特表2021-526002(P2021-526002A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-526002(P2021-526002A)
(43)【公表日】2021年9月27日
(54)【発明の名称】回転電気機械の為の固定子
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/18 20060101AFI20210830BHJP
   H02K 3/04 20060101ALI20210830BHJP
【FI】
   H02K1/18 C
   H02K3/04 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2020-567585(P2020-567585)
(86)(22)【出願日】2019年5月17日
(85)【翻訳文提出日】2021年2月2日
(86)【国際出願番号】EP2019062829
(87)【国際公開番号】WO2019233739
(87)【国際公開日】20191212
(31)【優先権主張番号】1854967
(32)【優先日】2018年6月7日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】505337087
【氏名又は名称】モトール ルロワ−ソメー
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】サン−ミッシェル,ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ジャノ,グザヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】トゥルカ,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】プラッセ,セドリック
(72)【発明者】
【氏名】ガス,オリヴィエ
【テーマコード(参考)】
5H601
5H603
【Fターム(参考)】
5H601AA22
5H601CC11
5H601DD01
5H601DD11
5H601DD18
5H601EE18
5H601GA02
5H601GA37
5H601GA38
5H601GA40
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB32
5H601GB49
5H601GC02
5H601GC12
5H601GD02
5H601GD07
5H601GD18
5H601KK14
5H603AA09
5H603BB05
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB01
5H603CC03
5H603CC17
5H603CD02
5H603CD05
5H603CD11
5H603CD12
5H603CD22
5H603CE02
5H603CE05
(57)【要約】
回転電気機械の為の固定子であって、複数の歯と、および該複数の歯の間に延在し外側に向かって径方向に開いているスロットと、を備えている径方向内側のリングと、ここで、材料の複数のブリッジ(27)が、隣接する2つの歯を該隣接する2つの歯の基部において接続し、且つ該スロットの底部を該隣接する2つの歯の間に画定する、該リングと接触して取り付けられている径方向外側のヨークと、ここで、該リング及び該ヨークがそれぞれ、互いに及び/又は1以上のインサートと連携する第1のレリーフ及び第2のレリーフを示す、および該スロット内に分散された様式で配置された巻線とを備えている、前記固定子。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電気機械(1)の為の固定子(2)であって、
複数の歯(23)と、および該複数の歯の間に延在し外側に向かって径方向に開いているスロット(21)と、を備えている径方向内側のリング(25)と、ここで、材料の複数のブリッジ(27)が、隣接する2つの歯を該隣接する2つの歯の基部において接続し、且つ該スロットの底部を該隣接する2つの歯の間に画定する、
該リングと接触して取り付けられている径方向外側のヨーク(29)と、ここで、該リング及び該ヨークがそれぞれ、互いに及び/又は1以上のインサートと連携する第1のレリーフ(40)及び第2のレリーフ(50)を示す、および
該スロット内に分散された様式で配置された巻線(22)と
を備えている、前記固定子(2)。
【請求項2】
該リングに属する該第1のレリーフが、該複数の歯に、特に該ヨークに面する歯の端部、に、置かれている、請求項1に記載の固定子。
【請求項3】
該ヨーク(29)が、該リングの該スロットに面して、該ヨークの内表面に置かれた第3のレリーフ(60)を備えている、請求項1又は2に記載の固定子。
【請求項4】
該リングの該第1のレリーフ(40)が、該ヨークの該第3のレリーフ(60)を切り取った結果である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固定子。
【請求項5】
該スロットが、該ヨークの近くに丸み付けられた角(92)を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固定子。
【請求項6】
該第1のレリーフ及び第2のレリーフがそれぞれ曲率中心を有し、該第1のレリーフの該曲率中心が、該第2のレリーフの該曲率中心に対して、該機械の回転軸に向かってオフセットされている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の固定子。
【請求項7】
該第1のレリーフ及び/又は第2のレリーフが、特に、約180°の角度範囲にわたって、又は180°超、更に好ましくは210°超、又は更には240°超、の角度範囲にわたって延在しうる、円板の一部分の形状を有している、請求項1〜6のいずれか1項に記載の固定子。
【請求項8】
該第2のレリーフが、該歯の端部が置かれる刻み目の形態を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の固定子。
【請求項9】
該第1のレリーフ及び第2のレリーフが、該リングと該ヨークとの間の境界面が起伏形状(99)を有するように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の固定子。
【請求項10】
該第1のレリーフ及び第2のレリーフが、あり継ぎ及びほぞ穴の形状を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の固定子。
【請求項11】
該第1のレリーフ及び第2のレリーフが、ケージに挿入された鍵の形状を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の固定子。
【請求項12】
穴(100)が、該リングと該ヨークとの間の該境界面に作成されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の固定子。
【請求項13】
材料のこれらの複数のブリッジ(27)のうちの少なくとも一部が、該ヨーク(29)が該リング(25)上に取り付けられる際に変形することが可能な、少なくとも1つの変形可能なゾーン(32)を示す、請求項1〜12のいずれか1項に記載の固定子。
【請求項14】
該材料の複数のブリッジ(27)が、該機械の動作中、磁気的に飽和されるゾーンを、特により狭い幅のゾーンを、示す、請求項1〜13のいずれか1項に記載の固定子。
【請求項15】
該スロット(21)は、該巻線(22)、好ましくは実質的に矩形の断面の該巻線(22)、が当接する少なくとも1つの平面部分(30)を有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の固定子。
【請求項16】
複数の該巻線(22)がそれぞれ、横断面が矩形である少なくとも1つの電気導体(34)を備えている、請求項1〜15のいずれか1項に記載の固定子。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の固定子(2)と回転子(1)とを備えている回転電気機械(10)。
【請求項18】
