特表2021-525618(P2021-525618A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デルマファーム アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特表2021-525618インターフェースを備えた携帯型痒み治療デバイス
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-525618(P2021-525618A)
(43)【公表日】2021年9月27日
(54)【発明の名称】インターフェースを備えた携帯型痒み治療デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/03 20060101AFI20210830BHJP
【FI】
   A61F7/08 331
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2020-568470(P2020-568470)
(86)(22)【出願日】2019年6月6日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月20日
(86)【国際出願番号】EP2019064817
(87)【国際公開番号】WO2019234172
(87)【国際公開日】20191212
(31)【優先権主張番号】18176545.4
(32)【優先日】2018年6月7日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
3.FIREWIRE
(71)【出願人】
【識別番号】520476352
【氏名又は名称】デルマファーム アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビュンガー フォン バーンブ、ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA01
4C099CA19
4C099EA08
4C099GA02
4C099HA01
4C099JA01
4C099LA21
4C099PA01
(57)【要約】
第1の態様では、本発明は、少なくとも1つの加熱素子を40℃〜65℃の治療温度まで加熱することによって加熱することができ、制御デバイスによって制御することができる少なくとも1つの治療表面を備える、痒みの温熱治療用デバイスであって、少なくとも1つのインターフェースを示し、インターフェースを介した携帯型デバイスによるデバイスの電力供給用及び/又は携帯型デバイスとのデータ交換用及び/又は携帯型デバイスによる制御用に構成される、デバイスに関する。
更なる態様では、本発明は、デバイスと携帯型デバイスとを備えるシステムであって、デバイスが、インターフェースを介した携帯型デバイスによる電力供給用及び/又は携帯型デバイスとのデータ交換用及び/又は携帯型デバイスによる制御用に構成される、システムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの加熱素子を加熱することによって40℃〜65℃の治療温度まで加熱することができ、制御デバイスによって制御することができる少なくとも1つの治療表面を備える、痒みの温熱治療用デバイスであって、
前記デバイスが、少なくとも1つのインターフェースを示し、前記インターフェースを介した携帯型デバイスによる前記デバイスへの電力供給用及び/又は携帯型デバイスとのデータ交換用及び/又は携帯型デバイスによる制御用に構成されることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記デバイスが前記制御デバイスを備えることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスが、前記携帯型デバイスによって前記制御デバイスをパラメータ化するように構成されることを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスが、前記携帯型デバイスによって前記制御デバイスの制御プログラムを送信するように構成されることを特徴とする、請求項2又は3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記携帯型デバイスが前記制御デバイスを含むことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記インターフェースを介した前記携帯型デバイスによる前記デバイスの前記電力供給、及び/又は前記携帯型デバイスとの前記データ交換、及び/又は前記携帯型デバイスによる前記制御が無線であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項又は複数項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記治療温度が40℃〜60℃であり、前記治療表面のサイズが1cm〜18cmであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項又は複数項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記治療温度が40℃〜60℃であり、前記治療表面のサイズが1cm未満であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項又は複数項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記デバイスが、エネルギー貯蔵部、好ましくはアキュムレータ、特に好ましくはリチウム・ポリマー・アキュムレータ及び/又は金属水素化物アキュムレータを備えることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項又は複数項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記アキュムレータが、固体アキュムレータ、好ましくはリチウム・セラミック・アキュムレータである、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記デバイスが、前記治療表面の温度を測定する少なくとも1つの第1の温度センサを備え、調整デバイス及び/又は制御デバイスが、前記温度センサの測定データに基づいて、前記少なくとも1つの加熱素子の温度を調節することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項又は複数項に記載のデバイス。
【請求項12】
治療温度が1〜10秒間の治療持続時間にわたって維持される、請求項1から11までのいずれか一項又は複数項に記載のデバイス。
【請求項13】
ハードウェア実装温度モニタが前記治療表面の最高温度を可逆的に制限し、ヒューズが、短絡回路又は制御されない連続加熱の場合に前記デバイスを停止する、請求項1から12までのいずれか一項又は複数項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ハードウェア実装温度モニタが、前記治療表面の温度を測定する少なくとも第2の温度センサと、比較器とを備え、前記比較器が前記治療表面の温度を前記最高温度と比較し、前記最高温度を超えている場合、前記加熱素子への前記電流供給を遮断する、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
デバイスが、インターフェースを介した携帯型デバイスによる電力供給用及び/又は前記携帯型デバイスとのデータ交換用及び/又は前記携帯型デバイスによる制御用に構成される、デバイスと携帯型デバイスとを備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1の態様では、本発明は、少なくとも1つの加熱素子を加熱することによって40℃〜65℃の治療温度まで加熱することができ、制御デバイスによって制御することができる少なくとも1つの治療表面を備える、痒みの温熱治療用デバイスであって、少なくとも1つのインターフェースを示し、インターフェースを介した携帯型デバイスによるデバイスの電力供給用及び/又は携帯型デバイスとのデータ交換用及び/又は携帯型デバイスによる制御用に構成される、デバイスに関する。
【0002】
更なる態様では、本発明は、デバイスと携帯型デバイスとを備えるシステムであって、デバイスが、インターフェースを介した携帯型デバイスによる電力供給用及び/又は携帯型デバイスとのデータ交換用及び/又は携帯型デバイスによる制御用に構成される、システムに関する。
【背景技術】
【0003】
痒み(掻痒症)は、皮膚又は粘膜に関する主観的に不快と感じる感覚的知覚である。局所的であるか、又は全身に影響を及ぼす場合がある。痒みは、多くの場合、火照った感覚、チクチク感、又はピリピリ感を伴い、患者は、引っ掻いたり、擦ったり、押さえたり、又は揉んだりすることによってそれを和らげようとする場合が多い。したがって、痒みは、引っ掻き傷、開放創、痂皮、及び皮膚感染症など、皮膚の他の病理症状を伴う場合が多い。専門家は、痒みは皮膚内の痛覚受容体によって媒介され、自律神経系を介して脳に伝達されると考えている。痒みの原因は非常に多様であり得る。乾燥肌、水分不足、又はアレルギーに加えて、痒みは、蚊に刺された、又は刺胞動物との接触後など、外的影響及び皮膚炎によって起こる場合もある。痒みは、化学的、機械的、又は熱的刺激に対する反応の場合がある。例えばヒスタミン(蚊に刺された場合)、アパミン(蜂に刺された場合)などの化学物質の影響など、外的刺激の結果として、アレルギー性免疫反応によって、圧力若しくは摩擦によって、又は熱若しくは日光、みみず腫れ、じんま疹、及び痒みと関連付けられる他の皮膚反応によって起こることがある。医学的観点から、痒みの原因又は痒みに至る基礎疾患は、広範囲の皮膚疾患及び内臓疾患を包含する。
【0004】
痒みの症状を医薬的に治療するための、多数の薬物又は化粧品が知られている。特に、メントール、チモール、又はカンファーなどのエッセンシャル・オイルは、短時間の冷却をもたらすために広く使用されている。クリーム又はローションなどのスキン・ケア製品は、皮膚の水分含有量を増加させることによって、鎮痛効果も有する場合がある。それに加えて、抗ヒスタミン薬は有用な療法の選択肢であり、例えば、マレイン酸ジメチン(dimetine maleate)又はメピラミンの投与を含む。他の薬物としては、外用グルココルチコイド、麻酔薬、亜鉛軟膏、カルシニューリン阻害薬、又はカプサイシンが挙げられる。スズメバチ又は蜂の刺傷の治療の場合、刺傷部位の治療にアンモニアも用いられるが、痒みを短時間緩和するだけであり、また腫脹をわずかに低減するだけである。
【0005】
しかしながら、現況技術では、ある量の熱を虫刺されに適用することによって痒みを低減することも知られている。特に蚊に刺されたときの局所的な熱治療のためのデバイスが、EP1231875B1に記載されている。デバイスは、およそ0.2cmのサイズの加熱プレートを備え、加熱プレートは、虫刺されに接触しながら50℃〜65℃の温度にされる。この温熱式治療は、長続きする痒みの緩和をもたらす。一方では、熱の適用によって、痒みを引き起こす熱的に不安定な虫の毒が低減される。他方では、伝熱が、他の温度依存性の皮膚感覚による痒みのマスキングをもたらす。そのため、かかる治療は、皮膚の二次損傷、例えば引っ掻きによる虫刺されの炎症を、効率的に防止し続けることができる。このように、温熱式治療は、虫刺されに伴うみみず腫れの進行を効率的に低減する。
【0006】
可能な適用例の温熱式治療はヘルペス疾患にも及ぶ。DE102005002946A1は、ヘルペス疾患の治療用デバイスを開示している。デバイスは、20mmの好ましいサイズで、好ましくは10〜15秒の治療時間の間49℃〜53℃に加熱される、加熱プレートを備える。治療時間の間、加熱プレートは、唇の患部皮膚範囲、例えば赤くなった範囲、又は水疱が既に形成されている位置に接触する。一方では、熱の適用は、単純ヘルペス・ウィルスに対する影響を中和することによって、原因となる病原体の増殖を封じ込めることにつながる。他方では、短期間の熱的治療は、温度感知神経を刺激することによって、ヘルペス疾患の痒みをマスキングすることにつながる。したがって、デバイスは、火照り、腫脹の出現、発赤、又は痒みなど、ヘルペス疾患の症状の低減によって特徴付けられる。
【0007】
現況技術のUS2007/0049998A1からも、50℃の治療温度を提供する、虫刺されの温熱式治療用デバイスが知られている。このデバイスには、この温度では痒みを軽減するプロセスがまだ開始されないか、又は適切に開始されないという不利な点がある。虫刺され、ヘルペス疾患、クラゲによる刺傷、又は痒みと関連付けられる他の疾患の症状を軽減するのに寄与する、温熱式治療に必須のプロセスは、場合によっては、50℃〜56℃、特に50℃〜53℃の温度範囲でのみ活性化される。
【0008】
現況技術から知られている温熱式治療用デバイスは、虫刺され、ヘルペス疾患、クラゲによる刺傷、又は痒みと関連付けられる他の疾患の症状を軽減する、広範囲の可能な適用によって特徴付けられる。しかしながら、それらのデバイスにも不利な点がある。
【0009】
