(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-525897(P2021-525897A)
(43)【公表日】2021年9月27日
(54)【発明の名称】リガンドおよびそのようなリガンドの結合標的を選択する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/50 20060101AFI20210830BHJP
C12P 21/00 20060101ALI20210830BHJP
C07K 1/00 20060101ALI20210830BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20210830BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20210830BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20210830BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20210830BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20210830BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20210830BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20210830BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20210830BHJP
G01N 33/15 20060101ALI20210830BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20210830BHJP
【FI】
G01N33/50 Z
C12P21/00 C
C07K1/00
A61P29/00
A61P37/08
A61P35/00
A61P31/12
A61P31/04
A61P37/02
A61K38/02
A61K47/64
G01N33/15 Z
G01N33/53 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2021-517519(P2021-517519)
(86)(22)【出願日】2019年5月29日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月25日
(86)【国際出願番号】EP2019064094
(87)【国際公開番号】WO2019229182
(87)【国際公開日】20191205
(31)【優先権主張番号】1808835.1
(32)【優先日】2018年5月30日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520468324
【氏名又は名称】バイスクルアールディー
【氏名又は名称原語表記】BICYCLERD
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】チェン,リウホン
(72)【発明者】
【氏名】ボニー,クリストフ
【テーマコード(参考)】
2G045
4B064
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045DA20
2G045DA36
2G045FB03
4B064AG01
4B064CC24
4B064DA01
4C076AA95
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC27
4C076CC32
4C076CC35
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA03
4C084BA25
4C084BA31
4C084CA59
4C084DC50
4C084NA05
4C084NA13
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB131
4C084ZB132
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZB351
4C084ZB352
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045EA20
4H045FA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、リガンドの標的を選択する方法であって、前記リガンドが、少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含み、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成する、方法を提供する。本発明はまた、前記標的、前記リガンド、ならびにそのような標的およびリガンドを使用する方法および製造する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成する、リガンドの標的を選択する方法であって、
(a)(i)約1000〜3000Å3の容積、
(ii)少なくとも1つの溶媒露出末端
という特徴を備えるポケットの存在について、1つまたは複数のタンパク質をスクリーニングするステップと、
(b)(a)に定義されたポケットを少なくとも1つ有する少なくとも1つのタンパク質を選択するステップと
を含む方法。
【請求項2】
(a)に定義されたポケットが、(10〜30)×(10〜30)×(5〜30)Åの内部寸法をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成する、リガンドを選択する方法であって、
(a)請求項1または請求項2に定義されたポケットの存在について、1つまたは複数のタンパク質をスクリーニングし、少なくとも1つのそのようなポケットを有する少なくとも1つのタンパク質を選択するステップと、
(b)前記少なくとも1つのタンパク質を前記リガンドのうちの1つまたは複数と接触させ、前記タンパク質に結合する少なくとも1つのリガンドを選択するステップと
を含む方法。
【請求項4】
少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成する、リガンドを調製する方法であって、
(a)請求項2に従って選択されたリガンドの、ポリペプチド成分のアミノ酸配列を決定するステップと、
(b)(a)において決定された配列を有するポリペプチドを合成するステップと、
(c)前記ポリペプチドを分子足場と反応させて、前記リガンドを生成させるステップと
を含む方法。
【請求項5】
ポケットが、さらなるタンパク質とのタンパク質−タンパク質相互作用に関与するタンパク質ドメイン中に位置するかどうかを、決定することをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
標的タンパク質を請求項1に定義されたリガンドのライブラリーに暴露し、前記標的タンパク質に結合する1つまたは複数のリガンドを選択することをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
分子足場が、前記分子足場をポリペプチドに付着させる共有結合の数と対応する分子対称性を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
分子足場が、3回対称の分子対称性を有し、分子足場が、3つの共有結合によってポリペプチドに付着される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
分子足場が構造的に強固な化学基を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
分子足場が、トリス−(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)、1,3,5−トリアクリロイル−1,3,5−トリアジナン(TATA)、N,N’,N”−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)−トリス(2−ブロモアセトアミド)(TBAB)、および/またはN,N’,N”−ベンゼン−1,3,5−トリイルトリスプロパ−2−エナミド(TAAB)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリペプチドがシステイン残基を含み、前記ポリペプチドへの前記分子足場の付着のための前記3つの共有結合のうちの少なくとも1つが、前記システイン残基への結合を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成し、前記リガンドが、請求項1(a)に定義されたポケットを有するがカリクレイン、MDM2、カテプシンGから選択されるポリペプチドではない標的に結合する、リガンド。
【請求項13】
少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成し、前記リガンドが、
アルファ−2−マクログロブリン;ATP結合カセット、サブファミリーB(MDR/TAP)、メンバー6;ADAMメタロペプチダーゼドメイン17;ADAMメタロペプチダーゼドメイン33;ADAMメタロペプチダーゼドメイン9;アディポネクチン、C1Qおよびコラーゲンドメイン含有;アデノシンA(3)受容体;ベータ3アドレナリン受容体;アグーチ関連タンパク質ホモログ(マウス);アンギオテンシンII受容体、1型;活性化白血球細胞接着分子;アポリポタンパク質E;アポリポタンパク質H(ベータ2グリコプロテインI);アミロイドベータ(A4)前駆体タンパク質;アクアポリン4;アクアポリン5;アミロイド前駆体タンパク質ベータサイト切断酵素1;殺菌性透過性増強タンパク質;補体第1成分、q亜成分、B鎖;補体第1成分、q亜成分、C鎖;補体第1成分、r亜成分;補体第1成分、s亜成分;補体第2成分;補体第6成分;補体第7成分;補体第8成分、ベータポリペプチド;炭酸脱水酵素XII;炭酸脱水酵素IV;炭酸脱水酵素VI;CARTプレプロペプチド;コレシストキニンB受容体;ケモカインCCL11;CD3e分子、イプシロン(CD3−TCR複合体);CD3g分子、ガンマ(CD3−TCR複合体);CD40分子、TNF受容体スーパーファミリーメンバー5;CD8a分子;シチジンデアミナーセ;カドヘリン13、H−カドヘリン(心臓);カドヘリン関連23;補体因子B;補体因子D(アディプシン);補体因子H;絨毛性ゴナドトロピン、ベータポリペプチド;チキナーゼ3様1(軟骨糖タンパク質−39);チキナーゼ、酸性;チキナーゼ1(キトトリオシダーゼ);キマーゼ1、マスト細胞;カルノシンジペプチダーゼ1(メタロペプチダーゼM20ファミリー);コンタクチン1;カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ;カルボキシペプチダーゼA4;カルボキシペプチダーゼB2(血漿);セルロプラスミン(フェロキシダーゼ);カルボキシペプチダーゼN、ポリペプチド1;補体成分(3d/エプスタイン・バーウイルス)受容体2;カテプシンB;カテプシンD;ケモカインCXC受容体4;上皮増殖因子受容体;エラスターゼ、好中球が発現;EPH受容体A2;v−erb−b2赤芽球白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ2、神経/神経膠芽細胞種由来癌遺伝子ホモログ(トリ);v−erb−b2赤芽球白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ3(トリ);v−erb−a赤芽球白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ4(トリ);凝固第X因子;凝固第XI因子;凝固第XIII因子、A1ポリペプチド;凝固第II因子(トロンビン);凝固第II因子(トロンビン)受容体;凝固第III因子(トロンボプラスチン、組織因子);凝固第VII因子(血清プロトロンビン転換促進因子);凝固第VIII因子、凝血促進成分;凝固第IX因子;IgEのFcフラグメント、低親和性II、(CD23)の受容体;IgGのFcフラグメント、高親和性Ia、受容体(CD64);IgGのFcフラグメント、受容体、トランスポーター、アルファ;フィコリン(コラーゲン/フィブリノーゲンドメイン含有レクチン)2(フコリン);フィコリン(コラーゲン/フィブリノーゲンドメイン含有)3(ハカタ抗原);葉酸ヒドロラーゼ(前立腺特異膜抗原)1;濾胞刺激ホルモン、ベータポリペプチド;ガンマ−アミノ酪酸(GABA)B受容体、2;UDP−N−アセチル−アルファ−D−ガラクトサミン:ポリペプチド−N−アセチルガラクトサミン転移酵素2(GalNAc−T2);増殖停止特異的6;群特異成分(ビタミンD結合タンパク質);ガンマ−グルタミルヒドロラーゼ(コンジュガーゼ、ホリルポリ−ガンマ−グルタミルヒドロラーゼ);成長ホルモン1;成長ホルモン受容体;グレリン/オベスタチンプレプロペプチド;胃内因子(ビタミンB合成);胃抑制ポリペプチド受容体;ギャップ結合タンパク質、ベータ2、26kDa;糖タンパク質Ib(血小板)、アルファポリペプチド;糖タンパク質Ib(血小板)、ベータポリペプチド;糖タンパク質VI(血小板);グルコース−6−リン酸イソメラーゼ;グルタミン酸受容体、イオンチャネル型、カイニン酸1;グルタミン酸受容体、イオンチャネル型、カイニン酸2;グルタミン酸受容体、代謝型1;グルタミン酸受容体、代謝型3;グルタミン酸受容体、代謝型5;グルタミン酸受容体、代謝型7;ゲルゾリン;ヘモクロマトーシス;肝細胞増殖因子(ヘパポイエチンA;散乱係数);ヘッジホッグ相互作用タンパク質;主要組織適合性複合体、クラスI、G;ヘパラン硫酸プロテオグリカン2;HtrAセリンペプチダーゼ1;ヒアルロノグルコサミニダーゼ1;インスリン分解酵素;インターフェロン(アルファ、ベータ、およびオメガ)受容体1;インターフェロン(アルファ、ベータ、およびオメガ)受容体2;インターフェロン、ガンマ;インターフェロンガンマ受容体1;インスリン様成長因子1(ソマトメジンC);インスリン様成長因子1受容体;インスリン様成長因子2(ソマトメジンA);インスリン様成長因子2受容体;インスリン様成長因子結合タンパク質1;免疫グロブリン重鎖定常部アルファ1;免疫グロブリン重鎖定常部ガンマ1(G1mマーカー);免疫グロブリン重鎖定常部ガンマ2(G2mマーカー);免疫グロブリン重鎖定常部ガンマ4(G4mマーカー);免疫グロブリン重鎖定常部ミュー;免疫グロブリンカッパ定常部;免疫グロブリンラムダ様ポリペプチド1;インディアンヘッジホッグ;インターロイキン10;インターロイキン10受容体、アルファ;インターロイキン12A(ナチュラルキラー細胞刺激因子1、細胞傷害性リンパ球成熟因子1、p35);インターロイキン12B(ナチュラルキラー細胞刺激因子2、細胞傷害性リンパ球成熟因子2、p40);インターロイキン17A;インターロイキン17F;インターロイキン17受容体A;インターロイキン1受容体、I型;インターロイキン1受容体アンタゴニスト;インターロイキン21受容体;インターロイキン2受容体、アルファ;インターロイキン2受容体、ガンマ;インターロイキン3(コロニー刺激因子、マルチ);インターロイキン4受容体;インターロイキン6受容体;インターロイキン7受容体;インテグリン結合キナーゼ;インスリン受容体;itchy E3ユビキチン・タンパク質リガーゼ;インテグリン、アルファ2b(IIb/IIIa複合体の血小板糖タンパク質IIb、抗原CD41);インテグリン、アルファ4(抗原CD49D、VLA−4受容体のアルファ4サブユニット);インテグリン、ベータ3(血小板糖タンパク質IIIa、抗原CD61);jagged 1;リジル−tRNA合成酵素;キナーゼ挿入ドメイン受容体(III型受容体型チロシンキナーゼ);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのドメイン、長い細胞質側末端、1;キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのドメイン、長い細胞質側末端、2;キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのドメイン、長い細胞質側末端、3;キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのドメイン、長い細胞質側末端、1;kin of IRRE like 3(ショウジョウバエ);KITリガンド;v−キットハーディ・ズッカーマン4ネコ肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ;カリクレイン関連ペプチダーゼ3;KRIT1、アンキリンリピート含有;低密度リポタンパク質受容体;レプチン受容体;白血病抑制因子;白血病抑制因子受容体アルファ;レクチン、マンノース結合、1;低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質6;マトリックスメタロペプチダーゼ12(マクロファージエラスターゼ);マトリックスメタロペプチダーゼ13(コラゲナーゼ3);マトリックスメタロペプチダーゼ14(膜挿入型);マトリックスメタロペプチダーゼ1(間質コラゲナーゼ);マトリックスメタロペプチダーゼ7(マトリライシン、子宮);マトリックスメタロペプチダーゼ8(好中球コラゲナーゼ);ミエロペルオキシダーゼ;ニューロンナビゲーター2;細胞傷害誘発受容体3;ニューロリギン4、X連鎖;ノギン;副甲状腺ホルモン1受容体;プロテインチロシンホスファターゼ、受容体型、D;プロテインチロシンホスファターゼ、受容体型、F;ポリオウイルス受容体;レニン;リボヌクレアーゼ、RNアーゼAファミリー、3;レナラーゼ、FAD依存性アミンオキシダーゼ;セマフォリン7A、GPI膜アンカー(John Milton Hagen血液型);セルピンペプチダーゼインヒビター、クレードA(アルファ−1抗プロテイナーゼ、アンチトリプシン)、メンバー10;セルピンペプチダーゼインヒビター、クレードC(アンチトロンビン)、メンバー1;セルピンペプチダーゼインヒビター、クレードF(アルファ−2抗プラスミン、色素上皮由来因子)、メンバー1;セルピンペプチダーゼインヒビター、クレードI(ニューロセルピン)、メンバー1;スーパーオキシドジスムターゼ3、細胞外;ソルビトールデヒドロゲナーゼ;ソマトスタチン; suppression of tumorigenicity 14(結腸癌);シナプシンIII;トランスコバラミンI(ビタミンB12結合タンパク質、Rバインダーファミリー);トランスコバラミンII;TEKチロシンキナーゼ、内皮;トランスフェリン受容体(p90、CD71);トランスフェリン;形質転換増殖因子、ベータ1;形質転換増殖因子、ベータ2;形質転換増殖因子、ベータ3;形質転換増殖因子、ベータ受容体1;形質転換増殖因子、ベータ受容体II(70/80kDa);TIMPメタロペプチダーゼ阻害因子1;TIMPメタロペプチダーゼ阻害因子2;TIMPメタロペプチダーゼ阻害因子3;トロイド様1;Toll様受容体1;Toll様受容体2;Toll様受容体3;Toll様受容体4;Toll様受容体5;腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー10b;腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー13C;腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー1A;腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー1B;腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー4;腫瘍壊死因子;トリプターゼベータ2(遺伝子/偽遺伝子);甲状腺刺激ホルモン受容体;トランスサイレチン;タビーホモログ(マウス);タビー様タンパク質1;血管細胞接着分子1;血管作動性腸ペプチド受容体2;プレB細胞1;Vセットおよび免疫グロブリンドメイン含有4;キサンチンデヒドロゲナーゼ;ならびにチロシル−tRNA合成酵素
からなる群から選択される標的に結合する、リガンド。
【請求項14】
請求項3に記載の方法によって調製される場合の、請求項12または13に記載のリガンド。
【請求項15】
疾患、好ましくは、炎症状態、アレルギー性過敏症、がん、細菌性もしくはウイルス感染、または自己免疫障害の治療における、請求項12〜14のいずれか1項に記載のリガンドの使用。
【請求項16】
標的に結合することができる請求項12〜15のいずれか1項に記載のリガンドを、同定する方法であって、
(i)複数の請求項12〜15のいずれか1項に記載のリガンドを用意するステップと、
(ii)前記複数のリガンドを、標的と接触させるステップと、および
(iii)前記標的に結合するこれらのリガンドを選択するステップと
を含む方法。
【請求項17】
前記リガンドのポリペプチド成分の配列決定することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記標的に結合することができるものとして単離されたリガンドを大量に製造するステップをさらに含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
請求項14または請求項15の方法に従って単離された、または同定されたポリペプチド−分子足場コンジュゲートリガンドを大量に製造するステップをさらに含み、前記製造が分子足場をポリペプチドに付着させることを含み、前記ポリペプチドが遺伝子組換えによって発現される、または化学的に合成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ポリペプチドのN末端またはC末端の1つまたは複数においてポリペプチドを伸長させるステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリペプチド−分子足場コンジュゲートリガンドをさらなるポリペプチドにコンジュゲートさせるステップをさらに含む、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記コンジュゲーションが、
(i)ポリペプチドに、分子足場への結合の後、さらなるシステインを付加するステップと、および
(ii)前記ポリペプチドを、前記さらなるシステインへのジスルフィド結合を介して前記さらなるポリペプチドにコンジュゲートするステップと
によって実行される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成する、リガンドの標的を選択する、コンピューターにより実現される方法であって、
(a)(i)約1000〜3000Å3の容積、および
(ii)少なくとも1つの溶媒露出末端
によって定義される、少なくとも1つのポケットを含むタンパク質を同定するために、ポリペプチド構造のデータベースを調べるステップと、
(b)前記データベースにおいて、少なくとも1つの、(a)に定義されたポケットを含むタンパク質の第1のセットを同定するステップと、
(c)タンパク質の前記第1のセットを、タンパク質−タンパク質相互作用に関与するタンパク質ドメインのデータベースと比較するステップと、
