠失/A327G/P331A/D365E/L358M、IgG2におけるH268Q/V309L/A330S/P331S、IgG1におけるS267E/L328F、IgG1におけるL234F/L235E/D265A、IgG1におけるL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S、IgG4におけるS228P/F234A/L235A/G237A/P238S、及びIgG4におけるS228P/F234A/L235A/G236−欠失/G237A/P238Sである。
【0230】
IgG4の安定性を高めるために、周知のS228P置換をIgG4抗体に行うことができる。
【0231】
いくつかの実施形態では、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、S228P置換を含み、残基の付番はEUインデックスに従う。
【0232】
いくつかの実施形態では、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、F234A、L235A、又はF234A/L235A置換を含み、残基の付番はEUインデックスに従う。
【0233】
いくつかの実施形態では、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、S228P、F234A、及びL235A置換を含み、残基の付番はEUインデックスに従う。
【0234】
相同抗体、保存的修飾を有する抗体、並びに操作及び修飾されている抗体の生成方法
親抗体と比較してアミノ酸配列が変化している本発明の抗体は、標準的なクローニング及び発現技術を使用して生成され得る。例えば、部位特異的変異導入又はPCRを介在させることによる変異導入を実施して変異を導入することができ、抗体結合又は他の所望の特性に対する影響を、周知の方法及び本明細書において実施例に記載されている方法を使用して評価することができる。
【0235】
抗体のアイソタイプ及びアロタイプ
本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプであり得る。
【0236】
いくつかの実施形態では、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、IgG1アイソタイプである。
【0237】
いくつかの実施形態では、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、IgG2アイソタイプである。
【0238】
いくつかの実施形態では、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、IgG3アイソタイプである。
【0239】
いくつかの実施形態では、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、IgG4アイソタイプのものである。
【0240】
治療用抗体の免疫原性は、注入反応のリスク増大及び治療応答の期間短縮に関連している(Baert et al.,(2003)N Engl J Med 348:602−08)。宿主において治療用抗体が免疫応答を誘導する程度は、抗体のアロタイプによって部分的に決定され得る(Stickler et al.,(2011)Genes and Immunity 12:213−21)。抗体のアロタイプは、抗体の定常領域配列における特定の位置のアミノ酸配列の変異に関連する。表2は、選択IgG1、IgG2、及びIgG4アロタイプを示す。
【0241】
いくつかの実施形態では、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、G2m(n)アロタイプである。
【0242】
いくつかの実施形態では、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、G2m(n−)アロタイプである。
【0243】
いくつかの実施形態では、抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体発明は、G2M(n)/(n−)アロタイプである。
【0244】
いくつかの実施形態では、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、nG4m(a)アロタイプである。
【0245】
いくつかの実施形態では、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、G1m(17)アロタイプである。
【0246】
いくつかの実施形態では、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、G1m(17,1)アロタイプである。
【0248】
抗イディオタイプ抗体
本発明はまた、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体を提供する。
【0249】
本発明はまた、配列番号25のVH及び配列番号28のVLを含む、本発明の抗TMEFF2抗体に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体を提供する。
【0250】
本発明はまた、配列番号26のVH及び配列番号29のVLを含む、本発明の抗TMEFF2抗体に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体を提供する。
【0251】
本発明はまた、配列番号27のVH及び配列番号30のVLを含む、本発明の抗TMEFF2抗体に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体を提供する。
【0252】
本発明はまた、配列番号26のVH及び配列番号31のVLを含む、本発明の抗TMEFF2抗体に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体を提供する。
【0253】
本発明はまた、配列番号87のVH及び配列番号88のVLを含む、本発明の抗TMEFF2抗体に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体を提供する。
【0254】
本発明はまた、配列番号89のVH及び配列番号90のVLを含む、本発明の抗TMEFF2抗体に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体を提供する。
【0255】
抗イディオタイプ(idiotypic、Id)抗体は、抗体の抗原決定基(例えば、パラトープ又はCDR)を認識する抗体である。Id抗体は、抗原をブロッキングするものであっても、しないものであってもよい。抗原を遮断するIdを使用して、サンプル中の遊離抗体(例えば、本明細書に記載の本発明の抗TMEFF2抗体)を検出することができる。ブロッキングしないIdを使用して、サンプル中の全抗体(遊離しているもの、抗原に一部結合しているもの、又は抗原に完全に結合しているもの)を検出することができる。Id抗体は、抗Idが調製されている抗体で動物を免疫することによって調製することができる。
【0256】
また、更に別の動物で免疫応答を誘導する免疫原として抗Id抗体を使用して、いわゆる抗−抗Id抗体を産生することもできる。抗−抗Idは、抗Idを誘導した元のmAbとエピトープが同一であり得る。したがって、mAbのイディオタイプ決定基に対する抗体を使用することによって、同一の特異性の抗体を発現する他のクローンを同定することが可能である。抗Id抗体は、本明細書の他の箇所に記載のものなどの任意の好適な技術によって変動(それにより、抗Id抗体変異体を産生する)、及び/又は誘導することができる。
【0257】
本発明の単一特異性抗体の生成
いくつかの実施形態では、抗TMEFF2抗体は、ヒトである。
【0258】
いくつかの実施形態では、抗TMEFF2抗体は、ヒト化されている。
【0259】
本発明の単一特異性抗体は、様々な技術を使用して生成することができる。例えば、Kohler and Milstein,Nature 256:495,1975のハイブリドーマ法を使用してモノクローナル抗体を生成することができる。ハイブリドーマ法では、マウス、又はハムスター、ラット、若しくはサルなどの他の宿主動物を、TMEFF2の膜近位ドメインなどのTMEFF2のヒト、チンパンジー、又はマカクのTMEFF2又はTMEFF2の断片で免疫し、続いて標準的な方法を使用して、免疫した動物の脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59−103(Academic Press,1986))。1個の不死化したハイブリドーマ細胞から発生したコロニーを、結合特異性、交差反応性又はその欠如、及び抗原親和性などの所望の特性を有する抗体の産生についてスクリーニングする。
【0260】
様々な宿主動物を使用して、本発明の抗TMEFF2抗体を産生することができる。例えば、Balb/cマウスを使用して、マウス抗ヒトTMEFF2抗体を生成することができる。Balb/cマウス及び他の非ヒト動物において生成された抗体を、よりヒトに近い配列を生成するための様々な技術を使用してヒト化することもできる。
【0261】
ヒトアクセプターフレームワークの選別を含む例示的なヒト化技術は既知であり、CDRグラフト化(米国特許第5,225,539号)、SDRグラフト化(米国特許第6,818,749号)、リサーフェシング(Padlan(1991)Mol Immunol 28:489−499)、特異性決定残基のリサーフェシング(米国特許出願公開第2010/0261620号)、ヒトフレームワーク適応(米国特許第8,748,356)、又は超ヒト化(米国特許第7,709,226号)を含む。これらの方法では、CDRの長さの類似性若しくはカノニカル構造の同一性、又はこれらの組み合わせに基づいて、親フレームワークに対する全体的な相同性に基づき選択され得るヒトフレームワークに親抗体のCDRを移植する。
【0262】
ヒト化抗体は、国際公開第1090/007861号及び同第1992/22653号に記載されているものなどの技術によって、結合親和性を保存するように変化させたフレームワーク支持残基を組み込むことによって(復帰変異)、又は任意のCDRに変異を導入して、例えば抗体の親和性を改善することによって、所望の抗原に対するその選択性又は親和性を改善するように更に最適化させてもよい。
【0263】
自身のゲノムにヒト免疫グロブリン(immunoglobulin、Ig)遺伝子座を担持する、マウス、ラット、又はニワトリなどのトランスジェニック動物を使用して、標的タンパク質に対するヒト抗体を生成することができ、これらは例えば、米国特許第6,150,584号、国際公開第99/45962号、国際公開第2002/066630号、同第2002/43478号、同第2002/043478号、及び同第1990/04036号、Lonberg et al(1994)Nature 368:856−9、Green et al(1994)Nature Genet.7:13−21、Green & Jakobovits(1998)Exp.Med.188:483−95、Lonberg and Huszar(1995)Int Rev Immunol 13:65−93、Bruggemann et al.,(1991)Eur J Immunol 21:1323−1326、Fishwild et al.,(1996)Nat Biotechnol 14:845−851、Mendez et al.,(1997)Nat Genet 15:146−156、Green(1999)J Immunol Methods 231:11−23、Yang et al.,(1999)Cancer Res 59:1236−1243、Bruggemann and Taussig(1997)Curr Opin Biotechnol 8:455−458に記載されている。そのような動物の内在的な免疫グロブリン遺伝子座を破壊又は欠失させてもよく、相同又は非相同組み換えを使用して、導入染色体(transchromosome)を使用して、又はミニ遺伝子を使用して、少なくとも1つの完全な又は部分的なヒト免疫グロブリン遺伝子座を動物のゲノムに挿入してもよい。Regeneron(www.Regeneron.com)、Harbour Antibodies(www.Harbourantibodies.com)、Open Monoclonal Technology,Inc.(OMT)(www.Omtinc.net)、KyMab(www.Kymab.com)、Trianni(www.Trianni.com)、及びAblexis(www.Ablexis.com)などの企業は、上記の技術を使用して、選択された抗原に導かれるヒト抗体を提供するべく取り組んでいる場合がある。
【0264】
ヒト抗体はファージディスプレイライブラリから選択することができ、ここでファージは、ヒト免疫グロブリン、あるいはFab、単鎖抗体(scFv)、又は非対合若しくは対合抗体可変領域などのそれらの部分を発現するよう操作されている(Knappik et al.,(2000)J Mol Biol 296:57−86、Krebs et al.,(2001)J Immunol Meth 254:67−84、Vaughan et al.,(1996)Nature Biotechnology 14:309−314、Sheets et al.,(1998)PITAS(USA)95:6157−6162、Hoogenboom and Winter(1991)J Mol Biol 227:381、Marks et al.,(1991)J Mol Biol 222:581)。本発明の抗体は、例えば、Shi et al.,(2010)J Mol Biol 397:385−96及び国際公開第09/085462号)に記載のバクテリオファージpIXコートタンパク質との融合タンパク質として抗体の重鎖及び軽鎖可変領域を発現するファージディスプレイライブラリから単離され得る。ライブラリを、ヒト及び/又はカニクイザルTMEFF2又はCD3のファージ結合についてスクリーニングして、得られた陽性クローンの特性評価を更に行い、Fabをクローンの溶解物から単離し、完全長のIgGとして発現させることができる。ヒト抗体を単離するためのそのようなファージディスプレイ法は、例えば、米国特許第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,580,717号、同第5,969,108号、同第6,172,197号、同第5,885,793号、同第6,521,404号、同第6,544,731号、同第6,555,313号、同第6,582,915号、及び同第6,593,081号に記載されている。
【0265】
免疫原性抗原の調製及びモノクローナル抗体の産生は、組み換えタンパク質産生などの任意の好適な技術を使用して実施することができる。免疫原性抗原は、精製タンパク質、あるいは全細胞又は細胞若しくは組織抽出物を含むタンパク質混合物の形態で動物に投与されてもよく、抗原は、当該抗原又はその一部分をコードしている核酸から動物の体内で新たに形成されてもよい。
【0266】
本発明の二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体の生成
本発明の二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、本明細書の単離されたTMEFF2結合VH/VLドメインを、本明細書に記載のもの及び公に入手可能なものを含む任意のCD3結合VH/VLドメインと、組み合わせることによって生成することができる。使用され得る例示的なCD3結合VH/VLドメインは、本明細書に記載の抗体CD3B219及びCD3B376のものである。使用され得る例示的なTMEFF2結合VH/VLドメインは、抗体TMEB675、TMEB570、TMEB674、TMEB565、TMEB762、及びTMEB757の抗体である。生成された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、TMEFF2及びCD3への結合について、並びにTMEFF2発現細胞(例えば、LNCaP)のT細胞媒介性殺傷などの所望の機能特性について試験することができる。
【0267】
本発明の二重特異性抗体は、例えば、2つの単一特異性二価抗体間でのFabアーム交換(又は半分子交換)を使用して、インビトロで、無細胞環境下又は共発現使用下のいずれかで、異なる特異性を有する2つの抗体半分子の、好ましくヘテロ二量体を形成する各半分子の重鎖CH3界面に置換を導入することによって生成することができる。Fabアーム交換反応は、ジスルフィド結合異性化反応及びCH3ドメインの解離−会合の結果である。親単一特異性抗体のヒンジ領域における重鎖ジスルフィド結合は低減する。親単一特異性抗体のうちの1つの得られた遊離システインは、第2の親単一特異性抗体分子のシステイン残基と重鎖内ジスルフィド結合を形成し、同時に、親抗体のCH3ドメインは、解離−会合により解放及び再形成する。FabアームのCH3ドメインは、ホモ二量体形成よりヘテロ二量体形成を好むように操作されてもよい。得られた産物は、各々異なるエピトープ、即ち、TMEFF2上のエピトープ及びCD3上のエピトープに結合する、2つのFabアーム又は半分子を有する二重特異性抗体である。例えば、本発明の二重特異性抗体は、国際公開第2011/131746号に記載のDuoBody(登録商標)技術を使用して生成することができる。IgG1抗体の場合、一方の重鎖における変異F405L及び他方の重鎖におけるK409Rを使用することができる。IgG2抗体では、F405L及びR409K置換を有する野生型IgG2及びIgG2抗体を使用してもよい。IgG4抗体では、F405L及びR409K置換を有する野生型IgG4及びIgG4抗体を使用してもよい。二重特異性抗体を生成するために、第1の単一特異性二価抗体及び第2の単一特異性二価抗体を、Fc領域に前述の変異を有するように操作し、ヒンジ領域でシステインがジスルフィド結合異性化を受けることができる十分な還元条件下で、抗体を一緒にインキュベートし、それにより、Fabアーム交換により二重特異性抗体が生成される。インキュベート条件は、最適には、非還元条件に戻され得る。使用され得る例示的な還元剤は、2−メルカプトエチルアミン(2-mercaptoethylamine、2−MEA)、ジチオスレイトール(dithiothreitol、DTT)、ジチオエリスリトール(dithioerythritol、DTE)、グルタチオン、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(tris(2-carboxyethyl)phosphine、TCEP)、L−システイン、及びβ−メルカプトエタノールである。例えば、少なくとも20℃の温度で、少なくとも25mMの2−MEAの存在下又は少なくとも0.5mMのジチオスレイトールの存在下で、pH5〜8、例えばpH7.0又はpH7.4で、少なくとも90分間のインキュベートを使用することができる。
【0268】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、IgG1アイソタイプであり、配列番号84の野生型IgG1と比較すると、第1の重鎖(HC1)にF405L置換及び第2の重鎖(HC2)にK409R置換を含む。
【0269】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、IgG4アイソタイプであり、配列番号85の野生型IgG4と比較すると、HC2にF405L/R409K置換を含む。
【0270】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体は、IgG4アイソタイプであり、配列番号85の野生型IgG4と比較すると、HC1にS228P、F234A、及びL235A置換、並びにHC2にS228P、F234A、L235A、F405L、及びR409K置換を含む。
【0271】
配列番号84 野生型IgG1
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSS
GLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGG
PSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYN
STYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDE
LTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRW
QQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0272】
配列番号85 野生型IgG4
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSS
GLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSV
FLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTY
RVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTK
NQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEG
NVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0273】
配列番号103 IgG1 F405L
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSS
GLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGG
PSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYN
STYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDE
LTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFLLYSKLTVDKSRW
QQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0274】
配列番号109 IgG1 K409R
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSS
GLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGG
PSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYN
STYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDE
LTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRW
QQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0275】
配列番号104 IgG4 F405L/R409K
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSS
GLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSV
FLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTY
RVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTK
NQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFLLYSKLTVDKSRWQEG
NVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0276】
二重特異性抗体はまた、Knob−in−Hole(Genentech)、CrossMAb(Roche)及び静電的適合(electrostatically−matched)(Chugai,Amgen,NovoNordisk,Oncomed)、LUZ−Y(Genentech)、Strand Exchange Engineered Domain body(SEEDbody)(EMD Serono)、及びBiclonic(Merus)などのデザインを使用して生成することもできる。
【0277】
「ノブ−イン−ホール」戦略(例えば、国際公開第2006/028936号を参照されたい)において、ヒトIgGのCH3ドメインの界面を形成する選択アミノ酸は、ヘテロ二量体形成を促進するために、CH3ドメイン相互作用に影響を及ぼす位置に変異を導入され得る。小さな側鎖を有するアミノ酸(ホール)が、第1の抗原に特異的に結合する抗体の重鎖内に導入され、大きな側鎖を有するアミノ酸(ノブ)が、第2の抗原に特異的に結合する抗体の重鎖内に導入される。2つの抗体の共発現後に、ヘテロ二量体が、「ホール」を有する重鎖と「ノブ」を有する重鎖との優先的な相互作用の結果として形成される。ノブ及びホールを形成する例示的なCH3置換対は、T366Y/F405A、T366W/F405W、F405W/Y407A、T394W/Y407T、T394S/Y407A、T366W/T394S、F405W/T394S、及びT366W/T366S_L368A_Y407Vである(第1の重鎖の第1のCH3ドメインにおける修飾位置/第2の重鎖の第2のCH3ドメインにおける修飾位置として表現)。
【0278】
Fabアーム交換のプロモータへの「ノブ−イン−ホール」戦略の利用に加えて、CrossMAb技術は、半アームのうちの1つにCH1/CLドメイン交換を利用して、得られる二重特異性抗体の正しい軽鎖の対合を保証する(例えば、米国特許第8,242,247号を参照されたい)。
【0279】
他の交差法を使用して、二重特異性抗体の重鎖と軽鎖の間又は重鎖内で、一方又は両方のアームにおいて、可変又は定常、又は両ドメインを交換することによって、本発明の完全長二重特異性抗体を生成してもよい。これらの交換としては、例えば、国際特許公開第2009/080254号、同第2009/080251号、同第2009/018386号、及び同第2009/080252号に記載されるVH−CH1とVL−CL、VHとVL、CH3とCL、及びCH3とCH1が挙げられる。
【0280】
米国特許出願公開第2010/0015133号、米国特許出願公開第2009/0182127号、米国特許出願公開第2010/028637号、又は米国特許出願公開第2011/0123532号に記載されるような他の戦略、例えば、あるCH3表面における正に荷電した残基及び第2のCH3表面における負に荷電した残基を置換することによる静電的相互作用を使用する重鎖ヘテロ二量体化の促進を使用されてもよい。他の手法では、ヘテロ二量体化は、米国特許出願公開第2012/0149876号又は米国特許出願公開第2013/0195849号に記載されているように、以下の置換:L351Y_F405A_Y407V/T394W、T366I_K392M_T394W/F405A_Y407V、T366L_K392M_T394W/F405A_Y407V、L351Y_Y407A/T366A_K409F、L351Y_Y407A/T366V_K409F、Y407A/T366A_K409F、又はT350V_L351Y_F405A_Y407V/T350V_T366L_K392L_T394W(第1の重鎖の第1のCH3ドメインにおける修飾位置/第2の重鎖の第2のCH3ドメインにおける修飾位置として表す)により促進することができる。
【0281】
SEEDbody技術を利用して、本発明の二重特異性抗体を生成してもよい。SEEDbodyは、それらの定常ドメインにおいて、米国特許出願第2007/0287170号に記載されるように、ヘテロ二量体化を促進するためにIgA残基で置換された選択IgG残基を有する。
【0282】
変異は、通常、標準的な方法を使用して、抗体の定常ドメインなどの分子に対してDNAレベルで行われる。
【0283】
ポリヌクレオチド、ベクター、及び宿主細胞
本発明はまた、本発明の抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片をコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、本発明の二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片をコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。本明細書で提供された可変ドメインセグメントをコード可能な単離されたポリヌクレオチドは、抗体又は抗原結合断片を産生する同一の又は異なるベクターに含まれてもよい。ポリヌクレオチドは、相補的デオキシ核酸(complementary deoxynucleic acid、cDNA)であってもよく、好適な宿主において発現するためにコドン最適化されていてもよい。コドン最適化は、周知の技術である。
【0284】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチド(及びポリヌクレオチドがコードするペプチド)は、リーダー配列を含む。当技術分野において既知の任意のリーダー配列を利用することができる。リーダー配列は、制限部位又は翻訳開始部位を含み得る。
【0285】
本発明はまた、本発明の抗体のVH、本発明の抗体のVL、本発明の抗体の重鎖、又は本発明の抗体の軽鎖をコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0286】
本発明はまた、配列番号25、26、27、87、又は89のVHをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0287】
本発明はまた、配列番号28、29、30、31、88、又は90のVLをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0288】
本発明はまた、本発明の抗TMEFF2/抗CD3抗体のHC1、LC1、HC2、又はLC2をコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0289】
本発明はまた、配列番号32、33、34、91、又は93のHC1をコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0290】
本発明はまた、配列番号35、36、37、38、92、又は94のLC1をコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0291】
本発明はまた、配列番号76又は78のHC2をコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0292】
本発明はまた、配列番号77又は79のLC2をコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0293】
本発明はまた、配列番号39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、95、96、97、98、99、100、101、又は102のポリヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0294】
本発明はまた、配列番号105、106、80、81、107、108、82、及び83のポリヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0295】
本発明の抗体のVH若しくはVL若しくはその抗原結合断片、又は本発明の抗体の重鎖及び軽鎖をコードするポリヌクレオチド配列は、意図される宿主細胞におけるヌクレオチド配列の発現を可能にする、プロモータ又はエンハンサーなどの1つ又は2つ以上の制御エレメントに作動可能に連結させることができる。ポリヌクレオチドは、cDNAであってもよい。
【0296】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。そのようなベクターは、プラスミドベクター、ウイルスベクター、バキュロウイルス発現用ベクター、トランスポゾンベースのベクター、又は任意の手段によって所与の生物又は遺伝子的バックグラウンドに本発明の合成ポリヌクレオチドを導入するのに好適な任意の他のベクターであってもよい。例えば、所望により定常領域に連結されている本発明の抗体の軽鎖及び/又は重鎖可変領域をコードしているポリヌクレオチドを、発現ベクターに挿入する。軽鎖及び/又は重鎖は、同じか又は異なる発現ベクターにクローニングされ得る。免疫グロブリン鎖をコードしているDNAセグメントは、免疫グロブリンポリペプチドの発現を確実にする発現ベクター中のコントロール配列に操作可能に連結することができる。そのようなコントロール配列としては、シグナル配列、プロモータ(例えば、天然に付随する又は異種のプロモータ)、エンハンサーエレメント、及び転写終結配列が挙げられ、抗体を発現するように選択された宿主細胞と適合するように選択される。ベクターを適切な宿主に組み込み、組み込まれたポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質を高レベルで発現させるのに好適な条件下で宿主を維持する。
【0297】
本説明の範囲内の組み換え発現ベクターは、好適な調節エレメントに操作可能に連結することができる、抗体のVH、VL、HC、又はLCなどの少なくとも1つの組み換えタンパク質をコードする合成又はcDNA由来の核酸断片を含む。そのような調節エレメントには、転写プロモータ、好適なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、並びに転写及び翻訳の終了を制御する配列を挙げることができる。発現ベクター、特に、哺乳類の発現ベクターはまた、1つ又は2つ以上の非転写エレメント、例えば、複製の起点、発現される遺伝子に連結された好適なプロモータ及びエンハンサー、他の5’又は3’フランキング非転写配列、5’又は3’非翻訳配列(例えば、必須リボソーム結合部位)、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプター部位、又は転写終了配列を含んでもよい。宿主において複製する能力を付与する複製の起点もまた包含されてもよい。
【0298】
脊椎動物細胞を形質転換するのに使用される発現ベクター中の転写及び翻訳制御配列は、ウイルス資源により提供することができる。例示的なベクターは、Okayama and Berg,3 Mol.ell.Biol.280(1983)に記載のように構築することができる。
【0299】
いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片のコード配列は、強力な構成的プロモータ、例えば、下記遺伝子:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(hypoxanthine phosphoribosyl transferase、HPRT)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、ベータアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチンなどのためのプロモータの制御下に置かれる。加えて、多くのウイルスプロモータが、真核細胞中で恒常的に機能し、記載された実施形態での使用に適している。そのようなウイルスプロモータには、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus、CMV)中間初期プロモータ、SV40の初期及び後期プロモータ、マウス乳癌ウイルス(Mouse Mammary Tumor Virus、MMTV)プロモータ、モロニー白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus、HIV)、エプスタインバーウイルス(Epstein Barr Virus、EBV)、ラウス肉腫ウイルス(Rous Sarcoma Virus、RSV)、及び他のレトロウイルスの長端末反復配列(long terminal repeats、LTR)、並びに単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモータが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片のコード配列は、メタロチオネインプロモータ、テトラサイクリン誘導性プロモータ、ドキシサイクリン誘導性プロモータなどの誘導性プロモータ、プロテインキナーゼR 2’,5’−オリゴアデニレート合成酵素、MX遺伝子、ADAR1などの1つ又は2つ以上のインターフェロン刺激応答エレメント(interferon-stimulated response elements、ISRE)を含むプロモータの制御下に置かれる。
【0300】
本明細書に記載されたベクターは、1つ又は2つ以上の配列内リボソーム進入部位(Internal Ribosome Entry Site、IRES)を含んでもよい。IRES配列の融合ベクター内への包含は、一部のタンパク質の発現を増強させるのに有益であり得る。いくつかの実施形態では、ベクター系は、1つ又は2つ以上のポリアデニル化部位(例えば、SV40)を含み、その部位は、前述の核酸配列のうちいずれかの上流又は下流にあってもよい。ベクターの成分は、近接して連結されてもよいか、又は遺伝子産物を発現させるのに最適な間隔を提供するように(即ち、ORF間に「スペーサー」ヌクレオチドを導入することにより)配置されてもよいか、又は別の方法で位置付けられてもよい。調節エレメント、例えば、IRESモチーフはまた、発現に最適な間隔を提供するように配置されてもよい。
【0301】
ベクターは、当技術分野において周知の選択マーカーを含んでもよい。選択マーカーには、陽性及び陰性選択マーカー、例えば、抗生物質抵抗性遺伝子(例えば、ネオマイシン抵抗性遺伝子、ヒグロマイシン抵抗性遺伝子、カナマイシン抵抗性遺伝子、テトラサイクリン抵抗性遺伝子、ペニシリン抵抗性遺伝子)、グルタミン酸合成酵素遺伝子、ガンシクロビル選択用のHSV−TK、HSV−TK誘導体、又は6−メチルプリン選択用の細菌のプリンヌクレオシドホスホリラーゼ遺伝子(Gadi et al.,7Gene Ther.1738−1743(2000)が挙げられる。選択マーカーをコードする核酸配列又はクローニング部位は、対象となるポリペプチドをコードする核酸配列又はクローニング部位の上流又は下流にあってもよい。
【0302】
使用され得る例示的なベクターは、細菌:pBs、phagescript、PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene,La Jolla,Calif.,USA);pTrc99A、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、及びpRIT5(Pharmacia,Uppsala,Sweden)、真核生物:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXR1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSG及びpSVL(Pharmacia)、pEE6.4(Lonza)並びにpEE12.4(Lonza)である。
【0303】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号25のVH及び/又は配列番号28のVLをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0304】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号39のポリヌクレオチド、及び/又は配列番号42のポリヌクレオチドを含む。
【0305】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号26のVH、及び/又は配列番号29のVLをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0306】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号40のポリヌクレオチド、及び/又は配列番号43のポリヌクレオチドを含む。
【0307】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号27のVH及び/又は配列番号30のVLをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0308】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号41のポリヌクレオチド、及び/又は配列番号44のポリヌクレオチドを含む。
