(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
細胞が異種ポリヌクレオチドの転写産物を発現しうるための異種のポリヌクレオチドを細胞内に導入するプラットフォームは、組成物及び方法を含む。その組成物は一般的にカプセル化剤及びカプセル化剤によってカプセル化したポリヌクレオチドを含む。そのカプセル化剤は金属ナノ粒子を含みうる。そのポリヌクレオチドは細胞内のサイトゾルにおけるそのポリヌクレオチドの分解を阻害する一以上の修飾を含む。様々な態様において、そのポリヌクレオチドは少なくとも一つの治療的なポリペプチド又は少なくとも一つの治療的なRNAをコードする。その方法は組成物と細胞とを接触すること及び組成物を細胞に取り込ませることを含む。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示は、本明細書でM
3RNAを意味する修飾したポリヌクレオチドをマイクロカプセル化することを含む遺伝子送達システムを用いるin vivoにおいて異種タンパク質の発現を成し遂げるための組成物及び方法を記載する。そのM
3RNAプラットフォームは定義した計画対象期間に標的化した組織内のM
3RNAによってコードされる異種タンパク質の発現を迅速に誘導しうる。
【0035】
本明細書に記載したM
3RNAプラットフォームはウイルスに基づいた又はあるDNAに基づいた治療を使用することに直面する課題を克服する。RNAに基づいた態様はDNAに基づいた治療よりもコード化したタンパク質のより速い翻訳を提供し、そして標的細胞の核内に移動する必要性がない。そのM
3RNAプラットフォームは標的化した細胞集団及び/又は組織内でタンパク質発現を誘導することを必要とする送達及び機能効率を提供することによって慣習のRNAに基づく治療に関する課題を克服する。そのM
3RNAプラットフォームは、M
3RNAのナノ粒子に対する免疫応答を誘発しないので、ウイルスに基づく治療に関連する課題を克服する。
【0036】
修飾されたRNA(M
3RNA)のマイクロカプセル化
【0037】
M
3RNAは幅広い組織の配列内にコードした遺伝子の迅速な発現を誘導することによる独特なプラットフォームである。M
3RNAプラットフォームの背景において、M
3RNAは修飾したマイクロカプセル化したポリヌクレオチドを意味し;ありのままの修飾されたポリヌクレオチド(未カプセル化)はM
2RNAとして称される;M
4RNAは、以下により詳細に記載されるように、マクロカプセル化した(例えばアルギン酸によってカプセル化した)ポリヌクレオチドを意味する。そのM
3RNAの命名は、ポリヌクレオチドがmRNA(すなわち、マイクロカプセル化した修飾したmRNA)であることにおける本明細書で記載される例示的実施形態から由来し、M
3RNAのポリヌクレオチドは例えば、mRNA、siRNA、miRNA、環状RNA、又はDNAを含む任意の機能的なポリヌクレオチドでありうる。そのM
3RNAプラットフォームは時間枠内で迅速に調整し、同時に多数の遺伝子構成物を送達する能力を提供する。さらに、AAV及び他のウイルス遺伝子送達技術と異なり、そのM
3RNAプラットフォームは送達システムへの免疫反応のリスクを避け、異なる構成物によるその反復使用を可能にする。ポリヌクレオチドがRNAである態様は、DNAに基づく治療と関連するリスクを制限する(例えば、組込み又は変異)。
【0038】
前記M
3RNAプラットフォームはヒトの組織を含む任意の動物の組織による使用と適合する。さらに、そのM
3RNAプラットフォームは「トランスフェクションしにくい」初代細胞表現型、例えば初代心筋細胞にトランスフェクションすることに効果的である。以下により詳細を記載するように、M
3RNAプラットフォームを用いる初代心筋細胞のトランスフェクションは、構造的な又は機能的な心筋細胞の特徴を変化しない。また、M
3RNAプラットフォームは筋肉内の送達に適合し、初代心筋細胞培養によって得られた結果と適合する高いトランスフェクション効率を提供する。一般的に、そのM
3RNAプラットフォームは、組織特異的な送達及びM
3RNAによってコードされるタンパク質の発現に適合し(
図12)、そして幅広い細胞型及び/又は組織にトランスフェクションすることを果たしうる。
【0039】
一般的に、前記M
3RNAプラットフォームは、以下により詳細に記載されるように修飾される、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を含み、続いてカプセル化剤(例えば、カプセル化剤と関連する場合、ナノ粒子)によってカプセル化された(例えば、ナノ粒子又は脂質)。本明細書で用いられるように前記ポリヌクレオチドは「カプセル化される」。それゆえ、全体又は一部において、mRNAは、カプセル化剤によって「カプセル化される」ために、包含されることに不要である。ポリヌクレオチドは、任意の適当な化学的又は物理的な相互作用、それらに限定されないが、水素結合、ジスルフィド結合、イオン結合等によってカプセル化剤(例えば、ナノ粒子又は複数のナノ粒子)と関連しうる。
【0040】
ある態様において、
図6に体系的に例示される、ポリヌクレオチドは複数の金属サブユニットを含むナノ粒子によって少なくとも部分的に含まれ、「鉄部分」として
図6Aに図示される例示的実施形態に反映される。しかしながら、鉄に基づく金属サブユニットの使用は、単に例示である。その金属サブユニットは、以下により詳細に記載されるように、任意の適当な金属から形成されうる。そのような態様において、少なくともいくつかのサブユニットは金属サブユニットに結合する正に荷電した部分(例えば、正に荷電したポリマー)を有しうる。ある態様において、その正に荷電した部分は少なくとも部分的にサブユニットを覆いうる。正に荷電した部分の性質及びそれが金属サブユニットに結合することに関わらず、その正に荷電した部分は負に荷電したポリヌクレオチドと相互作用しうる。
図6Aに例示された態様において、複数のポリマーコートしたイオンサブユニットは負に荷電した修飾したmRNAを取り巻くナノ粒子を形成する。
【0041】
図6Aに例示されるように、その金属サブユニットは(例えば、
図6Aに正に荷電したポリマーとして例示される)複数の正に荷電した部位を含みうる。複数の正に荷電した部位が金属サブユニットと結合した場合に、金属サブユニットに結合するそれぞれのポリマーは、金属サブユニットと結合する他のポリマーと同じ又は異なりうる。例えば、
図6Aに例示される態様において、二つの正に荷電したポリマーは一つの分子種であり、これは複数の金属サブユニットによって形成されるナノ粒子の内側に整列する。また、異なる正に荷電したポリマーは金属サブユニットに結合し、そしてナノ粒子の内側に整列する。
【0042】
図16に体系的に例示される、別の例となる態様において、ポリヌクレオチドは図示される例示的実施形態、ナノ粒子の表面に結合するキトサンにおいて、正に荷電した部分と相互作用する。そのポリヌクレオチドは、mRNAの大部分の質量が、ナノ粒子の核の表面に結合する正に荷電した部分により定義される外形内にあるので、ナノ粒子によってカプセル化されると考えられる。それゆえ、そのポリヌクレオチドはナノ粒子によって「カプセル化される」と考えられるために、部分的でさえも、ナノ粒子によって包含されない。
【0043】
また、
図16に示される例示的実施形態はナノ粒子が複数の金属サブユニットを含みうることを例示する。
図16に例示されるように、金属サブユニットは
図6Aに例示されるように、殻よりもむしろナノ粒子コアを形成しうる。また、
図16は金属ナノ粒子が金属サブユニットの異種の混合物を含みうることを例示する。そのナノ粒子はそのサブユニットが、
図16に示されるようにコアを、
図6Aに示されるように殻を形成するかどうかに関わらず、金属サブユニットの異種の混合物を含みうる。
【0044】
そのM
3RNAプラットフォームはM
3RNAの分解を遅くしうるポリヌクレオチドをコードする修飾を含み、及び/又は例えば、mRNAトランスフェクションの所望されない副作用を制限しうる。そのような修飾は、例えば、一以上の修飾したヌクレオチド、例えば、RNAにおけるシトシンの場所に5’−メチルシチジン及び/又はウラシルの場所にプソイドウリジン(ψ)、ジヒドロウリジン(D)、若しくはジデオキシウラシルを導入することを含む。ある態様において、少なくとも一つの、例えば、少なくとも5、10、15、20、25、50,100又はそれ以上のヌクレオチドは修飾される。ある態様において、シトシン及び/又はウラシルの少なくとも1%、例えば少なくとも5%、10%、25%、50%又はそれ以上は修飾される。修飾されるヌクレオチド三リン酸はGMP上の出発物質として容易に利用可能であり、標準のRNA合成技術を用いることで迅速に導入され、送達に続き著しい分子的な及び翻訳的な利点を提供する。サイトゾル内のmRNAの寿命を延ばすための他の戦略は、ナンセンス変異依存mRNA分解機構の経路によって干渉することを含む。例示的な適当な戦略は
図17に例示されるそれらを含む。また、mRNAへの修飾はアンチリバースキャップアナログ(ARCAキャップ)又はポリアデニル化した尾部(
図9B)の追加を含みうる。ある態様において、修飾したmRNAは、任意の組み合わせにおいて、一以上の修飾したヌクレオチド、一以上のシュードノット、一以上のRNA安定化因子、一以上のステムループ、ARCAキャップ、及び/又はポリアデニル化した尾部を含みうる。
【0045】
前記ナノ粒子は任意の適当な材料、例えば、それらに限定されないが、金属の、有機の(例えば脂質に基づいた)、無機の、又は混合材料を含み構成されうる。適当な金属の材料は、例えば、鉄、銀、金、プラチナ、又は銅を含む。ある態様において、カチオンポリマーナノ粒子は修飾されたポリヌクレオチドをマイクロカプセル化するために用いられる。カチオンポリマーはそれらの主鎖に正に荷電した基を有し、負に荷電したmRNA分子と相互作用し、中和された、ナノメートルサイズの複合体を形成する。適当なカチオンポリマーは、例えば、ゼラチン(Nitta Corp,JP)を含む。適当な非金属性の材料は脂質を含む。ある場合において、脂質に基づくナノ粒子は他の試薬(例えば、ポリエチレンイミン(PEI))と複合化されうる。
【0046】
ある態様において、そのナノ粒子は鉄のナノ粒子でありうり、又は鉄のサブユニットを含む。他の態様において、そのナノ粒子は脂質を含み又は脂質成分を含む。
【0047】
また、修飾したナノ粒子は制御可能な粒子サイズ及び/又は表面の特徴を有しうる。
【0048】
本明細書に記載されるM
3RNAプラットフォームにおいて用いられるナノ粒子は、選択される送達方法に適当な任意のサイズでありうる。M
3RNAプラットフォームに用いられうる粒子は直径で約50nmから約12μmでありうるが、本明細書で記載される組成物及び方法は、この範囲から外れるサイズのナノ粒子を含みうる。それゆえ、そのM
