特表2021-525320(P2021-525320A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特表2021525320-水分解性繊維複合材 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-525320(P2021-525320A)
(43)【公表日】2021年9月24日
(54)【発明の名称】水分解性繊維複合材
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/587 20120101AFI20210827BHJP
   D21H 19/12 20060101ALI20210827BHJP
   D21H 19/34 20060101ALI20210827BHJP
   D06M 15/09 20060101ALI20210827BHJP
   D06M 13/144 20060101ALI20210827BHJP
   A47K 10/16 20060101ALN20210827BHJP
   D06M 101/06 20060101ALN20210827BHJP
【FI】
   D04H1/587
   D21H19/12
   D21H19/34
   D06M15/09
   D06M13/144
   A47K10/16 Z
   D06M101:06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2020-566705(P2020-566705)
(86)(22)【出願日】2019年5月24日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月22日
(86)【国際出願番号】EP2019063447
(87)【国際公開番号】WO2019228920
(87)【国際公開日】20191205
(31)【優先権主張番号】18174929.2
(32)【優先日】2018年5月29日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520460443
【氏名又は名称】インテルビザ ベタイリグンク ウント フェアヴァルトゥング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベック,ヘルベルト
【テーマコード(参考)】
2D135
4L033
4L047
4L055
【Fターム(参考)】
2D135AA16
2D135AB02
2D135BA01
2D135BA02
2D135BA10
2D135BA11
2D135DA19
2D135DA27
4L033AA02
4L033AB01
4L033AC07
4L033AC11
4L033BA11
4L033CA05
4L047AA08
4L047AB06
4L047BA12
4L047BC01
4L047CB01
4L047CC03
4L047DA00
4L055AG23
4L055AG34
4L055AG44
4L055AG46
4L055AH37
4L055AH50
4L055BE08
4L055EA07
4L055EA25
4L055EA32
4L055FA30
4L055GA29
4L055GA50
(57)【要約】
水分解性繊維複合材(1)であって、多数の繊維要素(2)と、水溶性多糖で形成され、またはそれに類似するものを含む、少なくとも1種の結合剤(3)と、を含むものにおいて、前記少なくとも1種の結合剤(3)が、2重量%の結合剤を含む水溶液で、20℃において測定して、500mPasを超える粘度を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分解性繊維複合材(1)であって、
−多数の繊維要素(2)と、
−水溶性多糖で形成され、またはそれに類似するものを含む、少なくとも1種の結合剤(3)と、を含むものにおいて、
前記少なくとも1種の結合剤(3)が、2重量%の結合剤を含有する水溶液で、20℃において測定して、500mPas超の粘度を有することを特徴とする、繊維複合材。
【請求項2】
前記少なくとも1種の結合剤(3)は、結合剤を2重量%含有した水溶液で、20℃において測定して、550mPas超、好ましくは600mPas超、さらに好ましくは700mPas超、さらに好ましくは800mPas超、さらに好ましくは900mPas超、さらに好ましくは1000mPas超、さらに好ましくは1100mPas超、さらに好ましくは1200mPas超、さらに好ましくは1300mPas超、さらに好ましくは1400mPas超、さらに好ましくは1500mPas超、さらに好ましくは1600mPas超、さらに好ましくは1700mPas超、さらに好ましくは1800mPas超、さらに好ましくは1900mPas超、さらに好ましくは2000mPas超、さらに好ましくは2100mPas超、さらに好ましくは2200mPas超、さらに好ましくは2300mPas超、さらに好ましくは2400mPas超、さらに好ましくは2500mPas超、さらに好ましくは2600mPas超、さらに好ましくは2700mPas超、さらに好ましくは2800mPas超、さらに好ましくは2900mPas超、さらに好ましくは3000mPas超の粘度を有することを特徴とする、請求項1に記載の繊維複合材。
【請求項3】
前記少なくとも1種の結合剤(3)が、前記繊維複合材(1)の乾燥重量に対して、0.5〜50重量%の重量割合を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の繊維複合材。
【請求項4】
前記繊維複合材は、少なくとも30N、好ましくは少なくとも35N、さらに好ましくは少なくとも40N、さらに好ましくは少なくとも45N、さらに好ましくは少なくとも50N、さらに好ましくは少なくとも55N、特に少なくとも60N、さらに好ましくは少なくとも65N、さらに好ましくは少なくとも70N、さらに好ましくは少なくとも75N、さらに好ましくは少なくとも80N、さらに好ましくは少なくとも90N、さらに好ましくは少なくとも100Nの引裂き値を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維複合材。
【請求項5】
前記少なくとも1種の結合剤(3)が、カルボキシメチルセルロース(CМC)であり、またはそれを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維複合材。
【請求項6】
前記繊維複合材は、好ましくは脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、または少なくとも1種の脂肪族アルコールおよび/または少なくとも1種の脂肪族エーテルおよび/または少なくとも1種の脂肪族エステルの混合物の群から成る少なくとも1種の湿潤剤、特に有機湿潤剤を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維複合材。
【請求項7】
前記少なくとも1種の湿潤剤が、前記繊維複合材(1)の全重量に対して、1〜90重量%、特に50重量%以下、好ましくは35重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下、特別好ましくは10重量%以下の重量割合を有することを特徴とする、請求項6に記載の繊維複合材。
【請求項8】
前記少なくとも1種の湿潤剤が、殺菌性および/または静菌性特性、もしくは殺真菌性および/または静真菌性特性を有することを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の繊維複合材。
【請求項9】
前記少なくとも1種の湿潤剤が、少なくとも1種の易揮発性成分、および/または、少なくとも1種の難揮発性有機成分を含むことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の繊維複合材。
