(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-525169(P2021-525169A)
(43)【公表日】2021年9月24日
(54)【発明の名称】指紋非視認性コーティングおよびそれを形成する方法
(51)【国際特許分類】
B05D 5/00 20060101AFI20210827BHJP
C09D 183/06 20060101ALI20210827BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20210827BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20210827BHJP
【FI】
B05D5/00 H
C09D183/06
C09D5/02
B32B7/023
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2020-565459(P2020-565459)
(86)(22)【出願日】2019年5月24日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月12日
(86)【国際出願番号】US2019033952
(87)【国際公開番号】WO2019227010
(87)【国際公開日】20191128
(31)【優先権主張番号】62/676,052
(32)【優先日】2018年5月24日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】516344753
【氏名又は名称】エヌビーディー ナノテクノロジーズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NBD NANOTECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(72)【発明者】
【氏名】ガルヴェス, ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ボン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】アルティノク, エスラ.
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4J038
【Fターム(参考)】
4D075CA02
4D075CA34
4D075CA36
4D075CA44
4D075CA47
4D075CA48
4D075CB01
4D075CB06
4D075DA06
4D075DB11
4D075DB13
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4D075EA05
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4D075EB51
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4D075EC30
4F100AA17A
4F100AG00A
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4F100AK25A
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4J038DL051
4J038MA06
4J038MA08
4J038MA10
4J038MA14
4J038NA09
4J038PB08
4J038PB09
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC08
(57)【要約】
基材上に耐指紋性コーティングを形成する方法であって、プラズマへの曝露によって前記基材を活性化するステップ、次いで活性化した前記基材上にアルキルシラン、POSS、またはそれらの混合物を堆積させるステップを含む、方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐指紋性基材であって、
基材の表面に耐指紋性コーティング用の配合物を適用するステップを含む方法によって作製され、
ここで、得られた耐指紋性表面は2未満のデルタEを有する、耐指紋性基材。
【請求項2】
前記耐指紋性表面は、約40°未満の初期油角および約65°を超える初期水角を有する、請求項1に記載の耐指紋性基材。
【請求項3】
前記耐指紋性コーティング用の配合物は、以下の式のアルキルシラン
(RA)3SiRB
を含み、
式中、各RAは独立して、−OC1〜C6アルキル、−OC2〜C6アルケニル、または−OC2〜C6アルキニルであり、
RBはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、またはC2〜C20アルキニルであり、ここで−OC1〜C6アルキル、−OC2〜C6アルケニル、−OC2〜C6アルキニル、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、またはC2〜C20アルキニル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OR1、−CO2H、−C(O)OR1、−C(O)OC1〜C20−PO3H2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1〜C6アルキル)、−C(O)N(C1〜C6アルキル)2、−SC1〜C6アルキル、−S(O)C1〜C6アルキル、−S(O)2C1〜C6アルキル、−S(O)NH(C1〜C6アルキル)、−S(O)2NH(C1〜C6アルキル)、−S(O)N(C1〜C6アルキル)2、−S(O)2N(C1〜C6アルキル)2、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(H)C1〜C6アルキル−NH2、−N(H)C1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3、−N(R1)C1〜C6アルキル−N(R1)C1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3、−N(H)C1〜C6アルキル−OC1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3、−N(H)C1〜C6アルキル−N(H)C1〜C6アルキル−NH2、−P(C1〜C6アルキル)2、−P(O)(C1〜C6アルキル)2、−PO3H2、または−Si(−OC1〜C6アルキル)3で置換され、そしてここで、−N(H)C1〜C6アルキル−O−C1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3のC1〜C6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換され、そして
R1は独立して、重水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C3〜C6シクロアルキル、または−C1〜C6アルキル−O−C1〜C6アルキルであり、ここでC1〜C6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換される、請求項2に記載の耐指紋性基材。
【請求項4】
RAは−OC1〜C6アルキルである、請求項3に記載の耐指紋性基材。
【請求項5】
RBはC6〜C20アルキルまたはC10〜C20アルキルである、請求項3に記載の耐指紋性基材。
【請求項6】
RBはC6〜C20アルキルまたはC10〜C20アルキルであり、C6〜C20アルキルまたはC10〜C20アルキル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、ハロゲン、−OH、−CN、−OR1、−CO2H、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−P(C1〜C6アルキル)2、−P(O)(C1〜C6アルキル)2、または−PO3H2で置換され、R1は独立して、重水素または−C1〜C6アルキル−O−C1〜C6アルキルである、請求項5に記載の耐指紋性基材。
【請求項7】
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11−(2−メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン、(11−ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン、および(11−ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、請求項6に記載の耐指紋性基材。
【請求項8】
前記アルキルシランは、フルオロを含まない、請求項1に記載の耐指紋性基材。
【請求項9】
前記耐指紋性コーティング用の配合物は、以下の式のPOSS
【化1】
を含み、
式中、Rは−C
1〜C
6アルキル、−A
E−O−B
F−C
G−O−D
H、または−O−Si(C
1〜C
6アルキル)
3であり、ここでAはC
1〜C
6アルキルであり、Bは−C
1〜C
6アルキル−O−であり、CはC
1〜C
6アルキルであり、DはC
1〜C
6アルキルであり、Oは酸素であり、E、G、およびHは各々、少なくとも1であり、Fは5〜12の整数であり、−C
1〜C
6アルキル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OR
2、−OC
1〜C
6アルキル、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(H)C
1〜C
6アルキル−NH
2、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(O)(C
1〜C
6アルキル)
2、または−OPO
3Hで置換され、そして
R
2は独立して、重水素、C
2〜C
6アルケニル、C
2〜C
6アルキニル、C
3〜C
6シクロアルキル、または−C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6アルキルである、請求項1に記載の耐指紋性基材。
【請求項10】
Rは−AE−O−BF−CG−O−DHまたは−O−Si(C1〜C6アルキル)3である、請求項9に記載の耐指紋性基材。
【請求項11】
Rは−AE−O−BF−CG−O−DHである、請求項9に記載の耐指紋性基材。
【請求項12】
Rは−(CH2)3O(CH2CH2O)9CH2CH2OCH3である、請求項11に記載の耐指紋性基材。
【請求項13】
前記耐指紋性基材は、約0.2未満の摩擦係数を有する、請求項1に記載の耐指紋性基材。
【請求項14】
前記耐指紋性基材は、約0.13未満の摩擦係数を有する、請求項13に記載の耐指紋性基材。
【請求項15】
前記基材は、ガラス、金属酸化物、およびアクリルポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1に記載の耐指紋性基材。
【請求項16】
前記耐指紋性基材は、少なくとも約50°未満の初期油角を有する、請求項1に記載の耐指紋性基材。
【請求項17】
前記耐指紋性基材は、少なくとも約45°未満の初期油角を有する、請求項1に記載の耐指紋性基材。
【請求項18】
前記耐指紋性基材は、少なくとも約35°未満の初期油角を有する、請求項1に記載の耐指紋性基材。
【請求項19】
前記耐指紋性基材は、約65°を超える初期水角を有する、請求項1に記載の耐指紋性基材。
【請求項20】
前記耐指紋性基材は、約70°〜約90°の初期水角を有する、請求項1に記載の耐指紋性基材。
【請求項21】
前記耐指紋性基材は、実質的にフッ化物を含まない、請求項1に記載の耐指紋性基材。
【請求項22】
前記デルタEは、約0.7未満である、請求項1に記載の耐指紋性基材。
【請求項23】
耐指紋性コーティング用の配合物であって、前記配合物は、
アルキルシラン、
POSS、および
溶媒
を含む、配合物。
【請求項24】
前記アルキルシランは、以下の式のアルキルシラン
(RA)3SiRB
であり、
式中、各RAは独立して、−OC1〜C6アルキル、−OC2〜C6アルケニル、または−OC2〜C6アルキニルであり、
RBはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、またはC2〜C20アルキニルであり、ここで−OC1〜C6アルキル、−OC2〜C6アルケニル、−OC2〜C6アルキニル、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、またはC2〜C20アルキニル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OR1、−CO2H、−C(O)OR1、−C(O)OC1〜C20−PO3H2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1〜C6アルキル)、−C(O)N(C1〜C6アルキル)2、−SC1〜C6アルキル、−S(O)C1〜C6アルキル、−S(O)2C1〜C6アルキル、−S(O)NH(C1〜C6アルキル)、−S(O)2NH(C1〜C6アルキル)、−S(O)N(C1〜C6アルキル)2、−S(O)2N(C1〜C6アルキル)2、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(H)C1〜C6アルキル−NH2、−N(H)C1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3、−N(R1)C1〜C6アルキル−N(R1)C1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3、−N(H)C1〜C6アルキル−OC1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3、−N(H)C1〜C6アルキル−N(H)C1〜C6アルキル−NH2、−P(C1〜C6アルキル)2、−P(O)(C1〜C6アルキル)2、−PO3H2、または−Si(−OC1〜C6アルキル)3で置換され、そしてここで、−N(H)C1〜C6アルキル−O−C1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3のC1〜C6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換され、そして
R1は独立して、重水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C3〜C6シクロアルキル、または−C1〜C6アルキル−O−C1〜C6アルキルであり、ここでC1〜C6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換される、請求項23に記載の配合物。
【請求項25】
RAは−OC1〜C6アルキルである、請求項24に記載の配合物。
【請求項26】
RBはC6〜C20アルキルまたはC10〜C20アルキルである、請求項25に記載の配合物。
【請求項27】
RBはC6〜C20アルキルまたはC10〜C20アルキルであり、C6〜C20アルキルまたはC10〜C20アルキル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、ハロゲン、−OH、−CN、−OR1、−CO2H、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−P(C1〜C6アルキル)2、−P(O)(C1〜C6アルキル)2、または−PO3H2で置換され、R1は独立して、重水素または−C1〜C6アルキル−O−C1〜C6アルキルである、請求項26に記載の配合物。