(d)タンパク質の前記第1のセットにおいて、別のタンパク質との相互作用に寄与すると推定されているドメイン中に位置する少なくとも1つのポケットを含む1つまたは複数のタンパク質を同定するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリペプチドリガンド、そのようなリガンドを選択する方法、およびそのようなリガンドの結合標的を選択する方法の分野に関する。特に、本発明は、少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基と;分子足場とを含むポリペプチドリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成する、ポリペプチドリガンドの結合標的を選択することに関する。
【背景技術】
【0002】
環状ペプチドは、アミノ末端とカルボキシル末端、アミノ末端と側鎖、カルボキシル末端と側鎖、または側鎖と側鎖とが、環を生成する共有結合によって結合しているポリペプチドである。
【0003】
環状ペプチドは、高い親和性および標的特異性を有してタンパク質標的に結合することができ、したがって治療法の開発のために魅力的な分子類である。実際に、幾つかの環状ペプチド、例えば抗菌ペプチドバンコマイシン、免疫抑制剤シクロスポリン、または抗がん剤オクレオチドなどは、臨床における使用に成功している(Driggers,et al.,Nat Rev Drug Discov 2008,7(7),608−24)。良好な結合特性は、ペプチドと標的との間に形成される比較的大きな相互作用表面および環状構造の構造的柔軟性の低さに起因する。典型的には、大環状分子は、例えば、環状ペプチドCXCR4アンタゴニストCVX15(400Å
2;Wu,B.,et al.,Science,330(6007),1066−71)、インテグリンαVβ3に結合するArg−Gly−Aspモチーフを有する環状ペプチド(355Å
2)(Xiong,J.P.,et al.,Science,2002,296(5565),151−5)、またはウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子に結合する環状ペプチド阻害剤ウパイン−1(upain−1)(603Å
2;Zhao,G.,et al.,J Struct Biol,2007,160(1),1−10)のように、数百平方オングストロームの面に結合する。
【0004】
ペプチド大環状分子は、環状構成であるため、線状ペプチドに比べて柔軟性が低く、これにより、標的への結合に関するエントロピーの損失がより小さくなり、より高い結合親和性がもたらされる。柔軟性の低さはまた、標的特異的立体構造を固定し、線状ペプチドと比較して結合特異性を高める。この作用は、マトリックスメタロプロテイナーゼ8(MMP−8)の強力で選択的な阻害剤が、その環が開かれると、他のMMPと比べてその選択性を失ったことによって実証されている(Cherney,R.J.,et al.,J Med Chem,1998,41(11),1749−51)。大環状化によって獲得された好ましい結合特性は、例えばバンコマイシン、ナイシン、またはアクチノマイシンのような、複数のペプチド環を有する多環ペプチドではよりいっそう顕著である。
【0005】
様々な研究チームが、既に、システイン残基を有するポリペプチドを合成分子構造に繋げている(Kemp,D.S.and McNamara,P.E.,J.Org.Chem,1985;Timmerman,P.et al.,ChemBioChem,2005)。Meloenと共同研究者らは、タンパク質表面の構造的模倣のために、トリス(ブロモメチル)ベンゼンおよび関連分子を使用して、多重ペプチドループを合成足場上へ迅速かつ定量的に環状化した(Timmerman,P.et al.,ChemBioChem,2005)。システイン含有ポリペプチドを例えばトリス(ブロモメチル)ベンゼンのような分子足場に結合させることによる、候補薬剤化合物の生成方法が、WO2004/077062およびWO2006/078161に開示されている。
【0006】
WO2004/077062は、候補薬剤化合物を選択する方法を開示している。詳細には、この文書では、第1および第2の反応性基を含む様々な足場分子、および前記足場をさらなる分子と接触させて、カップリング反応において前記足場とさらなる分子との間に少なくとも2つの結合を形成することが開示されている。
【0007】
WO2006/078161は、結合化合物、免疫原性化合物、およびペプチド模倣薬を開示している。この文献では、存在するタンパク質から得たペプチドの様々なコレクションの人工合成が開示されている。これらのペプチドは、次いで、コンビナトリアルライブラリーを作製するために、導入された幾つかのアミノ酸変化を有する定常部合成ペプチドと組み合わされる。化学結合を介してこの多様性を導入して、様々なアミノ酸変化を特徴とするペプチドを分離することによって、望ましい結合活性を発見できる機会を増やすことができる。ここで開示された構築物は、典型的にはシステイン残基を含む−SH基をもつペプチド、および典型的には足場上のビス−またはトリス−ブロモフェニルベンゼンなどのベンジリックハロゲン置換基を含む複素環式芳香族基に、典型的には依存している。そのような基は、反応して、ペプチドと足場との間にチオエーテル結合を形成する。
【0008】
Heinisらが、最近、ファージディスプレイをベースとしたコンビナトリアル手法を開発して、目的の標的に対して二環ペプチドの大規模なライブラリーを作製し、スクリーニングした(Heinis,et al.,Nat Chem Biol,2009,5(7),502−7;国際特許出願WO2009/098450もまた参照されたい)。簡潔に述べると、3つのシステイン残基およびランダムな6アミノ酸の2つの領域を含有する線状ペプチド(Cys−(Xaa)
6−Cys−(Xaa)
6−Cys)のコンビナトリアルライブラリーを、ファージ上にディスプレイさせ、システイン側鎖を低分子(トリス−(ブロモメチル)ベンゼン)に共有結合させることによって環化させた。ヒトプロテアーゼカテプシンGおよび血漿カリクレイン(PK)に対する親和性の選択において単離された二環性ペプチドは、ナノモルの阻害定数を有していた。最良の阻害剤であるPK15は、3nMのK
iでヒトPK(hPK)を阻害する。幾つかの単離された二環性ペプチドのアミノ酸配列における類似性は、両方のペプチドループが結合に寄与することを示唆していた。PK15は、試験した最高濃度において(10mM)、ラットPK(81%配列同一性)、相同なヒトセリンプロテアーゼ第XI因子a(hfXIa;69%配列同一性)、またはトロンビン(36%配列同一性)のいずれも阻害しなかった(Heinis,et al.,Nat Chem Biol,2009,5(7),502−7)。この知見は、二環性阻害剤が、その標的に対する高い親和性を有しており、特異性が高いことを示唆するものである。
【0009】
新たな用途を特定するために、ペプチドリガンドの、特に環状ペプチドの標的を同定する改良された方法が必要である。具体的には、リガンドの特異的標的への結合によって、前記リガンドを好適な薬物様分子とみなすことができる。特異的リガンドの標的を、速く、安価に、かつ/またはより効率的に同定する能力によって、薬物創製の流れが速まり、医療用に好適な分子のより迅速な認可が可能となるはずである。前記リガンドはまた、それらの使用の容易さおよび適合性を高める、可変性のプロテアーゼ安定性および溶解度プロファイルを有し得る。ポリペプチドリガンドは、注射、吸入、経鼻、点眼、経口、または局所投与のために使用することもできる。ポリペプチドリガンド、特に環状ペプチドまたはBicycle(登録商標)ペプチドの使用は、安価に生産でき使用しやすいため、さらに好都合である。
【発明の概要】
【0010】
したがって、一態様において、本発明は、少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成する、リガンドの標的を選択する方法であって、
(a)(i)約1000〜3000Å
3の容積、および
(ii)少なくとも1つの溶媒露出末端
の特徴を備えるポケットの存在について、1つまたは複数のタンパク質をスクリーニングするステップと、ならびに
(b)(a)に定義されたポケットを少なくとも1つ有する少なくとも1つのタンパク質を選択するステップと
を含む方法を提供する。
【0011】
好ましくは、(a)に定義されたポケットはまた、(10〜30)×(10〜30)×(5〜30)Åの内部寸法を備える。
【0012】
好ましくは、ポリペプチドリガンドは、環状ペプチドであり、最も好ましくは二環性ペプチドである。
【0013】
ポケットの溶媒露出面積は、好ましくは、二環の面積に少なくとも等しく、すなわち、少なくとも900〜1300Å
2である。
【0014】
ポケットの溶媒露出末端は、好ましくは、タンパク質の開口部を介して、少なくとも5Å幅で露出している。
【0015】
一実施形態において、リガンドは、標的の阻害剤として作用する。さらなる実施形態において、リガンドは、標的のアゴニストとして作用する。別の実施形態において、リガンドは、標的に対して中立的な(活性の変化がない)作用を有する。
【0016】
第2の態様において、本発明は、少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成する、リガンドを選択する方法であって、
(a)上記の本発明の第1の態様に従って、ポケットの存在について、1つまたは複数のタンパク質をスクリーニングし、少なくとも1つのそのようなポケットを有する少なくとも1つのタンパク質を選択するステップと、
(b)前記少なくとも1つのタンパク質を前記リガンドのうちの1つまたは複数と接触させ、前記タンパク質に結合する少なくとも1つのリガンドを選択するステップと
を含む方法を提供する。
【0017】
第3の態様において、本発明はまた、少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成する、リガンドを調製する方法であって、
(a)上記の第2の態様に記載された方法に従って選択されたリガンドの、ポリペプチド成分のアミノ酸配列を決定するステップと、
(b)(a)において決定された配列を有するポリペプチドを合成するステップと、
(c)前記ポリペプチドを分子足場と反応させて、前記リガンドを生成させるステップと
を含む方法を提供する。
【0018】
本発明の方法はまた、ポケットが、さらなるタンパク質とのタンパク質−タンパク質相互作用に関与するタンパク質ドメイン中に位置するかどうかを、決定するステップをさらに含んでもよい。
【0019】
本発明の方法はまた、標的タンパク質を請求項1に定義されたリガンドのライブラリーに暴露し、標的タンパク質に結合する1つまたは複数のリガンドを選択するステップをさらに含んでもよい。
【0020】
本発明の方法において、分子足場は、好ましくは、分子足場をポリペプチドに付着させる共有結合の数と対応する分子対称性を有する。一部の実施形態において、分子足場は、3回対称の分子対称性を有し、分子足場は、3つの共有結合によってポリペプチドに付着している。
【0021】
本発明の方法において、分子足場は、構造的に強固な化学基を含んでいてもよい。好ましい実施形態において、分子足場は、トリス−(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)、1,3,5−トリアクリロイル−1,3,5−トリアジナン(TATA)、N,N’,N”−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)−トリス(2−ブロモアセトアミド)(TBAB)、および/またはN,N’,N”−ベンゼン−1,3,5−トリイルトリスプロパ−2−エナミド(TAAB)を含む。
【0022】