【請求項10】
前記繊維複合材が、付加的に、少なくとも1種の有機両性成分を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の繊維複合材。
【請求項11】
前記少なくとも1種の両性有機成分が、前記少なくとも1種の結合剤(3)と組み合わせて、1種のもしくは前記の湿潤剤と一緒に、非溶解性もしくは非分散性である高分子塩および/または高分子集合体を形成するのに役立つことを特徴とする、請求項10および請求項6〜9のいずれか1項に記載の繊維複合材。
【請求項12】
前記繊維複合材が、前記繊維複合材(1)のその他の諸成分、特に前記結合剤(3)および/または1種のもしくは前記の両性有機成分とで錯体を形成する金属カチオンもしくは金属カチオン塩を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の繊維複合材。
【請求項13】
前記繊維複合材が、消毒紙またはクレンジングペーパーであることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の繊維複合材。
【請求項14】
水分解性繊維複合材(1)、特に請求項1〜13のいずれか1項に記載の繊維複合材を製造する方法であって、
−特に繊維要素を含有する繊維要素ウエブの態様の多数の繊維要素(2)を調製する工程と、
−酸性基含有多糖で形成され、またはそれに類似するものを含む、少なくとも1種の結合剤(3)を、繊維要素(2)、特に繊維要素ウエブに被着する工程とを含み、
前記少なくとも1種の結合剤(3)が、2重量%の結合剤(3)を含有する水溶液で、20℃において測定して、500mPas超の粘度を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の繊維要素と、水溶性多糖で形成され、またはそれに類似するものを含む、少なくとも1種の結合剤と、を含む、水分解性繊維複合材に関する。
【背景技術】
【0002】
相応する水分解性繊維複合材、もしくはそれに類似するものから製造される繊維製品が基本的に知られている。相応する繊維複合材には、水との接触時に、迅速かつ完全な分解もしくは迅速かつ完全な解離性が求められる。したがって、相応する繊維複合材は、水との接触時に、極力迅速、かつ極力完全に分解もしくは解離しなければならない。
【0003】
このような解離特性を実現するために、先行技術では、低い含水強度、すなわち水との接触時に高い分解能もしくは解離能を有する様々な繊維複合材が提案された。
【0004】
相応する繊維複合材の改善点は従来それらの構造的特性、すなわち特にそれらの機械的特性であった。これは特に、それらの具体的応用分野もしくは利用分野では少なくとも時として、繊維複合材に一定の機械的応力が加わることになる繊維複合材に当てはまる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、特にその構造的特性、すなわち特にその機械的特性に関して改善された水分解性繊維複合材を明示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載した水分解性繊維複合材によって解決される。これに従属する請求項は、水分解性繊維複合材の考えられる実施形態に関する。
【0007】
ここに述べる、以下で「繊維複合材」と略記する水分解性繊維複合材は、特に水中での特別な分解特性および特別な構造的特性、すなわち特に機械的特性に内在する特別な特性を有する。
【0008】
この繊維複合材は、比較的低い含水強度、すなわち水との接触時に比較的低い機械的強度を有する。含水強度が低いので、この繊維複合材は水との接触時に個々の繊維要素へと迅速かつ完全に分解もしくは迅速かつ完全に解離することができる。水に導入後、この繊維複合材は、分解し、もしくはそれゆえにこの繊維複合材はその低い含水強度、もしくはその高い分解性、もしくは解離性のゆえに、ごく迅速に解離し、この繊維複合材を例えば排水路、トイレ等に廃棄後に、下水設備の詰まりが避けられ、もしくは汚水処理施設内での本来の汚水浄化前に繊維複合材を特別に分離する必要はない。つまりこの繊維複合材は、水との接触時、すなわち特に水に導入後、(ほぼ)完全に分解することができる。一般に、この繊維複合材は水に導入後、1時間未満、主に15分未満、さらに主に1分未満、さらに主に30秒未満、さらに主に10秒未満で、分解もしくは解離する。既に触れたように、解離後に存在する個々の繊維要素はもはや互いに結合されておらず、−特に繊維長が比較的短いので−分散液中でもはや互いに結合されることもなく、下水設備内で例えば沈殿、凝集または詰まりを防止することができる。繊維長は以下で明らかとなるように一般に短く、例えば下水設備の(乱流)流れ領域内で繊維要素の絡み合いが可能でないほどである。
【0009】
この繊維複合材の低い含水強度および概して良好な生物学的分解性・アベイラビリティは、自然や環境中に(間違って)漏出した場合でも、繊維複合材の完全代謝に至るまでの迅速かつ完全な分解をもたらす。
【0010】
用語「含水強度」とは、水との接触時もしくは過剰水の存在下での繊維複合材の強度のことである。含水強度は例えば、DIN EN ISO 12625、第5分冊(発行日:2005年09月)「幅に関係した含水破断力の測定」による含水引張試験によって確定することができる。
【0011】
この繊維複合材は主に、DIN EN ISO 12625に定める含水引張試験により、20℃、相対湿度65%で測定して、最高2N、好ましくは最高1N、さらに好ましくは最高0.5Nの含水強度を有する。特に、この繊維複合材は、最高2N、主に最高1N、さらに好ましくは最高0.5Nの含水強度を有する。これは特に、3N超、主に3N〜250Nの範囲内、さらに好ましくは6N〜210Nの範囲内、さらに好ましくは5N〜80Nの範囲内、さらに好ましくは6N〜55Nの範囲内、さらに好ましくは5N〜20Nの範囲内の湿潤強度に相当する。無論、具体的最終製品に対する要求条件に応じて上下の例外値が考えられる。
【0012】
したがって、一般に、この繊維複合材は、低い含水強度の他に、比較的高い湿潤強度、すなわち湿潤状態において比較的高い機械的強度を有する。こうして、この繊維複合材は、湿潤状態において、例えば素地上での摩擦によって短時間の機械的応力を受ける場合でも、比較的高い機械的強度を有する。
【0013】
用語「湿潤強度」とは、特に水中での、もしくは少なくとも1種の有機成分を含有する水溶液の存在下における、繊維複合材の強度のことである。この少なくとも1種の有機成分は例えば、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、単糖類、少糖類およびこれらの混合物もしくは組み合わせの群から選択することができる。湿潤強度は、例えば、DIN EN ISO 13934−1(発行日:1999年04月)によるストリップ引張試験によって確定することができる。
【0014】
この繊維複合材は主に、DIN EN ISO 13934−1によるストリップ引張試験によって、20℃、相対湿度65%において測定して、3N超、特に3N〜250Nの範囲内、好ましくは4N〜150Nの範囲内、さらに好ましくは4.5N〜120Nの範囲内、さらに好ましくは5N〜80Nの範囲内、さらに好ましくは6N〜55Nの範囲内の湿潤強度を有する。無論、具体的最終製品に対する要求条件に応じて、上下の例外値が考えられる。
【0015】
この繊維複合材の含水強度は、繊維複合材を形成する諸成分もしくは構成要素の組成によって規定されており、もしくは繊維複合材を形成する諸成分もしくは構成要素の組成を適切に変更することによって適切に規定することができる。特に、繊維複合材を形成する諸成分もしくは構成要素の組成を適切に変更することによって、繊維複合材の含水強度を繊維複合材の特定の応用もしくは用途に合わせることが可能である。同様のことが繊維複合材の湿潤強度にも当てはまる。
【0016】