【請求項28】
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11−(2−メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン、(11−ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン、および(11−ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、請求項27に記載の配合物。
【請求項29】
前記POSSは以下の式のPOSS
【化2】
であり、
式中、Rは−C
1〜C
6アルキル、−A
E−O−B
F−C
G−O−D
H、または−O−Si(C
1〜C
6アルキル)
3であり、ここでAはC
1〜C
6アルキルであり、Bは−C
1〜C
6アルキル−O−であり、CはC
1〜C
6アルキルであり、DはC
1〜C
6アルキルであり、Oは酸素であり、E、G、およびHは各々、少なくとも1であり、Fは5〜12の整数であり、−C
1〜C
6アルキル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OR
2、−OC
1〜C
6アルキル、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(H)C
1〜C
6アルキル−NH
2、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(O)(C
1〜C
6アルキル)
2、または−OPO
3Hで置換され、そして
R
2は独立して、重水素、C
2〜C
6アルケニル、C
2〜C
6アルキニル、C
3〜C
6シクロアルキル、または−C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6アルキルである、請求項23に記載の配合物。
【請求項30】
Rは−AE−O−BF−CG−O−DHまたは−O−Si(C1〜C6アルキル)3である、請求項29に記載の配合物。
【請求項31】
Rは−AE−O−BF−CG−O−DHである、請求項30に記載の配合物。
【請求項32】
Rは−(CH2)3O(CH2CH2O)9CH2CH2OCH3である、請求項31に記載の配合物。
【請求項33】
前記アルキルシランは、約1g/l〜約6g/Lの濃度で存在する、請求項23に記載の配合物。
【請求項34】
前記アルキルシランの濃度は、約2g/l〜約5g/lである、請求項33に記載の配合物。
【請求項35】
前記POSSは、約50mg/lから約500mg/lの濃度で存在する、請求項33に記載の配合物。
【請求項36】
前記POSSの濃度は、約50mg/l〜約250mg/lである、請求項35に記載の配合物。
【請求項37】
前記溶媒は、水、アルコール、またはそれらの混合物を含む、請求項23に記載の配合物。
【請求項38】
前記溶媒は、約1〜7のpHで存在する、請求項37に記載の配合物。
【請求項39】
前記配合物は、PDMSを含む、請求項23に記載の配合物。
【請求項40】
前記PDMSは、トリアルコキシシランで終端されている、請求項39に記載の配合物。
【請求項41】
前記PDMSは、約10,000Da未満の分子量を有する、請求項39に記載の配合物。
【請求項42】
前記PDMSの分子量は、少なくとも2,000Daである、請求項41に記載の配合物。
【請求項43】
基材上に耐指紋性コーティングを形成する方法であって、前記方法は、
前記基材の表面に耐指紋性コーティング用の配合物を適用するステップ、および
前記基材の表面上で前記耐指紋性コーティング用の配合物を硬化させて耐指紋性コーティングを形成するステップを含む、方法。
【請求項44】
前記耐指紋性コーティング用の配合物は、以下の式のアルキルシラン
(RA)3SiRB
を含み、
式中、各RAは独立して、−OC1〜C6アルキル、−OC2〜C6アルケニル、または−OC2〜C6アルキニルであり、
RBはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、またはC2〜C20アルキニルであり、ここで−OC1〜C6アルキル、−OC2〜C6アルケニル、−OC2〜C6アルキニル、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、またはC2〜C20アルキニル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OR1、−CO2H、−C(O)OR1、−C(O)OC1〜C20−PO3H2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1〜C6アルキル)、−C(O)N(C1〜C6アルキル)2、−SC1〜C6アルキル、−S(O)C1〜C6アルキル、−S(O)2C1〜C6アルキル、−S(O)NH(C1〜C6アルキル)、−S(O)2NH(C1〜C6アルキル)、−S(O)N(C1〜C6アルキル)2、−S(O)2N(C1〜C6アルキル)2、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(H)C1〜C6アルキル−NH2、−N(H)C1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3、−N(R1)C1〜C6アルキル−N(R1)C1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3、−N(H)C1〜C6アルキル−OC1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3、−N(H)C1〜C6アルキル−N(H)C1〜C6アルキル−NH2、−P(C1〜C6アルキル)2、−P(O)(C1〜C6アルキル)2、−PO3H2、または−Si(−OC1〜C6アルキル)3で置換され、そしてここで、−N(H)C1〜C6アルキル−O−C1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3のC1〜C6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換され、そして
R1は独立して、重水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C3〜C6シクロアルキル、または−C1〜C6アルキル−O−C1〜C6アルキルであり、ここでC1〜C6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記耐指紋性コーティングは、少なくとも約50°未満の初期油角を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記耐指紋性コーティングは、少なくとも約45°未満の初期油角を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記耐指紋性コーティングは、約65°を超える初期水角を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記耐指紋性コーティングは、約70°〜約90°の初期水角を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
前記方法は、不活性ガス、N2、O2、および前記ガスのうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのガスのプラズマに前記基材の表面を曝露することによって前記表面を活性化するステップを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
前記適用するステップは、前記基材の表面を前記耐指紋性コーティング用の配合物に浸漬する、前記配合物で拭く、または前記基材の表面に前記配合物を噴霧することによって実施される、請求項43に記載の方法。
【請求項51】
前記耐指紋性コーティングは、約0.2未満の摩擦係数を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項52】
前記耐指紋性コーティングは、約0.13未満の摩擦係数を有する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
耐指紋性コーティング用の配合物であり、前記配合物は、アルキルシランおよびPDMSを含む、配合物。
【請求項54】
前記PDMSは、トリアルコキシシランで終端されている、請求項53に記載の配合物。
【請求項55】
前記PDMSは、約10,000Da未満の分子量を有する、請求項54に記載の配合物。
【請求項56】
前記PDMSの分子量は、少なくとも2,000Daである、請求項55に記載の配合物。
【請求項57】
前記アルキルシランは、以下の式のアルキルシラン
(RA)3SiRB
であり、
式中、各RAは独立して、−OC1〜C6アルキル、−OC2〜C6アルケニル、または−OC2〜C6アルキニルであり、
RBはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、またはC2〜C20アルキニルであり、ここで−OC1〜C6アルキル、−OC2〜C6アルケニル、−OC2〜C6アルキニル、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、またはC2〜C20アルキニル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OR1、−CO2H、−C(O)OR1、−C(O)OC1〜C20−PO3H2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1〜C6アルキル)、−C(O)N(C1〜C6アルキル)2、−SC1〜C6アルキル、−S(O)C1〜C6アルキル、−S(O)2C1〜C6アルキル、−S(O)NH(C1〜C6アルキル)、−S(O)2NH(C1〜C6アルキル)、−S(O)N(C1〜C6アルキル)2、−S(O)2N(C1〜C6アルキル)2、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(H)C1〜C6アルキル−NH2、−N(H)C1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3、−N(R1)C1〜C6アルキル−N(R1)C1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3、−N(H)C1〜C6アルキル−OC1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3、−N(H)C1〜C6アルキル−N(H)C1〜C6アルキル−NH2、−P(C1〜C6アルキル)2、−P(O)(C1〜C6アルキル)2、−PO3H2、または−Si(−OC1〜C6アルキル)3で置換され、そしてここで、−N(H)C1〜C6アルキル−O−C1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3のC1〜C6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換され、そして
R1は独立して、重水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C3〜C6シクロアルキル、または−C1〜C6アルキル−O−C1〜C6アルキルであり、ここでC1〜C6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換される、請求項55に記載の配合物。
【請求項58】
RBはC6〜C20アルキルまたはC10〜C20アルキルであり、C6〜C20アルキルまたはC10〜C20アルキル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、ハロゲン、−OH、−CN、−OR1、−CO2H、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−P(C1〜C6アルキル)2、−P(O)(C1〜C6アルキル)2、または−PO3H2で置換され、R1は独立して、重水素または−C1〜C6アルキル−O−C1〜C6アルキルである、請求項57に記載の配合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2018年5月24日に出願された、米国仮特許出願第62/676,052号の35U.S.C.§119(e)下の利益を主張し、その開示はその全体が参照により援用される。
【0002】
分野
本開示は、例示的な実施形態において、基材をコーティングして指紋を視認できなくするか、ほぼ視認できなくするためのコーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
人は(皮脂腺からの)皮脂と他の油を顔面と指先から自然に出す。人はそのような油を携帯電話(または他の物品)のディスプレイ画面、例えばガラス(または画面保護材、通常ポリマー・プラスチック)、ガラスセラミック、金属酸化物、プレキシガラスまたは同様の材料または表面上に付着させ得る。しばしば、そのような油は視認され、このような装置で見る画像の品質を低下させ得るだけでなく、(汚れ、埃などを伴って)前記画面の審美的外観の低下の原因になり得る。指紋非視認性(「IFP」)コーティングは、一般的に親油性コーティングであり、油を画面表面に沿って広げることにより、前記油を視認できなくするか、ほぼ視認できなくする。前記油は画面材料、例えばガラスの屈折率と一致する可能性があり、結果的に、光が通過して指紋がないように見せる。指紋は依然として存在している可能性はあるが、(少なくとも前記表面を精査しなければ)指紋を見ることはできない。IFP特性を示すコーティングおよびコーティング材料は、水が玉のように盛り上がって蒸発するのに十分なほどの疎水性を必要とする可能性がある。前記コーティングの親水性が高すぎる場合には、指紋が見え得る可能性がある。しかしながら、前記コーティングの疎水性が高すぎる場合、前記表面は適切な特性を示さない可能性がある。
【0004】
対照的に、「防指紋性」(「AFP」)コーティングは、濡れに耐える疎油性コーティングであり、実際に形成される指紋をより容易に洗浄されるようにできるが、指紋の形成は防止せず、または実際に形成される指紋の目立ちを低減することはない。IFPコーティングはAFPコーティングとは異なる様式で機能する。
【0005】
光学的透明性、機械的耐久性、および指紋非視認特性を提供できるコーティングを有することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
以下は、様々な本発明の実施形態のいくつかの態様の基本的な理解をもたらすために簡略化した要旨を提示する。前記要旨は本発明の広範な概要ではない。これは、本発明の重要な要素または不可欠な要素を特定することも、本発明の範囲を線引きすることも意図していない。以下の要旨は、以下のより詳細な説明の前置きとして、本発明のいくつかの概念を単純化した形態で提示するに過ぎない。
【0007】
本開示は、例示的な実施形態において、IFPコーティングを提供するための組成物および配合物に関する。本開示はまた、基材、例えば、これらに限定されないが、ガラス材料製の基材、セラミックまたは金属酸化物の表面の上に疎水性でかつ親油性のコーティングを形成する方法に関する。
【0008】