本発明の幾つかの実施形態において、ポリペプチドは、システイン残基を含み、前記分子足場がポリペプチドに付着するための前記3つの共有結合のうちの少なくとも1つは、前記システイン残基への結合を含む。
【0023】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成し、前記リガンドが、前記請求項1(a)に定義されたポケットを有するがカリクレイン、MDM2、カテプシンGから選択されるポリペプチドではない標的に結合する、リガンドを含む。
【0024】
一実施形態において、本発明の前記リガンドは、少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含み、前記分子足場は、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成し、前記リガンドは、
アルファ−2−マクログロブリン;ATP結合カセット、サブファミリーB(MDR/TAP)、メンバー6;ADAMメタロペプチダーゼドメイン17;ADAMメタロペプチダーゼドメイン33;ADAMメタロペプチダーゼドメイン9;アディポネクチン、C1Qおよびコラーゲンドメイン含有;アデノシンA(3)受容体;ベータ3アドレナリン受容体;アグーチ関連タンパク質ホモログ(マウス);アンギオテンシンII受容体、1型;活性化白血球細胞接着分子;アポリポタンパク質E;アポリポタンパク質H(ベータ2グリコプロテインI);アミロイドベータ(A4)前駆体タンパク質;アクアポリン4;アクアポリン5;アミロイド前駆体タンパク質ベータサイト切断酵素1;殺菌性透過性増強タンパク質;補体第1成分、q亜成分、B鎖;補体第1成分、q亜成分、C鎖;補体第1成分、r亜成分;補体第1成分、s亜成分;補体第2成分;補体第6成分;補体第7成分;補体第8成分、ベータポリペプチド;炭酸脱水酵素XII;炭酸脱水酵素IV;炭酸脱水酵素VI;CARTプレプロペプチド;コレシストキニンB受容体;ケモカインCCL11;CD3e分子、イプシロン(CD3−TCR複合体);CD3g分子、ガンマ(CD3−TCR複合体);CD40分子、TNF受容体スーパーファミリーメンバー5;CD8a分子;シチジンデアミナーセ;カドヘリン13、H−カドヘリン(心臓);カドヘリン関連23;補体因子B;補体因子D(アディプシン);補体因子H;絨毛性ゴナドトロピン、ベータポリペプチド;チキナーゼ3様1(軟骨糖タンパク質−39);チキナーゼ、酸性;チキナーゼ1(キトトリオシダーゼ);キマーゼ1、マスト細胞;カルノシンジペプチダーゼ1(メタロペプチダーゼM20ファミリー);コンタクチン1;カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ;カルボキシペプチダーゼA4;カルボキシペプチダーゼB2(血漿);セルロプラスミン(フェロキシダーゼ);カルボキシペプチダーゼN、ポリペプチド1;補体成分(3d/エプスタイン・バーウイルス)受容体2;カテプシンB;カテプシンD;ケモカインCXC受容体4;上皮増殖因子受容体;エラスターゼ、好中球が発現;EPH受容体A2;v−erb−b2赤芽球白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ2、神経/神経膠芽細胞種由来癌遺伝子ホモログ(トリ);v−erb−b2赤芽球白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ3(トリ);v−erb−a赤芽球白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ4(トリ);凝固第X因子;凝固第XI因子;凝固第XIII因子、A1ポリペプチド;凝固第II因子(トロンビン);凝固第II因子(トロンビン)受容体;凝固第III因子(トロンボプラスチン、組織因子);凝固第VII因子(血清プロトロンビン転換促進因子);凝固第VIII因子、凝血促進成分;凝固第IX因子;IgEのFcフラグメント、低親和性II、(CD23)の受容体;IgGのFcフラグメント、高親和性Ia、受容体(CD64);IgGのFcフラグメント、受容体、トランスポーター、アルファ;フィコリン(コラーゲン/フィブリノーゲンドメイン含有レクチン)2(フコリン(hucolin));フィコリン(コラーゲン/フィブリノーゲンドメイン含有)3(ハカタ抗原);葉酸ヒドロラーゼ(前立腺特異膜抗原)1;濾胞刺激ホルモン、ベータポリペプチド;ガンマ−アミノ酪酸(GABA)B受容体、2;UDP−N−アセチル−アルファ−D−ガラクトサミン:ポリペプチド−N−アセチルガラクトサミン転移酵素2(GalNAc−T2);増殖停止特異的6;群特異成分(ビタミンD結合タンパク質);ガンマ−グルタミルヒドロラーゼ(コンジュガーゼ、ホリルポリ−ガンマ−グルタミルヒドロラーゼ);成長ホルモン1;成長ホルモン受容体;グレリン/オベスタチンプレプロペプチド;胃内因子(ビタミンB合成);胃抑制ポリペプチド受容体;ギャップ結合タンパク質、ベータ2、26kDa;糖タンパク質Ib(血小板)、アルファポリペプチド;糖タンパク質Ib(血小板)、ベータポリペプチド;糖タンパク質VI(血小板);グルコース−6−リン酸イソメラーゼ;グルタミン酸受容体、イオンチャネル型、カイニン酸1;グルタミン酸受容体、イオンチャネル型、カイニン酸2;グルタミン酸受容体、代謝型1;グルタミン酸受容体、代謝型3;グルタミン酸受容体、代謝型5;グルタミン酸受容体、代謝型7;ゲルゾリン;ヘモクロマトーシス;肝細胞増殖因子(ヘパポイエチンA(hepapoietin A);散乱係数);ヘッジホッグ相互作用タンパク質(hedgehog interacting protein);主要組織適合性複合体、クラスI、G;ヘパラン硫酸プロテオグリカン2;HtrAセリンペプチダーゼ1;ヒアルロノグルコサミニダーゼ1;インスリン分解酵素;インターフェロン(アルファ、ベータ、およびオメガ)受容体1;インターフェロン(アルファ、ベータ、およびオメガ)受容体2;インターフェロン、ガンマ;インターフェロンガンマ受容体1;インスリン様成長因子1(ソマトメジンC);インスリン様成長因子1受容体;インスリン様成長因子2(ソマトメジンA);インスリン様成長因子2受容体;インスリン様成長因子結合タンパク質1;免疫グロブリン重鎖定常部アルファ1;免疫グロブリン重鎖定常部ガンマ1(G1mマーカー);免疫グロブリン重鎖定常部ガンマ2(G2mマーカー);免疫グロブリン重鎖定常部ガンマ4(G4mマーカー);免疫グロブリン重鎖定常部ミュー;免疫グロブリンカッパ定常部;免疫グロブリンラムダ様ポリペプチド1;インディアンヘッジホッグ;インターロイキン10;インターロイキン10受容体、アルファ;インターロイキン12A(ナチュラルキラー細胞刺激因子1、細胞傷害性リンパ球成熟因子1、p35);インターロイキン12B(ナチュラルキラー細胞刺激因子2、細胞傷害性リンパ球成熟因子2、p40);インターロイキン17A;インターロイキン17F;インターロイキン17受容体A;インターロイキン1受容体、I型;インターロイキン1受容体アンタゴニスト;インターロイキン21受容体;インターロイキン2受容体、アルファ;インターロイキン2受容体、ガンマ;インターロイキン3(コロニー刺激因子、マルチ);インターロイキン4受容体;インターロイキン6受容体;インターロイキン7受容体;インテグリン結合キナーゼ;インスリン受容体;itchy E3ユビキチン・タンパク質リガーゼ;インテグリン、アルファ2b(IIb/IIIa複合体の血小板糖タンパク質IIb、抗原CD41);インテグリン、アルファ4(抗原CD49D、VLA−4受容体のアルファ4サブユニット);インテグリン、ベータ3(血小板糖タンパク質IIIa、抗原CD61);jagged 1;リジル−tRNA合成酵素;キナーゼ挿入ドメイン受容体(III型受容体型チロシンキナーゼ);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのドメイン、長い細胞質側末端、1;キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのドメイン、長い細胞質側末端、2;キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのドメイン、長い細胞質側末端、3;キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのドメイン、長い細胞質側末端、1;kin of IRRE like 3(ショウジョウバエ);KITリガンド;v−キットハーディ・ズッカーマン4ネコ肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ;カリクレイン関連ペプチダーゼ3;KRIT1、アンキリンリピート含有;低密度リポタンパク質受容体;レプチン受容体;白血病抑制因子;白血病抑制因子受容体アルファ;レクチン、マンノース結合、1;低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質6;マトリックスメタロペプチダーゼ12(マクロファージエラスターゼ);マトリックスメタロペプチダーゼ13(コラゲナーゼ3);マトリックスメタロペプチダーゼ14(膜挿入型);マトリックスメタロペプチダーゼ1(間質コラゲナーゼ);マトリックスメタロペプチダーゼ7(マトリライシン、子宮);マトリックスメタロペプチダーゼ8(好中球コラゲナーゼ);ミエロペルオキシダーゼ;ニューロンナビゲーター2;細胞傷害誘発受容体3;ニューロリギン4、X連鎖;ノギン;副甲状腺ホルモン1受容体;プロテインチロシンホスファターゼ、受容体型、D;プロテインチロシンホスファターゼ、受容体型、F;ポリオウイルス受容体;レニン;リボヌクレアーゼ、RNアーゼAファミリー、3;レナラーゼ、FAD依存性アミンオキシダーゼ;セマフォリン7A、GPI膜アンカー(John Milton Hagen血液型);セルピンペプチダーゼインヒビター、クレードA(アルファ−1抗プロテイナーゼ、アンチトリプシン)、メンバー10;セルピンペプチダーゼインヒビター、クレードC(アンチトロンビン)、メンバー1;セルピンペプチダーゼインヒビター、クレードF(アルファ−2抗プラスミン、色素上皮由来因子)、メンバー1;セルピンペプチダーゼインヒビター、クレードI(ニューロセルピン)、メンバー1;スーパーオキシドジスムターゼ3、細胞外;ソルビトールデヒドロゲナーゼ;ソマトスタチン;suppression of tumorigenicity 14(結腸癌);シナプシンIII;トランスコバラミンI(ビタミンB12結合タンパク質、Rバインダーファミリー);トランスコバラミンII;TEKチロシンキナーゼ、内皮;トランスフェリン受容体(p90、CD71);トランスフェリン;形質転換増殖因子、ベータ1;形質転換増殖因子、ベータ2;形質転換増殖因子、ベータ3;形質転換増殖因子、ベータ受容体1;形質転換増殖因子、ベータ受容体II(70/80kDa);TIMPメタロペプチダーゼ阻害因子1;TIMPメタロペプチダーゼ阻害因子2;TIMPメタロペプチダーゼ阻害因子3;トロイド様1;Toll様受容体1;Toll様受容体2;Toll様受容体3;Toll様受容体4;Toll様受容体5;腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー10b;腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー13C;腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー1A;腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー1B;腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー4;腫瘍壊死因子;トリプターゼベータ2(遺伝子/偽遺伝子);甲状腺刺激ホルモン受容体;トランスサイレチン;タビーホモログ(tubby homolog)(マウス);タビー様タンパク質1(tubby like protein 1);血管細胞接着分子1;血管作動性腸ペプチド受容体2;プレB細胞1;Vセットおよび免疫グロブリンドメイン含有4;キサンチンデヒドロゲナーゼ;およびチロシル−tRNA合成酵素
