特表2021-524840(P2021-524840A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-524840高分子薬剤化合物の持続放出用の埋め込み型デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-524840(P2021-524840A)
(43)【公表日】2021年9月16日
(54)【発明の名称】高分子薬剤化合物の持続放出用の埋め込み型デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/00 20060101AFI20210820BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 38/36 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 38/43 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 38/48 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20210820BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20210820BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20210820BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20210820BHJP
【FI】
   A61K9/00
   A61K47/32
   A61K38/02
   A61K38/20
   A61K38/21
   A61K38/36
   A61K38/43
   A61K38/48
   A61K47/34
   A61K47/36
   A61K47/38
   A61K47/42
   A61K48/00
   A61K39/00 H
   A61K39/395 D
   A61K39/395 N
   A61K31/7088
   A61P17/00
   A61K9/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2020-563662(P2020-563662)
(86)(22)【出願日】2019年5月20日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月5日
(86)【国際出願番号】US2019033063
(87)【国際公開番号】WO2019226519
(87)【国際公開日】20191128
(31)【優先権主張番号】62/675,994
(32)【優先日】2018年5月24日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520433115
【氏名又は名称】セラニーズ・イーブイエイ・パフォーマンス・ポリマーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196243
【弁理士】
【氏名又は名称】運 敬太
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,クリスチャン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA42
4C076AA95
4C076BB32
4C076CC18
4C076EE06
4C076EE16
4C076EE22
4C076EE23
4C076EE24
4C076EE27
4C076EE30
4C076EE32
4C076EE36
4C076EE37
4C076EE41
4C076EE42
4C076EE43
4C076FF31
4C084AA03
4C084AA13
4C084BA44
4C084DA12
4C084DA21
4C084DC01
4C084DC02
4C084MA34
4C084MA67
4C084NA12
4C084NA13
4C084ZA89
4C085AA03
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085GG10
4C086AA01
4C086AA10
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA34
4C086MA67
4C086NA12
4C086NA13
4C086ZA89
(57)【要約】
高分子薬剤化合物の送達用の埋め込み型デバイスが提供される。デバイスは外表面を有するコアと、コアの外表面に隣接して配置された膜層とを含む。コアは、約0.5kDa以上の分子量を有する薬剤化合物が中に分散されているコアポリマーマトリックスを含み、このポリマーマトリックスは疎水性ポリマーを含有する。更に、膜層は、高分子薬剤化合物が中に任意選択で分散されている膜ポリマーマトリックスを含む。膜ポリマーマトリックスは疎水性ポリマーを親水性化合物と組み合わせて含有し、膜ポリマーマトリックス内の疎水性ポリマーの親水性化合物に対する重量比は、約0.25〜約200の範囲である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子薬剤化合物の送達用の埋め込み型デバイスであって、
外表面を有するコアであって、約0.5kDa以上の分子量を有する薬剤化合物が中に分散されているコアポリマーマトリックスを含み、前記ポリマーマトリックスが疎水性ポリマーを含有する、前記コア;および、
前記コアの外表面に隣接して配置された膜層であって、前記高分子薬剤化合物が中に任意選択で分散されている膜ポリマーマトリックスを含み、前記膜ポリマーマトリックスが疎水性ポリマーを親水性化合物と組み合わせて含有し、前記膜ポリマーマトリックス内の前記疎水性ポリマーの前記親水性化合物に対する重量比が、約0.25〜約200の範囲である、前記膜層;
を含む、前記埋め込み型デバイス。
【請求項2】
前記デバイスが概して円形の断面形状を有する、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項3】
前記デバイスが約0.5〜約50ミリメートルの直径を有する、請求項2に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項4】
前記デバイスが円筒の形態である、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項5】
前記デバイスが円盤の形態である、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項6】
前記高分子薬剤化合物が、前記コアの約5wt%〜約60wt%を構成し、前記コアポリマーマトリックスが、前記コアの約40wt%〜約95wt%を構成する、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項7】
前記デバイスが、前記高分子薬剤化合物を約5日間以上にわたって放出することができる、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項8】
15日後に、前記デバイスが約20%〜約70%の前記高分子薬剤化合物の累積放出率を示す、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項9】
30日後に、前記デバイスが約40%〜約85%の前記高分子薬剤化合物の累積放出率を示す、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項10】
前記コアポリマーマトリックス、前記膜ポリマーマトリックス、または両方における前記疎水性ポリマーが、半結晶性オレフィンコポリマーを含む、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項11】
前記半結晶性コポリマーが、少なくとも1つのオレフィンモノマーおよび少なくとも1つの極性モノマーに由来する、請求項10に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項12】
前記オレフィンモノマーがエチレンを含む、請求項11に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項13】
前記極性モノマーが、酢酸ビニル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、またはこれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項14】
前記極性モノマーが、前記コポリマーの約10wt%〜約45wt%を構成する、請求項11に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項15】
前記オレフィンコポリマーが、ASTM D3418−15に従って決定すると、約40℃〜約140℃の溶融温度を有する、請求項10に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項16】
前記オレフィンコポリマーがエチレン酢酸ビニルコポリマーを含む、請求項10に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項17】
前記コアポリマーマトリックス、前記膜ポリマーマトリックス、または両方における前記疎水性ポリマーが、190℃の温度および2.16キログラムの荷重でASTM D1238−13に従って決定すると、10分あたり約0.2〜約100グラムのメルトフローインデックスを有する、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項18】
前記コアポリマーマトリックスが、全体的に前記疎水性ポリマーから形成される、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項19】
