特表2021-524563(P2021-524563A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-524563(P2021-524563A)
(43)【公表日】2021年9月13日
(54)【発明の名称】すべり軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 17/02 20060101AFI20210816BHJP
   F16C 33/20 20060101ALI20210816BHJP
   F16C 23/04 20060101ALI20210816BHJP
【FI】
   F16C17/02 Z
   F16C33/20 Z
   F16C23/04 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2021-500937(P2021-500937)
(86)(22)【出願日】2019年6月27日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月11日
(86)【国際出願番号】EP2019067210
(87)【国際公開番号】WO2020011554
(87)【国際公開日】20200116
(31)【優先権主張番号】102018211620.2
(32)【優先日】2018年7月12日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517070958
【氏名又は名称】エス・ケイ・エフ マリーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】SKF Marine GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ・ハンマーシュミット
【テーマコード(参考)】
3J011
3J012
【Fターム(参考)】
3J011AA07
3J011BA02
3J011CA01
3J011DA01
3J011JA02
3J011KA02
3J011MA05
3J011PA03
3J011RA03
3J011SC01
3J012AB04
3J012AB12
3J012BB01
3J012CB10
3J012FB01
(57)【要約】
本発明はすべり軸受、特にシリンダ状のシャフトを支持するためのすべり軸受であって、長手中心軸線を有した実質的に中空円筒状の基体を含み、前記シャフトが前記基体の軸受ボア内に径方向クリアランスを伴って受け入れられるすべり軸受に関する。本発明により、少なくとも一つの小表面長手方向凹所が前記軸受ボアの荷重ゾーンの領域に配されており、かつ、該すべり軸受の摩耗を低減するために、少なくとも一つの前記長手方向凹所は、圧力下での流体を備えた外部流体供給によって作用され得る。このすべり軸受は摩耗が最大90%減少した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
すべり軸受(10)、特にシリンダ状のシャフト(12)を支持するためのすべり軸受であって、長手中心軸線(16)を有した実質的に中空円筒状の基体を含み、前記シャフト(12)が前記基体(14)の軸受ボア(20)内に径方向クリアランスを伴って受け入れられるすべり軸受において、小表面を有した少なくとも一つの長手方向凹所(32,70,72)が前記軸受ボア(20)の荷重ゾーン(30)の領域に配されており、かつ、該すべり軸受(10)の摩耗を低減するために、少なくとも一つの前記長手方向凹所(32)は、外部流体供給(40)により圧力(p)下にある流体(42)によって作用され得ることを特徴とする、すべり軸受(10)。
【請求項2】
前記少なくとも一つの長手方向凹所(32,70,72)が,少なくとも一つの流体チャネル(46)によって前記流体供給(40)に接続されている、請求項1に記載のすべり軸受(10)。
【請求項3】
前記少なくとも一つの長手方向凹所(32,70,72)の入口開口(48)の領域における前記流体(42)の圧力(p)は、前記流体供給(40)によって、該すべり軸受(10)に作用するすべり軸受負荷(F)が最大でも部分的に補償されるように設定される、請求項1または2に記載のすべり軸受(10)。
【請求項4】
前記少なくとも一つの長手方向凹所(32,70,72)が径方向内方に開いている、請求項1から3のいずれか一項に記載のすべり軸受(10)。
【請求項5】
前記少なくとも一つの長手方向凹所(32,70,72)が、細長く狭く、かつ略楕円の円周輪郭を有している、請求項4に記載のすべり軸受(10)。
【請求項6】
前記基体(14)の前記長手中心軸線(16)と,前記シャフト(12)の長手中心軸線(18)との間には径方向にオフセット(Rv)が存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載のすべり軸受(10)。