該リング及び該ヨークが、単一の切抜動作において同じ金属薄板から同時に切り抜かれ、該リング及び該ヨークが次に、該第1のレリーフと第2のレリーフとを連携させる為に、該リング及び該ヨークを互いに対してオフセットさせた後に組み立てられる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の固定子を製造する為の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電気機械(rotating electrical machines)に、特にはそのような機械の固定子に、関する。
【背景技術】
【0002】
既知の固定子において、ヨークは、巻線が導入されることを可能にするように、空気間隙に向かって完全に開いているか又は半分開いているスロットを形成する。一般に、該半分開いているスロットは、ばらばらに配置されている円形の横断面の電気導体を受け入れ、一方、該完全に開いているスロットは、配列された様式(arranged manner)で配置された矩形の横断面の電気導体を収容する。
【0003】
日本国特許第2875497号明細書は、ラミネーションがそれらの厚さにおいて薄くされた部分を有する歯付きリングを備えている電気機械の為の固定子であって、ここで、これらの部分が2つの連続する歯の間の空気間隙の側に置かれている、上記固定子に関する。そのような薄くされた部分は、無意味ではない電磁妨害、特に磁束フリンジング(flux fringing)による「磁気」空気間隙の増加、同じ理由による回転子の表面でのより多い鉄の損失、又はさもなくばパーミアンスのばらつきが相対的に急激であることによる振動によるトルクを生じることがある空気間隙に向かう開口を構成する。その上、それらの中の巻線は、複数の歯の上に巻かれる。
【0004】
日本国特開2011−097723号公報は、ヨークに取り付けられた個々の歯を開示している。
【0005】
仏国特許出願公開第3019947号明細書は、複数の歯を有する歯付きリングを備えている固定子であって、該歯付きリングは、材料の複数のブリッジによって互いに接続され且つコイルを受け入れる為のスロットを複数の歯の間に画定する該複数の歯を備えており、ここで、該スロットが外側に向かって径方向に開いている、上記固定子を記載している。該スロットの開口は、該歯付きリングに取り付けられたヨークによって閉じられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
組み立てが簡単で且つスロットの効率的な充填を可能にすると同時に、満足のいく電磁性能を提供する回転電気機械固定子を有する必要性がある。また、電気機械の該固定子を更に改善すること、特にトルクリップルを低減すること、の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
固定子
本発明は、その観点の1つに従って、この必要性に応答することを目的とし、電気機械の為の固定子であって、
複数の歯と、および該複数の歯の間に延在し外側に向かって径方向に開いているスロットと、を備えている径方向内側のリングと、ここで、材料の複数のブリッジが、隣接する2つの歯を該隣接する2つの歯の基部において接続し、且つ該スロットの底部を該隣接する2つの歯の間に画定する、
該リングと接触して取り付けられている径方向外側のヨークと、ここで、該リング及び該ヨークがそれぞれ、互いに及び/又は1以上のインサートと連携する第1のレリーフ及び第2のレリーフを示す、および
該スロット内に分散された様式で配置された巻線と
を備えている、上記固定子によって、これを実現する。
【0008】
該第1のレリーフ及び第2のレリーフは好ましくは、互いに補完的であり、且つそれらの形状の補完的性質を通じて連携する。該レリーフは、該ヨークが該リングに対して角度的に不動化されることを可能にし、且つ該リング及び該ヨークが、特に円周方向で、好ましくはまた径方向で、互いに相対的に固定されることを可能にする。
【0009】
従って、該リングは、該ヨークによって補強されることができ、これは、該ヨークが材料の複数の細いブリッジで作成されることを可能にし得、それは後に詳述されるように、多数の利点を提供する。そのような構成は、該ヨークと該リングとの間の寄生的な空気間隙を最小限にすることを可能にする。
【0010】
該第1のレリーフ及び第2のレリーフの存在はまた、該リングと該ヨークとの間の境界面の表面積を増加させることを可能にし、従って、該ヨークと該リングとの間の該寄生的な空気間隙を通じて循環する磁束をより良好に分散させることを可能にする。
【0011】
該第1のレリーフと第2のレリーフとの間、及び/又は該1以上のインサートとの間の連携は、全体的又は部分的でありうる。言い換えれば、本発明の範囲から逸脱することなしに、それらそれぞれの形状が正確に同じではないことが可能である。該第1のレリーフ及び第2のレリーフの形状は、互いに正確に補完的ではないことが可能である。
【0012】
該1以上のインサートは、巻線と異なる。該1以上のインサートは好ましくは、磁性であり、且つ導電性でない。
【0013】
隣接する2つの歯をそれらの基部で接続し、且つ該スロットの底部をこれらの歯の間に画定する該材料の複数のブリッジは、該スロットが該空気間隙の側で閉じられることを可能にする。該材料の複数のブリッジ及び該歯は、該リングを構成するラミネーションの残りと一体に形成される。該空気間隙の側で閉じられている該スロットの存在は、該固定子を機械的に補強すること、且つ最小限にされた「コギングトルク」(cogging torque)効果が得られるので、振動を低減することを可能にし、ここで、電磁妨害は、空気間隙上で開いているスロットを有する従来技術の固定子と比較して低減される。
【0014】
「取り付けられたヨーク」によって意味されることは、該ヨークが該リングと一体に生成されず、しかし、該固定子の製造中に該リングに取り付けられることである。
【0015】
ヨーク・リング境界面
該リングに属する該第1のレリーフは、複数の歯に、特に該ヨークに面する歯の端部に、置かれうる。ヨークに属する該第2のレリーフは、該リングの該歯に面する、特には、該第1のレリーフに面して、該ヨークの内表面に置かれうる。それらは特に、該リングのスロットに対して角度的にオフセットされる。
【0016】
該ヨークは、該リングの該スロットに面して、該ヨークの内表面に置かれた第3のレリーフを備えうる。これらの第3のレリーフは特に、該リングの該歯に対してオフセットされる。これらの第3のレリーフは、該ヨークが該リングと接触して取り付けられた場合に、該リングと連携するように構成されない。
【0017】
それらは、固定子を冷却する為の冷却流体のフロー、例えば空気のフロー、の通路の役割を果たしうる。
【0018】
変形例において、該第3のレリーフは、該巻線を該スロットに導入することをより簡単にする、巻線スリップシュー(winding slip shoe)を収容する役割を果たしうる。これらのシューは、その場に残されるか又は除去されうる。そのようなシューはプラスチック材料で作られうる。それらは、該固定子の軸方向寸法全体にわたって又はより短い長さにわたって、延在しうる。
【0019】
更なる変形として、該第3のレリーフは、1以上の温度プローブを収容する役割を果たし得、それらを該スロットに収容する必要性を回避することを可能にし、従って該スロットのより均一な充填を可能にする。該固定子は例えば、3つ〜6つの温度プローブを備えている。
【0020】
最後に、これらの第3のレリーフはまた、含浸用ワニス(varnish)の該固定子内への浸透及び適正な分配を助けうる。
【0021】
該リングの該第1のレリーフは、該ヨークの該第3のレリーフの切り取りを結果として生じうる。該リング及び該ヨークは、単一の切抜動作を使用して、1つの同じラミネーションから同時に切り抜かれうる。該第1のレリーフ及び第3のレリーフは、完全に補完的な形状を有しうる。
【0022】
該第3のレリーフは、該第1のレリーフと該第2のレリーフとの間の良好な連携を可能にし、特に挿入し易くすることを可能にする為に、該第2のレリーフと相似であるが、僅かに大きい形状を有しうる。
【0023】
一つの実施態様において、該第3のレリーフは、該第2のレリーフの径方向寸法よりも大きい、例えば0.1〜20%大きい、更に好ましくは0.2〜10%大きい、又は更には0.3〜5%大きい、径方向寸法を有する。