前記高分子薬剤化合物が、タンパク質、ペプチド、酵素、抗体、インターフェロン、インターロイキン、血液因子、ワクチン、ヌクレオチド、脂質、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項20】
前記膜ポリマーマトリックスが、前記膜層の約30wt%〜100wt%を構成する、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項21】
前記膜層が前記高分子薬剤化合物を含まない、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項22】
前記高分子薬剤化合物が、前記膜層の約1wt%〜約40wt%を構成する、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項23】
前記コア中の高分子薬剤化合物の濃度の、前記膜層中の高分子薬剤化合物の濃度に対する比が、約1.5以上である、請求項22に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項24】
前記コア中の疎水性ポリマーのメルトフローインデックスの、前記膜層中の疎水性ポリマーのメルトフローインデックスに対する比が、190℃の温度および2.16キログラムの荷重でASTM D1238−13に従って決定すると、約1〜約20である、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項25】
前記親水性化合物が親水性ポリマーである、請求項20に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項26】
前記親水性ポリマーが、前記膜ポリマーマトリックスの約1wt%〜約50wt%を構成し、前記疎水性ポリマーが、前記膜ポリマーマトリックスの約50wt%〜約99wt%を構成する、請求項25に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項27】
前記親水性ポリマーが、アルギン酸ナトリウム、カリウムもしくはカルシウム、カルボキシメチルセルロース、寒天、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、コラーゲン、ペクチン、キチン、キトサン、ポリ−1−カプロラクトン、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルピロリドン−コ−酢酸ビニル)、多糖、親水性ポリウレタン、ポリヒドロキシアクリレート、デキストラン、キサンタン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、タンパク質、エチレンビニルアルコールコポリマー、水溶性ポリシラン、水溶性シリコーン、水溶性ポリウレタン、またはこれらの組み合わせを含む、請求項25に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項28】
前記コア、前記膜層、または両方が、造影剤を含有する、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項29】
前記コアが、前記膜層が周囲に配置されている外側周囲表面を画定する、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項30】
前記コアが、上部外表面および下部外表面を画定し、前記膜層が前記上部外表面に隣接して配置されている、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項31】
前記下部外表面に隣接して配置された第2の膜層を更に含む、請求項30に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項32】
前記第2の膜層が、前記高分子薬剤化合物が中に任意選択で分散されている第2の膜ポリマーマトリックスを含み、前記第2の膜ポリマーマトリックスが疎水性ポリマーを親水性化合物と組み合わせて含有し、前記第2の膜ポリマーマトリックス内の前記疎水性ポリマーの前記親水性化合物に対する重量比が、約0.25〜約200の範囲である、請求項31に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項33】
前記第2の膜層が前記薬剤化合物を含まない、請求項31に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項34】
前記コア、前記膜層、または両方が、ホットメルト押出法により形成される、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項35】
患者の状態、疾患および/または美容状態を抑制および/または治療する方法であって、請求項1に記載のデバイスを患者の皮下に埋め込むステップを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願
[0001]本出願は、米国特許出願第62/675,994号(2018年5月24日出願)の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]生物学的な高分子薬剤化合物(macromolecule drug compound)は、典型的には、非共有結合力により一緒に保持された三次元構造を形成する、1つ以上のオリゴマーまたはポリマー鎖から構成される。これらの薬剤化合物は多数の治療利益を有する潜在性があるが、これらの化合物を持続的な期間にわたって制御的に送達することは、伝統的に困難であった。例えば、多くの埋め込み型送達デバイスは、薬剤化合物をマトリックスポリマーの中に可溶化することによって形成される。これらの可溶化薬剤分子は、埋入片(implant)を通して拡散し、患者の内部に放出されうる。しかし、残念なことに、薬剤溶出は、薬剤分子の拡散係数に高く依存しており、次に拡散係数は、薬剤分子の分子量に反比例している。このように、高分子薬剤化合物は、大きな分子量に起因して低い拡散係数を有する傾向がある。更に、そのような化合物は、多くの場合に鎖長絡み合いを有し、このことは有効な拡散係数を更にいっそう低下しうる。これらの困難さを考慮すると、高分子化合物を有効な量で持続的な期間にわたって送達することができる埋め込み型送達デバイスの存在が、継続的に必要である。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本発明の1つの実施形態によると、高分子薬剤化合物を送達する埋め込み型デバイスが開示される。デバイスは外表面を有するコアと、コアの外表面に隣接して配置された膜層とを含む。コアは、約0.5kDa以上の分子量を有する薬剤化合物が中に分散されているコアポリマーマトリックスを含み、このポリマーマトリックスは疎水性ポリマーを含有する。更に、膜層は高分子薬剤化合物が任意選択で中に分散されている膜ポリマーマトリックスを含み、この膜ポリマーマトリックスは疎水性ポリマーを親水性化合物と組み合わせて含有する。膜ポリマーマトリックス内の疎水性ポリマーの親水性化合物に対する重量比は、約0.25〜約200の範囲である。
【0004】
[0004]本発明の他の特徴および態様は、下記により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
[0005]当業者を対象とする、最適な様式を含む本発明の完全および可能な開示は、添付の図面を参照しながら、本明細書の残りの部分に、より特定的に記載される。
【0006】
図1】[0006]本発明の埋め込み型デバイスの1つの実施形態の斜視図である。
図2】[0007]図1の埋め込み型デバイスの断面図である。
図3】[0008]本発明の埋め込み型デバイスの別の実施形態の斜視図である。
図4】[0009]図3の埋め込み型デバイスの断面図である。
図5】[0010]実施例1〜4の放出時間(時間)に対するブロメラインの累積放出率を示すグラフである。
図6】[0011]実施例1〜4の放出時間(時間)に対するブロメラインの放出速度(μg/時間)を示すグラフである。
図7】[0012]実施例5〜7の放出時間(時間)に対するブロメラインの累積放出率を示すグラフである。
図8】[0013]実施例5〜7の放出時間(時間)に対するブロメラインの放出速度(μg/時間)を示すグラフである。
図9】[0014]実施例8〜13の放出時間(時間)に対するブロメラインの累積放出率を示すグラフである。
図10】[0015]実施例8〜13の放出時間(時間)に対するブロメラインの放出速度(μg/時間)を示すグラフである。
図11】[0016]実施例14〜18の放出時間(時間)に対するブロメラインの累積放出率を示すグラフである。
図12】[0017]実施例14〜18の放出時間(時間)に対するブロメラインの放出速度(μg/時間)を示すグラフである。
図13】[0018]実施例19〜20の放出時間(時間)に対するブロメラインの累積放出率を示すグラフである。
図14】[0019]実施例19〜20の放出時間(時間)に対するブロメラインの放出速度(μg/時間)を示すグラフである。
図15】[0020]実施例21〜23の放出時間(時間)に対するブロメラインの累積放出率を示すグラフである。
図16】[0021]実施例21〜23の放出時間(時間)に対するブロメラインの放出速度(μg/時間)を示すグラフである。
図17】[0022]実施例24〜27の放出時間(時間)に対するコラーゲンの累積放出率を示すグラフである。
図18】[0023]実施例24〜27の放出時間(時間)に対するコラーゲンの放出速度(μg/時間)を示すグラフである。
図19】[0024]実施例28〜30の放出時間(時間)に対するブロメラインの累積放出率を示すグラフである。
図20】[0025]実施例28〜30の放出時間(時間)に対するブロメラインの放出速度(μg/時間)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0026]本明細書および図において繰り返し使用される参照符合は、本発明の同じまたは類似の特徴または要素を表すことが意図される。
【0008】
[0027]本考察は例示的な実施形態のみを記載しており、本発明のより広い態様を制限することを意図しないことが、当業者に理解されるべきである。
【0009】