【0309】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号26のVH、及び/又は配列番号31のVLをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0310】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号40のポリヌクレオチド、及び/又は配列番号45のポリヌクレオチドを含む。
【0311】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号87のVH、及び/又は配列番号88のVLをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0312】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号95のポリヌクレオチド、及び/又は配列番号96のポリヌクレオチドを含む。
【0313】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号89のVH、及び/又は配列番号90のVLをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0314】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号99のポリヌクレオチド、及び/又は配列番号100のポリヌクレオチドを含む。
【0315】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号66のVH、及び/又は配列番号67のVLをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0316】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号105のポリヌクレオチド、及び/又は配列番号106のポリヌクレオチドを含む。
【0317】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号74のVH、及び/又は配列番号75のVLをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0318】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号107のポリヌクレオチド、及び/又は配列番号108のポリヌクレオチドを含む。
【0319】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号32のHC、及び/又は配列番号35のLCをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0320】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号46のポリヌクレオチド、及び/又は配列番号49のポリヌクレオチドを含む。
【0321】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号33のHC、及び/又は配列番号36のLCをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0322】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号47のポリヌクレオチド、及び/又は配列番号50のポリヌクレオチドを含む。
【0323】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号34のHC、及び/又は配列番号37のLCをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0324】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号48のポリヌクレオチド、及び/又は配列番号51のポリヌクレオチドを含む。
【0325】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号33のHC、及び/又は配列番号38のLCをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0326】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号47のポリヌクレオチド、及び/又は配列番号52のポリヌクレオチドを含む。
【0327】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号91のVH、及び/又は配列番号92のVLをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0328】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号97のポリヌクレオチド、及び/又は配列番号98のポリヌクレオチドを含む。
【0329】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号93のVH、及び/又は配列番号94のVLをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0330】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号101のポリヌクレオチド、及び/又は配列番号102のポリヌクレオチドを含む。
【0331】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号76のHC、及び/又は配列番号77のLCをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0332】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号80のポリヌクレオチド、及び/又は配列番号81のポリヌクレオチドを含む。
【0333】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号78のHC、及び/又は配列番号79のLCをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0334】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号82のポリヌクレオチド、及び/又は配列番号83のポリヌクレオチドを含む。
【0335】
本明細書に記載されたベクターを使用して、記載された抗体又は抗原結合断片をコードする遺伝子により種々の細胞を形質転換することができる。例えば、ベクターを使用して、抗TMEFF2抗体又は抗原結合断片を産生する細胞を生成することができる。したがって、本発明はまた、本発明の1つ又は2つ以上のベクターを含む、宿主細胞を提供する。
【0336】
外来遺伝子を細胞に導入する技術は既知であり、本発明の組み換え細胞を構築するために使用することができる。
【0337】
「宿主細胞」は、ベクターが導入された細胞を指す。宿主細胞という用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の後代、また特定の対象細胞から生成された安定な細胞株も指すことを意図すると理解される。変異又は環境の影響のいずれかに起因して、後続世代においてある特定の修飾が生じ得るので、そのような後代は親細胞に同一ではない場合があるが、本明細書で使用される「宿主細胞」という用語の範囲内に依然含まれる。
【0338】
そのような宿主細胞は、真核細胞、原核細胞、植物細胞、又は古細菌細胞であってもよい。原核宿主細胞の例は、大腸菌(Escherichia coli)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)などの桿菌、並びにサルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)、及び様々なシュードモナス属(Pseudomonas)の種などの他の腸内細菌科のものである。酵母などの他の微生物も発現に有用である。好適な酵母宿主細胞の例は、サッカロミセス属(Saccharomyces)(例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(S.cerevisiae))及びピキア属(Pichia)である。例示的な真核細胞は、哺乳動物、昆虫、鳥類、又は他の動物由来のものであってもよい。哺乳類真核細胞としては、不死化細胞株(例えばハイブリドーマ)又は骨髄腫細胞株(例えばSP2/0(American Type Culture Collection(ATCC)、Manassas、VA、CRL−1581)、NS0(European Collection of Cell Cultures(ECACC)、Salisbury,Wiltshire,UK、ECACC No.85110503)、FO(ATCC CRL−1646)及びAg653(ATCC CRL−1580)マウス細胞株)が挙げられる。例示的なヒト骨髄腫細胞株は、U266(ATTC CRL−TIB−196)である。他の有用な細胞株としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に由来するもの、例えば、CHOK1SV(Lonza Biologics,Walkersville,MD)、Potelligent(登録商標)CHOK2SV(Lonza)、CHO−K1(ATCC CRL−61)、又はDG44が挙げられる。
【0339】
本明細書に記載された発現ベクターにより形質転換された細胞は、本明細書に記載された抗体又は抗原結合断片の組み換え発現について選択され、又はスクリーニングされてもよい。組み換え陽性細胞は、タンパク質修飾又は変化させた翻訳後修飾により、所望の表現型、例えば、高レベルの発現、向上した増殖特性、又は所望の生化学的特性を有するタンパク質を生成する能力を示すサブクローンについて、増殖され、スクリーニングされる。これらの表現型は、所与のサブクローンの本来の特性又は変異によるものであり得る。変異は、化学物質、UV波長光、照射、ウイルス、挿入変異源、DNAミスマッチ修復の阻害、又はそのような方法の組み合わせの使用を通じて影響され得る。
【0340】
本発明はまた、本発明の抗体を産生する方法であって、抗体が発現する条件下で本発明の宿主細胞を培養することと、宿主細胞によって産生された抗体を回収することと、を含む方法を提供する。抗体を作製し、それを精製する方法は、当該技術分野において周知である。合成されたら(化学的に又は組み換えによって)、抗体全体、その二量体、個々の軽鎖及び/若しくは重鎖、又はVH及び/若しくはVLなどの他の抗体断片を、硫酸アンモニウム沈殿、親和性カラム、カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)精製、ゲル電気泳動などの標準的な手順(概して、Scopes,Protein Purification(Springer−Verlag,N.Y.,(1982)を参照)に従って精製することができる。対象抗体は、実質的に純粋、例えば、少なくとも純度約80%〜85%、少なくとも純度約85%〜90%、少なくとも純度約90%〜95%、又は少なくとも約98%〜99%、又はそれを超える純度であり得、例えば、対象抗体以外の細胞残屑、巨大分子などの夾雑物を含まない。
【0341】
本発明のポリヌクレオチド配列は、標準的な分子生物学的方法を使用してベクターに組み込むことができる。宿主細胞の形質転換、培養、抗体発現、及び精製は、周知の方法を使用して行われる。
【0342】
本発明はまた、本発明の抗TMEFF2抗体を産生する方法であって、
当該抗体のVHをコードしている第1のポリヌクレオチド及び当該抗体のVLをコードしている第2のポリヌクレオチドを発現ベクターに組み込むことと、
宿主細胞を当該発現ベクターで形質転換することと、
当該VL及び当該VHが発現し、抗体を形成する条件下で、培養培地中で当該宿主細胞を培養することと、
当該宿主細胞又は当該培養培地から抗体を回収することと、
を含む、方法もまた提供する。
【0343】
医薬組成物/投与
本発明は、本発明の抗体及び医薬的許容される担体を含む医薬組成物もまた提供する。治療用途では、本発明の抗体は、医薬的に許容される担体中に活性成分として有効な量の抗体を含む医薬組成物として調製することができる。「担体」は、本発明の抗体と一緒に投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、又はビヒクルを指す。そのようなビヒクルは、水、及び石油、動物、植物、又は合成物由来のものを含む油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの液体であってもよい。例えば、0.4%生理食塩水及び0.3%グリシンを使用してもよい。これらの溶液は滅菌され、一般には粒子状物質を含まない。これらは、従来周知の滅菌技術(例えば、濾過)によって滅菌することができる。組成物は、生理学的条件に近づけるために必要とされる医薬的に許容される補助物質、例えば、pH調節剤及び緩衝剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤及び着色剤などを含み得る。そのような医薬製剤中の本発明の抗体の濃度は、約0.5重量%未満から通常少なくとも約1重量%まで、最大で15又は20重量%まで変動し得、また、選択される投与方法に従って、必要とされる用量、流体体積、粘度などに主に基づいて選択され得る。好適なビヒクル及び製剤(ヒトタンパク質、例えばヒト血清アルブミンを含む)は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,Troy,D.B.ed.,Lipincott Williams and Wilkins,Philadelphia,PA 2006,Part 5,Pharmaceutical Manufacturing pp691−1092に記載され、特にpp.958−989を参照されたい。
【0344】
本発明の抗体の投与方法は、当該技術分野において周知であるように、非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、若しくは皮下、経粘膜(経口、鼻腔内、膣内、直腸)、又は当業者に理解される他の手段などの任意の好適な経路であり得る。
【0345】
本発明の抗体はまた、癌などの疾患を発症するリスクを低減するために、予防的に投与され得る。
【0346】
したがって、筋肉内注射用の本発明の医薬組成物は、1mLの滅菌緩衝水と、約1ng〜約100mg/kg、例えば約50ng〜約30mg/kg、又はより好ましくは約5mg〜約25mg/kgの本発明の抗体と、を含むように調製することができる。
【0347】
抗TMEFF2抗体及び二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体を使用する方法
本発明はまた、TMEFF2陽性癌の治療を必要とする対象においてTMEFF2陽性癌を治療する方法であって、治療に有効な量の二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を対象に投与して、TMEFF2陽性癌を治療することを含む、方法を提供する。
【0348】
本発明はまた、TMEFF2陽性癌の治療を必要とする対象においてTMEFF2陽性癌を治療する方法であって、治療に有効な量の抗TMEFF2抗体又はその抗原結合断片を対象に投与して、TMEFF2陽性癌を治療することを含む、方法を提供する。
【0349】
前立腺癌の発症には、複数の遺伝子が関与している。前立腺癌の発症及び進行に関与し、したがって新しい抗前立腺癌療法の有望な標的であるタンパク質のうちの1つは、EGF様及び2つのフォリスタチン様ドメインを有する膜タンパク質(TMEFF2)である。TMEFF2は、2つのフォリスタチン様(follistatin-like、FS)ドメイン、EGF様ドメイン、膜貫通(transmembrane、TM)ドメイン、及び短細胞質尾部で構成されているI型膜貫通タンパク質である。TMEFF2タンパク質の最も高い発現は、脳及び前立腺の2つの器官で検出された(Liang et al.2000、Horie et al.2000)。TMEFF2の高い発現はまた、前立腺癌細胞株及び臨床サンプルにも見出され(Glynne−Jones et al.2001、Gery et al.2002、Afar et al.2004)、TMEFF2が前立腺癌の進行において重要な役割を果たすことを示している。Tmeff2遺伝子の発現は、アンドロゲン受容体の制御下にある。多数のアンドロゲン依存性癌患者は、高レベルのTMEFF2 mRNAを呈した。
【0350】
したがって、抗TMEFF2抗体は、前立腺癌の診断、予後、又は治療のための重要なツールになる可能性を有し得る。
【0351】
「癌」は、病理学的な種類又は侵襲性の段階に関係なく、全ての種類の癌性成長又は発癌プロセス、転移組織又は悪性腫瘍形質転換細胞、組織、又は器官を含むことを意味する。例示的なTMEFF陽性癌としては、前立腺癌が挙げられる。
【0352】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、腺癌である。
【0353】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、転移性前立腺癌である。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、直腸、リンパ節、若しくは骨、又はそれらの任意の組み合わせに転移している。
【0354】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、再発性又は難治性前立腺癌である。
【0355】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、去勢抵抗性前立腺癌である。
【0356】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、アンドロゲン遮断療法に感応性である。
【0357】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、アンドロゲン遮断療法に感応性ではない。
【0358】
本発明はまた、治療に使用するための単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0359】
本発明はまた、TMEFF2陽性癌の治療に使用するための、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0360】
本発明はまた、TMEFF2前立腺癌の治療に使用するための、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0361】
本発明はまた、TMEFF2陽性癌を治療するための医薬品を製造するための、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0362】
本発明はまた、前立腺癌などのTMEFF2陽性癌の治療に使用するための単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体が、TMEFF2に結合する第1のドメインとCD3に結合する第2のドメインとを含み、
第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び22のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号25のVH及び配列番号28のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号32の第1の重鎖(HC1)、配列番号35の第1の軽鎖(LC1)、配列番号76の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号77の第2の軽鎖(LC2)を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0363】
本発明はまた、前立腺癌などのTMEFF2陽性癌の治療に使用するための単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体が、TMEFF2に結合する第1のドメインとCD3に結合する第2のドメインとを含み、