3RNAプラットフォームは少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも200nm、少なくとも500nm、又は少なくとも1μmの最小直径(又は最長寸法)を有するナノ粒子を使用しうる。前記M
3RNAプラットフォームは、12μm未満、11.5μm未満、11μm未満、10.5μm未満、10μm未満、7.5μm未満、5μm未満、2μm未満、1μm未満又は500nm未満の最大直径(又は最長寸法)を有するナノ粒子を使用しうる。前記M
3RNAプラットフォームは、上記に記載した任意の最小直径及び最小直径より大きい上記に記載した任意の最大直径によって定義されるエンドポイントを有する範囲内に入る直径(又は最長寸法)を有するナノ粒子を使用しうる。ある例となる態様において、ナノ粒子は直径で(又は最長寸法で測定されるように)約50nmから約11.5μm、約100nmから約11μm、約200nmから約10.5μm、又は約500nmから約10μmの直径を有しうる。例えば、M
3RNAプラットフォームにおいて用いられうる粒子は直径で(又は最長寸法で測定されるように)約50nmから約7.5μmでありうる。
【0049】
ある態様において、その引用された直径の範囲はナノ粒子の群の平均直径である。ある態様において、集団における少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の粒子が引用される直径を有する。
【0050】
ある場合において、その粒子のサイズは標的組織(例えば心筋梗塞床)へ粒子の直接的な送達のために用いられうる。ヒトの毛細血管は直径で約5μmから約10μmである。それゆえ、約0.3μmから約12μmの直径を有する本明細書に記載される粒子は、血流経由で毛細血管に入りうるが、毛細血管から抜け出ることに限定され、ここで生物学的な及び/又は発現されたポリペプチドは組織(例えば、心臓、皮膚、肺、固形がん、脳、骨、靭帯、結合組織構造、腎臓、肝臓、皮下、及び血管組織)の毛細血管床内に拡散しうる。
【0051】
前記ナノ粒子は修飾したポリヌクレオチドとの効果的な相互作用について及び/又は送達効率を改善する表面修飾したものである。ナノ粒子は例えば血中の半減期を増加しうるバイオポリマー又はPEG化のいずれかを導入するために修飾されうる。特定の態様において、ナノ粒子の表面はキトサンによって修飾されうる。キトサンは陽イオンの高分子電解質の特性を示し、それゆえ負に荷電したDNA又はRNA分子との強力な静電相互作用を提供する。さらに、キトサンはDNase又はRNase分解に対する保護を提供する、それを生分解可能な、生体適合性のある、及び無毒性のバイオポリマーである第一級アミン基を運搬する。ある態様において、前記キトサンは5.3×10
5ダルトンの粘度平均分子量及び/又は約44%のC、約7%のH、及び約8%のNの元素組成を有しうる。
【0052】
別の態様において、ナノ粒子の表面はPEG化によって修飾されうる。ポリエチレングリコール(PEG)を、本ケースにおけるナノ粒子である、与えられる分子に共有結合によって結合する技術は、標的化した薬物送達システムにおいて確立した方法である。PEG化はCH
3O−(CH
2−CH
2O)
n−CH
2−CH
2−OHとして示され、式中nが100から5000である多数のモノメトキシPEG(mPEG)のポリマー化を含む。PEG分子を導入することは、その増加した疎水性のためにナノ粒子の半減期を著しく増加し、糸球体濾過量を減らし、及び/又は保護的な疎水性シールドを形成することによる抗原部位のマスキングによって免疫原性を下げる。適当な修飾はナノ粒子の表面を修飾し3000〜4000のPEG分子を有することを含み、これはDNA又はRNA分子の物理学的な結合について適当な環境を提供する。
【0053】
M
3RNAにおけるポリヌクレオチドは、任意の適当な治療的なポリペプチド、任意の適当な抑制性のRNA、任意の適当なマイクロRNAをコードしうる。ある場合において、M
3RNAは独立してM
3RNA、治療的なポリペプチド又は治療的なRNA(例えば抑制的なRNA又はマイクロRNA)における任意の他のポリヌクレオチドの、それらのそれぞれがコードしうる、多数のポリヌクレオチドを含みうる。
【0054】
前記M
3RNAプラットフォームは、任意の適当な細胞型又は任意の適当な組織の細胞へ異種のポリヌクレオチドを送達しうる。その送達標的(すなわち細胞型又は組織)は限定されない。それゆえ、そのM
3RNAプラットフォームは異種のポリヌクレオチドを、その標的細胞内の異種のポリヌクレオチドによってコードされる治療的なポリペプチド又は治療的なRNAを発現するために、例えば、心臓細胞、腎細胞、肝細胞、骨格筋細胞、眼球細胞等に送達するために用いられうる。
【0055】
ある態様において、M
3RNAポリヌクレオチドによってコードされる治療的なポリペプチド又は治療的なRNAは心臓機能及び/又は心臓組織を再生することを促進しうる。
【0056】
心臓機能及び/又は組織を再生することに有用でありうるポリペプチドの例は、限定されないが、TNF−α、ミトコンドリア複合体−1、レゾルビン−D1、NAP−2、TGF−α、ErBb3、VEGF、IGF−1、FGF−2、PDGF、IL−2、CD19、CD20、CD80/86、WO2015/034897に記載されるポリペプチド、又は任意の前述のポリペプチドに対して向けられた抗体を含む。例えば、ヒトNap−2ポリペプチドは、National Center of Biotechnology Information(NCBI)Accession No.NP_002695.1(GI No.5473)において説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_002704(GI No.5473)に説明されている核酸配列によりコードされうる。ある場合において、ヒトTGF−α ポリペプチドはNCBI Accession No.NP_003227.1(GI No.7039)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_003236(GI No.7039)に説明されている核酸配列によりコードされうる。ある場合において、ヒトErBb3ポリペプチドはNCBI Accession No.NP_001005915.1又はNP_001973.2(GI No.2065)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_001005915.1又はNM_001982.3(GI No.2065)に説明されている核酸配列によりコードされうる。例えば、ヒトVEGFはNCBI Accession Nos.AAA35789.1(GI:181971)、CAA44447.1(GI:37659)、AAA36804.1(GI:340215)、又はAAK95847.1(GI:15422109)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.AH001553.1(GI No.340214)に説明されている核酸配列によりコードされうる。例えば、ヒトIGF−1は、NCBI Accession No.CAA01954.1(GI:1247519)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.29117.1(GI:1247518)に説明されている核酸配列によりコードされうる。例えば、ヒトFGF−2は、NCBI Accession No.NP_001997.5(GI:153285461)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_002006.4(GI:153285460)に説明されている核酸配列によりコードされうる。例えば、ヒトPDGFは、NCBI Accession No.AAA60552.1(GI:338209)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.AH002986.1(GI:338208)に説明されている核酸配列によりコードされうる。例えば、ヒトIL−2は、NCBI Accession No.AAB46883.1(GI:1836111)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.S77834.1(GI:999000)に説明されている核酸配列によりコードされうる。例えば、ヒトCD19は、NCBI Accession No.AAA69966.1(GI:901823)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.84371.1(GI:901822)に説明されている核酸配列によりコードされうる。例えば、ヒトCD20は、NCBI Accession No.CBG76695.1(GI:285310157)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.AH003353.1(GI:1199857)に説明されている核酸配列によりコードされうる。例えば、ヒトCD80は、NCBI Accession No.NP_005182.1(GI:4885123)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_005191.3(GI:113722122)に説明されている核酸配列によりコードされうり、そしてヒトCD86は、NCBI Accession No.AAB03814.1(GI:439839)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.CR541844.1(GI:49456642)に説明されている核酸配列によりコードされうる。例えば、心臓機能及び/又は組織を再生することに有用でありうるポリペプチドは、TNF−α、ミトコンドリア複合体−1、又はレゾルビン−D1に対して向けられた抗体でありうる。ある場合において、M
3RNAはNAP−2及び/又はTGF−αをコードしうる。
【0057】
ある場合において、M
3RNAは、例えば、主要な心臓有害事象(例えば急性心筋梗塞)を経験する哺乳類及び/又は主要な心臓有害事象を経験するリスクのある哺乳類(例えばSTEMIについてPCIを被った患者)を治療することに有用な一以上の抑制性のRNAsをコードしうる。例えば、M