特に、高い計算能力、ネットワーキングなど、現代の携帯型デバイスの利点と、物理的に適用するためのエネルギー源として役立つ能力も、掻痒症の治療用デバイスと組み合わせたデバイスは、現況技術では知られていない。携帯型デバイス、特にスマートフォンは、今日では、本来の目的、特に電話をかけることだけに使用されるのではない。今日、できるだけ多くのアプリケーションを小型ポータブル・デバイスに組み込むことは、むしろ一般的である。今日のスマートフォンは、カメラ、プレーヤー、読取り機、コンピュータ・ゲーム、ナビゲーション・デバイス、更にその他のものとしても使用される。
【0010】
現況技術では、場合によっては、治療デバイスを制御する携帯型制御ユニットのリンクが知られている。
【0011】
US2014/0207219A1では、いわゆる刺激ポッドを使用して月経前症候群(PMS)の痛みを緩和する刺激器であって、コンピュータ又は携帯型デバイスの形態の遠隔制御によって刺激ポッドを制御することができる、刺激器が提案されている。
【0012】
WO2015/109397A1は、軟膏若しくは治療液を塗布することができる、加熱又は冷却パッドを用いて、ブドウ球菌によって引き起こされる腫れ物を治療するデバイスについて記載している。場合によっては、無線ソフトウェア制御が携帯型デバイスを使用して実現されるべきである。
【0013】
US9795502B1は、スマートフォン又はタブレットによって遠隔制御することができる、風邪及び蓄膿症を治療するヒート・マスクを開示している。
【0014】
WO2018/024753A1は、交互の温度適用を用いた眼の領域の美容治療用デバイスについて記載している。タッチ・ディスプレイによって制御に対応することもできる。
【0015】
US2017/0273821A1は、皮膚又は髪の美容刺激用ヒート・パッドであって、携帯型デバイスを使用したUSBインターフェースを介する制御も提供されてもよい、ヒート・パッドに関する。
【0016】
痒み、特に虫刺され又はヘルペスの温熱式治療のための医療用途に関して、携帯型デバイスはこれまで何の役割も果たしてこなかった。現在まで、物理的効果を引き起こすことができる、携帯型デバイスに統合又は接続されるデバイスは存在しない。
【0017】
更なる不利な点として、知られているデバイスは、例外的事例では、所望の治療温度を超えることがある。現況技術では、温度センサによって治療温度を監視することが知られている。しかしながら、例えば水分の進入によるデバイスの損傷が、監視用電子部品の制御回路を害する場合がある。これは、治療温度の監視が正規の制御回路に統合されている場合に特に当てはまる。この場合、温度が所望の治療温度を超えて上昇し得るのを除外することはできない。加熱プレート又は治療表面の接触位置に応じて、望ましくない副作用が起こることがある。65℃超過までの短時間の温度上昇であっても、患部皮膚範囲に永久的な損傷を引き起こす場合がある。これは、ヘルペス治療中の唇などの敏感な皮膚範囲、又は虫に刺されたより薄い皮膚範囲にも、特に当てはまる。
【0018】
US2007/0049998A1により、温度制御された加熱素子を介して38℃〜67℃の温度まで、少なくとも5秒間の持続時間、ただし一般的にはより長い期間にわたって治療表面を加熱し、過熱から保護するためヒューズを使用する、皮膚病の温熱式治療用デバイスが知られている。過熱に対するこの種の保護には、ヒューズが過熱によってトリガされた場合に交換しなければならないという不利な点がある。それに加えて、冗長安全メカニズムがなく、ヒューズが故障した場合、治療表面がより長期間にわたって過熱することがある。更に、特に数秒間以上のより長期間にわたる、60℃以上の温度は、非常に不快なものとして知覚され、皮膚の損傷につながる場合がある。少なくとも、高温による不快な皮膚感覚によって治療が早期に停止されて、療法の成功が脅かされるため、これは治療の成功を脅かす恐れがある。デバイスは、熱を加えることによって、細菌を破壊し、皮膚中の刺激性病原体を死滅させるという療法上の発想に基づく。しかしながら、これに必要な治療の時間及び/又は温度は、特定の受容体の標的刺激及び免疫系の修飾による、長続きする痒みの緩和をもたらすのに適していない。42℃未満の温度は、熱の感覚を超える療法的性質の効果を達成するのには適していない。
【0019】
US2011/0184502A1は、38℃〜71℃の温度を少なくとも数分間電気的に発生させる、様々な用途、部分的には医療用途向けの加熱パッドについて記載している。冗長安全機構として、直列の非リセット式温度ヒューズが提案されている。このように、冗長安全メカニズムが利用可能であるが、可逆性はなく、解除後に交換しなければならない。温度ヒューズを使用することの第2の不利な点は、閾値を上回る温度に達したときのみ溶融することである。このように、温度ヒューズは、臨界温度に達する、またしたがってヒューズと比較して遅すぎることがある特定の反応時間後にのみ反応する。温度ヒューズは、閾値を上回る電流によってトリガされ、電流が流れる時間が長すぎた場合、温度が高くなりすぎる場合がある。それに加えて、温度範囲及び加熱プロセスの持続時間は両方とも、多数の用途に間違いなく関連するが、熱を加えることによって掻痒症を持続的に軽減するのには適していない。
【0020】
したがって、多数の上述した疾患に対する温熱式治療の利益を実現すると同時に、好ましくは冗長性であるが、実用的でもある、過熱に対する高水準の安全メカニズムを使用することによって安全上のリスクを最小限に抑える、デバイスを提供することが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】EP1231875B1
【特許文献2】DE102005002946A1
【特許文献3】US2007/0049998A1
【特許文献4】US2014/0207219A1
【特許文献5】WO2015/109397A1
【特許文献6】US9795502B1
【特許文献7】WO2018/024753A1
【特許文献8】US2017/0273821A1
【特許文献9】US2011/0184502A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、従来技術の不利な点を排除することである。特に、本発明の目的は、ネットワーキング、計算能力、及び電力の提供をもたらす携帯型デバイスの利点を、痒みを治療するデバイスの利点と組み合わせることである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
第1の態様では、本発明は、少なくとも1つの加熱素子を40℃〜65℃の治療温度まで加熱することによって加熱することができ、制御デバイスによって制御することができる少なくとも1つの治療表面を備える、痒みの温熱治療用デバイスであって、少なくとも1つのインターフェースを示し、インターフェースを介した携帯型デバイスによるデバイスへの電力供給用及び/又は携帯型デバイスとのデータ交換用及び/又は携帯型デバイスによる制御用に構成されることを特徴とする、デバイスに関する。
【0024】
更なる態様では、本発明は、デバイスと携帯型デバイスとを備えるシステムであって、デバイスが、インターフェースを介した携帯型デバイスによる電力供給用及び/又は携帯型デバイスとのデータ交換用及び/又は携帯型デバイスによる制御用に構成される、システムに関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
第1の態様では、本発明は、少なくとも1つの加熱素子を40℃〜65℃の治療温度まで加熱することによって加熱することができ、制御デバイスによって制御することができる少なくとも1つの治療表面を備える、痒みの温熱治療用デバイスであって、少なくとも1つのインターフェースを示し、インターフェースを介した携帯型デバイスによるデバイスへの電力供給用及び/又は携帯型デバイスとのデータ交換用及び/又は携帯型デバイスによる制御用に構成されることを特徴とする、デバイスに関する。
【0026】
かかるデバイスを通した熱の適用は、驚くことに、痒みの治療にうまく使用できることが試験によって示されている。
【0027】
この目的のため、本発明によるデバイスは、好ましくは、患部皮膚範囲上に配置される。皮膚範囲を治療表面と接触させた後、制御デバイスによって、本発明に従って治療表面の温度が調整されることが確保される。治療温度は、好ましくは、患者の皮膚範囲上における温度を常に指す。この目的のため、治療表面は最初に40℃〜65℃の治療温度まで加熱される。加熱段階は長期間を要さないことが好ましい。好ましくは、昇温段階は10秒以内、特に好ましくは3秒以内であるべきである。昇温段階後、治療表面の温度は、好ましくは所定の治療温度で保たれる。治療温度は、好ましくは、上述した40℃〜65℃の範囲内の一定温度に対応する。
【0028】
治療温度は、好ましくは、治療段階の間一定に保たれる。しかしながら、治療温度が一定に保たれないことも好ましいことがある。例えば、治療表面は、40℃〜65℃の治療温度の範囲内における最高温度までの温度傾斜で誘導されてもよい。続いて、短時間、治療温度範囲を下回る温度に下げるのが好ましいことがある。その後、温度を再び上昇させてもよいので、傾斜の形態の時間温度曲線が作成される。好ましい実施例は、驚くことに、痒みを引き起こす一部の皮膚疾患に対して、一定の治療温度を維持するよりも有利であることが証明されている。例えば、昇温によって非常に短い時間だけ最高温度に達し、傾斜によってわずかな冷却を可能にするのが有利な場合がある。
【0029】
治療段階は、好ましくは、温度が40℃〜65℃の治療温度範囲内である間の期間を指す。好ましくは、治療段階は2〜20秒間続き、特に好ましくは、治療段階は2〜12秒間、特に好ましくは3〜6秒間続く。治療段階は連続期間を指定することが特に好ましい。しかしながら、治療段階は、傾斜の形態を示す温度制御によって短時間中断することも可能である。この場合、治療段階の期間は、好ましくは、治療表面の温度が40℃〜65℃の治療温度範囲内である時間と理解される。
【0030】
治療段階は前もって規定されず、例えば制御デバイスによって、例えば他の外部から提供されるパラメータと併せて、個々に適合されるのが好ましいことがある。また、治療段階は、ユーザが制御ボタンを押して治療を維持している限り続くのが好ましいことがある。以下、治療段階は、治療持続時間という用語と同義で使用することができる。
【0031】
本発明の意味において、治療表面は、好ましくは、治療の間治療温度まで加熱され、皮膚範囲と直接熱的に接触するデバイスの範囲である。治療表面は連続表面であることができる。また、治療表面は、いくつかの不連続の部分表面から成るのが好ましいことがある。治療表面のサイズは、好ましくは、疾患と、痒みを伴う疾患の症状がある皮膚範囲のサイズとに応じて決まる。虫刺されの場合、治療表面のサイズは、10mm〜100mm、特に好ましくは20mm〜60mmである。ヘルペスの治療の場合、治療表面は、好ましくは10mm〜80mm、特に好ましくは20mm〜50mmである。更に、これらの小さい皮膚範囲の治療表面は円形であることが特に好ましい。このように選ばれる治療表面のサイズ及び幾何学形状によって、原因に最適に適合された治療が可能になり、それによって効率及び健康が最適化され、結果的により持続的な治療の成功に寄与する。
【0032】
治療表面のサイズは、好ましくは、皮膚の一部が熱インパルスを受ける総接触表面を指す。いくつかの部分範囲から成る治療表面の場合、治療表面のサイズは、好ましくは、個々の部分範囲の合計に対応する。かかる部分範囲への分割は、特定の形態のヘルペス、並びに特定の身体部分の治療に有利な場合がある。
【0033】
治療表面は、少なくとも1つの加熱素子によって所望の治療温度にされることが好ましい。好ましい実施例では、治療表面は、加熱素子を用いて加熱される加熱プレートの表面に対応し、それによって例えば、半導体構成要素を使用することができる。治療表面はまた、いくつかの加熱素子によって焼き戻される均質材料表面を指すこともできる。例えば、治療表面を特に均質且つ迅速に治療温度にするために、2つ又は4つの加熱素子を使用するのが好ましいことがある。
【0034】
制御デバイスは、治療温度が治療表面に存在するような形で、加熱素子の加熱を調整できることが好ましい。これにより、治療温度の最適な制御が確保され、治療表面の望ましくない過熱が防止される。
【0035】
本発明に関して、制御デバイスは、好ましくは、治療温度の所定の値に従って少なくとも1つの加熱素子を用いて、治療表面の温度を制御するように構成された、集積回路、プロセッサ、プロセッサ・チップ、マイクロプロセッサ、又はマイクロコントローラである。かかる制御デバイスは、コンパクトさ、信頼性、コスト効率、低消費電力、及び高い制御効率によって特徴付けられる。制御デバイスは、例えば、デバイスに含めることができる。また、特に、デバイスを携帯型デバイスによってインターフェースを介して制御するのが目的の場合、制御デバイスが携帯型デバイスの一部であるのが好ましいことがある。
【0036】