この繊維複合材は、主要な諸成分もしくは構成要素として多数もしくは複数の繊維要素と少なくとも1種の結合剤とを含む。繊維要素もしくは結合剤、および繊維複合材のその他考えられる諸成分もしくは構成要素の具体的実施形態は、後に詳しく言及する。
【0017】
これらの繊維要素は、水中もしくは水溶液中で湿潤可能である。これらの繊維要素は水との接触時に膨潤可能とすることができる。したがって、これらの繊維要素は、水に対して一定の吸収能を有することができ、そのことから、水との接触時にこれらの繊維要素は膨潤(体積増加)することになる。これらの繊維要素は、この繊維複合材の基本母材を形成し、もしくはそのようなものと理解することができる。
【0018】
これらの繊維要素は、天然の、すなわち動物性または植物性の、または合成無機および/または有機の繊維もしくは繊維材料で形成しておくことができる。これらの繊維要素は、主に、天然有機の繊維もしくは繊維材料で形成されている。化学的および/または幾何学的および/または物理的に同じ繊維要素、または化学的および/または幾何学的および/または物理的に異なる繊維要素を使用することができる。それとともに、様々な繊維要素の混合物、すなわち少なくとも1つの化学的、幾何学的または物理的性質の点で異なる繊維要素の混合物とすることもできる。無機繊維要素の例は、玄武岩繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、鉱物繊維、炭素繊維である。有機繊維要素の例は、麻繊維またはパルプ繊維(セルロース繊維)である。合成有機繊維要素の例は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維である。
【0019】
好ましくは、主として天然繊維要素、すなわち特にパルプ繊維が使用される。さらに、例えばレーヨン繊維、木綿繊維、羊毛繊維、アセテート繊維またはテンセル繊維を使用することができる。好ましい実施形態において、これらの繊維要素は、それぞれ乾燥繊維複合材の全重量に対して、40〜約98重量%、さらに好ましくは60〜95重量%のパルプ繊維を含む。使用するパルプ繊維は、植物繊維を化学的に消化し、または再生繊維を使用することによって得ることができる。木材繊維、ヤシ科植物または一年生植物、例えば干し草、わら、バガス、ケナフまたは竹等の繊維も、これらの混合物もしくは組み合わせも使用することができる。さらに、あらゆる木材パルプ、すなわち針葉樹パルプも広葉樹パルプも使用することができる。
【0020】
主に、これらの繊維要素は、少なくとも0.1mm、主に0.1mm〜10mmの範囲内、さらに好ましくは0.2〜6mmの範囲内、さらに好ましくは1mm〜4mmの範囲内、さらに好ましくは1.1〜3mmの範囲内の長さを有する。主に、この繊維複合材は繊維長6mm超の繊維要素を有していない。この繊維複合材を水中で溶解後、相応に短い繊維要素を用いることによって、個々の繊維要素または複数の繊維要素が機械的に結合し、すなわち、例えば球状化し、輪状化し、フェルト化しおよび/または絡み合って繊維要素集合体を形成し、これらの繊維要素集合体が詰まりを生じ得るようなことを防止することができる。それゆえに、既に触れたように、これらの繊維要素は一般に、濃度や繊維材料に応じた絡み合い限界以下の繊維長を有する。これらの繊維要素はそれらの幾何学形状にかかわりなく主に水溶性であり、および/または分散可能である。
【0021】
これらの繊維要素は、繊維複合材の分解後に繊維要素相互の結合を困難にしもしくは防止する特定の繊維幾何学形状、すなわち特に特定の繊維長を有することができる。既に触れたように、これらの繊維要素は、一般に短く選択されており、一般に特に6mm未満の繊維長を有し、乾燥状態、湿潤状態もしくは含水状態でも、繊維複合材を水に導入後に分解もしくは解離した状態でも、例えば球状化、輪状化または絡み合いによって形成される機械的相互結合が生じることはない。場合によっては、繊維要素特有のものである絡み合い限界を超えると、例えば球状化、輪状化または絡み合いによって形成される繊維要素の機械的結合があり得るが、こうしてこれらの繊維要素は一般にこの絡み合い限界以下の繊維長を有する。絡み合い限界繊維長と称しもしくは見做す絡み合い限界とは、流れ領域内で機械的に安定した繊維−繊維凝塊もしくは繊維−繊維結合体を形成することになる濃度や繊維材料に応じた繊維長のことである。
【0022】
乾燥状態、湿潤状態もしくは含水状態におけるこの繊維複合材の構造的合着、もしくはそのことから生じる構造的もしくは機械的特性、すなわち強度は、一般に、結合剤もしくはその凝結過程のみによって実現されている。それとともに、この結合剤は、化学的もしくは物理化学的固定、すなわち特に水素橋状結合、繊維要素−繊維要素橋もしくは結合剤膜の生成によって形成される十分に安定した繊維要素結合を繊維要素間に形成もしくは確保することに一般に単独で役立つ。このためこれらの繊維要素は、少なくとも部分的に、特に完全に結合剤によって取り囲まれ、もしくはこれに埋封され、もしくは接触箇所および繊維要素−繊維要素交差箇所(かみ合い領域)で互いに固定されている。
【0023】
この結合剤は、水溶性多糖、特に酸性基含有多糖、すなわち少なくとも1種の酸性基を有する多糖で形成され、またはそれに類似するものを少なくとも1種有する。多糖の水溶性は、特に、少なくとも1g、特に少なくとも2g、好ましくは少なくとも5gが100gの蒸留水に温度25℃、圧力1atmにおいて溶けることを意味する。
【0024】
例えば水溶液および/またはフォームとして塗布可能なこの結合剤は、一般に、水に対して一定の吸収能を有し、この吸収能は結合剤の凝結後も維持され、再度水と接触させると結合剤の膨潤(体積増加)および/または溶解を生じる。既に触れたように、この結合剤は繊維要素相互の結合、例えば、凝着もしくは凝集に役立つ。例えばこの結合剤は繊維要素に被着して引き続き乾燥させた後、繊維要素に粘着することができ、これにより繊維要素は凝着もしくは凝集して互いに結合される。既に触れたようにこの結合剤は水素橋状結合を介して繊維要素と結合しておくことができる。
【0025】
重要なのは、この結合剤が結合剤を2重量%含有した水溶液もしくは水中で、20℃において測定して、500mPas超の粘度を有することである。特に、この結合剤は、結合剤を2重量%含有した水溶液もしくは水中で20℃において測定して、500mPasを(はるかに)超える粘度を有する。結合剤の粘度測定は例えば、円筒測定設備、МV計量カップを有する、例えばVT550型Haake Viscotesterの回転粘度計によって2.55s−1の回転速度で行われ(行なわれた)。
【0026】
この結合剤は−やはり結合剤を2重量%含有した水溶液もしくは水中で、20℃において測定して−501mPas〜3000mPasの範囲内、特に520mPas〜1200mPasの範囲内、好ましくは550mPas〜900mPasの範囲内の粘度を有することができる。具体的に考えられる粘度範囲は−やはり結合剤を2重量%含有した水溶液もしくは水中で、20℃において測定して−例えば550mPas〜600mPas、520〜660mPas、600〜700mPas、880〜1150mPasの範囲である。
【0027】
したがって、例えばこの結合剤は、結合剤を2重量%含有した水溶液で、20℃において測定して、550mPas超、好ましくは600mPas超、さらに好ましくは700mPas超、さらに好ましくは800mPas超、さらに好ましくは900mPas超、さらに好ましくは1000mPas超、さらに好ましくは1100mPas超、さらに好ましくは1200mPas超、さらに好ましくは1300mPas超、さらに好ましくは1400mPas超、さらに好ましくは1500mPas超、さらに好ましくは1600mPas超、さらに好ましくは1700mPas超、さらに好ましくは1800mPas超、さらに好ましくは1900mPas超、さらに好ましくは2000mPas超、さらに好ましくは2100mPas超、さらに好ましくは2200mPas超、さらに好ましくは2300mPas超、さらに好ましくは2400mPas超、さらに好ましくは2500mPas超、さらに好ましくは2600mPas超、さらに好ましくは2700mPas超、さらに好ましくは2800mPas超、さらに好ましくは2900mPas超、さらに好ましくは3000mPas超の粘度を有することができる。
