(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-525850(P2021-525850A)
(43)【公表日】2021年9月27日
(54)【発明の名称】管端部プロテクター
(51)【国際特許分類】
F16L 57/00 20060101AFI20210830BHJP
F16L 15/04 20060101ALI20210830BHJP
F16L 15/08 20060101ALI20210830BHJP
【FI】
F16L57/00 C
F16L15/04 A
F16L15/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2020-566676(P2020-566676)
(86)(22)【出願日】2019年5月29日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月5日
(86)【国際出願番号】NL2019050311
(87)【国際公開番号】WO2019231322
(87)【国際公開日】20191205
(31)【優先権主張番号】2021001
(32)【優先日】2018年5月29日
(33)【優先権主張国】NL
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】516242471
【氏名又は名称】テナリス・コネクシヨンズ・ベー・ブイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エッガー,パブロ
(72)【発明者】
【氏名】アヘノ,ラウル・エルネスト
(72)【発明者】
【氏名】マザフェロ,ガストン
(72)【発明者】
【氏名】ヒラルド,ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】カレラ,ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ピアチェンティーニ,カルロス
(72)【発明者】
【氏名】ペレス,クラウディオ・ハビエル
【テーマコード(参考)】
3H013
3H024
【Fターム(参考)】
3H013JA04
3H024CA03
(57)【要約】
炭化水素井の探査および生産のための配管部品の管端部に提供される管用ネジを保護するための管端部プロテクター(1)であって、該管端部プロテクター(1)は、本体(5)および環状軟質リップシール(50)を含んでなり、ここで本体(5)は、第1弾性率を有する第1高分子材料から作られ、そしてリップシール(50)は、第1弾性率より低い第2弾性率を有する第2高分子材料から作られる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素井の探査および生産のための配管部品の管端部に提供される管用ネジを保護するための管端部プロテクターであって:
−長手軸、少なくとも部分的に径方向に延びる環状シール支持体面を有する少なくとも1
つの支持体部分、および管端部の管用ネジと協動するように構成されたプロテクター用
ネジを備えた管状部分を有する本体、および
−シール支持体面上に提供された環状軟質リップシール、
を含んでなり、
−−本体が、第1弾性率を有する第1高分子材料から作られ、
−−リップシールが、第1弾性率より低い第2弾性率を有する第2高分子材料から作られ
、そして
−−リップシールが、シール支持体面の少なくとも一部に沿って径方向に延び、そしてオ
ーバーモールディングによりシール支持体面に着けられた環状リップ基礎部分を含ん
でなる、
前記管端部プロテクター。
【請求項2】
第1高分子材料および第2高分子材料が、オーバーモールディングにより互いに接着するように選択される請求項1に記載の管端部プロテクター。
【請求項3】
本体の第1高分子材料がポリオレフィン、好ましくはポリエチレンであり、そしてリップシールの第2高分子材料がエラストマー、好ましくはオレフィンブロックコポリマー、より好ましくはポリエチレンのブロックがエチレン/オクテンコポリマーのブロックと交互するブロックコポリマーである、請求項1または2に記載の管端部プロテクター。
【請求項4】
リップシールが、リップ基礎部分に着いているリップの足部から、軸方向にリップ基礎部分から間隔が空いているリップのフリーリムに延びる環状リップを含んでなり、そして足部およびフリーリムが径方向にオフセットである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の管端部プロテクター。
【請求項5】
−リップシールが軸リップシールであり、
−軸リップシールが、シール支持体面の少なくとも一部に沿って径方向に延び、そして
オーバーモールディングによりシール支持体面に着けられた環状支持体基礎部分を含
んでなり、
−支持体基礎部分が、使用に際しリップの環状リップ接触面と接触するように構成され
た環状基本接触面を含んでなり、
−リップ基礎部分および支持体基礎部分は互いに径方向に間隔が空けられており、そし
て
−リップおよび支持体基礎部分は互いに軸方向に間隔が空けられている、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の管端部プロテクター。
【請求項6】
軸リップシールが、リップ接触面と基本接触面の間に位置する環状シール開口を含んでなり、そしてシール開口が環状空所へのアクセスを提供し、この環状空所は長手軸に沿った断面図で、リップ、リップ基礎部分および支持体基礎部分により囲まれている請求項5に記載の管端部プロテクター。
【請求項7】
−基本接触面が、長手軸に対して80から90度の両端を含む間、好ましくは84から
90度の両端を含む間、より好ましくは87度の基本角度αで延び、そして
−リップ接触面が、長手軸に対して56から76度の両端を含む間、好ましくは61か
ら71度の両端を含む間、より好ましくは66度のリップ角度βで延びる、
請求項5または6に記載の管端部プロテクター。
【請求項8】
−基本接触面が第1基本接触部および第2基本接触部を含んでなり、
−第1基本接触部が長手軸に対して第1基本角度α1で延び、
−第2基本接触部が長手軸に対して第2基本角度α2で延び、
−第1基本角度が第2基本角度より大きく、
−リップ接触面が第1リップ接触部および第2リップ接触部を含んでなり、
−第1リップ接触部が長手軸に対して第1リップ角度β1で延び、
−第2リップ接触部が長手軸に対して第2リップ角度β2で延び、そして
−第1リップ角度が第2リップ角度より大きい、
請求項5または6に記載の管端部プロテクター。
【請求項9】
軸リップシールが内部リップシールであり、そして管端部プロテクターが径方向で見た時に内部リップシールよりも長手軸に近く位置する通気道を含んでなる請求項5ないし8のいずれか1項に記載の管端部プロテクター。
【請求項10】
−リップシールがラジアルリップシールであり、そして
−フリーリムがリップ基礎部分よりも長手軸に近く位置し、そして長手軸に向けられて