【請求項7】
前記基体(14)がプラスチック材料を使用して形成され、かつ前記シャフト(12)は金属材料を用いてなる、請求項1から6のいずれか一項に記載のすべり軸受(10)。
【請求項8】
前記流体(42)が低粘性の液体媒体,特に水である、請求項1から7のいずれか一項に記載のすべり軸受(10)。
【請求項9】
前記基体(12)が、特に金属材料を用いてなる軸受ハウジング(26)内に配置され、請求項1から8のいずれか一項に記載のすべり軸受(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はすべり軸受、特にシリンダ状のシャフトを支持するためのすべり軸受に関し、長手中心軸線を有した事実上中空円筒形の基体を含み、前記基体の軸受ボアに前記シャフトが、径方向クリアランスを伴って受け入れられるすべり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
この技術においては、水又は他の流体と共に作動する静水圧的あるいは流体力学的なすべり軸受が、保守維持の低さ,及び流体フィルムの展開による機械部品の事実上摩擦のない支持のために幅広く使用されている。
【0003】
特に船上及びポンプ構造において、シャフトの支持のためのゴムシャフト軸受が〔特許文献1〕から知られている。潤滑用及び洗浄用溝の数を最小にすべく、それらの溝の配置は、最大圧力のピークを形成するために必要な領域の外部に設定されている。該すべり軸受の軸受スリーブ内への潤滑剤又は洗浄剤の規定された供給は設けられていない。この既知のすべり軸受が起動中、摩耗が増加する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第285157号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、可能な限り摩耗が低減されるすべり軸受、それも、例えば水といった低粘性流体によって事実上非流体力学的に駆動できる方法で機能するすべり軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は請求項1の特徴を含んだすべり軸受によって達成される。その特徴は、少なくとも一つの長手方向凹所が軸受ボアの荷重ゾーンの領域内に設けられ、該すべり軸受の摩耗を低減するために、この少なくとも一つの長手方向凹所が、圧力下にある流体とともに外部流体供給によって作用され得るというものである。したがって、この発明による(ハイブリッド)すべり軸受は、静水圧的なすべり軸受の利点と、流体力学的なすべり軸受の利点とを併せ持つ。通常作動では、流体力学的かつ静水圧的なすべり軸受は摩耗せず、また低摩擦である。この発明によるすべり軸受は、たとえば水といった低粘性流体により作用されている場合であってもこれらの優位な特性を発揮し、かつ、実質的に流体力学的には機能しない。流体のための少なくとも一つの高圧ポンプの形態における高い構築費用、さもなくば従来の純粋な静水圧的すべり軸受に求められる高額な構築費用、は低減することができる。何故なら、必要となるのは1基のみの中程度の圧力のポンプだからである。本発明によるすべり軸受では、前記水の挙動も,支持されるシャフトと、該すべり軸受の基体の軸受ボアとの間の相対速度から独立している。海洋利用では、0.6MPa迄のすべり軸受荷重又は表面荷重が実現され、これはオイル潤滑の最大達成可能耐荷重能力のオーダーに移動する。最終的な分析では、オイル潤滑によって、僅かだけ高い最大0.8MPaのすべり軸受荷重を支持可能である。ここで、前記荷重ゾーンにおける前記長手方向凹所の表面は、好ましく該荷重ゾーンの50%未満に対応しており、より好ましくは荷重ゾーンの30%未満,あるいは全内面の10%未満に対応している。さらに、小表面の前記長手方向凹所の長さと幅の比率は少なくとも10:1とされている。よって、前記長手方向凹所は前記軸受ボアの全内面に対して小表面である。
【0007】
前記少なくとも一つの長手方向凹所は、好ましくは、少なくとも一つの流体チャネルによって前記流体供給に接続されている。従って流体は前記少なくとも一つの長手方向凹所に直接供給し得る。
【0008】
技術的に優れたある構成では、前記少なくとも一つの長手方向凹所の入口開口の領域における前記流体の圧力は、前記流体供給によって、該すべり軸受に作用するすべり軸受荷重が最大部分的に補償されるように設定される。したがって、このすべり軸受は、静水圧的すべり軸受と流体力学的すべり軸受との中間的な混合携帯を呈する。前記入口開口の領域における圧力は、好ましくは、該すべり軸受荷重が約40%補償されるよう寸法規定される。これにより、摩耗は約90%減少する。
【0009】
前記少なくとも一つの長手方向凹所は好ましくは径方向内側に開いている。これにより、少なくとも一つの長手方向凹所内の流体の規定された圧力を確立することが可能である。この目的を達成するために、前記少なくとも一つの長手方向凹所は、少なくとも両側で軸方向に閉じられて具現化されている。