【0024】
一つの実施態様において、該第3のレリーフは、該第2のレリーフの円周方向寸法よりも大きい、例えば0.1〜20%大きい、更に好ましくは0.2〜10%大きい、又は更には0.3〜5%大きい、円周方向寸法を有する。
【0025】
該第1のレリーフ及び第2のレリーフが、円の一部分によって少なくとも部分的に画定される1つのエッジを有する場合、該第1のレリーフ及び第2のレリーフそれぞれのエッジを画定する円部分の半径の間の差は、0.2〜2.0ミリメートル、更に好ましくは0.3〜1.5ミリメートル、更には0.4〜1.0ミリメートルでありうる。
【0026】
該第1のレリーフ及び第2のレリーフはそれぞれ曲率中心を有しうる。該第1のレリーフの該曲率中心は、適用可能な場合、該第2のレリーフの該曲率中心に対して、該機械の回転軸に向かってオフセットされうる。そのような構成は、該ヨークが該リング上に組み立てられる場合に、該第1のレリーフが外側に引っ張られることを可能にし、従ってリングとヨークとの間に隙間がないことを確保する。このようにして、該歯を接続する該材料の複数のブリッジに張力が施与されるように計画することがまた可能である。
【0027】
該リングの該スロットは、該ヨークの近くに丸み付けられた角を有しうる。
【0028】
該ヨークは、該ヨークの近くに、該リングの該スロットの端部の高さで切れ目を有しうる。これらの切れ目は、該ヨークの近くで該リングの該スロットに丸み付けられた角を作成し、カットアウトが鋭い切り口でバリがないことを可能にする。
【0029】
該第1のレリーフ及び/又は第2のレリーフは特に、約180°の角度範囲にわたって、又は180°超、更に好ましくは210°超、又は更には240°超、の角度範囲にわたって延在しうる、円板の一部分の形状を有しうる。次に、該第1のレリーフ及び/又は第2のレリーフの他方は、対応する形状の、円板の一部分の形状における刻み目の形態を採用する。
【0030】
一つの実施態様において、該第1のレリーフ及び第2のレリーフはそれぞれ、該機械の該回転軸の周りで連続して、円板の一部分の形状、又は円板の一部分の形状における刻み目の形状を交互に採用しうる。上記円板の一部分又は該対応する刻み目は、約180°の角度範囲にわたって、又は180°超、更に好ましくは210°超、又は更には240°超、の角度範囲にわたって延在しうる。
【0031】
変形例において、全ての第1のレリーフは、該第2のレリーフの刻み目内へと突出する。そのような実施態様において、該第1のレリーフは円板の一部分の形状を有し、及び、該第2のレリーフは、円板の一部分の形状における刻み目の形状を有する。
【0032】
該第2のレリーフは、該歯の端部が置かれる刻み目の形態を有しうる。この場合、該歯の端部は該リングの該第1のレリーフを構成する。該刻み目は、該歯の自由端における幅に実質的に等しい、特にそれよりも僅かに大きい、幅を有しうる。該歯の自由端は僅かに面取りされて、それらが該ヨークの該刻み目に入るのをより簡単にしうる。該歯の自由端において、該歯のエッジは、該機械の該回転軸から距離が離れる方向で僅かに収束しうる。
【0033】
該第1のレリーフ及び第2のレリーフは、該リングと該ヨークとの間の該境界面が起伏形状を有するように構成されうる。
【0034】
該第1のレリーフ及び第2のレリーフは、あり継ぎ(dovetail)及びほぞ穴の形状を有しうる。該あり継ぎは、丸み付けられた角を有しうる。一つの実施態様において、該リングの該第1のレリーフは、あり継ぎ形状を有しうる。
【0035】
該第1のレリーフ及び第2のレリーフは、ケージに挿入された鍵の形状を有しうる。該第2のレリーフは、該第1のレリーフの丸み付けられたケージに嵌合する丸み付けられた突起を備えうる。該ケージは、2つの分岐によって境界を定められ得、該分岐は該第2のレリーフが挿入される際に分かれていても又は分かれていなくてもよい。該第1のレリーフは、特に該丸み付けられたケージのどちらかの側に、1以上の開口を備えうる。これらの開口は前述の分岐の中央に作成されうる。変形として、円錐形のツールを該固定子の端部で、前述のケージのうちの1つ、幾つか、又は全てに挿入して、該分岐が互いから分かれ、ヨークとリングとの間でアセンブリを係止することが可能である。
【0036】
穴は、該リングと該ヨークとの間の該境界面に作成されうる。これらの穴は、該固定子を冷却する為の冷却流体の流れ、例えば空気の流れ、の通路の役割を果たしうる。変形例において、それらは、該固定子を保持する為の貫通ボルトの通路の役割を果たしうる。
【0037】
材料の複数のブリッジ
該複数のスロットの間に形成される該複数の歯は、材料の複数のブリッジによって、該空気間隙の側で互いに接合される。従って、各スロットは、固定子物体の2つの連続する歯を共に接続する材料の複数のブリッジによって、該空気間隙の側で閉じられる。該材料の複数のブリッジはそれぞれ、隣接する2つの歯を該複数の歯の基部において該空気間隙の側で接続し且つそれらの複数の歯の間に該スロットの底部を画定する。
【0038】
該材料の複数のブリッジは、隣接する複数の歯と一体である。
【0039】
該空気間隙に向かう該スロットの開口がないことは、電磁妨害を生成すること、特に磁束フリンジングによる「磁気」空気間隙を増加、同じ理由による該回転子の表面でのより多い鉄を損失すること、又は脈動トルクを回避すること、を可能にする。該機械の電磁性能は、それによって改善される。
【0040】
変形可能なゾーン
材料のこれらの複数のブリッジのうちの少なくとも一部は、該ヨークが該リング上に取り付けられる際に及び/又は該巻線が該スロットに挿入される際に変形することが可能な少なくとも1つの変形可能なゾーンを示しうる。
【0041】
「変形可能なゾーン」によって意味されることは、該材料のブリッジが接続する該歯の相対的な移動すると、好ましくは変形する、該材料のブリッジのゾーンである。該材料のブリッジの変形は、該材料のブリッジの円周方向寸法の延長又は短縮をもたらし得、これは、該リングの円周方向寸法の延長又は短縮をもたらす。好ましい変形は、該ブリッジに与えられる特定の形状の結果でありうる。
【0042】
該変形可能なゾーンは、該リングが該ヨークと組み立てられる際に、該リングによって経験される機械的応力に応答することを可能にする。加えて、望ましい場合、該ヨークを取り付ける前に広く開いているスロットを有すること、そしてそれ故に、該巻線が挿入される際に、該巻線と該スロットの壁との間のより大きい隙間を可能にし、それによって巻線の挿入をより容易にし且つ該絶縁材に対する損傷の危険性を低減する。
【0043】
該ヨークは、該リングの該スロットを閉じ且つ該スロットに挿入された後に該巻線を該スロット内で保持することができる。該固定子の製造中、該ヨークは、多数の様式で該リングと組み立てられうる。該材料の複数のブリッジの該変形可能なゾーンは、該リングに特定の柔軟度を与えることによってこの組み立てを容易にし、それは、該ヨークの取付け中に該ヨークの形状に適合させることを可能にし、それは、より剛性であり、形状を与える。
【0044】
該リング及び該ヨークをそれらの間に隙間を有して組み立て、そして次に、この隙間を低減する為に、該変形可能なゾーンのおかげで、該リングを変形することによってその直径を増加させることがまた可能である。
【0045】
加えて、該材料の複数のブリッジの存在は、該固定子全体がラッカーに含浸されている場合に、該空気間隙でのラッカーの損失の危険性を低減する。これは、洗浄の必要性を低減することを可能にする。
【0046】
それはまた、該固定子が取り付けられる該機械の動作中、該空気間隙内への該ラッカーの漏れを低減することを可能にする。これは、該機械のメンテナンスを単純化する。
【0047】
語「ラッカー」は、本明細書において広く理解されるべきであり、任意のタイプの含浸材料、特にポリマー、を包含する。
【0048】
該変形可能なゾーンは好ましくは、該材料のブリッジと、対応する該巻線との間にクリアランスを形成し、それは、該固定子を含浸する場合に該ラッカーが浸透するのをより簡単にしうる場合がある。
【0049】
該ヨークが組み立てられた後、該スロットは閉じられるので、含浸用ラッカーが該空気間隙内に漏れる危険性を排除する。該固定子は、単純に該固定子の端部のみで封止することによって、閉じられた含浸チャンバとして使用されることができる。従って、工具は単純化される。これはまた、失われるラッカーの量及び洗浄作業を低減する。