第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び22のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号25のVH及び配列番号28のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号32のHC1、配列番号35のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0364】
本発明はまた、前立腺癌などのTMEFF2陽性癌の治療に使用するための単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体が、TMEFF2に結合する第1のドメインとCD3に結合する第2のドメインとを含み、
第1のドメインが、それぞれ配列番号11、13、16、19、21、及び23のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号26のVH及び配列番号29のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号33のHC1、配列番号36のLC1、配列番号76のHC2、及び配列番号77のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0365】
本発明はまた、前立腺癌などのTMEFF2陽性癌の治療に使用するための単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体が、TMEFF2に結合する第1のドメインとCD3に結合する第2のドメインとを含み、
第1のドメインが、それぞれ配列番号11、13、16、19、21、及び23のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号26のVH及び配列番号29のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号33のHC1、配列番号36のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0366】
本発明はまた、前立腺癌などのTMEFF2陽性癌の治療に使用するための単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体が、TMEFF2に結合する第1のドメインとCD3に結合する第2のドメインとを含み、
第1のドメインが、それぞれ配列番号10、14、17、18、20、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号27のVH及び配列番号30のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号34のHC1、配列番号37のLC1、配列番号76のHC2、及び配列番号77のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0367】
本発明はまた、前立腺癌などのTMEFF2陽性癌の治療に使用するための単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体が、TMEFF2に結合する第1のドメインとCD3に結合する第2のドメインとを含み、
第1のドメインが、それぞれ配列番号10、14、17、18、20、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号27のVH及び配列番号30のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号34のHC1、配列番号37のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0368】
本発明はまた、前立腺癌などのTMEFF2陽性癌の治療に使用するための単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体が、TMEFF2に結合する第1のドメインとCD3に結合する第2のドメインとを含み、
第1のドメインが、それぞれ配列番号11、13、16、18、20、及び22のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号26のVH及び配列番号31のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号33のHC1、配列番号38のLC1、配列番号76のHC2、及び配列番号77のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0369】
本発明はまた、前立腺癌などのTMEFF2陽性癌の治療に使用するための単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体が、TMEFF2に結合する第1のドメインとCD3に結合する第2のドメインとを含み、
第1のドメインが、それぞれ配列番号11、13、16、18、20、及び22のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号26のVH及び配列番号31のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号33のHC1、配列番号38のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0370】
本発明はまた、前立腺癌などのTMEFF2陽性癌の治療に使用するための単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体が、TMEFF2に結合する第1のドメインとCD3に結合する第2のドメインとを含み、
第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び86のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号87のVH及び配列番号88のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号91のHC1、配列番号92のLC1、配列番号76のHC2、及び配列番号77のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0371】
本発明はまた、前立腺癌などのTMEFF2陽性癌の治療に使用するための単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体が、TMEFF2に結合する第1のドメインとCD3に結合する第2のドメインとを含み、
第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び86のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号87のVH及び配列番号88のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号91のHC1、配列番号92のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0372】
本発明はまた、前立腺癌などのTMEFF2陽性癌の治療に使用するための単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体が、TMEFF2に結合する第1のドメインとCD3に結合する第2のドメインとを含み、
第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び86のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号60、61、62、63、64、及び65のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号89のVH及び配列番号90のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号93のHC1、配列番号94のLC1、配列番号76のHC2、及び配列番号77のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0373】
本発明はまた、前立腺癌などのTMEFF2陽性癌の治療に使用するための単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片であって、二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体が、TMEFF2に結合する第1のドメインとCD3に結合する第2のドメインとを含み、
第1のドメインが、それぞれ配列番号10、12、15、18、20、及び86のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、第2のドメインが、それぞれ配列番号68、69、70、71、72、及び73のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
第1のドメインが、配列番号89のVH及び配列番号90のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含み、かつ/又は
二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片が、配列番号93のHC1、配列番号94のLC1、配列番号78のHC2、及び配列番号79のLC2を含む、単離された二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0374】
本発明の抗体は、第2の治療剤と併用して投与され得る。
【0375】
いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、手術、化学療法、アンドロゲン遮断療法若しくは放射線、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0376】
キット
本発明はまた、本発明の抗TMEFF2抗体又は二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体を含む、キットを提供する。キットは、治療的使用のために、又は診断キットとして使用することができる。キットを使用して、サンプル中でのTMEFF2、CD3、又はTMEFF2及びCD3の存在を検出することができる。
【0377】
いくつかの実施形態では、キットは、本発明の抗体と、抗体を検出するための試薬とを含む。キットは、使用説明書と、他の試薬、例えば、標識、治療剤、又は抗体を標識若しくは治療剤、又は放射線防護組成物にキレート化する、ないしは別の方法でカップリングするのに有用な剤と、投与するために抗体を調製するためのデバイス又は他の材料と、医薬的に許容される担体と、対象に投与するためのデバイス又は他の材料とを含む、1つ又は2つ以上の他の構成要素を含み得る。
【0378】
いくつかの実施形態では、キットは、容器内の本発明の抗体と、キットの使用説明書とを含む。
【0379】
いくつかの実施形態では、キットにおける抗体は標識されている。
【0380】
本発明はまた、配列番号25のVH及び配列番号28のVLを含む抗TMEFF2抗体を含む、キットを提供する。
【0381】
本発明はまた、配列番号26のVH及び配列番号29のVLを含む抗TMEFF2抗体を含む、キットを提供する。
【0382】
本発明はまた、配列番号27のVH及び配列番号30のVLを含む抗TMEFF2抗体を含む、キットを提供する。
【0383】
本発明はまた、配列番号26のVH及び配列番号31のVLを含む抗TMEFF2抗体を含む、キットを提供する。
【0384】
本発明はまた、配列番号87のVH及び配列番号88のVLを含む抗TMEFF2抗体を含む、キットを提供する。
【0385】
本発明はまた、配列番号89のVH及び配列番号90のVLを含む抗TMEFF2抗体を含む、キットを提供する。
【0386】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体を含む、キットであって、第1のドメインが、配列番号25のVH及び配列番号28のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含む、キットを提供する。
【0387】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む二重特異性抗TMEEF2/抗CD3抗体を含む、キットであって、第1のドメインが、配列番号25のVH及び配列番号28のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含む、キットを提供する。
【0388】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む二重特異性抗TMEEF2/抗CD3抗体を含む、キットであって、第1のドメインが、配列番号26のVH及び配列番号29のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含む、キットを提供する。
【0389】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体を含む、キットであって、第1のドメインが、配列番号26のVH及び配列番号29のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含む、キットを提供する。
【0390】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体を含む、キットであって、第1のドメインが、配列番号27のVH及び配列番号30のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含む、キットを提供する。
【0391】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む二重特異性抗TMEEF2/抗CD3抗体を含む、キットであって、第1のドメインが、配列番号27のVH及び配列番号30のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含む、キットを提供する。
【0392】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体を含む、キットであって、第1のドメインが、配列番号26のVH及び配列番号31のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含む、キットを提供する。
【0393】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む二重特異性抗TMEEF2/抗CD3抗体を含む、キットであって、第1のドメインが、配列番号26のVH及び配列番号31のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含む、キットを提供する。
【0394】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体を含む、キットであって、第1のドメインが、配列番号87のVH及び配列番号88のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含む、キットを提供する。
【0395】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む二重特異性抗TMEEF2/抗CD3抗体を含む、キットであって、第1のドメインが、配列番号87のVH及び配列番号88のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含む、キットを提供する。
【0396】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体を含む、キットであって、第1のドメインが、配列番号89のVH及び配列番号90のVLを含み、第2のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含む、キットを提供する。
【0397】
本発明はまた、TMEFF2に結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインと、を含む二重特異性抗TMEEF2/抗CD3抗体を含む、キットであって、第1のドメインが、配列番号89のVH及び配列番号90のVLを含み、第2のドメインが、配列番号74のVH及び配列番号75のVLを含む、キットを提供する。
【0398】
TMEFF2又はCD3を検出する方法
本発明はまた、サンプル中のTMEFF2を検出する方法であって、サンプルを得ることと、サンプルを本発明の抗TMEFF2抗体と接触させることと、サンプル中のTMEFF2に結合した抗体を検出することと、を含む、方法を提供する。
【0399】
本発明はまた、サンプル中のTMEFF2及びCD3を検出する方法であって、サンプルを得ることと、サンプルを、TMEFF2に結合する第1のドメインとCD3に結合する第2のドメインとを含む、本発明の二重特異性抗TMEFF2/抗CD3抗体と接触させることと、サンプル中のTMEFF2及びCD3に結合した抗体を検出することと、を含む、方法を提供する。
【0400】
いくつかの実施形態では、サンプルは、尿、血液、血清、血漿、唾液、腹水、循環細胞、循環腫瘍細胞、組織に会合していない細胞(即ち、遊離細胞)、組織(例えば、外科的に切除された腫瘍組織、穿刺吸引を含む生検材料)、組織プレパラートなどに由来し得る。
【0401】
TMEFF2、又はTMEFF2及びCD3に結合した本明細書に記載の本発明の抗体は、既知の方法を使用して検出することができる。例示的な方法としては、蛍光若しくは化学発光標識、又は放射線標識を使用して抗体を直接標識すること、あるいは本発明の抗体に、ビオチン、酵素、又はエピトープタグなどの容易に検出可能な部分を結合させることが挙げられる。例示的な標識及び部分は、ルテニウム、111In−DOTA、111In−ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ及びベータガラクトシダーゼ、ポリ−ヒスチジン(HISタグ)、アクリジン染料、シアニン染料、フルオロン染料、オキサジン染料、フェナントリジン染料、ローダミン染料、及びAlexafluor(登録商標)染料である。
【0402】
本発明の抗体を多様なアッセイに使用して、サンプル中のTMEFF2、又はTMEFF2及びCD3を検出することができる。例示的なアッセイは、ウェスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ、表面プラズモン共鳴、免疫沈降、平衡透析、免疫拡散、電気化学発光(electrochemiluminescence、ECL)イムノアッセイ、免疫組織化学的検査、蛍光活性化細胞選別(fluorescence-activated cell sorting、FACS)、又はELISAアッセイである。
【0403】
次に、本発明を以下の特定の非限定的な実施例を参照して説明する。
【0404】
実施例1:抗原の生成
ヒト細胞外ドメイン(extracellular domain、ECD)TMEFF2は、UniProt受諾#Q9UIK5配列に基づいて産生された。ECD構築物は、C末端に6X Hisタグ及びAviタグ配列を有するように設計した(構築物TMEW1、配列番号6)。FS2及びEGFドメイン(アミノ酸151〜320を含む構築物は、6X His−tag及びavitag配列を有するヒト血清アルブミン(HSA)融合体として設計した(構築物TMEW7、配列番号7)。TMEFF2膜近位ドメイン(残基230〜320)を含む構築物は、6xHisタグを有する(構築物TMEW19、配列番号8)か、又はHis−tagを有するラットIgG1 Fcに融合させて(構築物TMEW20、配列番号9)設計した。TMEFF2の残基230〜320は、TMEFF2の残基261〜301に及ぶEGFドメインを含む。ヒトTMEFF2 ECD発現構築物を、製造業者のプロトコルに従ってExpifectamineを使用して、HEK293由来細胞、Expi293(Gibco/Thermo Fisher Scientific)に一過的にトランスフェクトした。採取前にオービタルシェーカーで、8%のCO