【0010】
1つの有利なさらなる形態においては、少なくとも一つの長手方向凹所は、細長く狭いかつほぼ楕円形の円周方向輪郭を含む。したがって、大表面の静水圧潤滑ポケットとは対照的に、少なくとも一つの長手方向凹所は、狭くて細長い形状を有する。この狭い形状は、流体力学的効果をできるだけ妨害しないよう、軸方向に延びている。加えて、それにより、前記少なくとも一つの長手方向凹所は、例えば,従来の機械加工方法、特にフライス加工によって単純に形成することが可能である。
【0011】
好ましくは、基体の長手中心軸線とシャフトの長手中心軸線との間には径方向にオフセットが存在する。基体内部に十分大きい径方法クリアランスが与えられる。
【0012】
有利な一形態では、基体はプラスチック材料を用いて形成され、かつシャフトは金属材料を用いて形成されている。その結果、直接的な、流体のない機械的接触(「ドライラン」)の場合におけるシャフトと軸受ボアとの間の摩耗(いわゆる「フレッチング」)の増加が回避される。プラスチック材料としては熱可塑性ポリウレタンが特に適している。加えて、さまざまなプラスチックを使用した広範な実際の実験により、プラスチックの選択が決定的な重要性を持っていることが示されている。したがって、摩耗低減の望ましい効果は、軸受材料として特に適切なプラスチックの使用によってのみ達成され得る。
【0013】
技術的に有利はさらなる構成では、前記流体は低粘性を有した液体媒体であって、特には水である。これにより、本発明によるすべり軸受は、海洋用途、好ましくは造船において問題のない使用が可能である。
【0014】
さらなる一形態においては、前記基体は、特に金属材料を使用して形成された軸受ハウジング内に配置されている。したがって、シャフトが該すべり軸受によって支持されるべき所定の機械部品において、該すべり軸受の構造的により単純な統合が保証される。
【0015】
以下、本発明の好ましい例示的な実施形態を,概略的な図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のすべり軸受の長手断面を示す図である。
図2図1のすべり軸受の基体の部分概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明のすべり軸受の長手断面を示している。シリンダ状のシャフト12を回転可能に支持するためのすべり軸受10は、長手中心軸線16を有する本質的に中空の円筒形の基体14を含む。シャフト12が静止しているとき、半径方向オフセットRvが2つの長手方向中心軸16,18の間に存在し、そのためシャフト12は、径方向クリアランスを有して、あるいは偏心して、すべり軸受10の基体14の軸受ボア20内に回転可能に横たわる。結果として、シャフト12が回転していなければ、シャフト12と円筒形の軸受ボア内面22との間には、重力方向ベクトルgに対して上向きに横たわる三日月形の径方向間隙24が存在する。ここで、すべり軸受10の中空円筒形の基体14は、単なる例として、例えばピローブロック軸受ハウジングなどであり得る中実軸受ハウジング26に受け入れられる。象徴的に図示されたすべり軸受荷重Fは、すべり軸受10に,いわゆる表面荷重として作用する。すべり軸受10は、好ましくは大径のシャフト12のために設けられる。
【0018】
少なくとも一つの本発明による小表面長手方向凹所32が,機械的(主)荷重ゾーン30又は流体的引上げゾーンに設けられており、シャフト12は,少なくとも領域的に内部ボア20に置かれている。外部流体供給40を用いて、前記少なくとも一つの長手方向凹所32は、該すべり軸受10を潤滑するための、圧力p下にある流体42によって作用され得る。少なくとも一つの長手方向凹所32は,流体42を、該すべり軸受10の少なくとも下部(主)荷重ゾーン30の領域に分配する。
【0019】
少なくとも一つの長手方向凹所32は、圧力が確立されるように、径方向内側に開き、かつ軸方向の両側は閉じている。前記少なくとも一つの長手方向凹所32は、例えば、略溝状で、本質的に僅かに楕円形又は略矩形の外周形状50を有することができる。シャフト12が回転し、かつ前記少なくとも一つの長手方向凹所32に外部流体供給40によって加圧された流体42を送り込むことによって、接触領域30は最適に潤滑及び冷却される。
【0020】
流体42は低粘性のものでよく、よって、例えば水を用いることも可能である。シャフト12が静止し、かつ流体42が存在しない状態では、荷重ゾーン30は本質的に、円筒状にカーブした当接面44、又は、シャフト12と軸受ボア内面20との間の接触ゾーンと一致する。流体42は、流体供給42内に到るまでは実質的に加圧されていない。
【0021】