【0028】
特に、この結合剤は、結合剤を2重量%含有した水溶液で、20℃において測定して、510mPas超、特に520mPas超、好ましくは530mPas超、さらに好ましくは540mPas超、さらに好ましくは550mPas超、さらに好ましくは560mPas超、さらに好ましくは570mPas超、さらに好ましくは580mPas超、さらに好ましくは590mPas超、さらに好ましくは600mPas超、さらに好ましくは610mPas超、さらに好ましくは620mPas超、さらに好ましくは630mPas超、さらに好ましくは640mPas超、さらに好ましくは650mPas超、さらに好ましくは660mPas超、さらに好ましくは670mPas超、さらに好ましくは680mPas超、さらに好ましくは690mPas超、さらに好ましくは700mPas超、さらに好ましくは710mPas超、さらに好ましくは720mPas超、さらに好ましくは730mPas超、さらに好ましくは740mPas超、さらに好ましくは750mPas超、さらに好ましくは760mPas超、さらに好ましくは770mPas超、さらに好ましくは780mPas超、さらに好ましくは790mPas超、さらに好ましくは800mPas超、さらに好ましくは810mPas超、さらに好ましくは820mPas超、さらに好ましくは830mPas超、さらに好ましくは840mPas超、さらに好ましくは850mPas超、さらに好ましくは860mPas超、さらに好ましくは870mPas超、さらに好ましくは880mPas超、さらに好ましくは890mPas超、さらに好ましくは900mPas超、さらに好ましくは910mPas超、さらに好ましくは920mPas超、さらに好ましくは930mPas超、さらに好ましくは940mPas超、さらに好ましくは950mPas超、さらに好ましくは960mPas超、さらに好ましくは970mPas超、さらに好ましくは980mPas超、さらに好ましくは990mPas超、さらに好ましくは1000mPas超、さらに好ましくは1010mPas超、さらに好ましくは1020mPas超、さらに好ましくは1030mPas超、さらに好ましくは1040mPas超、さらに好ましくは1050mPas超、さらに好ましくは1060mPas超、さらに好ましくは1070mPas超、さらに好ましくは1080mPas超、さらに好ましくは1090mPas超、さらに好ましくは1100mPas超、さらに好ましくは1110mPas超、さらに好ましくは1120mPas超、さらに好ましくは1130mPas超、さらに好ましくは1140mPas超、さらに好ましくは1150mPas超、さらに好ましくは1160mPas超、さらに好ましくは1170mPas超、さらに好ましくは1180mPas超、さらに好ましくは1190mPas超、さらに好ましくは1200mPas超、さらに好ましくは1210mPas超、さらに好ましくは1220mPas超、さらに好ましくは1230mPas超、さらに好ましくは1240mPas超、さらに好ましくは1250mPas超、さらに好ましくは1260mPas超、さらに好ましくは1270mPas超、さらに好ましくは1280mPas超、さらに好ましくは1290mPas超、さらに好ましくは1300mPas超、さらに好ましくは1310mPas超、さらに好ましくは1320mPas超、さらに好ましくは1330mPas超、さらに好ましくは1340mPas超、さらに好ましくは1350mPas超、さらに好ましくは1360mPas超、さらに好ましくは1370mPas超、さらに好ましくは1380mPas超、さらに好ましくは1390mPas超、さらに好ましくは1400mPas超、さらに好ましくは1410mPas超、さらに好ましくは1420mPas超、さらに好ましくは1430mPas超、さらに好ましくは1440mPas超、さらに好ましくは1450mPas超、さらに好ましくは1460mPas超、さらに好ましくは1470mPas超、さらに好ましくは1480mPas超、さらに好ましくは1490mPas超、さらに好ましくは1500mPas超、さらに好ましくは1510mPas超、さらに好ましくは1520mPas超、さらに好ましくは1530mPas超、さらに好ましくは1540mPas超、さらに好ましくは1550mPas超、さらに好ましくは1560mPas超、さらに好ましくは1570mPas超、さらに好ましくは1580mPas超、さらに好ましくは1590mPas超、さらに好ましくは1600mPas超、さらに好ましくは1610mPas超、さらに好ましくは1620mPas超、さらに好ましくは1630mPas超、さらに好ましくは1640mPas超、さらに好ましくは1650mPas超、さらに好ましくは1660mPas超、さらに好ましくは1670mPas超、さらに好ましくは1680mPas超、さらに好ましくは1690mPas超、さらに好ましくは1700mPas超、さらに好ましくは1710mPas超、さらに好ましくは1720mPas超、さらに好ましくは1730mPas超、さらに好ましくは1740mPas超、さらに好ましくは1750mPas超、さらに好ましくは1760mPas超、さらに好ましくは1770mPas超、さらに好ましくは1780mPas超、さらに好ましくは1790mPas超、さらに好ましくは1800mPas超、さらに好ましくは1810mPas超、さらに好ましくは1820mPas超、さらに好ましくは1830mPas超、さらに好ましくは1840mPas超、さらに好ましくは1850mPas超、さらに好ましくは1860mPas超、さらに好ましくは1870mPas超、さらに好ましくは1880mPas超、さらに好ましくは1890mPas超、さらに好ましくは1900mPas超、さらに好ましくは1910mPas超、さらに好ましくは1920mPas超、さらに好ましくは1930mPas超、さらに好ましくは1940mPas超、さらに好ましくは1950mPas超、さらに好ましくは1960mPas超、さらに好ましくは1970mPas超、さらに好ましくは1980mPas超、さらに好ましくは1990mPas超、さらに好ましくは2000mPas超、さらに好ましくは2010mPas超、さらに好ましくは2020mPas超、さらに好ましくは2030mPas超、さらに好ましくは2040mPas超、さらに好ましくは2050mPas超、さらに好ましくは2060mPas超、さらに好ましくは2070mPas超、さらに好ましくは2080mPas超、さらに好ましくは2090mPas超、さらに好ましくは2100mPas超、さらに好ましくは2110mPas超、さらに好ましくは2120mPas超、さらに好ましくは2130mPas超、さらに好ましくは2140mPas超、さらに好ましくは2150mPas超、さらに好ましくは2160mPas超、さらに好ましくは2170mPas超、さらに好ましくは2180mPas超、さらに好ましくは2190mPas超、さらに好ましくは2200mPas超、さらに好ましくは2210mPas超、さらに好ましくは2220mPas超、さらに好ましくは2230mPas超、さらに好ましくは2240mPas超、さらに好ましくは2250mPas超、さらに好ましくは2260mPas超、さらに好ましくは2270mPas超、さらに好ましくは2280mPas超、さらに好ましくは2290mPas超、さらに好ましくは2300mPas超、さらに好ましくは2310mPas超、さらに好ましくは2320mPas超、さらに好ましくは2330mPas超、さらに好ましくは2340mPas超、さらに好ましくは2350mPas超、さらに好ましくは2360mPas超、さらに好ましくは2370mPas超、さらに好ましくは2380mPas超、さらに好ましくは