例示的な一実施形態では、基材上に耐指紋性コーティングを形成する方法であって、(a)不活性ガス、N
2、O
2、および前記ガスの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのガスのプラズマに前記基材を曝露することによって、前記基材を活性化するステップ、および(b)アルキルシラン、POSS、またはそれらの混合物を含む耐指紋性コーティング用の配合物が堆積される、第2の堆積ステップを含む方法が開示される。
【0009】
別の例示的な実施形態では、耐指紋性コーティング用の配合物は、アルキルシラン、POSS、またはそれらの混合物を含み、プロトン性溶媒または非プロトン性溶媒のいずれかにおいて調製され、さらに水性塩基または水性酸のいずれかを含む。
【0010】
別の例示的な実施形態では、コーティングが水性酸または水性塩基のいずれかにおけるアルキルシランの混合物、親水性OH−POSS、またはそれらの混合物を含む、プライマー第一層上のコーティングを含む、上記方法によって得られる基材が開示される。
【0011】
別の例示的な実施形態では、アルキルシラン、POSS、またはそれらの混合物を含み、70〜90度の範囲の水接触角および30〜40度の範囲のジヨードメタン接触角を有する、指紋非視認性コーティングを提供するための組成物が開示される。
【0012】
別の例示的な実施形態では、少なくとも1つのアルキルシラン材料、ヒドロキシル化POSS、またはそれらの混合物を含む、指紋非視認性コーティング材料が開示され、前記コーティング材料は、75〜85度の範囲の水接触角および30〜40度の範囲のジヨードメタン接触角を有する。
【0013】
他の特徴は、添付の特許請求の範囲と併せて解釈される場合、特定の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面により、以下の例示的な実施形態または試験結果が開示される。
【0015】
【
図1】
図1のAは、2片のゴリラ強化ガラスの間に配置した指紋の写真であり、2枚の基材を示す。左側の基材は実施例1に従ってコーティングされ、右側の基材はコーティングされていない。
【0016】
図1のBは、
図1のAの写真の詳細図である。
【0017】
【
図2】
図2は、イソプロピルアルコールで擦った前後の、実施例5に従ってコーティングされた基材の耐薬品性を示すチャートである。
【0018】
【
図3】
図3は、水およびジヨードメタン油を用いた、実施例3に従ってコーティングされた基材の機械的摩耗試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示による耐指紋性基材は、耐指紋性コーティングでコーティングされた表面を含み得る。例示的に、前記耐指紋性基材は、前記基材の表面に耐指紋性コーティング用の配合物を適用するステップを含む方法によって形成され得る。いくつかの実施形態では、前記耐指紋性コーティング用の配合物は、アルキルシラン、POSS、またはそれらの混合物を含む。本明細書に記載されるように、前記耐指紋性表面は、約2未満のデルタE値を有して、前記表面に耐摩耗性を提供し得る。
【0020】
例示的な実施形態では、前記基材は、例えば、電子ディスプレイに使用されるような、ガラス画面であってもよく、具体的には、これらに限定されないが、携帯電話の画面、コンピュータのモニタ、テレビ画面、タッチスクリーン、家電製品、ヘッドアップ・ディスプレイ、眼鏡(例えば、眼鏡およびサングラス)、マスク(例えば、溶接マスク)、内壁塗料などを含む。例示的な実施形態では、前記基材は、器具機器および化粧仕上げ分野において、例えば、器具、具体的には家庭用電気機器(冷蔵庫のドア、オーブンのドア、ディスプレイ・ケースなど)用の装飾パネルにも使用され得る。前記基材は、ガラス(または画面保護材、通常ポリマー・プラスチック)、ガラスセラミック、金属酸化物、プレキシガラスまたは他の材料で作られていてもよい。
いくつかの実施形態では、前記基材は、ガラス、ガラスセラミック、金属酸化物、またはプラスチックを含む。
【0021】
本開示において、「非視認性」という用語は、見ることができない、視認性できない、ほとんど視認できない、または目立たない(例えば、前記表面を精査しない限り見ることができない)ことを含むと理解されるべきである。「非視認性」は、ある程度、光の屈折と、表面を見る向きにも依存すると理解されるべきである。ある角度から、指紋は見えない可能性があるが、他の角度では識別可能であり得る。「濡れ性」という用語は、それによって極性または非極性の液体が基材に付着し、望ましくない膜を形成する性質を意味し、さらにあらゆる種類の塵や汚れ、指紋、昆虫などを保持する基材の傾向を意味する。
【0022】
いくつかの実施形態では、油を含み得る液体の存在は、特に前記表面上の指紋の可視性を下げるために電子ディスプレイにおいて重要であり得る。基材の濡れ特性は、疎水性/疎油性および親水性/親油性に分類することができる。疎水性/疎油性基材とは、油(有機液体を含む)と水を撥く基材を意味する。通常、オムニフォビック表面の接触角は、平坦な表面の場合、ヘキサデカンに関しては約60度より高く、水の場合には約90度より高い。親水性/親油性基材とは、油と水が前記表面に引きつけられることを意味する。このように、前記液体は前記表面を横切って容易に広がり、低い接触角(約50度未満)を有する。
【0023】
指紋非視認性コーティングを得るための1つのアプローチでは、もたらされる液体が前記表面を横切って広がり、前記表面上の液体がガラス基材に由来する屈折率と一致するように、水と油の接触角を最適化し得る。そのような場合、光は指紋を通過し、非視認性指紋の目に見える効果をもたらすことになる。この接触角を得るために、疎水特性および親油特性を有する表面が望ましいことが実証された。前記効果を最適化するための1つのアプローチにおいて、水接触角は約70〜90度または約70〜85度の範囲であってもよく、ジヨードメタン接触角は約20〜40度または約25〜40度の範囲であってもよいことが見出された。
【0024】
本明細書に開示されるいくつかの組成物の特徴は、疎水性アルキルシラン、OH−POSS、またはそれらの混合物を使用することである。前記アルキルシランは疎水性をもたらすが、それ自体は約110度の水接触角を有する可能性があり、疎水性が強すぎる。したがって、水とジヨードメタンの接触角の両方を小さくするために、いくつかの実施形態において、添加剤が必要とされるが、添加剤は前記コーティングに組み込まれたときに濡れ性およびIFP特性をもたらし、また前記アルキルシランと共にコーティングを形成できることが求められる。したがって、既存の添加剤は適切ではない可能性が高かった。本明細書に開示されるいくつかの例示的な実施形態では、OH−POSSが、親水性であるため、添加剤として使用される。
【0025】
基材、例えばガラス基材上に本明細書に記載の指紋非視認性コーティングを組み込むことのいくつかの利点がある。このようなコーティングにより、垂直または傾斜した表面から水滴が滑り落ちることが可能になり、さらに容易に洗浄されることが可能になり得る。このようなコーティングの親油性表面により、指紋の油が前記表面を横切って広がることが可能になり、油が盛り上がる代わりに液状膜がもたらされ得る。例示的な実施形態において、水との少なくとも約70度または少なくとも約80度のおよびジヨードメタンとの約40度未満の特定の接触角に調整された疎水性および親油性の組み合わせにより、光透過性または指紋の非視認性を最大にすることができる。そのようなコーティングにより、疎水性コーティングに基づく浮遊性の親水性添加剤による自己修復特性を実証することができるため、経時劣化を低減することができる。
【0026】
グレージング(基材)上にコーティング層の形態で使用することができる指紋非視認特性を付与することが知られている薬剤には、これらに限定されないが、酸性またはアルカリ性の溶液中のアルキルシラン、ヒドロキシル末端T8 POSSナノ粒子、またはそれらの混合物が含まれる。本明細書に記載されるように、コーティング層は、基材の表面に水性または非水性の酸性または塩基性の溶媒中にアルキルシラン材料およびOH−POSSを含有する溶液を適用することによって得ることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記アルキルシランは二官能性である。例示的な二官能性アルキルシランには、ハロアルキルシラン、ビスアルキルシラン、ビスアルコキシシラン、アミノアルキルシラン、ヒドロキシアルキルシラン、およびホスフェートアルキルシランが含まれる。
【0028】
例示的なビスアルキルシランには、ビストリエトキシオクチルシランおよびビス(トリメトキシシリル)4−オキサ−8−アズンデカン−6−オールが含まれる。
【0029】
例示的なハロアルキルシランには、クロロウンデシルシランおよびクロロヘキシルシランが含まれる。
【0030】
例示的なアミノアルキルシランには、アミノウンデシルシラン、N−2−アミノエチル−11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、およびN−6−アミノヘキシルアミノメチルトリエトキシシランが含まれる。
【0031】
例示的なヒドロキシアルキルシランには、OH−デシルトリエトキシシランが含まれる。
【0032】
例示的なホスフェートアルキルシランには、ホスフェートウンデシルトリエトキシシランが含まれる。
【0033】
「自己修復」材料は、経時的な機械的使用によって生じるダメージを修復する能力を有する材料である。ヒドロキシルT8−POSSは、ナノ粒子ベースの構造であり、その末端は、前記アルキルシランの撥水性を低下させる、親水性および親油性である。本明細書に開示されている例示的な方法によって形成されたナノ粒子は、ポリマーマトリックス中にほぼ均一に分布させることができる。これらのナノ粒子は、ダメージを受けたときに前記ポリマーマトリックスの表面に浮遊し、自己修復能力を示すようになる。
【0034】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、耐指紋性基材は、表面を含む基材と、前記表面上の耐指紋性コーティングとを含む。実例として、前記耐指紋性表面は2未満のデルタEを有し得る。
【0035】
例示的に、前記基材は、ガラス、ポリマー、ガラスセラミック、金属酸化物、プレキシグラスまたは他の材料でできていてもよい。
【0036】
前記耐指紋性表面のデルタEは、実施例で説明されるように、きれいな、または未使用のガラスと指紋が付いたガラスの間の測定された差である。実例として、前記デルタEが低いほど、前記表面にある指紋が見えにくくなる。前記表面を拭いた後にデルタEを測定して、前記指紋がどれだけきれいに除去されたかを判断することもできる。いくつかの実施形態では、前記耐指紋性表面のデルタEは、約3未満、約2未満、約1未満、約0.8未満、または約0.5未満であってもよい。いくつかの実施形態では、前記耐指紋性表面のデルタEは、約0.05、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2、約2.2、約2.5、または約3である。第1の一連の範囲では、前記耐指紋性表面のデルタEは、約0.1から約2、約0.1から約1.5、約0.1から約1、約0.2から約1、約0.3から約1、または約0.4から約0.9の範囲にある。第2の一連の範囲では、前記デルタEは、約0.05から約1.2、約0.05から約0.9、約0.05から約0.8、または約0.05から約0.5であってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記耐指紋性表面は、実施例に従って測定されるような、ジヨードメタン(CH
2I
2)を使用する初期油角を有する。いくつかの実施形態では、前記初期油角は、約60°未満、約50°未満、約45°未満、約40°未満、約35°未満、または約30°未満である。いくつかの実施形態では、前記耐指紋性表面の初期油角は、約20°、約21°、約22°、約23°、約24°、約25°、約26°、約27°、約28°、約29°、約30°、約31°、約32°、約33°、約34°、約35°、約37°、約40°、約45°、約50°、約55°、または約60°である。いくつかの実施形態では、前記耐指紋性表面の初期油角は、約20°から約60°、約20°から約50°、約20°から約40°、約20°から約35°または約20°から約30°の範囲であってもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、前記耐指紋性表面は、実施例に従って測定されるような、初期水角を有する。いくつかの実施形態では、前記初期水角は、約60°を超える、約65°を超える、約75°を超える、約80°を超える、約90°を超える、または約100°を超える。いくつかの実施形態では、前記耐指紋性表面の初期水角は、約60°、約65°、約70°、約75°、約76°、約77°、約78°、約79°、約80°、約81°、約82°、約83°、約84°、約85°、約86°、約87°、約88°、約89°、約90°、約95°、約100°、約105°、約110°、または約115°である。いくつかの実施形態では、前記耐指紋性表面の初期水角は、約60°から約115°、約60°から約110°、約70°から約110°、約70°から約95°、約70°から約90°、または約75°から約95°の範囲であってもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、前記耐指紋性表面は、実施例に記載されているように、ある程度のサイクル数後の水角によって測定されるような、特定の耐摩耗性を有する。例示的に、前記耐指紋性表面は、実施例に記載されているように、約1,500サイクル、約3,000サイクル、または約4,500サイクルに耐えた後、特定の水角を有し得る。例示的に、摩耗後の水角は、約40°を超えても、約50°を超えても、約55°を超えても、または約60°を超えてもよい。いくつかの実施形態では、前記耐指紋性表面の摩耗後の水角は、約1,500サイクル、約3,000サイクル、または約4,500サイクル後に約40°、約50°、約55°、約60°、約65°、約70°、約75°、約80°、または約85°である。いくつかの実施形態では、前記耐指紋性表面の摩耗後の水角は、約1,500サイクル、約3,000サイクル、または約4,500サイクル後に約40°から約85°、約50°から約85°、約50°から約80°、または約60°から約80°の範囲であり得る。
【0040】
例示的な実施形態では、前記耐指紋性表面は、特定の摩擦係数を有する。いくつかの実施形態では、前記摩擦係数は、約0.2未満または約0.15未満である。いくつかの実施形態では、前記摩擦係数は、約0.08、約0.09、約0.1、約0.11、約0.12、約0.13、約0.14、または約0.15である。いくつかの実施形態では、前記摩擦係数は、約0.08から約0.15または約0.09から約0.13の範囲にある。
【0041】
いくつかの実施形態では、前記耐指紋性表面は、基材上に耐指紋性コーティング用の配合物を適用することによって形成される。いくつかの実施形態では、前記耐指紋性コーティング用の配合物は、アルキルシラン、POSS、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、前記配合物は溶媒を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、前記アルキルシランは、以下の式のアルキルシラン
(R
A)
3SiR
B
であり、
