特表2021-525178(P2021-525178A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特表2021525178-固定工具 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-525178(P2021-525178A)
(43)【公表日】2021年9月24日
(54)【発明の名称】固定工具
(51)【国際特許分類】
   B25C 1/06 20060101AFI20210827BHJP
【FI】
   B25C1/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-567824(P2020-567824)
(86)(22)【出願日】2019年5月29日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月4日
(86)【国際出願番号】EP2019063951
(87)【国際公開番号】WO2019233849
(87)【国際公開日】20191212
(31)【優先権主張番号】18176186.7
(32)【優先日】2018年6月6日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】ティロ ディットリッヒ
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC07
3C068CC08
3C068HH05
(57)【要約】
本発明は、留め具を基板に打ち込むための留め具固定工具に関し、この固定工具は、留め具を収容するように設計されたホルダと、ホルダに収容された留め具を固定軸に沿って基板に打ち込むように設計された打ち込み要素と、打ち込み要素を固定軸に沿って留め具に駆動するように設計されたドライブと、を備え、このドライブは、配置軸上又は配置軸の周りに配置された電気コンデンサを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
留め具を(被打ち込み材)に打ち込むための固定工具、特に、手持ち固定工具であって、留め具を保持するためのホルダと、前記ホルダに保持された留め具を固定軸に沿って前記基板内に搬送するための打ち込み要素と、前記打ち込み要素を前記固定軸に沿って前記留め具に向かって駆動するためのドライブと、を備え、前記ドライブが、前記固定軸上又は前記固定軸の周りに配置された電気コンデンサを含む、固定工具。
【請求項2】
前記コンデンサが、前記打ち込み要素に関して、前記固定軸に対して軸方向にオフセットされ、且つ、前記打ち込み要素と半径方向にオーバーラップするよう配置されている、請求項1に記載の固定工具。
【請求項3】
前記固定軸の方向では、前記ホルダが、前記打ち込み要素の前に配置され、前記コンデンサが、前記打ち込み要素の後ろに配置されている、請求項2に記載の固定工具。
【請求項4】
前記コンデンサが、前記打ち込み要素の周りに配置されている、請求項1に記載の固定工具。
【請求項5】
前記コンデンサが、実質的に前記固定軸上に配置された重心を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固定工具。
【請求項6】
前記コンデンサが、巻線軸の周りに巻かれたキャリアフィルム上に配置された電極を含み、前記巻線軸が、特に前記固定軸に平行に、且つ、特に前記固定軸と一致するように配向されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の固定工具。
【請求項7】
前記巻線軸の方向における前記コンデンサの範囲が、前記巻線軸に対して垂直な前記コンデンサ、特に直径の範囲の、最大で1.4倍、特に最大で1.2倍、特に最大でその最大長である、請求項6に記載の固定工具。
【請求項8】
前記固定工具が減衰要素を含み、それを介して前記コンデンサが前記固定工具の残りの部分上に減衰される方法で取り付けられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の固定工具。
【請求項9】
前記減衰要素が、前記固定軸に沿った前記固定工具の前記残りの部分に対する前記コンデンサの動きを減衰させる、請求項8に記載の固定工具。
【請求項10】
前記減衰要素が、前記ホルダに面する前記コンデンサの端部面上に配置され、特に、前記コンデンサの前記端部面を実質的に完全に覆う、請求項8又は9に記載の固定工具。
【請求項11】
前記ドライブが、前記コンデンサから離れる方向に導く少なくとも1つの電線を含み、前記電線が、前記コンデンサと前記固定工具の前記残りの部分との間の相対的な動きを補償するための拡張形状を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の固定工具。
