特表2021-526013(P2021-526013A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-526013抗ヒトLAG−3モノクローナル抗体とその応用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-526013(P2021-526013A)
(43)【公表日】2021年9月30日
(54)【発明の名称】抗ヒトLAG−3モノクローナル抗体とその応用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20210903BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20210903BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20210903BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20210903BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20210903BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20210903BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20210903BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20210903BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20210903BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20210903BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20210903BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20210903BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210903BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20210903BHJP
【FI】
   C12N15/13
   C07K16/28ZNA
   C12N15/63 Z
   C12N1/15
   C12N1/19
   C12N1/21
   C12N5/10
   C12N15/62 Z
   C07K19/00
   C12P21/08
   C12P21/02 C
   A61K39/395 T
   A61K39/395 N
   A61P35/00
   A61P35/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】80
(21)【出願番号】特願2020-554402(P2020-554402)
(86)(22)【出願日】2019年4月2日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月2日
(86)【国際出願番号】CN2019081063
(87)【国際公開番号】WO2019192493
(87)【国際公開日】20191010
(31)【優先権主張番号】201810290569.4
(32)【優先日】2018年4月3日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】518419208
【氏名又は名称】シャンハイ ファーマエクスプローラー カンパニー,リミティド
(71)【出願人】
【識別番号】518033554
【氏名又は名称】ファーマエクスプローラー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ニンニン
(72)【発明者】
【氏名】デュアン,チン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,シャオフイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ペン
(72)【発明者】
【氏名】ビアン,シャオジャオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,キアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ペイペイ
(72)【発明者】
【氏名】フアン,ヤジュン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ジアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,メイリン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユアンドン
(72)【発明者】
【氏名】シュー,リナ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,タッチ テディ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,リル
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、LAG−3を標的とする抗体、その調製方法および用途を開示する。具体的に、本発明は、LAG−3を標的とする新しいモノクローナル抗体を開示する。本発明は、前記モノクローナル抗体の調製方法をさらに開示する。本発明のモノクローナル抗体は、LAG−3抗原に高い特異性で結合することができ、高い親和性を有し、有意な抗腫瘍などの活性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体の重鎖可変領域であって、
前記重鎖可変領域は、
配列番号8n+2に示されるCDR1と、
配列番号8n+3に示されるCDR2と、および
配列番号8n+4または配列番号85に示されるCDR3との3つの相補性決定領域CDRを含み、
各nは独立して0、1、2、3、4または5であり、
前記アミノ酸配列のいずれか1つのアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸が任意に追加、削除、修飾および/または置換され、LAG-3の結合親和性を保持できる誘導体配列をさらに含むことを特徴とする、前記抗体の重鎖可変領域。
【請求項2】
抗体の重鎖であって、
前記重鎖は、請求項1に記載の重鎖可変領域を有することを特徴とする、前記抗体の重鎖。
【請求項3】
抗体の軽鎖可変領域であって、
前記軽鎖可変領域は、
配列番号8n+6に示されるCDR1’と、
配列番号8n+7または配列番号84に示されるCDR2’と、および
配列番号8n+8に示されるCDR3’との3つの相補性決定領域CDRを含み、
各nは独立して0、1、2、3、4または5であり、
前記アミノ酸配列のいずれか1つのアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸が任意に追加、削除、修飾および/または置換され、LAG-3の結合親和性を保持できる誘導体配列をさらに含むことを特徴とする、前記抗体の軽鎖可変領域。
【請求項4】
抗体の軽鎖であって、
前記軽鎖は、請求項3に記載の軽鎖可変領域を有することを特徴とする、前記抗体の軽鎖。
【請求項5】
抗体であって、
前記抗体は、
(1)請求項1に記載の重鎖可変領域と、および/または
(2)請求項3に記載の軽鎖可変領域とを有し、
または、前記抗体は、請求項2に記載の重鎖と、および/または請求項4に記載の軽鎖とを有し、
前記アミノ酸配列のいずれか1つのアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸が任意に追加、削除、修飾および/または置換され、LAG-3の結合親和性を保持できる誘導体配列をさらに含むことを特徴とする、前記抗体。
【請求項6】
前記抗体は、請求項1に記載の重鎖可変領域および請求項3に記載の軽鎖可変領域を有し、
前記重鎖可変領域は、
配列番号2に示されるCDR1と、
配列番号3に示されるCDR2と、および
配列番号4に示されるCDR3との3つの相補性決定領域CDRを含み、
前記軽鎖可変領域は、
配列番号6に示されるCDR1’と、
配列番号7または配列番号84に示されるCDR2’と、および
配列番号8に示されるCDR3’との3つの相補性決定領域CDRを含み、
または
前記重鎖可変領域は、
配列番号10に示されるCDR1と、
配列番号11に示されるCDR2と、および
配列番号12に示されるCDR3との3つの相補性決定領域CDRを含み、
前記軽鎖可変領域は、
配列番号14に示されるCDR1’と、
配列番号15に示されるCDR2’と、および
配列番号16に示されるCDR3’との3つの相補性決定領域CDRを含み、
または
前記重鎖可変領域は、
配列番号18に示されるCDR1と、
配列番号19に示されるCDR2と、および
配列番号20に示されるCDR3との3つの相補性決定領域CDRを含み、
前記軽鎖可変領域は、
配列番号22に示されるCDR1’と、
配列番号23に示されるCDR2’と、および
配列番号24に示されるCDR3’との3つの相補性決定領域CDRを含み、
前記アミノ酸配列のいずれか1つのアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸が任意に追加、削除、修飾および/または置換され、LAG-3の結合親和性を保持できる誘導体配列をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号8n+1、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72に示されるアミノ酸配列を含み、および/または前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号8n+5、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82に示されるアミノ酸配列を含み、各nは独立して0、1、2、3、4または5であることを特徴とする、請求項5に記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含み、または
前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、前期抗体の軽鎖可変領域は、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含み、または
前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号17に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含み、または
前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号64に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号74に示されるアミノ酸配列を含み、または
前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号64に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号76に示されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項6に記載の抗体。
【請求項9】
組換えタンパク質であって、
(i)請求項1に記載の重鎖可変領域、請求項2に記載の重鎖、請求項3に記載の軽鎖可変領域、請求項4に記載の軽鎖、または請求項5〜8のいずれか一項に記載の抗体と、および
(ii)発現および/または精製を支援する任意のタグ配列とを含むことを特徴とする、前記組換えタンパク質。
【請求項10】
ポリヌクレオチドであって、
(1)請求項1に記載の重鎖可変領域、請求項2に記載の重鎖、請求項3に記載の軽鎖可変領域、請求項4に記載の軽鎖、または請求項5〜8のいずれか一項に記載の抗体と、および
(2)請求項9に記載の組換えタンパク質との群から選択されるポリペプチドをコードすることを特徴とする、前記ポリヌクレオチド。
【請求項11】
配列番号49、51、53、55、57、59、65、67、69、71または73に示される前記重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド、および/または、
50、52、54、56、58、60、75、77、79、81または83に示される前記軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドである
請求項10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
配列番号49に示される前記重鎖可変領域配列をコードするポリヌクレオチド、配列番号50に示される前記軽鎖可変領域配列をコードするポリヌクレオチド、または
配列番号51に示される前記重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド、配列番号52に示される前記軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド、または
配列番号53に示される前記重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド、配列番号54に示される前記軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドであることを特徴とする
請求項11に記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
担体であって、
本発明の請求項10〜12のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、前記担体。
【請求項14】
遺伝子操作された宿主細胞であって、
請求項13に記載の担体を含むか、またはゲノムに請求項10〜12のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドが組み込まれていることを特徴とする、前記遺伝子操作された宿主細胞。
【請求項15】
医薬組成物であって、
(i)請求項1に記載の重鎖可変領域、請求項2に記載の重鎖、請求項3に記載の軽鎖可変領域、請求項4に記載の軽鎖、または請求項5〜8のいずれか一項に記載の抗体、請求項9に記載の組換えタンパク質、またはそれらの組み合わせの群から選択される有効成分と、および
(ii)薬学的に許容される担体とを含むことを特徴とする、前記医薬組成物。
【請求項16】
有効成分の用途であって、
前記有効成分は、請求項1に記載の重鎖可変領域、請求項2に記載の重鎖、請求項3に記載の軽鎖可変領域、請求項4に記載の軽鎖、または請求項5〜8のいずれか一項に記載の抗体、請求項9に記載の組換えタンパク質、またはそれらの組み合わせの群から選択され、前記有効成分は、LAG−3関連疾患の予防および/または治療の薬物を調製するために使用されることを特徴とする、前記有効成分の用途。
【請求項17】
インビトロ検出サンプル中のLAG-3タンパク質の組成物であって、
請求項5〜8のいずれか一項に記載の抗体、請求項9に記載の組換えタンパク質、またはそれらの組み合わせを有効成分として含むことを特徴とする、前記インビトロ検出サンプル中のLAG-3タンパク質の組成物。
【請求項18】
組換えポリペプチドの調製方法であって、
発現に適した条件下で、請求項14に記載の宿主細胞を培養するステップ(a)と、
培養物から請求項5〜8のいずれか一項に記載の抗体または請求項9に記載の組換えタンパク質である組換えポリペプチドを分離するステップ(b)とを含むことを特徴とする、前記組換えポリペプチドの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学の分野に関し、具体的にLAG−3抗体およびその調製方法と応用に関する。
【背景技術】
【0002】
癌免疫療法は、免疫システムを介して癌に対抗することを目的とする治療方法を指す。近年、癌免疫療法が注目を集めており、手術、化学療法、放射線療法に加え、癌治療の新しい手段となっている。免疫チェックポイントとは、末梢組織における免疫応答の持続性と強度を調節することにより組織の損傷を防ぎ、自己抗原に対する耐性の維持に関与する、免疫系に存在するいくつかの抑制性シグナル経路を指す。免疫チェックポイントの抑制性シグナル伝達経路を使用してT細胞の活性を阻害することは、腫瘍が免疫による死を免れるための重要なメカニズムである。免疫チェックポイントの遮断は、抗腫瘍免疫を活性化する多くの効果的な戦略の1つである。