少なくとも1つの加熱素子は、現況技術によって異なる実施例が十分に知られている構成要素である。例えば、加熱素子は、電流流に応じて明確に定義された温度を発生させる電力抵抗器を含んでもよい。好ましくは、電界効果トランジスタ(FET)を、加熱素子を通る電流流の定量的制御に使用することができる。しかしながら、FET自体を加熱素子として使用するのが好ましいこともある。この場合、トランジスタ内のエネルギー散逸が、熱を発生させ、治療表面を治療温度にするのに使用される。FETは、その小さいサイズによって小さい寸法が可能になるので、加熱素子として特に好ましい。更に、FETは、特に反応性であり、非常に動的な発熱及び放熱によって加熱素子の非常に高速の応答が確保される。
【0037】
記載したデバイスは、好ましくは、例えば、直径約5mmの円板の形態の電気加熱プレートとして設計されてもよい、加熱素子を備える。加熱素子は、好ましくは電圧源によって給電される。温度センサは、好ましくは、加熱素子に接続される。温度センサによって発生する電気信号は、有利には、治療表面の温度と最高温度を維持する持続時間とを制御する、制御デバイスに入力される。例えば、ボタンを押すことにより、加熱素子の制御デバイスによって昇温段階が開始される。センサによって放出された電気信号が、加熱素子の指定の最高温度に対応するレベルに達するとすぐに、好ましくは治療段階が始まる。この目的のため、時間制御が、好ましくは時間及び温度制御を含む、制御デバイスでトリガされる。治療段階の指定の持続時間の間、温度制御によって主に、最高温度が維持されると同時にそれを超過するのを防止することが確保される。治療段階の終了時、加熱プロセスが好ましくは終了し、加熱プレートの温度は周囲温度に適合する。このデバイスを用いて、治療表面は、好ましくは、加熱段階の間に40〜65℃の範囲から最高温度まで加熱され、それによって±3℃の許容差が維持される。加熱段階における最高温度は、好ましくは2〜20秒間、特に好ましくは3〜20秒間、特に10〜15秒間の期間維持することができる。また、治療段階を個々に調節するのが好ましいこともある。
【0038】
好ましくは、制御デバイスは、加熱素子に対する電力供給を設定することによって、治療表面の温度が何度であるかを制御することができる。例えば、校正を使用して、加熱素子における電流流及び/又は電圧と治療表面の温度との相関を決定することができるので、校正に基づいて40℃〜65℃の所望の治療温度を高い信頼性で設定することができる。しかしながら、フィードバック・ループを使用して、制御デバイスによって治療温度を調整するのが好ましいこともある。例えば、治療表面の温度を測定する温度センサを使用し、制御デバイスが温度データを使用して、加熱素子への電力供給を調整するのが好ましいことがある。この目的のため、制御デバイスは、測定データを評価し電流パラメータを設定することができる、マイクロプロセッサを含んでもよい。このように、非常に効率良く信頼性高く温度が制御されてもよい。
【0039】
治療段階の間、治療表面を40℃〜65℃の温度で調整することによって、熱は明確に定義された形で伝達される。制御された形は、驚くことに、痛み、及び引きつり又は痒みなどの他の不快な感覚からの有効な緩和を提供することができる。効果は虫刺されの場合に使用することもでき、その場合、緩和は更に虫の毒の熱的中和に基づく。他方で、熱によって神経刺激が起こり、患部範囲の痛み又は痒みの主観的知覚が大幅に低減される。伝熱は、驚くことに、他の温度依存性の皮膚感覚による不快な感覚のマスキングにつながる。ヘルペス治療の従来の方法とは対照的に、方法は更に、痛覚受容体の調整を標的とし、好ましい熱的治療を通してC線維の自由神経終末を活性化させる。C線維は、特に、体性感覚系のゆっくり伝導する神経線維を指し、痛みの知覚に関与する。C線維の自由終末は、ノジック(nozic)受容体としても知られており、このプロセスで特に重要な役割を果たす。線維の神経終末は組織ホルモン(例えば、ヒスタミン、セロトニン、P物質)によって活性化される。神経終末に近いマスト細胞も、媒介物質トリプターゼを放出することによって、プロセスに関与することができる。このように、ヘルペスにおける作用のメカニズムに関する知識が、熱的治療を用いて驚くべき形で、線維によってトリガされる感覚的知覚を調整するのに活用される。痒みを治療するためのデバイスの特に好ましい使用に加えて、例えば、有毒な刺胞動物若しくはイラクサなどの植物との接触後、又は虫刺され及び刺傷の場合、温度パラメータ及び好ましい治療持続時間によってもヘルペスの治療が可能になる。更に、虫刺されによる熱的に不安定な毒を中和することができる。
【0040】
更に、熱受容体及びカプサイシン受容体TRPV1及びTRPV2が患部皮膚範囲において同時に局所的に活性化された場合に、不快な感覚の特に強いマーキングを達成できることが認識された。TRPV1は、健康な皮膚の熱による急性痛に関与し、例えば、約45℃〜50℃の温度で熱の感覚を調整する。それに加えて、TRPV2は、52℃を超える温度で起こる、特に深刻な痛い熱刺激の場合に活性化される。TRPV1の活性化閾値は40℃〜45℃であるが、TRPV2の活性化閾値は50℃〜53℃である(Yaoら 2011、Somogyiら 2015、Cohenら 2014、Merglerら 2014)。
【0041】
デバイスが、少なくとも1つのインターフェースを示し、インターフェースを介した携帯型デバイスによるデバイスの電力供給用及び/又は携帯型デバイスとのデータ送信用及び/又は携帯型デバイスによる制御用に構成されることが好ましい。
【0042】
インターフェースは、デバイスが別のデバイスと相互作用するように、及び/又は別のデバイスに接続されるように構成されることを意味する。デバイスを別のデバイスに接続することができるのは物理的位置であり得る。しかしながら、別のデバイスと信号及び/又は電力を交換する、デバイスの別の任意の接続であることもできる。これは、好ましくは、電気信号、又はデバイスによって電気信号に変換することができる信号を包含することができる。また、好ましくは、交換又は伝達されるエネルギーを包含することができる。好ましくは、電気エネルギー、又はデバイスによって電気エネルギーに変換することができるエネルギーであることができる。
【0043】
他のデバイスは、好ましくは携帯型デバイスである。携帯型デバイスは、例えば、ラップトップ、携帯電話、スマートフォン、タブレット・コンピュータ、ノートブック、Smartwatch、及び/又はPowerbankであることができる。
【0044】
かかるインターフェースによって可能になる接続は、好ましくは、携帯型デバイスのインターフェース、デバイスのインターフェース、及びこれら2つのインターフェース間の送信チャネルという3つの物理的要素を備える。例えば、送信チャネルは、例えば電磁放射による、エネルギーの送信に基づいて、ケーブル・ベースの接続及び/又は無線送信チャネルであることができる。
【0045】
また、2つのインターフェースがソケットとそれに一致するプラグの形態で設計され、したがって直接接続を確立することができるのが好ましいことであり、それによって好ましくは、デバイスと携帯型デバイスとの間の機械的に安定した接続も可能になる。この場合、及びケーブル・ベースの接続可能性の場合、インターフェースは、好ましくはソケット及び/又はプラグを備える。
【0046】
インターフェースが無線かケーブル・ベースか、又はプラグとソケットの直接接続が意図されるかに応じて、インターフェースは異なる設計の要素を備える。
【0047】
インターフェースは、Bluetooth、Lightning、USB、WLANなど、規格化されたインターフェースであることができる。しかしながら、デバイス用に個別に開発されたインターフェースであることもできる。インターフェースは無線又は有線であることができる。ケーブルは、電荷キャリアの送信に適したもの、例えば銅線であることができるが、ケーブルはまた、光学信号の送信に使用されてもよく、例えば光ファイバー・ケーブルであってもよい。無線送信は、好ましくは、スペクトル範囲全体での電磁波の送信に基づき、例えば、光信号を無線送信に使用することができるが、短波、超短波、及び/又はデシメートル波も使用することができる。
【0048】
インターフェースが例えばUSBの場合、デバイスのインターフェースは、好ましくは、接続に適したデバイスのUSBソケットである。更に、好ましくは、特に携帯型デバイスとのUSB接続を設定するのに、USBソケットを意図されるように使用するために、適切なデータ・コンバータ、ライン・ドライバ、電源、及び/又はプロセッサがデバイスの部分で利用可能であることを意味する。更に、デバイスの電気的構成要素とインターフェースとの接続が確保されるべきである。この実例は、デバイスのインターフェースを例証する役割を果たし、好ましくは、原則的にデバイスの他のタイプのインターフェースに転換可能である。
【0049】
インターフェースは、好ましくは、データの送信に使用することができる。デバイスは、好ましくは、インターフェースを介して携帯型デバイスとデータ送信するように構成される。データは、好ましくは、電子データ処理デバイスによって出力、受信、及び/又は処理することができる情報である。データ処理デバイスは、好ましくは、コンピュータ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサ、集積回路、スマートフォン、他の携帯型デバイス、及び/又は制御デバイスの群から選択されるデバイスである。デジタル形式、特にビットのデータが好ましい。しかしながら、アナログ・データも想到される。同様に、データは、好ましくは、メモリ又は記憶媒体に格納することができる。
【0050】
携帯型デバイスとのデータ送信は、好ましくは、携帯型デバイスとのデータの交換を指す。データは、好ましくは、デバイスによって受信及び/又は送信することができる。同様に、データは、デバイスによって優先的に格納及び/又は処理することができる。
【0051】
インターフェースを介したデータ送信向けに構成するために、1つのデータ・ライン、好ましくはいくつかの並列データ・ラインが、インターフェースを介してデバイスと携帯型デバイスとの間に確立されるべきである。これは、携帯型デバイスとインターフェースとの間、並びにインターフェースとデバイスの更なる電気的構成要素との間の送信が、データ・ラインを介して可能であることを意味する。携帯型デバイスとインターフェースとの間の送信は、好ましくは、携帯型デバイスのインターフェースを介して行うことができ、インターフェースに応じて、上述したように、有線及び/又は無線であることができる。デバイスのインターフェースと他の構成要素との間の送信は、例えば、ケーブルの形態の物理的な信号線によって実現することができ、それによって電気信号の送信が可能になる。
【0052】
携帯型デバイス、携帯型デバイス・インターフェース、デバイス・インターフェース、及びデバイスの電気的構成要素から成る群の要素のうち少なくとも1つが、この群の他の要素のうちの少なくとも1つとは異なるデータ形式を使用するのが、好ましいことがある。したがって、少なくとも1つのデータ・コンバータが、異なる形式を使用する要素の接合部に存在して、データを送信方向で次の要素に適したデータ形式へと送信するのが好ましいことがある。かかるデータ・コンバータがデバイスのインターフェースに割り当てられ、及び/又はデバイスの構成要素の方向でインターフェースに続く場合、少なくとも1つのデータ・コンバータは好ましくはデバイスの一部である。
【0053】
データを送信する場合、デバイス及び/又はそのインターフェースは、好ましくは、少なくとも1つのデータ送信部を含む。データ送信部は、デバイスからインターフェースを介して携帯型デバイスにデータを送信してもよい。データは、好ましくは、デバイスに統合された制御デバイスによって生成することができ、及び/又はデバイスのデータ・メモリで利用可能であってもよい。好ましくは、データ送信デバイスは、データ・コンバータとして作用するか、又はかかるコンバータを含むこともできる。当業者であれば、適切なデバイスを分かっており、及び/又はそれらを規定通りにセット・アップすることができる。
【0054】
データを受信する場合、デバイスは、好ましくは、少なくとも1つのデータ受信部を備える。データ受信部は、インターフェースを介して携帯型デバイスからのデータを受信し、それを必要に応じて適切なデータ形式に変換し、例えば、それを適切な形で更なる処理のために制御デバイスに、及び/又は格納のために記憶媒体に転送することができる。専門家は、適切なユニットを規定通りに実現する方法を分かっている。
【0055】
また、データ送信部及び受信部が共通のユニットで組み合わされるのが好ましいことがある。
【0056】
上述したように、デバイスは、好ましくは、データ転送に使用することができるメモリを含む。これは、例えば、固体メモリ、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、フラッシュ・メモリ、及び/又は他のメモリ技術を含む群から選択される、メモリであることができる。
【0057】
データは並列及び/又は直列で送信することができる。並列送信では、いくつかのデジタル情報単位、いわゆるビットを同時に送信することができる。
【0058】