2を用いて37℃で5日間細胞をインキュベートした。発現した細胞を遠心分離により除去し、hisタグを有する可溶性TMEFF2タンパク質を、Ni Sepharose 6 Fast Flow樹脂(GE Healthcare)を使用する固定化金属親和性クロマトグラフィー、続いてDubelccoのリン酸塩緩衝液pH7.2(1xDPBS)中でのSuperdex200分取サイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography、SEC)(GE Healthcare)を使用して、培地から精製した。生成した抗原のアミノ酸配列を、表3に示す。
【0406】
実施例2.抗TMEFF2抗体の生成
ヒト免疫グロブリン遺伝子座を発現するトランスジェニックラット(OmniRat(登録商用))を使用する、抗体の生成OmniRat(登録商標)は、完全なヒトIgL座(Jκ−Cκに連結された12個のVκ及びJλ−Cλに連結された16個のVλ)を一緒に有する、キメラヒト/ラットIgH遺伝子座(ラットC
H遺伝子座に連結した、天然形態の22個のヒトV
H、全てのヒトD及びJ
Hセグメントを含む)を含む。(例えば、Osborn,et al.(2013)J Immunol 190(4):1481−1490を参照されたい)。したがって、ラットは、ラット免疫グロブリンの低減した発現を呈し、導入されたヒト重鎖及び軽鎖の導入遺伝子は、免疫化に応答して、クラススイッチ及び体細胞変異を受けて、完全長ヒト可変領域を有する高親和性キメラヒト/ラットIgGモノクローナル抗体を生成した。OmniRat(登録商標)の調製及び使用、並びにそのようなラットによって担持されるゲノム修飾は、WO14/093908に記載されている。
【0407】
OmniRatsをヒトTMEFF2構築物FS2−EGF−Tev−HSA(C34S)−His−Avitag(TMEW7、配列番号7)で免疫し、構築物spTMEFF2(230〜320)G3S−ratIgG1Fc(TMEW20、配列番号9)でブーストした。89日の免疫レジメンに続いて、ラットからリンパ節を採取し、ハイブリドーマを生成するために使用し、ELISA及び/又はSPARCL(Spatial Proximity Analyte Reagent Capture Luminescence)によって、ヒトTMEFF2−FFL ECD−HIS−Avitag(TMEW1)タンパク質への結合について、ハイブリドーマ上清をスクリーニングした。TMEFF ECD、FS2−EGF、又はEGFドメインのみのTMEFF2への結合の、二次ELISA及びSPARCLスクリーニングのために、いくつかの上清を選択した。スクリーニング結果に基づいて、いくつかのハイブリドーマクローンを配列決定し、発現させ、機能について特性評価した。
【0408】
ファージディスプレイライブラリからの抗体生成
標準的な方法を使用して、Shi et al.,J Mol Biol 397:385−96,2010、及びWO2009/085462)に記載の2セットの新たなpIXファージディスプレイライブラリから、TMEFF2に結合するFabを選択した。簡潔に言えば、V3.0及びV5.0と呼ばれる2セットのライブラリは、ヒトスカフォールドを多様化させることによって生成されたものであり、生殖系列VH遺伝子IGHV1−69
*01、IGHV3−23
*01及びIGHV5−51
*01を、H3ループを介してヒトIGHJ−4ミニ遺伝子で組み換え(V5.0ではIGHJ−6ミニ遺伝子も使用した)、そして、ヒト生殖系列VLカッパ遺伝子O12(IGKV1−39
*01)、L6(IGKV3−11
*01)、A27(IGKV3−20
*01)及びB3(IGKV4−1
*01)をIGKJ−1ミニ遺伝子で組み換えて、完全なVH及びVLドメインを構築した。多様化のために、タンパク質及びペプチド抗原と頻繁に接触する、H1、H2、L1、L2、及びL3ループ周辺の重鎖及び軽鎖可変領域における位置を選択した。選択した位置における配列多様性は、それぞれのIGHV又はIGLV遺伝子のIGHV又はIGLV生殖系列遺伝子ファミリーにおいてそれぞれの位置に存在する残基に制限した。H3ループにおける多様性は、V3.0ライブラリについては7〜14アミノ酸長、V5.0ライブラリについては6〜19アミノ酸長の短鎖〜中鎖の合成ループを使用して生成した。H3におけるアミノ酸分布は、ヒト抗体において観察されるアミノ酸の変動を模倣するよう設計された。ライブラリを生成するために利用したスカフォールドは、そのヒトVH及びVL生殖系列遺伝子の由来に従って命名した。V3.0及びV5.0のセットの両方では、3つの重鎖ライブラリの各々を、4つの生殖系列軽鎖又は生殖系列軽鎖ライブラリと組み合わせて、選択実験に使用されるライブラリの各セットとして、12とおりの固有のVH:VLの組み合わせを生成した。
【0409】
V領域クローニング
ファージのハイブリドーマ細胞溶解物からの全RNAを、製造業者のプロトコルに従ってRNeasy 96キット(Qiagen)を使用して精製した。得られたRNAを、Drop Senseを使用して定量化し、−80℃で保存したか、又はRT−PCRによるInvitrogen SuperScript III First−Strand Synthesis System(Invitrogen)を使用してcDNA合成に使用した。第1の鎖cDNA合成は、それぞれ重鎖、カッパ鎖、及びラムダ鎖の定常領域にアニーリングされた遺伝子特異的プライマーを使用して実行した。最大3μgの精製したRNA、遺伝子特異性プライマー、dNTPミックス、反応緩衝液、25mMのMgCl
2、DTT、RNaseOUT(商標)(40U/μl、Invitrogen)、及びSuperScript(商標)III RT(200U/μl、Invitrogenカタログ#18080−051)で構成されるRT−PCR反応混合物を50℃で50分間、及び85℃で5分間インキュベートした。得られた一本鎖cDNAを−20℃で保存するか、又はPCR増幅に直接使用した。Platinum Pfxポリメラーゼ(Invitrogen)を使用してPCR反応を実行した。v領域断片を、最適化したPCR条件を使用して、リーダー配列、並びに重鎖、カッパ及びラムダ鎖の定常領域に順方向及び逆方向のプライマーアニーリングによって増幅させた。得られたPCR断片を配列決定し、回収したv領域のアミノ酸配列をコドン最適化し、S228P、F234A、及びL235A変異を有するIgG4定常領域を担持するpUnder系発現ベクター(IgG4PAAアイソタイプ)にクローニングした。
【0410】
Expi293小規模トランスフェクション及び精製
免疫化キャンペーン又はファージディスプレイから同定した選択抗体をクローニングし、IgG1PAAとして発現させ、小さい2mlスケールを介して精製した。Expi293(商標)細胞(ThermoFisher Scientific)を、Expi293(商標)発現培地中1.25×10
5〜2.25×10
5個の生存細胞/mL密度で播種し、37℃、7% CO
2の125mL〜2L振盪フラスコ内で培養した。密度が3×10
6〜5×10
6個の生存細胞/mLで生存率が98〜99%に対数増殖に達したときに、細胞を継代培養した。
【0411】
トランスフェクションの日に、生存細胞密度及び生存率を決定した。製造業者のトランスフェクションプロトコル(ThermoFisher Publication番号MAN0007814)に従って、3×10
6個の生存細胞/mLの密度で細胞をトランスフェクトした。精製前に、850xGで15分間遠心分離することにより、トランスフェクション6日後に培養物を採取した。mAb Select Sure樹脂(GE Healthcare)を使用して清澄化した上清から抗体を精製し、PBS中に透析した。タンパク質濃度は、DropSense Instrument(Trinean)を使用して、濾液のA280測定によって測定した。
【0412】
実施例3.抗TMEFF2抗体の特性評価
抗TMEFF2抗体は高親和性でTMEFF2に結合する
TMEFF2 ECD(TMEW1:TMEFF2−FL ECD−His−Avitag)及び/又は膜近位領域(TMEW19:spTMEFF2(230−320)G3S−H6)への選択IgG4PAA抗TMEFF2抗体の結合は、タンパク質(TMEB674、TMEB675、TMEB565、及びTMEB570)又はBiacore SPR(TMEB762及びTMEB757)を使用して評価した。選択された抗体の結合の動態パラメータを、表4に示す。抗TMEFF2抗体は、ピコモル親和性でTMEFF2 ECD及びTMEFF2膜近位領域の両方に結合することが見出された。
【0414】
ProteOn SPR
抗TMEFF2 mAbのECD及びヒトTMEFF2の膜近位領域への結合は、ProteOn SPR(Bio−Rad)によって測定した。(PBST中1μg/mLの最終濃度まで希釈した)精製mAbをアッセイのリガンドとして使用し、Fc捕捉を通じてヤギ抗ヒト(GAH)IgG Fcに固定化した。GAH IgG Fcのアミンカップリングのために、EDC(40mM)及びNHS(10mM)の1:1混合物を注入直前に混合して、チップ表面を活性化し、垂直方向に注入した。次いで、酢酸緩衝液(pH5.0)中のGAH−Fc(30μg/ml)抗体を、30μl/分で300秒間表面上に垂直方向に流した。その後、1Mエタノールアミン(pH8.5)を同じ方向に注入することによって、表面の任意の残りの反応性カルボキシル基を失活させた。固定化のために1μg/mlの濃度で抗体を使用した。抗体は、表面上を水平方向に流した。3倍連続希釈した5つの濃度(最高濃度範囲100〜600nM)のヒトTMEFF2 ECD又は膜近位領域を、検体として垂直方向に流して、捕捉された分子に結合させた。また、垂直方向の6番目のチャネルに緩衝液サンプルを注入して、ベースラインシグナルの動向を監視した。全ての濃度での会合及び解離相を、それぞれ100μL/分の流速で3分間及び30(又は15)分間にわたり監視した。次の相互作用サイクルのために、18秒パルスの0.8%リン酸を使用して、結合した抗原を除去するために結合表面を再生した。応答データから2つのセットの参照データ:1)抗原と空のチップ表面との間での非特異的相互作用を補正するためのスポット間シグナル、2)(チップ上にPBSTのみが流された場合)非特異的ベースラインドリフトを補正するための、空のチャネル信号、を減算することによって未処理データを処理した。
【0415】
Biacore 8K SPR
ヒトTMEFF2 ECDへの抗TMEFF2 mAbの結合は、Biacore 8K SPRによって測定した。アッセイのフォーマットは、高密度抗ヒトFc表面を使用してmAbを捕捉し、次いで単一サイクル動態方法を使用してヒトTMEFF2濃度滴定を注入するためのものである。ヤギ抗ヒトFc IgG(Jackson Immunoresearch、カタログ#109−005−098)を、10mM酢酸緩衝液中30μg/mLのアミンカップリング、フローセル1及び2上、CM5センサ−チップ(GE)上pH4.5、HBSP(GE)緩衝液中30μL/分の流量を介して直接固定化した。フローセル2上0.5μg/mL(約200〜300RU)で、mAbを抗ヒトFc IgG表面上に捕捉した。次いで、泳動用緩衝液をHBSP+100μg/ml BSAに変更した。単一サイクル動態方法を使用して、3倍連続希釈した30nM濃度のTMEFF2 ECDを、低濃度から高濃度で注入した。最後又は最高濃度の注入30分後にオフレートを監視し、次いで0.8%リン酸(Bio−Rad)を使用して表面を再生した。緩衝液ブランク試験、同じmAbの捕捉、及び同じサンプル実験条件の使用も完了した。未処理データは、応答データから2セットの参照データ:1)サンプルフローセル2から減算した参照フローセル1、及び2)実験的試験からの緩衝液ブランク試験、を減算することによって処理した。各mAbの全濃度での処理したデータを1:1の単純なラングミュア結合モデルに全体的に適合させて、およその動態性(kon、koff)及び親和性(KD)定数を抽出した。
【0416】
抗TMEFF2抗体の熱安定性
DSC(示差走査熱量測定)による、アンフォールディング開始Tm=52℃、及び第1の熱転移(Tm1)=60.4℃によって、TMEB675は、通常の熱安定性プロファイルよりも低いことを示した。TMEB675の配列のより詳しい検査(実施例4を参照されたい)は、重鎖及び軽鎖のフレームワーク領域内の体細胞超変異(Somatic HyperMutation、SHM)の存在を示した。いくつかの再操作された変異体をサブクローニングし、発現させ、精製し、DSCによりプロファイルした。得られたmAb TMEB762及びTMEFB757は、望ましい熱安定性プロファイル(それぞれ、Tm1=69.4℃、及びTm1=69.7℃)を示した。TMEB675と比較して、TMEB762は、重鎖にR14P、P20L、及びH81Qのアミノ酸修飾を有し、一方TMEFB757は、重鎖にR14P及びP20Lのアミノ酸修飾を有した。TMEB675と比較して、TMEB762は、軽鎖にA1D及びA91Pのアミノ酸修飾を有し、一方TMEFB757は、軽鎖にA91Pの修飾を有した。残基の付番は、Kabatに従う。TMEB675、TMEB762のTMEFF2 ECDへの結合の動態パラメータを、表4に示す。
【0417】
実施例4.TMEFF2抗体の構造的特性評価
標準的な技術を使用して、抗体のcDNA配列及びアミノ酸翻訳物を得た。ポリペプチド配列の決定後、発現をスケールアップするための標準的な方法を使用して、可変領域又は完全長抗体をコードするいくつかの抗体cDNAを、コドン最適化した。
【0418】
表5は、選択抗TMEFF2抗体のHCDR1及びHCDR2アミノ酸配列を示す。
【0419】
表6は、選択抗TMEFF2抗体のHCDR3のアミノ酸配列を示す。
【0420】
表7は、選択抗TMEFF2抗体のLCDR1及びLCDR2アミノ酸配列を示す。
【0421】
表8は、選択抗TMEFF2抗体のLCDR3のアミノ酸配列を示す。
【0422】
表9は、選択抗TMEFF2抗体のVH及びVLアミノ酸配列を示す。
【0423】
表10は、選択抗TMEFF2抗体の重鎖及び軽鎖の配列番号を示す。
【0424】
表11は、選択抗TMEFF2抗体の重鎖アミノ酸配列を示す。
【0425】
表12は、選択抗TMEFF2抗体の軽鎖アミノ酸配列を示す。
【0426】
表13は、様々な抗TMEFF2抗体鎖をコードするポリヌクレオチドの配列番号を示す。
【0437】
配列番号39(TMEB675 VH cDNA)
GAGGTGCAGCTGCTGGAAAGCGGCGGAGGCCTGGTGCAGAGAGGAGGAAGCCTGAGACCCAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCAGCTACAGCATGAGCTGGGTCAGGCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAGTGGGTGAGCGTGATTAGCGGCAGCGGCGGCTTCACCGATTACGCCGACAGCGTGAAGGGCAGGTTCACCATCAGCAGGGACAATAGCAAGAACACCCTGTACCTGCACATGAACAGCCTGAGGGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGGATGCCCCTGAACAGCCCTCACGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTGACCGTGTCCAGC
【0438】
配列番号40(TMEB570、TMEB565 VH cDNA)
CAGGTGCAGCTGGTGCAGAGCGGCGCGGAAGTGAAAAAACCGGGCAGCAGCGTGAAAGTGAGCTGCAAAGCGAGCGGCGGCACCTTCAGCTCCTATTACATTAGCTGGGTGCGCCAGGCGCCGGGCCAGGGCCTGGAATGGATGGGTGGCATTATCCCAATCAGTGGGCGTGCTAATTATGCGCAGAAATTTCAGGGCCGCGTGACCATTACCGCTGATGAAAGCACCAGCACCGCGTATATGGAACTGAGCAGCCTGCGCAGCGAAGATACCGCGGTGTATTATTGCGCGCGCGACGGCTACAGTAGTGGACGTAGCACAACATACGCATTTGACTATTGGGGCCAGGGCACCCTGGTGACCGTGTCGAGT
【0439】
配列番号41(TMEB674 VH cDNA)
GAAGTGCAGCTGCTGGAGAGCGGAGGAGGACTGGTGCAGCCTCCTGGCGGAAGCCTGAGACTGAGCTGCGCCGCTAGCGGCTTCACCTTCAGCAGCTACAGCATGAGCTGGGTGAGACAGGCTCCTGGCAAGGGCCTGGAGTGGGTGAGCGTGATCAGCGGCGGAGGCAGCTTTACCAGCTACGCCGACAGCGTGAAGGGCAGGTTCACCATCAGCAGGGACAACAGCAACAACACCCTGTACCTGCAGATGAGCAGCCTGAGGGCCGAGGACACCGCCTTCTACTACTGCGCCAGGATGCCCCTGAACAGCCCCCATGACTGCTGGGGACAGGGCACCCTGGTGACCGTGAGCAGC
【0440】
配列番号42(TMEB675 VL cDNA)
GCCATCCAGATGACCCAGAGCCCTAGCAGCCTGAGCGCTAGCGTGGGCGACAGGGTGACCATCACCTGCAGGGCCAGCCAGGGCATCAGAAACGACCTGGGCTGGTACCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCCAAGCTGCTGATCTACGCCGCCAGCAGCCTGCAGAGCGGAGTGCCTAGCAGGTTCAGCGGAAGCGGCAGCGGCACCGACTTCACCCTGACCATCAGCAGCCTGCAGCCCGAGGACTTCGCCACCTACTACTGCCTGCAGGACTACAACTACGCCCTGACATTCGGCGGCGGCACCAAGGTGGAGATCAAG
【0441】
配列番号43(TMEB570 VL cDNA)
GAAATTGTGCTGACCCAGAGCCCGGGCACCCTGAGCCTGAGCCCGGGCGAACGCGCGACCCTGAGCTGCCGCGCGAGCCAGAGCGTTTCCACATACTACCTGGCGTGGTATCAGCAGAAACCGGGCCAGGCGCCGCGCCTGCTGATTTACGGTGCCTCCTATCGCGCGACCGGCATTCCGGATCGCTTTAGCGGCAGCGGTTCCGGCACCGATTTTACCCTGACCATTAGCCGCCTGGAACCGGAAGATTTTGCGGTGTATTATTGCCAGCAGTACGGTCACAGCCCGATTACTTTTGGCCAGGGCACCAAAGTGGAAATCAAA
【0442】
配列番号44(TMEB674 VL cDNA)
GCCATCCAGATGACCCAGAGCCCTAGCAGCCTGAGCGCTAGCGTGGGCGACAGGGTGACCATCACCTGCAGGGCCAGCCAGGGCATCAGGAACGACCTGGGCTGGTACCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCCAAGCTGCTGATCTACGCCGCCAGCAGCCTGCAGAGCGGAGTGCCTAGCAGGTTCAGCGGCAGCGGAAGCGGCACCGACTTCACCCTGACCATCTCCAGCCTGCAGCCCGAGGACTTCGCCACCTACTACTGCCTGCAGGACTACAACTACAGCCTGACCTTCGGCGGCGGCACCAAGGTGGAGATCAGG
【0443】
配列番号45(TMEB565 VL cDNA)
GAAATTGTGCTGACCCAGAGCCCGGGCACCCTGAGCCTGAGCCCGGGCGAACGCGCGACCCTGAGCTGCCGCGCGAGCCAGAGCGTTGCCACCTATTATCTTGCGTGGTATCAGCAGAAACCGGGCCAGGCGCCGCGCCTGCTGATTTACGGTGCATCCTCCCGTGCGACCGGCATTCCGGATCGCTTTAGCGGCAGCGGTTCCGGCACCGATTTTACCCTGACCATTAGCCGCCTGGAACCGGAAGATTTTGCGGTGTATTATTGCCAGCAGTACGGCTATAACCCAATTACCTTTGGCCAGGGCACCAAAGTGGAAATCAAA
【0444】
