(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-526071(P2021-526071A)
(43)【公表日】2021年9月30日
(54)【発明の名称】オストミーバッグ
(51)【国際特許分類】
A61F 5/445 20060101AFI20210903BHJP
【FI】
A61F5/445
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2021-517528(P2021-517528)
(86)(22)【出願日】2019年6月3日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月1日
(86)【国際出願番号】EP2019064296
(87)【国際公開番号】WO2019229268
(87)【国際公開日】20191205
(31)【優先権主張番号】1809012.6
(32)【優先日】2018年6月1日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520473328
【氏名又は名称】オストフォーム・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OSTFORM LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ケレハー,ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】スペイン,オーエン
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA09
4C098CC31
4C098CD01
4C098CE02
4C098CE16
(57)【要約】
ストーマからの排出物を収集するためのオストミーバッグは、オストミー排出物を受け入れるための少なくとも1つの開口部を有するバッグと、少なくとも1つの開口部の端の周囲に少なくとも部分的に配置される注入口とを含み、注入口は、少なくとも1つの開口部から離れて、少なくとも1つの開口部から半径方向外側にバッグの内部に延びる。オストミーアタッチメントの製造方法及び使用方法も提供される。オストミーバッグで使用するための取り付けプレート及びオストミーバッグキットについても説明される。オストミーバッグ及び取り付けプレートの製造方法、及びそれらの使用方法についてさらに説明される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストーマからの排出物を収集するためのオストミーバッグであって、
− オストミー排出物を受け入れるための少なくとも1つの開口部を有するバッグと、
− 前記少なくとも1つの開口部の端の周囲に少なくとも部分的に配置される注入口と、を含み、
前記注入口は、前記少なくとも1つの開口部から離れて、前記少なくとも1つの開口部から半径方向外側に前記バッグの中へ延びる、オストミーバッグ。
【請求項2】
使用時に前記注入口の外端が患者の皮膚に寄り掛かる又はその付近にあるように、前記注入口は、前記バッグの内部から外側に延びる、請求項1に記載のオストミーバッグ。
【請求項3】
前記注入口は、オストミー排出物を患者の皮膚から離れてオストミーバッグに注入するよう構成されている、請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載のオストミーバッグ。
【請求項4】
前記注入口は、オストミー排出物の収集及びオストミー排出物の前記オストミーバッグ内への受渡しを最適化するよう角度が付けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載のオストミーアタッチメント。
【請求項5】
前記注入口は、前記少なくとも1つの開口部から1cmから5cmの間の垂直距離を前記バッグの中へ延びる、請求項1から4のいずれか一項に記載のオストミーアタッチメント。
【請求項6】
前記注入口は、前記バッグに強固に取り付けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載のオストミーバッグ。
【請求項7】
前記注入口は、前記バッグの外側に配置されるプレートに対するアタッチメントを介して、前記バッグに強固に取り付けられている、請求項7に記載のオストミーバッグ。
【請求項8】
前記注入口は、前記バッグの外側に配置されるプレートに強固に取り付けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載のオストミーバッグ。
【請求項9】
前記バッグは、永久的な固定具及び半永久的な固定具の少なくとも1つによって前記プレートに取り付けられている、請求項6から8に記載のオストミーバッグ。
【請求項10】
a.永久的な固定具は、プラスチック溶接、溶融、ねじ、リベット、ピンの少なくとも1つであり、
b.半永久的な固定具は、接着剤、クリップ、フック、面テープ、ねじ山、バヨネット固定具の少なくとも1つである、請求項9に記載のオストミーバッグ。
【請求項11】
前記プレートは、前記オストミーバッグを前記患者の皮膚に固定するためのシールに取り付けるよう構成されている、請求項7から10のいずれか一項に記載のオストミーバッグ。
【請求項12】
前記プレートは、前記シールを含む、請求項11に記載のオストミーバッグ。
【請求項13】
前記プレートは、第1の面及び第2の面を含み、前記シールは、前記プレートの前記第1の面に付着し、前記バッグは、前記プレートの前記第2の面に取り付けられる、請求項12に記載のオストミーバッグ。
【請求項14】
前記注入口は、前記少なくとも1つの開口部の周りに延びる少なくとも1つの可撓性アームを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のオストミーバッグ。
【請求項15】
前記注入口は、前記少なくとも1つの開口部の周りに延びる2つの可撓性アームを備える、請求項14に記載のオストミーバッグ。