いる、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の管端部プロテクター。
【請求項11】
−フリーリムが長手軸に対して80から100度の両端を含む間、好ましくは85から
95度の両端を含む間、より好ましくは90度のリム角度γで長手軸に対して向けら
れ、そして
リップが、足部とフリーリムとの間に位置し、長手軸に対して8から28度の両端を含む間、好ましくは13から23度の両端を含む間、より好ましくは18度の中間角度δで延びる中間リップ区分を含んでなる、
請求項10に記載の管端部プロテクター。
【請求項12】
−管端部プロテクターが、メス型管端部上の管用ネジを保護するように構成され、
−本体が2つの支持体部分、それぞれ第1シール支持体面を有する第1支持体部分、お
よび第2シール支持体面を有する第2支持体部分を含んでなり、
−管端部プロテクターが2つの軸リップシール、それぞれ第1シール支持体面上に提供
された第1軸リップシール、および第2シール支持体面上に提供された第2軸リップ
シールを含んでなり、
−第1軸リップシールが内部リップシールであり、そして
−第2軸リップシールが外部リップシールである、
請求項5ないし9のいずれか1項に記載の管端部プロテクター。
【請求項13】
請求項10および11のいずれか1項と組み合わされた請求項5ないし9のいずれか1項に記載の管端部プロテクターであって、管端部プロテクターがオス型管端部上の管用ネジを保護するように構成され、
−本体が2つの支持体部分、それぞれ第1シール支持体面を有する第1支持体部分、お
よび第2シール支持体面を有する第2支持体部分を含んでなり、
−管端部プロテクターが2つのリップシール、それぞれ第1シール支持体面上に提供さ
れた軸リップシール、および第2シール支持体面上に提供されたラジアルリップシー
ルを含んでなり、
−軸リップシールが内部リップシールであり、
−ラジアルリップシールが外部リップシールである、
前記管端部プロテクター。
【請求項14】
−炭化水素井の探査および生産用の配管部品、この配管部品は管用ネジが提供された管
端部を有し、および
−請求項5ないし9のいずれか1項に記載の管端部プロテクター、ここで管用ネジおよ
びプロテクター用ネジが互いに螺合され、そして管端部がその最終作成位置に位置し
、ここで軸リップシールのリップが管端部によりかけられる軸方向の力Faにより支
持体基礎部分に接触して押される、
を含んでなるアッセンブリー。
【請求項15】
−炭化水素井の探査および生産用の配管部品、この配管部品は管用ネジが提供された管
端部を有し、および
−請求項10または11に記載の管端部プロテクター、ここで管用ネジおよびプロテク
ター用ネジが互いに螺合され、そして管端部がその最終作成位置に位置し、
ここでラジアルリップシールのフリーリムが管端部によりかけられる径方向の力Fr
により径方向外側に押される、
を含んでなるアッセンブリー。
【請求項16】
炭化水素井の探査および生産用の配管部品の管端部に提供される管用ネジを保護するための管端部プロテクターを製造する方法であって:
−第1弾性率、長手軸、少なくとも一部が径方向に延びる環状シール支持体面を有する
少なくとも1つの支持体部分、および管状部分を有する本体を形成するように構成さ
れた主型に第1高分子材料を射出し、
−本体を主型から取り出した後、リップシール型をシール支持体面上に配置し、そして
−第1弾性率より低い第2弾性率を有し、そしてシール支持体面上の少なくとも一部に
沿って径方向に延び、そしてオーバーモールディングによりシール支持体面に着けら
れる環状リップ基礎部分を含んでなる環状軟質リップシールを形成するように構成さ
れたリップシール型に第2高分子材料を射出する、
ことを含んでなる前記方法。
【請求項17】
方法が管状部分にプロテクター用ネジを形成するためのネジ切装置を使用することを含んでなり、このプロテクター用ネジが管端部の管用ネジと協動するように構成されている請求項16に記載の方法。
【請求項18】
方法が管状部分にプロテクター用ネジを形成するための主型を使用することを含んでなり、このプロテクター用ネジが管端部の管用ネジと協動するように構成されている請求項16に記載の方法。
【請求項19】
請求項16ないし18のいずれか1項に記載の方法であって:
−リップシール型が以下を含んでなる軸リップシールを形成するように構成された軸リップシール型であり;
−−シール支持体面上の少なくとも一部に沿って径方向に延び、そしてオーバーモールデ
ィングによりシール支持体面に着けられた環状支持体基礎部分、および
−−支持体基礎部分に位置し、そして使用に際してリップ上に位置するリップ接触面と接
するように構成された環状基本接触面、
ここで;
−−−リップ基礎部分および支持体基礎部分は、互いに径方向に間隔が空けられ、
−−−リップ接触面および接触部分は、互いに軸方向に間隔が空けられ、
−−−軸リップシールは、リップ接触面と基本接触面との間に位置する環状シール開口を
含んでなり、そして
−−−シール開口が環状空所へのアクセスを提供し、この環状空所は長手軸に沿った断面
図で、リップ、リップ基礎部分および支持体基礎部分により囲まれており、
−軸リップシール型は、軸リップシールの空所を形成するように構成された環状空間型部
分を含んでなり、そして
−方法は第2高分子材料が軸リップシール型に射出された後に、軸リップシールのシール
開口を介して環状空間型部分を取り出すことを含んでなる、
前記方法。
【請求項20】
−リップシール型がラジアルリップシールを形成するように構成されたラジアルリップ
シール型であり、ここでフリーリムがリップ基礎部分よりも長手軸に近く位置し、そ
して長手軸に向けられている、
請求項16ないし18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、炭化水素井の探査および生産用の配管部品の管端部に提供される管用ネジを保護するための管端部プロテクター、およびそのような管端部プロテクターおよび配管部品を含んでなるアッセンブリーに関する。本発明はまた、そのような管端部プロテクターの製造法に関する。
【0002】
炭化水素井の探査および生産用の配管部品が製造された後、それは炭化水素井の探査および生産が行われる時にその場所に運搬されなければならない。この輸送中に、管端部の管用ネジが傷つくリスクが高い。このリスクを下げるために、管端部プロテクターが管端部に螺合されて管用ネジを覆う。湿度または小さい固体粒子、例えば管用ネジに積もる埃を回避するために、管端部プロテクターに少なくとも1つのシールが提供される。一般に管端部プロテクターは内部シールおよび外部シールを有し、そして管用ネジは内部シールと外部シールとの間に位置する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
特許文献1は、炭化水素井の探査および生産用の配管部品の管端部に提供される管用ネジを保護するための管端部プロテクターを開示する。この管端部プロテクターは、長手軸、および管端部の管用ネジと協動するように構成されたプロテクターネジを備えた管状部分を有する本体を含んでなる。溝が本体に提供され、そして内部シールおよび外部シールが該溝に手作業で配置される。