データは、好ましくは、制御デバイスに送信される、治療に関するパラメータを含んでもよい。これらのパラメータは、治療温度、治療持続時間、及び/又は治療中の時間に伴う特定の温度プロファイルを可能にするように適用される治療温度の時系列などの、治療パラメータであることができる。これに関して、メタデータも制御デバイスに送信されてもよく、例えば、そこから制御デバイスが特定の治療パラメータを決定する。メタデータは、例えば、ユーザ関連データを包含することができる。例えば、ユーザの性別、年齢、及び/又は個々の治療の好みを送信することができる。データはまた、デバイスから携帯型デバイスに転送することができ、例えば、デバイスでユーザによって設定された治療持続時間及び温度が、携帯型デバイスに送信され、このユーザに関するユーザ・データにリンクされてもよい。例えば、治療の成功、治癒プロセス、適用の頻度など、更なる関連メタデータを、デバイスと携帯型デバイスとの間のデータ転送によって生成することができる。それに加えて、例えばスマートフォンである携帯型デバイスは、GPS位置データ、タイム・スタンプ、痒みがある皮膚範囲の写真など、更なるデータを生成することができる。これらは全て、互いにリンク及び/又は相関させることができ、それによって、例えば成功する治療療法、或いは虫の災害の地理的及び/又は時間的に限定された発生に関する、統計的関連データを生成することができる。また、携帯型デバイス及びデバイスをリンクすることによって、電話による医療及び/又はコンサルテーションなどの更なる興味深い適用例が想到される。
【0059】
インターフェースは、好ましくは、電気エネルギーを同様に又は排他的に送信するのに使用することができる。デバイスは、好ましくは、インターフェースを介して携帯型デバイスを用いて電力供給するように構成される。
【0060】
この目的のため、インターフェースを介した携帯型デバイスからデバイスへの電力転送を可能にすることが好ましい。エネルギー転送は、特に、電気エネルギーの転送に関する。しかしながら、エネルギーを別の形態で転送し、次にデバイスによって電気エネルギーに変換することもできる。特に電気エネルギーの転送は、ケーブルを介して行うことができる。この場合、インターフェースは、携帯型デバイス又はそのインターフェースとデバイスとの間のケーブル接続の可能性を提供することによって形成される。しかしながら、送信は無線形式で行うこともでき、それによってデバイスの適切なインターフェースは、好ましくは、無線で送信されるエネルギーを、デバイスに電力を供給するのに使用することができる電気エネルギーに変換する、エネルギー・コンバータから成る。インターフェースで受信した送信電気エネルギーは、好ましくは、加熱素子、又は場合によっては統合された制御デバイスなど、電気エネルギーを消費するデバイスの要素に転送される。転送は、適切な接続によって、例えばケーブルによって実現することができる。エネルギー貯蔵部は、後述するように、中間及び/又は下流に接続することができる。適切な電圧レギュレータ及び/又は充電レギュレータを使用して、エネルギー貯蔵部に給電及び/又は充電すること、並びにインターフェースに対するデバイスの個々の要素の電気的接続も好ましく、専門家によって規定通りに実施することができる。
【0061】
好ましくは、エネルギー及びデータの転送は並列で行うことができる。また、1つの種類の転送のみについて、例えば電気エネルギーを送信するのに、インターフェースを使用するのが好ましいことがある。USBなどのいくつかのインターフェースは、電力及びデータの並列送信を可能にする。無線インターフェースを用いても、好ましくは並列で、例えば、誘導コイル、或いは太陽電池及び/又はフォトダイオードによって電圧に変換される電磁放射によって、電気エネルギー及び/又はデータを送信することができる。
【0062】
デバイスは、好ましくは、インターフェースを介して携帯型デバイスによって制御されるように構成される。
【0063】
制御は、好ましくは、治療温度及び治療持続時間などの治療パラメータを監視しながら、加熱素子の加熱を制御することを意味するものと理解される。この目的のため、温度センサ及び/又は時間情報の測定データが使用されるべきである。デバイス自体は制御デバイスを備えておらず、制御デバイスのタスクは、携帯型デバイスの適切なハードウェア及び/又はソフトウェアが引き受けるのが好ましいことがある。この場合、携帯型デバイスは制御デバイスを含むのが好ましい。例えば、加熱素子を加熱するための制御信号は、携帯型デバイスからインターフェースを介して携帯型デバイスに直接送信されるのが好ましいことがある。制御は、例えば、送信された電流を制御することによって、及び/又は携帯型デバイスからのパルス幅変調信号によって遂行することができる。同じ方法で、温度センサの測定データを、好ましくは、インターフェースを介して携帯型デバイスに直接送信し、携帯型デバイスによって直接又は適切な信号変換後に読み出し、制御に使用することができる。
【0064】
また、デバイスは、マイクロプロセッサ、及び/又は携帯型デバイスの制御コマンドを加熱素子を制御する適切な信号へと変換するデータ・コンバータなど、基本的プロセッサ(rudimentary processor)を含むのが好ましいことがある。同様に、温度センサからの信号を、携帯型デバイスに適した信号へと変換し、インターフェースを介して携帯型デバイスに送信することができる。
【0065】
インターフェースを介して制御データを送信するのに、上述したデータ送信が、好ましくは使用されてもよい。
【0066】
インターフェースを介した携帯型デバイスによる制御に関して、デバイスは、好ましくは、インターフェースとプロセッサ及び/又は加熱素子及び/又は温度センサとの間の少なくとも1つの電気的接続を示す。電気的接続は電気ケーブルの形態であることができる。実現例に応じて、データ・コンバータがインターフェースと上述の接続された要素との間に提供される。
【0067】
このように、デバイスは、特に単純、安価、及びコンパクトに保たれてもよい。携帯型デバイスの、例えばスマートフォンの、既存の制御リソースを使用することができる。また、デバイスが制御デバイスを含み、治療パラメータのみが携帯型デバイスから制御デバイスに転送されるのが有利な場合がある。かかる転送は、任意に、各治療前に行うことができるが、転送は新しい治療パラメータが使用される場合のみ行われるのが好ましいこともある。
【0068】
デバイスは制御デバイスを含むことが好ましい。制御デバイスは、上述の特性を有してもよく、所望の形で加熱素子を制御するように作用することができる。
【0069】
好ましい実施例では、デバイスは、携帯型デバイスによって制御デバイスをパラメータ化するように構成される。この構成では、ユーザ・パラメータが、携帯型デバイスからインターフェースを介してデバイスの制御デバイスに転送される。これらのパラメータは、特に、治療温度及び治療持続時間を含んでもよい。このように、それぞれのユーザ及びその症状に適したパラメータを、各治療前に個々に送信することができる。特に個々の治療を実施することができ、治療の成功を増加させることができる。個々のユーザの好ましいパラメータも、携帯型デバイスを介して交換することができる。例えば、ユーザが、蚊に刺された場合に特定の治療温度及び治療持続時間で特に良好な経験をした場合、他のユーザが利用可能な関連パラメータを作成することができる。これらは、ネットワーク化された携帯型デバイスを介して交換することができる。この目的のため、電子メール、WhatsApp、又はFacebookなどの共通のアプリケーションを使用することができる。パラメータ化に関して、インターフェースを介した携帯型デバイスとデバイスとの間のデータ転送が好ましい。
【0070】
好ましい実施例では、デバイスは、携帯型デバイスによって制御デバイスの制御プログラムを送信するように構成される。制御プログラムは、好ましくは、デバイスの治療温度及び/又は治療持続時間がどのように制御されるかを決定するアルゴリズムを含む。制御プログラムは、例えば、特定の制御アルゴリズムを含んでもよい。いくつかのマイクロプロセッサと同様に、1回の設定後に制御アルゴリズムを変更することができない制御デバイスに加えて、複数回プログラムすることができる制御デバイスを使用することができる。プログラムは、ソフトウェア・ベース及び/又はハードウェア・ベースであることができる。例えば、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)を、転送された制御プログラムによって完全に配線し直すことができる、制御デバイスとして使用することができる。共に制御プログラムを形成するその論理回路を、再プログラムすることができる。この再プログラミングは、デバイスがインターフェースを介して携帯型デバイスに接続されると、携帯型デバイスを通して制御プログラムを転送し、それをFPGAモジュールにロードすることによって行うことができる。このように、デバイス全体を交換する必要なしに、定期的に制御プログラムを更新し改善することができる。制御プログラムを転送する場合、インターフェースを介した携帯型デバイスとデバイスとの間のデータ転送が好ましい。
【0071】
携帯型デバイスは制御デバイスを含むのが好ましいことがある。この実施例の動作、実現、及び利点については既に上述してきた。
【0072】
全ての上述した実施例において、デバイスをコンパクトに保つことができ、例えば、インターフェースを介して携帯型デバイスに、例えばスマートフォンに直接連結することができる。この場合、ユーザは、例えばデバイスをスマートフォンに差し込むことによって、自身のスマートフォンを通してデバイスを使用することができ、それによって機械的接続が好ましくはインターフェース自体の連結によって行われ、スマートフォンを制御に、及び/又はデバイスのハンドルとして使用することができる。無線インターフェースの場合、例えば差し込むことによって、携帯型デバイスに機械的に接続することができるようにして、デバイス自体を形作ることができ、したがって接続は有線インターフェースがなくても可能である。かかるデバイスは非常に実用的であり、非常に小さく保つことができる。これに関して、ユーザが通常、自身の携帯型デバイスを、特に自身のスマートフォンを常時携帯し、デバイスを携帯型デバイスと接続して使用することができることを利点と見てもよい。
【0073】
しかしながら、例えば、別個の制御デバイスが利用可能である場合、デバイス自体を自律的に使用することも可能である。コンパクトなエネルギー貯蔵部も利用可能である場合、デバイスは自律的に機能することができるが、同時に非常にコンパクトに保つことができる。
【0074】
デバイスの好ましい実施例では、携帯型デバイスによるデバイスの電力供給、及び/又は携帯型デバイスとのデータ交換、及び/又はインターフェースを介した携帯型デバイスによる制御は無線である。
【0075】
無線制御並びに無線データ送信の場合、インターフェースを介した信号の無線送信が好ましい。無線送信は、例えば、電磁波の形態で、特に光信号の送信によって行うことができる。この目的のため、インターフェースは、好ましくは、少なくとも1つの受信部及び/又は1つの送信部を備える。受信部は、例えば、フォトダイオードなどの適切な光検出器を含んでもよい。それに加えて、当業者であればフリービームの光送信を可能にすることができる、レンズなどの他の光学素子を含むことができる。例えば、レーザー及び/又は(有機)LEDなどの適切な光源を、送信機として使用することができる。更に、当業者であれば、例えば送信された光ビームをコリメートするため、適切な光学素子を使用してもよい。同様に、適切なコンバータ及び/又はドライバを、好ましくは、光学信号とデバイスの適切な内部電気信号との変換に使用することができる。
【0076】
更に、電磁信号は、好ましくは、不可視スペクトル範囲の電磁波に基づくことができ、例えば、(近)赤外線信号、短波、超短波、及び/又はデシメートル波を使用することができる。また、これに関して、当業者であれば、適切な送信機及び/又は受信アンテナ、ドライバ、及びデータ・コンバータ、並びにインターフェースとデバイスの他の電気素子との相互接続を用いて、インターフェースをどのように設計するかを分かっているであろう。
【0077】
インターフェースを介した携帯型デバイスによるデバイスの電力供給に関して、エネルギーは、好ましくは、例えば電磁波の形態で送信され、それが次に、デバイスで使用可能な電気エネルギーに変換され、好ましくは、デバイスの電気素子及び/又はエネルギー貯蔵部に転送される。無線電力供給については以下に詳細に記載する。
【0078】
デバイスの好ましい実施例では、治療温度は40℃〜60℃であり、治療表面のサイズは1cm〜18cmである。実施例によって、大きい掻痒症範囲の特に信頼性が高い治療が可能になる。従来、専門家は、皮膚に伝達される熱全体が大きすぎるので、大きい範囲の皮膚症状の治療は熱入力によって治療できないという意見であった。しかしながら、本発明者らによって、開示される治療表面及び治療温度によって、大きい範囲に及ぶ掻痒症の有効な治療が可能であると認識された。また、驚くことに、比較的大きい治療表面を有するデバイスを、上述の方法で携帯型デバイスに接続することができた。増加したエネルギー需要は、驚くことに、携帯型デバイスからの電力供給によって補償することができる。
【0079】
デバイスの別の好ましい実施例では、治療温度は40℃〜60℃であり、治療表面のサイズは1cm未満である。特に、かかるデバイスは、特に唇のヘルペス、及び蚊に刺されたところの治療に適している。同時に、かかるデバイスは非常にコンパクトに保つことができる。多数のユーザの蚊に刺されたところの治療から、また好ましくは多数のデバイスから得られるデータを、有利には、統計的分析に使用することができる。例えば、蚊の災害を検出し予測することができる。
【0080】