配列番号46(TMEB675 HC cDNA)
GAGGTGCAGCTGCTGGAAAGCGGCGGAGGCCTGGTGCAGAGAGGAGGAAGCCTGAGACCCAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCAGCTACAGCATGAGCTGGGTCAGGCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAGTGGGTGAGCGTGATTAGCGGCAGCGGCGGCTTCACCGATTACGCCGACAGCGTGAAGGGCAGGTTCACCATCAGCAGGGACAATAGCAAGAACACCCTGTACCTGCACATGAACAGCCTGAGGGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGGATGCCCCTGAACAGCCCTCACGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTGACCGTGTCCAGCGCTTCCACCAAGGGCCCATCCGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAAACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCATGCCCAGCACCTGAGGCCGCCGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAA
【0445】
配列番号47(TMEB570、TMEB565 HC cDNA)
CAGGTGCAGCTGGTGCAGAGCGGCGCGGAAGTGAAAAAACCGGGCAGCAGCGTGAAAGTGAGCTGCAAAGCGAGCGGCGGCACCTTCAGCTCCTATTACATTAGCTGGGTGCGCCAGGCGCCGGGCCAGGGCCTGGAATGGATGGGTGGCATTATCCCAATCAGTGGGCGTGCTAATTATGCGCAGAAATTTCAGGGCCGCGTGACCATTACCGCTGATGAAAGCACCAGCACCGCGTATATGGAACTGAGCAGCCTGCGCAGCGAAGATACCGCGGTGTATTATTGCGCGCGCGACGGCTACAGTAGTGGACGTAGCACAACATACGCATTTGACTATTGGGGCCAGGGCACCCTGGTGACCGTGTCGAGTGCTTCCACCAAGGGCCCATCCGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAAACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCATGCCCAGCACCTGAGGCCGCCGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAA
【0446】
配列番号48(TMEB674 HC cDNA)
GAAGTGCAGCTGCTGGAGAGCGGAGGAGGACTGGTGCAGCCTCCTGGCGGAAGCCTGAGACTGAGCTGCGCCGCTAGCGGCTTCACCTTCAGCAGCTACAGCATGAGCTGGGTGAGACAGGCTCCTGGCAAGGGCCTGGAGTGGGTGAGCGTGATCAGCGGCGGAGGCAGCTTTACCAGCTACGCCGACAGCGTGAAGGGCAGGTTCACCATCAGCAGGGACAACAGCAACAACACCCTGTACCTGCAGATGAGCAGCCTGAGGGCCGAGGACACCGCCTTCTACTACTGCGCCAGGATGCCCCTGAACAGCCCCCATGACTGCTGGGGACAGGGCACCCTGGTGACCGTGAGCAGCGCTTCCACCAAGGGCCCATCCGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAAACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCATGCCCAGCACCTGAGGCCGCCGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAA
【0447】
配列番号49(TMEB675 LC cDNA)
GCCATCCAGATGACCCAGAGCCCTAGCAGCCTGAGCGCTAGCGTGGGCGACAGGGTGACCATCACCTGCAGGGCCAGCCAGGGCATCAGAAACGACCTGGGCTGGTACCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCCAAGCTGCTGATCTACGCCGCCAGCAGCCTGCAGAGCGGAGTGCCTAGCAGGTTCAGCGGAAGCGGCAGCGGCACCGACTTCACCCTGACCATCAGCAGCCTGCAGCCCGAGGACTTCGCCACCTACTACTGCCTGCAGGACTACAACTACGCCCTGACATTCGGCGGCGGCACCAAGGTGGAGATCAAGCGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGT
【0448】
配列番号50(TMEB570 LC cDNA)
GAAATTGTGCTGACCCAGAGCCCGGGCACCCTGAGCCTGAGCCCGGGCGAACGCGCGACCCTGAGCTGCCGCGCGAGCCAGAGCGTTTCCACATACTACCTGGCGTGGTATCAGCAGAAACCGGGCCAGGCGCCGCGCCTGCTGATTTACGGTGCCTCCTATCGCGCGACCGGCATTCCGGATCGCTTTAGCGGCAGCGGTTCCGGCACCGATTTTACCCTGACCATTAGCCGCCTGGAACCGGAAGATTTTGCGGTGTATTATTGCCAGCAGTACGGTCACAGCCCGATTACTTTTGGCCAGGGCACCAAAGTGGAAATCAAACGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGT
【0449】
配列番号51(TMEB674 LC cDNA)
GCCATCCAGATGACCCAGAGCCCTAGCAGCCTGAGCGCTAGCGTGGGCGACAGGGTGACCATCACCTGCAGGGCCAGCCAGGGCATCAGGAACGACCTGGGCTGGTACCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCCAAGCTGCTGATCTACGCCGCCAGCAGCCTGCAGAGCGGAGTGCCTAGCAGGTTCAGCGGCAGCGGAAGCGGCACCGACTTCACCCTGACCATCTCCAGCCTGCAGCCCGAGGACTTCGCCACCTACTACTGCCTGCAGGACTACAACTACAGCCTGACCTTCGGCGGCGGCACCAAGGTGGAGATCAGGCGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGT
【0450】
配列番号52(TMEB565 LC cDNA)
GAAATTGTGCTGACCCAGAGCCCGGGCACCCTGAGCCTGAGCCCGGGCGAACGCGCGACCCTGAGCTGCCGCGCGAGCCAGAGCGTTGCCACCTATTATCTTGCGTGGTATCAGCAGAAACCGGGCCAGGCGCCGCGCCTGCTGATTTACGGTGCATCCTCCCGTGCGACCGGCATTCCGGATCGCTTTAGCGGCAGCGGTTCCGGCACCGATTTTACCCTGACCATTAGCCGCCTGGAACCGGAAGATTTTGCGGTGTATTATTGCCAGCAGTACGGCTATAACCCAATTACCTTTGGCCAGGGCACCAAAGTGGAAATCAAACGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGT
【0451】
配列番号95(TMEB762 VH cDNA)
GAGGTGCAGCTGCTGGAAAGCGGCGGAGGCCTGGTGCAGCCCGGAGGAAGCCTGAGACTCAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCAGCTACAGCATGAGCTGGGTCAGGCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAGTGGGTGAGCGTGATTAGCGGCAGCGGCGGCTTCACCGATTACGCCGACAGCGTGAAGGGCAGGTTCACCATCAGCAGGGACAATAGCAAGAACACCCTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGAGGGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGGATGCCCCTGAACAGCCCTCACGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTGACCGTGTCCAGC
【0452】
配列番号96(TMEB762 VL cDNA)
GACATCCAGATGACCCAGAGCCCTAGCAGCCTGAGCGCTAGCGTGGGCGACAGGGTGACCATCACCTGCAGGGCCAGCCAGGGCATCAGAAACGACCTGGGCTGGTACCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCCAAGCTGCTGATCTACGCCGCCAGCAGCCTGCAGAGCGGAGTGCCTAGCAGGTTCAGCGGAAGCGGCAGCGGCACCGACTTCACCCTGACCATCAGCAGCCTGCAGCCCGAGGACTTCGCCACCTACTACTGCCTGCAGGACTACAACTACCCCCTGACATTCGGCGGCGGCACCAAGGTGGAGATCAAG
【0453】
配列番号97(TMEB762 HC cDNA)
GAGGTGCAGCTGCTGGAAAGCGGCGGAGGCCTGGTGCAGCCCGGAGGAAGCCTGAGACTCAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCAGCTACAGCATGAGCTGGGTCAGGCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAGTGGGTGAGCGTGATTAGCGGCAGCGGCGGCTTCACCGATTACGCCGACAGCGTGAAGGGCAGGTTCACCATCAGCAGGGACAATAGCAAGAACACCCTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGAGGGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGGATGCCCCTGAACAGCCCTCACGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTGACCGTGTCCAGCGCTTCCACCAAGGGCCCATCCGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAAACCTACACTTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCATGCCCAGCACCTGAGGCCGCCGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGATGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAA
【0454】
配列番号98(TMEB762 LC cDNA)
GACATCCAGATGACCCAGAGCCCTAGCAGCCTGAGCGCTAGCGTGGGCGACAGGGTGACCATCACCTGCAGGGCCAGCCAGGGCATCAGAAACGACCTGGGCTGGTACCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCCAAGCTGCTGATCTACGCCGCCAGCAGCCTGCAGAGCGGAGTGCCTAGCAGGTTCAGCGGAAGCGGCAGCGGCACCGACTTCACCCTGACCATCAGCAGCCTGCAGCCCGAGGACTTCGCCACCTACTACTGCCTGCAGGACTACAACTACCCCCTGACATTCGGCGGCGGCACCAAGGTGGAGATCAAGCGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAG
【0455】
配列番号99(TMEB757 VH cDNA)
GAGGTGCAGCTGCTGGAAAGCGGCGGAGGCCTGGTGCAGCCCGGAGGAAGCCTGAGACTCAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCAGCTACAGCATGAGCTGGGTCAGGCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAGTGGGTGAGCGTGATTAGCGGCAGCGGCGGCTTCACCGATTACGCCGACAGCGTGAAGGGCAGGTTCACCATCAGCAGGGACAATAGCAAGAACACCCTGTACCTGCACATGAACAGCCTGAGGGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGGATGCCCCTGAACAGCCCTCACGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTGACCGTGTCCAGC
【0456】
配列番号100(TMEB757 VL cDNA)
GCCATCCAGATGACCCAGAGCCCTAGCAGCCTGAGCGCTAGCGTGGGCGACAGGGTGACCATCACCTGCAGGGCCAGCCAGGGCATCAGAAACGACCTGGGCTGGTACCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCCAAGCTGCTGATCTACGCCGCCAGCAGCCTGCAGAGCGGAGTGCCTAGCAGGTTCAGCGGAAGCGGCAGCGGCACCGACTTCACCCTGACCATCAGCAGCCTGCAGCCCGAGGACTTCGCCACCTACTACTGCCTGCAGGACTACAACTACCCCCTGACATTCGGCGGCGGCACCAAGGTGGAGATCAAG
【0457】
配列番号101(TMEB757 HC cDNA)
GAGGTGCAGCTGCTGGAAAGCGGCGGAGGCCTGGTGCAGCCCGGAGGAAGCCTGAGACTCAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCAGCTACAGCATGAGCTGGGTCAGGCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAGTGGGTGAGCGTGATTAGCGGCAGCGGCGGCTTCACCGATTACGCCGACAGCGTGAAGGGCAGGTTCACCATCAGCAGGGACAATAGCAAGAACACCCTGTACCTGCACATGAACAGCCTGAGGGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGGATGCCCCTGAACAGCCCTCACGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTGACCGTGTCCAGCGCTTCCACCAAGGGCCCATCCGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAAACCTACACTTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCATGCCCAGCACCTGAGGCCGCCGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGATGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAA
【0458】
配列番号102(TMEB757 LC cDNA)
GCCATCCAGATGACCCAGAGCCCTAGCAGCCTGAGCGCTAGCGTGGGCGACAGGGTGACCATCACCTGCAGGGCCAGCCAGGGCATCAGAAACGACCTGGGCTGGTACCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCCAAGCTGCTGATCTACGCCGCCAGCAGCCTGCAGAGCGGAGTGCCTAGCAGGTTCAGCGGAAGCGGCAGCGGCACCGACTTCACCCTGACCATCAGCAGCCTGCAGCCCGAGGACTTCGCCACCTACTACTGCCTGCAGGACTACAACTACCCCCTGACATTCGGCGGCGGCACCAAGGTGGAGATCAAGCGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAG
【0459】
選択された抗TMEFF2抗体のフレームワークを、表14に示す。
【0461】
配列番号53(VH3_3−23フレームワーク)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKWGQGTLVTVSS
【0462】
配列番号54(VH1_1−69フレームワーク)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFS SYAIS WVRQAPGQGLEWMG GIIPIFGTANYAQKFQG RVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAR
【0463】
配列番号55(VKI_L11フレームワーク)
AIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSG TDFTLTISSLQPEDFATYYC LQDYNYP
【0464】
配列番号56(VKIII_A27フレームワーク)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIY GASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSP
【0465】
実施例5.抗TMEFF2抗体のエピトープマッピング
H/D交換を使用して、TMEB570及びTMEB675のエピトープマッピングを行った。TMEW1(配列番号6)を、これらのアッセイでのTMEFF2の供給源として使用した。
【0466】
130μLの対照緩衝液(50mMリン酸塩、100mM塩化ナトリウム、pH7.4)中10μgのTMEW1を、130μLの4M塩酸グアニジン、0.85MのTCEP緩衝液(最終的なpHは2.5であった)を添加し、混合物を3分間10℃でインキュベートすることによって、変性させた。次いで、社内で充填したペプシン/プロテアーゼXIII(w/w、1:1)カラム(2.1×30mm)を使用して、混合物にオンカラムペプシン/プロテアーゼXIII消化を施した。Q Exactive(商標)Hybrid Quadrupole−Orbitrap Mass Spectrometer(Thermo)に結合されたWaters Acquity UPLCで構成されるUPLC−MSシステムを使用して、得られたペプチドを分析した。ペプチドを2〜34%の溶媒B(アセトニトリル中、0.2%ギ酸)から16.5分の勾配で50×1mmのC8カラム上で分離した。溶媒Aは、水中0.2%のギ酸であった。注入バルブ、及びペプシン/プロテアーゼXIIIカラム、及びそれらに関連する接続チューブは、10℃に維持した冷却ボックス内に保持した。第2のスイッチングバルブ、C8カラム、及びそれらに関連するステンレス鋼接続チューブは、−6℃に維持した別の冷却循環ボックス内に置いた。ペプチド同定は、TMEW1配列に対するMS/MSデータをMascotで検索することを通じて行った。前駆体及び産生物イオンの質量許容差は、それぞれ7ppm及び0.02Daであった。