【請求項16】
前記バッグは、前記少なくとも1つの開口部の周りに、略円形の同心円状のマーキングを有し、前記少なくとも1つの開口部のサイズを調整するためのガイドをユーザーに提供する、請求項1から15のいずれか一項に記載のオストミーバッグ。
【請求項17】
前記略円形のマーキングは、前記注入口に隣接する前記少なくとも1つの開口部と端を共有する、請求項16に記載のオストミーバッグ。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載のオストミーバッグを製造するための方法であって、
− 少なくとも1つの開口部を有する後部の不透過性層を提供すること、
− 前記少なくとも1つの開口部の前記端の部分に注入口を、前記注入口が前記少なくとも1つの開口部から離れて、前記少なくとも1つの開口部から半径方向外側に延びるように、強固に取り付けること、
− 前部の不透過性層を提供すること、及び
− 前記注入口が、形成される前記オストミーバッグの内部に主に延びるように、前記前部の不透過性層と前記後部の不透過性層とを、それらの外側接触端の少なくとも実質的な部分の周囲で密閉することを含む、方法。
【請求項19】
前記注入口は、前記バッグの外側に配置されるプレートに対するアタッチメントを介して、前記バッグに強固に取り付けられている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1から17のいずれか一項に記載のオストミーバッグを製造するための方法であって、
− 少なくとも1つの開口部を有する取り付けプレートを提供すること、
− 注入口を、前記注入口が前記少なくとも1つの開口部から離れて、前記少なくとも1つの開口部から半径方向外側に延びるように、前記少なくとも1つの開口部の前記端の部分に強固に取り付けること、
− 少なくとも1つのアパーチャーを有するバッグを提供すること、及び
− 前記注入口が前記バッグの前記アパーチャーを通って前記オストミーバッグの内部に主に延びるようオストミーバッグを形成するために、前記バッグを前記取り付けプレートに取り付けること、を含む、方法。
【請求項21】
前記バッグは、永久的な固定具及び半永久的な固定具の少なくとも1つによって、前記取り付けプレートに取り付けられている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
− 永久的な固定具は、プラスチック溶接、溶融、ねじ、リベット、ピンの少なくとも1つであり、
− 半永久的な固定具は、接着剤、クリップ、フック、面テープ、ねじ山、バヨネット固定具の少なくとも1つである、請求項21に記載のオストミーバッグ。
【請求項23】
ストーマを有する患者にオストミーバッグを取り付けるための方法であって、(1)オストミーシールを、それがストーマを少なくとも部分的に取り囲むように患者に貼り付けること、(2)前記少なくとも1つの開口部が患者のストーマと整列するように、請求項1から17のいずれか一項に記載のオストミーバッグを前記オストミーシール上に配置すること、を含む、方法。
【請求項24】
ストーマを有する患者にオストミーバッグを取り付けるための方法であって、(1)オストミーシールを、それが少なくとも部分的に前記少なくとも1つの開口部を取り囲むように、請求項1から17のいずれか一項に記載のオストミーバッグに貼り付けること、(2)前記少なくとも1つの開口部が前記患者のストーマと整列するように、ステップ(1)の前記オストミーバッグを前記患者の上に配置すること、を含む、方法。
【請求項25】
請求項1から17のいずれか一項に記載のオストミーバッグで使用するための取り付けプレートであって、
− 少なくとも1つの開口部を有するプレートと、
− 前記少なくとも1つの開口部の端の周りに少なくとも部分的に配置される注入口であって、前記注入口は、前記少なくとも1つの開口部から離れて、前記少なくとも1つの開口部から半径方向外側に延びる注入口と、を含む、取り付けプレート。
【請求項26】
使用時に前記注入口の端が患者の皮膚に寄り掛かる又はその付近にあるように、前記注入口は、前記少なくとも1つの開口部を通って延びる、請求項25に記載の取り付けプレート。
【請求項27】
前記注入口は、オストミー排出物を患者の皮膚から離れて注入するよう構成されている、請求項25又は請求項26に記載の取り付けプレート。
【請求項28】
前記注入口は、オストミー排出物の収集及びオストミー排出物の前記オストミーバッグ内への受渡しを最適化するよう角度が付けられている、請求項25から27のいずれか一項に記載の取り付けプレート。
【請求項29】
前記注入口は、前記少なくとも1つの開口部から1cmから5cmの間の垂直距離を延びる、請求項25から28のいずれか一項に記載の取り付けプレート。
【請求項30】
前記注入口は、前記取り付けプレートに強固に取り付けられている、請求項25から29のいずれか一項に記載の取り付けプレート。
【請求項31】
ストーマを有する患者にオストミーバッグを取り付けるための方法であって、(1)オストミーシールを、それがストーマを少なくとも部分的に取り囲むように患者に貼り付けること、(2)前記少なくとも1つの開口部が前記患者のストーマと整列するように、請求項25から30のいずれか一項に記載の前記取り付けプレートを前記オストミーシール上に配置すること、(3)オストミーバッグを前記取り付けプレート上に配置すること、を含む、方法。
【請求項32】
前記開口部は、患者の前記ストーマに厳密に一致するように調整される、請求項23、請求項24又は請求項31に記載の方法。
【請求項33】
請求項1から17のいずれか一項に記載のオストミーバッグと、患者のストーマを少なくとも部分的に囲むよう構成されたオストミーシールとを含むオストミー取り付けキット。
【請求項34】
請求項25から30のいずれか一項に記載の取り付けプレートと、オストミーバッグ及び患者のストーマを少なくとも部分的に取り囲むよう構成されたオストミーシールとを含むオストミー取り付けキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オストミーバッグ又はパウチの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