図5の管端部プロテクターでは、内部シールは軸シールであり、そして外部シールはラジアルシールである。
図6の管端部プロテクターでは、内部シールおよび外部シールが軸シールである。
【0004】
管端部プロテクターは、製造コストが比較的高いという欠点を有する。これはとりわけシールが溝に手作業で配置されるという事実により生じる。
【0005】
管端部プロテクターはその密閉能力が管用ネジを保護するために実際には常に十分ではないというさらなる欠点を有する可能性もある。
【0006】
このシールの密閉能力は、実際には管用ネジを保護するために常に十分でない可能性がある。この状況は管用ネジおよびプロテクターネジが互いにねじ込まれすぎるか、または不十分なねじ込みにより、管端部がその最終作成位置(final make−up position)に位置しない時に生じる可能性がある。
【0007】
シールは、管端部プロテクターが再使用される時に溝から外すことができる。この結果として管端部プロテクターの平均密閉能力は、それが再使用される時に比較的早く下がる。したがって管端部プロテクターは、一般には比較的限られた回数で再使用されるだけである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7284770号明細書
【発明の概要】
【0009】
発明の要約
本発明は、炭化水素井の探査および生産用の配管部品の管端部に提供される管用ネジを保護するための、改善された、または少なくとも代替となる管端部プロテクターを提供する目的を有する。この管端部プロテクターは;
−長手軸、少なくとも部分的に径方向に延びる環状シール支持体面を有する少なくとも1
つの支持体部分、および管端部の管用ネジと協動するように構成されたプロテクター用
ネジに提供された管状部分を有する本体、および
−シール支持体面上に提供された環状軟質リップシール
を含んでなり、ここで;
−−本体が、第1弾性率を有する第1高分子材料から作られ、
−−リップシールが、第1弾性率より低い第2弾性率を有する第2高分子材料から作られ
、そして
−−リップシールが、シール支持体面の少なくとも一部に沿って径方向に延び、そしてオ
ーバーモールディング(over moulding)によりシール支持体面に着け
られた環状リップ基礎部分を含んでなる。
【0010】
本体上のリップシールのオーバーモールディングは、管端部プロテクターを少ない労働力で効率的様式で製造することができるようにする。加えてリップシールは主に細い部分を有するだけなので(長手軸に沿った断面図で見た時)、オーバーモールディングにより効率的様式で製造することが大変適している。
【0011】
管端部プロテクターの態様では、第1高分子材料および第2高分子材料がオーバーモールディングにより互いに接着するように選択される。これによりリップシールが本体のシール支持体面上への接着取り付けにより、本体上のその位置に留まるので、プロテクターが再使用できる頻度を高くする。
【0012】
管端部プロテクターの態様では、接着取り付けはオーバーモールディングにより作成される第1高分子材料および第2高分子材料の化学的、分散的および/または拡散的接着により生じる。
【0013】
管端部プロテクターの態様では、本体の第1高分子材料がポリオレフィン、好ましくはポリエチレンである。
【0014】
管端部プロテクターの態様では、リップシールの第2高分子材料がエラストマー、好ましくはオレフィンブロックコポリマー、より好ましくはポリエチレンのブロックがエチレン/オクテンコポリマーのブロックと交互するブロックコポリマーである。
【0015】
管端部プロテクターの態様では、リップシールが、リップ基礎部分に着いているリップの足部(foot)から、リップ基礎部分から軸方向に間隔が空いているリップのフリーリムへと延びる環状リップを含んでなり、そしてここで足部およびフリーリムは径方向にオフセットである。
【0016】
管端部プロテクターの態様では、リップシールが軸リップシールであり、軸リップシールが、シール支持体面の少なくとも一部に沿って径方向に延び、そしてオーバーモールディングによりシール支持体面に着けられている環状支持体基礎部分(annular support base portion)を含んでなり、支持体基礎部分が、使用に際しリップの環状リップ接触面と接触するように構成された環状基本接触面(annular base contact surface)を含んでなり、リップ基礎部分および支持体基礎部分は互いに径方向に間隔が空けられており、そしてリップおよび支持体基礎部分は互いに軸方向に間隔が空けられている。結果としてリップ接触面と基本接触面は互いに軸方向に間隔が空けられている。
【0017】
軸方向に間隔が空けられたリップおよび支持体基礎部分は、たとえ管用ネジおよびプロテクター用ネジが互いに十分に螺合せず、しかも管端部がその最終作成位置に未だ到達していなくても、すでにリップに接触していれば、密閉効果を確実に達成する傾向がある。この密閉効果は管端部がその最終作成位置に位置する時よりも小さいが、管用ネジの保護をある程度提供することになる。
【0018】
管端部プロテクターの態様では、リップおよび支持体基礎部分(より具体的にはリップ接触面および基本接触面)は、軸方向には圧縮されない条件で互いに軸方向に間隔が空けられている。
【0019】
管端部プロテクターの態様では、軸方向の力Faがリップにかけられた時、リップはそのリップ接触面を介して基本接触面に接触するように構成されている。
【0020】
管端部プロテクターの態様では、軸リップシールが、リップ接触面と基本接触面の間に位置する環状シール開口を含んでなり、そしてシール開口が環状空所(empty space)へのアクセスを提供し、この環状空所は長手軸に沿った断面図で、リップ、リップ基礎部分および支持体基礎部分により囲まれている。
【0021】
軸リップシールの空所は緩衝ゾーンを形成する傾向があり、これは管用ネジおよびプロテクター用ネジが互いに螺合し過ぎて、そして管端部がその最終作成位置を越えて位置する時に、軸リップシール中の軸圧が急速には形成されない(less rapidly)ことを確実にする。この緩衝ゾーンは軸リップシールが損傷されるリスクを下げる。結果としてより良い密閉が達成され、そして管端部プロテクターをより多く再使用することができる。
【0022】
管端部プロテクターの態様では、シール開口は長手軸に沿った断面図で、30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満の空所を囲む。
【0023】
管端部プロテクターの態様では、シール開口が空所への唯一のアクセスである。
【0024】
管端部プロテクターの態様では、リップ基礎部分はシール支持体面から突き出てリップの足部を軸方向にシール支持体面から足部の距離で配置する。
【0025】
管端部プロテクターの態様では、支持体基礎部分はシール支持体面から突き出て基本接触面を軸方向にシール支持体面から支持体の距離で配置する。