からなる群から選択される標的に結合する。
【0025】
さらなる態様において、前記リガンドは、上記の第3の態様の方法に従って調製される。
【0026】
さらなる態様において、本発明はまた、疾患、好ましくは炎症状態、アレルギー性過敏症、がん、細菌性もしくはウイルス感染、または自己免疫障害の治療における上記のリガンドの使用も企図する。
【0027】
本発明はまた、標的に結合することができる上記のようなリガンドを同定する方法であって、
(i)複数の上記のようなリガンドを用意するステップと、
(ii)前記複数のリガンドを、標的と接触させるステップと、
(iii)前記標的に結合するこれらのリガンドを選択するステップと
を含む方法を含む。
【0028】
リガンドを同定する前記方法は、前記リガンドのポリペプチド成分の配列を決定するステップをさらに含んでもよい。
【0029】
リガンドを同定する前記方法は、前記標的に結合することができるものとして単離されたリガンドを大量に製造するステップをさらに含んでもよい。上記のようなリガンドを同定する方法によって単離されたまたは同定されたポリペプチド−分子足場コンジュゲートリガンドを大量に製造するさらなるステップを追加してもよい。前記製造は、分子足場をポリペプチドに付着させるステップを含み、前記ポリペプチドは、遺伝子組換えによって発現される、または化学的に合成される。前記方法は、ポリペプチドのN末端またはC末端の1つまたは複数においてポリペプチドを伸長させるステップをさらに含んでもよい。前記方法は、前記ポリペプチド−分子足場コンジュゲートリガンドをさらなるポリペプチドにコンジュゲートさせるステップをさらに含んでもよい。
【0030】
ポリペプチド−分子足場コンジュゲートリガンドのさらなるポリペプチドへのコンジュゲーションは、
(i)ポリペプチドに、分子足場への結合の後、さらなるシステインを付加するステップと、
(ii)前記ポリペプチドを、前記さらなるシステインへのジスルフィド結合を介して、前記さらなるポリペプチドにコンジュゲートさせるステップと
によって実施してもよい。
【0031】
本発明のさらなる態様は、少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成する、リガンドの標的を選択する、コンピューターにより実現される方法であって、
(a)(i)約1000〜3000Å
3の容積、および
(ii)少なくとも1つの溶媒露出末端
の特徴を備える、少なくとも1つのポケットを含むタンパク質を同定するために、ポリペプチド構造のデータベースを調べるステップと、
(b)前記データベースにおいて、(a)に定義されたポケットを少なくとも1つ含むタンパク質の第1のセットを同定するステップと、
(c)タンパク質の前記第1のセットを、タンパク質−タンパク質相互作用に関与するタンパク質ドメインのデータベースと比較するステップと、
(d)タンパク質の前記第1のセットにおいて、別のタンパク質との相互作用に寄与すると推定されているドメイン中に位置する少なくとも1つのポケットを含む1つまたは複数のタンパク質を同定するステップと
を含む方法を含む。
【0032】
本発明はまた、上記のリガンドの標的を選択する、コンピューターにより実現される方法を実行するシステムも企図する。
【0033】
本発明はまた、製薬としての本発明のポリペプチドリガンドの使用も企図する。
【0034】
本発明はまた、治療または診断の方法における本発明のポリペプチドリガンドの使用も企図する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
別段の定義がない限り、本明細書において使用する技術および科学用語はすべて、ペプチド化学、細胞培養およびファージディスプレイ、核酸化学、ならびに生化学などの技術分野の技術者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。分子生物学、遺伝的および生化学的方法については、参照により本明細書に組み込まれている標準的技術を使用する(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd ed., 2001, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY;Ausubel et al., Short Protocols in Molecular Biology (1999) 4
th ed., John Wiley & Sons, Inc.を参照されたい)。
【0036】
本発明は、ポリペプチドリガンドの標的を選択する方法、前記標的、前記リガンド、ならびに前記標的およびリガンドの使用方法および製造方法に関する。
【0037】
最も好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成する、リガンドの標的を選択する方法であって、
(a)(i)約1000〜3000Å
3の容積、および
(ii)少なくとも1つの溶媒露出末端
の特徴を備えるポケットの存在について、1つまたは複数のタンパク質をスクリーニングするステップと、
(b)(a)に定義されたポケットを少なくとも1つ有する少なくとも1つのタンパク質を選択するステップと
を含む方法に関する。
【0038】
<リガンド>
本明細書において使用する場合、「リガンド」という用語は、任意の分子、分子の一部、イオン、原子、モチーフ、抗体、エピトープ、受容体、またはそれらの任意の部分に結合する、イオンまたは分子を指す。本発明において使用されるリガンドは、好ましくはペプチドを含み、またはペプチドからなり、ほとんどの実施形態ではポリペプチドである。
【0039】
(ポリ)ペプチド「リガンド」または(ポリ)ペプチド「コンジュゲート」(本明細書において、文脈上、単に「ペプチド」または「ポリペプチド」呼ばれることもある)は、本明細書において言及される場合、分子足場に共有結合したポリペプチドを指す。典型的には、そのようなポリペプチドは、足場への共有結合を形成することができる2つ以上の反応性基と、ペプチドが足場に結合される際にループを形成するため「ループ配列」と呼ばれる、前記反応性基間に内在する配列とを含む。本発明の場合、ポリペプチドリガンドは、少なくとも3つの反応性基を含み、足場上で少なくとも2つのループを形成する。
【0040】
本発明のポリペプチドリガンドは、天然に存在し得る。好ましくは、本発明のポリペプチドリガンドは、合成されたものであり、または天然に存在するポリペプチドリガンドから改変されたものである。
【0041】
本明細書で使用される「タンパク質」という用語は、技術分野における一般的な意味をとり、誘導体化されたタンパク質、膜タンパク質、細胞骨格タンパク質、および細胞質タンパク質を含む。タンパク質は、天然アミノ酸および合成アミノ酸を含む、任意の数のアミノ酸を含む。いずれのポリペプチドもまた、タンパク質に相当する。
【0042】
好ましくは、ポリペプチドリガンドは、Bicycle(登録商標)である。
【0043】
一実施形態において、本発明の方法において使用されるペプチドリガンドは、少なくとも1000〜2500Å
3、より好ましくは、少なくとも1250〜2500Å
3、最も好ましくは、少なくとも1400〜2200Å
3の容積を有する標的ポケットと相互作用する。
【0044】
一実施形態において、本発明の方法において使用されるペプチドリガンドは、少なくとも700〜1500Å
2、最も好ましくは900〜1300Å
2の面積を有する。
【0045】
本明細書において使用する場合「反応性基」という用語は、分子足場と共有結合を形成することができる基を指す。典型的には、反応性基は、ペプチドリガンド上のアミノ酸側鎖上に存在する。例としては、システイン、リジン、およびセレノシステインなどのアミノ含有基がある。
【0046】
「特異性」という用語は、本明細書の文脈において、リガンドが、その同系の標的に類似する実体を除いて、該標的と結合する能力またはそうでなければ相互作用する能力を指す。例えば、特異性は、リガンドが、様々な種由来の相同な酵素ではなくヒト酵素の相互作用を阻害する能力を指すことができる。本明細書に記載の手法を使用して、リガンドが目的の標的のホモログまたはパラログとより多くまたはより少なく相互作用できるようにするように、特異性を調節する、すなわち高め、または低めることができる。特異性は、活性、親和性、または結合力と同義であるとは意図されておらず、標的に対するリガンドの作用の能力(例えば、結合親和性または阻害のレベルなど)は、必ずしもその特異性に関連しない。
【0047】
「結合活性」という用語は、本明細書において使用される場合、結合アッセイから得られた定量的な結合測定値を指す。したがって、結合活性は、所定の標的濃度で結合するペプチドリガンドの量を指す。好ましい標的結合は、主要な結合アッセイにおいて10〜20マイクロモル程度である。開発され親和性成熟した分子は、向上した親和性を有して結合することができる。
【0048】
結合活性またはその他の所望の活性などの活性に関するスクリーニングは、当技術分野で公知の方法、例えばファージディスプレイ技術に基づく方法に従って行われる。例えば、固相に固定化した標的を使用して、レパートリーの結合メンバーを同定し、単離することができる。スクリーニングによって、所望の特性に応じてレパートリーのメンバーを選択することが可能となる。
【0049】
ポケットの存在についてのタンパク質のスクリーニングは、まず、インシリコによって行うことができる。
【0050】
多重特異性は、2つ以上の標的に結合する能力である。典型的には、結合ペプチドは、それらの立体構造の性質によって、抗体の場合のエピトープなど、1つの標的に結合することができる。しかしながら、ペプチドは、2つ以上の標的に結合することができる、例えば二重特異性抗体として開発することができる。本発明において、ペプチドリガンドは、2つ以上の標的に結合可能であり得、したがって、多重特異性である。好ましくは、それらは、2つの標的に結合し、二重特異性である。この結合は、独立的であってもよく、これは、ペプチド上の標的への結合部位が、どちらかの標的の結合によって構造上妨害されないことを意味することになる。この場合、両標的は、独立して結合され得る。より一般的には、一方の標的の結合は、他方の結合を少なくとも部分的に妨害することが予想される。
【0051】
本明細書において使用され、さらに下記に定義される「分子足場」という用語は、本発明において使用されるようなペプチドリガンドと多数箇所で結合して、ペプチドリガンドに1つまたは複数の構造的特徴を付与することができるあらゆる分子を指す。これは、単にジスルフィド結合を置換するのみならず、ペプチドに2つ以上の付着箇所を提供するという点で、クロスリンカーではない。好ましくは、分子足場は、足場反応性基と呼ばれる、ペプチドの付着箇所を少なくとも3つ含む。これらの基は、ペプチド上の反応性基と反応して、共有結合を形成することができる。分子足場のための好ましい構造を以下に説明する。
【0052】
<標的>
標的−リガンド複合体は、広い範囲の分子間および分子内−H−結合を示す。β−ヘアピンおよびγ−ターンは、前記複合体に共通の構造的モチーフである。結合のためにポケットへ二環を組み込ませるために、少なくとも1つの溶媒露出末端の利用が可能である。
【0053】