【0467】
10μLのTMEW1(5μg)又は10μLのTMEW1及びTMEB570又はTMEB675混合物(5μg:15μg)を、120μLの酸化重水素標識緩衝液(pH7.4で、50mMのリン酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウム)と共に10℃で0秒、30秒、360秒、3600秒、及び14400秒間インキュベートした。各時点での水素/重水素(H/D)交換を、重複して実施した。130μLの4M塩酸グアニジン、0.85M TCEP緩衝液(最終的なpHは2.5であった)を添加することによって水素/重水素交換物をクエンチした。その後、クエンチしたサンプルを、上記に記載されるようにオンカラムペプシン/プロテアーゼXIII消化及びLC−MS分析に供した。質量スペクトルはMSのみのモードで記録した。
【0468】
未処理MSデータを、H/D交換MSデータの分析のためのソフトウェア、HDX WorkBenchを使用して処理した(Pascal et al.,J.Am.Soc.Mass Spectrom.2012,23(9),1512−1521)。重水素化ペプチドとその天然形態(t0)との平均質量差を使用して、重水素レベルを算出した。タンパク質の約97−99%を特定のペプチドにマッピングすることができた。重水素蓄積曲線は、ペプチドの交換時間にわたって、傾斜に著しい差を示した。
【0469】
TMEB570エピトープ:TMEW1は、残基235〜249(残基付番に従った配列番号2)での重酸素取り込みにおいて緩やかな低減を示し、膜近位領域内の例えば、残基HGKCEHSINMQEPSC(配列番号57)は、TMEB570への結合時にH/D交換から保護された。
【0470】
TMEB675エピトープ:TMEW1は、残基252〜268(残基付番に従った配列番号2)での重酸素取り込みにおいて緩やかな低減を示し、膜近位領域内の例えば、残基DAGYTGQHCEKKDYSVL(配列番号58)は、TMEB675への結合時にH/D/交換から保護された。
【0471】
したがって、TMEB570 TMEFF2エピトープ残基は、HGKCEHSINMQEPSC(配列番号57)を包含し、TMEB675エピトープ残基は、DAGYTGQHCEKKDYSVL(配列番号58)を包含した。両方の抗体は、膜近位領域内でTMEFF2に結合した。
【0472】
実施例6.抗CD3抗体の生成
抗CD3抗体CD3B219は、US9850310に記載されている。
【0473】
追加の抗CD3抗体は、OmniRats(OMT(商標))を免疫することによって生成した
。得られたハイブリドーマ上清を、ヒト及びカニクイザルCD3
+Tリンパ球への結合についてスクリーニングし、クローンを単離し、配列決定し、場合によっては更に操作した。抗CD3抗体を、S228P、F234A、及びL235A変異を有するエフェクターサイレントIgG4を含む様々なアイソタイプとして、又はL234A、L235A、G237A、P238S、H268A、A330S、及びP331S変異を有するIgG1としてクローニングした。生成した2つの抗CD3抗体を、CD3B376及びCD3B450と命名した。
【0474】
CD3B376及びCD3B450のヒトT細胞に対するインビトロ結合親和性を、抗原特異性標的アームと交差させた後、フローサイトメトリーによって決定した。抗CD3トレーサー分子の飽和結合定数(KdT)を決定するために、ヒトT細胞について予備研究を実行した。次いで、試験mAの滴定濃度を使用する競合結合アッセイに、トレーサーの固定濃度([T])を使用した。試験分子のIC
50(50%阻害が達成される濃度)値を使用する次の式:K
d=IC50/(1+([T]/K
dT))を使用して、結合親和性(K
d)を決定した。トレーサー、市販のAlexaFluor488 SP34−2抗CD3(BioScience#557705)(データは示さず)の飽和結合定数(K
dT)を決定するために、5人のヒトドナーを使用した。
【0475】
トレーサーの飽和結合定数(K
dT)の決定
方法:使用まで、ヒトpan T細胞を窒素タンク内に低温保存した。T細胞を解凍し、PBSで洗浄し、FACS染色緩衝液に再懸濁し、計数し(生存率に留意して)、0.5×10
6個の細胞/mLで再懸濁した。Far Red Live/Dead染色(Life Technologies,AKA Invitrogen#L34974)(バイアル中50μLのDMSOを)を1×10
6個の細胞当たり1μLで添加し、FcRブロッカー(Miltenyi Biotec#130−059−901)(0.5×10
6個の細胞当たり1:20希釈の1mL)を各々細胞に10分間添加した。細胞を50,000個の細胞/ウェルで播種し、洗浄した。AlexaFluor488 SP−34抗CD3の濃度を増加させて、4℃で2時間、T細胞に添加した。細胞を洗浄して非結合抗体を除去し、15分間固定し、洗浄し、1mMのEDTAを含むFACS染色緩衝液中に再懸濁した。
【0476】
iQue Intellicyte Flow Cytometerを使用して結合を測定した。T細胞集団、続いて細胞個片、続いて生存細胞について細胞をゲーティングした(FL4)。各ウェルの染色の幾何平均(FL1)を決定した。
【0477】
取得した平均蛍光強度値を抗体分子濃度の関数としてプロットし、一部位結合分析(総結合)にPrismソフトウェアを使用して分析した。ソフトウェアは、質量作用の法則に従う受容体(ヒトPan T細胞上のCD3)への抗体分子の結合を説明する、対応するK
d値を計算する。式は以下のとおりであり、(B
max×X)/(K
d+X)、式中、Bmaxが最大結合であり、K
dが、半最大結合に達するのに必要な配位子の濃度である。
【0478】
結果:各ドナーについてK
d値を導出し、平均値を得た。ヒトT細胞の飽和結合定数(K
dT)を5.6±1.0nM(n=4)から導出し、前述の式に使用して、K
d結合親和性を決定した。
【0479】
競合アッセイによる抗CD3mAの結合親和性の決定
CD3B376及びCD3B450を使用して競合結合研究を実施した。ヒトパンT細胞を使用して、mAbの結合親和性を決定した。使用したトレーサーは、市販のAlexaFluor488 SP−34抗CD3(BioScience#557705)であり、このトレーサーの飽和結合定数は上記されている。
【0480】
T細胞は、使用まで、窒素タンク内に低温保存した。T細胞を解凍し、PBSで洗浄し、FACS染色緩衝液に再懸濁し、計数し生存率に留意して、0.5×10
6個の細胞/mLで再懸濁した。Far Red Live/Dead染色(Life Technologies,AKA Invitrogen#L34974)(バイアル中50μLのDMSOを)を1×10
6個の細胞当たり1μLで添加し、FcRブロッカー(Miltenyi Biotec#130−059−901)(0.5×10^6個の細胞当たり1:20希釈の1mL)を各々細胞に10分間添加した。細胞を50,000個の細胞/ウェルで播種し、洗浄した。
【0481】
mAb(及びアイソタイプ対照)を、開始濃度1000又は200μg/mL(2×)から1:2で連続希釈し、固定濃度(5μg/mL 2×)のトレーサーを一緒に混合して、1×濃度を得た。したがって、トレーサーの最終濃度(1×)は、2.5μg/mL=16.6nMであった。混合物をT細胞に4℃で2時間添加した。次いで、細胞を洗浄して非結合抗体を除去し、15分間固定し、洗浄し、1mMのEDTAを含むFACS染色緩衝液中に再懸濁した。
【0482】
iQue Intellicyte Flow Cytometerを使用して結合を測定した。T細胞集団、続いて細胞個片、続いて生存細胞(FL4)について細胞をゲーティングした。各ウェルの染色の幾何平均(FL1)を決定した。取得した平均蛍光強度値を、log抗体分子濃度(nMに変換)の関数としてプロットし、EC50/IC50値(nM単位)が由来するシグモイド用量応答(可変勾配)にPrismソフトウェアを使用して分析した。結合親和性(K
d)は、以下の式:K
d=IC50/(1+([T]/K
dT))を使用して導出した。式中、K
dが、競合物(非標識分子)の親和性であり、試験化合物のnM単位でのIC50、[T]が、トレーサーの濃度(16.6nM)であり、K
dTが、飽和結合によって決定されるトレーサーのK
dである(ヒトについては5.6nM)。
【0483】
CD3B376結合部位は、二価及び一価の両方の形態でCD3B450よりも緊密であった。
【0485】
CD3B219、CD3B376、及びCD3B450のCDR、VH、及びVLアミノ酸配列を、表16に示す。
【0487】
配列番号76 CD3B219 HC、(IgG4 S228P、F234A、L235A、F405L、及びR409K)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYATYYAASVKGRFTISRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARHGNFGNSYVSWFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFLLYSKLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0488】
配列番号77 CD3B219 LC
QTVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQQKPGQAPRGLIGGTNKRAPGTPARFSGSLLGGKAALTLSGVQPEDEAEYYCALWYSNLWVFGGGTKLTVLGQPKAAPSVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADSSPVKAGVETTTPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS
【0489】
配列番号78 CD3B376 HC(IgG4 S228P、F234A、L235A、F405L、及びR409K)
QVQLQQSGPRLVRPSQTLSLTCAISGDSVFNNNAAWSWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWLYDYAVSVKSRITVNPDTSRNQFTLQLNSVTPEDTALYYCARGYSSSFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFLLYSKLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0490】
配列番号79 CD3B376 LC
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSNIGTYKFVSWYQQHPDKAPKVLLYEVSKRPSGVSSRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDQADYHCVSYAGSGTLLFGGGTKLTVLGQPKAAPSVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADSSPVKAGVETTTPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS
【0491】
表17は、抗CD3抗体鎖をコードするポリヌクレオチドの配列番号を示す。
【0493】
配列番号105 CD3B219 VH cDNA
GAAGTGCAGCTGGTGGAATCTGGCGGCGGACTGGTGCAGCCTGGCGGATCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAACACCTACGCCATGAACTGGGTGCGCCAGGCCCCTGGCAAAGGCCTGGAATGGGTGGCCCGGATCAGAAGCAAGTACAACAATTACGCCACCTACTACGCCGCCTCCGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACGACAGCAAGAACAGCCTGTACCTGCAGATGAACTCCCTGAAAACCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGACACGGCAACTTCGGCAACAGCTATGTGTCTTGGTTTGCCTACTGGGGCCAGGGCACCCTCGTGACCGTGTCATCT
【0494】
配列番号106 CD3B219 VL cDNA
CAGACCGTCGTGACCCAGGAACCTAGCCTGACCGTGTCTCCTGGCGGCACCGTGACCCTGACCTGCAGATCTTCTACAGGCGCCGTGACCACCAGCAACTACGCCAACTGGGTGCAGCAGAAGCCAGGCCAGGCTCCCAGAGGACTGATCGGCGGCACCAACAAGAGAGCCCCTGGCACCCCTGCCAGATTCAGCGGATCTCTGCTGGGAGGAAAGGCCGCCCTGACACTGTCTGGCGTGCAGCCTGAAGATGAGGCCGAGTACTACTGCGCCCTGTGGTACAGCAACCTGTGGGTGTTCGGCGGAGGCACCAAGCTGACAGTGCTG
【0495】
配列番号80 CD3B219 HC cDNA
GAAGTGCAGCTGGTGGAATCTGGCGGCGGACTGGTGCAGCCTGGCGGATCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAACACCTACGCCATGAACTGGGTGCGCCAGGCCCCTGGCAAAGGCCTGGAATGGGTGGCCCGGATCAGAAGCAAGTACAACAATTACGCCACCTACTACGCCGCCTCCGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACGACAGCAAGAACAGCCTGTACCTGCAGATGAACTCCCTGAAAACCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGACACGGCAACTTCGGCAACAGCTATGTGTCTTGGTTTGCCTACTGGGGCCAGGGCACCCTCGTGACCGTGTCATCTGCTTCCACCAAGGGCCCATCCGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAAACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCATGCCCAGCACCTGAGGCCGCCGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCCTCCTCTACAGCAAGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAA
【0496】
配列番号81 CD3B219 LC cDNA
CAGACCGTCGTGACCCAGGAACCTAGCCTGACCGTGTCTCCTGGCGGCACCGTGACCCTGACCTGCAGATCTTCTACAGGCGCCGTGACCACCAGCAACTACGCCAACTGGGTGCAGCAGAAGCCAGGCCAGGCTCCCAGAGGACTGATCGGCGGCACCAACAAGAGAGCCCCTGGCACCCCTGCCAGATTCAGCGGATCTCTGCTGGGAGGAAAGGCCGCCCTGACACTGTCTGGCGTGCAGCCTGAAGATGAGGCCGAGTACTACTGCGCCCTGTGGTACAGCAACCTGTGGGTGTTCGGCGGAGGCACCAAGCTGACAGTGCTGGGTCAGCCCAAGGCTGCACCCAGTGTCACTCTGTTCCCGCCCTCCTCTGAGGAGCTTCAAGCCAACAAGGCCACACTGGTGTGTCTCATAAGTGACTTCTACCCGGGAGCCGTGACAGTGGCCTGGAAGGCCGATAGCAGCCCCGTCAAGGCGGGAGTGGAGACCACCACACCCTCCAAACAAAGCAACAACAAGTACGCGGCCAGCAGCTATCTGAGCCTGACGCCTGAGCAGTGGAAGTCCCACAGAAGCTACAGCTGCCAGGTCACGCATGAAGGGAGCACCGTGGAGAAGACAGTGGCCCCTACAGAATGTTCA
【0497】
配列番号107 CD3B376 VH cDNA
CAGGTGCAGCTGCAGCAGTCTGGCCCTAGACTCGTGCGGCCTTCCCAGACCCTGTCTCTGACCTGTGCCATCTCCGGCGACTCCGTGTTCAACAACAACGCCGCCTGGTCCTGGATCCGGCAGAGCCCTTCTAGAGGCCTGGAATGGCTGGGCCGGACCTACTACCGGTCCAAGTGGCTGTACGACTACGCCGTGTCCGTGAAGTCCCGGATCACCGTGAACCCTGACACCTCCCGGAACCAGTTCACCCTGCAGCTGAACTCCGTGACCCCTGAGGACACCGCCCTGTACTACTGCGCCAGAGGCTACTCCTCCTCCTTCGACTATTGGGGCCAGGGCACCCTCGTGACCGTGTCCTCT
【0498】
配列番号108 CD3B376 VL cDNA
AGTCTGCTCTGACCCAGCCTGCCTCCGTGTCTGGCTCTCCCGGCCAGTCCATCACCATCAGCTGTACCGGCACCTCCTCCAACATCGGCACCTACAAGTTCGTGTCCTGGTATCAGCAGCACCCCGACAAGGCCCCCAAAGTGCTGCTGTACGAGGTGTCCAAGCGGCCCTCTGGCGTGTCCTCCAGATTCTCCGGCTCCAAGTCTGGCAACACCGCCTCCCTGACCATCAGCGGACTGCAGGCTGAGGACCAGGCCGACTACCACTGTGTGTCCTACGCTGGCTCTGGCACCCTGCTGTTTGGCGGAGGCACCAAGCTGACCGTGCTG
【0499】
配列番号82 CD3B376 HC cDNA
CAGGTGCAGCTGCAGCAGTCTGGCCCTAGACTCGTGCGGCCTTCCCAGACCCTGTCTCTGACCTGTGCCATCTCCGGCGACTCCGTGTTCAACAACAACGCCGCCTGGTCCTGGATCCGGCAGAGCCCTTCTAGAGGCCTGGAATGGCTGGGCCGGACCTACTACCGGTCCAAGTGGCTGTACGACTACGCCGTGTCCGTGAAGTCCCGGATCACCGTGAACCCTGACACCTCCCGGAACCAGTTCACCCTGCAGCTGAACTCCGTGACCCCTGAGGACACCGCCCTGTACTACTGCGCCAGAGGCTACTCCTCCTCCTTCGACTATTGGGGCCAGGGCACCCTCGTGACCGTGTCCTCTGCTTCCACCAAGGGCCCATCCGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAAACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCATGCCCAGCACCTGAGGCCGCCGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCCTCCTCTACAGCAAGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAA
【0500】
配列番号83 CD3B376 LC cDNA
CAGTCTGCTCTGACCCAGCCTGCCTCCGTGTCTGGCTCTCCCGGCCAGTCCATCACCATCAGCTGTACCGGCACCTCCTCCAACATCGGCACCTACAAGTTCGTGTCCTGGTATCAGCAGCACCCCGACAAGGCCCCCAAAGTGCTGCTGTACGAGGTGTCCAAGCGGCCCTCTGGCGTGTCCTCCAGATTCTCCGGCTCCAAGTCTGGCAACACCGCCTCCCTGACCATCAGCGGACTGCAGGCTGAGGACCAGGCCGACTACCACTGTGTGTCCTACGCTGGCTCTGGCACCCTGCTGTTTGGCGGAGGCACCAAGCTGACCGTGCTGGGTCAGCCCAAGGCTGCACCCAGTGTCACTCTGTTCCCGCCCTCCTCTGAGGAGCTTCAAGCCAACAAGGCCACACTGGTGTGTCTCATAAGTGACTTCTACCCGGGAGCCGTGACAGTGGCCTGGAAGGCCGATAGCAGCCCCGTCAAGGCGGGAGTGGAGACCACCACACCCTCCAAACAAAGCAACAACAAGTACGCGGCCAGCAGCTATCTGAGCCTGACGCCTGAGCAGTGGAAGTCCCACAGAAGCTACAGCTGCCAGGTCACGCATGAAGGGAGCACCGTGGAGAAGACAGTGGCCCCTACAGAATGTTCA
