特表2021-525184(P2021-525184A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-525184タイムスライス電力供給システム及び方法を有する放電加工機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-525184(P2021-525184A)
(43)【公表日】2021年9月24日
(54)【発明の名称】タイムスライス電力供給システム及び方法を有する放電加工機
(51)【国際特許分類】
   B23H 1/02 20060101AFI20210827BHJP
【FI】
   B23H1/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2021-517547(P2021-517547)
(86)(22)【出願日】2019年4月4日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月27日
(86)【国際出願番号】US2019025799
(87)【国際公開番号】WO2019231560
(87)【国際公開日】20191205
(31)【優先権主張番号】15/994,384
(32)【優先日】2018年5月31日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520467534
【氏名又は名称】ジョンソン テクノロジー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】キム マイケル グロテンハイス
【テーマコード(参考)】
3C059
【Fターム(参考)】
3C059AA01
3C059AB01
3C059AB05
3C059BB06
(57)【要約】
明細書は、無制限の数の波形を規定することができる放電加工(EDM)システム及び方法を開示する。システム及び方法は、各々が電圧及び幅を有する複数のタイムスライスを用いて論理波形を規定する。タイムスライスは、システム電力部に供給され、増幅されて電極に供給される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
論理波形を規定するステップと、
前記論理波形を規定するタイムスライス情報を作成するステップであって、前記タイムスライス情報は、各々が振幅及び幅を有する複数のタイムスライスを有する、ステップと、
EDM電極に供給される電力を作成するために、前記タイムスライス情報を増幅するステップと、
を備えるEDM方法。
【請求項2】
各振幅は電圧を表す、請求項1に記載のEDM方法。
【請求項3】
前記幅は一様である、請求項1に記載のEDM方法。
【請求項4】
前記幅は一様でない、請求項1に記載のEDM方法。
【請求項5】
前記論理波形は、シフトされた接地電位を有する、請求項1に記載のEDM方法。
【請求項6】
論理波形を記憶するメモリを有する論理プロセッサと、
前記論理プロセッサから前記論理波形を受信するとともに前記論理波形を規定するタイムスライス情報を生成する形状コントローラであって、前記タイムスライス情報は、各々が振幅及び幅を有する複数のタイムスライスを有する、コントローラと、
前記形状コントローラから前記タイムスライス情報を受信し、前記タイムスライスの電力を増幅し、増幅した電力をEDM電極に供給する電力部と、
を備えるEDMシステム。
【請求項7】
各振幅は電圧を表す、請求項6に記載のEDMシステム。
【請求項8】
前記幅は一様である、請求項6に記載のEDMシステム。
【請求項9】
前記幅は一様でない、請求項6に記載のEDMシステム。
【請求項10】
前記論理波形は、シフトされた接地電位を有する、請求項6に記載のEDMシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電加工(EDM)システム及び方法に関し、更に詳しくは、EDMシステム及び方法の制御システム及び電源に関する。
【背景技術】
【0002】
スパーク加工、スパークエロージョン、バーニング、型彫り放電加工、ワイヤバーニング又はワイヤエロージョンとも称される放電加工(EDM)は、放電を用いることによって所望の形状を取得する製造工程である。二つの電極の間で急速に繰り返される一連の電流放電によって材料がワークフレームから除去される。電極の一方は、ツール又は単なる電極であり、電極の他方は、ワークピースである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
EDMシステム及び方法並びにそのようなシステム及び方法の制御システム及び電力供給装置は、当業者に周知である。図3は、電極放電の給電のためにシステムによって用いられる典型的な従来の標準的な波形30を示す。見てわかるように、波形30は、既定の形状、特に、一定の周波数、一定のデューティサイクル及び一定の振幅を有する方形波である。可能であるとしても、形状及び周波数は、波形のパルスの「オン」と「オフ」の時間(デューティサイクル)を調整することによる制限された調整しかできない。変更の範囲は、非常に限定されている。波形は、EDMシステム電源のハードウェア形態を変更することによってのみ変更することができる。例えば、波形を、コンデンサ及び抵抗を用いて変更することができる。波形の振幅及び接地電位からのオフセットレベルは、一般的には、制御されない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、タイムスライスによって規定される論理電力波形を作成するシステム及び方法を提供する。各タイムスライスは、互いに異なる電圧及び互いに異なる幅を有することができ、これによって、論理波形及びサイクルタイムのカスタムビルドが可能になる。