[0028]一般的に言えば、本発明は、患者(例えば、ヒト、愛玩動物、家畜、競走馬など)の状態、疾患および/または美容状態を抑制および/または治療するために高分子薬剤化合物を送達することができる、埋め込み型デバイスを対象とする。埋め込み型デバイスは、様々な異なる幾何学的形状、例えば、円筒形(ロッド)、円盤形、リング、ドーナッツ形、らせん形、楕円形、三角形、卵形などを有することができる。1つの実施形態において、例えば、デバイスは全体の構造が円筒(ロッド)または円盤の形態になるように、概して円形の断面形状を有していてもよい。そのような実施形態において、デバイスは、典型的には、約0.5〜約50ミリメートル、いくつかの実施形態では約1〜約40ミリメートル、いくつかの実施形態では約5〜約30ミリメートルの直径を有する。デバイスの長さは変動しうるが、典型的には、約1〜約25ミリメートルの範囲である。円筒形デバイスは、例えば、約5〜約50ミリメートルの長さを有していてもよく、一方、円盤形状のデバイスは、約0.5〜約5ミリメートルの長さを有していてもよい。
【0010】
[0029]特定の形状またはサイズにかかわりなく、デバイスは、コアの外表面に隣接して配置された少なくとも1つの膜層を含有するという点において多層である。コアは、疎水性ポリマーを含むコアポリマーマトリックスおよびこのコアポリマーマトリックス内に分散された高分子薬剤化合物を含有する。典型的には、高分子薬剤化合物は、コアの約5wt%〜約60wt%、いくつかの実施形態では約10wt%〜約50wt%、いくつかの実施形態では約15wt%〜約45wt%を構成し、一方、コアポリマーマトリックスは、コアの約40wt%〜約95wt%、いくつかの実施形態では約50wt%〜約90wt%、いくつかの実施形態では約55wt%〜約85wt%を構成する。膜層は、薬剤化合物が任意選択で中に分散されうる膜ポリマーマトリックスも含有する。膜ポリマーマトリックスは、疎水性ポリマーと、水に可溶性および/または膨張性である親水性化合物(例えば、親水性ポリマー)との組み合わせを含有する。高分子薬剤化合物の望ましい放出の達成を助けるため、膜ポリマーマトリックス内の疎水性ポリマーの親水性化合物に対する重量比は選択的に制御され、例えば、約0.25〜約200、いくつかの実施形態では約0.4〜約80、いくつかの実施形態では約0.8〜約20、いくつかの実施形態では約1〜約16、いくつかの実施形態では約1.2〜約10の範囲内である。
【0011】
[0030]上記に示された特定の性質のコアおよび膜層におよぶ、ならびに、それらが形成される方法におよぶ選択的制御によって、本発明者たちは、得られたデバイスが高分子薬剤化合物の長期間にわたる持続放出に有効でありうることを発見した。例えば、埋め込み型デバイスは、約5日間以上、いくつかの実施形態では約10日間以上、いくつかの実施形態では約20日間〜約60日間、いくつかの実施形態では約25日間〜約50日間(例えば、約30日間)にわたって、薬剤化合物を放出することができる。更に、本発明者たちは、薬剤化合物を放出時間にわたって制御的な方法(例えば、ゼロ次またはほぼゼロ次)で放出できることも発見した。例えば15日後に、埋め込み型デバイスの累積放出率は、約20%〜約70%、いくつかの実施形態では約30%〜約65%、いくつかの実施形態では約40%〜約60%でありうる。同様に、30日後に、埋め込み型デバイスの累積放出率は、依然として、約40%〜約85%、いくつかの実施形態では約50%〜約80%、いくつかの実施形態では約60%〜約80%でありうる。「累積放出率」は、特定の時間間隔で放出された薬剤化合物の量を、初めに存在した薬剤化合物の総量で割り、次いでこの数値に100を掛けることによって決定することができる。
【0012】
[0031]当然のことながら、送達される薬剤化合物の実際の投与量レベルは、用いられる特定の薬剤化合物およびその放出が意図される期間に応じて変わる。投与量レベルは、望ましい治療結果をもたらす薬剤化合物の治療的に有効量を提供するため、すなわち、薬剤化合物が投与される状態の症状を低減または緩和させるのに有効なレベルまたは量を提供するために、一般に十分に高いものである。必要とされる正確な量は、数ある要因の中で、治療される対象、高分子薬剤化合物が送達される対象の年齢および一般的な状態、対象の免疫系の能力、望ましい効果の程度、治療される状態の重症度、選択される特定の高分子薬剤化合物、ならびに組成物の投与様式に応じて変わる。適切な有効量は、当業者によって容易に決定することができる。例えば、有効量は、典型的には、約5μg〜約200mg、いくつかの実施形態では1日あたり約5μg〜約100mg、いくつかの実施形態では、1日あたり送達される高分子薬剤化合物の約10μg〜約1mgの範囲である。
【0013】
[0032]ここで本発明の様々な実施形態をより詳細に記載する。
【0014】
I.コア
[0033]上記に示されたように、コアポリマーマトリックスは、哺乳動物の身体などの水性環境に設置された場合にある特定の期間にわたって構造整合性を保持できるように、および使用前に長期間にわたって保存するのに十分に安定でありうるように、一般に本質的に疎水性である少なくとも1つのポリマーを含有する。この目的に適切な疎水性ポリマーの例には、例えば、シリコーンポリマー、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスルホン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、ポリウレタン、シリコーンポリエーテル−ウレタン、ポリカーボネート−ウレタン、シリコーンポリカーボネート−ウレタンなど、ならびにこれらの組み合わせが含まれてもよい。当然のことながら、疎水性ポリマーでコートされている、そうでなければカプセル化されている親水性ポリマーも、コアポリマーマトリックスにおける使用に適している。典型的には、疎水性ポリマーのメルトフローインデックスは、190℃の温度および2.16キログラムの荷重でASTM D1238−13に従って決定すると、約0.2〜約100g/10分、いくつかの実施形態では約5〜約90g/10分、いくつかの実施形態では約10〜約80g/10分、いくつかの実施形態では約30〜約70g/10分の範囲である。
【0015】
[0034]ある特定の実施形態において、コアポリマーマトリックスは、半結晶オレフィンコポリマーを含有してもよい。そのようなオレフィンコポリマーの溶融温度は、ASTM D3418−15に従って決定すると、例えば、約40℃〜約140℃、いくつかの実施形態では約50℃〜約125℃、いくつかの実施形態では約60℃〜約120℃の範囲でありうる。そのようなコポリマーは、一般に、少なくとも1つのオレフィンモノマー(例えば、エチレン、プロピレンなど)、ならびにポリマー主鎖にグラフトされている、および/またはポリマーの構成成分として組み込まれている(例えば、ブロックもしくはランダムコポリマー)少なくとも1つの極性ポリマーに由来する。適した極性モノマーには、例えば、酢酸ビニル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸など)、(メタ)アクリレート(例えば、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなど)等々が含まれる。多種多様なそのようなコポリマーは、一般にポリマー組成物において用いられることができ、例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン(メタ)アクリル酸ポリマー(例えば、エチレンアクリル酸コポリマーおよびこれらのコポリマーの部分中和イオノマー、エチレンメタクリル酸コポリマーおよびこれらのコポリマーの部分中和イオノマーなど)、エチレン(メタ)アクリレートポリマー(例えば、エチレンメタクリレートコポリマー、エチレンアクリル酸エチルコポリマー、エチレンアクリル酸ブチルコポリマーなど)等々である。選択される特定のモノマーにかかわらず、本発明者たちは、コポリマーのある特定の態様を選択的に制御して、望ましい放出特性の達成を助けることができることを発見した。例えば、コポリマーの極性モノマー含有量を、約10wt%〜約60wt%、いくつかの実施形態では約20wt%〜約55wt%、いくつかの実施形態では約25wt%〜約50wt%の範囲内で選択的に制御することができる。逆に、コポリマーのオレフィンモノマー含有量も同様に、約40wt%〜約90wt%、いくつかの実施形態では約45wt%〜約80wt%、いくつかの実施形態では約50wt%〜約75wt%の範囲内でありうる。
【0016】
[0035]1つの特定の実施形態において、例えば、コアポリマーマトリックスは、エチレン酢酸ビニルポリマーを含有してもよく、これは、少なくとも1つのエチレンモノマーおよび少なくとも1つの酢酸ビニルモノマーに由来するコポリマーである。またエチレン酢酸ビニルコポリマーの密度は、ASTM D1505−10に従って決定すると、約0.900〜約1.00グラム立方センチメートル(g/cm)、いくつかの実施形態では約0.910〜約0.980g/cm、いくつかの実施形態では約0.940〜約0.970g/cmの範囲でありうる。用いてもよい適切なエチレン酢酸ビニルコポリマーの例には、名称ATEVA(登録商標)(例えば、ATEVA(登録商標)4030AC)でCelaneseから、名称ELVAX(登録商標)(例えば、ELVAX(登録商標)40W)でDuPontから、および名称EVATANE(登録商標)(例えば、EVATANE40−55)でArkemaから入手可能なものが含まれる。様々な技術のいずれかを一般に使用して、望ましい特性を有するエチレン酢酸ビニルコポリマーを形成することができ、当該技術において公知である。1つの実施形態において、ポリマーは、エチレンモノマーと酢酸ビニルモノマーを高圧反応で共重合させることにより生成される。酢酸ビニルは、ブタンを酸化して無水酢酸およびアセトアルデヒドを生じ、これらを一緒に反応させることができ、二酢酸エチリデンを形成することによって生成されうる。次いで二酢酸エチリデンを酸触媒の存在下で熱分解して、酢酸ビニルモノマーを形成することができる。適切な酸触媒の例には、芳香族スルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸)、硫酸、ならびに米国特許第2,425,389号、Oxley et al.、同第2,859,241号、Schnizerおよび同第4,843,170号、Isshiki et alに記載されたものなどのアルカンスルホン酸が含まれる。酢酸ビニルモノマーは、アセトアルデヒドの代わりに触媒の存在下で無水酢酸を水素と反応させることによっても生成されうる。この方法は、二酢酸エチリデンを生成する必要なく、無水酢酸および水素から酢酸ビニルを直接変換する。なお別の実施形態において、酢酸ビニルモノマーは、ペルフルオロスルホン酸樹脂またはゼオライトなどの適切な固体触媒の存在下で、アセトアルデヒドとケトンの反応によって生成されうる。