3RNAは、一以上の次のポリペプチドの発現を阻害する及び/又は減少する抑制的なRNAをコードしうる:エオタキシン−3、カテプシン−S、DK−1、ホリスタチン、ST−2、GRO−α、IL−21、NOV、トランスフェリン、TIMP−2、TNFαRI、TNFαRII、アンギオスタチン、CCL25、ANGPTL4、MMP−3、及びWO2015/034897に記載されるポリペプチド。例えば、ヒトエオタキシン−3ポリペプチドはNCBI Accession No.NP_006063.1(GI No.10334)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_006072(GI No.10344)に説明されている核酸配列によりコードされうる。ある場合において、ヒトカテプシン−SはNCBI Accession No.NP_004070.3(GI No.1520)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_004079.4(GI No.1520)に説明されている核酸配列によりコードされうる。ある場合において、ヒトDK−1はNCBI Accession No.NP_036374.1(GI No.22943)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_012242(GI No.22943)に説明されている核酸配列によりコードされうる。ある場合において、ヒトホリスタチンは続いて、NCBI Accession No.NP_037541.1(GI No.10468)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_013409.2(GI No.10468)に説明されている核酸配列によりコードされうる。ある場合において、ヒトST−2はNCBI Accession No.BAA02233(GI No.6761)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No D12763.1(GI No.6761)に説明されている核酸配列によりコードされうる。ある場合において、ヒトGRO−αポリペプチドはNCBI Accession No.NP_001502.1(GI No.2919)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_001511(GI No.2919)に説明されている核酸配列によりコードされうる。ある場合において、ヒトIL−21はNCBI Accession No.NP_068575.1(GI No.59067)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_021803(GI No.59067)に説明されている核酸配列によりコードされうる。ある場合において、ヒトNOVポリペプチドはNCBI Accession No.NP_002505.1(GI No.4856)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_002514(GI No.4856)に説明されている核酸配列によりコードされうる。ある場合において、ヒトトランスフェリンポリペプチドはNCBI Accession No.NP_001054.1(GI No.7018)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_001063.3(GI No.7018)に説明されている核酸配列によりコードされうる。ある場合において、ヒトTIMP−2ポリペプチドはNCBI Accession No.NM_003246.1(GI No.7077)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NP_003255.4(GI No.7077)に説明されている核酸配列によりコードされうる。ある場合において、ヒトTNFαRIポリペプチドはNCBI Accession No.NP_001056.1(GI No.7132)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_001065(GI No.7132)に説明されている核酸配列によりコードされうる。ある場合において、ヒトTNFαRIIポリペプチドはNCBI Accession No.NP_001057.1(GI No.7133)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_001066(GI No.7133)に説明されている核酸配列によりコードされうる。ある場合において、ヒトアンギオスタチンポリペプチドはNCBI Accession No.NP_000292(GI No.5340)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_000301(GI No.5340)に説明されている核酸配列によりコードされうる。ある場合において、ヒトCCL25ポリペプチドはNCBI Accession No.NP_5615.2(GI No.6370)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_005624(GI No.6370)に説明されている核酸配列によりコードされうる。ある場合において、ヒトANGPTL4ポリペプチドはNCBI Accession No.NP_001034756.1又はNP_647475.1(GI No.51129)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_001039667.1又はNM_139314.1(GI No.51129)に説明されている核酸配列によりコードされうる。ある場合において、ヒトMMP−3ポリペプチドはNCBI Accession No.NP_002413.1(GI No.4314)に説明されているアミノ酸配列を有しうり、そしてNCBI Accession No.NM_002422(GI No.4314)に説明されている核酸配列によりコードされうる。
【0058】
ある場合において、M
3RNAは心臓再生能力に含まれるマイクロRNAを調節する(例えば擬態する又は阻害する)一以上のヌクレオチドをコードしうる。例えば、M
3RNAは心臓再生能力を増加させるmiRNAを擬態するagomiRをコードしうる。例えば、M
3RNAは心臓再生能力を増加させるmiRNAを阻害するantagomiRsをコードしうる。心臓再生能力に含まれるmiRNAの例は、これらに限定されないが、miR−127、miR−708、miR−22−3p、miR−411、miR−27a、miR−29a、miR−148a、miR−199a、miR−143、miR−21、miR−23a−5p、miR−23a、miR−146b−5p、miR−146b、miR−146b−3p、miR−2682−3p、miR−2682、miR−4443、miR−4443、miR−4521、miR−4521、miR−2682−5p、miR−2682、miR−137.miR−137、miR−549.miR−549、miR−335−3p、miR−335、miR−181c−5p、miR−181c、miR−224−5p、miR−224、miR−3928、miR−3928、miR−324−5p、miR−324、miR−548h−5p、miR−548h−1、miR−548h−5p、miR−548h−2、miR−548h−5p、miR−548h−3、miR−548h−5p、miR−548h−4、miR−548h−5p、miR548h−5、miR−4725−3p、miR−4725、miR−92a−3p、miR−92a−1、miR−92a−3p、miR−92a−2、miR−134、miR−134、miR−432−5p、miR−432、miR−651、miR−651、miR−181a−5p、miR−181a−1、miR−181a−5p、miR−181a−2、miR−27a−5p、miR−27a、miR−3940−3p、miR−3940、miR−3129−3p、miR−3129、miR−146b−3p、miR−146b、miR−940、miR−940、miR−484、miR−484、miR−193b−3p、miR−193b、miR−651、miR−651、miR−15b−3p、miR−15b、miR−576−5p、miR−576、miR−377−5p、miR−377、miR−1306−5p、miR−1306、miR−138−5p、miR−138−1、miR−337−5p、miR−337、miR−135b−5p、miR−135b、miR−16−2−3p、miR−16−2、miR−376c.miR−376c、miR−136−5p、miR−136、let−7b−5p、let−7b、miR−377−3p、miR−377、miR−1273g−3p、miR−1273g、miR34c−3p、miR−34c、miR−485−5p、miR−485、miR−370.miR−370、let−7f−1−3p、let−7f−1、miR−3679−5p、miR−3679、miR−20a−5p、miR−20a、miR−585.miR−585、miR−3934、miR−3934、miR−127−3p、miR−127、miR−424−3p、miR−424、miR−24−2−5p、miR−24−2、miR−130b−5p、miR−130b、miR−138−5p、miR−138−2、miR−769−3p、miR−769、miR−1306−3p、miR−1306、miR−625−3p、miR−625、miR−193a−3p、miR−193a、miR−664−5p、miR−664、miR−5096.miR−5096、let−7a−3p、let−7a−1、let−7a−3p、let−7a−3、miR−15b−5p、miR−15b、miR−18a−5p、miR−18a、let−7e−3p、let−7e、miR−1287.miR−1287、miR−181c−3p、miR−181c、miR−3653、miR−3653、miR−15b−5p、miR−15b、miR−1、miR−1−1、miR−106a−5p、miR−106a、miR−3909.miR−3909、miR−1294、miR−1294、miR−1278、miR−1278、miR−629−3p、miR−629、miR−340−3p、miR−340、miR−200c−3p、miR−200c、miR−22−3p、miR−22、miR−128、miR−128−2、miR−382−5p、miR−382、miR−671−5p、miR−671、miR−27b−5p、miR−27b、miR−335−5p、miR−335、miR−26a−2−3p、miR−26a−2、miR−376b、miR−376b、miR−378−5p、miR−378a、miR−1255a、miR−1255a、miR−491−5p、miR−491、miR−590−3p、miR−590、miR−32−3p、miR−32、miR−766−3p、miR−766、miR−30c−2−3p、miR−30c−2、miR−128.miR−128−1、miR−365b−5p、miR−365b、miR−132−5p、miR−132、miR−151b.miR−151b、miR−654−5p、miR−654、miR−374b−5p、miR−374b、miR−376a−3p、miR−376a−1、miR−376a−3p、miR−376a−2、miR−149−5、miR−149、miR−4792.miR−4792、miR−1.miR−1−2、miR−195−3p、miR−195、miR−23b−3p、miR−23b、miR−127−5p、miR−127、miR−574−5p、miR−574、miR−454−3p、miR−454、miR−146a−5p、miR−146a、miR−7−1−3p、miR−7−1、miR−326.miR−326、miR−301a−5p、miR−301a、miR−3173−5p、miR−3173、miR−450a−5p、miR−450a−1、miR−7−5p、miR−7−1、miR−7−5p、miR−7−3、miR−450a−5p、miR−450a−2、miR−1291、miR−1291、miR−7−5p、miR−7−2、及びmiR−17−5p、miR−17を含む。