少なくとも一つの長手方向凹所32は、管状の流体チャンネル46によって流体供給40に流体的に接続されている。流体チャネル46は、基体14に、好ましくはすべり軸受荷重Fに対向して位置している。少なくとも一つの長手方向凹所32に入る入口開口48の領域において、流体42の圧力pは外部流体供給によって、すべり軸受荷重Fまたはシャフト12もしくはすべり軸受10に作用する表面荷重が最大でも部分的に補償されるように設定される。ここで、すべり軸受荷重Fは、主に、軸受ボア20内の荷重ゾーン30の領域において作用する。特に、圧力pは、入口開口48の領域において、すべり軸受荷重Fが約40%補償されかつ軸受摩耗が最大90%減少するように、外部流体供給40によって設定される。結果として、圧力pのレベルは、すべり軸受10の流体力学的供給と静水圧流体供給のレベルとの間のレベルにある。
【0022】
少なくとも一つの小表面の長手方向凹所32内の流体42、及び長手方向凹所32に近接してある流体42の圧力pにより、すべり軸受荷重Fは最大でも部分的に補償される。その結果、すべり軸受10の基体14の軸受ボア20及びシャフト12の形をとる関連するすべり部品間の摩耗挙動が変化し大幅な摩耗低減がもたらされる。
【0023】
荷重ゾーン30の領域の少なくとも一つの長手方向凹所32は、すべり軸受10の基体14の軸受ボア20内の機械的なすべり軸受荷重Fに対し、本質的に空間的に対向して位置している。
【0024】
また、少なくとも一つの長手方向凹所32は、基体14の軸方向の全長Lを超えて延びることはない。むしろ、基底小体14の第1及び第2の軸方向端部60,62にある第1及び第2の環状ランド56,58には、少なくとも一つの長手方向凹所32は到っていない。
【0025】
すべり軸受10の中空円筒形基体14は、好ましくは、可能な限り低摩擦であり,かつ中程度の耐性であるが十分に機械的負荷を掛けることの可能な適切なプラスチック材料によって形成されている。一方、すべり軸受10のシャフト12及び軸受ハウジング26は、金属材料を使用して製造されることが好ましい。
【0026】
図2は、図1に示したすべり軸受の概略部分斜視図である。
【0027】
すべり軸受10の基体14は、軸方向長さLを有する本質的に中空の円筒形を有する。楕円形の円周輪郭50(ここでは単に長方形又はわずかに楕円形である)を有する長手方向凹所32は、基体14の軸受ボア20の内面22に凹所として形成されている。好ましくは、長手方向凹所32は、軸受ボア20に、携わるすべり軸受荷重Fに対向して配置されている。
【0028】
図示しないシャフトの下方の流体のより大きな分布のために、すべり軸受10の(主)荷重ゾーン30に、前記長手方向凹所32と僅かに間隔を空けて、ここでは例示として2つとされたさらなる小表面長手方向凹所70,72が、両側に平行にかつ均一に延在している。これらの長手方向凹所70,72の構成は,好ましくは前記中央の長手方向凹所32と同一である。3つの長手方向凹所32,70,72は、好ましくは、軸受ボア内面22の、最大120°の比較的小さい円周角にわたって延びている。3つの長手方向凹所32,70,72が配置された軸受ボア内面22のこの円周角の領域において、これら長手方向凹所は、軸受ボア内面22の表面の最大で半分、好ましくは30%未満の表面を占める。したがって、全軸受ボア内面22の10%未満である。
【0029】
基体14の軸受ボア20内の長手方向凹所32,70,72の数、空間形状、軸方向長さ、及び/又は、円周側位置は、すべり軸受10の対象用途のそれぞれの要求応じて、単に例としてここに示した位置とは適宜異なっていてもよい。
【0030】
本発明は、特に、長手中心軸線を有する本質的に中空の円筒形基体を含むシリンダ状のシャフトを支持するためのすべり軸受に関する。ここで、シャフトは、基体の軸受ボア内に径方向クリアランスを有して受け入れられる。本発明によれば、軸受ボアの荷重ゾーンの領域に少なくとも一つの小表面長手方向凹所が配置され、すべり軸受の摩耗低減のために、外部流体供給によって、圧力下の流体が少なくとも一つの長手方向凹所に作用することができる。すべり軸受の摩耗が最大90%減少した。
【符号の説明】
【0031】
10 すべり軸受
12 シリンダ状シャフト
14 中空円筒形基体
16 長手中心軸線(基体)
18 長手中心軸線(シャフト)
20 軸受ボア
22 軸受ボア内面
24 径方向間隙
26 軸受ハウジング
30 荷重ゾーン
32 小表面長方向軸線
40 外部流体供給
42 流体
44 下部当接面
46 流体チャネル
50 円周方向輪郭
56 第1環状ランド
58 第2環状ランド
60 第1軸方向端部
62 第2軸方向端部
70 小表面長手方向凹所
72 小表面長手方向凹所
F すべり軸受荷重
g 重力
L 軸方向長さ
p 圧力
Rv 径方向オフセット
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2021年3月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