【0017】
[0036]患者の状態、疾患および/または美容状態を抑制および/または治療することができる1つ以上の薬剤化合物は、また、コアポリマーマトリックス内に分散される。薬剤化合物は、全身または局所において、予防的、治療的および/または美容的に活性でありうる。それらと無関係に、コア内の少なくとも1つの薬剤化合物は、約0.5キロダルトン(「kDa」)以上、いくつかの実施形態では約1kDa以上、いくつかの実施形態では約5kDa〜約250kDa、いくつかの実施形態では約20kDa〜約200kDaなどの大きな分子量を有する意味において、「高分子」化合物である。典型的には、そのような化合物の生物活性は、分子の特有の三次元(例えば、折り畳み)構造によって決まる。この三次元分子構造は、原子間の水素結合および疎水結合相互作用(疎水性)などの特異的非共有結合相互作用によって実質的に維持される。薬剤化合物は、天然に生じうる、または当該技術に既知の任意の方法により人工的に製造されうる。典型的には、薬剤化合物は、コアポリマーマトリックスに用いられる疎水性ポリマーの溶融温度または溶融温度近くでポリマーマトリックスに組み込まれうるように、高温で安定していることも望ましい。例えば、薬剤化合物は、典型的には、約25℃〜約120℃、いくつかの実施形態では約40℃〜約110℃、いくつかの実施形態では約40℃〜約100℃、いくつかの実施形態では約40℃〜約80℃、いくつかの実施形態では約50℃〜約70℃の温度で安定した状態を維持する。
【0018】
[0037]適切な高分子薬剤化合物の特定の例には、例えば、タンパク質、ペプチド、酵素、抗体、インターフェロン、インターロイキン、血液因子、ワクチン、ヌクレオチド、脂質など、ならびにこれらの類縁体、誘導体および組み合わせが含まれうる。適切なタンパク質またはペプチドには、例えば、副腎皮質刺激ホルモン、アンギオテンシン、ベータエンドルフィン、ボンベシン、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ポリペプチド、コレシストキニン−8、コロニー刺激因子、デスモプレシン、エンドセリン、エンケファリン、エリスロポエチン、ガストリン、グルカゴン、ヒト心房性ナトリウム利尿ポリペプチド、インターフェロン、インスリン、増殖因子、成長ホルモン、黄体化ホルモン放出ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、ムラミルジペプチド、ニューロテンシン、オキシトシン、副甲状腺ホルモン、ペプチドT、セクレチン、ソマトメジン、ソマトスタチン、甲状腺刺激ホルモン、サイロトロピン放出ホルモン、サイロトロピン刺激ホルモン、血管作動性腸管ポリペプチド、バソプレシンなどが含まれうる。適切な抗体(例えば、モノクローナル抗体)には、限定されることなく、HIVモノクローナル抗体2F5、リツキシマブ(rituxumab)、インフリキシマブ、トラスツズマブ、アダリムマブ、オマリズマブ、トシツモマブ、エファリズマブおよびセツキシマブが含まれうる。適切なインターフェロンには、インターフェロンアルファ−2b、ペグインターフェロンアルファ−2b、インターフェロンアルファ−2b+リバビリン、インターフェロンアルファ−2a、ペグ化インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンベータ−1aおよびインターフェロンベータが含まれうる。適切な血液因子には、アルテプラーゼ/テネクテプラーゼおよびアカゲザル第VIIa因子が含まれうる。適切なインターロイキンには、インターロイキン−2が含まれうる。適切なワクチンには、全ウイルス粒子、組み換えタンパク質、gp41、gp120およびgp140などのサブユニットタンパク質、DNAワクチン、プラスミド、細菌ワクチン、細胞外莢膜多糖などの多糖、ならびに他のワクチンベクターが含まれうる。同様に、適切な核酸には、RNAベースまたはDNAベース分子、例えば、オリゴヌクレオチド、アプタマー、リボザイム、DNAザイム、および低分子干渉RNA、例えば、メッセンジャー(mRNA)、転移(tRNA)、リボソーム(rRNA)、干渉(iRNA)、低分子干渉(siRNA)などが含まれうる。
【0019】
[0038]コアは、望ましい場合、任意選択で1つ以上の賦形剤、例えば、造影剤、放出調整剤、増量剤、可塑剤、界面活性剤、架橋剤、流動助剤、着色剤(例えば、クロロフィル、メチレンブルーなど)、抗酸化剤、安定剤、滑沢剤、他の種類の抗微生物剤、防腐剤などを含有して、特性および加工性を向上させることもできる。用いられる場合、任意選択の賦形剤は、典型的には、コアの約0.01wt%〜約20wt%、いくつかの実施形態では約0.05wt%〜約15wt%、いくつかの実施形態では約0.1wt%〜約10wt%を構成する。1つの実施形態において、例えば、造影剤を用いて、デバイスがX線ベース画像化技術(例えば、コンピュータ断層撮影法、投影X線撮影法(projectional radiography)、蛍光透視法など)において検出されうることを確実にすることを助けることができる。そのような薬剤の例には、例えば、バリウムベース化合物、ヨウ素ベース化合物、ジルコニウムベース化合物(例えば、二酸化ジルコニウム)などが含まれる。そのような薬剤の1つの特定の例は、硫酸バリウムである。他の既知の抗微生物剤および/または防腐剤を用いて、細菌の表面成長および付着を防止するのを助けることもでき、例えば、金属化合物(例えば、銀、銅または亜鉛)、金属塩、第四級アンモニウム化合物などである。
【0020】
[0039]用いられる特定の成分にかかわりなく、コアは、様々な既知の技術、例えば、ホットメルト押出、射出成形、溶液流延、ディップコーティング、スプレーコーティング、マイクロ押出成形(microextrusion)、コアセルベーションなどを介して形成されうる。1つの実施形態において、ホットメルト押出技術を用いることができる。ホットメルト押出は一般に無溶媒法であり、コアの成分(例えば、疎水性ポリマー、薬剤化合物、任意選択の賦形剤など)を溶融ブレンドし、連続製造過程で任意選択に造形して、高い処理率で一貫した出力品質を可能にすることができる。この技術は、オレフィンコポリマーなどの様々な種類の疎水性ポリマーに特に好適である。すなわち、そのようなコポリマーは、典型的には、広い分子量分布を伴って比較的高い程度の長鎖分枝を示す。この特質の組み合わせは、押出過程の際にコポリマーの剪断減粘をもたらして、ホットメルト押出の促進を助けることができる。更に、極性コモノマー単位(例えば、酢酸ビニル)は、ポリエチレン鎖セグメントの結晶化を抑制することによって「内部」可塑剤として機能することができる。このことは、オレフィンコポリマーの低い融点をもたらすことがあり、得られる物質の全体的な柔軟性を改善し、多種多様な形状およびサイズのデバイスに形成される能力を向上させる。
【0021】
[0040]ホットメルト押出法の際に、溶融ブレンドは、約40℃〜約200℃、いくつかの実施形態では約60℃〜約180℃、いくつかの実施形態では約80℃〜約150℃の温度範囲で発生して、ポリマー組成物を形成することができる。様々な溶融ブレンド技術のいずれかを一般に用いることができる。例えば、成分を別々にまたは組み合わせて、バレル(例えば、円筒バレル)内に回転可能に装填および収容されている少なくとも1本のスクリューを含む押出機に供給することができる。押出機は、一軸スクリューまたは二軸スクリュー押出機でありうる。例えば、一軸スクリュー押出機の1つの実施形態は、ハウジングまたはバレル、ならびに適切な駆動機(典型的にはモーターおよびギヤボックスを含む)により一端が回転的に駆動されるスクリューを含むことができる。望ましい場合、2本の別々のスクリューを含む二軸スクリュー押出機を用いてもよい。スクリューの構成は特に重要ではなく、任意の数および/または方向のねじ山および溝を含んでもよく、このことは当該技術において公知である。例えば、スクリューは、典型的には、スクリューのコアの周囲に遠心方向に伸びる概して螺旋状の溝を形成するねじ山を含む。供給セクションおよび溶融セクションが、スクリューの長さに沿って画定されうる。供給セクションはバレルの投入部分であり、そこにオレフィンコポリマーおよび/または薬剤化合物が添加される。溶融セクションは相変化セクションであり、そこではコポリマーが固体から液体様状態に変化する。押出機が製造されるときに、これらのセクションに正確に画定された線引きはないが、供給セクション、および固体から液体への相変化が発生する溶融セクションを確実に確認することは、十分に当業者の通常の技能の範囲内である。必ずしも必要ではないが、押出機は、バレルの押出端に隣接し、溶融セクションの下流に配置されている混合セクションを有することもできる。望ましい場合、1つ以上の分配および/または分散混合要素を、押出機の混合および/または溶融セクション内に用いてもよい。一軸スクリュー押出機に適した分配ミキサーには、例えば、Saxon、Dulmage、Cavity Transferミキサーなどが含まれうる。同様に、適切な分散ミキサーには、Blisterリング、Leroy/Maddock、CRDミキサーなどが含まれうる。当該技術において周知のように、混合は、ポリマー溶融物の折り畳みおよび再配向を作り出すバレル内のピンを使用することによって更に改善することができ、例えば、Buss Kneader押出機、Cavity TransferミキサーおよびVortex Intermeshing Pinミキサーに使用されているものである。
【0022】