【0050】
低減された透磁率のゾーン
該材料の複数のブリッジは、該機械の動作中、磁気的に飽和されているゾーンを示しうる。次に、これは該回転子から該固定子への磁束の通過を何らかの形で防ぐことなしに、1つのスロットから別のスロットへの該磁束の通過を制限する。
【0051】
飽和を得る為に、例えば、少なくとも1つの溝によって形成された少なくとも1つの局所化された制限部(localized restriction)を提供することによって、該磁束の通過に利用可能である、該材料のブリッジの断面を低減することが局所的に可能である。
【0052】
材料の複数のブリッジのうちの少なくとも幾つか、更に好ましくは全て、がそれぞれ、下記の形態のうちの1以上を想定する、低減された透磁率の少なくとも1つのゾーンを示しうる:
該材料のブリッジの厚さの中にある該固定子の長手方向軸に沿って延在する少なくとも1つの溝によって形成された少なくとも1つの局所化された制限部(restriction)、又は該材料のブリッジの幅の中にある該材料の少なくとも1つの局所化された圧縮部(crushing)、及び/又は、
該材料のブリッジの幅の中にある少なくとも1つの開口、及び/又は、
該材料のブリッジの透磁率を局所的に低減する少なくとも1つの処理部(treatment)、特に該材料のブリッジの幅内で配置された少なくとも1つの処理部。
【0053】
該材料のブリッジの該局所化された制限部、該局所化された圧縮部、該開口、又は該局所化された処理部によって形成される、低減された透磁率のゾーンは、該機械が動作中の場合に、該材料のブリッジの上記ゾーンが磁気的に飽和されることを可能にし、それによって磁束の通過を制限し且つ該機械の効率を増加させる。
【0054】
低減された透磁率のこのゾーンは好ましくは、該リングの厚さ全体にわたって延在する。変形例において、該低減された透磁率のゾーンは、該リングの厚さ以下の長さにわたって延在する。
【0055】
材料の各ブリッジの該低減された透磁率の該ゾーンは好ましくは、該リングの厚さで連続しており、且つ直線的であっても又はなくてもよい。
【0056】
変形例において、該低減された透磁率の該ゾーンは、該リングの厚さにおいて不連続である。
【0057】
例えば、該リングは、材料の複数のブリッジによって複数の歯の基部において空気間隙の側で互いに接続された該複数の歯をそれぞれ有する複数のラミネーションの積層体の形態を取り、該材料の複数のブリッジのうちの少なくとも幾つか、更に好ましくは全て、はそれぞれ、低減された透磁率の少なくとも1つのゾーンを示す。該複数のラミネーションのそれぞれの該材料の複数のブリッジの該低減された透磁率のゾーンは、必ずしも中心に置かれなくてもよい。該複数のラミネーションの積層体の各ラミネーションは一体式でありうる。
【0058】
隣接する少なくとも2つのラミネーションは、互いに対してオフセットされた互い違いの様式で配列された、低減された透磁率の少なくとも2つのゾーンを示し得、部分的に互いに交差していてもよく又がしていなくてもよい。該オフセットされた互い違いの構成は、該リングを構成する該複数のラミネーションの積層体の特定のラミネーションを、特に1つおきのラミネーションを反転することによって、又は該複数のラミネーションをある角度で切抜することによって、又は複数の異なるラミネーションを使用することによって、実現されうる。
【0059】
各ラミネーションは例えば、磁気鋼板、例えば厚さ0.1〜1.5mmの鋼、から切り取られる。該複数のラミネーションは、該積層体内で組み立てられる前に、それらの対向面において電気絶縁性ラッカーで被覆されうる。代替的には、該電気絶縁は、適用可能な場合、該複数のラミネーションの熱処理によって得られうる。
【0060】
好ましくは、該スロットの底部が少なくとも1つの溝を有する場合、該溝は該スロットに向かって開いている。該スロットの該底部は好ましくは、横断方向に方向付けされている支承面、更に好ましくは少なくとも2つの支承面、を示し、該溝の底部はこの又はこれらの面に対して後退させられる。該1以上の支承面は、対応するスロットの径方向軸に対して斜めに方向付けされ得、又は好ましくは、この軸に対して垂直に方向付けされうる。該溝は、該1以上の支承面に対する傾斜において中断を形成する。好ましくは実質的に矩形の断面を有する、対応するスロットに挿入された該巻線は好ましくは、該支承面に当接し、該溝の該底部に対して後退させられる。好ましくは、該巻線は該溝と接触していない。該1以上の支承面は好ましくは、平らである。該スロットの該底部は、該溝を除いて、平らでありうる。これは、該巻線が該スロットの底部に平らに載ることを可能にすることによって、矩形の横断面の巻線の場合に、該スロットの該巻線による良好な充填を可能にする。
【0061】
該スロットの底部における該溝は好ましくは、該材料のブリッジと該対応する該巻線との間に隙間(clearance)を形成し、それは、該固定子を含浸する場合に該ラッカーが浸透することをより簡単にしうる。
【0062】
該材料のブリッジは、上述した通りの少なくとも2つの溝を備えうる。該1以上の溝は、該スロットに対して中心に置かれてもよく又は置かれなくてもよい。
【0063】
該固定子の内表面は好ましくは、回転のシリンダーである。
【0064】
変形例において、該溝は、該固定子の内表面に延在しうる。
【0065】
好ましくは、該複数の溝はそれぞれ、該固定子の軸に垂直な面において断面が曲線の、特に実質的に半円形の断面の、プロファイルを有する。
【0066】
該局所化された圧縮部は、該材料のブリッジの厚さの中で、すなわち該固定子の径方向軸に沿って、実施され得、低減された透磁率を有する局所化された制限部を構成する。該圧縮部は好ましくは、該スロットの底部に溝を形成する。その場合、該局所化された圧縮部は、該溝に関して上記した通りでありうる。
【0067】
変形として、該局所化された圧縮部は、該固定子の厚さの中で、すなわち該固定子の長手方向軸に平行な軸に沿って、実施され得、且つ低減された透磁率を示す。
【0068】
上記開口は好ましくは、該固定子物体の厚さ全体にわたって、該固定子の長手方向軸に沿って延在する。該開口は、断面形状において、楕円形、円形、又は多角形、例えば丸み付けられたエッジを有する多角形、であり得、及び特に矩形であるでありうる。該材料のブリッジは、その幅において単一のみの開口を有することができる。該開口は、該材料のブリッジの中央にありうる。該開口は、そのどちらかの側に1つずつ2つのより薄いゾーンを示し得、該機械が動作中の場合に、該より薄いゾーンは磁気的に飽和される。
【0069】
変形例において、該材料のブリッジは、その幅にわたって複数の微細孔を示す。該微細孔は、該ラミネーションの断面を低減し、該材料のブリッジがより弱い磁束によって磁気的に飽和されることを可能にする。
【0070】
該局所化された処理部は、該磁束に対する該ブリッジの該材料の透磁率を修正することを局所的に可能にする。該局所化された処理部は、該材料のブリッジの幅全体にわたって、又はその一部分のみにわたって延在しうる。この処理部は、金属のグレインの配向を局所的に修正し且つ円周方向で透磁率の低下を引き起こす熱処理部でありうる。
【0071】
代替例において、該熱処理部は、該材料のブリッジのレーザー切断中の材料の劣化と関連付けられる熱応力である。
【0072】
該材料の複数のブリッジは変形不能でありうる。これは、該固定子の剛性を増加させ、且つ該電気機械の寿命を改善する。
【0073】
スロット
該スロットが外側に向かって径方向に開いているという事実は、該スロットの内部に向かう径方向移動によって、該巻線が該スロット内に挿入されることを可能にする。これは、一方では、該スロットの内部へのアクセスがより簡単になる限り、ここで、これらは、完全に開いており且つ内側に向かうのではなく外側に向かうスロットである、また他方では、必要な工具の為に、又は更には巻線機械の為に、該リングの周りで利用可能な空間が、該固定子のボア(bore)内の利用可能な空間よりもはるかに大きい限り、該巻線の設置をより簡単にする。
【0074】