【0003】
免疫チェックポイントタンパク質の阻害剤は、さまざまな種類の腫瘍(転移性黒色腫、肺癌、乳癌、腎細胞癌など)を治療する可能性がある。最近、癌免疫治療方法に関する研究は、特に転移性癌の症例に対して、有望な結果を示している。さらに、癌免疫治療は、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫などの血液癌の治療に大きな可能性を有する。免疫チェックポイント阻害剤によって引き起こされる副作用は無視でき、可逆的で制御可能であり、効果的な免疫チェックポイント阻害剤は癌患者の全体的な生存を大幅に改善することができる。免疫チェックポイント阻害剤は、標的治療や従来の放射線療法や化学療法と組み合わせて使用することもでき、これらの組み合わせ療法は、さまざまな種類の癌を効果的に治療でき、さまざまな癌の治療または治癒の希望であり得る。
【0004】
リンパ球活性化遺伝子(LAG−3、CD223)は、525個のアミノ酸を有するI型膜タンパク質であり、既知の主要な免疫チェックポイント(Immune Checkpoint)の1つである。研究では、LAG−3−/−C57BL/6マウスが一定の時間内に比較的正常な表現型を示すことが示され、これは、LAG−3が免疫系内での調節的役割が微妙であり、免疫応答に微調整された役割を果たす可能性があることを示している。生体内動物モデル実験では、抗LAG−3抗体を使用したり、LAG−3遺伝子を遺伝子的にノックアウトしたりすると、腫瘍部位の抗原特異的CD8 + T細胞の活性を高め、腫瘍の成長を遮断できることが示されている。Grosso JFらの研究では、LAG−3とヒトプログラムされた死受容体−1(PD−1)が耐性腫瘍浸潤リンパ球に同時発現し、腫瘍が誘導する免疫抑制効果を発揮するように連携していることを示している。マウスのMC38結腸腺癌とSa1N線維肉腫モデルにおける抗LAG−3抗体と抗PD−1抗体の併用は、ほとんどのマウスを治癒できることが証明されており、その治療効果は単一の薬剤よりも優れていることが証明された。
【0005】
現在研究されているLAG−3抗体の数が少ないことに基づいて、治療効果と検出効果をさらに改善するために、より優れた活性、幅広い適応症、および高収量のLAG−3抗体を開発することが急務である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
より優れた活性、幅広い適応症、および高収量のLAG−3抗体を開発するために、本発明は、高い親和性および強い特異性を有するLAG−3抗体およびその調製方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様では、抗体の重鎖可変領域であって、前記重鎖可変領域は、
配列番号8n+2に示されるCDR1と、
配列番号8n+3に示されるCDR2と、および
配列番号8n+4に示されるCDR3との3つの相補性決定領域CDRを含み、
各nは独立して0、1、2、3、4または5であり、
前記アミノ酸配列のいずれか1つのアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸が任意に追加、削除、修飾および/または置換され、LAG−3の結合親和性を保持できる誘導体配列をさらに含む、前記抗体の重鎖可変領域を提供する。
【0008】
別の好ましい例では、前記重鎖可変領域は、配列番号8n+1に示されるアミノ酸配列を有し、ここで、nは、0、1、2、3、4または5である。
別の好ましい例では、前記重鎖可変領域は、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72に示されるアミノ酸配列を有する。
別の好ましい例では、前記重鎖可変領域は、配列番号87、配列番号91、配列番号92、配列番号93に示されるアミノ酸配列を有する。
【0009】
本発明の第2の態様では、抗体の重鎖であって、前記重鎖は、本発明の第1の態様に記載の重鎖可変領域を有する、前記抗体の重鎖を提供する。
【0010】
本発明の第3の態様では、抗体の軽鎖可変領域であって、前記軽鎖可変領域は、
配列番号8n+6に示されるCDR1’と、
配列番号8n+7に示されるCDR2’と、および
配列番号8n+8に示されるCDR3’との3つの相補性決定領域CDRを含み、
各nは独立して0、1、2、3、4または5であり、
前記アミノ酸配列のいずれか1つのアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸が任意に追加、削除、修飾および/または置換され、LAG-3の結合親和性を保持できる誘導体配列をさらに含む、前記抗体の軽鎖可変領域を提供する。
【0011】
別の好ましい例では、前記軽鎖可変領域のVL−CDR2は、配列番号84に示されるアミノ酸配列(405B8H3−1(D→E)のVL−CDR2)を有する。
別の好ましい例では、前記軽鎖可変領域は、配列番号8n+5に示されるアミノ酸配列を有し、ここで、nは、0、1、2、3、4または5である。
別の好ましい例では、前記軽鎖可変領域は、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80または配列番号82に示されるアミノ酸配列を有する。
別の好ましい例では、前記軽鎖可変領域は、配列番号89、配列番号95に示されるアミノ酸配列を有する。
【0012】
本発明の第4の態様では、抗体の軽鎖であって、前記軽鎖は、本発明の第3の態様に記載の軽鎖可変領域を有する、前記抗体の重鎖を提供する。
【0013】
本発明の第5の態様では、抗体であって、前記抗体は、
(1)第1の態様に記載の重鎖可変領域と、および/または
(2)第3の態様に記載の軽鎖可変領域とを有し、
または、前記抗体は、第2の態様に記載の重鎖と、および/または第4の態様に記載の軽鎖とを有し、
前記アミノ酸配列のいずれか1つのアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸が任意に追加、削除、修飾および/または置換され、LAG−3の結合親和性を保持できる誘導体配列をさらに含む、前記抗体を提供する。
【0014】
別の好ましい例では、前記任意のCDRのアミノ酸配列は、1、2または3個のアミノ酸が追加、削除、修飾および/または置換した誘導体CDR配列を含み、前記誘導体CDR配列を含むVHとVLで形成された誘導体抗体がLAG−3の結合親和性を保持できるようにする。
別の好ましい例では、前記誘導体抗体およびLAG−3結合親和性F1と、対応する非誘導体化抗体およびLAG−3結合親和性F0の比率(F1/F0)は、0.5−2であり、好ましくは、0.7−1.5であり、より好ましくは、0.8−1.2である。
【0015】
別の好ましい例では、前記追加、削除、修飾および/または置換されたアミノ酸の数は、1−5個(例えば、1−3個、好ましくは、1−2個、より好ましくは、1個)である。
別の好ましい例では、前記少なくとも1つのアミノ酸が追加、削除、修飾および/または置換され、LAG−3の結合親和性を保持できる誘導体配列は、少なくとも96%の同一性を有するアミノ酸配列である。
別の好ましい例では、前記抗体は、重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域をさらに含む。
別の好ましい例では、前記重鎖定常領域は、マウス由来のものであり、および/または前記軽鎖定常領域は、マウス由来のものである。
別の好ましい例では、前記重鎖定常領域は、ヒト由来であり、および/または前記軽鎖定常領域は、ヒト由来である。
【0016】
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、ヒト由来のフレームワーク領域をさらに含み、および/または前記抗体の軽鎖可変領域は、ヒト由来のフレームワーク領域さらに含む。
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、マウス由来のフレームワーク領域をさらに含み、および/または前記抗体の軽鎖可変領域は、マウス由来のフレームワーク領域をさらに含む。
別の好ましい例では、前記抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、またはそれらの組み合わせの群から選択される。
別の好ましい例では、前記抗体は、突然変異ヒト化抗体である。
【0017】
別の好ましい例では、前記抗体は、CDR領域にD→E突然変異を有するヒト化抗体である。
別の好ましい例では、前記抗体は、VL−CDR2またはVH−CDR3にD→E突然変異を有するヒト化抗体である。
別の好ましい例では、ヒトにおける完全ヒト抗体の免疫原性Z1とヒトにおける非完全ヒト抗体(例えば、マウス抗体)の免疫原性Z0の比率(Z1/Z0)は、0〜0.5であり、好ましくは、0〜0.2であり、より好ましくは、0〜0.05(例えば、0.001〜0.05)である。
【0018】
別の好ましい例では、前記抗体は、部分的または完全にヒト化された、または完全にヒトのモノクローナル抗体である。
別の好ましい例では、前記抗体は、二本鎖抗体、または一本鎖抗体である。
別の好ましい例では、前記抗体は、抗体全長タンパク質、または抗原結合断片である。
別の好ましい例では、前記抗体は、二重特異性抗体、または多重特異性抗体である。
別の好ましい例では、前記抗体は、以下の群から選択される1つまたは複数の特性を有する:
(a)腫瘍細胞の移動または転移を阻害し、
(b)腫瘍の成長を阻害する。
【0019】
別の好ましい例では、前記抗体は、本発明の第1の態様に記載の重鎖可変領域および本発明の第3の態様に記載の軽鎖可変領域を有し、ここで、
前記重鎖可変領域は、
配列番号2に示されるCDR1と、
配列番号3に示されるCDR2と、および
配列番号4に示されるCDR3との3つの相補性決定領域CDRを含み、
前記軽鎖可変領域は、
配列番号6に示されるCDR1’と、
配列番号7または配列番号84に示されるCDR2’と、および
配列番号8に示されるCDR3’との3つの相補性決定領域CDRを含み、
または
前記重鎖可変領域は、
配列番号10に示されるCDR1と、
配列番号11に示されるCDR2と、および
配列番号12に示されるCDR3との3つの相補性決定領域CDRを含み、
前記軽鎖可変領域は、
配列番号14に示されるCDR1’と、
配列番号15に示されるCDR2’と、および
配列番号16に示されるCDR3’との3つの相補性決定領域CDRを含み、
または
前記重鎖可変領域は、
配列番号18に示されるCDR1と、
配列番号19に示されるCDR2と、および
配列番号20に示されるCDR3との3つの相補性決定領域CDRを含み、
前記軽鎖可変領域は、
配列番号22に示されるCDR1’と、
配列番号23に示されるCDR2’と、および
配列番号24に示されるCDR3’との3つの相補性決定領域CDRを含み、
ここで、前記アミノ酸配列のいずれか1つのアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸が任意に追加、削除、修飾および/または置換され、LAG−3の結合親和性を保持できる誘導体配列をさらに含む。
【0020】
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号8n+1に示されるアミノ酸配列を含み、および/または前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号8n+5に示されるアミノ酸配列を含み、ここで、各nは独立して0、1、2、3、4または5である。
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む。
別の好ましい例では、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む。
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む。
別の好ましい例では、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含む。
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号17に示されるアミノ酸配列を含む。
別の好ましい例では、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含む。
【0021】
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含み、または
前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含み、または
前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号17に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含む。
【0022】
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号25に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号29に示されるアミノ酸配列を含む。
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号33に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号37に示されるアミノ酸配列を含む。
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号41に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号45に示されるアミノ酸配列を含む。
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号64に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号74に示されるアミノ酸配列を含む。
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号64に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号76に示されるアミノ酸配列を含む。
【0023】
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号66に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号76に示されるアミノ酸配列を含む。
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号66に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号78に示されるアミノ酸配列を含む。
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号68に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号78に示されるアミノ酸配列を含む。
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号70に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号80に示されるアミノ酸配列を含む。
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号72に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号80に示されるアミノ酸配列を含む。
別の好ましい例では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号72に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号82に示されるアミノ酸配列を含む。
【0024】
別の好ましい例では、前記抗体は、405B8H3、556F6B8、105F1E10、409B11E12、409D4E10、553G8G8の群から選択される。