【0059】
前記M
3RNAは医薬的に許容可能な担体によって製剤化されうる。本明細書で使用されるように、「担体」は任意の溶媒、分散媒、ビヒクル、コーティング剤、希釈剤、抗細菌剤及び/又は抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤、緩衝剤、担体溶液、懸濁液、コロイド等を含む。医薬活性物質についてのそのような媒体及び/又は薬剤の使用は、当該分野で周知である。任意の慣習の媒体又は薬剤が有効成分に不適合でない限り、治療組成物におけるその使用が考えられる。また、追加の有効成分は組成物内に組み込まれうる。本明細書で用いられるように、「医薬的に許容可能な」は生物学的でない又は他の所望されない材料、すなわち、その材料が任意の所望されない生物学的な効果をもたらすこと又はそれが含まれる医薬組成物の任意の他の成分による有害な方法において相互作用することなく、M
3RNAと共に個体に投与されうることを意味する。
【0060】
それゆえそのM
3RNAは医薬組成物に製剤化されうる。その医薬組成物は好ましい投与経路に適合した様々な形態において製剤化されうる。それゆえ、組成物は既知の経路、例えば経口、非経口(例えば、皮内、経皮、皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内等)、又は局所(例えば、経鼻、肺内、乳房内、経腟、子宮内、皮内、経皮、直腸等)を介して投与されうる。医薬組成物は(例えば噴霧又はエアロゾルによって)例えば鼻又は呼吸粘膜への投与によって粘膜面に投与されうる。また、組成物は持続される又は遅延する放出を介して投与されうる。ある態様において、M
3RNAは心臓組織、例えば心臓内注射、冠動脈内への送達、冠状動脈洞への送達、又はテベシウス静脈循環への送達に直接的に投与されうる。
【0061】
それゆえ、前記M
3RNAは任意の適当な形態、これらに限定されないが、溶液、懸濁液、乳剤、噴霧剤、エアロゾル、又は任意の混合形態において供給されうる。その組成物は任意の医薬的に許容可能な賦形剤、担体又はビヒクルによって製剤化され、送達されうる。例えば、その製剤は慣習の局所投与形態、例えばクリーム、軟膏、エアロゾル製剤、非エアロゾル噴霧剤、ゲル、ローション等において送達されうる。その製剤はさらに一以上の添加剤、例えばアジュバント、皮膚浸透促進剤、着色剤、香料、調味料、保湿剤、増粘剤等を含みうる。
【0062】
製剤は単位剤形において都合よく提示されてもよく、薬学の技術分野で周知の方法によって調製されうる。医薬的に許容可能な担体によって組成物を調製する方法は一以上の補助的な成分を構成する担体に関連してM
3RNAをもたらす工程を含む。一般的に、製剤は均一に調製されうり、及び/又は液体の担体、細粉固形の担体、又は両方に関連して有効成分を密接にもたしうり、そして続いて必要であれば、所望される製剤へ製品を成形しうる。
【0063】
投与されるM
3RNAの量は様々な因子、それらに限定されないが、対象の重量、健康状態、及び/若しくは年齢、M
3RNAが送達される標的細胞若しくは組織並びに/又は投与経路を含む様々な因子に依存して変化しうる。それゆえ、与えられた単位剤形に含まれるM
3RNAの絶対量は広く変化しうり、そして対象の種類、年齢、体重及び健康状態、及び/又は投与方法のような因子に依存する。従って、一般的に全てのありうる適用について効果的なM
3RNAの量を構成する量を述べることは実用的ではない。しかしながら、当業者はそのような因子の考慮によって容易に適当な量を決定しうる。
【0064】
ある態様において、その方法は例えば約100ng/kgから約50mg/kgまでの投与量を対象に提供する十分なM
3RNAを投与することを含みうるが、ある態様においてその方法はこの範囲を外れる用量においてM
3RNAを投与することによって実施されうる。これらの態様において、その方法は約10μg/kgから約5mg/kgまでの用量、例えば約100μg/kgから約1mg/kgまでの用量を提供する十分なM
3RNAを投与することを含む。
【0065】
ある態様において、M
3RNAは例えば、一日又は一週間あたり単回投与から複数回投与で投与されうるが、ある態様において、その方法はこの範囲を外れる頻度でM
3RNAを投与することによって実施されうる。ある期間内に複数回投与が用いられる場合に、それぞれの用量は同じ又は異なりうる。例えば、一日あたり1mgの用量で、1mgの単回投与、0.5mgの2回投与、又は0.75mgの第一の投与に続き0.25mgの第二の投与として投与されうる。また、ある期間中に複数回投与が用いられる場合に、その投与間隔は同じ又は異なりうる。
【0066】
ある態様において、M
3RNAは一カ月あたり約1回から1週間あたり約5回まで投与されうる。
【0067】
多数の細胞株におけるM
3RNAのトランスフェクション
【0068】
蛍光タンパク質(mCherry)をコードするmRNAを含む例示的なモデルのM
3RNAは、ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)、ヒト心臓線維芽細胞(HCF)、及びヒト胎児腎細胞293(HEK293)細胞内にトランスフェクションした。蛍光タンパク質の発現を5%のCO
2を有する37℃チャンバー内でライブイメージングした。早ければ2時間でmCherryタンパク質発現を検出し、4時間で再現性良く定量化できた。HCF及びHEK293細胞の蛍光画像(
図1A)は迅速なmCherryタンパク質発現を示し、6日間持続した。mCherry及びGFPをコードするM
3RNAsの同時送達は共発現においてもたらされた(
図2E)。三つの異なる細胞株内の蛍光強度の定量化(>10視野の細胞数/期間/細胞株)は、最初の24〜48時間にわたって強度の増加を認め、少なくともHEK細胞においては不変のままであった(
図1B)。24時間でタンパク質発現が最大になったので、トランスフェクション効率をフローサイトメトリーを用いて4時間及び24時間で測定した。x軸上の蛍光強度及びy軸上の側方散乱光の散布図は4時間及び24時間で見られたトランスフェクションした細胞の数を明らかにする推移を有するトランスフェクションに続く一貫した二峰性の群を現した(
図1C)。トランスフェクション効率を定量化し、そしてMockトランスフェクション細胞と比較した(
図1D)。特にHEK群において、24時間の時点で高いトランスフェクション効率を認めた。
【0069】
新生仔ラットの初代心筋細胞のM
3RNAトランスフェクション
【0070】
続いて、前記M
3RNAプラットフォームを用いてトランスフェクションしづらい初代心筋細胞にトランスフェクションした。同期した拍動パターンの参照文献に従い、心筋細胞豊富な培養物にmCherry M
3RNAによってトランスフェクションした。4時間から最大で6日間で蛍光画像を取得した。代表的な画像は初代心筋細胞内で迅速及び持続化したタンパク質発現を示した(
図2A)。蛍光強度の定量化は24時間での最大発現量を明らかにし、そして蛍光は6日間検出可能なままであった(
図2B)。著しいトランスフェクション効率が二つの独立した試験からフローサイトメトリーを用いて4時間(〜20%)及び24時間(43%)で見られた(
図2C)。複数の遺伝子トランスフェクションは同じ心筋細胞内で3つのタンパク質(EGFP、mCherry、及びホタルルシフェラーゼ)の同時発現を示した(
図2D)。
【0071】
トランスフェクションは心筋細胞の構造及び機能を変化しない。
【0072】
初代心筋細胞のトランスフェクションがそれらの構造強度を変化することを分析するために、心筋細胞をmCherry M
3RNAによってトランスフェクションし、そして心臓特異的なトロポニン抗体及びSiR−アクチン染色によって染色した。アクチン染色を用いて線維芽細胞から心筋細胞を区別した。トランスフェクションした細胞とトランスフェクションしていない細胞の間において、心筋細胞特異的なトロポニン染色では有意差は確認されず、心筋細胞の完全なままの構造強度を示している。
【0073】
トランスフェクションがトランスフェクションした細胞の主要な電気的性質を変化するかどうかを特定するために、初代心筋細胞の二つの本質的な機能の因子を比較した:1)カルシウムチャネルトランジェント及び2)電圧−電流の関係性。初代心筋細胞からの[Ca
2+]
i(細胞内カルシウム)トランジェントを遊離した細胞内のCa
2+に結合する色素であるCAL−520AM(AAT Bioquest,Inc.,Sunnyvale,Ca)を用いて記録した。拍動パターンの基準に合う初代心筋細胞をmCherry M
3RNAによってトランスフェクションした。CAL−520AMを用いてCa
2+トランジェントをイメージ化するために、トランスフェクションした及びトランスフェクションしていない細胞の両方を考慮する視野をmCherryフィルターを用いて選択した(
図4A)。長持ちする[Ca
2+]
iトランスフェクションがmCherry発現を有する初代心筋細胞培養物中に見られた。心収縮期及び心臓拡張期で生み出される蛍光強度の代表的なアノテーションは、心収縮期の同時の素早い[Ca
2+]
iの突発によるリズミカルな及び組織的な[Ca
2+]
iトランジェントを明らかにし、心臓拡張期では無かった(
図4B)。関連する領域をトランスフェクションした及びトランスフェクションしていない細胞により作り出し(
図4A)、そしてCa
2+トランスフェクションの期間(X軸)に対する細胞内の蛍光強度(Y軸)をプロットした(
図4C)。トランスフェクションした及びトランスフェクションしていない細胞における類似の[Ca
2+]
iトランジェントを意味する。
【0074】