その上、そのような固定子は、該空気間隙に向かって開いているスロットを有する固定子と比較して、電磁気の視点から、多くの利点を提供する。それは、従来技術における該空気間隙上に開いている該スロットの存在に関連付けられる、電磁妨害の大幅な低減を可能にする。その上、該スロットの充填はより簡単である為、充填の程度が改善されることができ、それは、該機械の性能をより一層改善することを可能にする。単位体積当たりのトルクは、増加されることができる。
【0075】
該空気間隙に向かって該スロットの開口がないことは、該スロットの脈動を低減することを可能にする。それによって、該機械の電磁性能が改善される。
【0076】
少なくとも1つのスロット、更に好ましくは全てのスロット、は、相互に平行な対向するエッジを有しうる。その結果、これは、該スロットのより良好な充填度をもたらす。該スロットの幅は好ましくは、スロットの全高にわたって実質的に一定である。
【0077】
少なくとも1つの歯、更に好ましくは全ての歯、は、該固定子の軸に垂直な面内の断面で見られた場合に、台形の全体形状を有しうる。少なくとも1つの歯、更に好ましくは全ての歯、は、該機械の回転軸から離れる方向に広がる発散エッジを有しうる。そのような構成は、磁束の通過に対する障害を補償することを可能にし、該障害は、互いと及び/又はインサートと、ありうる開口と、又は該ヨークと該リングとの間の該境界面での寄生的な空気間隙の存在と連携する該第1のレリーフ及び第2のレリーフの存在と結び付けられうる。該歯の最も短い幅は、密接に接触している、すなわち互いと及び/又はインサートと連携する該第1のレリーフと第2のレリーフの外側である、該ヨークと該リングとの間の該境面のサイズ、又は存在しうる任意のオリフィスのサイズと実質的に同等でありうる。
【0078】
好ましくは、材料の全てブリッジのそれぞれは、少なくとも1つの変形可能なゾーンを有する。これは、より広い値の範囲にわたって該リングの直径を変化させ、且つより均一な磁性を実現することを可能にする。
【0079】
好ましくは、材料の各ブリッジは、単一の変形可能なゾーンを有する。
【0080】
該変形可能なゾーンは、材料の対応するブリッジ内で中心に置かれてもよく又は置かれなくてもよい。
【0081】
好ましくは、各変形可能なゾーンは、該材料のブリッジの両側の一方に、例えば該空気間隙に面する側に、少なくとも1つのチャネル及び反対側から突出するレリーフを画定する折り目(fold)の形態を有する。好ましくは、該チャネルは該空気間隙に向かって開いており、及び、該突出するレリーフは該スロットの底部内へと延在する。
【0082】
好ましくは、該突出するレリーフは、対応するスロットの底部の窪み内へと延在し、ここで、該突出するレリーフは、とりわけ、上記窪みの深さ以下の高さである。これは、該レリーフが該スロットの底部を超えて延在するのを防ぐことを可能にし、それによって該スロットが該巻線で充填するのをより簡単にする。好ましくは、該材料のブリッジが変形された後、該突出するレリーフの高さは、上記窪みの深さ以下のままである。
【0083】
該固定子が回転軸に沿って観察される場合に、変形可能な領域を有する該材料の複数のブリッジは、湾曲しているか又は破線の形態である、とりわけ円弧又はV字の形態である中央軸(median axis)を有しうる。
【0084】
変形例において、該変形可能なゾーンは、該リングが該ヨーク上に取り付けられている場合に及び/又は該巻線が該スロットに挿入されている場合に、伸展によって伸展され且つ変形されて、断面収縮を形成することができる該材料のブリッジのゾーンである。
【0085】
好ましくは、該変形可能なゾーンは、該機械の動作中に、磁気的に飽和される該材料のブリッジのゾーンである。これは、該スロットと該空気間隙との間の電磁束の通過を改善して、高調波を最小限にし、且つ該歯及び該ヨークの脱飽和を通じてより多くのトルクを得ることを可能にする。
【0086】
好ましくは、該スロットそれぞれの底部は、巻線、好ましくは実質的に矩形の巻線、が当接する少なくとも1つの平面部分を有する。該1以上の平面部分は、該スロットの径方向軸に実質的に垂直である。
【0087】
該スロットの底部は、該溝を除いて、平らでありうる。これは、該巻線が該スロットの底部に平らに載ることを可能にすることによって、矩形の横断面の巻線の場合に、該スロットの該巻線による良好な充填を可能にする。
【0088】
変形例において、該スロットの底部は完全に平らであり得、及び、該材料のブリッジは、上記された通り、伸展することによって変形されて断面収縮を形成しうる。
【0089】
該変形可能なゾーン又は該窪みは好ましくは、該材料のブリッジと該対応する巻線との間に隙間を形成し、それは、該固定子を含浸する場合にラッカーが浸透するのをより簡単にしうる。
【0090】
該リングは、該材料の複数のブリッジによって接続される歯を有する金属薄板の帯(a strip of sheet metal)を螺旋状に巻くことによって作成され得、ここで、各スロットの対向するエッジは好ましくは、該帯がそれ自体の上に巻かれて該リングを形成する場合に、実質的に相互に平行になる。
【0091】
変形例において、該帯は、幾つかの歯をそれぞれが備えている複数のセクタで形成され得、ここで、該セクタはリンクによって接続され、これらのセクタは金属薄板の帯から切られる。該リンクは柔軟なブリッジであり得、該ブリッジは、該セクタを互いに、及び/又は補完的形状の部分、例えばあり継ぎ(dovetails)及びほぞ穴(mortises)タイプの部分、又は、とりわけ該リングが該ヨークによって圧縮して保持される場合に、互いに当接するようになる補完的なレリーフ、に接続する。該補完的な形状は、様々なセクタが該材料の複数のブリッジのレベルで組み立てられるように、該材料の複数のブリッジ上にありうる。好ましくは、該様々なセクタの該補完的な形状の組み立ては、該材料の複数のブリッジの該変形可能なゾーンから離れて実施される。これは、とりわけ非常に大型の機械の場合に、組み立てをより簡単にする。
【0092】
例えば、窪んだ形状を示すセクタは、隣接するセクタに属する補完的な突出する形状と連携する。
【0093】
変形例において、該リングは、予め切られた(precut)磁気ラミネーションの積層体を備えている。
【0094】
更なる変形例において、該リングは、付加製造を使用して、例えば粉末焼結を使用して、製造される。
【0095】
金属薄板の帯を、その幅がこれを許容する場合は、螺旋状に直接巻くことによって、場合によっては、切り取り時に上記金属薄板の帯に好適なスロットを形成することを又は付加製造によって、例えば粉末焼結によって得られた、予め切られた磁気ラミネーション若しくはスライスを積層することを伴って又は場合によってはそれを伴わずに、この巻線を容易にするように該ヨークが作成されうる。
【0096】
該ヨークの及び該リングの該複数の金属薄板帯は、場合によっては1以上の共通の切れ目を有する同じ1枚の金属薄板の帯から、別個に又は同時に切り抜かれうる。
【0097】
1以上の該金属薄板帯は真っ直ぐに切られ、そして次に曲げられうる。
【0098】
該ヨークは、該巻線が該スロット内に嵌合された後に、該リングに取り付けられる。
【0099】
巻線
該複数の巻線は、集中された(concentrated)様式又は分散された(distributed)様式で該スロット内に配置されうる。
【0100】
「集中された」によって意味されることは、該複数の巻線が単一の歯の周りにそれぞれ巻かれることである。
【0101】
「分散された」によって意味されることは、該複数の巻線のうちの少なくとも1つが、隣接していない2つのスロットを連続して通ることである。
【0102】
好ましくは、該巻線は、とりわけ回転子極の数が8以下の場合に、該スロット内に分散された巻線として配置される。
【0103】
該複数の巻線はそれぞれ、横断面で円形の形状、又は丸み付けられた角を有する多角形の形状、好ましくは矩形の形状、でありうる少なくとも1つの電気導体を備えているが、このリストは網羅的でない。
【0104】
該導体の横断面が円形である場合、該導体は、六角形の積層体の該スロット内に配置されうる。該導体の横断面が多角形である場合、該導体は、径方向に方向付けされた1以上の列で該スロット内に配置されうる。該積層体を最適化することは、より多量の電気導体が該スロット内に配置されることを可能にし得、及びそれ故に、同じ体積でより強力な固定子を得ることを可能にする。
【0105】