すべり軸受(10)、特にシリンダ状のシャフト(12)を支持するためのすべり軸受であって、長手中心軸線(16)を有した実質的に中空円筒状の基体を含み、前記シャフト(12)が前記基体(14)の軸受ボア(20)内に径方向クリアランスを伴って受け入れられるすべり軸受において、小表面を有した少なくとも一つの長手方向凹所(32,70,72)が前記軸受ボア(20)の荷重ゾーン(30)の領域に配されており、かつ、該すべり軸受(10)の摩耗を低減するために、少なくとも一つの前記長手方向凹所(32)は、外部流体供給(40)により圧力(p)下にある流体(42)によって作用され得、前記少なくとも一つの長手方向凹所(32,70,72)は、径方向内方に開いているとともに、細長く狭く、かつ略楕円の円周輪郭(50)を有しており、かつ、前記少なくとも一つの長手方向凹所(32,70,72)の入口開口(48)の領域における前記流体(42)の圧力(p)は、前記流体供給(40)を用いて、該すべり軸受(10)に作用するすべり軸受荷重(F)が実質的な非流体力学状態において最大40%補償されるよう設定されることを特徴とする、すべり軸受(10)。
【請求項2】
前記少なくとも一つの長手方向凹所(32,70,72)が,少なくとも一つの流体チャネル(46)によって前記流体供給(40)に接続されている、請求項1に記載のすべり軸受(10)。
【請求項3】
前記基体(14)の前記長手中心軸線(16)と,前記シャフト(12)の長手中心軸線(18)との間には径方向にオフセット(Rv)が存在する、請求項1または2に記載のすべり軸受(10)。
【請求項4】
前記基体(14)がプラスチック材料を使用して形成され、かつ前記シャフト(12)は金属材料を用いてなる、請求項1からのいずれか一項に記載のすべり軸受(10)。
【請求項5】
前記流体(42)が低粘性の液体媒体,特に水である、請求項1からのいずれか一項に記載のすべり軸受(10)。
【請求項6】
前記基体(12)が、特に金属材料を用いてなる軸受ハウジング(26)内に配置され、請求項1からのいずれか一項に記載のすべり軸受(10)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
特に船上及びポンプ構造において、シャフトの支持のためのゴムシャフト軸受が〔特許文献1〕から知られている。潤滑用及び洗浄用溝の数を最小にすべく、それらの溝の配置は、最大圧力のピークを形成するために必要な領域の外部に設定されている。該すべり軸受の軸受スリーブ内への潤滑剤又は洗浄剤の規定された供給は設けられていない。この既知のすべり軸受が起動中、摩耗が増加する可能性がある。さらなる先行技術が、〔特許文献2〕、〔特許文献3〕、〔特許文献4〕、〔特許文献5〕、〔特許文献6〕、及び〔特許文献7〕に開示されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
【特許文献1】独国特許第285157号公開公報
【特許文献2】特許公開第2012−062872号公報
【特許文献3】国際特許公開第2010/1031000号公報
【特許文献4】独国特許公開第244320号公報
【特許文献5】英国特許公開第1161895号公報
【特許文献6】米国特許第2006/165326号公報
【特許文献7】独国特許第331734号公報
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
記少なくとも一つの長手方向凹所の入口開口の領域における前記流体の圧力は、前記流体供給によって、該すべり軸受に作用するすべり軸受荷重が最大部分的に補償されるように設定される。したがって、このすべり軸受は、静水圧的すべり軸受と流体力学的すべり軸受との中間的な混合携帯を呈する。前記入口開口の領域における圧力は、該すべり軸受荷重が約40%補償されるよう寸法規定される。これにより、摩耗は約90%減少する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
前記少なくとも一つの長手方向凹所は径方向内側に開いている。これにより、少なくとも一つの長手方向凹所内の流体の規定された圧力を確立することが可能である。この目的を達成するために、前記少なくとも一つの長手方向凹所は、少なくとも両側で軸方向に閉じられて具現化されている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
なくとも一つの長手方向凹所は、細長く狭いかつほぼ楕円形の円周方向輪郭を含む。したがって、大表面の静水圧潤滑ポケットとは対照的に、少なくとも一つの長手方向凹所は、狭くて細長い形状を有する。この狭い形状は、流体力学的効果をできるだけ妨害しないよう、軸方向に延びている。加えて、それにより、前記少なくとも一つの長手方向凹所は、例えば、従来の機械加工方法、特にフライス加工によって単純に形成することが可能である。
【国際調査報告】