【0005】
本発明の電力供給システム及び方法によって、波の正の部分及び/又は負の部分の複数のタイムスライスの制御が可能になる。各タイムスライスは、互いに異なる電圧を有することができ、これによって、小さいスライス又はステップでの波形の構築が可能になる。
【0006】
本発明では、実質的にあらゆる論理波形を構築するとともに電子機器の最大成分切替速度までの任意の周波数でサイクル化することができる。
【0007】
本発明のこれら及び他の利点及び特徴は、本実施の形態の説明及び図面を参照することによってより完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態によるEDM制御システムの概略図である。
図2】EDM制御システムの流れ図である。
図3】従来のEDMの標準的な波形の図である。
図4】電圧のタイムスライスによって規定される第1の論理波形の図である。
図5】標準的な波形を除去した第1の論理波形の図である。
図6】電圧のタイムスライスによって規定される第2の論理波形の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態を説明する前に、本発明が動作の詳細及び構成の詳細並びに後の説明で述べられる又は図面に示す構成要素の配置に限定されるものでないことを理解すべきである。本発明を、種々の他の実施の形態によって実施してもよく、ここに明示的に開示しない代替的な方法で実施又は実現してもよい。
【0010】
さらに、ここで用いられる表現及び用語が説明を目的とするものであるとともに限定的なものとみなされるべきでないことを理解すべきである。「有する」及び「備える」並びにその変形は、後に記載される項目及びその等価物並びに追加の項目及びその等価物を包含する。さらに、列挙を種々の実施の形態の説明に用いることができる。特に明記しない限り、列記の使用は、本発明を特定の順番又は数の構成要素に限定するものとして解釈すべきでない。また、列挙の使用は、列挙されたステップ又は構成要素に組み合わすことができる又は列挙されたステップ又は構成要素に統合することができる他のステップ又は構成要素を本発明の範囲から除外するものとして解釈すべきでない。「X,Y及びZのうちの少なくとも一つ」としての特許請求の範囲の構成要素の言及は、X,Y又はXのいずれか一つ並びにX,Y及びZの任意の組合せ、例えば、X,Y,Z;X,Y;X,Z及びY,Zを含むことを意味する。
【0011】
「垂直」、「水平」、「上部」、「底部」、「上側」、「下側」、「内部」、「内側」、「外部」及び「外側」のような方向の用語は、図示される実施の形態の向きに基づいて本発明を説明するのを助けるために用いられる。方向の用語の使用は、本発明を(一つ以上の)任意の特定の向きに限定するものとして解釈すべきでない。
【0012】
EDMシステムは、図1に示され、一般的には、10が付される。EDMシステム10は、一般的には、論理プロセッサ12と、形状コントローラ14と、電力部16と、マシン電極18と、を有する。電極18は、ワークピース19を成形する。
【0013】
論理プロセッサ12は、一つ以上の論理波形又は波形を記憶する(個別に示さない)メモリを有する。
【0014】
形状コントローラ14は、論理波形を見積もる、シミュレートする又は規定するのに要求されるタイムスライス情報又はプロファイルを生成する。タイムスライス情報は、論理波形を規定するレシピとして記憶される。タイムスライス情報は、各々が電圧及び幅を有する複数のタイムスライスを有する。形状コントローラは、論理波形の関数としてのタイムスライス情報を生成又は作成する。代替的には、レシピを、形状コントローラ14の外部で計算し、その後に形状コントローラに入力してもよい。形状コントローラ14からの信号は、波及び高電力を生成するために電力部16に送信される。
【0015】
波形整形を、カスタム論理を有する、デルタ タウ社製のAcc−84E回路基板を用いて実現してもよい。この手法によって、データのテーブルを回路基板にロードすることができる。データテーブルによって、電気サイクル内でステップ又はタイムスライスを規定することができる。ステップ又はタイムスライスを、2ミリ秒(ms)幅にしてもよく、可能な場合にはそれより高速にしてもよい。ステップ又はタイムスライスを、あらゆる波形を十分に構築するように規定してもよい。規定は単一のサイクルであってもよく、回路基板は、所望のサイクル速度でサイクルを繰り返してもよい。好適には、例えば、特定のワークピースの特定の穴内での即時の迅速な切替を可能にするために、どの時点でも複数のテーブルをロードしてもよい。
【0016】
形状コントローラ14は、現在二つの0−10VDC出力を有する。一方の出力は、(出力の極性に依存しない)電力部出力端子で測定される0−100VDC出力電圧を表し、他方の出力は、(出力の極性に依存しない)出力端子で測定される電力部16の0−50VDC出力電圧を表す。
【0017】
電力部16は、マシン電極18に供給される電力波形を形成するために形状コントローラ14からタイムスライス情報又は「形状コマンド」を受信する。電力部16は、電圧波を作成するために各タイムスライスの電圧を増幅する。電力部16は、例えば、論理プロセッサ12を用いて調整することができる電子的な電流制限を有する。
【0018】
電力部16は、出力電圧の極性を任意に切り替えることができるHブリッジ電力部を含んでもよい。切替時間は、好適には、ミリ秒の範囲であり、更に好適には、それより高速である。電力部16の両方のレッグは、適切なマシン接地を可能にするために電気的にフローティングしてもよい。最大電流は、5アンペアステップを用いた5アンペア(A)であってもよい。電力部16は、好適には、ソリッドステート電流制限制御を有する。更に好適には、ソリッドステート電流制限論理は、出力装置を保護するために従来用いられている大型の効率的な電力抵抗に取って代わる。