【0026】
管端部プロテクターの態様では、軸リップシールが環状中間基礎部分を含んでなり、これはシール支持体面の少なくとも一部に沿って径方向に延び、そしてオーバーモールディングによりシール支持体面に着けられ、そして中間基礎部分はリップ基礎部分と支持体基礎部分を相互連結する。
【0027】
管端部プロテクターの態様では、支持体基礎部分はリップ基礎部分よりも長手軸に近く位置する。
【0028】
管端部プロテクターの態様では、足部からフリーリムまで延びているリップは、長手軸に向いている。
【0029】
管端部プロテクターの態様では、軸リップシールはオーバーモールディングにより作成される一体成形物である。
【0030】
管端部プロテクターの態様では、基本接触面が、長手軸に対して80から90度の両端を含む間、好ましくは84から90度の両端を含む間、より好ましくは87度の基本角度αで延びる。
【0031】
管端部プロテクターの態様では、完全な基本接触面は同じ基本角度αで延びる。
【0032】
管端部プロテクターの態様では、リップ接触面が、長手軸に対して56から76度の両端を含む間、好ましくは61から71度の両端を含む間、より好ましくは66度のリップ角度βで延びる。
【0033】
管端部プロテクターの態様では、完全なリップ接触面は同じリップ角度βで延びる。
【0034】
管端部プロテクターの態様では、基本接触面が第1基本接触部および第2基本接触部を含んでなり、第1基本接触部が長手軸に対して第1基本角度α1で延び、第2基本接触部が長手軸に対して第2基本角度α2で延び、そして第1基本角度が第2基本角度より大きい。
【0035】
管端部プロテクターの態様では、第1基本接触部が軸方向にシール支持体面から第1支持体距離に位置し、そして第2基本接触部が軸方向にシール支持体面から第2支持体距離に位置する。
【0036】
管端部プロテクターの態様では、第1支持体距離が第2支持体距離より小さい。
【0037】
管端部プロテクターの態様では、第2基本接触部が第1基本接触部よりも長手軸に近く位置する。
【0038】
管端部プロテクターの態様では、長手軸に対して第1基本角度α1が80から100度の両端を含む間、好ましくは85から95度の両端を含む間、より好ましくは90度であり、そして第2基本角度α2が長手軸に対して0から20度の両端を含む間、好ましくは5から15度の両端を含む間、より好ましくは10度である。
【0039】
管端部プロテクターの態様では、リップ接触面は第1リップ接触部および第2リップ接触部を含んでなり、第1リップ接触部が長手軸に対して第1リップ角度β1で延び、第2リップ接触部が長手軸に対して第2リップ角度β2で延び、そして第1リップ角度が第2リップ角度より大きい。
【0040】
管端部プロテクターの態様では、第2リップ接触部が第1リップ接触部より長手軸に近く位置する。
【0041】
管端部プロテクターの態様では、第1リップ角度β1が長手軸に対して58から78度の両端を含む間、好ましくは63から73度の両端を含む間、より好ましくは68度であり、そして第2リップ角度β2が長手軸に対して5から25度の両端を含む間、好ましくは10から20度の両端を含む間、より好ましくは15度である。
【0042】
管端部プロテクターの態様では、軸リップシールが内部リップシールであり、そして管端部プロテクターは、径方向で見た時に内部リップシールよりも長手軸に近く位置する通気道を含んでなる。通気道は貫通孔でよい。
【0043】
管端部プロテクターの態様では、リップシールがラジアル(radial:半径方向の、放射
状の)リップシールであり、そしてフリーリムがリップ基礎部分よりも長手軸に近く位置し、そして長手軸に向けられている。より良い密閉能力は、ラジアルリップシールの形態により達成される傾向がある。
【0044】
管端部プロテクターの態様では、フリーリムはリップ基礎部分よりも長手軸に近く位置し、そして径方向に圧縮されない条件で長手軸に向けられている。
【0045】
管端部プロテクターの態様では、フリーリムが長手軸に対して80から100度の両端を含む間、好ましくは85から95度の両端を含む間、より好ましくは90度のリム角度γで長手軸に対して向けられている。
【0046】
管端部プロテクターの態様では、リップが足部とフリーリムとの間に位置し、長手軸に対して8から28度の両端を含む間、好ましくは13から23度の両端を含む間、より好ましくは18度の中間角度δで延びる中間リップ区分を含んでなる。
【0047】
管端部プロテクターの態様では、リップは足部から多数のフリーリムへ延び、フリーリムは(径方向に圧縮されない条件で)リップ基礎部分よりも長手軸に近く位置している。
【0048】
管端部プロテクターの態様では、多数のフリーリムは互いに間隔を空け、好ましくは等しく間隔を空け、そして平行して延びている。
【0049】
管端部プロテクターの態様では、多数のフリーリムは長手軸に対して同じリム角度γで長手軸に向けられている。
【0050】
管端部プロテクターの態様では、ラジアルリップシールはオーバーモールディングによる一体成形物である。
【0051】
管端部プロテクターの態様では、管端部プロテクターが、メス型管端部上の管用ネジを保護するように構成され、本体が2つの支持体部分、それぞれ第1シール支持体面を有する第1支持体部分、および第2シール支持体面を有する第2支持体部分を含んでなり、管端部プロテクターが2つの軸リップシール、それぞれ第1シール支持体面上に提供された第1軸リップシール、および第2シール支持体面上に提供された第2軸リップシールを含んでなり、第1軸リップシールが内部リップシールであり、そして第2軸リップシールが外部リップシールである。
【0052】
管端部プロテクターの態様では、管端部プロテクターが、オス型管端部上の管用ネジを保護するように構成され、本体が2つの支持体部分、それぞれ第1シール支持体面を有する第1支持体部分、および第2シール支持体面を有する第2支持体部分を含んでなり、管端部プロテクターが2つのリップシール、それぞれ第1シール支持体面上に提供された軸リップシール、および第2シール支持体面上に提供されたラジアルリップシールを含んでなり、軸リップシールが内部リップシールであり、そしてラジアルリップシールが外部リップシールである。
【0053】
管端部プロテクターの態様では、管端部プロテクターが上記定義の管端部プロテクターの任意の数の態様の任意の組み合わせの特徴を含んでなる。
【0054】
本発明はまた、炭化水素井の探査および生産用の配管部品を含んでなるアッセンブリーに関し、この配管部品は管用ネジが提供された管端部、および本発明による管端部プロテクターを有し、ここで管用ネジおよびプロテクター用ネジが互いに螺合され、そして管端部がその最終作成位置に位置し、ここで軸リップシールのリップが管端部によりかけられ
た軸方向の力Faにより支持体基礎部分と接触して押される。その結果、リップのリップ接触面は、支持体基礎部分の基本接触面と接している。
【0055】