好ましい実施例では、携帯型デバイスは、PC、ラップトップ、デスクトップPC、携帯電話、スマートフォン、タブレット・コンピュータ、携帯情報端末(PDA)、ノートブック、サブノートブック、ウォークマン(登録商標)、ディスクマン、MP3プレーヤー、ポケットTV(ポータブルTV)、電子ブック・リーダ、ポータブル電子メディア出力デバイス、GPSデバイス、ポータブル衛星通信インターフェース・デバイス、手持ち式ポケット・コンピュータ(「ポケット・コンピュータ」)、モバイル・コンピュータ、カメラ、ビデオ・カメラ、リストウォッチ、計算機、テレビ、MacBook、iPhone(登録商標)、iPad(登録商標)、iPod(登録商標)、iMac、Mac mini、Mac Pro、Smartwatch、及び/又はPowerbankを含む群から選択される。
【0081】
これらの携帯型デバイスは、デバイスと使用するのに特に実用的であることが証明されている。特に、携帯型デバイスは、固有の高い計算能力及び適用に関する高い柔軟性を有し、デバイスと組み合わせて特に強力なシステムを形成することができる。かかるデバイスは、例えばスマートフォンによって表される。スマートフォンを用いて、デバイスに合わせて個々に調整されたアプリケーション・プログラム(いわゆるアプリ)によって、驚くべき利点を達成することができる。例えば、ネットワーク化されたユーザ・データを使用して、有望な治療に関して統計的に関連するステートメントを作成することができ、十分に多数のデータが評価された場合、特定の医学的研究の有意性をはるかに超えることができる。このように、治療の成功を驚くほど強力な形で増加させることができる。同様に、過去のデバイス使用から得られたユーザ・データに基づいて虫の災害を予測することによって、相乗効果を達成することができる。デバイスは現在では、虫刺されを治療するだけでなくそれを防ぐこともできるので、相乗効果が達成される。更に、医療専門家における個々のユーザ・データの分析による、改善された痒みの医療が可能である。
【0082】
好ましい実施例では、デバイスは少なくとも1つのエネルギー貯蔵部を含む。エネルギー貯蔵は、例えば、少なくとも1つのアキュムレータ、電池、及び/又はコンデンサによって実現することができる。好ましくは、電気エネルギー貯蔵部を意味する。電池は、エネルギー貯蔵部、好ましくは電気化学エネルギー貯蔵部であり、その貯蔵エネルギーは好ましくは、消費後に再充電することができない、例としては、亜鉛マンガン電池、アルカリ・マンガン電池、塩化亜鉛電池、亜鉛炭素電池、亜鉛空気電池、酸化水銀亜鉛電池、酸化銀亜鉛電池、ニッケル系一次電池、リチウム電池、リチウム硫化鉄電池、アルミニウム空気電池、バイオ電池、例えばマグネシウム/NaCl/鉄+モリブデン+タングステン、及び/又はエジソン・ラランド素子系のものが挙げられる。電池はまた、ボタン型セル電池を含んでもよい。
【0083】
コンデンサは、好ましくは、電荷を電界に貯蔵する電気的構成要素である。
【0084】
特に、エネルギー貯蔵部は少なくとも1つのアキュムレータであってもよい。
【0085】
電池とは対照的に、アキュムレータ又は充電式電池は好ましくは再充電可能である。アキュムレータとしては、例えば、リチウム・イオン電池、二酸化リチウム・コバルト電池、リチウム・ポリマー電池、リチウム・マンガン電池、リチウム・リン酸鉄電池、リチウム鉄リン酸イットリウム電池、チタン酸リチウム電池、リチウム金属ポリマー電池、リチウム空気電池、リチウム硫黄電池、ナトリウム塩化ニッケル高温電池、ナトリウム硫黄電池、ナトリウム・イオン電池、ニッケル・カドミウム電池、ニッケル鉄電池、ニッケル水素電池、ニッケル金属水素化物電池、ニッケル亜鉛電池、鉛電池、PTMA電池、充電式アルカリ・マンガン電池、スズ硫黄リチウム電池、銀亜鉛電池、バナジウム・レドックス電池、及び/又は亜鉛臭素電池、シリコン空気電池を挙げることができる。特に柔軟性があり、用途に適合され、特に高出力である、リチウム・ポリマー及び/又は金属水素化物電池も使用することができる。
【0086】
デバイスの上述の実施例は、インターフェースが携帯型デバイスに接続されたときも、また、かかる接続とは独立しても、デバイスに電気エネルギーが供給されるという利点を有する。特に、少なくとも1つのアキュムレータ(又は場合によってはコンデンサ)を備える実施例は、インターフェースが携帯型デバイスに接続されたときに、電気エネルギーが供給され荷電されてもよい。アキュムレータは、インターフェースが携帯型デバイスと接続されることなく、少なくとも1つのアプリケーションが可能になるような形で、寸法決めされてもよい。それにより、デバイスは、その使用の際に携帯型デバイスへの接続に依存せず、より柔軟に使用されてもよい。
【0087】
好ましい実施例では、アキュムレータは、固体アキュムレータ、好ましくはリチウム・セラミック・アキュムレータを含む。実施例は、特に高いレベルの安全性によって特徴付けられ、好ましくは、部分的に破損した後であっても使用可能である。
【0088】
好ましい実施例では、デバイスは、好ましくはインターフェースを介した、無線エネルギー送信によるエネルギー貯蔵部の電力供給及び/又は充電用に構成される。無線エネルギー転送において、電気エネルギーは、好ましくは、充電されるデバイスと携帯型デバイスとの間の電気ケーブルを介した接続なしで転送される。電気エネルギーは、例えば、電磁界によって送信することができる。携帯型デバイス及びデバイスそれぞれの少なくとも1つのコイルを通した誘導結合を、この目的に使用することができる。また、それぞれ少なくとも1つのコンデンサ・プレートを通して、デバイス及び携帯型デバイスを容量結合するのが有利な場合がある。長距離であっても、いわゆる遠距離場送信を使用して、送信機と受信機との間で電磁波に含まれる電気エネルギーを優先的に送信することができる。同様に、携帯型デバイスによって放射された光がエネルギーを送信することもでき、それがデバイスの少なくとも1つの太陽電池で電圧に変換される。また、電気エネルギーを、携帯型デバイス及びデバイスの導電面の間で、それらの面の接触を介して直接送信するのが好ましいことがある。転送されたエネルギーは、直接、加熱素子を加熱するのに、又は好ましくは、デバイスに統合されたアキュムレータを充電するのに使用することができる。
【0089】
当業者であれば、この目的のため、少なくとも1つの誘導コイル、コンデンサ・プレート、アンテナ、太陽電池、フォトダイオード、電荷コントローラ、及び/又は電圧レギュレータなど、インターフェース又はデバイスに適切な要素をどのように装備するか、また適切な要素をどのように相互接続して無線エネルギー送信を実現するかが分かっている。
【0090】
無線インターフェースによって、デバイスと携帯型デバイスとの間の厄介なケーブルを必要とせずに、エネルギー送信供給が可能になる。無線インターフェースは、データ送信、パラメータ化、制御プログラムの送信、及び/又は制御にも使用することができるので、ケーブルの使用を完全に回避することができる。携帯型デバイスは、好ましくは、この目的のみに役立つ無線電力送信の送信元として使用することができ、ソケットに直接差し込まれる。
【0091】
好ましい実施例では、デバイスは、特にインターフェースを介した、ケーブルによるエネルギー貯蔵部の電力供給及び/又は充電用に構成される。この構成では、デバイス、特にインターフェースは、ケーブル、或いはケーブルに接続するためのプラグ及び/又はソケットを備える。更に、デバイス内の電気エネルギーが、接続によって適切な要素に、特にエネルギー貯蔵部に転送されることが好ましい。電圧レギュレータ及び/又は充電レギュレータは、有利には、中間に接続される。当業者であれば、適切な要素及びそれらの相互接続について分かっている。このように電気エネルギーを送信することは、特に堅牢でエネルギー効率が良く、またコスト効率が良い。
【0092】
好ましい実施例では、インターフェースは、Bluetooth、Lightning、Jackプラグ、Coaxialプラグ、Apple 30ピン・ドック・コネクタ、ASUS Media Bus専売品、CAMAC、EISA、ISA、LPC、MBus、MCA、産業システム用Multibus、NuBus又はIEEE1196、OPTiローカル・バス、PCI、ATA、PATA、IDE、EIDE、ATAPI、S−100バス又はIEEE696、SBus又はIEEE1496、SS−50バス、Runwayバス、GSC/HSC、Precision Bus、STEbus、STD Bus、Unibus、Q−Bus、VLB又はVL−bus、VMEbus、PC/104、PC/104−Plus、PCI−104、PCI/104−Express、PCI/104、Zorro II及びZorro III、1−Wire、Hyper Transport、IC、PCIe、SATA、SPIバス、UNI/O、SMBus、IrDA、WLAN、ZigBee、NFC、Wibree、WiMAX、IrDA、光学無線中継器、eBus、USB、Micro USB、Type C、及び/又はFireWireから成る群から選択される。この群から選択されたインターフェースを提供することによって、使用される携帯型デバイス及び利用可能なインターフェースに関して高い柔軟性が提供される。更に、これらのインターフェースは、多数の異なるアプリケーションに適していることが証明されている。当業者であれば、かかるインターフェースをどのように設計するかを分かっている。例えば、当業者であれば、Lightningインターフェースに適したソケット及び/又はプラグをインストールしなければならないであろうことを分かっており、また適切なプロセッサ、例えばホスト・コントローラを使用しなければならないであろうことを分かっている。また、当業者であれば、デバイスの電気素子をインターフェースにどのように接続するかを分かっている。
【0093】
例えば、WLANインターフェースを用いる場合、当業者であれば、また、信号を送信及び/又は受信するのに、少なくとも1つの適切なアンテナをデバイスにインストールしなければならないであろうことを分かっている。適切な制御プロセッサ、データ・コンバータ、及び/又はコントローラの選択、並びにデバイス内のインターフェースの相互接続も、当業者によって規定通りに実施することができる。
【0094】
インターフェースを使用して、デバイスをコンセントに直接接続して電力供給及び/又は充電するのが好ましいことがある。好ましい実施例では、例えば、標準的なUSB充電器を使用して、ソケットから直接電気エネルギーを引き出すことが可能である。
【0095】
好ましい実施例では、デバイスは、治療表面の温度を測定する少なくとも1つの第1の温度センサを備え、調整デバイス及び/又は制御デバイスは、温度センサの測定データに基づいて、少なくとも1つの加熱素子の温度を調節する。
【0096】
本発明の意味において、温度センサは、好ましくは、センサでの温度に応じて電気信号を発生させる、電気的又は電子的構成要素である。半導体温度センサ、抵抗温度センサ、ピロ電気材料、熱電対、又は振動結晶など、多数の温度センサが現況技術において知られている。制御デバイスは、好ましくは、加熱プレートを調整するために、温度センサの測定値を記録し評価することができるような形で構成される。加熱プレートの調整は、好ましくは、電流又は電圧を印加することによって遂行することができる。特に、温度センサが治療表面の温度を直接測定すること、即ち、温度センサが治療表面と接触していることが好ましく、温度センサは、治療表面の内面上並びに治療表面の外面上に存在してもよく、又は治療表面内に実装されてもよい。しかしながら、温度センサが治療表面に直接接触及び監視せず、その代わりに加熱素子、又は加熱素子と治療表面との間の材料点のが好ましいこともある。いくつかの加熱素子が治療表面を加熱する場合、温度センサを加熱素子の間に配置するのが好ましいことがある。同様に、治療表面の温度に関して、加熱素子間、又は治療表面から特定の距離にある測定点の温度に関する測定データから、結論が引き出されてもよい。本発明の意味において、治療表面の温度は治療表面の平均温度に関連することが好ましい。
【0097】
治療表面の温度を評価することによって、少なくとも1つの加熱素子を特に正確に調整して、治療表面全体の最適な温度分布、またしたがって治療される皮膚範囲への伝熱を確保することが可能になる。特に、痒みを伴う場合がある、異なる疾患を治療するためのデバイスの多様な用途の可能性に関して、制御デバイスを利用した温度ベースのフィードバック調整が、最適な温度値を用いる信頼性の高い温熱式治療を実施するのに適している。治療温度を制御するかかるデバイスは、特に単純、堅牢、及びコスト効率が良い。
【0098】
好ましい実施例では、加熱素子は、治療表面を40℃〜65℃の治療温度まで加熱する。40℃〜65℃の治療温度の提供は、驚くほど改善された痒みの治療を表す。
【0099】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、50〜65℃、好ましくは55〜60℃の治療温度まで加熱する。痒みの治療温度に関して専門家の誤解があったが、提供される治療温度によって克服することができる。また、驚くことに、携帯型デバイスとのインターフェースを通して、前記好ましい治療温度にとって十分なエネルギーを提供することができた。
【0100】
好ましい実施例では、加熱素子は、治療表面を42℃〜56℃の治療温度まで加熱する。痒みの治療に関する性能は、驚くことに、この実施例で提供される温度範囲によって向上した。