【請求項12】
前記ドライブが、前記コンデンサから離れる方向に導く少なくとも1つの電線を含み、前記電線が、前記ホルダに面する前記コンデンサの端部面において前記コンデンサの電極に電気的に接続され、特にはんだ付け、溶接、又はねじ込みされる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の固定工具。
【請求項13】
前記コンデンサが、8mΩ未満、特に6mΩ未満、特に4mΩ未満の内部抵抗を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の固定工具。
【請求項14】
前記ドライブが、前記打ち込み要素上に配置されたかご形回転子と、前記コンデンサの放電中に、電流が流れ、前記打ち込み要素を前記留め具に向かって加速する磁場を生成する励起コイルと、を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の固定工具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、留め具を基板(被打ち込み材)に打ち込むための固定工具に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような固定工具は通常、留め具用のホルダを有し、ホルダからホルダ内に保持された留め具を固定軸に沿って基板内に搬送する。このため、打ち込み要素は、ドライブによって固定軸に沿って留め具に向かって駆動される。
【0003】
特許文献1は、打ち込み要素用のドライブを備えた固定工具を開示している。ドライブは、電気コンデンサとコイルとを有する。打ち込み要素を駆動するために、コンデンサはコイルを介して放電され、それによってローレンツ力が打ち込み要素に作用し、その結果、打ち込み要素が釘に向かって移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,830,173号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高効率及び/又は良好な固定品質が保証される、前述のタイプの固定工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、留め具を(被打ち込み材)に打ち込むための固定工具によって達成され、固定工具は、留め具を保持するためのホルダと、ホルダに保持された留め具を固定軸に沿って基板内に搬送するための打ち込み要素と、打ち込み要素を固定軸に沿って留め具に向かって駆動するためのドライブと、を備え、ドライブは、固定軸上又は固定軸の周りに配置され、好ましくは固定軸を完全に取り囲む電気コンデンサを含む。この場合、固定工具は、好ましくは、手持ち式で使用することができる。或いは、固定工具は、固定又は半固定方式で使用することができる。
【0007】
本発明において、コンデンサは、電荷及び関連するエネルギーを電界に貯蔵する電気構成要素を意味するものとして理解されるべきである。特に、コンデンサは、2つの導電性電極を有し、電極が異なって帯電すると、その間に電界が形成される。本発明において、留め具は、例えば、釘、ピン、クランプ、クリップ、スタッド、特にねじ付きボルトなどを意味するものとして理解されるべきである。
【0008】
本発明の好ましい態様では、コンデンサが、打ち込み要素に関して、固定軸に対して軸方向にオフセットされ、且つ、打ち込み要素と半径方向にオーバーラップするよう配置されている、ことを特徴とする。固定軸の方向では、ホルダが、好ましくは、打ち込み要素の前に配置され、コンデンサが、打ち込み要素の後ろに配置されている。
【0009】
好ましい態様では、コンデンサが、打ち込み要素の周りに配置されている、ことを特徴とする。
【0010】
好ましい態様では、コンデンサが、実質的に固定軸上に配置された重心を有する、ことを特徴とする。
【0011】
好ましい態様では、コンデンサが、巻線軸の周りに巻かれたキャリアフィルム上に配置された電極を含む、ことを特徴とする。巻線軸は、好ましくは、固定軸に平行に配向されている。特に好ましくは、巻線軸は、固定軸と一致する。好ましくは、巻線軸の方向におけるコンデンサの範囲は、巻線軸に対して垂直なコンデンサの、例えば直径の範囲の、最大で1.4倍、好ましくは最大で1.2倍、特に好ましくは最大でその最大長である。
【0012】
好ましい態様では、固定工具が減衰要素を含み、それを介してコンデンサが固定工具の残りの部分上に減衰される方法で取り付けられている、ことを特徴とする。減衰要素は、好ましくは、固定軸に沿った固定工具の残りの部分に対するコンデンサの動きを減衰させる。同様に、減衰要素は、好ましくは、ホルダに面するコンデンサの端部面上に配置されている。特に好ましくは、減衰要素は、コンデンサの端部面を完全に又は実質的に完全に覆う。