本発明はまた、炭化水素井の探査および生産用の配管部品を含んでなるアッセンブリーに関し、この配管部品は管用ネジが提供された管端部、および本発明による管端部プロテクターを有し、ここで管用ネジおよびプロテクター用ネジが互いに螺合され、そして管端部がその最終作成位置に位置し、ここでラジアルリップシールのフリーリムが管端部によりかけられた径方向の力Frにより径方向外側に押される。
【0056】
本発明はまた、炭化水素井の探査および生産用の配管部品の管端部に提供される管用ネジを保護するための管端部プロテクターを製造する方法に関し、この方法は:
−第1弾性率、長手軸、少なくとも一部が径方向に延びる環状シール支持体面を有する少なくとも1つの支持体部分、および管状部分を有する本体を形成するように構成された主型に第1高分子材料を射出し、
−本体を主型から取り出した後、リップシール型をシール支持体面上に配置し、そして
−第1弾性率より低い第2弾性率を有し、そしてシール支持体面上の少なくとも一部に沿って径方向に延び、そしてオーバーモールディングによりシール支持体面に着けられる環状リップ基礎部分を含んでなる環状軟質リップシールを形成するように構成されたリップシール型に第2高分子材料を射出する、
ことを含んでなる。
【0057】
方法の態様では、方法が管状部分にプロテクター用ネジを形成するためのネジ切装置を使用することを含んでなり、プロテクター用ネジは管端部の管用ネジと協動するように構成されている。
【0058】
方法の態様では、方法が管状部分にプロテクター用ネジを形成するための主型を使用することを含んでなり、プロテクター用ネジは管端部の管用ネジと協動するように構成されている。
【0059】
方法の態様では、リップシール型が前記定義の管端部プロテクターの任意の態様のリップシールの特徴を有するリップシールを形成するように構成されている。
【0060】
方法の態様では、リップシール型が、リップ基礎部分に着いているリップの足部から、リップ基礎部分から径方向に間隔が空けられているリップのフリーリムへと延びる環状リップを有するリップシールを形成するように構成され、ここで足部とフリーリムは径方向にオフセットである。
【0061】
方法の態様では;
−リップシール型が;
−−シール支持体面上の少なくとも一部に沿って径方向に延び、そしてオーバーモールデ
ィングによりシール支持体面に着けられる環状支持体基礎部分、および
−−支持体基礎部分に位置し、そして使用に際してリップ上に位置するリップ接触面と接
するように構成された環状基本接触面、
を含んでなる軸リップシールを形成するように構成された軸リップシール型であり、こ
こで;
−−−リップ基礎部分および支持体基礎部分は、互いに径方向に間隔が空けられ、
−−−リップ接触面および接触部分は、互いに軸方向に間隔が空けられ、
−−−軸リップシールは、リップ接触面と基本接触面との間に位置する環状シール開口を
含んでなり、そして
−−−シール開口が環状空所へのアクセスを提供し、この環状空所は長手軸に沿った断面
図で、リップ、リップ基礎部分および支持体基礎部分により囲まれており、
−軸リップシール型は、軸リップシールの空所を形成するように構成された環状空間型部
分(annular space mould portion)を含んでなり、そし
て
−方法は第2高分子材料が軸リップシール型に射出された後に、軸リップシールのシール
開口を介して環状空間型部分を取り出すことを含んでなる。
【0062】
方法の態様では、リップシール型がラジアルリップシールを形成するように構成されたラジアルリップシール型であり、ここでフリーリムがリップ基礎部分よりも長手軸に近く位置し、そして長手軸に向けられている。
【0063】
方法の態様では、第1高分子材料および第2高分子材料が、オーバーモールディングにより互いに接着するように選択される。
【0064】
方法の態様では、接着取り付けは、オーバーモールディングにより作成される第1高分子材料および第2高分子材料の化学的、分散的および/または拡散的接着により生じる。
【0065】
方法の態様では、本体の第1高分子材料がポリオレフィン、好ましくはポリエチレンである。
【0066】
方法の態様では、軸リップシールの第2高分子材料がエラストマー、好ましくはオレフィンブロックコポリマー、より好ましくはポリエチレンのブロックがエチレン/オクテンコポリマーのブロックと交互するブロックコポリマーである。
【0067】
方法の態様では、方法は前記定義の方法の任意の数の態様の任意の組み合わせの特徴を含んでなる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
発明の簡単な説明
本発明の管端部プロテクター、アッセンブリーおよび方法の態様は、添付の概略図を参照にして例として記載するだけであるが、図面中、対応する符号は対応する部分を示している。
【
図1A】
図1Aは、本発明による管端部プロテクターの第1態様の断面図を概略的に示す。
【
図2】
図2は、
図1の管端部プロテクターの配管部品のメス型管端部の断面図を概略的に示す。
【
図3A】
図3Aは、本発明によるアッセンブリーの第1態様の断面図を概略的に示す。
【
図4A】
図4Aは、本発明による管端部プロテクターの第2態様の断面図を概略的に示す。
【
図5】
図5は、
図4の管端部プロテクター用の配管部品のオス型管端部の断面図を概略的に示す。
【
図6A】
図6Aは、本発明によるアッセンブリーの第2態様の断面図を概略的に示す。
【
図7A】
図7Aは、本発明による管端部プロテクターの第3態様の断面図を概略的に示す。
【
図8A】
図8Aは、本発明によるアッセンブリーの第3態様の断面図を概略的に示す。
【
図9A-9H】
図9A−Hは、本発明による方法の態様を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
発明の詳細な説明
図1Aは、本発明による管端部プロテクター1の第1態様の断面図を示す。管端部プロテクター1は、
図2の配管部品4のメス型管端部35にねじ込まれるように構成されている。管端部プロテクター1の上半分のみを示すが、当業者には管端部プロテクター1がラジアル対象であることが明らかである。これはまた、上半分のみを示す他の図面にもあてはまる。
図1Bおよび1Cは、それぞれ
図1AのBおよびC部分の拡大図を示す。
【0070】
管端部プロテクター1は、炭化水素井の探査および生産用の配管部品4の管端部3に提供された管用ネジ2を保護するように構成されている。管端部プロテクター1は、長手軸6、少なくとも一部が径方向に延びる環状シール支持体面7を有する少なくとも1つの支持体部分10、および管端部3の管用ネジ2と協動するように構成されたプロテクター用ネジ9を備えた管状部分8を有する本体5を含んでなる。環状軟質(flexible)リップシール50が、シール支持体面7に提供される。軟質リップシール50は、軸リップシール11である。詳細に説明するように、2つのリップシール50A,B、より具体的には2つの軸リップシール11A,Bが提供される。
【0071】