【0101】
好ましい実施例では、加熱素子は、治療表面を42℃〜53℃の治療温度まで加熱する。このように、痒み治療の追加の手段を提供することができる。
【0102】
好ましい実施例では、加熱素子は、治療表面を43℃〜47℃の治療温度まで加熱する。痒み治療におけるこれらの治療温度の有効性は驚くほど高い。同時に、エネルギー消費に関する電気的効率も、他の温度範囲よりも高い。これにより、全体的な有効性を相乗的に向上させることが可能になる。
【0103】
好ましい実施例では、加熱素子は、治療表面を50℃〜53℃の治療温度まで加熱する。温度範囲は、被験者では特に有効で一般的であることが証明されているので、大幅な経済的成功が予見できる。
【0104】
好ましい実施例では、加熱素子は、治療表面を50℃〜55℃の治療温度まで加熱する。この温度範囲では、消費エネルギーごとに発生する熱の発生量が特に高い。
【0105】
好ましい実施例では、加熱素子は、治療表面を55℃〜60℃の治療温度まで加熱する。この範囲の治療温度は驚くほど有効である。痒みに対して特に有効であると証明された範囲は広範囲のパラメータから選択されたので、これは幸運な選択であることが証明された。
【0106】
好ましい実施例では、加熱素子は、治療表面を60℃〜65℃の治療温度まで加熱する。この温度範囲は、科学技術のトレンドに反して選ばれた。
【0107】
好ましい実施例では、治療温度は1〜60秒間の治療期間にわたって維持される。このように、熱による痒みの治療の技術的可能性を向上させることができる。
【0108】
好ましい実施例では、治療温度は1〜10秒間の治療期間にわたって維持される。かかる短い治療持続時間は痒みの治療の時間削減をもたらす。
【0109】
好ましい実施例では、治療温度は10〜20秒間の治療期間にわたって維持される。この治療持続時間は、痒みの治療において特に信頼性が高いことが証明されている。
【0110】
好ましい実施例では、治療温度は20〜30秒間の治療期間にわたって維持される。驚くことに、これは、熱による痒み治療の第2の方法を提供することができる。
【0111】
好ましい実施例では、治療温度は30〜40秒間の治療期間にわたって維持される。かかる治療持続時間では、放熱量が特に高いことが示されている。
【0112】
好ましい実施例では、治療温度は40〜50秒間の治療期間にわたって維持される。痒みの温熱式治療の適切な治療持続時間に関して、当該分野の専門家の間でいくつかの誤解があったが、この治療持続時間によって克服されている。
【0113】
好ましい実施例では、治療温度は50〜60秒間の治療期間にわたって維持される。このように、痒みの治療の誤りを回避することができる。
【0114】
好ましい実施例では、治療温度は2〜20秒間の治療期間にわたって維持される。治療持続時間は、痒み治療の知られている方法に対する決定的な改善を表す。
【0115】
好ましい実施例では、治療温度は2〜12秒間の治療期間にわたって維持される。様々な考えられる又は知られている治療持続時間から、この治療持続時間は幸運な選択であり、痒み治療の有効性の点で予見可能ではなかった。
【0116】
好ましい実施例では、治療温度は3〜6秒間の治療期間にわたって維持される。デバイスの効率は、この短いと同時に特に有効な治療持続時間によって向上させることができる。
【0117】
好ましい実施例では、治療温度は4〜6秒間の治療期間にわたって維持される。この治療時間は、通常の技術標準からの決定的な逸脱を表す。
【0118】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、50〜65℃、好ましくは55〜60℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、2〜12秒間、好ましくは3〜6秒間の治療期間にわたって維持される。治療が刺された直後に適用された場合、蚊に刺された部分は55℃の最高温度でうまく不活性化することができることが試験によって示されている。露出時間は55℃の温度で臨界ではないので、必要に応じて、治療をこの温度で複数回繰り返すことができる。更に、虫毒の麻酔作用により、刺された部位の皮膚の熱的治療は、他の範囲よりも大幅に不快感が少ないものとして知覚される。
【0119】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を42℃〜56℃の治療温度まで加熱し、治療温度は2〜20秒間の治療期間にわたって維持される。
【0120】
実施例は、痛み、及び引きつり又は痒みなどの他の不快な感覚からの驚くほど有効な緩和を提供することができる。熱インパルスによって神経刺激が起こり、患部範囲の痛み又は痒みの主観的知覚が大幅に低減される。伝熱は、他の温度依存性の皮膚感覚による不快な感覚の驚くほどのマスキングにつながる。ヘルペス治療の従来の方法とは対照的に、方法は更に、痛覚受容体の調整を標的とし、好ましい熱的治療を通してC線維の自由神経終末を活性化させる。このように、ヘルペスにおける作用のメカニズムに関する知識は、熱的治療を用いて驚くべき形で、線維によってトリガされる感覚的知覚を調整するのに活用される。それに加えて、上述の治療持続時間及び温度パラメータによって、デバイスをヘルペス治療に使用することが可能になる。同様に、例えば有毒な刺胞動物若しくはイラクサなどの植物との接触後、又は虫刺され及び刺傷の場合、痒みの疾患を治療することができる。虫刺されによる熱的に不安定な毒でも中和することができる。
【0121】
更に、熱受容体及びカプサイシン受容体TRPV1及びTRPV2は、患部皮膚範囲において同時に局所的に活性化されるので、その組み合わせが不快な感覚の特に強力なマスキングを達成できることが認識された。当業者は、文献の知識をもってしても、正確に、不快な感覚の特に有効なマスキングを可能にすると共にヘルペスの治療にも役立つ、これらの受容体の活性化であることを推測しないであろう。これは驚くべき発見である。
【0122】
治療温度及び治療持続時間のこの組み合わせは、痒み治療の技術的可能性も向上することができる。
【0123】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を49℃〜53℃の治療温度まで加熱し、治療温度は3〜20秒間の治療期間にわたって維持される。好ましい治療温度及び持続時間は、驚くことに、水疱を伴う皮疹の形態であり、隣接する皮膚範囲又は罹患した皮膚範囲がヘルペスの最初の兆候によって認識でき、痛みの感覚又は更には火照りを同時に起こさない、ウィルス誘発性ヘルペス皮膚疾患を治療するのに適している。痛みの感覚及び火照りを回避することが、口、特に唇の敏感な範囲では特に重要である。痒みの治療であっても、上述の組み合わせが治療の有効性の驚くべき向上を達成することができる。
【0124】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を40℃〜65℃の治療温度まで加熱し、治療温度は4〜6秒間の治療期間にわたって維持される。
【0125】
治療表面を40℃〜65℃の温度で、2〜12秒間、好ましくは4〜12秒間、特に好ましくは4〜6秒間の治療段階にわたって調整することによって、熱インパルスが発生し、それによって明確に定義された量の熱を制御された形で皮膚範囲に適用することが可能になる。このように、有効な治療を提供すると同時に時間を削減することができる。
【0126】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、42℃〜53℃、特に好ましくは50℃〜53℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、4〜6秒間の治療持続時間にわたって維持される。非常に驚くことに、上述のパラメータは特に大きい皮膚範囲の痒みを低減できることが示されている。42℃〜53℃の治療温度、特に50℃〜53℃の好ましい治療温度との組み合わせによって、痒みを迅速に効率良く緩和する、皮膚範囲に対する作用が可能になる。熱受容体及びカプサイシン受容体TRPV1及びTRPV2が患部皮膚範囲において同時に局所的に活性化されるので、痒みの感覚の特に強いマスキングを達成できることが認識されている。
【0127】
治療表面の50℃〜53℃の狭い範囲内での温度制御を提供する好ましい実施例によって、治療を受ける人が不快な強い痛みの感覚を引き起こすことなく、驚くほど有効な形で、受容体を同時に活性化することが可能になる。TRPV2の活性化閾値範囲は最適化範囲を表すことが、実証試験によって示されている。このことは、副作用を引き起こすことなく痒みを特に有効にマスキングする、受容体間のフィードバック・メカニズムにつながることが予期される。当業者はこの作用を予期することができなかった。それよりもむしろ、当業者は、50℃〜53℃の治療温度で4〜6秒間の期間にわたって、深刻な皮膚の炎症又は痛みからわずかな火照りまでが起こり得ると推測していたであろう。その代わりに、皮膚範囲の好ましい治療は、治療後数時間にわたって続く、痒みの感覚の低減につながる。治療の好ましい実施例の長続きする効果は、少なくとも部分的に、伝熱による免疫制御によるものであり得る。したがって、痛みの感覚がマスキングされるだけでなく、皮膚の局所的炎症が、免疫系の調整によって活発に抑制される。したがって、有利には、単一の治療が痒みの感覚の長続きする上昇につながる場合がある。しかしながら、治療を時系列順で複数回実施するのが好ましいこともある。インターバル的に4〜6秒間の治療段階で伝熱することによって、望ましくない副作用をトリガすることなく、掻痒症の信号経路に対する最適な効果が達成される。驚くことに、特に4〜6秒間の好ましい治療持続時間及び意図される治療温度に関して、特に、50℃〜53℃の特に好ましい治療温度に関して、TRPV1及び特にTRPV2受容体の非常に有効な活性化が行われることが見出されている。治療温度及び持続時間の特定の選択が、痒みの低減に特に有効であったことは、非常に驚くべきことであった。C線維、特にその自由終末は更に、好ましい選択によって対処される。
【0128】
好ましい実施例では、治療表面のサイズは0.1cm〜18cmである。このように、痒みの治療の技術的可能性を向上させることができる。
【0129】
好ましい実施例では、治療表面のサイズは1cm〜18cmである。このサイズの治療表面を用いて、痒みの治療において短時間で治療の成功を達成することができる。
【0130】
好ましい実施例では、治療表面のサイズは少なくとも6cm、好ましくは少なくとも7cmである。
【0131】
痒みをトリガし得る化学的、機械的、又は物理的性質の外的刺激は、3つの異なる受容体細胞(感覚細胞)によって知覚される。これらの感覚細胞は、どれが解放神経終末と呼ばれるか、どの刺激受容構造が表皮及びその下の真皮に位置するか、またどの軸索が知覚された刺激を介して脊髄に信号を伝達するかに関与する。無髄C線維はこれらの感覚細胞にとって特に重要である。それらの受容構造は、部分的には、皮膚表面の下0.1mm以内に位置する。C線維は、ポリモーダルの機械的及び熱的に敏感な線維と、熱によって刺激することもできる機械的に鈍感なC線維とに分割される。C線維は、起痒性刺激を知覚するだけでなく、侵害受容体(痛覚受容体)としても働く。対抗受容体としての熱受容体が痒みの感覚を抑制できることが文献に示されている。個々のC線維は皮膚の特定の範囲の刺激を知覚し、それによって皮膚の規定の範囲が感覚細胞によって神経支配される。この領域は受容野と呼ばれる。C線維の受容野は部分的に重なり合う場合がある。マイクロマッピングと呼ばれるものによるヒトに対する研究によって、機械的に鈍感なC線維は5cm以内のサイズの受容野を有し、機械的に敏感なC線維はそれよりもある程度小さく、2cm以内のサイズであることが発見された。驚くことに、約7cmの好ましい治療表面サイズから始まって、両方のタイプのC線維の受容野における特に良好な応答を達成するのが可能であることが見出された。このように、7cm〜18cmの好ましい治療サイズを用いて、異なるタイプのC線維の受容野に、特に効率的な形で対処することができる。それに加えて、水平方向に流出する熱の効果が補償される。それにより、治療表面よりも小さい患部皮膚範囲のであっても、痒みを驚くほど効果的に治療することができる。実施例は、かかる大きい治療表面の使用が実行不能であると見なしていた、技術分野における優勢な意見からの逸脱を構成する。
【0132】
好ましい実施例では、治療表面のサイズは1cm未満である。これにより、痒みの治療に使用されるデバイスに関する新しい応用範囲が開かれた。
【0133】
好ましい実施例では、治療表面のサイズは40mm未満である。特にヘルペス疾患の場合、特に口内のもの(いわゆる口唇ヘルペス)では、治療表面の好ましい最大サイズは、全ての可能性がある患部範囲を覆うことが理想である。特に、20mmの治療表面が、デバイスが1回のみ適用される場合に、全ての一般的な患部皮膚範囲を覆うのに適している。
【0134】
更に、かかる治療表面を示すヘルペス治療デバイスを特にコンパクトに保つことができる。このように、口紅のサイズに対応するデバイス・サイズを達成することができる。かかるコンパクトなデバイスは、容易且つ積極的に、身体上又は手持ちバッグ内で永久的に保持されるので、治療をいつでも実施することができる。永久的な利用可能性によって、治療の成功が大幅に向上する。治療表面は、好ましくは円形であり、患部皮膚範囲が有機的なほぼ円形の形状を有する場合が多い、ヘルペスの治療に特に適した形状である。