オストミーは、体液、通常は老廃物の排出を可能にするように、体内における外科的に作成された開口部である。オストミーは、ストーマ、つまり、腸、回腸、尿管などの体腔の外在化に関連するもので、オストミーは、ストーマを介するその空洞に代わる流体排出口を提供する。通常、体腔を通過する及び/又は体腔からの体液又は老廃物の正常な経路を妨害した手術又は疾患の後に、オストミーは使用される。
【0003】
最も一般的なタイプのオストミーは、通常は結腸の下部を切除する手術の後に、結腸が腹壁のオストミーに迂回される結腸瘻造設術、同様の手術が小腸(回腸)に適用される回腸瘻造設術、及び膀胱及び尿管/尿道を通る通常の排尿が不可能である、尿がオストミーを通して排尿される人工膀胱造設術である。
【0004】
ストーマは、オストミーで体の表面と同一面上にある、又はオストミーから突き出してもよい。通常、バッグ又は他の適切な容器は、ストーマから排出される体液を収集するために、オストミーの外面の患者の皮膚に取り付けられる。
【0005】
ストーマを通じて排出された体液は、オストミーの周囲の皮膚表面に接触すると、深刻な刺激を引き起こし得ることが十分に立証されている。したがって、ストーマからの排出物が皮膚に接触するのを防止するために、オストミーと排出物を収集するオストミーバッグとの間の接続を密封することが望ましい。しかし、各ストーマが個別の大きさと形状になっているという事実と、バッグを交換して定期的にシールを破る必要があるため、実際に最適なシールを実現することは困難である。
【0006】
ストーマの排出物からストーマの周囲の皮膚を保護する1つの既知の方法は、オストミーシールを利用することである。通常、ハイドロコロイドなどの生体適合性接着剤で形成されるオストミーシールは、一方の面では皮膚に接着し、他方の面では対応するハイドロコロイドシールがオストミーバッグの入り口の周囲にあって、オストミーに接近して取り囲むものである。
【0007】
ハイドロコロイドは、優れた付着性と皮膚適合性を提供しつつ、吸収性がある。皮膚と接触しているハイドロコロイドドシールによるストーマ排出物の吸収は、刺激を引き起こす可能性があるので、ストーマからの排出物とのハイドロコロイドシールの接触を最小限に抑えることが望ましい。通常は重力下で、皮膚から離れてオストミーバッグの中にストーマからの排出物を注入する注入口又は他の装置を使用することによって、この問題を軽減又は排除することができる。
【0008】
EP0197672は、ストーマを取り囲むハイドロコロイド接着パッドとから成る第1の部分と、ハイドロコロイド接着パッドともにシールを形成するストーマの上に配置されるドーム型容器との2部構造を有する人工膀胱器具について説明している。ドーム型容器には、オストミーバッグに取り付けるために皮膚から離れた入り口を有する注入口がある。注入口の皮膚からの間隔は、ストーマからの排出物をストーマバッグに導くことなく、ハイドロコロイドパッド上にストーマ排出物をプールすることを可能にし、上記で概略した不安定問題及び皮膚の炎症を引き起こす。
【0009】
WO2017/167582は、上記の問題のいくつかに対処するオストミーアタッチメントについて説明している。ストーマからオストミーバッグへ排出物を効果的に導くために、非吸収性の注入口がハイドロコロイドシールに取り付けられている。これは、吸収性シール材料がオストミー排出物と接触するのを回避するのに役立ち、上記の方法でこれに起因する吸収及び皮膚の問題を少なくとも低減する。
【0010】
WO 2017/167582のオストミーアタッチメントは、EP0197672などの既存のシステムに比べて多くの利点を提供する一方、皮膚に接触する、吸収性のある、通常はハイドロコロイドシールと、非吸収性の注入口との2つのコンポーネントで構成される。非吸収性材料から成る柔軟なコンポーネントと、ハイドロコロイドなどの吸収性材料から成るシールとを含むアタッチメントを組み立てることは、ストーマからの流出物を吸収し始めると、その構造的完全性を失うハイドロコロイド材料の傾向のため、依然として課題が残る。ハイドロコロイドがその構造的完全性を失うと、柔軟で非吸収性の成分がハイドロコロイドから分離し、ストーマからの排出物が皮膚から効果的に誘導されず、アタッチメントからの漏れ、又はおそらくオストミーバッグが落下するリスクがある。
【0011】
また、現在患者によって使用されている従来技術のオストミーアタッチメントは、注入口を含まない。これらのデバイスでは、通常はハイドロコロイドで形成されたシールは、ストーマの周囲の皮膚に適用され、次にオストミーバッグがバッグの対応するシールを介してこれに取り付けられる。WO2017/167582のデバイスでは、注入口は、シールの一部として事前に製造された状態で提供され、この場合、注入口を決定した後、患者がオストミーバッグを取り付ける、若しくは、バッグを着用する工程にステップを追加して、バッグを取り付ける前に、最初に注入口をシールに適用しなければならない。大半の患者は、WO2017/167582のデバイスを採用するのに困難はないが、注入口がオストミーバッグの一部である場合、従来技術のオストミーバッグを使用した患者の以前の経験とできる限り類似するように、オストミーアタッチメントではなく、改善された又は少なくとも代替の解決策を提供することが有利である。これは、簡潔さの点で利点があるので、患者のコンプライアンスが向上し、漏れ、又はバッグの脱落、又は正しく取り付けられていないバッグを廃棄する必要がある場合の無駄につながる可能性のあるオストミーバッグの着用における誤りが減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】EP0197672
【特許文献2】WO2017/167582