別の好ましい例では、前記抗体は、405B8H3−1(D→E)、405B8H3−1、405B8H3−2、405B8H3−6、405B8H3−7、556F6B8−3、556F6B8−7、556F6B8−3(D→E)の群から選択される。
別の好ましい例では、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列表における配列番号1、配列番号9、配列番号17、配列番号25、配列番号33、配列番号41、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70または配列番号72に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列相同性または同一性を有する。
別の好ましい例では、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列表における配列番号5、配列番号13、配列番号21、配列番号29、配列番号37、配列番号45、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80または配列番号82に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列相同性または同一性を有する。
【0025】
本発明の第6の態様では、組換えタンパク質であって、
(i)第1の態様に記載の重鎖可変領域、第2の態様に記載の重鎖、第3の態様に記載の軽鎖可変領域、第4の態様に記載の軽鎖、または第5の態様のいずれか一項に記載の抗体と、および
(ii)発現および/または精製を支援する任意のタグ配列とを含む、前記組換えタンパク質を提供する。
別の好ましい例では、前記タグ配列は、6Hisタグを含む。
【0026】
別の好ましい例では、前記組換えタンパク質(またはポリペプチド)は、融合タンパク質を含む。
別の好ましい例では、前記組換えタンパク質は、単量体、二量体、または多量体である。
別の好ましい例では、前記組換えタンパク質は、
(i)本発明の第5の態様に記載の抗体と、および
(ii)発現および/または精製を支援する任意のタグ配列とを含む。
【0027】
本発明の第7の態様では、ポリヌクレオチドであって、
(1)第1の態様に記載の重鎖可変領域、第2の態様に記載の重鎖、第3の態様に記載の軽鎖可変領域、第4の態様に記載の軽鎖、または第5の態様のいずれか一項に記載の抗体と、および
(2)第6の態様に記載の組換えタンパク質との群から選択されるポリペプチドをコードする、前記ポリヌクレオチドを提供する。
別の好ましい例では、配列番号49、51、53、55、57、59、65、67、69、71または73に示される前記重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド、および/または、
50、52、54、56、58、60、75、77、79、81または83に示される前記軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドである。
【0028】
別の好ましい例では、配列番号49に示される前記重鎖可変領域配列をコードするポリヌクレオチド、配列番号50に示される前記軽鎖可変領域配列をコードするポリヌクレオチド、または
配列番号51に示される前記重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド、配列番号52に示される前記軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド、または
配列番号53に示される前記重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド、配列番号54に示される前記軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドである。
別の好ましい例では、配列番号55に示される前記重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド、配列番号56に示される前記軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドである。
別の好ましい例では、配列番号57に示される前記重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド、配列番号58に示される前記軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドである。
別の好ましい例では、配列番号59に示される前記重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド、配列番号60に示される前記軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドである。
【0029】
本発明の第8の態様では、担体であって、本発明の第7の態様のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、前記担体を提供する。
別の好ましい例では、前記担体は、細菌プラスミド、ファージ、酵母プラスミド、植物細胞ウイルス、アデノウイルスなどの哺乳動物細胞ウイルス、レトロウイルス、または他の担体を含む。
【0030】
本発明の第9の態様では、遺伝子操作された宿主細胞であって、
第8の態様に記載の担体を含むか、またはゲノムに第7の態様のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドが組み込まれている、前記遺伝子操作された宿主細胞を提供する。
【0031】
本発明の第10の態様では、医薬組成物であって、
(i)第1の態様に記載の重鎖可変領域、第2の態様に記載の重鎖、第3の態様に記載の軽鎖可変領域、第4の態様に記載の軽鎖、または第5の態様のいずれか一項に記載の抗体、第6の態様に記載の組換えタンパク質、またはそれらの組み合わせの群から選択される有効成分と、および
(ii)薬学的に許容される担体とを含む、前記医薬組成物を提供する。
別の好ましい例では、前記医薬組成物は、液体製剤である。
別の好ましい例では、前記医薬組成物は、注射剤である。
別の好ましい例では、前記医薬組成物は、0.01〜99.99%の本発明の第5の態様のいずれか一項に記載の抗体、本発明の第6の態様に記載の組換えタンパク質、またはそれらの組み合わせおよび0.01〜99.99%の薬用担体を含み、前記パーセンテージは前記医薬組成物に占める質量パーセンテージである。
【0032】
本発明の第11の態様では、有効成分の用途であって、前記有効成分は、第1の態様に記載の重鎖可変領域、第2の態様に記載の重鎖、第3の態様に記載の軽鎖可変領域、第4の態様に記載の軽鎖、または第5の態様のいずれか一項に記載の抗体、第6の態様に記載の組換えタンパク質、またはそれらの組み合わせの群から選択され、前記有効成分は、LAG−3関連疾患の予防および/または治療の薬物を調製するために使用される、前記有効成分の用途を提供する。
【0033】
別の好ましい例では、前記LAG−3関連疾患は、黒色腫(転移性悪性黒色腫など)、腎臓癌、前立腺癌、乳癌、結腸癌、肺癌(非小細胞肺癌)、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、胃癌、食道癌、小腸癌、肝臓癌、膀胱癌、口腔癌、脳癌、精巣癌、皮膚癌、内分泌系癌、卵管癌、慢性または急性白血病(急性または慢性骨髄性白血病、急性または慢性リンパ性白血病を含む)、リンパ球性リンパ腫、原発性CNSリンパ腫、T細胞リンパ腫、進行性固形腫瘍を含むが、これらに限定されない。
【0034】
本発明の第12の態様では、インビトロ検出サンプル中のLAG−3タンパク質の組成物であって、第5の態様のいずれか一項に記載の抗体、第6の態様に記載の組換えタンパク質、またはそれらの組み合わせを有効成分として含む、前記インビトロ検出サンプル中のLAG−3タンパク質の組成物を提供する。
【0035】
本発明の第13の態様では、組換えポリペプチドの調製方法であって、
発現に適した条件下で、第9の態様に記載の宿主細胞を培養するステップ(a)と、
培養物から第5の態様のいずれか一項に記載の抗体または第6の態様に記載の組換えタンパク質である組換えポリペプチドを分離するステップ(b)とを含む、前記組換えポリペプチドの調製方法を提供する。
【0036】
本発明の第14の態様では、LAG−3関連疾患の治療方法であって、本発明の第5の態様のいずれか一項に記載の抗体、本発明の第6の態様に記載の組換えタンパク質、本発明の第10の態様に記載の医薬組成物、またはそれらの組み合わせを使用するステップを含む、前記LAG−3関連疾患の治療方法を提供する。
別の好ましい例では、前記LAG−3関連疾患は癌である。
別の好ましい例では、抗体2を使用するステップをさらに含む。
別の好ましい例では、前記抗体2は、PD−1抗体、CTLA−4抗体、PDL−1抗体の群から選択される。
【0037】
本発明の第15の態様では、薬物の組み合わせであって、
(i)本発明の第5の態様のいずれか一項に記載の抗体である第1の有効成分と、
(ii)抗体2を含む第2の有効成分とを含む、前記薬物の組み合わせを提供する。
【0038】
本発明の第16の態様では、LAG−3関連疾患を治療するための薬物の調製における本発明の第5の態様のいずれか一項に記載の抗体、または本発明の第6の態様に記載の組換えタンパク質、または本発明の第10の態様に記載の医薬組成物と別の抗体2の組み合わせの用途を提供する。
【発明の効果】
【0039】
本発明の範囲内で、本発明の上記の技術的特徴及び以下に(例えば、実施例)具体的に説明する技術的特徴を互いに組み合わせて、新規または好ましい技術的解決策を形成できることを理解されたい。スペースの制限のため、ここでは繰り返さない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】LAG−3−hFcタンパク質とそのリガンドMHCIIの結合活性を示した。
図2】LAG−3−hFcタンパク質とそのリガンドLSECtinの結合活性を示した。
図3】LAG−3遺伝子をトランスフェクトしたHEK293細胞のFACS検出結果を示した。
図4】ELISAでのLAG−3−hFCタンパク質で免疫した後のマウス血清抗体価の検出を示した。
【0041】
図5a】FACSでのLAG−3抗体とHEK293−hLAG−3の結合反応の検出を示した。
図5b】FACSでのLAG−3抗体とHEK293−hLAG−3の結合反応の検出を示した。
図6a】FACSでのLAG−3抗体とHEK293−cLAG−3の結合反応の検出を示した。
図6b】FACSでのLAG−3抗体とHEK293−cLAG−3の結合反応の検出を示した。
図7a】LAG−3タンパク質とその受容体MHC IIの結合に対するLAG−3抗体の阻害を示した。
図7b】LAG−3タンパク質とその受容体MHC IIの結合に対するLAG−3抗体の阻害を示した。
【0042】
図8a】抗原特異的Tリンパ球刺激試験におけるIL−2分泌に対するLAG−3抗体の影響を示した。
図8b】抗原特異的Tリンパ球刺激試験におけるIL−2分泌に対するLAG−3抗体の影響を示した。
図9a】LAG−3抗体105F1E10重鎖可変領域タンパク質および遺伝子配列を示した。
図9b】LAG−3抗体105F1E10軽鎖可変領域タンパク質および遺伝子配列を示した。
図10a】LAG−3抗体405B8H3重鎖可変領域タンパク質および遺伝子配列を示した。
図10b】LAG−3抗体405B8H3軽鎖可変領域タンパク質および遺伝子配列を示した。
【0043】
図11a】LAG−3抗体556F6B8重鎖可変領域タンパク質および遺伝子配列を示した。
図11b】LAG−3抗体556F6B8軽鎖可変領域タンパク質および遺伝子配列を示した。
図12a】LAG−3抗体409B11E12重鎖可変領域タンパク質および遺伝子配列を示した。
図12b】LAG−3抗体409B11E12軽鎖可変領域タンパク質および遺伝子配列を示した。
図13a】LAG−3抗体409D4E10重鎖可変領域タンパク質および遺伝子配列を示した。
図13b】LAG−3抗体409D4E10軽鎖可変領域タンパク質および遺伝子配列を示した。
【0044】
図14a】LAG−3抗体553G8G8重鎖可変領域タンパク質および遺伝子配列を示した。
図14b】LAG−3抗体553G8G8軽鎖可変領域タンパク質および遺伝子配列を示した。
図15】酵素結合免疫吸着実験におけるLAG−3マウス−ヒトキメラ抗体とヒトLAG−3細胞外ドメインタンパク質反応活性を示した。
図16】酵素結合免疫吸着実験におけるLAG−3マウス−ヒトキメラ抗体とサルLAG−3細胞外ドメインタンパク反応活性を示した。
図17】酵素結合免疫吸着実験におけるLAG−3マウス−ヒトキメラ抗体とマウスLAG−3細胞外ドメインタンパク反応活性を示した。
【0045】
図18】FACSでのLAG−3マウス−ヒトキメラ抗体とHEK293−hLAG−3の結合反応の検出を示した。
図19】FACSでのLAG−3マウス−ヒトキメラ抗体とHEK293−cLAG−3の結合反応の検出を示した。
図20】LAG−3タンパク質とその受容体MHC IIに対するLAG−3マウス−ヒトキメラ抗体の阻害を示した。
図21】LAG−3タンパク質とその受容体LSECtinに対するLAG−3マウス−ヒトキメラ抗体の阻害を示した。
図22】抗原特異的Tリンパ球刺激試験におけるIL−2分泌に対するLAG−3マウス−ヒトキメラ抗体の影響を示した。
図23】SEB依存性PBMC刺激試験におけるIL−2に対するLAG−3マウス−ヒトキメラ抗体の影響を示した。
【0046】
図24】FACSでの405B8H3ヒト化抗体とHEK293−hLAG−3の結合反応の検出を示した。
図25】FACSでの556F6B8ヒト化抗体とHEK293−hLAG−3の結合反応の検出を示した。
図26】FACSでのホットスポット変異抗体とHEK293−hLAG−3の結合反応の検出を示した。
図27】LAG−3タンパク質とその受容体MHC IIに対するホットスポット変異抗体の阻害を示し、ここで、縦座標は阻害率%(blocking%)である。
図28】抗原特異的Tリンパ球刺激試験におけるIL−2分泌に対するホットスポット変異抗体の影響を示した。
【発明を実施するための形態】
【0047】
広範囲にわたる詳細な研究を通じて、発明者らは免疫マウス/ハイブリドーマ技術を使用して、ヒトリンパ球活性化遺伝子(LAG−3)に結合する高活性の特異的モノクローナル抗体(マウス由来抗体)を予期せずに取得した。実験結果では、本発明の抗体(マウス−ヒトキメラ抗体)が抗原タンパク質に対して高い親和性(例えば、405B8H3のKDは1.96E−09M)を有し、LAG−3受容体の細胞外ドメインに結合でき、LAG−3とリガンドMHCクラスII、LSECtinとの結合をタンパク質レベルおよび細胞レベルで効果的にブロックでき、抗原特異的Tリンパ球刺激実験により、得られたLAG−3抗体が優れた生物活性を有することが証明された。本発明の抗体の用途は、LAG−3/MHC IIおよび/またはLAG−3/LSECtin媒介シグナル伝達経路の負の調節の阻害、腫瘍特異的免疫応答の活性化、単独または抗PD−1、CTLA−4モノクローナル抗体または他の抗腫瘍薬物との併用による腫瘍免疫治療を含むが、これらに限定されない。
【0048】
本発明の抗体の可変領域およびヒト由来抗体定常領域は、マウス−ヒトキメラ抗体分子に組み合わされるか、ヒト化技術によりヒト化抗体分子に変換されるか、または特定の用途に応じて二重特異性抗体、多重特異性抗体、一本鎖抗体、単一断片抗体などの他の分子形態に構築される。
本発明における抗体は、全長タンパク質(IgG1、IgG2a、IgG2b、またはIgG2cなど)であり得、または抗原−抗体結合ドメインを含むタンパク質断片(Fab、F(ab’)、sdAb、ScFv断片など)でもあり得る。本発明における抗体は、野生型タンパク質であり得、例えば変異を使用して抗体のエフェクター機能を排除する特定の変異を通じて特定の効果を達成した変異タンパク質でもあり得る。
これに基づいて本発明を完成した。
【0049】
用語
LAG−3
リンパ球活性化遺伝子(LAG−3、CD223)は、525個のアミノ酸を有するI型膜タンパク質であり、既知の主要な免疫チェックポイント(Immune Checkpoint)の1つである。LAG−3は主に活性化Tリンパ球、NK細胞、および樹状細胞に発現する。LAG−3は、免疫グロブリンスーパーファミリーの構造に属し、その細胞外に4つのIgG様ドメインが具備され、CD4に似て、どちらも、それらのリガンド−II系主要組織適合性複合体(MHC class II)と結合して生物活性を発揮する必要があるが、MHC IIに結合する能力はCD4よりも強力である。LAG−3とそのリガンドMHC class IIの結合は、CD4+Tリンパ球の活性化と増殖を阻害し、関連するインビボ細胞性免疫応答をダウンレギュレートする。インビトロでの抗原特異的T細胞応答の研究では、抗LAG−3抗体を追加してLAG−3/MHC IIシグナル伝達経路の負の制御を遮断すると、T細胞の増殖につながり、サイトカインの分泌を促進し、免疫系を活性化できる。さらに、LAG−3はTreg細胞の活性を促進することにより、制御性T細胞(Treg)でも発現する。次に、T細胞の活性化と増殖、および樹状細胞(DC細胞)の成熟を負に調節する(Workman et al, 2005, Immunol, 174:688-695)。