本体5は、第1弾性率13を有する第1高分子材料12から作られる。軸リップシール11は、第1弾性率13より低い第2弾性率15を有する第2高分子材料14から作られる。
【0072】
軸リップシール11は、環状リップ基礎部分16を含んでなり、これはリップ基礎厚41にわたりシール支持体面7の少なくとも一部に沿って径方向に延び、そしてオーバーモールディングによりシール支持体面7に着けられている。軸リップシール11は、環状リップ21を含んでなり、これはリップ基礎部分16に着いているリップ21の足部22から、軸方向に圧縮されない条件でリップ基礎部分16から軸方向に間隔が空けられているリップ21のフリーリム23まで延びる。足部22およびフリーリム23は径方向にオフセットである。
【0073】
軸リップシール11は、環状支持体基礎部分17を含んでなり、これはシール支持体面7の少なくとも一部に沿って径方向に延び、そしてオーバーモールディングによりシール支持体面7に着けられている。支持体基礎部分17は、使用に際しリップ21の環状リップ接触面30と接触するように構成された環状基本接触面26を含んでなる。リップ基礎部分16および支持体基礎部分17は互いに径方向に間隔が空けられている。リップ21および支持体基礎部分17は互いに軸方向に間隔が空けられている。この結果、リップ接
触面30および基本接触面26は互いに軸方向に間隔が空けられている。
【0074】
軸リップシール11は環状中間基礎部分19を含んでなり、これはシール支持体面7の少なくとも一部に沿って径方向に延び、そしてオーバーモールディングによりシール支持体面7に着けられている。中間基礎部分19はリップ基礎部分16と支持体基礎部分17を相互連結する。軸リップシール11は射出オーバーモールディングにより作られた一体成形物である。
【0075】
軸リップシール11は、リップ接触面30と基本接触面26との間に位置する環状シール開口25を含んでなる。シール開口25は、環状空所24へのアクセスを提供し、これは長手軸6に沿った断面図でリップ21、リップ基礎部分16および支持体基礎部分17に囲まれている。
【0076】
軸リップシール11は本体5のシール支持体面7にオーバーモールディングされるので、管端部プロテクター1は少ない労働力または労働力なしのより効率的様式で製造されることができる。これは管端部プロテクター1の製造コストを下げる。オーバーモールディングは、物品が別の物品(の一部)に(射出)成形される製造法である。
【0077】
管端部プロテクター1は管用ネジ2を保護するための増大した密閉能力を有する。
【0078】
軸リップシール11の環状空所24は緩衝ゾーンを形成し、これは管用ネジ2およびプロテクター用ネジ9が互いに螺合し過ぎて、そして管端部3がその最終作成位置70を越えて位置する時に、軸リップシール11の軸圧が急速には形成されないことを確実にする。この緩衝ゾーンは軸リップシール11が損傷されるリスクを下げる。結果としてより良い密閉が達成され、そして管端部プロテクター1をより多く再使用することができる。
【0079】
リップ21のフリーリム23がリップ基礎部分16から軸方向に間隔が空けられているという事実は、たとえ管用ネジ2およびプロテクター用ネジ9が互いに十分に螺合せず、しかも管端部3がその最終作成位置70に未だ到達していなくても、リップ21に接触していれば、確実に密閉効果を達成することができる。この密閉効果は管端部3がその最終作成位置70に位置する時よりも小さくなるが、管用ネジ2の保護をある程度提供することになる。
【0080】
空所24を含む軸リップシール11は細い形状を有し、これはオーバーモールディングに大変適している。これは効率的かつ信頼性のある様式で軸リップシール11がオーバーモールディングできるようにする。
【0081】
さらに具体的には、
図1の管端部プロテクター1の本体5は、外部リップシール37を形成する第1軸リップシール11Aを支持する第1シール支持体面7Aを有する第1支持体部分10A、および内部リップシール37を形成する第2軸リップシール11Bを支持する第2シール支持体面7Bを有する第2支持体部分10Bを含んでなる。各軸リップシール11A,Bは射出オーバーモールディングにより一体成形物に作成されている。
【0082】
管端部プロテクター1は、径方向18で見た時に内部リップシール36より長手軸6に近く位置する通気道58を含んでなる。通気道58は、管端部プロテクター1が両管端部3に配置された時、配管部品4に過圧が形成されることを回避する。通気道58は貫通穴59である。
【0083】
本体5の第1高分子材料12はポリオレフィン、より具体的にはポリエチレンである。軸リップシール11A,Bの第2高分子材料14はエラストマー、より具体的にはオレフ
ィンブロックコポリマー、より一層具体的にはポリエチレンのブロックがエチレン/オクテンコポリマーのブロックと交互するブロックコポリマーである。
【0084】
第1高分子材料12および第2高分子材料14は、オーバーモールディングにより互いに接着するように選択される。軸リップシール11A,Bと本体5のシール支持体面7との間の接着取り付けは、オーバーモールディングによる作成される第1高分子材料12および第2高分子材料14の化学的、分散的および/または拡散的接着により生じる。
【0085】
化学的接着は、材料の表面原子が別の材料の表面原子とイオン、共有または水素結合を形成する時に生じる。分散接着では、2つの材料がファンデルワールス力により一緒にまとまる。拡散接着は、高分子材料の分子の末端が別の高分子材料に拡散したポリマー鎖で生じる。両高分子材料が結晶である場合、ポリマー鎖の共結晶が起こる可能性がある。好ましくは接着取り付けは、場合により共結晶を含むポリマー鎖の拡散接着により生じる。
【0086】
軸リップシール11A,Bは、軸リップシール11A,Bがオーバーモールディングによりシール支持体面7に着いているので、管端部プロテクター1が再使用される時にシール支持体面7上のその一に留まることになる。結果として管端部プロテクター1の密閉能力は、それが再使用される時に下がることは少ない。したがって管端部プロテクター1は、より多く使用できる。
【0087】
径方向18および軸方向27を、図面に示す。
【0088】
リップ基礎部分16はシール支持体面7から突き出て、リップ21の足部22を軸方向18にシール支持体面7から足部の距離33で配置する。支持体基礎部分17はシール支持体面7から突き出て、基本接触面26を軸方向18にシール支持体面7から支持体の距離34で配置する。
【0089】
シール開口25は、長手軸6に沿った断面図で30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満の空所24を囲む。
【0090】
シール開口25は、空所24がオーバーモールディングにより軸リップシール11を形成するように構成された軸シール型(mould)53の環状空間型部分55により形成されることを可能にする(
図9Eおよび9Gを参照にされたい)。
【0091】
シール開口25は、空所24への唯一のアクセスである。フリーリム23まで足部22から延びているリップ21は、長手軸6に向けられている。支持体基礎部分17は、リップ基礎部分16よりも長手軸6に近く位置している。