【0013】
好ましい態様では、ドライブが、コンデンサから離れる方向に導く少なくとも1つの電線を含み、電線が、コンデンサと固定工具の残りの部分との間の相対的な動きを補償するための拡張形状を有する、ことを特徴とする。拡張形状は、好ましくは、円弧、ループ、又はらせんを含む。
【0014】
好ましい態様では、ドライブが、コンデンサから離れる方向に導く少なくとも1つの電線を含み、電線が、ホルダに面するコンデンサの端部面においてコンデンサの電極に電気的に接続される、ことを特徴とする。電線は、好ましくは、電極にはんだ付け、溶接、又はねじ込みされる。
【0015】
好ましい態様では、コンデンサが、8mΩ未満、好ましくは6mΩ未満、特に好ましくは4mΩ未満の内部抵抗を有する、ことを特徴とする。
【0016】
好ましい態様では、ドライブが、打ち込み要素上に配置されたかご形回転子と、コンデンサの放電中に、電流が流れ、打ち込み要素を留め具に向かって加速する磁場を生成する励起コイルと、を有する、ことを特徴とする。
【0017】
本発明は、図面中の実施例で示される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】固定工具の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、図示されていない基板内に留め具を打ち込むための手持ち固定工具10を示している。固定工具10は、スタッドガイドとして形成されたホルダ20を有し、ここに、釘として形成された留め具30を(図1の左側に)固定軸Aに沿って基板に打ち込まれるために保持されている。留め具をホルダに供給する目的で、固定工具10は、留め具がストア内に個別に、又は留め具ストリップ50の形態で保持されて、ホルダ20に1つずつ搬送されるマガジン40を備える。この目的のために、マガジン40は、特に示されていない、バネ仕掛け供給要素を有する。固定工具10は、ピストンプレート70及びピストンロッド80を含む打ち込み要素60を有する。打ち込み要素60は、留め具30をホルダ20から固定軸Aに沿って基板内に搬送するために提供される。そのプロセスでは、打ち込み要素60は、そのピストンプレート70で、固定軸Aに沿ってガイドシリンダ95で案内される。
【0020】
打ち込み要素60は、その一部が、ピストンプレート70上に配置されたかご形回転子90、励起コイル100、軟磁性フレーム105、スイッチング回路200、及び内部抵抗が5mΩのコンデンサ300を備えるドライブによって駆動される。かご形回転子90は、好ましくはリング状、特に好ましくは円形リング状の、低電気抵抗の、例えば銅製の要素からなり、例えば、ホルダ20とは反対側を向くピストンプレート70の側部上のピストンプレート70に、はんだ付けされ、溶接され、接着接合され、クランプされ、又は形状適合方式で結合されて、締結される。図示されていない実施例では、ピストンプレート自体が、かご形回転子として形成されている。スイッチング回路200は、事前に充電されたコンデンサ300の急速放電を引き起こし、それによってフレーム105に組み込まれた励起コイル100を通して流れる放電電流を伝導するために提供される。フレームは、好ましくは、少なくとも1.0Tの飽和磁束密度、及び/又は最大10S/mの実効比電気伝導率を有し、その結果、励起コイル100によって生成される磁場がフレーム105によって増強され、フレーム105内の渦電流は抑制される。
【0021】
打ち込み要素60(図1)の準備完了位置では、打ち込み要素60は、かご形回転子90が励起コイル100から少し離れたところに配置されるように、ピストンプレート70で、特に示されていないフレーム105のリング状の凹部に入る。その結果、励起コイルを流れる電気励起電流の変化によって生成される励起磁場は、かご形回転子90を通過し、その一部が、かご形回転子90に、リング状に循環する二次電流を誘導する。増大し、したがって変化するこの二次電流は、次いで励起磁場に対抗する二次磁場を生成し、その結果、かご形回転子90はローレンツ力を受け、それによって励起コイル100によって反発されて、打ち込み要素60をホルダ20とその中に保持された留め具30とに向けて駆動する。
【0022】