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、ストーマからの排出物を効率的にオストミーバッグに導いて、ストーマ排出物の皮膚との又はストーマ排出物のオストミーバッグの皮膚に対する安全な取り付けを提供する吸収性シールとの接触を防止又は最小化するオストミーアタッチメントが当技術分野で依然として必要である。デバイスが患者にとって使いやすく、配置しやすいことも望ましい。
【0014】
本発明のこれら及び他の使用、特徴及び利点は、本明細書で提供される教示から当業者には明らかであるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の態様において、本発明は、オストミー排出物を受け入れるための少なくとも1つの開口部を有するバッグと、少なくとも1つの開口部の端の周囲に少なくとも部分的に配置される注入口であって、注入口は、少なくとも1つの開口部から離れて、少なくとも1つの開口部から半径方向外側にバッグの中へ延びる注入口とを含む、ストーマからの排出物を収集するためのオストミーバッグに関する。
【0016】
実施形態では、使用時に注入口の外端が患者の皮膚に寄り掛かる又はその付近にあるように、注入口は、バッグの内部から外側に延びる。さらなる実施形態では、注入口は、オストミー排出物を患者の皮膚から離れて、オストミーバッグに注入するよう構成されている。別の実施形態では、注入口は、オストミー排出物の収集及びオストミー排出物のオストミーバッグ内への受渡しを最適化するよう角度が付けられている。
【0017】
実施形態では、注入口は、少なくとも1つの開口部から0.5cmから5cmの間の垂直距離をバッグの中へ延びる。
【0018】
複数の実施形態では、注入口は、バッグに強固に取り付けられている。適切には、注入口は、バッグの外側に配置されるプレートに対するアタッチメントを介して、バッグに強固に取り付けられている。さらなる実施形態では、注入口は、バッグの外側に配置されるプレートに強固に取り付けられている。
【0019】
バッグは、永久的な固定具及び半永久的な固定具の少なくとも1つによってプレートに取り付けられている。適切には、永久的な固定具は、プラスチック溶接、溶融、ねじ、リベット、ピンの少なくとも1つであり、半永久的な固定具は、接着剤、クリップ、フック、面テープ、ねじ山、バヨネット固定具の少なくとも1つである。
【0020】
複数の実施形態では、プレートは、オストミーバッグを患者の皮膚に固定するためのシールに取り付けるよう構成されている。適切には、プレートは、シールを含む。複数の実施形態では、プレートは、第1の面及び第2の面を含み、シールは、プレートの第1の面に付着し、バッグは、プレートの第2の面に取り付けられる
【0021】
複数の実施形態では、注入口は、少なくとも1つの開口部の周りに延びる少なくとも1つの可撓性アームを備える。適切には、注入口は、少なくとも1つの開口部の周りに延びる2つの可撓性アームを備える。
【0022】
複数の実施形態では、バッグは、少なくとも1つの開口部の周りに、略円形の同心円状のマーキングを有し、少なくとも1つの開口部のサイズを調整するためのガイドをユーザーに提供する。適切には、略円形のマーキングは、注入口に隣接する少なくとも1つの開口部と端を共有する。
【0023】
第2の態様において、本発明は、少なくとも1つの開口部を有する後部の不透過性層を提供する、少なくとも1つの開口部の端の部分に注入口を、注入口が少なくとも1つの開口部から離れて、少なくとも1つの開口部から半径方向外側に延びるように強固に取り付ける、前部の不透過性層を提供する、注入口が形成されるオストミーバッグの内部に主に延びるように、前部の不透過性層を後部の不透過性層に、それらの外側接触端の少なくとも実質的な部分の周囲で密閉することから成る、本発明の第1の態様のオストミーバッグを製造するための方法に関する。
【0024】
複数の実施形態では、注入口は、バッグの外側に配置されるプレートに対するアタッチメントを介して、バッグに強固に取り付けられている。
【0025】
第3の態様において、本発明は、少なくとも1つの開口部を有する取り付けプレートを提供する、少なくとも1つの開口部の端の部分に注入口を、注入口が少なくとも1つの開口部から離れて、少なくとも1つの開口部から半径方向外側に延びるように、強固に取り付ける、少なくとも1つのアパーチャーを有するバッグを提供する、及び注入口がバッグのアパーチャーを通ってオストミーバッグの内部に主に延びるようオストミーバッグを形成するために、バッグを取り付けプレートに取り付けることから成る、本発明の第1の態様のオストミーバッグを製造するための方法に関する。
【0026】
複数の実施形態では、バッグは、永久的な固定具及び半永久的な固定具の少なくとも1つによって、取り付けプレートに取り付けられている。適切には、永久的な固定具は、プラスチック溶接、溶融、ねじ、リベット、ピンの少なくとも1つであり、半永久的な固定具は、接着剤、クリップ、フック、面テープ、ねじ山、バヨネット固定具の少なくとも1つである。
【0027】
第4の態様において、本発明は、(1)オストミーシールを、それがストーマを少なくとも部分的に取り囲むように患者に貼り付ける、(2)少なくとも1つの開口部が患者のストーマと整列するように、本発明の第1の態様のオストミーバッグをオストミーシール上に配置することから成る、ストーマを有する患者にオストミーバッグを取り付けるための方法に関する。本発明のこの態様の方法のステップは、任意の適切な順におこなってもよい。
【0028】
第5の態様において、本発明は、(1)オストミーシールを、それが少なくとも部分的に少なくとも1つの開口部を取り囲むように、本発明の第1の態様のオストミーバッグに貼り付ける、(2)少なくとも1つの開口部が患者のストーマと整列するように、ステップ(1)のオストミーバッグを患者の上に配置することから成る、ストーマを有する患者にオストミーバッグを取り付けるための方法に関する。本発明のこの態様の方法のステップは、任意の適切な順におこなってもよい。
【0029】