本発明の標的は、少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成する、リガンドに、結合し、またはそうでなければ相互作用する。具体的には、標的は、別のリガンドに結合し、そうでなければBicycle(登録商標)ペプチドと相互作用する。
【0054】
最も好ましくは、標的は、下記に定義されるポケットを有する。
【0055】
好ましくは、標的は、酵素、受容体、増殖因子、補体成分、細胞壁構成成分、ホルモン、凝固因子、抗体、エピトープ、インターロイキン、増殖因子、メタロペプチダーゼ、壊死因子もしくは壊死因子受容体、またはそれらの任意の部分である。
【0056】
最も好ましくは、標的は、
アルファ−2−マクログロブリン;ATP結合カセット、サブファミリーB(MDR/TAP)、メンバー6;ADAMメタロペプチダーゼドメイン17;ADAMメタロペプチダーゼドメイン33;ADAMメタロペプチダーゼドメイン9;アディポネクチン、C1Qおよびコラーゲンドメイン含有;アデノシンA(3)受容体;ベータ3アドレナリン受容体;アグーチ関連タンパク質ホモログ(マウス);アンギオテンシンII受容体、1型;活性化白血球細胞接着分子;アポリポタンパク質E;アポリポタンパク質H(ベータ2グリコプロテインI);アミロイドベータ(A4)前駆体タンパク質;アクアポリン4;アクアポリン5;アミロイド前駆体タンパク質ベータサイト切断酵素1;殺菌性透過性増強タンパク質;補体第1成分、q亜成分、B鎖;補体第1成分、q亜成分、C鎖;補体第1成分、r亜成分;補体第1成分、s亜成分;補体第2成分;補体第6成分;補体第7成分;補体第8成分、ベータポリペプチド;炭酸脱水酵素XII;炭酸脱水酵素IV;炭酸脱水酵素VI;CARTプレプロペプチド;コレシストキニンB受容体;ケモカインCCL11;CD3e分子、イプシロン(CD3−TCR複合体);CD3g分子、ガンマ(CD3−TCR複合体);CD40分子、TNF受容体スーパーファミリーメンバー5;CD8a分子;シチジンデアミナーセ;カドヘリン13、H−カドヘリン(心臓);カドヘリン関連23;補体因子B;補体因子D(アディプシン);補体因子H;絨毛性ゴナドトロピン、ベータポリペプチド;チキナーゼ3様1(軟骨糖タンパク質−39);チキナーゼ、酸性;チキナーゼ1(キトトリオシダーゼ);キマーゼ1、マスト細胞;カルノシンジペプチダーゼ1(メタロペプチダーゼM20ファミリー);コンタクチン1;カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ;カルボキシペプチダーゼA4;カルボキシペプチダーゼB2(血漿);セルロプラスミン(フェロキシダーゼ);カルボキシペプチダーゼN、ポリペプチド1;補体成分(3d/エプスタイン・バーウイルス)受容体2;カテプシンB;カテプシンD;ケモカインCXC受容体4;上皮増殖因子受容体;エラスターゼ、好中球が発現;EPH受容体A2;v−erb−b2赤芽球白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ2、神経/神経膠芽細胞種由来癌遺伝子ホモログ(トリ);v−erb−b2赤芽球白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ3(トリ);v−erb−a赤芽球白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ4(トリ);凝固第X因子;凝固第XI因子;凝固第XIII因子、A1ポリペプチド;凝固第II因子(トロンビン);凝固第II因子(トロンビン)受容体;凝固第III因子(トロンボプラスチン、組織因子);凝固第VII因子(血清プロトロンビン転換促進因子);凝固第VIII因子、凝血促進成分;凝固第IX因子;IgEのFcフラグメント、低親和性II、(CD23)の受容体;IgGのFcフラグメント、高親和性Ia、受容体(CD64);IgGのFcフラグメント、受容体、トランスポーター、アルファ;フィコリン(コラーゲン/フィブリノーゲンドメイン含有レクチン)2(フコリン);フィコリン(コラーゲン/フィブリノーゲンドメイン含有)3(ハカタ抗原);葉酸ヒドロラーゼ(前立腺特異膜抗原)1;濾胞刺激ホルモン、ベータポリペプチド;ガンマ−アミノ酪酸(GABA)B受容体、2;UDP−N−アセチル−アルファ−D−ガラクトサミン:ポリペプチド−N−アセチルガラクトサミン転移酵素2(GalNAc−T2);増殖停止特異的6;群特異成分(ビタミンD結合タンパク質);ガンマ−グルタミルヒドロラーゼ(コンジュガーゼ、ホリルポリ−ガンマ−グルタミルヒドロラーゼ);成長ホルモン1;成長ホルモン受容体;グレリン/オベスタチンプレプロペプチド;胃内因子(ビタミンB合成);胃抑制ポリペプチド受容体;ギャップ結合タンパク質、ベータ2、26kDa;糖タンパク質Ib(血小板)、アルファポリペプチド;糖タンパク質Ib(血小板)、ベータポリペプチド;糖タンパク質VI(血小板);グルコース−6−リン酸イソメラーゼ;グルタミン酸受容体、イオンチャネル型、カイニン酸1;グルタミン酸受容体、イオンチャネル型、カイニン酸2;グルタミン酸受容体、代謝型1;グルタミン酸受容体、代謝型3;グルタミン酸受容体、代謝型5;グルタミン酸受容体、代謝型7;ゲルゾリン;ヘモクロマトーシス;肝細胞増殖因子(ヘパポイエチンA;散乱係数);ヘッジホッグ相互作用タンパク質;主要組織適合性複合体、クラスI、G;ヘパラン硫酸プロテオグリカン2;HtrAセリンペプチダーゼ1;ヒアルロノグルコサミニダーゼ1;インスリン分解酵素;インターフェロン(アルファ、ベータ、およびオメガ)受容体1;インターフェロン(アルファ、ベータ、およびオメガ)受容体2;インターフェロン、ガンマ;インターフェロンガンマ受容体1;インスリン様成長因子1(ソマトメジンC);インスリン様成長因子1受容体;インスリン様成長因子2(ソマトメジンA);インスリン様成長因子2受容体;インスリン様成長因子結合タンパク質1;免疫グロブリン重鎖定常部アルファ1;免疫グロブリン重鎖定常部ガンマ1(G1mマーカー);免疫グロブリン重鎖定常部ガンマ2(G2mマーカー);免疫グロブリン重鎖定常部ガンマ4(G4mマーカー);免疫グロブリン重鎖定常部ミュー;免疫グロブリンカッパ定常部;免疫グロブリンラムダ様ポリペプチド1;インディアンヘッジホッグ;インターロイキン10;インターロイキン10受容体、アルファ;インターロイキン12A(ナチュラルキラー細胞刺激因子1、細胞傷害性リンパ球成熟因子1、p35);インターロイキン12B(ナチュラルキラー細胞刺激因子2、細胞傷害性リンパ球成熟因子2、p40);インターロイキン17A;インターロイキン17F;インターロイキン17受容体A;インターロイキン1受容体、I型;インターロイキン1受容体アンタゴニスト;インターロイキン21受容体;インターロイキン2受容体、アルファ;インターロイキン2受容体、ガンマ;インターロイキン3(コロニー刺激因子、マルチ);インターロイキン4受容体;インターロイキン6受容体;インターロイキン7受容体;インテグリン結合キナーゼ;インスリン受容体;itchy E3ユビキチン・タンパク質リガーゼ;インテグリン、アルファ2b(IIb/IIIa複合体の血小板糖タンパク質IIb、抗原CD41);インテグリン、アルファ4(抗原CD49D、VLA−4受容体のアルファ4サブユニット);インテグリン、ベータ3(血小板糖タンパク質IIIa、抗原CD61);jagged 1;リジル−tRNA合成酵素;キナーゼ挿入ドメイン受容体(III型受容体型チロシンキナーゼ);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのドメイン、長い細胞質側末端、1;キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのドメイン、長い細胞質側末端、2;キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのドメイン、長い細胞質側末端、3;キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのドメイン、長い細胞質側末端、1;kin of IRRE like 3(ショウジョウバエ);KITリガンド;v−キットハーディ・ズッカーマン4ネコ肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ;カリクレイン関連ペプチダーゼ3;KRIT1、アンキリンリピート含有;低密度リポタンパク質受容体;レプチン受容体;白血病抑制因子;白血病抑制因子受容体アルファ;レクチン、マンノース結合、1;低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質6;マトリックスメタロペプチダーゼ12(マクロファージエラスターゼ);マトリックスメタロペプチダーゼ13(コラゲナーゼ3);マトリックスメタロペプチダーゼ14(膜挿入型);マトリックスメタロペプチダーゼ1(間質コラゲナーゼ);マトリックスメタロペプチダーゼ7(マトリライシン、子宮);マトリックスメタロペプチダーゼ8(好中球コラゲナーゼ);ミエロペルオキシダーゼ;ニューロンナビゲーター2;細胞傷害誘発受容体3;ニューロリギン4、X連鎖;ノギン;副甲状腺ホルモン1受容体;プロテインチロシンホスファターゼ、受容体型、D;プロテインチロシンホスファターゼ、受容体型、F;ポリオウイルス受容体;レニン;リボヌクレアーゼ、RNアーゼAファミリー、3;レナラーゼ、FAD依存性アミンオキシダーゼ;セマフォリン7A、GPI膜アンカー(John Milton Hagen血液型);セルピンペプチダーゼインヒビター、クレードA(アルファ−1抗プロテイナーゼ、アンチトリプシン)、メンバー10;セルピンペプチダーゼインヒビター、クレードC(アンチトロンビン)、メンバー1;セルピンペプチダーゼインヒビター、クレードF(アルファ−2抗プラスミン、色素上皮由来因子)、メンバー1;セルピンペプチダーゼインヒビター、クレードI(ニューロセルピン)、メンバー1;スーパーオキシドジスムターゼ3、細胞外;ソルビトールデヒドロゲナーゼ;ソマトスタチン;suppression of tumorigenicity 14(結腸癌);シナプシンIII;トランスコバラミンI(ビタミンB12結合タンパク質、Rバインダーファミリー);トランスコバラミンII;TEKチロシンキナーゼ、内皮;トランスフェリン受容体(p90、CD71);トランスフェリン;形質転換増殖因子、ベータ1;形質転換増殖因子、ベータ2;形質転換増殖因子、ベータ3;形質転換増殖因子、ベータ受容体1;形質転換増殖因子、ベータ受容体II(70/80kDa);TIMPメタロペプチダーゼ阻害因子1;TIMPメタロペプチダーゼ阻害因子2;TIMPメタロペプチダーゼ阻害因子3;トロイド様1;Toll様受容体1;Toll様受容体2;Toll様受容体3;Toll様受容体4;Toll様受容体5;腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー10b;腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー13C;腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー1A;腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー1B;腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー4;腫瘍壊死因子;トリプターゼベータ2(遺伝子/偽遺伝子);甲状腺刺激ホルモン受容体;トランスサイレチン;タビーホモログ(マウス);タビー様タンパク質1;血管細胞接着分子1;血管作動性腸ペプチド受容体2;プレB細胞1;Vセットおよび免疫グロブリンドメイン含有4;キサンチンデヒドロゲナーゼ;ならびにチロシル−tRNA合成酵素
からなる群から選択される。
【0057】