固定工具10は、ドライブが保持されるハウジング110と、トリガとして形成された操作要素130を備えたハンドル120と、充電式バッテリとして形成された電気エネルギー貯蔵器140と、制御ユニット150と、トリップスイッチ160と、接触圧力スイッチ170と、フレーム105上に配置された温度センサ180として形成された励起コイル100の温度を検出するための手段と、制御ユニット150を電気エネルギー貯蔵器140、トリップスイッチ160、接触圧力スイッチ170、温度センサ180、スイッチング回路200、及びコンデンサ300にそれぞれ接続する電気接続ライン141、161、171、181、201、301と、を更に備える。図示されていない実施例では、固定工具10は、電気エネルギー貯蔵器140の代わりに、又は電気エネルギー貯蔵器140に加えて、電力ケーブルによって電気エネルギーを供給される。制御ユニットは、好ましくはプリント回路基板上で相互接続されて1つ以上の電気制御回路、特に1つ以上のマイクロプロセッサを形成する、電子構成要素を備える。
【0023】
固定工具10が(図1の左側上に)示されていない基板に対して押し付けられると、特に示されていない接触圧力要素が、接触圧力スイッチ170を操作し、その結果、接続ライン171によって接触圧力信号を制御ユニット150に送信する。これにより、制御ユニット150をトリガしてコンデンサ充電プロセスを開始し、ここで、コンデンサ300を充電するために、電気エネルギーが、接続ライン141によって電気エネルギー貯蔵器140から制御ユニット150に、且つ、接続ライン301によって制御ユニット150からコンデンサ300に伝導される。この目的のために、制御ユニット150は、電気エネルギー貯蔵器140からの電流をコンデンサ300のための適切な充電電流に変換する、特に示されていないスイッチングコンバータを備える。コンデンサ300が充電され、打ち込み要素60が図1に示されるその準備完了状態位置にあるとき、固定工具10は準備完了状態にある。コンデンサ300の充電は、固定工具10を基板に対して押し付けることによってのみ実施されるので、エリアの人々の安全性を高めるために、設定プロセスは、固定工具10が基板に対して押し付けられたときのみに実行可能になる。図示されていない実施例では、制御ユニットは、固定工具がオンにされるときに、又は固定工具が基板から持ち上げられるときに、又は先行する打ち込みプロセスが完了するときに、コンデンサ充電プロセスをすでに開始している。
【0024】
操作要素130が、例えば、ハンドル120を保持している手の人差し指を使用して引っ張られることで、固定工具10が準備完了状態で操作されると、操作要素130はトリップスイッチ160を操作し、その結果、接続ライン161によってトリップ信号が制御ユニット150に送信される。これにより、制御ユニット150をトリガしてコンデンサ放電プロセスを開始し、ここで、コンデンサ300に貯蔵された電気エネルギーが、コンデンサ300が放電されることによって、スイッチング回路200を用いてコンデンサ300から励起コイル100に伝導される。
【0025】
このために、図1に概略的に示されるスイッチング回路200は、2つの放電ライン210、220を備え、これらは、コンデンサ300を励起コイル200に接続し、少なくとも1つの放電ライン210は、通常開である放電スイッチ230によって遮断される。スイッチング回路200は、励起コイル100及びコンデンサ300と電気振動回路を形成する。この振動回路の前後の振動、及び/又はコンデンサ300の負の充電は、ドライブの効率に悪影響を及ぼす可能性があり得るが、フリーホイールダイオード240を用いて抑制することができる。放電ライン210、220は、例えば、はんだ付け、溶接、ねじ込み、クランプ、又は形状適合接続によって、いずれの場合も、ホルダ20に面するコンデンサ300の端部側360上に配置されたコンデンサ300の電気接点370、380によって、コンデンサ300の1つの電極310、320に電気的に接続される。放電スイッチ230は、好ましくは、高電流強度の放電電流をスイッチングするのに適しており、例えば、サイリスタとして形成される。加えて、放電ライン210、220は、互いに小さな距離にあるので、それらによって誘導される寄生磁場は可能な限り低くなる。例えば、放電ライン210、220は、組み合わされてバスバーを形成し、適切な手段、例えば、保持デバイス又はクランプによって一緒に保持される。図示されていない実施例では、フリーホイールダイオードは、放電スイッチと電気的に並列に接続されている。図示されていない更なる実施例では、フリーホイールダイオードは回路内にはない。
【0026】