【0135】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、50〜65℃、好ましくは55〜60℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、2〜12秒間、好ましくは3〜6秒間の治療持続時間にわたって維持され、治療表面のサイズは1cm〜18cmである。ここで、本質的に知られているいくつかの要素が組み合わされて、高い治療温度及び大きい治療表面であっても驚くほどわずかな痛み又は不快な感覚しか引き起こさないという驚くべき効果を示す新規な組み合わせとなっている。
【0136】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、50〜65℃、好ましくは55〜60℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、2〜12秒間、好ましくは3〜6秒間の治療持続時間にわたって維持され、治療表面のサイズは、少なくとも6cm、好ましくは少なくとも7cmである。治療温度、治療持続時間、及び治療表面の組み合わせに関する技術文献における記述は、今のところ異なる方向を指している。
【0137】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、50〜65℃、好ましくは55〜60℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、2〜12秒間、好ましくは3〜6秒間の治療時間にわたって維持され、治療表面のサイズは1cm未満である。
【0138】
治療サイズの組み合わせによって、痒みの治療用のデバイスの有効性が向上する。
【0139】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、50〜65℃、好ましくは55〜60℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、2〜12秒間、好ましくは3〜6秒間の治療持続時間にわたって維持され、治療表面のサイズは40mm未満である。それにより、痒みを治療するコンパクトであると同時に効果的なデバイスを提供することができる。
【0140】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、42℃〜56℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、2〜20秒間の治療持続時間にわたって維持され、治療表面のサイズは1cm〜18cmである。痒みの治療用のかかるデバイスは、使用の際の信頼性が特に高い。
【0141】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、42℃〜56℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、2〜20秒間の治療持続時間にわたって維持され、治療表面のサイズは、少なくとも6cm、好ましくは少なくとも7cmである。今日までの皮膚治療デバイスの開発は、全く異なる方向を取ってきており、この組み合わせを提案していない。しかしながら、治療温度、治療持続時間、及び治療表面の組み合わせは、それぞれ個々のパラメータの知られている治療効率が提案するであろうものを上回る形で、治療の有効性を相乗的に向上させることができる。
【0142】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、42℃〜56℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、2〜20秒間の治療持続時間にわたって維持され、治療表面のサイズは1cm未満である。多数の可能なサイズの組み合わせから、予期しない治療の成功を生み出したものが選択されたので、この組み合わせは幸運な選択であった。
【0143】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、42℃〜56℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、2〜20秒間の治療持続時間にわたって維持され、治療表面のサイズは40mm未満である。この組み合わせは通常の技術的観点からの逸脱を表す。
【0144】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、49℃〜53℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、3〜20秒間の治療期間にわたって維持され、治療表面のサイズは1cm〜18cmである。
【0145】
この実施例における記載したサイズの組み合わせは、驚くことに、虫刺されなどの複数の皮膚症状が、大きく離れていたとしても、同時に治療できるという事実につながる。治療表面よりも大きい範囲に及ぶ皮膚症状であっても、これらのパラメータを用いた単一の治療の間に有効に軽減することができる。
【0146】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、49℃〜53℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、3〜20秒間の治療持続時間にわたって維持され、治療表面のサイズは、少なくとも6cm、好ましくは少なくとも7cmである。
【0147】
文献では、かかる大きい治療表面は、開示される治療持続時間及び温度にとって有効ではないであろうと推測された。
【0148】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、49℃〜53℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、3〜20秒間の治療持続時間にわたって維持され、治療表面のサイズは1cm未満である。開示されるサイズの組み合わせによって、デバイスの小型化が可能になる。
【0149】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、49℃〜53℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、3〜20秒間の治療期間にわたって維持され、治療表面のサイズは40mm未満である。このように、痒み及び特にヘルペスの治療の更なる手段を提供することができる。
【0150】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、40℃〜65℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、4〜6秒間の治療時間にわたって維持され、治療表面のサイズは1cm〜18cmである。関連するサイズを組み合わせることによって、皮膚に導入される熱の特に高い量を達成することができる。
【0151】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、40℃〜65℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、4〜6秒間の治療時間にわたって維持され、治療表面のサイズは、少なくとも6cm、好ましくは少なくとも7cmである。パラメータの組み合わせによって、特に信頼性が高い治療を達成することが可能になる。
【0152】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、40℃〜65℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、4〜6秒間の治療持続時間にわたって維持され、治療表面のサイズは1cm未満である。
【0153】
関連するサイズの組み合わせは本発明者らによる幸運な選択であった。多くの可能な組み合わせが利用可能であったが、痒みの治療の改善はこの特定の組み合わせから予期できなかった。
【0154】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、40℃〜65℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、4〜6秒間の治療時間にわたって維持され、治療表面のサイズは40mm未満である。本明細書に開示される広い温度範囲、及び小さい治療表面と4〜6秒間の治療持続時間との組み合わせによって、痒みを引き起こす多種多様な皮膚症状を非常に柔軟に治療することができる。
【0155】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、42℃〜53℃、特に好ましくは50℃〜53℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、4〜6秒間の治療持続時間にわたって維持され、治療表面のサイズは1cm〜18cmである。この組み合わせに対応したデバイスは、驚くほど維持に手間がかからず堅牢であることが証明されている。高湿及び高温などの次善の条件下であっても、デバイスは驚くほど良好に働く。
【0156】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、42℃〜53℃、特に好ましくは50℃〜53℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、4〜6秒間の治療持続時間にわたって維持され、治療表面のサイズは、少なくとも6cm、好ましくは少なくとも7cmである。この実施例では、治療の有効性は特に高い。
【0157】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、42℃〜53℃、特に好ましくは50℃〜53℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、4〜6秒間の治療時間にわたって維持され、治療表面のサイズは1cm未満である。
【0158】
かかるデバイスは高エネルギー発生量によって支配される。低出力エネルギー源であっても有効な治療を実施するのに十分である。
【0159】
好ましい実施例では、加熱素子は治療表面を、42℃〜53℃、特に好ましくは50℃〜53℃の治療温度まで加熱し、治療温度は、4〜6秒間の治療持続時間にわたって維持され、治療表面のサイズは40mm未満である。これにより、痒み治療の別の代替策を提供することができる。
【0160】
好ましい実施例では、ハードウェア実装温度モニタは治療表面の最高温度を可逆的に制限し、ヒューズは、短絡回路又は無調整の連続加熱の場合にデバイスを停止する。最高温度は、好ましくは、治療表面が治療段階の間に最大で達する温度に関する。ハードウェア実装温度モニタは、最高温度を超えないことが確保されるという点で有利である。本発明の目的のため、約、およそ、付近などの用語、又は同義語は、好ましくは、±10%未満、好ましくは±5%未満、特に好ましくは±1%未満の許容範囲を指す。本発明の意味において、「ハードウェア実装温度モニタ」は、好ましくは、ハードウェア・ベースであり、治療表面に対する加熱素子の電力供給を停止することができる、治療表面のための温度制御システムを指す。特に、「ハードウェア実装温度モニタ」は、好ましくは、最高温度を超えたときに、制御デバイス、例えばマイクロプロセッサによる加熱素子の調整とは独立して、加熱素子への電力供給を切ることを可能にする。例えば、ファームウェアが加熱素子の調整用に制御デバイスにインストールされた場合、ハードウェア実装温度モニタは、ファームウェアの故障又は誤動作があった場合であっても、治療表面の最高温度を高い信頼性で制限することが好ましい。このように、単純な設計の手段によって、デバイスの治療表面が最高温度を超えないことを、特に効率的に確保することができる。例えば液体が進入した後の、制御デバイスの誤作動の場合であっても、ハードウェア・ベースの温度モニタを使用して、治療表面がいつでも最高温度を超えないことを確保することができる。温度監視のこの追加の技術的要素によって、温熱法治療デバイスの動作と干渉することなく、優れた安全基準を維持することが可能になる。
【0161】
更なる安全要素として、本発明によるデバイスは、デバイスの短絡回路又はデバイスの制御されない加熱の場合にデバイスへの電力供給を中断する、安全ヒューズを備える。本発明の意味において、安全ヒューズは、好ましくは、過電流保護デバイスであるものと理解され、例えば、電流強度が判定されるべき時間にわたって限界値を超えるとすぐに、可溶導体の溶融によって回路を中断することができる。安全ヒューズはデバイス内で、デバイスに供給される供給電圧とデバイス自体との間に存在することが好ましい。制御されない高電流が電源からデバイスに流入することによって特徴付けられる誤作動の場合、安全ヒューズは、有利には、デバイスへの電力供給を完全に遮断するであろう。安全ヒューズは、十分に高速で非常に信頼性の高い保護を提供する。
【0162】