【0092】
図1Dは、
図1AのB部分の別の態様の拡大図を示す。この別の軸リップシール11は、リップ基礎部分16および支持体基礎部分17が相互連結されていないので、中間基礎部分19を含まない点が異なる。軸リップシール11は、射出オーバーモールディングにより2つ、そして2つのみの部品で作成される。別の本体5は、シール支持体面7が径方向18に延びるだけでなく、軸方向27にも延びる点で異なる。
【0093】
図1A−Cは、軸方向には圧縮されない条件で管端部プロテクター1を示す。
図3A−Cは、軸方向に圧縮された条件で管端部プロテクター1を示す。
【0094】
図3Aは、
図1の管端部プロテクター1および
図2の配管部品4のメス型管端部35を含んでなるアッセンブリー67の第1態様の断面図を示す。
図3Bおよび3Cは、それぞれ
図3AのBおよびC部分の拡大図を示す。
【0095】
リップ基礎部分16は基本接触面26を含んでなり、そしてリップ21は軸方向の力Faがリップ21にかけられた時、基本接触面26に接触することになるように構成されている。
【0096】
図3Aのアッセンブリー67では、管用ネジ2およびプロテクター用ネジ9が互いに螺合され、そして管端部3がその最終作成位置70に位置し、ここで軸リップシール11のリップ21は、管端部3によりかけられる軸方向の力Faにより支持体基礎部分17に接触して押される。
【0097】
図4Aは、本発明による管端部プロテクター1の第2態様の断面図を示す。管端部プロテクター1は、
図5の配管部品4のオス型管端部38に螺合するように構成されている。
図4B(IおよびII)および4C(IおよびII)は、
図4AのBおよびC部分の拡大図を示す。管端部プロテクター1の第1態様に関して検討した特徴を同じ様式で適用する。
【0098】
基本接触面26は、長手軸6に対して約87度の基本角度αで延びている。完全な基本接触面26は同じ基本角度αで延びている。
【0099】
他の例では、基本接触面26は長手軸6に対して80から90度の両端を含む間、好ましくは84から90度の両端を含む間の基本角度αで延びている。
【0100】
リップ接触面30は、長手軸6に対して約66度のリップ角度βで延びている。完全なリップ接触面30は、同じリップ角度βで延びている。
【0101】
他の例では、リップ接触面30は長手軸6に対して56から76度の両端を含む間、好ましくは61から71度の両端を含む間のリップ角度βで延びている。
【0102】
図4の態様は、唯一の軸リップシール11を含んでなる点で
図1の態様とは異なる。軸リップシール11は内部リップシール36である。外部リップシール37はラジアルリップシール40である。ラジアルリップシール40のフリーリム23Aは、リップ基礎部分16Aよりも長手軸6に近く位置する。フリーリム23Aは、長手軸6に向けられている。より良い密閉能力は、ラジアルリップシールの形態により達成される。
【0103】
本体5は、環状の径方向に延びるさらなるシール支持体面39を有するさらなる支持体部分50を含んでなる。環状の軟質ラジアルリップシール40がさらなるシール支持体面39に提供される。ラジアルリップシール40は、第2高分子材料14から作られている。ラジアルリップシール40は、外部リップシール37を形成する。ラジアルリップシール40は環状のさらなる基礎部分43(これはさらなるシール支持体面39に沿って更なる基本厚46上を径方向に延び、そしてオーバーモールディングによりさらなるシール支持体面39に着けられ)、および環状のさらなるリップ44(これはさらなる基礎部分43に着いているさらなるリップ44のさらなる足部45から、さらなるフリーリム47に延び、これは径方向に圧縮されない条件でさらなる基礎部分43よりも長手軸6に近く位置する)を含んでなる。
【0104】
フリーリム23Aは、長手軸6に向けられている。フリーリム23Aは、長手軸6に対して約90度のリム48の角度γで長手軸6に向けられている。
【0105】
他の例では、フリーリム23Aは、80から100度の両端を含む間、好ましくは85から95度の両端を含む間のリム角度γで長手軸6に対して向けられている。
【0106】
リップ21Aは、足部22Aとフリーリム23Aとの間に位置し、そして長手軸6に対して約18度の中間角度δで延びている中間リップ区分49を含んでなる。
【0107】
他の例では、中間リップ区分49は長手軸6に対して8から28度の両端を含む間、好ましくは13から23度の両端を含む間、より好ましくは18度の中間角度δで延びる。
【0108】
ラジアルリップシール40は、射出オーバーモールディングにより作成される一体成形物である。
【0109】
ラジアルリップシール40の別の態様を、
図4D−Iおよび4D−IIに示す。環状リップ21Aは、足部22Aから第1フリーリム23A−Iおよび第2フリーリム23A−IIに延びる。第1および第2フリーリム23A−IおよびIIは、径方向に圧縮されない条件でリップ基礎部分16Aよりも長手軸6に近く位置する。別の例では、リップ21Aは、3から6の両端を含む間のフリーリム23Aを含んでなる。
【0110】
多数のフリーリム23Aは、均一に間隔が空けられ、互いに平行に延び、そして長手軸6に対して同じリム角度γで長手軸6に向けられている。
【0111】
図4A−Cは、軸方向に圧縮されない条件で、しかも径方向に圧縮されない条件で管端部プロテクター1を示す。
図6A−Cは、軸方向に圧縮された条件で、しかも径方向に圧縮された条件で管端部プロテクター1を示す。
【0112】
図6Aは
図4の管端部プロテクター1および
図5の配管部品4のオス型管端部38を含んでなるアッセンブリー67の第2態様の断面図を示す。
図6Bおよび6Cは、それぞれ
図6AのBおよびC部分の拡大図を示す。
【0113】
図6Aのアッセンブリー67では、管用ネジ2およびプロテクター用ネジ9が互いに螺合し、そして管端部3がその最終作成位置70に位置し、ここで軸リップシール11のリップ21Bは管端部3によりかけられる軸方向の力Faにより支持体基礎部分17に対して押される。ラジアルリップシール40のフリーリム23Aは、管端部3によりかけられる径方向の力Frにより径方向外側に動かされる。
【0114】
図7Aは、本発明による管端部プロテクター1の第3態様の断面図を示す。管端部プロテクター1は、
図5の配管部品4のオス型管端部38に螺合するように構成されている。
図7Bおよび7C(I−III)は、
図7AのBおよびC部分の拡大図を示す。
【0115】
図7の態様は、異なる軸リップシール11を含んでなる点で
図4の態様とは異なる。
【0116】
図7の軸リップシール11では、基本接触面26が第1基本接触部28および第2基本接触部29を含んでなる。第1基本接触部28は、長手軸6に対して第1基本角度α1で延びている。第2基本接触部29は、長手軸6に対して第2基本角度α2で延びている。第1基本角度は第2基本角度より大きい。
【0117】