コンデンサ放電プロセスを開始する目的で、制御ユニット150は、接続ライン201によって放電スイッチ230を閉じ、その結果、高電流強度のコンデンサ300の放電電流が、励起コイル100を流れる。急速に上昇する放電電流は、かご形回転子90を通過する励起磁場を誘導し、その一部が、かご形回転子90内に、リング状に循環する二次電流を誘導する。増大するこの二次電流は、次いで励起磁場に対抗する二次磁場を生成し、その結果、かご形回転子90はローレンツ力を受け、それによって励起コイル100によって反発されて、打ち込み要素60をホルダ20にとその中に保持された留め具30とに向けて駆動する。打ち込み要素60のピストンロッド80が留め具30の、特に示されていないヘッドに接触するとすぐに、留め具30は、打ち込み要素60によって基板内に打ち込まれる。打ち込み要素60の過剰な運動エネルギーは、打ち込み要素60がピストンプレート70と共にブレーキ要素85に対して移動し、それが停止するまでブレーキ要素85によりブレーキがかけられることによって、ばね弾性及び/又は減衰材料、例えばゴムで作られたブレーキ要素85によって吸収される。次いで、打ち込み要素60は、特に示されていないリセット工具によって、準備完了位置にリセットされる。
【0027】
コンデンサ300、特にその重心は、固定軸A上の打ち込み要素60の後ろに配置されるが、ホルダ20は、打ち込み要素60の前に配置される。したがって、固定軸Aに関して、コンデンサ300は、打ち込み要素60に対して軸方向にオフセットされた方法で、及び打ち込み要素60と半径方向にオーバーラップするように配置されている。その結果、一方では、長さが短い放電ライン210、220を実現することができ、その結果、それらの抵抗を低減することができるため、ドライブの効率を高めることができる。一方、固定工具10の重心と固定軸Aとの間に、わずかな距離を実現することができる。その結果、打ち込みプロセス中に固定工具10が反動した場合の傾斜(角度)モーメントは小さい。図示されていない実施例では、コンデンサは、打ち込み要素の周りに配置されている。
【0028】
電極310、320は、例えば、キャリアフィルム330のメタライゼーションによって、特に蒸着によって、固定軸Aと一致する巻線軸の周りに巻かれたキャリアフィルム330の両側に配置される。図示されていない実施例では、電極を備えたキャリアフィルムは、巻線軸に沿って通路が残るように巻線軸の周りに巻かれている。特に、この場合、コンデンサは、例えば、固定軸の周りに配置されている。キャリアフィルム330は、1500Vのコンデンサ300の充電電圧で、2.5μm〜4.8μmの膜厚を有し、3000Vのコンデンサ300の充電電圧で、例えば9.6μmの膜厚を有する。図示されていない実施例では、キャリアフィルムは、その一部が、層として上下に配置された2つ以上の個別のフィルムからなる。電極310、320は、50Ω/□のシート抵抗を有する。
【0029】
コンデンサ300の表面は、円筒、特に円柱の形状をしており、その円柱軸は、固定軸Aと一致している。巻線軸方向のこの円柱の高さは、巻軸に垂直に測定して、その直径と実質的に同じサイズである。シリンダの直径に対する高さの比が小さいため、コンデンサ300の比較的高い静電容量に対する低内部抵抗、及びとりわけ、固定工具10のコンパクト構造が実現される。コンデンサ300の低内部抵抗はまた、電極310、320の大きなライン断面によって、特に電極310、320の厚い層厚によって実現され、ここでは、自己回復効果、及び/又はコンデンサ300の耐用年数に対する層厚の影響を考慮に入れるべきである。
【0030】
コンデンサ300は、減衰要素350によって減衰されるように、固定工具10の残りの部分に取り付けられている。減衰要素350は、固定軸Aに沿った固定工具10の残りの部分に対するコンデンサ300の動きを減衰させる。減衰要素350は、コンデンサ300の端部側360上に配置され、端部側360を完全に覆う。結果として、キャリアフィルム330の個々の巻線は、固定工具10の反動による均一な負荷を受ける。この場合、電気接点370、380は、端面360から突出し、減衰要素350を通過する。このために、それぞれの場合の減衰要素350は、電気接点370、380が突出するためのクリアランスを有する。接続ライン301はそれぞれ、コンデンサ300と、固定工具10の残りの部分との間の相対的な動きを補償するために、詳細には示されていない、ひずみ緩和及び/又は拡張ループを有する。図示されていない実施例では、更なる減衰要素が、コンデンサ上に、例えば、ホルダとは反対側に面するコンデンサの端部側上に配置される。次いで、コンデンサは、好ましくは、2つの減衰要素間にクランプされ、すなわち、減衰要素は、プレテンションでコンデンサを支える。図示されていない更なる実施例では、接続ラインは、コンデンサからの距離が増大するにつれて連続的に減少する剛性を有する。
【0031】
本発明は、図面に示されている一連の実施例、及び図示されていない実施例を使用して説明されてきた。様々な実施例の個別の特徴は、それらが矛盾しないという前提で、個別に、又は互いに任意の所望の組み合わせで、適用可能である。本発明による固定工具はまた、他の用途にも使用できることに留意されたい。

図1
【国際調査報告】