該電気導体は、該スロット内にランダムに配置されるか、又はその中に配列されうる。好ましくは、該電気導体は該スロット内に配列される。「配列された」によって意味されることは、該導体が該スロット内にばらばらに配置されるのではなく、規則的な様式で配置されることである。それらは、該スロット内にランダムではなく積層され、例えば、整列された(aligned)電気導体の1以上の列で、特に1つ又は2つの列で、好ましくは単一の列で、配置される。
【0106】
絶縁
該電気導体は好ましくは、絶縁性被覆、特にエナメル、によって、外部から電気的に絶縁される。
【0107】
該巻線は、絶縁によって、とりわけ絶縁の少なくとも1つシートによって、該スロットの壁から離されうる。そのような絶縁のシートは、該スロットに対する該巻線のより良好な絶縁を可能にする。
【0108】
該巻線が、該複数のスロット内へと挿入されるにつれて(ただし、そのうちの幾つかは軸方向ではなく径方向である)、該該導体は、最大限でも該スロットの深さに対応する、該固定子物体の長さと接触して移動する。これは、軸方向の挿入の場合はより少ない機械的応力を生じ、ここで、該導体は、その軸方向寸法に等しい長さにわたって、該固定子物体と接触しての移動にさらされる。好ましくは、各スロットは、少なくとも2つの巻線、とりわけ異なる位相からの少なくとも2つの巻線を受け入れる。これら2つの巻線は径方向で重ねられうる。該2つの巻線は、絶縁の少なくとも1つシートによって、好ましくは絶縁の少なくとも2つシートによって、互いから離されうる。
【0109】
各巻線は幾つかの巻回で形成されうる。
【0110】
変形例において、該巻線は、ピンの形態、とりわけU字形(「Uピン」として知られている)又はI字形の直線(「Iピン」として知られている)であり、及び、その場合、I又はUの形状において、それらの端部が、対応するスロットの外部の導体に溶接された部分を備えている。
【0111】
該固定子は捻られうる(「スキューされる」(skewed)として知られている)。そのような捻れ(skewing)は、該スロット内の該巻線を締めること且つ該スロットの高調波を低減することに寄与する。
【0112】
機械及び回転子
本発明の更なる主題は、上で定義したような固定子を備えている回転電気機械、例えば同期モータ又は同期発電機、である。該機械は、同期又は非同期でありうる。該機械は、リラクタンス機でありうる。該機械は、同期モータを構成しうる。
【0113】
該回転電気機械は回転子を備えうる。該回転子は、巻線型回転子又は永久磁石回転子でありうる。該機械が交流発電機として動作することが意図される場合、該回転子は巻線型回転子でありうる。該機械がモータとして動作することが意図される場合、該回転子は永久磁石回転子でありうる。
【0114】
該機械の製造中、該回転子は、とりわけ巻線中に該固定子の該リングをより剛性にする材料のリンクによって、該固定子の該リングに接続されうる。巻線後又は該固定子ヨークが嵌められた後、該回転子が該固定子に対して回転することを可能にする為に且つ該機械が使用されることを可能にする為に、材料のこれらのリンクが切り離される。該切り離しは、電子ビームを使用して実施されうる。
【0115】
該材料のリンクは、該固定子歯のレベルで、例えば1つおきの歯に、置かれうる。
【0116】
該機械は、相対的に大きいサイズを有しうる。該回転子の直径は、50mm超、より良くは80mm超、であり得、例えば80〜500mmで構成される。
【0117】
該回転子は、該回転軸に沿って延在し且つシャフトの周りに位置付けられる回転子物体を備えうる。該シャフトは、該回転子物体の回転を駆動する為のトルクを伝達する手段を備えうる。
【0118】
該回転子は、オーバーハング有り又は無しで取り付けられうる。
【0119】
該回転子は、軸方向に整列された幾つかの回転子区画、例えば3つの区画、から作られうる。該区画のそれぞれは、隣接する区画に対して角度的にオフセットされうる(これは、「ステップスキュー」(step skew)として知られている)。該回転子は、捻られうる。
【0120】
製造方法及び機械
本発明の更なる主題は、上に定義されたような固定子を製造する方法であり、ここで、該リング及び該ヨークが単一の切り取り動作において同じ金属薄板から同時に切り取られ、次に、該リング及び該ヨークは、該第1のレリーフ及び第2のレリーフを連携させる為に、該リング及び該ヨークを互いに対してオフセットさせた後に組み立てられる。
【0121】
該巻線を該固定子の該リングの該スロット内に挿入するステップが実現されうる。このステップ中、少なくとも1つの巻線が、該固定子の該リングの異なる2つの不連続のスロット内に配置されうる。
【0122】
該方法は、該ヨークが該リング上に取り付けられるときに及び/又は該巻線が該スロットに挿入されるときに、該変形可能な1以上のゾーンを変形させるステップを含みうる。そのような変形は、該リングの直径及び該スロットの幅を変化させうる。
【0123】
該巻線を該スロットに挿入するステップは、該材料の複数のブリッジを延在することによって該スロットを拡幅するような様式で実現されうる。これはまた、該リングの外径の増加をもたらす。これは、該巻線を挿入することをより簡単にする。
【0124】
該巻線は好ましくは、内側への径方向移動によって該スロット内に挿入され、ここで、該スロットは外側に向かって径方向に開いている。
【0125】
該ヨークを該リング上に取り付けるステップは、該材料の複数のブリッジの閉止を通じて、該リングの内径の低減を生じうる。これは、磁極の空気間隙の合計を低減することによって電機性能を改善する為の、該ヨークと該リングとの間の最小限の隙間を維持しながら、該ヨーク及び該リングが組み立てられることを可能にする。
【0126】
好ましくは、該方法は、1以上の共通の切れ目、とりわけ単一の切れ目、を有する同じ金属薄板から、該リング及び該ヨークを同時に切り取るステップを含む。その場合、該ヨークの該リング上への取付けは、該材料の複数のブリッジの閉止によって、該リングの外径の低減を生じうる。これは、該リング及び該ヨークがプレス機を使用して切り抜かれる場合に、応力が生成され、そして次に切り取られた材料が弛緩し、これは該材料が該切抜線を越えて延在し且つそのようなブリッジの非存在下で2つの部分が共通の切れ目に沿って組み立てられることを困難にする為である。
【0127】
該方法は、該ヨークを該リング上に取り付けるステップ後に該リングと該ヨークとの間にありうる隙間を低減させるように、該リングの直径を増加する為に、該変形可能なゾーンを変形させるステップを含みうる。
【0128】
とりわけ、該材料の複数のブリッジが変形可能なゾーンを有さない場合、変形例において、加熱によって該ヨークを拡張させて、又は冷却によって該リングを収縮させて、該ヨークを該リング上に組み立てるのをより簡単にすることが可能である。
【0129】
本発明は、本発明の非限定的な例示的実施態様の下記の詳細な説明を読み且つ添付の図面を研究することにより、よりよく理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
図1図1は、本発明に従って作成される固定子の部分概略斜視図である。
図2図2は、図1の固定子のリングの部分概略斜視図である。
図3図3は、その詳細図である。
図4図4は、図1の固定子を備えている機械の横断面の部分概略図を示す。
図5図5は、この固定子のリングの一部分を概略的に示す。
図6図6は、該機械の変形例の実施形態を概略的に示す。
図7図7は、その詳細図である。
図8図8は、該固定子の他の変形例の実施態様を示す。
図9図9は、該固定子の他の変形例の実施態様を示す。
図10図10は、該固定子の他の変形例の実施態様を示す。
図11図11は、該固定子の他の変形例の実施態様を示す。
図12図12は、該固定子の他の変形例の実施態様を示す。
図13図13は、変形例の実施態様の該ヨークの部分概略斜視図である。
図14図14は、変形例の実施態様の該リングの部分概略斜視図である。
図15図15は、変形例の実施態様の部分概略横断面である。
図16図16は、該固定子の変形例の実施態様を示す。
図17図17は、該固定子の変形例の実施態様を示す。
図18図18は、該固定子の変形例の実施態様を示す。
図19図19は、図18の固定子の部分概略横断面である。
図20図20は、図19のヨークの部分概略横断面である。
図21図21は、該固定子の別の変形例の実施態様を示す。