トランスフェクションした初代心筋細胞の電気的な機能を分析するために、心筋細胞の興奮性及び収縮を試験した。拍動する細胞をmCherry M
3RNAを用いてトランスフェクションし、そしてトランスフェクションした細胞を蛍光顕微鏡を用いて確認した(
図5A)。細胞の興奮において原因となる内部の電流成分を識別するために、トランスフェクションした新生仔の心筋細胞を全細胞の記録のパッチクランプモードにおけるランプ刺激プロトコールにさらした。そのような条件下で、−90から+40mVのランプ波は電位依存特性において異なった二つの典型的な内部の電流成分を誘導した(
図5B)。〜50mVの最大値を有する第一の成分は電位依存性Na
+チャネルの選択的阻害剤である、テトロドトキシン(TXX,5μM)に典型的に感受性があった(
図5C)。〜0mVの膜電位の最大値の第二の成分は、電圧依存性のL型Ca
2+チャネル阻害剤(I
Ca)である、ニフェジピンに感受性があった。それゆえ、得られた電圧依存的な関係は、mCherryトランスフェクション下でI
Na及びI
Caの電流成分の完全な特性を明らかにした。
【0075】
M
3RNA−FLucの心筋注射は迅速なタンパク質発現を誘導する
【0076】
in vivo条件下の初代心筋細胞の迅速な発現をFVBマウスの左心室内にナノ粒子に基づいたFLuc M
3RNAの直接的な心筋注射を用いて確認した。in vivoの研究において、正に荷電した生体高分子によってコートされたナノ粒子(〜100nm)をmRNAのキャリアとして用いた。正に荷電したナノ粒子は負に荷電したmRNA分子を包んでいた(
図6A)。M
3RNAのin vivoにおける投与で、ナノ粒子はエンドサイトーシスにより細胞内に入り、そして翻訳のためのmRNA分子を放出する。鉄サブユニットを構成したナノ粒子は分解され、そして放出された鉄は通常の鉄代謝経路に入る。FLucを用いて生きた動物におけるタンパク質発現の動態を確認した。
【0077】
生物発光イメージングは注射後早ければ2時間の心臓内の心臓を標的とした発現を確認し、24時間以内に3.5倍近くに増加し、72時間までにバックグラウンドの水準近くまで下がる(
図7A及び7B)。心臓領域においてのみシグナルが検出されるように、標的でないトランスフェクションは観察されなかった(
図7A)。さらに、mCherry−M
3RNAの心臓内注射後、連続的なセクションの24時間では、ビヒクルコントロールと比較してmCherry mRNAを注射した心臓組織内で有意なmCherryタンパク質発現を(
図7C、中央下パネル)、緑色のチャネルにおいて、抗−mCherry抗体により確認したmCherry発現(
図7C、左下パネル)を明らかにした。トロポニン抗体は、心筋細胞内のmCherry発現を明らかにし、同様に非心筋細胞領域においてmCherryの発現を認める(*)。最終的に、心外膜への単回注射による複数の遺伝子発現を、ラット心臓におけるビヒクルのみと比較して、GFP−M
3RNA、mCherry−M
3RNA、及びFLuc−M
3RNAを用いて実施した。FLucイメージングを生きた動物において実施しうる;それゆえ、FLuc発現を24時間でマウス心臓内でXenogenを用いて確認し、続いてその動物を屠殺し、そして心臓組織を加工し免疫蛍光(IF)分析をした。IFは、シャム(上パネル)(
図7D)における発現なしに対して、M
3RNAした注射ラットにおける重複したGFP、mCherry及び(抗Fluc抗体を用いた)FLucタンパク質発現を明らかにした(下パネル)。
【0078】
急性心筋梗塞のブタモデルにおけるmCherry M
3RNAの標的化された発現
【0079】
mCherry M
3RNAをカルシウム−アルギン酸溶液内でカプセル化した。急性の心筋梗塞のブタのモデルを用いて(
図8A)、〜250μgのmCherry−M
3RNAの冠内の大量投与を、オーバーザワイヤーバルーンを留置する遠位開口部を用いて左前下行枝(LAD)内に注入した。冠内の送達に続き、アルギン酸を、心エコー検査(ICE;
図8B)によって監視するように急性の損傷部位内の選択ゲルを可視化した。その心臓を、72時間で収集し、冷却した通常の生理食塩水によって洗浄し、そしてProCUTサンプリングツールを用いてスライスした。スライスした心臓切片のmCherryフィルターを用いたXenogenの画像は、梗塞領域に局在化した著しいmCherryタンパク質発現を示した(
図8C)。非梗塞領域に対する梗塞領域からの1−cmスライスの免疫組織化学的検査では、より著しく高いmCherry染色を特徴とし(
図8D)、心臓の損傷部位内のタンパク質発現の標的化した誘導を確認した。
【0080】
遺伝子療法は、例えば、循環器疾患における治療及び再生のための有望な戦略である。ある臨床的なシナリオは、疾病の経過を逆転する遺伝子発現又は遺伝子編集を必要とする。そのような臨床的なシナリオは、例えば、凝固障害、酵素欠乏症、又は遺伝子変異を含む。しかしながら、健常人の集団において、急性事象に応答する有害炎症は組織の未治癒又は慢性的な損傷をもたらす。DNA及びウイルスベクターは、コードしたタンパク質の長期間の発現を必要とする疾病を治療する偉大なツールである。mRNAベクターはより適当でありうり、ここで急性炎症を弱めること及び/又はCRISPR−仲介ゲノム編集におけるように、一過性発現が好ましく、この中で対象外の事象は所望されない。RNAベクターはDNAに基づいた及びウイルスに基づいた治療法上ある利点を提供する。例えば、RNAベクターはDNAベクターと比較して遺伝子挿入のリスクがほとんど存在せず、ウイルスベクターと比較して免疫応答を呼び起こさず、並びにDNAに基づく及びウイルスに基づく治療法の両方と比較して迅速及び一過性のタンパク質発現を惹起しうる。
【0081】
この開示は、初代心筋細胞、心臓、及び急性損傷した心筋を含む多数の細胞株に適合する迅速な発現を誘導する新規M
3RNAに基づくアプローチを記載する。本プラットフォームは、初代心筋細胞の構造的な及び機能的な特性に影響をほとんど有さない又は全く有さないトランスフェクションによって、多数の細胞株及び初代細胞において制御された発現動態を示した。モデルレポータータンパク質のFluc、mCherry、及びGFPをコードするM
3RNAの心筋注射は、心臓組織内で再現性良く迅速及び一貫したタンパク質発現を誘導した。さらに、本アプローチは、心臓組織内に多数の遺伝子の同時送達に十分な柔軟性であると見られ、そしてブタの心筋梗塞モデルにおいて急性損傷組織内に標的化されうる。M
3RNAプラットフォームが心臓組織へトランスフェクションするために用いられる例示的実施形態の背景において例示されるので、そのM
3RNAプラットフォームは他の組織の細胞、例えば、線維芽細胞、骨格筋、腎臓、肝臓、及び/又は目に関する組織に核酸を導入するために用いられうる。
【0082】
本明細書に記載されるM
3RNAに基づくプラットフォームは、患者のアウトカムを改善しうる。例えば、急性心筋梗塞の間、立て続けに分子的な事象が損傷時及び最終的に組織を損傷する結果となる再灌流後に生じる。損傷を、患者が非常に短時間(<90分間)以内に示す場合、迅速な経皮的冠動脈形成術(PCI)によって十分に中止されうる。しかしながら、>90分間から<12時間の存在するそれらにおいて、PCIが、心筋の損傷の範囲を、虚血及び低酸素によってますます悪くすることすら示した。実際に、ほとんどの個人において、最初の90分後の血流の回復でさえ、心筋の機能及び回復の復帰及び通常に近い組織の能力をもたらす。しかしながら、集団の約30%において、再灌流にもかかわらず、心筋の重篤な欠損が生じる。この現象を軽減するための取り組みは、抗血小板薬及び神経ホルモン拮抗薬に焦点を合わせた。しかしながら、最近の証拠の概要では、損傷への炎症反応の調節解除が壊滅的な心筋損傷の根本原因でありうる。
【0083】
再灌流療法の域を超えて、多くの再生プラットフォームが用いられ、急性心筋梗塞(AMI)後の心筋損傷を弱める試みがなされた。心保護を標的にする最初の介入は、天然の心保護メカニズムを増加させる取り組みにおいてATP感受性カリウムチャネルの活性化に焦点をあてた。心保護の域を超えて、急性心筋梗塞の時点でアウトカムを改善する細胞治療的な取り組みは、骨髄中の単核細胞、間葉系肝細胞及び心筋への細胞特異的な細胞を送達することを辿った。細胞に基づく治療の域を超えて、遺伝子コード化治療(gene encoded therapies)は心臓麻痺及び心筋梗塞の両方においてますます考慮される。さらに、RNA及びDNAプラットフォームは、直接的な心外膜への注射を介して心筋内にVEGFを送達するために用いられている。さらに、また、低分子干渉RNA(siRNA)及びノンコーディングマイクロRNA(miRNA)は、AMI後の心筋の微小環境を変化する有望な治療的なプラットフォームとしてますます示唆されている。これらの遺伝子技術の実現に向けた障害は、現在の通常の診療との相補性の欠失である。それゆえ、前臨床の取り組みが継続して生物学的効果を立証しているが、そのようなプラットフォームの翻訳可能性はかなり乏しいままであった。
【0084】
本明細書に記載したM
3RNAプラットフォームは現在の介入の実行と相補的な新規アプローチを示し、in vivoでの増加した安定性、発現、及び減少した免疫原性のための修飾されるmRNAを導入する。M
3RNA複合体を金属ナノ粒子において修飾したmRNAをマイクロカプセル化することによって作製された。
【0085】
損傷後の心筋の微小環境の複雑な性質を考えると、心臓内の単一の遺伝子発現は、心臓血管の病的状態の任意の緩和効果を果たすには不十分である可能性がある。M
3RNAプラットフォームは多種類の異種遺伝子の同時遺伝子送達と両立できる。さらに、ある態様において、梗塞された床である標的へのアルギン酸のM
3RNAの生物学的効果は、急性心筋梗塞の状況において迅速な遺伝子発現を果たす独特な機会を提供する。この目的で、ある者は障害後の心筋の血管由来の、細胞保護作用の、及び免疫調節の必要に寄与する相補的な遺伝子の送達を予想しうる。
【0086】
そのM
3RNAプラットフォームは、細胞生存を標的にし、炎症経路を妨げ、そして血流の回復後迅速に働きうる。しかしながら、これらの経路は48〜72時間の期間中変化すると考えられ、長期間の発現は著しい利点とならないかもしれないどころか、有害なリスクを引き起こしうる。それゆえ、それは、異種遺伝子の発現がある程度、例えば72時間(例えば、144時間)後に減少するある状況において有益でありうる。
【0087】
損傷部位でのCa
2+の存在下でアルギン酸の自発的な架橋は、梗塞の治療のための治療的なRNAをカプセル化することにおいて、in situのアルギン酸マトリックスに局在化した。M
3RNAプラットフォームは、標的化及び三日間で著しいタンパク質発現を果たす急に梗塞された心臓について、標的遺伝子送達及び発現のためのin situのアルギン酸ゲルと組み合わされうる。このアプローチは心臓発作を患う患者に心臓内で迅速な、一過性の、及び標的化したタンパク質発現を成し遂げることに有益でありうる。