[0041]望ましい場合、スクリューの長さ(「L」)と直径(「D」)の比を選択して、成分の処理量とブレンドの最適なバランスを達成することができる。L/D値は、例えば、約10〜約50、いくつかの実施形態では約15〜約45、いくつかの実施形態では約20〜約40の範囲でありうる。スクリューの長さは、例えば、約0.1〜約5メートル、いくつかの実施形態では約0.4〜約4メートル、いくつかの実施形態では約0.5〜約2メートルの範囲でありうる。同様にスクリューの直径は、約5〜約150ミリメートル、いくつかの実施形態では約10〜約120ミリメートル、いくつかの実施形態では約20〜約80ミリメートルでありうる。長さおよび直径に加えて、押出機の他の態様を選択して、望ましい程度のブレンドを達成することを助けることもできる。例えば、スクリューの速度を選択して、望ましい滞留時間、剪断速度、溶融加工温度などを達成することができる。例えば、スクリュー速度は、約10〜約800毎分回転数(「rpm」)、いくつかの実施形態では約20〜約500rpm、いくつかの実施形態では約30〜約400rpmの範囲でありうる。また溶融ブレンドの際の見掛け剪断速度は、約100秒−1〜約10,000秒−1、いくつかの実施形態では約500秒−1〜約5000秒−1、いくつかの実施形態では約800秒−1〜約1200秒−1の範囲でありうる。見掛け剪断速度は、4Q/Πに等しく、ここで、Qはポリマー溶融物の体積流量(「m/s)」であり、Rは溶融ポリマーが流れるキャピラリー(例えば、押出機ダイ)の半径(「m」)である。
【0023】
[0042]一緒に溶融ブレンドされると、得られたポリマー組成物は、ペレット、シート、ファイバー、フィラメントなどの形態であってもよく、これらを様々な既知の造形技術、例えば、射出成形、圧縮成形、ナノモールディング、オーバーモールディング、ブロー成形、三次元印刷などを使用してコアに造形することができる。射出成形は、例えば、2つの主要な段階、すなわち、射出段階および保持段階を生じることがある。射出段階では、成形型キャビティを溶融ポリマー組成物で充填する。保持段階は、射出段階が終了した後に開始され、保持圧力を制御して、追加の物質をキャビティに詰め、冷却の際に生じる体積収縮を補う。ショット(shot)を造った後、次いでこれを冷却することができる。冷却が完了すると、成形型を開け、例えば成形型内の排出ピンの助けを借りながら、部品を排出させて、成形サイクルを完了させる。任意の適切な射出成形機器を一般に本発明に用いることができる。1つの実施形態では、コアの形状を有する成形型キャビティを一緒に画定する第1の成形型ベースおよび第2の成形型ベースを含む、射出成形装置を用いることができる。成形装置は、第1の成形型の半分の外側外表面からスプルーを通って成形型キャビティまで伸びている樹脂流路を含む。ポリマー組成物を、様々な技術を使用して樹脂流路に供給することができる。例えば、組成物を、回転スクリュー(示されず)を含有する押出機バレルに取り付けられた供給ホッパーに(例えば、ペレットの形態で)供給することができる。スクリューが回転すると、ペレットは前進して、圧力および摩擦を受け、そのことが熱を発生してペレットを溶融させる。冷却機構を備えて、樹脂を成形型キャビティ内で望ましいコア形状(例えば、円盤形状、円筒形状など)に凝固させることもできる。例えば、成形型ベースは、1つ以上の冷却ラインを含んでもよく、冷却媒体がその中を流れて、溶融物質の凝固のために望ましい成形型温度を成形型ベースの表面に付与する。成形型温度(例えば、成形型の表面の温度)は、約50℃〜約120℃、いくつかの実施形態では約60℃〜約110℃、いくつかの実施形態では約70℃〜約90℃の範囲でありうる。
【0024】
[0043]上記に示されたように、望ましい形状およびサイズのコアを形成するのに適した別の技術は、三次元印刷である。この方法では、ポリマー組成物を、プリンターシステムによる使用に容易に適合されるプリンターカートリッジに組み込むことができる。プリンターカートリッジは、例えば、ポリマー組成物を担持するスプールまたは他の同様のデバイスを含有することができる。例えば、フィラメントの形態で供給される場合、スプールは概して円筒形のリムを有してもよく、その周りにフィラメントが巻かれている。スプールは、同様に、使用時にプリンターに容易に装填されるようにボアまたはスピンドルを画定してもよい。様々な三次元プリンターシステムのいずれかを本発明に用いることができる。特に適切なプリンターシステムは、押出ベースシステムであり、これは多くの場合「熱溶解積層法(fused deposition modeling)」システムと呼ばれる。例えば、ポリマー組成物を、プラテンおよびガントリーを含有するプリントヘッドの造形チャンバー(build chamber)に供給することができる。プラテンは、コンピュータ操作コントローラーから提供される信号に基づいて、垂直z軸に沿って移動することができる。ガントリーは、コントローラーから提供される信号に基づいて、造形チャンバー内でプリントヘッドを水平x−y平面に移動させるように構成されうるガイドレールシステムである。プリントヘッドはガントリーにより支持され、コントローラーから提供される信号に基づいて、造形構造をプラテンに交互積層法(layer−by−layer manner)で印刷するように構成される。例えば、プリントヘッドは、二重チップ押出ヘッドであってもよい。
【0025】
II.膜層
[0044]上記に示されたように、埋め込み型デバイスは、コアの外表面に隣接して配置された少なくとも1つの膜層を含有する。膜層の数は、デバイス特定の構成、薬剤化合物の性質および望ましい放出プロファイルに応じて変わりうる。例えば、デバイスは、1つの膜層のみを含有してもよい。例えば、図1および2を参照すると、概して円形の断面形状を有するコア40を含有し、かつ得られたデバイスが概して本質的に円筒状になるように伸長されている、埋め込み型デバイス10の1つの実施形態が示されている。コア40は、膜層20が周囲に配置されている外側周囲表面61を画定する。コア40と同様に、膜層20も概して円形の断面形状を有し、コア40の全長を覆うように伸長されている。デバイス10を使用すると、薬剤化合物は、コア40から膜層20を通って放出され、それによってデバイスの外部表面21から出ることができる。
【0026】
[0045]当然のことながら、他の実施形態において、デバイスは、多重膜層を含有してもよい。例えば、図1および2のデバイスでは、1つ以上の追加の膜層(示されず)を膜層20の上に配置して、薬剤化合物の更なる制御放出を助けることができる。他の実施形態では、コアが別々の膜層の間に配置されるまたは挟まるように、デバイスを構成することができる。例えば、図3および4を参照すると、概して円形の断面形状を有するコア140を含有し、かつ得られたデバイスが概して本質的に円盤形状になるように伸長されている、埋め込み型デバイス100の1つの実施形態が示されている。コア140は、第1の膜層120が位置している上部外表面161および第2の膜層122が位置している下部外表面163を画定する。コア140と同様に、第1の膜層120および第2の膜層122も、コア140を全体的に覆っている、概して円形の断面形状を有する。望ましい場合、膜層120および122の縁がコア140の周辺を越えて延長してもよく、それによって、コア140の外部周囲表面170の任意の露出領域を覆うように一緒に封止することができる。デバイス100を使用すると、薬剤化合物は、コア140から第1の膜層120および第2の膜層122を通って放出され、それによってデバイスの外部表面121および123から出ることができる。当然のことながら、望ましい場合は、1つ以上の追加の膜層(示されず)を第1の膜層120および/または第2の膜層122の上に配置して、薬剤化合物の更なる制御放出を助けることもできる。
【0027】
[0046]用いられる特定の構成にかかわらず、膜層は、一般に、上記に記載された疎水性ポリマーおよび親水性化合物を含有する膜ポリマーマトリックスを含有する。ポリマーマトリックスは、典型的には、膜層の約30wt%〜100wt%、いくつかの実施形態では約40wt%〜約99wt%、いくつかの実施形態では約50wt%〜約90wt%を構成する。上記に示されたように、膜ポリマーマトリックス内の疎水性ポリマーの親水性化合物に対する重量比は、約0.8〜約20、いくつかの実施形態では約1〜約16、いくつかの実施形態では約1.2〜約10の範囲でありうる。そのような親水性化合物は、例えば、膜ポリマーマトリックスの約1wt%〜約50wt%、いくつかの実施形態では約2wt%〜約40wt%、いくつかの実施形態では約5wt%〜約30wt%を構成してもよく、一方、疎水性ポリマーは、典型的には、膜ポリマーマトリックスの約50wt%〜約99wt%、いくつかの実施形態では約60wt%〜約98wt%、いくつかの実施形態では約70wt%〜約95wt%を構成する。そのような実施形態において、親水性化合物は、同様に、膜層の約1wt%〜約50wt%、いくつかの実施形態では約2wt%〜約40wt%、いくつかの実施形態では約5wt%〜約30wt%を構成しうる。適切な親水性化合物は、例えば、ポリマー、非ポリマー物質(例えば、グリセリン、糖、塩、ペプチドなど)などが含まれうる。適切な親水性ポリマーの例には、例えば、アルギン酸ナトリウム、カリウムおよびカルシウム、カルボキシメチルセルロース、寒天、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール)、コラーゲン、ペクチン、キチン、キトサン、ポリ−1−カプロラクトン、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルピロリドン−コ−酢酸ビニル)、多糖、親水性ポリウレタン、ポリヒドロキシアクリレート、デキストラン、キサンタン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、タンパク質、エチレンビニルアルコールコポリマー、水溶性ポリシランおよびシリコーン、水溶性ポリウレタンなど、ならびにこれらの組み合わせが含まれる。特に適切な親水性ポリマーは、ポリアルキレングリコールであり、例えば、1モルあたり約100〜500,000グラム、いくつかの実施形態では1モルあたり約500〜200,000グラム、いくつかの実施形態では1モルあたり約1,000〜約100,000グラムの分子量を有するものである。そのようなポリアルキレングリコールの特定の例には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエピクロロヒドリンなどが含まれる。
【0028】
[0047]多重膜層を用いる場合、各膜層は疎水性ポリマーおよび親水性化合物を含むポリマーマトリックスを含有することが、典型的に望ましい。例えば、第1の膜層は第1の膜ポリマーマトリックスを含有することができ、第2の膜層は第2の膜ポリマーマトリックスを含有することができる。そのような実施形態において、第1および第2のポリマーマトリックスは、それぞれ疎水性ポリマーおよび親水性化合物を含有する。1つの膜層内の親水性化合物および疎水性ポリマーは、別の膜層に用いられるものと同一であっても、異なっていてもよい。1つの実施形態において、例えば、第1および第2のポリマーマトリックスは、両方とも同じ親水性化合物(例えば、親水性ポリマー)および疎水性ポリマー(例えば、α−オレフィンコポリマー)を用いる。同様に、膜層に使用される疎水性ポリマーも、コアに用いられる疎水性ポリマーと同一であっても、異なっていてもよい。1つの実施形態において、例えば、コアおよび膜層は、両方とも同じ疎水性ポリマー(例えば、α−オレフィンコポリマー)を用いる。なお他の実施形態において、膜層は、コアに用いられるポリマーより低いメルトフローインデックスを有する疎水性ポリマー(例えば、α−オレフィンコポリマー)を用いてもよい。とりわけ、このことはデバイスからの薬剤化合物の放出の制御を更に助けることができる。例えば、コアに用いられる疎水性ポリマーのメルトフローインデックスの、膜層に用いられる疎水性ポリマーのメルトフローインデックスに対する比は、約1〜約20、いくつかの実施形態では約2〜約15、いくつかの実施形態では約4〜約12でありうる。膜層の疎水性ポリマーのメルトフローインデックスは、例えば、190℃の温度および2.16キログラムの荷重でASTM D1238−13に従って決定すると、約1〜約80g/10分、いくつかの実施形態では約2〜約70g/10分、いくつかの実施形態では約5〜約60g/10分の範囲でありうる。用いてもよい適切なエチレン酢酸ビニルコポリマーの例には、名称ATEVA(登録商標)(例えば、ATEVA(登録商標)4030ACまたは2861A)でCelaneseから入手可能なものが含まれうる。
【0029】
[0048]上記に示されたように、デバイスに使用される膜層は、ポリマーマトリックス内に分散されている上記に記載された高分子薬剤化合物を任意選択で含有することができる。膜層中の薬剤化合物は、コアに用いられる薬剤化合物と同一であっても、異なっていてもよい。それと無関係に、そのような高分子薬剤化合物が膜層に用いられる場合、膜層は、コア中の薬剤化合物の濃度(wt%)の、膜層中の薬剤化合物の濃度(wt%)に対する比が1を超える、いくつかの実施形態では約1.5以上である、いくつかの実施形態では約1.8〜約4であるような量で、一般に薬剤化合物を含有する。用いられる場合、薬剤化合物は、典型的に、膜層の僅か約1wt%〜約40wt%、いくつかの実施形態では約5wt%〜約35wt%、いくつかの実施形態では約10wt%〜約30wt%を構成する。当然のことながら、他の実施形態において、膜層は、一般に、コアから放出される前にそのような高分子薬剤化合物を含まない。多重膜層が用いられる場合、各膜層は、コア中の薬剤化合物の重量百分率の、膜層中の薬剤化合物の重量百分率に対する比が1を超える、いくつかの実施形態では約1.5以上である、いくつかの実施形態では約1.8〜約4であるような量で、一般に薬剤化合物を含有しうる。
【0030】
[0049]膜層および/またはコアは、任意選択で上記に記載された1つ以上の賦形剤、例えば、造影剤、増量剤、可塑剤、界面活性剤、架橋剤、流動助剤、着色剤(例えば、クロロフィル、メチレンブルーなど)、抗酸化剤、安定剤、滑沢剤、他の種類の抗微生物剤、防腐剤などを含有して、特性および加工性を向上させることもできる。用いられる場合、任意選択の賦形剤は、典型的には、膜層の約0.01wt%〜約60wt%、いくつかの実施形態では約0.05wt%〜約50wt%、いくつかの実施形態では約0.1wt%〜約40wt%を構成する。
【0031】
[0050]1つ以上の非イオン性、陰イオン性および/または両性界面活性剤を用いて、均一の分散を作り出すことを助けることもできる。用いられる場合、そのような界面活性剤は、典型的には、コアの約0.05wt%〜約8wt%、いくつかの実施形態では約0.1wt%〜約6wt%、いくつかの実施形態では約0.5wt%〜約3wt%を構成する。疎水性基剤(例えば、長鎖アルキル基またはアルキル化アリール基)と親水性鎖(例えば、エトキシおよび/またはプロポキシ部分を含有する鎖)とを典型的に有する非イオン性界面活性剤が、特に適している。使用されうるいくつかの適切な非イオン性界面活性剤には、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化およびプロポキシル化脂肪アルコール、メチルグルコースのポリエチレングリコールエーテル、ソルビトールのポリエチレングリコールエーテル、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー、脂肪(C〜C18)酸のエトキシル化エステル、エチレンオキシドと長鎖アミンまたはアミドとの縮合生成物、エチレンオキシドとアルコールとの縮合生成物、脂肪酸エステル、長鎖アルコールのモノグリセリドまたはジグリセリド、ならびにこれらの混合物が含まれうるが、これらに限定されない。特に適切な非イオン性界面活性剤には、脂肪アルコールのエチレンオキシド縮合物、脂肪酸のポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルなどが含まれうる。そのような乳化剤を形成するために使用される脂肪成分は、飽和または不飽和、置換または非置換であってもよく、6〜22個の炭素原子、いくつかの実施形態では8〜18個の炭素原子、いくつかの実施形態では12〜14個の炭素原子を含有しうる。ポリオキシエチレンで変性されているソルビタン脂肪酸エステル(例えば、モノエステル、ジエステル、トリエステルなど)は、非イオン性界面活性剤の特に有用な一群である。これらの物質は、典型的には1,4−ソルビタンエステルへのエチレンオキシドの添加によって調製される。ポリオキシエチレンの添加は、親油性ソルビタンエステル界面活性剤を、水に一般に可溶性または分散性である親水性界面活性剤に変換する。そのような物質は、名称TWEEN(登録商標)(例えば、TWEEN(登録商標)80またはポリエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)で市販されている。
【0032】
[0051]膜層は、コアの形成に使用されるものと同じまたは異なる技術、例えば、ホットメルト押出、射出成形、溶液流延、ディップコーティング、スプレーコーティング、マイクロ押出成形、コアセルベーションなどを使用して形成されうる。1つの実施形態において、ホットメルト押出技術を用いることができる。コアおよび膜層を別々または同時に形成することもできる。1つの実施形態において、例えば、コアおよび膜層は別々に形成され、次いで既知の接合技術を使用して、例えば、スタンピング(stamping)、ホットシール(hot sealing)、接着剤接合などにより一緒に合わされる。
【0033】
III.デバイスの使用
[0052]本発明の埋め込み型デバイスを様々な異なる方法で使用して、患者の状態、疾患または美容状態を抑制および/または治療することができる。デバイスは、標準的な技術を使用して、皮下、経口的、粘膜などに埋め込むことができる。送達経路は、肺内、胃腸内、皮下、筋肉内、または中枢神経系への導入、腹膜内、または臓器内送達でありうる。望ましい場合、デバイスは、使用前にパッケージ(例えば、滅菌ブリスターパッケージ)内に封止されていてもよい。パッケージを封止する物質および方法は様々であり、当該技術において公知である。1つの実施形態において、例えば、パッケージは、望ましいレベルの保護特性を達成するのに望ましい任意の数の層、例えば、1つ以上、いくつかの実施形態では1〜4つの層、いくつかの実施形態では1〜3つの層を含む基材を含有してもよい。典型的には、基材は、ポリマーフィルムを含有し、例えば、ポリオレフィン(例えば、エチレンコポリマー、プロピレンコポリマー、プロピレンホモポリマーなど)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、塩化ビニルポリマー、ビニルクロリジンポリマー、イオノマーなど、ならびにこれらの組み合わせから形成されるものである。フィルムの1つまたは多数のパネルを、例えば周辺の縁で一緒に封止(例えば、熱封止)して、デバイスが中に保存されうるキャビティを形成することができる。例えば、単一フィルムを1つ以上の地点で折り畳み、周辺に沿って封止して、デバイスが中に配置されるキャビティを画定することができる。デバイスを使用するため、パッケージを、例えばシールを破って開封することができ、次いでデバイスを取り出し、患者に埋め込むことができる。
【0034】
[0053]本発明は、以下の実施例を参照することにより更に良好に理解されうる。
【0035】
試験方法
[0054]薬剤放出:薬剤化合物(例えば、ブロメライン)の放出は、インビトロ方法を使用して決定されうる。より詳細には、埋め込み型デバイス試料を150ミリリットルのアジ化ナトリウム水溶液に入れることができる。溶液を、UV保護された250mlのDuran(登録商標)フラスコ内に封入する。次いでフラスコを温度制御水浴の中に置き、100rpmで連続的に振とうする。37℃の温度を、放出実験の全体を通して維持して、インビボ条件を模倣する。アジ化ナトリウム水溶液を完全に交換することによって、試料を定期的に取り出す。溶液中の薬剤化合物の濃度は、Cary 1スプリットビーム機器を使用して、UV/Vis吸収分光分析法を介して決定される。このデータから、試料採取間隔毎に放出された薬剤化合物の量(1時間あたりのマイクログラム)を計算し、経時的に(時間で)プロットする。更に、薬剤化合物の累積放出率も、それぞれの試料採取間隔で放出された薬剤化合物の量を、初めに存在した薬剤化合物の総量で割り、次いでこの数値に100を掛けることによって百分率で計算する。次いで、この百分率を経時的に(時間で)プロットする。