図22図22は、その詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0131】
図1図5は、回転子1と固定子2とを備えている回転電気機械10を示す。該固定子2は、同期モータの文脈において、該回転子1の回転を駆動する回転磁場を生成することを可能にし、及び、交流発電機の場合に、該回転子の回転が、該固定子の巻線内に起電力を誘起する。
【0132】
下記に示されている例は概略であり、しかも必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【0133】
該固定子2は、径方向内側の歯付きリング25の歯23の間に形成されたスロット21内に配置される巻線22を備えている。該スロットは、外側に向かって径方向に開いており、且つ材料の複数のブリッジ27によって空気間隙の側で閉じられ、ここで、該材料の複数のブリッジ27はそれぞれ、該リング25の2つの連続する歯を互いに接合し、且つこれらの歯の間に該スロットの底部を画定する。
【0134】
該スロット21は、記載されている例において、相互に並行な径方向エッジ33を有し、及び、該機械の回転軸Xに垂直な面内の断面において、実質的に矩形の形状である。
【0135】
該固定子2は、該リング25と接触して取り付けられた径方向外側のヨーク29を備えている。該リング25及び該ヨーク29はそれぞれ、軸Xに沿って積層された磁気ラミネーションのパックで形成され、ここで、該ラミネーションは例えば、同一であり、且つ厳密に重ねられる。該ラミネーションは、クリップ留めによって、リベットによって、タイロッドによって、溶接によって、及び/又は任意の他の技法によって、一緒に保持されうる。該磁気ラミネーションは好ましくは、磁性鋼でできている。
【0136】
図示されている例において、該リング25の該複数の歯23は、図5で見えている通り、該リング25を構成する様々なラミネーションが互いにクリップ留めされることを可能にする補完的なレリーフ56を表面上に有する。
【0137】
代替的には、該リング及び/又は該ヨークは、切り出されて、そしてそれ自体の上に巻かれた金属薄板の帯で形成されうる。
【0138】
該ヨーク29は、形状の連携によって、該リング25上に取り付けられる。該リング25及び該ヨーク29はそれぞれ第1のレリーフ40及び第2のレリーフ50を有し、該第1のレリーフ40及び第2のレリーフ50は、連携して該リング25に対して該ヨーク29を不動化する。これら第1のレリーフ40及び第2のレリーフ50は、角度方向及び径方向の不動化を提供することができる。
【0139】
該第1のレリーフ40は、該ヨークに面する該歯の端部に配置された、該リング25の外表面上に置かれる。
【0140】
該第2のレリーフ50は、該リングの該歯に面する、より特には該第1のレリーフに面する、該ヨーク29の内表面上に置かれる。それらは、該リングの該スロットに対して角度的にオフセットされる。
【0141】
該第1のレリーフ40及び該第2のレリーフ50は、互いを補完し、且つ補完的な形状を通じて連携して、該リング及び該ヨークを互いに相対的に所定位置に保持する。
【0142】
該巻線22は、集中された(concentrated)様式又は分散された(distributed)様式で、好ましくは分散された様式で、該スロット21内に配置されうる。図5に示されている通り、該巻線22の電気導体34は、配列された様式(arranged manner)で該スロット内に配置される。該電気導体34は好ましくは、矩形の平らにされた横断面を有し、且つ例えば単一の列で、径方向に重ねられる。該電気導体34は、エナメル加工されているか又は任意の好適な他の絶縁被覆で被覆される。
【0143】
各スロット21は、異なる位相を有する積層された2つの巻線22を受け入れることができる。各巻線22は、横断面において、実質的に矩形の形状でありうる。
【0144】
各巻線22は、該巻線を、該スロットの複数の壁33及び36並びに異なる位相の該巻線22から絶縁する絶縁シート37によって取り囲まれる。
【0145】
該電気導体22は、該スロット21の外部で巻線22内に組み立てられ且つ絶縁シート27によって取り囲まれ、及び、次に、該絶縁シート37を有する該巻線22は、該スロット21内に挿入される。この動作は、該スロットが外部に向かって径方向に完全に開いているという事実によって、より簡単にされる。
【0146】
図4に示されている該回転子1は、シャフトを取り付ける為の中央開口5を備えており、且つ該回転子の回転軸Xに沿って軸方向に延在する磁気回転子物体3を備えており、ここで、この回転子物体は、例えば軸Xに沿って積層された磁気ラミネーションのパックによって、形成され、該ラミネーションは例えば、同一であり且つ厳密に重ねられる。該回転子1は例えば、該磁気回転子物体3のハウジング8内に配置された複数の永久磁石7を備えている。代替として、該回転子は、巻線型回転子である。
【0147】
該固定子は、以下に記載されている製造方法を使用して得られうる。最初に、該巻線22は、該巻線21を該スロット21の内部に向かって径方向に移動させることによって、該リング25の該スロット21内に挿入される。次のステップにおいて、該ヨーク29は、図1に示されている通り、一方が他方に相対的に軸方向移動することによって該リング27に強制的に取り付けられる。
【0148】
変形例の実施態様において、該ヨークは、図6及び図7に示されている通り、該リングの該スロットに面する、該ヨークの内表面に配置された第3のレリーフ60を備えうる。これら第3のレリーフは、該リングの該歯に対してオフセットされ、且つ該ヨークが該リングと接触して取り付けられ瑠場合に、該リングと連携しない。
【0149】
それらは、該固定子を冷却する為の冷却流体のフロー、例えば空気のフロー、の通路の役割を果たしうる。
【0150】
記載されている例において、該リングの該第1のレリーフ40は、該ヨークの該第3のレリーフ60を切り取った結果である。該リング及び該ヨークは、単一の切抜動作を使用して、1つの同じラミネーションから同時に切り取られうる。切り取り後、2つの結果として得られる金属薄板の帯は、該第1のレリーフを該第2のレリーフと連携させる為に、オフセットされる。記載されている例において、該第1のレリーフ及び第3のレリーフは厳密に補完的な形状を有する。該第1のレリーフと該第2のレリーフとの間の良好な連携を可能にするように、とりわけその中に挿入し易くするように、該第3のレリーフは、該第2のレリーフと相似であるが僅かに大きい形状を有する。
【0151】
最後に、該ヨークは、該ヨークの近傍に、該リングの該スロットの端部のレベルで切れ目70を有する。これらの切れ目70は、該ヨークの近傍において該リングの該スロットに丸み付けられた角を作成し、カットアウトが鋭い切り口であり且つバリがないことを可能にしうる。
【0152】
その上、該ヨークは、該固定子を冷却する為の冷却流体のフロー、例えば空気のフロー、の循環をまた可能にする外部ダクト80を備えている。
【0153】
この例はまた、該回転子1の形態に関して上記に記載されたものとも異なり、この例において、図示されていないコイルを受け入れるように意図された突極1aを備えている。
【0154】
図1図5を参照して記載されている例において、該スロット21の底部35は、該巻線22の形状を多かれ少なかれ補完する形状のものであり、平らである。
【0155】
変形例において、該スロット35の該底部は、図8に示されている通り、窪み40を備えうる。この例において、該スロット21の該底部35は、該窪み40の各側に1つずつあり且つ矩形の巻線22が当接する、2つの平面部分30を有する。該スロット21の該底部35は、フィレット36によって径方向エッジ33に接続される。該窪み40は、該機械の回転軸Xに沿って延在し且つ該スロット21の該底部上で中心に置かれた、長手方向の溝の形態を有する。
【0156】
該窪み40は好ましくは、0.4mm〜1mmからなる、例えば0.6mmに等しい、深さpを有する。
【0157】
該材料の複数のブリッジ27はそれぞれ好ましくは、該スロット21の幅に対応して、それらの円周方向寸法eを変化させ、従って該リング25の平均内径2Rを変化させることを可能にする変形可能なゾーン32を有する。
【0158】
図示されている例において、該変形可能なゾーン32は折り目の形態を有する。
【0159】