2390mPas超、さらに好ましくは2400mPas超、さらに好ましくは2410mPas超、さらに好ましくは2420mPas超、さらに好ましくは2430mPas超、さらに好ましくは2440mPas超、さらに好ましくは2450mPas超、さらに好ましくは2460mPas超、さらに好ましくは2470mPas超、さらに好ましくは2480mPas超、さらに好ましくは2490mPas超、さらに好ましくは2500mPas超、さらに好ましくは2510mPas超、さらに好ましくは2520mPas超、さらに好ましくは2530mPas超、さらに好ましくは2540mPas超、さらに好ましくは2550mPas超、さらに好ましくは2560mPas超、さらに好ましくは2570mPas超、さらに好ましくは2580mPas超、さらに好ましくは2590mPas超、さらに好ましくは2600mPas超、さらに好ましくは2610mPas超、さらに好ましくは2620mPas超、さらに好ましくは2630mPas超、さらに好ましくは2640mPas超、さらに好ましくは2650mPas超、さらに好ましくは2660mPas超、さらに好ましくは2670mPas超、さらに好ましくは2680mPas超、さらに好ましくは2690mPas超、さらに好ましくは2700mPas超、さらに好ましくは2710mPas超、さらに好ましくは2720mPas超、さらに好ましくは2730mPas超、さらに好ましくは2740mPas超、さらに好ましくは2750mPas超、さらに好ましくは2760mPas超、さらに好ましくは2770mPas超、さらに好ましくは2780mPas超、さらに好ましくは2790mPas超、さらに好ましくは2800mPas超、さらに好ましくは2810mPas超、さらに好ましくは2820mPas超、さらに好ましくは2830mPas超、さらに好ましくは2840mPas超、さらに好ましくは2850mPas超、さらに好ましくは2860mPas超、さらに好ましくは2870mPas超、さらに好ましくは2880mPas超、さらに好ましくは2890mPas超、さらに好ましくは2900mPas超、さらに好ましくは2910mPas超、さらに好ましくは2920mPas超、さらに好ましくは2930mPas超、さらに好ましくは2940mPas超、さらに好ましくは2950mPas超、さらに好ましくは2960mPas超、さらに好ましくは2970mPas超、さらに好ましくは2980mPas超、さらに好ましくは2990mPas超、さらに好ましくは3000mPas超の粘度を有することができる。
【0029】
上記粘度値は、それぞれ特定粘度範囲の限界値と理解し、もしくはそのようなものとして用いることもできる。
【0030】
したがって、この結合剤は、いずれにしても比較的高い粘度を有する。この結合剤の比較的高い粘度は、一般に、結合剤もしくは結合剤分子の比較的高いモル質量と結びついている。したがって、この結合剤は、一般に、比較的高いモル質量を有する。この結合剤のモル質量は、例えば50,000g/モル〜400,000g/モルの範囲内、特に100,000g/モル〜350,000g/モルの範囲内、好ましくは150,000g/モル〜300,000g/モルの範囲内とすることができる。
【0031】
つまり、この結合剤は、例えば50,000g/モル超、特に75,000g/モル超、特に100,000g/モル超、特に125,000g/モル超、特に150,000g/モル超、特に175,000g/モル超、特に200,000g/モル超、特に225,000g/モル超、特に250,000g/モル超、特に275,000g/モル超、特に300,000g/モル超、特に325,000g/モル超、特に350,000g/モル超、特に375,000g/モル超、特に400,000g/モル超のモル質量を有することができる。
【0032】
この結合剤の比較的高い粘度は、意外なことに、繊維複合材の特別な構造的特性、すなわち特に特別な機械的特性をもたらす。したがって、結合剤を2重量%含有した水溶液で、20℃において測定して、500mPasよりも一部で著しく低い結合剤粘度を有する公知の繊維複合材とは異なり、ここに述べる繊維複合材の組成は、この結合剤のまさに意外なほどに高い粘度が、この繊維複合材の著しく向上した構造的特性もしくは機械的特性をもたらすとの認識に基づいている。この繊維複合材の特別な構造的もしくは機械的特性は、特に、比較的高い(乾燥)引裂き強さ、もしくは比較的高い(乾燥)引裂き値に帰結する。
【0033】
全体として、特にこの結合剤の比較的高い粘度のゆえに、その構造的もしくは機械的特性を改善された繊維複合材が提供される。したがって、この繊維複合材は、少なくとも時として繊維複合材に一定の機械的応力が加わることになる応用領域もしくは利用領域に特に適している。
【0034】
この結合剤は、繊維複合材の乾燥重量もしくは全乾燥重量に対して、0.5〜50重量%の重量割合を有することができる。一般に、この結合剤の重量割合は、繊維複合材の乾燥重量もしくは全乾燥重量に対して、1〜20重量%の範囲内、特に2〜17重量%の範囲内、主に3〜15重量%の範囲内である。
【0035】
既に触れたように、この繊維複合材の特別な構造的もしくは機械的特性は、この繊維複合材の比較的高い(乾燥)引裂き強さ、もしくは比較的高い(乾燥)引裂き値に帰結する。例えば、この繊維複合材は、少なくとも30、少なくとも30N、好ましくは少なくとも35N、さらに好ましくは少なくとも40N、さらに好ましくは少なくとも45N、さらに好ましくは少なくとも50N、さらに好ましくは少なくとも55N、特に少なくとも60N、さらに好ましくは少なくとも65N、さらに好ましくは少なくとも70N、さらに好ましくは少なくとも75N、さらに好ましくは少なくとも80N、さらに好ましくは少なくとも90N、さらに好ましくは少なくとも100Nの(乾燥)引裂き値を有することができる。引裂き値は、特に45〜60Nの範囲内とすることができる。引裂き値は、それぞれ乾燥状態において縦方向で測定された。(乾燥)引裂き値は、例えばDIN EN ISO 1924−2により確定することができる。
【0036】
既に触れたように、この結合剤は水溶性多糖であり、もしくはこの結合剤は少なくとも1種の類似のものを含む。水溶性多糖は、一般に、少なくとも1種の酸性基含有残基もしくはカルボキシル基含有残基を有する。水溶性多糖は、例えば、カルボキシメチルセルロース(CМC)、カルボキシメチルデンプン(CМS)、カルボキシエチルセルロース(CEC)、カルボキシプロピルセルロース、カルボキシメチル−メチルセルロース(CММC)、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルプロピルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、カルボキシエチルエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CМHEC)、カルボキシメチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルヒドロキシメチルセルロース、カルボキシエチルヒドロキシエチルセルロース、およびこれらの混合物もしくは組み合わせの群から選択しておくことができる。
【0037】
この結合剤は、水溶性デンプン、すなわち、特に上記とは別の種類、もしくはタイプの水溶性デンプンで形成しておくこともできる。
【0038】
市場で入手可能な好適な結合剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、Rheolon(登録商標)30、Rheolon(登録商標)30N、Rheolon(登録商標)100NまたはRheolon(登録商標)300、Rheolon(登録商標)300N、Rheolon(登録商標)500G、Rheolon(登録商標)1000Gであり、これらは、それぞれ、例えばUgur Seluloz Kimya社(アイドゥン、トルコ)から入手可能である。市場で入手可能なその他の好適な結合剤は、例えばCalexis(登録商標)型およびFinnfix(登録商標)型のカルボキシメチルセルロースであり、これらは、それぞれ、例えばCP Kelco Germany GmbH社(グロッセンブローデ、ドイツ)から入手可能である。