【0036】
実施例1〜4
[0055]4つの異なる種類のコア層を、様々な濃度の疎水性ポリマー(Ateva(登録商標)4030AC)および高分子生物製剤(ブロメライン)により形成する。試料を形成するため、Haake Rheomix 600pを使用して、最初にブロメライン粉末をAteva(登録商標)4030ACに溶融混合する。先ず、Rheomix 600pチャンバーにAteva(登録商標)4030ACペレットを充填し、50℃で8分間混合する。Rheomix 600pにおける混合は、ローラー型回転子を50rpmで使用して行う。8分後、ブロメライン粉末をAteva(登録商標)4030AC溶融物に加え、溶融混合を50℃で3分間続ける。溶融混合した後、ブレンドをRheomix 600pから取り出し、熱プレスを使用して厚さ1mmのシートにプレスする。プレスしている間の温度は50℃であり、プレス時間は3分間であり、圧力は100barである。プレスの表面への溶融EVAフィルムの接着を避けるため、低接着力温度耐容性ポリエステルホイル(Hostaphan(登録商標)RNK 23)をEVAブレンドとプレスプレートの間に置く。冷ました後、ポリエステルフィルムを取り出す。25ミリメートルの直径を有する円盤を、パンチングプレスの使用によりEVA−ブロメラインシートから打ち抜いて、ブロメライン含有コア層/モノリシック(monolithic)ブロメライン埋入片を作り出す。
【0037】
[0056]異なるコア層内のブロメラインおよびAteva(登録商標)4030ACの含有量を表1に提示する。
【0038】
【表1】
【0039】
[0057]試料を形成したら、上記に記載されたように放出速度について試験した。結果を図5および6に記載する。
【0040】
実施例5〜7
[0058]3つの異なる種類のコア膜埋め込み型デバイスを、20wt%の疎水性ポリマーおよび80wt%の生物製剤を含有するコア層を、様々な濃度の膜層成分と組み合わせて使用することによって形成する。Haake Rheomix 600pを使用して、ブロメライン粉末をAteva(登録商標)4030ACに溶融混合することにより、コア層を形成する。先ず、Rheomix 600pチャンバーにAteva(登録商標)4030ACペレットを充填し、50℃で8分間混合する。Rheomix 600pにおける混合は、ローラー型回転子を50rpmで使用して行う。8分後、ブロメライン粉末をAteva(登録商標)4030AC溶融物に加え、溶融混合を50℃で3分間続ける。溶融混合した後、ブレンドをRheomix 600pから取り出し、熱プレスを使用して厚さ1mmのシートにプレスする。プレスしている間の温度は50℃であり、プレス時間は3分間であり、圧力は100barである。プレスの表面への溶融EVAフィルムの接着を避けるため、低接着力温度耐容性ポリエステルホイル(Hostaphan(登録商標)RNK 23)をEVAブレンドとプレスプレートの間に置く。冷ました後、ポリエステルフィルムを取り出す。23ミリメートルの直径を有する円盤を、パンチングプレスの使用によりEVA−ブロメラインシートから打ち抜いて、ブロメライン含有コア層/モノリシックブロメライン埋入片を作り出す。得られた円盤が25ミリメートルの直径を有した以外は、上記に記載された方法と同様にHaake Rheomix 600pを使用して、Ateva(登録商標)4030ACおよびLuviskol(登録商標)VA64を溶融混合することにより、膜層を形成する。コア膜埋入物を形成するため、溶剤接着技術(solvent bonding technique)を用いる。すなわち、少量のトルエンを刷毛の使用により円盤の側面に適用し、次いでその直後にサンドイッチした層を接合させ、一緒にプレスする。圧力を24時間にわたって維持し、トルエンを蒸発させる。この時間の後、プラスチックピペットで適用したAteva(登録商標)4030ACの高濃度トルエン溶液を使用して、コア層の縁を封止する。少なくとも48時間にわたって縁のトルエンを乾燥させる。表2は、各実施例に使用されるコアおよび膜層の含有量を示す。
【0041】
【表2】
【0042】
[0059]試料を形成したら、上記に記載されたように放出速度について試験した。結果を図7および8に記載する。
【0043】
実施例8〜13
[0060]6つの異なる種類のコア膜埋め込み型デバイスを、40wt%の疎水性ポリマーおよび60wt%の生物製剤を含有するコア層を、様々な濃度の膜層成分と組み合わせて使用することによって形成する。Haake Rheomix 600pを使用して、ブロメライン粉末をAteva(登録商標)4030ACに溶融混合することにより、コア層を形成する。先ず、Rheomix 600pチャンバーにAteva(登録商標)4030ACペレットを充填し、50℃で8分間混合する。Rheomix 600pにおける混合は、ローラー型回転子を50rpmで使用して行う。8分後、ブロメライン粉末をAteva(登録商標)4030AC溶融物に加え、溶融混合を50℃で3分間続ける。溶融混合した後、ブレンドをRheomix 600pから取り出し、熱プレスを使用して厚さ1mmのシートにプレスする。プレスしている間の温度は50℃であり、プレス時間は3分間であり、圧力は100barである。プレスの表面への溶融EVAフィルムの接着を避けるため、低接着力温度耐容性ポリエステルホイル(Hostaphan(登録商標)RNK 23)をEVAブレンドとプレスプレートの間に置く。冷ました後、ポリエステルフィルムを取り出す。23ミリメートルの直径を有する円盤を、パンチングプレスの使用によりEVA−ブロメラインシートから打ち抜いて、ブロメライン含有コア層/モノリシックブロメライン埋入片を作り出す。混合が170℃の温度で発生し、得られた円盤が0.5ミリメートルの厚さ、および25ミリメートルの直径を有したことを除いて、上記に記載された方法と同様にHaake Rheomix 600pを使用してAteva(登録商標)2861Aおよび1モルあたり100,000グラムの分子量を有するポリエチレングリコール(「PEG」)を溶融混合することにより、膜層を形成する。コア膜埋入物を形成するため、溶剤接着技術を用いる。すなわち、少量のトルエンを刷毛の使用により円盤の側面に適用し、次いでその直後にサンドイッチした層を接合させ、一緒にプレスする。圧力を24時間にわたって維持し、トルエンを蒸発させる。この時間の後、プラスチックピペットで適用したAteva(登録商標)4030ACの高濃度トルエン溶液を使用して、コア層の縁を封止する。少なくとも48時間にわたって縁のトルエンを乾燥させる。表3は、各実施例に使用されるコアおよび膜層の含有量を示す。
【0044】
【表3】
【0045】
[0061]試料を形成したら、上記に記載されたように放出速度について試験した。結果を図9および10に記載する。
【0046】
実施例14〜18
[0062]5つの異なる種類のコア膜埋め込み型デバイスを、40wt%の疎水性ポリマーおよび60wt%の生物製剤を含有するコア層を、様々な濃度の膜層成分と組み合わせて使用することによって形成する。Haake Rheomix 600pを使用して、ブロメライン粉末をAteva(登録商標)4030ACに溶融混合することにより、コア層を形成する。先ず、Rheomix 600pチャンバーにAteva(登録商標)4030ACペレットを充填し、50℃で8分間混合する。Rheomix 600pにおける混合は、ローラー型回転子を50rpmで使用して行う。8分後、ブロメライン粉末をAteva(登録商標)4030AC溶融物に加え、溶融混合を50℃で3分間続ける。溶融混合した後、ブレンドをRheomix 600pから取り出し、熱プレスを使用して厚さ1mmのシートにプレスする。プレスしている間の温度は50℃であり、プレス時間は3分間であり、圧力は100barである。プレスの表面への溶融EVAフィルムの接着を避けるため、低接着力温度耐容性ポリエステルホイル(Hostaphan(登録商標)RNK 23)をEVAブレンドとプレスプレートの間に置く。冷ました後、ポリエステルフィルムを取り出す。23ミリメートルの直径を有する円盤を、パンチングプレスの使用によりEVA−ブロメラインシートから打ち抜いて、ブロメライン含有コア層/モノリシックブロメライン埋入片を作り出す。混合が170℃の温度で発生し、加圧中に使用された温度が100℃であり、得られた円盤が0.5ミリメートルの厚さ、および25ミリメートルの直径を有した以外は、上記に記載された方法と同様にHaake Rheomix 600pを使用してAteva(登録商標)2861AおよびLuviskol(登録商標)VA64を溶融混合することにより、膜層を形成する。コア膜埋入物を形成するため、溶剤接着技術を用いる。すなわち、少量のトルエンを刷毛の使用により円盤の側面に適用し、次いでその直後にサンドイッチした層を接合させ、一緒にプレスする。圧力を24時間にわたって維持し、トルエンを蒸発させる。この時間の後、プラスチックピペットで適用したAteva(登録商標)4030ACの高濃度トルエン溶液を使用して、コア層の縁を封止する。少なくとも48時間にわたって縁のトルエンを乾燥させる。表4は、各実施例に使用されるコアおよび膜層の含有量を示す。
【0047】
【表4】
【0048】
[0063]試料を形成したら、上記に記載されたように放出速度について試験した。結果を図11および12に記載する。
【0049】
実施例19〜20