【0050】
抗体
本明細書で使用される用語「抗体」または「免疫グロブリン」は、2つの同じ軽鎖(L)と2つの同じ重鎖(H)からなる、同じ構造特性を持つ約150000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖に接続されており、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間のジスルフィド結合の数は異なる。各重鎖と軽鎖には、規則的な間隔の鎖内ジスルフィド結合もある。各重鎖には、一端に可変領域(VH)があり、その後に複数の定常領域がある。各軽鎖には、一端に可変領域(VL)があり、他端に定常領域があり、軽鎖の定常領域は重鎖の最初の定常領域と対向し、軽鎖の可変領域は重鎖の可変領域と対向する。特別なアミノ酸残基は、軽鎖と重鎖の可変領域間の界面を形成する。
【0051】
本明細書で使用される用語「可変」は、抗体の可変領域の特定の部分が配列上異なり、それらが特定の抗原に対する様々な特異的抗体の結合および特異性を形成することを意味する。ただし、可変性は抗体の可変領域全体に均一に分布していない。それは、軽鎖および重鎖可変領域における相補性決定領域(CDR)または超可変領域と呼ばれる3つの断片に集中している。可変領域のより保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然重鎖および軽鎖の可変領域には、それぞれ4つのFR領域が含まれ、それらはおおよそβ−折りたたまれた構成で、接続ループを形成する3つのCDRで接続されており、場合によっては部分的なβ折りたたみ構造を形成できる。各鎖のCDRはFR領域によって密接に結合され、他の鎖のCDRと一緒に抗体の抗原結合部位を形成する(Kabatら、NIH Publ. No. 91-3242, Volume I、647-669ページ(1991)を参照)。定常領域は、抗原への抗体の結合には直接関与しないが、抗体依存性細胞毒性に関与するなど、さまざまなエフェクター機能を発揮する。
【0052】
脊椎動物の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、その定常領域のアミノ酸配列に基づいて、2つの異なるタイプ(κおよびλと呼ばれる)のいずれかに分類できる。それらの重鎖の定常領域のアミノ酸配列に従って、免疫グロブリンは異なるタイプに分類できる。免疫グロブリンには主に5つのタイプがある:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、それらのいくつかはIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgA2などのサブタイプ(アイソタイプ)にさらに分類できる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常領域は、それぞれα、β、ε、γ、およびμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるタイプのサブユニット構造および三次元配置は、当業者によく知られている。
【0053】
一般に、抗体の抗原結合特性は、重鎖および軽鎖の可変領域にある3つの特定の領域によって記述でき、可変領域(CDR)と呼ばれ、4つのフレームワーク領域(FR)に分割され、4つのFRのアミノ酸配列は比較的保守的であり、結合反応に直接関与しない。これらのCDRは環状構造を形成し、その間のFRを介して形成されるβ折り畳みは空間構造が近接しており、重鎖のCDRと対応する軽鎖のCDRは抗体の抗原結合部位を構成する。同じタイプの抗体のアミノ酸配列を比較して、FRまたはCDR領域を構成するアミノ酸を決定できる。
本発明は、完全な抗体だけでなく、免疫学的に活性な抗体の断片または抗体および他の配列によって形成される融合タンパク質も含む。したがって、本発明はまた、抗体の断片、誘導体およびアナログを含む。
【0054】
本発明において、抗体は、当業者に周知の技術によって調製されたマウス、キメラ、ヒト化、または完全ヒト抗体を含む。ヒトおよび非ヒト部分を含む、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体などの組換え抗体は、標準的なDNA組換え技術によって得ることができ、それらはすべて有用な抗体である。キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物種に由来する分子であり、例えば、マウスモノクローナル抗体からの可変領域とヒト免疫グロブリンからの定常領域を有するキメラ抗体である(例えば、米国特許第4,816,567号および米国特許第4,816,397号、その全体が参照により本明細書に組み入れられる)。ヒト化抗体は、非ヒト種に由来する抗体分子を指し、非ヒト種に由来する1つまたは複数の相補性決定領域(CDRs)およびヒト免疫グロブリン分子に由来するフレームワーク領域を含む(米国特許第5,585,089号を参照、その全体が参照により本明細書に組み入れられる)。これらのキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、当技術分野で周知のDNA組換え技術を使用して調製することができる。
【0055】
本発明において、抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性、またはより多重特異性であり得る。
本発明において、本発明の抗体はまた、その保存的変異体を含み、これは、本発明の抗体のアミノ酸配列と比較して、多くとも10、好ましくは多くとも8、より好ましくは多くとも5、最も好ましくは多くとも3つのアミノ酸が、類似または近い特性を持つアミノ酸に置き換えられて、ポリペプチドを形成することを意味する。これらの保存的変異ポリペプチドは、アミノ酸置換によって表Aに従って最もよく生成される。これらの保存的変異ポリペプチドは、表Aに従ってアミノ酸置換によって生成されるのが最適である。
【0056】
【表A】
【0057】
抗LAG−3の抗体
本発明は、重鎖の可変領域(VH)アミノ酸配列を含む重鎖と、および軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、LAG−3に対する高特異性および高親和性抗体を提供する。
好ましくは、重鎖可変領域(VH)は、
配列番号2に示されるCDR1と、
配列番号3に示されるCDR2と、および
配列番号4に示されるCDR3との3つの相補性決定領域CDRを含み、
軽鎖可変領域(VL)は、配列番号6に示されるCDR1’と、
配列番号7または配列番号84に示されるCDR2’と、および
配列番号8に示されるCDR3’との3つの相補性決定領域CDRを含み、
ここで、前記アミノ酸配列のいずれか1つのアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸が任意に追加、削除、修飾および/または置換され、LAG−3の結合親和性を保持できる誘導体配列をさらに含む。
【0058】
別の好ましい例では、少なくとも1つのアミノ酸が追加、削除、修飾および/または置換あれて形成された配列は、相同性または配列同一性がこのましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%,最もさらに好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列である。
当業者に周知の配列相同性または同一性を決定するための方法には、これらに限定されないが、計算分子生物学(Computational Molecular Biology)、Lesk, A.M.編集、オックスフォード大学出版社、ニューヨーク、1988;バイオコンピューティング:バイオコンピューティング:情報学とゲノムプロジェクト(Biocomputing: Informatics and Genome Projects)Smith, D.W.編集、アカデミックプレス、ニューヨーク、1993;シーケンスデータのコンピューター分析(Computer Analysis of Sequence Data)、パート1、Griffin, A.M.とGriffin, H.G.編集、Humana Press、ニュージャージー、1994;分子生物学における配列分析(Sequence Analysis in Molecular Biology)、von Heinje, G.、アカデミックプレス、1987、およびシーケンス分析プライマー(Sequence Analysis Primer)、Gribskov, M.とDevereux, J.編集、M Stockton Press、ニューヨーク、1991、Carillo, H.とLipman, D., SIAM J. Applied Math., 48:1073 (1988)。同一性を測定するための好ましい方法は、試験された配列間の最大の一致を得ることである。同一性を測定する方法は、一般に入手可能なコンピュータープログラムにコンパイルされている。2つの配列間の同一性を決定するための好ましいコンピュータープログラム方法には、GCGパッケージ(Devereux, J.ら、1984)、BLASTP、BLASTNおよびFASTA(Altschul, S,F.ら、1990)が含まれるが、これらに限定されない。一般の人々は、NCBIおよびその他のソースからBLASTXプログラムを入手できる(BLASTハンドブック、Altschul, S.ら、NCBI NLM NIH Bethesda,Md.20894;Altschul, S.ら、1990)。よく知られているSmith Watermanアルゴリズムを使用して、同一性を測定することもできる。
【0059】
本発明の抗体は、二本鎖または一本鎖抗体であってよく、動物由来抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、より好ましくはヒト化抗体、ヒト−動物キメラ抗体、およびより好ましくは完全ヒト化抗体から選択することができる。
本発明の抗体誘導体は、一本鎖抗体および/または抗体断片、例えば、Fab、Fab’、(Fab’)2または当該分野で公知の他の抗体誘導体、ならびにIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体、または他のサブタイプの抗体のいずれかの1つまたは複数であり得る。
ここで、前記動物は、マウスなどの哺乳動物であることが好ましい。
本発明の抗体は、ヒトLAG−3を標的とするキメラ抗体、ヒト化抗体、CDR移植および/または修飾抗体であってよい。
【0060】
本発明の上記の内容において、前記付加、削除、修飾および/または置換されたアミノ酸の数は、好ましくは最初のアミノ酸配列におけるアミノ酸の総数の40%を超えず、より好ましくは35%を超えず、より好ましくは1〜33%であり、より好ましくは5〜30%、より好ましくは10〜25%、より好ましくは15〜20%である。
本発明の上記の内容において、より好ましくは、前記付加、削除、修飾および/または置換されたアミノ酸の数は、1〜7、より好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3、より好ましくは1−2であることができる。
別の好ましい例では、前記LAG−3を標的とする抗体は、405B8H3、556F6B8、105F1E10、409B11E12、409D4E10または553G8G8である。
別の好ましい例では、前記抗体は、405B8H3−1(D→E)、405B8H3−1、405B8H3−2、405B8H3−6、405B8H3−7、556F6B8−3、556F6B8−7、556F6B8−3(D→E)の群から選択される。
【0061】
別の好ましい例では、前記重鎖可変領域は、配列番号64、配列番号66、配列番号68、 配列番号70、配列番号72に示されるアミノ酸配列を有する。
別の好ましい例では、前記重鎖可変領域は、配列番号87、配列番号91、配列番号92、配列番号93に示されるアミノ酸配列を有する。
別の好ましい例では、前記軽鎖可変領域は、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80または配列番号82に示されるアミノ酸配列を有する。
別の好ましい例では、前記軽鎖可変領域は、配列番号89、配列番号95に示されるアミノ酸配列を有する。
【0062】
別の好ましい例では、前記抗体405B8H3の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列は、配列番号:1に示されるアミノ酸配列である。
別の好ましい例では、前記抗体405B8H3の軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号:5に示されるアミノ酸配列である。
別の好ましい例では、前記抗体405B8H3−1(D→E)の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列は、配列番号64に示されるアミノ酸配列である。
別の好ましい例では、前記抗体405B8H3−1(D→E)の軽鎖可変領域(VH)アミノ酸配列は、配列番号74に示されるアミノ酸配列である。
【0063】
抗体の調製
本発明の抗体またはその断片のDNA分子の配列は、PCR増幅またはゲノムライブラリースクリーニングなどの従来の技術によって得ることができる。さらに、軽鎖および重鎖のコード配列を互いに融合させて、一本鎖抗体を形成することができる。
関連する配列が得られたら、組換え法を使用して、関連する配列を大量に取得できる。これは通常、それを担体にクローニングし、次にそれを細胞に移し、次に従来の方法により増殖した宿主細胞から関連配列を単離することである。
さらに、特に断片の長さが短い場合は、人工的な合成方法を使用して関連配列を合成することもできる。通常、最初に複数の小さな断片を合成し、次にライゲーションして非常に長い断片を取得できる。
【0064】
現在、本発明の抗体(またはその断片、またはその誘導体)をコードするDNA配列は、化学合成により完全に得ることができる。次いで、DNA配列は、当該分野で公知の様々な既存のDNA分子(または担体など)および細胞に導入され得る。さらに、化学合成により、本発明のタンパク質配列に変異を導入することもできる。
本発明はまた、前記適切なDNA配列および適切なプロモーターまたは制御配列を含む担体に関する。これらの担体は、適切な宿主細胞を形質転換して、タンパク質を発現させるために使用できる。
宿主細胞は、細菌細胞などの原核細胞;または酵母細胞などの下等真核細胞;または哺乳動物細胞などの高等真核細胞であり得る。好ましい動物細胞には(これらに限定されないが)、CHO−S、HEK−293細胞が含まれる。
【0065】
一般に、形質転換された宿主細胞は、本発明の抗体の発現に適した条件下で培養される。次に、従来の免疫グロブリン精製ステップを使用して、プロテインA−セファロース(Protein A-Sepharose)、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、またはアフィニティークロマトグラフィーなどの当業者に周知の従来の分離および精製手段によって精製して本発明の抗体を得る。
得られたモノクローナル抗体は、常法により同定することができる。例えば、モノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降またはインビトロ結合アッセイ(ラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)など)によって測定することができる。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munsonら、Anal. Biochem.,107:220 (1980)のスキャッチャード(Scatchard)分析により測定することができる。
【0066】