第1基本接触部28は、シール支持体面7Bから軸方向28に第1支持体距離34−Iに位置し、そして第2基本接触部29は、シール支持体面7Bから軸方向27に第2支持体距離34−IIに位置する。第1支持体距離34−Iは第2支持体距離34−IIよりも小さい。
【0118】
第2基本接触部29は、第1基本接触部28よりも長手軸6に近く位置する。
【0119】
さらに具体的には第1基本角度α1は長手軸6に対して約90度であり、そして第2基本角度α2は長手軸6に対して約10度である。
【0120】
別の例では、第1基本角度α1は長手軸6に対して80から100度の両端を含む間、好ましくは85から95度の両端を含む間であり、そして第2基本角度α2は長手軸6に対して0から20度の両端を含む間、好ましくは5から15度の両端を含む間である。
【0121】
リップ接触面30は、第1リップ接触部31および第2リップ接触部32を含んでなる。第1リップ接触部31は、長手軸6に対して第1リップ角度β1で延びる。第2リップ接触部32は、長手軸6に対して第2リップ角度β2で延びる。第1リップ角度は、第2リップ角度より大きい。第2リップ接触部32は、第1リップ接触部31よりも長手軸6に近く位置する。
【0122】
さらに具体的には、第1リップ角度β1は長手軸6に対して約68度であり、そして第2リップ角度β2は長手軸6に対して約15度である。
【0123】
他の例では、第1リップ角度β1が長手軸6に対して58から78度の両端を含む間、好ましくは63から73度の両端を含む間であり、そして第2リップ角度β2が長手軸6に対して5から25度の両端を含む間、好ましくは10から20度の両端を含む間である。
【0124】
図7A−Cは、軸方向に圧縮されない条件で、しかも径方向に圧縮されない条件で管端部プロテクター1を示す。
図8A−Cは、軸方向に圧縮された条件で、しかも径方向に圧縮された条件で管端部プロテクター1を示す。
【0125】
図8Aは、
図7の管端部プロテクター1および
図5の配管部品4のオス型管端部38を含んでなるアッセンブリー67の第3態様の断面図を示す。
図8Bおよび8Cは、それぞれ
図6AのBおよびC部分の拡大図を示す。
【0126】
図9A−Hは本発明による方法の態様を示す。より具体的には
図1の管端部プロテクター1の製造法の態様を示す。当業者にはこの方法が、
図4および7の管端部プロテクター1、または本発明による管端部プロテクター1の他の態様を製造するために、類似する様式で適用できることが明白であろう。
【0127】
図1の管端部プロテクター1を製造する方法は、以下の工程を含んでなる。
【0128】
図9Aでは、主型52が準備される。主型52は本体5を形成するように構成されている。第1高分子材料サプライ61が主型52に接続されている。
【0129】
図9Bでは、第1高分子材料12が第1高分子材料サプライ61により主型52に射出されて、第1弾性率13を有する本体5を形成する。
【0130】
図9Cでは、本体5が主型52から取り出されている。
【0131】
示した方法の態様では、主型52は管状部分8上にプロテクター用ネジ9を形成するために使用される。プロテクター用ネジ9は、主型52中の第1高分子材料61の射出中に管状部分8上に形成される。
【0132】
方法の別の態様では、管状部分8上にプロテクター用ネジ9を形成するためにネジ切装
置(示さず)を使用する。この態様では、主型52はプロテクター用ネジ9を形成するためにネジ型部品57を含まない。プロテクター用ネジ9は本体5が主型52から取り出された後に管状部分8にネジ山が付けられる。
【0133】
図9Dでは、第1軸シール型53Aが第1シール支持体面7A上に配置される。第2高分子材料サプライ62は第1軸シール型53Aに接続される。第1軸シール型53Aは、第1環状空間型部分55Aを含んでなり、これは第1軸リップシール11Aの空所24を形成することになる。
【0134】
図9Eでは、第2高分子材料14が、第1弾性率13より低い第2弾性率15を有する第1軸リップシール11Aを形成するために第1軸シール型53Aに射出される。第1空所24Aにより、第1軸リップシール11Aは比較的薄い部分を有するだけである。したがって射出成形した第2高分子材料14は、比較的早く冷えることができる。これにより第1軸リップシール11Aを時間的に効率よくオーバーモールディングすることができる。
【0135】
図9Fでは、第1軸シール型53Aが取り出された。第1環状空間型部分55Aは、第1シール開口25Aを介して取り出された。オーバーモールディングにより第1シール支持体面7A上に第1軸リップシール11Aを形成する製造工程が完了した。第2軸シール型53Bは、第2シール支持体面7B上に配置される。第2高分子材料サプライ62は第2軸シール型53Bに接続される。
【0136】
図9Gでは、第2高分子材料14が第1弾性率13より低い第2弾性率15を有する第2軸リップシール11Bを形成するために、第2軸シール型53Bに射出される。
【0137】
図9Hでは、第2軸シール型53Bが取り出され、そしてオーバーモールディングにより第2シール支持体面7B上に第2軸リップシール11Bを形成する製造法が完了した。より具体的には、完全な管端部プロテクター1の製造工程が完了した。
【0138】
図4または7の態様のような管端部プロテクター1を製造する例では、本体5のシール支持体面7A上にラジアルリップシール40をオーバーモールディングするためにラジアルリップシール型が使用される。ラジアルシール型は、ラジアルリップシール40を形成するために構成され、ここでフリーリム23Aはリップ基礎部分16よりも長手軸6に近く位置し、そして長手軸6に向けられている。
【0139】
必要に応じて本発明の詳細な態様を開示するが、開示される態様は単に本発明の例であると理解され、これは様々な形態で具現化され得る。したがって本明細書に開示される特別な構造的および機能的詳細は限定ではなく、単に請求の範囲の基本であり、そしてほとんど任意の適切に詳説された構造で本発明を様々に使用するために当業者に教示するための代表的な基本と解釈されるべきである。さらに本明細書で使用される用語および句は限定を意図せず、むしろ本発明の理解可能な説明を提供するものである。
【0140】
本明細書で使用する用語「a」または「an」は、1または1より多いと定義する。本明細書で使用する用語の「複数形」は2または2より多いと定義する。本明細書で使用する用語の「別の」は、少なくとも第2またはそれ以上と定義する。本明細書で使用する含む(including)および/または有する(having)は、含んでなる(comprising)(すなわち開放型の表現で他の要素または工程を排除しない)と定義する。
【0141】
当業者には、本発明による管端部プロテクター、アッセンブリーおよび方法に、様々な
修飾を請求の範囲に定義する範囲から逸脱せずに行うことができることは明白である。
【0142】
第1高分子材料および/または第2高分子材料は、着色剤、充填剤、難燃剤、顔料、繊維強化型剤、可塑剤のような添加剤、および当業者には既知の他の添加剤を含んでなることができる。
【国際調査報告】