式中、各RAは独立して、−OC1〜C6アルキル、−OC2〜C6アルケニル、または−OC2〜C6アルキニルであり、そしてRBはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、またはC2〜C20アルキニルであり、ここで−OC1〜C6アルキル、−OC2〜C6アルケニル、−OC2〜C6アルキニル、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、またはC2〜C20アルキニル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OR1、−CO2H、−C(O)OR1、−C(O)OC1〜C20−PO3H2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1〜C6アルキル)、−C(O)N(C1〜C6アルキル)2、−SC1〜C6アルキル、−S(O)C1〜C6アルキル、−S(O)2C1〜C6アルキル、−S(O)NH(C1〜C6アルキル)、−S(O)2NH(C1〜C6アルキル)、−S(O)N(C1〜C6アルキル)2、−S(O)2N(C1〜C6アルキル)2、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(H)C1〜C6アルキル−NH2、−N(H)C1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3、−N(R1)C1〜C6アルキル−N(R1)C1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3、−N(H)C1〜C6アルキル−OC1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3、−N(H)C1〜C6アルキル−N(H)C1〜C6アルキル−NH2、−P(C1〜C6アルキル)2、−P(O)(C1〜C6アルキル)2、−PO3H2、または−Si(−OC1〜C6アルキル)3で置換され、そしてここで、−N(H)C1〜C6アルキル−O−C1〜C6アルキル−Si(−OC1〜C6アルキル)3のC1〜C6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換され、そしてここでR1は独立して、重水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C3〜C6シクロアルキル、または−C1〜C6アルキル−O−C1〜C6アルキルであり、ここでC1〜C6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換される。いくつかの実施形態において、RAは−OC1〜C6アルキルである。いくつかの実施形態において、RBはC10〜C20アルキル、C10〜C20アルケニル、またはC10〜C20アルキニルであり、ここでC10〜C20アルキル、C10〜C20アルケニル、またはC10〜C20アルキニル中の各水素原子は、必要に応じて、ハロで置換される。いくつかの実施形態において、RBはハロ置換されたn−オクチルトリエトキシシランまたはハロ置換されたC1〜C6アルキルではない。
【0043】
いくつかの実施形態において、R
BはC
1〜C
20アルキル、C
6〜C
20アルキル、またはC
10〜C
20アルキルであり、ここでC
1〜C
20アルキル、C
6〜C
20アルキル、またはC
10〜C
20アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、置換される。いくつかの実施形態において、各水素原子は独立して、必要に応じて、ハロゲン、−OH、−CN、−OR
1、−CO
2H、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(O)(C
1〜C
6アルキル)
2、−PO
3H
2で置換されてもよく、ここでR
1は独立して、重水素または−C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6アルキルである。例示的に、前記ハロゲンはクロロ、ブロモ、またはヨードであってもよい。いくつかの実施形態では、前記アルキルシランはハロゲンを含むが、フルオロを含まない。いくつかの実施形態において、前記アルキルシランは、PEG基を含まない。
【0044】
いくつかの実施形態において、前記アルキルシランは、耐指紋性コーティング用の配合物において特定の濃度であってもよい。いくつかの実施形態において、前記アルキルシランは、約1g/lから約6g/l、約1g/lから約5g/l、約2g/lから約5g/l、または約3g/lから約5g/lの濃度で存在する。いくつかの実施形態において、前記アルキルシランは、約1g/l、約2g/l、約3g/l、約3.25g/l、約3.5g/l、約3.75g/l、約4g/l、約4.25g/l、約4.5g/l、約5g/l、約5.5g/l、または約6g/lの濃度で存在してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11−(2−メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン、(11−ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン、および(11−ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される。
【0046】
いくつかの実施形態において、前記POSSは、以下の式のPOSS
【化1】
であり、
式中、Rは−C
1〜C
6アルキル、−A
E−O−B
F−C
G−O−D
H、または−O−Si(C
1〜C
6アルキル)
3であり、ここでAはC
1〜C
6アルキルであり、Bは−C
1〜C
6アルキル−O−であり、CはC
1〜C
6アルキルであり、DはC
1〜C
6アルキルであり、Oは酸素であり、E、G、およびHは各々、少なくとも1であり、Fは5〜12の整数であり、−C
1〜C
6アルキル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OR
2、−OC
1〜C
6アルキル、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(H)C
1〜C
6アルキル−NH
2、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(O)(C
1〜C
6アルキル)
2、または−OPO
3Hで置換され、そしてR
2は独立して、重水素、C
2〜C
6アルケニル、C
2〜C
6アルキニル、C
3〜C
6シクロアルキル、または−C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは−A
E−O−B
F−C
G−O−D
Hまたは−O−Si(C
1〜C
6アルキル)
3である。いくつかの実施形態では、Rは−A
E−O−B
F−C
G−O−D
Hである。いくつかの実施形態では、Rは−(CH
2)
3O(CH
2CH
2O)
9CH
2CH
2OCH
3である。いくつかの実施形態では、Rは−O−Si(CH
2)
2CH
2CH
2CH
2OHである。例示的なPOSSは、米国特許出願公開第2017/0349785号の実施例1に従って作製されるか、またはSigma AldrichからCAS番号288290−32−4で購入することができる。いくつかの実施形態では、RはC
1〜C
6アルキルまたは−O−Si−(C
1〜C
6アルキル)
3であり、少なくとも1つのC
1〜C
6アルキルは、少なくとも1つのヒドロキシで置換される。
【0047】
いくつかの実施形態では、前記POSSは、前記耐指紋性コーティング用の配合物中で特定の濃度であってもよい。いくつかの実施形態において、前記POSSは、約10mg/lから約1g/l、約10mg/lから約800mg/l、約20mg/lから約800mg/l、約50mg/lから約500mg/l、または約50mg/lから約250mg/lの濃度で存在する。いくつかの実施形態において、前記POSSは、約10mg/l、約50mg/l、約75mg/l、約100mg/l、約125mg/l、約150mg/l、約200mg/l、約300mg/l、約400mg/l、約500mg/l、約600mg/l、約700mg/l、約800mg/l、または約1g/lの濃度で存在してもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、前記組成物はシロキサンを含む。いくつかの実施形態において、前記アルコキシシランは、トリアルコキシシリルシロキサンである。いくつかの実施形態において、前記ジアルキルシロキサンは、ビニル末端化ジアルキルシロキサンを式(R
CO)
3SiHの化合物と接触させることによって形成され、ここでR
Cはアルキル基である。いくつかの実施形態では、前記シロキサンはアルキルシロキサンである。いくつかの実施形態において、前記アルコキシシロキサンは、アルコキシポリジメチルシロキサンである。いくつかの実施形態において、前記アルコキシシロキサンは、トリアルコキシシリルポリジメチルシロキサンである。いくつかの実施形態において、トリアルコキシシリルポリジメチルシロキサンなどの前記シロキサンは、少なくとも約2,000Da、少なくとも約3,000Da、または少なくとも約4,000Daの分子量を有する。いくつかの実施形態では、トリアルコキシシリルポリジメチルシロキサンなどの前記シロキサンは、約8,000Da未満、約6,000Da未満、または約5,500Da未満の分子量を有する。
【0049】
いくつかの実施形態では、トリアルコキシシリルポリジメチルシロキサンなどの前記シロキサンは、耐指紋性コーティング用の配合物中で特定の濃度であってもよい。いくつかの実施形態において、トリアルコキシシリルポリジメチルシロキサンなどの前記シロキサンは、約0.01mg/lから約5mg/l、約0.1mg/lから約3mg/l、または約0.2mg/lから約2mg/lの濃度で存在する。いくつかの実施形態において、トリアルコキシシリルポリジメチルシロキサンなどの前記シロキサンは、約0.01mg/l、約0.1mg/l、約0.2mg/l、約0.3mg/l、約0.4mg/l、約0.5mg/l、約0.6mg/l、約0.7mg/l、約1mg/l、約2mg/l、約3mg/l、約4mg/l、または約5mg/lの濃度で存在してもよい。いくつかの実施形態では、トリアルコキシシリルポリジメチルシロキサンなどの前記シロキサンは、約0.375mg/lで存在する。
【0050】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、アルキルシランとシロキサンの重量比を含む。いくつかの実施形態において、前記重量比は、少なくとも約5:1または少なくとも25:1のアルキルシラン:シロキサンである。いくつかの実施形態では、前記重量比は、約5:1から約50:1、約5:1から約40:1、または約5:1から約20:1のアルキルシラン:シロキサンである。いくつかの実施形態では、前記比は、約10:1のアルキルシラン:シロキサンである。これらの例示的な比は、前記シロキサンがトリアルコキシシリルポリジメチルシロキサンである場合に等しく適用される。
【0051】
いくつかの実施形態では、前記耐指紋性コーティング用の配合物は、溶媒を含む。いくつかの実施形態では、前記溶媒は、水、アルコール、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、前記アルコールは、C
1〜C
6アルキル−OHである。いくつかの実施形態では、前記溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、またはそれらの組み合わせである。
【0052】
いくつかの実施形態では、前記溶媒は酸性pHで存在する。いくつかの実施形態では、前記溶媒は、約1から約7のpHで存在する。いくつかの実施形態では、前記pHは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、または約7である。いくつかの実施形態では、前記pHは、約1から約6、約2から約6、または約2から約5である。実例として、前記溶媒は、酸を用いて酸性化することができる。いくつかの実施形態では、前記酸は硝酸であるが、所望のpHを得ることができる他の酸を使用することができる。
【0053】
実例として、基材に前記耐指紋性表面用の配合物を適用して、特定の方法によって耐指紋性表面を形成することができる。いくつかの実施形態では、基材上に耐指紋性コーティングを形成するための方法は、適用するステップを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、硬化させるステップを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、適用するステップおよび硬化させるステップを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、前記適用するステップは、前記基材の表面を前記耐指紋性コーティング用の配合物に浸漬する、前記配合物で拭く、または前記基材の表面に前記配合物を噴霧することによって実施されてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、前記適用するステップは、前記基材の表面を前記耐指紋性コーティング用の配合物に浸漬すること、前記配合物で拭くこと、前記基材の表面に前記配合物を噴霧すること、化学蒸着(CVD)、または物理蒸着(PVD)によって実施される。
【0056】
いくつかの実施形態では、基材上に耐指紋性コーティングを形成するための方法は、PVDによって、前記基材の表面に耐指紋性コーティング用の配合物を適用するステップを含む。実例として、前記適用するステップは、熱蒸発によって実施することができる。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記基材の表面上で前記配合物を硬化させるステップを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記基材の表面を洗浄するステップを含む。いくつかの実施形態では、前記洗浄するステップは、前記適用するステップの前に実施される。いくつかの実施形態では、前記配合物はペレットの形態である。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記配合物のペレットを形成するステップを含む。いくつかの例示的な実施形態では、前記ペレットを形成するステップは、スチールウールまたは銅フォームを加水分解物と接触させるステップを含む。
【0057】
例示的に、前記硬化させるステップは、高温または室温で実施することができる。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、室温で実施される。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、少なくとも約70℃、少なくとも約80℃、少なくとも約90℃、または少なくとも約100℃で実施される。
【0058】
いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、前記配合物が硬化することを可能にするために一定期間実施され、前記硬化させるステップに使用される温度に依存し得る。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは一晩実施される。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、少なくとも約5分間、少なくとも約10分間、または少なくとも約30分間実施される。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、約10分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、または約6時間実施される。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、約120℃の温度で約10分間実行される。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、約80℃の温度で約1時間実施される。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、室温で一晩実施される。
【0059】
いくつかの実施形態では、前記方法は、不活性ガス、N
2、O
2、および前述のガスの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのガスのプラズマに前記基材の表面を曝露することによって、前記表面を活性化するステップを含む。
【0060】
光学的に透明な基材およびコーティングに関するより重大な課題の1つは、機械的摩耗であり、これは、コーティングの厚さ、透明性、または有効性を劣化、摩耗、または低下させる。摩耗は、ユーザーによる基材の取り扱い中に、たとえば、布で擦って指紋や汚れを取り除くなどで、多かれ少なかれ発生する。これは、特に透明な基材を通して十分な視認性を回復するために定期的に必要とされる。また、劣化は、紫外線、熱、寒冷、化学物質、塩またはその他の腐食性物質、汚れ、その他の研磨材、またはその他の環境要素、条件、または材料への曝露によって発生する可能性がある。
【0061】
このような自己修復および耐摩耗性能は、通常、基材が、耐摩耗性、耐紫UV性、および耐塩性の全ての点で、電子産業によって現在課されている仕様をより効果的に満たすことを可能にする。
【0062】
例示的な実施形態では、適切なコーティングは、70〜90度または75〜85度の間の水接触角を有し得る。例示的な実施形態では、適切なコーティングは、30度〜40度の間のジヨードメタン接触角を有し得る。
【0063】
1つの例示的な実施形態によれば、ガラス材料、セラミック、または金属酸化物で形成された基材などの基材上にコーティングを提供するための例示的な方法が開示され、前記方法は以下のステップを含む。
【0064】
第一に、基材は、ArまたはHeタイプの不活性ガス、N
2ガス、O
2ガス、またはH
2Oガス、または前述の2つ以上の混合物から選択されたガスのプラズマに基材表面を曝露することによって活性化される。1つの例示的な実施形態によれば、この活性化ステップは、H
2Oを含むガス混合物のプラズマに前記基材を曝露することによって行われる。前記活性化ステップは、前記基材の表面上でヒドロキシル密度を増加させることによって、SAMの結合密度を増加させる。
【0065】
第二に、少なくとも1つのアルキル単分子層およびT8ヒドロキシル多面体オリゴマーシルセスキオキサン(ヒドロキシル−POSS)を含む疎水性コーティングが形成される。例示的な実施形態では、前記アルキル単分子層は、アルキルシラン(AS)またはアルキルチオール(AT)のいずれかである。他の例示的な実施形態では、前記アルキル単分子層は、二官能性シランを含む。次に、これを、水性塩基または水性酸のいずれかを含むプロトン性または非プロトン性の溶媒と混合する。
【0066】
第三に、任意選択の疎水性コーティングを前記基材上に堆積させる。
【0067】
第四に、アルキルシラン、POSS、またはそれらの混合物を含む耐指紋性コーティング用の配合物は、水性塩基または水性酸のいずれかを含むプロトン性または非プロトン性の溶媒のいずれかで調製される。
【0068】
通常、前記耐指紋性コーティング用の配合物は、5〜100nmの間のRMS(二乗平均平方根)表面粗さを得ることができる条件下で、浸漬、噴霧、および熱CVD(化学蒸着)によって堆積される。例示的な実施形態では、5〜10nmの間のRMS(二乗平均平方根)表面粗さを得ることができる。
【0069】
このようにして得られたグレーズド基材は、光学的に透明であり、機械的磨耗および他の機械的衝撃に抵抗性があり、自己修復性である。本開示において、「光学的に透明」とは、前記基材(例えば、ガラス)に対して光学的に中性であることを意味し、すなわち、前処理されたガラスの透過率またはヘイズは実質的に変化しない。
【0070】
1つの例示的な方法によれば、前記コーティングを堆積するステップは、式のアルキルシラン(AS)、ヒドロキシル末端T8多面体オリゴマーシルセスキオキサン、および水性酸または水性塩基のいずれかの混合物から得られる溶液を使用して行われる。いくつかの実施形態では、前記アルキルシランは以下の式のアルキルシラン
H
3C−(CH
2)
n−Si(X)
3−p(R)
p
であり、
ここで、n=0から15、好ましくはn=3から5、またはn=10から20であり、ここで、p=0、または2、またはp=0または1、さらに別の例示的な実施形態では、p=0である。いくつかの実施形態において、Rは、アルキル基または水素原子であり、そしてXは、ハロゲン化物基またはアルコキシ基などの加水分解性基であるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、前記POSSは以下の構造
【化2】
を有し、
ここで、RはOH−(CH
2)
n、n=0から5、好ましくはn=1である。
【0071】
本開示の組成物の例示的な実施形態の特徴は、アルキルシランと前記OH−POSSの相対量のバランスをとることである。従来のアルキルシランは、指紋非視認性コーティングとして適切に機能するには疎水性および疎油性が強い材料を提供することとなる。純粋なガラスは、親水性でかつ疎油性(約30度のWCA、および約40〜45度のジヨードメタンCA)である。前記POSS構造上の置換に関して、一般的に、より多くのヒドロキシル化が存在するほど、より親水性の構造となる。指紋非視認性機能を提供するには不十分な特性をもたらすことになる、高すぎるまたは低すぎるWCAを避け適切なレベルのヒドロキシル化とすることが重要である。OH−POSSが多すぎると、材料が親水性になり、所望の特性を示さない。OH−POSSが少なすぎると、材料の疎水性/疎油性が強すぎて機能しなくなる。このように、指紋非視認特性を適切に提供するために特定のOH−POSS組成物および意図された使用(例えば、基材)に関して、濡れ性を調整する必要がある。75〜85度の範囲の水接触角および30〜40度の範囲のジヨードメタン接触角を有するコーティングされた表面は、優れた非視認特性を示した。
【0072】
代替の例示的な実施形態では、OH−POSSの代わりに他の非フッ素化疎水性材料を使用してもよい。例えば、これらに限定されないが、PEG化−POSS、アミン置換POSS、カルボン酸置換POSSなどの他の親水性POSS材料を使用してもよい。
【0073】
別の例示的な実施形態では、本明細書に開示される方法に従って作製されたコーティングは、80度の水接触角および30度のジヨードメタン接触角を有し、優れた指紋非視認特性を示した。
【0074】
本開示はまた、本明細書に記載の基材を含む、またはこの基材によって形成されたオムニフォビック・コーティングに関し、このコーティングは、特に、様々な媒体面用または建築物用のグレージングとして使用される。
【0075】
水性の酸または塩基は、アルキルシランの求核反応を補助するために必要とされる場合がある。例示的な実施形態では、前記酸は、1〜3の範囲のpHを有し得る。例示的な実施形態では、前記酸は、組成物であってもよく、これらに限定されないが、例えばアスコルビン酸、クエン酸、サリチル酸、酢酸、塩酸、シュウ酸、リン酸、硫酸などの組成物であってもよい。例示的な実施形態では、前記塩基は、11〜14の範囲のpHを有し得る。例示的な実施形態では、前記塩基は、組成物であってもよく、これらに限定されないが、例えば水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの組成物であってよい。OHの脱プロトン化が前記基材(例えば、ガラス)の表面上で起こり、O
−になるため、上記のような低pH酸または高pH塩基が使用され、このO
−は、OHよりも求核試薬としてより反応性であるため、脱離基を有するSAMの結合密度を増加させる。
【0076】
例示的な実施形態によれば、アルキルシラン、OH−POSS、またはそれらの混合物、および水性塩基を含む耐指紋性コーティング用の配合物は、本明細書で上述されているように、当業者に知られている任意の適切な堆積技術によって堆積され得る。
【0077】
本開示はまた、上記の例示的な実施形態の1つに従った方法によって得ることができる指紋非視認性コーティングを備えたガラス、セラミックまたは金属酸化物基材を提供し、このコーティングは、水性の塩基または酸中のアルキルシランおよびOH−POSS材料を含み、すなわち、本質的に、または排他的に、指紋非視認性層からなり、その表面は、5nmを超える表面粗さを有し、ArまたはHe型の希ガス、N
2ガスまたはO
2ガスから選択されるガスのプラズマを用いる処理によって、または前述のガスの少なくとも2つの混合物のプラズマによって、好ましくは前記表面粗さを変更しないか、または実質的に変更しない条件下で、活性化されており、そして、アルキルシランおよびOH−POSS、を含む指紋非視認性コーティングは、水性の塩基または酸によって補助されて、前記基材上に結合される。
【0078】
例示的な実施形態では、前記基材は、H
2Oと、Ar、HeおよびN
2からなる群から選択される少なくとも1つのガスとを含むガス混合物のプラズマによって活性化される活性化ステップを行うことによって得られる。
【0079】
例示的な実施形態では、前記指紋非視認性層の厚さは、10から500nmの間である。他の例示的な実施形態では、前記指紋非視認性層の厚さは、20から100nmの間である。
【0080】
例示的な実施形態では、前記したオムニフォビック層のRMS粗さは10nm未満である。他の例示的な実施形態では、前記したオムニフォビック層のRMS粗さは5から10nmの間である。
【0081】
例示的な実施形態で開示される前記コーティング材料の特徴は、表面上にコーティングを形成し、70〜90度または75〜85度の間の水接触角および30〜40度の間のジヨードメタン接触角を有する能力である。
【0082】
いくつかの実施形態では、前記接触させるステップはさらに、アルコキシシロキサンを含む。いくつかの実施形態において、前記アルコキシシランはトリアルコキシシリルシロキサンである。いくつかの実施形態において、前記ジアルキルシロキサンは、ビニル末端ジアルキルシロキサンを式(R
CO)
3SiHの化合物と接触させることによって形成され、ここで、R
Cはアルキル基である。いくつかの実施形態では、前記シロキサンはアルキルシロキサンである。いくつかの実施形態において、前記アルコキシシロキサンは、アルコキシポリジメチルシロキサンである。いくつかの実施形態において、前記アルコキシシロキサンは、トリアルコキシシリルポリジメチルシロキサンである。
【0083】
例示的な実施形態において、前記トリアルコキシシリルシロキサンは、トリアルコキシシランを、触媒の存在下で市販のシロキサンと反応させることによって形成される。例示的なシロキサンには、Gelestから入手可能なポリジメチルシロキサンが含まれる。いくつかの実施形態では、前記触媒は、白金触媒である。
【0084】
いくつかの例示的な実施形態のみが先に詳細に説明されてきたが、当業者は、新規の教示および利点から実質的に逸脱することなく、前記例示的な実施形態において多くの修正が可能であることを容易に理解するであろう。以下の番号が付けられた条項は、企図され、非限定的な実施形態を含む。
【0086】
基材の表面に耐指紋性コーティング用の配合物を適用するステップを含む方法によって作製され、
【0087】
得られた耐指紋表面は2未満のデルタEを有する、耐指紋性基材。
【0088】
条項2。
前記耐指紋性表面は、約40°未満の初期油角および約65°を超える初期水角を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0089】
条項3。
前記耐指紋性コーティング用の配合物は、以下の式のアルキルシラン
(R
A)
3SiR
B
を含み、
【0090】
式中、各R
Aは独立して、−OC
1〜C
6アルキル、−OC
2〜C
6アルケニル、または−OC
2〜C
6アルキニルであり、
【0091】
R
BはC
1〜C
20アルキル、C
2〜C
20アルケニル、またはC
2〜C
20アルキニルであり、ここで−OC
1〜C
6アルキル、−OC
2〜C
6アルケニル、−OC
2〜C
6アルキニル、C
1〜C
20アルキル、C
2〜C
20アルケニル、またはC
2〜C
20アルキニル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OR
1、−CO
2H、−C(O)OR
1、−C(O)OC
1〜C
20−PO
3H
2、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−SC
1〜C
6アルキル、−S(O)C
1〜C
6アルキル、−S(O)
2C
1〜C
6アルキル、−S(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−S(O)
2NH(C
1〜C
6アルキル)、−S(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−S(O)
2N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(H)C
1〜C
6アルキル−NH
2、−N(H)C
1〜C
6アルキル−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3、−N(R
1)C
1〜C
6アルキル−N(R
1)C
1〜C
6アルキル−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3、−N(H)C
1〜C
6アルキル−OC
1〜C
6アルキル−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3、−N(H)C
1〜C
6アルキル−N(H)C
1〜C
6アルキル−NH
2、−P(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(O)(C
1〜C
6アルキル)
2、−PO
3H
2、または−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3で置換され、そしてここで、−N(H)C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6アルキル−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3のC
1〜C
6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換され、そして
【0092】
R
1は独立して、重水素、C
1〜C
6アルキル、C
2〜C
6アルケニル、C
2〜C
6アルキニル、C
3〜C
6シクロアルキル、または−C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6アルキルであり、ここでC
1〜C
6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換される、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0093】