【0019】
システム10の論理フローを、図2に線形的に示す。ユーザ又はオペレータは、一つ以上の論理波形を規定するために論理通信を規定する(20)。論理通信は、論理波形のレシピを集合的に規定するタイムスライス情報及びサイクル生成を作成する(22)ために用いられる。タイムスライス規定は、電力を電極18に供給するために電力部16(図1参照)によって用いられる(24)。
【0020】
図4は、本発明を用いて作成された第1の論理波形を示す。電力部に転送される論理波形40は、論理のこぎり波形として表される結果的に得られる波形44を生成する。論理のこぎり波形44の各サイクルは、実際には、6個の「タイムスライス」40A,40B,40C,40D,40E及び40Fである。タイムスライス40Aは、ゼロ電圧である。タイムスライス40B及び40Fは、互いに同等である比較的低い電圧46B及び46Fである。タイムスライス40C及び40Eは、互いに同等である比較的中位の電圧46C及び46Eである。タイムスライス40Dは、波形のピークである比較的高い46Dである。タイムスライス40A〜40Fは、論理波形44を互いに見積もる又は規定する。
【0021】
図5は、実質的には、標準的な論理波形42を除いた図4である。
【0022】
図6は、本発明を用いて作成された第2の論理波形を示す。電力部に転送される論理波形50は、論理的な複合論理波形54として表される結果的に得られる波形54を生成する。図示したように、論理波形50は、実際には、6個の「タイムスライス」50A,50B,50C,50D,50E及び50Fである。タイムスライス50A及び50Bは、互いに同等である比較的高い電圧56A及び56Bである。タイムスライス50C及び50Dは、タイムスライス50A及び50Bからステップダウンした電圧56C及び56Dである。タイムスライス50E及び50Fは、互いに同等である比較的低い電圧56E及び56Fである。タイムスライス50A〜50Fは、論理波形50を互いに見積もる又は規定する。
【0023】
本発明を用いることによって、論理波形を、レシピファイルに記憶されたタイムスライスから構築することができる。あり得る論理波形は、タイムスライスの幅及び出力電力部16の切替速度によってのみ制限される。タイムスライス情報のテーブルを、形状コントローラ14を用いて生成してもよい。各タイムスライスは、正とすることができる電圧、負とすることができる電圧又は接地電位からシフトすることができる電圧を有する。タイムスライスは、共同して波形のサイクルを作る。サイクルは、電力部16に供給される出力列を生成するために所望の周波数で繰り返される。電力部は、このサイクルの列を増幅し、電極18を介してワークピース19に供給する。
【0024】
電圧及び電流を、論理波形の任意のポイントで生じる熱を制御するために調整することができる。接地電位をシフトする能力は、波形の上部の電圧を調整する間に連続的な燃焼及びアークを維持する能力を提供する。
【0025】
システム10は、典型的には方形波のオン時間及びオフ時間を制御する標準的な電力供給設計から逸脱している。システム10によって、論理波の正の部分又は負の部分の複数のタイムスライスを制御することができる。各タイムスライスは、互いに異なる電圧を有することができ、これによって、小さいステップの波形の構築が可能になる。
【0026】
本発明によって、実質的にあらゆる波形を構築するとともにヘルツ(Hz)単位の電子機器の最大成分切替速度までの周波数でサイクル化することができる。複合波形を構築するとともに必要に応じて周波数で繰り返すことができる。
【0027】
論理波形及び波形レシピを、高速で呼び出すために記憶するとともに選択してもよい。
【0028】
極性を反転してもよく、DC「ゼロレベル」を正と負の両方にシフトすることができる。
【0029】
さまざまな電流レベルを、特定の応用のために選択することができる。
【0030】
タイムスライスで波を規定する能力により、コンデンサ又は抵抗の整形回路が不要になる。
【0031】
上記の説明は、本発明の本実施の形態の説明である。種々の変更及び変形が、均等論を含む特許法の原理に従って解釈されるべきである添付した特許請求の範囲に規定した発明の精神及びより広い側面から逸脱することなく行うことができる。
【0032】
本開示は、例示的であり、本発明の全ての実施の形態の包括的な説明として解釈すべきでない又は特許請求の範囲をこれらの実施の形態に関連して図示若しくは説明した特定の構成要素に限定するものとして解釈すべきでない。例えば、記載された本発明の任意の個別の(一つ以上の)構成要素は、実質的に同様な機能を提供する又は十分な動作を提供する代替的な構成要素に置換されてもよいが、それに限定されない。これは、例えば、当業者によって現在知られているような現在知られている代替的な構成要素と、当業者が開発時に代替物と認識するように将来開発される代替的な構成要素と、を含む。
【0033】
さらに、開示された実施の形態は、強調して説明されるとともに利益の集合を協働して提供する複数の特徴を有する。本発明は、発行される特許請求の範囲で明示的に説明する範囲を除いて、これらの特徴の全てを有する又は上述した利益の全てを提供する実施の形態に限定されない。例えば、冠詞(article“a”,“an”,“the”or”said”)を用いる特許請求の範囲の単数形の構成要素の言及は、構成要素を単数形に限定するものと解釈すべきでない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】