【0501】
実施例7.二重特異性TMEFF2xCD3抗体の生成
選択単一特異性抗TMEFF2及び抗CD3抗体をIgG4/κとして表した。抗TMEFF2抗体が野生型IgG4を有したままで、抗CD3抗体にF405L及びR409K置換(EU付番)を行った。位置405及び409置換に加えて、S228P、F234A、及びL235A置換を有するように、IgG4 mAbを操作した。
【0502】
プロテインAカラム(HiTrap MabSelect SuReカラム)を使用する標準的な方法を使用して、単一特異性抗体を発現及び精製した。溶出後、プールを、D−PBS、pH7.2の中に透析した。
【0503】
二重特異性TMEFF2xCD3抗体を、国際公開第2011/131746号に記載のインビトロでのFabアーム交換において、単一特異性TMEFF2 mAbと単一特異性CD3 mAbとを組み合わせることにより生成した。簡潔に言えば、pH7〜7.4のPBS中モル比1:1で、約1〜20mg/mLの各抗体と、75mMの2−メルカプトエタノールアミン(2−MEA)とを一緒に混合し、25〜37℃で2〜6時間インキュベートし、続いで透析、透析濾過、クロスフロー濾過、及び/又は標準的な方法を使用する細胞濾過物のスピンを介して2−MEAを除去した。
【0504】
疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用するインビトロFabアーム交換の後、二重特異性抗体を更に精製して、標準的な方法を使用して残留親抗TMEFF2及び抗CD3抗体を最小限にした。
【0505】
表18及び表19は、生成された二重特異性抗体を示す。
【0508】
実施例8.二重特異性TMEFF2xCD3抗体の特性評価
分析用超遠心分離(Analytical Ultra Centrifugation、AUC)による純度分析
分析用超遠心分離(AUC)は、溶液中の巨大分子のサイズ、形状、凝集状態、及び可逆的相互作用の決定を可能にする。沈降速度(Sedimentation velocity、SV)は、遠心分離スピンの際に、濃度勾配をサンプルホルダー(セル)の外半径に移動させる、AUC技術である。これにより、分子のサイズ及び形状の因子である沈降係数の決定が可能になり、これは各分子に固有である。この目的に、Beckman Optima AUC装置を使用した。サンプルを、1.2cmのBeckmanセンターピース(定格50K rpm)及び石英窓を装備した遠心セルに充填した。細胞をアセンブルし、130lbsにトルクをかける。遠心セルを、An−50(8穴)又はAn−60(4穴)ローターに置き、AUCチャンバ内に置いた。運転を開始する前に、AUCの温度を、チャンバ内のローターで少なくとも1時間、20.5°に平衡化した。スキャンカウント(250スキャン)、スキャン収集の頻度(90秒)、データ解像度(10μM)、280nmの波長、40K rpmで、mAbサンプルについて実験を実施した。データは、直接境界適合ソフトウェアSEDANALを使用して分析した。二重特異性抗体TMCB150及びその親mAbの純度を測定した。TMCB150は、97.1%モノマー、2.8%二量体モノマーを示し、更なる生物物理的特性評価のために一過性に発現させた研究材料が許容可能な基準を満たすAUCによって決定される、凝集を示さなかった。TMEB762は、95.5%モノマー、4.5%二量体を示し、凝集は示さなかったが、CD3B376は、凝集を示さずに97.7%モノマー及び2.2%二量体を示した。最小2工程精製分子の>5%の凝集体濃度は、生物活性、溶解性、安定性、及び貯蔵寿命に著しい影響を及ぼし得る。
【0509】
DSCによる抗TMEFF2/CD3二重特異性の立体配座安定性
TMCB150熱的アンフォールディングは、DSC(示差走査熱量測定)によって決定し、これは、アンフォールディング開始Tm=52.6℃、61.8℃での第1の熱転移(Tm1)、67.6℃での第2の熱転移(Tm2)、及び75.5℃での第3の熱転移(Tm3)を示した。前述のDSCによって評価した親抗体(抗TMEFF2、TMEB762、及び抗CD3、CD3B376)熱転移プロファイルに基づいて、TMCB150のTm1は、CD3B376 FABのアンフォールディングに対応し、TMCB150のTm3は、TMEB762 Fabのアンフォールディング転移に対応する。
【0510】
血清安定性
血清安定性アッセイは、ヒト血清成分に対する非特異的又はオフ標的結合のためのリード候補の特性を評価するために開発されている。これにより、不十分な薬物動態及び生物分布特性を予測することができる。TMCB150の結合及び安定性は、蛍光系クロマトグラフィー法を使用して、緩衝液及びヒト血清の両方で評価する。二重特異性抗体は、Alexa Fluor 488コンジュゲート(製造業者の指示に従ったInvitrogenキット)で標識し、Hepes緩衝液及びヒト血清(Sigma、カタログ番号H4522)中4℃及び37℃で2日間インキュベートし、次いで蛍光検出器を備えたAgilent HPLCシステムを使用するSEC−HPLCにより分析した。凝集率は、各ピークの曲線下面積の積分から計算する。TMCB150は、時間0でHepes緩衝液中2.4%の凝集を示し、それぞれ摂氏4°及び37°で2日後に2.0%及び1.3%の凝集を示した。ヒト血清において、TMCB150は、摂氏4°及び37°の両方で、時間0で1,7%の凝集及び2日後に1.1%の凝集を示した。
【0511】
非特異的結合
無関係な表面へのリード分子の非特異的結合は、バイオセンサー技術(Biacore 8K)によって決定する。抗体を、無関係なタンパク質でコーティングしたSPR表面上に通過させる。抗体が、これらの無関係な表面への著しい結合を示す場合、不十分なインビボ特性を有し、製造上問題を呈すると予測される。最終濃度1μMでリード分子を試験する。無関係な表面としては、負に帯電したタンパク質(Soy Trypsin Inhibitor)、正に帯電したタンパク質(リゾチーム及びβ−ディフェンシン)、疎水性(Rh−integrin a4b7)、ヒトIgG粘着性タンパク質(Rh−CD19)が挙げられる。この実験では、適切な対照を使用する。一方はブランクであり、他方は直接固定化された分子を有する2つの表面上に、リードを流す。応答単位(response unit、RU)レベルは、試験表面RUからブランクRUを減算することによって決定する。TMCB150のRU及び親mAbを、以下の表に示す。製造中に問題を生じ、かつ不十分なPK特性を意味する応答単位≧100では、帯電/疎水性/IgG表面への非特異的結合の高いリスクが予測される。抗体のうちのいずれも、無関係な表面への非特異的結合を示さない場合、製造及びインビボ挙動でのリスクが、低いか全くないことが予測される。
【0513】
高濃度安定性
注入量を低減して皮下投与を容易にするために、多くのモノクローナル抗体は、高濃度(≧100mg/ml)で配合される。加えて、全てのモノクローナル抗体は、精製プロセス中に一過的に高濃度(≧50mg/ml)に曝露される。したがって、高濃度安定性は、これらの分子の重要な品質属性である。30kDa MWCO膜を備える遠心限外濾過デバイスを使用して濃縮を実施する。5.1〜5.3mgの各タンパク質を最初に同じ開始濃度に希釈し、15分間隔に4000xgで遠心分離した。各15分の遠心分離工程の終了時に、濃縮器を遠心分離器から取り出し、残りのサンプル体積の視覚的推定値を記録する。濃度は、SoloVPE装置によって測定する。濃縮したサンプルを4C及び40Cで2週間インキュベートし、一定時間間隔でアリコートを引いて、分析SECによって一体性を確認した。TMCB150及び親mAb(CD3B376及びTMEB762)を通常どおり濃縮した。TMCB150の最終濃度は99.4mg/mLであり、親mAbの濃度は52.2mg/mL(TMEB762)及び52.6mg/mL(CD3B376)であった。濃度は4C及び40Cで2週間同じままであり、これは、分子が、凝集又はエッペンドルフチューブへの吸着の可能性がない、良好な固有特性を有することを示唆している。SECピーク積分から測定した種%(A:凝集、M:モノマー、F:断片)を以下の表に提供する。高濃度では、分子は、40Cで2週間保存した後、4〜5%の凝集及び≦0.3%の断片で無傷であり、良好な貯蔵寿命が予測される。
【0515】
動態排除アッセイ(kinetic exclusion assay、KinExA)による抗TMEFF2/CD3二重特異性抗体の親和性決定
KinExA3200装置(Sapidyne Instruments,Inc.)を使用して、二重特異性mAb TMCB150及びその2価TMEFF2親TMEB762mAbの、ヒトTMEFF2細胞外ドメイン(ECD)への溶液平衡親和性K
Dを測定した。ヒトTMEFF2細胞外ドメイン(ECD)の連続希釈を、10mMのHEPES、150mMのNaCL、0.05%界面活性剤P20、pH7.4、0.1%のBSA、及び0.02%のNaN3中で一定濃度の抗TMEFF2mAbを用いて調製した。結合相互作用が平衡に達するまで、反応混合物を室温でインキュベートした。インキュベーションの継続時間は、KinExAソフトウェアシミュレーションを使用して決定された。ビス−アクリルアミド/アズラクトンコポリマー(Pierce Biotechnology,Inc.)で構成される活性化前ビーズ上でのアミン結合による、TMEFF2−ECDの直接的共有結合固定によってビーズを調製した。インキュベーション後、サンプルをKinExA装置にかけて、TMEFF2修飾ビーズに混合物を通過させ、蛍光標識された二次抗体を使用して捕捉抗体を検出することによって、混合物中の遊離抗体を評価した。データは、KinExA Proソフトウェアを使用して、1:1結合モデルと適合させた。
【0517】
抗TMEFF2/CD3二重特異性抗体のN末端CD3εペプチドに対する結合親和性の測定
Biacore 8K(GE Healthcare)及び抗ヒトFcバイオセンサー表面を使用して実施したSPRによって、動態速度定数を測定した。抗ヒト免疫グロブリン抗体は、CM4センサーチップ(GE Healthcare)の表面に共有結合させた。対象の抗体を抗ヒト免疫グロブリンセンサーチップ上に捕捉し、続いて0.05%界面活性剤P20(Tween(商標)20)及び100ug/mLのBSAを含むHEPES緩衝生理食塩水中様々な濃度でN末端CD3εペプチドを注入した。表面を、100μL/分で30μLの0.8%リン酸の2パルス注入で再生した。データは、捕捉抗体を含む流動細胞と、捕捉抗体を含まない参照細胞との間のSPRシグナルの差異を報告した。基準−除算シグナル(reference-subtracted signal)からブランク注入のデータを除算することによって、シグナルに対する追加的な装置の寄与を除去した。Biaevaluationソフトウェア(Biacore,Inc.)を使用して、1:1結合モデルにおける全ての濃度(グローバルフィット)での会合及び解離段階を適合することにより、データを分析した。データは、反復数の95% CI
*標準偏差/平方根のt値によって計算される平均+95% CI(信頼区間)として報告する。
【0519】
実施例9.二重特異性TMEFF2xCD3抗体は、前立腺癌細胞のT細胞媒介性殺傷に有効である。
In vitroにおける前立腺癌細胞のT細胞媒介性殺傷。
【0520】
前立腺癌細胞のT細胞媒介性殺傷を媒介する能力について、選択二重特異性TMEFF2xCD3抗体を評価した。
活性カスパーゼ3/7による蛍光基質の切断を介した細胞殺傷を間接的に測定するカスパーゼ細胞障害アッセイを使用して、TMEFF2xCD3二重特異性抗体のT細胞媒介性殺傷を測定した。基質の開裂により、蛍光DNA染色が生じ、蛍光は細胞核に制限される。同じ座標でウェル(複数可)を正確に撮像することができる電動式10X対物レンズを使用して、アッセイの過程を通して、各ウェルで複数回蛍光測定を行う。標的細胞集団は、定義されたサイズ制限に基づいて、及び/又は二次標識の使用を通じて同定する。
【0521】
正常な健康ドナーからの陰性選択によって、凍結Pan CD3
+T細胞(Biological Specialty Corporation,Colmar,PA)を単離した。TMEFF2(LNCaP−AR)を発現する前立腺癌細胞を、10%のHI FBS+サプリメント(Life Technologies)を含むRPMI 1640中で培養した。T細胞及び標的細胞を、フェノールレッドを含まないRPMI+10%のFBS及びサプリメント(Life Technologies)(選択試薬なし)中3:1のエフェクター対標的比(E:T)で組み合わせ、0.6uLのNucViewカスパーゼ試薬(Essen Bioscience)を、製造業者のガイドラインに従って各mLの細胞に添加した。0.1mLの細胞の総体積を、透明な96ウェル平底プレート(BD Falcon)の適切なウェルに添加した。TMEFF2xCD3二重特異性抗体を、上に示すように調製したフェノールレッドを含まないRPMI中2倍の最終濃度で調製し、0.1mLの化合物を各ウェルに添加した。ウェルの縁部での細胞凝集を最小限にするために室温で30分間インキュベートした後、37℃、5%CO
2に保持したZoom Incucyte装置(Essen Bioscience)にプレートを移した。
【0522】
Incucyte上の処理定義は、製造業者のガイドラインに従って、試験する各細胞株に対して設計した。カスパーゼシグナルにプラトーが観察されるまで、6時間ごとに測定を行い、続いて、最高濃度の試験化合物(複数可)を含むウェル(複数可)では最大シグナルから3回又は4回以上連続的に減少した。
【0523】
アッセイが完了した後、適切な処理定義を使用して各プレートを分析した。未加工の蛍光データをIncucyte Zoomソフトウェアからエクスポートし、GraphPad Prism(GraphPad Software,Inc.(La Jolla,CA))に貼り付けた。カスパーゼ3/7活性は、GraphPadで、各ウェルの曲線下(AUC)を計算することによって決定した。Log10 nM化合物の関数としてAUC値をプロットした。各用量曲線のナノモル(nM)でのEC50は、非線形回帰分析(4パラメータ適合、最小二乗回帰)に従って報告した。各アッセイは、最低3つの生物学的複製物を含み、各細胞株は、5人の健康なドナーからのT細胞を使用して試験した。非線形回帰モデルを使用して、非臨床統計によってデータを更に分析した。
【0524】
図3は、選択二重特異性抗TMEFF2xCD3抗体のカスパーゼ3/7活性を増加させて測定したときの、経時的なLnCaP細胞の殺傷を示す。
【0525】
二重特異性TMEFF2xCD3抗体は、インビボ前立腺癌腫瘍モデルにおいて有効である。
選択二重特異性抗体を、雄NSGマウスにおけるエクスビボLnCaP前立腺癌モデルで試験した。研究のために、50% Cultrex中10
6個のLnCaP細胞を0.2mL/動物で、0日目に右脇腹に皮下注射により投与した。腫瘍がおよそ約100〜150mm
3の体積に達したときに動物を無作為化し、15日目に20
6個のT細胞/マウスを腹腔内に注入した。各群に10匹の動物を使用した。抗体を用いる処置は、T細胞注入の1〜3日後に開始した。抗体を週に2回腹腔内投与した。投与前に、全ての動物は、IVIG+Fc遮断を受けた。腫瘍が約1200mm
3に達するまで、腫瘍体積及び体重を週2回評価した。治療群を表24に示す。これらのアッセイにおいてCD3B219 CD3結合アーム及びnullアーム結合HIV gp120を有する陰性対照として、CD3xNull抗体を使用した。
【0527】
表25は、腫瘍移植後の各群ごとの38日目の腫瘍成長阻害率を示す。
【0528】
図4は、腫瘍移植後の経時的な平均腫瘍体積の低減を示す。
図5Aは、0.5mg/kgのTMCB93で治療した各マウスの平均腫瘍体積の低減を示す。
図5Bは、0.5mg/kgのTMCB132で治療した各マウスの平均腫瘍体積の低減を示す。
【0530】
また、TMEB762xCD3B376(TMCB150)の有効性を、20e6T細胞でヒト化した雄NOD.Cg−Prkdc
scid Il2rg
tm1Wjl/SzJ(NSG)マウスで確立されたLNCaP異種移植片で評価した。腫瘍移植13日後に平均腫瘍体積によって、動物を、各10匹の動物群に無作為化した。0.5、0.1、及び0.05mg/kgのTMEB762xCD3B376、又は0.5mg/kgのnullxCD3B376抗体対照を、5週間の間週2回IP投与した。腫瘍移植35日後に群当たり少なくとも8匹の動物が残存した場合、腫瘍体積によって決定された腫瘍成長阻害(tumor growth inhibition、TGI%)を計算した。統計的に著しい腫瘍成長阻害は、nullxCD3対照と比較して、0.5及び0.1mg/kgのTMEB762xCD3B376で観察されたが、0.05mg/kgでは観察されなかった(
図6)。nullxCD3処置対照と比較して、0.5、0.1、及び0.05mg/kgでのTMEB762xCDB376では、それぞれ110%、88%、及び25%の腫瘍成長阻害が誘導された。TMEB762xCDB376治療により、それぞれ0.5及び0.1mg/kgで7及び3匹に完全応答を生じた。皮下LNCaP腫瘍を、週2回キャリパで測定し、結果を平均腫瘍体積(mm
3)±SEM(群当たり≧8匹のマウス)として提示した。
【0531】
TMCB132の投与に応答したT細胞活性化
LnCaP前立腺癌細胞におけるT細胞活性化を、フローサイトメトリーによって、具体的には、TMCB132治療の72時間後に6つの別個の正常な健康ドナー(9642、9672、9762、9772、9832、9852)におけるCD3+/CD8+T細胞のCD25陽性を評価することによって測定した(
図7)。3:1のエフェクター標的比で添加したCD3+pan−T細胞の活性化は、LnCaP前立腺癌細胞におけるTMCB132の投与に応答して観察された。
【0532】
インビトロでのTMCB132のT細胞媒介性細胞障害性
T細胞媒介性細胞障害アッセイを使用して、Incucyteプラットフォーム上でライブタイムラスプイメージングを使用して、インビトロでのTMCB132の細胞障害性の可能性を評価した。健康なドナーから単離したpanヒトCD3+T細胞の存在下で、TMEFF2陽性細胞株LnCaPでのTMCB132を3:1の(エフェクター:標的)エフェクター:標的比(E:T比)で試験した。96時間の期間にわたって活性カスパーゼ3/7の蛍光シグナルを測定することによって、アポトーシスによる細胞死を監視した。TMCB132は、時間の増加とともに、生存LnCaP細胞の用量依存的な低減を促進した。カスパーゼ3/7活性又は蛍光シグナルの用量依存的増加は、T細胞の存在下でLnCaP細胞における細胞死を示した(
図8)。データは、TMCB132が、LnCaP腫瘍細胞においてT細胞媒介性死を誘導するのに有効であることを示唆している。
【0533】
T細胞ヒト化マウスで確立されたSCヒト前立腺異種移植片におけるTMCB132の有効性。
TMCB132の抗腫瘍有効性を、20e
6T細胞でヒト化した雄Cg−Prkdc
scid Il2rg
tm1Wjl/SzJ(NSG,The Jackson Laboratory(Bar Harbor,ME))マウスで確立された皮下(subcutaneous、SC)ヒト前立腺LNCaP異種移植片において評価した。NSG雄。腫瘍移植13日後に平均腫瘍体積によって、動物を、各10匹の動物群に無作為化した。0.5、0.1、及び0.05mg/kgのTMCB132、又は0.5mg/kgのnullxCD3B219抗体対照を、4週間の間週2回IP投与した。腫瘍移植45日後に群当たり少なくとも7匹の動物が残存した場合、腫瘍体積によって決定された腫瘍成長阻害(TGI%)を計算した。統計的に著しい腫瘍成長阻害は、nullxCD3対照と比較して、0.5及び0.1mg/kg、並びに0.05mg/kgのTMCB132で観察された(
図9、p≦0.0001)。nullxCD3処置対照と比較して、0.5、0.1、及び0.05mg/kgでのTMCB132では、それぞれ102%、109%、及び47%の腫瘍成長阻害が誘導された。TMCB132治療は、それぞれ0.5、0.1、及び0.05mg/kgで3、2、及び1匹に完全応答を生じた。