条項4。
R
Aは−OC
1〜C
6アルキルである、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0094】
条項5。
R
BはC
6〜C
20アルキルまたはC
10〜C
20アルキルである、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0095】
条項6。
R
BはC
6〜C
20アルキルまたはC
10〜C
20アルキルであり、C
6〜C
20アルキルまたはC
10〜C
20アルキル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、ハロゲン、−OH、−CN、−OR
1、−CO
2H、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(O)(C
1〜C
6アルキル)
2、または−PO
3H
2で置換され、R
1は独立して、重水素または−C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6アルキルである、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0096】
条項7。
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11−(2−メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン、(11−ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン、および(11−ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0097】
条項8。
前記アルキルシランは、フルオロを含まない、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0098】
条項9。
前記耐指紋性コーティング用の配合物は、以下の式のPOSS
【化3】
を含み、
【0099】
式中、Rは−C
1〜C
6アルキル、−A
E−O−B
F−C
G−O−D
H、または−O−Si(C
1〜C
6アルキル)
3であり、ここでAはC
1〜C
6アルキルであり、Bは−C
1〜C
6アルキル−O−であり、CはC
1〜C
6アルキルであり、DはC
1〜C
6アルキルであり、Oは酸素であり、E、G、およびHは各々、少なくとも1であり、Fは5〜12の整数であり、−C
1〜C
6アルキル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OR
2、−OC
1〜C
6アルキル、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(H)C
1〜C
6アルキル−NH
2、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(O)(C
1〜C
6アルキル)
2、または−OPO
3Hで置換され、そして
【0100】
R
2は独立して、重水素、C
2〜C
6アルケニル、C
2〜C
6アルキニル、C
3〜C
6シクロアルキル、または−C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6アルキルである、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0101】
条項10。
Rは−A
E−O−B
F−C
G−O−D
Hまたは−O−Si(C
1〜C
6アルキル)
3である、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0102】
条項11。
Rは−A
E−O−B
F−C
G−O−D
Hである、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0103】
条項12。
Rは−(CH
2)
3O(CH
2CH
2O)
9CH
2CH
2OCH
3である、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0104】
条項13。
前記耐指紋性基材は、約0.2未満の摩擦係数を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0105】
条項14。
前記耐指紋性基材は、約0.13未満の摩擦係数を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0106】
条項15。
前記基材は、ガラス、金属酸化物、およびアクリルポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0107】
条項16。
前記耐指紋性基材は、少なくとも約50°未満の初期油角を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0108】
条項17。
前記耐指紋性基材は、少なくとも約45°未満の初期油角を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0109】
条項18。
前記耐指紋性基材は、少なくとも約35°未満の初期油角を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0110】
条項19。
前記耐指紋性基材は、約65°を超える初期水角を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0111】
条項20。
前記耐指紋性基材は、約70°〜約90°の初期水角を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0112】
条項21。
前記耐指紋性基材は、実質的にフッ化物を含まない、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0113】
条項22。
前記デルタEは、約0.7未満である、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせの耐指紋性基材。
【0114】
条項23。
耐指紋性コーティング用の配合物であって、前記配合物は、
【0118】
条項24。
前記アルキルシランは、以下の式のアルキルシラン
(R
A)
3SiR
B
であり、
【0119】
式中、各R
Aは独立して、−OC
1〜C
6アルキル、−OC
2〜C
6アルケニル、または−OC
2〜C
6アルキニルであり、
【0120】
R
BはC
1〜C
20アルキル、C
2〜C
20アルケニル、またはC
2〜C
20アルキニルであり、ここで−OC
1〜C
6アルキル、−OC
2〜C
6アルケニル、−OC
2〜C
6アルキニル、C
1〜C
20アルキル、C
2〜C
20アルケニル、またはC
2〜C
20アルキニル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OR
1、−CO
2H、−C(O)OR
1、−C(O)OC
1〜C
20−PO
3H
2、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−SC
1〜C
6アルキル、−S(O)C
1〜C
6アルキル、−S(O)
2C
1〜C
6アルキル、−S(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−S(O)
2NH(C
1〜C
6アルキル)、−S(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−S(O)
2N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(H)C
1〜C
6アルキル−NH
2、−N(H)C
1〜C
6アルキル−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3、−N(R
1)C
1〜C
6アルキル−N(R
1)C
1〜C
6アルキル−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3、−N(H)C
1〜C
6アルキル−OC
1〜C
6アルキル−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3、−N(H)C
1〜C
6アルキル−N(H)C
1〜C
6アルキル−NH
2、−P(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(O)(C
1〜C
6アルキル)
2、−PO
3H
2、または−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3で置換され、そしてここで、−N(H)C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6アルキル−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3のC
1〜C
6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換され、そして
【0121】
R
1は独立して、重水素、C
1〜C
6アルキル、C
2〜C
6アルケニル、C
2〜C
6アルキニル、C
3〜C
6シクロアルキル、または−C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6アルキルであり、ここでC
1〜C
6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換される、条項23の配合物。
【0122】
条項25。
R
Aは−OC
1〜C
6アルキルである、条項23〜24のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0123】
条項26。
R
BはC
6〜C
20アルキルまたはC
10〜C
20アルキルである、条項23〜25のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0124】
条項27。
R
BはC
6〜C
20アルキルまたはC
10〜C
20アルキルであり、C
6〜C
20アルキルまたはC
10〜C
20アルキル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、ハロゲン、−OH、−CN、−OR
1、−CO
2H、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(O)(C
1〜C
6アルキル)
2、または−PO
3H
2で置換され、R
1は独立して、重水素または−C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6アルキルである、条項23〜26のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0125】
条項28。
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11−(2−メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン、(11−ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン、および(11−ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、条項23〜27のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0126】
条項29。
前記POSSは以下の式のPOSS
【化4】
であり、
【0127】
式中、Rは−C
1〜C
6アルキル、−A
E−O−B
F−C
G−O−D
H、または−O−Si(C
1〜C
6アルキル)
3であり、ここでAはC
1〜C
6アルキルであり、Bは−C
1〜C
6アルキル−O−であり、CはC
1〜C
6アルキルであり、DはC
1〜C
6アルキルであり、Oは酸素であり、E、G、およびHは各々、少なくとも1であり、Fは5〜12の整数であり、−C
1〜C
6アルキル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OR
2、−OC
1〜C
6アルキル、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(H)C
1〜C
6アルキル−NH
2、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(O)(C
1〜C
6アルキル)
2、または−OPO
3Hで置換され、そして
【0128】
R
2は独立して、重水素、C
2〜C
6アルケニル、C
2〜C
6アルキニル、C
3〜C
6シクロアルキル、または−C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6アルキルである、条項23〜28のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0129】
条項30。
Rは−A
E−O−B
F−C
G−O−D
Hまたは−O−Si(C
1〜C
6アルキル)
3である、条項23〜29のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0130】
条項31。
Rは−A
E−O−B
F−C
G−O−D
Hである、条項23〜30のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0131】
条項32。
Rは−(CH
2)
3O(CH
2CH
2O)
9CH
2CH
2OCH
3である、条項23〜31のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0132】
条項33。
前記アルキルシランは、約1g/l〜約6g/Lの濃度で存在する、条項23〜32のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0133】
条項34。
前記アルキルシランの濃度は、約2g/l〜約5g/lである、条項23〜34のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0134】
条項35。
前記POSSは、約50mg/lから約500mg/lの濃度で存在する、条項23〜34のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0135】
条項36。
前記POSSの濃度は、約50mg/l〜約250mg/lである、条項23〜35のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0136】
条項37。
前記溶媒は、水、アルコール、またはそれらの混合物を含む、条項23〜36のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0137】
条項38。
前記溶媒は、約1〜7のpHで存在する、条項23〜37のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0138】
条項39。
前記配合物は、PDMSを含む、条項23〜38のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0139】
条項40。