第6の態様において、本発明は、少なくとも1つの開口部を有するプレートと、少なくとも1つの開口部の端の周りに少なくとも部分的に配置される注入口であって、注入口は、少なくとも1つの開口部から離れて、少なくとも1つの開口部から半径方向外側に延びる注入口とを含む、本発明の第1の態様のオストミーバッグで使用するための取り付けプレートに関する。
【0030】
複数の実施形態では、使用時に注入口の端が患者の皮膚に寄り掛かる又はその付近にあるように、注入口は、少なくとも1つの開口部を通って延びる。さらなる実施形態では、注入口は、オストミー排出物を患者の皮膚から離れて注入するよう構成されている。複数の実施形態では、注入口は、オストミー排出物の収集及びオストミー排出物のオストミーバッグ内への受渡しを最適化するよう角度が付けられている。
【0031】
複数の実施形態では、注入口は、少なくとも1つの開口部から1cmから5cmの間の垂直距離を延びる。別の実施形態では、注入口は、取り付けプレートに強固に取り付けられている。
【0032】
第7の態様において、本発明は、(1)オストミーシールを、それがストーマを少なくとも部分的に取り囲むように患者に貼り付ける、(2)少なくとも1つの開口部が患者のストーマと整列するように、本発明の第6の態様の取り付けプレートをオストミーシール上に配置する、(3)オストミーバッグを取り付けプレート上に配置することから成る、ストーマを有する患者にオストミーバッグを取り付けるための方法に関する。本発明のこの態様の方法のステップは、任意の適切な順におこなってもよい。
【0033】
本発明の第4、5及び7の様態の実施形態では、開口部は、患者のストーマに厳密に一致するように調整される。
【0034】
第8の態様において、本発明は、本発明の第1態様のオストミーバッグと、患者のストーマを少なくとも部分的に囲むよう構成されたオストミーシールとを含むオストミー取り付けキットに関する。
【0035】
第9の態様において、本発明は、本発明の第6態様の取り付けプレートと、オストミーバッグ及び患者のストーマを少なくとも部分的に取り囲むよう構成されたオストミーシールとを含むオストミー取り付けキットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の1つ又は複数の実施形態は、ほんの一例として、添付の図面を参照して説明される。
【0037】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るオストミーバッグ1を示している。
【
図2】
図2は、分解図で両側にカバーが付いた
図1のオストミーバッグ1を示している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明を説明する前に、本発明の理解を助けるいくつかの定義が提供される。本明細書で引用されるすべての参考文献は、その全体が参照により援用される。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0039】
文脈によって別段の指示がない限り、本明細書での単数形の使用は、複数形を含むように読まれるべきであり、その逆もまた同様である。したがって、「1つ」、「1つ又は複数」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0040】
本明細書で使用されるように、「含む」という用語は、列挙された要素のいずれかが必然的に含まれ、他の要素も任意に含まれ得ることを意味する。「から本質的に成る」は、列挙された要素が必然的に含まれることを意味し、記載された要素の基本的及び新規の特性に実質的に影響を与える要素は除外され、他の要素は任意に含まれてもよい。「から成る」は、記載された要素以外のすべての要素が除外されることを意味します。これらの用語の各々によって定義される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0041】
本明細書で使用されるように、「吸収性の」という用語は、水又は他の液体を吸収することができる材料の特性を指す。「吸収性材料」という用語は、吸収性を有する材料を指す。吸収性材料は、水又は他の液体を吸収することによって物質的に影響を受ける可能性があり、例えば、材料は、膨張する、変形する、不安定になる、縮退する又は分解する場合がある。本出願の文脈における吸収性材料の例は、ハイドロコロイド及びハイドロゲルである。一方、「非吸収性の」という用語は、水又は他の液体を吸収しない材料の特性を指す。「非吸収性材料」という用語は、非吸収性の特性を有する材料を指す。非吸収性材料は、これらの液体と接触した後、視覚的及び構造的に変わらないままであってよい。本出願の文脈における非吸収性材料の例は、ゴム、ゴム状材料、ポリウレタン、シリコン、及び熱可塑性エラストマーである。非吸収性材料のさらなる例は、熱硬化性プラスチック、及び形状記憶金属又は箔などの金属でもよい。
【0042】
本明細書で使用されるように、「ハイドロコロイド」という用語は、通常、ポリイソブチレンなどのポリマー、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、並びにペクチンなどのハイドロ活性粒子を含む材料を指す。ハイドロコロイドは、親水性流体と接触すると膨潤し、半固体のゲルを形成する。
【0043】
本明細書で使用されるように、「弾性変形可能な」という用語は、適切な力を受けて、その力が除去されて実質的又は厳密に元の形状又は位置に戻るときに曲がる又は撓む材料又は構造の能力を指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「可撓性のある」という用語は、適切な力を受けて曲がる又は撓む材料又は構造の能力を指す。
【0045】