[0064]2つの異なる種類のコア膜埋め込み型デバイスを、40wt%の疎水性ポリマーおよび60wt%の生物製剤を含有するコア層を、様々な濃度の膜層成分と組み合わせて使用することによって形成する。Haake Rheomix 600pを使用して、ブロメライン粉末をAteva(登録商標)4030ACに溶融混合することにより、コア層を形成する。先ず、Rheomix 600pチャンバーにAteva(登録商標)4030ACペレットを充填し、50℃で8分間混合する。Rheomix 600pにおける混合は、ローラー型回転子を50rpmで使用して行う。8分後、ブロメライン粉末をAteva(登録商標)4030AC溶融物に加え、溶融混合を50℃で3分間続ける。溶融混合した後、ブレンドをRheomix 600pから取り出し、熱プレスを使用して厚さ1mmのシートにプレスする。プレスしている間の温度は50℃であり、プレス時間は3分間であり、圧力は100barである。プレスの表面への溶融EVAフィルムの接着を避けるため、低接着力温度耐容性ポリエステルホイル(Hostaphan(登録商標)RNK 23)をEVAブレンドとプレスプレートの間に置く。冷ました後、ポリエステルフィルムを取り出す。23ミリメートルの直径を有する円盤を、パンチングプレスの使用によりEVA−ブロメラインシートから打ち抜いて、ブロメライン含有コア層/モノリシックブロメライン埋入片を作り出す。得られた円盤が25ミリメートルの直径を有したことを除いて、上記に記載された方法と同様にHaake Rheomix 600pを使用してAteva(登録商標)4030AC、1モルあたり100,000グラムの分子量を有するポリエチレングリコール(「PEG」)およびブロメライン粉末を溶融混合することによって、膜層を形成する。コア膜埋入物を形成するため、溶剤接着技術を用いる。すなわち、少量のトルエンを刷毛の使用により円盤の側面に適用し、次いでその直後にサンドイッチした層を接合させ、一緒にプレスする。圧力を24時間にわたって維持し、トルエンを蒸発させる。この時間の後、プラスチックピペットで適用したAteva(登録商標)4030ACの高濃度トルエン溶液を使用して、コア層の縁を封止する。少なくとも48時間にわたって縁のトルエンを乾燥させる。表5は、各実施例に使用されるコアおよび膜層の含有量を示す。
【0050】
【表5】
【0051】
[0065]試料を形成したら、上記に記載されたように放出速度について試験した。結果を図13および14に記載する。
【0052】
実施例21〜23
[0066]3つの異なる種類のコア膜埋め込み型デバイスを、40wt%の疎水性ポリマーおよび60wt%の生物製剤を含有するコア層を、様々な濃度の膜層成分と組み合わせて使用することによって形成する。Haake Rheomix 600pを使用して、ブロメライン粉末をAteva(登録商標)4030ACに溶融混合することにより、コア層を形成する。先ず、Rheomix 600pチャンバーにAteva(登録商標)4030ACペレットを充填し、50℃で8分間混合する。Rheomix 600pにおける混合は、ローラー型回転子を50rpmで使用して行う。8分後、ブロメライン粉末をAteva(登録商標)4030AC溶融物に加え、溶融混合を50℃で3分間続ける。溶融混合した後、ブレンドをRheomix 600pから取り出し、熱プレスを使用して厚さ1mmのシートにプレスする。プレスしている間の温度は50℃であり、プレス時間は3分間であり、圧力は100barである。プレスの表面への溶融EVAフィルムの接着を避けるため、低接着力温度耐容性ポリエステルホイル(Hostaphan(登録商標)RNK 23)をEVAブレンドとプレスプレートの間に置く。冷ました後、ポリエステルフィルムを取り出す。23ミリメートルの直径を有する円盤を、パンチングプレスの使用によりEVA−ブロメラインシートから打ち抜いて、ブロメライン含有コア層/モノリシックブロメライン埋入片を作り出す。混合が50℃の温度で発生し、加圧中に使用された温度が80℃であり、得られた円盤が0.5ミリメートルの厚さ、および25ミリメートルの直径を有したことを除いて、上記に記載された方法と同様にHaake Rheomix 600pを使用してAteva(登録商標)4030ACおよび1モルあたり100,000グラムの分子量を有するポリエチレングリコール(「PEG」)を溶融混合することによって、膜層を形成する。コア膜埋入物を形成するため、溶剤接着技術を用いる。すなわち、少量のトルエンを刷毛の使用により円盤の側面に適用し、次いでその直後にサンドイッチした層を接合させ、一緒にプレスする。圧力を24時間にわたって維持し、トルエンを蒸発させる。この時間の後、プラスチックピペットで適用したAteva(登録商標)4030ACの高濃度トルエン溶液を使用して、コア層の縁を封止する。少なくとも48時間にわたって縁のトルエンを乾燥させる。
【0053】
【表6】
【0054】
[0067]試料を形成したら、上記に記載されたように放出速度について試験した。結果を図15および16に記載する。
【0055】
実施例24〜27
[0068]4つの異なる種類のコア膜埋め込み型デバイスを、40wt%の疎水性ポリマーおよび60wt%の生物製剤を含有するコア層を、様々な濃度の膜層成分と組み合わせて使用することによって形成する。Haake Rheomix 600pを使用して、コラーゲン粉末をAteva(登録商標)4030ACに溶融混合することにより、コア層を形成する。先ず、Rheomix 600pチャンバーにAteva(登録商標)4030ACペレットを充填し、50℃で8分間混合する。Rheomix 600pにおける混合は、ローラー型回転子を50rpmで使用して行う。8分後、コラーゲン粉末をAteva(登録商標)4030AC溶融物に加え、溶融混合を50℃で3分間続ける。溶融混合した後、ブレンドをRheomix 600pから取り出し、熱プレスを使用して厚さ1mmのシートにプレスする。プレスしている間の温度は50℃であり、プレス時間は3分間であり、圧力は100barである。プレスの表面への溶融EVAフィルムの接着を避けるため、低接着力温度耐容低ポリエステルホイル(Hostaphan(登録商標)RNK 23)をEVAブレンドとプレスプレートの間に置く。冷ました後、ポリエステルフィルムを取り出す。23ミリメートルの直径を有する円盤を、パンチングプレスの使用によりEVA−コラーゲンシートから打ち抜いて、コラーゲン含有コア層/モノリシックコラーゲン埋入片を作り出す。混合が50℃の温度で発生し、加圧中に使用された温度が50℃であり、得られた円盤が1.0ミリメートルの厚さ、および25ミリメートルの直径を有した以外は、上記に記載された方法と同様にHaake Rheomix 600pを使用してAteva(登録商標)4030ACおよびLuviskol(登録商標)VA64を溶融混合することによって、膜層を形成する。コア膜埋入物を形成するため、溶剤接着技術を用いる。すなわち、少量のトルエンを刷毛の使用により円盤の側面に適用し、次いでその直後にサンドイッチした層を接合させ、一緒にプレスする。圧力を24時間にわたって維持し、トルエンを蒸発させる。この時間の後、プラスチックピペットで適用したAteva(登録商標)4030ACの高濃度トルエン溶液を使用して、コア層の縁を封止する。少なくとも48時間にわたって縁のトルエンを乾燥させる。表7は、各実施例に使用されるコアおよび膜層の含有量を示す。
【0056】
【表7】
【0057】
[0069]試料を形成したら、上記に記載されたように放出速度について試験した。結果を図17および18に記載する。
【0058】
実施例28〜30
[0070]3つの異なる種類のコア膜埋め込み型デバイスを、40wt%の疎水性ポリマーおよび60wt%の生物製剤を含有するコア層を、様々な濃度の膜層成分と組み合わせて使用することによって形成する。円錐形かみ合いスクリューを有するDSMベンチトップ二重スクリュー押出機の使用によりブロメライン粉末をAteva(登録商標)4030ACに溶融混合することによって、コアロッドを形成する。先ず、Ateva(登録商標)4030AC(1mmの微細粉末)をブロメラインと乾式ブレンドする。次いで、ブレンドした混合物をDSM押出機に供給する。押出温度は60℃であり、スクリュー速度は50rpmであった。押し出されたフィラメントを室温に冷まし、次いで30mmの長さのロッドに切断する。押し出されたフィラメントの直径は3.4mmであった。Haake Rheomix 600pを使用して、Luviskol(登録商標)VA64粉末をAteva(登録商標)4030ACに溶融混合することにより、膜層を形成する。先ず、Rheomix 600pチャンバーにAteva(登録商標)4030ACペレットを充填し、50℃で8分間混合する。Rheomix 600pにおける混合は、ローラー型回転子を50rpmで使用して行う。8分後、Luviskol(登録商標)VA64粉末をAteva(登録商標)4030AC溶融物に加え、溶融混合を50℃で3分間続ける。溶融混合した後、ブレンドをRheomix 600pから取り出し、熱プレスを使用して厚さ1mmのシートにプレスする。プレスしている間の温度は50℃であり、プレス時間は3分間であり、圧力は100barである。
【0059】
[0071]プレスの表面への溶融Ateva(登録商標)4030ACフィルムの接着を避けるため、低接着力温度耐容性ポリエステルホイル(Hostaphan(登録商標)RNK 23)をAteva(登録商標)4030ACブレンドとプレスプレートの間に置く。冷ました後、ポリエステルフィルムを取り出す。コア膜埋入物を形成するため、常温接着技術(temperature bonding technique)を用いる。すなわち、膜層およびコアロッドを55℃に30分間加熱する。次いで、試験片を長時間にわたって転がしながら穏やかに加圧することによって、単一膜層を単一コアロッドに手作業により結合させる。この後、プラスチックピペットで適用したAteva(登録商標)4030ACの高濃度トルエン溶液を使用して、円筒の両端部および膜層の端部間の継ぎ目を封止する。少なくとも48時間にわたって端部および継ぎ目のトルエンを乾燥させる。表8は、各実施例に使用されるコアおよび膜層の含有量を示す。
【0060】
【表8】
【0061】
[0072]試料を形成したら、上記に記載されたように放出速度について試験した。結果を図19および20に記載する。
【0062】
[0073]本発明のこれらおよび他の変更および変形は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって実践されうる。加えて、様々な実施形態の態様は、全体的にも部分的にも交換されうることが理解されるべきである。更に、当業者は、前述の説明は単なる例であり、本発明を制限することを意図せず、添付の特許請求の範囲に更に説明されていることを理解する。
図1
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図5
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図7
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【国際調査報告】