本発明の抗体は、細胞内、または細胞膜上で発現され得るか、または細胞から分泌され得る。必要に応じて、物理的、化学的、およびその他の特性を使用して、さまざまな分離方法で組換えタンパク質を分離および精製できる。これらの方法は当業者によく知られている。これらの方法の例には、従来の再生処理、タンパク質沈殿剤による処理(塩析法)、遠心分離、浸透圧滅菌、超音波処理、超遠心分離、分子ふるいクロマトグラフィー(ゲルろ過)、吸着層、イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、その他のさまざまな液体クロマトグラフィー技術、およびこれらの方法の組み合わせが含まれますが、これらに限定されない。
【0067】
応用
本発明はまた、例えば、診断製剤を調製するため、またはLAG−3関連疾患を予防および/または治療するための薬物を調製するための、本発明の抗体の用途を提供する。前記LAG−3関連疾患には、腫瘍の発生、成長、および/または転移関連疾患を含む関連疾患が含まれる。
本発明の抗体の用途は、
(i)黒色腫(転移性悪性黒色腫など)、腎臓癌、前立腺癌、乳癌、結腸癌、肺癌(非小細胞肺癌)、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、胃癌、食道癌、小腸癌、肝臓癌、膀胱癌、口腔癌、脳癌、精巣癌、皮膚癌、内分泌系癌、卵管癌、慢性または急性白血病(急性または慢性骨髄性白血病、急性または慢性リンパ性白血病を含む)、リンパ球性リンパ腫、原発性CNSリンパ腫、T細胞リンパ腫、進行性固形腫瘍の診断、予防および/または治療を含む(しかし、これらに限定されない)。
【0068】
医薬組成物
本発明はまた、組成物を提供する。好ましい例において、前記組成物は、上記の抗体またはその活性断片または融合タンパク質、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。通常、これらの物質は、非毒性で不活性で薬学的に許容される水性担体媒体に製剤化でき、pHは通常約5〜8、好ましくは約6〜8であるが、pHは調製される物質の性質および治療される病症によって異なることができる。調製された医薬組成物は、腫瘍内、腹腔内、静脈内、または局所投与を含む(がこれらに限定されない)従来の経路によって投与することができる。
本発明の前記抗体は、ヌクレオチド配列を細胞内で発現させることにより、細胞治療にも利用でき、例えば、前記抗体はキメラ抗原受容体T細胞免疫療法(CAR−T)などに利用される。
【0069】
本発明の医薬組成物は、LAG−3タンパク質分子を結合するために直接使用することができ、したがって、腫瘍などの疾患を予防および治療するために使用することができる。さらに、他の治療薬を同時に使用することもできる。
本発明の医薬組成物は、安全かつ有効な量(例えば、0.001〜99重量%、好ましくは0.01〜90重量%、より好ましくは0.1〜80重量%)の本発明の前記モノクローナル抗体および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。そのような担体には、生理食塩水、緩衝液、グルコース、水、グリセロール、エタノール、およびそれらの組み合わせが含まれる(これらに限定されない)。医薬品は投与方法に適合している必要がある。薬物製剤は投与方法に適合している必要がある。本発明の医薬組成物は、注射の形態で調製することができ、例えば、生理食塩水またはグルコースおよび他のアジュバントを含有する水溶液を用いて従来の方法により調製することができる。注射剤や溶液などの医薬組成物は、無菌条件下で製造する必要がある。有効成分の投与量は、治療有効量、例えば、約1マイクログラム/kg体重〜約5mg/kg体重/日である。さらに、本発明のポリペプチドはまた、他の治療剤と共に使用され得る。
【0070】
医薬組成物を使用する場合、安全かつ有効な量の免疫複合体が哺乳動物に投与され、安全かつ有効な量は、通常、少なくとも約10マイクログラム/kg体重であり、ほとんどの場合、約50mg/kg体重以下であり、好ましくは、投与量は、約10マイクログラム/kg体重から約20mg/kg体重である。もちろん、具体的な投与量は、投与経路、患者の健康状態など、熟練した医師のスキルの範囲内にある要因も考慮する必要がある。
【0071】
本発明は以下の主な利点を含む。
(1)本発明の抗体は、一連の優れた特徴を有する:
a.可変領域配列は既存の抗体とは異なる(相同性<92%);
b.BMS986016に結合するエピトープが異なる;
c.本発明の抗体は、LAG−3との親和性が強い(例えば、405B8H3のKD値が1.96nM);
d.本発明の抗体は、T細胞の活性化を刺激する優れた活性を有する。
(2)本発明は、ハイブリドーマ技術を採用して抗体を取得するため、ファージライブラリーから取得した抗体と比較して、親和性が高く、配列発現も良好である。
(3)本発明は、異なる配列を有する抗体を取得し、LAG−3抗体に特異的に結合することができ、それらの結合活性がナノモル未満であり、LAG−3とそのリガンドMHCII/LSECtinの結合を遮断でき、T細胞活性化活性に対するLAG−3の阻害を逆転させ、それによりT細胞を活性化してIL−2を分泌させ、各活性はより良好である。
(4)本発明の抗体は、対照抗体よりも細胞表面のサル(中国サルなど)のLAG−3タンパク質に結合する能力が強い。本発明の抗体は、サル抗原との交差結合反応を有し、霊長類におけるインビボ実験に適用することができ、前臨床毒性学研究および前臨床薬物動態研究に使用できる。
【0072】
以下では具体的な実施例に結び合わせて、本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。下記の実施例では、具体的な条件を明示していない実験方法は、一般に、例えば、米国Sambrook. Jら「分子クローニング実験室マニュアル」(黄培堂ら訳、北京:科学出版社、2002年)に記載の条件、またはメーカーが提案する条件(例えば、商品取扱説明書)に従う。特に明記しない限り、パーセンテージと部は重量で計算される。特に明記しない限り、以下の実施例で使用される実験材料および試薬は、市販のチャネルから入手できる。
【0073】
一般的な方法
本発明は、モノクローナル抗体を調製するために伝統的なハイブリドーマ技術を使用する。従来のハイブリドーマ調製技術は、40年前にケーラー(Kohler)とミルスタイン(Milstein)によって構築され、現在、科学的研究、診断、および治療など多くの関連するモノクローナル抗体の調製および生産に広く使用されている。その基本的な方法は現在も使用されているが、遺伝子組み換え動物などの異なる系統の動物の使用、電気融合技術の導入、ClonePix機器などの高効率スクリーニング技術機器の適用など、多くの面で変更、改善、革新が行われて、ハイブリドーマ技術の応用はより多様で効率的になった。マウスなどの従来の動物から調製されたモノクローナル抗体は、抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域遺伝子をクローン化する従来の分子生物学的方法によってクローン化でき、可変領域遺伝子をヒト由来抗体定常領域遺伝子に移植してヒトマウスキメラ抗体を形成でき、人体の免疫原性を大幅に低下させる。さらに、マウス抗体の可変領域のCDRドメインをヒト由来抗体のフレームワークに移植できるため、マウス抗体の組成が5%以下に抑えられ、人体内で使用される抗体の安全性が大幅に向上させる。このアプローチで得られた抗体はヒト化抗体と呼ばれ、現在抗体薬物市場の主力製品である。モノクローナル抗体技術の最新の進歩によれば、本発明は、最適化されたハイブリドーマ技術を採用して、必要な抗LAG−3抗体を調製する。
【0074】
実施例1 LAG−3特異的抗体の調製
細胞外ドメインLAG−3タンパク質、LAG−3組換え細胞株、LAG−3 DNAベクターを含む発現プラスミドなど免疫原の調製。
免疫原1)、ヒト由来LAG−3タンパク質の細胞外ドメインのアミノ酸配列23−450(配列表配列番号61に示される)をヒトIgG Fc断片(hFc)を有するpCpC担体(V044−50、Invitrogenから購入)にクローニングし、確立された標準的な分子生物学の方法に従ってプラスミドを調製し、具体的な方法については、Sambrook, J., Fritsch, E. F., and Maniatis T.(1989). Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Second Edition(Plainview, New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press)を参照してください。HEK293細胞(Invitrogenから購入)を一過性にトランスフェクトし(PEI、Polysciences)、FreeStyle(商標)293(Invitrogen)を使用して、37℃で増殖培養した。4日後、細胞培養液を回収し、遠心分離により細胞成分を除去し、LAG−3タンパク質の細胞外ドメインを含む培養上清液を得た。培養上清液をプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラム(Mabselect Sure、GE Healthcareから購入)にロードし、紫外線(UV)検出器を使用して紫外線吸収(A280nm)の変化を監視した。サンプルをロードした後、UV吸収値がベースラインに戻るまで、PBSリン酸緩衝液(pH 7.2)でタンパク質アフィニティークロマトグラフィーカラムを洗浄し、0.1Mグリシン塩酸(pH 2.5)で溶出して、プロテインAアフィニティー層カラムから溶出したhFcタグ(LAG−3−hFc)を含むLAG−3タンパク質を収集し、4℃の冷蔵庫でPBSリン酸緩衝液(pH 7.2)を用いて一晩透析した。透析したタンパク質を0.22ミクロンで滅菌濾過し、−80℃で保存して、精製された免疫原ヒトLAG−3−hFcタンパク質を得た。免疫原LAG−3−hFcタンパク質は、そのタンパク質濃度、純度、分子量、生物活性など、使用前に一連の品質管理テストが必要である。
【0075】
ここで、免疫原LAG−3−hFcとMHC IIの結合活性は、FACS検出を使用し、具体的に以下のとおりである。
T−175細胞培養フラスコでMHC IIを発現しているRaji細胞を75〜90%のコンフルエンスまで拡大し、遠心分離して培養液を捨て、細胞をPBS緩衝液で1〜2回洗浄し、細胞をカウントした後、細胞をブロッキング溶液(PBS、2%ウシ胎児血清)で1〜2×10細胞/mlに希釈し、氷上で20〜30分間インキュベートし、ブロッキング溶液(PBS、2%ウシ胎児血清)で2回洗浄した。収集した細胞をブロッキング溶液(PBS、2%ウシ胎児血清)で2×10細胞/mlに懸濁し、100μl/ウェルに96ウェルFACS反応プレート(ウェルあたり2×10細胞)に追加し、遠心分離して培地を捨て、hFcタグを有するLAG−3タンパク質を勾配希釈し、100μl/ウェルにRaji細胞に加え、氷上で1〜2時間インキュベートした。ブロッキング溶液(PBS、2%ウシ胎児血清)で遠心分離して2回洗浄し、100μl/ウェルの蛍光(Alexa 488)標識二次抗体を加え、氷上で0.5〜1.0時間インキュベートした。ブロッキング溶液(PBS、2%ウシ胎児血清)で遠心分離して2〜3回洗浄し、100μl/ウェルにPBSを加えて細胞を懸濁し、FACS(FACSVerse、BD)を使用して検出し、結果を分析した。
【0076】
ここで、免疫原LAG−3−hFcとLSECtinの結合活性はELISA検出を使用し、具体的に以下のとおりである。
hFcタグを有するLAG−3タンパク質(LAG−3−hFc、即ち免疫原)をPBSで1μg/mLに希釈し、100μl/ウェルでELISAマイクロプレートに加え、4℃で一晩インキュベートした。ELISAブロッキング溶液(1%BSA、pH 7.4 PBSリン酸緩衝液を含む、前記パーセンテージは質量パーセンテージである)で37℃で2時間ブロッキングした後、勾配希釈されたLSECtin−Hisタグを加え、37℃で1時間インキュベートした。前記LSECtin−HisはR&Dシステムから購入し、商品番号は2947−CLである。抗Hisタグのホースラディッシュペルオキシダーゼ(GenScriptから購入し、商品番号はA00612である)を加え、室温で30分間インキュベートし、100ul/ウェルのTMB発色液を加えた。室温で15分間インキュベートした後、50ulの1N塩酸を加えて呈色反応を停止させ、ELISAプレートリーダーでOD450nmの読み取り値を読み取った。各ステップの後にプレートを洗浄する必要がある。
結果は、図1図2、表1、表2に示したとおりである。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2-1】
【表2-2】
【0079】
結果は、細胞レベルでのLAG−3とMHCIIの結合がLAG−3−hFCの濃度の変化により変化し、タンパク質レベルでのLAG−3とLSECtinの結合がLAG−3−hFCの濃度の変化により変化することを示し、ここで、対照タンパク質は非LAG−3融合タンパク質である。発現されたリガンドと受容体タンパク質は正しいコンフォメーションを持ち、免疫、受容体−リガンド結合ブロッキング検出法の確立、および抗体活性の同定に適する。
【0080】
LAG−3タンパク質免疫は、6〜8週齢のBabL/CおよびSJLマウス(Shanghai SLAC Animal Center Breeding提供)を使用し、マウスはSPF条件下で飼育された。LAG−3タンパク質の最初の免疫はフロイントの完全アジュバントで乳化され、マウス1匹あたり0.25ml、50マイクログラムのタンパク質を腹腔内注射した。追加免疫LAG−3タンパク質をフロイントの不完全アジュバントで乳化し、マウスあたり0.25ml、50マイクログラムのタンパク質を腹腔内注射した。最初の免疫と最初の追加免疫の間隔は2週間で、その後の各免疫の間隔は3週間である。各追加免疫の7日後に血液を採取し、血清中の抗体価と特異性をELISAとFACSで検出した。
【0081】
免疫原2)、ヒト由来LAG−3全長アミノ酸配列をpIRES担体(Clontechから購入)にクローニングし、プラスミドを調製した。HEK293細胞株とCHOK1細胞株(どちらもInvitrogenから購入)のプラスミドトランスフェクション後(X-treme GENE HP DNA Transfection Reagentを使用したトランスフェクションし、Roche社から購入、製品番号Cat#06 366 236 001、および説明書に従って操作)、0.5μg/mlのピューロマイシンを含む10%(w/w)FBSを含むDMEM培地で選択的に2週間培養し、96ウェル培養プレートに限界希釈法でサブクローニングし、37℃に置き、5%(v/v)COで培養した。約2週間後、いくつかのモノクローナルウェルを選択し、6ウェルプレートに増幅した。増幅されたクローンを既知のLAG−3抗体で染色し、フローサイトメトリーでスクリーニングした。より良い成長、より高い蛍光強度、モノクローナル細胞株を選択してを培養を拡大し続け、液体窒素で凍結し、免疫原LAG−3組換え細胞株を取得した。具体的な選択結果は、表3と図3に示したとおり、表3で、陽性細胞(%)は細胞総数における陽性細胞の割合を示し、MFIは測定された細胞集団の平均蛍光強度値である。
【0082】
【表3】
【0083】
結果は、HEK293細胞がより高いレベルのLAG−3発現を有し、免疫原としての使用および抗体結合活性の同定に適していることを示した。
【0084】
LAG−3細胞免疫は、6〜8週齢のBabL/CおよびSJLマウス(Shanghai Slack Animal Center Breeding提供)を使用し、マウスは接種された後、SPF条件下で飼育された。ヒトLAG−3でトランスフェクトされたHEK293安定細胞株をT−75細胞培養フラスコで75〜90%コンフルエンスに拡大し、培地を吸引し、DMEM基礎培地で1〜2回洗浄した後、細胞を、酵素を含まない細胞解離溶液で処理して回収した。DMEM基礎培地で1〜2回洗浄し、細胞をカウントした後、細胞をPBSで1〜2×10細胞/mlに希釈した。各免疫化の間、各マウスに0.5mlの細胞懸濁液を腹腔内注射した。1回目と2回目の免疫の間隔は2週間、その後の各免疫間隔は3週間である。各追加免疫の7日後に血液を採取し、血清中の抗体価と特異性をFACSで検出した。
【0085】
免疫原3)、LAG−3完全長アミノ酸配列cDNAをpCDNA3.1担体にクローニングし、1.0um金コロイド弾にコーティングし、Helios遺伝子銃(Bio-rad)で免疫した。詳細な方法は、Helios遺伝子銃の説明書に従って行った。
6−8週齢のBabL/CおよびSJLマウス(Shanghai SLAC Animal Center Breeding提供)をSPF条件下で飼育した。すべてのマウスを腹部から遺伝子銃で3〜4回、毎回3〜4ショット免疫し、cDNAの量は1ショットあたり1.0μgである。最初の免疫と最初の追加免疫の間隔は2週間で、その後の各免疫の間隔は3週間である。各追加免疫の7日後に血液を採取し、血清中の抗体価をELISAで検出した。通常、ほとんどのマウスのELISA力価は、2〜3回の免疫後に1:1000以上に達することがある。表4および図4は、LAG−3−hFCタンパク質免疫血清およびELISAによる抗体価検出の結果を示している。