デバイスの設計に欠点がなく、ハードウェア実装温度モニタが提供された場合であっても、非常に稀な事例で、不適正な動作又はデバイスの損傷による、加熱素子の無調整の連続加熱が起こるのを除外できないことが示されている。
【0163】
本発明の意味において、加熱素子の連続加熱は、好ましくは、加熱素子の温度が制御されずに、即ち制御デバイスによる温度ベースの制御によらずに上昇することを意味するものと理解される。これらの事例でハードウェア実装温度モニタが故障した場合、治療表面は、所望の治療温度を大きく超える温度まで、例えば65℃をはるかに超える温度まで、制御されずに昇温する恐れがある。
【0164】
かかる誤った加熱は非常に稀にしか起こらないが、ユーザに対する深刻な損害を引き起こす恐れがある。これは特に、温熱治療されるべき皮膚範囲が通常、特に敏感であり、発赤、腫脹、又は更には創傷の形成によって特徴付けられることによる。65℃を超えて大幅に上昇した温度は、それらの部位において深刻な痛み及び皮膚の火照りを局所的に引き起こす恐れがある。
【0165】
デバイスの使用に関する特別な状況及びそれに関連する安全要件に鑑みて、上述の安全ヒューズは、最も起こりにくい誤作動の事例においても、治療表面の加熱が停止されることを保証するのに特に有利である。ヒューズは、いずれの温度測定にもかかわらず、欠陥のある温度センサに対する感度をもつ、治療表面の過剰な加熱を防止する。デバイスの電力供給は、最高の安全要件を満たす集中調整インターフェースを表すことが認識された。安全ヒューズを、デバイスに供給する電流供給に統合することによって、特定の時間の間、最大供給電流を超えないことを確保することができる。所望の温度を上回る加熱素子の連続的な制御されない加熱は、デバイスに供給する電流流の増加に関連するので、特定の信頼性が高い方法で、治療表面の過熱を防止することができる。電流制御によって、電流がその強度に対応する昇温を生み出すのに実質的に十分な長さになる前の、特定の高速反応が可能になる。温度のみに基づいた最終手段としての安全メカニズムは、関与する構成要素の熱慣性の結果として、十分に高速ではないことがある。
【0166】
ハードウェア実装温度モニタと安全ヒューズとを組み合わせて使用することは、本発明によるデバイスにとって特に有利である。
【0167】
安全ヒューズの欠点は、1回トリガされた後、供給電圧をデバイスから永久的に分断してしまう点である。安全ヒューズをトリガした後にデバイスの使用を再開するには、技術者による修理、例えば安全ヒューズの交換が必要である。コストの点で、デバイスは一般に、ヒューズがトリガされていると使用不能になっている。
【0168】
しかしながら、有利には、ハードウェア実装温度モニタは、デバイスへの電力供給を永久的に停止する必要がないように設定される。その代わりに、ハードウェア実装温度モニタは、治療表面の温度が最高温度を超えた場合、超過期間の間、加熱素子への電力供給が中断されるような形で設計される。このように、ハードウェア実装温度モニタによる電流の中断は、有利には可逆的であり、即ち、治療表面の温度が再び最高温度を下回ると、加熱素子を再び加熱することができる。
【0169】
このように、誤作動が1回発生した後であっても、デバイスの通常使用を継続することができる。選択された最高温度、ハードウェア実装温度モニタの有効性及び独立性の結果として、ユーザが不快と知覚する温度が発生しないので、ユーザは誤作動に気づかないことがある。
【0170】
ハードウェア実装温度モニタの安全機構と安全ヒューズとの組み合わせによって、安全バリアの階層により、可能な限り最も経済的な手段によって驚くほど信頼性が高い温度制御が可能になる。追加の安全バリアのかかる組み合わせは、携帯型デバイスに接続されたデバイスにとって特に有用である。携帯型デバイスは、安全制御を含む技術的問題に晒される場合がある。例えば、携帯型デバイスはコンピュータ・ウィルスの影響を受ける場合がある。そのような事例では、デバイスが、好ましくは安全バリアの二重化として、固有の安全メカニズムを備えている場合が特に有利である。
【0171】
ハードウェア実装温度モニタの安全機構を安全ヒューズと組み合わせることの更なる相乗効果は、起こりにくいが可能性がある制御デバイスの1回の故障が、ハードウェア実装温度モニタによって可逆的に妨害されるという事実に見ることができる。しかしながら、ハードウェア実装温度モニタにまで及ぶ、非常に可能性が低い重要な問題が起こった場合、安全ヒューズが最後の保護策として働く。ヒューズの作用は不可逆的なので、これらの状況下では、ユーザによる潜在的に危険な更なる使用は行われ得ない。その代わりに、技術者に会うか又は専門店を訪問するように手配される。
【0172】
好ましくは、治療表面の温度は制御デバイスを用いて既に制御されている。例えば電子部品に起こったエラーによって、制御デバイスが故障した場合、ハードウェア実装温度モニタによって、制御デバイスとは独立して加熱素子を停止することができる。制御デバイスがそのように故障した場合であっても、安全ヒューズはトリガされないであろう。制御デバイス及びハードウェア実装温度モニタの両方が故障する非常に稀な事例の場合のみ、例えば対応する構成要素が破損した場合、安全ヒューズは最後の安全制御要素を保証する。強力な昇温のプロセスで加熱素子の電流要求の増加が起こった場合、安全ヒューズはデバイスへの電力供給全体を遮断する。安全バリアの階層によって、制御デバイスの1回の誤作動を非常に安全に中断することが可能になる。ハードウェア実装温度モニタは、デバイスの使用可能性に影響することなく、気づかれずに迅速に介入する。更に高い安全レベルを下流の安全ヒューズによって達成することができるので、ユーザに非常に効果的で安全な治療デバイスを提供することができる。
【0173】
安全バリアを直列で接続することによって、驚くことに、治療表面が患者を危険に晒す恐れがある温度範囲に達しないことを確保することができる。
【0174】
好ましい実施例では、最高温度は54℃〜58℃、好ましくは約56℃である。驚くことに、54℃〜58℃、好ましくは約56℃の最高温度は、温熱式治療の成功を脅かさず、皮膚の不快な感覚も生み出さないため、この最高温度は、過熱に対して保護するための理想的な第1の安全レベルであることが示されている。
【0175】
好ましい実施例では、ハードウェア実装温度モニタは、治療表面の温度を測定する少なくとも第2の温度センサと、比較器とを備え、比較器は治療表面の温度を最高温度と比較し、最高温度を超えている場合、少なくとも1つの加熱素子への電流供給を停止する。
【0176】
本発明の意味において、比較器は、好ましくは、2つの電圧を比較する電子回路を指し、出力は、二値形式で2つの電圧のうちどちらが高いかを示す。従来技術では、2つのアナログ電圧を使用して1つの二値出力信号を出力し、入力電圧のうちどちらが高いかを示すのに適した、様々な比較器が十分に良く知られている。比較器回路の一例としてシュミットトリガに言及してもよい。それは、分圧回路を使用して、比較器の1つの入力に印加される電圧の基準値として好ましい。この基準値は、好ましくは、治療表面の温度が最高温度に等しい場合に、第2の温度センサが示すであろう電圧値に対応する。比較器の第2の入力に、治療表面の温度に応じて決まる温度センサの出力電圧が、好ましくは存在する。特に好ましい温度センサは、NTCサーミスタ、即ち熱抵抗器を有する。これは、負の温度係数を有するので、温度が上昇すると、抵抗が減少し、より高い電流が流れる。正の温度係数を有することにより、温度が上昇すると、抵抗が増加し、より低い電流が流れる、PTCサーミスタを使用することもできる。
【0177】
治療表面の温度が上昇した場合、第2の温度センサによって調整される比較器の電圧値は、最高温度に対応する電圧基準値に向かって移動する。温度が最高温度を超えるとすぐに、比較器における出力信号が二値形式で変化する。比較器は、好ましくは、加熱素子の電源に統合される。換言すれば、治療表面の温度が最高温度に達する前、比較器は、好ましくは、加熱素子の供給電圧を阻害しない。しかしながら、温度が最高温度よりも高くなるとすぐに、比較器の出力部が停止し、加熱素子への電力供給を中断する。治療表面の温度が再び低下すると、供給電圧は、有利には、比較器によって再び阻害されなくなる。結果として、加熱素子の可逆的なオンオフの切替えは、治療表面の温度が最高温度を超えている期間のみ行うことができる。それに加えて、デバイスがオンにされているとき、比較器は制御デバイスによってロックされないのが好ましいことがある。このように、デバイスの適正な始動が行われない場合、比較器は、設定段階で、加熱素子の電流供給を中断するように構成される。
【0178】
上述のハードウェア実装温度モニタの好ましい実施例は、特に堅牢で信頼性が高いことが試験で証明されている。安全スイッチの可逆性と単純な設計により、好ましい実施例は、低い製造及び保守管理コストによっても特徴付けられる。
【0179】
制御デバイスとは独立した設計、及び専用の温度センサにより、制御デバイスの構成要素が故障した場合であっても、信頼性の高い動作を保証することができる。同様に、比較器は、その信頼性と高速スイッチング能力によって特徴付けられる、広く使用されている電子構成要素なので、比較器を使用する記載した形態のハードウェア実装温度モニタは特に高速である。例えば、ナノ秒以下のスイッチング時間を有する比較器が利用可能である。驚くことに、回路に比較器を使用することによって、その速度により、治療表面の過熱に対する特に有効な保護メカニズムが確立されたことが見出された。
【0180】
好ましい実施例では、安全ヒューズは、1秒間で65℃まで治療表面を加熱することに対応する最大電流の閾値を有する。1秒間を超える65℃超過の温度上昇だけで、痛みの感覚にとって非常に重大であると見なすことができ、皮膚範囲の損傷につながることがあることは、試験によって示されている。安全ヒューズをこれらのパラメータ値に調節することによって、治療表面の臨界未満の温度上昇があった場合に、安全ヒューズが早期にトリガされないことが有利である。このようにして、安全性に関して妥協する必要なしに、経済的効率を向上させることができる。加熱素子の電気的パラメータに基づいて、当業者であれば、指定の値を保証するにはどの安全ヒューズを選択すべきかを分かっている。この目的のため、電流流が測定されると同時に治療表面の温度が測定されてもよい。それに加えて、好ましくは20ms未満の電流増加に反応する、迅速に作用する安全ヒューズを使用することが特に好ましい。このように、20ms未満の短期的な電流の増加であっても、治療表面の熱慣性により、1秒を超える温度上昇につながり得ることが認識された。
【0181】
溶融によって同様に機能する、非リセット式で純粋に温度依存性の温度ヒューズと比較して、ここで使用される電流依存性の安全ヒューズにはいくつかの利点がある。非リセット式で純粋に温度依存性の温度ヒューズの場合、溶融は、閾値を超える電流が印加されると行われず、既定の最高温度よりも高い外部温度を適用した場合のみ行われる。したがって、非リセット式で純粋に温度依存性の温度ヒューズとは対照的に、電流依存性の安全ヒューズは、比較的長期間にわたって作用する電流の上昇の結果として、特定の望ましくない温度に達する前であっても反応することができる。同様に、非リセット式で純粋に温度依存性の温度ヒューズは常に、既定の最高温度を超える外部温度の存在下で特定の反応時間を要する。このようにして、危険な更なる温度上昇が起こる場合がある。これとは対照的に、電流依存性の安全ヒューズは、より迅速に、最小限のシステム関連のレイテンシ時間で反応する。
【0182】
好ましい実施例では、ヒューズの閾値は、好ましくは1A〜2.5A、特に好ましくは約2Aである。好ましい加熱素子に関して、上述の閾値は、特に良好な信頼性で、治療表面の温度が1秒間を超える時間にわたって65℃〜70℃の温度を超えないことを保証することが、試験によって示されている。したがって、安全ヒューズを1A〜2.5Aを超える電流値で溶融することによって、治療表面の温度が健康に有害であろう範囲に入る恐れがないことを確保することができる。このように、通常の治療の場合、2.5A未満、好ましくは1Aの通常の治療電流が生じる。誤作動が起きた場合、例えば連続加熱の場合、増加した電流が流れる。この場合、ヒューズが介入し、制御されない加熱を効率的に防止する。
【0183】
ハードウェア実装温度モニタの最高温度を、54℃〜58℃、好ましくは約56℃の値にする有利な選択によって、閾値を超える電流値の結果としてヒューズがトリップする温度までの距離が十分に大きく保たれることも確保される。このように、ハードウェア実装温度モニタを含む大きな誤作動が起こらない限り、少なくともヒューズの交換をもたらすであろう、安全ヒューズの偶発的なトリガを回避することができる。
【0184】
更なる態様では、本発明は、デバイスと携帯型デバイスとを備えるシステムであって、デバイスが、インターフェースを介した携帯型デバイスによる電力供給用及び/又は携帯型デバイスとのデータ交換用及び/又は携帯型デバイスによる制御用に構成される、システムに関する。
【0185】
制御デバイスがデバイスに含まれるのが好ましいことがあるが、特にインターフェースを介して携帯型デバイスによって制御される場合、携帯型デバイスが制御デバイスを含むのが好ましいこともある。
【0186】
平均的な当業者であれば、本発明によるデバイスの好ましい実施例の技術的特徴及び利点は、本発明によるシステムにも当てはまることを認識する。
【国際調査報告】