【0088】
それゆえ、M
3RNAプラットフォームは、急性事象に適合した計画対象期間中の経皮的冠動脈形成術後すぐの遺伝子の介入の送達を可能にすると考えられる新規技術として寄与する。心臓の域を超えて、本技術が任意の細胞表現型において遺伝子発現を誘導しうるので、M
3RNAプラットフォームは他の急性事象、例えば骨格筋損傷、麻痺、及び敗血症において用いられうる。
【0089】
前述の記載及び以下の請求項において、「and/or」という用語は、任意の2以上のリスト化された要素の一又は全てのリスト化された要素又は組み合わせを意味する;「含む」という用語及びその変形したものは、無制限として解釈され、すなわち、追加の要素又は工程は付随的であり、存在しうる又はしないかもしれない;特に断りのない限り、「a」、「an」、「the」及び「少なくとも一つ」は同じ意味で用いられ、そして一以上を意味し;そしてエンドポイントによる数的な範囲の引用はその範囲内に属している全ての数(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等)を含む。
【0090】
前述の記載において、特定の態様は明瞭さのための分離において記載されうる。特定の態様の特徴が別の態様の特徴と不適合であるとはっきりと断りのない限り、ある態様は、一以上の態様に関連する本明細書に記載される適合する特徴の組み合わせを含みうる。
【0091】
別々の工程を含む本明細書に開示される任意の方法について、その工程は任意の実現可能な命令において行われうる。そして、必要に応じて、任意の2以上の工程の組み合わせが同時に行われうる。
【0092】
本発明は以下の実施例により例示される。特定の例、材料、量、及び手順は、本明細書に記載されている本発明の範囲及び精神に従って広く解釈されるべきであることが理解されるべきである。
【実施例】
【0093】
実施例1
細胞株及び初代細胞培養
【0094】
ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)、ヒト心臓線維芽細胞(HCF)、及びヒト胎児腎細胞293(HEK293T細胞、ATCC CRL−1573)を(グルコースを有する)DMEM、10%FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、及び1%グルタミン中で維持及び継代した。細胞株の最初の播種密度は6穴プレート中のウェル当たり、200,000HEK細胞数及び350,000HDF及びHCF細胞数だった。全ての細胞株を定期的にマイコプラズマ汚染について確認した。妊娠期のラットをCharls Riverより購入し、ラットの心筋細胞を19日齢の胚より得て、そして心筋細胞をメーカーの説明に従いneonatal primary cardiomyocyte isolation kit(ThermoFisher Scientific,Waltham,MA)を用いて分離した。
【0095】
抗体、メッセンジャーRNAs、及びトランスフェクション
【0096】
用いられた抗体は抗mCherry(Rat IgG2a Monoclonal,1:1000;ThermoFisher Scientific,Waltham,MA)、抗心臓トロポニンT(Mouse IgG1 Monoclonal,1:200,ThermoFisher Scientific,Waltham,MA)、抗Fluc(Goat Polyclonal;1:250,Novus Biologicals,Littleton,CO)である。EGFP、mCherry及びFirefly Luciferase(FLuc)messenger RNAs(Trilink Biotechnologies;San Diego,CA)は修飾、例えば、アンチリバースキャップアナログ(ARCA cap)、ポリアデニル化した尾部、及び修飾したヌクレオチド5−メチルシチジン及びプソイドウリジンを備えた(
図9)。In vitroで全ての細胞株におけるトランスフェクション研究をLIPOFECTAMINE MessengerMAXトランスフェクション試薬(ThermoFisher Scientific,Waltham,MA)を用いて、約60〜65%のコンフルエントの細胞で実行した。2.5μgの示されたmRNAを単一のトランスフェクション又はコトランスフェクションについて6穴ディッシュのウェルごとに用いた。マウスの研究について、12μgの示されたmRNAをマウスの心臓内注射に用いた;250μg mCherry mRNA/ブタをブタの研究について用いた。
【0097】
フローサイトメトリー
【0098】
トランスフェクション効率をFACS Canto(BD Bioscienses,San Jose,CA)を用いて決定した。簡潔に、細胞をmockトランスフェクション、mCherry−mRNAトランスフェクション、トリプシン処理し、そして細胞フィルターと適合した透明なポリスチレンチューブにおける4%ホルムアルデヒド内で4時間及び24時間(1×10
6細胞数/mL)で収集した。続いて、チューブをFACS CantoX内に導入して分析した。
【0099】
カルシウムイメージング
【0100】
心筋細胞内のカルシウムトランジェントを以前に記載されたように(Singh,et.al.,2014,J Physiol(Lond)592:4051)、CAL−520 AM(AAT Bioquest,Inc.,Sunnyvale,CA)を用いて可視化した。簡潔に、心筋細胞にmcherry mRNAを一晩トランスフェクションし、その心筋細胞がトランスフェクション後に拍動していたかどうかを顕微鏡下で評価した。翌日、(mMで)1.33mMのCaCl
2、1mMのMgCl
2、5.4mMのKCl、135mMのNaCl、0.33mMのNaH
2PO
4、5mMのグルコース及び5mMのHEPESを含むTyrode緩衝液について10μMの終濃度で、CAL−520(5mM):POWELOAD(Invitrogen,Carlsbad,CA)の1:1溶液中に、細胞をロードした。細胞をインキュベーター内で30分間インキュベートし、洗浄し、そしてさらに15分間インキュベートし、完全なCal−520AMの脱エステル化を認めた。完全培地を細胞に添加し、そしてイメージングをZeiss upright LSM5ライブ共焦点顕微鏡で20Xの対物レンズ(NA 0.8)を用いて5%CO
2を有する37℃の加湿チャンバー内で実施した。同じ領域においてトランスフェクションした及びトランスフェクションしていない細胞をmCherryの543nm励起において同定した。ラット初代心筋細胞のCa
2+トランジェントを488nm励起で収集した。250枚のシングルイメージフレームを10fpsで収集し、そしてそのデータを分析し、単一の心筋細胞上の対象領域(ROI)から放出された蛍光をZenソフトフェアを用いて測定し、エクセルをエクスポートし、そしてCa
2+トランジェントを示す図を作成した。
【0101】
初代心筋細胞におけるパッチクランプ記録
【0102】
パッチクランプ記録を以前に記載されたプロトコールの改変によって実施した(Alekseev et al.,1997,J Membr Biol 157:203;Pitari et al.,2003,Proc Natl Acad Sci USA 100:2695)。新生仔ラットの初代心筋細胞を、ボルテージクランプ法のパッチクランプ技術の全細胞記録(whole−cell configuration)を用いてmCherry修飾したmRNAによってトランスフェクションした。5〜7MΩ抵抗を有する、パッチ電極を120mM KCl、1mM MgCl
2、5mM EGTA、及び5mMのATP9を有する10mM HEPES(pH7.3)で満たし、そして細胞を136.5mM NaCl、5.4mM KCl、1mM MgCl
2、1.8mM CaCl
2、及び1g/Lのグルコースを加えた5.5mM HEPES(pH7.3)で灌流した。膜電流をAxopatch 200B amplifer(Molecular Devices,LLC,San Jose,CA)を用いて測定した。細胞膜の抵抗及び細胞の容量を容量性の一過性の電流のオンライン分析に基づき決定した。連続した抵抗(15〜20MΩ)、は50〜60%まで補償され、そして補償されない細胞容量に沿って、試験を通じて継続して監視した。電流密度を細胞の容量に対して測定した電流を標準化することによって得た。刺激のプロトコール、細胞のパラメーターの決定及びデータ取得をBioQuestソフトウェアを用いて実施した(Alekseev et al.,1997,J Membr Biol 157:203;Pitari et al.,2003,Proc Natl Acad Sci USA 100:2695;Nakipova et al.,2017,PLoS ONE 12:e0177469)。試験を33℃±1.8℃で実施した。
【0103】
画像分析
【0104】
細胞株のイメージングをZeiss Axioplan 落射蛍光照明の広視野正立顕微鏡(10X対物、NA0.3)又はLSM780共焦点顕微鏡(40X水浸対物、NA1.2)を用いて実施した。続いて蛍光強度の定量化について図をTiff形式にインポートすることによってデータを分析し、Image Jソフトウェアを用いて分析した。全体の画像について平均蛍光強度を定量化し、プロットした(Burgess et al.,2010,Proc Natl Acad Sci USA 107:12564;Singh et al.,2007,J Cell Biol 176:895)。
【0105】
in vivoのFluc、EGFP及びmCherry修飾したmRNAの送達
【0106】
in vivoの送達を、修飾されたプロトコールを用いて(Yamada et al.,2015,J Am Heart Assoc 4:e001614)、FVB/NJマウス(18〜22グラム、6〜8週齢、TheJackson Laboratory,Bar Harbor,ME)において実行した。麻酔下で、心臓を曝露し、示されるM
3RNAを(示されるように)12.5μg/mRNA/マウスで左心室の心筋に注射した。示された時点で動物を続けて撮影又は免疫組織化学染色のための加工をした。20匹の動物はM
3RNA注射を受けて;10匹をコントロールのために用いた。
【0107】
注射可能なアルギン酸M
3RNA調製
【0108】
カルシウム架橋アルギン酸溶液を、1mLの2%アルギン酸(FMC Corporation,Philadelphia,PA)と、0.5mLの0.6%Ca グルコース(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)とを混合することによって調製し、0.5mLの水を混合して2mLのアルギン酸溶液をもたらした。500μLのカプセル化したmCherry mRNA(250μg/ブタ)をNanoparticle in vivo transfection reagent(Altogen Biosystemus,Las Vegas,NY)を用いて、メーカーの説明に従い調製した。溶液を一緒に混合し、以下の記載のようにブタの心臓の冠内に注射した。