【0086】
【表4】
【0087】
結果は、免疫原による免疫化、ほとんどのマウスELISA力価は3回の免疫化後に1:100000以上に達する可能性があり、マウスが免疫原に対してより優れた体液性免疫応答を示し、その脾臓細胞をハイブリドーマ細胞の調製に使用できることを示す。
【0088】
力価が要件を満たしているマウスを、細胞融合およびハイブリドーマの準備用に選択できる。細胞融合の前に、最後の免疫化のために、マウスに50〜100マイクログラムの精製LAG−3−hFcを腹腔内注射した。3〜5日後、マウスを犠牲にし、脾細胞を収集した。DMEM基礎培地で1000回転/分で遠心分離して、細胞を3回洗浄し、生存細胞数と5:1の比率でマウス骨髄腫細胞SP2/0(ATCCから購入)と混合し、高効率の電気融合またはPEG法(METHODS IN ENZYMOLOGY, VOL. 220を参照)を使用して、細胞を融合した。融合した細胞を20%ウシ胎児血清と1×HATを含むDMEM培地に希釈し、前記パーセンテージは質量パーセンテージである。次に、1ウェルあたり1×10/200ulを96ウェル細胞培養プレートに追加し、5%CO、37℃のインキュベーターに入れ、前記パーセンテージは体積パーセンテージである。14日後、ELISAおよびAcumen(マイクロウェルプレート細胞検出法)を使用して、細胞融合プレートの上清をスクリーニングし、ELISAでOD450nm>1.0、AcumenでMFI値>100の陽性クローンを24ウェルプレートに増幅し、10%(w/w)ウシ胎児血清を含むDMEM(Invitrogen)培地で、37℃、5%(v/v)COで拡大培養した。培養3日後、24ウェルプレートで拡大培養した培養液を遠心分離し、上清液を回収し、上清液の抗体サブタイプを解析した。ELISAおよびFACSを使用してLAG−3タンパク質およびLAG−3陽性細胞への結合活性を決定し、リガンド受容体結合実験を使用してLAG−3受容体への抗体試料の遮断活性を決定した。
【0089】
24ウェルプレートのスクリーニング結果によると、ELISA実験ではOD450nm>1.0、FACS実験ではMFI値>50、リガンド−受容体結合実験におけるLAG−3受容体に対するハイブリドーマ細胞培養上清のブロッキング阻害率が60%に達するハイブリドーマ細胞は、適格な陽性クローンである。適格なハイブリドーマ細胞を選択し、96ウェル培養プレートに限界希釈法でサブクローニングし、37℃、5%(v/v)COで10%(w/w)FBSを含むDMEM培地(Invitrogenから購入)で培養した。サブクローニングの10日後、ELISAとAcumenを使用して予備スクリーニングを行い、陽性の単一クローンを選択して24ウェルプレートに増幅し、培養を継続した。3日後、FACSを使用して陽性抗原結合を確認し、LAG−3受容体リガンド結合実験を使用して生物活性を評価した(評価基準は、ELISA実験ではOD450nm>1.0、FACS実験ではMFI値>50、リガンド受容体結合実験におけるMHCIIリガンドに対するハイブリドーマ細胞培養上清のブロッキング阻害率は60%に達した)。
【0090】
24ウェルプレートサンプルの検出結果によると、陽性クローンを10%(w/w)FBSを含むDMEM(Invitrogenから購入)培地で、37℃、5%(v/v)COで拡大培養し、凍結溶液[20%(w/w)FBSおよび10%(w/w)DMSOを含むDMEM]に懸濁し、従来の方法に従って液体窒素で凍結保存して、後続の抗体の生産、精製、アミノ酸配列決定に使用できる本発明のハイブリドーマ細胞を得る。
【0091】
実施例2 精製された抗体の同定
(一)フローサイトメトリー(FACS)で抗体とLAG−3発現細胞の結合を検出
実施例1で調製された免疫原2における前記ヒト由来LAG−3をコードする全長ヌクレオチド配列を含むpIRESプラスミドを293F細胞株にトランスフェクトして、ヒトLAG−3を含む293F安定的にトランスフェクトされた細胞株(本明細書ではHEK293−hLAG−3安定細胞株と呼ぶ)を得、全長サル遺伝子を有するpIRESプラスミドをHEK293細胞株にトランスフェクトして、サルLAG−3を含むHEK293安定的にトランスフェクトされた細胞株(本明細書ではHEK293−cLAG−3安定細胞株と呼ぶ)を構築した。T−75細胞培養フラスコ内でHEK293−hLAG−3安定細胞株とHEK293−cLAG−3安定細胞株を90%コンフルエンスまで拡大培養し、培地を吸引し、HBSS(Hanks' Balanced Salt Solution)で1〜2回洗浄し、酵素を含まない細胞解離液(Versene solution:Life technology)を使用して、細胞を処理および収集した。細胞をHBSS緩衝液で1〜2回洗浄し、細胞をカウントした後、細胞をHBSSで1〜2×10細胞/mlに希釈し、1%ヤギ血清ブロッキング溶液を加え、氷上で20〜30分間インキュベートし、HBSSで2回遠心分離して洗浄した。
【0092】
収集した細胞をFACS緩衝液(HBSS+1%BSA)で2×10細胞/mlに懸濁し、100μl/ウェルに96ウェルFACS反応プレートに追加し、検出する抗体サンプルを100μl/ウェルに追加し、氷上で1〜2時間インキュベートした。FACSバッファーで2回遠心分離して洗浄し、100μl/ウェルに蛍光(Alexa 488)標識二次抗体を追加し、氷上で0.5〜1.0時間インキュベートした。FACS緩衝液で2〜3回遠心分離して洗浄し、ウェルあたり100μlの固定液(4%パラホルムアルデヒド(Paraformaldehyde))を加えて細胞を懸濁し、5〜10分後、FACS緩衝液で1〜2回遠心分離して洗浄した。100ulのFACS緩衝液で細胞を懸濁し、FACS(FACSCalibur、BD)を使用して結果を検出および分析した。結果は表5および表6、図5a、図5b、図6a、図6bに示したとおり、検出する抗体は、細胞表面のヒトまたはサルのLAG−3タンパク質に結合でき、各抗体の活性は同等であり、抗体がLAG−3に対して強い結合能力を持っていることを示す。IgG対照はマウスIgGであり、表のデータはMFIによって測定された細胞集団の平均蛍光強度値である。
【0093】
s
【表5-1】
【表5-2】
【0094】
【表6】
【0095】
(二)LAG−3受容体リガンド結合実験でLAG−3抗体がLAG−3とそのリガンドMHC IIの結合を遮断することを検出
T−75細胞培養フラスコ内でMHC IIを発現するRaji細胞を75−90%コンフルエンスまで拡大培養し、遠心分離して培地を捨て、PBS緩衝液で細胞を1〜2回洗浄し、細胞をカウントした後、細胞をブロッキング溶液(PBS、2%ウシ胎児血清)で1〜2×10細胞/mlに希釈し、100μl/ウェルに96ウェルFACS反応プレートに加え(ウェル当たり1×10細胞)、氷上で20〜30分間インキュベートし、検出する抗体サンプルと1 ug/mlのLAG−3−hFcタンパク質を等量混合し、室温で30分間インキュベートした後、孵育Raji細胞をインキュベートしたFACS反応プレートを遠心し、上清を捨て、100μl/ウェルに前記混合物をRaji細胞に加え、氷上で1〜2時間インキュベートした。ブロッキング溶液(PBS、2%ウシ胎児血清)で2回遠心分離して洗浄し、100μl/ウェルに蛍光(Alexa 488)標識二次抗体を加え、氷上で1.0時間インキュベートした。ブロッキング溶液(PBS、2%ウシ胎児血清)で2〜3回遠心分離して洗浄し、100μl/ウェルにPBS懸濁細胞を加え、FACS(FACS Calibur、BD)で結果を検出および分析した。結果は、表7および図7a、図7bに示したとおり、IgG対照はマウスIgGであり、表のデータは阻害率(%)である。
【0096】
【表7】
【0097】
結果は、得られた抗体がLAG−3タンパク質のそのリガンドMHCIIへの結合をさまざまな程度に阻害でき、検出した抗体の活性が同等であることを示す。
【0098】
(三)抗原特異的Tリンパ球刺激実験でリンパ球活性に対するLAG−3抗体の影響
抗原特異的Tリンパ球刺激実験では、LAG−3抗体がLAG−3とMHC IIの結合を遮断し、Tリンパ球活性の阻害を緩和して、T細胞の増殖を刺激することを検出する。
1.抗原特異的Tリンパ球の取得、まず、マウスCD4分離キットを使用し、免疫磁気ビーズ技術と組み合わせた抗体を使用して、OVAトランスジェニックマウスのリンパ球サンプルからCD4+T細胞をネガティブスクリーニングし、抗原特異的CD4+Tリンパ球を分離した。得られたT細胞をマウス胸腺腫細胞系BW5147.G.1.4と5:1の比率で混合し、ポリエチレングリコール(PEG)細胞融合法を用いて細胞融合した。融合細胞をヒポキサンチン、アミノプテリジンおよびチミジンを含む1×HAT培地で選択的に培養し、得られた単一クローンを24ウェルプレートに拡大培養し、2〜3日後に単一クローンをスクリーニングした。インビトロ抗原提示実験によってクローンをスクリーニングし、同じ系統のC57BL/6マウスの脾臓細胞で特異的抗原OVA323−339の混合物と混合して、モノクローナル細胞の培養培地に加え、モノクローナル細胞を一晩インキュベートして、上清を収集した(具体的な方法は、David Hら、Methods Mol Biol, 2013, 960:297-307を参照)。酵素結合免疫吸着アッセイで上清中のマウスインターロイキン2(mouse IL2、mIL2)の含有量を検出し、細胞増殖状態の良好で、安定した継代(少なくとも数十世代)、およびmIL−2の分泌が高い最良のモノクローナル細胞を選択して、拡大培養し、液体窒素で凍結保存した。最後に、Tリンパ球ハイブリドーマ(8B2)が最良のクローンとして選択した。
【0099】
免疫抑制因子を過剰発現する安定した細胞株を構築するために、ヒトLAG−3の全長遺伝子配列をpIRES発現ベクターにクローニングし、レンチウイルス(Shanghai Jima)にパッケージ化した。Tリンパ球ハイブリドーマ細胞株8B2にレンチウイルスを感染させ、トランスフェクトされた細胞を抗生物質含有培地で選択的に培養し、2週間後、限界希釈により96ウェル培養プレートにサブクローニングした。クローンが成長したら、モノクローナルウェル細胞を6ウェルプレートまたは培養フラスコに拡張した。増幅されたクローンを、抗LAG−3特異的抗体を用いたフローサイトメトリーによりスクリーニングした。より優れた成長、より高い蛍光強度、およびモノクローナル細胞系を選択し、拡大培養し、液体窒素で凍結保存した。最後に、Tリンパ球ハイブリドーマ(8B2)_hLAG−3(3E4)を最良のクローンとして選択した。
【0100】
2.抗原特異的Tリンパ球刺激実験、T−175細胞培養フラスコでTリンパ球ハイブリドーマ(8B2)_hLAG−3(3E4)を75−90%コンフルエンスまで培養し、培地を捨て、PBSで1〜2回洗浄し、カウントした後、細胞を1−2E5細胞で50ul/ウェルで96ウェル細胞培養プレートに塗布し、最終濃度の2倍の検出する抗体希釈液を培養プレートに追加して、室温で30分間インキュベートし、同時に、同じ系統の通常C57BL/6マウスの脾臓細胞と、特異的抗原OVA323−339を混合し、室温で30分間インキュベートし、最後に、培養プレートに50ulの混合物を加えて、各反応ウェルの容量が200ulになるようにし、37℃、5%COインキュベーターで反応プレートを一晩インキュベートした後、上清を回収し、検出のために−20℃以下で凍結保存した。
【0101】
3.細胞上清中のサイトカインインターロイキンIL−2酵素結合免疫吸着検出。
細胞上清中のサイトカインインターロイキンIL−2酵素結合免疫吸着検出は、R&Dシステム関連の検出キットであるマウスIL−2 DuoSet ELISA(DY402)を使用し、説明書に従って操作した。検出抗体を除くすべての試験試薬は、試験キットによって提供された。
【0102】
細胞上清中のサイトカインインターロイキンIL−2含有量を測定する酵素結合免疫吸着検出は、二重抗体サンドイッチELISAキット(R&D Systems、IL-2 Cat#DY402から購入)を使用した。実験操作は厳密にキットの説明書の要件に従っており、すべての検出試薬はキットによって提供された。具体的な実験は次のように簡単に説明される:IL−2ポリクローナル抗体をELISAマイクロタイタープレートにコーティングし、プラスチックフィルムで密封し、4℃で一晩インキュベートし、翌日、プレート洗浄液でプレートを4回洗浄し、ブロッキング溶液を加えて、室温で1〜2時間ブロックした。プレート洗浄液でプレートを4回洗浄し、ステップ2で得られた細胞上清液を検出サンプルとして使用し、標準品を加え、検出サンプルを室温で2時間インキュベートした。各ウェルに400ulの洗浄液を加え、プレートを4回繰り返して洗浄し、次に、抗ヒトIL−2のホースラディッシュペルオキシダーゼ標識抗体を加え、室温で2時間インキュベートして、マイクロプレート上のIL−2と免疫複合体を形成し、マイクロウェルを洗浄し、基質を加えて発色し、室温で30分間光を避け、最後に停止液を加え、マイクロプレートリーダーでA450nmの吸光度を測定した。
【0103】
ステップ2で説明した抗原特異的Tリンパ球刺激実験における、IL−2分泌に対するLAG−3抗体の影響を検出した。結果は、図8a、図8b、および表8に示したとおりであり、mIgG対照はマウスIgGであり、表のデータはIL−2値(pg/mL)である。
【0104】
【表8】
【0105】
結果は、抗原特異的Tリンパ球刺激試験では、検出する抗体がTリンパ球のIL−2分泌を増強でき、活性化効果は濃度勾配に依存し、405B8H3の活性率は他の抗体よりも優れていることを示す。
【0106】
(四)抗原エピトープ予測
ヒトLAG−3タンパク質の細胞外ドメインには、以下のアミノ酸配列の露出した外部ループ(eatra loop)が含まれる:GPPAAAPGHPLAPGPHP AAPSSWGPRPRRY。この領域への精製抗体の結合をテストし、各抗体が結合するエピトープを予測するために、この領域全体でペプチドスキャン実験を行った。
【0107】
完全長の外部ループ配列を含む15個の重複ペプチドを調製し、ビオチンをC末端にカプリングした。酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を使用して、これらのペプチドに対する抗体の結合を検出し、ストレプトアビジン(sigma、Cat#M5432)をPBSで希釈して、最終濃度を1.0μg/mlにした後、100μl/ウェルに96ウェルELISAプレートに加えた。プラスチックフィルムで覆い、4℃で一晩インキュベートし、翌日、プレートをプレート洗浄液(PBS+0.01%Tween20)で2回洗浄し、ブロッキング溶液(PBS + 0.01%Tween20 + 1%BSA)を加えて、室温で1〜2時間ブロッキングした。ブロッキング溶液を注ぎ捨て、ビオチン化ペプチドを最終濃度1 ug/mlに加え、96ウェルELISAプレートに100ul/ウェルで加え、37℃で1〜2時間インキュベートし、プレート洗浄液(PBS + 0.01%Tween20)で2〜3回洗浄した。次に、ウェルあたり100μlの抗体サンプルを37℃で1〜2時間インキュベートし、プレートをプレート洗浄液(PBS + 0.01%Tween20)で2〜3回洗浄した。HRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)標識二次抗体を加え、37℃で1〜2時間インキュベートし、プレートをプレート洗浄液(PBS + 0.01%Tween20)で2〜3回洗浄した。TMB基質100μlを各ウェルに加え、室温で15〜30分間インキュベートした後、各ウェルに100μlの停止液(1.0N HCl)を加えた。ELISAプレートリーダー(TiterMax 384plus、Molecular Device)を使用して、A450nm値を読み取った。ペプチドスキャン実験の結果を以下の表9に要約する。
【0108】
【表9】
【0109】
上記の表9の結果に基づいて、553G8G8と556F6B8は外部ループ配列を認識せず、405B8H3、409B11E12、および409D4E10はアミノ酸配列SSWGPRPRを含む外部ループ内の一領域を認識し、105F1E10はアミノ酸配列APSSWGPRを含む外部ループ内の領域を認識すると判断できる。
結果は、本発明の抗体およびBMSのLAG−3抗体BMS986016が結合するエピトープは一致せず、本発明の抗体はBMSの特許CN102176921Aによって保護されるエピトープHPAAPSSWを侵害しないことを示している。
【0110】