本明細書で使用されるように、「オストミーシール」又は「シール」という用語は、オストミーアタッチメントの一部を形成し、ストーマとストーマ排出物が集まるオストミーバッグとの間に液密シールを設けるように機能するコンポーネントを指す。通常、オストミーシールは、生体適合性を有し、皮膚と接触して使用しても安全である。適切には、オストミーシールは、接着性を有しており、皮膚及び/又はオストミーアタッチメントの他の部分に接着し得ることを意味する。適切には、オストミーシールは、ハイドロコロイド又はハイドロゲルなどの吸収性材料で形成されている。実施形態では、オストミーシールは、内面及び外面を有する(完全な又は半径方向の切断によって1回以上折れた)平面環状リングであり、外面は、一般に、内面、内壁又は内縁に垂直であり、一般的に内面と外面の境界に垂直であり、及び/又はオストミーシールの中央開口部を囲んでいる。内側のリムに対して外側に同心円状に、及び通常は平行に配置されるのは、外壁又は外縁である。通常、内面と外面との距離は、外縁上の対向する点どうしの間の距離よりも小さい。
【0046】
本明細書で使用されるように、「バッグ」という用語は、オストミー排出物を収集するのに適した任意の形態の容器を指す。この用語は、「パウチ」及び「容器」という用語と同じ意味で使用してもよい。バッグは、通常、それぞれの外周面で結合された前部の液体不透過性層と後部の液体不透過性層で形成される。接合部は、前部及び後部の液体不透過性層の外周面の周囲にある部分的又は完全なシールであってもよい。1つの液体不透過性層、通常は後部の液体不透過性層は、オストミー液及び/又はストーマの入口用の開口部又はアパーチャーを有する。バッグは、1つ又は複数の追加の開口部を有していてもよく、通常、使用中は底部にあり、必要に応じてバッグを空にするために開口し得る。
【0047】
本明細書で使用されるように、バッグの文脈における「中に」という用語は、バッグの内部容積を指す。本明細書で使用される「内向きに」又は「内側に」という用語は、バッグの内部容積に向かう又はその内側への方向を指す。逆に、本明細書で使用されるように、バッグの文脈における「外に」という用語は、バッグの内部容積の外側の空間を指す。「外向きに」又は「外側に」という用語は、バッグの内部容積に向かう又はそこから外への方向を指す。「半径方向外向きに」又は「半径方向外側に」という用語は、定義された物体又はその中心(又はその付近)から離れる方向を指す。
【0048】
本明細書で使用されるように、「前面」という用語は、使用時にユーザーの皮膚から最も遠い側及び/又は皮膚から離れて面する側を指す。「後面」又は「後部」という用語は、使用時にユーザーの皮膚に最も近い側及び/又は皮膚に面する側を指す。「底部」又は「下位」という用語は、下端又は通常の使用時に任意にユーザーの足に近い下端を指す。「上部」という用語は、上端又は通常の使用時に任意にユーザーの頭部に近いより高位端を指す。
【0049】
本発明は、バッグの内部容積に突出し、ストーマからの排出物を導入し、通常は重力下で、皮膚から離れて、オストミーバッグの中に収集することができる注入口を含む改良されたオストミーバッグを提供する。本発明のオストミーバッグはまた、ストーマ液がオストミーシール又は皮膚に跳ね返るのを低減又は防止するオストミーバッグを提供することで、使用寿命を改善し、皮膚刺激を少なくするオストミーバッグの配置を提供する。
【0050】
本発明のオストミーバッグはまた、バッグの前面によるストーマの閉塞を防止するように作用し、漏れ及びいわゆる「パンケーキング」又は「パティケーキング」の傾向を低減する。本発明はまた、患者が使用する及び配置するのがより容易である、改良されたオストミーバッグを提供する。
【0051】
図面の
図1は、本発明の一実施形態に係るオストミーバッグ1を示している。
図2は、分解図で両側にカバーが付いた
図1のオストミーバッグ1を示している。
【0052】
複数の実施形態では、オストミーバッグ1は、前部の液体不透過性層2及び後部の液体不透過性層4を含む。前部及び後部の液体不透過性層2、4は、それらがバッグ又はパウチを形成するように、実質的にすべての外側接触端で接合又は密封されるよう構成される。バッグは実質的に中空であると考えられる。それにもかかわらず、ストーマ排出物を受け取り、収容するバッグの機能が影響を受けないという条件で、バッグが他の内容物を有し得る、又は前部及び後部の液体不透過性層が外側接触端から離れて接合され得ることもまた考えられる。いくつかの実施形態では、前部及び後部の液体不透過性層2、4は、外側接触端全周で密封され得る。適切には、不透過性層2、4は、必要なときにバッグの内容物を空にする手段を提供するために、バッグ又はパウチの底部の領域5を除いて、外側接触周辺部の全周で結合される。
【0053】
複数の実施形態おいて、及び
図1と
図2に示される実施形態において、後部の液体不透過性層4は、オストミー排出物を受け入れるための開口部又はアパーチャー6を備える。適切には、開口部6は、後部の液体不透過性層4の上半分にある。より適切には、開口部6は、後部の液体不透過性層4の長さの上部25%にある。開口部6は、後部の液体不透過性層4の長さの上部20%、15%、10%又は5%にあってもよい。
【0054】
複数の実施形態では、開口部6は、患者のストーマを取り巻き、包囲するよう構成される。開口部6は、それがストーマを密接に取り囲むことで、最適化された適合をもたらすように、その必要なサイズにユーザーが調整することができる。
図1及び
図2に示される実施形態における開口部6の周りに示されるほぼ円形のマーキング8は、開口部6のサイズを調整するためのガイドをユーザーに提供する。開口部6のサイズは、任意の適切な手段によって調整することができる。適切には、サイズは、使用前にハサミ又はナイフで切ることで調整してもよい。または、マーキング8は、マークされた各セグメントが、工具を持たずに手で引き裂くことで除去できるように、製造中に穿孔してもよい。円形のマーキング8の各々は、開口部6の下端と一致する下端を共有し、これは、調整後、必要に応じて、開口部6の下端の位置が変わらないままであることを意味する。開口部6によるストーマの周りの最適化された適合は、ストーマ液の漏れが、本発明のバッグによって最小限に抑制又は防止される1つの方法である。
【0055】
複数の実施形態において、及び
図1と