【0039】
この繊維複合材は、繊維要素および結合剤の他に、付加的に、少なくとも1種の湿潤剤、すなわち、特に有機湿潤剤を含有し、もしくは含むこともできる。この湿潤剤は、特に、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、または少なくとも1種の脂肪族アルコールおよび/または少なくとも1種の脂肪族エーテルおよび/または少なくとも1種の脂肪族エステルの混合物の群から選択しておくことができる。特に考慮に値するのは、エタノール、プロパノール、エタン−1、2−ジオール、プロパン−1、2−ジオール、プロパン−1、3−ジオール、1、2、3−プロパントリオール、および、混合物もしくは組み合わせである。したがって、この湿潤剤は、少なくとも1種の易揮発性有機成分、すなわち、例えばエタノール、および/または、少なくとも1種の難揮発性有機成分、特に、低分子量、オリゴマー性または高分子量のジオール化合物またはポリオール化合物、すなわち、例えばプロピレングリコールを含むことができる。
【0040】
この湿潤剤は、繊維複合材の重量もしくは全重量に対して、1〜90重量%、特に50重量%以下、好ましくは35重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下、特別好ましくは10重量%以下の重量割合を有することができる。湿潤剤の割合は、一般に、30〜70重量%の範囲内、特に35〜65重量%の範囲内、主に40〜60重量%の範囲内である。
【0041】
この湿潤剤もしくはこの繊維複合材は、特に、それがアルコール成分、例えばエタノールおよび/またはプロパノール、特にエタノールと1−プロパノールと2−プロパノールとの混合物を含む場合、消毒特性を有することができる。したがって、この繊維複合材は、特に、消毒紙もしくはクレンジングペーパーとして用いるのに適している。
【0042】
この湿潤剤もしくはこの繊維複合材はさらに、特に、それがアルコール成分を含む場合、殺菌性および/または静菌性特性、もしくは殺真菌性および/または静真菌性特性を有することができる。殺菌性および/または静菌性特性、もしくは殺真菌性および/または静真菌性特性は、この繊維複合材の特定応用分野にとって望ましいことがある。
【0043】
この繊維複合材は、付加的に、有機両性成分を含有し、もしくは含むことができる。有機両性成分は、一般に水溶性である。以下で明らかとなるように、特に両性アミンもしくはアミン塩である両性有機成分は、陽子の受容体としても供与体としても利用でき、すなわち、ブレンステッド酸としてもブレンステッド塩基としても反応可能である。両性有機成分は、結合剤と合わせて、特に、(構造形成的)高分子塩および/またはポリマー集合体を形成するのに利用することができ、この集合体は、それが設けられている限りで、湿潤剤と一緒に非溶解性もしくは非分散性である。
【0044】
既に触れたように、この有機両性成分は、特に、両性アミンもしくはアミン塩とすることができる。この有機両性成分は、界面活性剤でなく、すなわち、特に両性界面活性剤でない。それとともに、この有機両性成分は、界面活性剤でなく、すなわち、特にアミンもしくはアミン塩を基とする界面活性剤でない。一般に、第4級または長鎖の高分子両性アミンは(も)、有機両性成分として適していない。というのも、これらは、可塑剤としておよび/または恒久的カチオン電荷と共に、分散的もしくは構造破壊的に作用し、この繊維複合材の湿潤強度を損ない、もしくは妨げるからである。
【0045】
この繊維複合材用の両性有機成分として使用するのに相応に適したアミンは、主に、水溶性アミノカルボン酸、好ましくはαアミノカルボン酸とすることができ、これは主に、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、システイン、S−メチルシステイン、シスチン、クレアチン、ホモシステイン、ホモセリン、ノルロイシン、2−アミノブタン酸、2−アミノ−3−メルカプト−3−メチルブタン酸、3−アミノブタン酸、2−アミノ−3、3−ジメチルブタン酸、4−アミノブタン酸、2−アミノ−2−メチルプロパン酸、2−アミノ−3−シクロヘキシルプロパン酸、3−アミノプロパン酸、2、3−ジアミノプロパン酸、3−アミノヘキサン酸、γ−カルボキシグルタミン酸(3−アミノプロパン−1、1、3−トリカルボン酸)、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、p−ヒドロキシフェニルグリシン、イソロイシン、イソバリン、ロイシン、リシン、メチオニン、オルニチン、((S)−(+)−2、5−ジアミノペンタン酸)、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、これらの塩、これらの錯体、および、これらの混合物もしくは組み合わせの群、主に、アラニン、アルギニン、グリシン、プロリン、リシン、ヒスチジン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、オルニチン、これらの塩、これらの錯体、および、これらの混合物もしくは組み合わせの群、さらに好ましくは、アラニン、アルギニン、グリシン、プロリン、リシン、オルニチン、これらの塩、これらの錯体、および、これらの混合物もしくは組み合わせの群、さらに好ましくは、アルギニン、リシン、オルニチン、これらの塩、これらの錯体、および、これらの混合物もしくは組み合わせの群、さらに好ましくは、アラニン、グリシン、プロリン、これらの塩、これらの錯体、および、これらの混合物もしくは組み合わせの群、さらに好ましくは、ヒスチジン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、これらの塩、これらの錯体、および、これらの混合物もしくは組み合わせの群から選択されている。
【0046】
さらに、1種のまたは様々なアミノ酸から成る8個以下のアミノ酸モジュールを有するオリゴマー性ペプチドもしくはオリゴペプチドに至る短鎖ペプチド、、すなわち、例えば、ジペプチド、トリペプチドは、両性有機成分として利用し、こうして使用することができる。
【0047】
さらに、すべての、特に分子量の小さい非生理的なアミンもしくはアミノ酸、および、これらの誘導体は、両性有機成分として役立ち、こうして使用することができる。
【0048】
それが設けられている限りで、この有機両性成分は、主に、少なくとも1種のプロトン化可能なおよび/またはプロトン化したアミノ基、さらに、少なくとも1種の脱プロトン化可能なおよび/または脱プロトン化した酸性基、さらに好ましくは、カルボキシル基を有する。プロトン化可能なおよび/またはプロトン化したアミノ基は、主に、第1級アミノ基、第2級アミノ基、および、これらの組み合わせの群から選択されている。両性アミンは、主に、アミノカルボン酸、および/またはその塩および/または錯体、さらに好ましくは、αアミノ酸、および/またはその塩および/または錯体である。
【0049】
両性アミンの塩は、望ましくは、表面に一様な球状電荷分布を有する、特に多価金属カチオンの塩、すなわち、好ましくはCa2+および/またはZn2+である。
【0050】
両性アミンの錯体は、特に多価金属カチオンの錯体、好ましくはCa2+および/またはZn2+である。さらに好ましくは、両性アミンは、主にプロトン化可能なおよび/またはプロトン化した第1級アミノ基と、第1級酸性基、主にカルボキシル基と、そして選択的にさらに、主にプロトン化可能なおよび/またはプロトン化した第2級アミノ基と、および/または第2級酸性基、主にカルボキシル基とを有する。両性アミンは、主に、恒久的に正に荷電している窒素原子を有しておらず、さらに好ましくは、第4級アンモニウム基、例えばテトラアルキルアンモニウム基を有していない。