前記PDMSは、トリアルコキシシランで終端されている、条項23〜39のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0140】
条項41。
前記PDMSは、約10,000Da未満の分子量を有する、条項23〜40のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0141】
条項42。
前記PDMSの分子量は、少なくとも2,000Daである、条項23〜41のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0142】
条項43。
基材上に耐指紋性コーティングを形成する方法であって、前記方法は、
【0143】
前記基材の表面に耐指紋性コーティング用の配合物を適用するステップ、および
【0144】
前記基材の表面上で前記耐指紋性コーティング用の配合物を硬化させて耐指紋性コーティングを形成するステップを含む、方法。
【0145】
条項44。
前記耐指紋性コーティング用の配合物は、以下の式のアルキルシラン
(R
A)
3SiR
B
を含み、
【0146】
式中、各R
Aは独立して、−OC
1〜C
6アルキル、−OC
2〜C
6アルケニル、または−OC
2〜C
6アルキニルであり、
【0147】
R
BはC
1〜C
20アルキル、C
2〜C
20アルケニル、またはC
2〜C
20アルキニルであり、ここで−OC
1〜C
6アルキル、−OC
2〜C
6アルケニル、−OC
2〜C
6アルキニル、C
1〜C
20アルキル、C
2〜C
20アルケニル、またはC
2〜C
20アルキニル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OR
1、−CO
2H、−C(O)OR
1、−C(O)OC
1〜C
20−PO
3H
2、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−SC
1〜C
6アルキル、−S(O)C
1〜C
6アルキル、−S(O)
2C
1〜C
6アルキル、−S(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−S(O)
2NH(C
1〜C
6アルキル)、−S(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−S(O)
2N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(H)C
1〜C
6アルキル−NH
2、−N(H)C
1〜C
6アルキル−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3、−N(R
1)C
1〜C
6アルキル−N(R
1)C
1〜C
6アルキル−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3、−N(H)C
1〜C
6アルキル−OC
1〜C
6アルキル−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3、−N(H)C
1〜C
6アルキル−N(H)C
1〜C
6アルキル−NH
2、−P(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(O)(C
1〜C
6アルキル)
2、−PO
3H
2、または−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3で置換され、そしてここで、−N(H)C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6−OC
1〜C
6アルキル)
3のC
1〜C
6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換され、そして
【0148】
R
1は独立して、重水素、C
1〜C
6アルキル、C
2〜C
6アルケニル、C
2〜C
6アルキニル、C
3〜C
6シクロアルキル、または−C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6アルキルであり、ここでC
1〜C
6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換される、条項43の方法。
【0149】
条項45。
前記耐指紋性コーティングは、少なくとも約50°未満の初期油角を有する、条項43〜44のいずれか1つまたは組み合わせの方法。
【0150】
条項46。
前記耐指紋性コーティングは、少なくとも約45°未満の初期油角を有する、条項43〜45のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの方法。
【0151】
条項47。
前記耐指紋性コーティングは、約65°を超える初期水角を有する、条項43〜46のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの方法。
【0152】
条項48。
前記耐指紋性コーティングは、約70°〜約90°の初期水角を有する、条項43〜47のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの方法。
【0153】
条項49。
前記方法は、不活性ガス、N
2、O
2、および前記ガスのうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのガスのプラズマに前記基材の表面を曝露することによって前記表面を活性化するステップを含む、条項43〜48のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの方法。
【0154】
条項50。
前記適用するステップは、前記基材の表面を前記耐指紋性コーティング用の配合物に浸漬する、前記配合物で拭く、または前記基材の表面に前記配合物を噴霧することによって実施される、条項43〜49のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの方法。
【0155】
条項51。
前記耐指紋性コーティングは、約0.2未満の摩擦係数を有する、条項43〜50のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの方法。
【0156】
条項52。
前記耐指紋性コーティングは、約0.13未満の摩擦係数を有する、条項43〜52のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの方法。
【0157】
条項53。
R
Bはハロ置換されたn−オクチルトリエトキシシランまたはハロ置換されたC
1〜C
6アルキルではない、前述の条項のいずれかまたは前述の条項のいずれかの組み合わせの基材、配合物、または方法。
【0158】
条項54。
R
BはC
1〜C
20アルキル、C
6〜C
20アルキル、またはC
10〜C
20アルキルであり、ここでC
1〜C
20アルキル、C
6〜C
20アルキル、またはC
10〜C
20アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、置換される、前述の条項のいずれかまたは前述の条項のいずれかの組み合わせの基材、配合物、または方法。いくつかの実施形態において、各水素原子は独立して、必要に応じて、ハロゲン、−OH、−CN、−OR
1、−CO
2H、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(O)(C
1〜C
6アルキル)
2、−PO
3H
2で置換されてもよく、ここでR
1は独立して、重水素または−C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6アルキルである。
【0159】
条項55。
前記アルキルシランは、ハロゲンを含むがフルオロを含まず、前記アルキルシランは、PEG基を含まない、またはその両方である、前述の条項のいずれかまたは前述の条項のいずれかの組み合わせの基材、配合物、または方法。
【0160】
条項56。
前記POSSは以下の式のPOSS
【化5】
であり、
【0161】
式中、RはC
1〜C
6アルキルまたは−O−Si−(C
1〜C
6アルキル)
3であり、少なくとも1つのC
1〜C
6アルキルは、少なくとも1つのヒドロキシで置換されている、前述の条項のいずれかまたは前述の条項のいずれかの組み合わせの基材、配合物、または方法。
【0162】
条項57。
POSSは、前記耐指紋性コーティング用の配合物中に存在しない、前述の条項のいずれかまたは前述の条項のいずれかの組み合わせの基材、配合物、または方法。
【0163】
条項58。
耐指紋性コーティング用の配合物であって、前記配合物は、アルキルシランおよびPDMSを含む、配合物。
【0164】
条項59。
前記PDMSは、トリアルコキシシランで終端されている、条項58の配合物。
【0165】
条項60。
前記PDMSは、約10,000Da未満の分子量を有する、条項58〜59のいずれか1つまたは組み合わせの配合物。
【0166】
条項61。
前記PDMSの分子量は、少なくとも2,000Daである、条項58〜60のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0167】
条項62。
前記アルキルシランは、以下の式のアルキルシラン
(R
A)
3SiR
B
であり、
【0168】
式中、各R
Aは独立して、−OC
1〜C
6アルキル、−OC
2〜C
6アルケニル、または−OC
2〜C
6アルキニルであり、
【0169】
R
BはC
1〜C
20アルキル、C
2〜C
20アルケニル、またはC
2〜C
20アルキニルであり、ここで−OC
1〜C
6アルキル、−OC
2〜C
6アルケニル、−OC
2〜C
6アルキニル、C
1〜C
20アルキル、C
2〜C
20アルケニル、またはC
2〜C
20アルキニル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、重水素、ハロゲン、−OH、−CN、−OR
1、−CO
2H、−C(O)OR
1、−C(O)OC
1〜C
20−PO
3H
2、−C(O)NH
2、−C(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−C(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−SC
1〜C
6アルキル、−S(O)C
1〜C
6アルキル、−S(O)
2C
1〜C
6アルキル、−S(O)NH(C
1〜C
6アルキル)、−S(O)
2NH(C
1〜C
6アルキル)、−S(O)N(C
1〜C
6アルキル)
2、−S(O)
2N(C
1〜C
6アルキル)
2、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(H)C
1〜C
6アルキル−NH
2、−N(H)C
1〜C
6アルキル−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3、−N(R
1)C
1〜C
6アルキル−N(R
1)C
1〜C
6アルキル−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3、−N(H)C
1〜C
6アルキル−OC
1〜C
6アルキル−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3、−N(H)C
1〜C
6アルキル−N(H)C
1〜C
6アルキル−NH
2、−P(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(O)(C
1〜C
6アルキル)
2、−PO
3H
2、または−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3で置換され、そしてここで、−N(H)C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6アルキル−Si(−OC
1〜C
6アルキル)
3のC
1〜C
6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換され、そして
【0170】
R
1は独立して、重水素、C
1〜C
6アルキル、C
2〜C
6アルケニル、C
2〜C
6アルキニル、C
3〜C
6シクロアルキル、または−C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6アルキルであり、ここでC
1〜C
6アルキル中の各水素原子は、必要に応じて、ヒドロキシルで置換される、条項58〜61のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【0171】
条項63。
R
BはC
6〜C
20アルキルまたはC
10〜C
20アルキルであり、C
6〜C
20アルキルまたはC
10〜C
20アルキル中の各水素原子は独立して、必要に応じて、ハロゲン、−OH、−CN、−OR
1、−CO
2H、−NH
2、−NH(C
1〜C
6アルキル)、−N(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(C
1〜C
6アルキル)
2、−P(O)(C
1〜C
6アルキル)
2、または−PO
3H
2で置換され、R
1は独立して、重水素または−C
1〜C
6アルキル−O−C
1〜C
6アルキルである、条項58〜63のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせの配合物。
【実施例】
【0172】
以下の実施例は、説明のみを目的として説明されている。このような実施例に表示される部とパーセンテージは、特に明記されていない限り、重量によるものである。OH−POSSはSigma Aldrichから購入した。
【0173】
実施例1
【0174】
活性化プラズマ条件:
【0175】
例示的な実施形態に従って、前記基材を、プラズマの形態の活性化ガスによって処理した。このステップは、さまざまな真空または大気圧チャンバー内で行うことができる。例えば、平行平板RFリアクターを使用することが可能である。処理により、前記基材は化学修飾されるが、形態などの物理的変化はない。使用されるガスは、好ましくは、Ar、He、N
2、またはO
2、またはこれらのガスの2つ以上の混合物から選択される。通常、使用圧力は50〜500mTorrの間、電力は10〜200Wの間に調節され、活性化時間は約1分から約5分、通常は1分以内であった。
【0176】
実施例2
【0177】
試験と分析
【0178】
試験のために、対照は表面処理されておらず、試験片には、プラズマ活性化されたガラス試験片上に指紋非視認性コーティングが存在した。上記のように調製された試験片は、以下の試験方法に従って評価された。
【0179】
初期接触角の測定は、水とジヨードメタンを使用して実施した。これらは、グラフトされた基材のオムニフォビシティの参照指標を提供する。
【0180】
透過率試験は、ASTM D1003に従って光の放射照度のパーセンテージで測定された。
【0181】
グラフトされたコーティングがASTM D4060に従って、50サイクル/分の並進速度と6rpmの回転速度で、1.5cm
2の領域に250gの荷重をかけてCS10硬度の研磨ディスクを使用して前記試験片上で、研磨された後に前記試験片上の水の残留接触角を測定することによって、耐摩耗性を得た。前記接触角が1500サイクル後に80°を超えたままであれば、試験片は、前記試験で満足のいくものである。
【0182】