該材料の複数のブリッジ27は可変の幅を有し、ここで、該変形可能なゾーン32は最小幅のゾーンである。該材料の複数のブリッジ27の最小幅は好ましくは、0.3mm〜0.6mmで構成され、例えば0.4mmに等しい。
【0160】
図8に示されている通り、各折り目は、該スロット35の該底部の一方の側に、該窪み40内へと延在する該突出するレリーフ42を、空気間隙46の側にチャネル48を画定する。
【0161】
突出するレリーフ42それぞれは、頂点で丸み付けられたリブの形態を有する。それは、該窪みを超えて突出しないように、該窪み40の深さpよりも低い高さhを有する。
【0162】
該チャネル48は、溝の形態を有し、その断面は軸Xに垂直な面内で接地されている。
【0163】
該変形可能なゾーン32が伸展される場合に、該チャネル48及び該突出するレリーフ42は平らになって該材料のブリッジを伸ばし、従って該スロット21を拡幅する。
【0164】
該リング25が圧縮される場合に、該チャネル48及び該突出するレリーフ42は折り重なる。該突出するレリーフ42は、変形前の高さhよりも高い高さhmaxを有し、該窪み40は、窪みの変形前の深さpよりも深い深さpmaxを有し、高さhmaxは、対応する窪み40の深さpmaxよりも低いままである。
【0165】
この固定子は、以下に記載されている製造方法を使用して得られうる。該巻線22は、該巻線21を該スロット21の内部に向かって径方向に移動させることによって、該リング25の該スロット21内に挿入される。該巻線22が挿入される場合に、該スロット21は、該材料の複数のブリッジ27の変形可能なゾーンの変形を通じて拡幅しうる。従って、該リング25の外径は、巻線前よりも大きいものでありうる。次のステップにおいて、該ヨーク29は該リング25に強制的に取り付けられる。この組み立ては、該変形可能なゾーン32の変形によって、該リング25の拡大された外径における低減を生じうる。それ故に、該リングと該ヨークとの間の隙間は最小限である。
【0166】
他の変形例の実施態様において、該スロット21の該底部は、窪みを有さないことができる。その結果、該突出するレリーフは、軸Xに垂直な面上で断面が丸み付けられた形状を有しうる。
【0167】
更なる変形例において、該スロット21の該底部は窪みを有さないことができ、且つ折り目はそれぞれ、該スロット21のこの底部に向かって面するチャネルで形成されることができ、及び、該突出するレリーフは該空気間隙46内へと延在しうる。
【0168】
該チャネル48及び該突出するレリーフ42は、V字形の破線の形態のプロファイルを有し得、及び、該スロット21の該底部は、該スロット21の該径方向エッジ33から始まる該突出するレリーフに向かって減少する幅を有する。
【0169】
該変形可能なゾーンは、収縮部を形成する為に伸展することによって、伸展され且つ変形されることができるゾーンである。伸展される場合に、該変形可能なゾーン32は局所的により薄くなりうる。該ヨークを取り付ける前に、該材料のブリッジ27は、一定の厚さを有しうる。
【0170】
該スロットの該底部は、上述された通り、2つの変形可能なゾーン32を有しうる。
【0171】
上記されている例において、該ヨークと該リングとの間の該境界面は、丸み付けられた角を有するあり継ぎの全体形状を有する該第1のレリーフ及び第2のレリーフから離れた、実質的に円筒形の形状である。
【0172】
図9の実施態様は、該リングの該スロットが該ヨークの近くに丸み付けられた角92を有するという点で、図1図5の実施態様と異なる。該境界面はまた、ヨークとリングとの間の角度位置の設定を更に改善する波形94を形成する。
【0173】
図10に示されている別の変形例の実施態様において、該第1のレリーフ40及び第2のレリーフ50は、この例において鋭角を有する、あり継ぎ(dovetails)及びほぞ穴(mortises)の形状を有する。
【0174】
該第1のレリーフ40及び第2のレリーフ50は、図11に示されている通り、ケージに挿入された鍵の形状を採用しうる。この例において、該第2のレリーフ50は、該第1のレリーフ40の丸み付けられたケージ96に嵌合する、丸み付けられた突起95を備えている。該ケージ96は、2つの分岐97によって境界を定められ得、該分岐は該第2のレリーフ50の該丸み付けられた突起95が挿入される際に分かれていても又は分かれなくていなくてもよい。
【0175】
変形例において、該2つの分岐97は、図11aに示されている通り、径方向に導入されるインサート110の動作の下で分かれうる。
【0176】
図11bの例において、該第1のレリーフ40の該2つの分岐97は、その中心で中空にされた円板の一部分の形状を有する。
【0177】
該第1のレリーフは、図12の変形例に示されている通り、該丸み付けられたケージ96のいずれかの側に、1以上の開口98を備えうる。これらの開口98は、前述の分岐の中央に作成されうる。
【0178】
図13及び図14に示されている変形例の実施態様において、該第1のレリーフ40は、曲率中心の周りに約260°の角度範囲にわたって延在する、円板の一部の形状を有する。該第2のレリーフは、対応する形状の、円板の一部の形状の刻み目の形態を有する。該円板部分の角度範囲は、厳密に180°超、とりわけ180°超〜300°でありうる。
【0179】
図15の変形例は、同様に円板の一部の形状であり且つ約260°の角度範囲にわたって延在する3つのレリーフの存在を通じて、図13及び図14と異なる。
【0180】
図16の実施態様において、該第1のレリーフ40及び第2のレリーフ50はそれぞれ、該機械の回転軸の周りで連続して、円板の一部の形状、又は円板の一部の形状における刻み目の形状を交互に採用する。上記円板部分又は対応する刻み目は、約180°の角度範囲にわたって延在する。
【0181】
該第2のレリーフ50は、図17に示されている通り、歯23の端部が置かれる刻み目の形態を有しうる。この場合、該歯の端部は該リング25の該第1のレリーフ40を構成する。該刻み目は、該歯の自由端における幅よりも僅かに大きい幅を有する。該歯の自由端は僅かに面取りされて、それらが該ヨーク29の刻み目50に入るのをより簡単にする。該歯の自由端では、該歯のエッジは、該機械の回転軸から距離が離れる方向において僅かに収束しうる。
【0182】
図18図20に示されている変形例の実施態様において、該ヨークと該リングとの間の該境界面は波形99を形成する。この目的の為に、該第1のレリーフ40はボス(boss)の形態を有し、及び、該第2のレリーフ50は対応する刻み目の形状を有する。
【0183】
図示されている例において、該リング25の歯23は、該リング25を構成する様々なラミネーションが一緒にクリップ留めされることを可能にする補完的なレリーフ56を表面上に有する。図18のこの例において、補完的なレリーフ56は1つおきの歯に存在する。当然ながら、全ての歯がそのような補完的なレリーフを備えている場合に又はレリーフが例えば2つおき若しくは3つおきの歯に存在する場合に、本発明の範囲からの逸脱を構成するものでない。該ヨークはまた、図20に示されている通りのものを備えうる。
【0184】
これらのレリーフ56は、楕円形の全体形状、例えば矩形、のものであり得、且つ径方向に配向された又は変形例において、円周方向に配向された長軸を有しうる。
【0185】
複数の穴100は、図21及び図22に示されている通り、該リングと該ヨークとの間の該境界面に作成されうる。これらの複数の穴100は、該境界面に鋭いエッジが存在することを回避することを可能にする。該複数の穴100の各側において直線のエッジの間に最大限の接触がある。
【0186】
これら複数の穴100は、該固定子を冷却する為の冷却流体のフロー、例えば空気のフロー、の通過に役立ちうる。変形例において、それらは、該固定子を保持する為の貫通ボルトの通過に役立ちうる。
【0187】
本発明は、該ヨークと該リングとの間の境界面のこれらの例に制限されず、及び、この境界面は更に他の形式で具体化されることができる。
【0188】
表現「〜1つを備えている」は、「少なくとも1つ備えている」と同義であると理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図11a
図11b
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【国際調査報告】