実施例3 軽鎖および重鎖可変領域アミノ酸配列の測定
全RNAの単離:サブクローナル培養の上清が抗原結合について試験された後、遠心分離により1〜5×10のハイブリドーマ細胞を収集した。1mLのトリゾール(Trizol)を加えて混合し、1.5mlの遠沈管に移し、室温で5分間静置し、0.2mlのクロロホルムを加え、15秒間振とうし、2分間静置し、4℃、12000gで5分間遠心し、上清を取り、新しい1.5mlの遠沈管に移し、0.5mlのイソプロパノールを加え、チューブ内の液体を穏やかに混合し、室温で10分間静置し、4℃、12000gで15分間遠心分離し、上清を捨て、1mlの75%エタノールを加え、沈殿物を静かに洗浄した。4℃、12000gで5分間遠心分離し、上清を捨てて乾燥させ、適量のDEPC HOを加えて溶解した(55℃ウォーターバスで10分)。
【0111】
逆転写とPCR:1μgのtRNAを取り、20ulのシステムを構成し、逆転写酵素を加え、42℃で60分間反応させ、70℃で10分間反応させて反応を停止させた。1μlのcDNA、25pmolの各プライマー、1μlのDNAポリメラーゼおよびマッチングバッファーシステム、250μmolのdNTPを含む50μlのPCRシステムを構成し、PCRプログラムを設定し、95℃で3分間の前変性、95℃で30秒間の変性、55℃で30秒間のアニーリング、72℃で35秒間伸長、35サイクル後、72℃で5分間のさらに伸長した。注:伸長温度は実際の状況に応じて調整できる。
【0112】
クローニングとシークエンシング:5μlのPCR産物を取ってアガロースゲル電気泳動検出し、カラム回収キットを使用して陽性サンプルを精製し、ライゲーション反応を実行した:50ngのサンプル、50ngのT担体、0.5μlのリガーゼ、1μlの緩衝液、10μlの反応システム、16℃で30分間反応させ;5μlのライゲーション産物を100μlのコンピテントセルに加え、5分間氷浴し、次に42℃ウォーターバスで1分間ヒートショックし、氷上に1分間戻し、抗生物質を含まない650μlのSOC培地を加え、37℃、200RPM、30分間シェーカーで蘇生し、200μlを取り出して抗生物質を含むLB固体培地に塗布し、37℃インキュベーターで一晩培養し、翌日、T担体上でプライマーM13FとM13Rを使用して、30μlPCRシステムを構成し、コロニーPCRを実行し、ピペットチップを使用してコロニーをPCR反応システムとピペットに浸し、抗生物質を含む別のLB固体ペトリ皿に0.5μlを吸引して菌株を保存し、PCR反応後、5μlを取り出してアガロースゲル電気泳動し、陽性サンプルのシークエンシングを行った。ここで、シーケンシングのステップは、Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health, Bethesda, Md.(1991)を参照。
シークエンシングの結果:本発明の抗体産物の重鎖可変領域タンパク質および遺伝子(DNA)配列、軽鎖可変領域タンパク質および遺伝子配列はいかのとおりである:
【0113】
抗体105F1E10は図9a、図9bを参照;抗体405B8H3は図10a、図10bを参照;抗体556F6B8は図11a、図11bを参照;抗体409B11E12は図12a、図12bを参照;抗体409D4E10は図13a、図13bを参照;抗体 553G8G8は図14a、図14bを参照。
【0114】
実施例4 マウス−ヒトキメラ抗体の構築、抗体の生産および精製
プラスミドの構築と準備:ハイブリドーマ抗体重鎖可変領域配列をシグナルペプチドとヒト由来重鎖抗体IgG4定常領域を含むpCP発現担体にクローニングし、軽鎖可変領域を、シグナルペプチドおよびヒト由来抗体軽鎖カッパ(lambda)定常領域を含む発現pCP担体に組み換え、シークエンシングにより検証した。アルカリ溶解キットを使用してプラスミドを抽出して純度を高め、トランスフェクション用に0.22μmフィルターメンブレンでろ過した。
【0115】
細胞トランスフェクション:Freestyle 293F細胞を使用し、培地はFreestyle 293発現培地(Freestyle 293 expression medium)であり、使用する場合は10%F68を最終濃度0.1%に追加した。トランスフェクション中、細胞密度が1〜1.5×10細胞/mlになるまで培養し、シェーカーは37℃、130RPM、8%CO濃度に設定した。5mlの培地とPEIを取り、混合し(200μg/ml)、5mlの培地と一定量のプラスミドを取り、混合し(プラスミドの量は100μg/mlである)、5分後に併合して混合し、15分間放置し、ゆっくり細胞に加え、PEIの過剰な濃度を避けるために追加しながら振とうし、シェーカーで培養し、翌日、最終濃度0.5%になるようにペプトン(sigma)を追加し、5〜7日目に培養液の抗体価をテストし、6〜7日目に遠心(3500RPM、30分間)し、ろ過して上清を収集して精製した。
【0116】
抗体の精製:エンドトキシンフリーのクロマトグラフィーカラムとプロテインAフィラーの連続生産には、0.1M NaOHで30分間処理するか、または5カラム容量の0.5M NaOHで洗浄し;長期間使用されていないカラム材料とクロマトグラフィーカラムには、少なくとも1M NaOHを使用して1時間浸し、エンドトキシンフリーの水で中性になるまですすぎ、10倍のカラム容量の1%Triton X100でカラム材料を洗浄した。5カラム容量のPBSで平衡化し、ろ過した細胞上清をカラムに入れ、必要に応じてフロースルーを収集した。カラムをロードした後、5倍のカラム容量PBSで洗浄した。5倍カラム容量の0.1M pH3.0のGlycine−HClで溶出を行い、溶出液を収集し、1/10容量のpH8.5の1M Tris−HCl(1.5M NaCl)で中和した。抗体を取得した後、エンドトキシンの混入を避けるために、1×PBSで一晩透析した。透析後、分光光度計またはキットを使用して濃度を測定し、HPLC−SECを使用して抗体の純度を測定し、エンドトキシン検出キットを使用して抗体エンドトキシンの含有量を検出した。
【0117】
実施例5 マウス−ヒトキメラ抗体の同定
(一)酵素結合免疫吸着実験(ELISA)により抗体とLAG−3タンパク質の結合を検出
実施例1で調製した免疫原1の前記ヒト由来LAG−3タンパク質の細胞外ドメインのアミノ酸配列23−450(配列表配列番号61に示される)をヒトIgG Fc断片(hFc)を有するpCpC担体にクローン化し、HEK293細胞をトランスフェクトし、細胞培養液を収集し、精製してhFcタグを有するヒトLAG−3タンパク質(ここではhLAG−3−hFcタンパク質と呼ばれる)を得;サルLAG−3タンパク質の細胞外ドメインのアミノ酸配列18−449(配列表配列番号62に示される)をヒトIgG Fc断片(hFc)を有するpCpC担体にクローン化し、HEK293細胞をトランスフェクトし、細胞培養液を収集し、精製してhFcタグを有するサルLAG−3タンパク質(ここではcLAG−3−hFcタンパク質と呼ばれる)を得;マウスLAG−3タンパク質の細胞外ドメインのアミノ酸配列24−442(配列表配列番号63に示される)をヒトIgG Fc断片(hFc)を有するpCpC担体にクローン化し、HEK293細胞をトランスフェクトし、細胞培養液を収集し、精製してhFcタグを有するマウスLAG−3タンパク質(ここではmLAG−3−hFcタンパク質と呼ばれる)を得た。
【0118】
精製されたヒト、サル、マウスLAG−33細胞外ドメインのタンパク質(hLAG−3−hFc、cLAG−3−hFc、mLAG−3−hFc)をPBSで最終濃度1.0μg/mlに希釈し、96ウェルELISAプレートに100μl/ウェルで加えた。プラスチックフィルムで覆い、4℃で一晩インキュベートし、翌日、プレートをプレート洗浄液(PBS + 0.01%Tween20)で2回洗浄し、ブロッキング液(PBS + 0.01%Tween20 + 1%BSA)を加え、室温で1〜2時間ブロッキングした。ブロッキング溶液を注ぎ捨て、検出する抗体サンプルを50〜100μl/ウェルに加え、37℃で1〜2時間インキュベートし、プレートをプレート洗浄液(PBS + 0.01%Tween20)で2〜3回洗浄した。HRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)標識二次抗体を加え、37℃で1〜2時間インキュベートし、プレートをプレート洗浄液(PBS + 0.01%Tween20)で2〜3回洗浄した。各ウェルに100μlのTMB基質を加え、室温で15〜30分間インキュベートした後、各ウェルに100μlの停止液(1.0N HCl)を加えた。ELISAプレートリーダー(TiterMax 384plus、Molecular Device)を使用して、A450nm値を読み取った。結果は図15図16図17、表10、表11、表12に示されたとおりである。
【0119】
【表10】
【0120】
【表11-1】
【表11-2】
【0121】
【表12】
【0122】
結果は、本発明で得られたマウス−ヒトキメラ抗体がヒトおよびサルLAG−3細胞外ドメインタンパク質に結合でき、各抗体の活性が近く、マウスLAG−3タンパク質に結合できないことを示した。ここで、IgG対照はヒトIgGであり、表のデータはA450nm値である。
【0123】
(二)フローサイトメトリー(FACS)により抗体とLAG−3発現細胞の結合を検出
実験方法は実施例2(一)を参照し、得られたマウス−ヒトキメラLAG−3抗体と細胞発現LAG−3の結合活性を同定し、結果は図18および図19、表13および表14に示されたとおりである。ここでIgG対照はヒトIgGであり、表のデータはMFIで測定された細胞集団の平均蛍光強度値である。
【0124】
【表13】
【0125】
【表14-1】
【表14-2】
【0126】
結果は、本発明で得られたマウス−ヒトキメラ抗体が細胞表面のヒトおよびサルLAG−3タンパク質に結合できることを示す。本発明の抗体が結合細胞表面のサルLAG−3タンパク質に結合する能力が対照抗体(BMS986016)より強い。
実験におけるサルLAG−3の配列は、中国サルの組織サンプルから得られた。本発明の抗体は、サル抗原と交差結合反応を示し、将来的には前臨床毒性学研究や前臨床薬物動態研究のために霊長類のインビボ実験を行うことができる。
【0127】
(三)LAG−3受容体リガンド結合実験によりLAG−3抗体遮断LAG−3とそのリガンドMHC IIおよびLSECtinの結合を検出
(1)LAG−3受容体リガンド結合実験によりLAG−3抗体遮断LAG−3とそのリガンドMHC IIの結合を検出
実験方法は実施例2(二)を参照し、得られたマウス−ヒトキメラLAG−3抗体の遮断活性を同定し、検出結果はそれぞれ図20および表15に示されたとおりである。
【0128】
【表15】
【0129】
結果は、本発明で得られたマウス−ヒトキメラ抗体LAG−3抗体はLAG−3とリガンドMHCIIの結合を様々な程度に遮断できることを示す。
【0130】
(2)LAG−3受容体リガンド結合実験によりLAG−3抗体遮断LAG−3とそのリガンドLSECtinの結合を検出
LAG−3細胞外ドメインタンパク質(LAG−3−hFc)をPBSで1.0μg/mLの最終濃度に希釈し、96ウェルELISAプレートに100μl/ウェルで加えた。プラスチックフィルムで覆い、4℃で一晩インキュベートし、翌日、プレートをプレート洗浄液(0.01%(v/v)Tween20を含むPBS)で2回洗浄し、ブロッキング液(0.01%(v/v)Tween20および1%(w/w)BSAを含むPBS)を加え、室温で2時間ブロッキングした。ブロッキング溶液を注ぎ捨て、まず50μl/ウェルに実施例2で得られた精製されたLAG−3抗体試験サンプルを加え、次に50μl/ウェルにLSECtinタンパク質(LSECtin−His)を加え、よく混合して37℃でインキュベートした。2時間後、プレートをプレート洗浄液[0.01%(v/v)Tween20を含むPBS]で3回洗浄した。100μl/ウェルに抗HisタグのHRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)希釈液(GenScriptから購入)を加え、37℃で2時間インキュベートした後、プレートをプレート洗浄液[0.01%(v/v)Tween20を含むPBS]で3回洗浄した。TMB基質100μlを各ウェルに加え、室温で30分間インキュベートした後、各ウェルに100μlの停止液(1.0N HCl)を加えた。ELISAプレートリーダー(TiterMax 384plus、Molecular Device)を使用して、A450nm値を読み取った。ペプチドスキャン実験の結果はそれぞれ図21および表16に示されたとおりである。
【0131】
【表16】
【0132】
結果は、本発明で得られたマウス−ヒトキメラ抗体LAG−3抗体がLAG−3とリガンドLSECtinの結合を様々な程度に遮断できることを示す。
【0133】
(四):抗原特異的Tリンパ球刺激実験によりリンパ球活性に対するLAG−3抗体の影響を検出
実験方法は実施例2(三)を参照し、結果は表17および図22に示したとおりであり、ここでIgG対照はヒトIgG(hIgG)であり、表のデータはマウスIL−2濃度である。
【0134】
【表17】
【0135】
結果は、本発明で得られたマウス−ヒトキメラ抗体が抗原特異的Tリンパ球刺激試験でIL−2分泌を刺激でき、その活性に濃度勾配依存効果があることを示し、LAG−3抗体がLAG−3のT細胞活性化阻害作用を逆転させることができ、測定結果から、本発明で得られた抗体の活性が同等であることを示す。
【0136】
(五)リンパ球刺激実験によりリンパ球活性に対するLAG−3抗体の影響を検出
リンパ球刺激実験によりLAG−3抗体遮断LAG−3タンパク質とその受容体MHC IIの結合によりTリンパ球活性の阻害を緩和してT細胞の増殖刺激を検出する。
【0137】
1.Ficollで全血を分離して末梢血単核リンパ球PBMCを取得した
新たに得られた全血をリン酸緩衝液PBSで1:1の容量比で希釈し、希釈した全血を取得し、滅菌したピペットを使用して、希釈した全血をFicoll液面(GE Healthcareから購入)に広げ、Ficollと希釈した全血の容量比は3:4であり、振とう混合を避け、室温で400g、20℃の勾配で30分間遠心し、遠心後の遠沈管は3層に分かれ、上層は血漿で、中層は乳白色、即ち、単核リンパ球である。滅菌ピペットを使用して中層細胞を軽く吸引し、新しい遠心チューブにそれらを収集し、PBSリン酸緩衝液で容量の3倍に希釈し、室温、100gで10分間遠心分離し、上清を捨てた。PBSリン酸緩衝液でリンパ球を10mLに再懸濁し、前の手順を繰り返して血小板を除去した。最後に、リンパ球を10mLの10%ウシ胎児血清の多成分RPMI1640培地(Invitrogenから購入)に再懸濁し、すなわち末梢血単核リンパ球PBMCを使用した。前記パーセンテージは質量パーセンテージである。
【0138】
2.SEB依存PBMC刺激実験
試験前に、等量比に希釈したマウス−ヒトキメラ抗体LAG−3抗体を調製し、試験用試料液を取得した。
得られた末梢血単核球のPBMCを96ウェル細胞培養プレートに1ウェルあたり1×10細胞100ulで広げ、前記試験用試料液を培養プレートに加え、室温で30分間培養した。最後に、スーパー抗原SEBを加え、各反応ウェルには50ulの400ng/ml SEBが含まれ、各反応ウェルの容量は200μLを保証し、反応プレートを37℃、5%COインキュベーターで72時間培養した後、上清を収集し、−20℃で凍結保存し、前記パーセンテージは体積パーセンテージである。
【0139】
3.細胞上清中のサイトカインインターロイキンIL−2の酵素免疫吸着検出
細胞上清中のサイトカインインターロイキンIL−2含有量の酵素結合免疫吸着検出は、R&Dシステム関連の検出キットhuman IL−2 DuoSet ELISA(DY202)を使用し、説明書に従って操作した。検出抗体を除くすべての検出試薬は、検出キットによって提供された。
【0140】
細胞上清中のサイトカインインターロイキンIL−2含有量を測定する酵素結合免疫吸着検出は、二重抗体サンドイッチELISAキット(R&D Systemsから購入、IL-2 Cat#DY402)を使用した。実験操作は厳密にキットの説明書の要件に従っており、すべての検出試薬はキットによって提供された。具体的な実験は次のように簡単に説明される:IL−2ポリクローナル抗体をELISAマイクロタイタープレートでコーティングし、プラスチックフィルムで密封し、4℃で一晩インキュベートし、翌日、プレートをプレート洗浄液で4回洗浄し、ブロッキング溶液を加えて、室温で1〜2時間ブロックした。プレート洗浄液でプレートを4回洗浄し、ステップ2で得られた細胞上清液を検出サンプルとして使用し、標準品を加え、検出サンプルを室温で2時間インキュベートした。各ウェルに400ulの洗浄液を加え、プレートを4回繰り返して洗浄し、次に、抗ヒトIL−2のホースラディッシュペルオキシダーゼ標識抗体を加え、室温で2時間インキュベートして、マイクロプレート上のIL−2と免疫複合体を形成し、マイクロウェルを洗浄し、基質を加えて発色し、室温で30分間光を避け、最後に停止液を加え、マイクロプレートリーダーでA450nmの吸光度を測定した。