標的は、上記のリストから選択される任意の分子の分子全体、それらの基、またはそれらの一部(活性部位またはエピトープなど)であってもよい。
【0058】
好ましくは、ペプチドリガンドは、標的の活性部位と相互作用し、最も好ましくは、前記活性部位に対して結合する。
【0059】
標的は、ポリペプチドリガンドのための複数の結合部位を有していてもよい。標的は、1つ、または複数の、2つ以上の、3つ以上の、4つ以上の、5つ以上のペプチドリガンドと結合してもよい。前記複数のリガンドは、異なるものであっても、同じものであってもよい。異なるペプチドリガンドの結合は、標的への異なる影響を有していてもよく、または同じ影響を有していてもよい。標的に結合するペプチドリガンドの数を増やすことによって、標的へのペプチドリガンドの作用を高め、または低めることができる。例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト作用が、高められ、または低められ得る。
【0060】
一実施形態において、標的へのポリペプチドリガンドの結合は、アゴニスト作用を有する。別の実施形態において、前記結合は、阻害またはアンタゴニスト作用を有する。別の実施形態において、前記結合は、中立的な作用を有する。
【0061】
<ポケット>
本明細書において使用する場合、「ポケット」という用語は、標的分子の三次元(二次、三次、または四次)構造における切れ込み、窪み、孔、または空間を指す(Ryan G.Coleman and Kim A.Sharp,J Chem Inf Model.,2010,26;50(4):589−603.doi:10.1021/ci900397tを参照されたい)。前記ポケットは、1つまたは複数のリガンドに対する結合親和性を有する。結合は、水素結合、共有結合、イオン結合、またはそれらの任意の組合せなどの、あらゆる種類の結合または会合を介して生じ得る。
【0062】
本発明のポケットは、特異的な物理的特徴を備えている。
【0063】
本発明のポケットは、ペプチドリガンドの幾つかの部分を包含するよう、十分に大きくなければならない。好ましくは、ポケットは、すべてまたはほとんどのペプチドリガンドを包含するよう、十分に大きい。すなわち、ペプチドリガンドは、ポケット内に、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、適合することができる。リガンドは、標的と結合する際、ポケットに少なくとも部分的に埋め込まれる。
【0064】
一実施形態において、本発明の方法の標的のポケットは、少なくとも1000〜2500Å
3、より好ましくは、少なくとも1250〜2500Å
3、最も好ましくは、少なくとも1400〜2200Å
3の容積を備える。
【0065】
一実施形態において、本発明の方法の標的のポケットは、少なくとも700〜1500Å
2、最も好ましくは、少なくとも900〜1300Å
2の面積を備える。
【0066】
一実施形態において、本発明の方法の標的のポケットは、少なくとも30×30×(5〜10)Åの寸法を備える。
【0067】
一実施形態において、ポケットは、少なくとも900Å
2、好ましくは、少なくとも1000Å
2、好ましくは、少なくとも1300Å
2、最も好ましくは、少なくとも1500Å
2の溶媒露出面積を備える。
【0068】
「溶媒露出表面積(solvent accessible surface area)」という句は、溶媒との接触が可能な、タンパク質の二次、三次、または四次構造などの分子の三次元構造の領域を指す。好ましくは、前記溶媒は、液体溶媒、最も好ましくは水性液であり、好ましくは、そのような接触は結合をもたらす。
【0069】
一実施形態において、ポケットは、少なくとも1つの溶媒露出末端を備える。一部の実施形態において、リガンドは、少なくとも1つの溶媒露出末端を備える。
【0070】
上述のように、本発明のリガンドは、本発明のポケットと相互作用する際、好ましくは、ポケット内に少なくとも部分的に埋め込まれる。好ましくは、リガンドの溶媒露出面積の1/3〜2/3がポケットに埋め込まれる。
【0071】
ポケットは、標的の様々なドメイン中に位置し得る。標的のポケットは、生物学的な関連性がある傾向がある。例えば、ポケットは、酵素活性部位またはそれらの部分、他のもしくは複数のリガンドのための結合部位またはそれらの部分、およびタンパク質−タンパク質相互作用部位またはそれらの部分を含み得る。
【0072】
本発明の一態様は、ポケットが、別のタンパク質とのタンパク質−タンパク質相互作用に関与するタンパク質ドメイン中に位置するかどうかを、決定するステップを含む方法である。この決定は、例えばNMR、質量分析法、X線結晶学、振動分光法、電子顕微鏡法、クライオ電子顕微鏡法、もしくはバイオインフォマティクス(インシリコ)法、またはそのような方法の任意の組合せを含む、当技術分野における任意の妥当な方法によって行ってもよい。
【0073】
<方法の説明において使用されるその他の用語>
本明細書において使用される「接触させる」という用語は、ある分子を、好ましくは溶媒を介して、別の分子と物理的に接触させるという、当技術分野において一般的な意味をもつ。
【0074】
本発明において使用され、または創製される任意のリガンド、標的、またはその他のタンパク質の、任意のポリペプチド成分のアミノ酸配列の決定は、任意の好適な技術を使用して行うことができる。技術には、質量分析法、エドマン分解法、およびバイオインフォマティクス法が含まれる。
【0075】
本発明の任意の態様において使用され、同定され、または創製されるポリペプチド、タンパク質、アミノ酸、またはその他の分子を「合成すること」は、任意の好適な技術を使用して行うことができる。ポリペプチドは、生物学的に合成してもよい。ペプチド合成は、好ましくは、Peptide Instruments製のSymphonyペプチド合成装置を使用する、Fmoc化学に基づく。
【0076】
本明細書において使用される「反応する」という用語は、あらゆる化学反応を指す。好ましくは、化学反応は、化学結合、好ましくは水素または共有結合を形成する反応である。
【0077】
本明細書において使用される「製造する」という用語は、該用語が適用される品目を作製または創製することを指す。
【0078】
<ライブラリー>
一実施形態において、本発明は、標的タンパク質を、(好ましくは請求項1に定義された)リガンドのライブラリーに暴露し、標的タンパク質に結合する1つまたは複数のリガンドを選択するステップを含む方法を提供する。
【0079】
本明細書において使用される「ライブラリー」という用語は、異種のポリペプチドまたは核酸の混合物を指す。ライブラリーは、同一ではないメンバーから構成される。この程度まで、ライブラリーは、レパートリーと同義である。ライブラリーメンバー間の配列の違いが、ライブラリー中に存在する多様性を担っている。ライブラリーは、ポリペプチドまたは核酸の単純な混合物の形態をとっていてもよく、または、核酸のライブラリーで形質転換された、例えば、細菌、ウイルス、動物、または植物細胞などの生物または細胞の形態であってもよい。好ましくは、個々の生物または細胞は、それぞれ、1つまたは限定された数のライブラリーメンバーだけを含有する。
【0080】
一実施形態において、核酸によってコードされているポリペプチドを発現させるために、核酸は、発現ベクターに組み込まれる。好ましい態様において、したがって、ライブラリーは、宿主生物の集団の形態をとっていてもよく、それぞれの生物は、対応するポリペプチドメンバーを産生するために発現させることができる核酸形態で、ライブラリーの1つのメンバーを含有する発現ベクターの1つまたは複数のコピーを含有している。よって、宿主生物の集団は、遺伝学的に多様なポリペプチドバリアントの大きなレパートリーをコードする潜在力を有する。
【0081】
一実施形態において、核酸のライブラリーは、ポリペプチドのレパートリーをコードする。ライブラリーの各核酸メンバーは、好ましくは、ライブラリーの1つまたは複数のその他のメンバーに関連した配列を有する。関連した配列とは、ライブラリーの少なくとも1つのその他のメンバーに対して、少なくとも50%同一性、例えば少なくとも60%同一性、例えば少なくとも70%同一性、例えば少なくとも80%同一性、例えば少なくとも90%同一性、例えば少なくとも95%同一性、例えば少なくとも98%同一性、例えば少なくとも99%同一性を有するアミノ酸配列を意味する。同一性は、参照配列の、少なくとも3アミノ酸、例えば少なくとも4、5、6、7、8、9、もしくは10アミノ酸、例えば少なくとも12アミノ酸、例えば少なくとも14アミノ酸、例えば少なくとも16アミノ酸、例えば少なくとも17アミノ酸が連続した区分または全長にわたって判断され得る。
【0082】
本発明において使用されるライブラリーは、例えばWO2004/077062に記載の当技術分野において既知の技術、または本明細書に記載したようなファージベクターシステムを含む生物学的システムを使用して構築してもよい。その他のベクターシステムが当技術分野において既知であり、その他のファージ(例えば、ファージラムダ)、細菌性プラスミド発現ベクター、酵母ベクターを含む真核細胞ベースの発現ベクターなどが挙げられる。例えば、WO2009/098450またはHeinis,et al.,Nat Chem Biol 2009,5(7),502−7を参照されたい。
【0083】
<分子足場>
分子足場は、例えば、WO2009/098450およびその中で引用された参考文献、特にWO2004077062およびWO2006078161に記載されている。
【0084】
上述のように、「分子足場」という用語は、本発明において使用されるペプチドリガンドを複数箇所において結合させて、ペプチドリガンドに1つまたは複数の構造的特徴を付与することができるあらゆる分子を指すために、本明細書において使用される。
【0085】
分子足場は、小さな有機分子などの低分子であってもよい。
【0086】
一実施形態において、分子足場は、ヌクレオシド、糖、またはステロイドなどの天然の単量体であってもよく、またはこれらに基づいていてもよい。例えば、分子足場は、そのような実体の二量体または三量体などの短い重合体を含んでいてもよい。
【0087】
一実施形態において、分子足場は、毒性が既知である、例えば低毒性の化合物である。好適な化合物の例としては、コレステロール、ヌクレオチド、ステロイド、またはテマゼパムなどの既存の薬物が挙げられる。
【0088】
一実施形態において、分子足場は、高分子であってもよい。一実施形態において、分子足場は、アミノ酸、ヌクレオチド、または炭水化物から構成される高分子である。
【0089】
一実施形態において、分子足場は、ポリペプチドの官能基と反応して共有結合を形成することができる反応性基を含む。
【0090】
分子足場は、アミン、チオール、アルコール、ケトン、アルデヒド、ニトリル、カルボン酸、エステル、アルケン、アルキン、アジド、無水物、スクシンイミド、マレイミド、ハロゲン化アルキル、およびハロゲン化アシルのような化学基を含んでいてもよい。
【0091】
一実施形態において、分子足場は、トリス(ブロモメチル)ベンゼン、特に1,3,5−トリス(ブロモメチル)ベンゼン(「TBMB」)、またはそれらの誘導体を含んでいてもよく、またはそれらからなっていてもよい。
【0092】
一実施形態において、分子足場は、2,4,6−トリス(ブロモメチル)メシチレンである。これは、1,3,5−トリス(ブロモメチル)ベンゼンと同様であるが、ベンゼン環に付着した3つのメチル基を追加的に含有する。このことは、追加されたメチル基がポリペプチドとのさらなる接触を形成し、よってさらなる構造的制約を付与することができるという利点を有する。
【0093】