図2に示される実施形態において、開口部6の下端の周りに配置されるのは、注入口10である。注入口10は、内向きに及び開口部6の中心(又はその付近)からオストミーバッグ1の中に半径方向外側に突出する角度の付いた面を有する。注入口10の角度の付いた面は、使用時に、皮膚レベル又はその付近で、開口部6の底部から又はその付近で、一端が突出している。このように、注入口10は、重力下で、皮膚から離れて、ストーマからの排出物をオストミーバッグ1に注入するよう作用する。
【0056】
注入口10の角度の付いた面は、任意の適切な形状及びサイズであってよい。適切には、注入口10の角度の付いた面は、一般に、形状が四角形である。複数の実施形態では、注入口10の角度の付いた面は、1cmから5cmの間の長さである。適切には、注入口10の角度の付いた面は、1cmから3cmの間の長さである。複数の実施形態では、注入口10の角度の付いた面の最大長さは、0.5cm以下、1cm、1.5cm、2cm、2.5cm、3cm、3.5cm、4.0cm以上である。複数の実施形態では、注入口10の角度の付いた面の最大長さは、7.0cm以上、6.5cm、6.0cm、5.5cm、5.0cm以下である。さらなる実施形態では、注入口10の角度の付いた面は、1cmから5cmの幅である。適切には、注入口10の角度の付いた面は、1cmから3cmの幅であり、注入口10の角度の付いた面は、0.5cm以下、1cm、1.5cm、2cm、2.5cm、3cm、3.5cm、4.0cm以上の最小幅を有する。複数の実施形態では、注入口10の角度の付いた面は、7.0cm以上、6.5cm、6.0cm、5.5cm、5.0cm以下の最大幅を有する。
【0057】
特定の複数の実施形態における注入口10の角度により、注入口10の(開口部6又はその延長面と開口部6から最も遠い注入口の端部との間の垂直距離として定義される)高さは、1cmから5cmの間である。適切には、注入口10の高さは、1cmから3cmの間の長さである。複数の実施形態では、注入口10の最小高さは、0.5cm以下、1cm、1.5cm、2cm、2.5cm、3cm、3.5cm、4.0cm以上である。複数の実施形態では、注入口10の最大高さは、7.0cm以上、6.5cm、6.0cm、5.5cm、5.0cm以下である。
【0058】
注入口10のオストミーバッグ1への突出はまた、オストミーバッグ1が平らになるのを防止するよう作用するので、使用中、オストミー排出物のバッグ内への自由な通過を促す。「パンケーキング」(又は「パティケーキング」)は、ストーマ排出物がストーマパッド上又はその周辺にある際に発生し、オストミーバッグの中に流れ込むことができない。この残留排出物は、オストミーアタッチメント及び/又はシールから漏れる可能性のあるさらなる排出物を閉塞又は阻止する虞がある。パンケーキングは、ストーマの上に載るバッグの前部の層によって引き起こされる可能性があるため、これを防止するあらゆる手段が有益となるであろう。
【0059】
注入口10は、任意の適切な方法でオストミーバッグ1に強固に取り付けることができる。複数の実施形態において、及び
図1と
図2に示される実施形態において、注入口10は、オストミーバッグ1の外側の取り付けプレート又はプレート12に強固に取り付けられる。実施形態において、開口部6を含む後部の液体不透過性層4の一部は、注入口10と取り付けプレート12との間に挟まれるので、注入口8と取り付けプレート12の両方をオストミーバッグ1に固定する。別の複数の実施形態では、取り付けプレート12及び注入口10は、単一の一体部品として形成され、任意の適切な手段、例えば、プラスチック成形、接着剤、面ファスナーなどの半永久的なアタッチメント、又はピン、固定具のネジなどの機械的なアタッチメントによってオストミーバッグに取り付けられ得る。
【0060】
複数の実施形態において、注入口10は、注入口10の中央部分から突出する1つ又は複数の湾曲したアーム14を備える。湾曲したアーム14は、ストーマ排出物を注入口の角度の付いた面に導いて、取り付けプレート12に取り付けられ得る注入口10の表面積を増加させるよう作用するので、取り付けプレート12への固定を強化する。注入口10と取り付けプレート12との間の固定は、任意の適切な手段、例えば、プラスチックや熱溶接或は接着剤などの化学的手段、又はクリップやネジなどの機械的手段によるものであってもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、注入口10は、オストミーバッグ1から外側にその端部まで又は越えて、皮膚に近い取り付けプレート12の表面まで延びて、オストミー排出物の収集を最適にし、皮膚との接触するオストミー排出物の量を抑制する又は減少させることができる。
【0062】
注入口10及び取り付けプレート12は、任意の適切な材料で形成することができる。それらは、材料の選択が互いの間の適切な取り付けを妨げないという条件で、同じ又は異なる材料で形成することができる。適切には、注入口10及び取り付けプレート12は各々、ストーマからの排出物との接触による変形及び/又は劣化に耐性のある非吸収性材料で形成される。適切には、注入口10及び取り付けプレート12は、弾性的に変形可能な材料又は可撓性の材料で形成される。要求される特性を有する任意の材料が、注入口10及び取り付けプレート12を形成するのに適するであろう。具体的な例としては、ゴム、ゴム状材料、ポリウレタン、シリコン、及び熱可塑性エラストマーがある。
【0063】
複数の実施形態において、前部及び後部の液体不透過性層2、4は、透明で柔軟なプラスチックシートで形成される。オストミーバッグで使用するための材料は周知であり、オストミーバッグでの使用に適した任意の材料が本発明に適していると見なされるべきである。
【0064】
取り付けプレート12は、オストミーバッグシールに固定するのに適したオストミーバッグから離れた表面を提供する。オストミーバッグシールは通常、完全な環状リングである、もしくは、2つ以上の部分に分割されていてもよい。オストミーバッグシールは、通常、ストーマの周りに最適化された適合を得るために、オストミーバッグシールの内周部を適合させるのに役立つように柔軟である。
【0065】