【0141】
ステップ2.で説明したSEB依存PBMC刺激実験におけるIL−2分泌に対するLAG−3抗体の影響を検出した。結果は図23、および表18に示されたとおりである。
【0142】
【表18】
【0143】
結果は、SEB依存PBMCリンパ球刺激試験において、本発明で得られた抗体がPBMCのIL−2分泌を増強でき、その活性が濃度勾配に依存することを示し、LAG−3抗体がT細胞活性化活性に対するLAG−3の阻害を逆転でき、検出結果から分かるように、本発明で得られた抗体の活性化の阻害は同等である。ここでhIgG対照はヒトIgGであり、表のデータはIL−2値(pg/mL)である。
【0144】
(六)抗体親和性検出試験
まず、アミノカップリング法によりFC1を参照チャネルとして、anti−human Fc IgGをCM5チップの表面に6000〜10000 RUに固定した。カップリングプロセスは次のとおりである:50mM NHSと200mM EDCの新鮮な1:1混合物で7分間活性化し、10〜50ug/mlを注入して、10mM酢酸ナトリウムph5.0緩衝液中のanti−human Fc IgGを希釈した。残りの活性化部位を1Mエタノールアミンでブロックした。次に、HBS−EP+緩衝液を使用して、テストする抗体を5ug/mlに希釈し(捕捉レベルに応じて調整可能)、10ul/分の流速でチップに捕捉して、約100〜300RUの応答値を取得した。次に、抗原タンパク質を100nMに希釈し(最高濃度は一時的に100nMとする)、チップ表面を30ul/分の流速で流す。十分な信号値が得られた場合、抗原タンパク質比はいくつかの濃度勾配によって希釈され、それぞれチップ表面を流れる。各サイクルの後、チップの表面をpH 1.5の10mMグリシンで再生した。速度定数はブランクコントロールから差し引く必要があり、データフィッティングのモデルと組み合わせて、グローバルフィット分析法1:1を使用した。解離平衡速度定数(KD)は、次の式で計算された:KD=kd/ka。結果は表19に示したとおりである。
【0145】
【表19】
【0146】
結果は、本発明で得られた抗体のKD値がすべてナノモル(nM)レベルにあり、ツール抗体に匹敵することを示し、これらの抗体がヒトLAG−3 ECDに対して良好な親和性を持っていることを示す。ここで、405B8H3抗体はヒトLAG−3 ECDに対して最も良好な親和性を持っている。
【0147】
実施例6 ヒト化抗体の調製、同定およびホットスポット変異
(一)ヒト化抗体の調製
クローン405B8H3および556F6B8の重鎖、軽鎖可変領域を、ヒト化テンプレートとして使用した。
配列アラインメント(NCBI−Igblast)により、候補抗体405B8H3重鎖可変領域、軽鎖可変領域との相同性が最も高い生殖細胞系列遺伝子配列を可変領域移植スケルトンとして選択した:IGHV1−46*01およびIGKV1−16*01。ヒト抗体スケルトンを選択した後、ホモロジーモデリングを使用して、マウス抗定常領域の構造を決定する可能性のある重要なアミノ酸を予測し、移植されたスケルトン領域を復帰突然変異用に設計した。
【0148】
上記の原則によれば、それぞれ4つの重鎖可変領域配列(405B8H3 VH_g0、405B8H3 VH_g1、405B8H3 VH_g2、405B8H3 VH_g3)(表20を参照)および3つの軽鎖可変領域配列(405B8H3 VL_g0、405B8H_BVL8g8B1B8G3B_BH8B3BH8G_BH8G_BH8G_BH8G_BH8G_BH8G_BH8_B0G_BH8_G_BH8_G0B3)(表21を参照)を設計し、次に、クロスコンビネーションして発現させ、合計12の発現組み合わせを作成します。表22を参照してください。
【0149】
【表20-1】
【表20-2】
【0150】
【表21】
【0151】
【表22-1】
【表22-2】
【0152】
配列アラインメント(NCBI−Igblast)により、候補抗体556F6B8重鎖可変領域、軽鎖可変領域との相同性が最も高い生殖細胞系列遺伝子配列を可変領域移植スケルトンとして選択した:IGHV4−59*01およびIGKV1−9*01。ヒト抗体スケルトンを選択した後、ホモロジーモデリングを使用して、マウス抗定常領域の構造を決定する可能性のある重要なアミノ酸を予測し、移植されたスケルトン領域を復帰突然変異用に設計した。
【0153】
上記の原則によれば、それぞれ4つの重鎖可変領域配列(556F6B8 VH_g0、556F6B8 VH_g1、556F6B8 VH_g2、556F6B8 VH_g3)(表23を参照)および3つの軽鎖可変領域配列(556F6B8 VL_g0、556F6B8 VL_g1、556F6B8 VL_g2)(表24を参照)を設計し、次に、クロスコンビネーションして発現させ、合計12の発現組み合わせを作成します。表25を参照してください。
【0154】
【表23】
【0155】
【表24】
【0156】
【表25】
【0157】
担体の構築:実験方法は実施例4を参照し、重鎖可変領域配列と軽鎖可変領域配列をシグナルペプチドとヒト由来抗体IgG4定常領域を含むpCP発現担体にクローニングし、シークエンシングによって検証した。
【0158】
ヒト化抗体の調製:
細胞のトランスフェクション:実験方法は実施例4を参照し、Freestyle 293F細胞を使用して、構築されたプラスミドを細胞にトランスフェクションし、6−7日間培養し、ろ過して、上清を収集して精製した。
抗体の精製:実験方法は実施例4を参照し、エンドトキシンフリーのProtein Aクロマトグラフィーカラムで細胞培養上清液を精製して、抗体を取得した。その後、エンドトキシンの混入を避けるため、1×PBSで一晩透析した。
得られた抗体を、タンパク質濃度および純度について試験し、分析した。すべての抗体の収量および純度分析は正常であった。
【0159】
(二)ヒト化抗体の同定
A.フローサイトメトリー(FACS)により抗体とLAG−3発現細胞の結合を検出し、方法は実施例5と同じである。結果は表26と図24および表27と図25に示されたとおりであり、得られた抗体はすべて細胞表面のヒトLAG−3に結合できる。ここでIgG対照はヒトIgGであり、表のデータはMFIによって測定された細胞集団の平均蛍光強度値である。
【0160】
【表26】
【0161】
【表27-1】
【表27-2】
【0162】
B.LAG−3抗体親和性定数の測定、方法は実施例5と同じである。
ヒト化形質転換後の抗体の親和性を評価し、結果を表28に示した。結果は、本発明で得られた抗体のKD値がすべてナノモル(nM)レベルであり、ヒト化形質転換後の抗体の親和性が対応するマウス−ヒトキメラ抗体と同等であることを示している。
【0163】
【表28】
【0164】
(三)ヒト化抗体のホットスポット変異
抗体405B8H3−1ホットスポットに点突然変異を加えた。405B8H3−1抗体には1つの可変部位があり、軽鎖の56位のアスパラギンDがグルタミン酸Eに変異した。
ホットスポット変異抗体の担体の構築および調製、方法は実施例6のヒト化抗体の担体の構築および調製と同じである。得られたホットスポット変異抗体を、タンパク質濃度および純度について試験し、分析した。すべての抗体の収量および純度分析は正常であった。
【0165】
ホットスポット変異抗体の活性同定
A.フローサイトメトリー(FACS)で抗体とLAG−3発現細胞の結合を検出
方法は実施例5と同じである。結果は表29おおび図26に示されたとおりであり、ホットスポット変異抗体とキメラ抗体はすべて細胞表面のヒトLAG−3に結合できる。ここでIgG対照はヒトIgGであり、表のデータはMFIによって細胞集団の平均蛍光強度値である。
【0166】
【表29】
【0167】
B.LAG−3受容体リガンド結合実験で抗体遮断LAG−3とそのリガンドMHC IIの結合を検出
実験方法は実施例2(二)を参照し、検出結果は表30および図27に示されたとおりである。結果はホットスポット変異後の抗体とマウス−ヒトキメラ抗体がすべて、LAG−3とリガンドMHCIIの結合をブロックでき、それらの活性が同等であることを示す。
【0168】
【表30】
【0169】
C.抗原特異的Tリンパ球刺激実験でリンパ球活性に対するLAG−3抗体の影響を検出
実験方法は実施例2(三)を参照し、結果は表31および図28に示されたとおりであり、ここでIgG対照はヒトIgG(hIgG)であり、表のデータはマウスIL−2濃度である。
結果は、ホットスポット変異のヒト化抗体と対応するマウス−ヒトキメラ抗体はすべて抗原特異的Tリンパ球刺激試験でIL−2分泌を刺激でき、濃度勾配依存効果を有し、活性が同等であることを示す。
【0170】
【表31】
【0171】
D.LAG−3抗体の親和性定数の測定
方法は実施例5と同じである。ホットスポット変異抗体の親和性を評価し、結果は表32に示したとおりである。
結果は、本発明で得られた抗体のKD値がすべてナノモル(nM)レベルにあり、ホットスポット変異のヒト化抗体405B8H3−1(D→E)と対応するマウス−ヒトキメラ抗体405B8H3の親和性が1.5倍(3.11/2.03=1.5)向上され、同時にヒト化抗体556F6B8−3をホットスポット変異させ(重鎖の100位のアスパラギンDからグルタミン酸Eへ変異)、対応するマウス−ヒトキメラ抗体405B8H3と比較して、親和性が元の1/12.5(33.5/2.68=12.5)に低下したことを示す。
【0172】
【表32】
【0173】
討論
現在、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のLAG−3抗体BMS986016の臨床研究は主に悪性固形腫瘍の治療に使用されており、他の治療法や標的薬との併用に主に焦点を当てており、切除不能な転移性黒色腫、進行固形癌、乳癌、子宮内膜癌、卵巣癌、腎臓癌、膵臓癌、再発膠芽腫、頭頸部癌、膀胱癌、転移性結腸直腸癌、消化管間質腫瘍、腺房細胞癌、高悪性度固形腫瘍、非小細胞肺癌などの適用可能な臨床症状を拡大するために、幅広い適応症を持つ抗体を開発する。
【0174】
抗体自体の活性は、可変領域の配列や定常領域の構造に影響される。抗体の可変領域の配列は、抗原認識の決定基、結合親和性および体内での代謝率を決定し、これは、そのインビボ活性およびさまざまな患者の臨床効果にさえ影響を与える。
患者の治療コストを削減し、より多くの患者に利益をもたらすために、より高い収率でLAG−3抗体を開発することが当業界の緊務である。現在、腫瘍免疫療法は高価であり、コストを削減するために新しい抗体を発明および製造することが急務である。
【0175】
本発明で言及されるすべての文書は、あたかも各文書が個々に参照により組み込まれたかのように、本出願に参照により組み込まれている。さらに、本発明の上記の教示内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態も本願に添付された特許請求の範囲によって定義される範囲内にあることを理解されたい。
【0176】
本発明の配列情報:
LAG−3抗体の重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列および前記重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)をコードするヌクレオチド配列、ここでCDR1、CDR2、CDR3、CDR1’、CDR2’、CDR3’はそれぞれ下線を引いた:
【0177】
【化1】
【0178】
【化2-1】
【化2-2】
【0179】
【化3】
【0180】
【化4-1】
【化4-2】
【0181】
【化5】
【0182】
【化6】
【0183】
【化7-1】
【化7-2】
【0184】
【化8-1】
【化8-2】
【0185】
【化9-1】
【化9-2】
【0186】
【化10-1】
【化10-2】
【0187】
【表20-1】
【表20-2】
【表20-3】
【0188】
ここでVHは重鎖可変領域であり、VLは軽鎖可変領域である。VH−CDR1、VH−CDR2、VH−CDR3はそれぞれ、重鎖可変領域CDR1、CDR2、CDR3であり、VL−CDR1、VL−CDR2、VL−CDR3はそれぞれ、軽鎖可変領域CDR1’、CDR2’、CDR3’である。
【0189】
【表33】
【0190】
【表34-1】
【表34-2】
【0191】
ヒトLAG−3タンパク質アミノ酸配列 配列番号61
MWEAQFLGLLFLQPLWVAPVKPLQPGAEVPVVWAQEGAPAQLPCSPTIPLQDLSLLRRAGVTWQHQPDSGPPAAAPGHPLAPGPHPAAPSSWGPRPRRYTVLSVGPGGLRSGRLPLQPRVQLDERGRQRGDFSLWLRPARRADAGEYRAAVHLRDRALSCRLRLRLGQASMTASPPGSLRASDWVILNCSFSRPDRPASVHWFRNRGQGRVPVRESPHHHLAESFLFLPQVSPMDSGPWGCILTYRDGFNVSIMYNLTVLGLEPPTPLTVYAGAGSRVGLPCRLPAGVGTRSFLTAKWTPPGGGPDLLVTGDNGDFTLRLEDVSQAQAGTYTCHIHLQEQQLNATVTLAIITVTPKSFGSPGSLGKLLCEVTPVSGQERFVWSSLDTPSQRSFSGPWLEAQEAQLLSQPWQCQLYQGERLLGAAVYFTELSSPGAQRSGRAPGALPAGHLLLFLILGVLSLLLLVTGAFGFHLWRRQWRPRRFSALEQGIHPPQAQSKIEELEQEPEPEPEPEPEPEPEPEPEQL
【0192】
サルLAG−3タンパク質アミノ酸配列配列番号62
MWEAQFLGLLFLQPLWVAPVKPPQPGAEISVVWAQEGAPAQLPCSPTIPLQDLSLLRRAGVTWQHQPDSGPPAPAPGHPPAPGHRPAAPYSWGPRPRRYTVLSVGPGGLRSGRLPLQPRVQLDERGRQRGDFSLWLRPARRADAGEYRATVHLRDRALSCRLRLRVGQASMTASPPGSLRTSDWVILNCSFSRPDRPASVHWFRSRGQGRVPVQGSPHHHLAESFLFLPHVGPMDSGLWGCILTYRDGFNVSIMYNLTVLGLEPATPLTVYAGAGSRVELPCRLPPAVGTQSFLTAKWAPPGGGPDLLVAGDNGDFTLRLEDVSQAQAGTYICHIRLQGQQLNATVTLAIITVTPKSFGSPGSLGKLLCEVTPASGQEHFVWSPLNTPSQRSFSGPWLEAQEAQLLSQPWQCQLHQGERLLGAAVYFTELSSPGAQRSGRAPGALRAGHLPLFLILGVLFLLLLVTGAFGFHLWRRQWRPRRFSALEQGIHPPQAQSKIEELEQEPELEPEPELERELGPEPEPGPEPEPEQL*
【0193】
マウスLAG−3タンパク質アミノ酸配列配列番号63
MREDLLLGFLLLGLLWEAPVVSSGPGKELPVVWAQEGAPVHLPCSLKSPNLDPNFLRRGGVIWQHQPDSGQPTPIPALDLHQGMPSPRQPAPGRYTVLSVAPGGLRSGRQPLHPHVQLEERGLQRGDFSLWLRPALRTDAGEYHATVRLPNRALSCSLRLRVGQASMIASPSGVLKLSDWVLLNCSFSRPDRPVSVHWFQGQNRVPVYNSPRHFLAETFLLLPQVSPLDSGTWGCVLTYRDGFNVSITYNLKVLGLEPVAPLTVYAAEGSRVELPCHLPPGVGTPSLLIAKWTPPGGGPELPVAGKSGNFTLHLEAVGLAQAGTYTCSIHLQGQQLNATVTLAVITVTPKSFGLPGSRGKLLCEVTPASGKERFVWRPLNNLSRSCPGPVLEIQEARLLAERWQCQLYEGQRLLGATVYAAESSSGAHSARRISGDLKGGHLVLVLILGALSLFLLVAGAFGFHWWRKQLLLRRFSALEHGIQPFPAQRKIEELERELETEMGQEPEPEPEPQLEPEPRQL
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b
図11a
図11b
図12a
図12b
図13a
図13b
図14a
図14b
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
【配列表】
2021526013000001.app
【国際調査報告】