【0051】
したがって、この繊維複合材は、繊維複合材のその他の成分とで、特に結合剤とで、および/または、それが設けられている限りで、1種の、もしくは前記の両性有機成分とで錯体を形成する特に、多価の金属カチオン、もしくは、特に多価の金属カチオン塩を含むことができる。相応する金属カチオンもしくは金属カチオン塩は、特に、水構造形成的および/または吸湿的および/または浸透的に活性もしくは有効であり得る。相応する塩の例は、多価金属カチオンを有する分子量の小さい有機の酸もしくはアミノ酸を基とする有機塩、例えばカルシウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、および/または無機金属カチオン塩、例えば塩化カルシウム、塩化亜鉛、概して、主に強吸湿性金属カチオンもしくは金属カチオン塩、および様々な金属カチオンもしくは金属カチオン塩の混合物とすることができる。相応する金属カチオンもしくは金属カチオン塩の重量割合は、特に0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.2〜8重量%、特別好ましくは0.3〜5重量%である。
【0052】
主に、好適な多価金属カチオンは、遷移金属の多価イオン、すなわち、特に二価イオンもしくは三価イオン、元素周期表第三、第四族金属の多価イオン、アルカリ土類金属のイオン、遷移金属のイオン、および、これらの混合物もしくは組み合わせから成る群から選択される。さらに、もしくはしたがって、好適な多価金属カチオンは、Al3+、Mg2+、Co2+、Fe2+、Fe3+、Ca2+、Mn2+、Ni2+、Zn2+、および、これらの混合物もしくは組み合わせ、特に好ましくは、Ca2+、Zn2+、および、これらの混合物もしくは組み合わせから成る群から選択することができる。
【0053】
好適な金属カチオンは、例えば、相応する金属カチオンの水溶性塩および/または錯体の態様で、主に、相応する金属カチオンの炭酸水素塩、塩化物、酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩として、上記アミノカルボン酸の1種、またはこれらの混合物のカルボキシレートおよび/または錯体として、主に上記アミノカルボン酸の1種、またはこれらの混合物の塩化物、カルボキシレートおよび/または錯体として、主に水性の溶液、主にローションに導入することができる。
【0054】
好適な両性アミンは、主に、置換しないか、または置換しておくことのできるアミノカルボン酸、これらの塩、これらの錯体、またはこれらの混合物もしくは組み合わせから成る群から選択される。置換しないか、または置換しておくことのできる好適なアミノカルボン酸は、主に少なくとも1種のカルボキシル基、および、少なくとも1種のアミノ基を有する有機化合物である。好適な両性アミンは、既に触れたように、界面活性剤でなく、すなわち、特に両性界面活性剤でない。
【0055】
好適なアミノカルボン酸は、好ましくは、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、システイン、S−メチルシステイン、シスチン、クレアチン、ホモシステイン、ホモセリン、ノルロイシン、2−アミノブタン酸、2−アミノ−3−メルカプト−3−メチルブタン酸、3−アミノブタン酸、2−アミノ−3、3−ジメチルブタン酸、4−アミノブタン酸、2−アミノ−2−メチルプロパン酸、2−アミノ−3−シクロヘキシルプロパン酸、3−アミノプロパン酸、2、3−ジアミノプロパン酸、3−アミノヘキサン酸、γ−カルボキシグルタミン酸(3−アミノプロパン−1、1、3−トリカルボン酸)、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、p−ヒドロキシフェニルグリシン、イソロイシン、イソバリン、ロイシン、リシン、メチオニン、オルニチン((S)−(+)−2.5−ジアミノペンタン酸)、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、これらの塩、これらの錯体、および、これらの混合物もしくは組み合わせから成る群、主に、アラニン、アルギニン、グリシン、プロリン、リシン、ヒスチジン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、オルニチン、これらの塩、これらの錯体、および、これらの混合物もしくは組み合わせから成る群、さらに好ましくは、アラニン、アルギニン、グリシン、プロリン、リシン、オルニチン、これらの塩、これらの錯体、および、これらの混合物もしくは組み合わせから成る群、さらに好ましくは、アルギニン、リシン、オルニチン、これらの塩、これらの錯体、および、これらの混合物もしくは組み合わせから成る群、さらに好ましくは、アラニン、グリシン、プロリン、これらの塩、これらの錯体、および、これらの混合物もしくは組み合わせから成る群、さらに好ましくは、ヒスチジン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、これらの塩、これらの錯体、および、これらの混合物もしくは組み合わせから成る群から選択される。
【0056】
さらに好ましい実施形態において、両性アミンは、直前に列記したアミノ酸の1種、もしくは様々なアミノ酸から成る上記ペプチドから成る群から選択される。
【0057】
金属カチオン、好ましくは多価金属カチオンは、上記アミノカルボン酸の1種とで、塩および/または錯体を形成することができる。さらに好ましくは、上記両性アミン、主に上記アミノカルボン酸は、多価金属カチオンの塩および/または錯体として、好ましくはCa2+および/またはZn2+として、用いることができる。
【0058】
既に触れたように、相応する両性アミン、主に、置換しないか、または置換しておくことのできる少なくとも1種のアミノカルボン酸、および/またはこれらの塩および/またはこれらの錯体は、繊維要素に塗布後、結合剤もしくは多糖の酸性基含有残基、主にカルボキシル基含有残基とで、高分子塩を形成することができる。
【0059】
既に触れたように、少なくとも1種の有機両性成分、すなわち、特に1種の両性アミン、主に少なくとも1種のアミノカルボン酸、および/またはこれらの塩および/またはこれらの錯体を用いることによって、繊維複合材の含水強度の制御、すなわち、水中での繊維複合材の解離性の制御を改善することができる。特に、有機両性成分、すなわち、特にアミノカルボン酸と金属カチオンから塩もしくは錯体もしくは高分子塩を、前記の如く形成することによって、繊維複合材の湿潤強度に肯定的影響を及ぼすこともできる。
【0060】
主に、置換しないか、または置換しておくことができる上記アミノカルボン酸、これらの塩、これらの錯体、および、これらの混合物もしくは組み合わせの群から主に選択される、相応する両性アミンは、それぞれ乾燥繊維複合材の重量もしくは全重量に対して、0.1重量%〜30重量%の範囲内、主に0.5重量%〜20重量%の範囲内、さらに好ましくは0.7重量%〜17重量%の範囲内、さらに好ましくは2重量%〜15重量%の範囲内、さらに好ましくは3.3重量%〜13重量%の範囲内の重量割合を有する。
【0061】
この繊維複合材が少なくとも1種の両性有機成分を含有し、もしくは含む実施形態が考えられるのではあるが、この繊維複合材が、(唯一の)両性有機成分を含有しない、もしくは含まないことも明確に考えられる。
【0062】
この繊維複合材は、特に、消毒紙もしくはクレンジングペーパーとして用いるのに適している。それゆえに、この繊維複合材は、特に、消毒紙もしくはクレンジングペーパーとして形成しておくことができる。その際、留意すべき点として、繊維複合材の分解時に、繊維複合材の消毒作用もしくはクレンジング作用が減少するので、特別な含水強度は、繊維複合材の(実際の)消毒作用、もしくはクレンジング作用の指標と見做すことができる。こうして、この繊維複合材の分解は、一般に、この繊維複合材の消毒作用、もしくはクレンジング作用の減少と並行して起きる。