その他の分子足場としては、1,3,5−トリアクリロイル−1,3,5−トリアジナン(TATA)、N,N’,N”−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)−トリス(2−ブロモアセトアミド)(TBAB)、およびN,N’,N”−ベンゼン−1,3,5−トリイルトリスプロパ−2−エナミド(TAAB)が挙げられる。Chen et al., ChemBioChem 2012,13,1032−1038を参照されたい。好ましくは、分子足場は、構造的に強固な化学基を含む。
【0094】
本発明の方法において使用される分子足場は、本発明の方法において使用されるリガンドのポリペプチドの官能基が分子足場との共有結合を形成できるようにさせる、化学基を含有する。前記化学基は、アミン、チオール、アルコール、ケトン、アルデヒド、ニトリル、カルボン酸、エステル、アルケン、アルキン、無水物、スクシンイミド、マレイミド、アジド、ハロゲン化アルキル、およびハロゲン化アシルを含む幅広い範囲の官能性から選択される。
【0095】
分子足場は、好ましくは、分子足場をポリペプチドに付着させる共有結合の数と対応する分子対称性を有する。好ましくは、分子足場は3回対称の分子対称性を有し、分子足場は3つの共有結合によってポリペプチドに付着される。
【0096】
<コンピューターによる実現>
本発明は、コンピューターにより実現される方法を含む。好ましくは、少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成する、リガンドの標的を選択する、コンピューターにより実現される方法は、
(a)(i)約1000〜3000Å
3の容積、および
(ii)少なくとも1つの溶媒露出末端
の特徴を備える、少なくとも1つの前記ポケットを含むタンパク質を同定するために、ポリペプチド構造のデータベースを調べるステップと、
(b)前記データベースにおいて、(a)に定義された少なくとも1つのポケットを含むタンパク質の第1のセットを同定するステップと、
(c)タンパク質の前記第1のセットを、タンパク質−タンパク質相互作用に関与するタンパク質ドメインのデータベースと比較するステップと、
(d)タンパク質の前記第1のセットにおいて、別のタンパク質との相互作用に寄与すると推定されているドメイン中に位置する少なくとも1つのポケットを含む1つまたは複数のタンパク質を同定するステップと
を含む。
【0097】
本発明のその他の方法もまた、コンピューターにより実現され得る。
【0098】
<医学的使用>
本発明の方法は、疾患、疾患症状、および病状を、治療し、予防し、抑制し、かつ/または改善するために、また診断においても使用してもよい。
【0099】
本発明において使用されるペプチドリガンドは、典型的には、炎症状態、アレルギー性過敏症、がん、細菌性またはウイルス感染、および自己免疫障害(I型糖尿病、乾癬、多発性硬化症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、クローン病、および重症筋無力症を含むが、それらに限定されるわけではない)の予防、抑制、または治療において使用が可能となる。そのようなリガンドの標的を同定するために本発明の方法を使用することは、また、リガンドを使用して治療し、予防し、かつ/または改善され得る疾患を同定することを支援する。
【0100】
施用において、「予防」という用語は、疾患の誘発前の防御組成物の投与を含む。「抑制」とは、誘導事象の後であるが、疾患の臨床的出現の前の、該組成物の投与を指す。「治療」とは、疾患症状が現れた後の防御組成物の投与を含む。
【0101】
本発明のリガンドの標的を選択する方法、または該リガンドを選択する方法を実行した後、病状の症状を治療し、改善し、または回復させるさらなるステップ。好ましくは、これは、ヒトまたは動物の患者を該リガンドで処置することによって実行され得る。本発明のリガンドは、薬物または薬物様分子として使用してもよい。該リガンドは、注射、吸入、経鼻、点眼、経口、または局所投与用に製剤化してもよい。
【0102】
本発明は、したがって、少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成する、リガンドの標的を選択する方法であって、
(a)(i)約1000〜3000Å
3の容積、および
(ii)少なくとも1つの溶媒露出末端
の特徴を備えるポケットの存在について、1つまたは複数のタンパク質をスクリーニングするステップと、
(b)(a)に定義されたポケットを少なくとも1つ有する少なくとも1つのタンパク質を選択するステップと、
(c)医学的処置または診断の方法において、標的に結合するまたは標的と相互作用するリガンドを使用するステップと
を含む方法を含む。
【0103】
本発明の方法を、下記にてさらに考察する。前記方法は、好ましくは、インビトロで行われる。本発明の方法は、インビボで行ってもよい。
【0104】
本発明の方法は、ヒトまたは動物の患者から採取した試料に対して行ってもよい。そのような試料は、例えば、血液、粘液、皮膚、または血漿であってもよい。そのような方法は、好ましくは、診断の方法であり、好ましくは、インビトロで行われ、ヒトまたは動物の体に対して直接実施されるものではない。
【0105】
本発明はまた、医薬における、本発明の方法によって選択されたリガンドの使用も企図する。
【0106】
一般的には、ペプチドリガンドは、薬理学的に適切な担体と共に、精製された形態で利用されることとなる。典型的には、これらの担体には、生理食塩水および/または緩衝化媒体を含む、水性もしくはアルコール性/水溶液、乳濁液、または懸濁液が含まれる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、ならびに乳酸加リンゲル液が含まれる。ポリペプチド複合体を懸濁液中で保つ必要がある場合、好適な生理学的許容アジュバントは、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、およびアルギン酸などの増粘剤から選択され得る。
【0107】
静脈内ビヒクルには、リンゲルデキストロースに基づくビヒクルなどの、液体ならびに栄養補液および電解質補液が含まれる。防腐剤、ならびに抗生物質、酸化防止剤、キレート剤、および不活性ガスなどのその他の添加剤も、存在し得る(Mack(1982)Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th Edition)。
【0108】
本発明のペプチドリガンドは、個々に投与される組成物として、またはその他の薬剤と組み合わせて使用してもよい。これらは、抗体、抗体フラグメント、ならびにシクロスポリン、メトトレキセート、アドリアマイシン、またはシスプラチン、および免役毒素などの様々な免疫療法薬を含み得る。医薬組成物は、本発明の選択された抗体、受容体、もしくはそれらの結合タンパク質と組み合わせた様々な細胞傷害性薬剤またはその他の薬剤の「カクテル」、または異なる標的リガンドを使用して選択されたポリペプチドなど、選択された、異なる特異性を有する本発明によるポリペプチドの組合せを、それらが投与の前にプールされているかどうかに関わりなく含み得る。
【0109】
本発明はまた、疾患、疾患症状、および病状の、治療、予防、抑制、および/または改善のための医薬の製造における本発明のリガンドの使用も企図する。
【0110】
<方法>
本発明の方法は、当技術分野において既知の任意の技術および/または装置を使用して行ってもよい。好ましくは、前記方法は、実験技術を使用して行われる。
【0111】
本発明の第1の方法は、少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成する、リガンドの標的を選択する方法であって、
(a)(i)約1000〜3000Å
3の容積、および
(ii)少なくとも1つの溶媒露出末端
の特徴を備えるポケットの存在について、1つまたは複数のタンパク質をスクリーニングするステップと、
(b)(a)に定義されたポケットを少なくとも1つ有する少なくとも1つのタンパク質を選択するステップと
を含む方法である。
【0112】
また、本明細書において、少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成する、リガンドを選択する方法であって、
(a)請求項1または請求項2に定義されたポケットの存在について、1つまたは複数のタンパク質をスクリーニングし、少なくとも1つのそのようなポケットを有する少なくとも1つのタンパク質を選択するステップ、および
(b)前記少なくとも1つのタンパク質を前記リガンドのうちの1つまたは複数と接触させ、前記タンパク質に結合する少なくとも1つのリガンドを選択するステップ
を含む方法も企図される。
【0113】
本発明の一実施形態は、少なくとも2つのループ配列によって隔てられている少なくとも3つの反応性基を含むポリペプチドと分子足場とを含むリガンドであって、前記分子足場が、少なくとも2つのポリペプチドループが前記分子足場上に形成されるような、前記ポリペプチドの反応性基との共有結合を形成する、リガンドを調製する方法であって、
(a)上記の方法のうちの1つに従って選択されたリガンドの、ポリペプチド成分のアミノ酸配列を決定するステップと、
(b)(a)において決定された配列を有するポリペプチドを合成するステップと、
(c)前記ポリペプチドを分子足場と反応させて、前記リガンドを生成させるステップと
を含む方法を含む。
【0114】
標的に結合することができる、上述の方法のいずれかによるリガンドを同定する方法もまた企図される。前記方法は、
(i)先の方法のいずれかに従って、複数のリガンドを用意するステップと、
(ii)前記複数のリガンドを、標的と接触させるステップと、
(iii)前記標的に結合するこれらのリガンドを選択するステップと
を含む。
【0115】
前記方法は、本方法によって単離されたまたは同定されたポリペプチド−分子足場コンジュゲートリガンドを大量に製造するステップをさらに含んでもよく、好ましくは、前記製造は、分子足場をポリペプチドに付着させることを含み、好ましくは、前記ポリペプチドは、遺伝子組換えによって発現される、または化学的に合成される。
【0116】
リガンドを同定する前記方法は、ポリペプチドのN末端またはC末端の1つまたは複数においてポリペプチドを伸長させるステップを、さらに含んでもよい。
【0117】
リガンドを同定する前記方法は、前記ポリペプチド−分子足場コンジュゲートリガンドをさらなるポリペプチドにコンジュゲートするステップを、さらに含んでもよい。好ましくは、前記コンジュゲーションは、
(i)ポリペプチドに、分子足場への結合の後、さらなるシステインを付加するステップと、
(ii)前記ポリペプチドを、前記さらなるシステインへのジスルフィド結合を介して前記さらなるポリペプチドにコンジュゲートするステップと
によって行われる。
【0118】
本発明の方法は、好ましくは、インビトロで行われる。
【0119】
本発明の方法は、あらゆる試料に対して行うことができる。好ましくは、前記試料は、体液試料である。本発明の方法はまた(上記のような)ライブラリーから標的を選択するために使用してもよい。
【0120】
本発明の方法、または前記方法の幾つかのステップは、コンピューターによって実現され得る。
【0121】
本発明の記載された方法およびシステムの様々な修正および変形は、当業者には本発明の範囲から逸脱することなく明らかとなるであろう。本発明を特定の好ましい実施形態に関連して説明してきたが、特許請求の範囲に記載の発明はそのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことを理解されたい。実際に、生化学およびバイオテクノロジーまたは関連分野における当業者には明らかな、本発明を実施するための記載された態様の様々な修正は、以下の特許請求の範囲内にあるものとする。
【0122】
本発明を、以下の実施例によってさらに説明する。
【国際調査報告】