【0109】
ブタの心筋梗塞におけるM
3RNA発現
【0110】
四頭のヨークシャー豚は、左前下行枝の90分間のバルーン閉塞を用いて心筋梗塞を経験した。心腔内心エコー法(ICE)プローブをリアルタイムLVモニタリングのために右心房に設置した。AR−2様式の冠状動脈カテーテルを用いて、ブタの左主幹動脈にアクセスし、そしてオムニパークの点滴によって蛍光顕微鏡を介して可視化した。0.014”のbalanced middleweight coronary wireを、左前下行枝(LAD)の遠位部に進めた。血管造影の誘導画像を保存して利用することで、2.5〜3nmのバルーンを進め、LADの第二の斜めの血管にわたって配置した。そのバルーンを膨張させ、LADを90分間梗塞し、続いて再灌流した。虚血性障害をICE及び連続したEGCテレメトリーによって監視した。再灌流後、末梢灌流バルーンカテーテルをバルーンの位置で設置した。アルギン酸溶液と組み合わせたカプセル化したmRNAを5分間LADに導入し、遺伝子送達の標的化した梗塞域を3日目に確認した。
【0111】
統計
【0112】
データを平均±SEMとして示す。統計学的有意性を多重比較による一元配置分散分析又は二元配置分散分析を用いてGraphPad Prism 7によって決定した。0.05未満のP値を統計学的有意差として得た。「n」値は、反復された実験の回数又は動物の数を意味する。
【0113】
実施例2
【0114】
材料
【0115】
ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)、ヒト心臓線維芽細胞(HCF)、及びヒト胎児由来腎臓細胞(HEK293T細胞)を(グルコースを有する)DMEM、10%FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び1%グルタミン中で維持及び継代した。マイコプラズマ汚染について両方の細胞株を定期的に確認した。
【0116】
mCherryメッセンジャーRNAをTrilink Biotechnologies(San Diego,CA)より入手した。このmRNAをARCR cap、ポリアデニル化した尾部、及び修飾したヌクレオチド5−メチルシチジン及びプソイドウリジンを用いて修飾した(
図9B)。
【0117】
修飾したmRNA(M
2RNA)をin vitroのトランスフェクション試薬として、MessengerMAC LIPOFECTAMIN(ThermoFisher Scientific,Waltham,MA)を用いてマイクロカプセル化した。トランスフェクション担体試薬、例えばMessengerMAXを用いてマイクロカプセル化したM
2RNAはマイクロカプセル化した修飾したmRNA(M
3RNA)と称される。
【0118】
方法
【0119】
全ての細胞株についてin vitroのトランスフェクションの研究をMessengerMAX(ThermoFisher Scientific,Waltham,MA)を用いて実施した。2.5μgの示されたmRNAを単一のトランスフェクション又はコトランスフェクションについて6穴ディッシュのウェルごとに用いた。修飾したmRNAトランスフェクション後の線維芽細胞の位相差及び蛍光画像を4時間、24時間、48時間、及び144時間で得た;分析を実施し、それぞれのそれらの時点で発現の強度レベルを定量化した。細胞を5%CO
2を有する37℃の湿度チャンバー内でライブイメージ化した。イメージングをZeiss Axioplan 落射蛍光照明の広視野正立顕微鏡(10X対物、NA0.3)又はLSM780共焦点顕微鏡(40X水浸対物、NA1.2)を用いて実施した。蛍光強度の定量化についてのデータを続けて図をTiff形式にインポートすることによって分析し、そしてImageJを用いて分析した。全体の画像について平均蛍光強度を定量化し、プロットした。プロットは示された時点での平均±SEMの平均蛍光強度(任意単位)に基づいて作成した(n=3)。多重比較による一元配置分散分析を統計分析のために実施した(
****p<0.0001)。
【0120】
4時間及び24時間で試料をmCherry発現によって分類し、これらの細胞の発現レベルを定量化し、トランスフェクション効率を測定した。トランスフェクション効率をFACS CantoXを用いて決定した。細胞をmockトランスフェクション、mCherry−mRNAトランスフェクション、トリプシン処理し、細胞フィルターと適合した透明なポリスチレンチューブにおける4%ホルムアルデヒド内で4時間及び24時間(1×10
6細胞数/mL)で収集した。続いて、チューブをFACS CantoX内に導入して分析した。その効率についてmockトランスフェクション細胞とコントロールとを比較した。結果を3つの異なる細胞株のトランスフェクション効率の割合(n=3)について3つの異なる実験のセットの平均±SEMのとしてプロットした(
****p<0.0001;
**p<0.01)。
【0121】
結果を
図1において示し、そしてM
3RNAが皮膚線維芽細胞、心臓線維芽細胞、及び上皮細胞内に持続的に発現されうることを示す。
【0122】
実施例3
【0123】
材料
【0124】
心筋細胞を妊娠ラット(Charles River International,Inc.,Wilmington,MA)より得た19日齢の胚から単離した。その心筋細胞をメーカーの説明に従って新生仔の初代心筋細胞分離キット(ThermoFisher Scietific,Inc.,Waltham,MA)を用いて単離した。
【0125】
また、実施例2に記載されるようにmCherry M
2RNAを用いた。
【0126】
方法
【0127】
心筋細胞豊富な培養物を同時の拍動パターンの参照文献によって確認した。これらの細胞をLIPOFECTAMINE MessengerMAXトランスフェクション試薬(ThermoFisher Scientific,Waltham,MA)を用いて単一のトランスフェクション又はコトランスフェクションについて6穴ディッシュに2.5μgのmRNA/ウェルによってトランスフェクションした。M
3RNAトランスフェクション後の心筋細胞の位相差及び蛍光画像を4時間、24時間、48時間、及び144時間で得た;分析を実行し、それぞれのそれらの時点で発現の強度レベルを定量化した。細胞を5%CO
2を有する37℃の加湿したチャンバー内でライブイメージ化した。イメージングをZeiss Axioplan 落射蛍光照明の広視野正立顕微鏡(10X対物、NA0.3)又はLSM780共焦点顕微鏡(40X/W、NA1.2)を用いて実施した。蛍光強度の定量化についてのデータを続けて図をTiff形式にインポートすることによって分析し、そしてImageJを用いて分析した。全体の画像について平均蛍光強度を定量化し、プロットした。トランスフェクションの定量化(n=3,>10画像/時点を有する)を平均±SEMの平均蛍光強度としてプロットした。多重比較による一元配置分散分析を統計分析のために実施した(
****p<0.0001;
***p<0.001)。
【0128】
4時間及び24時間で試料をmCherry発現によって分類し、これらの細胞の発現レベルを定量化し、そしてトランスフェクション効率を測定した。トランスフェクション効率をFACS CantoXを用いて決定した。細胞をmockトランスフェクション、mCherry−mRNAトランスフェクション、トリプシン処理し、細胞フィルターと適合した透明なポリスチレンチューブにおける4%ホルムアルデヒド内で4時間及び24時間(1×10
6細胞数/mL)で収集した。続いて、チューブをFACS CantoX内に導入して分析した。その効率をコントロールとしてmockトランスフェクションしたHEK293細胞と比較した。実験の三つの異なるセットより、トランスフェクションの割合について値を用いた。
【0129】
結果を
図2A〜2Cに示し、M
3RNAは心筋細胞内に持続的に発現されうることを示す。
【0130】
実施例4
【0131】
材料
【0132】
心筋細胞を実施例3において記載されるように単離した。EGFPメッセンジャーRNA、mCherryメッセンジャーRNA、及びホタルルシフェラーゼ(FLuc)メッセンジャーRNAをTrilink Biotechnologies(San Diego,CA)より入手し、そして実施例2に記載されるように修飾した。
【0133】
方法
【0134】
心筋細胞豊富な培養液を確認し、そして実施例3において記載されるようにトランスフェクションした。
【0135】
細胞を5%CO
2を有する37℃の加湿したチャンバー内でライブイメージ化した。DAPIを用いて細胞核を示した。イメージングをZeiss Axioplan 落射蛍光照明の広視野正立顕微鏡(10X対物、NA0.3)又はLSM780共焦点顕微鏡(40X/W、NA1.2)を用いて実施した。
【0136】
結果を
図2D及び
図2Eに示し、多数のM
3RNAは同じ心筋細胞内に同時に共発現されうることを示す。
【0137】
実施例5
【0138】
材料
【0139】
6〜8週齢のFVB/NJマウスをJackson Laboratory,Bar Harbor,MEより入手した。
【0140】
mCherry
【0141】
mCherry M
2RNAは実施例2に記載される。mRNAを含むホタルルシフェラーゼ(Trilink Biotechnologies,San Diego,CA)を用いてFLuc M
3RNAを調製した。RNAを含むホタルルシフェラーゼは、空のキャップ及びポリアデニル化を含み、そしてそれゆえM
2RNAであると考えられる。
【0142】
FLuc M
3RNA及びmCherry M
3RNAをナノ粒子に基づくin vivoのトランスフェクション試薬を用いて調製した(Altogen Biosciences,Las Vegas,NV)。
【0143】
FLuc M
2RNAを尾静脈注射のために20μgFLuc M
2RNAと1800μLのhydrodynamic solution(Mirus Bio LLC,Madison,WI)とを混合することによって製剤化した。
【0144】
FLuc M
3RNAを皮下注射のために20μgFLuc M
3RNAと1800μLのポリエチレンイミン(Polypus Transfection SA,Illkrich−Graffenstaden,France)を用いて製剤化した。
【0145】
方法
【0146】
マウスにhydrodynamic solutionの尾静脈注射を介するFluc M
2RNA溶液を投与し、皮下注射を介してmCherry M