耐薬品性試験は、強酸(pH2)および塩基(水酸化ナトリウム、pH11)の環境において室温で実施された。水接触角が8時間後に90度を超えたままである場合、試験片は試験で満足のいくものと見なされる。
【0183】
実施例3
【0184】
接触角測定
【0185】
前記指紋非視認性コーティングは、水およびジヨードメタンなどのさまざまな流体との接触角測定によって推定された。上記の手順に従って調製された試験片について得られた結果を以下の表1に示す。
【0186】
【表1】
【0187】
以下の表2は、OH−POSSコーティングなしのアルキルシラン(AS)の接触角測定値を示す。
【0188】
【表2】
【0189】
実施例4
【0190】
耐指紋性と非視認性
【0191】
指紋特性は、2片のGorilla(登録商標)強化ガラスの間に配置された指紋の
図1のAおよびBの各写真の、コーティングされた(左側)およびコーティングされていない(右側)、2枚の基材の間に指紋を配置することによって測定された。左側のコーティングされた基材には指紋がなかったが、右側のコーティングされていない基材には明確な指紋の汚れがある。
【0192】
実施例5
【0193】
耐薬品性
【0194】
一般に、疎水性コーティングは、過酷な溶媒条件に曝された後は加水分解に対して脆弱でありコーティングが破損する。この試験の目的は、本開示の例示的な方法に従って形成された指紋非視認性コーティングを備えた基材の耐薬品性を測定することであった。前記試験は、イソプロパノールアルコール(IPA)に浸した布で試料を10回擦ることで構成されていた。
図2のチャートに見られるように、IPA摩擦の前後の耐薬品性試験の試験結果は、前記コーティングの水接触角とジヨードメタン接触角が溶媒曝露の影響を受けないことを示した。
【0195】
実施例6
【0196】
耐摩耗性
【0197】
得られたオムニフォビック基材の耐摩耗性は、ASTM D4060に従って測定された。並進速度50サイクル/分、回転速度6rpmで、1.5cm
2の領域に250gの荷重をかけてCS−10硬度の研磨ディスクを使用して試験片に対して試験を実施した。水接触角が1500サイクル後に70度を超えたままである場合、試験片は前記試験で満足のいくものと見なされた。前記試験は、1,500サイクル、3,000サイクル、または4,500サイクルで実施された。機械的摩耗(ASTM D4060 Taber)試験、1,500サイクルで500gの重量負荷(CS−10ホイール)の結果を示す図である
図3に示すように、試験片の耐摩耗性は十分であり、水接触角のわずかな劣化もなかったことが理解できる。
【0198】
CS−10硬度の研磨ディスクに500gの重りを載せた。前記試験片の耐摩耗性はわずかな劣化を示した。1,500サイクルを超えると、水接触角は水とジヨードメタンのカットオフ限界(70度と30度)を上回った。
【0199】
実施例7
【0200】
トリエトキシウンデシリン酸シラン合成
【化6】
【0201】
3mlの無水トルエン中のウンデシレン酸(1.0g、5.4mmol、1当量)およびトリエトキシシラン(1.07g、6.5mmol、1.2当量)を、撹拌棒を備えた25mlの丸底フラスコに入れた。反応混合物をアルゴン下で30分間パージした。0.01mlのPt(dvs)(キシレン中の約2%Pt、Aldrichから入手可能)を前記反応混合物に滴加した。前記反応混合物をゆっくりと80℃まで加熱し、80℃で一晩撹拌したままにした。トルエンと過剰のトリエトキシシランをロータリーエバポレーターで蒸発させた。得られた有機油をセライト生成油で濾過した。収量:1.1g。%収率:58%。
【0202】
実施例8
【0203】
トリエトキシウンデシルヒドロキシシラン合成
【化7】
【0204】
30mlの無水トルエン中の10−ウンデセン−1−オール(10g、0.059mol、1当量)およびトリエトキシシラン(11.6g、0.07mol、1.2当量)を、撹拌棒を備えた100mlの丸底フラスコに入れた。反応混合物をアルゴン下で30分間パージした。0.1mlのPt(dvs)(キシレン中の約2%Pt、Aldrichから入手可能)を前記反応混合物に滴加した。前記反応混合物をゆっくりと80℃まで加熱し、80℃で一晩撹拌したままにした。トルエンと過剰のトリエトキシシランをロータリーエバポレーターで蒸発させた。得られた有機油をセライトで濾過して褐色油を得た。収量:6.8g。%収率:34%。
【0205】
実施例9
【0206】
トリエトキシヘキシルヒドロキシシラン合成
【化8】
【0207】
15mlの無水トルエン中の5−ヘキセン−1−オール(5g、0.05mol、1当量)およびトリエトキシシラン(9.84g、0.06mol、1.2当量)を、撹拌棒を備えた100mlの丸底フラスコに入れた。反応混合物をアルゴン下で30分間パージした。0.05mlのPt(dvs)(キシレン中の約2%Pt、Aldrichから入手可能)を前記反応混合物に滴加した。前記反応混合物をゆっくりと80℃まで加熱し、80℃で一晩撹拌したままにした。トルエンと過剰のトリエトキシシランをロータリーエバポレーターで蒸発させた。得られた有機油をセライトで濾過して無色の油を得たが、これは時間とともに光沢のある固体に変わった。収量:6.15g。%収率:44%。
【0208】
実施例10
【0209】
ホスホノウンデシルトリエトキシシラン合成
【化9】
【0210】
2mlの無水トルエン中の11−ホスホノウンデシルアクリレート(0.75g、2.45mmol、1当量)およびトリエトキシシラン(0.48g、2.9mmol、1.2当量)を、撹拌棒を備えた25mlの丸底フラスコに入れた。反応混合物をアルゴン下で30分間パージした。5μlのPt(dvs)(キシレン中の約2%Pt、Aldrichから入手可能)を前記反応混合物に滴加した。前記反応混合物をゆっくりと80℃まで加熱し、80℃で一晩撹拌したままにした。トルエンと過剰のトリエトキシシランをロータリーエバポレーターで蒸発させた。得られた有機油をセライトで濾過して無色の油を得た。収量:0.6g。%収率:52%。
【0211】
実施例11
【0212】
配合物
【0213】
耐指紋性コーティング用の配合物は、アルキルシランとPOSSを溶媒中で混合することによって調製された。前記アルキルシランについては、以下の表3で説明する。前記OH−POSSは、その全体が参照により本明細書に援用される、米国特許出願公開第2017/0349785号の実施例1に記載されているように調製されたか、またはSigma Aldrich(カタログ番号594180)から購入された。前記溶媒は、20%エタノール、70%水、および10%水性5M NH
4OHの混合物であった。前記配合物は、3.75g/Lのシランを100mg/LのPOSSと前記溶媒中で組み合わせることによって調製された。記載されたクロロウンデシルトリエトキシシラン(CAS#120876315)はGelestから購入した。記載されたクロロウンデシルトリメトキシシラン(CAS#17948−05−9)はGelestから購入した。記載されたクロロヘキシルトリメトキシシラン(CAS#1145666−63−2)はGelestから購入した。記載されたN−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン(CAS#121772−92−7)はGelestから購入した。記載された11−アミノウンデシルトリエトキシシラン(CAS#116821−45−5)はGelestから購入した。記載されたPEGシラン(CAS#1384163−86−3)はGelestから購入し、記載されたヒドロキシデシルトリエトキシシランは実施例12に従って製造した。記載されたN−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシラン(CAS#15129−36−9)はGelestから購入した。
【0214】
前記配合物をコロナ/プラズマ処理表面に噴霧して、表面を完全に濡らした。余分な配合物は拭き取った。前記処理表面を120℃のオーブンで約10分間硬化させた。初期油角は、上記の実施例2に記載されているように決定された。耐摩耗性は実施例6に従って測定された。耐摩耗性の結果を表4に示す。
【0215】
【表3】
【0216】
【表4】
【0217】
実施例12
【0218】
耐摩耗性
【0219】
コーティング用の配合物は、前記の実施例15に記載されているように、溶媒中でシランとPOSSを混合することによって調製された。前記シランは、Gelestから購入したクロロウンデシルトリエトキシシラン(CAS#120876315)であった。Mono−OH POSSは、その全体が参照により本明細書に援用される、米国特許出願公開第2017/0349785号の実施例1に従って製造された。前記Mono−PEG POSS(CAS#1838163−04−4)はHybrid Plasticsから購入した。Sigma OH−POSS(CAS#288290−32−4)はSigma Aldrichから購入した。
【0220】
【表5】
【0221】
実施例13
【0222】
デルタE
【0223】
指紋性能を測定するために、黒い背景の未使用のガラスのL A B値を、コニカミノルタ比色計を使用して、理想的には、黒いカードストックまたは黒いOLEDディスプレイを使用して測定した。次に、オペレーターは、身体の最も油分の多い部分である鼻または額を利き手で4本の指すべてを用いて2〜3回拭うことが求められる。その後、彼らは直ちに4本の指すべてを用いて適度な力で10回ガラスをタップする。これにより、表面に40個の指紋が付く。次いで、彼らは比色計を使用してL A B値を測定し、それらの値を使用して、未使用のガラスと指紋の付いたガラスに基づいてデルタEを計算する。デルタEが低いほど、指紋は見えにくくなる。次に、オペレーターはジーンズ素材、理想的には標準化されたLEVIS 401ジーンズ素材を取り、同じ領域に沿ってガラスを2回拭いて、それらの指紋を拭き取る。次に、オペレーターは、未使用のガラスと比較したデルタEを計算して、前記コーティングの洗浄性を測定する。前記値が0に近いほど、指紋が見えにくくなる。
【0224】
この試験は、実施例12に記載されているように調製された表面上で実施された。結果を表6に示す。
【0225】
【表6】
【0226】
実施例14
【0227】
PDMS−TEOSの合成
【0228】
モノビニル末端PDMS(5k)(10g、0.002mol、1当量;Gelestから入手可能)およびトリエトキシシラン(0.5g、0.003mol、1.5当量)を5mlの無水トルエンに溶解し、Ar下で30分間パージした。0.1mLのPt(dvs)(キシレン中約2%Pt、Aldrichから入手可能)を反応混合物に加え、90℃にした。前記反応混合物を90℃で約60時間撹拌した。前記反応混合物を室温まで冷却した後、セライトを通して直接濾過した。収量:7.9g。
【0229】
実施例15
【0230】
PDMS−TEOSの合成
【0231】
3−イソシアノトプロピルトリエトキシシラン(0.197g、0.8mmol、2当量、Gelestから入手可能)を、PDMSビスアミノ(1g、0.4mmol、1当量、Sigma Aldrichから入手可能、CAS番号106214−84−0)と組み合わせた。得られた混合物を最大4時間撹拌した。収量1.1g。
【0232】
実施例16
【0233】
配合物
【0234】
OH−POSS(最終濃度100mg/mL)を、エタノール中のクロロウンデシルシラン(最終濃度3.75mg/mL)および実施例15からのPDMS−TEOS(最終濃度0.375mg/mL)と組み合わせた。得られた溶液を上記のように表面に適用した。
【0235】
コーティングされた表面の摩擦係数は、MDX−02摩擦係数テスターを使用して測定された。前記PDMS−TEOSを含む配合物でコーティングされた表面の摩擦係数は、約0.116であると測定された。前記PDMS−TEOSを含まない配合物でコーティングされた表面の摩擦係数は約0.168であった。
【0236】
前記方法、装置およびシステムは特定の実施形態に関連して説明されているが、本明細書の実施形態は全ての点で限定的ではなく例示的であるように意図されているため、それらの範囲が説明した特定の実施形態に限定されることは意図されていない。
【0237】
特に明記しない限り、本明細書中に記載される任意の方法は、その工程が特定の順序で実施されることを必要とすると解釈されることを決して意図されていない。したがって、方法の請求項が実際にその工程の後に続くべき順序を列挙していないか、または請求項または明細書の説明においてその工程が特定の順序に限定されることは特に明記されていない場合、いかなる点でも、順序が推論されることは決して意図されていない。
【0238】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0239】
範囲は、本明細書では、「約」1つの特定値から、および/または「約」別の特定値までと表現されてもよい。そのような範囲が表されるとき、別の実施形態では、前記1つの特定値からおよび/または前記他の特定値までを含む。同様に、値が近似値として表現される場合、先行する「約」の使用により、前記特定値は別の実施形態を形成することが理解される。さらに、範囲の各々の終点は、他方の終点に関して両方が重要であり、他方の終点とは独立していることが理解される。
【0240】
「任意の」または「任意に」は、その後に記載される事象または状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味し、その記載は、前記事象または状況が起こる場合と起こらない場合を含む。
【0241】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」という単語および「comprising」および「comprises」などの前記単語の変形は、「含むがこれ(ら)に限定されない」を意味し、例えば、他の添加物、成分、整数または工程を排除することを意図するものではない。「例示的な」は「の一例」を意味し、好ましいまたは理想的な実施形態の表示を伝えることを意図するものではない。「例えば」または「具体的には」は限定的な意味ではなく、説明のために使用される。
【0242】
開示された方法、装置およびシステムを実施するために使用され得る構成要素が開示される。これらおよびその他の構成要素は本明細書に開示されており、これらの構成要素の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示されている場合、これらの様々な個別および集合的な組合せおよび置換の各々の特定の参照は明示的に開示されていないが、全ての方法、装置およびシステムについて、各々が具体的に考慮され、本明細書に記載されている。これは、これらに限定されないが、開示された方法の工程を含む、本出願の全ての態様に当てはまる。したがって、実施可能な追加の工程が多岐に渡る場合、これらの追加の工程の各々は、開示された方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組み合わせで実施できることが理解される。
【0243】
本明細書に言及されたいずれの特許、出願および刊行物も、その全体が参照により援用されることにさらに留意されるべきである。
【0244】
いくつかの例示的な実施形態のみが上で詳細に説明されてきたが、当業者は、新規の教示および利点から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態において多くの修正が可能であることを容易に理解するであろう。したがって、そのようなすべての変更は、以下の特許請求の範囲で定義されるように、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【国際調査報告】