一実施形態では、オストミーバッグシールの内面又は面は、皮膚に隣接して接着し、内面に実質的に平行で反対側にある外面は、直接又は取り付けプレート12にすでに貼付されているさらなるシールを介して、取り付けプレート12への取り付け面を提供する。シールの内周面及び外周面は、オストミーバッグシールの外面が取り付けプレート12と良好に接着するように、シールに十分な表面積が提供されるように選択することができる。
【0066】
複数の実施形態では、オストミーバッグシール(図示せず)が取り付けプレート12上に設けられても、或いは取り付けプレート12は、すでに皮膚に取り付けられた又は別個に設けられたオストミーシールに取り付けるための表面を提供してもよい。さらなる実施形態では、オストミーシールを患者に配置してもよく、さらなるオストミーシールを取り付けプレートに配置して、開口部6を取り囲んでもよく、その2つのシールは、実質的に並んだレジストリで接触し、そこでシールは融合してシールを形成する。オストミーバッグ1が取り付けプレート12上にシールを備えている場合、シールは、オストミーシールで一般的に使用されるのと同じ材料と融合するのに適切にハイドロコロイドである。
【0067】
取り付けプレート12は、固定ベルトのアタッチメント用又は患者への物理的取り付けの他の手段用の適切な固定具(図示せず)を備えていてもよく、それは、上記の接着シールと組み合わせて又は接着シールの代わりに、使用時に、バッグを患者の所定の位置に保持する。複数の実施形態では、取り付けプレートは、オストミーバッグ1を保持するために、及び交換される際にオストミーバッグ1の取り外しにおける使用を支援するためのフィンガーグリップ16を有する。フィンガーグリップ16は、ユーザーが両側を握ることができるように、取り付けプレートの面の若干内側に配置してもよい。
【0068】
オストミーバッグ1は、前部及び後部の液体不透過性層2、4を強化するため、及び/又は使用時にオストミーバッグ1の内容物を見えないように遮蔽又は覆い隠すために、コーティングで覆ってもよい。カバーはまた、オストミーバッグ1の穴開きのリスクを低減するよう、強度をもたらすことも可能であり、或は装飾のため又はオストミーバッグ1の美的外観や感触を改善するためのものであってもよい。あらゆる形態のカバーが想定される。
図1及び
図2において、示される実施形態は、後部の不浸透性層4に固定されるカバー材料18と、前部の不浸透性層2に固定されるカバー材料20とを有する。示される実施形態では、カバー材料20は、必要に応じて内容物を見ることができる窓が残されるように、2つの重なり合う部分に形成及び固定されている。コーティング18、20は、任意の適切な材料で形成することができる。適切な材料は、綿、ナイロン、ポリエステル、又はそれらの混合物などの不織布である。別の複数の実施形態では、オストミーバッグは取り外し可能なカバーで覆われてもよい。
【0069】
複数の実施形態では、例えば、
図1及び
図2に示される実施形態では、内容物を空にすることができるようにするためのオストミーバッグの底部の領域5は、舌22及び保持アーム24の配置によって、使用中に密閉される。舌22は、アーム24の間に配置されるまで、端部から巻き上げられる又は折り畳まれる。それから、アーム24は、端部で互いに固定されるが、任意の適切な手段、例えば、面ファスナー又は接着剤によって、巻かれた舌22を密閉位置に保持する。バッグを空にする場合、アーム24を解放し、舌22を広げて、オストミーバッグの内容物を排出できるようにする。
【0070】
本発明のオストミーバッグは、オストミーバッグの内部からガスを放出して、「バルーニング」を防止することを可能にするフィルターシステム(図示せず)を任意に備えてもよい。フィルターは、臭気を吸収するための手段(例えば、炭)、又は液体の漏れを防ぐための手段を含み得る。
【0071】
本発明は、通常は重力下で、皮膚から離れて、ストーマからの排出物を導いて、オストミーバッグの中に収集することができる注入口含む改良されたオストミーバッグを提供する。吸収性のある、適切なハイドロコロイドのシール材料をより効果的に保護することによって、非吸収性の注入口部分は、ハイドロコロイドが分解するリスクを低減し、それにより、オストミーシールの寿命を改善し、患者及び/又は医療提供者のコストを節約する。本発明はまた、患者が使用する及び配置するのがより容易である改良されたオストミーアタッチメントを提供する。
【0072】
さらなる利点において、注入口は、ストーマの排出物が環状シール及び/又は皮膚に跳ね返るのを防止又は低減する物理的障壁を提供する。
【0073】
本発明のさらなる利点は、バッグの両側の部分がストーマ周囲の領域で互いに接触することができないように、注入口の突出する特性により、オストミーバッグの両側が分離されることである。これにより、バッグの両側が一緒になることで排出物のバッグへの流れが阻止されるリスクが軽減する又は最小限になる。これは、従来技術のオストミーバッグでは重大な問題となる可能性があり、その影響は「パンケーキ」として知られている。
【0074】
本発明の特定の利点としては、(1)環状シール及び/又は皮膚から離れて、ストーマ排出物を収集及び注入する、(2)バッグから環状シール及び/又は皮膚へのストーマ液の跳ね返りを回避する、(3)特に中央部が注入口の形態である場合、中央部の単一の機構から生じるすべてのパンケーキを防止することが挙げられる。
【0075】
本明細書に記載の本発明の異なる複数の実施形態は、必要に応じて組み合わせることができ、本発明の実施形態の特徴は、必要に応じて他の実施形態と互換的に使用できることを理解されたい。
【0076】
本発明の特定の複数の実施形態が本明細書に詳細に開示されているが、これは、例として及び説明のためだけに行われている。前述の複数の実施形態は、以下に添付される特許請求の範囲に関して限定することを意図するものではない。発明者は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な置換、変更、及び修正を行うことができると考えられる。
【国際調査報告】