3RNA又はFluc M
3RNAを投与した。実験の開始時及び投与後2時間、4時間、6時間、及び24時間で発現したルシフェラーゼの量を評価した。皮下注射を介してルシフェラーゼmRNAを含むナノ粒子を投与したマウスについて、発現したルシフェラーゼの量を投与後2時間、4時間、6時間、24時間、48時間、及び72時間で評価した。マウスに皮下注射を介してmCherry M
3RNAを投与した。mCherry発現を蛍光顕微鏡を用いて評価した。
【0147】
ルシフェラーゼ発現をXenogen(IVIS)イメージングシステムを用いてイメージ化した。hydrodynamic solutionの尾静脈注射を介してルシフェラーゼmRNAの溶液をマウスに投与した。
【0148】
結果を
図10及び
図11に示し、M
3RNAが皮下投与後にin vivoで持続的に発現しうることを示す。
【0149】
実施例6
【0150】
材料
【0151】
6〜8週齢のFVB/NJマウスをJackson Laboratory,Bar Harbor,MEより入手した。ホタルルシフェラーゼ(FLuc)M
2RNAを実施例5に記載した。M
3RNAを実施例5に記載するように、Altogenのナノ粒子試薬によって調製した。
【0152】
方法
【0153】
mCherry及びFLuc M
3RNAを実施例5に記載するように調製し、投与した。送達のために、12μg mRNA又は滅菌注射による等量の食塩水のいずれかを送達した。マウスはマウスの後肢、腎臓、又は肝臓のいずれかに注射を受けた。眼注射の場合において、その目の前眼房内に5μgのmRNAのみ又は滅菌注射により等量の生理食塩水を送達した。全てのマウスをその後、D−ルシフェリンを基質として腹腔内に注射することによって多数回イメージ化し、そしてXenogen(IVIS)イメージングシステムによって評価した。
【0154】
結果を
図12A〜12Dに示し、M
3RNAを直接投与後異なる組織内でin vivoで持続発現しうることを示す。
【0155】
実施例7
【0156】
材料
【0157】
6〜8週齢のFVB/NJマウスをJackson Laboratory,Bar Harbor,MEより入手した。ルシフェラーゼ(FLuc)M
3RNAを実施例5に記載するように調製した。
【0158】
方法
【0159】
12μg/mRNA/マウスをエコーガイドでの心腔内注射を介して左心室の心筋に注射した。ルシフェラーゼ発現をXenogen(IVIS)イメージングシステムを用いてイメージ化した。発現したルシフェラーゼ量を投与後2時間、4時間、6時間、24時間、48時間、及び72時間で評価した。蛍光強度の定量化のためのデータを続けて図をTiff形式にインポートすることによって分析し、そしてImageJを用いて分析した。全体の図について平均蛍光強度を定量化し、プロットした。
【0160】
結果を
図13A〜13Bに示し、そしてM
3RNAが心腔内注射後in vivoにおいて持続的に発現しうることを示す。
【0161】
実施例8
【0162】
材料
【0163】
6〜8週齢のFVB/NJマウスをJackson Laboratory,Bar Harbor,MEより入手した。ルシフェラーゼ(FLuc)M
3RNAを実施例5に記載されるように調製した。
【0164】
方法
【0165】
麻酔下で、マウスの心臓を曝露し、12μg/mRNA/マウスのFLuc M
3RNAを左心室の心筋に注射した。動物を続いて示した時点でイメージ化又は免疫蛍光のために加工した。ルシフェラーゼ発現をXenogen(IVIS)イメージングシステムを用いてイメージ化した。
【0166】
結果を
図14A〜14Bに示し、そしてM
3RNAを心腔内注射後in vivoで持続的に発現しうることを示す。
【0167】
実施例9
【0168】
材料
【0169】
医薬品グレードの、high−G alginate(NOVAMATRIX,FMC Biopolymer AS,Sandvika,Norway)及びグルコン酸カルシウム(0.6%カルシウム濃度、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を商業的供給源より入手した。
【0170】
mCherry M
3RNAを実施例5に記載するように調製した。
【0171】
方法
【0172】
mCherry M
3RNAを冠動脈内の送達のためにアルギン酸と混合した。結果として生じるマクロカプセル化したアルギン酸溶液をM
4RNAと称する。この目的にのために、2%(重量)アルギン酸溶液を第一にRNaseフリー/DNaseフリー水で作製した。カルシウム架橋したアルギン酸溶液(1%アルギン酸)を続いて1mLの2%アルギン酸溶液と0.5mLのグルコン酸カルシウムと0.5mLの水とを混合することによって調製し、2mLの溶液にした。処置の時点で、500μLの(250μgのmRNAを含む)mCherry M
3RNAを2mLのアルギン酸カルシウム溶液に混合し、それぞれのブタに注射した。
【0173】
四頭の大人のヨークシャー豚は、左前下行枝の90分間のバルーン閉塞を用いて心筋梗塞を経験した。心腔内心エコー法(ICE)プローブをリアルタイムLVモニタリングのために右心房に設置した。AR−2様式の冠状動脈カテーテルを用いて、ブタの左主幹動脈にアクセスし、そしてオムニパークの点滴によって蛍光顕微鏡を介して可視化した。0.014”のbalanced middleweight coronary wireを、左前下行枝(LAD)の遠位部に進めた。血管造影の誘導画像を保存して利用することで、2.5〜3nmのバルーンを進め、LADの第二の斜めの血管にわたって配置した。そのバルーンを膨張させ、LADを90分間梗塞し、続いて再灌流した。虚血性障害をICE及び連続したEGCテレメトリーによって監視した。
【0174】
再灌流後、末梢灌流バルーンカテーテルをバルーンの位置で設置した。M
4RNAを5分間にわたりLADの二頭の豚に導入し、遺伝子送達の標的化にされる梗塞領域を3日目(72時間)に確認した。その時点で、心臓を収集し、冷却した通常の生理食塩水によって洗浄し、そしてProCUTサンプリングツールを用いて切片化した。mCherry発現量を調製した組織内で評価した。
【0175】
統計学的有意性を多重比較による一元配置分散分析又は二元配置分散分析を用いてGraphPad Prism 7によって決定した。0.05未満のP値を統計学的有意差として得た。
【0176】
結果を
図8B及び
図8Cに示し、1%のアルギン酸濃度を有するM
4RNAのアルギン酸に基づく送達が、送達後72時間までにブタの梗塞した心臓組織内のM
3RNAの標的化した発現をもたらすことを示す。
【0177】
実施例10
【0178】
材料
【0179】
医薬品グレードの、high−G alginate、グルコン酸カルシウム、mCherry M
3RNAを実施例9に全て記載する。
【0180】
方法
【0181】
M
3RNAを冠動脈内送達のためにアルギン酸と混合した。二つの異なるカルシウム架橋アルギン酸溶液を用いた:1.5%のアルギン酸濃度及び0.5%のアルギン酸濃度。0.5mLの(250μgのmRNAを含む)mCherry M
3RNAを実施例9に記載するように2mLのアルギン酸カルシウムと混合した。
【0182】
二頭の大人のヨークシャー豚は、左前下行枝の90分間のバルーン閉塞を用いて心筋梗塞を経験した。心腔内心エコー法(ICE)プローブをリアルタイムLVモニタリングのために右心房に設置した。AR−2様式の冠状動脈カテーテルを用いて、ブタの左主幹動脈にアクセスし、そしてオムニパークの点滴によって蛍光顕微鏡を介して可視化した。0.014”のbalanced middleweight coronary wireを、左前下行枝(LAD)の遠位部に進めた。血管造影の誘導画像を保存して利用することで、2.5〜3nmのバルーンを進め、LADの第二の斜めの血管にわたって配置した。そのバルーンを膨張させ、LADを90分間梗塞し、続いて再灌流した。虚血性障害をICE及び連続したEGCテレメトリーによって監視した。
【0183】
再灌流後、末梢灌流バルーンカテーテルをバルーンの位置で設置した。それぞれのブタに同じ用量のM
4RNAを有する異なるアルギン酸濃度を投与し、5分間にわたりLADのそれぞれのブタに導入した。遺伝子送達の標的化にされる梗塞領域を3日間(72時間)で確認した。その時点で、心臓を収集し、冷却した通常の生理食塩水によって洗浄し、そしてProCUTサンプリングツールを用いてスライスした。mCherry発現量を調製した組織内で評価した。
【0184】
統計学的有意性を多重比較による一元配置分散分析又は二元配置分散分析を用いてGraphPad Prism 7によって決定した。0.05未満のP値を統計学的有意差として得た。
【0185】
結果を
図15に示し、減少したアルギン酸濃度が生物製剤の送達を拡散させ、シグナルの欠失をもたらすことを示す。
【0186】
本明細書で引用される全ての特許、特許出願及び公開公報及び電子的に利用可能な資料(例えば、GenBank及びRefSeqのような塩基配列登録、SwissProt,PIR,PRF,PDBのようなアミノ酸配列登録、並びにGenBank及びRefSeqにおいて注釈されるコード領域からの翻訳を含む)はそれらの全体が参照によって取り込まれる。任意の矛盾が本出願の開示と本明細書に参照によって取り込まれる任意の資料の開示との間に存在する事象において、本出願の開示が適用される。本明細書の前述の記載及び実施例は理解の明確さのためのみに与えられている。そこから不必要な制限を理解する必要はない。本発明は示され、記載された正確な詳細に限られず、当業者に明らかな変化について、請求項によって定義される本発明に含まれるだろう。
【0187】
特に断りのない限り、成分、分子量、並びに明細書及び請求の範囲に用いられるその他の量を示す全ての数は「約」という用語によって全ての例において修飾されるように理解されることになる。従って、それとは反対に、特に断りのない限り、明細書及び特許請求の範囲において記述される数値的なパラメータは本発明によって得られることが求められる所望される特性に依存して変化しうる概算である。最低限及び請求の範囲と同等の原理に限定する試みとしてでなく、それぞれの数的パラメータが少なくとも、報告された有効数字に照らして、そして通常の丸め技術を適用することによって解釈されると考えられる。
【0188】
本発明の幅広い範囲の上記で設定した数的な範囲及びパラメータが概算であるにもかかわらず、特定の例における数的な値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、全ての数的な値は、本質的にそれらの対応の試験測定において見られる標準偏差に起因する必要な範囲を含む。
【0189】
全ての見出しは読者の便宜のためであり、特に断りのない限り、見出しに続く文章の意味を制限するために用いられるべきではない。