【0063】
この繊維複合材は、消毒紙もしくはクレンジングペーパーとして用いる他に、例えば、水分解性衛生ペーパー、特に耐湿水分解性化粧用ペーパーまたは水分解性トイレットペーパーとして用いるのにも適している。したがって、この繊維複合材は、水分解性衛生ペーパー、特に水分解性クレンジングペーパー、または水分解性トイレットペーパーとして形成しておくことができ、もしくは形成することができる。
【0064】
無論、この繊維複合材は、繊維要素と結合剤の他に水、すなわち、水分も含有することができる。水分は、この繊維複合材の繊維要素、結合剤、および、その他考えられる(選択的)諸成分、例えば、湿潤剤および有機両性成分等の割合から生じる。水分は一般に残余であり、この繊維複合材の各諸成分が全体で100%となる。
【0065】
この繊維複合材は、単層または多層で形成しておくことができる。
【0066】
本発明は、繊維複合材の他に、水分解性繊維複合材、特に、ここに述べる繊維複合材を製造する方法にも関する。本方法は、
−特に、繊維要素を含有する繊維要素ウエブの態様の多数の繊維要素を調製する工程と、
−酸性基含有多糖で形成され、または、それに類似するものを含む少なくとも1種の結合剤を、繊維要素、特に繊維要素ウエブに被着する工程とを含み、
前記少なくとも1種の結合剤が、2重量%の結合剤を含有する水溶液で、20℃において測定して、500mPas超の粘度を有する。
【0067】
繊維複合材に関連して述べたことは、すべて本方法にも同様にあてはまり、またその逆もいえる。
【0068】
これらの繊維要素は、フリース様またはフリース状で調製もしくは提供することができる。調製すべき、または調製された繊維要素は、例えば、カーディング、ウェットレイイング、エアレイイング、スパンボンド法、またはメルトブロー法によって繊維ウエブに転換し、繊維要素ウエブとして調製して提供することができる。この繊維要素ウエブは、繊維要素が密に混合されるエアレイド法とも称されるエアレイイング法によって形成することができる。エアレイイング繊維要素は、引き続き圧搾または圧縮することができる。
【0069】
それとともに、特に繊維要素の調製もしくは製造に関連して、下記の付加的工程を含む方法の下記実施形態が考えられる。
【0070】
不織布または不織材料として調製して提供できるこの繊維複合材は、主に、付加的に下記工程を含む方法によって製造される:
(a1)繊維要素を調製する、
(a2)繊維要素を受容面に堆積させて繊維要素ウエブを得る、
(a3)繊維要素ウエブを圧縮もしくは圧搾して圧縮もしくは圧搾繊維要素ウエブを得る。
【0071】
特に、工程(a1)のとき、および/または、工程(a2)および/または(a3)中に結合剤とそれが設けられている限りで、有機両性成分は、水溶液および/またはフォームとして、順次、一緒にまたは同時に被着され、引き続き100℃超、主に120℃超、主に150℃超の温度において固化される。引き続き、それが設けられている限りで、湿潤剤を被着することができる。代替的実施形態において、工程(a3)中に、またはその後に、結合剤と、それが設けられている限りで、有機両性成分と、それが設けられている限りで、湿潤剤が被着される。
【0072】
結合剤、選択的有機両性成分および選択的湿潤剤の被着は、主に、それぞれ独自にパッドによる塗布、フォームによる塗布および/またはスプレーによって行われる。結合剤、選択的有機両性成分および選択的湿潤剤は、互いに別々に繊維要素もしくは繊維複合材のそれぞれ同じ側面、または異なる側面に被着することができる。結合剤、選択的有機両性成分および選択的湿潤剤の被着は、同時に、または非同時に(逐次)行うことができ、塗布の順序は変更可能である。
【0073】
工程(a3)で行われる圧縮もしくは圧搾は、同時に、または時間的に段階付けた、様々な方法、すなわち、例えば、前圧縮と後圧縮、もしくは、前圧搾と後圧搾に分けた方法、例えば、カレンダー仕上げ、圧延、エンボス加工等によって行うことができる。繊維複合材の圧縮もしくは圧搾によって、繊維複合材の厚さおよび/または密度を調整することができる。
【0074】
既に工程(a3)で実現されていない限りで、工程(a3)に続く工程(a4)として、例えば繊維複合材のエンボス加工によって、繊維複合材の立体的構造化もしくは表面構造化の形成を続けることができる。こうして、繊維複合材内に凹部および/または隆起部を適切に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図面の1実施例に基づいて本発明を説明する。単一の図は実施例による繊維複合材の原理図である。
図1】実施例による単層または多層水分解性繊維複合材の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
この繊維複合材1は、一方で、湿潤状態のとき比較的高い湿潤強度、すなわち、比較的高い機械的強度を有し、他方で、水との接触時に比較的低い含水強度、すなわち、比較的低い機械的強度を有する。比較的低い含水強度により、この繊維複合材1は、水との接触時に個々の繊維要素2に迅速かつ完全に解離することができる。それとともに、この繊維複合材1は、例えば素地上での摩擦による短時間の機械的応力を受けるとき十分に高い機械的湿潤強度を有する。水に導入後、この繊維複合材1は、十分に低い含水強度、もしくは高い解離性を示し、繊維複合材1の廃棄後に、下水設備の詰まりが避けられる。それとともに、この繊維複合材1は、特に、水分解性消毒紙もしくはクレンジングペーパーとして用いるのに適している。水分解性衛生ペーパー、水分解性化粧用ペーパー、または水分解性トイレットペーパーとしての使用も考えられる。
【0077】
この繊維複合材1は、多数の繊維要素2、すなわち、例えばパルプ繊維と、繊維要素2を取り囲む結合剤3とを含み、この結合剤は、水溶性多糖で形成され、またはそれに類似するものを含む。水溶性多糖は、例えばカルボキシメチルセルロース(CМC)とすることができる。
【0078】
この結合剤3は、2重量%の結合剤を含有する水溶液、もしくは水中で、20℃において測定して、500mPas以上の粘度を有する。結合剤3の粘度測定は、例えば、円筒測定設備、МV計量カップを有する、例えばVT550型Haake Viscotesterの回転粘度計によって、2.55s−1の回転速度で行われる(行われた)。
【0079】
結合剤3の高い粘度によって、繊維複合材1の特別な構造的特性、すなわち、特に特別な機械的特性が生じ、この特性は特に、高い(乾燥)引裂き値に帰結する。
【0080】
以下の表は、この繊維複合材1の例示的に考えられる組成、すなわち、特に様々な結合剤#1〜4と、それぞれ6つの測定値を平均した付属する(乾燥)引裂き値を示す:
【0081】
【表1】
【0082】
結合剤#1はRheolon(登録商標)1000G型のカルボキシメチルセルロース、結合剤#2はCalexis(登録商標)型のカルボキシメチルセルロース、結合剤#3はRheolon(登録商標)500G型のカルボキシメチルセルロース、結合剤#4はFinnfix(登録商標)型のカルボキシメチルセルロースである。
【0083】
この結合剤3の粘度は、円筒測定設備、МV計量カップを有するVT550型Haake Viscotesterの回転粘度計によって、2.55s−1の回転速度で測定された。
【0084】
引裂き値は、幅50mm、縦方向の長さ100mmの乾燥試験片で、それぞれ測定された。
【0085】
この繊維複合材1は、
−特に繊維要素を含有する繊維要素ウエブの態様の多数の繊維要素2を調製する工程と、
−酸性基含有多糖で形成され、またはそれに類似するものを含む、少なくとも1種の結合剤3を、繊維要素2、特に繊維要素ウエブに被着する工程とを含み、前記少なくとも1種の結合剤3が、2重量%の結合剤3を含有する水溶液で、20℃において測定して、500mPas超の粘度を有する方法で製造することができる。
【国際調査報告】